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1958-03-25 第28回国会 参議院 逓信委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十五日(火曜日)    午前十時三十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    理事            松平 勇雄君            手島  栄君            山田 節男君    委員            石坂 豊一君            黒川 武雄君            剱木 亨弘君            新谷寅三郎君            前田佳都男君            横川 信夫君            久保  等君            光村 甚助君            森中 守義君            横川 正市君   国務大臣    郵 政 大 臣 田中 角榮君   政府委員    郵政大臣官房文    書課長     上原 一郎君    郵政省電波監理    局長      濱田 成徳君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君   参考人    日本放送協会会    長       野村 秀雄君    日本放送協会副    会長      小松  繁君    日本放送協会理    事       前田 義徳君    日本放送協会企    画局長     春日 由三君    日本放送協会経    理局長     首藤憲太郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○放送法第三十七条第二項の規定に基  き、国会承認を求めるの件(内閣  提出、衆議院送付)   —————————————
  2. 松平勇雄

    理事松平勇雄君) ただいまより委員会を開会いたします。  放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件を議題といたします。  前回に引き続き質疑を行います。
  3. 前田佳都男

    前田佳都男君 NHK予算で数点お伺いしたいのですが、まずこの事業収入のうちで、受信料収入という項目がございます。この受信料収入が、今後NHKラジオがカバーする地域は山村であるとか、山奥であるとか、あるいは漁村の非常にへんぴなところで、聴取者も非常に少いだろうと思う。それで、NHK受信料相当頭打ちになっておるのじゃないか。これから受信料収入というものはあまりふえない。その原因は、私いろいろあるだろうと思う。しかし、何と申しましても、盗聴といいますか、受信料を払わないでラジオを聞いておる、こういう連中が非常に多いのじゃないか、現に東京都内を走っている自動車の中でもほとんどラジオがついておりますが、私はほとんどあれは聴取料を払っていないのじゃないか、こう思うのです。そのほかポータブルであるとか、いろんな最近受信機が小型化してきておりますから、必ずしも聴取料を払わなくても聞ける、そういうふうな点で受信料収入というものが一向伸びない。受信機がどんどんふえていくにかかわらず、受信料収入というものがふえないと私は思うのです。盗聴といいますか、これが非常に多いように思うのでありますが、大体NHKでは盗聴の数はどのくらいあるとお見込みであるか、その点を一つお伺いしたい。  それからもう一つ盗聴を防ぐのに、そうしてやみで聞いておるのをどうしてこれを防ぐといいますか、盗聴防止策というものをどういうふうに考えておられるか、これは仕方ない、ポータブルだとかあるいは自動車ラジオなんか仕方ない、それはもうメイファーズでございますというものはどういうふうにお考えでしょうか、その点をお伺いしたいと思います。
  4. 野村秀雄

    参考人野村秀雄君) ただいまの点につきましてはほかの参考人から御説明申し上げます。
  5. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) 盗聴と申しますか、無届施設につきましては、これはもちろん協会財政上に非常に大きな問題がありますのみならず、ほかの善良な受信者に非常な悪影響を及ぼすということもございます。これは調査員を派遣いたしましてその契約勧奨発見ということに力を入れておるわけでございます。ただ盗聴と申しますか、あるいは無届と申しますものに入りまする範疇の問題でございますが、これは自発的にお届いただく方以外は無届というふうに申しますと、この数が相当大きなものになるのでございますけれども、このうち故意に届けないというような判定を把握することは非常にむずかしいものがございます。一例を申し上げますと、たとえば昨年十二月中の新規加入者が十一万四千件ばかりございました。このうち直接申し出ていただいた方、あるいは、ラジオ商その他部外の取次機関によって契約いたしましたのがそのうちで約三万四千、パーセンテージにしまして約三〇%でございます。これはまあはっきりと自発的に申し出たということになるわけでございますが、この残り、これはまあ一応無届といたしますと、これが八万になるわけでございます。これは職員とか調査員が参りまして、そうして契約したものでございますが、実際にはこれはやはり受信機を設置しまして、すぐ調査員とか職員が参りまして契約しておりますのがそのほとんど大部分なのでございます。従いまして職員とか調査員が参りまして取り扱いましたものが、そのままこれが無届だというわけには参りかねるわけでございます。従って故意無届をやられる方というものの把握はそのうちのごく少部分であるということになりますが、その数の把握ということは実は非常に困難なのでございまして、いずれにいたしましても長期間に無届でおられるという方がないように調査員を派遣いたしましてその早期発見の解消に鋭意努力しておるという現状でございます。
  6. 松平勇雄

    理事松平勇雄君) 前田委員質疑半ばでございますが、委員諸君に申し上げます。ただいま郵政大臣が御出席になりました。十一時までこの委員会に御出席予定でございますので、大臣に対する質疑を先にしていただいて、その後にNHKにしていただくようにお願いをいたします。
  7. 山田節男

    山田節男君 前会の委員会郵政大臣が御退席になったので、その続きとして二、三御質問申し上げます。  この三十三年度のNHK予算の内容並びに郵政大臣意見書につきまして、これをずっと一読しての感じですが、この間濱田電波監理局長質問したのですが、NHKFM放送を主要な地域に設置して、行く行くは全国の八〇%までカバーするものにする。これは公共放送の立場といたしましてFM放送もやりたいことは、これはもちろんわかるのですけれども、一方民間放送においてもやはりFM放送申請をしておるように私は伺うのです。こうなりますと、やはり日本の将来はFM放送公共民間事業形態でやるとか、民間放送全国のネットワークになれば主要な放送局にいたしましてもこれまた五〇%—六〇%ぐらいなカバレージに持っていく、しかもFM周波数周波数帯域というものは有限的なものだ、限りのあるものです。郵政省として一体FM放送並びにFM周波数チャンネルの、他の産業、放送事業ばかりでなくて他の通信事業も使うわけですから、一体どういうような根本的な態度FMに対して臨むのか、これはNHK予算に関連して郵政省の根本的な考え方一つ伺いたい、こう思うのです。
  8. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) FM放送チャンネルプランは早急にきめなければならぬと考えておりますが、非常に慎重にやつておるわけであります。どういうことかと申しますと、カラーテレビの場合もございますし、もう一つ中波混信地帯に対してFMがどれだけ食い込んでくるのかという問題も考えなければならないと思いますし、なおFM放送は御承知のように相当多数の局ができる状態でありますので、これを一体NHK民放側に分ける場合にはどういうような基本方針をとるのかというふうな基本的な問題をまず検討しながら研究をして参りたいという考えでございます。原則的に申し上げますとFMNHKにおおむね全国に全部行き渡るように割り当てるというふうになると思います。残余のものは民放にどういう格好で割り当てるかということはまだ研究中でございます。
  9. 山田節男

    山田節男君 現在の放送法、特に今提案になっている放送法の一部改正法案が通過するにしましても、例の何条ですか、NHK受信料の問題、現在の、現行法受信料、すなわち放送協会NHKの送信を受信する設備をした者は受信料を払わなければならぬという強制規定がある。これは申し上げるまでもなく中波の方です。標準放送の方です。しかしNHK公共放送としてFM放送を始めるということになると、すなわち超短波放送を始めるということになると、これも聴取者といいますか、受信機を別個にアダプターをつけることもできるでしよう。しかし一応受信機ということになれば別個の問題です。これはこの間、濱田電波監理局長に聞きますとFM放送に対しては、これはもちろん料金NHK公共放送であるからして料金を取らない、こういう話なんです。ところがこれは国際放送の場合と同じようにFM放送の費用を中波放送のために千四百万の人が払つておるわけです。FM放送NHKの採算において、経理においてこれをやるということは、現行法からどう考えるか、大臣はどういうふうに考えておりますか。
  10. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) FMが将来相当聴取率がふえるであろうことは、これはもう想像できるのでありまして、現行放送法建前からいうと、FMは完全なるAMに対するサービスということではなくして、新たに聴取者からは聴取料を取り得る、こういうふうに考えております。しかし、テレビの場合と同じように一台につき幾らとるのかということになれば、法律改正を必要とする、こういうふうに考えております。
  11. 山田節男

    山田節男君 これはまあ三年か五年——少くとも五年すればNHKが企画しているような全国大体八〇%のカバレージを持つということになっておるのでありますが、大体標準放送があつてこのFM放送をやりましても、しかも、FMは何をやるかといえば、大体これは音楽なんです。アメリカを見ると、ほとんど音楽なんですね、ただ、音質がいいというためにやるのですから、ですからそういうことになれば、標準放送と合せてやつておればFM放送聴取者というものは、これはもう八〇%カバレージを持っても標準放送とは問題にならないと思う。一割私はないのじゃないかと思うのです、FM放送聴取者が。ですから、そういうことから考えると、今のようにNHKをして、しかも三十三年以降不確定な財政基礎の上に立ってテレビジヨンというものをやらなくてはならないこれは絶対の使命を持っておつてFM放送も合せてやるということは、やはり余りにNHKの現在の財政状況から過重な負担になりはしないか、それよりはむしろ、僕はEMというものは民間にも早々にたくさん許すべきものではないと思う。ですから、NHKFM放送を三十三年度の予算においても、もうすでに何億かの金を使つて大阪東京名古屋にやろうというのですから、まだこういう大都市ならよろしいが、人口十万か二十万ぐらいのところにFM放送をやつて一体どれだけの効果があるか、こうなると非常に現在私はこのNHK予算は無理しておる予算であるから、FMをなぜそんなにあせつてやるか。なるほど今日は実験段階でありましようけれども、これはやがては正常な放送になると思います。ここに社会的の効果というものを考えなければならない。この点でどうも、片方では経費を節減して、長期の借り入れ資金をうまくやれ、なかなか容易なことではないぞという意見書をつけておられながら、一方においてFM放送というものの第一歩を踏み出させるということは、実験放送ということではなく、正規の放送に切りかえさせることは、私はもう一年くらい待たして実験放送段階を続けて、それから値上げなりあるいは今日の受信料の実態が今のような……、財政的な確保ができるような工合に法の改正をして、後ならまだいいと思います。まだ少し時期尚早ではないかと思うのです。そういうことについて大臣はもちろん考慮を払われたと思うのですが、どうですか、あなたのお見通しについてお考えを承わりたいと思います。
  12. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) もちろんNHKが非常に苦しい予算の中で仕事をやるのでありますから、序列はラジオをまず万全な態勢におくということが第一であることは論を待たないわけであります。  第二は新しい資金の導入を考えつつテレビジヨン民放に先行してやらなければならないという二つ目の順位が為るわけであります。少くとも中波が現在あるのでありますから、FM放送をやるとしてもラジオの拡張や老朽施設の改善をとめてまでFM放送をやるべきものではありません。私は厳重にそういう考えを貫いておるわけでございます。ただ、FM放送に対して、NHKに対して予備免許を与えたということは、一体FMというものをやることによってどれだけ聴取者があるのか、それから、一体FMをやつた場合に、中波ラジオ聴取率が減るのかどうか、両方とも合せて持つということは、これは理想的ではありますが、なかなか一般家庭ではそこまで行けないというような状態から、あなたが今言われた通りFM昭和三十三年度における数字として並べてみますと、ラジオテレビFMと一律になるようでありますが、実際問題としては試験研究聴取者状況を調べるという程度で三十三年度は進んで参るという考えでございます。
  13. 山田節男

    山田節男君 そういたしますと、これは、重ねて私お伺いしますが、民間放送商業放送FMを、これは今後新設もふえるだろうと思うのです。今度の放送改正案でも、民間放送では受信料をとらないということになっている。しかしこれを私がこの間も質問申し上げたように、民間放送でもFM放送、しかもそういう、アメリカで今問題になっておりますけれども、民間放送で有料の放送をするということは、当然私はそういう需要もあるし、また企業としても、商魂のたくましい日本人は必ず企画するだろうと思うのですが、民間商業放送に対するFMというものは、私はNHK実験段階におくというならば許すべきものじゃないと思う。民間放送に対しては、FM免許というものについてどういうお考えなんですか。
  14. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 先ほど申し上げましたように、FMに対しては、現在の混信が非常にひどいというAMからFMに全部移してはどうかという議論のあることも御承知通りであります。でありますし、なお民主的であり、特に電波を使う文化の向上というものは非常に大きいけれども、日本経済とバランスのとれない電波の構成ということも考えられるので、特にFMチャンネルプラン決定及び予備免許に対しては、相当慎重でなければならぬ、こういう慎重論もございます。私もその慎重論一つを唱えておるのでありまして、現在のところはようやくラジオ相当長い期間を経て民放もペイ・ラインに乗つたというのでありますが、テレビを併設することによってまた当分赤字を続けなければならないということもあるのでありまして、どうもNHKFM放送免許申請をやると民放もやる。カラーテレビ試験免許をやると民放もまたやるということは、どうも競争意識に立っておって、経済ベースを離れたものの考え方になるのではないかということになりますので、民放に対するFM免許は非常に慎重に考えておりますので、現在のところチャンネルプランも決定しておりませんし、今までのテレビ及び中波チャンネルプランそのものも、全国的にアメリカ軍が使用しておったようなものが返つて参りますから、ある時期には全国的なチャンネルプランの変更も余儀なくせられるという状態から考えましても、FMチャンネルプランをきめる場合には、相当合理的なものをきめなければいかぬと思いますし、行きあたりばったり式のものをやつてはならないという考えでありますから、現在直ちに民放FM免許をしようというような考えもございません。
  15. 山田節男

