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1958-04-08 第28回国会 参議院 地方行政委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月八日(火曜日)    午前十時四十一分開会     —————————————   委員異動 四月三百委員佐野廣君及び大沢雄一辞任につき、その補欠として中野文門 君及び木村篤太郎君を議長において指 名した。 四月四日委員中野文門君及び木村篤太 郎君辞任につき、その補欠として佐野 廣君及び大沢雄一君を議長において指 名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 武治君    理事            大沢 雄一君            小柳 牧衞君            加瀬  完君    委員            伊能繁次郎君            伊能 芳雄君            館  哲二君            成田 一郎君            本多 市郎君            成瀬 幡治君            松澤 兼人君            森 八三一君   政府委員    自治庁財政局長 小林與三次君   事務局側    常務委員会専門    員       福永與一郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選地方財政法及び地方財政再建促進特  別措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出)     —————————————
  2. 小林武治

    委員長小林武治君) これより委員会を開きます。  まず、委員異動を御報告いたします。  四月三日、佐野廣君、大沢雄一君が辞任され、中野文門君、木村篤太郎君がそれぞれ補欠選任されましたが、翌四日、佐野君、大沢君が再び委員となられました。  以上、報告いたします。     —————————————
  3. 小林武治

    委員長小林武治君) 次に、理事補欠互選についてお諮りいたします。  ただいま報告いたしました通り大沢君が委員辞任されましたので、理事に一名欠員を生じましたところ、大沢君が再び委員となられました。よって、大沢君を理事に指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小林武治

    委員長小林武治君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 小林武治

    委員長小林武治君) 次に、先ほどの委員長及び理事打合会経過について報告いたします。  理事会におきましては、今後の委員会審査日程について協議いたしました。まず、地方財政法案は、今日及び明日で審査を終り、十一日の本会議に上程いたすこととしました。地方交付税法案は十六日の水曜日の本会議に上程することを一応の目途として、十四日、十五日の両日審査を行うことといたしました。委員会日程表は後刻お手元に配付いたしますが、大体ただいま申し上げましたように協議いたしましたので、御了承願っておきます。     —————————————
  6. 小林武治

    委員長小林武治君) これより本日の議事に入ります。  地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案を議題に供します。  本案に対する提案理由説明はすでに聴取いたしておりますので、本日はまず政府委員より詳細説明を聴取いたします。
  7. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の逐条につきまして簡単に御説明申し上げます。  第一番は、地方財政法改正でございまして、そのうち、四条の三を全文改正いたしたのでございます。現在の四条の三におきましても、地方公共団体における年度間の財源調整規定を織り込んでおるのでございますが、この規定はきわめて不十分でございまして、交付税の額が、その基礎になった基準財政収入額より著しく越えた場合に、この金を後年度のために積み立てるか、繰り上げ償還に充てる、こういうよう趣旨になっておるのでございますが、交付税の額と申しましても、結局、特別交付税の額が後半において著しくふえたという事態だけしかカバーできないのでございますが、特別交付税だけでなしに、一般財源自体が前年度よりも以上に伸びる、そういうような場合におきましては、後年度のことを考えまして、ある程度年度間の準備を考えるということが、きわめて財政の健全な運営上必要である、こういうふうに存ぜられるのでございまして、そういう趣旨におきまして、地方団体一般財源額——税国有資産等所在市町村交付金納付金、それから地方交付税の額の全体の合算額が、前年度における一般財源の額を越えます場合におきましてその越え方が、義務費の増はこれは当然考えぬといかぬと思いますが、それ以上に著しく越えた場合におきましては、その金は特別の需要のある場合以外は後年度のために積み立てる、あるいは繰り上げ償還を行う、こういうふうな措置をとることにいたしたのでございます。それで、特別の需要といたしまして、災害がありた場合に経費がふえることがあり、あるいは歳入が減ることがある、その他前年度までの赤字を解消するという問題もあります。それからまた、それぞれの団体におきましては、緊急に非常に必要な仕事も考えられるのでございまして、そういう特定の場合を除きましては後年度のために財源調整に充てる、こういう趣旨規定を置いたのでございます。これにつきましては、もっとはっきりさして義務づけろという意見が一方にありますとともに、これでも行き過ぎじゃないかという両方の意見があるのでございますか、これはむしろ、それぞれの自治団体が自主的に財政運営をやる基本的な方針を明らかにする、この方針趣旨にのっとって、それぞれの団体におきまして、団体のそれぞれの財政情勢を見てこの問題を積極的に考えてもらいたい。その趣旨をはっきりして、これに精神的にというか、実際の運営上義務づける、こういう建前にいたしたのであります。  それで、その金を積み立てた場合におきましては、特別会計を設けて経理をすることにいたしまして、この積立金処分につきまして一定制限を置くことにいたしたのでございます。と申しますのは、これは積み立てることは積み立てるが、取りくずしはもう自由だということになりますと、積み立て趣旨に合いませんので、四条の四におきまして、積立金処分につきまして一定の限界衣設けることにいたしました。これはもうそれぞれの団体によりましていろいろ事情があり得ますので、一応法律上はこの「経済事情の著しい変動等に」よって財源が著しく減少する、こういう場合が一つ考えられるのであります。つまり経済界の一時的な好況によって収入が非常にふえたときに、その金をリザーブしておきまして、不況によって収入が減ったときに使う。これはまさしく年度間の調整の基本的な形でございますので、それを明らかにし、それからなお、緊急に非常に実施することが必要になった大きな仕事が考えられるのでございまして、結局それは、むしろそういう大きな仕事のために財源をリザーブしておくということに一つ財源調整問題点があるのでございます。それと、災害によって生じた経費あるいは減収補てん、それからあるいは、なお繰り上げ償還を行うこと、こういう場合に限って積立金を取りくずすことにいたしたのでございます。  それから七条の改正は、これは現行法にも、地方団体が決算上の剰余金が生じた場合におきましては、その二分の一以上の金を地方債償還財源に充てなければならぬという、国の財政法と同じ趣旨規定が現在あるのでございます。これは現行法では「地方債償還財源に充てなければならない。」、こういうことになっておりまして、これにさえ充てればこれはいいということになっておるのでございますが、この財源剰余金は、使うものならぬしろ地方債の繰り上げ償還に充てるか、しからずんば、先に積立金に合せて積み立てる。そういうふうにしてこそ、ほんとう剰余金の使い道としての積極的な意味がありますので、そういう趣旨に改めることにいたしたのでございます。国の方におきましては大体こういう趣旨運用をやっておられるようでございます。  それから次の十二条の二におきまして、債務保証等制限規定を設けることにいたしたのでございます。これは地方公共団体は現在でも「法人に対する政府財政援助制限に関する法律」というのが、昭和二十一年に出ております法律がございまして、国または地方公衆団体法人に対する債務保証をする場合におきましては、大蔵大臣承認を得る必要がある、こういう法律があるのでございます。これは大蔵大臣が、地方公共団体に対する債務保証につきまして大蔵大臣承認するということも、はなはだ趣旨にも合いませんし、むしろ地方財政運営上の面から考えなければなりませんので、そちらの法律から地方団体の分を削りまして、この地方財政法の中に入れる、こういうことにいたしまして債務保証とともに、債務保証類似損失補償または元利補給を入れることにいたしたのでございます。そもそも公共団体債務保証をしたり、仕事をやったりする場合におきましては、公共的な活動を中心にやるべきであって、特定の個人、法人等に対してやることにつきましては、いろいう性質からいいましても問題もあり得るのでございますし、そういう問題があるのでございますが、いずれにしろ、その大蔵省所管法律のうちから地方団体関係規定を削ってこちらへ持ってくることにいたしたのでございますが、しかし、問題の性質によりましては、これを認めなければ、公共的に活動が十分にできないという場合が当然に考えられますので、法律または政令で定める場合は当然差しつかえがない、こういう建前にいたしたのでございます。  次に、二十七条の規定を若干改正いたしております。これは二十七条の規定は、都道府県の行う事業につきましては、市町村受益者負担をさせることができる、こういう規定があるのでございまして、それにつきまして、二十七条と二十七条の次の条文の二で、この府県市町村負担金を課しますることは、市町村受益のためにもある程度やむを得ない、われわれも必要だという感じがするのでございますが、現在全く府県の自由にまかされておるのでございます。それで、府県によりましてその扱いが全くまちまちでございまして、どう考えても市町村については過当に負担を転嫁しておるという場合も少くないのでございます。それで、この府県市町村との間における負担関係区分を適正にする必要がある。健際は国が財源措置をする場合におきましても、府県がやるという前提で財源措置をしておるものが、みな市町村にしわがいっておる場合もあるのでありまして、むしろ、それぞれの事業につきまして市町村負担をかける場合の基準政令で明らかにするのが筋ではないか、こういうので、その負担区分基準をきめることにいたしておるのであります。それに関連いたしまして、都道府県団体事務としてやる場合もありますし、それから都道府県知事仕事をやって、その費用を全部府県負担する、こういう場合もありますので、二十七条におきましては、府県または都道府県機関を加えまして、要するに団体事務、いわゆる機関事務というものをひっくるめて、負担区分につきましての規定を整備することにいたしたいというので、二十七条をちょっと変え、二十七条の二でその趣旨を明らかにいたしたのであります。二十八条の二は、その精神をさらに明らかにいたしまして、地方公共団体は法令の規定によって経費負担区分が定められている事務については、他の地方団体に対してその負担を転嫁する、そういうふうな負担区分を乱るようなことをしてはならぬということを明らかにしたのであります。この規定は、一番顕著な例が、義務教育職員費ような問題でございまして、これは明白に都道府県負担になっておる。ところが、実際は都道府県も金がないという問題もあるかもしれませんが、地元の市町村給与費負担しておる事例が少くないのでございます。ところが、そうなりますと、市町村負担のためにもよろしくない、身分関係からいいましても、教職員の身分がはっきりしない、恩給等がもちろんつきませんので、まことにあいまいな仕組みになっておるのでありまして、今度、一方におきましては、義務教育職員の定数の標準をきめる法律等が出まして、必要な財源交付税を通じて確保するという仕組みにもかんがみまして、府県で出すべきものは府県で出す、市町村はみだりにそういうものにつきましてよけいな負担を出さない、こういうことをはっきりいたしまして、府県市町村の間における経費負担関係を明瞭にいたしまして、それぞれの適切な財政運用をはかりたい、こういうふうに考えておるのでございます。  以上が財政法改正でございまして、それに関連して、地方財政再建促進特別措置法の一部を改正いたしまして、同法の二十四条におきましては、当分の間国に対しまして地方公共団体寄付をしてはならない、こういう規定があるのであります。ところが、現行規定によりますというと、国に限られておるのでありまして、国に準ずる公社公団、公庫といった類似のものがありまして、それぞれ、やはり国あるいは府県と同じような公共的な活動を展開し、負担関係も明日にしなければ、筋の合わぬものがあるのでありまして、そういうものをひっくるめて、地方寄付負担金を支出してはならないということに趣旨を明らかにいたしたのでございます。ただ、もっとも現行法によりますというと、地方公共団体がその施設を国に移管する場合においては、自治庁長官承認を得れば支出することができることになっておるのでございまして、それ以外は絶対にできぬ仕組みになっておるのでございます。しかしながら、こういう公社公団等も入れますというと、絶対にできぬという仕組みに対しては、また、いろいろ窮屈過ぎるという問題もあろうと思いますので、施設を国に「移管しようとする場合その他やむを得ないと認められる政令で定める場合」におきましては、自治庁長官承認を得て穴をあけるという規定をあわせて考えることにいたしたのでございます。  大体、それが以上でございまして、あと付則におきましては、付則の一項は、施行期日ですから問題がございませんが、付則の二項、三項におきましては、経過措置といたしまして、債務保証とか損失補償あるいは元利補給等につきましては、現に契約中のものがございますので、そういう既得のものをひっくり返すわけにはいきませんので、そうしたものはそのままみな従前の例によって認める。公社公団との間におきましても、地方公共団体との契約において寄付金等を支出しているものにつきましても、経過的にこれを認めることにいたしたのでございます。  それから、関係法律を一部いじっておりますのは、一つは、法人に対する政府財政援助制限に関する法律で、先ほど申しましたように、そこから地方公共団体を削ることにし、それから道路法海岸法地すべり等防止法等をいじっておりますのは、これはそれぞれ法律に、府県がその事業費につきまして市町村負担をかけ得るという規定があるのでございます。そこで、この府県市町村負担区分の問題は、それぞれこういう実体法におきまして負担規定があるのなら、その関係法律政令できめればよいのでございまして、一々財政法施行令にきめる必要もございませんので、道路法道路で始末をする、こういうことで、それぞれの法律条文に、そういうふうに市町村費用負担をさせるような場合には、政令で定める基準に従うようにしなくちゃならないという趣旨で、政令を設けて、基準をそれぞれの法律の中に入れることにいたしたのでございます。こういうことによってそれぞれの法律で書くものは書き、法律でカバーのできないものは、財政法政令を制定することによりまして、負担関係を明らかにいたしたい、こういうふうに考えておるのでございます。大体、以上が今度の改正でございまして、地方財政の問題につきましては、要するに地方財政一般財源をできるだけ必要に応じて確保する、こういう問題がありますとともに、それぞれの団体におきまして、財政運営というものを自主的に長期的に筋を立てていく、時間的に筋を立てていくという問題が一つと、それから、それぞれの団体相互の間における財源の配分と申しますか、財政秩序というものをはっきりしていくという問題が片一方にあるのでございまして、国と地方団体につきましては、現在も相当な規定があるわけでございます。そこで問題は、府県市町村との問題並びに国に準ずる諸機関地方団体との問題、そういうような問題が今日残されている問題点でございますので、そういう問題につきまして、必要な規定を整備いたしまして、これで地方団体といたしましては、それぞれの団体の内部において、また、それぞれの他の団体との関係において、適正な財政運営ができるような基本的な原則を整備、確立いたしたいということが、今回の改正趣旨及び内容でございます。  以上で御説明を終りたいと思います。
  8. 小林武治

