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1958-03-26 第28回国会 参議院 地方行政委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十六日(水曜日)    午前十一時三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 武治君    理事      大沢 雄一君            小柳 牧衞君            加瀬  完君            鈴木  壽君    委員            伊能繁次郎君            伊能 芳雄君            佐野  廣君            西郷吉之助君            成田 一郎君            本多 市郎君            成瀬 幡治君   政府委員    自治政務次官  中島 茂喜君    自治庁財政局長 小林與三次君    自治庁税務局長 奧野 誠亮君    大蔵省理財局長 正示啓次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   参考人   早稲田大学教授 時子常三郎君    全国市町村林野    協議会会長北    海道津別町長  林  利博君    全国大衆飲食税   対策協議会会長  毛利 鋼三君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○公営企業金融公庫法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○地方税法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査)   —————————————
  2. 小林武治

    委員長小林武治君) これより委員会を開きます。  本日は、まず昨日に引き続き、公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のおありの方は御発言願います。
  3. 大沢雄一

    大沢雄一君 私は、この際、簡単なことでございますが、少し念を押すためにお伺いいたしたいと思いますが、まず第一点は、借りかえ債、旧指定債の問題でございますが、公営事業に関する起債の借りかえ、それから旧指定債の引き受け、これに関して衆議院地方行政委員会会におきまして、質疑応答の結果、現行法解釈の範囲内でそれが許され得るというふうに、自治庁大蔵省の御解釈が一致されたように承わっておりますが、そう承知して間違いないでございましょうか、この点自治庁大蔵省両御当局から御答弁願いたいと思います。
  4. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) まず、第一番の借りかえ債ですが、今度、公庫の借りかえ債が公庫貸付の対象になるかという問題でございますが、現行公庫法によりますというと、地方債が、自治法によって、「許可を受けた公営企業に係る地方債」、こういうことが書いてありまして、それで、従来低利借りかえをやる場合においては、不要許可じゃないか、実際許可をしておらぬ扱いがあるわけであります。そういうことだと、これが読みようがあるのかないのかということが、衆議院地方行政委員会でいろいろ論議があったのでございます。ところがだんだん具体的の問題を検討してみますと、借りかえをやる場合におきましても、大ていの場合は、一つは何点いいますか、償還期限を延ばして借りかえをやる、こういうものは当然自治庁許可が必要でございますので、そういうものは当然この条件の中にひっかかるのじゃないか。それからもう一つは、許可をする場合には、普通七年とか、きわめて短期許可をしておりますので、当然期間延伸許可が要るという建前で、あるいはいま一つは、これはそうでなしに、二十年とか二十五年とか長期許可をしている場合が実はあり得る。実際の銀行との契約で七年のきわめて短期でやる。これは自治庁長官許可をしたワク内で、向うがどこの銀行から金を借りても、それは自由なんだから、これは実際解釈上読めるのじゃないか、こういうことで、の運営上解釈上読めるということで大半が片づく、ほとんど片づくのじゃないか。こういう解釈に一致したわけでございます。ただ、現実の問題は、必ずしも、個々の貸付資金限度がございますから、借りかえまで現在までのワクでどれだけやれるかということになれば、実際問題として相当制約があろうと思いますが、ともかくも、法律上の運用といたしましては可能であろう。あと公庫公庫債発行限度額の問題で、そのワク内で考えざるを得ない、こういうことになったわけであります。  それからもう一つは、旧指定債について読めるかという問題でございますが、これは公庫法の第一条には、「特に低利、かつ、安定した資金を必要とする地方公共団体公営企業」というふうに糾いてございまして、作った趣旨から申しますというと、普通の、どっちかといえば経済力の弱い県市町村で、自力で「低利、かつ、安定した資金」が手に入らぬという団体を主体としてこの公庫法が作られたのは間違いがないのでございます。しかしを見ておりますというと、いわゆる旧指定債も最近なかなか消化が困難な状況でございまして、今年度におきましても数十億繰り越しになるのじゃないか、実際なかなか消化ができておりません。いろいろ大蔵省の方にも協力願って、金融機関の方と折衝いたしているのでございますが、なかなか消化が困難な状況がございます。それで、この問題をどうするかということが、また一つ大きな問題として別にございます。もっと民間のこの消化を促進する方策を考えるなり、あるいは動きがつかなければ、別途の方法考えなければ、指定府県におきましては消化がやりにくいという問題が実はあるのでございます。そういう問題が根本的にございまして、にっちもさっちも、ほんとうにそういう団体でも現実に動きがっかぬということになれば、この第一条にいう、ほんとうに「低利、かっ、安定した資金」が必要でありながら手に入らぬということになれば、そういう団体について、具体的の問題について、これは解釈上読み得るのじゃないか、こういうことで大蔵省の方と話し合いを進めたわけでございます。  これも今申しました通り、結局資金ワクがきまっておりますから、そうだからといって、今日のワクにおいてそういうことが広くできることは望めません。きわめて、やったとしても限られた限度においてだけしかやれませんが、解釈上だけは運用がつくだろう、こういうことでございます。
  5. 大沢雄一

    大沢雄一君 ただいま自治庁のカの御説明で、資金ワク内で運用上できるということに解釈が一致したということでございますが、その点、大蔵省の方の一つ御確認を得ておきたいと思いますが、いかがでございますか。
  6. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 大体、小林局長からお答え通りでありますが、法律第一条の条件が具備いたしました場合は、これは法律解釈といたしましては適用になるというふうにわれわれも考えております。
  7. 大沢雄一

    大沢雄一君 その点よくわかりました。  次は、昨日来衆議院の御修正に対しまする自治庁の御見解、または大蔵省の御見解を承わりまして、私どもいろいろ考えさせられるところもありましたのであります。私、大蔵省の御見解を承わっておりまして、まあ大体二つの点におきまして、大蔵省方々がいろいろ地方財政の上から、その他の上からいろいろと憂慮されまするという点も、あながち御無理のないということもまあ考えました点が二点ばかりあるわけでございます。  その第一点は、この一時借入金を許された場合におきまして、地方団体のこの財政経理が適正に行われぬ場合に、これが地方財政赤字を生む、財政繁乱の端を開くことになってはならないという御心配でございます。それだけとりますれば、私その点は御心配なさる理由も決してないとは言われないと思うわけであります。で、御承知のように、現在の地方団体で非常に赤字をかかえておりまする内容を見まするというと、ちょうどこの経済界で会社が逆転資金として借りましたものを設備資金にこれを投じてしまうということで、非常に金融難の大きな原因を作っておりまするのといささか似たような形で、一時借り入れるということで地方団体が借りまして、そうしてそれをあるいは事業資金に充てたり、長期事業資金に充てたり、あるいは赤字補てんに充てたりして、そうしてこの赤字をかかえていくと、これが年度の切りかえにさらに一時借り入れでつないで、そうしてころ、ばしていくと、こういうことが現在までの赤字団体実情であるわけであります。ただこれだけから見れ、ば、やはり一時借り入れということだけ見れば、確かに適正な規制が行われない限りは、そういこともあり得るわけであります。まあ問題は、これは公営事業に関してだけでありまするから、その点に私はあまり上大蔵省の御当局が御心配が過ぎる点がある。他のもう一般のとにかく経費についての一時借り入れということは、もう地方財政上ほとんど野放しになっておる中でありますので、私はその点少しいささか心配が過ぎるのではないかと思うわけでありまするが、問題を公営事業に限らず、一時借り入れだけの問題に限って考えてみますれば、確かに一時借り入れということが、何といいまするか、制度の許されておる目的より以上に、この制度がいわば悪用されるといいますか、運用されるといいますか、そういうことが現在の地方財政を非常に悪くしておった。赤字をかかえても何とかころばしがきくということに確かになっておると思うのであります。こういう点について自治庁は今、昔のよう意味での監督権はありませんが、指導助言ではありまするが、どういうふうに地方団体に対して指導なさっておるかと、財政法等改正等考えられておるということを聞いておるのでありまするが、その点について、何か自治庁としては、やはり適当な規制なり指導なりの方法を私は考えていくべきものじゃないかと、そういう意味において、今申し上げたよう限度運で私は大蔵当局の御心配も、これはあながち理由がないことじゃない、かよう考えるわけでありますが、その点について一つ自治庁のお考えを聞かしてもらいたい。
  8. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは、ごもっともでございまして、従来、地五団体つまり赤字というのは、結局、形は何かといえば、今仰せの通り、一時借り入れをころがしてきたと、そ、いう形で赤字をまあ作って運おったというか、穴埋めをしておったというか、そういう形になっておったの運でございまして、結局この一時借り入れ制度運用がすなわち赤字の増大ということとまあ結びついておったとも私は言えると思うのでございます。、原因は、それはむしろ一時借り入れ制度があるからではなしに、むしろ赤字が発生せざるを得ないもとの原因があったことによるものではあろうとは思いますけれども、その制度に頼って赤字をころがしておったということは、これはもう事実でございます。この点につきましては、われわれといたしましては、地方財政運営上赤字の克服と申しますか、財政健全化ということがもう最大の問題でございまして、やかましくそれぞれの団体財政運営指導をして参っておるのでございまして、まあ幸いにいたしまして、この一般会計の面におきましては、一部、借り入れ金額が急激に減って参っております。これはまあ国の財政措置も行き届いたという点もございますが、自治団体自身もその点につきまして非常に気を張るようになった結果でございます。しかし、この態勢はさらにやかましく強硬に指導すべきでありまして強く指導しなくちゃいかぬのでありまして、その基本的な問題は、結局地方団体財政運営と申しますか、予算編成並びに予算の執行並びに現金会計その他の経理管理の問題、そういうものから総合的にこの趣旨を達していく必要があろうと思うのであります。自治庁といたしましては、毎年予算編成の問題あるいは予算実施の問題、その他機会あるごとにこの問題につきまして強い指導をやってきておるのでございます。公営企業につきましてもそういう問題があるのでございまして、率直に申しまして、公営企業の全般的な指導につきましては、自治庁の力の手も足らず、ひまもなくて、従来は指導を必ずしも一般会計ほどやかましく言っていなかったと思うのでございます。これはどういたしましても、公営企業はこれだけの大きな比重を持ち、これからだんだん伸びていくのでありますから、公営企業経営管理の面におきまして、もっと積極的な指導をやらなければいかぬのじゃないかという考えを持っておりまして、まあ場合によっては公営企業法につきましても必要な改正を加えぬといかぬというので、関係課の方におきまして全面的に検討を進めてもおるのでございます。  それで、特に今のこの公庫法のあの国会における修正の問題とも関連しまして、そういう点が懸念があり得るじゃないかということは、これは大蔵省の方も御心配なさっておられるようでございまして、われわれといたしましては、この運転資金が、何と申しますか、やみ起債と申しますか、長期資金ほんとう長期債でやるべきものをころがすというような形をとらせると、これはもう断じてこんなことを認めるわけにはいかぬのでございまして、やみ起債を助長するようなことになってはこれはいけない、とうてい許せない問題でございます。実際そういう資金ゆとりもありませんでしょうが、かりにこういうことがあるといたしますると、私は府県庁あたりの第一次の指導監督監督ということは語弊がありますが、地位にある者につきましても十分目を光らせまして、公債自身も、自治庁自身も、やみ起債をやることのないようにしなくちゃいけない、こういうふうに考えておる次第でございます。
  9. 大沢雄一

