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1958-02-18 第28回国会 参議院 商工委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月十八日(火曜日)    午後一時三十二分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     近藤 信一君    理事      青柳 秀夫君            高橋進太郎君            阿部 竹松君            相馬 助治君    委員            小幡 治和君            大谷 贇雄君            古池 信三君            小滝  彬君            小西 英雄君            西川彌平治君            海野 三朗君            島   清君            椿  繁夫君            豊田 雅孝君            大竹平八郎君   国務大臣    通商産業大臣  前尾繁三郎君   政府委員    通商産業政務次    官       小笠 公韶君    通商産業大臣官    房長      齋藤 正年君    通商産業省通商    局長      松尾泰一郎君    通商産業省企業    局長      松尾 金藏君    通商産業省重工    業局長     岩武 照彦君    通商産業省鉱山    局長      福井 政男君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君     —————————————   本日の会議に付した案件計量法の一部を改正する法律案(内  閣提出) ○輸出保険法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○企業合理化促進法の一部を改正する  法律案内閣送付予備審査) ○経済自立発展に関する調査の件  (通商産業省基本政策に関する  件)  (昭和三十三年度通商産業省関係予  算に関する件)     —————————————
  2. 近藤信一

    委員長近藤信一君) これより商工委員会を開会いたします。  先日、委員長及び理事打合会を開き、協議いたしました結果、委員会運営の大体の方針として、今後当分の間毎週火曜日と木曜日を委員会定例日とし、また必要に応じては金曜日にも開くことを申し合せましたので、さよう御了承を願いたいと思います。  本日は、計量法の一部を改正する法律案、及び輸出保険法の一部を改正する法律案参議院先議で付託され、なお、企業合理化促進法の一部を改正する法律案予備審査で付託になっておりますので、以上三案をまず上程いたしまして、提案理由説明だけを聞きまして、審議は後日に譲り、引き続き経済自立発展に関する調査を行い、先日説明を聴取いたしました通商産業省関係基本政策予算について質疑を行いたいと思いますが、この点御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それではこれより三法案について提案理由説明を求めます。
  4. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) ただいま委員長の御発言になりました法律案につきまして、提案理由説明を申し上げたいと思います。  まず第一に計量法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  御承知のように、最近の科学技術進歩に伴いまして、原子力及び放射性物質工業その他の用途における利用が非常に活発化いたしまして、放射線による障害防止の問題がきわめて重要になって参りました。  このため、政府は、昨年六月放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律を制定し、本年四月一日から施行することとしておりますが、これと関連いたしまして放射線関係計量の安全を確保する必要がありますので、その計量単位の整備及び計量器規制につきまして、早急に対策を講ずる必要に迫られております。  また、計量法が施行されましてから約六年を経過いたしまして、計量行政も大いに充実して参ったのでありますが、その施行後の経験からみまして、計量器普及促進基準器検査制度運用使用中の計量器取締り円滑化等の諸点につきまして改善を要する事項を生ずるに至りました。  このような事態に対処いたしますために、関係規定を整備する必要が生じましたので、ここに計量法の一部を改正する法律案を提出いたしました次第であります。  この法律案内容につきましては、御審議のつど詳細に御説明申し上げたいと存じますが、その概略を申し上げますれば、第一は、新たに放射線関係計量単位を定めますとともに、その計量器につきまして他の計量器と同様に事業規制及び検定を実施することであります。特に検定につきましては、放射線関係計量器がいまだ進歩途上にあるものであり、また、一般にその構造が複雑であるという点を考慮いたしまして、新たに構造検査制度を採用することといたしました。第二は、計量器製造事業修理事業等許可区分を、企業実情に則して定め得るようにしたことであり、第三は、販売事業につきまして、計量器普及をはかるため販売員による店舗外販売を認めることとしたことであります。第四は、基準器検査関係でありますが、現行法ではこれを通商産業大臣のみが行うこととしていますが、検査能率化をはかるため、その一部を都道府県知事に行わせることといたしました。第五は、使用中の計量器取締りにつきまして、新たに計量士による検査制度を設け、その検査を受けた計量器につきましては、定期検査を免除することとしたことであります。これらの事項は、いずれも計量行政実情にかんがみまして、その能率化をはかるために行おうとするものでありますが、その運用に当りましては、常にその実施状況適確に把握し、いやしくも放漫に流れることのないよう監督機関において十分取締りを行う所存でございます。なお、以上のほか、国際メートル委員会決議等に基きまして、時間、流量、周波数、その他の計量単位を整備する等の改正を行うことといたしました。  以上が、この法律案提案理由及び主要な内容であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことを切望いたす次第であります。  次に、輸出保険法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を細説明いたします。  輸出保険法は、昭和二十五年に制定された法律でありますが、その後数次の改正が加えられ、現在では八種類の保険を有し、その契約額も年間千四百億円に上るような規模に達するに至っております。さて、今回の改正の対象である普通輸出保険は、この保険制度のうち最も根幹をなす保険でありますが、創設後八年を経過するうちに、運用上欠陥も現われて参りました。ことに変転の激しい輸出貿易に即応していくためには、普通輸出保険もまた簡素にして迅速に運用されるものでなければならないのであります。  このような観点から普通輸出保険所要改正を加えるため、改正法律案を提出する次第であります。改正法律案概要を御説明いたしますと、改正の第一点は、普通輸出保険が現在採用している再保険制度政府の直接引受保険制度に改めることであります。すなわち、普通輸出保険は現在保険会社が十六社元受した保険契約政府が再保険するいわゆる再保険制度を採用しているのでありますが、時日の経過とともに、この再保険制度が存続の意義を失って参りました。その最も大きな理由をあげますと、包括保険制度すなわち輸出組合組合員の締結する一切の輸出契約組合員のために付保する制度が発達いたしまして、輸出組合普通輸出保険事務を代行することになったからであります。従ってこの機会に再保険制度を廃止し、政府の直接引受制度に改めることにより、制度簡素化をはかることができるわけであります。なお、再保険制度の廃止によりまして、現在保険会社収入となっておりますところの元受保険料と再保険料との差額の大部分をこの保険保険料引き下げに充当し、保険利用者保険料負担の軽減をはかりたいと考えております。この保険料引き下げ措置は、政令によって行うことになりますが一二%程度の引き下げが可能であります。  改正の第二点は、普通輸出保険の担保危険の規定を明確化することであります。この改正により保険事故の認定が合理化され、保険金支払手続が迅速化されることになります。  以上が、今回の改正概要でありますが、慎重御審議の上、可決せられるようお願いいたします。  なお、企業合理化促進法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  最近における著しい技術革新状況にかんがみ、科学技術振興をはかることは、刻下の急務であります。この科学技術振興方策の一環として、鉱工業技術等試験研究を奨励助成するとともに、特に試験研究成果である新技術企業化促進する措置が必要と考えられます。  本法案は、かかる要請に基いて、わが国で行われた試験研究成果であるところの未確立の新技術であって、国民経済上緊要であると認められるものの企業化促進するため、その企業化に必要な機械設備等について、新たに特別償却を行う道を開かんとするものであります。元来、試験研究成果は、その企業化によって初めて結実するものでありますが、新技術企業化を行うに際しては、通常多額の資金を要し、また企業化に当り、技術的に相当の不安を伴うものが多いので、資本蓄積の乏しいわが国企業は、企業化への踏みきりに相当の危険を感ずる例が少くないのであります。  かかる状況に対処して、従来とも新技術企業化方策として、新技術工業化に対する融資あつせん等諸種の措置がとられて参りましたが、税制面からもこれが振興策を講ずることは、企業自主性を尊重しながら、しかも、企業化への踏み切りを促進する上において有効な措置であると考えるのであります。  法案内容につきましては、御審議途上逐次その詳細を御説明申し上げる所存でございますが、以下その概要を申し述べますならば、第一に、わが国で行われた試験研究成果である新技術企業化しようとする者は、主務大臣及び大蔵大臣に申請し、その企業化国民経済上緊要な新技術企業化であり、かつ、その取得する機械設備等当該技術企業化する場合の主要な生産工程において欠くことのできないものである旨の承認を受け、第二に、申請者は、この承認にかかる機械設備等を、承認一定期間内に当該企業化の用に供したときは、当該設備承認内容に合致している旨の主務大臣証明を受け、これによって租税特別措置法の定めるところにより、特別償却を行うことができます。  なお、本法案規定を受けて租税特別措置法改正法案においては、本法案規定による承認を受けた者が、承認にかかる機械設備等について主務大臣証明を受けたときは、企業化の用に供した初年度において、その取得価額の二分の一相当額特別償却を行うことができるように規定されております。  以上が、この法律案提案理由及びその概要であります。何とぞ、慎重御審議の上、御可決あらんことを切に希望する次第であります。
  5. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 以上で提案理由説明は終了いたしましたが、審議は後日に譲ります。     —————————————
  6. 近藤信一

    委員長近藤信一君) これより通商産業省政策と、予算について質疑を行いたいと思います。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  7. 相馬助治

