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1958-03-25 第28回国会 参議院 内閣委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十五日(火曜日)    午前十一時二十六分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     藤田  進君    理事            上原 正吉君            大谷藤之助君            永岡 光治君    委員            木村篤太郎君            近藤 鶴代君            迫水 久常君            田中 啓一君            苫米地義三君            増原 恵吉君            松村 秀逸君            伊藤 顕道君            千葉  信君            八木 幸吉君   国務大臣    通商産業大臣  前尾繁三郎君    国 務 大 臣 正力松太郎君   政府委員    科学技術庁原子    力局長     佐々木義武君    通商産業政務次    官       小笠 公韶君    通商産業大臣官    房長      齋藤 正年君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○放射線障害防止技術的基準に関す  る法律案内閣送付予備審査) ○連合審査会開会の件 ○通商産業省設置法の一部を改正する  法律案内閣提出)     —————————————
  2. 藤田進

    委員長藤田進君) これより内閣委員会開会いたします。  まず、予備審査として付託されました放射線障害防止技術的基準に関する法律案につきまして、政府から提案理由説明を聴取いたします。
  3. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 放射線障害防止技術的基準に関する法律案提案理由を御説明いたします。  ただいま議題となりました放射線障害防止技術的基準に関する法律案について、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  わが国における放射線現状考えますに、まず、従来より医療面で大いに利用されてきたエックス線のほかに、最近急激に利用が行われるようになりました放射性同位元素及び放射線発生装置等による放射線があります。また、これらとは別に、外国における核爆発に伴う放射性生成物いわゆるフォールアウトよりの放射線につきましても、国民は深い関心を払っているのでございます。さらに、今後は原子炉等開発利用に伴いまして、これから発生する放射線も増加してくるものと予想されます。従いまして、これら放射線による障害防止重要性は日増しに高まってきているものと考えます。  さて、これらの放射線障害防止に関する規制を行っている法律の方を見ますと、たとえば放射性同位元素放射性同位元素装備機器及び放射線発生装置利用につきましては、放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律で、核原料物資核燃料物質及び原子炉利用につきましては核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律で、医療用エックス線発生装置利用につきましては医療法でというように、多くの法律放射線障害防止をはかっているのであります。  一方、放射線を受ける国民の立場から申しますと、おのおのの法律で異なった技術的基準により障害防止規制を受けることは好ましくないのでありまして、政府といたしましては、これらの基準をすみやかに齋一ならしめることの必要性を認め、全放射線対象とした放射線障害防止基準法的性格法律案を提出することにいたした次第であります。  このことにつきましては、去る第三十六国会における放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律案の御審議の際、衆議院科学技術振興対策特別委員会から付帯決議の形で御指摘いただいておりますことは、すでに御承知通りであります。  以上の趣旨によりまして、この法律案は、すべての放射線による障害防止技術的基準策定上の基本方針を明確にするとともに、総理府放射線審議会を設置することによりまして、放射線障害防止に関する技術的基準の齊一をはかるため、必要な事柄を規定したのであります。  以下、本法律案概要につき御説明申し上げます。  本法律案においては、放射線障害防止に関する技術的基準の齊一をはかるために、まず第一に、基本方針といたしまして、技術的基準策定するに当っては、放射線を発生する物を取り扱う従業者及び一般国民の受ける放射線線量を、これらの者に障害を及ぼすおそれのない線量以下とすることとしなければならないと規定しております。すなわち、政府にあっては放射線障害防止に関する法令等の、また、民間にあっては放射線障害防止に関する作業規定等技術的基準は、人体に障害を及ぼすおそれがないと考えられる線量以下となるような基準でなければならないとして、これを基本方針として定めたのであります。第三に、総理府付属機関として放射線審議会を新たに設置し、関係行政機関の長は、放射線障害防止に関する技術的基準を定めようとするときは、この審議会に諮問しなければならないこととし、具体的に基準の齊一化の確保をはかろうとしているのであります。なお、放射線審議会は、放射線障害防止に関する技術的基準のみならず、核爆発に伴う放射性生成物等測定方法についても調査審議することとし、国民的世論にこたえようとするものであります。  放射線審議会は、関係行政機関の職員及び放射線障害防止に関する学識経験のある者三十人以内の委員で組織することとなっておりますが、人選に当っては、放射線障害防止に関する最高の水準の学識経験者委員に選任し、技術的基準策定に慎重を期する所存であります。  なお、この放射線審議会の新設に伴いまして、従来、放射性同位元素による放射線障害防止に関する重要事項審議するため、科学技術庁付属機関として設置しておりました放射線審議会は、発展的に廃止することといたしたのであります。  以上、本法律案提案理由及びその内容の概要を御説明申し上げました。何とぞ慎重なる御審議の上、御賛同あらんことを切望する次第であります。     —————————————
  4. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、連合審査会に関する件についてお諮りいたします。  去る三月二十日、文教委員会から、本委員会に付託されております科学技術会議設置法案について、連合審査会開会申し入れがございました。本申し入れに応じて、文教委員会との連合審査会開会することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないと認め、さよう決決定いたしました。  なお、開会の日時などにつきましては、先例により、両委員長協議の上、決定することにいたします。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  6. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記を起して下さい。     —————————————
