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1958-03-18 第28回国会 参議院 商工委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月十八日(火曜日)    午前十時四十八分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     近藤 信一君    理事            青柳 秀夫君            古池 信三君            相馬 助治君    委員            大谷 贇雄君            小沢久太郎君            小幡 治和君            小滝  彬君            小西 英雄君            高橋進太郎君            高橋  衛君            海野 三朗君            岡  三郎君            島   清君            椿  繁夫君            加藤 正人君            豊田 雅孝君            大竹平八郎君   政府委員    通商産業政務次    官       白浜 仁吉君    通商産業大臣官    房長      齋藤 正年君    通商産業省企業    局長      松尾 金藏君    通商産業省軽工    業局長     森  誓夫君    工業技術院長  黒川 眞武君    中小企業庁長官 川上 為治君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○企業合理化促進法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○合成ゴム製造事業特別措置法の一部  を改正する法律案内閣提出、衆議  院送付)     —————————————
  2. 近藤信一

    委員長近藤信一君) これより商工委員会を開きます。  本日はまず企業合理化促進法の一部を改正する法律案を審議し、そのあと合成ゴム製造事業特別措置法の一部を改正する法律案を審議いたします。  それでは企業合理化促進法の一部を改正する法律案を議題に供します。  まず、本案内容について説明を聴取いたします。
  3. 松尾金藏

    政府委員松尾金藏君) 企業合理化促進法の一部を改正する法律案で、今回第五条を改める規定内容趣旨につきましては、前に提案理由で御説明を申し上げたと思いますが、条文のおもな要点について補足説明を申し上げます。  この合理化促進法の第五条に今回追加しようといたしまする内容は、この表題にございますように、「新技術企業化用機械設備等に対する所得税又は法人税課税特例」、具体的には特別償却を目的とする機械設備内容確定するものであります。この第五条の第一項におきまして、「主務大臣及び大蔵大臣は、政令の定めるところにより、試験研究成果である新技術企業化する者に対し、その行おうとする当該技術企業化国民経済上緊要なものであり、且つ、その取得し又は製作しようとする機械設備等当該技術企業化する場合の主要な生産工程において欠くことができないものである旨の承認をすることができる。」この第一項におきましては、まず、そのような税法上の特別の扱いを受けます機械設備等につきまして、主務大臣及び租税担当大臣であります大蔵大臣が、その設備機械等内容承認する規定であります。ここで「政令の定めるところにより、」と書いておりますのは、今申します承認基準政令によって大体確定をしようという意味のものであります。そして「試験研究成果である新技術企業化する者」というのが、その企業者対象でございますが、ここで申します新技術は、やはりその技術企業化する段階におきまして、技術的にも不安があり、いわゆる企業化する段階において不安があるような新技術企業化する者についての対策を主としてねらっておりますから、こういう内容の新技術対象になると思います。また、企業化という意味は、まあ生産技術としてそのような若干の不安のある未確定なものを生産工程において応用して、いわゆる企業段階に乗せるというような意味の場合であると思います。そういうものに対して、その「技術企業化国民経済上緊要なものであり、且つ、その取得し又は製作しようとする機械設備等当該技術企業化する場合の主要な生産工程において欠くことができないものである旨」と申しますのは、その企業化する場合に、その企業化段階において、いわゆる不可欠な、主要な、生産工程において不可欠な機械装置と、これと一体化した、不可分なような建物構築物というようなものがここで承認対象になろうと思いますが、付属的な、付属工程に属するようなものは、ここでは主要な生産工程の外になるというような意味合いになると思います。  次に、第二項におきましては、このような承認を受けまして企業化しようとする者が、政令で定める期間内におきまして、ある一定期間内におきまして、当該承認を受けた機械設備等を取得しまたは製作して、当該承認を受けた新技術企業化の用に供した場合において、政令の定めるところにより主務大臣証明を受けたときは、当該証明を受けた機械設備等については、租税特別措置法の定めるところにより、特別償却を行うことができる、前に承認を受けましたものにつきまして、さらに企業化の用に供したことがやはり主務大臣証明によって確定された場合に、初めて租税特別措置法特別償却規定適用がある。こういう意味でありますが、ここで「政令の定めるところにより」と書いておりますのは、証明手続についての内容を予定をしておる意味合いであります。  なお、租税特別措置法に、このように確定されました内容機械、その他の資産につきまして、特別償却をどのような程度にできるかという内容が、租税特別措置法にうたわれておるわけでありますが、これは参照条文としてこういうものをお配りしてございます。その参照条文の、ページを打ってなくて御不便かと思いますが、終りから四枚目のところに、租税特別措置法の一部を改正する法律案抜粋をここに掲載いたしております。この法律案抜粋の中で、今申しましたところの裏のところに第十二条の二という規定が書かれております。この第十二条の二がただいま申しました「新技術企業化用機械設備等」ということが確定をされましたものについて、どの程度特別償却ができるかということの内容を書いておるものであります。この十二条の二は、個人事業所得の場合の計算の場合の特別償却でございますが、なおあとに、そのもう一枚飛びましたあとのところに四十四条の二という規定がございます。これは同じく新技術企業化用資産特別償却法人の場合、法人税法扱いの場合の特例でございます。  まず、最初の十二条の二について申し上げますと、この十二条の二には「青色申告書を提出する個人が、昭和三十三年四月一日から昭和三十八年三月三十一日までの間に、」このように五年間に限ってございますが、これは従来大体このような租税特別措置をやります際には一応時限を切って、ここでは五年の時限と切ってございますが、一応五年間ぐらいの時限を切って、再検討機会を五年後に一応持ちたいというような意味時限法になっておりますが、時限規定になっておりますが、もちろん、これは五年後に廃止するというような意味ではございませんで、五年後の状況において再検討機会を持ちたいという程度意味に了解されております。そのような五年の期間の間に、先ほど申しました合理化促進法第五条第一項の規定による承認を受けた場合におきまして、その承認を受けた機械設備等でその製作後事業の用に供されたことのないもの、と申しますのは、その機械設備等新品であるということを、法律用語ではこういうふうな表現を用いておりますが、転用されたようなものではいけない。新品であることが必要であるという意味であります。その機械が作られた後に事業の用に供されたことがないということが要件になっておる。そのような新品機械設備を取得し、または当該機械設備等を製作して、と申しますのは、自分のところで製作して、自分のところで用に供するという場合を想定しておると思いますが、そのような機械設備等を製作して、「これにつき同条二項に規定する証明」、先ほど企業化の用に供したということの証明主務大臣から受けましたならば、「当該承認に係る新技術企業化の用に供した日の属する年における当該個人事業所得計算上、当該証明を受けた機械設備等減価償却費として必要な経費に算入する金額は、所得税法第十条第二項の規定」これはいわゆる普通償却規定でございますが、「規定にかかわらず、当該機械設備等取得価額の二分の一に相当する金額以下の金額当該個人が必要な経費として計算した金額とする。」つまり初年度二分の一償却と、まあ言いならわしておりますのは、ここで申します取得価額の二分の一相当額以下の金額で、その個人企業者がそのときの企業経営状態によって二分の一を最高として、そこまでは減価償却費として必要経費に算入することができる。こういう意味合いであります。なお、ここにただし書きがついておりますが、このただし書き意味しておりますのは、当該機械設備等減価償却費として、同項といいますのは、十条第二項の規定を指しておると思いますが、いわゆる普通償却規定によって普通償却相当額のところまでは必要な経費に算入される金額を下ることができない。つまり普通償却相当額までは個人の場合には常に償却が一応行われて、その普通償却相当する金額必要経費に算入することによって、かりに赤字が出てくる場合には、個人の場合には通例欠損繰り越しの形で経理が行われますので、個人の場合に限って普通償却相当額までは償却をやって経理をするようにというようなただし書きが加わっておるわけであります。  その次に第二項の規定は、これは条文で申しますと、今申し上げておりますところのページから三枚前のところに、第十一条第二項の規定を掲げておりますが、この規定は、ただいま申しました減価償却特別償却をやることをその年の利益でできない場合において、二年だけ繰り越しができるという意味規定が十一条第二項にあるのでありますが、これをこの場合に準用しておるわけであります。  それからその次の第三項の第十条の規定と申しますのは、これは重要機械についての三年五割増のやはり同じく特別償却規定でございますが、これは当然それよりさらに有利な特別償却をここで規定しておりますから、そのような規定は、ここには適用しないということを掲げておるのであります。  あと第四項は、単なる手続規定準用でございます。これが個人の場合の規定でございます。  四十四条の二、終りから二枚目の表に掲げておりますのが、同じく今度は法人についての規定であります。内容は大体同じような表現をとっておりますが、この法人の場合についても、やはり五年の時限規定が入っておりまして、三十三年の四月一日から、三十八年の三月三十一日までの間に、ただいま申しました企業合理化促進法にかかる承認を受け同じくその機械新品でなければいけないし、あるいは自分のところで製作した機械であってその機械企業化に充てるということについて主務大臣証明を受けましたならば、その承認にかかる新技術企業化の用に供した日を含む事業年度法人税法及び同法に基く命令の規定により計算される当該証明を受けた機械設備等償却範囲額取得価額の二分の一に相当する金額とする。ここで二分の一特別償却規定を明確にしておるわけであります。  なお、その第二項におきましては、先ほど申しましたと同じような意味で、三年五割増償却特別規定はこの場合に適用がないという意味規定であります。第三項は手続規定準用でございます。これが初年度二分の一償却に関する個人法人の場合の規定租税特別措置法で今回改正提案をされてきた内容のものであります。  なお、このような企業化資産につきましては、地方税法におきましても特別の規定を設けております。それは一番最後のページに出ておりますが、地方税法の三百四十九条の三におきまして、「企業合理化促進法第四条第二項又は第六条の規定適用を受ける機械設備等」と書いておりますが、これは現行の規定がこうなっておりますが、今度改正をいたしまして、第四条第二項の次に第五条第二項というのを改正で加えることに相なりました。その加えることによりまして、ただいま申しました承認を受け証明を受けたような機械設備企業化資産に対しましては、これに対して課する固定資産税課税標準は、一般原則にかかわらず、当該機械設備等に対して新たに固定資産税が課せられることになった年度から三年度分の固定資産税に限り、当該機械設備等価額の二分の一の額とする。三年間につきましてその課税標準を二分の一にとどめるということで、固定資産税減税が行われるということになります。国税におきましては特別償却、同じくその資産地方税としての固定資産税については減税ということが予定されておりまして、そのような企業化資産範囲規定する内容法律を、今回企業合理化促進法の第五条に追加いたした次第でございます。  税法条文は、非常に読みづらい条文でありますので、私の説明もあるいは十分でなかったかと思いますが、もし御質問がございますれば……。
  4. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それではこれより本案質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 この改正案を見ますると、法文としてはごくわずかなんでありますが、しかし、これだけの法文の中に出て参りまする新技術企業化、こういう問題が、これが一番基本でもあるわけでありますが、非常にたくさん出ているのでありますが、それで新技術企業化ということについての、いま少しく詳しい御解明を得たいと思うのでありますが、それは新技術という点に関しては、わが国で行われております試験研究成果であって、いわゆる生産技術として確立されていないものと考えているようでありますが、こういう考えから申しますというと、この技術国産技術のみに限定をせられているようであります。この点、政府の御答弁を一つ伺いたいと思うのであります。さらに、国産技術のみに限定をするならば、法文上どこにその点をわれわれは解釈したらよろしいのか。この中に「国民経済上緊要なものであり」という規定があるのでありますが、これで読みますというと、いかにも大ざっぱ過ぎるのでありますが、まずこの点について伺いたいと思うのであります。
  6. 松尾金藏

    政府委員松尾金藏君) ただいま御指摘ございましたように、この法文の表には、特に国産技術という点の表現で明示いたしてはおりませんけれども、これは前に今回の改正案提案理由のときにもその意味を御説明いたしたかと思いますが、要するに、ここで申しております新技術企業化についてこのような特別措置をとらなければならないゆえんのものは、その新技術について相当大きな資金を要し、しかも技術的に相当の不安がある、そういういわゆる企業化段階における不安を事業者に踏み切ってもらうための特別措置であり、それを促進するための特別措置でありますので、ここでも言っております新技術と申します場合には、先ほど私が御説明いたしたと思いますが、そのような企業化段階における資金技術的な不安があるものということに限定して運用されると思います。今御指摘のございました国産技術につきましては、それについてそのような不安がなければ、国産技術といえども、このような特別措置は必要としないわけであります。国産技術につきましては、いろいろな奨励策がとられても、なお企業化段階において相当そういう問題がありますので、このような特別措置をどうしてもとらざるを得ない。しかしその半面、外国技術導入がいろいろの機会に行われますが、外国技術導入をいたします際には、そういう技術上の不安を企業化段階において伴うような技術は、もともと外国技術を金を出して買う場合に、導入すべきでないという外国技術導入についてその前提になる方策がございますので、そういうスクリーンを通ってきた導入による外国技術については、事実上そういう不安を伴わないはずだ、従ってこのような特別措置を必要としないであろう。こういうことで、この法律の運用につきましては、国産技術ということに実際上限定されてしまうだろう、こういう意味合いでございます。
  7. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 そうすると、この前提として外国技術というものは、どういう意味からいっても、この解釈の中に入らない。従って外国技術というものはこの適用には一切入れない、こう解釈してよろしいですか。
  8. 松尾金藏

    政府委員松尾金藏君) 現在のような外国技術導入方針がとられております限り、結果において必ずそうなると思います。
  9. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 次に、この企業化の問題でありますが、これは単に生産過程に応用することであるのか、または、一定経営ベースというか、または採算ベースというか、こういうような意味なのか、この辺の一つ具体的な例を示してもらいたい。
  10. 松尾金藏

    政府委員松尾金藏君) ここで企業化と申しておりますのは、私先ほどそういう新たな未確定生産技術生産工程に応用するというふうに御説明いたしたと思いますが、その意味は、やはり企業化と言うからには、必ず利益を上げなければならぬというようなことが、一応の目標ではありましょうけれども、必ず利益を上げなければならぬというのではなくして、やはり技術上の不安あるいは資金上の困難を克服して、一応生産工程に応用されて、生産が普通順調にいけば、それで一応企業化というふうに考えざるを得ないと思います。具体的な例につきましては、今工業技術院長から一、二御説明申し上げたいと思います。
  11. 黒川眞武

    政府委員黒川眞武君) 二、三具体的な例について御説明いたしたいと思います。御承知のように、試験研究におきまして成果を得ましたものでございましても、これを企業に乗せます場合には、先ほども企業局長から申しましたように、生産技術というものが伴いませんと、そこに経済的な成果が伴わないという例が多々ございます。たとえて申しますと、工業技術院におきます工業化試験補助金を出しました、硫酸滓硫酸を取ったかすでございます。その硫酸滓から、水性ガスというものを通しまして、これを還元いたしまして、粉末の冶金用の鉄を作るというような独得の技術がございます。これが一応成功いたしたのでございますが、当時の試験設備の規模と申しますと、月に約一トン程度試験設備研究いたします。しかしながら、この程度では、企業採算ということが、技術的にはできても、のりませんのでございます。大体科学的常識から申しますと、その十倍程度設備によりまして試験いたしますと、そこに初めてオートメーションの導入であるとか、あるいはまた、その製品の品位の一定度、均一度とも申しますが、均一度、あるいはまた、それから出ますところの副産物、銅であるとか、あるいは硫酸第一鉄であるとかいうような、そういったような副産物生産もからみ合せますと、そこに初めて経済的に有利に展開してくる。そういうことがわかりますのには、どうしても今のような十倍程度設備にしなければならない。それが企業化試験あるいは企業化設備最低単位というふうに申しております。そういうような設備で初めて経済技術との一つの並行した企業が成り立って参ります。今、われわれが申しておりますのは、この十倍の設備相当するもの、これが企業化最小単位とでも申しましょうか、そういう設備によりました設備に対して税制の優遇措置を講ずる。これが完成いたしますると、その需要供給によりまして、さらに十倍とかというような設備も拡張するでございましょうが、一番とにかく企業化最小単位ということを一応の目安にしております。  なおまた、もう一つの例を申しますと、強化プラスチックというものがございますが、このポリエステルの樹脂の国産技術がやはり確立いたしまして、最初は大体月に三トン程度試験でやっておったのでございますが、これが企業化のただいまの段階になりますと、月に約二十五トン程度設備でやりました。そこで初めて生産技術導入されてこれで企業化はいくということで、これはさらに実際の例でございますが、そのまた月に二百二十五トンというほどの大きな工場に拡張して現在成功しております例でございます。そういったような順序で大体企業は進んでいくと考えております。
  12. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 次に、この制度は、自分自身試験研究を行なってその成果企業化する場合においてのみ適用されるのであるか、あるいは国の試験研究機関などの研究の結果を購入したものを企業化する場合なども適用されるのであるか。またその際それに伴って特許権等の問題もございますし、それから所有権等の登録というような問題もあるのでございますが、この点を伺いたいのであります。
  13. 松尾金藏

