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1958-04-08 第28回国会 参議院 内閣委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月八日(火曜日)    午前十一時九分開会     ―――――――――――――   委員異動 本日委員松本治一郎辞任につき、そ の補欠として吉田法晴君を議長におい て指名した。     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     藤田  進君    理事      大谷藤之助君            松岡 平市君    委員            木村篤太郎君            剱木 亨弘君            近藤 鶴代君            苫米地義三君            中野 文門君            増原 恵吉君            松村 秀逸君            田畑 金光君            千葉  信君            吉田 法晴君            島村 軍次君            八木 幸吉君   政府委員    総理府総務副    長官      藤原 節夫君    宮内庁次長   瓜生 順良君    皇室経済主管  高尾 亮一君   事務局側    参     事   (委員部第二課    勤務)     川上 路夫君    常務委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    内閣総理大臣官    房参事官    河上 邦治君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選皇室経済法施行法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○青少年問題協議会設置法の一部を改  正する法律案内閣提出、衆議院送  付)     ―――――――――――――
  2. 藤田進

    委員長藤田進君) これより内閣委員会を開会いたします。  まず、皇室経済法施行法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き、質疑を続行いたします。御質疑のおありの方は、順次、御発言願います。
  3. 大谷藤之助

    大谷藤之助君 議事進行について。きのうの理事会で、きょう午前中に午後の日程について理事会を開いて協議することになったようですが、一つ、だいぶ委員会の時間もおくれたようですから、委員会をそのまま続行することにして、理事会を並行してちょっとやらせていただきたいと思います。
  4. 藤田進

    委員長藤田進君) できるだけ御趣旨に沿うように取り計らいたいと思っております。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  5. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記を起して下さい。     ―――――――――――――
  6. 藤田進

    委員長藤田進君) 先日、上原正吉君の理事辞任に伴いまして、その補欠委員長の御指名に御一任いただいたのでありましたが、この際、後任指名を行います。  委員長といたしましては、松岡平市君を理事指名いたします。     ―――――――――――――
  7. 田畑金光

    田畑金光君 前の委員会千葉委員から資料の要求があって、本日資料提出があったわけですが、この資料について、一つ瓜生次長から、簡単でけっこうですが、御説明を願いたいと思います。
  8. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 最初内廷費定額のところですが、内廷費のうちの最初内廷諸費、これは次に書いてあります物件費以外の経費でございます。たとえば両陛下皇太子殿下義宮さん、清宮さんのほんとうの小づかい程度、それから服装をととのえられる経費はこの中に入ります、それから、いろいろ御勉強をなさいます、研究をなさる、そういうようなことに必要な経費ですとか、それから神事費と申しまして、神事に関する経費、これも内廷諸費、これは神事は公事でありませんで私事でございますが、賢所、皇霊殿、神殿でそれぞれお祭がありますので、その飾りつけをする場合の経費ですとか、地方の由緒ある――伊勢の神宮を初め他の神宮とか、由緒のある神社に幣畠、お供え物を出されますそういうようなものも、こういう中に入っております。それから、ごく私的な御交際関係での会食なんかも、この中の経費でございます。それから、私的な贈りものをなさるというようなものも、この中から考えられている。  次の、物件費というのは、これは型にはまった、まあたとえばお食事とかの経費で、それから旅行とか、葉山、那須、そういう所においでなさいます際の要る物件経費備品費内廷でお使いになります普通の備品消耗品もそれであります。  その前の方の内廷諸費の方は、現行の三割五分をふやすという率で考えておりますが、これはここに、「増加率は、特別職職員給与昭和二十八年以降の上昇率」というふうに備考にちょっと書いてありますが、これは現在まだきまっておりませんけれども、特別職給与改訂提案になっておりますが、その率をかけたものを、それが三割五分というぐらいになりますので、三割五分。物件費の方は、一般物価値上り一般物価値上りは、実際は調べますと一割六分でございます。しかし、三十三年度はあるいは少しぐらい物価が下るかもしれないというような大蔵省の方の見解もありましたので、一割五分がかけてあるだけであります。遠慮したかけ方であります。  それから、次の給与費の方は、これはあとの方にまたその内訳の――伊藤委員からの御質問によりましての資料としての内訳の表にございますが、そうした内廷で使用になっている職員給与費であります。これは一・五倍をかけております。これは、昭和三十八年以降、国家公務員給与が五割上っておりますので、それと同じ率をかけたものをふやしておるわけであります。  予備費は、全体の金額の約一割ということで組んでおるわけであります。  なお、この註のところを申し上げましょうか………。註の方の関係最初の方には、外国交際関係がふえておるということ、これは、二十八年当時は二十九ヵ国であったのが、昭和三十三年度の現在では五十六ヵ国になっておる、これらとの交際費交際がふえている。なお、そのほかに、国賓その他の来往が多いわけですが、しかし、国賓関係などは、特別に要る場合は、宮廷費の方でいただいておりますので、それも関連はございます。そういうような交際がふえますと、特別の衣服とか、それから私的な贈品の経費というようなものが増加する見込みであるということで、この衣服関係は、男子の方の場合はそれほどではございませんけれども、内廷費関係ですと、主として皇后陛下関係なんか、やはりこの経費が相当要るのでありまして、いつも同じようなものを着ておいでになってもいかないというのが御婦人の交際関係でございますので、そういうような関係のことがあるわけであります。それから私的な贈品費、これは私的でございまして、宮廷費の方から公的な贈品費を組んでいただいているのがございますので、公的にお出しになるほどではない、外国皇族が見えて何かおみやげを持って来られる、そういう場合にお返しの意味で私的にお出しになるとか、それから外国からいろいろ、最近ですと、一流の音楽家あたりが見えます。そうすると、皇后陛下は音楽がお好きですから、それを楽部でお聞きになる。そういう場合にはおみやげをお出しになる。そういうふうなことがだんだんふえておりますので、そういう経費をいただいておるわけであります。  それから、その次の皇太子殿下義宮殿下が成年に達せられ、学業を終えられ、社会的な活動が増大しておられる。従って、特に義宮さんの場合ですと、この三月に学習院大学を御卒業になって、四月から東京大学の動物学研究室の方へおいでになるので、今までよりは、まあお友だち、特に動物学の御研究というような関係での人をお呼びになって、一緒にお食事をしながら話をされるということもふえる。また、その他のお知り合い、あるいは名士、そういう方との御会食もふえるというふうに考えるわけです。なお、そうした場合に、私的にいろいろ贈りものをする、先方から何かいただけば、それにまたお返しをするというような機会も、またふえていくというようなことで、経費がふえるというふうに考えるわけであります。  なお、内廷の三殿下の御結婚も予想されるということは、皇太子殿下を初め、義宮さん、清宮さんもだんだん御成長になりますから、その御結婚の準備のための経費もいろいろ必要になるというふうに考えるわけであります。  そういうことで、内廷費定額を、現在の三千八百万円から五千万円にふやしていただきたいということでございます。  それから、次の皇族費定額の方の最初に、生活諸費、これが現在よりは三割五分上げた金額計算してみたわけです。これは、人件費以外の日常の諸経費。これも、特別職職員給与の二十八年以降の上昇率、これはまだきまっておりませんが、特別職給与改訂に出ておりますその率をかけたものをふやした金額をまず考える。  人件費の方は、これは一般公務員並みの五割増を考える。この人件費という計算の中には、給与、旅費のほかに、その人たちの大部分が住み込んで食事をしておられるので、そのまかない料が入っております。この刷りものに「肴料」となっておりますが、これは「まかない料」の誤植でございます。その他臨時的な雇員の給料でございます。  それから、予備費が、現在はおおむね概算では十三万七千円で組んでございますが、これも五十四万三千円、全体の額の一割強を見ております。これが幾らかパーセンテージが多いように見えますのは、いろいろ臨時経費というものがだんだんふえて参りまするから、予備費をふやした。特に、よく皇族さんのお住まいになっておるお屋敷の修繕等が、どうも十分じゃないじゃないかというような批判をよく聞くのでありますが、玄関へ行くと玄関がはげておるのを、きれいに塗っておいたらどうか、あるいは屋根がああいうふうになっておるが直したらどうかということを、おいでになりますお客さんから聞くことがありますので、それも皇族費でやっておりましたから、十分手が回っておりませんが、そういうものも予備費の中でおやりになるということも考えられると思うのであります。  その合計額を、現行は二百九十二万二千円、それを改正案で四百四十九万円、こういうふうにやっておりますが、これは、ある宮さんがおられる、妃殿下もおられるということを予想して、それも予備費でやっていく。ですから、その一・五の分を標準に一応見ておるわけであります。  それに対する三分の二を定額と大体考えております。妃殿下の分を抜いていきますと、その三分の二が独立の宮さんのものになりますから、三分の二をかけた金額としますと、それが、現行では百九十万であり、改正をお願いしたいというのが三百万ということに計算上なるのでございまして、そういうふうにお願いしたいということでございます。  伊藤委員関係の方を申し上げます。  伊藤委員の方の御要望によりまする、内廷費及び皇族費で使用される職員の各職種別平均給与額でございますが、これは内廷費の方から申しますと、内廷費掌典で、常勤が六人、非常勤が四人という者の給与、並びに生物学研究助手四人の給与、さらに女中十人の給与合計二十四人の給与が出ておるわけであります。この掌典は、先ほどもちょっと申し上げましたが、神事はこの皇室私事で、私のことでやっておられるということで、神事に携わる職員内廷費でその給与出しておるわけです。その関係常勤の者が六人、非常勤の者が四人なのでありまして、その一人当り平均額が、常勤の者は、二万八千五百四十八円、非常勤は一万四千七百十二円ということで、年額はその下に書いてございます。それから生物学研究助手四人、生物学天皇陛下の私的な御趣味ということでなさっておるというので、その助手の分も内廷費から出ております。その四人の一人当り平均給与額が一万二千四百八十六円。それから女中十人の一人当り平均給与額が一万七百四十二円ということで、そうした全体を合計しますと、年額が四百六十五万円ということになります。  なお、そのほかに、皇子各殿下の御勉学、御教養のための講師に対する謝礼、そういうものも人件費から出ております。それから臨時用務を依頼する場合に対する謝金も、この内廷費から出るわけであります。  そうした金額合計しますと、先ほどの、現行の六百十一万三千円になるわけであります。しかし、これは一般公務員並み給与改訂が十分には行われていない点がございます。内廷費としてなかなかやりくりがむずかしいものですから、実際は二、三割方二十八年から上っておりますけれども、ほんとうは五割、一般公務員並みに上げるべきものだと私たちも思うのでありますが、内廷費増額をいただきました機会には、そういうふうになさるようにわれわれも取り計らいたいと思っておるわけであります。  それから次には、皇族費支弁職員関係でありますが、  秩父宮家料理人一人、使用人男一人、使用人女四人、嘱託、これは非常勤ですが、一人、合計七人でありますが、その給与は下の方に書いてございます。この使用人男一人というのは、別邸管理人であります。御殿場に別邸を持っておられますが、その管理人給与であります。この年額等は下に書いてございます。  高松宮家料理人が一人、使用人男一人、使用人女三人、合計五人。この高松宮家使用人も、これも別邸管理人で、これは別邸は家賃を取って貸しておられますのですれども、やはり管理人というものは要るもので、いろいろそこの世話をする人の給与でございます。高松宮家の方は五人で、数が幾らかほかの宮家よりも少いのですが、これは、この前提出いたしました資料にも書いておきましたように、この光輪閣職員が特にその宮さんの忙がしいときにお手伝いをする、そういうお手伝いをする人が三人ばかりあります。それで、ここに上がってくる方が少いのであります。しかしながら、この三人を加えて使っておられるのじゃありませんで、その用務に応じて謝礼出しておられるわけであります。それがやはり人件費の方にあるわけであります。  それから三笠宮家使用人男一人、これは非常勤使用人女が五人、研究助手二人、この研究助手二人というのは、三笠宮さんはオリエント史の御研究をなさっております。それで、大学にいた人が二人、助手として宮様の仕事のお手伝いをしております。その助手であります。看護婦一人、合せて九人。その給与が下に書いてあります。  この下の方に書いてある合計金額と、先ほどの皇族費定額現行標準金額百二十四万というのと、ちょっと差があるようにごらんになるかもしれませんが、これは職員の大部分がまかないつきでありまして、まかないの一人当りが四、五千円かかる、その金額人件費計算に入っております。なお、ここに上げてありますもののほかに、御教義その他臨時用務に従事するものの謝金が入っております。あるいは家庭教師、特に三笠宮家はお子様が多いものですから、家庭教師等をお頼みになっておりますが、そういう場合の経費が入っております。その他、臨時に何か手伝いをさせる、その場合の謝金が入るわけであります。そういうものを合せますと、先ほどのこの定額標準金額に大体相当していくのでございます。  しかしながら、この宮家使用人関係給与改訂はある程度なさっておりますけれども、一般公務員並みの五割の増額にはなっておりませんので、皇族費増額機会にそういう点も改善をされることと、私たちは考えておるわけであります。  以上でございます。     ―――――――――――――
  9. 藤田進

    委員長藤田進君) 質疑の中途でありますが、ただいま委員異動がありましたので、事務局から報告させます。
  10. 川上路夫

    ○参事(川上路夫君) 御報告いたします。  松本治一郎君が辞任されまして、その後任として青田法晴君が委員に選任されました。  以上でございます。     ―――――――――――――
  11. 藤田進

    委員長藤田進君) それでは、質疑を続行いたします。
  12. 田畑金光

    田畑金光君 説明はよくわかりましたが、旧皇族方々でありますが、今皇室とどういうような関係を平常持っておられるのですか。もちろん、予算、費用の関係は、何も旧皇族との関係はないことはわかりますけれども、旧皇族方々生活状況とか、あるいはまた皇室との関係は、現在どういうようになっておるのか、それを御説明願いたい。
  13. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 元皇族の方につきましては、現在の皇族という範疇にははいられませんので、宮内庁として特別の世話をする建前にはありませんので、詳しい点はわかりませんのですけれども、しかし、両陛下あるいは皇族の御親戚の方であります。従って、両陛下皇族方もそういう方の動静についてはいろいろ御心配になることもありますので、そういう場合においては、われわれとしてもときには相談相手になるということもございますが、しかし、立ち入ってどういうふうになさっているかということは十分にはわからないのであります。元皇族の方で相当経済的にもお困りの方もあるようでございますが、そういう方についても、われわれの方ではどういうふうにしてあげるということは、何もすべき建前ではありませんので、ときには御相談には乗っている、何かいい相談相手が要るという場合には、われわれが持っている知識の範囲で、こういうふうにしたらいいでしょうというふうなことはございますけれども、立ち入ってこちらからやるというような建前にはないものですから、そういう点では十分のことをしているわけではございません。  なお、皇室との関係におきましては、御親戚でございまするから、いろいろの行事があります際には、公的でない場合にはお出になっております。また、ときには親戚として一緒にお食事をなさるということもございます。ことに、皇族並びに元皇族の方で菊栄陸会というのを作っておられます。それは両陛下皇族方会員で、元皇族の人も会員でありまして、その菊栄親睦会会合がときどきございます。相当大きな会合としては春とか秋、春秋二回、相当な会合があり、その他にも折に触れてなさっております。そういう場合には、ときには両陛下もお出になります。他の皇族さんは大ていお出になつておりますが、両陛下は特別の場合だけお出になり、一々お出になっておりません。そういうような関係上、お付き合いをなさっております。両陛下並びに皇族の方とのお付き合いは親しくなさっておる。また、両陛下並びに皇族の力も、そういう方のことは御親戚としてお気にはかけておられるという程度であります。
  14. 田畑金光

    田畑金光君 各宮家財産状況ですか、これは過般の資料でよくわかるわけでありますが、各宮家私有財産のほか、皇室私有財産というようなものはどういうようなものがあるわけですか。
  15. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 各宮家の方は、ここに書いております土地、建物等持っておりまするが、天皇陛下としては、要するに内廷として、天皇陛下としては、狭い範囲皇室といたしましては、現在の憲法上、皇室財産国有とするというふうになりまして、不動産などは持っておいでになりません。しかし、不時に備えての預金としては、ある程度のものは持っておいでになります。そうして、有価証券にしたり、あるいは銀行預金にしたり、それは不時に備えてのことであります。その程度で、それ以上の財産はお持ちになっていないし、またお持ちにならない建前になっております。
  16. 田畑金光

    田畑金光君 そうしますと、いろいろ別邸とか御用邸とか各所にありますが、あれは全部憲法に基く国に属する皇室財産、こういう取扱いを受けているわけですね。
  17. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 別邸は、国有財産皇室用財産としてお使いになる、所属は国のものでございます。
  18. 田畑金光