    大沢雄一君 もう一点、大蔵省の方で御心配になっておる点で、私ごもっともに存じました点は、これは今侮り入れの地方団体に対する方でございますが、貸す側の公庫に関しまして、今の公庫理事者当局、これは、まれに見る有能な練達な方でありまするから、これはもうそういう間違いがないと確信しておりまするが、この制度の問題として考えた場合に、一時借り入れに応ずることができるというふうになった場合に、これは長期資金貸出の時間的なズレによる余裕のある金だけに限運って、これはもう一時借り入れに応ずるということでなければならぬということは、当然のことと思うの運でありますが、その点に対するつまり保証ですね、これはやはり現在のところでは、自治庁なり大蔵省なりの公庫に対する御監督といいまするか、御指導といいまするか、そういうことによってそれが規制されていく。こういう建前になっておると思うのでありますが、大体この貸付の時間的ズレというものによって生じまする金額は、年間を通じてどのくらいの見込みであるか、これをこえて一時資金を貸してしまう。そうして本来の目的長期貸出に支障があるというようなことはむろんないと確信しておりますが、あってはならないわけです。大体どのくらい年間を通じてそういう何といいますか、時間的ズレによって生ずる貸出余裕が生ずる見込みでございますか、その点をお伺いしたいと思います。
  10. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは率頂に申しまして、公庫は去年の半ばに店が開設されまして、年間を通ずる運営ということは、実はまだ率直に申しまして行われておりません。去年の実情を見ますというと、去年の後半期から活動を開始したわけでございますから、そう実際問題として資金的のゆとりがあったというわけではありませんが、それでもやっぱり地方起債許可の問題並びに事業の進行の問題等がありまして、必ずしも起債申請が、公庫に対する申請がそうまんべんなく均衡がとれてきておるわけでもないようでございます。時期的には多少のゆとり金ができたことがあるように聞いています。これは現在ではもちろん解消しているはずでござい間ます。問題はむしろ、この年度の初めにおいて四月とか五月とかというような境目におきましてこういう問題が起り得るのじゃないか。起債許可につきましては、これは大蔵省協議をいたしまして、私は来年はできるだけ早く全部やってしまう方向でいかなければならないと思っておりますが、その許可をいかに僻め間ましても、当然全部が四月一ぱいでというわけに実際問題として参らないわけでございますし、それからいいましても、地方団体では事業の漕手の問題がございまして、結局、資金現実に要らなければ公共団体が借りるわけでもないのでございます。それでございますから、そういうときに私はある程度ゆとりが出てくる、こういうふうに想像されるのでございま間して、公庫の方でもそういう見当をつけておられるのでございます。しかし、これはそう長期に金が遊ぶということは考えられません。仕事の順序さえ運べば申し込みがあるにきまっておりますから、きわめて短かい期間に少しずつ資金がずれてくるという程度であろうと思います。そういう何億に上るというようなことは、私はそれぞれの時期においてそうめつたにあることではないのじゃないかというふうな考え方を持っておるのでございます。  ですから、年間を通じて常にこれだけあるということは、私はありようがないのでございまして、おそらくは年間の月の間にそういう問題が出てくるというのが実情じゃないだろうか、そういうふうな感じがいたしておるわけでございます。それでございますから、逆に、そういうものをやるならば、特別の短期資金の原資というものがなければこんな仕事はできぬのじゃないかという理論が別に成り立つのでございまして、そういう議論もごもっともでございます。しかしながら、われわれの考えでは、公庫に何も特別のワクを作って運転させるのを目的とする必要も必ずしもないので、ございまして、現在の段階においては、そういう、ゆとりのある場合にゆとりを活用するという道を開くというふうに考えればいいのじゃないか、実際の運転は、もう少し平年の状況を見なければ、金額的に幾らということが、今のところ、勝手な数字を申し上げてもいけませんので、推定が十分つかぬというのが実情でございます。
  11. 大沢雄一

    大沢雄一君 公庫の方の貸出資金源としては、現在割り当てられた公募債金額のほかに、何か現在の段階において、ほかに貸出資金源考えておるか、そういうことは全然考えていないか、その点。
  12. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 現在のところ考えておりません。
  13. 大沢雄一

    大沢雄一君 もう一点簡単なことをお伺いしますが、そうすると、この修正案がもし修一正通り成立するものとして、この一時資金貸出は三十三年度から行われる。三十三年度金額は、今伺いますると、見通しは大した金額ではないのでつかないということでございますが、貸出条件等は三十三年度はどういうふうになりますか、条件等について念のために伺っておきたい。
  14. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これはわれわれも、まだ法律が通ったわけでもないのですから、具体的な計画も立っておりません。これは公庫の方でも御検討願わなくちゃならぬのでございますが、大体の条件は、現在起債前貸しの場合、日歩三銭一厘で貸しているはずでございますから、その前貸しのときと同じ条件で貸すことになるだろう、こういうふうに想像されます。
  15. 大沢雄一

    大沢雄一君 私の質問はこれで打ち切ります。
  16. 小林武治

    委員長小林武治君) 本案に対する質疑は本日はこの程度にいたします。  これにて休憩いたします。    午前十一時二十七分休憩    ——————————    午後一時二十三分開会
  17. 小林武治

    委員長小林武治君) 委員会を再会いたします。  午後は地方税法の一部を改正する法律案について、参考人方々の御意見を伺います。  議事に入ります前に一言、参考人各位にごあいさつ申し上げます。  本日は御多用中のところ、本委員会のために御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。議事の都合もございますので、まず最初にお一人大体二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対しお答えを願うといった方法で進めて参りたいと存じますので、その点お含み置きの上、忌憚なく御意見の御開陳を、願いたいと存じます。  それでは、まず早稲田大学教授時子常三郎君にお願いいたします。時子参考人には特に、今次の地方税改正案に対する御意見のみならず、そのほか、地方税制一般地方行財政等に関連した諸問題等にもわたって御意見を拝聴できれば仕合せと存じます。
  18. 時子山常三郎

