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1958-03-18 第28回国会 参議院 地方行政委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月十八日(火曜日)    午前十時四十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 武治君    理事            大沢 雄一君            小柳 牧衞君            加瀬  完君            久保  等君    委員            伊能 芳雄君            西郷吉之助君            佐野  廣君            館  哲二君            成田 一郎君            鈴木  壽君            成瀬 幡治君            松澤 兼人君            岸  良一君   政府委員    警察庁長官   石井 榮三君    警察庁長官官房    長       坂井 時忠君    警察庁刑事部長 中川 董治君    警察庁警備部長 山口 喜雄君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   説明員    警察庁刑事部防    犯課長     増井正次郎君    警察庁通信部通    信総務課長   今竹 義一君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○連合審査会開会の件 ○参考人出席要求に関する件 ○警察法等の一部を改正する法律案   (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 小林武治

    委員長小林武治君) これより委員会を開きます。  先ほど委員長及び理事打合会を開きましたので、まず、その経過について御報告いたします。  第一に、連合審査会開会の件でございますが、ただいま建設委員会審査中の道路法の一部改正案外二件は、当委員会としても関係がありますので、連合審査会を開きたいということであります。  第二に、警察法等の一部改正案でございますが、これは本日から二十日まで質疑を行い、別段の事情のない限り、二十日の午後に討論、採決を行い、二十四日の本会議に上程いたすことに 一応意見がまとまりました。  第三に、地方税法の一部改正案でございますが、本件につきましては、大体、二十六日午後に参考人意見を聴取することにいたしました。  以上、理事会で協議したおもな事項について御報告いたしておきます。   —————————————
  3. 小林武治

    委員長小林武治君) これより本日の議事日程に入ります。   まず、先ほど報告いたしました連合審再会開会についてお諮りいたします。  日本道路公団法の一部を改正する法律案道路法の一部を改正する法律案道路整備緊急措置法案、以上、三案について建設委員会に対し、連合審査会開会を申し入れることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小林武治

    委員長小林武治君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会日時につきましては、建設委員長とも協議をいたさねばなりませんので、この点、便宜委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小林武治

    委員長小林武治君) 御異議ないと認めて、さよう取り計らいます。   —————————————
  6. 小林武治

    委員長小林武治君) 次に、これも理事会経過として御報告いたしましたが、地方税法の一部を改正する法律案に対する参考人出席要求についてお諮りいたします。  本案について、大体、木材引取税関係として町村長一名、遊興飲食税関係として一名、その他必要あれば一名程度追加することとして、今月二十六日午後の委員会参考人出席を求め、意見を聴取いたすことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 小林武治

    委員長小林武治君) 御異議ないと認めます。  なお、参考人具体的人選につきましては、便宜委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 小林武治

    委員長小林武治君) 御異議ないと認めて、さよう取り計らいます。   —————————————
  9. 小林武治

    委員長小林武治君) 次に、前回に引き続き、警察法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  御質疑のおありの方は、順次、御発言を願います。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  10. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記を始めて。
  11. 久保等

    久保等君 資料を出していただいた「警察通信新設改修五カ年計画」について若干お尋ねをしたいと思います。ちょっとこう瞥見をしてみたのですが、非常に大まかなもので、よくわからないので、若干お尋ねをしたいのですが、昭和三十三年度警察通信に必要な予算は、この前いただいた資料によりますと、三十四億余の予算を計上いたしておるようですが、この新設改修五カ年計画に要する所要総額から見ますると、非常に三十三年度予算が多くなっておると思いますが、この金額の面からする五カ年計画年度割はどういう大体計算になるのですか。
  12. 今竹義一

    説明員(今竹義一君) お答え申し上げます。この昭和三十三年度予算が二十四億ということでございますが、このうち十三億は専用料予算電電公社から借りております専用線専用料でございまして、それ以外の予算が十億ばかりになっております。この十億か現在の通信施設維持費と、それから今後施設を改善する建設改修という予算に当ります。この十億のうちちょっと正確な数字を今持ち合わしておりませんが、大体六億から七億弱だと思います。これが実は施設維持費でございます。残りが新設改修ということになっております。その新設改修のうち、五カ年計画に大体項目に当てはまっておるものが約二値六千万、こういう勘定になるわけでございます。
  13. 久保等

    久保等君 そうしますと、三十三年度で行う新設改修計画所要経費というものは三億弱程度だということですから、このいわゆる新設改修五ヵ年計画といわれるものに充当せられる予算というものは二億数千万円程度だということですか。
  14. 今竹義一

    説明員(今竹義一君) 大体二億六千万円程度でございます。
  15. 久保等

    久保等君 この五ヵ年計画は、どういう年度割の大体計画なんですか。
  16. 今竹義一

    説明員(今竹義一君) 年度割は、大体これの五分の一ということを目標にいたしまて、五分の一と申しますのは、金額で五分の一ということを目標にいたしまして、年度割をいたしております。
  17. 久保等

    久保等君 そうすると、五ヵ年計画での総予算は三十七億、約三十八億程度を予定されているのではないですか。
  18. 今竹義一

    説明員(今竹義一君) さようでございます。しかし、お断り申し上げますが、この五カ年計画は、警察庁として警察通信を、今後治安情勢に応じまして整備拡充するにはこの程度のことが必要であるという、警察庁としての計画でございます。その計画を五ヵ年計画に立てまして、その五分の一を三十三年度大蔵省要求したわけでございますが、いろいろと予算全体のワクその他の事情によりまして、二億六千万程度が現在計上されておるわけでございます。
  19. 久保等

    久保等君 非常に自信のない五カ年計画になっていると思うのですが、今の御説明だと、昭和三十三年度の五カ年計画においては初年度の予定が一億六千万円程度だということなんですが、しかし、立てられた五カ年計画は約四十億程度の五カ年計画なんですから、一年度平均約八億円くらいは必要だという計算になると思うのです。そうすると、約八億円近いものが必要だといわれる初年度において、三億六千万程度予算が計上されておるのだということになると、行く先、二年度、三年度、四毎度、五年度がどうなるかわは別として、まず、当初の初年度からして半分も実は予算ができなかったということになるわけです。そうだとすると、これは五カ年計画として見たって、希望的な金額をいえば、こういった程度なんだ。しかし実行計画については全然また別なんだというような御説明になると、そんな程度の、非常に実現性のない、むしろ実行不可能なような計画が五カ年計画実態なんです。そうだとすると、これは五カ年計画も何も私は期待が持てないような、何か一応メモを作ってみた程度のことにしかならぬのじゃないですか、どうなんですか。この内容がいいか悪いかは別としても、五カ年計画がいいかわるいかは別としても、そちらの言われる説明としては説明にならぬのじゃないですか、どうなんですか。特に五カ年計画を作られた建前からいって、初年度予算においそういう実態では、これは私は全く画餅に帰してしまっておるのではないかと思うのですが、御所見はいかがですか。
  20. 今竹義一

    説明員(今竹義一君) ある意味におきましては久保委員のおっしゃる通りでございます。われわれ五ヵ年計画を立案いたしましたときに、これが実現可能性のないという、そういう絵をかくというようなことで計画を立てたのではございませんで、今後の治安情勢からいって、この程度警察通信整備が必要であるという考えからこの案を立案いたしまして、この案に基きまして、いろいろと大蔵省当局と折衝したのでございます。まあいろいろ何と申しますか、金全体のワク、その他の問題がございまして、所期のような予算が認められてはおらないのでございます。これは今後、来年の努力によって、何とかこの線に近づけていきたい、こういう考えでございます。
  21. 鈴木壽

    鈴木壽君 ちょっと関連して数字のことで…。いただいた前の資料からしますと、「昭和三十三年度警察庁予算科目別調」ですか、これからしますと、警察通信新設費というのが二億九千六百九十万円、それから警察通信維持費が六億二千百四十九万円、それから警察電話専用料、これが十三億、それから通信施設整備費というのが一億ちょっとありますね。これと今のお話しとの関係ですね、これはどういうことになるのか、はっきりこの五カ年計画整備していこうという計画とどういう関係にあるのか、ちょっとそこを、さっきの久保さんのお尋ねと関連してお答えいただきたい。
  22. 今竹義一

    説明員(今竹義一君) この電話専用料というのは……。
  23. 鈴木壽

    鈴木壽君 専用料のことはいいですが、ほかに施設整備費と・・・。
  24. 今竹義一

    説明員(今竹義一君) 問題は、そのほかにこの通信施設整備費という一億と、それから通信新設費という二億九千六百万との点の御疑念だと思います。この一意の通信施設整備費の方は、大体、従来の通信施設を維持したい、そういうのに要する費用でございまして、維持費的な経費でございます。あとの二億九千六百万が、今さっきの二億六千万と合わないという御疑念だろうと思いますが、今さっきの二億六千万と申しましたのは、この五カ年計画に組まれておるような項目新設改修のみを拾い上げました場合に二億六千万でございまして、五ヵ年計画に納まれておらないような、たとえて申しますと共電式交換機改修あるいは磁石式交換機改修というような予算が別に計上されておるわけでございます。
  25. 鈴木壽

    鈴木壽君 今のお話し警察電話の場合ではなくて、通信施設整備費ですね。これはあれですか、一億何がしというのがあがっておりますが、普通に私ども整備改修新設改修というものの中には、整備費なんかこれに入るのじゃないかと、常識的にそう感じたものですから。ところが、これは全然別個なんですか、維持費が六億ありますよ。さらに、あなたのお話では、整備費というのは維持費的なものだと、そうしますと、維持費が七億二千万円ばかりになりますね。それとの関係が一つわからないことと、通信新設費の中に共電式磁石式があって、これは除かれている。五カ年計画の中に入らないものがあるということですね。だから、そういうものを除きますと、二億九千万円でなくて、二億六千万円ばかりのものが五カ年計画の第一年度として計上したのだ、こういうことなんですね。
  26. 今竹義一

    説明員(今竹義一君) この通信費の中に、機械を買ったり新設したりするのは、これは新設改修でございます。それから、その機械を修繕したり、お守りをしたりする電力代真空管代というのが維持費、ところが通信ではいろいろと中継所あるいは交換機室というような建物の関係もございます。そういうものが整備費に含まれているわけでございます。整備費の中に、その事柄の性質で申しますと、維持費維持費と申しますか、その施設を保全するための整備費、一部新設に伴う整備費とあるわけでございます。大体一億の内容の主たるものは施設の保全に伴う整備費でございます。  次に、二億九千万円と二億六千万円との差でございますが、今さっき久保先生からの御質疑で、この五ヵ年計画が二十八億だ、それに見合う新設改修費が幾ら計上されているかと申されましたので、それに見合うものが二億六千万でございますと、こう申し上げたわけでございます。あとの分は、この五カ年計画には含まれておりませんが、警察庁には共電式交換機磁石式交換機その他のものがございまして、そういうものの改修費がその差額でございます。
  27. 久保等

