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1958-04-09 第28回国会 参議院 内閣委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月九日(水曜日)    午後一時四十三分開会     —————————————   委員異動 本日委員近藤鶴代君及び永岡光治君辞 任につき、その補欠として井村徳二君 及び横川正市君を議長において指名し た。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     藤田  進君    理事            大谷藤之助君            松岡 平市君    委員            上原 正吉君            苫米地義三君            中野 文門君            増原 恵吉君            松村 秀逸君            伊藤 顕道君            田畑 金光君            千葉  信君            横川 正市君            吉田 法晴君            島村 軍次君            八木 幸吉君   国務大臣    国 務 大 臣 津島 壽一君   政府委員    防衛庁長官官    房長      門叶 宗雄君    防衛庁防衛局長 加藤 陽三君    防衛庁教育局長    心得      小幡 久男君    防衛庁人事局長 山本 幸雄君    防衛庁経理局長 山下 武利君    防衛庁装備局長 小山 雄二君   事務局側    参     事    (委員部第二課    勤務)     川上 路夫君    常任委員会専門    員       杉田正三郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○防衛庁設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○自衛隊法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 藤田進

    委員長藤田進君) これより内閣委員会を開会いたします。  委員異動がございましたので、事務局から報告させます。
  3. 川上路夫

    ○参事(川上路夫君) 御報告いたします。  本日、永岡光治君が辞任されまして、その後任として横川正市君が委員に選任せられました。  以上でございます。     —————————————
  4. 藤田進

    委員長藤田進君) それでは、これより議事に入ります。  防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  これより両案の質疑に入ります。御質疑のおありの方は、順次、御発言願います。
  5. 田畑金光

    田畑金光君 今回の二法律案の改正を見ますと、陸上自衛隊一万名増員を中心として、航空自衛隊増強、あるいは海上自衛隊の充実、技術研究所発展強化をはかって新兵器研究開発利用に乗り出しておるわけであります。今回の政府提出法律案を見ますと、この自衛隊増強計画は、世界軍事情勢とか、政治情勢動きとか、国内における世論の動向とか、わが国をめぐる内外の諸情勢等を全く無視した態度で終始しておると見受けるわけでありますが、政府国防基本方針あるいは長期防衛計画等は再検討の時期に来ておると考えるわけですが、この点について政府はどのように判断しておられるか、まず承わりたいと思います。
  6. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 三十三年度の計画といたしまして、お示しのように、陸上自衛隊において一万人、また海空において必要の人員の増加を計画したわけでございます。この計画は、根本には、御承知国防会議において防衛基本方針が決定され、また、今後昭和三十五年ないし三十七年にわたる防衛整備目標というものの実行の段階において、三十三年度において実行すべきものとして適当だというものについて、予算並びに所要の法律の制定を企図したわけでございます。  そこで、御質問にありました、この三十三年度の計画国際情勢ないしは軍事情勢に即応しておるかどうかという点でございます。根本的には、御承知のように、わが国防衛体制は、まだ、育成と申しますか、整備段階にあるわけでございます。目標といたしましては、国力国情に応じた最小限度必要な防衛体制を作っていこう、こういうのでございます。この基本方針については、今日の国際情勢もさることながら、これに根本的の改変を加えるということは必要ない、妥当でない、こういう見解のもとに、三十三年度の具体的の計画ができておるわけでございます。  お示しになった国際軍事情勢と申しますと、今日の原水爆その他の核兵器進歩科学進歩に基く装備改善、そういった点であろうと思います。しかし、これらの発展にもかかわらず、いわゆる国際軍備状況は、こういった核装備によるミサイルその他の進歩もありまするが、一面、通常兵器というものを装備改善によって効率化していくという方針は、これは依然として今日保持され、また、そういった方面に工夫されておるというのもまた実情でございます。わが国防衛は、基本的には核装備をしない、従って、いわゆる在来通常兵器というものの改善装備改善刷新による、部隊編成もそれに即応してやろう、こういう方針のもとに防衛整備目標を達成しよう、こういう方針でございまして、諸外国の実例を見ましても、核装備その他ミサイルというような近代科学兵器による装備増強といったものを見た上において、ある程度通常兵器によって装備したる部隊縮減というものが行われておるようなことは事実でございまするが、しかしながら通常兵器をもって装備した軍隊というものが今日なお重要な役割を占めるということは、これは各国軍事専門家、また実際の防衛担当者の意見においても、そういうことに相なっておるのでありまして、そういった観点から、三十三年度の計画といたしましては、先ほど申し上げたような計画を実行すべく、ここに提案をいたしたのでございます。
  7. 田畑金光

    田畑金光君 お聞きいたしますと、一つも変ったこと、あるいは思想の前進というものは見受けられないわけですが、そうしますと、来年度も陸上兵力を一万名ふやす、あるいはこれに伴って航空自衛隊海上自衛隊強化をはかる、昭和三十五年度の計画達成ができるまでは基本方針を曲げないということで、しゃにむにこれを達成される御方針であるのかどうか。
  8. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 三十二年度に関して、ただいまお答え申し上げたわけでございます。三十四年度、三十五年度、将来にわたる計画について、まだ具体的の計画はきまっておりません。しかしながら、防衛基本方針国防基本方針にも示してありまするが、必要があったならば、この方針目標というものは再検討する場合もあるということは、この防衛整備目標中にもうたわれておる問題でございまして、この前、三十四年度、三十五年度、それ以降のつまり計画において、絶対にこれを変えないでそのままやるのだということを申し上げた次第ではなかったのでございます。
  9. 田畑金光

    田畑金光君 具体的にお尋ねしますが、来年度に陸上兵力の一万名増員ということは、政府の立てられた基本計画に基くと、当然やられるものと見ておるわけですが、この点はどうなんですか。やるのかやらぬのか。
  10. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) ただいまの防衛整備目標によりますと、最終目標を十八万人ということにいたしておることは御承知通りであります。今回の増勢によって十七万人となる。あと目標に対して一万のここに差があるわけでございます。ただいまの御質問の来年度においてこれをやるかどうかということを申し上げますれば、これは全然決定いたしておりません。今回の一万人は、三十三年度においてとにかく一万人を増勢したい。しかし、この問題は今後検討を要する問題でありまして三十四年度において引き続き一万人が必ず計画され、その提案をするということは、今のところは全然きまっておらない問題でございます。
  11. 田畑金光

    田畑金光君 三十四年以降の計画については、今後の情勢等によって再検討する幅もあるのだという御答弁ですが、昨年から今年にかけての軍事情勢の急激な変化世界の力のバランスの異動、あるいはまた、核兵器をめぐる東西両陣営の動きを見ましたときに、この一年間の動きこそ政府既定方針に対して根本的な検討を加えるべき時期であったと、こう考えるわけで、むしろ、今後の情勢変化に応じて加えるべきでない、すでに起きておる情勢に基いてこそ政府国防基本方針を再検討すべき問題であると、こう考えるわけですが、この点はどうも順序をはき違えておるような印象を受けるわけで、この点、どうでしょう。
  12. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 先ほどお尋ねの点については私は触れたつもりでございますが、わが国防衛というものを今後ある程度限度において根幹を作っていくということは、まだその途中にあったという事態でございまして、軍事情勢変化はもちろん重大なる変化はありました。しかしながら、この防衛目標達成段階において、三十三年度においては最小限度の要請として、この程度わが国防の安全、また独立を守る上においても、この程度のものは必要なものであるという見地において、三十三年度の計画を出したわけでございまして、将来については、先ほど申しましたように、検討する機会もあるかと思いますが、さしあたりこれだけのものはわが国国力に応じ、また必要な限度としてこれを実現したい、こういう趣旨でこの提案ができておるわけでございます。
  13. 田畑金光

    田畑金光君 国力に応じてとか、あるいは、また、今整備段階であるからこの程度が適当だと、こういうお話でありますが、そうしますと、政府の持っておられる防衛五カ年計画最終目標がかりに達成した、こうなってきますと、さらにそれは発展するものなのか、あるいはその程度で一応自衛隊強化というものは抑えようというのが政府のこれからの方針であるのか。その防衛五カ年最終計画も、まだ将来の発展のいかんによっては上の方に動かし得ることも考えられるのかどうか。この点、どうでしょう。
  14. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 今の御質問は、端的にいえば、この計画に次ぐべき他の長期計画を想定しておるかということに要約されると思います。すなわち、三十五年ないし三十七年の整備目標が達成された後に、さらにこれを増強する計画を持っておるのであるかということに要約されると思うのでございます。この問題は、今日まで、この長期計画をどうするかということは、具体的の案を持っておらぬわけでございます。従って、必ずこういうものが次にまたさらに来るとかいうような方針の問題は、今日申し上げる機会には至っておらぬということが実際の事実でございます。
  15. 田畑金光

    田畑金光君 この間、資料を要求いたしまして、特に各国軍備状況兵力の増減の状況、こういうものを要求いたしましたところ、イギリスとかアメリカとか、ソ連中共等について、一応の資料というものが出ておるわけですが、いずれを見ましても、陸軍兵力については削減の段階に来ておるわけで、それぞれ陸上兵力は減らしているわけです。今、世界の国で、陸上兵力日本のようにふやさねばならぬ、ふやしておる、年度計画までもふやしておる、そういう国があったら、一つ教えていただきたいと思う。
  16. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) お答えをいたします前に、ただいまの米、ソ、英等において陸上兵力人数縮減をやっておる、これは事実でございます。しかし、一面において、装備の点において、またミサイルその他の基地の関係において、防衛全体としては非常に増強されておるという事実も無視できない事実でございます。  なお、御質問の点でございますが、どっかの国が陸上兵力増強計画を持っておるか、こういう、人数的だと思いまするが、これは西ドイツがまだ現状においては、正確な計数を申し上げることはできませんが、十万そこそこだと思います。三十五万計画を持っておって、これを今後整備していくという方針でございます。そういった意味において、いわゆる国防整備段階にある国においては、一定限度まで、その周囲の環境その他の状況に応じまして整備をしていくという国も、たとえば西ドイツのごときはその一であると、こう申し上げて差しつかえないと思います。
  17. 田畑金光

    田畑金光君 お話西ドイツの問題ですが、西ドイツの場合と日本の場合とは、これが占領の形態から、また占領内容そのものからいっても、異なっておると考えるわけで、もうすでに日本は、今回の法律通りますと、制服自衛官だけでも二十二万二千名を突破する。こういう大きな勢力になって、西ドイツの十万そこらの勢力とは大きなへだたりが出ておるわけなんです。  それから、お話のその他の国は、陸軍兵力は減らしておるが、その他ミサイル核兵器等によって、その国の戦略体制を変えつつある。これはその通りだと思うのです。ところが、わが国においても、たとえば技術研究所を今回技術研究本部に改めるとか、こうしていろいろ今後の新兵器研究開発、あるいは利用、こういうことを一方においてはとっておるでありませんか。むしろ、こういう新しい兵器によって通常兵器弱体化を補充していこうとすることは、もう年来政府みずからもとっておるではありませんか。こういうことを考えたとき、政府陸上兵力をふやしていくということを継続するというようなことは、全く世界情勢にマッチしない行き方であると、こう考えるわけだが、特に各国動き等に対して、中共やあるいはソ連、あるいは西ヨーロッパ国々、こういう国々について、今日の軍事体制というものがどういうように動いておると政府当局は判断しておられるのか、もう少し具体的に承わりたいと思います。
  18. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 冒頭の御質問は、技術開発装備改善ということについて、技術研究所等において非常な研究をとげておるから、これによって人数縮減をはかることができるだろう、こういうような点であったかと思います。お説のごとく、技術研究所においては装備品研究開発を鋭意やっておるわけであります。なお、その他近代科学による種々の兵器研究もいたしておりますが、何分にも年所がまだ浅いものでございまして、まだ十分の成果を上げるには至っておりません。今後これには相当重点を置いて研究を続け、またそれが実用に供されるようなことにわれわれは期待しておるのでございます。しかしながら、これはやはり年所を要する問題でございまして、一年、二年で完成するということは、なかなか期待のできないものでございます。そういった点からいって、装備改善ということについては、鋭意努力をいたし、その方向にわれわれは歩を進めておるわけでございます。  しかしながら、陸上なり海上その他の部隊においては、やはりある一定の人というものは、その装備を動かし、また航空機あるいは艦船の運営においても、訓練の上においても、必要なものがあるわけでございます。そういった面において、私は少くともこの限度においては必要であるというので、決して開発研究という部面を無視するわけでもなく、これと調和をとり、また将来のその成果に期待して、いわゆる実力的の増強というものにも資したい、こういう考えでやっておるわけでありまして、今日の段階においてまだ十分の成果を上げておらぬという事実は、まことに遺憾でございますが、将来そういったことができた場合においては、わが国防衛計画において大きな力になるということを期待している次第でございます。  ほかの諸外国についても大体同様でございまするが、御承知のように、極東方面、まあそういった部面における軍事情勢から見ますと、陸上部隊においては、ほとんど問題にならぬ、非常に膨大なるところの陸上部隊、これが通常兵器在来兵器装備され、ある部面においては近代科学による装備もございましょうが、そういったものが非常に多いわけでございます。そういった多い中から、ある程度縮減また編成がえ等があるのは事実でございましょう。しかしながら、わが国の十三万、十五万、十七万というものと比較して、どういう問題であるということを申し上げるのもいかがかと思うくらいの大きな開きがあるわけでございます。そういったわけで、わが国防衛は、これはもう外国からの侵略があった場合に、これに対処してわが国を守るというだけの使命を持って作られたものでございます。従って、可能な限度において整備して、万一いかなる国かから、国外からの侵略があった場合に、これを守っていこうというだけの防衛体制を作っていこう、こういう次第でございます。
  19. 田畑金光

