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1958-04-09 第28回国会 参議院 逓信委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月九日(水曜日)    午後一時三十四分開会   —————————————   委員の異動 本日委員横川正市君辞任につき、その 補欠として永岡光治君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     宮田 重文君    理事            手島  栄君            松平 勇雄君            山田 節男君            長谷部ひろ君    委員            石坂 豊一君            黒川 武雄君            新谷寅三郎君            前田佳都男君            久保  等君            光村 甚助君            森中 守義君            奥 むめお君   国務大臣    郵 政 大 臣 田中 角榮君   政府委員    郵政政務次官  最上 英子君    郵政大臣官房文    書課長     上原 一郎君    郵政省電波監理    局長      濱田 成徳君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○電波法の一部を改正する法律案(内  閣提出)   —————————————
  2. 宮田重文

    委員長宮田重文君) ただいまより委員会を開会いたします。  委員の変更について御報告いたします。  本日横川正市君が委員を辞任され、永岡光治君が選任されました。   —————————————
  3. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 本日は電波法の一部を改正する法律案内閣提出)を議題といたします。
  4. 山田節男

    山田節男君 大臣の在席の時間が制限されておりますから、大臣に対する質問も一、三ありますけれども、時間の制約もあることでありますから、ごく簡単に、第一点だけお伺いしておきたいと思います。それは、今回の政府提案電波法の一部を改正する法律案、この内容を見ますると、大体、免許検査手数料、この三つにしぼっておられるわけでありますが、申すまでもなく、昭和二十五年に本法ができまして以来、大臣も言っておられるごとく、非常に無線局の数もふえ、また、技術発達しまして、それが一つの原因となって、今回の政府改正案が出たわけであります。しかし、私らから見れば、放送法に対しての一部改正法案についても同じようなことが言えると思うのでありますけれども、この法律案が施行されて以来今日までの非常な飛躍的な発達、将来もおそらく今日以上のテンポをもって無線行政というものはもっと複雑になってくるということになりますと、今回の政府改正案というものは、われわれすら見通し得る将来の無線行政複雑化というものに対して、非常に何と申しますか、一時しのぎ的な、根本的なものに全然触れていないということが私は言えると思うんですが、政府としては、これはもちろん電波監理局の方の専門家がいるにかかわらず、ごくしぼったこの三点によって法律案を出されたということ、田中大臣として、電波法のもっと根本的な改正を今要請されておるというそういう点についての大臣の認識はどの程度のものか、これを一つお伺いしておきたい。
  5. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) お答え申し上げます。ただいま山田さんが言われる通り電波法そのもの完全無欠のものではありませんし、将来非常にテンポの速い電波の実情に即応するためには、もっと抜本的に解決しなけりゃならぬ問題が多々あることは、御承知通りでありますが、今般の改正は御承知通り免許検査手数料というふうにしぼって出しましたのは、全く事務的に必要やむを得ない限度にとどめておりますから、微温的だと言われることは、その通りだと考えます。電波法抜本改正という問題に対しても、私も就任相当識者意見も聞き、事務当局意見も徴し、何とかまとめたいと努力をいたしたのでありますが、特に放送法改正とあわせて考えてみますと、事実上この法律放送法裏法であるといような立場から放送法も必要やむを得ない限度においてだけ整備をいたしたい——整備と名をつけるには微温的だと言われるような改正案を作ったわけでございますが、及ぼす影響が非常に大きいのと、また、放送法裏法であります電波法状態から考えますと、技術的にどうしても必要な改正であっても、これが放送法とからんで何か政府が別な意図でも持っておるように思われることも避けるためにも、現在の段階において事務的に全く必要やむを得ない限度改正にとどめようというふうに、相当その過程においては、いろいろなことを考えたのでありますが、結論としては、現在御審議を願っておるような改正法に落ちついた次第であります。
  6. 山田節男

    山田節男君 これは大臣が過日提案理由説明をされたときにも言われたごとく、今日電波監理局で直接監督しなければならぬ無線局が三万にも及んでいる。これは三十三年度、三十四年度になれば、大体今年度以上のテンポをもってふえるであろう。現在日本は三万でありますが、アメリカ地理的条件も違いますけれども、百二十万も持っておる。無線局が百二十万もある。日本にしましても、少くとも近いうちに十万くらいには達する、あるいは十五万になるかもしらぬが、少くとも政府としては、こういう技術、ことに電子工学発達によって電波の、ことに周波数帯というものが制限されておるのでありますから、しかも、需要はどんどんあるのでありますから、少くとも今日の無線局の三万が十万、あるいは十五万になるくらいの先の見通し、いわゆるいろいろな波の周波数帯を今日まずもって政府計画を立てておくことが、混雑を避けるこれは唯一の道です。これがもう混雑してしまって、そうしてからどうするかということになれば、非常にむずかしい。何べんも申し上げますが、この波というのは、要するに一つ日本国民の自然の資源であると同時に、これは国民共有の財産ともいうべきものであります。それをこま切れにして、いわゆる国あるいは事業あるいは個人が要求するものをいかに能率的に有効にこれを割当するかということが、電波行政根本でなければならぬ、それが社会福祉であり、産業の発展であり、また事業能率化になるという、あるいは国の政治、外交面にまで関係があると私は思います。そうしますと、すでに三万になっておるのでありますから、この電波法根本改正をするということ、大体五年後はどうなるだろうという見通しを持っておらぬと、こういうきわめて末節的な改正によって、この国会を過ごす私はそういう時代ではないと思う。今大臣はその必要はある、あるが、今回は間に合せ、ごく末節なものだけで満足するのだと、こういうようにおっしゃいますが、少くとも大臣としたならば、いわゆる先の、五年先どうなるということの私は、十分の御検討があってしかるべきである。これは濱田局長もおられますが、一体、今日の三万が十倍になったらどうするかという見通しを立てた何かプランを持っておられるか。たとえば周波数割当にいたしましても、現行のやつをどういうふうに修正する必要があるか、あるいは波が制限されておれば、FMの問題にしましても、あるいはテレビジョンの問題にいたしましても、VHFUHFに将来切りかえる、あるいはFMというものを公共用放送にもやらすし、商業放送にもやらせるのだ、FMの波の割当も近くきめるとあなたはおっしゃっておられますが、私憂える点は、どうも政府一つの、五年なら五年先はどうあるべきかという、一つのそれは正確にはいかぬかもしれませんが、大体の見当をつけたものをお持ちにならない、こういうようなことばかりに、先に手をつけるということは、むしろ主客転倒じゃないかと、こう思うのですが、どうでしょう。政府としては、そういうような検討をさせたことがあるのか、あるいはラフであるけれども、大体そういう案をお作りになっておるのかどうか、この点をもし大臣ができなければ濱田局長でもよろしゅうございますから、大体その見通し一つお示し願いたい。
  7. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) お答え申し上げます。ただいま山田さんが申された通り電波法そのもの放送業者免許をする場合の免許根拠法でもございますし、ある意味では、この形態でいいのかどうかという問題も根本的にはあるわけであります。でありますので、法律形態そのものからも抜本的改正をする必要があるというふうに考えております。しかし、このたびの国会になぜこのような微温的なもの、必要やむを得ざる事務的なものだけを出したかと申しますと、電波法は非常に重要な法律案であるために、抜本的改正が行われるとすれば、非常に慎重にかつ将来の見通しを十分つけて、電波に対する計画基準、総ワクというようなものが明確になることによって、準拠法であるべき電波法改正方針も明確になるわけでございます。その意味で私も就任後は、特に将来の電波というものが、ただいままでのように長い歴史の間に積み重ねられてきたようなものではなく、もうここまでくれば、先ほども申し上げた通りVHFUHFとの調和もどうするか、また中波FMとの問題をどうするかという基本的な問題をきめなければならない段階にございます。特にカラー・テレビの問題も、今年の六月にはおそくともモスクワにおける国際会議で大よその見当もつくわけでございますので、日本における電波というものを一体どういうふうな段階に分けて、どういうふうにこれを使うのだという計画は、少くとも今年度一ぱいにはどうしても作らなければいかぬと、こういうふうに今考えております。でありますので、FM免許申請もたくさん出ておりますが、現在のところでは、FM免許申請に対しては非常に慎重な態度をとっております。少くとも中波FMとの調和計画案等ができないうちは免許を与えないというふうに、相当強く規制をいたしているわけでございます。でありますから、今年度にはおそくとも将来の電波状況をつかんで、必然的にそうするとチャンネルプラン一大編成という問題も起きて参ります。まあ、こういう問題を全部一つ研究をまとめて、将来の五年後はどうであるか、十年後はどうなるのだということは、どうしても明確にしたい。そのために、まあ郵政省だけではなく、在野の意見を聞いたり、適当な機関が必要ではないかどうかという問題も今慎重に事務当局をして検討せしめているわけでございます。そういう段階でございますので、電波法そのものを抜本的に改正するには時期が少し早いということも考えられますので、今回は、提案してございます通り改正をお願いしたいということでございますが、先ほども申し上げた通り日本の将来の電波見通し、また電波がこう使わるべきだという明確なる計画が出れば、当然そのときには、電波法そのものに対しても新しい視野に立って改正案考えなければいかぬ、こういうことでございます。
  8. 山田節男

    山田節男君 それでは、今の大臣のお言葉だと少くとも五年ぐらい先に、数でいえば十万ぐらいになっても大体適応するというような、また現行法ではもう処理し切れない、また、し切れるとしても、需要が多方面にわたる、また申請の数もふえるから、大体こういうふうにしようという大まかな計画もない、現在はないとおっしゃるのですか。ラフなものでもあるのか、ないとおっしゃるのですか。
  9. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 事務当局で作っております大よその見通しはございます。大よその見通しはございますが、私はこの事務当局で今作っておるものが理想的なものであり、間違いのないものだとは考えておりません。それは一つの例をとりますと、FMチャンネルプランそのものを見ましても、三チャンネル、六チャンネル、十一チャンネルというふうに前のものを動かさないでそのまま重ねてきているのでございますが、やはり波の一応整理を行うということになりますと、UHFVHFとの問題、中波FMの問題、そういうものをきれいに整理した場合に、新しいチャンネルプランもきめなければならぬと、こういう抜本的な問題と結びつけて一つ整理をした、新しい視野に立った、全く白紙の上に日本電波をかいてみなさいということを今私言っておりますので、それは電波当局だけで作れるのか、特別な機関を作らなければならないのかは今検討中でございますが、現在の段階において電波監理局で持っているものを基準にして、すぐ抜本的な電波法改正ができるかどうかということに対しては、非常に慎重な態度をとっているわけであります。
  10. 山田節男

