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1958-03-04 第28回国会 参議院 商工委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月四日(火曜日)    午後一時四十二分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     近藤 信一君    理事            青柳 秀夫君            古池 信三君            阿部 竹松君            相馬 助治君    委員            大谷 贇雄君            小滝  彬君            小西 英雄君            西川彌平治君            高橋進太郎君            海野 三朗君            岡  三郎君            島   清君            椿  繁夫君            加藤 正人君            大竹平八郎君   政府委員    通商産業政務次    官       白浜 仁吉君    通商産業大臣官    房長      齋藤 正年君    通商産業省通商    局長      松尾泰一郎君    通商産業省重工    業局長     岩武 照彦君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    中央軽量検定所    長       玉野 光男君    電気試験所標準    器部長     内藤  正君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○連合審査会開会の件 ○計量法の一部を改正する法律案(内  閣提出) ○輸出保険法の一部を改正する法律案  (内閣提出)     —————————————
  2. 近藤信一

    委員長近藤信一君) これより委員会を開きます。  まず、先ほど委員長及び理事打合会を開きまして、今後の委員会運営につきいろいろ協議いたしましたが、その結果、ただいま法務委員会審査中の企業担保法案に関し、その法案性質上当委員会連合審査を申し込むことを申し合せ、本日は計量法の一部を改正する法律案輸出保険法の一部を改正する法律案二つの本付託法案について審議し、次回において北海道地下資源開発株式会社法案以下三法案について提案理由を聴取することを申し合せました。右のように取り運ぶことを御了承願います。     —————————————
  3. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それでは、まず連合審査会の件につきお諮りいたします。  本院規則三十六条に基き、企業担保法案につきまして法務委員会連合審査会を開きたいと存じますが、この点御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  ただいまの決議に基き、委員長法務委員会に申し入れることといたします。  なお、連合審査会開会日時等については、委員長に御一任願いたいと存じますが、この点御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 次に、計量法の一部を改正する法律案を議題として審議を進めます。  本案については、すでに提案理由を聴取しておりますので、政府委員より内容説明を求めます。
  7. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 計量法の一部を改正する法律案について内容を御説明いたしたいと存じます。  改正要点は十数点ございますが、第一に計量単位改正でありますが、これは大別いたしまして放射線関係単位追加と、従来から規定されておりまする単位整備二つから成り立っております。  まず放射線関係単位につきまして、昨年三月日本学術会議計量単位の案を諮問いたしまして、昨年の暮に正式にその答申を得ましたので、これを計量法規定することといたしました。大体十三の単位追加いたしております。なお、これらの単位は、国際的にもまだ確立されたとは申しがたいのでありまして、当分の間、第九条の通商産業省令で定める単位として規定いたしまして、関係方面にその使用を勧奨いたしていく方針でございます。  次に、放射線関係以外の単位整備でございますが、第一に時間の単位の秒の定義改正は、国際メートル委員会総会決議日本学術会議答申に基くものでございまして、この内容は、平均太陽日または平均太陽年は、わずかではございまするが変動いたしておりますので、国際的に一定の時点を確定いたしまして、そのときの平均太陽年基準として秒を定めようというものであります。  また、学術会議の建議に基きまして、粘度に加えまして実際取引に便宜な動粘度の計量単位追加いたしました。また、周波数計量単位としまして、諸外国の実情にかんがみましてヘルツという単位追加いたしたいと考えております。また、流量補助単位といたしまして、立方メートル毎時というふうな単位追加するのが、大体の単位関係改正によるものであります。  以上を条文に即して申し上げますと、第二条の改正は、計量定義といたしまして、動粘度及び照射線量放射性物質量等放射線関係単位関係を持ちまする物象状態追加いたします。また、第三条は、時間の単位改正したものでございます。また、第五条を改正いたしまして、動粘度の単位としてストークスというものを定めました。また、周波数単位追加としましてヘルツ流量単位追加と  いたしまして立方メートル毎時を加えております。第六条では、動粘度一補助計量単位としましてセンチストークス、周波数補助計量単位としましてキロヘルツ、またメガヘルツ追加いたしました。第七条の改正は、特殊の用途に用いまする流量補助計量単位としまして、リットル毎秒、リットル毎分リットル毎時を定める必要がありますので、これを政令で定めまするように改正したわけでございます。また、第九条は、今回追加いたしまする放射線関係単位を、通商産業省令で定め得るように改正したものでございます。  第二の改正点は、第十条第一項のただし書の改正でありますが、現行法趣旨は、法定計量単位が定められておりまする物象状態の量につきましては、法定計量単位以外の計量単位使用を禁止しておりますが、この例外としまして、輸出または輸入に関しまする計量政令で定めまする計量につきましては、法定計量単位以外の計量単位使用を認めております。  しかし、計量法施行後の経験から考えますると、本条によりまして永久に法定計量単位以外の計量単位使用を認めるものとしましては、輸出または輸入に関しまする計量に限ろうというのでございまして、ちょうど明年の一月一日からメートル法への切りかえに際しまして、経過的に尺貫法またはヤードポンド法計量単位使用を認めなきゃならないものにつきましては、別途御審議をお願いいたしまする予定でございますが、計量単位の統一に伴う関係法整理に関する法律案の方で処理して参りたいということにしておるわけでございます。  それから第三に、第十二条の改正でございます。これは放射線関係計器と動粘度計を新たに計量法計量器として追加し、他の計量器と同様な事業規制検定立ち入り検査等対象といたしまして、計量の安全の確保をはかろうというものでございます。  第四点は、第十三条及び第十四条の改正でございます。これは現行第十四条の許可区分企業実情から見まして、妥当を欠いておる点がございますので、これを改正いたしまして製造のため必要な設備、技術能力等に適合しまするように区分を細分いたしまして適正化し、あわせて通商産業省令でこの内容を定めることにいたしたいということでございます。  第五点は、法律の第十八条、第十九条の改正でございます。現行法趣旨企業技術的能力製造事業許可する際の重要な一条件としておりました。この方法といたしまして、試作品検査するという方法でとらえておるのでございますが、この趣旨をさらに敷衍いたしまして、試作品検査以外の方法、たとえば、主任の技術者の経歴などを勘案いたしまして、広く技術能力を判断できることとしまして、また、試作品検査が必ずしも適当でないと思われるものもございます。たとえば、従来検定などを行なっておらない計量器製造事業につきましては、試作品検査を省略し得るように改正したのでございます。計量法施行後約六年の経験にかんがみまして、試作品検査に関して申請者が選択して試作品を提供しておりましたものを、通商産業大臣試作品の提供を選択できるように改めるというふうに若干の改正をいたしたのでございます。  第六点は、現行法では製造事業者は、計量器製造または修理をいたしましたときには、製造事業者記号及びその工場、事業場の所在地の都道府県名表記すべきことになっておりましたが、取締りの実際上からは、製造事業者記号だけで十分でございますので、第二十五条を改正いたしまして、都道府県の名称は表記しなくてもいいということにいたしたのでございます。  第七点は、第三十五条、第三十六条の改正でありますが、これは修理事業許可区分でございます。先ほど第四点として申し上げましたように、製造事業許可区分改正いたしましたのと同じ趣旨から適正化して、通商産業省令で定めたいというわけでございまして、また、これに関連しまして、四十七条、四十八条という条文改正いたしまして、販売事業登録区分も、通商産業省令で定めることにいたしたわけでございます。  なお、第五十一条及び第五十四条の二の改正は、これに伴った関係条文整理であります。  第八点の改正は、計量器販売方法であります。現行法では第五十五条に規定しておりまするように、展示会とか博覧会等において販売する場合を除きまして、店舗外販売することを禁止いたしておりますが、この趣旨は、計量の安全を確保するために、販売する者を明らかにして不正な販売をなからしめるためでございますが、他方店舗外販売を禁止いたしますと、販売活動活発化を阻害し、ひいては計量器の十分な普及にも支障があると考えられますから、この条文に二項を追加いたしまして、販売事業者販売員について、あらかじめ都道府県知事に届け出た場合は、その販売員によって計量器店舗外において販売することを認めることといたしたのであります。なお、この販売員には、通省産業省令で定めまする様式の身分証明書を携帯させることといたしておりまして、計量器需要家にも販売責任者がはっきりいたします。また、取締りにも支障がないようにと考えておるわけでございます。  第九点の改正は、第六十四条の改正でありまして、本条趣旨は、製造事業者修理事業者輸入事業者等検定を受ける義務を課しておりまするが、その段階検定を受けなくても計量の安全を確保するに支障を与えないものもございますので、それらを例外として規定しておるわけでございます。改正趣旨は、従来、政令規定しておりました特殊の構造種類計量器ということでは、若干狭いきらいがございまするから、特別の種類構造以外のものでも、取引証明に危険を与えないものでありますれば、政令に定めているものについて検定例外とすることとしたわけでございます。  第十点の改正は、第七十七条の改正であります。これは先ほど第六点として申し上げましたことと同様に、現在正味量表記させて売り出しておる商品がございますが、そういうものにつきましては、消費者が主として関心を持っておりまするのは、どこの会社の製品であるかということでございまして、表記をした場所表記を一々しなくとも十分取締りにも差しつかえございませんので、場所表記をしなくてもいいというふうに改正したわけでございます。  それから第十一点でございますが、これは検査要点といたしまして、従来構造検定するというときに、材料性質も一緒に入れて検査するのだというふうに書いておりまして、他方でその計量器性能につきましては、構造を十分検査すれば自動的に性能検査ができると考えておりましたが、しかし、いろいろ計量器が進歩いたしますると、やはり材料性質以外にも、性能も特に検定要点といたしまして検査することが必要と考えられまするので、この点を明らかにしたわけでございます。  それから第十二点は、新しく検定に関連いたしまして、構造検査制度というものを設けることに関係した点でございます。構造検査制度といいますのは、いろいろ複雑な構造を持っておりまする計量器につきましては、検定の際一々精密に検査を行いますことは、いろいろ検定事務能率化を阻害するおそれがありますので、あらかじめ試験品につきまして構造を精密に検査いたしておきまして、実際に一品一品の計量器検定する際には、構造検査合格いたしました構造と同一のものであるかどうかは比較的簡単な方法で判定することができますので、検定が合理化され、能率化されるわけでございます。この制度対象といたしましては、現在、放射線関係計量器を考えておりますが、検査方法がいろいろ進みますれば、政令改正いたしまして、この対象を広げたいというふうに考えております。  それから第十三点は、検定有効期間に関する点の改正でございます。今般追加いたしまする放射線関係計量器は、大部分有効期間を定める必要があるものでございます。また、いろいろ技術の進歩に伴いまして、有効期間も長くなることと考えられまするから、この際法律で定めております有効期間を、具体的に政令規定した方がいいということで、政令に譲ったわけであります。なお、政令を制定いたします際には、従来から有効期間がありますものについてはそのままにいたしました。また、放射線関係計器につきましては、エックス線量計五年、その他は一年というふうに定めることにいたしたいと考えております。  第十四の改正点は、基準器検査ということにつきまして、現在は基準器検査をすべて通商産業大臣が原器あるいは標準器と照合いたして行なっておりますが、基準器のうちで比較的に精度の低いものを検査する場合には、都道府県知事が他の基準器と照合して行うこともできまするし、また、各地で検査を行いますればそれだけ検査を受けますものにとりましても便利になりますから、これらにつきまして都道府県知事基準器検査を行い得るように改正いたしたわけでございます。なお、これに伴いまして、都道府県知事管轄区域等を第百六条の二で明らかにいたしたのであります。  改正点の第十五でございますが、これは計量器使用している最中の検査につきまして、新しく改正を加えたわけであります。従来から使用されております計量器につきましては、府県吏員その他監督官定期検査立ち入り検査あるいは特定事業所におきます計量士検査等がございましたが、今般はさらにこの方法を拡充いたしますために、計量士に独自の職能と責任を与えまして、定期的に検査をさせまして、監督官が行います定期検査合格条件に適合しておる計量器については定期検査を免除いたしまして、実質的に定期検査を補強しようということにいたしたわけであります。これらにつきましては、第百五十一条の二として追加いたしまして、この計量士が行います検査方法合格条件あるいは定期検査の免除につきまして、あるいはまた、その結果の届出、検査証印証明書の発行、また計量士検査に用います基準器登録、あるいはその有効期間、あるいは府県におきまする登録簿備付というふうな事項についてこの条文規定しているわけであります。この計量士に、こういうふうな定期検査にかわります検査を行いますことは、実際上は一つの行政の一部と相なりますので、基準器登録とか、あるいは報告の徴収、立ち入り検査等につきましては、十分の監督を行いまして、いやしくも弊害の生じないように運用したいと考えておるわけでございます。  その他二、三の条文改正がございますが、これらは比較的軽微な事項でございますので、また、従来の条文整理等でございますので、その点は省略さしていただきまして、別表にございます手数料のうちで、今回新たに追加されました放射線と動粘度計の計量器検定追加をいたしたわけであります。手数料最高限度別表規定したわけであります。  附則としましては、第一条に施行期日を定め、その施行期日は本年の十月一日からというふうに予定しておりますが、そのうちで計量行政審議会に関します事項は、これは施行に関しますいろいろな政令省令等を付議する必要がございますから、公布の日から施行するというふうに定められております。  それから経過規定といたしましては、今般追加いたします計量器に関する事業につきましては、基準器備付は、その製造基準器検査に要しまする期間も考えまして一年六カ月間は基準器を備え付けなくてもいいというふうにいたしてあります。  それから附則の第三条に、先ほど御説明いたしましたが、製造事業許可区分等改正を行いました。これは従来の区分許可を受けておりまする者は、その従来通り区分許可を受けたものという、それに相当しました新しい区分許可を受けたものというようにされております。  それから放射線関係計量器及び動粘度計につきまして計量器追加いたしましたが、それらの計器につきまして現在製造事業を行っておりますものは三カ月間の猶余期間をおきまして、その間に許可申請書を提出すればよいということにしたいと思っております。  附則の第五条、第六条及び第七条、第八条、これは修理事業者許可あるいは販売業者登録区分の問題でございまして、これは先ほど製造業者の場合に申し上げたと同様でございます。  それから附則の第九条に、追加されました計器の中で動粘度計につきまして検定を受ける義務、あるいは検定を受けない計器譲渡制限使用制限規定がすぐ適用されますと、取引及び使用支障を来たしますから、一定期間猶予期間をおいたわけであります。  附則第十条には、放射線関係計量器についても同様の趣旨規定してあります。  附則第十一条では、現在照射線量計につきましては、省令をもちまして通産大臣依頼検査をいたして検定を行なっておりますが、この依頼検定内容は、本法の検定と同様でございますので、この現在行なっております検定規則による検定の効果を認めていこうというのが、第十一条の趣旨であります。  最後の附則に今度追加いたしました単位につきまして若干の標準器がございます。これは工業技術院電気試験所で保管するという規定でございます。  大体以上が今回の改正内容でございます。
  8. 近藤信一

