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1958-03-14 第28回国会 参議院 地方行政委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月十四日(金曜日)    午後一時二十九分開会   —————————————   委員異動 本日委員郡祐一君及び松岡平市君辞任 につき、その補欠として成田一郎君及 び伊能繁次郎君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委長長     小林 武治君    理事            大沢 雄一君            小柳 牧衞君            加瀬  完君            久保  等君    委員            西郷吉之助君            佐野  廣君            館  哲二君            成田 一郎君            鈴木  壽君   国務大臣    国 務 大 臣 正力松太郎君   政府委員    警察庁長官   石井 榮三君    警察庁長官官房    長       坂井 時忠君    警察庁刑事部長 中川 董治君    警察庁警備部長 山口 喜雄君    大蔵省主計局法    規課長     小熊 孝次君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   説明員    警察庁通信部通    信総務課長   今竹 義一君    自治庁行政局振    興課長     吉浦 淨真君    大蔵省管財局国    有財産第一課長 天野 四郎君    林野庁林政部調    査課長     玉置 康雄君    運輸省自動車局    業務部長    国友 弘康君    労働省労働基準    局監督課長   鈴木 健二君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○警察法等の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○地方行政の改革に関する調査の件  (新市町村の建設促進に関する件)   —————————————
  2. 小林武治

    委員長小林武治君) これより委員会を開きます。  まず、委員異動を申し上げます。  本日、郡祐一君が辞任され、成田一郎君が再び後任として選任されましたので御報告します。   —————————————
  3. 小林武治

    委員長小林武治君) これより昨日に引き続いて警察法等の一部を改正する法律案を議題とし質疑を行います。  質疑のおありの方は順次、御発言願います。
  4. 鈴木壽

    鈴木壽君 お尋ねをする前に、きのうお願いしました資料がありましたら、一つ提示していただきたいと思いますが……。  委員長お忙しいようでございますので、最初委員長お尋ねをいたしますが、今回の警察法等の一部改正の案につきまして二、三お聞きするわけでございますが、第五条の改正事項につきまして、今度新たに挿入されます「全国的な幹線道路における交通の規則に関すること。」、十四として入ります「必要な監察に関すること。」、これをまずお聞きしますが、今までの御説明によりますと、「必要な監察に関すること。」、これについては従来ともやってきたことであって、何らこういう事項を挿入することによって新しい仕事にはならないのだ、こういう御説明であります。そしてまた、それは現在のいわゆる現行法におきましても当然なすべきことであり、またなし得ることであるのだ、こういう説明がなされてきたわけでございますが、私まず第一にお聞きしたいのは、現在の法によって当然なされるべきことであり、かつなすことが可能である、こういうのであったら、新たにこういう事項を付加挿入することは必要がないのではないか、このように考えるわけでございます。従って、私どもはこういう新たな事項が加わることによって、何か従来と変った、いわゆる「必要な監察案」と称する監察が行われるのではないか、こういう心配を持つわけでございますが、この点について一つ委員長からはっきり御態度をお伺いしたい。  それから、全国的な幹線道路におきまするところの交通規制に関することでありますが、これも現在の公安委員会あるいは都道府県警察本部等の協議、話し合いによって私は可能であろうと思うし、また先日来の質疑応答の際にそのようにも答えられておりますが、これまた新たに加えなければならないところの必然的な理由があるならばお示しいただきたい。最初にまずこの二点についてお尋ねをいたします。
  5. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) まず交通の問題からお答えいたします。実はこの規定を設けることによって、特別の、今まで以上にやるというのではないのですけれども、ただ、ここに注意をしなければならぬことは、交通事故が例年非常にふえるのであります。ことに、この一両年に非常にふえたので、やはりこれは各県の連絡がうまく行っていないのではないかという心配が起りましたので、その連絡をさらに密にするために、こういう規定を設けたわけでございます。  それから第二の御質問の「必要な監察」、この「必要な監察」は、従来も監察をしたのでありますけれども、しかし、なかなかそれがうまくいかないので、なお実態を十分調査するために、特にこういう規定を設けたわけでありまして、今までの不十分な点をもう少し正確にするために、実態調査をやるために、こういう規定を設けたわけであります。
  6. 小林武治

    委員長小林武治君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止
  7. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記を始めて。
  8. 久保等

    久保等君 警察通信についてちょっとお尋ねしたいと思います。今度の警察法改正の中では、東京都の警察通信部というものが新しく設けられるようになっておるようですが、この機構増置に伴って、人員その他の措置等も伴うのじゃないかと思うのですが、この点についての御説明を願いたいと思います。
  9. 坂井時忠

    政府委員坂井時忠君) 東京都の通信関係、まあもう少しわかりやすく申しますと、警視庁警察通信というものは、現在は関東管区警察局でやっておるわけでございます。関東管区警察局の中に東京都の通信部というのがありまして、警察庁からその関東管区警察局の中の東京都の通信部を経て警視庁通信が参っておる、こういう関係でございます。しかしながら、御承知のように警視庁の他の仕事は、関東管区警察局を経由していっておるのではなくて、警察庁のじかの機関になっておるわけでございます。従いまして、今回改正しようと思いますのは、この関東管区警察局の中にある東京都の通信部というものを、関東管区警察局からはずしまして独立機関にする、そうして警察庁が直接指揮していこう、こういう関係でございます。すなわち、警視庁の他の組織といいますか、他の仕事と同様な立場に通信を置いていこう、こういうことでございます。現在この関東管区警察局の中に東京都の通信部というのがありますが、これが二百三名ほどでございます。これは東京通信部以外の関東管区警察局の二百四十七名と比較いたしまして、非常に大きな数でございまして、これは独立した方がかえって能率的であるという観点から、独立を今回お願いをいたすことになったわけでございます。
  10. 久保等

    久保等君 なお、警察通信関係お尋ねしたいと思うのですが、今、全国的な警察通信の実情がどうなっておるのか、それから特に問題等があればこの際、一応御説明を伺っておきたいと思うのです。
  11. 今竹義一

    説明員(今竹義一君) 御説明を申し上げます。警察通信はいろいろの通信方式がございますが、その第一は有線電話、いわゆる警察電話でございます。これは東京を中心に各管区警察局のございます大阪とか仙台あるいは広島というブロック・センターにそれぞれ一級線という専用線、これはあとでまたあらためて御説明申し上げますが、専用線が張られておる。それから各管区警察局所在地大阪とか広島というところから管区内の各県本部に二級線という専用線が張られております。それから各県の警察本部から県内警察署に三級線という専用線が張られております。それから各警察署から署の管内派出所駐在所に、われわれの方で四級線と称しております専用線が張られております。このように日本全国の各県警察本部警察署及び管内派出所駐在所がそれぞれ網の目のように専用線連絡されておるわけでございます。この専用線は、戦前までは実は警察自営しておったのであります。昭和二十四年に自営専用線電電公社の方へ移しまして、現在ではすべて電電公社専用線を借りるという格好になっております。大体その専用線全国の大部分の駐在所等にまで参っておりますので、市外専用線で約十七万キロくらいの長さがあるわけでございます。  こういうふうにいろいろと警察電話が張りめぐらされておりますが、そのすべての警察機関相互通話できるというわけではございません。われわれの考えでは、各県の警察本部相互通話ができる。一つの県で申しますと、一つ県内警察署はこれまた当然相互通話ができるわけであります。同時に一つ管区内の警察署相互通話ができる。それから派出所駐在所で申しますと、一つ県内派出所駐在所相互通話ができるというように、いわゆる通話帯域考えまして、そういう趣旨で交換機あるいは専用回線次整備しておるわけでございます。これが大体電話状況でございます。  その次に、昭和二十五年ごろから電話線利用しまして模写電送という通信方式を実施いたしております。これは現在では全国の各府県本部相互間、まあ紙に書いた文字でも絵でもいいわけでございますが、そういうものを、図形とか文字とかいうものを通信できるという方式でありまして、大体、一枚の紙の内容を送るのに五分くらいかかればそういうものが相互に通報できる、こういう模写電送というものがあります。これは全国府県本部相互間で実施しておるほかに、警視庁、その他一部の府県では、警察署相互間でも模写電送が送れる、こういうことになっております。なぜ、そういう必要があるかと申しますと、いろいろと警察には一齊指令的な通信内容があるのでありますが、日本ではいわゆる漢字まじりの文章を使っておりますし、また、人の名前というものは非常に書き取りがむずかしいので、そういう場合に模写電送が非常に効果を発揮しております。  次に、通信方式一つとして、いわゆる無線電信というものがございます。これは、全国の各府県警察本部相互間でトンツーの無線電信を送れる、こういうふうになっておるわけでございます。もっぱらどういう面に利用されておるかと申しますと、たとえば、電話がかなり便利にはなっておりまするが、北海道から鹿児島電話をかけるというようなことはかなり困難でありますので、そういう際に、北海道から鹿児島というような場合には無線電信を使って通報する。家出人の保護の手配とか、あるいは被疑者手配とかいうような場合には無線電信を使っております。なお、特に無線電信は、災害が起きた場合に、これがなくてはどうにもならないわけでございまして、先日も長崎県で災害がございました際、電話線は全部不通になりました。長崎県の大村災害の情報はすべて警察無線電信で送られてきたのでございます。  それから最後に、新しい通信の形として、いわゆる超短波パトロールカーというものがございます。これは今次での通信と違いまして、各府県警察ごとに運用されて使われておるわけでございます。御承知通り自動車無線機が積んでございまして、その自動車が常時パトロールをしたり、また必要な際に必要な現場におもむいて、現場通話連絡をすることになっております。どこと通話連絡をするかと申しますと、府県本部及び重要な警察署固定局という無線局がございまして、そういう無線局通話をする、こういうことになるわけでございます。  大ざっぱに申しまして、大体以上申し上げた四つの通信方式がかみ合されて現在使われております。
  12. 久保等

    久保等君 昭和二十四年に警察専用線が特に電電公社に委譲せられたというか、電電公社専用を使うようになったということなんですが、昔、警察の方で全部専用線は自分の方で維持管理等を行なっておったような当時と、それからその後の状況とを対比して考えてみた場合に、非常に格段改善の跡が見られるのですか、それともあまり大して、戦後そう格段改善も見られないといったような状態なのですか、その前後を比較して、どういうふうにお考えですか。
  13. 今竹義一

    説明員(今竹義一君) お答え申し上げます。戦前状況は、ちょうど戦前の終りごろか、戦争中でございましたし、また戦後の廃墟を迎えましたので、非常に状況が悪くなりまして、例で申しますと、たとえば銅線で張るべきところを鉄線にするというようなことになりました。ところが、昭和二十四年以後は、そういう物資面の問題がございませんので、これを比較してよくなった、悪くなったと一がいに申し上げるのは困難なのでございますが、現在われわれとしましては、電電公社専用線を借りておるという体制は決して悪いものではない。もうすでに二十四年から八年ばかりたっております。その間電電公社の方でも、いろいろと警察専用線特殊性についてよくこちらの意見も聞き、また研究もしてもらって、いろいろとこちらの要望を取り入れて改善、工夫をしてもらっております。従って、現在の体制の方が、むしろこちらとしてもいいのじゃないかというように考えております。
  14. 久保等

    久保等君 なお、警察通信に関して有線電話あるいは無線電信、それからパトロールカー、そういったような通信施設増強を必要としておられるのですか、今、さしあたってそういう御計画はないのですか、現況に対する一体お考えはどういうところにあるのですか。
  15. 今竹義一

    説明員(今竹義一君) 御承知通り電電公社のいわゆる一般公衆嘱託というものは、最近非常に格段の進歩を逐げております。特に、昭和二十八年以来、第一次五ヵ年計画を推進し、また昭和三十三年から第二次五カ年計画を推進するというように、電電公社の方から聞いておりますし、現実にわれわれのまわりを見ましても、電話が非常に便利になって、かなりの長距離のところが即時通話というような体制になっている。現在の警察電話状況で申しますと、電話普及率ということから申しますと、かなりいいというように考えておりますが、通話の待ち合せ時間という点から参りますと、必ずしも、最近の電電公社一般公衆線が非常に著しく便利になったのに対して、警察の待ち合せ時間がそれに比較しておそいというような状況がまま現われておるわけであります。そういう点については、今後われわれとしましても、予算をお願いしまして、回線をふやしていかなければならない、こういうふうに考えております。  それから第二点は、パトロールカーでございますが、これは日本警察制度に取り入れます際に、いろいろと派出所駐在所との外勤警らとのかみ合せの問題がございますが、最近一一〇番の利用というものが、電話普及とともに、民間の電話普及とともに非常に利用度が、特に大都市において激増しております。そういう一一〇番による警察への訴え出というものに対処するためには、パトロールカーというものをふやしていかなければならない。また犯罪もかなり機動化しておりまして、犯罪をやってすぐ円タクで逃げるというようなこともございますので、そういうものに対しまして機動的な通信——有線電話は何と申しましても固定通信でございます。機動通信を確保するという意味において、パトロールカーをある程度増強しなければならない。この二点において、今後警察通信をもう少し拡充したいというように考えております。
  16. 久保等