    参考人時子常三郎君) 三十三年度地方税改正案に対します意見を述べよということで参ったわけでありますが、本年度改正案を拝見いたしますと、必要最小限度改正にとどめるという方針に従いまして、あまり大きな改正が案として出されていないように思うの間であります。出ております案を見ましたが、必要最小限改正という前提からいたしますというと、大体妥協の産物といっていいのかどうか知りませんが、まあそつのないことになっておると思うのであります。ただ気になりますのは、木材取引税に表われておりますように、かなり大幅な減税が続いて行なわれておる。この辺の事情はどうかというふうに私感ずるのでありますが、あと参考人の方からまた御意見があると思いますので、私それで一つ十分私も考えてみたいとこう思っておるのであります。  従いまして直接の改正案、今国会に出ております直接の改正案につきましてはあまり多くを申し上げることがないのでありますが、しかし、これで地方税の大きな問題が何も解決されたとは言えないのでありまして、むしろ問題がこのほかにあるのじゃないか。国の財政地方財政とがかなり事情が違っておりますので、今、木材引取税を例にあげましたが、負担均衡あるいは負担の軽減ということで、今までだいぶ進んできておるのでありますが、これから間果してそういうことだけで、地方税にいたしましても、国税もそうでありますが、税の問題が解決し得るかどうか、こういうことが考えられると思うの間であります。ことに、国の場合におきましては、歳入の九三%は租税収入でまかなわれておる。また、これはマッカーサー以来のやり方でありますが、公債を募集しないという方針がなお続けることにできておるのであります。また、経費の面から見ましても、財政でまかなわれる支出というものが、国におきましては政策喪がかなり多いのでありまして、収入と合せてこの歳出をかげんするということが比較的やさしいのでありますが、地方財政の場合におきましては、歳入の四〇%だけが租税収入でまかなわれ間て、他は交付税国庫補助金あるいは地方債などで補ってきております。のみならず、経費の面を見ますというと、教育とか警察とか、消防とか、その他一般のいわゆる義務費に属する経費が非常に多く、収入と見合ってその経費を縮小するということは、国のような工合には期待できない。ここに私は地方財政として今日特に考えておかなければならぬ問題があるのじゃないか。そういう点から見ますというと、この三十三年度地方税改正案というものは大きな問題を包蔵しているのじゃないかと考えるのであります。  ことに、三十三年度までは終戦以来の日本の経済伸びがかなりよく伸びてきておりますので、従って自然増収というようなものがあって、割合安易な税対策で事が済んで参りましたが、三十四年以後を予想いたしまするというと、経済伸びにもだんだん限界が来るのじゃないか、そうしますと、自然増収ということもだんだん期待できなくなりまして、税そのもののあり方というもの、あるいは地方税にいたしますというと、地方税の整備ということは、単に減税とか負担均衡というふうな意味での税対策でなくして、積極的に税を育て上げる必要がある。そういう方向考えられるのでありますが、この三十三年度地方税一般を拝見いたしますというと、そういう問題があまり取り上げられていないと思うのであります。  そこで、これは私は幸いだったと思うのでありますが、事業税につきまして、これを廃止せよとか、あるいは減税すべきであるというようなことがかなり強く主張されてきております。で、幸いと申しましたが、私は三十三年度でそれが取り上げら憩れなかったことが、これは非常にけっこうなことだ、こういうふうに考えておるのであります。ことに、先ほど申し上げましたように、消極的な税対策でなくして、積極的な税対策という点から憩考えますというと、むしろ事業税は現在の形であるばかりでなく、さらに農業、林業にまでこれは拡大していくべきである。ただし、拡大していくにつきましては、そうして得られた税収入が納税者に報いられるような積極的な行政面をもっと活発にしていかなければならぬ。そういう前提はもちろん必憩要でございますが、税の積極的な整備という点から見まして、私は、今日地方税収入の憩五〇%あるいは四〇%、府県によって違いますが、大きな財源となっておるこの問題を、もう少し考えていく必要があるんじゃないか、こういうよう考えるわけでございます。従いまして、本日申し上げますことは、事業税について特に申し上げたいのでありますが、今日の事業税は、二十三年度に、事業をしている者に対して、地方サービスに対する受益負担、応益負担といいますか、そういう形で地方経費を分担するのだということでできておるのでありますが、その建前から見ますというと、これは個人の、普通の勤労者が個人として受ける地方サービスよりはかなり大きな地方サービスからの利益を得ておるので、一時この付加価値税というものが専業税にかわって提唱されたわけでありますが、そういう点から見ましても、地方サービスに対する受益の反対給付、こういうことが専業税におきまして重要ではないかと思うのでありますが、こういう性質の税は典型的なこれは応益原則による地方税でありまして、地方自治を裏づけとしての税源確保という点から見ますると、これほど格好な税はない。従いまして、こういうものを今なくしてしまうというようなことは、これは地方税そのものの全体のあり方から見ますというとなすべきことではない。ただ問題としてよくあげられますのは、事業税は東京とか大阪というような富裕団体に偏在しておる。従ってこういう税があるということは、地方財源の偏在を一そう大きくするんだ、こういう主張もあるようでありますが、ところが、富裕団体でも、貧困団体でも、大体事業税というものは、その団体租税収入の四〇%から五〇%というようなところでありまして、別に特にこの富裕団体に税を偏在させるという大きな理由にはこれはならないかと思う。ことに、現状から見ますというと、これは戦前に比較しまして、他の税はほとんど全部といっていいほど重くなっておるのでありますが、事業税だけはむしろ軽くなっておるんじゃないか、そういうふうに考えられるわけであります。問題は、事業税の廃止あるいは軽減ではなくて、事業税をますます多くとれるような、事業そのものの育成、あるいは後進地方団体からいいますれば、そういう事業を誘致する。また現に、府県によりましては事業を誘致することによって税収入をふやしておるということが、すでに行われておるのでありまするが、そういうことがむしろ税対策の重要な面である。あとで本日意見を申し述べろという問題でありますところの地方財政地方行政との関係に関しまして、また申し上げる機会があると思うのでありますが、むしろ事業を育成する必要がある。そういうふうに言えるのじゃないかと思いますが、この事業税は農業、林業には現在課税されておりませんので、事業税の廃止を主張される方は、その点をまた問題とされるようでございますが、この農業とかあるいは林業に事業税が課せられなかったのは、これはシヤウプ勧告当時の事情によるのでございまして、固定資産税がかなり多かった。あるいはまた、統制価格でこの米などは縛られておった。そういう事情のために、農業に対しては課税しないということでやってきたのでありますが、だんだん事情が変って参りますに応じて、やはり農業にも、あるいはさらに林業にも、とにかく一般に、税金の重い軽い、これは別問題でございますが、この事業税をむしろ拡げていって、これを地方税の中軸にまで育て上げていくべきではなかろうか、こういうことが考えられるわけであります。   ことに、府県の産業行政費などを見て参りますというと、農業行政費は、大体全国一般から見ますと六割、林業行政費を加えますと八割、こういうものがこの府県の産業行政費となっているのでありまして、農業もまた一般の民政の安定、社会福祉というよう地方サービスからの利益を、得ているということが考えられるのであります。こういうこの機会に、税の拡大などを主張するということはけしからぬやつだと、またおしかりを受けるかもしれないと思うのでありますが、日本の経済の規模の鈍化、従いまして、税がだんだん困難になるというような点から考えますと、今日盛んに主張されております事業税の廃止とか、あるいは軽減にむしろ一反対の意見を申し上げざるを得ないわけでございます。大体、税につきましてはこれくらいにいたしまして、問題は二つございますので、地方財政地方行政との関係について次に申し上げたいと思います。   この問題につきましては、地方制度調査会の審議の過程におきましても何回か触れて申し上げております。あろいは雑誌その他にも何回か私の所論というものを書いておりますので、本日は時間の関係もありますので、詳しく申し上げることはできないと思うのでございますが、地方財政地方行政との根本の問題はどこにあるかと申しますと、地方行政が全国的に画一化されてきている。これは生産手段とか生活手段、あるいはマス・コミ手段の発達によりまして、一つの時勢の傾向としてこの方向をたどってきているわけであります。また民主主義が徹底して参りますというと、地方民がこの均一な行政を当然要求して参ってくるのでありますが、ことに日本の場合には、占領施から、身分以上の高い地方行政の施設を要求されたということが言えるのじゃないかと思うのでございますが、といいます。ことは、財源がなくたり、仕事をすることに迫られてきたというようなことが言えないかと思うのであります。そういうことで、地方財政地方行政との問題が大きく取り上げられるようになって参ったわけであります。ところが、この行政をまかなうべき財源は、地方経済力のはなはだしいアンバランスによりまして、必要経費を農村県におきましては特にまがなうことが困難になっている。それがもう限界に来ているのじゃないか。手近な例を見ましても、最近、電力あるいは道路、輸送というような生産上のネックが盛んに問題とされてきております。そればかりでなく、工業用水ぶだんだんなくなってきたり、あまりくみ出してしまったために、地下水がなくなって、地盤が落ちるというような問題がもう起ってきている。また、地価が最近問題になっておりますが、工場の敷地を求めるにも地価が高くてどうにもならない。あるいは土地を広げるにも地価が高過ぎるというような、生産の条件がもう改善の余地のないところまできている。ところが、他方、今度は働く人の条件考えてみますというと、通勤の混雑、また非常に遠距離から通わなければならぬ、住宅が足りない、あるいはまた都心で働く者は煤煙のための空気汚染その他によりまして、非常に能率を阻害するような状態にきております。大都市を中心として衛星都市などを作るというような計画はもう時代おくれになっておる。むしろ大都市地域の工業地域を、できれば地方後進地域に分散する、地方に新しい、工業中心地を作り出すことによって財源を作り出す。そこで初めて地方自治をまかなうだけの財源の可能性要が出てくる。こういうふうな行き方が根本的になされざるを得ないのではないか。すなわち、生活と生産の場が一体となる。これは自由民主党の衆議院におられます佐伯さんなども同じような点に着目しておられるようでございますが、地方都市圏を作り上げていく。で、イギリスの労働党が工場配置法というものを実施して、こういう点についての抑制策をとっておるということでございますが、日本の場合におきましても、大都市に人口や産業が集中する、府県間の経済にアンバランスが起ってきておる。それを是正するためには、積極的な政策をとって、そしてこの地方財源を生み出す経済力を養っていくというところにこの根本の問題があるのじゃないか。で、地方行政委員会などにおきましても、地方制をとるか、あるいはまた二、三府県の統合制をとるかということが問題になりましたが、私はこういう単に民生の安定というふうなこと、あるいは社会福祉というようなことより以上に、積極的な中央的、地方的な行政の必要が起って参ります。で、そういう行政の要求を満たすには、地方制がいいのか、あるいは二、三府県の統合がいいのか、むしろ基準をそういうところに求めて論ぜらるべきじゃなかったか、で、そういう世相を通しまして、だんだんと地方財源を作り上げる経済条件を必要とするのであろうと思うのであります。それにはこの行政上の仕事といたしましては、工場の敷地あるいは工業用水に対して手当をする。電力をもっと嵐富にするように講じて、生産施設をだんだんと地方にも伸ばしていく、あるいは鉄道、道路、港湾というふうな流通施設を地方行政の方に重点を置いて作り上げていく、あるいは住宅、上下水道というような生活施設を作り上げる、そういう行政を通して地方生活圏というものを作り上げて、これによりまして地方行政と地方財政との全体的の統一の場を作る。これが一般地方財政地方行政との根本の問題でなかろうか。実際の問題を扱っておる方方には、何か迂遠のようにお聞き取りになろうと思うのでありますが、資本主義の発展、あるいは最近の新しい技術革新ということを考慮に入れますというと、今こういう方向で一応地方財政というものと地方行政というものとを全体として考察しておく必要があるのじゃないか、まあそういうふうに考えるのであります。  最後に、こういうふうに見てきますというと、現在直接問題になっておりますところの電力の価格の問題でございますが、現在までのやり方によりますというと、電源地帯がかえって都市の消費地帯より高い電力料金を払わなければならない、こういうやり方は、これは従来のやり方でありまして、今申し上げましたようなこの新しい地方財政と、それから地方行政との統一の場を作り出そうとするためには、少くとも電源地帯におきましては、送電ロスだけ安い料金で地方仕事ができるように、あるいはもっと有利にこの動力条件地方に与えるという方向をとる、べきでなかろうか。いろいろ直接の関係者から見ますというと、御意見があろうと思うのでありますが、私どもから見ますというと、どうもそういう点において不自然な傾向が見られやしないか、まあそういうふうに考えられるわけでございます。  時間が、ございませんので、一応これだけ申し上げまして、あと何か御質問ございますれば、それに対してお答え申し上げたいと思います。
  19. 小林武治

