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1958-04-08 第28回国会 参議院 地方行政委員会 第26号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十三年四月八日(火曜日) 午前十時四十一分開会
—————————————
委員
の
異動
四月三百
委員佐野廣
君及び
大沢雄一
君
辞任
につき、その
補欠
として
中野文門
君及び
木村篤太郎
君を
議長
において指 名した。 四月四日
委員中野文門
君及び
木村篤太
郎君
辞任
につき、その
補欠
として
佐野
廣君及び
大沢雄一
君を
議長
において指 名した。
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
小林
武治
君
理事
大沢
雄一
君 小柳
牧衞
君
加瀬
完君
委員
伊能繁次郎
君
伊能
芳雄君 館 哲二君 成田 一郎君 本多 市郎君 成瀬
幡治
君 松澤 兼人君 森 八三一君
政府委員
自治庁財政局長
小林與三次
君
事務局側
常務委員会専門
員
福永與一郎
君
—————————————
本日の
会議
に付した案件 ○
理事
の
補欠互選
○
地方財政法
及び
地方財政再建促進特
別
措置法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)
—————————————
小林武治
1
○
委員長
(
小林武治
君) これより
委員会
を開きます。 まず、
委員
の
異動
を御報告いたします。 四月三日、
佐野廣
君、
大沢雄一
君が
辞任
され、
中野文門
君、
木村篤太郎
君がそれぞれ
補欠
選任されましたが、翌四日、
佐野
君、
大沢
君が再び
委員
となられました。 以上、報告いたします。
—————————————
小林武治
2
○
委員長
(
小林武治
君) 次に、
理事
の
補欠互選
についてお諮りいたします。 ただいま報告いたしました
通り
、
大沢
君が
委員
を
辞任
されましたので、
理事
に一名欠員を生じましたところ、
大沢
君が再び
委員
となられました。よって、
大沢
君を
理事
に指名いたしたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
小林武治
3
○
委員長
(
小林武治
君) 御
異議
ないと認めて、さ
よう
決定いたします。
—————————————
小林武治
4
○
委員長
(
小林武治
君) 次に、先ほどの
委員長
及び
理事打合会
の
経過
について報告いたします。
理事会
におきましては、今後の
委員会
の
審査日程
について協議いたしました。まず、
地方財政法案
は、今日及び明日で
審査
を終り、十一日の本
会議
に上程いたすこととしました。
地方交付税法案
は十六日の水曜日の本
会議
に上程することを一応の目途として、十四日、十五日の
両日審査
を行うことといたしました。
委員会日程表
は後刻お手元に配付いたしますが、大体ただいま申し上げました
よう
に協議いたしましたので、御了承願っておきます。
—————————————
小林武治
5
○
委員長
(
小林武治
君) これより本日の議事に入ります。
地方財政法
及び
地方財政再建促進特別措置法
の一部を
改正
する
法律案
を議題に供します。 本案に対する
提案理由
の
説明
はすでに聴取いたしておりますので、本日はまず
政府委員
より
詳細説明
を聴取いたします。
小林與三次
6
○
政府委員
(
小林與三次
君)
地方財政法
及び
地方財政再建促進特別措置法
の逐条につきまして簡単に御
説明
申し上げます。 第一番は、
地方財政法
の
改正
でございまして、そのうち、
四条
の三を全文
改正
いたしたのでございます。現在の
四条
の三におきましても、
地方公共団体
における
年度
間の
財源調整
の
規定
を織り込んでおるのでございますが、この
規定
はきわめて不十分でございまして、
交付税
の額が、その基礎になった
基準財政収入額
より著しく越えた場合に、この金を後
年度
のために
積み立て
るか、繰り上げ
償還
に充てる、こういう
よう
な
趣旨
になっておるのでございますが、
交付税
の額と申しましても、結局、
特別交付税
の額が後半において著しくふえたという事態だけしかカバーできないのでございますが、
特別交付税
だけでなしに、
一般財源自体
が前
年度
よりも以上に伸びる、そういう
よう
な場合におきましては、後
年度
のことを考えまして、ある程度
年度
間の準備を考えるということが、きわめて
財政
の健全な
運営
上必要である、こういうふうに存ぜられるのでございまして、そういう
趣旨
におきまして、
地方団体
の
一般財源
の
額——税
と
国有資産等所在市町村
の
交付金
、
納付金
、それから
地方交付税
の額の全体の
合算額
が、前
年度
における
一般財源
の額を越えます場合におきましてその越え方が、
義務費
の増はこれは当然考えぬといかぬと思いますが、それ以上に著しく越えた場合におきましては、その金は特別の
需要
のある場合以外は後
年度
のために
積み立て
る、あるいは繰り上げ
償還
を行う、こういうふうな
措置
をとることにいたしたのでございます。それで、特別の
需要
といたしまして、
災害
がありた場合に
経費
がふえることがあり、あるいは歳入が減ることがある、その他前
年度
までの赤字を解消するという問題もあります。それからまた、それぞれの
団体
におきましては、緊急に非常に必要な
仕事
も考えられるのでございまして、そういう
特定
の場合を除きましては後
年度
のために
財源調整
に充てる、こういう
趣旨
の
規定
を置いたのでございます。これにつきましては、もっとはっきりさして義務づけろという
意見
が一方にありますとともに、これでも行き過ぎじゃないかという両方の
意見
があるのでございますか、これはむしろ、それぞれの
自治団体
が自主的に
財政運営
をやる基本的な
方針
を明らかにする、この
方針
の
趣旨
にのっとって、それぞれの
団体
におきまして、
団体
のそれぞれの
財政情勢
を見てこの問題を積極的に考えてもらいたい。その
趣旨
をはっきりして、これに精神的にというか、実際の
運営
上義務づける、こういう
建前
にいたしたのであります。 それで、その金を
積み立て
た場合におきましては、
特別会計
を設けて経理をすることにいたしまして、この
積立金
の
処分
につきまして
一定
の
制限
を置くことにいたしたのでございます。と申しますのは、これは
積み立て
ることは
積み立て
るが、取りくずしはもう自由だということになりますと、
積み立て
の
趣旨
に合いませんので、
四条
の四におきまして、
積立金
の
処分
につきまして
一定
の限界衣設けることにいたしました。これはもうそれぞれの
団体
によりましていろいろ
事情
があり得ますので、一応
法律
上はこの「
経済事情
の著しい
変動等
に」よって
財源
が著しく減少する、こういう場合が
一つ
考えられるのであります。つまり
経済界
の一時的な好況によって
収入
が非常にふえたときに、その金をリザーブしておきまして、不況によって
収入
が減ったときに使う。これはまさしく
年度
間の
調整
の基本的な形でございますので、それを明らかにし、それからなお、緊急に非常に実施することが必要になった大きな
仕事
が考えられるのでございまして、結局それは、むしろそういう大きな
仕事
のために
財源
をリザーブしておくということに
一つ
の
財源調整
の
問題点
があるのでございます。それと、
災害
によって生じた
経費
あるいは
減収補てん
、それからあるいは、なお繰り上げ
償還
を行うこと、こういう場合に限って
積立金
を取りくずすことにいたしたのでございます。 それから七条の
改正
は、これは
現行法
にも、
地方団体
が決算上の
剰余金
が生じた場合におきましては、その二分の一以上の金を
地方債
の
償還財源
に充てなければならぬという、国の
財政法
と同じ
趣旨
の
規定
が現在あるのでございます。これは
現行法
では「
地方債
の
償還財源
に充てなければならない。」、こういうことになっておりまして、これにさえ充てればこれはいいということになっておるのでございますが、この
財源
の
剰余金
は、使うものならぬしろ
地方債
の繰り上げ
償還
に充てるか、しからずんば、先に
積立金
に合せて
積み立て
る。そういうふうにしてこそ、
ほんとう
の
剰余金
の使い道としての積極的な
意味
がありますので、そういう
趣旨
に改めることにいたしたのでございます。国の方におきましては大体こういう
趣旨
の
運用
をやっておられる
よう
でございます。 それから次の十二条の二におきまして、
債務保証等
の
制限規定
を設けることにいたしたのでございます。これは
地方公共団体
は現在でも「
法人
に対する
政府
の
財政援助
の
制限
に関する
法律
」というのが、
昭和
二十一年に出ております
法律
がございまして、国または
地方公衆団体
が
法人
に対する
債務保証
をする場合におきましては、
大蔵大臣
の
承認
を得る必要がある、こういう
法律
があるのでございます。これは
大蔵大臣
が、
地方公共団体
に対する
債務保証
につきまして
大蔵大臣
が
承認
するということも、はなはだ
趣旨
にも合いませんし、むしろ
地方財政
の
運営
上の面から考えなければなりませんので、そちらの
法律
から
地方団体
の分を削りまして、この
地方財政法
の中に入れる、こういうことにいたしまして
債務保証
とともに、
債務保証
と
類似
の
損失補償
または
元利
の
補給
を入れることにいたしたのでございます。そもそも
公共団体
は
債務
の
保証
をしたり、
仕事
をやったりする場合におきましては、公共的な
活動
を中心にやるべきであって、
特定
の個人、
法人等
に対してやることにつきましては、いろいう
性質
からいいましても問題もあり得るのでございますし、そういう問題があるのでございますが、いずれにしろ、その
大蔵省所管
の
法律
のうちから
地方団体関係
の
規定
を削ってこちらへ持ってくることにいたしたのでございますが、しかし、問題の
性質
によりましては、これを認めなければ、公共的に
活動
が十分にできないという場合が当然に考えられますので、
法律
または
政令
で定める場合は当然差しつかえがない、こういう
建前
にいたしたのでございます。 次に、二十七条の
規定
を若干
改正
いたしております。これは二十七条の
規定
は、
都道府県
の行う
事業
につきましては、
市町村
に
受益者負担
をさせることができる、こういう
規定
があるのでございまして、それにつきまして、二十七条と二十七条の次の
条文
の二で、この
府県
が
市町村
に
負担金
を課しますることは、
市町村
の
受益
のためにもある程度やむを得ない、われわれも必要だという感じがするのでございますが、現在全く
府県
の自由にまかされておるのでございます。それで、
府県
によりましてその扱いが全くまちまちでございまして、どう考えても
市町村
については過当に
負担
を転嫁しておるという場合も少くないのでございます。それで、この
府県
と
市町村
との間における
負担関係
の
区分
を適正にする必要がある。
健際
は国が
財源措置
をする場合におきましても、
府県
がやるという前提で
財源措置
をしておるものが、みな
市町村
にしわがいっておる場合もあるのでありまして、むしろ、それぞれの
事業
につきまして
市町村
に
負担
をかける場合の
基準
を
政令
で明らかにするのが筋ではないか、こういうので、その
負担区分
の
基準
をきめることにいたしておるのであります。それに関連いたしまして、
都道府県
が
団体
の
事務
としてやる場合もありますし、それから
都道府県知事
が
仕事
をやって、その
費用
を全部
府県
が
負担
する、こういう場合もありますので、二十七条におきましては、
府県
または
都道府県
の
機関
を加えまして、要するに
団体
の
事務
、いわゆる
機関
の
事務
というものをひっくるめて、
負担区分
につきましての
規定
を整備することにいたしたいというので、二十七条をちょっと変え、二十七条の二でその
趣旨
を明らかにいたしたのであります。二十八条の二は、その精神をさらに明らかにいたしまして、
地方公共団体
は法令の
規定
によって
経費
の
負担区分
が定められている
事務
については、他の
地方団体
に対してその
負担
を転嫁する、そういうふうな
負担区分
を乱る
よう
なことをしてはならぬということを明らかにしたのであります。この
規定
は、一番顕著な例が、
義務教育
の
職員費
の
よう
な問題でございまして、これは明白に
都道府県
の
負担
になっておる。ところが、実際は
都道府県
も金がないという問題もあるかもしれませんが、地元の
市町村
で
給与費
を
負担
しておる事例が少くないのでございます。ところが、そうなりますと、
市町村
の
負担
のためにもよろしくない、
身分関係
からいいましても、教職員の
身分
がはっきりしない、
恩給等
がもちろんつきませんので、まことにあいまいな
仕組み
になっておるのでありまして、今度、一方におきましては、
義務教育職員
の定数の標準をきめる
法律等
が出まして、必要な
財源
も
交付税
