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1958-02-11 第28回国会 参議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月十一日(火曜日)    午前十時十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 武治君    理事            大沢 雄一君            小柳 牧衞君            加瀬  完君    委員            伊能 芳雄君            西郷吉之助君            成田 一郎君            鈴木  壽君            中田 吉雄君            松澤 兼人君            岸  良一君            森 八三一君            白木義一郎君   国務大臣    国 務 大 臣 正力松太郎君   政府委員    警察庁長官   石井 榮三君    警察庁刑事部長 中川 董治君   事務局側    常任委員会専門    員       稲永與一郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○連合審査会開会の件 ○遺失物法等の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○警察法等の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○銃砲刀剣類等所持取締法案内閣提  出)   —————————————
  2. 小林武治

    委員長小林武治君) これより委員会を開きます。  まず、連合審査会開会についてお諮りいたします。  昨十日、法務委員会から、銃砲刀剣類等所持取締法案並びに遺失物法等の一部を改正する法律案について連合審査会を開かれたい旨の申し入れがありました。本件につきましては、先ほど理事会におきまして協議をいたしたのでありまするが、法務委員会申し入れ通り、両案について連合審査会を開くこととして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小林武治

    委員長小林武治君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会日時等は、両委員長協議いたすこととなっておりますので、これらにつきましては、便宜、委員長におまかせ願いたいと存じますが、理事会協議におきましては、大体、明後十三日木曜日の午前中を連合審査会に充てたいということでありましたので、この点お含みおき願います。  また、今後の委員会審査日程でありますが、本日は、遺失物法等の一部を改正する法律案及び警察法等の一部を改正する法律案の二案について提案理由説明を聴取いたし、その後、銃砲刀剣類等所持取締法案詳細説明を聴取し、質疑を行うということであります。その後の委員会につきましては、十四日金曜日、本会議散会後に委員会を開き、銃砲刀剣法案採決まで参り、引き続き、遺失物法案質疑を行いたいと存じます。十八日火曜日は、定例でありまするが、都合により休むことといたし、二十日に委員会を開き、遺失物法案採決を行いたい。  大体かように理事打合会において協議をいたしましたので、御了承を願いたいと存じます。   —————————————
  4. 小林武治

    委員長小林武治君) 次に、去る六日、本院先議議案として付託になりました遺失物法等の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府より提案理由説明を聴取いたします。
  5. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) それでは提案理由説明をいたします。  今回提出いたしました遺失物法等の一部を改正する法律案について、提案理由及びその内容概要説明いたします。  遺失物は、遺失物法、その他の関係法律に準拠して警察署長が取り扱っているのでありますが、その根拠法たる遺失物法は、明治三十二年に制定され、その後、実質的な改正をほとんど見ることなく今日に至っているのであります。物件拾得した者が、その物件遺失主に返還できないときは、警察署長に差し出し、警察署長において公告後、法定期間内に遺失主が判明しないときは、拾得者所有権を取得するのが、現行法骨子であります。わが国においては、多年にわたり、この原則により遺失物を取り扱ってきておりますので、この建前変更することは適当でないと考えるのであります。しかしながら、遺失物法制定当時と今日とを比較いたしまするに、物件交流移動も著しく多数に上り、従って、遺失される機会も非常に増大しておりますし、他面、遺失主がその遺失物を探し求める手段も、通信及び交通機関の目ざましい発達により、著しく便利になっておりますので、現行遺失物法骨子を根本的に変更することなく、文明の発達に伴う所要改正を行うことが、遺失物取扱いの適正を期するゆえんと考えるのであります。  右の趣旨に基き提出いたしました遺失物法等の一部を改正する法律案内容について説明いたします。  その第一は、拾得者において遺失主を発見できないため、警察署長に差し出した物件については、現行法のもとでは、警察署長において公告の後一年を経過しなければ、拾得者がその所有権を取得できないのでありますが、今日の実情について調査いたしまするに、公告後、遺失主の判明する総件数に対し、一月内にすでに九一%強、三月内には九九%弱、六月内に百パーセント弱が判明している状況であります。すなわち、通信及び交通機関発達した今日においては、遺失主の判明すべきものの大部分は、公告後三月内に判明しているのであります。この実情にかんがみ、公告後六月内遺失主の判明しない場合は、拾得者所有権を取得することとしたのであります。  なお、かかる趣旨に基き、拾得者所有権を取得してから引き取ることのできる期間を二月内と改めるとともに、犯罪者の置き去ったと認められる物件についても同趣旨改正を行なったのであります。また、水難救護法規定により、市町村長の保管する漂流物等についても、所有者は、公告または告知後六月以内に限り、市町村長から引き渡しを受けることができることとしたのであります。  第二は、管守者のある船車建築物等において他人の物件拾得した者は、現行法拾得者としての権利が認められず、その船車建築物等占有者が、拾得者としての権利を取得することになっているのでありますが、この規定は、船車建築物等において多数の客が来集している現状にかんがみ、社会常識に合致しないので、かかる場合は、現実拾得者拾得者としての権利を付与し、船車建築物等占有者拾得物に関する権利を取得するのは、現実拾得著がその権利を放棄した場合と、その者が、二十四時間内に当該船車建築物等管守者拾得物を交付しない場合とに限ることとしたのであります。  第三は、船車建築物等占有者であって、拾得物保管能力があると認められる特定法人は、当該船車建築物等において物件拾得した者から物件の交付を受けた場合及び当該船車建築物等を管守する者が物件拾得した場合においては、その物件を、わざわざ警察署長に差し出さないこととし、これを警察署長に届け出て、みずから当該遺失物を保管すべきこととしたのであります。この改正規定は、当該船車建築物等における保管施設整備状況等とも十分にらみ合せて、実情に即するよう円滑に実施したい考えであります。  その他、法令規定により私に所有所持することを禁じた物件帰属関係規定保管物件の廃棄に関する規定等整備したのであります。  以上がこの法律案提案理由及び内容概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。   —————————————
  6. 小林武治

    委員長小林武治君) 次に、同じく去る六日、予備審査として付託になりました警察法等の一部を改正する法律案議題とし、政府より提案理由説明を聴取いたします。
  7. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) ただいま議題となりました警察法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概略を御説明いたします。  この法律案は、警察法及び道路交通取締法についてそれぞれその一部を改正しようとするものでありますが、現行警察法施行以来三年有半の警察運営実情と、最近における道路交通状況、その他の情勢の著しい変化に対応せんとするものでありまして、警察庁及び北海道における警察組織を合理的に改編整備するとともに、全国的な幹線道路における交通規制整一をはかる等、交通警察上必要な措置を講ずることを主要な改正点とし、民主的警察制度のもとにおいて、社会情勢変化に即応し、警察事務を能率的に遂行しようとする目的を持つものにほかならないのであります。  次に、本案の主たる内容についてでありますが、まず、警察法改正について御説明いたします。  第一点は、警察庁内部組織改編であります。最近における交通機関の急激な発達に伴い、交通警察重要度は倍加するとともに、青少年犯罪増加の傾向に伴う少年警察充実必要性があることは言うまでもないところであり、各種特別法令の取締り、特に売春防止法全面施行を目前に控えましてこれらの事務を適切に処理せんがために、今回、警察庁内部部局を改組し、右に述べた事務をもっぱら所掌する一部局として保安局を新設するとともに、各部局所掌事務についても、これを機会合理的改編を行い、あわぜて、従来の部課制局課制にしようとするものであります。さらに、中央のこの機構改正を機に、現存画的部制のとられている管区警察局についても、中央機構改正に即応し、必要と認められる関東及び近幾管区警察局には、現行の三部のほか、保安部を新設することといたしたのであります。  第二点は、北海道警察組織についてでありますが、現在、北海道におきましては、道の区域を五方面に分ち、それぞれ、方面公安委員会及び方面本部を置いておりますが、事務能率化及び第一線警察官の増強をはかるため、道警察本部の所在地を包括する札幌方面には、方面公安委員会及び方面本部を置かないこととし、道警察本部の直轄といたしたいものとしております。また、北海道における新任警察官を含め、道内警察官教養整一をはかる上から、現在各方面に置かれている方面警察学校は、これを廃止いたしまして、北海道における警察官教養は、すべて道警察学校一本で行うことにしたのであります。  第三点は、移動警察に関する規定整備せんとするものであり、二以上の都道府県区域にわたる特定道路では、交通の円滑と危険の防止のため、関係都道府県警察協議して定めたところにより、その道路における事案について、相互に他の管轄区域にも職権を行使し得ることとしたのであります。  第四点は、道路交通取締法の一部改正に伴い、国家公安委員会の権限に属する事務として、全国的な幹線道路における交通規制に関することを加えることといたしました。  これが、警察法改正のおもな内容でありますが、いずれも、現行制度をより合理的、能率的に運用するためのものであるとともに、現行法制定後の情勢変化に即応しようというものであって、警察制度について根本的変革を試みようとするものではないのであります。  次に、道路交通取締法の一部改正についてでありますが、一級国道、その他の全国的な幹線道路につきましては、各都道府県ごとに諸車の最高速度の制限、その他の交通規制について、全国的見地からする統制が保たれなくては、交通の円滑と安全を期し得ないため、このような道路交通規制については、国家公安委員会都道府県公安委員会に対し、所要の指示を行い得ることとし、交通の円滑を期することとしたのであります。  以上がこの改正法律案の主要な内容であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同を賜わらんことをお願いいたします。
  8. 小林武治