    田畑金光君 侵略々々といっておられますが、どういう侵略を予想してやっておられるわけですか。
  20. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) これは、陸上海上、空中から、あるいは領土、領空、領海の周辺に、そういったような外国からの万一いわゆる襲撃と申しますか、直接の行動があった場合に、自国を守っていこう、こういうわけでございまして、今どこの国からどう来るということを申し上げるということは、私は防衛体制をきめる上において絶対の要件とは思っておりません。
  21. 田畑金光

    田畑金光君 侵略に対して守るというお話でありますけれども、その通常兵器侵略が守れましょうか。
  22. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) これは外国からの侵略様相がどういうものであるかということに帰するだろうと思います。しかしながら、わが国は現在の国力国情において守り得る限度において守る以外にはないと思います。しこうして、全体の状況といたしまして、今、究極兵器ともいわれるICBMとかIRBM、これを使用する全面的な戦争があるだろうことに対処して、一国でそういったものに対処するだけの防衛は私は不可能なことだろうと思います。しかしながら、あらゆる様相を考える場合においては、これは全面戦争の場合だけを想定して防衛を作る国は、私はこれは世界各国においてほとんど例外であろうと思うのであります。アジア諸国、その他のヨーロッパ諸国においても、そういったようなことだけを想定したところの防衛というだけに限るというわけではないと思うのでありまして、すなわち、通常兵器を持ったあれだけの軍事の今日の世界情勢において、そういったものを使用される場合もあり得るということが、やはり防衛を担当する者としては当然に対処する問題であろうと思うのであります。万一この防衛体制が自力だけによるというか、わが国防衛体制において及ばざるところがあれば、これはやはり集団安全保障による、あるいは日米安保条約の力というものによって防備を全うするということが、現在のわが国防衛方針だろうと思います。その意味において、今の自衛隊であらゆる戦争に対処し得るかということをお尋ねになれば、これは困難なことであろう、しかしながら、対処すべき方法は、あらゆる場面を想像して最善を尽すということであるべきだと思います。
  23. 田畑金光

    田畑金光君 御答弁は、あらゆる場合を実は想定していないでやっている、片ちんばな軍備のあり方だと、こう考えるわけですが、御答弁によりますと、防衛できる限度防衛する。そうすると、それは突き詰めてみますと、結局は防衛できなくてもいいのだ。ほんとうに侵略に対して、長官先ほど来の答弁のように、あくまでも自国を守るのだ、こういうことになれば、やはり想定された侵略国家というものは高度の兵器を持っておる、ミサイルを持っておる。そうなれば、守るという立場からのみいうならば、日本はなぜそれでは核兵器装備しないのか、こういうことになってこようと思うのです。侵略々々とおっしゃいますけれども、そういう侵略日本侵略するというような事態というものはちょっと考えられないと思うのですが、その点はどうでしょうか。
  24. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 全然、侵略ということが、いかなる国からも絶対にないということを基礎にして防衛問題に対しての適否を議論するということは、これはまた私は問題外になると思います。どういった場合にそういうことが起るかというような場合をいろいろ想像して、国力国情に応じた程度に自分の国でやるということだけは、これは私は国家として独立する以上は当然やるべきことだと思います。その程度はいろいろございましょう。しかしながら、基本的な方針としてはそうあるべきだと思います。
  25. 田畑金光

    田畑金光君 私の申し上げておることは、今日のこの軍事科学がかくのごとく発達した段階においては、長官の言われるような想定された侵略ということは、即第三次世界大戦の危険を冒さなければ考えられない問題だろうと思うのです。日本に対する本格的な侵略ということは、単なる日本防衛の問題ではなくて、これは世界戦争というものを予測せぬ限りに考えられない問題だろうと思うのです。そういうことを考えたとき、われわれはそうこれから——長官なんかの考えておるように、政府の考えておるように、侵略々々と言っているが、そう簡単に侵略という問題は考えられないんだと。むしろ、それをどう措置するかということが、陸軍兵力を一万名増員する、また別のこれは問題だと、こう判断するわけだが、要するに別の政治あるいは外交の問題だと、こう判断するわけですが、そういうようなことは、政府としては全然考えておられないのか。もっともっと、私は、やはりアジア情勢とか世界情勢の認識というものが必要であるのではなかろうか、こう考えるわけで、  今回伝えるところによると、何か駐在武官というのか知りませんが、外国自衛官を駐在させる、その増員計画されておるようでありますが、こういう海外駐在自衛官というようなものは、どういう任務を持ってどんな役割を果すのか、どこどこに増強されようとする方針なのか。
  26. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 防衛局長から御答弁いたします。
  27. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) お答えを申し上げます。防衛在官と俗称いたしておりまするけれども、これは外務省の方のそれぞれの外交官としての身分をもちまして、各国在外公館勤務を命ぜられておるものでございます。現在行っておりまするものは、アメリカに四名、それからフランスに一名、ソ連に一名。今度ふえまするのは英国でございまして、英国に一名派遣をいたしたいと思っております。  その任務は、各国における軍事技術、各方面わが国防衛上必要なる調査をし指導をする情報を送るということでございます。
  28. 田畑金光

    田畑金光君 これは今後また増強する計画なのか。こういう自衛官外交官外国にやることによって、日本防衛活動に対してどういう貢献をなしておるのか、また期待されておるのか、承わりたいと思います。
  29. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 御承知のごとく、わが国防衛を考えます場合におきましては、世界軍事諸般情勢に対する知識というものが必要でございまして、もとより防衛在官のおりません在外公館からも、必要なる資料情報等は送って参ると思います。しかしながら、私ども立場からいたしますれば、防衛在官のおります在外公館から参りまする資料なり情報なりの方が、非常に量においても質においてもすぐれておるように思うのでございまして、私ども日本立場から防衛を考えます際におきましては、さらに在外公館防衛在官を増加して派遣をしたいというふうに考えております。
  30. 田畑金光

    田畑金光君 この間提出されたこの資料は、これはそういう駐在官等報告に基いて出された資料でありますか。
  31. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 各国軍備状況等につきましては、まず私どもの方におきまして、いろんな公館資料政府発表等をもとにして基礎を作りまして、在外公館からの報告その他の情報によりまして逐次これを推定して参っておるのでございます。まことに申しわけございませんが、ただいまどの資料提出しましたか手元に持っておりませんので、その点について的確にお答えできないことを遺憾に思います。
  32. 田畑金光

    田畑金光君 これは防衛庁として委員会の要求に基いて提出された資料でありますが、アメリカフランスソ連等にはすでに駐在官が置かれて、今お話しのように、相当綿密な資料等があるようでありますから、この資料は一つすみやかに整備されて、当委員会提出を願いたいと思います。
  33. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) ただいまの御要求なさいましたのは、駐在官のおりまする国の軍備でございます。
  34. 田畑金光

    田畑金光君 それを中心として、その他の参考になる諸外国軍備状況を。  防衛庁長官お尋ねしますが、先ほど通常兵器通常兵器と言われておりますが、通常兵器というのはどういうようなものでしょうか。
  35. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 観念としては、核装備せられていない兵器というくらいの意味で、従来、第二次世界大戦以来装備改善は行われておりますが、そういった意味で今日は在来兵器という言葉も使い、また通常兵器といって、英語ではコンベンショナル、従来型という意味でございます。それが単に能率において従来であるという趣旨ではございません。いろいろ改善され、装備改善というものを加えておりますが、従来もあったようなその種類の兵器をもって装備された、こういう意味だと私は了解しております。なお、これらについては、また専門的な説明を御必要であればさせることにいたしますが、大体そういう観念だと思っております。
  36. 田畑金光

    田畑金光君 核兵器以外はすべて、通常兵器という範疇に入るわけですね。
  37. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) そういった正確な定義になりますと、私は実は専門でもございませんので、核兵器以外は全部通常だと、こういうことを申し上げることは、今ちょっと御遠慮申し上げた方がいいのではないかと思います。
  38. 田畑金光

    田畑金光君 通常兵器の中にも、たとえばまあ広い意味核兵器に入るようなやつも、将来は考えられていくわけですか。
  39. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 核装備をできないところの兵器でございましても、近代科学、たとえば誘導弾のごときは、おそらく在来兵器という言葉の中には入らぬだろうと思います。しかし、核装備せられてない、近代科学によるいわゆる新兵器というものもあるのでございまして、それを一がいに在来兵器通常兵器という言葉に含ますかどうかということになりますと、そこに疑問があると思うのでありまして、正確な定義を控えたいというのは、そういった意味において申し上げたのでございます。
  40. 藤田進

    委員長藤田進君) この点につきましては、本会議等を通じてしばしば防衛庁長官も使われておる用語ですが、本法案の審議にまず非常に重要なやはり意味を含むものだと思いますし、将来しばしば使われる以上、在来兵器通常兵器というものの統一したやはり定義を公表される必要があると思います。その方が能率的だと思います。それに対して、通常ないし在来兵器でないものをどういう総括的な呼び名でおやりになるのか、これは事務当局でも専門的な方がおられるのですから、言葉を使われるその方がどうもはっきりしないと、審議に少しどうも適当でないのではないか。
  41. 田畑金光

    田畑金光君 今、委員長お話のように、長官の話を聞いてみても、さっぱりわからぬし、一生懸命答えておられますけれども、実はわれわれの知りたい、不安に思っているようなことは、すべてが通常兵器だの何だのという一般論の中で消されていくような印象で、審議を進める上からいって非常に不便でございますので、通常兵器と今皆さん方が言われているのはどんな兵器をさすのか、その中にはかくかくのものがあるという、具体的な兵器の種類等を一つ資料として提出願うとともに、それから核兵器とは一体何だ、戦術的な原子兵器だ、戦略的な兵器だ、原子兵器だと、こう言われておりますが、核兵器とは一体どんなものをさすのか。その中に入るものは何か。それから、長官答弁を聞いておりますと、誘導兵器等については、どの範疇に入れたらいいのかという、それがまだはっきりせぬようなことを言っておられますが、この点はどうなんですか。
  42. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 誘導弾につきましては、従来はほとんどなかった。在来兵器としては、その範疇に入っていなかったと思うのです。ただ、それが核兵器かまたは単純なる誘導兵器かという疑念があることは、私が常に申し上げておる点でございます。なお、委員長のただいまの御要請もございましたが、この言葉は各国で私は相当ルーズなものがあると思うのです。しかし、従来の、在来兵器、コンベンショナル兵器という、その定義でございますが、これらは軍事専門家の範疇に属する問題と思いまして、十分正確なる定義、また一定の定義があるかどうかという点についても、疑問があることとは思いますが、あらためてお答え申し上げたい。しばらく御猶予を願いたいと思います。
  43. 田畑金光

    田畑金光君 今の点は資料として一つ提出願いたいと、こう考えるわけですが、そうしますと、先ほど触れました技術研究所等を今度昇格させ、機構を大きくして、新兵器研究開発、あるいは実用化、利用化に乗り出そう、こう言っておられますが、先般来アメリカから、あるいはスイス等から、誘導兵器等を入れて研究に乗り出しておられますが、   〔委員長退席、理事松岡平市君着席〕 これは今後どういう構想のもとに、また、これは今後の日本防衛力という観点から見ました場合には、どういう位置に位するような兵器になってくるのか。こういう兵器増強によって、今後の日本自衛隊の質的装備と申しますか、相当変ってくると思うのですが、将来、政府はこういう方面兵器についてどういう方針でおられるのか、少し具体的に一つ御答弁願いたいと思います。
  44. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) ただいま技術研究所において一定計画のもとに、またそれに相応する予算をもって、研究開発に従っておりますものは、装備改善、質的強化という基礎において、いろいろな種類の兵器がございます。内容的には、ここに装備局長がおりますから、技研の関係を担当しておりますから、一応その内容を、具体的なこういうものというものを、今、現に研究を進めておることをお答え申したいと思います。
  45. 小山雄二

