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1958-02-27 第28回国会 参議院 逓信委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月二十七日(木曜日)    午前十時五十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     宮田 重文君    理事            手島  栄君            松平 勇雄君            山田 節男君            長谷部ひろ君    委員            石坂 豊一君            黒川 武雄君            新谷寅三郎君            前田佳都男君            横川 信夫君            鈴木  強君            光村 甚助君            森中 守義君            横川 正市君            奥 むめお君   国務大臣    郵 政 大 臣 田中 角榮君   政府委員    郵政省監察局長 荒巻伊勢雄君    郵政省郵務局長 板野  學君    郵政省貯金局長 加藤 桂一君    郵政省簡易保険    局長      大塚  茂君    郵政省電波監理    局長      濱田 成徳君    郵政省経理局長 西村 尚治君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○郵政事業運営に関する調査の件  (郵政大臣所管事項説明に関す  る件) ○電気通信並びに電波に関する調査の  件  (郵政大臣所管事項説明に関す  る件)   —————————————
  2. 宮田重文

    委員長宮田重文君) ではただいまより委員会を開会いたします。  まず郵政事業運営に関する調査及び電気通信並びに電波に関する調査を議題といたし、先般の田中郵政大臣所管事項についての説明に対して質疑を行います。
  3. 横川正市

    横川正市君 まず一点大臣にお伺いをいたしたいと思いますのは、本委員会に、二十六国会末に、議員立法ではありますけれども郵政職員等に対する退職年金法法律案提出されまして、その後、二十七、二十八国会継続審議になっておるわけであります。その趣旨とするところは、もうすでに当局もさることながら、大臣も十分御案内の内容でありますので、ここでくどくどしくその内容説明いたしませんが、その後の政府並びに当局の情勢を見てみますと、議員立法提出されております退職年金法趣旨を了として努力をされておるということを、私どもは聞き知っておるわけでありまして、その点については私どもとして、十分当局並びに政府のその努力の結果に対して実は期待を持っておるわけであります。たまたま衆議院予算分科会で、大臣は、三十三年度予算の中に、その実行に移すための予算を入れられておることを明らかにされ、さらに法律国会提出を急がせておるということが答弁として載っておりますし、前回の当委員会におきましても、前田委員の質問に答えまして、大臣からその趣旨が述べられたのでありまして、私どもはその進捗の状況については、ほぼその内容を知ることができましたが、本日は一つ、その後の状況について大臣から御説明をいただきたい。ことに国会法案提出の時期がいつになるか、一つ明らかにしていただきたい、かように思います。
  4. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) お答えいたします。  郵政関係退職年金法の問題につきましては、先の委員会で申し上げた通り、私は熱意をもってこれが提案努力をいたしておるわけでございます。しかし、御承知通り大蔵省は、郵政単行法ではなく、一般公務員とあわせてこれを行うべしという意見を強く打ち出しておりますし、なお、恩給の所管当局である総理府関係では、時期的にもう少し研究を要するというように、多少の食い違いがあることは御承知通りであります。その意見調整いたしておるわけでございますが、予算衆議院を上る寸前にありますので、できるだけ予算衆議院を、通過するまでには、これに対して目鼻をつけたいということをもって今、折衝を続けておるわけでございます。私どもは、御承知通り郵政職員の中には、電波職員が三千名ばかりおりまして、いつでもこの電波職員三千名が公労法の適用を受けられないということで、問題があることも御承知通りであります。できるならば、郵政現業職員退職年金法を制定するときには、電波職員も入れたいという考えがございます。そういう意味では、大蔵省当局が言っておりますように、一般公務員とともに一本として、できればそれもまたよろしいという態度をとっておるわけであります。時期がおくれて巻きぞえをくってというようなことになりますか、調整がつかず、郵政現業職員退職年金法さえもこの国会提案に至らない、ということになると大へんなことになりますので、そういうことがないように、できるだけすみやかに提案の運びになるように、鋭意努力をいたしておる次第でございます。
  5. 横川正市

    横川正市君 私は、先ほども申し上げましたように、大臣初め当局努力されております内容については、非常に私どもとしては感謝する、という意味での内容を知っておるわけであります。今の大臣答弁の中にありましたように、いろいろむずかしい調整をしなければならない幾つかの問題があるのだ、ということも十分知っておるわけであります。しかし結果的に、たとえば衆議院予算通過ということが、三月二日ないし三日ということに予定をされておりますれば、その時期までには法案提出の見通しがはっきりする、こういうように今の大臣答弁をとっていいかどうか、その点もう一つ伺いをしたい。
  6. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 御承知通り法律案は事務的には、法制局その他各お互いの政党との調整その他がございますから、事務的にいつまでに提案できるかどうかということは、これはなかなか申し上げられないと思いますが、少くともこの国会退職年金法を通そう、提案をしようということは、やはり衆議院予算が通過するまでには、一体出すのか出さぬのか、ということは明確にしなければならぬ、こういうふうに考えております。出すのか出さぬのかを三日、四日までにきめられてはたまらぬということは、横川さんも言われるでしょうが、私もそのつもりです。そのときになって出さないなんて言われたら大へんだということでぜひ出すということで、何とかまとめたいということを考えているわけでございます。
  7. 横川正市

    横川正市君 その熱意のあるところ、ほぼ了察できますので、まあ時間切れになって事が運ばなかった、どうも何とも、ということで何ぼ腹を切られてもしょうがないことであります。ぜひ一つ国会への法案提出国会審議に十分間に合いますように出されることを希望いたしておきます。  それから第二の問題でありますが、大臣所管事項説明には入っておりませんけれども、昨今の状況として出て参ります労働事情の問題で、一言大臣から誠意ある答弁をいただきたいと思うのでありますが、実は昨日ちょうど正午ごろでありますが、私、東京郵政局当局と、それから組合側との団体交渉をめぐって紛糾をいたしております現場におりまして、その状況を見てきたのであります。もちろんこの団体交渉内容は、七つばかりの要求項目を掲げておりまして一つ最低賃金法案国会に提起されておりますけれども、その内容について、その業務に及ぼすところ非常に大きいものですから、そのことについての要求書が出ておったようであります。  それから一つは、今私の方から説明を求めました、退職年金に対しての職員側の強い要望省側に伝えたい、ということが第二の目的であったようであります。  第三の目的は、さる委員会で決定を見ております、賃金の引き上げについての要求当局に出しておりますが、その回答をもらいたいということであったようであります。  第四点はさきに大臣の手元でいろいろと御苦労を願ったようでありますか、その内容がいささか不満であるということから、組合側との間で納得がいかない、特定局調査特別委員会答申について、もっと具体的な省側態度をいただきたい、こういう問題等を含めて、七つ要求が出されておったようでございます。  通例、私は、今まで組合省側との団体交渉を、ずっと過去十何年間経験して参ったのでありますが、その経験の中では、憲法というしかつめらしい言い方をすることは、どうもあまり私は得手でありませんが、組合側が少数の者をもって個々に面接をして話し合いをするということは、これは過去の例でも、排除する方こそ強けれ、そのことをもってよしとするような例はなかったわけであります。そこでいろいろ問題が重要になればなるほど、その度合に応じて交渉の人数とか、あるいはその交渉の場面とかというものは、いささかエキサイトしてくるということになるわけであります。しかしそのエキサイトすることは、必ずしも問題解決のための障害になるのではなくして、あるときには、良識誠意をもって早期にものを解決する、ということの結果も生んでおるわけであります。ところが昨日の郵政局状況を見てみますと、まず組合側交渉を申し入れない先に、庁舎の裏におまわりさんが約六百名くらい動員され、装甲車が配備され、もっとも、おまわりさん服装を見ますと、かつての国会その他の陳情に出たときのような服装ではなくて、制服制帽でこん棒を持たずというおまわりさんでありますから、いささかその配意のほどは知られるわけでありますけれども団体交渉が始まらない先に、そういうような配置をするということは一体どういうことなんだろうかと、非常に私は疑問に思ったのであります。あにはからんや、まず通用門ばら線を引いた戸が閉められて、そうして管理課長面接に当ったと言っておりますが、そこではとてもらちがあかないで構内になだれこんでしまう。構内では団体交渉する、しない、そのする、しないの主なる原因が、圧力背景とする団体交渉はしないというのだそうでありますが、私は十分聞いておりませんでしたが、圧力背景とする団体交渉はしないということになりますと、これは、団体行動をもってそのみずからの要求を通そうとする、労働組合の一年生のものの考え方を了承しないという省側態度に、私はどうも聞えて仕方がないわけでして、圧力を持っている団体交渉、威力的な団体交渉はしないというような、そういうようなことは今までの例にはなかったわけであります。そういうことが突然として出てきたということは、私はいささか昨日の現場に直面いたしまして戸惑いをいたしましたが、ついにこれは団体交渉にならずに、おまわりさんに阻止されて昨日は解散をし、本日さらにまた同じことを繰り返している。こういうことなんであります。  私は、大臣良識と、こういうようなことは、ことさら組合側の年中行われておる、しかもその質、内容の変らないものに対して、省側の政策とか方法というものが変るために無益のトラブルが起ってくるということを、これは避けてもらいたい。そうして、もっと当然の結果というものを生むための努力を、両者で真摯にはかってもらいたい。ことに圧力背景とする団体交渉はしない、という格好でのトラブルというのは、問題解決のために何ら益することではないと思うのでありまして、その点で、今行われておるものは、私は本省担当者は知っておられるのかどうか知りませんけれども郵政局では、そのような形で団体交渉が正常に行われておらないと、こういうことでありますので、私は大臣誠意善意で、この問題を解決されるような方策をとってもらいたい、かように思うのであります。その点で大臣の所見を伺っておきたいと思います。
  8. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) お答えいたします。  それは御承知通り、私は就任後、労使間の正常な慣行確立のために努力をし、また実践をしてきたことは皆さんもお認めいただけると思いますが、私は元来トラブルはできるだけ排除しなければならぬということを考えておりますし、正常な交渉お互い誠意をもってやらなければいかぬ、こういうことを考えておりますし、また、当局に対しても、実に強くそれを指示いたしておりますから、一さい、省側から問題を提起をして、混乱に導こうというような意図は、毛頭ありませんことを改めて明確に申し上げておきます。  昨日の東京郵政局の問題は、まだ私のところにまではきておりませんが、どうも初めから警察官を待機させておって正常な団体交渉さえできなかったというお話でありますが、これに対しては、これは私が在来考えておりましたことを申し上げて、そういう意味でそういうことになったのではないかと考えられますので申し上げます。  最低賃金法の問題、退職年金法要望、それから賃金引上げ、すなわちベースアップに対する回答を一体どうするか。仲裁裁定の申請をしておるわけですが、そういう問題、特定局制度に対する答申の問題、これは東京郵政局長のところに行ったって解決する問題ではないと思う。これは明確にわかると思う。しかも、私はこんな大きな問題、特に最低賃金法云々の問題で東京郵政局長などをつるし上げてどうなるか。こういうことをやっちゃいかぬ。これは正常な交渉でないということは、私は就任と同時にはっきり言ったのです。これは中闘と私たちが、特にこういう中央の問題、法律改正の問題は、これはもう中闘にやめてもらって、中闘は四十二名余があるのだから、私たちと中間がお互いに一体になって、まったく組合省側がいつでも利害相反しておるなんということを考えてはならない。郵政事業というもののとにかく二分の一は組合であり、二分の一は官であって、これ二つがプラスマイナスまったく合わなければ、郵政事業というものは全然ないのだから、そういう意味で利害が対立するなどという感情から離れて、お互いが、二人が、その両方がうまくいかなければ、郵政事業そのものがないのだという立場に立って、お互い立場で戦術的に多少やることは、これまで拒否するわけじゃないが、いずれにしても特定郵便局へ行って法律問題をやったところで解決しないのだし、郵政局長の権限でないものをやっても困るから、そういうものはあげて大臣が折衝するから、一つなるべく問題が起きないようにということを、私は組合側にも申し入れておって、半年間は非常にうまくいってきたのです。だから年末闘争のあのくらい面倒な問題でも、私とわずか二日間交渉すれば一挙に片づく。十一月の七日には一ぺんに片づいてしまったというくらいにいい道を開いておりまして、こういうことにしよう、こう言っておったのですが、今度はどうも最低賃金法退職年金法というものを東京郵政局にもっていった。これは団体交渉ではない。まあ団体交渉という名目だが、これは結局すわり込みをやるのだ、年中行事の一つだというふうに考えたのでしょう。考えないのか、きょう一つ呼んで聞いておきますが、特にみんな帰ったのは、定期的にきのう、きょうは東京郵政局をやって、三日、四日、五日は本省すわり込みだというふうに、こうなってくると交渉しないうちにちゃんとスケジュールがきまっておるものですから、そういうことじゃ困るので、なるべく穏健にトラブルを排除して正常な団交を続けるということにしていこうじゃないか。特に私おととい組合幹部に会ったのです。郵政省が非常にうまくいっているので、春闘に対しては特に注意をしてもらいたい。そのかわり私も誠意を持ってこの問題は自分でも片づけるから、まあ少くとも春闘の先がけ、真先きに立って郵政がやるのだというようなことはやらないで、お互いの間で話は十分つくのだがら、一つ穏健にやってもらいたいということをおととい申し入れたのに、きのうすぐ東京郵政局へ行った。私のところへ来てくれれば警察官などを動員するようなことは全然なかったのですが、東京郵政局だということで、そういうこともあったのだと思いますが、お互いに今、横川さんが申されたように、正常な団交をやろうという気持に対しては私たちも変っておりませんし、また、変るというよりも、そういう前提を持ってやっておりますから、きょうからもいろいろな問題に対する交渉もあると思いますが、そういう問題に対しては正常な姿においてお互いにうまくやるようにということを考えております。まあ圧力を持つ団体交渉に応じないというようなことは、横川さんがそういうふうに表現されますと、これはまったくもう一年坊主の言うようなことじゃないかというようなことになるのですが、そんなに二から一を引いて一だというようなことで申し上げておるわけじゃないでしょう。ただ話もしないうちに、きょうはすわり込みだ、あしたは本省を取り巻くのだというようなことを言われると、つい、もっとうまい話し合いの仕方があるじゃないかということだけでありまして、これら七つ回答に対しては、私の方で丁寧な回答文を出してあります。だからこれからお互い話し合いをして、何とかいい結論を出そうというふうに努力をしておるのでありますから、きのうのことはそういうふうに横川さんにうつったかもしれませんが、省側にはまったく挑戦をしようとか、正常な団交を排除しようとかいう考えは毛頭ないことを明確に答弁しておきます。
  9. 横川正市

