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1958-03-07 第28回国会 参議院 大蔵委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月七日(金曜日)    午後一時四十八分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     河野 謙三君    理事            西川甚五郎君           小笠原二三男君            天坊 裕彦君    委員            青木 一男君            岡崎 真一君            木暮武太夫君            左藤 義詮君            塩見 俊二君            宮澤 喜一君            山本 米治君            栗山 良夫君            杉山 昌作君            前田 久吉君   政府委員    大蔵政務次官  白井  勇君    大蔵省管財局長 賀屋 正雄君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   説明員    大蔵省管財局接    収貴金属監理官 池田  弘君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本国アメリカ合衆国との間の安  全保障条約第三条に基く行政協定の  実施に伴う関税法等臨時特例に関  する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○接収貴金属等処理に関する法律案  (内閣提出衆議院送付)(第二十  七回国会継続)     —————————————
  2. 河野謙三

    委員長河野謙三君) これより委員会を開きます。  まず、日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施に伴う関税法等臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案議題とし、政府委員より提案理由説明を聴取します。
  3. 白井勇

    政府委員白井勇君) ただいま議題となりました日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施に伴う関税法等臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  この法律案は、合衆国軍隊構成員等の用に供するため免税で輸入された物品が譲渡された場合における関税法等の適正な執行をはかるため、これらの物品についての関税及び内国消費税徴収等に関する規走を整備しようとするものであります。以下、改正内容について簡単に御説明申し上げます。  まず、合衆国軍隊構成員等免税輸入した物品が譲渡された場合の納税義務者につきましては、現行規定によりますと、譲受人から申告がなければ関税徴収ができず、また、その後の転得者に対する徴税についても解釈上疑問の余地があったのであります。これをこの際納税義務者に関する規定を整備するとともに、税関の許可を受けないで免税輸入物品を譲り受けた場合には、申告を待たずに一方的に告知、徴税できることとしようとするものであります。  次に、未納税譲受物品処理につきましては、従来においては、譲り受けの申告を指導する以外に法的な強制方法がなかったため、関税法規の適正な執行に支障があったのにかんがみ、納税義務のある者がこれらの物品所有し、または所持している場合及び法令の規定により譲り受けの許可をすることができない譲受物品所有し、または所持している者がある場合には、これを保税地域に入れることを強制できることとしようとするものであります。  なお、法律改正前に許可を受けないで譲り受けられた免税輸入物品については、原則としてなお従前の例によることとするが、申告を待たずに徴税できる点及び保税地域への搬入を強制できる点については改正法規定を準用することとしようとするものでありまa。  以上が、この法律案提案理由及びその概要であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願いいたします。
  4. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 本案の内容説明並びに質疑は後日に譲ります。     —————————————
  5. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 次に接収貴金属等処理に関する法律案議題といたします。まず、提出資料について簡単に御説明願います。
  6. 池田弘

