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1958-04-02 第28回国会 参議院 地方行政委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月二日(水曜日)    午前十一時三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 武治君    理事            大沢 雄一君            小柳 牧衞君            加瀬  完君            鈴木  壽君    委員            伊能繁次郎君            佐野  廣君            西郷吉之助君            館  哲二君            成田 一郎君            本多 市郎君            中田 吉雄君            成瀬 幡治君            森 八三一君            白木義一郎君   国務大臣    国 務 大 臣 郡  祐一君   政府委員    自治庁行政局長 藤井 貞夫君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方自治法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○町村議会事務局設置請願(第  五二号)(第五三号)(第五四  号)(第五五号)(第五六号)(第  五七号)(第五八号)(第五九  号)(第六〇号)(第六一号)(第  六二号)(第六三号)(第六四  号)(第六五号)(第六六号)(第  六七号)(第六八号)(第六九  号)(第七〇号)(第七一号)(第  一一〇号)(第一一一号)(第一一  二号)(第一一三号)(第一一四  号)(第一一五号)(第一一六号)  (第一一七号)(第一一八号)(第  一一九号)(第一二〇号)(第一二  一号)(第一二二号)(第一二三  号)(第一一四号)(第一二五号)  (第一二六号)(第一二七号)(第  一二八号)(第一七〇号)(第一七  一号)(第一七二号)(第一七三  号)(第一七四号)(第一七五号)  (第一七六号)(第一七七号)(第  一七八号)(第一九〇号)(第二四  五号)(第二五〇号)(第二五一  号)(第二五二号)(第二五三号)  (第二五四号)(第二五五号)(第  二五六号)(第二六九号)(第二七  五号)(第二七六号)(第二七七  号)(第二七八号)(第三〇四号)  (第三〇五号)(第三〇六号)(第  三〇七号)(第三二五号)(第三二  六号)(第三二七号)(第三二八  号)(第三二九号)(第三三一号)  (第三四八号)(第三五二号)(第  三七三号)(第三九〇号)(第三九  一号)(第三九二号)(第三九三  号)(第四〇六号)(第四一七号)  (第四二九号)(第四三〇号)(第  四四一号)(第四八三号)(第四八  四号)(第四九七号)(第五〇九  号)(第五二五号)(第五六八号)  (第五七一号)(第五九五号)(第  五九六号)(第六〇七号)(第六二  七号)(第六四三号)(第六四四  号)(第六六四号)(第六六五号)  (第七〇九号)(第七一〇号)(第  七一七号)(第七四一号)(第七四  八号)(第七五九号)(第七六〇  号)(第八七五号)(第九一八号) ○市制施行人口要件改正に関する請願  (第二一九号)(第二四九号)(第  六〇三号)(第七七四号)(第七七  五号)(第七七六号)(第七七七  号)(第七七八号)(第七七九号)  (第七八〇号)(第七八一号)(第  七八二号)(第七八三号)(第七八  四号) ○市町村立日制高等学校教職員の在  職期間通算に関する請願(第二二一  号) ○国家公務員地方公務員恩給通算  に関する請願(第九七九号) ○特別区区長区議会選任制康正に関  する請願(第一一一六号)(第一一  七号)(第一三六八号)   —————————————
  2. 小林武治

    委員長小林武治君) これより委員会を開きます。  本日は、地方自治法の一部を改正する法律案議題に供します。  まず、政府より提案理由説明を聴取いたします。
  3. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案提案理由とその要旨を御説明申し上げます。  去る昭和二十七年、第十三回国会におきまして、地方自治法改正して、地方公共団体及び地方公共団体機関に処理を義務づけている事務並びに地方公共団体設置を義務をつけている行政機関及び職員等々、すべて別表として地方自治法中に掲げることとされましたことは、各位の十分御承知のところであります。その後、関係法令制定改廃に伴い、主として第十六、第十九及び第二十四回国会の三次にわたり、所要の追補改訂措置が講ぜられてきたのでありまして、今回は、昭和三十一年、第二十四回国会以降の法令制定改廃に伴う整備をはかろうとするものであります。なお、この際、若干の条文について整理を行うことといたしたのであります。以上が、地方自治法の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 小林武治

    委員長小林武治君) 補足説明ありますか。
  5. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 若干補足的に御説明申し上げたいと思います。  本文改正の中で二点申し上げますと、最初の百八十条の五第四項関係改訂規定でございますが、これは百八十条の五と申しますのは、執行機関として地方団体に置かれなければならないいわゆる委員会のことを規定いたしてあります条文でございますが、この中で、人事委員会または人事委員会を置かない地方団体にあっては公平委員会という規定があるわけでごさいますが、この点につきましては、先般の地方公務員法改正案におきまして、公平委員会を廃止をする措置を講じたいということで御提案を申し上げておったのであります。その関係でこの規定削除をいたす建前に相なっておったのでございます。ところが、御承知のように、公務員法自体審議未了に相なりまして、この削除規定がそのままに相なっておりまするので、それとの関連において自治法規定整理をいたそうというものであります。  それから二百二条の二の改正規定でございますが、これは現在農業委員会につきましては、法律等によって特別の資格または職名を有するものとして義務づけておりまするものは従来はなかったのでございますが、先般の農業委員会に関する法律改正によりまして、市町村農業委員会農地主事設置をいたすことに相なったのでありまして、ここに別表を掲げるに当りまして、本文根拠規定がございませんので、ここに農業委員会関係根拠規定を置きたいということであります。他はすべてそれぞれ字句の整理でございます。改正の大部分別表整理でございまして、これはただいま大臣からも御説明を申し上げましたように、第二十四国会から二十七国会に至りまする法律制定改廃に伴って必要な措置を講じたいということでございます。関係法律は五十四ございまして、改正個所は全部で百二十五ヵ所ということに相なっておるわけであります。現在別表項目総数は五百円十八項目でございますがこれに対しまして今度新設をいたしまするものが五十八、改正が五十二、削除が十五ということでございまして、改正関係では合せまして百二十五ということに相なるわけでございます。削除新設等を差し引きまして、現在項目総数五百四十八に対しまして、改正後の項目総数は五百九十一、かように相なるのでございます。  以上、簡単でございますが、補足的に御説明を申し上げた次第でございます。
  6. 小林武治

    委員長小林武治君) この際お諮りいたします。  今案は昨日衆議院において修正の上、本院に送付記されたものでありますが、これらの修正点は、すでに委長各位のよく御承知の事項でありまするので、衆議院側説明は便宜省略すること、に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 小林武治