    田畑金光君 内廷費が、あるいは皇族費でも、昭和二十八年以降ずっと赤字で、不足をして、今日に至ってきたというわけでありますが、その間、どういうような経費やりくりをしておいでになったのか。この資料によりますと、三智家経費年間不足額はこれこれだ、こういう工合に明確な数字が出ておりますが、この不足額はどういう工合にして埋めてこられたのか。同様に、このことは、内廷費についても、昭和二十八年以降据え置きになっておりました経緯を考えてみますと、当然その間、赤字が出ていたと思うのだが、これはどういう工合にして埋めておられたのか、処理されていたのか、承わりたい。
  19. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この皇室内廷費関係は、赤字は出さないように節約をして経理をして、今日に至っておられます。いろいろの点がありましても、赤字を出さないようにというので、節約をして今日に至っておられますので、この方は幸い赤字にはなっていない。御窮屈ではあったと思いますが、赤字にはなっていない。  それから、宮家の方の関係は、これは、ここにも資料でお出ししましたように、赤字になっております。皇族費以外の収入を加えても、なお不足する金額というのが出ておりますが、これはどうしてまかなっておられたかと申しますると、たとえば秩父宮家ですと、秩父宮家で鵠沼に別邸をお持ちになっておられました。あれをお売りになりまして、そういうのの金、それで有価証券を買う。それから、なしくずしに不足補てんをしておられる。それから高松宮家の方の不足額は、お聞きすると、あそこで宝物類をある程度お持ちになっております。刀を売られたということもお聞きしておりますし、宝石をお売りになったこともお聞きしております。それから、有価証券を持っておられるのを売られたということもお聞きしておりますが、そういうことで補てんをしておられます。三笠宮家関係は、これは主として有価証券などをある程度持っておられたのを、くずしていっておられますが、しかしながら、こういう状態は、長く続きますと、何もなくなられるというようなことになっても因るので、そういうこともございまして、この際増額をしていただきたいというふうにお願いをしておるわけでございます。
  20. 田畑金光

    田畑金光君 そういう状況がずっと続いていたというわけですけれども、その間、宮内庁としては、まあ、俗な言葉で言うと売り食いですが、売り食いを何年間も続けてもらったそのことについて、これは十分いろいろと、宮廷あるいは皇族関係のめんどうを見たければならぬ立場にある宮内庁としては、相当これは怠慢であったと、こう考えるわけですが、お話の通りであるとするならば、さように考えるわけですが、どうして数年間そういう売り食いというものを傍観しておられたわけですか。
  21. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) その点につきましては、毎年いろいろと考えたのでありますが、昨年のときも皇族費増額をお願いしてはどうかということを、相当われわれの方では慎重に考えたのです。ところが、今まで内廷費皇族費増額特別職給与改訂機会に行われたものでありまして、特別職給与改訂が行われていない機会にやってはいないものですから、特別職給与改訂があるならば、そのときに一緒にお願いしようということで、去年も考えながらも、皇室経済法施行法改正提案を控えたのであります。そういう点では、われわれとしても心苦しい点はあるので、何をぼやぼやしておったのだと言われると、まことに相済まなかったというふうに言わざるを得ないのでございますが、そういう事情なのであります。
  22. 田畑金光

    田畑金光君 皇族の方ですが、東宮御所は今新しく建設をされておるわけですが、この皇居の方が戦災を受けてそのままになっておりますけれども、この造営について何か宮内庁としては考えておられますか。
  23. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 皇居造営につきましては、昨年度と三十三年度にわたって、どういうふうな場所にどういうふうなものを作ったらいいか、それにはどれぐらいの経費が要るかという調査をいたしておるわけでありまして、三十三年度、今年度中には、宮内庁としての考えをまとめるつもりでございます。つまり、皇居略設計程度までに進めたいと思っております。その略設計ができますと、それには幾ら金がかかるのかというようなことも出て参ります。それができました上で、さらにいろいろの方面の方にも御相談をして、それで時期を得れば早く皇居造営もしたいと思っております。今年度の予算では、そういう調査費として五百六十万円というのが予算として評上になっておるわけであります。
  24. 田畑金光

    田畑金光君 この皇居造営でありますが、そうしますと、本年中に略設計宮内庁として仕上げて、昭和三十四年度以降の予算で建設を考えておられる。これは、何年計画あたりで実施されようとする御方針であるのか。特に、この皇居の現在ある場所ですが、この場所等について宮内庁としては何かお考えがあるのかどうか。この間も、伊藤委員でありましたか、御質問があったと思うのでありますけれども、ああいう昔ながらの大きな堀で区画された別天地のような所に皇居を置かれるのがいいのかどうか、もう少し、人間天皇に立ち返られたこの現在の憲法のもとにおける皇居のあり方というようなものは、もっと国民の親しみやすい、民衆に親しみやすい、そういう場所等を考えるのが望ましい姿ではないかどうか。こういうような問題等も当然検討されてくると思うのですが、こういうような点については、宮内庁としてどうお考えになり、またどのように検討を進めてきておられるか、伺いたい。
  25. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 皇居造営の場所といたしましては、現在のところは、やはり現在の皇居のあの地域というふうに考えておるのであります。東京から離れた遠い所に持っていったらどうかという話も一部にはありますけれども、しかし、いろいろの行事が行われ、いろいろお客が見えるという関係では、東京という所が便利な所であります。便利な所で、それではどこがいい土地かといいますと、なかなか今まとまった土地を手に入れることはむずかしいので、現在ああした土地があるのですから、そこで皇居造営するということを、一応考えております。  しかし、まああれは昔のお城ですから、入口などが非常に現代的でない、自動車なんかが入ってくるのに不便な点があります。そういうような自動車の出入りも、できるだけ直せる所は直そう。あすこは城としての史跡として、文化財として、動かしていけない所は動かせないのですが、動かしていい所があれば、門の関係などを考慮していけば、出入りがもっと便利になるのじゃなかろうか。  なお、皇居の構想は、やはり一般の方にも親しまれるような感じのものに考えるべきであろう。しかしまた、いろいろの儀式も行われるところの場所でありますから、普通の事務室風でもいけない。そこらで、やはり宮殿というふうな感じのものになっていくのですが、しかしまた、昔風に考えないで、もっと親しみやすい、明るい宮殿のようなものを考えるべきではないだろうか。そういうようなことを今、いろいう寄り寄り協議いたしております。それから専門の方を嘱託いたしまして、そういう方の意見などを総合して、今年度中に、先ほど申しましたように、略設計程度までいたしたい、こう考えております。
  26. 吉田法晴

    吉田法晴君 あとでまたこの点をお尋ねしようと思っているのですが、皇居のことに関連して、ちょっとお伺いしたいと思います。  先般、これは文化放送で、富山から出て来ました子供が皇居に行って、天皇はもっと市井の間に――市井という言葉は使わなかったろうと思いますが、市井の中に住まわれた方がいいだろう、こういうことを言うたということを、あるいは瓜生次長もお聞きになっていると思いますが、人間天皇としての、象徴も含めまして、皇居のあり方というものについては、これは新しい世代のやはり考えているところが端的にこの間の子供の感想に出ていると思うのでありますが、そういう点についてどういう工合に考えられるのか、この点。  それから、今の場所をほかに移すということについての意見があるというようなお話でしたが、これは東京都の建設に関連をするかもしれませんけれども、皇居が東京の中心にあって、そうして皇居をめぐります交通の輻湊、そういうものから、あすこをうまく突き抜けて通れればいいとか、それができないなら、暗渠にして下に地下道を作る云々という話があることもご存じだと思いますが、そういうものも含めて、今の場所で近代的な建物を作るというお話でありますけれども、もっと大きく、皇居の場所、それからそのあり方について大きい点から議論はないのか、あるいはお考えになっていないかどうか、関連をしてお尋ねをいたします。
  27. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 皇居をもっと市内の一般の町の所でということ、これは適当な土地があれば……。考えたことは考えたのですけれども、なかなか今、それぞれの土地が予定されておりまして、そう向くような場所もないので、結局、現在のあの皇居の敷地ということで一応われわれの考えを進めてきておるわけであります。しかし、できるだけ親しさを持たれることからも、見えるように――以前は見えないようにといったこともありますけれども、見えるようにというような構想で考えたらとも考えております。  それから、東京都の交通との関係でありますが、高速度道路を今何かいろいろ検討されております。三、四日前もそういうことで、ちょっと私も話を聞きました。その際に、皇居の地域の下の方に地下道は一体いけないものかどうかという話が、ちょうど出ておりました。われわれの方では、その計画次第で、別に絶対いけないとも考えておらないのであります。そのただ、上の方の利用と下の方の関係もありますので、これは計画をよく聞かないとわからない。現在まだそういう固まったものはありませんようですけれども、絶対にあの地域の下を通ってはいけないというふうには考えていない。それによっていろいろ考えますると、あるるのじゃないだろうかというふうに私たちは想像いたしております。
  28. 吉田法晴

    吉田法晴君 これはあとでもお尋ねいたしますけれども、大宮御所についてもいろいろ問題があるのですが、その場所とも関連をしますが、今の皇居の地域ですね、広さ、こういうものがやはり問題になると思うのです。昔でいいますと、あるいは封建的な考え方、封建制度のもとにおいては、ある威容というものが必要かもしれません。あるいはある広さというものが必要かもしれません。地域についても、あるいは家についても、堂塔伽藍というものが必要かもしれないのですが、近代社会あるいは民主主義のもとにおいては、そういうふうなものは必要ない。あなたは今親しみやすい云々というお話がありましたけれども、そういう点からいっても、これは場所と大きさというふうな検討をしなければならぬ時期だということは、間違いないと思うのです。その点は、今までの伝統といいますか、あるいは今まであったのだから云々ということを言われますけれども、そういうものを含んで大きく検討をする、あるいは気持といいますか、あるいはそういう意見はないのでしょうか、重ねてお尋ねいたします。
  29. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 今の御意見の点を検討する余地がないかということですが、それは余地はあるわけで、なお今いろいろ検討中なので、その間においてそういうような意見も出たこともありまするが、一応今のところは、先ほど申しましたように、皇居のあの位置で考えておる。そこで一応の素案といいますか、試案ができまして、さらにまたいろいろの有識の方のお集まりでも願い、あるいはまたそういう方のいろいろな御意見も単独に聞くこともあるかもしれませんが、いろいろ聞いて、その上でどうするかということで決定になると思うのですが、いずれにしても、一応の素案というか試案というものがないと検討もしにくいだろうから、一応の試案を、先ほども申しましたように、三十三年度中には作ってみる。それができた上で、いろいろこうこうという意見を、それに基いていろいろ討議しまして、その上で決定になるものと、こう考えておるわけであります。
  30. 田畑金光

    田畑金光君 本年中に五百六十万の調査費で略設計を作り上げられるというわけですが、大体宮内庁としては、何年計画ぐらいで造営を完了されようという心づもりなんですか。
  31. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) その点は、略設計ができてみないと、はっきりはまだわからないのでありますが、今年度中に略設計ができる。それからいろいろな方の意見を聞くので、さらに一、二年ぐらいかかるのじゃないだろうか。それからほんとうの設計にかかる、それから、工事にかかる。ですから、十年ぐらいはかかるのじゃないだろうかというように思います。
  32. 田畑金光

    田畑金光君 設計は始められるようですが、どういう方に設計を依頼されようという御予定なのですか。
  33. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 現在、建築の専門の内山祥三博士を一応顧問にお願いして、内田博士がまたいろいろ、こういう方はどうかと推薦をされる。そういう人をさらに嘱託にお願いして、そうして今年度相談をしながら進めていきたい、こう考えております。
  34. 田畑金光

    田畑金光君 これは先ほど私、伊藤委員と申し上げましたが、松本委員でありましたが、大体宮内庁当局の考えておられることもわかりますけれども、もっと皇居のある場所が、国民の親しみやすいというその第一印象からして、そういう形が何としても、これからの天皇と国民、あるいは現行憲法上における天皇の地位、そういう点から考えても、望ましい姿だと思うのですが、皇居は何十万坪あったわけでしたかね。
  35. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 皇居の現在の……。およそ二十六万坪でございます。
  36. 田畑金光

    田畑金光君 二十六万坪という、広漠たるといっては大げさかもしれませんが、広い地域にわたっておるわけです。また、私たちも昨年内閣委員会皇居の中を見せていただきましたが、ああいう広々としたところにお住まいになられる天皇御一家の私生活の面からいっても、かえって精神的にも、いろいろな面において不便なような感じが持たれるわけで、もっともっとあの皇居の中についても、国民一般に開放されると申しますか、国民公園と申しますか、そういうような面も考慮されて、今後の皇居造営というものは構想を進められたらどうかと、こう考えますけれども、そういうような点等も含めて宮内庁としてはお考えになっておるのかどうか、もう一度聞かせていただきたい。
  37. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 宮殿の中で公けのいろいろ儀式とか行事が行われまする公式の面、この関係と、それから両陛下がお住まいになられますお住居の関係、この二つの関係がありますが、公けの行事の行われるほんとうの宮殿の中心の部分、これが一番大きいわけであります。お住居の方は、それほど大きいわけではありません。その公けの行事が行われる宮殿の関係は、やはりあの皇居の中でもいいのじゃないか。自動車の出入りなんかももっと便利になるようにいろいろ考えたら、いいのじゃないか。ただ、お住居の関係は、あすこは必ずしも空気がよくないのじゃないかというようなことも言われる。これについてはいろいろ検討して、どこかいい所があればというので検討したのでありますが、どうも適当な所がないから、現存吹上御苑のところの御文庫にお住まいですけれども、あのあたりには長くお住まいで、陛下もお気に入っていらっしゃるものですから、あのあたりに戦時中に防空壕を作ったが、鉄筋のものでなくて、適当のお住居を作ったらというように今は考えておるわけであります。もとの焼けました宮殿の跡は、主として公式の儀式とか行事の行われる宮殿の本体というふうに考えておるわけであります。  なお、あすこが相当広いがどうかというようなこともおっしゃいましたが、そういう点もわれわれも考えておるのでありまして、あの中で東地区というのが現在、馬場がありましたり、楽部がありましたり、書陵部がありましたり、清宮さんのお住まいになっておられる呉竹寮、そういうような部分についてはいろいろ考えておることもございます。その方へは、宮殿とかお住居を作らないという工合には考えておるつもりであります。これは将来のことでございまするし、いろいろな意見がありまするから、何とも申し上げかねるのであります。
  38. 田畑金光

    田畑金光君 本日いただいた資料の中にもいろいろ出ておるわけですが、皇室経済法の第二条の第一号、第二号、第三号を見ますと、「相当の対価による売買等通常の私的経済行為に係る場合」等は「国会の議決を経なくても、皇室財産を譲り渡し、又は皇室財産を譲り受け、若しくは賜与することができる。」こういう工合になっておりますが、これはどういう場合をさしているのか、具体的にどういうふうな事例が、こういう第一号に相当するような場合があったのか。それから第二号の「外国交際のための儀礼上の贈答に係る場合」、第三号の「公共のためになす遺贈又は遺産の賜与に係る場合」、これはどういうような場合等が普通あるのか、御説明願いたいと思います。
  39. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この第一号の関係は、これは有償で譲り渡したり譲り受けたりするという、普通の贈与とか譲り受けという普通の概念とは違う有償の場合で、ここに皇室でいろいろ財産を渡り受けたり譲り渡したりされたりすることを自由になさってはいけなしというふうにきめられた趣旨は、やはりそれによって、知らないうちにたくさんの財産を得られるとか、あるいは財産を譲り渡されて、それによって皇室の力を何かほかの方面に特別に及ぼされるというようなことがあってはならぬ、こういうような場合には国会の議決を経るということだと思うのですが、有償の場合は今申しましたようなこととは違いますので、そういうことで第一の有償の場合は差しつかえないということになっておると思います。  第二のは「外国交際のための儀礼上の贈答に係る」、これは国内に対して特に贈り物をなさるというのではなくて、外国との交際の場合は、贈り物をなさったりあるいは受けられるという場合に、それは国会の議決を一々経なくても、いわゆるこの法律をきめる場合にある程度配慮されたこととは別のことだろうということと思います。  それから第三の「公共のためになす遺贈又は遺産の賜与に係る」、これも、公共のためにされることであれば、特にこの国会の議決を経なければいけないという、その配慮の範囲とはほかだということで、こういうふうにきめられておると思います。
  40. 田畑金光

    田畑金光君 第二条の第一号の説明ありましたが、有償の場合は問題がない。有償の場合に、そうなりますと、これは私的経済行為によって財産を取得される、そうなってきますと、先ほど私が御質問申し上げましたが、皇室にもこういうふうな場合は私有財産というものが当然でき上ると、こういうふうに判断いたしますけれども、そういうふうな場合があり得るのじゃないですか。
  41. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) その私有財産といいますか、これは、たとえば何か絵をお買いになる、あるいに置き物をお買いになる、そういうこと、あるいは場合によりますと、お使いになる顕微鏡、こういうようなことで、相当手回り品の関係は、憲法にいうその皇室財産国有とするというのとは違うのだというふうに憲法の解釈はなっておりますので、手回り品の関係ではこれは私有なさっておるものもございまするが、しかし、憲法の方でいっているのは、不動産のようながっしりした、きまった、そういうようなものは国有財産というふうにして、それとは私は矛盾をしないというふうに解釈をしておるわけであります。
  42. 田畑金光