    山田節男君 これは昨年から今年にかけて、ことにまあ平井郵政大臣のときは、もうきわめて優柔不断といいますか、例のテレビVHFチャンネルについても、田中郵政大臣就任されて、そうしてまあテレビジョンチャンネル割当を決定されたわけです。これは私は国家的に見ますと、公共放送並びに民間放送テレビ放送に対して、VHF周波数をあれだけ数回にわたって分けたことがいいかどうか、多分に今でも疑問を持っておりますが、これはすでにやられたことだからしようがありませんけれども、将来テレビUHFに持っていく、アメリカVHFからUHFに移行するという方針をきめておるわけです。ですから、VHF帯テレビジョンばかりに、ばかりとは申しませんけれども、大部分をそれに向けてしまったということは、私からいえば、それは政府一つの無方策で、国民のいわゆる自然資源とも称すべき周波数VHFバンドを、果して有効適切に使ったかどうかということについて、私はこれに々分の疑問を持たざるを得ない。この間も大臣は、FMチャンネル割当考えている——これも当面の問題とすれば、公共放送民間放送がどんどんと申請してきているわけです。テレビチャンネル割当と同じような、VHF帯割当と同じような方針を、FMについてもとることがいいのかどうか。先ほど申し上げたように、この電波というものは、放送とか、放送事業放送と言うと語弊がありますけれども、ただ公共放送あるいはラジオ民間放送だけに使うものじゃないんです。この使用目的はたくさんあるわけです。ですから、そういう出たとこ勝負のように、ラジオテレビジョンFM帯あるいはテレビジョンVHF帯を、そういうふうに乱費していいものかどうか。これは今こういう法案をお出しになるに先だって、少くとも私はテレビジョンチャンネルが正しかったかどうかということを、もう自己反省をして、FMはどうかということを、もう当然私はお考えにならなければいかぬことだと思うのですが、この点いかがでしょうか。
  11. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私も現在の状態においてFMというものは——私が就任しましたころには、VHFテレビチャンネルプラン予備免許を与えるときに引き続いてFM免許せられるような感じがしたわけです。でありますが、私も研究を進めていく間に、こういうことではいかぬ、ここらで一大整理をしなければならぬ、もちろんテレビジョンラジオだけではない、実に重要な産業の神経であり、目であり、耳である、こういう立場から利用せられるものでありますので、やはりUHFをどうするのか、VHFを置いて一体移行するのかどうかというような問題を完全に割り切って、少くとも十年、十五年という、世界的に電波がもう一ぺん次の段階において再編成をせられるような状態は別といたしまして、今もうここまできたら、少くとも五年、十年の日本における電波見通しはつくのでありますから、こういうものに対しては、私ども相当積極的な立場で片づけなくちゃいかん。今までは御承知通り進駐軍がまあ波を使っておって、余った波だけを内地で使っておるということで非常に不規則でありましたが、もうここで、この段階においては、帯の問題ももうすっかり分けて、最も合理的な、一つ理想的な姿で波に対する観念定義というものをきめて、そうして移すものは移す、しかし今、FMの問題に対してこの間も何新聞でありましたか、朝日新聞でありましたか、相当はっきり書いてありました。去年じゅうにFMが相当出ると思ったのが、さっぱり、かけ声ばかりでものにならぬじゃないかというような記事が出ましたが、私はあの記事を見て、実際日本の今までのやり方が、ああいう考えに基いてどうも局部的にきめられてきたということに電波の総合的な運営が欠けておる点がありますから、総合的な運営に万全を期すためには、どうしてもここでもって波の整理や新しいものに対する観念定義一つはっきりしなければならぬ、それもおそくてはならないので、どうしても、ことし一ぱいにはやらなければならぬだろう、こういうふうに考えておるわけであります。でありますので、FMは、今までのテレビラジオ局地別免許もやむを得ないというようなことで積み重ねる方式をとらないで、FM免許するという場合には、中波との関係くらいは少くとも明確に線を引いて、五年先、十年先の問題に、今までの混乱プラス混乱がないような状態でなければ免許はとてもできないだろうということを考えておるわけであります。
  12. 宮田重文

    委員長宮田重文君) ちょっと速記とめて。   [速記中止
  13. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 速記つけて。
  14. 山田節男

    山田節男君 濱田局長、さっきの私の大臣に対する質問お聞きになったと、思いますが、どうも郵政大臣答弁ではよくわからないので、今私の御質問申し上げたことについて、現在周波数に対する割当というものは作っておられるか、しかし、ここ数年の間には日本におきましても免許数がふえる、電波行政複雑化してくる、こういう見通しですね、従来の周波数割当ということも根本的といいますか、もう再検討する必要があるという点ですね、今回のこういうせっかくのいい機会に、電波法改正をされる場合に、先ほど申し上げたように非常に末節的のものだけお出しになって根本問題に触れない。これは放送法の一部改正のときにもいわれておることですが、この点につきましては、電波法につきましては、何らその点がこの法案にうかがわれないということは非常に残念に思うのですが、さっきの大臣の私に対する答弁ではどうもはっきりしないのですが、なお、あなた直接の責任者として、その間の経過をお示し願いたいと思います。
  15. 濱田成徳

    政府委員濱田成徳君) 山田委員の御指摘のごとく、電波に関する科学技術躍進ぶりは非常なものでありまして、世はまさに電子電波時代であるといっても過言でない状態であります。しかしながら、電波法改正はここ当分の間は、と申しましても、現在無線局の数が約三万、数年の間にその倍くらいになるだろうというそのくらいの間におきましては、今回、緊急と申しましては語弊がありますが、どうしても今直さなければ今の行政目的が達成できないという最小限の改正をやる、この今回の改正法案だけで、改正電波法だけでもってここ数年間はやっていけるだろう、そういう見込みを立てて国会提案した次第であります。その理由をもう少し申し上げますというと、だんだん周波数が窮屈になりまして、今日のVHFというもの、それからUHFというもの、それから中波は最も窮迫を告げておりますが、UHFにいたしましてもやはり混雑をいたしております。これがやがてセンチメートル波からミリメートル波になる趨勢でございますが、このセンチメートル波ミリメートル波が今日のVHFUHFくらいになるまで世界的に応用が盛んになってくれば今日の免許法であるとか、あるいは免許基準であるとか、あるいは行政やり方とかいろいろな方面につきまして根本的な改正を必要とするだろう、そういう見込みを持っておるのであります。その時代はいつ来るだろうかと申しますれば、私の考えではまあ早くても四、五年あとだろう、非常に電波科学技術進歩は早いけれども、四、五年あとじゃないか、そう考えておるのでありまして、それまでは現在の電波法でもっていろいろな行政目的は十分達せられるだろうという考えをもって今回の提案をいたした次第であります。これにつきましては、先ほど大臣が申されましたが、この電波監理当局はもちろん、ここに関連しまして電波技術審議会であるとか、あるいはその他の学会活動あるいは海外諸国の情報その他いろいろな方面のインフォーメーションを総合しまして、私どもはこの二、三年、それから四、五年、十年後どうなるだろうかということにつきまして、ある程度の予測を立てて、そうしてその第一段階として、今回の電波法改正をもってこの数年の間は十分行政目的は達成されるだろう、電波の公正、能率的な配分をして国民福祉に貢献するには十分であろう、そういう考えをもちまして今回の提案をいたした次第であります。
  16. 山田節男

    山田節男君 どうも従来から電波監理局あるいは電波委員会時代から、まだ日本無線科学、それから無線の利用というものが、最近非常にふえましたけれども、おそらく今日までは免許申請されてもそれに割り当てるだけの何といいますが、スペクドラムがあるからできたのです。昨年のようにテレビジョン周波数帯割当にいたしましても、とにかくあるからできた。しかし、あるうちはどうでもそのあるだけやればいいじゃないかというのが非常に危険なんです。私は少くともこの電波行政に関しては、これは濱田局長もよく知っておられるでしょうけれども、日本は欧米に比べて十年はおくれていると私は思う。現に西欧諸国あるいはアメリカのごときは、もうスペクトラムがないのです。窮屈になってほんとうに困っているからどうしようというところに今のエレクトロニクスといいますか、電子工学発達して技術進歩を加えて、そうして残っているものを何とかやるのですから。あるいは現地のものを、これもあなた御承知通り、私はしろうとだけれども、いよいよもう困りに困って今日までテレビジョンにいたしましても、放送あるいはその他の使用方面についても、この機器を精密化することによって精度を高めることによってこのチャンネルというものを能率的に、しかも、けっこう幅広く取ろう取ろうとしている、努力している。これはあなた御承知のように、何といいますか、サイド・バンドとか、あるいはオフセット・キャリア、あるいはスプリット・チャンネル、こういうようなことをやって、いかに周波数スペクトラムというものを有効に使うか、数多く使うか、こう窮屈になってきた。日本は今まだあるからいいじゃないかという気持が、少くともあなた以前の局長あるいは長官にあった。しかし、それではその日暮しであって、やはり将来の産業方面にも、あるいは他の政府の方におきましても、これは需要はふえるばかりなんですから、ある程度どうでもいいじゃないかというようなことではいけないのであって、少くとも日本が十年おくれておれば電波行政はむしろ計画を立てやすいのです。ですからそういうような、今は大丈夫だからというような考えは無責任だと思う。そういう点は私はまあ申し上げておきますけれども、今の濱田局長のお考えでは、何ら、現行周波数割当で当分ここ三、四年は変更する必要はありません、またそういった今の発達状況から見れば、現状の電波法で三、四年はまかなっていける、そういうあなたの御意見なのか、この点を一つはっきりしていただきたいと思います。
  17. 濱田成徳