    委員長小林武治君) 次に、木材引取税関係について、全国市町村林野協議会副会長、北海道津別町長の林利博君にお願いいたします。
  20. 林利博

    参考人(林利博君) 本日、参議院地方行政委員会参考人として、地方税の一部を改正する法律案について意見を申し述べる機会を与えていただいたことは、私ども林野関係の市町村とともに深く感謝するところでございます。今回の地方税法の一部改正中の木材引取税のことにつきましては、七項目に分けまして申し述べさしていただきたいと存じます。   その一は、今回の木材引取税改要正は朝令暮改となるので、いま一年このままにして、その適正度を十分調査研究の上、改むべき度合いの適正を確認してから行うべきであると思います。このことは、昨三十二年度に標準税率五%を一%引き下げて四%にしたばかりのところを、わずか一年の実施だけで、本三十三年度またまた税を引き下ぐることは、あまりにも税法の改正を軽々しく取り扱うもので、法の権威からしても、また政治の信頼性の上からも遺憾な次第でありまするから、本年度だけでもこのままとして、十分の検討の上、慎重に取り扱っていただきたいものであると存じます。   二は、本税に関してはその歴史からしても、また林野所在の市町村の自主財源としても自然性及び合理性からするも十分意義のある税でありまするので、これを極端にかつ急激に変動することは避くべきで、本税に関しては本年一月まで自治庁考えていたように、本年はこのまま据え置くべきであると思います。御承知のように、現行法は標準税率四%であるものを三%に引き下げるといわれますが、これは税額において五〇%の引き下けとなります。北海道のごときは連年冷掛、凶作に対処して、本税法の認むる限度の徴税をして、幸うじて自治の運営を全うしておりまするが、その中には一カ町村で五百万円から、所によっては七万円近い木引税収を得ておるのであります。このようなところ要では、市町村税総額の一〇%から七〇%近くまでの比率を占めておるので、今この極端な改正案が伝わって非常に驚愕しておる次第でありまして、関係の市町村当局けもちろん、その住民もまたこの様相でゆくと、漸次このしわ寄せば住民大衆に転嫁されることは憂慮しておるものでありますから、こんな極端な改印は、十分の手はずを整えて、その不安のない状態にしてから行なっていただきたいものでございます。  三、本税は近く行わるると聞きます地方税法の全般的徹底的な改正の時期までに確実なかわり財源措置、すなわち、税率引き下げによる減収分に対し補てんのための恒久的財源を捕捉した上で適正に改めるべきではないかと思います。このことは、北海道、東北における林野市町村が、今回の本税の改正に対し異様な感を持つところであります。すなわち、税法の改正は、その効力は直ちに恒久的なものであるのに、今日この法案実施に伴う減収を補てんするために示されている財源は不安定、しかも年々漸減さるるところの特別交付税をもってこれに充てられている点であるが、私どもの納得し得ないところでございます。私どもは、今町府が示している本税減収分に対する補てん財源の特別交付税は、そのものの実情よりして、まことに不安定なもの一であるほか、われわれ市町村間においても遺憾な事情が生ずることをおそるるものでありまするから、ぜひ本税の改正には、並行して他に適当な恒久性のあるかわり財源を与えることが絶対に必要なことでありまして、この点を確実にした上で本税が改正せらるべきであると考えるもので、それまでは現状のままとしていただきたいものでございます。  四、今回の本税税率引き下げは、政府としては税の適正化と言われておりまするが、一般から見ますれば、業者への税の軽減というふうに考えられております。しかるに、改正の法令により限度の徴収をする場合は、実際上、昨年各地において惹起されました混乱を繰り返すこととなり、本税に対する批判は昨年以上なことになる公算が大きいことを憂慮するものでありますゆえに、今回は現行法のままとして、十分に改正趣旨と実態とが伴うように整備された上で、なお改正の必要があるならば改正すべきでありまして、この検討を十分になさないで、今にわかに改むべきではないと思うのでございます。  五、本税は一般にその捕捉と徴収の成績が悪いということも、改正理由一つと聞いておりまするが、これは自治庁と林野庁との連絡協調が十分に行われますると、必ず良好な成績が見られるものと考えまするので、そのことに一段の御努力をして、このことの万全を期した上で、必要があるなら、そのときに適正な度合いの改正を行うてもおそくはないと思うのでございます。この実例は、現に北海道においては、ほとんど完全と申してよいまでに本税の捕捉及び徴収ともに良好な実績を上げておりますことは、特にその地方に所在する営林局及び営林署が、地方税法に対する理解と本税への協力が適正であるために、十分な成績が上っておる次第でございます。  六、本税の性質に関しまして、なる立場より程々なる議論もありまするが、林野所在地の市町村と林木と税とのことについて考えてみまするに、御承知のように、市町村は山林に対しては、その防災につき義務を負わせられており、また実際にこのことにつき市町村は行政費その他をもってこれに努力し、また住民も共同の力をもって、物心両面の協力をしているものでありまするが、この立木に対しては何らの課税をしていない。それで、このわれわれ町村民が直接間接に愛護してきました林木が換価のため伐採または取引された際に、これに適当な程度の課税をすることは、山間市町村の自主性から見ても、財源処置としてもきわめて自然であり、合理的なものと考えるもので、これはその形式や方法の研究はあるとしても、その適正をもってこれに課税することは、必然的なものと考えるものでございます。  七、今回、木材引取税改正に関し、私は政府、特に自治庁地方公共団体に対し、その真実性を明確にしていただきたいことであります。そのためにも、本税は本年一年だけでもこのままにして、その信頼を保つことが大切であると思います。このことにつきましては、私ども林野関係の市町村は、本年一月二十三日、全国町村会館におきまして、約三百名の全国の林野関係の市町村長代表が集まりまして、木材引取税確保全国代表者大会を開きました際、その席上に自治庁長官の代理として御臨席されました自治庁の最高幹部の方が、長官代理としてのごあいさつの中で力強く、本年は本税には手を触れないことを言明されましたので、大会出席の各位は安心してそれぞれ任地に帰ったのでございましたが、意外にも三月上旬、突如として本税の税引き下げがうわさされ、その立案が進められていることがわかり、今日に至ったことを考えますと、地方公共団体に対する自治庁のお考えがいかがのものであるか、私ども自治体の責任者が一番近親感を持っている政府機関、すなわち自治庁を、どのように信頼すればよいかに迷うものであります。われわれは、今までのように絶対の信頼をもって、その指導に従い、地方行政を行なってよいであろうかという一まつの不安を感ずるものであります。このことは私どもとして残念にたえないところでございます。その意味においても、政府、特に自治庁は、地方住民に信を失わぬようにしていただきたいものであります。今や新日本建設の途上にあるとき、特に政治が国民の信頼の上に立つことのきわめて重要性のあることを思うものでありまするがゆえに、私はこのことを特に加えた次第でございます。  以上、申し上げまして、私ども国家機構の基盤たる地方公共団体の健全なる発達のために、本院に今後特段の御理解、御指導、御協力をお願い申し上げて、私の口述を終りたいと思います。ありがとうございました。
  21. 小林武治

    委員長小林武治君) 次に、遊興飲食税関係について、全国大衆飲食税対策協議会会長毛利鋼三君に御発言願います。
  22. 毛利鋼三

    参考人(毛利鋼三君) ただいま、御紹介をいただきました全国大衆飲食税対策協議会の毛利鋼三でございます。  本日は、私どもの意見をお聞き取り下さいますことに対しまして、心からお礼を申し上げます。  遊興飲食税に関し、今回私どもの請願いたしました点は、普通飲食に対する現行三百円の免税点を五百円に御改正を願いたいという一点だけにとどまるのでありまして、税率の変更や、基礎控除とか公領廃止というような線には一切タッチいたしませんで、ただ免税点五百円一本やりでお願いを申し上げるのでございます。御承知でもございましょうが、私どもの団体は、昭和二十九年の第十九国会以来遊飲税問題に真剣に取り組んで参ったのでありまして、当時を回想いたしますとこの税の内容は非常に改善されて参りました。その第一は、普通飲食に対して免税点の措置がとられたこと。第二は、税率の簡素化が行われたこと。第三は、公給領収証制度が新たに設けられたことの三点であります。  これらの改正によりまして、複雑であった本税も、一応税法上の軌道に乗ることができて、幸いなことであったと喜んでおる次第でございます。その間における国会の諸先生並びに自治庁当局のお骨折りにはなみなみならぬものが、ございましたことと推察申し上げる次第で、私ども業界といたしましても、本税合理化のためにお尽し下さった御努力に対しましては、衷心より深甚なる感謝と敬意を表している次第であります。  しかしながら、今日の大衆の生活と本税とを結びつけて考え合せますと、一般消費者にとって、まだまだ不満足な点が残されており、さらにいま一歩前進していただかなければ、大衆負担の軽減とは言えないのではなかろうかと思うのでございます。そこで、本年も引き続いて五百円免税点獲得を目ざして請願を行なっているのでございます。これには三つの理由がございます。  第一は、今日の生活水準と物価とに対応させるには、現行三百円はいささか低過ぎるのではないかと考えるからであります。こまかい数字は省略いたしますが、国民所得や賃金ベースなども逐年増加の一途をたどっておりまして、それだけ消費額が上向いてきていることは事実でございます。また、社会活動が旺盛になればなるほど、家庭の外で食事する機会も多くなります。また会合もひんぱんに催されるのも当然のことと申さなければなりません。ことに、昨今は家庭の労力を省く必要からもちょっとした会合にはなるべく料理飲食店を利用するように習慣、つけられて参りました。いわゆる家庭の延長と申しますか、私ども大衆店に見えられる客層はみなこのような実質的な飲食を求めて足を運ばれる方々が大多数であることを御了察いただきたいのであります。その会合と申しましても、婚礼、法事というような必要にして欠くことのできない行事は、三百円ではとうていこれを行うことができません。もっとも、これはめつたにないことでありますが、さようなまれな機会を除いても、たとえば観送迎会、新年会、忘年会、クラス会といった簡素化されたじみな集まりをいたしましても、やはり三百円ではまかない切れないのが現状でございます。  今日、温泉へ泊りましても、三百円の基礎控除があり、八百円までは免税でございます。それに比べて、家庭の延長であり、実質的な内容を持つ飲食が、三百円を超えると直ちに税の対象となるというのでは、お客様の納得がいただけないのであります。  第二は、三百円から五百円の間の税率が、以前より倍額に引き上げられたことに対する不満がございます。これは従来、普通飲食が五百円以上を一〇%、五百円以下二百円までを五%と三段階に分れておりましたものを、前国会の税率簡素化によって一率に一〇%に改められました。つまり、免税点以上五百円までを、従来の五%から一躍一〇%に引き上げられたのであります。そのかわりに、免税点が二百円から三百円に上ったのだから、そのくらいはやむを得なかろうとの御趣旨ように伺いました。しかしながら、それと同時に芸妓花代が三〇%から一挙に半分の一五%に引き下げられているのであります。一橋大学の井藤学長さんが当時国会で参考意見を述べられましたが、同学長は「花代課税は典型的な奢侈税であるから据え置くのが当然である」と申されております。その典型的な奢侈遊興ですら半減せられたのに、当然軽減せられてよいはずの大衆飲食が倍に引き上げられ、しかもその差がわずか五%にすぎないということは、果していかがなものでございましょうか。これは当時、各新聞も一斉に、取り上げられて世論の痛烈な批判を浴びたことは今なお、私どもの記憶に深く刻まれているところでございます。もし、今回五百円の免税点が実現いたしますならば、この矛盾も払拭されまするし、同時に税率簡素化そのものもすっきりとしたあと味のよいものになるのではないかと考えております。  第三には、遊飲税の本質は、奢侈遊興に課税するのが本来の目的と思いますので、この辺で普通飲食と遊興とを分離していただきたい。そして普通飲食はなるべく課税の対象からはずしていただきたいのであります。それでは奢侈遊興と大衆飲食との限界をどの辺に求めたらよいかという問題に突き当るわけであります。そこで私どもはその分岐点を五百円としていただくのが最も安当であろうと考えているわけであります。ではなぜ五百円という答が出たか、その辺のところを少し御説明申し上げてみたいのであります。  まず五百円という数字は、遊興と飲食の中間に当っておりまして、社会通念の上から申しても割り切れた感じを持っておるのでございます。それと同時に、消費者が会盟を払い込む場合にも、五百円ならまあ安い会費だと考えて、簡単に応じられる金額ではないだろうかと思うのでございます。しかし、それはあくまで抽象論でありまして、もっと具体的に申し上げますと、先ほど冠婚葬祭のことを申し上げましたが、私どもの調査によりますと、都内の婚礼会場の最低線は五百でありまして、これには飲みものは含まれておりません。しかも、これはごく質素な場所を利用しての場合吉でありまして、この点から見ますと、五百円免税が実現したと仮定してもなお、非課税にはちょっとほど遠いと思うのでございます。婚礼は別としても、一般会合の場合でも大衆酒場のような安い宴会場で飲みものが一本ついて最低が三百円ないし四百円でございます。百では、三百円なら曲りなりにも会ができるのではないかとお考えになりましょうが、私ども業君の経験から申しますと、酒が一本で会が済むということはほとんど例がございません。必ずあと一本ぐらいの追加が出るのが通例ですから、結局は免税点を上回って、どんな倹約した会をやっても税金からのがれることができません。これでは大衆負担の軽減というわけには参るまいと思うのでございます。結局、三百円という額は、現在の社会生活に順応したものでなく、過当に低いものであると申し上げたいのであります。  以上、三点を要約いたしますと、現在の三百円は実情に即しないということ、税率上の矛盾も五百円引き上げによって解消するということでございます。  そこで最後に申し上げたいことは、五百円が高級と大衆との分岐点であると、先ほど申し上げておきましたが、幸いにして、私どものお願いがいれられまして、五百円が御採択いただけましたなら、大衆業界は顧客の声を国会に反映し、一応の目的を果したということで、本運動を打ち切りたいと考えている次第でございます。かようなわけで、われわれといたしましては、五百円が最後のお願いでありますので、この際衷情を披瀝いたしまして、大衆負担軽減のために格別の御高配を賜わりますよう、ひとえにお願い申し上げまして、意見を終りたいと存じます。  御清聴ありがとうございました。
  23. 小林武治

