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1958-04-02 第28回国会 参議院 逓信委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月二日(水曜日)    午前十時三十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     宮田 重文君    理事            手島  栄君            山田 節男君            長谷部ひろ君    委員            黒川 武雄君            新谷寅三郎君            前田佳都男君            横川 信夫君            久保  等君            鈴木  強君            光村 甚助君            森中 守義君            横川 正市君   国務大臣    郵 政 大 臣 田中 角榮君   政府委員    郵政政務次官  最上 英子君    郵政大臣官房文    書課長     上原 一郎君    郵政省監察局長 荒巻伊勢雄君    郵政省電波監理    局長      濱田 成徳君    郵政省経理局長 西村 尚治君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和之君   説明員    郵政大臣官房人    事部長     佐方 信博君    郵政省電波監理    局次長     西崎 太郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○郵政事業運営に関する調査の件  (郵政省職員定員に関する件)  (全逓信労働組合の労働争議等に関  する件) ○電気通信並びに電波に関する調査の  件  (郵政省職員定員等に関する件)   —————————————
  2. 宮田重文

    委員長宮田重文君) ただいまより委員会を開会いたします。  郵政事業運営に関する調査及び電気通信並びに電波に関する調査を議題といたします。
  3. 横川正市

    横川正市君 まず一番最初に、たしか先月初めだったと思うのですが、先月初めに公団住宅促進法が国会を通過しているわけなのです。それで、郵便法関係では、私はおそらく、この差出箱が、四十七条で「郵便差出箱の私設」という項目があって、差出箱は許可によってこれは作ることができるわけなんですが、受取箱を作るということは郵便法の中にはないわけなので、それから郵便規則で見ると、郵便規則では七十三条で、この授受に当っては明確に本人に渡さなければいけないという項目が一項あって、それが現在ずうっと郵便授受についての一つ規則になっているわけなのです。最近は高層建築が非常にたくさんできている現状で、ことに近郊の郵便局事務増加というものは著しいものがありますし、同時に、今度の公団住宅建築様式というのが、一つ入口から入ると、四階とか五階まで入って、一回おりてきて、次の入口からまた四階、五階に上っていくということになるのですね。そこで、これは私は住宅法か、あるいは建築法か、いずれにしても、そういうようなものは郵便法改正して、入口郵便受箱を必ず作らなければいけないという改正をする必要があるのじゃないか、そうでないと、もう近代的じゃないと思うのですよ。実際あそこを四階、五階まで上っていってはおりてくる、また上っていってはおりてくる、まことに非能率的でありますし、あわせて私の聞いたのでは、大体そういうような施設を配達区域として持っている集配人の労力というのは、大へん大きな負担がかかってきている、ことに病気をするとか、あるいは過労でもって休むというような状態が出てきているので、実際上困るのだという話がひんぴんとして起ってきているわけです。住宅建設促進をはかるということと同時に、これはささいなことなんですが、もう大体日本住宅高層建築に変ってくるわけでありますから、その高層建築に変るとあわせて郵便受箱を必ず一階に作る、こういうふうな改正郵便法改正ないしは追加をすべきではないか、こういうふうに思うのでありますが、その点で郵政省として、何らか対策を立てたことがあるかどうか、あるいは、もしあるとすれば、どういう方法でこれを解決しようとしているか、その点を一つ明らかにしていただきたい。
  4. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) お答えいたします。法律郵便受箱を置かなければならないという法規制は今の状態ではむずかしいと思います。これは一軒々々置かなければならないということが、これは郵便を的確に配達するためには当然のことでありますから、これはその意味ではそういうふうな法規制をするということは現在の法体系ではむずかしいと思います。でありますが、現在もうすでに公営住宅等では十階建というようなものも企画をせられておりますし、まあ、今の状態でいきますと十四階建、十五階建ということも近い将来にはございます。もうすでにドイツのハンブルグなどは、ほとんど企画的に十四階建を作っておるということでありますから、そういうふうにもなるわけでありまして、特に廊下及び入口を共用するために、一階ずつでもって遮断されているというふうになりまして、同じ建物の中で何回も下へ行ったり来たりしなければいけない、しかも、エレベーターもないということ、これは労力の上でも非常に大へんでありますので、これは結局、そういう建物管理をする人たち、特に公営住宅等に対しては、郵政省と連絡をしまして、できるだけ自発的に申し合せによって郵便受箱等を作ってくれ、これは普通の会社等ではビルでもって何階まで配達しないでも下に受付箱を置きまして、そこでもって受け取るということで、ビル内は会社配達をするということもありますから、各階までみなあて名人送達するということがないわけでありますから、そういう意味法律改正はむずかしいが、お互いに話し合いをして、より合理的な方法をとる以外にはないと思いますし、また、そういうことは十分考えていい、また考えなければならぬ問題だというふうに考えております。
  5. 横川正市

    横川正市君 これは七十五条に「同一建物内又は同一構内に在る者にあてた郵便物は、その建物又は構内管理者事務所又は受付にこれを配達することがある。」ということになっているわけです。この場合は結局ビルで、貸ビルあたり事務所一つ対象とした規則だと思うのです。ところが、今度の公団住宅その他では、五階くらいが大体普通の建物で建てられているわけなんですが、そういうふうな受付であるとか、管理人がいるとかということでなくて、一個々々それぞれ自分で借用しているわけなんですから、そういう意味合いでは、私は今の法律改正ないしは規則改正するということでなしに、話し合いでもってその受箱をつけるというようなことは、これは不可能だと思うのです。ですから、この規則の中の七十五条に類したもので、ヨーロッパあたりずっと旅行すると、全部これは郵便受箱がついているのです。ただ、日本郵便法の中にじかに手に渡さなければいけないということが規則の中にあるものですから、それが配達原則になっているわけです。そこを改正すれば、幾らか予算に追加するかもしれませんけれども、必ず受箱を作るのだ、そういう場合に、というふうに改正することが私は必要なんじゃないか、そうでないと、話し合いだけでは問題は解決しない、こういうふうに思うのです。その点どうですか。
  6. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これは郵便規則七十三条から七十五条まで見ますと、七十三条は「そのあて所にこれを配達」しなければならない、この原則はやはりくずすわけにいかぬと思うのであります。でありますが、ビルを専有しておるところの会社等は、一階の窓口へこれを送達してもよろしい、こういうふうに七十五条で道を開いておりますし、第七十四条では、配達郵便局等窓口でその受取人にこれを交付することができる、配達できなかった場合、こういうことでありまして、実際は五階に上ってみたが、不在であったから窓口で交付する、実際の問題は一階と五階との間で話がついていれば一階に委託をしてくるということも事実上あるでありましょう。でありますが、これは法律があってどうしようというのじゃなくして、欧州各国を私も見て参りましたが、これはもう五階に郵便受けを作っておるのじゃなくて、一階に郵便受を作っておるのが常識であるというふうに、常識がそこまでいっておるので、非常にそれはもうそういう共有建物に対しては当然のことであるということで、げた箱を一階に置いて二階以上はスリッパを使う、とにかく、音のしないものを使うというふうに、社会通念上そうなっておるのですが、これを法律で七十三条を抜本的に改正をして、郵便受を一階につけなければならない、こういうふうには改正できないと思うのです。これは一戸々々単独でありまして、山の上にあるものも一軒であってもしようがない、何戸でも配達しなければならないというふうな原則でありますので、これはやはり話し合いをして、そういうものに対してはなるべく一階につけてくれ、一階につけておっても、本人が私の郵便はここに入れてくれということを意思表示をした場合は、その本人の居住する五階まで持っていかないで、一階の何々所有の郵便受送達するということで一向法律違反にはならないのでありますから、そういうふうに話し合いをして、できるだけ無用な労力を使わないでいいように、もっと合理的な配達制度を作るということ以外にはちょっと考えられないと思うのです。
  7. 横川正市

    横川正市君 これは、たとえば農村なんかを配達しておる人たちは、普通新聞売さばき人配達する新聞の持っておる公共性といいますか、それから切手の張られた新聞公共性というものとでは、法律があるためにまるっきり変って参るわけです、そのために、遠隔の地で採算がとれないから郵便局へ持っていくのだという新聞がとてつもなく大切なものに取り扱われる結果が生まれてくる。これなんかも私は矛盾だと思うのです、実際上取扱いの問題としては。ただ郵便を受けるという側に立ってみると、やはり自分の家へ持ってきてもらいたい。それはもしも自分の家へ持ってきてくれないということになれば、それに対して郵便屋さんに対するきわめてきつい抗議を申し込む、これが大体社会通念の今までのあり方で、郵便局は一里も二里もある所を一人で新聞一通配達するという不合理っをあえて行なっておる。それも公共性という問題に関連してきて文句の言えない郵便法になっておる、こういうところに問題がある。しかし、それを直すにはなかなか問題があろうと思いますが、今、大体東京都内あたりに建っている住宅街配達しておる外勤の人たちのからだのつぶしようというものは、非常に大きいものがあるようです。三人とか四人というのが常に過労で休んでおる。それは何かというと、入口一つで五階まで上っていって、またおりていって、また五階まで上っていって、不在だから窓口へ取りに来て下さいと言うのじゃなくて、不在ならまた翌日配達するとか、二号便配達するということを繰り返して、そういうことがむだというのじゃないのですが、私は、当然現在ある規則ではだめだけれども、この規則に何らかの手を加えることによって、ああいう高層建築入口郵便受箱を必ずつけなければいけないのだ、こういう方法というのはあっていいのじゃないかと思う。それほど手渡ししなければならないという厳重な規定をとどめておく必要はないのじゃないか。一戸をかまえておって、平地の住宅の場合には一戸々々配っていくわけですから、その点は今の規則通りに行うことは問題ないとしても、高層建築の場合には、もう少し私は考えて、郵便局としても相手側に便宜を供給させる、こちらからばかりサービスするのじゃない、こういう考え方で一項、規則改正というものを入れる必要があるのじゃないか。今大臣の言っておるようなことで、話し合いではこれはもう全然解決つかない問題です。ことに五階の人が朝郵便が来ているかいないかわからない、一階へ来てみて来てないから、ああ来てないかといって毎日々々郵便の来る頃に出てみる繁雑を容認してまで、郵便局に便利を供給するということは、現行法では私はできないのじゃないだろうか。ですからそういうことで、ことに高層建築が次から次へと建っておるわけで、そういう建築が出てきておる地域を担当しておる郵便局は、これがもう大きな悩みになってきておるわけですから、そういう意味合いでこの点について、これは唐突とした問題ではなくして相当前からあった問題なんでありますが、きょうちょっと機会がありますので、私の方から強くこれを検討してもらうということで、要望しておきたいと思います。
  8. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 先ほど横川さんが言われました通り信書秘密公共性という意味で、本人送達原則をくずすわけにはいかぬと思うのです。いきませんが、そういう意味郵便法郵便法の一条を改正していろいろなことをするということは多少問題があるようでありますので、信書秘密公共性というものは、これは原則として貫きますが、公営住宅法耐火建築促進法建築基準法というような問題が問題になるわけでありまして、公営住宅法耐火建築促進法などは、私も議員立法として自分で提案をし、自分説明をし、通してもらったものでありますので、こういうものの審議の過程においても考えたこともあります。しかし、自由意思というものを、いわゆる本人送達の義務を国家が負っておるのだ、であるから、自発的な意思に基いてここでわれわれが一定の場所を指定して送達をしてもよろしい、代理人をして受け取らしてもよろしいということがない以上は、法律で規制するわけにはいかぬというような問題もあったのであります。これは、公営住宅法やその他高層建築に関する法律等郵便受箱を作ることができるというふうな表現になると思うのですが、作らなければならないというふうに規定できるかどうか、私ももう一ぺん研究いたします。そういうことができるとすれば、そういう現行法律でもってやればいいのですし、そうでなければ別にもう一本法律を作って、この種のものがまだほかにもあるでしょうから、電報とかその他いろいろな問題があるでしょうから、そういう問題に対して第七十四条「受取人不在」というものと同じような、いわゆる別に法律の定めるところにより一定受箱に対して送達することができるというようなことが、きっと両方の法律を合せて、五階まで上らぬでいいというような実際的な問題が処理できると思いますので、この問題は私も一つ研究いたしてみます。
  9. 森中守義

    森中守義君 昨年の定員法の一部を改正する法律案審議の中で、郵政省の新しい定員増加の画定をしていく作業の中でのいわゆる方式といいますか、そういうものについて私は希望を述べておいた。ここに会議録もありますが、この中で、当時の人事部長はすこぶる正確に、そういう希望について新しい年度の定員要求についてはぜひ検討を加えたい、こういう答弁が行われておりますが、ことしの一万一千八百八十二名の要求方式ですね、積算根拠、そういうものを出されるに当って、どういったような方式が採用されておるのか、そのことを最初に承わっておきたいと思います。
  10. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) お答えを申し上げます。定員化さなければならないものに対しては、常勤労務職員及び継続雇用職員、それから臨時的な者と、おもに三つに分けられるわけです。これを全部合せますと約六万人ぐらいになると思います。その中で四万人ないし四万四、五千人は、これは年末に、歳末繁忙時期に全く臨時的に雇い入れる者であります。継続雇用の者と常勤労務者という者が定員化さなければならないというおおむね対象になるわけであります。でありますので、第一次的に常勤労務者、特に当然定員化さなければならない者が、定員ワクからはみ出して常勤労務職員として現在雇用いたしておる者が定員化さなければならないということを原則にし、次に、継続雇用者もできるだけ、事業量が永続的に推定できる場合には、漸次定員化していく、逐次定員化していくという方針を重ねております。その上になお新規事業開始に当って、当然定員を必要とするものは定員として要求をするという建前で定員要求をいたしておるわけであります。
  11. 森中守義

    森中守義君 前段はちょっと私の質問に合っていないのですよ。それは、たとえば常労職員であるとか、あるいは非常勤職員、そういうものの組みかえを主として答えられたようですが、私が言っておるのは、現行定員が二十六万一千一名、これを二十六万三千六百二十九名にしたというその根拠は何か。要するに大蔵省なりあるいは行管に対しては、定員増というのは、非常勤職員や常労職員の組みかえじゃない。よろしゅうございますね。郵政省にはこれだけのものが増員されなければならないという根拠があって、それが確認をされた上で、それではどういうような方法で組みかえをしていく、こういう順序だろうと思います。だから、最初に聞いたのはそれを意味しておる。つまり二千三百二十八名の増員を必要とした、その増員根拠は何によっているか。それを昨年私が内閣委員会やこの委員会でお聞きしたときに、算出方法については、地方郵政局段階にいろいろ現場の実情を調査をするとか、そういういろいろな方法があるだろうが、単にうわずみ式のものじゃ困るんじゃないかというような意見を出しておる。もう少し確実な積算根拠をもって、それで増員をはかっていかないと、大蔵省に対しても、結局、ただもうこれだけの数をふやすという理由だけでは話にならぬだろう。ぎりぎり一万一千八十二名でなければならないとする根拠の正確なものを出すべきである、こういうようなことを私は昨年、数は違っておりますが、言っておる。だから、常労職員非常勤職員の組みかえをするという意味でなくて、ことし一万一千八百八十二名の算出に当っての積算根拠は何なのか、こういうことなんです。だから、あとの新規事業の拡張であるとか、そういうのは今の答弁でもいいのですが、要するに一万一千八百八十二名を大蔵省行管に出したところの積算根拠、その積算方式は、昨年私が希望として述べたことを当局の方ではあらかた了承されておる、それはどういうことかと聞いておるのです。
  12. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 御質問と同じ趣旨で答えておるつもりでありますが、一つ分けてお答えしてみましょう。現在定員が不足でありまするので、常勤労務職員を加え、あわせてなお継続雇用者を加えてようやく運営をいたしております。でありますから、当然新しく事業がふえて、定員を必要とするものは定員増要求するのは当然であります。同時に、常勤労務職員はもう当然定員に組みかえなければならないという事実がありますから、この事実はできるだけ早く定員に組みかえなきゃいかねという方針を貫いておるわけであります。継続雇用の者は常勤労務者として当然定員に入れなければならない。それが片づく場合にはそれにプラスをして、できるだけ継続雇用の者も定員化したいという気持でもって貫いておるわけです。ただ、その積算根拠はどうか、こういうことになりますと、これはできるだけ超勤とか、そういうことをやらないで、法律の定むるところによってそのまま正常な勤務をして、必要な定員というもの、これはもう当然要求しなければならぬわけであります。それをすると、きっと一万人くらいでは足らないでしょう、はっきり言うと。でありますが、それはこちらがいかにそう考えてもなかなか、政府全体として予算ワク内、また定員法そのものに対する抜本的なものの考え方に対してもいろいろ今考えをしておる段階でありますから、私たちが言うように一ぺんにこれが理想的なものになるとは考えておらぬわけです。でありますから、逐次法律的にすなおな定員にしなければいかぬ、こういう基本に立ちまして一万一千何百人要求いたしました。なお郵便関係としては四千六百人ばかり要求して、千六十七人しか今度は改訂にならないわけであります。電気通信関係は二千八百人を、一千七百二十二名ばかり定員になったということで、私たちから考えると、まあことしはこの程度でありましたが、これだけで郵便業務の円満な発展ができるものとは思われませんから、いずれにしても、もっと定員の問題については深刻に考え、合理的なものにしなければいけないと考え、鋭意これが実現に努力をいたしておりますという状態であります。
  13. 森中守義