  7. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、通商産業省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  それでは、質疑のおありの方は、順次、御発言を願います。
  8. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 通産大臣に二、三お伺いしたいと思いますが、御承知のように、中小企業対策費としては、もっぱら国民金融公庫とか、あるいは中小企業金融公庫ないしは商工中金、こういう所に対する財政投融資、そういうことにたよっておるわけでありますけれども、最も重要な中小企業合理化近代化のための費用はきわめて少いと思うのですが、そこで、とうてい現状では合理化近代化ということは実施困難だと思うわけです。この点について大臣はいかように考えられますか、まずお伺いしておきたいと思います。
  9. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) われわれ考えております中小企業対策としては、第一には組織化の問題、第二は金融対策、第三が設備近代化、いわゆる体質改善をやっていかなければならぬということにつきましては、十分認識もし考えて参っておるわけであります。  御承知通り、従来から、設備近代化につきましては、一般金融中小企業金融公庫、あるいは国民金融公庫、あるいは商工中金、いわゆる政府機関を通じて、政府の金を、政府資金を投入して、そうしてやっていくということで参っております。そのほかに、いわゆる金融ベースに乗りにくいというものにつきましては、御承知のように、設備近代化補助金というのを出しておるのであります。来年度におきましては、従来、昨年が四億円を出しておりましたが、本年度におきましては、六億円にいたしました。それで、六億円を政府府県特別会計に投入いたします。府県がさらにその同額を出しますので、十二億。それに回収金がありますので、回収金が一億八千万円だったと思いますか、そういうような金を入れますと、その倍額は自己調達をする。もちろん、自己調達といいましても、これまた、それだけの政府補助金が出ますと、それに見合って金融機関からも金が借りやすくなる。こういうような関係でありまして、それらを入れまして、四十五億以上、約五十億近くの設備近代化といいうことがやれると思います。  実は従来、設備近代化補助金につきましては、やはりこの半額は繊維に使ってある、こういう状況でありましたが、ここらで対象を転換といいますか、広げて、まあ輸出向け機械類というか、そういうものにつきまして対象として設備改善をはかっていきたい、かように考えておるわけでございます。  また、金融につきましては、一般金融機関から金を借りられるようにする。そのために、御承知のように、今度は従来の信用保険特別会計を改組いたしまして、信用保証協会保証によって一般市中金融機関から金が借りられるというようなことを拡充したいというわけで、約七億円の基金をもちまして中小企業信用保険公庫というものを作っております。これらによりまして極力設備近代化ということに努力して参りたいと、かように考えておるわけであります。
  10. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いろいろ御説明があったわけですが、私としては、特に中小企業合理化近代化のための予算を大幅に増額するということが、特に大事なことではなかろうかと考えておるのです。その点についてはお考えはどうですか。
  11. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) ただいま申し上げましたように、設備近代化補助金におきましては、本年度は四億円でありましたが、それを六億円にふやしておる。それから、何と申しましても、技術向上考えて参らなければなりません。で、技術向上につきましては、従来府県営の試験所というようなものが実際に活用されておらぬ。従って、三年ぐらいの計画によりまして、本年度は新たに、六千万円でありますが、六千万円の補助金を出しまして、そうして試験所設備をよくする。これはもちろん府県負担が、やはり同額府県負担があるわけであります。そうして、それによって技術指導をやってもらって、設備の、技術向上をやっていく。  それからもう一つは、従来からやっております企業診断企業診断につきましては、結局、中小企業者方々がどういう商品を作り、またそれをどういう方面に出していくか、あるいはまた、それに関してどういう企業経営をやっていったらいいかという診断をやっておるのでありますが、来年度におきましては特に活発にやっていただくというので、府県に対する補助金を一億一千万円にしました。それから、国といたしましても極力企業診断に乗り出すというようなことで、それに要する経費も計上いたしておるのであります。  われわれ、これらをいわゆる体質改善と言っておるわけでありますが、金融ばかりではなしに、体質改善と、その設備をよくし、技術向上をはかり、さらに指導していくというような面におきまして、来年度といたしましては相当額予算で要求いたしておるわけであります。
  12. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 現状をもってしては、中小企業については今お伺いをしたわけですが、特に零細企業については、いつまでも合理化近代化ということは望むことができないと思うのです。現状をもってしては。そこで、特に零細企業に対してどのように対策考えておるか、この点もあわせてお伺いをしたいと思います。
  13. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 御質問のように、零細企業中小企業、これは非常に密接で、どこからどこまでというわけには参りません。  言い落としましたが、中小企業でありましても、機械の特別な部分品に対する設備改善というようなものは開銀で出しておるのであります。本年度は二十五億円でありますが、来年度におきましても二十億円ぐらいの開銀資金を使ってやっております。これはやはり、中小企業といいましても、中以上の企業に対するものであります。  零細企業としましては、特別の金融として考えておりますのは、御承知のように、国民金融公庫零細企業に一番ぴったりした金融機関だと思います。それから今度の——先ほど申し上げましたように、一般市中金融機関あるいは信用金庫というようなものから借ります場合には、信用保証協会というものを使っていくのが一番合理的だと思います。これは担保なしに、信用保証協会保証でいける。で、先ほど申しましたように、今回は五十万円以下の貸出につきましては、包括保険というべき、全部を引っくるめてどれも必ず政府保険に入ってもらうということにいたしまして、保険料も非常に安くいたしまた。それから保証料につきましても、政府が三十億ぐらい保証協会に貸付をやりますので、それによって利ざや——がその補強になりますために、保証料も下げる。さらに、これはわれわれのねらいとし、またそういう機運になってきたのでありますが、包括保険にいたしますと、保証協会はそう心配がないということになりますので、保証協会はつぶれぬ、また貸し倒れにならぬということで、金融機関金利を引き下げていこう、保証協会包括保険に入っておりますものについては金利を引き下げていこう、こういう機運も出ておりますし、われわれも指導していきたい、かように考えておりまして、来年度におきましては五十万円以下のものは包括保険に入れさせるということにしておるのでありますが、将来その額も引き上げていきたい、かように考えておるのであります。  また、零細企業設備は、ただいま申し上げましたのは零細設備には適用しないというものではありません。ただ、近代化補助金等につきましては、やはり輸出向け商品を作るとかそういうようなものにやりますので、従来繊維品等におきましては、必ずしも中企業者だけではなしに、あるいは小企業者零細企業者設備改善にも使っておったようであります。この点は輸出に直結するようなものにつきましては、零細業者中小業者も別に区別せずにやっていくというふうに考えておるのであります。ただいま申し上げましたように、この限界は別に特別の区別をいたしておるというわけじゃありません。金融機関等につきましては、特に零細企業者から、むしろ先に借りやすくするというような方針でやってきておるわけであります。