    田畑金光君 この皇室経済法の第二条の第四号を受けまして、皇室経済法施行法の第二条というものができておるわけですが、これによりますと、賜与の価額が三百七十万、譲り受けの価額が百二十万、こう限定されておるわけです。こういうような場合が従来今までにあったのかどうか、また将来こういう大きな金額等が考えられるのかどうか。天災地変等の場合に、いろいろ陛下の方からお手元金等を民間団体等にも下賜されておりまするが、この皇室経済法施行法の第二条に該当をするようなことが将来ともあり得るのかどうか、またこれはどういう趣旨からこの三百七十万とか百二十万というような金額が出てきたのか。この立法の経緯を一つ、御説明願いたいと思います。
  43. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この第四号の関係のは、今ほどおっしゃいましたように、水害があるとか、あるいは大火災があるとか、そういう災害の際の見舞金をお出しになったり、あるいは学術上の関係で、学士院とかあるいは芸術院に恩賜賞をお出しになったり、発明者に恩賜賞をお出しになったり、そういうような関係のことで、年額にして三百七十万円をこさない場合は国会の議決を要らない。現在はその範囲内でやっておられますので、この法律ができましてからは、特にそれをこすからというので国会の議決を仰いだことがないわけです。それから、譲り受けの百三十万円の範囲といいますのは、いろいろ各県で特産品などを献上したいといってこられる。特に行幸啓になりますと、その行幸啓になった地方で、記念品として、こういうものを特産としてお受け願いたい、そうしてそういうものをお受けになります。それを事務的に帳簿に評価しまして、百二十万円をこせば国会の議決を仰ぐわけですけれども、しかしながら、今まではこの献上品は、制限もありますから、なるべく受けないというので、お断わりする方が宮内庁としては骨が折れるくらいで、結局こさないようにしておるわけであります。この金額はまあ三百七十万と百二十万で、そう大きな金額ではないし、常識的に見てその範囲に、一年間それくらいならば、一々国会の議決を経るのも煩瑣だからということだと私は考えます。
  44. 田畑金光

    田畑金光君 皇太子あるいは義宮殿下、この殿下方々の、特に皇太子の日常の教育と申しますか、現在どういうように皇太子の教育について進めておられるのか、御説明願いたいと思います。
  45. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 皇太子殿下の御教育につきましては、まず根本は、人間としてりっぱになられるということを考え、それから国内のいろいろの問題、国外の問題、そういうものをよく理解をされるお力をつけられるようにしていただくということ、それからあと、さらに御趣味としてお好きな学問をなさるという、まあその三つのことになると思います。  それで、現在学校はお出になつておられますけれども、東宮御所の方へいろいろの方をお呼びになって御進講――講義を受けられておるわけですが、今受けられておりまするのを申しますると、最高裁長官の田中耕太郎さんが一般法、政治学というものをやっておられます。まあ法律が主であります。それから小泉信三さんが御心得というので、これは一般人間学というようなことをやっておられます。それから外国交際によくおいでになりますものですから、外国語が必要なものですから、学習院大学のプライスさんが英語を教えておられるとか、それからヌエットさんがフランス語を教えておられるとか、それから東京大学の助教授の野村琢一さんがドイツ語を教えておられるというようなことをやっておられます。それから国際情勢については、外務省の条約局長の高橋氏が月二回見えて国際情勢のいろいろなことをまとめてお話し申し上げております。そのほか折に触れていろいろの方の話を聞かれるとか、あるいは地方にお出かけの際に、その地方の人に会って話を聞かれる。また工場だとか、あるいは学校ですとか、社会事業施設ですとか、そういうものを視察されながら、事実について勉強をされるというようなことをやっておられます。  なお、動物学関係は御趣味でなさっておられまするが、現在その関係をいろいろ御指導している人は国立科学博物館長の岡田さん、それから東京大学の教授木下さん、同じく末広博士、それから東京大学助教授の日比谷さんとか、そういうような方、この四人の方がこの動物学の指導をしておられます。そのほか和歌の関係、これは人間を作られ、またいろいろ情緒の関係の御教育ということで、和歌は東京外国語大学の教授の五島茂さんが御進講をしておられます。  その他、折に触れての関係はいろいろありまするが、ときによって違いますが、そういうように、まず人間としていろいろりっぱになっていただくこと、それから国内、国外の情勢を御勉強になられ、さらに御趣味としても動物学をやっておられるというようなことをやっておられます。
  46. 田畑金光

    田畑金光君 もう時間が来たようだから、大体私はきょうのところはこれで終りたいと思いますが、たとえば皇太子の人間としての教養とか学問、こういうことももちろん、あるいはまた基本的に大切なことでありまするが、もう少し広く各界の代表等の意見等もあるいは聞かれる必要がありはせぬか、こう考えますが、今あげられたそれぞれの権威者のほかに、やはり政治学についても、あるいは国際情勢の発展の状況等をお聞きになるについても、もう少し広く各界の人方のお話を聞かれる、こういうことが必要ではないだろうかと思うのですが、その教授なんかの選択というのは、宮内庁でやはり一応選考されてきめられるのかどうか。こういうような問題は、私はやっぱり大事なことだと思うのです。  それから、皇太子がやはりいろいろ国際情勢を正しく見られるためにも、外国旅行なんかを以前されたことがありますが、それはやはり世界を広く、ヨーロッパだけじゃなく、アメリカだけじゃなく、東南アジアでも、あるいは、さらには大陸等についてもこれはみられるくらいの、こういうようなやはり皇太子としては広い見聞を持たれて、初めてりっぱな将来の日本の天皇、こういうことになると、こう考え、ますが、それらの点等について宮内庁としてはどういうようにお考えになっておられるか、承わりたい。
  47. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 今おっしゃいましたその御意見はわれわれと同じことなんでありますが、いろいろの面の方のお話もお聞きになるようにと、折に触れてお聞きになるようにやっていただくように、われわれも考えておるわけてす。で、そういうような選定のことは、東宮職の教育参与という方、小泉信三、安倍能成、坪井忠二、松平信子、この四人の方が教育参与ですけれども、そういうような力にいろいろ相談をして、そういった方の意見も入れながら進めておるわけであります。  なお折にふれてもっと外国を見られたらいいじゃないかということ、これも何か機会があればその機会を活用されて、いろいろ外国の事情をさらにもっとごらんになるということになった方がいいだろうと思っておりますが、今のところ、適当な機会というものがないままに、現在に至っておりますけれども、何らかの機会があればさらにいろいろ外国を見られるようにされた方がいいと、われわれも考えております。
  48. 藤田進

    委員長藤田進君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止
  49. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記を起して。
  50. 吉田法晴

    吉田法晴君 御質問を申し上げる初めに、瓜生さんですから、いわゆる宮内官僚といいますか、そういったらちっとかどが立つかも知らぬけれども、その心植えについてお話し願いたいのですが、私は瓜生さんを昔も知っているのですが、宮内庁にお入りになって、やっぱり人が変ってこられたような気がする。その思い起すのは、昔、とにかく福岡県出身ですからあれでしょうが、土岐という宮内庁に勤めておったのがおります。これが郷里に帰ったとき、火鉢のそばにすわって、朝から晩まで微動もしない。まあ何というのですか、置物のようにすわっている。そういう昔の、とにかく旧憲法時代の宮内官僚を私は思い起すのは大へん残念に思うのですが、そういうものが若干やっぱりまだあるような気がする。  で、この間実は大宮御所を見せてくれませんかというお願いをしたけれども、大宮御所を見せるわけにいかぬ。これは瓜生さん個人の意見じゃなくて、面内庁の全部の意見でしょう。それから、私は、まあこれはもう五、六年前に皇居の中に入って、いろいろお話を承わったのですが、どうも昔はあそこに何があった、ここに何があったと、こういうことで、昔にやっぱり返すことだけしか考えておられない。それから、あの田植ですか、これは昔からやっておるからやられるということで、新しい憲法の上で象徴として、神様から人間になられた天皇の、私事、公事どっちか知りませんが、昔からやっておったからということで、無批判的にやっておられる。特に新憲法できたては、これは昔の伝統を守るということではなかったかもしれぬと思うのですが、だんだんまた多少、世の中にあります復古主義の波に乗って、そういう傾向が強くなってきているのじゃないか。そういうことを三笠宮自身があの「帝王と墓と民衆」の中で書いておられる。この前の委員会で警備の問題として、受けとられたようですけれども、問題は警備の問題でなくて、天皇あるいは皇族のあり方の問題として私は問題になると思う。  で、宮内庁の皆さんが、昔からの考えでは、あるいは昔に返せばいいということでは、私は全然任務は勤まらぬと思う。これは宮内庁次長、きょうは長官は来られぬし、次長が代表して来られましたから、次長にお伺いする以外にないからお伺いするのですが、今のあり方というものは、これはやっぱり新憲法のもとにおける宮内官僚のあり方ではないのじゃなかろうか。もし今のままで参りますと、先ほど聞きました、このごろの新しいゼネレーションの気持というものとの間には、むしろだんだん疎隔が私はできてくると思います。そういう点について、これは皇室あるいは皇族のあり方、あるいは何と申しますか、身辺におられます宮内官僚として、大きなやはり私は新憲法以後の方針の転換がなければならぬと思うのですが、その心がまえについてまず伺いたいと思います。
  51. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) われわれといたしましては、新しいこの憲法下における天皇並びに皇族のあり方というものを常に考えておるつもりなので、昔に返そうというようなことを考えておるわけではありません。それよりも、新しい時代に即応した象徴であられ、また皇族であられるように、改めなくてはいけないというので、いろいろなことを運びます際には、そのことを常に考えてはやっておるつもりなのでございます。ただ物事は一足飛びに行ってもいけない点がある。特に憲法にも、国民の総意に慕いて象徴となっておられる。国民の総意というものは那辺にあるかということを常に考えながらやっておるわけであります。今おっしゃったように、若い世代の方が、また、年寄っておる者と違った気持を持っておられることも十分承知をしております。そういった世代の間のギャップが大きくできることもいけないと思います。国民の統合の象徴、協力体制を強めていかれる意味の役割をなさるためには、国民から遊離されては、これはいけない。従って、常に現在の情勢においてどうあられたらいいかということを考えながらやっておるつもりであります。  宮内庁には、ずっと昔から古くおられる方の数が多いかもしれませんが、われわれは四年前に入ったので、そう古いことを知らないのですが、古いことも聞きながら、しかし、現在の情勢ではそれではいかないからこうしようというようにわれわれの意見も述べながら、徐々に、時代に離れないように、皇室のあり方をお世話をしておるつもりなのであります。   〔委員長退席、理事松岡平市君着席〕 ただ、場合によりますと、ほかから見られて、何だ昔の通りじゃないかというふうな御批判もあるのじゃないかと思います。しかし、先ほど申しましたように、まだ一足飛びに行くより、徐々にこう行くということが、それがまた国民の総意というものを尊重しながら進んで行くゆえんであろうと、こう考えております。
  52. 吉田法晴

    吉田法晴君 これは見解の相違かもしれませんけれども、その瓜生さん自身も、だんだん、何といいますか、謹厳そのものといいますか、だんだん人間から神様に近づく、(笑声)そういう感じがするわけですね。ですから、その辺は感じの問題ですけれども、先ほどあげましたような事例等について、やっぱりこれは近代的な批判にこたえていかなければならぬということだと思いますので、まあこれは皆さんに対する、宮内官僚に対する一つの意見といいまするか、あるいは批判として受け取っていただきたいと思います。  それから、皇族費、あるいは皇室費についてもそうですが、国費から支弁されておりますので、国民の税金からまかなわれておるわけでありますが、従って、その費用は少しでも節約さるべき必要があると思うのですが、長官はどういう工合にお考えになっておられますか。
  53. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) その点は、今おっしゃった通りでありまして、特に陛下は、いろいろの場合にそういうことをしてはぜいたくにならないかということを常におっしゃるので、で、この節約ということを趣旨として、いろいろ御生活なり御活動をなさっておるのであります。その点は陛下並びに各皇族方も十分心得ておいでになるのでありまするが、しかしまた、普通の庶民生活と違った点も考えなくてはいけないので、やはり一般の国民の力が、天皇陛下はどうあっていただきたい、皇族はどうあっていただきたいという、やはり一つの気持を持っておられますから、あまりみすぼらしくやられましても、これはいけないということで、むだにならないように、しかも、天皇として、また皇族としての、国民が期待する品位を維持されるというような範囲内で、今後いろいろお進めを願うようにお世話をしておるつもりであります。
  54. 吉田法晴

    吉田法晴君 みすぼらしくないようにというお話ですが、論議をしております金額について、みすぼらしいかみすぼらしくないかということは、これは議論のほかだと思うのです。ただ増額が妥当であるかどうかという問題、それについて、これは瓜生さんたちといいまするか、宮内庁の御見解を述べられておるのでありますが、今もそういうお話がございましたが、たとえば皇居のごときは、これはあとでよろしい、あるいはできるだけむだがないようにという御意見等が、今度の問題等の場合にどういう工合に反映するのか、あるいは、たとえば三笠宮等がいろいろほかの問題について意見を述べておられるが、そういう意見が、こういう問題についてもどういうふうに考えておられるのか、こういうことを考えるのでありますが、こういう点について、今まで聞かれたことがございますか。あるいはどういう意見を持っておられると理解しておられるか、その点を……。
  55. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 内廷費増額の問題、これにつきましても、天皇陛下の御意向なども聞いておりますのですけれども、特別職関係改訂されるならば、やはり一般の世の中とまた歩調が合っていかれなくちゃいけない。一般がこうだんだん程度が高くなるのに、皇室だけが旧態依然としておられるということもいけない。特に外国のお客が多いときに、やはりそれに対する品位ということもあるということで、そういうような点では御遠慮になりながらも、一応御了承になったのであります。皇族方についても、まあ同様であるのであります。
  56. 吉田法晴

    吉田法晴君 これはほかの機会にもちょっとお尋ねをしたことがあったように思うのですが、どうしても納得がいかない点がございますが、その一つの例として、たとえば大宮御所は十五万八千坪。あすこに貞明皇后が住まわれた建物があるじゃないかと言うと、その通り。広さはどうかと言うと三千二百坪ある。これは現在何も使われていないわけですね。これ、いつ建築されたのでしょうか。それから、現在どういう工合に使用されておるのでしょうか。
  57. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 大宮御所の地域の三千何坪といいますのは、これはあの地域にあります建物全部でありまして、その中には官舎になっておるものもありまするし、それから倉庫もありまするし、それから古い全然使っていないような防空の関係の建物もありますし、そういうようなものを合せたものであります。いわゆる貞明皇后さんがお住みになっておられました大宮御所の建物というのは、三百十二坪残っております。  で、貞明皇后さんがおいでになるときには、これよりももっと広くてあったのですが、その貞明皇后さんがあすこにお住いのときの建物の大部分のものは、ほかから古い建物を移してこられて、そうしてそこでお住みになった。で、謁見所といいますか、特にお客に会われるところだけ新築せられたのでございますが、で、ほかから持ってきたその部分、高松宮さんの方から持ってきた部分、これが主たる部分ですが、その部分は今、光輪閣の裏のシルク・マンション、いわゆる絹織物の展示場に払い下げになって、今大宮御所にはもうないのであります。従って、今残っておりますのは、もっと古い、その木造のあまりよくない建物と、それから謁見所に少し建て増しになった狭い建物、それだけが残っておるのであります。今残っておりますものは、そういう意味で体をなしていないのであります。
  58. 吉田法晴

    吉田法晴君 今のお話の中で、シルク・マンションに一部払い下げられたと、こういうことですが、それはどのくらいの広さのものでどのくらいの価額のものですか。一般にそういうことが行われているかというと、行われておらぬですね。これはさっきの皇室経済法に関連をするのかしないのか知りませんけれども、どのくらいのものがだれに払い下げられたのか、まあ用途はシルク・マンションというのですが、ついでに伺いたい。
  59. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 広さの資料は正確なものはありませんが、あれは大体二百坪くらいだと思います。それを、皇室用財産のうちで不用になったというのは、皇室用財産から解除しますと、大蔵省の財産になりまして、その普通財産になったもの、それを払い下げる。これは大蔵賞の方が払い下げするわけです。その場合に、高松宮さんはシルク・マンションの総裁か何かされて、力を入れておられる、妃殿下が特に力を入れておられるのですけれども、そういう関係で、そういう縁故のところへ大蔵賞が払い下げをしたということで、皇室経済法のあのいろいろな制限とは別途の、そういう手続によっておるわけであります。
  60. 吉田法晴

    吉田法晴君 不用になったというのは、貞明皇后がなくなられて使わなくなった、こういうことでしょうが、使わなくなったという点については、二百坪だけではなくて、三百十二坪も、あるいは官舎になっているのは別ものですが、それは貞明皇后が住んでおられた家、あるいは土地についてもそうでありますか。土地全体についても……。それは、官舎に使っているものは別問題ですが、使わなくなった、不用になったというのは、二百坪だけが不用になって、あとは何か使っておったというわけではないでしょう。
  61. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) そのあとの都合はそのままになっておりまするけれども、それは今度東宮御所を作ります際にそこへ作るので、実はほんとうは不用なので、不用としてそれが撤却になった。で、その撤却になったものは、だれか払い下げていい人があれば、払い下げるというふうに考えております。  なお、その土地については、現在のところすぐに使っていないが、あるいは東京御所を作るという場合にその敷地を使うことが考えられる。また、他の皇族さんの殿邸を作る必要がありますときには、その土地を使うというように、先に場合によっては使うことが考えられるというので、土地については不用には建てないであるわけであります。
  62. 吉田法晴