    森中守義君 定員の一万一千八百八十二名の根拠が、組みかえということも考えておる、組みかえですね、常勤あるいは非常勤のものも組みかえの数に入っている。しかし、その前段になるものがあるんじゃないか。もちろん事業経営が非常に困難だから定員が足らない、常労がおったり、非常勤がおったりして、非常に変則的なことは私わかります。わかるけれども、郵政省定員というものが二十六万一千名、それを二十六万三千六百二十九名に変えようという根拠は、それじゃないと思う。ほんとう事業経営が困難であるとか、物増の問題もありますし、そういう積算根拠は組みかえじゃないと思う、根拠になるものものは。だから、一万一千八百八十二名を出したほんとう根拠というものは組みかえも要するに必要だろうけれども、それよりも根本的に定員増をしなければならぬとするその前段のものが何であるかと、こう聞いておるのです。
  14. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これは同じことじゃないんですかな。私はそういうふうに考えておるのです。いずれにしても法律に実際定めておる定員だけでは円満にいかないのです。これは認めます。でありますから、常勤労務者がおるのです。定員外職員がおってようやくまかなっておる、でありますから、当然に定員にならなければならない、常勤職員というものは早急に定員に組みかえなければならない、これが全部組みかえられれば、定員法に定める定員郵政事業は円満にやれるということでありまして、こういう法律外常勤労務者臨時雇用員継続雇用員という名称で使うことは好ましくない、こういうことであるべきじゃないという考えで、全郵政事業は、定員法で定める人員で円満にやれるまで人員を拡大しなければならない、拡大するということがきまると、新しくとるのではなくて、常勤労務者としてすでにとってあるのですから、それを定員に組みかえる、そういうことになると思います。
  15. 森中守義

    森中守義君 ちょっとどうも違うのですよ。つまり郵政省に、郵便あるいは貯金、保険という各部門ごと定員細則基準というのがありますね、この準準を当てはめてみて、なおかつ足りないというものの積み上ったものが定員要求の私は集約であろうと思う。その集約の中にそれじゃ実際人間が何名かとれた際に、常勤労務者を組みかえる、非常勤職員を組みかえる、そういう方法論が出てくるのですね、だから、その一万一千八百八十二名を出したほんとう根拠は何かということなんです。大臣が答えるのとちょっと私違うような気がする。
  16. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 根拠は、現行定員できめられたものでは少な過ぎて円満な郵政事業運営ができない。一万一千名ばかりふやしてもらえば郵政事業の拡大もできるし、非常にうまい、当然そうしなければならぬ、こういうことで要求をしておるわけです。しかし、実際問題になりますと、認められたものは新しく第三者からとるのではなく、もうすでに常労職員としてとっておるものを組みかえるということになるわけです。
  17. 森中守義

    森中守義君 それではっきりしました。だから、一万一千八百八十二名が、これが根拠になっておるので、これが一体どこから出てきたのか、こう聞いておる。積算根拠は何かと言っているのです。
  18. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 先ほども申しました通り事業上、円満な事業運営をするために必要な、ということでありますから、円満なということは、新しい事業をふやすという見通しもありますし、また事業量もふえているということもありますし、どうしても定員をふやしたいという原因は、いろいろな面にございます。だから、積算根拠を明らかにしろということになれば、一万一千八百八十三名がどういうふうにして必要であるかということは、あらためて明らかにしてもよろしいです。
  19. 森中守義

    森中守義君 その明らかにしてもいいというのでなくて、私はそれを聞いておるんです。円満ということは、数字じゃありませんよ。やはり基本的な数字が出てきて一万一千八百八十二名になったのだから、だから一万一千八百八十二名が出た、その出てきた数字の内容はどういうことかと、それはやはり明らかにしてもらわなければ困る。
  20. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) ちょっとお待ち下さい。これは細かいことでありますし、膨大な書類ですから、ちょっと時間をいただいて、事務当局から調査の上申し上げます。
  21. 西村尚治

    政府委員(西村尚治君) お答え申し上げます。根拠は、大体その年の物量の増加工合とか、サービス改善のための施設の増強とか、そういったことが要素になるわけでございますが、項目別に申し上げますと、特別会計につきまして、大体十六項目ばかり掲げております。ここで内訳を申し上げましょうか。それとも資料にして差し上げた方がよろしかったら……。
  22. 森中守義

    森中守義君 資料にして下さい。
  23. 西村尚治

    政府委員(西村尚治君) 大体おもなものを申し上げますと、郵便取扱い業務量の増加に伴う増、鉄道郵便施設の増加に伴う増で何名、保険集金量の増加に伴う増で何名、監察官の増員のため何名、そういったようなことで内訳を出しまして、各項目別に大蔵省要求しているわけでございます。  あとで資料を……、どういたしましょうか、ここで申し上げましょうか。
  24. 森中守義

    森中守義君 それは資料として出していただきましょう。    〔委員長退席、理事手島栄君着席〕  それで問題は、何としても算定の基準があるわけですが、その基準は、その年度々々に末端の機関まで当てはめられていて、それでその結果、こういう数字が出たのか、あるいは単に、物増という話が出ましたが、施設の拡充あたりは、これはもうおのずから出てくるでしょうけれども、物増というものは各局によってそれが違うと思うんです。それを郵便あるいは保険、貯金、共通というように、それぞれの部門ごとに適正な再点検をして、そうして積み上げたものか、あるいは単に統計上の数字として逆算していったものか、その方式を聞かしてもらいたい。
  25. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これはもちろん現業の第一線から積み重ねて参りまして、それに私が幾らか政治的な考え方を加味して要求したわけであります。
  26. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、大体各部門ごとの基準を各局に適合してみて、その積み重ねであるということですか。
  27. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) ただいま申し上げました通り、各局からの要求が全部本省へ上って参りますので、それに私が政治的な、また法律を新しく改正するとか、いろいろな郵政省首脳部として考えなければならない状況を加味いたしまして、おおむね三十三年度はこの程度の要求をしようということで作ったわけでございますから、その第一線からの現業の意向は十分しんしゃくをしてございます。
  28. 森中守義

    森中守義君 それじゃ、この機会にもう一つ監察の方の関係を承わっておきたいと思いますが、設置法の七条に「郵政省の所掌事務の考査をし、及び調査をする」ということが、監察局の所掌事務にあがっておりますね。この考査の中に私は当然、定員が適正に配置されているのか、あるいは現在の配置状態で仕事がうまくいっているかというようなことも当然監察は考査の対象にあぐべきであると思う。またわれわれが聞き及んでいる範囲でも、大体年間の考査の中にはA局、B局ごとに監察をして、一定定員状況を見ておるようですが、これが当然大臣の方に集まってきていると思いますが、監察関係の指示というのか、あるいは調査の結果報告というのか、がこの積算の中にどの程度反映しておりますか。
  29. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 監察は、そういうことを調査をしておるかどうかわかりませんが、私のところに監察から特にそういう報告は届いておりません。しかも、郵政省設置法に捲く監察の業務の中で、明確にやっておる考査というものは、これはそういう定員配置がないかどうかというふうな問題じゃないと思うのです。別に、同じ官庁の中に行政管理庁もありますし、会計検査院もありますし、給与関係には人事院もございますから、そういう立場でもって人員の適正配置その他は考察すべき問題であって、監察は御承知の通り業務犯罪というようなもの、及び違法行為というものを主にして作られたものでありますので、定員配置が監察の業務である、定員配置が適正か、適正を欠いておるかということは、いろいろの過程において考えるし、また調査も行うし、これが一体こういう事件が起きる場合、こういう犯罪が起きる場合に、定員の適正を欠いておるからというようなことは当然考えますが、この法律に基いて監察がそういうものまでやらなければならない、また、やることができるとまでは考えておりません。これはやるとすれば、郵政大臣がやらなければいかぬ、こういうふうに考えます。
  30. 森中守義

    森中守義君 今のはちょっとおかしいのじゃないですか。これは監察局長、見えておりますが、答えてもらいたいですね。それではっきりすると思いますが、私はその「郵政省の所掌事務の考査をし、」ということがありますね、あるいは調査をする、こういうことですからね、定員が適正に配置されておるのか、あるいは現在の配置状態で果して完全であるかどうかというのは、この考査の中に入るべきだ、また実際問題としては、監察はそれをやっておるじゃないですか。それと同時に、設置法が審議される際の会議録その他を見ても、監察の業務というのは、何も非違行為や、あるいは犯罪行為を取締るとか、あるいは摘発するだけが仕事じゃないのだ。いわゆる郵政Gメンというわけで、非常にやかましく論議されたことを記憶しておりますが、その当時の監察局の設置に当っては、当然そういう一般業務についても適正な判断を下していく、こういうことが明確になっておるわけですよ。
  31. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) お答えいたします。私も第七条の三号、四号を今読んでみたのですが、三号には「郵政省の所掌事務の考査をし、及び調査をすること。」、第四号には「郵政省の所掌事務に関する世論を収集し、及び調査し、又は公衆の不服の申出について調査し、及び回答すること。」と書いてありますから、やっては悪いとは書いてありません。でありますから、いろいろな状況も調査をするということはいいと思います。いいと思いますが、これは行政監察という建前で、特に行政管理庁等と一緒になっていろいろなことをやっておりますが、定員配置がこういうことであるので、こういうふうにすべしというようなことは——ちょっとお待ち下さい。そういうことも現在調べているそうであります。
  32. 森中守義

    森中守義君 私が監察の問題を特に指摘したのは、監察では例の定員資料を作っております。その中に定員のことを明確にあげている。それで欠員を補充しなければならぬとか、さらに根本的に非常に無理をしている、あと一、二名増員しなければならぬ、こういう事項がある。しかるに、監察はそういうものを指摘して、郵政省の方に勧告なり、あるいは指示をしたが、その跡始末は完全でないのだ、こう言っている。だから、少くともそういう定員関係に対する監察の指示、指摘、勧告ということは、こういう際には最も大きな資料として、要素として、私は採用さるべきが至当であると思うが、それはどうなのか、こう聞いているが、今の大臣答弁では、残念ながら、定員算出積算根拠にはそういうものがあまり反映していないということがわかりました。
  33. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 前の私の申し上げたことは、間違いがあるようでありますから取り消します。監察ではそういう報告をしておりますし、また定員算出の基準として監察の意見は十分くみ入れてあるそうであります。
  34. 森中守義

    森中守義君 もつう一つ聞きます。定員算出の基準は各部門ごとに持っている。これは相当長期にわたって現在のものが適用されるようですが、これはいつ現在のものであり、今なお、この基準というものは現在の事業運営上に必要であると思っておりますか。
  35. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 基準は百年一日のごときものではない。御承知の通りいろいろな問題を団体交渉できめております。特に昨年末等は勤務状況その他に対しては大幅な団体交渉上の改正がございましたので、そういうものを基本に随時新しい尺度をもって定員化していく、こういう態度をとっているわけであります。
  36. 森中守義

    森中守義君 そういうことになりますと、先刻の答弁で明らかになったのは、一万一千八百八十二名の算出根拠というものは、郵政省の各機関ごとに、その各部門ごとの基準を当てはめた結果の数である、こういう工合に認識していいですね。
  37. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) そういう認識をしていただいてけっこうです。
  38. 森中守義

    森中守義君 間違いありませんか。
  39. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 間違いありません。
  40. 森中守義

    森中守義君 これは実際そういうような状態で行われたかどうかは、もう少し検討を加えたいと思います。しかし今大臣が、そういう基準によって出たということであるから、この場として了承いたしておきます。そこで、一万一千八百八十二名の要求に対して、ぐっとこれは話にならぬくらい下っている。そしてほんとうに純増というものは、明らかにこれは郵便関係の一千六十七名、これは常労職員の組みかえ、非常勤職員の組みかえ、そういう実数上の処理は別問題として、数的な郵政省ほんとうの純増員というものは一千六十七名ということになっております。それには間違いありませんか。
  41. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 一千六十七名だけではありません。郵便関係で一千六十七名、それから電気通信関係の千七百七十二名、それに非常勤職員は百何十名定員化しております。その他になお郵便局新設に伴うものが四百名おります。なお事業が減ったために、そのままの人員を電電公社に返したのは六百四名、でありますから、数字の上では二千六百十五名だけがふえたということになっておりますが、六百名ばかり電電公社に行っておりますから、それをフラスして二千三、四百名ふえた、こういうふうに言えるわけであります。
  42. 森中守義

    森中守義君 それは明らかにわかっております。しかし、私が言っているのは、増局が二百あった、委託業務が拡張された、あるいは設置法の改正によって十五名ふえる、あるいは定員外職員定員化、こういうものはある程度事務的なのですよ。事業拡張その他というものは純増にならない。だから、純然たる物量増加に伴う定員増加というものは郵便関係だけの一千六十七名じゃないか、つまり保険も貯金も、その他も全然ふえておりませんから、純増というものは一千六十七名じゃないか、こう言っている。
  43. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 郵便関係は御承知の通り一千六十七名でありますが、電気通信関係が千七百三十二名ありますから、郵政省全部としてはあなたの言われる二千六百十五名以上ふえた、こういうことになります。
  44. 森中守義

    森中守義君 そこにちょっと違いがある。結局事業を拡張するという場合には、当然これはふやさなければならない、だから、義務的の増員でしょう。だから、ほんとう郵政省事業経営上困難であるとして増員したのは、郵便関係の一千六十七名限りではないのか、こう聞いているのです。
  45. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 郵便関係は千六十七名であります。電気通信関係は千七日二十二名であります。これは全部新設のために千七百二十二名ふえたというのではなくて、これは業務上必要にしてどうしても定員化さなくてはならぬというものもこの中に相当入っておりますので、これを千六十七名入ったものが事業量をふやさないでそのまま合理的な運営をするために必要なものとして定員化される、こういうふうに考えております。
  46. 森中守義

    森中守義君 それではその郵便関係だけを見て一千六十七名で完全にやっていけますか。
  47. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 合理的じゃありません。合理的ではありませんし、先ほども申した通り一千六十七名というまりも常勤労務者の中でまだ定員化さなければならぬものもありますし、それから継続雇用として雇用しておる者の中でどうしても定員化さなければいかぬ、こういうものもありますので、三十三年度はやむを得ないにしても、昭和三十四年度以降もっと定員をふやさなければいかね、こういうふうに考えております。
  48. 森中守義

    森中守義君 大蔵省との予算要求の折衝が終了してこの数に落ちついたときにどう思いましたか。
  49. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私はあまり喜ばなかったのです。喜ばなかったのですが、郵政省で全部集まって一体これでどうなんだ、まあほかの省に比べて現在の三十三年度の定員の状況、また過去の定員増加状況から考えれば満足ではないが、まあしようがありませんでしょうと、こういうことでありました。私は事実あまり現業の実態はわかりませんから、こういうものでは困る、初め大体において一万一千名出すときには、私は二万名ぐらい出すというふうに政治的に考えたのです。それで一万一千名というものもこんなものではしょうがないじゃないかという考えを先行させておりましたし、それから初めの案は六、七千名だったかもわからないのです。出したけれども、これは郵政省というものはほとんど全部出したものを認めるということで、非常に今まで円満にいっておるところを、田中大臣になってから政治色があまり強くなると将来困るなどというような意見もあったのですが、いや、もっと上げろということで、先ほども婉曲に申し上げましたが、第一線から積み上げられてきたものに政治的な私の気持を加味いたして要求いたしましたということを申し上げたのは、その間の事情を幾らか申し上げたわけでありまして、しかし私も、四千六百六十七名の要求が千六十七名とはひどいじゃないかという考えは今も持っております。
  50. 森中守義

    森中守義君 それで喜ばぬのはあなただけでなくて皆でしょうが、そういう気持だけでなくて、これだけに激減したものを一体どうやっていくのか、そういうことを聞いておるのです。三十二年度にすでに、十月でしたか、十月に定数非常勤を二千三百名かふやしておりますね、しかも、賃金予算にしても十三億ぐらいのものが二十億になっております。だから、どうも大蔵省と話をするときに、何かしらどうせ削られるものだからそのときはそのときで少し考えよう、つまり弾力条項の発動をするとか、そういうことに若干依存し過ぎるのじゃないですか。
  51. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私は郵政大臣になってからもう八ヵ月になるのですが、少し不勉強で私自身内心じくじたるものがあります。しかし、大ざっぱに考えてみますと、少くとも昭和二十七、八年から三十年当時の定員が多かったとは思いませんから、そうしますと、その当時でさえもまあ一ぱい一ぱいでやっておったのだろう。それから事業量が非常にふえておりますが、事業量のふえ方に対する人員のふえ方を見ますと人員がふえておらない。でありますから、これは不合理じゃないかということは私は先入観として持っておるのです。でありますので、私の考えが一体正しいかどうかというのは事業上の責任者から一つ十分話を煮つめて出してくるようにと、特に組合との話でも、組合がただ闘争を行うような考えだけではなく、実際にほかの現業はこういうふうな状況なのだ、われわれが超勤をやめたら一体どうなるか、まあ超勤を全部やめて収入を減らすということもないので、できればやるのだが、それにも限度があって理想的な形としてはこういうものなんだ、一歩譲ってもこういう点でこれだけはどうしても定員化が必要なんだということは、私も非常に誠意をもって組合の意見を聞いております。そういう意味からいっても、現在の定員でうまくいくとは考えておりません。でありますが、同じような事業場でただ事業量がふえたから定員をよけいにするのだということを言う場合に、すぐ機械化というような問題が出てくるのです。事業量がふえても、電電公社のように首切らなければいかぬと、こういう問題も出てくるので、その間の調整も十分考えなければいかぬ、配置転換ができるのかどうかという問題だから、そういう機械化の問題や、いろいろなものを十分調査して、もうここまで安定してきたら相当長期な見通しを立てて、郵政定員は絶対これだけ必要だという的確な数字を出すようにということを事務当局にも指示いたしてにおるわけでございますので、三十三年度の計上せられた定員法上の定員で万全なものであるとは考えておらないことは先ほども申し上げた通りでございます。
  52. 森中守義

