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1958-04-14 第28回国会 参議院 内閣委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月十四日(月曜日)    午後一時五十分開会   —————————————   委員異動 四月十二日委員伊藤顕道君及び松本治 一郎君辞任につき、その補欠として吉 田法晴君及び森中守義君を議長おい て指名した。 本日委員上原正吉及び吉田法晴辞任 につき、その補欠として柴田栄君及び 伊藤顕道君を議長おいて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     藤田  進君    理事            松岡 平市君            永岡 光治君    委員            剱木 亨弘君            後藤 義隆君            近藤 鶴代君            柴田  栄君            中野 文門君            増原 恵吉君            松村 秀逸君            伊藤 顕道君            田畑 金光君            千葉  信君            森中 守義君            矢嶋 三義君            島村 軍次君   国務大臣    国 務 大 臣 津島 壽一君   政府委員    総理府総務長官 今松 治郎君    内閣総理大臣官    房公務員制度調    査室長     増子 正宏君    総理府恩給局長 八巻淳之輔君    調達庁長官   上村健太郎君    調達庁総務部長 眞子 傳次君    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    科学技術政務次    官       吉田 萬次君    科学技術庁原子    力局長     佐々木義武君    大蔵政務次官  白井  勇君    大蔵省主計局給    与課長     岸本  晋君   事務局側    参     事    (委員部第二課    勤務)     川上 路夫君    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告放射線障害防止技術的基準に関す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○旧令による共済組合等からの年金受  給者のための特別措置法等規定に  よる年金の額の改定に関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○国家公務員等退職手当暫定措置法の  一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○恩給法等の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○防衛庁設置法の一部を改正する法律  案(第二十六回国会内閣提出、衆議  院送付)   —————————————
  2. 藤田進

    委員長藤田進君) これより内閣委員会を開会いたします、  委員異動がございましたので、事務局から報告させます。
  3. 川上路夫

    参事川上路夫君) 御報告いたします。  去る四月十二日、伊藤顕道君が辞任されまして、後任吉田法晴君が選任されましたが、こえて四月十四日、吉田法晴君が辞任されまして、後任として伊藤顕道君が選任されました。それから、四月十二日付をもちまして、松本治一郎君が辞任されまして、後任として森中守義君が委員に選任されました。  以上でございます。   —————————————
  4. 藤田進

    委員長藤田進君) それでは、これより議事に入ります。  まず、先般行われました航空自衛隊実情等調査のための委員派遣につきまして、派遣委員の御報告を求めます。
  5. 永岡光治

    永岡光治君 当内閣委員会決定に基きまして、永岡島村、田中の委員は、三月八日から十日までの三日間、静岡、愛知長野東下に出張いたしまして、防衛庁航空自衛隊実情及びその施設等調査して参りました。  視察先浜松市の第一航空団であります。また、この機会を利用いたしまして、愛知用水公団牧尾橋ダムを視察いたしました。以下視察いたしました順序に従いまして、御報告申し上げます。  まず、第一航空団では、佐藤浜松基地司令より、浜松基地全般にわたり概略の説明があり、次いで牟田第一航空団司令説明がありました。すなわち、航空自衛隊部隊の編成といたしましては、航空集団航空団、その他の長官直轄部隊から編成されておりまして、このうち航空集団司令部は東京都府中に置かれ、また航空団は全国四カ所に置かれておりまして、第一航空団司令部浜松市に、第二航空団司令部北海道千歳町に、第三及び第四航空団司令部は宮城県矢本町に置かれております。  当第一航空団昭和三十年十二月一日に浜松で創立し、直ちに二部を残して九州の築城基地に移動し、教育訓練を開始したのでありますが、その後、昭和三十一年一月浜松基地の諸施設が完備したため現布地に復帰し、引き続き部隊の充実、訓練の強化に努め、わが国最初ジェット機部隊として、F—86Fのパイロットの養成をしているのであります。また、当航空団の有保航空機数F—86F六十八機、T—33十五機であるが、その他救難用としてT—34二機、H—19三機、H—13一機が配置されており、航空機稼働状況は、F—86Fが約七〇%、T—33が約五五%となっているとのことであります。  次に、教育実施状況については、戦闘機操縦課程戦闘機操縦教官課程二つに分れており、当団が現在ま所に教育した学生は八十二名であり、また現在教育中の学生は三十四名で、近く四十八名に増員する予定である。しかし、これに関して直接教育担当する教官が二十三名で、学生数に比し不足しているので、増員を考えている。なお、飛行訓練は、戦闘機操縦課程が八十三時間、戦闘機操縦教官課程二十七時間となっており、その主要な課目空中戦闘空中射撃及び編隊飛行等である。また、一日の訓練は延べ約八十機で、最近の月間飛行時間は約千二百時間となっており、この教育訓練は確固たる基礎の上に立てられているので、天候その他の特異事情が起らない限り、消化できるとのことであります。   以上のごとき説明の後、当内閣委員会に対する要望が述べられました。  一、航空救難には航空海上及び陸上の三手段の統合が必要であり、現在これに応ずる態勢は一応整ってはいるが、航空救難対策としてはきわめて弱体である。従って、少くも在日米軍が保有している程度まで諸施設が完備できるようにいたしたい。  二、当団主要課目である空中射撃訓練は、当基地より五十六海里から八十六海里隔てた志摩半島の南方海上で実施される結果、海上救難には大型船舶の配置をいたしたい。  三、ジェット操縦者専用官舎の建設、給与の改善、殉職した場合の補償費増額等の実況をはからわれたい。  四、現在の滑走路は七千八百二十五フィートであるが、F—86Fに初めて搭乗する学生を安全に訓練する必要上、一万フィートまで延長いたしたい。また、当団航空機の定数は八十三機であるが、外来機を合すると約九十機となり、それに相当する収容力が必要であるが、現在計画されている収容敷地は約六万平方メートルで三十二機の収容能力しかないので、将来は少くとも約十一万五千平方メートルで七十一機の収容能力のある敷地を希望する。  右四点のほか、エンジンの試運転場基地内の防塵施設補給倉庫及び居住施設増設等の希望が述べられたのであります。  次に、愛知用水公団について申し上げます。  愛知用水公団は、愛知用水公団法に基き昭和三十年十月十日に設立せられたのでありまして、本事業目的は、木曽川水系水資源を高度に利用して、名古屋市東方に位する平野及びこれに接続する知多半島一帯を総合的に開発する目的をもって、これに必要な貯水池幹線水路支線水路等を新設し、総面積三万三千町歩に上る地域に対して旧田補水、開田、開畑及び畑地灌漑を行い、これらの達成により、年間米麦約二十七万石を増産するほか、雑穀、果実、蔬菜等飛躍的増産を期し、あわせて農業経営合理化をはかろうとするものであります。  また、関連事業として、新設貯水池発電所を新設して、これによる発電及び既設下流発電所電力増強をはかるほか、上水道工業用水を必要な地域に供給しようとするものであります。  かくして公団は、一方におい事業実施計画作成、各他の調査工事用地の買収、補償交渉等、本工事着手のための実体的準備作業を進めるとともに、世界銀行からの借款発電水道等関係事業主体との費用負担に関する協定等、本工事着工のために必要な渉外業務に従事してきたのであります。現在までに事業実施計画作成並びに公告、従覧等法定の手続はすべて終了し、また関係事業主体たる関西電力株式会社発電)及び愛知県(上水道工業用水道)との事業費負担等に関する基本協定並び世界銀行からの借款契約は、それぞれ締結を完了したのであります。  次に、工事進行状況を見ますと、本公団は昨年末に至って最も困難をきわめたダム用地補償を円満に解決し、十二月十六日バイパス(仮排水路)二本の隧道工事に着手したのでありまして、一行が視察いたしました牧尾橋ダムは、右の工事現場、すなわち長野西筑摩郡王滝村と三岳村にまたがりまして、その規模は総貯水量七千五百万立方メートル、満水位標高八百八十メートル、流域面積三百四平方キロメートルの巨大なもので、ダム方式はロック・ヒル式と申しまして、この種のものでは新しいもので、その工事費総額は五十九億が計上されており、工事は目下着々と進行しております。また、右のほか、曲り池調整池、兼見隧道工事も進められております。  なお、右公団工事は若干着工がおくれたが、昭和三十五年度(昭和三十六年三月末)には完了するとのことであります。  以上をもって報告を終りますが、それぞれの機関から若干の資料を入手しておりますので、必要に応じごらんを願いたいと存じます。
  6. 藤田進

    委員長藤田進君) ただいまの御報告に対して御質疑はございませんか。   —————————————
  7. 藤田進

    委員長藤田進君) 別に御発言もなければ、次に、放射線障害防止技術的基準に関する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  本案につきましては、さきに提案理由説明を聴取しておりますが、本日は本案内容について説明を求めます。
  8. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) ただいま委員長から御指摘のございました、放射線障害防止技術的基準に関する法律案に関しまして、その内容を御説明申し上げたいと思います。  本案は、経過をまず申し上げますと、昨年度、放射線同位元素等による放射線障害防止に関する法律案、俗に申しますと、放射線アイソトープ関係障害に関する法律案を昨年の国会で御審議をいただきまして、これを成立させていただいたわけでございますが、その際、衆議院科学技術振興特別委員会におきまして、アイソトープ関係のみでは不十分であるので、この次の国会、すなわち今国会でございまするが、今国会には、さらに範囲を広めて、単に原子力関係あるとみなされるアイソトープのみならず、その他のたとえばエックス線発生装置とか、あるいは核実験爆破実験に伴う放射能から生ずるいろんな実測関係とか、そういうものを含めまして、広くこの対象を広めた法律案を出してもらいたい。それで、その法律内容は、一種の基準法的な性格のものにして、各省ばらばらにこれが基準に乗って対策を講じないようにというのが付帯決議趣旨でございまして、昨年の法律を通す際にも、参議院におきまして十分この趣旨を御説明申しあげ、本国会でぜひこの御要望に沿うて、ただいまお手元に出しておりますような技術的基準に関する法律をお出しするというお約束で、昨年度は法案審議をいただいたわけでございます。従いまして、それに基きましてお出ししましたのが、ただいま御審議をいただく放射線障害防止技術的基準に関する法律でございます。  この一つ目的は、放射線が、先ほど申しましたように、いろいろ天然のもの、あるいは後天的に原子力の使用あるいは爆発実験等、あるいは従来からありましたお医者さん等で使っておりますエックス線装置から発生するもの等、いろいろたくさんございますが、そういうものから生ずる人体障害等に関しまして、国民の保健上防止をはかることが非常に重要な事項になっておりますので、その防止に関しまして、それぞれ違った視野からばらばら各省で取り締ったのでは、これは取締りを、受ける国民のサイドからいたしますと、非常にまあ不統一のそしりを免れませんし、実際の取締り上にも障害も来たすというふうなおそれもございますので、まずこの基準策定のための根本方針を一体どうするか、これをまず明確にすることと同時に、基準内容を技術的に、できるだけ日本各界の英知をしぼりまして、あるいは世界各国実情等も勘案の土、一本に斉一にこれをならして、そしてこれに基いて実際の運用をはかってもらいたいというのが、この法案の提出いたしました目的趣旨でございます。  その内容といたしまして、放射線とはそれじゃどういうものをさしているのかと申し上げますと、従来では、先ほど申しましたように、原子核の変換に伴いますものを主として昨年度の法案では対象にしたのでございますが、今年度はさらにそれを広めまして主としてエックス線、これは非常に広く使われております。放射線同位元素に関しましては、あるいは件数からいたしますとまだ三百件ぐらいかと思いますが、エックス線に関しましては二万数千件ございまして、これは御承知のように、各医療関係で長い間使っておるばかりでなしに、非常に広範囲に対象を取りまぜていろいろ使っております。さらに、各工場等でも最近では非常に強度のエックス線を検査その他に使うようになりましたので、このエックス線を今度の法案の大きい一つ対象にして、そしてこの取締り基準を作っていくというのが、内容の大きい点でございます。  そこで、先ほど申しました基本的な方針としてはどうするかと申しますと、これは当然のことかと思いますが、放射線の発生するものを取り扱う従業員あるいは一般の国民が受けます放射線線量最大許容量というものを一応定めまして、常に国としてはそれ以下に保持しなければならないということを基本方針にしたのでございます。しからば、この許容される線量というのは、最大許容量というのはどういうものかと申しますと、ただいまの世界基準といたしましては、大体一週間三百ミリレントゲンというのが基準になっておりますけれども、その後次第に世界各国の情勢の変化によりまして、これをかたく抑えるような傾向も見えて参りますので、わが国におきましても、先ほど申しましたように、いろいろ各界のこの方面のエキスパートの力にお集まりいただきまして、そうして世界実情あるいは日本のその後の変化等を見ながら、こういう基準というものを定めていきたいというのが一つ基本方針でございます。  同時に、内閣の中に、総理府の中に付属機関といたしまして、放射線審議会というものを設けまして、その審議議会で、ただいま申しました基本方針一つの目安にして、障害防止に関する技術的な基準を定めていきたい。これには核放射線の種類により、あるいはその扱い等によりまして、いろいろ違った基準が出てくるわけでございますが、そういう点を詳細にきめて参りたいという考えでございますと同時に、先ほど申しました主として核爆発に伴ういろいろのフォールアウトと申しますか、放射性生成物日本の国土にもふえて参っておりますので、これに関する測定方法をまちまちでなしに統一して参りまして、そうして分析ではどうする、あるいは空中測定はどうするというふうに、それぞれ測定方法を定めまして、そうしてそれに基いて統一ある調査成果を得たい。そのこと自体がまた、これに対する対策を講ずる上に非常に重要な資料になる。それが基礎になって、今後の施策その他が生まれてくるというふうな関係もございまして、まず測定方法をはっきり定めるというのがこの審議会の主たる任務になります。  そうして各関係業者間では、こういう技術的な基準を定める際には、ばらばら勝手にしないで、必ず審議会を通して、その審議会できめるものでなければならないというふうに義務づけております。  それで、審議会内容に関しては、大体他にあります審議会とほぼ同じ内容でございますので、その詳細の御説明は省略させていただきたいと思いますが、ただ、今まで、先ほど申しましたアイソトープ関係審議会科学技術庁外郭機関としてございましたのですけれども、同じような性質の審議機関でございますので、この法律の付則をもちまして、従来の審議会を廃止して、新しいこの審議会で、もっと広い視野で、もっと深い意味で、そういう技術的な基準あるいはフォールアウト測定方法等審議をしたいというふうなのが、主たるこの法案内容でございます。  大へん簡略でございまするが、内容の要点を申し上げますと、以上の通りでございます。
  9. 藤田進

