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1958-02-18 第28回国会 参議院 大蔵委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月十八日(火曜日)    午後一時四十二分開会     —————————————   委員異動 二月十四日委員田中茂穂君、苫米地義 三君、苫米地英俊君及び江田三郎君辞 任につき、その補欠として宮澤喜一 君、伊能繁次郎君、塩見俊二君及び小 林孝平君を議長において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     河野 謙三君    理事            木内 四郎君            西川甚五郎君           小笠原二三男君            平林  剛君            天坊 裕彦君    委員            木暮武太夫君            左藤 義詮君            塩見 俊二君            土田國太郎君            増原 恵吉君            宮澤 喜一君            山本 米治君            大矢  正君            栗山 良夫君            野溝  勝君            杉山 昌作君            前田 久吉君   政府委員    大蔵政務次官  白井  勇君    国税庁長官   北畠 武雄君    国税庁次長   原  三郎君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   説明員    国税庁税部長 金子 一平君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○関税定率法の一部を改正する法律の  一部を改正する法律案内閣送付、  予備審査) ○経済基盤強化のための資金及び特別  の法人基金に関する法律案内閣  送付予備審査) ○租税特別措置法の一部を改正する法  律案内閣送付予備審査) ○租税及び金融等に関する調査  (租税行政に関する件)     —————————————
  2. 河野謙三

    委員長河野謙三君) これより委員会を開きます。  議事に先きだち、委員異動について御報告いたします。  二月十四日付をもって、委員田中茂穂君、苫米地義三君、苫米地英俊君、江田三郎君が辞任され、その補欠として宮澤喜一君、伊能繁次郎君、塩見俊二君、小林孝平君が委員として選任されました。     —————————————
  3. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 本日は、まず、関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案  経済基盤強化のための資金及び特別法人基金に関する法律案  租税特別措置法の一部を改正する法律案  以上いずれも予備審査の二案を便宜一括議題として政府より提案理由説明を聴取いたします。
  4. 白井勇

    政府委員白井勇君) ただいま議題となりました関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案外二法案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  まず、関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。この法律案は、最近の経済事情等に顧み、昭和二十九年に制定されました関税定率法の一部を改正する法律の附則を改正し、本年三月三十一日で期限が到来する関税暫定的減免制度について、その期間をさらに一年間延長しようとするものであります。  以下、改正内容を簡単に御説明申し上げます。  まず、重要機械類につきましては、わが国で必要としている機械のうち国産困難のものも相当あり、企業近代化合理化関税政策の上からもなお助長する必要なしとしませんので、免税措置をさらに一年間継続することとしております。  学童給食用乾燥脱脂ミルク原子力研究用物品法律別表甲号の小麦、A重油、四エチル鉛航空機等物品並びに別表乙号の原油、B・C重油カーボンブラック等物品につきましても、なおしばらく従来どおりの減免税を継続することが必要であると考えられますので、さらに一年間その減免期間を延長することとしております。  次に、経済基盤強化のための資金及び特別法人基金に関する法律案について申し上げます。  昭和三十一年度の一般会計の決算上の新規剰余金は、一千一億円の多額に上り、これから国債償還等法定財源に充当される額を控除いたしました残額は四百三十六億三千万円になるのであります。他面、昭和三十三年度におけるわが国経済運営基本的態度といたしましては、輸出の伸長に対してあらゆる努力を集中すべきことが要請され、このため、昭和三十三年度において財政が国内経済に過度の刺激を与えないよう堅実な基調を堅持することがぜひ必要であると考えられます。従いまして、以上の剰余金昭和三十三年度において一般歳出財源に充てることなく、しかも、今後におけるわが国経済基盤強化に資することを目的として、この剰余金に相当する額のうち二百二十一億三千万円をもって一般会計に所属する資金として経済基盤強化資金を設け、将来におけるわが国経済基盤強化に必要な経費財源の一部を確保することといたしますとともに、二百十五億円を農林漁業金融公庫ほか四法人に対して、それぞれその特別基金に充てるため出資をすることといたし、これらの資金及び基金の適正な管理、運用をはかることとするため、ここにこの法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案の概要について申し上げます。  ます第一に、経済基盤強化資金について申し上げますと、さきに申し上げました通り、将来におけるわが国経済盤強化のために必要な経費の一部に充てるために、政府は、昭和三十三年度一般会計から二百二十一億三千万円を支出し、一般会計に所属する資金として経済基盤強化資金を設けることといたしております。この資金は、将来における道路の整備、港湾の整備科学技術振興異常災害の復旧又は産業投資特別会計への繰り入れに要する経費財源に充てる場合に限り、予算の定めるところに従って使用できることといたしております。  なお、この資金は、使用されるまでは資金運用部に預託することとし、貯託によって生じました利子資金に編入することといたしております。  第二に、さきに申し上げました五法人基金について申し上げます。  政府は、昭和三十三年度一般会計から、農林漁業金融公庫に対し六十五億円、中小企業信用保険公庫に対し同じく六十五億円、日本輸出入銭行に対し五十億円、日本貿易振興会に対し二十億円、日本労働協会に対し十五億円を、それぞれ出資することといたしております。この出資を受けた金額は、農林漁業金融公庫におきましては、国の補助対象とならない農地の改良及び造成にかかる事業に対する貸付についての利子軽減に充てる財源を得させるための非補助小団地等土地改良事業助成基金に充てさせることとし、中小企業信用保険公庫におきましては、同公庫保険事業損益計算損失を生じた場合においてその損失を埋めるための保険準備基金に充てさせることとし、日本輸出入銀行におきましては、東南アジア開発協力のための国際的機構に対する出資及び当該機構が設置されるまでの間において将来当該機構出資に振りかえることができる性質の国際的協力による投資財源に充てるための東南アジア開発協力基金に充てさせることとし、また、日本貿易振興会及び日本労働協会におきましては、それぞれその事業運営に必要な経費をまかなう財源を得るための基金に充てさせることといたしております。  これら五つ基金に属する現金は、日本輸出入銀行東南アジア開発協力のための出資及び投資運用する場合の金額と、五法人が年度内の資金繰りのために繰りかえ使用中の金額を除くほか、これを資金運用部に預託して管理しなければならないこととし、また、これらの五つ基金は、農林漁業金融公庫が、その運用益から基金に組み入れた額を限度として貸付利子軽減のために使用する場合と、中小企業信用保険公庫保険事業損失補てんに充てる場合のほかは、これをとりくずすことができないことといたしますとともに、その他各基金の適正な経理を行うため必要な規定を設けることといたしております。  最後に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  政府は、昭和三十三年度税制改正の一環としてすでに所得税法等の一部を改正する法律案等関係法律案を提出して御審議を願っているのでありますが、さらに当面要請される貯蓄増強及び科学技術振興に資する等のため所要改正を行うこととして、ここに租税特別措置法の一部を改正する法律案を提出した次第であります。  以下この法律案についてその大要を申し上げます。  第一は、貯蓄増強に資するための臨時措置として、新たに貯蓄控除制度を創設したことであります。これは、昭和三十三年四月一日から昭和三十四年十二月三十一日までの間に特定の長期貯蓄を行なった個人昭和三十三年分及び三十四年分所得税について、年間貯蓄額の三%相当額、最高六千円をそれぞれの年分所得税額から控除することとしようとするものであります。この貯蓄控除対象となる貯蓄の種類は、預貯金、合同運用信託、公社債、証券投資信託、株式及び生命保険とし、その貯蓄の形態は、継続的な長期貯蓄の風習を奨励し、かつ、既存の貯蓄からこの貯蓄に振りかえて貯蓄控除適用を受けるような弊害を防止する見地から原則として六月以上毎月一定額の積み立てを行うものであること及びその平均預入期間が二年以上のものであることを条件といたしております。なお、この貯蓄控除は、給与所得者の場合は年末調整の際、申告所得者の場合は、確定申告の際に、それぞれ控除を行う建前にいたしております。  第二は、科学技術振興に資するための特別償却制度拡充であります。すなわち、まず試験研究の実施を奨励するため、現行試験研究用機械設備等特別償却制度拡充し、現行の三年均等償却方法を改めてその三年間の償却額に傾斜をつけ、初年度にその取得価額の二分の一の償却ができることとするとともに、重要な新技術企業化を促進するため、新たに新技術企業化用機械設備等特別償却制度を設け、昭和三十三年四月一日から昭和三十八年三月三十一日までの間に、重要な新技術企業化するための機械設備等を取得して企業化の用に供したときは、初年度にその取得価額の二分の一の特別償却をすることができることといたしております。  第三は、輸出振興に資するための輸出所得控除制度改正等であります。すなわち、輸出所得控除制度については、前国会において割増控除制度を設け、その拡充を図ったのでありますが、今国会においても、輸出振興重要性にかえりみ、同制度についてさらに若干の改正を行い、対外支払手段を対価とする三国間の運送について、特別控除卒取引金額の三%から五%に引き上げるとともに、紡績業者等の委託を受けて行う縫製加工輸出所得控除制度適用対象に加えるものとするほか、現行輸出損失準備金制度及び海外支店用設備等特別償却制度適用期限法人については昭和三十五年一月一日を含む事業年度直前事業年度まで、個人については昭和三十四年まで延長することといたしております。  第四は、住宅建設重要性に顧み、現行住宅建設促進のための特別措置適用限度を延長したことであります。すなわち、新築貸家住宅に対する特別償却制度及び新築住宅に関する登録税軽減及び非課税措置についてそれぞれ適用期限昭和三十七年三月三十一日まで延長することといたしております。  以上のほか、開墾地等農業所得及び土地改良事業施行地後作所得に対する所得税免税制度協同事業用機械等の三年間五割増特別償却制度外航船舶に関する登録税軽減措置及び航空機の乗客に対する通行税軽減措置についてとこれらの特別措置がなお必要と認められる期間その適用期限を延長するとともに、重油ボイラー改造費特別償却制度については、存続理由が認められなくなったのでその適用期限の延長を行わないものとし、その他所要規定整備をはかることといたしております。  以上、この三法律案につきまして提案理由とその大要を申し上げましたが、何とぞ御審議のうえ、すみやかに御賛成下さるようお願いいたす次第であります。
  5. 河野謙三