    森中守義君 郵便関係の場合には六大都市内の集配度数の増回、この関係定員要求として三百五十四名ですか、これが出ておりまするが、しかし、結果的にゼロになっておる。しかるに、実際予算に出てきている新規事業というのか、あるいは事業の拡張というのか、こういう面を見れば、大体運送施設の拡充強化、あるいは郵便物の集配機器類の整備充実、こういうことで二億六千九百万円を予算としては計上しておる。これはやはり事業の計画は計画として遂行するというようなことが明確に予算の上で示されておるのです。そうなるとあらかじめ郵政省の方では、六大都市のいわゆるサービスの提供ということで戦前に復元するという意図のもとに三百五十四名出してそれが一名も行われていない。しかも、物増については、先刻大臣も言っておるようにものすごい勢いで上昇しておる。ここに定員事業運営というギャップが、何回も大臣も言われておるように、また私もそのことを主張しておるように、出てくる。これで何か既定経理のやりくりをするとか、あるいは総則十五条を発動して切り回すということをおっしゃるが、しかし、これは国の仕事としては正常な行き方ではないと私は思う。だから先刻も申し上げたように、すでにこの予算が一応閣議で確定を見るのを最後にして、おそらく総則十五条あたりに何か期待をかけさせるような、そういうような気持が郵政省にはあるのではないかと思う。また、こういったような、実際問題として生じておるギャップをどういうような方法で補いをつけていくか、そのことをあわせて少し詳しい説明を願いたいと思います。
  53. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) とにかくサービス向上、配達度数の増回を企図いたしておりますが、今の状況で、今まで私が考えるほど理想的なサービスができないという状態であることはわかります、そういうことも認めます。でありますので、配置転換、それから機械化、合理化、いろいろなものを考えてできるだけ国民に対してはサービスをしなければいけないというふうに考えております。これは大体において、はっきり今ここで申し上げることはどうかと思いますが、申し上げましょう。これは特別会計というものを、特に郵政特別会計そのものにメスを入れなければならない状況になっておると私は思います。思うならば、大臣がやればいいじゃないか、こういう議論になりますが、これはよほど慎重にやらなければならないということで、私は在職中に何らかの道を開かなければならないというので真剣に考えてきたのです。三十三年度の予算案に対してはメスを入れないで弾力条項の発動ということで一応考えておるわけでございますが、私どもはこんなことではいかない、私はここではっきり申し上げますが、大体において郵便料金は安いと思う、特にこれは歴代大臣でいろいろやってもできなかったそうですが、この第三種等は一円の料金で三円も四円もかかっておる、こういう事情であるし、特にその一般会計から借り入れたものは、一応黒字になったら返さなければならない、黒字になる見通しはほとんどないと私は思う。これはきょうの新聞を見て非常に困ったことだと—同感でもあるし、なかなか困ったものだと思いましたのは、世界じゅうで日本の郵政の職員の給料が一番安いのだと、こうきめつけられておりましたが、これは世界で郵便事業はほとんど赤字になっておるのに日本は黒字である、しかも、特別会計で自前でやる、こういう原則を立てておる、ここに確かに問題がある。自前でやるならば値上げをするほかない。NHKの場合と同じ問題である。しかし、郵政事業の持つところの特殊性、公共性というものを強く打ち出すために、一般会計から赤字を補てんするのだという道が確実に開かれておるのかというと、黒字になれば返えすのだ。今まで昭和二十三年に借りた、給与のためにやむを得ず百二十何億も借りたやつがそのまま赤字として残っておるという状態から考えますと、どうしても郵政事業特別会計そのものに対して、抜本的にメスを入れなければいけないと考えるわけであります。でありますから、弾力条項だけで片づけようとは考えておりません。三十三年度は、御承知の通り国会の議決を経た予算の範囲内で、できるだけ国民に対してサービスをしなければいかぬ。サービスをしなければいかぬといっても、しかし、サービスにも限度がありまして、与えるものを与えないでサービスをしようとするのは不可能なことで、これは現在の定員では五回までは運べないというような状況もあるのでありますから、こういう問題もあわせて十分一つ検討をし、また料金改訂がいいのか、それから一般会計からの繰り入れ方式をまだ当分とるべきなのか、しかし、いずれにしても郵便事業は御承知のようにふえておるのでありますので、重要な事業でありますから、政府としては、一般的な民間産業のように人まかせの仕事ではない、政府の責任においてやっておる事業でありますので、政府自身として、より明確な方針を打ち出して、郵政事業の合理化ということを考えなければならないというふうに考えております。
  54. 森中守義

    森中守義君 私が結論的に主張しようと思った点が、今、はしなくも大臣から出ましたので、それではもう少しいろいろ聞いたあとで、そのことを最終的に申し上げたいと思うのです。その前にもう少し聞いておきますが、郵政事業の収入は昨年は四百四十六億、予算としましては。今年は五百五億になっておりますね。昨年の決算によって、四百四十六億の予算は実績としては幾らになっておりますか。
  55. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 今明確な数字は、三月三十一日が締切ってありませんが、五十億ないし五十三億程度の自然増収が出ます。
  56. 森中守義

    森中守義君 それで結局、郵便関係事業拡張というものは、予算書に明示されておるように既定方針通りに進めていく、こういう工合に承知してよろしゅうございますか、定員事情にかかわらず。
  57. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) そう進めて参りたい、こういう考えであります。
  58. 森中守義

    森中守義君 次に、保険関係を少し聞いておきます。保険関係ではこれはもう要求が全く通っていない、ゼロ、実際の人員増としましては。しかるに、実際の事業状態を見てみれば、二十九年の契約件数が二千六百十五万八千、件数としまして。それから定員が一万四千八百六十五名、これに対して二十二年度の契約件数が二千九百九十六万二千件、定員が一万四千八百八十五名で約二十名程度の増加にすぎないわけですよ。しかも、最近の保険の事業は、二十七年から運用が再開されて、公共団体に対する資金の貸付であるとか、あるいは監査業務であるとか、相当大幅に保険事業は拡大を見ております。しかも、今国会で制限額が二十五万円に引き上げになったということで、いろいろと保険事業も複雑な様相を示してきておるようですが、これに対して人間の裏打ちがない。これも予算が通ってしまったあとだから、何とかやりくりをつけるという答弁しかできないと思うのですが、こういうことに対して大蔵省との折衝の過程に、どの程度まで保険事業の実情というものが大蔵省に訴えられておるのか、しかも、大蔵省行管がそういう事情を承知してなおかつ、人をふやさなかったのか、その間の事情を承わっておきたいと思います。
  59. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 二十九年二千六百万件、三十二年度が二千九百万件で、二十名しかふえておらねじゃないかということでありますが、これは機械化が非常に進められた、また進んでいるということで、幾らか配置転換ができる要員がございますし、もう一つは、目標といいますか、目標は三十二年も三十三年も変っておりません。三十二年度通りやろう、こういう考えでございます。  それから実際の定員は四百名要求したのですが、これに対する回答はゼロであります。ゼロでありますが、賃金の面において二百名だけ認められてきておりますので——そういうことをしないで定員にすればいいじゃないかということになりますが、この段階において、すなわち三十三年度予算におきましては、二百名の賃金と配置転換、機械化による冗員をもって充てれば、三十二年度通りの目標は実行できる、こういう考えでございます。
  60. 森中守義

    森中守義君 これもすぐ資料ができなければあとで出してもらってもけっこうですが三十二年度の失効、解約、それから復活、これの件数がわかりますか。
  61. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これは後ほど文書をもってお答え申し上げます。
  62. 森中守義

    森中守義君 それから先刻申し上げた二十五万の制限額の引き上げですね、これでまさか失効がふえるということは考えられません。あるいは解約がふえるということも考えられない。しかし、実際問題として、かなり集金に難渋を来たすのではなかろうかというようなことは想像できるのです。今の岸内閣の失政によりましてね、極度に不況ですから、こういうことがすぐ実際の郵便局の保険の集金には影響をもたらしてくると思う。こういう状況について、郵政省としてはどういう見通しをお持ちであるか。
  63. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 三十二年度の予算を執行して、三十三年度にきのうから入ったわけでありますが、三十二年度で一番悪い時期というのは、やはり去年の八月からことしの三月までぐらいということを見ておったのであります。でありますから、郵便貯金あるいは簡易保険の集金その他に関しては比較的、私たち考えるほどダウンしないで、正常な線をたどっております。三十三年度は、御承知の通り予算審議の過程でも申し上げた通り、三十二年度よりも上昇傾向をたどる、こういうふうな考えを持っておりますので、目標額が三十二年度と同一であるということになると、特別な措置をしなくても円満に集金できるであろう、こういう見通しを立てているわけであります。
  64. 森中守義

    森中守義君 それから運用部資金の貸付ですね、これもまだまだ私は完全な状態における運用状況ではない、これはもちろん考えております。しかし、実際の運用部資金の運用額というものは毎年ふえている、しかも、地方公共団体に対する起債のワクの問題があってみたり、いろいろと運用業務というものは複雑になってきていると思うのです。それで、先ほども申し上げたように実際保険関係定員は、二十九年から三十二年まで二十名しかふえておりませんがね、運用業務に対する差し繰りであるとか、こういうものは一体現実において事業に支障を来たさないように行われておりますか。
  65. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 現在のところは支障を来たさないようにしてやっていけると思います。またやっております。ただ、私はここで一言申し上げておきたいのは、保険の運用の問題でありますが、この運用の範囲を広げたいということを考えているのです。これはまあ両院の委員会の意見が、在来の意見がございますので、皆さんの御意見も拝聴して省も態度をきめなければいかぬと思うのでありますが、いずれにしても特別会計であり、簡保は特に大衆還元ということで、安い金利の面ばかり受け持っているわけです。ですから大衆還元、直接の還元という意味から考えれば、これはまあ地方債四百億まるまるかかえておるというような状況でありますから、これは確かに地方還元になっておりますが、私はこれは少し考え方を変えて、何も保険の金をそのままということだけを考えなくていいじゃないか。これは政府が資金運用部の資金を、もちろん郵便貯金が五割六分も持っておるところの資金運用部の資金もあるのですから、もっと保険特別会計の利回りというものはよくなるようにしてもらわなければ困る、こういう考えを持っておるわけです。まあ六分三厘で回るものが六分四厘、五厘、六厘、七分三厘に回る金融債でも引き受けられるということになれば、これは私としては保険特別会計の運用の将来性というものに対しては非常にまあ楽になるし、その中でもっていろいろまかないができるのじゃないか、明るい将来を作るようにしなければいかぬ、こういうことも先ほど申し上げた郵政特別会計と同じように抜本的な問題を考えております。今度はNHK債の引き受けとか、ここでも申し上げた通り、電電公社の公社債の引き受け等相当程度考えておる、おりますが、これは七分ないし七分二、三厘に回るかもわかりませんが、こういうものを考えるときに、政府があらゆる資金をミックスして均等に責任を負うべきであって、保険だけが大衆還元という美名にとらわれて高率に回るところの金融債も引き受けられないということは、これは間違いじゃないか。これはまあ政府資金や簡保の資金が運用せらるる相手方は、もうこれは国民と密着したものであってみな大衆還元であるというわけで、電源開発とか国有鉄道とかいろいろ、まだまだ別な面で利回りの問題は考えられると思うのでありまして、こういう問題もあわせて今研究中であります。この問題に対しては、簡易生命保険法の改正という問題がありますので、こういう問題も結論が出たら——まだ結論が出るには両委員会の御意見も十分参考にいたしまして、できるだけ早い機会にこれらの問題は片づけたいというふうに考えておるわけであります。
  66. 森中守義

    森中守義君 そこで、保険のことしの定員要求は何名になっておりますか。
  67. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 四百名であります。
  68. 森中守義

    森中守義君 四百名ですか、それはゼロであったわけですか、結果的に。
  69. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 先ほど申し上げた通りゼロであります。
  70. 森中守義

    森中守義君 それで、こういったように各部門ごとに見てみますと、どれもこれもゼロか、ごく僅少であるという結論なんです。だからここで私はきのう、補正予算を組んだらいいじゃないかということを申し上げたのですが、一体こういう状態の中で、なるほど外面的には人間のやることですから、何とかやっていけるでしょうと、こういうこともわからないこともない。しかし、毎年こういうことを二年も三年も四年も繰り返してきているのですよ。もちろん繰り返しておる中にも何とかやってはきておる。しかし、そういうあいまいな状態で私は定員状態をこのまま見過ごしていいのか、区切りをつけないというわけにはいかぬような気がするのですよ。先刻大臣は郵政特別会計について一考を要するというような話があったのでありますが、こういう問題を根本的に解決できるような具体的なことをお考えになっておりますか。
  71. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) このままで続けていってはならない、できるだけ早く片づけなければいかぬということを考えております。でありますが、もう結論は簡単であります。特別会計のあり方、方法そのものにメスを入れなければいかぬ、入れた結論は一般会計から当該年度の赤字は当然繰り入れて年度ごとにもうそれは交付金として繰り入れてしまうのだ、郵政特別会計の特殊性からそういうことをしなければならぬというふうに一つきめますか、もう一つは、郵便料金の値上げということになるわけであります。値上げという問題は、これは大へんな問題でありますが、とにかく近い将来には物価の凹凸是正といいますか、少くとも物価も今平仄が合った物価でないのでありますから、こういうものに対しては当然改訂の時期が来るのです。そういう時期に第一番目に取り上げられる問題は郵便料金だというふうに考えております。しかし、これはもう全般的な物価政策と合せてものを考うべき問題でありますし、その時代になっても郵便料金というものの及ぼす影響というものを考えて、郵便料金は据え置きにするという結論が出るならば、自動的に別の一般会計から繰り入れるというような問題をやるか、もしくはまだ新しい考えがないわけじゃないのです。今まで緊急やむを得ざるものしか建設勘定の借り入れを行なっておりませんが、この借り入れをうんとふやして窓口を整備して、国民貯金の増進をうんとはかって、銀行の向うを張るか、そのものを現在よりもより大幅に郵政特別会計に繰り入れるという道もあります。いろいろな問題がありますが、これは社会情勢その他全般の問題を考慮して、できるだけ早く結論を得なければならぬ、こういう考えでございます。
  72. 森中守義

    森中守義君 それともう一つは、今、会計法上の問題が一つの基本にはなるでしょうが、もっと定員問題だけを考えてみた場合に、今の定員法が問題なんですね、これをどうするかと、こういうことなんです。
  73. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これは非常に的確な御質問でありまして、定員法そのものが確かに私もりっば、体裁は非常にいいんですが、これは実情に合せるのはむずかしい問題だと思います。私は一体戦後の定員法なんというものは、戦後の思想から生まれたメモランダム・ケースに次ぐものだと思うのです。これは形式的には非常にいいんですが、行政を縛ってしまってもう実際弾力というものがほとんどできなくなるという問題が一つあります。それから今の公社のようなものは、もっと弾力条項を発動するか、民間資本をうんと入れてできるだけ自主的にやらせなければならぬと思うのであります。民間企業、自由企業というものを、創意工夫を遺憾なく発揮せしめるような、官業の弊をカバーしてなおプラスにしようということにうんと進んでいくという理想から考えると、少くとも現業庁のようなものに定員をはめるというのは、私は思想的におかしいと思うのです。これは消費面を抑制しなければいかぬ、だから、一般会計等はこれは国民がふえたらふえたものに並行して定員をふやすのはいいんですが、事業量として五〇%も四〇%もふえることもあるというようなものを定員法で縛るということは、これは現実に合せるには非常にむずかしいものでありますので、郵政特別会計のようなものに対する定員法をこれはもうそのまま電電公社が、定員法上の制約はありませんが、予算定員をぴしゃっと押えられているために、非常に困っているということと、情勢はほとんど軌を一にしておるのでありまして、郵政の特殊性から考えても、定員法そのものを非現業の一般会計職員と同様な考え方で適用を受けるということに対しては疑問を持っております。
  74. 森中守義