    相馬助治君 先般の委員会において、大臣より通産省所管昭和三十三年度一般会計予算について、現在国会提案されているその内容についての御説明があり、それには通産大臣が念願していた目的に沿って立案され、そのおおむねのものが通ったところの予算である。しさいに検討すれば、若干の問題はあろうけれども、この予算大臣性格をそのまま反映した、いわばじみではあるけれども、だんだんよくなるところの希望に満ちた予算であるというような概括的な答弁を承わったのであります。  そこで、私は勢頭にお聞きいたしたいと思いますことは、当初通産省要求いたしました予算と、現に国会でただいま審議されておりまするいわば大蔵省において決定されたところの現在のいわゆる要求額、この間には私の聞いたところではかなりの差がある。具体的に申しまするならば、通産大臣としては、ぜひともこの案件についてより重視したいからとして要求したところの予算も、かなり大幅に削られた部門もある、また要求したことがおおむね認められた部門もある、かように承わっておるのでございまするが、端的に承わりたいことは、通産省要求して、しかも大幅に削られ、所要要求額が意に満ちなかった部門はどんな部門であるか、これについて一つ承わりたいと思うのです。
  8. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 予算要求に関しましては、これは御存じのように、率直に言いますと、これは希望には切りがありません。従って各省の予算要求を合せますと五千億、六千億を突破する、こういうようなことになります。また、かなり大きな額を要求しておきませんと、最後の結論が思うところに来ないというようなかけ引きといますか、そんなことも従来行われておるのであります。まあ私としましては、かように落ちつくところに落ち効いてきたんじゃないかというふうに考えておるのであります。まあ信用保険事業団の構想は、当初私が申し上げておりましたのは、四百億の剰余金が出ますから、その半分をみて一応二百億という計算をいたしておりましたが、これが八十五億になり、まあ従来のあれを入れますと百七億ということになります。これは多ければ多いにこしたことはないのでありますが、しかし、大体百億以上ありましたらば、発足するのに事欠かないというふうに考えて、まあ、当初からそういうふうに考えておったのであります。その他のいろいろな必要なものにいたしましても、もちろん要求額相当な額を要求はいたしておりますが、しかし、これは昨年の八月なり、九月ごろの要求でありました。その後予算大綱がきまり、また、国の予算規模というものがきまって参りますと、大体この辺に落ちつかなければならぬというようなことにも見当がついて参ったのであります。そのほぼ見当くらいには予算の現在編成がそういうふうになっておる、かように考えておるわけであります。
  9. 相馬助治

    相馬助治君 ずいぶん常識的な御返答で、予算であるから、多く取れたにこしたことはないが、まあまああの辺ならばよかろう、こういう御返事のようで、しかも要求額相当山をかけておいたので、大体あてにしていたものは取れたのであるからまあまあだと、こういうふうな答弁と承わるのでありますが、それはいささか当委員会において審議する問題としてはふに落ちないわけでございます。一体山をかけて要求するとかしないとかということは、これはそちらの内部的な事情なのであって、私がお尋ねしたいのは、もっと具体的に一つの引例をもって今説明されたですが、より具体的にこういうものについてはこれだけ要求したが、事実こうなったと、こういう説明を、必要であれば私事務当局でもよろしいです。官房長でもよろしいです。大臣から指示して御説明を承わりたいのです。これは科学技術庁では当初から官房長がそういう説明をしているのです。われわれはこういう要求をした、これこれの事情でもってこの要求は満たされなくて、これだけのものが内示されている、こういう説明をしているのです。そうしますと、この商工委員会というのは、大臣も御承知のように、超党派的な性格を持って今日まで運営されて参っております。従いまして与野党の立場を離れて、この商工委員会としては通産大臣であるあなたに対し、通産省に対し協力する立場に立って、本年あなたが意図したものが何であって、それがどの点において意が満たされ、どの点において意が満たされなかったかということを、このことは通産省関係の本年度の一般会計の歳出の予算をわれわれが審議する前提として、必がまえとしてそれだけの資料はぜひとも必要なのであります。従いましてそのうちのおもなるものにつきまして、事務当局でもって、けっこうでありまするから、一つ大臣の意を体してそこで説明をしてほしいと思うのです。本来通産省がこの委員会を信任するのであるならば、その協力を真実に求めるのであるならば、科学技術庁がわれわれに説明したような形の予算案を積極的に説明すべきであったと思うのです。しかし、私はそういう取扱いがけしからぬと申しておるのではないのであります。今からでもおそくないので承わっておきたい。その上でみっしりと考えて一つわれわれは協力すべき点については協力したい、まことに善意の意見に出た質問でございますから、大臣において私の意をよく了解されまして、懇切丁寧な、きわめて具体的なる説明をされんことを私は重ねて要請いたします。
  10. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 別に山をかけたというわけでもありませんが、これは通産省だけでありましたら、予算のふえた額は皆こっち側にふえると、こういうことにもなりましょうが、なかなかそうは参りません。まあ、内輪の話でありまするから、あまり表ざたにはしたいことではありませんが、別に隠すほどのことでもありません。お話し申し上げてよいと思います。
  11. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私は大臣に、目下経済問題というよりも、政治問題化さんとしておりまする対米輸出貿易につきまして二、三お尋ねいたしたいと思いますが、御承知通り昭和三十三年度の貿易額輸出が三十一億五千万ドル、輸入が三十二億四千万ドル、それから特需の収入、その他貿易外収入等を加除いたしますと、実質的には一億五千万ドルという数字に一応達するわけでございます。しかしこれは政府当局もしばしば申されております通り、この三十一億五千万ドルの輸出を遂行するということは、大へんな仕事であるということは大臣からも、また企画庁長官からもわれわれはお聞きをいたしておるわけなのであります。ことに米国市場は、言うまでもなくわが国の総輸出の大体五分の一に達しているところの大きな市場でございます。しかもこの最大の市場におきまして、出しますものは御承知繊維品を初めといたしまして、わが国中小企業の手によってなされるところのいわゆる軽工業品が非常に多いのであります。そこに問題が非常に大きく取り扱われておるわけであります。本委員会におきましても、しばしばこの問題につきましては、当局に対しましてわれわれは鞭樋的な質問を続けて参ったわけなのであります。しかるにもかかわりませず、私どもが考え、また、われわれが要請をしていたこととは反対に、米国事情はいよいよますます、その輸入制限に拍車をかけているような状態でございます。昨年の第八十五米議会におきましては、前議会にも増しまして、多種多様の輸入制限法案が提出されたことは、大臣もすでに御承知通りであります。一つ例をとりまするというと、低賃金を理由といたしまして輸入一定基準により制限する一般的な輸入制限法案提案、あるいはダンピング取締りを強化し、事実上輸入制限することを目的とした、いわゆる現行ダンピング防止法改正法案、あるいは現行輸出統制法改正をいたしまして、商務長官輸入統制を行う権限を与えられんとするところの輸出入統制法案、あるいは木ネジ合板その他米国消費一定比率以下に制限する法案、こういうものが次々に制限法案といたしまして昨八十五米会議提案をされたのであります。  幸いにいたしまして、これらの法案はいろいろ政治的な角度からその成立を見なかったのでございまするが、しかしながら、この空気というものは依然として台頭していることは言うまでもないのであります。ことに最近新潟県の燕市の洋食器製造者が十人も、中小企業の中から十人アメリカに行くということはこれは大へんなことなのであります。しかも行かざるを得ないというように状況というものは、深刻化してきておるのでございますが、昨年来私どもがお尋ねをいたし、また、藤山外務大臣にこの問題につきまして、特に本委員会に御出席を願って私どもはいろいろ質問も申し上げ、要請もいたしたのでありますが、その後政府といたしましてはいかなる御処置をとってこられたか、その点をまず第一にお伺いたいと思うのであります。
  12. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) アメリカ輸入制限の問題に関しまして二つの面があると思います。一つの面は、あくまでわが方の輸入アメリカ輸出するものよりもはるかに多いという現状から考えまして、アメリカ輸入制限は不当であるという主張であります。もう一つは、国内の業者の方々にある程度考えていただいて——アメリカ輸入制限問題は必ずしもこれは政府から起っておるのではないということは、御承知通りであります。やはり相手も中小企業者が作っておる、従って従来前年の倍になり三倍になりかなり圧迫をされるというようなことから起ってきておるわけでありまするので、この輸出額をふやしますにつきましても、漸次漸を追うて堅実な歩みで移行し、また、相手方を刺激しないようにふやしていく、こういうような規制の問題だと思います。ただいまお託しのように、政府といたしましても一般にまた、政府当局の方に、十分われわれの主張も認識せしめるようにという努力をずっといたしております。また、不幸にしまして最近関税委員会が取り上げました問題につきましては、大使を通じて極力それが政府として取り上げられないようにということで、懸命の努力をいたしておる次第でありまして、また、この業者側の方につきましては、まあ従来からわれわれも相当強く勧告はしておるのでありまするが、どうもちょっと時期がおそい。お気づきになってこれはいかぬというふうになりますのは時期がおそい。従って来年度としましては、われわれはあくまで早く向うの情勢を察知いたしまして、そしてそれに対応する対応策を考えていかなけりゃならぬというようなことで、いろいろジェトロ案におきましても、あるいはまた、外務省におきましても、そういうような調査をする経費も計上しておるわけであります。また、関税委員会等におきますロビイストの経費等につきましても、従来よりもはるかに相当の額を計上しておるような次第でありまして、まあ、結局において向う政府筋十分了解をしておるのでありまするが、結局まあ一般宣伝等が十分でないといいますか、あるいはまた、向う業者としての反撃も強いというようなことで、そこらを緩和するようなことをさらに一段と努力をしていかなければならぬ、まあかように考えておるわけであります。
  13. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 今、大竹委員のこの御質問の問題に関連をしてお尋ねしたいのですが、今まずこの情報が非常におそいという、察知することがおそいというようなお話しでありますが、これは政府としては、むろんこの日本産業発展のために早く手を打って、一つそういう情報をお取りを願うということが非常に大事だと思うわけです。今の燕市の問題、合板の問題、あるいはちょうちん等の問題、続々出てくるだろうと思うのですが、それで通産省はどういうような経路によって情報を入手し、また、業界の方もどういうようなそれらの点についてのキャッチをしておいでになるのか、先般稲垣貿易会長の話を聞きますと、燕の問題が起って、ようやくにして何か委員会を作る段どりになったという話なんですが、まあ、昨年来相次いで起っておるのにもかかわらず、業界の方としてもまあこれは稲垣さんのこの間の話を聞きますると、手が非常におそいのじゃないか。従ってこれは政府としましても早く情報キャッチをして、そうしてそれに対しての向うに対するPR、また、その対策をとっていただく。また、日本のこの産業界の人々ももう少し早く手を打ってやるということが必要だと思うのです。その点をちょっとお聞かせ願いたい。
  14. 阿部竹松