    委員長河野謙三君) ただいま説明を聴取いたしました各案の補足説明及び質疑は後日に譲ることにいたします。     —————————————
  6. 河野謙三

    委員長河野謙三君) この際利院税及び金融等に関する調査議題とし、租税行政に関する件について質疑を行います。  今政府から政府委員として国税庁長官並びに官房長出席を求めておりますが、衆議院の委員会に出ておりまして、ただいま向うの委員会が済んで間もなくここに参るということでございますから、このまましばらくお待ちを願います。  速記をとめて。   〔速記中止
  7. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 速記をつけて下さい。  ただいま北畠国税庁長官が見えました。質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 平林剛

    平林剛君 国税庁の長倉に若干お尋ねいたしたいことは、日本経済新聞にも掲載されておりますが、二月十二日に大阪国税局岡田某警察によって逮捕されたという事件がございます。新聞の報ずるところによりますと、まだ明確を欠いておりますけれども、徴税行政に対する疑問、あるいは逮捕理由に対する疑問が生じて参りましたので、この点についてあなたの方の見解を聞きたいと思うわけであります。この逮捕事件についてのこまかいことについて、何か警察当局からあなたの方に御連絡があったかどうか、これが一つ。それからこの逮捕理由は、新聞紙の報ずるところによると、所得額査定の基準となる効率表と、標準率表外部に示したことが秘密漏洩ということで、国家公務員法違反をする行為であると伝えられておりますけれども、これは警察当局が偶然発見したものか、あるいは追随行為をして暴露したかという疑問もありますけれども、国民の側から見れば、一体この所得額査定麺準となる効率表とか標準率表というのは一体何か。一般国民所得税法その他の税法規定をされたものによって徴税をされておると信じておりましたのに、どうも国税当局では効率表とか標準率表というものを持っていて、それで全般的な税務行政をやっておるのではないだろうか、こういう疑問を感ぜざるを得ないのであります。そこで一体この効率表とか標準率表は何だ、秘密にしていないでわれわれ国民代表にも提示してもらいたい。少くともどんなものだか説明してもらいたい。こういう二つの点について明らかにしてもらいたいと思うのです。
  9. 北畠武雄