    政府委員濱田成徳君) 現在のチャンネルプランでここ数年は満足である、変更する必要はないとは考えておりません。山田委員が申されましたように、電波割当問題は窮迫した、もう足りない周波数割当をどうするかということが一つ、第二は、だんだんこれを短かい方——長い方は別といたしまして、短かい方に持っていく、その活用をはかって社会需要に応ずるということが必要ではないかと考えます。その足りない方の電波は申すまでもなく中波でございまして、中波はもうございません。スペクトラム一ぱいでもう余すところなく使ってしまったというのが現在でございます。でありますから、今日現在の中波チャンネルプランを改良しまして、少しでも国民需要にこたえるようにどうしてこれをだんだん修正していくかということがわれわれの任務でございます。でありますから、今日各地にありますところのラジオ放送局が使っております中波周波数割当を直すように、そうして少しでも混信妨害が除去され、少しでも多くの人がラジオを楽しめるようにすべきであるという考えでございますので、決して現在のチャンネルプランでいいとは思っておりません。同様にVHF帯におきまして、これはテレビジョン、それから先ほどお話の超短波、FM放送それから公衆通信その他いろいろの目的VHFというものは使われておるのでありまして、もはやこれはもう一ぱいで、足りないと言っていいくらいであります。でありますから、今後、日本において電波法とは別に、電波法に準拠して、電波法を活用してVHFをいかに有効に国民全体に奉仕し得るようにこれを使うかということが問題でありまして、そういう意味におきまして、チャンネルプランの修正なるものを絶えずわれわれは考えてそして改良し、これをはぐくんでいく必要がある、こう考えます。これと関連しまして、この次はUHFというのが考えられるわけでございまして、山田委員よく御承知通りテレビジョンのごときは将来VHFでやっていくべきか、あるいはそれをUHFをもって置きかえるべきかというような根本問題があるのでございます。これはこの電波法とは別個に、電波の活用についての行政方式としてわれわれは世界の技術進歩発達の情勢を勘案して慎重にこれを考慮する必要があると思うのであります。特にこの天然色というのは、おそらく二、三年後にはこれは実用に近い状態において普及されるでありましょうが、そうなる前においてこれは根本方針を、今、日本の天然色テレビVHFでいくか。UHFでいくかという問題もございまして、そういう問題につきましても、十分検討し、経済的にも、技術的にも、社会的にも、いろいろの方面から検討し、そしてチャンネルプランをここに樹立すべきであるというように考えております。事チャンネルプランに関する限り、私どもは現在のチャンネルプランを修正しないでいいとは毛頭考えておりません。
  18. 山田節男

    山田節男君 これは、今の御答弁に関連して私もう一ぺん確めたいのですが、先ほど申し上げたように、昨年からテレビジョンVHF周波数が相当使われており、一方マイクロ・ウエーブというのが将来非常に発展すると、今日電電公社あるいは特殊の電力会社とか、そういうようなのが使っておりますマイクロ・ウエーブというのは、やはりこれはVHF帯であって何と申しますか、将来産業上におきましても、これはますます用途が広くなる、ことにオートメーション化ということになれば、当然産業テレビ、工業テレビということが必要になる、これは有線でなく、必ずマイクロ・ウエーブでなくちゃいけない、こういうようなむしろ国からいえば経済発達——文化向上もそうであるが、経済発達ということを考えないといけないということになれば、たとえばVHFについても、テレビジョンがあれほどの免許を許されておる。それでは今度工業方面が非常に窮屈になってくるということが言えるわけです。そこらあたりがどうも、政府が場当り式のもので、長い目で見るということが——今日、政府のやっておることは遺憾ながらわれわれにぴったり来ない。ですから、この点は私、あと大臣が来たらあわせて聞きたいと思っておるのですが、一応国内のそういう中波、短波、超短波、あるいは極超短波、あるいはSHF、さらにその上のEHFくらいまで、これはあなたの専門家として大体どうあるべきか、現に私はアメリカを見れば日本の十年先はわかると思うのです。それだけに私は、案を立てるとしたら案を立てやすいと思うのです。また一般としてはこういうものの重要性、利用性というものを考えないうちにあなたが専門家立場から一つのワクを作っておかれれば、これは国民のために非常にいいことなのですよ。これがどうも今日まで、これは政治が悪い、政府が悪いと思うのですけれども、場当り的のことをしている。またあなたはあなたとしての案があっても、これを政治的の理由でもってこれを出さないでおるというのが私は現状じゃないかと思うのです。ですから、決して私はけちんぼうになれというのではありませんけれども、そういう国民の共有の、ほんとうにかけがえのないものはこれを政府免許して割り当てるということになれば、これはもう私は厳正にやらなくちゃならぬ。と同時に、一たん与えたものに対しても、免許の取り消しということはこれは国民のために、国民の名においてやるべきだと思うのですが、私は、こういう点も厳密にやるべきものであるにかかわらず、民間のラジオ放送開始以来七、八年たっておりますが、いまだに免許を取り消したというような、そういう厳罰で臨んだことが一回もない。アメリカのような自由の国におきましては、やはり国民の利害という関係から、この点は実にもうはっきりと免許の取り消しもやる。これは郵政省電波行政放送行政に対する唯一の武器なのです。これを一ぺんも使ってない。これはそういう事故がなかったということを言われるかもしらぬけれども、われわれからいえば、これは何かもう当然免許を取り消してもいいようなものを見ておっても政府が何らこれに手を出さない、こういうことが私はこれはしつこいようですけれども、これは大臣の私は責任だろうと思いますが、電波行政そのものに対してきわめてあまい考えを持っている、こういうように私は考えるのです。ですから、先ほど大臣が御答弁になったところを見ても、私は電波監理局が怠慢であるということは言えませんけれども、大臣はこれは何と言ったってしろうとなのです、ポリシーをこれは実現することがです。しかし、現実に技術的の面とかということになれば、これはあなたがもとを握っておられて、こういうものじゃありませんということは、ぴしぴし、やはりあなたがいわゆる輔弼の任に任じられなくちゃならぬわけですね。ですから、どうも今日あなたからそういうお言葉を聞くということは、非常に私さびしく感ずるのでありますが、この点は私はもう政党政派の問題じゃないと思うのです。超党派の立場で、ほんとうに国民のためにという立場からあなたはきわめて峻厳にこの取扱いを大臣に迫るべきである。内閣に訴えるべきである。ですから、その間のいろいろ事情はわかりますが、しかし、これは私は電波行政については政治に支配されちゃならない、あくまで技術的にものを考え、あくまで公共の福祉のためにこれを使うのだという、この立場を堅持されない限り、この尊い波というものが、何といいますか、国民の名において十分な監督が行き届かないために、これが道がないということはこれは放置すべきじゃないと思う。  これに関連してもう一つ私お伺いしますが、こういったように国内の電波行政というものが、細目にわたっての将来のプランを立てる、これは時間がかかりましょうけれども、ラフなものであってもいいから立てておくということが私は来年の夏に予定されておるITU——国際電気通信連合会議が行われます。これは重大な会議であります。私はこの間うちからいろいろな情報を得ておりますが、アメリカの国務省のごときは、すでに昨年の七月に政府並びに一般の工業家、ことにこれは産業関係との合同委員会を作って明年、一九五九年のジュネーヴにおけるITUの会議に出す、アメリカ周波数割当についてもどういう態度をとるべきかということを、すでに昨年から国務省の主催で民間との合同会議を開いておる。そのリポートも私は持っている。一体日本はこれは明年の会議に当然出なければならない、また理事国にも当然今度こそならなければならない、こういう情勢にあって、国内的には、そういう点についてはっきり何らかの意思というものを、これほど日本は困っておるのだという国内的な周波数割当というような一つのゼスチュアを私はすべきものじゃないか、それもできてない。国際の周波数割当ということになりましても、要は国内的な一つの制度ができておらなければ、国際的に向って大きな声で言えない。わずか一年有余を残した今日、アメリカはすでに昨年からそういう実際の計画をしておる。会議の対策を練っておる。日本では一体それはどういうような準備をしておられるのか、この点一つお伺いしたい。
  19. 濱田成徳

    政府委員濱田成徳君) 先ほど山田委員が申されましたことは、私全く同感でございまして、私が申し上げようとするところをすべて言われたというふうに考えております。で、電波行政はあくまで公共の福祉のために、私どもはそれを主眼として、それを中心として電波法放送法の精神によって実施しなければならぬということを絶えず痛感し、反省しております。しかし、そういたしましてもこれを実行する方法としましては、技術の認識により、これに新しい技術の認識によりましてそれを取り上げて、どうしたらばこれが日本の現状に即して応用し得るかということを慎重に考慮してこれを実施しなければならぬということは申し上げるまでもありません。で、私どもはさような考えをもちまして微力ではございますけれども、このVHF割当であれUHF提案であれ、あるいはFMの実施についての構想であれ、あるいはそのアンテナ、電波塔の問題であれ、いろいろな問題につきましてアイデアを随時述べ、あるいはこの民間の方々とお話をしたり、この施策を進めるようにしておるのでございますが、あくまで公共の精神をもって国民に奉仕する、これが電波法放送法の精神でなければならないという信念と理想を持ってやっている次第でございますので、この点は御了承願いたいと思うのであります。  次に、この国際電気通信連合会議が来年開かれるにつきまして、どういう準備をしておるかというお話でございますが、これは非常に重大な会合でございまして、日本電波スペクトラムにつきまして有利な地位を獲得するように、言いかえますと、電波権益の伸張というようなことにつきまして、絶好のチャンスであろうと私は考えております。これにつきましては、日本電波についての実情を諸外国に、東亜の諸国はもちろん、欧米の諸国にもよく認識してもらうように、いろいろな措置を講じなければなりません。先般私が外国に参りましたのもそれが一つ目的でありました。いろいろなこの日本の国情、この周辺の諸国に対する関係その他日本産業あるいは政府の政治情勢というようなことにつきまして、いろいろな話を各国の当事者にいたしました。相当な認識を得、かつ、日本のこの希望の達成についての協力につきまして、非常に同情のある理解を得たように私は考えておる次第でございます。かようなことを私が四方で申しますために必要な資料を実質的に作るためには、私どもは対策委員会というようなものも作っておりまして、もうすでに一年ほど前から準備を着々進めております。その周波数スペクトラムの活用方法あるいは今国際的に認められておりますところの周波数割当についての改訂の案につきまして日本が述ぶべきことについていろいろ検討を加える。そして来年の国際電気通信連合の会議日本立場を主張し得るように、万遺憾なきを期するように準備を進めておる次第ございます。
  20. 山田節男

