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松本治一郎君 こういうことが、外では
相当わかってきたのです。
天皇一家を存続させるために生活していこうというような不心得な
考えを持った
人たちは、
国民の敵だとすら言われておる。
三月三十日と申しますると、二日前ですね、
文化放送「
日本の子供」の時間の中で、富山県から来た修学旅行の
生徒が、「おらっちゃの見た東京」の話の中に、
記者との間にこういう
質問がかわされた。その
生徒の
宮城観について、
記者の、この
宮城をどう思うかとの
質問に対して
生徒のAなる者は、
幾ら天皇陛下といえども、一
里四方もあると思われる広い所に囲まれているより、早くどこかへ移った方がよかろう、そうしてここを公園か何か、
国民のために使わしたらどうかと思うと答えた。Bなる
生徒は、
うちの人たちから
日本全体の父母が
天皇や皇后様だと聞かされてきたが、ここに来て見れば、そんな感じは少しも出ない、陛下はこんな所にいてかわいそうだと言っております。Cなる
生徒は、
天皇陛下は国の
代表だからいいと思うと言いますると、Dなる
生徒は、国の
代表は
国会議員だ、
政府と
国会があればいい、
天皇は要らぬと言っている。これは十二、三才の小学校の
生徒なんです。Eなる
生徒は、
国民が納めている税金をここの
人たちが使っているのと違うのか、こういうことも言っている。Fなる
生徒は、
緑化運動やその他のことに有効に使ったらいいと思う、こういうことをはっきり言っている。
もう時代は変っている。
天皇一家の者だからといって働く者よりも何百倍かの金をかけて生活しなければならぬということは、よほど
考えなければならぬ。五十才以上という人の中には、あの間違ったうその教育を受けた、それがまだ残っている。しかし、もうそういうことは
日本ばかりじゃない。世界の多くの国が、人民の目ざめによって、王政から共和政に変っている。近き例を申しますと、エジプト、チュニジア、その他の国々は、王政は消えて共和政になっている。私は、とれるからとるというような予算を組んで、
国民に負担させるということは
考えなければならぬと思う。この幼い十二、三才の子供ですら、国は
国会と
政府さへあればいいと言う時代になっているのであります。
私は昨年、オーストラリアとニュージーランドに旅行をした。そのときに、第三回平和大会に出て来ておりましたオーストラリアの上院議員の一女性が、私と一緒に講演して回った。その女性いわく、
日本くらいおもしろうて不可解な国はない、鉄道の中に野菜が作られている、それかと思うと、
天皇の住んでいる所はどえらい広い、こういう話をしておる。その次に、こういう話をした。世界に二つのおもしろい、珍妙な、大きな王家出現説がある。これは、先日退位しましたサウジアラビアのサウド王家で、サウド王家の始めは、土中から人間が出てきた、それが石油を持ってきた。そうしてのたまわくですね、これから先はわが子孫の王たるべき土地なり、みんな従え。これが一つ。それからいま一つは、天から人間が降ってきた、いわゆる天孫降臨。人間が天から降ってくる、地から石油を持ってわいてきたというのが、その国の歴史になっている。そういう世界は今になくなるだろうということを、上院議員のその一女性は言った。果せるかな、二、三日前サウド王は退位した。弟さんが継いでいるけれども、これはやがて王政をくずすであろうと私は
考える。
そういう世界の動きの中に、復古調を強めて、そうして
国民が食うことに困って、一家心中を毎日のようにやっているや
さきに、三割も五割も増すような予算を出されるということは、今後の世界を知らなさ過ぎることだと
考える。それよりももう少し、憲法八十八条がうたっておるように、皇室財産は、国に属する。皇室の
費用は
国会の議を経てこれがきめられる。こういうことになっておるのですから、
国会の議を経てきめられるということは、
国民の負担金であるということなのです。もう
相当考えなきゃならぬ時代が来たと。先ほど申し上げました
三笠宮にしてみれば、格子のない牢獄の中はいやだ。そういう人がふえてくる。サウジアラビアのサウド王を倒したのは王族
会議である。
人間が人間として生きていく上に、
自分の生活を
自分の汗とあぶらで立てていかないということくらい、不合理な、矛盾したものはないと思う。同じ
日本人で、六千部落三百万の人々が因っておる。それはどういうわけかと申しますると、いわれなき尊敬を受けておる者があるから、いわれなき差別を受くることになる。そういう観点から
考えますると、
相当考えなきゃならぬと思うのでありまして、このいわれなき差別を受ける原因、すなわち差別の対象となるものが貧乏である。貧乏なるがゆえに教育が受けられない。普通の家に住むことができない。人並みの衣類を着ることができない。その差別の対象となる貧乏を少しでもなくしてくれといって、この間
政府に迫って、一億五千万円の予算を組むという約束をしながら、出てきたものは二千五百万円の少額である。皇室予算は
皇族としての品位を保つためだと言っている。われわれの
要求しておる
要求は、人間並みの、人間らしい生活ができるようにさしてくれということ。こういうところに大きな基本的な間違いがあると思うのです。
しかし、この問題についてまだこの
内閣委員会が今後開かれるだろうと思いまするから、私の
質問はこの程度で終らせてもらいますが、
長官直接
天皇に会われ、
皇族に会われる
機会があろうと思いますから、私のきょうの話を伝えてもらいたい。
これで私の
質問は終ります。