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鈴木壽君 私は、日本社会党を代表いたしまして、
本案に反対の
意見を述べるものでございます。
今回の
地方税法の一部
改正案について見ます場合に、われわれが多年主張して参りましたところの自転車荷車税が廃止になりましたことは、これは、私
どもそういう立場におきまして賛成をいたすものでございます。われわれの主張の正しさというものを、自民党
政府で取り入れざるを得なかったところにおきまして、看板をはずさなければいけませんけれ
ども、これは敬意を表したいと思うのであります。ただし、この場合かわり
財源といたしまして、軽自動車税や、たばこ消費税の率の引き上げをもっていたしておりまして、総額におきましては大体似た額になっておりますけれ
ども、しかし、
個々の
団体におきましては、やはりどうしても
歳入の欠陥を相当な面において生ずるものがあるようでございます。この点に対する
措置がいま少しく親切になさることが望ましいということを申し上げまして、この点についてはこれ以上触れないことにいたしたいと思います。
本案について以上の賛成の点もありますけれ
ども、どうしても私
どもは賛成いたしかねる点があるわけでございまして、その第一点は、電気ガス税の非課税の範囲を拡大することについてでございます。これは、しばしば
質疑応答の際にも
意見が述べられておりますけれ
ども、
政府の今回のこの非課税の範囲の拡大は、基礎資材の生産、従って国の重要なる
産業であり、それがまた国民生活に、特に消費生活に至大の
関係を持つものであるからという従来の主張をそのままに持ち続けて、現行法においてもすでに八十種目をこえる非課税の物品製造業に、さらに今回十種目のそれを加えておるのであります。もちろん、私
どもは重要
産業に対して何らかの保護育成の
措置をするということについて反対するものではございません。それが特に国民生活に至大の
関係を持つようなもの、あるいは貿易に至大の
関係を持つようなものにおきましては、そういう必要性のあることは十分認めるものでございます。しかしながら、そういう
措置は、国のいわば経済政策として、
産業育成の政策として、国の
措置として行われるべきであると私
どもは信ずるものであります。そういう見地に立ってこの問題を
考えます場合に、これらの
産業の企業形態はすべて大企業でございます。大法人でございます。これらの大法人、大企業に対しましては租税特別
措置法あるいは法人税法等におきまして、その他の問題におきまして相当大幅な、むしろ必要以上と思われるほどの保護がなされておるのでございまして、さらにその保護の手を
地方税においてまかなわなければならぬというようなことに対しまして、私
どもは根本的に反対をせざるを得ないのでございます。このように、いたずらに大法人、大企業にそれが重要
産業であるという美名のもとに非課税の範囲を拡大されることは、この電気ガス税の持つ性格を著しく欠いて参って、現在では小口の消費者あるいは一般家庭の電気の消費量に対する税金だけにとどまっておる、こういう結果になってしまうのでございます。大法人は、大企業は、さらに一方大口需用者として低廉な電力を供給されておるという事実もわれわれは見のがすわけには参らないのでございまして、このような意味におきまして、私
どもは電気ガス税というこういう
地方税におきますところの
措置としては反対せざるを得ない。かえって、現在ある非課税の範囲をさらに整理縮小すべき段階にある、思い切った
措置をすべき段階にあるというふうに
考えるものでございます。以上の観点から電気ガス税については、私
どもは今回の非課税範囲の拡大につきまして反対をいたすものでございます。
反対の第二は、木材引収税のことについてでございますが、現在の
木材引取税の現行法の四%というのは、これは今さら私が申し上げるまでもなく、昨年度、三十二年度におきまして当時五%でありましたものを一%
引き下げて、四%にしたものでございます。それが
実施後わずか数ヵ月たたないうちに、この
税率を
引き下げなければならないということは、根本的な
理由の納得に苦しむものでございます。御
説明によりますと、安定しない税であり、徴税に著しい困難を来たしておる税であり、従って、徴税の成績が悪いということをしばしばおっしゃっており、この
税率の
引き下げによって、この税の安定をはかろうということを繰り返して申し述べられておるわけでございますが、税の安定ということは、これは率の
引き下げによって生まるべきものではないと思うわけでございます。もし徴税成績が悪くて、あるいは捕捉が的確にできないとするならば、その補足の的確なる、あるいは徴税の成績の引き上げ対策こそ十分に講じて、この税の安定をはかるべきであって、さらに将来、この税の
税率引き下げがもし必要であるとするならば、そういう姿においてこそ
税率の
引き下げが
考えられなければならぬのでございます。この税は、山村におきましてきわめて大事な税であることは、これは今さら私の申し上げるまでもないところでございまして、その
町村におきましては、
税収入の四割、五割、六割、七割をこえるところもある税でございます。こういう税に対してこのような一挙に
税率を五〇%も