    委員長小林武治君) 以上、両案に対する質疑は次回に譲ります。   —————————————
  9. 小林武治

    委員長小林武治君) 次に、前回に引き続いて、銃砲刀剣類等所持取締法案議題に供します。  政府委員より詳細説明を聴取いたします。
  10. 中川董治

    政府委員中川董治君) 過日、国務大臣から御説明いたしました銃砲刀剣類等所持収締法案内容につきまして、条章に従って御説明いたします。  まず、第一章総則から申し上げます。第一条の規定は、この法律趣旨規定したものでありまして、この法律は、銃砲刀剣類等の有する機能にかんがみ、その所持に関して危害予防上必要な規則を定めるものである趣旨を明らかにしたものであります。第二条の規定は、「銃砲及び「刀剣類」の定義を明らかにしたものでありまして、この規定内容現行規定と同じであります。第三条は、その第一項の第一号から第十号までに掲げる場合のほかは、鉄砲または刀剣類所持してはならない旨規定したものであります。しかして、この規定内容現行規定と比較いたしますと、現行規定のもとにおいては、捕鯨標識銃等販売事業者は、個々に都道府県公安委員会許可を要することになっているのでありますが、この法律案によれば、捕鯨用標識銃等販売事業者が所定のものを業務のため所持する場合は、許可を要せずして合法である旨を規定したのであります。なお、文化財保護委員会承認を受けて刀剣類製作する者、捕鯨用標識銃等製造事業者捕鯨用標識銃等販売事業者及び輸出のための刀剣類製作を業とする者等使用人が、業務のために銃砲または刀剣類所持する場合は、武器製造業者等使用人の場合と同様に、あらかじめ都道府県公安委員会に届け出ることによって、これらの者の業務のための所持を認めることとするとともに、この種届出届出先都道府県公安委員会に統一したのであります。また、現行規定においては、文化財保護委員会承認を受けて刀剣類製作をする者及び捕鯨用標識銃等製造事業者所持については、一般的には、三十日間を限り所持合法性規定しておるのでありますが、この法律案におきましては、この三十日間をこえても業務のための所持については、その合法性規定いたしたのであります。  第二章においては、銃砲または刀剣類所持許可について、所要規定を設けたのでありますが、第四条においては、許可を受けて所持することができる範囲を現行規定よりも広めて政令で定める試験または研究の用途に供するため必要な銃砲または刀剣類については、国または地方公共団体の職員以外の者でも都道府県公安委員会許可を受けることにより所持することができるようにしたのであります。なお、祭礼等の年中行事に用いる刀剣類、その他の刀剣類で、所持することが一般の風俗慣習上やむを得ないと認められるものについては、都道府県公安委員会許可を受けることによって所持することができることとしたのであります。また、第四条第二項において、法人に関する場合の取扱いについての規定を明示いたしたのであります。第五条規定は、実質的には現行規定趣旨と同様でありますが、その文言等については、他の法律との均衡をも勘案し、規定整備をはかったのであります。第六条の規定は、現行規定において認められていないのでありますが、本邦において開催される銃砲または刀剣数を使用する国際競技に参加するために入国する外国人は、都道府県公安委員会許可を受けることにより、当該国際競技に用いる銃砲または刀剣類を定められた期間所持できることといたしたのであります。従って、この新設の第六条の規定により、この種国際競技本邦において円滑に実施されることを期待いたしたのであります。第七条の規定は、現行規定内容整備したものであります。第八条の規定は、許可の失効の規定を設けるとともに、他の規定に伴う整理をいたしたのであります。第九条の規定は、現行規定と実質上の変更がないのであります。第十条の規定は、国務大臣提案理由説明で申し述べましたように、許可を受けた者が、暴力沙汰等の場合にこれを乱用することのある実情にかんがみ、所持態様について必要な規制を定めたものであります。第十一条の規定は、現行規定内容に加えて、仮領置に関する法律関係について、危害予防上の目的を達成できる限度において、できるだけ関係者権利保護を考慮して、必要な規定を設けたものであります。第十二条及び第十三条の規定は、現行規定内容と実質的には変更がないのであります。  第三章について説明いたします。登録の本旨は、現行規定変更を加えていないのでありますが、この法律第二条との関係において火なわ式銃砲の文字を用いることといたしたのでありますが、なお、第十四条第三項の規定において、その職務の性質にかんがみ、現行規定刀剣審査委員名称を、この法律案では、登録審査委員名称に改めたのであります。第十五条は、現行の規矩の内容に従ったのであります。第十六条においては、その第二号に、輸出に伴う措置を考慮した規定を設けたのであります。第十七条及び第十八条の規定は、現行規定内容整備したのにすきないのであります。第十九条の規定については、この文化財保護委員会事務が、地方においては、ことごとく都道府県教育委員会で行われている実情に即して規定整備したのであります。第二十条の規定は、現行規定内容が異ならないのであります。第二十一条の規定は、さきに第十条の規定について申し述べた趣旨と同一であります。  続いて、第四章について説明いたします。第二十二条及び第二十三条の規定は、現行規定内容が同じであります。第二十四条の規定は、許可証及び登録証の携帯について、規定整備を行なったものであります。第二十五条規定は、所持を認められない銃砲または刀剣類所持して本邦に上陸しようとする場合の仮領置及びその手続関係等について必要な規定を定めたものであります。第二十六条の規定は、現行規定内容整備いたしたものであります。第二十七条の規定は、違法に銃砲または刀剣類所持されている場合について没取できる旨の現行規定に対し、かかる場合における危害予防目的を達成するに必要な限度において、善意の所有者保護及び財産権保護趣旨をできるだけ生かして、規定整備いたしたものであります。第二十八条から第三十条までの規定は、現行規定趣旨を同じくするものであります。  第五章罰則規定は、以上申し述べました規定に伴い、所要罰則整備を行なったものであります。  最後に、付則規定について説明いたします。その第一項は、この法律案は、幸いに御賛成を得て成立の暁は、本年四月一日から施行しようとするものであります。その趣旨とするところは、本年五月には、わが国において第三回アジア競技大会が開催される運びになっている事情にかんがみ、しかも、この法律趣旨の普及に必要な期間をも考慮して規定したものであります。付則第二項は、国務大臣から説明いたしましたように、この法律施行とともに銃砲刀剣類等所持取締令を廃止しようとするものであります。付則第三項以下は、この法律施行に伴う必要な経過措置関係法令の一部改正規定とを定めたものであります。  以上が、過日国務大臣から説明いたしました銃砲刀剣類等所持取締法案内容について、条章を追っての説明であります。
  11. 小林武治

    委員長小林武治君) これより本案質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次、御発言を願います。
  12. 大沢雄一