    山田節男君 これは申し上げるまでもなく、来年のITUの会議というものが非常に重大であり、しかも、私の了解する上では、九十七国がメンバー国家であるとのことです。今いろいろ多くやってこられたというお話でありますけれども、これはいずれの国際会議においても、一国一票である。そしてそのロビーにおける運動というものが、これが弱小国であっても理事国になる機会を作ります。日本がなぜ理事選挙に負けたかといえば、要するに平生往生でああいうことになった。ですから、これはもう私さっき申し上げましたように、まず国内における電波行政の確立ということ、これを整備しなければ、会議で幾ら言いましても、中はどうなっているかということを必ず向うは見るんです。ですから、先ほど来、大臣に申し上げていることは、今度の来たるべき国際会議において日本が有利な地位を占め、有利な割当を受けようとすれば、国内の整備、これを怠ってはならぬということが第一点、これが今不幸にして抽象的に御議論になって、具体的な案は何ら大臣も持っておらぬ、こういうことをおっしゃる。それからこの国際会議におきましても、やはり日本が強く主張し、その主張を貫徹するために、たとえば東南アジア、あるいはヨーロッパ、アメリカの諸国の理解を得るにしましても、どうしてもやはり一つ国民的な世論というものを背景に持たなければならぬ、それがためには、やはりアメリカあたりは、民間と合同の会議のようなものを作って、その道の専門家あるいはメーカーも入るかもしれない、需要者の代表も入るかもしれない、そういうような人たちが集まつて、少くとも官民一緒になっているというこの体制が、もうアメリカで打ち出しておるわけであります。日本では、今のお話だと、何か対策委員会を作っておる。そういうものじゃなくて、もっと私はこの会議を目当てとして、何年に一ぺんですか、十年に一ぺんですか、しかこないこの会議を、ほんとうに有効にするために、民主的な電波行政を行うためにも、やはり民間と、電波技術審議会とか、電波監理審議会というような、こういう限られたものでなく、もっとこれは私は対外的にいえば、一つの政治的な、国民全体からこれは当っていくんだというような体制を作らなければならない。これは一つのお互いにぶんどりなんです。いわゆる南極で鯨をみんなでオリンピック・ゲームのように、鯨のとりつこをするようなもので、それにはやはりりっぱな船団を持たなければならない、りっぱなキャッチャー・ボートを持たなければならぬのですから、そういう意味で、どうも私はまだ官僚主義的な考えがあって、なに、政府がやればいいんだというような甘い考えが、今日非常に変っておる国際情勢、ことに電波行政は、これはもう各国がぶんどりすることなんですから、今のような体制では、きわめて弱腰である、体制としては、きわめて弱いものであるという感じを私は受けざるを得ない。この点は私は大臣の所信を聞こうと思うんですが、その所信を作らすあなたの立場としては、もう少しがっちりした体制で、そうして来年の国際会議を有利に日本に展開せしむる。これはあなたが毎年何べんも行かれるのはいいんだけれども、その前に国内の体制を整え、また日本が外に対しては、どういう主張をされるんだということを、国民の総意に基くような格好で、民主的に持っていくということが確かに私は力を発揮するゆえんだと思うんです。ですから、今のような対策委員会という名前に私こだわりませんけれども、もっと徹底した、これは政府だけがイニシアチブをとってやるといつうことじゃなくして民間のそういう機器メーカー、あるいは放送業者、あらゆる分野の専門家を網羅して、一種の国民体制を作るようなことをぜひこれはやらなければならぬと思うんですが、どうですか。現状で満足しておられるんですか。
  21. 濱田成徳

    政府委員濱田成徳君) 山田委員の御趣旨には全く御同感でございます。私どもは現在の対策委員で少しも満足しておりません。適当な時期に、なるべく早く国内の各方面の方々に参加していただきまして、十分御意見を承わりまして、日本の国策のようなものとして電波の進め方を考えまして、そうして来年度の会議に対処したい、そういう所存でございます。  それから、ちょっとつけ加えさしていただきますが、先ほど山田委員が、チャンネルプランについての政府考えは少しも固まっておらないじゃないかというふうなお話がございました。このチャンネルプランと申しますのは、あるいは新しい電波の開発についての方針というものは、これを公けに国として決定するということは非常にむずかしい問題であると思うのであります。例をUHFVHFにとってみますのに、UHFチャンネルプランをいかに作るべきかというようなことは、現在のVHF免許しまして、これが日本国中に広がりました今日、どういうふうにこれをUHFチャンネルを作るべきかということは、現在の白黒テレビも、将来の天然色テレビとも関連しまして、非常に慎重にこれを考慮しなければならぬ事情にあります。もう一つは、日本産業UHFに関する装置製造の技術等にも関連しまして、そう簡単にはきめられないということだろうと思います。それから天然色テレビVHFで許可すべきか、UHFで許可すべきかというような問題もあるのでありまして、これは普通の常識と申しますか、一般の通念といたしましては、白黒テレビと天然色テレビのコンヴァーティビリティというか、同時に使える、白黒でもって天然色テレビ放送を見られるというような、コンヴァーティブルを第一の目標にするのがいいというような考えもありまして、これを根本的に考え直しまして、共存というか、コンヴァーティブルでやる必要はないという意見もありますし、アメリカはどうであろうと、イギリスはどうであろうと、日本日本独得の方針を立てて進むべきであろうというような、いろいろな意見もありまして、これにつきましては、私ども決して放任しておるのではありませんで、絶えず各方面意見を聞いて考えを固めつつあるのでありますから、この点は一つ御了承を願いまして、考え方が固まらないのではなくて、技術の理想、技術の信念をここに打ち出して、これをもととして、社会情勢一般の事情あるいは世界情勢等とにらみ合せて、誤まりのない、国民に最もいい方針を立てよう、そういうことで苦心をしておる次第でありますから、何とぞ御了承を願います。
  22. 山田節男

    山田節男君 それは今の濱田局長のおっしゃることはわかるんですが、これは私はあなたに比べれば、全く目に一丁字ないと申してもよいくらい無知でありますけれども、たとえばマイクロ・ウエーブが非常に発達してきた。なぜマイクロ・ウエーブの需要があるかといえば、これは電波行政からいえば、メガサイクルからいえば、そのバンドのトップ部分のUHFでマイクロ・ウエーブが非常によく使える、そこにマイクロ・ウエーブが発展した理由がある。しかも、先ほど申し上げたように、それをさらにこまかく使うために、オフセット・キャリア、スプリット・チャンネル、あるいはサイド・バンド等、私は日本の訳語はよく知りませんけれども、そういったような、非常に新機軸を出して、そういったものをいかに有効に使うか、そうしてインターフェアしない、ぎりぎりのところまで使えるという機械が非常に発達してきている。そういう非常に積極的に、今まで不可能とされていたことが、今日可能になった、これはやはり電子工学発達したためにこういうことができるということなんです。ですから電子工学というものは、こういうスペクトラムを最大限に、しかも、従来のギャップというものはほとんどない、きわめて微細なギャップでもインターフェアしていないというふうに、スペクトラムが非常に狭くなったということが言える。ですから、その限度というものは、日本技術はおくれておって、アメリカなり、あるいは欧米の進んでいる国から見れば、大体日本は将来どうあるべきかということはこれはアメリカの例をとっても、日本の五年先のことは大体の見当がつくと思うのです。ですから、その限りにおいては、今のチャンネルプランが持てないことはないのじゃないか、これからさらに新しく開拓されるものはこれはエックスですからわからぬでしょう。しかし、当面わかっているものだけでも、日本にこれを適用した場合には、まだみんなチャンネルプランとして、今まで不可能視された点が可能であるという点も私はあると思う。ですから、そういったようなものを総合した一つチャンネルプランというものはこれは可能な範囲において究明して技術的にあなたたちが行政官として進言されて、いわゆる浪費しないように、また、あらゆる分野にこれが公平に割り当てられるようにあんばいするというのが、これがあなた方の責務なんです。ですから、そういう意味からいえば、プランが立たないわけがない。しかして、また需要も、今予想もしなかったような方面からそういう需要が起きてきますので、ただマイクロ・ウエーブとか、あるいは放送事業、そういうものにVHFを使っていくという理由がわからない。そこらが、私が何べんも申し上げているように、一方に偏したようなことになるといわゆる国民の絶対の福祉のためということに非常に制約を受けている中から、その点を究明して、一つはっきりしたプランを立ててもらいたい、こういうことを申し上げている。ですからこのことは、私は技術的にはよく知りませんけれども、ポリシーとするならば、私は放送法の第一の建前として、当然これは政府がこれに対する対策を立てるのは、これはもちろんのことじゃないかと思うわけです。ですから、私は重ねて申し上げますが、民間と政府との一体になった、今後の、何と申しますか、それこそ日本電波行政というものをどうするのだ、対外的にはこれは来年のITU会議を控えて、挙国一致という立場をとりませんと、これは何と申しても、日本は国際的実力、地位は四等国なんでありますから、まず国内整備を、どこへ出しても恥かしくないくらいにすることが先決です。願わくば日本は今日非常に混雑しているというようなことも、これは多少のかけ引きとして向うに訴える程度のことは、これはあなた方としてプランを立てなければならぬ。しかし、うそを言えというのじゃなくて、それに準ずる国内の整備というものはこれはやはり私は一日もすみやかに立てるようにすべきじゃないか、私はそういうふうに考えるからあなたに御質問申し上げているのでありますから、そういうふうに思いますというのではなくて、一つ、でき得べくんばここ数カ月以内には必ずそういうものを立てられて、国民一体となってこれに当るという体制を今からこれはお立てにならぬと、悔いを百年に残すというようなことを私は憂えているから、希望をかねて申し上げます。
  23. 濱田成徳

    政府委員濱田成徳君) 今の山田委員の御趣旨はよく了解いたしました。来年の会議に対処しましては、四等国なんということは考えません。できますことならば、電波一等国というものになるというつもりをもっていろいろな準備、対策等を進めたいという覚悟でございます。つきましては、先ほど何回も御注意がありましたチャンネルプラン編成、それから作成等につきましては、実施は別といたしまして、かりのものでもなるべく早くこれを各帯につきまして、すなわち短波あるいはUHF、あるいはマイクロ・ウェーブ、あるいはミリメートルまでも入っていいかと思います。そうして日本立場はかくのごとくであるということを、日本電子電波については熱心に考えている、これが日本の強い希望である、要望であるということを世界に知らしめるように努力をいたしたいと存じます。
  24. 山田節男

    山田節男君 これに関連してもう一つ私は、これは意見も聞きたいのですが、希望を申し上げますが、単に来年の国際会議という問題等のみでなくて、少くとも英国とアメリカ、できれば西ドイツくらい三つ、電波監理局が、これは技術がいいと思いますが、三カ国なら三カ国へ常駐さして、そうして、ことにアメリカ、イギリスの技術進歩、それから電波行政、これはFCCの報告書等を見ればわかるといいますが、きわめて複雑な電波行政、こういうようなものは、これは戦後十年になりますけれども、日本電波行政技術もおくれている、また需要も他の諸国に比べれば、三万局くらいのものですから大したことではない。しかしながら、これは急テンポ日本発達する、必ず向うのテンポに追いついていかなければならないということになれば、私はやはりそういった電波に関して駐在官というものを、何年も長いこと置く必要がない、三年間なら三年間くらい置いておく方が、毎年これを回るよりも私はその情報が的確なものを求められると思う。また対策を立てる上においても、こういう急テンポに変化するものですから、これも置いたらいいのじゃないかと思うのですが、こういうことをかつて考えられたことがあるかどうか、また、そういうことを実現する価値があるというふうな工合に考えておられるかどうか、この点一つお伺いしたい。
  25. 濱田成徳