    委員長小林武治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。   —————————————
  8. 小林武治

    委員長小林武治君) 次に、質疑に入ります前に、便宜、本法案関係請願議題に供します。  請願第五十三号、町村議会事務局設置請願外百二十六件を便宜一括して議題に供します。  お手元に配付いたしました一覧表により、まず専門員より説明を聴取いたします。
  9. 福永與一郎

    専門員福永與一郎君) 最初の第五十二号外百七件は、いずれも町村議会事務局設置するようにせられたい旨の要望であり、次の二百十九号外十三件、合計十四件は、現在市制施行人口要件は五万以上と相なっておりますのを、一定のものに限って万以上とする特例を設けられたい旨の請願てございます。  次の二百二十一号は、市町村立の全日制高等学校教職員在職期間通算ができるように法律改正を望むものでございます。  次の九百七十九号は、現在、自治法が二十二年に施行されました後、三十一年の改正によって都道府県公務員国家公務員との間、及び都道府県公務員相互の間には、在職期間通算が認められておりますが、今申し上げました二十二年の自治法施行後、三十一年の通算制度が認められますまでの間に退職した者は、通算の恩典が認められておりませんので、これらの約十年の間に退職した者にも退職年数通算を認められたい、かような趣旨のもでございます。  次の三件は、現在の自治法では、都の特別区の、区長は、区の議会が都知事の同意を得て選任するという制度に相なっておりますのを、他の地方公共団体と同じように、住民の直接公選制度に改めたいという趣旨のものでございます。
  10. 小林武治

    委員長小林武治君) ただいまの請願について政府側に何か御意見がありますか。——別段御発言がないようでありますから、請願審査はこの程度にいたします。各請願の願意をしんしゃくの上、法律案審査をお願いいたします。   —————————————
  11. 小林武治

    委員長小林武治君) それではこれより地方自治法の一部を改正する法律案について質疑に入ります。質疑のおありの方は御発言発を願います。
  12. 加瀬完

    加瀬完君 別表第一の二十八号の二を二十八号の三として、次に二十八号の四というものを加えたわけですね。これによりますと、結局「地方教育行政組織及び運営に関する法律の定めるところにより、県費負担教職員定数給与等に関する条例を設けること。」というのを新しく入れたのですけれども、これはどういう内容を盛ることになりますか。
  13. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) これは地方教育行政組織及び運営に関する法律制規をせられまして、その際に、直ちにこの別表改正を行うべきでございましたのですが、いろいろ法律技術上の問題等もございまして、若干おくれまして、これをまとめて今回入れることにいたしたのであります。これ自体につきましては、結局、地方教育行政組織及び運営に関する法律そのもの規定に従ってやられることでございまして、これは御承知通り県費負担教職員定数給与等につきましては、それぞれ、身分は市町村職員ではあるけれども県費負担教職員実情から見まして、給与負担も県でやっておるという関係もあるので、その定数給与等については県の条例で設けるという趣旨を明らかにいたしたものでございます。
  14. 加瀬完

    加瀬完君 きのうも本委員会質疑が行われたわけでありますが、これから新しく生まれる教職員基準定数法律とはどういう関係になりますか。
  15. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 結局、基準は、この定数のきめ方に関する基準を示したものでございましてその基準に従いまして、本定数が定められることに和なると心得えております。
  16. 加瀬完

    加瀬完君 給与条例が作られることは当然でありますが、この給与条例というものについては、何か文部省の方から出る新しい法律関係づけた形できまるのですか。
  17. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 御質問の趣旨が若干私にははっきりいたしませんでしたのですが、結局、定数基準に関する法律が出れば、その基準に従ってやっていくと、給与等につきましても、御承知のように、教職員給与につきましては、特に国家公務員教職員というものの給与の種類及び額を基準として定めるということに相なっておりまするので、それぞれ、国家公務員について給与改正等措置が講ぜられますならば、それに応じて県費負担教職員給与等に関する条例をそれにならって改正をいたしますることは、従来の例もその通りでございまして今後もその線に沿ってやっていかれるものと考えます。
  18. 加瀬完

    加瀬完君 衆議院修正議決されたわけでありますが、どうも私ども腑に落ちないのは、参議院の方で先議で同様な問題を処理しようという申し出をいたしまして委員長の計らいでその運びに移っておったときに、こちらに自治庁の方の提案が非常に渋りまして、どういう理由か知りませんが、渋りまして、その結果、衆議院の方に出てきたと、非常に私どもその経過が不可解であります。これは大臣、どういうわけでこちらの先議という要求があって、その時間もあったにかかわらず、こちらの先議を押えておって、衆議院にお回しになったのですか。
  19. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 確かに、法案閣議決定をいたし、その後の提出にひま取りまして、御審議に支障を来たしました点を、まことに恐縮に存じております。なるべく多くを法案審議の都合で参議院にお願いしようという考えでおったのでありまするが、地方財政法の一件を先議をお願いしまして、自治法につきましては衆議院の方に先議をお願いいたしたわけであります。これらは、もっぱら法律振り分けの問題でありまして特に申しあげるような理由があるわけではございません。ただ、その間非常に時間のかかりましたことを恐縮に思っております。
  20. 加瀬完

    加瀬完君 振り分けだけの問題であれば、その当時、参議院は特にこちらで先議をしなければならない法律案もなかったわけでありますし、そういう振り分けの見通しの上から、こちらに先議を願った方がよいではないかという空気にこの委員会がなったわけでありますが、問題は、私ども漏れ聞くところによりますと、兼職禁止の問題で自治庁に異論があったということでございますが、参議院の一体の空気というものは、衆議院修正に加えて兼職禁止規定を入れようという話がよりより出ておったのでありますが、いわゆる知事とか市長とかいう特別職兼職禁止規定については、自治庁はどういう御見解をお待ちなんですか。
  21. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) お考えのような御趣旨というのは、これは十分考えるべき事柄と存じまするけれども立法化いたしますのには、なお実情等十分検討をいたし、慎重に考えました上にいたすべきことでありまして、ただいまはまだ立法化をいたすだけに熟していないのではないかと考えております。
  22. 加瀬完