    横川正市君 私は、今の大臣答弁の中で、当事者能力という言葉を私もよく使いますが、普通局長能力、それから郵政局長能力、それから本省の各局長あるいは大臣、次官というような、それぞれの官制上のポジションが持っております能力に応じて、組合側はものを判断して、そこへもっていって団体交渉しなさいという言い方というのは、何か筋が通っているようで、実はそういうけじめ労働運動の中でつけるということすら私は非常にむずかしい問題だと思うのです。ですから、そういうけじめのつけられた団体交渉を必要とするということで、これを押しつけるということは、かえって事の円満な解決にならないというふうに私は思います。しかしこれは非常にむずかしい問題ですから、論議をしてみても仕方がないわけでありますが、ただきのう起った現象というのは、ちょうど十二時から一時までの昼の休みの時間ですから、いわば個々人自由なとれるべき時間であって、しかもあの郵政局の前というのは相当広い構内です。きのうの夕刊を見ていただけばわかりますように、集まっている者は関東のそれぞれ六県から代表者が集まって二百人たらずの人間であります。この二百人たらずの人間に対して、もう事前に配備されたおまわりさんが六百人もおったということになると、これはどうも少し神経が過剰過ぎて、事前相手側内容までくみとつてしまって、それにきわめて神経的な対処をしたということに私はなるのじゃないかと思います。ことに郵政当局話し合いをしたいということの内容そのものも、これは私は言いかえれば省側幾つ布石をしいてきている、既定の事実として問題の布石をついてきている。それに対して組合側が賛成だとか反対だとかという意思表示をする、こういう問題があるわけなんであります。  それからもう一つは、新しく組合側では、これが必要だというので使用者側に対してそれを要求するという、こういう問題と二つあると思います。  ことに特定局等問題等は、すでにもう八十何年かの歴史を持っておりますから、いわばもう制度上からいっても、それから実際上の運営からいきましても、郵政省の中にはしこりのように残された問題だと思います。そういうような残されたものに特定局代表者人たちが改善を要求する、撤回を要求する、あるいはこうしてほしいという要望をつける、こういうことで今まで十何年か当局との話し合いをしてきたわけであります。それからちがあかないで今日になっておるわけでありますから、言いかえれば当局の腹の中には制度というのはこういうものなんだ、運営はこうするのだというやつは歴史的にもすっかり布石ができておるのですね。その布石に対して組合側はその内容の変更を要求するというのでありますから、これは唐突とではなしに、非常に長い時間をかけて起ってきた問題だと思います。  それから賃金の問題は例年のことではありますけれども、いろいろと賃金要求する形というものはあるわけでありまして、その形を毎年会議で決定して要求をする。しかもそれは郵政局例年の例で要求をし、その解決を全体的な戦いの中でとってくる、こういうことが通例なんでありますから、きのうの場合も私は全然、いわば政治的な言いかえれば全く組合的でない、そういう行動だけに終始して行われたものではないか、こういうふうにみておるわけであります。それがこつ然としておまわりさんの阻止で団体交渉ができなくなっているというこの事実は、いささか私は常識をはずれたものの判断に立っているのではないか、その意味では大臣善意でそういうことではなしに、もっとスムースに話し合いをしようじゃないか、たとえばそこの中に幾らかのトラブルがかりにあったとしても、話し合いをして時間をかければこれは自然と解決する問題でありますから、そういう方法をとっていったらどうか。ことに大臣の口からときどき私もいやみに聞えるのですが、闘争が何かスケジュールスケジュールと言われるのでありますが、これは必ずしもそのときにそれを計画をすることがスケジュールなら、それをしなければ問題が解決しないという問題は一体どうするのか。これは私は、当局の責任でスケジュールを立てる前に解決してくれれば一番いいことでありますから、スケジュールだと言って全部を排除しないで、スケジュールを立てなければならなかった原因について、もう少し問題を追求してもらいたかったと思う。  そういうことできのうの状態というものは、私は、必ずしもノーマルな、平常なものではなく、非平常に両者間で必要以上のエキサイトするものを持っておったようでありますから、この点は大臣からさらに答弁をもらう必要を感じますが、善処方を私は強く要望したいと思います。
  10. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私はいつでも言っているのですが、正常な団交、それからお互いトラブルを排除しようということに対しては熱意をもってやっております。また官側に対しても非常に強くこれを要求しております。同時に組合側に対しても、円満な交渉によって一つお互いにうまくものを片づけようということを話し合い、了解しているわけであります。向うも初めからあの申し入れに対して、いやわれわれは別に団体行動をとって強硬にやるのだということを言ってない。国務大臣は話がわかるから、お互いになるべく一つ話し合いでやりましょう、こういうふうに明快な回答をしておるということであります。ですから今まではいろいろな問題がありましたが、年末年始までの大問題は大きな紛争なくして全部片づいておるのです。これはもう事実おわかりだろうと思う。六カ月間に今まで一つの問題なくみな片づいておる。今度の最低賃金法退職年金法、値上げ、それから特定局制度問題等に対しては、現在まだみな未確定事項だけです。そうしてこれらの項目に対しては、正式に一昨々日私の名前で組合に対して回答書を出しているのです。出しておる翌日に東京郵政局を急襲するというのが、組合側としてもそんなことまでしなくてもいいじゃないかということに、まあ私の方としては考えるわけです。で、おとといですか、組合幹部と会って話をしましたときも、できるだけあまりそうやりなさるな、ことに経済闘争では、私も現に退職年金問題に対しては先頭に立ってやつておるのでありますから、だから組合として、は総評の傘下にあり、やはりそれは単産として勝手な行動ができないということはわかるが、平穏無事にいっておって、ずっと六ヵ月間、しかも実効を上げておる全逓が、全官公労の第一線に立つことはないじゃないか、それをしも立つというと、これは政治行動だと見なければならぬから、まあやるならば三回目ぐらいにやってくれ、国鉄が第一、その次が全印刷、第三番目にやってもらわなければ誠意は認められないぞ、ということを私は現に話をしておるのです。そうですかといっておいて、私もまさか東京郵政局がきのう急襲されるとは思わなかった。思わなかったが、きのうは相当もめたらしい。こちら側も手ぎわよくして警察官を呼んでおったということも、こっちも手ぎわよ過ぎて、しかしこれは大臣としては関知しないことでありますから、これではいかぬ、こんなことはしないで、お互いがもう少し話し合いをして、正常な労使の慣行というものを作らなければならない。戦争後十年もたっておるのに十年も前の仕方と同じような仕方をやっておるということではいけない。ことに郵政に対しては皆さんからもお世話になり、ここまで円満にやってき、これからも一伸びしなければならないというわけであります。真に私の時代に労使の慣行というもののよいものを作ろうということに努力しておるのでありますから、きのう、今、横川さんから言われたようにこちらも予期しなかったのが堂々と押し寄せてきた。こちらもたまげて警察官を待機させたというようなことで、どうもそこに意思の疎通を欠いておったようであります。私も、組合官側に対して不意をついて、昼休みだとはいいながらも団体交渉を申し込んだり、また警察官を呼んでおいたりするというようなことは、お互いがなるべくトラブル原因はみずから排除しなければいかぬということを、一つ両方に厳に申し入れるつもりでありますから、これからは一つなるべく横川さんのおっしゃったような、正常な団交の仕方を作るように努力をしたいという考えであります。そういう意味ではスケジュールということを聞きますと、三日、四日、五日は私が会うと言っておるのだし、毎日会うと言っておるのだから、いずれにしても、郵政本省にすわり込むというような計画が、私のところにまできておりますが、こういう計画的なものはやらなくても、私はきょうでもあしたでもこれらの問題については、きょうも特に御発言があったのですから、組合に対してそういうことはしないでもいつでも会うから、こういうことをきょうでも申し入れをしたい、こういうふうに考えております。
  11. 横川正市

    横川正市君 ただいまの問題は、突然きのう起った現象に対して、責任大臣である田中郵政大臣から、もう少し正常に団体交渉を運ぶ努力をしていただきたい、こういう要望に終っておきたいと思います。  この間所管事項のいろいろ説明をいただきましたが、この所管事項説明の中には、この国会提出される法律案が、その大半の計画として載っておるわけであります。ですから私は、この法律案がここに出されてから、その審議の中で明らかにしていけばいいのだと思うのでありますが、そのときの準備のためにも二、三お聞きしておきたいと思います。  一つ所管事項の第二の中に載っております、郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律の一部を改正する法律案内容であります。これは今まで郵政省としてはものの考え方として、切手を売りさばく場所を第三者に提供するということは、何かお役所の仕事を相手方にやらせてやるのだから、ありがたいと思いなさい、そういうことによってあなたの店も、お客さんの出入りが非常にほかの店よりもよくなるのではないか、というような思想があったのではないだろうか。いいかえれば、その手当の内容を見てみましても、きわめて低い手数料で請負わされておる、この点について今度の改正案の思想というのはどうなったのか。ただその法律案の中を見てみますと、依然として何かそういうようなにおいもあるようにも思われるのでありますが、その点を一つ伺いしたいと思います。  それから第二の問題でありますが、切手は有価証券、現金と同じでありますので、少くともその店が備え付けられる何といいますか箱類、いわば金庫やなんかというのを使っているのはほとんどありませんで、ほんの簡単な箱か何かにこれを入れて売っているようでありますが、そういうような方法に対して、もっとこの取扱いについて注意をするようなことがないかどうか。これは当局としてどういうふうに考えるのか。これは第二の問題です。  それから第三の問題は、今度の改正された手数料そのもので、大体売りさばき人の人たちは、全国的にその意思をまだ統一するような機関を持っておらないようでありますけれども、その人たちの意思を聞いてほぼ満足だというような、こういう意味合いからこの改正案というものは出されたのか。この三点についてお伺いいたします。
  12. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 売りさばき所の人々に対する観念といいますか、定義といいますか、思想、そういうものについてお尋ねがありましたが、たしかに今まではこれは特権を与えるのだというような考え方があったと思うのです。郵政省は、逓信省時代からそういうことはなかったと答弁されるでしょうが、私は議員ですから議員としての感覚から言うと、確かにそういうことはあったと考えます。これは横川さんも今言われましたが、売りさばき人そのものが、塩の専売とか、たばこの売りさばきとか、そういう何かの指定所になりたいというのが、日本人通有の感覚であります。旅館になると鉄道の指定旅館になりたい、郵政省の指定旅館になりたい、まあ私のところにも洋服屋などからぞうり屋などまで郵政省の指定になりたい、指定になると何かうまいことがあると思ってやってくるのかと思いますが、これは日本人の、特に商人の持つ一つ考え方であると思うのです。そうして昔の官尊民卑時代の官の売りさばき人、指定請負人というような感覚が非常に自分の商売にプラスをしたというような考えで、郵政省も売りさばき人そのものもそういう感覚があったかもわかりません。またあっただろうと思います。しかし現在ではそういうことではいかぬのだ、全然それを払拭するというわけにはいかぬでしょうが、いずれにしても正当な対価を与えなければならない。また正当な対価を与えるということでなければ、保管その他に対して、郵政省の代行機関としての使命を果せないという意味から考えると、特権を与えているのだし、またただでもいい、看板だけでもさげさせてくれということであったから、安くてもいい、ただでもいいという考え方は間違いだと思います。しかし正当な対価を与うべきだというふうに現在は考えております。  それから備付箱や金庫等の問題に対しては、これは確かに問題があります。ありますが、年間三千円か五千円しか売れないというようなものですと、現行法でいいますと年間を通して千円にもならないということですと、金庫など買うと金庫の利息にもならないというような状況がありまして、非常にずさんなかぎ箱、特に箱の中にというような問題があります、特に山間僻地、僻敵地などの売りさばき所にはそういう問題がたくさんありますが、こういうものに対しては切手の売りさばき手数料も最高のものではありませんが、相当補正をするのであるから、これが備付箱、管理等に対しては、こちらが、郵政大臣がいろいろな問題を指定できるというふうにしてございます。それは備付箱や何かの問題だけでなく、おのおのの切手は常備何枚は置かなければならないとかいうことも、その売りさばき所に無理にならない程度に指示はできるというような条項を設けてございます。  それから手数料は現在大体売りさばき所が八万くらいあって、年間の手数料十二、三億ですか、それが今度の改正で三億くらいふえますから、二割くらいふえますかと思います。こまかい話、数字的な話は局長から答弁さしてもけっこうですが、いずれにしても三億ちょっとこの法律でふえるわけであります。しかしそれで万全なものとは考えておりません。特に切手と収入印紙との差などを考えますと、まだこれが第一段階であって、完全に業者を納得させるような値上げでないというふうに考えております。しかし切手売りさばき人の意向を聞いてみますと、今まで多年にわたってその情を訴えて理解を求めたが、なかなかやってくれなかった。しかし今回三億余万円の値上げをしてくれたということは、欣快にたえないとこう言っておりますから、まあ業者はこの程度で今日の段階では納得いたしている、こんなものを上げてもらってもしようがないとは絶対に思いません、郵政省の多年の懸案が解決することはうれしいと言っておりますので、この段階では大体現在のような改正案に落ちついたわけでございます。
  13. 前田佳都男

