○
政府委員(
瓜生順良君)
最初の
内廷費の
定額のところですが、
内廷費のうちの
最初の
内廷諸費、これは次に書いてあります
物件費以外の
経費でございます。たとえば両
陛下、
皇太子殿下、
義宮さん、
清宮さんの
ほんとうの小づかい
程度、それから服装をととのえられる
経費はこの中に入ります、それから、いろいろ御勉強をなさいます、
研究をなさる、そういうようなことに必要な
経費ですとか、それから
神事費と申しまして、
神事に関する
経費、これも
内廷諸費、これは
神事は公事でありませんで
私事でございますが、賢所、皇霊殿、神殿でそれぞれお祭がありますので、その
飾りつけをする場合の
経費ですとか、地方の由緒ある――伊勢の
神宮を初め他の
神宮とか、由緒のある神社に
幣畠、お供え物を出されますそういうようなものも、こういう中に入っております。それから、ごく私的な御
交際の
関係での
会食なんかも、この中の
経費でございます。それから、私的な贈りものをなさるというようなものも、この中から考えられている。
次の、
物件費というのは、これは型にはまった、まあたとえばお
食事とかの
経費で、それから旅行とか、葉山、那須、そういう所に
おいでなさいます際の要る
物件の
経費、
備品費は
内廷でお
使いになります普通の
備品、
消耗品もそれであります。
その前の方の
内廷諸費の方は、
現行の三割五分をふやすという率で考えておりますが、これはここに、「
増加率は、
特別職の
職員の
給与の
昭和二十八年以降の
上昇率」というふうに備考にちょっと書いてありますが、これは現在まだきまっておりませんけれども、
特別職の
給与の
改訂を
提案になっておりますが、その率をかけたものを、それが三割五分というぐらいになりますので、三割五分。
物件費の方は、
一般の
物価の
値上り。
一般の
物価の
値上りは、実際は調べますと一割六分でございます。しかし、三十三年度はあるいは少しぐらい
物価が下るかもしれないというような大蔵省の方の見解もありましたので、一割五分がかけてあるだけであります。遠慮したかけ方であります。
それから、次の
給与費の方は、これはあとの方にまたその
内訳の――
伊藤委員からの御質問によりましての
資料としての
内訳の表にございますが、そうした
内廷で使用になっている
職員の
給与費であります。これは一・五倍をかけております。これは、
昭和三十八年以降、
国家公務員の
給与が五割上っておりますので、それと同じ率をかけたものをふやしておるわけであります。
予備費は、全体の
金額の約一割ということで組んでおるわけであります。
なお、この註のところを申し上げましょうか………。註の方の
関係の
最初の方には、
外国の
交際の
関係がふえておるということ、これは、二十八年当時は二十九ヵ国であったのが、
昭和三十三年度の現在では五十六ヵ国になっておる、これらとの
交際費、
交際がふえている。なお、そのほかに、
国賓その他の来往が多いわけですが、しかし、
国賓の
関係などは、特別に要る場合は、
宮廷費の方でいただいておりますので、それも関連はございます。そういうような
交際がふえますと、特別の
衣服とか、それから私的な贈品の
経費というようなものが増加する見込みであるということで、この
衣服の
関係は、男子の方の場合はそれほどではございませんけれども、
内廷費の
関係ですと、主として
皇后陛下の
関係なんか、やはりこの
経費が相当要るのでありまして、いつも同じようなものを着て
おいでになってもいかないというのが御婦人の
交際の
関係でございますので、そういうような
関係のことがあるわけであります。それから私的な贈
品費、これは私的でございまして、
宮廷費の方から公的な贈
品費を組んでいただいているのがございますので、公的にお
出しになるほどではない、
外国の
皇族が見えて何か
おみやげを持って来られる、そういう場合に
お返しの意味で私的にお
出しになるとか、それから
外国からいろいろ、最近ですと、一流の
音楽家あたりが見えます。そうすると、
皇后陛下は音楽がお好きですから、それを
楽部でお聞きになる。そういう場合には
おみやげをお
出しになる。そういうふうなことがだんだんふえておりますので、そういう
経費をいただいておるわけであります。