    久保等君 何かそのことについてもう少し具体的な拡充計画といったようなものはお持ち合わせないのですか。単にばく然と、今言ったようなものについてはもう少し、まあパトロールカーの場合にはふやさなくちゃならぬ、あるいは市外線等についても専用線をもう少しふやしたいのだという程度の御希望なんですか。もう少し計画が、何年計画というようなことによって拡充計画をお持ちになっているのですか。もしそういう計画をお持ちであれば、もう少し具体的な御説明を願いたいと思います。
  17. 今竹義一

    説明員(今竹義一君) このことに関しましては、昭和三十二年だと思いますが、三十二年の秋ごろ、警察通信の五カ年計画というものを策定いたしまして、そしてその年度計画によって三十三年の予算いろいろ折衝に当っております。
  18. 久保等

    久保等君 昨年の秋ごろまあそういう五ヵ年計画を策定せられたということであるならば、五カ年計画内容をもう少し具体的に御説明願えませんか。
  19. 今竹義一

    説明員(今竹義一君) この内容は、先ほど申し上げた通りでありますが、まず第一には、電電公社公衆電気通信公衆電話、まあ一般電話でございます。これの通話が非常に最近、即時通話というようなことでございまして、これが特に第一次、第二次五ヵ年計画で、大体全国県庁所在地の間の相互間は自動即時になる。あるいは一つの県について見ますと、県内の主要な諸都市の間は即時通話になるのではないか。大体昭和三十七年ごろまでにはそういうふうになるのではないかという見通しを立てまして、警察電話についても、同じような自動即時化をやらなければならないということを考えました。これにはまず回線増強するということが大切でございますので、その回線増強するために、全国で二十二の——すべての県についてやりたいわけですが、まあとりあえず五ヵ年計画としましては、二十二の主要なる県につきましてこれを相互に即時化したい。そういう回線網を張りたいというのをまず第一に考えております。そこで、その回線網を張ります場合、電電公社専用線でいくというのが従来からの建前でございました。この回線網については、最近のいわゆるマイクロウエーブ技術を取り入れて、警察でもマイクロ・ウェーブでやっていきたい。警察自営マイクロウエーブでやっていきたいというように計画をしております。これ以外に県が二十九残るわけでございます。この二十九の府県につきましては、即時扱いという程度には参りませんが、いわゆる準即時扱いという程度にまで専用線をふやしたい。これは電電公社専用線を借りていくという格好回線をふやしたいと思います。そして、こういうように回線増強しますと、これをいわゆる手動交換交換手交換によってやることは、回線上も非能率でありますし、市外自動交換機を採用しまして、二十二の府県については市外自動交換機による自動即時化を実施したい。二十九の府県については、手動交換によるコール・ダイヤルを実施したいというのが、電話増強計画でございます。それから、なお大都市につきましては、たとえば警視庁とか大阪府というようなところにおきましては、市内の警察署交換機が老朽な共電式交換機でありまして、これでは派出所から派出所連絡をするという場合、どうしても二人の交換手を経由しなければ連絡できないということで、非能率でございます。大都市警察署交換機自動交換機に直していく、こういうのが電話についての五カ年計画内容でございます。  それから、その次に、さっき申しました模写電送でございますが、現在この模写電送を各府県相互間に流して実施しているのでございますが、これは機械も今のところ一台しかありませんし、もっぱら夜間流して、昼機械の保守をして流しておるというような貧弱な状況でございますので、これを昼夜間模写電送を流し得る、こういう状態にすることと、それから、県内警察署相互間の模写電送、現在のところ警視庁大阪、その他一部の府県でございまして、これを重要な二十府県にまで実施したい。これも逐次全国に各府県に実施したいのでございますが、さしあたり五ヵ年計画としては、その半数程度の二十府県に実施したい。それから、現在写真電送は、警察では管区警察局所在地府県等の一部——府県程度にしかございませんので、いろいろと犯人の手配写真送付、その他に非常に手間取っておるのでございます。写真電送を各府県相互に実施できるように改善したいということも考えている次第でございます。  それから、第三番目に、超短波無線電話増強でございますが、これは固定局移動局両方が要るわけでございますが、固定局はすべての警察署にこれがつくように整備したい。というのは、警察署固定局がございませんと、事件が起きてパトロールカーが参りましても、もよりの警察署通話連絡ができないということになりますので、すべての警察署固定局を作りたい。  それから、移動局は、大都市においては大体警察署の四倍程度、それから仙台とか札幌とかいうような、人口三十万程度都市につきましては警察署の二倍程度、それから、その他のところにつきましては、大体署数に比例してというような工合に増強しまして、全国で、現有で七百十八台くらいしか移動局がないのでございますが、これを約二倍半の二千台程度にまで増強したい、こういうふうに考えております。  それから、パトロールカーは非常に有力なる機動通信でございますが、しばしばパトロールカーの行けないような所、たとえば、山とか、あるいは非常に雑踏した所、あるいは非常に道路の狭い所というようなところで、そういう機動通信の必要な事案が多いのでございます。そこで、そういう場合のために、警察官に持たせて行く携帯用無線電話を新増設したい。これはいわゆるハンディ・トーキといわれておるものでございますが、そういうものを一つ警察署に二台程度の目標で、全国で二千四百台くらいに衣で増強したい、こういうふうに考えております。  なお、諸外国ではすでにパトロール警察官に、ごく小型の無線受信機を持たせまして、そうして何か事案が起ると、その警察官連絡して処理させると、徒歩の警察官連絡して処理させるという勤務体制をとっております。六大都市と、その他人口三十万以上のような犯罪の多発する都市で、そういう外勤警官携帯受信機を持たせるということを考えまして、それを全国で四千三百台ばかり持たせたい、こういうように考えるのであります。  大体、以上が五カ年計画の概要でございます。
  20. 久保等

    久保等君 今の五カ年計画の総予算人員は、どの程度でございますか。人員の増員が必要ならば、人員はどの程度になるのか、まあ総予算は、どの程度ですか。
  21. 今竹義一

    説明員(今竹義一君) 予算総額で約三十五億と、こういうことになって去ります。
  22. 久保等

    久保等君 人員は。
  23. 今竹義一

    説明員(今竹義一君) 人員の点につきましては、現在の警察通信のやっております仕事をできるだけ無人化して、人員を捻出したいと、こういうふうに考えております。
  24. 久保等

    久保等君 そうすると何でございますか、人員の面は、まあほとんどじゃなくて、予算上は全然ゼロでやろうという構想ですか。
  25. 今竹義一

    説明員(今竹義一君) さようでございます。
  26. 久保等

    久保等君 なお、この五カ年計画は、五ヵ年に今言われた計画を大体正等分して、毎年同じ程度の規模でもって計画を進めていこうという構想ですか。もちろんものによって、ある年はやるものもあるし、ある年はやらないものもあるだろうと思いますが、予算金額等においては、大体五等分した程度のものをやろうという御意思ですか。
  27. 今竹義一

    説明員(今竹義一君) 両方のかみ合せでございます。まあ第一年度においては、特にパトロールカー等についてはすみやかに増強するという方針で、この点を強くふやしたいというように考えております。たとえて申しますと、まあ模写電送写真電送というような場合には、先に模写電送を実施しまして、その次の年度において写真電送を実施するというように考えておりまして、ものによって五分の一、ものによって、事項別に先に実施する、あとに実施する、こういうふうに分れております。
  28. 小林武治

    委員長小林武治君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止
  29. 小林武治

    委員長小林武治君) では、速記をつけて。
  30. 久保等

    久保等君 今の五カ年計画資料として一つ提出を願いたい。大臣がお見えになっておるし、先ほど鈴木委員質問の途中ですから、私の質問は一応この程度で保留しておきます。
  31. 鈴木壽

    鈴木壽君 先ほどの公安委員長の御説明の中に、幹線道路における交通規制に関することでは、現在まで各府県警察官連絡がうまくないので、連絡をさらに緊密にするためにとられた措置だと、こういうことでございましたが、で、道路交通規制問題で、たとえば東京と神奈川、神奈川と静岡、こういうふうに現在目に余るような連絡の、何といいますか、欠けておる点、具体的に言うと、たとえばスピードの問題にしろ、その他、道路交通関係することで、現在のあなた方の権限でもって規制できいようなことがあるわけなんですが、この点はどうです。
  32. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 大体はできますけれども、中にはまだ不十分なところがありますので、その点を御了承願いたいと思います。
  33. 鈴木壽

    鈴木壽君 不十分な点につきまして、私、これはまあ大臣は小さいことまで御承知にならないと思いますから、あと一つどなたかからお聞きしますが、そこでもし、かりに不十分な点があるとしますと、これは私大きな問題だと思うのです。というのは、現行の警察法によりましても、あなた方は、各府県警察に対する相当大きな指揮監督の権限を法的にはっきり持っておる。第十六条に示されております。一体そういうことも、今の問題が、いわゆるあなた方の指揮監督の権限のうちに入らない事項であるのかどうか。もし入ることであって、なおかつ、おっしゃるようなことだとしますと、私は、あなた方の怠慢か、あるいは無能か、どっちに起因することか、これはわかりませんが、そういうことの結果だろうと思う。いま一つは、現行法の第五十九条、第六十条、第六十一条からいたしますと、これは各府県公安委員会あるいは警察相互に、いろいろな意味におきますところの協力とか、あるいは援助とか、あるいは管轄外の権限について、相当緊密にやらなければいけない法的な規制があるわけなんです。それをかりにやらないとすれば、これは府県警察の責任もさることながら、これもさっき申しましたように、あなた方が指揮監督をする、あるいは随時必要な監察を行なっておるというような、そういう点からするならば、私は、これも一つの怠慢事項になるのじゃないかと思うのです。この点はどうでしょう。
  34. 坂井時忠

    政府委員坂井時忠君) 多少理屈っぽいお答えになるかと思いますので、私からかわってお答え申したいと思います。ただいまの御質問、ごもっともな点もあるのでございますが、現在、交通規制取締りというのは、各都道府県公安委員会がやっておるわけでございます。それで、各府県にまたがって非常にでこぼこがある場合があるわけであります。そういう点は、なるだけ警察庁として両方の県に話をしまして、でこぼこがないように、話し合いでそこをうまく解決をつけてもらっておるのでございますが、実際問題としまして、それがなかなか困難な場合があるのでございます。それは指揮監督でいけるじゃないかというただいまの御質問だと思いますが、この指揮監督というのは、現在の第五条の規定では、きわめてゆるい調整事項ということにだけかかっておるわけであります。調整は調整で、まあ各府県当局の話し合いを進めていくと、こういうことでありますが、調整だけではどうにもならぬ問題があるということを今申しましたが、それを、それじゃあどうするかということになりますと、やはり全国的な幹線道路における交通規制に関しましては指揮監督ができると、こういうふうにしたいというので第五号を入れたのでございます。実際にでこぼこがあって、どういう点が不自由しておるか、連絡が欠けておるかという先ほどの御質問でございますが、具体的な例を一、二申し上げますというと、県によりましてスピートがだいぶん違っております。これはまあその県その県の事情、あるいは道路の事情によって違うのは当然なことでありまするが、同じような道路構造あるいは舗装のしてあるようなりっぱな道であって、県境によりましてすぐスピードが違うということは、これは、そこを通る自転車、自動車にしてみればきわめておかしいことでございます。それが実際問題としましては、相当県によってスピードが違っておる。それがなかなか私らの調整という権限ではやれないのでございます。それを今度やるようにしたいというのが、道路交通取締法の一部改正であり、また、警察庁の権限に幹線道路における規制を加えることであるのであります。そのスピードが違う点以外に、一、二さらに例をあげますというと、京浜地方では、指導区画線というものは、白、禁止的区画線は黄色を使っておるのでありまするが、これが阪神地区に参りますると、指導的な区画線は黄色であって、禁止的な区画線が白というように、全然異なっておる。しかも、御承知のように、このごろの交通事情は、阪神地区の車がどんどん京浜地区に行くし、京浜地区の車がどんどん阪神地区へ行っておりまして、迷っておる実情であります。こういう点をできれば調整をしていきたい。もちろん、先ほど申しましたように、各府県の話し合いで極力やっていただくわけでありますが、何と申しましても、話し合いがつかない場合の、権限がなければ話し合いもうまくいかないのが悲しいかな現状でございますので、その点の改正をお願いをいたしておる次第でございます。
  35. 鈴木壽