  14. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 中小企業対策としていろいろ御説明いただいたわけですが、重要な方策の一つとして、計画的な経済の中に中小企業の適正な分業配置を行なって、その経営を長期にわたって安定せしめる、こういうことも非常に大事なことではなかろうかと考えられるのですが、この点について大臣はどのようにお考えになっておりますか。
  15. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 中小企業者に対して特別にその分野をはっきり法律規制をしていくということは、非常に困難だと思います。まあ、われわれとしましても、社会党の御提案のような問題につきまして、いろいろ研究をいたしておるのでありますが、これは法制上非常に困難であります。ただ、全般的な、国民経済全般から考えまして、極力大企業中小企業分野を侵さぬという方向に、行政指導としては持っていきたいというふうに考えておりますが、法律で明らかに、これは中小企業である、この業種は中小企業でやるべきだ、というところまではっきり認定することは、非常に困難だと思います。むしろ、御承知のようっに、先般の臨時国会におきまして通過いたしました中小企業団体法というようなものを中心にいたしまして、それによって安定させていくことに努力するという考えで、現在のところ進んでおるわけであります。
  16. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私としては、そのための第一歩として、大企業中小企業との間の不当な不均衡をまず是正する、そして相互の激しい競争防止するということ、このことはまずもって必要じゃなかろうか、こういうふうに考えておるのですが、この点はいかがでしようか。
  17. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 御承知のように、団体法におきましては、大企業者に対しある程度の調整をとるというようなことも考えられるわけであります。それらの運用によって極力考えていきたいというふうに思っておりますし、また、いろいろ産業の立地というような問題で、全般的な指導につきましては、極力、大企業中小企業を侵さぬようにというような配慮はいたしていき、極力行政指導で進みたいというふうに思っておりますが、先ほど申しましたように、法律でこれを限定するということはちょっと困難だと思っております。
  18. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 中小企業近代化する道として、五人未満の事業所に働く労働者に各種の社会保険を適用させる、こういうことはきわめて大事ではなかろうか。こういうことについては、前回、政務次官にお伺いしたわけですけれども、さらに、全国一律の最低賃金法ないしは家内労働法、これによって低賃金労働強化を排除するということは、きわめて中小企業近代化のためにまずもって大事なことではなかろうかと思うわけです。この点、大臣はどのようにお考えですか。
  19. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 最低賃金制につきましては、私どもは非常にけっこうだと思っておるのであります。と申しますのは、いろいろ世間では、かえって企業者が困りゃせぬかというようなことを言われております。しかし、そうではありませんで、むしろ賃金にしわ寄せができるというので、逆に不当に価格を引き下げられておるというような面があります。ことに輸出品等におきましては、これはもう実際に最低賃金をやってみますと、はっきり過当競争をやらなくなって、もうそれ以上はコストを割るというような面が、はっきりしてきております。かえって、また労働者も得やすいというような面で、最低賃金は、輸出なんかの例はもうてきめんにそういう効果が現われておるわけであります。それ以外におきましても、過当競争を排除させるという意味合いからいたしますと、ぜひとも強力に最低賃金制を推進したいというふうに考えております。
  20. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 最低貸金法についてですが、私ども考えておるのは、全国一律というところに意味があるわけで、その点については、政府としては業者間の協定ということを考えておるようですけれども、そこのところを、現状では業者間協定でなければできないか、将来は当然に、いわゆる全国一律の最低賃金法趣旨にかなった、そういう全国一律でなければならない、そういうふうにお考えになるのか、その点をはっきりお答えいただきたいと思います。
  21. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) ただいまのところは、私は、やはり業者間協定でいくべきだというふうに考えております。これがだんだん整備されてくれば、結局は一律の最低賃金制をとり得るようになるのじゃないかということは、私個人の考えとしましてはそういうふうに思っておるわけであります。
  22. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 中小企業経営を円滑化するために、先ほど来御説明のあった金融上の改善をはかることが、きわめて大事なわけですか、たとえば中小企業関係金融機関として先ほどあげました国民金融公庫とか、あるいは中小企業金融公庫商工中金、こういう資金を増加するということがきわめて大事だと思うわけですけれども、具体的に一つ考えを承わりたいのですが、三十三年度については承知しておりますけれども、その額については私どもとしては非常に不満足なんですが、この点いかがでしょうか。