    加瀬完君 知事市長等特別職兼職禁止の問題は、唐突に最近起った問題ではなくて、長い間論議一つの焦点であったと思う。これらに対する御見解というのは、自治庁でも固まっておらなければならないと思う。まだ実情が熟しておらないというけれども立法化し得ない理由をもっと具体的に一つ説明いただきたいのです。また大臣個人の御見解でもけっこうです。
  23. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 私はこうしたことを制限をした方がいいのではないかというような状況にある場合も考えるのであります。同時にまた、加瀬君が個人的な考えもと、こういうお話でありますが、私は同時に、かつての名誉職的なものの運用というのにも、自治体状況によっては意味のある部分もあるのじゃないか、両様のものの見方ができることであります。従いまして、当初申し述べましたように、御趣旨のあるところはよくわかるのであります。わかるのでありますが、そのようた意味合いでよく調和をいたして、しかし大きい自治体について、すでに名誉職的意味合いというのは多分に消えておることは私は認めます。認めておりまするが、いろいろな点を勘案いたしまして、そして事柄結論を出してみたいと思います。  繰り返して申しますが、御趣旨のような点というのは、私も御指摘のように考え部分が多いことでありますから、何分にも自治体一つの大きい扱いの問題になりますので、もうしばらく時間を借していただきたいと思っております。
  24. 加瀬完

    加瀬完君 行政局長に伺いますが、地方自治法の百四十一条、百四十二条等の、今問題になっております特別職兼業禁止の問題は、どんなふうなかね合いでごらんになっておりますか。
  25. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 百四十一条、特に百四十二条の問題でございますが、これは四十二条については、いわゆる一般には語請負禁止というふうに呼ばれておるものでございまして、一般的に申しまして、特別職、特に長は一般公選によって選出せられる建前になっておるものでございますから、そのいろいろの点について制限を加え、資格について制限を加えますことは、これはやはりよくよくの理由でないと行うべき問題ではない、こういう建前はとっていかなければならないと思うのであります。ただ、非常に弊害というものが目に見えて明白であるという場合、それぞれ、地方団体の長というものが、みずから予算提出し、また予算執行に当るという者が、直接関係のある請負等をやりますることは、これは弊害が非常に顕著に現われる最たるものであるということで、これらは法律禁止いたしておるのであります。一般的に、そのほかに営利企業に従事いたしておりまするとかいうような事柄は、建前しとして、私自身といたしましても好ましいことであるとは思っておりません。特に最近、特別職と申しましても、常勤で非常にその職務についても煩瑣になってきておるのでありましてそういう点から申しましても、それが非常に適当なことであるとは考えておらないのでありますが、しかし事柄は、資格制限をいたすかどうかということは、一般公益上の問題に属する事柄でございまして、また、それらの適否ということは、選挙を通じて判断をされる面も大いにあるのではないかというようなことも考えられるのであります。総じて兼職をいたしておりますることが、法律禁止をしなければならないほどの弊害をかもし出すかどうかというような点につきましては、大臣もただいまおっしゃいましたように、われわれといたしましても、もうしばらく検討の機会を持ちたい、かように考えている次第でございます。
  26. 加瀬完

    加瀬完君 まあ管理者である特別職と、それから一般公務員等を比べてみますと、一般公務員に対する制限というものは相当きびしくなってきているといってもいいと思うのであります。しかし弊害は、単にその一般公務員だけにいろいろ兼職その他の弊害が出ているわけではなくて弊害は、あなたも適当であることとは考えておらないとおっしゃっていることも、やはり特別職兼業禁止ということを、あるいは兼業に類する業務のことから、特別職そのものの役目というのが若干おろそかになってくる、あるいは弊害を生じてくるという、こういう類例も相当あると思います。これらに対する対策というのは、自治法は何回も改正されますけれども一般公務員をいろいろと縛る割合にゆるやかであるというふうに私どもには思われるのであります。たとえば、名誉職という大臣お話がありましたけれども知事以下市町村長が現在名誉職だという見解は、これはちょっと成り立たないと思うのであります。名誉職のような方もごく少数あるかもしれませんけれども一般は、これは何ら一般公務員と変りのない待遇なり勤務なりというものが当然存在いたしていると思うのであります。こういう形の特別職に対して、まあ兼業禁止の百四十二条だけでなくて、営利事業等から、その地方政治というものが非常ないろいろのつながりを持って、それが一つ弊害になっているという例もこの委員会でもたびたび出ているくらいです。これらに対して、何も対策を持たれておらないということは、どうも腑に落ちないのであります。地方自治法をいじるからには、改正の中に入れるか、条文に入れるか除くかは別にしても、相当研究は進んでおらなければならないと思います。現在、自治庁のお考えとしてまとまっているものは、若干研究したら、将来、兼業禁止というものをもっときびしくしょうというお考えなんでしょうか、それとも、それは選挙によって判断すればいいのだという、今のままの姿でほうっておくという考えにですか。
  27. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) その点につきましては、先般当委員会におきまして兼業禁止の問題が議題に供せられました際にも、われわれといたしましては、ある程度資料も収集し、検討も加えたことは事実でございます。ただ、自治法改正の際に、政府といたしまして、今直ちに兼業禁止法律規定をするところまでいくべきかどうかということにつきましては、まだ最終的な結論を得るに至っておらないというのが、率直なところ現在の段階であるわけであります。その点につきましては、弊害の著しさというものがどの程度に現われてくるのか、それとまあ資格制限という公益上の問題と、それから選挙民判断というようなものによって匡正される程度のものであるかどうか、法律でやはりずばり規定をしてこれを禁止に持っていくべきかどうか、そのかね合いの問題につきまして、まだ率直のところ、結論を得ておらないというのが現状でございます。
  28. 加瀬完

    加瀬完君 結論は得ておらないかもしれませんけれども兼業禁止をやるということには現状においては反対だというお答えなのでしょうね、今の自治庁のお考えは。
  29. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) これは今年も、これは主として町村でありますけれども町村公務員に関してかなりに大規模な実態調査をいたすこにいたしております。大体七月ごろにいたすことにいたしております。私どもは、現在私どもの持っている実情調査というものが、まだまだものを判断いたす上に不十分だと思っております。先ほどちょっと名誉職と私申しました、もちろん、現在は名誉職制度をとっておりません。ただ日本の自治法発達というものは、名誉職制度というものによって、ある一種特別の発達をしたということを、まあ私は、今そういうことを考えておって、そのよしあしは別でございます。別てございます。が、そこにちょっと意味があった——ちょっとよけいなことを申し上げたことになるかもしれません。今年あたりは実態調査をいたします場合に、調査項目も、これは一つは何と申しましても、市町村の吏員の給与等が十分であるかどうかということを一つのねらいにしておりますけれども、一体どんな実態に動いておるかどうかということを捕捉したいのであります。ところが、これは私ども自身の至らない点でありますけれども、どうも私どもが把握しているのが、現在の複雑な自治体実態をどうもとらえていない。従いまして、兼業禁止の問題にしましても、私は何らかの、従来から、古くからある請負禁止だけじゃなく、何か制限というものを必要のように思っております。しかし、どういう点で一体くくりをつけたらいいか、それについてのまだ十分な自信と、実態の把握がいたしておりませんために、先ほど来申し上げておるようなお答えの仕方をしておるのでありますが、事柄につきましては、私はどういう押え方をしたらいいか、また何らかこう規制をしなければならない部分がどうもあるようだという点については、私はむしろおっしゃることに共鳴する点を持っておるのであります。率直に申しまして、そういう現状でございます。
  30. 加瀬完