    鈴木壽君 どうも私、そういうことは、あなた方のおっしゃる調整ということについての指揮監督ということは、私は十分できると思うのです。話し合いを積極的にしないからそういうことなんでしょう。かりに、こっちの、たとえばAという県ではスピードを五十キロにしてある。次の県に行ったら三十五とか四十にしてある。これはなるほど運転者にしてみれば戸惑うことだし、場合によっては違反というようなことにもなりますから、だからそういう点は、私は相互の話し合いをすることによって当然解決する、いとも簡単な問題だと思うのです。それができないということは、各府県警察官連絡が不十分であったり、あなた方の、従来のそれに対する指示なり調整させるという努力が足りなかったということの私証拠じゃないかと思うのです。法律を作れば——こういう一項があれば、今度強くやる、強くやるのではなくても、あなた方が政令を出して、各府県の実情は、極端にいえばいろいろあると思うのだが、そういうものを一方にずっとやっていくと、こういうことだと思うのですが、私は、こういうことは、十分各地方の実情に沿うためには、各地方の、たとえばAならA、BならBという県のそういう話し合いなり協定なり、協議によって私は可能だと思うのです。さっき何かその制限のところの黄色とか白とかいう話がありましたが、これだって現在は放任、そういうことに対して何ら、何といいますか、指導なり的確な指示なりがないものですから、これは各府県警察官あるいは公安委員会の都合のいいような形に行われているだけの話なんです。積極的にあなた方は従来そういうことをやって、なおかつ言うことを聞かない、言葉は少しおかしいか、あなた方の思うようにならぬということとであれば、これは根本的には、現行の警察法をお互いに守れないところに原因があると思うので、そういう何か新しいものを挿入することによって、簡単に言うことを聞かせようとかいうこと、その考え方がおかしいのじゃないか、根本的におかしいのではないか。そういうところから私はお尋ねしておるわけです。どうですか。
  36. 坂井時忠

    政府委員坂井時忠君) きわめてごもっともな御意見であると思いますので、われわれも各府県のでこぼこがおかしいときには、努力をいたしまして、その間の調整をはかっておるのでございます。しかしながら、はなはだこれは残念なことでございますが、実際問題としまして、調整がきかない場合がありますので、こういうことをお願いせざるを得ない、こういうことになっておるわけであります。きわめて端的な例をとりますというと、兵庫県におきまして——自動車の中に高速車と低速車があります。スピードが早い車とおそい車があります。その区画線がどっちであったか知れませんが、要は、普通自動車は右、それからそれよりおそいやつが左と、こうしますというと、それが大阪に入りますと全然逆になっている。これは相当努力いたしまして、どっちかに統一してもらおうとしたのでありますが、実際問題としましてこれはできない。兵庫の公安委員会大阪公安委員会でそれぞれいろいろ理屈があるようでありますが、どうしてもできない。われわれとしましては非常に努力をいたしておるのでありまするが、できないのでありまして、そういう事態は非常に残念なことでありますが、やはり若干ずつあるわけであります。従って、われわれは、法律の改正によりまして、何でもかんでもずたずた国家公安委員会が指示するということは全然考えておりません。そういうきわめて例外的な場合の措置として考えておるわけでございます。
  37. 鈴木壽

    鈴木壽君 今のお話に関連して。今度のこれに関する要綱を見ますと、単にスピードの制限とかそういうことだけでなしに、「道路通行の禁止又は制限に関すること。車馬の併進又は転回についての制限に関すること。停車又は駐車を禁止する場所の指定に関すること。追越禁止の場所の指定に関すること。」こういうようなことが今後予想されるものとして考えられておるようでございます。こういうことですね、私は、先ほど申しましたように、各地方の実情によって、いろいろ、あるいは道路状況等によって考えられなければならぬし、そしてまた、県を異にする連関するところにおいて、もし統一したものをしなければならぬとしたら、これは当然スピード等におきましてはありますから、あるいはまた、車の併進、転回等に関してもありますから、そういうものについてのまあ統一した行き方をしようとするならば、私は、今あなたは兵庫と大阪との困難な事情が述べられましたが、これはだから、もう少し私はお互いに話し合いをすれば、これは何らむずかしい問題ではないと思う。私はおそらく兵庫と大阪の問題、単にそれだけでなしに、現在もうやってしまってから、そうあっち直せこっち直せと言われても困るのだと、あるいは場合によっては線の引き直しをしなければならぬ場合も出てくるでしょうしね、そういう問題も私は解決に困難な一つの事情としてあったかもしれませんが、まあいずれ、私は事情はよく知りませんが、そういうことすら、ほんとうは根気強い双方の話し合いなり、また、あなた方がいわゆる調停に出ることによって、これは私は不可能じゃないと思うので、何かこう、こういう一つのもので、私どもから言わせれば簡単なことですら、国家警察の方の政令とか何とかいうものによらなければならぬということになりますと、私は今後いろいろな問題について、こういうことが犯罪の捜査なりそういうような事柄についても起りはしないか、そうなっては現在の各府県警察のあり方、あるいは公安委員会等のあり方からしますと、これはしばしば、昨日も加瀬委員から御意見がございましたが、そういう面からして、私は非常に心配な面が感じられるわけなんです。
  38. 加瀬完

    ○加瀬完君 関連してちょっと。今鈴木委員からも御指摘がありましたがね、今の官房長のような御説明によりますと、一体現行法の五十九条、六十一条、これはどういうことになりますか。それから十六条、それから三十八条の五項、こういうものは、今のような問題を解決するために、現行法か法案として出たときに設けられたものじゃないでしょうか、協力の義務というのは。各都道府県警察の間には協力が義務づけられておりまして、あるいは六十一条によれば、当然犯罪捜査あるいは公安維持のためには他の地域にも出動していいことになっていますしね。あるいは十六条によれば、警察庁の監督指揮というのは明文化されておりますし、三十八条の五項によれば、各都道府県公安委員会は国家公安委員会あるいは他の都道府県公安委員会に協力するところのやはり義務づけがあるわけです。こういうことを円滑にさせていくことの方が、警察法の運用としては正当なことなんで、また、そういうことを指揮監督することの方が、公安委員会なり、あるいは国家公安委員会なり、警察庁なりの大きな任務なんだ。それをそのままたな上げしておいて、新しい法規によって、運営上満たされないものを法律上満たしていこうとすることは、これは考え方として私は正しいことじゃないと思うのですよ。そんなものは法律を幾ら作ったって、運用よろしきを得なければ、結局警察法規定されている目的は達せられぬことになります。あわせてそれらの点についてもお答えをいただきます。
  39. 坂井時忠

    政府委員坂井時忠君) 御趣旨よくわかるのでございますが、われわれとしましても、都道府県という自治体警察をあくまでも尊重していく。従いまして、必要やむを得ない場合のほかは、各府県公安委員会の責任においてあらゆることをやっていただいておるわけであります。その主義を尊重すればこそ、われわれとしましては、最小限の場合だけしか、この各府県公安委員会の権限に属する事項について、指示するとか何とかいうことはしたくない。きわめてまれな、きわめて例外的な、どうしてもやれない場合にしか、各府県公安委員会独立性を制限するような指示はやりたくないという考えにおきましては、全く皆様方のただいまの御意見の通りでございます。今度の道路交通取締法の一部改正におきましても、各府県にまかされております権限はあくまでも尊重していく、その原則はわれわれはあくまでも守っておるのでありますが、ただこれは、各府県独立公安委員会でございますので、その間の調整がどうしてもとれない場合に最後の手段をここに求めておる、こういうふうに御理解をいただきたいと思うのであります。  現行の警察法の五十九条に「都道府県警察は、相互に協力する義務を負う。」お互いに義務を負って、お互いの仕事を円滑にいくようにしなければならぬことは、これは各府県公安委員会とも十分認識をしておるところであると思うのであります。ただいまの兵庫や大阪の例も、いろいろそういう点につきまして御意見もあろうかと思うのでありますが、実際問題としてそういう事例が起りました場合には、やはり警察庁として指揮監督をせざるを得ない。で、その指揮監督は現在その警察庁長官が、都道府県警察を指揮監督するところで読めるではないかというお話だろうと思うのでありますが、これは何でもかんでも指揮監督するということではないのでありまして、第五条の二項に限られたことについて指揮監督をするのであります。その五条の二項に交通関係のことがございませんので、今回これを加えた、こういうことに相なっておる次第でございまして、御了承をいただければありがたいと思います。
  40. 鈴木壽

    鈴木壽君 今度出る要綱に付随する国道の指定ですね、これの案を見ますと、東京から東海道をずっと行って岡山まで、東京の北の方は宇都宮、一方は水戸、それから関門のトンネルですか、山口からずっと熊本までと、こういう線が予定せられておるようですか、さっきのあなたの御説明で、兵庫と大阪との間には、そういう問題があるということはわかりましたが、東京−神奈川−静岡、それから愛知−三重、ずっとこう行く大阪までの間に、そういうところがありますか、あなたか心配して、どうしてもこれは規制しなければいけないというところがあるんですか、現在までに。
  41. 坂井時忠

    政府委員坂井時忠君) 多少こまかいことになりますが、たとえて申しますと、東京から神奈川に参りますと、五十五キロのスピード制限が五十キロになります。それから滋賀と京都の例をとりますと、三十二キロから五十キロになる。それから兵庫と大阪では四十キロと五十キロの違いがある、広島と山口とは四十キロと六十キロの差が出てくる、こういうふうに相当一スピードの例をとりましても違ってくるわけであります。これはもちろん先ほども御意見がありました通り、この条文ができますれば、さらに両県の話し合いを促進させまして、おそらく話し合いがつくと思いますが、やはりこういう、何といいますか、最後の保証線は条文としてある方が話し合いがうまくいくのではないか。私ども決して権力をかざして臨むわけではないのでありますが、こういう条文があることによって、話がさらに円滑に進むのではなかろうかと、こういうふうに考える次第でございます。
  42. 鈴木壽

    鈴木壽君 現在の法では、指揮監督というようなこと、あるいは行政というようなことについて、交通規制に関することが抜けておると、こうおっしゃいますが、警察庁仕事の中には、当然交通に関することが現在までやられてきておりますね。それから、そうしますと、第五条です、第五条をしばしばあなたは引用されますけれども、第五条の二項ですっと並べておりました現行法で十二ですか、「前号に掲げるものの外、警察行政に関する調整に関すること。」この中に当然私は含まれると思う。あなたが、さっきも言ったように、やらないことはあなた方の怠慢じゃなかろうかということを、私は極端なことを言ってまことに済みませんが、そういうふうにすら考えられるので、あなたはないと言うけれども、当然私はこの中に含まれると思うのです。含まれますか、含まれませんか。
  43. 坂井時忠

    政府委員坂井時忠君) だから調整という権限に基いては各府県の話し合いを進める、しかし、これはあくまでも調整でありまして、それができなかった場合にどうするかということになりますと、どうともできない、こういうことでございます、現在の法の建前は。
  44. 鈴木壽

    鈴木壽君 そこで、今の調整等を含みまして、こういう仕事に対して、あなた方は指揮監督する権限がまだほかにこの法に与えられている、その指揮監督ということの中には含まれませんか。
  45. 坂井時忠

    政府委員坂井時忠君) 調整することについての指揮監督でありまして、調整かできなかったらどうにもならぬということを申し上げたわけでありますか、多少理屈っぽいことになりますが、五条二項の警察庁の所掌する事項がいろいろ書いてありますが、各項目につきまして、この指揮監督のニュアンスは違っております。この前の警察法改正のときにいろいろ論議されたので、私から詳しくここで申し上げるのもどうかと思うのでありますが、たとえば、現在の二号であるとか、四号であるとか、あるいは現在の五号であるとか、こういうものが警察庁の直接の責任の問題でありまして、警察庁がつかさどるという——法律上の文句でいえばつかさどる、それからそれ以下の教養の問題、通信の問題、鑑識の問題、犯罪統計、警察装備というのは、これは各府県に一応やらしているけれども、これは警察庁が統轄する事項である、こういうことになっているわけであります。それでつかさどる事項と、統轄する事項と、それから調整する限度、こういうふうに指揮監督につきましてもニュアンスがあるわけであります。ただいまの交通問題につきましては、現在は警察行政に関する調整に関することということでやっているわけでありますが、調整の限度においての指揮監督をやる、こういうことでございます。
  46. 鈴木壽

    鈴木壽君 あなたの説明は、ちょっと私違ってきたように聞いておりますか、こういうことは交通に関することがないから入れるのだと言ったので、全然ないのかと私が聞いたらあるので今までやってきたというのですが、ちょっと違ってきたように思いますが、それでは五十九条以下の、さっき私が申しました警察相互間の関係の条文ですね、これに対しては、あなた方、かりに義務を負わないといった場合に、いわゆる指揮監督というような権限はどの程度までこれは及ぶのですか。
  47. 坂井時忠

    政府委員坂井時忠君) ただいまの御質問は、五十九条の各府県警察は、相互に協力する義務を負うと書いてあるが、義務を負わないといった場合の仮定の御質問だと思いますが、それは仕事内容によりまして、今申しましたような三つの段階があるわけであります。従いまして、たとえて申しますと、甲という県で窃盗事件が起ったと、その窃盗事件だけを例にとりますというと、これはやはり調整というようなことでございます。警察庁がやることは調整ということでございます。
  48. 鈴木壽