    委員長近藤信一君) これにて内容説明を終りまして、次に質疑に入りますが、質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  9. 海野三朗

    海野三朗君 私ちょっとお伺いしたいのですが、耐火度計というものはどういうものでございますか。
  10. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 耐火度計につきましては、まだ現在検定をする段階になっておりません。耐火度につきましてはゼーゲル・ナンバーの単位をきめてありますけれども、それを何といいますか、一般的に用いられる計器がまだできておりませんので、検定をしてないわけであります。
  11. 海野三朗

    海野三朗君 そうしますと、このゼーゲルの何番々々といって町で売っておりますがね。あれはゼーゲル錐の何番といっても温度がわかりません。なぜわからないかといいますと、耐火度というものは、つまり温度熱量をごっちゃにしておるんです。ですからゼーゲル錐をとって耐火度を知るという、その方法自体が成り立っていないように思うんだが、その点については通産省じゃ、まだ検査……、その耐火度計というものはわからないというお話しであるが、ここに耐火度とちゃんと書いてあるのです、条文に。黒線を引いてあって、「耐火度照射線量吸収線量云々とこうあるが、この耐火度計というものは、どういう計器であるか、それを私ちょっとお伺いしたいんです。だれか専門家の方おられませんか。
  12. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 今ちょっと専門家が見えておりませんが、こういうふうに了解しております。今御指摘の点につきまして、まだそれは正確な、何といいますか、自信を持って採用し得る関係式といいますか、関係を確定しておりませんので、実は東京の工業試験所でそれを目下やらしておるのでございますが、なかなかできませんが、でき次第やりたいということで進めております。
  13. 海野三朗

    海野三朗君 それではここに名前を出しておられるのはどういうわけなんですか。この法案のところに、計量法の一部を改正する法律案というところの四ページに、「第九条中「及び耐火度」を「耐火度照射線量云々と、これに改めると、こうありますが、ここに「耐火度」という、これ入れなくてもいいんじゃないですか。どうなんですか。
  14. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) それにはこういうことに御了解願いたいと思います。耐火度についての単位と、それからそれをやりまする計量器というものは、追って、何といいますか、正確な学問的な根拠を持つものを得次第、追加して決定したいというわけでございます。実はまだ検定の方の義務をかけておらないわけであります。
  15. 小滝彬

    小滝彬君 これどうですか。もちろん非常に計量器はたくさんあるので持ってこれないけれども、絵ででも見せてもらうとか、あるいは国会中なかなかこれを設置してある場所へ見に行くのも大へんでしょうけれども、御説明もその方が楽だろうし、何かそういう実物に関するお取り計らいを委員長の方でお考えを願いたいと思いますが、いかがですか。きょうじゃなくてこの次のときにでも、絵とかいろんなものがあるだろうと思う。専門家に一応説明してもらう。そうすれば重工業局長の話もわかる。
  16. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 御要求でございますれば、次回そういたしたいと思います。  なお、今海野委員の御質問でございまするが、耐火度という単位は現在法律にあるわけでございまして、ただ条文整理関係上、「及び耐火度」というところを今度直しまして「耐火度」と入れたわけでございます。従来からあるわけでございます。その下の「照射線量」以下が今度追加したものでございます。
  17. 海野三朗

    海野三朗君 私のお伺いしたいというのは、耐火度計というふうにここに書いてありますが、どんなものを耐火度計に見ておられるのか、当局がよくおわかりになっておらないんじゃないかと私は思う。このメーターがたくさん名前がありますが、その耐火度というものをはかるのは、温度もとにするか、熱量もとにしておるか、そこがはっきりしないのでありますから、私は専門の人をここに呼んで御説明を願いたいと、こう思うのであります。
  18. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私は局長のお答えできる範囲の質問を申し上げたいのでありますが、この改正点の第八に計量器販売方法について説明を今されたのでありますが、これは従来扱っております晴雨計とか、あるいはまた体温器とかそういうものは含んでおるのですか。
  19. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 体温計は計量器としてこれに入るわけであります。晴雨計計量器ではございません。
  20. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それで何か説明を聞いてみますと、非常に販売がしやすくなったような御説明があったのですが、実際問題として、たとえば体温器のごときは、今まで生協を通じあるいは農協を通じて相当広く、これは公衆衛生という大きな立場から広く相当普及されておるように思うのですが、それが今度こういうことになると一々、全国的にでなくなって各府県ごとにその知事の認可を受けると、こういうことになるのですか、販売は。
  21. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 農協生協等体温器はその営業所販売されるということは、販売業者として府県知事登録してあればできるわけでございます。本条で考えておりますものは、農協あるいは生協従業員たちが農家なりあるいは家庭を回って売って歩くというような場合に、どういう販売員が回っているかということを府県知事に届けていただいた方が、いかがわしい販売等が出なくていいのではないかというような解釈であります。結局店舗以外で物を持って売り歩くという点をこういうふうに規定したい。従来この点がややもしますと乱れておるかと思います。さりとて一切店舗外へ持ち回って売ってはいかぬということも、実情に即さぬかと思います。こういうふうに身分を明らかにして、ちゃんとした検定の済んだ計量器を持って出て歩くようにした方が、消費者の便宜にもなり、かつは取締りの方からも御都合がいいのではないか、こういうふうに考えております。
  22. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私の解釈によると、今度のこの改正によって店舗を必要とするように私は解釈するわけですが、そういたしますと、折角簡易普及といっても、実は逆の結果になるのではないか。ということは、極端に言うと、もぐりというかもしらんが、たとえば公衆衛生に必要だという点から解しまして、農村に最近非常にこの体温器なんかが普及をされておる、それは販売員が行っておるわけでありますが、今度この改正案によると、各府県々々に店舗を持たなければならないということになると、そうすると今まで非常に普及したものが、一々店舗を持つということで、小さい所では実際問題としてできないことになる、そうするとやはり仁丹とかあるいは何か大メーカだけの独占になるような傾向になってくるのではないか、その点どうなんですか。
  23. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 今のお話はメーカーの販売員が農村等に売って回る場合のお話かと思います。
  24. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 いや、メーカーに限らない。
  25. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 農協等でございますれば、これは農協の事務所もございましょうし、あるいは物を扱う出張所もございましょう。そこで、体温計その他の計量器等を府県登録した上で、販売所として登録した上で売っていただくというようなことはけっこうだろうと思います。なおそれに加えまして、今度はそこの従業員等が農家を回って売り歩くということも、この届出で認めようというわけであります。従来よりもその活動が容易になるというふうに考えております。
  26. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 そうすると、販売の前提条件としては、その店舗というものはどういう形かしらぬが必要ではないですか。
  27. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) それはそうでございます。農協が自分の営業を行いまする事務所は、これは現在でも府県登録してもらっておるわけでございます。現行でそうでございます。それをほかの販売員が売り歩くのを、その販売員の届出をしておいてもらった方がよいのではないか、こういうように思います。
  28. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私はただ販売員ということよりも、従来、小さいところなんかが、たとえば全国的に行けないけれども、七つ八つに得意をもって、体温計に限りませんよ、いろいろな計算器や、全部入っておるのでしょうが、それが従来の通信販売とかあるいは何か出張で、ある団体を通じて売っていたというようなものが、今度はこれでその府県知事許可を得るために店舗を設けなければならぬということは、これは非常な負担になると思うのですが、どうしても、埼玉県なら埼玉県でやろうということになると、埼玉県知事の認可を得るという前提というものは、店舗の規定というものがどういう内規があるか知らぬけれども、絶対に必要なんでしょう、店舗というものは……、どうなんですか、その点、いま一つ……。
  29. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) それはそうでございます。その店舗、まあ営業の行い得る場所を申します、そこを登録しておいていただけば、そこで取引をしていただくなり、あるいは販売員を届け出ていただいておけば、行商をしていただくなり、どちらでもけっこうでございます。なお、通信販売は、これは現行法でも、あるいは今度の改正法でもこれはちょっと計量法の上からは違反ということに相なるかと思います。
  30. 近藤信一