  23. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 実は、御承知のように、本年度におきましては中途において追加をいたしたわけであります。来年度におきましては、本年度のような特別な需要が起りました場合は別でありますが、そうでない限りには、本年度よりもより運用額がふえるということでありますから、大体において片づくのじゃないかというような意味合いからいたしまして、それから実際にふえました額は、ちょっと数字があれですが、たしかこの運用額におきましては、中小企業金融公庫が三十三億でありましたか、国民金融公庫か五十五億でありましたかのような数字になっております。それから、商工中金が三百三十億でありましたか、運用額だけはふえておるわけであります。  そうして、これらを対比をいたしますと、当初の計画は、回収金が非常にかたく見積られておりまして、実際にやってみますと、常に回収増があるわけであります。それを入れますと、二十億ずつくらい毎年回収増があります。この予算書に出ております運用額の増は、その回収増は全然頭に入れずにおるのでありまして、出ておりますものよりも常に二十億くらいはいつも多くなっております。それから、本年度におきましては、百七十億という額を追加いたしたのであります。そういう事態に備えましては、今度の出資をいたしました額の五割までは、大蔵大臣が必要と認めた場合には、預金部から借り入れをすることができる、こういうようなふうになっておりますので、正常な推移をいたしますなら、まあ運用額が本年度よりもふえておるということによって、大体まかなえるのじゃないか。また、いろんな情勢が起ります場合には、ただいま申しましたように、大蔵大臣の認めることによりまして相当な額が出資をできる、こういうふうな仕組みにいたしておるのでありまして、一面、あまりまた楽だという感覚を与えますと、まあ景気を無為に刺激するということになっちゃならぬという考え方で、ただいま申し上げましたような一応の建前になっておるわけであります。従って、その運用をうまくやって参りましたら、別に支障はないのではないかというように考えておるわけであります。
  24. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今、資金増額という点について御説明いただいたんでありますけれども、その全体の資金増額と同時に、金利についても、大企業に比して非常に不利で、非常に高い。また手続も大企業のそれに比して非常にむずかしい、ややっこしいというようなきらいがあると思うのですけれども、実際に中小企業方々にそういう声が非常に強いわけですけれども、この点改善のお考えありませんか。もう少し手軽に、そして金利も安くしていただきたいと思う。そういうことが、全体の額をふやすということとあわせて、大事なことだと思うのですけれども、その点いかがでしょうか。
  25. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 金利の問題につきましては、極力引き下げていこうというわけで、御承知のように、一昨年でありましたか、多少引き下げたんでありますが、情勢が変りまして、一般的に金利が上っておる、こういうような関係もありまして、ちょっと引き下げるというわけには参らなかったのであります。今後におきまして、極力その引き下げを考えていきたいというふうに思っておりますし、また、手続簡素化につきましても、従来からずいぶん言われておりまして、極力やらせておるのでありますが、まだ手続がどうも繁雑であるという非難もわれわれ承知いたしております。極力手続簡素化さしたいと、かように考えております。反面におきまして、先ほど申しました信用保証協会等でありますと、さらに簡易にやっていけるんじゃないかというふうな面もありますので、あわせて極力、零細企業方々はむずかしい書類を作るということにお困りでありますことはよくわかりますので、今後ともぜひ努力をしたいと、かように考えておるわけであります。
  26. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 政府関係金融機関からの融資ということも、以上御説明でよくわかりましたが、一般市中銀行からの融資についても、先ほど大臣御指摘があったわけですけれども、ただ御指摘だけでなしに、具体的にこれはお考えになっておりますか。市中銀行からの融資についてですね、ただお考えだけでなしに、どのような具体的な手を打っておられるかどうか、こういう点についてお伺いしたいと思います。
  27. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) ただいま申し上げましたような、保証協会利用してもらう、こういうことにしますと、担保とか何とかという問題がなく、非常に簡易に行ける。従って、今度の信用保険公庫は、政府から資金を渡しまして、そうして補強する、反面において保険をやっていく、こういうことになりまして、担保が実は非常に零細企業の方が困るので、担保なしに信用保証協会保証だけでいけるということになりますと、非常に簡便になると私は考えております。今までは、実を申しますと、保証協会がどうも利用しにくいというのは、保証料が高過ぎる。それで、この保証料を下げるという措置に集中していけば、信用保証協会利用というものが非常に楽になる。最近におきまして信用保証協会がかなり活発になって参りまして、今度の補正予算におきましても、保証の限度を引き上げていただくようにしております。これを今後広く利用できるような方向に持っていきたいと考えております。
  28. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 中小企業経営を円滑なものにするためには、先にどの融資ということと、さらに税制の改善ということがきわめて大事な施策だと思うわけです。そこで、五十万円未満の法人税を現状より引き下げるお考えはないかどうか、この点をまずお伺いしたい。
  29. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 御承知のように、昨年におきましては、所得税の減税をいたしまして、法人税につきましては大きな改正ができなかったわけであります。来年度におきましては、法人税を全般的に二%下げることにいたしたのであります。これは、御承知のように、大法人にしましても非常に税率が高い、高過ぎる、こういうようなことでありますので、二%全般的に引き下げたのであります。百万円の軽減税率を従来使っておりますのを二百万円に引き上げるというようなことで、今回はその程度にとどまったわけでありますが、将来としましては、さらに減税をしていかなければならぬ、かように考えているのであります。  それから、中小企業者方々につきましては、御承知のように、事業税でいろいろな問題があります。と申して、事業税を廃止してしまうということになりますと、これはもちろん地方団体が困りますので、今回は極力引き下げたいというふうに考えて参りましたが、地方団体との関係もありますので、さらに根本的に国税、地方税を通じて事業税の減税をはかっていくというようなことも主題にした審議会等の結論を得まして、そうして来年度は実施に移していきたい、かように考えておるわけであります。
  30. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、勤労事業所得については、分離課税を行なって減税を行う考えがないかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  31. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 勤労所得と資産所得の分離というのは従来からやっておりますが、御質問の点はおそらく、勤労の度合いの高い小企業に対しては控除制度を設けたらどうかという、こういうような御意見ではないかと思うのであります。この控除制度につきましても、長い間いろいろ議論がされておるわけであります。ただ、その限界ということが非常にむずかしいことに相なりますのと、結局において、税務の運営から考えますと、動労所得ほどはっきり所得がつかめぬといいますか、はっきりしないというような面で、果してそういう控除制度を設けるのがいいかどうかということについて、最後的な結論を得ておらぬわけであります。この点はいろいろ今後の問題として検討いたしたい、かように考えております。
  32. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、物品税を廃止するお考えはないかどうか。この点については、前に政務次官にもお伺いしたわけですけれども大臣のお考えをお伺いしたいと思うのですが。
