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1958-03-28 第28回国会 参議院 商工委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十八日(金曜日)    午後一時四十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     近藤 信一君    理事            青柳 秀夫君            古池 信三君            阿部 竹松君            相馬 助治君    委員            大谷 贇雄君            小幡 治和君            小滝  彬君            西川彌平治君            高橋進太郎君            高橋  衛君            海野 三朗君            岡  三郎君            加藤 正人君            豊田 雅孝君            大竹平八郎君   国務大臣    大 蔵 大 臣 一萬田尚登君    通商産業大臣  前尾繁三郎君   政府委員    大蔵省主税局長 原  純夫君    通商産業省企業    局長      松尾 金藏君    工業技術院長  黒川 眞武君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    厚 生 技 官    (公衆衛生局食    品衛生課勤務) 金原 松次君   参考人    三菱商事株式会    社常務取締役  寺尾 一郎君    神戸貿易協会理    事長      安田 虎光君    一橋大学教授  赤松  要君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本貿易振興会法案内閣提出、衆  議院送付) ○企業合理化促進法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 近藤信一

    委員長近藤信一君) これより商工委員会を開会いたします。  先ほど委員長及び理事打合会を開き協議いたしました結果、本日午前中は本会議の関係で開会できませんので、ただいまからまず日本貿易振興会法案について参考人の方から御意見を聴取したいと思います。参考人の人選につきましては、委員長及び理事の協議に御一任願っておりましたので、お手元に差し上げました印刷物にある通りに決定いたしました。この点御了承願います。  なお、本日はこのあと企業合理化促進法の一部を改正する法律案審議いたしたいと存じますので、この点も御了承願います。   —————————————
  3. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それではこれより参考人の方から御意見を拝聴いたしますが、本日は御多忙の折にもかかわらず、当委員会のため、わざわざ御出席下さいましてありがとうございました。参考人の方から御意見を伺いたいことは、日本貿易振興会法案についてでございますが、この法案はすでに衆議院を通過して、参議院に送付されておりますので、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を承わりたいと存じます。なお、時間はお一人大体十分ないし十五分程度でお願いし、そのあと委員からの質問もあろうかと存じますが、それにお答え願えれば好都合と思います。それではまず寺尾参考人からお願いいたします。
  4. 寺尾一郎

    参考人寺尾一郎君) 御指名にあずかりました寺尾でございます。これから参考人として意見を開陳させていただきます。  私はただいま審議中の日本貿易振興会法案については、賛成いたしたいと思う次第でございます。御承知通り、昨年のわが国貿易は、通関実績におきまして、輸出二十八億五千万ドル、輸入四十二億八千万ドルで、差し引き十四億三千万ドルの輸入超過となっておりますが、前年度の実績に比較いたしますると、輸出は三十一年の二四%増しから一四%増しに落ちております。ことに、昨年上半期におきまする輸入の急激な増加の結果、六月末の外貨保有高は八億七千万ドルになりましたので、米国等から三億ドルの借款を受けるとともに、輸入抑圧のための金融引き締めの措置が、次々と実施せられまして、十月に至って、国際収支面でようやく黒字になりましたが、昨年末の外貨保有高は九億五千万ドルとなりまして、三十一年末の十四億三千万ドルに比べまして、約三分の一を失ったことになっております。その結果、当局におきましては輸出優先政策をとりまして、対外的には活発なる経済外交を推進される一方、対内的には輸出振興策を強力に実施せられていることは、すでに皆さん御承知通りでございます。このときに当りまして、政府当局が現在の海外貿易振興会を改組せられるために、本法案国会に提出せられましたことは、まことに時宜を得たものと存ずる次第でございます。本法案国会を通過いたしましたならば、日本貿易振興会資本金二十億円の全額政府出資による特殊法人として発足することとなり、その事業規模出資金運用収入民間等資金及び国庫補助金等を合せまして年間約二十億円となりますので、今日最も必要な輸出振興のための中枢機関として重大な責任を果すことができると存じております。  次に、若干の問題点を指摘しながら私の考えを申し述べさしていただきます。  第一は、機構についてでございます。まず、理事長には政治的に中立であり、貿易に関する知識経験豊富な専任者が就任せられることを希望いたします。  次に、理事長、副理事長、監事の任免権法案によりますれば、通産大臣が持つことになっておりまするが、政変あるいは党内事情等によりましてこれが乱用されぬよう、十分留意せられることを希望いたします。  さらに、本会には運営審議会が置かれることとなっておりまするが、この審議会理事長の諮問に応じ、運営に関する重要事項調査審議すると同時に、意見具申機関として事業運営の中核をなすものでございまするから、業界から遊離することなく、しかも強力に本会を推進していくよう、有能練達の士をもって構成されますことが希望いたされます。  なお、本会職員給与等につきましても、従来の海外貿易振興会におきましては、ややもすると低給のために、十分なる練達の士を雇用、またはこれの活動が阻害されているやにうかがわれる節もございまするので、こういうことのないような程度給与を御考慮されることを希望いたします。  第二は、業務の運営等についてでございます。  まず個々商品についての宣伝等は、本質的には業者みずからが行うべきことでございますから、本会日本商品全般についての継続的、かつ効果的な宣伝等重点を指向し経費を支出すべきであると考えます。  その次は、見本市等についてでございまするが、準備期間を含めまして二会計年度にまたがることが非常に多いのでございます。従って所要経費は、年度ごと予算にとらわれずに、弾力的、かつ効果的に支出されることが必要と考えられます。  また、見本市等補助金を支出する場合におきましても、一率的に行わずして、短期に宣伝効果を上げ、また取引の増大をもたらし得る場合には、比較的に少額でも差しつかえなく、また一方、長期間を経なければ実効の期し得ないような場合には、多額の補助をする等、海外の実情に適しましたる慎重なる配慮を望みたいと存じます。  また、見本市開催に当りましても、いたずらに場所数の多きにとらわれることなく、たとい数は少くとも、内容の充実重点を置くという考え方で実施せられることを希望申し上げます。  さらにトレードセンター、PR・センター等に力を注ぎまして、海外における常設の展示室のような機能を十分発揮するよう、施設の新設にも考慮されることを希望いたします。  また、本会政府から機関補助を受け得るようになりましたので、事業予算上の項目変更を臨機に行い得るわけでありますから、資金活用上の機動性を十分発揮せられることができると確信しておりますが、そのように運営を願いたいと存ずる次第であります。  なお、従来のジェトロ在外公館との間は、必ずしも円滑ではなかったように承知しておりますので、今後はこのような摩擦を招かないように、十分緊密な連絡をとる必要があると思います。  最後につけ加えたいことは、従来の例から見ますると、政府予算が決定いたしましても、実際に資金が支出されるのには、かなり手続上時間がかかっておそくなる由でございまするが、本会事業特殊性を考慮いたしまして、基金の支出はもちろん、各年度ごと補助金等も、予算決定後直ちに現実の支払いが行われるように希望いたしております。  如上申し上げましたような考え方で、私といたしましては、すでに二十五日に衆議院商工委員会におきまして本法案が可決されましたようでございますので、一日も早く御審議を願いまして、本法案が通過可決されまして、きわめて最近、この改組せられましたジェトロが発足されるようになることを、本邦の輸出振興の建前から、ぜひ御考慮願いたいと存ずる次第でございます。  なお、先日の衆議院商工委員会におきまして可決されたる際、付帯事項として四つの希望条件が付せられたように、新聞紙上承知しておりますが、私としては付帯決議は全然同感でございます。  以上をもちまして、一応私の本法案に対する意見を終ります。御清聴ありがとうございました。
  5. 近藤信一

    委員長近藤信一君) ありがとうございました。  それでは次に、安田参考人にお願いいたします。
  6. 安田虎光

    参考人安田虎光君) 私個人といたしましては、急に出席を拝命しましたので、実はあまり準備もいたしておらないわけでありますが、この法案に関しましては、原則的には双手をあげて賛成をいたすものでございます。むしろ、政府なり国会がお取り上げ下さるのが、いささかおそいではないかというようなふうにも考えられるのでございますが、今までとかく民間財団法人として政府補助金等をもらってやっておられました振興会が、今度いよいよ日の目を見て国が二十億の出資をされて再出発するということは、非常にけっこうなことだと存じておるわけでございまして、平たく申し上げますと、この日本貿易振興会が二十億の出資で、新聞紙上で見ておりますと、その利息の一億二千万円程度経常経費の中へ回されるようで、いわば二十億の金は使えない金だというようなふうにも拝見したのでありますが、むしろ、この出資がまあ当初はやむを得ないといたしましても、少くとも五十億程度出資を必要とするのではないか、こういうふうに考えております。しかし、これは今後の問題といたしまして、ただこの法案そのものには賛成でございますが、先刻寺尾さんから述べられたように、組織とかあるいは運営、また、経費の面においていささか所感を申し上げますと、この第三条の「振興会は、主たる事務所東京都に置く。」というのがございますが、貿易現業面はむしろ関西にあるのではないか、従って現在までの振興会としましては、法的本部大阪に置かれている、大阪本部東京本部、今度は主たる事務所東京都に置き、必要に応じ従たる事務所を置くのでございますけれども、従来からの行きがかりもあり、かつまた、政策その他はすべて東京中心でございますけれども、関西にやはり東京と同格のごとき事務所を、いわゆる現業面において大阪に置かれるべきじゃないかと、こういうふうに考えております。  それからこの役員の問題は、先ほど寺尾参考人が述べられましたごとく、ことに第八条の通産大臣の任命せられる役員のほかに、理事が若干名となっておりますが、役員にいたしましても、またその次の運営面におけるところの運営審議会委員にいたしましても、従来の例から申しますと、とかく大企業代表者を選ばれることが多いのでございまして、こういった点につきましては、どうか中小企業ないし中小貿易関係でも、練達の士がおることでございますから、ことにこのジェトロの領分というものは、大商社はすでに各国に駐在員その他を置いている、支店もあることでございますから、中小業者もその中へ入れていただきたい、こういうふうに考えているわけでございます。  それから海外における在外公館等結びつきにつきましては、すでに衆議院で一応付帯決議になっておりますからこれは省略いたします。でき得る限り在外公館と密接な連携を持たないと、現在までのところうまくいっていないことは、十分業界においてもわかっているわけでございます。そこで問題は、一つ国内態勢につきまして、従来の振興会としましては、海外相当トレードセンター、あるいは駐在員を置き、いろいろな線で充実を漸次しておられますけれども、国内態勢がなっていないといっては、はなはだ失礼でありますけれども、うまく足を持っていないといううらみがある。この原因はですね、これは経常経費が足らないからであります。そして国内経費の充足というものは、従来の振興会におきましては、御承知のように都道府県助成金、これとても地方の自治体が赤字財政の結果、ジェトロが希望するような額の助成はなされていない。わずかに最近になって東京と、それからこれがスタートと同時に、現在の振興会がスタートいたしますのに、大阪では大阪市の補助金が両者で二千五百万円、年々出しておられるわけであります。そういうような点からいいまして、国内経費がないがために足ができないというようなうらみがございます。そういうような点、国内態勢の確立ということを、ぜひとも望みたいのであります。幾ら海外にいろいろな施設を設けておりましても、その足となるべき国内態勢が確立していないのじゃないか、こういった点が一つも現われていませんが、これは十分一つ御留意を賜わりたいのでありまして、それがためには、年間一億二千万円の経常経費海外経費等も含めての国からの金でございましょうが、さらに、こういった所要経常経費を充足するため、現在までの振興会がとられております方式、都道府県助成金とか、民間商社、あるいは企業から賛助会員を求めて賛助会費を取るというようなこと、いわば民間にしわ寄せしております点を、これをでき得る限りしわ寄せは排除していただきたい。できれば国からもっと経常経費を出すような態勢に持っていっていただかなければならぬかと、かように心得ておる次第であります。  従いましてそれと同時に、運営の面につきまして、はなはだ前後して恐縮でありますが、ややもすりゃあ現在までの振興会に、ジェトロにつきましても役所化しているという非難が相当強いのであります。従って今度この法案が出まして運営されるということになれば、好むと好まざるにかかわらず、なお官僚化す、あるいは役所化するというおそれが多分にあるわけでありまして、これはできる限りやはり役員陣にも民間人を起用していただいて、全く業者の寄りつきやすい、しかも、中小企業においても利用のでき得るような態勢に持っていっていただきませんと、せっかく国会の諸先生のおはからいでこういうものを作っていただくのでございますから、どうかそういうふうに民主的な運営にやっていただくよう、これは無理な御注文かもわかりませんけれども、そうしていただきませんと、民間業界ジェトロが遊離するようなおそれもございますので、今申し上げたような態勢を、ぜひとも国内態勢もそういうふうにとっていただきたい、かように心得でおるわけなんであります。  先ほど、寺尾参考人の方からこの予算関係につきまして、いろいろ機動力に富んだやり方をするようにという御意見でありまして、私も同感であります。従来でございますと、借り入れ限度一億なら一億きめて、そうしてその範囲内ならば事業の緩急に応じまして、所要資金は銀行から借り入れるのでありますが、今回こういった特殊法人化しますと、そのつどいろいろな煩瑣な手続をせなければならぬということでは、せっかくの御趣旨がむずかしくなるのではないかということを、私どもおそれておるのであります。従って官僚化さないように、一つ民主的な運営で、しかも、機動力に富んだあり方で進んでいただきたい、こういうふうに考えております。  それから海外見本市あるいは博覧会等への出品につきまして、これは当然個々業者が、出品者経費を負担するのは当然でありますが、中小企業にありまして、現在のところ出品したいけれども小間料が、出品料が非常に高くつくということで、差し控えておるものもありますから、そういったものについては、ヂェトロにおいてこれを買い上げるなり、何らかの方法でやっていただきませんと、現在のところでは、都道府県あるいは都市が相寄って四分の一とか、三分の一程度出品料助成はいたしております。これをやはり優秀品ジェトロそのものがサンプルを買い上げて、そうして日本の新しい製品をして展示宣伝をするように願いたい。  こういうふうに、はなはだ雑駁な意見でありますが、お願いしたいと考えている次第であります。  以上でございます。
  7. 近藤信一