    政府委員北畠武雄君) 去る二月十二日の午後十一時ごろ堺税務署の直税課勤務岡田事務官大阪府警察本部の手によりまして、国家公務員法第百条第一項、第百九条第十二項の違反容疑として逮捕せられたのは、これは事実でございます。この内容につきましては、まだ詳細つまびらかでございませんけれども、いわゆる民主商工会大阪府下の連合体でございますけれども、大阪商工団体連合会の三国事務局長岡田事務官税務行政上の秘密文書を交付したという容疑のようであります。なお、このうち十三日未明を期しまして、大阪府警察本部から岡田事務官のほか、堺税務署、それから大阪商工国体連合会事務所とを捜索いたしまして、証拠番数を押収されたのでございますが、岡田事務官から三国事務局長に流された文書の中には、少くとも昭和三十二年度分営業庶業所得税標準率表が含まれていたということが確認されたのでございます。  そこで、第二段の御質問でございますが、所得標準率とはどういうものか。あるいはまた効率とはどういうものかにつきまして、まず内容を御説明申し上げたいと思います。  標準率と申しますと、その事業者所得を計算する場合に、年間売り上げに対しまして通常所得がどのくらいあるかということを業種日別に調べまして作成いたしました比率でございまして、効率とは、同じく事業所得計算に際しまして、たとえば従事員の数とか、在庫品のあり方とか、あるいは設備員数等外形標準売り上げ一定相関関係を持つような業種目につきまして、これらの外形標準の一単位当り年間売上高を示す比率でございます。これらの比率は、毎年税務署におきまして相当たくさんの抽出された納税者によって帳簿に基き、実地に調査いたしまして、実績を基礎としてその平均値において出されております。申すまでもなく所得調査は、原則として、個々納税者につきまして本人の記帳に基き調査を行なっております。たとえば青色申告者のように収支にわたって詳細に記帳されておるものにつきましては、このような比率使用する必要はないわけでございます。納税者記帳していない場合や、あるいはまた記帳にはなはだしく信憑性ないという場合には、財産の増減とか、あるいは生計費支出状況、あるいは同業種とのつり合い等、具体的事情を勘案いたしまして、売上高所得金額を推計することになるわけでございますが、その際、同業種平均値を示す、いわゆる効率や、標準率所得推計の重要な資料として昔から使用いたしております。すなわちかりに売上高記帳がないという場合には、効率によって売上高を推計する。それからまた売上高記帳はあるが、必要経費記帳がないという場合には、売上高にいわゆる標準率を乗じまして得た所得金額を推計する。あるいはまた帳簿が全然ないという場合や、帳簿がありましても、客観的に見て記帳信憑性のないという場合には、双方の比率によりまして売上高所得金額を推計いたします。しかしこれらの、いわゆる効率や、所得標準率使用に当りましては、もちろん帳簿をつけておられる青磁申告者については適用がないわけでございますが、いわゆる白色申告者につきましても、具体的な適用については慎重にいたすべきことはもちろんでございます。一応の平均価でございますので、これによって所得を押しつけるというようなことはできるだけいたさない。ただ、もちろんいろいろな客観的な事実を調査をいたしました平均値は、これは所得推計の重要な資料であることはもちろんであると存じますが、これを強制的に使用するということはできるだけ避けておるわけでございます。  そこで、こういう効率なり、標準率をなぜ外部に発表しないかという問題でございます。この点は、昔から実は税務行政で扱っているので、ほんとうを申しますと、申告納税制度においては納税者方々は、ほんとうに全部の方々が正しい記帳をされ、税法にのっとった正しい税の申告をしていただけば標準率効率はもちろん必要でございません。この場合は、税務署すら、場合によってはほとんどなくても済むでございましょう。おそらく申告されてそれを受け付けるだけでよろしいわけでございます。しかし残念ながら現在のわが国段階におきましては、これを公表いたしまして、たとえば実際の売上高がいわゆる効率によって算定される推定売上高を上回るような場合、あるいはまた実際の所得金額標準率によって算定されまする所得金額を上回るような場合、故意に記帳を操作することによって、売上金額所得金額をこれらの比率に合うように引き下げて、いわば残念ですが、脱税をはかるというおそれなしとしないわけでございます。それからまたかりにこれを公表いたしました場合に、納税者間にいろいろな問題が出て、あらぬ誤解の生ずるもとでございます。たとえば税務署はその標率によって一律にやるのではないか。自分のところは正しく記帳しており、ほんとう所得はこれしかないが、税務署標率よりも低い、その場合税務署より強制されるのではないか。これは税務署が無理なことをする、そういうような税務行政上のいろいろの摩擦も考えられますので、現段階においては一般的にこういった効率標準率外部に公表するということは私ども適当でない、こう考えております。
  10. 平林剛

    平林剛君 大体あなたの方は、効率表とか標準率炎というのは、徴税の重要な参考資料として当局が持っているものであって、国民には知らせないものだ。知らせない理由はこれこれだという説明があったわけですけれども、それはどうもあべこべじゃないでしょうか。むしろ国民としては所得税法、あるいはその他の税法があって、きちんとこれこれの歩合によって徴税をされるという建前があって、安心して働けもするし、喜んで納税もしている。ところが国民一般には知らせないでおいて、そうして税務官吏だけがそれを持っていて、申告制度が樹立された今日においても、一方にそういうものさしを持っていて、そうしてそのものさしに合わなければ、なかなかあなたの方では是認をしないという建前になっている。むしろ公表して、これこれの歩合徴税をするのだという、明らかにする方法の方が、これはやはり納得した納税習慣というものが出てくる方向に行くのじゃないだろうか。私はそれはあべこべだと思うのですけれども、大体こういうものがあるということは、大体その他の新聞にも報ぜられておって、公然の秘密にもなっている。むしろこの際は積極的に公表をして、税務署はこういう形でやっているのだぞとすべきじゃないですか。それからあなたは今標準率をきめてあるのだから、それを上回るときに脱税がどうのこうのと言うけれども、むしろ今の徴税行政を見ていくというと、それに合わないものはどんどんつり上げていくような方によけい使われているのじゃないですか。そうなると国民は、何のために国民代表国会税法審議してくれているのか少しもわからない。あなたの説明あべこべの方の説明をしている場合が多いように思うのですけれども、もう一度一つ見解を聞かしてもらいたい。
  11. 北畠武雄

    政府委員北畠武雄君) ただいまいろいろ御意見を承わったわけでございますが、これは申告納税制度の理想から申しますと、納税者各自がほんとうに正しく記帳されて、税法に従って正しく、申告されるのが難前でございます。全部それが行われる場合にはもちろんこの標準率なんていうのは必要ないわけでございます。しかし残念ながら、今の段階におきましては、そのようなことは行われておりません。はなはだ残念ではございますが、現在青色申告者申告納税者の約半数に過ぎず、その他はほとんどいわゆる白色申告者でございまして、帳簿記帳なども備わってないというような状況でございます。所得者間の各種の権衡を保ち、正しい負担に応じた業者間のつり合いを保った課税をいたすためには、一つのやはり目じるし、手引が必要でございます。しかしこれはあくまでも税務調査一つ資料でございまして、何軒か調査いたしました、いろいろ個々的事情の違う方々のいわば平均値でございますので、これを一般的にこうしなさいというのは適当でないわけでございます。あくまでもやっぱり個々の方の実情に基いて、そうして御自分が正しい申告をしていただくことが、やっぱり申告納税制度の本来であろうと思います。公表してはどうかという御意見は承わりますけれども、現段階におきましては、これを公表することは適当でない、こういうように考えております。
  12. 平林剛

    平林剛君 私の承知しておるところでは、毎日新聞掲載記事で、昔税金という欄がございまして、あの中に片新聞紙を通じて、この効率表とか標準率表内容については詳しく報道されておる。大がい税理士はこんなものは持っておる。そうして一般納税者の相談役にはこれを参考にしていろいろ世話をしておるという実情も私はよく承知しておる。言わばこれはもう巷間に流れておるものであって、今日の段階では秘密にしておくべきものじゃないじゃないか、むしろ公平を期して、地域的な差とが業種間のバランスをとるという意味でも公表して、国民がこういうことでやっておるのだということを承知して申告をするということならばよいけれども、今日のように自主申告制度が立っておるときに、なおこれを秘密資料だといって持っておること自体が、私はどうも納得ができないのですが、新聞に発表されておることや、あるいは多くの税理士が持っておるということをどういうふうにお考えになりますか。
  13. 北畠武雄

    政府委員北畠武雄君) そのような行政の秘密が漏れることに問題があるのでありまして、私どもは部内において、そのような秘密が漏れることのないように厳に注意しておるのでありますが、漏れたのだから、あとこれを公表せよということはいかがであろうかと思います。ことに小売商など毎年変るので、毎年その年の調査によりまして、事情に応じて作成せられるものでございまして、すでに一ぺん漏れたからといって、それを翌年も適用するというものではございません。その年々のものでございます。
  14. 平林剛

