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1958-04-02 第28回国会 参議院 内閣委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月二日(水曜日)    午前十時四十五分開会   —————————————   委員異動 本日委員後藤義隆君及び迫水久常君離 任につき、その補欠として中野文門君 及び剱木亨弘君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     藤田  進君    理事            上原 正吉君            大谷藤之助君            永岡 光治君    委員            剱木 亨弘君            近藤 鶴代君            苫米地義三君            中野 文門君            増原 恵吉君            松岡 平市君            松村 秀逸君            伊藤 顕道君            千葉  信君            松本治一郎君            矢嶋 三義君            島村 軍次君            八木 幸吉君   国務大臣    内閣総理大臣  岸  信介君    国 務 大 臣 石井光次郎君  政府委員    内閣官房長官 田中 龍夫君    法制局長官   林  修三君    法制局次長   高辻 正巳君    行政管理政務次    官       榊原  亭君    行政管理庁行政    管理局長    岡部 史郎君    通商産業大臣官    房長      齋藤 正年君   事務局側    参     事    (委員部第二課     勤務)    川上 路夫君    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   —————————————   本日の会議に付した案件通商産業省設置法の一部を改正する  法律案内閣提出) ○各省設置法改正に関する件   —————————————
  2. 藤田進

    委員長藤田進君) これより内閣委員会を開会いたします。  委員異動について、事務局から報告させます。
  3. 川上路夫

    ○参事(川上路夫君) 御報告いたします。  去る四月一日付をもちまして、田中啓一君が辞任され、後任として松岡平市君が委員に選任されました。また、本日、後藤義隆君及び迫水久常君が辞任され、後任として中野文門君及び剱木亨弘君がそれぞれ委員に選任されました。  以上でございます。   —————————————
  4. 藤田進

    委員長藤田進君) それでは、これより議事に入ります。  通商産業省設置法の一部を改正する法律案等各省設置法改正案に関連いたしまして、行政機構全般の問題につき、岸内閣総理大臣に対して質疑を行います。  御質疑のおありの方は、順次、御発言を願います。
  5. 千葉信

    千葉信君 岸総理大臣お尋ねをいたしますが、政府の方から提案されました各省設置法等行政機構に関する問題に関連しまして、当参議院において各種審議会関係で種々論議されており、また、その問題に関連して、本会議の方で緊急質問をやりたいという申し入れをしている等のことについて、岸総理大臣御存じであったかどうか。
  6. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 緊急質問云々のことにつきましては、私、承知いたしておりません。
  7. 千葉信

    千葉信君 ただいま御質問申し上げましたのは、緊急質問のことについてもお尋ねしましたけれども、同時に、国会において各種審議会等関係がいろいろ論議をされているということを御存じであったかどうかの点、御答弁を願います。
  8. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 種々の審議会等行政、広い意味における機関の一部であるような審議会等は、法律においてこれを定むべきであるにかかわらず、法律によらずして閣議決定等でそういうふうなものは設けられているということについては、いろいろ御批判や御意見等もありましたことは承知いたしておりますし、また、それに対して政府としては、今までの慣行に対してはいろいろな御批判もあるだろうけれども、しかし、ごく臨時的なものであるとか、あるいはむしろ懇談会、あるいは民間の有識者の意見を聞くようた会議的なものについて、名前はいろいろな名前をつけておりますけれども、これを法律によらずして、閣議決定その他で置いている先例もあり、また実際上それが運営上適当であると思われるようなものも実はあるので、従って、この一つ行政機関であり行政機構的な性格を持っているものは、これは行政組織法によって、法律によってこの基礎を置くという原則については、政府もそれを尊重して考えていかなければならぬ、こういうふうに答弁をいたして参っております。
  9. 千葉信

    千葉信君 さっきの御答弁は簡に過ぎて答弁漏れが、ございましたし、今度は少し詳し過ぎて私がまだお尋ねしている以外のことについても御答弁がありましたが、これ一つ、こういう点については、できるだけ質問に関連する御答弁をお願いしたいと思います。  私のお尋ねした意味は、これからいろいろ首相お尋ねをする場合の一つのまくらといいましょうか、前提条件としての問題についてお尋ねをしたかったんです。首相のただいまの御答弁を見ましても、各種審議会等関係でいろいろ国会論議されておることはすでに御承知で、しかも、その中に問題になっております閣議決定審議会云々のことについては、いろいろ国会論議の最中であることも御承知。そこで、私のお尋ねしたいのは、そういう国会論議の最中に、それに該当する案件政府によって強行されてきている。具体的に申し上げますと、この間の三月の二十九日に第一回の発足をした審議会があります。傷病恩給症状等差調査に関する専門調査会、三月の二十九日に第一回の発足をしております。私は、こういう態度政府としてとるべき態度でないと思うのです。しかも、この質疑は、相当責任ある立場におられる副総理に対して国会では論議を展開しております。これは端的に言いますと、非常に不謹慎な態度だと思うのです。この点一体政府は全然無関心にやられたかどうなのか、その点、まず承わりたい。
  10. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 先ほどちょっと、私進み過ぎたようなお答えをしたかもしれませんが、私は、ごく時間を限った期間を限った臨時的のもの等について、そういう措置をしているものもあるということを申し上げましたが、本件は、私の承知いたしております限りにおきましては、九月末までにその任を終るごく臨時的なもの考えて実はそういう措置をとったわけであります。
  11. 千葉信

    千葉信君 御答弁からいいますと、臨時的なものならば法律に違反しておるものもやってかまわぬという御趣旨になりましてその御答弁からいっても、かなり不穏当な御答弁になるわけでございますが、私はその問題であまり時間を費すわけにいきませんので、先に進みます。  今回の国会に提案されております行政機構関係法律案を拝見いたしまするに、一体政府行政機構簡素化するつもりなのか、それとも、行政組織法趣旨に基かないで、もしくは無視して、どんどん、もう行政機構なんというものはそれぞれの各省の要求に応じて、どんどんふやしていって差しつかえないと考えているのか。局に昇格する問題、それからほとんど従来、第五国会以来抑制されて参りました部の設置の問題、政府の提案によりますと、今回新たに設けられます部は九つございます。一体首相は、国民考えているところ、国民税金を負担しているところ、そういう点を御考慮になって、できるだけ行政組織簡素化し、国民の負担を軽減し、同時にその職務能率の向上をはかるという点について、どうお考えになっておられるのか、その点をまず承わりたい。
  12. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 行政機構の問題につきましては、お話通り、できるだけこれを簡素化して能率を上げるように考えていかなければならぬことは、私、これは論のないところであろうと思う。また、国家財政の上から見ましても、いわゆる行政費に属するところのものは、できるだけ切り詰めていくということは、今御意見もありましたように、国民から徴収する租税でこれをまかなうわけでありますから、当然政府としても考えていかなければならない私は要諦であろうと思いますと同時に、やはり責任を明確にし、十分にこの要請の徹底を期していくということも同時に考えなければなりませんことで、そのためにも、できるだけ組織を簡明化するということは、これはわれわれとしてもあらゆる面において努力していかなければならないことと思います。
  13. 千葉信

    千葉信君 ただいまも御答弁がありましたが、その組織を簡明にするという首相の御意見、こういう点からいいますと、特に部の設置の問題が私は考慮されなければならぬと思うのです。今、これはいろいろ衆議院の方でも審議中でもありますし、どうも一説には、この部の設置についてはかなり批判があって、ある程度の修正が行われる気配もあるようでございます。  特にこの際申し上げておきたいのは、これは石井さんも、もうすでに国会の中で質疑応答が展開されましたから、御承知のことでございますが、第五国会政府の方から部を設置するという法律案が出まして、それが国会で修正された。局があり、それからその下に課がある。そこへ部を中間に設けるということは、どうも組織上おもしろくない。中二階を上げるようなもので、責任所在も明確を欠く。むしろ、やっぱり部は削って、局、その下には課を置くということの方が好ましいということで、参議院で修正されました。その当時、こういう三十五か三十六の部については、従って、そういう方針に基いてほとんどこれを廃止し、どうしても早急にこれを廃止するわけにはいかぬという部だけについては、当時存続をした。その存続は、最初は一年限りということだった。一年限りで延ばしたものを、その後いろいろな事情があるということなので、当分の間ということで、最近までずっとそれが存続されるということになった。それが第二十六国会になりましてから、政府の方から、私としては非常に印象の悪い法律案提出方法がとられて、そうして部というものが二十六国会行政組織法改正で認められた、そういう経過です。その間に盛んに部を設けたいという各省要請があり、実際に法律案国会に出されましたけれども、ほとんどが否決をされてきた、そういう経過があるのです。  ですから、今までは当分の間ということで残された部だけがあって、ずっと二十六国会まで部の設置は認められないという方針だった。それが二十六国会で、部の設置行政組織法上可能だということになりましたけれどもこの可能になったということの中には、私は国会審議不十分という事態があると思うのです。その審議経過をたどり、速記を見ましても、明らかにほとんど審議をされておらない。首相も御承知のように、たまに国会にもミスがあります。政府の方にもミスがあります。そういう場合には、その次の国会でその分が追っかけて改正措置がとられることがしょっちゅうあります。この委員会でも、この間統計法の一部改正法律案に関連して、そういうことがありました。国会審議の目が十分に届かないという事態。ですから、国会といえどもこれは全知全能ではない。たまにはそういうこともある。そういうもの一つが、この行政組織法における部を認めるという格好になってしまったケースです。ですから、そういう経過からいいますと、部の設置ということについては、やはり政府としては相当慎重でなくちゃならない、かりに法律が通ったとしても。  今回、その提案されました設置法を見ますと、一挙に九つも各省に部が設置されようとしておる、待ってましたとばかり。このやり方については当然、所管しておるのが行政管理庁ですが、行政管理庁の中にも、こういう部の設置方針については決して双手をあげて賛成していないという傾向がはっきりあります。一体首相は、こういう経過をたどったこういう問題に対して、これで国家行政組織法趣旨にももとらないとお考えになるのか、もしくはまた、こういう問題についてはできるだけ政府としても十分に今後対処するというお考えをお持ちなのか、この点をまず承わりたいと思います。
  14. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 御質問のように、この行政機構を簡明ならしめる意味からいって、原則として、部というような中二階的な存在をこの行政機構の上になるべく持たないようにすることが望ましいというこの御見解につきましては、私もそう思います。ただ、同時に、この行政事務もだんだん複雑化し、仕事内容いかんによりますというと、その責任を明確にし、もしくは仕事能率を上げる意味から申しまして、局と課だけのつながりでは十分に、国民に対するサービスの意味から申しましても、あるいは仕事複雑性から申しましても、適当でないというものも私は行政事務のうちにはあると思う。建前として、今お話しのこの部というようなものはなるべく持たないようにしてそうして課、局のこの制度によってやってゆくべきだという考えにつきましては、私どもも同様に考えておりますが、今申しましたような例外的の場合においては、やはりそうすることがむしろ行政能率を上げ、責任を明確ならしめる意味で、その仕事性質から見てふさわしいというようなものも、私は全然これを否定するということはできないのが実情であると思います。  従いまして、われわれも、そういう法制的の沿革、また実際の行政事努機構との関係考えてみまするというと、原則的には、そういうものをたくさんふやすということが望ましいことではないということにつきましては、私も同様に考えますから、ただ、今申し上げましたような仕事性質を十分に一つ検討してもらって、こういう場合においてはこういう制度をとることが、むしろ部を認めることが能率的であり、あるいは責任を明確ならしめるというような意味からいって適当であるという場合に限って、そういう制度をあわせ行うというようにしたいというのが私の考えでありまして、得たり賢しと部を増設する、あるいは中二階的な存在にして、むしろ責任を不明確ならしめるというような考えは持ってはならぬことは、言うを待たぬと思います。
  15. 千葉信