    森中守義君 疑問が一歩進んで解決の方向にいかなければお話しになりませんしね、私はやはりここ数年来、ことに定員法が設定をされたいきさつですね、あるいは適用されて今日までのおそらくこの定員関係の国会の中における審議というものは大体同じようなことを繰り返してきておると思うのです。来年も同じことになりますよ。要求を出す、ところが、各部門ごと予算定員要求は満されなかった、一体どうするのだというようないたちごっこを何べんも何へん定員法が存在する限りは繰り返していかざるを得ない。これは質問をする方もいいかげんくたびれますし、答える方でも二年も三年も同じことを答えるというのではお話しにならぬ。しかも、私は今の予算の問題に言及していきますと、二面財政だということがいえると思う。表の方ではがちっと縛っておいて裏の方は総則十五条なんというものを作っている。だから、郵政省でも定員算出がぎりぎりのところまで出しておいても、実際それができなければ十五条にたよればいいじゃないか、こういうことにもなる。しかし、結果的には仕事が回らなければ人間を入れなければどうにもしようがないわけですから、そういうあいまいもことした国の予算の執行でなくて、郵政省という特殊な企業官庁であり、事業官庁にはどだい定員法というワクにはめること自体がおかしいという結論が私は出てくるのじゃないかと思う。ただきょう大臣の話を聞いてみて、昨年よりもいささか前進をしたというものに取れたのは、昨年までは定員法の是非についてあまりはっきり政府の方の答えがなかった。そういう意味では今郵政大臣定員は明らかにいかぬというようなことを言明したということは大きな私は前進だろうと思う。それでこういう弾力条項を、総則十五条を発動する、こういうことで事業経営をはかるというのはどう考えてみても変則的であるというようなことに思いをいたすとするならば、この機会に郵政関係だけは定員法をはずせというようなことを大臣一つ勇断をふるってやってみませんか。
  75. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 今定員法をこれはすぐはずすという運動に私が参加するわけにはいきません、法律があるのですから。あるのですし、今まで適用を受けておるのですが、とにかく総則第十五条ですか、弾力条項に頼り過ぎるという点はまぬかれないと思うのです、実際上において。これは郵政当局から言わせますと、定員要求はうるさいほど言っておるのです。ところがどうしても定員が認められない。しかも一般会計のものさしに近いものでやられちゃたまらぬ。しかし実際やられてしまう。そうすればまた弾力条項に頼らざるを得ないんじゃないか、こういう実情であります。でありますから私は少くとも一般の行政事務量のように、年度当初にはかれないのです。今年度はこの程度ふえるだろうといっておりますが、年末などは闘争が行われなかったために相当な増収があった。増収があったから三月三十一日に二億円もようやく出せるようになったのですが、そういうふうに動くのですから、事業の収入は。だからうんとたくさんの物量をかかえて、これが二日に分ければいいんだというようなものではないのです。その日のうちにどうしても配らなければならない。そういうようなものであるために、相当の弾力と幅がなければ実際の事業勘定としてはやれないのであります。でありますから、電電公社も今は定員上の適用は受けなくても、実際予算上縛られておるので、やみでもって人を使う。非常にこういうことは、ただすべきはただすという意味からいうと困ることでありますので、私も定員法からすぐはずすというようなことよりも、郵政事業はもっと一つ合理的に幅の広い運用ができるように措置をしなければならぬ、こういうふうに考えております。
  76. 森中守義

    森中守義君 質問者の方も実際はこれは郵政大臣郵政省に話してもあまり有効な価値はないと思っておる。ちょうどふすま越しにものを言っておるようなものです。しかしそれは、それで内閣委員会でやりますがね。ただ問題なのは、定員法をはめておくのがいいのかどうか。これは私は何も財政法に関係をした郵政特別会計を別に切り離す、こういうような問題と関係はあるけれども、この定員法の問題は別に解決ができると思うのですよ。これはもう定員法の中から一条削ればいいんですからね。郵政省関係はこれを削るんだということになればいいので、ただそう簡単にいくかどうかが問題なのですが、しかしそういう法律上の手続はそうむずかしいことはない。しかも、今まで申し上げたように、何べんもこういうことを繰り返したのではどうしたって話にならないし、要するに定員法をはめておくことがあまり合理的でないということを大臣考える以上は、この機会に私は踏み切ってもいいんじゃないかと思うのですがね。その決意のほどを一つ述べて下さい。
  77. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 今踏み切るというようなことを言い得るだけ自信を持っておりませんので、慎重に、しかも、急速に何らか一つ結論を得るように努力いたします。
  78. 森中守義

    森中守義君 それは今何らかの結論を得るようにということで、あまり当てにしていいものかどうかわかりませんが、一応当てにしながら了承いたしましょう。それでこういう非常に窮屈な状態の中に依然として必要を生じてくるのはいわゆる常労、非常勤職員、こういう変則的なものだろうと思う。そこで昨年あるいは二十二特別国会でも両院の院議がついているように、すみやかにこういう変則的な職員についてはほんとうなら定員に組みかえなくてはならぬと、こういう決議が行われております。これはなぜ定員に組みかえなかったかという基本論になるわけですが、残念ながらこういうものの存在を認める以上ですね、まあこういうものの存在を認めない限り郵政省事業が運行困難であるとしたならば、こういう人たちの処遇についてどうしていくか。そのことを私は少し承わっておきたいと思います。で、給与の面でですね、例の非常勤職員の給与に関する協定というのがありますね、この中で特殊勤務手当、時間外割増賃金あるいは深夜時間外割増賃金、臨時手当、こういうものが支給できることになっておる。非常勤職員ですね。こういう協定された通りのことを支払っておりますか。
  79. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 数字的な事務的なものは事務当局をしてお答えいたさせます。
  80. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) われわれの方としては支払っておるものと思っております。
  81. 森中守義

    森中守義君 支払われておれば問題はありませんが、非常勤職員でですね、今の協定が行われておる。で、しかし実際の賃金が二百三十一円とかあるいは二百五十円とか、これのやりっ放しというような状況があるんじゃないか。
  82. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 非常勤職員につきましては御承知のように協定で最高と最低をきめておるわけですね。それで具体的な人の採用につきましては、個々の郵便局で採用しておるわけであります。だからやりっ放しといいますか、その範囲内で雇える人を採用しておるという形でございます。
  83. 森中守義

    森中守義君 それじゃ一例を郵政省にとりますと、郵政省にも非常勤の人がおると思う、何人か。こういう人たちに、いわゆる協定賃金というもの、さっき申し上げた種類のものですね、こういうものを出しておりますか。
  84. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 当然出しておるものと私は思っております。
  85. 森中守義

    森中守義君 で、くどいようですがね、私どもが聞き及んでいる範囲は日額約二日三十一円であるとか日額二百九十円である。そういうものを休日あるいは祭日を除いた二十五日か二十四日くらいの計算で払っておると聞いておるんですよ。だから結局この協定というものは守られていない。まあ中には守られているところはあるかもわかりません。しかし大かたは非常勤職員の給与に関する協定というものは守られていないというのが実情のように聞いております。
  86. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 私は、その協定で最高と最低がきまっておるわけでありますが、個々の人につきましての金額は協定自身にきまっていない。従って予算上月の間に幾ら雇うという要求がありまして、それに必要な経費をこっちからはじいてやっておる。その経費の範囲内で雇える人を雇っておる、こういうふうに了解しております。
  87. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、結局特殊勤務手当あるいは時間外割増賃金、深夜時間外割増賃金、臨時手当、こういうものは賃金原資によって支出もできるし、出さなくてもよろしいと、そういう柔軟性を持っているわけですか。
  88. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) その人がそういう勤務をした場合はそういう金が出るものだと、こういうふうに思っております。
  89. 森中守義

    森中守義君 そうすると、そういう勤務の態様によってはこの賃金は当然出されておる、間違いなくですね。わかりました。  それから非常勤職員の権利の中でいわゆる国民としての祝日、こういうときには賃金は出ておりませんね。賃金を出さなくてもいいようになっておる。これは私は週休だとか、あるいはそういう法定休暇とは別に当然たとえば短期間であろうと六ヵ月以内であろうと、国民の祝日あたりには有給休暇を付与すべきだと思うのでありますが、この点についてはどうですか。
  90. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) それは私はちょっと的確にしておりませんので、調査いたしまして御報告申し上げます。
  91. 森中守義

    森中守義君 人事部長、これは的確になっている、国民の祝日の休暇はないという工合になっている。それでこれは何としても憲法に保障されている問題でもありますし、官庁の中に勤めている者が、たとえそれが短期の者であっても、国民の祝日くらいは当然私は有給休暇にしても一向差しつかえないのじゃないか。もちろんこれは郵政省独断でできることなんです。大臣の決断一つでこのくらいの処遇の改善をはかってもいいんじゃないですか。
  92. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私もこまかいことはよくわかりませんが、組合との交渉の中に、定員化されている職員が受けているものの半分でもいいから何とか一つみたらどうかという話がありました。私はしかし、これは日給として一日幾らずつということでもって契約に基いて雇用をしているものが、深夜業とか休日勤務とか、そういう場合は休日であるからといって別のものではなく、一般の職員が休日勤務をしたような割増し金的なものをこれは払う、これは今人事部長が話した通り実行しておりますが、日給者というものに対して休日というものが十五日間認められるものが七日でもいいからというのですが、それを認めるということになると、日給者ということでなくて、もう定員化された月給者というふうになるわけでありますから、そこはどうなるのだ。組合はその間の二十五日の間に中に入っている休日に対して、常用労務者に対しては一年間におおむね何日くらいやるということでいいのか。もしくはもうこれは実際定員と同じなんだからそういう意味で竿頭一歩を進めるために、悪くいうと既成事実を作るために、その半分でもいいからよこせというのかどうなんだ、こういうことを私の方で反問したことがあります。これに対しまして組合も明確に答えておらぬのです。もちろんわれわれと同じように定員になるべき人が常用労務者になっているのだから、何とかどうも今のようなへんぱなやり方ではなく、あまねく恩恵を出した方がいいじゃないか、こういうことを言いましたら、一体それは法律上契約でどうなるのだ、こちらがただ与えるということになるのかということで分れているようでありますので、この問題に対しては、人事部長も的確に答えられないようですから、組合との交渉の問題とか、陳情書も出ておりますので、調べてからお答えをいたします。
  93. 森中守義

    森中守義君 答弁が非常に広範にわたっておりますから、ちょっと私もいろいろ質問をやり直さなくちゃいかぬのだけれども、今までずっと各部間ごとに定員の状況をみてきて、結局累卵の危機にある、危ない。しかるがゆえにこういう人たちが存在をするということが必然的に成り立つわけですね。だとするならば、何も常労職員非常勤職員というのは、郵政省が恩恵的に雇用しているものではない。必要欠くべからざるものだということから判断していけば、むしろこれは積極的に今大臣が言われたような一般の本職員と変らないように、いろいろと郵政省独自でできる範囲内においては、より積極的にやるべきものだということを私は主張したいのですよ。それで今ここでは一つ私が申し土けた国民の祝日の休暇は付与されておりません。実際問題として役所が休みですから出勤もしないでしょうが、しかしこの日は有給として扱うべきではないか、これは何もむずかしい団体交渉の結果がどうこうということでなくて、大臣の方でそれはよかろうということになるのじゃないですか。
  94. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 気分的にはあなたと同じ気持なんです。幾らか出せないか、半分くらい出したらいいじゃないか、それでもだめであったら三分の一でもいいじゃないかと言っているのですが、これは法律問題があるのです。だから気分的に出したいからといって出せるものじゃないと思うのです。これは給与一ヵ月、一ヵ月で、いずれにしても非常勤職員であっても一日から月末まで一ヵ月雇用するというような雇用契約をしている場合は、これは休日を有給にするということも可能でありますし、法律的には何ら違法ではない。だけど勤務をした日数に応じて三百円を払うというふうな契約をしておりますと、そのほかに休日有給というのをやる場合には、勤続賞与ということになるか、期末賞与ということになるか、何らか特別な立場でもって契約による支払金プラス・アルファを払わなくちゃいかぬ。これは法律的にどう払えるかという問題があると思う。私も法律家でないからよくわかりませんが、常識的に考えてもそういう問題がある。だから組合としても日給でもってやっているものを月給にしてもらえないか、そうすれば月内における給与は有給として、しかもそれは一年間を通算して定員化されているものの半分でもいいからという議論をやっているのですが、今のままで一日々々の契約ということになりますと、どうしても契約に基いては有給休暇として支払いができないのです、しかし賞与という名目で出せばいいじゃないかという問題がありますので、法律問題等を十分研究しまして、われわれも結論を出そう、こういうふうに考えておるのですから、その間の事情を御了承いただきたい。
  95. 森中守義

    森中守義君 非常に積極的な意見でけっこうです。私はそこまで日給制を月給制に切りかえるということが実現できれば、祝日の問題なんか消えてしまう。これは私ももちろん法律の専門家じゃないから、どういうところに根拠があるか今ここで正確に記憶いたしておりませんが、大体その郵政省独自でできるようになっていると思うのですよ、法律改正をしなくても。だからその点はもう少し研究してみて下さい。それと気分的には同様だということであれば、ここで私は大臣の方から月給制に切りかえる、ないしはそういう努力をごく近々のうちに実を結ぶようにしようという話でもあれば、この定員不足のときに存在している変則的な職員というものに対して、一歩進んだ形で郵政省の処遇改善の大きな前進をみることになると思いますので、その点もう少し正確に、できるだけ実現をはかるならはかるというふうな答えをしておいてくれませんか。
  96. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これはあなたのお気持よくわかるのです。私もそれにプラス・アルファするくらいにそこはわかっているつもりなんですが、公けの立場で法律を無視したようなことは言えませんし、特に月給制という問題はこれは年末等のほんとうに日給でやらなければならないような問題が四万人も五万人もあるのですから、こういう問題との関連もありまして、月給制に常用労務者が全部できるかどうか、これはなかなか法律的にも問題がありますから、私どもで今もあなたが言われたことは十分わかっておりますし、私もわからずやを言っているわけではないのですから、もう少し事務当局ともよく連絡をしたりして、今ちょうど団体交渉にもそういう意見が出ているのですから、これに対しては一つ至急に郵政省の基本的な態度をきめるようにいたしたいと思います。
  97. 森中守義

    森中守義君 私の調査したところによりますと、郵政省に五万六千七百七十七名いるのですね、非常勤を含めてこの中の四万というのは年末時の繁忙関係の要員なんです。だから実際問題としては一万何がしにしかならない。約一万名じゃありません、一万何がしですがね。それでいわゆる定数というわけでもないでしょうが、大体常勤職員が一千八十四名と、それから常勤的な非常勤職員、これが一千八十二名、合計二千百六十六名なんです、ほんとうに真に迫ってくるのは。だから四万とか五万とかいう、大よその人をそうしようとするならば問題があろう。しかし、当然この人たちには予算上の問題もあるし、また、さらには弾力条項の問題もありましょうから、この程度の数としては、月給制に切りかえても、さほど支障を来たさないんじゃないですか。またそういう観点から、五万何千名という数字を相手にして検討していくということでなくて、さしずめ一千八十四名の常労職員、同時に、また常勤的な非常勤職員の二千百六十六名程度を月給制にかえよう。こういう程度のことは、大体郵政大臣の決断でできると思うんですがね。
  98. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 確かに二千名ばかりです。これを早く定員化しよう。どうも今までの状況で、二千名ばかりは、まったく定員化さるべき人なんです。でありますから、定員化されておる人と同じような待遇をしろ、これだけやりますと、それと似通った者はその次におるんです。それをこうしてくると、またその次にもおるんです。もうそれも合せると六万もおる、こういうことになるので、この非常勤職員の問題に対しては、非常に私の方でも、定員化さるべきものを化されないということで、一般公務員と同じような恩恵が得られない、こういうことでは困るというので、今鋭意研究をしておるのでありますから、今すぐここで二千名ばかりだからいいだろう、六万名だから悪かろうとういことに対しては、私は今答弁できない状態にあるんですが、しかし年度はきのうから始まつておるわけです。とにかくこういう小さな問題であって、しかも深刻な問題に対しては、できるだけ早く一つ省の意向をきめようというふうに鋭意やっておるんですから、これは一つまかしておいていただいて、私の方でも、きまったら一つ御報告をするようにいたしてもけっこうです。
  99. 鈴木強

    ○鈴木強君 今度の予算で二千六百二十八人の増員になっておりますね。それで、現在この常勤職員、要するに定員外常勤職員、これはほとんど定員と同じように扱っているらしいですが、その人員は何名おりますか。
  100. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) こまかい数字については間違いがあるかもしれませんが……。
  101. 鈴木強

    ○鈴木強君 人事部長からでけっこうです。
  102. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) それじゃ人事部長からお答えさせます。
  103. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 御質問は、常勤職員は何名かということですか。
  104. 鈴木強

    ○鈴木強君 そうです。
  105. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 今お話のありましたように、常勤職員としましては現在千八十四名おります。それから、その中で正式にいわゆる常労職員と称しております者は四百八十七名であります。
  106. 鈴木強

    ○鈴木強君 この四百八十七名というのは、まあおたくの方の定員のあれを見てみますと本定員の方と、それから要するに常勤非常勤というんですか、身分は一般公務員とほとんど変らない者がおりますね。それと臨時定員外職員、こういうふうに分かれていると思うんです。そこで私の聞いているのは、最初常勤非常勤職員、こういうのが四百八十七名ということで、これは間違いないですか。
  107. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) この定義の仕方もいろいろあると思いますけれども、一応本務者と同じような勤務をしておる、そうして本務者と同じように給与を与えておるという人が四百八十七名であります。
  108. 鈴木強

    ○鈴木強君 そうしますと、ことし二千六百二十八名人がふえるんですが、この四百八十七名おります常勤職員と一応言いましょう、常勤職員の四百八十七名全員を定員化するお考えでありますか。
  109. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) その中で、医療関係でありますとか、百二十四名だけ定員になります。そして残りの人は、予算上、常労職員という目を設けまして正式に常労職員にするわけであります。
  110. 鈴木強