  33. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 物品税につきましては、率直に言いますと、これは奢侈的なもので消費者が支払うという建前でできておる税金であります。従って、消費税を——むしろ直接税を下げて消費税を上げたら、どうかというような理論も二面にあります。それから一面におきましては、なかなか転嫁ができない。従って、転嫁ができないと中小企業者の自己負担になるのじゃないか。こういう議論が両立いたして参っておるのであります。従って、われわれとしましても、転嫁が非常にむずかしいという業態につきましては、極力税負担を下げたりあるいは廃止したりして参りました。そうして課税技術の割合に容易なものにつきまして、大企業者が作っております生産品でありますと容易でありますので、そういうものはむしろ強化する。そうして中小企業者の自己負担になって転嫁がしにくいというようなものにつきましては、極力整理するというような考え方で従来参っておるのであります。私は、やはりそういう考え方によってもう少し間接税、物品税について再検討する必要がある、かように考えておるわけであります。
  34. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、これはもう大企業に非常な有利な租税特別措置法ですね、これも私ども考えると、どうしても不合理なんですから、これは早急に廃止する必要があろうと思うのですけれども大臣としてはどういうふうにお考えですか。
  35. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 租税特別措置法はあくまでも臨時的に特別の政策を加えていくというようなものでありまして、その点におきましては、私はその必要性、必要度の高いものにつきましては、やっぱりやっていかなければならない。しかし、ともしますと、一ぺんそういう特典を与えますと、どうもそれによって逆になかなか、これが必要性が薄らいだときも廃止がむずかしい、こういうような関係になります。極力整理はやっていかなければなりませんが、そのときに絶対必要な、たとえば、実は、御承知通りに、昨年の臨時国会におきまして、輸出所得の控除制度というものについて拡張をしていただいたのであります。こういうようなものは、少くとも当分においては必要だ、こういうふうに考えております。  それから、同じ特別措置におきましても償却制度、いわゆる特別償却制度というものについては、私は従来の償却がどうも長きに過ぎる。経済情勢が非常に変って参りますので、今ぜひやってもらわなければならぬ企業でも、三年、五年の後はもう保証しがたいというような企業もずいぶんあります。従って、今回におきましても、近代設備、いわゆる技術振興という面から考えますと、いわゆる特別償却制度で早期に償却をさせると。これはもう償却が済みましたら税金はもちろん払わなくちゃならぬのでありまして、要するに税金を払う時期が違うというだけで、負けきりになるものではありません。そういうようなものにつきましては、そのときの実態を把握して、そうしてそういう制度をとっていくということについては私は適切である、かように考えておるのでありますが、先ほど申しましたように、ともしますと、この時期がはずれましても、一ぺん特典を与えると、いつまでもなかなかそれを廃止しにくいという面は確かにあります。そういう点は今後極力整理すべきものは整理していくというふうにしていきたい、かように考えておるわけであります。
  36. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、方面を変えて、繊維企業について二、三お伺いしたいと思いますが、私は群馬県なんですが、県内に伊勢崎とか桐生、あるいは隣近くに足利、こういう特殊な織物の産地が相当あるわけです。ときどきお伺いしては実情を伺っているわけですけれども、御承知のように、最近特に、小あるいは零細企業である関係上、資金面で非常に苦悩しておるわけですね。倒産者も跡を断たない、こういう状況なんです。そこで、何とか法的に根拠のある組織を作って、これを救済する必要があろうと思うけれども、この点については大臣、どのようにお考えですか。
  37. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 繊維の不況につきましては、実は昨年米、九月からぜひ強力な生産調整をやっていかなければ……。実を申しますと、一昨年に非常に設備が増設をされた。それがフル生産されますと、これは過剰生産になってどうにも困る。ことに昨年は繊維品の輸出は、一昨年よりも決して輸出が減っておるわけではなしに、ふえておるのでありまして、人絹は少し減っておりますが、結局生産過剰というところに問題があるわけであります。従って、まず何と申しましても、生産調節をやってもらわなければならぬというので、九月以来ずっとやってきておるのでおりますが、率直に申しますと、まだいわゆる監視が行き届かぬというような面もありまして、われわれが予期したほど生産が押えられておらぬ。まあ大体におきましては、三月までには生産調節を終って、そうして正常在庫に引き戻して、四月から正常な経済に持っていきたい、かように考えておりましたが、その点は、もちろんインドネシアの政情不安だとか、あるいは暖冬異変というようなものが起りまして、二、三カ月おくれたと思います。従って、六月ごろまでには最後に引き戻したいということで、極力今生産調節をやっております。生産調節をやりましたものにつきましては、私は金融のめんどうを見ていくというふうに考えており、また、日銀等におきましても、そういうような考え方でやっておりますが、ただ、銀行のベースに乗らぬと、こういうものもありますので、それらにつきましては、中小企業関係政府金融機関を通じまして、極力めんどうを見ていくべきだというふうに考えて、また、事実極力努力をいたしておるのであります。  ただいまおあげの産地は、内地物も相当作っておると思います。内地物につきましては、輸出の面におきましては最初に手をつけておりますが、内地物につきましてはややおくれた感があります。内地物につきましても、ただいま申しましたような方針で、極力最近はやっておるのであります。まあ、この四−六月中には生産調整を終って、そうして正常な取引に戻したい。また、それを目途にいたしまして極力推進をいたしておりますので、その実効があがるというふうに確信をいたしておる次第であります。
  38. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 特に、業者輸出契約のできた場合、そのとき原糸を買い込むわけですけれども、その際の金利がどうにも高過ぎるという業者の声が強いのですけれども、いま少し金利を下げてもらいたいという熱望をしておるわけですが、その点いかがですか。
  39. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 輸出金融につきましては、極力優先的に取り扱う、また金利も一厘下げてありましたし、日銀におきましては二厘下げというような措置もやっておるのであります。実は、輸出金融については最近やかましくないのでありますが、お話の点は十分考えて、金利が高いというようなことでは、これは商売になりません。よく調査をし、また善処もいたしたいと思います。