    委員長近藤信一君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  31. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記を起して。都合により三時まで暫時休憩いたします。    午後二時二十三分休憩      —————・—————    午後三時三十七分開会
  32. 近藤信一

    委員長近藤信一君) これより委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、計量法の一部を改正する法律案質疑を続行いたします  御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  33. 海野三朗

    海野三朗君 この計量法の一部を改正する法律案、まことに趣旨としてはけっこうでありますが、この中で第一番に私は頭にぴんときましたのは、耐火度計というのですが、耐火度計というのは、何をもって耐火度と見ておるか。それを私は専門の立場からお伺いしたいと思います。
  34. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 説明員として中央計量検定所長が来ておりますので、お願いします。
  35. 玉野光男

    説明員(玉野光男君) 私から簡単に御説明申し上げますが、一応耐火度計温度をもって耐火度を示すというこうに考えております。もちろん、温度と申しましても、耐火度計が受ける熱量が問題になりますから、従いまして、どういう状態において行われておるというようなことによって、温度がきちっと温度計ではかるようにきまるものではなくて、ある程度の幅があるというふうに考えられております。なお、簡単でございましてまだ不足でございましたら、お尋ねによりましてつけ加えさせていただきます。
  36. 海野三朗

    海野三朗君 今、温度と言われましたが、それならばパイロ・メーターでもう十分なはずである、それであるのに、そこにある範囲があるというようなことを、ぼやぼやしたことを言っておられるが、パイロ・メーターでたくさんなんです。何も耐火度計というようなことを持ってこなくてもいいのじゃないですか、どうなんです。
  37. 玉野光男

    説明員(玉野光男君) その点につきましては、確かに。パイロ・メーターではかるというようなことによりまして、より精密にはかり得ると思いますけれども、使用法におきまして耐火度計を今炉の中に、たとえば材料と一緒に置きまして、そうして耐度年計、つまりゼーゲル・コーンと呼ばれておるものが軟化した状態によって、どの程年の温度だという大体の目安をはかるために都合がいい。しかも、割合安価な計量器であるというような、使いやすいというような意味において使われておるものと考えております。
  38. 海野三朗

    海野三朗君 それは今お話しのように、全く何も目当てがないから、耐火度計つまりゼーゲル・コーンを使うというようなお考えがあるように私は思うのでありますが、このゼーゲル・コーンというのは、テンペラチュアにのみディペンドするものじゃなくて、テンペラチュアかける時間、つまり熱量ですね、一定の時間を温度にかけたものがゼーゲル・コーンの硬軟度にプロポーショナルなものであって、温度のみによらない、すなわちそれのみに直接関係ないのである。それだのに、このゼーゲル・コーンを目安にしておるということ、そのこと自体が根本的に間違っておると私は思うのですが、あなたが専門的なお立場からどのようにお考えになりますか、温度かける時間、だから温度が低くても長い時間入れて置けば溶けますよ、曲りますよ、ゼーゲル・コーンは。温度が高くても時間を短かくするとなかなか曲らない、温度が低くても時間を長くかければ曲ってくる、それを温度を調べる目安にしておるということそのこと自体が間違っておると私に考えるのですが、あなたはどういうふうにお考えですか。
  39. 玉野光男

    説明員(玉野光男君) 大へん御専門的な御質問で、私自身がそちらの方のほんとうの専門家ではございませんので、適当な御解答となりかねるかもしれませんが、今お話しのように、事柄が性質的にはあるというふうに思いますけれども、実際的には非常に低い温度で長くかけたということで、必ず下るというものでもないと思います。と申しますのは、吸収する熱量と同時に、それが出す熱量がありますから、従いまして幾ら長い時間かけておりましても、どうせある一定温度で平衡状態に帰するということになると思います。従ってやはり温度によって軟化すると考えることができるのではないかというふうに考えております。
  40. 海野三朗

    海野三朗君 それは今お話を伺っておると、あなたもよくおわかりになっていないように私は思う。たとえばコークスがまにおいてバーナーのところに用いておる耐火度の相当高い耐火物でも、時間を長くかけるというと溶けてくるんです。これはどういうわけであるかというと、温度が低くても時間を長くかけさえすればトータル・アマウントがよけいになるから、それにプロポーションでゼーゲル・コーンが曲る、そういうものを温度の目安とした、基準にしておるということ自体が間違っておるのであると私は思う。あなたも専門家でいらっしゃるならば私が申し上げまするが、テンペラチュアかける時間これにプロポーショナルなんです、あのゼーゲル・コーンが曲る、曲らぬというのは。それですから私はこの耐火度計などとりっぱにここにたくさん並べられたけれども、実にこの辺は納得がいかないと私は思うので、温度に必ずしも比例いたしません、タイムとのプロダクトに比例するのであります。そういう点から考えると、この耐火度計というものをここに持ってきたということは、大体この法案自体が穴だらけなんで、この計量法の一部を改正する法律案の御趣旨には賛成であるけれども、至ってこの内容を見ると実に穴だらけだから、その一つとして私はお尋ねしたんであるが、テンペラチュアとタイムとのプロダクトに比例するんでしょう、ゼーゲル・コーンは。それだからテンペラチュアが低くてもタイムが長くさえかかればゼーゲル・コーンは曲ってしまう、こういう結果の実験をおやりになったことはありませんか、どうなんです。
  41. 玉野光男

    説明員(玉野光男君) 私が説明いたしましたときに、温度ということが強く入った説明になったかもしれませんが、決して温度計という意味で申し上げたのではございません。温度計というのは、計量器としてほかにございまして、それのほかに今お話しのような意味合いも含めて耐火度計という違う形の計量器をそこに持ってきたというふうに考えております。決して私自身は中央計量検定所でございますが、この問題につきましては、東京工業試験所工業技術院のうちで担当するということになっておりまして、従いまして私自身がお答えするのは、そういう意味でほんとうの専門家でないというふうになるかと思って、その点はおわび申し上げなければならないと思います。
  42. 海野三朗

    海野三朗君 それでは私はこれ以上あなたを追及はいたしません、しかし、これは後日にまた譲っておきまするが、次の問題で私がお伺いしたいのは、メーター、まあたくさんある、これの専門的に一体計量士というのはおるのですか、どうなんですか、岩武局長にお伺いいたします。
  43. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 計量士は、計量の実務にある期間従事した、あるいは国家試験を受けましたもので計量士という称号を与えておるこの各種の計器につきまして、たとえば医学博士ということになりますれば、内科も精神病科も全部あるいは外科も産婦人科もみなわかる専門家の方というものでないと同じように、若干の実は専門専門があるようであります。法律に記載されておりますような計器につきまして、ひとしく一様な専門的知識を持っておるというわけには参らないようでありまするが、比較的実際の取引あるいは検定等におきまして、多く問題になっておりまする計器につきましては、広く専門的な知識を持っているかと考えております。   〔委員長退席、理事相馬助治君着席〕
  44. 海野三朗

    海野三朗君 今の御答弁でいいようなんだけれども、至ってぼやぼやしたお答えのように私は思うのですが、時間とか温度とか面積とか体積とか早さとか、こういうものは標準がきまっておりますよ、熱量とか角度とかは。しかしながら、この原子力に関係しておる方面の計器については、計量士というものがもうすでにできているんですか、できていないでしょう、それをお伺いしたい。
  45. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 放射線関係につきましては、今までも計量法に入れておりませんし、また、それの依頼検定等も実際問題としましては私の方も電気試験所が行なっております。従って計量士がこの放射線関係計器について専門的知識を持っているというわけには参らぬかと思っております。
  46. 海野三朗

    海野三朗君 しからば検定の際には、どういうふうになさるお考えでありますか、電気試験所におまかせになるんですか、専門家がそこに充実しておるか、していないか、まずそれを固めなければならないのじゃないか。それができていないでこの法案をお出しになったって、さっぱり意味がないことになりはしませんか。
  47. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) その点につきましては、従来からエックス線量計につきましては電気試験所検定部で依頼を受けた検定を行なっております。また、その他の放射線関係のいろいろな計器、あるいは何と申しますか、検定関係の仕事につきましても、従来の知識を生かしまして、この仕事は十分にやっていけるかと思っております。なお、具体的なこまかい専門事項につきましては、幸い電気試験所の担当部長が参っております。御質問に応じましてお答えできるかと思っております。
  48. 海野三朗

    海野三朗君 ただいまの岩武局長の答弁以外に、電気試験所の方がいるというふうにお伺いいたしました。これだけのメーターがここに出ておりますが、これらの計量器が正しいか正しくないかということ、これは非常に重大だと思うのですが、そういうことについては自信がおありになるのですか。
  49. 内藤正

    説明員(内藤正君) ただいまの御質問に対してお答え申し上げます。電気試験所ではエックス線量計の検定につきましても、もうすでに三十年近い経験を持っておりまして、その担当しております。職員も、そういうエックス線、すなわち放射線の一部ではありますけれども、その検定に関しましては、十分な技術と能力を持っております。従いまして、今度現われました放射線の測定器に関しましても、私どもは十分それをやり遂げる自信を持っております。
  50. 海野三朗

    海野三朗君 そのグレード、つまりスタンダードというものは、どこに置いていらっしゃるのですか、標準というものをどこに置いていらっしゃるのですか。
  51. 内藤正