    委員長小林武治君) 以上をもちまして、参考人各位の御意見陳述を終りました。  これより、ただいまの御意見に対して質疑を行います。  質疑のおありの方は御発言願います。
  24. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 時子山先生にお尋ねしたいと思いますが、先ほど先生お述べになりましたいろいろな事柄の根底になっておるお考えとしては、私、現在の地方財政の非常に弾力性のない点が  一つ、さらにまあ同じようなことになるかもしれませんが、地方行政の現状と、それに見合うだけの財政の裏づけがないというこのアンバランスと申しますか、こういう点を中心になってお考えになってのお話のように聞きました。私もそういう点についてはまことに同感でございますが、先生のお話の中で、従って、たとえば事業税等におきましては、これは例として先生がお話しになったわけでございますが、税を育てるようなことを考えていかなければならない。事業税におきましては、農業あるいは林業等に対しても課税をすべきじゃないか、あるいは事業税を上げるために、地方の産業の育成、誘致と申しますか、こういう面についてもっと計画的な、たとえば工場の地方分散というようなことも考えられなければならぬというようなお話であったと思います。私今申しますように、そういう点につきまして全く同感でございますが、現在の地方財政のいわゆる弾力性のないこと、あるいは行政と財政とのアンバランスという問題を解決するためには、まあさしあたって、農業あるいは林業というものに対する課税というようなことは、いろいろな問題があるにしても、やれ、ばやれないことはないと思うわけでございますが、しかし、工場の誘致というような問題になりますと、これはなかなか今すぐというようなことにも参らないじゃないか、こういうことを考えるわけでございます。そういたしますと、まあこのまま何年か地方の税というものを現状のままにしておくよりほかに手がない、こういうようなことも現実的にでございますが、言えるんじゃないかと思いますが、私はそういうようなことになりますと、いましばらくは、地方財政状況がこのままに、苦しい苦しい、あるいは弾力性のない行政と財政のアンバランスのままに経過しなければならないという、まことに苦しい連続になってくるだろうと思います。私はこの際、今のよう地方財政状況を救済するためには、税の一つ二つを取り上げて、税率を引き上げるとか、あるいは引き下げるとか、もっと課税範囲を拡張するとかいう、そういう問題だけでなしに、国税、地方税全体を通じての一つの大きな税改正をすべきじゃないだろうか、ぜひとも私はする必要がある、こういうふうに見ておるわけでございます。現在のたとえば県税におきますところの事業税あるいは遊興飲食税なり、こういうもの、あるいは市町村におきます固定資産税、ああいうふうなものをこのままにしておいては、多少のあっちこっちの手直しとか、いじりまわした程度で私は問題は解決しない。さて、しからば、ここで地方税を通じて一体どういう大きな改正をすべきか。もっと具体的に申しますと、地方にいかなる新たな、現在の市町村、あるいは地方税として持っておらないものをいかなるものを付加したらいいものか、まあ考えられますことは、たとえば交付税あるいは地方のあの譲与税、ああいうような性質のものもたくさんあるわけでございますが、こういうものを一体このままにしていいものかどうか、こういう問題も実は一つの問題として考えられると思うのでございますが、今申しましたように、私自身も的確にどれをどうというような結論には至っておりませんが、考え方としては、ぜひともそういうふうに進めなければいけないのじゃないかと思っているやさきに、先生のお話を承わったものでございますから、もし、そういうことにつきましてお考えを承わることができますれば幸いと思うのでございますが。
  25. 時子山常三郎

    参考人時子常三郎君) ただいまのお話、まことにごもっともでございます。しかし、私の憂えますことは、何分苦しい苦しいの連続で、しばらくいかなければならないのじゃないかというお話がございましたが、今日までは、どうにかそれで済まし得たけれども、先ほどもちょっと申し上げましたように、敗戦によりまして、日本の生産力が限本的に破壊されましたので、そこから立ち直る、三十三年度までは経済伸びというものも比較的容易に伸びることができて、自然増収というようなものを期待できたわけでございますが、政府の五カ年計画から見ましても想像ができますように、もう伸びがだんだん限界に来ておるのじゃないか。そういたしますというと、この苦しい苦しいの連続の限界を越えてしまうおそれがあるのじゃないか。そこで私、先ほど申し上げましたように、積極的にこの経済力の育成——地方経済力の育成というよう方法、これはもちろん、いろいろだくさんあろうと思いますけれども、そういう方向に大きな手を打っていかなければ、もう間に合わなくなりはしないだろうか、ただいま譲与税などはどうするかというようなお話もございましたが、現在のままでいきますというと、財源の不均衡ということが、これはもう資本主義経済の必然の姿といってもいいのではないかと思うのでございまして、このままに放置していきますというと、どうにもならない。どんなに税源をやりくりしてみたところで、財源の不均衡というものはこれはなくすることはできないのでありまして、むしろ、私まだイギリスの工場配置法というものを調べておりませんので、ただそういうものをやったということを伺ったわけでございますが、積極的に地方に工場を誘致するよう方法を進めていく必要がある。もちろん、ただいまお話がございましたように、そこには財政上の限界もございますし、あるいはまた、輸出入に悪影響を及ぼすようなこの資材その他の問題もございまして、非常にむずかしいと思いますが、少くとも施策の根本は、そういう地方経済力の育成というような形でいかなければならぬ。さっき申し上げましたように、もう大都市中心の今日までのやり方というものは、明らかに限界が来ておるのでございまして、東京都を中心にして、付近の衛星都市を作るというようなことも考えておられますが、私はもうその限界は過ぎたので、むしろ、地方経済圏を、あるいは生活圏——私ども生活閥と申しておりますが、生産とこの生活の場を一つとしたよう地方経済圏というものを作り上げていく、こういう方向をとっていくということでなければ、この問題が解決しないのじゃないか。ことに、行政の画一化ということは、これはもうテレビやいろいろなものの発達などがありまして、あるいは大きな生産手段が出て参りまして、国民生活はだんたん均一化を要求するようになっております。それに応じた財源を得るということになりますというと、今申し上げましたよう方向をとるより低かに方法がない。もちろん具体的にどうするかということになりますと、これは非常に大きな問題でございますので、大きなまあ調査会とか研究会とかいうようなものも必要だろうと思いますけれども、少くとも、そこまで行かなければ、地方財源というものの解決がつき得ない。そういうふうに考えておるわけであります。
  26. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 先生のおっしゃいました先のお話も、また、ただいまのお話も、私案は、産業を地方にもっと分散さして、計画的に行うのでありますが、そうして、たとえばイギリスで行われておりますような工場配置というような形にいくべきだというお話については、私、全然同感でございまして、実は私どももイギリスの工場配置法というようなものも、まあ多少目を通して、私どもなりに内々検討をいたしておるわけでございます。そういうことにつきましては、私今申しましたように同感でございますが、これは相当、何と申しますか、長期にわたってのほんとうに計画的な進め方をし、従って効果もまた相当後日に至って現われてくるのだ。もちろん、そういうことも十分やりながら、考えながら、しかし、じゃあ現在の国税、地方税の体系をそのままにしていいのかという、実は私、端的にこういう問題で、もし先生にそういうようなお考えがおありになって伺わせていただければと、こういうつもりでございましたのです。
  27. 時子山常三郎