    山田節男君 このことについてもう一ぺん念を押しておきますが、非常に重要な問題でして、一歩誤まりますと非常にまた混乱を来たすと思います。過日濱田電波監理局長から話があったのですが、西欧諸国ほどまだ中波混信がひどくないから、現在のAM放送でやつていけるのだけれども、将来大陸方面、中共、ソ連……、現在においても日本海方面においては相当混信妨害があるわけですから、だから将来の問題とすれば、これはすべてのラジオFMになっていく、音質ということからすれば、理想としてはそれでいきたいわけです。しかしこれを、今日までの設備を整えたNHK並びに民間放送テレビに関して全部FMに切りかえるということは、これは非常に大きな問題である。だから、政府としましてはまず公共放送だけはFMに全部切りかえたいということになれば、民間放送から必ず文句が出るに違いない。今日からみても、相当民放FM周波数を割り当てられても、これはスポンサーの関係から、どうしてもやはり公共放送だけFMにするというわけには私はいかぬと思う。ですから、このFMに対しましては現在NHK東京大阪名古屋を初めとして、全国にこれを拡張するという計画を持っておりますけれども、私はこういうふうな何もかもつばをつけておくというふうなことは、公共放送としては少し健全ないき方ではないと思う。しかしこれは民間放送との競争意識もあるからそれをやるという今の大臣お話しもあったけれども、それではいけないと思う。やはり公共放送公共放送としての落ちついた建前にしなければならないと思う。政府は前の村上郵政大臣以来、テレビチャンネルを中心にして公共民間の両放送が激甚な競争をした結果、もうおびえてしまつて何もかもつばをつけておかなければならぬといったようなNHK経営自体がきわめて不健全な事態になっている。これについては政府にも相当の責任が私はあると思う。これについては一層の注意をしてもらいたい。  それからカラーテレビの問題ですが、NHKの方にお伺いしますが、三十三年度以降におけるカラーテレビ実験費実験放送その他設備をととのえる意味においてどのくらいの金を予算において考えておられるのか。それを数字的に一つお伺いしたいと思います。
  16. 松平勇雄

    理事松平勇雄君) ちょっと速記を  とめて。    〔速記中止
  17. 松平勇雄

    理事松平勇雄君) 速記を起して。
  18. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) 今年度予算カラーテレビジヨン実験用経費として計上しております金額は四千五百万円でございます。
  19. 山田節男

    山田節男君 大臣にお伺いしますが、このカラーテレビの問題ですが、御承知のように今日NHKNTV両方がやつておるわけですが、しかもこれは実験の、実験放送としての免許をされておるわけです。ところが、過日、私は本会議でも質問を、郵政大臣並びに通産大臣質問をいたしたのですけれども、このカラーテレビジヨンというものは、私は民間放送並びに公共放送に対しまして、これはヨーロッパの現状を見ましてもまだここ二年や三年で、まだ白黒テレビジヨンが百万台を突破しない今日、カラーテレビジヨン実験放送電波を二波も、さらに聞くところによればラジオ東京もすでにカラーテレビの機器を全部買つて、もう準備している。そうすればこれはKRも申請しているのです。こうなると、私はどういうものか、この放送事業民間公共放送との対立というか、競争ですね、むだな競争が今芽ばえつつある。これはやつぱりNHKならNHKにやらせておけばいいじゃないか。片一方、商業放送の方で何でもカラーテレビのセットをアメリカから百台輸入しよう、そしてそれを、何十台かを東京周辺の重要な部面に置いてこれを見せるんだ、場合によってはこれにスポンサーをつけるのだ、こういうことが巷間で伝えられておるのです。一体政府放送事業に対する監督権というものがどこにあるのか、ということを疑いたくなるほど、実に私は混乱を憂えざるを得ない。一体このカラーテレビジヨンが、NHKが来年度四千五百万円の金にしても、来年度の予算としてはこれは相当な金と言わなければならない。このカラーテレビに対して政府は一体どういう態度をとるのか。聞くところによれば、モスクワカラーテレビジヨン標準方式会議があるやに私は聞いておりますけれども、それらの結論が出ても、私はこの実験放送の本式な放送というものは、これからゆうゆうと考えるべきものではないか。今のようなカラーテレビジヨンを複数な放送局に、しかも公共民間放送に分けてやらせておることがいいかどうか。どういうお考えで一体こういうことをやらせておられるのか、お伺いしたい。
  20. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) カラーテレビにつきましては現在試験放送免許をいたしております。そのほかにあります免許方式実験実用化試験ということから実際の放送という段階になるわけでありますが、現在には試験放送以外に予備免許をする考えはございません。先ほども申された通り、五月の末から六月の初めにかけて、モスクワ世界カラーテレビ標準方式会議が開催せられまして、NHKから二名、郵政省から技術官が一人出席する予定でございますが、いずれにしてもこの会議が済まなければ、世界カラーテレビの方向も決定つけられないのでありますから、NTSC方式になるというような考え方で、どんどんと実用化、本免許を行うということは避けなければならないというように政府考えておるのでございます。  なおラジオ東京なども試験放送免許申請をしているので、受像機及び撮影機の百台も入れるのではないかというようなお話しもございましたが、そういうことは現在ございません。六、七台か十台くらいのものを入れて試験放送をやろうという考えでございます。  カラーテレビに対する根本的な考え方はどうかというと、白黒テレビがようやく民放三十四社、三十六局に対して確認を与える段階でございまして、実際波が出て、この事業の実際面を調査できるのは二年ないし三年後であります。あるいはもっとおそいかもしれませんが、そういう状態から考えましても、少くともカラーテレビというようなものをやることによって、白黒テレビに対して混乱を起してはならないということを現に考えております。混乱を起すというよりも、白黒テレビによるテレビ放送の完璧を期して、カラーテレビはそれに付随しもしくはそれ以後に行なってよいという産本的な考えを持っておりますから、実際の放送スポンサーをつけてまで放送せしめる考えはないということを明確にしておきます。  一体、なぜNHKだけがやればよいりに民放に対しても試験免許行なつたかというおただしでございますが、NHKは御承知通りUHF帯カラーテレビ放送に対して、技術研究所がやっておったわけでございますが、今度は民放から出て参りました申請NTSC方式によるアメリカ式のものをまた研究をしたい、しかも現在の白黒テレビVHF帯そのものを使って、特殊な受像機にはカラーで映るが、白黒受像機にはそのまま白黒で映るという方式研究してみたいから、ぜひやらしてくれ、こういう問題があったわけでございます。でありますので、NHKにも同時に予備免許を与えたのでありますが、NHK在来通りNTSC方式における問題も研究するのとあわせて民放と同じVHF帯のものも研究を進めていくという状況でございます。  なぜ一体民放に競合さしたかという問題に対しては、郵政省としても相当考えたのでありますが、テレビ免許をいたした六、七年前の状況考えてみますと、どうもやはり国がやっておったり、公共機関がやっておるだけではテンポの非常に早い技術であるから、こういうものは一つ民間でも大いに力をあわせてやるべきである、しかも民放は黒字で、しかもNTVなどは大幅な配当もできる状態であるので、公共放送業者建前としても金が少し余った場合には、これを将来の研究に向けるべきである。しかもただ一社というよりも二社、三社が互いに力をあわせてやることがより技術の進歩があるというお話もありましたので、特にNHKにあわせて民放にも試験免許を与えたわけであります。しかしこの試験免許の前段にあった申請は、実際放送を行いたいということでございましたが、先ほども申し上げましたように、放送免許する方針でないということで試験放送免許だけを与えたわけであります。
  21. 山田節男

    山田節男君 時間がありませんから、最後にこのNHK予算の問題の特に大臣意見書の問題ですが、このNHK予算総則にありますように、職員の努力によって合理化、また努力によって増収した場合には、いわゆる予算総額の何というのですか、弾力性を持たせて、これはいずれの公社もそうやっておりますが、従業員の給与の増額というものがはかれる。これが一つ経費を節約して増収をはかるということの刺激にもなるわけであります。同時に、そうして今後盛んに行われなければならない増設の費用にそういう面から経費の節減で捻出しようということを大臣意見書にあげておる。来年度の五十億円に対して三十億円だけは大臣財政投融資から保証してやろう、あとのものは長期の他の借入れ方法によって、そうして経費を極力節減して増収をはかれ、増収をはかれということは、要するにテレビジヨン並びにラジオ聴取料を根気よく集める、こういう意味だろうと思うのです。これは繰り返しますけれども、こういう画期的なNHKの課題をしょった三十三年度の予算としましては、大臣意見書にもあるようにこれはきわめて危険きわまる、きわめて冒険な予算であることは申すまでもない。最後に大臣がこの収支予算事業計画を実施するに当っては、極力経費の節減並びに増収をはかれ、こういうことをおっしゃっているのですよ。これは解散もありまするし、それからまた大臣の更迭があるかもしれませんし、また三十三年度以後のことを考えますと、少くともこの三十三年度の予算承認された田中郵政大臣としては、三十四年度以降におきましてもあなた責任があるものと私は思うのですね。ですからこの三十三年度の予算に、こういうしっかり経費の節減をやって増収をはかれ、そうしなければNHK財政というものは不健全化するぞということをあなた意見書の最後の文章にうたっておられるのですね。これは私はNHKの三十三年度の予算承認されるそのいきさつをこまかに知ろうとは思いませんが、三十億の財政投融資は保証してやろう、あとは借金でやれ、あるいは経費節約でやれとおっしゃられましても、大体NHKの当局といろいろとその点をあなた調査されて、二十億円はNHKで曲りなりにも健全なワクをはずれないでやり得るだろう、こういうあなたお見通しがついたから承認をされたのだと思う、この点を一つ伺いたい。
  22. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) ただいまのお説のように、二二年度のNHK予算案は姿のいいものではありません。また私もいいものとは考えておりません。しかし政府としての責任としては、三十三年度の予算案はNHKの五カ年計画の第一年次だというふうに責任を持たなければならないというふうに考えておることは明確に申し上げておきます。五十億円近い借入金のうち三十億は、まあ簡保の実際的な運用でまかなってやろうということでありますが、あとの二十億は、三十二年度は市中借り入れが十億でありますから、市中借り入れが倍になるわけであります。特に市中金融も好転したとは言いながら、倍のものをこなすために円満にいくかどうかという問題もありますので、私としては三十億ということだけではなく、簡保の実際的な運用の原資の状況考えまして、できるだけ民間市中金融を圧迫したり、それからNHKが計画に、そこを来たすことのないように、なお格段の努力を払わなければならないという考えでございます。
  23. 山田節男