    吉田法晴君 その二百坪を不用として、普通財産に振りかえたのはいつですか。
  63. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) これは一昨年、二年ぐらい前です。
  64. 吉田法晴

    吉田法晴君 昭和三十年ですか、三十一年ですか。
  65. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 昭和三十年です。
  66. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると、昭和三十年には二百坪もですし、それから残っておる今のお話の三百十二坪も不用になった、そうでしょう。今使っていないのだし、取りこわすというのですから、昭和三十年の何月か知りませんけれども、昭和三十年の何月何日には、その建物二百坪だけじゃなしに、三百十二坪も不用になった、こういうことじゃないですか。
  67. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) その他の三百十二坪の分につきましても、そのときすぐには使う目的ははっきりはしていないけれども、まあなお何かにまた使えればというようなだけの漠然とした考えもあって、そのまま残っておる。高松宮さんの方から来たのについては、まあ実はその建物を長くおきますとだんだん腐朽をしてくるわけで、これはやはり他に利用されるなら利用させた方が国家的にもよかろう、こういうような考えもあって、皇室用の財産として不用として、この産業上に一方寄与するということになれば積極的な意義があるということで、その方は急いで不用にしたということで、そこの区別が、まあ他の建物についてはすぐには他にうまく利用するところはない、しかし場合によってはそこへだれかが住むということも、いいものじゃありませんが、不可能でもないしというようなことで、そのまま残っております。
  68. 吉田法晴

    吉田法晴君 その三かったわけですが、あるいは今日に至っても何かに使われているという事実はないわけでしょう。
  69. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) さようでございます。
  70. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうして、まあ二百坪はほうっておくと腐朽をすると、こういうことですが、三百十二坪はほうっておいても腐朽しないという区別はあるのですか。
  71. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) その三百十二坪の方の建物の程度はずっと悪いのでありまして、今度東宮御所を作るので、これを不用にしてこわしましても、他にそのままに作るというよりも、ほんとうの材木を一部あるいは使えるというような払い下げても非常に安いもので、利用価値、建物として他に持っていってすぐに利用価値があるというようなものでないのでありまして、そこに区別がやはりあったと思うわけであります。
  72. 吉田法晴

    吉田法晴君 ちょっとおかしいですな。二百坪は不用で、腐朽するおそれがあるから払い下げた、三百十二坪は腐朽しないような建物かと思ったら、そうじゃなくて、二百坪よりももっと古い建物で、払い下げても使いものにならぬ、それなら腐朽をしつつあるというのは、三百十二坪もよけいそうじゃないか。そうすると、昭和三十年の何月何日か知りませんが、その時点において不用になったということは変りがない。三百十二坪の方がもっと不用である、あるいは利用できない。そうすると、五百何十坪かのものについて不用になったということは、貞明皇后がなくなられた直後か、あるいは昭和三十年のその二百坪の払い下げのときかもしれないけれども、そのときにはこれは不用になったということは言えるのじゃないですか、どうも御答弁が矛盾しているようです。
  73. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 貞明皇后様がおなくなりのあと、すぐにはそこにどなたもお住みになるということもないので、そのままにしてあったのですが、しかし、あるいは何かに利用できるかもしれないというので、そのままになっておった。で、高松宮さんの方から、これはシルク・マンションのそういうような展示場を作る関係で、その建物を利用される。確かにプラスになる面があった。そこで、このプラスになる面があるなら、いろいろ検討した上で、その建物はこの際解除をしてこのプラスの一面に使う方が国家のためになるということで、解除した。で、単に腐朽の程度という問題よりも、そのまま置いては、長く置けばプラスにも利用できない、今移せばプラスに利用できるというようなものであれば、まあ国家的見地でそうした方がよかろうということで、そういうふうになったのであります。
  74. 吉田法晴

    吉田法晴君 まあ何年か前に見せていただきたいというときには、見せてもらえなかった。どうして見せられないのかと思って、見せて減るわけではあるまいしという感じがしたのですが、そういう他人に説明のできぬようなことを宮内庁でなさろうとするから、国民にも見せて工合が悪いと、ベールの中に――ベールじゃなくて、透視のできない壁の中に隠しておったと、こういうことであったかのように今は思っているのですが、それは感想。  二百坪の建物はプラスになると、こういう判断で払い下げになったと、こういうことですが、プラスになるかならぬかという点からいえば、あの大宮御所の十何万坪ですか、十五万八千坪ばかりの、これは全部ではないと思うのですが、国立劇場を作りたいという話があって、私は、大蔵大臣を除いて、各閣僚の間に了承されておる問題があるということを聞いておりますが、プラスになるプラスにならぬ云々という点からいうと、劇場のごとき、私は国民全体の幸福、利益からプラスになると思うのですが、使わなかった、あるいは不用になった土地建物の中で、二百坪だけはシルク・マンションの利用にするからプラスになる、ほかのものはプラスにならぬ、こういう工合に考えられたのでしょうか。また、国立劇場をあそこへ建てるかどうかということについてはきまっていないようですが、二百坪は移すことがプラス、それから使っておらぬ土地について国立劇場を作ることはこれはプラスにならぬと、こういう工合にお考えになっているのでしょうか。
  75. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 国立劇場の敷地の問題は、これはまあそれをそこへ作るかどうかというのは、政府としておきめになるわけであります。宮内庁としては、政府として方針がきまれば、あそこをそれにお使いになるということについては、別に反対はしないというふうに言っているわけですけれども、しかし、まあ政府の方ではまた政府の方としてのいろいろな立場があって、結局そのまま行き悩んで、決定していないということであります。
  76. 吉田法晴

    吉田法晴君 国立劇場の問題は政府の問題、それから高松官が会長か総裁かしておられる絹関係の協会か何か、それに普通財産を払い下げるということは、不用として普通財産に変更した二百坪の建物を払い下げるということは、これは政府の問題じゃないのですか。
  77. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) このシルク・マンションの方は、これは政府と違って、民間の一つの団体であります。そこを払い下げを受ける人はですね。
  78. 吉田法晴

    吉田法晴君 払い下げるのは……。
  79. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 払い下げるのは大蔵省の方の事務で、国家の事務であります。たとえば国立劇場の場合についても、皇室用財産を解除するというようなことは国の事務であります。しかしながら、国立劇場を建てるかどうかというのは、そこへ建てようという意思が決定にならなければ、それでもこちらでそこへ建てなさいというのは、えらい政府に干渉するようなことになるので、それはやりたくないわけでございます。
  80. 吉田法晴

    吉田法晴君 まあ責任のがれをして、あるいは政府なら政府のあれによりますけれども、私は理屈を申し上げておる。理屈を聞いておる。プラスになるとして、二百坪の建物は高松宮を会長とする何とかいう団体に払い下げた、これは政府の問題。ところが、国立劇場もこれは政府の問題。それを皇室財産に関連をして、あるいは皇室財産を普通財産に切りかえるか、あるいは土地を国立劇場の敷地にするか、こういうことは、これは同じじゃないですか。二百坪を普通財産に切りかえることについては、それは妥当であろうとして賛成されたあなたが、国立劇場の問題については、全然私たちの関知するところじゃない、こういうように逃げられると、これはやはり話に矛盾があると私は考えるのですが、そうじゃありませんか。
  81. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 逃げているわけではありませんので、国立劇場の問題につきましては、宇佐美長官も確か予算分科会でもはっきり言っておりますが、政府の方針がきまって、あそこを国立劇場に使いたいと言われるなら、喜んで賛成するというような表現をしているわけであります。
  82. 吉田法晴

    吉田法晴君 それでは、そこはわかりました。  この十五万八千坪の大宮御所の中に現在ある三百十二坪のものをこわして、東宮御所を作ろうというのですが、国立劇場の敷地の問題と関連して、十五万八千坪が東宮御所の敷地になるような印象を私ども受けるわけですが、そうであるかどうかか、その点と、それから三千二百坪の建物があったというが、その中で宮内庁の宮舎、あるいは倉庫等、そういうものは、これは東宮御所には関係がないと、こうういお話でしたが、その敷地、それから建物の予定を、もう少し詳しく御説明をいただきたい。
  83. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 東宮御所は大宮御所のありました跡で、そのためにこわしますのは三百十二坪の建物だけでありまして、東宮御所の広さは建物千百坪であります。その敷地の一部分を使われるわけであります。しかし、あの十五万坪といいますが、その中には、池があったり、谷があったり、山手のところがあったりしまして、平地として利用されるところはそうは広くはないわけであります。その利用の一番しやすいところが、元大宮御所のあったところであります。   〔理事松岡平市君退席、委員長着席〕 なお、広いところは、じゃあどうかといいますと、東宮御所ができますと、いろいろお客をされる、園遊会でもされるというようなときには、池とか、そういうところも、もっときれいにしてお客ができるようにすると、そういう考えであります。それでもなお残ります土地については、将来皇族の殿邸を作る場合に、そうしたところを考える。他に今だんだん土地もありませんから、そういう場合のためにとっておいた力がよかろうというような考えであります。
  84. 吉田法晴

    吉田法晴君 皇居の場合にもそうですが、東宮御所の場合についても……。さっき皇居の場合については、何とか博士が設計に当られる云々ということでありますけれども、あるいはこれは、金の点からいいますと、どのくらいかかるか知りませんけれども、今の今まで私は、十五万八千坪の広大な土地が東宮御所の敷地として必要なのかどうか、別に国立劇場の話もあるが、これはどこの責任だと言われようが、事実上拒否をしながら、十五万八千坪を東宮御所に使われようしておる、こういう印象を持っておる。それから建物にしても、三千二百坪の建物があるのに、それは全然使わないで、千百坪の、これは二億幾らという金を使って建てよう、こういう話、こう理解をして、そういう点は、これは何としても納得がいかぬ。これは私だけでなくて、こういう事実を知っておる関係者もみな納得がいかぬと、こう思っておる。  そうすると、多少今の説明でわかりましたが、なお、たとえば千百坪の建物を十五万八千坪の中に建てる以外に方法がないのか。あるいは皇居なら皇居についても、あの場所、あの広さ、それに昔のようなとにかく皇居を復旧する以外にないのかと、そういうことはこれは国民か持つ一つの疑問です。ですから、そういう点について再検討をさるべきだと思うのですが、今までのありましたいわば宮内省、あるいは宮内庁皇室を中心にした人たちだけでなくて、もっと国民の意見と批判の中で、私は、おやりになるにしてもおやりにならなければ、疑問とそれから批判をますます拡大するだけだと思うのですが、まあ長官おられません、次長、局長おられますけれども、それについて、もっと考えなければならぬのじやないか。あるいは設計にしても、あるいは案にしても、もっと違った機構、構成で考えるべきじゃなかろうか、こういうようにはお考えになりませんでしょうか。
  85. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 御趣旨のは、ちょっとはっきりつかめませんが、あるいは東宮御所の造営の問題にしぼって考えてみますと、東宮御所の造営につきまして、やはり新しい時代に合うものでなくてはいけないというふうに考え、この設計なども、役所でやるというようなふうにいたしますと、昔風のようなものになるから、それはよそう。それで、外部の建築の権威のある方に依頼をして、そうした方にこの設計をやっていただこうというような考えでおりまして、東宮御所につきましては今いろいろ、どういう方に、どういうふうにお願いするかということを、事務的にいろいろやっておりますが、今月中には決定をしまして、その方に依頼をして設計をしていただく。  で、昔風なものでなくて、新しい、明るい、感じのいいもの、一般の方にも親しめるようなものというふうに考えております。ただ、まあよく外国からお客が見えますから、公けのお使いになるところ、相当りっぱにして置く、お住居のところはそれほどでないというような考えで、今おるわけであります。すべていろいろな方の、外の方の意見を十分聞いて、宮内庁の中だけの意見でものをやらないというようなつもりではおるわけであります。
  86. 吉田法晴

    吉田法晴君 その設計についてだけじゃないのですよ。もっと端的にいいますと、さっき、皇居もあんな広いところでなくてもいいじゃないか、一里四方もあるところに云々というような意見もまたありますが、そういうあれもある。皇居皇居であのまま確保して置いて、あの中にどういうあれができるか知らぬけれども、あなたの壮麗な明るいという表言もありましたけれども、大きなやっぱり皇居を作ろう、復旧しようというあれがある。それから、東宮御所は東宮御所で、十五万八千坪の中に、現在使ってもおらぬところに東宮御所を新しく新設しよう。今まであるものはこわしてしまって、それも利用するということじゃない。こういうことだと、これは私はやっぱり納得しがたい国民感情が出てくるのじゃないかということをおそれる。  ですから、あるいは昔の、これは何千年か皇居に使われていた京都のあれですが、京都の、これはまあ京都の連中は御所といいますね。御所の中には、それは皇居もあれば東宮御所もあったわけです。それで何千年やってこられたのですが、今はそれは日本も復旧したとは言いながら、このお住居その他はできるだけ最小限度でいいといっておられたその皇室に、あの大きな土地の中に皇居も作ろう、あるいは東宮御所も大宮御所の中に作ろう、こういうことは、これはやっぱり再検討を要する問題じゃなかろうか。こういう感じがするだけに、それらのものを含んで再検討し、あるいは計画については、もっと批判に耐え得るような最小限度の案にするお気持はないか、こういうことですよ。
  87. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 東宮御所を現在の皇居の中へ作ったらどうかというようなこと、これは一応そういうことも考えてみたのですが、しかし、皇居は、先ほどの方もお話しがありましたように、ああした城の跡で必ずしも適当でない点もある、特に苦い世代の皇太子殿下のお住居にはやはりあそこははずして考えた方がよかろう。しかも陛下とあまり近くにいるより独立して、いろいろ御活動なさるのに少し離れていた方がよかろうということで、それで大宮御所のあの跡の土地があいておりますので、あそこの方が、市内でもありますので、あの方が親しみもあるということで、またあそこで新しい感覚の生活なり活動をなさるということの方が意義があろうというような考慮から、大宮御所の方に考えた。  それで、皇居全体の地域、あるいは大宮御所全体の地域が広いのじゃないか。それについては別途の問題で、それは現在のところはどうということを具体的には考えておりませんが、先ほど国立劇場の問題でいろいろ協議した場合に、政府の方であれをお作りになるということならば、あそこをさくことは賛成だというような態度をとったように、将来の問題としては、そうわれわれはかたくなには考えておりません。
  88. 吉田法晴

    吉田法晴君 これについてはこれ以上言ってもあれですから、この点はこの程度にいたします。  この高松宮の所有にかかります建坪八百七十坪の光輪閣、現在無料で貸与されているようですが、皇族費が足らぬで二百七十五万円不足しているという御説明ですが、ただで貸すということはほかじゃないですね。裏にはシルク・マンションもできたというが、それは所有はどこになっているか知らぬが、家を貸したら賃貸料をとるのが普通だと思いますが、どうして賃貸料を取らぬのですか。
  89. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) これは資料にもありますが、この建物には固定資産税が約百五十八万円、それから土地、これは国有になっておりますが、その国有の土地に対する借地料が六十三万円、合せますと二百二十一万円というものが要るわけです。その二百二十一万円を光輪クラブが負担をして、それだけがこれを光輪クラブに貸している宮さんの方で出すべきものを光輪クラブの方で出している、それがちょっと借り賃のようなものになる。
  90. 吉田法晴

    吉田法晴君 光輪閣はクラブ自身がクラブとして使われているということですね。その税金は、それについては全然払っておらぬ、こういうことですね。これはあなたの責任じやございませんが、光輪クラブ自身が普通からいうと脱税しているみたいに考えられる。それから、なるほど固定資産税なり地代は払われているというが、普通の民間の場合でありますと、同定資産税なり賃料を出して、そうしてそれを払って余りある、とにかく何といいますか、収入があるように運営しておるのが普通ですね、そうでしょう。これはまあ銀座の店をやっているのとは違うかもしれませんけれども、しかし、使われていることは事実である。これは毎日使われているのか、隔日に使われているのか知りませんけれども、とにかく相当の金を払ってそのときには使われている。それについて、これは会費という形じゃありますけれども、若干の収入はあっているのだろうと思います。それについても税金がかけられない。あるいはその運営の中から、高松宮の方には、固定資産税あるいは賃貸料以上には何にも払われない。これは、資本主義の現在の世の中で異例ですわね。そういう意味においては、私はどっちかが結局脱税をしているか、あるいは少くとも不当に貸借がなされておるように私思うのですが、重ねて御答弁を願います。
  91. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 光輪クラブの経理内容は、私たちはこまかくは知りませんですけれども、高松宮として、二百二十一万の分を光輪クラブに負担をさしておる。そのほかに、これは幾らか安いというようなお考え――これは商松宮さんのお考えですから、私たち直接聞いたものじゃありませんが、比較的安いというふうに考えられる点については、高松宮さんも、現在お住まいのところが四十何坪、われわれの官舎ぐらいの狭いところにお住まいなので、まあ外国のお客さんなんかが来られますから、そこでお会いになれないから、光輪クラブでお会いになっておる。それからいろんな記帳、ごあいさつの記帳に行きましても、光輪閣玄関の所へそういうときには出してある。これは、このクラブを利用される。宮さんも名誉会員で利用できるのですから、利用されることによって、宮さんとしての品位を保たれる、そういう点もありますから、そういう意味で、比較的安いのではないか、こう想像しております。なお、そのほかに、光輪クラブの職員三名が、宮さんが、特に忙しい場合にはお手伝いをする。そのお手伝いの特に忙しい場合には謝礼出しておられますけれども、宮家使用人じゃありませんから、宮家使用人を専門に置かれるより幾らか便利だというようなこともあったり、そういうことで、光輪クラブを宮さまも利用しておられるということもあって、比較的安いのじゃないかと思います。これは私の想像であります。
  92. 吉田法晴

