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1958-03-31 第28回国会 参議院 地方行政委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月三十一日(月曜日)    午後一時五十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 武治君    理事            大沢 雄一君            小柳 牧衞君            加瀬  完君            鈴木  壽君    委員            伊能繁次郎君            佐野  廣君            西郷吉之助君            館  哲二君            成瀬 幡治君            白木義一郎君   国務大臣    国 務 大 臣 郡  祐一君   政府委員    自治庁財政局長 小林與三次君    自治庁税務局長 奥野 誠亮君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   説明員    自治庁財政局財    政課長     柴田  護君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方財政法及び地方財政再建促進特  別措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○地方税法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○地方交付税法の一部を改正する法律 案(内閣送付予備審査   —————————————
  2. 小林武治

    委員長小林武治君) これより委員会を開きます。  まず、去る二十九日付託されました地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案(本院先議)を議題に供します。  政府より提案理由説明を聴取いたします。
  3. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) ただいま議題となりました地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案提案理由とその要旨を御説明いたします。  ここ数年来講じられて参りました地方財政健全化措置の進展に伴いまして、さらに地方公共団体財政運営の面におきましても、年度間の財源調整を強化し、国と地方公共団体及び地方公共団体相互の間における財政秩序適正化をはかり、財政運営合理化を通じて、長期にわたる健全財政の基盤の確立を推進して参る必要があるのであります。  以上が本法律案提案理由であります。  次に、本法律案の内容の要旨につきまして御説明申し上げます。  第一は、地方財政法改正に関する事項であります。  その一は、地方公共団体における年度間の財源調整に関する規定の整備をはかったことであります。従来からも財源調整に関する規定があったのでありますが、これを全面的に改正し、一般財源が、新たに増加する義務的経費の額を著しくこえて増加することとなる場合におきましては、その著しくこえることとなる額は、災害により生ずる経費または減収補てん、赤字の解消、緊急に実施を必要とする大規模建設事業、その他やむを得ない理由により増加した経費財源に充てるほかは、積み立てるか、または地方債の繰り上げ償還財源に充てなければならないものといたしました。なお、この積立金は、経済事情変化等により歳入が激減した場合の財源不足額補てん、緊急に実施することが必要となった大規模建設事業経費災害により必要となった経費または減収補てん及び地方債の繰り上げ償還に充てる以外には、費消することができないこととしたのであります。  その二は、従来、会社その他の法人に対する国または地方公共団体債務保証については、「法人に対する政府財政援助の制限に関する法律」によって、原則として禁止せられていたのでありますが、今回、地方公共団体については地方財政法規定することとし、債務保証のほか、これと性格の類する損失補償及び元利補給についても、法律または政令で定める場合を除き、地方公共団体はこれを行うことができないものとしたことであります。  その三は、地方公共団体相互の間における財政秩序を確立するため、地方公共団体は、その相互の間における正常な負担関係を確保すべき旨を明文をもって明らかにするとともに、都道府県またはその機関が行う建設事業経費の一部を市町村に負担させる場合においては、政令で定める基準に従うようにしなければならないこととしたのであります。なお、これに伴って関係法律規定を整備することといたしました。  第二は、地方財政再建促進特別措置法改正に関する事項であります。  地方公共団体は、従来から、当分の間、国に対して寄附金等を支出してはならないこととされているのでありまが、地方財政の実情にかんがみ、公社、公団及び公庫についても同様に取り扱うこととし、国及びこれに準ずる機関地方公共団体相互の間における財政秩序の一そうの合理化をはかるこことしたことであります。  以上が、地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨でありまり。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 小林武治

    委員長小林武治君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。   —————————————
  5. 小林武治

    委員長小林武治君) 次に、前回に引き続き、地方税法の一部を改正する法律案  地方交付税法の一部を改正する法律案  以上、両案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のおありの方は、順次、御発言を願います。  速記をとめて。   〔速記中止
  6. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記を始めて。
  7. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 奥野さんにお尋ねしまが、大工とか左官とか板金の人たち事業税の問題ですが、二種から三種に移行する、これはもし二種から三種に移行した場合、いわゆる六%が四%になった場合は、およそ減税額というものはどのくらいになりますか。
  8. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 御指摘人たちに対しまして事業税を課されますのは、請負業に対する事業税という形とございますので、現行法では第一種事業に属しておるわけであります。よく私お話を伺いますのは、第一種事業から第三種事業に移せ、こういうこととあろうかと思います。第三種事業でありますと、事業税税率が六%になります。また、今のようなお話がございますので、昨年の改正におきまして州一種事業でありましても、年所得六十二万円、課税所得で五十二万円までの部分につきましては税率を二%引き下げまして六%にいたしたわけであります。従いまして、現在では第三種事業に移りませんでも、年所得六十二万円までは第三種事業の場合と同じ六%の税率でございますので、まず影響はないのではなかろうかというふうに考えております。
  9. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私の方は勉強不足でよくわかりませんですが、そうしますと、この人たらの言っておられる、大体その三種に移行せよということはほぼ目的を産しておる。いわゆるその人が個人営業と申しますか、個人でそういうことをやっておる人たちは、大体三種の税率適用されておる、実質的には適用されておる、そういうふうに了解していいわけですか。
  10. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 昨年まで、お話しになっておりました点につきましては、完全にこの人たちの要求は満たされておると思っています。またそういう御意見がございましたし、また御要望のありましたように、その部分だけを第三種事業に回すわけに参りませんので、ただいま御説明申し上げましたような方式をとったわけであります。現在中されておりますのは、また税率を六%じゃなしに四%に下げろというような陳情書を出しておられるように存じております。しかし第三種事業としましては税率は六%でございます。
  11. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それから木引にからんで交付税でめんどう見ろ、こういうお話でございまして、しかも三年間ぐらい、こういうお話でございますが、初年度は百パーセントになる。で、二年度がたとえば七〇になるとか五〇になるとかいうような話し合いが、まだ小林さんの方との打ち合せができていないと思うのでございますけれども、一応こういうふうに三年間で見ていくというようなときには、どういうような低減を考えておいでになるのか。これは財務一般であると、こうおっしゃるかもしれませんけれども、実際その個個の町村にとっては大へんな問題だと思いますが、一応腹づもりというようなものをお聞かせ願いたいと思います。
  12. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) ただいまの問題につきましては、実はここにおられますが、財政局長お願いをいたしております。その場合に、何分与えます影響が甚大でありまするので、三年程度めんどうを見てもらえないだろうかと、その場合には、あくまでも激減緩和措置でございますので、初年度差額の全額を補てんをする、次年度はその二分の一程度にとどめる、さらに三年度目は次年度分の二分の一程度にとどめる、こういうような格好で逓減していってよろしいのでかはなろうかと、こう考えておるわけでございまして、そういう趣旨のことを財政局の方にお願いをいたしておりまして、大体そういうことにしてもらえるというようになっているわけでございます。
  13. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 小林財政局長の方はどういうお考えでございましょうか。
  14. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 大体、今税務局長のおっしゃったようなところで一つ考えたらどうかと、こういうように存じております。
  15. 鈴木壽

    鈴木壽君 「自転車荷車税廃止による財源移動状況調」の資料をいただきましたが、これによって見ますと、今回の自転車荷車税廃止により、一方、たばこ清費税あるいは軽自動車税等、そういうものを引き上げたり、あるいは新設したりしたことによって、総額では十分穴埋めができるようになっておるのですが、個々の場合を見ますと、これは相当やはり穴があくんじゃないかと思われるのでございます。初年度における各都道府県トータルから見ましても、あるいは平年度のこれを見ましても、特に、まあ大体増減の減になる力は、関東、東北地方、こういうようなところが、これは県のトータルでございますけれども、そういうふうに見えるのです。そうしますと、たとえば、山形県におきますところの三千三百四十四万円の減あるいは茨城県における三千四百十九万円の減、こういうふうに見てきますと、町村間においても相当穴があくところが出ているいし見なきゃならぬと思うわけですが、これ一つ、こまい資料を出していただけないでしょうかね。各町村間に、これはあるいは多少日時がかかるかもしれません、けれども、そこら辺一つ、どうでしょうか。
  16. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 資料を、サンプルでありますが、相当多数の市町村をとりまして出したと思うのですが、参っておりませんでしょうか。
  17. 鈴木壽

    鈴木壽君 これには市の分が、市町村の二十ぐらいありますのが一枚来ています。あとのは、これは都道府県単位でございましょう。
  18. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) お配りしております三枚紙の最初の紙は、市と町村——下の方に町村サンプルがございます。それから、二枚目の紙は、府県別ですが、大体それで、弱小団体の多い県ではどういう姿になるかということがわかっていただけるのじゃないかと、こう思いまして、全国について調べることが困難でありましたので、こういう資料にさしていただいたわけであります。なお、特定の団体につきましての数字を御注文いただきますならば、電話で照会をしてその状況を取、りたいと思います。自転車荷車税たばこ消費税はわかるのでありまするが、軽自動車税の姿がどういうことになるかということになりますと、やはり個別的に照会しないとわかりませんので、この程度資料にとどめさしていただいたわけでございます。御注文の市町村がございましたならば、そこにつきまして直接電話で連絡いたしまして、直ちに照会して提出いたしたいと思います。
  19. 鈴木壽