  40. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 内地契約の場合は、現在二銭六厘から二銭八厘くらいと聞いておるのですが、業者としては二銭二厘から二銭五厘くらい、そのくらいに何とかならないかという強い声があるのですが、その点いかがですか。
  41. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) ちょっと詳細を知りませんので、御趣旨の点よく調べまして、検討いたします。
  42. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 じゃ、後ほど一つ……。  その次に、輸出業界の激しい競争を防ぐためには、輸出入取引法による指定機関を設けて、滞貨織物の政府買い上げ、こういう機関ができると、業者としては非常に恩典に浴するわけですけれども、またそういう希望も強いわけですけれども、その点はどのようにお考えでございますか。
  43. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 輸出入取引法に基きます一手買い取り機関につきましては、私どもも、むしろ人絹等におきましては、私の力が勧奨いたしまして作らせたのであります。その商品によると思いますが、輸出関係のあります。また輸出品の明確なるものにつきましては、買い取り機関の設置については十分考えておるわけであります。具体的のお話が出れば、われわれとしても協力していきたいと思っております。
  44. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 生糸については、これは農林省に関係が深いと思うのですが、やはり生糸もそうですし、人絹糸については、価格の不安定ということは近ごろ毎日のように新聞で論じられておるわけですが、これがまた輸出不振の原因ともなっておると思うわけです。いろいろ政府としても価格安定の方策についてはお考えになると思うのですが、当面どのようにお考えになっておりますか。
  45. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) この生糸につきましては、御承知のように、今度さらに買い上げの限度をふやしたい。ほかの糸につきましては、原綿なり原毛はむしろこの際輸入を押えるという、これは業界の方も要望しておられますし、押えましたらそれによって大体に安定してくるのではないか。従来からもいろいろそういうような措置もやってきたのでありますが、なかなかこの原綿、原毛のようにもとから切っていくということは、ちょうど今度はいい機会でありますので、これによって安定されるというふうに考えております。ただ、スフはそういうようなわけに参りません。従って、これはもう極端な実は操短というようなことをやっておるのでおります。遺徳ながら、十分な効果が上っておりません。生糸なんかでありますと、これは急に減産するとかあるいは増産するというわけには参りませんが、これは何としても資金で買い込みなんかの方法をやらなければなりません。それ以外の糸につきましては、一応そういうもとの量の調整をやり、そうしてなおかつそういう場合には、実はいろいろ金融の血も考えておるのであります。今後糸価の安定しますような方向においていろいろ努力をしたい、かように考えております。
  46. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今までも、品がだぶつけばすぐ政府が買い上げてくれる、そういう安心感もあって、販売努力の面が相当欠けておったのではないかと、そういうふうに考えられるわけですが、そういう意味で、今後販売面の努力が相当必要であると思うわけですが、その点はいかがお考えですか。
  47. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 実を申しますと、輸出は昨年の下半期からずっと横ばいでありしまして、減っておりません。ただ人絹だけは、イシドネシアの関係がありますので、減っておるのでありますが、従って、まあ生産が正常でありましたら、そんなに不況になるわけではなかったと思うのでありますが、どうもやっぱりほんとうは生産調整を業者の方もしいられるものですから、多少漏れているというようなことで、勧奨をしっかりやっていかなければならぬと思っております。  いずれにしましても、しかし、業者の方もこのごろは真剣になっておられます。また、輸出の振興ということを、われわれがまず第一に努力をしなければなりません。海外宣伝の経費も実は来年度はふやし、また生糸の宣伝費もふやしておる。極力まあ海外に輸出するということで、今後のはけ場所を広げていく。またよく言われております。たとえば正常貿易を害さない程度におきましては賠償にも向けるというふうに考えておるのでありまして、極力積極的に販売、売りさばくということもあわせて努力をしていきたい、かように考えております。
  48. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 大臣、御予定があるようですから、いま一点だけお伺いして、きょうは終りたいと思いますが、現状を見ますと、流行の変遷とか、あるいは風俗、習慣、嗜好、こういう点の調査が十分行っていないので、いわゆるめくら貿易というようなきらいが相当あると思いますが、この点については早急に手を打つ必要があろう、そういうように考えておりますが、大臣、どのようにお考えでありますか。
  49. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 御承知のように、今度は従来のジェトロの改組をやりまして、ジェトロがどうも自然発生的に府県の寄付金などから出てきますと、どうも優秀な人が得られないことと、どうも規模が小さくなりますのと、また府県の人の小さい規模の考え方によって、見本市なんかにしましても、あるいは市場の調査にしましても、小さ過ぎる。もっと大がかりな、また機動的な行き方でいってもらいたいというふうに考えました。  で、御承知のように二十億の出資金を出しまして、特別法人とする。そして極力自主性を持たして、もりと機動的に動くようにする。今まではどうも、補助金を出します関係で、政府が監督をいたしておりますと、どうもこまかいところまで監督し過ぎる。機動的な自主性がない。今度は、特殊法人にして十分安心のできるというものなら、もっとまかして、いろいろな、ただいまお話しのような変遷の移り変りというようなものについても、どんどん頭に入れながら調査していく、こういうようにしていかなければならない、かように考えまして、特殊法人にいたしたわけであります。お示しのように、確かにそういう点が欠点でありまして、今後は十分そういう面におきましても力を入れ、ほんとうの実効の上る調査をして、中小企業方々の生産に対する道を、方向を誤まらないようにというふうに考えております。
  50. 藤田進