    吉田法晴君 それじゃ、光輪クラブの三名も多少宮家で使われる、あるいは光輪クラブを使われるときには、その費用というものは光輪クラブが持つというような、やみの、何といいますか、賃貸料があるから、別に賃貸料は取られない、こういうことですか。
  93. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) それは、やみの賃貸料というよりも、宮様もそこを利用される。普通の建物を貸す場合でしたら、貸し主は全然相手に貸してしまうのですけれども、宮さんもそこを利用されておって、全然貸しっ放しにほかへ行ってしまうというものと少し違う点がある。そこで、先ほど申したようなことでないであろうかと想像を申し上げたのであります。
  94. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記をとめて。   〔速記中止
  95. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記を始めて。
  96. 吉田法晴

    吉田法晴君 光輪閣については、現在国有のものになっておりますが、皇室財産は、これは国有皇室財産、高松宮の所有にかかっておった十地が国有になったということですが、今のような、何か説明のつかぬような運営を、しておって、結局は、この土地は高松宮のものに帰るじゃないかという疑問がありますが、そういう点はございませんか。  それからもう一つ、これは資料と関連がございますが、戦前皇室財産で、現在国有財産皇室で使っておられる、こういうものは、土地建物で幾らあるのか。これは資料としてお出しをいただきたい。それに関連をして、御料牧場等がどういうように運営せられておるか、疑問があるのですが、たとえば、先年皇太子がイギリスに行かれて、馬を買ってこられたというその馬が、御料牧場に使われておるのかどうか。あるいは御料牧場でとれる乳等がどのくらい生産をせられて、どういう工合に使用されておるのか。皇室で使われるよりはるかに多いものが出ているのだと思うのですが、そういうのは、あるいは財政上、あるいは実際の使用上どうなっておるのか。そういう大綱を伺って、詳細は別の機会に譲りたいと思います。
  97. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 光輪閣の敷地の国有財産になっておるのを使っておられるというのですが、これは、もとは高松宮の所有の土地であったのですけれども、これは終戦後財産税としてその土地を国に出された。それを今度また国から借りておられるというものであります。もし、それを高松宮さんの土地にしたければ、これは国の普通の財産でございますから、それを買われるということにならなくちゃいけない。現在は借りておられる。簡単に、ずっとそのまま宮家のものになるというようなものではないわけであります。  なお、憲法皇室財産国有とすというのは、その解釈として、これはいわゆる天皇家――世の中の言葉で天皇家、内廷関係ですが、天皇家の財産のことでありまして、宮家の方の関係財産は残すということで、宮家関係は、その土地を持っておられるというのは、そういう憲法の解釈がそうなっておるわけであります。それから皇室有、以前の皇室財産で、現在皇室で使っておられまする土地、これは皇居とか、それから御用邸ですとか、牧場ですとか、京都の関係、それから各陵、陵墓の関係もそうですけれども、そういうものを全部合わせまして、七百八十七万九千六百二十七坪、これは全国にずっとある分であります。建物としては五万八百六十七坪、これは、皇居を初め御用邸、それから牧場の関係とか、京都の御所ですとか、陵墓の関係ですとか、建物ですとか、そういうものであります。  それから下総牧場の関係のは、皇太子殿下が馬を買ってこられた、そういうことはないわけでありますが、ただ、皇太子殿下の御成年の何か立太子の記念として、全国の知事会か何か、馬をお上げしたいという話があった。しかし、それは馬は皇室として受けられない、しかし何とかして、受けてほしいというので、宮内庁の方として手続を取って受けました。宮内庁で馬を持っておるわけですが、その中へ加えたのです。これは皇室財産の馬ではないわけであります。  それから、乳をしぼったりしておる。それは皇室で使われる、あるいは接待に使われることを含んでおりますか、その皇室で使われる以外にもそれはあります。その分は払い下げをいたしておるわけで、そうした収入も上っておるわけであります。
  98. 吉田法晴

    吉田法晴君 その点は追って資料としていただけますか。土地あるいは建物、それから牧場その他について、時間がございませんから説明はいただけないのですが、資料としていただけるかどうか。  それから、ついでにもう一つ、この点だけお尋ねしておきたいと思うのですが、宮廷費内廷費が、あるいは交際費その他について考えられることですが、はっきり分れておるはずなんだけれども、実際には多少入り組んでおるというか、こういう感じがするのですが、そういうことはございませんが。この二点だけ。
  99. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 資料の点、御必要でしたら、作れると思います。  それから、この内廷費宮廷費関係の入り組んでいるという関係は、これは事柄の性質で、国の象徴として公けになさる交際関係宮廷費、そうでなくて、ほんとうに私的な立場で私的になさるというのは内廷費というように、理念的に画然と分けておって、その間には一つの線がはっきり引かれておるわけであります。
  100. 吉田法晴

    吉田法晴君 それじゃ、まだ質問ございますけれども、時間の関係がございますし、またの機会一つ
  101. 藤田進

    委員長藤田進君) なお、瓜生次長に私から申し上げたいのですが、皇室経済について、こういう形で法律案なり予算に出てくるわけで、国民との関係も深いわけですが、たとえば光輪閣にいたしましても、すっきりした説明にならないように思うのです。それで相当広く国内で高松宮さんが料理屋を経営しておられるということは相当広くうわさになっておりますね。私は詳しく聞くのは今回が初めてですが、やはり国民の知ろうとされておるものをすっきりした形に、宮内庁とされてもやはり筋を通された方がいいのじゃないかと思います。国有財産にしても、使用目的が変ってしまえばやはり……。最近他の国有財産も問題になっておるわけですし、それから光輪クラブとかりに言われても、国会筋を、あるいはプリンス・ホテルや帝国ホテルや光輪閣と、議会なり政府なりの招待で一般的に出入りしておるという状態のように私は思うのです。そういうようなことなんですから、やはり法に従い、また社会常識に従って、やはりすっきりした答弁が議会にできるようにされることが、高松宮にとってもおためじゃないかと私は思うのです。  それでは、午前中はこの程度にとどめまして、午後は二時十分に再開をすることといたしまして、暫時休憩をいたします。     午後一時十五分休憩      ―――――・―――――     午後三時十分開会
  102. 藤田進

    委員長藤田進君) 休憩前に引き続き、委員会を開きます。  青少年問題協議会設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑のおありの方は、順次、御発言を願います。
  103. 田畑金光

    田畑金光君 この間、資料をいただいたわけですが、その資料について簡単に御説明を願いたいと思います。
  104. 河上邦治

    説明員(河上邦治君) 資料の御説明を申し上げます。  都道府県青少年問題協議会の設置状況でございますが、都道府県におきましては、四十六都道府県全部に、条例をもって地方青少年問題協議会が設置されております。   〔委員長退席、理事大谷藤之助君着席〕 なお、市町村の青少年問題協議会設置状況は、市町村が全国で三十三年二月一日現在で三千七百六十二ございます中で、千二百二の市町村が、条例または規則等で、青少年問題協議会を設置いたしております。そのほか、東京都は三郡三島嶼に置いておりますし、また、神奈川県では六郡に設置をいたしております。  なお、活動状況といたしましては、お手元にお配りいたしました調査審議事項の例示が、各府県別にございます。なお、市町村の分は一例をそこへあげまして、たとえて申しますと、人身売買対策でございますとか、青少年の犯罪防止対策等につきまして、各市町村で審議をされているのでございます。この都道府県の青少年問題協議会は、青少年問題協議会設置法の第六条の規定に基きまして、その地域の実情に即しました青少年問題に関する総合的な施策の樹立について必要な事項を調査審議したり、あるいは総合施策の適切な実施を期するための関係行政機関相互の連絡調整、三番目に、その当該地方公共団体の長及びその区域にございまする関係行政機関に対し意見の具申をするという、三つの職能を持っているわけでございます。  中央と地方の青少年関越協議会の関連につきましては、できるだけ連絡を強化する意味におきまして、年一回の全国の中央並びに地方の青少年問題協議会の連絡会議をいたしております。また、全国を五つのブロックに分けまして、そのブロックごとに年に一回連絡会議をいたしております。そのほか、青少年の代表者会議を年に一回いたしまして、中央地方の意見の連絡なり、調整なり、あるいは協力等につきまして、実施をいたしているわけでございます。  以上、簡単でございますが、御説明申し上げました。
  105. 田畑金光

    田畑金光君 今御説明資料の中で、全国の市町村の協議会設置の状況を見ますと、現在の全国の市町村数三千七百六十二のうち、千二百二市町村に設置されておる、こういう状況でありますが、残余の市町村には、どういうわけで米設置になっておるのか。こういう未設置の市町村等においては青少年問題等の心配は何もない、こういう状況になっておるのかどうか、これを一つ説明願いたいと思います。
  106. 河上邦治

    説明員(河上邦治君) 地方の青少年問題協議会の設置につきましては、青少年問題協議会設置法の第一条の第二項で、任意設置になっているわけでございます。なお、これにつきましては、中央といたしましてもできるだけ勧奨をいたしておりますけれども、まだこれに対する世論の喚起等について不十分の向きもあるかと存じますが、全部の市町村に設置するという段階には至っておりません。しかし、逐次各市町村も設置をするという機運に向っている事実を御説明申し上げたいと存じます。
  107. 田畑金光

    田畑金光君 藤原さんにお尋ねいたしますが、藤原さんは副会長の重要な地位にすわっておられるわけで、今御答弁によりますと、第一条第二項によって任意設置制であるからして、こういう結果になっているという答弁でありますが、青少年問題協議会が設置しなければならなかった経緯を考えてみたとき、これは全国の市町村まで必ず置かねばならぬ機関であるように見受けるわけで、設置してもいい、設置しなくてもいい、そういう機関であるとするならば、何も好んでこの際事務局機構の拡大をはかるような必要はないと考えますが、そういう任意の機関で事足りるのかどうか、これを一つ承わりたいと思います。
  108. 藤原節夫

    政府委員(藤原節夫君) むろん、全国の市町村にくまなくこの協議会が設置されますことが、この趣旨から申しまして最も望ましいことである、こういう点につきましては、おっしゃいます通りでございますが、府県までは、任意設置であるが、全部条例によって作っている。市町村に至りましては、いろいろその市町村独自の都合と環境によりまして、多少の緩急の度合いがあって、いまだ設置に至らないところがあるということは、この趣旨から申しますと遺憾でございますが、頭から法律をもって、強制的に市町村まで設置させるということもいかがかという意味で、こういう規定になっているかと思うのであります。  また、中央の協議会におきまして、事務局を今回設けるということにつきましては、さらに一そうこの中央協議会の活動を盛んにし、世論の喚起に努めまして、実効を上げていく、また市町村等においても十分これが浸透して、必要なる市町村には早急に協議会を置かれるように一つ進めるようにいたしたい、こう考えている次第であります。
  109. 田畑金光

    田畑金光君 率直に伺いますが、この設置法のできた当時と今日の情勢とは、この協議会の必要性と申しますか、必要性の度合いというものは軽減しているのか、より重要になっているのか、あるいは変らないのか、どういうふうに判断しておられますか。
  110. 藤原節夫

    政府委員(藤原節夫君) いきさつから申しますと、この協議会が置かれましたのは、青少年の不良化、無軌道がはなはだしい戦後の状況にかんがみまして、この不良化の防止、また犯罪に落ちていく青少年を落ちないように、犯罪を防止するというような趣旨が一番大きな動機だったと思うのであります。その意味から申しますと、一部の犯罪につきましては、確かに最近減っております。また一部のものについては、かえって増加しておるというようなものもあるようでありまして、やはり青少年の犯罪防止及びこの不良化の防止ということにつきましては、重要性は依然として減っていないと思うのであります。さらに加えて、戦後十三年、独立数年になっておるのでありますから、次の時代を背負う青少年に対しまして、より積極的な気概を持って民族の中心になってもらうような、積極施策を行いたいというような意図で、この協議会の目的としては、さらに一そうその任務を重くしておるというつもりでございます。
  111. 田畑金光

    田畑金光君 これができましたいきさつ等を振り返ってみますと、配布された資料によりますならば、第五国会における衆参両院の決議等が中心となって、この法律制定に発展いたしておるわけです。昭和二十四年当時を振り返ってみたとき、敗戦の混乱がまだ各面に強く流れていて、従って、国民道徳あるいは青少年の健全な精神というようなものか、非常に傷つけられていた。こういう情勢のもとに、協議会設置というものが生まれてきたものと判断するわけです。しかし、今日ようやく、曲りなりにも経済も発展し、あるいは国民生活の水準も向上し、あるいはまた、そういう客観的な条件のもとにおいては、青少年が相当程度自覚的な精神を持つだんだん余裕も生まれてきている、生まれつつある。こういうように判断したとき、おのずから、あの当時と今日の時代は相当開きがあるように見受けるわけでお話によりますと、かえってますます重要性を帯びてきた、こうお話しになりますが、ある面においては犯罪も減少したが、ある面においてはふえてきた。具体的に、しからば、どういう面で犯罪がふえ、どういう面で犯罪が少くなったのか。  一般論といたしましては、私はやはり戦後十三年を経過した今日の時代においては、当時の模様とおのずから違ったものがあってもいいじゃないか、また青少年問題協議会の運営等についても、違った内容をもって運用さるべきものではないだろうか、こう考えますが、この点についての御意見、御所見を承わりたいと思います。
  112. 藤原節夫

    政府委員(藤原節夫君) 確かに、お説の通りに、経済状況が安定いたしまして、社会の秩序が回復するに従って、全体としては犯罪は減っておるはずであります。たとえば、麻薬覚醒剤等の犯罪につきましては、これはほとんど、根絶とまではいかなくとも、一時のあの状態から見ますと、非常な改善の跡を示していることは事実でありますが、また一方から申しますと、たとえば青少年の性犯罪、ことに集団的な暴力行為というようなものにつきましては、正確な統計を今ちょっと覚えておりませんが、減少をしておらない。多少ものによってはふえているというような、憂うべき傾向もあるのであります。こういう点につきましては、これは青少年問題協議会の設置されました趣旨からいいまして、さらに、その活動の無力を反省しなければならぬと思うのでありますが、そういう意味におきまして、やはり不良化防止、非行防止という点にも、相当の必要性がまだ残っておると思うのであります。  そうして、その上に、ただいまもおっしゃいますように、新しい今日の段階といたしましては、より健全な青少年の育成という積極的な面に、大いに力を注がなければならぬ、かように考えておる次第であります。
  113. 田畑金光

    田畑金光君 今お話の中にあります集団暴力行為とか性犯罪の激増、こういうような具体的な事例があげられましたけれども、それ自体もやはり、終戦直後に比較いたしますと、われわれ常識から判断する限りにおいては、むしろ減ったような感じを持つわけで、ただ、世の中がおさまってくると、そういう事件が表面に強く印象ずけられてくる、こういうことではなかろうかと、こう思うのですが、そうでなくして、事実、統計資料に基いても、そういう面の犯罪が多くなってきておるのかどうか、これは河上さんでもいいですが、資料に基いて御答弁願いたいと思います。
  114. 河上邦治

    説明員(河上邦治君) ただいま手元に警察庁の資料がございますので、その資料に基きまして御説明申し上げます。  昭和三十一年、三十二年におきます少年の刑法犯の被疑者の検挙人員でございますが、この少年は十四才以上二十才未満を申しておりますが、凶悪犯につきましては、三十一年が四千四百七十九件になっております。三十二年が五千四百六十五件になりまして、九百八十六件の増を示しております。粗暴犯につきましては、三十一年が二万二千四百八十八、三十二年が二万九千六百十五でございまして、七千百二十七の増を来たしております。窃盗犯につきましては、三十一年が五万七千二百六十一件で、三十二年が五万九千八百七十七件、二千六百十六件の増を示しております。知能犯におきましては、三十一年が四千八百六件で、三十二年が四千九百六十六件で、百六十の増を来たしております。なお、風俗犯におきましては、三十一年が六百五十一件で、三十二年が七百二十二件で、七十一件の増を来たしております。以上申し上げました中で、凶悪犯の中で殺人等におきましては、三十一年が三百二十三で、三十二年が三百七で、十六の減を来たしております。  以上のような統計が警察庁から出ております。
  115. 藤原節夫