    鈴木壽君 まあこれは時間もかかることだし、今の軽自動車税等関係もあって、あるいは正確には出てこないかもしれませんけれども、私、今申しましたように、この表だけから、初年度の分あるいは平年度の分のこれを見ただけでも、このトータルからいって、各町村においては相当穴があくところがあるのじゃないかという想像から、できればそういうものがほしいと、こう思ったわけです。と申しますのは、これはまあ先だっての木引の場合と同じように、やっぱりこれは市町村にとっては、こういう税制の改革と、いいますか、改正によって、あるいは税率改正によって大きな穴があくという、これは一つの大きな問題だと思いますので、木引の場合では穴埋めもしてあるし、しかし、こちらの方の場合にはしないのだと、こういうようなことになっても、ちょっとそこら辺に割り切れない問題を残すのじゃないかと思う。もとより、先だってお話しあったように、木引実態と、この税のそのものからすれば、多少私は精神の異なるものがあることはわかりますが、しかし、何といっても税法改正によって大きな穴があくということになりますと、私の知っておる一つの市では、自転車荷車税廃止によって、しかし一方、たばこ消費税の引き上げによっても、なお百万くらいの穴があくのだ、こういって困ったといっているということを聞いたのですが、その後、たとえば、軽自動車税と、あるいはたばこ消費税のしっかりしたはね上がり等の、こういうことで計算がどうなっているか、最近には聞いておりませんが、当時の計算ではそういうものが出ると、こういうようなことか聞いておりましたのですから、幾ら市であっても、小さい市であれば、やっぱり百万という税収の不足を来たすことは、なかなかこれは大へんな問題だと思いますので、そういうことについて全然考えないのかどうか、実はそれをお聞きしたいわけなんです。
  20. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 自転車荷車税収入の方が、たばこ消費税の二%の額より多いという団体は、まず、特殊な例外があるかもしれませんが、地方交付税交付を受ける団体かと考えています。そうしますと、基準財政収入額がそれだけ減って参るわけであります。これは鈴木さんよく御承知なことを申し上げて大へん恐縮なんでございますが、かりに、たばこ消費税は百万円しかふえないが、自転車荷車税関係で二百万減るというような場合には、二百万円の七割の百四十万円基準財政収入額があった、それが今言うような関係で百万円にとどまるわけですから、百四十万円減りまして、たばこ消費税で百万円ふえるわけですが、基準財政収入額としては七十万円ふえます。差し引きしますと、やっぱり基準財政収入額として七十万円減ってきますので、その差額の七十万円は、やはり交付される地方交付税がふえてくるとも考えるのであります。そうしますと、独立税収入の場合には百万円減った、しかし地方交付税としては七十万円ふえた、差し引きやはり三十万円だけの減収になる。こういう現象は私はあると思うのです。こういう部分については、基準財政需要額が全体としてかなり上ってくるわけでございますので、そういう面で、そういう団体につきましても補てんされるのじゃないだろうか。こういうような考え方を持っておるわけでございます。ところが、木材引取税の場合には、今までの税率適正課税を行いました場合には、国において予定しておりまする木材引取税収入よりももっとふえるわけであります。ふえるものを実はわずかしか見込んでいないという結果になっておるわけでございますので、ほんとうに適正な課税をやっている団体におきましては、基準財政収入額基礎にして計算しました額よりももっと多い木材引取税の実収があるわけであります。言いかえれば、地方交付税計算の外の収入を持っておるわけであります。この部分が今度の改正によりまして、それだけものもが見込まれなくなってしまうわけでありまして、これは明らかにそれだけのものが減収になってしまうわけであります。従いまして、この部分については、やはりそれだけを目途にした補てん措置を講ぜざるを得ない、こう考えているわけであります。そこが自転車荷車税の場合と実態がかなり違ってきているところだと、こう思っているわけであります。もとより、しかし、そういう例があるかないかわかりませんが、自転車荷車税廃止による減収が、とても地方交付税制度によっては救われないんだというような事態の町村があるといたしまするならば、それはもとより、何らかの措置激減緩和を講ぜざるを得ないんじゃないかと、こう思うわけであります。しかし、原則としてそういうことはあり得ないんじゃないだろうか。まず、それぞれの市町村において自転用荷車税として確保しておりまする収入額は、基準財政収入額におきましても、七〇%の税率ではじきはいたしますが、大体現にあげられてる収入額基礎にして基準財政収入額計算されていると、こう考えているわけであります。木材引取税の場合には、現にあげられている収入とはかなり違った形において基準財政収入額が算定されてきていると、こう思っているわけでございますのでその点御了解いただきたいと思うのでございます。
  21. 鈴木壽

    鈴木壽君 私も、大体この普交で見られるべきだということを頭に置いているんですが、もっと資料を出していただいて、各町村ごとにやって、なお、私、その町村にとっては相当痛い、額はあまり大きい額でなくとも、まあさっき、ただ一がいに百万円ばかしと言いましたが、これは当然普通通交付税のそれの中に織り込まれますから、そのままでないかもしれませんが、実際にその町村にとっては痛い額になりやしないかということをおそれるところがないわけじゃないわけ、ですね。そういう点からいって、何かそういうものに対しては、やっぱりこの際、何かの措置考えてやることが親切じゃないだろうかと。もとより私、先日申し上げましたように、木引の場合には、今もまた、あなたのお話しになったように、何といいますか、うまみのあるところもある税でございますので、その差額というものは大きく出てくることは私承知しておりますが、そういうことも一応考えましたけれども、なおかつ、今回のこの措置によって大きな穴があいて、あるいはまた、その地方団体にとっては総体的に見た額においては大したことでなくとも、困るような場合がありはしないかと、こういうようなことから私、今お尋ねしてみたわけなんです。  それから、電気ガス税について、今回の改正の、十四ページの一番あとの行の、二十二の二につけ加えられたカッコの中、ですが、「揮発油、燈油若しくは軽油又は石油精製の際に発生する副生ガス原料とするものに限る。」と、副生ガスということなんですが、そうしますと、天然ガスを使う場合にはこれが適用になるのかならぬのか。この文からすれば適用にならないと、こういうふうに読み取れると思うんですが、その点はどうでしょう。
  22. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) いわゆる石油化学製品に属するものについて、電気使用料が特に多いというように承知しているわけでございますので、そのように限定をいたしてあるわけでございます。
  23. 鈴木壽

    鈴木壽君 限定しておるということは、天然ガスでなしに、副生ガスの場合に限ると、こういうことなんですか。
  24. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) その通りでございます。
  25. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは現在、三十二年度中に申請されたものに、いわゆる石油ガス化学工業に対してですか。
  26. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) いわゆる石油化学製品が出始めましたのは、三十二年に入ってからのようでございます。それ以前にはそういう製品はないと、私の方では通産省から聞いてあるわけであります。
  27. 鈴木壽