    加瀬完君 次の問題ですが、衆議院付帯決議がされておるようでありますが、公立学校教育公務員退職年金の基礎となる在職期間通算の問題ですね。これは条例できめることになっておりますけれども、実際の動きというものは、条例でこの問題の解決が完全に果されておるという公共団体ばかりでないと思うのです。たしか前の国会でも請願でこの問題が出まして、そのとき公務員課長かと思いましたが やはりこの問題は研究する必要があるという御意見が開陳されたわけでございますが、これは行政局長、こういう一部の改正をするようなときに、織り込んで当然解決されなければならない問題だと思いますが、解決し得ない何か技術的な問題があるのですか、それはどういう点ですか。
  31. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) お答えいたしますが、現在恩給法上の公務員都道府県職員並びに都道府県職員相互間につきましては、在職期間通算措置が講ぜられることに、法律規定をせられたのであります。その場合において、通算措置というものは、政令で定める基準に違反することが詐されないという建前で出ておるのであります。現在その政令は地方自治法施行令百七十四条の五十から百七十四条の六十五までに、非常に込み入った複雑な規定でございますが、この規定によって現在処理が行われておるわけでございます。ところで、このように法律上の義務付けが通算措置によって行われますることが可能でありますためには、どうしてもその前提といたしまして、恩給制度あるいは退職年金制度の内容というものが建前として同一であるということが前提になって参るのであります。ところが、その同一の内容を前提といたしまするものにつきましても察知のように、その通算措置というものが、技術的にきわめて相当込み入った内容を持ったものを作らなければならないということに相なっておるのであります。ところが、府県と市町村あるいは恩給公務員、と市町村ということになりますると、これは御承知のように、今まで沿革的ないろいろ理由もございまして、市町村の場合の給与制度、あるいはその他の関係につきましても、非常に区々まちまちでありまするし、なかんずく、退職年金制度につきましても、その内容に至りましては、きわめて複雑多岐にわたっておりまして、統一したものがそこに見出すことが困難な現状にあることは御承知通りであります。現在そういふうに内容が異なっておりまする例について評しく申し上げる必要もないかと思うのでありますが、ごく典型的なものについて申しますると、たとえば適用の対象にいたしましても、恩給の場合においては、官吏あるいは吏員相当職というものでありまするものが、市町村退職年金については、吏員のほかに、雇用員とか嘱託とかいうものを含んでおるものがございます、それから給付の種類につきましても、公務傷病一時金というようなものが市町村においてはないというようなこともございまするし、また公務員一般については支給されておらないような死亡資金というような形のものも行われておるというよううこともございます。また給付の基礎となりまする俸給年額の算定方法につきましても、市町村において恩給、あるいは都道府県退職年金の場合と非常に違ったやり方をやっておるものもあるのであります。恩給納金といわれますものにつきましても、一般公務員は、毎月俸給の百分の二ということになっておりますが、そのほかに百分の一で足りるというような制度をとっておるとこるもあるのであります、最長の在職年、それ以上在職しても率を加算しないという、そういう最長の在職年につきましても、公務員が四十年あるのに対しまして、市町村の場合は三十年というものがございます。また最短年金年限、すなわち公務員については十七年が最短の年金年限になっておるのでありますが、これにつきましても、市町村の場合は十七年のものもちろんございますが、そのほかに十六年、十五年、十四年、十三年、十二年あるいは十年というような、いろいろの場合が存在をいたしておるのであります。こういうような非常に相異なっておる制度間におきまして通算措置を義務づけるということに相なりますると、これは技術的に申して全く不可能と申して差しつかえがないというふうに考えるのであります。いろいろ、われわれといたしましても研究はいたしてみたのでありますが、同じ基礎に立っておりまする府県と、国家公務員あるいは府県相互間というような場合でも、あれほど相当困難な措置を講じなければならない、それが給付内容、あるいは年金の制度、内容が非常に異なっておりまする各相互間について、あるいは相互間だけではなくて、それからまた他の市町村に行く、あるいは府県に返ってくるという、ようなことまで、やはり制度的に法律的に規定をいたそうとすれば、そこまで全部やはり規定をいたして参らなければなりません。そうすると、そのグループというものが無数にできて参りまして、法律技術的に見ますると、とうていこれは不可能であるというふうに言わざるを得ないという結論に到達をいたしておるのであります。といたしますると、結局、現在の市町村の恩給制度あるいは退隠料制度自体が、通算の基礎を結局備えておらないということになるわけでありますので、そうすれば、どうしても市町村の退隠料制度、年金制度自体をやはり通算に値するように改正をしていく必要がどうしても出て参るわけでございます。その点は改正の対象といたしまして、先刻ちょっと触れましたような点がいろいろございます。それらの点について一律に現在あの改正措置法律でもって強制をしていくということがどうであろうか。むしろ市町村の場合において、制度自体が有利にできておるものもあるわけであります。有利なものを一方的に不利なものに改正を強制するということも、これはなかなかむずかしいことでございます。現在まで市町村は、長い間それぞれの沿革に従いまして、独自の条例を持っておる際に、それを通算措置をただ可能ならしめるということのために、そういう制度改正を一方的に考えるということは、これはなかなか困難な事柄ではないかというふうに思われる面があるのであります。  そういうふうな点から、法律を制定いたしました際にも、恩給と、それから都道府県職員との間については基盤が離れてございますので、政令で一つ基準をきめて、これを法律上義務づけることにいたしたのでありますが、市町村相互間、あるいは府県と市町村との間においては、その点がきわめて困難でございますので、政令でもって義務づけるということもむずかしいのでございますので、それぞれの当事者間において共通の基盤があって、話し合いがついたものについては、なるべく一つ通算措置を講じなければならないという一つの指導目標というものを掲げるにとどめていただいたわけでございます。しかしながら、われわれといたしましても、現在のこういう建前、こういうことが、これがいいのだというふうにはもちろん考えておらないのでありまして、特に、市町村立の金目制の高等学校の教職員等についてそうでありますごとく、その他につきましても、人事交流その他の面から見まして、通算措置が円滑に講ぜられることは、これが最も適当でありますことは申すまでもございません。しかし、そのためには、通算を可能ならしめる基盤を作り出すということが大切でございます。その点につきましては、現在国家公務員につきましても恩給制度改正の問題が論議をせられておるのであります。これによりまして、恩給制度についてもいわゆる年金保険的な考え方を導入する建前で現在研究が行われておるのであります。部においてはすでにそういう制度が属用員等においては講ぜられておる建前になってきておるのであります。こうなりますと、結局、これに合わせて地方公務員につきましても共済年金を一本といたしましたるそういう年金制度の合理化というものをはかって参らたければならぬ時期が、もちろん最近の機会にくるのではないかという感じがいたしております。われわれもその方向で現在研究を開始いたしておるのであります。その際に、統一的な問題として処理をすることによって、本問題の恒久的の解決をはかって参るということが適当なのではないか、かように考えておる次第でございます。
  32. 加瀬完