    平林剛君 秘密が非常に漏れるというが、国民の側から言えば、あなたとあべこべな立場になるのです。国民としては、やはり税金を納めるときは、議会で論議をされた税法によって徴税をされるのです。それとはまた別に秘密のものがあって、それではかられるというようなことでは、これは国民は心配でしょうがない。特に私はあなたにお伺いしたいのは、去年の議会でお知らせ制度というのが議論されまして、納税申告時代においてはこのお知らせ制度というのが、どうしても官庁で考えたものをこれを国民に押しつけるということになって、非常な弊害があるから、助かる国民もあるのでしょうが、知識のない人たちにとっては。しかし、一般的に見ると、こういうことは税務署の考えを納税者に押しつけることだといって非難されて廃止になった。そうして、それで前の国税庁長官もこれを廃証止するということの約束をしてそれを実行に移された。ところが、最近はお知らせ制度こそなくなったけれども、これは別に見直し期間を設けて、いろいろ申告を出してきても、税務署でこれは違う、あれは違うというような一つ期間を設けて、実際は骨抜きになってしまう。  もう一つは、私はこれは日本経済新聞で読んだのでありますけれども、誓約書を出させるというじゃありませんか。つまり、税務署の職員がその業種別の団体に行きまして、そうしているいうことしの納税の話をする、お前のところは大体これだけの納税額が必要なんだということでいろいろ指導するというか、いい言葉で言えば指導であるが、悪い言葉で言えばこれは税務署の方が、お前のところはこれだけだと言って無理な押しつけをすることになる。そのときに使うのが今言った効率表標準率表です。これは確かに所得を隠しておる人にとっては、ある程度平均的なものになっていくということで、国民納税をさせるという面では公平かもしれないけれども、大多数においてはよけいな、その資料によって押しつけられるということもある。いわんやそのときに、大体あなたはこれだけだよという納税額の誓約群をとってくるというじゃありませんか、税務署の職員は。これは誓約書と書いてあるかどうか知りませんよ。しかし大体これこれの額を今度納めますという誓約書に判を押して、税務署に持って行く。職員はその課長なり係長にそれを見せる。その場合に、もし持ってきたものがこの標準率表効率表に満たなければ、これはもう一回やり直してこいといって差し戻される。いわば税務署職員のものさしにもなるし、国民の側から言うというと、結局われわれはこれだけしかないのだといっても、この標準率に満たないときにはちっとも是認をしてくれないということになって、結局税務署はこわいから、それを押しつけられることになる。これでは税法もへちまもあったものじゃない。実際にあなたの方のいまのものさしではかられることになるのだから、やはり国民としては、これはこの際秘密にすべきものじゃない、公表すべきものだということに当然要望が起きてくるではありませんかね。この誓約書というもの、あるでしょう。新聞に出ていたのはどうですか、それじゃ。
  15. 金子一平

    説明員(金子一平君) ただいまお話しの誓約書というのは、実は私は全然関知しないのであります。どういうものかお示しをいただけば非常に仕合せに存じます。元来申告をしていただく場合に、誓約書を事前にとって申告をしてもらうというようなことは、ちょっと想像ができないことじゃないかというふうに考えております。  それから、お知らせを廃止しても一向同じじゃないか、よくならぬじゃないか、見直し期間を設けて何事だという御意見のようであります。申告があればそれでよろしいという筋合いのものじゃございませんので、やはり私たちの方としては、実際に調査をする、ことに先ほどお話しの標準率なり効率から見て、まあこの程度ならよかろうとか、あるいはこれはどうもおかしいということで、修正申告の感想をするというようなことはいたさざるを得ないかと思うのでありますけれども、見直し期間という意味は、私はよくわかりませんが、申告が出ればそれでよろしいという筋合いのものではないと思います。  それからもう一つ税法でせっかく課税所得がきまっているのに、標準率で見直すのはおかしいじゃないかとおっしゃいますけれども、やはり標準率納税者方々にお示しして、これで申告して下さいという筋合いのものでは本来標準率はないのです。これはやはり納税者所得が的確かどうかを判断する場合に、今のような標準率で大体の見当をつけるやり方もございましょうし、あるいは同業者のバランスを見て、これはいいかどうかという見方もございましょうし、あるいは生活程度から、申告が妥当だ、こういう判断を下す場合もありましょうし、いろいろな方法使用するわけです。その一つのものさしとして標準率というものは庁から相当広範囲に使われて参りました。これは事実でございますが、だからといってこれを公けにいたしまして、これで申告して下さればけっこうですという筋合いのものでは全然ないと私は考えます。
  16. 平林剛

    平林剛君 まあ効率表標準率表が戦前あったということは私も承知しています。しかし、戦後少くとも自主申告制度が立てられたときには、こういうことは再検討されなければならぬじゃないかという疑問も持っています。  それは別にして、今あなたが誓約書は全然関知しないと、こうおっしゃられましたね。私の言うのは誓約書という言葉にとらわれるのじゃありませんよ。あなたが、私が誓約書と言ったから、誓約書は関知しないという答弁は官僚的答弁になりますから、後日のために申し上げておきますが、私は誓約書のようなものが存置するのじゃないか、それを指摘しておるのですよ。あなたは誓約書といったけれども、そういう趣旨のものもないと言い切れますか。私の言うのはこういうことです。私が指摘しているのは、お知らせ制度がなくなって後においては、昔のように税務署の方からお知らせが納税者のところに届かない。これはやらない。しかしその後は税務署の職員がそれぞれの納税者のところを、自宅を訪問していろいろ話し合うと、話し合って、私のところはこれこれだ、いやこういうことで大体このくらいあるはずだ、いろいろ議論はそれは徴税上の技術としてあり得るでしょう。指導もするだろうし、あるいはよい方向に向けるように努力をされることもありましょう。あるいは脱税がないように苦心されることもいろいろあるでしょう。いろいろそういう指導をなさった後に、それでは大体あなたのところは今度の納税期にはこれこれですよ、といってそれに承認の判を押させてくる。誓約書という言葉が悪いかどうかわかりませんよ。しかしそれに署名をさせて、税務署の職員は帰ってくる、こういうことありませんか。私はそれがそのときにそれを誓約書と、こう言うわけです。そういうことをやっている道具に使われるのがこの効率表標準率表ではありませんかと聞いてるわけです。
  17. 金子一平

    説明員(金子一平君) ただいま御指摘の点は、あるいはこういうことじゃないかと思うのでございますが、事実が違っておりましたらまた答弁をし直します。  お知らせ制度を廃止いたしまして、全然納税者の方ではよるべき手がかりがないというような場合でございましょう。そこで、御承知のように所得の計算、税額の計算は非常に複雑でございます。申告が始まりますと同時に、従来お知らせを出しておったような方で、お困りになっておる方につきましては、もし今申しましたような所得の計算の方法なり、税額の計算につきまして御不審の点がありましたら御相談に、いっといつは納税相談日としてあけておりますからいらして下さい、こういう手紙を差し上げることにいたしております。それで向うが、大体私はこれに税金をはじいておるんだが、税務署の方でも調査しておられるし、どんなものでしょう、という話が出たら、事実その人について実際の調査をやってる場合には、大体その調査を言ってよろしいというふうに言っております。あるいはそういったところから今お話しのような誤解が生じたんじゃないかと思いますが、具体的事実を私は日経でございますか、産経でございますか、見ておりませんので、ちょっと見当がつきかねますが、以上答弁いたします。
  18. 平林剛