    参考人時子常三郎君) その点につきましては、私は現在も地方税収入の約半ばを占めておりますような、こういう典型的な地方税である事業税ようなものを育て上げて、そういうものを中軸とした税体系を作り上げていくようにすればいいじゃないか。ところが、私の憂いますのは、どうも最近の社会におけるいろんな動きとか、あるいはまた、要求を見ておりますというと、逆の方向に向っておるのじゃないか。そこまでいってしまえば、これはだんだんと地方財源が失われてしまつてもう古い地方自治は今日期待できませんけれども、この地方住民のための地方自治というようなことを前提としました行政の裏、つけとなるような財源がだんだんとなくなってしまうじゃないかと、そういう点は、非常に今日この趨勢でいきますと憂えられるというふうに考えるのでありまして、今のままの地方税の体系からどうするかという考えというふうなことを聞かれますというと、やはりさっき申し上げましたように、事業税を中心として、単にこれを現在のような形の事業税だけでなく、農業とかあるいは林業にまで、できれば拡大していって、それから、この譲与税の形をとらざるを得ないと思うのでございますが、もし現在、たとえば遊興飲食税などのようなものにいたしましても、地方と中央との偏在の是正というような点におきましては、税率などもいろいろこれはまだ考える余地があるのじゃないか。直接の利益関係者は必ずこれは減税を要求されるのでありますが、先ほど芸者の花代の例をあげられておりましたが、私なども、いろいろな運動によりまして、必ずしも妥当な税の引き下げというものが現在まで行われてきておりませんので、そういう点をもう一度地方税全般について再検討されるような機関をお作りいただいて、検討していただいたらどうか。私、直ちにこういう税の体系を地方税としてやればいいというようなことを申し上げられる自信がございませんので、これだけで……。
  28. 加瀬完

    ○加瀬完君 町子出先生にお伺いを申し上げたいのですが、先生、さっきお話しいただきました通り、現在、ことに、この地方財政地方行政のアンバランスということが問題なのでありますが、それは別にいたしまして、現状の税体系として見ても、たとえば先生御指摘の事業税だけを押えましても、特に分けまして、大法人と法人と、個人と、この三つの企業関係を比べますと、大法人がいろいろな点で減免措置が講じられておる、それに比較して個人事業税というのは割合に重い。こういうアンバランスがあるのではないかというふうに私ども考えておるわけでございますが、こういうアンバランスをある程度是正することによっても、事業税を、農業事業税とか、あるいは林業事業税といったようなものに広げる前に、現行の体系の中でも、もう少し事業税の増徴というのがはかられるのではないかと思うのですが、先生の御見解いかがでございましょうか。
  29. 時子山常三郎

    参考人時子常三郎君) ただいま大法人のようなものがいろいろな減免措置を受けておる、ところが個人事業税の方はそうでない。確かにそういう点があるのでございますが、ただ、ここで考えなければなりませんことは、現在イノベーションといっておりますが、技術革新の過程にきておりまして、何かこう大きな産業の構造の切りかえが世界的な傾向として出てきております。そこに現在のいろいろな技術を企業化すための減免措置というようなことが、あるいは輸出振興のための減税措置ということが必要とされ、それが具体的に現われてきておるわけでございますが、私は、これは少し租税からそれるかもしれませんが、こういう必要が確かに国民経済の全体から見たらある。だから、その必要を満たすためには、こういう減免措置も必要であるが、しかし、それは何のために必要であるかというと、国民経済の復興のために、あるいは国民経済の繁栄のために必要なのである。だから、そうして育成されていった大法人、大企業というようなものが、今度は更に自己の法人、自己の企業のための利益だけでなくして、国民経済の利益のために何らかの寄与をするという形で、将来そこから得られるところの利益に対する課税というものを期待する、こういうふうに考えられないかと思うのであります。アメリカあたりで人民資本主義とか、いろいろなことがいわれておりますが、今までの十八世紀以来の資本主義を、そういう意味で、単に会社法人だけの利益でなくして、国民経済的な利益の方向に向う経営が要求されてきておりますので、そういうふうにだんだんと企業を育成していくように持っていくというふうに考えますというと、今日のアンバランスについても何らかの合理的な線が見出されるのではないか、私そういうふうに考えております。
  30. 加瀬完

    ○加瀬完君 今のお話でよくわかるのでございますが、その度合いが、たとえば、先生のおしつやるように、国民経済の発展のために必要な措置として当然減免の取扱いというものも考えられる。その通りだと思うのですが、それが国税だけでとどまるべきものか、あるいは国庫たけがそのしわをかぶる形でとめておく、べきものか、それとも非常に貧弱団体の多い地方にまで地方税収入地方財政当局収入の上にまで、国の上で減免されて、地方の上でさらに減免されるというところまで幅を広げることは、他の、たとえば今例に出しました個人事業税の関係者などと比べると、優遇され過ぎておるのではないかという感じを受けるのでございます。たとえば、今度道路法の改正に伴いまして、一級、二級国道などは管理権が御存じのように国に移りましたが、しかし、費用の負担地方にまかされる形になるような法案が出ております。これなんか見ますと、その国道を使う利用者というものは受益者だということから考えますれば、地方の住民は割合に利益関係が少くて、国家的な大産業の関係者といったようなものが大きな利益を受けるわけです。しかし、費用の負担というのは、受益者という名のもとに、あまり受益を受けない、応益の原則からすれば、はなはだ逆な立場の者がか、ぶっていく、こういうような一傾向が強くなって参りますと、地域の財源は不足するし、また地域としての財源を地域のために使えないというような傾向がこのごろ強く現われているのじゃないか。結局、国税にいたしましても、減免の措置が、地方団体側から見れば、どうも減免措置のために地方がこうむる影響が大き過ぎるというような場合が成り立たないわけでもないと思う。こういう傾向はここらで是正されて、地方財政を何とかやはり確立させていく、自前で立たせていくという立場から、この減免問題を地方税に限って考えてこなければならないのじゃないかというようなことを日ごろ考えておったわけでございますが、これらの点について御指導をいただきたいと存じます。
  31. 時子山常三郎

    参考人時子常三郎君) 今おっしゃった点は、私も全く同感であります。何か動きがあると、そちらの方の減免が不当に行われるというようなことがありますので、そういう点からいたしますと、確かに地方財政の立場から申しますと、特別の減免措置というものを再考する必要があるということは、私も同感でございます。
  32. 加瀬完

    ○加瀬完君 地方税の不公平な点と、もう一つは、私は住民税が取り上げられるのじゃないかという感じを持つのであります。住民税は源泉所得に課税される層というものが割合に重くて、そうでない層というのが案外比率から比べると楽になっておる。そこにアンバランスがあるのじゃないか。それから各町村間といいますか、地方団体間に相当の住民税そのもののアンバランスがある。たとえば、去年標準税率というものをきめましたけれども、標準税率というのが五〇%程度は確実に行われておらないで、それから逃げている団体がある。さらに、先生が先ほど御指摘のよう地方財政収入はここらが。ヒータで、だんだん落ちてくるということになりますと、どうしてもこの穴埋めが住民税にかかってくる傾向が生じてくると、貧弱団体なんかは——貧弱団体というのは失礼でありますが、財政の割合に枯れている団体は、どうしても住民税にかけざるを得ないという形になってきて、目的税なんかもそうですが、目的税で十分な穴埋めができないということになれば、これは財政措置としては、どうしても住民税から他のものにかけざるを得ないどいうことになってきますので、このアンバランスの幅が広がってくるということになるのじゃないか。この住民税のアンバランスなどというものも、税改正をするなら、先生御指摘のように、地方税の部分的なものに関する改正ではなくて、根本的な問題の改正として一つ取り上げられてもそろそろいいのじゃないか。去年取り上げられたわけでありますけれども、取り上げられて標準税率がきまっても、それが確実に行われていないならば、さて、ことしはどうするかとしいうのは、法律改正がなければ、行政的にもここで取り上げて検討さるべきではないかということを考えるのでございますが、住民税のアンバランスの点については、先生はどのようにお考えでいらっしゃいますか。
  33. 時子山常三郎

    参考人時子常三郎君) 三十三年度の税制改正棄に住民税が問題になっておりませんので申し上げなかったのでありますが、今、御指摘のような点は、確かに住民税としてもう一度考え画さなければならない問題でありまして、先ほどの事業税は、これは応益原則であるとしますならば、住民税は応能原則という建前負担をすることになっておりますの、で、根本的には住民税については、これは否定することはでまないと思いますが、私が住民税関係について特に申し上げたいのは、法人割でございまして、これをもう少し重くしてもいいのじゃないかというふうに考えておるの、でありますが、しかし、今どの程度にすれば妥当かというふうなそういうパーセンテージなどは、資料を持って知りませんので、はっきり申し上げられませんが、そういうことは考えております。
  34. 加瀬完

    ○加瀬完君 この木引税のかわり財源といいますか、穴埋め財源として、たばこ消費税の二%引き上げが出ておりますが、たばこ消費以税というのは、もう少し率をよけいに引き上げて、これは地方制度調査会からいっか答申が出ており、旅したが、地方にやるという方法をとれは幾分か——やり方また、いろいろ工夫が必要でございましょうが、現在の貧弱町村というものは、かわり財源としていろいろの点で助かる点が争いと思うのですが、たばこ消費税をもう少し幅を拡げて地方に配付するということは、先生どのようにお増えでございましょうか。
  35. 時子山常三郎

    参考人時子常三郎君) 今度、自転車荷車税を廃止する、それに対するかわりに財源として、これを九%から二%に引き下げる。大体、自転車荷車税の廃止に伴う財源九十億が足らぬというので、その五十億に見合うに税率をきめたのじゃないかと思うのでございますが、自主財源をでできるだけ地方民の負担と、それからその負担によって納められた税収入というものと一致させるという点から見れは、今お話しのように、たばこ消費税の税率をもう少し引き上げるということも、地方税の立場からは主張されていいように思います。
  36. 加瀬完