    山田節男君 これで打ち切ります。
  24. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 二、三伺いますが、これは前にもどなたか委員質問されたので重複するかもしれませんが、国際放送の問題ですね。これは放送法の三十五条、結局その国際放送に要する費用は国の負担とするという明文があるわけですね。けれども今度のやり方は放送法の上から異例じゃないかと思うのですよ。これは金額を削られたからやむを得ない、こういうふうなことも考えられるということで、つじつまを合せたようにも見えますけれども、たとえば気象通報を送っていますね、各船にこれは。だからトランスミッターを一つ減らすということについては、それは技術の進歩もありましょうし、機械の改善もあるでしょうし、いろいろ前よりもよくなっておることは事実です、しかしそういうことで、このNHK国際放送についてはトランスミッター一つ減らしていいのだ、しかしほかの航行警報とか、あるいは気象通報とか、あるいは船舶相手の通信についてはやはり同じようにやるということでは、どうもこれは私つじつまが合わぬと思うのですよ。これはあなたの本意ではないとは思いますけれども、今度の予算は。そういう私は悪例を作ってもらいたくないのです。国際放送は、もちろん私が申し上げるまでもなく、それは国際親善にも役立つであろうし、文化交流にも役立つであろうし、広報活動にも大いに力のあるものですから、それは各国とも非常な力を入れてやっているのに、いろいろないきさつもあったのでしようが、つまりその費用を負担するという費用を算出する根拠が変ってきておる、また将来もこれじや変るかもしれぬということだと、国際放送そのものが非常に不安定になると思うのです。これは一つ大臣が、こういう悪例を先例にしないように、これは一つ今から政府部内にもはかってもらいたいし、あなた自身の腹もこういうところにおいて今後善処せられるということが必要だと思います。念のために伺っておきたい。
  25. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 三十三年度の一般会計予算及び御審議を願っているNHK予算の中では、国際放送に対する三十三年度の政府交付金が八千九百万円でありますから、三十二年度から見ますと千五百万円減っております。この千五百万円は減っておるけれども、十五方向十五時間をやるということになっておりますから、一体どういうことだということになるわけでありまして、これは国際電電の機械の使用料が千五百万円減るから、三十二年度の交付金と同じ額を交付した、こういうことを政府考えておるのだということを四角ばって答弁しております。おりますが、私自身は……、現行放送法建前からいうと、この予算でもいいのであります。いいのでありますが、個人的な考え方は、いつも申し上げておりますが、まあ世界の例もあるように、また国際放送の重要性を考えますと、法律のいかんにかかわらず、二分の一なんというみみっちいことを言わないで、国際放送に要する費用そのものは全額国が負担することが一番いいのじゃないか、そういうふうな形態でいくべきだろうという考えを持っております。また六億余万円の要求に対して、私が政府と連絡をして二億何千万円郵政省としては要求をしております。おりますが、それが八千九百万円になったというので不本意であります。不本意でありますが、大蔵事務当局とどうしても私たちの間に問題がありますし、過去にも問題がありました。三十三年度の予算でも問題があり、将来もその問題があるのじゃないかと思われるものは、条文に非常に明確な規定があるのであります。それは三十三条、四条、五条、三十九条及び第九条の問題でありますが、三十三条では明らかに政府国際放送をやらしむることができる、方向、時間、それから放送事項を定めて、こういうことでありますから、政府が番組の内容まできめて放送せしむることができると法律には明確に書いてあります。ところがそういうことは、今までやったことはございません。ございませんが、法律の建前を読んでみますと、第九条の一項で、NHK国際放送をすること、こういうふうに明確にNHKに義務立てております。三十九条ではNHK国際放送の金は政府から全部もらうのではなく、聴取料でもってまかなってもいいのだということが三十九条にあります。受信料でもってまかなえるものすなわちNHK収入金をもってまかなえるものは第九条第一項、第二項の事項に支出する費用に限るというふうに明確にしてありますから、国際放送は一般受信料でまかなってよろしいというのが現行の建前であります。除外例として、第九条を受けて第二十三条があります。NHKが原則的に国際放送をやるのであるが、政府は事項を定めてNHKに対して国際放送をやらすことができる。その費用は全額国が負担しなければならない。こういうふうに非常に明確になっておるのです。でありますから、政府が現在あまり事項を定めてまで国際放送を指示しておらないのだから、二分の一出して、それにNHK受信料でもってプラスをしても法律の建前上は当りまえだというのが大蔵省の考え方なのであります。私は法律上はそうであっても、国際放送というもの自体を考えるときに、世界の例を見ても、こういうものこそ全く政府が全額出すべきなんだという考えを持っておるのでありますから、対立をしておって今日のような予算状況になっております。でありますから、三十五条でありますか、その費用は国が負担をしなければならないという規定は前条を受けておるのでありますから、前二条による費用は国が負担をしなければならない。すなわち、三十四条、三十三条の政府が命令をしたものだけをやる。こういうことでありますから、命令をしない部分NHK受信料をもって二十九条でまかなうのだ、こういうような法律的な明確な規定があります。でありますから、大蔵省はこれでよいのだ。全く合法的なので、郵政大臣が言うのは精神としては了解はするが、法律的にそういうことをするのはいらんことをすることにもなるのだ。ことに放送法建前NHKの自主性を非常に強くしてNHKの自主性を侵すようなことをやつちゃいかぬので、法律にない金まで出すのはNHKの自主性を得す。すなわち、放送法の精神にも反するのじゃないかという、こういう議論さえやって、相当深刻に対立をした問題なのであります。でありますから、できれば国際放送というものは国が全部やるのだ、できるだけ。実際政府が必要としないものはNHKで自主的にやらしておいて、政府が必要とする場合は事項を定めて放送命令を出すということが一番合理的であるのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。でありますので、三十三年度の予算を顧みて、放送法改正案も出しておりますから、できればこの問題も明確に規定すればいいのでありますけれども、ついに放送法改正案でも現行の条文通りということになったわけでございまして、こういうことについては両議院の非常に長い間の御意見もありますので、三十四年度以降については政府部内の意思統一をはかって、できるだけ国がより多く交付金を出して国際放送の万全を期すようにしなければならないだろう、こういうふうに考えておるわけであります。
  26. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 大臣のお考えは一応わかるのですが、あなたの今の御説明の中で、大蔵省と対立しておる、まだ対立が続いておるというようなお話で、しかも、大蔵省の意見として、今おあげになった三十五条、三十九条とか、あるいは三十三条というような条文をあげられて、大蔵省はこういうふうに解釈しておる。それに対して、まだ大臣としては法律上はっきりした解釈が政府部内でも統一しなかったり、法の精神についてまだ閣内で一本にまとまらないような印象を受けるお言葉がありましたので、それなら私は言わなければならないと思うのですが、この法律は実はもう七、八年前にわれわれが長い間かかってGHQと話し合って作ったものです。その当時からこれは問題になっておったのですけれども、今大蔵事務当局がこういう意見でおるということを大臣は言われましたけれども、そういうことは当初から全然考えられておらなかったことは明瞭です。今大臣のお示しがあったので思い返して読んでみましたが、これはなんでしょう、郵政省は今おやりになろうとする十五方向十五時間については、これは最小限度必要なもので、これを政府の業務命令から離そうという考えは全然ないのでしょう。この点は大蔵省は異論があるでしょうか。十五方向もいかぬ、余計なものだというのでしょうか。それだとすると、どこがいかんのか。これはこの委員会に大蔵省を呼んで、どこの方向が悪いのだ、どこの方向が国として必要ないのだ、ということをはっきりとしなければならぬと思うのです。むしろ十五方向では足りないというのが国会の全体の意見じゃないでしょうか。そうすれば、大蔵省が、これはNHKが勝手にやっている国際放送なんで、このうちのある部分は国が命令してもいいが、ある部分はこれは命令しなくてもいいのだ。従ってこれはNHKの自前でやるべき、自分の費用でやるべきものだというような、二分の一説なんというのが出るはずはないと思うのです、そういう考えでいけば。私は今日足りないと思うのです。もっと時間をふやしてほしい。各国の国際放送状況をごらんになっても、こういうふうに日本のような国情の国で、こんなにおくれている国はあまりないでしょう。もっと大へんな費用をかけてやっているはずです、その点、私はまだ大蔵省の意見が、半ば考慮をしてもいいような印象を持つ発言を大臣がされて大臣がまだそれにちょっとでも賛成されているような空気があると困ると思うのですよ。これはもう明瞭にしてもらわぬと、来年からまた同じことを繰り返していくということは、われわれこの委員会でも長年のこれは沿革があるのでありますから、このままではほっておけないと思う。
  27. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) お説の通り十五方向十五時間では国際放送は足らないとさえ考えております。私も就任当時は十七方向十七時間、十八方向十八時間くらいが必要だろうとさえ考えておりましたのですから、現在で万全なものとは考えておりません。大蔵省が言っておりますのはこういうことを言っておるのです。ここで一つざっくばらんに申し上げますが、大蔵省は法律的にはこうだ。政府部内では、法律でもってもう明確になっているじゃないか。法律でもって非常に明確になっておるものを、郵政大臣が全額出せということはおかしいということを一つ明確に言っております。言っておりますが、対国会などでもって話をしますときには法律論はやらないのです。やらないで、どういうことを言っておるかというと、いわゆる、政府が業務命令を出しておりますものはニュースであります。でありますから十五方向十八時間というものに対しては、そのニュースの占めるものは二割か三割でしょう。でありますから、政府が出した業務命令はニュースだけであるので、実際は全国際放送にかかったものの三割か四割出せばいいのです。実際、前奏曲とかそれからあとから娯楽番組を送ったり、そうするものは、これはNHKが自主的にやっておるので、こういうものまで出すということは放送法の精神に違反するのです。こういうくらいならば全然法律にはふれないで、われわれは、命令をしたニュースに対しては全額出しておりますから……、全額以上に出しておりますから、法律違反でございません。法律違反ではないかもしれんが、実際的にいって相当こじつけな議論であるということは私も認めます。でありますから、そんなこじつけな議論をするのだったら立法議論をしたほうがいいと思うのであります。法律議論は、この法律をお作りになった当時の御意見がございますが、この法律の条文からいいますと、当時の思想が非常によく出ておるのです。でありますので、日本の民主化というような立場からNHKに大いに自主的なものを一つまかそう。何人からも干渉されないような組織形態をとろうというニュアンスが非常に強く出ておりますから、そういう意味からいいますと政府NHKにやれるものはごく限られたもの、政府が命令したものだけにしぼってあるというふうに読まざるを得ないのです。そうしますと九条の二項に一国際放送を行うため、放送局を設置し、維持し、及び運用し、又は政府の施設を使用すること。」と明確に書いてある。それで実際その費用、三十九条で、「協会収入は第九条第一項及び第二項に掲げる業務の遂行以外の目的に支出してはならない。」すなわち国内、国際放送の業務の費用は支出をしろと、かように書いてあります。この九条と三十九条を原則としてものを考えて、三十三条、すなわち「郵政大臣は、放送区域、放送事項その他必要な事項を指定して、協会国際放送を行うべきことを命ずることができる。」それで三十五条は「前二条の規定により協会の行う業務に要する費用は国の負担とする。」、こういうことでありますから、原則的に法律論だけで申し上げますと、どうしても国際放送受信料をもって行うという原則を確立して何人からも干渉されない、こうして、ただし国は国際放送の特殊性からいって、事項を定めて国際放送をせしむることができる。そうして三十四条は「郵政大臣放送の進歩発達を図るため必要と認めるときは、協会に対し、第九条第一項第四号の範囲内で事項を定めてその研究を命ずることができる。」国が放送協会の行うことに対しては非常に厳密な制約をしてるんです。そういう意味で、第三十三条の国際放送と二十四条の「範囲内で事項を定めて」命じた研究に対する費用は前三条を受けて、これは国が負担しなきゃならぬというと、純法理論から言うと、国が命令をしたものだけ負担するというのであって、二分の一負担をしておる現在の予算制度としては、一切法律違反はない、こういうことを大蔵省は、政府部内では私たちにそう言うのですが、国会ではそんなことを言うと、またいろんな問題が起きるので、そういう問題から離れて毎度予算が組まれておる。こういうことは明確にしなければならぬし、特に国際放送の重要性というものを認めておる私としては、もっと明確にして、将来は国はもっと国際放送に力を入れるべきだという考えで申し上げたわけです。
  28. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 大臣の率直な御答弁で、それはけっこうですが、私、立法当時は、これは九条の業務の範囲ですからね、その範囲では協会受信料収入でまかなっても、これは違法ではないということを書いてあるわけです。積極的に国際放送聴取料収入でまかなうのが原則だということはどこにも書いてない。これはむしろ逆にこういう業務を行うに要する費用は、国が命令して行うのですから国が負担すべきだということをむしろ原則として書かなければならぬというような、立法当時のそういう経過があるので、この点は大臣の御苦心もありますけれども、十分に研究していただきたい。  もう一つ、これは簡単にお答え願ってけっこうです。これは予算総則にあることですが、私はかねてラジオテレビジョンとの間の予算の費目の流用をしてはならないとありますが、これは御承知のような沿革でできたのです。当時はテレビというものは非常にぜいたくなもので、一部の特権階級しか利用しないということで、ラジオからあんまり費用をここへ流すのは困るということであったのですが、しかし現実の問題としたも、たとえば共通の経費なんていうものはラジオから出してるわけです。テレビが今日のように普及し、今後もどんどん普及して四百万とか五百万とかいうことになりますと、こういうふうなことでは彼此流用できない。両方とも特別会計だという必要はなくなってくると思う。もちろん聴取料受信料の算定の基礎としてはこういうような数字が必要ですが、帳簿の上では分離されるのがいいでしょうが、しかし、こういうことをやっても事実行われないんですね。会館なんかをどうするか、共通経費をどうするんだということになりますと、こういうことを言っておると動きがとれなくなるので、私は予算総則にこういうふうな原則を置くことについては、もう考え直した方がいいんじゃないかと思うのです。それとも大臣が将来NHKを二つに分けてラジオNHKテレビNHKに分けようというようなお考えがありゃ別ですがね。それは今のところないようですから、もしもNHKが今後予算総則の四条二項を変えたいというような提案をした場合に、大臣は賛成されるかどうかということが一つ。  もう一つは、これはあとで野村会長に聞きたいと思うのですが、いろんな経費の節減がたくさんありますけれども、それはともかくとして、私はこのごろ常時耳についてしようがないのは、NHKの海外特派員からの報告なんです。これはお聞きになったことがあるでしょうと思いますがね。野村会長もそれは聞いておられると思う。あの報告が私はすべてがつまらないとは思わないのですがね、それだけの意義があると思います。しかし、あの海外の特派員から国際電話か何かでやってくる報告ですね、あれを一ぺん録音か何かで聞いてごらんになるといい。こういうことのために、非常になけなしの外貨を出し、非常な費用を出して、数人の、あるいは何人かしりませんけれども、非常にたくさんの人を海外に送っていると思いますけれども、公共機関として情ないと思います。これはもっと活用してもらいたいと思います。というのはNHKは、これもやはり法律の関係のあることですが、これはしかし政府との話し合いでできることですが、このごろ各国と文化協定を結んでいる国が非常に多いわけですね。これは本来大使館、公使館の仕事だろうと思います。国と国との協定ですから。しかしNHKのような公的な機関は、これに大いに協力してしかるべきだと思うのです。そういう使命を持った文化機関であると思うのです。ですから、番組の交換とか、あるいはフィルムの交換とかというようなことはもちろん大いにやってもらわなければならぬと思いますが、今のような海外の特派員が一週間に一ぺんずつロンドンが霧が深いとか、ニューヨークが暑いのだというようなことを言ってちょうど国内が野球放送を聞いているような形でもって、数日前に新聞に出ていたような内容の報告を長々とやるということに対して非常に経費が出ているが、私はこれはもっと方向を変えてもらいたい。それで今の国と国との間のお互いの親善、文化の交流というようなことにもっと役に立つように、そういう人も、あるいは経費も大いに活用してもらって、それで国際的な親善、文化の交流というふうなものにNHKも協力してもらうように話し合ってもらいたいと思うのですが、大臣その点簡単でよろしゅうございますから……。
  29. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 予算総則による彼此流用につきまして申し上げますと、ラジオの場合はテレビが非常にぜいたく品である、奢侈品であるというような考え方から言いましても、ラジオ受信料をもってテレビの建設等をやつちゃいかぬということは当然であったわけでありますが、今度はテレビが非常に多くなり、しかも五年たつと大体四百万台になるわけでありますが、四百万台になると、現行の料金でもNHK収入は三、四十億になるわけであります、そういう意味から言ったら。しかもテレビの普及によってラジオが減るのでありますから、今度はその一部の人たち、テレビを持てる人たちからの費用によって全国民的なラジオをまかなうということは、そう問題ではないのじゃないかと思うのであります。これは性質が全く違って参りますから、しかも、これらの流用に対しては、国会承認を経るのでありますから、国会承認を経て彼此流用ができるようになることは間近い問題だと思います。しかし現在はまだテレビの建設の途次でありまして、ラジオでもってまごまごすると、まかなわなければなぬという状態でありますので、ことし、来年、再来年ぐらいはまだこの予算総則が必要であって、テレビが非常に充実をして、テレビでもってラジオの減ったものをカバーできるという場合に、初めて予算総則が撤廃されるということが考えられるのでございます。その場合ももちろん国会承認を経て初めてそのことができるということでございます。それから海外特派員の問題について御質問でございましたが、これに対してはいろいろな議論が出ております。私のところまでも、もっと経済指数などを早く言ってくれ、実際の相当の要路の人たちに当ってみて、しかも民放というのではなく、NHKという公共機関の代表として行っているのだから、ニュースの収集も比較的楽なんだから、もっと的確な情報を送るとか、ニュースを送るということをやることがいいのだが、どうも場合によると、民間放送機関から行っておる人たちよりも、よりいろいろなものに焦点を広げて、もっと有効なものがあるじゃないかというような、いろいろな要求が私のところへきておりますが、私はこの問題に対して、まだNHKに全然言ったことはありません。なるべくNHKに干渉しないという建前でありましたから全然言わなかったのですが、いろいろなことを言ってきておりますが、せめて予算国会承認でも得ましたら、今度は一つ大へんなんだから、私のところへはこういうことがきておるのだから、一つNHKにお送りしますから、どうぞ御調査の上、直ちに一つ御善処を願いたいというようなことぐらいは一つ申し上げたいと思っておった次第でございます。
  30. 手島栄