    委員長近藤信一君) ありがとうございました。  それでは次に、赤松参考人にお願いいたします。
  8. 赤松要

    参考人赤松要君) すでに、実業界練達なお二人の参考人から御意見が出ましたので、私つけ加えることが実はないのでありますが、学界におりまして、実際のことがよくわかっていないのでありますけれども、こういう法案が出まして、新しく日本貿易振興会というものが新発足をいたしますことについては、日本貿易振興に、きわめて効果的であろうと確信いたしまして、賛成する次第でございます。  私の見ましたこの新しい法案につきまして、この第一条に「わが国貿易振興に関する事業を総合的かつ効率的に実施する」この点が特に注意されなくてはならぬところでないかと思うのであります。総合的ということは、まあジェトロの発展につきまして、いろいろなものが一緒になって今日に至っておるようでありますが、おそらく私も外国のこういう同じような機関についての知識を十分に持ちませんが、日本において総合的に貿易あっせん所を作るとか、あるいは見本市開催とか、まあ、いろいろなこの振興策を、総合的に集めた機関というのは、これが世界でもって代表的な機関になりはしないかということを感ずるのであります。従って、そういういろいろな機能を持っているところのこの振興会というものが、有機的に活動する必要を感ずるわけでありまして、まあ、この点に一つの特徴があるということを感じます。  それから効果的にということが、これはまあ、先ほど両参考人から言われた通りでありますが、いかにこれを効果的に運営するかということが非常に重要な点であろうかと存じます。で、今度二十億円の基金ができますし、それに民間資金を集めまして、運営資金が約二十億ということでございます。これは私の知識では、世界でたとえばドイツはばらばらに分れておりますが、みな政府機関でありますけれども、それをたとえば見本市委員会だけの予算が約十二、三億円といったところでございましょう。もっともブラッセルの今度のこの博覧会に対する十億円ばかりが、その中に入っておりますからして、残ったのはやはり四億程度の金しか使っていない。そのほか、まあ五、六億程度の金を使っているのじゃないかと思うのであります。それに対して運営資金二十億という機関でありますから、相当大規模なものであるというふうに感じます。で、これがどれくらいの効果を出すかということが、これは私ども観察していきたいと思うのでありますが、かりに日本貿易総額に対して一%だけこれを促進する効果を及ぼしたといたしますと、これは一%というのは、きわめて小さいのでありますけれども、約百億円の輸出増進になりましょう。その場合に、たとえば外貨獲得率を七割と仮定いたしまして、七十億円の外貨が入ってくる。それにかりに二十億円の運営資金が全部外貨になったとすれば、百億円から五十億円だけ差し引かれる。そうすると、五十億円はとにかく日本国民所得をふやすところの源泉になるわけでありますから、かりに一%の輸出促進になりましても、約五十億円を日本国民所得に付加することができる効果を持っているというふうに感じます。しかし、もっとこの振興会のこの貿易振興効果が、単に一%だけでなくて、もっと上ることは期待されるところでございます。そういう意味において、非常に世界的に比べてこの資金は非常に大きくなっておりますけれども、その効果から見れば、必ずしもそれはむだに大きな金ではない。さっきから前の参考人がおっしゃったように、もっと出してもいいのじゃないかという議論も成り立つかと存じます。まあそういう点は、非常に世界的に大きな機関ができたということは、私どもの今後期待するところでございます。  まあ今まで申されたことと重複いたすところでございますが、この運営審議会につきましては、安田参考人からおっしゃったように、やはりこの機関というものが中小企業の役に立つということが、大体中心になるのじゃないかと思うのであります。寺尾さんがいらっしゃるのですけれども、やはり中小企業の利益ということが中心になってくるのじゃないか。だからして、この運営審議会には、やはり中小企業者意見を反映するような委員を御選定になる必要があるだろうということをまあ感じます。  それからもう先にお話しに出ましたけれども、この機関運営というものは、きわめて人に依存することが多いのであります。貿易あっせん所、その他の宣伝その他についても、その人が有能であるかいなかということが、もうこの機関効果を出すか出さないかに、非常にかかってくるところが大きいと思うのであります。だから、有能な職員をここで集めるということが最も重大なことであろうと私は存じます。その意味におきまして、第三十条に役職員給与及び退職手当を規定するということがございます。この点は十分に御考慮願って、まず外務省の在外公館の人々とあまり遜色のないような給与規程をお作りになって、そして最も有能な職員をここに集められるということが、この機関運営するために最も必要なことであると存じます。人を得るということは、この運営については非常に大きいということを、私は感ずる次第でありますが、その点を一つ十分に御考慮いただきたいと思うのであります。  まあ今度は特殊法人でありますからして、非常に監督は厳重になるのでございますが、この点はもうすでに申された通りに、これが弾力性を持った監督であるということがきわめて必要でありましょう。もっとも、従来のジェトロに比べまして、今度はその費目の融通というのは、この経費融通性は、今度の方がむしろ弾力性があるのじゃないかということを感じますけれども、その点は、その監督につきましては、十分な弾力性を持たして運営されるということが必要でありましょう。  それからもう一つ、この事業の中で、第二十一条でありましたか、従来のところと違う点がございますが、この第二十一条に事業が並べてございますが、その第一項に、「貿易に関する調査をし、及びその成果を普及すること。」この点がジェトロの場合は、前のときは海外市場調査ということになっておったように記憶いたします。で、これを貿易に関する調査をするというふうに改められたことは重要である。というのは、さっき安田参考人からもおっしゃったように、国内におけるところの調査もやはり必要でありますし、単に海外だけでなくて、国内との連絡が必要でありますし、また、それを十分に国内に普及せしめるということも、すでに安田さんからおっしゃった通りであります。ですからして、この「貿易に関する調査」をするという、そういうふうに改められた点に、一つ重点があるということを、その点を十分に生かしていただけば、安田さんの御意見が通るのじゃないかというふうに考える次第でございます。  それから今までおっしゃらなかったことで、一つ申し上げたいことは、この中小業者過当競争というものが、常に問題になっております。そして海外におけるところの輸出価格の低下ということが、この過当競争から来ていることは、すでに言われているのでございますが、この貿易あっせん所その他におきまして、現地におけるところの業者との懇談を開いて、そしてこの過当競争を、この振興会中心になって一つやめるというような一つの方法をとるということが、私は一つ考えられなくちゃならぬじゃないかというように考えるのであります。  で、今の事業計画の中には、単に貿易のあっせんをするということだけ書いておりますけれども、その貿易あっせんという中に、そういう過当競争一つ改めるというようなこともやっていただく。そうしてできるだけ日本輸出品の価格を維持していく。まあ、品質ももちろんでありますが、価格を維持して、投げ売りにならないような方法をとるということが、必要であろうと存じます。  さらに、外務省との連絡などを、すでにおっしゃったのでありますが、この振興会のほかにたくさんの貿易団体がございますので、その貿易団体との有機的な連絡をぜひお願いしておきたいのでございます。  まあ、そういうことが私の希望でございまして、全面的に私はこの法案が成立して、活発なこの振興会の活動を期待するところでございます。それでこの点につきましては、この振興会がどれくらいの能率を上げているかということは、まあ通産大臣がこれを監督せられるところでありますが、この振興会効果がどれくらい上ったかということは、具体的にはなかなかつかめないのでありますけれども、しかしながら、これはいろいろな方法でもって、振興会ができ、こういう貿易あっせん所をふやし、見本市をふやすというようなことから、どれくらいの日本貿易の促進に効果があったかということは、いろいろな方式でもって算定できると思うのであります。この点を十分に常に監督官庁において研究されまして、つまりこの振興会を絶えず鞭撻するということが私は望ましいと思うのであります。まあそういうことを、私の希望意見を申し上げまして、私の意見を終ることにいたします。
  9. 近藤信一

    委員長近藤信一君) ありがとうございました。  以上で参考人の方の御意見は終りました。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  10. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 ただいま参考人からそれぞれ御意見を承わったのでありますが、いずれも前提としては大企業にも、また中小企業にも役立つことというような前提で御意見が出たようでありますが、これは中には御遠慮になっている向きもあるでありましょうし、あるいは言わんとするところを、十分に言わなかった点もありゃしないかと思われるのでありますが、実際問題として率直に考えて見ました場合に、かような機関というものは、二十億出すとか政府が言いますけれども、二十億くらいの金は、今大したことでないことは言うまでもないのであります。結局これは大企業にも、中小企業にもどっちつかずに運営せられれば役に立たぬということになってきやせんかという点を、非常に憂えるのであります。要するに二兎を追う者は一兎をも得ないのだ、また、帯に短かくたすきに長いことになって、結局効果が上らないのではないかというふうに思うのでありまして、赤松参考人からは、優秀者を集めるということを一つのポイントとして強調せられたのでありますが、その優秀者を集める場合にも、大企業に対しての優秀者を集めるのか、あるいは中小企業商社に対してきわめて有利な優秀者を集めるのか、これによってまたおのずから結果は非常に違ってくるのであります。それからまた、安田参考人及び赤松参考人審議会運営についても、中小企業本位になるようにその委員なども選び、また運営もせられなければいかぬというふうに言われたのでありますけれども、これは言うべくしてなかなか行い得ないことじゃないか。審議会は場合によると、大企業にぐんと重点を置かれた運営に結果的にはなる。これはもう過去において立証せられてきているところであります。かような点から考えてみますると、私はいずれかにほんとうにこれは重点を置いて切りかえるべきじゃないか。というのは、寺尾参考人は一応これもけっこうだというようなお話しでありましたけれでも、大商社は現在何百億の資本を動かされておる。また、海外には支店網がある。それから多数の優秀なエキスパートを抱いておられるのでありまして、何もかような機関にそんなに依存することはないんじゃないかというふうに考えられるのでありまして、政府はこれは大企業商社にも、また中小企業商社にも全面的な施策を十分にやるべきであると言いますけれども、かような民間施設としてやるような場合には、これはもう中小企業重点を置いて、それでいくんだということが、今回のこの目的の劈頭にも掲げてありまする「効果的」ということを、非常に強調してありますが、効果的にやるのには、中小企業本位にやることが効果的なんで、そうでなく両方にまたがっていったら、非効果的になるんだというふうに、私は過去の経験から率直に言うと結論づけざるを得ないのであります。各参考人非常に御遠慮になっておられるようなんでありまして、せっかくお見えになったんでありますから、率直にその点について、忌憚のない批判をせられてこそ、せっかくお見えになった値打ちがあるというふうに考えますので、その点を端的率直に伺いたいと思うのであります。
  11. 寺尾一郎

    参考人寺尾一郎君) お答え申し上げます。ただいま非常に思いやりのある御発言がございましたのですが、必ずしもそう私は考えないのでございます。そもそもこの振興会のアクティヴィティというものは、個々の取引に関与するんではなく、これは個々の取引となりますと、形の大小を問わず、みんな商社の領分でございまして、これはやるんでございますが、その前に日本のたとえば紅茶、日本のカメラ、日本の絹と、こういった全般的のものを外国に認識させる、またそれをいかにして、どういうところへ行って話をしたならば、これらの取引ができるか、こういったようなことにサービスをする。また、その前段におきまして、日本の文化、カルチュアといったようなものを認識させてこそ、初めて日本商品に興味を持ち取引ができる。こういったようになりますので、先ほど参考人として申し上げましたように、本法案につきましては、商社の大小を問わずみんな歓迎するゆえん、ここに実に存すると申し上げていいと思うのでございます。  それから豊田委員から、この審議会委員構成についてももっと物を割り切って、大商社なり、あるいは中小商社なりという、どちらかに重点を置いてはどうかというお話しでございましたが、これはただいま申し上げたことと同じような意味におきまして、むしろ、学識経験者、この範疇の中に大小を問わず網羅されて、初めて本会機能が発揮されるのではないかというふうに考えます。また、先ほども赤松参考人からも、私も給与の点から申し上げたのでございますが、優秀者というのは、これは必ずしも大商社にいるから優秀である、中小商社におるから優秀じゃない、こういう断定はできないと思うのでございます。ことに、海外貿易におきましては、大商社にもあほうはおりますし、それからまた中小商社にも実に有能な士がおるのでございます。しかし、まあこれらを振興会に起用しようとしましても、相当の処遇をいたしませんければ、かりにそういう適格者があっても、なかなかやはりめしを食わなくちゃなりませんからこれに応じないと思うのでございます。そこで、この処遇問題も一つ御留意願いたい、こういうふうに申し上げた次第でございまして、決して歯に衣を着せておべんちゃらを言うような考え方は毛頭ございませんことを、重ねて申し上げたいと存ずる次第でございます。
  12. 安田虎光

    参考人安田虎光君) 今、豊田先生から、どちらかに踏み切ったらどうかというような、中小企業を対象としてか、大企業か、こういうようなことでありますが、こういった、国が特殊法人化してやらせる機関としましては、この問題はきわめてむつかしいんではないか、こういうふうに考えております。と申しますことは、この所要経費を全部国がまかなうといった場合には、大企業に対する機関中小企業に対する機関と二つ作ってもいいじゃないかということが言えるのでございますけれども、とにかく、この所要経費は、やはり依然として民間からももらわなければならん、あるいは、刊行事業をやって、そうしてそれからも利益を得て経常費に充てなきゃならんというような、こういった新しい法案通りましても、そういうような態勢である以上、やはり、会の運営上、大中小を問わず問題を取り上げていかなきゃならない機関だ、また、そうすることは、現段階においては必ずしもお説のように割り切ってやる必要がないんではないかと、かように私自身としては考えておるような次第であります。もし、国が経費全部、いわゆる国の丸かかえにされる場合は、そういうような構想に切りかえていただいてもけっこうでありますけれども、まあ現在の段階では、この方法しか仕方がないんではないかと、かように考えております。  それから、なお一点、先刻冒頭に公述いたします際に、時間の関係で取りやめましたけれども、この振興会調査、いわゆる海外市場調査、これは今まででもやっておりますが、しかしながら、ことにアメリカ等におきましては、ずいぶん対日輸入制限運動が起っております。そういった際に、ジェトロとしては格別何もやっていないというのが、現在のジェトロなんであります。しかし、今後は、でき得る限り、こういった重要なマーケットについては、予防的な調査を十分やってやるべきである、こういうふうに考えておりますのと、それから、いま一点は、共産圏との貿易については、予算書を見ましても、何ら打ち出されていないのであります。こういったことも、今直ちにどうということは、いろんな国情の関係からむつかしいかもわかりませんが、振興会としましては、でき上りました後において、そういうような対共産圏貿易振興についてもこのジェトロがやるべきではないか、かように考えておる次第であります。
  13. 赤松要