    説明員(内藤正君) これはそれぞれ原器になりますものは、放射線種類によりましていろいろ違いますけれども、エックス線に関しましては、これはすでに標準電離層というのがございまして、これは幾何学的の寸法、それから空気の標準状況、その他のすべての点を規制いたしますと、エックス線量というものが絶対的に測定することができます。原器は現在電気試験所が保管しております。そのほか今度新しく出ます計量器につきましても、それぞれ標準器を設定いたしまして、これを国の原器として検定に役立てたいと思っております。それの設計、相談につきましては、すでに電気試験所で用意されております。
  52. 海野三朗

    海野三朗君 しからば、少し方向の違ったことをお伺いしますが、電気試験所に標準のものを置いたからといって、一々電気試験所にこの計量器を持ち運んで行って、検査してもらわなければならぬというようなことでは困ると私は思うのです。そういう際には、どういうふうにおやりになりますか、全国ですから。この計量器製造するものは、散らばっておりますが、そういう際に原器一つぐらい電気試験所にあったってしようがないじゃないですか。そういうのは実際にどういうふうになさいますか、一々電気試験所まで持って来なければ、検査しないということになるのですか、どうなんです。
  53. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 放射線関係計器の生産の工場、事業所の所在場所でございますが、大体は東京中心が多いようでございます。今日のところはそういうことでございますので、しばらくは電気試験所の本所でやって参りたいと思っております。なお、この原器から基準器等をうつしまして、できますれば、明後年あたりから大阪の電気試験所の支所でも一部は行えるかと思っております。
  54. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 関連。ただいま海野先生からいろいろ検査についての御質問がございましたが、この改正の点につきましては、提案理由説明の第五番に計量士による検査制度を、その定期検査を免除するということがあるのです。   〔理事相馬助治君退席、委員長着席〕 これは計量士の職務の分野が広くなるのだからけっこうですが、この計量士というものの質が非常に重要な問題になってくる。今、計量士というものは国家試験と認定試験ですか、認定制度ですか、でやっている。そこで認定制度の点についてはその質がどうかというような点があるのですが、こういう人々が都道府県知事にかわって定期検査を行うというような重大な仕事ができるかどうか。また、こういう代検の制度、これは計量士というものは非常に多くなる。そういう人の質的向上についての対策についての考えを持っておられるかどうかという点を一つ承わっておきたい。
  55. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 計量士は現在四千人ばかりおりますが、御指摘のように国家試験に合格して計量に関しまする実務に一年以上従事した者、あるいは計量講習所、これは通産省に付属しておりますが、この計量講習所の課程を終りまして、かつ実務に七年以上従事した者から認定したいと思っております。それでこの定期検査にかわりまする検査を行わせますにつきましては、この法律案にございますように、第一に計量士が所定の基準器を持っている、それを都道府県登録しておくということが第一の要件でございます。その登録有効期間も一年にしぼっております。それから実際に使用しております計量器計量士検査いたしました場合には、それの合格いたしたかどうかということは、府県の吏員が行いまする検査と同じ基準合格かどうかを判定させまして、合格したものにつきましては証明書を出す、そうしてその証明書をつけて使用しております方から府県に届け出でさせ、そうして府県の担当機関がそれを見まして定期検査を行うのを免除する、こういった手続になるわけであります。それで府県といたしましては、そういう形で計量士の行いました検査の結果、あるいは計量士が持っておりまする基準器の状況等も把握できますが、府県の判断でどうも少しおかしいというような場合には、これは法律で認められております立ち入り検査を行わせまして、その結果、もし合格していないものを合格したというようなことでありますれば、これは計量士自身の問題になりまして、場合によりましては計量士登録を取り消すとかという問題までなるかと思います。この点は実は私たちの方もこういうふうな重要な仕事をまかせまするので、事後の監査、軽量士のやり方についての監査を十分に行い得ますように、特にこの法律案が成立いたしました上は、府県に対しまして十分注意を喚起いたしまして、監督の目を光らすように指導したいというように考えております。
  56. 海野三朗

    海野三朗君 私はもう一つ重要なることをお伺いしたい。体温計にしましても、あるいはまた温度計、パイロ・メーターにしても、みなその誤差というものが大体きまっておるでありましょう。流量計にしてもそうでありますし、そうしますと計量器に関した計量についてのエラーというものは、どの辺まで認めておられますか。
  57. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 計量器の誤差は、検定の際の誤差、あるいはその事後の場合の誤差といろいろございます。また、計量器種類によっても違いますので、具体的のことにつきましては、玉野所長から御答弁いたします。
  58. 玉野光男

    説明員(玉野光男君) 今の使用公差と検定公差でございますが、検定公差は、温度計、体温計につきましては、一目盛りということになっております。大体現在の体温計は一分目盛りでございますから、従いまして十分の一が検定公差、一度の十分の一、つまり一分が検定公差でございます。それから使用公差でございますが、使用公差は検定の体温計につきましては、ものによりまして、一倍半と二倍のもの、あるいは検定公差と同じというものもございますので、いずれに属しているか、ちょっとはっきり記憶しておりませんが、二目になっております。従いまして、検定公差の二倍が使用公差ということになっております。
  59. 海野三朗

    海野三朗君 そうしますと、検査のときには、一目盛りであっても、粗製乱造の場合には、たちまちそういうふうな誤差の大きくなるのが間々あることを実際私も見ておりますが、そういうものに対する対策はどういうふうにお考えになっておるのですか。初め検定されたときはいいのですよ、一つの目盛り以内でもって。ところがそれが一カ月、二カ月使っておる間に、激しく使えば使うほど、だんだんその誤差が大きくなっていく。あるいはこれは台ばかりなんぞにおいても同じことが見られるのでございますが、そういう際にはどういうふうな態度をおとりになるか、通産省としては。
  60. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 取引用に使っておりまするものは、定期検査使用公差をこえてるものは、検定証印を取り消す。従って使ってはならぬということになる。個人の家庭で使っておりますものにつきましては、そこまで立ち入れませんので、何と申しますか、端的に申しますれば、体温計あたりの誤差の出るのは、ガラスのシーズニングが十分にいってないものが多いのでございます。それでむしろ製造に対しまする行政指導、そういう点に、ある期間材料のシードニングを行わせた上で、中身を入れまして検定を受けさす。こういうふうな行政指導をしておるわけです。
  61. 海野三朗

    海野三朗君 そういうことについては通産省がはっきりおやりになっておるのですか。今までどうなんです。今までおやりになっておりますか。たとえばこの体温計なんぞは、はなはだしく違うやつがあるのです。体温計なんぞで、実に驚くのです。そういうものも販売をしておるし、どうも検定の方面がおろそかになっておると私は考える。ことに、この放射線のメーターなどに至っては、こと非常に重大である。そういうことに対しての御準備はいかがでありますか。これは重大な問題ですよ。
  62. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 放射線関係は、いろいろ構造も複雑であり、性能も従いまして有効期間をつけようかと思っております。先ほど御説明いたしましたように、大体一年の有効期間をつけ、これはその計器に明示して置く。一年を過ぎたものは使えないということになる。体温計の方は、御承知のように、いろいろ生産業者の業態等もかなり違っております。資力があり、相当優秀なところは、材料のシーズニングを行い得る期間材料を寝かせることができるということであります。従ってそういうメーカーの計器は比較的狂いが少ない。しかるに中小業者というと言葉が悪いのでございますが、そういうふうに材料をある期間寝かす余裕のないところになりますと、検定の際はちゃんとした検定基準に合いまして合格いたしますが、自後、販売過程に入り、使用過程に入るときに、早く狂いが出てくるということがあるかと思っております。まあ、販売過程にありますうちは、ある程度そういうふうな、あの品物が悪いとか、悪いものを売っているというようなことが明らかになりますれば、取締る方法がございますが、個人の家庭に入りますと、実はどうも手のつけようがないというのが実情でございます。さりとて、特定の商品を指定いたしまして、ばく然たる推測で不良品だからというようなこともできません。実はやや困っております。
  63. 海野三朗

    海野三朗君 私が非常に困る問題だと申しますことは、ここにたとえば温度計ですね、温度計で検定のときには正負ワン目盛であった、それで合格した。ところが、中に使っておるマグネット及びスプリングのエージングが十分できていない。そういうことになりますと、だんだん変っていくのですね。ところが、たとえば瀬戸物の焼物にしたって、あるいは鋼の焼物にしましても、そのメーターが示す温度にやっておっても所要の品物を作れないという場面が、今日まで再三私は見ておるのですが、そうしますと、ただ格好の上でだけ条件に適したからといって、何もかも許可をするというようなことは、ちょっと間違っておるのじゃないか、こういうふうに思うのですが、電気試験所の方どういうふうにお考えになりますか。アン・メーターにしてもボルト・メーターにしても、そういうことがあるのです。中に用いているスプリングのエージングが十分できていないために、時間とともにだんだんずれていく。そのずれていくやつを使ってやっておるのであるから、一定の品物ができなくなっておる。こういう現象を今まで再三見せつけられておるのですが、どういうふうにお考えになっておりますか、一つ電気試験所専門の立場の方のお話を伺いたい。
  64. 内藤正

    説明員(内藤正君) ただいまの御質問に対しまして、私は放射線の計算機について申し上げたいと思います。御承知の通りに測定器に使っておりますうちに、だんだん変化するということはございますが、しかるがゆえに、この検定をしたものをそのまま放置しておき、何年も使えるということは、これは無意味なことでございまして、やはり放射線の測定器につきましては一年の有効期間等を設けまして、その間十分のその検定の権威が保たれるかどうかということは、あらかじめ十分試験をいたしまして、その一年間に計器が保てるという、そういうふうな状態において検定をやる、そういうふうなことを考えております。これけ従来の電気計器などにおきましてもそういうことが言われるのでございまして、その有効期限の間における誤差の量を見込みまして有効期限というものをきめておるわけでございます。
  65. 海野三朗

    海野三朗君 これは電気の場合になりますが、あの各戸に取り付けられておるメーター、あれはどうなんですか。どれくらいのエラーを見ておられるわけですか。電力会社の方から据え付けておりますね、メーターを、電気を幾ら使ったというあれはどうなんですか。あれはあなたの方で試験をしておやりになったわけですか。
  66. 内藤正