    政府委員松尾金藏君) その当該技術試験研究自分でみずから行う場合はもちろん問題はありませんが、自分以外のものの試験研究成果を俗に言う買い取って企業化する場合にも、この法律適用が予想されております。御承知のように国の官公立試験研究機関その他におきましても、相当試験研究が行われておりますが、その成果を購入するような場合もあると思いますが、いずれにしてもそのような試験研究の結果が、必ず特許権という形で確定されておるということは、別段この場合の要件にはならないと思います。
  14. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 次に、主務大臣それから大蔵大臣承認した機械設備について特別償却を行うためには、本改正案のこれは第五条第二項にあるように、政令に定める期間内に企業の用に供せねばならぬことになっておるのでありますが、この「政令で定める期間」は何年くらいを一体予定しておるのか、また、その期間はいかなる根拠に基いて制定をされておるのか、その点を伺いたいのであります。
  15. 松尾金藏

    政府委員松尾金藏君) ここで予想しております「政令で定める期間」と申しますのは、一応現在までのところ三年以内くらいの適当な期間を考えてはどうかと思います。と申しますのは、第五条第一項に掲げておりますような企業化承認を受けておりながら、その承認だけを取ってなかなか実際化しないというのでは、もともと企業化促進する趣旨にも適当でないと思われますので、やはり承認を受けてから少くとも三年以内くらいの期間企業化されることが望ましいという意味で、そういうことを予定いたしております。
  16. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 その根拠について……。
  17. 松尾金藏

    政府委員松尾金藏君) 三年と申します根拠は、非常に科学的なはっきりした根拠というわけにも参らないと思いますが、ただいま申しましたように、承認を受けてその権利の上に眠ったりされては、その法律趣旨が、もともと企業化促進でありますから、また、そのような新技術企業化するという承認で、新技術をいつまでも抱いておられても困ります。促進意味から、やはり実施について期間を限った方が適当であろう、こういう意味でございます。
  18. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 次に、この制度によって企業化計画承認基準及び企業化用機械設備承認基準、これについてお尋ねをしたいのでありますが、この制度は、研究成果企業化しようとする者は、本法案の第五条第一項によって、企業化着手前に申請書に添えて、企業化計画やあるいは取得する機械設備等の明細を主務大臣及び大蔵大臣に提出し、そして両大臣一定基準を条件にして承認することになっておるわけでありますが、その企業化計画承認基準は、どういうものであるか。さらに承認される新技術企業化用機械設備範囲はどの程度であるか。また建物付属設備に入るものはどのようなものであるか、こういう点についてこまかいものでありますが伺いたい。
  19. 松尾金藏

    政府委員松尾金藏君) ここで企業化計画承認として承認をする際の基準というような考え方で申しますと、先ほど申しましたような趣旨から申しまして、やはりわが国で行われた試験研究で、重要な試験研究成果に基くものというようなことを先ほど申しました。現在外国技術導入等については、不安のないものしか導入をしないという建前にある現状からは、基準のときにそういう項目を一項入れなければならないであろうと思います。なお、この法律で、その企業化国民経済上緊要なものであるというように書いておりますような意味を、やはり基準の際にうたいますというと、やはり日本の輸出の振興、輸入の防遏、あるいは資源開発、あるいは重要産業の発展というようなことのために、いずれにしても日本の経済自立の達成促進のために、特に必要であるというような意味のことを、国民経済上緊要であるという意味を敷衍して基準の中にうたいました。しかも、そのような企業化をしようとする新技術技術的にある程度の不安が予想されるので、その不安を克服するための措置であるということで、そのような成否についてある程度不安があるというようなことも、やはり承認の際に要件として基準にうたわなければならないと思います。さらに、先ほど申しましたように、三年以内くらいに実施をすることを予定いたしておりますが、承認後三年以内くらいに企業化し得るくらいの見込みのないというものは、やはり最初承認の際に、そのようなものは除いて考えるべきだということも、承認基準一つにうたわなければならないのではないかと思います。いずれにいたしましても、ここに書かれておりますような趣旨を、今申しましたような三、四の要件でしぼりまして、承認基準として具体的な個々のケースの承認をすることになると思います。  次に、その企業化用機械設備等範囲についての問題でございますが、これは先ほど御説明をいたしましたように、主要な生産工程において欠くことのできないということに法律表現をいたしております関係から、その半面には、主要な生産工程に関係のない付属工程に属する機械設備等基準において除くことを命じた方がよろしいと思います。また、その欠くことができないという意味も、やはり企業化段階において不可欠の機械装置であり、しかもその機械装置と一体となっておるような建物構築物というようなものまでは、やはりその中に含めて考えるというように、その範囲承認基準ではっきりした方がよろしいと思います。現在考えておりますのは、その程度内容でございます。
  20. 相馬助治

    ○相馬助治君 大竹さんが今の承認の問題について質問していますが、それに関連して一点、非常にしろうと考えで幼稚な質問かとも思いますが、実際にあり得ることであると思うので、お尋ねしておきたいと思うのです。新技術企業化を行うに際して、その機械設備その他について主務大臣がこの申請に対して承認する場合に、指導的な意味を含めて、積極的な意思をそれに加えて承認する際もあり得るのか。それとも出されたものに対していい悪いだけを判断してそれを処置するのか、承わりたいと思うのです。どういうことを聞いておるかというと、うまく表現できないのですが、新技術企業化を行うに際して、こういう機械を入れて、こういう設備で今やろうとするのだから頼む、こういう申請を受けた場合に、主務大臣としてはそれはけっこうだけれども、そんな規模ではまずいから、もうちょっとこういうところから融資を受けて、もっと大きくしたらどうだとか、それからまた、入れようとする機械については、とてもそれでは工合が悪くなることが目に見えているのだから、こういうもうちょっといいものを入れて、そうしてがっちりとやってみたらどうなんだ。そういうふうにするならば承認するし、そうでなければどうもやってみてもうまいことにいかぬと思うから、これは承認するわけにいかぬ、こういうような意味の積極的な意思をもって、指導的な立場から承認するという態度をとるのか、それを承わっておきたい。
  21. 松尾金藏

    政府委員松尾金藏君) ただいまお話しのございました点は、具体的な場合で相当差があろうかと思いますが、たとえばその企業化しようといたします技術内容が、その企業自身がみずから試験研究した結果であるというような場合には、やはり建前として、その企業が一番よく知っているはずであります。またその企業自身の危険負担でそれを企業化しようとする場合でございますから、そのような、今お話しのございましたような指導的云々というようなことは、事実上非常に行われにくいでありましょうし、また、むしろ行うべきではないというような考え方でいかなければならないかと思いますが、そうでなくして、たとえば先ほど申しました国の試験研究機関研究をされた成果である新技術企業化するような場合という場合には、その企業者企業化するような段階におきましては、やはり国の試験研究機関がみずから研究した成果企業化については、相当いい意味の指導的な役割を果して、また、その承認に当りましても、その企業化の計画等につきましては、いい意味の指導的な役割を果すということに相なるだろうと思います。具体的な場合で差があろうと思いますが、一番はっきりした場合は、そのような場合であるかと思います。
  22. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 次に、中小企業との関連についてお答え願いたいと思うのでございますが、むろん、この制度は中小企業でもだれでも利用できるようなことになるのでありますが、しかし実際問題として、三百人以下の従業員を持つ小さな企業では、いわゆる本法に言う企業化などを企てるという余裕が少いのではないか、これは実際問題としてです。従ってその中小企業には、せっかくこういう法律が通っても、受くる恩恵というものは少いのじゃないかとわれわれは考えておるのでありますが、政府として、いや、それは違う、実際に中小企業もこの恩典に浴するのだという、こういうお考えがありますならば、どんな業種、業態のものがその場合に一本あるのか、その点を一つ伺いたいと思います。
  23. 松尾金藏

    政府委員松尾金藏君) この法律の建前は、もちろん企業の大中小を問わないことは申すまでもございませんが、企業の大中小を問わず、その企業化内容国民経済上緊要のものであればいいということに当然相なろうかと思います。ただ、事実問題として、今お話しのように、そういう試験研究の結果企業化し得るものは、大部分の場合が力の強い大企業であるのではないかという点は、これは傾向として全然それを否定するわけにはいかないかと思うのでありますが、ただ、私どもの方で従来工業化試験に基いて補助金を興、日銀で交付されておりますが、その内容等を見ましても、やはりその相手方企業には、相当程度中小企業が入っておるようにわれわれの実績にも出ております。これは実施をしてみなければということになるかもしれませんが、決して大企業だけになるということは私ども考えておりません。
  24. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 次に、本案の重点であります特別償却の問題でありますが、利益があったら償却できて恩典に浴することができるわけでありますが、必ずしもそうとは限らないのでありますが、企業利益が出なかったら償却もできず、従って全然恩典に浴することができない、こういう不公平があると思うのでありますが、その点いかがでありますか。
  25. 松尾金藏

    政府委員松尾金藏君) この制度がやはり特別償却制度でございますから、御指摘のように利益が上らない企業については、特別償却の恩典は実際上受け得ないということは、当然やむを得ないところでありますが、ただ、その利益云々も、先ほど申しましたように、当該年度利益がかりに上らないで特別償却ができなくても、法人個人について違いはございますけれども、やはりある期限は繰り延べできるような配慮も行われておりますし、特別償却という制度が補助金でないということから申しますと、その点はやむを得ないと思いますが、しかし、また一面、補助金に比べますと、そのような税法上の特別償却ができるという見通しのもとに、企業化採算ベースがやはり見通し得るという意味では、年々の補助金というものよりは企業化段階ではむしろ見通しが立てやすいという一面もあると思います。ここでは一応特別償却という範囲限定した措置をとっておるのであります。
  26. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それから新技術企業せられまして、本法の適用によって問題の税制上の優遇措置が与えられる。しかし、これを永続的に企業化していくという際には、長い間には相当のリスクというものも見なければならないと思うのでありますが、こういう際に政府は特に金融上のテコ入れとかその他の措置について、特別の配慮をするというようなことについてはいかがでありますか。
  27. 松尾金藏

    政府委員松尾金藏君) この法律内容と直接の関係はないかもしれませんが、従来もやはり新技術の問題につきましては、開銀等財政投融資の面でも必ずしも十分ではないかと思いますけれども、できるだけの配慮をいたしておるわけでありますが、今回そのように税制の特別措置とこれを相並行いたしまして、企業化段階に伴う資金上の負担については、できるだけ金融措置も並行してとって参りたいと思います。
  28. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 最後にお伺いいたしたいのでありますが、この法律が施行せられることによって一体どのくらい租税が減収になる見込みであるか、その点わかりましたら一つお伺いしたい。
  29. 松尾金藏

    政府委員松尾金藏君) この法律対象といたしておりますものが、新技術企業化という非常に不確定なものを対象といたしておりますので、現在行われておるものについての特別措置でございません関係から、見通しは非常にわれわれも十分立て得ない状態でございます。大蔵省も、どの程度でできるだろうかという点は、確定的な数数字はございませんが、免税の上でも十何億ぐらいは期待できるのではないだろうかという程度のことしか、現状では判断がつかない状態であります。
  30. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 租税特別措置法は、先ほど松尾企業局長からも触れられましたが、大企業といわずあるいは中小企業といわず、いずれにも適用があるような建前にはなっておりまするけれども、実際上、中小企業には絵にかいた餅だ、これを利用できるのは大企業だけだということは、もう今日世論になっておるのであります。これを具体的に言いまするというと、大企業法人が当然納むべき税金を租税特別措置法の利用によって納めないで済んでいる額というものは、かれこれ六百億円といわれておるのであります。一時は一千億円近くあったのだが、世論に従って多少整理をした。それがために幾らか税収額は変ってきておりますけれども、それにしても現在六百億といわれておるのであります。従ってこの租税特別措置法というものは全面的に廃止をして、そうして法人税の大幅引き下げを全面的にやることが、租税の負担公平の原則からいって当然でないかということは、今日世論化してきていることは御承知だと思うのであります。少くとも租税特別措置法を大幅に整理をすべきだ、そうして公平に法人税の引き下げ、あるいはそれによって浮いてくる税源を他に回して、もっと合理的な税制を確立すべきだということは、今日識者の間に起っておる強い世論であります。ところが、今回の行き方は、その世論と逆行するということになっておるのでありまして、その点について根本的に質問をせざるを得ないというふうに考えるのであります。といいまするのは、この企業合理化促進法の一部を改正する法律案要綱を見ましても、「わが国で行われた試験研究成果である新技術であって」云々、新しい技術、しかも、これが試験研究成果であるというようなものになるというと、先ほど、大企業にも中小企業にも適用はできるのだというお話しでありましたが、これは頭隠してしり隠さずで、実際のところは、もう明らかに大企業本位になるということは言うを待たぬのであります。それからまた、重要な試験研究成果に基くものでなければならぬということが、承認基準にもありますが、重要な試験研究成果に基くというようなことになれば、これはまた大企業本位になってくることは言うを待たぬのであります。その点についてはただいまお触れになったのでありますが、さらにもっと具体的なことを言いますると、転用設備は認めないというふうな先ほど法律の御説明もありました。転用設備まで認めぬということは、要するに金のあるものしか利用ができぬということに、これは裏から言えばなることでありまして、さらにまた、先ほど松尾局長自身、これは大きな資金を要することであるので、それを踏み切らせるためには、こういう措置が必要だと言われたのでありますが、これはもうまさに大企業でなければやれぬことを目途にしてこういう法制を組んでおるんだと、ただ個人にもやれるとか、あるいはひとしく中小企業にもいけるとか言うけれども、それは全く上手に一応の絵をかいておるだけで、全く餅にもならぬことは明らかなことなんであります。そういう点からみますると、この法律案というものは、いよいよもって企業格差を非常に大きくして、そして中小企業企業整備に追い込んでいくということになる法律だと言わざるを得ないと私は痛感するのであります。(「同感」と呼ぶ者あり)そういう点について、この法律案というものが、中小企業にどういうふうに役に立つのか、これを率直に端的に、納得のいくように一つお話をしてもらいたい。
  31. 松尾金藏

    政府委員松尾金藏君) ただいまお話しのございました税制の根本論の問題につきましては、あるいは私から御説明するのは適当でないかもしれませんが、税制の問題につきましては、前に税制調査会でもただいまお話しのございましたような点は、いろいろ論議があったと聞いております。この点は税の公平論の問題と、やはり産業政策からの税制論と、その辺の交錯するところに非常に問題があろうかと思いますが、これは私からあまりそういう大きな問題について、これ以上御説明することは適当でないかと思います。  なお、中小企業の問題について、今度のこの促進法の一部改正については配慮がないではないかということが、御意見の中心であったように思いますけれども、確かに今お話しのございました大きな試験研究をやろうと思えば、大きな金がかかる、それは中小企業はできないではないかという一面は、確かにあろうと思いますが、しかし先ほど申しましたように、この試験研究成果である新技術は、必ずしもみずから試験研究をやった成果であることは要件といたしておりませんで、先ほど申しましたように、国あるいは公立の試験研究所におきまして研究されました成果が、その企業化が、むしろ中小企業段階のような企業形態で企業化される方が適当であるというような試験研究もないわけではないと思われます。現に、これは具体的な内容は、あるいは工業技術院長から御説明願った方がよろしいかと思いますが、現に工業化試験について補助金を交付しております。従来の試験研究内容を参考にしてこの制度が実施された場合に、それがどのような形でこの制度に乗っかってくるか、従来補助金交付になっておりましたような合理化試験制度が、どのような形でこの制度に乗っかってくるだろうかということを一応想定してみますと、そういう案件が大体七十件と、さらに今後予想されるものを合せますと、百件程度あるような見通しでございます。その中で中小企業関係のものが、大体四十件くらいというような見通しが出ております。今申しましたように、国あるいは公立の試験研究機関から試験研究内容を受ける場合のほかに、みずからの合理化試験段階においても、やはり中小企業は中小企業として、それに適当な工業化試験のものがあるわけでございます。決して、重要技術だから必ず大企業だというようなことは、従来の実績でも、必ずしもそのようには出ていないというふうに考えております。  なお、転用設備はいかぬということは、結局は中小企業のような資金に苦しい面に対する配慮としては困るのではないかという御意見があったと思いますが、これはそのような角度からでは確かに、いやしくも転用設備であろうが、できるだけこれを繰り入れて税制上特別措置をみていった方が好ましいことは、私ども当然考えるわけでありますが、やはり何分にも先ほどのお話しのございましたように、税制の特別措置でございますので、特別措置を受ける以上は、やはりそのような企業化資産についてみずから大きな負担を負っておるという場合に限定した方が、特別措置としては、そのように限定する方が適当ではないかというような観点の議論から、このように限定されたのであります。全体といたしまして、企業化について相当程度の投下資本が要ることはもちろんでありますが、ここに言っております企業化というものにつきましては、そうむやみに大きな、何と申しますか、初めからいきなり、それを大きな生産ベースに乗せて間違いのないようしてもらうというようなことは、ここで言っておる企業化ではなくして、やはりいわゆる工業化試験から本格的にマスプロに移る中間的な技術上の不安を伴うような企業化段階を目安としておりますから、その企業化の規模というものは、必ずしも非常な大きな規模ということにはなっていないわけであります。そこには、おのずから制限があるというように私どもは考えております。
  32. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 いつも政府当局から説明のあるときには、そういうふうに説明をしないといかぬだろうということは、これは想像するにかたくない、また、職責上当然だと思うのでありますが、しかし、今説明をせられておりましたところにおいての、たとえば転用設備についても減免税はしたいのだ、自分もそう思うと、しかしながら租税特別措置であるから、金のかかるものだけしか認めるわけにいかぬのだ。そういう結果はどういうことになるかというと、中小企業どころではない、大企業中心になっていく、全く絵にかいた餅になっていく。おそらく松尾企業局長も腹の中では大企業だけしか利用ができぬのだというふうに観念しておられるだろうと思うのですけれども、従って最初納得のいくように説明はできぬが、だれかがするだろうと、こういうようなお話しでありました。これは委員長が、納得のいくように説明者を大蔵省なりどっからか連れてきて、納得さしてもらえると思いますから、それまでその問題は待つことにいたしまして、今度は逆に考えさせられるのは、租税特別措置法につきまして、最近まで零細企業に対して概算所得控除制度というものがあったことは御承知と思うのです。これは一万五千円まで一種の零細企業に対する特別基礎控除のような立場で認められておった租税特別措置法の中で、唯一無二の零細企業本位の減免措置であったと思うのですが、それは前回整理の際にぶち切ったので、次に出てくるものは、かような大企業本位の租税特別措置がむくむくと出てくる、ほかに日本の税制について非常に大きな問題があるというふうに考えるのでありますが、これについては、日本に中小企業庁がちゃんとあるのですから、中小企業庁はどういうふうにこれを見られておるか、真剣なる一つ告白を承わりたいと思います。
  33. 川上為治