    ○加瀬完君 時子山先生いろいろありがとうございました。  次に、林町長さんに伺いますが、この町長さんら御三名の方でですね、資料として私どものところにお配りになられたものの中に、「自治庁は一部強烈な一方的要望に屈し三十二年度一%引下げに引続き三十三年度更に」、二%引き下げたということが書かれてありますが、お話を承わりますと、皆さんの会合のところで、中島政務次官は、税率の引き下げはことしはしないと、こういうお話であった。ところが部強烈な一方的要望に屈し」云々ということですが、この「一部強烈な一方的要望」というのはどういう内容でございますか。
  37. 林利博

    参考人(林利博君) これは私どもはいろいろ話を聞いておりますが、私の陳述には、それははっきり申し上げておらなかったのですが、自治庁の長官代理が私どもの集まりに、特に私どもの税のことなどについてお伺いをいたしたいということで、ごあいさつをいただいたところにおいて、確かに、本年は自転車荷車税について考慮しているが、木引税については本年は考えていないのだというお話をしていただきましたことは事実でございます。それから、一方的な問題というのは、多分、私もよくわかりませんが、それは、あの業者の集まりが、非常に毎年この木材引取税減税、また廃止したいという運動をされていることは、私どもよく知っておったわけでありますが、どうもこの私どもに直接関係のある税の問題を、私どもに諮問がなく、一応そういうことを強行されるということについてはまあ一方的だと、こういうふうに私どもは考えているのであります。
  38. 加瀬完

    ○加瀬完君 この自治庁の資料によりますと、税率は二%下るけれども、捕捉率あるいは徴収率というものを強化することによって、減収は一億五千七百万だと、こういう説明があるわけですね。該当の町村といたしましては、捕捉あるいは徴収の強化をすれば、大体一億五千万程度のとんとんのところで、減収が防げるという御自信がおありですか。
  39. 林利博

    参考人(林利博君) このことは、私ども全国的なトータルをよくわきまえませんが、聞くところによりますというと、ただいまお話しになりましたように、全国を通じますというと、そういうことになるということを伺っております。しかし、これは先刻私の陳述にございましたように、北海道の場合はこれはちょっと様相が違いますので、北海道だけを申しますというと、どうしても概算しまして二億五千万か三億円の減収になろうかと思うわけでございます。それで内地方面はどういうことになりますか、今のお話からゆきますというと、一億五千万程度が全国的に減収になる。その中でまた北海道が一億五千万円になるか三億円になるか知りませんが、減収になるというと、かりに三億円としますと、一億五千万円というものは、内地が増税になるような格好になりやせぬかと、こう思われる。その点はどうもよくわからないのでございますが、これはいろいろ今までの税の把握等の問題があったことでございましょうから、これを是正すれば、自然そういうことが起ることも、これはまたやむを得ぬことじゃないか。私の先ほど陳述に申しましたように、これはまあこれで衆議院地方行政委員会あたりのお話を伺いますというと、もうこれは木引税においては将来廃止運動は全然やめるから、この際、もうしっかりするのだというお話でございましたけれども、私から考えますというと、先ほど申し上げましたように、これを実際実施しますというと、いろいろ昨年以上な混乱が地方に起りやせぬかという心配をしている一人です。
  40. 加瀬完

    ○加瀬完君 その点、お宅の方では、北海道全体の数字はわかりましたが、お宅の方ではどれくらいの減収になりますか。それから、その減収に対して、町自体としての何か補填財減というものは考えられますか。
  41. 林利博

    参考人(林利博君) 私の町は、大体千五百万円ばかりの木材引取税の徴税をして、もちろん完全徴収、百。パーセント徴収をやっておりますが、大体従来は、先刻申しましたように、いわゆる標準の四に対して、制限の五でございますから、五を徴収して、そういう格好になるわけでございますが、もし今回ただいまの改正案が行われるようになりますというと、制限は三になるわけでございますから、結局二%の減となります、私の町だけの場合は。それで大体四割でございますから、六百万円ぐらいが減収になります。
  42. 加瀬完

    ○加瀬完君 六百万円減収になって、自転車荷車税ではどれくらい減収になりますか。それから二%たばこ消費税がふえたとすれば、差引どれくらい足りないことになりますか。
  43. 林利博

    参考人(林利博君) 私どもの方といたしましては、ちょっと概算してみますが、私の町は、大体この自転車荷車税の廃止に対しまして、たばこの収入は少し、五、六万くらい、少しふえるようでございます。私の町は、従って木材引、取税の減税に対しては、ただいまお示しになつておりまする特交をもって一応これに充てるという予算編成しているわけでございます。この点も、先ほど申し上げましたように、まことに心細いものでございます。
  44. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 林さん、私は北海道の津別という町はわかりませんが、もう少し人口ですね、それから予算総額ですね、あなたの方の。それはどのくらいのものでしょうか。
  45. 林利博

    参考人(林利博君) 私の町は人口は一万五千六百ぐらい、そして広さは約七百二十平方キロでございますから、七万町歩ぐらいの町でございます。そのうちに耕地が約五千五百町歩、それから、その他鉄道とかいろいろありますから、山林は六万町歩ぐらいです。そして予算は大体億三千万ぐらい、大体そういう概況です。
  46. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 今度あなたの方で税法に定めてある以外に、何か財政が非常に困難というか、私はよくわかりませんが、税法外に町村として特別に税を定めてやっておいでになることありましょうか。あるいは住民税はオプションの一、二、五とありますが、そのどれをとつておいでになりましょうか。
  47. 林利博

    参考人(林利博君) 住民税は例のあれは何といいますか……第三項といいますかな、あれを用いております。
  48. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 税法上きめて取らなくちゃならないものがありますね。しかしあなたの方として、自由裁量といいますか、法定外に取ってもいい税がありますね。そういう税を伺か取っておいでになるものがありましょうか。
  49. 林利博

    参考人(林利博君) 法定外の税はまだ全然設置しておりません。
  50. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 それから林野協議会ですね、そういうもので、たとえば今、国有林ですね、そういうものに対して固定資産税の問題があると思うのですが、あなたのところは十五百万円の木引税があると言われました。それに対して国庫から、国有林があるために交付金ですか、それはどのくらいきておりますか
  51. 林利博

    参考人(林利博君) 私、ちょっとはなはだ不調法しまして、うちの予算のこまかいのを持ってきておりませんが、それはどうですかな。
  52. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 ぜひ一つ資料としていただきたいと思います。
  53. 林利博

    参考人(林利博君) 資料として提出いたします。
  54. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 それから七千万ということをおっしゃいました、最高ですね。そしてそれは約七〇%に相当するところがあると、こうおつしやいましたね。それは北海道でいうとこんなところたくさんありましょうか。それとも特定な……。
  55. 林利博

    参考人(林利博君) それは北海道の上川と申すところ、それからもう一つ置戸町というところでございます、六千何がしというところが。
  56. 大沢雄一

    大沢雄一君 私はちょっと毛利さんにお伺いいたしますが、先ほど大衆飲食業者としてはこれが最後の業者のお願いという言葉をお使いになられましたが、いろいろ従来、私ども、業界にも遊興飲食税に関して御要望があったことは承知しておりますが、今回これだけ一つにおしぼりになりて、そうして最後のお願いである、この希望が達成されれば対策協議会を解散してしまう、こういう非常に真剣なお話で、私は非常にその点感動して承わったわけであります。それで、昨年三百円から五百円の間五%から一〇%に上げましたのは、御承知のように、何もこれで税収を上げようということでなくて、税率を統一をして簡素化をする、こういう趣旨でこれはやりましたことは御承知の通りでございます。それを実際やった結果が、果して簡素化されたろうかどうだろうか、そうしてまた、大衆飲食をしにおいでになられる顧客に対して、この税率の引き上げということがどういう影響を実際与えておるだろうか、税収はこれによってどんなふうな工合になっておるか、皆さん個々の業者の方から見て、どういうふうにごらんになっておるのですか、私はこれは大したことはないのじゃないか、これは私の個人の考えでありますが、簡素化も大してされていない、決してこれで税収も上っているのじゃない、こういうふうに私は考えるものでありますから、その点からお伺いするわけですが、実情をちょっとお知らせいただけると、私ども非常に参考になると思います。
  57. 毛利鋼三

    参考人(毛利鋼三君) 昨年の御改正によりまして、普通の五分が一割になったという点で、非常にこれは一つの簡素化ということであると聞き及んでおるわけでありますが、その点につきまして、まず客層のお考えといたしますると、五分から一割になった、この点につきまして、今非常にお客が、われわれは大衆飲食をするものであって、そうして今まで五分であったものが一割になったという点に非常に御不満が多いのでございます。私ども業者といたしましても、当然この点につきましてやりにくい点がございます。先ほど申し上げました通り、花代が半分になった。それに対しまして私どもの大衆飲食が倍額になったということもすでにお客様は御存じで、その点について非常に業者も苦しんでおります。この点につきまして、今回は何といたしましてもこの五百円をお認めいただきますれば、この対策協議会も一応の目的を達せられたので、直ちにこれも解散いたしまして、そうしてあとのお願いもいたしませんで、これをもって終りたいと考えるわけでございます。さようなわけでございますので、至ってこの税につきまして、一割の税、三百円から五百円までの一割の税が非常にお客様が払いにくい税金、また私どもの業者といたしましてももらいにくい税金でございますので、あるいはもらわないために出血納税する場合もございますので、それをすっきりいたしまして、そしてお客さんに払いよく気持よく召し上っていただきたい。また業者といたしましても、すっきりした免税五百円までいただきますると、ほとんどこれが大衆の消費者にとっても非常に幸いだと、これは私ども業者のみならず、大衆顧客の考えも十分に考慮をいたしまして申し上げておる次第でございます。
  58. 大沢雄一