    説明員池田弘君) 昨日当委員会から資料要求がございました点、お手元に差し上げました通りでございます。この点につきまして簡単に御説明いたします。  まず第一は、「対日貿易十六原則に関する極東委員会政策決定」でございます。このうち接収金属関係のある分をここに抜き出したわけでございます。それでこの中でCの最初のところにあります「金、銀その他の貴金属及び貴石、宝石のストックで明らかに日本所有のものと立証されたものは終局的には賠償物件として処理すべきものである」ということは、昨日局長説明しました際に引用いたしたのでございますが、ここでございます。ただ二十二年にこの決定がなされたのでございますが、ずっと執行機関であるところの連合国最高司令官は、このような賠償に充てませんで、講和条約発効とともに返してくれたものでございます。  次は、「中間賠償計画に関するポーレー大使声明」でございます。これは三十年十二月七日に大統領に勧告したものでございますが、この九にこのように書いてありまして、「この貴金属船輸送は、」シッピングは、「後日それを占領費の支払いに使用するか、輸入品のために使用するか、賠償のために使用するか又は返還するかについての決定に対して何等の影響を及ぼすものではない。」、この点がきのう局長説明の中で引用したものでございます。この当時におきましてその処分方法につきましては、まだ方針がきまっていなかったようでございます。  次は三に、「戦時中日所有貴金属及びダイヤモンドの蓄積の管理解除について」、このメモランダム講和条約発効に伴いまして、連合国占領軍接収いたしました貴金属等日本政府に解除いたしましたときのメモランダムでございます。それで特に二に、「上記一項参照覚書趣旨のうちに含まれるすべての財産は、」接収貴金属でございますが、「平和条約発効とともに連合国最高司令官のすべての管理から解除されることとなるので、貴省は平和条約発効後、裁判により確定された私人の利益を調査し補償する計画及び私人所有財産であることが判明した個個の物件返還する計画を立てることを認められる。」、こういうように私人所有財産であるものは返還する計画を立ててよろしいと、こういうメモランダムをつけて日本政府接収貴金属引き渡してきたのであります。そのメモランダムをここへつけました。  それから次に四は、「陸戦法規慣例ニ関スル条約」、これはいわゆるヘーグの陸戦法規と呼ばれておるものでございますが、これが交戦国におきますところの軍隊の行動につきまして取り決められました国際条約でございまして、昨日の御要求によりまして出したものでございます。それでその中でまあ特に接収金属関係いたしますのは、この次のページをめくっていただきまして、「条約附属書陸戦法規慣例ニ関スル規則」というのがございまして、第一款には「交戦者」のこと。第二款では「戦闘」のこと。第三款では「敵国領土ニ於ケル軍権力」というこの第三款におきまして四十二条以下いろいろなことが書いてあるわけでございます。それで特に第四十六条におきまして、「家ノ名誉及権利個人ノ生命、私有財産並宗教信仰及其遵行ハヲ尊重スヘシ私有財産ハヲ没収スルコトヲ得ス」それから四十七条には、「掠奪ハヲ厳禁ス」ということになっておりまして、敵国領土における軍隊権力といたしまして私有財産没収してはならないということがここでまあきまっているわけでございます。それで講和条約発効とともに接収金属は返してくれたわけでございまして、没収はされなかったわけでございますが、これについての関係条文は四十六条、四十七条ということになります。それからめくっていただきまして、五十三条であります。私有財産没収してはならないのでございますけれども、国有動産につきましては押収することが国際法上認められているわけでございます。五十三条には、「一地方ヲ占領シタル軍ハ国所有ニ属スル現金基金及有価証券、」まあいろいろ書いてございまして、「其の他総テ作戦動作ニ供スルコトヲ得ヘキ国有動産ノ外之ヲ押収スルコトヲ得ス」、逆に国有財産はこういう作戦動作に供するためには押収することができるわけでございます。まあおもなところはこの法規で四十六条、四十七条、五十三条でございます。  それから次は、「連合国占領軍処分した貴金属等の調、」というのでございます。  まず第一に、連合国占領軍米国内におきまして白金処分いたしまして、そのかわりに代償の金とドル預金日本政府引き渡してきたのでございますが、その数量白金三トン五百六十八キログラム、これは総量でございますが、これだけを米国内で売り払ったわけでございます。そうしてそのかわりに金六トン六百キログラムとドル預金五万九千ドル代償としてわが国によこしております。
  7. 河野謙三

