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国務大臣(岸信介君)
衆議院の
選挙制度につきましては、御
指摘になりました
ように、中
選挙区の現行でいいかどうかという問題に関しましては、私
自身といたしましこま、二大
政党ということが
民主政治の運営上最も望ましい形であり、この二大
政党を真に健全に
国民政党として、両党ともこれを発達せしめていくためには、ぜひとも小
選挙区制をとるべきものであるというのが、私の従来から持っております信念でございます。ただ、この小
選挙区制の問題につきましては、御
指摘になりました
ように、いわゆる別表についての問題でございまして、この別表のいかんによりまして、いわゆるゲリマンダー等の批評もあることでございますし、私は
衆議院選挙制度につきましては、ぜひ小
選挙区制度に基いて最も公正なる
選挙区を、公正なる第三者がこれを
審議決定して、そうして小
選挙区制が実施されることを心から望んでおるのであります。すでに御
承知の
通り、先年
選挙制度
調査会の答申したものもございます。しかし、当時とは、町村の合併その他におきまして移動もございますし、十分にそういう点も検討いたしまして、できるだけ早い時期にこの成案を得て提案をいたしたいと
考えておりますが、それまでに、今申しました
ような公正な
立場において、この問題を権威者によって根本的に検討いたしまして、そうしてこの問題の実現を期したいと、か
ように
考えております。
第二に、
参議院の
選挙制度の問題でございますが、これまた、御
意見にもありました
ように、両院制度の本質も
考えなきやなりませんし、現在行われておる
全国区という制度についての欠陥もずいぶん
指摘されております。しかし、これにかわるにどういう案がいいか、また、
参議院の
衆議院と違ういわゆる両院制度の本質を十分に特徴を発揮しつつ、そして
選挙民との間における十分な連絡のつく
選挙制度をどういうふうに立てたらいいかということにつきましては、いろいろな点から十分な検討をしていかなければならぬと思います。現在、
選挙制度
調査会にこの問題を含めて諮問をいたしおりますが、まだ成案を得てない
状態であります。私は十分に
一つ慎重に検討いたしまして、この
参議院の
選挙制度につきましても、相当根本的にいろいろ検討し、適当な案を立てていく必要があると、か
ように
考えております。
台の、
運動期間の
短縮の問題でありますが、
選挙運動の
期間を幾らにするかという問題につきましては、これまた、いろいろの点を
考えなければならぬと思います。現行の二十五日という制度、この
運動期間につきましては、相当長い沿革を持っておりまして、これがきめられた当時の事情と、
交通、通信の事情なりあるいは
政党の発達、二大
政党としての
政党が発達してきた事情、いろいろな点におきまして、相当に事情が変ってきております。従いまして、この
運動期間というものを、従来二十五日をそのまま墨守するということは、事情に私は合わぬと思います。ただ、この問題につきましては、十分に
選挙運動の目的を達するだけの
期間は、もちろん、短かい方がいいからといいましても、必要でありますし、また必要な
期間をこえて特に長くしておくということは、むしろ
選挙運動の本質から申しましても望ましいことではありません。どの辺にするかということをいろいろ検討いたしまして、私
どもは二十日が適当であるという結論を得たわけであります。一部には、これが何か党利党略の結果、そういうふうに定められたのじゃないかという疑いをもっての御議論もございますが、私
どもは全然そうは
考えておらないのであります。また、二十日にすることが、新人の出ることを妨げはしないかという御懸念もある
ように承わっております。しかし、もちろん
期間が短かくなるということは、理論的には一応私は、新人として新たに立つという人には不利じゃないかという御懸念もごもっともだと思います。しかし、現在の
政党の発達した何から申しますというと、ほとんど実情は、新人といえ
どもいずれかの
政党に属して
選挙に立つというのが普通の
状態になっております。また、そういう意味において、すでに
政党そのものが
主張なり
政策なりというものを千分に
国民にあらかじめ徹底せしめる
ようなことにもなっておりますので、特にこれが新人に対して不利であり、新人の立候補を困難ならしめるというふうな結果には私はならないだろう、事実問題として、理論的の
一つの何としては別でありますが、実際問題としては、御懸念の
ようなことはないだろう、こう
考えております。全くこれがそういう何か特殊な意図から出たのではなくして、
交通、通信の発達、二大
政党の発達、
運動方法の
変化等に基いて、最も実情に適した適当な
期間としてこれを制定し
ようというわけであります。