    委員長小林武治君) これより質疑に入ります。  質疑のおありの方は、御発言願います。
  9. 加瀬完

    加瀬完君 第四条の三の、地方公共団体における年度間の財源調整という項目内容を改めたということでありますが、前の四条の三は、交付税の額に基準財政収入額を加えて、それと基準財政需要額との差を見て、その差が、非常に基準財政需要額を、前の交付税額プラス基準財政収入額が著しく越えている場合には、その一部を積み立てをし、また地方債償還財源等に充てる。で、翌年度以降における健全なる財政運営措置をするということであったわけでありますし、それから、新しく改められた内容などは、他の地方財政法項目にある場面もあるように思われるのですが、特に四条の三を新しく書きかえなければならなかった理由は、一体どういうことですか。
  10. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 現行四条の三の場合は、今の仰せ通り交付税の額と、その算定に用いられた基準財政収入額との合算額が、基準財政需要額を著しく越える場合、こういうふうに書いてございます。これは、この規定がありますのは、具体的には、要するに交付税というのは元来、基準財政需要額から基準財政収入額を引いたものをこれは配っておるのでございます。ほんとうにこの適用が考えられますのは、特別交付税か、この間のような場合が一番適例かもしれませんが、最初きまっておった以上に、特別交付税が何かの事情でふえた場合以外は、この条文働きようがないのでございます。そこで、その特別交付税が、特別にあとからふえるということは、まず常識上、この前のようなことはありますけれども、非常に希有の問題でございまして、それはおかしい。むしろ一般財源が、税だって非常に異常な税収が伸びるということは、これはあり得るのでございますので、特別交付税に限らず、一般財源が従来の伸びよりも非常に異常に伸びるという場合には、その一般財源を、交付税も税もひっくるめて考えて、非常に伸びた場合には、その一部をリザーブする方がむしろ筋じゃないか、こういうことで、まず目的を変えざるを得ない、この場合を変えざるを得ないということになったのでございます。それからあとは、災害その他の事由というのは、これは大体、その事由をもう少しはっきり書いたというだけでございまして、現行法に書いてありますのは、「災害その他やむをえない事由がある場合を除き、」と書いてございますが、まず、われわれにいたしますれば、そういう事由、この災害だけを考えるということも、またはっきりしない。そこで、できるだけ具体的になるべく列挙して、地方団体におきましても、問題の所在がはっきりわかるようにした方がいいんじゃないか、そういうのが一つ。それからもう一つは、現行法では「超過額の一部を積み立て、又は地方債償還財源に充てる等地方」、債の償還財源に充てればいいと書いてあるのでありますが、地方債償還財源に充てればいいということは、実はあまり意味がないのでありまして、これは毎年々々地方債償還というものはあるのでございまして、これは当然財政計画を考えるし、それぞれの団体でも、普通の既成の予算のワクで考えるのは、これは当りまえなのでございます。こういう異常に伸びた金があれば、むしろ繰り上げ償還に使わせなければ、趣旨が一貫しないのでございまして、そこで、単に償還費に充てろというのをやめまして、むしろ、繰り上げ償還に充てろという趣旨をはっきりさせたのでございます。そういう大体三点において、現行法では不十分なので、積極的に規定することにいたしたわけでございます。
  11. 加瀬完

    加瀬完君 逆に言うと、繰り上げ償還に充てなきゃならないということは、財政法の他の条文でも読み取れるわけだと思うのです。で、交付税の額と基準財政収入額合算額というのは、結局、一般財源の額ということと同じことになるのじゃないですか。
  12. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 交付税の額と基準財政収入額合算額は、普通ならば、基準財政需要額に一致してしまうわけです。普通は、基準財政需要額から収入額の足らぬ部分交付税で補っておるわけでありますから、元来、パーパーになる。それが、さらに合算額がふえるということは、交付税がふえる以外には考えられぬです。基準財政収入額を押えておりますから、現実税収入じゃなしに。それですから現行法は、実際は、要するに交付税が特別にふえる、その交付税が特別にふえるといったら、特別交付税がふえるということしか考えようがないのでございまして、普通交付税がふえるときは、基準財政需要額自体がふえておるわけですから、それでこの規定は、ちょっと窮屈過ぎる規定なんであります。ですから、一般の税が非常に伸びたという場合は、全然これじゃ読めないのでございます。
  13. 加瀬完

    加瀬完君 現行法をきめるときにも、そういう条件というものは別に変っておらなかったと思うのです。それであるにもかかわらず、交付税額プラス基準財政収入額基準財政需要額とを比べる、そういう建て方をしたのは、私は何か意味があると思うのです。それを一般財源と、こういう形に変えてしまわなければならない理由というのは、今までの御説明では、私は明白にならないと思う。基準財政収入額交付税額合算額というのは、基準財政需要額になると思うのですが、なることになるはずだが、実際にはなっておらないわけですね、現実には。たとえば基準財政需要額というものを積み立てて、それで基準財政収入額というものを計算して、その差額を交付税に仰ぐという形をとっておりますけれども、それは各地方団体計算というものと、結局、出てくる結論というものは違ってくるわけですから、地方団体計算通り交付税額がくるということにもなりませんし、また、基準財政需要額そのものでも、地方団体計算通り自治庁でお見込みになるということばかりではないわけです。ですから現行法でも、新しく変えた案でも、結局同じことだと思うのですよ。ことさらに一般財源の額という形にしなければならない理由というのは、どうも今の御説明では、はっきりしないのですが。
  14. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 現行法では、今仰せ通りでございますが、基準財政需要額片一方にきまり、片一方では基準財政収入額があって、その足らぬ部分交付税で埋める。交付税の総額が足らぬ場合は、例の減額調整ですか、調整をして実はやっておるわけでございます。この調整しておるのは、むしろこれは異常な場合でございますが、この調整で埋めた以上に、つまり交付税がふえなければ、現行法動きようがないのでございます。現行法のこの規定でいきますと、交付税の額と基準財政収入額との合算額でございますから、ですからこの規定が働く場合は、交付税年度間の途中で異常にふえたということ以外には考えられないのでございます。この規定ができたときは、たしか交付税の税率が途中でふえたことがあって、その交付税を何に使うのだというようなことが議論になって、どうも沿革的にここへ入れたらしいのでございますが、問題は、その交付税額がふえるか、ふえないか、これは交付団体だけの問題でございますが、交付団体、不交付団体を問わず、団体財政運営というものは、交付税だけの問題じゃなしに、税収入をひっくるめた財政一般の問題でございますから、交付税だけ議論するのはおかしい。むしろ、その団体財政収入一般が、何らかの特殊な事情で、普通の伸びよりも以上にふえる、以上にふえたときは、そいつをそのまま使い切りにせずに、後年度のためにリザーブする、後年度いかなる事態が起るかわからぬのでございますから、リザーブする。こういう考え方の方が、財政運営として、これは当然の筋だろうと思うのです。交付税と要するに税を合わせて、一般で考えて、そしてその伸び工合というものを考えて、財源調整をはかるということにしなければ、これは意味がない、こういうふうに考えられるのでございます。
  15. 加瀬完