    千葉信君 すでに法律案を出されてしまった立場としては、今御答弁なられたように、たとえそういう法成立経過もしくは国会方針があるにしても、必要なものだけについてはそういう部は設けざるを得ないというお考え。しかも、必要とおっしゃるだけで、実際に現場の状態といいますか、各省ごとに果たしてそういう部を設けなければやっていけないのかどうかについては、今国会論議の最中でございますから、首相のおっしゃるように、簡単に必要だとお考えになられたにしても、果してその必要がどの程度ものか、私どもはその点についても、御答弁内容を持った具体的なものであれば別ですけれども、ただ単に必要と思うところについては設ける必要があるじゃないか、設けなければならぬじゃないかという程度では、これは簡単にはこの問題の結論は出ないし、まあその問題については、これから相当審議をしなければならぬと思います。ただ、しかし、大綱としては、首相考えとして、趣旨としては、そういうものをなるべく置くべきではないというお考えについては、私も一応了承して、次の質問に入ります。  今申し上げた各省行政機構の中における局の昇格、局の設置、あるいは部の設置等の問題も含んで、どうも最近における行政機関の持ってゆき方が、非常に放漫傾向が強うございます。これは吉田内閣の場合でも、こういう行政機構状態に対しては相当斧鉞を入れた経過もございます。それから岸さんの受け継がれている鳩山内閣におきましても、行政機構簡素化ということは大きな看板の一つなんです。岸さんもその内閣をずっと引き継がれてきておるわけですから、そういう方針については、岸さんも十分平常その点についてはお考えを願っておかなければならない。ところが、実際の状態を見ますと、逆になってきておる。どんどん行政機構拡大されてきている。単に拡大ばかりじゃなくて、非常に放漫なんです。そのいい例が各種行政委員会各種審議会各種調査会にはっきり現れておる。  吉田内閣のときに、こういう行政機関状態については、これは国民要望考え整理をしなきゃならない、そういう立場に立って、いろいろ検討を加えたところが、実際上必要でない、必要の度合いの薄い、もしくは必要でないものもそのまま存置されている。これはいかぬというので、当時二百三十六あった各種委員会審議会等を七十整理しました。これは一片通達等ものを言って、非常に簡単にこの措置がとられた。一片通達等でもってこういう措置がとられたということは、これは申すまでもなく、その必要の度合いということが非常に、まあいいかげんという言葉は当らないかもしれませんが、必要の度合いの薄いものだった。従って、二百三十六の審議会委員会等が七十整理されて、百六十六に減った。ところが、これが最近非常にでたらめにまたなってきている。非常にふえてきております。  現在そういう関係もの一体幾らあるかというと、行政管理庁の方から出ました資料によりましても二百四十二ございます、行政管理庁調査で。逆戻りどころではない、もっとふえております。これは一体岸さんが言っておられるように、そういう問題に対してできるだけ国民要望に沿い、事務能率を向上する、責任所在を的確にするという、そういう方針とは食い違った格好で、放漫行政機構乱設が行われている。一体、岸さんはこういうことに対してどういうふうな方針を今後おとりになるおつもりか。今までのことは、私は非常に不満ではありますが、今までのことはとにかく、今後どうするか、その点についての岸さんの御意見を聞いておきたい。
  16. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 実は、行政機構の問題につきましては、先ほど来言っておるような方針のもとに、行政管理庁におきましてもそれぞれ検討をして、決して乱設するとか、あるいは放漫にするというようなことは、毛頭考えていないこと言うを待たないのでありますが、しかし、実際問題としては、いつも、過去における日本行政機構状況を見ましても、その一つ一つ考えてみるというと、それぞれ置くのについての相当な理由があり、やむを得ないというような見地から私は置かれていっていると思うのです。しかし、多少の年限がたって振り返ってみるというと、今お話しのように、非常に総括的な、大局的に見て、結果的に言うというと、非常にそういうものがふえておる、あるいは行政機構が複雑になっておる、あるいは行政に関する人員等も非常にふえている、予算も非常に総額としてふえているというような点が出てくると思います。そこにおいて、またそういう場合においてさらに全面的な、大局的な見地から立って、これに対して思い切った一つ整理なり、あるいは改正なり、簡素化なりというものを断行してくる。その精神を決して無視するわけじゃないけれども、実際の行政事務なり、各種社会情勢や、仕事がふえていく関係上、一つ一つを見るとやむを得ないというようなことで、今言うようなことを繰り返してきているということが、実は日本行政機構なり行政機関の、歴史であろうと思います。  そこで、ときどきはまた、さらに、従来の方針というだけじゃなしに、何かそこに強力な一つの意思を働かし思い切った、まあ言葉は適当かどうか知りませんが、まあ斧鉞を加えるような、むしろ行政機構合理化とか何とかいうことじゃなしに、何か大きな一つの力で、それをもう一つ思い切った改正改革をやる必要が出てくるというのが、私は実際上の行政組織の何を見ますと、あると思います。  そこで、今日の状態になって、日本の地方、中央を通じての行政組織状況を見まするというと、私は決して、今度は一つ一つ存在理由なり一つ一つが設けられたところの理由というものについては、それぞれ非常に放漫にやり、むちゃくちゃにふやしたというつもりじゃない。十分に、さっき言っているように、検討しております。全体をこうしてながめてみるというと、私は、非常にこれが膨大になっているという事実は、無視できないと思う。これに対して、私はやはり相当思い切った検討改革を加えなければ、予算全体に持つところの行政費の割合というものも非常にふえてきておるし、それからいろいろの点からむしろ行政事務が複雑になり、機構の上からかえって複雑になり、能率を阻害しておるようなものがあちこちに見受けられるという事態でありますから、これらについては、私としては一つ思い切った検討を加え、これが改革と、先ほどからお話がありますように、簡素化責任明確化能率化というようなことを目標として、一つ検討を加え、改革をいたしたいと私も考えております。
  17. 千葉信

    千葉信君 まあ一般的には、首相のおっしゃるようによく話がわかりますが、黙っていると、こういうものはどんどんふえていく、何がしかの必要性はあったかもしれません。しかし、その必要性が薄れてもなおかつそのまま置かれる。片っ方はどんどんこういうものの増設が行われる。ですから、全体として見た場合には、こういうものに対しては、あの時期には相当大斧鉞を加えて、そういうもの整理統合をはかるとか、機構の縮小をはかるとか、そういう方針が必要です、と。これは全くその通りです。  ところが、もう一つ私は必要な方法があると思うのでやらなければならぬことがあると思うのです。それはどういうことかというと、絶えずそういうものに対して検討を加える機関政府の中にあるとすれば、その機関が絶えずそういうものに対して責任を持って、今おっしゃるような格好にどんどん、膨大にならないように整理し、検討し必要のないものは廃止あるいは統合するという措置をとったりしまして、行政機構拡大ということは絶えず防ぐ方向に持っていかなければならない。特に、実際の問題としても、今度の場合でもこういう例があります。科学技術庁の方で電子技術審議会、これが今設けられようとしております。ところが、通産省の方には、ここにはまた電子工業審議会というのがそのまま存置をされております。片っ方のものがそのままで、そうして科学技術庁の方で新しい電子技術審議会が設けられようとしている。そういう場合に、一方の通産省におかれておる電子工業審議会等に対して全然そのまま無反省に、検討も加えないで、そういうものがどんどん設けられていっている傾向がある。ですから、首相の言うように、私は一般的には、ときどきそういうものに対して整理を敢行するとか、相当斧鉞を加えるやり方は必要です。同時に、国会ごとにどんどんこういうものを——私は乱設だと思うのです。どんどんこういうものを片っ端から設けてきて、そうしてそれと関係のある、場合によっては整理統合していいようなものも、そのまま放任されておる、こういう傾向は、私の責任あるもの立場としては、やはり相当これに対してはっきりした見解を持っておかないと、これはますます国民税金を食ってしまう。この点についての首相考えと、もう一つ、この際申し上げておきたのは、私ども調査しているところによりますと、どうも各種審議会委員会などというものが、官僚の諸君の古手の食い物になっておる傾向が非常に濃厚でございます。たとえば、生活不如意な先輩がいる。あれは非常に生活に困っておるようだから、これはどこそこの審議会に入れてやろうじゃないか。実際に、審議会には五つも六つもかけ持ちでいる人がたくさんあります。そうして給与法等関係から見ましても、五つ委員会をかりに持っていて、月二回その委員会が開かれると、一日三千円の手当が支給されます。五つ委員会を持っていて一ヵ月にその人は、三万円の収入がある。生活の救済になる。そういうようなものが、審議会委員会乱設していく一つの大きな原因になっています。もっと兼務している人があります、私の調査では。これはまあ岸さんは官僚の大先輩ですから、自分のあとに続くものをかわいがろうとする気持は、私もよくわかりますけれども、岸さんはそこまで考えてやっているかどうか知らぬけれども、実際上はそういう傾向は非常に濃厚です。これは単にその官僚の古手、官吏の古手ばかりでなく、今度はその生活不如意などとは関係のない財界人が、多数そういう委員会審議会等を兼務しておる。この人たちは生活の不如意などということは関係はありませんけれども、こういう人たちの考えというものが、直接今度は岸内閣行政にどうしても結びついてくる。こういう点も、私は、この審議会委員会乱設の問題については、十分考えていかなければならぬ点だと思います。  この二つの点について。
  18. 岸信介