を通じて確保するという
仕組み
にもかんがみまして、
府県
で出すべきものは
府県
で出す、
市町村
はみだりにそういうものにつきましてよけいな
負担
を出さない、こういうことをはっきりいたしまして、
府県
と
市町村
の間における
経費
の
負担関係
を明瞭にいたしまして、それぞれの適切な
財政運用
をはかりたい、こういうふうに考えておるのでございます。 以上が
財政法
の
改正
でございまして、それに関連して、
地方財政再建促進特別措置法
の一部を
改正
いたしまして、同法の二十
四条
におきましては、当分の
間国
に対しまして
地方公共団体
が
寄付
をしてはならない、こういう
規定
があるのであります。ところが、
現行
の
規定
によりますというと、国に限られておるのでありまして、国に準ずる
公社
、
公団
、公庫といった
類似
のものがありまして、それぞれ、やはり国あるいは
府県
と同じ
よう
な公共的な
活動
を展開し、
負担関係
も明日にしなければ、筋の合わぬものがあるのでありまして、そういうものをひっくるめて、
地方
が
寄付
、
負担金
を支出してはならないということに
趣旨
を明らかにいたしたのでございます。ただ、もっとも
現行法
によりますというと、
地方公共団体
がその
施設
を国に移管する場合においては、
自治庁長官
の
承認
を得れば支出することができることになっておるのでございまして、それ以外は絶対にできぬ
仕組み
になっておるのでございます。しかしながら、こういう
公社
、
公団等
も入れますというと、絶対にできぬという
仕組み
に対しては、また、いろいろ窮屈過ぎるという問題もあろうと思いますので、
施設
を国に「移管し
よう
とする場合その他やむを得ないと認められる
政令
で定める場合」におきましては、
自治庁長官
の
承認
を得て穴をあけるという
規定
をあわせて考えることにいたしたのでございます。 大体、それが以上でございまして、
あと付則
におきましては、
付則
の一項は、
施行期日
ですから問題がございませんが、
付則
の二項、三項におきましては、
経過措置
といたしまして、
債務保証
とか
損失
の
補償
あるいは
元利
の
補給等
につきましては、現に
契約
中のものがございますので、そういう既得のものをひっくり返すわけにはいきませんので、そうしたものはそのままみな従前の例によって認める。
公社
、
公団
との間におきましても、
地方公共団体
との
契約
において
寄付金等
を支出しているものにつきましても、
経過
的にこれを認めることにいたしたのでございます。 それから、
関係法律
を一部いじっておりますのは、
一つ
は、
法人
に対する
政府
の
財政援助
の
制限
に関する
法律
で、先ほど申しました
よう
に、そこから
地方公共団体
を削ることにし、それから
道路法
、
海岸法
、
地すべり等防止法等
をいじっておりますのは、これはそれぞれ
法律
に、
府県
がその
事業費
につきまして
市町村
に
負担
をかけ得るという
規定
があるのでございます。そこで、この
府県
と
市町村
の
負担区分
の問題は、それぞれこういう
実体法
におきまして
負担
の
規定
があるのなら、その
関係
の
法律
の
政令
できめればよいのでございまして、一々
財政法
の
施行令
にきめる必要もございませんので、
道路法
は
道路
で始末をする、こういうことで、それぞれの
法律
の
条文
に、そういうふうに
市町村
に
費用
の
負担
をさせる
よう
な場合には、
政令
で定める
基準
に従う
よう
にしなくちゃならないという
趣旨
で、
政令
を設けて、
基準
をそれぞれの
法律
の中に入れることにいたしたのでございます。こういうことによってそれぞれの
法律
で書くものは書き、
法律
でカバーのできないものは、
財政法
の
政令
を制定することによりまして、
負担関係
を明らかにいたしたい、こういうふうに考えておるのでございます。大体、以上が今度の
改正
でございまして、
地方財政
の問題につきましては、要するに
地方財政
の
一般財源
をできるだけ必要に応じて確保する、こういう問題がありますとともに、それぞれの
団体
におきまして、
財政
の
運営
というものを自主的に長期的に筋を立てていく、時間的に筋を立てていくという問題が
一つ
と、それから、それぞれの
団体相互
の間における
財源
の配分と申しますか、
財政秩序
というものをはっきりしていくという問題が
片一方
にあるのでございまして、国と
地方団体
につきましては、現在も相当な
規定
があるわけでございます。そこで問題は、
府県
と
市町村
との問題並びに国に準ずる諸
機関
と
地方団体
との問題、そういう
よう
な問題が今日残されている
問題点
でございますので、そういう問題につきまして、必要な
規定
を整備いたしまして、これで
地方団体
といたしましては、それぞれの
団体
の内部において、また、それぞれの他の
団体
との
関係
において、適正な
財政運営
ができる
よう
な基本的な原則を整備、確立いたしたいということが、今回の
改正
の
趣旨
及び
内容
でございます。 以上で御
説明
を終りたいと思います。
小林武治
7
○
委員長
(
小林武治
君) これより
質疑
に入ります。
質疑
のおありの方は、御発言願います。
加瀬完
8
○
加瀬完
君 第
四条
の三の、
地方公共団体
における
年度
間の
財源調整
という
項目
の
内容
を改めたということでありますが、前の
四条
の三は、
交付税
の額に
基準財政収入額
を加えて、それと
基準財政需要額
との差を見て、その差が、非常に
基準財政需要額
を、前の
交付税額プラス基準財政収入額
が著しく越えている場合には、その一部を
積み立て
をし、また
地方債
の
償還財源等
に充てる。で、翌
年度
以降における健全なる
財政運営
の
措置
をするということであったわけでありますし、それから、新しく改められた
内容
などは、他の
地方財政法
の
項目
にある場面もある
よう
に思われるのですが、特に
四条
の三を新しく書きかえなければならなかった
理由
は、一体どういうことですか。
小林與三次
9
○
政府委員
(
小林與三次
君)
現行
の
四条
の三の場合は、今の
仰せ
の
通り
、
交付税
の額と、その算定に用いられた
基準財政収入額
との
合算額
が、
基準財政需要額
を著しく越える場合、こういうふうに書いてございます。これは、この
規定
がありますのは、具体的には、要するに
交付税
というのは元来、
基準財政需要額
から
基準財政収入額
を引いたものをこれは配っておるのでございます。
ほんとう
にこの適用が考えられますのは、
特別交付税
か、この間の
よう
な場合が一番適例かもしれませんが、最初きまっておった以上に、
特別交付税
が何かの
事情
でふえた場合以外は、この
条文
か
働きよう
がないのでございます。そこで、その
特別交付税
が、特別に
あと
からふえるということは、まず常識上、この前の
よう
なことはありますけれども、非常に希有の問題でございまして、それはおかしい。むしろ
一般財源
が、税だって非常に異常な税収が伸びるということは、これはあり得るのでございますので、
特別交付税
に限らず、
一般財源
が従来の伸びよりも非常に異常に伸びるという場合には、その
一般財源
を、
交付税
も税もひっくるめて考えて、非常に伸びた場合には、その一部をリザーブする方が
むしろ筋
じゃないか、こういうことで、まず目的を変えざるを得ない、この場合を変えざるを得ないということになったのでございます。それから
あと
は、
災害
その他の
事由
というのは、これは大体、その
事由
をもう少しはっきり書いたというだけでございまして、
現行法
に書いてありますのは、「
災害
その他やむをえない
事由
がある場合を除き、」と書いてございますが、まず、われわれにいたしますれば、そういう
事由
、この
災害
だけを考えるということも、またはっきりしない。そこで、できるだけ具体的になるべく列挙して、
地方団体
におきましても、問題の
所在
がはっきりわかる
よう
にした方がいいんじゃないか、そういうのが
一つ
。それからもう
一つ
は、
現行法
では「
超過額
の一部を
積み立て
、又は
地方債
の
償還財源
に充てる等
地方
」、債の
償還財源
に充てればいいと書いてあるのでありますが、
地方債
の
償還財源
に充てればいいということは、実はあまり
意味
がないのでありまして、これは毎年々々
地方債
の
償還
というものはあるのでございまして、これは当然
財政計画
を考えるし、それぞれの
団体
でも、普通の既成の予算のワクで考えるのは、これは当りまえなのでございます。こういう異常に伸びた金があれば、むしろ繰り上げ
償還
に使わせなければ、
趣旨
が一貫しないのでございまして、そこで、単に
償還費
に充てろというのをやめまして、むしろ、繰り上げ
償還
に充てろという
趣旨
をはっきりさせたのでございます。そういう大体三点において、
現行法
では不十分なので、積極的に
規定
することにいたしたわけでございます。
加瀬完
10
○
加瀬完
君 逆に言うと、繰り上げ
償還
に充てなきゃならないということは、
財政法
の他の
条文
でも読み取れるわけだと思うのです。で、
交付税
の額と
基準財政収入額
の
合算額
というのは、結局、
一般財源
の額ということと同じことになるのじゃないですか。
小林與三次
11
○
政府委員
(
小林與三次
君)
交付税
の額と
基準財政収入額
の
合算額
は、普通ならば、
基準財政需要額
に一致してしまうわけです。普通は、
基準財政需要額
から
収入額
の足らぬ
部分
を
交付税
で補っておるわけでありますから、元来、パーパーになる。それが、さらに
合算額
がふえるということは、
交付税
がふえる以外には考えられぬです。
基準財政収入額
を押えておりますから、
現実
の
税収入
じゃなしに。それですから
現行法
は、実際は、要するに
交付税
が特別にふえる、その
交付税
が特別にふえるといったら、
特別交付税
がふえるということしか考え
よう
がないのでございまして、
普通交付税
がふえるときは、
基準財政需要額自体
がふえておるわけですから、それでこの
規定
は、ちょっと窮屈過ぎる
規定
なんであります。ですから、
一般
の税が非常に伸びたという場合は、全然これじゃ読めないのでございます。
加瀬完
12
○
加瀬完
君
現行法
をきめるときにも、そういう条件というものは別に変っておらなかったと思うのです。それであるにもかかわらず、
交付税
の
額プラス基準財政収入額
と
基準財政需要額
とを比べる、そういう建て方をしたのは、私は何か
意味
があると思うのです。それを
一般財源
と、こういう形に変えてしまわなければならない
理由
というのは、今までの御
説明
では、私は明白にならないと思う。
基準財政収入額
と
交付税額
の
合算額
というのは、
基準財政需要額
になると思うのですが、なることになるはずだが、実際にはなっておらないわけですね、
現実
には。たとえば
基準財政需要額
というものを
積み立て
て、それで
基準財政収入額
というものを
計算
して、その差額を
交付税
に仰ぐという形をとっておりますけれども、それは各
地方団体
の
計算
というものと、結局、出てくる結論というものは違ってくるわけですから、
地方団体
の
計算
の
通り
に
交付税額
がくるということにもなりませんし、また、
基準財政需要額そのもの
でも、
地方団体
の
計算
の
通り自治庁
でお見込みになるということばかりではないわけです。ですから
現行法
でも、新しく変えた案でも、結局同じことだと思うのですよ。ことさらに
一般財源
の額という形にしなければならない
理由
というのは、どうも今の御
説明
では、はっきりしないのですが。
小林與三次
13
○
政府委員
(
小林與三次
君)
現行法
では、今
仰せ
の
通り
でございますが、
基準財政需要額
が
片一方
にきまり、
片一方
では
基準財政収入額
があって、その足らぬ
部分
が
交付税
で埋める。
交付税
の総額が足らぬ場合は、例の
減額調整
ですか、
調整
をして実はやっておるわけでございます。この
調整
しておるのは、むしろこれは異常な場合でございますが、この
調整
で埋めた以上に、つまり
交付税
がふえなければ、
現行法
が
動きよう
がないのでございます。
現行法
のこの
規定
でいきますと、
交付税
の額と
基準財政収入額
との
合算額
でございますから、ですからこの
規定
が働く場合は、
交付税
が
年度
間の途中で異常にふえたということ以外には考えられないのでございます。この
規定
ができたときは、たしか
交付税
の税率が途中でふえたことがあって、その
交付税
を何に使うのだという
よう
なことが議論になって、どうも沿革的にここへ入れたらしいのでございますが、問題は、その
交付税額
がふえるか、ふえないか、これは交付
団体
だけの問題でございますが、交付
団体
、不交付
団体
を問わず、
団体
の
財政運営
というものは、
交付税
だけの問題じゃなしに、
税収入
をひっくるめた
財政
一般
の問題でございますから、
交付税
だけ議論するのはおかしい。むしろ、その
団体
の
財政
収入
一般
が、何らかの特殊な
事情
で、普通の伸びよりも以上にふえる、以上にふえたときは、そいつをそのまま使い切りにせずに、後
年度
のためにリザーブする、後
年度