    鈴木壽君 その点はまあそれでわかりましたが、電気ガス税の何といいますか、非課税範囲と申しますか、これはもう町検討する段階ではないだろうかと私は思うんです。というのは、もっとはっきり言えば、こういうふうにどんどん非課税範囲が拡大されてきて、これはまあ新興産業育成だとか、あるいは国民生活に非常に影響のある産業に対してのそれというような、いろいろこれは理由はあると思いますが、何か、見ておりますと、年々非課税範囲大きくなっていきます。現在ですら、相当な範囲にわたってこれが非課税になっておるわけでございますけれども、さらにまた、今回の改正案によってこういうふうに大きくなっていきますが、私はこれは、まあいろいろな考え方があるかもしれませんけれども、こういう、産業育成とか助長とかという見地に立って物事考える場合に、果して、今とっておるような、こういう地方税電気ガス税ということにかぶせたような格好物事考えたらいいのか、あるいはもっと、これは私、一つの国の政策として、別の面でもし必要な育成措置なり、助成の対策をするなら、別の面でやるべきじゃないだろうかと。こうなって参りますと、もう電気ガス税をかけるものは、一般大衆の、いわゆる消費者ほんとうの家庭の消費者、あるいは小口の、何といいますか、仕事をしておる、そういう人たちだけになってしまうような傾向にいくんじゃないかと思うんですが、こういう点についてどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。
  28. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 御指摘のように、電気ガス税を将来どう持っていくかにつきましては、いろいろ意見があるわけでございます。電気ガス税廃止すべきだ、全廃すべきだという意見一つあろうかと思います。もう一つは、数年来、政府がとっておりますように、消費税に純化しながら、電気ガスをなお継続していくべきだという考え方、これはまあ第二の考え方だと思います。第三には、電気ガス税につきましては、全面課税を行うべきだ、そのかわりに税率を引き下げるべきだ、こういう三つの考え方があろうかと思うのであります。  私たちはやはり、なぜ電気ガス税を課しているのか。電気事業につきましては、事業税も課しておりますし、同定資産税も課しておるわけでございますので、そのほかに、なお電気ガスについて課税をするといたしますなら、は、それは消費面から担税力を把握して、ある程度税収入をあげていくということにならざるを得ないじゃないかと。そうすると、電気というものが工業原料になっている場合に、それに電気ガス税課税をすることは穏当を欠くではないか、こういう考え方も出てくるだろうと思うのであります。そういう意味で、工業関係のものは思い切って課税からはずせばよろしいかもしれませんが、一挙にそうしますと非常に減収になりますので、現在のところ、基礎資材ないし、これに準ずるものの製品に使われている電気ガスであって原価の中に占める割合が特に大きいというようなものだけを一応除外する、こういう形で参ってきておるわけであります。こういうやり方につきましては、電気ガス税消費税に純化する方向をとっていきたいと、こういうふうに御答弁申し上げて参っておるわけであります。例を私は油にとればよろしいんじゃないかと思うのでありますが、石油全般課税をする、これは妥当じゃございませんので、今行われておりません。そこで、揮発油税軽油引取税だけあるわけでありますが、もっぱら自動車が道路を損傷するという形において、限定した形で課税をやっておるわけであります。そういうわけで、燈油にも課税せず、重油にも課税せず、軽油につきましても、農業漁業に使うものは課税からはずす、こういうような限定したやり方で、現存は石油課税を行わずに、揮発油課税軽油引取課税、しかも軽油引取税につきましては、農業漁業に使われているものははずすと、こういう方向をとっているわけでありまして、多少意味は違いますけれども、似通った考え方に立っているんじゃないか、こう私たちは思っておるわけであります。やはり全面課税は適当ではない、消費税として純化するというのが一つ方向ではなかろうか、こういうふうな考え方でございます。
  29. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは、この税に対するいろいろの考え方は私はあると思います、そこで、私自身もはっきり、どうこの税を規定し、今後持っていくかについて、実は定見もないようなわけなんですけれども、しかし、今の電気ガス税をかけておる姿、これはもし、工業の何といいますか、一つの大きな動力として使われているところの、一つの重要なコストになるのだという、こういう観点に立つならば、私はもっと別の分野に、あるいは規模において、小さいものに対しても、やはりそういうような免除といいますか、課せない方式がとられるべきだと思うのですよ。だから、非常に現在はごっちゃな格好で、そして基礎的なものだとか、新興の産業だとか、何かこういうものにだけ限定されて、非課税をされていると、こういうところに、私はやはり一つの問題があると思うのです。そこで私は、今言ったように、もし、あなたがおっしゃるような形において、工業の全般についてもそういうものであるとすれば、これは私はそれでいいと思う。そしてまた、あと一般の消費者に対してこれを税をとっていくと、こういう格好になれば、私はすっきりしていいと思う。ですから、どうも一方においては、大口の消費者は、電力料において、はるかに一般消費者より安いものを提供されておるというところに、私はやはり問題があると思う。大体ここにあげておりますところの非課税範囲になっておりますところの工業、あるいは生産部門を見ますと、いわば大企業、大企業は、またさまざまな意味において、国税関係とか、いろいろな意味において、これはそれぞれ、何といいますか、保護されておると、こういうことがあるわけなんで、どうも今の姿は、私はすっきりしたものだとは思えないわけなんです。ですから、やるならば、一つ考え方として、私さっきも言ったように、はっきりした定見を私は持っておりませんけれども、一つ考え方として、私はやるならば、全部にかける、そのかわり税率は多少下げてもいいと、今の一〇%は、私はそういう意味においては引き下げてもいいと、こういう問題がありますものですから、今のままの形において、こういうふうな非課税範囲において、どんどん広げていくということに対しては、私は疑問を持つわけなんです。その点議論めきますけれども、どうでございましょう。
  30. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) おっしゃっていることも一つの理論だと思っておるわけでございまして、あながち否定するわけじゃございませんが、ただ、電気ガス税の性格をどう判断をするかということになりますと、将来にわたって残していきます場合には、消費税だと、消費面から担税力を捕捉していくのだと、こういうところに落ちつかざるを得ないのじゃないかと、こう思っておるわけであります。電気を多量に使いますような産業は、どうしても大規模な企業でありますので、大規模な企業に対して特にめんどうを見ているというような感じを、電気ガス税だけをつかまえて考えていきますと、そういったことも言えるわけであります。しかしながら、大規模な企業になりますと、莫大な固定資産税を負担しているわけでございますし、また事業税その他の税も負担しておるわけでございますので、この税だけでどうこうと考えていきますことはいかがなものかと、こう思っておるわけであります。電気を使わない大企業もたくさんあるわけでございますので、たまたま、電気原料にしたら、莫大な電気ガス税を納めなければならない。石炭その他のものを原料にすれば、そういうことがなくて済むと、こういうことも適当ではないじゃないかと、かような考え方を実は持っておるわけでございます。あくまでも、原価になります部分につきまして電気ガス税が、非常に大きな影響を与えることは避けるべきだろうというように思っておるわけであります。その結果、石炭でありますとか鋼塊でありますとか、あるいは硫安でありますとか、こういう場合につきましては、電気ガス税を課さないということになっておるわけであります。いかにも大企業に対して免税措置を与えておるようでありますけれども、そういうものは、回り回って、国民経済全体に非常に大きな影響を与えているのじゃないだろうか、こう思っております。もとより原価を下げたいのでありまして、経済の状況によりまして、そういう大企業が非常に利益の上るときもありますし、利益の上らないときもあるわけでございます。こういうもうけています利潤というものは別な角度で、電気ガス税考えておるわけでございまして、あくまでも、できるだけ原価に対してよけいな割高になる、要素を加えたくない、こういうふうな考え方と、それから国際競争その他におきましても、それを基礎にして十分やっていけるようにしておきたい、もうけが多くなりますれば多くなったで、もうけからとる税金について、大企業については、それだけ多く納めてもらえばいいんじゃないかと、こういう考え方でございます。
  31. 鈴木壽