    久保等君 本年度昭和三十二年度新設改修的な予算は幾ら計上されているのですか。
  28. 今竹義一

    説明員(今竹義一君) この五ヵ年計画に見合う項目だけではございませんが、それを一切の警察通信新設改修で申しますと、昭和三十二年度が三億三千八百万でございます。専用料関係を除きまして、昭和三十二年度が三億三千八百万、昭和三十三年度が三億五千五百万でございます。
  29. 久保等

    久保等君 そうしてみると三十二年度も三十三年度もほぼ同じ程度だということですか。この新設改修という内容そのものが若干あいまいな点もあるようですが、しかし、いずれにしても、新設改修的なものは、三十二年度では三億三千万円程度、三十三年度もほぼ同様の三億五千万円程度ということなんですか。
  30. 今竹義一

    説明員(今竹義一君) そういうことになります。
  31. 久保等

    久保等君 そうすると一体五ヵ年計画というものは、どういう構想のもとに、どういう目標なんですか、これはまあ多少政策的な問題もあると思うのですが、長官の方からでもお答え願えれば幸いだと思いますが、どうですか。
  32. 石井榮三

    政府委員石井榮三君) いわゆる通信の五カ年計画内容として、どういうものを考えているかということは、前回の当委員会におきまして、通信総務課長からお答えしたと記憶しておるでございますが、たとえば、交換機自動化とか無線多重電話増設専用線増設とか模写電送写真電送増設とか、一斉指令装置改修、超知波無線電話増設携帯用無線電話増設、こういったものを考えておるわけでございますが、そうしたものを従来とも全然やってなかったわけではないのでありまして、先ほどお話の出ましたように、昭和三十二年度、つまり本年度におきましても、こういったわれわれがやりたいと思っておりますものの何がしかはやっておるわけであります。それを今後計画的に、しかも事情の許す限り早期に、ある一定目標に到達したいという観点から、私ども昨年来いろいろ事務当局関係者によって計画を立案いたしまして、その結果、およそ五カ年計画である程度目標に到達したいということで、まあ計画結論を得たわけでございます。それに基きまして、たびたび通信総務課長からお答えしております通り、おおむねその五分の一程度のものを予算要求の際に大蔵当局に折衝する、こういうことで参っておるわけでございまして、三十三年度につきましても、そういう見地から、各項目を全部按分比例的な五分の一ではございませんが、初年度にはどこに重点を置くかということで、内容的には必ずすべてが五分の一になっておるわけではございませんが、おおむね金額的には五分の一に相当するものを、極力大蔵省と折衝いたしまして、これが実現方をはかったわけでございますが、国家財政等都合もありまして、先ほど来お答えいたしております通り、われわれの要求から申しますならば、その半分にも満たないといいますか、その程度金額にとどまったということになっておるのでございますが、三十四年度以降におきましても、私どもは一応こうした計画のもとに、ただ思いつきでつかみ金的な要求でなしに、こうした計画に基いて年年努力を重ねて参りまして、できるだけ早い機会にこの目標に到達したい、こういうように考えて、今後とも努力をしたいと考えておるのでございますが、いろいろ国家財政その他の都合もございまして、われわれの希望通りに参らない点は遺憾でございますけれども、今後できるだけ努力いたしまして、早い機会目標に到達したい、かように考えておるのでございまして、ことしの予算状況等から考えますと、五カ年計画とはいうけれども、結局は十カ年計画台で、初めてわれわれが今考えている目標に到達するということになるかもしれませんが、今後できるだけ努力いたしまして、五ヵ年計画があるいは六年、七年くらいで到達できるかどうかわかりませんが、極力努力いたしまして、われわれの一応描いております理想と申しますか、目標に到達したい、かように考えておるのでございます。
  33. 久保等

    久保等君 この立てられた五カ年計画が完成をすれば、今日警察通信としてはほぼ完全といいますか、希望通り施設が完成するという目標程度のものになっておるのですか、さらにまた、次の第二次五カ年計画というようなものも作らなければならないということを想定しながら第一次五カ年計画を作られたのか、そのあたり見通しはどういう見通しで作られたのですか。
  34. 石井榮三

    政府委員石井榮三君) 御承知のように、ひとり通信のみならず、あらゆる科学的な施設と申しますか、年々各方面とも進歩発展をいたしております。おそらく、通信につきましても、今後相当に発展をして参ることと思うのであります。私ども現状におきまして、近い将来を見通して、一応警察通信は五年先の将来はこの程度であるならばまずまず満足すべき状態ではないか、こういう見地で一応五カ年計画を立てておるのでございますが、今後この五カ年を経過する間に、われわれが今日考えておるよりもはるかに、いろいろな機械その他の進歩が見られまして、もっと高度なと申しますか、警察通信も飛躍的に発展させなければならぬというようなことになりますならば、さらにその後の計画というものを立てなければならぬ、かように考えておるのでございます。
  35. 久保等

    久保等君 まあ非常に御答弁があいまいなんですがね。通信ですから、いろいろ新しくどんどん方式が変ったり質的な面でも非常な進歩をいたしておりまする通信ですから、そういう時代的な要請に基く次の計画というようなことがその五年後には当然考えられると思うのですが、しかし、まあそういうことは抜きにして、当面、非常に警察通信というものがいわば不完全であり、何とか一つある一定目標までには持っていかなければならぬ。それで、ここのところで五カ年計画というものを緊急に一つ立てて、強力に五カ年計画を実施しなければならぬというようなことでやっておられるとするならば、一体その目標そのものが、当面はともかく、これだけのことは早急にやりたいのだという意味で五ヵ年計画を立てられたとするならば、私は一応、第一次五カ年計画を終れば、新しい情勢が出てくればまた別だが、しかし・当面五ケ年計画で事足りるのではないかというふうに判断をされて、この五カ年計画を作られたようにも受け取れるのですが、そういうふうに理解してよろしいのですか、五カ年計画そのものは……。
  36. 今竹義一

    説明員(今竹義一君) この提出した資料にも書いてございまするが、たとえば、各府県警察相互間の模写電送というような項目は、さしあたり五ヵ年間としては二十府県にしか実施しない。従って、そういうふうな項目につきましては、五カ年を経過しましても、引き続きほかの府県にも逐次実施していく、こういう必要があろうかと思います。その点を除きまして、一般的に申し上げますと、警察通信進歩というものも、電電公社公衆通信がどの程度進歩するかということによりまして、電話関係で申しますと非常に左右されるわけであります。また、パトカーその他の関係について申しましても、電電公社公衆通信が非常に普及しまして、国民からの警察への訴え出がもっぱら電話によって行われるというような時代になりますと、現在以上にパトカーをもっとふやさなければ、国民要請に応じ得ないのではないかというような点も考えられる。また、交通事情変化、犯罪の変化等によっていろいろ考え面さなければならぬ点がございます。そういう意味におきまして、この五ヵ年計画は、さしあたり現状において五カ年間を展望した場合にこの程度の必要があるということでございまして、五年後のことは、またそのときのことによって再検討しなければならぬと、かように考えております。
  37. 久保等

    久保等君 長官お尋ねしたいと思うのですが、先ほど総務課長の御説明を伺ってみましても、計画を立てられたことは、まあ内容のいい悪いは別としても、一応計画として立てられておりながら、まず三十三年度において予算化された予算というものは、半分にも満たない形において五カ年計画を立てた。三十三年度以降も、三十二年度までとあまり実は内容的には変っておらない、規模の面から変っておらないというような状態になっておると思う。これでは、一体何のために五カ年計画を立てたのか意味もないし、従って五ヵ年計画そのものが、何年たてば一体その五カ年計画程度のものが実現できるのか、見通しがおそらく立たなくなったとも思われるのですが、その点について一体どういうお考えを持っておられるのか。まあ大蔵省との予算折衝の過程で、国家予算あるいは国家財政全般事情から削減されたのだということは、事実はあるいはそうかもしれませんが、五カ年計画を樹立された関係から申しますると、一体、五ヵ年計画というものが全然意味がなくなったということにもなると思いますし、一応の目標そのものに対する実施計画というものが、計画としても立たなくなったということになるのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  38. 石井榮三

    政府委員石井榮三君) 五ヵ年で完全にこれが実現を見ますならば申し分ないのでございます。われわれは、まあそういうところに努力目標を置いて、努力はいたすのでございますが、先ほど来申し上げます通り国家財政その他のいろんな制約もございまして、初年度におきましてはかんばしい結論を得なかった次第でございますが、今後さらに次年度、三年度と、こうあるわけでございますので、できるだけ最善を尽しまして、せっかく立てました計画に近い実現を見ますように、今後努力して参りたい、かように考えております。
  39. 久保等

    久保等君 この五カ年計画の中にうたわれております各いろいろ項目がございまするが、その中でマイクロ・ウエーブ関係、これはまあ1の(2)の問題だと思うのですが、これは三十三年度でどういう計画をお持ちなんですか、あるいは計画としてないのですか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
  40. 今竹義一

    説明員(今竹義一君) この前もお答え申しましたように、三十三年度には計上されておりません。
  41. 久保等

    久保等君 まあ警察通信関係の問題につきましては、私一応その程度にいたしまして、次にお尋ねをいたしたい点は、国家公安委員長おいでになれば幸いなんですが、おいでになりませんから、とりあえず長官お尋ねしたいと思いますが、今度のこの警察法一部改正の中で、従来の部が局に昇格をいたしておるのですが、これは各省との振り合いなり、特に自治庁あたりでの、昨年、部が局になったというようなことの振り合いから新しく局に改正をしようということなんでしょうが、しかし、単に名前を部を局にしてみたところで、一体どの程度の実効が上るかということになってくると、まあきわめて私問題だと思うのですが、何か最近の風潮として部は局に昇格をしていく、まあ各省には官房長も新しく新設をしようといったようなことも、今度の国会にいろいろ各省設置法案が出ております内容の中に出ておるのですが、こういういわば行政機構を簡素化するのじゃなくて、行政機構をむしろ増大さしていこうというような風潮が最近あるやにまあ見受けられるのですが、一体どういうところをねらってのこういう部を局に改正をなさろうとしておるのか、御説明をいただきたいと思います。
  42. 石井榮三

    政府委員石井榮三君) 部が局になって、昇格というふうの御意見のようでございまするが、私ども昇格というようには考えておらないのです。現在の部を局と名称を変更するだけでございまして、局にいたしまして、その下にさらに部を作り、その下に課を置くという、こういった考え方は全然考えておらないのでございます。現在の部を局と名称を変更するだけでございます。これは昨年、先ほども御例示になりました自治庁とか、あるいは行政管理庁等に局制がとられました当時、警察庁も局とすることに一応考えたのでございますが、御承知のように警察庁の組織は警察法によってきめられております関係上、その問題だけのために警察法改正ということもいかがかということも考えまして、今回他の点で、改正機会を得ましたので、この機会に部を局にすることもあわせて改正しようと、こういうことにいたしたのでございます。
  43. 久保等