    参考人赤松要君) 豊田さんの御質問でありますが、私は、この機関が実際に運営されているその面から申しまして、実は、中小企業のために八割ぐらいはやっている、そういうように考えるわけでございまして、特に、踏み切るというよりも、態勢全体が、すでに八割ぐらいは、中小企業のためにやっているのであります。で、たとえば、ブラッセルで博覧会を催すというような場合には、それは政府の金がありますから、これはもう大企業がそこにいろいろ出品される、それはむろんけっこうでしょう。しかし、海外市情の調査、これは、さっきからお話しのように、大企業におきましてはみずから調査することもできますけれども、海外市場調査しまして、それを国内に普及する場合に、だれが利益を受けるかというと、やっぱり中小業者が一番多く利益を受けると思うのであります。それから、貿易あっせん所につきましても、そういうものも、やっぱり利益を受けるのは、中小業者であろうと存じます。それから、さらに、特殊のいろんな事業計画があるようでございまして、農水産物の共同施設、これは、農民諸君に非常に利益になりますし、あるいは自転車事務所を作るということになれば、自転車のメーカーに利益になっておりますが、多くはそういう利益が中小業者に実は帰着しておるというように考えます。ただ、博覧会をやるとか、あるいは、今豊田さんがおっしゃったように、海外に向って日本商品宣伝、いろいろなことをやりますが、これは、中小企業者でも、大企業でも、もちろんこれは恩恵にあずかるところでございまして、多くはやっぱり中小企業に恩恵が来るような機構になっておる。だから今さら踏み切るというようなことはどうかと、ただ、私は、運営審議会あたりにおいて、そういう中小業者意見が反映するような委員構成を考えたらばよかろうというふうに考えるだけであって、実際はもう中小企業者の利益になっておるというように考えます。
  14. 相馬助治

    ○相馬助治君 今の豊田委員の質問も、かつてのジェトロ効果ということをやはり考えての質問だと思うのですが、私もこれに関連して三先生に伺いたいんですが、とにかく私たちがこの法案審議して参ります場合に、一番関心事は、ジェトロが過去にどういう効果を上げていたのであるか、どういう欠陥を持っていたんだ、こういう反省の上に立って、その点を教訓的に学び取って新しい法案を成立せしめ、健全な運営ができるようにと、こういうふうにこの席にある者としては期待しておるわけです。従って、その角度から次の点を三先生に聞きたいんです。  まず、寺尾安田参考人にお聞きしたいことは、ヅェトロがあってこれはよかったとしみじみありがたく感心したような実例があったらば承わりたい。同時に、ジェトロがあって期待したにもかかわらず、もう全くがっかりしてしまう、ないしは、進んでジェトロは当然ああいう際には、こんなふうな手を打ち、積極的な協力があるべきではなかったかというようなことについて、いわばジェトロにがっかりした実例、安田参考人がただいま触れたように予防的処置も将来は講じろということは、そういうことも暗に含んでいるとは思いますが、具体的にジェトロについてがっかりした実例、私は私なりに二、三知っておりますのですが、そういうことを一つ両氏から承わりたい。  それから赤松先生には、貿易振興会の効果をいろいろな方法で算定することができると、こういうふうに申されたんですが、まあ、大へん時間が制限されているので、具体的な詳論がございませんでしたが、その算定の具体的方法があったらば、ぜひこれは承わっておいて、私たち立法府にある者として、この法律はしょせんこれは生まれますから、そうしたら今後これを監視していく場合にも、なるほど学者先生はこういう方法を示された、こういう角度から、われわれは、この効果を見ていこうということで、将来に資したいと思うので、赤松先生からは基本的な問題として具体的算定方法について承わりたい。
  15. 寺尾一郎

    参考人寺尾一郎君) お答え申し上げます。がっかりしたというきわめて顕著なる事例というのは、実は持っていないんです。あることは、もうちっとこうやってくれたらいいのになあという面は、あるのでございます。これは、PRですね、宣伝等におきましても、それからまた、いわゆるトレードセンターといったような施設運営といいますか、あるいは設備等においては、従来とも若干残念に思っていた面が確かにございますが、きわだってがっかりした面というのはあまりない。ただいい面は、私エジプトに参りまして、トレードセンターも見て参りましたし、向うの運営の衝に当っている方、あるいは監督に当っている公館等といろいろお話したことがある、これは実によくやっております。ニューヨーク、サンフランシスコ、これも最近はきわめて見るべきものがあると思うのでありますが、ただ今までは、いわゆる事業補助と申しますか、事項補助というのでしょうか、予算というものは必ず継続的にこれだけ取れるのだという面が欠けていたために、御承知通り、この広告とかPRというやつは、もう継続、持続的にやっていかなければならないのに、さあ年度がわりになって、来年度の予算は取れるか取れないのか、これだけ使えるか使えないかというようなところから、もう一歩突っ込みが足りないという面は、確かにあったと思うのであります。それが今度の特殊法人に改組されて、今までそういうような非常な危惧の念を持ちつつ事業遂行に当っておられた方も、たとえば二十億の資本金を、これはどのくらいに回るのですか、たしか六分くらいに回っておるように伺っておるのですが、少くとも一億二千万円なら一億二千万円の、これだけの予算措置があり、必ず入ってくるんだという、こういうような安心感から、いわゆるこの宣伝等も長期に持続的におやりになることができるようになるのじゃないか、この点が非常な進歩であると、われわれは大いに期待しているわけでございまして、これが果して相馬先生の御質問の答えになるかどうか承知いたしませんが、私の考えているところを、率直に申し上げたわけでございます。
  16. 安田虎光

    参考人安田虎光君) お答え申し上げますが、いわゆるよかった面ということにつきましては、従来のジェトロがわれわれ業者に配付いたしております通商広報等によりまして、各国の経済の動き、すなわち輸出入に関係のありますところの課税、税金の問題、輸入税の問題、その他相手国の景況等が逐一報道、情報が流されて参ります。それがまあ一点。それから従来売れるかどうかわからぬというような中小企業のものもやはり展示されました結果、引き合い等が参り、いわゆるわが国の隠れた家内工業品が相当出るようにまあなった事例が多々あるわけなのでありまして、ただその際に、われわれ貿易業者の面から申しますと、いささか困惑したという面は、このジェトロが呼びかけます出品勧誘等については、都道府県へあるいは六大都市へ働きかけられます。従って都道府県が自己の、県下のメーカーに対して出品勧奨せられる。そうしますと、この海外における見本市博覧会等への出品物の価格というようなもの、これについてはどうもメーカー・プライスがそのまま飛び出してみたりいたしておりまして、先方の港着の値段のはっきりわからないのがありましたり、いろいろな面で、事務的な面で欠陥が相当あり、従って貿易商社の手数料等はちっとも含んでいない価格が出てくる。だから物によっては、過当競争を激化するというような面もあったわけでありますが、最近はそういった面は、相当ジェトロのそういった係りの方も慎重に取り組んでおられるようであります。  それからがっかりした点、あるいは期待はずれの点、これは注文する方が、予期する方が無理だったかもしれませんけれども、北米におきまして、いろいろな雑貨品の輸入制限問題、あるいは関税委員会その他で討論、提訴されたりしたのでありますが、こういった問題については、そういう公けの機関で取り上げられる前に、何とか情報をキャッチして、われわれの方へ知らしてもらえなかったかというような点、それで先ほど予防調査というようなことを申し上げたわけなんであります。これは単にアメリカにおける一例でありますが、その他の諸外国におきましても、そういうことがあるわけなんでありますから、今度できます、新しい、再出発する振興会は、一つそういう悔いを残さないように、できるだけ効果的にやってもらいたい。それから現在までのところは、国内に三十数個の輸出商品別の輸出組合がありますが、こういった機関が各自それぞれ所管品目について専門的な調査を単独に行うべく、海外職員なりを派遣しておりますが、こういうものと有機的な、先刻も申し上げましたように、国内態勢の確立という点は、まあそういう意味も含めまして、でき得る限り活用してやられたらいいんじゃないかと思っております。ただ、相馬先生の御期待下さいますような効果の面で、数字的に、このサンプル・フェアを、見本市をやったら何億円の取引ができたかということがわからないのであります。これはその業者へ先方のバイヤーが直接手紙を出し、交渉、取引をいたしますので、私どもも聞いてもおりませんし、この辺の効果については、詳細にわからないのでございます。以上でございます。
  17. 赤松要

    参考人赤松要君) この振興会の活動がいかに効果を上げたか、これの算定方法いかんという御質問でございますが、これは私も今すぐに申し上げかねる点もございますけれども、今手っとり早いところは、つまりたとえばアメリカでマグロの宣伝をやり、マグロを食えといって宣伝をしました場合に、その結果として、その翌年なりにマグロの輸出がどのくらいふえたかということは、これはもうすぐわかるわけでありますが、その場合に、ただ問題は、たとえばアメリカの今日の不景気でもって、アメリカの輸入が全体に減ったという場合に、そういう宣伝をしたにもかかわらず、日本のマグロの輸出はふえないかもしれない。で、その場合に、それではほかの商品について、つまり宣伝をやらなかった商品のたとえば減退が、日本の対米輸出が減退しました場合に、いろいろな商品が減退する、その減退も、ほかの宣伝をやらない商品の減退と、マグロの輸出の状態とを比較してみる、そうすると宣伝をやったところのマグロが、かりに減退したとしても、その減退の割合が少い、ほかのものはずっと減退したということも考えられるわけであります。あるいはほかのものが減ったにもかかわらず、マグロの輸出だけは現状維持、あるいは増加したということになれば、その宣伝効果はわかるのじゃないかと思うのであります。  それからさらに他の方法としましては、アメリカでもインドでもよろしいのですが、その宣伝をし、あるいはそこに、あるセンターを作って、大いにサービスを始めた、その商品がたとえばインドならインドに輸入されてくる。そのインドの輸入総額の中における日本輸出割合がどうなったか。つまりインドの輸入は、場合によっては特別な制限を受け、あるいは国民所得のいかんにより輸入額がいろいろ変って参りますけれども、日本宣伝をやりましたその商品のインドならインドの輸入におけるセラーがどうなったかということを算定することができます。そうすると日本のセラーが割合に増加しているということになりますれば、この振興会の活動が効果的であったというふうに言うことができるのじゃないかというふうに考えます。まあそういうことがいろいろな算定の一つの簡単な手段であろうと存じます。
  18. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 先ほど申し上げましたように、あとの議事もありますので、御質問者並びに御答弁者も、できるだけ要点を述べることとしていただいて簡単に一つお願いいたします。
  19. 相馬助治

    ○相馬助治君 一点だけ。この関連のことではないのですが、あと一点だけ質問をして私は終るので、聞かしてもらいたいと思うのですが、赤松参考人にお尋ねしたいと思うのです。関連して業者として安田さんや寺尾さんも、そのことについてもしも御意見があったならば参考に聞かしてもらいたいと思うのです。  赤松さんにお尋ねしますが、昨年通産省は雑豆の輸入に当って差益金の徴収をジェトロにやらせたのですね。その差益金なるものを、貿易振興ジェトロ事業資金等に繰り入れるというならわかるのですが、そうでなくて、便宜的にジェトロにだけ、ジェトロに取扱いをさせて、現金で受付をやったところが、四十何億とジェトロの窓口に金が集まって、そしてその雑豆の割付をしたという仕事の一つがあったのです。これは赤松先生も御承知のようにああいう差益金というものが、バナナやレモンのように特別に、特別物資として別法をもって法律で規定しておるものについては、問題が別ですが、雑豆のような場合に差益金なるものが判断の仕方によっては、二重関税として私はガット違反の疑いがあるとして、当時松尾通商局長にも私は質問をしたのです。ただし、これは相場に関連があるので、公的に委員会を通じてやることはいかがかと思って、個人の資格で再三ものを尋ねてあったのですが、そのことに連関して、自体ジェトロというようなところに、そういう仕事以外の仕事をやらせて、そしてあまり人手もないのに、そんな大きな仕事をさせるということが、一体いかがなものだということが一つと、今後この特殊法人である貿易振興会等に政府の代行をするような、そういう外貨割付の都合上、差益金の徴収事務というようなものをさせるということが、一体正しいことか、正しくないことか、この問題について一つ意見があらば、承わりたいと思うのです。そしてまた、業者として、特に安田さんなんかが属していられる神戸貿易協会では、たくさん雑穀の輸入業者があるはずであって、それについて何かまた御意見があらば、この際承わっておきたいと思うのです。寺尾さん等についても、御意見があったら聞きたいのです。
  20. 赤松要

    参考人赤松要君) いや、私その事実についてちょっと新聞で何か見たのでありますが、深く考えていないのであって、私は今御返答ができないのでありますが、しかし、実際にそういう貿易業務に近いところの仕事をするということは、この機関の職能からはずれるのじゃないかと私は思います。深いこと、私詳細を存じませんからして、あと参考人から一つ……。
  21. 安田虎光