    政府委員(小山雄二君) お答え申し上げます。今回の法律案で、技術研究所技術研究本部として、内容を整備強化いたしたいということの内容を申し上げます。  現在、技術研究所では、自衛隊装備につきまして、研究開発をやっているわけでございますが、そのやり方は、九つの部に分けまして、もの別にいろいろやっております。ただ、従来の実績を見ますと、何と申しますか、研究開発についての企画をしたり立案をしたり、あるいは各幕僚部その他といろいろ連絡したり、あるいは部外と折衝するというような研究行政と申しますか、そういう種類の仕事と、実際装備につきまして試験をしましたり、調査研究をしましたり、試作をするというような、純技術的な仕事をチャンポンにまとめてやっているような格好でございまして、そのために、技術家の技術的能力を十分に活用できない、雑務に追われてその方がおろそかになるというような面がございまして、今回これを分けまして、技術行政的な仕事をやるものと、純技術的な試験、研究をやるものとを分けまして、それぞれ分担に専念さすというように機構を整備いたしたい、こういうわけであります。  今考えておりますのは、九つありました部を全部解消いたしまして、総務部と技術部を作りまして、総務部は総務的な仕事、それから技術部は各試験所の窓口になり、あるいは制式とか企画を作るような仕事をやらせます。そのほか、いわゆる兵器の、開発の主要な兵器につきまして、それを一つのものにまとめ上げていくという研究開発の関係につきましては、四人の技術開発官というものを置きまして、それぞれあるいは陸上装備、あるいは航空機、あるいは海上船舶関係、あるいは誘導兵器関係というように、それぞれ分担をきめまして、四人の開発官が主要な兵器については、企画から、立案から、試作から、ものをまとめ上げる仕事をやりまして、そのまとめ上げる仕事につきましては、試験だとか研究につきましては研究所を作っていく、こういうわけで、研究所を第一から第五まで、五つの研究所を作りまして、その研究所を利用して、技術開発官がものをまとめていく、こういうことにいたしているわけであります。  先ほど御指摘になりました、どういうものを、どういう武器をどう持っていくかということにつきましては、これは従来通り方針でございまして、自衛隊装備全体について研究開発をやって参るわけでございますが、従来とも、研究開発の重点は誘導兵器、航空機、それから対潜関係の武器、海上兵器、そういうものが重点になっておりまして、これは今後ともそういう方向で進んでいくものと考えております。
  46. 田畑金光

    田畑金光君 今御説明くどくどしくありましたが、これも一つ資料提出願いたいと思います。ことにその中で、誘導兵器研究とか、あるいは航空機、対潜水艦等の兵器について研究し、あるいは、やがては試作し、利用化する、こういうことになってこようと思うのですが、これは特にミサイル、誘導兵器等については、アメリカやその他の国々の関係というか、いろいろアメリカ等からナイキその他を入れているわけですが、どういうことになっているわけですか。
  47. 小山雄二

    政府委員(小山雄二君) アメリカからのナイキその他を、かつて研究開発用に要請したことはございます。無償供与で要請したことはございますが、その話はまとまっておりませんで、入ってきておりません。現在技術研究所でやっております誘導兵器の関係は、テストのミサイル、いろいろたとえば速度とか加速度とか、いろいろな測定を伴うテストのミサイルを作って、試作しまして、飛ばしてみて、テストする、試験をする、こういう段階でございます。それから、まとまった誘導弾としましては、御案内のように、エリコンの誘導弾を三十一年度、三十二年度の両年度にまたがる予算で買っていただきまして、近く到着することになっております。まとまった誘導弾としてはそれだけでございます。
  48. 田畑金光

    田畑金光君 アメリカからナイキほか六種くらいのものを、誘導弾を入れて研究に供する、こういうことが以前伝えられていたわけですが、これはどういう事情で契約が成立しなかったわけですか。
  49. 小山雄二

    政府委員(小山雄二君) これは無償供与で、研究開発用のために、研究用のために、一組ずつ無償供与してもらいたいということを申し入れたことがあるわけでございますが、これはわれわれの研究体制が十分かどうかという問題と、もう一つは、研究の結果いろいろ出てくる成果に対する秘密保護の問題、そういうことがありまして、話がまとまっておりません。
  50. 田畑金光

    田畑金光君 長官お尋ねいたしますが、今の局長の答弁にありますように、アメリカとの研究のための誘導兵器導入の話合い等も、日本の受け入れ態勢ができていない、こういう関係で入って来なかった、こういうような実情にあるわけです。これは、アメリカとの間に相互武器開発計画についての話し合い等も、協定ですか、協定についての話し合い等はあるのかないのか、これはどうなっておるのですか。
  51. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 武器開発協定というものは現在、日米間に結ばれておりません。また、私、就任後もこの問題で先方と話し合ったこともございません。ただいまのところでは、ただいま装備局長から御説明申し上げましたように、エリコン、また、これは研究開発用じゃありませんが、サイドワインダー若干を有償供与を受けようということになっておりまして、御指摘の協定について、その当時あったことはあったでしょうが、それはそういったものがまとまらないし、またその後においてもこの話を始める、またそれを進行しておるという状況ではございません。
  52. 田畑金光

    田畑金光君 有償とか無償とかいう問題が、アメリカとの話し合いの、取りきめの一つの条件ではなかろうと、こう見るのです。有償であるとか無償であるとかいうことはどうでもよかろう、アメリカの側からいうと。ただ、日本に受け入れ態勢がなかった。先ほど装備局長の話によりますと、要するに、こういう研究開発をするだけの日本には秘密保護法等の制定がなされていない、受け入れの準備がなされていない、こういうところに問題があるわけですが、これはこの国会は、軍機保護法案等については政府は準備していない、用意をしていない、こういう御答弁でありますけれども、こういう点から見ても、この軍機保護法等についてはいずれ次の国会等では問題になってくると、こう考えるのですが、長官としては、先ほど防衛の最高責任者としていろいろ頭を悩ましておられるようですが、こういうような面については秘密保護法等を作って、日本のいわゆる新しい兵器研究開発等に乗り出すお気持があるのかどうか、おそらくあると思うのですが、どうでしょう。
  53. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 防衛に関した秘密保護ということは、現在、御承知のように、日米防衛の援助の協定に基きまして、今現在あるわけでございます。これが全部完全であり包括的であるかと申しますれば、必ずしもそうではないと思います。従って、防衛体制を完全にするためにおいて、防衛に関したある種の機密に対しての保護をするということの必要は、防衛上の見地からは私は認めておるわけでございます。  しからば、実際のこれに対する具体的の措置、すなわち立法については研究すべき点が多々あるわけでございます。その意味におきまして、この問題については慎重を期していく、非常な検討を加えて、そうして成案を得た上でないと、これが実行ということは私は適当でないと思っております。そういった意味において、お尋ねのように、次期国会でこういったものを出すかどうかという御質問でありますならば、それは何ら研究をいたしておりません。今日の場合においては、それだけお答えするよりほかはございません。
  54. 田畑金光

    田畑金光君 政府のどういう機関で、この問題については検討を進められておるわけですか。防衛庁の中でもいろいろ検討を進めておられると思うのですが、どういうようになっておるのですか、その点。
  55. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) これは防衛全体の問題でございます。どの部局にも関係を持つわけでございます。その意味において、これは防衛庁全体の問題であります。しかしながら、最もその事務に関係の深いところと申しますれば、防衛局になると、こう考える次第でございます。
  56. 田畑金光

    田畑金光君 防衛局では、こういう問題等について検討を進められているわけですね。
  57. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 先ほど長官のお述べになりましたような趣旨からいたしまして、現在の防衛秘密保護法で足らざる分野につきまして、検討を続けております。
  58. 田畑金光

    田畑金光君 長官お尋ねいたしますが、結局、新しい分野の兵器研究開発をおやりになるといっても、今いったような一つの壁にぶつかるわけですが、長官としてはどの道を今後おとりになろうという御方針なんですか。
  59. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 機密の保護を可能にするということは、法律の制定以外においても、行政的に可能な程度においては当然すべきでございます。その意味において、今の各種の新式兵器検討というものは、現在与えられたるそういったような条件のもとに進行をしておるわけでございます。新式兵器についても、誘導兵器についても、こういったような特殊の機密保護法の適用でなくて可能なものがあり得るわけでございます。その意味において、私どもは、現在の法制のもとにおいても、最善を尽してこの新装備に必要なるところの研究開発をやっているというのが現状でございます。
  60. 田畑金光

    田畑金光君 これは一つ、先ほど来要求を出しました資料を一つ出していただいてから、さらに質問をすることにして、きょうその点はそれだけにとどめておきますが、  次に、長官お尋ねいたしますけれども、日米安保委員会ですが、これは過去三回か四回くらい持たれたと思うのです。日米安保委員会が発足した経緯を考えてみますと、これは日米共同声明に基いて出てきたわけで、困り切ったもので、安保委員会は、行政協定の不平等的な性格の面を是正するとか、あるいは駐留米軍の主要配備について可能な限り日本と相談をするとか、こういう趣旨で、これは昨年の日米共同声明から発して生れたものだと思うのですが、どうも最近のこの日米安保委員会動きを見ますと、当初の趣旨から反して、あるいは逸脱しておるような印象を受けるわけですが、長官はこれに日本政府を代表して出ておられるわけで、この日米安保委員会というものがどういう性格のものなのか、どんな話し合いをこの中でなされる趣旨のものなのか。今まで何回か開かれてきましたが、そこではどんなことを取り上げられ、また今後はどんな話し合いをこの中に待ち込んでやっていこうとする御趣旨なのか。簡単でよろしいのでございますが、一つ御説明願いたいと思います。
  61. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 日米安保委員会の性格並びにその運営のやり方等については、たびたび本会議委員会等においても政府側の見解なりを申し述べたところでございます。日米安保委員会は岸・アイク大統領の共同声明によって設けられた協議的の機関であって、その課題となるべきものは、御承知のように、三つございます。米駐留軍の配備使用を含めて、安保条約から生ずる各種の問題を論議する。第二は、安保条約と国連憲章との関係の問題。また、両国民の願望、必要に応じて両国の関係を調整していこうというようなことでございます。大体、三つの事項があるということは御承知通りでございます。  そこで、今日までこの安保委員会が開かれましたのが四回でございます。第一回は昨年の八月十六日、第二回は九月四日、第三回は十一月、日は二十九日と記憶しております。第四回は十二月十九日、こういうように四回にわたって開かれたわけでございます。これらの会合におきましては、そのつど概略を公表いたしておりますので、ここで重複して申し上げることもいかがかと存じまするが、  まず、第一回においては、この委員会の趣旨を確認し、また運営の問題についての意見を交換して一致を見たというのが、第一回の劈頭の問題でございまして、また議題といたしましては、当時ちょうど駐留軍の陸戦闘部隊の撤退が開始した当時でもあり、これは重大なる配備の関係でございますので、この問題についての種々の意見の交換をいたしました。また同時に、当時問題となりました駐留軍に勤務しておりまする労務者の方々の離職という問題について、その対策、その他諸種の手続等についても意見の交換、またこれに対する協力といったような関係について協議したわけでございます。  第二回は、この極東の軍事情勢と申しますか、その他日本防衛というような全体の問題についての意見の交換があったわけでございます。  なお、第三回の主題は、日本の防空という問題を主題といたしまして、米駐留空軍の将来の漸減に対処して防空の問題をどうするか、また設備の継承といったような問題も討議されました。なお、非常に問題が当時の問題としては重大であった労務関係のことについて、種々の問題について協議し、双方のこの問題に対する協力の関係を話し合って、お互いに了承したというようなことで、労務対策はほとんど毎回協議の目的になったと記憶します。  第四回は、国際情勢、特にソ連のICBM、人工衛星の発射、その他北大西洋条約機構における各国方針というようなことにも触れたわけでございます。なお、防空の問題は引き続きまして協議されまして、わが国の航空機の装備等の関係について、これを補強すべく、サイドワインダーというものの日本の要求があれば供与し得る、その準備があるというようなことも出たのはこの会合であります。  大体以上がそうでございます。そこで、結論的に申し上げます。なお、何回でございましたか、国連憲章と安保条約との関係についても話し合いに出まして、これは正式の外交ルートによるということで、おそらく九月の中旬に公文交換ができ上るというこの問題も、この安保委員会において話が出たわけであります。以上が大体今日までの経過でございます。
  62. 田畑金光

