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1958-03-07 第28回国会 参議院 大蔵委員会 第11号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十三年三月七日(金曜日) 午後一時四十八分開会
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
河野
謙三
君 理事
西川甚五郎
君
小笠原二三男
君 天坊 裕彦君
委員
青木 一男君 岡崎 真一君
木暮武太夫
君
左藤
義詮君 塩見 俊二君 宮澤 喜一君 山本 米治君 栗山 良夫君
杉山
昌作
君 前田 久吉君
政府委員
大蔵政務次官
白井
勇君
大蔵省管財局長
賀屋
正雄
君
事務局側
常任委員会専門
員
木村常次郎
君
説明員
大蔵省管財局接
収貴金属監理官
池田
弘君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
日本国
と
アメリカ合衆国
との間の安 全
保障条約
第三条に基く
行政協定
の
実施
に伴う
関税法等
の
臨時特例
に関 する
法律
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
) ○
接収貴金属等
の
処理
に関する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
)(第二十 七回
国会継続
)
—————————————
河野謙三
1
○
委員長
(
河野謙三
君) これより
委員会
を開きます。 まず、
日本国
と
アメリカ合衆国
との間の
安全保障条約
第三条に基く
行政協定
の
実施
に伴う
関税法等
の
臨時特例
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
とし、
政府委員
より
提案理由
の
説明
を聴取します。
白井勇
2
○
政府委員
(
白井勇
君) ただいま
議題
となりました
日本国
と
アメリカ合衆国
との間の
安全保障条約
第三条に基く
行政協定
の
実施
に伴う
関税法等
の
臨時特例
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、
提案
の
理由
を御
説明
申し上げます。 この
法律案
は、
合衆国軍隊
の
構成員等
の用に供するため
免税
で輸入された
物品
が譲渡された場合における
関税法等
の適正な
執行
をはかるため、これらの
物品
についての
関税
及び
内国消費税
の
徴収等
に関する規走を整備しようとするものであります。以下、
改正
の
内容
について簡単に御
説明
申し上げます。 まず、
合衆国軍隊
の
構成員等
が
免税
輸入した
物品
が譲渡された場合の
納税義務者
につきましては、
現行規定
によりますと、譲受人から
申告
がなければ
関税
の
徴収
ができず、また、その後の
転得者
に対する徴税についても解釈上疑問の余地があったのであります。これをこの際
納税義務者
に関する
規定
を整備するとともに、税関の
許可
を受けないで
免税輸入物品
を譲り受けた場合には、
申告
を待たずに一方的に告知、徴税できることとしようとするものであります。 次に、未
納税
の
譲受物品
の
処理
につきましては、従来においては、譲り受けの
申告
を指導する以外に法的な
強制方法
がなかったため、
関税法規
の適正な
執行
に支障があったのにかんがみ、
納税義務
のある者がこれらの
物品
を
所有
し、または所持している場合及び法令の
規定
により譲り受けの
許可
をすることができない
譲受物品
を
所有
し、または所持している者がある場合には、これを
保税地域
に入れることを強制できることとしようとするものであります。 なお、
法律改正
前に
許可
を受けないで譲り受けられた
免税輸入物品
については、
原則
としてなお従前の例によることとするが、
申告
を待たずに徴税できる点及び
保税地域
への搬入を強制できる点については
改正法
の
規定
を準用することとしようとするものでありまa。 以上が、この
法律案
の
提案
の
理由
及びその概要であります。 何とぞ御
審議
の上、すみやかに御賛成下さいますようお願いいたします。
河野謙三
3
○
委員長
(
河野謙三
君) 本案の
内容説明
並びに
質疑
は後日に譲ります。
—————————————
河野謙三
