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1958-04-15 第28回国会 参議院 内閣委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月十五日(火曜日)    午前十時五十二分開会   —————————————   委員異動 本日委員柴田栄君辞任につき、その補 欠として上原正吉君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     藤田  進君    理事            松岡 平市君            永岡 光治君    委員            上原 正吉君            剱木 亨弘君            後藤 義隆君            近藤 鶴代君            苫米地義三君            中野 文門君            増原 恵吉君            松村 秀逸君            伊藤 顕道君            田畑 金光君            千葉  信君            森中 守義君            矢嶋 三義君            島村 軍次君            八木 幸吉君   国務大臣    大 蔵 大 臣 一萬田尚登君    国 務 大 臣 津島 壽一君   政府委員    総理府総務長官 今松 治郎君    総理府恩給局長 八巻淳之輔君    防衛政務次官  小山 長規君    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    防衛庁防衛局長 加藤 陽三君    防衛庁教育局長    心得      小幡 久男君    防衛庁人事局長 山本 幸雄君    防衛庁経理局長 山下 武利君    防衛庁装備局長 小山 雄二君    外務省アメリカ    局長      森  治樹君    大蔵省主計局長 石原 周夫君    大蔵省主計局給    与課長     岸本  晋君   事務局側    参     事    (委員部第二課    勤務)     川上 路夫君    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○本委員会の運営に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○防衛庁設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○自衛隊法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○国家公務員に対する寒冷地手当、石  炭手当及び薪炭手当の支給に関する  法律の一部を改正する法律案千葉  信君外八名発議) ○旧令による共済組合等からの年金受  給者のための特別措置法等の規定に  よる年金の額の改定に関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○恩給法等の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 藤田進

    委員長藤田進君) これより内閣委員会開会いたします。  委員異動がございましたので、事務局から報告させます。
  3. 川上路夫

    ○参事(川上路夫君) 御報告いたします。  本日、柴田栄君が辞任されまして、後任として上原正吉君が委員に選任されました。  以上申し上げます。   —————————————
  4. 藤田進

    委員長藤田進君) 昨日、委員長理事打合会をいたしました結果、本日以後の審議について概略次のように一応の話し合いがつきましたので、この際、報告、御了解を得たいと思います。  本日は午前中、防衛法案、これについての質疑をいたします。午後、旧令共済年金額改定法案及び恩給法等改正案、これを一括質疑を続行いたします。明十六日は午前十時開会予定で、防衛庁設置法改正案、これは調達庁防衛庁に吸収する案です。それから共済組合法案退職手当暫定措置法改正案、この三案について順次質疑を行い、かつこれは議了の予定でございます。それからそのあと十六日は、給与法等衆議院から送付されることになりませば、その内容説明を聞くこととなります。それから十七日は、午前中はまだ話し合いが残っておりますが、予定について、午後は防衛法案について、後ほど議題でお諮りいたしますが、参考人三名を招致して意見を聴取する。午前中については後ほど相談申し上げます。十八日(金曜日)午後、岸内閣総理大臣出席を求めまして質疑をいたします。これは防衛二法についてということになっております。  なお若干、こういうかなり先の日程を組んでおりますから、こういうふうに一応はきめておりますが、異動のあり得ることは一つ御了承いただきたい。委員長理事打合会等で、そのつど、また再確認しつつ、進めていきたいと思います。
  5. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 委員長、その点について質疑があります。ただいま委員長理事打合会の結果を御報告になられたわけですが、十八日の岸総理出席防衛法関係だけだということですが、もちろん、昨日の委員会で各委員から要求がありましたように、国家公務員共済年金関係、さらには、今審議中の恩給法関係については別途本委員会出席されるものと推察いたしますし、なお防衛二法につきましても、十八日に岸総理に十分時間をさいていただいて、われわれの質疑を受けていただき、さらに関係政府委員質疑を展開した後に、必要が生じた場合は、最終段階にさらに岸総理を本委員会においで願うというような含みをもって私はきめられているものと推察をいたします。また、さように取り計らっていただきたいと思うのですが、委員長理事打合会の結果を、その線に沿って一つお答えおき願いたいと思います。
  6. 藤田進

    委員長藤田進君) 理事会では種々の意見が出まして、結論としては、防衛二法について十八日午後総理を呼ぶということになっておりますが、しかし、恩給法その他法律案ないし国政調査に関連して、委員の皆さんからぜひ岸総理出席要求する場合は、そのつど、やはり委員長理事打合会等委員長は相談をいたしまして、意に沿うように努力いたしたいと考えております。
  7. 田畑金光

    田畑金光君 その点で重ねて希望を申し上げておきますが、防衛法案等のような重要な法律案でありますから、当然審議の初頭において、一般的な方針に関し総理みずから答えてもらうことが必要になったわけですけれども、若干時間的にずれたわけですが、当然十八日に最初に総理出席を求めるわけで、中間的な段階における総理出席ということになるわけですが、最終段階においては、法案の締めくくりという意味におきましても、当然岸総理出席があってしかるべきだし、また委員長理事打合会においても、そのような御努力を願いたいと考えております。同時に、また十八日は私はまる一日を要求したいと、こう考えておるわけですが、委員長理事打合会においては、午後半日ということになっておりますけれども、この半日を二時間とか三時間という短かい時間でなくして、やはりじっくり一つ政府方針が聞けるように、時間等についても十分配慮して、ことに与党の理事諸君はその旨政府の方に強く要求していただきたいと、こう考えるわけです。また、恩給法の一部改正法案という重大な法律案も持っているわけで、これ等に関しましても、やはりこれは審議の初頭において、あるいは中間において、または最終段階において、総理出席等を求めて、これはわれわれといたしましても、特に国民年金制度等関係もありますから、ただすべきはただしたいと考えておりますのて、一つそのようなことを十分念頭に置かれて、総理に対する出席要求等の場合には、処置願いたいと、強くこの点、要望申し上げておきます。   —————————————
  8. 藤田進

    委員長藤田進君) それでは、これより議事に入ります。  防衛庁設置法の一部を改正する法律案(閣法第三二号)及び自衛隊法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  まず、参考人の件についてお諮りいたします。  先日、矢嶋委員より、憲法との関係、その他防衛関係の基本問題をも含め、両案について公聴会開会されたい旨の御要望があったのでございますが、その後その取り扱いについて、委員長及び理事の間におきまして協議いたしました結果、来たる四月十七日(木曜日)午後一時から、参考人三名程度出席を求めて意見を聴取することに意見が一致いたしました。  つきましては、以上の要領により参考人出席を求めることにいたしまして、その人選につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  それでは、前回に引き続き、両案の質疑を続行いたします。御質疑のおありの方は、順次、御発言願います。
  10. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 防衛庁予算に関連して、長官に二、三お伺いしたいと思いますが、まず会計検査院決算報告によりますと、基本調査の不徹底から、計画ズレとか不要物購入等にいろいろな面が発生して、不都合を来たしておるというような意味報告があるわけです。この点については現在是正されておるかどうか、この点、まずお伺いしておきます。
  11. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 御指摘のように、防衛庁予算に対する決算会計検査院検査等によりまして、工事その他調達部面において不当と認められるものが相当件数指摘されております。これらにつきましては、三十年度についても決算委員会において御警告があったわけでございまして、私はこれに対して遺憾の意を表して、その警告趣旨に従いまして、今後改善、刷新を期するということを表明したわけでございます。三十一年度についても、現に御審議中の決算報告書においては、若干のそういった同様の事実があるわけでございます。これに対しては、まだ決算委員会の審査は終了いたしておりません。しかし、いずれにいたしましても、こういった案件の出ておることについては、まことに経理上の面において遺憾の次第でございまして、特に担当者に対して十分なる戒告ないし注意をいたしまして、その是正、改善をはかっております。  三十二年度予算実行については、特にこの点に留意いたしましてあらゆる面において、私は現状においては相当改善を見たものと自分では思っております。従いまして、これだけ巨額の予算を使用するに当りましては、最も適正に、また効率的に、またその間に不当のないように、最善の注意をはらっておるわけでございまして、ただいま御指摘の点については、十分私は努力いたして参っておる次第でございます。
  12. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 たとえば、警備艦建造については大体順調に進んでおるけれども、搭載武器等購入についてはおくれがちであって、いわゆる警備艦搭載武器とがちぐはぐで、並行していない、こういうきらいがあるようにうかがわれるわけですが、その点についてはどうです。
  13. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 警備艦装備につきましては、これは非常な改善を見ているわけでございます。従いまして、初めの仕様書等において想定され、予算警備艦建造予定された時分と、御承知のように、装備というものが非常に改善されているわけでございます。従いまして、船体発注装備発注は、同時に並行しない場合もあるわけでございます。また、あるものは外国で作ったものを使用しなければならぬというわけでございまして、海外の部面においても、それが予定通り発注というか、製造の間に合わなかったものも中にはあると思います。そういった事情でございまして、これは一に、同じ所要経費を使いまして最も効果的に艦船を装備したいという念慮から出ているものでございまして、最近はそういうことがないように非常な督励をいたしているわけでございまして、装備についても十分な研究ができておりますが、そういったことのちぐはぐというものは避けるように、極力やっているわけでございます。
  14. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 施設整備費関係については、従来しばしば不当事項指摘されておったと思うのですが、本年度整備計画実施計画等については、十分検討されておって、この点が十分是正されているのかどうか、この点を伺いたい。
  15. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 三十三年度につきましては、予算も国会の承認を得たわけでございます。すでにその前から、船艦建造その他の器材整備ということについて常に準備をいたして、年度開始後、この予算の使用については、そういう予定計画のもとに実行いたしたい、こう存ずるわけでございまして、この点は、三十二年度については、年度内にほとんどそういった所要のものは発注し、予算においてもいわゆる未済繰り越しというものは二十億円程度になりました。三十一年度の百数億というものから比べまして、非常なそこに減額を見ているわけでございます。三十三年度については、これは船艦等についてはいろいろ国産の場合に、二、三年前においては、業者においても、また設計その他においても、なかなかそういった経験が積んでいなかった。大体そういったものが積み上げてこられまして、これらの発注その他において支障がなく、手回しよく、また円滑に、また完全なものでやれるような段階に今日はなってきたのでございまして、現年度につきましては、予算計上された所要計画に対して、その実行面においてそういった従来のような遅延とかいうものはないことを私は期待しております。
  16. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 すでに完成している甲型警備艦中、それに必要な搭載武器の一部について、まだ未装備のものがあるように聞いているのですが、そういうものがなければ問題ないのですが、もしありとすれば、その経費はどこから支出するかということをお伺いしたい。
  17. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 具体的の事例につきましては、便宜、政府委員の方からお答えいたします。装備のおくれたものがあるかどうか、その点等についてお答えいたします。なお、三十二年度予算には、初めにまず船体を作って、エンジンはこれはあとで作るといったような、発注は先にやってそれができ上るというような、時期の関係があると思いますが、そういう点は具体的な事例でございますから、よく政府委員の方からお答えいたします。
  18. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) お答えいたします。甲型警備艦等装備は、大体二通りのソースといいますか、初めの方は日本で作らないもの、まあ初めは日本で作らないものが多くございまして、これはマップで先方の供与を受けましてこちらで作るというものと、できるものは国産するものと、大体二通りございます。最近作ります警備艦では、金額的に見て大体それが半々ぐらいの見当です。現在も主要な装備は、それが具体的に重さその他の構造がきまりませんと大体船の設計もできないものでありますから、主要な装備あとに回すというものはほとんどございません。予算その他の関係で、付属的な装備といいますか、まあ船のいわゆる武器でなくて、いろんな関係を少し予算関係で一年ずらす、そしてそれはあと器材費で余裕の出てきたときに作るというものが多少ございます。おもな装備は全部その年度予算ではめ込む、あるいは向うから供与を受けて、それで設計をし、それで作ってしまうというわけであります。
  19. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、航空機事故防止経費の中には、航空機自体整備費も含まれておるのかどうかという点が一つと、あと滑走路整備の具体的な計画についても、この際一緒に税明してほしいと思うのです。
  20. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 航空機事故防止につきましては、かつての委員会においてもお答えしたと思いまするが、昨年までのところ、相当事故を見まして、これを徹底的にその原因究明いたしまして、それに対するおのおの対策を立てまして、三十二年度におきましても、この既存の経費、約六億以上の経費事故防止対策として分配をいたし、これによって成果を上げることを期したのでございますが、この問題は非常に重大でございますから、三十三年度予算におきましても、大体直接間接のものを合計いたしまして三十二億程度のものが予算計上され、これが御承認を得たわけでございます。  事故防止対策というものは、いろんな広範な部面がございます。すなわち、人的にはパイロット操縦士の環境をよくし、また食糧その他においても特別の措置を講じ、また滑走路整備または補助の誘導道路改善、その他整備員の拡充といったようなこと、訓練、それも充実すると、こういった多種多様のものがあるわけでございます。そのような意味におきまして、最近はこういったものの整備に伴って、比較的事故件数が減少を見ているわけでございます。大事な航空機、ことに人命の損傷ということについては、われわれは非常な重大な関心を払い、これを重点施策としてやっておるわけでございます。  本年度予算は、幸いにして防衛庁要望が、まあ大部分それを受け入れられ、予算計上を見たという次第でございます。これは各航空基地に対して、おのおの施設する事項が違っているわけでございます。なお、一たん事故が起った場合に、これを救援する方法が十分でなかった。これに対しても、救命用の舟艇、あるいは飛行機の配置その他によって、事故の起ったすなわち善後処置というような点にも非常な重点を置いて、所要経費計上した、こういうわけでございまして、これが完成する上においては、私は事故防止に大きく貢献するところがある、こう期待をいたしておるわけでございます。
  21. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 現在までの事故処理の結果について、その大要を承わりたいと思うのです。
  22. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 事故が起りました場合には、パイロットにはそれに応じた所要の資金の給与の方がきまっております。しかしながら、これはパイロットに関するものでありますが、比較的少額であったわけでございます。そこで、本年度予算におきましては、特にパイロットにつきましては特別の給与金という制度を設けまして、所定のもの以外に特に百万円程度——程度によりまして、百万円を限度として、特に負傷の状況であるとか、またいろいろな事情に応じ、これを一つ給与するという特別の制度ができて、このために、一千万円を特にこの給付金弔慰金というか、そういうものの制度も初めて設けたわけでございます。今日までは非常にお気の毒であったわけでございまして、本年度からこういったような制度も初めて設けられたということでございます。これは主としてパイロットに関することでございます。  それから機体自身については、これが海中等に墜落したような場合においても、これはその原因究明ということが非常に必要でございます。陸上の場合はもちろん……。これを至急に手配するというようなことが、最近には海上保安庁その他の関係方面とも連絡いたしまして、遺憾なきを期すと同時に、原因究明ということに非常に力を入れているわけであります。なお、機体事故があった場合の原因につきましては、一つ機体にそういったような事故が起った場合は、全機体、同種の飛行機は全機体試験をする。そうしてその事故原因となるべき事実の存在の有無、またそういったものについては徹底的に修理を行なって安心感を与え、再び事故を繰り返すことがないというようにする、こういう方法万全を期しているわけでございます。  まだいろいろ措置についてはございますが、御質問の点はこの程度で御了承願えると思うので、以上の点をお答えいたします。
  23. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 たしか増原次長のときであったと思いますが、調査委員会が設けられて、根本的な事故調査を進めたということを聞いておりますが、その結論と、それがどのように今日まで生かされてきておるか、そういうことについて伺いたいと思います。
  24. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) その趣旨は、航空機事故防止対策委員会というものを設けたことでございます。私、就任直後、二カ月ばかりたちまして、この対策委員会報告書提出を受けまして、これを綿密に検討いたしました。また一方、航空自衛隊、すなわち航空集団司令部というのが昨年八月に設けられて、その司令が、司令部と申しますか、それが徹底的に各地の航空部隊状況を視察いたしまして、これの報告も出ました。  この対策委員会報告は、過去において起った大小の事故百幾つに対して、綿密なる検討をとげました。それによりますと、大体事故の起った原因は何であるかというと、いろいろ機種によって違いますが、大体操縦関係、すなわち操縦の何というか、そこに故障というか、やり方が悪かったとかいったような意味もありましょう。これは本人の原因ばかりには帰するわけにはいきませんが、飛行場滑走路が不備であったようなことも中には関連するかと思いますが、これが大体事故全体の四割一分になっております。それから、整備が悪いというために事故が起った、これは四・八%ぐらいを占めております。一〇〇%の中のでございますね。それから、教育等が、いわゆる訓練等がまだ十分指導がうまくいっていなかったと認められるものが九%ばかりございます。それから、地上の誘導設備等が悪いためのが四%余でございます。また、資材の欠陥があったもの、いわゆる機体そのものにどこか故障があったというようなものが一四%ばかりあったようであります。なお、通信関係故障というか、不備のために二・四%、飛行場設備の悪いために故障の起ったものは六%ぐらいになっておるようであります。そういった意味において、全体の航空事故原因をしさいに調べました結果、これにどういう対策を講ずるかというようなことを検討いたしたわけでございます。  その結果として、先ほど申しました、さっそくこの対策に対して相当経費を繰りかえて充当しようということで、六億円ばかり昨年度既定予算の中で繰りかえて、これは一時的のものでございます。そこで、今申しあげましたように、本年度においては、これを徹底的に一つ事故対策を講じようと、こういうようなことで、予算の本格的な計上を見た、こういう次第になっておるわけでございます。
  25. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、隊員募集関係経費について、これはだんだん増大しておるようですが、広報関係経費と関連して、その事務自衛隊法施行令第七章の雑則の各条で、各地方自治団体に義務づけておるようですが、経費の増大とともに事務量はだんだんふえておるのですが、一体その予算の裏づけはどうなるのか。
  26. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 募集に関する経費は、三十二年度に対して約四千万円増加になりまして、これは計数は担当者から申し上げますが、これは事務量増加もございましょう。しかしながら、十分な広報的な関係においても、不便であるのに、少い。特に試験場検査をする、試験を受ける場所が少いために、遠方であるために、志望者で受験に来られないというような事例が多いのであります。従って、試験場の増置、なおまた、市町村に対するこういった事務方面に対する所要経費増加するというようなことで、本年度は、三十三年度相当金額増加を見ておる。これは募集人員増加ということから見ても、当然だろうと思うのであります。金額の点は、担当者からお答えいたします。
  27. 山下武利