    久保等君 確かに部よりも局が大きいということが理論的に言えるわけじゃないと思うのですが、ただ、まあ日本の一般の社会通念というか、常識からいくと、何かやはり部が局になるということは、まあやはり格として引き上げられた、という印象を持つことは、これはもう私特に官庁の一般機構ということの状況からいって、現況からいって、これはいなめない事実だと思うのです。少くとも部を局にするということは、私はやはり潜在意識であるか顕在意識であるかは別としても、何か役所の機構が大きくなっていくという印象だけはぬぐいされない。問題は単に名称程度であるならば、何も部をことさらに局にする必要はさらさらないと思う。また、他が部が局になったからということで、こちらもまた部を局にしなければならないという性格のものでもこれはないと思います。やはり、こういう部を局にするという考え方の中には、私はやはり、いつとは知れず、だんだんだんだんと機構の内容が大きくなって参る。もちろん私どもは、内容が伴う形での機構の増大は決して反対すべき性格のものではないと思う。やらなければならぬ仕事が多くなったと、従ってそれに伴う人員の増員も考えなければならぬ。また機構の従って増大も考えなければならないということは、これは当然のことです。ただ問題は、そういう内容とは別に、とかくやっぱり機構が大きくなっていくという点は、お互いに警戒をしなければならぬ問題と思うのです。ひとりその衝に当っておる当局者ばかりでなくて、われわれも実は十分その点について警戒していかなければならぬと思っておるのですが、そういう立場から申しますと、特別、内容的な意味がない名称の変更ならば、しかもまた、そのことによって実務上支障がないとするならば、名前をことさらに、一般の通念からすると、とかく大きくなったんじゃないかというような印象を与えるような名称を使うことは、私はやはり行く先将来を考えた場合には、今直ちにどうこうと具体的に考えておられないとするならばなおさら、私はむしろ、だんだんだんだんと結果的には機構が大きくなって参る、こういう結果になり、従ってまた、それから何年かすると、逆にまた行政機構の簡素化ということが必ず叫ばれる時代がくると思う。その場合に、大きくなってしまったものをいざ縮小しようということになると、これは人員の削減といったような問題も出て参る。その場合に、結局しわ寄せされるところはこれはどこかというと、一般職員ということになって参る。ということになって参ると、結局何のことはない、永久にどんどんどんどん大きくなって、そのとどまるところを知らないのだという性格のものであるならば、私はあえて、大きくなることそのものを、むしろ人員その他の面から考えるならば慶賀すべきことであるかもしれませんが、しかし、何といっても行政機構というものを脅える場合には、そうは参らないと思う。従って、結果的には決していいことをやったということにはならないことが考えられるとするならば、行政機構というものはできるだけ私は常にお互いに、行政機構の簡素化ということがやかましく言われようが言われまいが、常に機構というものはやはり簡素であるべきだと、特別の支障がない限りは、私は極力そういう方面に意を払っていくべきじゃないかというふうに思うのです。そういう立場からいたしますると、今回のこういう内容の伴わないような名称の変更、さらに言葉をかえて言えば、何か機構が大きくなっていくんじゃないだろうかというような意味での印象を与える機構の名称変更、部から局にするというようなことは、妥当な方法じゃないと思うのです。事はきわめてさまつ的な問題であるかのように考えられまするけれども、私はやはりこの考え方が、むしろ行政機構の複雑化、行政機構の無用の増大をやはり私ははかっていく一つのきっかけになるのじゃないかということをおそれるわけなんです。従って、特別の意味がないならば、何も部を局にする必要はないのじゃないかというように考えるのです。今回の場合にも、なるほど保安局というものが新らしくできることになるようですが、これも何も保安部ということでいいじゃないか。部を一つふやさなければならぬということならば、部を一つふやすということで事足りるのじゃないか。従って、何もこの機会に従来のあったものまでを全部局にしてしまう。そしてまあ新しく保安局を一つふやすというようなことにしなくてもいいんじゃないかというように考えるのですが、どうでしょう。
  44. 石井榮三

    政府委員石井榮三君) 先ほどもお答えしました通り、単なる名称の変更であるならば、実質的にそう意味がないじゃないかということになるわけでございます。全くその点はお説の通りでございます。およそ官庁の機構というのは、極力簡素であって能率的であるのが望ましいのでございます。いたずらに機構を膨大に複雑化すということは、当を得たものでないことは申すまでもないところでございます。私ども警察庁は、先ほども申し上げました通り、昨年八月局制を採用された自治庁、行政監理庁あるいは経済企画庁等に比べますと、その規模も大きく、当時警察庁も局制をとってしかるべきであったのでございますが、先ほども申しました通り警察庁の組織は警察法によってきめられております関係上、今回の改正機会までその点は保留しておったような状況でございまして、ちょうど今回改正の好機に恵まれましたので、この機会に他の官庁と均衡をはかる意味におきまして、部を局と名称を変えるということに考えたのでございまして、それ以外に他意はございません。部を局にしたから、これを足がかりとしてさらに機構を膨大なものにしよう、その伏線だといったような気持は毛頭持っておりませんので、御了承願いたいと思います。
  45. 久保等

    久保等君 確かに警察庁長官の言われるように、事務当局的な立場から考えれば、まあ私は今の御説明程度を出ないと思います。が、しかし、ただ政策的といいますか、政府あたりの立場からいたしまするならば、私はやはりこの意味するところは、先ほども私が申し上げたような、やはり風潮を助長することに大いに役立つと思うのです。われわれの危惧するような方向へ助長していく危惧が非常に強く私は持たれると思うのです。従ってまた、いずれそういったような問題になりまするならば、公安委員長等にもお伺いすることが適当だと思いますし、またいずれ機会を見まして、この問題について国家公安委員長に御質問申し上げることにいたしたいと思います。従って長官お尋ねする点につきましては、私この問題についての質問はこの程度で打ち切りまして、また、いずれ機会を見て一つ委員長の方に御質問いたしたいと思っております。
  46. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 警察法改正に伴いまして、衆議院の付帯決議がつけられておることは御承知だと思います。その後まあこの三、四年経過しておるわけですが、あなたの方でも付帯決議は尊重されて、衆議院の意向のあるところを示しておるのでありますから、そういうものに対してまあいろいろと研究されたと思いますが、一向、付帯決議とは意に反したような格好に今までなっておるのですが、どうですか、その辺のことについて長官から、あるいはその関係の方から一つ御説明を承わりたいと思います。
  47. 坂井時忠

    政府委員(坂井時忠君) 衆議院で付帯決議がなされたのでございますが、内容は二つあったのでございます。一つは、各府県警察費に対する国の補助金の制度、それから国から直接府県警察に要る費用を出しておる、いわゆる国費そのものの支出、まあ国で直接支出する金と、それから補助金として出す金と、これが警察法上、こういう項目についてはどちら、こういう項目についてはどちらというふうにきめられておるわけです。これにつきまして再検討を加えてもらいたいという御意向であったのでございます。私どもの方でもこの問題は始終研究しておるところでございまして、大事な問題であると思います。しかしながら、現在の段階におきましては、やはり現在程度の分け方がいいのではなかろうかという一応の結論をもちまして処しておるわけでございますが、衆議院のせっかくの御決議にもありましたので、さらに今後研究を続けたいと思っております。  それから、第二の点でありまする警察官の厚生問題につきまして、政府もまた責任を持つような体制にしてもらいたいということでございます。現在各府県警察官の厚生問題、すなわち給与の問題であるとか、あるいはいろいろの福利厚生の問題であるとかいうものは、各府県の自治体警察という建前のもとに、各府県でそれぞれめんどうをみていただいておるわけであります。しかしながら、衆議院の付帯決議の御趣旨は、こういう警察官の職務の特殊性に関連いたしまして、衆議院の委員会等でも、警察官にはいろいろの組合運動も許されておらないから、特別のめんどうをみるべきではないかという御議論があったのでございますが、そういう趣旨から、国もまた直接こういう面につきましてめんどうをみたらどうかという御意見であったのであります。われわれといたしましても、警察官の勤務の特殊性をよく尊重をして、それぞれ各府県当局にお願いをしておるわけでありますが、政府、自治体、いろいろの国費を出していく、これはたとえて申しますと、療養施設であるとか、病院であるとかいうものを建てていく、こういう面も考えていかなきゃならぬのじゃないかというふうに検討をしておるわけであります。しかしながら、現在の警察法の建前は、こういうものにつきまして国費が直接出せる建前になっておらないわけであります。こういう問題につきましても、今後十分研究をいたしまして、警察官の勤務の特殊性に応じたいろいろの国の施策も考えていかなければならぬのではなかろうかというように考えておる次第でございます。
  48. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 これは私ここで議論を蒸し返して、こういう付帯決議がどうだということはやりたくないと思う。しかし、この問題は、私はやはり装備の問題やあるいは捜査——特に装備の問題になってくると思いますが、どちらがより効果的で実績が上ってくるかという問題、たとえば消防施設等とも私はある程度比較する必要があると思うのです。とともに、自治警察ならば自治警察、県警察ならば県警察としての本来の私は性格上からも問題があると思うのです。研究々々といってずっと引き延ばしていくというのはなかなか——あなたの方はせっかくこういうふうにいいと思って提案して出して、きまったことだから、研究々々ということでずるずるべったりで逃げていくというそういうことではなくて、今おっしゃるように、まじめに私は一つやっていただかなけりゃならぬじゃないか。こういう点で一つ要望としてこの点は申し上げておきたいと思います。  それで、続いて、西郷委員あるいは本多委員から交番問題等いろいろ問題がありましたが、一体警察は今、あれはあの当時三万というような減員をするということになっておった減員を打ち切って、若干人員の増加の傾向にある。一体警察として機械化というのが私は一番大事な点だろうと思いますが、そういうことについて人員をある程度ふやしていこうとするのか、機械化の方をやっていって、人員をある程度減らしていくというのが両々相待たなければいかんという議論もあったようですが、どちらに方向をきめてやっておられるのですか、基本的な方針を一つ伺いたい。
  49. 石井榮三