    大沢雄一君 暴力団等による銃砲刀剣内容規制する趣旨から、この現在の取締令を全面改正して、法案を提案した理由はよくわかったのでございまするが、私がお尋ねいたしたいと思うのは、おそらく、これは私の想像でございまするが、暴力団等によって犯罪の用に供せられる銃砲刀剣は、おそらく、これは所持許可を受けたり登録をしたりしているものではないのではないか、非合法所持されておるものが大部分ではないか、従って、その所持態様規制するというだけでは、銃砲刀剣の乱用を防ぐということほおそらく困難ではないかという感じを持つわけであります。従来、犯罪に、あるいは自殺等に使われておりましたこの銃砲刀剣件数、そのうち、非合法のものと合法所持のものとの割合はどのくらいになっておるか、それをまず伺いたいと思います。
  13. 中川董治

    政府委員中川董治君) ただいま大沢委員の御指摘のごとく、この法律をもぐって、すなわち、顕在化しない銃砲刀剣類犯罪を行う、それから、この法律によって顕在化したものによって殺人傷害等犯罪を行う、この両者がともに存在するのであります。そうして最近のいろゆる暴力団事件等におきましては、もぐったものを使っているものもあるのでありますけれども、許可ないし登録を受けて、そういったものを用いて、そのなわ張り争いなどの場合において、いわゆる暴力団出入りのときにこいつを持って歩く、こういう事例も少くないのであります。そこで登録ないしは許可されたものと、それから全然そういう手続を経ないで、いわゆるもぐって持っているところの関係でございますが、その関係は数字を正確に……。今、統計として、もぐったやつが明確でありませんので、正確に申し上げかねるのでありますけれども、大体、私ども地方における状況等を勘案いたしますと、おおむね半分はもぐったやつ、残りの半分は大体顕在化したやつ、こういうような関係が見受けられるのであります。
  14. 小林武治

    委員長小林武治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中正
  15. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記を始めて。
  16. 大沢雄一

    大沢雄一君 もぐつたものと、そうでない、所持許可等を得て顕在しておるもの、これが半々ということでありまするが、暴力団等銃砲刀剣所持しておって、これが合法である、合法所持しておったということは、許可等が慎重にやられておれば、そういうことはおそらく起らないのじゃないかと思いますが、どういう形で合法的に暴力団等銃砲刀剣のようなものを持っておるのですか、その点ちょっと。
  17. 中川董治

    政府委員中川董治君) 行政機関、ことに都道府県公安委員会という行政機関がこの場合やるのでありますが、行政機関許可する場合において、いろいろ許可を受くる者の状況等も調べるのでありますけれども、これは、憲法との関係から来るわけでございますが、法令欠格要件がないと、許可しなければならない、許可の場合について申しますと、お渡ししました印刷物の三十五ページでございますが、現行法令では、現行取締令の第四条の各号に掲ぐる要件、各号の一にかかるものであれば許可しない、それに該当しない場合は許可しなければならない、こう解せざるを得ないのであります。改正法におきましても——上の欄でございますが、第五条各号に掲げるものであれば許可してはならない、これ以外のものは許可せざるを得ない、これに該当しないのだけれども、どうもおかしいという意味で許可を渋るということは、今日の行政機関行政行為としては、そういうことは許されない、こう理解いたされますので、たとえば、精神病者 麻薬もしくは大麻の中毒者でもない、その他の、十四才を越えている、住居も定まっている、過去に許可の取り消しを受けたことがない、こういうことでありますならば、許可を与えねばならぬ、こういう法律——行政機関の恣意に基く作用を防止する、こういう法律体系から、許可したときはいずれにも該当しなかったが、その後、暴力団出入りに用いるという場合があり得るのであります、しかしながら、許可に該当する場合であれば、そういたしましても、五条という条文がありますので、これを一々検討いたしますので、五条の各号に該当するものであれば、許可しないことはもちろんできるのでありますが、登録につきましては、その刀剣文化的価値があるものである、骨董的価値があると認められる限りにおいては、対人許可と申しますか、だれが持っておるとか何とかいうことを問題にすることは不可能である。その刀剣が、文化的価値または骨董的価値があるものである限りは、持つ者がだれであろうとも、登録をせにゃならぬ、こういう法律建前でありますので、その法律建前は、そういう文化財というものを、登録によって合法化しよう、こういう趣旨全体からやって参りますので、その対人許可をするということは不適当な措置である、こういう法律体系にならざるを得ませんので、そういうりっぱな刀剣といいますか、文化的価値があるようなものについて、持っておるものが、たまたま暴力団等によって出入りに用いられる、こういうことがあり得る現状でありましたので、登録あるいは許可という行政機関の作用については、自由なる恣意に基く所持を許すということにはいたしませんが、この行政処分ないし登録をいたしましたものについて、所持態様について規定する方が、今日の権利義務の関係ないしは関係者権利の保護と公共の福祉を調和するについて、最も相当な考え、また相当な規定でなかろうかと考えましたので、そういう建前をとったのであります。
  18. 大沢雄一

    大沢雄一君 そういたしますと、正当防衛も認められておる会7日、自分の護身のために銃砲刀剣を、相当のまじめな、りっぱな、社会的地位にある人格を持っておる者が、護身用に銃砲刀剣を持つということは、許されてもいいように思いますが、それは許されておるのですか。
  19. 中川董治

    政府委員中川董治君) お算えいたします。  銃砲刀剣類許可によって持つという点につきましては、護身用という目的のみをもってこれを許可するという道はないのであります。従いまして、銃砲等について、これが狩猟用である、これが人命救助用である、これが建設業に必要なものである、これが漁業に必要なものである、こういう銃砲等について許可の道があるのであります。ところが、そういう許可したものについて、それを使用する段になりますと、社会通念上、お互い共同生活を営むについて相当な理由がある、そういう刀剣等について、人に傷を加えるということでなしに、うちで持っておって、愛玩するとともに、必要な場合においては正当防衛等に用いるということは、もちろん許された行為でありますので、銃砲刀剣について許可を得る道としては、単に護身用という点については許可の道がないのでありますが、これを使用する面につきましては、護身用という道はもちろん開かれるのであります。ことに、登録刀剣については、相当その立場がはっきりするのでありますが、登録は、そういう目的というものが明確に限定いたさないのでありまして、その刀剣文化的価値ないしは骨董的価値があるものならば、目的のいかんにかかわらず、登録が認められるのであります。登録が認められた刀剣について、これを使用するという点につきましては、改正法律案におきましては、いろいろ社会的に許されないような目的に用いる場合は、これは禁じておるのでありますけれども、護身用の場合に、うちで持っておる、こういう社会的に許されるような所持については、法律はもちろん、これを禁じない、もちろんこれを認めると、こういう立場をとっておるのであります。
  20. 大沢雄一

    大沢雄一君 暴力団等で違法に用いるおそれのあることが社会的に認められたようなものであっても、欠格条項がなければ、その所持を認めなければならぬという法律規定の解釈になるにかかわらず、善良な者が、どうも護身ということだけでは所持ができないということであったら、いささかどうも、何といいまするか、法律規定が完全でないように私は思うのでありまするが、その点については、私は今後の研究課題として検討していただきたいと思う。  実際上の問題として、自分のことをあげて恐縮でございまするが、某団体の軍事委員会等が、非常に人を殺傷したり、いろいろなことをいたした時代があるのであります。そういう際に、護身用の銃砲刀剣が許されないということで非常に不安を感じた。もとより警察官からその際に警護を受けるという処置は願ったのでありまするけれども、しかし、警護ということは、やはりこれは特定の場所、特定の時期に限られまするので、非常にどうかということを実際上感じたわけであります。そこで、まあそういう質問を、暴力団等銃砲刀剣所持と関連して申し上げたわけでありますが、この点は少し何かどうもしっくりしないところがあるように私は思います。それから、いわゆるやみで、顕在しない銃砲刀剣、こういうものの経路等をよく調べて、おそらく駐留軍とか、あるいは外国からとか、流れてきているものが多いのじゃないかと思いますが、これを犯罪とか自殺とかの際に、単に犯罪や自殺の処理だけでなく、これをつきとめて、その源をふさぐということが、私はこれは非常に必要ではないかと思うのでありますが、この違法に所持されておった、さっきお話しになった、顕在しておらぬ銃砲刀剣等で、その経路は大体どういうふうなことになって手に入っておるのか、そういうことについて何かお調べになったものがあったら一つ。
  21. 中川董治