    鈴木壽君 私も、何も電気ガス税に限ってものを考えているつもりはないのです。これは国定資産税も納めますし、事業税も納めること、これは当然でございます。ただ、そうなりますと、それこそその非課税範囲にあげられておりますところのいろいろなものを見まして、これ以外に、それならば電気が非常な大きないわばコストになるものがないかといえば、あると私は思うのです。たとえば、これは製材というものを、今のやつを考えてみますと、これは必ずしも電気ばかりじゃないけれども、電気を非常に多く食っているところもあるのです。こういう点から考えますと、私は今言ったように、ここにあげられているようなこういうもの、あるいは今この電気ガス税についてあなた方が考えているその理屈からだけでは、私は割り切れないものがあるのです。もちろん、そのコストを下げて利益があれば、税金の方へ持ってゆくのだし、それからまた、コストが下れば、一般大衆の消費の面に対してもプラスになるのじゃないかということが、私は言えるのじゃないかと思いますけれども、一方また、さっき言ったように、別の面で私は相当こういう大きな企業というものは保護されている面があると思うのですよ。租税特別措置法なり、いろいろな面で私は保護されている面があると思う。何かこうひがんだ考え方に聞き取れるかもしらぬけれども、たとえば、新興産業あるいは基幹産業であるとかいうようなことにあまり幻惑されているのじゃないかというような感じもしますけれども、やはり私はこの問題については検討の段階にきていると思うのですが、これをさらにだんだん確立さしてゆくというようなことは、私は今のこれからの段階としてはとるべきじゃないと、こういうふうに思うのですが、また、新しい何かこういう産業も興ってくれば、またおやりになると思うのですよ。やらざるを得なくなってきているのです。その点どうでしょう。
  32. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 電気ガス税についてはいろいろな考え方があると思います。ただ、経過的にどういう道をたどってきたかということを申し上げさしていただきたいと思います。  二十年でありましたか、国税でありました電気ガス税廃止いたしましたので、それを受けまして、地方税として電気ガス税を課するようにいたしたわけであります。その当時、工業用の電気につきましては、全面的に課税をいたしておりませんでした。その結果、また電気ガス税のウェートというのは非常に低いものでありました。工業用と非工業用との区分も非常にわかりにくいものでありまして、その際に地方税としてなお継続したいという私たち考え方に対しまして、注意をしてくれた人がございます。これを工業用は全面的にはずすなら、電気ガス税を残しておくことはあまり意味がないぞということが一つございました。それから、もう一つは、やはり当時といたしましては、電気を使った方が、まきを使うよりなおコストが低くなる、こういうふうに電気の料金をかなり強く抑えられておりましたので、消費規正というような意味もあわせて、電気ガス税を続けていった方がいいと、こういう考え方を言ってくれた人もありました。そういうような経過をたどりまして、特に国が料金を押えている。その結果、その企業に対して価格差補給金を出している。こういう場合に、電気ガス税を課しまして、地方団体収入はふえるが、国から価格差補給金をまた追加して渡さなければならない。それじゃ意味がないわけでありますので、そういう産業で、電気の原価の中に占める割合が非常に大きいというものだけ課税からはずしたわけでございます。  その後だんだんと電気の料金も引き上げられて参りまして、消費規正という意味でこういう税金を続けてゆくということは、もう筋が通らなくなってきているわけであります。そうしますと、やはり電気ガス税を将来に続けてゆくといたしまするならば、電気を多量に使うような家庭でありますと、比較的所得の多い家庭だと思うのであります。家がだんだんと電化されてくる、そういう家庭は比較的担税力がある。こういうことが言えるわけでありますので、消費面から担税力を捕捉していくんだと、そういう意味においては、電気ガス税というものがよろしいじゃないか、こういう考え方がやはり生まれてくるのだと思うのであります。同町に他面、電気の料金がだんだん重くなって参りますと、電気ガス税の負担も、企業にとりましてかなり重いものになっていくだろうと思うのであります。そうなって参りますと、電気原料に使わないで、石炭を使うとか、あるいはその他のものを使うとか、こういうようなことを電気ガス税との関連において比較をしなければならない、こういう問題も起ってくるわけであります。そうしますと、やはり、原材料課税になるような面は避けていくべきだ、そうしたしますと、今の非課税範囲をもっと一挙に広げるという問題になるわけでありますが、そういたしますと、地方団体の有力な税収入にもなっておりまして、地方賦政が必ずしも安定しておりません際に、多額の減収を来たすようなことはやるべきではない、こういう心配がございます。もう一つは、また一挙に広げて参りますと、電気ガス税の徴収が非常に複雑になって参りますと、せっかく徴税費のかからないところにこの税の特徴がございますので、非常にめんどうなことにもなってくるわけであります。そういう両方の問題がございますので、やはり減税をするのは、あるいは免税をするのは、基礎資材製品に限っておきたい。基礎資材製品に限りましても、将来新しいそういう製品ができて参ります場合に、同じ意味合いにおいてその部分非課税にせざるを得ない、こういうふうに思うわけであります。  こういうような状況できておるわけでありまして、将来どういうようにするかということを今まで歩んできた道から申し上げますと、やはり地方財政状況、もう一つは徴税事務があまり複雑にならないように、この三つを頭置きながら、若干非課税範囲をむしろ拡大するということではなかろうか、こういう考え方も持っておるわけでございます。いずれにしましても、お説のような御意見も有力にあるわけでございますので、将来ともこの問題、この税につきましては、持って行き方を十分研究工夫していかなければならないところだろうというように存じております。
  33. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記とめて。   〔速記中止
  34. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記始めて。
  35. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 この木引の減税に関連して特別交付税の問題が取り上げられているのですが、昨年も住民税の課税方式に関する標準税率の設定ですね、特別交付税のこの問題が論ぜられたわけですが、だんだん今までの説明を伺い、また私ども考えておりますところから、減税の場合にその減収補てんを特別交付税で調整するという場合は、普通の減税の場合はないと、ただ普通交付税の財政需要と基準財政収入差額の網で捕捉することのできない税収減、今、木引についていえば、このまじめに課税標準をとらえてやっておったところは、これはどうも、他のものはいいかげんにやっておった、それを基準に今度課税の仕方を、捕捉を厳重にしていくということもあって、そういう今まで課税標準一ぱいとっておったものは、これは普通の交付税ではそれを補てんしようがないということで、特別交付税にいくという御説明と承知しております。そういたしますと、この減税の場合の税収減を特交によって補てんするというのは、こういう場合だけに限ると、こういうふうに解していいですか、その点をちょっともう少しはっきりしておきたいのです。
  36. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) この減税と特別交付税の問題は、しばしば議論になるのでございますが、私はこういうふうに理解しておるのであります。要するに、つまり減税というと、地方の一般財源が減るわけでございますから、その財源一般として減税をやるのは、一体財源補てん措置を講じてやるべきか、やるべからざるか、これは基問題だと思う。、要するに、地方財政の減税をやるから、減税をやる以上、地方財政全体として減収しないような措置で、今の段階ならば、地方財政の現状ならば減税を考えるべきだということが基本的な考え方でございます。そこでは、そうした減税をやる以上は、減収がないように総体的に財源措置をしなくちゃいかぬが、そういう配慮で今の税制改正について、常に自治庁として臨んできておるのでございますが、今度は総体的にバランスが合っても、個々の団体で、ちぐはぐが起ることがあり得るのではないか、そういう問題だと思います。財政全体として見て、個々の団体ではその通りいくという理屈が必ずしも出ませんから、食い違いが当然あり得るのでございます。そういう場合に、それを一体特別交付税で当然見るべきか、見るべからざるか、こういう私は問題になるだろうと思うのでございます。そういたしますと、普通の場合ならば、要するに税制改正をやれば、それに伴いまして、一般財源である交付税の配分方法も、税制改正に応ずるように流れが実は変っていくわけでございます。それですから、交付税で変っていって大ていの場合は調整できるはずです。また、それでいいじゃないかと、これは理屈上、交付税の理屈からいえば、それでいいじゃないかという理屈が成り立つわけでございます。ただ、そういうふうにしましても、現実に特定の町村が従来の税収よりも激変を生ずる、こういう場合があり得るのでございまして、激変を生じた場合には、一体それは制度の改正だからほっといていいじゃないかという理屈が一つ成り立つのでございますが、現実に激変を生じた場合は、財政運営に非常に困る。これも私は現実だと思うのです。それでございますから、激変が生じて、財政運営に支障があるようなところは、激変を緩和するように特別交付税の制度を運用することも、これはやむを得ぬ措置だ、こういうのがわれわれの考え方でございまして、ほんとうに激変を生ずるような、今の木引の場合などというのはその事例の一つでございますので、そういう場合には、激変が緩和されるように方策をとらざるを得ないじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。  先ほど鈴木委員が、今度は逆に、木引でない、自転電荷車税だってそういうことがあり得るじゃないかという議論も、これは出てくるので、これはやむを得ない。私は個々の調整で大体カバーができるはずだと思いますが、あり得るかもしれぬ。非常に激変が生じて、にっちもさっちもいかぬということは、これはまずないと思いますけれども、場合によってはあり得るかもしれぬ。あり得るとすれば、それは町村の財政を総合的に考えてやっぱり見なければならぬことも私はあり得ると思うのでございまして、これは非常に例外的な問題だと思いますが、それは特交の配分上は、そうした激変緩和の措置というものはやっぱり考えざるを得ないのではないか、私はまあ特交の問題としてはそういうふうに考えておるのでございます。
  37. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 今の財政局長のような考え方で参りますと、まず、いかなる税の改正でも、減税が相当著しければ、おそらく特別の町村については、私はそういう考え方でいくならば、特別交付税という問題が起ると思いますが、この第十五条をとりますと、そういう一般の交付税の財政需要あるいは財政収入の取り方で捕捉できない、どうしても全国画一的な規定の仕方をしなければならぬから、それによって捕捉のできない場合に特別交付税法のこの十五条というものは、これは考えるというふうに読む方がどうも妥当である。そうでないとすると、それは何といいまするか、この特別交付税というものは、税というよりは、一種の何かこれを扱う人のどうもポケット・マネーかなんかでやるというふうなことになってくる。ことに全国の町村一つ一つについて取り上げなければならぬということは、これは私は非常におかしいじゃないかと思う。やはり、この前の住民税の準率の統一、また今度のような異常な——異常という言葉はどうか知りませんが、異常な木引税の今までの課税実態、これをこういうふうに減税したので、いわばまじめに今までやっておった正直な町村が、普通交付税では補てんされない減収に当面するというような場合、これはやるということでなければ、減税の場合についでも特交で埋めるということはおかしいと思うのですが、そう思われませんか。  なぜかならば、もし、そういう考えでいくならば、勝手に行政事務当局が、これは三年補てんしてやるとか、これは初めの年は全額で、その次は七割で、その次は五制で、あとは三割だというふうな、勝手なことをいうのはおかしい。それから、三年後はどうなるのかという問題もあって、私はおかしいじゃないか、どうもいやしくも税であるということであれば、非常におかしなことじゃないかと思うのですが、どうですか、その点。
  38. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 仰せの通りでございまして、だから、まあ制度が改正をしていけば、その制度改正に伴うものは普通交付税で、普通ならばそれで調整される。それでもう必要にして十分だ、こういうことが私はもう理論だろうと思います。ですから、本来そういう筋でありまして、減税をすること自体にもそうした税財政上の配慮があって、減税というものが前提にならなくちゃいかぬ、こういうふうに考えるのであります。  それから減税するから当然交付税がどうこうというわけではなしに、減税というものは、当然自然増収というものを前提にして減税するかもしれんが、それから、他の特定の税源を与えるということもありましょうが、元来そういうことで一般的な配慮でなさるべきものが当然の筋だと思うのでございます。ただ、そうでなしに、現実の問題として、そういう税制の配慮というものと、現実の町村の財政というものとが極端な食い違いが生ずる場合に、そんならこれをほっておけるか、こういうことになりますというと、まあ特別交付税はそういうものに一々配慮しないという方が筋かもしれませんが、やはり当該町村にしてみれば、財政収入に著しい減少を来たしまして、そうして動きがつかぬということになれば、やはりやむを得ない措置として、この調整だけは考えてやらなければいかぬじゃないか。ただ、それについては、二年でやるか、一年でやるか、こういう問題になりまして、判断の問題が入ることと思いますが、そういうものは一日も早くやりたい。なるべくやらぬ方がよい、かりにやったとしても、一日も早く常態に戻すようにいたしたい。そこらのところが、つまり程度の問題の、総合判断の問題でございまして、できるだけ早くやるために、その暫定的な措置を今、まあ木引税については三年くらい、こういう話が出ておるわけですが、そういう程度で区切って、当該町村の運営上もさばきがつくだろうというわれわれとしては、まだ具体的に後年度はどうするかということも考えておりませんが、先ほどいろいろ議論がありましたようなところを頭に入れて、そうすれば後年度もさばきがつくだろう、まあこれはやむを得ない措置としてとらざるを得ない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  39. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 今のような場合には、二年たっても三年たっても、五年たっても、何も別に、特別交付税でやるほかに、その減収補てんされることはあり得ない。あり得ないのです。たとえば補てんするといっても、それは最後まで起きっこない。二年待っても三年待っても起きっこない。それはおかしくないか。勝手に行政当局が、これは二年だと思ってやって、あとはおれは知らぬ、そういうような制度というものはどうも私はあり得ないと思う。
  40. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これはごもっともでございまして、一たび減った税がふえるはずがありません。減るのです。われわれの申しますのは、結局、それは個々の団体のつまり財政運営の問題であって、制度が変って収入が減れば、減ったことに応ずるように当該町村の財政をマッチさしていくよりしようがないと思うのでございます。そういう制度の改正がいいか悪いかという議論は別になりますが、制度がそうなれば、それに合うように財政をマッチさしていかざるを得ない。そこで、財政をマッチしていくのが、急激にごそっと当該町村にとって大きく変化するというと、財政というものはそう上ったり下ったりやりようがありませんから、そういう意味で激変を緩和して徐々にならしていく、そこの調節作用もやむを得ぬ、特別交付税でやらざるを得ぬじゃないか、そういう意味で申し上げるわけでございまして、その団体におきましては、減った税を基礎にして運営するように徐々に段階的に調子を合わせていく、そのはしご段、階段の一段か二段を特交でやらざるを得ない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  41. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 昨年の住民税の課税方式による税率ですね、こういう場合は、負担の均衡をはかるために、これはどうしてもそれ以外に方法がない。しかし、今度の木引みたいなものはそうじゃない。これは何といいますか、変な税のいじくり方をしたのでこれは起ってきているのですね。ですから、どうもそこに性質の違いがある。もう一つは、しからば、この木引なんかについては、住民税のあの準率と違って、制限外課税がある。制限外課税をしていったら町村にはどうしますか、それにはもう特別交付税はその分だけ見ないのですか、それもおかしくはないですか、どうなんですか。
  42. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは今仰せの通り、こういう制度の改正がいいか悪いか、これは一つの議論があろうかと思います。そこで問題は、制度の改正がよいにしろあしいにしろ、当該個々の町村にしてみれば、これは制度は自分の意思では変るわけではありませんから、町村にしてみれば、動きがつかなくなるのは、われわれとしてほうっておくわけにはいかぬじゃないか、そこで、町村の意思でやる分には一向かまわぬのです。意思じゃないのですから、それですから、そういう制度の改正をやる以上は、個々の町村にかわいそうな事態があれば、これはまあしようがない。段階的に調整をせざるを得まい、こういう全くのその町村財政運営の立場に立ったわれわれの考え方なのであります。そういうものがあるから、当然制度の改正は何でも容認できるのだ、そういうものじゃ私はこれはごうもないということは、きわめて明瞭なのでございます。  そこで、今の制限外課税の問題が出ましたが、これは私は、やはり標準率を基礎にして考えてやるのが筋じゃないだろうか、こういうふうに考えております。
  43. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 私もこの木引の減税による欠陥を特別交付税にやることに反対するわけじゃないのです。反対するわけじゃない。これはもう必要悪といいますか、これはやむを得ない。それは是認するのですが、それが今のような必要悪の改正をやって、あと三年かそこいらでおっ放してしまうということが、いかにもどうもお気の毒といいまするか、正直者がばかを見るの、ですから、そこで、今のやむを得ないという場合に、制限外課税をしたら、その制限外課税したからそこで収入があるわけですから、もう特別交付税見ないというようなことでは、これはまたどうかと思うのでお尋ねしておるわけです。今の財政局長考え方は、十五条の条文からいくと、どれにどう当るのですか。もう少し何か私は少し、何というか、合理的にそういう場合に、何かここに総理府令云々ということもあるのだから、少し検討されて、もう少し合理的に何かこれは考えべきじゃないかと思うのですがね、これは意見ですけれども、今の点だけ参考にお尋ねしておきます。
  44. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これはこの前段の「特別の財政需要があり、又は財政収入の減少があることその他特別の事情があるに因り、」まあこの「特別の事情」で読むより率直に申してしょうがないと思います。そこでその特別の事情があることによって、「基準財政需要額又は基準財政収入額の算定方法の画一性のため生ずる基準財政需要額の算定過大又は基準財政収入額の算定過少を考慮しても、なお、」と、まあ普通のこういうやり方をやっても、なお、どうも、「普通交付税の額が財政需要に比して適少であると認められる」、ここのところが……。
  45. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 今のは「基準財政収入額の算定過少」じゃないのですね。
  46. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) その通りです。
  47. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 算定はちゃんと一般にやっているのですから、算定過少じゃないのです。
  48. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) そうですだから規則通り算定して、そういう点も考慮しても、なおかつやはり最後のしりが合わぬぞ、まことにそこは苦しいといわれるというと、そういうところはあるのでございますが、そういうことでもう読むよりしようがないと、こういうふうに……。
  49. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 そこまでは……。私はこれでやめておきます。
  50. 鈴木壽