    政府委員石井榮三君) 警察官の定員の問題につきましては、当委員会におきましても、たびたび御議論いただいておるのでございます。御承知の通り、二十九年の制度改正の際、制度改正によって相当数の警察官を減員し得るという当時の情勢のもとにおきましては、そういう結論を得まして、自来、年次計画によりまして警察官の定数の縮減をはかって参ったのでございますが、第一年度、第二年度はその計画通り実行いたしたのでございますが、三年度、すなわち昭和三十一年度に至りまして、制度改正当時の情勢に比べまして、その後の情勢変化によりまして、むしろ警察官は若干ふやさなければならぬという、その後の情勢変化による新たなる要素が加わりまして、整理は整理として計画通りする半面におきまして、新たに増員を必要とする理由のあるものは、これを実現をしたらどうかということをいろいろと検討いたしたのでございます。一面において整理もし、一面において増員をするというなら、それを差し引き勘定したらどうかということで、一応三十一年度におきましては整理すべかりし計画を一応ストップするという措置をとって参ったのでございます。三十二年度に入りまして、その情勢は依然として同様でございまして、むしろ警察官の不足を告げる府県がかなり多く出て参るようになりましたので、この際、整理を計画しておりましたのを一応恒久的にストップするということに方針が決定されたのでございまして、そうして現在の定員というものが一応恒久定員化された、こういうことに相なっておるのでございます。それでもなおかつ警察官の数が足りないという声が第一線においてはいまだに強いのでございまして、これは府県によりまして若干の差はありますが、いずれの府県とも、現在の定員で十分だというところはなくして、何がしか、いずれも増員を要望しておるのでございます。特に、北九州のあの地帯は、特殊事情もございまして、増員の熾烈なる要望がわれわれのところにも機会あるごとに参っておるような状況でございます。しかし二十九年の制度改正当時から今日に至るまでの、今申し上げましたようないきさつからいたしまして、私どもといたしましては、少くとも三十三年度予算編成に当っては、警察官の増員ということは一応差し控える、そのかわり、先ほどお話もありましたように、警察の近代化、機械化と申しますか、そういった意味における警察力の充実をはかるべきではないか、こういう観点に立ちまして、三十三年度の今御審議を願っております予算におきましても、警察機械力、機動力の増強、こういった点を重点的に取り上げまして、たとえばパトロール・カーを飛躍的に増強をするといったような点を考えておるのでございまして、今後ともこうした警察の近代化、機械化と申しますか、そういった点は十分考えていくべき問題であろうと思っております。ただ単に警察官の頭数をふやしただけで、警察力の充実を考えるのは、必ずしも適当でないと思うのでございます。しかしながら、警察機械化、近代化ということも、これも国家、財政、その他いろいろな制約がございますので、なかなか思うように参らないという点もありましょうし、また、今後の警察の対象の増加と申しますか、犯罪の発生、その他いろいろな状況等もにらみ合せまして、警察官がどうしても現状では不足であるというならば、これはやはり頭数をふやしていくということをあわせ考えていかなければならないかと思うのでございます。現在そういう点につきましては、将来いかにあるべきかということについて、私どもいろいろと研究をいたしておる状況でございます。
  50. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうなると長官と少し議論をしなければならぬと思うのですが、ということは、二十九年の改正の問題は、一番私は……一つの、捜査権の問題もありましたけれども、定員等の問題があるから、人間が減るじゃないか、だからこうするのがいいのではないかというのが、一つの改正法に対する大きな柱になっていたと思うのです。ところが実際見ると、人員はストップ——減らすのじゃなくて、むしろふえるようなことになって、しかも今度超過勤務の問題を見ると、地方財政計画においても六%から九%にはね上っております。ということは、勤務が非常につらいから超勤もたくさん出すということは、普通でいうなら過当労働をしておる、それをしいておる。だから私は、そういうことは、人員の方は、むしろ超勤も六%が現状になり、あるいはむしろ減っていくというような格好になって、そうしてその方向の一つは、機械の方へ持っていく、あるいは近代化していく、もう一つは、質的な、これは警官の質的な問題、今言ったような機械化による人員の質的な向上、そういうところにあるだろうと思う。ところが今お話を聞いていると、また人間をふやそうということになると、少しおかしいじゃないかと思うのです。あなたの方の方針と申しますか、基本的な方向というものは、どちらへやっておいでになるのかという点を私は明確に一つしていただきたいと思うのです。
  51. 石井榮三

    政府委員石井榮三君) 理想といたしましては、警察力の充実にはいろいろな方途がありますが、個々の警官を質的に高めるということがまず根本であると思うのでございます。能力の足りない者がいかに数多くあっても役に立たない。一人々々の警察官の質を向上していく、いわゆる少数精鋭主義、一騎当千の士が多くなれば、人間の頭数が必ずしも多くなくても、十分お役に立ち得るということになろうかと思うのでございますので、そういう意味におきまして、私は前々から警察官の教養の重要性に着眼いたしまして、警察官の質的向上をはかる教養にはかなり力をいたしておるのでございまして、将来もまた、その方向には最善を尽したいと考えておるのでございます。と同時に、先ほども申しましたように、警察機械化、近代化と申しますか、いわゆる科学的な施設、設備を充実するとこによって、人力に頼らないで、機械力によって警察力を充実するということも考えていかなければならぬということは申すまでもないことでございます。そういうふうにいたしましても、それには、先ほど申します通り国家財政、その他いろいろな制約がございまして、おのずから限度がございますので、それでなおかつ足りないときには、警察官の頭数をふやすということもあわせて考えていかなければならぬ、こういうふうに私ども申し上げたつもりでございますが、確かに昭和二十九年の制度改正のときには、今まで細分化されていた小さな自治体警察が一本に統合されて、都道府県単位の自治体警察ということになるので、組織が大きくなることによって能率的運営がはかり得る。従って、ある程度の人員の縮減が可能であるという結論を出したのでございますが、それは当時を今から振り返って考えますと、たとえば犯罪発生の状況一つを取り上げてみましても、戦後逐年増加しておりましたあの犯罪の発生の傾向が、二十八年が一番少い数字になっておりまして、大体、戦後数年を経まして、もうこの辺で国民生活も相当安定を見たものでありますから、今後さらに犯罪が減るという方向はたどらないまでも、少くとも横ばいの程度でいくであろうというふうに、当時われわれは判断をしておったわけでございます。しかるに、不幸にいたしまして、現実は二十九年以降、また再び犯罪は増加するという傾向を示しているのでございます。御承知の通り、二十九年、三十年、ずっと逐年調べてみますと、漸次また上昇カーブを描いておる。しかも、ただ単にそれが数的に増加しておるのみならず、犯罪が質的にも悪化をしておる、こういう傾向もございまして、それだけ警察官の負担は重くなってくる。二十九年の当時のわれわれの将来の見通しが甘かったといわれれば、これはまことに不明のいたすところと言わざるを得ないのでございますが、現実がそういう状況に相なっております関係上、やむを得ず、その後において整理すべかりし予定の計画を変更せざるを得ないということに相なったのでございます。ひとり犯罪の発生のみならず、あるいは逐年増加しております交通事故の状況等から見まして、交通取締りについても警察力を相当に充てなければならぬといったような状況、また、国交回復によって外国との往来もひんぱんになるようなことになりまして、いわゆる外事方面の仕事もふえて参っておるというような、いろいろな要素が山積せられまして、二十九年制度改正当時の客観情勢と異なった、いわば警察的にはそれだけ警察の負担が重くなるような幾つかの要素が積み重なりまして、警察官のそれだけ負担が重くなったということから、警察力はある程度これに対応した増強をはからなければならぬ。従って、先ほど申しました通り、そうした新たなる理由に基く新規の増員をするかわりに、整理すべかりし予定の計画をストップするという措置をとらざるを得なくなったというのが、今日までの状況でございます。二十九年の制度改正当時のわれわれの見通しが誤っておった、甘かったということでありますならば、これは甘んじてその御批評をお受けしなきゃならぬと思いますが、その後情勢のそういう変化に即応いたしまして、今日とっておるような措置をとらなければならなかっという点を御了承願いたいと思います。
  52. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私は人員をどうこうするということに実はあまりこだわらないのです。そんなことよりも、あなたの方が早期に国家の予算を取っておるわけです。機械化の方にやっていくという、一つの近代化してくるとともに、警官の質的向上のために、たとえば教養費をたくさん取っておるとか、あるいは装備の予算がたくさん取られておるというならば、何でもないのです。ただ人間を増すだけで事を解決されるとされたら、警察は旧態依然たる警察になってしまうと思う。だからそういう観点に立って、私は質問をそういう立場で実はしておるのです。ですから質的に、私はよくわかりませんが、予算を見ると、学校施設整備費ですから、学校が全部でき上ったのだから予算が減ったのだとおっしゃるならそれでよろしい。それからあとの教養費というのは、どこにあるかわかりませんが、かりに学生教育委託費というのを見ましても十五万円去年よりも増加になっておる。もう少しこういう教養費などにも私は予算がふくらんでくるというなら、一つまず警察官自身の質的な変化があるということが言えると思う。ところが、何にもその予算の裏づけのない、長官からお話を聞いておっても、それじゃ私は納得することができない。それが第一です。  それからもう一つは、先ほど衆議院の予算にも付帯決議がありましたように、装備は大体三億前年度よりもふえております。これが一つ補助金のような格好になって、地方自治体においてある程度これを負担していくという制度にした方が、自治警察の建前からいって、むしろ機械化という方がいいのじゃないか。あなたの方がこういう国庫支弁金で、国から予算をたくさん取って一つ十分やろうというような、そういう観念に立っておられると思う。ところが、一向実績は上っていないじゃないか、だめじゃないか、こういうことが言いたいわけなんです。ですから、そういうものについて、私は何度お話を聞いたって、長官、そのお話はいいですよ、裏づけがなければだめです。こういう点を言っておる。そうして、それについてネックがあるとするならば、どういうところにネックがあってこういうことになってしまっておるか、その辺のところを承わりたい。
  53. 石井榮三

    政府委員石井榮三君) 警察教養の重要なことは、私先ほども申し上げた通りでありまして、この点では私どもも非常に深い関心を持ち、また現実に努力いたしておるつもりでございます。予算の面におきましても、警察教養、三十二年度は四億五千九百八十二万余でございますが、三十三年度は四億六千七百二十八万余というふうにふやしておるつもりでございます。また警察装備につきましても、三十三年度は七億六千百四十七万余でございますが、三十三年度は七億八千二百二十二万というふうに、これまたある程度増額をいたしておるのでございまして、警察装備につきましては、さらに補助金の対象になっておりまして、各府県で調達し、その半額を補助金でまかなうというものもございますが、この警察装備に充てております今申しました七億八千万何がしは、これは中央で全国一律にめんどうをみて上げなければならぬような性格のものをここで考えておるのでございまして、と申しますのは、貧弱な県におきましては、その県独自のやり方にまかせるということにいたしますと、どうしても財政の関係から十分なことができないということになりますと、全国的なある程度の水準というものを保ち得ないということになってはいかがかという観点からいたしまして、必要欠くべからざる、また相当金を要するものは国で直接めんどうをみて上げるという建前の方がいいのではないか。たとえば、いわゆる警察車両といったようなものは国費で全額を支弁をするということにいたしておるのでございます。警察装備の中でも金を要しないものは府県で調達し、その半額を国で裏づけをする、こういう考え方をいたしておるのでございます。全国的なある一定の水準を維持するために、そういった措置が実情に即しておるのではないか、かように私ども考えておるのであります。
  54. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私は一番最初に、犯罪傾向のときに、一体都市が多いか農村が多いかということをお尋ねしたのは、私は農村には犯罪というものはふえていないじゃないか。結局いわゆる大都市といわれる地方、財政的に見れば富裕府県、交付税等の要らない、そういうところにうんとふえておるというふうに、実は自分勝手にきめておる、と言うと悪いのですが、実は犯罪傾向はそうではないですか。
  55. 石井榮三

    政府委員石井榮三君) 犯罪の発生の傾向でございますが……。
  56. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 都市か農村かという、その傾向、それを知りたい。
  57. 石井榮三