    参考人安田虎光君) この雑豆の輸入の割当方法についてでありますが、私もこの問題は、本問題は詳しく知らないのであります。ただ、従来からの慣例といいますから、国内輸入して、もうかるものについては、これはアリが砂糖にたかるがごとく、ずいぶん申請が殺到するわけなんでありまして、そういう関係から、御当局がやむを得ずこういう機関に、一応の取扱いだけをさしたんではないか、しかしながら、金をジェトロ自体が自由にどうこうするというわけにはあれは参らないわけなので、そう伺っておるわけなんでありますが、以前でありますと、バナナの輸入申請が殺到して、がらがらと抽選式でやったとか、まあそういうようなことがあって、やむを得ずやられたんじゃないか。法規の点は私もあまり知らないのでありますが、一時の便法としてやられたんじゃないか。それから業者の方におきましても、やはり業者は利潤追求が、これは本質的な目的でありますから、もうかるものと見れば、無理やりに関係のあまりない人まで申請する、こういうようなことでやったんじゃないかと思いますが、この点については、本問題はあまり私詳しく存じませんので、ただ、神戸は雑穀の輸入業者が相当数おるわけでありますが、やむを得ず競争上ついていったんじないか、従って本質のお答えは、ちょっとしかねる次第であります。
  22. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 先ほど私が質問しました趣旨は、この際かような施設こそ、中小企業貿易のために必要であり、また、それであればこそ、効果も十分発揮するだろうという見地から質問をしたのでありますが、中小企業貿易商社の立場から、従来の行き方でジェトロはよかったというふうに安田参考人はお考えであるか。おそらく今回機構の改革がありましても、行き方は従来のジェトロの行き方とそんなに変るもんじゃないと私は考えまするがゆえに質問したのでありますが、そういう立場から、中小貿易商社として、今までの行き方でよかったというふうにお考えであるかどうか、その点が一つ。  もう一点は、ただいま輸出代金の決済の関係で、信用状原則主義を廃止するということが、中小商社圧迫の非常な大きな問題になってきておるのでありまして、これはこのジェトロの問題どころではなく、実際中小商社死活の問題になっており、またなってくるのではないかと思うのでありますが、そういう点から、いかに考えておられるか、この二点についてお尋ねをしておきたいと思います。
  23. 安田虎光

    参考人安田虎光君) 第一点の中小企業者、貿易業者なりが、新しい法律のもとに振興会ができ上った場合の利用、これは現在までも、先刻赤松先生がおっしゃったように、相当数中小業者海外に支店、出張所あるいは調査員を派遣できませんので、ジェトロを利用しておるわけなんでありますが、この面につきまして、私が冒頭口述いたしました際に述べましたごとく、現在でもやや役所化しておる。それが今度この法律によって振興会が出発せられると、なお一そう役所化するんじゃないかということをおそれておりまして、寄りつけなくなるんじゃないかという心配もあるわけなんであります。従って、運営の面につきまして先刻お願いいたしましたように、気やすくジェトロへ近づけるような仕組みと国内態勢をしていただきたい。さもないと、お役所がもう一軒ふえたというようなことでは困る、まあこういうことでございます。従って、このジェトロ施設の利用は、大企業もさることながら、やはに中小企業が相当利用でき得るような配慮が望ましい、こう考えておるわけなんであります。  それから第二点の、現在のわが国輸出貿易の代金決済条件が、これがLCベースでありますが、これを今回大蔵省、通産省両御当局で一応LCベースが標準決済規則になっておるものを、これをはずして、そうして必要なLCベースをあくまでも持続してやらなきゃならぬような品目、あるいは特定地域については業者協定か、取引法に基く業者協定か、組合協定か、そうして民間がそういった自主的な業者協定、組合協定でまとまらない場合は、貿管による承認品目にして通産省でやる、こういうように大体踏み切っておられるようでございますけれども、本問題につきましては、中小貿易商社及びその背後におります中小のメーカーにとりましては、心理的な影響、すなわち非常な心配を与えておるという点であります。これは当局から正式にLCベース廃止という言葉で、発表せられたのではございませんけれども、新聞には、いち早くそういうふうに発表されましたために、海外におきましても日本が昭和二十二年民間貿易が再開されましてから、持続して参りました輸出代金の決済条件が、LCベースをはずして、DP、DA、すなわちあと払いないし、延べ払いでもいいのだという印象を与えるような状態になっておるわけなんであります。従って中小業者といたしましては、現在の制度をそのまま、今しばらく業界の経済力ができ得るまで延ばしていただきたいというような考えで、種々陳情いたしておる次第でありますが、しかし、御当局の言われるのには、それは一応国が今までそういう規則で縛っておいたものを、最近DP、DA、ハウス・ベースを要望する向きが多くなってきた。従来の形のままですと、あと払いとか、延べ払い、いわゆる掛売り的のものは、そのつど大蔵省といろいろ協議してやらなきゃならぬ、従って時間もかかり、手続も煩瑣である。まあ、手続の簡素化、そういった面からこれを一たんはずして、必要なものは、先刻申し上げましたように、民間の自主的な協定に待とうということでございますが、これが先ほど述べましたごとく、民間業者に非常な深刻な打撃を与えて、心理的な打撃を与えておるわけなんです。従いましてこの制度を、もし、LCベースを廃止するということを、ほんとうに実施される時期には、それまでに事前にこのDPとか、DAの輸出代金の、すなわちあと払いによる場合でも、現在の信用状ベースでやるがごとく事前金融の措置、それから積み出してからの、手形に対する現在輸出手形保険制度というのがございますが、きわめて不完備なものでございます。業者が不利益の面が多いのでありますから、どうかでき得る限り、戦前のような輸出の補償制度というようなものに切りかえていただきたい。そうしなければ、第一、為替銀行が中小業者が出しますDP、DAの手形などは買いません。これが一点。それとまた、最初に申し上げました事前金融につきましても、現在のところでは何ら信用状ベースと違いまして、事前金融の方途が全然ございませんし、また、考えられていないのでありますから、この御当局が実施される場合には、そういった一連の補完措置とあわせて発表してもらいたい、かように考えておる次第であります。従いまして中小企業全体の輸出関係の問題でありますが、これは戦前はいずれにいたしましても、業者のLCベースでやるか、あるいはあと払いでやるか、業者の採択次第でありましたけれども、こういったことが海外に与える影響及び中小業者に与える問題等につきましては、十分御当局の御考慮のもとにお願いしたい、こう考えておる次第であります。
  24. 海野三朗

    ○海野三朗君 安田さんにお尋ねいたしますが、今日までこの貿易振興会の御厄介になった中小企業というものは、何%ぐらいあって、また、今後この法案が通った暁においては、日本輸出の、つまり中小企業者輸出の何%くらいが、これを利用できるお見込みでありますか。その点を大ざっぱに御答弁願いたいと思います。
  25. 安田虎光

    参考人安田虎光君) お答えいたしますが、大体先刻赤松先生が述べられたように、照会件数、あるいは調査依頼件数、またあっせんの依頼件数の七、八割までが中小貿易業者であり、メーカーでございます。そうして今後、これが新たに再出発いたしました際には、やはり中小業者が現在と同じ、あるいはいま少し民主的といいますか、平易にいろいろな調査の依頼、その他ができますれば、より以上中小業者の依存度が高まってくるのじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございまして、数字的に何%、どういう見込みかということは、はっきり私としては予測いたしかねるのでございます。
  26. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 時間がございませんので、私安田さんに二、三お伺いいたします。イエス、ノーでお答え願いたいと思います。どうしても新しい法案審議するので、相馬委員の発言じゃございませんけれども、古い法案が問題になるのですが、安田さんは海外貿易振興会の常任理事をなさっておりますね。そこで、私不思議に思うのは、あなた方の貿易振興会の規約によると、役員にはもちろんどなたがなってもよろしいようですけれども、しかし、理事長以下はやはり原則として専従でなければならぬという一項目が十五条か、十七条にございますね。ところが、理事長さんは、大阪商工会議所の杉さんですね。あなたは相馬委員の質問に対して、常任理事でありながら、何十億というようなことを聞いてもよくおわかりにならない。ですから、中小企業の方々のお話を承わると、このジェトロなどというものは大企業のためにあるのであって、われわれは何もおかげをこうむっておりませんと、こうおっしゃるのですよ。ですから、私はさいぜんの豊田委員の発言に全く賛成なのですが、とにかく、こういうことで中小企業者が助かるものとは思っておらない。もちろん、中小企業商社は六千以上もあるそうですが、そのうち全部の人に聞いたのではないのですが、たとえば機染事業協同組合というのがありますね。それから神奈川県の織物繊維協同組合、これは組合員は二百五十名いるのですね。それから日本中小企業団体連盟、あるいは日中連、全中協、こういうところはこういうものは全部つまらない、大手のサービス機関だと、こう言っている。そうなりますと、これは全部新しくなるのですから、あなた方のおっしゃる通りにうまくいけばいいが、豊田委員の発言じゃございませんけれども、そう徹底的に変るものでないということになれば、中小企業者の一、二は助かるかもしれませんが、やはり依然として根本的底流としては、大手のサービス機関ということになりやせんかということを非常に心配する。赤松先生のおっしゃる通り、これは要は人の問題である。うまく解決すればいいのですけれども、現実はそう簡単にいっておらないことは、ただいま私がお話した通り、ほんとうにあなた方は、中小企業のためになれる御自信があるかどうか、一つ参考のために伺っておきたいと思います。
  27. 安田虎光

    参考人安田虎光君) イエスかノーだけでは足りないと存じますので、お答えいたします。私は現在のジェトロの常任理事です。ところが、このジェトロの常任理事は百数十人おりまして、私はその末端を汚しておりまして、実を申し上げますと、その理事会が総会にかわるものであります。その時になって初めて書類を与えられて、いろいろ審議することになるのであります。そういう状態が官僚的であるというような点で先刻表現したわけであります。  それから私、神戸方面で中小企業をずっと見ておりますけれども、海外に出張員を持たない、あるいはまた支店もないというメーカーなり、中小のメーカーには、雑貨関係が多いのでありますが、そういったものがジェトロに来て、いろいろ調査事項を依頼するわけなんです。で、そういうような状態を日常ながめておるわけなんです。それから判断しまして、どうも大企業だけのサービス機関というようなことは、私ども考えておりません。この運営の実態を、実は陰ながら見ておりますので、それで、これはむしろ先刻も申し上げましたように、国内態勢の確立ということは、国内においてのPRがこれは足らない結果、今のようなお説が出るんじゃないかと、かように考えております。
  28. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 確かに理事は、私も役員名簿をいただいておりますが、膨大に及びます。顧問も数十名おる。しかし、あなたその理事の中で、常任理事をやっておられるんだから、相当枢要な地位を私は占めておられると思うんですが、御謙遜の言葉で知りませんというのか、ほんとうに知らないのかわかりませんけれども、とにかく大企業のサービス機関であるとか、中小企業のサービス機関であるとかということは、これはあなたと立会討論会をやるんじゃないんですが、大体この私の資料を見れば、大企業のためにやった仕事と、中小企業のためにやった仕事と、明確になっているんですよ。時間がありますれば、その数字を説明して御見解を承わるんだけれども、しかしこの数字と資料を私は全部調べてみての発言ですから、あなたがお帰りになったら、十分調べていただきたい。私はその点を心配する。決してあなたに文句を言ったり、いかぬとかいうことを申し上げるわけではありませんが、ただ、これがほんとうに中小企業のためになるかどうかということを私は心配する。中小企業の方は、これは全部の声じゃありませんけれども、中小企業のあっせん所を設けて下さい。二十億の金だったら、私の方は十億でもけっこうですから、二十億を大企業に全部使われてしまうから、だったらわれわれに大企業の半分を分けたらいい。大阪でミシン一つとっても十六ドル五十セント、アメリカへいったら百二十五ドルもする。ライターが百五十円で作ったものが五ドルも六ドルもする、それをあなた方は一つもやらなかった。私が言うことは極端だけれども、中小企業のために一つもやっていない。だから同じことにまたなりやせぬかという心配がございますが、こういう点は全然心配ございませんか。
  29. 安田虎光

    参考人安田虎光君) 今、私が枢要な役員の一名というようなお話がございましたが、常任理事といいましても、ほとんど総会にひとしい会議に呼び出されるだけでございます。それだけで、それ以上のことは申し上げませんが、それから中小企業で、私自身も実は小さな輸出業者であります。数人しか社員がいないんです。約五十カ年この貿易に入りましてから営業いたしておりますが、貿易関係いたしておる次第でありますが、われわれが通信だけで貿易をやっている。こういった私レベルのような貿易商社が、これは数千軒あるわけなんです。こういうものがやはり調査をするといいましても、自己の金ではできませんので、やむを得ず、調査費を二千円なり出してジェトロへお願いする、ただジェトロの場合は、その報告がきわめておそい、これはもう無理もないんです。海外調査員や調査網を充実しておりませんから、調査もおくれるのはやむを得ないんですが、そういうことで、私どもはずいぶんこれを利用さしてもらっておるのでございますけれども、そういう関係で、私は中小企業のためになるんだ、しかしながら、ただ今頼んだから、すぐに即効的な効果が現われるかどうかということは、これはやはり日にちがたたなければ相当効果が現われてこないのでありますけれども、私は役に立たないとか、要らないとかいうような何は、ちょっと神戸あたりでも大阪でも聞いておりません。
  30. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 まあ、私相当数の組合とか団体を調べたんですが、そうしますと、この団体の言うことが、全然でたらめであるということになりそうですが、そういうことはどうでもいいです。ただ、さいぜん、最後にお話し申し上げました、どうせ、こういう金を出して一つ機関を作っても、今まで通り大手のサービス機関になってしまって、中小企業の声はさっぱり反映されないだろうということを中小が心配しまして、同じ二十億の金を出すのだったら、われわれは小さい組織で、ともにつぶれるまでやるんだ、だから中小企業のあっせん所のようなものを作ってやらして、大手の支配下に入らぬでやらしてほしいという声があるんです。これはちょっとスケールが小さい話しです。スケールの小さい話しですが、大手があまり横暴をやるから、そういう声も出てくるわけです。私どもとしては、単に君たちの考えはつまらぬ、そういう小さくぶった切ったら困るじゃないかということを言っている。このあっせん所についてはどうお考えですか。
  31. 安田虎光