    政府委員濱田成徳君) 電波行政に関します駐在官を外国に置いたらいかがかというお話につきましては、これは全く同感でございまして、私どももこの実現につきまして実際の予算等を考えたことがございます。電子電波に関します科学技術は、非常に国際的に連絡をとって、早くそれを取り入れなければなりません。そういう意味で、できたならばフランス、西ドイツ、アメリカあるいはイギリス、それくらいにはその電波アタッシェというものを置きたいという非常に強い希望を私どもは持っておるのでありますが、財政上あるいは定員等の関係でなかなか実現しません。今後なるべくさような制度ができますように何分の御援助を賜わりたいと思っておる次第でございます。これができませんために、私どもは一つ案を考えております。それは国際電気通信連合の職員の募集があるのであります。国際電気通信連合というのは、各国から職員を募集しまして、一緒になってやっておる機構であります。これは、電波監理局から現在では二人職員を送りまして、そうしてヨーロッパの動き、世界の動き等について、万遺憾ないように配意するということをやっております。それからアメリカにつきましては、いろいろな名目で留学生を電波監理局から送るようにいたしまして、それが今アメリカの事情を調査し、FCCにある形で駐在させまして、連絡をとるようにさしておりますから、不足ながら、ただいまの御構想については、ある程度の実現はしておるだろうと考えております。
  26. 山田節男

    山田節男君 大臣はお見えにならぬですね、衆議院の委員会があればそちらへ出られなければいけませんか。
  27. 宮田重文

    委員長宮田重文君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  28. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 速記始めて。
  29. 森中守義

    ○森中守義君 資料の提出をお願いしたいと思います。  その一つは、現行法の第五章の「運用上の「通則」、この中の四に、「非常通信」というのがありますね。この非常通信によって、今、郵政省の方ではいわゆる非常通信の体系がどういう工合にとり行われておるのか。できましたならば、いろいろと意見がありますから、その意見の素材になるように、たとえば、九州方面の災害があった、あるいは、海上において漁船が遭難をした、そういう具体的な事象を二、三あげてもらって、委員会の質疑の素材になるような内容を整えてもらいたいと思います。  それから、その次は、例の安全保障条約の三条に基く特例がありますね、電波法の除外例。これによって今米軍が国内に施設をしている無線施設の状態、ことに、使用しているバンドの内容を出してもらいたい。  それから、日中の漁業協定に基いて当然通信の方式についてもあらかたの取りきめが行われておるのじゃなかろうか。ことに、例の緊急やむを得ざる状態の中において、呉淞であるとか、あるいは連山であるとか、あるいは石島であるとか、こういう所に避難しますね。その避難の了解が中共側とできておるその際における波の使用状態、まあおそらく五百KCを使っていると思いますが、そういう避難する際の通信の方式。あるいは、今、例の漁業協定ですったもんだやっておりますけれども、この形というものはもう少し正確なものにする必要があると思われるし、ことに、先般来、郵政大臣は、中共との電波協定を結ぶ、こういうことを国会で言明をしておりますから、そういうことを一歩前進した形で、ぜひこの機会に中共との電波協定を締結したいという質疑を行いたいと思いますから、漁業協定に端を発して中共との電波の取扱いがどういう工合になっておるか、それも具体的に御提出を願いたいと思います。  それから、例の電波技術審議会令による審議会の構成メンバー、二年間の任期になっておるようですが、現在の顔ぶれを具体的に、お年が幾つ、現職、前歴がどうだということを出してもらいたいと思います。  それから、もう一つは、韓国との間には、おそらく電波関係は全く交渉が行われないままに船が拿捕されていったり、そういう状況かと思いますから、韓国との間に何がしかの交渉の中に電波問題が論議をかわされたとするならば、その事実、そういうことを、資料としてはどうかと思いますが、事実は事実として、なけりゃなくてもけっこうですから、後ほどこれは質問としてしますが、そういうことをお願いしたいと思います。  それから、全国の各監視所で、ずっと、たとえば、不法通信であるとか、あるいは混信の状況だとか、こういうものを、監視所では集計をとり、いろいろしていると思います。だから、その内容。ことに混信の状態等について資料の御提出を求めたいと思います。  以上、できるだけ早い機会に資料として御提出を願いたいと思います。
  30. 濱田成徳

    政府委員濱田成徳君) でき得る限り資料等を収集いたしまして、御要望に応じたいと思います。
  31. 山田節男

    山田節男君 先ほど電波監理局長にも質問申し上げたんですが、これに関連して大臣の所信を一つお伺いしたいと思うんですが、第一には、来年の夏にジュネーヴで国際通信連合の会議があるわけです。これについて、アメリカのきわめて万全な準備態勢について今述べて濱田局長の御所信を聞いたんですが、これは、大臣も、郵政大臣という立場からふんどしを締めてもらわにゃいかぬ。と申しますのは、何年前でしたか、ここに新谷君もおられますが、南米のブエノスアイレスで会議があった。日本がこれに初めて参加した。このとき、佐藤榮作君が電気通信大臣だった。日本が必ず理事国にならなきゃならぬ、将来国際電波行政の上において日本が地位を確保するにはこのチャンスを逸しちゃならない、というので、私は強く佐藤電気通信大臣にお願いした。ところが時あたかも解散がありまして、腰が落ちついていないのでそのままになってしまった。そのときは、わざわざ両院の電気通信委員会でもって、ブエノスアイレスに出席するアメリカの国務省の担当の顧問、あるいは、日本の代表として行っておる者に激励電報を打ったりいたしたのですけれども、ついに力足らず、日本が理事国に破れた。こういう苦い経験がある。これは単なる周波数割当をよけいに取ろうとか何とかいう問題じゃなくしまして、今日の日本の電気通信事業の地位からすれば、当然東南アジアにおいてインドあるいはイランなどに負けるような国じゃないと思う。だから、来年度のこのチャンスを逸した場合に、それはまた当分日本としての世界における電波に関する地位というものは確保できない。国連の非常任理事国になった今日、これはどうしても握らなきゃいかぬということは、政府がどの政党が政権をとっていても、このことは私は曲げちゃならないことだと思う。そこで、大臣として、私は先ほど濱田局長にも申し上げたんですけれども、アメリカで言えば、官民一体になった一つ会議に臨むための委員会を作って昨年来きわめて周到な計画を立てておられる。これについては、国内の政治がまず第一、そうして国際会議において国際的なこういう周波数割当その他の問題についても十分に有利に立つということなれば、これはなみなみならぬ努力が要ると思う。それについて、これは郵政大臣として十分の私は腹を作っていただかなくちゃいかぬと思う。田中大臣の後任者がだれであろうとも、あなたは現大臣でありますから、今日において百年に悔いを残さないように私は大臣として当然おやりになるべきものだと思うんですが、これに対するあなたの御所信を承わりたい。
  32. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 来年度行われますジュネーヴの会議につきまして、日本といたしましても、万全の態勢をとらなければいかぬということで、鋭意これが対策に対しては考究中でございます。なお、各方面の人たちの意見を聞かなければならない、これは当然なことでありますので、できるだけ早い機会に官民、学識経験者等を一丸としたこれが対策委員会のごときものを作って万全を期したい、こういう考えでございます。
  33. 山田節男

    山田節男君 これはきわめて紋切り型の御答弁ですが、重ねて申し上げますが、これはもう政府としても重大な私は責任のあることだと思うのです。今、濱田局長の所信を聞いたのですけれども、どうしてもやっぱり大臣一つ腹をきめていただかないといけない。たとえば先ほど申し上げました電波アタッシェを置いたらどうかということは、当然今日あるべきにもかかわらず、要はやはり歴代の大臣というものの腹が据わらぬために、こういうものが無視されてきている。予算でこういうものが実現できないというところに政治の貧困がある。ですから、田中郵政大臣としては、あなたもいろいろなものをてきぱきやっていらっしゃるのですから、こういう根本的な問題をあなたの御在任中に一つ腹をきめておやりになる。それから来年度の会議に対しても、あなた一つ土台を作っておかれるということが、これは私はあなたの大臣としての政治的使命から見ても、非常なこれは価値のあるものだと思う。ですから、単にきまり文句の御答弁でなくて、解散前でも、一つあなたそういう概要を明らかにして、これだけのものを作って選挙に臨むというくらいのことはしていただきたいと私は思うのです。
  34. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私は先ほど申し上、た通り日本における電波そのものの、チャンネルプラン等も、きめるというよりも将来の見通しをつけて 一大整理を行なって、非常に明確なものにしなければならない、ぼつぼつと今までのあるものに、従来のものに積み重ねていくということではいかぬのだという深刻な、また抜本的な問題を考えておる私でございますし、特に電波の世界的の問題を考えますと、来年四月初めから行われるであろうところの各種の会議がございます。これはジュネーヴで行われる電波主管庁会議、全体会議というように分けてやられるわけでありますが、早いものは来年の四月の初めからということであります。特に今年は五月からはモスコーにおけるカラー・テレビの会合がございますし、そういう意味では、少くとも一年間くらい十分慎重に審議ができるような期間を置き、態勢を整えなければいかぬ、こういうことは考えておるわけでございます。現在までは郵政省の内部でやっておりますが、もうすでに民間人も参加していただいて、当然これが機構を拡大して、もっと万全なものにしなければいかぬ、こういう基本的な考え方でございます。まあできれば、四月でございますから今月中にもこれが拡大委員会を設置できるようにいたしたいと、こういう考えでございます。
  35. 山田節男