    政府委員(川上為治君) ただいまお話がありました概算控除の問題につきまして昨年いろいろ議論がありまして、あるいは中小企業関係の方からいいますというと、これはやはり残しておいた方がいいのじゃないかというふうな議論も相当ありましたし、また同時に、しかしこういうような制度については、やはりこの租税制度の方から見ましてどうかというような議論もありまして、結局この制度につきましてはやめることに相なったのでありますが、私どもの方としましては、中小企業については、やはりこういうような制度を残しておいた方がいいのじゃないかというような気持は、依然として実は持っておるわけでございます。これは率直に申しましてそういうことを申し上げるわけでございますが、先ほど特別償却の問題につきましても、いろいろお話がございましたが、なるほど従来中小企業に対しましては、特別償却制度の恩典というのがこれは十分でなかった、その通りでございまして、私どもとしましても、何とかもっとこれを恩典に浴するようにいろいろ努力もいたしまして、この三十二年度からはさらに機械関係を、設備関係を百十一品目ですかふやしまして、そして中小企業者設備にも、中小企業者の持っておりまする機械に対しましても、これが適用されるようにそういうような配慮をいたしまして、三十二年度から現在実行をしつつあるわけでございます。そういうような措置によって、単に租税特別措置法が大企業だけに恩典があるというだけではなくて、中小企業に対しましても十分その恩典が与えられるように、私どもの方といたしましても、実は努力いたしておるわけでございます。それからまた、先ほどこの試験研究設備の問題でございますが、これは松尾企業局長から話がありましたように、私はこれは大企業だけではない、やはり中小企業に対しましても、相当恩典が与えられるのじゃないかというふうに私は考えておるのでありまして、というのは、工業技術院の方で現在工業化の試験の助成金を出しておりますが、現在もおそらくそういう方針でやっておると思いますが、私は前におりましたときも、なるべく中小企業関係の方に重点を置く、たとえば件数におきましても、中小企業関係の方がはるかに多かったというようなことでございましたので、私はやはり今度のこの法律によっても、中小企業相当私は恩典を与えられるのじゃないかというふうに実は考えておるわけでございます。この設備の近代化の問題につきましては、あるいは合理化の問題につきましては、こういう租税関係だけではなくて、われわれとしましては、ほかの方面からもいろいろ努力をしておりまして、たとえば設備近代化の助成金につきましても、本年度は昨年度よりもある程度予算も増額していただきまして、三十三年度においては県及びその国の助成金、それから回収金合せまして十五億程度になりますが、これは少くとも三十三年度においては四十五億の設備の近代化ができるということになって参りますので、従来よりもはるかに中小企業設備の近代化というのは、進められていくのじゃないかというふうに実は考えておるわけでございますが、豊田先生からお話がありましたように、どうも中小企業に対しては非常に不徹底であるということは、これは私も実はその通り考えておりまして、何とか税の面なりあるいは助成金の面なり、いろいろな点で中小企業設備の近代化をはかるということが、非常に大事ではないかというふうに考えておりますが、今のところでは、大体そういうような状況になっております。
  34. 小西英雄

    ○小西英雄君 ちょっと関連して。ただいま豊田委員の問いに対して川上中小企業庁長官は、よく聞いていると、初めのうちはいかにも中小企業にもこの法案を通した暁は相当な恩典があるという一面、また最後に至って、これはやはりいろいろな調査の結果からいうと、大企業の方に有利というような意見にも聞き取れるのですが、いろいろな見地から私たちはいつもここで法案を通す際には、中小企業の方に必ず相当好影響を及ぼすということで、いろいろな新技術に対する補助とか何とかのいろいろな法案を通しましても、今件数に換算すると、七十件のうち四十件が中小企業に出されるということで、数字の上でいつもそういうふうな中小企業のためになっておるというふうにこれは受け取れるのでありますが、内容を調べてみると、いろいろ金融の面から見ましても、件数はいかにも多いのですが、その実質の金額等においては、大ていの場合には大企業の方が七〇%くらいになって、その件数の多い方が三〇%、これは貿易振興についても、いろいろわれわれ努力した成果ということで、政府からいろいろな心配をされましても、六千軒も七千軒もの貿易商社があって、実際の取引は十社くらいで七〇%、八〇%出ておるというのが実情でありますので、私たちはこの法案を通すことが、豊田委員が言われたように、通した結果においていろいろ税制上の恩典を受けて、新技術を生かすような処置をとった場合に、ますます中小企業の方に一つの劣勢ができて、それがしわ寄せになって中小企業はだんだん窮地に陥るという、過去の実績からいくとそういうことがあるのでありますが、川上長官は中小企業の味方として良心的な考え方から、松尾局長と別の立場のわれわれは御返答があるように考えておったのですが、やはりこれは中小企業に非常に恩典のある処置だ、これは改正案だというふうに聞きもしたのですが、最後にちょっとその点がはっきりしなかったのですが、もう一ぺん一つそういう点を明確に御答弁願いたいのです。
  35. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 私の申し上げましたのは、この法律によって中小企業関係が相当恩典を受けるであろうかどうかという問題につきましては、これは松尾局長から話がありましたように、また、現実に工業技術院等におきまして助成金を出しておるその対象が、中小企業者相当入っておるというようなことから考えますというと、やはりこの法律適用というのは、中小企業者に対しましても相当恩典があるのじゃないだろうかというふうに私は申し上げたのですが、しかし、中小企業設備の近代化なりあるいはその合理化なり、そうした方面に対するいろいろな国の援助と申しますか、あるいは税法上あるいは助成金制度あるいは金融上、そういういろいろな角度から、じゃ非常によくやっておるかというと、私は必ずしもそれは十分ではない。ですから私どもとしましては、税の面においても、あるいはまた金融の面においても、あるいはその助成金というような面からいたしましても、中小企業の合理化なり設備の近代化に対しましては、もっともっと国としましては援助なり特別な措置をとるなり、そういうことをやるべきではないかと、そういうふうに私は考えておるわけでございまして、来年度におきましては、そういうような考え方である程度は従来よりも進歩しておるわけでございまして、たとえば先ほど申し上げましたように設備の近代化の助成金につきましても、従来におきましては、三十二年度におきましては、国の助成金は四億というものが五割ふえまして、三十三年度は六億、県のものを入れますと、それに回収金をさらに加えますれば、少くとも十五億の設備の近代化に対する無利子の金が国から出される、それで結局四十五億の設備の近代化が来年度においてはなされる、そういうようなことも実はやりましたし、また、租税特別措置法につきましても、従来は大企業だけがどうも恩典に浴しておるというような傾きがありましたので、機械の品目についてもうんと追加いたしまして百十一品目を見ましたが、三十二年度におきましては追加をいたしまして、中小企業の方でもその恩典に浴し得るようなそういう措置も実はとって参っておるわけでございます。しかし先ほど申し上げましたように私どもとしましてはこれは十分でない。やはり中小企業の問題については、もっといろいろな方面から援助をすべきだということを実は申し上げたわけでございます。
  36. 小西英雄

    ○小西英雄君 やはり私たちは平等に法の建前は、そういうふうなこういう法律案が出た以上は、平等にするのが至当のようにも考えるのですが、中小企業の立場からいくと、こういうふうな租税特別措置なんかは、これこそ中小企業に対してはこういう処置がとられ、資本金は何ぼであるか、あるいは従業員は何ぼ以下のところにこういう処置がとられてしかるべきであって、そこの限定がなければ結局大企業なんか自分でいろいろな研究所を持っておって、あらゆる角度から検討されたものから石橋をたたいていく準備ができておる。その準備のないために、こういう特別償却ができる対象は、いわゆる政府がいう中小企業者、資本金一千万円以下、あるいはその従業員が少いところに限るということの方が、中小企業の立場からわれわれが助成の意味から言うとそれの方が適当だと思うのですが、これはそういう点について特別なこれは法案ができるかどうかこれは別として、私たちは実際問題としては、今言う新らしく機械設備の補助金にいたしましても、内容金額というものは件数が多くてもきわめて少いのでありますが、そういう点については中小企業庁長官はどうですか、どういう考え方を持っておられるのですか。
  37. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 実は私もやはり大企業と中小企業とは、できれば区別して中小企業の方を厚くするというようなやり方をとって参りたいという気持は持っております。現在法人税につきましても、やはり中以下のものにつきましては特別な措置をとっておりますし、その他の税金につきましてもそういう段階的な措置をとっておりますから、できればこういうものにつきましても、そういう措置をとってもらいたいと思うのですが、これはまあいろいろな技術的な点から見まして非常にむずかしい点もあろうと思いますので、まあ、今回の措置としては同じような扱いをとったと思いますけれども、将来できればいろいろなものにつきましてもっと段階をつけて、そうして特に中以下のものにつきましては、まあ零細企業等については特に特別な措置をとるという方向に、私どもとしましては持っていくように努力したいというふうに考えております。
  38. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 ただいま中小企業庁長官それから企業局長、いろいろ苦しい御答弁があったわけでありますが、しかし、価格変動準備金、これらを通すときには、中小企業側にも、やはり価格変動準備金として積み立てれば減免措置を受けられるんだというような説明をされてきたのであります。それから重要物産の免税関係についても同様であります。しかしやってみれば、もう大企業だけがもちを食うとか、中小企業はよだれを流しておるというようなことになるのでありまして、まあしかし、お答えとしてはそんなふうにも答えられなければならぬかと思いまするが、さらにまた、どういう業種を考えておるということでいろいろあげられるでありましょうけれども、これは全くデスク・プランでありまして、こうもあってほしいということだけで、やってみればこれは何にも利用できないということは、過去の実績が明らかに示しておるのであります。従ってお話を聞けば聞くほど、ふに落ちぬことがあって納得がいきにくくなるわけでありますが、しかし、これは政治的な問題もありますし、いずれ、通産大臣あるいは大蔵大臣、ここらとしっかり論議を重ねなければいかぬ問題かと思うのでありまして、それだけに、それぞれ事務当局の方から御連絡を願っていただきたいと思いますると同時に、大幅の法人税等の減税をやって、きわめて不合理な、きわめて不公平な租税特別措置をやめていかれれば、企業内部にそれぞれ蓄積ができたら、私は見込みのある新規の技術、これはどんどんほうっておいてもやる。むしろ、それで成功すれば、それだけ大きなところは所得収益が出てくるのでありますから、あまりにこの小手先を弄し、しかも、それによって中小企業、零細企業は飛ばっちりを受けるというような行き方は、税制の正義感から私は非常に問題だという点を申しますが、そういう趣旨で、どうかそれぞれ関係大臣に連絡をしておいてもらいまして、大臣自身からこの誠意のある所信を伺う機会委員長に作っていただきたいと思います。
  39. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 豊田委員の御発言に関連するわけですが、この新技術企業化ということがうたわれておって、それだけが本委員会のこの審議の内容になるのであって、ほんとうのねらいは、この租税特別措置法のこの適用範囲を拡大するという内容になっております。従って、これは大蔵委員会とかあるいは地方行政委員会などで検討をさるべき内容のものだと私は思うのでありますが、これはまあ政府として今豊田委員から要望のありましたように、別の機会大蔵大臣なり、自治庁長官に御出席をいただくか、本委員会との連合審査をやっていただくか、別のお取り計らいを願いたいのですが、お伺いしたいのは、この税制特別調査会でこの答申があって、それに基いてこの二百億ばかりの租税特別措置法の整理を行いまして、三十二年度の予算の編成ができているんです。で、まだ八百二十五億ばかり租税特別措置法の特別減税というものが行われているのであります。ところが、その後輸出振興に名をかりて四十億ばかりのこの減免措置をとり、今回また、今局長のお話を聞きますと本法が適用されることになると、十数億この国の減収になるだろうというまあ見通しを持っているということでありますが、この権威ある税制特別調査会の答申に基き、三十二年度の予算の編成に当っては、政府は重大な考慮を払って本年度の予算の成立を見ているのであります。そういう際に、このそれとは逆行したこういう適用範囲の拡大を内容とするこの法案が出されているのでありますが、それほど緊要なものであるとするならば、何かさしあたって、こういうことについてこういう試験研究の結果を企業化させることについて、国民経済上緊要な必要性があるのだという具体的なものが私はあるはずだと思います。そういう例をあげて、私どもの心がまえを一つ固めていただくような具体例を二、三お示しを願いたいと思います。
  40. 黒川眞武

    政府委員黒川眞武君) ただいま二、三の具体的例があるかという御質問でございますが、すでに工業化補助金、あるいはまた企業合理化法に基き企ます第四条の研究設備に対する税制の優遇処置、あるいはまた、新技術の開銀の融資をあっせんいたしました。そういったような各種のわが国の新しい技術というものが、年々三十件ほど出るであろうというふうに想像いたします。その中で一、二の例を申し上げますと、これは工業技術院の中に資源技術試験所というのがございますが、そこで数年来研究いたしておりましたものの中に、俗にいうボタ発電というものが一つございます。これは御案内のように炭鉱地方に行かれますと、あのピラミッドのように石炭を掘りました際に、生産炭の約四〇%に相当するような、これはボタと称しておりますが、これが出て参りまして、ピラミッドのように積んであります。これはその廃棄の問題につきましても、相当の土地あるいは労力を要しますし、あるいはまた、さらに悪い場合でありますというと、これがくずれましていろいろの災害の原因にもなるというようなものでございます。これが過去数十年来ほとんど利用されておらなかったのでございますが、この中には、まだ石炭が幾分含まれておりまして、大体千カロリーから二千カロリー程度の熱量を持っております。しかし、これをそのまま運んで利用するということでは、とうてい経済上成り立たないのでございますが、これを山元でガスに変えまして、そのガスをガス・タービンで発電いたしますと、そこに一つのエネルギーが生まれるわけでございます。なぜこれが昔から出てこなかったかと申しますと、こういうような低品位のものを、いかにしてガスに変えるかという技術と、それから出ますガスは、どうせりっぱなガスではございません。低品位のガスでございますが、九百カロリーとか、七百カロリーというような低品位のガスでございますが、こういうようなガスを燃やすということが技術上なかなか困難である、これがガス・タービンの発電によりまして、容易にこれが燃えてガス・タービンを回わすことができるということに相なりまして、そういった低品位炭のガス化とガス・タービンを組み合せまして、ここに発電が可能となったわけでございます。たとえて申しますと、大体五トンから千キロワットアワーの電力が出ますので、最小の企業の規模単位といたしまして三千キロワットというものを想定いたしますると、総経費が三億五千万円ほどかかります。この中で先ほど申しましたガス化炉並びにタービンというような主要設備計算いたしますと、二億七千三百万円ほどになるわけでございます。こういうような仕事は今まで未利用資源であり、しかもまた、場合によっては困りものであったものを転じてエネルギーにいたすという一つの新しい技術でございます。そのほか、同じような例で恐縮でございますが、従来都市ガスのようなものは、外国から買いました粘結炭を三割ないし四割加えまして製造しておったのでありますが、全く日本の粘結しない石炭から都市ガスを作るという技術が確立いたしまして、その技術は御承知のあの膨大なコークス炉というようなものを使いませんで、ごくきわめて簡単な円筒型の炉でもって、そういった粘結しない石炭を粉にいたしまして、炉の中で噴水のようにふき上げまして、かくしてそのふき上げる間に内と外から熱を加えますというと、ほとんど短かい三分とか四分とかいうような非常に短かい間に乾溜を終りまして、これから四千数百カロリーの都市ガスに適当したガスが得られるとともに、同じようにタールも出ますし、それから活性炭のようなものもできるというようなことでございまして、こういうようなものも、なるべく炭鉱から出ます粉炭、そういうものを原料といたしますれば、都市ガスとして炭鉱地方の中小都市が非常に生活の向上がはかれるのではないかというふうに考えられまして、今こういうことを企画しておるところもございます。大体最低の規模といたしましては、一日に八百五十トン程度のものを処理するということでございまして、これに対する総経費は大体九千百万円、約一億円でございまして、このうちの主要設備に要するものは炉でありますとか、あるいはまた、ガスをたくわえる貯槽であるとか、そういったものを見ますと、これが大体五千七百万円程度でございます。また、中小企業のような場合でございますと、いろいろ例もございますが、東京の工業試験所で発明されましたCMCと俗に言っておりますが、繊維素グリコール酸ソーダというものの発明がございます。こういう技術につきましては、すでに七、八カ所の中小企業の会社がこれを引き受けまして製造をしておりますが、これは従来天然ののりといたしましてアラビヤゴムであるとか、あるいは炭化水素であるとか、蛋白質等を使っておりまして、その大部分が輸入に待っておったのでありますが、ただいま申しましたようなCMCというのりの発明によりまして、こういったような輸入を押えまして、原料は繊維素ゴリコール酸ソータでございまして、普通パルプを原料といたしますが、こういうようなものから、苛性ソーダその他酢酸等を使いまして製造するのでございますが、今後非常に優秀なのりの性質を持っておりまして、染剤であるとか、あるいは繊維、食料、医薬等に非常に広く利用されております。こういうものは相当小規模でもできますので、月産五十トン程度生産企業が成り立ちまして、総経費は三千百万円、そのうち重要施設といたしましては二千百万円程度でできることになります。まあ、こういうような種類の技術は、必ずしも大企業ばかりに適用される技術とは限りませんので、比較的中小企業の中にもしみ込み得る日本の新しい技術があろうかと思います。長いこと申しましたが、大体これで……。
  41. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 今院長からお話しのように、必要なことはわかりますが、いずれも九千五百万円だの五千七百万円だのというようなものを、設備それから必要な建物等まで加えてもそういう程度のものに特別償却が二分の一行われたところで、これはしれたものなんです。何かこういう税体系の方向というものに逆らうような法案を出される以上、今御説明のようなことだけじゃないと私は思う。それで、これはいずれまた別の機会に詳細にお聞きしたいと思いますが、豊田さんからお話しの、中小企業の方には、実際にはこれは役に立たんですよ。価格変動準備金にしましても、あるいは貸倒準備金にいたしましても、中小企業でもちゃんとそういう減税恩典を受けられることにはなっておるのでありますけれども、実際に今の何を見てみますとですね、実施状況を見てみますと、中小企業はその圏外にあるのであります。また、ここで一つ法律ができて、大企業の方へ減税恩典が与えられる、しかも、この本年度の予算編成の根幹となった特別措置法の整備ということに逆行するようなこういうものについては、私ども相当突っ込んだ検討を今後しなければならんと思うのです。委員長に重ねて要望しておきますが、これは大蔵委員会なり、地方税等の関係もございますから、適時理事会で一つ御協議の上、連合審査の機会を作っていただくようにお願いをしておきます。
  42. 海野三朗