いかなる事態が起るかわからぬのでございますから、リザーブする。こういう考え方の方が、
財政運営
として、これは当然の筋だろうと思うのです。
交付税
と要するに税を合わせて、
一般
で考えて、そしてその伸び工合というものを考えて、
財源調整
をはかるということにしなければ、これは
意味
がない、こういうふうに考えられるのでございます。
加瀬完
14
○
加瀬完
君 まあ、それは今度の方が、
交付税額
と
基準財政収入額
の
合算額
というよりは「
一般財源
の額」であると、こう言った方が明瞭になりますから、それはそれでいいと思うのですよ。ただ、今度の案によりますと、いろいろ結局、
積み立て
や
償還
に回す前に、
積み立て
や
償還
に回さない条件というものが幾つかあげてあるわけですね。その中に、「その他必要やむを得ない
理由
により生じた
経費
の
財源
」というのがあるのです。これは具体的に言うと、どういう
内容
を予想しているのですか。
小林與三次
15
○
政府委員
(
小林與三次
君) 実はこれは、それぞれの
団体
でいろいろな問題があり得るので、あんまり窮屈にしてもいかぬし、さりとて、ゆるくしたら底抜けになってしまう、こういういろいろ問題があって、苦心をしたのでございますが、かりに考えますというと、
年度
間の途中で
法律
が変って、いろいろな
経費
の支出をやらざるを得ない、こういうことも私はしばしば、現にこれはあるわけでございます。そういう他発的な
事由
で起る場合も当然に考えられますし、それからまた、それぞれの
団体
におきましても、まあ
災害
復旧の問題は前に書いておりますけれども、
災害
に関連して大きな
仕事
を、大きくなくても
仕事
をやらざるを得ないという
よう
な場合も、私は当然にあり得ると思うのでございます。そこで、そこの認定の問題は、それぞれの
団体
で認定してもらうよりし
よう
がないと思いますけれども、ここに列記してあります
よう
な、
ほんとう
に予測できなかった
仕事
で、しかもほうっておけぬという
仕事
がきっとあり得るから、そういう場合には金を使っちゃいかぬというわけにいきませんので、ここに書くことにいたしたのでございます。
加瀬完
16
○
加瀬完
君 これは今度のこの
改正
案全体を見て、まあ
財政運営
そのものの健全化というものをねらっておる点はよくわかりますけれども、もう
一つ
、今まで自治庁でもたびたび問題にした行政水準の引き上げといった
よう
な点については、このいわゆる
剰余金
というものの使途というものを何ら配分的な考慮をしておらない。で、特に績み立てをしなきゃならなかったり、特に
償還
をしなきゃならなかったりする
団体
は、これはまあどちらかというと富裕
団体
ではない、貧弱
団体
の方に類するものが多いと思うのです。過去に行政水準の、他に比べての相当の低位置ということも予想されますし、引き上げしなければならない点も多々あると思う。そういうのには使えない
よう
な形で、いろいろあるけれども、まずもって福祉行政といいますか、民生行政といいますか、そういう方面に使うよりも先に、まず
償還
に充てるのだということだったら、行政水準の引き上げというものはさっぱりいつまでたってもできてこない。なお、七条には、
剰余金
が出た場合にそれをどうするかというものが
現行法
にきちんと書かれているのですね。このほかに特別に
積み立て
をしなきゃならないの、
償還
をしなきゃならないのと書く必要がどこにあるか。それではあまりにも
地方
にワクをはめ過ぎるのじゃないかと思うのですがね、この点はどうお考えになりますか。
小林與三次
17
○
政府委員
(
小林與三次
君) これはごもっともでございまして、われわれも、
一般財源
が伸びれば相当
仕事
を伸ばすべきだという考え方、全く異存はございません。今の
地方団体
の状況はきわめて不十分であるということもその
通り
でございます。ただ問題は、さりとて、結局、
地方団体
の
財政運営
というものが、ある程度恒常的に自立をさしていかなくちゃならないのでございまして、非常にむらがある。むらがあるというところに
財政
を危くさせる原因があるのでございまして、たとえば朝鮮ブームなら朝鮮ブームの
よう
なことで、ごそっと
収入
がある。その
収入
に応じてそれを使っちまえという形で、
財政
規模をふくらませますというと、
あと
が続かなくなってしまう、それが結局赤字のもとになってくる。そういうことではやはり困るのでありまして、やはり
団体
の
財政
というものは、それぞれ長期的に計画的に
運営
する
仕組み
を私はやらざるを得ぬのではないか。低いなら低いなりにそれを考えなかったら、これは動きがつかぬと思うのでございます。そういう
意味
におきまして、必要な
仕事
はこれはやらざるを得ない。だからいろいろ抜けを書いたわけでありまして、こんな抜けでは
意味
がないじゃないか、底抜けで
意味
がないじゃないかという逆の批判が、率直に申しましてあるくらいにこれは書いてあると思うのでございます。しかし、それにいたしましても、今申し上げました、いろんな一時の景気で
収入
が入った場合には使っちまって、来年困るということの方が、むしろ大きな問題でありまして、そういうときには、来年の問題も考えて、ある程度ならして使う、ならして使うというところに、こういう
団体
の健全な
財政運営
の基盤がある、こういうふうに私は考えられるのでございまして、その筋通を立てたい。そして伸びを、普通の、つまり恒常的な伸びを逐次やっていく
よう
に、その伸びに必要な金の使い方というものは、これは一向にかまわぬ、こういう考え方なのでございます。七条の問題は、要するに使っちまった、決算の
剰余金
でございまして、これがまた、国と
地方
の場合がえらい違うのでございまして、国の場合は、補正予算を組むということは、これはもうきわめて希有な、しかも限定された場合にしか行われません。とうろが、もう
地方
では金が入るに従ってもう全部使っちゃう。簡単に言えば、毎月々々と言っちゃあれですけれども、毎県会、追加予算追加予算で
仕組み
が行われているのでありまして、七条の
よう
に、決算
剰余金
だけを考えろということは、実はきわめてまじめに、良心的に
財政運営
をやる場合は、それでもいいのでございますけれども、そういうことをかまわずにやるときには、右から左へ使っちゃって、要するに残るものは赤字だけ残すということもあり得るのでございます。そこの金の使い方自体を考えなくちゃ、
財政
の健全性というものは確立できぬじゃないかというのが、われわれの考えでございまして、そこで、
財政
の規模というものをあまり過度に、急激に一時的にふくらますというところに非常に無理がある。だから規模自体をある程度合理的にならしていくことを考えるべきではないか、これが
四条
の三の問題になるのであります。それで、やった
あと
で金が余っちゃった、決算上の
剰余金
が出た、その場合に、その余った金をどうするかというのが七条の問題だと、こういうふうに考えているのでございます。
加瀬完
18
○
加瀬完
君 こういうやり方は、何か非常に
債務
を生じて、銀行管理をされている
よう
な会社みた
よう
な立場に
地方団体
が置かれるだろうと思うのですよ。
積み立て
をしたり、
償還
財減に充てたりということは、当然常識的な
地方
の
運営
をしておれば、当然考えられることなんで、一々そういうことまでワクをはめて、これこれこれには使っていいけれども、
あと
残ったものは
積み立て
しなければの、
償還
しなければならないのといって 一体きめるべきものなのかどうかという、私は
一つ
の考え方があると思う。たとえば、
積み立て
なら
積み立て
というものを、一応
基準
を設けて勧めるというのはいいのですけれども、使うことまでもはっきりと条件をつけているのですね。たとえば
四条
の四によりますと、「緊急に実施することが必要となった大規模な土木その他の建設
事業
に要する
経費
の
財源
に」は
積み立て
たものをも使っていいということになっているわけです。こうなってきますと、たとえば、この間、
道路
五カ年計画が問題になりましたが、
道路
五カ年計画の
よう
なものでありますると、国の計画に基いて、
地方
がやっと
積み立て
た金をも出して使わなければならない。極端にいえばそういうことになる。ところが、
地方
独自で民生安定なり福祉行政なりの
経費
を盛ろうとしても、これはどうしても、今言った
道路
五カ年計画というものと、今度は民生安定の
経費
というものは競合する
関係
になりますから、競合して参りますと、こういう条項があるからには、
地方
住民の要求が、どんなに福祉行政を要望しておっても、まずその余った金は、
道路
五カ年計画なり何なり、ここの条項できめられている
よう
に先に使われる、こういう形をとらざるを得ないと思います。そうなって参りますと、一体この
財政法
の二条の二項は一体どうなるのか。たとえば、「国は、
地方財政
の自主的な且つ健全な
運営
を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は
地方公共団体
に
負担
を転嫁する
よう
な施策を行ってはならない。」と書いてある。ところが、これによりますと、この間も問題になりましたが、
道路
五カ年計画みたいなものが、次々と国土計画の名のもとに、
地方
負担
が強要されてきて、それが
財政法
その他の
法律
できまってくるということになると、これは好まざるにもかかわらず、
地方公共団体
が国の
負担
を転嫁される、見
よう
によってはそうなってくるわけです。少くもそういう傾向にはなってくると思う。
あと
にも出てきますが、たとえば、地すべりなんかの
負担
でも、今までは地すべりなどの
団体
は、実際はそうでなくても
財政
の貧困を来たすわけだから、その議会の議決によりまして、
府県
と話し合いで
負担
額というものがきまるわけです。これを
政令
できめるということになりますと、
地方
住民の要望あるいは
地方団体
間の協力というものはもう何ら働かなくなって、
政令
か
法律
できめられた
通り
にか動けない。これは自律性をそこなうことにもなれば、あるいはあまりにも自主的な、かつ健全な
運営
を助長するということではなくて、
制限
するということになりはしないか。こうなってくると一条の二項というものに非常に背反してくるという
よう
な見方も成り立つと思いますが、こういう点は、どうでしょう。
小林與三次
19
○
政府委員
(
小林與三次
君) それはごもっともでございまして、それでわれわれといたしましても、この
四条
の三、
四条
の四というものが、もっぱら
地方団体
自体の自主的な判断にまかせ
よう
。つまり、国が故意にくちばしを入れたり、一々これはこうだとか、こうじゃないとか、その
仕事
に使っていいんじゃないかとか、悪いんじゃないかとか、一々行政庁の関与する
よう
なことがあっちゃ、これは全く私は行き過ぎじゃないかと思うのでございます。それでこの
法律
で基本的な考え方を明らかにして、
あと
はそれぞれの
団体
の自主的な判断によって、その良識的な
運営
に待つ、こういう
仕組み
をとるのが筋だと思うのでございます。そういう
意味
で、この
積立金
並びに
積立金
の取りくずしにつきまして、基本原則だけを明らかにいたしたい。 そこで、もう
一つ
の問題は、そうするというと、民生とか社会福祉といった
よう
なふうな、そういう
仕事
に金をもっと回すべきものを、この建設
事業
の
よう
なものに先走っては心配になりはせぬかというお話でございますが、それは、私ももっともだと思いますが、私の方の考えは、いわゆる経営的に、社会福祉とか保健衛生とか、あるいは小規模の建設
事業
という
よう
なものは、経営的に
一般財源
の伸びに応じてやるよりし
よう
がないじゃないか、むしろやるべきじゃないか。そこで、これは
一般財源
の伸びに応じてそうした
仕事
の充実をはかっていく。ここで問題になるのは、そうした
一般
的な
仕事
の流れの上に、特別の緩急ができる
よう
に、
収入
が入った場合に、その
収入
の始末をどうするか、その歳入を経営的な
経費
に使ってしまったら、
収入
がないときには穴があかざるを得ないと思うのでございます。そうでございますから、そういう異常な歳入というものは、異常な歳出を前提にして考えぬといかぬじゃないか、こういうことである。後
年度
におきましても、
災害
とかその他
経済事情
で税収が激減したという
よう
なときにそいつを考える。それとともに、それじゃ積極的な
仕事
が何にもできないじゃないかということであれば、これも言い過ぎでございまして、たとえば小さい町で、自分の町を通っている橋の建設をやりたい、しかしこれは普通の単
年度
ではとてもできっこない、そういう
よう
な問題があった場合に、そのたくわえた金を使う。これは、もう異常の支出を必要とする、けた違いの
財政
規模の金であるという
よう
なものがあれば、これは私は使ったって一向にかまわぬじゃないか、こういう考え方があるのであります。そういう特別な歳出のためにその金を使うということが筋じゃないか。これは経営的な支出はあくまでも経営的な
収入
を前提にしてその充実改善をはかっていくべきだ、こういうふうに考えるのでございます。 それで、今の
道路
整備五カ年計画の話のごとく、国が勝手に
仕事
をやって、
地方
に
財源
を押しつけるのはけしからぬじゃないかという問題は、私はこれは、むしろ国の
地方財政
に対するその福祉の政策の問題として問題を解決してやらぬで、個々の
団体
