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1958-03-18 第28回国会 参議院 内閣委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月十八日(火曜日)    午前十一時五分開会     —————————————   委員異動 三月十七日委員森中守義君辞任につ き、その補欠として松本治一郎君を議 長において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     藤田  進君    理事            上原 正吉君            大谷藤之助君            永岡 光治君    委員            木村篤太郎君            近藤 鶴代君            苫米地義三君            増原 恵吉君            伊藤 顕道君            田畑 金光君            千葉  信君            矢嶋 三義君            島村 軍次君            八木 幸吉君   政府委員    外務政務次官  松本 瀧藏君    通商産業政務次    官       小笠 公韶君    通商産業大臣官    房長      齋藤 正年君   事務局側    参     事    (委員部第二課    勤務)     川上 路夫君    常務委員会専門    員説明員    杉田正三郎君    外務参事官   白幡 友敬君    外務参事官   市橋 和雄君    通商産業省通商    局次長     伊藤 繁樹君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○通商産業省設置法の一部を改正する  法律案内閣提出)     —————————————
  2. 藤田進

    委員長藤田進君) これより内閣委員会を開会いたします。  委員異動がございましたので、事務局から報告させます。
  3. 川上路夫

    ○参事(川上路夫君) 御報告いたします。  昨十七日付をもちまして、森中守義君が辞任され、その後任として松本治一郎君が委員に選任されました。  以上でございます。     —————————————
  4. 藤田進

    委員長藤田進君) それでは、これより議事に入ります。  通商産業省設置法の一部を改正する法律案を議題として、前回に引き続き、質疑を行います。御質疑のおありの方は、順次、御発言を願います。
  5. 田畑金光

    田畑金光君 通産省設置法の一部を改正する法律案に関連して、この間通産政務次官質問いたしましたが、その中でコロンボプランの問題に関し、外務省質問した方が適当であろうとして、答弁の留保になっておる事項について、外務政務次官にお尋ねしたいと思います。  それは、東南アジア諸国との親善関係の増進、特にこれら諸国との経済外交を進めるということは、現内閣外交方針の二本の柱の一つになっておるわけであります。特に、昨年の夏岸総理東南アジア地域を訪問された際に、いわゆる東南アジア経済開発基金構想を発表されて、これがいろいろな反響を巻き起したわけでありますが、ついこの商もアジア太平洋地域公館長会議が開かれて、三日間の会議の経過を振り返ってみましても、これらの現地の公館長の声というものは、単なるかけ声だけではなくして、やはり実のある本格的な経済外交を進めるということならば、それと具体的な内容を引っ下げて取り組まなければならない、こういうふうなことが強く要望されているわけです。今回のこの予算案を見ますと、経済協力の中に、輸出入銀行束帯アジア開発協力基金として五十億の出資が出ているわけです。この五十億の基金性格ですね、どういうものであるのか、これはどういう構想もと政府としては今後運用せんとする御方針であるのか、それを承わりたいと思います。
  6. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) ただいま御質問のございました東南アジア経済協力基金の問題でございまするが、これは先ほど御質問の中にもございましたごとく、最初の第一回の東南アジア旅行のときに、岸構想として総理が持って回られたものであります。その後アメリカに参りましてこの問題をワシントンで討議いたしました。従来のものの考え方は、アメリカその他の国と資金をプールいたしましてそうして未開発東南アジア諸国開発基金一つこれをあてがいたいということであったのであります。ところがてんまつは多分新聞等を通じて御承知であろうと思いまするが、ワシントンにおきまして必ずしも右から左にこれを出すというような空気ではなかったのであります。強く総理ワシントン当局者に訴えました結果、まだ国会審議中であるからはっきりとここで申し上げることはできないが、大統領基金の一部分とさらに対外援助基金の中から若干これをあてがって、場合によったらできるかもしれない。ただし、国会で今審議中であるから、このことはもちろん行政府としては約束することはできないが、その含みで一つ努力しようというのであったのであります。ところが、対外援助基金というものが大幅に削減されたことは御承知通りであります。  そこで、一応暗礁に乗り上げましたこの基金構想、これをひっさげまして、さらに第三回の東南アジア諸国を歴訪いたしましたときに、各国首脳部といろいろと要談をいたしました。そうしているうちに、御承知のごとく、アメリカとして出ししぶりました一つ理由は、インドを初め東南アジア諸国でまだこれに対する関心が薄いではないかということであったのであります。ネール首相日本に見えましたときに、最後の会談でこの問題が強く討議されまして、ネール首相はその真意を理解いたしまして、最後に、そのときに使いました文句はベイシック・コンセプト、すなわち基本観念に対しては賛成である。しかし、一夜にしてできるものではないから、一つお互いに力をそろえて、何とかして一つ具体化しようじゃないかということで別れた。これをきっかけにいたしまして、第二回の東南アジア旅行のときには、各国ともこのアイデアに対して、観念に対して賛成いたしました。  そこで、今回の予算の編成に当りまして、何とかして、ただ他力本願ではいかぬ、日本一つこれに基金を出すべきではないか。とりあえず一つ日本で五十億の基金を別に作り上げておいて、そうして将来国際機構の中にこれを繰り入れることのできるような構想で進もうじゃないかということからいたしまして、経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律案、これを今上程せられておりまするが、その中に繰り入れて五十億というものをイヤマークした次第でございます。  さらに、この運営につきましては、内閣におきまして臨時の審議会を作りまして、この審議会でその具体的な方策というものを決定するという構想になっております。
  7. 田畑金光

    田畑金光君 まあ審議会を作ってこの基金運用に関する具体的な方針を検討する、こういうわけでありますが、予算の中には現に、日本輸出入銀行に別勘定として五十億が設けられ、これの運用は、東南アジア開発協力のための国際的な機構ができる場合にその機構に対する出資として留保しておく、こういうことになっておるわけですが、そういたしますと、そのような新しい国際的な協力機構ができない限りにおいては、この基金というものはそのまま寝かしておくのか、あるいはその間何らかの協力のために運用の道が講ぜられるのか、その点を一つ明確にしていただきたいと思います。
  8. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 運用ということは、もちろんこれはもう少し注釈を加えないといけないのでありますが、いかなるプロジェクトに対して、計画に対してこれを投資すべきであるか、もちろんこの融資の場合でしたならば、世銀一般借り入れでこれができますので、大体五十億というものは投資性格を持つべきものだと、こう考えるのでありますが、しかし、ケースバイケースにこれを取り上げまして審議会でこれを検討する、この意味における運営でございます。従いまして国際機構ができます間、五十億をそのまま寝かしておくのかと申しますと、そうではございませんで、限られた資金ではございますが、適当な計画がございましたならば、もちろん審議会においてこれを流用するという建前になっております。
  9. 田畑金光