    政府委員中川董治君) まず、大沢委員の前段について、私の説明が不完全のための誤解だと思いまするので、説明をもう少し正確に申し上げたいと思います。旧法時代と申しますか、明治時代、大正の初年時代ないしは昭和の初めにおきましては、旧憲法の時代でありましたので、個々について治安警察法とかあるいは行政執行法等によって取り上げる、こういう規定があったのであります。ところが、日本国憲法が施行にたりまして、これは都道府県公安委員会に限りませんが、いやしくも、行政機関行政行為をするに際して、そういう恣意に陥りやすいようた行政処分をいたさないという建前を貫いたのであります。そこで行政処分、すなわち、許可をするという場合におきましては、欠格要件を明確にいたしまして、欠格要件に当てはままか、当てはまらないかということだけを審査する、こういう法律体系になったのであります。そういう結果、欠格要件に当てはまらない者が持って、それが不当に使用する、こういうケースが出て参りましたので、今後は、その行政機関の行政処分の恣意に陥るようなことをまたもとへ戻すというようなことはやらないこととし、その精神に沿うことは大原則としながら、しかも、その使用の段階において、健全なる社会常識に基く規制を正確に行うことによって、危害の予防の目的を達成しよう、こういう法律建前をとることが、公共の福祉に沿うゆえんでもあり、しかも、なおかつ、行政処分が恣意に陥るということを防ぐ、両者の目的を達することができる。もって関係者権利の保護と、それから公共の一般危害の立場の保護という両目的が達成できると考えてこういう体系にいたしたのでありますので、その点は、大沢委員が御心配になられる点は、行政処分の、欠格要件に認定するかどうかということを発見する行政行為と、それから、その使用が正当であるかどうかということを認定する行為との両者によって目的が達成することができるのではなかろうかと思うのであります。さらに、許可以外に登録という制度がありますので、おおむね刀剣登録でございますので、登録というのは、文化的価値があり、あるいは骨董的価値のあるものにつきましてはどしどし登録ができる。どしどし登録ができて、非常にずさんな言葉を用いれば、だれでも登録はできる。だれでも登録はできるけれども、登録のできたものを護身用に持つのはよろしい。それから、それを鑑賞する場合には、これはもちろんけつこうである。これを、だれかが襲いかかってきたときに正当防衛に用いることはけっこうである。そういう社会的に許された、たとえば居合術の練習に用いるのはもちろんけつこうである。博物館に陳列するのも、そういう意味合いではけっこうである。ところが、市上騒然としているときになぐり込みにこれを持つのは不法である。そういう目的で何するのが、両者の目的を達成するのであり、それはまた両者の目的を達成する最も合理的な方法ではなかろうかと考えた結果でございまするので、御心配の点は、その点はだんだんと解消せられるであろうと、こういうふうに考えるのであります。  御質問の後段の点でございますが、顕在化した銃砲刀剣について右のように正確な規制をするのはいいけれども、顕在化しないのは大へん危いじゃないか、顕在化しないものについて、やはりそこに原因があるのではなかろうか、その原因のもとをつくということが一番手っとり早い方法ではなかろうか、こういう御意見であります。まことにごもっともでございます。私どももさように考えておりまして、顕在化しないようなものがだんだん流れ込んでくる、どこかにあるということのもとをつくということを、常に検討を加えておるのであります。銃砲刀剣についてこれを申しますれば、大体もとは日本国の、従前、軍用その他に用いておったものが、この法令によって顕在化しないでもぐり込んで、それがやみからやみに流れたというのが大部分であります。それから第二点においては、数においては比較的少いのでありますが、もとは進駐軍、最近は日米安全保障条約に基く駐留軍でございますが、駐留軍が持っておるものが、合法的に持たれておるものはもちろんいいのでありますが、やみに流れていくという面が一部に存在しておりますが、この後者につきましては数は少いのでありますが、しかし、危害予防には重要なことでありますので、取締り官憲といたしましては、私ども警察の力をそういう方面に集中するはもとよりでありますが、それ以外に、外国官憲諸機関、たとえば向うの駐留軍の捜査機関等も大へん協力していただきまして、その関係において、兵隊等が違法に流すということを防遇するという点につきましては、関係諸国の捜査機関と日本の捜査機関とが完全に一致いたしまして、そういう面で努力いたしておりますので、そういうもぐった面がだんだん少くなっていくという点は確かに言えるのであります。ところが、日本におきましては従来、日本の軍人等が持っておったものについて、やみに流れたものがだんだん顕在化していって今日に至っておるのでありますが、まだ顕在化し残りというものが若干ございますので、こういう点につきましては、この法律案では二十三条の規定でございますが、いろいろもぐったものをますますもぐらすのは、取締りの方法として下手でありますので、改正法律案の二十三条に届出の制度を認めまして、従来もぐっておったものを発見したというのについては、どしどし顕在化さしていって、ますますもぐっていくということのないようにいたすとともに、他面、取締りというものは、関係の捜査機関を動員いたしまして、そのせんさくに努めて、これも相当成績を上げておりますので、だんだんこういうもぐったものが顕在化し、及び検挙されていくということになると思いますので、こういう銃砲刀剣等の危険物による被害が、国民の脅威からだんだん少くなっていくということになっておるのが現状でございます。
  22. 大沢雄一

    大沢雄一君 護身用の問題でございますが、刀剣については確かに今あなたの御説明のように、登録という制度が文化財というようなものについては認められておりまするから、これは相当なものを求めて、そして登録を受けて、それが万一の場合に護身用にもなるということは言い得るのです。しかし、私の考えておるのは銃砲なんですね。ことに拳銃なんです。このごろは、先ほど申し上げました某軍事委員会は拳銃を持ってやることが多い。拳銃を探している。それが一定数になれば襲ってくるという情報もある。ところが拳銃は今のように文化財として登録を受けるということは実際できない。私の言うのは、その刀剣よりもむしろ拳銃である。これを相当な制限のもとでけっこうでございますけれども、やはり護身用としてこれを認めるということが、正当防衛が認められる今日において相当じゃなかろうかということを私は言いたいので、刀剣の方だけは、今あなたのおっしゃる通りだと思う。しかし、その点を少し考えてもらいたい。  それから、これに関連するのですが、先般社会的に問題になった天城山心中ですね、ああいうごく若い、二十才前後の者が拳銃等を所持しておったということなんですが、ああいうふうな事件のあった場合、犯罪の処理はするけれども、その銃砲がどうして入ったか、それについての関係者の責任を追及して、源をふさぐというようなこともやられると思うのですが、たとえば、あの場合なんかにおいての持っておった拳銃の関係は、どういうふうに処理されておりますか。
  23. 中川董治

    政府委員中川董治君) 前段の拳銃につきましては、拳銃を個々に持っているというものを摘発するということによってやる方がいいのじゃないか。護身用という点においてやるということになると、またこれによって争いが起るという点がありますので、その点は制圧的な制限を作っていくというような考え方でいく方がいいのじゃないかと私どもは考えているのであります。  それから、拳銃の行方を追及するという点はごもっともでありますので、たとえば、自殺が起りましたときに、その源をついていく、あの天城山の場合も、その点を追及し、努力したのでありますが、最後までつき得ないものがあったのであります。あの天城山の場合も、その点をついて参ったのでありますけれども、源までつき得なかったという場合がございます。もちろん、こういう場合も、その出所を調べるよう努力して参りたいと思います。
  24. 加瀬完

    ○加瀬完君 第二条ですか、銃砲刀剣の定義がございますね。で、銃砲はおいて、刀剣の方は、「刃渡十五センチメートル以上の」云々とあります。そうすると二十三条に「あいくち類似の刃物携帯の禁止」というのがありすすね。そうすると、これは刃渡りのいかんにかかわらず、結局、あいくち類以上の刃物を携帯することは当然禁止されると、こういうことになりますね。
  25. 中川董治

    政府委員中川董治君) 二条の長さの制限は、現行法もそうですが、なぎなたまでで終るわけでございます。なぎなたまでにつきましては長さの制限があるわけですが、あいくちについては長さの制限がないのであります。で、社会通念上あいくちと認められますものにつきましては、刀剣の概念に入る、こういうことに相なるのであります。こういう関係を盛り込みまして、その類似の刃物につきまして、二十二条の関係でございますが、あいくちに類似しているようなものにつきましては、殺傷の危険がありますので、所持については制限しないけれども、携帯については制限する、こういう趣旨でございますので、この点は現行法でもそういうことは同様でございます。
  26. 加瀬完