引き下げるというようなことをなすべきでない。よってくるところの
財源の穴を、いかに
町村がこれを処理していくかということが非常に大きな問題であるわけでございます。従いまして、この率の
引き下げにつきましては、私
どもは反対をいたすわけでございますが、さらに、私は、この率の
引き下げに伴う今回の
自治庁の
措置に対して、まことにまた不可思議なものとして賛成をいたすわけには参らないことを
指摘しなければならないのでございます。それは、
税率を四%から二%に
引き下げておきながら、
税収入は昨年度の四%当時よりもふえておるというこういう事実、これはいかにも、われわれとしては理解の範囲を越えておる問題でございまして、いろいろ聞いてみますと、捕捉率を一〇〇%にするもの、あるいは九〇%にするもの、あるいは八五%と、昨年よりも引き上げるようなもの、あるいはまた指示価格を大幅に引き上げて、数字を出しておるようでございますが、もしかりにそういう
措置が正しく行われるとしても、実質的には私は増税の方向をとっているものと言わなければならないと思うものでございます。こういう点からいたしまして、私
どもはこの
税率引き下げ並びにこれに伴う
措置、
取扱いというものについて反対をいたすものでございますが、さらにいま
一つ反対の
理由として付け加えたいことは、この率の
引き下げによるところの
町村におきますところのいわゆる
激変緩和ということで、この穴を
特別交付税をもって埋めていく、こういう
考え方であるようでございますが、これは前々から、あるいはまた本日もいろいろ
論議があったように、
特交の本来の精神を踏みにじって、あまりにも都合のよい解釈、運用をしようとするものであって、決して
特交本来の精神からすれば、とるべき策ではないということを私は申し上げたいのでございます。もし
木引の
税率引き下げによって生ずる穴が大きくて、その穴埋めをしなければならぬとするならば、別に私は
補てんの対策をとらるべきであるということを言いたいのでございまして、これが
木引の今回の
税率引き下げに対する私
どもの反対の第二の
理由でございます。
長官はしばしば、
地方自治体のいわゆる
財源の充実向上ということを
考えられており、対策をすでにとるように研究中だということを言っておられるのでございますが、私はそういう
考え方からしますと、今回の、このたとえば
木材引取税の
税率の
引き下げ、あるいは電気ガス税の
減免というようなことは、私はそういう
考え方からするならば、むしろ逆行するような形においてここに現われてきているものと言わなければならないと思うのでございますが、もちろん、長官の言う
税源の拡充強化というようなことは、この税のみに限らないことでございましょうが、しかし、税全体としてそういう方向をとっていって、そうしてほんとうの自治体の機能が発揮できるような
財政力あるいは
財源の充実をはかっていかなければならぬと思うのでございまして、一、二のいわゆる
圧力団体とか、あるいは有力者とかいうような陰での工作による今回のようなこういう
措置は、厳に戒むべきであろうと思うのでございますが、もし必要があり、減税を行う段階であるとするならば、これはまた、私
どもが常に減税の問題は
考えてやらなければならぬ問題であると思いますが、もし減税の必要ありとするならば、今のようなことに手をつけるその前に、もっと基本的な、ほんとうの大衆、低額所得者であるところの大衆のための減税をまず
考えるべきであると思うのでございます。従ってそういう意味から申しまして、
事業税の中小企業とか、あるいは中小企業にも入らないような、いわゆる零細企業あるいは個人の低額の所得層の事業経営者に対する減税、あるいは
住民税の
引き下げの問題、なおまた、
住民税におきますところのいわゆる給与所得者と事業所得者との間におけるところの不
均衡の是正、こういう問題を
考えなければなりませんし、さらにまた、私
どもは、いわゆる大衆飲食といわれるものに対するところの免税点の引き上げ等も
考えなければならぬと思うのでございます。さらに現在の
市町村等の
団体におきましては、法定外のいわゆる普通税といわれるもので、ぜひとも早くやめさせなければならぬようなものが幾つもあります。あるいはまた、府県あるいは
市町村の
団体におきまして、法定以上の
税率をもってするいわゆる増税を行なっている
団体が幾つもあるのでありますが、こういう問題をこそ、私
どもは減税を
考える場合に取り上げるべきであろうと思うのでございますが、そういうことなしに、今回のような片手落ちな
措置をするということに対しましては、私
どもはまことに残念だということを申し上げなければならず、従って反対をしなければならぬということをここにはっきり申し上げるわけであります。
以上、三点にわたりまして反対の
理由を申し上げましたが、付帯決議につきましては、先ほど小柳先生から御提案がございましたが、
個々の問題につきましては、実は私
どもも賛成をいたしたい問題があるのでございますが、今申しましたような根本的な問題の解決をよそにして、このような付帯決議だけで、私
どもそのまますなおに賛成いたしかねるのでございまして、この点はあしからずお許し願いたいということを申し上げまして、私の反対討論を終るわけなんであります。