    阿部竹松君 議事進行法案審議中ならば関連質問くらいは、これはけっこうですがね。こうとにかく通商産業省政策予算のことを聞いているのですから、やはり一人の人がずっと聞かれて、終ってから順次に聞かなければちぐはぐになってだめですよ。ですからきょうで十分でなければ、これは二十日も予定してございますから、そのときやっていただくことにして、大竹先生発言を続けてやっていただかなければ、とても話がまとまりませんから、そのように御配慮をお願いします。
  15. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 承知しました。
  16. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 今のところ、われわれが経費予算に計上しておりますのは、向うにもそういうようなリサーチの機関がございますから、それを使って早く情勢を知るということだと思います。それから合同委員会のお話が出ましたが、合同委員会が実は適任者というのが非常にむずかしいのです。それから官側同士ではこれができません。そしてまた、民間の方につきましても、まあ独占禁止法やいろいろな関係がありまして、ほんとうは適任者を得ることに今もずいぶん頭を悩ましておるんですが、これはなかなかむずかしい問題だと思うのです。結局アメリカはそういうような調査部門は非常に発達しておりますから、その機関を利用して、いろいろな情勢を早く知るということが一番肝心だと思うのです。
  17. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 大臣の御答弁にありました通り、まあ政府当局よりもむしろ業者の方が反対的な立場に立っている。まことにその通りでございまして、その点は私は前の委員会におきましても申し上げました通りアメリカは自由貿易化というものを叫んでおりますが、それは非常に重工業的なものが多くって、いわゆる日なたに縁遠い中小企業というものも、アメリカにたくさんあるんでございまして、その人たちが輸入制限の問題において特に熾烈をきわめておる。それだけに私はこの問額というものはむずかしいのであります。しかし、そういう立場から考えまして、われわれは単にアメリカ輸入制限をするといって、そのこと自体が私はアメリカが悪いとは思えないのでありまして、そういう意味におきましてやはりこのわれわれ自身といたしましても、日本側といたしましても、相当内省をする必要があるんじゃないかということを、私どもは考えざるを得ない。その根拠といたしまして一、二を申しますれば、いわゆる日本の参りまする品物自体というものが、アメリカの弱小企業のいわゆる軽工業者と競合をする。それからいわゆる構造関係が根底に横たわっておる、こう言った方がいいと思うのであります。それから商品の状況一つ取り上げてみますると、昭和三十一年における対米輸出額は、二十九年度に比べまするというと、わずか三年の間におきまして合板が二倍を初めといたしまして、問題の燕の洋食器のごときは八倍にも達しておるのであります。それから体温計が六倍、それからコーモリ傘の骨、それから紙帽子に至りましては百倍から百五十倍に及ぶ状況なんでございます。で、一昨年のわが綿製品の輸入制限問題、それから輸出の急増に基因しておることは言うまでもないのでありますが、こういうように非常な急角度をもって、一ぺんにある時期に大量が入るんでありますから、ここに相当私は問題というものが起るというのは、これはやむを得ないのじゃないか。従いましてただ単にです、米国輸入制限がけしからんといって私どもは責めるだけでなくして、こういう点において内面指導という言葉があるいは行き過ぎかもしれませんけれども、私は内面指導というようなものが当局において特にとられるの必要があるのではないかと、かように考えておるので掛ります。この点をお伺いしたいと思います。
  18. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) ただいまのお話し、ごもっともでありまして、われわれとしましても従来内面指導をやってきたのでありますが、なかなかそこまで追い詰められぬと、業者の方も、まあこれは人情でありまするから、むずかしい。そこで、われわれとしましては、輸出入組合等におきまして協定が締結されておるものもあります。しかし、全然協定を今締結されぬというものもあります。もちろん、協定が締結されておりましても、内容がどうも改善できておらぬという面もありますので、できましたら政府の勧告権というような、まあ表向きの権限を持ったらどうかというふうに考えまして、ただいま輸出入取引法の改正について検討しておる次第であります。
  19. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 そこで、私はまずこの対策といたしまして、政府に御考慮を願い、そうしてまた研究もしていただきたいと思う点を一、二あげまして、大臣の御答弁をいただきたいと思うのでありますが、結局、この商品が非常に限定をされておるというのを、通産当局といたしましてはできるだけ商品の多様化をはかる、その一方におきまして、米国製品との競合をしないような商品の輸出をできるだけはかるということが、まず私は第一に考慮されなければならぬことではないかと思うのであります。第二といたしましては、輸出取引秩序の欠陥によりまするこの集中的安値の輸出であります。まあ四、五年来行われておりました、六わゆる一ドル・ブラウスというような問題が、まあ非常に向う市場を撹乱したことは記憶に新しいところであります。まあこういうような問題、それから一つは、商業道徳の高揚という問題が、当然これはつきまとうことでございます。さらに、この日米相互間におきまして、新聞の伝うるところによりまするというと、政府同士でなく、日米合同委員会というようなものが民間の間において何か結成をされるやに私どもは聞いておるのでありますが、こういうものにはできるだけ、予算関係もございましょうが、できるだけ予算を出して、そうしてほんとうに、これは今、大臣のお話しの通り政府よりも民間の声として巻き起っているというだけに、私どもは日米の民間の合同委員会というものを民主的に作って、そうしてこれを内面的に通産当局が指導をせられるというようなことが必要ではないかと思うのでありますが、この点に対して御意見をお伺いいたします。
  20. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) ただいまのお説は、まことにわれわれもそういうふうに考えておる問題でありまして、まず第一には、やはり新規な商品を広げていく、競争のない商品を取り上げていく。これにつきましてはデザインの問題、その他につきまして、今度は御承知のようにジェトロを改正いたしまして、相当政府が本腰も入れ、また、自主的にどんどん活動もできるというような組織を作りまして、そうしてデザインの問題は、実はあまり役人がそれを直接やるというよりも、むしろそういう民間なり、政府の行政という意味じゃありませんが、行政といたしましては、今度御承知のようにデザイン課というものを振興部に設けまして指導はする。しかし、実際の活動は特殊法人でやってもらうというようなことを考えておるわけであります。また、この安値の輸出という、まあ過当競争の防止につきましては、ただいま申し上げましたような輸出入取引法の改正、あるいは中小企業安定法等の活用、さらにまた、この輸出入組合ではなしに、輸出業者ではなしに、メーカー側でいろいろそういうような問題が起りました場合の、アウトサイダーの規制というようなことも、輸出入取引法の改正等によりましてやりたいというふうに考えておるのであります。また、先ほど申し上げましたように、非常に困難ではありますが、合同委員会というようなものにつきましても、現在のジェトロの予算でいきましたら、十分活用できるような経費は捻出できると思うのでありまして、ただ、この人選が非常に困難であるというようなことで、ちょっとまあすぐにはできるかどうかというような状態でありますが、われわれとしましては極力そういうものも作って、そして民間の宣伝をやりたい。ことに今度の予算におきましては、テレビ宣伝とかというような特別の宣伝につきましては、従来とは画期的な、まあ場合によってはなると思いますが、そういうような経費も計上しておるようなことであります。
  21. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 米国輸入問題につきましてはそれだけにいたしておきまして、また別の機会に譲りたいと思いますが、最後に、私はやはり貿易の対策関連をいたしまして、一言お尋ねいたしたいのであります。それは国産愛用運動につきまして、通産大臣の御答弁を願いたいと思います。国際収支を黒字にするのには、できるだけまあ一つ輸出を伸ばすということにつきましては、私はもう文句はないのであります。しかし、輸出をするには、輸出をするための要するに原材料というものを買わなければならないのでありまして、また、その貿易協定を二十何カ国も持っている日本といたしましては、場合によりましては、場合によらなくても、現在そうされなければ困るのでありますので、バナナも買わなければなりませんし、あるいはまた、高級な織物や、場合によってはまたウイスキーも買わなければならないのであります。従いまして、ただその輸入を私どもは押え、そうして国産愛用を高揚するといっても、旧来の観点に立って言っては、ただ、これは貿易は相互扶助でございまするから、これはもうほんとうの意味のいわゆる国産愛用にはならず、かえってプラスどころかマイナスの問題が出てくるのでありますが、その点は限度があることでございますので、そういう意味におきまして私どもはただめちゃくちゃに国産を使えと言うのではないのでありまするが、できるだけ国産を愛用するということが必要ではないかと思うのです。しかし、その国産を愛用するということは、日本はむろんのことでありますが、これは外国に出しましても値打ちのある、いわゆる内外共通点を持つというようなものでなければならないと思うのであります。最近日本でたくさん国産自動車もできるようであります。そしてまた、政府大臣の方々も、だいぶ国産を愛用する意味におきまして、日本の製品の自動車にも乗られておるようでございますので、ぜひ一つそういう意味において、まあ、限度はございまするけれども、できればこの国内の品物が、安く、しかも海外に行きましても相当太刀打ちができる、しかも、それには十二分に技術的に検討もする必要はむろんあるのでありますが、そういう意味におきましての国産の愛用ということは必要じゃないか。しかしながら、たしか三十三年度の予算といたしまして、四千二百万円と私は記憶いたしておりますが、それが要求せられたように思うのでありますが、その四千二百万円が大蔵省によって削除されたというように聞いておるのでありますが、こうした問題に対しまして、今後のこの国産愛用運動と申しますか、これは決してセクショナリズム的な愛用運動じゃないのでありまして、私の申し上げましたように、広い意味の愛用運動なんでありますが、四千二百万という、その費用が削除せられましても、通産当局としては、これをどうおやりになられるか、また、通産大臣として、この国産愛用運動についての一つお考えをお伺いしたいと思うのであります。
  22. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 国産愛用運動につきましては、現在もわずかながら行われておるのでありまして、また、たとえば現在は官庁はもうすべて外国車は使わないのでありまして、新しい車を入れる場合には、必ず国産車にきまっている、そういうようなこともやっておるのでありますが、ただ、私どもの考えておりましたのは、これは国産愛用運動はあまり表面に立てるのじゃなしに、輸出優先主義、1輸出第一主義、こういうものを表面に押し立てていったら、より積極的でないか、そういう国民運動を起したい、こういうふうに考えておったのでありまして、まあ早い話が、輸出でありますと、みんなが、たとえば私聞きましたところ、郵便局のエアー・メールの郵便が二、三個所も回っていく。これではどうも輸出優先主義ということが郵便局の方々に徹底しておらぬ。そういうような全般の人が輸出ということに対する関心をもってそれに協力するということになってこないといけない。かように考えておりまして、ぜひ国民運動を起したい、それにつきましての経費を実は要求しておったのであります。そうしてこれは幸いに商工会議所で取り上げていただいておりまして、輸出第一主義という運動を起そうということであります。われわれも何か誘い水だけでも取りたい、こういうことで話しておったのでありますが、それはジェトロが御承知のように二十億の利息が一億何千万、二千万くらい入るわけであります。そういうものを使ってやったらどうかという話しになりまして、そうして誘い水であれば、五百万かあるいは一千万かの金でいいのじゃないか、こういうような話しになりまして、ジェトロの予算を使ってやろう、こういうことになっておるのであります。
  23. 相馬助治