にそのしりを負わせるということは、これは私はかわいそうだと思うのでございます。それでございますから、国が五カ年計画を作って、それに見合う
地方
財源
が必要であれば、国としてその
地方
財源
を確保する、あるいは
地方
財源
の総体の限度において国の
仕事
というものをチェックする、そういうことで、それはまさしく国の立場でわれわれが始末をしてやるべき問題だと考えるのでございます。そういう国の始末をした範囲内において、個々の
団体
が個々の
団体
特有の
事情
によって
財政運営
をやる場合の考え方の
基準
を明らかにする、こういうのが
趣旨
でございます。 それからもう
一つ
、地すべり法に県と
市町村
の
負担区分
の問題が、従来話し合いでやっておったのだからいいじゃないかというお話でございますが、その話し合いの姿は、さっき国と
地方
について
加瀬
委員
が御心配なさった
よう
なことが、現に
府県
と
市町村
について行われるのであって、
市町村
は小さい弱いものであって、弱味になっておる。それで、おそらく
府県
の一方的意思によって
市町村
に
負担
が押しつけられるということの方がはるかに弊害が多いのじゃないか、こういうのがわれわれの見解でございまして、そうならば、
政令
できちっと書くのも行き過ぎであるが、
一つ
の
基準
だけは考えてみていいのじゃないか、最高限という
よう
なものを押えておいて、そのワク内において県と
市町村
の相談できめさせるということの方が筋だろう。現に県の
仕事
を、ところによっては三分の二ぐらい
市町村
にかぶせたり、半分をかぶせたりしておるところも、これはないのではないのでございまして、県がやるべき
仕事
ならば県が中心となってやって、
市町村
には
市町村
の力に応ずる
よう
に、一割とか二割のやっぱり
負担
の限界にとどめぬと、これは私は
市町村
の犠牲において県が
仕事
をする結果になって適当ではあるまい。そういう大ワクだけを
政令
ではっきりさしたい、こういう
趣旨
でございます。
加瀬完
20
○
加瀬完
君 一番初めの
説明
の、
積み立て
なり
償還
というものが、正常な形で
地方財政
が
運営
されているところにはそういうワクを大ぎくはめなくてもいいと思う。問題は再建
団体
なり、正常な
運営
になっておらない
団体
を、早く正常な
財政運営
ができる
よう
にするために、積立方法なり
償還
方法というものも講じなければならないという
現実
の必要があるのです。それならば、
地方財政
再建法か何かの中にこの
積み立て
なり
償還
なりというもののワクを法文で入れるか、あるいは再建法の指導は相当手きびしくやれるわけですから、その行政の指導の中に
償還
方法なりというものを計画さしていけばいいと思う。
一般
の正常な
運営
のできておる
団体
にまで、何か不正常な
運営
をするかのごとき前提に立って、そう見られる
よう
な形でこういうものを新しく加えるというのは、私は問題があるのじゃないかと思う。 それから次に御
説明
の、たとえば五カ年計画みたいなものでも、それをなるべく
地方財政
計画として、
地方
の
積立金
を持ち出す
よう
な形を避ける
よう
な方法としてやるというけれども、それならば一体こういうものを入れなくてもいいはずだ。こういうものが入っている限り、少くとも手持ち
財源
というものをはたかなければならないという前提に立たなければならない。 それから、その次の十三条の二項にいたしましても、
地方公共団体
がその
地方
産業の振興なり、あるいは全体の行政
運営
の上から、いろいろ今まで利子の
補給
とかあるいは
損失補償
、
債務
の
保証
といったものをやらなければならないという状態であり、やって効果を上げた具体的な事実もたくさんあるのです。そういうことまで全部とめてしまって、しかしながら、国の計画であるものに対しましては
経費
の
財源
負担
もしなければならないということでは、私は前後の
関係
からも、どうも
地方財政
というものを保護するために
財政法
の新しい
改正
が行われているという
よう
には受け取れないのです。この点どうでしょうか。
小林與三次
21
○
政府委員
(
小林與三次
君) これは今の正常な
地方団体
として見れば、こういう
年度
間の
財源
配分を自分で自主的に考えるのは当りまえだと、私はそう思います。その当りまえな考え方を、むしろはっきりさしておいた方がいいのじゃないか、再建
団体
の
よう
な不幸な事態にあったものは、再建計画でいろいろ自治庁も関与しておりますけれども、これは本意ではないのでありまして、それを早くやめてしまって、そういう
団体
が自主的にそれぞれ自分が筋を考えて、
年度
間の
調整
も考えて、健全な
財政運営
をする
よう
にするのが私は筋道だと思うのでありまして、ああいう異常な
団体
よりも、むしろ正常な
団体
においてこうした
財政運営
のルールというものを確立する、これが私はむしろ基本的な問題じゃないかと思うのでございます。それでございますから、それは個々のこういう
規定
の中身のきめ方がそのままいいか悪いかという議論はいろいろあり得ましょうけれども、考え方といたしましては、むしろそれぞれの
団体
が自主的に
運営
をやるための筋道だけをはっきりさせておく、
財政法
の
趣旨
というものは、私はむしろそこにあるのじゃないか、こういうふうに考えているのでございます。で、ここに建設的な
事業
と書いたものですから、何か国の施策とそこにからみ合ってくるんじゃないかというお考えの
よう
でございます。これは全然われわれはそういう考えではないのでございまして、むしろこれは、
地方団体
自体の、独自のいわば単独
事業
のことを考えているのでございまして、国の施策に伴う
仕事
は、当然
地方
の
一般財源
で、
財政計画
で確保しなくちゃいかぬ、これが自治庁の責任でございますから、
財政計画
上マッチできぬ
よう
な国の
仕事
を、こっちとしてもこれは強要するわけにもいかぬと思うのでございます。そういう問題については国の問題として始末をつける。これはそうじゃなしに、もっぱら
地方
自体の独自の自主的な、単独的な
運営
につきましての
基準
を考える、こういうことで参りたいのでございます。
加瀬完
22
○
加瀬完
君 その十二条の二をとりますと、十二条の二と十二条の本文とを比較するときに、十三条の本文では、逆に言えば、
地方公共団体
の権限外の
事務
でも、
法律
や
政令
できめれば、
地方
が
経費
負担
をしなければならないというふうに読めるわけです。そうして今度二号では、
地方公共団体
は、今までその権限においてやっておったことも、やってはならないという規制をさらにつけ加えているわけです。で、この本文は、少くも
法律
または
政令
で定める範囲というものを無限大に拡大していこうという基本線には立っておらないと思うのですよ。やはり
地方団体
に対する
経費
負担
というものを最小限に抑えていこうという考え方だと思うのです、しかし、それを逆にとって、何か権限外の
事務
でも、
法律
、
政令
で定めれば
経費
負担
はさせられるというふうにとって、何かそれを拡大解釈していく
よう
な扱い方か、十二条の二号にも表われているという
よう
にも解釈できるのです、そうすると、さっきも例に出しましたが、第二条の二項というものとは非常に離れてくるのではないか。ここの第二条の二項との均衡といいますか、つり合いといいますか、これをどう解釈なさいますか。
小林與三次
23
○
政府委員
(
小林與三次
君) 十二条の二は、
財政法
としては新しい
規定
でございますが、先ほど申しました
通り
、従来、
法人
に対する
政府
の
財政援助
の
制限
に関する
法律
という
法律
がございまして、これは参照の資料で差し上げてあると思いますが、「
政府
又は
地方公共団体
は、会社その他の
法人
の
債務
については、
保証
契約
をすることができない。但し
大蔵大臣
の指定する会社その他の
法人
の
債務
については、この限りでない。」と、こういう実は
現行法
があって、大蔵省が一々会社を指定いたしまして、この
債務保証
ができる
よう
に実はしておったのでございます。で、これは、われわれといたしましては、
地方団体
の問題を大蔵省がやるということは、どう考えたって筋違いでございまして、これはどうしたって、
地方財政法
の
運営
の問題としてこっちに入れるべきだと長い間主張しておったのでございますが、
よう
やく話がついて、こっちへ持ってくることにいたしたのでございます。ただその場合にも、われわれといたしましては、その
債務
の
保証
は、そういう公的な
団体
に対してやることは適当でもありません。これも
一般
の行政
活動
のために必要な場合は、これは当然にあるのでございます。で、必要な場合におきましては、現にいろいろ
法律
や
政令
で、一方的な
措置
によってこれを
規定
しておる場合が少くないのでありますが、私は、やる以上は、そういうものにつきましては、国の
措置
として必要な場合を考え、それに対する国の必要な援助
措置
も考える、こういうことで道を開いていくのが筋だろうと思うのでございます。だから必要なものにつきましては道を開いておく必要がある。なお個別的に、特殊の
事情
によって始末をせなくちゃならぬ場合もあろうと思います。そういうものも、
政令
で適当に穴をあける必要が私はあろう思うのでございまして、それぞれの
団体
の自主的な
運営
というものを、これはできるだけ保障する必要があろうと思います。しかしながら、
地方団体
でございますから、自主的にと言ったって、どんな勝手なことをしてもいいというわけにもいかぬのでございまして、それはおのずからやはり
公共団体
としての公共
活動
のワクと、それから
団体
の健全な
財政運営
という大ワクだけは守ってもらう必要があるのじゃないか、この大ワクだけははっきりさしておいて、そのワク内においてそれぞれ自由な
活動
をする、こういう
趣旨
で私はゆくべきものであるだろう。そういうことが、今までの
経費
負担区分
の問題にいたしましても出てくるのでございまして、
地方団体
は勝手なんだから、どんなに金を出してもいいじゃないか、こういう理屈も一方では成り立つのでございますが、やはり国というものがあり、
府県
というものがあれば、それぞれみな
財源措置
もしておるのであって、特別な税源もとっておるのであります。国は国としての責任でやるべし、
府県
は
府県
としての責任でやるべし、
市町村
は
市町村
としての、
市町村
らしい
仕事
をやるべし、こういうことでやはり筋を立てていかなければ、
財源
の配分の問題、行政の配分の問題なども適切を期するわけにいかぬだろうと私は思うのでございます。そういう
意味
の大ワクの筋だけははっきりして、そうして、それぞれの
団体
としての責任に邁進する。その
団体
としての責任への邁進は、それは自主的に、自律的に、できるだけやる
よう
にしたらいいじゃないか、こういう考え方に立っておるのでございます。
加瀬完
24
○
加瀬完
君 大ワクのその筋が私は通っておらないと思うのです。
地方公共団体
に
負担
を転嫁する
よう
な施策をしてはならないと、二条の二項できまっておるのにもかかわらず、
法律
、
政令
によれば、新しく
負担
をかけてくる幾つかの事項が予想されるわけです。この
改正
の法案によりましても、新しく
地方
に
負担
がかかってくる
よう
なものも出てきておるわけです。一方、そういう動きをしておって、一方では、
地方公共団体
が独自な見解でやろうとし、現在行なっておったものにまで制約を加えていくというのは、一体これはどういうわけだ、私から言わせれば、筋が通らないじゃないかと思うのです。そこで具体的に、どうしても十二条の二月によって禁止しなければならない
よう
なものはどんなものか、それから、「
法律
又は
政令
で定める場合は、この限りでない。」というが、この限りでないというワクの外にしてもいいと考えておられることは、どういうことか、それを例示してくれませんか。
小林與三次
25
○
政府委員
(
小林與三次
君) 現在でも、たとえば天災融資法——有名な天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定
措置法
があって、これについて
府県
、
市町村
が
損失
を
補償
したり、利子
補給
したりする
法律案
がございます。で、
市町村
、
府県
がやるものについて国もまたその半分程度を見る、こういう
建前
をとっております。こういう
類似
のものが、農業改良資金助成法とか有畜農家創設特別
措置法
とかいった
よう
なものがあるのでございます。私はこういうものにつきまして、
府県
、
市町村
が
損失補償
、利子
補給
、
債務保証
をやるということは、それぞれ場合と方法と限度を考えれば、私は考えていい問題だと思うのであります。それとともに、そういうものにつきまして、やる以上は、国もやはりその責任を負うべきでありまして、いなかの
府県
、
市町村
だけでこういうものについての跡始末ができるはずがないのであります。そこで、こういうものにつきましては、国も
府県
、
市町村
も、それぞれの力に応じて責任を分担する
よう
に
法律
なり
政令
なりで、やる以上はけじめをつけてやりたい。そうすれば、それに応ずる
よう
に
地方
の
財源措置
も当然に、
財政計画
なり
交付税
の算定なりを通じて保障してやる必要があろうと思うのでございます。そういう
意味