    鈴木壽君 どうもわからないことになりましたが、それでは、その問題はまたあとでお伺いいたします。
  49. 加瀬完

    ○加瀬完君 関連。あまり今の問題を散らさないで交通取締りだけに限定して御答弁いただきたいのですが、たとえば、大阪と兵庫の公安委員会なり、府県警察本部で、今問題になっているような交通の条件について話し合いというのか持たれなかったのか、あるいは話し合いを持つように警察庁が指導、助言をしたのか、指導、助言をしても具体的に実現されなかったのか。私は都道府県の知事が、この力ならいいだろうと思って推薦して、議会の賛成を得ている公安委員が、だれが見たって常識的な解釈のできる交通違反取締り等の問題について、正式な話し合いが何回も持たれて、話し合いが実を結ばないということは常識的に考えられないのです。そういうような点ですね、どのような、警察庁としてはお取扱いなさってきたのか。それでまた、問題の解決しないいろいろな点が現在も残っておられるのかどうか。
  50. 山口喜雄

    政府委員(山口喜雄君) 御質問の点についてお答えいたします。御承知のように、神戸市の方から大阪市の方に向って行きますと、阪神国道がありますが、あのまん中に電車が通っておるのです それで非常に交通か輻湊しておりまして危ないのです。そこで兵庫県の方では、交通をする際に、普通の乗用車は右寄りを走る。たとえばこちらからこう、神戸から大阪に行く場合ですね。その次の線にトラックとバスを走らせる。この一番歩道寄りの方に自転車を走らせる。こういうように通行の区分をきめた方がいいと思う。これは確かに合理的な通行のやり方なんです。そういうようにして大阪府の方に連絡をしたのであります。ところが、兵庫県から川を渡って大阪府に入りますと、その道路の幅もちょっと狭くなる事情もありますが、大阪府の方としましては、尼崎のところから大阪の府に入るあたりに非常にトラックが輻湊するわけなんです、あの辺工場が多いから。そこで、大阪府としましては、一番右に乗用車のほかにトラックも走るようにしたい。乗用車とトラックか一緒に走るようにする、そうしてこちらに自転車が走るようにする、こういう行き方をしたい、こういうことを言ったわけなんです。そのやり方が、大阪府に入ると通行区分が違って参りますから、そこで兵庫と大阪では、これは本部長同士で話し合いました。それから私の聞いておりますところでは、公安委員会みずからが乗り出して話したんですが、お互いに、兵庫県と大阪府というものはいろいろな伝統がございまして、特にその交通問題につきましては、いわゆる、自治体警察時代に、交通は各地方の実情に応じて規制取締りをするということが、非常にこれも私どもは地方のそういうやり力を尊重して参ったわけです。そういう伝統が残っておりまして、どうも少しおれの方が、おれの方がという気持がまだ残っておるわけです、交通問題について。そういうものはやはり今の調整で改めたいと思いますが、一方におきまして、全国的に貫通する道路ができる。それを現在の法の建前でいきますと、その区分々々に応じて各府県規制をするという建前になっておる。これは私はその根本を変更する必要はないと思いますけれども、ただそういうようなところで、重要な問題についてまちまちになると、これはやはり全国的に発達して参ります交通の実情から申しまして、何らかの一つ全国的な視野に立つ統一的な規制というものがなければ、この発達して参ります交通の実際の状況に応じていけなくなるのじゃないか、こういうふうに考えまして、実はこの規定をお願いしたような次第であります。これは実は、その点は私申しわけないと思いますが、私現地に行きましてこれを見て、私自身はそのときに実は知ったんでございますが、なかなかまあ警察庁府県との間ですと、これは話は割合にスムーズにいくのですが、県同士になると、やはりいろいろな伝統かござまして、いろいろむずかしい点が現実にあるということを御了承願いたい。
  51. 加瀬完

    ○加瀬完君 じゃあ、警察庁で新しく今の問題を解決するとしたら、どういう方法をとろうというお考えですか。
  52. 山口喜雄

    政府委員(山口喜雄君) これは現地を調べまして、警察庁の最も適当とする案を示しまして、そうして両者で話し合いをさせる、どうしても話し合いがつかないということであれば、警察庁としての案を示して、それを指示する、こういうことになろうと思います。しかしながら、できるだけ指示というような方法によらないで、やはり話し合いでした方が、実際の運用においては円滑にいく場合が多かろう、いわばある意味におきましては、何といいますか、抜かざる宝刀というような意味も入っておるのでございます。
  53. 加瀬完

    ○加瀬完君 結局指導、助言によって解決できるというならば、今の問題だけに限っては、新しい一項というものを入れる必要はないということを感ずるのですよ。しかし、部長さんのあとの方の御説明で、道路も縦貫線ができたり、大国道になったりして、非常に今までとは機能が違ってくる、そういう形になってくれば、道路の機能に応じた交通その他の対策を考えなければならぬということなら、それはそれでわかります。しかし、何も言葉じりをつかまえるわけではありませんが、今まで皆さんの御説明を伺っておると、それでは何かあまりにも都道府県公安委員会というものは無視されているか、無能視されているか、いずれかという形に受け取れるのです。公安委員会というものが的確な機能を持っておるならば、当然解決さるべき問題が、簡単に解決されなければならない問題か、新しい法文を得なければ公安委員会ではできないということであっては、私はゆゆしい問題だと思うのです、少し理屈ばったことですけれども。それから一つ道路の中で、一つの地域の中でも速度は四十五キロ出していいところもあれば、二十五キロに押えるところもあって、現在でも制限をされておるわけであります。ましてや都道府県が異なれば、それは交通の条件を整えるために、神戸なら神戸の一番いい方法、大阪なら大阪の一番いい方法というのは考えられてもいいはずです。だから、その二つあまり異なったものか接点になっております場合に、どういうふうにAからBに移るか、BからAに移るかというところに問題があるかといえば、自然にそういう接点の地域についての結局問題点というものが、都道府県公安委員会のこれは連絡会議なんかもあるはずですから、あるいはまた、近畿地方なら近畿地方の都道府県公安委員会連絡も持たれるはずですから、あるいは都道府県警察本部連絡会議、あるいは管区警察もあることですから、そういうところで当然行政指導も行われなければならないはずじゃないか、そういう点がどうも——わかりますよ、こういうものを入れた方が都合がいいということは。それは認めないわけじゃないのです。しかしながら、そういうことが問題にならないような行政指導が行われなかったのは、どういうわけだという疑問がどうしても残るのです。意見がましくなりますからお答えはいいですよ。ただそういう気持が残る、われわれとしては、そういうことをしてもらっても納得できないということだけを申し上げておきます。
  54. 鈴木壽

    鈴木壽君 監察に関してでございますが、先ほどの公安委員長の御説明では、従来うまくいっていなかった。だからその不十分なのを正確を期するために実態調査を十分やりたい、そういう必要から入れたのだと、こういうお話しでございますが、どうもそうしますと、きのうまで聞いてきたこととはちょっと違うのでございますが、これは公安委員長考え方と、警察庁の責任のある警察庁長官なりそのほかの方々との考え方の相違が私はあるのじゃないかと思うのですが、これは今までの私どもに対する説明では、従来までも監察はやっておったのだと、現在までの、現行法でもそれがやれるのだ、ただそういうことなんだけれども、一つ新しい一項が加わることであって、それ以上の何ものでもない、新しいものを加える、そういう監察ではもちろんないのだ、こういう説明なんでございます。そこで、私どもは監察か従来とも行われてきており、現行法によって可能であるというならば、そうして新しい何ものをも加えることなしに従来通りのことをするというのであれば、何も事新しくここに新たな項を設ける必要がないのじゃないか、こういう観点に立ってものを聞いてきておったと思うのです。この点からしますと、これは大臣のおっしゃることとと、今まで警察庁長官の方からお話しかあったこととは違うのですが、この点をまず最初にはっきりさしていただきたい。
  55. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 私の先の説明が少し間違った点がありますので、やはり今までやったことを明示したにすぎないので、長官の考えの方が正しいと思います。
  56. 鈴木壽

    鈴木壽君 取り消されたことに文句を言うことは、まことに困るのですが、私はこういう非常にデリケートな問題でございまするし、大事な問題だと思うので、特に私はきょう委員長のおいでを願ったわけなんでございますが、そういう問題に対して、公安委員長、あなたの考え方と違っておった、で打合せた結果、どうもおれの方が間違っておったじゃ、これじゃちょっと私は心細く思うわけでございますが、しかし、これは取り消されたのですから、それをとやかく言っても仕方がありませんから、そこで重ねて大臣にお聞きするわけですが、従来とも行われてきた監察だとこうおっしゃる、そうしてまた、現行法で十分行われ得ることなんだ、それじゃ事新しくここになぜ書かなければならぬのか、さっきのたとえば交通規制の問題、これはまだ意見はありますけれども、従来はっきりしなかったからここに出すのだ、これであれば、まだなるほどとも思われる節があるのですが、従来ともやってきておることであり、さらに現行法からも十分やれることなんだと、しばしばあなた方は繰り返して私どもに説明しておられる、そのことを新たにここに取り出して一項を付加しなければならないというその理由は、ちょっと私にはのみ込めないのですが、この点、大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃるのですか。
  57. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) 監察のことを非常に神経質にお取り上げになっておるようでございますが、大臣が先ほどお答えになりましたのを、ただいま御訂正になりましたことほどさように大したものじゃないというふうに、大臣は御理解になっておられだからこそ、そういうことに相なったものと私は考えるのでございまして、昨日来たびたび申し上げました通り、この監察という表現を今回入れましたのは、従来法文の上では明記されておりませんけれども、当然できることとして、私ども実際にやってきて今日に及んでおるのでございまして、ちょうど今回改正のいい機会でございますので、この際、万一そういう点に誤解があってはならないという観点から、念のために明記しておこう、こういうことにすぎないのでございます。
  58. 小林武治

    委員長小林武治君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  59. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記を起して。
  60. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 大臣にごく簡単に一、二点だけ。第一点は、交通事故防止の関係でございますが、これは御承知通り、政治問題になりつつあるのでございますが、今回の警察法等改正も、そのねらいの一つはここにあると思う。しかしながら、この交通事故防止をほんとうに効果をあげようとすれば、申すまでもなく、単に道路交通取締り等の関係だけ、警察関係だけではこれはいかぬことは申すまでもないわけであります。あるいは自動車、バスその他運輸営業の関係あるいは道路街路の構造整備の関係あるいは労働基準法の関係、いろいろな観点から、あらゆる方面から、総合的、積極的に思い切った交通対策を立てなければ、これは防止はできないと、こう思うわけであります。で、現在、昨日の御説明でも伺ったのでありますが、内容は、交通事故防止協議会か何か事務的連絡機関を設けて検討されておるということでありますが、一歩進めて、もっと大きな政治的観点から、たとえば、交通対策、審議会というようなものを設置をされまして、広く外部から学識経験者あるいは国会議員その他入れまして、少し総合的な真剣な対策をお立てになって、この問題に対処していただかなければならぬ時期ではなかろうか。道路の整備計画も施行されますることでありまするし、そう思えまするのですが、これに対しまする大臣の御抱負なり、御所見なりを一つ伺いたいと思います。
  61. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) ただいまお尋ねのございました点は、私も今度の改正は大したことじゃないから、もう少し根本的にやったらどうかという話もしたのです。けれども、とりあえずこれで一つやっていきたい、こう思うのですから、御承知のように、交通事故は毎年ふえるのです。それでこれは予算委員会でも問題になったので、実は私ども非常に悩まされつつあるのであります。とりあえずこれをやりますが、いずれも審議会を作ってゆっくり一つ考えたいと思っております。
  62. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 第二点でございまするが、この道府県公安委員会が、道府県警察の民主化、中立化の脊梁骨として、その責任に対しまして、われわれは高く評価をしておることは申すまでもないわけでありますが、今回の北海道の札幌方面本部の廃止、北海道につきましては、道警察として道の公安委員会があり、さらにその下に、今まで五つの方面の公安委員会がある。これは私が申し上げるまでもなく、いわゆる屋上屋を重ねた二重機構であると私は思うわけであります。公安委員会は管理の機関でありまするから、これは何も地域その他を、広狭ということをそう重視する必要はない。交通通信の発達した今日におきまして、単に地域の関係からだけいえば、北海道に限らず、たとえば、岩手県あるいは長野県あるいは新潟県、これらは北海道の五つではなくても、二つや三つに分けた必要がないとは言われない。しかしながら、これは一つ府県警察か管理をしておる、自治体警察で管理をしておるということは、それで十分であるからと思うのであります。そういう意味におきまして、北海道の札幌の直轄の方面本部を廃止して、その人員、経費を他の方に振り向けて、事務の簡素化、能率化を、あるいは経済化を期したことは、非常に賢明な措置であると私は思う。御承知のように、各府県で地方事務所というものが、これが廃止されておりまするが、こそくな府県におきましては、県庁の所在地の地方事務所だけ廃止しており、やがて、それはほかの方も廃止せざるを得なくなるというのが、これは実情でありますが、私はむしろ自治体警察として道警察はもう確立しておるのでありまするから、この道公安委員会に全責任を持ってもらって、むしろ一挙に廃止をした方が非常に賢明であるし、筋も通っておる。それで県警察の民主化、自治体警察の精神には何ら差しつかえない、そむかない、こう思うわけでありまするが、今回、ただ札幌の直轄のだけを廃止したということは、まことにこれは何といいまするか、非常にこそくといいまするか、私は不徹底である、考え方から見てどうもはっきりしていない、こういう感じがするのでありますが、これはさらに、実施の成績を見て、他の方面の公安委員会も廃止していく、こういう考えで設定されておるのでありまするかどうか、その点一つ所信をこの際承わっておきたい。
  63. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) ただいまのお話は、私も個人としてはある程度考えたことがありましたし、全部この際廃止するということは、また、自治警察の趣意をはずれやせぬか、とりあえず、札幌の方には二つあるのだからこれをしようという意見だから、なるほどそれもそうかということで私は・・・。
  64. 鈴木壽