    委員長藤田進君) 本案につきましては、本日はこの程度にとどめます。   —————————————
  10. 藤田進

    委員長藤田進君) ただいま委員異動がございましたので、専務から報告させます。
  11. 川上路夫

    参事川上路夫君) 御報告いたします。  本日、上原正吉君が辞任され、その後任といたしまして柴田栄君が委員に選任されました。  以上でございます。   —————————————
  12. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 おそらく委員長は、この公報に基いて、次の第三、第四を議題に供されるのだと思いますが、これは先刻、通知要望いたしましたように、大蔵大臣並びに今松総務長官、それに、私としては関連する自治庁長官、そういった方々においで願わなければ、この前のように、大蔵省担当課長では、審議を進めていくわけにいかぬと思うのですがね。従って、おそらくこれを議題に供されるのだと思いますが、早急に所管大臣並びに先刻来要求している大臣出席を促していただきたい。
  13. 藤田進

    委員長藤田進君) 促しておりますが、大蔵大臣については見通しが立たないということです、他の委員会に入っておりますから。それから今、岸本給与課長増子公務員制度調査室長であります。それから郡自治長官は後刻見えるだろうと思いますが、これもはっきりしません。今松総務長官については、二時過ぎ出席するというのであります。もう過ぎておりますがね。  ちょっと速記とめて。    午後二時十一分速記中止    ——————————    午後二時五十一分速記開始
  14. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記を起して下さい。   —————————————
  15. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、旧例による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律案及び国家公務員等退職手当暫定措置法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  御質疑のおありの方は、順次、御発言を願います。
  16. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ただいま議題になりましたこの旧令による共済組合等からの云々というこの法律案、並びに国家公務員等退職手当暫定措置法の一部を改正する法律案、この二つの前者は、今本院に付託されております恩給法等の一部を改正する法律案関連するものであり、それから後者は、これまた本院に付託されております国家公務員共済組合法案関連するものであり、なかなか分離して審議するのに至難な点があるかと思います。今松総務長官恩給法関係担当で、他は大蔵大臣所管になっておると思うのです。従って、今松長官にお伺いする点は、おのずと限度があると思うのですが、これは岸内閣という立場から考えるならば、全部関連したものなんですね。今度の法律には出ておりませんが、検討して参りますと、非現業恩給公務員はどうなるのか、さらに、同じ公務員である地方公務員恩給公務員はどうなるのか、そういう政府全般的な政策、構想というものが明確にならないと、この一つ一つ法律を突っ込んでいっても、これらの全般を的確に把握することができない。従って、それに対する批判もなし得ないと思うのです。  そこで、先ほど委員長に、内閣最高責任者である総理出席を要請した一わけでありまして、先ほどここでその点、懇談で話が出たわけなんですが、総務長官におかれましては、あなたは閣議にも列席するところの権限を持っておられるわけですから、この次の機会総理が本委員会出席するよう、政府委員の一人として、またただいま本委員会にかかっている拠出法案関連するところの政府委員として、努力されるように要望いたしておきます。  そこで、あなたに若干きょうは伺っておきたいと思うのです。それは、まず第一点は、この国家公務員共済組合法案が、閣議決定になって、国会に提出されるに当っては、恩給法等との関連おいても、いろいろとこの検討論議がされたと思うのでございますが、これらを一貫して、今後どのような方向に推し進めていくという、そういう方針閣議でいかように決定されておるか、その点、承わりたいと思います。
  17. 今松治郎

    政府委員今松治郎君) お答えをいたします。国家公務員退職年金の問題につきましては、政府といたしまして、本国会の当初におきましては、公務員法の全面的な改正を企図いたしておりましたが、これが今国会提案することができませなかった関係で、従って、国家公務員退職年金の問題も本国会には提出しないということに、総理府としてはきめておりましたのであります。ところが、郵政の現業職員退職年金共済方式による退職年金の問題が、参議院に社会党の方から御提案になっております。従って、一現業職員、すなわち公労法適用になっておる国家公務員については、別の考え方で急いで出したらいいじゃないかという議論が政府部内にありまして、私の方としても、いろいろ政府の方も討議をいたしました結果、国家公務員のうちで公法労適用になっております現業職員の分は切り離して今国会提案することにしたい、こういうことにきまったわけであります。  その際に、非現業国家公務員、すなわち恩給法適用を受けておる国家公務員につきましては、共済方式による退職年金でいきますか、また国家責任おい退職年金を出すようにするかという点について、部内でもいろいろ検討しておりますが、まだ結論を得ませんので、先般の閣議決定でも、非現業普通公務員については、今のお話のありました共済方式によるか、国家責任でいくかということについて、別途至急に検討したいということで検討をいたしておりますが、今日までまだどちらでいくかという結論を得ない状況にあるのであります。従いまして、公労法適用を受ける国家公務員につきましては、共済方式による退職年金の案が提案されておりますので、あまりそれと時間的に長い間隔があってはいけませんので、できるだけ急いで成案を得て国会に提出したいという考えでおりますが、目下のところ、本国会提案いたしますことは非常に困難と思われます。従って、おそくとも次の通常国会には、ぜひ非現業国家公務員につきましても、新しい退職年金の案を作って提出したい、こういうように考えております。
  18. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 少しどろなわ式じゃないですか。怠慢じゃないでしょうかね。国家公務員法の百七条並びに百八条で対策を講ずべく規定されてから、十年経過しているわけです。その間に、人事院を初めそれぞれから勧告がなされて参った。で、十分検討機会というものはあったはずですね。それが今日の段階になって、なお、共済方式でいくか、国家管掌国家責任方式でいくかという、そういう根本的なものがきまらないで、こういう法律案を出してきて、    〔委員長退席理事永岡光治君着席〕 それに関連があるものとして、ただいま議題になっている旧令による共済組合等からの云々とか、国家公務員等退職手当暫定措置法云々とかという法律が出てくるということは、これは私は、その責任おいて立法府に法律案を提出すべき内閣としては、不見識のそしりを免れないのじゃないかと思いますが、責任者としてあなた方はどういうお考えでおられますか。
  19. 今松治郎

    政府委員今松治郎君) 人事院勧告がありましてから四年もたっておりますので、お説のように、非常におくればせということは遺憾と思います。また、その後の公務員制度調査会で答申がございまして、人事院勧告公務員制度調査会との答申とが、公務員の何と申しますか、公務員の定義をはっきりさせるのにおいて非常に食い違いがあります。これがそもそもこの問題の一番、どういうところに国家公務員の線を引くか、ただいまあります公務員法によりまするというと非常にはっきりするのでありますが、それと変った答申も出ておるのであります。従って、それが主たる原因で延び延びになっておりまして、まことにこれは、私どもも任につきましてから、できれば本国会に出したいと思いまして、昨年の八月、九月に努力をしてみたのでありますが、やはり出すほどの結論が得られなかったわけであります。人事院勧告があり、公務員制度調査会の答申がありまして二年になっておりますので、お説のように、少し私どもも政府の方に手おくれがあったというふうに考えております。  一つは、また、給与担当の国務大臣が従来はいろいろかわっておりまして、その国会のときだけ委員会に出て、あとの始末が下の方によく通じない点もありまして、おくれたのも一つのこれは、大きな原因でありませんが、そういうこともございます。従いまして、今までのことを、まことにわれわれ政府としてはおくれて相済まぬと思っておりますので、次の通常国会にはぜひ出したい、こういう点でせっかく努力をしております。
  20. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちょうど大蔵政務次官がお見えになりましたので、簡単に伺いたいと思うのですが、大蔵当局では、この法律案の提出責任者ですから、十分将来を見通した研究をされたことだと思います。それで、いずれ恩給とか共済制度についての担当大臣の見解は他日承わりたいと思うのですが、大蔵事務当局で検討され、また大蔵省考え方としては、何ですか、今後公務員年金制度というものは共済方、式でやっていくのが適当であるというような結論を私は待たれたのではないかと思うのですが、その点、経過並びに結果はいかようになっておりますか、お答え願いたいと思います。
  21. 白井勇

    政府委員(白井勇君) ただいま矢嶋委員の御質問の点につきましては、大蔵当局としましても、非常な関心を持ちまして検討を加えておるわけであります。現有の段階におきましては、今、今松長官からお話のありました通りに、政府管掌のものによりますか、あるいは共済組合制度方式によりますか、その点をさらに十分検討を加えましてやって参りたい、こう考えております。
  22. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今松長官に伺いますが、公務員の定義が不明確なのが一つ隘路になったという答弁がございましたが、それからまた、この法律案を提出するに当っては公務員法の改正と関連づけておったのであるが、いろいろな経過をたどって結論的にこの法律案の御審議を願っているのだ、こういう答弁があったわけですが、さらに、非現業恩給公務員に対しては次期国会法律案として御審議を願いたい、こういう答弁もあなたはされております。  そこで、私の伺いたい点は、公務員法の改正と非現業恩給公務員に対する処置とは、同時に政府部内におい検討され、法律案として国会に提出されて参るのでありますか、それとも、両者は分離されて提出される見込みでございますか、いかようでございますか。
  23. 今松治郎

    政府委員今松治郎君) 公務員法の改正の法律案と、それから非現業の国家会符貝の退職年金法案とは、別な法律でございますが、一緒の時期に出したい、こういう目途で、今非常に勉強しておる次第であります。
  24. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたは公務員制度調査室の室長をしておられますが、それは内容的にすでに検討作業を始めておるのかどうか、伺いたい。
  25. 増子正宏

    政府委員増子正宏君) 公務員法の改正につきましては、すでに御承知のように、かねてから検討をいたしておるわけでございます。先ほど総務長官からお答え申し上げましたように、現在のところにおきましては、最終的な結論、いわゆる最終段階にはまだ達しておらないわけでありますが、かねてから、引き続き検討を進めておるわけであります。
  26. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 検討し、また法律案の要綱等を一作成する作業をなす、あなたは最高の責任者だと思います。従いまして伺いますが、ただいま本院にかかっておる行政機関職員定法の一部改正法律案、これも提出前においては、国家公務員法の改正と関連づけて考えていたが云々という答弁を本委員会でなされております。  そこで、直接責任ある立場において作業に従事されたあなたに伺いたいことは、あの行政機関職員定員法の一部改正案は将来来行われると予想されておる公務員法の改正法律案内容関連つけて、すなわち、将来を若干予想された立場において出されたものですか。それをも、それとは全く無関係に、分離の形において今国会に提出されたものですか、作業段階においてはいかようになっておりますか、お伺いいたします。
  27. 増子正宏

    政府委員増子正宏君) ただいま御審議を願っております定員法の関係につきましては、私からお答え申し上げるのはいかがかと存じますけれども、御質問の点に関連して私どもの方から申し上げますと、御承知のように、定員法の改正ということ、すなわち、いわゆる定員外の職員の定員化という問題は、かねてから政府部内におきましてもいろいろ検討しておった問題でございます。しかしながら、その改正につきましては、ただいま御質問のありましたように、あるいは総務長官からすでに触れましたように、現在の国家公務員法におきまする国家公務員の範囲というものに関しまして、公務員制度調査会といたしまして、さらに現行法を分析いたしまして国家公務員の範囲を明確にすべきだというような答申もありました関係上、定員法の根本的な改正に関しましては、新しい国家公務員法、すなわち改正された暁における国家公務員の範囲というものと一致させて処理ずることが、この定員法の問題、定員外の職員の定員化についての問題の最も望ましい解決であろうという考え方から、定員法の問、題の解決は国家公務員法の改正案ができたときにやろうということで、政府部内としてはかねてから話しを進めておったわけでございます。しかるに、先ほど総栃民事から申し上げましたように、国家公務員法の改正につきましての結論は今国会に間に合わないという状況でございました。従いまして、行政管理庁におきましては、この定員法の解決を今以上に延ばすということは、いろいろな面から見て不適当であるという判断に基きまして、すなわち、現状におきましてあとう限りの是正措置を講じようということから、今回の定員法の改正案を立案いたしまして御審議を願ったというふうに、私どもは承知いたしておるわけでございます、
  28. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今松長官に伺いますが、公務員法の改正ということは、先ほどから私が一、二伺ってはっきりしましたように、今後の老齢年金制度の秘計、確立という立場からいっても、また公務員の定員法の関係からいっても、非常に私は重大なポイントになっていると思うんです。従って、あなたは先ほど、次の国会検討して提出する考えである、こういうまあ答弁がなされているわけでありますが、一体、公務員法の改正は、国家公務員法地方公務員法を同時に改正されようとしているのか、あるいはこれを分離しようとしているのか、その点と、大まかにいって、改正はいかなる方向を指向しているのか。それに基いて年金制度というものは、たとえば国家公務員の定義がむずかしいというので、ある定義を下して、二分なり三分なりすれば、それに伴ってそれぞれ年金制度というものは若干の差異が生じてくるだろうと思うんです。そのことと、今われわれが審議している法律案とは、密接不可分の関係にあるわけです。従って、それらについての今の時点における構想はどういうことなのか、御答弁願いたいと思います。明確にわかるようこ……。
  29. 今松治郎

    政府委員今松治郎君) 私どもが今、国家公務員法の全面的の改正の検討をしておりますのは、まあ何と申しますか、純粋の国家公務員でありまして、地方公務員の問題は、国家公務員法に準じて自治庁がこれを立案されることになっておるわけであります。  退職年金の問題は、今のところ、私どもが検討の段階でございまするけれども、国家公務員のうちで、先ほど申しました公労法適用を分ける国家公務員、すなわちこの職員の力は、たとえば俸給がきまりまする場合にも、まあ団体交渉によってきまると、こういうような関係で、普通の公務員とは非常に違った形になっております。従いまして、この残余の普通公務員は一本にいたしまして、これが共済方式でいきますれば、今の公労法適用の、今回御審議を願っておるような退職年金になるかもしれませんし、また、国家責任おいてやります場合には、残余の恩給公務員はそれでいくと、こういうことになるわけでありまして、まだその結論を得ません関係で、幾つになるかわかりませんが、もしも恩給公務員国家責任おい退職年金をつかさどると、こういうことになりますというと、国家公務員二つ退職年金に分れることに相なろうかと考えております。
  30. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたの今の言葉の中に、純粋の国家公務員という言葉がありますが、純粋の国家公務員と、そうすると粋純でない国家公務員というのがあると思うんですが、どういうふうに区分されるんですか、承わっておきたい。
  31. 今松治郎

    政府委員今松治郎君) ちょっと、私の純粋と申し上げましたのは取り消します。国家公務員地方公務員と、こういう関係でございます。
  32. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そうしますと、地方公務員については、国家公務員法に準じて所管庁である自治庁の方で考慮される、これは当然であると思います。しかし、ある制度を内閣責任おい検討していく場合には、大体のアウトラインというものを、見通しというものを立ててからでないと、私は具体的な立法作業というものはできぬと思いますね。従って、事務的なことを伺いますが、これらを閣議おい決定検討される段階において、地方公務員関係はいかようにされようというようなことが論議され、そうして決定したのか、あるいはペンディングだったのか、それを承っておきたい。    〔理事永岡光治君退席、委員長港席〕
  33. 今松治郎