    ○加瀬完君 そうすると、結局、携帯の態様というものについては、長さのいかんにかかわらず、あいくち類似以上のものであれば、これは取締りの対象になる、こういうことになりますね。
  27. 中川董治

    政府委員中川董治君) その通りでございます。
  28. 加瀬完

    ○加瀬完君 そういたしますと、結局、御説明にもありましたように、所持態様ということが問題になるわけでございますが、所持態様について、四条なり六条なりにいろいろ許可の条件が出ているわけでございますが、祭礼等の年中行事の刀剣類及び「一般の風俗慣習上やむを得ないと認められるもの」の所持ですね。この「一般の風俗慣習上やむを得ない」というものは、大工とかあるいはかご屋さんとか、こういう職業の者が、当然職業上使うためのあいくちに類似したような道具ですね、こういうものでも、やはり公安委員会許可を得なければならないということになるのですか。
  29. 中川董治

    政府委員中川董治君) お説のごときものは、公安委員会許可の対象外でございます。
  30. 加瀬完

    ○加瀬完君 わかりました。その所持態様についての正当な理由というのがございますね。で、この正当な理由について、確かにこれは銃砲刀剣所持による暴力行為の禁止といいますか、その防御といいますか、こういう点からは非常にいいと思いますが、先ほどの御説明にもありましたように、刀剣などを文化財的な立場で、あるいは鑑賞用的な立場で所持する者たちの自由といいますか、権利といいますか、こういうものは、どういうように保護されているのですか。
  31. 中川董治

    政府委員中川董治君) この点は、所持する者につきましては、原則としての自由でございまして、公共の福祉、ことに第一条の目的のらち外に出ない限りにおきましては自由であります。ところが、その自由の限度を、業務の場合、その他社会通念上正当だと認められる場合においては、そういう所持の方法は合法である。暴力団がなぐり込みに行くようなときの所持の場合は非合法である。こういう社会通念上の言葉を用いて規制する方が、最も実情に合致すると考えまして、こういう条文に相なっておるのであります。
  32. 加瀬完

    ○加瀬完君 それはわかりますが、結局、正当な理由というものは、たとえば、刀剣類を携帯し、または運搬しておる鑑賞者、または刀剣文化財としての愛好者が、そういう場合、その携帯なり運搬なりが正当な理由であるかどうかということは、客観的にこの条文の中にははっきりと出ておらないわけですね。それを判定するのは警察官ということになりますか。
  33. 中川董治

    政府委員中川董治君) 条文の中に明確にいたしますと、どういたしましても狭くなりますので、社会通念上許されるというものを見て、それを保護していく、それをこえたものを禁止する、こういう立場をとったのでありますが、その判定は、客観的にこれを判定すべきものだと考えます。実際問題としては、警察官も客観的な判断に基きまして判断いたしますけれども、だんだん行きますと、最後には裁判所と、こういうことになろうと思います。
  34. 加瀬完

    ○加瀬完君 一々最後には裁判所まで持ち出されては、これは持ち歩きもできないわけでございますから、行政指導上、あなた方の方としては、それがとにかく暴力行為に使われるということが万ないことがはっきりしておって、しかもはっきりと、身分関係からいっても、刀剣の愛好者としての扱いをしておるのだ、あるいは鑑賞者としての扱いをしておるのだ、こういう方々の携帯なり運搬なりというものに対しては、どういうような取扱いをするか、その点の行政指導の要点というものをどのように考えておられますか。
  35. 中川董治

    政府委員中川董治君) 大体、鑑賞とか運搬とかいう場合においては全くよろしい、こういうように運用をいたしたいと思っております。
  36. 加瀬完

    ○加瀬完君 公安委員会が、そういう文化財的な愛好者としての取扱いをする所持者については、身分証明書か何かを出して、その身分証明書があれば、これは正当な理由があるかないかということをしつこく聞くようなことはないというような便宜的な扱いをするというお考えはございますか。
  37. 中川董治

    政府委員中川董治君) 多くの場合、大体合法でございますので、身分証明書まで出すと、かえって御迷惑をかけると思いますので、ただ刀剣登録刀剣たる旨の登録証は携帯をしていただきますけれども、それ以外の点につきましては、大へん不当な目的だと客観的に認められる場合だけを制限する考えでございます。
  38. 加瀬完

    ○加瀬完君 具体的にどういう取扱いをなさるつもりですか。
  39. 中川董治

    政府委員中川董治君) 登録証明書を持っておれば大体合法である。ところが、大体周囲の情勢から見て、おどしに行く、こういうような目的が推知できる場合だけを制限する考えでございます。
  40. 加瀬完

    ○加瀬完君 そうすると、二十四条に、警察官は、「登録証の提示を求めることができる。」と、二項にありますね。そうするとその登録証を見せれば、それが正しい登録証であって、身分が保証されるという限りにおいては、それ以上のことは聞かないと、こういうことになりますか。
  41. 中川董治

    政府委員中川董治君) おおむねそういうことになろうと思いますが、登録証を持っておっても、大体暴力団出入りというような状況がある場合におきましては、違法な場合もあろうと思いますけれども、おおむね登録証を持っておれば大体よろしい、ただし、そのような状態で、どこかへなぐり込みに行きそうだという状況がある場合に限り二十一条の規定が働くと思うのでございます。
  42. 加瀬完

    ○加瀬完君 これは常識上から考えても、なぐり込みが起りそうだということでありますと、登録証があろうが、刀を持ってうろついているというのは非常識だと思うので、それは論外だと思う。普通そういう客観的な状態がないという場合に、登録証を持参をして、そうして文化財としての所有の目的のような取り運びをしているというときには、登録証だけ見せればそれでいいというようなことに解していいわけですね。
  43. 中川董治

    政府委員中川董治君) 多くの場合その通りでございます。
  44. 加瀬完

    ○加瀬完君 今までの取扱いは、私どもが関係者に伺いますと、登録証を見せても、箱をあけろとか、抜いてみろとか、中には、貴重な文化財をコンクリートの上に落されて刃こぼれをした、あるいは非常な損害を与えられたという事例もないわけではありません。今度さらに、警察官は、登録証の提示を求めることができる、こういうことが一そうはっきりいたしますと、登録証の提示がさらに今度、何といいますか、刀剣そのものの提示を要求されるということになってくるのじゃないか。そうなってくると、何か刀剣を持っておるということが犯罪者のような取扱いを受けるということで非常に心配をしておる向きがあるのですから、こういう点をこの際はっきりさしていただきたいと思います。
  45. 中川董治

    政府委員中川董治君) その点を御心配される向きは、この法律の前身が、禁止令時代がありまして、その禁止令時代におきましては、相当きつく取扱いをされた関係がありますので、そういう関係が相当頭に残っておるということの御懸念だろうと思います。ところが、これは日本の国情に合うように二十五年に改正して、その後もしばしば改正して参りましたので、その御心配がなくなった。ことに、今回の場合におきましては、多くの場合法ですけれども、暴力団のなぐり込みのような場合はこの所持規制しようという趣旨でございますので、大体御心配の点はあるまいと思います。
  46. 加瀬完

    ○加瀬完君 くどいようですが、確認したいと思いますが、十条一項、に「正当な理由がある場合を除いては、当該許可を受けた銃砲又は刀剣類を携帯し、又は運搬してはならない。」とありますけれども、登録証を持っておるものは当然、正当な理由があるというお取扱いをいただける。それから、二十四条に、警察官は、「登録証の提示を求めることができる。」とありますが、この登録証を提示すれば、客観状態が非常に不測な事態が予想されるということでない限りは、登録証を見せただけで、あといろいろそれ以上の警察官の尋問なり、それから刀剣類の提示なんという行き過ぎたことをされることはない、こう了承してよろしいのですか。
  47. 中川董治