    前田佳都男君 今の横川委員の質問に関連しまして、多少こまかいことになるかもしれませんが、大臣でなくても、政府委員からでもけっこうでございますが、今回のこの手数料の引き上げは、これはただいま大臣からもお話がございましたが、売りさばき人は非常に感謝しております。実はわれわれの知っているところでも感謝の決議といいますか、そういう意思表示をしているところもあるくらいでございます。もちろん引き上げは非常にけっこうでありますが、しかもこれは漸進的でなければならないといういろいろな事情も私はよくわかるのであります。しかしながら同じような政府の売りさばき人のたばこの場合は百分の八、八分である。それも段階というものはなくて八分である。しかもたばこの場合は買い受けの際、そのあるべき歩合いを控除してくれます。それから店まで配達してくれます。ところが切手の場合には局まで買いに行かなければならない、たばこと切手はもちろん性質は違う、切手の方が恒常性が強いという御説明があるかもしれないと思うのですが、売りさばき人にとりましては、手数の点で同じでございます。こういうふうに百分の七、百分の四というふうに漸進的でありまするが、こういうふうにふやすようにしたのは、もっとふやしたいけれども、こういうふうにしたのは財政的な理由、そういう理由でございましょうか、この点ちょっと。
  14. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) たばこと切手と同じ官の売りさばきをやっておって、手数料が非常に違うということで、大蔵省とだいぶやったのです。第一収入印紙と切手だけでも違うじゃないかということでやかましくやったのですが、私も大蔵省の意見に納得はしておりませんが、相当違うということは認識いたしました。これは郵便切手や収入印紙というものは額面できちんと、はがきという印刷をしてあるものと同じである、封緘はがきのようにはがきや封筒に印刷をしても足るものでございますから、全く金券そのものとして売りさばくということでありますし、たばこは御承知通り官業収益としては非常に大きなもので、多少よけい売りさばこうという、同じ官のものでありますが、商売として塩やたばこは幾らかよけい売り込んで、収入をよけいに上げて国の財政収入をふやそう、こういうふうな考え方もあります。酒もたばこもみんなそうであります。そういう立場から多少マージンをよけい出そう、こういうことになっております。もう一つ、たばこは乾燥とか、湿気防除でたくさんのものを保存しておいたり、また荷受けをしたり相当の設備がかかる、売れない場合は大へんだという問題もありますので、そういう危険負担やまた保存もするのに非常に費用がかかる、もう一つは、切手やはがきはそう売りさばかなければならないというような、国民の需要に応じてこれをなるべく早く渡してやるというのが性質でありますし、たばこは少しくらいのまない人でも、のみなさい、こういうふうに明治時代からやっておりますので、そういう意味で相当率が違う、こういうのですが、私もたばこや何かをどんどんのまして官業収入をふやそうということは、正しいかどうかということは相当問題だと考えますので、切手や収入印紙の売りさばき手数料も先ほど申し上げたように、これは第一段階であって、次の段階にまた上げよう、こういう考えを持っております。
  15. 前田佳都男

    前田佳都男君 ただいまの大臣の御説明で、たばこは商売気があって、切手はそうではないという御説明もあると思いますが、これは第一歩といたしまして、今後さらに歩合をふやすようにしていただきたいと思います。  それからもう一つ、今般の改正で最低額を保証するという項があります。三千円とみなす、そうすると二百十円ということになるのでありますが、二百十円というのはたばこの三つか四つの価格でありまして、最低額としてはちょっと低過ぎるじゃないか、切手印紙の売りさばき所は兼業でやっておりますから、このように雑貨屋とかいろいろなところでやっておりますからやって行けるものの、あまりにも低い、何はともあれ早急にこれは一つ上げてもらうようにしなければならぬ。  ついでにもう一つ伺いしたいのですが、最低額の保証に関連してですが、八万カ所あるというような大臣の御説明だったのですが、これは非常に郵政事業の周知には絶好の機関だと思います。おそらくこの法文のうちにもそういうふうなことをにおわすような字句があるように思うのですが、郵便の周知板であるとか、そういうふうなものを設備をされる、そういうふうなことをお考えになっているかどうか、それらについて。
  16. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 最低保証は三千円未満のものは三千円とみなす。これは現在一番売れない所は幾らかというと、月に九十円か八十円という年数料しかもらえない所がある、こういうことではいかぬと思うのでありまして、私は初めは五千円未満にみなして、幾ら何でも三、四百円にならなければいかぬだろうという考えでありましたが、ただいまのように三千円とみなして大体最低百円として倍ちょっとになるわけであります。これは小さいものですから百円を二百円にすることは大したことではないのですが、率からすれば一一〇%ということになるわけであります。そういう意味で今日のところはぜひこの程度にというふうに、政府部内の調整の段階でこういうことがありましたので、三千円未満は三千円とみなして手数料を交付するということになりましたが、これは将来売りさばき所をどの程度までふやそうかという問題と関連して、もう一ぺん再検討しなければならぬ問題だと考えます。ただ切手、印紙売りさばきというのは、はがきその他いろいろなものを、大体官業の売りさばきは兼業にして皆そういう所で扱っているという問題もありますので、最低保証の線が出てくるということに対しては業者は非常に喜んでおりまして、今の段階においては、もっと最低五百円にするという請願はありません。ありませんが、相当大きなものを指示し保管をさせ、また常備の最低限を要求しておいて二百円だけだという問題は社会通念上あると思いますので、またいずれ研究いたしたいと思います。  それから八万カ所のものに対しては、今度は私はこういうものを常備いたしておりますというようなものを、掲示しなければならないというようにしてありますから、掲示板等もできるわけであります。なおそのほかにポストの問題や郵便箱をどうするかというような問題もありますので、ポストは前に委員会でも申し上げた通り、現在年間二千くらいずつ、どうかすると一万くらいふやそうという計画であるようでありますが、この程度ではどうにもならないというので、売りさばき所の整備拡充をいたしたいと同時に、そういうものとの関連性も十分考えて、できるだけ売りさばき所の近くに計画を進めてポストも置こうというふうにするつもりであります。
  17. 前田佳都男

    前田佳都男君 それから八万カ所について、これは非常にいい出張所といいますか、通信関係の出先機関だと思うのですが、これは郵政事業ではございませんが、電電公社の問題ですが、赤電話をなるべくそういうポストのある所に、切手の売りさばき所に赤軍話を置くように一つ御配慮願えないものかというふうなこと。  それから続けてもう一つ、大体外国では自動販売機が相当普及しております。ところがわが国では自動販売機というのはどういうふうに研究されておるか、私はどうも一向ないように思うのですが、この点お考えになっておるかどうか。
  18. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 赤電話の問題は、これはもう当然将来はそういうふうになると思います。しかし現在は農村公衆電話にしても、大体昭和三十三年度にわずか四千カ所でございますから、無電話部落の解消ということで、四千カ所の電話を架設をしようということであります。まあしかしこれも私は第二次五カ年計画が終るまでには、四千カ所ずつ五カ年間で二万でありますが、二万くらいではちょうど合併前の町村に一つずつつくということでしかありませんから、これはどうしてももっと架設の数をあげて、少くとも第二次五カ年計画の完了時までには、三万個以上の農村電話等はやらなければならないというふうに考えております。この電話の場所は今までは特定局でありましたが、今度は簡易局がありますから、簡易局にはどうしても電話をつけようという問題があります。それからこの間から申し上げてありますように、仮称四等局というものができれば、そういうものに当然電話も一緒につけるということを考えなければいかぬ。それから学校には分教場でもつけたい。今は基準としては二十戸に一つ、二十戸単位の部落には全部つけるということでありますが、それではとうてい五カ年間二万くらいではどうにもならないわけであります。相当部落数が多いから、そういうものは第三次五カ年計画が終るまでには、全国津々浦々まで、農山漁村にまでつけるように計画を進めていくという考えでございますから、そういう思想を推し進めていきますと、どうしても切手売りさばき所の八万カ所の中に、電話がどのくらいないかは調べておりませんが、ないものがあれば当然売りさばき所というのは便利な所に設置をしておるはずでありますから、赤電話等もつける場合はそういう所につけるようにという考えでございます。  それから自動販売機は今年中には計画をいたしておりますので、相当数実現をする予定でございます。
  19. 前田佳都男

    前田佳都男君 あるいは先ほど大臣のお答えの中にあったかとは思うのですが、もう一ぺん売さばき歩合の問題ですが、従来切手と印紙とは同じ率の売さばき歩合になっております。ところが切手は郵便事業の郵便手数の私用料金である。印紙は行政手数料と申しますか、そういうものとは性質が違うわけです。従いまして切手とこの印紙の売さばき歩合は必ずしも一本にしなくてもいい。計算の便宜から言いますと一つの方が都合がいいわけですが、別々にお考えになって、どちらか一方上げるというような、そういうふうなお考えはとれないかどうか。
  20. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 切手は御承知通り自由な意思によって買うものであります。収入印紙は法律に基いて使用しなければならないので、自動的に売れるというものでありますから、どうも切手の問題よりも、こういう法律が出るときに問題になるのは、裁判所あたりで特権を持っておって、何百万も売る者がうまくいくんじゃないかという議論も出てくるのです。収入印紙と切手はおのずから性質が違う。少くともたばこと切手くらいに違うということで、この問題も大蔵省と相当やったのですが、今日の段階ではとにかくこれでやってくれと、こういうことでありますから、思想的には全然違うものとして何とか別の線を引きたいということで交渉したのですが、そんなことをして元も子もなくすよりも、この程度の段階でということで一応引き下ったわけでありますから、思想的には、ものの考え方はあなたと同じ考え方を持っております。
  21. 横川正市

    横川正市君 今の問題でほぼ明らかにされたわけでありますが、この法律案の制定までに売さばき人から相当強い要望があって、しかもその要望にこたえてこの法律案が出され、感謝の気持を持って、法律案の成立を待っているという売さばき人のあることも今言われた通りだろうと思うのです。それでなしに、私どものところへは、全国の表立った人たちの代表として、陳情を受けている内容があるのでありますから、事務当局でも受けておるんじゃないかと思います。今度の改正案でいきますと、「百分の七」「百分の四」「百分の一・五」「百分の一」こういうふうにそれぞれ金額の段階できめられております。これに対して陳情は受け渡し月額に対して百分の十にしてもらいたい、こういう要望があるのであります。  それから印紙売さばきの手数料は今度の改正案では「百分の七」「百分の四」「百分の一」こういうふうになっておりますが、これは百分の六にしてもらいたい。金額は十万円までのものを百分の六にしてもらいたい。それから十万円をこえる場合には「百分の一・五」「百分の一」というふうになっておりますが、これを一律に百分の三にしてもらいたい。  それから売りさばき手数料の最高限度額の制度の撤廃をしてもらいたい。これは今度の場合にはいくらか緩和されておるようでありますが、そういうふうにいろいろと陳情を受けておるのでありますが、今日はこれをやると大体予算の総額でどのくらいになるか、今答えていただけば今でいいですが、もしそうでなければ調べてお答えいただきたいと思います。
  22. 板野學

    政府委員(板野學君) 今度の値上げによりまして大体三億が値上げになるのでございまして、今までの手数料が大体約八億余でございますので、三億足して約十二億というわけでございます。
  23. 横川正市

    横川正市君 私の言っているのは、ここですぐ計算できないと思うのですが、切手の売りさばき手数料を、受け渡し月額に対して百分の十という、まあいわば最低限度額とか何とかそういったものは抜きにする。それから最高制限額をはずしてしまって、一律に百分の十にした場合の支出予算はどのくらいになるかということなんです。  それから印紙の場合には、十万円以下は百分の六、十万円以上は百分の三というふうにすると、今まあ三億プラスされることになるのですが、こういうふうに改正すると、さらにどれだけの金額が必要とするか、その点。
  24. 板野學

    政府委員(板野學君) 郵便切手類の売りさばき額は、売りさばき所におきまして大体百二十七億でございますから、これを一律にテン・パーセントにいたしますれば、大体十二億七千万円、それから印紙の方は売りさばき所におきまして年間二百三十五億でございますから、ちょっと今この計算は出ませんけれども、三分と六分のまあ四分というような中をとって見ましても、約九億くらいはこれは要るのじゃないか、両方合計いたしまして二十一、二億はこれは要るのではないかというような、大ざっばな計算でございますけれどもそういうふうに考えております。
  25. 横川正市