    ○海野三朗君 私がお伺いしたいのは、この新技術の向上云々、これはつまり大臣あと認可してどうこうどうこうというので、この法案のいわゆる中の細目はまだ詳しく知りませんが、これがいい技術だとか何とかいうことは、今、黒川技術院長はあなたの御専門でありまするから、それは説明が大へんりっぱにできているように私は思うのですが、一般にこれを大臣が認定するといったって、大臣はしろうとでしょう、何を基準にしてこれを定めますか。それをまずお伺いしたい。だれか、その審議会というようなものがあって、その最高の権威者の判断に待つのか。ただ、世間の評判がいいから、これをそうやるのか。そうするといろいろよろめきの場合が出てきますが、そういう際に大臣がきめるといったって、大臣はしろうとでしょうが。何を基準として、そういうことをおきめになるか。これをきめるだけの機関があるのかどうか、私はそれを一つお伺いしたい。ただいまのボタの問題とか、そういうことはよく私もわかっておりますよ、わかっておりますが、そのほかの場合、そういうときには、他の場合の相当の権威者のつまり権威のある判断を大臣が聞かなければならない。そうすると大臣が聞く諮問機関としては、どんなのが用意されておるか、それをちょっとお伺いいたしたい。まだ用意されてないか。
  43. 黒川眞武

    政府委員黒川眞武君) 技術の面につきましては、まず各関係原局におきまして調査いたします。それからなお、総合的には工業技術院にそういったスタッフがございますので、その点で各研究所と密接な連絡をとりまして、それぞれの専門、たとえば電気関係で申しますと、工業技術院の電気関係、技術開発課というのがございまして、そことそれから電気試験所のそれぞれの担当の専門家の意見を徴しまして、また、同じように化学の問題でございますれば、東京工業試験所、当院の技術開発課の専門の者の意見を徴しまして決定するというふうに相なるかと思います。それからなお、非常に大きな重要な問題であって、それにかけましても、なかなかきめかねるというような問題がございますれば、これは工業技術協議会というのが工業技術院長の諮問機関としてございます。これは各界のトップ・クラスの方がお集まりいただくようになる審議会でございまして、そういうような会にもかけて、そして決定するようにいたしたいというふうに考えております。
  44. 海野三朗

    ○海野三朗君 それは法制化されておりますか。今のあなたのお考えはそれはそれでいいですよ。いいのですが、それは法制化されておりますか。
  45. 黒川眞武

    政府委員黒川眞武君) 今申しましたのは、すべて設置法において規定されております機関を利用してやるものでございます。
  46. 海野三朗

    ○海野三朗君 私はどうせ時間がないから、もう一言だけ申し述べて、皆さんの意見をお聞きしたいと思いますが、たとえば建築の方におきましても、今御承知のように国会図書館が建っておる。建っておるけれども、あの鉄材のべらぼうな使い方はなっていないのです、実際ですよ。今日は建築の方はもっともっと進歩しています。たとえばあそこの勝鬨橋を作ったときは何万トン使ったか。むちゃくちゃに鉄材を使いさえすればいいのだというようなことではいけないのです。今日の建築はもうずっと進んできております。Iビームという材料を昔のように何本も建てておることは、今日の進歩した建築からは考えられないことですよ。高速度鋼の材料が作られ、また同じ鋼でも実質の軽い、すなわち中間が空な強い材料が使用されておる時代ですから。そうすると、そういうものに対する、つまり諮問とか何とか今、技術院長は言われるけれども、これを法制化していないといけないじゃないか。大臣のつまり認可するしないという前に、こういうことについては、大臣はどういうことを諮問をしてその答申によってやらなければならないというふうに私はいかなければならんのじゃないかと、こう思うのですが、この法文では非常に簡潔にしておるように見えますけれども、失礼ながら工業技術院といっても万能ではないでしょうから、私はそう思うのですが、いかがなものでしょうか。私は法制化をしておかなければならん、ちゃんと法律でもって定めたその機関に諮問をして、そしてやっていくということにしておかないとこれはよろめく。こういうことは、お前の方だけはこういうふうにしてやろうと、一方にはそういうことをしていないと、そういうことが起ってくると思うのですがどうですか。
  47. 黒川眞武

    政府委員黒川眞武君) ただいま申し上げました通り、工業技術院ないしは各局の技術スタッフにおいて、今まで外国技術導入に際しましても一応の技術的な検討は加えられております。先生のおっしゃる通り、なかなかその問題について、非常に決定の困難な事情がございますれば、今の工業技術協議会というものが規定されておりますので、それにかけまして決定いたしたい。
  48. 近藤信一

    委員員(近藤信一君) 先ほどの豊田委員及び椿委員の御発言中にありました御要望については、委員長において適当に取り計らうつもりでありますから、さよう御了承願います。  それでは、午後一時半まで暫時休憩いたします。    午後零時三十一分休憩      —————・—————    午後一時五十六分開会
  49. 近藤信一

    委員長近藤信一君) これより商工委員会を再開いたします。  合成ゴム製造事業特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、本案内容について説明を聴取いたします。
  50. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) 本案内容の御説明に入ります前に、昨年六月一日、本法が施行されましてから、その対象でありまする日本合成ゴム株式会社というものが設立され、着々開業準備を今進めておるわけでございますが、その会社の設立の経緯につきまして御説明をさしていただきたいと存じます。  これは、本日お手元にお配りいたしました「日本合成ゴム株式会社設立の経緯について」という資料がございますが、これに基いて御説明をさしていただきたいと思います。  最初の(1)の項目では、合成ゴム国産化の必要性と、合成ゴム製造事業特別措置法の制定について書いてございます。  わが国のゴム工業は、原料ゴムの消費量におきまして米、英、独、仏に次いで世界第五位でありまして、将来もその発展が大いに期待されるのでありますが、その原料であるゴムはその全量を輸入に依存している状況であります。  ゴム製品の生産は、世界的に見ましても年々増大する傾向にあるのでありますが、一方原料ゴムは天然ゴムの生産の増加がほとんど期待できないため、その需要増加の大部分を合成ゴムの供給によって充足しなければならない情勢であります。従って、わが国においても今後増大する原料ゴムの需要の充足を図るためには相当多量の合成ゴムを確保しなければならないのでありますが、これを輸入に依存することは、諸外国における合成ゴムの生産がいまだその国の需要をすら満たすに至っていない状況にあるため、とうてい期待しがたいのであります。また合成ゴムの国産化を行うこととしますと、原料ゴムの輸入に要する多大の外貨の節約に資するはもちろん、ゴム製品の価格の安定をもたらすこととなりまして、現在相当の実績を上げているゴム製品の輸出の伸張に寄与するところも大なるものがあるので、あらゆる角度から見て、合成ゴムの国産化を行うことは刻下の急務と考えられるのであります。  以上で、合成ゴムを国産化することの目的は、原料ゴムの量の確保と、それから価格の安定の二つをねらっているのであるということを申し上げてあります。  しかし、合成ゴムの国産化を行うに当って、最も問題となりますのは、その販売価格であります。というのは、わが国においては、合成ゴムの使用がまだ十分普及されていないために、その販売価格は天然ゴムよりも安価でなければならず、またゴム製品の輸出競争力を増強する見地からも、その販売価格は少くともその輸入価格並みでなければならないからであります。  以上、国産化するにしましても、その価格は結局国際水準のものでなければならないということを申し上げてあります。  このような事情を考えますと、特殊の用途に使用され、相当高価に販売し得る特殊ゴムは別としまして、天然ゴムに代替して最も広く、かつ多量に使用されまする普通の合成ゴムについては、その工業が典型的な装置工業である関係上、その生産規模を大規模化することによって、その生産費の低下をはかるよりほかはないのであります。この場合の規模は、年間生産能力四万五千トン程度でなければならないと考えられておりますが、現在、計画中の諸外国の例も同様でありまして、合成ゴムの原料の割高なわが国においては、特にその必要性が認められるのであります。  しかしながら、合成ゴムの国産化を右のような生産規模において行おうとすると、巨額の資金を必要とする上に、操業当初においては合成ゴムの需要がその生産能力に見合わないために、相当多額の赤字が生ずるおそれがあり、従って、合成ゴムの国産化は、民間のみの力によっては、たとえ日本開発銀行より相当多額の低利融資をいたしましても、その急速な実現を期することは困難と認められたのであります。  上記のような事情にかんがみまして、政府は第二十六国会に合成ゴム製造事業特別措置法案を提出いたしました。その内容は、合成ゴムを量的に確保し、かつ天然ゴムに対抗して事業が健全な発展を遂げるに必要な製造方法、生産規模及び生産費等の条件を具備する会社に対し、日本開発銀行から十億円を限度とする出資を行う等の特別の助成を行おうとするものでございまして、昭和三十二年六月一日に同法は公布施行されたのでございます。  以下は、日本合成ゴム株式会社の設立経過について述べてございますが、日本合成ゴム株式会社の設立経過は次の通りであります。  第二十六国会において制定を見ました合成ゴム製造事業特別措置法に基き、昨年の七月九日に石橋正二郎氏、池田亀三郎氏、加藤弁三郎氏、富久力松氏、首藤新八氏、松田太郎氏の六名からなる設立委員会が設けられまして、石橋正二郎氏が委員長に就任しました。  次に、昨年七月から九月にわたりまして、設立委員会は事業計画を検討いたしまして、定款、事業目論見書等の起草に当りました。  次いで十月二十一日にゴム工業、化学工業及び石油精製業の関係者三十四名からなる第一回の発起人会が開催されまして、発起人総代に石橋正二郎氏が選任され、定款、発起人の引受株数、株式の募集計画等について審議、決定を見ました。  なお、創立事務所は、東京都港区麻布飯倉片町二十五番地に設置されました。  次いで十一月十一日に合成ゴム製造事業特別措置法第二条第三項の基準を定める政令及び合成ゴム製造事業特別措置法施行規則の公布施行により、事業計画承認申請書が、大蔵、通産両大臣に提出されまして、十一月十四日付で承認されました。  その特別措置法第二条第三項では、先ほど申しました開銀融資を受ける資格のある製造方法なり、生産規模なり、生産費等を持つ会社の基準をきめることになっているのでございます。  次いで十一月十六日株式募集を開始し、十二月二日払い込みを完了いたしました。  そうして十二月九日に日本合成ゴム株式会社創立総会が開催されました。資本金は、授権資本二十五億、うち開銀出資は十億円を予定しております。それで設立に際し発行されました株式は、授権資本の四分の一であります六億二千五百万円でございます。社長に石橋正二郎氏、専務取締役に松田太郎氏が、通産大臣の認可を受けて、それぞれ就任いたしております。  なお、これには書いてありませんが、最近の経過を申し上げますと、大体、工場敷地は四日市にきまりまして、これは四月から整地に着手し、八月ごろ完了の見込みであります。  なお、いろいろ外国との技術提携をやる必要がありますが、これも一応契約は終りまして、ただいま外資審議会で審議を受けているのでございますが、おそらく今月中には承認されることになろうと思います。それができますと、機械のいろいろ設計等にかかります。具体的な機械の発注は大体六月、あるいは国産機械の割合納期の短かいようなものは、七月以降ということになります。来年の九月には全部の機械の設置が終りまして、それから操業が開始されるというふうに予定いたしております。  以上、会社の設立の経過について申し上げました。  次に、法案の内容について御説明を申し上げます。  これはお手元に御配付いたしました資料の(4)で「新旧条文対照表」というのがございますが、それによってごらんをいただくのが一番便宜であろうと存じます。  上の欄が改正条文でございまして、下の欄が現行条文で、傍線を引いてありますところが、改正された点でございます。  まず、題名が変っておりますが、題名を今回は「日本合成ゴム株式会社に関する臨時措置に関する法律」というふうに改めまして、また第一条の目的の中に、「合成ゴムの製造事業の育成に必要な特別措置」と現行法にありますのを「昭和三十二年十二月十日に設立された日本合成ゴム株式会社に関する臨時措置」というふうに改めたのであります。これは現行法においては、その育成の対象を「合成ゴムの製造事業を営むことを目的とする株式会社でその事業計画について大蔵大臣及び通商産業大臣承認を受けたもの」というふうに抽象的に規定していたのでございますが、現在においては、すでに日本合成ゴム株式会社が、本法による育成対象として発足し、おのずからこの対象が明らかになりましたので、この際、法律においても、その対象を明らかにした方がいいと考えたためでございます。また「特別措置」と現行法にありますのを「臨時措置」というふうに改めましたのは、後に申し述べまするが、第十一条の規定にその暫定性を示しておりますが、これと対応しまして、本法が臨時的な立法である趣旨をより明らかにしたものでございます。  それから、第二条の改正点について申し上げますが、現行法の付則の第三項の趣旨を体してこの改正をいたすのでございますが、付則の第三項は、一番最後のページにございますが、現行条文は「この法律規定による日本開発銀行の出資による方式は、この法律の施行の日から一年を経過したときは、別に法律で定めるところにより、遅滞なく、政府の出資による方式に切り換えられなければならない。」とありますが、この趣旨を体しまして改正をいたしたのでございます。今回のこの法律改正の中心をなす規定でございます。すなわち第一項は、「政府は、会社の株式を所有することができる。」と規定してございますが、これが従来の日本開発銀行の出資による方式を政府の出資による方式に切りかえる規定でございます。  その第二項は、政府が所有する株式の数と金額との限度を日本開発銀行の出資による場合と同じく規定したものでございまして、実質的な変更はないわけでございます。  それから第三条、第四条、第五条の改正は単に会社を特定したことによる条文の整理でございます。  それから第五条の二の規定は、これは重要な財産の譲渡等についての監督規定でありますが、開発銀行の出資を政府の出資による方式に切りかえることによりまして、政府は会社に対して直接の利害関係を有することとなりますので、他の立法例に準じましてこの規定を設けることにいたしたのでございます。  それから第五条の三の規定は、さらに社債の募集、それから資金の借り入れについての監督規定でございますが、これまた重要財産の譲渡等に関する規定と同一の趣旨に基くものでございます。以下第六条、第七条の改正は、単に対象を特定したということによる条文の整理でございます。  それから第八条の改正は、第五条の二とか第五条の三と同じく監督規定の整備をはかったものでございまして、この規定のうちの会社の業務または経理の状況に関し報告を徴し得る報告徴収権については現行法においてもすでに規定が設けられているのでありますが、立ち入り検査の権限につきましては何らの規定が設けられていなかったのでございます。これは、従来の開発銀行出資の場合に立ち入り検査の権限まで政府に認めてよいかどうかにつきましては、立法論的にも疑問なきを得なかったのでございます。しかしながら、今回の改正におきましては、政府の出資による方式に改められることによりまして立法論としても問題がなくなりましたので、他の立法例に準じてこれを追加することにいたしたのでございます。  なお同条の第二項、第三項の規定は、立ち入り検査の適正を期するための例文でございます。  それから九条、十条の改正は、条文の整理にすぎません。  それから九条の二の規定は、これは今回立ち入り検査を加えたことに伴いまして罰則の整備をはかったものでございます。  それから十一条の規定に移りますが、政府所有株式の処分に関する規定でございますが、この規定を新たに設けましたのは、日本合成ゴム株式会社は、その事業計画等から見ましても数年後には民間企業採算ベースに乗り得る会社でございます。従ってその時期には政府所有株式を処分するものとして本法の臨時措置法たる性格を明らかにいたしたものでございます。この点につきましては、従来の日本開発銀行の出資による場合にも実質的には同一と考えてよいのでございますが、政府出資の場合は従来の例からいいまして、政府がいつまでも株を持っているというふうに考えられやすいために、今回特にこの規定を設けましてその点を明らかにすることといたしたのでございます。なおこの本条で会社の経理的基礎が確立したというのは、会社の経理採算ベースに乗って配当が可能になるという程度意味でございます。またその次にありまする「有価証券市場の状況を考慮し、」といいますが、これは政府の所有株式の処分を行うに当りましては、その時期やあるいは処分価額について慎重な考慮を払う必要がある場合もあると考えたからでございます。  それから付則の第三項、第四項を削除規定といたしましたのは、今回の改正によりましてこの規定の目的が達せられることになったので、条文の整理でございます。付則の第四項については触れませんでしたが、これは政府出資に切りかえると同時にそれに伴う必要な事項を規定しようという趣旨でございまして、今回監督規定を強化するとか、あるいは株式の譲渡のいろいろな手続等について規定したのはこの規定に基くのであります。  なお、この新旧条文対照表に載っていないのでありまして、まことに失礼でございますが、実は改正条文の付則があるのでございますが、この資料には書かれておりません。この改正条文の付則は、おそれ入りますが、合成ゴム製造事業特別措置法の一部を改正する法律案、この法律案の方をごらん願いたいと思います。この五ページの三行目以下に改正法の付則が載っておりますので、これについて御説明を申し上げます。  まず、第一項であります。これは改正法の施行期日を定めたものでありまして、現行法の付則の第三項の規定には、この法律の施行の日から一年を経過したときに政府出資に切りかえよということの趣旨のことがあるのでありますが、その一年を経過したときを受けまして、すなわち、昭和三十三年六月一日からこれを施行すると規定したのであります。  第二項は、これは経過規定でありまして、また暫定措置でありますが、現行法の第二条によりまする日本開発銀行から合成ゴム会社への十億円の出資が金融情勢の変化等の理由からまだ全部を終っていないのでございます。そこで改正法の施行後におきましても昭和三十三年度中で政令に定める日までに会社が発行する株式については従前通り日本開発銀行がこれを引き受けることができるということを規定いたしております。なお、政令で定める日をいつにするかにつきましては、政府はすみやかに会社の事業進捗状況を把握するとともに、そのときの金融情勢をも勘案いたしまして、民間出資を督励し、これに伴って日本開発銀行の出資もできるようにし、できるだけ早く本則の正規による出資の方式に切りかえる考えでございます。  次に第三項は、前項の規定によりまして日本開発銀行が引き受けた会社の株式は政府に譲り渡さなければならない旨を規定いたしております。これは政府が株式を所有するに至る手段を規定したものでございまして、これによれば政府は譲り受けの方式によって株式を所有することになるのでございます。この規定昭和三十三年度末までを限っておりますが、第二項に規定いたしますように、日本開発銀行が昭和三十三年度中で政令で定める日までに十億円全部の株式の引き受けを行うことができるといたしますと、これが譲り受けのために多少の時間を要するといたしましても、昭和三十三年度中には政府が譲り受けることができるものと考えてこのように規定いたしたのでございます。  次に第四項でございますが、これは政府が会社の株式を日本開発銀行から譲り受けるには株式の発行価額により算定したその対価を産業投資特別会計から支払い、その株式が産業投資特別会計において保有することを明らかにいたしたのでございます。これは三十三年度予算案におきまして産業投資特別会計にこれに要する経費十億円を計上しておりまする予算措置に対応するものでございます。  それから第五項でございますが、これは前項の規定による支払金を産業投資特別会計法第四条の出資の払込金とみなす規定でありますが、これは産業投資特別会計法第四条で同会計の歳出としている出資の払込金の範囲が、従来は新株取得の場合に限られ、既発行株式の譲り受けの場合を含まないと書いておりますので、特にこのようにみなすという規定を設けて疑義を生じないようにいたしたのであります。  以上で内容の概略を御説明申し上げました。どうかよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  51. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それでは、これより本案質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  52. 海野三朗