    政府委員中川董治君) その通りでございます。
  48. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 第六条に、国際競技外国人が拳銃を持てるというふうに規定しておりますが、この前、これに関連して新聞に出ておったのですが、「外国人はもちろん従来のあれではできない、これで改正されましたけれども、国際競技でなく、国内競技でも、現在は正式の拳銃で空砲が撃てない。そのために非常に子供じみた紙の焔硝であれをやっておるような現状です。そのために、音が小さいために、競技上不便を来たす。国際競技のことなんか考えると、日本の国内の規定は、そういうことを許されていないために、国際競技に限らず、国内競技でも正式の拳銃をもって空砲を使えないために、事実上非常に競技関係者は不便を来たしておる。新聞によると、警察当局はずいぶん体協の関係者協議したのですが、現行法ではいかんともしがたいということが毎日新聞でしたか、この前見ましたが、そういうことは、今回の法案趣旨によれば、当然客観的に見て正当なものであるから、それは正式の拳銃を使い、空砲が撃てるようになってしかるべきだと思いますが、それは改正されておりますか、どうなんですか。
  49. 中川董治

    政府委員中川董治君) 西郷委員のお話しの点は、おおむね、この法律規制しておりますのは、弾丸発射の機能を有するものだけを規制しておりますので、弾丸発射の機能を有しないものは全く規制の対象外でございます。
  50. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 そうすると、この前新聞が報道したようなことは誤りであって、空砲を撃つ場合はこういう規制外だということですか。
  51. 中川董治

    政府委員中川董治君) 空砲だけで、弾丸発射の機能が全然ないものは規制の対象外でありますが、その空砲を撃つ場合、弾丸発射の機能を有するものについては、その規制の対象になると思います。ただし、やむを得ない場合におきましては、この法律の三条の二号等によって解決される而もあろうと思います。
  52. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今、部長はそういう説明をされるが、そういう今の趣旨でいくならば、日本の国内競技でも正式の拳銃を使って——実弾が入っていない、もちろん競技に使うので実弾が入っていない。空砲を撃っている場合に、現衣でも自由に使えなければならないわけです。ところが、実際にはそうなっていない。よって競技者は非常に因っておるという新聞の趣旨ですが、今のお話では、ああいう記事が出るわけもない。体協関係者があんなに警察に陳情に行く必要もないわけです。空砲で競技に使うわけです。しかも、撃つ者はしろうとではなく、体協のれっきとした審判員だから、自由に使えるわけですが、現在それが自由になっていない。それはどういうわけですか。
  53. 中川董治

    政府委員中川董治君) 体協関係者とよく話し合ってみたいと思うのですが、結局、弾丸発射の機能があれば、この前新聞に出たようなことになると思いますが、弾丸発射の機能を有するものでも、やむを得ない場合におきましては、第三条の第二号によって解決したいと思います。
  54. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 部長、これは私スポーツマンですから、非常に常識上おかしいと思うたのです。それで小林委員長にもすぐそのことを尋ねたら、いや、改正されるということを聞きましたから、警察当局には質問しなかったのですが、この法案見ると、外国人の場合にはれっきとした法文があるけれども、これは国際競技に限ったことで、国内競技に関係した法文がない。そうすると今の部長の説明もどうもはっきりしない、あなた自身も。従って、現在の警察は、国内競技に、あなたの説明だと、弾丸を発射するというけれども、正式の拳銃を使えば、空砲でなく実弾をこめれば、正式の拳銃だから弾丸が発射できる。それをあなたの今の考えを警察が持っておるために、空砲を使う場合も、正式のピストルなりは、実弾をこめれば——これは実弾をこめて撃つことできる。あなたの説明だと、正式のピストルは使えないということになる。それはいかぬじゃないか。正式の国際競技でなくても、レベルが国際的になっている日本の陸上競技会に、しかも競技会の役員が、だれが見ても、客観的に見てこれは間違いないという体協の役員が使うのに、あなたの説明だと、正式のピストルは使えないのです。空砲でも使えない、新聞によると。仕方がないから、警察が許さぬものだから、やむを得ず、その場合には警察官を帯同して、その警察官の拳銃を借りて撃つ以外にないだろうというようなことが出ておって、それでは新しい警察精神に反するのじゃないか。そういう、競技上使うということは間違いない、だれが見ても、それは警察の解釈が非常にかたいために、非常な不便を国際競技にも日本競技にも来たしている。今ここで説明しても、あなたの説明は、御自身、やっぱり正式のピストルは使えないということですね、今の御説明だと。それはあまりに非常識じゃないか。国内競技であっても、そういう場合は堂々と正式のピストルを外国ではみな使っている。それをおもちゃみたいなピストルで焔硝を使わなければ審判がピストルを撃てないということは、現代としては非常に非常識じゃないか。今拳銃なんかを取り締ることはけっこうだけれども、取り締る必要のないものまでも、法文にそういうことはないからといって許さないというのは、依然たる古い考えの警察官だというふうに言われてもやむを得ない。今の説明だと使えませんよ、あなたの説明だと。積極的に、そういう苦しい答弁をしないでも、国内競技でも常々と使えるようになぜしない。
  55. 中川董治

    政府委員中川董治君) 西郷委員がおっしゃいますように、空砲も撃てるけれども実弾も撃てるという点は、確かに西郷委員の御指摘の通りでございます。ところが、すべての競技場にピストルが出てくると危険でございますので、その点は一つ御了承いただきたいのでございますが、ただし、体協等で、国の機関できちんとやっておる場合につきましては、危険はそう認められないと思いますが、そういった点につきましては、弾丸発射機能を有するものにつきましては、第三条第二号で可能な点が出てくると思います。
  56. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 長官に伺いますが、今私が質問したようなことがありまして、非常に不便を来たしておるのですから、警察庁長官として、全国の警察に、国内競技でもそういう不便を実際に来たさないように、また、現在不便を来たしておるのですから、そういう不便を一掃するように、正式にきめてもらいたいと思います。これはやっぱりスポーツの向上の上から、そういう不便があってはいかぬと思います。はっきり長官に言っておきます。
  57. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) お説まことにごもっともと感じますので、現実に即しまして十分不便を感ずることのないように、適当に善処して参りたいと考えております。
  58. 加瀬完

    ○加瀬完君 西郷さんの問題の関連ですが、そうすると、国際競技では今度の改正によって、改正されれば当然ピストルは使えるわけですね。そうすると、それに準じて国内での大きな競技会にはピストルを使ってもいいと、使わせるようにこれから行政的な措置をすると、こういうことですね。
  59. 中川董治

    政府委員中川董治君) 西郷先生のおっしゃいましたのは、この競技をするについてやむを得ず信号等の場合に使うという場合については、長官の申した通りなのでありまして、あとの日本の国内競技につきましては、合法的に持てるものの競技はできる、合法的に持てないものの競技はできない、こういうことでございます。
  60. 加瀬完

    ○加瀬完君 今、西郷委員の質問は、一体、第六条で国際競技には使えることになったとしても、国内競技に同じようなスターター用のピストルが使えなければ、これは国際水準に競技そのものが上っているのに困るのではないか、こういうような御質問であったと思うのです。それで長官は、スターター用は、西郷委員の御趣旨に合うように善処されると、こういう御答弁に私は承わった。ですから、当然国内競技であっても、これは陸連等の正式な競技であれば、これは正規のピストルがスターター用として使用できる、将来そうなると解釈したのですが、そうではないのですか。
  61. 中川董治

    政府委員中川董治君) スターター用として用いていることはお説の通りでありまして、私の申し上げたのは、スターター用ではない場合は、一般の場合と同じだということなんです。
  62. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 ちょっとはっきりしませんが、第六条の、国際競技に参加するために来る外人が持って競技に出る場合は、やはり競技川の拳銃とか、射撃とか何か——刀剣類であるかどうか、私はわかりませんが、いずれ射撃とか、そういうもののために使用するための銃砲と同じだと思うのですね。西郷先生のおっしゃるのは、これはいわゆる号砲用のものなんです。今の法の規定からしますと、号砲用のものは、いかなる国際競技であろうとも、日本においての競技であろうとも、それは使えない、こういう建前になっていると思うのですよ。そこで、西郷先生は、それじゃおかしいじゃないか。さらにまた、国内だけの競技であっても、正式のいろいろ陸連等で運営されるものであったら、使わさしたらいいのじゃないか、こういうことだと思うのですよ。ですから問題なのは、号砲用のピストルであって、その限りにおいて話をしないと、国際競技の場合には号砲用のものは使えるのだ、ただし国内のそれは使えぬ、こういうことになってくる。この法の建前からくると、私は変なものになるのじゃないか、こういうふうに思うのですが、どうですか。
  63. 中川董治