    山田節男君 それからもう一つ。来月アジアの放送会議が行われる、第二回の。これは私は、かねて東南アジア諸国の放送会議は必ずやれと、こういうことを私は申しました。昨年第一回は東京で開催されたのであります。そのときに、私ちょっと出席して感じたことは、具体的に言うとインドネシア、どうも共産系かかっているインドネシアが、ジャカルタで第二回の大会をやりたいと言うたのですけれども、どうもジャカルタの方は、共産系だというので、参加した他の諸国もそういうことを言っておりましたが、それは結局東京でまたやる、第二回は東京でやるということになったわけであります。そこで、事電波に関して、放送に関してでありますが、聞くところによると、中共とかソ連というものは、この会議には参加させないということ、これはもう思想上から、イデオロギーから言えば、中共、それからソ連はこれはわれわれ日本の今日の政府として、またわれわれ社会党としても共産主義には同調できない、反対でありますけれども、事放送に関しては、これは私はそんな狭い意見じゃないのです。そういうことを私は現に申したところが、どうもソ連とか、中共をアジア会議に招聘するということは、オブザーバーとして出席させることもどうも政府としては困る、私はおそらく田中大臣がそういうようにおっしゃったのではないかと思うのですが、果してそういうことをあなたおっしゃったのか。またそんな狭い量見で、この地理的にも隣国で、ほとんど隣の国であるソ連や中共の者をオブザーバーにも呼んではいけないというような、そういう狭い量見でこれはいいのかどうか。これはイデオロギーとは全然別の問題です。一体岸内閣の郵政大臣としてそういう狭い量見であっちゃ私はいかぬと思う。あなた反対ですか。
  36. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私はそういうものには反対をしておりません。おりませんばかりでなく、中共、ソ連、北鮮等は電波の交信等もありますので、そういう場合には当然何らかの方法で、もっとお互いの間に話し合いをする機会を作らなければならないという積極論を持っているわけでございます。今度のものに対して、郵政省、特に政府が、中共、ソ連、北鮮等の加入を拒否したようなことは全然ございませんし、そういう事実もまたありません。これはNHK主催で東京で行われたまあ優秀番組の紹介ということで私の方で承諾をしたものでございますが、これは電波行政全般のものではなく、番組を主としてやろうと、こういう会議でございます。まあ、相手もたくさんあることでございますから、中共、ソ連、北鮮というものを入れないということのようでありますが、日本としてはこの番組というものだけにしぼらないで、電波行政周波数の問題、そういうものも一つ大いにこの機会を利用して話し合いたい、こういう考えを持っているのです。先般局長を世界各地に派遣しましたときも、これらの問題も話し合いをして、できるだけ一ついろいろな問題に対して積極的な意見を交換しようじゃないか、アジア地区においての電波の円満のためには、もう少し一つ具体的な問題まで話し合おう、こういうふうな態度をとっているのでありますから、今度の問題に対して政府がソ連や中共を入れてはいかぬとか、そういうことは全然考えておりません。私ども今お聞きして、ソ連、中共、北鮮というものが、日本で行われる会議でありますから、ということでありますかわかりませんが、いずれにしてもどうしてこれに入らぬかなあ、こういうふうにも今考えたのです。こういうふうな機会をとらえてお互いが話し合いをする、できれば協定でも結べるということであれば非常に幸甚だと実は考えているわけであります。しかし、今になってこの問題を考えますと、東南アジア諸国の意向が非常に強いのでありましょう。特に開催地が東南アジアで、ソ連や、中共や、北鮮が自由に出入りできるところではなく、日本に開かれる、こういうことできっとそういうふうになったのじゃないか。私はなぜソ連、中共、北鮮等が入らなかったかの事情はつまびらかにいたしておりません。
  37. 山田節男

    山田節男君 そういたしますと、郵政大臣が、その中共、ソ連がオブザーバーとしても出席することに反対しておられるという事実はないので、ないということは、NHK、主催者の、スポンサーとして主催をする方が遠慮して大臣にはこれを出さないで、反対であろうという見通しのもとに、ソ連、中共をオブザーバーとしても招待しないと、かように解してよろしゅうございますか。
  38. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) NHKはソ連、中共、北鮮等の問題については郵政省には何にも言って参っておらぬそうであります。でありますから、NHKがどういうことでソ連、中共、北鮮を招聘しなかったかは、私の段階ではわかりません。
  39. 山田節男

    山田節男君 それで事情はわかりましたが、これは単なる番組の交換とか、番組の向上というのじゃなくて、技術的の部面も相当論議する委員会を持っておりますし、それから時期も、日本の何といいますか、そういう電気通信産業の貿易面から見ても、これは私は確かに有利な会議だと思う。そうしてまたソ連、中共——北鮮もそうでありましょうが、イデオロギーは別問題として、放送事業ということを中心とすれば、そこまでワクを、NHKが心配して、政府をはばかって、遠慮してそういうことをやられたんじゃないかというように私は大臣答弁で察するのですが、こういうことは非常に卑屈なやり方であって、むしろ進んでやるべきである。御承知のように、今日世界の放送会議というものが、自由国家群と共産群と二つに分れておるのは事実です。でありますけれども、しかし、日本という東アにおける特殊な立場において、最も進んでおる日本としては、そういうことはやはり、イデオロギーにはとらわれないで、放送ということに限ってやるならば、もう進んでオブザーバーくらいは招待してやらすのが来年のためにもいいんだ、来年のITUの会議のためにもいいということが考えられるのです。ですから、もし、これはNHKが自発的にあなたに遠慮してそういう不完全なアジア会議を開くのであるならば、もっと完全なものにしろくらいのアドバイスを私は与えられてしかるべきだと思う。これは、たとえば私一昨年ソ連、中共へ行きまして、モスクワと北京で無線電信電話については周波数、時間を合せればいつでもテストいたします、これは帰って私国際電電会社に言うても、どうも政府がこれは言うことを聞きません。ところが、昨年の春にモスクワと開通し、またことしは北京とも開通するというような工合に、どうも従来、岸あるいは鳩山内閣、吉田内閣としましてもアメリカにあまり遠慮しちゃって、そういうような部面に不必要な遠慮をするという傾向があると思う。ですから、第二回のアジア放送会議においては、むしろ私はそういうアジア全般の地域に開放するという立場が、日本のためにも、外交のためにも私はいいと思います。むしろ大臣は進んで、それだけの思いやりのあるアドバイスを与えることをお願いいたします。  それから、ついでに質問申し上げますが、カラー・テレビジョンの問題ですが、現にNHKに対してはUHFの実験放送をお許しになっておる。それからNTVに対してはVHFのカラー・テレビジョンの実験をやらしておられるのですけれども、過日の本会議における質問でも私ちょっとそれに触れたのですが、どうもカラー・テレビジョンというものを、これは公共放送UHFの実験放送でありますから、これは普遍的な、日本としては普遍的なものになると思いまするが、VHFを使っておるNTVの方を使えば、これはアメリカのカラー・テレビジョンがすぐ使えるわけですね。そういうふうなことから実験用と称して百台カラー・テレビジョンを輸入しよう、こういう猛烈な運動が行われておる。郵政大臣あるいは通産大臣、大蔵大臣等にも行われて、アメリカからVHFのカラー・テレビジョンのセットを輸入する、百台輸入することになった。これは私はきわめて信ずべき方面から聞いておるのですが、そういう事実があるのかないのか、もう一ぺん確かめたい。
  40. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 現在NHKはUHF及びVHF帯の試験免許を許しております。それからNTVに対してはVHFあるいはNTSC方式によって始めておるようでございまして、もうすでに実験免許をやってもいいじゃないかということで、実験免許をしてくれという申請はございますが、現在のところ実験免許をいたすというようなことは郵政省としては考えておりません。  なお、試験免許に伴う撮影機及び受像機の輸入に対しては、私を通さないで業者から直接通産省に対して外貨割当申請をしたようでありますが、それが百台であるかどうであるかはわかりません。その後通産省から私に相談があって、一体郵政省はどういう方針なのかということでありましたので、試験免許であるから、百台も二百台も入れることは必要ないんだから、必要とすれば最小やむを得ざるものをよく調査をして、通産省の考えで入れてもらいたいということを私は端的に答えてございます。でありますから、現在までは輸入は全然決定しておらぬはずでございます。輸入をするとしても、昭和三十三年の上期になると思いますが、これも十台以上になるようなことは全然ございませんから、まあ私の聞き及ぶところでは、三台か五台でいいんじゃないですかと、こういうふうな通産省側の意向でありますから、百台も輸入せられるというようなことは全然ないと信じております。
  41. 山田節男

    山田節男君 これは、今、田中郵政大臣のお言葉を私は信じますが、これも大臣から御報告があったように、カラー・テレビジョンの標準方式の会議が近くモスクワで開かれるのじゃないですか。UHFがいいか、VHFがいいか、あるいはその他の標準方式においてどういうものがいいということになるか、これはわからないのでありますから、その前に現にUHFVHFの実験放送をやらす、これは非常に意義があると思うのですが、聞くところによると、ラジオ東京もカラー・テレビの実験放送免許申請しておる、そういうことを聞くんですが、果してそれが事実であるか。また政府としては、さらにもう一局あるいは二局カラー・テレビの実験放送の試験免許を与える意向があるのかどうか。この点をお伺いしておきたい。
  42. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) ラジオ東京からカラー・テレビの試験免許申請がございます。ございますが、現在慎重に調査中でございますし、——まあ調査中というよりも考慮中でありまして、現在直ちにこれに免許を与えるというようなことはございません。
  43. 山田節男