4
○
委員長
(
河野謙三
君) 次に
接収貴金属等
の
処理
に関する
法律案
を
議題
といたします。まず、
提出資料
について簡単に御
説明
願います。
池田弘
5
○
説明員
(
池田弘
君) 昨日当
委員会
から
資料
の
要求
がございました点、お
手元
に差し上げました
通り
でございます。この点につきまして簡単に御
説明
いたします。 まず第一は、「対
日貿易
十六
原則
に関する
極東委員会政策決定
」でございます。このうち
接収金属
に
関係
のある分をここに抜き出したわけでございます。それでこの中でCの最初のところにあります「金、銀その他の
貴金属
及び貴石、宝石のストックで明らかに
日本
の
所有
のものと立証されたものは終局的には
賠償物件
として
処理
すべきものである」ということは、昨日
局長
が
説明
しました際に引用いたしたのでございますが、ここでございます。ただ二十二年にこの
決定
がなされたのでございますが、ずっと
執行機関
であるところの
連合国最高司令官
は、このような
賠償
に充てませんで、
講和条約
の
発効
とともに返してくれたものでございます。 次は、「
中間賠償計画
に関する
ポーレー大使声明
」でございます。これは三十年十二月七日に大統領に勧告したものでございますが、この九にこのように書いてありまして、「この
貴金属
の
船輸送
は、」シッピングは、「後日それを
占領費
の支払いに使用するか、
輸入品
のために使用するか、
賠償
のために使用するか又は
返還
するかについての
決定
に対して何等の影響を及ぼすものではない。」、この点がきのう
局長
の
説明
の中で引用したものでございます。この当時におきましてその
処分
の
方法
につきましては、まだ方針がきまっていなかったようでございます。 次は三に、「
戦時中日
本
所有
の
貴金属
及び
ダイヤモンド
の蓄積の
管理解除
について」、この
メモランダム
は
講和条約
の
発効
に伴いまして、
連合国占領軍
が
接収
いたしました
貴金属等
を
日本政府
に解除いたしましたときの
メモランダム
でございます。それで特に二に、「上記一項
参照覚書
の
趣旨
のうちに含まれるすべての
財産
は、」
接収貴金属
でございますが、「
平和条約
の
発効
とともに
連合国最高司令官
のすべての
管理
から解除されることとなるので、貴省は
平和条約発効
後、裁判により確定された
私人
の利益を調査し補償する
計画
及び
私人所有
の
財産
であることが判明した個個の
物件
を
返還
する
計画
を立てることを認められる。」、こういうように
私人所有
の
財産
であるものは
返還
する
計画
を立ててよろしいと、こういう
メモランダム
をつけて
日本政府
に
接収貴金属
を
引き渡し
てきたのであります。その
メモランダム
をここへつけました。 それから次に四は、「
陸戦
ノ
法規慣例ニ関スル条約
」、これはいわゆるヘーグの
陸戦法規
と呼ばれておるものでございますが、これが
交戦国
におきますところの
軍隊
の行動につきまして取り決められました
国際条約
でございまして、昨日の御
要求
によりまして出したものでございます。それでその中でまあ特に
接収金属
に
関係
いたしますのは、この次のページをめくっていただきまして、「
条約附属書
、
陸戦
ノ
法規慣例ニ関スル規則
」というのがございまして、第一款には「
交戦者
」のこと。第二款では「戦闘」のこと。第三款では「
敵国
ノ
領土ニ於ケル軍
ノ
権力
」というこの第三款におきまして四十二条以下いろいろなことが書いてあるわけでございます。それで特に第四十六条におきまして、「家ノ
名誉及権利
、
個人
ノ生命、
私有財産並宗教
ノ
信仰及其
ノ
遵行ハ
之
ヲ尊重スヘシ
、
私有財産ハ
之
ヲ没収スルコトヲ得ス
」それから四十七条には、「
掠奪ハ
之
ヲ厳禁ス
」ということになっておりまして、
敵国
の
領土
における
軍隊
の
権力
といたしまして
私有財産
を
没収
してはならないということがここでまあきまっているわけでございます。それで
講和条約
の
発効
とともに
接収金属
は返してくれたわけでございまして、
没収
はされなかったわけでございますが、これについての
関係条文
は四十六条、四十七条ということになります。それからめくっていただきまして、五十三条であります。
私有財産
は
没収
してはならないのでございますけれども、
国有
の
動産
につきましては押収することが
国際法