    田畑金光君 日米安保委員会のできた経緯と、またそれで取り上げる問題については、今長官の御答弁通りであって、三つの問題をこの委員会では取り上げて話し合いをしていくんだ。その通りだと思うのでありますが、十二月十九日の第四回委員会でサイドワインダーを日本が受け入れたということは、これは安保委員会等で取り上げる筋合いのものではないと考えるし、また安保委員会の仕事は、今お話しのように、三つの点に限られるんだ、こうなってくると、日本政府がサイドワインダーをそこで受け入れる話し合いをするということは、その委員会任務からいっても逸脱している、行き過ぎである、こう考えますが、どうでしょうか。
  63. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 安保委員会は、日米安保条約によって生ずる各種の問題を協議するという建前になっております。その中で、米軍の配備、使用といったような問題も含めてのあらゆる問題を討議しようというわけでございまして、この米陸または空その他の撤退に伴って、わが国防衛をどういうふうにするかということは、これはその中の一つの問題として重大であると思うのでございます。しかして、空につきましては、御承知のように、F−86というものが主力の防空部隊でございます。これには単純なる機銃の装備をしているわけでございまして、これによってわが国の防空の完全を期するということは、その後のいろいろな航空機の発達その他の状態からいって、十分でないということはかねがね検討されてきておった問題でございます。しかして、米空軍の撤退に伴ってわが国の防空というものを、これを責任を持っていくという立場にある点から申しましても、こういった装備の関係——米軍の装備の関係もこれも当然に必要なことでありますが、それと見合って、日米安保条約の目的を達成するためには、これはわが国防衛装備という問題について、これは関心なきを得ないのでございます。その意味において、米軍の撤退という問題から関連を起しまして、防空の整備というものが当然に私はわが国として必要であり、日米安保条約の実行の上においても必要である、こういうような観点において、この安保委員会でこういったあらゆる問題を論議された中に、そういうことが含まれてはならないということは言えないのじゃなかろうか。  しかして、純粋な法理的の見地から申しますと、この非常な重要な役割を持った委員会でございまするが、これは政府間の交渉というよりは、協議の場面でございます。その意味において、ここで協議したというその結果を、あらためて政府間において必要ならば正規のルートによって交渉していくと、こういう手続になっておるわけです。その意味で、この問題についても、この安保委員会で決定したと。政府間の協議ができたという性質ではないわけでございまして、その意見によって、具体的の折衝は両国の政府間ですると。現実にそういった手続を今後とろうと思っております。これには予算の関係もございまして、三十三年度の予算等を見合って、今後政府間で具体的な条件を定めて、それが必要であるという見地から、これから正式の交渉が行われる、こういうような段階になっておるわけでございます。
  64. 田畑金光

    田畑金光君 お話のようなことになってきますと、この日米安保委員会というのは、そもそも岸総理が昨年渡米されて、日米安保条約、行政協定の不平等性を一つ是正してきよう、改訂の話し合いを一歩進めてきよう、こういうわけで意気揚々と出かけていったが、何も得るところがなくて、日米共同声明で面子を立ててもらった。その面子を立ててもらった具体化がこれになってきているわけで、この安保委員会のできた趣旨というのは、そもそも日本国民、われわれの立場からの印象では、アメリカ兵力の使用とか装備等についてここで話し合いをするのだ、撤退等について話し合いをするのだ、あるいはアメリカの駐留軍が安保条約と国連憲章との関係で衝突する危険性もあるが、あくまでもこれは国連憲章の精神に基いて動くのだと、そういうだめ押しをする機関がこの日米安保委員会だと、われわれは見ているわけです。それがあくまでも貫く中心だと思っているのです。ところが、サイドワインダーの受け入れ等の話し合いをする、こうなってきますならば、アメリカの行き過ぎ、あるいはアメリカに対する日本国民の不満というものをここで調整するのじゃなくして、向うから押しつけられてくる、向うの押しつけをのんでくる、こういう機関にこれはなり下っているわけで、そもそもの出発はそういうようなものとは違ったものだと思っております。  ことに、サイドワインダーで装備するかどうかということは、これはあくまでも国内問題じゃありませんか。これは日米共同防衛という立場から、それはアメリカがとやかく日本に対して注文があるかもしれぬが、そういうような問題はあくまでも国内の問題だし、国防は、共同防衛といっても、あくまでも日本政府みずからが判断して一つの方向をきめるべきで、むしろ、かりにサイドワインダーで装備しよう、こういうことならば、国防会議等でまず日本政府方針等を検討して、あるいは日米安保委員会へ話を持っていくというのなら、筋はわかるけれども、こういうようなところで話し合いをして、ただそれを、協議機関であるから、あくまでも政府の自主性はそこで保証されているのだ、そういうようなことでは、この協議機関というものの性格というものを全く無視した形だと、こう思うのだが、今後ともこの日米安保委員会等で、アメリカの兵隊がこれからだんだんと漸減すれば、それに応じてまたいろいろ話し合いをやっていくのかどうか。日本装備等について、日本のあるいは新しい兵器で武装するというような問題等について、この機関で話し合いをしていくのかどうか。性格の逸脱だと思いますが、どう見られますか。これでいいのかどうか、そういう話をするのが中心なのかどうか、それをはっきりと承わりたい。
  65. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) サイドワインダーの問題のごときものが中心かとおっしゃれば、それはそういう考え方はございません。ただ、これは機密の兵器でもありますし、またアメリカが独得の兵器として製造し保有しているものでございまして、この米駐留軍の撤退という大きな問題を、ここに、時期的には日米安保委員会の発足の初期に、また日米共同声明においても、その問題が両国の声明の中に入れてあるわけでございまして、そういった問題に関連して、またさらに、労務の問題のごときも、これもまた国内問題であると同時に、これは両国に関係のある問題として討議の議題になったわけでございます。今後こういうものばかりやるかといえば、これは中心議題ではないということは先ほど申し上げたわけでございます。  なお、冒頭申し上げました日米安保委員会のこの協議すべき課題につきましては、今の配備、使用を含めて安保条約から生ずる各種の問題というのでございまして、これは非常に問題は多いと思います。第二の課題については、先刻申し上げましたように、国連憲章と日米安保条約との関連、これを国連憲章に合致するようにどうするかという問題は、やはり第二の議題としてこの安保委員会において討議されたわけでございます。その結果が、ああいった一致したる見解が公文の交換となって現われて、この問題も課題の一つとして処置されたわけでございます。なお、第三の課題という問題が、これは非常に重大な問題でありまして、私どもといたしましては、この問題が今後重点を置くべき問題だと思っております。しかしながら、この問題には、積み重ねていくというような必要のある問題も中にあるわけでございまして、決してお尋ねのように、日本装備の関係がこの中心議題になるということは、これは私はそういった考え方はしておりませんで、今後第三の問題等について逐次協議を進めていくというところに重大な使命があると、こう考えておる次第でございます。
  66. 田畑金光

    田畑金光君 この問題はいずれ総理の出席を求めて、またさらに質問したいと思うのですが、装備の問題、配備の問題と、一般論としてお答えになっておりますが、この日米安保委員会は、あくまでも、「米国によるその軍隊の日本における配備及び使用について」、こういうことになっているので、日本の軍隊の配備についてここで相談するのだということにはなっていないのです。あくまでも、これはアメリカの軍隊の配備、使用をまずこの委員会で話し合いをするのだ、こういうことになっておるわけなんです。それで、策三項には、あくまでもこれは「日米両国の関係を両国の国民の必要及び願望に適合するように今後調整すること」、この日米両国民の願望というのは、アメリカの方の側に願望があるのではなくして、日本国民の方にいろいろ数々の願望があるので、その話し合いを、日本国民の願望に沿うように一項、二項の話し合いを進めていこうというのが、この日米安保委員会のできた趣旨だと思うのです。あくまでも、アメリカの配備について話をしようというのです。  ところが、サイドワインダーのように、日本装備の話し合いをする、これをまた無条件に受け入れられる、こうなってくると、日米安保委員会というものは、全く日米安保条約、行政協定のいろいろな問題を解決するための機関ではなくして、御無理ごもっともだと、向うの言う要求をいれてくる機関になってくる、こう考えますが、簡明率直に、そういうようなことは趣旨に反すると思うが、どうでしょうか。
  67. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 第一の課題というものは、アメリカ日本における米軍の配備、使用を含めて、あらゆる問題を協議するという趣旨であります。その意味からいって、この安保条約に関連を持ったことはこれは討議しても、この委員会の権能と申しますか、使命に背馳するとか、それは協議課題外だということは、私は申し上げかねると思うのです。いわんや、この日米共同声明におきましては、この陸上部隊はすみやかに撤退する、なおその他の米駐留軍も日本自衛隊増強に伴って撤退する計画を持っておるということを、はっきりうたっているわけでございます。その意味において、この両者の間において、安保条約に関係し、また、日米共同声明に関連を持ったような事柄について、特にわが国で製造する武器あるいは兵器装備自衛隊装備する問題と違って、これは米国から供与を受けようという問題であるわけでありますから、   〔理事松岡平市君退席、委員長着席〕 そういった観点から、これも一つの話し合いの問題になったというにすぎないわけでございまして、こういうものは絶対にこの討議の課題の外にあるということを言うわけにはいくまい。  しかし、ただいま御質問中にございましたように、こういうものが中心になって、こういうことをやる委員会であるかと、こういうことであれば、もっと広範な使命を持った委員会でございますので、そういった意味において、先ほど申しましたように、第三の課題のごときは最も重要な問題である、こういうような趣旨に私はお答えしたつもりでございます。
  68. 田畑金光

    田畑金光君 核兵器は持ち込まない、核兵器の持ち込みはあくまでも拒否する、こういう総理以下長官先ほど来の御答弁でございますが、そういう話し合いはここでいつやりましたか。
  69. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) これは総理も、外務大臣からも、委員会その他でたびたびお答えした通りでございまして、正式課題としては日米安保委員会の議題になったことは私は記憶しておりません。しかしながら、われわれの方針は、この委員会の発足以前から、日本政府方針というものははっきりしておるわけであります。また、現実において、米駐留軍において核装備をいたしておらないという事実ですね。その事実にかんがみて、お互いに相互に信頼して、それによって問題を処理していこうという建前において、これはもうきまった問題であるというように私は考えておる次第でございます。
  70. 田畑金光

    田畑金光君 サイドワインダーを受け入れるような話はここでやるけれども、第三項の、一番大事なと長官お話にあるように、一番国民の希望する願望は、たとえば核兵器の持ち込み等については、もうわかり切っていることだから話さなくても当然だ、こういうことでお茶を濁しておられますが、これはどうも話が合わぬという感じがするのですがね。こういうようなものこそ一つ日米安保委員会等で、国民の意思はこうだ、国会の意思はこうだということくらいはお話しなさったらどうですか。それはようやりませんか。
  71. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) この問題は、総理初め、外務、私もお答えしたと思いますが、政府方針は、またその問題の取扱い方については、お答え申し上げたと思っておるので、その通りに御了承を願えれば仕合せでございます。
  72. 田畑金光

    田畑金光君 この安保委員会の問題等は、一つ追って総理大臣の出席を求めて、さらにお聞きすることにして、この国防会議ですね、サイドワインダーの受け入れとか、こういう新しい重要な兵器の受け入れ等については、国防会議等をむしろ開いて相談をなさる必要がありはせぬか。ところが、国防会議というものが、せっかくあれだけいろいろ国会で難渋してようやく成立した法案でありますが、去年から何度国防会議というものを開かれたわけですか、また、どういう問題を取り上げておやりになったのですか。
  73. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) お答えいたしますが、国防会議は一昨年から開かれておると思います。正式の会議は、昨年末までに七回くらいだと思います。それから、国防会議全員のメンバーで、国防会議関係閣僚懇談会という、ほとんど実質的の会議と同じものでございますが、これは十一回開かれたわけでございます。  それで、六月までは、主として国防基本方針、また防衛整備目標といったような問題が会議の議題になり、その研究をしたのでございます。その後正式の国防会議において、また懇談会において、航空関係その他の問題、これは実行上に関したものが主としたものでございますが、航空機と申しますか、これは海の方でございますが、P2Vというものをいよいよ国産化しようといったような問題が、懇談会にも、また国防会議にも出されたということでございます。その他、空の関係、新機種の問題についても、数回にわたって審議しました。サイドワインダーについても、この問題の措置について開かれたこともございます。いろいろ雑多でございまして、一々具体的にお答えすることが、ちょっと今準備がございませんが、そういうような事情でございます。
  74. 田畑金光