    鈴木壽君 これはあとで長官から聞きたいと思っておりますが、今度の交付税法の一部改正案について、最初に私申し上げたいことは、どうも今度の交付税法の改正によって、税率が一・五%引き上げられることになるわけですが、どうも最初に交付税率を引き上げなければならない、こう言っておったての考え方なり事情から、何か別のものにすり変えられたという感じを私持つわけなんですが、と申しますのは、当時二五%のときに、これは三十二年度に入るときですが、国が一千億減税とやるのだ、こういうことからする地方交付税へのはね返りで、どうしても当時の三・〇一五ですか、そのくらい不足するのだ、だから少くとも二八%に、引き上げなければならないというふうな、そういうことから出た交付税の引さ上げの要望なり、あるいはまた、それへの理由づけであったと思うわけなんです。結局、前の二十六国会のあとの方で、付帯決議の二七・五%というようなことが出てきて、一応その問題が解決するやに思えたのですが、実際、今度現れてきたのを見ますと、率のことはともかく、当時国税の減税に伴う交付税の落ちることを防ぐためやったその措置が、内容的には公債費対策のために使うのだ、こういうふうなことに変ってきていると思うのです。大部分の金がいわゆる公債費対策と呼ばれるそれに充当される、こういう格好になってきていると思うのですが、その点について私どうも割り切れない。いつの間にやら内容がすり変えられてわれわれの前に提示されている、こういうふうに私は思うのですが、その点一ついきさつをお話し願いたいと思うのです。
  51. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは昨年度に問題がさかのぼるわけでございますが、昨年度は、国税減税に伴うて地方に対する財源措置をどうするか、こういうので、いろいろ大議論が重ねられまして、結局、いろいろ論議の結果、交付税率を一%引き上げる、そのときには、はね返りの問題とともに、地方財政のガンであるのが公債費対策であって、公債費対策をどうするか、こういう問題と二本論議せられまして、そうして、はね返りの問題が一応一%、これはもちろん、十分ではないことは明瞭でございましたけれども、いろいろの、国及び地方財政を総合的に考えて一%ということに政府として案がきまったのであります。公債費の問題は、どうしてもさばきがつかぬので、御承知のように、交付税の先食いということになるか、繰り延べということか知りませんが、本来、国で財政措置をやるべきであったにもかかわらず、国の財政事情のゆとりもないものだから、次年度交付税を使うことにして、そして、応急的な公債費対策を三十二年度限りの暫定措置としてやることにこれはなったのでございます。  そこで、本年度の問題といたしましては、ともかくも、公債費問題がこの三十二年度限りの、全く自己財源のタコの足食いというような形で公債費の問題が始末をされ、しかも、一年限りであって、三十三年度以後のことが全部不問になっている。こういうことでは地方財政の動きがつぎませんので、どうしても公債費対策というものを恒久化する必要があるということが、政府といたしましても、それから与党の方におかれましても基本的な考え方になりまして、そうしてこの公債費の問題というものも基本的に解決をして、、そういうことによって、国と地方との財源の配分の問題、特に交付税率をめぐる問題については、いろいろ講論があるけれども、問題を落ちつけた方がどうだということになりまして、それに見合うということが中心になって、率をどうきめるかということで一・五%引き上げる、一・五%ということになれば、交付税だけの財源よりもこれは明らかに多いのであります。去年やった交付税は八十六億かでございましたが、一・五%になれば百十六億かになるはずでございますが、そのほかに去年度中に行われましたこの年末手当の問題もございまして、ひっくるめて処理する、ひっくるめてでも、なおかつ、それは少し金額からいえば公債費より多いはずでございます。これは率ときめればそういうことになるわけでございますが、そこらは国と地方との交付税をめぐる長い間のいろいろな論議について総合的な解決を与えるという意味も含めて一・五%とする。こういうことによって、将来特別な事情の変化が国及び地方においてない限りは、一応交付税の問題を安定をさせよう、こういうことになったのでございます。そこで、公債費の問題を終局均的に解決をするということが中心になっておるものですから、そういう説明提案もなされておるのでございます。が、それだけではない。その他の問題も考え交付税の問題は一応これでけりをつけるというふうなのが政府考え方でございます。
  52. 鈴木壽