    ○手島栄君 大臣はお忙しいようだから、きわめて簡単に。私このNHK予算の編成原則というのですね、どうもわかりにくいのです。これに一番……、両方とも逓信省で育った仕事です。むしろNHK予算と、今の予算の作り方と同じ、片方に電信電話の拡張計画があります。あれは五カ年計区画と十年計画ときめてありましたが、大体五年ないし十年先の見通しをつけて、そうして施設がこういうふうにある、そうして収入がこういうように変ってくるという見通しをつけて、長い間の計画で、その一年を出して予算としてやっていく。ところがNHKの方も、電信電話と同じように施設費が非常に変ってくる。これは業務勘定みたいな経費なら、大して年々変ってきません。施設が入ってくるため支出が非常に変ってくる。それから収入も非常に変ってくる。こういう予算を、一年こっきりの予算を出されるということが、これでほんとうの審議ができるかどうかという気がするのです。たとえばことしも金が足らない、料金値上げでいくんだという考え方なんです。ところが料金値上げいかぬということ、別段理論的なことでなくて、この際料金を値上げすることは政治的にまずいということが主になって、まあやめられたと思うのです。ところが施設費が非常にかかるときには金が足らぬ。しかしその施設の結果、将来どういうふうになるかという計算なしに、料金値上げをするのだ、借り入れでやるんだという判断をすることがすでに無理じゃないか。だからNHK予算は、もう少し長い期間の収支を見たものを出して、その中の、ことしは金が足らねが、今後収支が増して、たとえ赤字になっても、料金を値上げしなくてもカバーする時代がくるのだから、料金値上げはしない。ずっと見ていつまでたっても料金値上げをしなくちゃやっていけないから、これは料金値上げをするというような判断ができるような予算の作り方なり資料をそろえてお出しにならないと、これは今までNHKがなぜこういう予算でやっていけたかというと、もうある程度施設をやれば、それ以上の収入がどんどん入ってきたからそれで苦労がいらなかったのです。新谷委員から話があったように、行き詰りということになっておる。これから金を使っても収入は入らないということになれば、この問題は非常に重要な問題になってくると思うので、予算の編成の仕方というものについて、どういうふうにお考えになっておるか。あるいはNHKにあるのかもしれません、そういう資料は。しかしここへ出てきたものでは、そういうものは見えておりませんが、どういうふうなお考えをお持ちですか。
  31. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) NHK予算は、現在は法制の建前から言いますと、年度々々でもって聴取料さえも国会の議決を経て、初めて前年度並みにするか、もしくは今年度は別にするかということをきめるような体制になっておりますが、実際の行政といいますより、先ほども申し上げたように、もうすでに五カ年計画ないし十カ年計画というものをきめて、三十三年度は一年計画であるということにしなければならないという考えは、提出前にも十分考えたわけでございます。そうした計数整理をしております。しておりますが、なぜ正確に五カ年計画の一環として、第一年次予算として提出できなかったというのは、一体テレビがどの程度——何年間でどの程度ふえるだろうという問題。大体私は五カ年で四百万台、十カ年で九百万台にはなると、こう言っておったのですが、NHKはまあ五カ年間で三百万台にいけばいい方だということを前会長時代から私との間に相当やりとりはいたしておったのですが、法律案を提出する際には五年間で四百万台になるということで提出した次第であります。しかし、テレビが六百万台になると千四百五十万台のラジオが千六百万台になりそうなものだが、逆にテレビに押されてラジオが減って、千四百五十万台でもってストップするのじゃないか。それでテレビが六百万台になるときには千二百万台ぐらいにラジオは落ちるのじゃないか。テレビが九百万台になるとラジオは九百万台ぐらいということになるのじゃないか、こういうNHK予算案を出しております。私はいつの場合でも日本経済情勢、文化的レベルからいって千四百五十万台を割るようなことはない。この千六百万台ないし千六百五十万台になって百五十万台減るとすれば、これは相当なものだろう。しかもトランジスターその他については料金徴集をやっておりませんが、新しく受信料を法定するようなことにでもなれば相当はっきりとした捕促をできるので、もうすでに明確な五カ年計画の基準数字をつかまなければいかねのだ。でありますから、六十七円を八十五円に値上げをしなければならないとしたならば、値上げをして五カ年後には下げられるのか、百円に値上げをしたならば三カ年後に下げられるのかという問題が当然出てこなければならないわけです。でありますから、テレビが四百万台になる場合には三百三十億という収入になりますし、六百万台になったならば四百億を突破します。そういうことになると、今の倍以上になるのでありますからべス・ラインに乗るという考えになるのでありますが、その数字がなかなか両方でもって腹が合わないということでもありますし、NHKでも、もう少し時間をかけなければいかぬということで、今年度は値上げもしないでいったわけであります。でありますので、値上げをしなくても、テレビがほんとうに五カ年間で五百万台になるならば、値上げをしなくてもいいという議論が出てくるのかもしれません。でありますので、三十三年度の予算はまさに暫定的な全く名誉でない予算の姿でお出しをしてございますが、次の予算は確実に昭和三十七年までの五カ年計画の第二年次というようなぐらいな明確な数字をつかんで出さなければならないだろうということで、今鋭意これが数字の収集をやっておるわけでございます。
  32. 手島栄

    ○手島栄君 今大臣がおっしゃった、非常に先の見通しがむずかしいから出さなかった。これが一番いかぬことで、予算なんだから、収支予算なんだから、見通しがわかってからというならどんなやつがやってもできないことはないはずなんですからね。ことしは変えないと言われておる。私最近になって初めて見たのですNHK予算は。一年こっきり。これは収入が楽に入ってきたときの伝統なんですよ。で、借金をするとか何とか苦労をしたことがないものですから、もうそろそろそういう限界に来ておるので、間違ってもいいから一応の見通しをつけてこれは借り入れにやるべきだとか、同じ赤字でも一部分は借り入れにやる、これは料金の値上げだということにならないと、ことしなどの話を聞いておりますと、赤字があればみんな料金値上げの話になったり……。こういう問題を一つ考えていただきたい。それから、今ちょうど私も聞こうと思ったら、今新谷委員が聞かれましたが、ラジオテレビのこの予算総則に書いてあることは、各項に盛ったものの流用ができないということが書いてあるようなんで、これが果して両会計一緒にしちやいかぬという意味かどうかはっきりしませんが、ちょうど電信電話がこれと同じ形なんです。電信は約百億が赤字です、今でも。昔から赤字なんです。現在でも百億というものは赤字なんです。それを電話がカバーしている。ところがそれなら実際にいって電信が赤字だからあれをとんとんにやるために今電報料を値上げするということは世間から見ると非常に非常識だ。それから電話の方を値下げして、電信を値上げする、これは料金というものはそういう点で必ずしも原価計算ばかりでは押えていけないものが多いのです。郵便でもあるんです、損している部分と得している部分と。今後ラジオテレビとが一つ協会で運営されるときに、原価計算的な料金ラジオが今後損になるからラジオの値上げをする、これは不可能ですよ。たとえば今大臣がおっしゃったような、ラジオの方は今後加入者が減ってくる、聴取者が減ってくるという場合に、それを補うために料金値上げをしなきゃ合理的じゃないという考え方が間違いです。そうするとテレビの方は案外楽だという場合に、二つ経営するときにこれは両会計全然混淆しない特別会計的な議論で経営されることは不可能だと私は思うのです。だからテレビラジオをカバーする時代まで彼此流用を禁ずるという考え方も少し狭過ぎると思うのです。だから二つのものは一つの経営になっておるんだから、両方の分計だけははっきりしなきゃならない、会計の中の数字の分計だけはしなきゃいかぬが、予算としては一本で財源も見るということにされないと、二、三年先になるとお因りだと思いまして、私は新谷君と同じ意見で、この総則の方はむしろこまかいじゃないかと思うのだが、項目の流用をするとかせぬとか、一ぺんきめた項目の流用というのじゃなしに、財源その他を一本にした一会計でおやりになる方が、そうしないとむしろお困りになるのじゃないか。これは放送協会の方にも申し上げたいのですが、どんなものでしょう。
  33. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これは新しい形態をとらないで在来の予算形態をとりましたので、そういう予算総則そのままを書いたのです。なぜそういう予算総則の形式をとったかというと、御承知通りその総則は、彼此流用を禁ずるという、委員会のほんとうの考え方ラジオ聴取料でもってテレビなんかやつちゃいかぬ、先ほども言った通りFMなんかに余り手を出すな、ラジオから入れたものは国民に返すのだ、それ以外にやつちゃいかぬのだ、こういう思想が非常に強く出ておりましたので、款項間の流用というよりもラジオでもって何でもやつちゃいかぬ、こういう考えが先行しておったわけであります。でありますから建設費はみんな借入金でまかなって受信料でまかなってはならないというぐらいに明確になっておりましたので、もう一つは給与の問題が国会の議決を経ないと一切流用はできないという非常に厳密な総則がございます。そういうので、まあラジオが減ってテレビがふえるような状況になった現在もうそういうことではなく、今手島さんが言われたようにして漏然一体にやらなきゃいかぬのだということになっておるのですが、いずれにしてもテレビができるので私がラジオ料金の値上げが必要になるかもしらぬ、新しい財源措置の一つとして交付金、借入金、聴取料の値上げというものがあるのだがということを話したときに、ラジオでもって一体テレビをやるとは何事だ、こういう議論がありましたので、三年、五年後になれば当然テレビラジオのマイナスをカバーしなきゃならないし、一本にならなきゃならぬとは思いますが、現在そういう意見がまだ民間にもあるのでありますので、在来の予算総則をそのまま付して国会の審議をわずらわしておる、こういうことでありまして、いつの日にか国会の議決を経れば、彼此流用でも何でもできるのですから、だからそういう国会の議決を経て適当な時期に予算総則を変えるようにしても、より的確なものにしなきゃいかぬだろう、こういう考えでございます。
  34. 手島栄

    ○手島栄君 私のちょっと見たところでは、予算総則の問題よりもっと先の問題だと思いますよ。予算総則は款項目間の流用で、両会計というふうな見方でするか、会計は一本にするかということは、これは予算総則のもっと前の問題だと思いますが、まあしかし考え方としては一本におやりにならぬと経営ができないと思います。原価計算ばかりやっていては。
  35. 前田佳都男