    横川正市君 今回のこの法律案の審議の中でいろいろ申し上げたいと思いますが、言いかえれば逓信委員会は大体超党派的な委員会でありまして、ことに前田委員の言われておりますように、この郵便の増収をはかるために、今それぞれの郵便担当者が町のそれぞれの大口需要者等を動員して、受付部数の増加をはかっているとか、いろいろな努力をしているようであります。そういうような努力よりも、自然に言いかえれば文化の程度が高くなって、通信の度合いが激しくなれば増収になるわけでありますけれども、実際上はこういうようなそのサービス部門の改善をはかるよりも、その人たちが喜んでそのサービスを提供する請負人になってくれるという形にするのには、まだまだこのことは相当検討を要する問題だろうと思うのであります。ですからその点でさらに当局のこの問題に対しての善処方要望いたしておきたいと思います。  それからちょっと私の質問はこれで終りたいと思いますので、新谷さんが急がれているようでありますから、新谷さんに、先に質問を。
  26. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 先般郵政省所管事項について大臣から御説明がございましたが、その中で一つ重大なことで御説明がなかったように思いますので、あるいはこの御説明の中のある部分でこれをまかなわれているのかもしれませんが、それは市町村の町村合併の結果、新しい市町村ができたわけですけれども、それに伴う通信施設の整備の問題です。それでこの点は毎年国会でいろいろ希望が出ていることは御承知通りであります。電電公社の方の計画を見ましても、新しい市町村に対応して、かなり区域を整備統合して、一般公衆の便宜をはかっていくその計画を、この大体五カ年計画なら五カ年ということで計画ができているわけですが、これは御承知のように町村合併促進法のときにも、通信施設は優先的に整備するのだという条文があったくらいです。先般の御説明の中には、郵便局舎をふやすとかいろいろまあ御抱負が述べられているんですが、その新しくでき上った市町村に対して、郵便関係の施設をどうするかということについて、長期計画があるのかないのか。あるいは来年度どの程度までおやりになるかということについて、御説明が明瞭を欠いていると思うのすが、私はこれは希望的な意見になるかもしれませんが、まあこれは毎年国会ではやかましく要望されていることで、郵政省としては当然これは何カ年間かにここまでもっていくんだ、という計画を持っていなければならないと思うのです。この点についてはあるいは、集配事務を取られる特定局長が、これは取られては困るというようなことを言っている向きもあるようです。また、その従業員も配置転換がどうしても起りますから、多少それに対して消極的だというような面もあるようです。しかし、方針は町村合併促進法を出しておるときからきまっておる。だから、どうしてもこれは郵政省としては促進されなければならぬ筋合だと思うんですが、大臣はこれに対してどういう御計画を持って、いつまでにこれをおやりになるのか、お示し願いたい。
  27. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これはなかなか重要な問題でありますから、端的に一つ申し上げますと、電話通信については、数字はつまびらかにしませんが、町村合併に対して三十億程度見ておると思います。だから電話は、五カ年計画の中で相当統廃合を行い、また同一町村の内部の整理統合をやろうということを言っておるわけでございます。無電話部落解消に三十億、それから町村合併に対して三十億というふうに、七百五十億の中にきめてございます。  それから郵便の集配事務の問題につきましては、現在までは統廃合については百八十七件がおおむね済んでおりますし、郵便区の組みかえについては二百九十二件、合計四百七十九件というようなものが調整を終っておるようであります。これは総見込み件数の三五%というようなものでありまして、集配事務の統合について見た場合には三四%とこういうような状況で、局舎改善の計画が八年でございますが、おおむね五年くらいでやりたいということで進めておるわけでございます。今年度の予算にも、そういうふうな線で見積ってございます。  ただ、これからが新しい問題になるのですが、郵便区のいわゆる集配事務の統合そのものをやって、一体どういうプラスがあるのだというような問題も相当出てきております。郵便局というものは数が多く、そしてもっと合理的にやるということもいいのだという考えも出ておりますし、もう一つは、同じ市の中でありながら別の郵便局から配達されるので非常に困るということで、どうしても、統廃合してくれと、こういう二つの線が非常に強くあるわけです。そういう意味で、もう一ぺん町村合併による集配事務の統合については考えてもらえないか、というような強い意見もございますが、いずれにしても、そういう問題に対してはあらためて考える、まだ結論を出すというような状態になっておりませんので、現在の状態では、当初の計画通り、集配事務の統合については計画通り進めるという立場をとって今やっておるわけでございます。しかし、この問題は、なかなか郵政事業としては根本に触れる問題でありますから、計画は計画として進めるとともに、もう一ぺん別な機関でも十分慎重に審議をしてみたいという考えを持っておるわけでございます。
  28. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 大体お考えはわかりましたが、これはさっき横川君も言われたように、超党派的に、この問題を国民の利益のために進めていかなければならぬと思っているのでありますが、計画があるようなお話ですが、その計画というものがどういう内容であるのか、実は逓信内部でも郵政省の計画というものについてあまり承わったことがないようです。だから、基本方針でもいいですから、どういう基本方針で、どういう計画を持っているのだ、というようなことがお示しできればしていただいて、それをもとにして、またいろいろ協力もし、相談をしてよくしていきたいというふうに思うのです。  それから今お話の集配事務を統合するのがいいか悪いかという問題、これは私は実際問題となってくるので、画一的にはいかぬだろうと思います。しかし、小さな人口の三万とか五万とかの市で、そこに合併した町村の中に特定局の集配をやっておる所があるとすれば、これは当然一緒にすべきだと思うのです。その局と親局との間の逓送だって、今まで通りでいいのだということになると、これは非常におくれることは明瞭だと思うのです。ただ、非常に大きくなってくると、その中にあるいは親局以外に小さな集配局が若干あってもいいのじゃないかと、これは当然のことと思うので、これは画一的にいかないので、具体的に実情に応じて処理されるのがいいと思います。思いますが、しかし、何にもしないじゃ困るのですね。新しい市ができて三年、四年たっておる。しかし、それを郵便集配区だけはもとのままで放任されるというのでは、困るのです。そのために、一つの新しい市になって、そのある地区から郵便を出そうとすれば、他の市をぐるつと回ってこないと着かないというような例が、全国にたくさんあると思うのです。そのまま放任されておるのですね。この状態では郵便だけが取り残されている。やはり郵便の方面でも、新市町村の建設促進に協力するような措置を至急におとりになる必要があると思うのです。これはまあきょうでなくてもいいですが、この会期中適当なときに、そういう計画も、あるいは基本方針もお示しになって、そして委員会においても超党派的に一つ相談をして、将来に対する方針をきめて、それを促進していくように措置をされたいと思います。
  29. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) この問題に対して、私も就任後非常に関心を持って、事務当局も督励いたしておるのでございますが、こういう問題のございますことをつけ加えて申し上げておきます。新市町村合併法にもちろん順応して協力をすることに対しては、そういう方針であります。しかし、実際問題は、これは個々のケース、地方的な問題を十分研究しないと、なかなか画一的な計画では進められないということで、まあ新市町村建設を促進してやろうという前提はきまっております。これは委員会でもおきめになったようでありますし、事務当局でもそういうふうにきめております。しかし、実際問題として、個々のケースをどうするかという問題になると、なかなか問題があります。  もう一つは、今度の新市町村建設促進法というものが、太政官時代のように、鉄道の駅を中心にしてばんと行政区画をきめたものでなくて、全く民主的にやりましたので、行政区画として見ますと不適当なものもあるようです。その中には飛地などがありまして、両方の市が入り組んでおる。それはどうしても、政治的に強引に飛地さえやったのだから、ひとの市の中にある自分の飛地の電話もおれの局に入れろとか、こういうひどい問題もあります。そういう問題は、個々のケース別に一つものを考えると、町村合併に対して一体自治庁はどう考えておるのだと、将来こういうことで一応相当期間の計画ができるのかという連絡もとらせ、同時に私たち考えておりますのは、行政区画と郵便、電話の区画が全く一つにはならない、ある場合には幾らかずれる場合があるが、大部分は新市町村合併というものに適合するような方針で、そうして郵便というものは非常に時間的に制約をされますから、鉄道とか、それから冬季間の車の便とか、冬季間だけ三ヵ月、四ヵ月全然別な集配系統を通らなければならぬというようなことでは困るので、十二ヵ月、年間を通じて最も合理的な集配が行えるということを前提に新しい一つプランをきめてみろというので、十月ごろからやっておりますが、全国の地図を新しく焼きまして、新しい計画を今作るように命じておりますので、この国会中に一つ御相談を申しつつ、何らかこの問題については結論を出さなければいかぬというふうに考えております。
  30. 横川正市

    横川正市君 切手の売りさばきの問題とは別個の問題なんですが、相当長い時間をかけて郵政当局要望しておる問題として、原水爆禁止の記念切手を発行してもらいたいという要望があるわけなんです。これを、郵政当局は、事業がきわめて平和的な事業であるという建前からすれば、あえて問題にすべきことではないのに、原水爆禁止ということはいかにも政治的な色彩、そういう声が高いというようなことに原因するものだろうと思うのでありますが、今もってこの発行に対しての熱意を示さないように私は思うのであります。前の郵務局長の松井さんと会っていろいろお話したときも、言を左右にして、たとえば、相当長い時制がかかるのだとか、あるいは構図その他がまだ出ておらないのだとか、頭に浮んでこないのだとか、そういうようなことを言って、記念切手の発行が非常におくれておるわけです。私はちょうど西ドイツの切手集の中を見てみますと、西ドイツの切手の中に、戦災記念というのが一枚入っておりまして、それは少女がちょうどお祈りをするような格好をしながら周囲が火に囲まれているという、切手とすれば非常に図案は相手に強い印象を与えるような図案です。しかし、そういうようなものも西ドイツで発行されているという例があるわけです。もちろんこれは、戦争に対する西ドイツの再建国家が非常な考え方を持ってあの発行をしたのだろうというふうに、私はその切手を見て感じたのでありますが、日本の場合には、日本の国会がもうすでに衆参あわせて数回の決議を行い、しかもそのことは、政治的な意味ではなくて、世界の平和という問題を、日本が唯一の経験国としてこれを訴えておるわけです。そういう立場から言いますと、切手が発行され、その切手が世界のすみずみまで文通として使われて、日本の意思表示をそういう面からすることも、きわめて意義深いものと、こういうふうに考えておるわけでありますが、郵政当局としてこれに対して、大臣はまだこれは耳新しい問題かと思いますが、そうだ、それは発行した方がいいのだというふうにお考えになるのか、もっと慎重審議しなければならないものなのか、私はまあ大臣の勇断ある日常のいろいろなことにぶつかっておりますので、この問題でも一つ明確に態度を表明してもらいたい、かように思います。
  31. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これはなかなか重要な問題でありまして、原水爆禁止記念切手につきましては、三十二年二月衆参両院において原水爆禁止決議がございまして、この決議の趣旨を国民に徹底さしたいというようなことで、前から記念切手を発行しろというお話があるようでございます。ちょっと考えると、原水爆禁止というようなものに対してこそ切手を発行すべきだというような議論も生まれると思いますが、現在の記念切手を発行するような状態では、どうも原水爆の禁止記念切手は発行できないようであります。できないというよりも、どうもそういうものをやると、大きく道を開くことであって、今までの記念切手の発行という原則をすっかり変えてしまわなければならぬというような問題ががあるようであります。原水爆といえば、世界連邦切手も出さなければいかんし、戦争排除ということの切手等、いろいろ同じような趣旨の問題も出る。場合によってこれを排除できるかという問題があります。この原水爆禁止は国民的な運動であって、全然違うのではないかというような議論もありますが、いずれにしてもこの問題については相当な議論がございます。だから事務的に何とか考えられぬかというふうに言ってみたこともあるのでありますが、なかなかこの問題はむずかしいようであります。それは、今までの記念切手の発行の基準が、国家的な行事であつて記念すべきもの、こういうふうになっておりますので、原水爆禁止の記念運動場が完成したとか、何かそういう行事があって、それを記念するために出すとかいうことであればまた別だと思いますが、ただ原水爆禁止ということだけをもって記念切手がどうも今の状態では出せない、というふうになっておるようでございます。しかし、この問題に対しては、じゃあ法律を変えればいいじゃないか、また新しく立法してもいいじゃないかという問題もあるでしょうから、これに対しては慎重にもう一ぺん、なぜできないのだ、またどうすればできるのだ、やった場合にどういう障害があるのだという問題に対しては、明確に一つお答えできるように資料を整えてからもう一ぺん御返事を申し上げます。
  32. 横川正市

    横川正市君 日本の記念切手の中にも、東海村の原子炉の切手がもうすでに出されておるわけであります。ですから、趣旨から言えば、原水爆平和利用という意味合いのものであれば現行でできるのだ、こういうふうに大臣説明したいところだろうと思います。私は、日本の場合にはどういうことになるか、西ドイツの切手を今度お見せしてもいいのですが、私もらってきたのですが、その切手を見たときに、切手図案そのものは必ずしも大衆にいい印象を与えるような図案ではないようです。しかし、それでもなお勇気を持って出したということが、再建西ドイツの勇気だったと思うのです。そういう意味合いからいけば、原水爆の被爆国としての日本の立場というものは、相当勇気を持ってこれを世界に示さなければならない。これはいわば選ばれた、まことに迷惑な選ばれ方をしたわけでありますけれども、そういう使命をになった日本の立場というものを、やはり何とか切手等で出されてもしかるべき問題として結びつけてもいいと思うので、そういうことから、この切手の問題についてしばしば郵政当局と話をしたが、大体大臣が今当局からいろいろ事情を聞いて判断されるようなことで、発行がおくれておるようなわけです。私は、これをどうやればよいかということでなしに、そういうことならば法律を何とか改正してでもあるいは現行で、これはまあ引例も悪いのでありますが、戦争放棄第九条を、これを何とか婉曲にやって再軍備をやったのでありますから、切手を発行できるような、そういう言い回しはできないものかどうか。これは大臣も一応検討してみてもいいのではないかと思うのですが、そういう意味合いは別として、この切手の発行のための努力をぜひ一つお願いしたいと思うのであります。
  33. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 切手を発行できるかどうかに対しては慎重に研究いたしますが、現在の段階におきましては、こういうものはどうも周知宣伝というようなものでありますから、世界的な宣伝だからいいじゃないかと、こういうことでありますが、記念切手は宣伝の用に供するというような趣旨のものではないようでありますから、現行のままでは発行できないと思います。しかし、これを発行するということに対しては、国会が議決をされるとか、それから法律を作って、私たちが発行できるようにしてもらうとかいうような道はあるわけでありますから、ただそういう法律を君は政府提案として出す勇気があるかと言われると、まだ研究しておりませんので、現在そういうことをいたすということを明確に申し上げられない段階にありますが、今までの御発言に対しては、どういうことになるか研究いたしてみます。
  34. 横川正市

    横川正市君 きわめて強い熱望をこの点について示して、大臣の勇断をお願いいたしたいと思います。  それから次の問題ですが、最近の郵政省の監察当局のトータルによる犯罪数の中に、私はこれは犯罪の数として入るかどうか一応懸念する問題として、ポストのいたずらですね、ポストの中にマッチのすったやつを入れて、そうして中の郵便物が燃えてしまったというような事故が件数として多いようです。これは、今のようなポストのままで、一人々々の良識に待っておったならば、そういうような事故を未然に防止することはできないのではないかと思うのであります。そうかといって、あの口からマッチを入れるやつをそのままにして、たび重ねて犯罪が行われるやつを、毎年々々、これも事故でした、これも犯罪でしたといって、全然検挙されないようでありますが、そういうことで放任するのも少しおかしいと思うのでありまして、こういうことに対して、当局として毎回、毎回、こういう犯罪の累計から見ると、そういうような事故がたくさん出ておるわけなんですが、何か善処する用意があるのか、特に検討しておるのかどうか。この点を一つ明らかにしてもらいたいと思います。
  35. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) こういうことはあります。これは酔っぱらいがポストを燃したり、このごろ公共の器物損壊というようなものの中の一つとしてポストまで燃してしまうということがあるのですが、これはまったく国民の一部のふらちのしわざでありますが、こういうことに対しては公憤を禁じ得ないわけでありますが、これをどうも品物を入れるような口がついておりますから、マッチをすって入れても、これは排除できないわけです。結局は何か公衆の目につきやすい所、できれば人がついておるならば一番いいでしょうが、これは経費の点でできない。現在私はつまびらかにしておりませんでしたが、事務当局に聞きましたら、郵便法の制裁しかない、こういうことであります。これは一般の国民自体の郵便に対する重大性をもう一ぺん再認識してもらって、何とかしてもらわなければならぬということだけでは済まないと思います。そういうものをあずかっておる、すなわち、ポストに入っておるものは郵政省の一応自分の器物の中に公けのものをあずかったのでありますから、こういうような責任問題もありますから、これはPRするだけでは足りるものではなくて、何らか処置ができれば、立法措置といってもなかなかこれは罰則を強くして、もし見つかったならば極刑に処すというくらいにやるよりないでしょう。なかなかこれは見つからぬということになれば、これは大へんむずかしい問題でありますが、これは事務当局でもう一ぺん真剣にどういう方法があるかということを専門的に研究いたしてみます。
  36. 横川正市

