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参考人(
赤松要君) すでに、
実業界の
練達なお二人の
参考人から御
意見が出ましたので、私つけ加えることが実はないのでありますが、学界におりまして、実際のことがよくわかっていないのでありますけれども、こういう
法案が出まして、新しく
日本貿易振興会というものが新発足をいたしますことについては、
日本の
貿易の
振興に、きわめて
効果的であろうと確信いたしまして、
賛成する次第でございます。
私の見ましたこの新しい
法案につきまして、この第一条に「
わが国の
貿易の
振興に関する
事業を総合的かつ効率的に実施する」この点が特に注意されなくてはならぬところでないかと思うのであります。総合的ということは、まあ
ジェトロの発展につきまして、いろいろなものが一緒になって今日に至っておるようでありますが、おそらく私も外国のこういう同じような
機関についての
知識を十分に持ちませんが、
日本において総合的に
貿易あっせん所を作るとか、あるいは
見本市の
開催とか、まあ、いろいろなこの
振興策を、総合的に集めた
機関というのは、これが
世界でもって代表的な
機関になりはしないかということを感ずるのであります。従って、そういういろいろな
機能を持っているところのこの
振興会というものが、有機的に活動する必要を感ずるわけでありまして、まあ、この点に
一つの特徴があるということを感じます。
それから
効果的にということが、これはまあ、先ほど両
参考人から言われた
通りでありますが、いかにこれを
効果的に
運営するかということが非常に重要な点であろうかと存じます。で、今度二十億円の
基金ができますし、それに
民間の
資金を集めまして、
運営資金が約二十億ということでございます。これは私の
知識では、
世界でたとえばドイツはばらばらに分れておりますが、みな
政府機関でありますけれども、それをたとえば
見本市の
委員会だけの
予算が約十二、三億円といったところでございましょう。もっともブラッセルの今度のこの
博覧会に対する十億円ばかりが、その中に入っておりますからして、残ったのはやはり四億
程度の金しか使っていない。そのほか、まあ五、六億
程度の金を使っているのじゃないかと思うのであります。それに対して
運営資金二十億という
機関でありますから、相当大
規模なものであるというふうに感じます。で、これがどれくらいの
効果を出すかということが、これは私ども観察していきたいと思うのでありますが、かりに
日本の
貿易総額に対して一%だけこれを促進する
効果を及ぼしたといたしますと、これは一%というのは、きわめて小さいのでありますけれども、約百億円の
輸出増進になりましょう。その場合に、たとえば
外貨獲得率を七割と仮定いたしまして、七十億円の
外貨が入ってくる。それにかりに二十億円の
運営資金が全部
外貨になったとすれば、百億円から五十億円だけ差し引かれる。そうすると、五十億円はとにかく
日本の
国民所得をふやすところの源泉になるわけでありますから、かりに一%の
輸出促進になりましても、約五十億円を
日本の
国民所得に付加することができる
効果を持っているというふうに感じます。しかし、もっとこの
振興会のこの
貿易振興の
効果が、単に一%だけでなくて、もっと上ることは期待されるところでございます。そういう
意味において、非常に
世界的に比べてこの
資金は非常に大きくなっておりますけれども、その
効果から見れば、必ずしもそれはむだに大きな金ではない。さっきから前の
参考人がおっしゃったように、もっと出してもいいのじゃないかという議論も成り立つかと存じます。まあそういう点は、非常に
世界的に大きな
機関ができたということは、私どもの今後期待するところでございます。
まあ今まで申されたことと重複いたすところでございますが、この
運営審議会につきましては、
安田参考人からおっしゃったように、やはりこの
機関というものが
中小企業の役に立つということが、大体
中心になるのじゃないかと思うのであります。
寺尾さんがいらっしゃるのですけれども、やはり
中小企業の利益ということが
中心になってくるのじゃないか。だからして、この
運営審議会には、やはり
中小企業者の
意見を反映するような
委員を御選定になる必要があるだろうということをまあ感じます。
それからもう先にお話しに出ましたけれども、この
機関の
運営というものは、きわめて人に依存することが多いのであります。
貿易あっせん所、その他の
宣伝その他についても、その人が有能であるかいなかということが、もうこの