    加瀬完君 局長の前半の説明は、ほとんど技術的にできないというみたいな話で、あとの話は、いろいろ調査研究をして、何か解決の方法を見出そうと思うということなんですけれども、一体おやりになろうとなさるのですか、できないということなんですか、結論は。
  33. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 現在の建前では、これは法律的にやって不可能、申して差しつかえございません。ただ法律自体建前を、今度の全体の恩給制度改正に即応いたしまして、制度自体を改心めすことによってこれを可能ならしめるように持って参りたい、かように考えております。
  34. 加瀬完

    加瀬完君 私は、できないということはおかしいと思うのですよ。給与基盤が違うといいますけれども、国と県との給与基盤は同じだけれども市町村は基盤が違うのでやれないというけれども、国も県も、他の地方団体も、給与基盤は原則としては同じなんです、理念的には同じはずなんです。現状を違わせておることが私はおかしいと思うのですよ。たとえば、交付税法の算定基礎ではどういうふうに考えておるのか、こう先般質問をいたしましたら、市町村であろうが府県であろうが、これは交付税の給与の積算の基礎は同じに考えておる、国家公務員に準じた同じ考え方で積算しておる、こういう御答弁であった。ところが、でこぼこなものをでこぼこにしておいて、何か国家公務員より高いところだけ一生懸命抑えている。しかし低いところを国家公務員の線まで引き上げようという努力というものや指導というものは、私は力が弱いと思う。ですから、そういう方法を前提として講ずるという立場に立てば、給与基盤がでこぼこだということはひとりでに問題の解決がつくと思うのです。  それから、市町村そのものに非常に有利なところがあるので、かえって何か法律的に一律にしない方を市町村の方が望んでおるようなことですけれども、それはそれでいい。それじゃそういう条例などできまっておらないところの、国家公務員都道府県公務員よりはるかに条件の悪いようなままで捨てられておるところをどうするか。たとえば給与条例町村で作らなくても、国家公務員に準ずるというような原則で適当にやっておって、それを黙認しているような現状にあると思う。それならば、そういうはっきりとしたものの作られておらない下の線だけ、何か法律的な救済条項を作って、国家公務員に準じさせたり、あるいは都道府県に準じさせたり、あるいはそれとのつながりを法律の上で作らなければならないようにきめたりするというようなことは、そんなにむずかしい事実じゃないと思う。で、衆議院でその在職期間通算するようすみやかに措置すべきであるという御決定があったようですけれども、これは、政府当局としては何とかこの線について解決しようということと、この点は了解してよろしいですか。
  35. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) この点は行政局長の申しておりましたように、私はやがて解決しなければならない問題だと思っております。やがてと申しますのは、今度の公務員の恩給制度でございますね、それから雇用人の共済制度、これが現に府県雇用人の共済は国家公務員規定に当分の間となった状態で、まだ法律をこしらえておりません。これもこしらえにゃいかぬ。それから市町村の現在の恩給、それから市町村一般職員と教員の問題、これらをできる限り有利な条件で、もちろん国家公務員との均衡も保たにゃいけません。しかしながら、そうしたものをこの際一つ統一的に考えるということが必要なんでございますね。ただ、そういう年金制度といっても、御承知通り、どういう形でいくかという根本問題がございます。従いまして私は、決してあとにものを譲るという意味じゃございませんけれども、よほどよう実態を押えながらでございますよ、これはやっていかにやあならぬ。しかし、これは解決いたしませんと、このままの状態で、それぞれその状態が違っている状態を長くいたしますと、いよいよ解決がしにくくなる。ある大もとを変える場合に、これは一つ場合によっちゃ条件を悪くするような場合が起っても、それは合理的だという判断で納得をしてもらえるように、そうしてこれはやりたいと思っております。
  36. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 二百五十二条の十八に、当該都道府県職員となった場合においては、「政令の定める基準に従い、」と、こうなっております。その政令というものは出ておるのか出ていないのか。
  37. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 都道府県相互間、それから国家公務員都道府県職員相互間については、政令が出ております。今申し上げましたように、これは政令でもって規定をいたすことが可能でございます。同じ基盤でございますから。そういう建前で、これは「政令の定める基準に従い、」とこういうふうに相なっておるわけでございます。これは政令がすでに出てこれに基いて恩給通産措置を講じておるわけでございます。
  38. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうすると、その前文にうたっている——私もこれよくわからないわけですけれども、「市町村立学校職員給与負担法」云々と、こういうふうにずっとありますが、こういうものも、当該府県の教職員になった場合も通算できる、こういう基準が出ているということなんですれ、こういうことの政令が出ておると……。
  39. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) その通りでございます。
  40. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 それから、今、指導目標になっておると、「在職期間通算する措置を講ずるように努めなければならない。」と、第三項でこううたっております。ですから私は、自治庁の方針というものはここに表われておるじゃないか。これはもちろん、国公あるいは都道府県同士の通算と、こういうのじゃなくて、やはり今、長官が言われるような広い範囲のものまで含めた指導目標だというふうに了解をし、そうして、自治庁としては当然こういう方向に努力すべきものである、こう了解していいと、従って、今すぐできないかもしれませんけれども、こういう指導目標が出ておる以上は、自治庁としては早急に、今問題になっておる市町村立職員の通産はやられるものと、こういうふうに承わっていいわけですか。
  41. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 大臣もおっしゃいましたように、恩給あるいは共済制度というものの改正の問題が、目前に今論議される段階にきております。その際に、必ず通算は可能ならしめる基盤を確立いたしますことも可能になって参ります。法律趣旨も、なるべく通算というものをすみやかにできるようにやれということになっております。その線に沿ってわれわれとしては実現に努力をしたい、かように考えます。
  42. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 加瀬君がちょっとおりませんから、兼職の問題で少し伺いたいと思います。  百四十二条の、長の兼職禁止というのは、請負をするところに対しての兼職禁止がうたってあるだけでありますが、私たちが問題にしておるのは、市町村といいましても、たとえば五大市ぐらいの、いわゆる指定都市以上の長あるいは知事兼職禁止であって、一般市町村長まで兼職禁止するのは行き過ぎじゃないかという考え方、しかし、今申しました知事と指定都市の市長ぐらいは兼職禁止すべきじゃないかと、こういうふうに考えておりますが、何か長官のお話を聞いておりますと、昔名誉職であったからと、こんなようなお話も、市町村なんかをさしておられると思いますけれども、こういうふうな考え方でなくて、やはり地方自治体としてのりっぱな自治権のある、これから伸びていかなければならない、地方自治を確立しなければなら、ないところの人たちは、やはり兼職よりも、やはりそこには独立財源というものを与えてほんとうに自治体を固めていく私は地方の長を得るためには、方向としては兼職禁止していくという方向が望ましいものだと考えておるわけですが、その点についてのお考えはいかがでございましょうか。
  43. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 話に花を咲かせる意味で決して言うのじゃありませんが、私はこういう気がしているんです。ずっと日本の自治の発達途中で、非常に大きいところと非常に小さいところで、実は名誉職的な、率直に言って、前の東京市長とか、非常に大きいところに、何か仕事は助役に有能な士があって、しかし非常に重みのある人がなっておって、そういうふうに動いておったという時代があるのですれ、率直に言って。割にそういうときには事件が起っていなかった。仕事はやらぬようだったけれども、その助役を引っ張ってきてやっておったという、非常に大きいところ、非常に小さいところに案外似たような結果が出てきている。これは昔話で、今は、お前そんな言っても、そうなっておらぬじゃないかとおっしゃるかもしれませんが、そうですよ。そうですが、そういうところに、非常に自治体というものはいろんな段階がある。今、成瀬委員御指摘のように、なるほどそういうふうなことを言ったって、昔のような考え方をできるものじゃありません。ありませんけれども、私はやはり全体に、こういうところにはこういう考え方、こういうところにはこういう考え方、そうしていってみて、制限するときには一体どんなことがいいだろう、これは一つ趣旨はよくわかるのです。ですから、そういうことを私は考えてみたいと思います。
  44. 加瀬完