    政府委員今松治郎君) もちろん、国家公務員退職年金の制度を検討いたす場合には、まあ政府部内におきましても、たとえば共済方式大蔵省でお扱いになっております、普通の恩給公務員の方は私の方で扱います、地方公務員は自治庁でやりますので、みな共同して検討いたしておるわけでございます。
  34. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それは閣議に出る前には必ずこれは議論されたはずです、こういう法案を出す前は、従って、従来こうするというようなことが閣議の了解事項になっているか、あるいはいろいろとディスカッションされたけれども、まあ一応は保留をしておこうじゃないか、とりあえずこれだけ出そうということもあり得ると思います。しかし、少くとも後者は不見識だと思うんです。そうでないと思うんです。しかし、われわれがこの法律案審議する場合には、いずれは国家公務員法にまた準じて地方公務員法にいくわけですが、それに対してはどういう改正がなされ、それから年金制度はいかようにされるというようなことが議論され、方針として大体了承されているのか、ということを伺っている。  なお、あなたは先ほど、私が質疑いたしました国家公務員法の改正はどういう方向を指向しているか、いう点についてお答えなかった。またその方向によって、今出されている年金制度以外に、また何かの老齢年金、老齢保障制度というものが生まれてくると思いますが、それはどういうふうなことをお考えになっているか、この点をお答えなかった。先ほどの私の質疑にはそれがあった。先ほどの私の質疑に対してあなたがお答えになったのは、取り消されましたが、純粋の国家公務員地方公務員という立場に限ってお答えになったわけで、前者についての御答弁はなかったので、重ねてお答え願います。
  35. 今松治郎

    政府委員今松治郎君) 現存の政府検討の段階におきましては、先ほどからたびたび申し上げましたような公労法適用国家公務員については、共済方式による退職年金でいく、これははっきりきまったわけでございます。それから、恩給公務員の問題につきましては、今の恩給という言葉は、もう非常に誤解を招く関係もありますので、退職年金という制度に切りかえるということは、政府部内としてもきまっております。ただ、その管掌を共済方式でいくか、あるいは国家責任でいくか、こういうことがきまっていない、こう申し上げたのであります。  それから、お話しになりましたような老齢年金でありますとか、その他の年金、いわゆる国民年金につきましては、これは国民年金が生まれますときには、やはりこれは、国家公務員共済方式によると、また国家責任によるとを問わず、そういう退職年金とは調整をすることができるかもしれませんが、まだそこの段階の検討にまで進んでおらぬのでございます。
  36. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 何か総務長官の御答弁を承わっておりますと、総理府なり、また総理府を代表するあなたとしては、将来この共済方式によるものと、それから国家管掌による恩給法的なものとに分離していきたい、そのために、国家公務員法もそれと符節が合うように国家公務員の定義を明確にしていきたい、こういうお考えを持たれているのではないかというような印象を私は受けるのですが、その点、どうですか。
  37. 今松治郎

    政府委員今松治郎君) そういうことはないのでありまして、国家公務員法の改正の問題は、その国家公務員というものをどこで線を引くか、こういうことが一番むずかしい問題であります。これはその退職年金とは関係ございません。それからまた、私が共済方式によるものと国家責任によるものと二つになろうかと言ったというふうにおとりになったようでありますが、先ほど申しましたように、もし政府検討普通公務員については国家責任でやると、こういうことが今の検討した結果きまりますれば、二つになる。ところが、共済方式でいくといううことにきまりますれば一本になる、こういうわけで、その点がまだ結論は得ていない、こう申し上げたつもりでありますが、もしも間違っておりましたら、そういうような、工合にお聞き取りを願います。
  38. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちょっと具体的になるのですが、提出された法律案を見ますと、非現業の雇用人だけは「当分の間」本法を適用する、かようになっているのですね。ちょっと法律を見て、どうしてこうなったのかなというような感じがするわけですが、これは将来あなた方の考えているものと無関係だとも考えられないような気がするのですが、これはどういう事情でこういうことになったのですか。そしてまた、「当分の間」というのは実にふるっておると思うのです。将来の構想はかたまっていないのに、こういう法律を立法化する場合に「当分の間」という字が入るのは珍らしいことではないかと思うのですが、「当分の間」というのはどういうことなのですか。何と関連づけてそういうことをうたわれているのですか。
  39. 今松治郎

    政府委員今松治郎君) それは「当分の間」と申しますのは、先ほどからたびたび申し上げました恩給公務員がその共済方式でいくか、それから国家責任でいくか、こういう問題が、もう先ほどから申しましたように、次の通常国会に出したいという段階にありますので、それでそれがどっちかにきまりますれば、もう「当分の間」というものは要らなくなりますが、それがきまるまでの意味で、「当分の間」というのが入れられたのであろうと思います。
  40. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 こういうふうに了承してよろしゅうございますか、非現業恩給公務員については、次期の国会公務員法の改正に関連づけておそらく政府は提出するようになるであろう、地方公務員については、国家公務員法の改正に準じて検討を考慮されることになるから、次の国家公務員関係である国会おいては、地方公務員の改正並びにそれに伴う恩給年金制度の改正というものは、国会には提出するに至らないであろう、こういう大体将来の見通しは立つ、かように了承してよろしゅうございますか。
  41. 今松治郎

    政府委員今松治郎君) 地方公務員の方の問題は、大体自治庁長官から御答弁申し上げませんと、あるいは正確じゃないかと思いますが、われわれの方の国家公務員法の改正案と一緒に検討されておりますから、大体同じような時期に出されるのじゃないかと思いますが、正確な点は、一ぺん自治庁の方にも打ち会わせまして、また自治庁長官からか、私の力からか、御答弁することにいたしたいと思います。
  42. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そういう点が明確にならぬと、税を負担している納税者の国民の立場に立つと、非常に不安な点があるわけなんですがね。それは自治庁長官に伺いましょう。  いずれにいたしましても、すなわち、共済方式によるか国家管掌方式によるか、既得権並びに期待権というものは、それは国家公務員であろうが、それに準ずるものであろうが、いかなる場合でも、それは確保される立場においてあなた方は検討され、また法律案の立法作業をされて、国会に出される、この基本線は絶対に動かない、かように了承してよろしいですね。
  43. 今松治郎

    政府委員今松治郎君) そうでございます。
  44. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それから、先ほどあなたの答弁では、恩給というものは国民年金制度に切りかえていくという方針はきまっている。こういう点については、かつて総理が本議会でも述べられたと思うのですが、その場合の既得権、期得権、並びにそれに移行するに当っては、私は相当の技術上の問題もあり、経過的な段階がかなりあるのじゃないかと思うのですが、いつごろそれを目途にしているのですか。
  45. 今松治郎

    政府委員今松治郎君) ちょっと誤解のないようにお願いしたいのは、恩給というものを退職年金という新しい制度にするということが政府方針としてきまっておると先ほど申し上げたつもりでありますが、国民年金ともし申しておりましたならば、私の間違いでありますから、取り消して、退職年金と御承知願いたいと思います。  国民年金の方の問題は御承知のように、今厚生省で非常な検討をしておりまして、社会保障制度審議会でも非常に能率を上げて御審議を願っておりまして、たぶん五月ごろには中間の答申があるのじゃないか、こういうように思っております。それからまた、厚生省では、別に省内に委員会を設けて検討しておられるのでありますが、私の承知しております範囲では、三十四年度に何らかの形におい国民年金を実現していきたい、こういうことのように承知いたしております。
  46. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それから、ただいま出されている法律案は、共済方式をとっているわけですが、この共済方式の運営に当っては、私は、原則としては、組合員の意向というものによって企画、運営がなされることは、私は原則だと思う。もちろん国がこれを保護し、若干の負担をするのですから、指導と助言かさらにある程度の監督権というものは、私はあろうかと思うのですが、ただいま出された法律案、それから将来非現業恩給公務員共済方式になることが、予想されるわけなんですが、そういう場合における、運営の基本原則というものは、私は、その組合品を構成している組合員の意向によって、計画、運営されていくように、私は、法律というものは組み立てるべきである、また運用さるべきある、こういう原則的な立場というものは、堅持すべきものだと思うのですが、政府当局は、どういう考えに立脚されているのか、明確にお答え願いたい。
  47. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) ただいまの御質問は、国家公務員共済組合法案の運営についての御質問と了解さしていただきまして、お答えいたしたいと思います。
  48. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 僕の伺っているのは、条文のところがどう書いて、どういうふうに運営するというのでなくてね、これは内閣総理大臣責任者法案を出しているのですから、さらに今後、地方公務員なり、さらに国家公務員でも非現業恩給公務員にも検討され、法律案の作業をされて、国会に出されるわけなんですからね、基本方針としていかようにあるべきかという点なんで、これは事務当局に伺っているのでなくして、それを所管されている大臣なり、あるいは総務長官が、当然確たる見解を私は持たれて、それを事務当局に指示してこの法律案というものは作業さるべきものだと。従って、私は一応総務長官の見解を承わっておきたいのです。
  49. 今松治郎

    政府委員今松治郎君) 今、矢嶋さんの御質問は、出席した際に大蔵大臣から答弁をいたします方が適切だと考えます。私ども、今の段階におきましては、総理府の意見といたしましては、国家公務員の特質上、国家が責任を持って管掌すべきものである、こういうような意見になっておりまして、まだ政府部内一致しておらぬのでございます。従いまして、共済方式によりまする運営の方法については、私の方は、政府部内とすれば、いろいろ分野に分れておりますから、各分野で検討しておりますが、共済方式による運営の方法等につきましては、大蔵大臣から御答弁さしていただきたいと思います。
  50. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その見解は、大蔵大臣から聞くことにいたしましょう。  そこで、大蔵省政府委員の方に伺いますが、あなたが、直接法案の要綱作成に、責任者としてこれにタッチされたものと私は推察しているものですが、先日の委員会おいても、永岡委員等から、質疑があったやに私は承わっているわけです。大筋としては、共済組合方式によるこの運営のあるべき姿から、政府機関発言力を非常に強化することによって、共済組合方式ではありながら、国家管掌による恩給と何ら変らないような——何らと言えばちょっと語弊がありますが、非常にそれに近い計画、運営がなされるように、この法律案は作業がなされていると思うのです。これは私はあなたのお考えか、あるいは大蔵大臣のお考えか知りませんが、少くとも内閣の意向でないということは、今総務長官の御答弁から私はわかったと思います。どなたか一、二の人の意向から、こういうことになったと思うのですが、これは基本的に誤まっているのではないでしょうか。事務当局としてはどういう見解を持っておられるか、参考に承わっておきたい。
  51. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) この御提案申し上げました法案に基く年金制度の運営のやり方でありますが、基本的には、従来の考え方、つまり組合の自主性を尊重するという考え方には変りはないわけであります。ただ、過去十年間これを運営して参りました経験から見まして、いろいろ技術的には、ある程度の私はやはりこの際制限を加えなければ困るという点は若干加えてございます。  ただ、根本的に変ったと御指摘になられたのは、どの辺か私どもちょっと見当がつかないのでありますが、資金運用とか、あるいはそうした問題になりますと、若干の、これは技術面をはずれまして、さらに根本的な制限が加わっております。資金運用部預託規定等入っております。この共済年金というものを新しいこの状態でどういう性格に見てゆくかというものの考え方から、こうした方向に向っているわけであります。特に政府のと申しますか、大蔵大臣の監督権限を強化するというだけの意味で、この法律にこういうふうな規定が加わっているとは考えておりません。
  52. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点は、これ以上やりますと議論になりますので、いずれ大蔵大臣が本委員会出席した場合に、伺うことにいたします。  時間が参りましたから、もう一、二点伺って、きょうの質疑を終りたいと思います。  この今提出されている法律案、並びに同じくこの委員会に付託されている行政機関職員定員法の一部改正法律案審議するに当って、非常に大切である公務員法の改正の指向しているところが、はっきりしないというのは非常に困るのですがね。ですから、二度にわたって総務長官に伺ったわけですが、核心に触れた御答弁がございません。これは、調査室長はすでに要綱を持って私は作業されていると思う。でなければ、次の国会に上程できないと思うのですね。一体その公務員の定義なり、さらにその身分というものをどういうふうに規定づけようとしているのか、それによって定員というものも必然的に定められてくるでございましょうし、またそれらの人に対する退職年金制度というものも、それぞれ確定して参ると思うのです。従って、その指向している最終確定でなくても、どういう方向を指向しているのか、私らは行政府関係ないものだから、一切わからない。雲をつかむようなものなんですね。だから、最終的でなくても、少くともどういう考え方を持たれて、どういう方向に検討されているのかという程度ぐらいはわからないと、これらの法律案はそれと関連あるだけに、審議が非常に不便なわけだ。従って、総務長官並びに室長の、ややはっきり、私が納得できるようなお答えを願いたいと思います。
  53. 増子正宏