    田畑金光君 今まで国防会議が何回開かれ、どんな問題を討議してこられたか、それからいわゆる国防会議にかわる閣僚懇談会というものが何回持たれて、どういう討議をしてきたか、その資料を一つこの次の機会にすみやかに御提出願いたいと思います。  それから、先ほど私がお尋ねいたしました日米安保委員会がここ四回開かれておりまするが、そこで取り上げられた内容等について、資料として御提出願いたいと思います。  質問は実に膨大にあるわけで、これからまあだんだんとお尋ねしていきますが、きょうは私の時間が来ましたので、これできょうのところはとどめておきます。
  75. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 私は、現在防衛上の問題になっておりますることについて、二、三、防衛庁長官にお伺いしたいと思います。  まず、次期の主力戦闘機についてでありますが、これは御承知のように、一昨年来の懸案であったようでございます。防衛庁では最近、米グラマン航空機の例のスーパー・タイガーですか、これを採用することに大体きまって、明日の国防会議において正式に決定されると、そういうような報道がなされておるわけですが、そこでお伺いしたいのは、米国でもこのスーパー・タイガーというような新鋭機はまだ二機くらいしか試作がされていない、こういうように聞いておるのです。そういうようなものを選定せられた理由を、まずお伺いしたいと思います。
  76. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) このF−86Fのあとに製造するいわゆる新機種と申しますか、その問題は、相当長い間慎重な検討を加えてきたわけであります。今日まで、あらゆる角度から検討を加えました結果、防衛庁としては、わが国に適して、またその性能関係その他諸条件に適合したものとしては、F11Fというものが適当であろうという一応の結論に達したわけでございます。しかしながら、この具体的の計画はまだ今後に属するものでございます。  なお、御説のように、国防会議によって十分御検討を願わなければならぬ問題でございます。そこで、今のこの飛行機の性能と申しますか、実験関係というか、そういった部面においてまだ十分でないものがあるというようなことについての御質問ございました。これは長年というと言葉は悪いのでございますが、相当長期にわたって種々検討を加え、航空機としてはあらゆる実験の段階は済んでおります。また米国においてもある一定の数を作り、また、これを発注する——発注したと思いますが、そういうことでございます。従って、この機種自体にそういったような御懸念になる点はないと申し上げていいと思います。この具体的のことは、いずれ今後検討を加え、また国防会議の御検討を願った上で、その上でさらに十分具体的の計画を立てたい、こういうことでございまして、まだそういった具体的の計画というものができたという段階ではないわけでございます。
  77. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 現在のF−86Fでも、音速よりややおそいということは承知しておりますが、それでもなかなかパイロットの養成には困難しておると思うのです。現在五十名とか六十名というふうに聞いております。この数字については、後ほど正確のところを教えていただきたいと思いますが、かようなことであって、今後こういう新鋭機を次々に作られるということになると、技術の面と製作の面でどういうふうにこれを並行させていくことができるのか、技術との関係で非常に困難になるのじゃないかと、そういうふうに思うのですが、パイロットの技術、それと新鋭機との関係はどういうふうにして調整をしていくのか、こういう点を明確にお知らせいただきたいと思います。
  78. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) このパイロット、操縦の関係でございますが、現在のF−86FまたF−86Dというのが若干参っておりますが、この操縦士の教育訓練というものは、ジェット機として適当に操縦し得るような十分な訓練が現に積み上げられ、また今後この新しい新機種がかりに国産化するといった場合になれば、相当の年所を要するわけでございます。これが実際の生産に当って、従ってパイロットの養成計画も、これがきまりまして一定の具体的の計画を立てるということが当然のことであります。しこうして、技術上の観点から申しますと、これは専門家によって十分の検討を加えたところでございますが、F−86DとかあるいはFとかいったようなものに熟達したるパイロットは、わずかの補助的というか、補習的の訓練をすることによって十分これが操縦し得るのだ、こういう見通しを持っておるわけでございます。いかなる程度、範囲にこの操縦士の養成計画を立てるかということは、一にこの生産の計画が具体化するとともに、相待ってこれは具体化していくべきものだ、こう思っておる次第でございます。整備についても同様のことでございます。
  79. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 この問題をなお詳しくお聞きしたいと思うのですが、それにはどうしても資料が必要になってくるわけです。そこで、そこにお手元にあればお伺いしたいのですが、各機種別のパイロットの現在数ですね、それを一つ、おわかりでしたら、今お聞かせいただきたいのですが、それと今後の機種別パイロットとの養成計画、それはお手元にあれば、同時にお聞かせいただきたいと思います。もしなければ、なるべく早めに資料として出していただきたいと思うのです。
  80. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) お答え申し上げます。これは本年初めの数字でございますので、若干変ったのもあるかもしれませんが、陸上自衛隊の持っております飛行機は、L機二百十七、パイロット二百七十四名、学生が四十九名。ヘリコプター二十七機、パイロット三十三名、合計二百四十四機に対しまして、パイロットが三百七名で、学生が四十五名でございます。  海上自衛隊の方につきましては、P2V八機、これに対するパイロットが二十六名、S2F十機、これに対してパイロットが三十名、PV2が十五機で、これに対してパイロットが十六名、SNJ四十五機でパイロットが三十九名、学生が六十六名、SNB十八機、パイロットが三十六名で学生が十四名、JRFが四機に対してパイロットが九名、PBY二機、これに対してパイロットが五名、TBMが二十機、これに対してパイロットが十五名。以下ヘリコプター、ベルが七機でパイロットが十六名、S−55が三機に対してパイロットが五名、S−51が三機に対してパイロットが五名、総計百三十五機に対しまして、パイロットが二百二名でございまして、学生が百四十九名でございます。  航空自衛隊の方を申し上げますと、T−34が百三十八機、このパイロットが百十名、学生が百三十三名、T−6が百七十六機で、パイロットが百七名、学生が百五十二名、Tー33百八十八機、これに対してパイロットが六十七名、学生が百二十三名、F−86Fが二百四十機で、パイロットが七十三名で、学生が四十名、C−46が三十五機で、パイロットが三十六名、学生が十一名。あとは実験機種として五機で、パイロットが四名、操縦配置にないパイロットが二十三名。総計七百八十二機で、これに対して四百十四名のパイロット、学生が四百五十九名ということになります。  今後におけるパイロット養成計画でございますが、今申し上げましたように、陸上自衛隊の航空機、海上自衛隊の航空機につきましては問題はないと思います。問題はジェット機でございまして、F−86F及びこれにかわるFXについて申し上げますと、現在のパイロットの数が約八十七名ございます。正確な数字はちょっと……。三月三十一日の数字はまだ手に入っておりませんから、約八十七名でございます。これを昭和三十三年末におきましては百七十八名にふやす。三十四年におきましては三百十四名、三十五年におきまして四百十二名に持っていくというふうに予定をいたしております。  今までF−86Fのパイロットの養成が思うように参りませんでしたのにつきましては、いろいろ事情がございますが、私ども考えますのは、やはり一番大きな事情と申しますのは、ジェット機の訓練は、昭和二十九年に航空自衛隊が発足いたしましてから、三十一年の春に数機をもって始めたのでございます。今までプロペラの方については相当経験ございましたけれども、ジェット機の方については経験がなかったものでございますから、米軍の方のいろいろな資料を手に入れまして、これによりまして一応の計画を作って始めたわけでございます。ところが、やってみますると、なかなか思うようにいかない。一つは気象の条件もございます。月間何時間飛べると思ったのが、天候の関係等で飛べない場合がございます。それから、補給整備の関係が米軍ほどうまくいかない。補給整備の関係で、飛行時間が短かくなるということもございます。  それから、操縦者の養成が、初め全然のしろうとから始めまして、二十数カ月かかるのでございますが、各段階におきまして、当初計画をしておりました率よりか落ちていくものが多いのでございます。最初に地上の教育をやりまして、それからT−34という初級の練習機、プロペラの練習機、これをやりまして、それを終りましたものをT−6という中級のプロペラの練習機へ持っていきます。そして、T−6を終りましものをT−33という、初めてジェットの練習機の訓練に移す。T−33を終りましたものを、F−86の戦闘機の訓練に移す。それを終ったものを一人前のパイロットとするのでございますが、各段階におきまして、予想いたしました以上にパイロットの卒業する者が少いというようなことが重なりまして、思うようにいかなかったのでございます。また、一つには、飛行機の機体自体につきまして思わざる故障等がございまして、その間同じような機種の飛行機は全部飛行をとめまして、詳細なる点検訓練をする。そのために飛行の時間が短かくなる。  いろいろな事情が重なりまして、当初計画いたしましたものよりも相当おくれて参りました。しかしながら、すでに二年以上経過いたしまして、大体におきましてわが国情に合った、現在の実際の事情とあまりそごのない訓練計画を立て得る段階に私どもは参ったと思っております。今後、今申し上げましたような数字につきましては、今までのようなことなく、大体これに近いところで完成するのじゃなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  81. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 国内生産ということになりますと、技術とか、その他いろいろ困難な問題が起きてくる。そういうことが心配されるわけです。そこで、そういう点についての長官の見解を伺いたいと思います。
  82. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 御承知通りでございまして、ジェット機の生産ということは非常な高度の技術を要するのであります。従って、これを完全にこの段階で生産するためには、勢い、あるいはエンジンであるとか、中に装備する機材というようなものは、国産に待つことができないものも相当ございます。なるべくわが国の産業というか、防衛の裏づけになる必要な産業を自給して、そしていわゆる自主的の防衛という広い意味の必要を認めております。従って、今の段階において、必要なる外国製の機材等を使用することはやむを得ないといたしましても、極力国内産の機材によってこれが補給できるというような態勢に持っていきたいと、こういう趣旨でございます。その意味におきましては、同種の機体が海外にあるにかかわらず、これを国産化するという方針で参ったのでございます。  だんだん、防衛産業におきましても、非常な進展を見ておるものでございまして、F−86に次いで、P2Vという海上の必要な航空機も国産化するという方針でいっております。新機種についてもそういった方針でやりたいということにいたして、よりより検討を進めておるわけでございます。こういったことによって、漸次わが国においてこういった所要の機材なり機体はもちろん生産するように、これを助長していくということが、防衛上においても必要だろう、こう考えて、せっかく今その途上にある、こう申し上げていいだろうと思います。
  83. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 この機種選定に関連して、いろいろ日米独占資本家の間で相当の摩擦もあり、相剋もあったように聞いておるわけなんですが、そこでこういう業者との関係で、特に業者からのいろいろな都合で、それがまたときには圧力というふうな形にもなってくるでしょう、いろいろな形で。そういう面からの関係で、機種決定というふうになったのか。それとも、純粋な防衛上のいわゆる戦略上の必要から、こういう機種が決定せられるようになったのか。その点を明確にしていただきたいと思います。
  84. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) この機種決定が、相当慎重に諸条件を検討した上で、防衛体制上最も諸条件に適合したものを選定するというところに、相当の期間をついやしたわけであります。防衛庁といたしましては、防衛上の見地から最適のものを選択するという以外に何ものもないわけでございます。従って、いろいろ機種というものはたくさんあるものですから、いろいろな説明等もするものもありましょうが、これは計数なりその他の機能は、比較すればこれは出てくるものでございます。従って、防衛上の見地から見て、これとこれと比較して、こういうものがいいのだということは、大体において明瞭になることだと思います。万能の飛行機はもちろんございません。しかしながら、わが国において適当であり、また機種自体として防衛上最も有効であり、またその他の条件にも適合するというのをきめるという以外には、何ものもないわけでございます。そういった意味において、先ほど、大ていの機能を今持っておるというその機種は、そういった見地に適合した、こういうことと御了解願いたいと思います。
  85. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 第五回の安保委員会が四月十四日に延期になった、こういうふうに聞いております。そのことに関連して、この議題なり、日本側の議題に対する態度、こういうものを具体的にまず承わりたいと思うのですが。
  86. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 大体十四日に開かれるということは、外務当局の方からの連絡がございました。まだ、どういうものをかけるかという全部の打ち合せが済んでおりません。おそらく今週一ぱいかかることと思っております。そういうわけでございまして、まだ私は外務大臣と、これとこれとやろうというようなことの打ち合せの今日まで余裕はなかった。まあ大体十四日に開くという連絡は受けております。そういった事情でございまして、十分検討をいたしたいと、こう存じております。
  87. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 それでは、その内容を決定次第お知らせいただきたいと思うのですが、決定のときに。  次に、領空侵犯の問題に関連して、二、三お伺いしたいと思いますが、これは前に長官が、今から一カ月ほどしてこれを実施したい、こういうふうに言明せられておるわけですが、北海道地区にだけ限定せられてある理由を、まず伺いたいと思うのです。
