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政府委員(
松本瀧藏君)
日本はもちろん、財政的にも経済的にも、豊かな国であるとは申されないのであります。復興途上におきまして国内的にもやはり
資金が足りないという面もございますので、わざわざ外国の
援助までする必要はないではないかというような議論も一応ございまするが、これは全般のやはり国際間の諸般の情勢等あたりありまして、
経済外交推進の上の観点から考えましても、やっぱりこれをむげに断わるわけにはいかぬような面もございます。
インドの場合は、御
承知のごとく、五千万
ドル。これはまあ
アメリカに参りまして交渉いたしまして、成立したということを最近聞きましたが、二億五千万
ドルに比較いたしますと、まあ貧者の一灯だと、こう言われておりまするが、しかし、
インドにとりましては、
アメリカから借りた一億五千万
ドルよりも、貧乏である
日本から五千万
ドル借りた方が、よほどありがたい。精神的には非常に彼らにとっては一種の、何と申しましょうか、喜びを与えていることは事実であります。これは、はっきり
日本代表者が特に言っていることなんであります。
そこで、際限なくこういったことができるかと申しますと、それは困難だと思います。そこで、アスワン・ダムの
計画が
日本に提示されまして、借款の
申し入れがありましたときには、一応これの条件等あたりを十分参酌いたしませんと、そくざにイエス、ノーということは、これは申されぬと思うのであります。また、他の国からずいぶん、われわれが支え切れないほどのいろいろな借款の
申し入れもあるでございましょうが、額や諸般の客観情勢等あたりをにらみ合せまして、
ケース・
バイ・
ケースでこれを決定する以外にない。これが
外務省の
方針であります。