    加瀬完君 まあ、それは今度の方が、交付税額基準財政収入額合算額というよりは「一般財源の額」であると、こう言った方が明瞭になりますから、それはそれでいいと思うのですよ。ただ、今度の案によりますと、いろいろ結局、積み立て償還に回す前に、積み立て償還に回さない条件というものが幾つかあげてあるわけですね。その中に、「その他必要やむを得ない理由により生じた経費財源」というのがあるのです。これは具体的に言うと、どういう内容を予想しているのですか。
  16. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 実はこれは、それぞれの団体でいろいろな問題があり得るので、あんまり窮屈にしてもいかぬし、さりとて、ゆるくしたら底抜けになってしまう、こういういろいろ問題があって、苦心をしたのでございますが、かりに考えますというと、年度間の途中で法律が変って、いろいろな経費の支出をやらざるを得ない、こういうことも私はしばしば、現にこれはあるわけでございます。そういう他発的な事由で起る場合も当然に考えられますし、それからまた、それぞれの団体におきましても、まあ災害復旧の問題は前に書いておりますけれども、災害に関連して大きな仕事を、大きくなくても仕事をやらざるを得ないというような場合も、私は当然にあり得ると思うのでございます。そこで、そこの認定の問題は、それぞれの団体で認定してもらうよりしようがないと思いますけれども、ここに列記してありますような、ほんとうに予測できなかった仕事で、しかもほうっておけぬという仕事がきっとあり得るから、そういう場合には金を使っちゃいかぬというわけにいきませんので、ここに書くことにいたしたのでございます。
  17. 加瀬完

    加瀬完君 これは今度のこの改正案全体を見て、まあ財政運営そのものの健全化というものをねらっておる点はよくわかりますけれども、もう一つ、今まで自治庁でもたびたび問題にした行政水準の引き上げといったような点については、このいわゆる剰余金というものの使途というものを何ら配分的な考慮をしておらない。で、特に績み立てをしなきゃならなかったり、特に償還をしなきゃならなかったりする団体は、これはまあどちらかというと富裕団体ではない、貧弱団体の方に類するものが多いと思うのです。過去に行政水準の、他に比べての相当の低位置ということも予想されますし、引き上げしなければならない点も多々あると思う。そういうのには使えないような形で、いろいろあるけれども、まずもって福祉行政といいますか、民生行政といいますか、そういう方面に使うよりも先に、まず償還に充てるのだということだったら、行政水準の引き上げというものはさっぱりいつまでたってもできてこない。なお、七条には、剰余金が出た場合にそれをどうするかというものが現行法にきちんと書かれているのですね。このほかに特別に積み立てをしなきゃならないの、償還をしなきゃならないのと書く必要がどこにあるか。それではあまりにも地方にワクをはめ過ぎるのじゃないかと思うのですがね、この点はどうお考えになりますか。
  18. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これはごもっともでございまして、われわれも、一般財源が伸びれば相当仕事を伸ばすべきだという考え方、全く異存はございません。今の地方団体の状況はきわめて不十分であるということもその通りでございます。ただ問題は、さりとて、結局、地方団体財政運営というものが、ある程度恒常的に自立をさしていかなくちゃならないのでございまして、非常にむらがある。むらがあるというところに財政を危くさせる原因があるのでございまして、たとえば朝鮮ブームなら朝鮮ブームのようなことで、ごそっと収入がある。その収入に応じてそれを使っちまえという形で、財政規模をふくらませますというと、あとが続かなくなってしまう、それが結局赤字のもとになってくる。そういうことではやはり困るのでありまして、やはり団体財政というものは、それぞれ長期的に計画的に運営する仕組みを私はやらざるを得ぬのではないか。低いなら低いなりにそれを考えなかったら、これは動きがつかぬと思うのでございます。そういう意味におきまして、必要な仕事はこれはやらざるを得ない。だからいろいろ抜けを書いたわけでありまして、こんな抜けでは意味がないじゃないか、底抜けで意味がないじゃないかという逆の批判が、率直に申しましてあるくらいにこれは書いてあると思うのでございます。しかし、それにいたしましても、今申し上げました、いろんな一時の景気で収入が入った場合には使っちまって、来年困るということの方が、むしろ大きな問題でありまして、そういうときには、来年の問題も考えて、ある程度ならして使う、ならして使うというところに、こういう団体の健全な財政運営の基盤がある、こういうふうに私は考えられるのでございまして、その筋通を立てたい。そして伸びを、普通の、つまり恒常的な伸びを逐次やっていくように、その伸びに必要な金の使い方というものは、これは一向にかまわぬ、こういう考え方なのでございます。七条の問題は、要するに使っちまった、決算の剰余金でございまして、これがまた、国と地方の場合がえらい違うのでございまして、国の場合は、補正予算を組むということは、これはもうきわめて希有な、しかも限定された場合にしか行われません。とうろが、もう地方では金が入るに従ってもう全部使っちゃう。簡単に言えば、毎月々々と言っちゃあれですけれども、毎県会、追加予算追加予算で仕組みが行われているのでありまして、七条のように、決算剰余金だけを考えろということは、実はきわめてまじめに、良心的に財政運営をやる場合は、それでもいいのでございますけれども、そういうことをかまわずにやるときには、右から左へ使っちゃって、要するに残るものは赤字だけ残すということもあり得るのでございます。そこの金の使い方自体を考えなくちゃ、財政の健全性というものは確立できぬじゃないかというのが、われわれの考えでございまして、そこで、財政の規模というものをあまり過度に、急激に一時的にふくらますというところに非常に無理がある。だから規模自体をある程度合理的にならしていくことを考えるべきではないか、これが四条の三の問題になるのであります。それで、やったあとで金が余っちゃった、決算上の剰余金が出た、その場合に、その余った金をどうするかというのが七条の問題だと、こういうふうに考えているのでございます。
  19. 加瀬完

    加瀬完君 こういうやり方は、何か非常に債務を生じて、銀行管理をされているような会社みたような立場に地方団体が置かれるだろうと思うのですよ。積み立てをしたり、償還財減に充てたりということは、当然常識的な地方運営をしておれば、当然考えられることなんで、一々そういうことまでワクをはめて、これこれこれには使っていいけれども、あと残ったものは積み立てしなければの、償還しなければならないのといって 一体きめるべきものなのかどうかという、私は一つの考え方があると思う。たとえば、積み立てなら積み立てというものを、一応基準を設けて勧めるというのはいいのですけれども、使うことまでもはっきりと条件をつけているのですね。たとえば四条の四によりますと、「緊急に実施することが必要となった大規模な土木その他の建設事業に要する経費財源に」は積み立てたものをも使っていいということになっているわけです。こうなってきますと、たとえば、この間、道路五カ年計画が問題になりましたが、道路五カ年計画のようなものでありますると、国の計画に基いて、地方がやっと積み立てた金をも出して使わなければならない。極端にいえばそういうことになる。ところが、地方独自で民生安定なり福祉行政なりの経費を盛ろうとしても、これはどうしても、今言った道路五カ年計画というものと、今度は民生安定の経費というものは競合する関係になりますから、競合して参りますと、こういう条項があるからには、地方住民の要求が、どんなに福祉行政を要望しておっても、まずその余った金は、道路五カ年計画なり何なり、ここの条項できめられているように先に使われる、こういう形をとらざるを得ないと思います。そうなって参りますと、一体この財政法の二条の二項は一体どうなるのか。たとえば、「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体負担を転嫁するような施策を行ってはならない。」と書いてある。ところが、これによりますと、この間も問題になりましたが、道路五カ年計画みたいなものが、次々と国土計画の名のもとに、地方負担が強要されてきて、それが財政法その他の法律できまってくるということになると、これは好まざるにもかかわらず、地方公共団体が国の負担を転嫁される、見ようによってはそうなってくるわけです。少くもそういう傾向にはなってくると思う。あとにも出てきますが、たとえば、地すべりなんかの負担でも、今までは地すべりなどの団体は、実際はそうでなくても財政の貧困を来たすわけだから、その議会の議決によりまして、府県と話し合いで負担額というものがきまるわけです。これを政令できめるということになりますと、地方住民の要望あるいは地方団体間の協力というものはもう何ら働かなくなって、政令法律できめられた通りにか動けない。これは自律性をそこなうことにもなれば、あるいはあまりにも自主的な、かつ健全な運営を助長するということではなくて、制限するということになりはしないか。こうなってくると一条の二項というものに非常に背反してくるというような見方も成り立つと思いますが、こういう点は、どうでしょう。
  20. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) それはごもっともでございまして、それでわれわれといたしましても、この四条の三、四条の四というものが、もっぱら地方団体自体の自主的な判断にまかせよう。つまり、国が故意にくちばしを入れたり、一々これはこうだとか、こうじゃないとか、その仕事に使っていいんじゃないかとか、悪いんじゃないかとか、一々行政庁の関与するようなことがあっちゃ、これは全く私は行き過ぎじゃないかと思うのでございます。それでこの法律で基本的な考え方を明らかにして、あとはそれぞれの団体の自主的な判断によって、その良識的な運営に待つ、こういう仕組みをとるのが筋だと思うのでございます。そういう意味で、この積立金並びに積立金の取りくずしにつきまして、基本原則だけを明らかにいたしたい。  そこで、もう一つの問題は、そうするというと、民生とか社会福祉といったようなふうな、そういう仕事に金をもっと回すべきものを、この建設事業ようなものに先走っては心配になりはせぬかというお話でございますが、それは、私ももっともだと思いますが、私の方の考えは、いわゆる経営的に、社会福祉とか保健衛生とか、あるいは小規模の建設事業というようなものは、経営的に一般財源の伸びに応じてやるよりしようがないじゃないか、むしろやるべきじゃないか。そこで、これは一般財源の伸びに応じてそうした仕事の充実をはかっていく。ここで問題になるのは、そうした一般的な仕事の流れの上に、特別の緩急ができるように、収入が入った場合に、その収入の始末をどうするか、その歳入を経営的な経費に使ってしまったら、収入がないときには穴があかざるを得ないと思うのでございます。そうでございますから、そういう異常な歳入というものは、異常な歳出を前提にして考えぬといかぬじゃないか、こういうことである。後年度におきましても、災害とかその他経済事情で税収が激減したというようなときにそいつを考える。それとともに、それじゃ積極的な仕事が何にもできないじゃないかということであれば、これも言い過ぎでございまして、たとえば小さい町で、自分の町を通っている橋の建設をやりたい、しかしこれは普通の単年度ではとてもできっこない、そういうような問題があった場合に、そのたくわえた金を使う。これは、もう異常の支出を必要とする、けた違いの財政規模の金であるというようなものがあれば、これは私は使ったって一向にかまわぬじゃないか、こういう考え方があるのであります。そういう特別な歳出のためにその金を使うということが筋じゃないか。これは経営的な支出はあくまでも経営的な収入を前提にしてその充実改善をはかっていくべきだ、こういうふうに考えるのでございます。  それで、今の道路整備五カ年計画の話のごとく、国が勝手に仕事をやって、地方財源を押しつけるのはけしからぬじゃないかという問題は、私はこれは、むしろ国の地方財政に対するその福祉の政策の問題として問題を解決してやらぬで、個々の団体にそのしりを負わせるということは、これは私はかわいそうだと思うのでございます。それでございますから、国が五カ年計画を作って、それに見合う地方財源が必要であれば、国としてその地方財源を確保する、あるいは地方財源の総体の限度において国の仕事というものをチェックする、そういうことで、それはまさしく国の立場でわれわれが始末をしてやるべき問題だと考えるのでございます。そういう国の始末をした範囲内において、個々の団体が個々の団体特有の事情によって財政運営をやる場合の考え方の基準を明らかにする、こういうのが趣旨でございます。  それからもう一つ、地すべり法に県と市町村負担区分の問題が、従来話し合いでやっておったのだからいいじゃないかというお話でございますが、その話し合いの姿は、さっき国と地方について加瀬委員が御心配なさったようなことが、現に府県市町村について行われるのであって、市町村は小さい弱いものであって、弱味になっておる。それで、おそらく府県の一方的意思によって市町村負担が押しつけられるということの方がはるかに弊害が多いのじゃないか、こういうのがわれわれの見解でございまして、そうならば、政令できちっと書くのも行き過ぎであるが、一つ基準だけは考えてみていいのじゃないか、最高限というようなものを押えておいて、そのワク内において県と市町村の相談できめさせるということの方が筋だろう。現に県の仕事を、ところによっては三分の二ぐらい市町村にかぶせたり、半分をかぶせたりしておるところも、これはないのではないのでございまして、県がやるべき仕事ならば県が中心となってやって、市町村には市町村の力に応ずるように、一割とか二割のやっぱり負担の限界にとどめぬと、これは私は市町村の犠牲において県が仕事をする結果になって適当ではあるまい。そういう大ワクだけを政令ではっきりさしたい、こういう趣旨でございます。
  21. 加瀬完