    政府委員増子正宏君) ただいま御質問の、国家公務員制度の改正の方向でございますが、これは私は、先ほども総務長官から申し上げましたように、先般内閣付属機関としまして公務員制度調査会というものが置かれたわけでございます。その調査会におきまして一年余審議いたしました結果、昭和三十年の十一月十五日に公務員制度の改革に関する答申が出ているのでございます。その答申を作成するに当りまして、調査会におきましては、現在の公務員制度については、その基本的な、いわゆる民主的な公務員制度を設けるという基本的な線につきましては、それを堅持しつつ、なおいろいろな内容におきまして、わが国実情あるいは行政運営の実態等に適応しない分があるので、それを検討するということで審議に当ったわけでございます。  で、結論を簡単に申し上げますと、現在の国家公務員法全般にわたりましていろいろな意見を出しておるわけでございます。で、その中で最も出発点となりました点は、先ほどから問題になっております国家公務員の性格及び範囲をいかに考えるかということでございます。この範囲なり性格がきまりますと、それに対する任用制度をいかにするか、あるいは職階制度をいかにするか、また給与制度ないしは服務制度、あるいは労働権の取扱いの問題、さらにいわゆる退職年金制度をいかにするか、またもう一つの重要な問題といたしましては、人事行政機関をいかに構成するかというような点でございます。こういうあらゆる角度から現在の国家公務員制度を検討いたしまして、それぞれ答申が出ておるのでございます。  で、なお関連して申し上げますと、国家公務員の性格及び範囲につきましては、    〔委員長退席理事永岡光治君着席〕 調査会の答申におきましては、一つの、先ほど申し上げましたように、限界を作ることを考えております。すなわち、現在の国家公務員法では、御承知のように、国から給与を受けます者はすべて国家公務員という扱いをいたしておるわけでございますが、従いまして、その職務内容等におきましては、相当高度に責任の高い複雑な職務をいたしておる者から、非常に簡単な、責任の軽い、内容的にもきわめて単純な仕事を受け持っておる職員まで、一切含んでおるわけでございます。こういう公務員というものを対象にいたしまして、いわゆる任用等におきましても試験ということを原則としてやっておるわけでございますが、果して全公務員について試験採用ということを原則にする必要があるかどうかというような点が問題になるわけでございます。それからなお、政治活動の制限等につきましても、今申しましたように、非常に広範な範囲で含まれておる国家公務員に、同じような政治的活動の禁止規定を一律に適用することが適当であるかどうか。そういういうからいいまして、国家公務員の範囲というものをいわゆる国家行政組織の恒常的な組織要員であり、かつ私法上の雇用関係に立つものをして処理せしめることのできない公的色彩の強い国の事務、事業に従事しておる者、そういう者を国家公務員というふうに考えまして、その他のものは、これを国家公務員からはずし、まあたとえば国家労務職であるとか、あるいは国家臨時職というような形で、一応国家公務員からはずしまして、それに必要な規制を講ずべきであるというようなことが、国家公務員の性格及び範囲としての答申があるのでございます。その他職階制やあるいは任用、給与制度、その他各般につきましてこういう答申が出ておるわけでございます。  私どもとしては、この答申を基礎にして、公務員法の新しい制度を考えることを命ぜられまして、作業をやって参ったわけでございますが、ただいま申し上げましたような問題点を拾い上げましても、調査会としては、一応一つ考え方に立った答申でございますけれども、それをまのそまここで直ちに法制化することにつきましては、いろいろと問題があるわけでございます。そういう意味におきまして、いろいろな角度から私どもはこの改正案の立案につきましては検討いたしておりまして、その後の、調査会の答申等が出ましてからあとにおきましても、いろいろな情勢の変化もございますので、そうした情勢の変化等も勘案いたしまして、できる限り合理的な内容を作り上げたいということで、検討いたしておるわけでございます。従いまして、一応方向といたしまして、現在申し上げ得る参考資料としては、公務員制度調査会の答申がございますけれども、それを基礎にいたしまして、今後の新しい制度の内容そのものにつきましては、なお問題のうち、あるいは案としましてはいろいろ考えられますもののうち、現在そのどれになるかというようなことは、現在の段階としては申し上げかねるわけでございます。
  54. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 時間が参りましたから、この一回で終りたいと思いますが、若干一般的なことを伺いましたけれども、総務長並びに専務当局の答弁では、やはり私は明確でない点があると思うのです。少くとも国民の負担に非常に関係がある、また公務員勤労者にとってはその生活権に関係がある、こういう何本かの法律案審議に当っては、もう少し将来についての確定要素というものが私はなければならないと思います。それらの点については、いずれ内閣責任者が裁断を下すべき部類に私は属するものではないかと思うのです。従って、内閣最高責任者というものは、今検討討議の段階といえども、少くとも一国の内閣責任者としては私は考えを持っているものと推察をいたします。従って、それらの点につきましては、他日総理出席された場合に承わりたいと思うわけでございますが、  最後に、総務長官に一点お伺いすることと、大蔵政務次官資料の提出を要求いたしたい点は、この衆議院の本会議において、これらの法律案が可決される場合に、付帯決議がなされております。すなわち、私がきょうすなわち、私がきょう質疑をいたしました一点に関連ある問題として、このたび非現業の雇用人だけを当分の間適用対象とするというこの法律案の条文に対して、非現業国家公務員につきましても同様に本法を適用すべきである、こういう付帯決議を第一院におきましては全会一致においてなされておるわけであります。私は、他院のことでありますけれども、他院の意思というものは、今後検討されるに当って、行政府は十分尊重されて扱われるものであろう、またそうすべきもの、かように私は考えるのですが、総務長官、現在どういうお考えでおられるかということをお答え願います。  それから、大蔵政務次官に対しましては、本年度の財政投融資計画は、御承知のごとく、三千九百九十五億円になっているわけですが、この原資が明確になるような詳しい表と、それから資金運用部資金の内訳というものができるだけよくわかるような一覧表を、できるだけ早い機会に本委員会に提出して下さるように要望いたします。今松長官の答弁を求めて、時間が参りましたので私の質疑を終ります。
  55. 今松治郎

    政府委員今松治郎君) 衆議院で、この国家公務員の共済組合法案に対する付帯決議として出ましたことは、有力なる御意見として十分尊重して検討したいと思います。まあこれ以上のことは、今私から申し上げられないと思います。
  56. 白井勇

    政府委員(白井勇君) ただいまの資料の点は承知いたしました。
  57. 森中守義

    森中守義君 関連。後日の審議関係もありますので、制度調査室について、二、三質問をいたしたいと思います。  先刻、室長が一百日われたように、確かに三十年の十一月十五日に答申案が出ております。だから、きうまで勘定していけば満二年と四カ月を経過しておる、こういうことになります。だとすれば、この間に答申案の事項、に該当することが法改正もしくは行政措置が行われた、こういうものと制度調査室の作業との調整は、どういう工合に行われてきたのか、この点をまず承わっておきます。
  58. 増子正宏

    政府委員増子正宏君) ただいま御質問の点でございますが、公務員制度調査会の答申が出ましてから、その後におきまして公務員法等の改正がありました点は、主として給与関係でございます。すなわち、調査会の答申におきましては、職階制という項目におきまして、職種といいますか、職群の種類を一応八種類ほどあげてございますが、この職群の種類とか、あるいは給与制度におきましては、昇給制度につきまして調査会の答申が触れておる点がございます。いわゆる現在の、と申しますのは、先般の改正前のことでございますが、昇給制度は昇給の期間が短期で小刻みになっておるが、この期間を延長して昇給の額を大きくする等合理的な昇給制度を確立することというようなことが、答申の中に入っておるわけでございます。で、そういう点が先般の給与法改正に際しまして取り入れられておる点でございます。もちろん、給与法の改正等におきましては、人事院勧告が主体になっておるわけでございますけれども、内容的に見ますと、ただいま申し上げましたような調査会の答申の中の一部がいわば制度化されたということになっておるわけでございます。  それからなお、人事行政機関につきましては、いわゆる行政機構改革の一環といたしまして、現在の人事院を廃止いたしまして総理府に人事局を置き、また外局としまして国家人事委員会を置くという案が、すでに法律案として国会に御提案いたしており、現在まで継続審議になっておるわけでございますが、この行政機構に関連いたしましては、公務員制度調査会も大体同様の趣旨の答申をいたしておったのでございます。すなわち、総理府に人事局を置くという点は、全く同様でございます。ただ、人事院という名称は、そのまま存置するということに調査会の答申はなっておりますので、その点、継続審議になっております法案は、名称の点では違っておりますけれども、内容的にはほぼ同様の趣旨のものになっておるわけでございます。  このようにいたしまして、調査会の答申が出ましたあと、いろいろな事態に、あるいは組織に応じましての措置が行われてきたわけでございます。それらが大体におきましては調査会の答申の線と沿うておりましたので、私どもの作業といたしましては、それは一応解決済みというふうに取り扱っておりまして、その他残余の点につきまして、特に具体的な内容検討を引き続きやっておるわけでございます。
  59. 森中守義

    森中守義君 ちょっと私の質問とはお答えが違う。私が、この答申案と出されてくる法改正もしくは行政措置的なものはどう調整されているかと、こう聞いている。つまり、先刻の長官の話からいきますと、次の国会で、抜本的にこの問題を検討して国会に出したい、こういう答弁だったのですね。ところが、先刻から問題になっている退職年金の問題であるとか、あるいは手当の問題であるとか、こういうものはこの答申案の中にありますね、恩給制度というようなことで。だから、そういうものがこま切れに出てくるということは、この答申案の扱いそのものが、総合的な検討の結果出してくるというのか、あるいは具体的にもうすでに一項目出ているのだ、こま切れにこれを扱っているのか、それはどうなんだと、こう聞いているのです。
  60. 増子正宏

    政府委員増子正宏君) その点は、私ども考え方といたしましては、総合的なものとして進めたいということで従来やって参っておったわけでございます。従いまして、この点も先ほど総務長官から申し上げたのでございますが、公務員退職年金につきましても、調査会の答申等を基礎にいたしまして考えます場合には、公務員の範囲と関連いたしますので、それらの案が一応出そろったところで、あるいはそれと並行して考えるべきであろうということで、私ども実は作業を進めて参ってきたわけでございます。ただ、そういう段階でございますけれども、いわゆる五現業、特に郵政等におきましては、参議院の皆様方などから改正案といいますか、共済制度の法律案が出ておるわけでございまして、そういう点を一つの素地といたしましていろいろ検討いたしました結果、郵政等を中心といたします。五現業につきましては、この年金制度について一般とは違った形をとって差しつかえないというか、それを妥当とする理由もございますので、その意味で、五現業につきましては一応切り離して、新しい共済方式による年金制度をとることにいたしたわけでございますが、その他の点におきましては、現在としましては、公務員制度調査会の答申を基礎にして、さらにいろいろと検討すべきものだというふうに考えておるわけでございますので、原則的に調査会の答申で取り上げた点を、ばらばらに、そのときどき適当に取り上げていくという考え方はいたしていないわけでございます。
  61. 森中守義

    森中守義君 大体わかりました。  それで、もう一つお聞きしておきたいと思うのですが、ばらばらに扱う意思はない、しかも、この次の国会には出すという意味は、要するに、この答申案全体の扱いを結論を出してお出しになる、こういう意味に了承していいのですねはっきりお答えいただきたい。
  62. 増子正宏

    政府委員増子正宏君) 私どもとしては、さように考えておるわけでございます。
  63. 森中守義

    森中守義君 そこで、これは長官に私は要望みたいになりますが、たとえば人事の取扱いの問題であるとか、その他この答申案の中におおむね盛られてある事項が、各行政機関で問題になりますね。随時なっておる。それで、各機関国会の中における答弁としては、制度調査室の結論が出ません、しかるがゆえに、その結論を待って処理をしたい、こういう答えがいかなる委員会でも出ておる。だから、私は何も時間を急いで非常に雑駁もなのを出してもらっちゃもちろん困るのですが、この間における総理府と各機関とのそういう問題の扱いが、ややもすると意思の疎通を欠いて、少くともこの答申案の中に、公務員諸君の身分保障の問題であるとか、あるいは利益保障の内容がたくさんあります。答申がそういうものになっておるのに、現行法がそれを許していないというわけで、答申の中に保障事項があるのに不利益をこうむっておるようなことについては、どうお考えになっておりますか。
  64. 今松治郎

    政府委員今松治郎君) 主として定員の問題じゃないかと思いますが……。
  65. 森中守義

    森中守義君 いや、ほかにもたくさんある。
  66. 今松治郎

    政府委員今松治郎君) ほかにもありますか……。そういう点につきましては、定員法のことばかりを私今まで主にしてやっておりましたが、十分御趣旨を体しまして、検討して、公務員に不利のないような法案にしたい、こういうように考えております。
  67. 森中守義

    森中守義君 もう一つ、これで終りますが、今申し上げたように、あまり時間を急いで雑駁なものでは困るのですが、今度の恩給制度の問題あたりですね、もう少し早く結論が出ておれば、先刻同僚議員の矢嶋さんからお話があったように、国家公務員関係も一応の結論が出たのじゃないか。この答申案の中には、明らかに年金制度ということを指摘しておるのですね。そういう作業が非常に停滞というのか、あるいは総理府では慎重にしたというお答えかもわかりませんが、そういう作業が停滞をしていたために、やはり出さるべき法律が出されなかった。こういうことは私はやはり、制度調査室の責任であるのか、今松長官責任であるのか、それはともかくとして、制度調査会のこの答申案に対する扱いというものが非常に、政府全体の責任おいては手抜かりがあった、こういうように考える。もう少し早く結論を出しておれば、五現業職員年金が出たのに公務員関係が出ないはずは私はないと思う。それと同時に、先刻もちょっと申し上げたように、各行政機関では、みずからに不利な責め方をされると、すぐこの問題に引っかけてくる。制度調査会の結論が出ておりません、だからそれまでお待ち下さいということで、何とはなしにこれをたてにして、隠れみのにしているような、こういう傾向が私はおおむね顕著にあるように思うのであります。  従いまして、先刻、次の国会には総合的に出すということでありますから、一応そのことを信用しておきたいと思いますが、いつ解放になるかわかりませんけれども、この間において、少くとも公務員諸君の身分保障なり、あるいは利益保障の問題等については結論が出なくても、おおむねこの答申案の趣旨に基いて、各機関にしかるべき指示なりあるいは勧告をお出しになることが妥当だと思うのですが、その見解を承わっておきたいと思います。
  68. 今松治郎

    政府委員今松治郎君) 私どもが公務員法の新しい全面改正の法案検討いたしまする段階におきましては、今の国家公務員に不利になるような点は毛頭考えず、少しでも有利なような考え方で検討しておるわけでございます。なお、現在の公務員法できめておりますることにつきましては、これが何と申しますか、今、森中さんのお話が、その範囲において、われわれが各省庁において現在の公務員法にきめてあること以外のことを今指示するわけには参りませんが、今公務員法できめておりますることについては、不利益のような扱いをしないということについては十分注意したいと思います。
  69. 森中守義

    森中守義君 それでは、私は最後に、この関係資料をお願いしたいと思います。どの項目も、結論がもうそろそろ、次の国会にということであれば、あらかたの結論が出されつつある、あるいは出ておるのじゃないかと思います。従って、国家公務員の種別であるとか、職階制、任用及び試験制度、こういう各項目ごとに、現状の作業段階でけっこうですから、あらかたのところ資料として提出を願いたい。さもなければ、私どもは次の国会に、問題が問題ですから、いきなりぶっつけ本番でこれを審議してくれと言われても困るし、先刻矢嶋委員発言は、この制度調査会の結論はどういう方向をさしておるのか、こういうことを指摘しておりまするから、そのことを具体的にわれわれは知りたいがゆえに、各項目ごとに出されておる結論を、今会期中に長官の方から責任を持って委員会の方に提出を願いたい。その資料の提出を求めて、終ります。
  70. 今松治郎

    政府委員今松治郎君) できるだけ今検討しておりますものをまとめまして、提出いたします。
  71. 森中守義

    森中守義君 できるだけという非常にあいまいなことじゃ困りますよ。国会法第百四条をごらんいただきたい。おそらく総理府は、MSA協定の範疇にある軍機保護法的なそういう秘密条項の適用はないと思う。国会の成規な要求に対して、「その求めに応じなければならない。」という百四条の条文があるわけですから、できるだけというあいまいなことでなくして、内容がいういうものであるかは別です、これはやはり出してもらわなければ困ります。
  72. 今松治郎