    相馬助治君 関連して。私がさっき大臣に聞いたことはそういうことなんです。私はさっき自分で質問資料を忘れてきたので質問をやめたのだが、重要な要求をして全額削除になったことがあるかと聞いた。私は全然わからないから聞いたのじゃなくて、私は私なりに調べておいてお尋ねしたのです。今、大竹委員が国産愛用の国民運動を展開する件についての質問をしたときに、あなたもおっしゃっておるように、これは広く貿易振興の国民運動を展開しようという構想をあなたは持っている。聞くところによると、一億二千三百万か大蔵省に要求して、全部たたき伏せられて、一銭も取れなかったというのじゃないですか。それが事実であるかどうか、そういうことを尋ねたいと同時に、ジェトロから貿易振興の国民運動を起す金を取るということは、これは筋が合っているようであって、かなり私は問題だと思います。今度はジェトロの法律改正になりまするけれども、これの活躍の舞台は海外だと思います。海外の市場調査して、海外に対するいろいろな状況に基いて貿易を振興する、こういう当面の大きな仕事があると思います。これから費用を幾らか取って国民運動を展開するというようなこと自体が非常なごまかしであって、まずい妥協だと思います。これは、あなたはこの件についてどういう要求をされて、どういう経緯でこれは削られたのですか。そうしてまた、ジェトロから金を回してきてやるというのじゃ、どれくらいそれに充てようとする構想なんですか。私はこれは一件々々尋ねていきます。あなたがほんとうのことを最初から言わぬから。このことをはっきり聞かして下さい。何ぼ要求して、何ぼ取れて、取れなかった分はどういうふうにするつもりなんですか。
  24. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 最初の要求は、一億二千万か何かその要求をしたように……。
  25. 相馬助治

    相馬助治君 一億二千三百万でしょう。
  26. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) それがだんだん話がおりまして、一千万円という最後の話し、それを結局国民運動でありまするから、政府が、実際言いますと、まあ、政府があまりひもをあやつって、そうして起しているのだというよりは、これはやはり特殊法人である、必ずしも私はジェトロは海外だけの問題ではない、輸出振興の事業体でありますから、そこの予算で、あるいは商工会議所に対しまして、誘い水という意味で出す程度の予算でありましたら、十分捻出できるということでありまして、そういうことで一応ゼロになったのであります。私はそういう意味合いであればやむを得ないというふうに考えております。
  27. 阿部竹松

    阿部竹松君 大臣に二、三点お伺いいたしますが、実は去年の今ごろ、大蔵大臣がたまたま池田さんで、池田さんの、予算委員会とか、あるいは大蔵委員会、当商工委員会へ来てのお話しでは、私どもはドルの均衡について非常に不安があったものでございますから、その点についてただしたところが、ドルで持っておっても、輸入した品物を持っておっても、結論は同じであるというようなお話しでございました。しかし、結果は御承知通りになって、相当に引き締めたわけです。しかし、十月以降均衡がとれたとおっしゃっておるけれども、これは通産白書といって大臣のところから出しておる数字と、私の調べた数字とは若干違いますけれども、均衡をとるためには徹底的に輸入を締めてしまって、そうして輸出はそのままである。私は、輸入がそのままで輸出がふえたのであれば、これは問題はありませんけれども、徹底的に黒字にするために、一切のものをストップしたというところに、非常に偽善的な均衡があるということが考えられるわけです。ですから大臣は去年からの引き締め、あるいは今日の状態、こういう点について正しい貿易のあり方から均衡ということが言えるかどうかということとについて、まずお尋ねをいたします。
  28. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 輸出は漸次よく拡大されてきておるのでありまして、これは数字的なお話をあとで申し上げますが、ただ、輸入を極力押えた、これは全くその通りであります。しかし、それも決して御承知のように、当初考えましたのは、とにかく国内物価が上るようなことをしてはいかぬというので、国内物価の上らぬすれすれの線で実は押えたのです。その後におきましては、御承知のように繊維品等の値下り、生産過剰、これを調整いたしておりますので、むしろ押えなくても一応は輸入が減っておる。また、輸入関係で考えますと、在庫数は必ずしも減っておりません。いわゆる正常在庫というようなもので考えていっていい程度であります。むしろ、従来よりは在庫は減っておりません。多少減って参っておりますが、いわゆる正常在庫以上にはあるのです。結局、昨年の輸出入のアンバランスということの起りました原因は、御承知のように、鉄鋼の緊急輸入、石油の緊急輸入、これが最大の原因だと思います。スエズの問題があったり、あるいは鉄鋼にしましても、国内の設備投資が必要な以上に集中したもんでありますから、そういうようなことになってきたんでありまして、ただいまのところ、私は決して縮小均衡をたどっておるのじゃなしに、拡大均衡の方向に向いながら正常な輸出入の関係にあると、かように考えておるのであります。
  29. 阿部竹松

    阿部竹松君 こういう数字は河野経審長官に聞く方が当然かもしれませんけれども、しかし、大臣のお話しのようになっておらぬのですね。しかし、私、大臣のあげ足をとるつもりは毛頭ありませんけれども輸出がだんだん好転しておるといっても、昭和三十二年の三月には二億七千四百三十八万七千ドルだったものが、十一月には二億三千五百七十三万五千ドルというように減っておるのですね。同じくらいであれば、大臣のような説も成り立つかもしれませんけれども、そういうようなことで、ほとんど輸出もふえておりませんよ。そして徹底的に輸入を締めて均衡をとっておる。こういうことだったから、大臣のお話しのような安易なものではないというように私は判断するわけですがね。これはどうですか。
  30. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) これは季節的な変化があります。従って、前年の同月を対比していただくということで考えて参りませんと、十月が多くって十一月が減ったり、あるいはまた、月別じゃなしに四半期ごとくらいにとってお考え願いませんと、いろんな船積みの関係があったりいろいろしますので、そういうふうにして大観して参りますと、漸次輸出はふえておる、こういうふうにわれわれは考えております。これは数字的にあれでしたら詳しく説明させます。
  31. 阿部竹松

    阿部竹松君 数字は説明してもらう必要はございません、私も調べてみましたから。確かに季節的に三月とか十二月とかいうのは若干あります。しかし、昭和二十二年から調べてみまして、そういう若干の移動をなお割り引いて考慮しても、そういう結果が出てくるわけです。しかし、大臣がそういう安易なお考えであればそれでけっこうです。  それからもう一つ。今年度の目標に対して、これは衆議院の予算委員会でどなたかの質問に、三十一億五千万ドルについての見通しは、通産大臣と河野経審長官との感覚の相違といいましょうか、単なる言葉の表現でなく、違うような私は印象を持ったわけであります。ですから、その三十三年度の輸出の目標についての確たる御信念をお伺いしておきたいと思います。
  32. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 御承知のように、三十一億五千万ドルは本年度が二十八億三千万ドルといたしますと一一%の増です。で、われわれが考えます場合には、まだ日本の戦前の水準まで世界の比率で日本輸出がいっておりません。これはもう国際情勢は確かに悪いのです。しかし、まだ戦前の水準までいかぬということであってはならぬのでありますし、また一割一分程度はあくまでこれはわれわれ努力していかなければならぬ。決して私は楽観論ではありませんで、ただ、お答えする場合に、河野さんのお答は非常にまあ外国の条件がむずかしいと、そういうふうに言ってお話しになりました。私は大ていの答弁する場合には、これこれのことをやっていかなければならぬ。そうして、これはどうしてもやらなければならぬが、これをやれば私は三十一億五千万ドルはできるのだと、こういう説明になるもんですから、その話が、言葉があるいは強く響くかもわかりません。しかし、私の申し上げておるのは、常に国民全体の人も認識してもらい、業者の人も努力目標について責任を持ってもらうように、そのかわり政府もこういうふうにやって、そうしてこれをやれば私は三十一億五千万ドルは十分に達成できるのだと、こういうふうに申し上げておるのでありまして、別に内容が違っている、考え方が違っているというのじゃなしに、非常にむずかしい、しかし、それは何としてもやり遂げなければならぬし、それはこれこれをやれば十分達成できると、こういうふうに申し上げておるのでありまして、必ずしも私は御存じのようにそんな楽観論者では決してないのであります。その点はもう十分御承知下さるだろうと思います。
  33. 阿部竹松