    政府委員山下武利君) 募集関係経費予算は、三十二年度におきましては一億二千三百万円でありましたが、昭和三十三年度予算は一億七千万円と増額いたしております。増額いたしました原因といたしましては、もちろん募集人員増加によるものも多いのでございますが、従来とかく不足がちでありました庁費でありますとか、あるいは職員の旅費とかにつきましても、実質的な増加相当にはかっておる次第でございます。
  28. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ここで隊員募集ということが出て参りましたので、隊員募集について二、三お伺いしたいのですが、四月四日の新聞によりますと、新潟県の小千谷市において、募集目標十八名に対し、十日までに志願者が一人もなかった。そこで、十五日締め切りになっておるから、八日から新潟地方連絡部隊員四名の方が、同市の公民館に泊りこんで、同市及び周辺農村部をかり出して募集に歩いておる。こういうことに対して、世間で非常に行き過ぎだとの批判があるわけですが、この事実について調査せられたかどうか、またそれに対して長官としてどういうふうにお考えになっておるか。
  29. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 募集事務は、各県にある地方連絡部というところで、防衛庁出先機関として担当いたしております。これは、私どもはあまり無理をしちゃいかぬ、みんなよく認識されて、自衛隊に応募したいという希望のある者を受け付けてやる。もちろん、街頭等においてこういったポスター、またはそういった書きつけを渡すとかいうようなことは、あり得ると思います。しかしながら、戸別訪問的に無理をして各人にこの応募を勧誘するというようなことはしないようにということは、よく伝えてあるわけでございます。御指摘のこの新潟方面における、小千谷でしたかの方面におけるそういったような報道ですが、それは新聞で私も読みました。部内の者に、担当者にどういうものであるかよく調査するようにということを申しました。私らの今まで指示したことに違って妥当でないやり方は、やっていないという報告を受けたわけであります。なお、詳細具体的に、その担当官が得た報告によってお答え申し上げることにしたいと思います。
  30. 山本幸雄

    政府委員(山本幸雄君) この新潟県におきまする募集につきましては、ただいまも長官からお話がございましたように、本年度募集相当人数が多いのでございますので、相当な努力をやっておるわけであります。その募集の過程で、こういった問題が新聞に出たわけでございますが、地方におきまする、特に農村方面におきまする募集は、地域的に非常に応募者が分散をしておるという状況であるわけです。その点は、都会における募集と、募集の方法その他におきましても、若干異なるわけでございます。いろいろポスターその他の方法もございますし、あるいはジープに乗りまして勧誘をして歩くという方法もあるわけでございますが、一部にはそういう町村役場の方が協力を、もちろん自衛隊法によっても協力して下さるわけでございますが、それの場合に、役場の方と御一緒に行きまして、その町村の中で自衛隊に応募をして下さりそうなところを訪問するという事実も、これは絶無ではないと私は思っております。しかしながら、軒なみにとか、あるいはそうした——ほぼこちらの募集の年令の制限がございますが、その年令制限の範囲内に当てはまる方のうちを戸別に漏れなく訪問するというようなあり方は、もちろんこれは絶対にやっておりません。まあそういうような状況募集はやっておるのでございます。たまたまこの新潟県におきまする場合は、勧誘をいたしまする対象として、役場とも連絡の上で、そうした方が勧誘をするのに適当であろうということで、おそらくこの方のうちをおたずねをしたものであろうと、かように考えておりますし、また詳細な報告はただいまのところまだ参っておりませんけれども、ほぼかような事実に近いことがあったものであろうと、こう思っております。
  31. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 募集に関しての広報宣伝ですね、これは知事とか市町村長がやるわけですか、その点を……。
  32. 山本幸雄

    政府委員(山本幸雄君) もちろん、これは御存じの通り、府県に地方連絡部というものがございまして、この地方連絡部がもちろん中心になりまして、これが募集の方法を担当をしておるわけでございます。その際に町村の方の御協力を得まして、その上でそれぞれの町村内に対しまして勧誘を実施しておるということになっております。
  33. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この今回の募集については、四月十五日が一応締め切りといっておるわけですが、これは三十三年度の第一回分であるのか、それとも既定の定員の募集なのか、その点を明確にしていただきたいと思います。
  34. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 現に行なっておりまする募集の分は、既定の人員においてやめる者がございます。除隊式なものがございます。その定員の範囲内における募集と申しますか、充足ですね、そういう意味でやっておるわけでございます。
  35. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これも新聞の報道ですが、四月十二日の朝日新聞によりますと、「嘆く中小商店、工場」、こういうような見出しで、自衛隊の募集のあり方についていろいろと情報が出ておるわけですが、やはり中小企業の実態と考え合せて、政府としてもいろいろ考えておると思うのですが、この点について長官としてはどうお考えですか。
  36. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) この自衛隊員募集ということは、これを十分理解していただき、自衛隊員として厳正な規律のもとに、また必要な訓練を受ける、こういう意味も十分知って応募するということに相なっております、それで、個々の場合に、この場合でいえば雇い主といいますか、その方に一々了解を受けるよりは、御本人がやはり志願して参るわけでございます。その場合に、もちろんその家庭なり、あるいはその担当、現に担当しておる職務ということはもちろんわかるわけですけれども、何分、五万、十万といったようなものでございまして、それがなかなか手が回らぬ場合もあるかと思います。そういった意味において、私どもは所要の応募並びに採用を受ける上において、そういったように十分の手の回らぬこともあるかと思います。まあ雇い主の立場からいけば、これは引き続き雇用しておきたいというような場合も中にはあるかと思います。しかし、これがなかなか困難な実情と思うのでございます。十分その個個の実情に応じて、たとえそれが適格者であり、また本人の志望があっても、これを採用しないとかいう決定をするということになると、大体非常に日数が要ることだと思うのでございまして、詳細のやり方については担当者からお答えいたしますが、困難な場合もあり得るということは想像にかたくないことだと思います。
  37. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間が参りましたので、あと一点お伺いして質問を終りますが、長官からは、押しつけがましいことはしないと、そういうふうな御説明があったわけですけれども、今、新潟の例によっても、事務担当者が適齢青年の名前を調べて戸別訪問して、そして志願用紙を出して呼びかけるということは、いささか行き過ぎではないかと思われるのですが、この点は一つ、いま一度明確に態度を示してほしい思います。
  38. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 各戸を回って、適齢者のところへ戸別訪問をして、募集をしいるといいますか、そういったような事実は私はよくないと思います。今の御指摘新潟の場合、今、人事局長から報告もありましたが、まだ完全な報告を得ていないという、一応の報告が参ったというわけでございますが、十分取り調べまして、そして注意すべき点があれば、これは注意をしたいと思います。
  39. 藤田進

    委員長藤田進君) 伊藤君の質疑に関連して、私から一点お伺いいたしたいのですが、防衛庁本庁の一般職、つまり高等学校あるいは大学の卒業生で、事務的な方面ならば相当な応募者があるとも聞いているのですね。それはどういう競争率、採用する場合の競争率はどんな状況なのか、まずお答え願いたいと思います。政府委員にお伺いします。
  40. 山本幸雄

    政府委員(山本幸雄君) ただいま詳細な手元に資料を持っておりませんので、後ほど詳しく補足的には申し上げますが、これは内局の関係、それから三幕の関係、それぞれで実は試験をしております。従いまして、それぞれでシビリアンの採用につきましては、事務系統あるいは技術系統の応募者を得ておるわけでございますが、相当の数字の応募者がございます。試験をいたしまして、その試験成績によりまして合格氏名を作り、それによって採用しておる状況でございます。
  41. 藤田進

    委員長藤田進君) 人事局長で、あれですか、最近の応募者と採用人員、つまり競争率がおよそ何人に一人かということが、把握されていないのですか。
  42. 山本幸雄

    政府委員(山本幸雄君) これは大学卒、高等学校卒、それが事務系統、技術系統、それぞれに分れておりますし、採用の部門もそれぞれに違っている、こういう関係がございまして、それぞれで相当差異がございますので、いずれ後ほど詳細な報告を申し上げます。
  43. 藤田進

    委員長藤田進君) いずれにして、そういう内局の一般職は相当な競争率で応募者があるのに、一方自衛官の方は、今ほど来の質疑で明らかなように、相当無理をして募集しても、応募者が少い。一般の失業の状況下において、かつそういう実情だということについて、どういう点に問題が、原因があるのか。長官は、この点について、具体的などういう点にネックがあるのか、お答えいただきたい。
  44. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 大体最近の、いわゆる二十というわけでございます、この応募の対象になるものは。幹部候補生とか何とかいうものは非常に多いし、防衛大学のごときも十倍以上の応募者があり、自衛官になるわけでございまして、二十というのが自衛官の人数においても多いし、昔のいわゆる兵隊というわけで、この応募では、成績を大体申しあげますと、一昨年あたりは応募人一万に対して五万五千、五倍五割、年間で二十万こして応募者があるわけでございます。その中で三万なりをとるというわけでございます。これは全体の平均でございます。最近の三十二年度の上半期は大体四倍五割、最近まで四倍三割くらいな見当の応募者と採用人の比率でございます。その程度でございます。この程度であれば、素質のいい、志願者の中の、学歴その他から申しまして、私は自衛隊の素質として欠くるところがないと思っております。  ただ、この中の二十と申しましても、陸、海、空とございます。海、空については大体採用人数が少い。二千人、三千人でございますが、一回がこれは十倍ないし十一倍になっている。陸上自衛隊の部分において、割合が少くて、平均で四倍五割とかいうのでございます。で、これはいろんな事情があると思いまするが、何というか規律、訓練その他が相当、一般の職業につくよりは厳正なものがあると思います。なお給与部面においても、今の二十の給与がまあほかの職業と比較して、必ずしも十分であるとは思いません。まあ全体的にわが国における国防の意識というものが、今日の段階でそう十分に普及されていないというような基本的な問題があるかと思います。そういった意味におきまして、今日の状態は、もう一つ原因は、これは一般情勢で、他に適当な職業があるといった場合に、安定した職業として、その方を選びたいという気持もあると思います。すなわち、自衛官の中の二十あるいは一士になり、陸曹、海曹というふうになっていくには、相当の年限を要し、大体二年ないし三年ということで、契約によってやっていくわけであります。その後においてどうなるかということについては、相当の私は考えを持つようなことになるのではないかと思います。そこで、なるべくこれらの方が二十、一士からずっと上って陸曹——昔の下上官、そういったように昇進の道を考えていくということであれば、私はよほど違うと思います。長く勤めるという態勢を作り上げてこなければならぬ。ここにやはり陸曹の待遇という問題になるわけであります。これはいろいろの点において改善を加えるべきものがあるということは、私もいろいろ検討いたしまして考えておるわけであります。  何分にも予算というものが、人件費の関係でございますが、非常に限られているわけでございます。これはまあ全体の防衛庁費の関係において装備とか器材費というようなものの改善を必要とするという段階において、こういった給与の待遇というものをよりよくするということには相当の困難があり、人数も多いわけでございますから、そういうところで、難点と申し上げますれば、今申し上げた程度のものでありまして、まあ今日の応募の成績によって自衛隊の隊員の素質が非常に低下するという事実は私は見ておりません。  大体以上の点でございます。
  45. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は、質問を始める前に、今のに関連して一点承わりたいのですが、待遇改善云々ということは考えられると思うのですが、今、防衛庁長官の言葉の端に、隊員の任期を長くすると、そうすることによって昇進し、希望者も多くなるのじゃないか。これは僕はちょっとおかしいのじゃないかと思うのですがね。結局、今の自由応募主義下においては、二十二万の自衛隊員の質的量的確保が至難であるということを意味しているのではないですか。さらに、日本の経済規模がいよいよ拡大して、経済界が活発化してくれば、なおのこと、二十二、三万の自衛隊員を今の制度において確保するということは至難になるのではないか。また、国家財政の面からも私は膨大化して、問題点が起ってくると思うのです。そういう点については、あなた方はどういう見通しを持っておられるか。今あなたの、ただ今の二年間の任期を延長することによって昇進がもたらされ、待遇が改善されて、志望者が多くなるという見方は、これは私は間違っていると思うのです。また、反面からいうと、任期を長くすることによって十分その隊員訓練しようという、私は違う意味の意図が今の答弁の中に内蔵されているんじゃないか、かように考えるのですが、いかがですか。
  46. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 私の申し上げたのは、任期を延長して、約束を今二年とあるものを四年にするとかという趣旨じゃないのです。これは更新を許しておりまして、二年たったときに、まだ隊員がずっと引き続き勤務するかどうか考えて、それじゃ更新しましょうと、こういうことなんです。更新がないと、除隊者が非常に多いわけです。そこで、隊員募集について、今の増員が一万とかりにいたしましても、むしろ除隊というか、任期というか、約束の期間ですね、二年済んだときにやめた者も、これはまた増員の上プラス除隊員というか、それを合せたものが三万、四万というものが年に募集しなければいかぬというわけでございます。そこで、認意の制度においてまあ二年を約束し、それでさらに勤務を続けたいというと、そこで更新の約束をするわけです。そういうことがあれば、除隊する者も少くなる。新規増加だけを募集すればいい。これを三十三年度においてかりに一万人増勢といいましても、一万人募集というだけならば問題は簡単でございますが、二年たったらやめる人ができる。それが一万何千とか二万とかいうものがある。それを合せたものを募集する。しかし、これらの方が隊に入って、上にいって陸曹になろうという希望を抱き、そうしてここで安定しようという者があれば、増員だけの分でいいわけですね。充実された隊において、欠員というものが少くなる。私はそれを、各募集の際におけるいわゆる契約上の期間を延長するというよりは、実際において、現に陸曹あたりの宿舎を見ますと、当然あるべきものが、今宿舎なんというものは、北海道においてもないのでございます。これを建てるのには相当経費が要る。全国にわたった問題です。もし、これが宿舎でもあれば、これは非常な、私は陸曹階級というものは満足する。しかも、下の一士、二十とかいうものも安定性を持ってくるだろうというようなことを考えておるという趣旨でございますから、どうぞ。
  47. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点はその程度にして、私の質問をいたします。  昨日、第五回の安保委員会が開かれたはずでありますが、代表並びに傍聴者はだれだれ出席されましたか、お答え願います。
  48. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 昨日の第五回安保委員会日本側からは藤山、私両委員、なお先方アメリカ側からの方は、大使、スタンプ司令官にかわってスミス司令官、四人でございます、委員として。なお、委員外で関係の者としては、日本側では防衛庁事務次官、また林統幕議長……。
  49. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 外務省は外務大臣だけですか。
  50. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 外務省側は、アジア局長、その他一、二人関係の担当の課長が出ました。なお、米側からは参謀長、次長、それから大使館側からは公使が出ました。それが大体列席しておった者でございます。
  51. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 アメリカ局長出席されましたか、それだけお答え願いたい。
  52. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 出席いたしました。
  53. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その議題は、だれがどのようにして、いつもきめるのか。それから昨日の議題はどういうものであったか、お答え願います。
  54. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 議題を決定いたしますのは、外務省と防衛庁の方で協議いたしまして、日本側の希望する議題をきめまして、そうして先方と打ち合せまして最終的に決定するわけでございます。昨日討議いたしましたのは、防衛庁案件が二つ、すなわち、海軍の配備に関する問題と、防空の問題、それからそれに続きまして、第四回以降における日本の安全保障に関連する国際情勢、特に極東における国際情勢について討議、意見の交換を行いまして、そうして最終に、これは議題には載っておりませんでしたけれども、外務大臣から進駐軍労務の問題に関して先方の注意を喚起されまして、先方もこれに対して善処を約束いたしたような次第でございます。
  55. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 南太平洋における核兵器の実験禁止の件についての議題を、日本政府は提示したかしなかったか。したとすれば、どういうディスカッションが行われたか、お答え願います。
  56. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 昨日の委員会では、この問題は討議いたされませんでした。
  57. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 日本政府は、安保委員会議題としてそういうものを提示したのですか、しなかったのですか。
  58. 森治樹