    政府委員今松治郎君) よろしゅうございます。
  73. 千葉信

    ○千葉信君 以下申し上げる質問は、総務長官に質問する内容としては少し酷な感じを持つかもしれません。長官の御答弁いかんによっては、またあらためて総理大臣にでも来ていただかければならぬと思います。  今回の共済組合法の提案に当って、国家公務員の中から分離して提案してこられた。その理由としてはいろいろなことをあげておられますが、その一つに、近く公務員法についてこれを改正する用意あり、公務員制度について今検討中である、こういう答弁をされました。それに関連して、公務員制度調査云々、その答申云々ということを、今も森中君も触れましたが、政府の方からは、制度調査会の答申を一つの根拠として考えておるやの答弁がありました。ところが、この公務員制度調査会自体が法律違反の存在です。これを設けるときにも、その過程でも、今はなくなってしまったけれども、答申は政府の方では現存しておると考えておる。どだい、この公務員制度調査会そのものが国家行政組織法違反なんです。法律によらなければならぬものを、全然法律によらない、やみで政府はこんなものを設置した。やみで設置したそんなものの答申が大きな顔をしておるということは、実に私は不可解千万だと思う。この間総理大臣との国家行政組織に対する質疑応答の中でも、政府の方でも、実はこの公務員制度調査会と同様の存在に対して検討しなければならぬ疑義があるから、この点については政府検討するということを言われたばかりです。私は今それを取り上げて、その答申をどうこうということを今ここで質疑応答するつもりはありません。しかし、その答申を出した制度調査会自体が無効だということは、総務長官にもよく考えおいてもらいたい。今後のいろいろな問題に直接にみな影響を持っておりますから、私の言いたいことは、そういうものを根拠にし、あるいは根拠にしてもしなくても、政府自身がはっきり国家公務員法というものがあって、公務員制度に関してはちゃんと所管官庁があるわけです。そうしてこの法律の改正、制度の改廃について、そこがちゃんと責任を持ってやれということを法律でちゃんと規定して、その勧告基礎として初めて政府自体が、今はそれをやることが時期的にどうとか、予算の関係がどうとか、こういう点からその法律に基く勧告等に対して相談をし、協議をされ、態度を決定されることは私も了承する。それのないときに、政府の方でそんなことをじゃんじゃん、じゃんじゃん、何でも手をつけようとしている今の態度は、まさに法律違反の態度です。そういう態度は、政府としては十分慎重に考えなければならぬ。この点の答弁はよろしい。私にこういうことをはっきり言われたということを、あなたは覚えておいてもらいたい。  さらに、私の質問したいことは、そういう観点からいけば、今回の共済組合法、国家公務員に対する共済組合法との関係も実はどう扱うべきか、どういう考えでその共済制度もしくは退職年金制度を考えるべきかということについては、はっきり法律があるのです。たとえば、名前は少し変っていますが、「恩給」という言葉で表現されていますが、「退職者に対する恩給の根本基準」。どういう基準であるか……。それからさらに、その「恩給制度は、健全な保険数理を基礎として計画され、人事院によって運用されるものでなければならない。」、こうなっておるのです。今回の政府提案されました共済組合法には、少くとも現業の場合と若干私どもは譲歩してよろしい、職員の分はかりに問わないとしても、明らかにこの国家公務員法で律せなければならぬ職員諸君に対して、政府の方が勝手にその人事院の意向なり人事院勧告したもの等を無視して立法されるという態度は、これ明らかに法律無視である。こういう法律をきめたのは国会ですから、その意味では、国会をも政府は軽視している。こういう態度は私は政府としては十分考えなければならぬ態度だ。法律ではっきりきめてないことならよろしい。  しかも、もう一つ御答弁賜わりたいことは、こういう法律が制定されて、一度も実施をされないで、この法律が改廃される。この法律がちゃんと制定されて、しかも十年を経てなお全然実施をされないで、この法律の改廃が行われるということは、一体どういうことですか。法律というのは、国民の権利を保障する、国民の義務を明定する、従って、こういうやり方でいくのだという法律を制定しておいて、全然その権利を無視して別の格好に改廃する、制度を変える、一体こういう態度は民主国家として、法治国家として、そういう態度をとってよいかどうか、この二点についてはっきり御答弁をいただきたい。
  74. 今松治郎

    政府委員今松治郎君) ただいまの千葉委員の御説は、全く法律の御議論としてはその通りでございます。それで、私どもが公労法適用の現業員に対しまして、共済方式による退職年金の例外を一つ認めましたのは、これは非常に例外的な問題でありまして、ただいまお話しのような国家公務員法規定は、その部分に関する限りこれの適用を除外すると申しますか、はずす、こういうことにいたしまして、譲歩——譲歩と言いますと語弊がありますが、それを政府提案したわけであります。その法律が一緒に出ればよかったのでありますが、善後処置の規定として、大蔵省所管されておりまするその経過規定法律があとから出まして、今衆議院にかかっているような状況でありまして、その点はまことにこれは御説の通りで、一時的にせよ法律違反のような形になっておりますが、これはいろいろな政治的な含みもありまして、早く出して御審議を願わないと時間切れになっては困る、こういうような関係で、あとの経過規定と一緒に出すことができなかったのであります。私どもとしては一緒に出してもらいたい、総理府としてはそう思ったのでありますが、大蔵省の方で立案される御用意がおくれましたので、前後いたしたわけでございまして、全く法律論としては今お話しの通りでありまして、こういうことはおもしろくないと思っております。
  75. 千葉信

    ○千葉信君 総務長官、少しピントがはずれているようですが、私の聞いているのは、経過規定の問題を云々しているのではない。私の聞いているのは……。  今回政府は、明らかに国家公務員法で律せられるべき職員、そのうちのあなたが今答弁された現業職員等の関係については、私は一応この際はその点までは追及しません。しかし、本来国家公務員法ではっきり律せられるべき、たとえば具体的にいうと非現業の職員、雇用人、一般職の職員としてこれに律せられるべき筋合いの職員、こういう点について、政府は今回共済組合法で他の国家公務員と違った扱いをされてきておられる。全体をこの中で、政府の方で解決するというやり方をした場合にも、問題があります。しかし、今政府の方では二つに分けてこられた。その二つに分けてこられた非現業の雇用人の場合にも、大きな問題がある。  たとえば、今言ったような国家公務員法第百七条、百八条が制定されただけで、実際に何ら適用されないで、そのまま他の制度に移行しようとしている。今法律論ということを言われましたが、こういうはっきりした法律がある場合に、それを実施もしないで、無視して、他の制度に移行することが、一体政府としてとってよい態度かどうか。許されないことでないか。その点の私は政府責任をお尋ねしております。
  76. 今松治郎

    政府委員今松治郎君) 国家公務員法の百七条、百八条のことと思いますが、これはなるほど、制定されましてから適用がなく今日に至っておるのでありますが、今回公労法適用の現業員を共済方式退職年金をやっていく、こういうことにつきましては、もちろん百七条、百八条に違反するのであります。だが、百七条、百八条から今度共済方式でいく部分を除外する、こういうことにいたしますれば、これは法律違反にはならない、私どもはそういうような考え方でおるのでありますが、間違いでありましょうか。  非現業の雇用人の問題は、現在の共済組合法によって今律せられておりますが、これは当分現状のままとする、こういうことになっておるわけでございます。これは今度新たにそうしたわけではないのであります。
  77. 千葉信

    ○千葉信君 とてもこれじゃ、失敬な言い分だけれども、総務長官、少し勉強足らんですね。私の聞こうとしているところを、はっきり総務長官は把握しておられない。私は、本来、二つに分類してお尋ねなんかしなくてもいいのですが、私の追及している一点は、法律が作られて、その法律というのな国民の権利を保障して、国民を義務づける。いわばこの国家公務員法第百七条、百八条は、国家公務員諸君の権利なんだ。権利だとして歓迎した法律だ。それを、十年もたった今日、しかも、ちゃんとこの第百八条にいう第四項の勧告が出ているのに、それを実施もしないで、その制度を改廃して、それで政府責任が果せるかというのです。それじゃ、もう簡単にいうと、国民をぺてんにかけているのです。一つ法律を制定する、国民の権利を保障する、その保障を実施もしないで、さあ、総務長官の言葉でいえば、政治的含みというか何というか、あなたはさっき政治的含みと言われた。何の含みがあるにしろ、その保障した権利を一度も実施をしないで、他の制度に変えて、一体それで政府責任が果せるかというのです。果せるというお考えなら、果せると答弁しなさい。
  78. 今松治郎

    政府委員今松治郎君) 百八条に基きまする現在の国家公務員の権利と申しますか、それにつきましては、人事院勧告を尊重いたしておるつもりでございますが、これで、将来ともそういたしますが、今回の措置ということに私は重点を置いてお答えいたしましたから、ちょっとそこに言葉が足りなかったかと思います。
  79. 千葉信

    ○千葉信君 だめだ、だめだ。とても、これじゃ答弁になっておらぬから、あとで総理大臣出席を待ってあらためて質疑いたします。  次の問題をお尋ねいたします。次の問題は、今回の公務員共済組合法の関係について、政府の内部にいろいろな意見があったようです。一方では、組合管掌方式の共済組合方式でいくのだということと、いや、これは国家管掌にしなければいかぬという意見もあったようです。それからまた、公務員法をどうするこうするという考えがあるから、一応のそれの決着を待ってこの退職年金制度を確立したい。政府の方でも、委員会へ出てくると、全くそういう格好で盛んに答弁しておられます。しかし、私は、意地の悪いことを聞くようですが、どうも私の耳に入ってくる、私のアンテナに入ってくる情報では、    〔理事永岡光治君退席、委員長着席〕 総務長も、副長官も、軍人恩給の増額の問題に政治生命をかけてあすこに乗り込んできたのだという風評を私は聞いておる。そうでないかもしれぬ。これはまあ、そうでないともそうだとも、あなたに答弁をしてもらう必要はありません。  しかし、私はここで、そういう疑いを持たざるを得ない点について、あなたにちょっとお尋ねしたいことがある。軍人恩給法がある。これは——軍人恩給法ではありません、恩給法がある。この恩給法によりますと、恩給は本来公務員に支給するということがはっきりしている。恩給は公務員に対して支給するものである。そうして、同法第十九条には、「本法ニ於テ公務員トハ文官及警察監獄職員ヲ謂フ」、これ以外に公務員等の給恩は認められておらない。そこで政府は、これは政府かどうか知らぬ、軍人恩給の制度を強引に打ち立てるときに、この恩給法の付則へ持っていって、軍人恩給の制度を制定した。本来この恩給法に関する経過措置について規定すべきこの法律の付則で、軍人恩給の制度を制定した。この法律は何月何日から施行する、今までのこういう扱いを受けたものについてはこういう支給の仕方をする、今まではお父さん、お母さんに対しては渡していなかったが、受給資格者がなくなったときには、今度はそのお父さんにも支給することにする、こんな措置を、付則の経過措置をきめておいて、第十条にいって初めて旧軍人の資格の取得という条件を出してきた。つまり、経過規定の第十条でそういう措置がとられた。これが軍人恩給法の実態です。  そこで、政府の方では、今回軍人恩給の増額の問題がどうこうということになり、反動政府の立場としては、どうしてもそれをやらなければならぬという格好になって、軍人恩給の増額の件が取り上げられて、そしてそれが国会提案されるという段階になって、どっこい、国家公務員に対する恩給法の問題が出てきた。共済組合にも関連して、まるまる本法の恩給法の方が問題なのだ。大蔵省の方から、共済組合でいく。もし大蔵省の言う通りやるとなったら、この恩給法の、軍人恩給の根拠になっているところの恩給法はつぶれてしまいます。そうなると、せっかく今ここで政府が乗り気になっている軍人恩給の増額という問題が、根拠法が失われてしまうという結果が出てくるので、あなた方は、この問題について非常に大蔵省と異なった意見を強硬に突っぱられたのじゃないか。この点、いかがですか。
  80. 今松治郎

    政府委員今松治郎君) 私と副長官が、あたかも今回の軍人恩給の是正のために就任したのじゃないかといううわさがあるということですが、それは毛頭ありませんから、そういうことは誤解のないように願いたいと思うのであります。  軍人恩給が二十八年でしたかに新たに生まれましたにつきましては、その当時の経過を私よく知りませんので、また恩給局長からでも詳しく御答弁いたしますが、私は、今回の共済年金の問題と退職年金法の問題について、軍人恩給とからました考えを持ったことは一ぺんもございません。おそらく、共済組合法であらゆる全部の公務員退職年金がきまりました場合でも、ただいま既得権となっております恩給権者につきましては、何らかの形で残るものである、こういうふうに考えておりますから、今千葉委員が申されましたように、これが消えてなくなるようなおそれがあるから、がんばってやったのだというようなことは、一つもありませんので、私どもの考えは、国家公務員というものは全体に奉仕する関係で、いろいろの制約を受けております。従いまして、ただいまお示しになりました公務員法の百七条、百八条によって、退職後も、また死亡後も、その経済的のある程度のめんどうを国家の責任おいて見るものである、こういうような観点から私たちは論じておるので、ありまして、軍人恩給とからませあったことは一ぺんもございませんから、その点だけを申し上げます。
  81. 田畑金光

    ○田畑金光君 大蔵省の方に資料の提出を求めますが、現在の資金運用部資金の実情、実態について、ありのままを一つ提出願いたいということと、資金運用部資金の原資、たとえば厚生年金保険の資金、あるいは郵便貯金とか簡保の資金、こういう原資別は、一つ内容実情を詳しく提出願うことと同時に、また、たとえば厚生年金保険については現在の積立額が幾らにしり、それはどういう還元の運用等がなされておるのか、それは資金運用部貸金の内容すべてについてでありますから、すみやかに提出願いたいと考えます。
  82. 白井勇

    政府委員(白井勇君) できるだけの資料は提出したいと思います。
  83. 藤田進

    委員長藤田進君) それでは、両案につきましては、本日はこの程度にとどめます。   —————————————
  84. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、恩給法等の一部を改正する法律案議題といたします。  これより本案質疑に入ります。御質疑のおありの方は、順次、御発言を願います。
  85. 永岡光治

    永岡光治君 総務長官にお尋ねいたしますが、この恩給法の改正につきましては、先国会におきまして問題になったわけであります。それで、一応政府の方としては、当時の状況等から案を決定することができませず、その諮問機関として内閣に恩給制度調査会が設けられたわけであります。きわめて長い期間にわたりまして慎重審議を重ねて、答申を行なったわけでありますが、その答申案の内容が果して今度の改正案の中にどの程度盛り込まれておるかということについて、はなはだ私たち疑問を持っておるわけでありますが、その精神を十分尊重して、おそらくや政府としては立案されたものと考えたいのでありますが、どのように尊重されたか、具体的に説明をお願いをいたしたいと思います。
  86. 今松治郎