    阿部竹松君 話に聞くと、前尾通産大臣は非常にまじめで、河野さんは非常にはったり屋だというように聞くのですがね、しかし、本件については前尾さんの方がきわめて楽観論だから、私はまあ非常に心配するわけで、六日のおっしゃる通りになれば問題ありません。また、来年の今ごろになって、あのころはこういう答弁をしたからといってそのときになってあなたを責めても、これはやむを得ないわけで、ですから、心配して今お聞きしているわけです。そこでもし三十一億五千万ドルを達成しなければならないのだ、しかしできない場合は、やはり輸入の方で締めるということになりますか。ということは、私、新聞を見たり、あるいは東南アジアから帰って来た人のお話を聞くと、どうも日本の商品をボイコットするということが新聞にも出ておりましたが、これは周恩来、あれですか、中華民国の総理ですか、あの人の話から始まって、中国だけならまだ心配ありませんけれども、東南アジアの方でも、日本品をボイコットするという風潮が相当根強く芽ばえてきたというような話を聞くわけであります。アメリカだけでは、とても三十一億五千万ドルになりませんから、その点は大臣どういうふうに御認識されておりますか。
  34. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) もちろん、われわれもまあ努力しなければなりませんし、でありますが、三十一億五千万ドルを達成しないというと、結局経済成長率が予定より伸びないということになるか、あるいはまた一億五千万ドルの黒字が出ないかと、こういうことになると思います。ただまた輸入も、もちろん輸出がそれだけ伸びなければ、輸入ももちろん減少します。で一億五千万ドルをあくまで堅持するか、あるいは経済成長率を考えるかということは、ただいまのところ、ちょっと申し上げにくいので、私はまあやはりある程度の経済成長率がなかったら、雇用の問題で行き詰まるというふうに考えております。しかし、まあ今までの状態をずっと堅持していきますなら、少くとも一億五千万ドルの黒字は、輸入はもう、ちょっと去年は非常な異常なときだったと思うのです。で、かなりまあ国際収支の黒字という問題も安心感を持っておりまするし、また、輸入がそんな政府もむちゃに削るのじゃないのだというような安心感を持っておりますから、国内物価が上らぬ程度に、できるだけそれは輸入も切り詰めていきたいというふうに考えておりますので、そこらの全体を見ながら最も合理的なところでどういうふうに進んでいくかということを常々考えながらいかなければならぬ、こういうふうに思っております。
  35. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、三十一億五千万ドルが不幸にして達成しなかった場合は、いかなることがあっても均衡を保つために輸入をストップすると、こういうことに通ずるわけですか。ということは、前の水田通産大臣がめくら判を押していた。要る商品も要らぬ商品もべたべたべたべためくら判を押して、せっかく七年もかかってためたドルを全部使ってしまったということを言うておる人もあるのですから。その点はいかがですか。
  36. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 全部ストップするというようなことは考えておりませんので、少くとも国内物価が上るようなことはさせぬだけの輸入はしていかなければなりません。従って経済の成長率の伸びを押えるか、一億五千万ドルを減らすかと、こういう問題に帰着するだろうと思います。これはやはりそのときの情勢を考えていきませんと、私は簡単に、いや一億五千万ドルを堅持するのだと申し上げますと、これは経済成長率は、まあ仮定の問題ですから、そういう事態が起りましたら、経済成長率は押えなければならぬ。そうすると雇用の問題が起るわけで、私は少くとも現在の考えております三%というようなことは、これは最小限度かと思っておるのであります。従って、そのときには一億五千万ドルの方にしわを寄せなければならぬと思いますが、しかし一面に、輸出が減れば輸入も自然に減るというようなことで、そう一億五千万ドルが今度逆に赤字になるとか、あるいは五千万ドルになるというようなことは、まあ多少の狂いは出ましても、そんな大きな狂いは出ない、こういうように考えております。
  37. 阿部竹松

    阿部竹松君 自余のことは河野経企長官にお伺いすることにいたしまして、あと国内問題について、前回官房長から大体通産省から出される、予定された法案をお伺いしたわけですが、独禁法改正については入っておりませんでした。これは本国会に出すものか出さないものか、横田公取委員長は来ておりませんけれども大臣の所管ですから、大臣の御見解を承わっておきたいと思います。
  38. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 実はそれは通産省が起草してやるのではありません。内閣かあるいは公取の方になるわけでありますが、まあわれわれとしましても、従来から申しておりますように、輸出を阻害し、あるいは去年のように投資の過剰というような面を、どうしても独禁法の改正によって直して参りたいということは、しばしば皆様に申し上げたところでありまして、幸い一応答申が出ておるわけでありますから、あの答申の趣旨にのっとって出しておいてもらいたいというふうに考えておるのであります。ただ、あの答申が非常に抽象的でありまして、あれを具体化するのには相当いろいろな論議も尽さなくてはなりませんし、法文の書き方その他につきまして、かなり時日がかかるのではないかと、こういうように考えております。
  39. 阿部竹松

    阿部竹松君 そこで、独禁法改正とからんで、大臣のまあ御政策のうちの一環として、とにかくどういう方向になるかわかりませんけれども、東京都の例でも大阪の例でもいいんですが、東京都の例をとって見ますと、たとえばゴートーさんですか、五島さんですか、あの人が私鉄からデパート、今度百貨店法が出たので、デパートの子供のようなものを作った。一例をあげますと、高円寺なり、あるいは駕籠町とか、あの辺にたくさんこしらえる。そうして、あの辺の中小企業はみなつぶれかかっているわけですが、こういう点が独禁法を緩和しますと、ますます問題が生じてくるということは、大臣もおわかりだと思うのですが、こういうものについては、通商産業省としてどういう処置を、具体的にどういうようにするかということを一つお伺いしたいのですがね。
  40. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 私どもの考えているのは、そういうものを緩和しようなどというふうには考えておりません。まあ、答申をごらんになっても、あの答申の中にもそういうものを緩和しようというような考えは全然ないと思います。また、私どもとしましては、御承知のように中小企業関係も所管しておるのでありますから、中小企業にしわ寄せがされるというようなことは、もうこれは絶対に避けなければならぬ。ただいま申し上げましたような過剰投資なり、輸出振興ということに阻害があるということになれば、独禁法の緩和もやむを得ないというふうに考えておるのであります。ただいまお話しのような問題につきまして、これは独禁法違反であると、これは当然公取でやっていただかなければなりません、また、百貨店法等の関係もありますが、そういうようなことで中小企業者が困るということなら、行政指導で、できるだけ中小企業者に阻害のないようにという指導はやらな汁ればならないと思います。
  41. 阿部竹松

    阿部竹松君 大臣は、緩める方緩める方にとお考えになるから、そういうお答弁になるので、私は改正をめぐって緩める方法もあるし、ある一面は強めていく方法もあろうかと思うのです。御承知のように戦争前は世界で一番カルテル行為の強かったのはドイツなんです。ところが、戦争に負けて、一番独禁法を強力にでっち上げて、零細企業あるいは中小企業を助けているのがこれまたドイツなんです。ですから改正する場合に、今申し上げた東横のように、デパートがだめだったら、今度子会社を作って、株を七割まで持つというようなことはいけない。今の百貨店法で押えることはできませんから、そういうことをお考えになりませんかということを聞いているのです、あなた、単にここで私の質問に答えて、行政指導しますと言ったって、国民金融公庫の金を幾ら出していま手か、中金の金は幾ら出していますか。これは相馬先生じゃないけれど、ほとんどあなた方の目的の半分も達して集らぬでしょう。ここで単に質問に答えて行政指導しますということで私は満足しません。独禁法改正をめぐって、こういう五島慶太あるいは堤さんのようなものは、これはいけないというようなことはどうなんですかということをお伺いしている。
  42. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) もう少し具体的にお話を聞きませんと、どういう例かもわかりませんが、しかし、今度の独禁法のあの改正の答申をごらん願いますと、不当制限取引につきましてはかなり明確にして、そうして取締りを厳重にやろう、また、それについては公取の機構も考えるべきだというので、緩和する面もありますが、強化する面もあるのであります。われわれもその点は同感でありまして、単に緩和だけじゃありません。強化すべき面はたくさんあると思います。それらについても十分われわれは考えていきたいと存じます。
  43. 阿部竹松

    阿部竹松君 どこをお読みになって強化するとおっしゃるかわかりませんけれども、まあ、まじめにやるとか正しくやるとかいうことは、別に審議会の答申がなくても当然なことですよ。ですから審議会の意見はこれは当然尊重しなければならぬけれども、あなたのおっしゃる行政指導の一面というものは、何か根拠がなければならぬのです。ですからあの中に、大企業が東京都のあらゆる商店街とか、あらゆる交通網、これを握ってしまうような、五島王国をあの中に盛っていただけぬのですか。あるいはいただくとか、いただかぬとかいうことでなくて、あなたはどうなんですかということを聞いているわけです。それがだめだったらだめだ、そういうことでけっこうです。
  44. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) それは過度に集中するということになれば、取り締らなければならぬことだと思います。独禁法でいう問題として、具体的に取り上げるかにつきまして、この一つ一つの事例詳しく知りませんので、その点はもしあれだったら、当局からまた御答弁申し上げますが、まあ、私の気持とすればそういうようなことで現実に独禁法にひっかかっているということなら、それについてはもちろん公取で取り締まるべきでありますし、また、そういうことが独禁法の欠陥として起るのでありましたら、それもまた考えて、今回改正する場合に考えていかなければならぬと思います。
  45. 阿部竹松

    阿部竹松君 独禁法の欠陥とか、欠陥でなしに、その法の精神というものはやはり大企業がとにかく独占的に事業をやっちゃならないという法の精神だけれども、一ヵ条、一ヵ条とにかく拾ってこういうものが当てはまるか当てはまらぬかということをやってみた場合に、一人の者が実権を握って、株を持って、百貨店を結成しようと、商店街を結成しようと、独禁法に直接かからないわけです。ですから大臣が行政指導の一環としてやろうとすれば、法的根拠が必要ですから、そういうことがいけないということを盛り込むのかどうかという簡単な御質問をしているわけです。
  46. 松尾金藏

    政府委員松尾金藏君) ただいま御指摘のございました点は、現在の独禁法の建前から申しまして、ただ企業が大きくなること自体を禁止をするというような形にはなっていないことは、御承知通りであります。むしろある企業が、あるいは幾つかの企業が集って、いわゆる競争を実質的に制限するような結果を来たすような場合には、独禁法の建前から取締りを受ける建前になっております。この建前は今度の審議会の答申によりまして、独禁法の改正をいたします際にも、その基本的な考え方にはもちろん変りはないのであります。ただ、どういうものが競争を実質的に制限するかという、その判断の問題等について、改正の論議が出ておるのであります。ただいま御指摘のございました百貨店がまあ方々に店を出して、それが実質的に競争を制限するような結果を招来するおそれがありますれば、これは独禁法の建前から申しましても、どの条項に当りますか、まあ解釈上の問題はあると思います。たとえば公正取引の制限というような条項にかかって参るといたしますと、その辺の取締りということになるわけであります。現在は御承知のように公正取引の制限の規定一般指定、特殊指定という形でその具体的な内容がきめられておるわけであります。おそらくこういう建前は、今後の独禁法の改正の際にもいろいろ論議があると思いますけれども、やはり片方にカルテルその他の制限について実際上の必要に基く若干の緩和の方向が検討されるといたしますと、それにかわってただいま申しました公正取引の制限の規定が、何らかの形で強化される方向に検討されると思いますので、先ほど御指摘のございました百貨店が、いろんな形で競争を実質的に制限するような方向に至りますれば、現在の独禁法でもそういうことを判断をする手がかりはあると思います。将来の改正についても、その方向はむしろ強化される方向に検討されるというふうに考えております。
  47. 阿部竹松