    加瀬完君 今の問題、ぶり返すわけじゃありませんが、さきに、自治法の百四十二条、それから地方公務員法の二十四条の四項などでは、一般職員は別の方から給与を受けることができなくなっておるんですから、そういう側と均衡を保つ上からも、今、長官のおっしゃる小さい町村というものは、除々に町村合併や何かでなくなってきておるわけです。一応ある程度兼職みたいな、兼業みたいな立場で町村長などをやっておられては、住民が非常に困るというところまできておるわけですから、そういう点、十分御考慮いただきたいと思うのです。  私、終りに二つ伺いたいのですが、衆議院修正で、町村議会事務局を置くことになりましたが、まああけすけに書って、議会事務局を置いて、活発な議会活動をされることを、町村長側からいえば、必ずしも全部が喜ぶことにもなりかねると思う。そこで予算措置や何かで、事務局は置くことはできても、結局、機能そのものが、事務局を置いたという趣旨を十分発揮できないような形で臨まれてきては、これは事務局請願を続けてきた方々の意向とは非常に違ってくると思う。この行政指導をどうなさいますか。
  45. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 法律が成立をいたしました暁におきましては、法律趣旨にのっとって、議会活動というものが十分に行われるような措置というものは、これは当然講じて参らなければなりません。そのためにむだな経費が使われるということは、もちろん、これは自制を加えなければならぬことでございますが、事務局を置き得る態勢になり、また事務局を置くということになった限りにおきましては、この議会なり事務局といたしまして、十分に活動できまするような指導を行なって参ることは当然のことでございます。
  46. 加瀬完

    加瀬完君 それは地方財政計画の上でも、あるいは交付税の算定の上でも、事務局の新しい職員、専任職員というものの給与あるいは事務局運営の費用というものは見積もっていくということですね。そう了解してよろしゅうございますね。  それからもう一つ、やはり衆議院修正によりまして、今まで人口三万で市になれなかったものが、新しい市に出発ができるような条件ができたわけでございますが、この新市誕生のための指導、助言といったような措置を、自治庁ではどのようにお取り運び下さいますか。
  47. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) この点は、法律通りますれば、直ちに通達を出しまするし、また最近一の機会、に、所管部長あるいは所管課長の会議を、その他の案件とも合せてやる機会があると思います。これを通じて十分趣旨の徹底をはかりたいと思います。
  48. 加瀬完