    説明員(内藤正君) 検定誤差三%でございます。使用誤差は四%でございます。
  67. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 本日は二つ法案を御質問することになっておるのでございますが、相当時間もたちましたから、委員長の方で、私が長くなれば適当に取捨選択をしていただきたいと思います。  第一番に、政府当局にお尋ねしたいのですが、来年の四月一日から一切メートル法に変えられるわけですね。従って本国会にこのメートル法に関係する諸法案整理という、これは仮称ですが、法案を出す、こういうことをしばしば私は聞いて参りました。従ってその法案が出るものかと思っておりましたが、この論議されております計量法案だけぽつんと出て参ったわけです。従ってあとの方は出すのか出さないのか、あるいは出すならば何のためにこれだけぽつんと切り離して出したのか、放射線単位をきめるために出したのかということを、政府御当局の御見解をまずお伺いしたいと思います。
  68. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 現在の計量法施行法の第三条あるいは第六条によりまして、尺貫法及びヤードポンド法単位は、若干の例外を除きまして今年の十二月三十一日限り法定計量単位と  使用される期限が尽きるということになっております。来年一月一日からメートル法単位だけが認められた法定計量単位ということに相なるのでございます。それに備えまして、一応御指摘にありましたように、他の法律によりまするメートル法以外の単位をメートル法に改めますために、計量単位の統一に伴う関係法律の整備に関する法律案というものを用意いたしまして、目下各省間の突き合せを行なっております。特におくれましたのは、はなはだ申しわけございませんが、土地あるいは建物に関しましていつまでにこれが完全実施に必要な措置を終えられるか。もう一つ申しますると、土地台帳あるいは登記簿の標示をメートル単位の平方メートルにいつまでに切りかえられるかという点に焦点がしぼられて参りまして、この問題は先月の終り以来、各省と折衝いたしまして、大体明日のうちにこれの標示変更に伴います必要な予算の関係であるとか、いろいろな段取りの関係とかを大体各省で話し合いを終りまして、金曜日の閣議できめていただきたいというふうに思っております。従いまして来週の前半には国会に提案できるものと考えております。はなはだおくれまして申しわけございませんが、実はそういう段取りで進んでおりますことを御了承願いたいと思います。
  69. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 私は政府御当局の御答弁を求めておるのですから、次官がおらなければそれは局長でもけっこうですが、次官がおる場合、政府の政策の一環としてお尋ねしておるのですから、次官が答弁するのが正しかろうと思いますが、岩武局長はいつの間に次官待遇になったか私知りません。大へん失礼いたしました。そこで、そうしますと、本法案に関連する、しないは別として、一切の、来年の四月一日から施行されるメートル法に関係する諸法案整理というようなものを来週中に出すということですね。
  70. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) その段取りに考えております。
  71. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 段取りなんということを聞いているのじゃございません。計量法だけで、私よく研究しておりませんけれども、二百二十九条あって、それに施行令が出ているわけですね。これは膨大なものですよ。私なんか全条記憶しておりません。しかしながら、これを読んでみると一切がっさい関係してくる点が多々ございます。従って今ここでぽつんと切り離して何カ条か修正しても、後刻、ただいま申し上げました法案審議の際にまた影響してくるというようなこともまた危惧されるわけです。ですから、準備中とかそういうふうなあいまいもこでなく、出すなら、出します、もう一週間後に出すというのであれば、もう一週間後にこれに付帯して十分審議されてもいいというふうに考えるわけです。ですから、あいまいもこでなく、国会百五十日のうち、三分の二を使ったのです。今もってとにかく法案ができないということは、私納得できません。重工業局は何をやっておったかということを言いたくなるわけです。しかし、そういうことを責めようと思いませんけれども、これはいつごろ法案が出てくるか、確実なめどがわかれば、ここで皆さんにお諮りして、二百三十九条の法案にも関係あるから一緒にやらしてほしいという意見の具申もできます。これはあなたの言う通り、土地の問題なんか一町を何ヘクタールにするという問題がございますれば、これだけは放射線単位をきめるために急ぎますからということで改正しなければならないと思いますが、その辺明確にやっていただきたいと思います。
  72. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 先ほどちょっと段取りと申し上げましたのは、事務当局の立場としましては、金曜日の閣議で御決定願って、できるだけ早い機会に国会に御提案できるというふうに考えておるわけであります。
  73. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 それはけっこうです。それから、こういう一切の計量ですね、これは万国メートル会議というふうな、世界中のこういう道の権威者が集って一本の基準をきめるわけですね。しかし、さいぜんの重工業局長さんのお話しでは、まだ万国で、そういう放射線単位に閲するものがきまっておりませんという提案の御説明がございましたが、もし、日本でこれを国会で可決した、しかし万国メートル法会議で、今、正直に言ってこれ電気研究所でやっているのでしょう。ですから、あなたがわからんでも、電気研究所の方に聞けばわかるのです。ところが、万国会議に行くのは電気研究所の方が行くのでなく、通産省のお役人が行くそうですね。そういう例があるのでしょう、ないのですか。なければ幸いです。しかし、そういうことで、その万国メートル法会議で、日本の単位が誤っているということになったら、われわれが国会できめたことはどういうことになりますか。
  74. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 放射線関係単位につきまして、先ほど、国際的に確定したものがないというふうに申し上げました。少し言葉があるいは強かったかもしれませんが、どういう単位を選ぶかというふうな点につきまして、世界各国共通にこれでいこうというふうにきめたものが、目下のところないという意味でございます。今、この法律案内容として御審議願っておりますものは、日本の学術会議の方で、世界各国の態度、研究の状況等をにらみ合せまして、こういう単位を採用するのが、目下の状況では一番理論的にも、また実際上も適当のことだというような答申がございまして、それに従ってやっているわけであります。ただ、具体的な単位基準あるいはその名称等につきまして、先ほど申し上げましたような事情がございまするから、これを法律にあげますのをしばらく延期いたしまして、省令できめて参ろうと、こういうふうな次第でございます。
  75. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうしますと主客転倒になることになりませんですか。本問題を省令なり施行令なりできめて、本文に盛らなければならぬ法文を、これは万国メートル法会議でどうきまるかわからぬから、そちらへたな上げしておくということになれば、本末転倒でないかと私は思うんですがね。別に私は局長に対していやがらせの御質問をしてるわけじゃございません。ただ、日本のかね尺と鯨尺とあったのが、今度全部何メートル何センチ、何町何反歩というやつが何ヘクタールとかなんとかで、一切変るんですから、変るのもけっこうでしょう、しかし、これは、日本学術会議できまったかどこできまったか知らぬけれども、これはだめですよと言われた場合に、日本の国会議員はいかに無知文盲であるかということを笑われることになりはせぬかと思うんです。結局、笑われることになったら困るから、あなたの方でたな上げしておいて、そして本文の方はすっぽらかすと、こういうことになるですか。
  76. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) その点はこういうふうに御了解を願いたいと思っています。この第二条の改正で、云々の量を単位として扱うんだというふうになっておりまして、たとえば照射線量というふうなものについて必要な単位とその基準規定することになった。その単位名前とか、あるいはきめ方ということについて、省令に譲るということでございまして、こういう照射線量というのは、簡単に言いますれば放射線が出る量というふうに、私自身しろうと風に考えておりますが、そういうものについての単位が必要だということを第二条でうたったわけであります。そこで、私先ほど国際的に最終的に確定したものはないというふうに申し上げましたが、まあ放射線学会等では、先ほど省令できめると申し上げましたが、その単位は大体きまっておる、学術会議からもその連絡をいただいておるのでございますが、それを今すぐにほかの、たとえば一メートルというものは、長さの単位は一メートルで、これは国際原器の何分の何ぼというふうに、すぐ法律にきめるのは、まだ若干猶予しておいた方がいいんじゃないかというふうな考え方。なお、この辺の詳細につきましては、放射線部長が参っておりますので、その辺の技術事項につきまして御説明させてもらいます。
  77. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 技術面の方よりまだ大事なことを私聞いてるわけですよ。これは当委員会省令の問題を論議しても、あるいけ施行令の問題を論議しても、これは何も差しつかえないでしょう。しかし、今までの法文の意味の論争は、法文に盛られるだろうと思って、おそらく海野委員も論争していると思う。それからもう一つ、計量法の五条、六条などに、数百点にわたって明確に出ておるんですね。しかし、大計量法のこの改正案だけ、そういう重要案件を省令にしなければならぬということは、これはちょっと、いい悪いは別として、法体系としておかしくたりませんか。片一方は明確にやっておる、同じ法文の中できわめてとにかくあいまいもこなところがある。これを、放射線の方の単位をきめるだけあいまいもこであって、実際重要なポストは省令でやる、それよりほかの簡単なものは、法文の何百何十条に入っておるということになっては、これはおかしいですよ。そういうことは御論議されなかったんですか。
  78. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 御指摘のように、ほかの単位と同じように五条あるいは六条できめるのが望ましいと思っております。思っておりますが、新しい分野でございまするし、それから最終的にその単位の名称、あるいははかり方でいいかどうかという点にまだ若干の、何といいますか、決定といいますか、あるいは国際的な慣熟といいますか、これを見ない点があるようであります。従ってしばらく省令できめていきたいと、こういうわけでございます。
  79. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 しばらく省令できめておくのであれば、独立立法できめて、独立立法で提案して、あと一切がっさい国際関係の問題が解決したとき入れますよ、というのであれば話がわかりますよ。もう少しすなおな気持で御答弁願いたいんですが、新しいからよそに、古いからここにということにはなりゃせぬです。ものの比重によって、新しくても古くてもやるんで、それを新しいからたな上げしておいて省令に入れるというのであれば、これは独立立法で出しなさい、そういうことになるでしょう。これは万国メートル法会議できまったと、万国メートル法会議できまりましたから、何条の何項目にこれを挿入しますということで、次期国会でやって、省令でやらずにここに法文で出す、ですから、そういうことであれば、とてもこの法案は話しにも何もなりませんよ。これは委員長、大臣が来たときもう一度質問さしていただくことにして、僕は質問打ち切ります。
  80. 相馬助治

    ○相馬助治君 議事進行。さきに海野委員質問において、局長から具体的なことについては別途専門的な立場から答える方法をとると言いましたし、小滝委員も同断の質問をされて意見を述べられている。従ってまだこの論議が尽されないようですが、一応この法案はここで質疑をやめて、そうしてきょうプログラムに載っておりまする保険の方の話に入るというふうに取り扱う時間だと思うんですが、お諮り願いたいと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  81. 近藤信一