    大沢雄一君 林さんにちょっとお伺いいたしますが、大体わかったのでございますが、三〇%から税収入の七〇%も木引税が占めておる。この五〇%以上も占めておる税収が、ほんとうに半減するというようなことになりますれば、これはたとえ交付税ような調整的なもので当面調整されるとしても、自主財源をそれだけ失ってしまえば、これは地方団体理事者として、ほんとうに自前でやっていこうという意欲が非常に私はそこな、われるということを心配いたしておるのでございますが、そういう点について、どうやら、とにかく一般交付税と特別交付税と合わせて何とか、その税収の伸びということは期待されぬでも、何とかそれに近い収入が得られれはそれで仕方がないと、こういうふうな大体空気になっておるのですか。それともまた、それでは困ると、何とか、もし、ことしできないにしても、将来はもっと自主財源をもらわなければやれないのだと、そういうよう考え方でお進みになっておるものでしょうか。その辺のところを一つお伺いいたしておきたいと思います。
  59. 林利博

    参考人(林利博君) ただいま申しました五〇%以上の町村は、これは大部分というわけではございません。特殊なところでございまして、たとえば占冠のようなところは、税収全体の六七%ぐらい納めておるところがあります。そういうわけでございまして、こういうところでも私のところは大体二六%から、都市によって三〇%ぐらいやっておりますが、やはり北海道のウエートがそういうふうに多うございますから、北海道としてはこれは大へんなことだと、それで、きょうもここには東北関係の同僚がだいぶ来ておりますが東北は北海道のようじゃありませんが、だいぶ心配いたしております。北海道の場合は、もう全然余地がございませんですから、価格は実際の価格を出しておるし、従価でございますから。それから率は、標準の四をこして制限の五をやっております。ほとんど北海道は五でやっておりますから、全然今度の税改正になりますというと、この改正による減税がもう即現われてくるわけです。それで別に特交はほんとうは十分いただけるようなお話でございますから、それはまあそうといたしましても、これは昨日もいろいろ聞いてみますというと、ことしだけはそうだ、来年からは漸次毎年半分ずつ減らしていく予定であるということを聞きますと、ますます心細くなってしまいまして、とてもこんなものに頼っておったのでは大へんなことだから、まあこの法の改正のときに一つ根本的にかわり財源も一緒に、恒久財源も一緒に考えていただけぬものだろうかということを、私どもとしては、まず一応建前としては、現状のままにしてもらいたいということから一歩も退くまい。しかし、これはまあわれわれの一方的な考えだから、どうしてもこれが聞き届けていただけぬ場合は、即かわり財源を確保していただく。その方法については、私ども今いろいろ勉強しておりますが、国においても御検討を願いたい、こういうふうなかまえでございます。何とかできれば、一つ年間このままにしていただいて、そういう名案が立ったとき並行してこれを実現していただきたいというのが私どものお願いであります。
  60. 大沢雄一

    大沢雄一君 時子山先生にちょっと教えていただきたい。先ほど先生の生産と生活とを一致させると、そうしてそのために地方経済の育成を考えていくということが、今後の地方行政の方向として最も考えなくちゃならぬ点だという御高説を、私も非常に感銘して伺ったわけでありまするが、先ほど加瀬委員からもお話がありました通り、あるいは鈴木さんからお話があったと思うのですが、まあその長期的な目標としては確かにそういう考え方があろうと思う。しかし、さらに現在の実情から考えてみますると、独立税主義を徹底して国、府、県、市町村と、これをとりましたことが、これはもう現状のように税収が非常に少い、非常にアンバランスが出てくるということのまた一方の私大きな原因だと思うのです。そういう点から、やはり当面の実際の地方税改正考えていくあり方といたしましては、お話のように、農林業に対しても事業税を拡充していくということも、これも一つの方途かも存じませんけれども、さらにまたさかのぼって、やはり付加税主義をやはりこれはどうしてもとらざるを得ないのじゃないか、そうしなければ、これはなかなか当面問題を解決していくことは私はできないのじゃないかという考えを強くしておるのでございますが、そういう点について、先生どうお考えになっておりますか、一つお教えいただきたいと思います。
  61. 時子山常三郎

    参考人時子常三郎君) 先ほど申し上げましたのは、私は、このままで進んでいけば、地方財源というものはどんな工面をしてもどうにもならないのだ、投げたといっては非常に申しわけないのでありますが、どうにもならないときがもう三十四年ごろから出てくるのじゃないかというふうに考えましたので、積極的に財源を育成するよう経済開発ということを申し上げたわけでございます。その点は別にいたしまして、ただいまのお話について申し上げますと、なるほど、お話しのように、シャウプ税制勧告によりまして、地方民主化するためには、地方独自の民主主義の実践の裏づけとなるような税の体系がなければならないということで、独立税主義というものがとられております。明治以来、日本は長い間今お話しのような付加税の形体をとって参りました。そのために、非常に地方財政が中央の財政に依存せざるを得ない、そこがシャウプ勧告の批判の対象となったのだと思うのであります。私は、その限りにおいて、やはり正しかったと思うのでありますが、ただ問題は、シャウプ勧告が出ました当時の実情からいたしましても、あの体系が作られたときに、日本人も学識経験者が関与したはずでありますが、ほとんど日本人の側の学識経験者の意見が入っていないように伺っておるのでありまして、お医者さんにたとえますと、私は、これは外診だと、外から来た人が、お医者さんが外から診察をいたしますが、そういうのは外診で、理論の、建前だけは正しかったけれども、内診の経験のある、また、そういうことをやってきた日本の学識経験者の意見を聞かなかったところに、最も端的に出ましたのは、あの固定資産税、八幡市を中心としたあの固定資産税の問題、現にそれも問題となっておるのでありますが、そういうことが問題となりまして、たしか独立税主義、今日の独立税主義というものがうまくいっていないということは言えると思うのでございますが、しかし地方住民が、自分の財源を持って、自分の福祉をはかる、あるいは生活改善をはかるというふうな、そういう地方サービスをやるという建前は、これは私はやはり放棄してはならない。その建前を持ちながら、今話したように、どうしても地方の財源が不均衡になってくるので、すでに交付税制度がとられており、あるいは平衡交付金制度がとられたというような形でやはり行くべきであって、先年のような国税に対する都道府県が付加税を加えて、さらに市町村がそれに付加税を加えるという形はとらない方がよろしいのではないかと、そういうふうに考えております。
  62. 大沢雄一

    大沢雄一君 まあ交付税は必ずしも調整財源じゃないかもしれませんが、しかしやっぱり実際問題は、これは非常な調整になっておるわけであります。もうそれも御承知のように増率、増率の運動が常に絶えず、限度がないと、国家財政との関係においては、もうすでに限度が見えておるような気がしますが、しかし、地方団体事情からいうと、これは限度がないと、こういうことになって、実際の形は独立税に依存しないで、交付税、やはり国のこれはどうも力が非常に加わっておる、これに依存して、その増率運動に騒がなければ動かない、こういう状態になっておるようでございます。お話の筋はわかるのでございますが、どうも私は、付加税制度を全面的にまたもとに戻すというわけじゃありませんけれども、どうしてもそういうこれを加味しなければ、これはどうもやっていけない。今の地方経済力の育成と申しましても、これは早急にできることじゃありませんし、これはやっぱり仕方がないのじゃないかと、こう考えるのでお尋ねしたようなわけでございます。
  63. 時子山常三郎

    参考人時子常三郎君) 今、付加税の問題が出たのでございますが、国税に対して都道府県、市町村がそれぞれ付加税を課した場合、今日のよう地方財源の不均衡なときに、やはり普のような分与税制度などをとっておりますので、やはり調整の何らかの方法をとらなければ、付加税にしても財源の不均衡という問題は解決しないのじゃないか。何か非常にこう安易になりまして、中央の思うようにまた地方が動かされるというふうなことに持っていかれはしないか、そういうふうに考えるのであります。
  64. 大沢雄一

    大沢雄一君 私も、付加税一本にやれというなら、どこまでいっても地方団体に対しては、これはもう調整的な財源を付与しなければいけないと思います。しかし、それが今のように、もうその地方の自主財源の非常な大きな部分を占めて、むしろ独立財源よりも、所によってはずっと多くなっている。こういう形のは非常にいけない。これはもう付加税にすべて切りかえる、こういう意味じゃありません、とうていこれはできないことですから。けれども、やはり付加税主義も加味し、そうして調整財源は、もう少し自主性を害しない範囲の調整財源で調整ができるようにこれはしなければならぬじゃなかろうかと考えてのお尋ねなんです。
  65. 時子山常三郎

    参考人時子常三郎君) そういう考え方もあり得ると思います。
  66. 加瀬完

    ○加瀬完君 時子山先生、今の大沢委員との関連ですがね。結局、今の交付税制度というものは、制度そのものとしては、今、大沢委員の御指摘のようなこともある程度解決できるはずなんですね。まあ平衡交付金制度のときと同じような、一応原則として積み上げ方、式ということになっているわけですけれども、基準財政需要額を積み上げていくという方式になっておりますけれども、現実的にはそうじゃなくて、一応きまった財源を割当みたいな形でおろしておるのですね。ここに何か問題があるのじゃないかと思うのです。今、林さんの方から出ました特別交付税をことしは満配すると、来年からは半減するということですが、こういうものも、特別交付税というものの制度で一体財源を補てんしていくべきものなのか、そうでなくて、交付税そのものの算定基準の中に繰り入れていくべきものなのかといったような問題も残ると思うのです。算定基準というものがまだどうも交付税算定基準というものが、地方団体の望んでいるような算定基準というものは、相当工夫はされておりますけれども、できておらないのじゃないか。で、この算定基準そのものでもう少し、工夫をする必要があるように思うのですが、こういう点いかがでございましょう。
  67. 時子山常三郎

    参考人時子常三郎君) 平衝交付金制度の当時、盛んに地方団体方々が運動されて増額を要求された。そこで今度は交付税制度について、国税三税の絶対額をきめるという建前をとっているわけでございますが、ところが、そうなりますというと、必ずしも地方財政需要にうまくマッチしない。これに初めからその懸念があったわけでございますが、その点は、今御指摘の点になるのじゃないかと思いますが、そういう点について、これはもう少しやはり調整を考えていかなければならぬのじゃないかというように私も考えております。
  68. 小林武治

    委員長小林武治君) ほかに御質問がなければ、本日はこの程度にいたします。  終りに、参考人各位に一言お礼を申し上げます。  本日は、長時間にわたり、貴重なる御意見をお聞かせ下さいましてありがとう、ございました。当委員会といたしましては、本日の御意見を十分参考といたし、法律案の審査に当りたいと存じます。委員一同にかわりまして、厚く御礼を申し上げます。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時十七分散会