    平林剛君 まあ私がこの点は、あなたは知らないと言われるんだが、またもっと詳細に調べて、そして新たに指摘します。私の承知している限りでは、今の趣旨のものが実際に行われておる。そうして税務署の職員はできれば、これは無理だなと、——大体今いった効率表とか標準率表は平均をとっておるわけですから、平均に満たない査定をしてくる場合もあり得るわけですよ、そうすると係長や課長は、お前、これこれのものはどうもこの標準に合っていないと、だからこの申告は是認をしないと、専門的な言葉で言えば申告是認率が悪いから、もう一回やってこい、といって押し返して、本人一人が三百軒なら三百軒持っておるのに近寄らなければ、それを勤務成績の標準にしておる。従って税務署の職員は、標準率表以下のものであっても、なるべくそれに近づけるようにしなきゃならぬ。逆なことで言えば、国民はこの標準率表によって泣かされてるわけです。そういう場合もあるじゃないかと。それではせっかく税法を作ったって、国民の実際の徴税行政はあなた方がやるわけだから、税法以上のものによって困るような事態が多くはないか。特に政府の方でいろいろ財源が必要なときには徴税強化するということもありましょう。きょう私が指摘したこの逮捕事件も、私は何様に見ているんですよ。大して秘密的なものでもないんだと。すでに新聞やその他に報道せられておって、いわば半分公然たるものであると。しかしこの際これを逮捕することによって、国税庁の職員の組合は少し一般の組合より強いものだから、これに一つ攻撃をかけておけば、三月の徴税攻勢もうまくいこうじゃないかと。これはまあここまでいくと、あんまりせんさくが過ぎるかもしれませんけれども、そんなような意味もありはしないかなという感じもしたわけだ。しかし、そんなことよりも、税法によらざるかようなものが実際上存在して、国民納税のものさしとされては、国民はたまったものではないと、私はそれを指摘しているわけですよ。
  19. 大矢正

    ○大矢正君 関連して。北畠さんにお伺いしたいんだが、かりに税を支払う側の立場の者が税務署の署員に、こういう内容のものは一体どのくらい課税されるものなのか、あるいはその標準はどの程度と見込まれるのか、ということを尋ねた場合には、税務署の署員はそれに対して答弁はできないんですか、しないんですか、それともするんですか。
  20. 北畠武雄

    政府委員北畠武雄君) 従来はそれが、いわゆるお知らせ制度によりまして文書で、あなたの昭和三十一年度分所得は私の方の調査ではこれこれになっておりますと、こう言っておるわけです。今度お知らせ制度の廃止に伴いまして、積極的に税務署側から、そういうあなたの所得はこれこれに考えておりますということは積極的に申し上げておりません。しかし、この一月十六日から三月十五日までの確定申告期間におきまして、やはり納税者申告の御相談に応ずることは私は必要だろう、たとえば所得の計算をどうするか、あるいはまた税額がどうなるかということのわからない実は納税者の力が相当あるのでございます。御相談に応ずるために税法の御説明を申しあげるとともに、もし納税者方々から、私の所得税務署がどう見ているか、ということの御質問がございましたならば、私の方としては、やはり一応私どもの調査ではこういうふうになっておりますが、ということは申し上げるつもりでおります。全然申し上げないで五里霧中に迷わせておいて、あとで更正決定ということはできるだけ避けたい。ただ昔のようにあらかじめ文書でもってお知らせを強要——いわゆる強要の感を与える。これによって納税者をしていたずらに税務署が一方的に押しつけるという感じを私は与えるべきではないと、こう思っております。
  21. 大矢正

    ○大矢正君 かりにバン屋さんがパンを製造する場合に、粉一本を使って幾らのパンができるかというような、いわば標準の見方というものが税務署にあるわけでしょう。ですから、そういうものを一体大蔵省としては、税務署としてほどの程度に見ておるか。これは一つの例ですが、そういうことを税務署員に店屋の主人が尋ねた場合に、それはわれわれには基準というものがあるけれども、たとえば、粉一袋に対してなんぼというものはお知らせすることはできませんと拒否するのか、それともその場合に、いやそれはわれわれとしては大体なんぼなんぼに見ているという三とを税務署の署員が言えるんですか、その点。
  22. 北畠武雄

    政府委員北畠武雄君) たとえば、粉一本からどのくらい。パンが出るかいうことは、御自分が実は一番知っているわけです。ですから税務署にお聞きになる必要はないんです。従いまして、その効率はどうかということは私の方ではお知らせいたしません。一番やっぱり納税者の方が御存じなので、現在の申告納税制度におきましては、先ほど申し上げましたように、自分所得を正確に計算なさって納税していただくのが筋でございます。あらかじめこの標準はどうかということは、私どもの方では一般に申し上げるわけにはいきません。
  23. 大矢正

    ○大矢正君 それは、私の言うのは、前提として前もって税務署に知らせてくれということじゃないんですよ。それを聞かしてくれということなんですがね。で、結局まあ今の立場からいけば、そういうものが知らせられないという解釈が出てくるわけですか、税務署の署員に、かりに一袋で幾らのものをとるという前提でそれを標準として税額を決定をするということについて、税を負担する側の方が幾ら聞いても、それはもう答弁はできないわけですか、絶対に。
  24. 北畠武雄

    政府委員北畠武雄君) たとえば今回の大阪の例で申しますと、大阪国税局長は今年の一月一十二日に、昭和三十一年度分所得業種目効率表について、一月十日に昭和三十一年分の営業、庶業所得標準率について通知を出している。これによりますと、大体内容は同じでございますが、その要旨は、「この管理に留意し、いやしくも外部に漏洩することのないよう厳に注意されたい。」云々。また番号等を明確に一連番号を付して、そして渡しておりますので、個々の標準について一般的にこれを知らせるということはいたしておりません。
  25. 大矢正

    ○大矢正君 そうすると、納税者の側としては、かりに君のところの税額は幾ら幾らだという決定の通知が来る。そのことに対して納税義務者としては内容的にそのことを理解することができないので、一体どういうことからこれだけ課税されるのかという質問をした場合に、最終的には今の一点まできたときには、そのことを理解せしめることはできないという結論になるのじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
  26. 金子一平

    説明員(金子一平君) ただいまのお話は更正決定の場合、その説明をどういうふうにしてやるかというお尋ねだろうと思いますが、申告が全然ない。更正決定を幾ら幾らということで通知を出した。で、この内容はどうですかということで来られた場合には、やはり大体あなたの方の年間所得はこれくらいあったでしょう、収入が、売り上げは大体これくらいで、経費は大体これくらいということで、こまかい項目をあげて説明することになりましょう。そうして私の方はその際はですよ、その際は粉一斤からパンがどれくらいできると見ておるかどうかという点にも触れましょう。それに対して、いや私のところは、こういう特別の事情があるので、そんなにたくさんはできませんとかいう活があれば、大体客観的な情勢からそれが正確なものと認めれば、なるほどこの更正は間違いであった、それでは直しましょうということになるであろうし、あるいはだんだん話を突き詰めていって、もっと売れているじゃないですか、特別な事情はないでしょうということであればそのようになる、かようなことになると思うのです。
  27. 大矢正

    ○大矢正君 結局納税者の方としては、かりに五十なら五十できると仮定をして、私の方は五十しかできないのだ、あるいは実績に基いて五十しかできないのだというふうに言う。税務署の方はいやそうではない、五十ではきかない。それなら五十じゃなかったら幾つに見ておるのかと聞かれても答はしないというのですか、そうすると。
  28. 金子一平