    山田節男君 どうですか、委員長、私まだ若干ありますけれども、私ばかり質問申し上げて、他の……。
  44. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 ちょっと大臣にお伺いしたいのですが、今度の改正案の百四条の二に「予備免許免許又は許可には、条件又は期限を付することができる。」と書いてございますが、法律論としては、許可または免許に当って、期限、条件を付し得るというのは、これは通説だろうと思いますけれども、その内容いかんによりましては、その条件の内容あるいは期限の付し方等につきまして、重大な影響があるものはむしろ法定すべきだというのが、これは通説だろうと思う。そこで、ここに書いてありますのは、そういう重大な条件ではないと思うのです。しかし、これだけを見ますると、一応はどんな条件でもつけられるというように見えますから、この点は一応大臣から立法の趣旨を明らかにしておいていただいた方がいいのじゃないかと思います。
  45. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 百四条の二には「前項の条件又は期限は、公共の利益を増進し、又は予備免許免許若しくは許可に係る事項の確実な実施を図るため必要最少限度のものに限り、且つ、当該処分を受ける者に不当な義務を課することとならないものでなければならない。」というのでございますから、全く必要最小限度のものであって不当な干渉になるべきものでは絶対にない、またあってはならないということは現に考えておるわけでございます。私はほんとうから言いますと、こういうものは非常に議論の多いものでございますから、法定すべきであります。この百四条の二を法定して、しっかりやってくるというようなことになりますと、先ほど基本論として申し上げましたが、当然近い将来には放送法と同じく電波法というものも、もっとこまかく、もっと広い立場で規定をしなければならない時期が来ると思うのです。そういう意味で必要やむを得ざる限度において、まあ義務的な修正をお願いしたい、改正をお願いしたいというわけでこういうふうに表現したわけです。でありますからこの法律の中で、御承知通り見ようによっては一番大きな問題だろうと思うのです。だから、そういう意味で少くとも付し得る条件、その他に対しては政令できめるとか、もっとはっきりしたもので少くとも言論干渉になったり、不当に拘束をしたり、干渉をしたりというような弊害が絶対に起きないようにしなければならない、こういうように考えております。
  46. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 これは、主管大臣としてのその立法の趣意は、お述べになった通りであると私も了承いたしますが、そういうことになりますと、その条件の中には一般の放送局の免許に当って郵政大臣から、たとえば教育放送をやる局だと、従って教養番組あるいは教育番組を全番組の何%以上でなければならないと、そうでないとそれは教育放送とは認めないのだというようなことをどこかできめられて、そうしてそれを条件としてつけておられるというような例があるようですが、そういったものはこの条件の中に入るのですか、入らぬのですか。
  47. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これは非常にポイントになる問題でありますから明確に申し上げますが、これはもう方針であり、勧告であり、お互いが話し合いによって、まあ今はいろいろな世論もあり、また将来も及ぼす影響が大きいのだから大体この程度のワクをはめようじゃないかということでお互い話し合いでもってやっておりますので、この百四条の二に入る条件ではありませんから、だからこの法律案が施行になってもさかのぼって法律の適用を受けるというようなことも全然ございませんし、そういうことを考えておりません。でありますから、あくまで今まで予備免許を与えたものに対していろいろな条件らしいものがついておりますが、これは自発的な立場申請者がつけてきたといってもこちらと話し合いでつけたものでございますから、こういうものは全然この条文とは別に考えておりますので適用をせられないということを申し上げます。
  48. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 そういたしますと、よく聞くのですが、アマチュア無線なんかについてはいろいろこまかい規定をしなければならぬというような問題もあり、技術的な問題もあるので、まあ条件をつけたりすることがあるということですが、一般放送事業者なんかのやる放送局、そういったものについては今世間一般には条件だというふうに考えられておりますが、これはその法律に言う条件ではなくして、ああいう放送局についてはその期限がついておりますね、期限だけで条件というものは、法律の上で書いてあるような条件はつけてないということで了解してよろしゅうございますか。
  49. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 法律上の条件ではございません。ございませんが、これはもう行政措置をする場合にはこういう問題は別にありますが、これは通産省の外貨の割当なんかの例を見ますと、非常にこまかいところまで法律で規定しておらないものでも、やはり社会の公安、安寧、秩序を害してはならないとか、いろいろな立場から何人も首肯するものに対して条件を付しております。しかし、私の方はそうそれと平仄を合せるような立場で、また意味で条件を付したのではございません。しかし、放送の持つ非常に大きな影響を考えてお互いが放送業者法律で規制をせられなくてもこの程度のことはやれますと、また競願者がたくさんあるのでそんな条件をつけても私どもの方でやりたいという人があるのだから、あなたの方でもってそのやれる範囲において一つ条件らしきものを出してもらいたいということで、お互いが合意の上でやったのでありますが、これを守られなかったからといって法律に規制がございませんので処分もできませんし、特に三年後の更新という場合にもこういう適格条件にはまらないものは再免許をしないというような法律根拠がありませんから、全くお互いが誠意をもって合意の上でもって運営をしていくということ以外には法律的拘束力はございません。
  50. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 今の最後の話ですが、再免許に当っても、たとえば今話し合いをしたと、話し合いでもってある程度の教養番組、教育番組の時間について約束をしておる。しかし、その約束を全然守らなかったというような場合には、それが次の再免許、更新の場合に何らの影響も与えないというような話でありますが、今そういうふうに聞いたのですが、それだと免許というものは一体どういう性格のものであるか。つまり、もっと法律的に申し上げると、電波法の七条、八条に免許についての規定があるわけです。これは、お読みになったと思うが、そこで初めに、この電波法を作るときにいろいろ論議になったわけです。当時GHQからもいろいろこれについての示唆があったことも事実でありますが、そこで審議の過程ではこういうことになっておると思うのです。つまり、こういう無線局免許というものについては、大体において主管大臣にいろいろ自由裁量の余地があまりあってはいかない。で、言葉は古いのですが、法規裁量の形で免許を与える。であるから、電波の許す範囲においては、その無線局申請の内容が法律、あるいはそれに基く政令あるいは省令等に、規格に合っておれば電波の、つまり周波数の許す限りは免許を与えて行くべきである、こういう考え方から来ておる。その点がどういうふうに移り変っておるか。ともすると、初めの審議のときにはそういうふうな話し合いというものについては、いかにも免許事業と許可事業と……、従って主管庁が相当の自由裁量の余地があって、これはいかぬ、これはいいというような裁量権を主管庁が持っておるような印象を与えるような行政処分があるのではないか。  そこで、今の大臣の最後にお答えになった内容は、この七条、八条に書いてある無線局に対する免許というものは、一体どういうふうな性格ですか。法律上それは非常に関係があるので、これは明瞭にしておかなければいけないと私は思う。
  51. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 根拠法に明確にございませんから、私の方で条件をつけたといって、結局守られない場合は、これは行政的に処分をするとか、法律的に処分することは不可能であるということを申し上げただけでございますが、不法でなくても、妥当性のない、放送業者として適格性を欠いておるということであれば、再免許のときに考えられるということは、これはもう常識論であって、私の表現がまずかったらそういうふうに訂正しておきます。  しかし、七条、八条の問題は、私もこれは免許をする前から、大臣就任してからこれはずっと読んだのです。この七条、八条というものは、結局狭義に解すべきだという結論に達したのです。広義に解釈しますと、条件が相当つけられるようになっておる。でありますから、そういうふうに広義に解釈すれば百四条の二を新しく新設する必要はない。ところが、御承知通り、これは昭和二十一年のメモランダム・ケースの法律であって、放送法との裏法でもって、しかもメモランダムによるものであったが、非常に長い間かかってようやく二十五年に法定された。こういう結果から見ると、この法律に対するメモの精神というものはいわゆる日本の民主化、官の干渉は絶対に排除すべきであるという考えが先行しておるから、もっぱらこれを貫くものは一切電波の許す範囲内において自動的に与えなければならないという基本原則に立って実施しておる。であるから、七条、八条は全く技術的な呼出符号、工事落成の期限とか、そういう官がどうしてもやらなければならない純技術的なものにしぼっておるというふうに七条、八条を解釈しますので、条件らしいものをつけたが、この七条及び八条による条件ではないのでありますから、根拠法がなくつけた条件であるので法的に拘束力はない、こういうふうに私は明確に答弁をいたしておるわけであります。しかし、二十五年当時ラジオだけであって、しかもNHKだけであったというような状態から、今日電波状態考えてみますと、必ずしも許す範囲内において全部与えなければならないのだ、そしてその放送の番組に干渉してはならないというような問題とは全然別に、あるものは全部進駐軍から返ってきたものでも何でもかんでも全部やらなければならぬというのが今の放送法電波法の精神じゃないかと思うのですが、そういう時代ではないと思う。なぜかというと、二十五年当時とは比較にならない電波の発展状況でありまして、これから五年たったらまさに電波の洪水ということも考えられる、だからこれは放送だけではなく、日本のまたラジオテレビだけに使われるのじゃなく、あらゆる産業面にこれは密着して電波が利用されるということですから、日本における電波というものは総体的にこうやるのだ、この網はこれだ、この網はこれだ、だから動くものは全部動かしてそしてこれらのものは一体どういうふうに、産業に幾ら、ラジオに幾ら、FMに幾らと、こういうふうな、相当やはり政府としても正しい電波運営ということに対してはもっと新しい立場でものを考えなければいかぬと思うのです。そういう立場からいうと、この電波法では不完全なものなんです。でありますが、先ほど山田さんからも御質問があったように、日本電波国際会議との問題、また進駐軍が一体いつ返してよこすか、今までのチャンネルプランを全部変更していってどうしなければならぬかということが最終的に結論が出ておらないときに、こうなるのだからといって電波法を抜本的に改正を行うということは少し時期尚早じゃないかという考えで今日は見送っておるわけでありますが、これはもう七条、八条の問題は、これは政府ができるものじゃありませんが、まさに超党派的な立場国民電波の持つ威力、また電波の持つところの弊害、また電波の持つ各種産業に及ぼす力というものを十分考え出しさえすればいつでも与えるのだというふうな観念ではないので、もう新しい観念を、また定義を作らなければならない時代に遭遇しておる、こういう考えでございます。
  52. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 郵政大臣のお考えは、私どもそれでけっこうだと思うのっですけれども、ただ免許に関するいろいろの意見が巷間にありますので、今の点は明らかにしておいた方がいいと思ったから申したので、要するに電波法を当初制定されたときの観念と変らないという考えで今も動かしておるのだが、しかし、実情が相当変ってきておるわけです。それに応じて法律の適用というものについてはある程度変えていかなければならないという面が生じておるということだと思うのです。それならばそれでけっこうだと思います。  そこで、そちらのさっき最後におっしゃったことで大臣にもう一ぺん確かめておきたいと思いますのは、そういう建前をかりにとるにいたしましても再申請があって更新をする場合、これは私は全然趣旨と矛盾しないと思うのです。たとえばある会社が私の番組はこういうものですと、内容はこうですと、たとえば放送番組の中に教養の時間を五〇%入れますという申請をして、これはまああとから話し合いをして、それは五〇%がいいとか四五%がいいとか、内容はこうだとかというような話し合いをして、じゃそうしましょうということで、最後に申請出し免許が与えられたとしますと、そうすると申請に書いてあることと違っているのですね、二年間の実績というものが。結局私は、それは虚偽の申請をしたことになると思う。それに対して虚偽の申請をしたからといって、罰則はないにしましても、それがさらに更新を求めてきた場合には、郵政大臣としては当然考えなければならぬ問題じゃないかと思う。私はその更新に当っても、ただいかにもそれは法律上の条件ではないとか、法律上何も拘束がないのだ、だから自動的に更新をしなければならないのだというようなことをおっしゃったように思いますが、私はそうじゃないと思う。更新に当って、過去の申請というものが、結局虚偽の申請だった、それが実行できなかった、あるいはそれが故意であったかどうかは、それはまた別でございましょうが、ともかく結果としてはうその申請をしたということになるのですね。そういった、あなた方は公共の利益のために許可をするという建前になっているのでしょうが、そういう建前から見て、内容がうそであったという場合には、更新の場合には当然私は考え直す責任があると思うのですが、その点どうですか。
  53. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) それはその通りであります。これは先ほど申し上げました通り昭和二十五年当時作られた非常に自由裁量を禁じておる法規裁量ということでもってできるだけしぼって郵政省や官が干渉できないように、また自動的に免許しなければならないということで貫かれておりますが、そういう思想の中で作られて、またそういう体系でずっとこの法律ができているにもかかわらず、罰則は相当激しいのです。これはなぜかといいますと、一つ法律命令に従わざる場合に三カ月の期限を付して免許を停止をしなければならぬ、停止をすることができる、また停止に従わざるときは免許を取り消すことができる、もう一つその免許業者の持つ一つの局が悪いことをした場合には、その免許業者の持つ他の局の免許の取り消しができる、NHKが、法律命令に従わざるどこかの局があった場合、NHK全部の局を取り消すことができる、こういう強い規制があるのです。なお、その上に三カ年ごとに免許は更新しなければならないと書いてありますから、これは当然電波の持つ、いかにこの法律の自由性を貫こうとしても最小やむを得ざる限度としてその国家公益に、公共の利益に反するような放送業者としての適格性を欠くような場合には当然失効するのだと、こういうふうに書いてございます。でありますから、私もその意味においては更新の場合は、更新は自動的にしなければならぬのではなく、新しく再免許をする、新しく免許を行うと同じような立場で法に規制されておりますから、やはり自分たちが出したものを守らないという場合には、相当再免許の場合考慮をしなければならない、これは予備免許に当って業者からこういう質問がありましたから念のために申し上げておきますが、法律に規定がないものを私たちは書いて確認書をもらったが守らない、その場合にどうですか、放送局はできているし、すっかり機械もあるから、国家が保障してくれない以上再免許に自動的になるのですか、こういったので、私はそれは国民が納得する状態であって、あなた方が、郵政省に提出したとはいいながら、郵政省が求め、君たちが提出をしたものであれば、これは国民も認めるし、何ら問題にはならぬと思うが、これは常識論をはずれた者に対しては再免許が自動的にいくとは思わないのだということを私は明確に話しをしております。それじゃ守らなければいかぬですな、こういうことでありますので、現在のところはおおむね守られておる。十も十五もある中でたった一つつ守らなかった、また守れないところの条件もあった、それが公共の福祉を阻害しない、また電波法放送法の精神にも反しないというような場合には、これは当然考えてやってもいいのではないかという程度に考えているのであって、いかに法律になくても、申請者が自発的に出したものに対しては守ってもらわなければいかぬという態度をとっております。
  54. 森中守義