    横川正市君 この問題は、毎年の犯罪累計の中に、しかも未検挙数の一番大きな件数として、こういう問題があるわけです。私はそういうことが毎年、毎年累積されて、しかも、それが数字の上に、他の数字を圧して出てくるというのに、今の大臣の言われておるような、きわめて常識的に防犯対策というものがないということでは、やはり当局としていささか怠慢だと言われても仕方がないのだと思うのですが、私は、マッチなんかの場合には何とかやられるのだが、たばこの吸いがらを消さないであの中にほうり込むのだというのが多いそうですが、そういう悪質なものもそういういたずらするものを予定に入れて、何とか大衆の郵便物を守る手段というものはないものかどうか。この点もあわせて十分検討してもらうようにしてもらいたいと思います。
  37. 山田節男

    ○山田節男君 今の郵便法による罰則はどういう程度のものですか。
  38. 光村甚助

    ○光村甚助君 けさの新聞ですか、行嚢が隅田川かどこかにほっぽり込まれておる。郵政省は最近ちょっとだらしがない。去年も東京中郵だかでやられて、全然犯人が上らない。監察官をふやせとは言いませんけれども、監察官はたくさんいるのにどうしておるのか、去年からの経過を伺いたい。
  39. 森中守義

    ○森中守義君 今東京中郵の話が出ましたが、これはいろいろ情報が錯綜していて、どれがほんとうなのかわかりませんが、郵政監察で調査が済んだ結果、及び私の聞いたところでは、どうも少し政治的にある証券業者と金銭の取引が、支出すべき国の金でないものを支出をして片をつけた。こういう話も聞いておりますが、その間の真相はどうでしょうか。わかっておる範囲で関連がありますから全部お答え願います。
  40. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 事件の内容につきましては事務当局からお答えを申し上げますが、私は、中郵からちょいちょいと問題が起るというので、この前、日本橋郵便局に送るものがどっかへいってしまった、こういうので、これはいかんじゃないかと言っているうちに、またいろいろなものが出てくる。またけさは三面トップであります、これは実に不名誉なことであって、これは困ったことだと思っておったのですが、私も中郵の現場へ二回ばかり行ってみました。どこで間違いが起るのか、こういうものがつかまらぬというのはおかしいじゃないか、こういう非常に限られた人たちがやっていることで、これは見つからぬのはおかしいというので、現地へ行ってみましたが、私が行っているときはちゃんと荷物がうまく通っておって、絶対にどっかへいきそうはないということなんです。あそこは日本逓送会社でやっておりますので、私もあそこの現地へ行って、なくなるといったらどこでなくなるのかということを聞いてみたり、現地を見たりしたのですが、たくさん荷物が錯綜しておるときには、計画的に初めからこういう時間にこういう品物が出るときにということなんでしょう、きっと。どうも非常にうまくやられてしまう。こういうことでこの犯罪はこれはどうしても防止しなければならぬというふうに私自身も考えております。  それからなお証券会社に対して何かというお話がございましたが、そういうことはありません。
  41. 荒巻伊勢雄

    政府委員荒巻伊勢雄君) 最近の郵袋盗難事件につきまして御説明申し上げますが、東京中郵におきまして、一昨年来及び昨年の十一月と本年の二月と三件続いて起っております。それからけさほどの新聞に出ておりました事件は、この二月の十四日に起きた事件でございます。いずれも東京駅に着きまして、駅から中郵の中に入る過程におきまして、あるいは新宿へ入りまして新宿から東京中郵局に入りまして関係のところに引き渡す過程において、郵袋が紛失しておるという事件に相なっております。ただいままでの捜査過程におきましては、当時の服務関係そのほかの状態、そういう授受の関係者全部につきまして、内外にわたりまして捜査をいたしておりますが、何分にもこういう盗難事件につきましては証拠となるべきものがございませんと、最後のきめ手となるような検挙のかぎが出て参っていないというようなことでございまして、この点につきましては私どもといたしましてはまことに遺憾に存じ、申し訳なく思っておるところであります。  この原因といたしまして、私ども考えておりますことは、授受につきましては常に当事者まかせでなく、立ち会いというものを明確にいたしますこと、並びに数量に不符合のございました場合におきましては、混然と数字を直すということでなく、不符合そのままということでなく、直ちにそのことにつきまして関係者の間において調査をし、相当時日がたってからそういうことが捜査方面に出てくるということのないように、取扱い上も注意していただく、こういうことで事業計画部門の方面につきましてもお願いいたしてあるのであります。この事件の後におきましては、中郵局におきまして、日本逓送会社等にも立ち会いまして、不符合のあった場合においては郵袋は発送しない。伝送にかけない。それから不符合があった場合においては、その場では受領しない。鉄郵からは受領しない。受領いたしましてもその支出をその場において明確にする。責任というものについて明確な線を引きつつ処置をしていく。こういうことに相なっておるわけであります。  郵政犯罪関係につきましては、この郵袋事件のほかに貯金、保険関係の横領事件というようなものがありますが、この後者の場合におきましては、比較的資料、証拠となるものがあります関係上、捜査検挙効率は大体九五%程度でありますけれども、郵袋事件につきましてはただいま申しましたような関係で証拠が非常にないということから、捜査上迷宮に入っておるというような実態に相なっております。ただいま、けさの新聞に出ました郵袋が出てきたということは、今までの盗難事件におきましては、非常な一つのかぎとなって材料が出てきた次第でございまして、これを元にいたしまして、捜査をさらに一歩進め得るというような処置を講じつつある、こういう次第でございます。
  42. 森中守義

    ○森中守義君 この問題に関連して、私の質問に対して、大臣の方からそういう事実がないというすこぶる明瞭な答えがありました。しかし今はそれで言い切らしておいてもいいと思うのですが、場合によっては、これは事の成り行きいかんによっては証人を呼んでもいいと思うのです。ただ私はこと郵政省の威信に関する問題、名誉に関する問題でありますから、これ以上深く入っていこうとは思いませんが、そういう事実が明らかに認知されております。これはあなたの名前が出ておる。小野次官の名前も出ておる。それですから、もう少しその内部の事情というのかあるいはそういう事のいきさつというものは、もう少し慎重にお考えいただかないと大へんなことになりますよ。いつでも国会に私は証人を連れてきて対決さしてもよろしい。それだけを私は言っておきます。
  43. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) それは……。
  44. 森中守義

    ○森中守義君 金銭の収受。
  45. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 不法に金を出したということですか。
  46. 森中守義

    ○森中守義君 そういうことです。
  47. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) それは証券会社に、そういうことは私は関知いたしておりません。そういうことはありません。
  48. 森中守義

    ○森中守義君 これはあるかないか明確にしていただかないと……。
  49. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 調べて下さい。
  50. 森中守義

    ○森中守義君 やはり郵政省の威信の問題だから、私はここでこれ以上追及して行こうとは思わないが、そういうことが明らかにわれわれの耳に入っておるということを了承しておいて下さい。
  51. 山田節男

    ○山田節男君 さっきのポストに放火し、信書を焼失した場合の罰則ですね、郵便法の罰則をちょっと伺いたい。
  52. 荒巻伊勢雄

    政府委員荒巻伊勢雄君) 郵便法の器物損壊罪ということになります。
  53. 山田節男

    ○山田節男君 罰則は。
  54. 荒巻伊勢雄

    政府委員荒巻伊勢雄君) ポストを焦がし他人の郵便物を棄損せしめたということは……。
  55. 山田節男

    ○山田節男君 刑量はどうですか、罰金刑か体刑かそれを聞いておるのです。
  56. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 郵便法第七十八条(郵便用物件を損傷する等の罪)「郵便専用の物件又は現に郵便の用に共する物件に対し損傷その他郵便の障害となるべき行為をした者は、っこれを五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。」
  57. 山田節男

    ○山田節男君 このポストに放火するという事件は、われわれ過般大阪の方に視察に行った場合に、郵政局長の方からそういう報告を受けておる。こういったような公共物の棄損ということは、これは何とも許すべからざる罪なんです。ことに信書を寄託されておる郵政省としては、ポストの放火とかあるいは信書が焼失されるということに対しては、これはなるほど今聞きますと、郵便法によっては五年以下あるいは五万円以下の罰金刑あるいは体刑まで規定してあるといいますけれども、これは私は今日の日本の何といいますか、社会道徳が非常に低下しているという、ただ単に酔っぱらいがやるというばかりではなくて、正気の者もこういうことをやる、いたずらにやるというようなことが、これは今日日本の社会道徳が低下している一つの現われだと思うのですが、これは郵便法だけで罰則をどうのということは現行法以上にどうすることはできないかもしれませんけれども、たとえば博物館であるとか、その他の公共施設を棄損廃棄した場合には、たとえばソ連の法によると、これは極刑に処するとか、それからイギリスで、これは非常におもしろいと思うのですが、明らかに十八世紀の法律で、今でもその街頭に立っておりますが、たとえば街頭でつばを吐いた者には五ポンドの罰金刑に処する、少くとも十八世純で五ポンドということは大変な罰金なんです。しかし依然としてこの法律が生きておるわけです。街頭でつばを吐いても五ポンドという、これは一つの社会衛生といいますか、そういう方面からこういうことを規定したと思うのですが、郵便物の保護ということについては単なる今のような罰則があっても、今郵政局長なり大臣が御答弁になったように、一般のPRでもしなくちゃしょうがないというようなお話ですが、これは私は郵便物あるいは博物館その他公共施設その他を破壊するという以前に、その公共物というものに対する、これは別個に監督も必要じゃないかと思うのです。これは今日その法律がないのですから、現行法におきましても私は何かの方法でこれは進めていかなければならぬ。ある地域でポストが放火されて何通かの信書が棄損されたということになれば、それこそPRをして、郵政省としてはその責任者もありますが、そういうものがあった場合には、その数字を発表するなり何かやはりマスコミュニヶイションを利用して、これは私は非常に重大なことだと思うのです。単に社会道徳の低下ということでは郵政省としては放置できない問題です。ですから、しょうがないということでなくて、罰則もあることでありますから、罰則は最悪の場合でありますから、PRといいますか、そういったものをなるべく事件があった場合に新聞の三面記事でも利用しそういうことを戒める。現行犯があった場合には、これはもう今日最大の刑罰を課するというような工合にすることが必要じゃないか。今日まで放置し来たったということは、法が眠っておった。これが証拠がなかなかむずかしいでしょう。しかしこれほどの事犯かあるのですから、あるいは犯人があがるかもしれない。ということは、一つそれこそ郵政監察当局は全国に網を張っているのですから、年に一点や二点証拠があがるようなことは私はあり得ると思うのです。ですからこの点は一つ大臣の責任において、一つ真剣にこの事犯を防止するための具体的な方法一つ考えおきを切にお願いいたします。
  58. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) かしこまりました。
  59. 横川正市

    横川正市君 今の問題は、私はどういう格好で防犯をするかという点についても検討してもらいたいと思いますが、これはここで思いつきでどうこうするというようなことを言うことはどうかと思いますが、やはり何か相当神経を使って、一、二そういう事例をとって、実際上郵便ポストのいたずらというものはどうなるのかを、やはり認識してもらうというための何らかの方策というものはあるのじゃないかと思うのです。そういうことで単に毎年々々こういう犯罪が累積されていって、しかもそれは検挙がされない。しかもこの犯罪のうちの一番大きい数字になっているというようなことで、不名誉を積み重ねていく。こういうことのないように、あるいはそれを幾らかでも少くするように努力をしていただきたいと思う。  それから、次の問題ですが、これはお年玉はがきの売りさばきに対しての法律案は、まず一点として、いつ出されるか。私は考え方として、これこそ今度の改正案はさることながら、お年玉はがきの売りさばきについては、これは正価の五円で売ってしかるべきじゃないか。それから、社会施設として公共団体へこれだけのものが必要なんだ、ということの郵政省の貢献すべき問題というのは、金銭上収益にマイナスを来たすような方法でなしに、一般大衆の喜捨をもらうということでありますから、五円プラス一円という、一円が当然これはこの社会医療団体への寄付という形に私はなるべきもの、そうであっても、なおかつ今度の改正では郵政省としての発言権を持つべきである、こういうふうに私は考えるわけですか、その点について大臣はどういうふうに考えているか、この二つをお聞きしたい。
  60. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) お年玉はがきの問題は、御承知通り郵政審議会にかけなければなりませんので、きのう郵政審議会を開きまして審議を終りました。法制局との審議もおおむね終りましたので、二、三日ぐらいの間には閣議決定に持ち込めるのではないかというふうに考えております。大体そういうふうにお考えになっていただいてけっこうだと思います。おくれて非常に申しわけありませんでしたが、これは厚生省との事務折衝もありましたし、それから今年のお年玉はがきの金額の配分というような問題等がございましたので、そういうものと全部調整をとりましたので、ようやく事務的にはきのう脱稿したというふうにお考えになっていただいてけっこうです。  それから四円プラス一円というものは、五円プラス一円でなければならぬ、こういう考えですが、これは私もそう考えております。これは今の郵便法で年賀はがきは四円とすると書いてありますので、これを年賀はがきも通常はがきと同じように五円にする、こういうふうに改正しなければならぬわけでございます。ですから、私は少し考え方が違うのでございまして、経済的にどうしても必要なはがきなどは値上げすべきでないが、せめて正月ぐらいに旧交をあたためようというふうに使うものは、一般のはがきよりも多少高い方がいいのだという考えなのです。ですから日本の経済に直接ひびく貨物運賃こそ下げなければいかん、人間の運賃は幾らか上っても、貨物運賃は下げなければならないという持論を持っておりますから、郵政大臣として考えても、どうしても必要なはがきが五円であって、年賀はがきが四円だということは、どうもおかしいのではないか、ということを個人的には考えております。しかしまた一面個人的に考えて、せめて年に一回の年賀はがきだから四円でいいのだという気持もわからなくはありません。しかし四円なるがゆえに、いろいろトラブルが起きたりいたしますので、この法律が改正されましたら四円をできれば五円にして、私は寄付もしてもらいたいし、郵政事業も御承知通りそう楽な事業ではございませんので、五円にしてもらえれば八億ばかりよけいになるという考えからいっても、五円にしてもらいたいという気持はございますが、それができないということであれば、四円プラス一円という考えで、発行するものに対してはほとんどこのものに寄付金をつける、こういう考えで改正案を提案をいたしておるわけでございます。五円プラス一円にするか、五円プラス二円にするかという問題は、これは郵政審議会でもいろいろ議論がありましたようで、私が今申し上げた通り現行のままでいいという議論と、非常に強硬にこれは五円にすべきだ、そしてその上に寄付すべきならば一円でも二円でも五円でもいい、五円の寄付をつけて十円にしてもいいのではないか、という相当活発な御意見もあります。しかし今日の段階では、現行法の通り四円プラス一円でいくように改正案を提案しておるわけであります。
  61. 横川正市