上認められているわけでございます。五十三条には、「一地方ヲ
占領シタル軍ハ国
ノ
所有ニ属スル現金
、
基金及有価証券
、」まあいろいろ書いてございまして、「其の他総
テ作戦動作ニ供スルコトヲ得ヘキ国有動産
ノ外之ヲ
押収スルコトヲ得ス
」、逆に
国有財産
はこういう
作戦動作
に供するためには押収することができるわけでございます。まあおもなところはこの
法規
で四十六条、四十七条、五十三条でございます。 それから次は、「
連合国占領軍
が
処分
した
貴金属等
の調、」というのでございます。 まず第一に、
連合国占領軍
は
米国
内におきまして
白金
を
処分
いたしまして、そのかわりに
代償
の金と
ドル預金
を
日本政府
に
引き渡し
てきたのでございますが、その
数量
は
白金
三トン五百六十八キログラム、これは総量でございますが、これだけを
米国
内で売り払ったわけでございます。そうしてそのかわりに金六トン六百キログラムと
ドル預金
五万九千
ドル
を
代償
としてわが国によこしております。
河野謙三
6
○
委員費
(
河野謙三
君) お断わりしましたように、簡単に一つ御
説明
願います。
池田弘
7
○
説明員
(
池田弘
君) それから次は第八
軍中央購買局
における
処分
、金銀ここにあげました
数量
、そのかわりにこれだけの
ドル
を
引き渡し
てきたという
資料
でございます。それから三番目は
イヤマーク金
をタイ、
フランス
、
中国イタリア
などに
返還
いたしました。その
数量
をここへ掲げました。 それから次は、めくっていただきまして、「
占領軍
が
略奪品
と認めたものの
返還
」の
数量
でございます。英国、オランダ、それから
中国
、
フランス
、フィリピン、
国別
に分けまして品目、
個数
、
数量
、ここに掲げた
通り
のものがそれぞれの
連合国占領軍
が被
略奪品
と認めたもののところへ
返還
になっております。 それから次は、「
貴金属
の
価格
の推移」でございます。金、銀、
白金
につきまして単価の違ったごとにずっと書いてございます。で、
備考
にも書きましたように、三十一年一月前の分は
政府
の
買上価格
でございます。ただし二十年八月十五日の
白金
の
価格
だけは旧
金属配給統制株式会社
の
白金
の買い受け
許可価格
でございます。それから注2にも書いてあるような
価格
をとっておるわけでございます。 それから次は、「社会党の
修正案
」でございます。ここに原文をそのまま載せております。 それから次は、「
行政監察特別委員会
の
接収貴金属等調査
の際問題となった
事例調
」というのを出しております、(8)まで。
交易営団
における
ダイヤモンド詰め
かえの件、それから
行政監察特別委員会
の
接収貴金属等調査
の際問題となった事件、おもなものをここへ八つばかりあげてございます。これは標題にあります
通り行政監察特別委員会
で取り上げられました問題でございまして、その
趣旨
を簡単に書いたものでございます。 それから最後に、「
接収貴金属等
に関する
陳情
」、どういう
陳情
が
大蔵省
にあったかということの調べでございます。年月日と
陳情者名
とそれから
内容
、
備考
というような分類に分けまして、ここに
一覧表
を掲げたものでございます。 以上で御
説明
を終らせていただきます。
河野謙三
8
○
委員長
(
河野謙三
君)
質疑
のある方は、順次、御発言を願います。
杉山昌作
9
○
杉山昌作
君 この
法律
の前に、
接収貴金属
の
数量等
の
報告
に関する
法律
がありましたね、あれでいろいろ
民間等
から
報告
が来ているでしょうが、その
報告
されたものと、それから現在あるものとの
突き合せ
というのですか、大体どんなふうですか。非常に
報告
はたくさん来たけれども、それだけ
現品
がないというのか、それとも
現品
が余るように
報告
が少いというのですか。
そこら
の
突き合せ
の
状況
はどうなっておりますか。
池田弘
10
○
説明員
(
池田弘
君) 二十七年に
接収貴金属等
の
数量等
に関する
法律
によりまして、
接収
をされました
貴金属
の
報告
を徴したわけでございます。それでその
内容
はこちらで整理してございますけれども、いろいろ重復したものがございましたり、また単位を間違えておるものがありましたり、またその重量は記載しないで
個数
だけ書いてあるというような
関係
がございましたのでございますが、その後いろいろ照会などをいたしまして大体集計してみますというと、現在
保管