    説明員(金子一平君) その場合には、税務署側に幾らに見ておるという説明をする義務があろうかと思うのです。
  29. 大矢正

    ○大矢正君 そうすると、あなたの言う解釈からいうと、当然最終的にはそこまでいくと説明をしなければならぬ義務があるのでしょう、税務署としては。そうするとこれはさかのぼるようだけれども、そこまでいけば秘密事項かあるいは何かわからぬけれども、結果としては内容があからさまになるわけじゃないですか、国民の前に。部分的であるには違いないでしょう、全部がわかるわけじゃないが、部分的にたとえばパン屋の部分はパン屋の部分だ、そば屋の部分はそば屋の部分だということで、個別的に内容が明らかになっていくのじゃないですか、結果的には。
  30. 金子一平

    説明員(金子一平君) 私の申し上げておりますのは、パン屋ならパン屋、そば屋ならそば屋の粉の使用の仕方が、パンやそばの場合は比較的問題はないかとも思いますけれども、業種、業態によりまして、経典の使い方、あるいは所得の率というものは相当やはり種々違ったものがあろうかと思うのです。その違った業種、業態によって違ったものを一律にこれはこれでよろしいのだと言う必要は、税務官庁側としては毛頭ないし、また申告納税建前から申しましてそういう行き方はおかしいのであります。標準率なり効率表というものは、やはり税務官吏側の、税務職員側の一つの目安と申しましょうか、ものさしの一つとして利用されておるにとどまるのであります。すべてそれで律し切ってしまうという筋合いのものではないということを申し上げておるわけであります。
  31. 大矢正

    ○大矢正君 これは私が熟知しておる範囲においては、あなたの言われておるようなことで決して税務行政というものは行われてはいないと思います。かりに今パンの例が出ておるからパンの例から見て、私は絶対に五十しかパンは作っていませんと、幾らかりにがんばってみても、税務署方々は、いやそうではない、五十ではきかないのだ、七十だ、これは税務署の見方としては七十になるという数字を、これはあからさまにするかどうか知りませんが、これは五十です、はい、そうですかと言って帰るような税務職員はどこにもいないですよ。これはあなたが議会の中で、われわれの前で答弁されるときにはそういう答弁をされるかもしれませんが、現実的にはそうあからさまではないが、税務行政というものは、五十ではない、いや七十だ八十だ、というものが必ずある。実際はそうなんですよ。そうだとすれば、私はあなたの言われるように、幅が非常にあるなぞというように考えるのは大間違いであるし、そんななまやさいしいものではない。そんななまやさしい税務行政をやっていたら、毎年々々一千億以上の自然増収が入ってきやしませんよ。それはもう徴税強化と相待って自然増収がふえておるという現実があるのですから、だからそういうことを探っていけば、具体的にこまかく質問をしていけば、それはものさしであって、何もそれに拘泥しないのだというふうに逃げられるし、また反面現実に職場なりあるいは企業なりに入っていけば、そうでない姿が出てくる。あなたの言替われておることは、どうも一時のがれの方便にすぎないような気がしてなりませんね。またあなたに焦点をぼかされてしまうと困るから、逆戻りさして、なるたけ焦点をぼかされないようにしてお尋ねしたいのですが、かりにさっきから申しておるように、所々でそういうふうにして標準率なり効率というものが出てくるとすれば、幾らこれは大蔵省が隠しておってもせんかたない話でありましょう。たとえば新聞紙しに出たり、あるいは本になって現われるような標準率なり効率というものは、これは大蔵省から盗んできて発表をしたりしておるものではない。これは現実徴税しておる人間から一つ一つ吸い上げて、これにはこれだけの標準を見ておる、これにはこれだけの効率を見ておるという、こういう内容から新聞やあるいは本では具体的に大蔵省の標準の見込みはこうだということを言っておるのですから、ですから、そういう立場からいけば、今かりに税務署の署員の一員がそういうものをあからさまにしたからといって、それが公務員法に触れて検束や逮捕をされなければならない状態のものでは私はないのじゃないかというふうに基本的に考えざるを得ないわけですが、どうですか。話をはぐらかさないで、一つ焦点をつかんで御答弁願いたい。
  32. 北畠武雄

    政府委員北畠武雄君) これは刑事事件については私所管外であってよくわかりませんが、東京高等裁判所のいわゆるラストボロフ事件の判決によりますれば、こういうことを言っております。『国家公務員法第百条第一項にいわゆる「秘密」とは、所論実質的秘密に属する事項ばかりでなく、国家が一般に知られることを禁ずる旨を明示した事項を指称するものと解すべく、国家公務員である職員に対し、その職務上の関係において配付された特定の文書に、いわゆる秘扱の表示が附してある場合には、その受配布公務員において当該文書内容一般に知らせることを禁ずる旨を国家機関が明示したものと認めるのが相当である。』、こういうふうに一応言っておりますが、私はよくわかりません。しかし今回の場合は、一応そうふうに大阪国税局長は最初からもさようでございますが、こういうものを一般に公開してはならぬと、こういうふうに秘密扱いにしております。それからそれの実質におきましては、私どもは現段階においてこれを公開するのは適当ではないと考えておるわけでございます。  それからなお、標準率効率適用に当りまして、やはりこれは第一線で非常に注意しなければならないことは私ども痛感いたします。単なるものさしではございますが、これはものさしをしゃくし定木に振り回すということはよくないわけでありまして、その人の具体的事情によりましていろいろ違いはございます。もともと効率のあるもの、標準率のあるもの、いわゆる平均率は何件か調査した平均でありまして、平均という以上はその上あり、その下ありという、具体的事情によって違うわけでありまして、個々具体的事情によって違うのは、私どもも常々そういう指導をしておるのでございますが、まま往々にして今お話のようなこともありますことは、私どもとしては遺憾に存じます。
  33. 大矢正

    ○大矢正君 あなたはラストボロフなんていうとんでもない大きなものを持ってきて、それでそういう言葉を言っちゃ悪いが、たかが一税務署員の立場というものと比較されているようですが、これは大きな間違いがあると思いますよ。かりに岸さんが唱えておる防諜法であるとか、機密保護法であるとかいうものの考え方というものは、そういうところにあるのではないかと思うのです。それはそれに携わる公務員以外にはそのことを知ることができない、だからあくまで機密なんだ、こういう立場が私はあると思うのです。ところが今問題になっているいわゆる税務署員というものは、彼以外にその内容を知らないかといえば、そうではないのです。そうでしょう、大蔵省の多くの中の人々もよく知っているし、単にそればかりでなく、大蔵省以外の人も知っている人は現実にあるじゃありませんか。新聞にも出るし、本にも出ている。しかしそれは当然漏れるべくして漏れるのですよ。さっきも直税部長も言っているじゃありませんか。具体的に指摘していって、一つ企業体で内容を指摘していけば、やはり大蔵省が考えている効率とかあるいは内容というものはこういうものだということを、明らかにしなければならないのだということを言っているじゃありませんか。さすれば、これはその当事者である一人の内容、一人の秘密に属するものではなくして、いずれかはある場合において必ずこれは国民の熟知になるものであって、今さらこれをラストボロフと関係さして、これは極端な言いようをするようでありますけれども、いうなれば機密保持上、非常に支障があるというようなことで片づけるのは、これはもう慎重をもって鳴るところの国税庁長官の御答弁にしては、どうも私はいただけないのですが、いかがですか。
  34. 北畠武雄