    田畑金光君 その適当な百的に運用するという内容でありますが、私のお尋ねするのはその点でありまして、審議会ができて初めて内容が検討され、運用が実施に移されるのか、あるいは、すでに政府構想の中には、国際的な協力機構が発足する以前に、せっかく別勘定で設けたこの五十億の基金でありますから、具体的に運用するという方針をお持ち合せであるのかどうか、それを承わりたいと思います。
  10. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 今のところでは、直ちに投資できるような計画というものは具体的には提示されておりません。ただし、いろいろな国からいろいろな計画が提示されていることはまあ事実でございますが、これが果してこの基金を流用するに値するかどうかというような問題に関しましては、今度予算が通過いたしましたならば、外務省におきましても、通産省におきましても、調査費というものがございます。従って、この調査費もとにいたしましていろいろ調査も進められるわけでございます。そのほかに、この五十億の利子を調査費の方に回すとかいろいろな計画がございますが、もとはやはりこの調査でございますので、その結果これなら適当であるという見通しがつきましたならば、それを流用するというような順序になっております。
  11. 田畑金光

    田畑金光君 先ほどの御説明の中にもありましたが、要するに岸構想というものが、アメリカの方からもドル資金を出してもらって、日本も能力に応じて出資をして、まあそれをプールして運用しようというのが、当初の構想であったわけですけれども、アメリカ側としてもいろいろな、対外援助資金が議会で削られたとか、こういうような事情もあったようですが、しかし、やはり根本的な理由というものは、いわゆる受益国東南アジア諸国の中で、これを受け入れ受け入れ態勢というものができ上っていなかった。すなわち、この岸構想に対する、これの東南アジア諸国において正しいその理解と申しますか、関心が示されていなかった。あるいは、岸構想の中にアメリカドル日本が仲介して、いわゆるひもつき援助——政治的なひもつき援助、こういう不安もあって、この計画というものがスムーズに進行しなかったというような事情ではなかろうかと考えておりますが、東南アジア諸国について、先ほどネール首相岸総理との話し合いで、基本的な理念についてはわかるが、時間をかけてさらに検討しようというような、こういうようなこと等は、これらの諸国受け入れ態勢というものが、特に日本の政治的な意図等に関連して、不安を持っているというような事情等にあるのではなかろうかと、こう考えますが、この点はどうでしょうか。
  12. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) もちろん、最初はこの構想内容というものは十分徹底していなかったこともございましょう。認識が足りなかったということ、誤解等あたりから、そういう一応半信半疑のこのものの考え方もございましたが、そのうちでもって最も顕著だと考えられましたが、インドであったと私ども承わっております。しかるに、このインドも、先ほど申しましたごとく、ネール首相の訪日の結果、いろいろ要談いたしました関係で、基本観念に対してはわかったということのみならず、ネール首相日本に参りまする前年度ならばとうてい考えられなかったような、日印通商協定であるとか、あるいは円借款というふうなものが成立いたしました。これなんかは、とりもなおさず、だんだんと基金意図というものがわかり、日本経済外交意図というものがよくわかってきた結果だと思うのであります。従って、第一回の東南アジア旅行よりも、第二回の東南アジア旅行のときの方が、より一そうこの問題に関しまして諸国関心を持ち、また理解を持っておったという事案に照らしましても、この受け入れ気持というものは、最近では非常に変ってきておるという工合にわれわれ考えております。
  13. 田畑金光

    田畑金光君 先ほどの答弁によりますと、五十億の基金については、今のところ、これこれに運用しようという具体的な方針を持ち合せていないけれども、まあ東南アジア諸国からもそれぞれ申し入れがあって、それらの申し入れ等調査もしなければならぬ、国会終了後に通産省外務省の方でさらに調査を進めるが、基金利息等はその調査費用の一部に充てたい、こういうふうなことでありますけれども、この予算書によりますと、貿易振興より経済協力費という目的のために、通産省においても、あるいは外務省においても、特に通産省等においては今審議されておる法案と関係いたしますが、この日本貿易振興会等を改組強化して、政府はこれに対して相当額補助金等も出して、海外市場調査貿易あっせん等を積極的に進めて、あるいは進めようとしているわけです。予算内容がそれに十分マッチするかどうかは別にいたしまして外務省の中でも内外の経済調査費として、四千七百万以上の金を計上しておるし、あるいはその他にもこれに類するような予算計上がなされているわけですが、従って、先ほどの次官の答弁で、この基金利息調査費等運用するというようなことは、既定予算計上額によって大体まかなわれるんじゃないかと、こう思うわけで、そういう点から見ますと、この基金五十億というものは、実際は将来の、できるかどうか知らぬが、不確定な事態に対処して、ただ岸総理がこういう方針を、国内的にも対外的にも唱えて歩き回ったから、その面子からいっても、政治的な責任からいっても、まずまずこれを掲げておくことが必要だ、こういうふうな程度のこれは施策になっておると、結局思わざるを得ない、こう判断いたしますが、この点はどうですか。
  14. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 調査費の問題に関しましては、もちろん、いろいろと輸出振興のための市場調査等あたり経費もかなり計上してありまするが、その計上されている経費でも、決して私は十分だとは思わないのであります。ことに、日本貿易市場調査の欠如していることは、これは定評があるほどでありまするが、さらに未開発の国の調査ということになりますると、市場調査以上にいろいろ手数もかかりますし、また経費もかかると思うのであります。その意味におきまして、足りないところは一応この利息からでも流用ができるような方向に持っていこう。少くとも大蔵省との話し合いでは、利息程度なら一つ調査費にその中から回してもいいであろうという了解は求めております。  そこで、調査費の問題はなお、支障がございましたならば、こまかいことにつきましては政府委員から答弁させますが、一応東南アジア開発の旗を岸総理が掲げたから、引っ込みがつかないからこれを計上したのではないかという御質問でございましたが、これは、ただ単に東南アジアばかりでなく、中近東におきましても、この東南アジア岸構想をまねまして、イタリア等が提唱して、内容がそっくりだということを聞いておりますが、非常に反響をもたらしているのであります。  私も、第二回の東南アジア旅行には岸総理に同行いたしまして、その実感というものもまだ新たでございますが、各国ともこの問題に関しましては非常な熱意を示しておりまして、たとえば、中には漁港の開発一つ基金を回してくれないかというような何もありましたが、しかし、先ほど申しましたごとく融資の形ではちょっとこれはまずいので、何か投資に該当するようなものでなくちゃいかぬというような考え方もしております。また中には、モデル・プラントを作りたいから、これに基金一つ流用してくれないかというような申し入れもあったのでありますが、これらの個々の問題に関しましては、先ほど申しましたごとく、ケースバイケースに一応審議会で検討いたしまして、もちろんこの審議会で検討いたしますにつきましても、十分なるところの資料にのっとってやらなければなりませんので、十分な調査を基準にして一つこれをやりたい、こういう工合に考えております。決して押しつけがましいものではなくして、各国におきまして、十分なる資金もございませんし、調査も行き届いておりませんので、この構想に対しては非常な期待を持っておる、こう考えております。
  15. 田畑金光