している
貴金属
よりも少し足らない程度になるのじゃないかと思います。もちろんこれはこの
法案
が
通り
ました暁におきまして、
接収貴金属等処理審議会
の議決に基きまして、何を
接収
されたかということを認定した上でないとはっきりしない問題なのでございますけれども、それからまた物の種類によりましてもその
不足率
というのは違うわけでございますけれども、まああまり
不足
をしない、しかし
報告
のあるだけ完全にはないというような
状況
でございます。
河野謙三
11
○
委員長
(
河野謙三
君) ちょっと待って下さい。
速記
をとめて。 〔
速記中止
〕
河野謙三
12
○
委員長
(
河野謙三
君)
速記
をとって。
杉山昌作
13
○
杉山昌作
君 そうしますと、先般
資料
でいただきました
接収貴金属
の
帰属
が、
一般会計
のものがどうとか、
個人
のものがどうとかいうようなもの、これは大体その
報告
からこの
帰属
をやったのですか、それとも
接収
したときの何か
書類等
があるのでございますか。
賀屋正雄
14
○
政府委員
(
賀屋正雄
君) 先ほどの、
法律
に基く
報告
と実際の
数量
につきましては、
管理官
から申し上げた
通り
でございますが、
法律
に基きます
数量
を
合計
いたしますと、昨日私が御
説明
いたしました
金額
より若干多いのでございます。この
報告
は必ずしも先ほど申しましたように、そのまま全部信用していいというふうにも
考え
られないのであります。それで実際の
返還
に当りましては、
個々
の具体的な一々のケースに当りまして認定という作業を行なって、ある程度はっきりした
証拠資料
に基いて
返還
をするということになるわけでございます。そこでただいまの御
質問
の、七百三十億と昨日御
説明
いたしましたが、これは現に
保管
しております。
合計
の
金額
をこの
報告
を基礎といたしまして
一定
の
推計
を加えまして、
民間所有分
とその他の分というふうに振り分けたものでございまして、
個々
の
資料
を積み重ねてできた
数字
ではございません。
杉山昌作
15
○
杉山昌作
君 そこで
民間所有
のものなんですがね。私ちょっと疑問に思うのは、
戦争
中金なり
ダイヤモンド
なりというものはみんな供出しろというようなことで供出してしまったのです。大体
民間
でこういうももを持っているということは、まああまりないはずだということが
考え
られるのですがね。これで見ますと四十三億という値段に相当するものが
民間
が
手元
に持っていた、持っていたからこそ
占領軍
に
接収
されたわけなんです。その持っていたのは、そういう
関係
で
戦争
中供出するのを隠して持っていたというものなんですか、それとも
業務
上その他、まあ隠したものじゃない、当然これだけは持っているのだというふうなお見込みのものですか。
そこら
はどんなふうにお
考え
になっておりますか。
賀屋正雄
16
○
政府委員
(
賀屋正雄
君) 昨日御
説明
いたしましたように、
民間
の
所有分
として、
推計
いたしましたものが約四十三億ございますが、そのほかに
民間
の分といたしましては、
日本銀行
のところに入れてございますが、買戻し
条作付き
の
金製品
三億というのがございますが、これは一応この
回収
に関する
政政府
の
慫慂
と申しますか、
回収
の運動にこたえまして、一応この国の用途に役立たせるために納めますが、将来要らなくなった場合は買戻したい、こういう条件の付いておったものでございます。それから四十三億の中には、いろいろのものが含まれておると推定されるのでありますが、もちろんこの
個人
は当時
政府
の
慫慂
に応じましで、相当の金々納められたと思うのでございますが、まあその間多少漏れたものがあろうということも当然想像できるわけでございまして、しかしながらそのほかに相当あったと思われますものには、やはり
貴金属
の売買、加工を業としておりますものでございますとか、あるいは銀、
金等
を使います歯医者さんでありますとか、あるいは写真の
関係
の業者といったような方々の
業務
上
所有
しておられたものも相当あるのではないかというふうに推測いたしております。
杉山昌作
17
○
杉山昌作
君 それで何かこう
国民感情
というと、少し大げさな言い方かもしれないが、
民間
、ことに
個人等
の持っていたものを
返還
するというのに、
法律
的にはこれは当然
返還
すべきものと、きのうもいろいろ
法律