    委員長近藤信一君) ただいまの相馬委員からの動議ですが、いかがですか。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  82. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記起して下さい。  相馬委員の提案通りにいたします。     —————————————
  83. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 輸出保険法の一部を改正する法律案審議に入ります。  提案理由説明は伺っているので、内容説明を願いたいと思います。お願いいたします。
  84. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) それでは輸出保険法の一部を改正する法律案につきまして簡単に御説明を申し上げます。  実はお手元にこういう刷りものを差し上げておりますので、これをちょっとごらん願いたいのでありますが、この一番最初の見出しのところに、現在の輸出保険の概要を掲げております。まず第一は普通輸出保険、それから輸出代金保険、輸出手形保険、輸出金融保険、委託販売輸出保険、海外広告保険、海外投資元本保険、海外投資利益保険、この八種類の保険を現在実施をいたしておるのでありますが、今度の改正をお願いをいたしておりまするのは、まず第一の普通輸出保険の改正になるわけでございます。そこで一言最近の輸出保険の運営の状況を簡単に御説明をさしていただきますが、この輸出保険全体といたしまして、毎年非常に順調な推移をして参っておるのであります。別途統計資料をお配りいたしておりますが、それでもごらん願いますように、ことしの保険の状況も昨年度に比べますると一回り大きく成長をしているのであります。で、まずことし、三十二年度におきます保険契約高も、年率にいたしますと千四百億円程度になると思っております。昨年度に比べますと、三三%程度の増加になっております。それから保険契約の件数も、年率にいたしまして十九万件に達しておりまして、これまた昨年に比べますと三割程度の増加になっておるのであります。で、保険料及び返納金の収入も、年率にいたしまして八億円くらいの予想になります。他方支払保険金も、現在の状況で判断をいたしまする年間の予想が四億三千万円程度にまでなっておるのであります。  そこで、次に輸出保険制度を創設いたしまして以来の収支のバランスをちょっと申し上げてみますると、三十二年の十二月末におきまして十三億円の黒字となっております。しかし、このうちには約十一億円の未経過保険料を含んでおりまするので、これを差し引きますと、純粋の黒字が約二億円であります。なお、この二億円は、輸出代金保険の保険料収入から主として生れたものでありますが、昨年の八月に輸出代金保険の保険料を二割程度引き下げ措置をとったのであります。従いまして現在ではこの輸出保険全部で八種類の保険でございますが、各種保険ごとには、若干の黒、赤の出入りがございまするが、おおむね採算はとんとんで運営されているというような状況でございます。  そこで、今回改正を願っておりまするこの点について一言説明さしていただきまするが、先ほども申しましたように、普通輸出保険の改正をお願いするわけであります。それでこの普通輸出保険は、八種類の保険の中でどういう地位にあるかと申しますると、この全体の中のいわゆる根幹をなす保険でありまして、輸出保険の契約総額の三分の二が普通輸出保険で占めておるのであります。ところが、この保険に対しましては、創設以来利用者側からの批判も若干あったのでありまして、いつか適当な時期に改正をいたしたいというように考えておったわけでありますが、今回いよいよお願いをすることになったのであります。  そこで改正点を申し上げますと、まず第一に、再保険制度をこの際やめたいということと、担保危険の明確化をいたしたいというのが法律改正の主要な点でありまして、その二つにしぼられるわけであります。なお、これに伴いまして、法律事項ではございませんが、保険料の引き下げもあわせてやりたい、こう存じておるわけでありまして、保険料引き下げの方は、別途政令改正でいたすことになるわけであります。  そこで、まず改正点の第一点でありまする再保険制度の廃止につきまして簡単に御説明をいたしますると、この普通輸出保険と申しまするのは、現在保険会社十六社を中にはさみまする再保険制度で運営されておるのでありますが、その再保険制度を採用いたしました理由といたしましては、この保険制度を創設いたしました当時、政府側におきましても窓口が比較的少なかったために、保険の申し込みをさばききれないであろうという点と、それからいま一つは、保険会社の知識経験を利用させていただいた方がいいという理由で、そういうふうに再保険制度を採用したのであります。しかし、その後輸出組合の整備に伴いまして、輸出組合によりますところの包括保険制度が漸次発達をして参ったのであります。数字的に申し上げますと、包括保険が普通輸出保険に占める割合が件数で九四%、金額上では八O%に及んでおるわけでありまして、さらに昨年の七月から新たに機械類につきまして包括保険制度を実施いたしましたので、ますますこの割合が大きくなりつつあるのであります。また、この包括保険制度にかからないいわゆる個別保険について見ましても、この保険が輸出業者の利用する保険でありますので、大体保険契約の締結される地域もわかって参ったのであります。大体主要都市、港湾都市に限られておるというふうな点もわかって参ったのであります。従いましてこの際再保険制度の果すべき役割はもうすでに果されたと思いまして、この機会に政府の直接引受保険に改めた方が万事好都合ではなかろうかというふうに考えたのでございます。なお、政府が直接保険ということになりますと、サービスの低下という問題も憂えられるのでありますが、今回他方、予算におきまして保険関係の人員の増加も若干認められましたので、今後サービスが低下しないように十分に配意をしていくつもりでございます。  それから改正点の第二であります担保危険の明確化という点でございまするが、現行の普通輸出保険はこのところの説明でもごらん願えますように、輸入制限あるいは輸入禁止とか、為替取引の制限、禁止とか、戦争、革命、内乱とか、その他本邦外において生じた事由で当事者の責めに帰することのできないもの、あるいはまた為替管理法上の日本側における輸出の制限、禁止、この五つの保険事由によりまして輸出できないか、またはその輸出代金の回収ができない場合を保険事故としておるのでありますが、現実の問題といたしまして相手国の輸入制限を一つ例にとりましても、輸入制限とは何ぞやというふうな問題に逢着するわけであります。たとえば輸入制限が行われましたような場合、相手方の輸入業者はできるだけ輸入をしようといたしますし、輸出業者は輸出ができないままに長期にわたって貨物を手持ちしたままで金利とか倉敷の負担を背負わせられるということになる。すなわち輸出契約は生きたままで長く存続する。従ってこの輸出不能かどうかという認定が非常にむずかしくなる。勢い保険金の支払いができないというような事態がこれまで生じておるのであります。これまでこの普通輸出保険の保険金の支払いが非常におくれておるという非難も多々聞かれておるのであります。平均いたしますと一年後ぐらいに保険金の支払いがなされておるという状況であるわけです。そこで今回の改正におきましては、ここに掲げますような保険事由が発生をしている場合におきましては、それぞれの輸出契約におきまする船積期日の経過後二カ月を経過した日までに船積みができないときはこれを不能、いわゆる保険事故とみなそうというような規定を掲げることによりまして、保険事由と、それから保険事故をはっきりと確定をするような方法をとりたいということであります。言いかえてみますと、担保危険をこれによりまして明確化いたしたいわけであります。かような改正によりまして、普通輸出保険もいわゆる保険金の支払いが非常に敏速にいけるわけです。実情に沿うた生きた運用ができるのではないかと考えておるのであります。  以上が、今回の普通輸出保険の改正をお願いをしておる点でございます。  そこで先ほども申し上げましたように、再保険制度をやめまして直接保険にいたします関係上、この元受保険料と再保険料との差額の大部分が節約されることになるわけでございますので、この差額を流用いたしまして、普通輸出保険の保険料を引き下げよう、こういうふうに考えておるのであります。引き下げの具体的の方法政令でいたすわけでございますが、今われわれの方の計算といたしましては、引き下げ率は金額加重平均いたしまして約一二%程度の引き下げになるのでございます。  以上で、簡単でございますが……。
  85. 近藤信一

    委員長近藤信一君) これにて内容説明を終り、御質疑をお受けいたします。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  86. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私は、本案の審議に特に関連を持ちまするいわゆる輸出振興の大きな立場から、一、二点お尋ねをいたしたいと思うのでありますが、まず最初に、特にきょうは大臣は見えておりませんから政務次官にお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、私ども本委員会といたしましては、輸出振興に関する件に対しましては、全く超党派的に今日まで協力をして参ったことは、これはもういろいろ会議録をごらんになればわかるのであります。また別な面から申しましても、委員会の発言、これに対する政府当局等の答弁というものは、これは私は最高に尊重をせなければならぬと思うのでありますが、この点についてこの審議に先だちまして一つ政務次官の御確認の私は御答弁を願いたいと思います。
  87. 白浜仁吉