    阿部竹松君 松尾さんのお話は抽象的でどうもよくわかりません。ですから次回に横田さんを一つ委員長に呼んでいただいて、横田さんに確かめてみなければならぬと思います。  そこで予算の問題について、最後に一つお尋ねいたしますが、中小企業の方々から、法人税とか事業税、こういうものの免税、そういう問題が非常に持ち上っておるのですが、こういう点について、税金ですね、どうお考えになるかという点が一つと、それから国民金融公庫、これについては昨年より若干ふえたとおっしゃっておるようですが、予算全般を見渡すと大企業重点主義で、国民金融公庫等にはあまり金が回っておらないようです。零細企業に金を貸せば、回収できぬじゃないかというお考えで予算を組んでおらぬのかもしれませんけれども、しかし国民金融公庫を調べてみるとほとんど回収されておってそういう心配は毛頭ない。ですから大企業にお金を貸すのもけっこうだけれども、国民金融公庫にもう少し大臣のお力で出していただいてもよかったのではないかというように考えるわけですが、これだけで間に合うのですか大体、ということをお伺いいたします。
  48. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 財政投融資につきまして、ことに国民金融公庫、中小企業金融公庫、今度は実は信用保険事業団という方に力を入れまして——率直に申しますと。と申しますのは、本年は御承知のように異例な年でありまして、それでまあ百億なり七十億なり特別国会でふやしたのであります。それでしのぎ得た関係から申しますと、要するに貸出額が相当にふえれば、まずしのいでいけるのじゃなか、また逆に申しますと、過当にまた設備過剰というような考え方が起ってもいかぬ建前になっておりますから、御承知のように四千億で押える、こういうような格好になっておる。そこにはごらんの通りに弾力条項を設けましてそうして情勢のいかんによっては、かなりふやせるというような弾上条項があります。あの規定を活用し一いけば十分にしのいでいけるという考え方によるのであります。大企業によくよけい出しておるのではないかという御質問もありますが、大企業と申しましても、実は例えば鉄鉱等につきましては、ほとんど出しておりません。電源開発とか、そういう面につきましては、これはむしろこういう際に基礎産業をしっかりやっておかぬと五ヵ年計画の達成もできませんし、将来に備えるわけにいかぬ、手をゆるめるわけにいかぬというような立場でありますが、それにしましても、実は需要額からいいますと、かなり押えた額なんです。ただ、これも情勢いかんによりましては、金融債の引受けというような弾力的な運用によってやっていこう、こういう建前になっておりますので、まあ、大企業なり中小企業全般的にそういう考え方を持っておりますので、決して大企業を偏重したとか、あるいは中小企業をないがしろにした、そういう関係ではありません。その点は十分うまく運用していけると思っております。
  49. 阿部竹松

    阿部竹松君 弾力性とか信用保証といっても、元金のないのは、大臣、どうにもならぬでしょう。僕は、台東区ですが、台東区にある金融公庫に行って理事の諸君にお会いして聞いてみたのですが、政府の安い金利の金を国民金融公庫でお貸ししてあげますという宣伝をできないそうです。宣伝したら貸してくれという人がたくさんある。ですから宣伝もできないというような状態で、ほんとうに微々たるものですね。ですから、私は回収率も百パーセントですから、東京でも、名古屋でも、大阪でもけっこうです。こういう安い金があるからということを、せめて国民に貸してもらうとか、借りてもらうということが本心じゃないですか。しかしながら、そういうような方法も元金がなければ、大臣、いかに弾力性を持たしてもだめです。しかし、大臣のおっしゃることは、金庫の状態がよくなれば、本年中大蔵大臣との話し合いで、もう少し安い金額がふえるということですか。そういうことであれば僕は了解します。しかし、ふえるということでなしに、単に期間を短かくするとか、あるいは金額を百円のやつを三つに貸したやつを二つに貸す、こういうような弾力性では、やはり問題になるわけです。ですから、その点と税金の問題、くどいようですが、その二点だけ一つお伺いします。
  50. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 貯蓄の奨励は、これはあくまでもやらなければなりませんが、しかし、われわれもあれが貸付限度だと思っておりません。かなりふえると思います。それから、あるいはまた、ほかの部面で使い切れない部面もあるかもわかりません。これは住宅にしましても、あくまで遂行していかなければならぬ。しかし、実際問題としては土地の関係とかなんとかがありまして、使い切れない面もあると思います。それらを考えますと、まだ十分私は弾力性を持ち得る状態にあると思っております。  それから税金の問題につきましても、御承知のように本年は法人税の引き下げということを、軽減税率の適用範囲を広げる、こういうことでありまして、遺憾ながら、どうも事業税はうまくいかなかったわけでありますが、それにかわりまして御承知のように零細企業者には、一番適用の多い自転車税、荷車税、あれを減税したのであります。一歩前進ということではありますので、その点は御了承願いたいと思います。
  51. 海野三朗

    ○海野三朗君 私は通産大臣にお伺いしたいのですが、先ほど大竹委員から、アメリカにいっている日本の品物、輸入制限についてのお話が出ました。このことにつきましては、私は前前国会でもこういうことを述べたのです。商務館に滞在しておる人たちが、向うアメリカにおいてもやはり消費組合というようなものが必ずあるに違いない、あるいは婦人会とか、そうして消費組合のようなものがあるはずであるから、そういう方面とよく連絡をとって、業者の方がアメリカ政府を動かしておるのに対して、なぜ反対の運動を起さないか、それをやる必要があるのではないかということを、前々国会においても力説したのでありますが、その際には予算関係とか、そういういろいろなことがあって、在外商務官をそうふやされないのだというようなお話もあった。その際に日本から行っておる、つまり大使館なり、領事館なりに行っておる商務官の人たちは、一体何をしておるのであろうか、消費組合と連絡をとってその反対運動を起す、日本においては電気料金の値上げなんというと、上げちゃならないという方面もある。そういうことについてはどういうふうにお考えになっておりますか。私はその方面の通産省としては働きが足りない、こう思うのですが、どうなんですか。
  52. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 今の御指摘の輸入制限運動に対処する方策の一つとして、消費者階層に働きかけたらどうか、こういうお尋ねかと思うのであります。もちろん、現地の大使館、あるいは総領事館におきましては、消費者階層に働きかけておるのであります。しかしながら、この消費者階層というものを対象といたしますのは、非常にむずかしい。そこでやむを得ず新聞、その他のいわゆる言論機関を中心にいろいろ協力を願っておる、こういう実情でありますが、これも大きな意味における消費者になるのではないかと思いまするが、小売業者の団体、これはたとえば私もしばらくワシントンの大使館に勤務をいたしましたが、全国的な小売業者の団体が二、三種類ございます。その本部がやはりワシントンにございます。そこの幹部に会っていろいろそういう事情を聞いたり、また、いろいろ協力を願うというようなことをやった経験もございますが、現在におきましても、非常にそういうようなところに対しまして協力をお願いをしておるようであります。しかしながら、アメリカという国は、非常にぼうばくとした国と申しますか、非常に大きな国でありまするので、そういう団体にあれしましても、非常にわれわれの主張をとり入れてくれる場合と、同情はするが、わが団体としてはそういうことを表面的には取り上げかねるというふうなところもございますし、まあいろいろございまするが、今現地におきましては、先ほども大竹先生からの御指摘もございましたが、まああらゆる手を動員をしていると言って、率直に申し上げてよかろうかと思うのであります。
  53. 海野三朗

    ○海野三朗君 しからば、その滞在する商務官の経費というものは、予算の中にどれほど盛っておられますか、通産省といたしましては。
  54. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 現在のところ商務官という制度は実はないのでございまして、通産省のもの、また大蔵省、あるいは農林省のものが現地の公館に行っておりますが、これはいずれも外務省に身分を切りかえられまして、それぞれ主として商務関係事務とか、財務関係事務、農林関係事務というふうなまあ担当の仕方をいたしておりまして、もちろん外務省の人たちもこの商務関係事務にもタッチはしているのでありますが、その商務官という制度なり、商務官にいかほどの費用があるかということでありますが、ちょっと区別が今のところないというふうな状況になっているのであります。
  55. 海野三朗

    ○海野三朗君 イギリスの方は大使館に来ている連中など、もう半分商売人のような感じがしますね。実にそういう方面の目が鋭いように私は思う。日本の、つまり外務省から在外公館に行っておる人たちは、昔のような外交官のつもりでおっちゃ私は間違いだと思うのです。今は経済外交だと思うのです。そういう点については、やはり通産省から専門家がどうしたって向うに三人ぐらい滞在していなければいけないじゃないか。そして先ほど申しましたように、日本輸出品をストップするというような動きのある際には、これをいち早くかぎつけて日本に通報を発する。そういうことが私は最も本事じゃないかと思うのですが、そういう点については、通産省予算などには一つも盛られてないのですか、どうなのですか。
  56. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 今、先出の御指摘の点は、実は外務省の予算の問題になるわけであります。従来は実は通産省から外務省に出向いて行っております人間の数も、毎年若干ずつふえております。実は本年度も通産省予算をそれだけ落しまして、外務省の方にそれだけつけた、もらったというのが、たしか五名ございました。それから三十三年度におきましては二名程度になっております。そういたしまして、順次ふえては参っているのでありますが、大蔵省、あるいは外務省との関係で、率直に申しますならば、われわれの思う通りの人員の振りかえ、あるいは振りかえでなくても、増員ということはできていないわけでありますが、逐次そういう方向に向っては努力をいたしている次第であります。
  57. 海野三朗