    政府委員北畠武雄君) あるいは私の申し上げ方が悪かったかと存じますが、これは法律上の解釈で私どもよくわかりませんが、私どもとしましては、これは自主的に外部に公開すべきものではない、一般的に公開すべきものではない、そうしてかつ国税局長がこれを漏らしてはならぬということを言っておるわけです。表に出ているからもう漏らしてもいいじゃないかという議論は、私は必ずしもならぬと思うのであります。ことに効率標準率というものは毎年々々新しいもので、毎年毎年経済情勢に応じて所得内容、標準が違っておるのであります。昨年漏れたからことし漏らしてもいいということにはならないと思います。
  35. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ちょっとお尋ねしますが、大阪における岡田何がしというのが国家公務員法違反容疑逮捕され、結果某所の捜査によると二つの表が出た。従って公務員としての秘密漏洩国家公務員法違反容疑がここに出てきた、こういうことです。あなたに聞くのは当を得ないのですが、一般警察当局はこれが機密である、この二つの文書が機密であるということは、独自の判断ではわからないことだろうと思うのです。従って事前に国税局ですか、税当局に対して尋ねるか、あるいは税当局が部内漏洩の容疑をもって警察の方にその捜索を依頼するか、そういうようなことがなければ、この種事犯というものは表面化しないだろうと思うのです。何の事前の連絡も当局において警察当局との間になかったのか、あったのか、この点をお尋ねをしたい。
  36. 北畠武雄

    政府委員北畠武雄君) 私も今回の事件新聞に出まして、さっそく非常に気になりまして国税局に調べさせたわけであります。その結果、今回の事件で事前に警察に連絡したことはございません。ただ二、三年前から大阪市内にこの印刷物が出ておるのでありまして、大阪国税局においてはこれを非常に関心事としておったのでありまして、当局としても未然防止について、一般的な問題として警察の方に常に連絡しておったようであります。
  37. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、一般的な問題でもようございますけれども、この二つのものは当局としては秘密である。従ってこれが外部に漏れるということは不適当であるから、警察当局におかれても内偵してほしい、こういう要請があったわけですね。
  38. 北畠武雄

    政府委員北畠武雄君) 未然防止について、かねがね頭を悩ましておったようでありまして、一般的な問題として連絡しておったということであります。
  39. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それからもう一点お伺いしますが、あなたが東京地方裁判所ですかの例証をあげてこれは秘密である、機密であるということでありますから、聞きようによってはそれはその通りであろうと思われますが、ただ一面あなたの答弁を聞いていると、どうしても一部漏れているから、全部を公開するということは適当でないという意味合いの言葉もあるのですね。適当とか不適当とかいうことでなくて、国家公務員法による刑事事犯になり得べき重要なる秘密文書であるというのですか、それとも秘扱いにして、外部に漏らすことを適当としないという文書なのですか。ということは、もっと突き詰めて言いますと、国家公務員法の条項に反するとしても、その内容状況によっては様々な処分の仕方がある、部内においても免職も懲戒免もあれば、あるいは戒告というような問題等もあるでしょう。それが一挙に刑事処分に問わなければならない筋合いのものである、そういうこれはそれほど重要な、秘匿しなければならない文書ですか、この二つの文書は。
  40. 北畠武雄

    政府委員北畠武雄君) これは先ほどから申しましたように、私は外部に公開すべきものではない、秘匿すべき文書であると考えております。
  41. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで、この条項に照らして処断しなければならない重要文書であるという御認定ですか。
  42. 北畠武雄

    政府委員北畠武雄君) 刑事事犯になるかどうかは、これは私どもよくわかりません。ただし内部の機密といたしまして、こういうことは漏らしては困る事項である、もしかりに漏らしたとすれば、私どもは服務規律違反であると、こう考えております。
  43. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ですから服務規律に違反する行為であるということは、かりにその通りであるとしても、あなたもまた処断し得る権限を持っているのだから、それが刑事事件になるかならぬかわからぬといいますが、なるものとして警察当局が捜査をしている、あるいはこれが送検されれば当然裁判の問題となって、その決定いかんによってはあなたの部下は刑事事犯に問われるのですね。これ以外にこのものを漏らした者は何人ももう裁判にかけて処断しなければならない筋合いのものというふうにあなたは部下の扱いを長官としてお考えになっておるのかということを聞いておるのです。
  44. 北畠武雄

    政府委員北畠武雄君) 本件につきましては、まだ検察当局で捜査中でございまして、詳細は連絡がございませんので取り調べ中でございますので、私どもはその結果を待っております。その結果、私どもまた新たに検察当局等に連絡して事実を調べたいと思っております。まだ取り調べの過程でございますので……。
  45. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私のはその取り調べ以前のことを言っている。取り調べ以前のこととして、これが刑事事件に問われなければならないものとして検察の捜査を一般的に願っておるというような状態でなく、あるいは検察の方でわかったにしても、ままあることですが部内の問題としてこれが処理し得る。従って、検察の方において送検し裁判上の問題とするということに出ない形をこれは要請するということはあり得る。この文書が極秘文書であるかないかということの認定の仕方、同じ秘匿すべきものであっても、その重要度によって、認定の仕方によって、あなたの内部の処断で済む場合があり得る。そう私は考えるから、この文書そのものが客観的に、あるいは部内においても漏らした者は何人といえども、部長であろうが税務署長であろうが、一部でも漏洩した者はもう刑事事件に問われる。こういう措置をとるのだという筋のものかどうかということを聞いているのです。その情状によってはそうまでにしなくてもいい筋合いの文書であるのかどうかということを聞いている。公開してはいかぬという内部的な規律はできておるにしても、この二つの文書以外にままあることですが、間違って外部に漏洩するとか、悪質な形で漏洩するとかいうようなこともない状況の下に行われる場合もあると思うのです。大阪の場合は私は知りませんよ。けれども私は一般論としてそういうあなたのお考えを今聞いているわけなんです。
  46. 北畠武雄

    政府委員北畠武雄君) 一般論として申しますと、この所得標準率表、効率表一般的にこれを開示するということは税務部内としては禁物でございまして、厳に秘匿すべき文書効率表標準率表は厳に秘匿すべきものであると思っております。ただ具体的に個々の場合によりそれがどういう事情によって表に出たかということになると、個々の具体的な事情がはっきりわからないと行政処分としても処分のしようがないわけです。一般的に申しますと、こういうものを外部の者に手渡すということは、これは税務部内としては禁物でございます。
  47. 平林剛

    平林剛君 私はね、もうすでに一部に漏れている、一部どころじゃない、新聞紙の報ずるところによって、それを読んだ国民は大体知っておるわけです。そういうことになれば、それをいつまで秘扱いということで置いておくということは、どうもこれはかえって知っている者と知らない者とがあって不公平。あなたも言ったように、現段階では公表すべきものではないと、こう言うけれども、やはりそれは時期の問題でもあって自主申告の時代においていつまでもこういうものを秘密行政として持っていることが適当かどうかということは検討しなければならぬじゃないかと思います。そうしてあなたはしゃくし定木を振り回すということはいかぬものだと、こう言われるけれども、実際はしゃくし定木を振り回しているのだ。税務職員は何方あるか、三、四万あるでしょう。しかし私の聞くところでは、一人で大体三百件ぐらい受け持っているぐらいの仕事振りですよ。そうすれば一々こまかく国民納税者の納得のいくような調査もこの人員ではいきかねる。定員で縛られて無理もあるかもしれぬけれども、結局むやみに振り回してはいかぬものを頼りにして徴税行政をしなければいかぬということになりますよ。そうなると、われわれ国民代表でさえも知らぬものを中心に徴税行政をやっているということになると、国民はこれは大へんな恐怖を受ける。そういう意味から行きましても私はこれは秘密を保っておくべきものか。公表をして、一般に公平な課税のものさしとしてあるのだ、しかしこれは一つのものさしだというふうに理解をさせて、今後の徴税をやるべきものじゃないだろうかと思うのですがね。そこで私今の質問に関係をするわけですが、一つ効事表と標準率表を議会に提出をしてもらいたいと思う。これは税法以外にそういうものがあるということは私は知らなかったことだ。私らの委員会にも提出できないようなものをあなた方は単独に持っているのかどうか。国民代表が知らないものを、あなた方はそれで徴税のものさしにするとなったら、私は国民の期待にこたえることができない。委員会に対して提出できますか。
  48. 北畠武雄