    田畑金光君 日本は、言うまでもなく、コロンボ・フランに参加しておるわけであります。一九五〇年七月にコロンボプラン計画が発足してから、  一九五一年米国、一九五四年日本が、援助国の立場でこれに参加しておるわけです。東南アジア地域、特に低開発地域計画日本も乗り出したわけで、この計画参加によって、これらのおくれた地域の生産の増強とか、あるいは食糧の増産とか、民生安定、生活水準の向上、こういうことに日本協力して参ってきておるわけです。今日のこの岸構想というものが、この日本参加しておる、今日協力して参りましたコロンボプラン計画自体と、この岸構想というものとは、どういう関係に立つのか、それを一つ明確に、差異と申しますか、この目的の違いというものがどこにあるのか、これを一つ説明願いたいと思います。
  16. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) コロンボプラン岸構想というものは、これは全く別個のものでございまして、コロンボプランでは日本側がいろいろと助ける側に立っておりますが、主として技術センターみたいなものを設けまして、技術者養成等あたりに今、力を注いでおります。この予算は今年は少しふえましたが、しかしわずか一億六千五百万円でございます。  そこで、この岸構想のいわゆる東南アジア開発協力基金というものは、アジアにおけるところの世界銀行みたいな構想なんであります。世界銀行は、御承知のように、世界一般対象としておりますので、アジア地区だけに物事を考えるというようなことをしておりませんので、われわれといたしましては、一つこのアジア地区のまあ世界銀行みたいなものを将来作りたいという気持から、こういう岸構想に力を入れておるわけでございます。
  17. 田畑金光

    田畑金光君 コロンボプラン自体アジア地域対象とした計画であって、主としてやはり英連邦諸国地域を包含しておるわけですが、それを中心として、さらにその後援助国も被援助国も増大してきておるわけで、世界を相手にしたものではなく、東南アジア諸国対象にしておることは明確な事実であるわけです。今お話にもありましたが、これは世界対象としたとなりますと、これはアメリカのいわゆるポイント・フォア計画だと思いますが、そうじゃなくて、コロンボプランはあくまで東南アジアのおくれた諸地域開発援助計画であって、日本もこれに援助国として参加をしておる。で、まあ日本の今までの参加あり方は、お話のように、資本援助ではなくして、技術援助の形で参加してきておるわけです。今回の岸構想というものは、東南アジア地域の低開発地域対象とした、この点においては、全くコロンボプランと同様だと思うのです。これに関する限り。われわれといたしましては、むしろコロンボプラン技術援助国として参加している日本の具体的な援助あり方、手の差し伸べ方というのは、この間の公館長会議にも、それぞれの公館長から強く意見として出ておるように、名目的であった。実際的な具体的な内容は伴っていなかった。これは、東南アジア諸国を歩いてみると、われわれも痛感して帰ってきたわけですが、むしろ岸構想などという、政治的にいろいろ不安な、また現実に具体的な構想にも発展しそうでない、こういうような計画政府は立つよりも、まず前に、コロンボプラン参加した日本援助内容、形式それ自体強化することがむしろ歓迎さるべき事項だと、こう考えるわけです。  そういう点において、一体なぜ政府は——たとえばニュージーランド豪州コロンボプランに対する援助の額とか、日本の今までの差し伸べてきた援助の額を比較すると、雲泥の差があるわけです。アジア工業国の第一人者をもって自任する日本が、この程度援助しかできない。ところが、アメリカはもちろんでありまするが、カナダや豪州ニュージーランドコロンボプランに対する援助内容を見ますと、雲泥の差がある。こういうようなことを見たときに、むしろ、日本外交のやるべき道は、思いつきみたような岸構想にどう始末をつけるかということで、政府が混乱し不手ぎわを示す前に、でき上っておるこのコロンボプラン強化日本が力をかすことが、東南アジア諸国のより歓迎する方向ではないかと、こう考えているわけで、そのコロンボプラン一体岸構想とは、どんな関係にあるのか、これを私はお尋ねしているわけです。
  18. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 私の説明が不十分で、表現がまずかったかもしれませんが、私は、世界対象という言葉を使いましたのは、世銀のことを申し上げましたので、決してコロンボプラン世界対象としているということを申し上げたのではないのであります。もちろん、このコロンボプランに対しましても、相当いろんな期待をかけておりまするが、各国を回りましたときに、岸構想よりももっとコロンボプラン強化してくれという発言は、一カ所もなかったのでございます。さらに、このコロンボプラン性格等あたりに関しましてもう少し説明をした方がよくわかるのではないかと思いまするので、政府委員をして一応補足さしていただきたいと思います。
  19. 白幡友敬

    説明員白幡友敬君) 御説明を申し上げます。このいわゆる岸構想というものが出ました発端は、御承知のように、アジア地域に対しましてはいろいろな援助機構がございます。ところが、ただいまのところ大体、たとえばコロンボプランのごときものは、いわゆる双務方式でございます。つまり、援助国受益国との間の話し合いとその間の交渉によって、その間だけの問題でございます。ところが、かような方式だけでは、今後のアジア経済開発をするについては不満足であるという意見が、絶えず前から出ておりました。つまり、これを改めまして、多角的な方式、マルチラテラルな方式経済援助を考えるべきではないか。具体的には、こういうものに対する要求がすでに起きております。非常に計画は大きいのでございますけれども、たとえば、現にメコン川の総合開発計画というものが、四カ国にまたがる計画でございますが、かようなものがだんだん出てくる傾向にございますので、岸構想というものの一番基本的な考え方は、こういう多角的な援助方式を考えている点に特徴があるのでございます。  もちろん、内容といたしましては、あるいはコロンボプランの場合も、日本といたしましても、単に技術協力のみにとどまらず、さらにそれ以上の援助に進むべきではないかと思います。また、岸構想の中におきましても、一面、技術的な方面の援助方式をとられることもあるかとも思われますが、そういう意味では似たような形でございますが、根本的には、先ほど申し上げましたように、双務的と多角的の相違でございます。この点は、昨年の秋にサイゴンで行われましたコロンボ会議におきまして、各関係国から日本側に対する質問もございました。これに対しまして、こういう国々と話し合いましたときにも、コロンボプランというものと岸構想のいわゆる開発資金構想というものは、これは別の問題であるが、しかし相互に補完関係に立つものであるということは、お互いに了解したわけでございます。
  20. 田畑金光