    横川正市君 それから今度の改正要旨の説明を受けますと、外国にその例を幾つか私どもは見るのでありますが、たとえば郵便業務担当者に対する還元の方法ですね、こういったことが全然考慮されておらないようでありますけれども、イタリアでは、たしか一〇%程度、フランスでも同じくらいの程度のものが、直接慰労金ではないでしょうが、そういう厚生慰労を含めて施設費等に還元されてきている、そういう方法があるようです。お年玉のはがきの売りさばきの総額のうちの一〇%とか、そういうのがあるのですが、今度の場合にはその考え方というのは法律案の上に載らなかったようでありますけれども、これは何らか別途方法考えて考慮されるものかどうか、その点を。
  62. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私はしごく常識的にものを考えておりますから、当然八億枚も売らせて一銭ももらえないというのはおかしいと思います。ですけれども売っているのが公務員でありますから、憲法の規定によってわれわれが直接この金を受けて、これを交付するということもできないようでありますし、どうも直接寄付を受けるということも違法ではないかもしれませんが、穏当を欠くようであります。しかし売るのは私たちでありますから、マージンと言わなくても、せめて寄付ぐらい受けられないということはないじゃないか。非常に常識的な結論で、この改正案の中には郵政関係一ついただけるように考えようということで考えて参りました。厚生省などに対しても、郵政関係がこれを何らかの形において一部使えるようにすることに賛成か反対か、こう言ったら、それは当りまえのことであって、お使いになってけっこうですというような議論がありましたので、あえて郵政関係考えることだけが非常識的な考え方じゃないと考えましたので、昭和三十三年十二月に発行するものの中からは、しかるべき方法によって郵政関係の社会福祉的なものに使えるような道を開こうというので、改正案の中でそういうふうな処置ができるように書いてございます。
  63. 横川正市

    横川正市君 その他いろいろ制度調査会の問題、それから局差整備の問題等あるのでありますが、時間がありませんので、私は最後に先ほど一番最初に申し上げましたように、退職年金についての大臣並びに当局努力について、私どもは了とする点が非常に多いわけでありますが、何としても日のめを見ないで事を過ごすということはできない問題かと思いますので、一そうの御努力をお願いいたしまして、私の質問を終ります。
  64. 光村甚助

    ○光村甚助君 とっぴな質問ですが、大臣労働組合を破壊活動団体か何かのように考えていますか。
  65. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) そういうことは絶対考えておりません。
  66. 光村甚助

    ○光村甚助君 組合員が陳情に行くのに警官を動員して、東京郵政局に私はきょう行ってみましたが、組合員の人数より多く警官が入っていて陳情を受け付けないのは、どういうことですか。
  67. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) それはこの会議の冒頭、横川さんの御質問がありましたのでお答えをしておきましたが、重ねての御質問でありますから申し上げますが、陳情じゃなくて団交ということであります。団体交渉ということでございましたが、きのうどういうことになっているか、私はまだ報告をつまびらかに受けておりませんから、ということだけを申し上げましたが、組合員も組合員だし、警官をよけい入れるのも入れたものだ。私は率直に自分の考えを申し上げました。何項目要求に対して私は明確な答弁をしております。一項目ごとに項目を分けて、この問題に対してはお互い良識をもって一つ十分に慎重に、早急に解決しようということを回答した翌日、何百人かデモってやろう、こういうので東京郵政局も驚いたのでしょう。過去の例に徹して、これは政治闘争だと思ったのかもしれませんが、これは意見も十分徴してみますが、いずれにしても二百人が集まって、四百人の警官が待機しておったということになると、どうも少し不穏当のようであります。だから事情はまだ調べておりませんから、こういうものは十分調べたいというふうに考えております。ただ、やはり先ほど横川さんに申し上げましたが、もうすでに回答のいかんにかかわらずスケジュール闘争をやっている。きのうは東京郵政局、きょうはどこ、三日、四日、五日は大臣室にすわり込むのだ、こういうことですと非常に円満に六カ月、七カ月やってきたものが、またうまくないので、十分一つ話し合いをしょう、こういう考えを私は組合員にもまた官側の方にも、あえて事をかまえるようなことじゃいかぬ、正常な話を正常にしなければいかぬということを、両方に申しつけますということは、先ほど申した通りでありますので、私はもう対立らしい対立を起すことさえも排除しなければならぬというふうに考えております。
  68. 光村甚助

    ○光村甚助君 労働組合大臣との間の団体交渉というのは、ただ一ぺん文書回答したからそれで事足りるというのじゃない。そんなだったら団体交渉とかいろいろなものは要らない。お互い世の中の、国家間の外交交渉でもお互いが何べんも話し合って、物事は解決していく。特定局の問題はあとでまたやりますが、その問題でも、文書回答をしたのだから会う必要はないという考え方は、これはもうあなたの方が権力を持っているから一ぺん文書回答したらいい、もう会う必要はないという考え方は、これは改めてもらわなくちゃ私はいけないと思います。
  69. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) ちょっと誤解があったようですから、補足して御説明を申し上げておきますと、会う必要はないなどという考えは毛頭持っておりません。
  70. 光村甚助

    ○光村甚助君 末端じゃそう言っていますよ。
  71. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) いつでも会うのです。しかしこれは正常な団体交渉や正常な交渉を行うために、あえて刺激的な、しかも攻めて効果のないところは攻めるなかれということを私は就任のときに組合員に言ったのです。特定局制度の問題や、調査会の答申の問題とか、二千円ベースアップの問題とか、こういう大きな問題を、東京中郵局長のところへ行ったところで話にならないのです。だからこういう問題はできるだけ中闘に会う、中闘と私の間で団体交渉をやろうという原則をお互いに確認し合っておるのです。そうすれば末端で点検闘争をやったり、お互いが国民からとかく批判をされたり、非難をされたりするようなことじゃなく、とにかく私のところへこなければならぬものを、私だけじゃない、国会に陳情しなければならぬものを中央郵便局長のところへ行ったところで、それは話にならないのです。そういうことをしないで、中郵局長のところで服務状態の問題で解決できることは局長とおやりなさい、それ以上に本省に持ってこなければならぬものに対しては、私は法律通り、全責任を持っていつでも会うから、そういう問題に対しては一つ胸襟を開いて話し合いしようというのに、東京中郵に団体交渉をやろうというのを、一ぺんも私のところには言ってきていないで、その前の日にお互いにまだまだ何回も話をしようといっておるときに、私のところへ全然こないで、その前に中郵に先に行ったので驚いた、そういうことになったのだと思います。こういうことはお互いに相当注意をしてもらわなければならぬし、お互いに最短の距離で円満に事を解決するということに進めたいという考えを申し上げておきます。
  72. 光村甚助

    ○光村甚助君 中郵じゃない、郵政局です。
  73. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 郵政局ですか。
  74. 光村甚助

    ○光村甚助君 郵政局ならやはり特定局の問題を取り扱っているのですから、やはり末端は末端でやる必要はあるのですよ。それで刺激的といわれるが、あなたは初めから大きなことを言っているから、組合員が百人や二百人並んでいたって驚くような大臣じゃないでしょう。ただ別に刺激的じゃなくして、あすこでただ電話局の横へ並んでいるだけで、ちっとも刺激的じゃないですよ。代表にも会わない。あのものものしい格好をして、まるであれは戦争だ。労働組合とそんなに敵対しなければならないものか。それともまたさっき言ったように、あなたは青年大臣だと大きなことを言っておるのに、労働組合の百人や二百人で驚くような男じゃないでしょう。もう一つは下部の方でそう言っているのですよ、会うなといっていると。どうして警官を頼んだんだと言ったり、労働組合というのは破壊活動をしたり、あなた方の命を狙うほど、そんなに恐ろしいですか、あなたに聞いておきたいと思うのだけれども
  75. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私がおそろしがっているかどうか、労働組合に対して非常にいい感じを持っているかどうか、これは過去六ヵ月、七ヵ月の実績を見ていただければ、おわかりだと思います。また百聞は一見にしかずで、私はこの七ヵ月間労働組合とけんかをしたことは一ぺんもない。ないだけでなく、全部そういうものに対しても円満に解決をしております。これはもうそういうものに対しては、私と中闘の間など実に円満にいっておりますから。そういう状態であるもの々特に、なぜ春闘のはしりだというような考えで、お互いが妙に対立的な意識になったかわかりませんが、私は両方に対してそういうことをなるべく避けろ、こういうことを言っているのですから、先ほども申し上げた通り、円満な交渉を進めよう、こういうことを私自身が考えておるので、労働組合官側に対立をするのだとさえも考えておらぬのです。私は郵政省設置法に基いて、また行政組織法に基いて郵政大臣としての職権を行うことになっておるのでありますが、郵政事業全体の、とにかく官側組合員というものは、これはもちろんプラスとマイナスであって、どっちが欠けても事業にならないのだ、電気にはならないのだというふうに私は先ほどから申し上げて、答えております。ですから、労働組合は破壊的なものであって、こういうものにはまっこう対立するのだというような考えは、過去も現在も将来も持たないということだけ、一つ明確に申し上げておきます。また行き過ぎがあれば、そういうことが将来ないように、お互いがもっと円満に話ができるようにというふうにいたします。
  76. 光村甚助

    ○光村甚助君 あなた自身はそういうお考えならわかりましたが、あなたの末端のそういう管理者がこわがって、労働組合がきたらすぐ警官を呼んで正門を締めなくちゃいけないというふうなことをやっていますから、あなたの方からそういうことのないように注意をしておいて下さい。  以上で私の質問を終ります。
  77. 森中守義

    ○森中守義君 私は今の質問と大臣答弁を聞いていて、二、三納得できない点がある。それは大臣の方では、押しかけていく労働組合労働組合だが、警官を呼ぶ当局当局だ、こういうお話なんですね。その言葉を解釈すれば、私はそういうことをさしたことはない、またそういう実情を現在においては認識をしていない、こういったようにとれるのですが、すでに郵政省では、ここにあまり日が長くたっていたいようですけれども郵政局長会議及び人事部長会議を開いておるのですね。しかもその二つの会議の決定が今度のこういう形に私は表われたと思う。これを立証するように、東京郵政及び北は北海道から熊本の郵政局まで一齊にやっておりますよ。だからこれはあなたが知らないというはずはない。もし知らないとおっしゃるならばおそらく、郵政局長会議も人事部長会議も、決定事項が記録に残っていないはずはないでしょうから、ここへ持ち出してきて下さい。あなたは全然関知しないということは言わせませんよ。その辺を一つ明らかにしていただきたい。だから、委員の質問にはもう少し中身のある説明をしてもらわないと、何も言いっぱなし聞きっぱなしじゃないのです、われわれは。もう少し中身のあるお答えを求めます。  それからもう一つは、もしも知らないとするならば、いいわゆる警察官をそうそう簡単に当局が動員できるものかどうか。私は今急に事の次第に驚いて借りましたけれども、ちゃんと警察官の動員の条項が載っておる。この条項に当てはまるようなそういう行為が今行われているかどうか、もう少し慎重にこれはやってもらわぬと困ります。おそらく今日の労働組合の諸君がこの警察権の行使をしなければならないような、この規定に適合するような行為は私は断じてないと思う。ちょっと聞いて下さい。そうしますとね、労働組合に政治的な行為があってならぬということをしばしはあなたが言明をし、そうしてそういうことがないようにと注意を促しておりながら、みずから政治的な行為を売りかけておるというのが実情じゃないですか。この二つのことについてまず最初に私は答弁を求めておきます。
  78. 鈴木強