    前田佳都男君 今回の放法法の一部改正でも、NHK受信料の点は根本的には改正というか、されなかったわけです。NHK受信料の点についても制度自体としてこれはどういうようにするかということを郵政当局はもちろん今研究されておるということをたびたび委員会でおっしゃっているのですが、先ほど申しましたように、とにかくポータブルとか、そういうラジオがどんどんふえていく、そうして脱税といいますか、受信料を払わないで聞く連中が非常にふえておる。しかも受信料を値上げしなければならぬという問題が起っておるわけでありましてそういうときに、とにかく現在正直に受信料を払っている者は非常に高い受信料を、値上げしたものを払わなければならぬ。ところがポータブルというような盗聴しやすいというか、料金を払わなくてもいい機械を持っている者が依然として何も払わないでラジオを聞ける、それは非常に不合理だ。それで盗聴といいますか、受信料を払わないでラジオを聞いている連中に対してもっと積極的にNHKでも監視員をふやすとか、もっと熱意を込めて盗聴防止というようなことをもっとやったらどうか、どうも現在のは手ぬるいように思います。もちろん罰則がない、罰則がなくても法律にNHKラジオを聞く受信設備をした者は聴取料を払わなければならぬというようなことを法律に書いてあるわけですから、もっと積極的に盗聴防止ということに力を入れなければならぬ。現に東京都内を走っている自動車でも、ラジオ受信機をつけている自動車がほとんどといってもいいくらい受信料を払っていないのじゃないか、これなんか、もっと熱意を込めてやれば現在自動車ラジオをつけている分だけでも増収ができる、これからカバーしていく地域受信料というようなことを考えるよりも、現在その財源といいますか、ソースは東京都内だけでなく、大阪市内とか、もっと大都会にころがっているのじゃないか、もっと私は熱意を出していただきたい。それについてNHKはどういうふうにお考えですか。
  36. 野村秀雄

    参考人野村秀雄君) 盗聴の問題についてはNHKとしても非常に迷惑をしておりましていかにしてこの盗聴を防止するかということについては前々から苦心をしているような状態でありまして、これはただいま仰せのように何とかその防止策について具体的の方策を立てようということの話し合いはしておりますが、まだ具体的の方策そのものをここでお答えする程度に至っておりません。御了承願いたいと思います。
  37. 前田佳都男

    前田佳都男君 今の会長のお気持は聞いてよくわかったのでありますけれども、ラジオ受信料の値上げというふうなことは当然おそらく近く問題になるだろう、そういうふうなときにぜひ一つ盗聴防止、現在ラジオを持っている者で全然払っていない者がある。これからここは取れる金ですから、これを取るように一つお骨折りを願いたい。それから現在受信料の集金が郵政省に委託してやっておる面と、それからNHKで直接集金している面と両方あると思います。この集金の成績といいますか、それをちょっと聞きたい。
  38. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) 直接協会が集金人によって集金しておりますのが約七〇%でございまして、三〇%が郵政省に委託しておるものでございます。それでその徴収の成績でありますが、いずれも好調でございまして、九九%をこえておるわけでございますが、協会の方が多少はよろしゅうございます。これは協会が直接集金しておりますのは、いわゆる都市とか密集地帯でございまして郵政省に委託しておりますのは、山間僻地と申しますか、協会が直接集金いたしますと非常に経費がかさむ所でございます。そういう不便な所を郵政省に委託しておるわけでございますが、郵政省の非常な御尽力によりまして、ほとんど協会の直接集金に近い好成績をおさめておるようでございます。
  39. 前田佳都男

    前田佳都男君 それから、最近まあニューヨークのシティ・バレー団であるとか、あるいはドイツからカラヤンの指揮する交響楽団とか、そういうようなものをNHKがお呼びになった、これは国際文化の交流というような点から見て非常にけっこうだと私は思うのですが、NHKでこういう外国のバレー団とか、あるいは交響楽団を招聘されて——ところが、このバレー団であるとか、交響楽団がいろいろ市中公演をやると、NHK以外にあちこちの劇場でやると、そういうような場合の収入と申しますか、これはNHKの雑収入か何かに入るのでしょうか。どういうふうになっておりましょうか。
  40. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) NHKが海外の芸術家とか、あるいは団体を招聘しますのはこれは放送によりましてテレビあるいはラジオによって放送聴取者に聞いていただく、あるいは見ていただくために招聘するわけでございます。で、なおそれに対しまして、一般に直接見ていただく機会も作るということで公演いたすわけでございますが、これは普通の興行と違いまして、いわゆる営利的な考えで興行するわけじゃございませんので、協会としましてはあくまでもやはり放送によって聴取者にサービスするのが趣旨でございます。従いまして、これによって収益を上げたということは今までかつてございません。ほとんど例外なしにNHKでいわゆる支出と申しますか、支出超過になっております。で、これはすなわち、先ほど申し上げましたように、聴取者に、テレビあるいはラジオによって聴取していただくのが目的でございますので、これはいわゆる営利と申しますか、剰余金を出すという方向には考えておりません。従いましていわゆる入場料の算定とか、そういうような経費の算定にいたしましても、もうけるという採算に立ってやっておりません。事実はNHKがいわゆる放送のための経費といたしまして支出しておる格好になっております。
  41. 前田佳都男

    前田佳都男君 それからもう一つお伺いしたいのですが、NHKNHKの外郭団体の関係ですが、NHKの外郭団体はNHK交響楽団、あるいはラジオ・サービス・センター、それから日本放送出版協会、まだ二つ、三つあるかもしれませんけれども、こういう外郭団体、これはどういう仕事をやっておるのか、私もはっきりわからぬのですが、これらの外郭団体に何か今審議しております予算のうちから、あるいは補助金であるとか、あるいは何らかの名目でどの程度の経費が出ておるのかどうか、あるいは丸がかえであるのかどうか、どういうふうな格好になっておるのか、予算的にこれらの外郭団体との関係についてちょっと御説明を願いたい。
  42. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) NHKの外郭団体と申しますものでおもなものは、ラジオ・サービス・センター、日本放送出版協会、共済会、それにN響——すなわち交響楽団、こういうようなものでございますが、そのうちで日本放送出版協会は株式会社組織になっております。そのほか全部財団法人でございます。で、出版協会につきましては、これは資本金が三百万円でございましてその株主は一部ラジオ・サービス・センター、それからその他は協会の出身者あるいは職員とか、つまり協会に関係のある人間が個人としてこの株を持っておるわけでございます。で、その事業は、協会関係のいろいろな出版物を主にいたして出版しておるわけでございますが、この出版協会協会との間に直接的にいわゆる交付金とか、そういう関係は全然ございません。ただ、株主構成がさようなふうになっておりまして、また仕事が協会関係の出版物を出版しておりますということにとどまっておるわけでございます。従いまして、これはいわゆる外郭団体というような範疇に入るかどうかという点につきましては、多少疑問もございますが、仕事の性質から考えまして外郭団体と一応考えるのが至当かと考えておるわけでございます。それからラジオ・サービスセンターにつきましてはこれは財団法人でございまして、仕事をやっております目的は、協会放送の番組の周知とか、あるいは聴取者に対するサービス、そういう面を行なっておるわけでございます。具体的に申し上げますと、NHK新聞という新聞を発行しておりますが、このNHK新聞の発行、販売、テキストの発行、そのようなこと、それからまた、たとえば催しものをいたします場合に、その催しものを主体となっていたしますとか、また、最近では特定取り次ぎと申しますか、協会の契約、集金——契約の取り次ぎをいたすとか、そういうふうなことをいたしておるわけでございます。これはそういうふうなことをやっておりますのでございますけれども、協会からは直接交付金のごときものは全然出しておりません。運営はそういう仕事をいたして自主的に運営されておるわけでございます。それから共済会は、これは協会の厚生事業をやっておるわけでございまして、組織は財団法人でございますが、これはたとえば食堂の委託経営とか、あるいは厚生物資の取り次ぎ販売とか、あるいは厚生施設の維持管理運用、そのようなことを主にやっておるわけでございます。ここに対しましては、協会が約五千五百万円交付金をいたしております。本予算の中に五千五百万円計上されておるわけでございます。それからNHK交響楽団は、これはまた財団法人でございますが、楽団員が約百十名ございます。この活動状況は御承知通りでございます。主として目的は協会放送に出演することにございます。協会はこの交響楽団に対しまして六千万円交付しております。本予算において六千万円が計上されておるわけでございます。
  43. 前田佳都男

    前田佳都男君 NHK交響楽団に六千万円支給しているというのは、これは放送費として出すわけですか。
  44. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) さようでございます。
  45. 前田佳都男

    前田佳都男君 それからもう二つ、三つ、今度の予算ですね、収支のバランスをはかるために減価償却の一部繰り延べによりまして財源を少しでも出しておる、これはあまり感心したやり方じゃないと思うのですが、これはどういうふうな方法でやったか、これをちょっと。
  46. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) お説のごとく、われわれといたしましても満足な措置とは考えておらぬわけでございますが、減価償却を百パーセント規定にのっていたしますと、明年度は六億五千万円償却する必要があるわけでございます。しかしながら、この事業計画にも記述してございます通り協会として当然なさねばならぬという仕事を遂行しますための財源を求めますためのやむを得ざる措置といたしまして、約二億というものを、財源をここへ求めたわけでございまして、これは約三割でございまして、二億でございますが、本年度に限りまして、こういうやむを得ざる措置をいたしたわけでございます。明年度以降は、これは当然是正しなければならぬと、かように考えております。
  47. 前田佳都男

    前田佳都男君 それから、これはほんとうに常識としてお伺いするのですけれども、NHKはまあ公共的なものですが、このNHKの会計を律する法律というもの、規則というもののアイテムといいますか、これは、たとえば建築の工事を請け負わしめる場合であるとか、あるいは物品を購入する場合、こういうふうな場合、これを規律する根拠の内規といいますか、法律というものは、官庁会計ではありませんから、ございませんと思いますが、これは会計法に準ずるような扱いをするのですか、その点ちょっと。
  48. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) 放送法施行規則に、会計のいわゆる勘定科目とか基本的なことは規定しております。それにのっとっておりまして、なお、それをもとにいたしまして、協会内におきまして、経理規程あるいは調達規程、それぞれの項目によりまして具体的な規程を設けておりますわけでございます。これは会計検査院にも見てもらっておりまして、会計検査院も、われわれの作っております規程を一応了承していただいているわけでございます。なお、会計検査院の検査も、当然この放送法施行規則によって検査を受けているわけでございまして、その施行規則に準拠いたしました協会内部の規程というものが、当然この基準になっているわけでございます。
  49. 前田佳都男

    前田佳都男君 それでは、大体、その経理規程というものを私は読んでおりませんけれども、およそ会計法に準じたようなものですか。大体の基本的な考え方というものは、たとえば競争入札であるとか、何かそういうふうな考え方ですか。
  50. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) 大体が会計法に準拠しているわけでございますけれども、ただ、仕事の内容が、必ずしも官庁会計と一致しているわけでございません。従いまして、形と申しましては、会計法と民間の普通の一般事業会計というものを大体まあ一緒にして長所をとったと申しますか、そんな格好になっているわけでございます。
  51. 光村甚助

    ○光村甚助君 さっき前田委員質問に対して、盗聴のことですが、自動車に備えつけているラジオ盗聴だと、前田さんこうお話しでしたが、私がNHKのある局長に聞いたところでは、私自身がトランジスターの携帯ラジオを持っている、これは、こういうのを探し出したらば、だいぶNHK収入になるのじゃないかと聞いたところが、お宅で一つラジオを持っておられたら、たとえばソニーのトランジスター・ラジオを携帯して歩いても、これは盗聴にはならないと、こういうお話だった。さっきと食い違いますが、これは統一してもらわないと困ると思う。
  52. 小松繁

    参考人(小松繁君) ラジオ受信料の対象といたしますものは、一世帯に対して一件という一応原則的な立て方をいたしております。この考え方は、第一放送、第二放送というふうになって参りまして、一つの世帯におきまして、NHKの番組を自由選択して聞く、また、必要によりましては、同時に一世帯の人たちが別々に聞くということを認めるという原則に立っているわけでございます。従いまして、一世帯に何台ラジオ受信機を持っておってもよろしいという考え方で、これは一加入というふうに取り扱っております。ただし、自動車に備えつけてありますもの、これは別個の場所において自由に聞けるという建前から、自動車は別の加入というふうに原則的に立てております。自動車の方、現実に、先ほど前田委員からいろいろ指摘もございましたが、実際にはその所在をはっきりさせることがきわめて簡単でございますので、これはもう別加入というふうに取り扱っております。
  53. 光村甚助

    ○光村甚助君 わかりました。
  54. 小松繁

    参考人(小松繁君) もう一つ補足して申し上げますが、この自動車の方は別口にし、同一世帯にあるラジオは何台あっても一つというふうにいたしておりますのは郵政大臣の許可を得てこの取扱いをいたしておるわけでございます。それから今申し上げました携帯ラジオの方は、今申し上げましたように、現実に一つの世帯のものにつきましては、何台ありましても一加入というふうになっております。
  55. 山田節男

    山田節男君 関連質問。今ちょっと私放送法を持っていないけれども、例の受信契約のある第三十二条の第一項に、NHK放送を聞くような受信設備をしてないものは、料金を払わなくてもいいということが書いてありますね。これはさっき前田委員が言われたように、今日ラジオは、東京でもダイヤルが五つくらいあるのじゃないかと思うのですが、NHKを聞いてないのだということになれば、たとえばNHKのダイヤルをとめてあれば、ことに自動車とかあるいは髪床だとか、そういったような所にあるもの、これは受信料を払わなくてもいい、こういう解釈になるのじゃないかと思うのですがね、ですから、実際問題として、今小松副会長が言われるが、郵政大臣の認可のもとにこういう別個の扱い方をされているというけれども、先ほど前田委員が非常に心配された、いわゆる全然NHKの受信をしないということがはっきり技術的にも証明されれば、これは料金を取れない、これが今後NHKの、ことにラジオにおける受信料が低減するのじゃないかという一つのキーポイントになっているんですね。ですから、どうでしょうか、今の小松副会長の言われたことと、三十二条の第一項との関係ですね。全然聞いてないものを、たとえば自動車のごとく移動するものについては、私は、今でもそういうケースがあるのじゃないか、また今後そういうものがふえる可能性があると思う。そういう場合でも今の郵政大臣の了解事項でもって、NHK受信料を取ると言われるのですか、この点一つはっきりしていただきたいと思います。
  56. 小松繁