    委員費河野謙三君) お断わりしましたように、簡単に一つ御説明願います。
  8. 池田弘

    説明員池田弘君) それから次は第八軍中央購買局における処分、金銀ここにあげました数量、そのかわりにこれだけのドル引き渡してきたという資料でございます。それから三番目はイヤマーク金をタイ、フランス中国イタリアなどに返還いたしました。その数量をここへ掲げました。  それから次は、めくっていただきまして、「占領軍略奪品と認めたものの返還」の数量でございます。英国、オランダ、それから中国フランス、フィリピン、国別に分けまして品目、個数数量、ここに掲げた通りのものがそれぞれの連合国占領軍が被略奪品と認めたもののところへ返還になっております。  それから次は、「貴金属価格の推移」でございます。金、銀、白金につきまして単価の違ったごとにずっと書いてございます。で、備考にも書きましたように、三十一年一月前の分は政府買上価格でございます。ただし二十年八月十五日の白金価格だけは旧金属配給統制株式会社白金の買い受け許可価格でございます。それから注2にも書いてあるような価格をとっておるわけでございます。  それから次は、「社会党の修正案」でございます。ここに原文をそのまま載せております。  それから次は、「行政監察特別委員会接収貴金属等調査の際問題となった事例調」というのを出しております、(8)まで。交易営団におけるダイヤモンド詰めかえの件、それから行政監察特別委員会接収貴金属等調査の際問題となった事件、おもなものをここへ八つばかりあげてございます。これは標題にあります通り行政監察特別委員会で取り上げられました問題でございまして、その趣旨を簡単に書いたものでございます。  それから最後に、「接収貴金属等に関する陳情」、どういう陳情大蔵省にあったかということの調べでございます。年月日と陳情者名とそれから内容備考というような分類に分けまして、ここに一覧表を掲げたものでございます。  以上で御説明を終らせていただきます。
  9. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 質疑のある方は、順次、御発言を願います。
  10. 杉山昌作

    杉山昌作君 この法律の前に、接収貴金属数量等報告に関する法律がありましたね、あれでいろいろ民間等から報告が来ているでしょうが、その報告されたものと、それから現在あるものとの突き合せというのですか、大体どんなふうですか。非常に報告はたくさん来たけれども、それだけ現品がないというのか、それとも現品が余るように報告が少いというのですか。そこら突き合せ状況はどうなっておりますか。
  11. 池田弘

    説明員池田弘君) 二十七年に接収貴金属等数量等に関する法律によりまして、接収をされました貴金属報告を徴したわけでございます。それでその内容はこちらで整理してございますけれども、いろいろ重復したものがございましたり、また単位を間違えておるものがありましたり、またその重量は記載しないで個数だけ書いてあるというような関係がございましたのでございますが、その後いろいろ照会などをいたしまして大体集計してみますというと、現在保管している貴金属よりも少し足らない程度になるのじゃないかと思います。もちろんこれはこの法案通りました暁におきまして、接収貴金属等処理審議会の議決に基きまして、何を接収されたかということを認定した上でないとはっきりしない問題なのでございますけれども、それからまた物の種類によりましてもその不足率というのは違うわけでございますけれども、まああまり不足をしない、しかし報告のあるだけ完全にはないというような状況でございます。
  12. 河野謙三

    委員長河野謙三君) ちょっと待って下さい。速記をとめて。   〔速記中止
  13. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 速記をとって。
  14. 杉山昌作

    杉山昌作君 そうしますと、先般資料でいただきました接収貴金属帰属が、一般会計のものがどうとか、個人のものがどうとかいうようなもの、これは大体その報告からこの帰属をやったのですか、それとも接収したときの何か書類等があるのでございますか。
  15. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 先ほどの、法律に基く報告と実際の数量につきましては、管理官から申し上げた通りでございますが、法律に基きます数量合計いたしますと、昨日私が御説明いたしました金額より若干多いのでございます。この報告は必ずしも先ほど申しましたように、そのまま全部信用していいというふうにも考えられないのであります。それで実際の返還に当りましては、個々の具体的な一々のケースに当りまして認定という作業を行なって、ある程度はっきりした証拠資料に基いて返還をするということになるわけでございます。そこでただいまの御質問の、七百三十億と昨日御説明いたしましたが、これは現に保管しております。合計金額をこの報告を基礎といたしまして一定推計を加えまして、民間所有分とその他の分というふうに振り分けたものでございまして、個々資料を積み重ねてできた数字ではございません。
  16. 杉山昌作