    ○森中守義君 今の新谷委員の条件という問題ですがね、これは私が先般条件か基準かということで質問出して、それで一応の答弁は出ておりますが、率直に申し上げれば、あのときあまり明瞭でないのですよ、大臣答弁が。私は明瞭でないままにある程度了承したような格好になっていますが、これは今度のFMもあろうし、さらに将来の問題がありますから、条件ということはよほど明確にしておかないと、いろいろ今後の郵政省の取扱いの上で疎漏を来たすと困ると思いますから、あらためてもう一回私は明確に大臣意見をただしておきたいと思います。それで、私がこの前申し上げた要旨というものは、形式だけであるならば基準ではない、こういう質問をいたしております。つまり、形式とは実態が十二分に整っていて、それであらためて条件となり得る。しかるに実際の取扱いの上においては、大臣の方から実はその実態の完全な把握まではなかなか困難である、たとえばテレビの混合方式の際に、AとBの会社の内容面までは立ち入れない、こういったような答弁が行われているんです。だから、これがそういうことで、ただ甲と乙と協議して郵政省に確認書をもらいにきたというのならば、なるほど形の上ではその後における異議の申請も何も発生しないだろう、形の上では。しかし、その実態というものは必ずしも郵政省が、条件に当てはまるように、商法あるいは民法に明確に適用しないものがあるのだという一つの実例を私は示したことがあります。それで、今、新谷委員との間にかわされた質問の中からも、どうしても合点がいかないのはやはり条件というものを名実ともに整わしていくには、申請者の実態を調査するまで私は条件のワク内として行政権が及ぶ、そういう解釈も、条件を確実に実行していくことの条件でなければならぬ、こういう工合に思う。その点を、条件とは、会社の実態の調査まで行政権が及ぶという私の解釈なんですが、大臣の方では先刻申し上げましたように、実態に及ばないならば、形式だけであって、それは条件でない、基準だ、こういう私が質問をして、若干盲点が残っておりますから、その点を明確に答弁して下さい。
  55. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 今度免許をいたしたものに対しては、準拠法も明確でありませんし、将来の日本電波業者というものに対しては、放送業者というものに対しては、こうあるべきだという一つ方針であり、基準でありまして、法律に基く条件ではありません。ありませんから、守らない場合いろいろな問題が出てくるわけです。まあ、この電波法改正でもって条件を付すことができるといっても、これは放送業者電波の問題でありますから、これをひっくり返して放送法立場から見ますと、不当な条件をつけてはならないということは、これは当然出てくる問題です。でありますから、条件をつけたから必ず守らせんければいかぬ、しかし、その条件は、電波の利用者、電波を利用して放送を行なったりする人たちが最小やむを得ざる限度において守らなければならない条件に集約しなければならぬということが言われるわけであります。でありますから、今度は大量免許でありますし、確かにあの条件の中では、条件としてはっきりするにはほかの法律で争う余地のあるものがたくさんありますのりで、私の方では、郵政省がつけた条件でもなく、何でもなく、申請者が自発的に出したという形式をとっているわけです。これは、電波当局が説明すれば、自発的に出したんですと、こう言いますでしょうが、私はそんなようなことを予想するわけではありませんが、実際的には競願者の中から免許を与えるものに対しては、申請者の方でもって自発的な形式をとっていろいろなものを入れたわけです。ところが、これは個々のケースによっていろいろ違うものをやったのではなく、郵政省が初めから考えておったもので、一律でもってやっておりますから、どこまで拘束できるかという問題に対しては法律的には非常に弱い立場にあります。しかし先ほど新谷さんから言われた通り、再免許という問題もありますし、少くとも調印した以上は自分の責任において出した誓約書でありますから誓約書であることは間違いないので、この誓約は守ってもらわなければならぬ、こういう厳然たる態度をとっているわけであります。とにかく確認をする場合等は競願者を一つに合せるという場合、ほんとうに合ったのかどうか、条件らしきもの、いわゆる自発的に出した誓約書が実際に行われているかどうかを、各事業単位の個々の中まで入って調べたらいいじゃないかということでありますが、これは理想的にいえばもちろん免許の慎重を期するためにそれは当然でありますが、しかし、それにも限度がありまして、郵政省としては、競願書というものに対しては、少くとも両方から出てきたAとBがあれば、AとBの書類は正しいものである、こういうふうに認定をしております。同時に、この二つのAとBの申請体の代表者はA及びBだ、こういうふうに郵政省は認めておりますから、この諸君らが相互において円満協定がなされて、公式な文書を受け取れば免許をとる確認書を交付しないということにはならないわけであります。でありますから、確認書を交付いたしました、いたしましたが、一、二の例の中には、どうも話し合いしてみたが一方が満足に協定書通りやりそうもないというようなこと、もう一つは、代表者は賛成をしたが、一般の発起人の一部は賛成しておらぬ、こういうようなものがございますが、確認書を渡した放送業者に対しては、少くともできるだけ多数の人に了解を求められるような態勢を整えるようにということを行政指導しておりますので、案外皆さんそれに服しておりますから、理想的なものではないかもわかりませんが、おおむね理想の線で確認書を交付した、こういうふうに言い得ると思います。
  56. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 森中君時間がないので……。
  57. 森中守義

    ○森中守義君 一次、二次のチャンネルプラン、それはそれでいいのですよ。条件をどういう工合につけるかという問題です。それで条件というものは行政上の権限として私は郵政省出している。またそういう権限がなければ出せないはずですからね。だとすれば、この条件というものは単なる形式では私はないと思う。完全に会社の中までも場合によっては踏み込んでいって、実態を十二分に把握をして、条件に満つるかどうかということに当然私は行政権として及ぶのじゃないか、こういうことを言っているのです。常識的にそこまでいかなくても、当事者間の話し合いでできそうだというその気持もわからぬのじゃないが、条件ということの定義というものからすれば、私は当然そこまでいかなければ正しい条件にならぬ。もしそういうことをしなければ、条件じゃなくて基準じゃないかということなんです。これから先もう少しこの条件というものは、的確に実態の把握まで、調査までしてそれでまとまったものでなければ免許を与えない、そういうことはどう考えるかと、こう聞いておるのです。
  58. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 森中さんに言われて、少し調べ足りなかったなと思われるような発言でありますが、私の方としてもあの状態においては、とにかく違法性がないということよりも、妥当性があるかないかという問題ですが、これは私の方でも相当時間をかけたのであります。とにかく十月やってから三月の末に免許しようというのですから……。だから郵政省に少し迷惑をかけないで、お互いもっと早くやればいいのです。それが、両方ともぐずぐず見ておって、最後になれば何とかなるだろう、郵政大臣が仲裁してくれるだろうというようなものもあったわけですね、中には。だから、そういうことで福島等では一社失効いたしました。でありますから、おおむね確認書を交付できるようになったわけです。つけた条件が的確に行われたかどうか、両方から調印して出てきたけれども、実際みんな賛成か、これは法律的には株式会社の代表が出す場合に、これは会社を代表しておりますが、いわゆる発起人として出した場合全部の意見を代表しているかどうか、個々に当って調べたかどうかという問題にもなるわけでありますが、あの当時の状況考えますと、できるだけのことをいたしたというふうにわれわれは考えておるのでございます。  もう一つは、やっぱり法律による条件ではなく、確かに今度の免許につけたものは、前にはつけてなかったのですから、私が就任してからのものは皆つけたのですが、これは法律による条件ではなく、基準であり、方針であり、もっと明確に申し上げますと、申請者が自発的に出した誓約書である。でありますから、この誓約書に書かれておる条項がおおむね満たされたと認定できる場合に、確認書を交付する、また交付をしたということでございます。まあ、そこにいろいろ問題もあるようでありますから、そういう問題については、行政措置をして遺憾なきを期したいと思います。こういう考えでございます。
  59. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 森中君に申し上げますが、衆議院の会議が始まっておりますから、一つこれで終らして下さい。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  60. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 速記を始めて。  それでは、本日の会議は、これにて散会いたします。    午後三時四十二分散会