    政府委員石井榮三君) 数的には、何と申しましても都市の方が多いと思いますが、最近犯罪が非常に広域化するという傾向にあります。従って、農村といえども必ずしも平穏無事というわけでもない。犯罪はやはり都市といわず農村といわず、増加の傾向にある。しかも犯罪が今申します通り質的に悪化しておると申しますのは、いわゆる凶悪犯、粗暴犯といったようなものが多いといったような面もありますが、同時に、交通機関の発達等によりまして、広い地域にまたがって犯罪が行われておる、いわゆる犯罪の広域化、さらにまた、単独犯でなしに集団による犯罪が多くなってくる。あるいはその初犯者の数もさることながら、再犯者の数がふえておると、こういったような、質的に犯罪が悪化の傾向にあるということが言えるのでございます。御指摘の都市と農村だけを比較するならば、それは数の上では都市が圧倒的に多いことは申すまでもないことでございまするけれども、農村地帯においても犯罪の傾向としてはふえておる。要するに全般的に犯罪は量的にふえ、かつ質的に悪化と、こういうまことに好ましくない様相を呈しておるのでございます。
  58. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 長官といろいろやっていると、どうも私はピントが、私の方の合せ方が悪いのか、あるいは長官の方が悪いのか、非常に不満足なんですが、それはそれとしてこういうことなんですね。一つの名古屋に私は例をとりますが、あそこは定員が三万六千人あった。ところが二十九年の警察法改正によりましてそれが千名減って二万六千名になった。まあ早い話が、交通の取締を一つやろうとしてもなかなかできていかない。それでは、それに機械化の問題についても、自費でやっていけば幾らでも熱を入れてやっていける。ところが一つの県警察になれば、そういうことについても熱の入れ方が足らぬと、こういうことを言われれば言われぬこともないけれども、どうもひとのもののようにして、なかなか熱が入らないということを、機械方面の人からしばしば聞かされておる言葉なんです。ですから、一番最初に尋ねました一つの、国庫支弁とあるいは補助金との関係を私は一つ、もう一度犯罪傾向等とにらみ合せて、一つの方法として、私は十分検討をしていかなければならぬじゃないか。とにかく装備費というものを予算で見ると、私どもわからないのは、あなたの方から三つの資料を持ってきている。片一方の方には、警察装備に必要な経費として七億八千万、こちらの方は警察装備費として十一億となっていて、こちらの資料によると、前年度に比較して約三億、一億九千万もふえておる。どういうのか、ちょっとわからぬですがね。私の持っている資料、おかしいのじゃやないかな。
  59. 小林武治

    委員長小林武治君) ちょっと速記とめて。    〔速記中止
  60. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記つけて。
  61. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 くどいようですが、私は一つ十分警察が、こいねがうのは、人間をふやすのもさることながら、その前に一つ十分機械化してもらいたい、わゆる質的によくなってもらいたいということを、警察官自身も含めて、一つ十分そういう方向に努力してもらいたい。私は非常に熱意が足らぬじゃないかということを申し上げると、少し言葉がきつくなるかもしれませんが、十分御努力にはなっておると思いますけれども、一つ質的に十分りっぱな警察になるということを心から願っているからそういうことを申し上げます。
  62. 小林武治

    委員長小林武治君) それでは、午前はこの程度で休憩いたします。    午後零時五分休憩    ————・————    午後一時五十八分開会
  63. 小林武治

    委員長小林武治君) 委員会を再開いたします。  午前に引き続き、警察法等の一部を改正する法律案について質疑を行います。  質疑のおありの方は御発言を願います。
  64. 鈴木壽

    鈴木壽君 保安局ができたことについて、まあ少年の防犯等に従来より一そう力を入れるというような御趣旨のようでございますが、けっこうだと思いますが、ただ、地方の警察に、もちろんこれはこちらと同じような組織ということは望まれないにしても、やっぱり地方の警察で、この面を特に最近強い手を打たなきゃいけないのじゃないかということを考えさせられるいろいろな事例があるわけなんでございますが、それに対してどのようにお考えになって、どのように指導なさるのか。それから特に金の面なんかでも、これはいろいろ問題があるわけなんです。私、すぐ人をふやせとか何とかいうことを言うのじゃないけれども、しかし、ある程度の動きをするためには金がなければいけないことも事実なんです。県なんかも多少の金は見ております。たとえば五十万なり六十万というような金は見ておりますけれども、そういうことでは十分でないので、ある。しかも県でそういう金を出す場合には、まるまる持ち出しというような格好でないかと思われるのですが、そういうことに対して今後どのようにやっていかれるのか、一つお開きしたいと思います。
  65. 増井正次郎

    説明員増井正次郎君) 少年警察の指導と申しますか、方向と言いますか、そういう方向をどういうふうにやっているかということでございますが、まあ地方におきましては、主として問題少年を早期に発見いたしまして、そして自後補導の適正を期すると申しますか、処遇上の適正な措置を行うということが一つの任務でございます。それから、さらにもう一つの任務といたしましては、青少年の犯罪を助長するような環境の浄化、少年の福祉を書する犯罪の取締り、この二つの面を警察みずから行う任務としてやっておるわけでございます。それとからみまして、それぞれ地方におきましては青少年問題協議会等がございますが、そういう連絡調整ないし総合的な対策を計画するというような係りがございますが、そういうような関係機関と十分に連絡をとりまして、警察だけでできない事柄は、その方面の関係機関でやっていただく、そういうような方向で進めて参りたい。そこで、それにつきましては、たとえば具体的なことはどういうことをやっておるかということでございますが、まず、私ども一番大切なことと思いますのは、そういう少年を扱う適正な処遇をでき得るような専務者という人、それから、それ以外におきましては、捜査係とか、外勤係とかいうような人が各署におりますが、こういう警察全体におきまして、少年の扱い方、そういうふうな問題につきまして十分な協力を徹底して行くということを、まず第一にやることだというふうに指導いたしております。それからもう一つは、地域の団体、地域社会の人々とも協力をしまして、そうして少年警察実態と申しますか、そういうことを認識していただかなければならない、よく御理解願う。それから青少年犯罪の実情をお伝えいたしまして、そういう地域社会の人々が、それぞれの御自分の立場でなさなければならないというような問題につきまして問題点を訴える。こういうような事柄を行うような方向で具体的に指導いたしております。さらに具体的な、それに関連いたしまして、場所によりますと、特に犯罪の多いような所、それから犯罪少年の多数おるような所、そういう所には関係機関が集まりまして、青少年非行防止地区と申しますか、言葉は別といたしまして、あるいは保護育成とか申しておりますが、そういう特定な地域につきましては、特にそこへ関係機関の力を集中して、青少年犯罪あるいは非行防止をしようというような方向にやっていこうと考えております。
  66. 鈴木壽

    鈴木壽君 少年あるいは青年の非行防止をする非常に大事な仕事が、現在問題にされながらも、しかし、あまり強力な手が打たれておらないことは事実だろうと思うのです。私何も警察だけにこの責任を負わせるというような意味はもちろんございません。しかし警察が、いま少しく積極的にこの問題に取っ組んでやることによって、たとえば学校との協力とか、あるいは地域社会との協力とか、こういうことをいま少しく積極的にやることによって、この防犯という仕事が、あるいは非行の防止という仕事が、もっとよく行くのじゃないかと思われる事柄も幾つもあるわけです。警察の方では、学校で何をしているのだというようなことを言ってみたり、あるいは学校で早く知らせてくれればいいものをということを言ってみたりしておるけれども、自分たちは何をしているかというと、そういうところに、ただ高くかまえておるという状況じゃないか。そういう例を私過去において見て、おるのですが、そういうことじゃなく、やはりこちらから学校を責めるだけじゃなしに、学校の方へ十分積極的な連絡をとり、協力を求める。あるいはまた、地域社会の人々に対しても、そういうようなことをするということは、私は必要な点じゃないだろうかというふうに考えるわけですが、今のお話で、そういうことをおやりになるということで、まあそれはけっこうなことだと思いますが、単にこれはあなた方がここで考えておることだけでなしに、いろいろな機会に、第一線と言いますか、地方の警察の方々に対しても、特にそういうことを私御指導願いたい、こういうふうに思うわけです。それから、何かやはりそういうふうな問題をやる場合に、多少の経費がかかることも、これは確かでございますから、先ほど私申し上げましたように、そういうことも、ある程度何かの形の援助と申しますか、補助と申しますか、そういうことがないと、たとえば協議会を開くにしても、あるいは何か連絡会を開くにしても、場合によっては交通費とか、あるいは多少の会議費というようなものもなければいけないこともあると思いますので、そういう面でも一つ考えていただければと思うので、私全部のことを知っておるわけじゃありませんけれども、過去の見てきたことから、そういうふうに考えるのですが、そういう経費問題はどういうふうにやっておるのでございましょうか。
  67. 増井正次郎

    説明員増井正次郎君) 予算関係でございまするが、全体の少年補導と申しますか、特にそのために予算としていただいておりますものは、県費の補助額といたしまして六千四百万円、それに対しまして対応額といたしまして同額を加えまして、一億三千万近い予算を少年警察運営のために現在いただいておるわけであります。そのほかに国費といたしましては、少年の福祉を害する成人犯罪、いわゆる人身売買事犯の取締りに要する費用を少年警察に関連する費用として、国費関係で補助金以外に一千四百万円ほどいただいて、予算として計上いたしております。この額は、昨年と本年度と大体同じ程度の額でございます。地方におきましては、それぞれ地方の実情に応じまして、先ほどの協議会だとか、あるいは懇談会であるとかというような費用がかかるようでございますが、予算の範囲内で、でき得るだけのことは、補助あるいは国費の関係予算の範囲内でできることは、それによってやっておるようでございますが、それに足りないという場合も、たとえば、ただいま申し上げましたような非行防止地区の推進というようなものになりますと、単に警察だけの機関の関係じゃございませんので、青少年問題協議会を中心とした関係機関が集まりまして、そういう問題について協議、懇談あるいは対策を進めるということになりますので、中青協の方の予算、あるいは都道府県費における県費支弁ということで、この経費をまかなっておるのであります。
  68. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは要望になりますが、先ほど言ったことの繰り返しみたいになりまして恐縮ですが、やはりもっと私は地方の地域社会の人たちと解け合うようなそういう態勢、そういう姿勢で一つこの問題と取り組んでいただきたいと思うのです。何か悪いことをした子供のものだけを対象にするようなことでは、これは防止ということに役立たないという意味じゃございませんけれども、それだけでは私足りないと思います。ので、もちろん私は、先ほどこれもまた申し上げましたように、何も警察だけでこの問題の責任をとれとかいう、そういう問題では私ないと思いますけれども、しかし警察で、これはもっと積極的に地方の人たちと十分そういう問題について話合いをするなり、あるいは予防対策をすることによって、憂うべき青少年問題ということの解決に非常に役に立つ面が出てくるのじゃないかと思いますので、そういうことを一つ要望しておきたいと思います。  それから別の問題でございますが、今度の機構改革で警備部が警備局になって、警備第三課ができることになっておりますが、従来の一課、二課、これの仕事から、第三課の仕事は一体どういうことをなさるのか、これは参考のためにちょっと聞いておきたいと思います。
  69. 坂井時忠