    政府委員(森治樹君) いたしませんでした。
  59. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 国務大臣としての防衛庁長官に承わります。この一九五七年六月二十一日に発表された岸日本総理大臣とアイゼンハワー米合衆国大統領との共同コミュニケ、これから安保委員会というものは生まれてきておるわけです。そうして今まで四回ありましたが、国際情勢の現状とか、必ずしも狭義の意味における防衛問題に限らず、機械の問題が過去四回における安保委員会において議題となっておるわけです。特にこの核実験禁止の問題については、この五項に、「両国は、核兵器及び通常兵器の双方における軍備の縮小のための実効な国際協定が世界の将来にとってきわめて重要であることについて完全に意見が一致している。両国は、この重要な問題について、今後とも緊密に協議を行う。」、こういうふうにうたわれておるわけです。先般来ソビエトが、その意図に伏線があるにいたしましても、とにかく無条件に製造、実験をやめるということを中外に宣明した。そうしてこれは国際政治の面において、国際情勢というものに大きな影響を与えた。わが国はもちろん受けて、いろいろ議論され、そうして政府は米、英、ソに対して政府としての意思表示もされておるわけです。こういう問題があるときに、日米安保委員会が開かれたのに、何がゆえにこういう問題を提示しないのか。これはおかしいじゃないですか。当然、私は提示されるべきだと思う。  さらに、極東国際情勢の中でも、特に極東情勢についていろいろ論議された。これは前回においてもやられておるわけです。そうなりますれば、ともかく広義の問題として、第四次日中貿易協定のような問題も、当然私は話題に出る性質のものだと思うのです。それは共同コミュニケにもそういう内容があるわけですから、当然そういうものは出るべきものだと思う。外務省と防衛庁で話し合って、議題を提示する。向うが拒否する場合は別ですが、私は提示すべきだと思う。そうして、そういうところにおいてディスカッションが行われるべきものだと思う、何がゆえにそういう、何ですか、日中貿易の問題とか、特に今世界の注視の的であるところの核爆発実験禁止、この問題を提示しなかったのか。私は岸内閣の方針からいって当然提示すべきだったと思うのですが、担当責任国務大臣としてどういう御見解であるか、承わりたい。
  60. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 南太平洋における核実験の禁止という問題について、昨日の安保委員会において議題として取り上げなかったということは、森アメリカ局長の答弁いたした通りでございます。なぜ、こういった問題を昨日の安保委員会で取り上げなかったか、議題としなかったかという点についての御質問でございますが、この問題は重要であるということはもう当然のことでございます。安保委員会において、限られた時間においていろいろな問題を論議するために、昨日の議題は先刻お答えしたような範囲になったわけでございます。同時に、現在日本政府として面接、この問題について関係国に向っていろいろの意見を表明し、またあるものについてはその話し合いを進めるという段階になっておったという事情も考慮に入れまして、昨日はこの問題については、安保委員会ではわれわれの方からは提示しなかったのです。先方が提示したものに対してこれを議題にしないというような意思の表明があったという事実はございませんで、とにかく私どもは、この委員会の他の議題に重要性のあるものがあるという趣旨から、この一方の重要な問題を現に日本政府として相当措置を講ぜられておるという事態にかんがみまして、昨日はこれを議題にしなかったということであります。
  61. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は非常に不満です。この点については、内閣の最高責任である岸総理に伺います。岸総理自身、アメリカに意思表示をしてそうして核実験をやれないということに対しては、遺憾であるということをみずから述べられている。こういう機会に、なぜあなた方は安保委員会においてそういうことの意思表示、向う側の意見を十分聞こうと努力しなかったのですか。議題に提示しなかったこと自体が問題です。  さらには、もう一つ伺いましょう。ごく最近アメリカの軍の首脳者の、沖縄の軍事基地は永久に日本に返還しないであろうということが、外電によって新聞報道されております。新聞で見ただけですが、少くともその新聞にそういうことが報道されている。この問題について、ともかく懇談のときでも、日本の新聞にはこういうことが出て、そうして国民は不安にかられているが、一体真意はどうなんだというようなことが、私は安保委員会の今度の席上に当然出るべきであると思う。それは、この共同コミュニケからいっても、そういうことは出なければならぬと思うのですが、そういう話は出たのですか、出ないのですか。  また、防衛庁長官国務大臣として、沖縄にある米軍の基地というものは永久的に、あるいは半永久的に、アメリカがあそこに基地を維持するであろう、こういうふうにお考えになっておられるのですか、どうですか。その一点をお答え願いたい。
  62. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 新聞報道で今仰せになりましたようなことがあったということは、私も読んだことはございますが、果してどういうような表現であり、また具体的に、また正確に、どういうような言葉であったかということもはっきりいたしておりません。しかしながら、もうこれはわが国の方針であり、またアメリカ側、いわゆるアメリカの責任ある政府当局からもたびたび言われたように、これは極東の事態が安定し、アメリカの側において沖縄というものがこれは施政権を持っておるが、これはその時期には返還するのだという基本的の方針が、ただいまのようなある人の発言で変えられたということは、私は想像しないのです。どういう表現であったか知らぬが、そういった基本方針を、ある方の発言によって、あるいは政府はそれを是認して、従来の態度が変った、というようなふうにはとっておりませんから、私はあれは、そういった文章もわかりませんし、方針が変ったというようにとるのは早計でないかというふうに見ているわけでございます。
  63. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それは、防衛庁長官、こういう機会にそういうものを、相手も専門家なんですから、責任者なんですから、だから、確かめて、そうして従来の通りに潜在主権を認めて、できるだけ早い機会にアメリカは基地を撤退するのだという基本方針は間違いない、ああいう新聞報道はアメリカの真意でないということが明確になれば、安保委員会の直後において、共同発表の形でそういうことを発表すべきじゃないですか。そうすることによって、国民は安心するじゃないですか。それが新聞に外電として報道されておる。だから、だれかが外国でしゃべったに違いない。それが電波に乗ってきているわけなんです。それが国民の視覚に訴えているのだから、どうしても当然そういう点については明確にして、そうしてはっきりしたならば、それを安保委員会あと、共同発表の形で国民に知らせるように努力すべきじゃないですか。それが国務大臣のとるべき態度だと思うのです。そういうことをなさらないで、今までの方針がそうなっているから、別に変ると思わないとかいっても、国民は不安である。そういう点について私は、あなた方は、安保委員会の運営に当って——これは一対一で開かれているはずなんです。主従の関係にあるのじゃないか。リードされているのじゃないか。もう少し、一対一の立場において、安保委員会においては日本政府は全く対等の立場において私は議論するように、しっかりしてもらいたいと思うのです。その点については私は不満です。  若干内容を伺いますが、この防空関係については、レーダー基地返還の問題、さらに日本の新しい戦闘機機種の問題が話し合われ、双方の了解が成立したということを伝え聞いておるわけなんですが、この法案並びにこれに伴う予算関係もありますから、その点についてお答え願いたいと思います。
  64. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 昨日の会議で、レーダー・サイトの継承という問題は、私の方から提案いたしまして、協議の題目になったわけでございます。なお、お尋ねのうちに、次期戦闘機、いわゆる新機種の問題も話して了解を得たという、その事実はございません。これは全然、安保委員会で私はこの点に触れませんでした。レーダー・サイトについてはどうかということで、予算関係等についてもお尋ねがあったから、一言申し上げておきます。  レーダー・サイトは、三十二年度予算において大体六カ所のサイトを日本予定して、計上予算を一億数千万円、所要の資材その他設備関係、これがいろいろ折衝の結果実現をしないので、これは三十三年度に繰り越すことに相なっております。第二に、三十三年度予算においても、この問題で新たに計上いたしました。これは七カ所計上、大体予算が六億三千余百万円というものでございます。で、この問題は、わが航空自衛隊がだんだん育成し、また防空関係において実働的な部隊としていく上には、領空侵犯といったようなことで実行する上においては必要な措置として、かねがねこの必要を認め、また予算にもそれが計上されたわけでございます。昨日は、この問題に対して、今引き継ぎの円滑にいくように双方協力してやろうという話し合いができたわけでございます。今後これは実行に着手するわけでございます。そういった問題がきのういろいろ協議された次第でございます。
  65. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 向う三カ年間に全部のレーダー・サイトの引き継ぎが完了するということが一致されたというのですが、そうすると、その間には、日本に引き継がれたものとアメリカが管理しているものと両方あるわけですね。それらの運用というものはいかようにするのか、その場合の総指揮はどちらでとられるのか。それからまた、この引き継がれたレーダー・サイトの要員は、適格者がすでにわが自衛隊においては確保されているのかどうか。それらの点についてお答え願います。
  66. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 御質問の中で、三年間に全部引き継ぐということに一致した。という点はございません。
  67. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いつ全部お引き継ぎになるか。
  68. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) これは、自衛隊で引き継ぐような訓練ができて、予算の裏づけもできましてからでございまして、われわれは早い方を望むのでございますけれども、三年間ということではっきり意見が一致したということは、事実はございませんから、ちょっとおかしていただきたい。今二年分が予定され、また予算の裏づけがある、こういうことでございますから  それで、お尋ねの一点は、日本側の航空自衛隊がこういったレーダーの運営、また管理、維持等において円滑に進行しているかといえ、問題であります。これは、かねてから、現在の米空軍の管理しておりまするレーダー・サイトに、訓練のためにそこで勤務いたして、だんだんそれが熟達し、そこでそういった部面からこの引き継ぎを善行しようということになっております。それが逐次行われる。その行われるのは、いわゆる訓練が完成してこの運営ができるというにつれて、見合って実行しよう、こういうことでございます。  なお、しからば、残った部分、また引き継ぎの終えない分と、またもう引き継いだ分とが、やはり運営の上においては連絡を必要とするわけでございます。それらについての十分な打ち合せをして、そうして各自おのおの、日本側については日本側に指揮権を持つ、先方が管理しておるものについては先方が管理する、指揮権は各独自にやるということでございます。その間に連絡調整ということはおのずから行われる必要がある場合においては、これを行う、こういうような運営をしていきたいというまあ見当でやっておるわけでございます。
  69. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 第四回の安保委員会は、三十二年の十二月に開かれておりますが、このときに、自衛隊の装備の近代化ということが議題になっているのですね。その後、先般この委員会でお答えになりましたように、戦闘機の機種が決定されたのですね。そういうことと、昨日のこの安保委員会で、朝日新聞の報道によりますと、津島防衛庁長官から、航空自衛隊が領空侵犯に対処する準備を行なっているなど、防空体制の整備状況を説明したということが報ぜられている。これは全部関連があると思う。従って、私は、機種の問題など当然論ぜられた。また、この今われわれが審議している自衛隊一万人増員、これは一昨年重光さんがアメリカに行かれた当時、話し合いのまとまったものです。それ以後の約一年半の軍事情勢というもの、それから兵器の進歩の状況というものは、ずいぶんと激変している。従って、これは、私はこれらの点について必ず話し合いが行われた。一万人の自衛隊など増員をすることは、私は必ずしもアメリカは大きな期待をしていないと思う。そういう話はなかったのですか。  特に、お答え願うときに、この領空侵犯について準備を行なっているということを述べ、それが了解されたと伝えられております。それはおそらく自衛隊法八十四条に基いて、領空を犯した場合の退去、着陸に対して必要な措置を講ずることができるというこの条章の発動だと思うのです。従って、これは憲法の前文並びに九条とも関連があるわけですが、一体その必要な措置というのはどういうことをされようとしているのか。また、伝えられるところによりますと、この準備態勢は、自衛隊としては北海道の千歳だけにその準備態が整えられたというのですが、果してそうなのか。千歳だけなのか、あるいは西九州の方にもそういう準備態勢をすでに整えておられるのか、その発動はいつからやられるように意見が一致したのか、お答え願いたいと思います。
  70. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) この第四回の安保委員会において、近代化というものが協議されたと、これは事実でございます。しかし、従って、その中におのずから最近に新機種の内定を見た、それを近代化のときに話し合い、また今後も——今後というか、昨日の会議でも議題になったか、協議の題目になったかというようなお尋ね、これは昨日は新機械の問題は全然触れておりません。また、近代化ということは非常に広いのでございまして、機種といったようなことも含む場合もありますが、少くともそういった問題は昨日は私は提議しません。これは本邦の側において、国防会議等で慎重に審議して、しかるべく選定すべき問題だと思い、あらためてこれを議題にすることはやりませんでした。なおまた、一万人増勢の問題が、昨日の委員会において何か問題、協議の対象になったかという、これも全然ございません。  なお、お尋ねの点でございますが、領空侵犯の措置でございます。これは、昨日の会議において私の方から提議したわけでございます。これは御承知のように、昭和二十八年の春、マーフィー大使と岡崎外務大臣との間に交換の書面、往復書簡というものがございまして、当時わが国においては航空自衛隊は持っておりません。しかも、わが領空を国際条約または国内法の関係において違反して飛翔するものに対する措置というものが、これは各国ともそういった領空侵犯に対する措置というものは行なっておるのでありまするが、当時はそれに対処すべき方便を持っておらなかったという事情で、アメリカ駐留軍、すなわち空軍にこの措置をとることをはかったわけでございます。そこで、まあ必要な措置をとろうという交換書面があるわけです。それが自来四年余を経過いたしまして、航空自衛隊も発足し、なお航空機というものについてもだんだんとそれが漸増の形態であり、また、操縦士の訓練もできたわけであります。どうしても、これは自衛隊法の第八十四条というものは、自衛隊の任務の一つになっているわけでございますから、いずれかの時期においてこれは実行したいということは、これは当然考えるべきことでございますので、その意味において、もはやこの段階において、昨年以来集団司令部という格好に隊の編成も変え、組織も変え、なお、この措置をとるべき訓練もいたしておるわけでございます。そこで、私は、アメリカ駐留軍によって全部これを、領空侵犯に対する処置をまかすということは、この段階ではその必要もないし、また、当然これはやるべき任務になっているわけですから、その事情を考えまして、私は部隊に対して、この八十四条の措置というものを、可能な限度において航空自衛隊がやるべきであると、その準備をせいという命令を出したわけでございます。これは一般命令と申しまして、準備をするという意味でございます。詳細のやり方については、これはあらためてまた具体的の命令を出そうと。で、この命令は今検討中でございまして、これが出れば、いよいよ何どきでも司令の指揮のもとにこの措置がとれると、こういうように相なるわけでございます。  その意味においてこのことはわが防空上非常に重大な関係もあり、特に、アメリカ空軍の任務とされた部面について、わが航空自衛隊がその任務をやろうということでございますから、この問題を対象に、またこれは非常に急いでおる問題でございまして、昨日これを議題にしたわけでございます。  なお、これが実行の具体的の場所、地域等についての御質問でございました。これは、さしあたり可能な準備が整いますところは、北海道千歳の部隊であろうと思うのであります。しかし、レーダー・サイトの引き継ぎと見合いまして、今後必要な部面にこれを拡張していく。これは一に、レーダー・サイトその他の関係もございます。また、航空自衛隊訓練その他の関係もございます。これは漸進的にこれを拡大いたしたい、こういう方針でございます。
  71. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 関連。今までアメリカ空軍が、領空侵犯の疑いがあったがために、出動して退去さしたという事例が、何件ぐらいございますか。
  72. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 私どもの承知しておりまするところでは、昨日中に北海道方面におきまして、領空侵犯と疑われるものが十数件あったということを聞いております。  ただ、これは領空侵犯かどうかということは、実は非常にむずかしいのでございまして、現在のレーダーの能力をもっていたしますれば、概略のことはわかりますけれども、正確にそれが領海の上空に入ったかどうかということについては、必ずしも正確ではないのでございます。この点が一つ。で、先ほども申し上げましたように、疑われる事件というふうに私どもは承知しておるわけでございます。実際に米空軍が出動したかどうかという点につきましては、ただいまのところ申し上げる何も資料を持っておりません。
  73. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは、あまり時間がないのですから、何回も聞きませんが、もう一回だけこの点を聞きます。それは、態勢に入れば、武器、たまを持ってすでに哨戒することになると思うのです。そうして、伝えられるところによると、たまは持っているけれども、発砲はしない。これは発砲すると、武力行使になると、憲法との関連もあるから、発砲はしない。そうして、その領空から退去あるいは着陸をさせるというのですが、そうなのかどうか。  それから、その領空から退去させる場合に、追っ払っていく場合に、どこまで……。空のことですから、なかなかむずかしいけれども、これは命令次第では、とんでもないところまで追跡していって、ここまで追っついていけたのなら、ここで一つし返ししてやろうというようなことで、し返しされぬとも限らぬし、そういうことがきっかけになって、どういう国際間の紛争が起らないとも限らないと思うのです。従って、この命令の出し方というものは、私は非常に重大だと思うのですが、防衛庁長官は、これはどういうふうにお考えになっておるわけですか。
  74. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 八十四条の領空侵犯に対する措置というものは、明確に限度が書かれておるわけです。仰せの通り、国際法規または航空法その他の法令の規定に違反して、わが国の上空に飛行機が侵入したというのが、領空侵犯ということでございますが、それに対しては、自衛隊の部隊に対して、この飛行機を着陸さす、またはそれをわが国の領域の上空から退去させるという措置をとれと、こういうことでございます。実際の措置としては、いわゆる発砲ということはやらさぬわけでございます。いろいろ信号の方法が国際的にあるわけでございます。それによって相手方は、いやしくも航空士であれば、そのことは知っているわけでございます。それで、もしこれが、それによってわが国の上空から撤去というか、退去した場合に、これを追撃していく、あとから追走するということは必要ないことだと思います。従って、そういったことはやらさぬつもりでございます。また、着陸をかりにした場合は、その措置については、関係方面、これはいろいろあるでしょう、関係省との間にそのことをすぐ協議するという手段をとるようにしております。  ただ、ここに申し上げておかなければならぬことは、そういったような方法を講じておるにかかわらず、相手機がこちらに危害を加えるというようなことがあった場合に、これはもし生命に危険を感ずるというような事態であれば、これは刑法の規定の範囲においていわゆる自己防衛ということは、これは生命保存の上において一般陸上におけると同様だろうという、その限度はあるわけでございますが、私は、これがために国際的の紛争を起すというようなことは、厳に慎しませるように、あらゆる念の入った命令をすでに出しており、また、具体的の措置についても今後十分検討して、その上でこれを実行に移そう、こういう考えでございます。
  75. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この点については、いろいろ賜りたいことがあるのでありますが、時間がありませんので、これと非常に関連がある機種の点についてだけ簡単に伺いますので、簡単にお答え願いたいと思うのです。  そういう事態になりますと、機種、その飛行機の能力というものが、私に、あなた方の問題としてクローズ・アップして参ると思うのです。そこで、若干簡単に伺います。グラマン戦闘機F11を、大体方針として採用したというのですが、この発注はいつごろされるのか。承わると、三十七年度まで三百機されるというわけですね。一方他の資料に基きますと、今あなた方が主力戦闘機として採用しておるF—86Fですね、これは三十四年度において、第三次計画でも百六機を生産するようになっている。ところが、F—86Fというのは、非常にこれは旧型になって、あまり能力はないのだと。ことに実戦なんかになったら、役に立たぬ飛行機だということを開いているわけなんですが、そのF—86FとF11Fの能力差、それからF11Fは一機が三億六千万だが、F—86は一機が一億九百万程度だというのですが、そういう価格差、それからF—86Fは、予定通り、三十四年度の百六機をこれを発注して作るのかどうか。  なぜ、私がこういうことを聞くかというと、見ているというと、先進国といいますかね、軍備を持っている国の兵器の能力の時代おくれになったのを、日本あとから追っていると思うのです。だから、こんなものに金をかけてやっていって、それで、いざという場合に役に立ちゃしないと。もう米ソなんかはミサイル時代に入って、そちらの方に重点を持っていっている。ところが、今からジェット戦闘機を三十七年度までに三百機といったら、これは計算してみますと、三、四年間に一千億円かかる。ほんとにこういう計画を考えているのか、お答え願いたい。
  76. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 次期戦闘機の機種については、非常に長い間かかって、非常に慎重な研究をとげた結論といたしましては、その性能、またわが国の事情により、すなわち滑走路関係、天候、あらゆる面から申しまして、私どもは、F11F、こういう飛行機がいいだろう、こういう機種としての大体の内定を見たのです。しかしながら、これが実行の具体的計画、すなわち生産の時期をいつにするかというような具体的の計画は、さらにこれから検討するわけでございます。全然、これはまだ決定しておる問題ではございません。  そして機種は、これは仰せのように、まあ、世界の航空産業の進歩に応じて、非常に飛躍的の進歩を見ておるようでございますが、しかし、F—86Fについてのお話がありましたが、これもわが国の国情に合ったものとして選定されたのでありまするが、とにかく飛行機の進歩からいって、これには装備の補強をして完全に目的を逃したいというわけで、機銃も備えておりまするが、上昇限度その他から申しまして、不十分な点がございます。そういった点からいっては、ほんとうの装備を補強しようという計画を持っておる。次期戦闘機は、今日計画されておる各国の飛行機状況から見まして、これは時代おくれどころじやなくして、ある面では将来の開発をここへ加えていくという、これは非常に優秀なものでございます。  それから、生産の時期の関係は、先ほど申し上げましたように、いずれにしましても、現在国産中のF—86Fの生産が終了してから、それに引き続くものでございますから、三十五年度以降になるわけでございます。  経費の点のお話がございしまたが、これも今日正確なデータがそろっておりませんが、F—86Fに対しては若干の高価のものになる、ほかのいろいろ機種がありまするが、F—86F、現在生産しておるものよりは高くなると。N—156というのが幾らか安いが、これはまだ木型の段階で、採用するというところに至らないようなものでございます。そこで、F—86Fの生産の終了とともに、その予算が三十四年度。で、五年度に落ちるわけであります。従って、それに引き続くものでありますが、若干航空機製造の予算が増すということも原則的には考えられます。しかし、幾らよけいになるかというようなことは、これは財政事情と十分にらみ合せて、そうして適当に善処するというこの大きな方針は変えておらぬわけであります。でありまするから、今日幾ら増すとか、どの程度のものになるだろうかということも申し上げられない。ただ、機種としてはこれでいいだろうということを内定して、これからそういった調査、準備を進めていこうということでございます。
  77. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一言、それではF—86Fは三十四年まで作ると、それから全部で三百機になるということを聞いているのですが、そうかどうか。その予算は、幾らになるのか。それから、この発注は、どこで作ったのか。それからまた、F11Fをそれに引き続いて作るようになると、同じところに発注するのか、新たにいろいろ検討して発注先を考えようとしているのか。その点を承わりたい。
  78. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 装備局長から申し上げます。
  79. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) F—86Fは、仰せの通り、三十四年で百六機出ております。これは全部で三百機の計画でございまして、その百六機と三十三年度に出る十四機を足しまして、百二十機が第三次計画——第一次、第二次、第三次と三百機を分けまして、第三次が百二十機、そのうちの百六機が三十四年度に出ております。契約はすでにやっております。今から計画して今からそういう準備をやりませんと、三十三年度十四機、三十四年度百六機が出てこないわけであります。これはもう契約いたしまして、生産準備にかかって、部品の発注その他をやっております。これは新三菱重工が担当いたしておりまして、米側の総額でいいまして半分ほどの援助を得まして、日本側が残りの半分ほどの金を出しまして発注している、こういうふうな工合でございます。F—86Fの値段は、予算的に見ますと、三百機総ならしにいたしまして、一億三千七百万。新機種につきましては、長官の仰せの通り、まだこれから具体的に生産機数とか、生産計画を作るわけでございまして、そういうものがてきまして、どこに発注するかということが、そのあとで出てくるわけでございます。
  80. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 最後に、私は警告を発しておきたい点は、この日本再軍備の増強と、それから機種の更新が、軍需産業界、これは日本だけでなくして、アメリカをも含んで、そういう業界の救済設置的なものが若干私は見受けられると思う。もうミサイル時代になったアメリカあたりで役に立たないのを、盛んにアメリカの軍需産業から日本に売り込んで、それで一つにはあなた方機種の決定に苦労されたわけです。おそらくF—86Fは、三十四年まで作るといいますと、三十四年度の終りごろには、F—86Fなんというのはもう時代おくれで、実戦に役に立たぬというような必ず時代になりますよ。そのとき三百機も持って、国民の税金をたくさん使って、私は、業者はそれによって助かる、それで施設設備の更新をやって、またF—11Fという新しいのを作ればそういう業者はまたもうけていく。ところが、税金を納めている国民から見れば、その業者の救済にはなるだろうが、たまったものではない。そういう点については、やはり私どもこういう再軍備制度は反対なんです。かりに国会で議決されてやられる場合においても、あなた方、将来を見通して、むだにならないように十分検討してもらわなければならぬ、かように私は希望申し上げておきます。これで終ります。
  81. 藤田進