    国務大臣岸信介君) お話通り、常時、そういう乱設が行われないように、また常時こういう審議会委員会等の実情を審査してそうしてもはや廃止すべき段階に来ていると思うものは廃止するし、あるいは統合すべきものは統合するし、常時検討を加え、そういう乱に陥らないようにしていかなければならないということは、これはおっしゃる通り、まさにそうしなければならぬ。行政管理庁というものが設けられております趣旨はそこにあるわけでありまして、行政管理庁が当っておるわけでありますけれども、さらに、不十分なところは、これを激励して、そういう目的を達成するように、今後とも努力しなければならぬと思います。、  それから次に、委員の任命につきまして一人の人が非常にたくさんかけ持ちをするとかいうようなことは、これはなるべく避けて、言うまでもなく、その審議会が目的としておることに対して特に学識経験を持っておる人を、委員に委嘱するということは、決して役人の古手であるとかそういうものに特に重点を置いて選ぶべきでないことは言うを待ちませんが、また、この委員会性質等によりますというと、そういう人が、今お話しのように、生活を救済するとか何とかという意味でなしに、実際上その道における権威ある人である場合には、これはその人の前歴がどうであろうと、言うまでもなく、そういう人を委員に委嘱するということがありましょうが、特に今お話しのような、少くとも世間からそういうふうに見られるような人事につきましては、私は十分一つ留意して、そういうことのないようにしなければならぬと思います。  また、財界人等をお願いして委員に頼むというような場合も、これも非常に多いだろうと思いますが、そういう場合に何かそういう人が、委員会仕事以上に、岸内閣の施政一般に対して影響力を持つというふうなことについては、私は実は考えておりませんが、もちろん、その人のその委員会についての意見なり、あるいは学識経験に基くところの献策なりというものについては、これは私は尊重してやってもいいのだろうと思いますが、今おあげになりましたような、何かやはり望ましくないような影響力とか、あるいは委員の選任について、本来の学識経験を尊重するという意味における何を逸脱するというふうな、少くとも疑惑を持たれるような人事につきましては、政府としても十分留意をしていかなければならぬと、かように考えております。
  19. 千葉信

    千葉信君 私は、時間の関係がありますから、あまりこの問題でこれ以上、質問を続けませんけれども、財界人との結びつきの関係、それから学識経験者という名目による古手官僚との結びつき、この結びつきという言葉はかりに穏当を欠くといたしましても、そういう傾向についてはまた他日の機会に譲りますけれども、具体的にいろいろ資料をもってこの問題をあとで取り上げますけれども、これだけは申し上げておきます。  審議会専門屋というのがあります。委員会専門屋というのがあります。そういう名前の人がおります。これは一つ岸さんも覚えておいてもらって、そういった悪評をこうむらぬように一つ持っていってもらわないと、行政機関が食い物にされている傾向が私は出てきていると思うのです。この点は一つ私ははっきり要望として首相に申し上げておきます。  次に、私のお尋ねしたい点は、各種行政委員会とか、審議会とか、あるいは調査会の関係。これを設けるという根拠は、行政委員会の場合には国家行政組織法の第三条、審議会調査会もしくは何々委員会と称せられる行政機関は、これは国家行政組織法の第八条でこれが設けられております。現在政府の方から出されました資料によりましても、この第八条に基くもの等が二百三十四という数字を数えております。ところが、全く法律上根拠のない審議会調査会等が、現在十八ございます。  このうちの一つが、一番最後に問題になりました傷病恩給症状等差調査に関する専門調査会。これは今までの国会経過の中で、政府の方から、そういう審議会委員会等のうち臨時のものについては政令でこれを置くことができるという法律案改正案提出されました。これもさっきの部の問題がすらっと通った第二十六国会です。これは極端な言葉で言うと、あき巣をねらって出したやり方でこの法律案が出された。幸いこの問題については国会で、参議院の方で良識を発揮して、政令で臨時に設けるなぞということは、理由として、政令で置くことはまかわならぬ、いかぬというので、その条文が削除された。それが削除されて、こういう審議会委員会等は、法第八条に基く以外には設置できないという条件が明確になっております。その条文を削除された政府立場としては、こういう条件は知り過ぎるほど知っているはずです。それが今、政府機関の中に十八です。十八……。そのほとんどが岸さんになって、おります。岸さんの頭にはそういう事実は入っておらないかもしれない。しかし、岸さんの統轄している内閣の中には、ちゃんとそれを知りながらこれをやっておる。これは一体、岸さんはどうされるつもりですか。  こういう、法律に反して——平気で法律に反しておる。国会における審議の過程でも、いかぬということがはっきり出ているのに、なおかつ法律に反してこれが設けられる。私は、ここで一々名前を読み上げるのは、時間の関係もありますから遠慮しますが、たとえば、例を申し上げますと、輸出会議であるとか、経済懇談会とか、賠償実施懇談会であるとか、その他等々十八です。これは一体、岸さんは、これに対してどう処置されるおつもりか、それを伺いたい。
  20. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 最初に、そういう法律に基かないものが十八とありましたが、一月の末二つ整理されまして、十六になっております。今お話し通り、十六のものについて見ますると、今おあげになりましたいろいろな懇談会というふうなものの多くは、大体閣僚を中心としてのものでありまして、行政組織法にいっておるような性格のものでないものが大部分であると思います。また、臨時的なもの閣議決定で設けることは、今おあげになりましたように、法律等の規定の関係もございますが、実際の必要から従来そういう措置をとってきておるのであります。しかし、これにつきましては、行き過ぎがあってはならないことでありますから、十分一つ検討を加え、将来の問題としては、政府として善処したい、かように考えております。
  21. 千葉信

    千葉信君 私のお尋ねしておる問題点は、岸さんが今おっしゃったように、大体が大臣とか、次官とか、そういう行政官だけで作られておる審議会委員会等は、全然問題にしていないわけです。そういうのは、それは私どもがあえてこれをどうこうという論議をするまでもなく、これは政府の方で勝手に幾ら作ってもかまいません。これは何も審議会とか、調査会とか、一々国会に承認を求める必要もないものですから、それは私は何も聞いていないのです。ですから、私のお尋ねしておるのは、実は民間人がほとんど入って構成されておる。行政官以外の者。名前を読み上げてもよろしゅうございます。行政官だけで設けられるものは、私は問題にしていませんけれども行政官以外の民間人をどんどん含んで設けられております。  また、三月末に二つ減っておるという話ですが、二十八日付で出されておりますこの資料の十八のうち、どれとどれが減ったのか、私はまだ連絡を受けておりませんが、とにかく二つ減って、残った十六の委員会で、私が問題にしているのは、民間人を含んでおるものなのだ。民間人を含んで設けるそういう機関が、全然法律によらずに設けられているところに問題がある。これは明らかに国家行政組織法第八条、法律によるという条文の違反です。これははっきり申し上げます。設けてはいかぬというものを、その法律に違反して設けておいて今のような答弁は、実に不輸快千万な答弁です。もっとはっきり答弁してもらいたい。
  22. 岸信介

    国務大臣岸信介君) お話通り、第八条によって、行政機関としての委員会審議会、あるいは行政機構の一部と考えられるようなものは、法律によらなければならないことは、法律に明示しているところであります。ただ、今私が申しあげたことは、言葉が不十分であるかもしれませんが、懇談会的な、意見を聞くという懇談会的なものというようなもの、従って関係閣僚、民間の人も入っておりましょうが、そういうような意味において、関係閣僚や政府機関のほかに民間の人も入れて、懇談的に一つ意見を聞こうとか、あるいはある問題についての会、会議的な形において意見を聞くというようなものにつきましてまで、果して行政組織法に違反しているものかどうかということにつきましては、私は法律の解釈としても、そこまでの趣旨ではないのではないか、こういうふうに思っておりますけれども、しかし、いろいろな、この問題について全体としての議会における御論議や御批判等につきましては、政府とし十分一つこれらの制度検討いたしまして、それに対する措置を善処したい、かように考えておるのでありまます。
  23. 千葉信

    千葉信君 私は、晩飯会、朝飯会とか、ちょっと集まって懇談会をするくらいのものを問題にしているのじゃないのです。何か岸さんは、そういう程度ものはいいじゃないかと言うけれども、私はそんなものを問題にしているのではなく、明らかに行政機関としての仕事を果しているものなのです、これらの審議会が。たとえば、一例をあげますと、今はなくなりましたが、あなたの内閣になってから設けられた公共企業体制度審議会、特定局制度審議会、これは何を根拠に設けたのですか。法律を無視して設けて、しかも、その審議会等審議をした答申、政府に答申した内容等について、今大きな問題が起っております、政治問題が。  それから、そういうふうに、単に民間人とある程度懇談する程度だなどということを岸さんが言われるなら、私はしようことなしに取り上げますが、私の問題にしているのは、こういう会議審議会ですたとえば治山治水対策協議会、輸出会議、それから業種別輸出会議——業種別輸出会議のごときは、民間人千人以上が動員されている。千人以上です。これは単に民間人が集まって飯を食うくらいの会合でしょうか。経済懇談会、スポーツ振興審議会、賠償実施懇談会、非常に重要な問題を扱っているじゃありませんか。租税徴収制度調査会、金融機関資金審議会、税制特別調査会、いずれも重要です。まだ重要なのがあります。原爆被害対策に関する調査研究連絡協議会、日本国有鉄道幹線調査会、これは一体、民間人をまじえてちょっと話をするくらいの会という言葉に当てはまるのが一つでもありますか。労働問題懇談会、臨時職業訓練制度審議会、今問題になっている、国会に出ておる法案の原因をなしている審議会。まだたくさんあるのです。予算委員会で問題になった電力問題に関連する電気料金制度調査会、漁業共済制度調査会。おそらく廃止になったというのはこの漁業共済制度調査会だろうと思うのです、廃止になった二つのうちの一つは。  岸さんは、これは大したものでない、民間人を入れてある程度ちょっぴり話をする程度の会だなどといって答弁されると、私はますますその内容について詳しく入っていかなければならない。委員名前も全部調べてあります。だれが入っておるか、どういうことを審議しておるか。もっと私は、岸さん、まじめな気持で答弁してもらわないと、これは審議が進みません。
  24. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 私が懇談会的なもの会議的なものということを申しあげましたのは、決してその扱っていることがきわめて重要でない、あるいはちょっとそこで茶話をするというような意味で申し上げたことではないのであります。いわゆる、そこで意見を十分に聞くとか、そういうようなことはもちろん、そうしてそれらのことにつきましては、いずれも国家の重要な問題等を扱っておることも、むろんよく承知いたしております。そういうことを私が申し上げたのでないのでありますが、ただ、行政権の行使をしたり、あるいはその意見政府を拘束したり、ある法律的のそこの審議の結果が意味を持つということじゃなしに、いろいろな学識経験者や広くいろいろな方面の意見を聞くとか、あるいはそれを参考にする意味においていろいろ忌憚のない意見を聞くというような意味で、私は懇談会的とかあるいは会議的ということを申し上げたのでありまして、従ってそれらのものにつきましては、いわゆる行政機構の一部であると、かような性格のものではないという意味において私は申し上げたことでありまして、それを非常に軽視し、またそこにおけることをごまかして私が申し上げた意味でないということを、十分その点は御了承いただきたいと思います。  そうして、従来これを閣議できめる場合におきましても、そういう点を十分に、その懇談会やあるいは審議会、いろいろな名前をつけておりますが、協議会というようなものの性格がどうだとか、何かそれによって政府を拘束するとか、その他法律的の何かの効果を持つのかどうかというような点も十分頭において、いやしくもそういうような性格のものにつきましては、これは法律によるところのものにしなければならぬし、そうでないものであるという意味におきまして、私は先ほど申し上げたのであります。決して、その扱っているものが重要でないとか、あるいはそこにおいて議論され、意見の開陳されることが、非常に軽いものだという意味で申し上げたわけではございません。
  25. 千葉信