    政府委員今松治郎君) 今回の恩給法の是正の内容につきましては、私どもは恩給の審議会の答申をあとう限り尊重いたしまして、なるべくその線に沿うように努力をしたつもりでございます。今回の措置は、主として戦没軍人の遺族の方の公務扶助料、それから傷病者の方々の増加恩給、それから老齢の方に何かの優遇の処置を講じたいということ、要するに、上に薄く下に厚い、それから戦死された方に厚く生存者に薄く、それから若い方は遠慮してもらってなるべく老齢者の方を優遇するような建前から、こういうような建前といたしましてベース・アップと倍率ということをからみ合せまして、御提案したような案を作ったわけでございます。そのおもなる点につきましては、詳しく恩給局長から御答弁をいたさせます。
  87. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳之輔君) 昨年の十一月十五日の臨時恩給等調査会の報告に基きまして、今回の改正案が提案されたわけでありますが、この報告の中での重要な案件につきましては、大体網羅されて今回改正を見ている、こう考えております。すなわち、大きな柱といたしましては、軍人恩給と文官恩給相互間の不均衡を是正する、あるいは軍人恩給内部における、あるいは文官相互間におけるそうした不均衡あるいは不合理の点を是正する、こういうような点につきまして、いろいろな意見が出ているわけであります。また、もう一つは、昭和二十九年一月一日前に退職した公務員の恩給というものが一万二千円ベースになっている、その後に退職した公務員の恩給が一万五千円ベースになっている、こういうふうな意味で、その一万二千円時代の恩給の基礎というものを、その後の物価水準に応じて適当に見直すという措置、すなわち恩給の給与ベースのベース・アップ、こういう措置、これらが答申案の中でも大きな柱でございます。  具体的に申しますというと、公務扶助料の問題におきましては、これは軍人の恩給と文官の場合、不均衡が、少くとも昭和二十八年の八月一日前退職者であるところの旧文官の公務扶助料につきましては、特殊公務四十割、普通公務三十三割というような倍率の適用を受けまして、従いまして、兵と同等のものにつきましては五万三千二百円という公務扶助料を受けている。しかるに、その後の扱いといたしまして、兵の関係の公務扶助料の倍率というものが二十六・五になっている。すなわち一万二千円ベースにおきまして、三万二千二百四十五円という額になっているというようなところで、非常に扱い方が、同じ時代に死亡した者について扱い方が不均衡であるというようなところにおきまして、何らかの方法でその不均衡を除去する、解消するということが望ましいという結論に答申はなっております。その意味におきまして、これを今回三十五・五の倍率を適用するということと、同時に、べース・アップを行うという考え方をとったわけであります。  また、傷病恩給につきましては、報告の中で、この第一項症の額というものを適当な額に増額をせいという点につきましては、今回の法律案の中でも、十一万六千円という第三項症の基本年額を、さらにその後の物価水準等を考えまして、十七万一千円という額に引き上げ、第一項症を一〇〇としまして、下の方はそれぞれの割合になっております。以下の各項款症におきましても、それぞれ引き上げるという措置を講じたわけであります。さらに、特項症、第一項症、第二項症という重症者につきましては、答申案の中でも特に重症者に厚くという精神が打ち出されておりますので、これらにつきましては、介護手当年額二万四千円というものを加給するということにいたしたわけであります。  なお答申の中では、退職後の出生した子女について加給制度が傷病恩給にはない。これは何らかの適切な措置を講ずべしということにされているわけでありまして、そのために、今回の措置におきましてもその点を考慮する。また、傷病恩給の事後重症の場合の、すなわち退職後五年経過後の事後重症あるいは五年経過後の不具廃疾、こういうものにおきますところの給与の始期というものが、従来、恩給審査会の議決の翌月から、こうなっておりましたが、これを議決の翌月からではなくて、前にさかのぼって給付することができる、こういうことにしたわけであります。これも報告の中の有力な意見として現われております。  その次に、各種恩給を通じてのシャフトになる、すなわち恩給の仮定俸給でありますが、仮定俸給のベース・アップの問題、これにつきましては、報告は、一万二千円ベースをもとにしたところの旧退職者の恩給というものが、これは政策的に考慮しても、どうしても一万五千円ベースに持っていくのが至当であるというような意見が出ております。この問題につきましても、今回の立案におきましてはこれを尊重して取り上げておるわけでございまして、そのベース・アップにつきましては、しかしながら、上薄下厚という精神を加味いたしまして、兵隊のあれで申しますると、準士官以上すなわち少尉以上、尉官以上のクラスにおきましては全面的なベース・アップではございませんで、ある程度の制限を加える、こういうふうな形で、ベース・アップについての報告というものをこういうふうに実現いたしておるわけでございます。  その他、軍人の、実在職年の通算、この場合についても、通算についていろいろ現在不均衡があり、これを完全に通算せよと言われまして、その通りにいたしております。また、昭和三十三年年六月三十日前退職者のいわゆる第二次不均衡是正の際の増額につきましては、六十才未満というのを妻の場合も六十才未満というふうに適用してあったのでありますが、妻は六十才未満であっても増額分を均霑すべきであるという意見が有力でありまして、その通りに今回の立案によってしたわけであります。  従いまして、以上申し上げましたように、大筋といたしましては、昨年の臨時恩給等調査会の答申というものは、ほぼ網羅的に、今回の恩給法の一部を改正する法律案の中で盛り込まれておる、こういうことがいえると思うのであります。
  88. 永岡光治

    永岡光治君 調査会の答申を今いろいろお話しになりましたが、審議の過程で、私たちその一人として参加さしていただいたわけでございますが、必ずしもその精神が徹底されていないうらみが非常に強いのであります。特にその一例を申し上げますならば、今度軍人の遺家族の扶助料の引き上げの問題について、大きな要求として現われましたのは、今も説明がありましたが、公務扶助料の場合に、同じ期間の間において文官と武官の遺族扶助料に倍率の差異があるということが、一番大きな問題で論議されたのであります。それが今度三十五・五割で数字を出しております。これは逆算をされた数字ではないかと想像いたしますが、そういうことから考えましても、まだまだ問題が残ろうかと思いますが、それにいたしましても、文官と武官を均衡をとるということであるならば、その精神がよく生かされておるというのであれは、文官の場合において、たとえばずっと古い大正年間を例にとれば非常にいいのじゃないかと思いますが、たとえば台湾等で犠牲になった警察官の場合に非常に低い金額で、今示されました兵の階級の五万三千二百円に及ばないことほど遠いと思うのでありますが、そういう均衡というものは考慮されなかったのかどうか、その点を長官の方からお答えをいただきたいと思います。
  89. 今松治郎

    政府委員今松治郎君) ただいま永岡委員の御質問の点につきまして、文官と武官との均衡をはかるいう趣旨であるにかかわらず、今度はかえって旧文官の低い方は兵に及ばぬような金額ではないか、こういうお尋ねでございますが、ある程度そういう点があるのでございます。そういう文官の方々の仮定俸給は、今度兵と同じに九万円に上げたわけでございますが、非常にその俸給が低かったのと、それから非常にその年限が短かった関係で、人数をちょっと忘れましたが、そういうような結果、五万三千二百円に及ばない方がありますことを、これは非常に遺憾に思いますが、その理由につきましては、八巻局長から答弁させていただきたいと思います。
  90. 永岡光治

    永岡光治君 いや、長官、理由はわからないですか。責任ある長官からお聞きしたい。
  91. 藤田進

    委員長藤田進君) 質問者から、再度総務長官の答弁を求めておられます。
  92. 今松治郎

    政府委員今松治郎君) ただいま申し上げましたように、もとの俸給が非常に低くありまして、どうしても今回の処置によりましては三万円ちょっと上回った人ができたわけであります。その理由につきましては、私から答弁せよとおっしゃいますが、非常に技術がむずかしいので、恩給局長からわかりよく御説明させますから、御了承願いたい。
  93. 永岡光治

    永岡光治君 いや、長官が答弁できないほど複雑な問題であるというところに、実は問題がある。これはおそらく、低いというその基礎になった俸給そのものについての、その後におけるベース改定に伴う改定の際に、やはり十分考慮が払われなかったと見なければならぬと思うのであります。やはり、そもそも恩給の精神というものは、その人の犠牲になったその当時における待遇が基礎になって、その後その人が、現在ならばその人の給与改定がこの程度あったであろうということでなくてはならぬと思うのでありますが、それはほとんど算術的に計算されたところに、私は問題が起きたのではないかと思うのであります。特に今度全般に文官に対する、二十三年以前の人に対する給与改定の問題がやはり端的に出ておると思うのでありますが、非常にこれは不遇であります。従って、算術計算でいけば、それは恩給局長が答弁されるであろうことが一応説明されましても、これじゃ、やはり気持の上で納得できないのじゃないかと思っておりますが、逆に私は、そういう意味で古い文官の方から均衡論が出た場合に、一体政府はどうするのだろうかということを心配しているわけでありますが、そういう点について特段の考慮がなぜ払われなかったのか、その点を重ねて私はお尋ねしておきたいと思うのであります。答弁に当りまして、なお将来にわたってそういう点について考慮する用意があるのかないのか。
  94. 今松治郎

    政府委員今松治郎君) 永岡委員の納得されまするような御答弁が、私からはちょっとできぬと思いますが、あとで恩給局長から説明を聞いていただきたいと思います。  この文官の方は、武官の兵の場合と違いまして、現在のたとえば自衛官とか警察官とか、こういうものとずっと続いておる関係になりまして、そういう点も考慮に入れましたこと、それから大体三万五千二百円という今までとっておりました文官のベース・アップと混同した額が、これを今回の一万五千円ベースにいたしますというと、四十倍とっておるのを、そのままにしますというと、もっと上るわけであります。それを今度の処置ではいろいろな文官武官の均衡の関係で五万三千二百円で抑えました関係で、旧文官の公務扶助料をもらっておった方とは、どうも理屈で説明がしにくい点があるわけでございます。それで、この点については、私の方も全体の決定をいたしまするまでに非常に苦慮いたしたのでございまするが、まあこの倍率という問題は、理屈をいえば非常に理屈はあるようだし、また考えようによっては理屈があまり通らぬ点もある、こういう永岡委員もお入りになっておりました審査会の御意見でございまして、その点を非常に苦慮をしたわけでございますから、われわれの苦慮した点を一つお察し願えるのじゃないかと思います。ただ、一応詳しく恩給局長から説明させますから、ぜひお聞きを願います。
  95. 永岡光治

    永岡光治君 恩給局長の答弁は求めません。やはりこれは次の倍率の問題と関連して参りますが、三十五・五割に引き上げたわけであります。これはおそらく逆算してそういう結果になったと、この前の本会議における質疑の中でもそういう答弁があったわけです。問題はその絶対額をそろえるという、こういう意味であると思うのでありますが、そうであるならば、やはり私は絶対額をそろえて均衡をとるというのが正しいのではないか、こう思うのでありますが、どうでございますか。
  96. 今松治郎

    政府委員今松治郎君) 上を五万三千二百円にそろえたわけでございますが、下の方の、先ほど永岡委員もおっしゃいました、従来の台湾の巡査の方で公務でなくなられた方で、二十円くらいの非常に低い方がある。そういう方も、今回の処置によれば、仮定俸給は兵並みに全部上げましたのですが、先ほどから申しましたようなわけで、全部最低のものまで五万三千二百円にいたしますることが、ちょっとできにくかったわけでございます。というのは、先ほど申しましたような、今後に引き続く問題がございますので、それだけまた上げておきまして、今回これからの公務死のものと、またそれと均衡をとらせるということにもなりまするので、これは将来ともにそういうような率でいく、こういう次第でございますから、ちょっと理屈でいいますというと理屈に合わぬような点があると、こういうことは私ども認めておるわけであります。
  97. 永岡光治

    永岡光治君 るる説明されたけれども、わからないし、あなたも理屈が合わぬようなこともあるというほど理屈が合わないわけですが、将来のことを心配されておるというのでありますが、それではお尋ねいたしますが、三十五・五割というふうに今回改正をされましたが、将来まだ倍率等で考慮する考えがあるのでありますか。
  98. 今松治郎

    政府委員今松治郎君) 政府におきましては、この倍率の問題は今回の処置をもって終りとしたい、こういうことに意見がなっております。
  99. 永岡光治

    永岡光治君 将来、そういたしますと、これで終りということになりますと、たとえば一般公務員給与ベースが引き上げになりましても、この問題については触れないと、こういう考えですか。それとも、その段階には一応考慮するが、今のところ考えないという意味なのか、いずれでございますか。
  100. 今松治郎

    政府委員今松治郎君) 将来、経済的にも変動があって生活費が上ったような場合に、ベース・アップなんかのような点は考えられると思います。ただ、その際に倍率問題ということは、今のような率以外に、四十倍とか何とかというような点につきましては、できるだけベース・アップで、いきたいと、こういうような考えを持っておりますが、先のことにつきまして今はっきり申し上げるわけに私から参らないのであります。
  101. 永岡光治

    永岡光治君 そういたしますと、今のところは考えていないが、経済情勢の変動、従ってベース・アップ等があれば、一応考慮する、こういうような答弁ですか。
  102. 今松治郎

    政府委員今松治郎君) そういうことになろうかと思います。
  103. 永岡光治

    永岡光治君 それでは、引き続いてお尋ねいたしますが、階級差の問題が依然として今度の法案でも残されております。これを見ますと、兵の階級で五万三千二百円ですが、以上増すごとに五万三千三百円、五万三千四百円、五万三千五百円、それから五万四千円ということになっておりますが、百円の差異を、これは年額ですよ、月額にしてどれくらいになるかといいますと、八円幾らかになるわけですね。そうまでして区別をつけなければならない理由はどこにあったのか。この点がどうも私にはふに落ちないわけです。しかも、これは公務扶助料、死んだ方ですが、それにどうしても一年間の年額で百円の区別をつけておかなければ気持が悪いという原因はどこにあるのですか。この際にこそ、こういう改正が行われるのですから、最低の線だけは、たとえば政府案におきましても、五万三千五百円とか何とかいうところで一木にした方が、きわめてすっきりしているのじゃないかと思うのですが、あえて百円の区別をしなければならなかった理由ですね、それを一つ明快に御答弁をいただきたいと思います。
  104. 今松治郎

    政府委員今松治郎君) この百円の等差をつけました点につきましては、永岡委員の申される通り、いろいろ御議論のあるところでありまして、私どもの方といたしましても、一応恩給局としては論議をしたのでございますが、そういう明確な、こういうような理由があって、ということでございますというと、ちょっとそれだけの理由はないかもしれませんが、やはり従来の惰性にとらわれたといいますか、そういうようなことで、それぐらいな階級をつけた方がよくはないかという意見がきまったわけでございまして、将来は、この問題はあとから考えますというと、あるいはそうした方がよかったのじゃないかというような考えも多少いたしたのでございますが、今回は、政府としてはもう出しましたので、それで御了承いただきたいと思います。
  105. 藤田進