    ○鈴木強君 この点ですが、少くとも一般公務員とほとんど同じ身分を与えるということになりますと、この四百八十七名は、私は一般の定員内の職員とほとんど変らない仕事をしていると思うんです。しかも性質上、当然定員にしなければならない者であるにかかわらず、やはり若干の不当な差別が行われているということですから、どうして百二十四人だけを定員化して、あとの三百何名ですか、残る人たちはそのままにしておくんですか、その基準はどういうところに置いてあるんですか。
  111. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 常労職員を全部定員化するという話もいろいろございましたけれども、結局今年は予算上常労職員になっておる人をまず定員にするという話が進んでおったように聞いております。郵政省の場合には、予算上常労職員というものがなかったわけです。人事院と話をしまして、実際上常労職員の指定をしてきておりましたので、その中で看護婦等、本務者として、すでに定員である人が相当あるわけでありますから、その人たちは勤続年数の長い人を定員にする。残りの人は一応段階を踏みまして、本年は一挙に定員化できませんでしたけれども、予算上の常労職員というもので目にあげようということまで進めておるわけであります。
  112. 鈴木強

    ○鈴木強君 これは大臣一つ考えていただきたいんです。もう予算が通っておりますから、私はここでどうこう言いませんが、いずれにしても四百八十七名という方々は、この委員会でも何回か取り上げておりますし、当然私は定員化すべき人であると思うんです。で、総体的な人員から見ると二千六百二十八名でありますから、これをやっても、なお、おつりがくるというわけですが、そうはいかないので、いろいろ目が違いまして、郵便業務とか、その他いろいろここにあげてあるようですが、しかしこれも定員化しないということは、あまりにも私は問題があるように思うんです。ですからこのくらいのものは、少くとも全員を定員化していくということは、もう最小限度の要求でなければならぬと思うんです。これは今年できなかったようでありますから、ぜひ一つ来年度は全部定員化する、こういう点、一つぜひ御努力を願いたいと思いますが、いかがでございますか。
  113. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 全く御説の通りであります。私もこういう者を定員化さないなんということは非常に困る、こういうことで、私自身も、このくらいのことができなかったことは、全くふがいなかったことだと、こういうふうに考えております。これはもう私は政治的な発言をしておるんじゃなく、毎日々々私たちと一緒に政府委員室におる女子職員ですけれども、これは大学を出ておって何年も非常勤職員である。こんなことでいいのかということを深刻に考えておりますので、来年は特にこの問題を含めて、より以上に定員化をやらなければならぬ、こう考えております。
  114. 森中守義

    森中守義君 この常労職員の一千八十四名ですね、数字はちょっと常労と非常勤に分れておりますが、定数上の常労職員というものは一千八十四名、それから常勤的な非常勤一千八十二名、これは常労、非常勤の区別なく、もちろん仕事の職種も内容もほとんど同じでしょうし、二千百六十六名の合計というものは、同断に扱うことが私は正当な扱いじゃないかと思うんです。これが第一点と、それから、今、鈴木君の方から医療問題の話が出ましたが、二百八名の中の看護婦さん、これを百四名にした、こういうことですが、これは実際の正規な看護婦の資格を持った人ばかりでしょうね二百八名とも。で、それをどうしてこんなに区別をして出したのか。少くとも前二回にわたる両院の院議というものは、そういうものも拘束力を私は持っておると思います。もちろん行管との話の結果にもよるでしょうし、私は内閣委員会でその点少し究明したいと思っておりますが、認識としては、二千百六十六名は、常労あるいは非常勤の区別なく、同様に郵政省としては、これはすみやかに本定員に組みかえる、こういう認識に立つのを正当と考えるんですが、この点大臣どうですか。さっきちょっとお答えはあったようでしたがね。
  115. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) いわゆる常勤労務職員として配置定数されております千八十四名につきましては、今大臣からお話がありましたように、これはもうできるだけ早い機会に定員にもっていきたい。ことしは御承知のように、予算上異動がございませんでしたので、半分は定員にもっていきましたけれども、残りは一応予算上の常労に上げまして、次の機会を待つということにいたしたわけであります。  それから第二番目の常勤非常勤職員千八十二名、気持としては、定員に上げろというお話、前にございましたけれども、内容には実はいろいろなものがありまして、たとえば合宿の寮母でありますとか、それから郵便車の清掃手だとか、業態が非常に違っておりますので、いわゆる常労のように、本務者と同じ業務をやっていない、これだけ特殊な例というものもあるわけであります。従って内容を見まして、これはやはりたびたび問題になっておりますように、国家公務員全体としてこういう業務に直接——まあ郵便、電信、電話、貯金、保険というような直接業務に関係がない、どっちかと言うと間接的な人につきましては、国家公務員全体に対してどこまで扱うかということの問題が研究されているようでありますから、その結論を待ってきめなくちゃならぬのじゃないかというふうに考えます。
  116. 森中守義

    森中守義君 それは佐方人事部長は御存じないでしょうがね。昨年の内閣委員会で、当時の大久保行管長官と岡部さんとの間に話はできているのですよ。で、つまり公務員制度調査会の結論が出た。その答申に基いて話をしている。こういう話なんですね。しかし、それは予算の編成期までには間に合うかどうかわからぬというのが一つの根本だったわけです。それでは間に合わぬとすればどうするかということで、いろいろと論議をかわされた結果、もし予算の編成期までに間に合わなければ、定員の問題だけは切り離す、切り離して始末をつけるということに会議録の中に明瞭になっている。だからそういうことは、もう少し私は郵政省行管とそこまで話を進めていただかないと——まあ何とはなしに制度調査会の結論を待とうということなんですか。それでは今当面している非常勤はどうするかという問題の解決にならぬのです。だから国会の中における審議のコースとしては、ただいまも申し上げたように、その答申に基いて、制度調査会の結論が三十三年度の予算編成期までに間に合わなければ、この問題だけ切り離して始末をつけますということが一つの結論なんですよ。だからその結論を中心にして考えていけば、当然私は二千百六十六名というこういう人たちについては、文句なしに同様に扱うべきであろう、これが第一の問題。  それからもう一つは、まあどういう意味で今言われたのか知らぬが、たとえば寮母というような問題をあげられましたね。しかし郵政省の方で今度医療機関の百四名であるとか、あるいは地図要員の二十名とか、どれもこれも重要な仕事です。しかしことにそういったように重要度を見ていくということになれば何をか言わんやですが、大体の認識としては、あまり職階的なものの見方が強いのじゃないかと思うのですよ、今人事部長の口吻からいけば。寮母さんが何ですか。これはりっぱな仕事ですよ。なければ寮の運営はできませんよ。(「そうそう」呼ぶ者あり)そういうものの考え方が、私は郵政省定員組み入れにはかなり強く作用するのじゃないかと思う。寮母さんを、これをあなた軽く扱うようなことじゃ困りますよ。だからこの中にあげられている電通の業務要員を初め、最後の厚生施設の要員まで、全部一律に郵政省にはなくてならない人であるという、そういう基本的な認識をぜひ私は持ってもらいたいと思う。で、それでなければ、あなた、来年同じようなことを繰り返すことになりますよ。そういう職階に対する認識をもう少し改めてもらいたいと思うのですが、今の制度の問題と、ただいま申し上げた、その職階的なものの見方を、人事部長からもう一つ答えてもらいたいと思う。
  117. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 先ほど別に寮母さんを、何と言いますか、何か意図を持って申し上げた気持は一つもございません。しかし厚生省関係の要員であるとか、それからいろいろな、まあ千差万別というほどのことはございませんが、まあいろいろ勤務態様の違う人を、直接郵便や、電信、電話、貯金、保険に従事すると同じような勤務体系にしばれるかどうかということにつきましては、相当議論があろうと私は思うわけです。それで今の段階におきましては、常労は直ちに定員化いたしますけれども、そのほかの者につきましては、関係方面とも話さなくちゃなりませんでしょうし、ほかとの均衡ということもあろうと思いますので、この分まで一緒に定員に持っていけるかどうかということは、ちょっと結論を出していないということを申し上げたのであります。
  118. 手島栄

    ○理事(手島栄君) ちょっとお話し中ですがね。速記をとめて。    〔速記中止〕
  119. 手島栄

    ○理事(手島栄君) じゃ速記をつけて。
  120. 森中守義

    森中守義君 大臣に、しめくくり的な意味質問をしておきますが、今人事部長の方からいろいろと常労、あるいは非常勤の問題で、一応の意思がわかりました。しかしものの考え方としては、あるいは今までの国会の中における審議の態様としては、常労職員常勤非常勤職員というものは、職種の内容においてもそう大差がない。しかるがゆえに、すみやかにこれは本務者に切りかえるということが大きな筋となって今日に及んでいるわけですよ。そこでそういう観点に立てば、この反別なく処遇の改善をはかるべきであるし、処遇改善の具体的な方法としては、郵政省でも……先刻法律上の問題等が大臣から出てはおりますが、今国会の会期中に、この委員会で、もう一度そのことについてお答えをいただくように、つまり月給制にするか、いなかという問題ですね、これの答弁をもらいたいと思いますが、すみやかに郵政省の態度決定ができますか。
  121. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 事務的な、また技術的な問題も相当あるようでありますが、できるだけすみやかに私の方から御答弁できるように努力はいたします。ただ一言申し上げておきたいのですが、これは私の考え方に対しては非常に森中さんもよくおわかりになっていただいておると思うのですが、私は農村の共済組合法の成立に対しても一般の非現業雇用員さえも全部一律になすべきだというような強い思想を持ってきておりますし、いわゆる郵政省がその現業ということであって、しかも全く一時的な日給者でもって足るという年末繁忙時の全くの臨時的なものを除いては、できるだけ定員化さなければならぬという思想で就任後やってきておるのでありますし、特に法律違反が起らないという場合にはできるだけ差異なくしろということを言ってきておるのですから、そういうものの考え方郵政省がとりまとめつつあるのだということは一つ御了承いただきたいと思います。
  122. 森中守義

    森中守義君 それから先刻来はっきりして参りましたが、結局今度の改訂定員ではどうにもならぬ、具体的にいえば一万一千八百八十二名ですか、というようなことだし、結局弾力条項の発動以外にこの解決の方法はなかろうかということがおよそ見当つくわけです。それで郵政大臣としてはこの年間における予算の執行、定員操作の面では労働強化にならないように、サービス・ダウンにならないように弾力条項の発動を特に気を使ってやってもらえる、そういうことに了承してよろしゅうございますか。
  123. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 全くその通り考えております。
  124. 森中守義

    森中守義君 それからもう一つ、きのう問題にしました電波関係です。これには弾力条項の発動ができない、これをどう始末をつけるか、この問題も今会期中に一応の回答をいただきたいと思います。よろしうございますか。
  125. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) できるだけ御趣旨に沿うように努力をいたします。
  126. 森中守義

    森中守義君 今会期中に電波関係についても態度の表明を求めるということですよ。
  127. 手島栄

    ○理事(手島栄君) 速記とめて。    〔速記中止〕
  128. 手島栄

    ○理事(手島栄君) 速記つけて。
  129. 森中守義

    森中守義君 もう一つで終ります。大体私はこれで郵政大臣に逓信委員会で行うべき質疑はほぼ終了しました。しかし冒頭から非常に不満を表明したわけですが、要するに三十三年度の予算が戦後最悪の予算であるように、郵政省定員も戦後最悪の定員であるということを特に私は苦言を呈しておきたいと思うのです。それと今いろいろと二、三項目にわたって約束した点もありますが、もう少し真剣にこの定員の問題については大臣の方の特段の配慮を求めたいと思います。なおまたこの問題は当然内閣委員会定員法の問題は審議になりますから、その際に内閣委員会でいろいろと申し上げるようにして、今の苦言を特に付け加えて私の質問を終ります。
  130. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 非常に郵政省のためになる御発言でありましてありがたいことであります。私も心から感謝いたしております。ただ最後の一言は、これはまあ見方の相違でありますからやむを得ないのでありますが、戦後最悪の予算であり定員であるということを言われましたが、私は理想的なものではないが相当努力をした手前もありますのでこの程度でしょうがないだろう。しかしこれを土台にして大いに一つ奮起一番をしなければならぬのだということを考えておる私の考えを明確にいたしておきます。
  131. 西崎太郎

    説明員(西崎太郎君) 昨日御要求の資料は、第一点は、無線局は昨年から見てどれほど増加したか、第二点は、定員増加について郵政省予算要求としてどの程度要求したか、大体こういう御趣旨だと思いますが、そのうち第一点につきましては、これは無線局の種別というものが非常に広範にわたっておりますので、合計したものを申し上げますと、昨年の三月三十一日、すなわち三十二年の三月三十一日現在で二万五千十四局でございます。それに対しまして本年の三月三十一日、これは見込でございますが、二万九千二百七十二局、従いまして、その間四千二百五十八局の増でございます。それから来年の三月三十一日、これの見込みといたしまして三万三千七百六十九局、こういう想定をいたしております。この増は四千四百九十七局、こういうふうに想定いたしております。  それから第二点でございますが、定員の状況でございまして、現在合計二千八百九十九名でございまして、そのうち本省、すなわち電波監理局が四百二十六名、それから研究所が三百五十三名、訓練所が二十五名、地方電波監理局が二千九十五名、以上合計三千八百九十九名、これに対しまして、本年度の予算要求としまして要求いたしました数字は、ただいま申し上げました数字に対応して申し上げますと、本省が四百八十一名、五十五名増でございます。それから訓練所は二十五名で、現状通りでございます。それから研究所は三百六十三名、十名増、地方電波監理局が二千二百八十一名で、百八十六名増、以上合計三千百五十名要求したわけでございます。従って、増といたしましては二百五十一名の増員要求したわけでございます。  大体以上でございます。
  132. 鈴木強

    ○鈴木強君 この資料はですね。この委員会の方から要求したのはもっと詳細のものでありますから、これは別に出していただけると思います。とりあえず概括的な数字の御発表をいただいたのでありますが、これを見ましても、昨年来のこの地局の増加というものは相当な数字に上っておりますし、また来年の、これから一年間の想定でありますが、これもやや昨年、今年以上に多くなるというような状況であります。そこで定員を二百五十一名の増を要求したにかかわらず、たった一名もできないという事態に立って、これは一つ、このさっきの郵政省常勤職員ではないですが、こういったものを、一般会計で二十八名ばかりいるようですが、おそらく電波関係にはそういうものがないんじゃないかと私は思う。従って、現状の定員で、とにもかくにも相当激増する事務処理をしていかなければならぬ。また重要な電波監理というようなこともあります。さらにまた予算委員会の問題になりました日中の貿易協定に基いて、いろいろと無線関係のやっかいな問題が出てくると思うんです。そういうことを想定すると、とてもこれでは実際問題としてやれないと思うんです、お話しを聞いてみると。電波法の改正を提案している。なるほど内容を見ると、免許の更新その他事務処理が簡素化されている面もありますが、しかし、もう法案を出しておるのでありまして、これは通るか通らぬかわからぬことでありまして、最悪の事態に立てばこれはとんでもないことになると思うのです。ですから、これは私は大臣ほんとう大蔵省折衝を一生懸命にやって下さったのですが、現状当面する事情からすると、とてもしのべないような気持はしないですか、実際責任をもって現在の電波法上の職務を完全に執行することは私はできないと思う。こういう点をどういうふうにこの一年間対処されていくお考えですか、何か具体的な考え方があったら私はこの際聞いておきたいし、なければまた実際危機に瀕していると思う。今森中さんおっしゃったように、それこそ非常に危機に瀕した電波関係予算であると思うのですが、この点はどうですか、当該の局長が来ておられないようですが……。
  133. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私も電波に関しては先般申し上げた通り、非常にこのままでは困るということでありますし、私が特に三十何局に予備免許も与えておりますし、そういうことをやることによって電波の発達に刺激を与えている責任者でもありますし、非常に困るということで責任を感じております。でありますが、全然やらないということは考えておりません。やはりこの中でもって何とかしていかなければならないというところであります。(「疎漏」だと呼ぶ者あり)疎漏だってどうしてもやらなければならぬということになれば、もう最悪の場合は一割以上にも、    〔理事手島栄君退席、委員長着席〕 二割り近い人員になっておる本省の要員を地方電波局に回して第一線に立たしめるということも考えられます。これは免許事務が非常に多かったということで、そういうことで、本省事務が非常に大きかったと、で、特に行政の上で考えなければならない問題でありますが、三十三年度は一般会計というものはほとんどふやさないという原則を立てましたので、やはりきめられた予算ワク内で最善を期すということを行政の責任者としては考えていかなければならないわけです。できないからほうり出すというわけにはいかないのですから、そういう意味ではこれはやはり公けの立場で仕事をしておるのですから、できる最善の方法をとってやる。その一つとして電波法の改正をしていただいて、一年ごとにやらなければならない検査を三年ごとにやろうとか、また機器類も一つできるだけ改善をして良質なものでやろうとか、そういう合理的なものを考えておるわけです。だから理想的ではないというよりも、電波に関しては非常に今問題がある。私はここですからざっくばらんに申し上げると、この問題に対しては最も強硬にやったんです。やったんですが、電波研究所の新営費というのが一つぶつかっておった。これを一つ一年間延ばせないかという問題があったのですが、これは二千五百万でも幾らでもいいからどうしても付けてくれと、建設省の営繕局予算に組み変えて付けたのですが、こういう問題も一つある。もう一つNHKにも金を出さなければならないという問題もあった。これは最後に三つ四つの問題になって、残して私も折衝したのです。最後に電電公社の三十二年度の最終九十五億、三十億をどうするのかというような問題もひっからまって、あなたの言うだけのことはみんな言ってしまったが、それはそういうわけにはいかないのだ。だから定員法そのものに対してはとにかく政府として根本的にものを考えなければならないのだというような段階に来ているのだから、ことしは一つ何とかがまんしてくれ、そのかわりほかはみんな聞くのだからということで、電電公社の復活をやって、私の方でもって引き受けることにきめて、発表しませんでしたが、そういうことをやったり、いろいろ最終段階に相当私の言うことを全部持ち出して、九九%は通ったが、定員の問題は、もうとにかく電波というものが仕事が非常に急速に発展をしていることはよくわかるのだ、よくわかるし、あなたも民間テレビというものに対して、これだけの大きな免許をしているから、自動的に有名でもいいから、ふやしてくれということはわかるんがが、一般会計を全然ふやさない原則に立っておると、まあ郵政に対しては幾らか見ても、なかなか電波に対しては見れないというような折衝があったわけです。だからまあさっきは森中さんに叱られましたが、(「叱らないよ」と呼ぶ者あり)郵政現業職員の二千六百名も大へんだったんです。千名ばかりふやしたんです。これは初めはなっちょらんというところでもって、私も憤然として午前三時ごろ帰ってしまったような最終段階まで持ち込んだのですが、電波は来年度からはもっぱら電波庁にしなければならぬかというような問題も深刻に考え段階なんだから、ことしはとにかく何とかしてくれと、こういうことになってしまって、私としては、あなたの御質問を受けるよりも、私自身が免許をするときふやさなければならぬ、機構の拡充をしなければならぬ、特に人工衛星等が上ったときでありますから、私は非常にこの問題に気負い立っておったんです。それがゼロになったと、こういうので、全く顔色ない状態でありますが、顔色がないからといってほうり出すわけにいかないので、やっぱりこの立場で、できるだけ一つ努力をして、電波行政の万全を期したい。この苦衷を一つ御存じいただきたい。
  134. 鈴木強