    ○鈴木強君 ちょっと関連して。大臣に明確にしていただきたい点は、今のお話ですと、わしは過去就任以来だいぶんプラスとマイナスの関係でなければならぬということでやってこられた、それを認めましよう、私たちは。そこで急に今度の郵政局団体交渉をやろうとすれば、今言った警察官を動員してくるというようなことになりますと、これはやはりわれわれ国会から見ておりましても、従来の大臣のお考えが変ったようにも思うのですよ、私率直に言って。質問してみたらそうでもなさそうなんですが。そうしますと、ここで聞きたいのは、きのうですか、全電通という組合がありますでね、公社の組合が。調停委員会の調停がだいぶん進行してきたので一つしっかりがんばって下さいと、こういうことで、人員はどのくらいか知りませんが、とにかくあそこに陳情に行ったんですよ。そうするとまた、そこに行ったら組合員より以上の警察官が動員されて撃退作戦に入っているのですね。あなたは知らないとおっしゃっているのですが、政府の統一した方針で、閣議か何かで、今度の春闘組合員を動員して来たら、ただちに警察官を動員して逆にこれをけ散らせ、こういうような決定をしたのじゃないかというように僕らは推察されるのです。そういうことはあるのですかないのですか、これを一つはっきりしてもらえば大体見当がつくのです。
  79. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) お二人にまとめてお答えをいたしますが、春闘に対して警察官を動員しょうというような問題は、閣議ではもちろん、労働大臣からも、私たち労働関係閣僚の間でも一切話になったことはありません。そういう会合を開いたこともありません。申し合せをしたことも全然ないことを、明確に申し上げておきなます。  それから、私も今聞いて驚いている。それは郵政局の四百人ということも、四百人もきたのかというふうに私はほんとうに思っているのですが、仲裁裁定委員会にも、また警察官がおったというようなことは、これは私が関知することではありません。明確に申し上げておきますが、そういうものを一齊に動員して撃退しようなどという考えを持ってもきませんし、そういうことには一切関知しておりませんことを明確に申し上げておきます。  それからもう一つは、組合活動に対しては、私が舌足らずでいろいろ誤解を招いているかもしれませんが、私自身は、組合活動に対しては、非常に正規な正常な組合活動というものの円満な発達ということには、私は自分で誠心誠意そうなければならない、またこれが発達に対しては自分も協力しょうという考えを持ってきたのです。私は十七、八から仕事をしておりますが、戦後初めて日本に労働組合を私の会社に作らしたのです。その関係で、組合員とけんかしたことは一ぺんもありません。私は会社をぶっつぶしても組合要求に応じて今日まできておりますから、私は個人として考えて、労働組合というものを初めから敵視したり官側と対立するものとは考えておらない。ただ、戦後の急速な組合運動の発達状況を見ておりますと、お互いが常識的に考えても、その発達の速度があまりにも早い場合には、ある意味では行き過ぎも間違いもあるのです。そういう問題があるなら、ここでお互いに戦後十二年もたっているから、是正すべきは是正し、ただすべきはただして、お互いに正常な状態で話をしていこう、一切は円満に話し合いできまりをつけようということで、私は六、七カ月ずっとやってきていることも、先ほど申し上げた通りなんです。ただ、春闘ということに対して人事部長会議をやり、また各部長会議をやったんだから、その結論を全然知らないでやったことはないだろうと言いますが、それはそういうことは当然下部でやっているでしょう。これは私も人事部長の会議や何かに出た記憶もあります。これはしかし私が恒例の、俗にいう訓示をやってすっとそのまま帰ってくるということであります。訓示の中で警察官を呼んで退去させるというようなことを言ったことはありません。これは私がここで申し上げている通りお互いに円満にやらなければいかんということは常に言っている。ただ、中郵の問題に対しては、こういうことじゃなのいですか。私は東京の郵政局に対しての問題はこういうことではないかと思います。これはなぜかというと、年末までに全逓関係の懸案のものはみんな片づけよう。だから相当つらいものでも僕はのむ、そのかわりに、郵政も三十三年度の予算を通じて、飛躍的に発展しなければならないワン・ステップを踏むんだから、お互い兄弟かきにせめぐようなことばかりやっておって、時運におくれをとるようなことでは困るから、十二月末までにきまりをつけて、定期的な春闘が始まるけれども郵政はこれには入らないというくらいに、年末までに片づけてしまおうじゃなかといって片づけたのは御存じの通りだと思います。だから、二年間の懸案のものも年末の協定のときに全部片づけたのです。だからいろいろな問題は派生的に出てくるでしょうが、お互いにほんとうに実力行使をしなければならないような問題は、春闘までにはないから、僕も一生懸命やる、お互いに胸襟を開いて、いつでも話そうということで今日まできたのです。だから業績も上ったし、お互いに非常にうまくいってきたわけです。ところが、唐突として今度は東京郵政局に、第一波三月の三日、四日、五日に郵政本省を取り巻くのだ、それでそれは陳情でもなく団交でもなくすわり込みだ。それでそのすわり込まなければならないような七つの目標というものは、これは一朝一夕に片づくような問題ではない。しかもそれは明確に拒否はしていないのです。ベースアップは仲裁裁定に持ち込んでおるし、それから答申の問題は今答申が出たばかりで、さっぱり答申に対して明確な線も何も出ておらない現状であるし、しかもこれを契機にして組合に対して対決しようというような考えは毛頭ないのだから、中闘とお互いの間で話をしようということで、おとといまでこういうふうにお互いの間で話をしてきているのですから、きのう東京郵政局に強硬に二百人動員して行かなければならぬなんということはおかしいのですよ、実際は。これはスケジュール闘争なんです、実際は。
  80. 鈴木強

    ○鈴木強君 あなたがそう思うだけでしょう。
  81. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私はおかしいと思っておる。私が一生懸命やって、向うもあなたは認めませんというのじゃなく、あなたはなかなかものがわかるから、今まで通りやっていこうといっておきながら、私に通告もしないで、きのう東京郵政局に行った。こういうことであって、私は、今までのように事務当局組合の間にそういう対立状態がきておると思いますか、来月の三日に、私の方へくるというのですから、今まで通り三人や五人、十人、十五人でくるならば一向差しつかえない。五百人もくるというと向うが不穏当だ。向うといっても、私のところの郵政部内の職員ですから、責任は、官側の責任も、また組合の責任も私にあると思っている。僕は、そういうことがお互いにないように円満にやれるのじゃないか。なぜ一体そんなにお祭騒ぎをしなければならないかということを常に言っておるのですから、きのう少し行き過ぎかあれは、きょうからそういう行き過ぎのないように、お互いに、私がそういう立場で事態をまとめたいという考えでありますから、一つ誤解のないようにしていただきたい、こう考えます。
  82. 森中守義

    ○森中守義君 それを聞いてある程度納得しますが、ただ、きのうまではそうであったろうが、きょうからは直すということであれば、ほっペたをなぐっておいて痛かったろう、これからはしない、こういう理屈ですよ。そんなばかげた話はありませんよ。私は熊本ですが、けさ早く電話がかかってきて、きのうきょう完全に武装した警官が五百名装甲車を持って郵政局を包囲している、こういうことなんです。それで、これは電話がかかったからほんとうです。それで、この警察官の職務執行からいけば、七条に武器の使用というのがはっきりと書いてある。こうこういう場合に限って完全武装して武器の使用をすることができるということが明記されておるのですよ、警察六法では。しかるに、完全武装して装甲車を持って郵政局の前を包囲しているというのだから、これはあきれてものが言えない。ですから、これはやはり大臣が知らぬ間に、事務次官以下がやったといえば、やはりこれはあなたは大臣なんだからこれに対して制止をする必要がある。それと同時に、この警察官の職務執行法に基いて警察がやったといえばそれまでですが、要請をしていると思うのですよ。東京でもそうだろうし、熊本でも北海道でもそうなんだから、だから要求する方の認識が、さっき光村委員が言っているように、そういう危険な不穏の状態があれば、これはあなたすみやかに調査する必要がある。参考までに、私がそれを読んでおきます。「犯罪の予防及び制止」という、こういうことが警察官の職務執行の中にある。これからいけば、「警察官は、犯罪がまさに行われようとするのを認めたときは、その予防のため関係者に必要な警告を発し、又、もしその行為により人の生命若しくは身体に危険が及び、又は財産に重大な損害を受ける虞があって、急を要する場合においては、その行為を制止することができる。」こういうことがあります。しかし、この中に明記されている事柄のどれに、今日全逓がやろうとしているいわゆる集団陳情というのか、集団交渉というのが該当しますか。全逓結成して十三年になる。この十三年の歴史の中に、わずか一年、二年は共産党に非常に牛耳られた時代がありました。それ以外のいわゆる十一、二年というものは、たった一度もこういう不穏当な事態はありません。ここにいる私ども四人は、ここ一、二年まではそういう関係をやっておりましたが、警察官を動員しなければならぬという事態は一度もないはすです。また、今日の全逓本部の首脳部を初め、地方幹部諸君は、警察官を呼んで来なければどうにもならぬような、建物を破壊する、あるいは管理者諸君を監禁あるいは軟禁するというようなことはやりません。だとすれば明らかにこれはいき過ぎです。これは郵政局長会議、人事部長会議大臣は訓辞をしただけで、内容に触れていないとすれば、事務次官以下勝手にこれはやったということになる。これはすみやかに一つその責任を追及してもらうと同時に、今日ただいますぐこれはとめて下さい。そして私どもが今まで主張するように、円満な話し合いを実現できるように取り計らってもらいたいと思う。
  83. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私はもう先ほどからたびたび申し上げておるように、労使の慣行は、よき慣行を樹立することでそれを進めて参りたい。こういう以外には全然考えはございません。どうも私も考えてみて、それほど警察官を全国的に動員しておるということになると、相当きっと身にしみているというふうに考えるのです。これはしかしただ警察官が自動的に来たんじゃないでしょう。だから、だれかきっと警察官の出動を要請しておるはずで、それはみな私の権限を委任しておる諸君がやったことでありますから、私の責任であります。これをいなむものではありません。ただ警察官を動員したときに、きっと二百名しか来なかった集団陳情、集団団交に対して四百人の警察官がおった。事実は私はわかりませんが、四百人の警察官がもしおったとすれば、きっと二千人くらいの集団陳情になる情勢があったんじゃないですか。少くともそういうふうな状態でなければ、今までの例では四百人も出動を促すというようなことはないと思うのです。これは私その事情を直ちに調査いたします。しかし警察官を呼んだことが直ちに不法であり、責任が追及さるべきだとは考えておりません。これは警察は、犯罪の予防という立場から、出動しなければならない厳たる任務があるのですから、そういう意味では警察官の出動を要請して、未然に混乱を防ぐということも私は考えられると思うのです。ただ警察官ども入ることは、できるだけ不穏当なことは排除することが好ましいというふうには考えられますが、いずれにしても、警察官を出動するというような、不法行為が起るという可能性があったか、というふうな相当強い御発言でございますが、これは実際きのうはなかったんですけれども、そういうことをするおそれがあるというようなことを、やっぱり官側に知らしたのじゃないですか。いわゆる不法占拠、住居の侵入というような問題もあります。一時間だったら、一時までの休み時間内に行えればいいけれども、それにしても郵政局長の権限くらいで片づく問題じゃない。本省で三日も四日も五日も話をしても、その回答は不満足だ、幾らか不満足だけれども、ここで大臣の明確な答弁を求めると言ったって無理な問題だから、大臣が、われわれが危惧するような問題を将来やらぬということを言明しているから、しようがないじゃないか。こういうことを言われて別れた翌日ですから、どうも七カ条の問題だけで東京郵政局に集団団交に行ったことだけは認定できない。そうすれば今までと同じように、総評の計画に基いてやるのか、その場合はたまらぬぞと、これは警察官じゃと、未然にものを防止する今までのおそれげか、きのうはさっと全国的に出たと、こういうふうに考えていかなくちゃいかぬのだろうと思います。これは将来いろいろなそういう問題があっちゃ困るし、私自身も来月の三日、四日、五日に本省にすわり込むというのなら、すわり込みということをやるというなら、警察官の出動を促します。やはりこれは私の責任において促す。これは正すべきは正さなきゃならぬ。なぜならば、私はすわり込まれるというようなことはしておらぬ。お互いに今までのことは話し合いかついている。きのうもおとといも全部ついておる、なぜ来月の三日、四日、五日に大臣室の前にすわり込まなければならぬか、こうなってくるとこれは不穏当だ。そうするときょう、きのうのような段階が起きるかもわかりませんが、組合はしかしそういうものはスケジュール闘争にあるのだ。十四人も十五人も、三時間も四時間もなろうというような……、円満な団交をやろうとするならば、私は警察官の出動を促すようなことは、そんなことはやりません。これは明確に申し上げておきます。だから、全国的にどういうふうな意味でそういうことをやったかは、私もできるだけ早急に調べて、お互いがそういうことによって円満にいくものが、不測の事態になるというようなことは、絶対避けなければいかぬ。こういう本心を赤裸々に申し上げておきます。
  84. 森中守義

    ○森中守義君 これは、いろいろ修飾された言葉は要りませんから、要するに、こういうことが必要であるかどうかという問題ですよ。あなたもそういう必要はなかろうというようなことを肯定されておる。にもかかわらず、呼んだという事実があるのであって、しかも熊本では装甲車を持ち、完全武装をした警官が五百人も取り巻いておるのだから、だからこれはもう調査をするとかどうとかじゃない。警官が来ているという事実は間違いないのだから、それをあなたは肯定されているようなそういう認識なんだから、いろいろ調査するとかどうとかということで逃げなくてもいいのですよ。この場で直ちに、あなたの部下である地方の郵政局長諸君に対して、直ちに警官の出動を取りやめてほしい、こういったような要請をここでお答えができそうじゃありませんか。
  85. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 警官の出動を促す必要のない場合は、その相手に事をかまえてはならない、もちろん警察官の出動等を促してはならないということは申し上げられます。しかし、現地の責任者が、警察官の出動を促すことによって円満にものが解決し、不測の事態を未然に防げるという認定のもとに警察官の出動を促しておるという場合に、つい行き過ぎがあるかもしれませんが、あった場合に責任の所在を明確にしなければならない私の責任はありますが、それを事前にこういうところまでは警官を出せ、こういうところまでは警官を絶対に出すなとは今まで全然言っておりませんから、きょうの発言ときのうの事態に対して、いよいよこの問題に対しては、大臣もこういう事態になったら警察官を出せ、こういう事態までは絶対にやっちゃいかぬという程度の認識を、私自身もきめなければならぬ段階に至ったと思いますから、きょうの発言を契機にして、何らか円満にものが運べるというふうに考えます。
  86. 森中守義

    ○森中守義君 私は大へんくどいようですが、あなたが知らぬということはありませんよ。私ども郵政省の中に今まで勤めていて、ちゃんと機構がある、しかもかつてないことを郵政省でやろう、しかもそれは対外的な問題ですよ。こういう大事なことを、小野次官あるいは人事部長や管理課長が、あなたのところに話を持ってきていないはずはありません。きょうは熊本では何名、札幌では幾ら、大阪、名古屋で幾らという労務情報は直ちに入ってきておる。それをする必要があるかないか考えるとか、私は関知しないというような、そういう詭弁をここでは言えませんよ。もっとはっきりして下さい。
  87. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私は詭弁を弄しておりません。そうして、なお警察官の出動というものに対しては、地方郵政局長の権限でやったとしても、その最終的責任は私が負いますと、労働組合の責任さえも負いますと申しておるのだから、こう申しておるのだから、詭弁ではありません。  なお、警官を出動させたその事態、しかもそれがどういう前提で四百人の警察官を動員したかということは、それは事情を聞いてみなければわからないのです。しかも、現在きのうの話だけやっておりますが、きょうの段階で本省は一体どうするのだ、本省の管理は人事部長がやっておるわけですが、三日も四日も来て千名も来たらどうするのだ、こういう話は全然聞いていない。しかも本省では来月の三日、四日、五日の三日間すわり込むのだ、こういう話はきのう夕方聞きましたが、東京郵政局に四百人も警官が出たということは聞きません。ましてや熊本郵政局に装甲車が、それも聞いてみなければわかりませんが、今あなたが言われたのだから、国会議員が国会で言われるのですから間違いないでしょう。これは相当なものじゃなと私考えておるのだから、まあ幾らか行き過ぎがあるかもしれません。少し万全を期したということになるかもしれませんが、まあその実情は私も調査をします。そうして毎日々々、熊本郵政局で幾ら東京郵政局で幾ら、というような警官の出動の要請が大臣までくるだろうと、そこまでくるのが正しいのかもしれませんか、そこまで来ないのです。警官を出動させてがんとやりますというようなことまでは私のところにくる問題ではない。大体くるときは点検闘争をやられてしまってからどうにもならなくなって、こういう問題がありますよ、団交でうんとやって、結論はここまで来たのですから、これ以上は進みませんからというときになって大臣にくるのです。きょう警官四百名動員しますというようなところまではそれはきておりません。これは私明確に申し上げておきます。まあ私が日報を見るのは、毎日々々の貯金の額が幾ら出たか、これだけを私は毎日見ておりますが、それ以外にはそう、警察官は何名動員するというようなことまではやっておりません。しかしこれは郵政事業としては、警察官を入れるなんというような話は大きな問題でありますから、貯金の何も見なくても変らない数字よりも、こういうものこそより的確に把握しなければならぬという議論もあるでしょうから、今日のことを契機にして、ようやくうまくいった労働組合との間が、またうまくなくなるというような懸念もありますから、そういう問題に対しては十分に慎重に事を運ぶように考えます、ということを申し上げておるわけでございます。
  88. 宮田重文