    参考人安田虎光君) あっせん所につきましては、ちょっと阿部先生に伺いたいのでありますが、国内のあっせん所でございましょうか、海外におけるあっせん所でございましょうか。
  32. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 たとえば国内にそういうような大きな機関一つ設ける。そうして今あなたの方でやっているのは、ニューヨーク・ サンフランシスコ、カイロ、トロント、こういう所にそれぞれ出先機関がある。あなた方は、さいぜんこれは寺尾さんのお話しだったと思いますが、在外公館と、こちらで行くのと仲が悪いというようなことをおっしゃいましたが、連絡がよくとれぬというようなことでしたが、私どもが聞く範囲内では、在外公館のお金が少いので、こちらの方から若干融資してもらって、カクテル・パーティーでも何でも開くんだというふうな、逆に私どもは聞いている。ですからその十億の金をもって、東京なら東京大阪なら大阪に、中小企業の共同体の、これはささやかなものでしょうが、それを作ってもらいたい。今申し上げましたそれぞれ東南アジアなんか、あまりやっておらないらしいですから、あるいは中共とか、大体近い所から手がけていこうというような構想のように、私は承わりました。
  33. 安田虎光

    参考人安田虎光君) お答えしますが、国内におきましては、すでにジェトロが、名古屋なり神戸、あるいはその他二、三の地区に支部なり支所を設けて、そうして毎日多数の方が照会に来たりして、それに応答しておるようでございますが、それを国内態勢確立ということにつきましては、国内にはそれぞれの支部なり、あるいは出張所なり、ジェトロのそういう機関を設けることも必要かとも存じますが、現在まで相当やはり連絡をとって、都道府県との連絡下にやっておられる。こう考えておりますが、要するに今までは金がないからやっていなかったようでありますけれども、すべて都道府県なり大都市にお願いしておるようであります。これを別にあっせん所を設けてやるかどうかは、これは今度新たにできます機関がお考え下さればいいことだと、こう考えております。
  34. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私、よんどころない用事で中座をしまして、御三方の貴重な意見は拝聴することができなかったので、あるいはお言葉の中に盛られてあったとは思いますけれども、ごく簡単に一、二お尋ねいたしたいと思いますが、まず、三菱の寺尾さんにお尋ねをいたしたいのでありますが、最近できました、これは株式会社組織でありますが、渋沢さんが中心になられてお建てになられた貿易センターが最近設立せられたようでありますが、これも相当な規模のようでありますし、これは主として、何か東京都が現物出資でかなり後援をしておるようであります。今度の日本貿易振興会と相当重複する仕事ができるのではないかと思うのでありますが、この点についてはいかがでありますか。
  35. 寺尾一郎

    参考人寺尾一郎君) 私、その貿易センターの内容につきましては、詳細に承知しておりませんです。しかしながら、いずれにいたしましても、輸出振興という国策に沿いまして努力するのは、まあ業者、官民あげてやらなくちゃならないことで、そういうことは重複しても悪いということもないと思いますが、そもそもこの振興会の方は、具体的の仕事をするというよりも、むしろ商品展示をして、そうして日本商品になじみを持たせる、そうしてそれの日本商品の、いわゆるマーチャンダイズと申しますか、そういう方法とか、あるいはマーケット・サーベイによりまして、今度はマーケッチングといったようなことにつきまして、中小企業者はもちろん、大商社にもこれを流して、その上に輸出振興をはかるというのが一番大筋だろうと思うのでございますが、そういう意味合いにおきまして、おのおの持ち分があるのじゃないか、そういうふうに考えております。
  36. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 次に、赤松教授にお尋ねをいたしますが、教授はしじゅういろいろ名論文を発表せられておりまして、私どももしじゅう読ましていただいておるのでありますが、ことに、あなたがお書きになっておる中に、非常に世界貿易の状況として、貿易の自由化という傾向についてよく力説をせられておることを、実は拝読いたしておるのでありますが、それで、実は今度のこの特殊法人日本貿易振興会ができる。しかし、以前はまあ財団法人という名において、そうして実際経費の面から申しますというと、これはいずれこの審議のときに政府当局にお尋ねをするのでありますが、相当莫大な費用が、先ほど相馬委員から雑豆の差益金の問題等を指摘をされたのでありますが、まあ、それどころでなく、例の特定物資に入り得るようなものの差益金というものは、これは相当莫大なものなんであります。まあ、こういうものが従来とても財団法人の、この海外貿易振興会でありますか、これにまあつぎ込まれていった。これはまあ、ほとんどいわゆる官僚的な援護のもとに立てられていた。ところが、御承知通り日本にはまあ、そこにおられる安田さん初め、神戸貿易協会その他何十年と長く日本貿易のために尽しておられる団体というものが非常にたくさんあるわけです。ことに、それはその団体がある一人の人を中心として、ある地域に非常にとけ込んでいて、その人がおらなければ、その団体の浮沈にかかわるというようなことがたくさんあって、今日まで日本貿易振興のため非常に尽しておるわけです。こういう団体も、まあ財団法人もあるし、あるいは任意団体もあるわけでありますが、そういうものはほとんど政府の何らの援護もなく、これが終戦後海外貿易振興会という名において突如としてできて、そうして莫大な援護のもとに今日までやってきた。それが今日さらに批判をせられて、そうしてここに上程をせられた日本貿易振興会というような特殊法人になってきた。これはわれわれが貿易の自由化というあなたのお説といいますか、あなたの力説せられておる傾向というもの、問題から見まするというと、何か官僚統制といいますか、非常にそういうようなにおいを、私どもは多分にかぐような気がいたすのでありますが、この点について率直に一つ御所見を承わりたいと思います。
  37. 赤松要

    参考人赤松要君) 今大竹委員の御質問でありますが、確かに各国が特殊の貿易助成機関を設けまして、いろいろな援助をしている。これが度を過ぎますというと、補助金、つまり輸出補助金なり奨励金を与えて輸出のダンピングをやるということになりますので、これはガットの精神に反することになりまして、明らかに貿易自由化の方向に反する結果になります。ですから、直接の輸出補助という点になると、これはどうも危険であるわけでありますから、その直接の輸出補助なり、あるいは直接貿易業務に携わるようなことはできるだけ避けなくてはいけないと思うのであります。ですから各国がやっておりますし、イギリスのべトロはこのごろだいぶ後退してきたという話を聞きますのでありますが、ほんとうの自由貿易となれば、ほんとうはこういう、つまり自由貿易と申しましても、つまり今度は共産圏の国営貿易が出て参りますので、決して昔の自由貿易に返るわけではございませんけれども、まあ、政府は干渉しないで、民間に自由にやらせるというのが、昔のアダム・スミスのドクトリンだけれども、それは今日では通用しないと思います。ですからとにかく日本のように、中小、これは貿易商だけでなくて、中小メーカーがあって、日本輸出額の約半分を占めている、中小業者の作りました物が半ばを占めておるというくらいの日本貿易におきましては、やはりこの何らかの助成をしないと、これはほかの先進諸国に太刀打ちができないと思うのであります。で、各国もある程度やっておりますが、日本は特に今度、私がさっき申し上げたように、この機関世界で最大の助成機関だと思います。思いますが、特に日本の情勢から考えまして、中小業者が非常に多いという点から考えましても、特にまた、戦後において物産なんかが解体したというようなことがありますからして、この機関はやっぱり必要であろうと私は考えるのであります。これが一歩進みますと、今度は国営貿易的な方向に進んで参りますけれども、そこまでいくと、どうも共産圏と同じようなことになりますからして、そこは警戒しなくちゃならないと思いますが、やはりこういう機関は、日本の特殊事情からして必要であろうと考えます。
  38. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 いま一点教授にお伺いいたしたいのでありますが、われわれの、特にこの本委員会には、通産省とか経済企画庁とか、そういった現場関係のあれが多いものでありますから、しじゅう特殊法人的なものが出て参るわけであります。そのつど問題になりますのは、結局人の問題なんであります。そうして特殊法人が必ず二度、三度の改革を経て、そうして落ちつくというようなくだりが多いのでありますが、そういう元をいろいろしさいに検討いたしますと、東北開発の例をあげては悪いんでありますが、たとえば東北開発であるとか、その他幾多例があるのでありますが、どうしても人の問題ということになるのであります。この人的問題は、各委員からお話があったと思うのでありますが、あなたの率直なお立場といたしまして、一つこの大事な人的構成の問題につきまして、率直な御所見を承わりたいと思います。
  39. 相馬助治

    ○相馬助治君 それに対して、将来の養成等について積極的な意見を加えて聞きたいんです。
  40. 赤松要

    参考人赤松要君) これはさっき申し上げたところで、私も力点を置いたところでありまして、この三十条に退職手当やその他の規定を設けるということは、ぜひこれは相当高いレベルでおきめ願いたい。そうしないと、さっき豊田委員からも御質問がありましたけれども、つまりこの機関に属するところの職員が有能であるかどうかによって、この機関の活動が非常に違ってくると思う。で、特に貿易商社においても、その通りでありますけれども、この機関効果的であるかどうかは、全くこの機関に属する職員が有能であるかどうかに関すると思います。それで、できるだけ俸給の規定なんかも高いレベルに上げていただいて、そうしてできるだけ、私の大学でどしどし推薦いたしますから、高給でないと困ります。それは向うへ行こうとする者でもこっちへ来るように、そのくらいの待遇をしていただく、そうして私どももどしどし有能な者を御推薦申し上げてこの機関に当らせるようにいたしたいと思いますが、養成の点は、私の大学あたりで大いに養成いたします。だからそれを迎えるだけの態勢を整えていただくということが必要であろうと存じます。
  41. 海野三朗

    ○海野三朗君 一昨年でありましたか、この軽目羽二重で、アメリカで日本からの輸出について国会法案が出た。また、マグロのカン詰とか、それからいろいろなものについて、日本からの輸出に制限の声も聞くんでありますが、その根本は一体どこにあるのか、どうしていけばいいのか。それについての御所見をまず赤松先生とそれから三菱商事の寺尾さんにお聞きいたします。どういうふうにやっていけばいいのか、欠陥がどこにあるのか、それをお伺いします。
  42. 赤松要

    参考人赤松要君) この機関関係して私はさっき申し上げたのでありますが、とにかく過当競争ということが非常に値段を下げていると思うのでありますが、これは向うのバイヤーに大いにやられているところもありましょうけれども、ですからジェトロだけでは、この機関だけではありませんけれども、とにかくこの機関もその点に注意されて、できるだけ高い値段で売るということ、つまり品質を非常に洗練されまして、高い値段でこれを輸出する方向に持っていかれるということが必要であります。つまり、安く売っている、あまり安過ぎるということが、やはり向うの非難を受ける。つまり低賃金にひっかけまして非難を受けているところでありますから、つまり、あまり量を出さない、量は少くてもいいから、高い値段で売るということが必要であると私は思うのであります。その点にこの機関一つ大いに力を尽されるようにお願いしたいと思っております。
  43. 寺尾一郎

    参考人寺尾一郎君) 簡単に……、これは非常にむずかしい問題でございまして、先ほどたしか相馬委員からでしたか、あれがございましたように、日本商品は向うで高く売られるのです。これは向うの販売組織というものが、皆各段階ごとに三割ぐらいずつもうけるようになっておる。日本の実情とは全然違うのでございます。これがまず第一点。それから、従いまして単に安く売るということのみが、こういうような情勢をかもし出しているわけではございません。それからもう一つは、日本輸出がもう急激に、グラジュアリーにいくならばいいのですが、急激に飛び上っておる、これが一つは向うの市場を刺激していること、それからもう一つの点はこれは向うのいろいろな国内事情、たとえばこの間の軍人恩給法の圧力団体といったような関係で、たとえば釣針のごときは、州の中のほんのちっぽけな工場一つの問題、しかし、そのうしろには議員さんがおられて、これがワシントンでぎゃあぎゃあ騒ぐ。それが今度いわゆる一部の人には、対日感情というものがすっかり緩和されておりませんから、こういう事例を取り上げてそうして日本はたたくといったようないろいろな面が一緒になって、ああいうことになっておりますので、これは先ほど安田参考人からも指摘されましたように、予防的に向うのマーケッチングの方法なりマーチャンダイジングの方法なりというものを常時研究して、向うに受け入れやすいように、また、向うを刺激しないように順次輸出を伸ばしていくというような措置をとることが望ましいのじゃないか、こういうふうに考えます。
  44. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それでは、この辺で参考人に対する質問は終りたいと存じます。参考人の方々には、御多忙中のところ御出席下さいまして、長時間にわたり御説明いただきありがとうございました。委員会では、御意見を尊重し、慎重に本法案審議いたすつもりであります。どうもありがとうございました。  速記とめて。    午後三時三十四分速記中止    ————・————    午後三時五十五分速記開始
  45. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記をつけて。  それでは、これより企業合理化促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。  ただいま通産大臣出席されておりますが、後刻大蔵大臣も出席する予定であります。ただ、大蔵大臣は、予算委員会関係で短時間しかおられない由ですから、そのときは、他の質疑をあと回しにして大蔵大臣に対する質疑を先にいたしますから、あらかじめさよう御了承願います。  それでは御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  46. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 大蔵大臣に先に質問した方がいいと思っておったのですが、時間の関係もありますので、通産大臣にまず質問をいたします。今回の企業合理化促進法上の措置は、新技術を企業化する機械設備等に対しまして、特別償却制度を新設しようとするものでありますが、これにつきまして、今まで政府当局からはいろいろ巧妙なる説明がありまして、大企業にも、中小企業にも利用ができるかのごとく、まことに巧妙なる説明があったのでありまするけれども、いろいろ検討を加えてみまするに伴いまして、それは表面上のことであって、実際上は、大企業のみに利用せられると言ってもいいほどの実質を持っておるのであります。あとから具体的に実証もいたしまするけれども、この法案のほんとうのねらいどころから見まして、大臣自身大企業重点の置かれるものである、これはもう形式じゃありません。実質的に見ればそうだというふうにお考えにはならないのでありましょうか。この点をお伺いいたしたい。
  47. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) 新技術、ことに技術振興を主題といたしましてやっておりますので、中小企業、大企業と、こういう区別は全然考えずに、いわゆる技術振興をはかりたいというふうに考えておりますが、ただ、実際問題となりますと、まあ新技術ということになりますと、勢いまあ大企業が多くなるということはやむを得ないというふうに考えております。しかし、その面におきましては、私は極力中小企業に新技術を取り入れていきたいというふうに考えているのでありますが、御承知のように、昨年は中小企業者に対する特別償却というようなものを中小企業者にも極力特典を与えたいというつもりで、中小企業者の設備というものに限っての償却制度を考えたのであります。そういうような行き方をいたしますと、これはかなり、かなりじゃなしに非常に効果が私はあったと思っております。技術振興というので、新技術というものを取り上げます場合には、とかくというよりも、大勢としては大企業に多くなるということは、私はやむを得ないと思っているのでありますが、しかし、中小企業を別に区別する考えはないのです。むしろ、逆に中小企業者の方に極力特典が及ぶようにという努力をいたしたいと、かように考えております。
  48. 近藤信一