    委員長藤田進君) ちょっと、先ほど防衛庁長官の答弁で非常に重要なことが述べられておりますが、八十四条ですね、御指摘されているわけですが、これには「長官は、外国の航空機が国際法規又は航空法その他法人の規定に違反してわが国の領域の上空に侵入したときは、自衛隊の部隊に対し、これを着陸させ、又はわが国の領域の上空から退去させるため必要な措置を講じさせることができる。この必要な措置を講じることにきまって指令をしてある。当面北海道の部隊であろう、こういうことでありますが、まあこの場合に退去させるというのは、かつて大東亜戦争のときも全機撃退、わが方全機無事帰還というような発表がずいぶんあった。これは飛行機ですから、待っていればいつの日か帰ってしまうわけですから、撃退ということにならなくても自然に、これはもう滞空時間がきまっているわけだから、帰っていくでしょう。退去は簡単でしょう。目的を達したら帰っていくでしょう。しかし、着陸させるということ、これはなかなかめんどうなことで、しかも、そういうよその国の空軍が来た場合に問題がある。その際に問題は、先方の飛行機ががえんじないで、しかも発砲してきたという場合には、これは国内法、刑法上の問題として何か発砲する、機関銃にしろ、あるいは空対空のミサイルか知りませんが、発砲することができとると言われたと思いますが、果してそうでありますか。
  82. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) これは一般の刑法の第三十六条でございましたか、これは陸上においてもそういうケースはあるわけでございます。いわゆる自己防衛というもの以外は、実行しちゃいかぬという趣旨であります。そこで、これはそういった例外は当然のことで、注意する必要もないぐらいなものでありますが、外国からの飛行機がどういった意図によるものであるということを十分に確認する必要があると思う。そういったようなことにも十分の配慮が必要であるし、また、こちらがいわゆる信号によって着陸とか退去とかいったような措置を講ずるような、そういった適当な措置を講ずる。これは大体各国においてやり方というものはあるのでございまして、決してこれはお互いの敵対行為でない。万一外国からのそれが武力侵略であるという事実があり、またそういったものの状態の脅威がある、おそれがあるといった場合になると、これは七十六条で防衛出動となり、その場合には国会の承認を経て初めてやれることでございまして、自衛隊の行動、任務については、自衛隊法によって、防衛出動であるとか、あるいは命令による治安出動とか、あるいは待機命令または災害出動とか、あるいは土木関係の建設等に対しての要請があった場合に、訓練の一助としてやるとか、もうちゃんとやる場合は六つか七つか限られておるわけでございます。その一つとしてやるので、防衛出動というところにすぐこれが関連があるという意味ではないという趣旨でございまして、いわゆる災害派遣であるとか、あるいは治安出動であるとか、あるいは今回考えておりますのは不発弾の処理であるとかいったようなことは、これは一つの任務であるというわけで、いろいろ種類があるわけでございます。それにおいて防衛、侵犯に対する措置、こういうものが一つの項目になっておる、こういうわけでございます。
  83. 藤田進

    委員長藤田進君) それでは、重ねてお伺いいたしますが、焦点をぼかさないでお答えをいただきたいのは、上空において退去しないと、しかも発砲して先方が来た場合は、国内の刑法上の扱いとしてこれを処置するのだ。とすれば、刑法何条、緊急避難、正当防衛を適用されるのかどうか。そうだとすれば、正当防衛あるいは緊急避難、刑法の三十六条ないし三十七条ということであるならば、国際紛争がそれによって起きた場合には、乗員の個人的判断で正当防衛をしたということで、あくまでも個人と相手国との関係になるのではないか。そういった扱いがどいうふうに筋が通されているのか。非常に重要な問題をこれは含んでいると思います。
  84. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) これは、部隊の行動は防衛出勤以外においてもいろいろなものがあるわけです。そういった場合に、正当防衛という刑法で認められた限度において防衛措置をするということは、これは一般の国民として持っておるべきところの二種のまあ法の規定であろうと思うのでございます。でありますから、こういう規定のあるということは、一応すべての場合にこれを注意しておくということも、これはまた当然のことであろうというくらいな程度でございまして、これから起るべき……。これは必ずしも相手国の飛行機が軍用であると、あるいは民間機であると、すべてに、許可を得ないでわが国の上空に来たものに対しては適用される規定なんでございまして、必ずしもこれが一種の武力による侵略に関連を持ったものだということに判断できぬわけでございます。いずれにしても、上空に許可なしに来るものは、着陸すべしという信号をし、また相手方が上空外に去った場合に、またこれを追っかけていくというようなことはしないと、こういう建前でございます。これは領空侵犯というものから来た当然の措置であろう、こう思うのでございます。
  85. 藤田進

    委員長藤田進君) これは、私が指摘いたしましたが、それにはお答えにならないわけで、国内法、刑法、どれによるのか、あるいは紛争が起きた場合にどうするのか。これは一つ、次回に検討されてお答えをいただきたいと思います。
  86. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 今の点はちょっと……。どのポイントだったか、刑法三十六条、三十七条との関係というような点でございましょうか。どういうポイントでしょうか。
  87. 藤田進

    委員長藤田進君) お伺いいたしましたのは、幅広く例示しないで申し上げると、まず領空侵犯があったと判断して、これの退去あるいは着陸をサインした。ところが、これにかえんじないのみか、その外国の飛行機はわが方に発砲してきた。その場合には、国内法、刑法によって措置するようになることを申し添えておきますという答弁があった。その趣旨は、おそらく緊急避難あるいは正当防衛によって、刑法上の規定に従って、飛行機に乗っている人たちは、あなたの指令を待つまでもなく発砲して、敵機——敵機というか、相手の飛行機をむしろ先に撃墜する、こういうことが含まれているように聞こえるわけです。その場合に引用された国内刑法とは何ぞや、何条なのか、それが第一点、  そうして、その場合に、あるいは相手の飛行機が撃墜されたと、わが方の飛行機のために。あるいはその他の損傷を受けたということに関連して、国際紛争が起きて、これは外交上来るでしょう。そういう場合には、緊急避難あるいは正当防衛として国内法の刑法で飛行機に乗っている人たちが処置したのであるから、その人個人がやはり外国との関連、紛争に当らなければならぬのか、日本国としてそれは当るようになるのか、そういうめんどうな問題が起きやしないか これを筋を通して説明をしてもらいたいという質疑をいたしたのであります。
  88. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) よくわかりました。それでは、これは国際法また国内法との関係もある問題でございまして、専門家に十分な検討をさしてお答えすることにいたしたいと思います。
  89. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 だいぶ前に、領空侵犯の問題でソ連機がアメリカの飛行機を撃墜して問題を起こし、アメリカが国際司法裁判所に提訴したという問題があったのですが、ごく簡単にその結末の概略を、この際お聞かせいただけたら仕合せだと思います。
  90. 森治樹