    政府委員(坂井時忠君) 第一点の青少年の問題につきましては、全く鈴木先生と同じ気持でやっていきたいと思っております。  それから警備第三課の問題でございますが、警ら交通課を新しい保安局に移したあと、警備部の所掌事務を全般的に一応検討いたしまして、いろいろ研究を進めておりまして、まだ結論には達しておりませんが、一応、三課を設けたいという気持でおります。新しく設けたい三課というものには、どういう仕事をやらせるかと申しますと、災害警備の関係の仕事、従って消防機関あるいは水防機関との連絡、それから警備法令、いろいろ法令の研究調査が必要でありますが、そういうもの、それから一課、二課がどちらかと申しますと、現象面に追われる仕事をいたしますので、ここでは、じっくり資料整備して行きたい、こういうふうな関係で、資料整備・保存・いろいろの調査研究をここで基本的にやっていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  70. 鈴木壽

    鈴木壽君 災害警備の問題、それから法令の整備、あるいは資料整備というような問題を中心にというお話ですが、警ら交通で従来やっておりました仕事のうち、今度新しく保安局の方に移ってきた仕事、これからいたしますと、まだ残っておるものがかなりあるわけなんですが、これは一体どこのところに包含されて今度新しく出発されるわけですか。今お話のことだけを主謀にするということになりますと、警ら課、交通課という新たな課ができまして、そっちの方に移って行く仕事のほかに、従来、警ら交通課においてやっておった仕事がまだ残っておるわけですね。
  71. 坂井時忠

    政府委員(坂井時忠君) 現在、警備部の警ら交通課でやっておる仕事のうち、警らの関係、交通の関係は新しくそちらに行くわけでございます。従いまして、それ以外のやつは警備部に残る。もう少し詳しく申しますと、緊急事態の場合のいろいろ計画実施に関すること、それから現在、警備、警衛の関係は、やはり保安局の方に参ります。それから警備実施、治安警備と申しますか、そういう面は警備三課に残したい。それから機動隊に関することも同様でございます。災害に関することも同様でございます。従いまして、御意見がありました通り、この警ら交通課のうちにあります警らと交通と、それから警衛警護の関係、そういうものが保安局に移る。あとは大体警備部に残りまして、三課に残る、こういう関係になろうかと思います。
  72. 鈴木壽

    鈴木壽君 これはいつごろあれですか、これはまあ政令できめることになると思いますが、いつごろきまりますか。
  73. 坂井時忠

    政府委員(坂井時忠君) 行政管理庁と協議いたしまして、さらに法制局から閣議を経てきまるわけでありますが、現在、行政管理庁と協議中でございます。
  74. 鈴木壽

    鈴木壽君 ですから、いつごろそれがきまって、政令として出されるのかということです。
  75. 坂井時忠

    政府委員(坂井時忠君) この警察法を、でき得べくんば四月一日から実施いたしたいと思いますので、この関係の課制度の問題も、これと歩調を合わしたいという気持で、今準備を進めております。
  76. 鈴木壽

    鈴木壽君 それからいま一つお尋ねいたしますが、これは前の委員会でも、どなたからかお尋ねがあったわけですが、北海道の警察本部と、それから方面本部の問題でございますが、まあ考えようによっては、御説明にもあったように、道の警察本部のあるところに方面本部は要らないというような考え方も私はあると思います。ただしかし、北海道に五つの方面本部を置いて、そうしてそれぞれ方面公安委員会というものが置かれて現在までやってこられた。で、道の警察本部のあるところだけがまあなくなって、従ってそこの公安委員会もなくなると思うんですが、これについて私考え方を申しますと、何かやっぱり、土地の事情に十分マッチさせるような今までの仕組みと、そうでなしに、今度は新しく上からすぐその地域に対してのいろいろの問題の処理がなされるというような感じがするわけなんですが、一体今までおやりになって、どこがどのようにいけなかったのか、今回特にこういうふうに改めなければならなかった理由について、いま少し御説明願いたいと思うのです。
  77. 坂井時忠

    政府委員(坂井時忠君) この前、長官からも御説明申し上げたと思うのでありますが、北海道という一つの自治体、これは各府県と並んだ自治体の北海道があるわけでございますが、その北海道という道単位の警察を二十九年の改正によって作ったわけです。ただ、その道警察という自治体警察、それの内部組織をどうするかという問題につきましては、当時もいろいろ議論があったと思うのでありますが、とりあえずの措置といたしましては、旧警察法の五つの方面というものを一応尊重いたしまして仕事を進めるということで、五つの区域に分ち、それぞれそれに公安委員会を作ったわけでありますが、その後の実績にかんがみまするというと、道という自治体警察の建前上、地元の札幌方面というのは直轄でやっていっていいではないか、やはり道の公安委員会というものがあって、それが北海道の中心部である、札幌方面というものを直接やっていっていいじゃないかという議論が地元に非常に強く起りまして、これは道庁あるいは道議会の空気もあると思うのでありますが、そういうことで今回、他面、人員の能率的な活用というような面もありまして、札幌方面を廃止することにいたしたわけであります。ただ、そういう理屈から言いまするというと、ほかの四つの方面本部も道自治体警察だから要らぬじゃないかというような議論にもなろうかと思いますが、ただ、北海道はああいうふうに非常に広い土地でございますので、やっぱり道公安委員会と非常に距離が離れておりますところ、道公安委員会が所在しておる札幌市と非常に離れておるところにおきましては、やはり公安委員会というものが必要ではなかろうか、たとえば道路交通取締法によっていろいろ行政処分をする、その際、公安委員会の聴聞会を開かなければならぬのであります。が、函館とか、あるいは釧路、北見というようなところから、札幌の道公安委員会まで出かけて行って聴聞会を開いてもらうということは非常に不便だ。従って、それぞれ公安委員会を置いておく、こういうことで、北海道の特殊な情勢考えまして、四つの方面本部はそのまま残す、四つの公安委員会もそのまま残しておく、こういうふうに考えたのでございます。
  78. 鈴木壽

    鈴木壽君 お話からは、積極的に従来の五つの方面委員会のうち、一つ札幌地方のそれを廃止しなきゃいけないという積極的な理由は、今私は聞かれなかったと思うわけですが、それは空気としてどうも重複するような感じを持ったり、要らぬじゃないか、あるいは人員の経済的な使い方等からして、なくした方がかえっていいのじゃないかというような今のお話からだけでは、私はやはりこういう一つの組織の問題は、そういうことももちろん考えなければいけませんけれども、もっと、いわゆる道に五つのそれができたという、その当時作らなければならなかった、そういう考え方の底には、やはり各地方に即した、土地の事情に即応した、何と申しますか、警察行政と言いますか、ちょっと言葉が私は足りないかと思いますが、そういうものがいずれ必要だという考え方からしますれば、ちょっとおかしいことになりはしないかと、こういうことを私は第一番に考えるわけなのです。ですから、こういうようなところに、どうもうまくいかないというような事柄が、ただ単なる空気とか、どうもうまくなさそうだという、そういうことだけでは、私は何か物足りない感じがするわけでお尋ねしておるわけですが、いま少し、現在よりも、なくした方がいいという積極的な理由ですね。あるいは従来のままでは、こういううまくないところがあると、こういうものが説明の中にあってほしい、私あらためてそういう点を一つお聞きしたいと思います。
  79. 石井榮三

    政府委員石井榮三君) 実は二十九年の制度改正の際に、北海道五方面、それ以前はあったわけでございますが、そのうち道警察本部の所在地である札幌方面本部は、そのときに、実は今考えておりますような構想に基いた改正をすべきであったのでございます。当時もそれが一応話題にはなったのでございますが、御承知の通り、五つの方面にそれぞれ分れておりましたし、その方面内の幾つかの自治体警察を一本に統合しなきゃならぬというような、過渡期のそういった事態を処理するためには、従前のままの姿で、事情のわかったものが一応そうした一元化する、統一化する仕事を引き続きやった方が、実情に即し、また便利であろうということで、とりあえず従前の姿のまま、五つの公安委員会、方面本部というものをそのまま残して、新しい出発をした方がよかろうということで、当時そういうふうにいたしたわけでございます。その当時から、道警察本部の所在地は道警察本部が直接指揮監督して十分事足りるので、そうしたことの方が人員の節約にもなるし、事務の能率的運営も可能であるということは当時からも考えていたところでございます。今申し上げました通り、その方面の数多い自治体警察を統合するという大事な仕事を円滑にするために、しばらく従前のままの姿でスタートした方がよかろうということで、現在の姿でそのままスタートをしたわけでございますが、自来三年有半の経験に徴しまして、やはりこれは、この辺で道警察本部の所在地である札幌方面は廃止をして、それによって人員の節約をはかり、事務の合理化をはかり、節約できた人員を他の必要な部面に重点的に配置転換をするということが、北海道警察全体の強化になり、警察活動の地に即した能率化に役立つのではないか、こういうことを考えたのでございます。その他の方面につきましては、先ほど官房長がお答え申しました通り、北海道の特殊事情のもとにおきまして、現在の通りにした方が道民のために便宜でもありますし、警察運営の方面から言いましても、その方が合理的であると、かように考えまして、他の四方面につきましては、現在の姿のままで今後も行くべきものであると、こういうふうに考えたのであります。
  80. 鈴木壽

    鈴木壽君 私のお聞きしたいことは、やはりお答えいただけないようでございますが、それは人員を、何と言いますか、うまく使う点からいってやるというようなことは、これは一応私もわかります。わかりますが、しかし私は、あすこに方面本部を設けて、同時に公安委員会を設けてやるということは、これは精神の上からいってもおかしいのです。こういうことになると思うのですよ。私は自分の考えをこの際率直に申し上げますと、札幌と、どこか他の所を一緒にして四つにするというなら、これは、当時できたそのものの仕組みの精神からいっても私はそれでいいと思う。ただし、そこだけが道本部の直轄地域になる。他は方面の公安委員会、方面本部があるのだ、こういうことは私はやはり変な姿になってくると思うわけです。数のことを私は申し上げておるのではなくて、数は三つでも四つでもいいと思う。しかし、できたその当時の仕組み、考え方からしますと、やはり道本部というのがあって、道の公安委員会というものがあって、その下に、その下にといっては悪いかもしれませんが、地域ごとに、一応、下という言葉を使ってもいいと思いますが、地域ごとにそういうものができて運営されるという、そういう仕組みだと思う。私はそれはそれなりに正しいと思うので、先ほども申しましたようなことを言うのですが、もし札幌のそれと、近くの、たとえば旭川なら旭川というその地区を一緒にして、全体の数を四つにするということだったら私は合理的だと思うのですけれども、どうもそこだけが、人の問題だとか、あるいはもっと言えば、簡素化というような言葉ですね、そういう言葉でなくしてしまうということは、私は道の全体のこういう仕組みを作った精神からすれば、おかしいのではないか、こういうことなんです。従って、ぜひともそうしなければならないところの積極的な理由は何か、どうしても道の本部、道の公安委員会、その下にあるところの札幌方面の公安委員会並びに方面の本部との間に、仕事の面で、どうしてもいろいろのことで、これはまずいのだという、何か具体的なことでもお聞かせ願えれば、私はあるいは自分の疑問に思っておることが氷解されると思うのですが、今のお話からすると、どうも抽象的な、当時もそういうことに考えたということだけ、あるいは人員の効果的な使い方ということだけで、全体の仕組みの精神が私はぶちこわされるようなことでは困ると思うのです、こういうことなんです。かりに通信という、そういう一つのことだけであるならば、これは寸時を争うようなこともございましょうし、何か今までこっちにルートがあって、それからまたごつちへ回ってきた、迂回ルートのようなものをまっすぐにしたというなら、こういうことならわかるのでありますが、これは警察行政全体にわたるそれなんですから、しかも何べんも申しますように、その上に管理する公安委員会というものがあって、そういう管理のもとに動くそれなんですから、北海道の中に、性質の違った、あるいは次元の違ったそういう委員会のもとにある警察の本部が存在するという、こういう格好になって、私は筋道からして、どうもこれは納得できないと思うのですが。
  81. 坂井時忠