    委員長近藤信一君) ただいま大蔵大臣がお見えになりましたので、大蔵大臣に対する質疑を許すことにいたします。
  49. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 一萬田大蔵大臣は、前々からこの中小企業に対しまして深き御認識と、また、それが対策につきましても、非常に熱意をもっておられる方だと、私は日ごろから痛感をしているものでありますが、非常に御多用の際ではありまするけれども、特に御出席を願ったのであります。租税特別措置法の内容が、従来から、御承知でもありましょうが、企業に対しまする負担を、非常に不明確にしているわけです。非常に複雑多岐でございまして租税特別措置があるために、一体企業に対してはどういう負担が実質的には出てくるのか、これが非常に不明確になっておるのであります。のみならず、ここで一番問題にいたしたいと思いまするのは、企業相互間の負担が非常に不均衡になってくる。一つの業種の間におきましても、あの租税特別措置法の線に乗ると乗らぬとでは、当然もっと減税すべきものも減税にならないし、それほど減税しなくてもいいようなものが減税になるというようなことになりまするし、ことに違う業種の間でありますと、特に大企業中小企業規模の相違がありまして、非常に租税特別措置というものがきわめて不公平な結果になっておるのであります。すでに、大企業だけが当然納めるべきものをあの租税特別措置がありますために、免税になっておるというものが六百億に上るといわれておるのでありまして、結局大企業は利益は多いが、租税特別措置によって不当に減免税を受けておる。ところが、中小企業は実際的に見ますというと、利用できるようであるけれども、絵にかいたもちで実際は利用できないというようなことで、きわめて不公平なことに相なっておるのであります。要するに大企業中小企業企業較差をいよいよ大きくしているのが、あの租税特別措置の行き方である、従って競争力というものが、あの租税特別措置がありますために、中小企業が不当に減殺せられきておるということなんでありまして、この点は御承知でありましょうが、昭和二十八年の税制調査会の答申にもはっきり出ております。こういう点から、従来租税特別措置につきましては、非常に問題があったのでありますが、今回いよいよここに出てきておりますこの企業合理化促進法上の措置によりますと、今まで問題になっておったその点を、またもう一つここで積み重ねようということになっておるのであります。こういう点について、非常に納得のいかぬものがあるのでありますが、この点について大蔵大臣の率直なる御見解を伺いたいと思います。
  50. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) この税法上の特別措置が、税自体を複雑化しておるということも、これは事実であります。がしかしながら、この税法上の特別措置は、やはりある政策上の目的を達成しようという意味でこれを認めておるのでありまして、これは一には、日本の経済のやはり科学技術における後進性といいますか、国際水準に比べてやはりおくれておる、そういう意味から、日本としては大きな人口を持ち、かつ貿易に依存しておる国としましては、こういう科学技術の振興ということについては、あらゆる可能な手を打っていかなければならぬ、さように考えております。その結果が科学技術ということになりますれば、大企業にやや偏していくというようなことも、これは私はやはりあり得ると思います。それは否定しがたい。そうしますと、中小企業との差別がそこにやはり出てくるのではないか、こういうことがあります。これもやはり率直に私は認むべきであろうと思っております。しかしながら、それだからといって、科学技術の振興、すなわち企業の合理化というものをやらないというわけにはいきません。そこで、私の考え方はこれはこれとしてやはり進めて、むろん目的を達成する必要がなくなれば、すみやかに廃止すべきであるというふうに、必要な限度において真に必要であるという場合においてはやむを得ない措置であろう。ただ、中小企業につきましては、私はそういう見地から平等化を求めても、これは無理ではないか。それでやはり中小企業については別個に中小企業の合理化ということについて、税法上の特別措置を考えていく必要があるのではなかろうか。あるいはまた課税にしても、中小企業によっては取引あるいは事業規模も小さいのですから、税率等において特に考慮を払うとか、いろいろ考えてみる必要があるだろうと私は思います。大体豊田さんのお考え、あるいは認識の点においては、私とそう相違もないと考えております。まあ、来年あたりは、全般について検討を加えたいと思っておりますので、その際に十分考慮を払いたいと思っております。
  51. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 租税特別措置の中に、従来唯一の中小企業あるいは零細企業のためにあった措置と言い得るものとして、わが国が認めておりましたものに概算所得の控除制というものがあるのであります。御承知かと思いますが、一万五千円まで、それから所得の百分の五までなら、これを概算所得として控除をしておる。ところが、こういうものは昨年廃止になったのであります。要するに、この零細企業本位の租税特別措置というものが、ようやく一つにせよあると思うと、それは廃止される。そして実質的には、大企業中心になっていく、租税特別措置になると、今までにも非常に問題があったが、また今度はつけ加えて参ると、あまりにもそこにアンバランスがあると思いますが、それについてはいかなる御見解でありましょうか。
  52. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 具体的にどれをどうということを、今私はここで申し上げかねるのですが、今私が申し上げたように、中小企業を一体どういうふうに扱うか、これは税法ばかりではない。やはり私はこういうときに、もう少し従来のように、単に中小企業に対しての対策としては、今度は団体法ができたのでありますが、これはもうすでに長い間金利という面に重きを置いてきている。金を貸してやれ、金を貸してやれば何とかなる。こういうことがある意味において債務を生じやすくした。また、一面においては、これは一時を糊塗して何とかなるということでもっていく、こういうことが中小企業の基盤を強化することなく、あるいは組織化することなく来たところにも、問題があるのじゃないか、これは今度団体法もできたのでありますが、それでこういう機会に、私は企業自体のあり方から、また総合的に考えてそして、税法上においてもむろん考慮する。金利上においても考える、企業自体もこうあるべきだ。そしてそういうふうな大企業中小企業とは、日本の場合においては対立すべきではなかろうと思う。たとえば紡績一つを考えてみても、中小企業という意味からいうと、百以上、あるいは二百くらいのものが関連している事業である。そうしてみると、やはりそんなに対立なくして大企業中小企業との関係をどうするか、そういうことはやはり一切総合して考えらるべき段階ではなかろうか。こういうふうに思っております。ある具体的なことについて明快なお答えをいたしかねるのは、遺憾でありますが、私はそういう見地からあらゆる点について中小企業の地位の強化というか、日本経済における中小企業の地位にふさわしい扱いをしていこう。そういうことを一時を糊塗することなく基本的にこれを正常化する、こういう方向をとりたいと考えております。
  53. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 私どもも、大企業中小企業を対立的にという考えは毛頭持っておりません。両方とも相提携し、またよくなければならないと思うのでありますが、しかし、中小企業対策を総合的にいろいろやっていくという一面において、最も中核をなすものは、税制と金融でありましょうが、金融にもいろいろ問題がありますが、特に税制関係において大きなアンバランスをとって、そしてここに大きな穴を作る。幾ら総合対策をやっても、税制に大きな欠陥が出てくるというと、これは補助金を出すとかということになっても、これは全くちょっと補助金をやって大きな点で失わせると、企業較差はだんだん開いてくる。それがために競争力がなくなってくる、中小企業それ自身がもう持たなくなってくるというような面から、困った問題が出てくるのでありまして、科学技術の向上、それから合理化はもちろん必要でありますが、必要であるけれども、これは大体企業内部の留保さえしっかりさしていくならば、これは大企業は新技術をどんどん導入していくのがこれは当然だと思うのであります。従って、かような大きなアンバランスを税制の上で作って、しかも、今まで問題になっておった点をさらにだんだん重ねていくということについては、非常に問題があると思うのであります。で、今後の、将来の問題につきまして、いかにお考えでありしょうか。この問題は問題といたしまして、将来のお考えを一つ伺っておきたい。
  54. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 私としましては、先ほど申しましたように、こういう科学技術の振興、あるいは企業の合理化というものは、むろん大企業中小企業との関係において考えられるというわけじゃないので、主としてこれは国際的な関係によって、国際経済における日本経済の強化ということが、やはり私はこれはねらいになってくると思うのであります。そういう意味においてこれはやはり私は今後もむろんでありますが、なるべくこういうふうな企業合理化促進のために租税特別措置法というようなものが、中小企業にも浴するように考えて、浴し得ないとすれば、一体どういうところに原因があるか。これは全然中小企業というものには不適当である。しからば、中小企業には、どういうふうなことを企業向上において考えていくべきか、そういう点を明確にしていきたい、かように考えておるのでありまして、何もこういうふうな税法の措置が、結果的において大企業に偏すると言い切り得るかどうかは別としまして、かりにそういうような傾向を持つに至りましても、それはそれとして、私はやはりやるべきだという態度であります。それが大企業との関係において中小企業に不利であれば、その原因をよく探究して、それについても適切な措置を考えていく、こういうのが私の考えでございます。
  55. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 では、時間がないようでありますから、見解を異にするところがありまするけれども、まだ、いろいろここで質疑もいたしたいと思うのでありますが、時間の関係もありまするので、今後租税特別措置につきましては、少くとも概算所得控除制のごとき零細企業中小業企に対するものも、大企業中心を置いた制度を一面において、認める以上は、やはりこれは考究をせらるべきものだと考えるのでありまして、そういう点において絶えず租税特別措置というもののある間は、少くとも相互にバランスのとれたような行き方をしていくということが、少くとも必要だろうと思うのであります。この点については、一つ御研究を願いたいと思うのでありますが、御意見を伺いたい。
  56. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 十分注意いたしますが、同時にまた、税法上の特別措置がすみやかに廃止されるような、そういう日本の経済状態を作り出していきたい。かように考えて、これはむろん変則的なもので、税法上では好ましいことではありません。従いまして、なるべく早い機会にこういうものは正し、かりにまた新しくするとしても、真に必要なものに限定をする。かように考えておる次第であります。
  57. 海野三朗

    ○海野三朗君 大蔵大臣にお伺いしますが、私はこの科学技術振興が、わが国にとって最も重要なことであると常々考えておるのでありますが、予算の査定の状況を見ますと、科学技術の何たるやを理解しない主計局の人たちが、いろいろなところにくちばしを入れ過ぎるように私は思うのであります。どうも、そういう点を非常に私はいかんと思うのですが、この科学技術の振興が大切だということを、盛んにラッパを吹かれるけれども、その裏づけとして、ほんとうにこの根本はよくわかっていないように私は思うのですが、この科学技術の振興ということと、また技術者の優遇については、どういうふうに大蔵大臣はお考えになっておるか。たとえば文部省のこの東京大学の薬学の講座を別途認めた。しかしながら、それに対する予算一つもくれていないというような、この科学技術の振興を叫ぶならば、学問の府であるところが一番根本になるはずである。そういうところの予算を削るようなことにまで、大蔵当局がくちばしを入れておるという跡が歴然としておる。また、科学技術庁の問題にしてもそうである。よくおわかりになっていないで、その財布の口をお締めになるから、どうも私はその点については、はなはだいかんと思っておるんでありますが、大蔵大臣としては、どの程度必要であるということを認識していらっしゃるのであるか、一つ御所見を承わっておきたい。
  58. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 科学技術の振興の必要については、今日のような科学時代においてはその必要については私は無限大だと思っております。これは幾ら強調してもし過ぎるというところはございません。しかし、この予算的な裏づけとなると、やはりその国の財政的な力というものを考えなくてはなりません。まあ、今回三十三年度の予算につきましては、科学振興は、ほんとうを言うと一番政府としてはアトラクティヴな政策にいたしておる。しかして大いに実質的にもこれが成果を期待いたしておる。従いまして少くとも科学技術関係、あるいはまた科学技術庁関係の要求については、私はすなおに今回は認めておる。これは私たちの知識でいかんともすべきことでないから、あまりにかれこれ言わずに、専門家の意見には聞くべしというのが私の方針。従いましてこれは正力さんから非常に感謝されて、今回は自分が大体希望するように、何も異論もなくして予算ももらえて非常に幸いだ。これは正力さんにお聞き下さればきわめて明確なことであります。それからまあ学校方面でありますが、むろん、この科学技術の振興といいましても、ともすると、何か大へんの予算を使ってはでなことをしないと、科学振興にならないかのような考え方は、私はとっておりません。やはり科学技術振興における一番基礎的になるところで、いわゆる研究といいますか、たとえばいろいろなことをやるよりも、私は大学の研究室を充実してあげるというのが、結果的には成果があるのじゃないかというような考え方をして、予算編成に学校等については当らせたんです。まあ、金額等におきましては、思うような金額でないかもしれませんが、しかし、この基本を充実していくという点に力を入れております。金額の少いわりに成果は多い。きわめて私は今のところこういう点が合理的な考え方だ。自分自身ではさように考え、しかし今後一そうこれは努めていかなくてはなりません。そのように考えます。
  59. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 時間がないというお話しでございまするから、二点に限定して大蔵大臣にお伺いいたします。ただいま論議しております本法案はですね、税制特別調査会の精神に反するのではないか。あるいは答申の逆の方向に行っておるのでないかということを私は心配するものであります。従いまして大体本年度の予算の中においてですね、租税特別措置法によって、どれだけ減収になるか、あるいは件数にして幾らか、この点をまず第一点お伺いいたします。
  60. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) その具体的なことにつきましては、主税局長から御答弁いたします。
  61. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 本件によりまするこの減収は、平年度十四億円、初年度は約その三分の二、十億円ちょっと切れるというふうに考えております。基礎は大体これによります企業化設備で特別償却のもとになります額が、年にして八十億円という額を見積って、それの特別償却による利益の減、それで税収の減というものを出すと、そういう数字になります。
  62. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 今、本年度予算全額ですか、そうするとあなたの方で衆議院に出した資料と、今の数字が全然食い違っているのですが、どちらがほんとうですか。
  63. 原純夫