    ○海野三朗君 この合成ゴムの会社がこの前できましたが、これは将来どうなるのですか。国策会社ですか、これは。どういうふうに相なります……。もし、今までもたくさんそういうことがあったと思うのですが、政府が莫大な金を融資して、そうしてそれから上るところの利益でもって逐次その株をつまり民間の方に移していく。結果においては国の金を投じてその会社をあとからすぽっと民間のものに譲り渡したという格好になっている。その辺はどうなんですか。政府が金を出した以上にはその政府の権力というものはその金とともにあるわけですが、だんだんその辺の権限は、どういうふうになります……。
  53. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) 合成ゴム会社設立の必要性を御説明いたしました際に申し上げました通り、日本において合成ゴム製造事業を確立いたすためには今のところ民間のベースではやっていけない。しかし、需要が相当量になりますると採算がとれるようになってくる。その採算が、需要が増加し、採算がとれるようになるまでは国が援助をして維持させようということがこの現行法のねらいでもあるわけでありますが、まあ具体的に申しますと、この会社は来年の秋ごろ操業を開始いたしますが、その規模が大体年産能力四万五千トンでありますが、当分の間は国内需要がそこまで至らないのでございます。そうして四年目になってやっと若干の黒字を生じ、これは従来の繰り越し損を相当清算するのに使われるわけでございまして、五年目から大体一割二分程度の配当ができるようになるだろうと考えておりますが、四、五年目以降には、この会社の規模がフルに活用できる状態になるわけでございます。それまでは国が資金を出して援助をする、またこの法律にありまするように、相当厳重に監督をしていく、一人前、一本立ちできるようになりますと、国はもうその資金を回収する。その後は別段国が干渉いたさないということでございまして、一種の期限付の国策会社と申しますか、そういうふうな性質のものであろうと存じます。
  54. 海野三朗

    ○海野三朗君 そこで私の伺いたいのは、あなた方のいわゆる根本の考え方——そうすると、政府が十億なり二十億の金を出してやらせて、一本立ちになったならば、その金を返しさえすればその事業をやっておったいわゆる事業家を助けたのである、結論的にいえばそういうことになりますね。そういうふうな仕事を、その事業をやった人、顔ぶれを見ても、そういうふうないわゆる事業家をつまり助けるために、国の財産を動かしたという結果になってくるので、そういうところは、国のお金を使って、そうしてその事業を助けていく。それは国策上非常にいいのかもしれないけれども、もう一つ考えますと、いつの間にか政府の株式がなくなってしまっておる。そうすると、あとに残ったものは何かというと事業である。そうすると、その事業家を助けるために国の莫大なお金を貸してこれをやらせるというそういうふうな考え自体が私は再検討しなければならないのではないか。  そこで、合成ゴムのこの会社を作っていくというときに、モノポライズさせないで、独占させないで、あるいは二つなり三つなりに砕いて、あまり大きくやらせないでやっていくということが一つの民主化の意味においても必要ではないかと私は、こう思うのですが、あなたはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。今日までの日本の大工業を見ると、いつの間にか国民のお金を犠牲にして大資本家を助け、大事業家を助けておる方向に働いておるように思うが、あなたはどうお考えになりますか。
  55. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) 御趣旨のように、ほんとうは企業というのが国に一つというのは独占の弊を生みやすいということで、複数設置するということが正しい姿であろうと存じます。しかしながら、この合成ゴムにつきましては、ただいまも申し上げましたように、やるからには世界水準のコストでできる規模のものを作らなければいけない。そうすると、最低やはり年産四万五千トンくらいの規模のものでなければならない。これを細分していきますと、それでは将来国際競争にたえるような価格で生産することができないわけになるわけでございます。そういうわけで、もし需要が非常に多ければ、先生のおっしゃるようなことも言えるのですが、遺憾ながら一社作りましてもそれでなお当分まだ赤字でいかなければならないという条件でございますので、これはやむを得ないことであろうと考えておるのであります。  なおまた、将来のそういう独占の御心配につきましては、合成ゴム、これは国際商品でございますので、いろいろ国内の経営の仕方が悪くて高いものができるというようなことになると、当然安いものを輸入してこれを牽制するというような手もございますので、まずこの会社がそう独占の弊を、ほしいままにするということはないと考えておるのでございます。
  56. 海野三朗

    ○海野三朗君 そこで、私は重ねてあなたのお考えを聞いておきたいと思うのでありますが、あくまでも政府が金を出したならば、やっぱり金によってその企業が起ったとするならば、末々までもやはりその利益というものが、もし利益が上ってきたならば、それは国家の利益にすべきものではないかというように私は思うのですがどうなんですか。金を出してその事業を助けたといっても、結局するところあと政府株がなくなってしまって、民間が勝手に独占できるのである。そういうことよりも、政府が金を出した以上には、やはり政府相当干渉もし、そうしてそれが今度は利益が上ってきたならば、やっぱりこれは国の収入にしてやるというのがほんとうじゃないのですか、どうなんですか。
  57. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) 国が、民間ベースではどうしても起らない事業を興すためにある程度の援助をするということはやむを得ないであろうかと存じます。そうしてまた、企業の経営は民間ベースでやるのが一番合理的に運営できるゆえんであろうと考えるのであります。そういう意味で、ある程度初期においては国は援助しますけれども、しかしその金はすべて国が回収してしまうのでございまするので、まずそういついつまでも国が株を持っておることも、当然いわゆるいろいろ監督していかなければいけないのでございますが、そういう制度で運営していくことが果して合成ゴム事業の健全な発達を来たすゆえんであるかどうか、これは相当検討願う余地があろうかと思うのでございまして、国が決して損をしておるわけじゃないのでありまして、りっぱな有用な仕事をここに興したということで満足してよろしいのではあるまいかと考えております。
  58. 海野三朗

    ○海野三朗君 しからば今まで、検討を要すると言われますけれども、そういうふうにやった例がございますか、日本で。つまり政府出資——莫大な金を出してやって、そうしてあくまでもその企業政府が監督のもとにやってきたということもいろいろ考えなければいかぬが、それはうまくいかぬだろうというようなお話でありますが、今までうまくいかなかった例がありますか。
  59. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) いわゆる国策会社におきましても段階があろうと存ずるのであります。一番完全なのは、いわゆる特殊会社というものに国がほとんど百パーセント出資をして、国みずからの手で会社を作るというやり方でやっていく、こういうものは会社ができまして操業が順調になりましてもずっと国が深い関係を持っていくということになるわけでございますが、この合成ゴム会社は大体そういうものと比べますると、国が援助する程度は非常に低いのでございます。大体法律にも書いてありまするように、国の出資額と申しますか、一応開銀を通しての出資でございますが、それが全体の四割程度のものでございます。二十五億円のうちで十億円国が出すということになっておるわけでございまして、われわれの考えとしては、開銀融資でほんとうはいきたいところでありますけれども、それではちょっと足りない、そこで金利のつかない金を出してやろうということで出資という形をとったのでございまして、国が巨額の費用を投じてはおりまするけれども、他のいわゆる特殊会社と比べますると、国が犠牲を払っておる程度は非常に少いというふうに考えられるのでございます。
  60. 相馬助治

    ○相馬助治君 昨年六月に現行法が施行されてから、その後の世界の、また国内の状況を見てくるというと、このなまゴムの相場が相当動いて、これが下向きの傾向にあるふうに私は思うのですが、そういう状況下において一体この事業が今のところどのような見通しに立つのか、この会社の将来は非常に前途洋々としているというふうに見るか、それともある時期には資金面でも相当のてこ入れでもしなければもたないというふうに考えるのか、一応の見通しを承わっておきたいと思います。
  61. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) これは、世界におきまするゴムの全体の需要の傾向と天然ゴムの生産増加の傾向、この二つを比べてみることによってはっきり出てくると思うのでありますが、ゴムの需要の傾向は最近四、五年間の世界的な統計をとってみましても相当大きいのでございます。ところがこれに比べまして、天然ゴムの増産の程度たるやきわめて遅々たるものでございます。そういうわけで、今後ますますゴムの需要量と、天然ゴムの供給量との差が大きくなっていくということはこれは明瞭なる事実でございます。なおまた合成ゴムには、最近いろいろな特殊な用途、性能が認められて、天然ゴムよりももっとすぐれた性質があるというようなことがだんだん明らかになり、それが大いに活用されているわけでございますが、そういうふうな点を見ますと、長期的に観測いたしますならば、合成ゴムの製造事業は、ますますこれは大きくなっていくということが明らかに言えると思うのです。ただ短期的に見ますると、ゴムというのは、相当軍需にも関係のある物資でございますし、あるいはまた世界景気の影響も多分に受けるというようなこともございまして、短期的に見れば、若干の需給のいろいろな緩急の差があろうかと思う、起ってくると思いますけれども、長期的に見ますると、ただいま申し上げましたように、天然ゴムの供給不足、合成ゴムの製造の必要ということは疑うことができないのでございます。私の方で、いわゆるここ数年のゴムの需給計画を作って見ましても、天然ゴムの供給量というのはある程度までいきますと、それ以上の増大は期待できない、あとは合成ゴムの増産によってこれを補わなければいけないということで、大体昭和三十七年ごろには四万五千トン程度の合成ゴムを国産しないと、やはり日本のゴムの需給のバランスはとれないというふうな見通しを持っているのでございます。
  62. 相馬助治

    ○相馬助治君 従来ゴム工業の景気の変動を見ますと、一般の景気の変動よりももっと違う大きな波で動いていると思うのです。ゴム工業の不況というのは、全くとんでもなくひどく、量的に大きく深いものだと聞いておりますので、私はそういう意味でただいまのことをお聞きして、ある程度懸念がないかと、懸念が予想されるならば、監督機関として通産省としてもそれぞれいろいろ考えておかなくちゃならないのじゃないかと、こういう一つめどを持って今のことをお尋ねしたわけなんで、一つその点については御留意を願いたいと思う。で、今まで歩んできたこの会社の様子を見て、二、三点伺っておきたいのですが、この株主名簿が出ましたが、これを見て気づいたことですが、ほとんどゴムに関係のある会社が、会社名義で株を持っているようでございます。そこへ持ってきて、社長は有名な石橋ブリヂストンの社長である、こういうふうな意味合いから考えてみて、この会社の実際に経営を推進している中枢をなす経済的な背景があるのか、いわば色彩があるのか、たとえば石橋ブリヂストン経営だというふうに濃厚に見られるような会社なのか、それともいろいろやっぱり発起人代表という形で石橋さんが社長になって祭り上げられているので、そういうものに対しては全く無色なのだ、こういうふうなのか、これを一つ聞きたいということと、その次にこの営業目的である合成ゴムの製造販売と、合成ゴムの原料の製造販売と二つあるが、これはなかなかその売上高の比率というものがむずかしいと思うのです。というのは、社長が別にゴム会社を持っている社長ですから、それへ持ってきて株主が皆ゴム会社ですからこの人造ゴム会社がもうかることばかりをぼんぼんやられてしまったのでは、この連中がたまらぬということで、もうからぬ分の、たとえば原料の製造販売なんかばかりをやらせて、そしてもうかる分の仕事をチェックしていくというようなことも予想されるのではないか、こういうふうに思うので、まことにつかぬことを尋ねるようですが、しろうとはしろうとなりに心配をするので、その辺どういうことになっているのか聞いておきたい。
  63. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) 会社の株主の構成の概要を申し上げますと、大体四割が開銀、それから四割がゴム業界、残りの二割が化学工業、あるいは石油精製ということになります。で、ゴム業界が持っております四割の株はこれは大企業のみならず、中小企業もたくさん入っておるわけでございます。で、なぜゴム業界の出資を四割というような多数にしたかと申しますと、それはわれわれが一番苦心をしたところでありまして、合成ゴムの生産わが国にできましても、これはなかなかゴム業界一般について見ますと、使いなれないものである、むしろそれを忌避していくという心配も多分にあったのであります。そこで、ゴム業界からこの製品を喜んで使ってもらえるような態勢をしかないと、会社の健全な発達は期しがたいということで、われわれも非常に苦心をしてゴム業界からなるべくたくさんの出資を集めるようなことをいたしたのでございます。そこでそういうことになりますると、ゴム業界の代表者をこの会社の首脳的な地位に置かなければいけないということで石橋さんが社長になられたわけでありますが、これは決して石橋さんの会社の代表者として出ておるのではなくして、むしろ需要家でありまするゴム業界全体の代表として社長の地位についておるのでございます。そういうわけでございますので、この会社の運営に当りましてゴム業界が何かほかに迷惑をかけるような横暴をするというようなことはむしろこれは考えられないことであると考えます。  それからなおまた、合成ゴムの原料の生産、販売が営業の項目に掲げられておりますが、これはブタジェンのごときもので、他の化学工業に影響するということになるのでございますので、当面の問題としてはこういう仕事はまだそう実行はされないと考えております。
  64. 相馬助治