    鈴木壽君 石井さんに一つ、きょうは時間がないので一点だけお聞きしますが、さっきどうもあなたの御答弁からしますと、考え方が私わからなくなってくるのですが、交通規制に関しては、従来の規定にどうもぴんとしたものがないから入れるのだと、これで押してきたわけです。調整ということにも含まれるけれども、しかし、それははっきりした力を持っておらないから新たに一項を入れるのだと、そうしますと、現在までの現行法によって可能な、そうしてまた、それに基いて現在まで実施してきたこの監察ですね、私は何も新しく入れる必要がないと思う。はっきりした規定がない、あるいは現行法で不可能だ、こうであれは私はあなたの御説明はわかりますが、いややれるのだという、あなた方やってきて、現在までの資料をいただいておりますが、現在まであなた方がおやりになったこれを見ますと、この第五条の二項に定められておりました現行法のこれは、ほとんど全部にわたることについてのいわゆる監察が可能だと、そういう前提のもとにやってこられたことだと思う。事実私はそれが可能だと思う。新たに、ここにそういうことがあるにもかかわらず、監察に関することということを入れなければならぬというのは、私はどうしてもふに落ちないといってお聞きしたのですが、その点、どうもあなたのお答えは、私からすればはっきりしないと思うのですが、どうなんです、これは。現在までの監察は、もう一度申しますよ、第五条の二に掲げられておりました従来の十二の項目、これは全部にわたるものだと思う。そういう権限が現在までの法に与えられておるということは、あなた方しばしば言ってきたし、その与えられた権限のもとに実施してきたのだ、こう言っている。結果がいいとか悪いとかいうことは別ですよ。それをここに新たに今度そういうものと一緒に並べて、単に監察ということだけをここに抜き出して付加しなければならないということが私はわからない、こういうことなんです、どうでございますか。
  65. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) たびたび申し上げております通り監察と申しますのは、行政監督上の立場から、行政の実際運営の状況を、調査あるいは検査するということだと私は思うのでありまして、従いまして、所掌事項の全般にわたりまして指揮監督の任務を遂行するための前提として、第一線の行政運営の実情を把握する、こういうことは私は当然許されることであると思うのでございます。これは従来法文の上で明記されておらなかったけれども、私どもは今申し上げたような観点から、法的に可能である、こういう解釈をとって、現実にも監察ということをやって参ったわけであります。ちょうど今回他の関係法文の改正をいたします機会に、もし、監察というものは条文に明記されていないから、そういうことはできないのだというような誤解を持つ向きが万一ありとするならば、ちょうど改正のいい機会であるから、そうでないのだということをはっきりさせる意味において、この際明記しておいたらどうだろうか、かように考えて、今回監察事項を明記することにいたしたのであります。
  66. 鈴木壽

    鈴木壽君 実は、前段の今のあなたのおっしゃること、私も肯定します。私、何も監察は要らぬとか、従来あなた方こういうことをやっているのを、けしからぬとか、こういうことを、私、毛頭申しておるわけじゃないのですよ。そこで、こういうことが現行法の中で当然許されるものであり、いわばこれは内部的な監察ですね、外部の機関に対してのそういうものでなくて、内部的のあなた方の行政の事務といいますか、警察に関するそういう仕事のための能率的なことをする、あるいはほんとうの意味での民主警察というものの確立のためにおやりになるということは、これはあなた方もおっしゃっていられたことだし、私もそういう意味では必要だと思うし、あってもいいと思うし、また現行法でやり得るのだ、私は今言ったようにこれを否定するのでなくて、そういう前提に立って、しかし考えてみれば、何もここに新しくやって、奇異の感を抱かせるようなことをしなくてもいいじゃないか。だれも、あなた方が今までやった内部監察のことについて、文句を言った人がありますか。よしあしについては、十分だとか不十分だとかいうことについては、われわれ文句言う人もあるかもしれません。公正に行われたとか行なわれなかったとかいうことについては、あるいは批判があるかもしれませんが、いわゆる内部的な監察そのものについては、私はこれは今までおそらく批判の対象になったことはないと思う。それをここに、僕は、当然法律に許されたそういうことをおやりになっていることについて、私の方なんか、とやかく言うべき筋合いのものでないが、それを今度ここに掲げなければならぬということについては、何かここにプラス・アルフアがやはりあるのじゃないかということを、これはあなた方邪推だとか、どううも少し誤解しているとかいうことをおっしゃるかもしれないけれども、私すなおに考えて、そういうふうな感じをするわけなんです。  で、くどいようでございますけれども、交通規制で、いわゆる調整という事項で取り計らうことができない、いわばもっと大きなものだと、どうしてもなければいかぬと、こういうのであれば、これは一つの理屈として私はあり得ると思う。しかし、きょうは時間がないようでございますから、いずれこの次にまた一つ、これらの問題あるいは他の問題について、質疑を続行さしていただきます。
  67. 加瀬完

    ○加瀬完君 今、前の委員から、警察法改正といっても、主点は交通取締りのことについていろいろ問題が出ておるわけでございますが、運輸省の方来ておられと思いますが、この交通取締りの実効というものは、警察の法規をどんなに変えたって、実際の効力が上るというわけには私は参らないと思うのです、現在の条件では。そこで、私どもの聞いておるところでは、三十四万台の自動車の中で、タクシーは一万二千五百台程度だ。しかしながら、一万二千五百台のタクシーによる交通事故が非常に大きいパーセントを占めておる、こういうタクシーだけが交通違反をしておるということは、一体取締りが不備のためなのか、その他の条件なのかということも、きのうの委員会で検討されたわけでありますが、私どもの調べた範囲においては、むしろタクシーの運転手そのものによる原因が多いわけでありますから、経済条件なり社会条件なりというものが、事故の原因の大部分を占めている。   〔委員長退席、理事大沢雄一君着席〕 これは交通取締りの問題よりは、むしろ運輸省が監督官庁として、一体こういった業者あるいはタクシーの運転に従事しておる従業員、こういうものに対する対策というものをどう立てておるのかという問題にもなると思うのです。この点、運輸省の御見解は、いわゆる神風タクシーなどといってこういう世論を巻き起しておるこの原因を、あなた方の御責任においてどう御判断なすっておられますか。
  68. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 今、加瀬先生のおっしゃいました数字は、東京都内におきます数字でございますが、東京都内におきまして現在、神風タクシーというようなことが取り上げられまして問題になっておりますが、事故防止に関しましては、昭和三十年から交通事故防止対策本部が内閣に結成されまして、その事故防止対策本都において事故防止対策要綱が相当広範囲にわたって決定されまして、これに基きまして運輸省といたしましても運輸規則の改正等をいたしました。われわれの事故防止に対しまする関係は、たとえば車両については、車両を整備し、九カ月ないし一年に一回は車両検査をし、そのほか運転従事者については、経営者を通じて事故防止についての注意を喚起する、そういうような方法で、ことにまた運輸規則に規定しております事故防止に関しまするいろいろなことを順守させるということでやっておるわけでございまして、ただ、警察庁の力の、あるいは警視庁の方の調査によりましても、実はハイヤー、タクシーにつきまして、東京都内の事故はだんだん減少しておる傾向に実はなっておる。  数字の上から申しますと、その指数等におきましては、たとえば東京都下におきまする自動車の事故原因、自動車が第一次原因でありますところの事故件数等を申し上げますと、昭和二十九年に、ハイヤー、タクシーにおきましては四千四百六十六件、この指数を一〇〇といたしますと、昭和三十二年には三千八百八十一件、指数八七というふうに、むしろ減少しておる状況でございまして、最近非常に神風タクシーが取り上げられておりまして、われわれとしても、総理府の先ほど申し上げました交通事故防止対策本部の中に、自動車事故防止対策部会というものを作りまして、内閣審議室長が部会長になりまして、現在鋭意この防止対策について、ここにおられます警察庁の警備部長も部員となられまして、対策を研究中でございます。これらについて、この部会において結論を得ましたら、それをできるだけすみやかに実行に移していきたいと、こう考えておるわけでございます。
  69. 加瀬完

    ○加瀬完君 そういうのんびりとした答弁をしておるから、世論がこういう大きな叫びを上げるまで、監督官庁として適切な措置が講ぜられぬということになるのですよ。私は歯にきぬ着せずに申し上げますが、二十九年に一〇一〇であった指数が八七になったということは、まだ八七あるということなんです。これが八とか七になったというならば、非常に事故が少くなったから、そう心配することはないということになるだろうけれども、まだ三千八百八十一件というのがある。こういうことは、少くもこれは相当大きな努力を要するということに私はなると思うのですよ。  それで、あなたが車両の検査をやるとか何とか言っておるけれども、車両による事故というのは、警察庁資料によりますと三・八%。九六・二%というのは、操縦者の心身の状態によって生ずる事故だ。そういう操縦者の身心の状態によって、コンデションのいかんによって生ずる事故がまだ九六・二あるということは、経済的にも、あるいは精神的にも、肉体的にも、こういう操縦者のコンデションというものをどう改革しあるいは改善しなければ事故が防げないかという、当然の問題をはらんでおるわけです。こういうことに目をおおっておりまして、事故が若干減ったという統計を一部分押えて満足されておっては、私は非常に困ると思う。昭和二十九年に比べて八七の指数といっても、八七だけの事故が起っているわけですから…。  そこで、伺いますがね、交通事故防止対策本部というのができていることも承知しております。運輸省でいろいろ規則を改正したことも伺っております。しかし、どういうふうに防止対策を講じようが、運輸省で車両その他の制限規則を作ろうが、八七%に減ったというても、事故はある。その原因が何かということになりますと、これは新聞なんかでも伝えられておりますように、どうも運転手の過重労働といいますか、経済条件の過酷といいますか、そういうことにあるということは世論の一致するところです。あなた方は結局、水揚高が八千円なり一万円なりというふうに抑えられて、これがノルマとして課せられておって、この八千円なり二万円なりを水揚げしなければ、下車勤というか、運転させない。しかも、固定給は三千上五百円から六千円くらいの程度だ、あるいは三千円から五千一五百円程度だ。こういう状態というものをどういうように御判断なすっておられたのですか。
  70. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 先生のおっしゃるように、事故は千八百件程度でござまして、確かに事故は多いのでございます。そういう意味において、われわれも事故防止に一生懸命努力しておるわけでございますが、それから今おっしゃいました、決して減ったというこの数字でわれわれは満足しておるわけではないのでありますが、さらに、ノルマの問題、あるいは固定給の問題等につきましても、そういうことが事故の原因だということも言われておりますので、われわれもその実態調査をやっておるわけでありまして、と同時に、経営者に対して、この三月の十日に、東京都内の協会が三つございますが、その三つの協会の幹部を運輸省に呼びまして、こういう今おっしゃいましたような勤務条件の問題、あるいは経営の問題、労働条件の問題等について大臣から要望いたしました。業者の協会といたしましても、できるだけ固定給を合理的なものにするように考えるとか、ノルマについてはこれから大いに検討いたしますというようなことを申しておりまして、今後もその検討なりこちらからの要望なりを続けていくことにいたしておるわけであります。
  71. 加瀬完

    ○加瀬完君 八千円なり一万円なりの水揚げを確保するには、一体総キロ数幾ら走れば、これだけあがるという御算定ですか。
  72. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 今ちょっと、資料を探しましていたしますが…。これは実際に制限速度以内で走りまして、大体各社の優良な運転手を選定いたしまして、三月七日に一日間走らせてみました調査がございますのですが、その調査によりますと、三百八十七キロ程度の一日の走行キロで八千百十円ほどの収入をあげております。全部の平均で申し上げますと、走行キロ三百四十三キロで、八千七百六十八円の水揚げをあげております。この程度が走れるという可能性のものでございますが、これでも相当走行キロとしては多いわけでございます。これらの走行キロがどの程度が妥当かどうかということも、われわれはもっと研究していきたいと思います。
  73. 加瀬完