    政府委員(白浜仁吉君) お答えいたします。ただいま御発言の通りでありまして、私どもも当然そういうふうな考えのもとに今後も進んでいきたいと考えております。
  88. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 そこで、通商局長がおいででございますのでお尋ねをいたしたいのでございますが、来年度の予算の中に、通産省といたしまして、特定物資二十億の歳入という項目がございますが、これにつきまして二十億の、バナナそれからパイカン、時計その他があると思うのでありますが、大体どの程度にその二十億の内訳を見積っておるのでありますか、これをちょっと御説明を願いたいと思います。
  89. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) この三十三年度の差益納付金の予定でございまするが、ちょっと数字にわたりまするが、バナナは年間割当額を四百五十万ドル、こういうふうに考えております。それからパイカンが二百五十万ドル、それから時計が百万ドル、すじこが十万ドル、その程度を三十三年度と考えておりますが、なお詳細に申し上げますと、このバナナにつきましては三十三年度で歳入になるものは、今申しましたものの二分の一程度、それから時計につきましても二分の一程度というふうに考えております。なお三十二年度で割当をしたもので三十三年度の歳入となるものといたしましては、バナナが二百二十五万ドル、時計が五十万ドル、こう考えております。差益率は、これは今の大体の予想でございまするので、あまりそう申し上げたくないのでございますが、合計百二十億円程度に相なっております。
  90. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 このバナナ、パイカン、時計、すじこ等のこの特定物資の中で、先国会の委員会におきまして、しばしば問題になりましたこのバナナの問題でございますが、これは当時といたしましては、地域別配給の問題その他で非常に本委員会でも発言が多かったのでございますが、まあ結論といたしまして、当時私から、結局たくさん入れて差益金を少くして大衆のものとするということがバナナのいろいろなトラブルを解決する点において一番いいのではないかということを当時政府当局に申し上げまして、私は速記録は持って参りませんけれども、たしか小笠政務次官は、その趣旨に沿うて努力をするということに私どもは聞いております。間違ったら私は訂正をいたします。  ところが最近、私どもはそもそもあなた方の行政上の問題に一々くちばしをはさむのではございませんが、やはり国民の声というものは常に本委員会の各委員諸氏としても当然聞かなければならないのでありまして、むろん、業者のわれわれは意見だけを聞いて申し上げるのじゃないのであります。それでそのときに、私はそういう発言をいたしまして、たしか三十二年度の下半期の今度の割当になるだろうと思いますが、これは今明日中に何か発表せられるというように聞いておるのでありますが、これは聞くところによりますというと、私どもが申し上げましたその趣旨に全く反対に、かえって率が非常に前よりも大きくなる、いわゆる差益金が多いということを聞いたのでありますので、これはまことにどうも国会を無視する、各委員の発言を無視するというような状況になるのではないか。そうなりますと、いろいろこれから通産、ことに貿易問題の法案もたくさん出るのでありますが、そういう点に相当私は支障を来たすのではないかと思うのであります。ことにバナナは、最近中共からも相当入って参りまするけれども、大体四百五十万ドル、六十万かごというのが大体まあ台湾を対象にしてのことなのでございまして、そこで台湾との貿易協定は、まさに新年度が始まらんとしておる状況であります。前年度の貿易じりを見まするというと、日本が非常に輸出超過になっておる。約これは二千万ドル以上と思うのでありますが、これに対しまして、外務省あたりは、少くともその半分ぐらいは現金決済を要求しなければならぬということが、あるいは大蔵省もそういう意見かとも思いまするが、そういうことも言われているときなんであります。それで私が先ほど申し上げました、バナナを差益金を少くして大衆のものにするということは、対台湾との関係からいえば、そうむずかしいことではないのでありまして、戦前百五十万かごも入っていたときもございますので、八十万や百万かごとるということにそう大した努力は要らないと思うのでございます。そういうように、でき得る私どもは範囲におきまして、そういう要望をいたしたわけでありますが、何か聞くところによりますというと、およそ私どもとは反対の結果になって、今明日中に、そうした膨大な差益金によって特定の営利物資としてのバナナが発表せられるということを聞いておるのでありまするが、この点に対して一つ局長もお答え願いたい。
  91. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) この差益物資につきましては、もちろん、この日本の輸出を伸ばすために、この差益物資は不要不急等の分類に入る入らぬの議論は一応別にしまして、こういうものもある程度輸入を多くして価格を下げるという趣旨については、われわれも賛成をするものでございまするが、これは通商協定等の関係できまってくるわけでございまして、今交渉を直前に控えまして、このバナナの量を多くするどうするということは、少し言いにくいような事情にあるわけでございます。そこで、一応、われわれといたしましては、現在の協定、従来の実績を基礎にこういうものを考えておるわけでございます。  そこで、いま一つ、差益の額でございまするが、このバナナに問題を限って申し上げますと、秋、冬に入りますのと、春、夏に入ってきまするものとは、国内における需要の度合いがかなり違いまして、毎年この価格に上下があるわけでございます。大体、春から夏、初夏にかけましては割合に需要が多くて値段が上るということは、これは過去の統計の示しておるところでございます。で、われわれといたしましては、別段この差益を完全に吸収をするというほどの建前でもないのでありまするが、一応こういう特別会計を預かり法律を実施をして参るということになりますと、あまりむやみに実情を無視して差益率を下げるというわけにも実は参らぬわけであります。過去の例から、実績から大体判断をしまして、どの程度の浜相場になるかというものを前提にいたしまして差益率を算定をいたしておるのであります。われわれは、今先生が反対の方向なり結果に行っているのではないかというおしかりでございましたが、決して私らはそういうふうには考えておりません。三十二年度の上期におきましては、この入りまする時期が冬に向いまするので、五千五百円ぐらいの浜相場を前提にして差益率を判断をいたしたのでありまするが、それでもなお現実は五百円とか千円ほど浜相場は高く上っておるというような情勢であるわけであります。今割り当てんとしておりまするのは、これから夏に入るものでありまして、当然浜相場は高くなるというのが過去の常識なんであります。それも見方によりましては、七千円、七千五百円、八千円という見方もあるのでございまするが、われわれとしては、比較的穏当なところ、まあ六千七百円ぐらいなところを押えてよかろうということで、今それを基準にして率を考えておるのでありまして、年間を通じてみますると、九四、五%になりまして、昨年に比べますと約一割程度の差益率の引き下げになっておるのでありまして、その意味におきましては、先生の先ほど言われました趣旨に完全に沿い得ていないかもしれませんが、方向としては先生の御趣旨の方向にわれわれは進んでおると確信をしているような次第であります。
  92. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私は、それほどこまかいことをとやこう言うのではないのでありまして、御承知の通り、ことに来年度は三十一億五千万ドルの輸出ということを政府が高くうたっておるわけなんでありまして、ことに、オープン・アカウントの地域におきましては、できるだけ不必要なものも場合によっては買わなければならぬ、これはまあ常識なんであります。そうでなくとも輸出振興に対しまして、これは高価なウイスキーだといっても、やはりジョニーウォーカーもだんだん入って参りますし、ことに台湾は御承知の通り、砂糖に米に塩その他を抜かしましたならば、まことに物資とういものは御承知の通りりょうりょうたるものでありまして、それでもとにかく年間今までの協定を見ますると、片道七、八千万ドルのとにかく大きな貿易をやっておるわけなのであります。それで従って、バナナその他に見返って日本から雑貨その他がいきますし、それから島民の八O%というものは日本の物資を待っておる。こういうわけで、できないものならともかくも、相当の向うの輸出量もあるわけなんであります。そういうわけでありますから、いろいろ今お話の中に、たとえば四、五、六に入るものが高いとかいうお話がありました。それからまたそれを高くして大きくもうけようという業者もたくさんあることを私どもは知っておるのでありますが、しかし、そういうことをただ一担当官におまかせなさらずに、大きな見地から考えまして、年間を通じてこれを、私はあえて数量でこまかいことを申し上げるわけではありませんが、かりに三十万かごもふやす、これは十二分に先方といたしましても輸出能力があるわけであります。そういたしますというと、まあ四、五、六はくだものが日本に少いときだから割合高く売れるだろうとは申しましても、まだまだ戦前百五十万かごも入って、そしてもう正月であろうが真夏であろうがくだものの最盛期であろうとも、ほんとうに大衆のものになっていた。そういうわけでございますから、これは向うにないものならともかくも、あり余っているものでありますから、そういうふうに大幅にでき得る輸入をするということになりますれば、業者のまたいろいろな操作というものも比較的私は少くなっていくのではないか。これはただ惰性でやって参りますというと、どこでそういう点を切りかえるかということはなかなか事務当局としては困難と思いますが、やはりこれは思い切っておやりになる。そうすれば何もない現金をとろうと思ったところで、今の台湾から一千万ドルをこっちが輸出超過だから、スイングを越えているからとろうと思ったって実際問題としてはできない。それよりもなるべくとって、そして日本の余剰物資を多く出して、そしてこれを三十一億五千万ドルの線にできるだけ近ずかせていくということが私は本来の輸出振興の大きな目的ではないか。そういう意味で、ないものはともかくとして、あるものであるからできるだけ買ってやる。そうすれば差益金というものは、これは結局値段が安くても数の上において通産省が立てられている予算ぐらい十二分になるのであります。それを私どもがくどいようにこの前の委員会で再三申し上げ、それから政務次官からも、しかるべき答弁があったにもかかわらず相変らず同じようなワクの中でおやりになるといこことに対しまして、私は非常な遺憾の意を表するのであります。
  93. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 はなはだつまらないことを聞くようですが、今七千円、八千円というその単価をあれされたので、私どもは常に台湾で大体百匁二十円のやつを東京に来たら百円になる、五倍になるということを聞いておったのですが、大体一かごが何キロ、何貫入って、台湾で大体どれくらいのが横浜でどのくらいになって、税金がどのくらいかかるか、市販でどのくらいするか、その五段階を一つ教えていただかぬと、そうでないと御論争の内容がわかりませんので、非常にぶしつけでございますけれども、一かごがキロでも貫でもけっこうですから幾ら入っているのかですね。
  94. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) バナナは一かご十二貫、そうしてこの価格は台湾政府が公定いたしております。政府がきめております。それは日本の港着の値段が一かご七ドル五十セントであります。従いまして、それに三百六十をかけますと一かごの円価格が出るわけであります。要するに一かごの裸値段が二千七百円になるわけであります。
  95. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 税金は幾らかかるのですか。関税は幾らですか。
  96. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 今ちょっと資料を調べておりますから、あとで資料として……。
  97. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 あとでけっこうです。
  98. 相馬助治