    ○相馬助治君 あとのことですね、当面は問題にならないとしても、工場の設備や何かしているときから、この意図があるかないかということで、こういう意図が現われてきたときにはわれわれがここで議論してもおそいから聞くのです。というのは、ゴム会社がこの際は需要家です、そうして同時にこの際は投資をした株主です、本来ならばこういうゴム屋さんたちが集まって、そして原料を確保するために合成ゴムの会社を作って、そこから出てきた原料を買ってやるというのが、これは普通の姿であり望ましい姿ですが、少し意地悪く見ると、このゴム屋さんたちが集まって、そして国にも金を出させて、そして基礎を築かせて、もうかるか、もうからぬかわからぬという形で、また民間の資本だけではなかなかこの企業は興きないという理由で、政府の出資を大幅にさせてこういう会社を作らせて、そうしてこのゴム屋さんたちが自分たちの都合のいいようなことばかりをやらせて、この会社の利益を、合成ゴム会社の利益を専念に考える者の勢力が希薄になる、こういうことになるというと、ある意味では投資をした国家の損失にもなるので、私は今聞いているわけで、そうすると何ですか、合成ゴムの製造販売と合成ゴムの原料の製造販売の売上高の比率なんというものはどんなふうに見込んでおるのか、そしてまた原料の製造販売というようなことについては、販売先というようなものはある程度会社が今まで歩んできた過程でもう見通しがついているのか、この辺のものをこしらえたら、この辺のものがこういうところで買ってもらえるというような見通しがついているのか、その辺のことを伺いたいと思うんです。私がしろうとでほんとうに聞きたいことをうまくぴたっと表現しているかどうかわからないんですが、答える方は私の意のあるところを受けて親切に答えてもらいたい。
  65. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) 合成ゴム会社の製品のうちでいわゆる天然ゴムに非常に似た性質の合成ゴム、これが当分の間はもう百パーセントなんです。それで合成ゴムの原料ということが書いてありますけれども、これは非常に遠い将来の話でございます。で、製品の販売の見込みにつきましては、普通の合成ゴムにつきましては需給関係、世界的に見ましても、またわが国のものを見ましてもこういう程度のものは必ず国内で必要とすると考えております。そうしてゴム業界の大企業たると中小企業たるとを問わず全般的に使ってもらえる、また政府としてもこれを使ってもらうためのいろいろな技術上の指導などもいたしていきたいというふうに考えておりますが、そのようにしてこの会社の製品は国内でゴム業者から使っていただけるというふうに考えております。それからブタジェン等の販売は、これはほんとうに遠い将来のことでありまして、当面ほとんど問題にいたしておりません。おそらくこういうものはあまり広い用途はないんでございますが、しかしこういうものはただゴムの原料に使うしかあまり用途のないものでございまするので、たまたま営業項目には同じような大きさで書いてあるものですから非常にウエートがあるようですけれども、ほとんど問題になりません。私らとしても当分はこういうものを営業項目としてやっていくというようなことは毛頭考えていないような状態でございます。
  66. 相馬助治

    ○相馬助治君 私聞きたいのはこういうことなんです。実例をあげますと、栃木県で日光に県でもって相当額出資してホテルを作ったんです、ところが、ホテルであるからこの社長にはやはり関係のない者よりもホテルの者がよかろうというので日光の大きなホテルの、こう言うと名前まで言わなくても日光の大きなホテルと言えばわかると思うんですが、日光の大きなホテルの社長を県営の観光ホテルの社長にしたんです。ところが、もうからないような、厄介のようなお客様はみんなそっちへやるわけです、それからもうかりそうなお客さんは全部自分の方へとるんです、そうかといって県営の観光ホテルがつぶれないようにしておくわけです、ここでプールするわけですね、生かさず殺さずというのはこのことで、あまりもうからないように、しかしあまり損をかけるとホテルがだめになってしまうので、殺さないようにして、うまい汁だけは自分がほんとうに社長であるホテルでこなす、うまくないものはみんなそっちへやって、そこでこなしている、こういう例があるんです。で、私がこの会社についてそういうことを心配するのはあるいは見当はずれなのであるかもしれないから、それは見当はずれだというならそれでいいんですが、そういう心配がないかどうかという点、さっきから聞いておるのです、私の気持は。どうぞ加藤さん。
  67. 加藤正人

    ○加藤正人君 私は、この会社が今度はいよいよ発足する機運になりましたことにつきまして、非常に過去の経験から感慨無量なんです。それは、戦争中に陸軍省戦備課から、今、社長になっておる石橋正二郎君と私に合成ゴムを作れという指令がありました。そこで、私の工場を現物出資して、それでいよいよしようというので、石橋君と私が現地に行って視察して、これならよかろうということで、話が進んだんでありますが、現物出資を非常に安く石橋君が見積ったために、なかなか話が進みませんで、一月以上かかってしまいました。で、いよいよこっちも折れて、戦備課の方に二人で受諾に、会いに行こうと思ったときに、電話がかかってきて、あれはやめてくれと、せっかくそこまでやって、話はそのままになってしまった、そういういきさつがあるのです。当時この仕事は、非常に採算がむずかしいのだから、あなたの工場も安く出してもらわなくちゃ困るというようなまあ議論を聞かされたわけです。全くこれはむずかしいことでありまして、当時と今日とは事情が違うでしょうが、よけいに作らなければコストがかかり、よけい作れば国内ではけ切れぬというこれは悩みがある、だから採算が確立したときには云々という今条文がありましたけれども、採算が確立するということはいつのことかと私は思うのです。それからこのゴムは性質上、なまゴムと同様な用途には使えない、まあその後どういうふうになったか知りませんが、大体において、なまゴム同様には使えない、また使うにしては高過ぎて、なまゴムというものが存在するのだから、それを使う必要がないというようなこともあるわけです。それからその当時は、なまゴムを日本で作る技術家がほとんどなかったのです。当時満州に梅井博士とか何とかいう人がおりまして、この人をわれわれは当てにしたわけでありますが、伺いたいことは、今日この合成ゴムを作る技術家のいいのがあるのかどうか。それから合成ゴムを使う用途が、その当時より非常にふえておるかどうかという二点を伺いたいと思います。
  68. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) 合成ゴムの製造技術についてでありますが、戦争中あるいは終戦後も、そういう計画があったのでありますが、合成ゴムの生産技術としましては、発酵工業による行き方でやっていたのでありますが、現在のところではもはや世界的にそういう発酵工業による行き方は採用されていなくて、いわゆる石油化学による生産方式になっておるわけでございます。で、石油化学による生産方法ということになりますと、わが国にはほとんど歴史がないというので、すべて海外からの技術導入によってやっていくということになるわけでございまして、これは合成ゴムの生産段階において、たとえばブタジェンを作るために脱水する技術については、フードリーという会社と技術提携することにしております。それからさらにブタジェンをガスの中から抽出する技術、これはまた別の技術として、アメリカのエッソリサーチという会社と提携する、それからできました、抽出精製されましたブタジェンとスチレンモノマーとを重合する、この重合設備はグッドイアーという会社と技術提携してやる、そういうことで後進国である日本としては、遺憾ながらそういう外国との技術提携によってやっていくということになっております。で、日本の技術者としては従来そういう石油化学の経験を多分に持っている人はいないわけでございますけれども、従来から発酵工業によってゴムの生産に関係していた人々がこれに参加されて外国との技術提携によって生産をやろうということになっているのであります。  それから用途でございますが、日本の場合には最近の一年間なんかとりますと、合成ゴムは全体のゴムの需要量の一割程度でございますが、これは五、六年の後には三割程度にはなろうと思います。大体世界的に見ましてゴムの需要量のうちの三割ぐらいが合成ゴムによって占められております。ただアメリカは全体のゴムの需要量の六割ぐらいは合成ゴムで占められているという状態でございます。日本その他のアメリカ以外の国では、まだゴムをあまり生活用品といいますか、日用品的な、たとえば寝台の下に敷くというふうな、工業とは関係のない方面に相当アメリカでは使っておりますが、そのほかの国はそこまで合成ゴムを使っていない、たとえばタイヤとかチューブとか、それからホースあるいはベルト、あるいははきもの類、そういうふうなところに合成ゴムを使っているという状態であります。われわれとしてもそういうふうな範囲で合成ゴムを使っていくものとして将来の需要の推定をいたしているのでありますが、これが昭和三十七年ごろには四万五千トン以上になるというふうに見ているのであります。
  69. 加藤正人

    ○加藤正人君 それから、ゴムの世界の供給量ということで、先ほど天然ゴムもすでに限界に達したようなお話がありましたが、これは植物でありまして、植林すれば幾らでもふえるものだと思います。現にアマゾンの流域から非常に厳重な持ち出しを監督されておった時分に種をとってそうしてマレーは移植した、そうして今日のシンガポールその他のゴム林ができたというくらいに……、そのときに使ったゴムの元がロンドンのキューガーデンにマザー・オブ・ラバーというのが現にあるようですが、ああいうふうに、一世紀ぐらいであんなふうに広がる植物ですから、幾らでも私はふえる可能性があるのじゃないかと思う。そういうものとの比較関係から考えてみて、これは合成ゴムは科学的な別な用途にだけ、非常によげい使われる見通しがあるので有望だ、ただゴムというだけの量的に比較するわけにはいかぬというなら別ですけれども、一般的にこれは使われるようになってくると、値段の上からまだ増産の可能性のある天然ゴムのことも無視するわけにはいかないことだと私は思うのです。そういう点については心配ないのでありましょうか、伺いたい。
  70. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) 天然ゴムの供給量が無限の急速度で増加できるのではないかというお話でありますが、これは、従来から世界ゴム研究会という国連の下部機構としまして、ゴム研究機関があるのでございます。まあそこの統計をわれわれ信用するしかあるまいと思っております。その統計によりますと、一九五六年から一九六〇年の間の世界の天然ゴムの供給量の推定でありますが、その間の年平均の増加率が、大ざっぱに言いまして〇・五%くらいになっております。対前年増を大ざっぱに言いまして。ところがゴムの需要は、大体毎年対前年五%くらいふえるということになっております。つまり、天然ゴムの供給量に比べて需要が十倍ほど伸びる、比率に対しまして。そういうふうな情勢が少くとも一九六〇年までは認めておりますが、私も主としてマレー方面のああいう大きい世界におけるゴムの供給地において、天然ゴムの供給が急速に増加できないのかどうか、これについては的確なお答えを申し上げるわけには参りませんが、おそらくあの辺が、政情不安で結局外国資本によって栽培しなければならないかと思うのでありますが、そういう資本がちゅうちょしているのではないかということも考えられるのであります。万一、そういう環境が熟してゴムの植林が大規模に行われるといたしましても、これが生産といいますか、収獲を見るに至るまでにはまだ相当の年数がかかるというようなことで、われわれとしては、あまり天然ゴムの将来における急速な大規模の増産ということは期待しないで政策を考えていった方がいいのではないかと思っておる次第でございます。
  71. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 簡単にお尋ねしますが、二点お尋ねいたします。いずれも監督規定を簡単にした方がいいのではないかという前提に立って二点お尋ねいたします。  第一点は、社債の募集とかあるいは長期の資金の借り入れ等について、通産大臣の認可を受けなくてはならぬというふうになっておりますが、しかしすでに別個に資金計画の認可であるとかあるいは計画実施までの監督命令まで出せることになっておる。こういう点からいいますと、資金計画を認可しておけばあとは大して大きな問題ということもないでしょうし、さらに、計画の実施上必要があれば監督命令も出せるのだから、一々長期資金——一年以上の資金を借り入れようと思っても、それをまた認可を受けなければいかぬというふうにすることはあまりにも繁雑ではないかというふうに考えるのですが、この点についてお考えはどうですか。
  72. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) 会社の事業運営の円滑化をはかるという点から見ますると、御指摘の通りでございます。しかしながら、他方、従来の開銀出資を政府出資に切りかえて、国が直接この会社に深い利害関係を持つに至るということになりますと、従来よりも強い監督をしなければいけないというふうに考えられるのであります。そこでこのような規定を置くことになったのでありますが、大体これはこの法律に限りませんで、一般の慣例に従っておると考えてよろしいのではないかと思います。  なお、資金計画等で政府が見ますのは、むしろどういう事業をやろうとするかというような点に重点を置いてやるのでございますが、この改正条文で監督していきますのは、むしろそういう点ではなくして、いろいろな借り入れの条件の適否等であろうと思います。多少重点が違っておるだろうと考えます。
  73. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 そういう点は、社長なり重役なりが、もう関係官庁とは事前に相当な打ち合せもし、政府任命になっておったのかどうか知りませんが、ほとんど実質的にはそういうふうなことなんだから、その辺はまかされていくことがこの合成ゴムの製造事業のごとくむずかしい事業を早く採算ベースに乗せていくということについては必要じゃないかというふうに考えるのでありますが、これについては今後できるだけそういう線で運用をせられるように希望しておきますが、それについてお考えはどうですか。
  74. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) 御指摘の通りで、運用に当りましてはこれをきわめて円滑に行いまして、この規定が、会社の健全な発達に害を及ぼさないように心がけていきたいというように考えております。
  75. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 もう一点の方をお尋ねします。それは、なるべくすみやかにその所有する会社の株式を政府は処分するという規定を新たに設けることになっておりますが、将来処分したときには、株は処分したが、監督規定はやっぱり残しておくというようなことはおそらくないのだろうと思うのですけれども、この法文自体の上から見ると、それがはっきりしないのですが、その点はどうなんでしょうか。
  76. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) 政府は、株式の処分をいたした後は、この法律による監督はその必要がないと考えます。従って、この法律は廃止すべきものと考えているのでございます。ただ、この法文には、ここへ一緒に書くには非常に立法技術的にむずかしい点がありましたので書いておりませんが、政府の考えとしましては、政府は株式を処分してしまった後にはこの法律は廃止するという考えでございます。
  77. 島清

    ○島清君 会社は、製造販売ということなんですが、最終製品を製造して、それを販売するという意味なんでございますか、それとも、第一次製品の製造をいたしまして、それを各ゴム会社の方に販売をすると、こういう意味なんでございますか。
  78. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) この会社で最終製品まで製造するとお考えいただいてよろしいかと思います。ただ、この会社で作ったままの合成ゴムでは、直ちに所定の形の製品が作れるというものではありませんで、若干それに薬を加えまして、加工しやすいような形に練る必要があるのでございます。その意味ではどういいますか、最終製品ということにはなりませんですけれども、まあ概括的に申しますると、一応これでいわゆる合成ゴムというものはここで最終的に作られると考えてよろしいかと存じます。
  79. 島清

    ○島清君 技術導入ですが、今、森さんは、三つぐらいの段階に分けてそれで技術導入されるようなことを言っておられたのですが、その技術導入いたします国は、アメリカの会社の名をあげられたのですが、三つともアメリカの会社で、そうして技術導入の条件はどういうふうなんでございますか。
  80. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) 先ほども申し上げました三社は、いずれもアメリカの会社でございます。で、条件について申し上げますると、最初のいわゆる脱水、水素をとるという意味の脱水ですが、脱水装置あるいは脱水技術につきましてはフードリー社でございまして、技術料が約百三十万ドルでございます。提携技術内容は、製法と設備に関する一般的知識、それから設備の運転技術でございます。この支払い条件は、契約発効後三十日以内に第一回の支払いを始めまして、運転開始後二年までの期間の間に七回に分けて払うということになっています。  それからブタジェンの抽出技術につきましては、エッソリサーチ社と提携いたしますが、この技術料がおおむね百万ドル。内容はやはり製法と設備に関する一般的な知識、また運転技術等でございます。支払い条件は若干フードリー社とは違っておりますが、契約発効後九十日以内に第一回の支払いを始めまして、運転開始後二年までの期間に四回にわたって払うということであります。  それから合成ゴムの重合の技術につきましては、グッドイアー社と提携いたすのであります。技術料が百九十万ドルであります。この提携技術内容は、工場の設計資料あるいは運転技術等であります。支払い条件は契約発効後三十日以内に第一回の支払いを始めまして、四年以内に五回に分割払いをするということになっているのでございます。条件が若干会社によって違っておりますが、これはそれぞれの会社の従来の行き方がこのように違っておるのでありまして、やむを得ないことかと存じております。
  81. 島清

    ○島清君 そうしますと、技術導入に関しまするこっちの方で支払わなきゃならないというのは、二年以内に大体において四百万ドルくらいですか。
  82. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) おっしゃる通りでありますが、二年以内と申しますのは、運転開始後二年以内、こういうことでございます。従って今日から計算いたしますと四年以内というくらいでございます。
  83. 島清