    政府委員(森治樹君) 私その概略をただいま記憶いたしておりませんので、調べまして、後ほど御報告申したいと思います。
  91. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 核装備の問題で、簡単に防衛庁長官にお尋ねいたしたいと思います。  第一点は、日本が核兵器で装備しないというこの根本的の理由は、一体どこにあるのですか。
  92. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) これは総理からもお答えしたと思いますが、要すれば、わが国はこういった原子力、核分裂または核融合反応による武器の被害は非常に深刻なものがありますから、わが国は班に原水爆の犠牲になった国として、国民的の感情からいっても、そういうことに対しては非常な反感、反対を持っておる。従って、各国のこういった原水爆の実験であるとか、生産、保存に対しては常に反対して参った日本としては、自衛隊が、国の防衛に当るけれども、こういったような装備をするということは、その基本的な方針にも反対し、われわれはこういう政策はとらない、そういうところにあると思います。
  93. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 核兵器で装備しないという問題は、今のお話ですと、人道上の見地からこれをやらないというふうに受け取れるのですが、国防の当面の責任者として、一体この局地戦争に相手方が核兵器を使った場合に、こちらは使わないでそれに対するということでは、とうてい日本の国防は全うできない、こう思うので承りますが、局地戦争には一体核兵器というものは使われないというお見通しで、さように仰せられるのか。あるいはまた、局地戦争に核兵器を使ってやった場合には、これは全面戦争にまで発展する。であるから、たとえ、極端な言葉を使っていえば、負けても核兵器を使わない——いつか藤田委員長に対する総理の御答弁があったのですが、防衛当局者としてはそれではどうもいかぬのではないか、こう思うので、もう少し突っ込んだところを一つ伺いたい、かように思うのであります。
  94. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 基本的な方針としてわが国では、原子力基本法にも明瞭にされておるように、原子力というよのは平和的利用だけに限るものだという基本方針があるわけです。そこで、防衛の責任者といたしましても、この基本方針は当然に支持すべきものであろうと思うのであります。  核兵器を持つために、これが全面戦争、そういったものに導くおそれがあるという考慮、これはある場合にはそういう考え方もあると思います。しかし、問題の中心は、そういったような戦術上の関係から来るものでけなくて、もっとより高い、大きい見地から、核装備はいたさない、こういう方針をきめてあるわけであります。  しかし、仰せのように、そのために日本は負けてもかまわぬのかというようなことを中上ますと、防衛責任者としては、あらゆる装備にも改善を加えて、自分を守るだけの手だてはやっていこう、こういうわけでありまして、その力において足りないところは、これはやはり今日の国際情勢からいって、集団安全保障といったようなもの、それによって守るところの力を補充というか、その柱にしていこう、こういう方針であって、負けてもいい、こういったような表現は、私は防衛責任者としては、おそらく総理も、ただそういった場合の言葉のやりとりであったと思う。そういう趣旨であって、核装備というものは、基本的に核そのものを平和的に利用すべきものである、各国もこれを装備しないようにということを主張する立場からも、これは私は防衛責任者としても、核装備をしないという基本方針で、今進んで参っておるわけでございます。
  95. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 ソ連がかつて、日本にもし核兵器を持ち込むかあるいは核兵器の基地を作れば、これを即刻攻撃するという威嚇的な宣言をしたことがありますが、さようなことについては何らお考えにならすに、単に人道上の見地からそういう方針を堅持する。しかし、当の防衛責任者としては、負けてもいいということにはならないので、いわゆる抽象的にあらゆる努力を払って国防の責任を全うするようにする、こういうお話でありますが、そこで問題になるのは、日本がもし核装備を持たないで、相手国が核兵器によっての攻撃を、たとえ戦術核兵器でありましても、使用した、こういうような場合には、集団安全保障によってこれを防御する、具体的にいえば、百米安保条約によりましてその場合にはアメリカにまかす。前にも津島長官のお言葉として同じような趣旨のことを述べられておりますが、結局そういった場合に、アメリカの防御力に依存するということは、アメリカが核兵器を使用してそれに対応してもらうということになるのであって、そうすれば、やはり日本の内地が核戦争の戦場になるという点においては、私は同じではないか。また、核攻撃に対する駒御としては、これはやむを得ない措置ではないか。  岸内閣が核実験、その製造、使用等を禁止する、この高い理想については、われわれ何人も異存がないと思いますが、現在の世界の軍事情勢では、現実と理想との間のギャップがある。しばしば、総理にいたしましても、防衛長官にいたしましても、集団安全保障という抽象的なお言葉をお使いになりますけれども、現実には、日本が使わなくても、アメリカ軍に依存するということになれば、アメリカがこれを使用するということは、これは当然な成り行きではなかろうかと、こう思うのでありますが、その点はどのようにお考えになりますか。
  96. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 将来起るべき戦争の様相がどうであるかということけ、なかなか判定に苦しむものがあるわけです。しかし、少くとも私たちの堅持している方針は、自衛隊を核装備しない、第二は、米駐留軍というものに核兵器の持ち込みということを拒むということで、今日きているわけです。従って、将来万一の場合どうなるかということは、これは作戦用兵の問題に属すると思うのです。この方針はあくまでも、私が前に申し上げました方針はあくまでも堅持して、わが国としては自衛隊その他いわゆる国民全体によって国を守るだけの全力を尽くすということが、唯一の目標である、こういうわけでございます。  諸外国においてとういう処置をするか、方針としては、外交主その他の立場から、世界の与論である原子力兵器というものを使用しない、また、その生産あるいは実験、また貯蔵等に対しては、われわれは国際的な平和のためにこれを強く主張しているわけです。これが今後どういう発展をするか、世界の世論というものは、私は相当の大きな威力となって今日現われてきておると思うのです。従って、今後の起るべき戦争の様相、作戦の関係については、これはなかなか逆睹しがたいものがある。しかし、わが国に関する限りは、今申しました方針で押し通していく、こういうことでございます、
  97. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 時間の関係がありますので、この点はまたの機会に譲りまして、最後に一点だけ伺いたいと思うのですが、ICBMの出現で、アメリカの世界戦略としての日本の地位はより重要になったか、あるいは多少そのウエートが軽くなったのか、どういうふうにお考えになるのですか。というのは、ミサイルの潜水艦というものがソ連に非常に多く保持されておると伝えられておりますが、それと日本の海との関係から、日本がより以上に重要になったという考え方もあれば、あるいはそれよりは重要度が減ったという考え方もあるのでありますが、防衛庁としてはどのようにこれをお考えですか。
  98. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) ソ連のICBMの試験的発射、またその後に続くミサイルの発達、またこれに伴う基地の拡大といったような、問題が、今日の重大課題でございます。特に、NATO諸国、ヨーロッパにおいては、将来は、アメリカは各地の基地によって報復力を十分備え得るという所が、直接侵略というか襲撃の目的になるという点に、一方NATOの体制を固め、基池を置くという方針とともに、直接自国の防衛という部面にも相当重点を置くというところに、昨年の八月前と今日とは、その戦略の考え方が違ったようにに思われるのでございます。極東方面におきましても、こういった武器の進歩によって、それに対応すべく措置を講じておるということも事実でございまして、SEATOその他の会議においても、こういった部面の検討がされておる、こういう実情でございます。  そこで、わが国は、地理的には非常な重要な地位を占めておるということはもちろんでございます。しかし、こういった核装備関係においては、私は何ら変更を見ておらない、こう見ておるわけで、全体の状況としては、これは一に周辺の軍事勢力の消長いかんに関することであって、わが国の装備自体にこれに大きな変化がある、ICBMからあるという事態には、まだなっておらぬのでございます。ただ、質的改善とか何とかいう、防備力の増強というようなことは、当然に考えられることであり、また、日米安保条約の見地からいって、わが国の防衛に寄与しようという見地からいって、そういった部面には重大な関心を持っているだろうと思います。
  99. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 ちょっと、私の質問の意味をお取り違えになったように考えられます。私の申し上げたのは、ICBMの出現によって、日本装備にどんな変化を来たしたか、こういうふうにお取りになったような御答弁でありましたけれども、私の申し上げるのは、つまり、日本の戦略の上から見ていえば、いろいろなことがありますが、アメリカの方から日本軍を見れば、アメリカの世界戦略の一環として日本の自衛というものを考えておるわけです。これはアメリカの方の見方からいえば、私は当然であると思います。日本の自衛隊がアメリカの戦略の一環をなしているという議論に対しては、総理はもう非常な強い意味で、そうでない、日本の国防は自主国防であるということを強調されるのでありますが、日本の面からいえば、日本の自主防衛であるのは当然でありますけれども、アメリカの方からいえば、アメリカが金を出す、また、日米共同防衛に任ずるというのは、アメリカとしてはアメリカの世界戦略の一環と考えることは一向不自然でないわけであります。そこで、アメリカの世界戦略の一環としての日本の自衛隊の地位が、ICBMの出現によって、アメリカ側から見た場合に、重くなったとお考えになるか、あるいは多少その比重が軽くなったと、こうごらんになるか、海の関係においてどういうふうに日本を考えるか、こういうことを実は伺ったのであります。
  100. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) わが国の防衛方針ははっきりしまして、自分の国を守るのである、海外に出兵はしないのだ、従って、外国の侵略に対してこれを何といいますか、防備するような貢献はしない、こういう方針になっているわけであります。従って、わが国を守るに当っては、最小限度この程度のものが必要だ。しかも、それが何年かにわたっての計画であるわけであります。これを実行するということによって、あるいは間接的に全体の平和なり安全に寄与して、また侵略あった場合に防衛し得るその役割を果すということが、わが国の唯一課せられたるところの防衛の体制であると思うのです。それ自体からいっては、このICBMということによって防備の最善を期するために、質的の増強はやるけれども、基本の方針、こういういわゆる整備目標、それを実行して漸増の体制を作り上げる、こういうことにあるわけであります。われわれはもう主として、その点において最善の努力を尽してきているというわけで、大きな世界的の戦略体制というものと、わが国を自分が守るという任務を担当していくということは、これは一環として考えてもいいでございましょうが、これはわが国自体の防衛というものの立場というものを実行していくということが、私たちのとっている方針でございます。それには変りはないのです。ただ、先ほど申しましたように、装備関係において、いわゆる新しい科学を利用したようなものがあれば、これを必要に応じて採用して合理的にする、こういうようなことに相なっているわけでございます。
  101. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 アメリカのための軍備という言葉がよく使われますが、これは一種の宣伝的の表現でありまして、アメリカから見れば、日本にいろいろな援助を与えるということは、これはアメリカのためになることには間違いないのですが、しかし、日本の方から考えれば、これによってアメリカの大きな戦力を日本のために利用するという考えに立てばいいのであって、極東戦力の一環になったからといって、一向差しつかえないと、こう私は思っているのであります。この点は、時間の関係もありますので、この程度にいたしておきまして、最後にもう一点だけ伺って、私の質問を一応終りたいと思います。  それは、イギリスが、核兵器で装備するということは戦争を防止するために必要じゃないか、こういうことを言ってるのは、長官御承知の通りであります。そこで、日本としては、戦争防止のために核装備が必要だという議論に対しては、やはりこれはノー、こういうことをお言いになりますか。
  102. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 英国の場合は、その実力、科学の進歩の上からいって、そういった核装備というか、原下爆弾その他に対して、これを実行し得るだけの財力と申しますか、科学とともにそういうものはあるわけであります。そこで、それを製造し、また貯蔵し、これを装備することによって、欧州の平和は保たれ、それは一つの大きい、何というか、報復力といいますか、戦争抑制力として役立とうと思います。力のあるところには、これはなかなか侵略というものが行われないという見地を英国民は持っているのでございましょうし、また、英国にも反対はあると思います。その意味において、英国のとる政策として、報復力、抑制力というものを、金と技術をそれに打ち込んでやっていく、そのために陸上の兵については若干の削減がこれに伴う、しかし、防御力全体としては増強の段階にある、こういう実情である。しかし、これを各国が、それらの以外の条件の整わない国がやるということは、やりたくてもできないという国もある。いわんや、これに反対している国が相当あるのであります。その意味において、英国のやっていることが必ずしも各国が範とするものであるということには、私は承知しないのであります。ことに、わが国のごときには、われわれは全然そういうことと反対の方向をとって参りたいわけであります。そういった意味において、各国の軍事要請というか、やっておる施策を検討しないと、何でも強いものにはこれにならっていくのだという考え方は、私はこれは国防の体制を整えていく方じゃないと思います。そういう意味でございます。
  103. 藤田進

    委員長藤田進君) それでは、両案につきましては、本日はこの程度にとどめ、午後は二時から再開することにいたしまして、これにて暫時休憩いたします。    午後一時一分休憩    —————・—————    午後二時四十三分開会
  104. 藤田進

    委員長藤田進君) 休憩前に引き続き委員会を開きます。  まず、国家公務員に対する寒冷地手当、石炭手当及び薪炭手当の支給に関する法律の一部を改正する法律案千葉信君外八名発議)につきまして、発議者から提案理由の説明を求めます。
  105. 千葉信

    千葉信君 ただいま議題となりました国家公務員に対する寒冷地手当、石炭手当及び薪炭手当の支給に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  御承知のように、国家公務員に対する寒冷地手当、石炭手当につきましては、一般の給与とは別個に昭和二十四年法律第二百号によって定められているのでありますが、同法施行以来最近に至るまでの間における実績等にかんがみまして、その支給額及び支給区分が現在の実情に沿わない点がありますので、実情に沿うよう同法の一部を改正する必要が認められるのであります。  すなわち、石炭手当は現在、北海道全道一率に、世帯主である職員には三トン、その他の職員には一トンを、それぞれ公定小売価格によって換算した額に相当する額以内で支給されているのでありますが、この支給区分は、冬期採暖に必要な石炭の量が、その地域の寒冷、その他気象の諸条件の強弱の度合に応じて差異があるという実情に沿わない点があり、また、その支給額については、一冬期間消費する暖房用燃料が最低三・五トン、最高五トンを必要とする実情から見まして、低きに過ぎるのみならず、近年、公社、現業官庁では、この種の手当を相当に増額いたしておりまして、同じ土地に勤務いたしながらも一般の国家公務員は、公社、現業官庁の職員に比し、はなはだ不均衡な状態に置かれている実情であります。  次に、寒冷地手当についてでありますが、この寒冷地手当は、現在、一冬期を通じ本俸及び扶養手当の合計月額の八〇%を最高として、最低一五%まで五段区分として支給されているのでありますが、寒冷地に勤務する職員が冬期六カ月に及ぶ寒冷積雪地の困難な生活の事情から起る被服、食料、住居、防寒、防雪等の対策を講ずるに必要な生計費の増加等の実情よりいたしまして、その額につき若干増額の必要が認められるのであります。  以上、申し述べましたような事由によりまして、この際、同法の規定の一部を改正し、石炭手当については、その支給地域の区分を甲地、乙地、丙地の三区分とし、それぞれ世帯主である職員には、四トン、三・五トン、三・一トン、その他の職員には一・三トン、一・一トン、一トンを、それぞれ時価によって換算した額以内で支給できるようにするとともに、それぞれの地域を別表によって指定いたすこととし、また寒冷地手当につきましては、本俸及び扶養手当月額の合計額の一〇〇%を最高額として支給できるように改めたいと存ずる次第であります。  昭和二十四年法律第二百号が、当時議員提案の形で提出されました経緯もありますので、この法律の施行以来、その実施に伴いまして改正の必要を認められて参りました、以上申し述べました諸点につきまして、今回も同じく議員提案によって同法の改正を行い、その責めを果したいと存ずる次第でございます。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成賜わらんことをお願い申し上げます。
  106. 藤田進

    委員長藤田進君) それでは、本案の質疑は後日に譲ります。   —————————————
  107. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等の規定による年金の額の改定に関する法律案及び恩給法等の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行います。御質疑のおありの方は、順次、御発言を願います。
  108. 永岡光治

    ○永岡光治君 昨日の質問で倍率等の問題について若干触れたのでありますが、念のため伺っておきますが、三五・五割というのは、これは遺家族の場合ですが、一応金額を逆算をして、その絶対金額で均衡をとる、こういう説明があったわけでありますが、今後それではベース改定その他の問題について、倍率等に触れる考えがあるかどうか。言うなれば、今後倍率を、これを変更する考えがあるのかないのか、その点について御所見を承わりたいと思います。
  109. 今松治郎

    政府委員(今松治郎君) 公務扶助料につきましての倍率につきましては、今回の処置で大かた尽したと考えておりますので、倍率問題は一応責めが済んだものと政府としては考えております。
  110. 永岡光治

    ○永岡光治君 それから、もう一つお尋ねいたしておきますが、今後は、ベース改定等が行われた際には、その恩給の計算の基礎になった金額についても考慮される、こういうお話があったわけでありますが、私は恩給法に規定する全般の問題について、それはそういう検討の対象になる、こういうように解釈してよろしゅうございますか。
  111. 今松治郎

    政府委員(今松治郎君) 昨日もお答えいたしました通り、経済上の変動の結果、恩給権者のベースについて異論のありました場合において、スライドしてすぐに変更があるとは考えませんが、やはり恩給の建前からいたしまして、財政の面を考慮いたしまして、結局、結論におきましては、そういう恩給とマッチしたような方法に出ることに相なると思っております。
  112. 永岡光治

    ○永岡光治君 この前の本会議における恩給法を中心とする質問に対しまして、大蔵大臣は、何か軍人恩給は今回限りでやめるのだというような意味の、これは私の聞き取り方があるいは間違っておるかもしれませんが、そういうようなことを言っておったようでありますが、今の総務長官の話では、文官恩給。軍人恩給ともに、ベース改定の今後の対象には、その経済上の変動というお話がありましたが、そういう事態があれば、一応あわせてその検討の対象になるのだ、こういうように解釈していいのか、そうでないのか。大蔵大臣がおいでになっておりますので、大蔵大臣の御見解を承わりたいと思うのであります。
  113. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 軍人恩給だけをとりまして、これをどういうふうに扱うかということにすれば、まだいろいろとあるかもしれません。が、しかしながら、私の考えでは、一応軍人恩給につきましては、他の、その他の、軍人恩給と社会保障を一緒というのではありませんが、その他の社会保障関係との均衡の上において、よほど手を尽しておるのでありまして、大体大筋のところは、今回の軍人恩給の改正によりまして達成いたしておると考えております。これは今後内閣の方もいろいろとまたお考えになるかもしれませんが、私といたしましては、やはり今後は国民年金、こういう社会保障全般として考えていく、こういうような気持がいたしておるわけでございます。
  114. 永岡光治

    ○永岡光治君 そういたしますと、一応今回は相当の手直しはしたつもりだ、従って改定等の必要な事態になれば、それは国民年金等、全般の社会保障といいましょうか、そういう全般の問題として検討されることはあっても、たとえば一般文官のベースが改定になりまして、退職された文官についてのベース改定恩給法の改正によってあり得る。その際には、軍人恩給という問題については一応別個に考えるんだ、こういうようにとれるわけですが、そういうように解釈してよろしいですか。
  115. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私は、軍人恩給だけについて今後一そう考えていくという点については、今のところきわめて慎重な態度であります。軍人恩給については、すでに内閣としても大筋のことは達成しておるということに相なっておるわけであります。これ以上につきましては、もちろん私は、社会保障全体の関係において考えてよかろう、かように考えております。
  116. 永岡光治

