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政府委員(
藤井貞夫君)
お答えいたしますが、現在恩給法上の
公務員と
都道府県の
職員並びに
都道府県の
職員相互間につきましては、
在職期間の
通算措置が講ぜられることに、
法律上
規定をせられたのであります。その場合において、
通算の
措置というものは、政令で定める
基準に違反することが詐されないという
建前で出ておるのであります。現在その政令は
地方自治法施行令百七十四条の五十から百七十四条の六十五までに、非常に込み入った複雑な
規定でございますが、この
規定によって現在処理が行われておるわけでございます。ところで、このように
法律上の義務付けが
通算措置によって行われますることが可能でありますためには、どうしてもその前提といたしまして、恩給
制度あるいは
退職年金制度の内容というものが
建前として同一であるということが前提になって参るのであります。ところが、その同一の内容を前提といたしまするものにつきましても察知のように、その
通算措置というものが、技術的にきわめて相当込み入った内容を持ったものを作らなければならないということに相なっておるのであります。ところが、府県と
市町村あるいは恩給
公務員、と
市町村ということになりますると、これは御
承知のように、今まで沿革的ないろいろ
理由もございまして、
市町村の場合の
給与制度、あるいはその他の
関係につきましても、非常に区々まちまちでありまするし、なかんずく、
退職年金制度につきましても、その内容に至りましては、きわめて複雑多岐にわたっておりまして、統一したものがそこに見出すことが困難な
現状にあることは御
承知の
通りであります。現在そういふうに内容が異なっておりまする例について評しく申し上げる必要もないかと思うのでありますが、ごく典型的なものについて申しますると、たとえば適用の対象にいたしましても、恩給の場合においては、官吏あるいは吏員相当職というものでありまするものが、
市町村の
退職年金については、吏員のほかに、雇用員とか嘱託とかいうものを含んでおるものがございます、それから給付の種類につきましても、公務傷病一時金というようなものが
市町村においてはないというようなこともございまするし、また
公務員一般については支給されておらないような死亡資金というような形のものも行われておるというよううこともございます。また給付の基礎となりまする俸給年額の算定方法につきましても、
市町村において恩給、あるいは
都道府県の
退職年金の場合と非常に違ったやり方をやっておるものもあるのであります。恩給納金といわれますものにつきましても、
一般の
公務員は、毎月俸給の百分の二ということになっておりますが、そのほかに百分の一で足りるというような
制度をとっておるとこるもあるのであります、最長の在職年、それ以上在職しても率を加算しないという、そういう最長の在職年につきましても、
公務員が四十年あるのに対しまして、
市町村の場合は三十年というものがございます。また最短年金年限、すなわち
公務員については十七年が最短の年金年限になっておるのでありますが、これにつきましても、
市町村の場合は十七年のものもちろんございますが、そのほかに十六年、十五年、十四年、十三年、十二年あるいは十年というような、いろいろの場合が存在をいたしておるのであります。こういうような非常に相異なっておる
制度間におきまして
通算措置を義務づけるということに相なりますると、これは技術的に申して全く不可能と申して差しつかえがないというふうに
考えるのであります。いろいろ、われわれといたしましても研究はいたしてみたのでありますが、同じ基礎に立っておりまする府県と、
国家公務員あるいは府県相互間というような場合でも、あれほど相当困難な
措置を講じなければならない、それが給付内容、あるいは年金の
制度、内容が非常に異なっておりまする各相互間について、あるいは相互間だけではなくて、それからまた他の
市町村に行く、あるいは府県に返ってくるという、ようなことまで、やはり
制度的に
法律的に
規定をいたそうとすれば、そこまで全部やはり
規定をいたして参らなければなりません。そうすると、そのグループというものが無数にできて参りまして、
法律技術的に見ますると、とうていこれは不可能であるというふうに言わざるを得ないという
結論に到達をいたしておるのであります。といたしますると、結局、現在の
市町村の恩給
制度あるいは退隠料
制度自体が、
通算の基礎を結局備えておらないということになるわけでありますので、そうすれば、どうしても
市町村の退隠料
制度、年金
制度、
自体をやはり
通算に値するように
改正をしていく必要がどうしても出て参るわけでございます。その点は
改正の対象といたしまして、先刻ちょっと触れましたような点がいろいろございます。それらの点について一律に現在あの
改正措置を
法律でもって強制をしていくということがどうであろうか。むしろ
市町村の場合において、
制度自体が有利にできておるものもあるわけであります。有利なものを一方的に不利なものに
改正を強制するということも、これはなかなかむずかしいことでございます。現在まで
市町村は、長い間それぞれの沿革に従いまして、独自の
条例を持っておる際に、それを
通算措置をただ可能ならしめるということのために、そういう
制度改正を一方的に
考えるということは、これはなかなか困難な
事柄ではないかというふうに思われる面があるのであります。
そういうふうな点から、
法律を制定いたしました際にも、恩給と、それから
都道府県職員との間については基盤が離れてございますので、政令で
一つの
基準をきめて、これを
法律上義務づけることにいたしたのでありますが、
市町村相互間、あるいは府県と
市町村との間においては、その点がきわめて困難でございますので、政令でもって義務づけるということもむずかしいのでございますので、それぞれの当事者間において共通の基盤があって、話し合いがついたものについては、なるべく
一つ通算措置を講じなければならないという
一つの指導目標というものを掲げるにとどめていただいたわけでございます。しかしながら、われわれといたしましても、現在のこういう
建前、こういうことが、これがいいのだというふうにはもちろん
考えておらないのでありまして、特に、
市町村立の金目制の高等学校の
教職員等についてそうでありますごとく、その他につきましても、人事交流その他の面から見まして、
通算措置が円滑に講ぜられることは、これが最も適当でありますことは申すまでもございません。しかし、そのためには、
通算を可能ならしめる基盤を作り出すということが大切でございます。その点につきましては、現在
国家公務員につきましても恩給
制度の
改正の問題が論議をせられておるのであります。これによりまして、恩給
制度についてもいわゆる年金保険的な
考え方を導入する
建前で現在研究が行われておるのであります。部においてはすでにそういう
制度が属用員等においては講ぜられておる
建前になってきておるのであります。こうなりますと、結局、これに合わせて
地方公務員につきましても共済年金を一本といたしましたるそういう年金
制度の合理化というものをはかって参らたければならぬ時期が、もちろん最近の機会にくるのではないかという感じがいたしております。われわれもその方向で現在研究を開始いたしておるのであります。その際に、統一的な問題として処理をすることによって、本問題の恒久的の解決をはかって参るということが適当なのではないか、かように
考えておる次第でございます。