    ○鈴木強君 大臣、僕の言っておる点を誤解しないで下さい。私は済みませんよ。あなたの努力を認めておるから、いろいろな点で。だから私はそういうことでなしに、現実にそれだけあなたが努力をして取ろうとしたものが取れないんでしょう。そうしてみると、あなたのその電波業務の拡充ということに対する、その人員要求もあるでしょうし、また全般的の予算要求もあったんでしょうが、いずれにしても人の面においては非常に僕は危機という状態が現実にあると思う、これは何といったって。ですから、その危機をどう乗り切るかということに対して具体的な案を立てる必要があるでしょう、これは。それで今重大な発言をしたから私は言っておきますが、少くともあなたがこの委員会において、電波監理業務の本省段階人たちが、何か多過ぎるようなことを考えて、場合によったらこれを動員するんだというようなことを言うのはけしからんです。取り消して下さい、その言葉は。それなら現実にあなたが人が多いんだということを認めることになる。そんなばかな話はないと思う。(「おかしいな」と呼ぶ者あり)おかしくないですよ。しかし少くとも僕が言っているのは、今定員算定を聞いてみますと、本省段階でも現在の四百二十六名から五十五名増員しているじゃないですか。だから五十五名なければ本省はやれないんだ、実際。あなたが大蔵省にかけ合ったんじゃないですか。それならば、これは区研究所のように全然ゼロで、二十五名対二十五名でよいということになったら私は話はまた別だと思うのですが、少くとも若干話は違うと思うんだが、人をふやしていかなければ電波行政の大元締めの本省段階における監理事務ができないという段階において、地方に人をやるなどということはもってのほかですよ。そんなことを私は聞いておるんじゃない。もっと具体的に法に基いて、あなたは、その内閣がかわるかどうかしらないが、いずれにしても大臣としてやってきた職責というものは、また懸案事項は、当然あとの大臣に引き継がれるでしょうし、そうであるならば、このことは私は少くとも、いずれ臨時国会も開かれることでしょう。そういう場合に、もう一回これは世論の支持を得られると思うんだ。もうあなたの言うことは正しいんだから、それを大いにあなたは自民党の中において一つ反映して下さい。私たちは大いに賛成します、野党は。そうして次の少くとも臨時国会あたりには、そういう措置をとってこの電波行政の万全を期すという信念を私はここで聞いておきたいんです、非常に今後困難を感じておりますから。そういうことを言っているんですよ。
  135. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 発言が舌足らずで鈴木さんに誤解を生んだことは遺憾であります。私はそういうことを言ったんではない。三千局、四千局もふやしておって、当然検査をしなければならぬところが検査もできないような場合には、一応本省の事務系統を出してもやらなければいかぬということを申したんで、本省の人間が余っているから出すなんということではないんです。私も事務次官も皆手伝ってもやろうという熱意に燃えておるんですから誤解のないようにしていただきたい。今内部に電波の合理化委員会を作っておりまして、少くとも三十三年度はこういう予算で、こういう定員でやっていくから、これで一つ万全を期そうということで、今熱意に燃えてやっておりますから、この電波局部内に作られた合理化委員会の結論も待って、私としては万遺憾なき体制、万遺憾なき体制ができなくても、あらゆる意味において努力をして参りたい、こういう気持でございます。
  136. 森中守義

    森中守義君 今のことで、またちょっと言っておかなければならぬのですが、電波のことは大臣が努力を認めてくれといって幾ら押し売りをしても、気持はわかる、さっきあなたが言ったように気持はわかる。しかしその人だけでなくて予算を見てごらんなさい。昨年度、三十二年度は三十一年度に対して一億五千万円電波関係がふえていた。ところが、ことしは一億三千二百七万六千円ふえたと、こう言っているが、これには電務局関係電気通信管理に必要な経費として約百二、三十万円、これが混入されておりますね。それともう一つは、国際会議に必要な経費ということで、これまた約四百万円程度入っておる。だからこれを引いていけば、約五百万円差引けば八千万か九千万くらいしかふえていない。これではあなた、昨年の実績と比べてもぐっと減っているじゃないですか。しかも、きのう言ったように人間を二人も落している。のみならず今、西崎次長の説明だと、来年の三月三十一日まで四千四百九十七の増になると、こういうことなんで、これはあなたが幾ら言っても理屈に合わぬのだ。だからそれをもう大臣やめちまえばしょうがないということでは、これは済まされぬから、今会期中に何とか結論を持ってこいと、こういうことなんです。これは一つ約束してもらわぬと困りますよ。何もあなたを責めるとかとっちめるという意味じゃない。現実にこういう工合に圧迫されてきた電波行政をどうするのか。こういうことなんですから、これは一つきょうでなくてもいいから、できるだけ早く省議を開いて、この電波の措置については今会期中にお答えを願いましょう。
  137. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 全くそう言われると一言もないのでありまして、ほかはみんなうまくいって、画龍点睛を欠いたというのでしょう、非常に遺憾であります。まあしかし、一般会計でありますから、まあどうしても必要だということになれば、予備費の使用ということも考えられますし、機械器具の購入でもっと合理的な具体化という問題もあります。これは確かに私も今合理化委員会作っておりますから、機械を一体どうすればいいんじゃ、人間の配置はもう一ぺん再検討しようという問題、それからどうしても必要である場合には予備費の使用ということも考えられますから、三十三年度の予算の成立範囲内でできないことはないのでありますから、私といたしましては、あらゆる合法的な範囲内において、あなたが今言われましたことを一つ万全な態勢をとって、あとからでもいいから目を入れるというようなつもりで努力をいたします。できるだけ会期中に、どういう具体的な方策が立てられるか、そういう合理化委員会とも十分相談をして、私はとにかく電波というものに対してはしろうとであって、なかなかむずかしい問題なんです。だから、一つ合理化委員会の意見を土台にして合理的な措置をしなければならないということであれば、私の方でも最上の努力を払うことを申し上げておきます。
  138. 森中守義

    森中守義君 それでけっこうですがね、解散は十八日なんだから、だから来週の委員会あたりには今大臣がこれもある、あれもあると、そういう総花式の内訳でなく、具体的にこういうことをやるならやるという、まとまったものを出してほしい、食い逃げされてはたまりませんからね。これは一つ来週頼みますよ。特にそれを私は注文をつけておきます。大臣、いいですね、さっきの約束通り
  139. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 努力いたします。
  140. 横川正市

    横川正市君 時間がありませんから、個条的に二、三点お聞きして次回に譲りたいと思うのですが、それは新聞の報道するところと、それから具体的にその新聞の報道を裏づけされる問題として、三月の二十日に行われました、全逓の中郵及び神田郵便局を中心としての職場大会関連事項として起っておりました、午前の二時十五分から八時ないし九時までの行動に対して、郵便法七十九条を適用させて事実上の調査を行なっている、という問題に関連して二、三点お聞きしたいと思うのであります。  その事案についての究明は予算委員会、法務委員会等で行われておりますので、私はその席上にたまたま居合せました同司法職郵政監察官の行動について郵政省設置法、それに伴うところの組織令の関係から見て、郵政監察官の行なっております当時の行為の中に、設置法並びにこの組織法に該当しない行為というものがあったのではないか、というふうに私は考えるのでありますが、当時司法職郵政監察官の腕章をつけて現場の認証のための写真をとり、それから現場の逆ピケの役を仰せつかり、それから事実上指導部を設けて指導をされたという事実は、これは検察当局、並びに郵政当局並びに監察当局の、おそらく私は、合議の上で行われたものではないかと思うのですが、その行為について一つ郵政大臣としての見解をまずただしておきたいと思います。
  141. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) その事情はまだ私つまびらかにしておりませんが、違法事実、違反事実があるという場合に写真をとることは、一向監察官の職務の外だとは思っておりません。  それから監察官が捜査に協力しておるということに対して、これは最高検及び地検から、すでにその前にもう職場大会がありました、二十日の前に。でございますから、二十日に行うことは十分わかっておりましたので、司法職員から協力を要請せられておった、法律に基いて指示せられておったという事実はあったようであります。
  142. 横川正市

    横川正市君 そうすると、今大臣答弁によりますと、郵政監察官の事前配置というのは、これは組合運動の一環として行われております、まあいわば全逓の団体行動に対して、その容疑的、被疑的なそういうものの発生することを予知する、ないしはそういう発生を事前に探知して、そうしてその容疑に対して郵政監察官として配置をされ、その事実というものを摘発するための写真認定その他を行なったと、こういうことになりますか。
  143. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 摘発するためにやったとは言えないのですが、これは私も時間的な問題はよくわかりませんが、前回行われた職場大会等に徴して、来たる二十日行われる中央及び神田等の局のそういう行為に対しては、職場内、時間内繰り込みという違法行為が起きそうであるから捜査するように、検察官から指示を受けておれば、これは当然司法警察職員としての身分を持つ郵政監察官は、これは拒むわけにいかぬわけでありますから、もちろん協力しなければいかぬ、こういうことです。しかし郵政監察官が独自で行ったと仮定した場合、その場合でも郵政監察官は違法行為や犯罪事実の摘発には努めなければならぬけれども、同時に状況の調査とか犯罪の未然防止、予防という任務もあるわけでありますから、郵政監察官が事前にそれを察知して職場に配置をしても違法ではない、こういうように考えます。
  144. 横川正市

    横川正市君 郵政監察官の組織令を見ると、各課ごとに該当事項というのは、犯罪それから非違、事故、そういった発生等によって郵政当局が損害を賠償する等の、まあいわば行為を行うための事前の調査、こういったものがその大半であり、第二の場合には事務に関する公衆の不服等の申出に対して、これを調査し回答するとか、あるいは郵政省の所掌事務の考査及び調査をするとか、こういうような問題と、世論収集とか調査とかいうことが、組織令の中に各項目にわたってあるわけです。そこで、郵政監察官が、労働組合運動の一環として行われた職場大会の事前に、検察当局と合議し、あるいは検察当局から命令を受けて、労働組合運動のこの行為に対して介入するというような項目というものは、組織令の中にも設置法の中にもないんです。ところが、当時の実情というのは、私は検察当局に提出された写真も、まあ非公式でありますけれども見て参りましたが、これらは、すべて、郵政監察官が当時の実情を写真でとったものやその他のものが検察当局へ提示されている、こういうふうに見ているわけです。そうすると、この点は郵政監察官として大いに行き過ぎであり、異議のあるものだというふうに私は考えておるわけなんですが、その点、大臣のお考え方はどうですか。
  145. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 不当に労働行為に介入して、労働行為を阻害するような行為をしてはならぬということは、これは基本的に私も認めます。そうあらねばならぬと考えております。でありますが、今度の場合はちょっと違うんじゃありませんか。これはもうすでにスケジュール闘争として、何月何日に職場大会が三十分行われる、それから同時に二十日には時間内食い込み二時間の違法闘争が行われると、こういうことがもう前もって明らかになっておりますから、事前に配置につき、できれば予防に当り、犯罪が起ったような場合にはそれを調査をするような処置をとるということは、これは違法でも何でもないと思います。なお、前に行われた時間内食い込みの職場大会に関連をして、当時からもうすでに、検察庁及び警察、郵政監察官との間には連絡会議があったのでありますから、その場合、法律に基いて、検察官から指揮は受けておったんでしょう、受けておるんです。おるんですから、これは法律に基いて、もうどうしても検察官の指揮には応じなければならぬ、こういう監察官の態度であって、監察官がこれを摘発して、警察官をつつくというような考えは全然ないのでありますから、ひとつすなおにその間の事情はお考えいただきたい。特に郵政省設置法の第二十二条でありますが、「郵政業務の運行に関するすべての事項の調査にあたり、」「並びに犯罪の嫌疑があるときは、捜査し、その内容を郵政大臣に報告し、」云々という条文がありますので、これは当然監察官の業務としてやらなければならない仕事だ、というふうに認められるわけです。
  146. 横川正市

    横川正市君 ただ私は、時間がありませんので考え方を明らかにしておきたいと思うのでありますが、郵政監察官の任務は、これは組織令にある各条項のおのおのにそれぞれ明示されておるのでありまして、現場に配置された場合の監察官の行為というものは、労働組合運動に介入するということは、一切これはできないと思います。
  147. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) ええ、いかんです。
  148. 横川正市

    横川正市君 ところが事実上、郵便の受け渡しとか、あるいは現金授受であるとか、あるいは証拠書類の始末であるとか、こういったものに対して予防的な処置に出たのではなくして、組合運動の一環として行われる行動に対して、具体的に監察官が写真判定をするような直接的行為に出るということは、これは私は、少くとも労働組合運動に介入したと、こういうふうに見なければならないものであり、この点は時間をあとにおいてもう少しつまびらかにしていきたいと思います。当時監察官が現場でどういうふうに行われ、どういう資料を集め、そしてそれらがどういうふうに具体的に使われておるか、その点は監察当局からひとつつまびらかにしていただきたいと思います。このことを一つ要望としてつけ加えておきます。  それから第二の問題は、公労法の法解釈の中で、労組法第一条第二項の規定の中の、三十五条適用の問題なんであります。この三十五条の適用の中には、正常な組合運動をしなかった場合の、いわゆる刑法二百三十四条の「威力ヲ用ヒ人ノ業務ヲ妨害シタル者亦前條ノ例ニ同シ」という項目があって、言いかえれば、正常な組合運動ではないという判定については、刑法第二百三十四条の適用が、私は労働法一条二項の関連事項として起きてくるものと、こういうふうに思うわけです。それに対して三月の二十日、二十七日の様子というのは、この前の委員会でも私は明らかにしておきましたが、予防的な意味で警察官を導入するということは、これはあり得ても、警察官の導入即労働争議の紛争を助成する、というあり方については困るじゃないかと言ったら、大臣は、事前におまわりを配置しておったということについては、実情を調査いたしまして善処いたします、こういう答弁をもらったわけです。今度の場合は、現場で起ってきた事態というのは、労働関係の当事者の労働争議に対する非常に不理解な介入がきた、これは職場の組織団体が当然の形として借り受けておる事務所の撤去の問題だとか、あるいは役員の屋外退去の問題だとか、こういったものが情勢として起っていると同時に、警察官を相当数配置されて、相当紛争をそのためによって助成しているという状態が出ているわけなのです。この点について、大臣の前に言ったところとは、私は全く今度のとった事態というのは違う。ことに、今同じ口から言われているように、事前にそういうようなことが行われようとしておるから、行われようとしていることに対して違法行為を云々する、こういうことがあるならば私は、別途またこれはそういう方法ではなしに、とられるべき措置があったのではないか、こういうふうに思うのでありますけれども、こういうふうに威圧的に当事者ないしは警官が配置されて、必要以上に現場を紛争せしめた、こういうことに対して、大臣はどういうふうにお考えになっているか、その点をお聞きしたい。
  149. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) この中郵の場合は、警察官が配置されて必要以上に刺激をしたとは考えておりません。
  150. 横川正市