    委員長藤田進君) この際、私から一点お伺いをいたしますが、前尾通産大臣は、就任されてかなりもう日もたっているのであります。以前、水田通産大臣からの引き継ぎその他相当仕事が板についたところだろうと思いますが、ここに提案されておりますように、政府の能率化あるいは貿易の振興ということに役立つために、諸般の法律の改正をするとか、こういったことも必要でしょうが、私は、通産大臣が取り行われる所管の業務について、必ずしも満足ではないように思われる点があるのであります。たとえば、今問題になっているし、つとに一年前予算委員会では、当院で私も総理大臣以下通産、企画、運輸三大臣の出席を願って、国鉄の新設路線と電源開発の競合について指摘をし、総理も、また所管大臣も、それぞれ約束をしているにかかわらず、とにかく今日まで一年になるのに、いまだその結着がついていない。最近ようやく政務次官クラスの会合を持ったりされているが、中国にある三江線と江川の開発との関係であります。  これは、年間、昨年度はたしか三億三千万円であった。昨年度の三億三千万円という国鉄の工事をやっていけば、電源開発をする見地から見れば、これは全部水没になるわけです。本年もまた続いてこの仕事をさせれば、さらに六億なり八億の、水の中に金を投げるような国政が行われている。昨年度から、水没するからすみやかにその調整をはかって、所管大臣はどちちらにするのか、一体両立していくのか、国鉄だけこの際工事をして、電源はこれを放棄するのかというようなことについては、両立論で来られ、最近の事務当局の計算等を見ても、火力なりあるいは原子力なりを考えたときに、この江川の開発の必要があるという結論が出されておるにかかわらず、いまだにどっちつかずで、国鉄だけは水没するにかかわらず工事が進んでいる。こういうことについては、所管大臣として重大な関心を持ってやっていかなければ、国民の税をむだに使うと言われても仕方がないと思う。これはいずれ総理の所見を伺わなければならぬところですが、しかし、所管大臣とされて、こういう問題がいまだに放棄されていて、今ここで申し上げたような、相当火急に解決されなければならぬ事態になって、本年度もまた国鉄には新しい予算ついているということについて、今後の小策なり、見通しなり、所信をお伺いしておきたい。
  51. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 江川の問題につきましては、まあわれわれとしましては電源開発に使いたいと要望していることは、これは当然であります。御承知のように、これは地元の問題としまして非常にむずかしい関係にあるわけです。ことに、鳥取、島根、広島、各県知事も、むしろ鉄道の方に賛成しておるというような関係がありまして、なかなか簡単に片づきません。通産省と運輸省との間の関係につきましては、経済企画庁でこれを調整するということになっております。われわれとしましても、経済企画庁にいろいろ要望いたしておるのであります。遺憾ながら、まだその結論に到達をいたしておりません。今後も極力早くわれわれの希望しておるような方向に解決していきたい、かように考えているのであります。  なかなか、地元の方の関係がうまく、われわれの考えているような方向に向って参りません。いろいろな、これは時期の問題もおると思います。また、地元の調整につきましても、むしろ逆手といいますか、逆に鉄道がまあ昨年度多少進んだということで、逆に今度電源開発をやるべきだという地元の声も強くなってきておる面もあります。今後それらを考えて、極力結論的には国家的な目的に合致したような方向に解決したい、かように考えておるわけであります。
  52. 藤田進

    委員長藤田進君) 大臣もご承知のように、昨年度予算をつけて、水没になるということがわかり切っているのに、工事をして、あるいは今年も来年もやっておいて、また引っくり返して国鉄を水面の上に上げていく。これは小さい国費なら、そういうむだもまた調整の期間中あり得るかもしれませんが、そういう膨大な国の予算が水没するという——あなたの所信に従えば、やはり電源開発をやり、かつ国鉄も水面の湖水の上にレベル・アップをしてつけるべきだというふうに思われるのですか。そうだとすれば、一刻も早く、岸内閣とされても、所管大臣とされても、調整をしなければならぬじゃありませんか。どうも企画庁にまかしたという形にあなた言われるのですが、もうやらないならやらない、国鉄オンリーで、河床に沿って国鉄にもうやってもらうのだ。いやそうではない、通産大臣としては電源開発もやるんだということであれば、国鉄との調整が——地元というよりも、運輸省との間がまだ残っているように思うのですが、運輸省との話し合い、つまり運輸大臣との関係においてはもう解決したんですか。地元だけが問題になっているのですか。どっちなんですか。
  53. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) これも率直に言いますと、運輸省も必ずしもあれを貫徹しなければならぬというふうには考えておらぬ。まあ問題の根本は、やはり地元にあると思うのであります。また、ただいまの所が水没してしまうという、まあ今までの建設しておりますところでは、水没するというわけではありません。何らか、運輸省とももちろんいろいろ話し合っておりますが、むしろ問題は地元の問題にあるというふうに考えておるのであります。この点は、われわれとしましても……。  ただ、一面におきましてわれわれの非常に困ります点は、補償費が相当な額を地元の方々も希望しておられるようであります。この補償費の問題につきまして、今のような地元の要求ということになりますと、これはちょっとまた電源開発も不可能になるというように、いろいろな問題がからまっておるので、なかなか進行しなかったのであります。今後極力この問題の解決につきましては、最善の努力を尽したい。かように考えております。
  54. 藤田進

    委員長藤田進君) 相当実情に詳しいと思ったのですが、そうではなさそうで、本年度まで、三十二年度までの工事は、国鉄について、水没しないとあなた言われるが、その事実に間違いはないかどうか、十分一つ検討されたいと思います。もうすでに三キロばかりは水没するということになる、予定通りのあなたが今言われる電源開発をしますと。  それから、地元の問題だと言われるが、これまた卒業認識が若干違うと思う。われわれのところに相当な開発陳情が来ておりますが、これは国会議関係の地元の人にも皆さん来ておると思うが、合併した新しい大和村、これが水没するわけです。大半、ほとんど九割九分。ここはむしろ電源開発賛成の方が多いと言われております。署名捺印して、議会にも出されて、請願が来ておるのです。十分一つ検討されて、そうして所管大臣としての職務を全からしめてもらいたい。どちらにしても、早く結着をつけないと、地元が非常に迷惑するでしょうし、それから国費が、第一、膨大な国費がむだになるわけです。一つすみやかに決着をつけるように要望しておきます。
  55. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 大臣に簡単に三点ばかりお伺いしておきます。  第一点は、輸出振興の問題なんですが、先般もちょっとお伺いいたしましたのですが、不急不要の物資を西ヨーロッパ方面から買いつけると、それに数倍する輸出が可能になるというので、外務省で輸出促進物資の輸入外貨割当を四千万ドルぐらい認めてもらいたいというふうなお考えがある、通産省で目下御検討中である、こういうふうに承わったのでありますが、これについて大臣はどういうふうにお考えでありましようか。
  56. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 外務省からもいつも言われますことは、要するに、外務省が機動的に外資を使っていこうと、こういうような要望でないかと思いますが、私は現在のところそういうふうに考えておりません。外務省の要望される点につきまして、ただいまお話しのような効率の十分上るものでありましたら、十分通産省も聞き入れていくべきであるのでありまして、具体的の話は、すべて外務省の申し出について十分傾け、それについてそういう処置をいたしたいと思っております。また、おそらくまあ雑輸入というようなワクの中で、十分処理のできる問題だと思っておりますので、その点は、詳細は私承知いたしませんが、もちろん効果が上ることでありましたら、これは十分取り入れて外貨予算を組むということにいたしたいと思います。
