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1958-02-21 第28回国会 参議院 大蔵委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月二十一日(金曜日)    午後二時二分開会     —————————————   委員異動 本日委員田中茂穂君辞任につき、その 補欠として伊能繁次郎君を議長におい て指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     河野 謙三君    理事            西川甚五郎君           小笠原二三男君            平林  剛君            天坊 裕彦君    委員            岡崎 真一君            木暮武太夫君            左藤 義詮君            土田國太郎君            増原 恵吉君            宮澤 喜一君            山本 米治君            大矢  正君            野溝  勝君            杉山 昌作君            前田 久吉君   政府委員    大蔵政務次官  白井  勇君    大蔵省主税局長 原  純夫君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十二年産米穀についての所得  税の臨時特例に関する法律案(内閣  提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 河野謙三

    委員長河野謙三君) これより委員会を開きます。  委員異動がありましたので、報告いたします。  本日付をもって委員田中茂穂君が辞任され、その補欠として伊能繁次郎君が委員に選任されました。     —————————————
  3. 河野謙三

    委員長河野謙三君) それでは、昭和三十二年産米穀についての所得税臨時特例に関する法律案を議題といたします。  まず、政府委員より内容説明を聴取いたします。
  4. 原純夫

    政府委員原純夫君) この法律案は、三十二年産米供出にかかりまする収入代金につきまして、所得税臨時特例を定めようというものであります。  中身は、前回の三十一年分の米穀についての臨時特例と全然同じでございます。ただし、この早場の加算が変りましたので、その分だけ調整になっておる。総体の一石当り千四百円という平均の控除額は変らないということに相なっております。その他、これが事前売り渡し申し込みに基いて売り渡したものについてだけのものであるということは、もう前回通りで申すを待ちません。なお、これによりまする減収額は、約二十四、五億円と見ております。農業所得者は現在三十二年分の見込みで五十万ちょっとでございますが、これによって失格するという分が約九万人というふうに見ております。  大へん概略でございますが、これで終ります。
  5. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 質疑のある方は、順次、御発言願います。
  6. 平林剛

    平林剛君 この法律は、毎年々々ここ二回か三回続けて提出されてきておるのですが、毎年同じようなことを繰り返すのですけれども、何かこの措置が特に必要であるとするならば、もっと長い目で見てどうするというようなお考えはあるんですか、あるいは、今説明されたように、ことしだけである、来年はどうするのだということになるのですか。この点がどうも毎回同じように提案をされてくるので、政府もしっかり長い目で臨時特例でないようなことを考える必要があるなら考える、そうでなければ、別途の合理的な解決をはかるべきで、こういう点をもう少し説明をしておいていただきたい。
  7. 原純夫

    政府委員原純夫君) この特例は、すでに御案内の通り税法の規定としましては非常な異例でございまして、石当り一万幾らという収入がある、それから経費を引いたものが所得である、それにそのまま控除税率を適印するというのが公平な課税を保つという意味からいえば当然なことであります。が、これは二十五、六年ごろから始まっておったと思いますが、長い経緯で、米の供出を確保しなければならぬ、そのためにあらゆる手を打つというような必要のあった時代に創始せられましたものが、その後毎回々々、ただいま申しましたような事情で、税の面からいえば早く整備をいたしたいと思いながら、なかなか整備しきれないということで続いてきている分でございます。現在におきましても、そういう見地から、だんだん事態も正常に——正常と申しますか、事態もだんだん変ってきておるということから、税の本則に復したいというふうに私どもは考えております。累次の税制調査会においても、その旨の答申があるというような状態でございますが、昨年——三十二年におきましては、御記憶の通り米価決定、特に消費者価格決定というようなことがからみまして相当もめました。もめたからどうというように申すのは、非常に筋の通らぬ話でありますが、やはりそういうようなことから、三十二年は続けなければならぬというふうに判断したものでありますが、今後の問題といたしましては、やはり税の見地からはなるべく早くやめたい。しかし、これができました経緯、それから今後の米価決定、米の供出制度というようなものの成り行きともからんで、やはりそのときそのとき判断せざるを得ないということで、ただいまのところ結果として一年々々法案をお願いするということになっておる次第でございます。
  8. 平林剛

    平林剛君 この法律案は、初めは供出米を確保するという趣旨で設けられたのでありますが、豊作のときにもやはり同様な措置が講ぜられる。その限りにおいては、根本的には米価決定というのが問題になっておる。従って、この米価決定について相当合理的な解決がないというと、ずっと続くようなことになる、税法上からはきわめて適当でないような法律だと私は思うのです。まあこれは、今の説明で、これ以上は申し上げませんけれども、もう一つ、所得税だけでなく、地方税に対しても同様にすべきではないか。供出米を確保する、あるいは今米価決定等やむを得ない事情で、この措置が続く以上、その理論を押し広げていけば、地方税にも適用すべきではないかという議論もかなり聞くのであります。政府としては、この要望に対しては何とこたえていくのか。
  9. 原純夫