    加瀬完君 趣旨の徹底はいいですけれども町村合併における新市の誕生と同じような熱意と指導によって、やはり新しい市の誕生に自治庁が一役買って出るという形で進めてもらわないと、なかなか問題があると思うのです。好ましいことでないけれども、仕方なしに修正されちゃった、だからなかなか作ってやらないということでやられては、法律だけできて、なかなか市が誕生しない。あけすけに言えばそうなりますから、新市町村建設の、前の市を作ったと同じような措置を講じていただきたいと思いますが、そうやっていただくと了解してよろしいのですね。
  49. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 建前としては、これはそこに差等を設くべき筋合いのものではございません。
  50. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 地方公共団体が出資をする、それは公的だと、例えば例が悪いかもしれませんけれども、民間放送を、あるいはテレビ塔というようなところに地方公共団体が出資をしておる。なるほど、一つは公的とも言えるかもしれませんが、会社組織としては、見方としては私益を追求しておることは事実なんです。そういうところに地方公共団体が出資をすることの可否について御意見一つ承わりたいと思います。
  51. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) ちょっと私の直接な所管かどうかわかりませんですが、出資というものは、事柄の性質にやっぱりよると思います。出資をすることによりまして、そこの地方公共団体行政活動があるいは促進される。みずからの直接の仕事ではなくっても、全体の行政目的がそれによって促進される。あるいは産業振興に役立つというようなことでございますれば、外郭団体等を利用して行うということも、時としてはあり得るわけでございます。ただ、まあそういうような点から申して、出資というものは一がいにいけないというものでもございません。ただ出資の目的自体がどういうことになるかという点に問題がしぼられるのじゃないかと考えております。
  52. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 言葉で言えば、私は藤井さんの言われたのは一つの筋だと思うのです。ところが、だから兼職禁止とからんでくると思うのです。表面上は一つの公的なものだと、こう打ち出します。ところが実際は私益を追求しておるところに対して自治体が出資しておる。私はむしろ、もしそうとするなら、出資というような形をとらずに、、やはりこれは、その市なりあるいはその県が、こういうものを一つ作っておるというふうに、出しておるということが県民にも市民にもわかるように、むしろ補助金というような形にしてやった方が明確になるじゃないか、受け取る方も。ですから、あなたの方の指導として、自治法の二面三十一条の中に、「寄付又は補助をすることができる。」と、こうなっておるのですから、それによってやるようなふうに行政指導をしていく方が好ましい姿じゃないかというふうに考えるわけですが、どうでしょうか。
  53. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) これも私は物事によって違うのでありまして、一がいには申せないのではないかという感じがいたします。もちろん、出資という形をとっておりますものにつきましても、それをせんじ詰めていけば、簡明率直に補助という形にした方がいいというものも中にはあると思います。ただ出資——補助の場合は、補助をやりっ切りになってしまうわけでございますけれども、出資の場合においては、会社なり、あるいはその他の団体なりのそれだけ持ち分になりまして、一つの権利を保有をいたしておるわけであります。そういうような点で財政支出の面、これを長い目で見ました場合の財政支出の一面等におきましても、その点効用が違ってくるわけでありまして、それらの点を彼此勘案をいたしましてどちらがいい姿であるか、これを出資にすべきか、補助金にすべきかというのは、どういう姿がいいかということについては、個々の案件について一つ考えていく筋合いではないかと思っております。
  54. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 次に、二百五十二条の十九にあるのですが、指定都市の権能の問題ですが、この中の第九項目にある「食品衛生に関する事務、」これが現在は有名無実のような格好になっておる、環境衛生法の成立によっていったのです。そこで、これは指定都市のいきさつがございまして、ああいうふうになったわけですが、ああいうふうというより、こういうふうに十六項目と二項になって、指定都市になったのですが、それが環衛法によって逆戻りしておるのですが、自治庁としてはもう一度、この指定部市に法律改正をした趣旨にかんがみて、環衛法で県へ移行したものを、もう一ぺん指定都市に戻してくるという方向に法律改正をされる御意思はございませんか。
  55. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) ただいまにおきましては、環衛法ができたいきさつもございまして、われわれの方で、そういう法律改正をする意思は持っておりません。ただ、指定都市の制度が確立をせられました経緯等もございますので、お話の点等につきましては、所管省でありまする厚生省当局とも相談をいたしまして、事柄の処置をつけて参るように努めたいと思っております。
  56. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 実際事務をやる場合には、市の職員は衛生関係機関を使わなければやれないのです、実際問題として。そこで、環衛法はできた、それから指定部市の権能がここにこうあるという点で、一つの問題が起きてくると思いますから、十分一つ検討をされて、私は一つ指定都市に法律改正をした趣旨の方を生かして、自治庁の立場としては、一つその方向に努力をしてもらいたいと思います。これはお願いしておきます。  最後に、町村議会事務局を置くことを得という衆議院修正でございますが、これは自治庁が当然出してこなければならない問題だと思うのですが、なぜ自治庁はこういうことを出してこなかったのですか。
  57. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) この点は、最近の一つの筋といたしまして公共団体の財政を健全化していかなければならない。また半面、機構の簡素合理化という、ものも当然措置していかなければならぬという要請がございまして、法律におきましても、そういう線の改正が一連に行われて参っておるわけであります。そういうような点もございまして、町村議会事務局設置の必要性というものは、これはわからないではございません。事実、事務局のようなものを置いて運営をしておるものであります。また専任の職員と見るべきものも、全体の七四%程度あるという事実も承知をいたしておるのであります。ただ、そういうふうに事実上の運営でやり得るものを、法律上そういう基礎をはっきりと確定をいたしますることによって、全体として簡素化の精神が法律上から見て、いかがな点があるのではあるまいかというようなことが一つございまして、それにもう一つは、やはりこういう問題につきましては、他の機関事務機構等にも当然関連を持って参ります。今まで問題になってきているものでも相当たくさんございます。各省関係のものでもあるわけであります。もちろん、議会事務局というようなものは、そういう他の執行機関事務局等とは本質的に事柄が違うのでありますということも言い得ると思うのでありますが、しかし、機構の面という点においては、これは同じ建前に立つものであるといわれてもいたし方がございませんし、そういう点で、いろいろ他にも影響を及ぼすというようなこともございまして、われわれといたしましては、必要性は十分にこれは認めますけれども、これを法律といたしまして、政府提案でやりますことはいかがかというふうに考えておった次第であります。
  58. 小林武治