    加瀬完君 一番初めの説明の、積み立てなり償還というものが、正常な形で地方財政運営されているところにはそういうワクを大ぎくはめなくてもいいと思う。問題は再建団体なり、正常な運営になっておらない団体を、早く正常な財政運営ができるようにするために、積立方法なり償還方法というものも講じなければならないという現実の必要があるのです。それならば、地方財政再建法か何かの中にこの積み立てなり償還なりというもののワクを法文で入れるか、あるいは再建法の指導は相当手きびしくやれるわけですから、その行政の指導の中に償還方法なりというものを計画さしていけばいいと思う。一般の正常な運営のできておる団体にまで、何か不正常な運営をするかのごとき前提に立って、そう見られるような形でこういうものを新しく加えるというのは、私は問題があるのじゃないかと思う。  それから次に御説明の、たとえば五カ年計画みたいなものでも、それをなるべく地方財政計画として、地方積立金を持ち出すような形を避けるような方法としてやるというけれども、それならば一体こういうものを入れなくてもいいはずだ。こういうものが入っている限り、少くとも手持ち財源というものをはたかなければならないという前提に立たなければならない。  それから、その次の十三条の二項にいたしましても、地方公共団体がその地方産業の振興なり、あるいは全体の行政運営の上から、いろいろ今まで利子の補給とかあるいは損失補償債務保証といったものをやらなければならないという状態であり、やって効果を上げた具体的な事実もたくさんあるのです。そういうことまで全部とめてしまって、しかしながら、国の計画であるものに対しましては経費財源負担もしなければならないということでは、私は前後の関係からも、どうも地方財政というものを保護するために財政法の新しい改正が行われているというようには受け取れないのです。この点どうでしょうか。
  22. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは今の正常な地方団体として見れば、こういう年度間の財源配分を自分で自主的に考えるのは当りまえだと、私はそう思います。その当りまえな考え方を、むしろはっきりさしておいた方がいいのじゃないか、再建団体ような不幸な事態にあったものは、再建計画でいろいろ自治庁も関与しておりますけれども、これは本意ではないのでありまして、それを早くやめてしまって、そういう団体が自主的にそれぞれ自分が筋を考えて、年度間の調整も考えて、健全な財政運営をするようにするのが私は筋道だと思うのでありまして、ああいう異常な団体よりも、むしろ正常な団体においてこうした財政運営のルールというものを確立する、これが私はむしろ基本的な問題じゃないかと思うのでございます。それでございますから、それは個々のこういう規定の中身のきめ方がそのままいいか悪いかという議論はいろいろあり得ましょうけれども、考え方といたしましては、むしろそれぞれの団体が自主的に運営をやるための筋道だけをはっきりさせておく、財政法趣旨というものは、私はむしろそこにあるのじゃないか、こういうふうに考えているのでございます。で、ここに建設的な事業と書いたものですから、何か国の施策とそこにからみ合ってくるんじゃないかというお考えのようでございます。これは全然われわれはそういう考えではないのでございまして、むしろこれは、地方団体自体の、独自のいわば単独事業のことを考えているのでございまして、国の施策に伴う仕事は、当然地方一般財源で、財政計画で確保しなくちゃいかぬ、これが自治庁の責任でございますから、財政計画上マッチできぬような国の仕事を、こっちとしてもこれは強要するわけにもいかぬと思うのでございます。そういう問題については国の問題として始末をつける。これはそうじゃなしに、もっぱら地方自体の独自の自主的な、単独的な運営につきましての基準を考える、こういうことで参りたいのでございます。
  23. 加瀬完

    加瀬完君 その十二条の二をとりますと、十二条の二と十二条の本文とを比較するときに、十三条の本文では、逆に言えば、地方公共団体の権限外の事務でも、法律政令できめれば、地方経費負担をしなければならないというふうに読めるわけです。そうして今度二号では、地方公共団体は、今までその権限においてやっておったことも、やってはならないという規制をさらにつけ加えているわけです。で、この本文は、少くも法律または政令で定める範囲というものを無限大に拡大していこうという基本線には立っておらないと思うのですよ。やはり地方団体に対する経費負担というものを最小限に抑えていこうという考え方だと思うのです、しかし、それを逆にとって、何か権限外の事務でも、法律政令で定めれば経費負担はさせられるというふうにとって、何かそれを拡大解釈していくような扱い方か、十二条の二号にも表われているというようにも解釈できるのです、そうすると、さっきも例に出しましたが、第二条の二項というものとは非常に離れてくるのではないか。ここの第二条の二項との均衡といいますか、つり合いといいますか、これをどう解釈なさいますか。
  24. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 十二条の二は、財政法としては新しい規定でございますが、先ほど申しました通り、従来、法人に対する政府財政援助制限に関する法律という法律がございまして、これは参照の資料で差し上げてあると思いますが、「政府又は地方公共団体は、会社その他の法人債務については、保証契約をすることができない。但し大蔵大臣の指定する会社その他の法人債務については、この限りでない。」と、こういう実は現行法があって、大蔵省が一々会社を指定いたしまして、この債務保証ができるように実はしておったのでございます。で、これは、われわれといたしましては、地方団体の問題を大蔵省がやるということは、どう考えたって筋違いでございまして、これはどうしたって、地方財政法運営の問題としてこっちに入れるべきだと長い間主張しておったのでございますが、ようやく話がついて、こっちへ持ってくることにいたしたのでございます。ただその場合にも、われわれといたしましては、その債務保証は、そういう公的な団体に対してやることは適当でもありません。これも一般の行政活動のために必要な場合は、これは当然にあるのでございます。で、必要な場合におきましては、現にいろいろ法律政令で、一方的な措置によってこれを規定しておる場合が少くないのでありますが、私は、やる以上は、そういうものにつきましては、国の措置として必要な場合を考え、それに対する国の必要な援助措置も考える、こういうことで道を開いていくのが筋だろうと思うのでございます。だから必要なものにつきましては道を開いておく必要がある。なお個別的に、特殊の事情によって始末をせなくちゃならぬ場合もあろうと思います。そういうものも、政令で適当に穴をあける必要が私はあろう思うのでございまして、それぞれの団体の自主的な運営というものを、これはできるだけ保障する必要があろうと思います。しかしながら、地方団体でございますから、自主的にと言ったって、どんな勝手なことをしてもいいというわけにもいかぬのでございまして、それはおのずからやはり公共団体としての公共活動のワクと、それから団体の健全な財政運営という大ワクだけは守ってもらう必要があるのじゃないか、この大ワクだけははっきりさしておいて、そのワク内においてそれぞれ自由な活動をする、こういう趣旨で私はゆくべきものであるだろう。そういうことが、今までの経費負担区分の問題にいたしましても出てくるのでございまして、地方団体は勝手なんだから、どんなに金を出してもいいじゃないか、こういう理屈も一方では成り立つのでございますが、やはり国というものがあり、府県というものがあれば、それぞれみな財源措置もしておるのであって、特別な税源もとっておるのであります。国は国としての責任でやるべし、府県府県としての責任でやるべし、市町村市町村としての、市町村らしい仕事をやるべし、こういうことでやはり筋を立てていかなければ、財源の配分の問題、行政の配分の問題なども適切を期するわけにいかぬだろうと私は思うのでございます。そういう意味の大ワクの筋だけははっきりして、そうして、それぞれの団体としての責任に邁進する。その団体としての責任への邁進は、それは自主的に、自律的に、できるだけやるようにしたらいいじゃないか、こういう考え方に立っておるのでございます。
  25. 加瀬完

    加瀬完君 大ワクのその筋が私は通っておらないと思うのです。地方公共団体負担を転嫁するような施策をしてはならないと、二条の二項できまっておるのにもかかわらず、法律政令によれば、新しく負担をかけてくる幾つかの事項が予想されるわけです。この改正の法案によりましても、新しく地方負担がかかってくるようなものも出てきておるわけです。一方、そういう動きをしておって、一方では、地方公共団体が独自な見解でやろうとし、現在行なっておったものにまで制約を加えていくというのは、一体これはどういうわけだ、私から言わせれば、筋が通らないじゃないかと思うのです。そこで具体的に、どうしても十二条の二月によって禁止しなければならないようなものはどんなものか、それから、「法律又は政令で定める場合は、この限りでない。」というが、この限りでないというワクの外にしてもいいと考えておられることは、どういうことか、それを例示してくれませんか。
  26. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 現在でも、たとえば天災融資法——有名な天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法があって、これについて府県市町村損失補償したり、利子補給したりする法律案がございます。で、市町村府県がやるものについて国もまたその半分程度を見る、こういう建前をとっております。こういう類似のものが、農業改良資金助成法とか有畜農家創設特別措置法とかいったようなものがあるのでございます。私はこういうものにつきまして、府県市町村損失補償、利子補給債務保証をやるということは、それぞれ場合と方法と限度を考えれば、私は考えていい問題だと思うのであります。それとともに、そういうものにつきまして、やる以上は、国もやはりその責任を負うべきでありまして、いなかの府県市町村だけでこういうものについての跡始末ができるはずがないのであります。そこで、こういうものにつきましては、国も府県市町村も、それぞれの力に応じて責任を分担するよう法律なり政令なりで、やる以上はけじめをつけてやりたい。そうすれば、それに応ずるよう地方財源措置も当然に、財政計画なり交付税の算定なりを通じて保障してやる必要があろうと思うのでございます。そういう意味で、確かに必要な仕事がございまして、やらざるを得ない場合はやるというふうにいたしたいのであります。そうかと思いますというと、全く私的な企業に現に債務保証をやろうとしたりする事例があるのでございまして、これは私はやはり考えぬといかぬと思うのであります。  それから団体の起債ならば、借金という意識が非常に強いのでありますが、債務保証は、今すぐに負担がかかるものでないものですから、どえらい債務保証をやっておって、あとで始末に因る。こういう事例が現にあるのでございまして、そこらは、やる以上は団体財政にバランスが合うように、当然に考えるべきじゃないか、そういうことをある程度調整しなければいかぬというふうにこれは考えておるのでございます。
  27. 加瀬完