    政府委員北畠武雄君) 先ほどからるる申し上げましたように、所得標準率表、効率表は部内における一つのものさしでございますから、これを公表することは非常な弊害を伴うことと私どもは考えております。それで一つ提出は御勘弁願いたいと思います。
  49. 平林剛

    平林剛君 国民代表たる議員にも知らせることができないものであなた方は徴税をやるのですか。
  50. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 議事進行について。長官は議員がこういう資料を提出せよといったのに、あなたは内部的には秘密を保持すべきものだと思っておっても、あなたは提出できないということを言える権限はないはすだ。あなたはこのことを大臣に伝えて、大臣が政府としてこれは秘密であるから出し得ないということが公式にならなければ、たとえば証人としてあなたをあらためて呼んで聞く場合でも、行政府秘密であることについては、あなたを監督している権限者がそれはいかぬと言えばそれはなし得ないということになって来る。あなた自身でそれは御勘弁願いたいというのは私はどうもおかしいと思う、この扱いは。そのために政務次官もおるがどうですか。
  51. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 今の効率表標準率表の提出につきましては次回までによく政務次官、大臣と御相談の上御回答をいただくということが一番適当と思いますから、さようにはからさしていただきたいと思います。  なお、私から一書関連してお尋ねしますが、秘密文書の取扱いですが、今問題になっているこの二つの表というものは、大臣の決裁の上に秘密ということに決定しておるのか、国税庁長官、あなたの委任事項の範囲内においての秘密なのか、それとも地方の国税局長の取扱いの範囲においての秘密の扱いなのか、これについてちょっと……、私はなはだしろうとですが……。
  52. 北畠武雄

    政府委員北畠武雄君) 従来から伝統的に税務部内におきましては標準率表、効地表というものは機密扱いということになっておりまして、これが国税庁長官の通達にありましたかどうかはただいまつまびらかではございませんが、少くとも国税局長の委任事項といたしまして、国税局長はこれは秘にすべきであるという従来からの税務部内の伝統に従いまして現に一連番号を付して職員に配付しておるわけでございます。
  53. 河野謙三

    委員長河野謙三君) そうすると、地方の国税局の局長の委任された事務の範囲内においての秘密扱いと、こういうことですか。
  54. 北畠武雄

    政府委員北畠武雄君) この所得標準率表、効率表は各国税局でそれぞれの管内の実情において作成をいたしておるものでございまして、全国一本のものではないわけでございます。そこで各国税局におきまして管内の事情に応じてその年の効率表所得標準率表を作成いたしましておのおのそれぞれを秘密として取り扱っておるわけでございます。
  55. 河野謙三

    委員長河野謙三君) そうしますと、理屈の上からいきますと、国税局の局長の委任事項の範囲だ、そうですね、この秘密扱いは。そうだとすると、これは一律にみんな秘密扱いにしておるでありましょうけれども、国税局の局長の判断によっては、ある国税局はこれは公開文書として差しつかえないんだという扱いも、これは別に違反じゃないわけですね、理屈の上からいけば。そうじゃないですか。
  56. 北畠武雄

    政府委員北畠武雄君) 各国税局長におきましてそういうことを一般に公開するということは考えられない状況でございまして、従来からこれは各局ともそれぞれ秘密扱いになっております。
  57. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 考えるとか考えぬじゃなしに、国税局長の委任の事務の範囲内でしょう。そうだとすれば、その局長の判断によって、これは秘密であるとか公開であるということはきめられるわけですか、理屈の上からいけば。私は実情を聞いておるんじゃないんです。実情は伝統によって秘密ということですけれども、これは刑事問題と関連してくると、これによって処罰を受ける受けないの問題なんですから。そうすると、大阪では秘密事項にしたためにこれは処罰を受けた、東京ではこれは局長の判断によって公開事務として差しつかえないということになって、これは処罰を受けなかった、こういうことですと、これは非常に大きな問題になってくると思う。私は最後につけ加えますが、そういう刑事問題との関連まで起る問題ですから、大臣の決裁において取り扱うべき秘密事項ということならわかるけれども、これが地方の局長の委任事項の範囲内において秘密秘密でないかということをきめるのは少しおかしいじゃないか、こういうふうに思うのですよ。
  58. 北畠武雄

    政府委員北畠武雄君) 実は私が正確にただいま記憶しておりませんので、確かなことをお答え申し上げかねましたが、この所得標準率表を公開すべからずということは、従来局長会議の席上においても繰り返し繰り返し申しておることでありまして、おそらくこの文書を探れば、昔から通牒は出ていると思います。少くとも口頭では局長会議の席では常に国税庁長官から注意いたしております。
  59. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 私は先ほどの文書提出の問題は次回までに御協議願いたいと同時に、今私がお尋ねしたことにつきまして私見をつけ加えれば、この秘密事項の扱いにつきましても、少くとも大臣の意思によって決定するということでない限りは、私はこの問題はいかに伝統であっても今後の扱いとしては不穏当だと思うのです。その点につきましても、今後も相変らず従来の伝統ということで地方局長の委任事項として扱わせるか、それとも今後におきましてはもう少しけじめをつけて、大臣の決裁として是非をきめる協議事項にするかということも一つ御相談の上御回答願いたいと思います。
  60. 白井勇

    政府委員白井勇君) ただいま委員長からお話がありました資料提出の問題はよく内部で相談いたしたいと思います。またつけ加えられました扱い方の問題につきましても、内部で検討いたしました上でお答え申し上げます。
  61. 平林剛

    平林剛君 今政務次官がそう言うだから私は黙ったが、さっき委員長の御発言に対してうなづいたのでは議事録に載らぬから、あなたがそう言ったから次回までに私は提出を要求する。またこれは秘密にすべきものではないという見解を私は持っている。今後の徴税行政国民にとって重大な関心のあることですから、民主的に……秘密行政になるというようなことで、大体税務署が鬼よりこわいようなふうにこわがるようなこではいかぬですよ。もっと国民に明らかに公平な原則で課税をされているという印象を持たせなければだめだ。それを一人に三百件も四百件も持たして結局ものさしでやるのなれば、これはもう税務署がこわくてしょうがないし、そして国民は泣く子と地頭に勝てぬということで、税務署の御説ごもっともでは困るということになる。この点の結論は大臣と相談するときも私らの意向は十分伝えておいてもらいたい。これは要望しておきます。
  62. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 本日はこの程度にとどめ、残余の質疑は次回に譲ります。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時十六分散会      —————・—————