    ○島清君 そうしますと、運転開始後二年以内に四百万ドルの技術導入費用を払わなきゃならないというんですが、今、加藤委員の質問にお答えになりましたのも、かなり供給の面と、それから需要の面に対して、必ずしも確固たる見通しと安定感を持ってのことだとも言えない面もあるんですが、そういうふうにして償却するのは大体何年くらいで償却ができて、政府の投入資本が引き揚げられるとお考えでございますか。
  84. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) 来年の暮ごろから操業開始があるわけでありますが、操業開始後四年目で若干の黒字を生じます。そして五年目から一割二分程度の配当が可能であろうというふうに見ております。これは、操業開始後三年間は需要量が四万五千トンに達しないわけでございます、従って設備はフル稼働できない、従って償却費は少量の生産品にかかるものですから、どうしても生産価格が高い、しかも販売は国際価格でやらなければいけないということで赤字が出ているわけです。しかしながら、四年目以降四万五千トンの設備をフルに動かしますと、生産費が安くなりまして、国際価格で売りましても黒字を生ずるということで、五年目から配当が、操業開始後五年目から配当が可能である。そのころになりますと、政府はその持ち株を処分するということになるわけでございます。
  85. 島清

    ○島清君 私がお尋ねをする前に、大体四年目ごろからは黒字が出て、一割二分くらいの配当を保証したいというようなことをおっしゃっておられるのですが、それに対して私は不審に思いましたので、技術導入費は幾らであるかということをお聞きしたわけなんですが、何ですか、相馬委員も非常に俗っぽい話をしておられたのですが、たとい町の喫茶店なんか、料理店なんかをやりましても、技術導入費を払わなくても、なかなか黒字が出るには、あの水商売でも一年や二年たたなければ黒字が出ないのですね。しかもこれだけの技術の持ち合せのない、その貧弱なことで、さらに技術導入費を四百万ドルも二カ年のうちに払わなければならぬにかかわらず、四年目あたりから黒字を出すという計算は、要するに商品の販売価格が高くついて、そうして最も政府でお考え願わなければならない、安価にして品質の良質の品物を国民に使ってもらわなければならないというような、政府で当然考えなければならない基本的な政策をおろそかにされて、ただこの会社が黒字になりさえすればいいというような考えに重点を置かれて、商品が非常に高くついて、販売されて、国民が高い物を買わされると、こういうような心配はないものだろうかと、私はそういう心配を持つものでございますから、その点、いかがでございましょうかな。
  86. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) 技術提携料、これはまあ償却、おもに償却をしまして、商品価格に入れていくわけでございますが、ものによって五年ないし十年ということで、償却する計算をいたしております。そういたしてみますと、大体販売価格の二%程度を占めるわけです。で、この程度の比率は、大体一般化学工業で、外国技術導入してやっている場合と変らないのでございます。きわめて正常な姿であります。従って、技術提携料の償却が非常な生産高を来たして、そのために日本の合成ゴムが、国際価格よりも高くなるということは、われわれとして考えておりません。おっしゃる通り、今後日本で国産される合成ゴムは、国際水準の価格でなければならない、そういう考えで、われわれはこの会社の育成をしていくつもりでありまして、そういう方向から見ましても、この程度技術料の支払いは、その方針達成上支障になってはいないのであります。
  87. 小西英雄

    ○小西英雄君 お尋ねしたいことは、日本合成ゴム株式会社が昨年できた。できてまだ一年もたたぬうちに、さらにこの関係法律改正する、そういうことの見通しについて、政府はこれは初めからわかっておって、政府出資のような企図でやった場合には、まずこの会社の設立に相当な支障を来たすからという見通しから、まず銀行を通して金を出すようにしておいて、情勢の変化ということで、この法案を出してきたのか、そういう点に、もう一年ごとにこういうふうな改正案が、次から次と出てくるものか、これに対して政府はわかっておったのだが、その、初めから政府からこういうふうな特殊会社に金を出すことはどうかという点でやっておったのか、そういう点、一点。
  88. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) 今回の改正は、今回突如として思いついたものでございませんで、実は現行法の付則に、すでにこの改正をしなければならないという規定があるわけでございまして、その規定を受けて、この改正をいたすわけであります。すなわちこの現行法の付則の第三項に、「この法律規定による日本開発銀行の出資による方式は、この法律の施行の日から一年を経過したときは、別に法律で定めるところにより、遅滞なく、政府の出資による方式に切り換えられなければならない。」というのがございまして、この規定を実行するために、今度の改正案をお出ししたわけです。  ところで、こういう規定をなぜ入れたかというところに、問題が移ってくるわけでございますが、これは現行法のできましたのは、昭和三十二年度の予算の大体きまりました後でございまして、政府出資ということが今さらもうとても実行できないという状態でありましたので、こういう法律で実は会社の設立を考えるということにいたしたわでございます。
  89. 小西英雄

    ○小西英雄君 それはわかりました。それでもう一つ、この株式会社の設立の経過を見ると、こういうふうに政府の特殊会社的なもの、いろいろな公的なものについて設立発起人として、昨年、これとは問題は別ですが、自転車振興会等の改組に当っても、こういうふうなものには議員が特に参画しないというような制限の規定を設けたが、これについては設立発起人には同僚議員ですが、首藤新八君がなって載っておる。その業界の代表者としてというので、議員の立場から入ったのか、こういうような点について今後こういう面が特殊会社の設立に当って、そういうふうな制限をあるときには通産省は勝手にやって、こういう場合には許したという点があるのですが、そういう点どうですか。
  90. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) 国策会社の設立に当りましてやり方が二つございますが、原則としては国が設立委員を任命して、それに設立の仕事をやらせるということがございます。しかし、合成ゴム会社はそこまで強い特殊会社的色彩がございません。従って、一般の商法の手続によって設立されておるわけでございます。従ってここに設立委員という名前がありますが、これは別に政府が任命したかどうかという意味ではございません。業界が、業界と申しますか民間で自主的にやっていったものでございます。そういう意味政府は別に特にこの発起人の人選、設立委員の人選に介入したということはないわけでございます。ただわれわれとしても、行政指導の立場から、これに対しては常に注目はしておったわけでございますが、首藤先生の場合は、あの方は兵庫県のゴム工業会の会長をしておる、そういう業界代表ということで、発起人とか設立委員に顔をお出しになったのでございます。しかし、会社ができましてからあとは、そういう御関係はないわけでございまして、われわれとしても、そう御心配をいただくことはないかと存ずるのであります。
  91. 小西英雄

    ○小西英雄君 まあ局長のお話しによると、そういうような経過でわれわれ議員がいろいろな場合にあるときには制限され、あるときには業界代表とか何とかということでいいことになるのですが、事情が違うのですが、もう一つお尋ねしたいことは、こういうふうな国策会社的なときには、必ず名の通った業界代表の石橋正二郎さん、その人がほんとうは常勤でも何でもないのに、一応この人をロボットか何かに持ってきて、実際運営しているのは専務の松田さんという、実際の社長というのは、松田さんという人が社長だと思うのですが、どういう人ですか。
  92. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) 御承知だとは存じますが、松田専務は、その前には開発銀行の理事をしておられます。もとは商工次官をせられた方でございます。
  93. 小西英雄

    ○小西英雄君 そういうふうに、今度これはどうも違うわけですが、ジェトロのやはり政府のまるまる出資の会社にも、多忙をきわめている杉道助氏を持ってきて、その下にだれを持ってくるかわかりませんけれども、とにかく国家の資金をもって何だかんだと、これは通産省だけじゃないのですが、農林省でも順次いろいろ次官の繰り当て上、いろいろな森林開発公団とか次から次と出てきて、表面的には相当名の通った人を置いておいて、その人は常勤でも何でもない。そういう看板を掲げて、就職者あっせんというとちょっと語弊がありますが、そういうものに次から次と……、こういうふうな合成ゴムというのは、一つの国家的にやらなければ引き合わぬとかいうことを聞きますが、実際業界の人に聞きますと、政府がやらなくても、われわれでもやる元気はあったということを聞くのですが、こういうふうに合成ゴムというふうな会社においてこそ、先ほど何か合理化促進運動とか何とか促進法案というのをさっき提案したですね、そういうことで、すっきりした一本の保護政策というか、政府の補助政策なりをやればいいのですが、また、その新規の技術については別途の方法がたくさんあるのに、次から次にこういうふうな特殊会社ができてきて、それを引っ繰り返してみると、皆役所の方の都合で栄進の道を求めるように、極端に言えばなっておるという点について、われわれ非常に不愉快に思っておるのですが、それもわれわれの考えておることがきわめて間違った判断だ……、そういうふうなことのないように、今後こういうふうな特殊会社というものは、国民の税金からやって、無理して出した保護政策で、これは一つの統制的な傾向がだんだんいろいろな面に出てきておる。私は非常に遺憾に思っているのですが、どうですか、これは局長の意見じゃなく、大臣がおったら尋ねたいのですが、各省こぞっていろいろな、農林省の方は今度澱粉を保護するためにブドウ糖を作る一つ政府出資会社を作るとか、各省競うて、いろいろ智慧のある人にかかると、次から次にそれ以上の優遇される道を作っている。あるいは去年から審議をいろいろいたしたのですが、科学技術情報センターであるとか、次から次にこういうものが出てきて、めまぐるしいほど忙しいのですが、そういうことを通産省においても、今後すっきりした形で、今の保護援助政策についてはここ一本でいくのだというふうに、一つ大いに努めてもらいたいのですが。
  94. 海野三朗

    ○海野三朗君 今のにちょっと関連して。政府が出資されましたのは、そうすると株で初めは政府が持つわけで、会社がもうからないうちは無配当でやるのでしょう。そうすると、今度は会社がもうかってきたということになると、今度はその株を売ってしまう。ところが、経済価値というものは、去年の百円とことしの百円は実質が違うのですよ。そうすると莫大な犠牲をそこに払ってただやるというか、何といいましょうか、貨幣価値は変ってきているのだ。十億円ことし入れたとしますと、来年は十億円じゃないのだ、あるいは経済価値の変動によったら十二億円くらいにもなるだろうし、さらに十六億円くらいにもなるだろう。ところが、それは配当なしにそのままにしておいて、今度はもうけが上ってきたときに、それを相も変らず十億円で返させるということになりますと、その間に経済価値の大なるスポイル、つまり盗みというものがそこに現われてくるわけで、そうしてどうもその徴候は私はおかしいと思うのですが、あなたはどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。経済価値の変動、そうすると政府は十億出したといっても、実質はそのとるときになると、十億じゃなしに五億あるいは三億になっているかもしれない、それはどういうふうにお考えになっておられますか。
  95. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) 貨幣価値の変動は、時代によっていろいろ程度の差があろうかと思うのです。今後はだんだん経済が安定いたして参りまするならば、過去においていわゆる見られたほどの大きな変動はないかと思いますが、しかし、若干の変動は否定できないと存じます。これを救うために、普通は金を貸せば金利を取るということになるのでしょうが、つまり出資をいたしますると金利を取らない、これだけ国がこの事業に補助をしてやっておるということは、これは言ってよろしいかと存じます。その程度の補助をして、民間ベースでは興らない合成ゴム事業を日本に作るということができたら、その程度のことはやむを得ないことでありましょう、というふうに考えるのであります。
  96. 小西英雄

    ○小西英雄君 局長にこの際お聞きしておきたいのは、このゴム工業界が、横浜ゴムとかブリヂストンとか、たくさん日本の工業界に重きをなしておる業界の連中が、合成ゴムというものが必要欠くべからざる将来性のあるもので、これを自分らで業界の責任においてやってみようという勇気のあるやつは、日本の業界に一人もいなかったのですか、それを一つはっきり聞いておきたいのですが。
  97. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) いわゆる特殊ゴムという、特殊の性能を持ったものは、小さい規模でもやっていけるのですから、そういうものについては、民間の自力でやっていくという考えのものはあったわけです。しかし、この天然ゴムに似たような性質を持ちまするこの合成ゴムにつきましては、大規模でやらなきゃならぬものですから、自力でやろうというものはいなかったわけであります。
  98. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 製造の過程が非常に大事になるのでありますが、先ほどからお伺いしておりますと、製造過程というものが、全部が外国の技術に依存しなきゃならぬ、こういうことで、しかも、それが三段階に分れておる。そして運転開始後におきまして、二カ年以内に四百万ドルを支払わなきゃならぬ、こういう御説明があったのでありますが、この四百万ドルというものは、特許を買うような形になって、一時払いで全部これは完了するのであるか、あるいは今の外資導入のような、技術導入のような格好になって、ロイヤリティでいくのかどうか、この点をまず伺いたいと思います。
  99. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) この技術提供料には、いわゆるロイヤリティ的なものはありません。一時払いにしていいものでありますが、その条件をわが方に有利にするために、分割して払うということにしているにすぎないのであります。
  100. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それから、いろいろ各委員からお尋ねがあったのでありますが、最近の世界情勢を見ますというと、ただ単に、戦争時代のように国産化でなければならぬという、そういう偏向的な考え方のみにとらわれるということは、これは、私は考えなければならぬと思うのであります。そういう点におきまして、この莫大な技術料を提供をして、それからまた、世界の情勢を見るというと、日本と同じようにゴムの国産化というものをはかっていく、こういうような状況が相当出てくると思うのです。そういう意味において、果して国産化というものが、自分の、ただ日本で作ったというような自慢になるだけで終ったのじゃ、これは何にもならないので、結局、大きな意味においての採算ベースということを、私は考えなきゃならぬと思うのでありますが、そういう意味において、ずっと将来のことは別としまして、近い将来において国産化が果して採算に合うのか。あるいは最近の世界情勢というものは、御承知の通り、貿易の自由化ということが基本の情勢になっておるのであります。こういう点から考えまして、単に無理押しで国産化でいくよりも、あるいは輸入に依存した方が、ベースとして果して合うのか、そういう点について、むろん十二分な考慮を払ったと思うのでありますが、いかがでありますか。
  101. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) この計画を始めるときには、今後の世界におきまするゴムの需給、あるいはまた、合成ゴムの需給につきましても、十分に検討を加えたわけでございます。天然ゴムにつきましては、そう大量の供給増加を期待することは、無理であるということはわかっておりますし、また、合成ゴムにつきましても、どうも外国は、自分のところの充足に手一ぱいで、日本へなかなか輸出してもらえない状態になるのではないかという心配が多分にあったわけであります。おっしゃるごとく、世界的に、ある少数の国で大量の生産があって、むしろ輸入した方が安いというものについては、これは当然その経済性ということを考えまして、国産化の努力をしないでおくということも考えられるわけでありますが、合成ゴムの場合には、どうも外国へ期待することが、将来相当困難であるという見通しのもとに、国産化の方針をきめたわけでございます。
  102. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それから現在、合成ゴムの日本の国内における消費高は、大体どのくらい。それからまた、今度の案によりますると、四万五千トンと踏んだ根拠というものは、どこにあるのか。御承知の通り、先ほど相馬委員も触れましたが、ゴムぐらいスペキュレーターの多いものはないのでありますが、そういうスペキュレーターの問題等も勘案されて、この四万五千トンというものを踏まれたのかどうか、その根拠を明らかにしてもらいたい。
  103. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) 昭和三十二年について申し上げますと、合成ゴムの需要は一万三千七百トン程度ございます。これは普通のSBRといっておりますが、天然ゴムと似たような性質を持っておる普通の合成ゴムであります。これがこのうち八千トンを占めまして、特殊合成ゴムというのは、五千七百トンでございます。なお、天然ゴムの需要が十三万トンということで、合計、ゴムの需要としては、十四万三千七百トンということになっております。それが昭和三十三年になりますと、合成ゴムの需要合計が二万二千トン程度、SBR、普通の合成ゴムがそのうち一万五千トンを占めております。このようにして、だんだん増加して参りまして、昭和三十七年に至りまして、SBRの需要が年間四万五千トンということになって、特殊合成ゴムは一万六千トン程度というように推定しております。このときのゴムの全体の需要を十八万三千トンというふうに見ておるのでありますが、このような需要に対しまして、国産のSBRを四万五千トン供給すれば、大体SBRとしては、需要を十分満たすことができる。このときに至って、この合成ゴムがフル操業が可能であるというように考えておるのであります。
  104. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それから本案の本義というものは、あくまでも臨時措置法である。従って、見方によりますれば、これは時限法案にすぎないのでありますが、それで、この民間にいずれはこれは開放するか、あるいは委譲するかという場合が来ると思うのですが、そういう場合において、これは資本の面、それから並びに技術の面、この点は民間にこれを開放する場合には、どういうお考えでありますか。今の合成ゴムの国策会社をいずれこれは民間にやらせるときが来るでしょうから、そのときの譲渡の問題。
  105. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) 合成ゴム会社の採算が一応とれるようになりますると、政府が持っております株式を処分をして、これは一般に開放するわけであります。そうして、この法律を廃止するということで、そうなりますと、現在の合成ゴム会社が完全に民間ベースにかわってくるということでございます。民間に開放するというお言葉がありましたが、そういう形で実は開放ということは、実現されるわけであります。
  106. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 技術の面が、そうすると、それに含まれておるわけですか。
  107. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) 従って、事業の性格なり内容は、そのままで継続して参るということになるわけであります。
  108. 小西英雄