    加瀬完君 具体的に伺いますが、農業改良資金助成法の取扱いはどうなるのか。それから労働金庫その他金融機関都道府県が預託をしていますね。あるいは利子補給という形をとっているところもあります。こういう問題はどう扱われるのか。
  28. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 農業改良資金助成法などは、もう法律で筋道が立っていますから、これはみんな法律で定める場合はこの限りでないので、全部除外されるわけでございます。  先ほどちょっと申し上げました天災融資法とか有畜農家創設特別措置法とかいったようなものは、みんな当然法律上除外されるわけでございます。  それから今の預託の関係は、これは全然関係ございません。預託ですから、預金の預託で、これは労働金庫であろうが、県信連であろうが、いろいろたくさんあろうと思います。そういう問題も全然関係ございません。
  29. 加瀬完

    加瀬完君 次の点をお伺いしますが、二十七条の後段に、「自治庁長官は、市町村負担すべき金額に係る土木その他の建設事業を所掌する各大臣にあらかじめ協議しなければならない。」という一項がつけ加えられておりますね。
  30. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) ええ。
  31. 加瀬完

    加瀬完君 これは現行法の「自治庁長官は、前項の異議の申立を受けた場合において特別の必要があると認めるときは、当該市町村負担すべき金額を更正することができる。」というものから見ると、今までは、自治庁長官によりまして市町村の利益が代弁されるというように読み取れるわけでございますが、今度は国の意思を市町村自治庁長官が仲介するという位置に変化してくると読み取れると思うのです。これは地方団体にとってはまことにおかしな話だと思う。今までは地方団体の意思というものが自治庁長官によって代弁されるという形をとってもらっておったものが、今度は、自治庁長官は、市町村負担すべき金額にかかる土木その他の建設事業を所掌する各大臣に協議をするということでありますから、これは関係大臣の、あるいは関係各省の意思というものが自治庁長官によって仲介されるという形になって、どうも地方の自立性といいますか、自主権というものは、むしろ国から干渉される度合いが強くなってくるというふうに読めると思うのです。こうなって参りますと、いろいろ御説明がありましたにかかわらず、どうも地方に対する国の財政の主導権というものが強化されるようになりまして、地方団体日体の財政に対する自立性というものは、国の力で押えられてくるという形にならざるを得ない、どうもこう考えられてならないのです。この点どうですか。
  32. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) この二十七条の四項の改正は、全然そういう趣旨ではないのでございまして、これは要するに、都道府県市町村に分担金をかする場合に、市町村がその分担金に異議があるときに、自治庁長官異議の申し立てをやる。今お話しの通り自治庁長官は、市町村の立場も考えて調整をする、こういうことになっているわけであります。そこで問題は、府県がその経費市町村負担させる場合には、先ほどもちょっと申し上げました通り府県の単独の仕事の場合もこれはありますが、何と申しますか、府県の知事が国の機関としていわば仕事をやる、そうして国の補助を受けて仕事をやる、こういう場合も少くないのであります。たとえば、河川の改修の仕事などになれば、みなそういうことになろうと思います。そういう仕事について補助金もつき、まあ建前上は国の機関として知事がやる、こういうよう仕事については、市町村にさらに負担金を課する場合がこれはあるわけであります。そういうときに、市町村府県との負担金の問題になってくると、それぞれの所管省が、自分の機関委任事務、そういう解釈が成り立つと思いますが、そういう事務で自分が補助金、負担金を出している仕事についての、仕事の末端の問題でありますから、私は、自治庁だけでやってもそれはよいと思いますが、各省の意見も、所管省の意見も聞いて、府県市町村との間の話をつけるということの方が、行政の運用としては妥当、円滑になるのじゃないか、こういうだけの趣旨なのであります。これによって自流庁長官の立場が左右されるとか、市町村に対する立場が弱くなるということは、全然私は御心配は要らぬと思います。
  33. 加瀬完

    加瀬完君 三十七条は都道府県の建設事業に対する市町村負担なんですね。それを一々建設事業を所掌する各大臣に協議をするということは、それらの仕事が、おそらく都道府県の行う建設事業であっても、五カ年計画なりその他の国土計画なりによる大規模な土木その他の建設事業という形で現われてくるということを予想して、こういうことをやられておると思うのです。しかし都道府県の行う建設事業で、間接には関係があるが、直接に経費その他の関係関係大臣にない事項だってたくさんある。それまでも一々何ゆえに所掌する各大臣に協議をして負担をきめなければならないということになるのか。現在の二十七条ではそう読み取れるのです。それは、自治庁長官が更正決定をするときに、長官として、行政的な立場で、必要があれば各大臣に協議をすればよいことなんであって、それを何も法文に明らかにする必要は一つもない。今までも必要があれば、それは行政的にそういう作業は行われておったと思う、過程において。それをここに条文で明らかにするということは、結局五カ年計画なり何なりというものをどこまでも下に背負わせていこうという意図があるからこういうことになるのじゃないかということまで疑われてくる。一体現状でいいものを、なぜ一項ここへ加えなければならなかったのか、もっと大きい問題は、府県単独の事業であるものにまで関係大臣の協議がどうして要るのか、これは自治権の侵害だと言っても過言でないと思う。この点どうですか。
  34. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 私は、今の加瀬委員の後段の御議論は、率直に申しましてきわめてごもっともだと思うのでございます。まあ現行法もないんだし、入れる必要もないのではないか。やれば事実上行政上の措置でいいじゃないかということは、その通りであります。ただ、今度の改正では、都道府県が行う以外に、都道府県機関を入れて、要するに機関委任事務についてもこの規定を働かせよう、こういうことにいたしたものですから、都道府県機関を入れるということになるというと、いわば機関委任事務——理屈はいろいろ立つでしょうが、国の事務になる。おまけにそれにつきまして国の補助金や負担金が加わってくる仕事の方が大半でございまして、そういう場合に、それぞれの事業の主管省というものがある以上は、その主管省に相談をしていいじゃないか。要するに問題は、府県あるいは府県知事が仕事をする場合に、その経費の一部をさらに市町村に負粗を命ずる。その場合に、市町村と話しがつけば問題がないのでございますが、今度まあ政令基準を定めますから、大ていはつくと思いますが、それでもなおかつ問題のあり得ることがある。そういう場合には、その事業のやはり主管省がある限りは、その主管省にあいさつをしてでもいいじゃないか。こういうことで入れたのでございまして、自治庁長官は何しておるか、こういう御議論もごもっともでございますが、事業省の立場も考えまして、こういう規定を入れることにいたしたのでございます。
  35. 加瀬完

    加瀬完君 それは行政的にやれるじゃないか、何もここで一条入れなければならない理由はないだろう。それから、広義に解釈すれば、つながらないものはないわけですけれども、少くも責任の所在は、都道府県においてはっきりと責任のあるという形で行われる建設事業についても、関係大臣に協議をしなければならないという理由はおかしいと言うのです。自治法の建前からいってもおかしいと言うのです。非常に形式論になりますが……。
  36. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは私は、つまりその河川法なら河川行政については主管大臣が建設大臣ですから、河川行政は国の補助があるもの、ないもの、要するに河川法に基く仕事全般につきましては、末端に至るまで建設省が主管省として発言権を持つということは、まあ今の組織法の建前からいって私は別におかしいというわけにもいかぬと思うのでございます。ですから、道路法なら道路法の適用のある道路につきましては、それはやっぱり道路の主管大臣に相談をする、こういうことにこれはいたすのでございまして、おまけに、これの起ります事例と申しますのは、要するに県が市町村にやって、市町村がそれについて文句のある特別な場合でございまして、まあ本直に申しまして、こんな場合がどれだけあるのか、今までこの二十七条の四の発動になった事例は、率直に申しまして、全然記憶がございません。記憶がないのだから、どうでもいいじゃないかということにもなるのでございますが、都道府県機関を入れることにいたしましたものですから、各省の、それぞれ事業省との折衝の過程におきまして、まあ事業省の立場も考えようということで、こういう結論になったのでございます。
  37. 加瀬完