    千葉信君 岸さん、問題は、その懇談会審議する内容がどうとかこうとかという、そういうことを論議していてはこの論議は進まないのです。よく法律を御承知ないようだから、私はここではっきり言いますが、今岸さんが言われたような程度の問題を審議する場合でも、まあ閣議でどういうふうに話をされたか知りませんけれども、どういう程度もの審議する審議会調査会であろうとも、それからまた、その答申するもの政府を拘束するかしないか、これはまあ、行政委員会とは別ですから、行政に関する問題の審議会ですから、そういうものが直ちに答申となって、その答申が政府を拘束するしないという、そういう点なんかについて深入りしていると、この論議はもう果てしなく続くのです、同じ論議が。  一体、その行政組織法の第八条のいうのは、津さんが閣議で、どういう格好で、これは大したことがないから、民間人を何人入れて、その答申については政府をどの程度拘束するとかしないとか、そんなことの内容をかりにどう考えてみても、法律によると、そういうものも実は第八条では法律によって設けろということにきめてあるのです。はっきり。行政機関の職員、行政官だけでない場合には、どうしてもこの法律に抵触してくるのです。第八条を読みますと、第三条で設けられる行政機関としての行政権を行使する場合の委員会等は別にして第三条の分は別にして、「特に必要がある場合においては、法律の定めるところにより、審議会又は協議会(諮問的又は調査的なもの等第三条に規定する委員会以外のものを云う。)」、第三条以外の委員会の全部をいう。そういうものを設けるときには全部法律によるという第八条の規定です。そういうことになりますと、岸さんが、かりにこれは臨時だからとか、やれ審議する内容が大した重要なものであるとかないとか、そんなことは全然問題にならないのです。で、臨時であってもいかぬということは、この前の第二十六国会行政組織法第八条の改正でもはっきりしているのです。これはもう国会論議済みなんです、その点は。法律に違反したものじゃないというので逃げようとなさるから、論議がますます、ああでもない、こうでもないということになって発展するばかりです、これは。どうですか。
  26. 岸信介

    国務大臣岸信介君) この委員会審議会等につきましては、従来、先ほどどもが申し上げたような趣旨で、閣議決定でそういうことをいたしてきておるのが一つの慣行になっております。しかし、これについて第八条との関係上いろいろな御議論もございますし、政府としては十分に一つ検討をいたしまして善処することにいたしたいと考えます。
  27. 千葉信

    千葉信君 まあ大体その辺が首相として答弁できる限界と感ぜられますけれども、私は、ほんとうは、この委員会でもっと激しくこの問題を明確にする必要がある芝考えていたのです。どうしてかというと、これはもうだれが何と言おうと、国会論議があるとかないとかいうことじゃなく、明確に法律に違反しているのですから、これは。国会論議があるから、法律に違反しているかしていないか考えなくちゃならぬというのじゃなくて、岸さんの今御答弁された国会論議というのが、これがもう法律にはっきり違反しているという状況の上に立っての論議だということを、岸さんがはっきり言われるならば、私はあまりこれ以上この問題については論及しません。しかし、もしそうでないということになりますと、私はこの審議会——今ある十六の審議会委員会等は、この法律を厳守することによって、私は即時岸さんにその審議会委員会を全部解散してもらうか、さもなければ完全に停止をして、あらためてこの委員会一つ一つについて何々審議会設置法というもの国会に出してもらって、そうして国会がいいとなったらそれは初めて活動を始めてもらうと。それが政府としては実はとらなきやならぬ問題なんです。そこまではっきりしているのです、これは。しかし、私はきょう直ちにその措置をとってもらわなけりゃなりませんとは言いません。今までこういうものを慣行上設けてきた政府立場というものもあり、それから傍聴者を含む国民に対する政府のみっともない格好というものも出てくるでしょうから、私はそこまでは言いません。しかし、もっと明確にこれに対する方針を岸さんの方から出してもらわぬと……。  この間、岸さんは予算委員会でどういうことを言われましたか。労働争議の関係で、あなたは悪法といえども法は法だ、法は守らなければならない、あなたはこう言っておられた。それからまた、よき労使の労働慣行を作るためにも、法律をお互いに、経営者も労働者も守れ、守るべきだ、だから守らぬ者に対しては、政府は相当な厳格な態度をとるのだということを、あなたは言われている。法律を守れとあなたは国民に言われている。そのあなたが、法律を守らぬような、これは慣行だからやってきたということになると、これは全然話にも何にもならぬと思うのです。この際岸さんは、国民に対して法律を守れという立場をとられる以上、あなた自身も法律を厳格に守る必要があると思うのですが、そういう点に思いをいたして、一つここでもっとはっきりした答弁をしてもらいたい。
  28. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 実は私ども、こういう慣行といいますか、閣議決定をするに際しましては、十分行政組織法の第八条の規定というものの精神に違反しないように考えてきたわけでありまして、決してただ慣行に無条件に服従してきているというわけではございませんで、個々の委員会におきますときにおいても、十分その点を考えてきたわけであります。すなわち、その性質から申しまして、先ほどから言っているように、一つのその審議会や、あるいは懇談会や、協議会というものを、一つ行政機関としてわれわれが認めるというのでなしに、むしろそれを構成しておる個々の人々の意見一つ、こういう問題について忌憚なく聞こう、そしてそれを一つ政府行政上の参考にしようというような性格のものであって、行政機関的な性格はないのだというようなことを審査して参ったわけでございます。  しかしながら、今、千葉委員も御指摘のように、法律的に考えまして疑問があることは、いろいろな点について私自身としても十分一つ検討して、今後の問題につきましては十分にその点について、その関係をさらに明確にしていく、そして善処するようにいたしたいと思います。
  29. 千葉信

    千葉信君 私は、実際にその法律に基いて設けられている各種委員会、たとえば通産省関係で設けられている審議会もしくは委員会等の例をとって、克明に問題を掘り下げていけば、今岸さんの言われたことは全く逃げ口上にすぎないことが明らかになります。しかし、私はそろそろ時間にもなっておりますから……。これをはっきり法律に違反しているのだということを、あなたも心の中ではもう認めざるを得ぬはずですから、答弁としては疑いがあるとか、法律違反の問題についてもっとものような意見もあるからとか、その点は自分たちとしても否定、できないというような、中間的な態度をおとりになっておるようですが、これは岸さんの今の立場もあるでしょうから、私はこれは法律違反だということをとことんまで突き詰めていく十分な資料と根拠とをもってやっているのですけれども、しかし、そろそろここらで、私はこれ以上この問題について深追いをしませんから、一つ政府も早急にこの問題に対して善処をするということを、もっと具体的に、もっとはっきりとこの際御答弁願って、私はこの問題については一応打ち切ります。  それから、その次に、今、実は一つの政治問題になっております特定局制度をどうするとかこうするとかという問題、特定局制度審議会審議された答申、その審議そのものが進法であるという建前に立つことになると、その違法の審議会等で出した答申そのものをどう扱うかということが問題になると思います。公共企業体制度審議会の答申そのものもそうです。岸さんはそういう違法のものの答申あるいは結論をどう扱うか、この点についての答弁もこの際聞いておきます。
  30. 岸信介

    国務大臣岸信介君) この点は千葉委員とは根本には——大体違法であるという私は実は見解をとっておらないのであります。先ほどから申し上げておりますように、そこの間にわれわれとしてはある一つの線を引いて、閣議決定によるところの委員会審議会というもの性質考えておるわけでありますけれども、しかし、私は先ほどから千葉委員のこの点に関するいろいろな御見解を承わりましてわれわれとしても大いにその点については一つ再考をすべき点があると、こう思いますから、そういう意味において、将来の問題については善処するということを申し上げたわけであります。  従って、今おあげになりました委員会やあるいは調査会等は、これは違法である。だから、それの出したところの意見なんというものも全然価値のないものであるというような御見解でありますけれども先ほど申したような私の立場からいうと、そうは考えておりません。しかしながら、これが政府を拘束するわけでもございませんし、何でもこれに籍口して、その結論を、ある一つ行政処分をしようという場合に、あるいは法律を制定するとかというときに、何でも理由いかんにかかわらず、ここにおいてそういうふうな決定なり答申があるから、政府はそれに従ったのだという意味でなしに、その内容なりそこで審議されたところの事柄を十分に政府としても検討して、そうしてもっともであると考えものはわれわれ取り入れて行政上の措置なりあるいは正法措置なりに出ますことはいたしますけれども、今申しましたように、これをわれわれとして違法なものである、従って違法な決議であり、違法な答申であるということは、私自身としては考えるわけに参りませんということだけお答えいたします。
  31. 千葉信

    千葉信君 そろそろ質疑応答を終ろうと思っておりましたが、どうも首相からはっきり、これは違法でないという見解に立つと言われては、私は引き下るわけには参りません。違法でないという見解をとられるその根拠を、岸さんからはっきりお示し願いたい。
  32. 岸信介

    国務大臣岸信介君) これは先ほどから私が申し上げておりますように、こういうある問題に関して、学識経験があり、いろいろな意見なりを持っておられる人の意見を聞くという意味において……。
  33. 千葉信

    千葉信君 それが第八条だ。
  34. 岸信介

    国務大臣岸信介君) という意味において個々の意見を聞くという場合、数人あるいは十数人なりの個々の意見を取りまとめて聞こうという意味でありましてそれを一つ行政機関の一部というように考えないものについては、従来は第八条によらなくてもいいというつもりで実は措置してきておるのであります。しかし、それに関していろいろな疑問も出ることであるし、いろいろな法律的な解釈論もあることでありますから、それらを十分尊重して、政府としてはさらに、従来そういうような見地に立ってそういう慣行ができておりますけれども、将来の問題についてはとくと一つ再考して善処したいということを申し上げておるわけであります。
  35. 千葉信