    ○加瀬完君 それは制限外速度で走った場合ですか、時速三十二キロという速度に抑えて走った記録ですか。
  74. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 制限内の速度で、四十キロのところもございますし、一十キロのところもありますが、制限内の速度で走った場合でございます。
  75. 加瀬完

    ○加瀬完君 その優良な運転手といいますか、優秀な運転手でも、大体四百キロ弱走らなければ九千円程度のノルマは満たされないということですね。ですから、もっと能力の低い運転手は、四百キロ以上走って、八千円を確保するのにも骨が折れる。結局、四百キロないし五百キロ走らなければならないということになりますね。そうすると、かりに四百キロと押えても、四百キロ走るのには実働時間何時間働かなければならないことになりますか。
  76. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 実働時間は十六時間でございます。現在拘束十八時間半、実働十六時間という規定で実施されておる所が大部分でございます。あと八時間労働の所もございます。
  77. 加瀬完

    ○加瀬完君 十六時間の実働時聞として、昼飯を食べたり、夕飯を食べたり、あるいは客待ちをしたり、客の乗降の時間を取り去ったりして、一体制限時間で四百キロ走れますか。どういう計算で四百キロになりますか。
  78. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 四百キロは、通常の場合は走れないのじゃないかと思います。まあ例外の場合に四百キロ走るかと思いますが、大体走れないと思います。
  79. 加瀬完

    ○加瀬完君 十六時間の実働では、二百三十キロか二百五十キロぐらいしか走れないそうですよ、専門家の見解によると。そうしますと、優秀な運転手でも三百五十ないし四百キロ走らなければならないのですから、それなら、制限内で走ってはノルマがかせげないのですから、制限外のスピードを出さなければならない、こういう形になるでしょう。交通違反を黙認しなければかせぎ高は上らないということになるでしょう。これを運輸省は黙認するということになりますか。
  80. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) これにつきましては、今後事故防止対策本部自動車部会におきましても研究いたしまして、妥当な走行キロというものが出れば、運輸省の意見を申し述べたいと思いますし、警察庁の意見も伺い、その他関係のところの意見を伺って、大体妥当な数字というものをきめて参りたいと思っております。
  81. 加瀬完

    ○加瀬完君 妥当な数字をきめる前に、制限速度で十六時間の実働では、二百三十キロないし二百五十キロぐらいしか走れないということが、あなた方専門家ですからおわかりになっておるはずだから、ちょっとサンプルに走らせてみても、三百八十七キロ走らなければ八千円かせげないというのは、規則違反をやらなければ現在のノルマというものは満たされないのだから、これではこの営業状態をそのままに認めておくわけにいかないという結論が、対策を立てるより先に打ち出されるべきですよ。こういう御見解はお持ちになっておらないのですか。
  82. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) これは今申し上げました平均数字は、大体制限速度内で走るということを守りまして出た数字でありまして、これは優秀な運転手でありますから、あるいは一般に申しますと、これ以下かもしれません。その平均の三百四十三キロを走っておるというこの数字、あるいはこれ以下にきまるかと思いますが、その四百キロを走るのは無理であるということは、われわれも感じております。
  83. 加瀬完

    ○加瀬完君 十六時間の実働の中に、飯を食べたり、若干休憩をしたり、客待ちをしたり、あるいは車がストップしておったりする時間を引いていくときに、三百五十キロや三百八十キロも走れますか、十六時間の実働の中で……。計算してごらんなさい。   〔理事大沢雄一君退席、委員長着席〕
  84. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) これは、食事の時間等については、十六時間の範囲外でやっております。十六時間の範囲内では、客の乗降、客待ちが入っておるわけであります。でありますから、十一時間ないし十二時間走れるのではないかと考えております。
  85. 加瀬完

    ○加瀬完君 労働省に伺いますが、あなたはきのう、八時間労働が厳守されているようなお話であった。ところが今聞くと、結局十六時間では仕事ができないで、飯を食べたり休んだりする時間は別だと、二十時間くらいある、十六時間じゃない、こういうことをあなたはお認めになるのですか。
  86. 鈴木健二

    説明員鈴木健二君) 現在、実情は拘束十八時間で、実働時間十六時間、二時間が休憩時間になっておるわけであります。休憩時間の中で昼の食事をする、あるいは晩の食事をする、あるいは十時ごろ三十分くらい休憩をする、あとの残りは休憩時間でありまして、基準法の八時間制というのは、実働時間について申しておりますので、現在の運転手さんの勤務時間は八時間制をとっている、こういうふうに申し上げたわけであります。
  87. 加瀬完

    ○加瀬完君 きのうの話とだいぶ違ってきますけれども、八時間でもいいですよ。八時間でもいいけれども、しかし、のべつ客を乗せて走り続けるということはできないですよ。客待ちをしなければならない。客の乗降のときには車もとめなければならない。あるいは、変な話だけれども、生理的現象だってありますよ。そういう時間を引いていったときに、一体、実働十六時間というもので三百五十キロや四百キロを制限時間内で走るということは可能ですか。
  88. 鈴木健二

    説明員鈴木健二君) 大体実働十六時間で、客待ちあるいはストップ待ちというふうなものを除きますと、大体警察庁、あるいは運輸省なんかの計算で、十一時間くらい走れるのじゃないかというふうな計算を出しておるわけでございますが、平均三十二キロといたしますると、三百五十二キロになりますか、計数上だけで計算いたしますと、大体その辺までいけるのじゃないか、こういうふうな数字が一応出て参っております。
  89. 加瀬完

    ○加瀬完君 それは、のべつに客を拾っていった場合、最高の効率を上げてそういうことだということになりますがね。しかしながら、それにはチャンスもあれば、技術もありまして、一番最下能力だけしか持っていない運転手も、十時間以上走って、しかも三百五十キロ走って、賃金としてまあノルマの八千円以上かせげるという形にはならないと思う。だから、どうしても四百キロ以上走らなければなければならない者も出るし、だから八千円かせごうと思えば、スピード違反もしなければならないという条件が付随して出てくると思う。大体の者は、ほとんど三分の二は、ノルマの上から、これは労働条件が過酷になって、交通違反を犯さなければならないという実情に陥らざるを得ないと思う。こういうものを一体認められるか。最高の能力の者しか、それもいいチャンスにめぐり会ったときだけしか得られないという条件のものを、一体実働時間十六時間で、運転手の経済条件あるいは勤務条件というものが満たされているという判定を労働省はお下しになりますか。
  90. 鈴木健二

    説明員鈴木健二君) どれだけ走らなければ八千円なり九千円の賃金を、いわゆるノルマを果すかどうかという点につきましては、労働省といたしまして、はっきりした回答をいたす資料もございませんが、われわれといたしましては、そういうふうなノルマをこして、従来の労働契約に違反するような勤務をすること、そういう制度そのものに対しまして疑念を持っている次第でございます。
  91. 加瀬完

    ○加瀬完君 運輸省が、大体四百キロ以上走らなければ、現状で慣行上行われているノルマがかせげないという状態を、これはお認めになると思うのですよ。それを何ら対策を持たないで今まできたというのはどういうことですか。
  92. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 私どもといたしましては、陸運局を通じまして、経営者の力の監督をいたしておりましたわけでありますが、このノルマという問題につきましても、従来、検討はしておりましたが、これを改めさせるというようなことにつきましては、まあ積極的ではなかったのですが、先ほど申し上げましたように、今度、大臣も、このノルマの問題について業界、協会の連中を呼びまして、相当強く要望いたしまして、まあ協会の方といたしましても、業界といたしましても、これを真剣に検討するということを申しておりますので、こちらも研究し、業界の方からも出させ、及び内閣の自動車部会の方の研究と相待ちまして、先ほど申し上げた妥当な線を出したいと考えております。
  93. 加瀬完

    ○加瀬完君 私は、これからのことはこれから聞くのです。今までのことを聞いているのです。こういうノルマのような状態に置かれておりますから、このために死傷者というのは、あなたが御存じのようにおびただしい数字になっておる。これは国民の、あるいは住民の福祉ということから考えれば、こういう営業状態をあなた方が許可しておくということによって、国民のこうむる被害というものは甚大なものです。これについてあなた方は、監督官庁としての御責任をどうお考えになりますか。公共の安寧を乱すことはなはだしい。そういう営業状態考えて、今後対策を立てるということで相済むか、どうか。
  94. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) われわれは、これに対する責任は感じております。
  95. 加瀬完

    ○加瀬完君 あなた方は、極言をすれば、経営者という方にあまりにおもねった行政ですよ。たとえば、優秀な運転手が何人か集まって、こういう神風運転みたいなことをすまい、お互いのノルマでなくて、正常な運転によってお客様にサービスしよう、こういう申し出による、たとえば営業の許可権の申請があったって、現状においてはほとんど認められないでしょう。安全運転というものを奨励して、国民にサービスをさせるような考えを育成するということに、どういう一体御手段をとっておられましたか。ただ現在の台数を押えて、経営者を有利にするだけの条件しかあなた方はとっておらないじゃないですか、この点はどうですか。
  96. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 自動車運送事業、このタクシー事業もそうでありますが、これは道路運送法によりまして免許制になっておりまして、今問題が東京都の問題になっておりますので、東京都でお答えいたしますと、実は終戦後、非常に輸送事業が膨張して参りまして、それに伴いまして東京都のタクシーを非常に多く免許して増加した時代がございましたので、昭和三十年ごろにそれが非常にふえ出して、これではタクシーが多過ぎる、経営が成り立たないという議論が出まして、東京陸運局の自動車運送協議会で、昭和三十年の十月から、現状維持が妥当であるという方針が出まして、それ以来、増車及び新規免許をストップしておるわけです。この道路運送法に基きまして、実はよそで申しますと、道路運送法に基きまして免許基準がありまして、免許をいたしておりますので、この点免許基準に——このように東京におきましては自動車運送協議会の答申が増車ストップということに出ておりますので、新しい免許をいたしておりませんが、その他の地方におきましては、その他と申しますのは、そういう制限のありません地方におきましては、道路運送法に照らして、免許基準に該当するものは免許している。合わないものは却下するということでやってきておりまして……。
  97. 加瀬完

    ○加瀬完君 東京都の場合だけでけっこうですよ。今あなたが御説明下さいましたその協会というのは、どういう方々によって代表されている一体協会ですか。免許はですね、現在のこの神風タクシーというような世論の批判ですね、こういった都民なり住民なり、こういう側の意見というものが、どれだけあなた方に取り入れられておりますか。あるいはもっとざっくばらんに言って、神風タクシーのこうむっているような非難というものをなくするために、営業免許の点についてどういう御配慮があなた方の方でおとりになられておりますか、おとりになられておりましたか、この点どうです。
  98. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 今申し上げましたのは、東京陸運局の自動車運送協議会でございますが、これは陸運局の付属機関として設置されておりまして、この構成を申し上げますと、自動車運送協議会の委員は九人でございます。関係官庁、関係行政庁の職員及び学識経験のある方が三人でございます。それから自動車運送事業者が三人、それから自動車運送事業を利用する者が三人ということでありまして、たとえば東京陸運局の自動車運送協議会におきましては、会長は道路公団の総裁の岸さんであります。それから学識経験者として東大の教授の今野さん等も入っておられます。それから自動車運送協議会の自動車運送事業者の方の代表としては、バス、トラック、タクシーからそれぞれ一人ずつ委員が入っております。あと利用者の代表といたしましては、労働組合の代表者とか、そのほか今野さんもその方から入っておられますが、そういう方々の三・三・三の比率によります構成で構成しております。で、この自動車運送協議会におきまして審議をされまして、タクシー事業における需給の調整はどういうふうにすべきかということを論議されまして、その協議会から出された答申に基きまして、われわれとしては、免許なりあるいはストップなりをしておるということでございます。
  99. 加瀬完

    ○加瀬完君 答申が出なきゃあなた方の方では対策が出ないということですか。あなた方自体の神風タクシーなどに対する対策というのは、どういう点が今まで打ち出されておったのですか。
  100. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) これは免許という問題になりますと、東京都におきましては答申が出なければ免許はいたしません。それから、道路運送法は、運送事業者の監督ということを主点にして書いております。事業者に対する監督の面における措置ということはわれわれはいたしております。先ほど申し上げましたような指導監督ということは、これはもう日常の陸運局の仕事としてやらなければならないことでございます。やっておるわけでございます。
  101. 加瀬完