で、確かに必要な
仕事
がございまして、やらざるを得ない場合はやるというふうにいたしたいのであります。そうかと思いますというと、全く私的な企業に現に
債務保証
をやろうとしたりする事例があるのでございまして、これは私はやはり考えぬといかぬと思うのであります。 それから
団体
の起債ならば、借金という意識が非常に強いのでありますが、
債務保証
は、今すぐに
負担
がかかるものでないものですから、どえらい
債務保証
をやっておって、
あと
で始末に因る。こういう事例が現にあるのでございまして、そこらは、やる以上は
団体
の
財政
にバランスが合う
よう
に、当然に考えるべきじゃないか、そういうことをある程度
調整
しなければいかぬというふうにこれは考えておるのでございます。
加瀬完
26
○
加瀬完
君 具体的に伺いますが、農業改良資金助成法の取扱いはどうなるのか。それから労働金庫その他金融
機関
に
都道府県
が預託をしていますね。あるいは利子
補給
という形をとっているところもあります。こういう問題はどう扱われるのか。
小林與三次
27
○
政府委員
(
小林與三次
君) 農業改良資金助成法などは、もう
法律
で筋道が立っていますから、これはみんな
法律
で定める場合はこの限りでないので、全部除外されるわけでございます。 先ほどちょっと申し上げました天災融資法とか有畜農家創設特別
措置法
とかいった
よう
なものは、みんな当然
法律
上除外されるわけでございます。 それから今の預託の
関係
は、これは全然
関係
ございません。預託ですから、預金の預託で、これは労働金庫であろうが、県信連であろうが、いろいろたくさんあろうと思います。そういう問題も全然
関係
ございません。
加瀬完
28
○
加瀬完
君 次の点をお伺いしますが、二十七条の後段に、「
自治庁長官
は、
市町村
の
負担
すべき金額に係る土木その他の建設
事業
を所掌する各大臣にあらかじめ協議しなければならない。」という一項がつけ加えられておりますね。
小林與三次
29
○
政府委員
(
小林與三次
君) ええ。
加瀬完
30
○
加瀬完
君 これは
現行法
の「
自治庁長官
は、前項の
異議
の申立を受けた場合において特別の必要があると認めるときは、当該
市町村
の
負担
すべき金額を更正することができる。」というものから見ると、今までは、
自治庁長官
によりまして
市町村
の利益が代弁されるという
よう
に読み取れるわけでございますが、今度は国の意思を
市町村
に
自治庁長官
が仲介するという位置に変化してくると読み取れると思うのです。これは
地方団体
にとってはまことにおかしな話だと思う。今までは
地方団体
の意思というものが
自治庁長官
によって代弁されるという形をとってもらっておったものが、今度は、
自治庁長官
は、
市町村
の
負担
すべき金額にかかる土木その他の建設
事業
を所掌する各大臣に協議をするということでありますから、これは
関係
大臣の、あるいは
関係
各省の意思というものが
自治庁長官
によって仲介されるという形になって、どうも
地方
の自立性といいますか、自主権というものは、むしろ国から干渉される度合いが強くなってくるというふうに読めると思うのです。こうなって参りますと、いろいろ御
説明
がありましたにかかわらず、どうも
地方
に対する国の
財政
の主導権というものが強化される
よう
になりまして、
地方
の
団体
日体の
財政
に対する自立性というものは、国の力で押えられてくるという形にならざるを得ない、どうもこう考えられてならないのです。この点どうですか。
小林與三次
31
○
政府委員
(
小林與三次
君) この二十七条の四項の
改正
は、全然そういう
趣旨
ではないのでございまして、これは要するに、
都道府県
が
市町村
に分担金をかする場合に、
市町村
がその分担金に
異議
があるときに、
自治庁長官
に
異議
の申し立てをやる。今お話しの
通り
、
自治庁長官
は、
市町村
の立場も考えて
調整
をする、こういうことになっているわけであります。そこで問題は、
府県
がその
経費
を
市町村
に
負担
させる場合には、先ほどもちょっと申し上げました
通り
、
府県
の単独の
仕事
の場合もこれはありますが、何と申しますか、
府県
の知事が国の
機関
としていわば
仕事
をやる、そうして国の補助を受けて
仕事
をやる、こういう場合も少くないのであります。たとえば、河川の改修の
仕事
などになれば、みなそういうことになろうと思います。そういう
仕事
について補助金もつき、まあ
建前
上は国の
機関
として知事がやる、こういう
よう
な
仕事
については、
市町村
にさらに
負担金
を課する場合がこれはあるわけであります。そういうときに、
市町村
と
府県
との
負担金
の問題になってくると、それぞれの所管省が、自分の
機関
委任
事務
、そういう解釈が成り立つと思いますが、そういう
事務
で自分が補助金、
負担金
を出している
仕事
についての、
仕事
の末端の問題でありますから、私は、自治庁だけでやってもそれはよいと思いますが、各省の
意見
も、所管省の
意見
も聞いて、
府県
と
市町村
との間の話をつけるということの方が、行政の
運用
としては妥当、円滑になるのじゃないか、こういうだけの
趣旨
なのであります。これによって自流庁長官の立場が左右されるとか、
市町村
に対する立場が弱くなるということは、全然私は御心配は要らぬと思います。
加瀬完
32
○
加瀬完
君 三十七条は
都道府県
の建設
事業
に対する
市町村
の
負担
なんですね。それを一々建設
事業
を所掌する各大臣に協議をするということは、それらの
仕事
が、おそらく
都道府県
の行う建設
事業
であっても、五カ年計画なりその他の国土計画なりによる大規模な土木その他の建設
事業
という形で現われてくるということを予想して、こういうことをやられておると思うのです。しかし
都道府県
の行う建設
事業
で、間接には
関係
があるが、直接に
経費
その他の
関係
が
関係
大臣にない事項だってたくさんある。それまでも一々何ゆえに所掌する各大臣に協議をして
負担
をきめなければならないということになるのか。現在の二十七条ではそう読み取れるのです。それは、
自治庁長官
が更正決定をするときに、長官として、行政的な立場で、必要があれば各大臣に協議をすればよいことなんであって、それを何も法文に明らかにする必要は
一つ
もない。今までも必要があれば、それは行政的にそういう作業は行われておったと思う、過程において。それをここに
条文
で明らかにするということは、結局五カ年計画なり何なりというものをどこまでも下に背負わせていこうという意図があるからこういうことになるのじゃないかということまで疑われてくる。一体現状でいいものを、なぜ一項ここへ加えなければならなかったのか、もっと大きい問題は、
府県
単独の
事業
であるものにまで
関係
大臣の協議がどうして要るのか、これは自治権の侵害だと言っても過言でないと思う。この点どうですか。
小林與三次
33
○
政府委員
(
小林與三次
君) 私は、今の
加瀬
委員
の後段の御議論は、率直に申しましてきわめてごもっともだと思うのでございます。まあ
現行法
もないんだし、入れる必要もないのではないか。やれば事実上行政上の
措置
でいいじゃないかということは、その
通り
であります。ただ、今度の
改正
では、
都道府県
が行う以外に、
都道府県
の
機関
を入れて、要するに
機関
委任
事務
についてもこの
規定
を働かせ
よう
、こういうことにいたしたものですから、
都道府県
の
機関
を入れるということになるというと、いわば
機関
委任
事務
——理屈はいろいろ立つでしょうが、国の
事務
になる。おまけにそれにつきまして国の補助金や
負担金
が加わってくる
仕事
の方が大半でございまして、そういう場合に、それぞれの
事業
の主管省というものがある以上は、その主管省に相談をしていいじゃないか。要するに問題は、
府県
あるいは
府県
知事が
仕事
をする場合に、その
経費
の一部をさらに
市町村
に負粗を命ずる。その場合に、
市町村
と話しがつけば問題がないのでございますが、今度まあ
政令
で
基準
を定めますから、大ていはつくと思いますが、それでもなおかつ問題のあり得ることがある。そういう場合には、その
事業
のやはり主管省がある限りは、その主管省にあいさつをしてでもいいじゃないか。こういうことで入れたのでございまして、
自治庁長官
は何しておるか、こういう御議論もごもっともでございますが、
事業
省の立場も考えまして、こういう
規定
を入れることにいたしたのでございます。
加瀬完
34
○
加瀬完
君 それは行政的にやれるじゃないか、何もここで一条入れなければならない
理由
はないだろう。それから、広義に解釈すれば、つながらないものはないわけですけれども、少くも責任の
所在
は、
都道府県
においてはっきりと責任のあるという形で行われる建設
事業
についても、
関係
大臣に協議をしなければならないという
理由
はおかしいと言うのです。自治法の
建前
からいってもおかしいと言うのです。非常に形式論になりますが……。
小林與三次
35
○
政府委員
(
小林與三次
君) これは私は、つまりその河川法なら河川行政については主管大臣が建設大臣ですから、河川行政は国の補助があるもの、ないもの、要するに河川法に基く
仕事
全般につきましては、末端に至るまで建設省が主管省として発言権を持つということは、まあ今の組織法の
建前
からいって私は別におかしいというわけにもいかぬと思うのでございます。ですから、
道路法
なら
道路法
の適用のある
道路
につきましては、それはやっぱり
道路
の主管大臣に相談をする、こういうことにこれはいたすのでございまして、おまけに、これの起ります事例と申しますのは、要するに県が
市町村
にやって、
市町村
がそれについて文句のある特別な場合でございまして、まあ本直に申しまして、こんな場合がどれだけあるのか、今までこの二十七条の四の発動になった事例は、率直に申しまして、全然記憶がございません。記憶がないのだから、どうでもいいじゃないかということにもなるのでございますが、
都道府県
の
機関
を入れることにいたしましたものですから、各省の、それぞれ
事業
省との折衝の過程におきまして、まあ
事業
省の立場も考え
よう
ということで、こういう結論になったのでございます。
加瀬完
36
○
加瀬完
君 この
財政法
の基本的な考え方といいますか、考え方の基本は、第二条にありまする
よう
に「
地方公共団体
は、その
財政
の健全な
運営
に努め、いやしくも国の政策に反し、又は国の
財政
若しくは他の
地方公共団体
の
財政
に累を及ぼす
よう
な施策を行つてはならない。 2 国は、
地方財政
の自主的な且つ健全な
運営
を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は
地方公共団体
に
負担
を転嫁する
よう
な施策を行ってはならない。」、これに尽きておると思うのです。こういう性格が各条項の
改正
に至るまでも推進されているというなら話はわかりますがね……。今まで
現行法
でも支障なく行われておったという前提があるにもかかわらず、わざと
関係
大臣と話し合いをしなければならないという一条を入れるというのは、一体これは自律性というものをそこなわないということになるのか、あるいは
地方公共団体
に
負担
を転嫁する前提ではないということになるのかということが疑問として出てくるのです。というのは、二十七条の二に「
法律
又は
政令
で定める
基準
に従う
よう
にしなければならない。」という項百が入っている。
負担
するかいなかというものを、形式的に厳密に考えれば、
負担
をするかいなかというものは、
市町村
みずからがきめていく問題です、これは。で、
政令
や
法律
できめるものは、当然
市町村
がそれを喜んで受け入れるであろうという、
受益
性というものが前提になるから、
法律
や
政令
で
市町村
の
負担
分をきめられるということになると思うのです。こういう本体を初めから
法律
や
政令
で縛ってしまって、自治体の
負担
というものを国がもうきめてしまう、それじゃ
法律
、
政令
できめて、こういうものでやるものだ、
負担
をしなければならない、
異議
を申し立てても、
関係
大臣と話し合いの結果だから、お前らの
異議
は通らないぞ、こういうがんじがらめにして、自治体が主体で、
道路
計画でも土木計画でも建設
事業
が進められるというのが自治法の本体でなければならないにもかかわらず、国の計画をまず推進するために、国の計画が推進しやすい
よう
に自治体をがんじがらめにしていく。これは私は
財政法
の考え方からいけば、はなはだ背反していると思う。こういう考え方がどうも前提にある
よう
に思われてならないのです。 たとえば、
政令
で
基準
をきめるという、いわば
政令
基準
の問題がありますけれども、これも
政令
基準
をきめただけで、各
市町村
あるいは
府県
の住民の要望が、その
政令
基準
にぴったりと合うかどうかということが非常に問題だと思う。たとえば、議会できめたものを、さっき例に出しましたが、議会の意思というものにかかわりなしに
政令
できめる、これはかりにきめ方が、
政令
できめた方が手っとり早く、いい方にまとまるにしても、自治体の性格としては、
都道府県
と
市町村
が今までの
よう
なまずい
関係
にあったというならば、まずい