    加瀬完君 この財政法の基本的な考え方といいますか、考え方の基本は、第二条にありまするように「地方公共団体は、その財政の健全な運営に努め、いやしくも国の政策に反し、又は国の財政若しくは他の地方公共団体財政に累を及ぼすような施策を行つてはならない。 2 国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体負担を転嫁するような施策を行ってはならない。」、これに尽きておると思うのです。こういう性格が各条項の改正に至るまでも推進されているというなら話はわかりますがね……。今まで現行法でも支障なく行われておったという前提があるにもかかわらず、わざと関係大臣と話し合いをしなければならないという一条を入れるというのは、一体これは自律性というものをそこなわないということになるのか、あるいは地方公共団体負担を転嫁する前提ではないということになるのかということが疑問として出てくるのです。というのは、二十七条の二に「法律又は政令で定める基準に従うようにしなければならない。」という項百が入っている。負担するかいなかというものを、形式的に厳密に考えれば、負担をするかいなかというものは、市町村みずからがきめていく問題です、これは。で、政令法律できめるものは、当然市町村がそれを喜んで受け入れるであろうという、受益性というものが前提になるから、法律政令市町村負担分をきめられるということになると思うのです。こういう本体を初めから法律政令で縛ってしまって、自治体の負担というものを国がもうきめてしまう、それじゃ法律政令できめて、こういうものでやるものだ、負担をしなければならない、異議を申し立てても、関係大臣と話し合いの結果だから、お前らの異議は通らないぞ、こういうがんじがらめにして、自治体が主体で、道路計画でも土木計画でも建設事業が進められるというのが自治法の本体でなければならないにもかかわらず、国の計画をまず推進するために、国の計画が推進しやすいように自治体をがんじがらめにしていく。これは私は財政法の考え方からいけば、はなはだ背反していると思う。こういう考え方がどうも前提にあるように思われてならないのです。  たとえば、政令基準をきめるという、いわば政令基準の問題がありますけれども、これも政令基準をきめただけで、各市町村あるいは府県の住民の要望が、その政令基準にぴったりと合うかどうかということが非常に問題だと思う。たとえば、議会できめたものを、さっき例に出しましたが、議会の意思というものにかかわりなしに政令できめる、これはかりにきめ方が、政令できめた方が手っとり早く、いい方にまとまるにしても、自治体の性格としては、都道府県市町村が今までのようなまずい関係にあったというならば、まずい関係にならないよう運営をするように私は育てていかなければ、自治体というものは育っていかないと思う。お前らがやっていたんではろくなことにならぬから、おれたちがやる、これでやれ。これでは自治体は育たない。ひまをかけても、地方議会というものを尊重して、議会できめたものを県が受けて立つ、あるいは県と市町村が相談をして負担区分をきめる、こういう考え方を育てていかないと——めんどくさいというので、みんな法律政令にゆだねるというのでは、自治法の精神にもはなはだはずれてくると思う。しかし、そういう考え方が今度の改正法では濃厚に出ておるということをどうもぬぐい去れない、この点御解明を願います。
  38. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは全く誤解でございまして、そういう趣旨一つもないのでございます。それで、今の負担金の問題、ましてや国が府県市町村仕事を不当に押しつける、そういうものをチェックしよう、これは財政法のねらいでもあるし、われわれも一番主張している点であります。国が不当に府県市町村に押しつけるのをチェックする。これは国及び国に準ずる機関地方団体負担区分の問題だと思います。今度は逆に、府県がさらに市町村に押しつけていく、率直に申しまして、押しつけていくという言葉に語弊があるかもしれませんが、そういう事態に現になっておるのでございます。これはまた、それぞれの法律建前も、しばしばそうなっておるのでございまして、たとえば道路法なら道路法を見ますと、都道府県は「市町村に対し、その工事又は維持に要する費用の一部を負担させることができる。」、こういう分担金の規定がございます。そういう類似規定は港湾法とか海岸法とか、みんなそういう類似規定がございまして、府県が一方的に市町村負担金をかけられるという規定があるわけでございます。その場合はもちろん地元の受益がございますが、地元にしてみると、なるべく仕事をしてもらいたいという気持があるものだから、そこの弱みにつけ込むというと語弊がありますが、しばしば市町村への負担が非常に無理にかかり過ぎておると、しかも、それが市町村によっててんでんばらばらであり過ぎておる。これで市町村が非常に困っておるのでございまして、府県の健全財政市町村の赤字で保っておるのだ、そういうふうな批判をする場所さえ現にこれはあるのでございます。これは私はやっぱりおかしいのでございまして、府県がやるべき仕事府県の責任においてやるというふうに、現に財源の配分だってみな考えておるわけでございまして、市町村のことまで考えてやっておるわけじゃこれはありません。そこで、しかし、そんなら市町村受益しておるのですから、負担を出すのが全然間違いかということなら、私はそれは間違いだとも思いません。やっぱり地元として一部の負担をしていいと思うわけです。むしろこの府県市町村との間の負担関係をある程度はっきりさして、そしてある程度の限度をきめましてやった方が、これは私は、府県市町村財源調整していくためにも、それぞれの責任をはっきりさせるためにも、その方がいいのじゃないか、こういう実は気がいたすのでございまして、これによってむしろ国の何か押しつけを強化していくとか、あるいは自立性を無理に押しつけていこうというふうな気持はもう全然ないので、むしろその逆のことをやり遂げたいという考えが基本的な考え方でございます。
  39. 加瀬完

    加瀬完君 これは道路法のときにも論議になった問題ですが、こういう政令などで負担区分をきめるということは、その市町村なり府県なり、その地域に受益性が存在するという立場を立てるから、結局負担というものが出てくると思うのですよ。しかし、概念的に受益ということを考えていいものだろうかどうだろうかという検討の必要があろうと思う。具体的な例を出すと、一番いい耕地のまん中に十何メートルという道路を通そうとしても、それはどこか中心地から他の中心地をつなぐというところでは、非常に価値の高い道路かもしれませんけれども、その地域にとっては受害はあっても、害を受けたという事実はあっても、将来はともかく、現状においてはなかなか受益は及ばないのですよ。たとえば、新しくできた工場地帯と東京とを結ぶということで、海岸に大きな道路あるいは鉄道というものを通す、これは客観的情勢からは、これが非常に経済価値を生むかもしれませんけれども、ノリ場ならノリ易、アサリ場ならアサリ場をつぶされる漁民にとっては絶対に受益ではない。これはこの地域の者にも受益者負担というものをかけるという建前をとっておるが、そういうものが受益者負担と言い得るかどうか。だから、そういう各地域的に負担区分というものを、それぞれの住民の意思を反映して議会できめた形で負担区分がきめられなければうそじゃないか。それを政令できめる。どうしてそんな政令できめられるのか、そんなこまかいものは政令でできないのじゃないか。そうすると、どうしても頭を押しつけるという形で負担をしなければならないという形になって、地方住民の意思というものはそこなわれないかという気持がする、そういう疑問があるからです。それから、もし財政法というものをいじるなら、再建団体における、当該財政再建団体の行政について妥当な水準というものを維持するために、どう余った経費を振り向けるかということをもあわせて考えなければ、私は行政水準の引き上げという自治庁の看板は、今度の財政法のこの法案の中にはあまりに打ち出し方が少いと思うのです。何か道路法や何かで長期計画の立ったそれに適合するよう財政法をだいぶ変えておるけれども、問題の再建団体などにおける行政水準の引き上げについて、財政的な経費はどういうふうに振り向けるのかということは、何にも考えられておらないということになりますと、私は非常に困ると思うのです。  もう一つは、もし財政法をいじるならば、行政的な指導はしておるようでありますが、第四条の強制割当寄付の禁止、こういうものを大きく取り上げて、財政法の中でもっとはっきりとさすべきだと思う。第四条の違反というものは枚挙にいとまがないが、しかしながら、それが忠実に取り上げられておるかというと、ほとんど不問に付されておる。これは住民にとって大きな問題なんです。こういうことがさっぱり取り上げられておらないということになりますと、住民の側からの財政法改正というものは、あまり今度の内容としては盛られておらないというように思われるのです。これらの点はいかがでしょう。
  40. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) さっきのあの受益者負担金の問題は、もう一ぺん申し上げますが、これは私は受益市町村の意思を全然かまわずに、政令で一方的に押しつけるのじゃないのでして、むしろ府県市町村の立場を顧みずに負担を過当に押しつけ過ぎておる。国の補助が三分の二なら三分の二を持つ、あとの三分の一しかないのに、三分の一の負担区分のさらに半分以上市町村に押しつけたりする事例があったのでございます。それは私はおかしい。府県がやる以上は、市町村に一部それは持たしてもいいが、それはさっきの問題の残った一割とか二割とか、せいぜいそういう限度で考えるべきだろうと思うのでございます。そういう意味で、むしろ市町村に押しつけ過ぎるのに一つの限度をきめたい。それなら限度をきめるというと、その限度まで必ず負担をさせなければならないかというと、それは加瀬委員の先ほど申しました受益の問題でございます。受益の、限度はあるにかかわらず、受益は一文もない。一文もないのなら、もう取る必要はないのでございます。受益があるからといってむちゃくちゃなことをやるということは、私はやっぱり府県市町村建前上よくはないのじゃないか、こういう趣旨基準を定めたいと考えておるわけでございます。それから、そうならば、いろいろ行政水準の確保というような問題も当然に考えなくちゃならぬのじゃないかというような……、これは仰せ通りでございまして、われわれといたしましては、むしろ財政再建促進法の問題を考えれば、むしろこいつは普通の団体から見れば、行政のレベルも落ちちゃっておるのでございますから、われわれは、再建を促進するとともに、普通の団体並みにまでは行政が回復するようには、これは財政再建計画の運営上は、当然できるだけの、最大限の配慮を加えていくべきことは当然だと考えております。これは今度の財政法そのものの問題、再建法そのものの問題じゃない。再建法を貴く運営の基本的な考え方で、特にまあそういう趣旨のことをどうこう言うまでの必要もないのじゃないかと、これは考えておるのでございます。  それからもう一つは、地方団体と住民との間の問題が考えられるのじゃないかというお話でございますが、これはわれわれといたしましては、一応地方財政法におきまして四条の四のこの割当寄付の禁止でございますか、この規定が現にあるのでありまして、立法的な問題といたしましてはこれで十分じゃないか。問題は、実際問題は、強制的な割当ではないが、なお別な形で金を出させられておるのじゃないかという問題があろうと思います。その一つの問題が、今度再建法を改正することにいたしました。国直接ではないかもしれぬが、公社公団等が相変らずいろいろな形で市町村から金を取っておるという問題がありますので、そいつをチェックいたしたい。それから今度は、市町村市町村との住民の間において、当然市町村の公費でやるべきものを、いろいろなPTAの会費とか消防の経費とかいう形で押しつけておるのじゃないか。これはその通りでございまして、その点はわれわれといたしましても、これはむしろ金の問題で解決しなければ、法律の問題よりも、地方財源をやっぱり充実さして、そうしてそれができるようにさしてやらなければ、実際はなかなか望めぬのでございます。その意味では、今度の財政計画では、われわれといたしましても、まあ不十分というか、きわめて不満足の一点が、一つがそこにあるのでございまして、これは今後における地方財源の充実問題のかなめの一つとして考えていくよりしようがない。そういう財源の保障とかね合せて問題を解決していかなければ、単に法律だけで押えても、うまくいうものではないのじゃないかというふうに考えておるのでございます。
  41. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  42. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記をつけて。  それでは、午前はこの程度で休憩いたします。    午後零時十二分休憩      —————・—————    午後一時四十一分開会
  43. 小林武治

    委員長小林武治君) 委員会を再開いたします。  午前に引き続き、地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のおありの方は御発言願います。
  44. 大沢雄一

    大沢雄一君 私は、第四条の三、その他につきまして、きわめて事務的なことでございますが、少し伺っておきたいと思います。  この第四条の三は、現行法では交付税プラス基準財政収入額と、基準財政需要額とを比較しまして、そうして著しく前者の方がふえた場合に調整をするということになっているために、元来、大体ひとしかるべき筋合いのものでありまするから、ほとんどこの規定はあまり働く余地がない。そこで今回、現年度一般財源と前年度一般財源と比較をして、そして現年度が著しくふえている場合に、年度間の調整をはかっていく、こういう考え方に立っての規定ということでありまして、私はその趣旨は、財政運営の実際からいって適当であると考えているのでありまするが、著しく一般財源の額を越えることとなる場合という時期の抑え方、これは予算編成というか、予算補正というか、そのつどそのつどを押えてのことなんでありますか、その抑える時期はいつにしてあるのですか。
  45. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは結局、年度年度との比較でございますから、最終的には最終だと、こういうふうに考えております。
  46. 大沢雄一

    大沢雄一君 そうすると実際は、予算補正は必要に応じてときどきやっていかなければならぬわけでございますね。そうすると年度間でやっていく場合には、ほとんどこの規定は働かないと見ていいわけですか。
  47. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) そうでもございませんで、最初の当初予算から、去年と違ったべらぼうな増収があるということが当然予見される場合があろうと思います。そういう場合は、最初からひっかかってしまうだろうと思います。そうでなしに、最初は去年の程度くらいの予算を組んでおりましても、その後、年度の途中でいろいろな自然増収がたくさんあって、そしてふくれ上ってくる、こういうこともありましょうし、そうすれば最終的にふくれ上ったときからひっかかる、こういうことになるだろうと思います。
  48. 大沢雄一