機関の
効果を出すか出さないかに、非常にかかってくるところが大きいと思うのであります。だから、有能な
職員をここで集めるということが最も重大なことであろうと私は存じます。その
意味におきまして、第三十条に
役職員の
給与及び
退職手当を規定するということがございます。この点は十分に御考慮願って、まず外務省の
在外公館の人々とあまり遜色のないような
給与規程をお作りになって、そして最も有能な
職員をここに集められるということが、この
機関を
運営するために最も必要なことであると存じます。人を得るということは、この
運営については非常に大きいということを、私は感ずる次第でありますが、その点を
一つ十分に御考慮いただきたいと思うのであります。
まあ今度は
特殊法人でありますからして、非常に
監督は厳重になるのでございますが、この点はもうすでに申された
通りに、これが
弾力性を持った
監督であるということがきわめて必要でありましょう。もっとも、従来の
ジェトロに比べまして、今度はその費目の
融通というのは、この
経費の
融通性は、今度の方がむしろ
弾力性があるのじゃないかということを感じますけれども、その点は、その
監督につきましては、十分な
弾力性を持たして
運営されるということが必要でありましょう。
それからもう
一つ、この
事業の中で、第二十一条でありましたか、従来のところと違う点がございますが、この第二十一条に
事業が並べてございますが、その第一項に、「
貿易に関する
調査をし、及びその成果を普及すること。」この点が
ジェトロの場合は、前のときは
海外市場の
調査ということになっておったように記憶いたします。で、これを
貿易に関する
調査をするというふうに改められたことは重要である。というのは、さっき
安田参考人からもおっしゃったように、
国内におけるところの
調査もやはり必要でありますし、単に
海外だけでなくて、
国内との
連絡が必要でありますし、また、それを十分に
国内に普及せしめるということも、すでに
安田さんからおっしゃった
通りであります。ですからして、この「
貿易に関する
調査」をするという、そういうふうに改められた点に、
一つの
重点があるということを、その点を十分に生かしていただけば、
安田さんの御
意見が通るのじゃないかというふうに考える次第でございます。
それから今までおっしゃらなかったことで、
一つ申し上げたいことは、この
中小業者の
過当競争というものが、常に問題になっております。そして
海外におけるところの
輸出価格の低下ということが、この
過当競争から来ていることは、すでに言われているのでございますが、この
貿易あっせん所その他におきまして、現地におけるところの
業者との懇談を開いて、そしてこの
過当競争を、この
振興会が
中心になって
一つやめるというような
一つの方法をとるということが、私は
一つ考えられなくちゃならぬじゃないかというように考えるのであります。
で、今の
事業計画の中には、単に
貿易のあっせんをするということだけ書いておりますけれども、その
貿易あっせんという中に、そういう
過当競争を
一つ改めるというようなこともやっていただく。そうしてできるだけ
日本の
輸出品の価格を維持していく。まあ、品質ももちろんでありますが、価格を維持して、投げ売りにならないような方法をとるということが、必要であろうと存じます。
さらに、外務省との
連絡などを、すでにおっしゃったのでありますが、この
振興会のほかにたくさんの
貿易団体がございますので、その
貿易団体との有機的な
連絡をぜひお願いしておきたいのでございます。
まあ、そういうことが私の希望でございまして、全面的に私はこの
法案が成立して、活発なこの
振興会の活動を期待するところでございます。それでこの点につきましては、この
振興会がどれくらいの能率を上げているかということは、まあ
通産大臣がこれを
監督せられるところでありますが、この
振興会の
効果がどれくらい上ったかということは、具体的にはなかなかつかめないのでありますけれども、しかしながら、これはいろいろな方法でもって、
振興会ができ、こういう
貿易あっせん所をふやし、
見本市をふやすというようなことから、どれくらいの
日本の
貿易の促進に
効果があったかということは、いろいろな方式でもって算定できると思うのであります。この点を十分に常に
監督官庁において研究されまして、つまりこの
振興会を絶えず鞭撻するということが私は望ましいと思うのであります。まあそういうことを、私の希望
意見を申し上げまして、私の
意見を終ることにいたします。