関係
にならない
よう
な
運営
をする
よう
に私は育てていかなければ、自治体というものは育っていかないと思う。お前らがやっていたんではろくなことにならぬから、おれたちがやる、これでやれ。これでは自治体は育たない。ひまをかけても、
地方
議会というものを尊重して、議会できめたものを県が受けて立つ、あるいは県と
市町村
が相談をして
負担区分
をきめる、こういう考え方を育てていかないと——めんどくさいというので、みんな
法律
や
政令
にゆだねるというのでは、自治法の精神にもはなはだはずれてくると思う。しかし、そういう考え方が今度の
改正
法では濃厚に出ておるということをどうもぬぐい去れない、この点御解明を願います。
小林與三次
37
○
政府委員
(
小林與三次
君) これは全く誤解でございまして、そういう
趣旨
は
一つ
もないのでございます。それで、今の
負担金
の問題、ましてや国が
府県
、
市町村
に
仕事
を不当に押しつける、そういうものをチェックし
よう
、これは
財政法
のねらいでもあるし、われわれも一番主張している点であります。国が不当に
府県
、
市町村
に押しつけるのをチェックする。これは国及び国に準ずる
機関
と
地方団体
の
負担
の
区分
の問題だと思います。今度は逆に、
府県
がさらに
市町村
に押しつけていく、率直に申しまして、押しつけていくという言葉に語弊があるかもしれませんが、そういう事態に現になっておるのでございます。これはまた、それぞれの
法律
の
建前
も、しばしばそうなっておるのでございまして、たとえば
道路法
なら
道路法
を見ますと、
都道府県
は「
市町村
に対し、その工事又は維持に要する
費用
の一部を
負担
させることができる。」、こういう分担金の
規定
がございます。そういう
類似
の
規定
は港湾法とか
海岸法
とか、みんなそういう
類似
の
規定
がございまして、
府県
が一方的に
市町村
に
負担金
をかけられるという
規定
があるわけでございます。その場合はもちろん地元の
受益
がございますが、地元にしてみると、なるべく
仕事
をしてもらいたいという気持があるものだから、そこの弱みにつけ込むというと語弊がありますが、しばしば
市町村
への
負担
が非常に無理にかかり過ぎておると、しかも、それが
市町村
によっててんでんばらばらであり過ぎておる。これで
市町村
が非常に困っておるのでございまして、
府県
の健全
財政
は
市町村
の赤字で保っておるのだ、そういうふうな批判をする場所さえ現にこれはあるのでございます。これは私はやっぱりおかしいのでございまして、
府県
がやるべき
仕事
は
府県
の責任においてやるというふうに、現に
財源
の配分だってみな考えておるわけでございまして、
市町村
のことまで考えてやっておるわけじゃこれはありません。そこで、しかし、そんなら
市町村
が
受益
しておるのですから、
負担
を出すのが全然間違いかということなら、私はそれは間違いだとも思いません。やっぱり地元として一部の
負担
をしていいと思うわけです。むしろこの
府県
と
市町村
との間の
負担関係
をある程度はっきりさして、そしてある程度の限度をきめましてやった方が、これは私は、
府県
と
市町村
の
財源
を
調整
していくためにも、それぞれの責任をはっきりさせるためにも、その方がいいのじゃないか、こういう実は気がいたすのでございまして、これによってむしろ国の何か押しつけを強化していくとか、あるいは自立性を無理に押しつけていこうというふうな気持はもう全然ないので、むしろその逆のことをやり遂げたいという考えが基本的な考え方でございます。
加瀬完
38
○
加瀬完
君 これは
道路法
のときにも論議になった問題ですが、こういう
政令
などで
負担区分
をきめるということは、その
市町村
なり
府県
なり、その地域に
受益
性が存在するという立場を立てるから、結局
負担
というものが出てくると思うのですよ。しかし、概念的に
受益
ということを考えていいものだろうかどうだろうかという検討の必要があろうと思う。具体的な例を出すと、一番いい耕地のまん中に十何メートルという
道路
を通そうとしても、それはどこか中心地から他の中心地をつなぐというところでは、非常に価値の高い
道路
かもしれませんけれども、その地域にとっては受害はあっても、害を受けたという事実はあっても、将来はともかく、現状においてはなかなか
受益
は及ばないのですよ。たとえば、新しくできた工場地帯と東京とを結ぶということで、海岸に大きな
道路
あるいは鉄道というものを通す、これは客観的情勢からは、これが非常に経済価値を生むかもしれませんけれども、ノリ場ならノリ易、アサリ場ならアサリ場をつぶされる漁民にとっては絶対に
受益
ではない。これはこの地域の者にも
受益者負担
というものをかけるという
建前
をとっておるが、そういうものが
受益者負担
と言い得るかどうか。だから、そういう各地域的に
負担
の
区分
というものを、それぞれの住民の意思を反映して議会できめた形で
負担区分
がきめられなければうそじゃないか。それを
政令
できめる。どうしてそんな
政令
できめられるのか、そんなこまかいものは
政令
でできないのじゃないか。そうすると、どうしても頭を押しつけるという形で
負担
をしなければならないという形になって、
地方
住民の意思というものはそこなわれないかという気持がする、そういう疑問があるからです。それから、もし
財政法
というものをいじるなら、再建
団体
における、当該
財政
再建
団体
の行政について妥当な水準というものを維持するために、どう余った
経費
を振り向けるかということをもあわせて考えなければ、私は行政水準の引き上げという自治庁の看板は、今度の
財政法
のこの法案の中にはあまりに打ち出し方が少いと思うのです。何か
道路法
や何かで長期計画の立ったそれに適合する
よう
に
財政法
をだいぶ変えておるけれども、問題の再建
団体
などにおける行政水準の引き上げについて、
財政
的な
経費
はどういうふうに振り向けるのかということは、何にも考えられておらないということになりますと、私は非常に困ると思うのです。 もう
一つ
は、もし
財政法
をいじるならば、行政的な指導はしておる
よう
でありますが、第
四条
の強制割当
寄付
の禁止、こういうものを大きく取り上げて、
財政法
の中でもっとはっきりとさすべきだと思う。第
四条
の違反というものは枚挙にいとまがないが、しかしながら、それが忠実に取り上げられておるかというと、ほとんど不問に付されておる。これは住民にとって大きな問題なんです。こういうことがさっぱり取り上げられておらないということになりますと、住民の側からの
財政法
の
改正
というものは、あまり今度の
内容
としては盛られておらないという
よう
に思われるのです。これらの点はいかがでしょう。
小林與三次
39
○
政府委員
(
小林與三次
君) さっきのあの
受益者負担
金の問題は、もう一ぺん申し上げますが、これは私は
受益
市町村
の意思を全然かまわずに、
政令
で一方的に押しつけるのじゃないのでして、むしろ
府県
が
市町村
の立場を顧みずに
負担
を過当に押しつけ過ぎておる。国の補助が三分の二なら三分の二を持つ、
あと
の三分の一しかないのに、三分の一の
負担区分
のさらに半分以上
市町村
に押しつけたりする事例があったのでございます。それは私はおかしい。
府県
がやる以上は、
市町村
に一部それは持たしてもいいが、それはさっきの問題の残った一割とか二割とか、せいぜいそういう限度で考えるべきだろうと思うのでございます。そういう
意味
で、むしろ
市町村
に押しつけ過ぎるのに
一つ
の限度をきめたい。それなら限度をきめるというと、その限度まで必ず
負担
をさせなければならないかというと、それは
加瀬
委員
の先ほど申しました
受益
の問題でございます。
受益
の、限度はあるにかかわらず、
受益
は一文もない。一文もないのなら、もう取る必要はないのでございます。
受益
があるからといってむちゃくちゃなことをやるということは、私はやっぱり
府県
と
市町村
の
建前
上よくはないのじゃないか、こういう
趣旨
で
基準
を定めたいと考えておるわけでございます。それから、そうならば、いろいろ行政水準の確保という
よう
な問題も当然に考えなくちゃならぬのじゃないかという
よう
な……、これは
仰せ
の
通り
でございまして、われわれといたしましては、むしろ
財政
再建促進法の問題を考えれば、むしろこいつは普通の
団体
から見れば、行政のレベルも落ちちゃっておるのでございますから、われわれは、再建を促進するとともに、普通の
団体
並みにまでは行政が回復する
よう
には、これは
財政
再建計画の
運営
上は、当然できるだけの、最大限の配慮を加えていくべきことは当然だと考えております。これは今度の
財政法
そのものの問題、再建法そのものの問題じゃない。再建法を貴く
運営
の基本的な考え方で、特にまあそういう
趣旨
のことをどうこう言うまでの必要もないのじゃないかと、これは考えておるのでございます。 それからもう
一つ
は、
地方団体
と住民との間の問題が考えられるのじゃないかというお話でございますが、これはわれわれといたしましては、一応
地方財政法
におきまして
四条
の四のこの割当
寄付
の禁止でございますか、この
規定
が現にあるのでありまして、立法的な問題といたしましてはこれで十分じゃないか。問題は、実際問題は、強制的な割当ではないが、なお別な形で金を出させられておるのじゃないかという問題があろうと思います。その
一つ
の問題が、今度再建法を
改正
することにいたしました。国直接ではないかもしれぬが、
公社
、
公団等
が相変らずいろいろな形で
市町村
から金を取っておるという問題がありますので、そいつをチェックいたしたい。それから今度は、
市町村
と
市町村
との住民の間において、当然
市町村
の公費でやるべきものを、いろいろなPTAの会費とか消防の
経費
とかいう形で押しつけておるのじゃないか。これはその
通り
でございまして、その点はわれわれといたしましても、これはむしろ金の問題で解決しなければ、
法律
の問題よりも、
地方
財源
をやっぱり充実さして、そうしてそれができる
よう
にさしてやらなければ、実際はなかなか望めぬのでございます。その
意味
では、今度の
財政計画
では、われわれといたしましても、まあ不十分というか、きわめて不満足の一点が、
一つ
がそこにあるのでございまして、これは今後における
地方
財源
の充実問題のかなめの
一つ
として考えていくよりし
よう
がない。そういう
財源
の保障とかね合せて問題を解決していかなければ、単に
法律
だけで押えても、うまくいうものではないのじゃないかというふうに考えておるのでございます。
小林武治
40
○
委員長
(
小林武治
君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
小林武治
41
○
委員長
(
小林武治
君) 速記をつけて。 それでは、午前はこの程度で休憩いたします。 午後零時十二分休憩 —————・————— 午後一時四十一分開会
小林武治
42
○
委員長
(
小林武治
君)
委員会
を再開いたします。 午前に引き続き、
地方財政法
及び
地方財政再建促進特別措置法
の一部を
改正
する
法律案
を議題とし、
質疑
を行います。
質疑
のおありの方は御発言願います。
大沢雄一
43
○
大沢雄一
君 私は、第
四条
の三、その他につきまして、きわめて
事務
的なことでございますが、少し伺っておきたいと思います。 この第
四条
の三は、
現行法
では
交付税
プラス
基準財政収入額
と、
基準財政需要額
とを比較しまして、そうして著しく前者の方がふえた場合に
調整
をするということになっているために、元来、大体ひとしかるべき筋合いのものでありまするから、ほとんどこの
規定
はあまり働く余地がない。そこで今回、現
年度
の
一般財源
と前
年度
の
一般財源
と比較をして、そして現
年度
が著しくふえている場合に、
年度
間の
調整
をはかっていく、こういう考え方に立っての
規定
ということでありまして、私はその
趣旨
は、
財政運営
の実際からいって適当であると考えているのでありまするが、著しく
一般財源
の額を越えることとなる場合という時期の抑え方、これは予算編成というか、予算補正というか、そのつどそのつどを押えてのことなんでありますか、その抑える時期はいつにしてあるのですか。
小林與三次
44
○
政府委員
(
小林與三次
君) これは結局、
年度
と
年度
との比較でございますから、最終的には最終だと、こういうふうに考えております。
大沢雄一
45
○
大沢雄一
君 そうすると実際は、予算補正は必要に応じてときどきやっていかなければならぬわけでございますね。そうすると
年度
間でやっていく場合には、ほとんどこの
規定
は働かないと見ていいわけですか。
小林與三次
46
○
政府委員
(
小林與三次
君) そうでもございませんで、最初の当初予算から、去年と違ったべらぼうな増収があるということが当然予見される場合があろうと思います。そういう場合は、最初からひっかかってしまうだろうと思います。そうでなしに、最初は去年の程度くらいの予算を組んでおりましても、その後、
年度
の途中でいろいろな自然増収がたくさんあって、そしてふくれ上ってくる、こういうこともありましょうし、そうすれば最終的にふくれ上ったときからひっかかる、こういうことになるだろうと思います。