    ○加瀬完君 いや、そういう四角ばったお答えでなくていいのですよ。神風タクシーというような問題は、何もきょうこのごろ起った問題じゃない。実情としては数年続いてきた問題で、だんだんその度が激しくなってきておる。そこで、こういう営業形態というものを何か改める方法はないのかという、あなた方は業者の監督官庁の立場で、国民を守るという立場からも何か方法を講じなければならない、こういうお考えはお持ちになっておったのだろうと思う。それについてどういう行政的な措置が今まで講じられたか。あるいはこれからまた講じて、こういう問題の根本的な対策というものを立てようとお考えになっている点が何かあるか、こういうことなんです、質問は……。
  102. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) この新らしい免許につきましては、今後、自動車運送協議会に諮問をするということで、諮問をした場合に、答申を得ていずれかに決定になるということでございますが、そのほか経営の形態なり、労働条件なり、給与の問題なり、ノルマの問題という問題につきましては、先ほど申し上げたような、衆知を集めた妥当な結論を出して、それを実施に移していきたいと、こう考えております。
  103. 加瀬完

    ○加瀬完君 新らしい免許をすれば事故がふえるということにはまだなっておらない、結論は。新らしい免許によって、事故の防止というものだって考えられるのですから、免許するかしないかということは、ここで何も問題に私もしておらないし、あなたのお答えもそういう点でお答えにならなくていいのです。問題は、悪徳経営者というものをそのまま見過してこれからいくか、いかないのか。今まで悪徳業者に対して、どういう行政をしてきたか。あるいは神風タクシーを根絶するためには、今後悪徳経営者に対してどういう対策を立てるか、そのお考えがあるかないかということなんです。
  104. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 先ほども申し上げました交通事故防止対策要綱が決定されまして、それに基きまして、運輸規則の改正もやったわけでございますが、これを実施させるべくわれわれは、タクシー業者の監査をやっております。その監査に基きまして、不正な、あるいは不当なところ、あるいは間違っているところがあった場合にはそれは改めさせております。今後も悪徳業者、悪徳経営者というようなものが発見されました場合には、それに該当するような処分もいたしていきたいと、こう考えております。
  105. 加瀬完

    ○加瀬完君 それは交通取締りの規則とかで、車両制限とか、そういったようなことだけで、規則に違反しているかどうかということを調べても、ノルマの問題や運転手の心身の状態によってその日の事故が生ずるのだという、この解決にはならないと思う。あなたがこれから行政指導をして、あるいはお取り締りをしていく上に、こんな過酷なノルマを課したり、固定給を低賃金に押えたり、あるいはまた、一定のノルマに達しない者は下車させる、あるいは職を奪う、こういう方法をとるようなものは、これは不正業者、悪徳業者として営業権を取り消すとか何とかいう強い態度にお出になるというお考えがおありになるかどうか。
  106. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 固定給の問題、ノルマの問題等については、できるだけ早く結論を得て、指導し、監督し、正しい方向に向わしめていきたいと考えております。これにつきまして、現在、いかにしてその経営者を、何といいますか、縛るといいますか、監督するかということについて考えておりますか、そういう悪徳業者といわれるような内容を持った業者が出ました場合には、これについて処分をしていきたいと、こう考えております。
  107. 加瀬完

    ○加瀬完君 過酷なノルマを課している者は悪徳業者とみなしますか、みなしませんか。
  108. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) これは妥当な線を出したいと考えておりますので、その妥当な線を出して、これについてできないようなノルマを課すということは、これは不可能なことをしいるようなことはいかぬことだと考えております。
  109. 加瀬完

    ○加瀬完君 できるということは、交通規則や、いろいろ他の比較さるべき仕事等と比べて、同じような労働条件の中でできるということでなければうそだと思うのですよ。一番優秀な運転手をつかまえてきて、それを走らせてみて、三百四十三キロ走ったら八千七百六十八円水揚げがあったから、そうするとどの運転手にも三百四十キロ程度走らせて八千七百円程度の水揚げというものは、これは妥当な線だというような打ち出し方をされては、これは大きな問題だと思う。要は、業者そのものではなくて、こういう業態であるがためにこうむる国民の被害というものを、監督官庁の立場でどうして防いでくれるかということを私どもは要求しているのです。行政というものはそうでしょう。   〔委員長退席、理事大沢雄一君着席〕 自動車なら自動車というものを、国民にかわって監督すべき立場でやることなのですから、その主権者の国民かこんなに困っているのに、あなた方委任されたものが、その主権者の迷惑というものはそっちのけにして、妥当な線だとか、何とか言っているのは、はなはだ筋の通らないことだ。あなた方の自動車行政の監督下において、ノルマを問題にしているのじゃない、ノルマによって生ずる事故、それによってこうむる国民の被害、こういうものをどうして防いで行こうか、あるいはどうして事故を絶滅して行こうか、こういう考え方が自動車行政の基本にあるかないかということですよ。
  110. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) われわれは、事故の防止に非常に努力しているつもりでございます。利用大衆なり、国民なりの福祉というものは、われわれ一番念頭に置いて考えなければならぬと考えております。われわれは、経営者の方から監督をしていくということ、及び警察庁とも連絡をとりまして、警察庁の方の取締りとも相待ちまして、できるだけ妥当なと申しますか、国民の福祉に合うようなふうに持って行きたいと考えております。
  111. 加瀬完

    ○加瀬完君 どんな線を政府が妥当だとお考えになるか、今度火曜日に委員会がありますから、火曜日にもう一度いらして、われわれはこういう線をもって妥当だとして、今のノルマの問題、固定給の問題、勤労条件の問題ということを解決して行くのだという御方針を承わりたいと思います。あなたに対する質問はそれまで留保いたします。  労働省に伺いますが、固定給が三千円だの六千円だの、ノルマが八千円、だの一万円だの、こういうことをどうお考えになりますか。
  112. 鈴木健二

    説明員鈴木健二君) 一般的な給与の制度として、固定給がそういうふうに非常に低いというふうな給与制度というものは妥当ではない、一般的にはそういうふうに考えます。ただ、御存じのように、タクシー業は、使用者から全然目の届かないところで働く業態でございますので、一般論としては、固定給が少いということは、給与の制度としては遺憾な制度だと思いますけれども、そういう普通の工場と違いまして、使用者から全然離れて働くという業態のことも、この場合は、ある程度考えなければいけないのじゃないか、こういうふうに考えております。
  113. 加瀬完

    ○加瀬完君 だいぶ業者の立場に立って、いろいろ考えていますけれども、それは、ほんとうの意味で業者の立場というものではないのですよ、あなた方自動車部で考えていることは。これでは不正業者がのさばって、従業員をいたわって健全な経営をしようとする業者は、この過酷な無政府状態の競争の中には没落して行くのです。ほんとうの意味の健全経営を育てるというのなら、もっと健全経営の方針をとったものかやはり利益を上げる、利潤も上かるという方策をバック・アップして監督官庁がやるべきだと思う。そこで、現状において、タクシー、 ハイヤー会社は東京で三百十三社あるそうです。ところが労働組合の作られているのは八十だそうです。労働組合を作ろうとすれば、私たちも二、三の経験がありますが、必ず経営者側が第二組合を作る。こちらの方には三万ないし三万という運転手予備軍がプールされておるわけですから。また、そういう商売をしている者があるそうだ。会社にたてついたり何かするというふうな傾向を見て、使いづらいということになれば、それをやめさせて、プールされた予備軍の力からこっちへ持ってくる、こういう状態が続けられておりますが、こういう実情を労働省は調査をなさっておりますか。
  114. 鈴木健二

    説明員鈴木健二君) 今の労働組合の関係は、労政当局でやることでございまして、的確なお答えはできませんけれども、そういうふうに不当に弾圧して、組合を作らさせないというようなことがあれば、これは不当労働行為の問題として、そういう不当労働行為を取り扱う中労委その他によって判断さるべき問題だと、こういうふうに考えます。
  115. 加瀬完

    ○加瀬完君 それでは労働省としては、結局こういう状態で、はげしいノルマの中にぶち込まれておるのは、組合などの従業員の利益団体というのがないからだと、そのためには労働組合などを育てて行かなければならない、こういうことで、ハイヤーやタクシー会社の従業員に対する組合の育成というものに、何か特別のお骨折りをしておりますか、お力添えをしておりますか。
  116. 鈴木健二

    説明員鈴木健二君) 労働組合育成の問題につきましては、私その所管でございませんので、確答いたしかねまするけれども、われわれの基準法の観点から申しましても、就業規則は現在タクシー業界でも作っておるわけでございます。その際、組合が引当な発言力を持てば、そう不当な給与その他についての就業規則はできないじゃないか。監督署に出す場合には、組合の意見を聞いてでなければ、就業規則を作成して監督署に届けることはできないことになっておりますので、組合が強ければ、そういう面から給与その他の労働条件の改善が一部できるのではないか、こういうふうに考えます。
  117. 加瀬完

    ○加瀬完君 それでは、不当労働行為があったか、労働状態がどうなっておったかという点について、労働省は基準監督署なりを通じて、この問題、神風タクシーといったような世論の目になっておるこの問題の業態について、御調査なさったことがありますか。
  118. 鈴木健二

    説明員鈴木健二君) 監督署を通じて不当労働行為があったか、あるいは組合の弾圧があったかというふうなことは、監督署を通じて調査することはございません。
  119. 加瀬完

    ○加瀬完君 監督の責任にある労働省なり、運輸省なりが、のほほんとしておって、まわりから騒ぎ出されて、それで対策と言えば、これから考えるのだ、率直に言って、実情調査したかと言えば、調査も十分じゃない、これでは話になりませんよ。何を一体あなた方はやっておったか。騒ぎ出されて問題を起すのじゃなくて、騒がれない前に、国民の与望をになっておるあなた方が行政の衝に当っておられるのだから、もっと対策というものを厳密に立てていなければならない。騒がれてからどのくらいになります、国会の中でも。聞いてみれば、まだ実情調査もしておらぬし、問題を的確につかんでもいない、こんなことでは質問をしてもしようがない。もっと責任者をこの次の委員会に出さして、もっと私の質問に答えられるようなはっきりしたものを持っていらっしゃい。そういう態度で、運輸省なり労働省がいる限りは、こんな警察法改正、路地に至るまで幾ら交通規則をやったって、全然交通違反というものはあとを断ちませんよ。私どもは、運輸省の担当委員会あるいは労働省の担当委員会じゃないけれども、これだけの世論が大きく騒がれているときに、あまりにもわれわれに対する答弁としては不十分きわまると思う。われわれはとても満足できませんから、この次、また委員会がありますから、そのときまでにはっきりした御答弁を持っておいでいただきたい。一応それまで保留いたします。
  120. 大沢雄一

    ○理事(大沢雄一君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  121. 大沢雄一

    ○理事(大沢雄一君) それでは本案に対する質疑は次回に続行いたすことにいたしまして、本日はこの程度にとどめます。   —————————————
  122. 大沢雄一

    ○理事(大沢雄一君) ただいま委員異動がございました。松岡平市君が辞任されまして、伊能繁次郎君が補欠選任されましたので、御報告いたします。   —————————————
  123. 大沢雄一

    ○理事(大沢雄一君) この際ちょっとお諮りをいたします。  鈴木君より、町村合併に対する国有林野の払い下げ問題について質疑を行いたい旨御要求がございました。質疑を許可するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 大沢雄一

    ○理事(大沢雄一君) 御異議ないと認めます。   〔理事大沢雄一君退席、委員長着席〕
  125. 鈴木壽

    鈴木壽君 時間もないようでございますから、簡単にお尋ねします。先だって委員会で、新市町村に対する国有林野の売り払いの問題に関連しまして、増し担保のことを提示して、せっかく新市町村に対する将来のための基本財産を造成するために売り払いをするのだから、無理な増し担保というものは取る必要がないのじゃないかというお尋ねをして、また実際担保を取っておる状況を見ますと、現在まで法があるにかかわらず、ばらばらな形で、担保の全然ない所もあり、あっても形式的な行政財産を担保に入れたりなんかしておるのだし、この際、新市町村の育成という大きな立場から増し担保を取らないようにすべきじゃないかということで、いろいろ御意見も聞いたわけでございます。自治庁としては、増し担保を取らないようにすべきだという態度をきめておる。林野庁当月もそうなってけっこうだ、こういう話で、当時、大蔵省の管財局長、それから第二課長さんもおいでになりましたか、これから私が要望したような線で検討する、こういうことで一応終っております。いろいろお話し合いが行われたようでございまして、近く結論が出るというようなことをお聞きいたしましたので、私もありがたいことと思っておりましたが、その内容をちょっと聞きますと、やはり従来のように、増し担保の提供ができる所は取るし、できない所には、個々の市町村について協議をした上で取らなくてもいいようにして行きたい。こういう態度で、法令関係改正でございますが、手入れをしよう、こういう結論になっておるやに聞きましたから、これでは従来の管財局長の賀屋さんにお答えいただいたような、そういう点から言っても不満足だと思うし、現在のように農林省の訓令の十四号にありますような、ああいう一つの基準を示しておきながら、なおかつ各営林局の取扱いが不統一な、ばらばらな格好で行われておるような状況からいたしまして、かえって問題解決のためには混乱が起るのじゃなかろうか。あるとか、ないとか、ある所は出す、ない所はというようなことで、かえって私はこの問題の処理にうまくない結果を招来するのじゃないか、こういうふうなことが心配されますので、一つ、私が申し上げまた御要望し、また賀屋局長がお答えになったような線でやっておられるか、あるいは私がお尋ねしたような、私が陰で聞いたような線で決定されるものかどうか、そこら辺一つ、協議をなさった当事者からでもけっこうでございますから、特に大蔵省の方の方からお話をいただきたいと思うわけであります。
  126. 玉置康雄