  57. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 次に、アルコール専売のことをお伺いいたしたいと思いますが、アルコール専売事業の方に従事しておる従業員の数や工場の規模等も、だんだん減ってきているように伺ったのでありますが、そこで、問題の根本にさかのぼりまして、アルコール専売は、現在の段階においてはどういう目的でやるか、もしくは逆に申しますと、ぜひ専売でなきやならぬか、専売制を、どうしても維持していかなきゃならぬその主たる理由はどこにあるかという点を伺いたいと思います。
  58. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 御承知のように、アルコールにつきましては、一面におきまして清酒——酒との関係というものが非常に深いのであります。従って、いろいろ変性をして、工業用にというような面があると思います。それからもう一面は、何と申しましても、工業原料としましては安くて良質のものをしなければならぬ、こういう二つの面があると思うのであります。ただ、アルコールは必ずしも、今の製造方法というような従来の行き方ではなしに、新しい行き力の製造方法がだんだんできて参ります。従来の工場というものが時代に適しなくなってきておるという面はあると思います。現出の工場は次第に、あるいは整理されるというようなことにはなると思います。しかし、アルコールそのものとしましては、ただいま申し上げましたように、極力良質の、しかも安いアルコールを、工業原料として売り渡さなければなりませんし、また酒との関係につきましても、管理をしていきませんと、いろいろな問題が起ると、こういうふうに考えておるのであります。
  59. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 戦争中はなるほど、液体燃料の確保という問題が非常にまあ国家的要請であったと思うのであります。現在なれば、酒はむろん大蔵省が非常に監督されておりますけれども、民間でもまあ作っておる。アルコール等も、私は、専売でやっていかなければならないという積極的の理由があまりないように考えるのですが、その点はまあそのくらいにいたしておきまして、今価格のことを大臣お触れになりましたが、国際価格と日本のアルコールの価格と比較して、日本のアルコールは非常に高いと思うのですが、その点いかがですか。
  60. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) お話の通りに、確かに国際価格よりは高いと思います。これはイモを原料にいたしておりますために、こういうことになります。従って、これは新しい製造方法によって将来はもちろん獲得していかなければならないと思います。ただ、これも漸進的に整備すると申しますか、そういう方向でありませんと、今度はイモの生産の問題もからんで参りますので、極力今後は新しい方法に切りかえて、安いものを使っていくというふうにしていきたいと思いますが、直ちにこれを切りかえるというわけに参らぬ事情を御了察願いたいと思います。
  61. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 時間を非常にお急ぎのようですから、簡単に伺いますが、民営工場より官営工場の方がコストが高いように存じますが、その点いかがですか。
  62. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) ただいまのところでは、操業度とかいろいろの問題があることはあると思いますが、むしろ官営の方が実はコストは安くなっておると思います。民営の方が多少高くなっておる。これは、原料の関係とかいろいろのことがあると思います。昨年あたりは、御承知のように、イモが割合高かったというような関係もあるかもしれません。ただいまのところは、そういう関係になっております。
  63. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 大臣は一時ごろから本会議においでになると思いますので、こまかい点は政府委員の方にあとで伺うことにいたしまして、アルコールについてもう一点だけ伺いますが、集中生産を行なったら非常に能率が上るのではないか。現在、官営工場はわずか五割くらいしか稼動率がない。もし、これを集中すれば、現在キロリットルあたり三万一千円くらいの工費が、約八千七百円くらい安くなるのじゃないかという、こういうような資料をいただいておりますが、集中生産を積極的にやるのにどんなところに隘路があるか、大臣にお伺いしたいと思います。
  64. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 御承知のように、なまイモを使います関係で、集中生産ということが困難なようであります。その点につきましては、今後極力値段を下げるという意味におきましては、そういう方策も考えていきたいと思っております。
  65. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 アルコールの問題はあとで政府委員の方に伺うとして、ほかの点、もう一点だけ大臣にお尋ねしたいと思いますが、それは、二十六国会で手形に対する印紙税の改正が行われまして、従来、金額のいかんにかかわらず一通十円の印紙税が、階級別の定額制になりまして、従来約七億三千万円くらいの印紙税収入が二十四億ぐらいになるという大蔵省のお見込みでありました。私が実際を調べてみますと、約六十億円ぐらいの収入になるだろう、こういうことを申し上げて、二十六国会を終ったのでありますが、昨年の四月から九月までの九百数十社の調査をいたしてみますと、やはり実績が九倍二分ぐらいになっております。でありますから、ちょうど私が申し上げた実績で一カ年を通ずると、六十億円ぐらいの印紙税の増徴になって、大蔵省の予算から見れば三倍ぐらいの増徴になるわけであります。ところが、印紙税というのは、御承知通り、取引の流通段階における税金で、いわゆる商社その他のコストになるわけでありまして、これは中小企業対策としては相当大きな問題であります。大蔵省では、よけいとり過ぎれば減らしたらいいじゃないかということを申し上げたのですが、よけいとり過ぎたかどうか調査が困難だというので、ぼやかされたのですが、私が調べたところでは、上半期で九倍二分ぐらいになっております。  そこで、通産当局としては、中小企業対策の一環として、法外の増徴になれば、これを下げるという点に一つお調べを願いたいと思う。また、大蔵省に対して、最初予定していたよりも非常に増徴になれば下げるという御交渉を願いたい。これに対する大臣のお考えをお聞きしたいと思いますが、いかがでしょう。
  66. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 私もあのときにはいろいろ話を聞いたのですが、その後の状況につきまして実は承知いたしておりませんけれども、そんなに増収になっております反面には、やっぱり迷惑をこうむっておる人が多いわけであります。その点は十分調査いたしたいと思います。
  67. 藤田進

    委員長藤田進君) 他に御発言もなければ、本案につきましては本日はこの程度にとどめまして、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十七分散会      —————・—————