    横川正市君 警察官の以前の問題は。
  151. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 警察官の問題は、警察官が来たのはきっと五時ごろじゃないですか。もう一時何十分から三時までの間には四百名が皆職場を放棄しておるのですから、そういう意味から言うと、警察官によってもむしろ放棄を促進したということにはならぬと思います。  ただ、その場合に問題となるのは、組合事務所を貸せといったのを、貸せない、これは、貸せなければわれわれも出るのだ、しかも、組合員以外の人の退去を命じたからわれわれも出るのだ、こういうことが原因になっている。こういうふうに言われておるようですが、これは、組合員外の諸君が一時半ごろから組合事務室に入ると、そこは策源地になる。まあ仲間だけだったら話ができるものが、第二者が入ってあおったら困る、そういう場合は、組合事務所として使用させるということは禁止するということは、これは今までやっておる通常の例であります。ただ、中央郵便局の場合は、まごまごすると局長室を占拠せられるような状態にあったという報告が来ておりますので、これは組合側は逆に、管理者がおどかしたというのですが、三十名が四百名をおどかして言うことを聞くような組合員でないことは御承知の通りです。結局四百人の威力に三、四十名の管理者が驚いたということは事実でしょう。その結果局長事務室に入って、御丁寧に中からかぎをかけたというのですから、相当おそれおののいておったことは事実です。しかし、かぎをかけておったので話ができない、ということを言われては困るので、三、四人は相当な決意をもってとびらの外に待っておった。そうして来るか来るかと待っていたら、局長室に来ないで職場を放棄してしまったというのが事実のようであります。しかもまだ捜査中の問題でありますので、明確には申し上げられませんが、今まで私のところで判明した事実です。そういう状況であります。でありますので、監察官がいつ行ったか、またそれが誘発の原因になるというようなことであれば、違法行為があった場合でも情状ということにもなるでしょうし、いろいろな状況はこれから起ってくる問題であります。ただ原則的に監察官が行ってはならないということは、法律的にも全然ございませんし、また検察官の指揮を受けておるということであれば、監察官も自動的に動かざるを得ないのだ、ということを一つ御了解願いたいと思います。
  152. 横川正市

    横川正市君 この点は私は、事態というのは、唐突として三月二十日ないし三月二十七日というものがあったのではなくて、ことに二つの前例と後例とを比較してみても、前例の中郵の場合と後例の京橋郵便局の場合では、大よそその内容が異なっておる。異なっておるということは、配置された警察官の行為が変ることによって、その事態がきわめて異質の形に変ってくる。こういう事例が三月二十日と二十七日に出てきているわけです。ですから私は、今の態勢の中で大臣にこの点ははっきりしておかなければならないと思うのは、争議の事前の予防措置として、ことに人命にどうこうとか、あるいは器物云々とかいうような問題が懸念されない場合に、警察官を多量に導入するということについては、労働運動を刺激こそすれ問題の解決にはならない。特にそのことによって不祥事を誘発する。こういう点をこの前も指摘をしておったわけなんですが、このことが今度の場合にはきわめて遺憾ながら行われておらないで、事前に態勢を整えて誘発すべき事実は非常にたくさんあった。このことだけは一つはっきりと私の方から申し上げて、あとで事例を明示していきたいと思います。  それから三番目の問題ですが、昭和三十二年の一月以前の問題と以降の問題で、大臣にちょっと適用法規その他を聞いておきたいと思うのでありますが、今度の場合には七十九条という郵便法の適用が新聞紙上喧伝されておる。これは一体どういうことなのかはあとでつまびらかにしたいと思うのですけれども、三十二年の一月以前の処分の内容を見てみますと、公務員法八十二条及び人事院規則の一二—〇、これが大体処分の適用になっておるようでありますし、三十二年の一月以降は公労法十七条、十八条に抵触するおそれもあるが、こういう前提に立って同じように公務員法八十二条と人事院規則一二—〇を適用する停職、減給という処分の内容が発令されておる。この処分の問題と関連するのではなしに、三十二年の一月以前、以降と出てきている事実と、それから今度の三月の二十日ないし二十七日の事例について、郵政当局としてどう考えているのか、ことに検察当局は七十九条に該当してやっておるのですが、郵政当局としては七十九条には該当しない、特に七十九条の解釈については時間がないのでつまびらかにできませんが、もうすでに他の委員会でつまびらかにされておりますので、ことに法務委員会予算委員会等で明確にされ、ことに弁護団あたりの意見というものも、私どもは相当傾聴すべき意見が出ていると思う。  そこで七十九条を適用して捜査を行い、全く何のそういう被疑事実もない者が日々検察当局に参考人として呼び出されておる、こういう問題に対して郵政大臣としてどう対処しようとするか、そのまま放任するのか。事実上三十二年一月以前、以降の問題がありますので、郵政当局としてこの問題についてなぜ対処しようとしないのか、この点を明らかにしてもらいたいと思うのです。
  153. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) まだ捜査中でありますから、明確なお答えができないことを遺憾といたしますが、根本的な問題を簡単に申し上げますと、労働組合の労働行為に対して干渉してはならないということ、これは私も認めておりますし、それはそうでなければならぬという原則を貫いております。でありますが、組合運動、労働争議といえども、他に不法な行為があった場合は、労働争議行為であるからといって、他の法規の適用を受けない、ということはどこにもないのです。しかも労働組合法の第一条に明確に書いてある、刑法の適用除外を受けるものについても明確に書いてあります。これは第一条の二項に「労働組合の団体交渉その他の行為であって前項に掲げる目的を達成するためにした正当なものについて適用があるものとする。」すなわち刑法三十五条の適用があるといっておる。ただしがある、ただし暴力行為なるものは刑法三十五条の正常ならざるものとして阻却される、そういうふうに明確な規定があるのです。だから労働組合運動であり、しかも争議行為であっても、他に処罰規定がある違法行為、法律に抵触する行為があった場合には、その法律が適用される。これはもう除外例がないのでありますから、当然一般国民と同じように法の前には万民平等であるという原則に基いてやられるわけであります。でありますから、今度の場合は公務員法の違反容疑もあります、公労法十七条の違反容疑ももちろんあります。それに加えて郵便法第七十九条の違反行為の容疑がある、こういうことであります。であるからこれは郵便法七十九条の違反行為があっても、必ずしもそされて処断しなければならないということはない。他の一つの法規、法律の適用を受けた場合、刑事訴追に対しては、容疑事実はあるが起訴はしない、これはもう当然行政措置でありますからあるわけです。そういう問題は別であります。いずれにしても公労法の適用を受けるから刑法の適用は受けないのだ、それから郵便法第七十九条の適用は阻却されるのだということにはならないのです。これは明確な法律解釈でありますから、私がどら解釈しようとこれは一定のものであって、いかんともなしがたいものであるということを申し上げておきます。  私は特にこういう問題が当然起きてくると思いましたので、昭和三十二年八月ごろでありますか、九月でありますか、私が相当こまかに分けて組合員に配っておるのです。公務員法の違反になるぞ、それから公労法十七条の適用を受けるぞ、なおその上にこういう事実ができた場合には、郵便法七十九条違反になるおそれがあるからそういうことはやらないでくれ。しかもこの二十日の争議の前日には私は口をすっぱくして言った。今度やると必ずこれが適用になるから何とか排除してくれということを言ったのですが、先ほども申し上げたように公労法十七条を適用し、十八条の解雇処分を行うということのみをもって、ほかの法律の適用を除外されるということは、遺憾ながら法律論としては成り立たないのであります。私は現在のところは、捜査をいたしておりますし、できるだけ労働組合の円満な発達ということは、私も信条でありますから考えておりますが、私の方で七十九条の適用をぜひしてくれということは言いませんが、これはもう検察庁の行き方に対しては皆さん知っておる通りに、検察庁不干渉の原則であって、国会議員、内閣であっても絶対に干渉してはならないということを厳重にいわれてきておるわけです。(「指揮権発動」と呼ぶ者あり)だから指揮権発動はいかぬ、こういう御議論でありますので、私は今迷っております。いずれにしても私のかわいい郵政職員であり、郵政事業発達のために大いに努力しなければならぬ、また労働組合の浅い歴史の上における過程の中にいろいろな間違いがあるので、そういう問題に対してはできるだけ事実を究明し間違いないように、しかも政治的な配慮のもとに処断されるようなことのないように、私は今苦慮しておる。毎晩寝れないように考えておるのですし、八カ月の私が積み重ねてきたものが全く一夜にして春泥にまみれてしまう、全逓じゃなく、私が春泥にまみれてしまうような状態になったことをはなはだ遺憾としておる。私はこういう問題に対してとにかく深刻に問題を考え、悪い歴史を残さないようにということをまじめに考えておるのですから、今のところ郵便法七十九条の適用がおかしいのじゃないかという議論に対しては、遺憾ながら今申し上げたような回答しかできないわけであります。
  154. 横川正市

    横川正市君 私も労働組合法の、三十五条が適用されて、刑法の二百三十四条の、そういう正当でない労働組合に対しての刑法の問題も、一応適用されないというようなことでなくして、適用されると、こういうように見ておるのですが、あの三月二十日ないし二十七日の二つの事例をとってみても、当局側のとった行為というものは、事実上起ってくる事実に対してさらに輪をかけるように紛争せしめておる。こういう事実についてはあとで明らかにしていきたいと思っていたから、その点は先ほど触れなかったわけです。  もう一点お聞きしておきますが、私は今度の調停の途中において、大体金額一人頭三百円程度の体系是正ないしは給与に該当するものが出されたら、この紛争というものはきわめて早期に解決をしたであろう、こういうふうに見ているのです。これは当局の問題でなくして、組合側の内部事情ないしは組合側出身の労働委員の中に、はっきりとこういったことが出されているということを私確認いたしておるわけですが、それに対して、これは私は大臣事務当局と、それから使用者側委員の中に、ことにこの大臣事務当局はあるいはその事実について努力をされたかもわかりませんが、使用者側委員の中に、事実とは全く、この解決をしたいという事実に違反をして、問題の解決を今日まで遷延しておる。こういう事実が私はあるというふうに見ているわけなのですが、この点について大臣あるいは事務当局ではどういうふうにお考えになっておりますか。
  155. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) それにお答えする前に、深入りするような考えはないのですが、一応今までわかっておることだけを申し上げておきます。警察官、監察官が出たために非常に思わざる事態を招いたというようなことの御発言がありましたが、私もそうだろうと思っておったのです。警察が出たために、監察官がいたために派生的に起ったのだろうと思っていましたが、中闘と会見をして正式に調べたところですが、これはもう指令三十何号によって明確に指示したものである。派生的に起りたものでないので、一切の責任は中闘にある。しかも付属文書まで出ておるので、これは全く初めから職場放棄というものを考えておったのだろうからと、こういうことがいわれておるので、私も非常にそれは大へんなことだと、困っておる状況であります。でありますから警察官や監察官が事前に職場に到着をしたために、派生的にいわゆるそういう行為の誘因になったというようなことはございませんから、一応申し上げておきます。  それからもう一つ、調停委員との問題であります。これは法律上労使双方の意見がまとまらない場合に、第三者の調停及び裁定に持ち込む、持ち込んだら心静かに裁定を待つ、出たならばすなおにそれを守るというようなことを、岸内閣成立以後特に労働関係閣僚としてはそういう考えを持っておりすしたから、私も第三者に仲裁を頼んでやるという場合に、私たちもできるだけ円満にまとまる態勢において調停が出されることを希望いたしておりましたが、私の方でこうすればいいんだとかいうことは、これはもう心で考えておっても、そうであるならば調停に持ち込まなければいいんですから、少くとも第三者の調停にまかせた場合には、この調停の推移を見守り、調停が用た場合に自分たちに少しくらい不利であり、不満であっても、これをのまなければならないという態勢を整えておったわけでございます。
  156. 横川正市

    横川正市君 時間がありませんので、私の方で、今大臣の方から、まあ深入りしたくないけれどもという前提で、指令の問題が出てきましたが、私は、指令が出ていようと出ていまいと、事実の行為に対しましてそういうことがあったということを申し上げているのでありますから、これは後ほど時間を十分いただいて、審議の過程で明らかにしていきたいと思っております。  それから第二の問題ですが、なるほど表面上の問題では、第三者の機関でありますから、それに両当事者が介入をして、紛争の中に独自の考え方を入れていくということはないのだ、なるほどその通りなのです。しかしその場合は、たとえば使用者側委員がゼロ回答をしなければいけない、というふうな客観的な情勢にあったと、あるいはゼロ回答ではなしに、紛争を解決するための最終的なぎりぎりの線は何であったか。この点はやはり使用側の委員も当然考えて、調停とか仲裁とかをすべきものと、こういうふうに私どもは考えている。そういうしゃくし定米なものの考え方ではなしに、当時の状況としては紛争が解決される、そういうような状況の中にありながら、その使用者委員の一方的な何といいますか、紛争拡大の措置といいますか、ほんとうは紛争を早期に解決きせなければならない側が、紛争させたというふうに私は確認しているわけなんですが、それについて郵政大臣はどうお考えになっておりますか。
  157. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私も信用して頼んでおりますから、しかも法律的な機関でありますから、私もものを考えないわけじゃありませんが、現在の状態では心静かに待っておった、出たら、不満であってもこれをのもうということで、事務当局との間には、百円で出た場合、百五十円の場合、二百円の場合一体どうだということを真剣に検討しておりましたが、使用者側の委員の態度は遺憾なところがある、もっとこらしてくれればいいとかいうことは考えませんでした。
  158. 横川正市

    横川正市君 私は第一点の七十九条適用の事実については検察当局の方と郵政監察官並びにその他の関係人たちが事前に協議をして、この労働運動の一環として行われる、いわゆる八時半から十時半までの職場大会、これに対処するための事前の打ち合せを十分行なって、しかも七十九条適用間違いなしという根拠の上に立ってこの行為があったと、こういうことがたまたま捜査二課に私が行ったときに捜査二課で、ちょうど祭日でしたから、翌日は、一日朝から夜まで私はあそこにおったのですが、そういう事実をたまたま、これは証人を出すわけにはいかないけれども、やっている事実を見ているのです。ですから、私は監察官が三月二十日にどういうふうに協力をしておったかという事実は、現場の中に入って行って、腕章かけて、写真機を持って事実上配置された事実も見ておりますし、そのときには一人もおまわりさんは入っておらないのですから、おまわりさんが入っておらないのに、現場認証のための写真がたくさん出ているという事実もあるわけです。ですからこのことは将来の問題もありますので、明らかにしていかなければならないことだというふうに思っております。  それから第二の問題としては、刑事罰は、公労法の中にも、労働保護の立法を作るときには、まず刑事罰をはずし、そうして民事法によってこれを処置していくという、そういう法の体系というものは、近代社会の前進過程の中で、逐次改善されていくものだと思うのです。労働運動の一環として行われた逸脱行為がかりにあったにしても、これは労組法の中の刑法三十五条、ないしそれの適用される二百三十四条というふうに、部分的に起る公務執行妨害とか、道路交通取締りとか、こういうような事実の被疑事項に対して、法というものは適用さるべきものであって、即、行われた行動に対しまして、郵便法七十九条を適用するなんということは、あり得べからざることであろう。ことに七十九条は他の委員会で明らかにされましたように、全くこれはやぶから棒に、事前に網を張っておいて、この中に入ってこいというふうに準備をしておいて、そうしてその準備した中に入ってきた、これはまあ大きなとりものだというので、今何十人かの参考人を呼んでいる。こういう事実があるので、この点から考えてみましても、公労法の適用職員に対する明快な解明というものを、私はしていかなければならないと思います。  それから第三番目の問題は、警察ないしは当局者の不用意な行為ですね、あるいは第三者が当然介入した限りにおいては、スムーズに、紛争を拡大しないで解決すべき立場にある使用者側の委員が、当初から、藤林さんの案で見ますと、三百円の中の百五十円の積み重ねを論議しておったようですが、その中でゼロ回答を最終的に出して紛争を拡大した。このことは私は郵政当局と使用者側の委員関係というものはもう少し別の観点から検討しておかなければいけない問題じゃないか。単に、こちらから全然データを出さない、郵政当局が本年度の三月三十一日までの予算の中で赤字が出るのだ、だからびた一文出せませんというふうに言っている、そういうことがあってもゼロではないという事実が私はあり得ると思う。ところが、ある程度のものは出されるような状態の中にありながら、これがゼロで最終的に紛争を拡大した、こういう事実についても明らかにしていかなければならない問題だ。こういうふうに労働組合側の要求に対して、一つも物を与えないでおいて紛争を拡大した、拡大した中から事件が出てきた。その事件は問題を解決しないで、起った事件だけを処罰する。こういう方向には私どもは絶対これは賛成しがたい問題でありますので、後刻また時をあらためてこの問題を二つ究明していきたい、かように思いますから、本日私はその点を保留をしておきたいと思います。
  159. 光村甚助

    ○光村甚助君 ちょっと関連。二十七日に私は京橋郵便局に行ったのです。そうすると、前の二十日のときに中央郵便局の人が四百人、夜中の二時か三時か出たというのです。今度は前もって警察官が京橋郵便局へ行って、夜勤者を監視して仕事をさした。これは従業員を囚人扱いにしている私は行為だと思う。今後こういう従業員を囚人扱いにして、警察官をつけて仕事をさすという行為が、これは是か非か、大臣一つお聞きしておきたい。
  160. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私のところへは全然そういう報告はありませんので、十分調査をいたして報告をいたしたいと思います。
  161. 光村甚助

    ○光村甚助君 夜勤者が職場大会に行かないように前もって警察官が来て監視をして、これを仕事をさしたという事実がありますから、これは厳重に私の方から大臣の方に、一応厳重に注意を喚起しておきます。
  162. 久保等

    ○久保等君 ちょっと関連して。大臣先ほどの御答弁を伺っておって、明らかにしておきたい点を一つお伺いしたいのですが、警察権の発動が実際なされたのはいつなされたのか、しかもそれが郵政当局が要請したものなのか、それとも独自の立場で警察権の発動を行い、しかもその過程において、逆に今度は郵政当局に協力を求めてきたという結果になっておるのかどうか。これは事前に協議がなされたというのですが、これは事前に協議がなされる当時に、すでに警察権が発動されていると思うのですが、そういったことを経過的事実関係を明らかにしてもらいたい。
  163. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 中郵の問題については、警察官は独自に警察権の発動を行なったというふうに報告を聞いております。
  164. 久保等