  88. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 領空侵犯に対する措置でございますが、お答えする前に、ちょっと付言しておきたいと思いますが、これは実力行使といういわゆる防衛出動じゃございませんが、単にわが国の領空に国籍不明の飛行機が、国際協定または日本の法令に違反して、許可なく飛来した場合に、適当な措置を講ずるということが、領空侵犯に対する処置でございます。これは、わが自衛隊の航空部隊がまだ教育の段階にあって、訓練の段階にありまして、そういったような措置を講ずることができなかったのが従来の実情であったわけです。しかし、最近ある程度これが実働的の部隊に育成されて来たわけでございまするから、日本の領空に対する侵犯のこの措置についても、当然に自衛隊法に基く使命として、これを実行すべきじゃないかと思いまして、先月一応のこれに対する準備をするようにという一般命令と申しますかを、長官から部隊に出したわけでございます。実行は、それに対する準備ができまして、その完成を待って、日取りをきめ、また詳細の訓令を出したい、こういうのでございまして、先般予算委員会において御質問のあった際には、約一カ月くらいかかるだろうと申し上げましたが、まだその準備が完成いたしておりません。まだ二週間かかりますか、そういった実情でございます。  なお、現在の航空自衛隊の実情から申しましては、北海道における千歳における航空の部隊においてこれに対する処置が可能であろうと、現状においてはそう思っておるわけでございまして、その他の領空に対しては、米側との講和条約発効後における往復の書簡に基いて、米空軍において必要なる措置をとる、当方はこれに協力をいたすということによって、この領空侵犯に対処しよう、こういうことに相なっておる次第でございます。
  89. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 当分の間は米空軍もこれに並行して措置する、一緒に加わるというふうに伺っておりますが、当分の間はやはり米軍はこれに参加するのですか。もし参加するとすれば、米軍との間に何かいろいろ協定とかそういうものが取り結ばれておらなければならないと思うのですが、そういう点がもしあれば、その概要について伺いたいと思います。
  90. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) わが航空部隊においてこの措置をとることができる部面においては、これはわが航空部隊においてこの措置をとる。しかし、全国にわたってそういう措置が今は可能ではないわけでございます。なおまた、このいわゆる警戒管制といったような、そういったような観点からいきますと、今のレーダーの関係等が、これはまだ日本に引き継いでいないわけでございます。それの関係から申しますれば、米空軍のそういった施設とある程度連絡し、調整をしていく必要がございます。でありますから、この問題については米側とも十分打ち合せをして、これの目的を達するようなことができて、実行——地域的とか申しますか、その部面に対する措置は万全を期していく、こういうことになっております。  しかし、ここで一言申し上げておきたいことは、わが航空部隊の指揮については、これはわが方の指令のもとにこれが措置を講ずる。指揮権の関係というものは全部わが方にある、こういうことでございます。その間に紛淆はないということに御承知願いたいと思います。
  91. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 昨年の領空侵犯については、北海道で十八件あったというふうに聞いておりますが、そういうことで、今後こういうような問題が起きたとき、果して領空侵犯であるかどうかという判定、それから正当防衛であるかどうかというような判定については、これは当然日本側がやると思いますけれども、その点をはっきりお伺いしたいと思います。
  92. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 今の計数でございますが、国籍不明の外国機と認められるものがわが領空を飛んでおるということを、認められたという事実にすぎないわけでございます。十八件という統計があると、こう申し上げたわけで、果してその飛行機がどこの国籍であるかということの確認ができなかったものも含めてでございまして、領空侵犯の措置をとる場合には、まずそういった事実の確認ということも一番最先に大事でございます。従って、領空侵犯の事実何件あると、こういう計数ではないと御了承を願いたいと思います。  なお、これに対する措置については、自衛隊法においては、明らかにそういった航空機が日本領空、領海の上を通じてきた場合には、これを着陸させるかまたは領空外にこれを退去さすというだけの措置でございます。従って、先ほど申しましたように、これが侵略であるというようなことが起らない、確認のない以上は、防衛出動とか何とかいうようなものは、この領空侵犯に対する処置としては考えられないということであり、全然これは別個の行動であると、こういうふうに御了解願いたいと思います。
  93. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 実弾を発射する場合は、正当防衛の場合に限られておるというふうに聞いておるのですが、もし、かりに米空軍が日本軍に先だって宣戦して、実弾を発射したような場合には、どういうことになるわけですか。そういう場合も理論上当然考えられるわけですが、そういう場合の正当防衛の解釈はどうなりますか。
  94. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは二十八年一月に、日米間におきまして、日本の防空に関する、米軍側が防空任務に当るということにつきましての話し合いがあったわけでございますが、その際における了解事項といたしまして、国際慣例に従ってやるものだということがあるのでございます。国際慣例と申しますと、まずやはり警告を与える。警告を与えるにつきましても、いろいろな方法がございましょう。無電でやる場合もございますし、あるいはその翼を振って合図をするとか、飛行機の前方をさえぎって着陸または退去を要求する、あるいは飛行機にくっつきまして下へおりろとか、行けとかいうような、いろいろな方法があると思います。そこまでは触れておりませんけれども国際慣例に従ってやる。そこで、そういうふうな措置をとりまして——これはどこでも認められておることでございます。それからまた、相手が攻撃をすれば、これはこちらも、正当防衛ということも国際慣例として認められておると思います。大体私どもの了解しておるところでは、そういう当時の国際慣例について、どういう点まで詳しく話し合ったかということは存じませんけれども、一般的にそういう了解のもとにやっておったものと思っておりますので、今お尋ねのような心配はないものと思います。
  95. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 北海道千歳の第二航空団にはF−86Fが三十六機ぐらいと聞いております。パイロットの数については、それ以下のように聞いておるのです。まあそれと同じ数にしても、これは大体昼間だけしか飛べないと思うのですが、そういうことで緊急邀撃態勢を果してとれるのかどうか。そういうことは一応も二応も考えられると思いますが、この点を明確にしていただきたいと思います。
  96. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) パイロットの数は、三月末におきまして三十名の予定でございます。まだ確かめておりませんが、間違いなかろうと思います。それでありますから、飛行機は三十数機おると思います。現在、第二航空団に所属しております飛行機はF−86Fでございます。これは、今御指摘の通り、昼間戦闘機でございまして、全天候ではないわけでございます。夜間等におきましては、まだ、北海道の上空におきましても、これは米軍のF−86Dその他の全天候戦闘機の援助を受けなければならないと思います。
  97. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 三沢基地の米軍、F−86Dですか、これは全天候飛行可能というふうに聞いておるんですが、それが速度からいうと、やはり音速よりやや落ちるという程度だと思うんです。もし、かりに、これは仮定でございますけれどもソ連の戦闘機が、かりに音速以上の機を持ってきた場合に、強制着陸させるとか、その他、適当な措置をすることができましょうか。敵機よりもおそい飛行機で、こういうような着陸命令を出すとか、そういう措置はできないと思うんです。はるかにあとから飛んでるわけですから、追いつかないわけです。飛べども飛べども追いつかないわけですね、相手よりおそい場合は。そういう場合はどうなさるのです。
  98. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 私ども承知しておりまする範囲におきましては、ミグ一七という飛行機は亜音速——約音速に近い速度でございます。これに対しまして、F−86Dは大体同程度から若干落ちる程度かと思いますが、在日空米軍におきましてはF−100Dという飛行機を持っております。これは一・数マッハの飛行機でございまして、速度の点におきましては問題はなかろうと考えます。  ただ、考えまするに、一般の、侵略とか何とかいうことなら別でございまするが、領空侵犯という場合は、いろんな事情がございましょうが、実際は、領空と申しましても、正確にわかるわけじゃないんです。大体領空の上を越えたかどうかということは、非常に不明な場合が多い。意図を持って入ってくる場合というのは、私はやはり少いのであろうと。その場合に、飛行機は、最大速度一マッハ出るとかなんとか申しましても、最大の速度で飛べる時間というものは、始めから終りまで飛べるのじゃございません。限られた時間しか飛べない、燃料の関係等ございまして。そういうことを勘案いたしますると、大体私は大丈夫だろうというふうに考えております。
  99. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 なまじっか、あとから追いかけていって強制着陸を命ずるというようなことは、相手方を刺激し、また戦闘態勢をしかけるような事態にもなりかねないと思うんです。そこで、これはよほど注意を要すると思うんですが、この点に関する長官の御見解を伺いたいと思います。
  100. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 領空内から退去したものを追っかけていってどうするということじゃなくて、これは退去が主なものでございます。そういった場合に、この措置から不祥なことが起るということは、まあ事実上考えられない。従って、部隊のこれの任に当る者に対しては、十分こういった点について考慮を加えるように、非常な綿密な指令をするということになっておりまして、一般命令とともに、また部隊として幕僚の方からも、十分間違いないような措置をとるような、そういった訓令というか、指令が出ると、こういうことに相なるわけでございます。その点は御懸念ないと、こう思うわけでございます。
  101. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 去る二月四日の参議院の本会議で、防衛上の問題で亀田委員長官に対して質問いたしました際の、まだ不明確の点がありますので、その点をこの際お伺いしたいと思うんですが、米軍の配備については連絡があるけれども装備については連絡がないのでわからないと、そういう意味の御答弁があったわけですが、もし、かりに装備について連絡がないのでわからない、そういう仮定に立てば、全然アメリカ装備がわからないということであれば、日本防衛計画も立たないことになろうと思います。なおまた、日米共同作戦もできないということになろうと思うんですが、この点を一つ理解できるように御説明いただきたいと思います。
  102. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) ちょっと、今の国会の答弁が、どういう前後の順序、いきさつかわかりませんが、私の関する限りは、飛行機その他装備についても連絡を受けておるわけです。ただ、それを全部報告申し上げるという自由を持たないという趣旨を言っておるんだと私思いますが、御承知のように、向う——米軍で公表するもの以外は、これは機密なこととして、日本の法制でもそういう機密保護の規定もございまするが、また防衛の必要からいっても、一々これを私の方から公表することはできぬという考えに立っておりまして、もしその言葉に万一不足があれば、そういう趣旨のことを言うべき場合であったかもわかりませんが、まあ要すれば、米軍の装備は、こういう飛行機があり、こういうものがあるということは、私どもとしては連絡を受けているわけです。しかし、それを、こういうものありということは、これは防衛上の機密であり、また先方で公表するといったもの以外は、これを公表していいかというようなちゃんとした打合せのもとに言うという建前になっておる次第でございます。
  103. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そうしますと、米軍から連絡はあるけれども、軍機の秘密保護で発表できない面がある、そういう意味になりますと、結局、今お説のように、軍機保護法も機密保護法も現在はないと思う。将来できれば別ですが、そういうことを考えた場合、その発表できないという法的根拠はないと思うんですが、これは米軍からの連絡の内容を発表できない理由、法的な根拠を明確にお知らせいただきたいと思います。
  104. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) これは、機密保護というのは法律の名前ではございませんが、刑事特別法というのがございまして、駐留米軍の施設であるとか、その他の部隊編成とか、装備については、これは一定の制限、禁止がございまして、これに違反したものは一定の刑罰があるという特殊の立法がございます。その規定が、これは単にわれわれのごとき防衛担当者のみならず、これは一般の国民にも適用できる特別立法でございますので、その規定によって、先方が公表するというようなことはいいわけでございますが、具体的に項目を書いてある法律がすでに制定実施されているわけです。名前は、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定に伴う刑事特別法という法律がございます。これによって禁止制限を受けております。こういう次第であります。
  105. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次に、防衛庁の予算についてもう一度お伺いしたいと思いますが、これは私が申し上げるまでもなく、防衛庁の予算のむだ使いということは、しばらくの間相当論議の中心になっておったと思うのです。そういうむだ使いをしても、なおかつ、年によっては二百億という巨額の金が残っている。たとえば技術研究所などは、前年度十二億の予算のうち九億も残している。これは言いかえれば、四分の一は使ったが四分の三は残ってしまった。なぜこんなに使いもせぬ巨額の予算を組まなければならないのか、そういう点を伺いたいと思います。
  106. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 過去において、防衛庁の予算で不用になり、また繰り越したものが、相当多額であったということは、まことに遺憾なことでございます。三十一年度から三十二年度に繰り越された額も、二百三十六億ということに相なっておる次第でございます。これは、その当時、また決算委員会等でも、種々御論議になった点でございまして、いろいろ設計がおくれるとか、あるいは自衛隊の使用する施設、特に演習場等の改修施設がおくれるとかと、いろいろな、また米から期待しておる物資がいろいろな事情で遅延するとか、そういった事情もあり、そういったような金額が出されてきたということでございます。これはまことに遺憾でございます。  従って、三十二年度におきましては、特にこの点に私は十分厳重なる指令を発しまして、計画的に、年度初めから年度末にわたって、一年を通じて計画をし、またいろいろな発注すべき設計等についても、非常に促進、督励をいたしまして、三十二年度はまだ決算をいたしておりませんが、今までの実績を見まして、計数は経理局長から申し上げますが、未済繰り越しで、すなわち、契約もできないで、今年度に持ち越したものは、三十億を割ると思います。また全体の契約済みというか、使用済みであって、それが来年度において支払いを必要とするというようなものを合せましても、大体八十億見当になるのじゃないか、こういうようなわけで、その点においては、非常に私は努力を重ねたわけであります。そういう結果で、御注意の点は一そう今後注意を重ねまして、そういった面からのまた御批判を受けることがないように、せっかく努力して、ややその成果が上がってきたと私は申し上げて差しつかえない、こういうふうに思っておる次第でございます。  計数の点は経理局長の方が正確でございますが、ちょっと御報告かたがた申し上げます。
  107. 山下武利