    ○海野三朗君 この問題についての御答弁ははなはだ不満足でありますが、これは他日に譲ります。先ほど大臣が鉄鋼の値の下落についてちょっと触れられましたが、鉄鋼の方面に対する財政投融資が、鉄鋼の値段が下ったからという意味でありましょうか、どういうわけで今度減らされているのでありますか。私は平時において今設備の改善をしておかなければ、鉄鋼の価格が高くつくので、輸出ができにくくなるのではないかと思うが、いかがですか。
  58. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) お説ごもっともだと思います。ただ、鉄鋼は民間資金が割合吸収しやすいということが一つでありますし、もう一つは、実は世銀の借款が相当できる見込みであります。そういうものをにらみ合せまして今後に対処していこう、こういうような考え方で、ごく特殊なところだけ、財政投融資を見ましたのは一社にだけで、これは世銀の関係で、すでに約束済みでありますので、それをやったのであります。今後世銀の借款、あるいは輸出入銀行の関係もありますが、それらの関係をにらみ合せて、また、民間資金ともにらみ合せていかなければならぬと思いますが、一応こういう考え方によって財政投融資は今年はあまり入っておらない、こういう格好になったわけであります。
  59. 海野三朗

    ○海野三朗君 この鉄鋼の価格は去年の九月からがた落ちになってしまった。従って関連産業というものはみなぺちゃんこになって、昨今どしどしつぶれていっておるものもある。一番大事なのは、この重工業の、鉄鋼が問題であると私は思うのでありますが、これに対しては、通産省はあまりお見通しがなかったように私は思うのです。それはなぜかと言うと、私は通産省に以前には鉄鋼局というのがありましたですね。その後重工業局になってしまって、鉄鋼課という一課になってしまった。それは私ははなはだ実際に即しないあり方であると思うので、さらにこの鉄鋼に関する面だけをはずしてしまって、そうして鉄鋼局というものを新設しようというお考えはありませんですか、大臣の御所見を承わりたい。
  60. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 鉄鋼の重要性につきましては、われわれも十分認識しているのでありますが、ただ、局を設けるということにつきましては、行政の簡素化といいますか、そういう関係もありますので、ただいまのところは、局に昇格するということは非常に困難でございます。
  61. 海野三朗

    ○海野三朗君 この鉄鋼政策につきまして、通産省がいつでも民間の方よりもおくれているように思うのですが、この前石橋さんが通産大臣の際に、私はこれを深く詰め寄ったのでありますが、その道のエキスパートがたくさんいるのですよ、民間に……。そういう方面の調査、見通しというものを、やはり通産省がもう少し活用なさったらいかがでございましょうか。まるでめくらめっぽうであると私は思うのですよ。少し値が高くなったからといって、輸入をどんどんやった、品物がさばけないからがた落ちになるというのでは、私ははなはだまずいと思うのですが、いかがでしょうか。
  62. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) それは確かにまずいことであったわけでありますが、しかし、これは鉄鋼業といいますより、経済界の全般の見通しと関連するのであります。必ずしもそれだけの需要があるかどうかにつきましての、またあの当時としましてはそういうふうに考えたのでありましょうが、実際に今度は情勢が急変いたしまして、また押えるというときになると、またああいう結果になって……。お話しの通りいろいろ民間の方々で技術的にも、あるいは経済的にも有能な方々がたくさんおられると思います。これはわれわれといたしましても大いに活用して、その意見を十分に取り入れてやっていくということについては、決しておろそかにしているわけではありません。ただ、局にまで昇格するということは困難ではないか、ただしかし、鉄鋼の問題を軽視しているというようなことは絶対にありません。
  63. 海野三朗

    ○海野三朗君 今お話を承わって、この問題は非常に大きな問題でありますから、まだこれで、質問を他日に残しておきますが、この予算をあなたが個々にみな査定なさったのでありましょうが、予算を削られたとか、削られないとかということは、大蔵省の査定案でありましょう。私は大蔵省の査定案というものが、どうもはなはだ越権行為であると考えておるのですが、あなたはいかにお考えになっていらっしゃるか。大蔵省育ちのあなたでありますから、その辺いかようにお考えになっておりますか。
  64. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) ただ総額で通産省はこれこれというわけにも参りません。結局中身をお互いに議論し合って積み上げていくわけであります。ただ、各省も非常にこまかく、議論がこまかくなりまして、従ってそれを押えるために大蔵省がかなりこまかいところまで突っ込んで査定をやる、これは少し私は行き過ぎだとは思っております。ただ両方にいろいろ、まあ反省すべき点があるのだと思うのです。勢い話が、非常にこまかいところまで、おっしゃるように少し大蔵省としての立場を行き過ぎているのじゃないかと思われるふしは従来ございます。われわれも私的にはずいぶん忠告もしているのですが、勢い現状のようなことになり過ぎてしまった、こういうふうに思います。
  65. 海野三朗

    ○海野三朗君 大蔵省は今日出ておられないようですが、私は通産省ばかりでなしに、科学技術庁においてもそうであるし、ことごとく微に入り細にわたって大蔵省が指図しているのですね、そんなことならば、私はまるで大蔵省の役人どもが、もうすべての省の上に位しているような、私はどうもそういう傾向が赤裸々に見られるのでありまして、これも予算を組むあり方において、私は根本聞違いだと思っているのですが、大蔵省は黙って金を出せというわけじゃありません、ありませんが、あまり微に入り細にわたって、これはよけいだとか、これは減らせとかという、そういうことを大蔵省が言うこと自体が、はなはだ越権行為であると、こう考えているのです。もう少し、予算を今拝見しておりましても、予算の細目について大蔵省がくちばしを入れたのでしょう、みな……。いかがなんですか、そういう際には、大臣としてあなたの意見が通らない、大臣でも大蔵省の小役人の意見に従わなければならないというのは、はなはだ情けないことだと私は思うのです。その点私は、はっきりしたあなたの御信念を承わっておきたい、国務大臣としての……。
  66. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) これは両方とも反省して、もう少し率直に言いましたら、各省の要求がまあ山かけという、先ほどのお話しもありましたが、財政力の関係を十分勘案して、そうして、そう大蔵省も干渉しなくても済むような要求を出すことが一つだと思います。しかしまた、大蔵省も、ある程度まかして、自由な範囲にやっていかなければならぬ。それは今の大蔵省の行き士も、私はいいとは思っておりませんので、そこらが行き過ぎであるというごうに申し上げているのは、その点でありまして、これは両方、今後の予算編成という問題につきましては考えていかなければ、今のように財政力を考えずに要求を出す、それをバナナのたたき売りみたいなことで切っていく、これはどうも全く権威のないことだと、こういうふうに考えているわけであります。私は両方の態度がよくわかるので、これはお互いに自粛していかなければならぬ問題だと思っているわけであります。
  67. 海野三朗

    ○海野三朗君 私は今閣僚の一人であるあなたに、今いやみのようなことを言いましたけれども、こういうあり方が、国の政治をよろめかせるのですよ、国の政治をよろめかせると私は思うのです。たとえば通産省は大体本ざっぱに何億、農林省は大体何億というふうに割り当てて、それを今度は大臣が査定をして、配分をきめなさるのがほんとうであると私は思うのです。それを大蔵省の小役人どもがこれはだめだとかなんとかということは、大臣としてもいかんともしようがない、それが私は国の政治というものがよろめく元だと思うのです。どうかその点はっきりした御信念をもってやっていただきたいと私は思います。
  68. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) それにつきましては、私が先ほど来申しておりますように、ただ通産省は何億、あれは何億という程度で話をつける、そうしてその中で自由に勝手にしろというわけには参らぬと思います。しかし、おのずから軽重があるわけで、まあ個々の査定にいたしましても、これはすべてわれわれの考えなり、意見通り政策が得られるというわけでは、これは財政力の総体の関係がありますから、そこにおのずから重点があり、その重点につきましては、大体こっちの主張を通すということでいかなきゃならぬ。それについての理解は大蔵省も十分持って、そして少くともその重点施策の意味とか、あるいはそれに対する額という点には、寛容な態度でできるだけそういうふうにやっていくということでなければならぬと思います。ただいまの予算編成の行き方が決していいとは私は思っておりません。
  69. 島清