大沢雄一
47
○
大沢雄一
君 前
年度
といいますが、前
年度
がわかるのは、予算額でもし押えなければ、これは決算で押えるほかない。そうすると、予算額と予算額との比較ですか。
小林與三次
48
○
政府委員
(
小林與三次
君) 前
年度
は結局決算でございます。やはり実
収入
というか、実
財源
額で押えるべきものだと考えております。
大沢雄一
49
○
大沢雄一
君 そういたしますと、前
年度
の決算がわかって、そして当該
年度
の金額がそれと比較がとれるということは、これは
年度
の半ばではちょっと私は考えられないと思います。なぜならば、なおその上に
交付税
の全額というものが、これはなかなか
年度
の初め、半ばではきまらない。ことに特交の額は
年度
のしまいにならぬときまらぬわけですから、結局、
年度
の半ばにおきましては大した、何というか、縛られるといいますか、そういうことはないと見ていいわけでないでしょうか。
小林與三次
50
○
政府委員
(
小林與三次
君) 実際問題は、
大沢
委員
のおっしゃった
通り
であろうと思います。途中、後半になって初めて歳入歳出が確定いたしますから、それ以後になって問題が具体化する、こういうふうに考えております。
大沢雄一
51
○
大沢雄一
君 それと、先ほども
加瀬
委員
の御質問の中で論議があったのですが、必要やむを得ない
経費
は充てていいと、こういう
よう
な
規定
があるわけでありまして、まあいわば見方によれば、非常に自主性を阻害した、行き過ぎの
規定
でないかとという
よう
な見方もされないではない。そういう立場からの論議もできるかもしれぬが、むしろ私は、しり抜けという方が近いのじゃないか、こういうふうに思いますが、結局これは、いわば自律的な
規定
、訓示的
規定
とまで言えるのか、あるいは
地方
自治体の
財政運営
の責任者の自律的
規定
という
よう
なものではないかと思うのでありますが、そう解釈していいのですか。それともまた、これはもしこれに違反すれば、何か制裁の
措置
もあるということになるのですか、そこを少しはっきりと伺っておきたいと思います。
小林與三次
52
○
政府委員
(
小林與三次
君) これは今のこの
規定
が何か効力
規定
といいますか、能力
規定
と申しますか——でなかったら、その行為が当然無効になるとか何とかという問題ではもちろんありません。
地方団体
の
財政運営
の
基準
となるべき
規定
でございます。しからば、この
規定
に違反をして何をやっても
地方
は勝手か、こういうことになりますと、これはまた別問題でありまして、これにつきましては、たとえば
地方
自治法におきましても、法令違反等の場合におきまして是正改善の
措置
を命じ得る場合もあると思います。あの
条文
に該当する場合には、その
条文
に基いてそれぞれ必要な
措置
が講ぜられるだろうと思います。それからまた、
地方財政法
でも二十六条の
規定
に該当するかせぬか疑問でありますが、
地方公共団体
が法令に違背して著しく多額の
経費
を支出する、そういう
よう
な場合におきましては
交付税
につきまして特別な
措置
を
規定
しております。こういうふうなそれぞれの
条文
に該当するという
よう
な場合におきましては、それぞれの
条文
によって
措置
ができ得る、こういうふうに理解いたしております。
大沢雄一
53
○
大沢雄一
君 しかし、その他必要やむを得ない
理由
によって生じた
経費
という——実際に必要でない
経費
ということは、これはちょっと
理事
者の側からいえばない。この必要やむを得ないと認める、何といいますか、認定権といいますか、それが
理事
者にある以上は、私は今の三十六条だとか、その他さっきあげた
よう
な法令違背の
規定
とかという
よう
なものは、ちょっとそれに該当するかどうかということを非常に疑問に思いますが、そこはどういうふうに解釈しますか。
小林與三次
54
○
政府委員
(
小林與三次
君) これはごもっともでございまして、どうせ個々の認定の問題が私はあろうと思います。そういう
意味
におきまして、
地方団体
の自主的な判断というものが
一つ
の基礎になろうと思いますが、これもおのずから、私は
運用
上と申しますか、解釈上限度があるのでありまして、要するに当初の予算で前提になっている
仕事
というものは大体きまっております。それから、途中で起りました
仕事
におきましても、
ほんとう
にのっぴきならぬ、ほとんど義務的で、ほっておけぬかどうかという
仕事
も、おのずから私はそれぞれの
団体
の経験上きまっておる問題だろうと思うのであります。それで多少それが十万円、百万円ふえたとか少いとかいうこと。で、われわれも議論をする必要がこれはないと思うのでございまして、明らかに、めちゃということは語弊がありますが、法の
趣旨
を逸脱しておるという
よう
な、こういうふうな場合についてだけ、自治庁としてしかるべき
措置
を考えれば、私はそれで十分だと、こういうふうに考えておるのでございまして、自治庁といたしましては、この
運用
につきまして、事前に必要な指導だけは十分にいたしたいと考えております。
大沢雄一
55
○
大沢雄一
君 先般ある新聞紙で、
地方団体
の、何といいまするか、
事業
に対する住民の批判を集めた記事を見たことがあるのですが、その中で、人気取りのための
事業
が非常に多いので、
地方財政
が非常に悪くなっているというふうに住民から批判されているものが非常に多かった
よう
に記憶しているわけです。最近も——それ自体をとってみれば、それぞれ
理由
があると思うのでありまするが、ただ、その
地方団体
でやるのに適当であるかどうかという
よう
なことの検討や考慮をされずに、たとえば
地方団体
で、国の方さえそういうことができないのに、
ほんとう
の形ばかりの、
財政
の悪いところで養老年金という
よう
な名前のものを、ただあるものに金をくれる、あるいは母子年金という
よう
なことで、どうも少しそういうことがいわゆる人気取りで、進歩的というふうな町村長あたりで、どうもきそってそういうふうな、ただ金をやるというふうなことを、これは私流行すると……、それ自体は悪いことじゃありません。国の方が必要なことをやらないから、一面そういうことが出てくるのだと思いますが、しかしこれは、徹底して町村でやることはとうていできないし、もっとそれ以上に、
地方団体
としてやるべき
仕事
が山積しておるにかかわらず、そういうものがいわば一種の流行的な傾きがあるんじゃないかということを、それ自体反対じゃありませんけれども、必配しておるわけです。その他必要やむを得ない
理由
によって生じた
経費
の
財源
というものに、今の
よう
な
団体
のものは、こういうところに入るんですか。入らないのですか。
小林與三次
56
○
政府委員
(
小林與三次
君) 私はそういう
経費
はここへは入らぬと思います。それは
一般
の
財源
の中であんばいすべき
経費
だと思います。
大沢雄一
57
○
大沢雄一
君 この問題については、私はそれだけにしておきます。
事務
的な必要からの御質問でありますので。 それから、その次は
債務保証
の
制限
の十二条の二の問題でありまするが、ここで「会社その他の
法人
に対し、」云々たということになっておりまするが、個人に対する
債務保証
についてはどういうことになるんでございましょうか。
小林與三次
58
○
政府委員
(
小林與三次
君) 個人につきましてはどうするかというのが、いろいろ議論があったのでございますが、
特定
の
法人
に対してやるんなら、
特定
の個人に対しても同じ問題で、同じ
趣旨
の
規定
を設けるのが、理論が一貫しているんじゃないかという議論があったのでございます、われわれも
趣旨
は同じ問題だろうと考えておりますが、
現実
の問題といたしましては、個人につきまして、そうそれほど一々やかましく言うほどの問題もなし、それからこの
規定
のもとが、先ほども申しました
通り
、現にあります
法人
に対する
政府
の
財政援助
の
制限
に関する
法律
をこちらへ引くことにいたしましたこともありましたので、
規定
の上からははずして、
あと
は
法人
に対してさえするから、個人につきましても同じ
よう
な問題に考えるべきだという
よう
な
意味
の指導でいいのではないか、こういう考え方を持っておるのでございます。
大沢雄一
59
○
大沢雄一
君 これまた個人に対するやはり
債務保証
というのは、
地方団体
は相当自主性があるわけですね、これはやはり
法人
に対してやるなら、個人に対してはなおさら注意しなければならぬ、たとえば身元
保証
は、個人に対する
債務保証
になりますか。
小林與三次
60
○
政府委員
(
小林與三次
君) 大ていは相手が
法人
でして、個人のためにやりますが、実際は相手が
法人
の場合に多いのでございます。身元
保証
でも、個人の使用人のためにやる場合は、もちろん個人に対してということになりますが、
法人
に使われるのに、ある個人の身元
保証
をやるのは、みんなこの
条文
が問題になるわけでございます。そういう
意味
で、実質的に
法人
に対するものを押えれば、そう
財政
の立場からいえば、もう必要にして十分ではないかと、こういう判断もとったわけでございます。
大沢雄一
61
○
大沢雄一
君 「会社その他の
法人
」という中には農協の
よう
なああいうふうな
団体
は入りますか。
小林與三次
62
○
政府委員
(
小林與三次
君)
法律
的にはそういう
団体
はみんな入ります。
大沢雄一
63
○
大沢雄一
君 それから従来、
法律
で
保証
の根拠があって
保証
されているものも、先ほどいろいろ例をあげられた
よう
ですが、従来のものはそのままこれを認めていくということであっては、私はこの
規定
の
趣旨
というものは、これは半分しか達せられないのではないか。従来のものもこの精神に従って検討をしまして、改むべきものは改めるというふうにしなければ、この
規定
を作った
趣旨
は達成されないかもしらぬと思うのですが、それはどういうふうに考えますか。
小林與三次
64
○
政府委員
(
小林與三次
君) それはごもっともでございます。ただこれは、現にやっておるものにつきましては、
団体
と個人との間における、あるいは
法人
と
団体
との間における
契約
もできておるものでございますから、そういうものをひっくり返すわけにはいかぬじゃないか、これはその
あと
更新すると、こういう段階になれば、当然この
法律
の
趣旨
によって
運用
をしていく、こういうふうに考えております。
大沢雄一
65
○
大沢雄一
君 そうすると従来
法律
の根拠になったものでも、
契約
を更新するときには、これは当然に続けられるということではなくて、たとえば
自治庁長官
の認可を受けなければならぬとか何とかいう
よう
な
規定
の仕方に、
制限
になるのですか。
小林與三次
66
○
政府委員
(
小林與三次
君) ちょっと合言葉が足りませんでしたが、
法律
か
政令
で当然に認めておるものは、これはただし書きで当然にはまるわけです。
法律
で
債務保証
を初めから前提にしておる場合もあり得るのですから、それでなしに、それ以外について任意にやっておるものにつきましては、その
契約
の有効期間だけは
付則
で、
経過措置
で認めることにして、それ以後の問題は、全部
条文
によって規制を受ける、それについてはこの
政令
で、
自治庁長官
の
承認
を受けた場合においては差しつかえはないという
規定
を一項入れる考えでございまして、必要のものは、必要な限度において
承認
する扱いにいたしたいと思います。
大沢雄一
67
○
大沢雄一
君 そうするとまた、さっきの問題になるわけなんですが、従来、
法律
で認められておるもの、これはその
法律
が変えられるまで、それは検討して、その
法律
を直していくという
よう
な考え方はないわけですか。
小林與三次
68
○
政府委員
(
小林與三次
君) これは先ほどちょっと申しました天災融資法とか農業改良資金助成法とかいった
法律
の場合の問題でございまして、
法律
の今後
改正
問題として論議すればする余地のある問題があり得ると思いますが、いろいろの
理由
でできておるものでございますから、直ちにこういう
法律
をどうこうというところまでは、今のところ考えておりませんが、研究いたしたいと思います。
大沢雄一
69
○
大沢雄一
君 私くどい
よう
ですが、やはりこの
規定
を作る
趣旨
からいうて、私は現在
法律
で認められておるものも、この機会に再検討をして、そして変えなければならぬものはその
法律
を
改正
していく、なるべくこれは
改正
して、
地方団体
が
補償
する、あるいは利子
補給
するという
よう
なことは、これはもうできるだけ少くしぼっていくということでなければならぬ
よう
に考えるわけでありまして、現在ありまする
法律
で、何か将来これを変えていくというふうな考え方のものはまだございませんか。
小林與三次
70
○
政府委員
(
小林與三次
君) これは
大沢
委員
のおっしゃいました
通り
、利子
補給
につきましては私は
現行法
のものでもいろいろ問題があろうと考えております。先ほど
一つ
の例として天災融資法をあげましたけれども、このこと自体についてはわれわれは賛成していい面もありますが、その中身、実体等につきましては、検討してもらいたいという節がこれは少くないのでありまして、われわれといたしましては、機会のあるたびに合理的な線に持っていく