    ○小西英雄君 今の採算ベースに合ったときに、ただ普通に株を一般に買うなり、あるいはその会社に譲渡する、そういうふうな性格の会社になれば、私たちは、そういう点からいくと、この役員その他従業員に対しても、営利会社でなくて、国家的な、国民の金を使った会社ですから、そんな役員会で勝手に賞与とか、あるいは給与を出すわけにいかぬと思う。これは採算がとれないということを初めからわかり切って政府があらゆる援助をした場合に、そういう点はちゃんと規定が設けられておりますか。
  109. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) 現行の会社を作りますときにも、すでにそういう今後の事業計画というものを政府がとっておりまして、これは政府承認を受けることになっておるのでありますが、その中に資金計画の部分に、そういう給与に関することも書いてあるわけでございまして、政府としてはそういう点も先ほどおっしゃいましたような趣旨で、十分検討を加えたわけでございます。
  110. 小西英雄

    ○小西英雄君 政府が、政府とつうつう的な立場の人と監督官みたいな格好でやるわけですね。これは政府承認というのはたやすく取れるのでありますが、何か法律的にそういう点に一つ規定かなにか設けてなければ、それは一つの会社だからという普通の会社の考え方で、国民の金を無税で出しておる、無利子で出すような会社の性格に対しては、これは非常なわれわれ疑義を持っておるのですが、どうですか、そういう点について公務員並みだとか、あるいは公社なみだとかいう何か規定があるのですか。
  111. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) 現行法でも、こういう事業計画なんかを承認する場合には、大蔵大臣に通産大臣は協議をしなければならないということになっております。そういう点につきましても、通産省は大蔵省に協議をいたしております。大蔵省としては、これは純粋にそういう国家資本を擁護するという見地から、十分検討を加えておるわけでございまして、大体一般の国策会社、いわゆる国策会社並みの給与でいこうということで審査いたしております。別にそれを文章にしたものはございませんが、そういうことで審査いたしておるわけでございます。
  112. 小西英雄

    ○小西英雄君 それはいろいろ大蔵省は一般予算については厳しい審査をしておるようですが、こういうふうな特殊会社を作る場合には、大蔵省がもし通産省の主管の特殊会社を作る場合にひどく強く出ますと、自分たちは何々金庫とか、国家的の金融会社を作るときにそのあれがくるので、そういう点に対する手かげん等はないと思いますが、もしそういうことがあったら大へんなので、今後こういうふうな会社の設立に対しては、これは議員として、われわれまた大臣なり、あるいはこういう問題について大蔵大臣に尋ねますが、局長に尋ねるのは無理だと思いますが、こういう点に今後一つ気をつけてもらいたいということを要望しておきます。
  113. 岡三郎

    ○岡三郎君 簡単に聞きたいと思うのですが、「政府は、会社の経理的基礎が確立したと認めるときは、」、これは先ほどのあれで四年くらいと言っておりましたが、確立しないときには、これは何ぼでも貸しておくわけですか。
  114. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) この条文の上から言いますと、そのようになります。従ってそれがずっと厳重な監督規定もやっぱり続けて、十分な監督をしていくということでございます。ただ、これはゴムの需給関係によってきまることでありますが、われわれ普通に推移するならば、四、五年先には採算がとれるようになるという見通しを持っておるわけであります。
  115. 岡三郎

    ○岡三郎君 それで一応基礎が確立したときに、有価証券市場の状況を考慮して、なるべくすみやかに、その所有する会社の株式を処分すると、こう書いてあるわけですが、処分の方法ですね、これはどういうふうにしてやるわけですか。
  116. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) この政府の持ち株は、大蔵省の管財局がこれを管理することになるのでありますが、その処分は現地機関である財務局が当ると思います。政府の持ち株はいわゆる普通財産でございまするので、一応は競争入札ということで処分されることになると考えます。
  117. 岡三郎

    ○岡三郎君 もう少しその競争入札の方法ですね、それは一体一般に公募してやるのか、あるいはこの株主に分ける方法か、そういう点については、まだ検討されてないのですか。
  118. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) 実はこれはそういう政府の株を処分する状態が近づきませんと、なかなか特殊な考慮を加えるということもむずかしかろうと思われるのでありますが、われわれとしましては、今後この処分をする場合には、この処分の仕方が将来この会社の運営に非常な悪影響を与えないように、十分検討をして参りたいというふうに考えておるのであります。
  119. 岡三郎

    ○岡三郎君 その場合に、それは時価ですか、あるいは額面の金額ですか。
  120. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) これは時価を原則としていくのが適当であると考えております。
  121. 岡三郎

    ○岡三郎君 その評価はどこでするのですか。
  122. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) これは大蔵省の管財局なり財務局には、そういう評価の専門家がおりまするので、大蔵省において行うことになると存じます。
  123. 岡三郎

    ○岡三郎君 対象は一般ですか、株主ですか、それはまだわかってないのですか。
  124. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) まあ、原則的には競争入札ということが考えられておりまするので、そうなりますると、相手を特に株主に限定するということはできないかと存じます。
  125. 岡三郎

    ○岡三郎君 さっき松田太郎さんのことが出たのですが、この人は株主の欄を見ると百株持っておるわけなのですがね。しかしまあ百株でもこれはいいでしょう。政府が任命するのですから……。ここに出ている役員の一覧表の出身別をちょっと言ってもらいたいと思うのです。石橋正二郎氏はブリヂストンの社長だから、これはわかっておりますから、あと……。
  126. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) 社長と専務につきましては、これまで御説明を申し上げましたが、それ以下の者について申し上げます。この中で常勤重役と非常勤の重役があるわけですが、常勤重役はこの川崎氏から永瀬氏まででございます。それ以下の者は非常勤でございます。
  127. 小西英雄

    ○小西英雄君 石橋さんも非常勤でしょう。
  128. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) 何と申しますか、一応常勤のつもりでわれわれは考えておるわけでありますが、そういう意味とは違って、この非常勤というのは、ほんとうに月に一回か二回、つまり役員会に出て意見を言うという程度のものです。そういう意味の非常勤でございます。それで川崎氏は従来協和醗酵会社におられた方ですが、これは化学工業界の方として技術の中心を、今度の合成ゴム製造技術の中心をなす方として見ております。それから岡島氏は三菱造船におられた方ですが、機械技術屋さんであります。そういう意味機械技術の関係の最高責任者でございます。それから奥山さんは従前ブリヂストンタイヤの顧問をしておられた方でございますが、この方が経理関係のことをごらんになるということであります。それから永瀬氏は通産省の審議官をしておられたのでありますが、総務関係を担当しております。総務部長、そういうことをやられるということになっております。あと非常勤に移りますが、池田氏は三菱油化の社長でございまして、これは化学工業界の代表者として出ておられるわけであります。それから次は小田氏でございますが、この方はゴム業界の方で、神戸の地区の代表ということでございます。それから加藤氏は協和醗酵の社長でございまして、これは化学工業の技術の権威者でございます。倉田氏はゴム業界の方で、九州の地区の代表ということでございます。それから高橋氏は大協石油の社長で、原料の供給者という立場にあるわけでございます。石油精製業者でございます。それから丹沢氏はゴム業界の方で、自動車タイヤの業界の代表ということであります。それから富久氏はゴム業界の方で、大阪地区の需要家の代表ということであります。それから早山氏は昭和石油の社長でありまして、原料の供給者という立場であります。それから松本氏はゴム業界の方で、関東地区の代表ということであります。以下監査役になりますが、常任監査役の高橋氏は従来東北興業の理事をされておった方であります。それから黒崎監査役は非常勤でありますが、太陽物産の取締役、民間人であります。あと相談役の石橋氏と井上氏、これはいずれもゴムの業界の方でありまして、石橋氏ははきもの業界の代表であります。井上氏は名古屋地区の代表であります。こういう角度から役員が選ばれておりますが、非常勤の取締役が相当たくさんおりますが、これらは化学工業界あるいは原料供給業界または需要家のそれぞれの代表として取締役会のときだけに出て、いろいろな意見を言い、その知識を提供し、また協力するという立場のものであります。
  129. 岡三郎

    ○岡三郎君 最後に一点だけ聞いておきたいが、大体成功するという見通しであれば、それでいいんですが、かりにもしもここで損害が起ったり、いろいろなことをした場合において、会社の方が非常に長期に赤字を出した。そういう場合において、かりにもしこの会社が国で保証しておるのだからそういうことはないと思うが、万一会社自体というものが不成功に終った場合においては、政府としては担保か何かそういうものを取ることになっておりますか。
  130. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) これは政府は株主としての立場においてあるだけでございまして、株主が現在の法規で保護されておる程度の保護を受けるということになっております。
  131. 岡三郎

    ○岡三郎君 そうするというと、これは万一どういうことがあっても、やっておる人は損をする人はない、もうかるという専門の会社ですな。この点どうですか。
  132. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) 大体今後のゴムの需給が相当逼迫するという見通しのもとに作った事業でございますから、通常の事態においては、これは成功するというふうに考えております。おっしゃるように短期的には、いろいろな世界的な経済事情で、この会社の赤字の期間が長引くということも、それは保しがたいのでありますが、長期的に見れば、まずこの会社は一応設立の目的は達成せられるというふうに考えております。
  133. 相馬助治

    ○相馬助治君 私はこの会社は実はうまくいかない心配も多いのじゃないかというふうに考えて一つは心配しているのですが、そこで、いただいた資料をよく見て一つ心配なことは、そうして尋ねたいことは、設備資金の調達方法として、資本金のほかに借入金を百二十五億予定しているようですが、現在の金融引き締め状態で、この調達がうまく円滑にいくのかどうか。時期を延ばしてみたり、ないしは金額を圧縮するというような問題が起きないか、こういうことを一つ心配するのですが、その資金計画がどうなっているか。こんなことはないと思いますが、株式の払込み状況なんかも現在のところどうなっているのか、こういうふうな資金計画の概括について伺っておきたい。
  134. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) この会社の設備資金は大体百五十億円でありますが、これを二年間に調達しようというものであります。従って、まず三十三年度資金の見通しとしましては、大体そのうちの七十億円程度というふうに考えております。その調達予定としては、資本金が二十五億円、これは全額払い込みを期待しています。さらに、開銀からの融資、これは特別低利の融資でございますが、これを二十億ないし二十五億円期待いたしております。まだ最終的な決定は見ておりません。一般的な開銀融資、すべてそうでありますが、そのようにしまして、おおむね五十億円前後のものは調達します。残りは市中融資に期待するということであります。それから出資の払込みの状態は、会社設立のときに授権資本の四分の一、すなわち六億二千五百万円の払い込みをいたしましたが、五月一日に、次にまたその四分の一の払込みをいたすことになっております。本年度内に全額の払い込みを終了いたすことになっておりますが、おっしゃるごとくゴム業界の出資のごきとは、相当中小の業者もおるわけでございまして、一般の金融引き締め等の影響を、特に敏感に感ずるものでありますが、われわれとしては、これは極力そういう民間の出資を督励し、かつまた、そうすることによって開銀出資も促進していくというふうに考えております。一般の市中融資の難易につきましては、ただいま何とも申し上げかねると思いますが、これもわれわれとしては、興長銀等を中心にして、できるだけ発言力の強い分野を活用して、調達に努力して参りたいというふうに考えております。
  135. 相馬助治

    ○相馬助治君 国の権力の、発言権の強い立場を利用して調達して参るというと、この資金の関係についても、合成ゴム会社に直接当らせるのでなくて、何というか、監督官庁である通産省も具体的に口を出して、市中銀行あたりからの融資のあっせん等も積極的におやりになるのだ、こういうことを含んでいるのですか、今の答弁は。
  136. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) 私がただいま申し上げましたのは、国の発言力のなるべくきく範囲を中心にして、市中融資を調達していきたいということで、具体的に申しますると興長銀、いわゆる興業銀行、あるいは長期信用銀行、こういうところあたりを中心にして市中銀行を結集して、そうして所定の市中融資を実現していきたいというふうなつもりでございます。
  137. 相馬助治

    ○相馬助治君 今度はこの法律改正してまで政府が晴れて出資をできるように法改正をしていくわけで、そうしますと、さっき海野委員と岡委員指摘したような心配も一つあるわけです。いわば、今のうち政府の金を出さしておいて、もうかっちゃったならば、また政府の金は適当に返して、資本家にだけ、会社のもうかる分の設備から何から残るじゃないかという、こういう一つの心配もありますが、もう一つ手前の心配は、そういうことになってもんちゃくが起るならばまだしも、途中で設備もできないような資金計画の狂い等から、所定の、予定した効果が上げられないで、政府の投資した分がまことに効率的でなくなってしまって、何が何かわけがわからぬというような心配だってないわけではない。私はむしろ、あと言っているような心配の方が強いような気がするので、さっきから質問しておるのですが、今の局長のお話しですと、局長は監督者であって当事者でないから、答弁が無理だとは思うのですが、お聞き及びになっていると思うのですが、資金計画は、まあ大体ここの初年度は、計画変更等をせずに順調にいく今予定でございますか、この辺はおわかりだと思うのです。
  138. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) その通りで、ただいま計画変更の必要は感じておりません。
  139. 小西英雄

    ○小西英雄君 この株式名簿によると、このゴむ工業界が一致してこれに参画しているように考えておったのですが、ちょっとその点はどうですか。超党的というか、超会社的にこれができたものですか、ちょっとそれを……。
  140. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) これはゴム工業界が全員一致して会社の設立のために出資をしたというふうに考えてよろしいと思います。しかしながら、ゴム業界の中小企業の中で、また、非常に零細な業者はそういう出資の力がありませんので、出資はいたしておりませんが、しかし、中小業界でも百社以上のものが社主になっております。従ってゴム業界としては、大体全体が一致して、この会社の設立のために出資したと見て、ほぼいいのではないかというように思います。
  141. 小西英雄

    ○小西英雄君 どうも、そういう点が私たちは、このあれから、これは研究したわけじゃありませんが、われわれ日本のゴム工業界は、東西の両横綱はブリヂストンが西なら、東の横綱は横浜護謨ということになっております。横浜護謨はその役員にもだれ一人出していないかわりに、株主としても、小さなメーカーよりもわずかな出資しかしていない。いかにも石橋派の主導力によってこれができたような、あとの経過から見るとそうなっておるのですが、これは何かのトラブルとか、横浜護謨が協力しなかったということについて、何か経過があったと思うのですがどうでしょうか。
  142. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) 御承知のように、横浜護謨は日本ゼオンというまあその同系統の会社で特殊合成ゴムを作っておるわけであります。従って横浜護謨としては、まあこの新しい合成ゴム会社にそう全面的な、何といいますか、出資、全面的な協力といいますか、協力はしているのですけれども、まあ、ほかの株主と同じようなくらいの金額の出資をするということは、先方から遠慮されたのでございますが、少くともこれは出資をしておるわけでございまして、横浜護謨としては、この日本合成ゴム会社の設立なり育成については、十分好意的に配慮しているということは言えると思うのでございます。
  143. 小西英雄

    ○小西英雄君 局長を信頼してそういうふうに承わっておきますが、横浜護謨が作っている日本ゼオンという人造ゴムも、これは内容的に全然使途の違うものですか、ほぼ似たようなものを作っておるのか、それはどうですか。
  144. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) 日本合成ゴム会社で作ります合成ゴムは天然ゴムとほぼ同様の性質を持つゴムでございます。それから日本ゼオンで作りますのは非常に特殊な性質を持つものでございまして、たとえばこの含有量なんかでいいますと、スチレンが非常に半分以上も入っておるようなゴムです。特殊な用途に使われるゴムでございます。その点では普通の天然ゴムとは、はっきり区別できるものでございます。
  145. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  146. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記を起して。
  147. 海野三朗

    ○海野三朗君 先ほどから私が申しておりますことは、合成ゴムの株を政府が持つと、そうしますと、損しておるときは株の配当はありません。今度はようやく少し芽が出てきたというときに、三分か五分の配当が出てきたというときに、今度はその株をやはりもとの額面でもって売り渡してしまうということは、無利子で、十億なら十億の金をただ無利子で政府が貸したということになる。今の中小企業に対して国民金融公庫とかいろいろなものは必ず利息を取る、きちんきちんと。しかるにこういう大企業に対しては、気がつかないで、無利子で金を貸しておる。これは私どもが納得のいかないことです。この前、先国会ではこれをさらっと通しましたけれども、よくよく考えてこの株主のつらつきをずっと見ますと、一人もろくな者はいない。(笑声)それこそみんなふだつきです。この間新聞をにぎわした者がずっと出ておるでしょう。たった百株ぐらいで、こんな法律をあなた方が一生懸命作っていられたことが、私どもは納得いかないのですから、この次まで十分御答弁をお考えになっていただきたいと思います。
  148. 近藤信一

    委員長近藤信一君) まだ御質問もあることと存じますが、後日に譲り、本日はこの程度で散会いたしたいと存じますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それでは次回は明後二十日午前十時より開会することにして、本日はこれにて散会いたします。    午後四時七分散会      —————・—————