    大沢雄一君 前年度といいますが、前年度がわかるのは、予算額でもし押えなければ、これは決算で押えるほかない。そうすると、予算額と予算額との比較ですか。
  49. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 前年度は結局決算でございます。やはり実収入というか、実財源額で押えるべきものだと考えております。
  50. 大沢雄一

    大沢雄一君 そういたしますと、前年度の決算がわかって、そして当該年度の金額がそれと比較がとれるということは、これは年度の半ばではちょっと私は考えられないと思います。なぜならば、なおその上に交付税の全額というものが、これはなかなか年度の初め、半ばではきまらない。ことに特交の額は年度のしまいにならぬときまらぬわけですから、結局、年度の半ばにおきましては大した、何というか、縛られるといいますか、そういうことはないと見ていいわけでないでしょうか。
  51. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 実際問題は、大沢委員のおっしゃった通りであろうと思います。途中、後半になって初めて歳入歳出が確定いたしますから、それ以後になって問題が具体化する、こういうふうに考えております。
  52. 大沢雄一

    大沢雄一君 それと、先ほども加瀬委員の御質問の中で論議があったのですが、必要やむを得ない経費は充てていいと、こういうよう規定があるわけでありまして、まあいわば見方によれば、非常に自主性を阻害した、行き過ぎの規定でないかとというような見方もされないではない。そういう立場からの論議もできるかもしれぬが、むしろ私は、しり抜けという方が近いのじゃないか、こういうふうに思いますが、結局これは、いわば自律的な規定、訓示的規定とまで言えるのか、あるいは地方自治体の財政運営の責任者の自律的規定というようなものではないかと思うのでありますが、そう解釈していいのですか。それともまた、これはもしこれに違反すれば、何か制裁の措置もあるということになるのですか、そこを少しはっきりと伺っておきたいと思います。
  53. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは今のこの規定が何か効力規定といいますか、能力規定と申しますか——でなかったら、その行為が当然無効になるとか何とかという問題ではもちろんありません。地方団体財政運営基準となるべき規定でございます。しからば、この規定に違反をして何をやっても地方は勝手か、こういうことになりますと、これはまた別問題でありまして、これにつきましては、たとえば地方自治法におきましても、法令違反等の場合におきまして是正改善の措置を命じ得る場合もあると思います。あの条文に該当する場合には、その条文に基いてそれぞれ必要な措置が講ぜられるだろうと思います。それからまた、地方財政法でも二十六条の規定に該当するかせぬか疑問でありますが、地方公共団体が法令に違背して著しく多額の経費を支出する、そういうような場合におきましては交付税につきまして特別な措置規定しております。こういうふうなそれぞれの条文に該当するというような場合におきましては、それぞれの条文によって措置ができ得る、こういうふうに理解いたしております。
  54. 大沢雄一

    大沢雄一君 しかし、その他必要やむを得ない理由によって生じた経費という——実際に必要でない経費ということは、これはちょっと理事者の側からいえばない。この必要やむを得ないと認める、何といいますか、認定権といいますか、それが理事者にある以上は、私は今の三十六条だとか、その他さっきあげたような法令違背の規定とかというようなものは、ちょっとそれに該当するかどうかということを非常に疑問に思いますが、そこはどういうふうに解釈しますか。
  55. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これはごもっともでございまして、どうせ個々の認定の問題が私はあろうと思います。そういう意味におきまして、地方団体の自主的な判断というものが一つの基礎になろうと思いますが、これもおのずから、私は運用上と申しますか、解釈上限度があるのでありまして、要するに当初の予算で前提になっている仕事というものは大体きまっております。それから、途中で起りました仕事におきましても、ほんとうにのっぴきならぬ、ほとんど義務的で、ほっておけぬかどうかという仕事も、おのずから私はそれぞれの団体の経験上きまっておる問題だろうと思うのであります。それで多少それが十万円、百万円ふえたとか少いとかいうこと。で、われわれも議論をする必要がこれはないと思うのでございまして、明らかに、めちゃということは語弊がありますが、法の趣旨を逸脱しておるというような、こういうふうな場合についてだけ、自治庁としてしかるべき措置を考えれば、私はそれで十分だと、こういうふうに考えておるのでございまして、自治庁といたしましては、この運用につきまして、事前に必要な指導だけは十分にいたしたいと考えております。
  56. 大沢雄一

    大沢雄一君 先般ある新聞紙で、地方団体の、何といいまするか、事業に対する住民の批判を集めた記事を見たことがあるのですが、その中で、人気取りのための事業が非常に多いので、地方財政が非常に悪くなっているというふうに住民から批判されているものが非常に多かったように記憶しているわけです。最近も——それ自体をとってみれば、それぞれ理由があると思うのでありまするが、ただ、その地方団体でやるのに適当であるかどうかというようなことの検討や考慮をされずに、たとえば地方団体で、国の方さえそういうことができないのに、ほんとうの形ばかりの、財政の悪いところで養老年金というような名前のものを、ただあるものに金をくれる、あるいは母子年金というようなことで、どうも少しそういうことがいわゆる人気取りで、進歩的というふうな町村長あたりで、どうもきそってそういうふうな、ただ金をやるというふうなことを、これは私流行すると……、それ自体は悪いことじゃありません。国の方が必要なことをやらないから、一面そういうことが出てくるのだと思いますが、しかしこれは、徹底して町村でやることはとうていできないし、もっとそれ以上に、地方団体としてやるべき仕事が山積しておるにかかわらず、そういうものがいわば一種の流行的な傾きがあるんじゃないかということを、それ自体反対じゃありませんけれども、必配しておるわけです。その他必要やむを得ない理由によって生じた経費財源というものに、今のよう団体のものは、こういうところに入るんですか。入らないのですか。
  57. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 私はそういう経費はここへは入らぬと思います。それは一般財源の中であんばいすべき経費だと思います。
  58. 大沢雄一

    大沢雄一君 この問題については、私はそれだけにしておきます。事務的な必要からの御質問でありますので。  それから、その次は債務保証制限の十二条の二の問題でありまするが、ここで「会社その他の法人に対し、」云々たということになっておりまするが、個人に対する債務保証についてはどういうことになるんでございましょうか。
  59. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 個人につきましてはどうするかというのが、いろいろ議論があったのでございますが、特定法人に対してやるんなら、特定の個人に対しても同じ問題で、同じ趣旨規定を設けるのが、理論が一貫しているんじゃないかという議論があったのでございます、われわれも趣旨は同じ問題だろうと考えておりますが、現実の問題といたしましては、個人につきまして、そうそれほど一々やかましく言うほどの問題もなし、それからこの規定のもとが、先ほども申しました通り、現にあります法人に対する政府財政援助制限に関する法律をこちらへ引くことにいたしましたこともありましたので、規定の上からははずして、あと法人に対してさえするから、個人につきましても同じような問題に考えるべきだというよう意味の指導でいいのではないか、こういう考え方を持っておるのでございます。
  60. 大沢雄一

    大沢雄一君 これまた個人に対するやはり債務保証というのは、地方団体は相当自主性があるわけですね、これはやはり法人に対してやるなら、個人に対してはなおさら注意しなければならぬ、たとえば身元保証は、個人に対する債務保証になりますか。
  61. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 大ていは相手が法人でして、個人のためにやりますが、実際は相手が法人の場合に多いのでございます。身元保証でも、個人の使用人のためにやる場合は、もちろん個人に対してということになりますが、法人に使われるのに、ある個人の身元保証をやるのは、みんなこの条文が問題になるわけでございます。そういう意味で、実質的に法人に対するものを押えれば、そう財政の立場からいえば、もう必要にして十分ではないかと、こういう判断もとったわけでございます。
  62. 大沢雄一

    大沢雄一君 「会社その他の法人」という中には農協のようなああいうふうな団体は入りますか。
  63. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 法律的にはそういう団体はみんな入ります。
  64. 大沢雄一

    大沢雄一君 それから従来、法律保証の根拠があって保証されているものも、先ほどいろいろ例をあげられたようですが、従来のものはそのままこれを認めていくということであっては、私はこの規定趣旨というものは、これは半分しか達せられないのではないか。従来のものもこの精神に従って検討をしまして、改むべきものは改めるというふうにしなければ、この規定を作った趣旨は達成されないかもしらぬと思うのですが、それはどういうふうに考えますか。
  65. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) それはごもっともでございます。ただこれは、現にやっておるものにつきましては、団体と個人との間における、あるいは法人団体との間における契約もできておるものでございますから、そういうものをひっくり返すわけにはいかぬじゃないか、これはそのあと更新すると、こういう段階になれば、当然この法律趣旨によって運用をしていく、こういうふうに考えております。
  66. 大沢雄一

    大沢雄一君 そうすると従来法律の根拠になったものでも、契約を更新するときには、これは当然に続けられるということではなくて、たとえば自治庁長官の認可を受けなければならぬとか何とかいうよう規定の仕方に、制限になるのですか。
  67. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) ちょっと合言葉が足りませんでしたが、法律政令で当然に認めておるものは、これはただし書きで当然にはまるわけです。法律債務保証を初めから前提にしておる場合もあり得るのですから、それでなしに、それ以外について任意にやっておるものにつきましては、その契約の有効期間だけは付則で、経過措置で認めることにして、それ以後の問題は、全部条文によって規制を受ける、それについてはこの政令で、自治庁長官承認を受けた場合においては差しつかえはないという規定を一項入れる考えでございまして、必要のものは、必要な限度において承認する扱いにいたしたいと思います。
  68. 大沢雄一

    大沢雄一君 そうするとまた、さっきの問題になるわけなんですが、従来、法律で認められておるもの、これはその法律が変えられるまで、それは検討して、その法律を直していくというような考え方はないわけですか。
  69. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは先ほどちょっと申しました天災融資法とか農業改良資金助成法とかいった法律の場合の問題でございまして、法律の今後改正問題として論議すればする余地のある問題があり得ると思いますが、いろいろの理由でできておるものでございますから、直ちにこういう法律をどうこうというところまでは、今のところ考えておりませんが、研究いたしたいと思います。
  70. 大沢雄一

    大沢雄一君 私くどいようですが、やはりこの規定を作る趣旨からいうて、私は現在法律で認められておるものも、この機会に再検討をして、そして変えなければならぬものはその法律改正していく、なるべくこれは改正して、地方団体補償する、あるいは利子補給するというようなことは、これはもうできるだけ少くしぼっていくということでなければならぬように考えるわけでありまして、現在ありまする法律で、何か将来これを変えていくというふうな考え方のものはまだございませんか。
  71. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは大沢委員のおっしゃいました通り、利子補給につきましては私は現行法のものでもいろいろ問題があろうと考えております。先ほど一つの例として天災融資法をあげましたけれども、このこと自体についてはわれわれは賛成していい面もありますが、その中身、実体等につきましては、検討してもらいたいという節がこれは少くないのでありまして、われわれといたしましては、機会のあるたびに合理的な線に持っていくように考えたい、そういうふうに存じております。特に、議論になっております中小企業協同組合法にもそういう問題がこれはあり得るのでございまして、そういうものをどういうふうに検討するかという問題も、将来の問題として検討いたしたいと存じております。
  72. 大沢雄一