よう
に考えたい、そういうふうに存じております。特に、議論になっております中小企業協同組合法にもそういう問題がこれはあり得るのでございまして、そういうものをどういうふうに検討するかという問題も、将来の問題として検討いたしたいと存じております。
大沢雄一
71
○
大沢雄一
君 それから、直接この法案には
関係
いたしませんが、
府県
が
市町村
から
寄付
を受ける場合、こういうふうな場合には、何といいまするか、第
四条
の四でございますか、これは相当規制されておるはずでございまするが、割当でなく、自発的な形でその
寄付
を受けるという
よう
な場合には、これは何らか
制限
をされるという
よう
なことはこれはないのですか。
小林與三次
72
○
政府委員
(
小林與三次
君) 自発的な、
寄付
というのは、私は二つあろうと思います。
ほんとう
に大ていのものは
府県
の
仕事
に関連を持って、実質的には
負担金
であるという場合だと思います。たとえば、高等学校を建設する場合の敷地代とか何とか代を
寄付
させろ、こういう
よう
な問題があろうと思います。こういう問題は、今度新しく入れます二十七条の二という
規定
で、ある程度
基準
がきまってくると思います。それからそうでなしに、もう全く純粋な、そういうものにかかわりのない
寄付
というものも、これは理論上あり得ると思いますが、それは現在、赤字
団体
につきましては
寄付
制限
の
法律
がございますので、そこへ相手側
府県
の方も当然入ってきて、規制を受けることになっております。
大沢雄一
73
○
大沢雄一
君 実際に
負担金
等の
内容
を備えている
寄付
をする場合には、何といいますか、国庫の補助の
関係
その他から、
一般
寄付
という
よう
な形で、何の目的かわからぬ
よう
な形で
寄付
をされて、そうしてそれが
財源
に回ってきて、
府県
の
負担
分に充てられる、それで国庫補助金は
規定
の
通り
もらうという
よう
なことが、御承知の
よう
にずいぶんあるわけです。こういうふうなものを何とか規制していかなければ、私は正しい姿にならぬと思うのですけれども、それについてはどこか規制ができる
よう
なあれがありますか。
小林與三次
74
○
政府委員
(
小林與三次
君) これは、大ていの建設
事業
の場合は、今度入れる二十七条の二で、建設
事業
の場合は全部まず規制できると思います。それからそうでなしに、それ以外の
費用
負担
を乱るということが、先ほど申しました再建法で
一般
の赤字
団体
についての
寄付
制限
の
規定
がございますから、これでもひっかかります。それから、なお今度新しく入れます二十八条の二も、これはそのために役立つ
規定
でございまして、要するに、
府県
が当然に法令で
負担
すべき
経費
について、
市町村
に何らの、名義のいかんを問わずに金を出させる、それは結局
負担区分
を押しつけて、転嫁するという形に結局なるのでございまして、二十八条の二でもこれはひっかかるだろうと思っております。
大沢雄一
75
○
大沢雄一
君 これが
特定
の
事業
に対する
寄付
とかいう
よう
な形ならばこれにかかります。私の今言うのは、それにかからぬ
よう
な、
一般
寄付
として出されるわけなんです。どうもそういう場合の何か抜け穴がある
よう
に私思うのです。
小林與三次
76
○
政府委員
(
小林與三次
君) 私は大ていは何かの目的はあろうと思います。
ほんとう
に
一般
的な
寄付
をやるというのは、ほとんど
市町村
が
府県
に
財源
を献上する
よう
な問題になろうと思いますが、これは率直に申しまして、今までの
規定
でははっきりいきません。しかし、こういう
規定
の
趣旨
によって、その点は強く指導して参りたいと思います。
大沢雄一
77
○
大沢雄一
君 それから、住民に割当
寄付
を取ってはならないという
規定
がありますが、この
意味
の住民は、
一般
住民をさすのですか、それともまた、たとえばPTAというふうな特殊な
身分
を持っている住民、そういう住民から
寄付
を取るという
よう
な場合には、この
規定
には直接該当しないのか、それともまた該当する解釈か、該当してもほうっておくということなんでしょうか。
小林與三次
78
○
政府委員
(
小林與三次
君) これは住民でございますから、
一般
の住民だろうが、
団体
の住民だろうが、私はみんな入ると思います。ただ、今お話しのありましたPTA、こういうものは面接そこへ入るかというと、むしろPTAという組織が会員に割り当てるという場合がありまして会費として取る、こういう
よう
なものはこの
四条
の四に当然入るかといえば、疑問だと思います。これは
市町村
が要するに直接に割り当てる場合でございますから、その点は少し問題があろうと思います。
大沢雄一
79
○
大沢雄一
君 一番住民が困っているのは、直接
市町村
が割り当てるという形をとらないで、たとえば学校改築期成同盟会とか何とか、形だけの
団体
を作って、そうしてそれが父兄とかあるいは卒業生とかいうものに強制的に割り当てて、そうしてその
団体
から
寄付
という形になってくるわけですね。そうすると、そういう場合が抜け穴になっているというなら、それは何とかしなければ私はおかしいのじゃないか、こういう有名無実な、抜け穴のわかっている
よう
なものをほうっておくということは非常におかしいのじゃないかと思いますが、どうですか。
小林與三次
80
○
政府委員
(
小林與三次
君) これは全くごもっともでございまして、結局それは、かりにきめるとすれば、
市町村
の公費で当然
負担
すべき
仕事
の線を引いて、その
仕事
については一切、どんな名義を闘わず、一切の金は
市町村
自身が出せ、個人から取ってはいかぬ、こういう形にしなければいかぬだろうと思うので、割当とか
寄付
とか、任意であろうとか選ばすに、そういう
仕組み
にしなければ、これは私は抑えられぬだろうと思います。そこで、そこへ行くのが私も理想だと思います。その問題は、結局、
市町村
の
一般財源
がやっぱり不十分であるという問題もございまして、われわれとしては、率直に言って、そこまで踏み切れるわけにもいかなかったのであります。任意にやるというもまで押えるというためには、もう必要にして十分な
財源
が
地方団体
へ与えられておるという前提に立たぬというと困難なものでございますから、ことしの
財政計画
では、非常に残念でございましたけれども、そこまでの踏み切りがつかなかったのでございまして、今後の問題としてそういう方向に研究を進めたいと思います。
小林武治
81
○
委員長
(
小林武治
君) 速記をやめて。 〔速記中止〕
小林武治
82
○
委員長
(
小林武治
君) 速記を始めて。
成瀬幡治
83
○成瀬
幡治
君
大沢
委員
も質問しておいでになったのですが、十二条の二の「
法律
又は
政令
で定める場合は、この限りでない。」、この「
政令
」なんですが、当局においては、研究しておいでになればどんなものか、承わりたいと思います。
小林與三次
84
○
政府委員
(
小林與三次
君) これは
政令
はまだ具体的に研究しておりませんけれども、いろいろ
法律
を作る過程におきまして、各省にもいろいろ注文も
意見
もあるのであります。先ほど
大沢
委員
が
仰せ
られました、たとえば身元
保証
、こういう個人の身元
保証
などは、今孤児とか遺児とかなどについて就職の身元
保証
などをよく県でやっておるのでございます。こういうものは、私は金からいったら大した問題でもない。
府県
、
市町村
で考えてやっていいものだから、ああいうものは
政令
ではっきりはずしたらどうか、こういうことを
一つ
考えておるわけでございます。そういうことで、事柄がきわめて明瞭で、問題のないものは、もう具体的にはずしちゃうと、それから全部そうもそれはできませんから、たとえば信用
保証
協会も私はその問題の
一つ
だと考えております。信用
保証
協会は、実際は県や市が全部出資をしておりまして、そうして信用
保証
業務をやっておって、ほとんど自分の身がわりに
仕事
をやっておる
よう
な組織でございますから、こういうふうなものも、まああるいははずしていいんじゃないかと思っております。そういうふうにやれるものはやって、最後にはどうしても個別の問題が出てきますので、
自治庁長官
の
承認
を得たものをはずす扱いにいたしまして、個別に支障のないものをはずしていこう、こういうふうに考えております。
成瀬幡治
85
○成瀬
幡治
君 火災共済はおっしゃる
よう
に信用
保証
協会の中に含まれておる、こう解釈していいのですか。
小林與三次
86
○
政府委員
(
小林與三次
君) 火災共済は当然信用
保証
協会の中には入っておりませんが、火災共済につきましては、先ほど
大沢
委員
からお話もありましたが、これは現に
保証
しておるケースが相当ございます。現にやっておるものはもちろん認めぬといけませんし、それから、その他新しい問題につきましては、どうしても必要やむを得ぬという
よう
なものは、必要な限度において私は考えていいんじゃないか、こういうふうに存じております。
成瀬幡治
87
○成瀬
幡治
君 この問題は、御承知の
よう
に中小企業
団体
法が成立し、それにからんで中小企業等協同組合法の一部
改正
で火災共済が入った。その成立の経緯にかんがみて、今おっしゃる
よう
に、現にやっておるものは、これは当然のことだと思いますけれども、これから、四月一日から施行されるのですから、それ以降が非常に問題になってくるわけです。その成立にからんで、自治庁がそれを認める認めないと、個々の問題についてそういう態度で臨もうと考えておいでになるのか、先ほど申しました
よう
な、成立の
経過
等にかんがみて、火災共済については
一つ
、
地方団体
がそれを
承認
した場合は、
一つ
形式的に
承認
を与えていこう、こういう御態度なのか、そこを
一つ
明確にしておいていただきたい。
小林與三次
88
○
政府委員
(
小林與三次
君) 火災共済につきましては、あの法案が通るときに、何か当
委員会
におかれても特別な御
意見
があったのでございまして、当然に無
制限
に理屈なしにというと、たとえば秋田県の事例の
よう
に非常に問題が起ることがあろうと思います。それでございますから、これはやっぱり、それぞれの限度と必要というものがそれはあるのじゃないかと思います。で、そういう必要な限度で必要な条件を備えるものにつきましては、
地方団体
の
財政
の
運営
にも支障もなし、それからまた、その
仕事
が
地方団体
の公共の
仕事
を遂行していくために、行政上どうしても必要だというものにつきましては、その限度で私は認めていっていいのじゃないか、こういうふうな考えを今持っております。
成瀬幡治
89
○成瀬
幡治
君 この問題、私は明日
一つ
大臣に対してお尋ねをしておきたいと思います。で、局長の方からも、
一つ
大臣とも十分火災共済の問題についてはお打ち合せを願っておきたいと思います。 次に、あなたの方が、再建
団体
の例の給与の問題について、何か四月二十日までに回答をという
よう
な通達をお出しになったと承わっております。で、この前から
小林
局長の話を聞いておりますと、再建計画に支障のないところに対してはそういうことをさせない、こういうふうに実は聞いておりました。それからもう
一つ
は、国家公務員よりも給与ベースが高いところは、これは
一つ
考えてもらわなければならない、こういう
よう
な二点の
理由
と申しますか、
基準
を示されておったと思いますが、その後変っておるのか、今申しました
よう
な二点が
基準
でいいのか。
小林與三次
90
○
政府委員
(
小林與三次
君) 給与の問題は、今の
仰せ
の
通り
、私の方で議論しておるのは、国家公務員の
基準
よりも高いところの
基準
を作っているところだけを議論をいたしておりまして、国家公務員並みのところは全然問題にしておりません。そこで国家公務員の
基準
より高いところにつきましては、私はこれは再建
団体
である限りはその
基準
並みにしてもらいたい、こういうふうに考えております。
成瀬幡治
91
○成瀬
幡治
君 それじゃまあ九県にお示しになったわけですが、標準と申しますか、あなたの方で押えておられる
一つ
国家公務員のベースと、それから不適当だと指摘されたところのベースが、私は出ておると思います。その資料を
一つ
明日までにお出しが願いたいと思います。その資料に基いてまた
一つ
質問をしていきたいと思います。
小林與三次
92
○
政府委員
(
小林與三次
君) それは資料を差しあげます。私の申しましたのは、もう一ぺん念のために申し上げておきますが、給与条例そのものが高いか低いかという問題が
一つ
、それから
現実
の給与が高いか低いかという問題が
一つ
、私は二つあろうと思います。それで
現実
の給与条例は、私は国家公務員より高いところは、これは条例は全部国家公務員並みに直してもらおう。それから
現実
の給与の問題につきましては、たとえば国家公務員より低いところがあるじゃないか、私は低いところは別に国家公務員並みにレベル・アップしてやるのが当りまえだ、
ほんとう
に低いものがあれば、それは給与の
調整
をして上げてやるのが当りまえだ、こういう考えを基本的に持っております。
小林武治
93
○
委員長
(
小林武治
君)
質疑
は次回に続行することとして、本日は、この程度にいたします。 これにて散会いたします。 午後二時十九分散会 —————・—————