上のお話がありましたので、そう思うのですが、どうも環状内には少しいやな点が残るのです。これは
法律
問題とは別な観点から研究すべきものだと思うのです。まあそれらをも
考え
られての上での一割ですか、幾らかの
保管量
をとるというのですが、あれは一体一割というような
金額
は、これはどういう
計算
でそうなるのですか。
賀屋正雄
18
○
政府委員
(
賀屋正雄
君) 一割の
納付金
を
徴収
することにつきましては、昨日御
説明
いたしましたように、
政府
が
連合国軍
から
引き渡し
を受けまして、一種の
事務管理
のような格好でこれを
保管
するということに相なりました
関係
から、
保管料
に相当する
金額
という
意味
で、はじきました
数字
が、結果として一割になったのでございまして、大体の
考え方
を申し上げますと、
占領軍
から
引き渡し
を受けまして、
返還
をいたしますためには、必要な
事柄
といたしまして、鑑定でありますとか、
品位試験
、秤量、それから
保管
、それから
事務処理
上の
調査等
、いろいろの
事柄
をやらなければならないのでございますが、まあその
費用
という
意味
でございまして、まず
保管
の
費用
といたしましては、
民間
の分を、先ほども話が出ましたが、一応四十六億円と
推計
をいたしまして、この四十六億円の
貴金属
につきまして、まず第一に、
政府
が
連合国占領軍
から
引き渡し
を受けました二十七年の四月から、この
法律案
を提出いたしました三十一年の三月までの間におきましては、
日本銀行
その他における
保管
の
形態
は、
個々
の
貴金属
、たとえば金のそういった
製品
あるいは
白金
あるいは
ダイヤモンド
といったものにつきまして、
個々
について
保管
をするという
形態
ではなくして、
一定
の
容器
に入れまして、その
容器
をどこか確実な所に預ける、こういう形でもって
保管
する、こういう建前で
計算
をいたしたのでございまして、そういたしますと、まずこの際のとる基準といたしまして、
信託銀行等
が安全な金庫にそういった
容器
を
保管
する場合の
保管
の料金というものをとりまして、この四十六億円を
一定
の
箱数
にかけたものを算出いたしたわけでございます。これが大体一億二千六百万円ぐらいという
推計
になるのでございます。ところが
法案
が成立いたしますと、この
法律
を出したときにはすぐ御承認を願えるという
考え
でもって三十一年度からこの
返還
をしていくわけでございますが、その際には今度は具体的にいろいろ
返還請求
に悪きまして現物を確認する必要がありますので、
法律
が出ますまでの
保管
の
形態
とは違いまして、
個々
の
臨界金属
について
保管
を依頼する、そうしますとものによっていろいろ
保管料
が違ってくるわけでございますが、そういったものをはじいたわけでございまして、その際
法律
が
通り
ましたら、第一年目には
特定物
の一部、それから第二年目にはその
特定物
の
残り
、第三年目には銀以外のものの不
特定物
、それから第四年目には銀の不
特定物
、大体こういった
返還
の
計画
を立てましで、それに応じまして
運輸省告示
によります
普通倉庫保管料
をかけまして
保管料
をはじいたわけであります。以上が
保管料
でありますが、そのほかの
事務処理
に要する
経費
につきましては、この
民間
のものと
推計
されます四十六億円と全体の七百三十億円との
按分比例
によりまして、
昭和
二十七年から
法案
を出しますまでの間は実績によりましてとり、それから
返還
に要する四年間の期間につきましては
見込額
によって
事務処理
に要する
経費
を出しまして、その
合計額
を、先ほど申しましたように
按分
で
民間
の負担にかけるべき
金額
を出したのでございます。そういたしますと七千六百万円ばかりに相なるのでありまして、先ほどの
保管料
との
合計
が四億五千万、こういう
数字
が出て参ります。これを全体の四十六億円との比率をとりますと、九・七%あたりになるのでございまして、その端数を整理いたしまして一割ということで、この
法律
のような
規定
を設けたような次第でございます。
杉山昌作
19
○
杉山昌作
君 そうしますと、結局これは今のような非常に緻密なというか、ずいぶん手のかかった
計算方
で事務的には出した
金額
、従ってこれが今の——私がさっき申し上げたような
国民感情
というようなことから、これをふやすとか、減らすというような性質のものじゃない、こういうことになりますか。
賀屋正雄