    政府委員(藤原節夫君) ただいま御説明申し上げたようなことでありますが、どうも私ども、よく原因についてはわかりませんが、警察の方の申すところによりますと、戦後の非常な混乱による青少年の犯罪というものは、二十六年ぐらいを頂点にして、だんだん波ってきた。減ってきたのに、また、三十年くらいが底になって、三十年以降ふえてきておると、こういうのです。それが、今申し上げた一つの数字でありますが、この点については、これは警察当局としてもいろいろ研究調査をなさっておると思いますが、青少年問題を扱う上で非常に考えてみなければならぬところであると考えております。警察の方の調査は、そういうような総括的な見方になっております。
  116. 田畑金光

    田畑金光君 それから、同じ府事でも、相当に協議会のたくさん設置された市町村を持った県と、青森とか岩手、こういう県等はわずか三市町村程度が協議会を設置しておる。こういうように非常に開きがあるわけで、これはどういうところに原因があると見ておられるわけですか。
  117. 藤原節夫

    政府委員(藤原節夫君) 戦前のように、中央で府県の監督をやっておりませんので、正確にどういう理由であるということを申し上げるわけに参りませんですが、やはりその府県の首脳部が青少年問題について熱心なところは、あるいはまたその府県の青少年問題協議会の活発なところは、市町村の協議会設置についても熱心な勧奨が行われるということは考えられるのでありまして、そういう点に不十分なことがあるのではなかろうかと考えております。むろん、国としましても、できるだけ充実するような勧奨はいたすのでありますが、強くこれを命令するとか、強い指導ということができない状況になっておるわけで、その辺はなはだ不充分な御答弁しかできませんが、そういうふうに御了解願います。
  118. 田畑金光

    田畑金光君 それは一つ、財政的な事情等も手伝っておるのではなかろうかと、こう見ますけれども、この予算関係がどうなっておるかという具体的な内容について、もう少し御説明を願いたいと存じます。
  119. 藤原節夫

    政府委員(藤原節夫君) それは私の方が申し落したのでありまして、確かにそういう原因があると思います。府県の協議会までは中央から補助が参っておりますが、市町村の協議会については国からの補助がありません。これに対して、市町村にも補助を出すようにという希望は相当強いものがあるのであります。今日の予算をもってしては、まあそこまで手が回りかねておるという状況であります。理想といたしましては、そういう財政的なめんどうまで国が見られるということになりますと、おっしゃるように、ある程度行き届いたことができるのではないかと考えております。
  120. 田畑金光

    田畑金光君 この事務局を今度新しく設けられたわけですが、今まで差しつかえなかったはずですが、どういうわけで今度また事新しく事務局を設けねばならなくなったのか。今まではこの仕事は総理官房の審議室でやっていたようでありますが、今までのスタッフというものはどういう構成でやってこられたのか。仕事はむしろ私は、これから一応軌道に乗って、かえってこういう事務局等は簡素化してもできるように判断するわけですが、これを定員五名もふやして、そうして機構を拡大しなくちゃならぬ、それに局長も置く、課長も二名設ける、課長補佐も二名設ける。局長、課長というえらいポストをたくさんお作りになりましたが、そうしなければならぬ今日の事情にあるのかどうか。今まで間に合っていたと思うのですが、どうして間に合わなくなってこういうようなことになってきたのか。
  121. 藤原節夫

    政府委員(藤原節夫君) 実は、この青少年問題協議会に事務局を作って事務機構を整備してくれという話は、これは昭和二十八年以来の要求であったそうでありまして、実際やってみまして、やむを得ずこれは審議室で仕事をやっておるのであります。ここにおります河上参事官が中心になりまして仕事はやっておりますが、性質上非常に専門的な問題があり、また長年にわたって継続していく仕事が多いものでございますから、はっきりした事務局の機構があって、そこで専門の仕事のできる者が専念してやっていけるようにしたいというのが、かねがねの要望であったわけであります。  審議室でやっておりますと、実は今主任をしております河上参事官も、その他スポーツの関係であるとか、いろいろなものを兼務しておりまして、なかなか十分にこの青少年問題に手が回りかねるというような事情でございます。どういうわけですか、この内閣審議室の仕事なんというものは、見ておりますと年々ふえて参ります。まあ各省にわたり、あるいは各官庁に属さない中間的な仕事がふえるというのでありますか、整理しては元へ戻す、また出てくるというようなことで、実はまあ処理に困っておるような実情でありまして、そういう意味合いから多年の懸案であったわけでありまして、今ほかにこういう例といたしましては、御承知の社会保障制度審議会がやはり小規模の事務局を持ちまして、専任を置いて仕事をやっておるという、これにまあならうようなわけであります。
  122. 田畑金光

    田畑金光君 大体、総理府の総務長官といっても、あるいはまた藤原さんのような総務副長官といっても、最近ふえたばかりの一番えらいポストであるわけですが、まあ皆さんのようにこういう優秀な方々が一番上に立たれておるわけで、また河上参事官のような練達たんのうな士がおられるのだから、今さらこれをふやさなくてもできるようにわれわれは見ますけれども、なぜこれだけの機構を備えて局長を置かねばならぬのか。むしろ、逆なような感じがするわけです。社会保障制度審議会というものは、これは重要な国民年金制度確立その他の問題を控えて、当然時代の要請から見ても、これらには相当なスタッフを置いて、国民の期待にこたえる仕事をやってもらわなければならぬと思いますけれども、もちろん、青少年問題協議会の仕事自体を私はかれこれ言うのではなくして、仕事の分量等から申しまするならば、何も今あらためて五名の事務局員を置くような、こういう機権の拡大をやらなくてもやれるように見受けるわけですが、その辺の事情をもう少し一つ具体的にお聞かせ願えればと、こう思うのです。
  123. 藤原節夫

    政府委員(藤原節夫君) 今日までも、ただいま申し上げましたように、十分でなかった。事務機構がもう少し充実しておれば、協議会の仕事も能率的に効果を上げ得るのにという遺憾な点があったのでございます。さらに今後は、先ほども申し上げましたように、不良化防止、非行防止という消極的な面でなく、さらに積極的な健全な青少年の育成という面に、これまた各省にわたる問題がございますので、総合調査をし、調整をし、意見をまとめるというような仕事を、新しく大いにやっていきたいと、こういうことで、事務局の設置を多年の懸案をこの際一つぜひ実現したいという考えでございます。  なお、その事務局のやりまする具体的な仕事の内容、あるいは機構等につきましては、もし御要求がありますれば、河上参事官の方から御説明申し上げます。
  124. 田畑金光

    田畑金光君 今お話のありましたその機構の内容、構成、仕事の内容等について、河上さんから一つ説明を願いたいと思います。
  125. 河上邦治

    説明員(河上邦治君) このたび考えております案といたしましては、事務局を大体二つの関係に分けたいと思いまして、一つは企画関係と、もう一つは、やはり事務局の調査審議ということが大きな仕事でございますので、調査関係、それから各省が十一省庁にまたがっておる関係で、その連絡関係がございますので、調査連絡関係とそれから企画関係、この二つの部面に分けたいという原案を持っております。  企画関係といたしましては、青少年に関します総合的施策の樹立といいましても、非常に範囲が広うございまして、また問題が一朝一夕に解決できるような問題ではないのでございますので、これを基本的に企画して立案するという仕事があるかと存じます。なお、会議でございますが、法律にございますように、毎月少くとも一回は開くことになっておりますので、その事前に、今でもやっておるわけでございますが、連絡官会議幹事会等を経まして、本委員会を開いております。なお、それに専門委員会一つだけ現在持っておりますが、これは青少年の地域活動に関する専門委員会でございますが、その関係等の会議の開催等の問題がございますので、その方のお世話をすることが一つございます。それから、何と申しましても、この問題は広報活動が中心になるかと存じますので、広報活動の面。そのほか約手五百万ばかり都道府県の青少年問題協議会に補助金を持っておりますので、これは地方の青少年問題協議会の運営費のための補助で、二分の一の補助をいたしております。補助金を持っておりますので、この関係。以上が大体企画関係の力になるかと存じます。  それから調査連絡関係といたしましては、現在青少年のための調査というものが各省庁にあるはずでございますけれども、これが非常に不十分でございまして、たとえば外国調査、外国の青少年の非行なら非行を取り上げて、この調査を先般も徴したのでございますけれども、これがほとんど整理されたものが各省庁にないというような現状でございますので、こういうための調査でございますとか、ただいま申しました、十一省庁にわたりますところの関係行政機関の相互の連絡調整の事務がございますが、この事務でございますとか、地方協議会を育成するという面と、それからこれとの連絡の事務、あるいは研究機関とか民間団体等の連絡、資料の収集、こういうような事務のために、一つの部門を当てがったらどうかと思いまして、これだけのスタッフでこれだけの仕事をかかえてなかなかと思いますが、現在予算に計上されておりますのは、定員五人と常勤労務者四名、そのほか賃金職員二名でございます。なお、そのほか各省からやはり兼務で若干名の職員を予定いたしておりますので、これだけのスタッフで以上申しましたような仕事ができればと存じまして、一応原案として考えておるわけでございます。  なお、この中央に事務局を置くということは、先般、二月の末にございました全国の青少年問題協議会の大会等におきましても、決議なり要望によって表わされておるものでございますし、長年地方の方々もこの事務局を作って、一つもう少し中央も強力な体制を整備しなければならぬといういつもおしかりを受けておるような現状でございますので、以上のような趣旨を御説明申し上げます。
  126. 田畑金光

    田畑金光君 予算関係について御説明願いたいと思うわけですが、今度の事務局を設けたことで、どの程度の予算措置が必要になってきたのか。それと、今お話の中にありましたように、地方公共団体への補助金というようなのは、この二、三年来どういう金額を府県に補助金として交付してきたのか、あるいはまた、この協議会を開くに当っての費用というようなものは、この二、三年来どういう数字をたどってきておるのか、御説明願いたいと思います。
  127. 河上邦治

    説明員(河上邦治君) 従来の地方青少年問題協議会に対しまする補助金につきましては、青少年問題関係資料の中にございまして、昭和二十八年度から地方の青少年問題協議会に対しまして補助を実施いたしております。二十八年度が千七百二十九万七千円、二十九年度が千三百二十五万七千円、三十年度が千二百一万五千円、三十一年度が千二百一万五千円、三十二年度が千八百五十二万五千円、三十二年度が千四百五十五万九千円と相なっておりす。   〔理事大谷藤之助君退席、委員長着席〕 なお、この千四百五十五万九千円の内訳は、一県平均運営費が六十三万三千円の積算でございまして、それに対しまして二分の一の補助をいたしますので、補助金といたしましては三十一万六千五百円の運営費の補助が平均になるわけでございます。中身は、委員手当、諸謝金、旅費、庁費等になっておるわけでございます。  なお、この中央の青少年問題協議会の予算といたしましては、三十三年度が、その補助金以外に、青少年の事務局の設置といたしまして、新たに四百八十三万五千円の予算を計上いたしておるようなわけでございます。そのほか、標準予算といたしまして、約二百八十万ばかりの一般標準的な経費が計上されております。
  128. 田畑金光

    田畑金光君 昭和三十二年度の、今御説明のありました予算を見ますと、総額二千百十二万八千円、昭和三十三年度は二千二百二十八万六千円と、こうなって、約百十万前後ふえているわけですが、昭和三十二年度は、昨年度は、事務局設置というのがなかったので、一銭も事務局費用は出ていない。昭和三十三年度は事務局を設けたので、四百八十三万五千円になっている。ところが、地方公共団体への補助金を見ますと、昨年は千八百五十一万五千円だったが、ことしは千四百五十五万九千円になって、約四百万減っているわけです。結局、地方公共団体への補助金は、事務局を設けたそれだけ予算的に削られている、こういう結果になっているわけで、  先ほど藤原副長官のお話にもありましたが、未設置の府県、市町村については、できるだけ一つ財政的な考慮を払って設置できるように指導して参りたい、こういう御趣旨の説明があったわけですけれども、本年度のこれを見ますと、逆に四百万減っている。その四百万は事務局設置で食っている。こういうわけで、これはいささかどうも先の御答弁と相反する状況になっているわけで、地方の府県、市町村が積極的に動く、それに対する財政的な補助をして上げる、これが私はやはり今の段階では大切なことであって、その補助金を少くとも昨年並みに維持するとか、あるいはそれ以上にふやして上げる、同時に、中央の事務局も強化する、こういうことならば話はわかりますけれども、中央の事務局のために地力への補助金をそれだけ食ってしまった。これでは、だれのための仕事なのかわからなくなってくわるけで、この辺はどういう工合説明されるのでしょうか。
  129. 藤原節夫

    政府委員(藤原節夫君) 地方への補助金が減額になっております。これは、本年度の予算の編成方針といたしまして、補助金は全体といたしまして一律二割節約する、中央の庁費は五分節約するという方針で、基本の予算が組まれたわけであります。そういう減額された予算の上に、事務局の設置費四百八十万というものが別にプラスされまして、合計百万か百何万の増加ということになつているわけであります。地方への補助金を食って中央の事務局を作ったというわけではないのでありまして、御了承願いたいと思います。
  130. 田畑金光

    田畑金光君 今の藤原さんの御答弁は、少しおかしいと思うのですがね。予算の規模自体は、昨年に比較すると、国の予算全体が一六%もふえている、全体としての予算規模はそれだけふえているが、それでは何にふえたのかということになってくるわけで、結局そのしわが、ある面においては一六%も、あるいはそれ以上もふやしたけれども、こういうところには削られてきた、減らされてきた、こういうようなことで、結局予算の面からいうと、政府はこういう青少年問題協議会というようなものはそれほど大切なものではないのだ、あるいは仕事もだんだん減らしてもいいのだ、こういう判断に立った予算措置だと、こう考えているわけです。ところが、事務局のためには、新しく設けて、政府はこれはだんだん減らしてもいいのだという考えに立っておるのにかかわらず、事務局は必要だ。この事務局には今度四百八十三万円、去年は何もなかったのにプラスをしているわけで、これだけまるまるこれはゼロからふえてきているわけです。これはつじつまが合わぬと思うのですが、むしろ事務局を設けてそれだけ仕事をふやすならば、昨年の千八百五十万の地方団体の補助金はおろか、もっともっとこれはふやしてあげても、事務局の手前これは必要じゃなかろうかと思うのですけれども、その辺の説明がどうも納得いきませんが、もう少し、一つわかるように説明を願いたいと思います。
  131. 藤原節夫

    政府委員(藤原節夫君) むろん希望といたしましては、補助金をふやし、事務局も作り、できれば市町村までも補助をしたいというのが希望するところでありますが、内閣の予算の編成方針といたしまして、補助金は一律二割、中央の庁費は五分天引をする、そうして必要な方面に回すというような方針になったわけでありまして、補助金について減額を見たことは遺憾であるが、しかし、一面にどうしても必要な事務局を設置して、青少年問題の解決に、その面から大いに力を注ぐ、こういう一つの考え方に立っておるわけであります。
  132. 田畑金光

    田畑金光君 補助金を一律二割削る、庁費を一律五分削る。しかし、たしか補助金を二割削ることによって、何百億か、当初政府は補助金整理を考えて、大蔵省原案にはそれが載っていたけれども、やがてこれは復活させられて、より以上にこれは今年度の予算においてはふくれ上っているのが、今の予算の実態で、ただこの面だけが一つ削られた、こういうことになってこようと思うのですが、これはどういうふうに説明したよろしいのか。  特に私のお尋ねしたいのは、総額は昨年とほとんど変りないのですね、総額は百万くいらふえているのです。ところが、その百万くらいふえている補助金も、全部事務局に食われている。おまけに、昨年の地方団体への補助金から、三百万も事務局設置のために食っておる。合計四百八十万、事務局設置のために食っておる。これはどうも本末顛倒、行政の着眼が異なっておる、焦点が狂っておるように考えますが、この点はそうお考えになりませんかどうか。
  133. 藤原節夫

    政府委員(藤原節夫君) 補助金の一律削減につきましては、当初の査定ではそうであったが、その後に至ってはこれが復活をし、ものによってはふえたものもある、確かにそうであろうと思うのですが、しかし一応一般的にはこの方針で参っておるわけであります。特に、この青少年問題協議会の地方補助につきましては、これは建前は運営費を補助するということになっておるので、三十二年度の実績を見ますと、これは地方財政の関係であろうと思うのでありますが、半額補助ということになっておりますので、このあとの半額の負担の問題に関連いたしまして、補助金を消化できなくて、残っておる未消化の分があるというのが実情であります。三十二年度で約それが二百万円消化し切れないという実情にありますので、府県についてはこれ以上補助金はちょっと考えられないのじゃないか。市町村の場合はむろん別でございますけれども、そういうこともあって、補助金の二割削減という方針が一般的に打ち出されたのだろうと思うのであります。  それはそれといたしまして、ぜひ必要な事務局の設置の費用については、これは別途に強力にこれを要求をいたしまして、不十分でありますが、それが四百何十万円計上された。差引で、今申し上げましたような百万円ばかりの増加ということになったわけでありまして、補助金についてはそういうようないきさつでございますから、どうぞ御了承願います。
  134. 田畑金光