    ○久保等君 いつですか。
  165. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 二十日の朝、ピケを排除するためにやったのだそうであります。
  166. 久保等

    ○久保等君 それだけでなくて、私の言っているのは広い意味で言っているのです。だから、警官がただ出たという意味じゃなくて、事前に警察当局と監察官が打ち合せをせられたというような問題も、これは私は予備的にもうすでに動き出しておったと思うのです。事前に連絡会議か何か持たれたという先ほど説明があったのです。そういったことはいつ持たれたのか、そういったことをやることについては、どちらが主導権を持ってそういうことをやられたのか、そういった主客の関係一つ明らかにしてもらいたい。
  167. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 御承知のように、二十日に初めて争議の違法行為が起ったのじゃないのです。その前に三十分食い込みの職場大会という違法事実があるのです。こういう事実を監察官が調べておりましたし、そのときも警察官は出動いたしております。でありますから、警察及び監察官との会議を開いて、前に行われた行為に対しては、お互いが連絡をしておるということは、これはあります。なお、二十日にはもうすでに仲裁裁定が十九日に出て、円満にこれが妥結できる見込みがなければ行う、という指令に基いてやっておるのでありますから、当然連絡会議に、二十日の場合にはどうするというような問題は出ただろうと思います。ただ郵政監察官に対して、どういうふうにするとか、捜査に協力するとかいうことは、法律に基いて警察官が郵政監察官に指示を行なっております。指示に基いて監察官は協力しておるという態勢であります。
  168. 久保等

    ○久保等君 もう少し具体的に事実関係をはっきりしてもらいたい。というのは、二十日以前の問題等もあった、そういう点だけで警察官が動いたというところに問題があった。私はここで明らかにしたいのは、二十日の問題に関連して、事前に打ち合せ会議なり、連絡会議なり開いたという御説明なんですが、それはいつ開かれたのか。しかも、その開くことについて、検察当局が、やはり独自の立場で判断をし、何月何日、一つ二十日の職場大会の問題等について打ち合せをしたい、というので郵政当局の方に呼びかけがあって、会議その他があったのかどうか。二十日の問題を中心にして一体事前になされたのはいつか、しかも、そのことについては上は当然郵政大臣、責任者が。郵政大臣も、そういったことについて一体積極的に、あなたがそういうことを発案されて、そういう会合を持たれたのか、それともそうじゃなくて、検察当局が独自な立場で、そういう連絡会議を開くことについて郵政当局の協力を求めてきたのか。二十日の職場大会に関連しての事前協議等がなされたか、いつなされたか、あるいはその他の発動がなされたという事実があるとすれば、そういう事実がいつなされたか。しかもそのなされるについての主客関係を明らかにしてもらいたい。
  169. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 急速に調査をいたしまして申し上げます。
  170. 久保等

    ○久保等君 郵政大臣はそうすると、御存じないのですか、今日まで、そういった関係については。
  171. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) ここで明確に答えられるほど知っておりません。
  172. 久保等

    ○久保等君 先ほどのお説明でも、なにか必ずしも郵政大臣、あまりつまびらかにしておられないような御答弁であった。私、非常に奇異に感ずることは、労働運動に関連した問題について警察権を発動する、あるいは事前の協議等を行なっていろいろ手配等を行うという場合に、所管大臣がそういうことについてタッチせられない形で警察権なり検察当局が動くというようなことは、全くもってのほかだと思います。特に、これは郵政大臣管理しておる局舎等に立入りその他の問題もあるし、しかも、これは労働運動という非常に重要な問題である。これは私は一般の形法上の犯罪事実等が起きた場合に、これは郵政大臣に形式的な連絡ができないままに警察当局が直接に動いて、それに対して監察官が協力するというようなことは事実関係として発生しておることは当然考えられる。しかし、ことがこういう労働運動であるだけに、扱い方については検察当局と警察権の当局は、これは非常に慎重でなければならぬ、扱い方については。従って、所管の大臣がそれぞれの関係者に十分な連絡なり、また、所管大臣等の十分の意向等を把握しないで、起るのだろうから、とにかく事前に協議をしておくのだとか、あるいは手配をしておくというようなことが、郵政大臣があまりつまびらかにしないままにそれがなされるがごときことは、これは全く検察当局なり、あるいは警察当局なりの行動として、非常にこれはおかしいと思う。おかしいというよりも許されないことだと思います。だから、そのことについて郵政大臣どうお考えになりますか。
  173. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私は久保さん言われるように、労働運動や組合運動というものが大切なことだということはわかっております。しかし、それは絶対なものじゃないのです。だから、そういう意味で労働組合運動に不当干渉することはいかぬ、正常なる組合運動の発達を阻害するような行為をとってはならぬことは、これはいうまでもない。いわんや警察権を入れてはならぬ。しかし、組合も違法行為をやっちゃいかぬのです。そういうふうに、いわゆる違法行為がずっと長いこと行われるということになりまして、しかも、それが公安を害し、社会秩序を乱る、こういう国民大衆の問題として考える場合に、もう警察権を発動しなければならぬときはとにかく、こうすれば少くとも予防的にはなるのだ、混乱もしないのだという場合には、これは警察権も検察権も発動せられると思うのです。でありますから、私と検察庁とは別です。検察庁は大臣といえども関与しちゃならぬというのが原則でありますから、これは別でありますが、警察との間には、もちろん私たちが全然言わないでやったというようなことではなく、監察と警察との間にはいつでも、前の事件はこうだとか、いろんな打合せがありますから、私はその事情を、何月何日にどういうふうに打合せしてどういうふうな結論になったかは聞いておりませんが、いずれにしても、警察も、できるだけ監察というものを全面に立ててきた、ということは事実なんです、今まで。でありますから、できるだけ監察が結論を出したものに対して警察や検察は動こうということでありましたが、今度はどうもこんなに大きくなるとは思わなかったのですが、思わざる結果になってしまったのです。そういう意味で警察が出動した、こういうふうにお考えになっていただきたい。
  174. 久保等

    ○久保等君 郵政大臣にお尋ねしているのは、労働組合がけしからぬとかけしかるとかいうことを言っているのではない。私の言っているのは、郵政部内での中郵問題について、警察権の発動を二十日の職場大会に関連して行なったことについては、一体どちらがまずそういったことをお考えになってそういう行動をとられたのか、そういう事実関係政府内部における郵政当局と検察当局との間における関係を、実はお聞きしているだけなんです。だから労働組合がけしからぬことをやったからどうのこうの、そんなことはよけいなこと、私のお聞きしておるのはそんなことじゃない。
  175. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 非常にデリケートな問題でありますし、その詳細、事実の問題等に対しては調査の上お答えいたします。
  176. 久保等

    ○久保等君 それ以上明らかな御答弁が願えなければ、それは十分一つ事実関係を明確にしてもらいたいと思うのです。私、今の大臣のそういう答弁程度を出ないとすればやむを得ないのですが、非常に遺憾に思いますことは一般の道路上なりあるいは屋外等における、純然たる郵政大臣管理外の場所における問題等については、これは郵政大臣の問題ではないと思う。しかし職場大会という問題に関連しての、警察権の発動なりあるいは検察当局が動く云々の問題については、かりに一般の刑事上の問題としても、郵政大臣そのものの意向というものが十分に反映されなければならないと思うのだけれども、事は郵政の従業員という問題に関連する労働運動です。しかもそれが郵政大臣の監督下における、局舎内における職場大会です。これらの問題に関連する問題について警察権等を発動することについて、当の郵政大臣が事態をあまりつまびらかにしておらぬ、というようなこと自体が非常に不可解です。これはぜひ一つ……郵政大臣の、そういう点では非常に大きな怠慢なのか、手落ちなのか、どうなのか知らぬけれども、警察権を発動される前後の経過そのものが非常に不明確である。あなたは労働運動に対するやはり認識の仕方が違うし、これは単に郵政大臣を責めるのではなくて、検察当局のこの問題に対する扱い方の基本的な態度が、非常にけしからぬ態度だと思う。これらの問題は、後日なお御報告を願って明らかにしていきたいと思う。  それからもう一点郵便法七十九条の問題についての解釈ですが、これも後ほど、また明日でも機会を得ていろいろお尋ねしたいと思うのだけれども、大臣の解釈は、これはきわめて牽強付会のそしりを免れないと思う。国家公務員法の適用も受けていますよ。あるいは公労法の適用も受けていますよ。それからまた刑事罰も受けますよ。こういうようなことは私は非常におかしいと思うのですよ。この問題についてはまた後日明らかにしたいと思うのですが、ぜひ一つ今度の問題についての事実関係を、まず明らかに郵政大臣の方からしていただきたい。このことはぜひお願いしておきたいと思う。
  177. 鈴木強

    ○鈴木強君 非常に大事な問題ですから、きょうの質疑をそのままにしておいても私いけないと思うので、締めくくり的に大臣のお考えを聞いておきたいのですが、先ほどからの質疑の中で、今度の中郵争議の事件、予算委員会でも明らかになっておりますように、労働運動であるということは明らかである。従って労働運動であるならばそれに対して、郵政省設置法の第七条に規定される、監察局の所掌事務の中にあるいずれかにより、労働運動であった場合でも、監察官はこれに介入ができるのかどうなのか、この点ですね。できないと大臣はさっき言ったと思うのですが、その点はいいんですか。
  178. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) そんなことありません。争議行為にはできるだけ干渉しないことが原則でありますが、違法行為のあった場合は、監察官が職権を行うことは違法ではありません。
  179. 鈴木強

    ○鈴木強君 そうすると、正当な争議行為であった場合は介入するべきでない、正当な争議行為の場合には介入はしない。それなら正当でない争議行為の場合には介入するんだ、こういうふうにとってもいいんですか。
  180. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 合法にして正常な組合活動及び争議行為に対しては、干渉すべきではないということでありますが、違法行為がある場合には監察権は発動せられてよろしい、こういう考えであります。
  181. 宮田重文

    委員長宮田重文君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  182. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 速記を始めて。
  183. 鈴木強

    ○鈴木強君 それではこの点はまだ明確になりませんから、違法行為でないというこの問題については、いずれまだ質疑が残っておりますから、そのとき明確にいたします。  それからここで聞いておきたいのは、大臣のこの処理に当っては、われわれは非常に慎重な態度を望んでおるわけです。で、昨日もわれわれとしては関係議員が、大臣に対していろいろと申し入れをしておきました。その後大臣は岸総理とも御相談になったようにちょっと私聞いたのでありますが、その措置をあなたに一任されておるようにも聞いておりますが、さっきも、寝ても寝られない、こういうようなことをおっしゃるので、その心中もわかるわけですが、われわれはあくまでも、今まで申し上げておるいろいろな点が不明確でありますから、そういう点が明確になり、その上において行政処分を、もし不当であるならば公労法上の処分が出るということは、これはあり得ることでありましょう。しかしながら刑事罰等を加えるということについては、もう全くわれわれとしては納得できないことでありますから、そういう点を十分に把握した上で善処されると思いますが、今日の段階において、大臣の心境はどんなでありますか、どういうふうに処理するつもりでありますか。
  184. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私は先ほども申し上げました通り自分の所管内に起った事件でありますので、相当強い責任を感じております。でありますから、これが処分等に対じては慎重にかつ将来悪例を残さないように、というふうに非常に慎重な措置をとっておるのですが、どうも巷間説をなす人が、違法行為じゃないんだ、正しいのだ、これは当り前なんだ、労働行為に一切不法行為があっても処断すべきじゃないんだ、というような非常に強い、われわれが正しいので、政府のやることがみな悪いのだというような言説がなされておることは、非常に違憾なんです、私は。でありますから、先ほども申し上げました通り、純法律理論としては公労法の適用も阻却されるものじゃないし、また郵便法七十九条の阻却の要因ともならないんだというふうには言っておりますが、実際の運用の状況で、公労法の適用を受けて十八条の処分を受けたから、ほかの法律は適用を受けても、刑事訴追をするかしないかという問題、これは検察庁から、いろいろな問題で考えるのですが、だからそういうことに対しては非常に私も慎重に、また将来に悪例を残さないようにということを、日夜懊悩しながら考えておるのでありますから、今の段階においては、非常に郵政大臣が誠意をもって、自分の中のことだからできるだけ将来に悪例を作らないように努力しているんだ、ということだけは一つ御了解願いたいと思います。
  185. 鈴木強

    ○鈴木強君 それから私は、予算委員会であなたの調停段階における介入を実は指摘して、二百五十円ですか、あなたが金を出したというようなことが朝日新聞に載ったので、質問したところが、そういうことはありませんということですから、私は了解しておりましたが、きょうたまたま他の委員からそういう発言が出ましたが、私は予算委員会において、少くとも調停段階における政府経営者側の態度が非常に不審であったという点については、追及いたしましたが、これはいずれもストライキにかわる機関であるので、厳正中立的な立場に立って委員会運営せられるのであるから、これに対して何者といえども不当な干渉をすべきでないという考え方を私は持っている。そういう点については、大臣予算委員会で認められておったわけですが、とかく今までの調停、仲裁等の経過をみましても、非常に不当な干渉が政府によってやられておった。こういう事実を私が知っているがゆえに、予算委員会でそういう質問をしたわけです。その点は私はこの委員会でもあなたに申し上げておきたいと思います。これは答弁は要りません。
  186. 宮田重文

    委員長宮田重文君) この際、郵政大臣から発言を求められておりますので、許します。
  187. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) こういう席をお借りして非常に申しわけないのでありますが、私も毎度委員会にいていつ首がとぶものかという前提でお話をしておりますので、この際申し上げておきたいと思いますが、私就任後八カ月の間、私も私なりに郵政事業の発達のために全力を傾中してきておるわけであります。その結果がまあこの国会に法案となって出ておるわけでありますが、十一件提出のうち三件しかまだ通過をいたしておりません。設置法を含めて非常に大きな問題ばかり持つものでありますし、特にお年玉はがきの問題は厚生省との懸案の問題でありますし、七件の問題はこれは長い間の請願事項でもありますし、放送法は言うまでもなく、今のうちにこの程度の改正をしなければ、将来予測しがたいというふうに、私どもは個人的な考えでありますが、どうしてもこれは制定しておきたいということで、世論の非難もあまんじて受けながら、正常なしかも中道をいく放送法を作ったつもりでありますが、こういうもの、特に先ほど御指摘もありましたように、電波の合理的な運営を行うためにどうしても必要不可欠の電波法、公衆電気通信法、郵便為替法、日本電信電話公社法の問題等、いろいろ今八件ばかり御審議を願っておりますが、これはぜひ、この国会も来月の十八日までとおっしゃらないで、まあ先ほどの御意見では十八日には解散になるのだというような御意見もありましたので、私もまあ内心非常に困っておるのですが、そういうことはないと思いますが、できるだけ一つこの法律案をぜひ早期に御審議をいただきたい。特に私が考えておりますのは、郵政省は庁舎の建設をどうしてもやらなくちゃいけないという問題、まあ現在貯金局に間借りをしているという省は郵政省だけでありまして、どうしても郵政本省を作らなくちゃいかんと思う。二十年前に保険局や貯金局を整備した先輩もあるのですから、私はこういうものの整備をどうしてもやらなくちゃならないという熱意をもって今やっているのでありますし、おおむね、これら七、八件残っているものは、国会では常にこの委員会及び衆議院の委員会で、こういうふうにしろということで提案した法律でありますので、ぜひ一つ皆様の絶大なる御支援によって、これをできるだけ早期に、この国会がいつどういうことになろうとも、一つ超党派的に運営されていき、しかも皆御要求のあったものばかりを出しているのであります。一つ超党派的にこれらの成立の促進をお願い申し上げます。
  188. 森中守義

    森中守義君 今の大臣の発言は、要望ということで聞いておきますが、この委員会は何びとの干渉も受けず、自主性をもって運営しているんですよ。そこで、案件がたくさんあるから、それをやってくれ、やってくれというようなことであれば、はなはだもって自主性が侵害を受ける。
  189. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) そんなことはないですよ。
  190. 森中守義

    森中守義君 いや侵害を受けますよ。あなた国会法を読んでごらんなさい。だからそういう余り差し出がましいことをこの委員会に御注文になってもらいたくない。それは要望として聞きます。そういう軽率なことを言ってもらっちゃ困る。(「それはここで言うことじゃないですよ。」と呼ぶ者あり)  それから資料のことがあります。資料を出してもらいたい。先刻の春闘の問題に関して、どうしても郵政省から資料をもらわなければ、審議上困難な面が多数、たくさんありますから、大臣の方でこれをちょっと記録をしてもらいたい。  昨年の九月以降、もっとも近い機会まで、先般行われた会議を指すわけですが、この間における監察局長会議及び郵政局長会議会議録を出してもらいたい。  それから本年の当初、昨年の九月以降、監察局長、それから人事部長、郵務局長が、組合対策として発した文書これを出してもらいたい。  それから地方の郵政監察局長等から、いろいろ労働組合関係の報告が上っていると思いますから、それを全部出してもらいたい。  それと各局長会議における大臣の訓示というか、演説といちのか、その内容。  こういうものの提出をこの次の機会までにお願いいたします。
  191. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) それはちょっと無理ですな。そういう無理は、衆議院だって……。
  192. 森中守義

    森中守義君 どうして無理ですか。もう出ているものを、ただ集めるだけじゃないですか。
  193. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) それは無理ですな……。
  194. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 以上をもって水日の委員会を散会いたします。    午後一時五十七分散会