    委員長藤田進君) この際、委員長から申し上げたいと思いますが、どうも先ほど来、前段の議題のときに、軍人恩給復活当時前後の事情等を知らないのでというようなことから始まって、非常に重要な法案として出されている政府提出にかかる案の長官の答弁としては、少しどうも御遠慮なさっているように思われるので、私は本日はこの程度にしまして、もう少し大筋だけは政府を代表して答弁されるようになさらないと、これはとても議事が進行しないように思いますが、答弁が非常にあいまいで……。
  106. 永岡光治

    永岡光治君 まあそれはもう少し勉強していただいて、次の機会でもけっこうでありますが、百円の問題は、あとにして考えてみれば、どうもあまりそういうことをしなくてよかったのじゃないかという意見になっているようでありますが、かりに国会でこれを修正するということになれば、政府は喜んでそれはお受けいたしますか。
  107. 今松治郎

    政府委員今松治郎君) ぜひ原案を通していただきたいと思います。(笑声)
  108. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 関連して。総務長官、こんなひどい答弁、聞いたことがないのですがね。私が推察しておったのは、百円というのは、何か公式があって、公式に当てはめたところが、必然的に数字計算で百の差が出てきたから、百としてあるのだ、そういうふうに推察しておったのですが、ただいまの長官の答弁を承わると、そういう数学的に形式的に算出された数字でなくて、やっぱり百円ぐらいな差は適当だという認定のもとに出されたというに至っては、全く常識を疑わざるを得ないのですね。しかも、原案のまま通していただきたいというのは、これはばかの一つ覚えですよ。  恩給局長に伺いますが、何か経過的なものがあって公式か何かに当てはめて、全く算術計算的に百というような差が出てきたのではないのですか。やはり百円程度の差をつけるのが適当だというような、長官のような見解になったのですか。そこを一つ明確にして下さい。答弁次第で、こちらにも考えがあります。
  109. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳之輔君) お答え申し上げます。先ほど申し上げましたように、兵の公務扶助料を五万三千二百円にして、すなわち一万五千円ベースにいたしまして、三十五・五ということにいたしたわけでございます。ところで、倍率の関係は、少尉以上につきましては動かない。すなわちベース・アップだけ。すなわち准士官以下の分につきましては、これは倍率と両方動かして考える。少尉以下につきましては、各種恩給を通じてのシャフトになるベース・アップだけをやる、こういう考え方で公務扶助料の増額を考えたのでございます。そういたしますというと、少尉の場合にはベース・アップだけでございますから、現在の倍率できまりますと五万三千五百円、こういうことになるわけであります。ところで、一方、兵の公務扶助料の力は五万三千二百円、こういうことになる。その間に位するところの伍長、軍曹、曹長につきましては、これは三百円、この兵と少尉の断層というものは三百円でございますが、この間に順序よく配列させる。そしてこの断層を作らない、一つのカーブをもってそうした配列を見ているというふうなことが、これが退職の俸給主義で成り立っておるところの恩給にも合致するわけでございますし、そこに多少の、つまり百円ぐらいのニュアンスはこれは全然無視すべきだ、こういう御議論もございましょうけれども、しかしながら、やはりそうした退職時の俸給なり一つの階級序列というものにのっとって恩給というものが組み立てられておるという限りにおきましては、五万三千五百円と五万三千二百円の、これの三百円の断層という間には、やはり一つのカーブをもってつなぐというのが一つの恩給上の手法である、こう考えまして、そうした処置を講じたわけであります。
  110. 森中守義

    森中守義君 あとの審議資料を提出願います。本法の十二条に該当することで、要するに、旧軍人の場合に、傷病年金の受給者の中でどうも不合理だということで裁決を求めてきている件数がだいぶある。別にそういう基準がこの中には法律的には示されておりませんから、その基準表、何によって裁決をされておるか、その基準表。それからもう一つは、一年間における裁決の申請をした数、そのうちには通過したもの、却下されたもの、それを資料としてお出し願いたい。
  111. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私も資料をちょっと、若干時日がかかるかもしれませんので、きょうお願いしておきたいと思います。二つお願いします。  その一つは、佐官級をテスト・ケースにとりまして、全部お願いすると大へんでしょうから、佐官級をテスト・ケースにとって、同一条件にある場合に、死没者の遺族と生存者の受ける給与の比較表ですね、それが一つ。それからもう一つは、過去五年の実績と将来十カ年の推定に基いて、国民所得、恩給所要予算、それから人口、それから恩給受給人員、これらが一目してわかるような表示を準備していただきたいと思います。
  112. 八巻淳之輔

    八巻淳之輔君 ただいま資料要求の件でございますが、もう一ぺん確認いたしますと、第一の点は、具申、すなわち恩給に関する提議の申し立てをした件数が一年間にどのくらいあるか。そのうち異議の申し立てをして認められたものはどのくらいあるか、却下されたものはどのくらいあるか。おそらく異議の申し立てにつきましては、いろいろな異議の申し立てがございます。法律上の問題につきましての異議の申し立てもございますし、また傷病恩給の傷病程度の査定がから過ぎるということで異議の申し立てをしてくるのもございます。おそらく御要求のものは傷病恩給の分であろうと思いますが、その点につきまして、調べて後刻申し上げます。  それから、前段の裁定基準について示せというお話でございますが、裁定基準は、これは傷病恩給につきましては、この恩給法の別表にございますように、第一項症というものはこういうふうな状態にあるのを第一項症にするのだ、第二項症はこうだ、こういうので十五ページから十七ページにございます。ただし、今おっしゃった点は、おそらくさらにこのこまかい内規でございますね、内規がどうなっているかというお尋ねだろうと思います。内規と申しましても、これはまあ各顧問医の、何と申しましょうか、中だけできめているものもございますし、ずっと過去からの慣例——慣例と申しますか、裁定例でございますね、裁定例の集積から帰納して出てくるものでございますのでこれに法律の別表の下に持ってくるような省令あるいは訓令というふうな形の内規というものは今ないのでございます。この内規等につきましては、特に内科疾患等につきましては、そういう肺結核等につきましては大ざっぱな内規がないわけで、動かないわけでございますが、そうした問題につきましては、臨時恩給等調査会におきましても、この基準というものについての再検討が必要であるということで、再検討をすることでもって、今専門家の方の御意見を伺うことになっております。従いまして、ただいまこの内規をお出しすることが、あまりにも専門的な医学的なことにわたりますので、いかがでございましょうかと思っておりまするが、どの程度のものでよろしいのか、また後刻お伺いしたいと思っております。
  113. 藤田進

    委員長藤田進君) あの、説明者に御注意いたしますが、資料説明をお出しになったあとで伺いますから、できるだけ出せるのか出せないのかという、もし御発言の必要があれば発言された方がいいと思います。
  114. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳之輔君) それから佐官級につきましては、同一の条件で死沒者の遺族の受けるものと生存者の、受ける恩給との比較表を出せ、すなわち言いかえますれば、同じく二十五年在職しておって、一方公務で死んだ場合、二十五年在職していた方が現在生きて普通恩給を受けている場合、その方がなくなって普通扶助料が遺族に給せられる、こうなった場合についての比較表を出せ、こういうことであろうと思います。  それから、五年前の実績と将来十カ年の所要恩給費の推計、これにつきまして、将来十年にわたる国民所得がどうなるか、また人口がどう動いていくか、こういうこともあわせて理解ができるように、こういう御注意でございます。私、ただ所管でございませんので、将来の十カ年の国民所得が毎年どういうふうな指数がつかめますか、私は自信がありませんが……。
  115. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 経済企画庁と連絡いたしますれば、持っておりますから、わかる。
  116. 森中守義

    森中守義君 大体詳しい問い返しでけっこうですが、私が特にお願いしたいのは、この別表の通りそのまま、具申をして裁決になっておれば、問題がないのですよ。ところが、そうではなくて、二回も三回も具申をして、なおかつ却下になる。しかも、そういう人たちが比較対照した場合、すでにその傷病関係の者に、Aなる人は軽度な状態の中にすでにもう受給者になっておる、ところが申請をしておる人はすこぶるひどいのに、なかなかその具申が決裁にならない、そういう不合理がたくさんある。そういうのを聞きたいので、この別表通りにそのまま行なっておれば問題がないのですが、これをさらに具体的にむずかしい条項が、まあ内規であるのか基準であるのかよくわかりませんが、当てはめていく尺度があると思いますから、そういうのを聞きたいわけなんです。それと、もう一つつけ加えておきますが、同一人物が四回も五回も具申をして、なおかつ却下されているという事例を聞いておりますので、そういうものを一緒に出してもらいたい。
  117. 藤田進

    委員長藤田進君) それでは、本案につきましては、本日はこの程度にとどめます。   —————————————
  118. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、防衛庁設置法の一部を改正する法律案(第二十六国会閣法第一五五号)を議題といたします。  これより本案質疑に入ります。御質疑のおありの力は、順次、御発言を願います。
  119. 田畑金光

    ○田畑金光君 時間がありませんので、本日は簡単に一、二の点を一つお尋ねしておいて、次の機会に譲りたいと思いますが、この法律改正案の提案理由説明を見ますと、防衛に関する行政事務の一体的処理に資するというのが中心になっておりますが、しからば、今日までなぜこれを放任しておいでになったのか。ことに、従来とも調達庁関係担当大臣としては防衛庁長官が当ってきたわけで、ただ今回の改正によって防衛庁の中に組織的に入ったというだけであって、実質的には何らの変りばえがないわけでありまして、にもかかわらず、今回のこの措置によって防御行政が一貫して運営される、こういう判断を下しておられますが、それは具体的にどういう実情に即し、どういう運用面にその成果が現われるのか、それを一つ説明願いたいと思います。
  120. 津島壽一

    ○国務大臣(津島壽一君) お答えいたします。こういった案はなぜ早く出さなかったか、今回になって出したがどうだと、こういうのが第一点だったと思います。御承知のように、調達庁の事務は、戦後、また講和条約の制定後から、現在の組織が発足したわけでございます。その初めの段階においては、申しますれば、比較的防衛庁の機構も非常に小さいものであり、また一方、調達庁はその事務が非常に多かったという実情でございます。しかも、労務問題等について非常に重要な点があったというような関係から、労働大臣担当大臣になった時代がございます。昨年から、私の記憶によれば、防衛庁長官たる国務大臣担当大臣をすると、こういうようになった次第でございます。今回の改正は昨年提案いたしたものでございまするが、その審議が継続のままに今日に及んだのでございます。  最近の状況から申しますれば、防衛庁長が国務大臣としてこれの担当大臣というようなことに相なりまして、事務的に見まして非常に関係が密接になってきたというのが、最近の実情でございます。その行政の機構の運営を能率的にしというような意味においては、これは相当大臣たる国務大臣防衛庁長官が担当するというようなものよりは、機構的にこれを正式に防衛庁の外局としていく。ただし、その趣旨は、この防衛庁自身の仕事と関連のある面においては十分の調整をはかる。しかしながら、身分その他の給与、また地位ですね、これは調達庁は外局として調達庁法の規定によって実行していくと。防衛庁は、防衛庁設置法並びに自衛隊法の規定によっていくわけでございまして、いわゆる全部これを一緒にするということではございませんが、防衛庁の外局というふうにすれば、その連絡の上においても効率を上げるというような利益が一面にあるだろう。最近の情勢は、特にそういった面があるわけでございまして、この必要を認めておる、こういうわけでございます。
  121. 田畑金光

    ○田畑金光君 かつて労働大臣所管であり、昨年から防衛庁長がこれを担当することになったという経緯は、われわれも承知いたしておりますが、具体的に防衛行政の一体化をはかる、こういうのがこの法案提出の趣旨でありますけれども、しからば、具体的にどのような成果を上げ得るのか、こういう点になってきますと、ばくとしてつかみがたいわけであります。  そこで、今の答弁の中にもありましたが、かつて調達庁の機構は非常に膨大であった。しかし、それがだんだんこれは縮小の傾向の中にある。方、防衛庁の機構は、かつては小さかったが、今日はだんだんこれが大きくなってきた。そういう相関関係等からも、仕事の性質から見て、防衛庁の外局に今回したのだというわけでありますが、もう少しわれわれの伺いたいことは、具体的にどういう面で仕事の関連性が調達庁と防衛庁との中にあるのか、仕事の関連性はどういうところにあるのか。しかも、その関連性というのは今に始まったことではない。これは一貫して戦後十年間あった関係だろうと考えるわけで、それが今日どういう事情で、さらにその仕事の面の緊密化をはからなければならぬのか、その具体的な事情をお尋ねするとともに、同時に、私は今申し上げた調達庁はだんだん小さくなる、その小さくなった姿を資料として一つ出していただきたい。同時にまた、それに応じて防衛庁が大きくなってきたというのだが、その大きくなったそれとの関連資料一つ要求いたします。
  122. 津島壽一

    ○国務大臣(津島壽一君) ただいまの資料は、至急に作りまして提出いたすことにいたします。  なおまた、こういった法制の改革と申しますか、機構の改革は、具体的にどういう必要があるかと。一般的には、ただいまお答え申し上げた通りでございます。防衛庁と調達庁の関係は、最近には非常な事務的の調整を要する部面が相当多くなりました。それは、一つの事情としては、駐留軍の撤退ということもございます。また、それに伴う施設の返還というような問題が、具体的に相当件数出て参っておるわけです。それらのもののうちで、自衛隊の漸増に伴って、なるべく国費をかけないように、これを利用し得る部面においてはこれを利用したいという計画でございます。すなわち、この施設面においては、駐留米軍の返還の計画、また一方、自衛隊における新規の施設の増加の傾向というようなものがあるわけでございます。この関連というものは、国費の節約の上から申しましても、またその他の手続の上から申しましても、関連性を持っておるものでございます。そういった意味から申しますと、この調達庁の仕事というものと、自衛隊すなわち防衛庁の仕事というものには関連性が深くなったという点も最近の大きな一つの事情でございまして、具体的に申しますればそういう点でございます。  なお、調達庁の職員の方々は多年こういった事務に非常に経験も持ち、非常な苦労もいたした方々でございます。防衛庁の関係おいてもこれと類似な仕事というものはあるわけでございまして、いわゆる人事交流といったような便宜にもなり得るだろう。一方調達庁が人員がだんだん縮減の傾向にある。こういった意味から申しまして、私はそれらの職員の方々の才能、経験をまあ人事交流によって活用していくということが、国家の大局からもいいのではないか、そういったような事情もあるわけであります。
  123. 田畑金光