    田畑金光君 二百万の補助金が余ったとおっしゃいますけれども、それはやはり、地方団体が二分の一負担しなくちゃならぬけれども、赤字団体等でなかなか負担ができないというような事情もありましょうし、あるいはまた、私が先ほど来申し上げているように、この協議会というものの末端における運営というものが、それほど重要性を持った機関として理解されていないのではなかろうか、こういう点も考えられると思うのです。いずれにいたしましても、私はこういう仕事のためではなく、人のために機構を作るような印象というものが、政府の最近の行政機構改革の各面に出ているわけで、これあたりも私は全くその範疇に属する機構改革だと思うのです。仕事をまず充実するというのでなくして、人のために機構を作る、そういう傾向が非常にこれは強いので、まことにこれは遺憾だと思うのです。よく政府の方においても考えていただきたいと思うわけです。  次に、お尋ねしたいことは、委員の構成です。たくさん委員の方がおられますが、どういう基準で委員というものが出ておられるのか、仕事をしておるのか、選考の基準を一つ説明願いたいと思います。
  135. 藤原節夫

    政府委員(藤原節夫君) 委員の決定につきましては、青少年問題協議会設置法の第三条によりまして、委員二十五人以内、その委員は左に掲げる者について内閣総理大臣が任命する。そういうことになっておりまして、衆議院議員から三人、参議院議員から二人、関係行政機関の職員が十一人以内、最高裁判所職員一人、学識経験者が八人以内、こういうことになっておりますので、これによって任命しておるわけでございます。
  136. 田畑金光

    田畑金光君 私のお尋ねしておりますのは、今御説明にありましたように、政府から何者かというような法律の条文はあらかじめ承知しておりますが、この法律の条文に基いてそれぞれ出ておりますが、国会からとか、あるいは関係省の事務次官とか、最高裁判所の職員とか、学識経験者、こういろいろあるわけですけれども、これらの選ばれた委員の人方、あるいは職掌と申した方がいいかもしれませんが、仕事の面から、どういう関係でもってこの委員が選ばれておるのか、その基準と申しますか、関係一つ説明願いたい、こう申しているわけであります。
  137. 藤原節夫

    政府委員(藤原節夫君) 国会からお願いしておることにつきましては、これは御説明の必要がないかと思いますが、その他各官庁の関係官が委員に任命されておりますのは、ごらんのように、総理府は総合調整という意味で入って、おるのでありますが、法務、大蔵、文部、厚生、農林、労働、警察、自治、それから検察庁、最高裁判所、こういうふうになっております。  法務につきましては、御承知のように、少年院その池の矯正関係、保護観察の関係、犯罪防止の関係。大蔵省につきましては、もちろん財政関係であります。文部は学校教育、社会教育、またスポーツ関係があるわけであります。厚生は児童福祉の関係、社会福祉事業関係。農林関係につきましては、農村青少年、農村青年建設隊等の仕事をやっております。労働につきましては、青少年、年少労働者の保護の問題、それから職業補導の問題等があるわけであります。警察は犯罪防止の関係でありますし、自治は地方との関係。検察につきましても、これは犯罪防止ということであります。それぞれ関係のある仕事をやっておる官庁から委員に出てもらっておるわけであります。それから学識経験者につきましては、やはり学識そのもの、そういう問題に対して特に造詣の深い方、それからまた関係の機関におられる方というような意味におきまして、大体におきまして今の関係各庁庁から推薦を受けまして、それに基いてお願いしておるような次第であります。
  138. 田畑金光

    田畑金光君 この中で最高裁判所事務次長は欠員となっているようですが、これはどういう理由なんですか。いつごろから欠員になっているのですか。
  139. 藤原節夫

    政府委員(藤原節夫君) これは次長そのものが欠員になっておりますので、まあかわりをだれか推薦してくれといいますが、かわりはいないということで、そのままになっているわけであります。
  140. 田畑金光

    田畑金光君 これは、次長そのものが欠員ですか。この間異動できまったと思ったが、欠員ですか。
  141. 河上邦治

    説明員(河上邦治君) 欠員ということに伺っております。なおもう一回……。まだ手続はいたしておりませんので、現在やはり事実上委員会は、委員の方には欠員ということになっております。
  142. 田畑金光

    田畑金光君 それから、青少年問題協議会が今日までやってきましたいろいろな仕事について、お尋ねを進めてゆきたいと思いますが、これも、この間の連合審査会の場合に、文教委員の諸君から大まかな質問があったように聞いておりますが、今までどういうふうに仕事をおやりになってきたのか、その仕事の結果、これはなかなかむずかしい問題かもしれませんが、どういう成果が具体的にあげられてきたものと皆様方に認識しておられるのか、それを一つ説明願いたいと思います。
  143. 河上邦治

    説明員(河上邦治君) 青少年問題協議会におきましては、毎年実施いたしております青少年保護育成運動及び青少年代表者会議のほかに、協議会の本来の任務でございます調査審議につきまして、重点的に努力をいたしておりますが、中央青少年問題協議会で対策を策定いたしまして、内閣総理大臣に意見具中を行い、その省庁の施策いたしまして実施されましたものは、いわゆるお手元に差し上げております資料に調査審議の事項があるわけでございますが。  特にその中で青少年の覚醒剤の撲滅等につきましては戦後の混乱に乗じましていろいろ雑多な害悪を流しましたヒロポン問題を取り上げまして、厚生省に覚醒剤対策実施本邦を置き、地方に地方本部を置きまして、この撲滅のために対策要綱を作成いたしまして、二十九年に全国運動の展開をはかったわけでございます。その後非常にこれが徹底いたしまして、昭和三十二年度にはほとんど、この問題につきましては青少年の犯罪が逼塞の状態にまで参っております。これは各種団体等の御協力なり全国運動が徹底的に行われた結果かと存じております。  また、有害な出版物、映画等の対策につきましては、世論の喚起をはかりまして、三十一年の五月以降にいわゆる太陽族映画等が相次いで製作上映されて、各方面の非難を受けるに至ったわけでございますが、中央青少年問題協議会では、地方の協議会の要望もございまして、これに対する意見具申を三十一年の十一月に行いまして、業界の関心を喚起いたしました。昨年の一月には、自己規制団体でございます新映画倫理規程管理委員会の設置を見るに至りました。まだ不十分ではございますけれども、この自己規制の体制のもとに、特に青少年に有害な映画等を排除するような方向へ向っておるわけでございます。なお、広告等におきましても問題が絶えず出て参りますので、興行組合等に対して強い反省を求めることもいたしております。  なお、都道府県の一部におきましては、青少年保護育成条例等を制定されまして、これに対する対策等につきまして努力されておるような状況でございます。ただいままで行いました、いわゆる意見具申事項といたしましては、いわゆる人身売買対策でございますとか、精神薄弱児対策、先ほど申しました青少年覚醒剤の問題の対策、青少年に有害な出版物、映画等の対策、両親または片親を欠く者の就職、定時制高等学校に学びながら働きます青少年の福祉保護、定時制の高等学校、通信教育に対する財政措置、成人の日の運営について、また再度青少年に有害な映画対策、勤労青少年教育対策等につきまして、意見具申が行われておりまして、なお、その結果につきましては、不十分ではございますけれども、できるものから逐次この対策の実現に移して参りたいと、かように考えております。
  144. 田畑金光

    田畑金光君 いろいろやってこられたようでありますので、それらの仕事については、まあ順を追うてお尋ねしていきたいと思っております。今お話の中で、両親または片親を失っ者の就職あっせんについては、重要な事業の一つとして進められてきたわけです。この資料の七十二ページによりますと、各業界への依頼通知、昭和三十年十二月二十八日、内閣官房長官根本龍太郎、各業会殿と、こういう文書が出されて、当時はこの報道は世間に非常にあたたかい気持で受け入れられたわけで、問題は、この一片の通牒というもので、具体的なこの内容の滲透あるいは実現について、どの程度政府としては関係当局を激励されて進めてこられたか、それをお尋ねしたいわけでありますが、結局、これは一体、今両親や片親を失った子供というのはどの程度いるのか、こういうような問題から出発すると思うのですけれども、それらの統計はありましようか。
  145. 河上邦治

    説明員(河上邦治君) ございます。
  146. 田畑金光

    田畑金光君 では、一つ。それでは、そういう資料に基いて、政府はこの通牒の精神をどう具体化してこられたか、どういう仕事のあっせん等で成功をおさめてこられたか、それらの点について御説明を願いたいと思います。
  147. 河上邦治

    説明員(河上邦治君) 手許に若干の資料がございまして、不十分かもしれませんが、御説明を申し上げたいと存じます。  昭和三十一年三月の中学校及び高等学校の新規学校卒業者の就職状況につきまして、労働省が公共職業安定所を通じまして職業紹介を受けた岩の調査をいたしたわけでございますが、この調査によりますと、全求職者数が五十五万三千四百十七人でございまして、その中で就職者は五十一万八千二百七十三人となっております。就職率が九三・六%となっております。そのうちに、両親または片親を欠く者の求職者は十一万一千百十五人で、就職者は十万八千七百十一人、就職率が九七・九%となっておりまして、全部の求職者に対しまして四・三%を若干上回っている数時を示しております。  この問題は、やはり家庭の身元保証能力の薄弱さを理由といたします差別的な取承いの問題かと存じまして、これにつきまして労働省等にも協力を願いまして、地方公共団体あるいは母子援護会等の民間団体によりまする身元保証制度の確立に重点を置いて、対策を進めて参ったわけでございます。昭和三十一年末には、身元保証を実施しております地方公共団体は北海道以下二十五都道府県、民間団体によって実施いたしておりますのは岩手県以下十六県、計四十一県ということになっております。
  148. 田畑金光

    田畑金光君 さらに質問を続行してよろしゅうございますか。――相当時間もたっておるようで、きょうはこの辺で私は質問をやめときたいと思いますけれども、今の河上参事官の御説明資料として、一つ拝見したいと思うのです。それと、今のお話は、これは新規の中学校卒業者を対象としての調査ではなかろうかと思いますが、公共職業安定所の窓口を通じて、私の知りたいのは、その上のクラス、高等学校卒とかあるいは大学校で、せっかく母親が大学まで出したが片親だというわけで、なかなか希望ずる仕事につけないというのが、われわれの周囲にもしばしば経験することで、こういうもっと深刻な内容の調査ができているのかできていないのか。もし労働省あたりでそういう調査等があるならば、それもあわせて一つ、次回まで資料として御提出願いたいと思います。  それから、映画なんかについて、いろいろこれは見ちゃならぬとか、これは青少年のために悪いとか、いろいろな基準があるわけですが、その映画論理規定等に基いて処理されておるようでありますが、それはどういう基準でいいとか悪いとか判断しておられるのか、こういう点。  それから、もう一つ、この際お尋ねしておきたいことは、道徳教育の問題が出ておりますけれども、皆さん方から見ました場合に、この道徳教育というものは、どういう内容の一つ教育を学校等でやってもらった方が、青少年の不良化防止その他のために望ましいのか、皆さん方の一つ判断でけっこうでございますので、次回に資料として御提出願いたいと考えるわけです。それは文部省とよく御相談なさってもけっこうですから……。
  149. 千葉信

    千葉信君 藤原さんにお尋ねいたします。青少年問題協議会の仕事が所期の成果をおさめつつあるかどうかという点等については、連合審査の場合にも問題になり、また、ただいま田畑委員の方からもいろいろ御質疑がありましたが、私はこの際、少し毎度を変えて、この青少年問題協議会なるものがどういう組織上の性格を持つかという点について、お尋ねをしたいと思います。  そこで、一番最初にまず答弁をいただいておきたいと思うのは、こういう行政機関、こういう協議会等も、結局はその一定の基準をもって、まあ具体的にいえば、行政組織法に基いて組織の基準を定めることを目途として、そうして行政組織を整備するという建前で、国家行政組織法が制定されている。いかなる行政部内の機関といえども、この組織の基準と、それからその組織を整備するという点については、この国家行政組織法は一つの根本法であり、憲法でなくちゃならぬし、従って、そういう意見を逸脱してはいかぬと思うのですが、この点について藤原副長官の御意見を得たいと思います。
  150. 藤原節夫

    政府委員(藤原節夫君) ただいまの点につきましては、千葉先生のおっしゃる通りだと思っております。
  151. 千葉信

    千葉信君 そこで問題になりますことは、一体この青少年問題協議会なるものは何かということです。こういう機関の関係では、これが行政機関であるという、もしくは行政を担当するものであるという。内容からいえば、これは連合審査会におきましても、政府委員から明確に、この協議会は単に調査、研究等の仕事だけではなくて、各行政機関にまたがるこの関係の仕事の連絡調整等をやるものであって、従って、これは単なる審議機関、諮問機関等ではない、こういう御答弁をいただいておりますが、藤原さんもこれは同様でなければならぬと思うのですが、いかがですか。
  152. 藤原節夫

    政府委員(藤原節夫君) その通りに思っております。
  153. 千葉信

    千葉信君 そういうことになりますと、これが行政を担当するものであるということになりますと、これは国家行政組織法第三条の範疇に属するものでなければならぬと思うのですが、その点についてはどうですか。
  154. 藤原節夫

    政府委員(藤原節夫君) 単なる諮問の機関ではない、連絡調整を行う機能があるということを申し上げたのであります。行政機関に対しまして連絡調整を行なって、行政そのものは各行政機関が行うわけでありまして、直接その協議会が行政を行うというわけではないと……。
  155. 千葉信

    千葉信君 さあ、そこで問題になるのは、各省間にまたがるそういう仕事、連絡調整をするという仕事が行政ではないという解釈ですか。特に、実際上市町村等におけるこの協議会の活動を見ますと、明らかにこれは行政であると言うべき仕事を担当しております。いただきました資料によりましても、北海道釧路市における協議会では、人身売買対策、青少年犯罪防止対策、岩手県の鳥海村では、青少年団体指導者の育成、不良化防止対策、宮城県の登米町では、長欠児童対策、子ども会の育成、これはその行政と関係ない。――たくさんあります。こういう協議会が、これは中央協議会、内閣にあるところの青少年問題協議会の任務と同じ任務を規正されている地方協議会の活動です。これ、どうでしょう、副長官、これは行政でないという議論が一体成り立ちますか。
  156. 藤原節夫

    政府委員(藤原節夫君) ただいまあげられました協議会におきまして、直接行政の対象になるような題目の決定をしておりまするが、これを直接協議会が行うということではなく、意見の具申を行なって各地方行政機関がこれを実施するという仕組みになっているわけでありまして、あるいはただいまおっしゃいました資料にございます表現が不十分で、そういう誤解を生むのかもしれませんが、そういう趣旨でございますから。
  157. 千葉信

    千葉信君 これは、あなたの方からいただいた資料によるものなんですよ。
  158. 藤原節夫

    政府委員(藤原節夫君) どの資料ですか。
  159. 千葉信

    千葉信君 「青少年問題協議会設置法の一部を改正する法律案に対する参議院内閣委員会要求資料内閣総理大臣官房審議室」と署名があります。はっきりこういう仕事をやるんだという資料出しておきながら、これはやっている仕事じゃないのだ、そういう仕事の連絡調整だけだという答弁は、成り立たぬと思うのですが、いかがですか。
  160. 藤原節夫

    政府委員(藤原節夫君) これらの対策につきまして調査、審議をし、意見の具申をし、各行政機関に対しましてこれの実施を求めるというのが趣旨でありまして、何々対策と書いてございますのは、決してこれがその行政を直接行なっておるという意味ではむろんございません。
  161. 千葉信

    千葉信君 まあ、それなら、この点はこれ以上追及しません。しかし、さきにお尋ねしたのに対する副長官の答弁からいいましても、実際に不良化防止とか人身買売対策なんという仕事に直接手を出していなくとも、この協議会が単に第二条の第一項にありますように、「青少年の指導、育成、保護及びきよう正に関する総合的施策の樹立につき必要な事項を調査審議すること。」、これはいいです、この点は。その次が、「青少年の指導、育成、保護及びきよう正に関する総合的施策の適切な実施を期するために必要な関係行政機関相互の連絡調整を図ること。」、あなたたちが、連合審査会でも、さっきも、あなたはある程度の行政を行う協議会であるということを答弁されたのは、この第二条の第一項の二にあると思うのです。これが単なる審議とかあるいは意見の具申をやるというだけではなくて、政府部内におけるこの青少年問題に関する各省担当の行政事務について、それの総合調整をやるという行政を担当しておる。これを行政でないという御意見が成り立ちますか。
  162. 藤原節夫