20
○
政府委員
(
賀屋正雄
君) その
通り
に
考え
ております。
杉山昌作
21
○
杉山昌作
君 それから十九条の
関係
ですが、
所得税
や
法人税
をかけるとき、
返還
々受けた人は、そのときに
所得
があった、こういうようなことになるのですか。と申しますのは、何かこれは自分が初めから
所有
していたもので、それを取られていたものが今度返ってくるなら、新しくそこに
収入
とか
所得
とかいう観念が出るようなものじゃないと思いますが、それはどういうことですか。
賀屋正雄
22
○
政府委員
(
賀屋正雄
君)
接収
を受けましたのが
法人
であります場合には、
法人
の
貸借対照表
、勘定から落している場合もありますし、あるいは旧
価格
でもって計上しておる場合もございますし、いろいろあるのでございますが、そういった会社が
返還
を受けました場合には、一時に
所得
とは見ないで、
課税
上はそれを原料といたしまして、売却いたしまして、
増加価値
を生じたときに
課税
をする、こういう
考え
でございます。
杉山昌作
23
○
杉山昌作
君
返還
を受けたときに
収入
があったとか、
所得
があったというような
考え方
でなしに……。
賀屋正雄
24
○
政府委員
(
賀屋正雄
君) 今ちょっと言葉が足りませんでしたが、
返還
されました場合に、全然落しておりました場合には、旧
簿価
までには
所得
があったものとして
考え
ております。
小笠原二三男
25
○
小笠原二三男
君 ちょっと関連して。あとでしっかりした
質問
はしますが、今の税の問題に関連するのですが、当時、
個人
でそういう
財産
を持っておったのが、今度
返還
するのに
個人
でも二億以上だろうというような評価のものがありますが、
財産税等
がかかったはずじゃないかというように思います。それは
財産税
はかかっておらぬでしょう。その当時は
接収
されておったから、保留か何かしており、今は
財産令
はない。そして直接の
返還
の場合に税の対象にはならない。こういう点はどうなんです。
賀屋正雄
26
○
政府委員
(
賀屋正雄
君)
財産税法
の
適用
につきましては、
法律
の
規定
、それから
財産税法
の
施行規則等
によりまして、
臨時貴金属数量等報告令
によりまして
報告
をいたしておりますときには、
財産税
の賦課を一時
猶予
いたしまして、
接収貴金属
が
返還
をされたときにかけるということになっておりますので、
返還
されましたときに
財産税
を
一般
にかけました二十一年三月三日の
時価
に基いてかけるということで、
報告
をしておりましたときには、当時持っておったと同じように
課税
されるわけでございます。ただしそういった
財産税法
とか、
施行規則
の
適用
を受けない
接収貴金属
におきましては
課税
の
猶予
を認めておりません。
つまり報告
をいたしておらない分につきましては、
猶予
をいたしませんので、当時
課税
すべきであったわけでございますが、現在では五年の時効が経過しておりますので、結局
課税
の問題は起らない、そういうことになります。
小笠原二三男
27
○
小笠原二三男
君 それについての意見は後日に譲って、ただ単に関連してもう一つ
質問
しますが、そうすると、
猶予
されておったものは二十一年当時に遡及し、その当時の
時価
で
課税
せられる。そうすると、あなたの言うたこの種の問題で
増加価値
が生じた、生じないということになれば、
現品
でなく、
代価
をもって今回支払われるというようなことになれば、
所得
だけはふえたということになるのですから、そうすると
財産税
は当時の
時価
でかけるが、それを引いた
残り
の
代価
については新たなる
所得
として、
所得税
をおかけになりますか。
賀屋正雄
28
○
政府委員
(
賀屋正雄
君)
財産税
は一時
猶予
しておりましたわけでございますので、ほかの
財産税
を取りましたと同じ標準で、当時の
時価
でかかる。ただ
猶予
しておったにすぎない、こういう
考え
でございます。ところが実際に帰って参りました
接収貴金属
が、非常にその間値が上っておるという場合、それを売りました際に
所得
があったものとして
課税
する、こういうことになります。
河野謙三
29
○(
河野謙三
君) ちょっと私から……。
杉山
委員
からの
質問
に対して、一割というものは
保管料
相当額であるというので、その御
説明
がるるありましたが、それを
資料
にしてお出し願えますか。
賀屋正雄
30
○