    千葉信君 まあ大体最後ですが、今首相が言われたような内容ものを設けられる場合であっても、これは行政機関の一部である、こういう第八条の見解、あなたの言われるような内容もしくは構成等について、国会ははっきりこれは第八条に基く委員会もしくは審議会だという見解なんです、第八条は。そういう根拠に立ってこの法律が制定されている。ですから、たとえば、そういう内容もしくは構成、もしくはその期間が比較的短い——全く、半年かないしは一年ぐらいの臨時なものだという場合でも、その場合でもいかぬ、その場合でも第八条によるというのが第八条です。これは二十六国会における、臨時のもの等については、これは政令でこれを設けることができる、つまり、閣議で決定してこれを存置してもかまわぬという、国会に対する政府の提案が否決されているんです。削除されている。そういう経過から見ても、岸さんの言われるように、いや、しかし、この程度ものはいいじゃないかとか、問題が比較的軽いんだとか——構成など、行政官だけの場合は別です。民間人も入っている場合は、全部これに抵触するんですから、私はそういう岸さんの答弁では了承できないし、従って、あくまでも岸さんがそういう答弁をされる以上、私は再びこの問題を本会議に移して、本会議でこの問題を明確にしなきゃならぬ。重ねて御答弁をお願い上ます。
  36. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 先ほど私がお答え申し上げたように、私どもがこれを違法だと知っておってこれをやったというわけでは実はないんです。そうして、ただ慣行であるから、それは違法であるが、法律違反であるけれどもこれをやったんだという認識に立っているわけではございませんで、その間の法律的な解釈につきましては、なお法制局長官から一応御説明申し上げさしてもよろしゅうございますが、私自身としては、行政組織法八条のこの精神は、やはり、それが一つ行政、広い意味における行政機関として、とにかくその意見を取りまとめ、政府の諮問に応じて答申するとか、あるいは、その他、政府方針に基いて機関として認否するというような性格を持っておるものであって、私どもが認めておるところのものについては、議論はありましょうけれども、やはりそれを構成する個々の委員なり調査員なりの、意見なりその経験等に基くところの考え方を聞こうというような意味でありまして、そこには、決して初めから、法律違反である、しかし慣行だからやったんだというふうに、無責任に突け考えておったわけではないのであります。しかし、その明確な線とかいうようなものについては、具体的にいうといろいろな議論も出ることでありましょうから、将来の問題としては、私としては十分再考して善処したい、かように申し上げておるわけであります。  なお、法律的の従来とっておりました解釈に、取扱いの中心になっております解釈につきましては、法制局長官から一応お考えをいたさせたいと思います。
  37. 藤田進

    委員長藤田進君) 法制局長官答弁を聞きますか。
  38. 千葉信

    千葉信君 論議がどんどん遊んでよければ、聞きましょう。
  39. 林修三

    政府委員(林修三君) ただいままで総理からお答えしたことで大体尽きるわけでございますが、まあ私どもといたしましても、もちろんこういうものを安易に考えていたわけではございませんので、国家行政組織法第八条との関係は、個別的に考えて、私どもとしても、あるいはもちろん行政管理庁としても、そういうものを認めるか認めないかということは考えておったわけであります。  その考え方の基本は、先ほど総理大臣からお答えいたしました点にあるわけでございまして、結局、第八条で、法律の定めるところにより設けるといっております諮問的な審議会あるいは調査会等は、結局、その一つ機関としての審議会一つ行政機構としての審議会、そういう機関的な組織体としての審議会、かように考えております。いやしくもそういうものであれば、これは国家行政組織法に基いて作らなくちゃいけない、法律で作らなくちゃいけない、かように考えております。  ただ、そうでなくて、ある学識経験を持ってる人々に着目して、そういう人の意見を聞くと。個別的に聞くこともございましょうし、一つ、一ぺんに集めて聞くこともある。まあ、そういうふうに個別的に聞くことが、現在の法律で禁止されていることは明らかだと。個別的でなくて、ある集団の人を集めてその意見を個々的に聞く。で、その全体の意見を聞いた上で、行政の参考にする、そういうために一つ会議体を作る、会議的なものを作る、あるいは懇談会を作る、こういうことが、必ずしも直ちに行政組織法八条が禁止しておるとまでは言い切れないのではないか、かように考えまして、そういう性格のものであれば、私どもとしては、これは法律でなければいけないというまでは言えないんじゃないか、かように考えて、従来そのけじめはつけておったつもりでございます。実際のそういうもの名前のつけ方とか運用については、まぎらわしいことのあったことは、これは事実でございます。しかし、私どもといたしましては、それを作ることに当っては十分意見を申しております。そういうものでは困るので、今言ったような性質ものであれば、閣議決定で作る、あるいは省議決定で作ることも、必ずしも法律違反ではないと、かように考えておったわけであります。現在ありますものは、私どもとしては大体そういう性格のものだと了解しております。  なお、先ほどお話のありました中には、懇談会というものは閣僚だけの懇談會はずいぶんございます。これは千葉委員もお認めになっておるわけだと思うのであります。そういうものはもちろん例外でございまして、たとえば賠償実施のための懇談会、経済閣僚懇談会とかいうものは、これは閣僚だけの懇談会であります。これは法律で設けないもの考えております。で、先ほど申し上げました民間人を入れるものにつきましては、私どもとしては、そういう考え方のもとに、そうした念を押してやってきております。先ほど総理がお答えになりましたように、実際まぎらわしいものがあったことは事実でございましょう。しかし、考え方としては、そういう考え方に基いております。今後はもちろん、御注意もございますから、一そうその点につい、ては明確な基準を置いてやっていきたいと、かように考えます。
  40. 千葉信

    千葉信君 どうも一体、頭脳明晰に答弁する林法制局長官答弁としては、何を答弁しているのか全然わからぬ。今一つの例としておあげになりました経済閣僚懇談会、経済閣僚懇談会を私は問題にしておるんじゃないんです。経済懇談会という、昭和三十一年一月十四日の決定で設けられている経済懇談会、これを問題にしている。例を引くと、これに入っているのは青木さん、山際さん、石坂さん、伊藤さん、その他無数の財界人がここに入っておる、これを問題にしている。しかもそれが、あなたが非常な妙な答弁をされましたけれども、実は閣議で決定、している輸出会議等の問題を見ましても、今の経済懇談会を見ましても、はっきりした方針に基いて設けられておる。ここに輸出会議閣議決定の条項がございます。それから業種別輸出会議の条項もあります。この内容、この目的等からいって、法律で設けられている、たとえば通産省に設けられている各種審議会、これは二十九あります、特許庁を入れて。その懇談会一体どこが違うんですか。百貨店審議会初め無数に、、二十九の審議会。実質上、それとちっとも変らない。閣議で決定したこの解議会を、私は問題にしている。それを片一方は、いやこれは行政機関の一部だ、片方は行政機関じゃないという見解、どこからその差が出てくるのか。何もないじゃありませんか。必要なら、閣議決定で決定した事項をここで読み上げますか。
  41. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) ただいま御引例がございましたから輸出会議のことについてこだけ特に申し上げますが、私どもも、この法律で設けない審議会、協議会の少なくとも設置については、特に慎重な考慮を払った一例としてお聞きを願いたいと思います。
  42. 藤田進

    委員長藤田進君) ちょっと、途中ですが、総理の時間もございまして、政府委員答弁については、後刻十分できると思いますから、簡潔に願います。
  43. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 輸出会議内閣に置かれますが、これは関係閣僚と日銀総裁だけで構成されておりますので、これは千葉委員の御同意を得ている点でございます。  それから産業別の輸出会議も、特に、八条違反の疑いを避けますために、閣議決定におきましても通商産業省の指導のもとに設けるとありまして、通商産業省に設けるとは書いございませんので、そのように区別しておるということを一つ御了承いただきたいと思います。
  44. 藤田進