    鈴木壽君 三十一年度末のいわゆる補正予算の八十六億の使い方について、今あなたからもお話がございましたが、これは一つあのときの論議されたこと、あるいはまた当時の長官であった田中さんなり、あなた方の答弁を思い出してもらいたいと思うのですが、これはもうあくまでも交付税を使ってやる、こういうことは正しくないのだ、こういうことをここではっきりおっしゃっておる。やむを得ざる措置として、ことしこういうふうな格好でやるからかんべんしてくれ、来年度から別の考え方で、交付税を使わないで公債費対策をやりたいということをしばしばここで言明なされておる。私は当時のやむを得ざる措置はとにかく、来年度からもうこういうことは決してしないというそういう考え方は、私は正しいと思っておったし、今もそういうふうに考えておるわけなんです。で、当時先食いとかタコの足を食うとか、いろいろなことを言われましたが、それはそれとして、やはり根本的に考えなければいかぬことは、やはり公債費対策といって国が責任を持って見なければならない、こういう金を、交付税で見るということに、私はやっぱり今もってこれは問題があろうと思う。問題があろうどころではない、私は明らかな考え方としては私は間違っておる考えじゃないかと、こういうふうに思うわけなんです。なるほど、今回一・五%引き上げによって百二十億近い金が生まれてくるでしょうし、やはり公債費対策に必要な金は昨年度と同額だと思うのですが、余裕はあります。余裕はありますから、その交付税の分け方の内容においても、いろいろ考えられておるようでございますが、それはしかし、それとして、やっぱり私は公債費対策というものを交付税を使ってやるという、そういう考え方に非常に誤まりがあろうと思いますし、従って、最初に申し上げたように、内容がもうすり変えられておるのだ、こういうふうに私は思うわけです。元来、国の財政の都合、あるいは地方財政のたとえば税の自然増収等があって、当時いわれた必ずしも二八・何パーセントというあれを必要としない、あるいはまた、かりに地方においては必要としても、国において出せぬ、こういう段階で、そうしていわゆる二十六にする、あるいは三十七にする、私はそれはそれで考え方があると思うのです。ところが、実際は二八%に近づけた二七・五%を出しておるけれども、今言ったように内容的にはとんでもないものがこの中に人ってきておるのじゃないか、こういうところに私は根本的な疑念を持つわけなんですが、この点いかがでございましょうか。
  53. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 過去の公債費に対する始末をどういう方式でやるか、こういう問題で、鈴木委員のおっしゃいましたように、この委員会でも前に議論があって、前の大臣も別建てと申しますか、特別の補給金か交付金というような形で考慮するというような趣旨のことをおっしゃっておられたことも私は記憶いたしておるのでございます。結局、考え方が二つありまして、そういう特別の補給金でこの穴を埋めるか、しからずんば、もう一つ考え方はむしろ交付税を通じて穴埋めをやった方がよくないか、これは政府の中にも、あるいは党の中にも両方の見解が実はあって、それをどうするかということがいろいろ長い論議が重ねられたのでございます。そこで、われわれの考え方といたしましては、ともかくも、特別の国の財源措置をするということが、これはもう絶対の条件でございまして、国の特別の財源措置をする、その財源の配り方をどういう方法でやった方が一番いいか、だから三十二年度のような交付税の自己財源の先食いあるいは繰り延べ、こういうことは認めるわけにいかぬ。とにかく財源を国から取る必要がある。取った場合に、それをどういう形でやるか、こういう論議になりますという、と、むしろ、これは国の責任なんだから、団体の財政力を顧りみずに、利子なら利子を補給した方がいいのじゃないかという議論も一部あるわけでございますが、しかし、逆に、ともかくも地方財政の問題なんであるから、やはり、むしろ団体の財政力にある程度調節を保って流すようにした方が、むしろ金の使い方としてはいいのじゃないか、困っているところへやった方がいいのじゃないかという、こういう議論も実はこれは成り立つのでございまして、その結果、いろいろ議論をした結果、むしろ交付税法を通じて交付税として流した方が、現実の団体の財政の需要、団体の財政の必要に合致するゆえんじゃないか、こういうことに実は結論がなったのでございます。特に、その利子の問題になりますというと、これは鈴木委員も御承知の通り、利子と元金とのバランスの問題を考えてみまするというと、これから年がたつにつれて利子が少くなりまして、元金の方がこれは多くなっていくの、でございまして、そういう意味で、利子の半額だけを見るという議論で去年あたりもいろいろ論議されましたけれども、利子の半額だけを見ておっては、ほんとうの困った団体の公債費対策には、対策としては不十分なのでございます。どういたしましても、元金についてもある程度見得る道を考えぬといかぬし、それからまた、非常に公債費の重圧で困っおるものにつきましては、これもまた、いろいろ借金をしたのがいいか悪いかと、いろいろ議論がありますが、そういうふうな議論にかかわらず、現に困って、まともな運営ができぬ以上は、ともかく何とかかんとかやっていける態勢にせざるを得ない。そうすると、ある程度財政力を考えて調整した方がよかろう、こういう考なことを総合的に考えました結果、やはり交付税方式の方が適当であろうというふうに政府としても考え、与党の方においてもそういう考え方を正しいとせられまして、われわれといたしましては、この法案を提出する仕組みにいたしたのでございます。
  54. 鈴木壽