    政府委員(原純夫君) そういたしますと、お尋ねは特別措置全体についての減収額ということ、それは大へん失礼いたしました。そういう意味で申し上げますれば、実は非常にこまかい措置まで入れますと、まだ若干あるのですが、大体一億円程度以上の減収を生じているというものを合計いたしまして、八百七億円というものが、特別措置による減収額として計算されている額でございます。
  64. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうしますと膨大な額であって、昨年その税制調査会の答申に基いて、租税特別措置法の減税の恩典を整理せよという答申があったはずなんです。その方針に基いて予算を三十二年度の予算として組み立てたのですが、しかしながら、貿易振興という名前で大体四十億の税金の免税をはかったはずなんです、そうですね。ところがまた、本日この出されている法案によりますると、大蔵省の大体の試算で十四億を免税される、こういうことになる。そうしまするというと、大体大資本にだけ免税を認めてやって、中小企業は全然免税を認めてもらわれんというような格好にもなりまするし、大蔵省の昨年度の考え方と、今年度の考え方は全然違う。従いまして朝令暮改、こういうことになりますから、まことに私どもとしては遺憾にたえない次第であります。なお、政府はこの税制調査会の答申の趣旨に基いて重要物産の免税とか、あるいは価格変動の準備金、あるいは貸し倒れ準備金、こういうものの特例を廃し、それを税収として取り上げて、特に中小企業向けの融資、こういうふうなところにお金を使う意図がないかどうか。こういう点について大蔵大臣の御答弁をお願いします。
  65. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) だいぶ税の比較程度になりますので、主税局長から御答弁させます。
  66. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 重要な問題ですから、大体こういうような免税々々で八百億にもなるわけです。そうしますというと、ただいま申し上げました通り、この税制調査会の答申と全然違う。違うような方針で進むのか、それとも税制調査会の答申に基いて、ただいま申し上げました重要物産免税とか、価格変動準備金とか、あるいは貸し倒れ準備金、こういうやつは免税を廃止して、取り上げて、中小企業にお金を貸すというような、政策としてやるかどうかということを大臣にお聞きしているのであって、小さい数字をどうするこうするというのではございませんから……。
  67. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 税制調査会の答申と違った方向ではないと思いますが、一方において新しく必要な措置をとるが、他面においては廃止をしていく、こういうふうなことになっていると思います。三十二年度には相当税法上の特別措置の廃止をいたしているのであって、おそらく四百億くらいが税の増収になるわけでありまして、大体私どもとしては調査会において御検討願っておるのでありますから、その答申は尊重いたしております。特に多く食い違っていることはないと思います。なお、詳しいことは主税局長から補足させてもよろしゅうございます。
  68. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 その答申に基いて、くどいようですが、三十二年度の予算を編成されたのです。ところが、答申に基いて編成された予算を組み立てた以後、直ちに技術振興とかなんとかいう名前で、四十億の免税を行なった。ところが、今日ここで論議している法律ができ上りますると、大体あなたの方の計算だけで十四億というものをまた免税することになる。そうしますると、昨年はその答申に基いてやったけれども、次から次へとワクをはずしてしまう結果になるのじゃないか。そういうことを言っているのです、私は。であるから、また昨年の精神に戻って、答申した精神に戻っていろいろな貸し倒れとか、価格変動準備金とかいろいろなものがある。それを全部答申の精神にのっとって、それをぶった切ってしまって、そのお金を中小企業、国民金融公庫でも、商工中金でもお金が足りないのですから、そういうところに向ける意図がございませんか。こういうことをお聞きしているのです。
  69. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) それは先ほどからしばしば私が申し上げた通りでございまして、税法上の特別措置の新規のものは、緊要やむを得ないものに限って新しくやっていく。それも非常に私は厳格な態度でやっているのでありまして、同時に、従来の特別措置は、なるべくこれを整理をしてやめていきたい。従いまして、やめれば先ほど申しましたように三十二年度、三十三年度にかけて特別措置をやめたものの平年度化により、税の増収は四百億になって参ります。これは当然財源になるのでありまして、これはいろいろの方面に、また重要な施策にこれを振り向けられている。むろん、中小企業についてもこういうようなことは財源になる。ただ、特別措置をやめたその分を、ひもつきでそれじゃすぐ中小企業に持っていくというわけには、必ずしもこれはいかないし、また、適当であるとも考えておりません。場合によっては、中小企業の方に、もっとうんと持っていく必要があればうんと持っていかなければならぬ、こういうふうな考え方であります。
  70. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 大臣の答弁と、実際あなた方がやっているのと全然違う。大蔵省で出した資料によると、総計して八百七億ですね。これだけふえている。あなたが四百億減りましたと言っても、ただいま申しました通り四十億とか、十四億とか膨大な数字でふえている。ですから、中小企業に全部向けろということは、私は言いませんけれども、あなたの精神とは反対の方向に行っている。私の知っているだけでも三十一件免税しているのがある。それを減らすのか、ふやすのか、そこを明確にお伺いすればいいのであって、その点を一点。
  71. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 私は方針としては、減らしたいのが方針であります。ただ、最近科学技術等の進歩が非常に激しいものがありまして、これを放置しておけば、日本の経済の競争力というものが、非常に減退するというような事態もありますので、応急的に考えていかなくてはならぬというものもあります。これは全体として、日本の経済をどういうふうに持っていくかということとも関連いたしまして、また、そういうふうな大きな目的なくしては、私はこういうふうな特別措置はとれない。国民生活全体に結局において大きなプラスをするという意味において、そういう措置が是認される。かように考えておりますので、まあ、今後の内外の情勢を見なくちゃわかりませんが、方針としては減らしていくという方針であります。
  72. 海野三朗

    ○海野三朗君 「鉱工業技術等」とありますが、この「等」というのは、鉱工業の技術以外の新技術が考えられておるのか。まずその一点を私はお聞きしたい。新技術といいますのは、鉱工業方面のつまり工業技術院で取り扱う技術のみを指しているのかどうか。
  73. 松尾金藏

    政府委員(松尾金藏君) 「鉱工業技術等」といったような表現をとっておりますのは、まあ、常識的に鉱工技術というので、大部分はまかない得ると思いますけれども、もともとこの法律の改正の趣旨は、技術の企業化というところをねらいにいたしておりますから、大部分が鉱工業の技術で間に合うと思いますが、若干それに踏み切れないものがあることをおそれまして、そこに幅をとっておる、こういう意味合いでございます。
  74. 海野三朗

    ○海野三朗君 しからば、私はこの新技術について、厚生省関係になるかもしれませんが、今日、娘たちはみな口に赤い紅をぬっておる。あの紅はタール製品である。タール製品はガンのもとになるというところの報告は、今から二十年も前にすでに黒田チカ博士によって報告がされておる。それからまた最近、癌研究所のある博士の報告によると、このタール製品はすべてガンのもとになるという報告が出ておる。それに対して、しからばいかなるものを用いたらいいのかといいますと、植物性の色素を使わなければならないというので、黒田チカ博士の門弟で、女のある理学博士が、ベニバナの研究からして、この植物性の色素の発見をやっておる。つまりこれをやっておる、そういうことに対しては、厚生省では国民の食品に関する衛生の上から、どういうふうなお考えを持っておるか、すでに癌研究所から二度も報告がいっておるはずなんです。あの報告を厚生省としてはお読みになっておるかどうか、それを厚生省当局の方にお伺いいたしたい。
  75. 金原松次

    説明員(金原松次君) 食品に使われる食用色素について申し上げておきたいと思います。食品に使われる色素類は、ほとんどすべてが現在はタール色素でございまして、おっしゃられますように、いろいろの、たとえば肝臓を悪くするとか、じん臓を悪くするとか。あるいは発ガン性がありはしないかというような疑問を学界で持たれているのであります。しかし、今日厚生省で、食べものに使ってもよろしいというように許可している色素は、全部で二十五品目ありまして、これについては、かなりの部分が諸外国の食用色素と共通しているものであります。また中には、日本固有の食用色素もあるような次第であります。これらについて、実は許可に当っては、相当の調査研究はすでに済んでいるのでありますけれども、ことに発ガン性というような問題につきましては、非常に大がかりな、慎重な試験を必要とするような次第でありまして、いまだにそれを済ましていないのは、まことに遺憾なことだと申さなくてはならないと、こう思います。で、厚生省といたしましても、近い将来に、できるだけ早くこういうような食用に使われる色素について、再検討いたしたいというように考えているような次第であります。なお、植物性の色素を食品に使ったらというようなお説でございましたけれども、これも大へん食品衛生という面から見まして、けっこうなことでありまして、現にビタミンAと関連のある黄色い色素などを食べものに着色の目的で使う場合もあるのでありますが、工業的には、なお経済上の問題で、なかなかうまくつり合いがとれないので、あまり十分に使われているという状態ではなく、ほとんど過半が合成的なタール色素で行われているような次第であります。
  76. 海野三朗

    ○海野三朗君 ノリの色づけ、それから、はなはだしきはお茶、そういうものにもその色素が使われておるようでありますが、そういう方面はよく取り締っておられるのでありますか。
  77. 金原松次

    説明員(金原松次君) 先ほど申しましたように、二十五品目の許可された色素によって食べものを着色することは、一応差しつかえない。ただし、それ以外の有害な色素を使って食品に着色することは、厳重に取り締っているような次第であります。で、なおノリの着色ということでございますけれども、従前は悪い色素によって着色していた例もありますけれども、近年非常に改善されまして、絶対とは申しがたいと思いますけれども、ほとんど有毒な色素で着色するということはないと申し上げたいと思います。
  78. 海野三朗

    ○海野三朗君 私は、このタール製品は、すでにガンのもとになるということは、先ほど申しましたように、二十年の昔から、すでに医学界の方面においては論議されておる。最近この癌研究所の研究によると、口紅が浸透するんです。そうしてガンの元を形成するというので、このごろガンによって死ぬ人が非常に多い。しからば私は、この年々ガンによって死ぬ人の一つ統計を厚生省の方ではおとりになっておると思うから、それをまずこの次に御提出を願いたい。そうして国民の保健上、非常にこれは大切なことであると思うんです。で、その癌研究所からすでに報告が二度も出ておるはずである。あの報告をお読みにならないで、あなた方は厚生省におって、ただぼんやりとあぐらをかいておられては、国民こそとんでもない迷惑である。私はそういう意味において、このタール色素を使うということ、これは危険であるということが日本でやかましくいわれておることなんです。まず諸外国ではその例を見ません。それでありますから、私は率先して厚生省が何とかこれに善処しなければならないのじゃないか、こう思うんですが、どうなんです。そうして植物性の色素でありますれば、これは植物性の色素は全部消化する。そうすると、植物性の色素といいますと、まず今申しました例のベニバナから作るところの色素、これは日本ではずっと昔から、徳川時代にも盛んに作ったのである。これが今日使われないようになっておりまするのは、このタール色素に競争で負けたからでありまするけれども、こういう方面にこそ力を入れて企業化せしめていくということになってこなければならない、こう思います。この点を一つ厚生省の食品衛生の見地から、はっきりと御答弁を私は伺っておきたい。
  79. 金原松次

    説明員(金原松次君) 先ほども申し上げましたように、食べものに使われるタール色素については、できるだけ早い機会において、おっしゃるように、発ガン性及びその他の障害というものについて、再検討しなくてはならないと存じております。で、なおこの仕事は、実は発ガン性などというような問題は、非常に大がかりな試験、調査を必要といたしますので、全部を直ちに取りかかるというようなことは、とうていできないように存じますので、まず日本固有の食用色素というようなものに主として力を入れて進みたいというように考えておりますし、なおアメリカでも一部研究を始めているようでありますから、そちらの方の研究結果についても十分注目いたしたいと、こう考えます。  で、なおタール製品はすべて発ガン性があるようなまあお話に承わりましたけれども、そうではなくて、タール製品すべてというわけではないと、こう思います。で、なお昔バターに使うバター・イエローという色素がございまして、これが発ガン性があるということが問題になりまして、今日これは使われておりません。そういうような状況でございます。
  80. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 通産大臣の都合がありますので、大臣への質問をお願いいたしたいと思います。
  81. 海野三朗

    ○海野三朗君 そこで、私は通産大臣にお伺いしたいのですが、こういうふうな日本古来の植物の色素、いわゆるベニバナというようなものが今日もう完成しているのです、民間ででき上っているのですわ。ただ、これはどうしても今度は企業化しなければならぬ。こういうものに対してはやはり、この「新技術」とお考えになって御協力なさるお考えであるかどうか。それを私は大臣にお伺いいたしたい。
  82. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) 私は、まあ技術的なことがわかりませんので、そういう問題が重要であるということについてはあれですが、いわゆる「新技術」に該当するかどうかについてはつまびらかでありませんが、そういういろいろまた調査をいたしまして、緊要な技術であり、また「等」とありますから、それが企業化とかそういう問題に関連してくることでありましたら、検討して、極力入るものなら入れていきたいと、かように考えております。
  83. 海野三朗