    委員長藤田進君) 質問者にも答弁者にも御注意申し上げますが、いつまでも総理がおれるならば、委員長としては十分時間をかけたいのですが、先ほど来衆議院からも相当要求してきておるという状態ですから、できるだけ政府委員答弁は、あと午後もやってもよろしいのですから、あと回しにしていただきたいと思いますし、できるだ総理質問されたり、総理答弁を聞いていただきたいと思います。
  45. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 時間が切迫しましたから、二、三点簡単に伺います。明確にお答え願います。  本内閣委員会は、予備審査並びに本審査を合せ二百十九件持っておりまして、審査はまさに住境に入らんとしている段階でございます。そこで、まず私は総理に伺いたいのでございますが、十五日を目標にして、政府、与党の方では三十八法案をぜひ成立さしたい。特に、総理としては三木政調会長に対しまして、経済基盤強化資金法案外八法案を特に指定して指示されたと、こういうことが伝えられているわけです。そこで、私が承わりたい点は、伝えられる、五月十八日を一応目途として、そして二十九件法案をかかえているわけですが、審議を強行されようとするのか、それとも、その間本委員会が慎重審議して未了になったならば、特別国会に回されようとするのか、それとも、本委員会審議状況からして、一応予定しているところの五月十八日という線を動かそうとされておるのか、それをまず審議に入る前に私は承わっておきたい。
  46. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 新聞等におきましてはいろんな議論が出ておるようでありますが、別に私としては、五月十八日を目標日として一つの予定を持っておるわけではございません。党との間において時々衆参両院における審議状況検討し、政府として特に力を入れなきゃならない、また党としても入れなきゃならない問題につきましては、これをなるべく早く成立せしめるように、一つのかりに十五日とか二十日とかいうような目標を置いて、審議を促進するように私も激励をいたしておりましたことは事実でございます。しかし、もちろんこれらの重要法案について、われわれは各委員会等においての御審議は十分にお願いするつもりでありまして、その審議を中途半端にして、強行してその約説を得ようなんていうことを考えておるわけではございません。
  47. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そこで、ただいま質疑応答の対象となっている問題でございますが、申すまでもなく、責任体制を明確にし、機構簡素化して能率向上をはかるということは、大切だと思うのです。それで、この行政機構とそれから公務員の定員とは、密接不可分の関係がございます。そこで、私の調べたところによりますと、現存わが国におきましては、三公社を入れまして、国民五十九人に一人公務員がいるという割合になっております。地方公務員を含めますと、国民二十九人に対して公務員が一人ということになっておる。これを私は外国のそれと比較してみたのでありますが、米国は二十二人に一人、フランスは三十三人に一人。この比較は非常にむずかしいわけなんですが、ある基準を設けて比較するとそうなります。必ずしも日本の公務員が諸外国に比べて多いというわけではございませんが、しかし、中央、地方を通じてこれは国民にとっては相当な負担だと。従って、国民に十分サービスがなされなければならないと思うのです。  そこで、機構とも関連があるわけですが、私があなたに伺い点は、次官、局長、部長級、さらに課長級、それから政務次官、こういう方々がもう少し勉強する必要があるのじゃないか。ほんとうに、政務次官をたらい回しにしないで、優秀な政務次官を任命して、その政務次官が政務関係を担当し、そうして事務次官が一生懸命に各省庁に働きかければ、今問題になっておる官房長なんというものは必ずしも私は必要でないと思う。ところが、こういう方々があまり勉強されないで、通常国会が年間百五十日、そのほかに特別国会、臨時国会が一年に一回あるわけですが、そのつど説明員として多数の公務員を国会に派遣して、行政がストップする、こういう事態は私は厳に反省されなければならないと思う。私は数年前ビルマに参りましたが、ビルマの大臣はみな若い。何を聞いても、日本の課長級が知っておることは知っていらっしゃる。そうしてぺンを持って仕事をされておる。私は、わが国の政治家並びに高級官僚——大臣なんかは事務官化してはなりませんけれども、しかし、心がけとしては、大臣にしても、局長にしても、部長にしても、ペンを握り計算尺を手にするという心がけが私は非常に大切だと考えるわけであります。何か伺うと、局長は部長に聞いてくれ、部長は課長に聞いてくれ、課長は課長補佐に聞いてくれ、こういうわが国の今の実情では、機構を幾らいじり、定員を幾らふやしても、能率は上らない、国民の期待に沿わないし、むだが多くなる、こういうことになると思うのですが、これについて総理大臣はどういう御見解を持っていらっしゃるか、承わりたい。
  48. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 行政能率を上げ、そうして国民に対するサービスを十分にするというためには、一つ機構簡素化あるいは能率化というような面から、機構そのものについて考える必要がある。と同時に、この機構を充実して、おるところの各人がそれぞれその職務に対して十分の責任を持ち、そうして十分に、今の矢嶋委員のお言葉でも、勉強して、そうしてその事務をとにかく能率的に運んでいかなければいかぬと思います。今お話し通り日本のいわゆるお役所仕事——私も長い間役人をしておった経験もありますが、お役所仕事というものが、ややもすれば、上に行けばそれを知らず、それは下に行って聞けというようなことになりがちなことも、私もよく実情を承知いたしております。そういうことではいけない。やはり、もちろんそれは大臣が省内の一切のことを知っておるというわけにもいきませんけれども、政務次官がすべてのことを国会において答弁できるというようなことも、できないいろいろな何がありましょうが、少くともそれぞれの地位における、ことに全体を総括し全体を指導し責任を大きく持つという人が、うんと勉強して、そうしてその能率を上げていくということは最も必要でありまして、今矢嶋委員お話しのことは、私は、その行政機関に従事しておるそれぞれの公務員がまさに心得なければならぬことであると思います。
  49. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私は、岸総理は少ししゃべり過ぎると批判する人があるけれども、私は、あなたが勉強されて大がいのことをよく知っていらっしゃって述べられることについては、私は個人としては好感を持っておるものであります。少くとも大臣、ことに政務次特等はもう少し勉強すべきだと思う。職制の上からも現われておる。私が調べた結果によりますと、本省本庁の内部部局の係長以上が一万八十二人です。それに対しまして一般職員が一万五千九百二十五人。一万五千九百二十五人の一般職員に対して、管理職が一万八十二人ある。こういうところに問題があると思うのです。広い部屋にどかっと腰をかけて、たばこをふかしてぼやっとしていて、ものを尋ねると、下に、下にというようなことでは、これでは相ならぬと思う。この点は、総理としては私はしっかり引き締めていただきたい。  それから、これと関連して伺いたい点は、やはり機構もございますが、陳情政治を私は絶滅しなければならぬと思う。これは予算委員会でも、私はちょっと他の人の触れたのを聞いておったのですが、第一、予算編成のときをふり返っていただきたい。初め内示のときは、きわめて、大蔵大臣は腹にない渋いものを出すわけでしょう。そうして全国からわんさと関係者が上京してくる。そうして全くボクシングみたいに、一ラウンド、ニラウンドと、五ラウンドくらいやって、全くくたばってしまって、精神がもうろうたる状況下に国の予算がきめられるというこういう状況です。予算編成のときもそうです。今度配分になると、またそうですね。  一体、さっき申しましたように、国家公務員、地方公務員を通じて国民二十九人に一人の割合の公務員となっているのですが、機構をしっかり整備し、国家公務員の勤め次第では私は相当の行政成績が上ると思うわけですが、かつては鳩山内閣が誕生したとき、陳情政治絶滅というので、長崎県知事の、今はなくなりましたが、西岡知事は、一切陳情には上京しないということをきめました。結局、一年ほどたったとき、負けたといって再び陳情に上京するようになったのですが、私はこういう機構検討し、定員等を検討する場合、陳情政治の絶滅ということを、私はほんとうに腹をきめて総理はやるべきだと思うのですが、いかがですか。
  50. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 民主政治でありますから、陳情を一切受け付けないということは、私はやはりそれは行き過ぎであろうと思います。しかし、現在におけるところのこの状況を見るというと、その陳情ということが度を過ぎておるという事実は、これは無視できないと思います。たとえば都道府県と中央との関係は、いろいろな意味において密接な関係がございますけれども、おそらくどの県におきましても、中央に陳情するという、知事あるいは副知事が代表して来ることは、これは私は必要だろうと思いますが、各県会議員の方やその他市町村長、あらゆるものが来るという必要は果してあるかどうかは、これは私は非常に疑問であると思います。また、ある陳情というものが一人もしくは二、三人で済むことを、数十人も一緒に陳情するというようなことのために、行政事務が不必要に妨げられておる。あるいはその結果、一部においては何か圧力団体に屈したという印象も起ってくるわけでありますから、そういうことに対しては十分、これは政府としても考えなければなりませんが、地方庁においても考えなければならぬし、また国民にもそういう意味において十分徹底するようにしていって、適当な陳情はもちろんこれは受けますけれども、それが度を越したことのないようにしていかなければならぬ、かように思います。
  51. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 簡単に二問で終ります。  この審議会、協議会については、千葉委員が徹底的に追及いたしましたので、私は繰り返しませんが、この点は、総理、はっきりいけません。もし、その識者等の意向を聞きたいならば、閣議決定でない、国費を使わないで、プライベートでやって下さい。プライベートでやっていただきたい。閣議で決定して国の予算を使って、そういう国家行政組織法第八条に違反することは、歴代内閣がやってきて——作ることはこれは否定してきたところです。この点は十分御検討願うとともに、この行政組織法第八条で設けられている二百二十四の委員会並びに協議会、さらに各省設置法に基いて設けられるところの審議会あるいは協議会、この性格そのものを、総理一つ反省、御検討願いたい。と申すことは、これは行政府の責任のがれの隠れみのになっているおそれがあるのですよ。その行政府に都合のいい者だけをピックアップして任命して、そうしてしかも、その審議会や協議会の会長を、自分らと考えの同じ、都合のいい人が会長になるように、行政府の公務員が暗躍をいたします。そうしてその人に行政府の意向を言い含めておいて、その会長をして審議会、協議会を運営さしていく、こういう傾向が最近非常に顕著です。さらにもう一つ、それと関連して、内閣法の第十一条に政令の限界があるわけです。行政府の方で政令あるいは省令を出す場合には、それは本法の趣旨に反してはならぬという政令の限界というのがあるのですが、これを最近は非常に無視して、示達行政、政令行政、省令行政というものを非常に本法の趣旨に反してやる傾向が最近著しいのでありますが、これらはぜひ是正していただきたいと思います。これらの点についてどういう御見解を持つておられますか、承わっておきたい。あと一問で終ります。
  52. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 審議会等につきましては、先ほど千葉委員のいろいろの御意見並びに御質問におきまして私がお答えを申しましたように、十分一つ政府としても慎重に検討いたしまして善処いたすことにいたします。 それから、八条において設けられたところのものが、政府の都合のいいような委員会の構成または運営等によって、隠れみのになる弊害があるというふうな御指摘でございます。そういうことになってはいかぬことは言うを待ちませんから、この点を、政府としては各委員会の構成、運営等を十分に一つ慎重に検討をすることにいたします。
  53. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 もう一問です。このたび出されている行政機構改革は、先ほど説明がありましたように、官房長三、部を九、局を六新たに設置する内容でありますが、政府委員から出されました資料によって見ますと、最近一年間、行政機構に関する建議要望事項がどのくらい出たかという資料を拝見しますと、部局を新設してほしいというのが三十六出ている、それから委員会審議会を新設してほしいというのが十二、官房長が四、課が九、諸会議が四、事務局設置が一と、これだけの行政披講に関する建議要望事項がそれぞれの機関から出ているわけなんですわ。このうちから、今申し上げました官房長三、部九、局六が出てきたわけですが、よほど注意されないと、おおむね官僚というのは知らない間にいつも機構を広げていくわけですね。広げていくわけですから、国民の負担が大きくなるから、しかも、機構簡素化して定員を少くして能率的に仕事ができるようにするなら、それでもよろしいですけれども機構だけ広げて、先ほど私が言いましたように、管理職だけふやして、そうして大きないすにのさばっているような役人を多くして実際末端で必要な仕事をして、同じ内容仕事をしている人を、常勤職員というような名目で身分も保障しないで六万人も使っている、こういうやり方は私はまことにけしからぬと思うのですね。  このたび、その常勤職員六万人のうち二万人を定員化するというわけですが、ほんとうにその国家行政をやるに必要な人であったならば、それは全部定員化しなければならぬと思うのです。予算委員会の分科会で担当大臣に聞きますと、みな必要な人だ。そうしてみな能力も定員内の人に劣っていない。従って、この機構だけを膨らましていって、実際働いている人の身分も保障しないで扱っているというのは、まことに筋が通らないと思うのですが、こういうことを総理大臣御存じかどうか、私の声を聞いてどういう御見解を持たれますか、承わりたいと思います。
  54. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 今回約二万名を、定員外であった者を定員化する措置を講じたのでありますが、一体建前からいって定員外の職員、非常勤職員とかいろいろな何を持つということは、公務員制度のしからいって私は望ましいことでないと思います。いやしくも国家が必要であり、公務員としてそれぞれの職責を持ってやるという者は、公務員として定員内においてこれを扱うということが当然である、また不必要な人はこれはむしろ置かないということが当然のことであろうと思います。ただ、勤務の内容等につきまして、必要ではあるけれども、これを一般公務員の定員内に置くことが適当であるかどうかというような点についても、検討を加えなければならぬものがあります。  いずれにいたしましても、公務員というものはやはり定員内に置いて公務員としての権利義務を負うようにすることが望ましいことであると考えまして、そういう意味において政府検討して、とりあえず約三分の一の二万人を今回の定員内に入れたわけであります。
  55. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 時間がございませんので、ごく簡単に伺います。  先ほど国家行政組織法第八条と審議会関係について、いろいろお話がございました。法律によるものは二百二十四、閣議決定ものが十六というお話でありましたが、そのほかにも各省限りで設置されておるものが六十五あります。その六十五の中には、たとえば建設省の国土総合開発中央道調査審議会、国営公園建設審議会、それぞれ二十名内外の委員があります。これらも相当問題になるところの一つだと存じますので、法制局においてももう少し慎重にこれを一お考え願いまして他の機会に法制局長からもう少し突っ込んでお話を伺いたいと思います。  そこで、総理にお伺いいたしたいのは、三十一年の三月三十日の閣議決定になりました第一次行政制度改革要綱案をお作りになりましたときには、総理もすでに九人委員会の一人としてこれに御関与になっているわけであります。それで今衆議院には、予算閣僚会議設置の法案と、人事院を廃止して国家人事委員会を作ってこれに事務局を置くという、この法案が出ておるわけでありますが、この法案についてはどの程度の熱意をお持ちになっているか、この点を伺ってみたいと思います。
  56. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 両案とも、鳩山内閣時代に成案を得まして国会に提案をいたし、これが審議を願っておるわけでありまして、審議未了のために継続審議になっておりまして、われわれとしてはこれはぜひ審議を進めていただきたいという意味において御審議を願っておるのであります。当時提案をいたしまして、継続審議になっておりましたもののうちにおき、ましても、その後のいろいろな事情の変化や、なお研究を要すると考えまして、内政省設置に関するものはこれをわれわれの方で取り下げをいたしておりますが、残っておりますものに対してはぜひ御審議を願いたい。そうして成立を期待いたしております。
  57. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 そういたしますと、人事院の廃止も予算閣僚会議設置もぜひやりたい、実現をしたい、こういうお考えでありますか。
  58. 岸信介