それから、その次の
皇太子殿下、
義宮殿下が成年に達せられ、学業を終えられ、社会的な活動が増大しておられる。従って、特に
義宮さんの場合ですと、この三月に学習院大学を御卒業になって、四月から東京大学の
動物学の
研究室の方へ
おいでになるので、今までよりは、まあお友だち、特に
動物学の御
研究というような
関係での人をお呼びになって、
一緒にお
食事をしながら話をされるということもふえる。また、その他のお知り合い、あるいは名士、そういう方との御
会食もふえるというふうに考えるわけです。なお、そうした場合に、私的にいろいろ贈りものをする、先方から何かいただけば、それにまた
お返しをするというような
機会も、またふえていくというようなことで、
経費がふえるというふうに考えるわけであります。
なお、
内廷の三
殿下の御
結婚も予想されるということは、
皇太子殿下を初め、
義宮さん、
清宮さんもだんだん御成長になりますから、その御
結婚の準備のための
経費もいろいろ必要になるというふうに考えるわけであります。
そういうことで、
内廷費の
定額を、現在の三千八百万円から五千万円にふやしていただきたいということでございます。
それから、次の
皇族費定額の方の
最初に、
生活諸費、これが現在よりは三割五分上げた
金額を
計算してみたわけです。これは、
人件費以外の日常の諸
経費。これも、
特別職の
職員の
給与の二十八年以降の
上昇率、これはまだきまっておりませんが、
特別職の
給与の
改訂に出ておりますその率をかけたものをふやした
金額をまず考える。
人件費の方は、これは
一般公務員並みの五割増を考える。この
人件費という
計算の中には、
給与、旅費のほかに、その
人たちの大
部分が住み込んで
食事をしておられるので、そのまかない料が入っております。この刷りものに「
肴料」となっておりますが、これは「まかない料」の誤植でございます。その他
臨時的な雇員の給料でございます。
それから、
予備費が、現在はおおむね概算では十三万七千円で組んでございますが、これも五十四万三千円、全体の額の一割強を見ております。これが幾らかパーセンテージが多いように見えますのは、いろいろ
臨時の
経費というものがだんだんふえて参りまするから、
予備費をふやした。特に、よく
皇族さんのお住まいになっておるお屋敷の
修繕等が、どうも十分じゃないじゃないかというような批判をよく聞くのでありますが、
玄関へ行くと
玄関がはげておるのを、きれいに塗っておいたらどうか、あるいは屋根がああいうふうになっておるが直したらどうかということを、
おいでになりますお客さんから聞くことがありますので、それも
皇族費でやっておりましたから、
十分手が回っておりませんが、そういうものも
予備費の中でおやりになるということも考えられると思うのであります。
その
合計額を、
現行は二百九十二万二千円、それを
改正案で四百四十九万円、こういうふうにやっておりますが、これは、ある宮さんがおられる、
妃殿下もおられるということを予想して、それも
予備費でやっていく。ですから、その一・五の分を
標準に一応見ておるわけであります。
それに対する三分の二を
定額と大体考えております。
妃殿下の分を抜いていきますと、その三分の二が独立の宮さんのものになりますから、三分の二をかけた
金額としますと、それが、
現行では百九十万であり、
改正をお願いしたいというのが三百万ということに
計算上なるのでございまして、そういうふうにお願いしたいということでございます。
伊藤委員の
関係の方を申し上げます。
伊藤委員の方の御要望によりまする、
内廷費及び
皇族費で使用される
職員の各
職種別平均給与額でございますが、これは
内廷費の方から申しますと、
内廷費の
掌典で、
常勤が六人、
非常勤が四人という者の
給与、並びに
生物学の
研究助手四人の
給与、さらに
女中十人の
給与、
合計二十四人の
給与が出ておるわけであります。この
掌典は、先ほどもちょっと申し上げましたが、
神事はこの
皇室の
私事で、私のことでやっておられるということで、
神事に携わる
職員は
内廷費でその
給与を
出しておるわけです。その
関係の
常勤の者が六人、
非常勤の者が四人なのでありまして、その一人
当りの
平均額が、