    杉山昌作君 そこで民間所有のものなんですがね。私ちょっと疑問に思うのは、戦争中金なりダイヤモンドなりというものはみんな供出しろというようなことで供出してしまったのです。大体民間でこういうももを持っているということは、まああまりないはずだということが考えられるのですがね。これで見ますと四十三億という値段に相当するものが民間手元に持っていた、持っていたからこそ占領軍接収されたわけなんです。その持っていたのは、そういう関係戦争中供出するのを隠して持っていたというものなんですか、それとも業務上その他、まあ隠したものじゃない、当然これだけは持っているのだというふうなお見込みのものですか。そこらはどんなふうにお考えになっておりますか。
  17. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 昨日御説明いたしましたように、民間所有分として、推計いたしましたものが約四十三億ございますが、そのほかに民間の分といたしましては、日本銀行のところに入れてございますが、買戻し条作付き金製品三億というのがございますが、これは一応この回収に関する政政府慫慂と申しますか、回収の運動にこたえまして、一応この国の用途に役立たせるために納めますが、将来要らなくなった場合は買戻したい、こういう条件の付いておったものでございます。それから四十三億の中には、いろいろのものが含まれておると推定されるのでありますが、もちろんこの個人は当時政府慫慂に応じましで、相当の金々納められたと思うのでございますが、まあその間多少漏れたものがあろうということも当然想像できるわけでございまして、しかしながらそのほかに相当あったと思われますものには、やはり貴金属の売買、加工を業としておりますものでございますとか、あるいは銀、金等を使います歯医者さんでありますとか、あるいは写真の関係の業者といったような方々の業務所有しておられたものも相当あるのではないかというふうに推測いたしております。
  18. 杉山昌作

    杉山昌作君 それで何かこう国民感情というと、少し大げさな言い方かもしれないが、民間、ことに個人等の持っていたものを返還するというのに、法律的にはこれは当然返還すべきものと、きのうもいろいろ法律上のお話がありましたので、そう思うのですが、どうも環状内には少しいやな点が残るのです。これは法律問題とは別な観点から研究すべきものだと思うのです。まあそれらをも考えられての上での一割ですか、幾らかの保管量をとるというのですが、あれは一体一割というような金額は、これはどういう計算でそうなるのですか。
  19. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 一割の納付金徴収することにつきましては、昨日御説明いたしましたように、政府連合国軍から引き渡しを受けまして、一種の事務管理のような格好でこれを保管するということに相なりました関係から、保管料に相当する金額という意味で、はじきました数字が、結果として一割になったのでございまして、大体の考え方を申し上げますと、占領軍から引き渡しを受けまして、返還をいたしますためには、必要な事柄といたしまして、鑑定でありますとか、品位試験、秤量、それから保管、それから事務処理上の調査等、いろいろの事柄をやらなければならないのでございますが、まあその費用という意味でございまして、まず保管費用といたしましては、民間の分を、先ほども話が出ましたが、一応四十六億円と推計をいたしまして、この四十六億円の貴金属につきまして、まず第一に、政府連合国占領軍から引き渡しを受けました二十七年の四月から、この法律案を提出いたしました三十一年の三月までの間におきましては、日本銀行その他における保管形態は、個々貴金属、たとえば金のそういった製品あるいは白金あるいはダイヤモンドといったものにつきまして、個々について保管をするという形態ではなくして、一定容器に入れまして、その容器をどこか確実な所に預ける、こういう形でもって保管する、こういう建前で計算をいたしたのでございまして、そういたしますと、まずこの際のとる基準といたしまして、信託銀行等が安全な金庫にそういった容器保管する場合の保管の料金というものをとりまして、この四十六億円を一定箱数にかけたものを算出いたしたわけでございます。これが大体一億二千六百万円ぐらいという推計になるのでございます。ところが法案が成立いたしますと、この法律を出したときにはすぐ御承認を願えるという考えでもって三十一年度からこの返還をしていくわけでございますが、その際には今度は具体的にいろいろ返還請求に悪きまして現物を確認する必要がありますので、法律が出ますまでの保管形態とは違いまして、個々臨界金属について保管を依頼する、そうしますとものによっていろいろ保管料が違ってくるわけでございますが、そういったものをはじいたわけでございまして、その際法律通りましたら、第一年目には特定物の一部、それから第二年目にはその特定物残り、第三年目には銀以外のものの不特定物、それから第四年目には銀の不特定物、大体こういった返還計画を立てましで、それに応じまして運輸省告示によります普通倉庫保管料をかけまして保管料をはじいたわけであります。以上が保管料でありますが、そのほかの事務処理に要する経費につきましては、この民間のものと推計されます四十六億円と全体の七百三十億円との按分比例によりまして、昭和二十七年から法案を出しますまでの間は実績によりましてとり、それから返還に要する四年間の期間につきましては見込額によって事務処理に要する経費を出しまして、その合計額を、先ほど申しましたように按分民間の負担にかけるべき金額を出したのでございます。そういたしますと七千六百万円ばかりに相なるのでありまして、先ほどの保管料との合計が四億五千万、こういう数字が出て参ります。これを全体の四十六億円との比率をとりますと、九・七%あたりになるのでございまして、その端数を整理いたしまして一割ということで、この法律のような規定を設けたような次第でございます。
  20. 杉山昌作