    大沢雄一君 それから、直接この法案には関係いたしませんが、府県市町村から寄付を受ける場合、こういうふうな場合には、何といいまするか、第四条の四でございますか、これは相当規制されておるはずでございまするが、割当でなく、自発的な形でその寄付を受けるというような場合には、これは何らか制限をされるというようなことはこれはないのですか。
  73. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 自発的な、寄付というのは、私は二つあろうと思います。ほんとうに大ていのものは府県仕事に関連を持って、実質的には負担金であるという場合だと思います。たとえば、高等学校を建設する場合の敷地代とか何とか代を寄付させろ、こういうような問題があろうと思います。こういう問題は、今度新しく入れます二十七条の二という規定で、ある程度基準がきまってくると思います。それからそうでなしに、もう全く純粋な、そういうものにかかわりのない寄付というものも、これは理論上あり得ると思いますが、それは現在、赤字団体につきましては寄付制限法律がございますので、そこへ相手側府県の方も当然入ってきて、規制を受けることになっております。
  74. 大沢雄一

    大沢雄一君 実際に負担金等の内容を備えている寄付をする場合には、何といいますか、国庫の補助の関係その他から、一般寄付というような形で、何の目的かわからぬような形で寄付をされて、そうしてそれが財源に回ってきて、府県負担分に充てられる、それで国庫補助金は規定通りもらうというようなことが、御承知のようにずいぶんあるわけです。こういうふうなものを何とか規制していかなければ、私は正しい姿にならぬと思うのですけれども、それについてはどこか規制ができるようなあれがありますか。
  75. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは、大ていの建設事業の場合は、今度入れる二十七条の二で、建設事業の場合は全部まず規制できると思います。それからそうでなしに、それ以外の費用負担を乱るということが、先ほど申しました再建法で一般の赤字団体についての寄付制限規定がございますから、これでもひっかかります。それから、なお今度新しく入れます二十八条の二も、これはそのために役立つ規定でございまして、要するに、府県が当然に法令で負担すべき経費について、市町村に何らの、名義のいかんを問わずに金を出させる、それは結局負担区分を押しつけて、転嫁するという形に結局なるのでございまして、二十八条の二でもこれはひっかかるだろうと思っております。
  76. 大沢雄一

    大沢雄一君 これが特定事業に対する寄付とかいうような形ならばこれにかかります。私の今言うのは、それにかからぬような、一般寄付として出されるわけなんです。どうもそういう場合の何か抜け穴があるように私思うのです。
  77. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 私は大ていは何かの目的はあろうと思います。ほんとう一般的な寄付をやるというのは、ほとんど市町村府県財源を献上するような問題になろうと思いますが、これは率直に申しまして、今までの規定でははっきりいきません。しかし、こういう規定趣旨によって、その点は強く指導して参りたいと思います。
  78. 大沢雄一

    大沢雄一君 それから、住民に割当寄付を取ってはならないという規定がありますが、この意味の住民は、一般住民をさすのですか、それともまた、たとえばPTAというふうな特殊な身分を持っている住民、そういう住民から寄付を取るというような場合には、この規定には直接該当しないのか、それともまた該当する解釈か、該当してもほうっておくということなんでしょうか。
  79. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは住民でございますから、一般の住民だろうが、団体の住民だろうが、私はみんな入ると思います。ただ、今お話しのありましたPTA、こういうものは面接そこへ入るかというと、むしろPTAという組織が会員に割り当てるという場合がありまして会費として取る、こういうようなものはこの四条の四に当然入るかといえば、疑問だと思います。これは市町村が要するに直接に割り当てる場合でございますから、その点は少し問題があろうと思います。
  80. 大沢雄一

    大沢雄一君 一番住民が困っているのは、直接市町村が割り当てるという形をとらないで、たとえば学校改築期成同盟会とか何とか、形だけの団体を作って、そうしてそれが父兄とかあるいは卒業生とかいうものに強制的に割り当てて、そうしてその団体から寄付という形になってくるわけですね。そうすると、そういう場合が抜け穴になっているというなら、それは何とかしなければ私はおかしいのじゃないか、こういう有名無実な、抜け穴のわかっているようなものをほうっておくということは非常におかしいのじゃないかと思いますが、どうですか。
  81. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは全くごもっともでございまして、結局それは、かりにきめるとすれば、市町村の公費で当然負担すべき仕事の線を引いて、その仕事については一切、どんな名義を闘わず、一切の金は市町村自身が出せ、個人から取ってはいかぬ、こういう形にしなければいかぬだろうと思うので、割当とか寄付とか、任意であろうとか選ばすに、そういう仕組みにしなければ、これは私は抑えられぬだろうと思います。そこで、そこへ行くのが私も理想だと思います。その問題は、結局、市町村一般財源がやっぱり不十分であるという問題もございまして、われわれとしては、率直に言って、そこまで踏み切れるわけにもいかなかったのであります。任意にやるというもまで押えるというためには、もう必要にして十分な財源地方団体へ与えられておるという前提に立たぬというと困難なものでございますから、ことしの財政計画では、非常に残念でございましたけれども、そこまでの踏み切りがつかなかったのでございまして、今後の問題としてそういう方向に研究を進めたいと思います。
  82. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記をやめて。    〔速記中止〕
  83. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記を始めて。
  84. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 大沢委員も質問しておいでになったのですが、十二条の二の「法律又は政令で定める場合は、この限りでない。」、この「政令」なんですが、当局においては、研究しておいでになればどんなものか、承わりたいと思います。
  85. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは政令はまだ具体的に研究しておりませんけれども、いろいろ法律を作る過程におきまして、各省にもいろいろ注文も意見もあるのであります。先ほど大沢委員仰せられました、たとえば身元保証、こういう個人の身元保証などは、今孤児とか遺児とかなどについて就職の身元保証などをよく県でやっておるのでございます。こういうものは、私は金からいったら大した問題でもない。府県市町村で考えてやっていいものだから、ああいうものは政令ではっきりはずしたらどうか、こういうことを一つ考えておるわけでございます。そういうことで、事柄がきわめて明瞭で、問題のないものは、もう具体的にはずしちゃうと、それから全部そうもそれはできませんから、たとえば信用保証協会も私はその問題の一つだと考えております。信用保証協会は、実際は県や市が全部出資をしておりまして、そうして信用保証業務をやっておって、ほとんど自分の身がわりに仕事をやっておるような組織でございますから、こういうふうなものも、まああるいははずしていいんじゃないかと思っております。そういうふうにやれるものはやって、最後にはどうしても個別の問題が出てきますので、自治庁長官承認を得たものをはずす扱いにいたしまして、個別に支障のないものをはずしていこう、こういうふうに考えております。
  86. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 火災共済はおっしゃるように信用保証協会の中に含まれておる、こう解釈していいのですか。
  87. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 火災共済は当然信用保証協会の中には入っておりませんが、火災共済につきましては、先ほど大沢委員からお話もありましたが、これは現に保証しておるケースが相当ございます。現にやっておるものはもちろん認めぬといけませんし、それから、その他新しい問題につきましては、どうしても必要やむを得ぬというようなものは、必要な限度において私は考えていいんじゃないか、こういうふうに存じております。
  88. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 この問題は、御承知のように中小企業団体法が成立し、それにからんで中小企業等協同組合法の一部改正で火災共済が入った。その成立の経緯にかんがみて、今おっしゃるように、現にやっておるものは、これは当然のことだと思いますけれども、これから、四月一日から施行されるのですから、それ以降が非常に問題になってくるわけです。その成立にからんで、自治庁がそれを認める認めないと、個々の問題についてそういう態度で臨もうと考えておいでになるのか、先ほど申しましたような、成立の経過等にかんがみて、火災共済については一つ地方団体がそれを承認した場合は、一つ形式的に承認を与えていこう、こういう御態度なのか、そこを一つ明確にしておいていただきたい。
  89. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 火災共済につきましては、あの法案が通るときに、何か当委員会におかれても特別な御意見があったのでございまして、当然に無制限に理屈なしにというと、たとえば秋田県の事例のように非常に問題が起ることがあろうと思います。それでございますから、これはやっぱり、それぞれの限度と必要というものがそれはあるのじゃないかと思います。で、そういう必要な限度で必要な条件を備えるものにつきましては、地方団体財政運営にも支障もなし、それからまた、その仕事地方団体の公共の仕事を遂行していくために、行政上どうしても必要だというものにつきましては、その限度で私は認めていっていいのじゃないか、こういうふうな考えを今持っております。
  90. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 この問題、私は明日一つ大臣に対してお尋ねをしておきたいと思います。で、局長の方からも、一つ大臣とも十分火災共済の問題についてはお打ち合せを願っておきたいと思います。  次に、あなたの方が、再建団体の例の給与の問題について、何か四月二十日までに回答をというような通達をお出しになったと承わっております。で、この前から小林局長の話を聞いておりますと、再建計画に支障のないところに対してはそういうことをさせない、こういうふうに実は聞いておりました。それからもう一つは、国家公務員よりも給与ベースが高いところは、これは一つ考えてもらわなければならない、こういうような二点の理由と申しますか、基準を示されておったと思いますが、その後変っておるのか、今申しましたような二点が基準でいいのか。
  91. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 給与の問題は、今の仰せ通り、私の方で議論しておるのは、国家公務員の基準よりも高いところの基準を作っているところだけを議論をいたしておりまして、国家公務員並みのところは全然問題にしておりません。そこで国家公務員の基準より高いところにつきましては、私はこれは再建団体である限りはその基準並みにしてもらいたい、こういうふうに考えております。
  92. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 それじゃまあ九県にお示しになったわけですが、標準と申しますか、あなたの方で押えておられる一つ国家公務員のベースと、それから不適当だと指摘されたところのベースが、私は出ておると思います。その資料を一つ明日までにお出しが願いたいと思います。その資料に基いてまた一つ質問をしていきたいと思います。
  93. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) それは資料を差しあげます。私の申しましたのは、もう一ぺん念のために申し上げておきますが、給与条例そのものが高いか低いかという問題が一つ、それから現実の給与が高いか低いかという問題が一つ、私は二つあろうと思います。それで現実の給与条例は、私は国家公務員より高いところは、これは条例は全部国家公務員並みに直してもらおう。それから現実の給与の問題につきましては、たとえば国家公務員より低いところがあるじゃないか、私は低いところは別に国家公務員並みにレベル・アップしてやるのが当りまえだ、ほんとうに低いものがあれば、それは給与の調整をして上げてやるのが当りまえだ、こういう考えを基本的に持っております。
  94. 小林武治

    委員長小林武治君) 質疑は次回に続行することとして、本日は、この程度にいたします。  これにて散会いたします。    午後二時十九分散会      —————・—————