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政府委員(
中川董治君) 過日、国務大臣から
説明いたしました
遺失物法等の一部を
改正する
法律案について、条を追って
説明いたします。
第
一条は、遺失物法の一部を
改正しようとする
規定であります。
その第二条ノ二の
改正規定は、
現行法の第二条の
規定によって、
警察署長が売却に付しても売却できなかった物件または売却することができないと認められる物件は、
警察署長においてこれを廃棄することができる旨の
規定を設けたものであります。現在取り扱っ
ている遺失物の中には、腐敗したくだもの、効用のなくなった野菜等がありまして、
現行法の
運用としては、条理に基いて適宜廃棄するのやむない
状況にあるのでありますが、かかる場合の明文の
規定を設けることが、かえって処理の適正を期するゆえんと考えられますので、この
規定を設けることといたしたのであります。
第
四条中
改正は、
規定整理のため、
現行法第十条第三項の内容をこの第
四条に移したものであります。
第七条中
改正は、
現行法の
趣旨とするところを明確にするために改めようとするものであります。
第八条第三項中
改正は、
一般的には法令の
規定により私に所有
所持することを禁じた物件であっても、猟銃、
刀剣等のごとく、
許可または
登録により
所持が認められるものについては、拾得君に権利を与えることが妥当と考えられますので、この
改正規定を設けることといたしたのであります。
第九条中
改正規定は、次に申し述べますように、船車建築物等において現実に拾得した者に対し、拾得者としての権利を付与することにいたしたことに伴う
改正であります。
次の第十条は、全文を改めるものであります。船車建築物等の占有者のため、これを管守する者が、その管守する場所において、他人の物件を拾得したときは、
現行法の場合と同様に、当該船車建築物等の占有者に拾得者としての権利を与えるのが適当であると考えるのでありますが、管守者以外の第三者が、船車建築物等において他人の物件を拾得したときは、第一次的には、現実の拾得者に拾得者としての権利を付与し、当該船車建築物等の占有者が拾得物に関する権利を取得するのは、現実の拾得者が拾得物に関する権利を放棄した場合と、その者が三十四時間内に管守者に物件を交付することを怠った場合に限ろうとするものであります。なお、この場合、現実の拾得者は当該船車建築物等の管守者に物件を交付し、この交付を受けた管守者はその占有者に差し出すべきことは、
現行法と同様でありま。
第十条ノ二の
改正規定は、右の船車建築物等の占有者のうち、拾得物を保管するに適すると認められる特定
法人は、わざわざその物件を
警察署長に差し出すことをしないこととし、届け出ることのみによって、みずからこれを保管し、これに伴う必要な処理を行うべきことといたしたのであります。すなわち、かくすることが、むだを省き物件の損傷を少くするゆえんと考えるのでありますが、右の
法人の指定に当っては、当該船車建築物等における拾得物の保管設備の
状況等を十分勘案して、実状に即して逐次実施することが、この
改正規定の
趣旨に沿うものであると存じます。
第十
一条中
改正規定は、
犯罪者の置き去ったものと認める物件については、
現行法のもとでは、当該
犯罪の公訴権消滅後さらに一年の期間を経過しなければ、拾得者に権利が移らないのでありますが、これは適当でありませんので、公告後六ヵ月を経過した後であれば、当該
犯罪の公訴権消滅の日に拾得者に所有権が移るよう
規定を改めたのであります。
第十三条中
改正規定は、右の第十条ノ二の
規定を設けたことに伴う
改正であります。
第十
四条中
改正規定において「六箇月」を「二箇月」に改める
趣旨は、所有権を取得した者が所有権取得後一ヵ月内にすでに七二%強、二ヵ月内には九〇%弱引き取っ
ている
実情でありますので、この
実情に即して処理を迅速に行い、物件の活用をはかろうとするものであります。
第十五条の
改正規定は、麻薬等のような法令の
規定により私に所有
所持することを禁じた物件については、その所有権が国に帰属する旨の
規定を設けるとともに、第十条ノ二の
規定を設けたことに伴い
改正したものであり、第十六条の
改正規定は、細目については政令その他の
命令にゆだねようとするものであります。
法律案第二条においては、水難救護法の一部を
改正しようとするものでありますが、同法に定める漂流物または沈没苗については、制定当時から遺失物とおおむね同様に
規定され
ていますので、遺失物に関して期間を短縮すると同
趣旨により、同法第二十七条及び第三十条所定の期間を短縮しようとするものであります。ただし、沈没品のうちには、期間を短縮することが不適当なものがありますので、沈没品中政令をもって定めるものについては、
現行法通り一カ年とするものであります。
第三条において民法の一部を
改正しようとするのでありますが、国務大臣から
説明いたしました
趣旨に基き、同法第二百四十条所定の「一年」を「六个月」に改めようとするものであります。
なお、付則において施行期日の
規定並びに右
改正に伴い必要な経過
規定及び
関係法律の一部
改正規定を設けております。