    杉山昌作君 そうしますと、結局これは今のような非常に緻密なというか、ずいぶん手のかかった計算方で事務的には出した金額、従ってこれが今の——私がさっき申し上げたような国民感情というようなことから、これをふやすとか、減らすというような性質のものじゃない、こういうことになりますか。
  21. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) その通り考えております。
  22. 杉山昌作

    杉山昌作君 それから十九条の関係ですが、所得税法人税をかけるとき、返還々受けた人は、そのときに所得があった、こういうようなことになるのですか。と申しますのは、何かこれは自分が初めから所有していたもので、それを取られていたものが今度返ってくるなら、新しくそこに収入とか所得とかいう観念が出るようなものじゃないと思いますが、それはどういうことですか。
  23. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 接収を受けましたのが法人であります場合には、法人貸借対照表、勘定から落している場合もありますし、あるいは旧価格でもって計上しておる場合もございますし、いろいろあるのでございますが、そういった会社が返還を受けました場合には、一時に所得とは見ないで、課税上はそれを原料といたしまして、売却いたしまして、増加価値を生じたときに課税をする、こういう考えでございます。
  24. 杉山昌作

    杉山昌作君 返還を受けたときに収入があったとか、所得があったというような考え方でなしに……。
  25. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 今ちょっと言葉が足りませんでしたが、返還されました場合に、全然落しておりました場合には、旧簿価までには所得があったものとして考えております。
  26. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ちょっと関連して。あとでしっかりした質問はしますが、今の税の問題に関連するのですが、当時、個人でそういう財産を持っておったのが、今度返還するのに個人でも二億以上だろうというような評価のものがありますが、財産税等がかかったはずじゃないかというように思います。それは財産税はかかっておらぬでしょう。その当時は接収されておったから、保留か何かしており、今は財産令はない。そして直接の返還の場合に税の対象にはならない。こういう点はどうなんです。
  27. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 財産税法適用につきましては、法律規定、それから財産税法施行規則等によりまして、臨時貴金属数量等報告令によりまして報告をいたしておりますときには、財産税の賦課を一時猶予いたしまして、接収貴金属返還をされたときにかけるということになっておりますので、返還されましたときに財産税一般にかけました二十一年三月三日の時価に基いてかけるということで、報告をしておりましたときには、当時持っておったと同じように課税されるわけでございます。ただしそういった財産税法とか、施行規則適用を受けない接収貴金属におきましては課税猶予を認めておりません。つまり報告をいたしておらない分につきましては、猶予をいたしませんので、当時課税すべきであったわけでございますが、現在では五年の時効が経過しておりますので、結局課税の問題は起らない、そういうことになります。
  28. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それについての意見は後日に譲って、ただ単に関連してもう一つ質問しますが、そうすると、猶予されておったものは二十一年当時に遡及し、その当時の時価課税せられる。そうすると、あなたの言うたこの種の問題で増加価値が生じた、生じないということになれば、現品でなく、代価をもって今回支払われるというようなことになれば、所得だけはふえたということになるのですから、そうすると財産税は当時の時価でかけるが、それを引いた残り代価については新たなる所得として、所得税をおかけになりますか。
  29. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 財産税は一時猶予しておりましたわけでございますので、ほかの財産税を取りましたと同じ標準で、当時の時価でかかる。ただ猶予しておったにすぎない、こういう考えでございます。ところが実際に帰って参りました接収貴金属が、非常にその間値が上っておるという場合、それを売りました際に所得があったものとして課税する、こういうことになります。
  30. 河野謙三