    国務大臣岸信介君) さようでございます。
  59. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 次に、先般の予算委員会で私伺いまして、御返事をいただかなかったのでありますが、三公社に私企業隔離の法律がないのであります。御承知通り、一般公務員には国家公務員法の百三条の二で、離職後二カ年間は関係の営利企業にはタッチできたい、こういう規定がございますが、三公社にはその規定がありません。そこで、相当高い地位におられる方がやめてすぐ、関係の深い、在職当時非常に密接な関係のあった会社に天下りをするということが、やはり綱紀粛正の上からいっておもしろくないと私は存じております。そこで、この三公社の方にも、国家公務員法の第百三条の二と同じように、私企業の隔離の立法が必要である、こう思うのでありますが、総理はいかがにお考えになりますか。
  60. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 公務員が天下り的に、その従来監督あるいは特別の保護を与えておるというような仕事の私企業の何につくことにつきましては、御承知通りの禁止規定がございます。三公社についてはそれがないことは不均衡であり、不適当じゃないかという八木委員お話でありますが、一般公務員と違って、三公社というものはそれ自身が行政権を持っているわけでもございませんし、私は事情はよほど違いやしないか。直ちに、一般公務員についてそういう何があるから、三公社についてもそうやるという御議論も、一方においてはあると思いますが、やはり公務員とこの三公社のやっている仕事内容から見まするというと、行政機構において一つ行政権を持っておった人と、これらの公社の役員等どの地位を考えますというと、そこにはやはり相当の差異があるのであって、従って、今直ちにそういうような点を禁止するというのは、私はまだ適当じゃないのじゃないか。しかし、これがいろいろな弊害があり、そのことにおいて公正な三公社の仕事をやる上からいって適当でないというような事態があれば、これは考えなきゃならぬ問題と思います。十分一つ検討はいたしますけれども、今直ちに形式的な議論からだけはいけない、こう思っております。
  61. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 国鉄、電電公社、専売局等の資材関係で、いろいろ汚職が発生いたしております。その汚職の実態を十分お調べになりましたら、私の申し上げることが必要だというふうにお考えになってきやせぬかと思いますので、実態を十分にお調べをお願いしたいと思います。  それから、地方公務員にもやはり同じような規定がないのでありますが、ただいまの総理のお考えから申しましても、地方公務員は、これは国家公務員とは多少違いますけれども、やはり同じような立場であるのでありますから、私は必要であると存じます。  それからもう一つ、最後に一点伺いたいのでありますが、行政機構改革して国民の負担を軽減するということは、機会あるごとにしばしば総理に私はお願いいたしておるわけでありますが、御承知通り行政審議会が三十一年の二月の二十三日以来開店休業の状態になっております。御列席の石井総理も、その活動を促す方針検討いたしておる、こういう御答弁をいただいておるのでありますが、どうか総理におかれましてもお考えをいただきたい。行政組織というものは知らないうちに膨大になってくるというようなことの多いもので、非常に根強い、やはり官僚と申しますか、この力がずいぶん深いものがありますので、これはどうしても強力な政党の力で断行されなければならぬと私は思います。そこで、とりあえずといたしましては、やはりこの行政審議会をすみやかに委員を任命して、活動を開始するということを、一刻も早くやっていただきたい、こう思うのでありますが、この点についての総理の御決意を伺いまして、時間もありませんから、私の質問を終りたいと思います。
  62. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 地方公務員につきましては、御指摘のように、法律には規定がないようであります。なお、その関係は、関係の主務官庁やあるいは関係の方面において、なお正確に調べまして、お答えをいたします。  それから、行政審議会委員を任命し、これが活動をやらすべきではないか、至急やれというお話につきましても、私も同感でございます。行政機構の根本の問題について、私は強い一つ検討をしたいという意思を持っておりますので、実は石井長官とも話をいたしまして、その検討をすべき題目、項目等についても研究をいたしておりますし、なるべく早い機会に委員を補充して、これが活動をさせるようにいたしたいと思います。
  63. 藤田進

    委員長藤田進君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  64. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記を起して。
  65. 千葉信

    千葉信君 議事進行。先刻の私の質問は、時間の関係で十分その意を尽すことができない。完全なる了解に達しないままに終りましたので、まあ本会議でやる場合もあるかもしれませんが、また場合によっては、本委員会でこの問題を再度取り上げたいと思いますので、委員長において適当に諮られるように希望しておきます。
  66. 藤田進

    委員長藤田進君) 委員長理事打合会をもちまして協議いたします。
  67. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 資料を要求いたします。実はいろいろ承わりたかったのでありますが、総理の時間の関係上承わることがでまませんでしたので、資料を一つお願いいたしたいのです。なぜ次の資料を要望するかと申しますと、最近一年間、行政機構に関する建議要望事項等の中に、国の出先機関をふやしてほしいという要望がずいぶんたくさん出ているわけです。従って私が今から要求する資料は、国家行政機構と、並びにその運用に関係があるわけでございます。具体的にいうならば、国の出先機関である程度決裁をやれは、やられるような運用をすれば、必ずしも中央へ中央へと行政陳情に目もあてられないほど来る必要はないわけです。そういう立場から、私は次の資料を出していただいて検討いたしたいと思います。その資料は内閣要望いたしますから、行政管理庁でできなかったならば、内閣官房長官の方から当該省庁に指示をして、できるだけ早い機会に本委員会に出していただきたい。  それは、昭和三十二年の会計年度中における地方自治体の東京方面出張派遣回数、それからその延べ人員、予算の支出総額。これは全部各県自治体の会計にあるはずです。それから次は、本省本庁の職員にして地方出張派遣回数、その延べ人員、それから予算の支出総額。それからもう一つは、これは調査したのがあるかもしれませんから、地方自治体の在京出張所についてその所数、出張所が幾つあるか、これは県の出張所と都道府県の教育委員会の出張所と別々に設けてある所がありますから、その出張所が幾つあるか、それからそこに勤務している人員の総計、それから名出張所の予算総額。これだけの資料を御提出願います。
  68. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) ただいまの資料御要求につきましては、できるだけ提出するようにいたします。
  69. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 国家行政組織法の第八条と審議会等との関係について先ほど法制局長官からお話がございましたけれども審議会等内容を拝見してみますと、どうも八条との関係が、私は端的に申しましてよくわかりませんりで、もう少し、何と申しますか、くだいて、法律的根拠と申しますか、御説明いただきた。というのは、先ほど問題になりました閣議決定のみならず、私がちょっと引用いたしました各省限りのものでも、これは相当法律によったものと、内容は外から見れば違わないようなものがあるわけです。今申しましたような、たとえば国土開発の中央道調査審議会などというのは、閣議決定あるいは法律によったものよりも、もう少し概念と申しますか、その重要度と申しますか、強いのではないかというふうな気がいたしますので、閣議決定さえもされておらない、そこに、どうももう一つけじめがないのではないか。第八条が、どういう理由でこういう法律ができておるのか、また政令に譲るというような一項でもありますれば、非常にそこはエキスキューズが楽になりますけれども、そこも、先ほど千葉委員お話によりますと、国会で否決されておる。非常に厳格に八条が規定されておるというふうに考えますと、どうも私、今までぼんやりいたしておりましたが、この二百二十四、あるいは各省限りの六十五を見ますと、三百近い審議会というものの法的根拠が非常にたよりないので、法制局で十分御検討になっているかどうか存じませんが、今まで御検討の範囲内で御説明をいただきたいと、かように思います。
  70. 林修三