    鈴木壽君 実は、あなたのお話あとの方、私あとでまたお尋ねしたいと思うことにも触れておりますが、それは、こういう形によって公債費対策案することは、国の責任においてですよ、金の出し方とか配分の方法、いろいろあると思うのですが、いずれにしても、国の責任をある団体には果し、ある団体には果さない。これは富裕県とか、あるいは富裕団体、あるいは貧弱団体というような差があるかもしれませんけれども、私責任の果し方としては理屈が通らないものだと思うのです。これはまたあとでお尋ねしたいと思いますが、ただ当時の論議になったのは、やっぱり交付税というものを、あなた方は流し方で、交付税の中にやればいいのだというふうに簡単に考えておられるような御説明でございますけれども、交付税そのものの精神からいって、条文のそれからいって、交付税でこういうものを見ることがおかしいということが、今さら私くどく申し上げなくてもいいと思うのですが、当時非常に論議になったわけなんです。そしてあなた方もはっきりそういうことは認めておる。これは当然、当りまえであれば、こういう格好でなしにやるべきだ、こう言っておりながら、今になると、非常にまた便宜主義的な考え方になってきておるようでございます。まあ与党との間にどういう話があったか、私もわかりませんけれども、少くとも、やはりあなた方としては筋の通った考え方をとるべきじゃないだろうか、こういうことが一つ。それからいま一つ、二八%にしなければいけない、すなわち三%の引き上げをしなければいけないという、それは二六%になった、一%の引き上げによって、あなた方はその必要がなくなったというふうに考えておられるのかどうか、当時そうじゃなかったはずなんです。どうしても二八%でなければいけないというようにあなた方も主張しておったし、地方団体もその通り主張しておった、その中に、その全体の三%を上回る中に、この公債費対策としてこういうものを入れなければいけないという考え方一つもなかったはずなんです。まあいつの間にかくるくると変ってくるのですから、私はこの点はどうもおかしいと思う。さっきも言ったように、もしも国の財政の都合なり、あるいは地方の団体のその後の財政状況を見ておると、二六%でいいのだ、こういうことなら、またやむを得ないのですけれども、私はそういうふうに急に変っているとは思わないのです。当時の減税のはね返りを是正するためには、やっぱり私は今なおあの率が正しかったと思うし、そういう点でどうお考えになるのか、この二つの問題について一つ
  55. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 前段の問題で、これは先ほども申しました通り、それは国の責任を明確にするのであるから、金があろうとなかろうとにかかわらず、ともかくも、その利子の幾ばくかを持つべし、こういう考え方は、確かにこれは一つ成り立つのであります。われわれ自身もそれを主張したことがあるのですけれども、それとともに、交付税で使うのが全然間違っておるかといえば、それは必ずしもそうはならぬので、結局過去において、本来一般財源で見るべきものを、財政計画上も財政需要においても正確に見るべきものを見ずじまいで、借金で始末をしてきたわけでございます。それでございますから、その借金が今の公債費の償還費として現われておるわけでございます。それで見るべきであったものを過去において見なかったから、今日においてそれを財政需要として見て、交付税を流すという考え方も、私は成り立つだろうと思うのでございます。  そこで、まあそういう理論も考えられますし、それからまた、現実の問題としまして、公債費の問題でほんとうに困っているところを救ってやるという必要もあるし、そうでなしに、非常に、今は富裕ということは語弊がありますが、多少財政上のゆとりのあるところに利子の何パーセントを補給するのだということも、全体として見れば、金の使い方として適当かどうかということになれば、いろいろこれは議論もあるのでございます。それで、まあ理論上も可能であるし、実際上の措置としてでも、むしろその方が妥当であるということで、交付税方式をとることにいたしたのでございます。この問題は、去年の三十二年度の暫定措置の場合にも、やはりこれは議論があり得たのでございますが、結局、三十二年度にああいう措置をとらざるを得なかったので、これをむしろ改善をして恒久化していくということの方が、地方財政全般として適当であろうという判断に到達したのでございます。  それからもう一つは、国税のはね返りの問題につきましては、確かにその通りでございまして、われわれといたしましては、国税に理由があって減税をするのならば、地方財政上それに応じ得る何と申しますか、財政上のゆとりがない限りは、それを補てんするのが当りまえであるという理論は、われわれも別に変えてはおりません。今後もやはり国税の減税というものがあって、それが非常な影響があれば、それは地方財政影響のないようにしなくちゃならぬという考え方は変えるつもりはございません。しかしながら、結局、交付税税率を引き上げるということになれば、それだけ国の財源というものを積極的に地方に持ち来たすという問題にもこれはなるのでありまして、これはまあ国と地方を総合的に考えて、ある程度政治的な判断によって最後の始末をせざるを得ない。こういうことにもなるのでございまして、われわれといたしましては、満足しておるわけでもなし、そういう考え方を捨てているわけでもございませんが、昨年並びに本年度において、全体を総合的に考えて、この処置によって一応がまんするよりしようがない。これもがまんの問題でございまして、こういう結論になったのでございます。
  56. 小林武治

    委員長小林武治君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止
  57. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記を始めて。
  58. 鈴木壽

    鈴木壽君 それでは、まあその問題はあとで大臣にもお聞きしたいと思いますから、留保しておきます。  今回のいわゆる公債対策に要する金の総額は、これはどのくらいと見ておりますか。
  59. 柴田護

    説明員(柴田護君) その金は財政力、地方交付税にかかるわけでございますので、現実にどのくらいになるかということは、はっきりした推算は出ておりませんが、大体九十億円から百億円の間、それはまあ地方交付税の行きます。団体の分でございます。
  60. 鈴木壽

    鈴木壽君 それでは、あとでこれは補正の問題もあると思うのですが、それと今のお答えの内容と、たとえば一の特別措置債がどのくらい、それから特定債がどのくらい、これと、それから特に特定債の場合の積算の基礎を、これ一つあとお願いしたいと思うのですが、もう一つは、この二つの特別措置債と特定債のいわゆる現債高ですね。それと対応する今後の償還の見通しですね。これは、この措置をする以前の、このことしの措置をする以前のそれが、今後どういうふうになっているか、どう計画的に償還されていくのか、それをあと資料として一つほしいと思うのですが、できますか。
  61. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) できます。
  62. 鈴木壽

    鈴木壽君 それでは、その資料あとでいただいて、それから伺うことにしまして、いま一つ、私疑問に思うのは、今私が申したような考えからして、一体、いわゆる交付税の測定単位とし、単位費用を出すことが、果して適当かどうかという根本的な疑念が一つあります。それは、まああとにしますが、この場合、三十三年度交付税の配分を見ますと 特定債にかかわるようなものは、内容として特交なんかで見られておったんじゃないかというふうに私見たのですが、そのことが一つと、それから、普通交付税においても、その基準財政需要額のうちに見られておる部分があるのじゃないか、こういうふうに私、見たのですが、その点いかがでございましょう。
  63. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 三十二年度は、例の交付税の付則で変えました特例法を適用いたしまして配りますとともに、今お話し通り、特別交付税の場合にも少し考えたのでございます。それらは、法律の方では、これはもう規則通り利子の半額、それから給与の改訂でやったやつは百パーセント、こういうことで、全く機械計算で出るわけでございますが、特別交付税の配分の際には、やはり公債費の非常に重圧の多いところは考えてやる必要があるのじゃないかというので、利子の償還費が一般の税収に比して著しく多額であるものにつきましては、割増しをつけて配ることにいたしたのでございます。そこで、だから特別交付税の場合も、財政力に応ずる補正を一度やったのでございますが、いずれにいたしましても、そのもとが利子を基礎にしておるものでございますから、利子だけにつきまして、どれだけ見てやっても、公債費の多いところは何とも動きがつかぬ。今後だんだん元金の方がふえていくのですから、そこで、元金につきましても見得るようにしなければ、とても公債費の問題は解決つかぬということで、今年の交付税は、元利の四分の一というものをベースにして、ペースは、去年利子二分の一で、すから、ベ‐スは一緒でございます。それを基礎にして、元利全体について、財政力に応じて割増しを考えていくことにしたらどうか、こういうふうに考えておるのでございます。
  64. 鈴木壽

    鈴木壽君 それで、私お聞きしたいのは、三十二年度の特交の中に、特定債にかかわる利子償還の額が、一般財源に比し、著しく多額であること、あるいは交付公債の元利償還金が多額であること、地盤沈下、地盤変動、海岸侵蝕というような事実に対しての地方債の元利償還金があることと、こういうふうなことが見られておるようでご、ざいますから、それと重複しておるのじゃないか、一部分ですね。まあ利子であろうとも、重複して特交で見ておるのじゃないかということ、ただ、その通りなのか、そうでないのか、こういうことだけですが。
  65. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 同じものについては重複はいたしておりません。
  66. 鈴木壽

    鈴木壽君 普通の財政需要額で見る場合の、たとえば教育費とか、それから土木関係では、特に港湾とか、あるいは場合によっては橋梁なんかの場合も、この算定のそれを見ますと、この中に当然起債の許可も含まれておる、こう考えていいものがあると思うのです。その中には、起債の中には、今の特定債も入っているんじゃないか、こういうふうに私考えているのですが、その点はどうなんですか。
  67. 柴田護

    説明員(柴田護君) 厳密に議論して参りますと、その辺のところはぼうばくとしております。と申しますのは、単位費用をはじきます場合の投資的経費計算いたします場合には、標準施設を想定をして、それの減価償却分を見ているわけです。それが地方債の元利償還額、の一割に見合うか見合わぬかという問題が、投資的経費全般を通じてあるわけでございます。ただ、そういう見方をして参りますと、地方債の問題とは一応切り離されておるということが言えるのでございます。特定債の場合には、その両方の関係をにらみ合せて考えますと、特定債の場合は、本来いいますならば、それは一般財源で見るべきものが見られておらなかった。それは便宜、地方債という形でもって、その当時まあ適当にやってこられたものである。それが元利償還金になって現われてきておるのであるから、それと単位費用との間の結びつきを考えますならば、その部分を単位費用の中に織り込んでいく方法によるか、あるいは別建てにして一つの項目を設けて測定をしていく、こういうことになろうかと思うのでございます。特定債の性格上、昭和三十一年度からあと地方債の運営方針を改めまして、財政力と申しますか、その団体償還能力というものを頭に置いて地方債を承認していく、こういう方法に切りかえておりますので、特定債というのは、昭和三十年度までに発行したものに限定されております。そうなりますと、その部分について、単位費用に特に暫定的につけ加えるよりか、むしろ、そのものだけについて独立の単位費用を作っていったらいいじゃないか、こういう格好で見ておりますので、単位費用に含まれております部分と、特定償の部分は重複していないということが言えると思います。
  68. 鈴木壽