    政府委員(山下武利君) ただいまお尋ねの、三十二年度予算の繰り越しの問題でございますが、まだ決算が締まっておりませんので、はっきりした計数は出ておりませんが、現在の見通しといたしまして、未済繰り越し、つまり契約をしないままで翌年度に繰り越します額は、昨年の繰り越しの百三億円に対しまして、本年度は、先ほど長官から三十億を割るというお話がありましたが、実はそれよりもだいぶ少くなりまして、現在のところでは十六億見当と考えております。それから契約を済ませましたままで繰り越す、つまり契約済み繰り越しと申しますのは、これは今のところ、まだ正確に申し上げる段階に参っておりませんが、大体契約未済と合せまして、百億以内にとどまるものと考えております。この計数は、三十一年度につきましては二百三十六億でありましたが、それに対しまして百億以内にとどまるものと考えております。
  108. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 長官は以上のように御説明になったわけですが、雑誌その他、いろいろ軍事評論家等の意見を調べてみますと、アメリカ日本防衛努力を予算の金額だけではかって、防衛予算が少いと、日本防衛努力が足りないんだと、そういうふうにして日本政府をきめつけるから、こういう必要のない膨大な予算を組むのだと、そういう意見を発表しておる人もあるわけなんです。こういう考えに対して、長官はどうお考えになりますか。
  109. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 大体わが国整備目標というものは、金額できまっていないものでございます。御承知のように、飛行機は三十七年度完成を目途としての千三百機、これは何億円要るかということは、これは機種の決定その他から、生産のそのときの条件によるものでございます。また船艦についても、量できまっているわけであります。トン数と申しますか、そういった意味におきまして、その実行の最終目標に対して、岸・アイゼンハワー共同声明にありますように、日本防衛計画について歓迎の意を表したというような言葉もございまして、それを十分知っているわけでございます。従って、関心の重点は、その年々の防衛庁費の歳出の増減というよりは、その計画そのものが実現の途上にあるか、どういうふうにやっているかということに、私はおそらく関心を持っているだろうと思うのですね。  従って、専門家の目から見れば、金額が膨大であるから、これは大丈夫だということは、これは見当の違った話でございまして、要は、こういったような整備目標が質的にもりっぱなものになっているかどうかということに、私は関心を持つだろうと思うのでございます。防衛庁費が少いとか多いとかいう問題は、その裏と申しますか、そういったような問題であろうと思うのでございまして、現に三十三年度予算においても、この整備目標に沿うべく第一年度を計画し、予算も即応して計上していると、こういうことでございます。
  110. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 今私が申し上げましたように、アメリカ側としては、日本防衛努力を予算ではかっていると。そういうようなことから、日本本土の防衛に必要のない兵器まで、あるいは買ったり、あるいは作ったりしている。たとえばP2Vですね、例の大型の対潜哨戒機ですが、これは一機七億円ぐらいすると思うのです。この対潜哨戒機について、防衛庁としては、三十七年度までに六十機生産する計画を立てている、そういうふうに聞いておりますが、こういう点も、日本の本土防衛に必要である兵器ならばいざ知らず、これは専門家のいろいろ話を総合すると、あまり必要ないというふうな意見を聞いているわけです。そういうことになると、こういうところにもむだに金を使われているのじゃないか、そういうふうに考えられるのです。この点を一つ、理解のいくように御説明願いたいと思います。
  111. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) P2Vのお話でございますが、これは四十二機の計画でございます。三十三年度から始まりまして、五年の計画でございます。四十二機でございます。全体の金額は、これは米側におきましてもそれに必要なる機材等の提供がございまして、大体総額の半分強でございますが、これは相互において、その計画に必要なる資金の年次割りの協定を持っているわけでございます。  このP2Vが、今お話しになったように、あまり必要のないものかどうかという点になりますが、これは対潜哨戒機でございまして、潜水艦に対して空中からそれを観測して、そうして適当な連絡をして、これを防衛するという……。役割としては、これは地上、艦上からはとうていそういったことができない部分を、航空機によってそれが行われるという意味においては、国の防衛、港湾の防衛、近海の防衛ということにおいては、私は最も有効であり必要なものとして、これだけの経費もかけてやるということでございまして、現状においてはそれがないわけでございます。全然ないことはございません、米供与のものがほんの数機ございますが、これは一定の、全体の日本領空、領海を通じてこの程度の……。これは海上自衛隊に所属するものですが、防衛上必要であって、また最も有効なる航空機である、こういうことになって、長い間のいろいろな折衝、研究の結果が、やっとそれがつきまして、三十三年度に初年度の経費の計上をいたした、こういうことになっておるわけであります。
  112. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 ただいまのP2Vですが、防衛庁内でも意思統一はなされなかったと、週刊新潮という雑誌がありますが、その他にもそういうような意味の指摘があったわけです。この内容を検討しますと、その性能とか、費用とか、今問題になりました必要性、こういう点についていろいろと批判がなされたために、防衛庁内では意思統一もなかった——現在あるかもしれませんが、その当時そういう意思の不統一があったのだ、またそういう点は、検討があまり十分になされないままに国内生産に移しを決定せられた、そういううらみがあるのではないか、そういうようにも聞いておるわけですけれども、この点についての長官のお考えを伺いたいと思います。
  113. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) これはあらゆる重大な事項については、いろいろな批判もあり、反対もあり、それによって検討を加え、そうして切磋琢磨していいところの結論を得るというのは、私は当然だろうと思う。P2Vについてどういうことがあったということは、私は十分知りません。が、防衛庁としても、わが国防衛上、海上航空のためにこれは絶対に必要なものである。それじゃほかにいいものがあるかという問題になりますと、おそらくこれは私は、現在の段階においてはこれにかわるべきものは、非常な経費をかければあるでございましょうが、国力の事情に相応したものとしては、私はこれが最も妥当な、適当な結論であって、こういったことに米側も協力して生産に着手しよう、こういう段階まで持ってきたのでございます。これはまあいろいろな、一部の者がまたいろいろな反対も……。これはいろいろ世論というものもあり、そこに研さんを重ねる余地があるのでございまして、そういった御批判がかりにありとすれば、これは最も慎重にそういったものを検討し得る機会が与えられることでございまして、この決定については、そういったような部内においてあったということは承知いたしておりません。が、結論的には、そういった段階を経ても私はりっぱな結論である、こう固く信じております。
  114. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 今御説明ありましたP2Vですね、おもに戦時の外航船舶の防衛等に使うものだと思いますが、これを大量生産する理由は、日本戦争に不幸にして巻き込まれた場合とか、約一年間もの長期戦を遂行することを予想した、そういうときに必要のように聞いておるのですが、この点は一つ明確に御説明いただきたいと思いますが、そういう意味合いで使われるのかどうか。
  115. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 私の承知しておる限りにおいては、数量、機数の問題は、もっと多いことが望ましいという意見もあったようでございます、六十機という……。それを四十二機というところに縮減したという経過もあるのでございます。何分にも日本は四面海に面して、その海面も非常に多いわけでございまして、こういった陸地の国と違った地理的な条件というものも考慮して、まあこの程度最小限度に必要であろうというところにこの機数を決定いたしたと、こういう次第でございまして、別にこれによって全部完全であるという程度のものではないというぐらいな見方をいたしておるわけでございます。
  116. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 私が長官にお伺いした要点は、これは、こういう船の性格から、長期戦になった場合に主として必要であって、というのは、物資を国外から補給する、これを護衛するというような意味合いがあるというふうに私は聞いておりますけれども、果してそういう見方でいいのかどうかということをお伺いしておるわけです。
  117. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) まあ長期戦という言葉はどういう意味ですか、今までのヨーロッパ一次、二次大戦といったような、数年にわたるというような意味の問題であるか、比較的ある一定の期間……。どうしてもわが国は、御承知のように、食糧が足りないし、原料、資材というものはほとんど外国から重要なものは仰いで、そうして国民の生活の安定、経済を維持していくというわけでございますから、その輸出入のとまるということは、これは国の経済そのものの混乱、民生の安定を破壊するというところに、どうしても海上の防備等に、艦隊によりいわゆる輸出入の確保をはかっていくということが、国力相応にはやる必要があるわけでございます。長期戦であるというその意味がどういう趣旨であるかわかりませんが、われわれはとにかくまあ必要な限度整備をして、そうしてそういったような重大な事態の起らぬように、これをやっていこうという趣旨にほかならないわけでございまして、期間がどうであるから何機要るとか何とかいうような、そういった仮想の状態によってこういった機数が出たものとは思いませんが、ある一定の限界というものは、これは最小限度の必要だという観点から、こういった機数も計算しておるようなわけでございます。
  118. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 もし日本が不幸にして戦争に巻き込まれて、一年以上戦争状態になった、そういうことは非常に、理論的にはあり得ると思うのですけれども、実際は別問題として。そういう場合に、一年以上ということになると、大体常識で判断して長期戦というふうに解釈していいと思うのですが、そこで、この一年くらいの長期戦に日本として耐え得る、こんな交戦能力があるのかないのか、そういうことをまずお伺いしておきます。
  119. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 防衛局長から計画お答えさせます。
  120. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) ただいまのお尋ねは、今後における戦争というものが、まあそれこそ核戦争等になりますので、速戦的に行われるのではないか。そうすると、海上護衛——P2Vと申しますよりは、海上護衛そのものに対して必要がないじゃないかという趣旨のお尋ねのように思うのでございます。その点につきましては、軍事専門家の間にもいろいろ議論がございますけれども、大体におきまして、戦争の山は早期に来るだろう。しかし、戦争そのものは必ずしも短期に終るのだというふうな判断は、私は正しくないと思うのであり、私が正しくないと思うのみならず、軍事専門家の意見がそうでありまして、私どももそう思っておるのでございます。いずれにいたしましても、日本のように原料なり食糧なりを海外から仰がなければならない国におきましては、この点に対する自衛隊としての配慮というものは、これはぜひ必要だと思います。御承知と思いまするが、昨年の英国国防白書におきましては、海軍に対する配慮というものが非常に少なかったのでありますが、ことしの英国国防白書におきましては、この点において重大なる転換をしておりまして、海軍力というものに相当の対潜能力を与えなければならぬということを明確にうたっております。やはりそこらのところは、今後の戦争の成り行きというものに対しまして、今申し述べたような私どもの考えておりまする判断が正しいのではないかという裏づけの一つにもなると思うのでございます。  このP2Vは、四十二機を国産いたしまするが、米国からの供与十六機の予定でございます。現在そのうち十機が参っております。今後六機の供与を受ける予定でございます。国産いたしまする四十二機と、米国から供与を受けまする十六機、五十八機をもちまして、能力といたしましては距岸三百海里の哨戒を一日三直で実施し得るという能力を持つのでございます。三百海里以内の潜水艦の哨戒につきまして、一日三回やれるという能力を持つことになります。これはしかし、哨戒にしぼっておいた場合の能力でございまして、今お話ありましたごとく、これを海上護衛に使うということになりますると、必ずしも今申し上げたような哨戒のやり方ではいけないと思います。海上護衛に使いまする場合は、これは護衛艦十二万四千トンの防衛整備計画の中で八万数千トンと考えておるのでございますが、こういう船と組み合せまして、上空から潜水艦の攻撃を防御する。今までの例によりましても、潜水艦は飛行機の哨戒しておる水面におきましては、前大戦の例を見ましても、出没しておる回数が非常に少いのでございます。私どもはP2Vというものは潜水艦の行動の自由を制約する上におきまして非常に大きな効果を、効力を持つものだと考えております。  そうして海上防衛及び対潜哨戒、近海圏内における海上哨戒というものを、P2Vと合せて、五十八機によって処していきたい、かように考えておるわけでございます。
  121. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 今の答弁から見まして、昨年の八月二十三日、ここに実物もございますが、読売新聞が防衛庁防衛白書について詳細に発表しておるわけであります。この防衛白書、まあ名前はどうでもいいのですが、こういうものを防衛庁として、これは結局発表しなかったわけですけれども、これは理由はどういう意味ですか。せっかくこういうものを作られて、これはもちろん正規に作られたかどうか、これはまあ別として、そういうものも作られたかどうか。そうしてまた、これをどうして、新聞にはこれは一応出たわけですけれども、正規に発表なさらなかったその理由ですね、この点をお伺いしたいと思います。
  122. 門叶宗雄