    田畑金光君 コロンボプランに基く日本の今日までの技術援助内容と、その他の援助国の与えてきた技術援助資本援助内容、これについて、この三、三年来の動きというものを御説明願いたいと思います。
  21. 白幡友敬

    説明員白幡友敬君) 大体の輪郭だけを申し上げます。一九五〇年から五七年にわたります間に、コロンボプラン技術援助は、御承知通りに、二通りでございます。後進国からの研修生受け入れますものと、それから援助国から後進国技術専門家を派遣いたしまして技術指導をするものでございます。これは通常二つに分けてございますが、オーストラリアに例をとりますと、一九五〇年から五七年までに、専門家を二百三十八名送り出し、研修生二千六十三名を受けております。カナダは、専門家百三十三名送り出し、研修生を七百三十七名受けております。ニュージーランドは、七十五名の専門家を送り出し、四百六十八名の研修生を受けております。英国は、二百六十名の専門家を派遣し、千六百十四名の研修生を受けております。アメリカは、通称ICA主義と言われておりますが、千四百四十九名の専門家を送り、四千八百三十三名の研修生を受けております。これに対しまして日本は、もちろん出発がおくれたわけでございますが、六十五名の専門家を派遣いたしまして、六十四名の研修生を受けております。これは一九五七年の六月までの統計でございます。  それから、資本援助のこまかな具体的なことはよくわかりませんでございますけれども、一九五七年六月までに、コロンボ計画によって供与された外国援助の総額、技術援助資本援助含めまして三十五億ドルに上っておりますが、そのうち三十億ドルアメリカからでございまして、日本の出しました分は約五十万ドルということでございます。
  22. 田畑金光

    田畑金光君 まあ今の説明員説明でもわかる通り日本援助内容というものは、まことにこれは微々たるもので、先ほどもお話によりますと、コロンボプランは相互援助方式をとっておるが、これをさらに多角的な援取方式に発展させるというか、新しいそういう援助方式をとって東南アジア開発を進めていくんだ、こういうことのようでありますが、これは外務省アジア局が監修されておる時事通信社発行のアジア総覧というのがありますが、これによりますと、一九五五年の五月に、いわゆるインドのシムラ市で、アジアにおけるコロンボプラン加盟諸国十カ国の代表が集まって、シムラ会議というものを開いているわけです。この会議は、従来の国別援助とは別に、いわゆる相互援助方式とは別に、地域的な援助方式を、すなわち一つ援助で同時に数カ国が利益を受けるというような地域的な援助計画というものを目的として、会議の招集が行われたわけですが、このシムラ会議というものは成功しないで終っておるわけです。で、先ほど来の話を聞いておりますと、今申しましたシムラ会議のような構想日本岸構想というのはとっておるように見受けるわけで、もしそういうものをひっさげて東南アジア後進国開発に乗り出すとするならば、少くともやはり日本が音頭をとって、アジア地域の国際会議等が提唱されて開催されてしかるべきだと思うわけでありますけれども、まあ現実にすでに一九五五年の五月にこういう会議が持たれておる。しかし、この会議はうまくいかなかった。日本のようなアジアにおける地位にある国が、果して提唱して成功するものかどうか非常に疑わしいわけでありますが、これらについてどうお考えになっておるか。これは政務次官から一つお答え願いたいと旧ふう。
  23. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 一九五五年の当時におきまするところの日本の地位並びに東南アジア諸国日本に対するところの感情というのは、非常に変ってきておると思うのであります。私も実はいろいろと外国のものを読んだりしてきておりまするが、今回の旅行を通じまして実際に触れてみて、驚くほどとにかく日本に対してたよるというような気持が強くなっておるのであります。これは一つの大きな私は要素ではないかと思うのです。各国の大公使が本国にこういう問題を報告しておりまするその上端を、在京の大公使等あたりから聞きましても、驚くほどあの旅行は成功だったと、こういっておるのですが、その中で一番共通の点はサイコロジカル・バリアーという言葉を使っておりますが、これはインドネシアの連中が賠償のときもやはり使った言葉ですが、精神的の障壁と申しますか、心理的の障壁と申しましょうか、これをとにかく今回の旅行日本は打ち破ったのだ。従って、打ち破ったことによってほんとうに虚心たんかいになって、肚を割って話ができるような気持になったということを言っておるのであります。ことに、一番問題であったところの豪州においてすら、そういう気持になってきております。インドネシア、マラヤ、カンボジア、ラオス等あたりの国におきましても、私どもが想像する以上に、日本と提携していきたいという気持を持ってきておりますので、これは大きな一つの私は成功する要素ではないかと思うのであります。  なお、シムラ会談が失敗いたしましたいろいろな経緯等あたりにつきましては、こまかい技術的の問題等あたりもございましたでしょうから、必要がございましたならば、政府委員から答弁さしていただきたいと思います。
  24. 田畑金光

    田畑金光君 去年の旅行で、外務政務次官も現地の息吹きに接されて、大へん啓発を受けてこられたようでありますが、精神的な障壁、心理的な障壁の、壁が突き破られた、これから日本との関係は一そううまくいく方向にある。これはまことにめでたいことで、賠償問題等の解決もまた大いにあずかって力あったものと考えるわけですが、まあそういう日本を取り巻く情勢が好転したとするなら、また、これらの諸国日本の工業力や経済的な援助に大きな期待を寄せておる、これは事実だと思うし、全くその通りだと思うわけでありますが、そういう客観的な情勢ということを見たとき、しからば政府としては岸構想の具体化のために、将来においてこれらの地域に対する呼びかけというか、日本を中心としてやっていこうというのであるなら、果してその能力あるかどうかは別にしまして、コロンボプラン参加諸国等を糾合する国際会議等、いわばアジア版を提唱する用意があるのかどうか。そういうような具体的な面から具体化していかなければ、私は、先ほど申し上げたような岸構想のこの五十億の開発基金構想というものが、結局は、呼びかけたが収拾がつかなくなって、ただ単に国民をごまかし、あるいは東南アジアに対する、ゼスチュアに終ると思うのですが、政府としては何か具体的な方針を持っておるのかどうか、明らかにしていただきたいと思います。
  25. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 具体的に、いつ、どこで、いかなる国の代表を集めるというものはできておりませんけれども、私どもが参画いたしましたいろいろな会談におきましても、東南アジア地区の外相会議みたいなものも開く必要があるのではないかという意見が盛んに出たことは事実でございます。おそらく、こういったことを参酌いたしまして、外務大臣も何か考えておられるのではないかということを想像するにかたくないと思いますが、先ほど申しましたごとく、具体的にいつ、何日、どこそこを呼んで一つやろうというところまでは、まだ煮詰まっておりません。
  26. 田畑金光

