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政府委員(
松尾金藏君)
工業用水道事業法案の
内容の概略につきましては、前に
提案理由のときに御
説明いたしたと思いますので、その
法案の
内容について条文のおもな点を拾って御
説明申し上げます。
第一条は、目的は、前の
提案理由で御
説明いたしました
通りでございますが、要するにこの
事業法の目的は、工業用水の重要性にかんがみて、工業用水道
事業の運営を適正かつ合理的ならしめるためのものであります。そのような
事業につきましては、第二章——第三条以下におきまして
事業の届出及び許可制の規定を設けております。工業用水道
事業は御
承知のように、その大部分の場合が地方公共団体でございますが、地方公共団体は、その団体の性質からいって地方の発展、福祉をはかるのが本来の
趣旨でございますので、地方公共団体の場合には一応六十日前までの届出ということで
事業の確認をいたします。しかしまれな例でございますが、地方公共団体以外で
事業を営みます場合には、やはり工業用水道のいわゆる公共性にかんがみまして、これには許可制をとっております。しかし、地方公共団体が
事業を営みます場合の届出の場合にも六十日前の事前届出という形にいたしまして、第五条の許可の基準に合致——失礼しました。六十日前までの事前届出にいたしまして、その
事業の
内容等につきましては、後ほど御
説明をいたします施設基準に合致しておるかどうかというような問題について十分検討いたしまして、もしその場合に、
事業内容等に問題がございますれば、適当な行政指導なり、あるいは
内容いかんによっては工事設計の変更等の指示をするような仕組みにいたしております。実際上は地方公共団体の
事業の
内容にあやまちなきを期しておる次第であります。
次に、第五条の場合は許可の基準を掲げておりますが、これは第三条第二項に掲げておりますような、地方公共団体以外の者が
事業を営みます場合の許可の場合の基準をここに掲げておりますが、この中にございますように、特にその許可に際しましては、やはり施設基準に適合しておるかどうかというような点も、特に十分審査をして参りたいと思います。
次に第六条でございますが、これは地方公共団体である工業用水道
事業者が、
先ほど申しました届出によって
事業をやるわけでございますが、その場合の給水能力、給水区域等
事業の非常に重要な点につきまして変更をしようとする際には、やはり
事業開始のときとほぼ同様な指導が必要であると思われますので、四十日前の事前届出制という制度にいたしておるわけであります。地方公共団体以外の者がそのようなことをやります場合には同じく許可制をしておるわけであります。工業用水道
事業は、その水道、工業用水を受ける方の工場の側からいいまして、まあ
法律の
趣旨にも書いてございますように、豊富低廉でしかも安定した供給を受けることが必要でございますので、そういう意味から第九条におきまして工業用水道
事業者が勝手に
事業をやめ、あるいは廃止をやるというようなことでは困りますので、この場合にもそれぞれ休廃止につきましては届出あるいは許可の制度を設けているわけであります。
次に第三章におきましては、
先ほど申しました工業用水道
事業を営みます際に、やはりその施設ができるだけ経済的に、しかも安全度の高い施設であることが必要でございますので、そのような意味から第十一条にそれぞれ施設基準を設けております。このような施設基準に合致することの要件を備えることを
法律の上でも要求いたしております。そのような施設基準を設けまして、その施設基準に適合しないために工業用水道
事業の運営が、適正かつ合理的な運営に支障がある、あるいは公共の安全を害するおそれがあるというような場合には、第十二条によりまして、通産
大臣はその工事設計の変更を指示することができるようになっておりまして、これが
先ほど申しましたように、地方公共団体の場合におきましても、事前届出の際等におきまして、このような事実上の指導等なりを実施して参る仕組みになっております。
なお、そのようにしてできました工業用水道
事業の施設につきましては、
先ほど申しました工業用水を要求する方の側が、やはり安定した供給を受けなければならないし、また工業用水道の
事業には、やはりその貯水池でありますとか、あるいは道管にある
程度圧力をかけるような、水圧をかける等の関係もございますので、公共の安全というような点もございます。そのような意味から第十四条におきまして、施設基準に適合するように、当初の、設置当初だけではなくて、その後においても施設基準に適合するように維持することを
法律で要求いたしておりまして、そのような点に支障があります場合には、やはり改善するように指示することができるように十四条に規定をいたしております。
さらに第四章に参りまして、そのようにして、なお工業用水道
事業者が
事業を営みます場合には、工業用水道
事業の公共性にかんがみまして、また工業用水を要求する方の工場の立場からいたしますと、途中で工業用水を中断をいたしますことは、工場にとって非常な大きな問題であります。そういう意味から申しまして、給水義務を第十六条に規定をいたしておりますが、工業用水道
事業の公共性にかんがみまして、このような
趣旨の規定を設けたわけでございます。
なお、工業用水はやはりその利用する工場の側にとって、できるだけ低廉な、経済的な値段であることが必要でありますし、しかしまた同時に、工業用水道
事業として安定的な経営が行われなければ工業用水の安定供給もできないわけでございますので、そのような意味合いで供給規程を第十七条に設けることを規定しておりまして、この供給規程の第十七条の第三項におきまして、供給規程にはこのような条件に適合することが必要であるというような規定を設けております。地方公共団体におきましては届出、それ以外の
事業者が営む場合には認可ということにいたしております。
さらに最後に第二十条におきまして、工業用水道
事業の重要性にかんがみまして、第二十条の規定で特に
事業者に対しまして、工業用水道の布設につきまして国家が必要な資金の確保その他の援助に努める宣言規定を設けております。従来も御
承知のように、ある
程度補助金あるいは起債のあっせん等をして参っておりますが、そのような国の援助について特に明文を設けたわけでございます。
第五章の雑則におきまして、第二十一条の自家用工業用水道の規定をいたしておりますが、最初に申しましたように、この
法案は工業用水道
事業の
法律でございますので、
事業でない、いわゆる自家用のものにつきましては、本来直接の規制対象ではないわけでございますが、しかし工業用水道
事業によって供給される工業用水と、自家用に使われる工業用水とは相互に補完関係に立つわけでございます。また工業用水は、御
承知のようにその水源等につきまして、だんだんと水源が少くなりつつあるというようなことにもかんがみまして、自家用、工業用水道の実情をよく把握する意味合いにおきまして、二十一条で届出の規定をしていただくように規定をしておるわけでございます。
なお、この全体の規定の中には工業用水道
事業の、相関連いたしまして、
事業を営むための土地の立ち入りでありますとか、あるいは土地収用ができるような規定も入っておりますし、さらに、第二十二条等におきましては工業用水道
事業の今後の育成強化のために水源調査もやるようにいたしております。
なお最後に付則のところでは、第二項以下に経過規定を設けまして、現在すでに
事業を営んでおる者等につきましては、経過的な簡易な
措置をとるようにいたしておるわけであります。
以上、
法案の大体の骨組みを、条文のところについて御
説明を申し上げました次第であります。