    ○海野三朗君 ただいまの大臣のあれでは、「新技術」に該当するかどうかはわからぬというようなことをおっしゃったのでは、はなはだ心細いと私は思うのであります。これはね、今まで、在来、昔はやっておったのであります。それを今度は工業的にこれを取るところの技術が工夫されているのでありますから、やはりこれは「新技術」に間違いないと思うのですが、それを今大臣は「新技術」かどうかわからぬというようなことをおっしゃったのでは、私ははなはだ心細いと思うのですが、いかがなんですか。
  84. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) 先ほど申し上げましたように、私も技術的なことは全然存じませんので、その点は十分検討いたしてお答えいたしたいと思います。おそらく「企業化」という面でありますと、通産省でありますが、それにつきましてもその緊要度とか、そういうようなものにつきましては、各省がいろいろ関係いたしております。まあ、それらの点を十分検討した上で、この制度に該当することであれば、何もそれを拒否するという考えは毛頭持っておりません。
  85. 海野三朗

    ○海野三朗君 もう一つ、私はね——もうちょっと待って下さい。私はね、このお役所がセクショナリズムを考えていていけないから、今日私は厚生省の方においでを願ったわけでありますが、この通産省は「新技術」といって工業技術院で取り扱っているような仕事ばかりをお考えになっておっちゃいけないのだ。そこで厚生省も、通産省も、あるいは将来は建設とか、そういう方面も、全部をひっくるめてやはり「新技術」というときには、それは「新技術」に入るのではないか、こういう見地から、実は通産大臣のおられる前で今ベニバナの話を申し上げたのでありますが、将来ともそういうふうにやっていっていただきたいと私は考えておりまするが、通産大臣はどれくらいの御熱意を持っていらっしゃるのか。やはりセクショナリズムを考えて、これは厚生省の扱いだからというようなお考えでは私は困ると思うのですが、そこをはっきり一つ御所見を承わりたい。
  86. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) 私としましては、まあ従来とかくセクショナリズムが災いしていることは、これは十分承知いたしております。しかし、そういうことはもう絶対に排除すべきことでありますし、決して通産省に所属しないからというような考えは毛頭持っておりません。公平にすべての業種にわたって考えていきたいと、かように思っております。
  87. 岡三郎

    ○岡三郎君 ちょっと簡単に質問したいのですが、この「新技術」ですね、この「試験研究の成果である新技術を企業化する」ということが書いてあるのですがね。たとえば今一つの工場があって、一つの新しい研究ができた、で、その工場が部分的にその機械を取りかえなければおくれてしまう、こういうふうな場合と、それを全然新しく企業化をやる場合と、こう考えてくる場合に、この企業化するということの解釈内容を、もうちょっと明確にしておいてもらいたいと思うのだがね。それをどう考えていますか。
  88. 松尾金藏

    政府委員(松尾金藏君) 「企業化」という概念は、前に御説明したかと思いますが、大体生産技術として必ずしも発展していないものを生産過程に応用していくというのが「企業化する」という概念であると思いますが、ただいま御指摘のございました、このような企業化のために設備等を設ける場合に、まあ従来の設備を入れかえる、あるいは新設をするという点は、いずれにいたしましても——企業化のために新たな機械を購入し、あるいは新たな機械を自分のところで製作して使用するという場合は、入れかえでありましょうと、新設でありましょうと、新設の設備である限りは、同様に「企業化」の内容に入っていくと思います。
  89. 岡三郎

    ○岡三郎君 その場合に、「当該新技術を企業化する場合の主要な生産工程において欠くことができない」と書いてあるのだな。その解釈の限界は、私はなかなか微妙だと思うのです。ルーズにやればどんどんこれはいくし、ルーズにやらなければ、なかなかこれは法の恩恵に浴さないことになると思う。先ほど大蔵大臣が、平年度十四億、本年度十億と言っておりますが、大体通産省の方としてはどの程度にその内容について検討しているのですか。これは話し合いが済んでいると思うのですがね。この解釈によってはずいぶん姿が違ってくると思うのだ。私は。
  90. 松尾金藏

    政府委員(松尾金藏君) 法律に「主要な生産工程において欠くことのできないもの」という限定がございますが、これはまあこの裏から申しますと、主要な生産工程に直接関係のない、付属工程に属するような機械設備等は、当然この法律の趣旨から言っても除かれると思いますが、全体としてそのような設備資産の範囲を、ここにございます承認の基準というようなものを作りまして、それに当てはめて具体的な承認をして参ると思いますが、現状で、今お話のございました、どの程度のものがこのような企業化資産の承認という形で出てくるかという点は、今必ずしもはっきりした想定を持つことはできないのでありますが、現状で、工業技術院等で、試験研究のための補助金を出したり、その他、試験研究の補助を、助成をやっておりますが、そのようなところから推定をいたしますと、大体年間八十億くらいの投資の内容のものが出てくるのであろうということを、一応推定をしておるということでございます。
  91. 岡三郎

    ○岡三郎君 もうこれ以上——もっと聞きたいのだが、実際の部面において全然新しい技術を企業化するという問題よりも、従来行われてきたものの企業の内容刷新という意味で問題が提起される舞台が、私は部面が相当多いと思う。だから、そういった場合において、その新しく企業化するという点よりも、そういう部面に対して、従来の施設の中におけるその新しい技術というものは、どの程度これは見るべきものがあるかということの範疇によって、判断によって、これはずいぶん減免措置というものは違ってくると思う。だから、そういう点については具体的にもう少し法案が通過した後でもいいですから明確にしてもらいたいと思うんです。  それからもう一点は、ここに「当該新技術の企業化が国民経済上緊要なものであり、」、これを別の言葉で「国民生活上緊要」というふうにかりに書いたとすると私は違ってくると思うのだが、「国民経済上緊要」というのは一体どういうことをさすのか、もう少し明確にしておいてもらいたい。
  92. 松尾金藏

    政府委員(松尾金藏君) 「国民経済上緊要」という内容は、大体常識的な概念で限定するほかないと思いますが、現在私どもの方で考えておりますのは、これもやはりある程度抽象的な考え方になると思いますけれども、その「企業化」が、たとえば輸出振興輸入の防遏に役立ち、あるいは資源の開発あるいは基本的な重要産業の発展というようなところに非常に大きな寄与をして、結局は日本の経済自立の達成を促進するようなものというような概念でこの内容を考えていくことに相なると思います。
  93. 岡三郎

    ○岡三郎君 聞いているというと、だんだんわからなくなっていくんだがね。抽象的に言う以外にはちょっとやはりむずかしい点もあると思うがね。たとえば「国民生活上」と、こう言うとだね、割合にはっきりしてくるんだな。ところが、「経済上」という言葉で言うと、なかなか広範に私は問題が出てくると思う。一つ、私はちょっと聞きたい点は、日本においては軍備というものはないということになっているわけだ、再軍備はない。そうするというと、「新技術」というものをかりにですよ、いわゆる広義の解釈における通念として、今いろいろと憲法上の解釈は、解釈が多くなり過ぎているが、たとえば、いわゆる軍事上の「新技術」、科学兵器的なものの中の「新技術」、こういうふうなものが「国民経済上緊要」な中に入るかどうか。つまり航空機なり、あるいはそのほかのいろいろな武器に類するようなものの「新技術」が今後登場してくると思うんだ。それが「企業化」される場合において、いわゆる特例を受ける、法制上においてですね。そういう場合における研究の成果というものは「国民経済上緊要」というものの中に入るのか、それをはっきりしておいてもらいたい。
  94. 松尾金藏

    政府委員(松尾金藏君) 「国民経済上緊要」という意味は、ただいま申しましたように、ある程度抽象的なことになると思いますが、国民経済の目的というようなことで言いますと、従来経済計画その他をやります際に、国民経済の自立達成ということを常に目標に掲げております。国民経済の自立達成というような目的のために、先ほど申しましたように、資源開発でありますとか、輸出振興でありますとか、そういうことに緊要に役立つものという概念で考えていかなければならないと思います。
  95. 岡三郎

    ○岡三郎君 そういう説明を聞くというとですね。たとえば、いわゆる防衛庁等がいろいろな諸機械を外国から輸入する、それに伴って日本外貨が外国へ流れていくわけだ、そうなると、これは「国民経済上緊要」なもので、そういったものを生産することによって、外貨の外国へ流れ出すことを防止するということになっていくというと、「国民経済上」という言葉になるわけですかな。そうなってくるというと、たとえば航空機がだんだんロケットのようなものに移り変っていって、新しい一つの軍事的な武器というものが大量に生産されるという場合に、一つの「新技術」というものがそこに登場してきたときに、そういうものが減免措置を受けるということになるのかどうか。「国民経済上」というとどうも私はわからないが、「国民生活上」ということになったらずいぶんはっきりすると思うんだが「経済上」という点について、今の点はどうなんですか。つまり軍事的な面における「新技術」というものが「国民経済上」という考え方ならば、外国から防衛上必要であるといって買ってきているものを、それを発明、「企業化」によって外貨の流出を防止するということになれば、「国民経済上緊要なもの」にこれはなるんではないですか、その点どうですか。
  96. 松尾金藏

    政府委員(松尾金藏君) 現在工業技術院等で、先ほど申しましたような意味でこういうものが「新技術」であり、こういうものが「企業化」されるであろうというふうな想定で考えられておりますものには、今の御指摘のようなものは現状ではないと思います。ないようでありますが、要するに、先ほど申しましたような意味で、国民経済の自立達成のために緊要であるかどうかというところで、今の御指摘のようなものは、具体的にどういうものがどう出てくるかわかりませんが、事実上そういうことを緊要であるというふうに判断することはむずかしいだろうというふうに考えます。
  97. 岡三郎

    ○岡三郎君 むずかしいだろうと判断する、だから私は終局的に言って十四億なり十億という租税の特別措置をされたのだ、この基本的な背景として工業技術院等でこういうものを考えているというふうなことについてのアウト・ラインでもあれば、あとでいいですよ、今考えている新技術ではこんなようなものがあるということをちょっと見せてもらいたいのだが、これは「国民経済上緊要」という言葉と、それから「新技術」というものを「企業化」するという内容ですね。こういったものについては、具体的な事実に基いてこのものは租税の特別措置をするのかしないのかということになってくると思うのだが、やはり想定されるものがあるのでそういった面についてはまあいろいろとこれから考究されると思うのですが、解釈によれば非常にラフになるし、また非常ないろいろなものが「国民経済上」という言葉で登場してくるということになると、本来のいわゆる輸入の防遏ですか、輸出の促進ですか、そういった面における科学技術の振興、こういう面にすなおに解釈して軍事科学部面のいわゆる機械化「企業化」というふうな面については相当慎重考慮してもらわなければなぬという意見を付して私はやめます。
  98. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 他に御発言もないようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、付帯決議の御意見のおありの方は討論中にお述べを願います。
  100. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 本法案は、形式的には大企業にも中小企業にもひとしく適用せられるようにできておりますけれども、実質的には大企業中心に活用せられまして、中小企業に対し不公平なる結果を招来するおそれが多分にあると思われるのであります。従いましてこれが運用にはよほど留意する必要があると考えられまするので、この際次の付帯決議を付しまして賛成いたします。   政府が改正後の本法第五条第一項  の規定による承認をするにあたって  は、その承認が大企業偏重にわたら  ないよう充分に配慮すること。右の決議を付して賛成いたします。
  101. 相馬助治

    ○相馬助治君 私は、日本社会党を代表して本法案にただいまの豊田委員が提案いたしました付帯決議を添えて賛成いたします。  豊田委員が指摘いたしましたように、本法はその意図するところは正しく、しかも中小企業も含めて施行されることにはなりまするが、実質的には本法成立後の及ぼす経済的影響効果等を考えてみまするというと、依然として大企業偏重になるおそれがなしとしないのでございます。そういう意味合いにおいても、政府においてはこのような法律案を提案いたしまして財政上の特別な措置をいたすからには、一面また今日悲境な立場に置かれておりまする中小企業に対してそれぞれの税制上の措置、金融上の措置、それらを積極的に本法と並行して考える必要があると私は考えます。従いまして豊田委員の指摘しましたことについては、特に通産大臣より決意を承わりたいところでございます。従って、本付帯決議を付して本法に私どもはその運用上の慎重なる注意、考慮を期待しながら賛成するものです。
  102. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 私は、自由民主党を代表いたしまして、本法案賛成をいたします。科学技術の振興が非常に大切なとき、その技術の振興によって、発明されました新技術が企業化されるということは、非常に産業経済の発展が必要でございますが、本法律案の趣旨は、これらの特別の措置によってこの企業化を促進するという趣旨でございまして、まことに妥当なものであると思います。この意味において本法案賛成をいたします。  なお、豊田委員付帯決議に対しましてもお述べになりました趣旨によりまして賛成をいたします。
  103. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 他に御意見もないようですから、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認め、これより採決をいたします。  企業合理化促進法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を、衆議院送付の原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  105. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  それでは次に、豊田委員から提出されました本案に対する付帯決議案を問題に供します。本決議案を、本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  106. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 全会一致と認めます。よって本決議案は、全会一致をもって本委員会の決議といたします。  なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例によって、これを委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  それから本案を可とされた方は、順次、御署名を願います。   多数意見者署名     青柳 秀夫  豊田 雅孝     西川彌平治  古池 信三     高橋  衛  小滝  彬     加藤 正人  小幡 治和     相馬 助治  阿部 竹松     大竹平八郎  海野 三朗     岡  三郎  大谷 贇雄     高橋進太郎
  108. 近藤信一

    委員長近藤信一君) この際、ただいま可決されました付帯決議について、通産大臣意見を求めます。
  109. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) この法律案は、もとより中小企業者、大企業者という区別をいたしておるものではございません。その法律の運用に当りましては、極力中小企業者に恩典のいくように、大企業に偏重にならないように十分配慮するつもりであります。その点は十分御了承願いたいと思います。
  110. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それでは、本日は、これにて散会いたします。    午後五時四分散会