    田畑金光君 今回のこの新しい津構想というものは、従来のコロンボプランの範疇における技術援助からさらに一歩前進して資本援助日本が踏み切った。日本は今度資本援助方向に前進した、こういうように見られるわけでありますが、そのように判断してよろしいのかどうか。
  27. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 建前といたしましては、ただいま御意見を述べられた通りでございます。
  28. 田畑金光

    田畑金光君 そういたしますと、資本援助日本は踏み切ったといたしますならば、現に計画が動いておるコロンボプランにいたしましても、技術援助の範囲にとどまるわけですが、一歩前進して資本援助に踏み切ったらどうか、そういうような御方針はあるのかどうか承わりたいと思います。
  29. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 徐々にそういう方向に進んでおりますので、具体的のいろいろな計画等につきましては、必要ございましたら、一つ政府委員から説明させます。
  30. 田畑金光

    田畑金光君 具体的にそれが進んでおるのならば……。
  31. 白幡友敬

    説明員白幡友敬君) お答えいたします。今年度におきましても、すでに技術援助——厳格な意味技術援助と私ども言っております技術援助と申しますかは、先ほど申しましたように、技術者を派遣する、あるいは研修生受け入れる大体人件費的なものでございます。これ以外、それだけでは十分でないというところから、技術者を派遣いたします場合にいろいろな資材を持たしてやる、これがまあ厳格な資本援助というところまでいかないのでございますが、一応私どもとしましては、そういうものに対する第一歩であるという考え方でやっておるのでございますが、本年度は大体五百万円程度、来年度は少しふやしまして約一千万程度のことを今考えております。
  32. 田畑金光

    田畑金光君 専門家を派遣するときに、それと一緒に、たとえば一組の施設を持たせとるか、こういうようなことは、これは厳格な意味からいうと、当然技術援助に伴う援助方式であろうと、こう考えるわけで、やはり資本援助となれば、その国のたとえば五カ年計画とか開発計画、こういう計画に即応して、工場を設置するとか、あるいは設備を援助するとか、こういう大規模な援助というものが資本援助という私は範疇に入るのではなかろうかと、こう思うわけで、今までの日本技術援助技術援助としてすらも不完全であったのが、当然その援助に伴う中小企業の施設等の設備の援助すらも起らなかったというところに欠陥があったわけで、私のお尋ねすることは、政務次官の御答弁にありますように、将来政府資本援助に踏み切ると、こういうことでありますならば、当然このコロンボプランの中においても、実際資本援助といわれるようなその国の開発計画に伴う援助方式がとられてしかるべきだと思うし、こういういつの日にかものになるかわからぬようなアドバルーンを上げることも大切だが、実際に現実に関係のあるコロンボプランの中に、一応資本援助日本はこれらの諸国に友好善隣関係を深めていく、こういうことが必要であろうと思うのですが、そういうような構想があるのかどうか。今回の公館長会議等において、このコロンボプランに対して意見等が出たと思いますが、もし積極的な意見等があったとするならば、どういう要望等がなされたのか、これを承わりたいと思います。
  33. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) コロンボプランに関しましては、ちょっと私、国会関係でその場合に遭遇しませんでしたので……。報告書も出ておりますが、まだ読んでおりませんで、はなはだ申しわけないのでありまするが、コロンボプランに関しましても、できるだけ一つワクを広げてくれという要望がございますこと、さらにこの開発基金の問題をもっと一つ積極的に具体化してもらいたいというふうな空気はございました。  政府はどういう働きかけをしているかという顧問でございまするが、もちろん、これは五十億くらいでわれわれの理想を達成することは困難なのでございます。その意味におきまして、たとえば豪州あたり少し金を出してもいいというように非公式な発言もございますし、西独あたり十分ドルも蓄積を持っておるから、西独あたりもこれに加わるのじゃないかという空気も一部に出ましたのと、さらに、日本に参りましたアメリカの上院議員のスパークマンのごときは、国会の報告に、この東南アジア開発協力基金というものは、非常にこれはけっこうな構想だということを見てとって来て、従って、これは援助すべきではないかというような発言もだんだん出てきております。さらに、大統領の教書の中にも、行間にそういった暗示を与えているということが新聞等あたりにも出ておったような工合で、われわれは一つの理想、これはもちろん一朝にして、一夜にして実現することは困難であるということは、先ほど申し上げた通りでありまするが、信念と決意をもって一つこれを実現したいという気持でおります。
  34. 田畑金光

    田畑金光君 この際資料を要求いたしますが、過般の公館長会議においていろいろ政府に要望のあった点、あるいは現地の意見、こういうふうな問題について報告書が政府に出されておるようでありますが、その報告書をわれわれにもすみやかに配付願いたいと希望申し上げておきます。今のこの点はよろしいですね、資料の要求は。
  35. 藤田進

    委員長藤田進君) よろしゅうございますか、外務省、政務次官。
  36. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 資料を提出いたします。
  37. 田畑金光

    田畑金光君 今、政務次官のお話によりますと、アメリカ国会でも、大統領の教書等の中にも、日本岸構想理解を深めたような、あるいはともに協力していくような、そういう空気が見受けられる、こういうお話でありますが、まことにけっこうなことで、日本アメリカドル資金というものをこの計画の中に導入しようと強く考えておられますが、同時に、同様に、今のお話の中にありました、西独等でも同じ考え方を持っておる。そうすると、西独等の援助もこれに導入して一緒にやっていこうとする考え方があるのかどうか、この点はどうですか。
  38. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 先ほど、西独の問題はそういう情報があるということを申し上げたので、果して西独からこれを申し入れるかどうか、これを待たなければならぬと思うのでありまするが、申し入れたときのいろいろな諸種の条件等あたりにもよりましょうし、話し合いの上で、採用するかどうかということは決定しなければならぬと思います。
  39. 田畑金光