    参考人(小松繁君) 放送法の第三十二条に「協会放送を受信することのできる受信設備を設置した者」というふうになっておりまして、これは今のお話の通りになっておりますが、あとにただし書きがございまして「放送の受信を目的としない受信設備を設置した者については、この限りでない。」となっておりますので、放送でないものについては、受信料は取れないという考え方ははっきりいたしております。で、これにつきまして、一応の解釈ははっきりしているというふうに思いますのは、NHK放送を聞けない受信設備があった場合、これはおそらく受信料は取れないという考え方ははっきりいたしておりますが、そういう受信機は現実に作る必要もありませんし、また現実にそれを建前として払わない人もございません。必ずもうNHK放送というのは、ラジオに関してはなおさら明瞭でございますが、あらゆる受信機はもう全部NHK放送というものは必ず受信できるように現在はなっておりますから、今のところは、この点は問題はないと考えております。
  57. 山田節男

    山田節男君 今の私の申し上げておるのは、それはなるほどどの受信機でも、テレビだって今度十一チャンネルまで聞けるようにするのですから、それは当然なことで、ただ、受信料を払うか払わないかという問題、NHKを聞いてないから払う必要はない、こういうものが現に出ておるのですね。ことにテレビの場合においてはそれがますますふえるということは、大阪の例を見てもはっきりしておる。ですから、受信機で聞ける聞けない——聞けるのは当然なことで、ただし、聞けるけれども、金を払わないために、NHKのダイヤルは使わないのだ、六十なら六十というあのサイクルの所のダイヤルは使わないのだ、とめちゃって他のものばかり聞いているという場合にNHKは、三十二条によって、払えということはできないのですね。そこはどうするか。ことに自動車とか娯楽機関で、NHKは聞かないで、他の娯楽ばかり聞いているというのがどんどんふえている。そういうものにNHK聴取料を払えといったきめ手がないということです。そこまで郵政大臣の了解で、とにかく聞いていなくても取るというようなことは、郵政大臣が言うべきことではないと思うのです。三十二条第一項にうたっておるのを逆に解釈することもこれはほんとうなんですよ。ですから、そこらあたりが、私、再三申し上げているように、現在のようないわゆる強制契的で、受信設備を持ってさえいれば、みんな、NHKを聞いていなくても、ラジオを持ってさえいればNHKへ金を納めるのだという、これは受信料でなくなってきている。そこに来るとすべてのものがあいまいになってきて、政府もあいまいになり、NHKもどうしても過去の社団法人時代のことばかり考える、そこに非常にわれわれの公社としての考えとズレが出てくるのですね。ですから、これは予算にも、収入に非常に重大なことです。予算ラジオにおいて、テレビにおいて、だんだんふえておる今日においては、八十五万というけれども、実際は百二十万くらいセットが出ておる、そのうちの半分にしましても十数万というものはNHK受信料を払わないでテレビを見ている、しかし今、前田委員が言われたように、現在のような三十二条の規定でもってNHK職員がモニターやデイテクターをもって盗聴している者を探してきて罰するということはできないと思う。いまだかつてNHK受信料について強制執行、差し押えをされたことがあるかどうか知りませんけれども、よしんばそういう例があるにしても、公社の性格を持った今では、そういうことができ得ないとは言えないと思いますが、実際問題として、私はNHKがもし受信料未払いのために差し押えをされるということになりますれば、私は前にも申し上げたことがあると思うのですけれども、この強制契約は憲法違反だという弁護士の相当有力な見解もあるわけです。ですからこの点は、この収入受信料に全く依存している今日、NHKとしては現行法の限界においてもどうするかということは、政府でやっぱりある程度まで了解というか、許可を受けて強制的におやりにならないと、ことにラジオ収入が減るということは、はっきりと私は申し上げられると思います。これは野村会長にも申し上げておきますが、容易ならぬ現状を控えて、借金ということは厳に慎しまれるべき立場にあったものが、今度放送法改正が通れば、純資産の三倍までは債券を募集し得る、これは非常なゆとりができましたけれども、借金ということは、NHKの立場からすれば最悪の道であって、もし受信料でまかなうということになれば、今のように一つの何と申しますか、現実にNHKにとっては不利な法律を背負っておられるのですから、ここに予算に掲げておられるラジオテレビの新規受信者の開拓、受信料の徴収ということについても、やはり経費を節約されて、先ほど前田委員質問に対する答弁を聞きましたが、実際の受信料の、僻遠の地は郵政省関係で委託で徴収している、この手数料は五%です。比較的徴収の容易な場所の徴収、NHKとして自分のところでやっている受信料の徴収に対する費用は五%ではありません。大体私は一割じゃないか、一割近いものをNHKでは受信料から人件費その他を使っておるのです。こういう点が今後三十三年度以降、聴取料の上げられない財政をどう切りつめるか、私は先ほど大臣意見書の最後のところで質問したように、節減をはかり、増収を企てる、こういう意味は私はそこらにあるだろうと思うのです。ですから、これは希望になりますけれども、この点は一つ私はNHK理事者の衆知を集めていかに最小のコストで最大の増収をはかるかということが、来年度のあなたの自主的な会計を確立するためのさしあたりの努力をすべきポイントである、私はそう思うのです。この点について一つ特に私は意を用いていただきたいということを、これは希望になりますけれども、申し上げておきます。
  58. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 先ほどちょっと大臣にお尋ねしたことなんですが、私はNHK放送ラジオテレビを通じて特に内容的によくなること、国民の期待に沿う発展をすることを願っておるのですが、その上からいうと、いろいろな点で私は注意すればするほど不満の点があるのです。しかし、事柄は小さいのです。金額も小さいのですが、さっき申し上げたような海外特派員のような問題ですね、私はもう最近耳についてしょうがないから、土曜日でしたかのあの放送時間になりますと、ちょうど食事をしているときに聞えるのですが、いつも放送を切ってしまうのです。それは一ぺん御注意しようと思っていたのですが、機会がありませんので申し上げなかったのですが、あの内容をよくお聞きになったことがあるでしょう、そうしてお聞きになってどういうふうにお感じになったか、この事業計画によりますると、ああいう種類の——多分そう思うのですが——海外放送をこれからも大いに拡充すると書いてあります。金額でどのくらい拡充されるのか知りません。これはまた検討してもよろしいのでございますが、私がさっき申し上げつたようにせっかく有能な人を海外にやって足りない外貨を使って、それで償却まで繰り延べるような財政の中で海外滞在の外国旅費を支給しておるというのなら、もう少し、ただ新聞社並みに、通信社並みに海外に特派員を出してい車るというのじゃ、私はNHKとしては、公共機関としては済まないと思うのです。私たちあれを聞きましてこれはたとえばサンフランシスコの平和条約ができたとか、あるいはスポーツ関係でオリンピックだというようなときの放送は、これは国民が非常に待望して聞きたがっておりますから、NHKがこれは多少経費をよけい使ってもおやりになるのはけっこうだと思います。しかし、毎週々々この放送というものは大体われわれが知っておることばかりです。二、三日前新聞で見たようなことをむし返される、その前後にはさっき申し上げたようにこれは悪口になりますけれども、極端に悪い言葉でいえば、国内の野球放送をやっているような気分で放送しておられるのじゃないかと思うのです。私はもっとこれを有効に活用してもらいたい、人を出して経費を使うのだから、私がさっき申し上げた、私の一案ではありますけれども、たとえばそういうふうな特派員を出しておるならば、各国との間でいろいろな問題がありますから、その人を巡回さしたらどうですか、そういうふうに問題のあるヨーロッパ、アメリカというふうに人を置いておいて巡回さして、非常に国民的に重要視しておるような事件についてそういう問題があるときに、すぐにいつでも派遣できるという態勢でやられる、それからもっとふだんの活動としては文化協定を結んでいる国々との間に、これはその大使館、公使館のちょうどアタッシェのような形で、相互の文化活動に協力する、国際親善を深める、両方の文化の向上に役立たせるというような役目を目ざして活動してもらえると、私はもっと経費を出してもいいのじゃないかと思うのです。しかし、今のような形でもっとこれを拡充すると言われるなら、何かはなはだ申し上げにくいことですが、そのやり方には賛意を表することができないのです。会長は御就任になって間もないことですから、すみずみまでは目が届かないかもしれませんが、こういう何といいますか、惰性でもって動いているようなやり方をお変えになる必要があると思うのですが、どうですか。
  59. 野村秀雄

    参考人野村秀雄君) 海外特派員の問題については、私も大いに検討してみたいと思っております。海外の文化を摂取して日本の文化の向上に資し、また世界の動きをよく洞察し把握して、これを日本に報道するために、海外駐在員の必要を私は認めております。もとより外国にはAP、UP、INS、ロイター、AFPなど有力な通信社もあります。また日本には共同通信社というりっぱな通信社もあります。これらの有力な通信社との連絡を密にして、そうしてまたこれをよく利用するということもなさねばなりませんが、ただ、私考えますのには、日本人の見た世界の日々起る事情を日本へ報道するということは、日本の新聞にしても、放送にしても必要なことではないかと思いますし、また在外邦人の活動、日本を中心としてのいろいろの世界の動きというものを報道することも、新聞、放送としてはどうしてもなさねばならぬことと思います。ことに放送におきましては、今仰せのように放送そのものに役立つことと、それから文化の交流、国際親善というような建前からも、NHKの海外駐在員というものは活動していかなければなりません。さらに日進月歩の技術研究等についても、常に怠ってはならぬ大きな任務があると思います。かような点から申しまして、NHKの海外特派員は新聞の特派員ともまた別な分野において働かねばならぬものがたくさんあろうと思います。私は今NHKがニューヨーク、ワシントン、ロンドン、ハリ、モスコー、バンコック、こういうような諸地点に特派員を出しておるが、実はまことに申しわけないことでありますが、どういう人が行っておるのか、その人選についてまだよく調べておりません。また仕事のやり方についても、果して私が今申したような線に沿うていっておるのかどうかということについても十分に検討しておりませんが、これは私は今ここに海外特派員としてこれらの諸地点に一人ずつ、あるいは二人置いているのをなお拡充していかねばならぬのではないだろうか。拡充するならば、その人選をいかにするか、また仕事をどういうふうにしていくか、その目的、性格というものをはっきりさせて、それに適当な人を人選いたして海外駐在員、特派員としての使命を全うさせ、そうして国民の期待に沿うように努めていきたいと、かように考えております。
  60. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 抽象論で、御趣旨はそれでけつこうなんです、私は具体的に申し上げているのですけれども。だから、具体的に、まだ人選もわからない、どういうことをやっているのか知らぬとおつしやればそれっ切りなんです。よくお調べ願つてお答えを願う以外にないのですが、一ぺん二、三週間の録音をお聞きになったらどうですか。どんなことをしているか、どういう国内に向って報告をしているかおわかりになる。今、行っておられる中にはおそらく技術者はないのじゃないですか、特派員で。さらに突っ込んで申し上げますと、日本にやっとテレビジヨンも始まりまして、その前にはラジオがやっとこさで並四という受信機からスーパーにだんだん変ってきている。これはあまりわれわれのことは言いませんが、私ども山田君も御一緒にアメリカへ参りまして、いかに日本ラジオテレビがおくれておるか、またこれからどういうふうに進まなければならぬかということについて二カ月余り研究をさせられまして、そういったのがまあ相当推進の力になったのではないかと思います。そのときから見ると格段の進歩をしております。しかし、技術面では今日まだまだ及ばないんだろうと思います。御承知のように、もう一つテレビジヨンでも幾つかのローヤルティを払わないとできないという状況です。これからもっともっと進むに従って、いろいろな問題が起ってくると思います。ところが、その公共機関であるNHKの特派員が行っておりましても、技術面については割合に無関心で、そういう人選をしておられない。新聞社、通信社と同じような編成をしておられるように私は思うのであります。だから、同じ金を使つて、この日本ラジオ界、あるいはテレビ界をしよって公共的にリードしていこうというようなもしお考えがあるのならば、そういう配慮はこれは当然あってしかるべきじゃないですか。私はもっと同じ経費を使うんなら、あるいは同じ人を使うんならば、使い方についてもっと考えなければいかぬ。ただ出しているだけが能じゃないと私は思うのです。そういう意味を私は申し上げているんですが、現実の問題としては、あまり野村さん、御存じないようですから、この次の機会もございますから、一ぺんこの三週間なら三週間ぐらいの録音を聞いて下さい。その上でもう一ぺん具体的にどういう御感想をお持ちになるか、御答弁願いたいと思います。  それからついでにもう一つつておきますが、これは大臣からるる御説明がございましたが、今度の予算で、たとえば減価償却費を切つたというようなことは、これは異例のことだと思います。私は政府当局のお考えとは違うかもしれませんが、建設費が幾ら多くなりましても、これは長い目でもって毎年償却をしていけばその経営は健全だと思います。ただ、その償却をしないところに財政経済の非常な不健全さが現われてくると思うのですね。だから、建設費が百億になろうと二百億になろうと、それを適当なところから借りて、そうして建設をして、毎年確実に償却をしていくんならば、そういう建設費の赤字というものは私はこれはちっとも気にしなくてもいいと思います。問題は償却なんです。今度は償却を怠っておられるのです。私はまあ最近にないNHKの不健全な経営の仕方が現われていると思うんですが、これはいろいろな事情があつて聴取料の値上げということも実現できないということで非常に御苦心の跡はよくわかるのですが、こういう状態を続けられちや困るのです。次の年度の予算審議に当つては、あらゆる角度から経費を節減をされて、そうして一方では、場合によってはある程度の聴取料値上げもやむを得ないかもしれませんが、とにかく全国民の財産であると私は思うのですが、NHKのこの財産がですね。そういうふうに経営方針が非常にルーズになったために不健全になり、将来の経営の見通しが非常に悪くなってくるというようなことを防いでもらわなければなぬと思うのですが、これは野村会長も相当その方針としては、金額はまあ一億五千万円ぐらいの大したものではありませんが、方針としては私は大方針だと思いますので、野村会長が今後の問題について、この点をはっきりとした決意をお持ちになる必要があると思います。いかがですか。
  61. 野村秀雄