    ○永岡光治君 遺族の扶助料の問題については、これは社会保障という問題が一つ出て参りますから、それとの関連で検討されることは、あるいは政府のこの前の本会議における答弁からするならば、考えられないこともないわけでありますが、私のこの際明確にしておきたいことは、旧文官、つまり退職された文官の恩給が改定になった際には、必然的に、軍人で退職しておる方ですね、旧軍人と申しましょうか、そういう人は、必然的には文官並みに改定にならないんだ、それはもう今回で一応大筋としては終ったんだ、こういうようにあなたの答弁では受け取れるわけですが、政府はそういう考えなのかどうなのか、これは相当問題があろうかと思うのですが。
  117. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 今日の、今後の財政状況から見ました場合に、今回の軍人恩給以上についてさらに軍人恩給に考慮を払うということは、私はやはり困難であろう、かように考えております。
  118. 永岡光治

    ○永岡光治君 どうもはっきり答弁が受け取れないのですが、一般文官の退職者の恩給が改定になった際に、退職、そうして生きておる軍人の恩給は、必然的にそれとあわせて改定になるのかならぬのか、その点だけ一つ答弁してもらえばよろしゅうございます。
  119. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これは私の今までの答弁でほぼ御推察が願えると思うのですが、私はその点だけを取り上げていえば、考え方としては、いろいろとまだ考えて上げなくてはならぬことがあるだろう、それは私は否定をいたしません。が、しかし、財政の状況からしまして、全体の社会保障その他の関係から見れば、その実現は、私としては困難であろう、かように考えております。
  120. 永岡光治

    ○永岡光治君 それはちょっと、私もう一回聞きたいのですが、くどいようですけれども、文官と、それでは軍人とは別個に考えるんだ、こういうようにあなたの見解は述べられたように承わるのですが、それは今の政府の方針でございますか。
  121. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) あるいは私が御質問の核心をつかまえておらぬかもしれませんが、私の申し上げることは、文官と武官、こういうふうな関係においてもし考えれば、それはいろいろと考える余地があるだろうと思います。それは私は否定しない。が、しかし、財政の状況から見れば、単にその点の、たとえば不均衡ということばかりにとらわれて措置することは、私は少くとも困難である。財政処理について、やはり国全体の福祉の上から均衡も得なければならぬ、前後も得なければならぬ、そういう意味におきまして、今回の軍人恩給の措置相当なことをやっておるのでありまして、大かたにおいては私は合理的な解決と見ていいと思いますから、これ以上の点については、理論的とか、あるいはまた考え方としては、何とかするべき点があっても、実際上、財政的見地から困難であろう、かように考えております。
  122. 永岡光治

    ○永岡光治君 今の御答弁ですと、必然的には文官と軍人恩給とは一緒には考えない、こういう方針だと、一応あなたの考えは承わっておきますが、これは今後いろいろ問題になろうかと思いますが、もしそういう見解に、私の受け取り方に間違いがなければ、一応そういうことで進めたいと思っておりますが、次の点は遺族扶助料、遺族扶助料というのは、これは今日国民の世論の前にはかなり強い非難を受けておるようでありますが、これは私たち社会党から考えましても、生存軍人といいましょうか、普通の生存軍人の恩給とはやはり別個に考えなくてはならぬのじゃないか。わが党といたしましても、傷痍軍人、たとえば遺家族という問題についても非常に重点を置いて考えておるわけでございますが、この遺家族の公務扶助料について、同じこの恩給法というワクの中にはめておることが、今後いろいろと国民の批判の対象になるのじゃないだろうか。今日ですらそういう状況でありますから、今後ベース改定等が行われて、あるいは経済状態が変動いたしまして、既往の恩給の金額改定を行わなければならぬというような場合が起った際には、今、大蔵大臣の話では、一応大筋は今回できまっておるが、まあ特に考える必要があれば考えるが、今のところそう考えたくないというような意向であるようでありますから、そうであればあるだけ今問題になるわけでありますが、この遺族扶助料という問題を恩給法のワクの中からなぜ切り離さなかったのか、この点が私たちは非常に問題があるのではないか。やはりこれは恩給と違うのだということを、つまり恩給亡国論という国民のこの批判にこたえる意味におきましても、必ずしもそういうことじゃないのだという考えを政府はやはりお持ちになっておるのじゃないかと思うのでありますが、そういうようになぜこの法律を別にワクをはずして考えなかったのか、そして今後、そうであるとするならば、一体これをどういうように進めていこうとするのか、その点について今松総務長官の見解を承わりたいと思うのであります。
  123. 今松治郎

    政府委員(今松治郎君) 戦没軍人の公務扶助料、傷病兵の恩給の問題、この問題をなぜ別個に考えなかったか、こういうような御質問でございますが、二十八年に軍人恩給が新たに復活と申しますか、生まれ変ったときに、ただいまお話しのような公務扶助料の関係等は別建の法律になっておる方が、私どもの考えといたしましてもあるいは非常に適切だったのじゃないか、こういうように考えるのでございます。しかし、当時やはり恩給法の改正によってこの軍人恩給の法が新たに生まれたのでございますので、ただいまのところでは、直ちにこの善後処理とでもいうべき軍人関係の公務扶助料、傷病恩給等を別建としてやる法律を立てるという考えは、まだ政府として考えておりませんが、一つの課題として将来研究してみる問題じゃないか、こういうように考えております。
  124. 永岡光治

    ○永岡光治君 将来の課題として考えてみるべきではないかということでございますが、そこでそれと関連してくることは、やはりこの国民年金という問題が、今の岸内閣ですら大きく政策に掲げなくてはならなくなったような事態のようでありますが、それとの関連をどういうように今後関連をとりつつ進めていこうと考えているのか、これは今松総務長官なり、あるいは大蔵大臣の方からお答えをいただきたいと思うわけであります。
  125. 今松治郎

    政府委員(今松治郎君) 政府部内といたしまして、三十四年度に国民年金の頭を出したい、こういうことは大体きまっております。しかし、どういう種類の国民年金を三十四年度から施行できるかという問題と、また今の恩給関係のこの退職年金と、どういう工合に調整するかという問題につきましては、社会保障制度審議会の方で今せっかく検討を願っておりまする国民年金に関する答申がありまして、政府の方で三十四年度にはこういう種類の国民年金を始めようということがきまりませんと、具体的に申し上げられないのでございますが、その具体的の案ができましたならば、調整すべきものは調整する。たとえて申しますというと、恩給をもらっておる方で非常に低い方がございます。かりに国民年金のもらう額がそれより多いような場合には、恩給額を差し引いた額は国民年金の方で支払うとか、まあこういうようなことが考えられるのではないか、こういうように存じております。
  126. 永岡光治

    ○永岡光治君 まだあまり構想ははっきりしていないようでありますが、しかし国民年金という問題は、あらゆる機会において検討されておると思うのでありますし、また、いろいろな機関を政府の方で作っておいでになるわけですから、ここで一つはっきり聞いておきたいのでありますが、法律に基かない、いろいろな調査会もあるようでありますが、法律で作られた社会保障制度審議会ですか、調査会ですか、この結論は完全に尊重いたしますか。というのは、どうも今まで政府は、いろいろな諮問機関を作りましても、御都合主義で、自分の御都合のいいところだけとって、あとは知らぬ顔というのが今までの例ですから、そういう意味におきまして、社会保障制度審議会の答申があれば、完全にそれを尊重して実施するという、こういう御決意を持っておいでになるのか、これは大蔵大臣の方からお答えをいただきたいと思います。
  127. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) むろんこの審議会の答申は尊重する考えであります。ただ、しかし一面考えておかねばならないことは、こういう審議会は、やはり与えられた問題についてのみ考えることも必ずしもないと思います。財政的見地から言いますならば、そのことをやるのにやはり順序もありますし、また、期間的な点も考えていただかなくてはならないと、こういうこともあると思います。そういうふうなことを考えつつ、答申については十分尊重いたす考えでおります。
  128. 永岡光治

    ○永岡光治君 この国民年金制度を大体いつごろを目途にして実施する計画であるのか、大蔵大臣の方から御答弁を願います。
  129. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これは国民年金制度がどういうふうなものをどういうふうにやるか、いずれ内閣できまってくるのでありますから、私としてもなるべく早く、やはりわが党としても、今の政府としても、国民年金制度は早くやりたい、かように考えております。
  130. 永岡光治

    ○永岡光治君 なるべく早くということでありますが、それでは、私は詰めてお尋ねいたしますが、たとえば三十四年度からこれは予算に組んで実施するという、そういう考えを持っておられるかどうか。
  131. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 三十四年度予算について今私が約束はしかねるのでありますが、十分検討は加えると……。
  132. 永岡光治

    ○永岡光治君 それは、あなたは答えるあれではないというのは、近く総選挙もあって、果して自民党の政権が確立できるかどうかわからないという意味ならば、それならば私はわかるのでありますが、そうでなくて、このままかりに——これはわが党にとっては不幸でありますが、自民党政権ができたということになれば、その政権下において三十四年度から実施する。もう少し詰めて、その場合も、おれは大蔵大臣になるかどうかわからぬということであれば、かりにあなたが大蔵大臣に重任になったとして、三十四年度から予算に組んでやるというお考えがあるのかどうか。
  133. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私が総選挙後に大蔵大臣になるかならぬかというようなことによって、今私はものを言うてはおりません。そんなけちくさいことは考えておりません。私が言いたいことは、いやしくも大蔵大臣たるものは、三十三年度予算がただいま通ったというときに、三十四年度の歳出についてこれはコミットするというようなことは、これは私は、かりにそれをやる意思があっても、それをコミットすべきではない。これはやはり大蔵大臣の一つのおきてであるというふうに考えております。そういうコミットはいたすべきではない。そういう意味で私は今御答弁申し上げた次第であります。
  134. 永岡光治

    ○永岡光治君 それでは、あなたがお答えにならぬというのであれば、岸総理なり、どなたか責任ある人にお尋ねすることにいたします。  次に総務長官にお尋ねいたしますが、傷病年金の問題であります。これは今回相当是正されておりますが、この内容を見ますと、今日までのこの傷病年金の対象になる、そしてまた、それが適用されるそれぞれの金額は、主としてこれは外形的な障害に重点が置かれているのではないかといううらみが非常に強いわけであります。ところが、今日は御承知の通り、非常に医学も進歩いたしまして、内部疾患でも相当手術によってなおすような段階になっておりますが、しかし、その段階におきましても、全く手足のなくなった人と同じように、内部疾患によってほとんど行動の自由ができないという傷病者は、たくさんあるわけであります。ところが、これらの諸君に対しまして、やはり外形上は手足がそろっているために、なかなか、適用されても、相当高度に、実際の実情からすれば、金額を適用しなければならぬものにもかかわらず、そういうことになっていないといううらみがあるわけであります。そういう問題について、これもしばしばやかましく言っている問題でありますが、やはり是正をして、やはり高い金額を差し上げるということは、身体の不向由、生活能力をなくしたというところに、やはりそのよってきたる原因があろうかと思うのでありますから、そういう意味ですれば、内部疾患といわず、外形の疾患といわず、当然同一の、生活能力をなくすとか、身体の不自由とか、そういう問題で判定すべきだと思うのでありますが、その点について、総務長官の方では、どのようにこの問題を今後解決していこうと考えておられるのか、その点の御所見を承わりたいと思います。
  135. 今松治郎

    政府委員(今松治郎君) ただいま永岡委員の御質問につきましては、私どもは非常に同感でありまして、内部疾患の問題につきましては、従来、等差をきめまする上において非常に遺憾の点があったと考えます。そういう問題を解決するために、今回、調査会を総理府に設けまして、塩田博士を委員長として、この問題の検討をしていくことになっております。その結果を待ちまして、内部疾患、主として初めは呼吸器病ということでございましたが、呼吸器病に限らず、神経系統、その他生殖器、そういうような問題につきましても、従来の扱いが非常に不十分であったような点について等差の是正をはかりたい、こういうふうに考えております。
  136. 永岡光治

    ○永岡光治君 ただいま調査会を設けて検討されているという話でありますが、これは、いつごろを目途にして結論を出していただくように手配をしているのか、長官にお答えをいただきたいと思います。
  137. 今松治郎

    政府委員(今松治郎君) ただいまの調査会は、私どもが将来、等差を是正いたしまする参考にするためのものでございまするが、大体九月末日に答申をもらいまして、それを参考にして、三十四年の予算計上するときの参考にする、こういうふうに考えております。
  138. 永岡光治

    ○永岡光治君 そういたしますと、三十三年度は現在のままでいきまして、三十四年度から特に新しい基準が設けられて、それによって適用していく、こういうことになるわけですね。
  139. 今松治郎

    政府委員(今松治郎君) この九月三十日に答申が出ましたならば、それを参考にいたしまして、再審査をやらなければいけません。再審査の手続を該当の方々にしてもらいまして、それができ上ったものからやっていきたい、こういうように考えております。
  140. 永岡光治

    ○永岡光治君 私も不勉強で申しわけないのでありますが、その意味でお尋ねするわけでありますが、答申が出て、一つの参考にした基準が出るといたします。それは特に法律で規定を改正しなければならない問題なのか、あるいは、そうでなくて、もうすでにそれぞれの項症の金額がきまっておるので、それ以下の政令と申しましょうか、規定と申しましょうか、そういうもので基準が変えられるということになりますか、その点どうなっておりますか。
  141. 今松治郎