    政府委員中川董治君) 全くその通りでございまして、競技用としての場合においては、第六条の関係だけでございます。西郷先生の御指摘の点は、その競技にピストルを用いる問題にあらずして、スクーター用として信号するという意味において用いる場合の論議でございます。それは国際競技とか国内競技に関係ないことです。そういう点につきましては、やたらにすべての場合において用いるということは、傷害上の問題があるけれども、きちっとしたもので、きちっと用いるのは傷害が少いと認められるので、そういう点は、長官が申された通りであります。
  64. 小林武治

    委員長小林武治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  65. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記をつけて。
  66. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 こまかいところで……。三ページの今の適用するかしないかという話があった「公衆の観覧に供するため所持する場合」、これは上の方からずっとかかってくるのですか。「国又は地方公共団体の職員が試験若しくは研究のため、又は公衆の観覧に」……。
  67. 中川董治

    政府委員中川董治君) そうです。
  68. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 一般の人たちが、たとえば美術品というような刀剣を持っておるような人たちが、公衆の観覧の用に供するために所持するというようなことは、これはどうなんですか。
  69. 中川董治

    政府委員中川董治君) それは、一般のものにつきましては、三号、四号等によって持てる者が使用するの点につきましては、第十条、第二十一条の制限しかございませんので、そういう公衆の観覧に供するような場合は、おおむね正当な理由であると、こう解するのであります。
  70. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 それから許可登録の問題ですが、これは登録すれば、許可を取ってやったものと同様にいいわけですね。
  71. 中川董治

    政府委員中川董治君) その通りでございます。
  72. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 そこで登録の場合は、これはまあ美術品として——火なわ式銃砲のことは抜きにしましても、刀剣の場合、美術品として登録することができるわけですね。その場合に「登録審査委員の鑑定に基いてしなければならない。」と、こうありますね。鑑定した結果、いわゆる美術品としての適格性がないという場合もあり得ますね。この適格でないというふうに認められたものの所持ですね、これはどうです。
  73. 中川董治

    政府委員中川董治君) 現行法は全く非合法に相なっておるのでありますが、今回の改正では、四条後段で許可ができる場合があり得るのであります。
  74. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 あり得る場合があるということは、四条の後段で、「一般の風俗慣習上やむを得ないと認められる、それに該当すると、こういうことですか。
  75. 中川董治

    政府委員中川董治君) その通りでございます。
  76. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 この場合の、一般の風俗慣習上やむを得ないとする場合とは、いわゆる祭礼等に用いる何かこう刀を使って舞をやったり何かするように使う場合がありますね。そういうことの、いわゆる昔からの一つの日本のまあ儀式、そういう場合のそれに限られるというふうにこの四条では見られますけれども、これはそのまま、今あなたのおっしゃったようにそれを適用していいのですか。
  77. 中川董治

    政府委員中川董治君) 全く無制限にいいという意味じゃないのですけれども、祭礼等の年中行事に用いる刀剣が一例でございます。御質問の点はそのことになろうと思うのですが、その他の刀剣類で、所持することが一般の風俗慣習上やむを得ない場合、こういうことになるのです。
  78. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 そうしますと、今の御説明の、その他の刀剣類所持許可するというような場合で、今の美術品として適格でないというふうな鑑定をされたものについても所持する場合があり得ると、こういうことですね。
  79. 中川董治

    政府委員中川董治君) その通りでございます。
  80. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 先ほど加瀬委員からの正当な理由がある場合についてのお尋ねがありましたが、この正当な理由がある場合、第十条、それからあとの方に第二十二条、こうありますね。これは正当な理由があるというふうに認めるのは、これはだれなんです、はっきり申しますと。
  81. 中川董治

    政府委員中川董治君) 社会通念上、正当な理由と客観的に認める場合でございますが、第一次的には警察官が認定する、こういうことになろうと思います。
  82. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 第一次的には現場の警察官ですね。そうしますと、第二次、第三次はどこへいきますか。
  83. 中川董治

    政府委員中川董治君) これはすべての問題こうなるわけですが、客観的に正当な理由があればもちろんいいのでありますが、客観的に正当な理由がありゃいなやという点について公正に認定すべきだと思うのでありますが、その点につきまして、私どもふだん平生から、正当な理由等につきましてよく教養を徹底しておきますけれども、警察官がこれを認定する義務等がある場合に、警察官の上部局で判断するということに相なろうかと思います。その他、これが将来裁判等になれば、もちろん最終的に裁判所になることは当然だと思います。
  84. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 この場合、先ほどの御説明の中に、なぐり込み等の危険がある、そういう事態に備えてこういうふうに考えるべきだと、こういうようなお話がございました。そこで、それだけなのか、現地の警察官のこれは考え方一つで、場合によっては、ぜひともその場で所持し、あるいは運搬することができないという場合があり得ると思う。それを現地の警察官が、正当なる理由がないというふうに認められる幅がうんと大きなものだとすれば、これはいろいろな問題が出てくるのじゃないか、こういうふうに考えられるわけです。そこで、正当なる理由というのは、いわゆるなぐり込みとか切り込みとか、そういうこと以外のことであればこれはいいのだと、こういうことですか、
  85. 中川董治

    政府委員中川董治君) 正当なる理由を例示すればいろいろ方法があると思います。美術鑑賞用はもちろんよい、剣舞用に持っていく場合ももちろんよい、物を売る場合に持っていく場合ももちろんよい、これを友だちに譲るために持っていく場合ももちろんよい。だんだんやっていくと、正当なる刑事は、もちろん幅が広いのでございますが、正当なる理由に該当しないような場合は、刑罰法令に触れるような場合の前段階の行為が、正当な理由のない場合になろうと思うのであります。
  86. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 第十九条の二項に、経費は全部都道府県が負担するようになっていますね。これはどのくらいかかるか、よくわかりませんが、また、一応これに関連して金の人づてくるような面もありますけれども、どの程度所要経費を大体あなた方は見ておられるわけですか。
  87. 中川董治

    政府委員中川董治君) この点は、現行法と全く変更を加えておりませんので、地方財政計画上の財源措置はいたしておらないのでございますが、文化財保護委員会関係事務でございますので、文化財保護委員会でいろいろ積算してやっていらしゃるようでありますけれども、正確にここでお答えができないのでございますが、現行法改正がございませんから、そのために地方団体について特に費用がかさむということはなかろうと思います。
  88. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 従来、現行法でやってきた場合に、大体各都道府県当りどのくらいこのために経費を使っておるかというようなことをお調べになっておりますか。
  89. 中川董治

    政府委員中川董治君) ただいまの数字につきましては、文化財保護委員会当局とも打ち合せの上、次の機会にお答えいたしたいと思います。
  90. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 これは国務大臣の提案趣旨説明の中にあるわけでありますが、結局、こういう法案をお出しになったという根本的な理由は、今までの取締令法律の形にするということが一つと、それから、暴力団等所持態様について十分な規制がないために、出入りのときに刀剣やあるいは拳銃を持ち出すということがあるから、これを取り締らなければならぬ、こういうことのように考えられるのですが、しかし実際に、この法律を見まして、これで果して暴力団許可なくして所持しているものを取り締るということができるかどうかということは、非常に消極的な結論にならざるを得ないのですけれども、この五条の欠格条項ですか、これを見ましても、その暴力団関係といったようなものが全然出ていない。しいていえば六号の規定がそれかと思いますけれども、こういう規定で、果して暴力団出入りのときに刀剣銃砲等を持ち歩くということを取り締ることができるかどうか疑問に思うのですが、その点はいかがですか。
  91. 中川董治