    委員長小林武治君) 他に御発言がなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 小林武治

    委員長小林武治君) 御異議ないと認めまして、これより討論に入ります。  御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、付帯決議等がございましたなら、討論中にお述べ願います。
  60. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 私は、自由民主党を代表いたしまして本案に賛成の意を表明いたしますとともに、次に読みます付帯決議を付して賛成したいと存ずるものでございます。  付帯決議を朗読いたします。     地方自治法の一部を改正する法律案に対する附帯決議   政府は、地方自治の実情にかんがみ、左の諸点につき、検討の上、すみやかに適当な措置を講ずべきである。  一、選挙管理委員会の適切かつ円滑な運営のため、事務局を置きうるものとすること。  二、全日制の市町村立高等学校の教職員については、その退職年金算定との在職期間通算につき、他の公立学校教職員に対する場合とその取扱いを異にし、著しく均衡を失すると思われるので、これ等の教職員についても、同様の取扱いをすること。  右決議する。  政府の原案は、いわゆる自治法別表の整備を中心とするものでございまして、当然の事務的な改正でございます。また衆議院におきまして修正せられました二点、すなわち、町村議会事務局設置の点、また、市となる人口の要件を、暫定的に五万から三万に引き下げるという問題、この二つの問題は、しばしば当委員会におきまして請願の採択等におきましても是認せられました点でございまして、率直に申しましてもし衆議院においてこれが修正せられなかったと仮定いたしまするならば、おそらく、当委員会におきまして、この点修正を加えたであろうと愚考いたしまする点でございまして、理由各位すでによく御承知通りでございまして、賛成の意を表するものでございます。  なお、付帯決議案の二点でございますが、第一点の、この選挙管理委員会事務局を置き得る道を開くという点につきましては、選挙管理事務が、一般のこの市庁の部局と別の行政委員会を置いて、選挙事務を管理いたしておりまする趣旨から、なおまた事務量、ことに常時啓発の事務をますます今後拡充しなければならないという点から考えまして、事務局を置き得る道を開くということが必要であると存ずるものでございます。  次に、第二点の、市町村立の全全日制の高等学校の教職員の退職年令算定上の在職期間通算の問題でございますが、先ほど来、当委員会におきまして審議せられまして、この問題が、政府当局の御答弁によりますると、技術的に非常に困難で不可能に近いという御答弁ではございましたが、しかしながら、これを一般市町村の吏員の問題として広げて考えますれば、政府の御答弁の趣旨のようなことも必ずしもわからないわけではないのでありまするが、しかしながら、これを学校の教職員について取り上げて考えてみますというと、市町村立学校職員給与負担法の適用されまする学校教職員につきましては、小中学校の教員あるいは盲ろうあ学校の教員あるいは養護教員、すべて通算の適用が法律上されることになっておるわけであります。ひとり全日制の高等学校の教職員だけがこの通算規定から取り残されておる、こういう現状にあるのでございまして、これを通算することを義務づけるという問題が、必ずしもこの職員の利益を害するということでないということは、しばしはその関係職員から当委員会にも請願をみておるという点から見ても、私はその利益を害するということは懸念する必要がないのではないか、むしろその利益を保護するために、そしてまた、人事異動を円滑ならしめるために、一般市町村吏員の通算の問題につきましては、ただいま、国家公務員地方公務員に対しまする退職年金の問題、共済年金の問題等が取り上げられておる際でございまするので、今、政府の申されたような御答弁も、それはあり得ると思うのでありまするけれども、とにかくこの学校教職員のうち、取り残されておりまする全日制の市町村立高等学校の職員通算につきましては、すみやかにこれを通算できるようにするということが至当である、かように考えまして、提案を申し上げるような次第でございます。  何とぞ各位の御賛同をお願いを申し上げる次第でございます。
  61. 小林武治

    委員長小林武治君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  62. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記を始めて。
  63. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私は、社会党を代表いたしまして政府原案並びに衆議院修正について賛成をするものでございます。  理由は、特にこの委員会を通しまして論議をされて、強い要望であったところの市町村議会事務局の任意設置、それから三万以上のところを市にするというような点が修正として含まれたことに対しまして、衆議院各位の御努力に対して敬意を表するとともに、参議院の皆さん方のここまで持っていかれたことに対する熱意に対して敬意を表して、賛成をするものでございます。  なお、大沢委員から提案になりました付帯決議案に、第三点として、知事及び市長等兼職制限を強化すること、この三項を付帯決議案につけて賛成をするものでございます。  理由は、今さら兼職禁止について申し上げる必要はないと思います。参議院の意向というものは、ここでも修正し、本会議も通っていることでございますから、一つ自治庁においては、参議院の意向が那辺にあるかということを十分検討し、尊重をして取り扱いをされることを要望いたしまして、討論を終ります。
  64. 森八三一

    ○森八三一君 私は、ただいま議題になっておりまする地方自治法の一部を改正する法律案に対しまして、政府提出の原案並びに衆議院修正されました案を含めて賛成をするものであります。  なお、討論中、大沢委員から発議せられました付帯決議案に対しましても、当然なことでありまして、心からの賛成をするのであります。  なお、討論に際しまして、成瀬委員から御発言の、付帯決議第三項、公職者の兼業禁止に関する問題に関しましては、すでに本院の議決もあったことであり、これまた早急に解決いたしますることが、地方公共団体のためにも稗益する点が多々あると考えられますので、十分慎重な研究を要することではありますが、すみやかにその結論を出されまして、政府として地方自治法に取り入れることの取り進めをされたいということを強く希望するのであります。  なお、この機会に一言付言しておきたいことは、市制施行に関する人口要件は、九月三十日まで、暫定的に五万から三万まで措置されることになったのでありますが、市制のことにつきましては、合併等に相当むずかしい問題もありますので、九月三十日までにまだ問題が十分整理されませんで、とやかくの問題をあとに残す憂えがないとは申されません。すでに五万ということになりまして、当然期間中に措置さるべきものが措置されず、こういうような暫定措置を延期しなければならぬというような事態に至った経過等を考えますれば、そういうこともまた予測されるところでありますので、自治庁におきましては、この暫定期間中に、将来問題を残しませんように、十分御指導願いまして、成果を上げるようにお願いいたしたいと思います。  以上、希望をつけまして賛成いたします。
  65. 小林武治

    委員長小林武治君) 他に御発言なければ、討論は終局したものと認め、採決に入ります。  地方自治法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を衆議院送付通り可決することに賛成の方の挙手を求めます。   〔賛成者挙手〕
  66. 小林武治

    委員長小林武治君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中、大沢君並びに成瀬君より提出されました付帯決議案を議題に供します。  成瀬君の決議案は、大沢君の案に一項目を追加したいとのことでございますので、両君提案の決議案を便宜、一括して問題に供することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 小林武治

    委員長小林武治君) 御異議ないと認めます。大沢君並びに成瀬君提出付帯決議案を便宜一括して問題に供します。  両君提出の決議案に賛成の諸君の挙手を求めます。   〔賛成者挙手〕
  68. 小林武治

    委員長小林武治君) 全会一致と認めます。よって、大沢君並びに成瀬君提出の決議案を、全会一致をもって付帯決議とすることに決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による委員長の本会議における口頭報告の内容及び第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 小林武治

    委員長小林武治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。なお、報告書には多数意見音の署名を付することになっておりますから、小案を可とされた諸君は、順次、御署名を願います。   多数意見者署名     大沢 雄一  小柳 牧衛     伊能繁次郎  西郷吉之助     成田 一郎  館  哲二     白木義一郎  鈴木  壽     加瀬  完  佐野  廣     成瀬 幡治  森 八三一     本多 市郎
  70. 小林武治

    委員長小林武治君) 本日は、これにて散会いたします。   午後零時二十七分散会    ————————