    説明員(玉置康雄君) この前、この委員会でお話がありまして以来、林野庁の方で、大蔵省及び自治庁といろいろ協議申し上げておりまして、まだ最終の結論まで行っていないわけでございます。何らか、三十三年度からは、今までのやり方を改めたいと思っております。  そこで、その改め方でございますが、目下のところ、きょうまでの考えといたしましては、現在の法令のもとでは、全然担保価値を百パーセントに見るというようなことは無理ではなかろうか。また百パーセントに見ました場合に、将来、債権管理に全然心配がないかというと、それも全然心配がないとは申し切れない。そこで、それならば従来の方針通りやって参りましたならば、新市町村の育成上阻害がないかと言いますと、確かに鈴木委員さんがおっしゃいましたように、障害になっている点もございますので、原則といたしましては、やはり担保価値は七割に見よう。しかし、適当な担保がありませんで、庁舎の敷地とか、市営住宅とか、そういうものを従来取りましたのは、これはやめまして、適当な山林がない場合には、個々にまた協議いたしまして、そういうものは取らない。つまり、その場合には売り払いました山だけを担保に取ろう、大体そういうのが現在までの考えでございます。そこで、そういたしました場合に、どういうことになるだろうかと申しますと、私ども実は側々の町村の実情について十分わかっているわけではないのでございますけれども、関東から関西、九州方面にかけましての町村におきましては、適当な担保物件といたしまして山林があるというところが大部分だと思うのであります。東北地方におきましては、非常に国有林が多いために、町村有林がないというところがだいぶあるようでございます。そこで大部分と申しますか、半分以上の町村におきましては、他に担保として出す山林を持っておるようでございますから、原則はくずさずに行った方が、将来の債権管理のためによかろう、現在までのところ、大体相談しているのは、そういう段階でございます。
  127. 天野四郎

    説明員(天野四郎君) この問題につきまして、農林省、また省内におきましては、主計局等と相談いたしましたが、ただいま農林省の方からお述べになりましたような方向によって、大体話がととのっております。私の方といたしましては、何分、主務大臣でございませんので、実情がはっきりいたしませんから、要は、農林大臣の方でよくお考えになって、話をよく承わって考えようというような態度でございまして、国有財産法の三十一条も、そのように各省各庁の長が延納の特約をする場合におきましては、大蔵大臣と協議することになっておりまして、大蔵大臣は、私の方はこれをきめます場合には、協議に応じます場合におきましては、まず現行法令上、どういうふうになっているかをいろいろ判断してきめるわけでございます。その際基準となりますものは、御承知通り、債権管理法の系統でございまして、その債権管理法関係の政令の十七条の二項に、そういうようなものは、法令とか、また契約に別段の定めかある場合を除くほか、大蔵省令で定めるようになっていまして、現在その問題の土地が七割になっていますのは、これは大蔵省令に規定してある事項でございます。しかし、そこに除外がありますように、政令とか、法令または契約に別段の定めがある場合と書いてございますので、そのような法令、あるいは契約があればいいわけでございます。従って方法といたしましては、この新市町村建設促進関係の法令におきまして、その系統におきまして、そういうような法令をお作りになるか、あるいは、さもなくば契約によるわけでございます。そうしてそれをお諮りいたしました結果、自治庁の方におきまして、そういうような法令の改正考えがないように農林省の方から承わっておりますので、また、今言われましたように、原則的にすべての立場をくずしていかないというお話でございますので、農林省の方で個別に、ケース・バイ・ケースに大蔵省の方に相談いたしまして、というようなお話でございますから、そのように主計局の方とも相談いたしまして、大体話がそのようについておるわけでございまして、これから私の方は、ケース・バイ・ケースにお話を聞くのを待っているような状況です。
  128. 吉浦淨真

    説明員(吉浦淨真君) 今の私どもの方といたしましては、やはりケース・バイ・ケースで参っても、ある程度救えることは救えるのでございますが、何分にも、地方で各営林署等のある程度の自山裁量によりまして、担保のあるなしが決定され、それがやはり全部的に中央の段階に参りまして、農林大臣と大蔵大臣が協議しなければ事が定まらないような煩瑣な手続きを残しますことは、今後いろいろやって参りますときに、画一的でないと考えておりまして、でき得れば、やはり法令に別段の定めがある場合は除くわけでございますので、ぜひ何らかの法令措置を講じたいと考えておるわけでございますが、先ほど大蔵省の方で、自治庁にそういう考えがないというふうに言われたわけでございますが、実はわれわれの方はそうじゃないのでございまして、むしろこの問題は、われわれの方で、法令に別段の定めをする、というのは、少し各省間の問題といたしまして、おかしいので、やはり債権管理の立場から考えて、法令に別段の定めをその系統でやるべきじゃないかというように考えておったわけであります。そういった立場にございまして、今、農林と大蔵の方では、ある程度お話が進んで、大体ついたというふうな御見解でございましたが、私どもの方といたしましては、まだ責任がある者の立場として、それを了解したという点には至ってないわけでございます。
  129. 鈴木壽

    鈴木壽君 最初に林野庁の調査課長の今のお話についてでございますが、この前に私お尋ねした際には、別に、林野庁としては担保を取るということをしいて固執しておらないのだ、大蔵省の方の関係の法律との関係で取らなければいけないことになっているものだから取るのだ。私は取らなくてもいいのかと念を押したのですが、私どもの方は、別に取らなくてはいけないということではないのだ、こういうお話だったのです。これは速記録を調べればすぐわかる。今あなたのお話は違ってきている。私も担保を全然取らなかった場合に、全然心配ないかと言えば、私もあるときには心配な点もあるのではないかと思いますが、これは立木の場合です。しかし、それじゃその心配を防ぐ方法がないかと言えば、ありますよ。立木の場合だって、方法は幾らでもある。しかもそれは担保に取っておるのですから。ですから問題は、何べんも申しますが、私、個人の利益のために、山林の売り払いとか何とかを問題にするのじゃなくて、ほんとうに地区の住民の将来の幸福のために、新市町村が基本的な財産としてそれを増進したいという、そういう目的のもとにやるということを前提にして、私は要望めいたことを言っておるのです。この点についての林野庁の設識は少し足りないのじゃないかと思う。何かこの前申し上げたように、あなた方の不用地をこの際払い下げるのだという考え、当時の林野整備の臨時措置法みたいな、変な考えでまだおるのじゃないかと私は申し上げたのですが、私はそういう考えがまだ残っておるのじゃないかと思うのです。そういうことはともかくとして、そういう意味からいって、私は全然心配ないかと言えば、中には、あるいはという点もないわけではないが、それはまた防ぐ方法もあるから、だからあなた方が、やはりなければ困るということは、もっとほんとうに物事を解決するというような気持になれば、私は解決の道は別にあるということを、まず申し上げておきたい。それから大蔵省の考え方、私はもちろん国有財産の管財規則ですか、そういうものも私見ました。なお、あれだけでなく、あれと、もう一つの普通財産の取扱い規程にもそれは制約されるのです。二つのものの合わさった格好で、売り払った額以上のものを担保に取らなければいけないということになるので、私そういう法令も多少調べて見ました。そこで、この前申し上げたことは、そういうことにだけ縛られて、法の問題の解決ができないから、これ以外のいわゆる特例と申しますか、特別に何か措置をしてもらえないかと言ったら、賀屋局長は、その線に沿って考えますと言っておる。これも速記録にあります。その線に向って研究を進めて行く、こう言っておる。そうすると、今のあなたのお話だと、その線は全然くずさないで、ケース・バイ・ケースでやっていくのだ、こういうお話です。ですから、これはちょっとあなた方の検討の仕方が、私は当時のお答えとは違っておると思う。私はあとで懇談の際にも、どういう法令を、どういじれば…−私は専門外でわからぬが、これはあなた方よくやっていただきたいということを、懇談の際にも申し上げたつもりなんです。あくまでも、それは現在のあの二つの規則に縛られておる、それでは解決つかないから、これを何とか緩和して、特に新市町村に対する一つの大きな思いやりの措置として法的に考えていただきたい。そのために必要な手直しもしなければならぬところも出てくるであろう、こういうつもりで了解しておったわけなんでございます。ですから、局長さんの賀屋さんがおいでになれば、きょう来ていただきたいと思ったけれども、この問題は何べんも申しますが、私は単に山がほしいという個人的な人に払い下げる場合を言っておるのではなくて、ほんとうに大きな目的のもとに行われる売り払い、あるいは買い受け、そういうことに対する私は国としての大きな政策の問題だろうと思うのです。どうか一つそういう意味で、さらにあらためて御検討していただきたいと思います。ケース・バイ・ケースでやるために、それを待っているのだというようなことは、さっき私がちょっと申しましたが、問題の解決にはなりません。もし何でしたら、今度の委員会に局長さんにでも来ていただきたいと思いますが、私はいろいろな法令の関係で、むずかしいというこは承知しております。しかし、それは越えられないむずかしさじゃ私はないと思う。どうでしょうか、課長さん、全然不可能なことなんでしょうか。
  130. 小熊孝次

    政府委員(小熊孝次君) お答え申し上げます。私の方は主として債権管理の面を扱っておるのでございますが、債権管理法の建前から申しまして、特に今回のケースにつきまして立法措置を講ずるとか、あるいは特に法令を規定しなければならぬとか、そういうものは現行の債権管理法の建前から申しますと、特にないわけでございます。問題は実体の問題だと考えるのであります。一応、債権管理法で、そのような七割とか八割というような担保価値の見方は一応否定しておりますが、これも実を申しますと、国の国税などの担保を取ります際の基準に一応なっておるわけでございます。御承知のように、これはまあ、こういうことはあまりないかもしれませんが、その担保を取りまして、そうして滞納になったという場合におきまして、これを競売に付するというような場合には、必ずこれは普通の売り払い価格というものよりも下がるというのが実情であるようでございますので、そういうような見地から、こういう担保価値の基準をきめたわけでございます。この際これにつきまして、それでは全然例外が持てないかと申しますと、これは法律的に申しますと、政令あるいは契約できめればできる、こういうことになっております。それをどの辺にきめたらいいか、あるいはそのやり方につきまして、先ほどお話がありましたように、個々具体的なケースごとにきめて行くのがいいか、あるいは一律に特例を設けるのがいいか、こういうような問題につきまして、実は私は林野庁の方からも、あるいは関係局の方からも、直接十分な御要望というものをまだ実は承わっておりません。実はその御要望を承わりました上で、まあ他に波及しないという限度におきまして善処したいと、実はそういう心がまえで考えておる次第であります。今までの経緯、それから法律の建前、そういうような点、ちょっと参考までに申し上げました。
  131. 鈴木壽

    鈴木壽君 ですから私も一般の他の債権の保全と申しますか、そういう建前から見て、あなたが心配なさるようなものに、よそへ波及するような、影響するようなことまで私やってもらいたいということじゃないのです。だから可能な範囲、可能な範囲というか、必ずしも契約とか、あるいは特別に何かこう方策を加えることによって、そのことだけを十分にやれる方法があるのではないかと、こういうことを前提にして私申し上げておるので、どうか一つ、双方の意思疎通もあまり十分じゃないと思いますから、お忙しいでしょうから、いろいろ国会中であるいはそのほかの用務で、関係のある責任者の方々がじっくりお話し合いをしたということでもないようでございますから、一つ本気にこの問題について、また多少、一日、二日ということを私は言うのではございませんが、しかし年度末でございますから、新たな年度を迎えるに当って、それに間に合うような意味において、どうか早急に、この前お答えいただいたような線で一つやっていただきますように、特に林野庁の調査課長さん、さっきのは、この前のあなたの答弁と違いますから、私はこれはおかしなことだと思いますから、さっき大蔵省の話だと、あなた方の御意見に従ってやっていく方が一番いいということも言っておりますから、これは大事な問題ですから、不安のない方法は別にとり得ると思うのです。土地まで担保に入れていたのを売る人はありません。あるいは立木の場合は、契約に反して売り払うということは、あるいは過去においてあったんですから、起り得るかもしれません。だから、それを防ぐためには、私は別に方法が講じらるべきだと、こういうことを申し上げて、一つ善処方をお願いしておきたいと思います。本日はまだ固まっていないようですから、いずれまたあとでお伺いいたします。
  132. 小林武治

    委員長小林武治君) 本日は、これにて散会いたします。    午後四時十三分散会