    政府委員(今松治郎君) ただいまところは、内部基準でございますので、法律の改正を待たずにやっていきたいと、こういうように考えております。政令によりますか、あるいは、その点につきましては、まだきまっておりませんが、なるべく簡便な方法で早く実施するようにいたしたいと思います。
  142. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大蔵大臣は三時半に退場されるそうでありますから、二、三お伺いいたしたいと思います。  ただいま審議の対象となっておる法律案は、大蔵大臣の信念からいえば、大体何点ぐらいでございますか。
  143. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これは点をつけるのに、いろいろな条件がありますが、それらのいろいろな条件を入れて考えれば、私はやはり最良の点もつけます。
  144. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その条件とは、どういうことでございますか。
  145. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) たとえば非現業の官吏等について今回保留をしてある。なぜしたかといえば、今日、公務員制度について根本的に検討を加えるという内閣の、特に総理府の考えでございます。そういうものの検討の上に立って、さらにこういう官吏の恩給というものは、あるいは年金というものは、どうあるべきか、こういうような、そういうものは今ちょっときめにくい。私は、ほんとうをいうと、全部一緒にして考えてみたい、そうしたならば、満点になると思っておったのでありますが、そういうようないろいろな条件がありますものですから、今のところ、そういう点は除外して考える、こういう意味で、そういう除外した残りの分が、私はみなと相談して一番いいというものであろう、かように考えております。
  146. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 政府委員の方、大臣をよく補佐なさらぬと。ただいま恩給法のことをやっておるわけでございます。しかし、この共済組合の方の関連がありますから、そちらの方の点を今御答弁をいただいたわけで、私、今、重点恩給法の一部改正でございます。先ほどから恩給制度そのものについて大臣の御見解を承わったのですが、あなたのお考えからいえば、満足するような、非常にすばらしい案であったのかどうか、どういうお気持でいらっしゃるのか、伺いたいと思っておるのでございます。
  147. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これは私は、大体において、私としても満足すべきものと思っております。それは特に今回は、よほど恩給というものの本質を保持しつつ、社会保障といいますか、社会保障的な性格をできる範囲に加味してやる、これは私は、こういう見地から今度の恩給法については私は賛成です。
  148. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 伺いたいのでありますが、戦後わが国は、やっぱり社会保障制度というものが遅々とは申しながら、着々と前進して参ったと思うのですね。こうなりますと、恩給という言葉自体、私はおかしいのではないか、恩給という言葉自体。従ってこの恩給というものについての考え方というものを相当変えねばならぬのじゃないか。大臣は先ほど国民年金云々ということを申されましたが、大臣のお考えとしては、今後、国民年金一本にすることが、新しい社会保障制度下におけるすっきりした老齢保障の制度であると、こういうような構想を持たれているのでございましょうか。
  149. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) ただいま申し上げましたように、いろいろとまだ検討を要する点がありますから、今、私こうという断言をいたすのでありませんが、私の考えといたしましては、なるべくこの国民年金制度一本でいきたい。ただしかし、それにはやはり従来の恩給というようなものについては、それらの人が国の使用人であった、そういう特殊の事情は私は十分加味して制度化すべきだと、かように考えておるのでありますが、しかし今ここで、私がほんとうに確信を持ってそういう点について御答弁するのには、実際のところ、なお勉強が十分でありません。今後十分勉強した上で、近いうちにまた御答弁の機会を得たいと思います。
  150. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は基本的には、国民の老後の生活を保障する、そういう立場において今後私は考えらるべきもので、従って今後恩給であろうが、年金であろうが、支給される場合に当っては、ある程度私はその人の持っている生活力というものは、支給額をきめる場合の一つの要素となっていいのではないか。そのときに持っている生活力ですね。それが、その生活力をどの程度要素として取り入れるかは別として、これを若干考慮していいのじゃないか。今の制度下においては、高額所得者については停止するというようなこともありますが、その該当者というのはきわめて少いのじゃないか、その要素はきわめて不十分ではないか。そこで具体的に伺いますが、今、国会議員の互助年金法案というのが出ておりますね、国会に。これは他の恩給と併給はできるということになっておりますが、私は、これは私の個人の意見ですけれどもね、新しい時代のこういう制度を確立するに当っては、その人の老後も保障する、民主的な健全なる老齢年金制度を確立するという意味からいっても、それは政府管掌であろうが、組合管掌であろうが、たとえば組合管掌であっても、若干は国から助成もしておれば、私は併給というような考え方というものはあまりいい考え方じゃないのじゃないか、今後そういう考え方は変えなくちゃならぬじゃないか、私は基本的にそういう考え方を持っておるのですが、大蔵大臣はどういう見解を持っておられますか。
  151. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お説はあるいは非常に進歩的なお考えかもしれません。言いかえれば、この国民がその生活力を——生活力というのは、一定の生活水準で生活能力を失なった場合に、国家がその生活を助ける、そういうふうなお考え方であろうかと思うのでありまするが、それだけで足るかどうか、ここに私はやはり問題があるので、それは社会保障として、私は一般的にだれにも適用のできる、やらなくてはならぬことではあるが、同時にまた、国との雇用関係において、国の使用人になった、そして特別な関係のあるものについて、それだけでいいのか、そこにプラス・アルファというようなものがまた考えらるべきであるのか、こういう点はやはり考慮していいんじゃないか、こう私は考えておるので、まだ、しかしそういうふうな点に結論を出すのには一そうの勉強が要る、かように考えておる次第であります。
  152. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先ほど大臣みずから触れられた問題でありますので、それにちょっとここで触れますが、それは国家公務員の共済組合年金法案ですね、ただいま国会に提出されている、これに対して、十分だと思わないが、まず満足できる法案だ、それは非現業の雇用人には適用した、自分としては全部すっきり一体でやるのが満点じゃないかと思ったけれども、結果としてそういう形において国会に出された、こういうお言葉であったわけですが、私も非現業の恩給公務員ですね、こういう方々も現業職員並びに非現業の雇用人等と一本にして、国家公務員、さらに地方公務員関係もそういう形で、一本にした形で年金制度というものを確立するのがすっきりしてくるのじゃないか、そうすると恩給なんという活字もなくなりますが、そういうものは、私は好むと好まざるとにかかわらず、わが国はもちろん、世界の趨勢というものは、社会保障制度を政策の中心として進んでいっておるのでありますから、そういう方向を指向すべきではないか、かように思いますが、あらためて大臣のお考えを承わりたいと思います。
  153. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私自身の——別に政府ではありませんが、私自身の意見としては、大体今のお説でいいと思っております。先ほどプラス・アルファというような表現をしたわけでありますが、これは何も恩給というものを残すという意味じゃなくて、年金制度の中で、給付関係において、一般の最低生活を保持するような給付以上にプラス・アルファというような給付を必要とせぬかという意味で申し上げたのでありまして、形はやはり年金一本、かように私は、何と考えてみても、そういうふうな私の考えは、おそらく今お話しの問題とそう大きな距離はないのじゃなかろうかと考えております。
  154. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その法案審議するときに、さらに若干深く掘り下げてお伺いしたいと思うのでありますが、話が出ましたこの際に、一つ触れてお伺いしたいと思うのであります。  それは、そういう場合ですね、これを政府の権限を非常に強くして、政府管掌のもとでやっていくか、多数の組合員が醵出してなされるのであるから、組合員の福利厚生の事業までやらねばならない、そうなりますと、そういう方々の意向を計画、運営に反映してやっていく、大まかにいって二つの方法があろうかと思うのであります。しかし少くとも民主主義国家で民主主義時代と相なりますれば、今後の方向としては、私はそういう年金組合がつぶれないように、健全に発展していくように、国があたたかくこれを見守ってやり、ある場合には適切な助言と指導をするということも大切でありますが、直接に国が大きな権限をそこに発動して、その組合の計画、運営等に大きな発言力を持つという形は好ましくないのじゃないか、そうでなくて、その組合を構成しておる多数の組合員の民主的な運営のもとに、大きな国の保護の中に運営されていく、健全に運営されていく、そうして組合員の老後を保障し、福祉の増進をはかるという形で私は取り運ばれていくべきではなかろうか、かように基本的に考えておるのでありますが、大臣の御見解はいかがでございますか。
  155. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) この公務員の年金を国の管掌にするか、組合の管掌にするかということについては、今日やはり世界でもいろいろと法律を異にいたしておると思います。また、学者の意見もいろいろこれについては分れておりまして、必ずしも一致していないかとも思うのであります。しかし、私自身の、これは政府ではありませんが、私自身の考えとしては、大よそただいま矢嶋さんの御見解と大きな開きはないと思うのであります。
  156. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 時間がありませんので、簡単にあと一つだけお伺いしたいと思います。  一つは、先ほどから今松長官並びに大蔵大臣の、続いての永岡委員に対する答弁から、私はあらためてはっきり確認をしていただきたいと思うのですが、あなた方の答弁を承わっていますと、恩給法の改正、特に軍人恩給関係ですね。これは、いわば戦後処理だと思うのですが、そういう関係の増額はこれで大体一区切りついたのでストップだ、今後加算制度というようなものは考えていないのだ、またペアーというものも今のところ考えてはおらないのだ、国庫の財政支出は、今度の改正、この程度で一応けりをつけたのだ、こういう政府の御意向だと、私は答弁を拝聴いたしたわけですが、それに相違がないかというのが一点、もう一点は、時間がないから簡単に伺っておきますが、このたびの改正措置によりまして、この法律とは別の法律の形でできておるわけでございますけれども、動員学徒等軍属に準ずる方々の処遇が今度なされたことは、私はけっこうなことだと思うのでございますけれども、しかし、内容を掘り下げて検討いたしますと、当時負傷した、あるいは死没された動員学徒、徴用工等の当時の実情から考える場合に、このたびとられました処遇は、前進とは言いながら、やはり相当のアンバランスがある。これは厚生省所管でございますが、予算編成の方は大蔵省で持たれているわけですからね。これらの点は、私はもう少しバランスがとれるように配慮される必要があるのではないか、かように考えておるのでありますが、予算編成権を持つ内閣の責任者としての大蔵大臣は、この点についてはいかようにお考えになっておられるのか、以上三点だけで、きょうの質問を終りたいと思います。
  157. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 御質問は二つでありましたが、結局、これは私は一つの答弁で足りるものと思うのですが、むろん、恩給関係等につきまして、不均衡の点、あるいはまた不十分な点があるという点に対して、私は必ずしもこれを否定するものではありません。もしも、日本の財政が、何をやっても十分力を持っておるというような状態でありますれば、やるべきことは多々あると思うのでありますが、今の段階におきまして、やはり全体の国民の福祉のバランスということも考えねばならない。むろん、軍人恩給については、御承知のように、戦時中において、われわれ国民はほんとうに、あとは心配せぬでいいからというような心意気でやっていただいたのでありますから、これに報いるのは私は当然であると思います。従いまして、今回ほかの方は差しおいても、平年度千三百億に上る財政負担もあえて認めて参ったわけでありますが、しかし、これ以上になると、先ほど言ったように、不均衡もあり、不十分な点もあるが、しかし他に考えねばならぬものも少くないのでありますので、財政的見地からすれば、慎重な考慮といいますか、検討を加えた上でないと、なかなか実現はむずかしい、そういう意味において、私は率直に、財政上困難であろうということを申し上げたのであります。
  158. 藤田進

    委員長藤田進君) 一萬田大蔵大臣に対しての質疑はまだあろうかと思いますが、大蔵大臣は渉外事情で退席したいとの申し出であります。よろしゅうございますね。
  159. 永岡光治

    ○永岡光治君 今松長官にお尋ねいたしますが、今の軍人の遺家族の扶助料の支給について、戸籍上の問題でいろいろ不均衡といいましょうか、そういう問題がたくさん出ているわけであります。これは、例を求めればたくさんあるわけでありますが、その一例を申し上げても、たまたま籍を入れていなかったために、あるいはまた籍を抜いたために、当然その人が妻として、あるいは子供として権利を主張したときに支給さるべきものが、そういう不備のために、非常に不遇な実際の状況になっておる例がたくさんあるわけでありますが、こういう問題について、何か特別考慮をされる考えはないのかあるのか、どういう考えであるか、お尋ねいたします。
  160. 今松治郎

    政府委員(今松治郎君) たまたま籍が入っていないために、非常にお気の毒な状態にある方があることを私も存じております。ただ、恩給法の建前といたしましては、その事由が発生したときの状況で処理をしておりますので、現在の恩給のワク内におきましては、そういう方に特別な措置をすることが困難な事情にございます。
  161. 永岡光治

    ○永岡光治君 そのときの状況といいましても、それはそのときの状況もありましょうが、しかし、その後の状況もありますし、いろいろ問題があるわけでありますが、私は、こういう恩給法の改正の際にこそそういう不均衡を——全く実情として、ほんとうは支給すべきでない人に支給され、そうして支給されなければならぬ人に支給されていない実例も、私が申し上げるまでもなく、数限りなくあるわけでありますが、なぜこの際に法律の改正を行わなかったのか、その点をお尋ねいたしたいと思います。承われば、法律がじゃまになってそれができないのだという説でありますから、当然この際法律を改正すべきでなかったかと思いますが、その点、どういうように考えておりますか。
  162. 今松治郎

    政府委員(今松治郎君) まことに今お話しのようなのが件数がございまして、当該の方々には非常にお気の毒でありますが、今回の恩給法の是正につきましては、どうもやはり根本の問題になりますので、改正をいたしませんでございましたが、結果的の処理といたしましては、これは厚生省関係の方で、そういうお気の毒な方々を援護する方法によって目下のところは処置いたしておる次第でございます。
  163. 永岡光治

    ○永岡光治君 厚生省で扱っておるというところの援護法によるところの処置ですが、これは、やっぱり恩給で保障されておるものとは相当の開きがあるのは御承知の通りです。私の言いたいのは、今度の恩給法の改正の非常に大きな問題になったのは、不均衡の是正ということが大きな問題になったことは間違いないことです。問題は、ひとしからざるを憂うということが、一番政治的問題としては大切な問題であって、実際の実情に沿わないものをそのまま放置しておくということは、これは、私は大した金額ではないと思うのですが、どうしてこの機会にやらなかったか、あるいはまた、近い将来にそういう問題をそれでは改正するという考えがあるのか。不合理を認めるとすれば、何か改正の必要があるやに思われるのですが、不合理を認めつつもこのままでほおかぶりしていくという考えなのか、いずれのお考えでございますか。
  164. 今松治郎

    政府委員(今松治郎君) 恩給法の建前から申しましても、先ほど申しましたように、この問題を解決いたしますことは根本の問題にも相なりますので、ただいまのところは、おっしゃる通り不均衡という感じがいたしますが、これの改正をして適用するというところまで至っておりません。
  165. 永岡光治

    ○永岡光治君 根本の問題に触れるといいますが、どういう意味ですか、根本とは。私はそれこそ、そういう不合理を是正することの方がこの際一番必要なのであって、どういう点が、根本に触れるのか、その点を教えていただきたい。
  166. 今松治郎

    政府委員(今松治郎君) その恩給法の建前からいいますというと、恩給を受ける事由の発生したときの状態、こういうのが一番根本になっております。これを変えなければ相ならぬわけでございます。根本と申しますのはその点でございます。
  167. 永岡光治

    ○永岡光治君 恩給の発生した当時、事由の発生した当時、たとえば籍が入ってなかった、実際の婚姻は結んでおっても。そういう問題があるわけですよ。それは発生した当時なんです。どうしてそれが改正できないのですか。根本の問題に触れるとは、どういう点が根本の問題に触れるのですか。ただ私は、あなたが答弁されていることを聞くと、今の戸籍関係についても、法律があるのだ、だからそういう問題があるから、とてもじゃないけれども、法律の上からできないというのは、これはあくまでも形式主義だと言わざるを得ないと思うのです。そういうものだから改正できないというのであれば、一回法律ができたら永久に変えられないということになる。そうでなくて、新しく軍人恩給まで復活する法律ができたわけですから、その後いろんな不均衡があり、それを是正して、その遺族の方にも、なるほど実情に即したと喜ばれてもらいたいという気持が、おそらく政府にはあったと思うのですが、そういうことであれば、これこそ画龍点睛を欠くうらみが強いと私は思うのです。どうしてこの法律改正の際にそこまで触れ得なかったのか、将来全然考えないのですか。
  168. 今松治郎

    政府委員(今松治郎君) まことにごもっともでございますが、恩給法の建前は、その恩給を受給されたときに、受給権が発生したときに内縁であられた方には権利がないわけです。そういうような関係で、あとからそういう方に恩給法による給与をいたしますというと、今まで恩給法の建前をとっておりました一般の原則をはみ出すことになるわけです。それで今回の是正のときにも、この問題は取り上げ得なかったわけでございます。
  169. 永岡光治

    ○永岡光治君 そういうものが根本的な問題ですか、私はそうじゃない、私は内縁のことをいいましたが、たとえば自分の子供を弟の籍に移して、それは便宜上移しただけにとどまって、実際は小さいときから出征するまでその子供を育てて、そうしてその子供が戦死をした。ところが、恩給をもらうのは、遺族の扶助料をもらうのは、その戸籍上の関係で、実際養った、しかも最後までめんどう見ておった実際のお父さん、これは何も問題にならないというのはおかしいじゃありませんか。そういうことこそ根本の問題といえば根本の問題だから、改正する必要があるのじゃないかと思うのですが、どうでしょう。
  170. 今松治郎

    政府委員(今松治郎君) ただいま御引例の、実際の子供であるが、他家に籍が入っておる。こういう問題は、それはおそらく実子であるということは間違いないでございましょうが、これを平たく申しますれば、裁判か何かで籍を戻す、こういうような措置をとりませんというと困難じゃないかと思うのですが、こういう問題については、実際と恩給法の実質とは不合理な点があることは、私ども十分に認めます。
  171. 永岡光治

    ○永岡光治君 籍を移すということを裁判にしても、死んだ人はどうしようもないと思いますが、それもおかしいと思うのです、第一。かりにそれができるかどうか知りませんが、できたとしてもおかしい問題で、そういう裁判でもってその籍が返されれば、死んだものについてそういうことができるのですか、ちょっと私は不可能じゃないかと思うのです、かりにできたにしても。私、法律のことはあまり詳しくありませんから、そういう問題は……。しかし問題は、私の言うのは、こういう改正の際にこそ、そういう実際の状況に即した法の改正をさるべきじゃないか、こう主張しておるわけで、重ねてお尋ねするわけですが、将来も改正する考えはないのか、あるのか、その点だけ一つ明確にしてほしいと思います。
  172. 今松治郎

    政府委員(今松治郎君) 現在のところ、そういう考えは持っておりません。
  173. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳之輔君) ただいまの永岡委員からのいろいろ指摘された問題点でございますが、前段の問題と後段の問題と、若干内容が違うようでございます。前段の問題は、恩給法の例では、その家を去ったということで失権、失格の事由になるわけでございます。すなわち、戦死者の父母がその後、戦死される前にどこかに分家された、こういうような場合には、そのむすこさんだけが本家の方に残ってしまって、父母は分家の方に行ってしまった、こういうような場合には、これは同一戸籍内にあるということが要件でございますので、その父母は権利がない、こういうことになったわけです。そこでそういたしますというと、もしもその場合に祖父母がある、そういたしますと、本家のその祖父母が受給権者になる、権利者になる、こういうことになっております。そこで、御指摘の点は、実の父母でありながら、分家したので権利がないとはけしからぬ、祖父母に行ってしまったのは、どうもおかしいじゃないかという点でございます。確かにそういう点はございますけれども、恩給法というものが、戦前からずっと続いて流れて参っておりますし、もしもそういう問題について新しい目で見ると、こういうことになりますというと、既裁定、すでに裁定でもって公務扶助料を受ける権利があるという人があります。たとえば、分家された例をとりましたが、祖父母がすでに権利者である、こういうような場合、また、一般文官につきましては、いろいろそうした前提のもとに、すでに権利者になっておる。これをひっくり返しますと、祖父母が現にもらっておるものを全部抹消してしまって、あとは父母に変換しなければならぬ、こういうような既往の問題をひっくり返さなければならぬということになると、大へん複雑になって参ります。そうして、昭和二十四年にできました遺家族援護法では、恩給法の方で、分家したために権利を失なった、こういうものは遺家族援護法では遺族年金を支給する、こういう措置がなされておるわけであります。応召兵の階級におきましては、遺族年金も公務扶助料の額も大体つり合いがとれておるというような関係からいたしまして、実質的には遺族援護法というものが恩給法の補完作用をなすものであるという意味で、恩給法はあえて旧秩序をくつがえさないという建前をとってきたわけであります。  後段の点につきましては、実際に生んだ子供なんだけれども、戸籍上の手続としては、自分の子として届けなかった、他人の子供として届けた。ところが、その人が戦死してしまった。現在、実際の血肉を分けた子供であるけれども、何とか自分が扶助料権者であるということを立証したいのだが、何とかならないか、こういう問題でございます。この問題は、援護法の問題としても、昨年の臨時恩給等調査会の際に検討いたされました。その際にも、事実上の身分関係を持っている、しかし、法律上の身分関係はないのだ、これを認定するということは、事実上の関係があるということだけで認定をするということになると、なかなかむずかしい問題でございます。そこで、そういうような問題は、事実上の身分関係があるということだけでいろいろ律するということは、ほかの制度でもなかなかやっておらない問題でありまして、この遺族援護の立場だけでもってそういう問題を考えるということは、なかなかむずかしい問題じゃなかろうか。むしろ、いろいろ戸籍法関係の問題として、将来解決の道を検討することが妥当であるというふうな結論を見ておるわけでございます。従いまして、厚生当局の方におきましても、この問題は事実上の問題として、何らかの戸籍法上の、あるいは家庭裁判所とか、簡易な方法で解決をする方法はないだろうかということになっておるわけであります。
  174. 永岡光治

