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政府委員(
中川董治君) まず、
大沢委員の前段について、私の
説明が不完全のための誤解だと思いまするので、
説明をもう少し正確に申し上げたいと思います。旧法時代と申しますか、明治時代、大正の初年時代ないしは昭和の初めにおきましては、旧憲法の時代でありましたので、個々について治安
警察法とかあるいは行政執行法等によって取り上げる、こういう
規定があったのであります。ところが、日本国憲法が施行にたりまして、これは
都道府県公安委員会に限りませんが、いやしくも、
行政機関が
行政行為をするに際して、そういう恣意に陥りやすいようた行政処分をいたさないという
建前を貫いたのであります。そこで行政処分、すなわち、
許可をするという場合におきましては、
欠格要件を明確にいたしまして、
欠格要件に当てはままか、当てはまらないかということだけを審査する、こういう
法律体系になったのであります。そういう結果、
欠格要件に当てはまらない者が持って、それが不当に使用する、こういうケースが出て参りましたので、今後は、その
行政機関の行政処分の恣意に陥るようなことをまたもとへ戻すというようなことはやらないこととし、その精神に沿うことは大原則としながら、しかも、その使用の段階において、健全なる
社会常識に基く
規制を正確に行うことによって、危害の予防の
目的を達成しよう、こういう
法律の
建前をとることが、公共の福祉に沿うゆえんでもあり、しかも、なおかつ、行政処分が恣意に陥るということを防ぐ、両者の
目的を達することができる。もって
関係者の
権利の保護と、それから公共の一般危害の立場の保護という両
目的が達成できると考えてこういう体系にいたしたのでありますので、その点は、
大沢委員が御心配になられる点は、行政処分の、
欠格要件に認定するかどうかということを発見する
行政行為と、それから、その使用が正当であるかどうかということを認定する行為との両者によって
目的が達成することができるのではなかろうかと思うのであります。さらに、
許可以外に
登録という制度がありますので、おおむね
刀剣は
登録でございますので、
登録というのは、
文化的価値があり、あるいは
骨董的価値のあるものにつきましてはどしどし
登録ができる。どしどし
登録ができて、非常にずさんな言葉を用いれば、だれでも
登録はできる。だれでも
登録はできるけれども、
登録のできたものを護身用に持つのはよろしい。それから、それを鑑賞する場合には、これはもちろんけつこうである。これを、だれかが襲いかかってきたときに正当防衛に用いることはけっこうである。そういう社会的に許された、たとえば居合術の練習に用いるのはもちろんけつこうである。博物館に陳列するのも、そういう意味合いではけっこうである。ところが、市上騒然としているときになぐり込みにこれを持つのは不法である。そういう
目的で何するのが、両者の
目的を達成するのであり、それはまた両者の
目的を達成する最も合理的な方法ではなかろうかと考えた結果でございまするので、御心配の点は、その点はだんだんと解消せられるであろうと、こういうふうに考えるのであります。
御質問の後段の点でございますが、顕在化した
銃砲刀剣について右のように正確な
規制をするのはいいけれども、顕在化しないのは大へん危いじゃないか、顕在化しないものについて、やはりそこに原因があるのではなかろうか、その原因のもとをつくということが一番手っとり早い方法ではなかろうか、こういう御意見であります。まことにごもっともでございます。私どももさように考えておりまして、顕在化しないようなものがだんだん流れ込んでくる、どこかにあるということのもとをつくということを、常に検討を加えておるのであります。
銃砲刀剣についてこれを申しますれば、大体もとは日本国の、従前、軍用その他に用いておったものが、この
法令によって顕在化しないでもぐり込んで、それがやみからやみに流れたというのが大
部分であります。それから第二点においては、数においては比較的少いのでありますが、もとは進駐軍、最近は日米安全保障条約に基く駐留軍でございますが、駐留軍が持っておるものが、
合法的に持たれておるものはもちろんいいのでありますが、やみに流れていくという面が一部に存在しておりますが、この後者につきましては数は少いのでありますが、しかし、
危害予防には重要なことでありますので、取締り官憲といたしましては、私ども警察の力をそういう
方面に集中するはもとよりでありますが、それ以外に、外国官憲諸機関、たとえば向うの駐留軍の捜査機関等も大へん協力していただきまして、その
関係において、兵隊等が違法に流すということを防遇するという点につきましては、
関係諸国の捜査機関と日本の捜査機関とが完全に一致いたしまして、そういう面で努力いたしておりますので、そういうもぐった面がだんだん少くなっていくという点は確かに言えるのであります。ところが、日本におきましては従来、日本の軍人等が持っておったものについて、やみに流れたものがだんだん顕在化していって今日に至っておるのでありますが、まだ顕在化し残りというものが若干ございますので、こういう点につきましては、この
法律案では二十三条の
規定でございますが、いろいろもぐったものをますますもぐらすのは、取締りの方法として下手でありますので、
改正法律案の二十三条に届出の制度を認めまして、従来もぐっておったものを発見したというのについては、どしどし顕在化さしていって、ますますもぐっていくということのないようにいたすとともに、他面、取締りというものは、
関係の捜査機関を動員いたしまして、そのせんさくに努めて、これも相当成績を上げておりますので、だんだんこういうもぐったものが顕在化し、及び検挙されていくということになると思いますので、こういう
銃砲刀剣等の危険物による被害が、国民の脅威からだんだん少くなっていくということになっておるのが現状でございます。