    参考人野村秀雄君) その点については、私は前回の委員会においても申し上げたことでありますが、私は今度の予算の編成はまことに遺憾にたえない予算であったと思います。これはNHKの現在の状態がやむにやまれない現実であったということを御了承願つて、次の機会においては、はっきり申し上げますが、こういう不健全な予算をもって皆さんにはお目にかからない、必ずや皆さんの御期待に沿うような予算をもって皆さんの御審議を仰ぎ得ることと私は信じております。具体的にしからばどうするかということについては、今ここで申し上げる段階ではありませんから申し上げませんが、私の決意はそこにあります。
  62. 久保等

    ○久保等君 私、主として大臣にいろいろ御質問をいたしたいと思いましたが、本日のところ、ちょっと一、二全く事務的な質問だけをいたしておきたいと思います。このNHK予算はいつ郵政省の方にお出しになられたのでしょうか、日付をちょっとお聞かせ願いたいのですが。
  63. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) はっきりした日はただいま記憶がございません。大体二月の十五日ごろと記憶しております。
  64. 久保等

    ○久保等君 三十三年度の予算について、郵政当局と相当長期にわたる折衝がなされたと思うのです、これはまあ事実問題として。いつごろから折衝に入られたのですか。
  65. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) 大体昨年十一月末ごろから折衝に入っております。
  66. 久保等

    ○久保等君 それから、この予算に対する意見書郵政大臣の方から付せられておりますが、電波理局長からでもお答え願いたいと思うのですが、この意見書の最初の四行目ぐらいの所に、この程度の長期計画を持つのは協会としては当然のことだと言われておるのですが、ここで言われる長期計画というものは一体どういうことさしておりますか。
  67. 濱田成徳

    政府委員濱田成徳君) このNHK予算案、事業計画、資金計画等全体を通覧しまして、これは今後数年にわたる事業見通し等を勘案して作られたものであると考えた、そういう意味でございます。
  68. 久保等

    ○久保等君 長期計画という名に値するものになっておりますか、これは内容的に。
  69. 濱田成徳

    政府委員濱田成徳君) この印刷物に計画概説というのがございます。これに大体の今後の計画が述べてございます。
  70. 久保等

    ○久保等君 あるいは見方によると長期計画らしきものに見えるかもしれぬのですが。しかし、意見書の中で、当然協会の経営者として持つべき長期計画だと言われておるのですが、まあ何か太鼓判を押して長期計画として妥当性があるようなふうにもここに書かれれてあるのですが、見方によって、長期計画らしきものと見えないこともないと思うのですが、しかし、ここで特別に何か一項を設けて、この程度の長期計画は協会としてお持ちになるのが当然だと言われるほどに、一体充実した長期計画になっておるのかどうか。少くとも長期計画というからには何年計画なのか、またNHK予算の場合には特に収支計画と並んで、事業計画なり、それから、資金計画なりといったようなことが、これは不可分の関係において予算として出される建前からいっても、長期計画というからには当然資金計画なり、それから事業計画は当然のことでしょうが、少くともそういったことは具体的な数字をもって、やはり明確にうたわないなら、長期計画というものに私は当らないと思います。何かこの意見書だけを拝見しますそと、今度のこの予算の中には、長期計画というものが裏づけされたような形で出されたような意見書になっておるわけです。しかもそれも、協会の経営者としては当然持たれてしかるべき程度の長期計画でございますと、郵政省はことさらにこれに対して太鼓判を押されたような意見を付記されておるのです。ところが、内容をよく見ますると、残念ながらどうも長期計画の形態をなしておらないと思うのですが、どうなんですか。
  71. 濱田成徳

    政府委員濱田成徳君) 長期計画の解釈につきましては、今仰せられたような資金計画、数年にわたるところの事業の計画があって、これに対応する資金計画等がすべてできて、そうして何年間には日本放送の姿にかくなるのだという見通し等が如実に現われているように出ているべきだという考え方には私も賛成なんでありますが、この予算書を作りますに当りまして、郵政当局とNHKがいろいろお話し合いをいたしましたその経過、あるいはこの印刷物に現われているところのいろいろな点を勘案しますのに、これはやはり長期計画の数字には出ておりませんのは遺憾でありますが、やはりそういう見通しをもってやられたのだろうというふうに判断せざるを得ない、特に経営委員会が最高の機関でありまして、全力をあげて作られました、先ほど会長がこれはまことに遺憾な計画であると言われましたが、やはりこれ以上はできない、これが最初にして最終の残念な案だと、そういう点から考えましても、これはやむを得ないところの案だろうと、長期にわたるところの見通しを考えてやったのだ、これはそういう意味でそういう意見を書いたのであります。
  72. 久保等

    ○久保等君 今年の意見書は、文面からいくと比較的簡潔に書かれたようになっておりますが、内容の点できわめて私はこういった意見書の表現の仕方というものは不適切だと思います。今電波理局長の御答弁も、これは野村会長の先ほど来言われているところを私は聞きまして、言われることと二者比べますと、これはまたきわめて矛盾したおかしなことになっている。というのは、三十三年度の予算は異常な好ましくない形の予算になっております。いわゆる実情は率直に申し上げて、長期計画なんか立てられる状況ではないのだ、三十三年度のこういう実情からすれば四年、五年にわたる長期計画なんかというのはとても立てられないということが、私は言葉の裏なり、先ほどのお話なんかを聞いておりますと、裏を返せばそういうことにもつながる、そうすると、なおさら長期計画云々ということは、ここで触れられること自体いいとか悪いとかは別としても、触れられないのじゃないか、ところが、経営者として持つべき当然の長期計画であって、この程度の長期計画は当然なんだ、長期計画を一体論議する状態にあるとお考えになっておりますか、三十三年度の予算考えると。私はだから、ここで長期計画云々というようなことは、全くどうも事実と相違した意見書が出ているのじゃないかという気がするのですが、どうですか。これは意見の問題じゃなくて、意見書というものは、事実関係を明確にした上で御意見をつけられておると思うのです。一体長期計画というものはここにはっきり出ておるというふうにお考えになっておるのですか。
  73. 濱田成徳

    政府委員濱田成徳君) NHKが目下直面しております状態は、まさに非常事態ともいえるものだろうと思うのでありまして、ある意味におきましては、長期計画等に立脚して本年度の予算を作ることは困難である、そういう見方は私も御同感に思うのであります。しかしながら、やはりこの放送事業、特にNHKが国民的な放送機関として計画を立てますに当りましては今後数年間どうなるのだろう、あるいは受信料の問題にいたせ、あるいはテレビジョンの今後の計画にいたせ、ともかく今後数年間の見通しを立ててやるのが当然でありまして、そういう意味におきまして、完全でありませんけれども、一応の数年間の長期計画ともいうべきものを特に考えて作ったものである、そう判定したわけであります。
  74. 久保等

    ○久保等君 私は率直に、この意見書を拝見して、どうも真相と違ったような意見書を書かれておるという気がするのです。むしろ、それならば、率直に長期計画を立てるべきであるけれども、この内容からいって、全く長期計画の形態を整えられていないというような意見書を書かれるのが、意見書としては適切な意見書だと思う。ところが、内容のないものに長期計画があるかのごとき錯覚を起させるような意見書をつけられるというのは、これは全く国会に出されておる予算であり、事業計画であり、資金計画であるとするならば、一体何を考えてこういう意見書をつけたのだろうと思のです。これは国会を侮辱とまで申し上げませんけれども、こういう言葉の表現をつけられることは、実態からいって適切な表現じゃないと思うのです。この問題も大臣あたりに、いずれ私、後ほどの機会にゆっくり御質問いたしたいと思いますから、一応電波理局長からの御説明で電波理局長の言われることは言われることとしてわかりました。それから毎年この予算問題を審議するときに言われることなんですが、この予算そのものが、いつも何というか、年度末押し迫った形で、しかも非常に、特に参議院においては、ほんの数日間に予算を上げてしまわなければ事務の運行上非常に重大な支障が起るという情勢のもとで審議をされるのです。少くとも私は一ヵ月以上ぐらいは、この予算というものが国会に出されて、十分に衆参両院で審議せられるという時間的な余裕を考えてもらわなければならぬということを、従来から申して参ったのですが、今回の場合も、三月に入ってから、国会郵政大臣の方から出されて参った、政府の方から出されて参ったという経緯になっておるようです。この点については事務的な問題でもあろうかと思うのですが、年々歳々同じことを繰り返しておるのですが、たまには三月早々に予算が上るという形であっても、この方がむしろ私は自然だと思うのです。特に参議院に来た場合は、ほとんどゆっくり審査をするという時間的の余裕のないことは慣例のようになってしまっておるのですが、これは特に郵政当局、郵政大臣の取扱い方の問題だろうと思うのです。特に事務当局そのものが、私はやはりこういった問題に対する扱い方については、今までの経過等も十分に、新任大臣等に対してはお伝えを願って、もう少し能率的に国会に出してもらえる方法がないものかと思うのですが、この点いかがですか。今年の予算も相変らずという印象を受けるのですが。
  75. 濱田成徳

    政府委員濱田成徳君) 本件も全く御同感に思う次第でありまして、私どもは一日も早くNHK予算国会に提案されるように衷心願ったのでありますが、本年は受信料値上げ問題等がからみまして、NHK御当局は非常に長時間にわたりまして審議を行われまして、この提案がおくれた次第でありまして、今後はなるべく早く、二月の終りぐらいまでには提案が可能になるようにいたしたいと考えております。
  76. 久保等

    ○久保等君 今度の予算は率直に申し上げまして、何というか、非常に悪い意味の政策予算になっておると思うのです。従って先ほど来の質問者の御意見を聞いておりましても、全く予算の形態をなしておらないと言っても過言でないと思うのですが、この予算の扱い方に対する根本的な一つの問題が、私はやはり放送法の三十七条の建前からいっても、もう少し放送協会そのもののすなおな予算国会に出されてしかるべきじゃないかというふうに考えるのです。ところが、今までの経験の中で、果して第三十七条の第三項によって予算が出された事実はないと思うのです。すなわち放送協会の出されたこの予算に対する郵政大臣の見解が、違った立場での見解が付記せられておる予算を拝見したことはないのです。そのことは何を意味するかと言えば、郵政大臣のところでフィルターにかけて濾過した形で国会予算が出されて参っておるということを私は物語っておると思う。このことは国会においてNHK予算の扱い方に対する根本的なわれわれの立場からいけば、法律を無視したやり方だと思うのです。NHKの自主性というものが法律の建前からいって許されておるとするならば、予算に対する問題についても、私はNHKでもほんとうに慎重に検討してもらい、それぞれの機関を通じて十分に研究をしてもらった結論というものはすなおな形で国会に出されてきてしかるべきだ、出されてこなければおかしいじゃないか、それに対してまた、郵政大臣の立場からそれに対する適切な意見というものが意見書という形で出されることになっておるのですから、そこでまた明確にうたってもらう、そういうことで、時と場合によって当然意見の対立といいますか、考え方の相違というものがあってしかるべきだ、そのことが放送法第三十七条第二項では明確に規定されておるのですが、ところが、それがほとんど死文化されてしまっておるということは、私は、それは期せずして意見が一致したという結果であるならば、これは非常にけっこうなことなんだが、そうじゃなくて、今度のように非常に変形的な異常予算というふうな形のもので、なぜそういうフィルターをかけなければならないか、ここに私NHKが法制上の立場から非常に自主性が認められておるとしても、現実はそうではない実態に置かれておると思う。これは特に郵政事務当局で答えられる問題では私はないと思いますが、しかし、さればといって、電波理局長も、この問題については私は基本的に重要な問題であるし、年々歳々その意見書というものは、しごくごもっともでございます、ごもっともでございますというような形式的な意見書なら、くっつけなければいいと思う、こんなものは。時と場合によっては、言わなくてもいいようなおせじみたいなことを、さっき申し上げるようなことをつけられておる、こういうことでは意見書そのものが死文化されたような意見書になって出てきておる。それからまた本体の予算そのものの内容も、これまたどこが一体責任者で予算を出してきたのかわからないような予算が出てきておるというあぶはちとらずの形になって予算国会に出されておる。これは放送法建前からいって許されないことだと思う。特に放送法第三十七条第三項が、いまだかつてそういう事実に私ども国会においてぶっからないということは、あまりにも、何といいますか、すなおなものを出してきておらない、この点何かそのときの政府なりあるいは政党の立場の手前上、ことさら放送事業公共放送というものが無理をした大借金を背負ったような予算を出してきたりするようなことは、私は公共事業という立場からいって、絶対許されないだろうと思う。そういう私の質問に対しては適当に、答弁とすれば答弁はできるでしょう、それは、言葉のつじつまを合せるくらいなことで。しかし、そういうことは私は、われわれに対し、あるいは国民に対し、そういうごまかしの弁では済まされないと思う。これは電波理局長に、あまりそういう強いことを実は申し上げようと思っておらないのですが、特に私は郵政大臣に、こういった問題等を中心にして、今度の予算に対して——これはまさに未曾有の不体裁な予算になっておると思う。大臣みずからもまことに姿の悪い予算だと言われておる、そうなると、一体どこが姿の悪い予算を作られたのかと、こっちの方では言いたくなる。だから、そのあたりについては責任の所在を明らかにしてもらわなければならぬと思うし、放送法建前からいえば、責任の所在は明確になっておるのだけれども、運用の面において明確にならぬような運用がずっとされてきていると思う。意見書の書き方については、電波理局長はここ数年監理局長をやっておられまして、今までの歴史的な経過は御存じですから、私、お伺いしたいと思うのですが、三十七条三項との関連において、もう少しすなおな予算を郵政当局としては国会に出す責任が私はあると思うのですが、全く極端なことをいえば、ゆがめられてしまったような形で予算が出されて、ことしはやむを得なかったのだ、やむを得なかったのだと言うけれども、どこに一体やむを得なかった理由があるのか、それならば国民に対して納得のできるような答弁を私はぜひこれは郵政大臣から願いたいと思うのですが、きょうはおいでになりませんから、電波理局長からこのあたりの経緯とお考え方をお伺いしたいと思うのです。
  77. 濱田成徳