    政府委員(坂井時忠君) 鈴木先生のおっしゃることよくわかるのでありますが、先ほど申しました通り、道という一本の自治体警察である、従いまして、五つに分れておりますが、その五つの本部に勤務する警察官が全部道本部長の任免権に服しておる。道本部長は道の公安委員会の管理下に服しておるわけです。そこで五つの方面本部というのを従来設けておったのは、単に土地が広かったというだけのことにも考えられるわけでありまして、道の公安委員会に直接いろいろの訴えなり、あるいは聴聞会なりに出てこられる、札幌方面はなくてもいいじゃないか。また反面から御説明申し上げますと、道の組織というものがあって、その下にさらに札幌の組織というものがある限り、やはりまあ二重の組織になってしまう。札幌方面の中にある一つの殺人事件が起ったとしますと、道の議会でまず問題になるわけです。道の議会でいろいろ、質問なり御意見がある、それに対しまして、道の公安委員会なり、道の本部長が答弁をするわけでございます。その際、札幌方面の公安委員会というのは別に出て行くわけじゃないのでございまして、道の公安委員会、道の本部長がすべて責任を持つわけでございまして、しかも、この札幌方面というのは北海道のうちで一番重要な地位を占めておるわけでありまして、道の議会あたりで一番問題になるところでございます。そうしますと、やはりそこの直接の管轄下に置いた方が道議会としてもやりやすいし、また、責任を持っておる警察の組織としても、一本の責任を持った方がよくはないか、こういうことを考えておるわけでございます。
  82. 鈴木壽

    鈴木壽君 今の官房長お話ですが、それならあれですか、道議会に問題になる場合、これはやっぱり道の警察本部という立場で、道の公安委員会という立場で、たとえば説明したり答弁する、これはその通りだと思うのです。ほかの方だってそうやるのでしょう、ほかの方でも。札幌に限らずですよ。これはやはり最高の責任と言いますか、管理の責任は道本部にありますし、道の公安委員会にありますから、それですから、ほかの方の他の四つの場合だって、それはあり得ることだと思うのですし、また、そうなければならないと思うのです。場合によっては、あるいはもっと具体的な何かこまかい問題等については、あるいはその下の方面のそれとあってもいいと思うのですが、私は形の上では、あくまでもやはり道の公安委員会なり、道の警察本部が答弁なり、説明の責任にあるものだと思うのです。ですから、そのことだけで札幌はどうとかということは、それは全部に通じる話なんです。
  83. 坂井時忠

    政府委員(坂井時忠君) おっしやる通りでございまして、道の管内に起った事件は、すべて道議会に対して道の公安委員会が責任を持つわけでございます。ただ、地元の事件が非常に多いということが一つ、それから鈴木先生の御議論の通り行きますというと、函館も釧路も北見も、そういうところも方面本部なり、方面公安委員会は要らぬという議論にもなりかねないのですが、それもやはり置いておかないと、先ほど申しましたように、道路交通取締法に基く聴聞会とか何とかは、一々札幌まで出かけて行かなければならぬということになりますので、不便である。だから東京に例をとりますと、東京都の公安委員会の下に、それじゃ旧都内の公安委員会というものを作って、そこにまた本部を置くかというような問題と同じでございまして、そういうようなところは、やはりなくてもいいじゃなかろうか、こういう考えでございます。
  84. 鈴木壽

    鈴木壽君 私はそんなことを聞いて、いるのじゃないですよ。あなた方の考え方が少し筋が通っておらないというふうに、私だけの考え方かもしれませんけれども、そういうふうに感じるから言うので、何も各方面委員会のそれをやめてしまえとか、そんなことを言っているのじゃない。むしろ、私は今まであったその精神でやったらいいじゃないかということを根底の考え方として申し上げている。ただ、最高の責任は、あなたがさつき引例されました道議会における答弁とか、説明とかいう場合に、これはやはり最高の責任は道の公安委員会なり、道の警察本部でなすべきだ、こういうことだけなんですよ。だから必要によっては方面のそれも出てくることもあるでしょうし、説明をしなければならぬということもあるでしょうから、それは私は何も否定しません。ただそういうことだけで札幌は要らないのだということにならぬのじゃないか、こういうことなんですが、あなたの説明では、道議会で説明するのは道の公安委員会であり、本部であるから、札幌の地元のことは、そんなものなくたって、方面のものはなくてもいい、こういうあなたの御説明でしょう。それじゃ私はおかしいのじゃないか、こういうことなんです。だから一つのシステムがあって、その上に何と言いますか、道の公安委員会があり、そして方面の公安委員会があり、方面の本部があるでしょう。そういうシステムを特にこわすようなことを私は考えることはいけない。やはりその地域に即する、あるいは土地の事情に即するところの警察行政をやるためにできた、そういうものであるから、この札幌だけとってあとは従来通りであります。これでいかにも能率が上ったというふうに考えるかもしれませんが、それは今私の言ったシステムを流れるところの精神をこわすものじゃないか、こういうことなんです。もっと申し上げますと、先申しましたように、もし札幌では、そういうかりに問題があったとしても、札幌とどこかを合わせて、全体ある道の五つのうち四つにしたとか、三つにしたとかというのなら私はわかります。しかし、そこだけをカットしてまって、他は依然として残して置くところに、私は一つのおかしい組織の上から問題が残るのじゃないか、こういうことなんです。私は何もほかのものをやめてしまえとか、そういうことでないので、そこで、そういうものをあなたがカットしなければならないというところに、何か積極的な理由があるのか。従来やっていて、こういうところはまずい、あるいは、こうすればどのようによくなるのだ、こういうことをもっと具体的に聞かせてもらえないか。単に人間の配置とか、経済的な使い方ということじゃなしに、もっと根本的なことがありはしないかと思っているので、それをお聞かせ願いたいと思っているのです。どうぞはぐらかさないようにしてください。
  85. 石井榮三

    政府委員石井榮三君) 御承知の通り、各府県府県警察本部がありまして、管内の各警察署を直接指揮監督いたしておるわけでございます。北海道も他の府県と同じように一つの自治体でございますので、本来ならば、北海道警察本部が道内の各警察署を直接指揮監督しているはずでございます。しかし、北海道はあの広い地域でございますので、従前から、その特殊性にかんがみまして、道内を五つの方面に分けて方面本部を置き、方面公安委員会の管理のもとに、絶えず運営をやって参ったわけでございます。そこで、二十九年の制度改正の際に、先ほどお答えいたしましたように、北海道の特殊性にかんがみまして、この方面公安委員会のその監理のもとに仕事をする方面本部というものは、一応その必要ありという私ども結論を出したわけでございますが、ただ、地元の札幌方面のみは、道警本部の所在地でもあるので、これは直接指揮監督も可能であるし、また、そうしたことの方が人員の節約もできるわけでございますが、先ほどもお答えいたしました通り、従前、五方面に分れておりましたものを道一本にし、その各方面の管轄内の数多い自治体警察を一本に統合するという大事な仕事をやっていく上に、従前の方面本部長、さらにそれを管理する方面公安委員会があった方が、過渡期のこの大事な仕事をさばいて行く上には好都合であるという意味をもちまして、札幌方面をしばらくそのまま存置することによって、新らしいスタートを切るのが当時の情勢としては自然である、また必要であるということからして、二十九年の制度改正の際には、それ以前の五方面の姿をそのまま存続するということにいたしたのでございますが、三年有半の経験に徴しまして、道警察本部の所在する札幌方面は、道警察本部が直接指揮監督することによって、方面本部を廃止することによって、生ずる人員を他の方面に有効に活用することが、道警察全体の運営上非常に能率的である、こういう見地から、今回のこういう考え方をいたしたわけでございまして、札幌方面公安委員会があり、札幌方面本部があることが非常にマイナスの面があったかというと、そういうことはないのでございますが、しいて言いますならば、道警察本部の所在するところに札幌方面本部があり、いわば二重組織になっているということによって、人員がもったいないと申しますか、とかく警察官が足りないと言われておる際でございますので、これをできるだけ北海道全体に最も有効に活用する、こういう意味におきまして、札幌方面本部を廃止することによって生ずる人員を活用することが賢明ではなかろうか、こういうことで、今回のような改正案考えた次第でございます。
  86. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 今、長官のおっしゃった、札幌に方面公安委員会なり、方面本部を置くということは、しばらく様子を見るとか、あるいは暫定的にそれを認めたんだというようなこと、法文上そういう話があるのですか。あなた方どういうふうに考えたか知らないけれども、やはり五方面に置くということは、置く相当の理由があって置いたので、あなた方そういうふうに了解されているということは、ちょっとおかしいんじゃやないですか。
  87. 石井榮三

    政府委員石井榮三君) 現行法では、五十一条に、道の区域を五以内の方面に分つというふうになっておりまして、五つの方面に分つというふうにはなっておらないのでございまして、当時から、先ほど申しました通り、道警察本部の所在する地元は、道警察本部が直接指揮監督するものとした方が能率的ではないかという意見もあったのでございますが、先ほど申しました通り、自治体警察を統合するという大事な仕事をしなければならぬ際、従来の地元のよくのみ込めておる公安委員会並びに方面本部というものを、そのまま存置して、この切りかえの大作業を円滑に進めるのが望ましい、こういうことで、従前の姿をそのまま踏襲してスタートを切ったと、こういうふうに考えておるのでございます。
  88. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 経済的な問題、人員あるいは経費の問題、そういうために統合するという、直轄にするということは考えられないでもないのですが、鈴木君が言っております、つまり同じような方面同士が統合されるということであれば、これはまあ便不便という問題はあるにいたしましても、これは同質的なものが統合されるわけなんで、ところが上と下とを一緒にするということは、これはちょっとやはり根本的な考え方に、鈴木君とあなた方と意見の食い違いがある。つまり一方から言えば、できるだけ方面というものの自主性というものを尊重して行かなければならぬ。だから方面同士が統合するということは、これは地理的にいって不便ということはあるかもしれないけれども、それは同質同士の統合だから、これは鈴木君としても文句言うところでない。ところが上と下、異質と言いますか、権限あるいは職務、そういうようなものの違った内容を持っておる上と下との統合ということは、これは単に同質的な方面の統合でなくて、何かそこに上から支配するといったような、そういう気持があるんじゃないか、積極的に上下を統合するということの意味が見出せない限り、どうもそこのところは変に思われる。われわれもそういうことを考えるのですが、それに対する積極的な、別に上下直轄したって、何も権限その他において変るところがないのだとか、何とかいう発言がなければ、やはり鈴木君の疑問は解明されないのじゃないか、こう思うのですけれども……。
  89. 石井榮三