    委員長宮田重文君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  89. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 速記を始めて。
  90. 鈴木強

    ○鈴木強君 大臣はさっき私のお尋ねに、そういうことは全然関知しないし、きめたこともないということなんですが、お話を聞いておるとどうもやはりこういう事態が推測される、従ってそのときには警察官の出動やむを得ない、こういうことを、今森中委員のおっしゃったようにあなたの方の労使対策ではもうすでに決定をみている、こういうように私はとらざるを得ないのです。これは非常に重要な問題であって、今お話になったように、かつてわれわれが、日本の共産主義下の労働運動はしませんが、民主的な労働運動が日本に展開されるようになりましてからは、相手が労働組合ですから、左翼右翼の暴力団体で直ちに危害を加える、というようなものとは違いますよ、明らかに。ですからその生きている労働運動が、多少大臣と会いたい、いないからそこで待っているというようなことだって、事柄の内容は別としてもあり得ることなんだ、これは。それまで法律で規制しようとするところに問題があるのであって、私は、少くとも郵政省の庁舎の中でありますから、これがあなたの管理していない所へ来るということならば、これは別の所から来ると思いますけれども、あなたの子供のいる所であるし、自分のうちの中でありますから、そういう所に警察官を動員するということになると、これは相当慎重にやりませんと私は問題があると思うのです。あなたがおっしゃるような、ほんとうにおれは労働組合を作らせたのだし、組合要求は会社がつぶれてもやるのだ、こういう経営者はりっぱな経営者です。まさか会社がつぶれても要求をいれるということはないと思いますが、しかしものの考え方はけっこうだと思います。そういう経営者が日本にたくさんあり、そしてほんとうに労使の話し合いの中でやるという気風ができてくれば、私は無用なトラブルはなくなると思うのです。そうした方向に経営者が努力してくれるのはけっこうだし、政府がそういう考え方を持って下さることはけっこうですが、どうも今のお話を聞いてみると、あらかじめ予想されている、そういう想定に対して、いわば九州の問題にしても、あるいは東京郵政局の問題にしても、あなたは、二千名も動員するという情報が入ったから、それに対して何名をどうした、こうした、こういうことをあなたが言っている。それの推測に基いて、現況というものを全然把握しないで勝手に動員するということも、これもきわめて不見識なことで、この点は非常に大事なことだと思うのです。だからむしろあなたが見えて、かつて戦後われわれが指導をした労働運動の中で、というと語弊があるかもしれませんが、民主的な労働運動の中で、最初からもう春闘団交を始めるときに、問答無用で警察官を動員したようなことは初めてです。そういう面からいえばかつてない陰険な労働組合対策といわざるを得ない。もっと現状把握をやるか、あるいはそういう事態に対してあなたは全逓諸君とほんとうに腹を合せてやりましたか。そういうすわり込みというものに対して、事態をこういうような恰好で解決するからやめてくれというような、そういうような話までしたことがありますか。そういう事前のやはり尽すべき手が抜けていると思う。そして町名米たら動員しなさい、すわり込みが来たら動員しなさいということをきめてやっている。それをわれわれが言えばそういうことをきめてないと言っているのだが、これはあなた落ち着いて私の言うことを聞いて答弁しなさいよ。あなたはほんとうに労務対策に対して満点にやってきた。こういうことを言うのだが、私らはなるほど今までの過程では大臣よくやってきてくれていると思うのだが、今度の春闘に関する限りは、実に陰険なことをやる大臣だと認識を改めざるを得ない。だからやったのならやったで、はっきり問題をきめて、こういうときには動員するのだ、やるのだということをはっきり言いなさい。それは言わなければうそだ。
  91. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) どうも申し上げたいようなことまでおっしゃいましたけれども、私は実際そういうことをやっていないのです。そして私は警官動員ということで、ちょうどいい時期にぶっつかるようですから、私は、こういうことで十分議論をして、あやまちがないようにするには、いい機会だと思います。だから私も積極的に発言をして申し上げているのですが、その私自身がもう春闘に対して警察官を入れろ、既定のものを内閣において、また労働閣僚において、また郵政大臣においてやったのじゃないかと、もうやったことはわかるじゃないか、こういうことは全然ないのです。これはもう私は明確に申し上げます。そして組合運動であるからできるだけ、少しくらいの行きすぎがあっても、なるべく警察官などは入れないで、正常な状態にするようにお互い努力しなければならぬ。特に第三の勢力を入れて調和をはかるということは、労働組合運動に対しては行きすぎだという考えも認めます。これは私もそういう考えを持っている。だから逓信部内における犯罪に対しても、警察の発動を促すよりも、なるべく監察官でやりなさいということを言っているのですから、私はそういう考えでは普通の常識を持っている。しかし組合運動というものに対しては、少し行きすぎがあるのは当り前であって、警察官は全然動員してはならないのだということにはならないのです。(「そんなことを言っていない」と呼ぶ者あり)いやならないのです。だから私は先ほど言ったのは、きっとスケジュール闘争というものであす何人くるのだということがわかっておったので、それに対応してお互いに混乱のないようにということで、警察官を待機せしめたので、しょう。私は、何人待機をして、建物の中に入れてはならぬということを言っておりません。だから、私はそういう人間じゃないのだから、これは言っておりません。また将来を見てもなるほど田中の言が正しいということをじきにおわかりになると思う。だから私もそういうことを言っておりませんし、言っておらないにもかかわらずそういう状態になったことは、これはあまりいい状況ではありません。ありませんから将来はなるべくそういうことのないように、というふうにしなければならない。しかし同時に組合員というものも、われわれも行き過ぎが少しあっても、これはもう当然なんで、警察官などに干渉されるものじゃないのだということになって、すわり込みをやろう、取りかこみをやろうということは、ここまできた正常な組合運動をもう一ぺん逆戻りさせることで、そういうことがあってはならぬということを考えたわけであります。私は、おとといまでにやったことは、組合にそういうことをやっちゃいかぬぞ、ということを言ったのですが、これは言ってあるのです。言ってあるだけではない、これはもう年末から口をすっぱくして言っている。片づくものは全部片づける。何にも闘争目的がなくとも、まあ全逓というものはとにかく全官公労の先端をいくものであって、これが中核体であって、これが下手になってしまうと総評も何も皆困るから、君らも皆右へならえでやれというときに困るだろう。その場合に、お互いが何らかの共同的な動きをしなければならぬ立場を、個人的には了解するのです。しかし私はそうかと言って、たださなければならぬものはたださないわけにはいかぬぞ。だから私は、なるべくお互いの間に角突きあいが起らぬように、十分考えてくれということを口をすっぱくして言っている。私はできれば、これは口をすっぱくして言っているのですが、春闘で困るときには、もう全逓は、退職年金法ができるということならばそれに全精力を傾けて、もう春闘はやっていられないのだ、もし春闘をやるなら、これが全部通ってしまってからやらなければならぬ、というくらいにいかなければならぬ、私はその間に誠意を持って提案をするのだということを言っている。しかもこの間の七カ条の要求に対しては、私はぶっきらぼうにそんなことはできないという回答は出していない。もうそれに対してはこういう状況になっておって、こういう時期にお互い話し合いをしてこうなるのだから、今の問題じゃないじゃないか、また現在に要求をされても結論は私の方では出せないのだ、ということをよく話をしている。なおこういうスケジュール闘争等が組まれておるが、これに対してはぜひ穏健にやってくれ、今までのお互いによき慣習をこわすようなことは毫末もやってもらいたくない、ということを文書をもって全逓に言っておる私の方では。だから普通からいえば昨日くらい来ても、私も管理者も知恵がないなと思うのです。実際今から考えると昨日くらい、相手方の出方を見ておって、そうしてとにかく警察官がいなければ、五百人も来てすわり込んで郵便の送達もできなくなったような状況になって、それを今日になって警察官を入れれば向うも納得し、決して正常な労使の慣行をくずすものじゃないけれども、来ないうちから待機さしておったということは、これはどうも卑俗な言葉で言えば、出ない化けものにたまげおったということになるでしょう。昨日だけで、議論をしてお互いにそういう轍を踏まないようにまたうまくやろうということになれば、あえて私もマイナスだけを責めらるべきじゃない。こういうふうに考えますので、皆さんが今日言われたことを十分私も考えて、もう一ぺんこれは行き過ぎだと、この委員会だけじゃなく、日本全国民が見ても、これは議会全体で考えてもこの行き過ぎはいかぬ、これは警察官を動員するということに対しては、最近非常にお互いに神経過敏にものを考えてきたのですから、だから私は警察官を四百人も入れた、装甲車を出したということになると、これは田中のやつは全く衣だと思ったら下が鎧だ、そういうことになりますから、私は十分一つ考えますから、過去の実績の面で、今日のところはその程度にお願いをできればはなはだ幸甚だと思います。
  92. 森中守義

    ○森中守義君 私どもがここでこれだけ問題にするのは、単なる労使の問題、それだけでもないのですよ。どういうことかといえば、なるほど管理者諸君がそういう必要をときに感ずることもあるかもわかりません。しかしやはりわれわれが考えねばならぬのは、警察というものは一体どういう工合にわれわれは使用すべきかということなんです。憲兵政治、警察政治、こういう苦い経験をわれわれは持っておる。で、そこで今労働運動という一つの事象をとらえて、これに便乗して警察国家の再現をはかろうとする動きがあるじゃありませんか。これは唐澤さんが言っておる、治安維持法を出すと言っておるじゃありませんか。これは自民党のあなたは政策審議に参画しておるでしょう。警察国家、憲兵政治、こういうものの復活がどれほど国を毒するものであるかということは、われわれは苦い経験を持っておる。そこに労働運動一つの契機にして道を開こうという、こういう動きをわれわれは国会としては問題にしなければならぬのです。だから単に労使の間に警察が介入してくるということは、その現象をとらえていい悪いという判断をつけるだけじゃありません。やはり警察はどうあるべきか、日本の治安はどうあるべきか、郵政……、やっぱり問題の中心課題なんです。そこまで考えていけば、管理者がやったことだから悪ければとめよう、ということだけでは大臣としては済みませんよ。あなたはまつりごとを行う人ですから、先々の日本を考えようじゃありませんか。だから必要のないところに、そういう具体的な行動も起さぬのに、警察官を五百名、千名も並べたということは、これはナンセンスこの上もないことであって、今日ただいま行き過ぎであることは間違いない。またそういう警官を呼ばなければならぬという事態も発生していないようですから、この場で直ちに事務次官に命令を出して、警察官の退去を指令するような電報でも打てませんか。
  93. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 今きっといるということになれば熊本かなんかですか、私よくわからないのですが。(「東京もいるじゃないですか」と呼ぶ者あり)東京はきのうだけでしょう、東京はきょうもおるのですか。(「帰った」と呼ぶ者あり)帰れば警察官も帰ったでしょう。しかしそういう問題はいろいろ御注意がありましたから、私も事務当局を督励いたしますが、ただこういうことをかえって申し上げるとまた誤解を招くおそれもありますが、私は、郵政の内部においては先ほど申し上げたように、お互い良識でやろう、もう六ヵ月間うまくやってきたのですから、だからこの春闘というものには、私はざっくばらんに言って年末ほど問題ないと思うのです。ほんとうに春闘で何にもないときに、全逓の組合が相当の行動を起さなければならないのであるならば、年末の方がもっとあったんです。年末うまくいっておって今度すわり込みやらなければならぬという問題はないのであります。がしかしスケジュールが組まれておりますし、それに対して不測の間違いが起きちゃいかんので、警察という問題になったのでしょう。しかしそれは考えてみると、たしかに警察というものを今まで入れなかったのが、これからちょいちょい入れるという道を開くという、国会に警察を入れたと同じ感覚でものを考えなくちゃならないから慎重でなければならぬが、私は警察を絶対入れちゃいかんという考えにはならぬと思うのです。だからここでさっきも間違われちゃいかんという前提で申し上げましたが、警察というものは、昔はふんじばってやったから警察、憲兵政治があった。だから警察官がげんこつの一つもやろうなら、戦後はごうごうたる非難がある。だから警察官はみずからの逮捕権も行えない。だから警棒くらい持っている警察官が昔ほど恐ろしいものだと考えないのです。時代も変り、警察状態も変った。警察がこないことによって大乱闘が起るおそれがあって、警察がそうっとしておったために起きなくて円満になったということであるならば、昔のようにどろぼうをつかまえるためにのみ警察官というものは出動すべきものじゃなくて、犯罪予防というよりも混乱予防という立場からも、まあいいおじさんという意味警察官という、いわゆるいとしい意味警察官の諸君を使うということも、新しい政治情勢にはあり得るということを考えられるわけです。しかしまあなるべく議論の多いことはしない方がいいことは、私もそう考えておりますから、きょうの発言は非常に有益な発言でありますし、このくらいに発言があるくらいならば、私も人事部長会議にでも入っておって相当聞けばよかったということも考えます。しかしこれから春闘という長い期間にこういう問題がいろいろ出てくると思いますので、ただいままでの皆さんの発言をもととして、私の方でも遺憾ない態勢をとることを申し上げておきます。
  94. 森中守義

    ○森中守義君 もう少し、あなた目鏡かけていないが、やっぱり近視眼ですよ。警察をそういう見方をわれわれはしているのじゃない。個々の警察官はなるほど民主主義を身につけているでしょう。しかし全体の風潮としてやはり道を開いていくことになると、こう言っている。放送法がそうじゃないですか、言論統制を加えようというわけだ。すべて労働運動に名を借りて警官を動員をして、治安維持法を作ろう、軍機保護法を作ろう、こういうことなんです。そういう現下の政治情勢をわれわれは黙視できない。だからもう少し、目鏡かけていないようだけれども、やっぱり近眼のようだから、大局的にものを見て判断いたして下さい。それだけ私は特に注意をして発言を終ります。
  95. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 本日の委員会はこれをもって散会いたします。    午後一時三十八分散会