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政府委員(
岩武照彦君) 最初のなぜ
中型輸送機の問題を一番最初に取り上げたかという御質問に対して、お答えいたしたいと思います。現在
日本の
民間航空輸送事業者の持っておりまする
飛行機の中で、
国内路線に使っておりますものは、
日本航空にダグラスの4が九機、
あとヘロンといった
中型機が四機でございます。それから日ペリ航空と極東航空が合併してできました全
日本航空
会社におきましては、保有機数二十三機ございますが、このうちヘリコプター五機がありますので、それを除きまして
あとの十八機のうちで、ダグラスの3が五機ございます。その他いろいろな多くの
機種の
中型機を持っております。先ほど申しましたように、ダグラスの3、4といった
機種は、現在アメリカの方でも
生産を中止いたしております。従って現在若干
部品の補給の問題もございますが、将来これらの
飛行機のかわりの
機種を何に求めるかということが、
日本としても問題になるわけでございます。それから東南アジアの各国の保有機数を調べてみますと、これは保有機三百機余りございますが、そのうちでダグラスの3、4といったものが百六十機あります。大体半数は、今申しましたダグラスの
中型のものでございます。で、これらもまた、
日本の
民間航空輸送事業者と同じく、将来ある時期には
代替機の問題に当面いたすわけであります。そういうわけでこのダグラスの3、4というのは、非常に長い寿命を持ちまして、戦前でも、たしか
日本では中島
飛行機がライセンスを取りまして、たしか三百機余り
生産しております。非常に寿命の長い
飛行機でございますが、遺憾ながら古い型のものでスピードもおそいというふうなことで、現在は
生産を中止しております。この
代替機を何とか求めなければならないということで、各国ともこの
開発研究にいろいろ力を注いでおります。先ほど御質問の第三の点と関連いたしますが、オランダでは特殊法人を設けまして、
政府がそこに金を出しましてかなりの年月をかけまして
開発研究を進めまして、最近やっとフレンドシップというこれの代替になり得るような
機種を一応完成したようでございます。そこでわれわれといたしましても、これらの
飛行機をかりにほかの新しい型のもので輸入するといたしますれば、大体一機
あたり五十万ドルないし七十万ドル、これに補給いたしまする
エンジンその他の
部品を考えますれば、その五割増しになるのが普通でございますから、これは国際貸借上が相当の負担になるわけでございまするし、おまけに今後の航空旅客人員の趨勢を見て参りますると、世界的にも大体毎年一割五分前後の増加率を示しております。
日本では特にこの両三年来増加の傾向が急ピッチでございまして、三〇%をこしておるような年もあるようでございます。そういうふうになりますると、今後ますます新しいルートの開拓もありまするし、また、既存の航空ルートにいたしましても就航します機数をふやすということになって参りまするし、また、先ほど来申し上げましたダグラスの
機種の代替という問題もありますので、非常に
飛行機の需要がふえて参ります。大体推算いたしますると、
昭和三十八年から四十二年
あたりにかけまして五、六十機以上になるんじゃないかというふうに考えております。そのほかに幸いにいたしまして
日本の国産機が輸出できますれば、これまた東南アジア方面の
代替機に当るわけでございます。そういたしますと、大体四年間に百機、年産二十五機はまず間違いないところではないか、こういう工合に考えております。
そこで、しからばどういう性能なり規格といいますか、の
飛行機が適当かということも、いろいろ
輸送機設計研究協会で各国の例も調べまして
研究いたしたわけでございますが、現在まで得ておりまする一応の結論といたしましては、これは座席の数は大体五十座席、これにいろいろ搭載物等の
関係で予備座席をつけますれば六十座席になるかもしれませんが、大体五十、それから大きさは幅が二十八メートル、長さが二十六メートルといった
中型のもので、翼面積八十平方メートル、全装備重量は大体二十トン前後という辺の、ちょうど現在のダグラス・3と4の間のものになります。それから
エンジンでございますが、これは相当
研究してもらいましたが、やはり世界の大勢を見ますると、ある程度高速ということが必要でございます。従って純粋の
プロペラ、ピストンの
プロペラ機では、もうそろそろ
時代おくれだということになると思いますが、さりとてこの
軍用機なんかに用いておりまする、あるいは大型の国際線で使っておりまするジェット・
エンジンを使いますると、これはそれなりの性能がございまするが、少しスピードが早過ぎたり、あるいは滑走距離が非常に長過ぎたりいたしまして、どうも
日本のローカル輸送には向かないようでございます。世界の趨勢を見ましても、やはりこの
プロペラあるいは純粋のターボ・ジェットで小回りのきくローカル線に使うという方向ではないようであります。むしろ、いわば両者を折衷と申しますか、ジェット・
エンジンでふかしました
燃料でタービンを回しまして、そしてそれをシャフトを通じてギアで減速して
プロペラを回すという、いわゆるターボ・プロップ・
エンジンが、大体どこの国でも
中型輸送機には一番適当だというふうな結論で
開発に努力しておるようでございます。そこで、
日本といたしましても、これへ載せまする
エンジンはやはりターボ・プロップがいいだろうと思っております。ただ、御案内のように、現在、
日本ジェット・
エンジン会社で作っておりまする小さいジェット・
エンジンも、まだ完全に成功いたしておりません。なお若干の試験も残っておりますような状況でありますので、当初から国産の
エンジンということはかなりむずかしいかと存じますので、ここは少し大事をとりまして、当初は輸入しても、できるだけ早い機会に国産した
エンジンで取りかえようというふうに考えております。輸入いたします先も、あるいはイギリスのロールスロイスのダートという型が、かなり安定して世界的にも評判がいいようでございまするから、まあ、一応この
エンジンを搭載するということで、性能を見ますと、巡航スピードが大体五百十キロメートル、時速でございますが、現在のダグラス3よりはかなり早いのでございます。また、航続距離も、これもまあいろいろ設計の問題が残っておりまするが、千キロメートルは必要かと思っております。大体そういうふうなことの性能を持ちました
中型の
輸送機を自力で、
自分のもともとの
研究と設計から作り上げるということで始めておるわけでございます。
それで、先ほどちょっと申し上げましたが、大体の段取りといたしましては、昨三十二年の中葉からこの基本的な設計の
研究を始めておりまして、これは先ほども申しましたように、
輸送機設計研究協会という財団法人に加盟しておりまする各企業から
専門家を出し合いまして、テーマをそれぞれ分けて
共同研究をやっております。大体三十四年の中葉に終る
予定であります。引き続きまして、先ほどちょっと間違いましたが、詳細設計に並行して入りますし、なおこの木型も今
年度から作成に着手したいと思います。
試験飛行を行いまする
飛行機は大体三十六年ないし七年の前半には二つほど作って飛ばしたいと思います。従いまして
営業生産に入りまするのは、大体三十七
年度の後半から三十八
年度、こういうふうに考えております。