    ○相馬助治君 私この間ある機会に恵まれまして、台湾の経済状況を一週間ほど視察するチャンスを持ったわけですが、そのときに台湾のバナナのことについてこの目で見、また政府の考え方を確認したところが、非常に日本に対してバナナを売ることを期待して、農会のようなものが品種改良や何かをやって、バナナの生産については努力をしておる事実、そうして生産が逐次高まって、一昨年のような風の吹いたようなときは別として、もう豊作、それから豊作でないという年がなくなって、例年豊作の状態を産額からいえば来たしているということ、それが一点、それから第二点は、日本に入れるものについては市場でもって非常に厳重な検査をやって、かれらはかなり良心的に日本からクレームがつかないような努力をしておるということ、それから第三番目には、差益金に対して非常に不愉快な気持を持っている。この差益金が高まれば日本政府にだけむざむざともうけさせるわけにもいかないのだから、こちらとしても値段を対抗上考えなくちゃならない。こういう三つのことを私は見て参ったのであります。  私は、目的が何もバナナのことでも何でもありませんから、これに対して特段の論争めいたことはしないで聞き及んで参ったわけなのでありますが、今、大竹委員質問されたことについて、私も一つのうわさを聞いておるのであります。それは、外貨割当の年度末において、当然このバナナの割付をしなければならない段階が来ている。それはすることはけっこう、する場合に何か調整金が百をこえるというようなことも巷間うわさをされている。私はしみじみとこのバナナの問題を考えてみる場合に、業者が不当にもうけることはならないのであって、特定物資法の命ずるところによって、この法律を忠実に施行する通産局長としては、適当に差益金というものを考慮して 一部業者にもうけさせない、こういうことは当然なさってしかるべきであり、しなければならぬと思うのです。しかし、また思いつきに差益金を上げるということになりますと、それがはね返っていって、バナナの台湾における値段をつり上げ、ひいては日本国内にバナナの来ることが少くなるというよりは非常に高いものを国民が食わされるということになってくる。そうすると、その辺のかね合いを一体どこで押えるのか。こういうことは、私は非常にむずかしいと思うのであって、行政官であるあなた方に、その差益金は何パーセントがいいのだとかいうようなことを私は言うつもりは毛頭ございません。大竹委員についても同断だと思うのですが、しかし、この問題は、最近台湾政府が中共貿易の伸びに伴って大いに、言葉はおかしいが、ひがんでおる。この事実も頭の中へ入れて、外交的なある感覚をもって処さなければならない内容を含んでいると思うのです。そういうようなことから、私どもといたしましては、今、大竹委員質問に対しましての局長のお答えは、かなり意識的に逃げていられるように思うのです。いわばバナナの将来についての差益金の問題をどうするかという基本的な問題を、一つ、大竹委員質問は、内容に持っていると同時に、最近うわさされている今般の割付によって法外な——あえて法外と言います。法外な差益金というものが高まるということになれば、私は、この中共貿易その他の関連上、台湾との国交に思わしくないことにもなり、ひいては国民大衆が高いバナナを食わせられる、こういうことになる心配がある、こういうふうに思うのです。従って、局長が申したように、差益金が今何ぼです、外貨の割付をこうしますということは、明瞭には言いずらい、それは業界に響くところがあるから言いずらい、それはわかります。しかし、その場合においても、われわれが明瞭に指摘しておかなければならないことは、白浜次官が今、確認されたように、当委員会における委員の先に表明した意思というものに対して、あなたたち——あなたたちというのは局長並びに、この場合小笠次官を指します。皆様の意のあるところは十分聞き及んで善処したいという答弁をしているように記憶いたすのです。それが、その場限りの答弁であるならば、われわれは断じてこれを許容できないということなんです。そのときに、善処するという内容に、私は二つあったと思うのです。それは、海野委員が指摘したことは、人口割の問題であったと思うのです。この問題についても、かなり論争が繰り返されまして、最後まで海野委員はこの点を強調され、小笠次官が善処するという言葉で結んでいると思うのです。それから第二の点は  順序からいうと、これが第一でありましたが、第二の点は、大竹委員が指摘された差益金問題であります。この差益金の問題は、どこまでも国民大衆が安いバナナを口にすることができるような角度において、政府は処置しなければならないということを力説されていると思うのです。昔から安く買えるものを、バナナのたたき売りのようだと言ったものです。バナナというものは非常に安くて、うまくて、しかも何というか、われわれ庶民のものであったと思うのです。ところが、今日バナナというのは、それと全く反対になっております。私は前にも比喩的に申しましたところが、あちこちで喧伝されて、相馬さんがおもしろいことを言ったといって、例に引かれているように、子供にバナナを食わしたら、とうちゃん、このキュウリうまいねと言った、こういう悲しい笑い話があるのだという話を私は言ったのでありますが、私はこの際、台湾における産地の現実から見ても、ぜひと毛多くのものを入れて、法の許す限りにおいて多くのものを入れて、そうしてこの安いバナナを食ぜんに供する、そうしてまた、この貿易の輸出入の関係からいいましても、バナナそのものはややぜいたく品というか、不要不急品のようにも思うけれども、この台湾というものとの貿易の趣旨から考えれば、日本に滞貨しておるところのある種の物がさばけるというところの効果も持っておると思うのです。輸出面からいえば、そういう効果も出てきておると思うのです。従いまして、大竹委員の答弁に対しては、意識的に逃げられたようでありますが、私は一点お聞きしたいことは——だいぶ前口上が長かったのですが、一点お聞きしたいことは、今度の外貨割付は、何ですか、この三月末までにやるつもなんだと思うがどうかということが一つ。それからそれについては、前の当委員会で問題になった二つの要件はかなり含まれておる、その要件は生かされておる、かように了解してよろしいかどうか、この点をお尋ねいたします。
  99. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 実は、まずお尋ねの第一点、外割りはやるかどうかの点でございますが、もう年度末でございまして、実はもう先週あたりに輸入の発表をいたしませんと、差益金の徴収等の事務もございますので、若干間に合いかねるような状況であるわけであります。まあ差益の額のいかんにつきまして、いろいろ御議論もありますので、若干研究いたしました結果、おくれておるのでございますが、何とかして今月一ぱいに事務を完了いたしたいという趣旨から、きょうあるいは明日ぐらいに外割りの発表をいたしたい、実際の割付は、発表いたしましてから若干の時日がかかりますが、この問題は今明日中にやりたいというふうに考えております。  それから第二の点につきましては、この割付の方法でございまするが、最近かなりまた前回とは違うような、いろいろの陳情その他もありまするが、先般の国会でも、いろいろ御批判をいただいた経緯もありますので、一応前回の割当の方法をそのまま踏襲したらいかがであろうかというふうに考えております。  それから、差益の額の点につきましては、先ほども若干大竹先生に対してお答えをいたしたのでございまするが、価格を下げるという問題につきましては、われわれも全く同感でありまして、協定の交渉を控えてはおります。が、かりに協定が本年度と同じような量になりましても、価格のいかんによりましては、期の半ばにおきまして若干輸入をいたす等のことによりまして、量をふやすというふうに考えて参りたいと思っておるのであります。ただ、価格はやはり需要と供給の関係できまるのでありまして、われわれの過去の経験から申しますると、差益の多寡によっては動いてはおりません。差益を下げれば、それはもうかるだけでありまして、もちろん、そのシーズンの関係によって価格は動いてはおりまするが、われわれはやはり公正な合理的なところで差益を判断をいたすのが、まあこの特別会計を預かっておるものといたしましては、心すべきことかと思っておるのであります。ただ、われわれの局といたしましては、これはすべてが助長行政でございまするので、まあ言葉は悪うございまするが、いわゆる業者泣かせのような取り方はあくまでやりたくないというふうに考えておるのでありまして、理屈のつく限りは、円満な線でいきたいというふうには常々心がけておるのでありまして、先ほども申しましたように、前三十二年度の上期で割り当てましたのも、そういう趣旨から五千五百円ぐらいの浜相場を予定して、差益は七四%を取ったのでありまするが、現実の浜相場は、それを上回ること五百円ないし千円となっておるのであります。従いまして事務的に考えますならば、従来の例からいくならば、あるはい七千円、七千円以上の相場が今これから割当するものにつきましては頭に置くべき価格であろうというふうにも考えられるのでありますが、若干その点は低めて、先ほど申しましたように、六千七百円くらいのベースで考える方がよかろうじゃないか、それでまた夏ごろになりまして、あまりその価格が高いということになれば、その次の輸入を若干早目に実施をしようと、こういうように考えておるのでありまして、御趣旨の線には及ばずながら沿うておると、こう確信をしておるような次第であります。
  100. 相馬助治

    ○相馬助治君 私も大竹先生の趣意もおそらくそうだろうと思うのですが、私どもは何ら一部の者の利益を代表してどうこうというのじゃなくて、この国会の、しかも商工委員会の建前上、大衆的な建前に立ってこの問題を見ていくということが一つと、やはり輸入輸出の問題ですから、国際的な感覚でいくということが一つなんです。御承知のように、協定前であるから、私は今度の割付における差益金のことを言うのは、ある意味では非常に大きいと、こう申しておるのです。それで今、局長は私の言うことに反論されて、差益金の高によって値段は変っていないとおっしゃいますが、それは実態論としては私は研究していないので、これに反論できないが、そうであるかもしれません。しかし、それは七四とか七五ないしは八〇ないしは六〇というあの辺の幅でもって差益金が動いておった場合にははね返って、台湾の産地における値段その他に……それからまた向うの国を硬化せしめるということにならなかったから、現実には差益金の額というものが低くなればなるほど国内の業者がもうかって高ければ高いほど国内の業者がかぶって、そうしてそれは幾らか国民の食ぜんにくるときには影響が起きたけれども、むしろその中に入ってもうけるやつから吸い上げた方が国の利益じゃないかと、こういうことに現実はなってきておる。差益金というものは、ある幅でもって上下しておるときには現実にはそうであったと思うのです。ところが、うわさで聞くというと、あなたも数量のことを言いたがらないので私も差益金の金額のことについて申しませんけれども、かなり違う数字をわれわれは漏れ聞いておる、そうすると、その数字ならば私は台湾政府自身に対しても好ましくない印象を与え、ひいて大衆が食べるバナナの値にはね返ってくる、業者いじめとかなんとかじゃない、こういうように思うので、先ほどから申しておるのです。ですから、局長のおっしゃっておることで非常に心配なのは、大竹さんと私が言うたことに対して、局長はそれは違うのだ、実はこうなんだと、こういうような気分を含めて現実にそういう説明をされておる、それであるからして先生方のせっかくの御意見だけれども、われわれは自信を持ってやるのだから、だまって見ておれというのだから、話はわかりますが、それに反対するか反対しないかは別ですが、話の筋はわかる、一々反論されて、しかし先生方の御趣旨に沿うておるからと申されるが、一つも合いそうもないから心配してわれわれはお聞きしておる。答弁ができないならできないでやむを得ませんが、外貨割付がここ一日か二日のうちだということなんですが、おそらく局長さんの判が押してあって、うしろに控えておる中西さんの所に行って印刷するばかりになっておるのかもしれない。これは私はやはり真剣になって考えてほしい。こうしろ、ああしろということは言いません。ただ、大竹先生が言うたことに対して、あなたが故意に逃げた答弁をされておるから、私は関連して以上のことを聞いたのです。そうして非常に前の国会においてわれわれが主張したことと違う結果が出、そうして結果的に好ましくないときには、われわれは断固として、これは当面の責任者がだれになるかはしれませんけれども、これについては責任を追及するという態度を明瞭にして私は質問をここでやめておきます。
  101. 海野三朗

    海野三朗君 この前この商工委員会において人口割の問題がやかましく論じられた、ところがそれに対して人口割に従ってやったといういわゆる当局の話のようでありましたが、事実は羊頭を売らずして狗肉を売っておる、そういう結果に対して、この前と同じように局長はやるつもりだというようなことを言われるのでは、この請願が通ってここで激しく論じられた、そのことに対して通産当局はどういうようにお考えになっていらっしゃるんですか。カエルのつらに水のようにお考えになっておるのか、この委員会の話は。それはどうなんですか。それから、先ほどの差益金の問題でも値を高く取っても全体としては九十何パーセントから安いんだと、それで期待に沿うておるんだというような逃げ口上をよく白々しくお述べになっておるので、私はそれに対してはっきりしたあなたの御信念を伺いたい。どうなんですか、局長
  102. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) この人口割の点につきましては、前の国会におきまして私が申し上げた点が若干誤解を生みましたことは非常に残念に存じておるわけでありまするが、あの当時は人口割を加味するということでああいうような割当方法をとったのであります。かりにああいう請願ももしなかりせばわれわれは多分従来の方法を踏襲しておったものであろうと思うのでありますが、請願の次第もありまして人口割を加味した割当をしたことはもう前回の国会で十分御説明を申し上げた通りであります。ただ、人口割の実施の方法においてどの業者を選ぶかというその定義の点につきまして意見が相違したことははなはだ残念に思っておるのでありますが、われわれといたしましては、人口割の点は不十分ではございましたかもしれませんが、請願の趣旨をある程度はくみ入れて割当方法を考えたと、こう考えております。  それから第二の差益金の問題につきましては、昨年度は一〇六%になっておるのであります。若干事情も変って参ってはおりまするが、本年の上期におきましてはそれを先ほど申しますように七四%に引き下げたのでありまして、今やらんとしておりまするものを入れましても昨年の比率よりは安くなっているということを申し上げておるわけであります。約一割程度差益率は下っておるんだという点を申し上げておるのであります。その意味におきましてはますます差益金を多く取っておるということではないのでありまして、ああいうシーズンのものでございますので季節によりましてやはり高いときあり、安いときがあるということは当然であろうかと思うのであります。少くとも昨年に比べましては今年は一割方安くして参るということは、先ほど申し上げた通りであります。
  103. 海野三朗

    海野三朗君 私は御答弁に対して満足いかないのでありますが、これは保留をいたしまして、またあらためてもっと突っ込んだところを私は伺いたいと思います。きょうは、私はこれで質問を保留しておきます。
  104. 近藤信一

    委員長近藤信一君) なお、質疑もあることと存じますが、だいぶ時間もおそくなっておりますので、二法案に対する質疑は、次回にも続行することとして、本日は、この程度で散会することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それでは、次回は、明後六日午前十時より開会することにして、これにて散会いたします。    午後五時三十一分散会      —————・—————