    政府委員(門叶宗雄君) ただいまお尋ね防衛白書の件でございますが、昨年の七月、というのはあるいは違っておるかと思います。現在日本の置かれておる世界的な地位その他から、日本防衛はかくあるべしということを、何らか文書の形においてはっきりし、防衛庁の意見を出した方がよかろうという御意見がございまして、種々部内において意見の調整、検討を加えたわけでございますが、なかなか的確なこれだという結論に到達いたしませず、引き続き現在においても検討をとげておる次第でございます。まだ発表する段階に至っておらない次第でございます。
  123. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 官房長さんから、今お聞きのような御説明があったわけですが、この白書を発表しなかった理由として、こういうことも聞いておるのですけれども、言い当てている点はもちろんあるのですが、一つには、機が熟していなかったということですね。これは、今も官房長が言われた。それから次に、予算編成期に当面しておるので、予算獲得のためにもこれは不利に使われるのではないか……。それから大事な点は、国内の政治情勢と選挙態勢の整備。そういうことから大体これは発表されなかったというふうに、これは私の考えではございませんが、そういう意見も聞いたわけですけれども、こういう意見に対してどういうふうなお考えですか。
  124. 門叶宗雄

    政府委員(門叶宗雄君) 先ほどお答え申し上げました通り、われわれ内部で種々検討しましたが、発表するに適した適当な結論を得る段階に至りませんので、なお引き続き検討いたしたいという趣旨でございます。
  125. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 重ねて御説明のありましたように、これはまだ最終的決定に至っていないので発表していない。そのことはよく私にもわかります。そこで、まだ最終的に結論が出ていないから発表のないものを、取り上げて云々する意図は毛頭私もございませんけれども、ただ、この防衛白書なるものの内容をいろいろ見ますと、たとえば日本戦争過程を予想すれば、まず航空戦に始まって、これが主体となって、陸上戦はほとんど考えられない、また間接侵略の可能性はほとんどない、と言っているこういうような点なんですが、そこで防衛白書としてお聞きすることは、結論がないのでまずいと思いますが、ただ防衛上の問題としてお伺いするにはいささかも支障がないと思いますので、この問題を防衛上の問題としてお伺いしたいと思うのですが、  少くも、今申し上げたように、陸上戦はほとんど考えられないということが、最終結論が出ないにしても、この防衛白書なるものの有力なる意見としてあったということは、考えてよいかどうか、そういう点をまず……。
  126. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 陸上戦が将来の日本に対する侵略の場合において考えられないということは、私はないと思います。だんだんと兵器進歩いたしまして、そういう方面につきましてのいろいろな意見もあるわけでございまするが、一つここで御披露してみますと、ソ連のジューコフ元帥、前の国防大臣のジューコフ元帥が、ボールドウイン新聞記者に対する説明の中で、航空兵力核兵器の発達にもかかわらず、将来戦は航空兵器と新兵器だけでは戦争を決定することはできない。大陸軍と膨大な量の在来兵器が不可避的に軍事行動の中に入ってくるだろうということを、ボールドウインに述べているわけであります。また、ジューコフにかわりまして国防相になられましたマリノフスキー元帥も、押しボタン戦争なんて文筆家が発明したもので、戦争を実際した人の考えたことではない、どんな戦争でも歩兵なしに勝つことはできない、ということを言うておるのであります。また、アメリカの方の当局者の発言といたしましては、陸軍長官のブラッカーの言でありますが、核時代の戦争におきましても、最後の兵器は地上で戦争をする歩兵であるということを言うておるのでありまして、これらの諸外国における有力なる国におけるそれぞれの権威者の発言からいたしましても、陸上戦というものは全然予想されないということは、私は明確に言い過ぎだろうと思います。  ただ、いかなる場合にいかなる態様において陸上戦争というものが起り得るかということにつきましては、これはいろいろな想定がございましょう。開戦当初に来るか、あるいは状況を見て来るか、いろいろございましょう。しかし、戦争そのものの中におきましては、私は陸上戦争というものは不可避的に考えられなければならないものではないかと思うのでございます。
  127. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 防衛上の問題として、もし日本戦争過程を予想するというふうに考えて、陸上戦についてはほとんど考えられないということに対して、今御説明があったわけです。それは一応おいて、今後の戦争は航空戦を主体とするということ、それと間接侵略の可能性はほとんどないということ、二点残っているわけですが、この点について長官の御見解を伺いたいと思います。
  128. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) ちょっと私から御説明申し上げますが、その防衛白書というのが新聞紙上に出たということは聞いておりますが、私は防衛白書というものを防衛庁としては発表したこともなく、また今の御指摘の記事についても私は詳細読んでおりませんし、また私の方の部内においても、こういうものを発表しようというような話も聞いておりません。従って、その中に書いてあることについてのいろいろ意見はございまするが、今考えておるわれわれの考え方と相当違ったように承わるのであります。陸上部隊は必要ないとか、あるいは間接侵略はわれわれは考えられていないということは、その点においては、その記述は私どもの考えておるところと全然違っているように思うわけでありますから、ちょっと申し上げておきます。
  129. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そこで、先ほども申し上げたように、この防衛白書なるものは最終決定に至っていないので、発表の段階でないということは、私も了承いたしましたので、防衛上の問題として、たとえばの例を出したわけであります。防衛庁としては、今後、戦争過程を想像すれば、航空戦を主体にするのじゃないか。また、陸上戦については一応考えられないという意見もあるけれども防衛庁なり、防衛庁長官の見解はいかがであるか。そういう意味に、防衛上の問題としてお伺いしておるわけです。従って、申し上げたことに対して、防衛庁長官として、ないしは防衛庁として、どのようにお考えかということを、防衛上の問題としてお答えいただけば十分なんです。
  130. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 防衛上の問題として、ただいまお答えしたつもりでございましたが、その記述はよく読んでおりませんから、前後の関係等も十分わかりませんが、陸上部隊が、将来陸上戦ありということのために、そういった局面に対応するような防衛計画を実行していこう、こういう趣旨でございます。なお、自衛隊任務として、間接または直接侵略に対して国を守っていくというその使命の上からいっても、間接侵略といったようなものもここに想定した上において、適当な措置を講じ得るような整備をしていこう、こういう方針で三十三年度においてもそういった計画をここに作り上げまして御承認を得たい、こういうようにしておるわけでございます。
  131. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次に、方面を変えまして、予備自衛官という制度があるのですが、この面に関してお伺いしたいと思いますが、まず、陸上自衛隊は三十二年度末で十六万、来年度、もしかりに二法案のうちの一法案が通れば、一万増ということになるわけですけれども、大体いろいろ軍事評論家の話など承わると、今の応募状況から見て十八万くらいが限度であろう、そういうような意見を言う人もあるわけです。こういう点について、現実にいわゆる自衛官を募集しておられる防衛庁として、応募状況から見て、このことに対してどういうようなお考えをお持ちでありますか、この点、まず伺いたい。
  132. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 人事局長からお答えさせます。
  133. 山本幸雄

    政府委員(山本幸雄君) ただいままでの自衛官の募集状況は、大体四倍ないし五倍程度の応募者が得られておるわけでございます。そのときどきの募集数のいかんによりますけれども、大体毎年度二十万に近い応募者が得られておるわけでございます。そういたしますると、その趨勢は大体最近の年におきましてもほとんど動きがなく、本年に入りましてからは決して毎年に劣ってない。むしろことしは、本年度に入りましてからいい成績に見えておるのでございます。もし、かりに、これが平年度化しまして、増勢という年がなければ、平年度化しました場合に、満退その他自然退職等を含めましても、一番問題になりますところの二十、一般隊員でございますが、これの補充は、ほぼ三万を少しこえるくらいの程度でありまして、これを補充することにつきましては、さほど、楽観をすることはもちろんできませんけれども、われわれの努力をもってすれば、決してこれは不可能ではなく、ただいままでの応募状況からいたしますれば、決してこの募集は至難ではない、かような見通しを持っておる次第でございます。
  134. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 これはぜひ長官にお伺いしたいのですが、今は志願兵制度になっております。戦前は徴兵制度があったわけですが、この志願兵制度から徴兵制度に一足飛びにということは、非常に無理があるので、とりあえず予備自衛官制度を再検討して、根本的に改めて、まずそういう制度をしく。その次に、これはいつのことか時間的には言えませんけれども、その先に行って、これはもちろん憲法改正ということもからんでくる大きな問題ですが、結局、その先に徴兵制度でもしがなければ、なかなか今の応募状況からいって、この計画を進めることは至難になるのではないか、そういうような意見もあるわけですけれども、こういう問題について長官はどのようにお考えですか。
  135. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 予備自衛官のことについての御質疑がございましたが、御承知のように、現在の予備自衛官は、全体の定員を二万五千人と定められているわけでございます。しかしながら、予算の関係等から、九千五百人というだけの予算の裏づけを三十二年度には持っている。三十三年度の予算において、それを千五百人増加の予算を組んでいただきまして、三十三年度においては一万一千人ということに相なるわけでございます。定員との間にはまだ開きはございますが、これに要する経費の裏づけは、一千五百人増しまして、一万一千人というのが現在の予算並びに実行の計画でございます。まだ、そこに四千人という余裕があるわけでございます。しかし、これはわが国独自の防衛体制でございまして、陸海空を通じまして、全体を通じて三十三年度で一万一千人に予備というものがなるわけでございます。  大体、御承知のように、旧軍あるいは世界各国の現状におきましても、大体二倍ないし三倍くらいの予後備兵の必要な場合における召集というものはできるわけでございまして、はなはだ自衛隊の基盤と申しますか、そういったような奥のないものであるという体制になっているのでございます。  現状において、それなら予備自衛官を非常に膨大にするという計画ありやということでございます。この二万人の増勢によって、訓練をするだけでもなかなか、最近の装備の何が従来と違いまして、相当の期間を要するわけでございまして、あとは自由の意思によって予備自衛官に回すということで志願させるわけでございまして、今日の現状において、まずそれだけの程度しかないわけでございます。しかし、まず第一に、常備自衛隊の根幹をきちっとしていくということが、最小限度必要なことでございまして、ただいまのところにおいて、予備自衛隊と申しますか、自衛官の制度をどうしていくかということについての具体的な計画というものは、実は持っておりません。一万五千人という定員をまず充足するような漸増の段階がまず第一歩であって、その後に、一応の根幹ができた後に、どうするかという問題が検討されてしかるべきでございます。防衛の関係は、現状においては、先ほど山本局長からお話しいたしましたように、まず所要の自衛隊員の採用について、非常な努力と相待ちまして、その充足は可能であり、またこれを実現すべくわれわれは苦慮いたし、今日のところは、四倍半くらいの応募人が採用人に対してあるという状況で、われわれの計画に支障はこの部面からはない、こういう見通しを立てている次第でございます。
  136. 藤田進

    委員長藤田進君) この際、質問者に御了解得たいと思いますが、津島防衛庁長官は、衆議院の本会議の方に関係法案の議題があるので出席したいとのことで、従いまして、本日すでに四時半にもなりましたし、この程度で本日はとどめまして、散会をいたしたいと思いますが……。
  137. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 ちょっと、議事進行でお願いしておきたいことがあるのです。それはほかでもありませんが、当委員会としては相当たくさんの議案を持っております。それで、今度どういうふうに日程をお進めになるかということは、委員長初め理事各位で御相談になると思うのです。一昨日、本院に国会議員の互助年金法案というものが出ております。で、この法案はやはり一般職の公務員及び特別職の公務員の給与関係とも関係がございますし、それから国民年金法案を社会党の方から出しておられますので、その方とも関係があるし、ことにこの法案は二十九条、付則が九という非常に膨大な案でありまして、かつ、その所掌は総理府恩給局にあるというふうな関係もありますので、この委員会としては相当関係が私は深いと思います。現在、議院運営委員会に付託されておるようでありますが、これが審議が終ります前に、適当な機会提案者に一応質疑をこの委員会でしたい、こういう希望を持っておりますので、委員長として一つ御考慮をいただきまして、適当なそういう機会をお与え下さるようにお願いしておきたいと思います。
  138. 藤田進

    委員長藤田進君) 実は、委員長理事打合会を月曜日に持ちまして、まず可能な限り、当面の日程を相談いたしたいと委員長考えておりましたわけでありますが、とりあえず、昨日、本日の日程をきめるにとどまりまして、引き続き委員長理事打合会を持ちましてきめていこうというつもりでおります。  ただいまの件でございますが、この件もあわせて委員長といたしましては、理事の諸君にお諮りを、相談をいたしまして、最終にきめたいと、かように考えておりますから、皆さまお聞きのことだと思いますから、十分御参考になると思います。  それでは、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十二分散会