    田畑金光君 もし、話し合い等が調整できるとするならば、ドルだけでなく、マルク等もこれに受け入れる、そういう津構想というものは世界的な規模というものをもって発足しておるのか、発足しようとするのか、その点あらためて伺います。
  40. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 岸構想最初構想は、そう広くヨーロッパあたりの資金も持ってこようというような気持ではなくして、主としてアメリカ基金に、東南アジアの零細な基金をこれをプールいたしまして、やろうという構想でございました。
  41. 田畑金光

    田畑金光君 それはどういうわけで、アメリカドルだけは受け入れるが、ヨーロッパのその他の国の資金というものは考えていないのか。これは政治的な理由に基くのか、あるいは経済的な事実問題としてそうならざるを得ないのかどうか、この点承わっておきます。
  42. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 政治的の意図ということよりも、絶えずアメリカ方面では、プロジェクト・バイ・プロジェクトという言葉をしきりに使っておりました。はっきりした計画があってその中に日本が参画して、これがほんとうに後進国開発になり、その国の安全とそうして繁栄をもたらすことになるのであったらば、その資金を出すことにやぶさかでないということは、絶えず繰り返しておったのであります。しかしながら、われわれの構想は、プロジェクト・バイ・プロジェクトに基いてアメリカに出してもらったのでは、これは岸構想のいわゆる開発協力基金とは少しばかり性質が違いますので、そうではなくして一つ基金を出して一応東南アジアの自主に、主体性にまかして、この用途というものを一つ東南アジア諸国の間で決定するような構想一つこれを出してもらいたいという方向で、もちろん進んでおるのでありますが、当初に申しましたごとく、プロジェクト・バイ・プロジェクトであったならば、命を出すにやぶさかでないというような向うの空気が相当ございましたので、これをきっかけに、われわれアメリカに相談を持ちかけました。
  43. 田畑金光

    田畑金光君 アメリカはそういう計画があれば援助してよろしいという空気があるので、持ちかけたとお話しになりますが、先ほどもちょっと触れましたように、アメリカにはいわゆる後進国開発計画とかポイント・フォア計画があるはずです。これは言うまでもなく、東南アジアだけではなく、ラテン・アメリカ諸国とかアフリカ、あるいは中近東地方、日本や共産圏を除く極東地域のこういう低開発地域援助ということを、ポイント・フォア計画でもってやってきておるわけです。この内容を見ましても、多数の技術者を派遣するとか、いろいろ技術研修牛を訓練しているとか、技術援助を与えておるわけであります。このアメリカのポイント・フォア計画が一方において強力に推進をされておる。国務省の中に国際協力局というものを設けて、毎年一億二、三千万ドル援助を与えておる。現に世界対象としてはこういう計画が進められ、また先ほど来申し上げておるように、アメリカ自身もコロンボプランの中の大きな援助国である。こういうことを見たときに、さらにこの上に岸構想というようなものでアメリカドルを導入するということ等は、なかなかこれはアメリカとしても、構想はけっこうだといっても、事実国内問題からいっても、こういういろいろな面の援助計画を実際遂行しておるという政治情勢からいうならば、今政務次官の御答弁のように、アメリカ援助期待されるとか、アメリカドルがここに導入されるとか、そういう甘い観察を持つことはこれはむだだと、こう思うのですが、どういうようにお考えでしょうか。
  44. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 対外援助を大幅にアメリカでやっておることは、ただいま申された通りでありまするが、先ほど申しましたプロジェクト・バイ・プロジェクトというのは、ただこれはわれわれの予感とかそういうのじゃなくて、文書にもはっきり出ておりますし、また演説の中にもそれをうたっておるのであります。このプロジェクト・バイ・プロジェクトというのは、日本一つ中心になってこの成算のとれる——成算という言葉も少し幅が広いでしょう。先ほど申しましたごとく、後進国の安定と繁栄がはかれるのであったならという意味だとわれわれ解釈しておりますが、金を出すにやぶさかでないと、こう言っておるのであります。それがだんだんと津構想方向に進みつつあるという徴候が現われたということは、先ほど申し上げた通りであります。ということは、やはり岸構想の中にありまするように、これは援助を受ける側も与える側も、主として東南アジア諸国一つの主体性をもってこれは運営する、太平洋の世界銀行みたいな機構であるということに対してだんだんとわかってきたのじゃないかと思います。従って、これは決して失望すべきものじゃなくて先ほど申しましたごとく、一つの希望と信念を持ってあくまで貫徹するように努力する必要があると、こう考えます。
  45. 田畑金光

    田畑金光君 プロジェクト・バイ・プロジェクトが演説の中に出てきたとか、文書の行間に現われた、これだけでは、いつの日か、こう私は言いたくなるわけで、希望と信念を持ってやるだけでは、とても……。いつ具体化するのか、私はそれをお聞きしておるわけで、本年度の予算に五十億の基金を設けたが、いつの日かそれが国際機構の中に投資の形で、そうして現実の後進地域開発に流れていくのか、それを私はお尋ねしておるわけです。信念と希望でこういうような問題を片づけられたのでは、これはまことにどうもゼスチュアだと、だから言わざるを得ないわけで、一体岸総理が上げたアドバルーンの跡始末に困ってこれをやったのでなければ、いつの日に今お話のようなりっぱな援助機構というものができ上るのか、それを一つ外務次官にお尋ねしておるわけです。  先ほどのお話によりますと、外務大臣は何か構想を持っておるというお話でありますが、外務大臣の構想がまだ……。より練達だと思って、きょう政務次官に御出席を求めたわけでありますが、外務大臣でなければそれがわからなければ、一つあらためて外務大臣の出前を求めて、きょうの質問はやり直したいと思っておりますが、どういう内容をお持ちなのか。
  46. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 外務大臣が構想を持っておると申しましたのは、先ほど御質問にありました太平洋地区におきまする代表者会議の問題でございまする。従って、ただいま質問開発基金の問題に関しましては、大臣がお出になっても、私と何ら変らない答弁をされることは事実であります。  さらに、いま一つ申し上げておきたいことは、希望がない、ただ一応面子でこれを押しているんじゃないかという御質問でございましたが、これははなはだ残念なのでございますが、折衝の一つの機微にも触れますので、信じていただきたいと言っても、あるいは信用なされぬかもしれませんが、いわゆる輸入制限のあの問題等あたりの折衝も、われわれが一生懸命に努力さしていただいた結果、あそこまで行ったんであります。それと同じような努力をわれわれは重ねておるんであります。希望が持てないのではなくして、非常な希望を持って努力のできるような工合に、今向うが動いておりますので、根気強く一つやらしていただきたい。これがもちろん、一、二カ月のうちに成立するか、あるいは半年先に成立するか、一年先に成立するかということにつきましては、見通しは今ここで申し上げることは困難でありまするが、信念と希望の持てるだけの理由があればこそ、私申し上げておるのでありますから、一応しばらくの間われわれにこの点をまかしておいていただきたい、こう考えます。
  47. 田畑金光