    政府委員(林修三君) この国家行政組織法第八条の立法趣旨でございますが、これは私どもが了解しておりますところでは、こういう審議会、協議会的な、調査的あるいは諮問的な機関も、やはり行政機関としてある省、庁、委員会等に設ける場合には法律の根拠を持たなければいけない、そういうことで、各省あるいは内閣等が勝手にそういうものを作らないように、こういう御趣旨でできているものと思うわけでございます。  それで、これにつきまして、従来の私ども考え方でございますが、先ほど申し上げました通りに、国家行政組織法第八条というものがあるわけでございますから、これに違反するような審議会調査会というようなものを作ることは、私どもいつもそういうことは認めておらないつもりでございます。もちろん、各省庁等で勝手にやりますことについては、私ども一々目が届いておらない点もございますが、少くとも各省庁も法律違反を私はやっておらないと考えております。閣議決定等については、当然閣議にかかるわけであります。これは行政管理庁あるいは私どもの方も、当然相談にはあずかっております。あずかっておりますので、そのときには常にわれわれの意見も申しまして国家行政組織法第八条に違反するようなものは困るということは、常に申しておるわけでございます。これは私どもの方も、それから行政管理庁の方も、そういう意見を常に申して、そういうようなものにならないような形でやってもらわなければ困るということを申しております。  そこで、今まで、現在閣議決定で約十六ばかりのものがあるようでありますが、これにつきましては、先ほど申し上げましたような根本的には考え方でございまして、要するに、第八条で言っておりますのは、法律の定めるところによって作るべしといっております審議会等は、行政機構一つ組織体として審議会を作る、その組織体として一つの行動をする、そういうようなもの法律の定めるところによってやらなければいけない、こういうものだと考えております。そこで、しからば、今度は個々の学識経験者、あるいは個々の多少専門的な知識を持っている者、そういう者を個々的に役所が呼んで意見を聞く、こういうことについては法律の制限はもちろんないわけであります。そういうものについては、これは八条はそういうことを言っていないことは、これは明らかでございます。そこで、もう一つそれが進みまして、そういう人たちを一堂に集めてそこでまとめて意見を聞く、そういう形のものだとしてやられるならば、これは必ずしも八条は禁止しておらない。結局、何人かのそれに関係する学識経験者、あるいは専門的な知識経験を持っておる者を一堂に集めまして、何回か集めて意見を聞き、その意見を聞いたところによって一つ行政上の根拠にする、こういうもの一つ行政機関としての行政的な組織体ではないわけであります、そういうものにつきましては、そういうものを作るということを閣議できめることは、私は必ずしも行政組織法第八条の趣旨に反するものではないのではないか。少くとも閣議決定でやるものについては、そういうようないわゆる行政機関的な組織性のないものにしてもらわなければ困るるということは、常に私ども申しております。また、実際もそういうような運用をしてもらっておると思っております。そこで、ただ、先ほど申しました通り名前のつけ方とか、あるいは実際の運用上、多少まぎらわしいものがあることは事実だろうと思います。しかし、少くとも私どもの根本的考え方は、そういう考え方に基いてやっておるわけでございます。  先ほど千葉委員に対してのお答えで、ちょっと御質問趣旨を取り違えてお答えした点がございますので、お答えをいたします。経済懇談会——確かに私は経済閣僚懇談会と間違えてお答えしましたが、経済懇談会の御趣旨だったわけで、はなはだ失礼を申しました。  経済懇談会は、確かに昭和三十年か何かの閣議決定でできております。これは名前から申しましても、御承知通りに、まあ経済人を集めて個々的に意見を聞き、まとまった会議体としての意見をまとめるというものでないことは、これはもうその出発の趣旨から申しましても、名前のつけ方から申しましても、これは明らかだと思います。これは千葉委員も御了承願える趣旨だと思うので、第八条の機関ではないと思っております。
  71. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 私は法律の解釈は詳しくはありませんけれども、たと、えば八条を拝見しますと、「特に必要がある場合においては、法律の定めるところにより、審議会又は協議会(諮問的又は調査的なもの等第三条に規定する委員会以外のものを云う。)及び試験所、」云々と、こうあります。そこで、今、国家行政組織の一部分をなす委員会といえば、準司法的な委員会、あるいは国家公安委員会といったようなものは、第三条にあるわけですが、「諮問的又は調査的」な審議会または協議会、こういえば閣議決定ものは全部入ると思う。千葉さんに味方をするわけじゃないけれども、これを見て、全部入るようにこの間から実は思っている。そうして、きょうも総理の御答弁伺っても、また法制局長官お話を伺いましても、性質は臨時的なものであるとか、あるいは人数が非常に少いとか、こういったところに区別をつけておられるようでありますけれども、現実に閣議決定審議会を見ておりますと、たとえば交通審議会、昭和三十年八月二十八日からあって委員が二十一名おる。あるいは労働問題協議会、これは二十八年九月の四日からあって人数が三十人ある。たくさんの委員を任命して相当長期間にわたってそうして継続的にこれを審議する。政府の目的が諮問または調査することにあれば、この第八条に当然入るものと思う。それをどういうふうに扱いをされるかというところに、非常に問題があると思います。  各省限りでおやりになっていることは、法制局は知らないということは、無責任な話ですけれども閣議決定ほどには自分は相談にあずかっておらぬ、これは一応常識的には了解できますけれども、第八条の審議会調査全等の関係を見ますと、どうも私は納得がいかない。きょうここで、直ちに明快な御答弁をいただくということを申し上げてはおりませんが、閣議決定の十六なら十六、あるいは先ほどあげました六十五なら六十五の各省限りの個々の一々について、これはこういう理由で、これは問題はない、これはどうも少し怪しいから至急にやめましょうということを、分類して一応御研究になってできれば資料として一つ提出を願いたい。ここで私はすぐ答弁を求めませんが、先ほど答弁を伺っていますと、ここで議論いたしましても、私の納得のいくような御説明をいただけるかどうか危ぶむものですから、幸い明快な御答弁をいただければけっこうでありますが、もし研究してから答弁しょうということでありまするならば、今申しましたような具体的な問題についての一つ資料を、納得のいくような御説明をつけていただきたい。こういうことをお願いしておきたいと思います。
  72. 林修三

    政府委員(林修三君) 各省限りで、置いているものは六十五あるというお話でございますが、これはそんなものがどれだけあるかどうか、実はつまぴらかにいたしておりません。まあ、そういうものがあるかないか、どういうものがあるかについて、行政管理庁等にも実は調べてもらおうと思っております。しかし、各省が第八条の存在のあることを知っておって、それに偉反するようなものが出ることは、一応予知はできないわけでございます。まあ、私どもはそういう行政組織法八条に違反するようなものはない建前だと思っております。  それから、閣議決定ものにつきましては、私どものけじめは先ほど申しましたようなけじめで考えておるのでございまして、もちろん、これは私どもとして行政組織法八条があることは十分承知しておるわけであります。常にこのことについては意見を述べております。行政管理庁も同様でございます。常にこういうものを作る場合には意見を述べておるわけでございまして、行政組織法第八条に違反するようなものは作らないということにやっております。その基準の二つとして、ただいま臨時的とかあるいは人数が少いということをお話しになりましたが、それは決して一つの基準には、ならないと思います。まず第一、行政組織法第八条に当らない、つまり先ほど申しました行政組織法は、審議会、協議会あるいは調査会という一つ機関としての働きをするものを予定しているものと思います。極端な例を申しますれは、先ほど申しましたように、個人の意見を聞く、個々的に学識経験者を招いて意見を聞く、あるいはそれを一つの非常勤的な顧問的なものとして意見を聞く、こういうことは実際法律の規定を要しないわけでございます。そういうものが、たくさん、何人か集めて一つ会議体としてでなくて、一つ懇談会的な会議として意見を聞くというものは、私は必ずしも第八条に違反するものではない、そういう解釈をする余地がある、そういうふうに従来から考えているわけでございます。  そういうものを置くにしても、しかしその場合には、臨時的なものあるいは少人数のものということが一つのめどにはなろうかと思いますが、これはあくまで裁量の問題でございまして第一前提は、法律に違反するものであってはならないということは第一の前提でございまして、それの中で、さらに閣議決定で置いているものは、最近におきましては、まあ少くとも期間が短かい、あるいは人数も少い、そういうもの一つのそういうものを認める基準になっておろうかと思いますが、それはあくまで第一の前提に、法律に違反するものがあってはならないということの前提を置いたものと思います。一応私どもとしては、そう考えて基準を立てているわけでございます。
  73. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 各省限りの六十五というのは、行政管理年報にあった数字を申し上げたので、その後若干の増減があると思いますが、行政管理庁でお調べ願いたいと思います。  それから、今の八条の解釈につきましては、一つなお御研究いただいて、資料としていただきたいと思います。
  74. 藤田進

    委員長藤田進君) 千葉委員質問の中に、過般の国会会へ提出をされたその改正案の中に、臨時的なものといったようなものについては政令で定め得るという法改正を持ってきたが、国会はこれを否決をしているという経過から見るというと、明らかに政府としても、好ましくないから法を必要とすると考えたに違いないと思うのですね。その当時の記録を調べてみればよくわかると思いますが、それに対する見解はどうなんですか。
  75. 林修三

    政府委員(林修三君) あの当時、ああいう改正案政府が出しました趣旨、あれに近いものは、実はそのだいぶ前の国会でも問題になったことが実はあると思います。で、これは結局、政府として考えましたことは、たとえば期間が非常に短かい、あるいは国会と開会の間でそういうものを、行政組織法八条に当るようなものを作るというような必要が起った場合に、やはり機動的にそういうものを作る必要がある場合には、まあ政令で作る道も開いておいていただいた方が実際上の状況には合うのじゃないか、便宜じゃないか、そういうつもりでこれは御提案申し上げた次第でございます。  国会においてそれが削除されました御趣旨は、実はその、委員会に私立ち会っておりませんでしたので、行政管理庁がよく存じていると思いますが、これは先ほど千葉委員のおっしゃったような御趣旨もございましたでしょう。それからもう一つ、私これはまた聞きでございますから、実はあれでございますが、(「そういう無責任答弁をするな」と呼ぶ者あり)私は答弁いたさなくても……。第一としては、従来まあ何と申しますか、八条に当らないような組織閣議決定でやられている、そういうものもあるじゃないかというようなことも、一つ削られた理由となっているということでございます。私はまた聞きで聞いております。そういうことで、昨年の改正は削除されたと聞いております。その前のときは、たしかあれは参議院で御修正になって、政令で定めるものは除く、臨時のものはいいだろうという趣旨で、参議院で御修正になりまして、たしか参議院の修正点がいろいろございまして、それが衆議院にかかりました際に、その点は必ずしも問題ではなかったようでございますが、ほかの点で衆議院と意見が合わずに、衆議院がいわゆる憲法の規定三分の二でオーバールールした。そういうようなことで、成立しなかったといういきさつがございます。
  76. 藤田進

    委員長藤田進君) 違法でないならば、政令でなどという厄介なことにしなくて、便利だから法改正を出すとおっしゃるなら……。あっさり、出さないで、今のままでやった方が、政令も必要としないし、いいわけで、解釈はそう便宜主義じゃ困る。これは今ただそうとは思いませんが、法制局長官としてはどうも答弁がすっきりしないと思うので、また機会があると思いますが、本日は私どもはこの程度にしたい思います。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  77. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記を始めて。  他に御発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後一時一分散会