    ○(河野謙三君) ちょっと私から……。杉山委員からの質問に対して、一割というものは保管料相当額であるというので、その御説明がるるありましたが、それを資料にしてお出し願えますか。
  31. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 提出いたしたいと存じます。
  32. 河野謙三

    委員長河野謙三君) それではお願いいたします。
  33. 杉山昌作

    杉山昌作君 そうしますと、今の小笠原委員との問答でもわかってきたのですが、かりに個人なら個人ですね、今度ダイヤモンドを将来売却でもしたときには増価が起りますので、そのときに所得をかけるものが、今度そういうような現品でなしに、計算上金で返ってくるようなことがあれば、それはそのときにもう増価があるということになって、所得計算に入っていく、そういうようなことに理解していいのですか。
  34. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) その通りでございます。
  35. 杉山昌作

    杉山昌作君 それから二十一条の関連ですが、回収機関等に対して、その機関が買収した金額等はこれを交付するということですが、その交付金の金額はその当時の買収価格、あるいは保管料とか、手数料というもの、その当時と今日では貨幣価値はうんと違っていますが、もとの金額そのままをやることになりますか、どういたしますか。
  36. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 考え方は、その当時回収機関が実際に回収します際に払った代金という考え方でございます。実績のはっきりいたしておりますものはそれをとりまして、不明のものは一定方法によって推計をする。それは政令で基準を書くということであります。
  37. 杉山昌作

    杉山昌作君 そうすると、貨幣価値が非常に下っていますから、結局政府の方は得ということになりましょうか。非常に貨幣価値の高い時分の一万円と、貨幣価値の安くなった今の二万円で、閉鎖機関等は非常にその点で損をするような勘定になるのですが、ただ閉鎖機関は大体国家的なもので、プライベートな利害関係は少いですからいいでしょうけれども、大体こういう機関はその後精算に立ち至っているでしょうが、そこらの、今の資産の……貸借対照表等で、そういうふうなものはやはり昔のままの計算をやっているのだ、従って、今度払う交付金もその当時のやつでもって清算上別に差しつかえが起きるというような心配はない、こんなことになっているのですか。
  38. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 政府が負っております歳務の限度で返すという意味で、特に補償的な、何と申しますか、その間の値上りを、こういった取り次ぎと申しますか、回収の機関に見てやる必要はないのではないか、こういう考えでございまして、ただいま閉鎖機関になっておりますが、それによって不都合を生するということはない見込みでございます。
  39. 宮澤喜一

    ○宮澤喜一君 関連して。非常にこまかいことですけれども、お答えの御用意がなければ後日でもよろしいです。政府から、今、杉山委員質問をされた、小笠原委員のもそうだったと思うのですが、金で返してもらったときに、所得が生ずる。譲渡所得みたいなものが生ずるというような考え方に近いのだと思うのですが、そうすると、納付金ですね、やはり一割払うのでしょうから、これは経費になりますか。
  40. 池田弘

    説明員池田弘君) 経費には落しませんで、納付金を払ったときには取得価格に加算するだけでございます。そうして売りましたときにそれだけ収得価格がふえますので、それだけ所得の額が減るというような計算になります。
  41. 宮澤喜一

    ○宮澤喜一君 ちょっと私の質問、仕方が悪かったかもしれないのです。そうでなくて、現品のかわりに金でもらうということがあるでしょう。そのときになお一割の納付金は払うのでございましょうから、そうすれば、その納付金の部分だけは所得から控除する。つまり経費になるかとこういう……。これは私はそのことが聞きたいのじゃなくて、納付金というものの性格をきちんと、そういうものだとしておきたいために伺うのです。
  42. 池田弘

    説明員池田弘君) 現金で返しますときは経費と同様になります。取得価格に加算しまして、それを売ったものとみなしますからして、計算上はそれだけ所得が落ちるわけでございます。
  43. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 他に御質疑はございませんか。——他に御質疑がなければ質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十四分散会     ——————・—————