    田畑金光君 今の御答弁の中にもありましたが、輸入制限対策費として五十五百万を計上しているわけで、これはどういう内容の使途であるのか、これを、政府委員からでもけっこうですか、説明していただきたいと思います。
  48. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) こまかいここにつきましては、ちょっとその資料を持ってきておりませんので、政府委会員にまた答弁させまするが、私の承知しておる限りにおきましては、この輸入制限の緩和という問題に関しましては、いろいろとその国におけるとこりのPR運動等あたりが必要なんであります。従って、そのPR費をどういう工合に使ったか、たとえばこういう新聞広告は日本資金で出ておったということになりますと、これは逆効果が現われます。こういうような観点におきまして、中には公表のできない使途があると思うのであります。それは買収とかそういう意味ではなくて、たとえばある弁護士を雇って公聴会に出しもらう。その公聴会に出てもらって効果のあるだけの弁護士というものは、相当の金を払わなくちゃいかぬという一応のめどと計算を立てて、これは計上しておるのでありますが、主としてPR、公聴会あたり等の問題に集中したいという観点から、計上しております。
  49. 田畑金光

    田畑金光君 何か政府委員の方で詳細な説明がありますか。
  50. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 先ほど申し上げましたごとく、ちょっとこまかい資料を持ってきておりませんので、後ほどまた政府委員から報告させるようにいたしたいと思います。
  51. 田畑金光

    田畑金光君 先般インドとは円借款で五千万ドル援助が成立したわけでありますが、今度の公館長会議等において那須インド大使等から、この借款契約成立が日印親善関係の非常な増進、あるいは今後の貿易関係の発展に寄与した、こういうようなことも言われておるようであります。承わりますと、エジプトの方でもアスワン・ダムの建設その他で非常に大きな資金が必要となってきて、これまた日本に対しまして相当額円借款等を申し入れてきておるようでありますが、先ほどの政務次官の御答弁のような趣旨で参りますと、東南アジアの今日の外貨不足、しかも国内建設は忙しく、資金がない、こういうことを見ましたときに、これらの小国から次々に日本に対する借款の申し入れ等が出てくると思います。こういう円借款に対しまして、政府と申しますか、外務省としましては、どういう御方針でおるのか。まあ円基金構想経済協力を進めるということも、それは大いに望ましいことであるが、さらに、当面これらの小国から申し入れが来ております対日円借款、これに対して政府はどういう方針で今後対処されていこうとするのか、承わりたいと思います。
  52. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 日本はもちろん、財政的にも経済的にも、豊かな国であるとは申されないのであります。復興途上におきまして国内的にもやはり資金が足りないという面もございますので、わざわざ外国の援助までする必要はないではないかというような議論も一応ございまするが、これは全般のやはり国際間の諸般の情勢等あたりありまして、経済外交推進の上の観点から考えましても、やっぱりこれをむげに断わるわけにはいかぬような面もございます。インドの場合は、御承知のごとく、五千万ドル。これはまあアメリカに参りまして交渉いたしまして、成立したということを最近聞きましたが、二億五千万ドルに比較いたしますと、まあ貧者の一灯だと、こう言われておりまするが、しかし、インドにとりましては、アメリカから借りた一億五千万ドルよりも、貧乏である日本から五千万ドル借りた方が、よほどありがたい。精神的には非常に彼らにとっては一種の、何と申しましょうか、喜びを与えていることは事実であります。これは、はっきり日本代表者が特に言っていることなんであります。  そこで、際限なくこういったことができるかと申しますと、それは困難だと思います。そこで、アスワン・ダムの計画日本に提示されまして、借款の申し入れがありましたときには、一応これの条件等あたりを十分参酌いたしませんと、そくざにイエス、ノーということは、これは申されぬと思うのであります。また、他の国からずいぶん、われわれが支え切れないほどのいろいろな借款の申し入れもあるでございましょうが、額や諸般の客観情勢等あたりをにらみ合せまして、ケースバイケースでこれを決定する以外にない。これが外務省方針であります。
  53. 田畑金光

    田畑金光君 私は本日は一つこの程度質問を終りますが、先ほど公館長会議の議事録等の一つ報告書、これを御提出願いたいと申しましたので、その資料等をよく検討いたしまして、また必要とあれば外務大臣、政務次官に御出席を願って、質問を継続したいと考えております。本日はこの程度質問はしておきます。
  54. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 外務、通産両次官がお見えになっておりますので、私、簡単に一言伺いたいと思います。  最近の経済雑誌ダイヤモンドに、外務省構想と題しまして「外務省は、輸出増大の呼び水として「輸出振興用物資輸入予算」(仮題)を新設し、ある程度の不急不用物資輸入の必要を提唱した。予算として 一応三十三年度間外貨予算総額の一%(約四千万ドル)を留保し、輸入に数倍する輸出確保の見通しがたったとき、必要に応じて外貨割当を行うものとするという趣旨である」、こういう記事があるのでありまするが、これに似たような構想がおありになりますか。
  55. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) ただいまの雑誌に出ておりますもの、私まだよく見ていないのですが、おそらくこれは外務省の経済局で立案いたしました一つの案で、いろいろとこれから交渉してみたらどうかという、それを伴いているのではないかと思うのでありまするが、もっと外貨を自由に使わしてもらって、そうして経済外交を有利に進展するという根本観念から出たものだと思いまするが、こまかいことにつきましては、一つ政府委員から説明さしてもよろしゅうございます。
  56. 藤田進

    委員長藤田進君) 政府委員は、どなたですか。
  57. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 それはちょっと趣旨を申し上げますが、今の次官の仰せられた経済外交といったような意味でなしに、西欧諸国では、日本が向うのものを買えば、つまり輸入すれば、それに数倍する数量を輸出する可能性があるものが相当にある。たまたま、その物資が日本内地としては不急不用の、一見、もののように見えても、その輸入によって輸出が増大すれば、結局三十一億五千万ドルの輸出目的達成の二つの有力な手段じゃないかと、こういったような見地からのこれは話です。ただし、その物を輸入したことによって、同種の日本の企業を圧迫するといったような一面があるかもしれないけれども、同時にまた、その輸入物資によって、日本の同種企業のコストの引き下げに役立つじゃないかというような議論もある。そういったような構想があるのですか、こういうわけです。
  58. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) ただいま質問のありましたような空気もありまして、いろいろと事務局内部で立案しております。詳しいことにつきましては、政府委員答弁させます。
  59. 市橋和雄