    ○永岡光治君 いろいろ説明されましたけれども、やはりそれでは、実際の問題として了解されないのが現在の実情なんです。それで私は、こういう際にこそ実情に合った法律の改正をすべきだということを主張しているわけですが、そういう御改正をするお考えもない、こういう木で鼻をくくったような答弁で、これはいずれ何かの機会に、私どももうちょっと責任のある答弁をいただかなければならぬと思っておりますが、本日のところは、まあ総務長官でありますので、あらためて岸総理、そのほか責任者の出席を求めて質問をしたいと思いますので、本日はこの程度でとどめたいと思います。
  175. 藤田進

    委員長藤田進君) 私から一点。今の質疑応答の中から確かめておきたいと思いますが、恩給という語義の由来等から検討されて、今日の恩給というものの定義、意義なり性格ということが、かなり入り乱れたものになっているから、説明がどうもすっきりとしないようなうらみがあると思うのです。そこで政府は、現在の恩給、こういう名称等から、戦前以来の恩給の性格をある程度継ぎながら、現段階における政治情勢というふうになっているわけだが、一体この恩給というのは、読んで字のごとく、いわゆる恩恵的なものだと考えているのか、あるいはそうではなくて、損害補償というか、権利保障というか、そういうものなのか、そうではなくて、生活保障ないし社会保障的なものと考えているのか、軍人恩給、文官恩給について、それぞれどういう性格を定義づけているのか、今松総務長官からお答えをいただきたい。
  176. 今松治郎

    政府委員(今松治郎君) 恩給と申しまする言葉は、従来使われておったのでございますが、この問題につきましては、あとから申し上げることといたしまして、国が文官、武官に対して恩給を従来支給しておりますのは、国の公務員を使用者としての国の立場から、その被使用者に対しまして、いろいろの制約した条件のもとに勤務を要請しております。従いまして、退職後または死亡後に、国家がなおその責任において、この死亡者、もしくは退職者の遺族、もしくは当人に対して、国がある程度の経済的な保障をする。要するに使用者の立場として、そういうようなめんどうを見る、こういうことが恩給であると考えるのでございます。敗戦前と、この新しい憲法のもとにおいては、この点が、国家公務員は全体の奉仕者であるということが、従来の官吏と変っている点であろうと考えるのでございますが、この恩給という言葉は、敗戦後におきまして、いろいろこの問題が論議されましたときに、占領軍の方からペンションという言葉で、日本の当時の政府に対していろんな指示があったようでございますが、これを訳しまするときに、恩給というのが従来ありましたものですから、恩給と訳したのだそうでございます。その後、どうも恩給という言葉は、先ほども委員長からも申されたように、恩恵的なような非常に誤まった意味にとられやすいおそれもあるから、これを退職年金ということに訳した方が適切である、こういうように考えまして、人事院の勧告におきましても、退職年金、こういうことに改めております。従いまして、次の機会に、国家公務員法の改正をいたしまする場合におきましては、恩給という言葉を使わずに、退職年金という言葉でいく、こういうことは政府の方としてもきまっております。  大体以上のようなことでございます。
  177. 藤田進

    委員長藤田進君) 軍人恩給についてはどういう解釈になりますか。
  178. 今松治郎

    政府委員(今松治郎君) 現在の恩給法のもとにおきましては、文官も軍人も、ともに、国が使用しておるという点においては全く同じに扱っております。
  179. 藤田進

    委員長藤田進君) ただいまのお答えでは、私が質問いたしました性格には触れられていないわけであります。今言われた退職年金という名称にいたしましても、いろいろ学説が今日分れているところですが、いわゆる俸給のあと払い説なのか、そうではなくて、恩恵的に給するものなのか、どちらなんですか。
  180. 今松治郎

    政府委員(今松治郎君) これは、国家が公務員をいろいろな制約した条件のもとに使っておりますのは、御承知の通りでございますが、従いまして、その特殊な勤務に服した、忠実にこの任務を尽しました公務員に対して、その退職後のある程度の生活上の保障をする、こういうことでございまするから、何と申しますか、やはり使用者たる国家の責任において出すものでございます。
  181. 藤田進

    委員長藤田進君) まあよく検討していただきたいと思います。
  182. 田畑金光

    田畑金光君 私きょうは一、二点だけお尋ねして、次の機会に委細お尋ねしたいと思うのですが、昨日来の答弁を承わっておりますと、政府としては、旧軍人恩給の改正については今回をもって一応終了する、こういうような御答弁があったわけですが、政府の方針はさようであると解して差しつかえないかどうか。
  183. 今松治郎

    政府委員(今松治郎君) その点につきましては、先ほど大蔵大臣から御答弁がありましたが、そのときおいでになりませんでしたでしょうか。
  184. 田畑金光

    田畑金光君 まことにこれはいなくて申しわけなかったわけですが、大蔵大臣が御答弁なさったというのですけれども、どういうように御答弁なさったか、実はそれを一つお聞きしたいのです。
  185. 今松治郎

    政府委員(今松治郎君) 大蔵大臣の申されたことを私全部はっきりと覚えておりませんから、大体その大筋を申し上げますが、今の大蔵大臣の個人としての意見かもしれませんでしたから、その点は速記録を見て何しますが、軍人恩給の是正につきまして、今回の処置をもって大筋の点は終ったと思うと、従って、まだいろいろ検討すべき点はあるが、現在の財政状態のところではこれがせい一ぱいである、こういうように大蔵大臣は答えられたかと思うのでございます。  まあ、いずれ私も、その点は一ぺん速記録を見ましてから何いたしますが、私どもの考えといたしましては、その軍人恩給と申しましても、生存者の恩給並びに公務でない死亡者の扶助料、また公務扶助料、その他いろいろ種類がございまして、将来もしも非常に経済的な変動によりまして恩給制度がべース・アップがあるとかいうような場合には、また、それとスライドはいたしませんにいたしましても、やはり恩給の受給者に対しましては何らかの処置がとられる必要があるんじゃないかと、こういうように考えておる次第でございます。
  186. 田畑金光

    田畑金光君 大蔵大臣が云々とお話しですけれども、この恩給関係については今松総務長官担当者であるわけで、今松長官が、私としてはこういう方針でいきたいとか、政府の方針は将来においてはこのような考え方のもとにおいて処理されるであろう……。問題は、大蔵大臣が言ったことをあなたが物まねするんじゃなくして、あなたがお話しになったことを大蔵大臣が物まねする、これが順序だと思うんだが、少しどうも主客転倒しているような感じを受けるわけですが、その点はどうでしょうか。
  187. 今松治郎

    政府委員(今松治郎君) この恩給の問題につきましては、ひとり軍人恩給ばかりじゃなくて、現在恩給をもらっておりまする文官、それからもとの軍人並びに戦没の軍人の公務扶助料、また傷病恩給を受けている方々、こういうものに対しまして一律に私どもは処置をして参ったわけでございます。ところが、今回の恩給是正が軍人恩給、軍人恩給と唱えておりましたために、全部軍人恩給の是正であったかのように誤解をされている方も世間にはございますが、この恩給是正の問題は、私どもが今考えております点から申し上げますというと、大筋の点は大体今度でもって片をつけたつもりでおります。ただ、その理由の中の一部分に、財政上の理由によってやりたくてもやれない点がないでもなかったのでありまして、たとえて申しますというと、傷痍軍人の関係の処置につきましても、いま少し余裕があればというような点もあったのでございます。従って、そういうものが将来、今回の四カ年間におきまする是正の後におきまして、財政上のゆとりができた場合に、また問題になる点ができてくるのも、ある程度想像されるのでございますが、現在のところといたしましては、まずこの程度で終止符を打った、こういうふうに思っておるわけでございます。  特に、文官と武官との公務扶助料に対する倍率の問題が、不均衡の問題として非常に長年取り上げられておりましたが、この問題は今回の処置をもって一つ終りとしたい、こういうように考えておるわけでございます。
  188. 田畑金光

    田畑金光君 速記録によりますと、これは四月四日衆議院の内閣委員会で、この恩給法改正案の審議の最後の段階に当って、福永内閣委員長から質問の形で問題が提起されておるわけです。いろいろな項目を含んでおるわけですが、その内容等は、軍人恩給調査会等で各角度から検討された問題がまだそのまま、たとえば処理済みのものもあるし、あるいはまだ処理が十分になされていない問題もあるし、あるいは問題が問題として残されたままにしておる問題もあるし、そういうあらゆる問題を含めて内閣委員長の質問の形で政府の回答を求めているわけです。これに対しまして今松長倉の御答弁を拝見いたしますと、「恩給や扶助料の取扱いの一番配慮しなければならないことは、関係者にすべて公平に施策が講ぜられて、均衡を確保するということであると思います。御指摘の諸点につきましては、いずれも検討すべき問題が包蔵されておるのでありまして、政府といたしましては十分検討の上、善処いたす所存であります。」、そういうふうにりっぱな答弁をなされておるわけです。  しかも、福永委員長の発言の中には、「遺家族公務扶助料の倍率及び支給条件等の是正」、こう明確に述べているわけで、これを拝見いたしますと、扶助料倍率についてはなお今後検討することにしたい、するんだ、政府もそういう気持を明確に答弁の形で出しているわけですが、今の御答弁を承わりますと、扶助料については、ベース・アップは、将来のいろんな財政の動きや一般給与水準の動きによって考慮する余地もあるが、倍率そのものについては、もうこれで終りにするんだ、こういう御答弁であるわけです。ところが、長官は福永委員長の質問に対しましては、倍率自体についても検討しよう、こういうことを明確に答えておられまするが、これはどうなんですか。
  189. 今松治郎

    政府委員(今松治郎君) もちろん、稲永委員長の御質問に対しまして、慎重に検討をすると、こういう御答弁をいたしました。ただ、私が申し上げましたのは、倍率問題においては大体において今回をもって終りとしたいと、こういう政府の意向であるということを申し上げたのでありますが、それと検討いたすということとは私は矛盾はいたさないと思いますが、検討はもちろんいたしていくつもりでおります。
  190. 田畑金光

    田畑金光君 そうしますと、検討はしてみるが、ただそれだけだと。これは内閣委員長に対する御答弁は、ただ、そういうような質問があったから、検討するんだ、別にこれは将来倍率等についてはもう絶対に政府としては考える余地はないんだ、政府の方針はこうなんだ、これで倍率問題に関する処理は最終的に処理済みなんだ、こういう確信のもとに立って、だが、せっかくの質問でもあるから、検討するということでこの際お茶を濁しておこう、こういうようなことでよろしゅうございますか。
  191. 今松治郎

    政府委員(今松治郎君) そういう意味ではないのでありまして、検討をいたしまして、そういう倍率問題を将来においてまた変更する必要があるかどうか、そういう点について検討をして、その必要があるとすれば善処をすると、こういうわけでありまして、全然終止符を打ったと、こういうわけではないのであります。
  192. 田畑金光

    田畑金光君 そうしますと、倍率の問題については、われわれいろいろ新聞等で、政府の方針は少くとも倍率についてはもうこれが最終的な処理だというように加わっていたわけですが、今、長官の御答弁によると、倍率自体についても将来検証する余地があるのだと、こう解釈してよろしいですね。
  193. 今松治郎

    政府委員(今松治郎君) 先ほどから申し上げましたように、この案を出しました時分に、政府の方といたしましては、倍率問題はもう大体においてこれで終止符を打ちたい、こういうことを御答弁申し上げております。ところが、衆議院の内閣委員会において、もう少し検討する余地があるのじゃないか、こういうような御意見がございまして、委員長の方から私に対して御質問がありましたので、先ほどお読み上げになりましたように、十分検討をして善処したいと、こういうことを申しあげたのでありまして、私は、もう倍率問題は全然終止符を打って将来は問題としない、こういう意味ではないのでございます。
  194. 藤田進

    委員長藤田進君) その点が、要するに、政府の態度が衆議院の内閣委員会審議の過程に変ったと見ていいのですか。
  195. 今松治郎

    政府委員(今松治郎君) 過程におきまして、私の方としては終止符を打ちたい、こういう意見でおりましたのであります。ところが、委員会の方でもっと検討しろ、こういうお話でございますので、検討いたして善処をしたい、こういうことを申し上げたのでございます。
  196. 千葉信

    千葉信君 どうも、ただいまの総務長官の答弁を聞いておりますと、最初に答弁されたことと少し食い違ってきておる。おまけに、田畑委員の引用された衆議院における内閣委員会の答弁は、私どもが正直に日本語として解釈する限りは、検討ということは、その検討の結果出た結論によって何らかの措置を伴わない検討というものはあり得ない。従って、そういう解釈からすれば、当然、これは検討して、不都合がありあるいはどういう方法があるかということについて検討を加えて、その結果、何らかの措置をとられるものと了解せざるを得ない。ところが、さっきこの問題について同様の質問があり、それに対する大蔵大臣の答弁というのは、恩給の改定等については大体今回をもって終りとしたい。その理由としては、政府としては近い将来国民年金制度等を実施する考えだから、その問題の一環としてこの恩給問題を解決したい、こういう御答弁であった。そうすると、一方では、与党の議長ですが、衆議院の福永内閣委員長からの御質問に対して、何らかの措置を講じなければならぬ条件がその答弁に付帯して出てきておる。そうすると、これを担当されておられるのは総務長官です。しかし、財政、予算その他の関係で、この問題については大蔵大臣もやはり閣内においては一応の発言権を私は持っておるものと見ざるを得ない。政府としての見解がこう食い違ったまんまで国会の答弁に臨まれるということは、許しがたいことである。従って、ただいまの点については、私は政府として一致した見解を持って当委員会に臨まれなければ、われわれの審議は進みません。そういう意味で、次回の恩給法審議するまでの間に、政府の力で統一見解をはっきり持ってこの委員会に臨むようにしていただきたい。私どももいろいろな質問があります。しかし、今後どうするかというかなり重要な問題について見解が食い違ったままで、委員会審議は進まないと思います。至急その措置をとられるように……。  従って、これからあとは私は委員長に希望しておきますが、今申しあげたような状態ですから、本日はこれで委員会を閉じられて、もしくは他の法律案をやられるのならそれの方へ移行するか、適当な措置を講ぜられることを私は希望いたします。
  197. 藤田進

    委員長藤田進君) 委員長といたしましても、ただいまの御答弁は確かに、速記録を調べるまでもなく、閣内の意見不統一のように思います。やはり国会で権威ある政府の答弁をいただく以上、統一見解を出される必要がありますので、今直ちにということは無理だと思いますが、次回までにぜひさような措置をおとりいただきたいと思います。もし食い違いがないとおっしゃるならば、速記録を照合する以外にございません。  なお、これからあとの議事進行につきましては、相談をいたしたいと思います。
  198. 田畑金光

    田畑金光君 今の点は、これはどうも長官の御答弁はふらふらとして動いておりますので、まことに遺憾でありますが、今委員長から、千葉委員からの要請もありましたように、政府の見解の統一をすみやかにやっていただくことと同時に、この問題については、岸総理大臣に、特に、この恩給の問題と国民年金制度の問題等とも重要な関連が出て参りますので、なるべくすみやかな機会に、岸総理大臣から一つ政府の見解等を承わりたいと考えておるわけで、私いろいろ質問したい事項もありますけれども、その他の法案もあるようですから、きょうはこれで遠慮しておきますが、一つ次の機会には、今松長官の方におかれても十分答弁の食い違いのないように準縦をされて、御出席を願いたいと希望するわけです。
  199. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記をとめて。  それでは、両案につきましては本日はこの程度にとどめまして、本日はこれにて散会いたします。    午後四時十八分散会