政府委員
(
賀屋正雄
君) 提出いたしたいと存じます。
河野謙三
31
○
委員長
(
河野謙三
君) それではお願いいたします。
杉山昌作
32
○
杉山昌作
君 そうしますと、今の小笠原
委員
との問答でもわかってきたのですが、かりに
個人
なら
個人
ですね、今度
ダイヤモンド
を将来売却でもしたときには増価が起りますので、そのときに
所得
をかけるものが、今度そういうような
現品
でなしに、
計算
上金で返ってくるようなことがあれば、それはそのときにもう増価があるということになって、
所得
の
計算
に入っていく、そういうようなことに理解していいのですか。
賀屋正雄
33
○
政府委員
(
賀屋正雄
君) その
通り
でございます。
杉山昌作
34
○
杉山昌作
君 それから二十一条の関連ですが、
回収
機関等に対して、その機関が買収した
金額
等はこれを交付するということですが、その交付金の
金額
はその当時の買収
価格
、あるいは
保管料
とか、手数料というもの、その当時と今日では貨幣価値はうんと違っていますが、もとの
金額
そのままをやることになりますか、どういたしますか。
賀屋正雄
35
○
政府委員
(
賀屋正雄
君)
考え方
は、その当時
回収
機関が実際に
回収
します際に払った代金という
考え方
でございます。実績のはっきりいたしておりますものはそれをとりまして、不明のものは
一定
の
方法
によって
推計
をする。それは政令で基準を書くということであります。
杉山昌作
36
○
杉山昌作
君 そうすると、貨幣価値が非常に下っていますから、結局
政府
の方は得ということになりましょうか。非常に貨幣価値の高い時分の一万円と、貨幣価値の安くなった今の二万円で、閉鎖機関等は非常にその点で損をするような勘定になるのですが、ただ閉鎖機関は大体国家的なもので、プライベートな利害
関係
は少いですからいいでしょうけれども、大体こういう機関はその後精算に立ち至っているでしょうが、
そこら
の、今の資産の……
貸借対照表
等で、そういうふうなものはやはり昔のままの
計算
をやっているのだ、従って、今度払う交付金もその当時のやつでもって清算上別に差しつかえが起きるというような心配はない、こんなことになっているのですか。
賀屋正雄
37
○
政府委員
(
賀屋正雄
君)
政府
が負っております歳務の限度で返すという
意味
で、特に補償的な、何と申しますか、その間の値上りを、こういった取り次ぎと申しますか、
回収
の機関に見てやる必要はないのではないか、こういう
考え
でございまして、ただいま閉鎖機関になっておりますが、それによって不都合を生するということはない見込みでございます。
宮澤喜一
38
○宮澤喜一君 関連して。非常にこまかいことですけれども、お答えの御用意がなければ後日でもよろしいです。
政府
から、今、
杉山
委員
の
質問
をされた、小笠原
委員
のもそうだったと思うのですが、金で返してもらったときに、
所得
が生ずる。譲渡
所得
みたいなものが生ずるというような
考え方
に近いのだと思うのですが、そうすると、
納付金
ですね、やはり一割払うのでしょうから、これは
経費
になりますか。
池田弘
39
○
説明員
(
池田弘
君)
経費
には落しませんで、
納付金
を払ったときには取得
価格
に加算するだけでございます。そうして売りましたときにそれだけ収得
価格
がふえますので、それだけ
所得
の額が減るというような
計算
になります。
宮澤喜一
40
○宮澤喜一君 ちょっと私の
質問
、仕方が悪かったかもしれないのです。そうでなくて、
現品
のかわりに金でもらうということがあるでしょう。そのときになお一割の
納付金
は払うのでございましょうから、そうすれば、その
納付金
の部分だけは
所得
から控除する。つまり
経費
になるかとこういう……。これは私はそのことが聞きたいのじゃなくて、
納付金
というものの性格をきちんと、そういうものだとしておきたいために伺うのです。
池田弘
41
○
説明員
(
池田弘
君) 現金で返しますときは
経費
と同様になります。取得
価格
に加算しまして、それを売ったものとみなしますからして、
計算
上はそれだけ
所得
が落ちるわけでございます。
河野謙三
42
○
委員長
(
河野謙三
君) 他に御
質疑
はございませんか。——他に御
質疑
がなければ
質疑
はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時三十四分散会 ——————・—————