    ○田畑金光君 今、最後の長官の御答弁の中にあった、調達庁の仕事がだんだん縮小するにつれて職員の身分的な不安も増してきたということは、私たちが各地方の実情を見ましたときに、いろいろそういう意見を聞くわけで、そうしますと、これは将来調達庁が機構が縮小されていくが、その現在の調達庁の職員等については、防衛庁のそれぞれ仕事の性質の共通したようなところに人事の交流等をはかって、現在の調達庁の人員等については将来不安なからしめる、こういう政府方針であり、また、そういうふうな保障がこの法の精神の中にはっきり盛られているのかどうか。
  124. 津島壽一

    ○国務大臣(津島壽一君) 先ほど申し上げましたように、調達庁の職員の数は一万二千人ぐらいあった、一番多いときであります。それが今日では三千二百七十二人でございます。三十三年度の予算においては、まだ事務は非常にいろんな整理の事務もありましょう、返還に関連して。それで百三十五人の減員になっているわけであります。それで三十三年度は三千百三十七人になろうと、こういうわけであります。この定員の問題につきましては非常に私も苦慮いたしております。仕事の分量、事業の計画の縮減に相待って定員を縮小していくということは仕方がないことであります。しかしながら、これらの方々は、先ほど申し上げましたように、非常な長い間御苦労をかけた方でありますから、防衛庁におきましては、できる限りこれらの方をまあ人事交流というか、現実にこういったような縮減が起ったに際して採用したいというわけであります。正確な数字でございませんが、大体調達庁で職員として働いておられた方で、今——自衛官になる場合は別でございます。自衛官はこれは別途の問題、一般職員、一般というのは防衛庁職員という意味でございます。そういうところに採用し得る方は、極力私は採用するという方針を各部内に通達してあるわけでございまして、今後においても縮減の場合等においては、できる限りそういった職員の離職ということのないように私は最善を尽したいと思います。幸いに三十三年度の縮減される方々については大体目鼻をつけておりまして、まあ本人の御希望というか、もう職につかぬというような方は別といたしまして、そういったような手配を講じており、こういうことで、大体私は見通しができておるわけでございます。今後においても同様な考えを持ってせっかく努力いたしたい、こう考えておる次第でございます。
  125. 田畑金光

    ○田畑金光君 この駐留軍の施設区域の現在の状況はどの程度になっておるのか。ことに昨一年間、駐留軍陸上兵力が撤退いたしましたが、これに伴ってこの一年間、施設あるいは区域の返還というものはどの程度行われてきたのか。その返還された施設とか区域というものは、しからばどのように転用されておるのか。あるいはもとの所有者に戻すとか、あるいは自衛隊がこれを転用したとか、いろいろありましょうが、まあその辺に今度もこの仕事が共通の部面が密接になってきたという提案の理由があろうと思うのですが、それらの事情を一つ簡単でいいから御説明願うとともに、とりあえず資料で、本日の答弁は簡単でよろしゅうございますから、資料で詳しく御提出願いたいと思います。
  126. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 少し資料が古いので恐縮でございますが、昨年末現在、提供中の施設及び区域は、大体件数にいたしまして四百十四件、土地が二億三千万余坪、建物が二百五十六万余坪、その他に、国連軍は現在皆無になっております。昨年一カ年において、三十二年度におきまして返還されました施設は、土地が約七千八百万坪、建物が三十六万坪でございます。詳しい資料につきましては、後ほど至急作りましてお届け申し上げたいと思います。
  127. 田畑金光

    ○田畑金光君 今、一年間に返還になった土地七千八百万坪、建物三十六万坪、こういうお話でありますが、そうすると現在は幾らになるのか。土地が二億三千万坪と言われましたが、現在はしからば幾ら残っておるのか。それと昨一年間、今答弁にありました土地、建物の返還になったものはどのように転用されておるのか。これを一つ説明願いたいと思います。
  128. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 詳しい資料は後ほどお手元まで差し上げたいと存じますが、現在の提供いたしておりまする件数及び数量は、三百八十九件でございまして、土地におきまして二億五百四十万坪、建物におきまして二百四十五万坪でございます。三十二年度の、昨年の四年から返還になりました数量が、件数にいたしまして百五十六件が一部返還、全部返還なりましたのが七十七件でございます。返還の土地は、坪数が九千百万坪、建物が四十二万坪でございます。土地につきましては、民有、公有等は、全体の九千百余万坪のうちの二千五百万坪、また、その他のものは国有でございますが、国有で六千六百万坪、建物におきましては、先ほど申し上げました四十二坪のうち民、公有のものが五万九千坪、国有のものが三十六万坪でございます。
  129. 田畑金光

    ○田畑金光君 先ほど答弁のありました返還されたものが、土地が七千八百万坪、建物が三十六万坪、今また御答弁にありました返還の土地、建物の新字とは食い違っていますが、最初答弁になったのは、これは国有のやつのみの数字ですか。
  130. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) まこと申しわけございませんで、先ほど申上げました資料が少し古うございまして、あとで申し上げましたのが新しい資料でございます。
  131. 藤田進

    委員長藤田進君) どうですか、この点、準備不足のように見られますので、資料の点、さらに資料提出後に説明を求めるようにしたらよろしいと思いますが。
  132. 津島壽一

    ○国務大臣(津島壽一君) ただいまのあれは、資料で、何か計数、その他施設別等、なおまた、それが返還はどういうようになったかという結果ですね、それを一覧表にして差し上げたが、かえって便宜じゃないかと思いますが、いかがでございましょうか、そういうふうにお取り計らい願いたいと思います。
  133. 田畑金光

    ○田畑金光君 資料で要求することにいたしまして……。防衛庁の付属機関である建設本部、これの仕事を見ますと、調達庁のやっておる仕事と相当な性格的にも、内容おいても共通するような面があるように見受けるわけですが、将来一つの外局、防衛庁の外局に調達庁がなっていくわけですが、この調達庁のやっている仕事、防衛庁の建設本部等でやっている仕事、類似の仕事等についての統合というか、こういうようなこと等は考えられるのか、考えられないのか、それを一つお尋ねいたします。
  134. 津島壽一

    ○国務大臣(津島壽一君) 防衛庁の建設本部の方は、自衛隊が直接使用する、そういったような建設のもの、施設のもの、これを調達するということでございます。駐留軍のものには関係がないわけでございます。しかし、返還された場合に、自衛隊が使うといったもので、さらに自衛隊に必要なる施設をするということであれば、防衛庁の建設本部が担当する。そのまま引き継ぐ場合には、これは調達庁、並びに軍の返還というものの交渉が初めてはっきりした場合に、調達庁と防衛庁の担当のものとが、この手続をどうするかということになります。しかし、仕事の性質は、設備提供という点からいけば、駐留軍の新しい施設を提供する場合は、調達庁の仕事でありまするが、内容的には自衛隊の施設を作るという建設本部の仕事とは、軍の施設また自衛隊の施設という関係おいて、よく似たものでございます。ただ、今、分野が違っておる、こういう違いがございます。
  135. 田畑金光

    ○田畑金光君 駐留軍労務者の現在の人員はどれくらいおりますか。また、この一年間でどの程度の離職者を見たのか。それに対しましてどういう措置、施策を当局としてはとってこられたのか。
  136. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 一番新しい数字で申し上げますと、労務者総数、三月一日現在で九万九千三百五十二人でございます。昨年四月から本年三月までの解雇者数は、正確にいまだ統計が集まっておりませんが、概数三万三千三百人でございます。駐留軍の離職者に対しましては、今、こういう時期でございますので、なかなか他に就職のあっせんということが困難でございまして、まことに私どもといたしましても、長い間苦労を続けてこられた各位に対して、苦慮いたしておる次第でございます。今日までには、昨年の秋以来、総理府に特需対策連絡会議というものを設けまして、一応閣議決定によりまして、要綱を定めたのでございます。  その要綱の内容を概略申し上げますと、職業補導の拡充、あるいは就職あっせんの強化、これは申し上げるまでもございませんが、その他、離職者の行う事業の育成、あるいは企業の誘致、あるいは離職者の方々が自発的に組合等を作られまして、仕事を始められるについての許可、認可のあっせん、あるいは許可、認可の簡易化、その他、特別の便宜の取り計らいをいたしますとか、あるいは、これに対して資金の融通のあっせんをいたしますとかというようなことをして参っておるのでございます。なお、今年の予算及び昨年度——三十二年度でございますが、この予算におきまして、政府としましては、一応雇用主の立場からいたしまして、ごくわずかではございますが、特別に給付金を計上いたしまして、差し上げることにいたしておるのでございます。これらの措置が今日まで、なかなか円滑に行われておりませんのでございますが、各府県にもお願いをいたしまして、各都道府県に離職対策本部というものをこしらえていただき、また、中央にも離職対策推進本部というものを設けまして、離職者の方々に対する以上のような措置につきまして、できるだけのことをいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  137. 田畑金光

    ○田畑金光君 私はもっと詳しく駐留軍労務者の人員とか、過去一年間における撤退に伴う減員、あるいは、それに対して政府のとった、今説明なされたような施策、さらに、この一年間の駐留軍労務者の需要の見通し、こういう点について資料を要求いたします。同時にまた、労務基本契約がどういうような状況に今なっておるのか、そういう労働基本権をめぐる駐留軍労務者の実情に関した資料を、すみやかに提出願いたいと思います。そういう、本日要求いたしました資料をいただいてから、あらためて詳細に御質問申し上げたいと、こう考えております。
  138. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私も資料……。時間が過ぎましたから、質疑はこの次にしまして、きょう資料要求と質疑一点だけいたしたいと思います。  ちょうど私、今資料を要求しようと思っていたところ、田畑委員資料を要求されたのですが、政府の方に私は御注意申し上げておきたいと思うのです。議員がどういうことを知りたがっているかということは、政府委員にはわかるはずだ。それがわからない政府委員政府委員の資格がないですよ。こういう問題は、衆参を通じて予算委員会あるいは内閣委員会、労働委員会であなた方何べんも聞かれたはずだ。で、私はまとまった表をほしいわけです、田畑さんも。だから、あなた方も気をきかして、前もってこのぐらい準備をしておって、出たらさっと出せるような心がけがなければ、審議も能率が上らぬし、第一速記者むだですよ。そのくらいのことは、政府委員は気をきかさなければいけないと思う。それと今、田畑委員が要求されたのに若干私付加してお願いしておきたいと思うのです。で、衆参の予算委員会あるいは内閣委員会、労働委員会質疑され、皆さん方が答弁されたものをまとめる形になるのですが、できるだけ私たちが感心するような優秀な統計表を出していただきたいと思います。  それは一つには、ただいま田畑委員から要求されたものと同じですが、労務提供状況ですね。これは過去一カ年は実績、それから向う未来一カ年は推定、二カ年は無理でしょうが、一カ年は推定できるはずです、それ。それから提供の施設区域については先ほど要求されたわけですが、それを陸海空の分類して下さい。それから返還予定日のわかっておるのがあるわけです。確定したものと、それから見込みのものとあるわけです。それらを一項目設けて、確定したもの、それから大体の予定日、そういうものを表の中に入れて下さい。それから先ほど田畑委員が要求された離職者ですね。これは過去一カ年の実績、それから向う一カ年は推定、それと離職者はどういうふうに片づいているかということで、項目を設けてりっぱな表を作るように……。  それから、次の点は、これは機密で、あなた方は把握できないかもしれぬが、駐留米軍の陸海空の員数ですね、まあいわば兵力です。これは確実につかめなかったら、想定でよろしいです。それから特に、今私申し忘れましたが、提供施設区域は、東京都内に幾らあるかということを明確にして下さい。東京都内にいまだにたくさん施設区域があるということは、重大問題だと思っている。だから、これは資料次第では、私は政府責任を追及するつもりです。特に都内に幾らあるかということを明確にして下さい。それから最後に、補償要求は、これは過去二カ年幾ら件数が出ているか、それからその推捗状況、それから所要金額ですね。  それから別ワクで、これは不動産部長にお聞き下さればわかりますから、二月の文教委員会で、調達庁長官が差しつかえがあって、調達庁長官にかわって、全責任をもって不動産部長が出席するというので、文教委員会を開きまして、特に福岡県の板付を中心とするところの文教施設の問題について相当突っ込んだ質疑をし、約束をされて帰ったわけです。従ってあの委員会で明確になったことが、その後いかように具体化したか、それから何月までいかようにするという具体的な計画がいかに立てられたか。もう予算は成立しまして、あなた方にその執行をわれわれは一任しているわけなんですから、すでにあのときの答弁からして計画は立っているはずです。立ってなかったら立てて下さい、この法案が通るまで……。それを資料として、これは不動産部長にお聞き下さればわかりますから、出していただきたい。  それから、一問だけ伺っておきたい点は、それは私は、今後の質問の内容、性格に影響を及ぼすものであるから、一間だけ伺っておくのですがね。それは調達庁が労働大臣担当から防衛庁長官の担当になったのは、たしか私は小瀧防衛庁長官時代で、時は砂川基地拡張接収問題が紛糾した直後で、あったと思います。これが間違いかどうかということが一つと。それから、そこで官房長に承わりたい点は、この労働大臣所管から防衛庁長官の所管にかわることを、防衛庁事務当局は消極的にこれを、受け入れたのか、あるいは積極的に受け入れたのか、この二点だけ承わりたいと思います。
  139. 門叶宗雄

    政府委員(門叶宗雄君) 実は、労働大臣から防衛庁長官が調達庁を担当せられましたのは船田大臣のときと了承しております。従いまして、先ほど長官から昨年と申し上げましたが、一昨年と承知いたしております。  なお、労働大臣から調達庁所管を防衛庁長官がお引き受けになることに関しまして、いろいろ意見をかわしたことはございますが、今御指摘のありました通り、事務当局は消極的だったということはございません。十分意見を戦わしまして、長官の御裁定に待った次第でございます。
  140. 田畑金光

    ○田畑金光君 ちょっともう一つ資料を要求をしたいのですが、民有地の借り上げですか、これはいろいろ契約に基いて借り上げ等があると思うのですが、契約条項ですね、こういうふうなものについても、一つ参考までに、民有地、公有地、国有地、いろいろあるわけですが、それぞれについて、どういう条件で過去借り上げあるいは買い上げ、またこの用途が終ったときには、どういう返還条件を契約条項の中に盛っているのか、そういうような点等も資料として一つ、わかりやすく提出願いたいと思います。
  141. 津島壽一

    ○国務大臣(津島壽一君) ただいま御希望の資料は、至急一つ準備いたしまして提出いたすことにいたします。
  142. 藤田進

    委員長藤田進君) 本案につきましては、本日はこの程度にとどめまして本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十八分散会    ——————————