    政府委員(藤原節夫君) 各省間の行政機関の仕事の適切な実施を期するために、必要な連絡調整をはかる協議機関でありまして、これは各省ばらばらでは実際問題としてなかなか実効が上らない。ここで連絡調整をし、協議をして、より有効適切な行政を各機関が行う、こういう目的でできておるものでありまして、そういう連絡調整、協議が行政であるかあるいは行政ではないか、その辺の点についてはいろいろあるいは意見があるかもしれませんが、この国家行政組織決の第八条の規定による機関でございますから、ここにやはり必要な協議会を置くことができるということになっておるのであります。協議会というのは、やはり各省間の行政について、それぞれの者が集まって、円満な遂行を期するために協議をするということが目的であると思います。これは第八条の目的にかなうものであると考えております。
  163. 千葉信

    千葉信君 まあ第八条の問題はあとにします、第八条の問題は。私の聞きたいことは、各省のそれぞれ担当している仕事に関連して、これは各省設置法がその分掌の行政については明確です。ところが、総理府等にあっては、それぞれのその設置法できめられた各省の分掌以外の事項を総理府は担当するのです。いいですか。ですから、こういう機関を設けるときには、どうしてもこれは組織法上からいいましても、あるいは総理府設置法からいいましても、総理府に設ける以外に道がないのです。そうして各省のそういう仕事の総会調整をはかるといったことは、これは単なる審議とか単なる協議でないということは明白だと思うのです。従って、あなた方は、今私がこの質問を続ける前提条件としてお尋ねしたときには、行政を担当しているという答弁をされた。私の質問に対して、そうだとお答えになる。全くその通りだとお答えになる。この間の連合委員会でも、明らかに二回も三回も、あれは審議室長ですか、この機関は単に調査審議するだけの機関ではございません、行政を若干担当するものでございますと、それを連絡調整にかけておる。これは筋の通る答弁です。それだから、われわれは、連合委員会ではそれを了承してきた。ところが、今藤原さんは、いやこれは各省間の連絡調整という。本来総理府が各省に属せざる事項についてやらなければならぬという立場、従って、そういう総理府の任務として、各省間のこの青少年問題の対策について総合調整をはかるという行政を執行されておる。それを、この青少年問題協議会は「調査審議する」という一号の任務と同時に、第二号では、「連絡調整を図る」というその仕事が行政でないという、大なり小なり行政ではないという御答弁を私は全然了承できない。いかがですか。そういう答弁で終始されますと、首相を呼びますよ、また。
  164. 藤原節夫

    政府委員(藤原節夫君) この協議会が実施の機関で、各行政機関で実施する事項についての実施の機関ではないということを申し上げておるのであります。さっき申し上げましたように、その連絡調整あるいは協議ということが行政の中に入るか入らぬかについては、いろいろ考え方もありましょうと申したのでありますが、連絡調整、協議を行う機関である、従って行政組織法の第八条の機関であるということを申し上げたのであります。
  165. 千葉信

    千葉信君 実施をする機関云々ということは私はわかのです、それは。それは各省がやるのですから。厚生省あり、労働省あり、郵政省あり、運輸省あり、農林省あり、それぞれの機関が実施するわけですから、それは聞かなくてもわかっておる。そういう各省ばらばらになっておるのを、どうも調整がとれぬ、どうも連絡が不十分である。従って、これをどうしても一貫した政府の方針として、その全体を統合し調整しなければならぬというその目的があるから、この協議会が生まれたのではありませんか。その目的を達成するための手段というのは、実施は担当しないけれども、その分については政府の行政ではないのですか。行政のある程度の執行じゃありませんか。私は実施のことを言っておるのじゃありません。実施のことを言っておるのではなくて、こういう連絡調整し、総合調整をはかる、統一する、こういう任務はこの青少年協議会にあるのですから、これは単なる諮問、単なる調査でないということは、あなたもお認めにならざるを得ぬと思うのです。いかがですか。重ねて……。
  166. 藤原節夫

    政府委員(藤原節夫君) 単なる諮問、単なる調査の機関ではないということは、最初に申し上げました通りでありまして、総理府の新掌事務の一部としまして、連絡調整の仕事をやっておるわけであります。
  167. 千葉信

    千葉信君 わかりました。総理府の任務として連絡調整を仕事としておる。その総理府は行政機関である、行政を担当しておる省であり府である。これではっきりしました。そうすると、行政を担当しておるというその総理府が所掌しておる青少年問題協議会、ここの設置法の第二条第一項第二号のこの任務を持っておるこの協議会は、行政組織法の第八条に入りません、これは。しばしばこの委員会でも、行政管理庁からも私は答弁をいただいております。そのいただいております答弁というのは、行政を担当する部門については第三条の規定によります。第八条は諮問機関である。あるいはまた、行政を担当しない、行政を行わない諮問機関、調査機関。明白なんです。しいていえば、第八条には入らない機関である。第三条に入れることが適当かどうかは別として、第八条には入らない。いいですか。そうなると、この青少年問題協議会なるものは第三条に入れて、そうして国家行政組織法にいう別表第一の中に入れるか、さもなければ、どっちにもつかないものであるというならば、これは国家行政組織法に準拠したものではない。少くとも行政組織法第一条にいうところの「国家行政組織を整える」という目的に反して、組織法が著しくないがしろにされておる。  これは藤原さん、別表第一にいうところの公正取引委員会であるとか、国家公安委員会、土地調整委員会、首都圏整備委員会、あるいは法務省にある司法試験管理委員会、公安審査委員会、文部省にある文化財保護委員会、運輸省の船員労働委員会、捕獲審検再審査委員会、労働省にある中央労働委員会、公共企業体等労働委員会、こういうものと同じだということは、私は、これは少しその組織の形態、その行政自体の問題からいっても、これと同じだということをここで言うのは、少し私は極論だということは認めます、これと同じだということは……。しかし、少くともこれと同じ性格を持っている。さっき藤原さんは、この青少年問題協議会と同種の事務局を持っている審議会の関係で、社会保障制度審議会をおあげになりました。事務局を持っていることについては、今回この青少年問題協議会が事務局を持つように、ここも事務局を持っております。それは藤原さんの言う通り。だけれども、これは明らかに、その目的も社会保障制度につき調査審議及び勧告を行う。明確なんです、これは。これは第八条に該当する審議会です。  しかし、この青少年問題協議会は違います。これは何と言ってみようと……。あなたもお認めになるように、総理府が担当するところの行政事務の一部を、行政を若干担当されるのですから、従って、これは第八条に入るなどということは全然当てはまらない。  そうすると、この組織法にのっとって打つものでなければならない行政機関としては、この青少年問題協議会は違法のものだ。もし、これを合法的に扱うとすれば、これは第三条にいうところの委員会に該当するものとして、別表第一にこれを挿入しなければならない。いずれかの措置が必要なことは、もう理屈からいってはっきりしている。また事実からいっても……。いかがですか。
  168. 藤原節夫

    政府委員(藤原節夫君) いろいろ御意見もございますが、私はやはり第八条の「所掌事務の範囲内で、特に必要がある場合においては、法律の定めるところにより」設けられる協議会であると考えております。
  169. 千葉信

    千葉信君 どうもわからぬね。あなたは肝心なところを抜かして読まれておる。肝心なところを。「特に必要がある場合においては、法律の定めるところにより、審議会又は協議会(諮問的又は調査的なもの等第三条に規定する委員会以外のものを云う。)」、第三条というのは、これは行政を担当している委員会だから、ここで区別している。行政を担当しているじゃありませんか。この青少年問題協議会は当てはまらないじゃありませんか。幾回かそこで同じ答弁を繰り返しても、これでは問題の解決にならないのです。いかがですか。
  170. 藤原節夫

    政府委員(藤原節夫君) これはなかなか、法律論になりますと、法制局なり行政管理庁からやってもらうのがほんとうでありますが、私どもの承知しております限りでは 第八条、今おっしゃった協議会の次にカッコがございまして、「(諮問的又は調査的なもの等第三条に規定する」、この「もの等」の中に含まれる、こういうふうに解釈をしておるわけでございます。
  171. 千葉信

    千葉信君 この「もの等」の「等」の中に入るというのは、それこそ詭弁ですよ。全然筋が通らない。なぜ第三条の「委員会以外のものを云う」とはっきり区別したかというと、「もの等」といっておいて、そのあとに「もの等第三条に規定する委員会以外のもの」だということをはっきり言っているのは、どこに差があるかというと、第三条の方は行政を担当する委員会だから、だから区別をしたのです、いいですか、行政を担当している委員会だから、第三条でなければいかぬ、それ以外のものはここだといって断わっている。これは大体小学校くらい出た子供でも、その理屈はわかると思う。
  172. 藤原節夫

    政府委員(藤原節夫君) 行政委員会であるかないかという点につきましては、これは学者にもいろいろ議論があって、一体委員会というものの性質がおかしい。行政権の範囲が、一体どこからどこで筋を引かれるのかという問題も、ずいぶん議論のあるところであります。千葉先生の御高説は十分尊敬いたしますけれども、私どもにはまた私どもの解釈の仕方があるのであります。一応それを申し上げておるわけであります。
  173. 千葉信

    千葉信君 それは御高説じゃないのですよ。してまた、どんな学者がどんなことを言っているか知らぬけれども、これは常識でわかることです。私がさっきから聞いていることは、この常識を土台にして常識論を展開している。一体あなたは、さっき、青少年問題協議会の担当している仕事が行政の一部であるということを、はっきり認めた。あなたは認めておいて、今度は第八条の関係に来ると、いやここに入るのだ、いろいろな学者がいろいろな意見を吐いているから、われわれもその点についてははっきりけじめがつけられないという御答弁ですが、そういうことじゃないのです。これは事業がはっきりしている、これは。  ですから、これは、藤原さん、私は青年年問題協議会は第三条に規定する委員会に入れるべきだということを、ここで主張しているのではないのですよ。組織の形態、それから行政の担当の割合、大きい、小さいはありますが、そういう点も考慮すると、第三条に規定する委員会にこれが該当するなどということを主張するには、若干疑義がある。私はほんとうは、これはどっちに入れるかということになれば、第三条に入れるのが至当ですけれども、しかし、第三条にいうところのそれぞれの委員会の状態と少し違うから、その意味で私は第三条の委員会に入れるということを言おうとしているのではない。しかし、少くとも第八条に該当する審議会、調査会、協議会などでないということ、この協議会が行政を担当しているという事実において、ここには該当しないのです。なら、これはあいのこだということになり、あいのこということになると、国の行政組織の水準をきめた国家行政組織法に触れるから、この点は考えなければならない、政府としては。それをここで何とかかんとか答弁をして、それでまるめてしまえばそれで済むという問題じゃない。政府の責任ですから……。  政府は一体、行政機関に対しては、この基準に基いて、すっきりしたそれぞれの権限の明確な、しかも系統立った行政機関を政府は作らなくちゃいかぬのです、それが政府の任務ですから。その意味からは、この行政組織法に明らかに抵触してきている。この青少年問題協議会のあり方については、政府はどうしてもこれは考えなければならぬ。どうしても藤原さんで私の了承する答弁が得られなければ、また、責任ある答弁をいただく方に出席願って、質疑を展開しなければなりません。
  174. 藤原節夫

    政府委員(藤原節夫君) さっき申し上げましたように、御納得いくのには、あるいは法制局なりあるいは行政管理庁の責任ある御答弁でなければいかぬかとも思いますが、先ほど来、これは私の常識で申し上げておるのでありますが、大体、今日の憲法以下、各戦後の行政機構に関する諸法律には、ずいぶん解釈上いろいろな問題があり、これに従ってできております行政機関、委員会等の性格につきましても、ただいまおっしゃいますような、あいのこ的な、中間的な、どこへ持っていっていいかわからぬような性格のものが相当にあるように思います。その意味におきまして、これの性格について、あるいはまたその基礎になっている法律自体について、一そう研究をし、検討をするということは、これはむろん必要なことであると思います。私、決してそれを否定しておるわけではございませんが、ただいまのところ、私どもが考えておりますのは、どこに属するのだかわからぬ、宙ぶらりんのものということでなく、第八条のこれに属するものとして考えておるということを申し上げたわけです。
  175. 千葉信

    千葉信君 八条に該当するものでないということは、今までの質疑ではっきりしているじゃないですか。何度あなたが八条に入ると言ってみたところで、八条からはみ出ているのですから、中間的存在を政府は作ろうとしているわけであります。それがいかぬというのです。(「国会でかつて認めたのだ」と呼ぶ者あり)
  176. 藤田進

    委員長藤田進君) 私語をやめて下さい。質疑を続けて下さい。
  177. 千葉信

    千葉信君 私語で、何か前に国会でこういう青少年問題協議会の法が成立しているのだから、国会で認めた云々ということを言うけれども、国会で認めたものであっても、疑義があり、もしくは問題があれば、国会としては十分審議をしなければならぬ、それがわれわれに与えられた権限なんです。(「国会で前に」と呼ぶ者あり)黙りたまえ。不規則な発言やめろ。もし、(「興奮せぬでやれよ」「やじくらいかまわぬだろう」「落ちついていこう」と呼ぶ者あり)興奮してやしない。  もし、その副長官のような答弁で終始されれば、これではとても私は了承するどころか、私以外の諸君も私は了承されぬと思う。あらためて責任者の出席を求めて、私はこの問題について質疑をすることにして、きょうはこの程度にとどめます。
  178. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記をとめて。   〔速記中止
  179. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記を始めて。
  180. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 簡単に三点ほどお伺いいたします。  第一点は、昭和三十一年十一月五日に、中央青少年問題協議会が、有害な映画対策について、五項目の措置をすることの意見を具申されております。その中に、第一に、「優秀な映画を普及するとともに青少年に有害な映画を排除するため、民間における世論に基く強力な国民運動の推進をはかること。」、それから第四に、「青少年に有害な映画については、青少年に対し観覧を制限するとともに、優秀映画の普及をはかるため、有効適切な法的措置を講ずること。」、こういうことがあるのですが、「強力な国民運動」というのはどういうことをやっておられたか。あるいは、有害の映画に対して有効適切な法的措置を講ぜられた、その法的措置というのはどういうことが具体化されているか。それが第一点。  第二点は、有害な出版物と映画等を排除するために、青少年保護条例をすでに制定せられた府県が十二ある。その他の府県に対して、これを積極的に制定するように、中央青少年問題協議会が働くことができないかどうか、それが第二点。  第三点は、中央青少年問題協議会事務局を置かなくても、文部省の社会教育課もしくは厚生省の社会局、ここでこの問題を取り扱ってどれほどの不便があるか。  この三点だけを私お伺いしたいと思います。
  181. 藤原節夫

    政府委員(藤原節夫君) ただいまの第一点につきましては、詳細なことを参事官から御答弁申し上げたいと思います。  第二点の、条例をまだ制定していない府県市町村に対して何らかの方法はないか、こういう御質問のようでございますが、これは条例まできめまして厳重な対策をとられることが最も望ましいことでありますから、さらに勧奨するような措置はとりたいと思います。が、御奨程度以上のことはちょっと考えておりません。  それから第三点の、事務局を設けなくても、文部省の社会教育局等でやれるのじゃないかというお尋ねでございますが、やはりこれは性質上、先ほど来申し上げますように、各省にまたがっておりまして、文部省内に事務局がありましたのでは、どうもほかの各省との連絡調整につきまして十分な機能が果せないのじゃないか。やはりこれは総理府にあります協議会そのものに持っておく必要がある。今日そういう意味で、審議室において取りまとめをやっておるのであります。同じような意味におきまして、これを拡充強化するのには、やはり総理府の協議会そのものに設ける必要があるということで、先ほど申しましたように、ここ数年来そういう要望がなされてきたわけでございます。ちょっと文部省に置くということでは不十分であろうと考えております。
  182. 河上邦治

    説明員(河上邦治君) ただいまの第一点の問題でございますが、青少年に有害な出版物、映画等を排除いたします全国運動といたしましては、昭和三十年の五月に、青少年保護育成運動というものを実施いたしておりまして、五月に月間連動としてこの問題を取り上げて、全国運動の展開をはかっております。しかし、なお、先々月の二月二十七、八日に行われました全国の協議会等におきましても、やはりこの問題が出て参りまして、何とかして青少年に対する映画、特に広告物の排除というものについて、全国運動を展開しようという世論もございます。今までは、三十年にいたしましたけれども、今後この問題は、中央協議会といたしましても考えなければならぬ大事な問題の一つであろうかと存じております。
  183. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 法的措置は。
  184. 河上邦治

    説明員(河上邦治君) 法的措置につきましては、賛否両論ございまして、今直ちに法律をもってこれを規制するということは困難な状態でございます。しばらく、昨年の一月にできました新映倫の運動状況等を勘案いたしまして、この問題はやはり中央協議会といたしましても、その運動を注視いたしまして取り計らっていかなければならないものだと考えております。
  185. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 厚生省なり文部省でやって不便だという今の答弁は、私としてはなはだ納得いかないのですが、ごく簡単でよろしゅうございますから、一筆書きで、厚生省なり文部省で総合したらこういったような不便があるということを簡単に所見を書いてお出し願いたいと思います。
  186. 藤田進

    委員長藤田進君) 他に御発言もなければ、本案の質疑は、本日はこの程度にとどめます。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時五分散会      ―――――・―――――