    政府委員原純夫君) 地方税につきましては、三十一年産米までにつきまして申しますと、地方税も同様にこれに対応して、住民税所得割軽減になるということになっております。三十二年産米につきましては、その点について議論がございましたが、結論として前通りやろうということになっております。従いまして、国税で軽減になっております分は、それに対応して住民税軽減になるということになっております。
  10. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 他に御質疑はありませんか。
  11. 左藤義詮

    左藤義詮君 そうしますと、これは現在の米の食糧管理が続く限りは、毎年これはこの通りやらなくちゃならぬということですか。
  12. 原純夫

    政府委員原純夫君) これはまあ相当大きな問題でございますから、税の立場だけで結論的な御議論を申し上げるということはいかがかと思いますが、税の見地からいいますれば、供出制度現状通りであれば続けるということではないと思います。やはり、供出制度現状通りであっても、これは直したいというふうに思っでおります。累次の調査会でいろいろな方々が御議論して出された結論も、やはり現在の供出制度が変らなければということではなくて、早くやめるようにと。ただ実際は、ただいまの千四百円というのがきまりました経緯は、たしか二十九年産米であったと思いますが、あのときにこの予約制度を始めたのでございます。その際に、米価をきめるときに、最後に二百円というのを上げろ、上げられぬというような問題になりまして、百円を予約加算か何かで上げて、百円を税でということがあったわけであります。これはこういう席で申すのはいかがかと思いますが、そういうことがあったわけであります。これは三十年度の米からであります。その後米価もだんだん事情が動いてきておりますから、その当時の事情が今でも残っておるとも言えませんから、そういう事情は忘れてもいいといえばいい。しかしやはり農民側はそういう経緯を考えておられるでしょうから、実際問題として、これをはずす場合に、米価決定とからんでの御議論が出ることはあると思います。しかし、それらを含めて、私どもは今の供出制度なら続けていくということまではちょっと申し上げかねるので、やはりなるべく条件を整えて、これは廃止していきたいと私どもは考えておりますが、ただいま申しました通り米価決定その他との関連もありますから、それらをからめて十分検討した上で、その際、結論を出していきたいというふうに考えております。
  13. 左藤義詮

    左藤義詮君 事実上では、毎年、今おっしゃったように、もうやめたい、やめたいと言いながらも、予約供出制度が続く限りは、これで押されていく。いやだいやだと言いながらも、ずるずる続いていくということじゃないですか。どういうふうになったら、これは打ち切れるのですか。
  14. 原純夫

    政府委員原純夫君) そう伺われれば、私どもは、そうならないようにいきたいと申し上げる以外にないと思うのです。
  15. 左藤義詮

    左藤義詮君 ならないようにするためには、どういう条件が整ったらやめられるのですか。
  16. 原純夫

    政府委員原純夫君) 理屈ばって申し上げて大へん恐縮ですけれども理屈で申し上げますれば、値段を押えられている、値段が安い安いということで、こういうことが行われるわけでありますが、それは値段が安ければそれだけ収入が少い、収入が少なければそれだけ所得が少くなる、およそそういうことは、米の場合に限らず、いろいろな商売にしてもあるわけです。政府が引き締め政策をやると値段が下って困るということは、いろいろあるわけですね。そういう際にも、やはりすべては、収入が少くなって、経費はやはりかかる、所得が減る、所得が減れば所得税は少い、それらはすべて同じ控除と同じ税率で公平にやるというのが、これは税として公平な負担をしていただくゆえんだと思っておりますから、まあ理屈一点張りで申せば、かりに米価がどうなろうとも、安ければ安いで所得が少いはずだから、少なければ少いに応じて公平に所得税を本法の通りでかけるというので、私は理屈は通ると思うのであります。あとはただ理屈をはずれて——と言ってはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、いろいろそういう経緯米価決定とからみがあるから、私どもとしても、そういう点を御納得いただきながら、やめるならやめるということにせんならぬということを申し上げておるわけで、そういうわけで非常にふん切りの悪いことになって恐縮であります。
  17. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 他に御質疑はございませんか。   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 他に御質疑もないようでありますから、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御発言もありませんか。   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 御発言もないようでありますから、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。  昭和三十二年産米穀についての所得税臨時特例に関する法律案を問題に供します。本案賛成の方は御挙手を願います。   〔賛成者挙手
  20. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 全会一致であります。よって本案は可決すべきものと決しました。  なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告内容、第七十二条による議長に提出する報告書作成等につきましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 御異議ないと認めます。  それから委員長報告書には多数意見者署名を要することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     西川甚五郎  平林  剛     天坊 裕彦  岡崎 真一     左藤 義詮  木暮武太夫     増原 恵吉  宮澤 喜一     山本 米治  大矢  正     杉山 昌作  前田 久吉
  22. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 次回は、二月二十七日木曜日午後一時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時十七分散会