常勤の者は、二万八千五百四十八円、
非常勤は一万四千七百十二円ということで、
年額はその下に書いてございます。それから
生物学の
研究助手四人、
生物学も
天皇陛下の私的な御趣味ということでなさっておるというので、その
助手の分も
内廷費から出ております。その四人の一人
当りの
平均給与額が一万二千四百八十六円。それから
女中十人の一人
当りの
平均給与額が一万七百四十二円ということで、そうした全体を
合計しますと、
年額が四百六十五万円ということになります。
なお、そのほかに、皇子各
殿下の御勉学、御教養のための講師に対する
謝礼、そういうものも
人件費から出ております。それから
臨時に
用務を依頼する場合に対する
謝金も、この
内廷費から出るわけであります。
そうした
金額を
合計しますと、先ほどの、
現行の六百十一万三千円になるわけであります。しかし、これは
一般公務員並みに
給与の
改訂が十分には行われていない点がございます。
内廷費としてなかなか
やりくりがむずかしいものですから、実際は二、三割方二十八年から上っておりますけれども、
ほんとうは五割、
一般公務員並みに上げるべきものだと私
たちも思うのでありますが、
内廷費の
増額をいただきました
機会には、そういうふうになさるようにわれわれも取り計らいたいと思っておるわけであります。
それから次には、
皇族費支弁の
職員の
関係でありますが、
秩父宮家、
料理人一人、
使用人男一人、
使用人女四人、嘱託、これは
非常勤ですが、一人、
合計七人でありますが、その
給与は下の方に書いてございます。この
使用人男一人というのは、
別邸の
管理人であります。御殿場に
別邸を持っておられますが、その
管理人の
給与であります。この
年額等は下に書いてございます。
高松宮家、
料理人が一人、
使用人男一人、
使用人女三人、
合計五人。この
高松宮家の
使用人も、これも
別邸の
管理人で、これは
別邸は家賃を取って貸しておられますのですれども、やはり
管理人というものは要るもので、いろいろそこの
世話をする人の
給与でございます。
高松宮家の方は五人で、数が幾らかほかの
宮家よりも少いのですが、これは、この前
提出いたしました
資料にも書いておきましたように、この
光輪閣の
職員が特にその宮さんの忙がしいときに
お手伝いをする、そういう
お手伝いをする人が三人ばかりあります。それで、ここに上がってくる方が少いのであります。しかしながら、この三人を加えて使っておられるのじゃありませんで、その
用務に応じて
謝礼は
出しておられるわけであります。それがやはり
人件費の方にあるわけであります。
それから
三笠宮家、
使用人男一人、これは
非常勤、
使用人女が五人、
研究助手二人、この
研究助手二人というのは、
三笠宮さんは
オリエント史の御
研究をなさっております。それで、大学にいた人が二人、
助手として宮様の仕事の
お手伝いをしております。その
助手であります。
看護婦一人、合せて九人。その
給与が下に書いてあります。
この下の方に書いてある
合計金額と、先ほどの
皇族費定額現行標準金額百二十四万というのと、ちょっと差があるようにごらんになるかもしれませんが、これは
職員の大
部分がまかないつきでありまして、まかないの一人
当りが四、五千円かかる、その
金額が
人件費の
計算に入っております。なお、ここに上げてありますもののほかに、御教義その他
臨時用務に従事するものの
謝金が入っております。あるいは
家庭教師、特に
三笠宮家はお子様が多いものですから、
家庭教師等をお頼みになっておりますが、そういう場合の
経費が入っております。その他、
臨時に何か
手伝いをさせる、その場合の
謝金が入るわけであります。そういうものを合せますと、先ほどのこの
定額の
標準金額に大体相当していくのでございます。
しかしながら、この
宮家の
使用人の
関係の
給与の
改訂はある
程度なさっておりますけれども、
一般公務員並みの五割の
増額にはなっておりませんので、
皇族費の
増額の
機会にそういう点も改善をされることと、私
たちは考えておるわけであります。
以上でございます。
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