    政府委員石井榮三君) 北海道の警察の運営をやって参った経験に基いての第一線の要望で、こういう案を考えたのでございまして、私どもが中央におりまして、こういうことにしたらどうだというふうに押しつけておるわけじゃ決してないのでありまして、北海道警察が三年有半の経験に徴して、こういうふうにした方が北海道警察全体の能率的運営に役立つから、今回、警察法改正機会に、ぜひ考慮してもらいたいと、こういう要望であったので、それをそのまま取り上げたわけでございます。決して上に立つ北海道警察本部の権限を強化して、現在の警察制度の運営の根本に影響を与えるというようなことは毛頭考えておらないのでございます。
  90. 鈴木壽

    鈴木壽君 今のそういうお話だと、これは道の公安委員会なり、道の本部あるいは札幌方面の公安委員会、方面本部、こういう方々に、来ていただいて、少し聞かなければいけないことになりますよ。あなた方は地元の要望によってだけこういうことをやるんだ、こういうふうな、まことに頼りのない、確信のない話をしておられる。だとすれば、これは私からしますと、道の警察の方々に来ていただいて、よく聞かなければいけないということになりますよ。やっぱりあなた方は地元の声そのものを十分検討する責任もあるし、提案するからには、確信を持った提案の仕方でなければ困ると思うのですよ。地元が要望してわるからとか、何とか……。それじゃ地元で、大きな県で二つのやはり方面本部なり、方面委員会なりほしいと言うと、あなた方オーケーと言って提案しますか。
  91. 石井榮三

    政府委員石井榮三君) 地元が三年有半の経験に徴して、こういうふうにしてもらいたいという強い要望があり、私どももその事情をよく開きまして、なるほど、これは確かに北海道警察全体の運営上合理的である、人員の節約もできて、それを必要な部面に、重点的な配置転換によって一そう能率を上げ得ると考えたから本案を考えたのでございます。決して地元の要望があるから、ただ機械的にそれを受け継いでいるだけではないのでございます。私どもも慎重に検討しました結果、そういう考え方が実情に即しておる、合理的であり能率的である、こういうふうに考えたから、こういう改正案考えた次第でございます。
  92. 鈴木壽

    鈴木壽君 妙にね、形式ばったようなことを言うのですが、やはり一つの仕組みなり、機構なりというものを変える場合には、やはり何かそういう変えなければならぬところの積極的な理由というものが、私必要だと思うのですよ。そして今回のこの改正によりますと、はっきりと、やはり北海道全体における警察行政権のあり方、そこからくる機構というものの大きな改編になるわけですね。問題は私そこだと思うのです。多少の便不便も私想像できないわけじゃありません。これはいろいろな人員の節約というようなことにもなると思いますし、そういう節約されたものを第一線に振り向けるというようなことも出てくるでしょうし、そういうことも私はわかりますが、もっとやはり大事なのは、当時そういうものを置き、そして運営して行った、行かなければならぬという精神なり、その精神に基く一つの仕組みというものは、私これは大事に考えなければいけないのじゃないか。何べんも申しますように、妙に違った系統で、一つは、札幌は地元だからといって道のそれからまっすぐにくる、道は一たん方面の委員会なり、方面の本部に行って、クッションでもないでしょうが、いずれ何かの一つ一道を通って、別の道を通って行くでしょう、私は同じ道の中にそういうことがあっていいと思わないのです。
  93. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記をとめて。   〔速記中止
  94. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記を始めて。
  95. 久保等

    久保等君 そうしますと、今回は、本問題に関するだけの改正じゃなくて、法文上の改正があるから、たまたま札幌方面本部なり、札幌方面公安委員会というようなものがなくなる、そこで「五方面以内」というこの問題が、こういったところで警察法一部改正で議論の対象になると思うのですが、しかし五以内というところに、五十一条のところでなっているとすると、これを四つから三つ、三つから二つというようなことも、法律でやり得るわけで、別に法律改正を必要としないわけですから、何と言いますか、日常の活動の中で、将来あるいは四つのものが、さらに三つになる、あるいは二つになって行くというような可能性も、これは運用面でやれるわけです。ところで、今までの二、三年の経験に徴して、五方面側のうち、道の警察本部のあるところの地元の方面本部は廃止する、それから方面公安委員会も廃止するということは、一応今日までやって参った経験なり、状況から、なくしてもいいのだという結論に達したようですが、それならばそれで、将来三つを二つに減らすというようなことは考えておられないとすると、むしろこの際、五十一条のところを五以内なんというようなあいまいなことじゃなくて、四つにするというような法律改正でもやられる御意思はないのですか。その方が、事がきわめてはっきりするし、将来法律改正をやらなくて、運用面でもってだんだん廃止されて行くという危険が、もし考えられるとするならば、そういう危惧をなくする意味から、法文の上で明確にうたった方が、私ははっきりするのじゃないか、当時の警察法改正のときには、これはやって見なければならぬというようなこともあって、きわめてあいまいな五つ以内というふうな文句の表現を使ったけれども、しかし、ここまでやって参った経験からいって、将来四つ以下にすることはないのだというところまで見通しをお持ちだとするならば、この際、法律改正で、むしろ四つなら四つというふうに明確に規定をした方が、いろいろな、とやかくの憶測からする議論もしなくて済むだろうし、非常に明確になっていいのじゃないかと思いますが、その点いかがでしょうか。
  96. 坂井時忠

    政府委員(坂井時忠君) お説ごもっともな点もあるのでありますが、現在あとの四つの方面本部及び公安委員会を廃止するというような考えは全然持っておりません。ただ、この本部を五以内というふうにしておかないと、北海道の地図を四つに切ってしまうと、やはり札幌に直轄の土地というのが出てこないわけなんです。やはり五つに切って置いて、そのうちの札幌方面が直轄になる、そういうことで、このままにしていただきたいと、こういうふうに考えております。
  97. 加瀬完

    ○加瀬完君 その五以内とするというのは、方面本部の管轄が五ないしそれ以下ということを意味しておるわけですね。そうすると、札幌方面の地域を本部に直轄さしてしまえば、その法律からいうと、少し運用上おかしいと思うのです。さっき松沢さんが御指摘になったように、質が違うのです。札幌方面地区を旭川につけるとか、どこにつけるとかいうことで、方面地区が四つあるうちの一つを減らすということならわかりますけれども、これを本部に直属させるということは、道の公安委員会というものと、方面地域の公安委員会というものは質の違うものなんですから、その法律によると、道の公安委員会に直轄させるということは、五つ以内というものが、四つでもいいのだから四つになったのだということにはならないのです。いやに理屈っぽいことを言うようですけれども、形式的にはおかしいと思うのです。質が違うものなんです。道の公安委員会の任務というものと、方面本部の公安委員会の任務というものは別なんです。質の違ったものなんです。それをどう法律的に解釈しておるのか。私はさっきから鈴木先生や松沢先生がおっしゃることを伺っておって、どうも官房長あるいは、長官お話が、ちょっとどうも法律の解釈としておかしいと感じてならないのですがね。
  98. 坂井時忠

    政府委員(坂井時忠君) 私らが誤解して聞いておる点もあろうかと思いますが、道の公安委員会というものは、道の警察事項について、あらゆる責任を持っておる、こういう大きな円と仮定します。そうすると、方面の公安委員会というものは、この中のやはり円だと思います。だから異質という言葉の取りようでございますが、私は性質はやはり同じじゃないかと、こういうふうに考えるのでございますが、私の方の間違いでございましょうか。
  99. 加瀬完

    ○加瀬完君 その公安委員会の任務というもの、 その公安委員会というものの形式的な性格というものは、同じようなもので任務は違うのです。道公安委員会の任務というものと、方面公安委員会の任務というものは、区域だけじゃないのですよ。道公安委員会というものは方面公安委員会に対して、ちょうど都道府県の公安委員会に対する国の公安委員会のような役割を一応持っておるのでしょう。上下の関係といってもいいような、国と都道府県の公安委員会よりは、もっと強い性格を持っておるわけでしょう。で、その方面公安委員会と言いますか、方面本部の地域を五つ以内にするというのは、その五つ以内の地域に分れたところで、方面公安委員会の中に規定されているような仕事をするということなんですね。その札幌方面地区というものを、そのまま本部の公安委員会に直属させてしまっては、これはその法文からの正当な解釈としては私はおかしいと思う、どうお考えになっておりますか。
  100. 坂井時忠

    政府委員(坂井時忠君) 道の公安委員会は道内の全責任を持つということで、十の責任を持っている。そのうちの方面公安委員会が残るところには、五つなら五つの責任を分ち与える。ただ、それについても道公安委員会は責任はある、そういう意味で包括しておるということで、性質は私は同じだと思うのです。
  101. 加瀬完

    ○加瀬完君 性質は同じですけれども、権限が違いますよ。五つ以内の方面地区ということは、方面地区の一つを廃止したら、その一つの地区は、どこかの方面地区にやはり加わらなければ、五つ以内という意味をなさないと思う。その方面地区がなくなってしまって本部に直属するということは、この法文上からは解釈できないと思う。そういうことをするなら、法律の文書としては違う書き方をしなければおかしいと思うんですよ、と思うんですがね、どうでしょう。
  102. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記とめて。    〔速記中止
  103. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記始めて。
  104. 坂井時忠

    政府委員(坂井時忠君) 五十一条に「道の区域を五以内の方面に分ち方面の区域内における警察の事務を処理させるため、方面ごとに方面本部を置く。」、だから方面を分って、それを処理させる方面本部を置く、そうしてその方面本部を置いたところには、公安委員会を四十六条によって置く、こういうことでございますね。従って現在考えておりますことは、北海道を五つの方面に分つことは分ち、しかし札幌と非常に離れた四つの方面には方面本部を置いて、公安委員会もやっぱり置いておく。しかし、道公安委員会ときわめて近いところは道が直接仕事をする、こういう考えなんです。
  105. 久保等

    久保等君 だから、この五十一条は、ただ平明に読みますと、五つの方面に分っておる、方面ごとに公安委員会もあるし、それから方面本部もあるんだというふうに、五十一条から見ますと、そういうふうにこれは読めますよ。だれが読んでもまたそう理解すると思う。ところが、話を聞いてみると、実際は直轄地域というものがあって、札幌地区だけについては実は方面公安委員会もないし、それからまた方面本部もないんだ、それはまた政令でできることなんだから、実はないんだというようなことになると思うんですがね。だから五十一条についても、はっきりそういう実態とこの法文とを合致させるためには、五方面に分っているんだが、そのうちの札幌方面については、公安委員会ももちろん置かないし、それからまた方面本部というものも、これは実は直轄にして、特別に地方本部というものは置かないんだ、方面本部を置かないという形にはっきり何か……。
  106. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止
  107. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記を始めて。本日はこの程度にして散会いたします。    牛後三時二十三分散会    ————・————