    説明員(市橋和雄君) これは、大蔵、通産関係各省と話し合うという段階でありまして、ほんの試案でございますが、私どもとしては、そういうことが実は新聞などに漏れたことについては、遺憾に思っております。  簡単に申しますと、趣旨は、今でも外国と交渉する場合に、いわゆる外貨予算というものの中に、まあ日本の産業並びに日本の経済一般に特に害のないもの、必ず輸入しなければならないものといったような項目を選びまして、これについてある程度、外国と通商貿易上の交渉をする場合に、いわゆるキブ・アンド・テークの趣旨に沿ってやるように、交渉に幅を持たせるように、そしてそれによって日本の輸出が振興できるようにというねらいで、関係各省と折衝中の案でございます。あくまでも、これはほんのまだ事務的にも固まっていない案でございます。ねらいは輸出振興ということでございます。
  60. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 大体の金額は、ここに出ている四千万ドルくらいでし、ようか。それから種類は、ごく大まかにどんなものです。
  61. 市橋和雄

    説明員(市橋和雄君) 金額その他につきましても、はっきりと申し上げられません。先ほど申しましたように、交渉中のものでございます。まあ簡単に申し上げますと、私どもは、ウィスキーだとかラシャの生地であるとか、そういった——あるいはこまかい品目になります……。イタリーの帽子であるとか、そういった趣旨のものを拾ったらどうかという考えでおります。
  62. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 通産省当局は、この構想についてどういうふうなお考えですか。
  63. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) 具体的のお話を実は伺っておりませんので、明瞭にお答えいたしかねるのでございますが、これまでの貿易の協定支払い、もしくは貿易協定、日英の問題、あるいは日仏の問題等々を考えますときに、協定をいたしますときに、必ず今のような、自国特産品で自国によって付加価値の多いものの輸出を、日本にとっては輸入を、要請することが常になっているのであります。日英の場合は、全例に出ておりました洋服生地、あるいはウィスキー、その他のものが当然に入って参っております。フランスにおきましても同じように、洋服生地あるいは酒類等々が入って参っているのでありまして、これは相互の両国間の産業の状態を相互に考えながら、貿易量をお互いにふやしていく、こういう趣旨において考えて参っているのでありますが、この構想は、そういう特定の当事国の以外に、機動的に扱う一つのワクを作ろう、輸出の振興のために。こういう考えであろうと拝察するのであります。  この点につきましては、日本の輸出が振興するために必要有効であるという判定が立ち、かつ日本の産業、国内産業との競合関係が強く出ない、こういうことになりますれば、十分に研究に値するものと考えるのでありますが、外貨予算が、御承知のように、非常に苦しい状態でありますので、なお十分に検討しないと最終的な結論は出しにくい、こういうふうに考えます。
  64. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 つまり、早急に輸出量がふえなければ容易に踏み切れない、こういったお考えであるか。来年輸出がふえるという見込みがあれば、今年は少々輸入がふえてもそれに踏み切る、こういうようなお考えでありましょうか。どちらでしょうか、通産当局としては。
  65. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) 昭和三十三年度の問題の焦点は、累次申し上げておるように、三十一億五千万ドルの輸出目標を達成するということは何としてもいたさなければならないことでございますので、三十三年度をとりまして、一時輸入が増高してもいいのだというふうな考え方はとりにくいのであります。あくまでも三十一億百五千万ドルに見合う輸入を予定いたしております。三十二億四千万ドル程度のものの範囲内において、こういう問題を措置していく、こういうふうにしなければならぬのではないかと考えておりますが、こまかい点につきましては、次長がおりますから、必要がございますれば御説明申し上げます。
  66. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 もうちょっと突っ込んで御説明を願います。
  67. 伊藤繁樹

    説明員伊藤繁樹君) 先ほど外務省の方からお答えがございましたように、この問題はまだ事務的ベースの、交渉がまとまっておらない段階でございますので、ほんの私の方の感じということになりますが、確かに外務省のお考えはごもっともの点がございますけれども、一応また逆に悪いことも考えられないでもない。たとえば、一定の対外貿易の交渉額というものを独立の外貨予算計上いたしまして、そうしてこれは、外貨予算は公表される性質のものでございますので、それが相手方に知れますと、外交交渉の一つのこちら側の品目が相手方にわかるということもございます。従来、たとえば、政務次官から申し上げましたように、協定の関係で入れなければならないような製品につきましては、従来の外貨予算で最優先的に確保いたしておりますが、従来の態勢で特に支障があるとも、われわれとしては考えられないという気持も持っておるわけでございます。これらの点は、さらに、今後外貨予算の編成がだんだん近づいて参りますので、さらに詰めていかなければならないと思いますが、目下の事務的な関係はそういうことになっております。
  68. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 もう一点、外務次官に今度お伺いしますが、中共相手の民間の貿易の協定や取りきめですね、相当今まで民間和五でできているように承わっておるのですが、おもなものはどういうものがございますか。
  69. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) これは通産省の方が詳しいと思いますから……。
  70. 伊藤繁樹

    説明員伊藤繁樹君) 大きなものは、輸出品百におきましては、先般五カ年計画で一億ボンド輸出するという鉄鋼協定が出ております。それから大きなものは肥料でございますが、これは別に年々大体長期契約的に輸出されておりますので、特に新しく今度の四次協定に基いて話を進めるというようなことでなく、経営的に輸出されておると思います。なお、今後話し合いが予想されるものとしては、機械業界あたりで相当積極的に話を進めると考えておりますので、場合によりましては、機械業界あたりがそういうことができるということも考えられると思います。
  71. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 今度の第四次の日中貿易協定のように、政府の同意を云々と一いったような、そういう条件のつかない、純民間のものばかりでしょうね。
  72. 伊藤繁樹

    説明員伊藤繁樹君) 鉄鋼協定と、純粋に経済的な取引ベースだけの交渉のように聞いております。
  73. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 外務省の方で、特に政府の同意を得るといったような、多少政府がタッチした形のものは、他にございませんか。
  74. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 私どもの承知しておる限りにおきましては、チンコムのワク内であれば、外務省に関する限り、これに関与する余地はないと思います。
  75. 藤田進

    委員長藤田進君) 他に御発言もなければ、本件、本日はこの程度にいたしまして、後日に譲ることといたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時二十六分散会