    政府委員濱田成徳君) 私どもは電波法、放送法の精神に従いましてNHK放送の自主独立機関であると確信しておるものでありまして従いましてこの予算につきましては、何らフィルターをかけたり、あるいはこれに対して干渉がましいことを申し上げることはいたすべきではなく、また、今回はいたしておりません。先ほど仰せられましたような、フィルターをかけたというふうなお言葉もありましたけれども、そういうことは一切ございません。NHKには、先刻も申し上げました通り、経営委員会なる最高の意思決定機関ないし指導統制機関がございまして、会長初め有能なる幹部が大ぜいおられまして慎重審議をやってこられましたところの予算でありまするから、私ども政府当局といたしましては、いろいろな質問なり、あるいは連絡なりには、できるだけのお答えあるいは御協力をいたしておりますけれども、特に私ども電波管理局といたしましては、いささかも干渉あるいはこれを直す、修正するようにとかいうようなことをやった覚えはございませんので、この点は明確にお答え申し上げたいと思います。で、今後も、この問題につきましては、この方針を堅持し、絶対に内部干渉めいたようなことはいたさないという所存でございますので、その点念のため申し上げておきます。
  78. 久保等

    ○久保等君 局長のお答え、その域を出ないと思うのですが、しかし、結論からいけば、全く私はそういう御答弁では納得もできないわけだし、そういう御答弁を聞くことを非常にむしろ遺憾に思うのですが、答弁がちょっと漏れているような気もするので、もう一ぺんお尋ねしたいと思うのですが、放送法三十七条の第三項にいわれる問題、すなわち「収支予算事業計画及び資金計画に同項」というのは前項の二項のことを言うのですが、「同項の規定によりこれを変更すべき旨の意見が附してあるときは、国会委員会は、協会の意見を徴するものとする。」、これは郵政大臣予算を受け取った場合には、意見を付して国会に出すという前項、すなわち、三十七条の二項を受けた第三項になっておるわけです。このことは当然郵政大臣意見書というものが、協会の出された予算に対して違った形の意見がつけて出されたという場合におきましては、国会では協会の方の意見も聞くことができるというようになっておるわけです。その喪を返せば、その意味するところは当然、協会から出てきた予算というものは、郵政大臣の立場から見た場合とは違った予算が出ておる、従って郵政大臣は、協会から出た予算に対する立場と違った立場で意見を付するのがむしろ自然のあり方だ、従ってその場合には、当然協会の方の意見もまた十分に、国会においては聞かなければならぬぞといったような規定に私はなっておると思うのです。ところが、事実上この三十七条第三項を活用するような機会は今までなかったと思うのです。この法文に該当するような事態はなかったと思うのです。しかし、普通これはあり得る場合は、この第三十七条第三項にいわれるような場合は、むしろ通常の場合ではないかと思う。しかも、各項目にわたって、全然協会の意見と対立したような意見が書かれていない。それで、先ほども申し上げたような、むしろおかしいと思われるようなことまで符節を合わしたようにことさらに意見書を書かれている、こういうことでは、私はやはり真の国会における審査そのものにも非常に支障を来たすと思うのです。それで少くとも私は、実態というものは、真相というものは、今、電波理局長の言われたようなことで納得できるような実態ではないと思うのです。従ってこの予算の扱い方の問題として、第三十七条第三項、こういったようなものをほんとうに順法せられるというか、こういうふうなことをほんとうに実際問題としてやられる気持があるのかないのか、この点をいまだかつて実は私は経験したことがないものだから、第三十七条の第三項等による形で予算の審査がなされたことがないと思うものですから、電波理局長にお尋ねしたいと思うのですが……。
  79. 濱田成徳

    政府委員濱田成徳君) 三十三年度の予算につきましては、ありていに申し上げまして、そのまま提出されたものに意見を付しまして国会に提案したという運びになったわけでありまして、反対の意見等はなかったわけでございます。と申しましても、先刻も申しました通り、この予算はいい姿の予算であるとは思っておりません。会長も言われましたように、最初にして最終の案にしなければならない、しかしこれは、当面やむを得ざる事情からかくなったのだというように私どもは判定いたしまして、かような意見書を、簡単でございますけれども、付したわけでございます。この長期計画等があるというふうにほめて、おせじを言っているように言われていましたけれども、決しておせじという意味ではございませんで、率直に、とにかく放送協会としては、現在の段階におきまして、この程度の長期計画と申しまするか、数年度の計画について見通しをつけて、それによって作られた案に違いない、そうでなければとにかく予算案はできない、そういう意味においてそのような判断を下して、こういう意見を添えたわけでありまして、非常に率直な簡単な意見だけにしておいたわけでございます。昨年と一昨年のこの意見書をごらんになりますとわかりますが、相当に長文の、数字等を羅列した意見書が書いてありますが、今回はきわめて簡単に、率直に、しかし、これを頭から批判し、というふうにはできませんので、かような文面の意見書となつた次第でございます。
  80. 久保等

    ○久保等君 ちょっと私の質問に対して、ほかの面にわたった御答弁があったのですが、私簡単に一つ、先ほど来の御質問を要約して御質問をいたしますと、三十七条の第二項による事態というものはこれは十分あり得る事態だとお考えになっておりますか、きわめてまれな場合にしかないとお考えになりますか、それに対する一つ御答弁を伺いたいと思います。
  81. 濱田成徳

    政府委員濱田成徳君) そういう場合も今後ないとは言えないと考えます。
  82. 久保等

    ○久保等君 ないだろうじゃなくて十分あり得ると思うのですが、どうですか。これはもうこんなことはほとんどあり得ないのだというようにお考えですか、どうですか。私はこういうことがあっても当りまえの話だと、私は、そのことを予定して、ここに書かれておるのです。こういうことは現実に何といいますか、発動せられないところに私はNHK予算の扱い方というものが非常にゆがめられてきていると思うのです。こういうことは現実的に通常行われておりさえすれば、私ここで大きな声をして申し上げる必要なんか起らないと思うのですよ。ところが、これがほとんど死文化するというところに、つじつまはどう合せましょうとも、現実において予算というものが結局まあゆがめられたといいますか、意見がどちらが正しい、正しくないは別として、予算の扱い方が誤まっておると思うのです。放送法建前からいって、そうお考えになりませんか。私の言うのがむしろおかしいということならば、この放送法建前からいっておかしいというふうに御説明を願ってけっこうなんですがね。
  83. 濱田成徳

    政府委員濱田成徳君) 御意見は私は反対だと申し上げておるわけではありませんが、そういう場合もあり得るだろう、そういう程度に今のところ考えております。もし明瞭に反対するべき意見がございましたならば、この三十七条三項にありますように、その旨を率直に申し上げて、そうして当委員会は、協会の意見をどんどんお聞きになるということになって一向差しつかえありません、そう考えております。
  84. 久保等

    ○久保等君 それはまあ問題は、文書になって正式に出てきたものに修正をしなかった、従って、予算に対してとかくの意見をつけ加える必要はなかったという程度の御答弁では私は非常に不満足なんです。問題は、そういう形式的に何月何日公文書というか、形式を整えて出した、その後は郵政当局は全然手を加えなかったのだ、それからまた、とやかく言わなかったのだと、だから、予算そのものがフィルターがかけられたとは言えないというような御答弁は非常に形式論議と思うのです。私の申し上げておるのはそういう形式的な予算書というものができ上る前における過程も当然含まれると思うのです。少くとも、ほんとうにすなおな形でもちろん参考意見なり、連絡なりとるということは、これはもう当りまえなことですよ。何もお互いにかたい鉄のとびらを隔てて一言半句も連絡してはいかぬ、話をしてもいけない、NHKNHKで勝手に予算を出しなさい、郵政大臣はそれに対していいとか悪いとかの意見を出して国会に出しなさいというようなしかつめらしいことを私は申し上げておるのじゃない。しかし少くとも、さればといって、文書になってから全然手を加えなかったから、何らNHK予算に対して郵政大臣というものは不当な干渉をしたのじゃないのだ、また予算を修正したのじゃないのだと言われることは、これはもう私は非常に形式的だと思うのです。それで少くともほんとうの経営委員会ならば経営委員会というものに変更を与えるような、しかもまた、不当と思われるような心証の変更を与えるような何か働きかけがなされれば、私はどういう形であろうとも、これは不当な干渉だと思うのです。特に今度の予算については、受信料の値上げの問題がこれはもう問題になったことは周知の事実であるのです。放送協会のお考え方も、これから逐次私ども伺って参りたいと思いまするが、その中でも明らかになってくる問題だと思うのです。ただしかし、結論からいえば、いずれにしても不本意ながらこの予算を出さざるを得なかったという御答弁を聞いておっても、一体それならばどこが不本意な予算を作って出さなきゃならなかったのか、どこに原因があるのかという問題を私は少くともはっきりして参らなきゃならぬと思うのです。この予算の審議の過程で、その前に意見書をこれにくっつけた、意見書の中には、何も協会予算には文句を言っていないのだから、郵政大臣でもありませんよということになれば、一体どこで不本意な予算を作られたのか、作ったのかということになってくると思う。そういう話はいずれ郵政大臣を対象にしてやりたいと思いますが、私はもう少しこの法の運用の建前からいって十分に一つ御反省を願う必要があるのじゃないかというふうに思うのです。これはひとり今度の三十三年度予算だけの問題じゃなくて、今までNHK予算に対する郵政当局の扱い方が、むしろ三十七条の第三項が私はしばしばあり得るのが自然じゃないかと思う。それがだんだん運用しておる間に以心伝心というか、ほんとうに意見の相違がないところまでいくならば、これは理想的だと思うのです、これは理想的だと思うのです。しかし、そういう理想にはなかなか私は道が遠いと思うのです。そうだとするならば、違った二つの意見が当然国会に出されてくるのがむしろ自然じゃないか。現実にはいまだかつてそういう事例にぶつかったことが私どもないのです。そこにこの放送法の三十七条の予算の扱い方そのものに対して、今までの運用が私は誤まっておるというふうに判断するのです。そのことは言いかえれば、経営権そのものに対する私は扱い方がやはり誤まっておるというふうにも判断されるのです。そういう非常に経過的な問題でもあり、しかも本質的な問題でもあるだけに、電波理局長にも長々と先ほど来申し上げておるのですが、タッチといいますか、不当な干渉はいたしておりません、フィルターはかけておりませんと言ってみても、そういうものはあなた方自体のほんとうの心の中で心でお聞きになって、私の言っていること自体が全くそれは風説を信用せられて言っていることであって、自分の言っていることが正しいと果して信じられるかどうか、私は御自分でお考えになるとよくわかると思うのです。だから、そういう形式的な御答弁では私は満足できませんし、NHK予算の問題についてはこれは特に今回のは政略予算になっておりまする建前からぜひ郵政大臣に十分にこの経緯とそれから予算の扱い方の問題を一つお尋ねいたしたいと思います。だから、その点一つ委員長の方で、後日私質問いたしたいと思います。お取り計らい願いたいと思います。
  85. 松平勇雄

    理事松平勇雄君) 速記をとめて。    〔速記中止
  86. 松平勇雄

    理事松平勇雄君) 速記をつけて下さい。本日はこれにて散会いたします。    午後一時七分散会