    鈴木壽君 新たに単位費用をこういうふうにやること、そのことは、私は今問題にしておるのじゃなくて、もし、こうやるとすれば、すでに克ておる水準財産需要額において、今あなたが御説明になったように、もちろん、これは標準団体のそれをとるわけですけれども、その中の教育関係でいえ、ば、校舎の建設の企とか、あるいは港湾の施設の金とか、あるいは場合によっては橋梁等の、いわゆる公共事業の中の指定価に該当するものまでも、厳密にいったら含まれておる場合があるのじゃないか、私はそういう意味です。どれがどうなるか、私はあなた方の大きなあれを見たってわかりませんけれども、それには一般的な計算の仕方ですから。しかし、考え方としては、償却を見て、これは必ずしも耐用年数そのものと対応はしておらない。償却年数をあなた方は勘定しておられると思うのですけれども、そういう点からしますならば、私は一部て重複しおるところがあるのじゃないか、こういう点の疑問が一つある、こういうことなんです。
  69. 柴田護

    説明員(柴田護君) 費目そのものにつきましては重複しておるということが言えます。しかし、金額そのものにつきましては、むしろ特定使分の、特定債にかかります分は、古い年度部分である、だから、それぞれそういう費目の単位費用の継ぎ足すべき部分を昔、継ぎ足していなかったその部分を特定債の償還金として見るのだ、かようにお考え願いたいと思います。
  70. 鈴木壽

    鈴木壽君 古い部分というと、確かに古い部分とも言えますが、しかし、年々同じような考え方であれを見ていった場合、基、準財政需要額のあれの算定の積算のあれを見ていった場合、古いとか古くないとかいう当時の考え方の、ああいうものを基礎にして考える、項目として考えた場合には、古かったかもしれませんが、現実には年々見ていっておるのです。そこで、ダブるところが出てきやしませんか。ただ、その問に問題になるのは、耐用年数をどう見るか、こういうような問題は残りますので、こまかいところまで、これとこれとぶつかる、重複しておるというところまでは突きとめておりません。おりませんけれども、ただ、あれを見ますと、算定のいろいろなあれを見ますと、ここに掲げられている、新たに今度、交付税の中に見ておるところの単位費用なり、そういうものからしますと、重複するものがあるのじゃないか。従って、もし、あるとすれば、この間の調節をどうとるつもりなのか、こういう御質問なんです。
  71. 柴田護

    説明員(柴田護君) 今までの単位費用がへっ込んでおった、標準施設ということからいいますならば、へっ込み過ぎておって、まともでなかった、そのまともでない部分というものを地方債でごまかしておった。ごまかすという言葉は語弊がございますけれども、地方債で一時しのいできた。それが今日、特定債の元利償還金となって出ておる。そういう関係に立つわけです。従って、特定債の償還費というのは、特定債終りますまででございますから、幾ら長くても昭和五十年くらいまでにはなくなってしまうということになるのじゃないかと思います。その部分は、結局むしろ地方債でその易しのぎをした部分、本来なら、ば、一般財源で単位費用の中に織り込むべき部分を織り込んでいなかった部分を、今ここで罪滅ぼしをしているということでございまして、金額的には重複していないのでございます。ただ、費目は同じ費目を扱っております。
  72. 鈴木壽

    鈴木壽君 どうもへっ込んでいるとか、へっ込まないとかというけれども、たとえば、あなた方が校舎建築費を見ておられますね。あるいは港湾の施設賢の中に工事費を見ておられますね。その中に、一体どの程度地方債があって、どの程度のへっ込みがあるかというようなこと、これはちょっとわからないですよ。あなた方そこまで勘定しておりますか。だから私は、これは説明としてはへっ込みという見方が足りないということは、私は全般的に言えると思うのです。しかし、それは必ずしもこういう特定債なり、そういうことでどの程度低いのか、どの程度へっ込んでおるのか、これの説明にはならぬと思う。一般的にはそういうことは言えるのですね。ですから私は、こまかく譲ってどこそこがどれだけ足りない、どこそこがどういうふうに重複するということは指摘できないけれども、何かここで両方に児られておるところがあるんじゃないか、こういう疑問がまたあるわけなんです。
  73. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) それはごもっともでございますが、要するに、本来ならば、過去七年間か六年間か、知りませんが、その間において、本米、一般財源を見て、交付税も十分に見て、そうして手当をすべきだったものが、国の財政の都合もあってぼこになっておる。その−ときにやっておれは、当然に単位費用を上げまして、そうして将来の起債も、今の償却費でちゃんと見て始末をつけておったに違いないのであります。それが不幸にしてできなかったのでございまして、そのぼこの部分が、今の公債の償還費と言うり形で今後でこになって現われる。そのでこのものを一体どう始末するか、こういうだけの問題でございまして、てのでこのものは特定債の償還費という形で始末をしよう。しかしながら、いまの単位費用そのものがいいか悪いかこいえば、これは今後将来の問題として、建設的事業も地方においても十分やれるように、自力でれるように、起債によって年度間の調節はしますが、跡始末も一般財源で十分にやれるように、建設事業に対しまして単位費用を見る必要がある。そこで、今年は幸いにして建設事業をふやしましたが、これは今後起る仕事をかりに起債でやっても、これは年度間の調節で、交付税でカバーができるという限度でこれは見ただけなのでございまして、過去に見るべきものとしてぼこになっておったものをどう穴埋めをするかという問題は、もっぱら過去の始末の問題で、これは継ぎ足しをしてやらぬことには計算が合わない。もっぱらその継ぎ足しの問題が特定債の償還費の問題で現われている。こういうふうに御了解を願いたいのでございます。
  74. 鈴木壽

    鈴木壽君 私の言うのは、この基準財政需要額の算定の場合のいわゆる計算そのものが十分だとは、もちろん思っていません。もっと見なければいけないものもあるし、引き上げられなければいけないものもあることは、私はもちろん、そういうことは頭に入れているつもりです。ただしかし、まあ内容的にどこで線を引けるかわかりませんが、いずれ、先ほど私が例を申し上げましたようなものの中には、当然あなた方が見ようとする、いわゆる特定債の分までも入っているのじゃないかというふうに思ったものですから、それではおかしいじゃないかということは——今度別の観点からしますと、そういうところで一方見ており、特別交付税の中にも別にまた見ているというふうなときに、またぞろこういうふうな見方、これは足りないから、見てやる場合にはそれだけプラスになるのじゃないかといえば、それまでですけれども、そういうところに私は、やはり交付税として見る、それには私どうも筋が合わぬところがある、そういう現実の数字の上からも出てきているのじゃないか。こういうことなんですが、実は最後にお聞きしたいのは……。
  75. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 三十二度は今の特別交付税というものでも見ましたが、これはわれわれとすれば、普通交付税で見て、特別交付税で見たというのがおかしいので、この制度を恒久化する以上は、普通交付税一本で始末をつけるようにせぬといかぬというので、今度、特別交付税の率を下げましたのも、一部振りかえるものがあるということを申し上げましたが、こういうものは一町振りかえまして、一本で今の新しい特定債の償還費として始末をつけていこう、まあこういう考えでいるわけでございまして、あっちこっち重複するようなことは、これはもう避けなければいかぬだろうという考えを持っているのでございます。
  76. 鈴木壽

    鈴木壽君 三十二年度はここでもう一部分利子等について見たけれども、三十三年は見ないということですけれども、それはそれでいいでしょうが、一つ、私もう少し納得できない点があるのですから、ことしですね、こういうふうにあなた方が措置するために、その一方、先ほど私が申し上げましたような例の、たとえば教育費なり土木費なり等についてどういうふうな、何といいますか、費用の見方をするのか、測定単位の計算基礎一つ具体的に、教育費の場合、学校建築を含む中小学校の場合、それから港湾費のような場合、それから橋梁なんかも相当起債でやる場合がありますから、そういうような場合を一つあとでこれはよろしゅうございますから、これはできるだけ詳細に一つ書いていただければありがたいと思います。これだけじゃ積算の基礎となるいろいろな数字がわかりませんからね、ただ費目だけはこれはありますけれども。一つお出しいただいて検討してみたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  77. 柴田護

    説明員(柴田護君) はい。
  78. 鈴木壽

    鈴木壽君 いずれこの問題については、私はそういう資料をいただいてから……。
  79. 小林武治

    委員長小林武治君) 両案に対する質疑はさらに次回に続行することにして、本日はこの程度にとどめます。  これにて散会いたします。    午後三時四十八分散会