    政府委員中川董治君) 規制の点につきましては、五条の主として五号、六号によって所持規制する方法を講じたいと思いますが、お説のごとく、その点は完璧でございません。従いまして、暴力団等の持ち歩く場合におきましては、十条、二十一条によって規制をいたしたい、こう思っているのであります。その他お説は、この法律規制の線に乗ってこない点につきましては、先ほど大沢委員が御指摘になりましたように、現行法の三条違反の取締りということになろうかと思うのでありますが、三条違反の取締りを厳正にして、その無許可銃砲等の取締り措置を徹底して参りたい、こう考えているのであります。
  92. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 第五条の欠格条項の中に、たとえば暴力団等、あるいはまたは恐喝、傷害、そういったような刑法上の犯罪に触れた場合、そういう者には許可してはならないという、そういうように解釈できますか。
  93. 中川董治

    政府委員中川董治君) 直ちにはそう解釈は不可能だと思うのですが、従いまして、五条の六号に該当するような場合は、一ぺん傷害罪で罰を受けたということの理由のみで六号該当ということは困難かと思うのであります。そういう状況等をにらみ合して、人の生命……、六号に該当する場合においては欠格条項になろうと思いますけれども、それで、ただいま申しましたように、この欠格条項のみでもって完全であるとは考えないのでありますが、十条の規定、十一条の規定ないしは無許可刀剣の取締りの点並びに刑罰法令全般の適用によって、暴力団の制圧をいたしたいと、こう考えております。
  94. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 五条の六号は、そういう暴力団というようなことを考えないで解釈したらどういうことになりますか。事例をあげて説明していただいたらよくわかると思います。
  95. 中川董治

    政府委員中川董治君) 六号は——松澤先生御専門でございますが、こういうおそれがあると認められるに相当の理由の例示でございますが、人を傷害し、財産に対する重大な損害を与える刑法の罪をしばしば繰り返すというようなことになりますと、相当な理由があると理解いたすのであります。
  96. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 それであったら、さっき私が言いましたように、かつて暴力行為をやったとか、あるいは恐喝、傷害、そういったような者に対しては絶対に刀剣所持を許さぬ、こういうふうにはっきりしたらどうなんですか、そういうふうにやれませんか
  97. 中川董治

    政府委員中川董治君) それも一つの規制の方法だろうと思うのですが、そういうふうに形式的に列挙することによって、また実情に沿わないという点も考えまして、やや抽象的でございますが、こういう抽象的の言葉を用いて、実情に合うように規制することが相当かと考えたのであります。
  98. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 あなたがおっしゃるように、たとえば、かつてそういう今言ったような刑法上の処罰を受けた。しかし、そのことが第六号によって、刀剣所持を禁止されるという理由になるかどうか、これは裁判で争ったら、あなたの方が勝つか、あるいはその所持したいと考える方が勝つか、わからない思うのです。どうでしょうか
  99. 中川董治

    政府委員中川董治君) 六号を拡張解釈すれば、裁判で負けることがあろうかと思いますが、この六号を忠実に、生命、身体、または公共の安全を害するおそれがあると認められる相当の理由を事実をもって証明するという措置を講じていきますならば、裁判では負けない。たとえば、暴行、傷害、殺人の犯罪をかつても犯した。今後もその人の状況等によって、そういう犯すおそれがいろいろな行為等から見受けられるというような事由を疎明いたします場合には、欠格条項に該当いたそうかと思うのであります。
  100. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 六号の条文を読んでみまして、そういうふうに私はどうしても考えられないのですけれども、裁判所がもしこれをたてにして判決を下す場合に、あなたが言うようなふうに解釈できるかどうかと、私は非常に疑わしいと思うのです。あなたは法案の立案者、立案当局でありますから、こういう場合も、こういう場合もと、こういうふうに考えていらっしゃるかもしれない。この規定でもって大がい、こういう場合もこういう場合も適用できる。つまり、刀剣を持たせないことはできるとお考えかもしれませんけれども、裁判所の立場は、この条文からでは、あるいはそういう人たちの刀剣所持というものが、まあ所持する権利があるというふうに判決を下すかもしれないと思うのです、大丈夫ですか。
  101. 中川董治

    政府委員中川董治君) 松澤先生の仰せごもっともなんですけれども、この刑罰法令の名前を列挙いたしますのも一つの方法であろうと思います。ただし、その方法を用いますと、改俊の情がきわめて顕著であって、もう全然おそれがないという者までも欠格条件に当てはめしまうという欠陥がありますので、かかる文字を用いて、実情に合わそうと考えたのでございますが、その点については、運用する側といたしましては、そのおそれのある点について慎重に認定いたしまして、過去のその者の行為を犯罪行為によって証明する方法と、現在の状況とを証明いたして、六号の欠格条件に該当すると、こう証明して参りたいと思うのであります。
  102. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 改悛の情顕著であるとか、こういうことをおっしゃるのですけれども、われわれは、普通の場合、刀剣所持したり銃を所持したりすることができないのですよ。われわれは普通の場合には、そういうものを所持したいとも思わないし、それから所持する手続をしていないのですよ。それなのに、そういう人たちに、なぜ刀剣所持することを認めるように、改俊の情とか何とかいうことをあなたはおっしゃって刀剣を持たせなければならないのですか、どういう必要があるのですか。そういう人が、かつて刑法上の罪を犯したという人が、改俊の情が顕著であれば刀剣を持たしてもいいという、そういう趣旨は、われわれはちっともわからない。
  103. 中川董治

    政府委員中川董治君) これは松澤先生御専門でございますが、こういう規制をするにつきましては、第一条の危害予防の立場という最小限度にとどめるべきであろう。危害予防が全然ないものを、また少いものを規制することは行き過ぎである。こういう立場に立って書かざるを得ないのではないのではないかと考えるのであります。従って、一度ある刑法上裁判上の罪を犯したというのみをもって直ちに危害ありと断定するのは少し無理があろう、こう思うのであります。
  104. 加瀬完

    ○加瀬完君 この前の別府の騒乱事件のような場合は、両方の親分たちがああいうふうな行動に出るらしいということになれば、この六号は適用できるということになりますか。
  105. 中川董治

    政府委員中川董治君) 別府の事件につきまして考えてみますと、この別府の事件が起る以前においては、六号に該当しないという場合があろうかと思います。別府などの事件をおおむね念頭に置きましたのは、第十条を考えたのが念頭に置いたのでございます。
  106. 加瀬完

    ○加瀬完君 所持態様でしょう。しかし、所持態様が問題になるようになっては、事件がある程度進行したということになると思うのですよ。それ以前に、ああいう態様が実現する前に、人の生命、もしくは財産、または公共の安全を害するおそれがあると認めるに足る相当な理由が生じていると思うのですよ。そこで所持している刀剣銃砲というものを抑えることができなければ、結局この六号というものは問題にならぬと思う。ああいう場合に適用できるかどうか、そういう意味で伺っているのです。
  107. 中川董治

    政府委員中川董治君) 別府のごとき場合において、所持している者がかつても人の生命財産に損害を与え、その与える状況が顕著になって参った場合においては、六号に該当する事態もできて参ろうと思います。ただし、その場合に、一応許可してからそういう事態が起ってきた場合に、あるいは取り消しの原因になる、こういう場合もあろうと思います。
  108. 加瀬完

    ○加瀬完君 松澤さんが御指摘になったように、かつての生活態度がどうであったかということも問題でしょうけれども、かつて全然関係がなくても、今六号に当てはまるような行為が着々と行われているということであれば、それはそれで規制されなければ、この法律案目的には合ってこないと思うのです。
  109. 中川董治

    政府委員中川董治君) お説のように、過去はどうであっても、そのときの事態においては、そういうことが客観的に認められる場合においては該当いたします。ただし、私が申し上げましたのは、該当するということを疎明する場合において、かつての条件が相当に参考になるという意味において申し上げたにすぎないのであります。
  110. 加瀬完

    ○加瀬完君 私がくどいように伺いますのは、そういう業種と言っては悪いですが、銃砲刀剣というものを一つの武器にしてゆすりや何かをやるというようなことを半ば職業みたいにやっている暴力団があるとすれば、そういう業種といいますか、業態というものからも、この六号というふうなものを適用しなければ、全然六号は意味をなさないと思うのです。そういう意味合いで伺っておったわけです。そういう意味では、当然六号の適用によって取り押えられる、こういうことですね。
  111. 中川董治

    政府委員中川董治君) その通りでございます。
  112. 小林武治

    委員長小林武治君) それでは、他に御発言なければ、本日はこの程度にいたしたいと存じます。  これにて散会いたします。    午後零時七分散会