    ○島清君 私は時間がもうございませんので、たしか四時十分前くらいに本委員会を閉会しなければならないのではないかというふうに思っておりまするので、私の時間は二、三十分しかございませんので、私は通産省の重要施策につきましては後日御質問申し上げたいと思っておりまするが、ただいま大竹委員並びに海野委員から御質問がございました問題と関連をいたしまして、その関連質問だけ一点御質問をお許しいただきたいと思いますが、いわゆるこの貿易振興関係をいたしまして、アメリカ日本輸出に対しますいろいろのその反対の国内運動でありますが、これに対しましてはアメリカの方は輸出の方は増大をしておりまして、むしろ片貿易なんですね、これは。片貿易でありまするこのアメリカ側の方から、日本商品に対する因縁があまり多くつけられてくる。ところで、私なんかがアメリカの方に参りまして、消費者の諸君に会うてみると、安い日本商品が喜ばれておる。安い日本商品が喜ばれておるにかかわらず、そこに組合のボスがおりまして反対をする。これは私はアメリカ経済の消費者を守るという立場じゃないと思うのです。それはアメリカの組合のボスが消費者を食い物にしておる。そしてその組合のボスと、向うには議会のロビイストというのがおりまするけれども、登録されておりまするアメリカのロビイストというのが千五六百人くらいいるのだそうです。そういたしますると、その連中はその生活を維持するために法案をいじらなければならない。その組合のボスと、それから議会にたむろしておりまする、日本で言いますると、さしあたり院外団でございまするけれども、これがいわゆる法律の改廃の問題について議員と接触を持ちましてそして職業にしておるロビイスト、こういう問題がいろいろと紛糾の種を起すのです。そこで、私はそういう実情を見まして、それで果してこういう問題に対する日本商務官の、今は領事でございまするけれども松尾君の説明によりますると、身分は外務省でありまして、領事官でありまするけれども、その連中が何をやっているかといいますると、ニューヨークなんかでも村上君一人しかいないのでしょう、松尾君そうでしょう。それからワシントンあたりにおきましてもたしか佐藤君でしたか、二人くらいだと思うのです。この程度ではこれは私の言ったような、政治的に動いておりまする日本商品反対運動に対しては、どうにもならぬのじゃないかと思うのですよ。特にアメリカあたりで生まれて英語を自由自在に、日本語以上にあやつれるということでございまするならば、それはまた何をか言わんやでございましょうけれども、百人分の働きができるかもしれませんけれども、まあ日本で生まれて日本の東大あたりを出て英語をできるからといったって、まあ腹が減ってそう不自由しない程度の英語であって、あの連中を手玉にとってやるということは、とうていこれは不可能だと思うのです。そこに私は日本の、大臣を含めまして日本の岸内閣がアメリカ一辺倒の経済政策をとっておりまするので、非常に政治力が弱い。そこに業者がつけ込んできて足元を見すかして、そして日本商品いびりをしている。そして日本商品をいびる、若干それによって自分の方の生活がそれによって維持できる、こういうことだと私は思うのです。たとえば綿製品の問題にいたしましても、全部が全部そうだとは言いませんけれども、大半日本商品が排斥をされておりまする理由は、そこらに私はあると思うのです。そこで一番この問題を解決するのは、私はやはり政治的だと思うのです。これは純経済的な問題じゃない。政治が先行してこの問題の実情に対処するようにしなければならぬのではないか。私はこう思うのですが、その考え方が間違いでございましょうか、それともまた私がアメリカを視察して参りました、その視察の仕方に、認識の仕方に誤まりがあるかどうか。もし誤まりがあるといたしまするならば、大臣も率直にお前の見方と大臣の見方とは、見解を異にしておるのだというふうにおっしゃっていただきたいのでありまするけれども、まあ、私と同様な見解でありまするならば、これをどうやって打開するかという問題に格段のやはり御配慮をいただかなければならないのではないかと思うのです。また、今の外務省を見ましても、昔はまあ軍部が外交をやったのです。外務省は申し上げるまでもなくダンスをやっておればよかった。実際の外交は軍部がやっておった。あるいは今、経済外交といいまして今、海野委員が申されたように商務官を拡大して、この権限を最高度に認めて、その活躍の余地を大いに考えなければならないのにかかわらず、通産省の役人が外務省の役人に切りかえられている。やっぱりこういったような日本の要望でありまするところの経済活動を、向うで少し遠慮しながらやらなければならぬというこの実情をどういうふうに打開されるかということが、私はアメリカに起っておりまするところのこの問題を、限定して考えまする場合でも、この根本的な問題解決に、やっぱり大臣がどういう考え方を持っておられるかということについての確固たる見解がないと、この問題はいつまでたっても同じようなことで、問題の根本的解決をはかることは私はできないのじゃないかと思うのですが、大臣いかがでございますか。
  70. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) ただいまのお話しのようにアメリカ輸入制限等の問題につきましては、政治の問題もあります、また業者の問題もあります、また、外交官の経済外交といいますか、人手不足というような問題もあると思います。結局においてアメリカも民主主義国で、業者の意見といいますか、業者の反対というものはかなり強く反映しておる。そういう意味かならいたしますると、やっぱり民間の人の啓蒙運動と、日本商品に対する認識というような点も、われわれは極力やっていかなければならぬと思います。また、経済外交として、あくまで政治力をもって多少の国民の不満がありましても、全体としては、当然アメ リカとしては日本商品を買うべきでありますから、そういうような方向に幹部を動かすという必要もあると思います。まあ、それらの点はわれわれとしては最善を尽してやっているのでありますが、なかなか一挙にいかぬ。人数も毎年ふやしてはおります。また、ジェトロの広報、宣伝等の今後の活躍も期待はしておるのであります。今まで非常に貧弱で、宣伝のいたし方が足 りなかったという点もあるのであります。また、私としましてはアメリカに遠慮することなしに、相当やはり日本輸出入のバランスというような問題で、切りかえられるものにつきましては、どんどん切りかえていくというようなこともやっていかなければならぬというふうに考えておるのでありまして、結局総合的に率直に言えば、もう 少し日本アメリカからは物を買わずに済むような事態にまでやっていけるといいのでありますが、これもそう一挙にはいかんわけです。漸を追うていくよりいたし方がない。しかし、相当あらゆる面で強力に推進していかなければならぬ。かように考えておるわけです。あるいはあまり常識的な答弁で御不満かもわかりませんが、その点はわれわれも最善の努力をしながら、一歩一歩推進していくという態度をとっておるわけであります。
  71. 島清

    ○島清君 不満ではございまするけれども、きょうは関連質問でございまするので、他日、不満が解消できるまでに質問をいたしたいと思います。そこで、私がきょう大臣並びにその所管の係の局長にお尋ねをいたしたいと思いまする問題は、委員の各位にもお手元にお配りをしたのでありまするが、資源開発の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。資源開発と申しましても、石油資源の開発に関連してでございますが、わが国は、よくいわれております通り、国土は狭小にして資源は貧弱であると、こういわれております。これであるからして、帝国主義の時代には、なんじ臣民こういう貧乏にたえなければならないというような、いわゆる資本主義的な搾取の理論が生まれたのでありまするけれども、しかしながら、国土が狭小にして資源が乏しいことにおいては、これは間違いないのであります。従いまして、国の方策といたしましては、この資源の開発を国の内外に向けられまして、今、海野委員から質問がございました鉄鋼の生産等につきましても、いわゆるインドに日本の鉄鋼業が進出をしていく、さらに紙の問題につきましては、アラスカの方に進出をしていく、さらに石油の問題については、中近東の方に山下某ですか、こういう方々が進出をして、国の外の資源を大いに開発をしてこなければならぬというところに経済界の努力が向けられておるようでございます。しかしながら、それと同様に、それ以上に、やはり国内にありまするところの資源を最高度に愛護いたしまして活用しなければならないということも、またこれはわれわれに課せられた任務である、また政府もそういうふうに最善の努力をしておられるものだと、私たちは了承をいたしておるわけでございます。  そこで、三十三年度の通産省の重要な施策を拝見をいたしましても、石油に関して限定をいたしまして御質問を申し上げまするというと、いわゆる海底の油田を開発をするために、石油資源開発会社の方に、去年より以上にその出資額をふやしまして、そうして大いにその油田を開発していこう、こういうお考えのようでございまして、このことにつきましては、私は大賛成でございます。なお、私はこれをもってしても足りないというふうな考え方を持っておる方でございまするけれども、片方において、こういったような国策的な性格を持ちまするところの資源開発会社の方に、十分なるところの仕事をやってもらうために、財政的な援助をなしまするとともに、しかしながら、石油資源を開発いたしまするところの会社は、必ずしも資源開発会社だけでもございませんので、他にもたくさんあるのでありまするからして、他の群小のいわゆる会社が、果して国民のものでありまするところの資源を、貧弱なるところの資源を、十分にこの使命を果すために、会社が良心的にこれを開発をしておるかどうかということについても、国民としてこれは眼を離してはいけない問題だと考えます。従いまして、国民に奉仕をされまするところの行政官庁といたしましては、鉱業権に基きまして、国民のものでありまするところの地下資源を、さらにその地下資源を国家国民のために、これを最高度に活用せしむる能力ありとして鉱業権を設定をいたしましてそうして石油の採油をさしておるのでありまするから、この目的に反するようなことが、かりに一つの会社において行われておるといたしまするならば、この会社は、私は鉱業法の精神からいたしまして、資源開発をいたしまするところの能力がないものであると断ぜざるを得ない、こういうふうに考えるわけであります。こういった大前提に立ちまして、私は今御質問申し上げようとしておりまするところの大同石油株式会社の問題についてお尋ねをしたいのでありまするが、お手元にお配りをしておりまする通り、大同石油株式会社は、昭和二十二、三年のころには、最盛期でございましょうが、原油の生産高が一千三百万キロもあったようでありまするが、さらに従業員を五百人ばかりを擁して、一億の資本金だったようです。ところが、これが経営者のいわゆる非良心的な経営方針によりまして、経理は紊乱をいたしまして、さらに今日では従業員も四十名内外に減りましてさらに生産も十分の一に減りまして、そうしてまあ乱脈の限りを尽しておる会社のようでございまするが、私はまあ営利会社でございまするからして、営利会社として良心的にやっても、もしこれが経営が不可能であるということであって店を閉めたとか、あるいは生産力を低めたとか、あるいは人員を整理したとかということでございまするならば何をかいわんやでございまして、委員会の方で御質問を申し上げようという考え方はないのでございまするけれども、私が現に調査したところによりまするというと、採油管理がよろしければ、十分にこの地下資源が開発できるというような施設を持ち、さらにその可能性を持ちながら、なおかつ、この経営者の諸君が私利私欲を追求するために、会社の経理を忘れ、さらには、大にいたしましては国家資源の重要性というものを忘れまして、そうしてその経営に当っておることが今日の衰微を来たしておるようでございます。一例を申し上げまするというと、その乱脈の結果、税金も納められない。税金を納められないので国税庁あたりから押えられる。押えられまするというと、すぐこれを売却をするために、施設をしておりましたるところの鉄管であるとか、いろいろなものを、わからないうちに売り払ってしまうというようなことで、そうしてこれを採油不能に陥らしめるというようなことが、ここに書いてありまする通り、その理由になっておるようでございます。その採油をそういう形において締めることによって、他に影響を及ぼさなければ、私は別にここで大きく取り上げる必要もなかろうと思いまするけれども、私が申し上げるまでもなくして、地下資源というものは、特に石油というものは一つの脈をなしておるのでありまするからして、人間のちょうど血管と同様でございまして、ある一ヶ所の所にある不正なことがなされますというと、他の脈の方に影響を来たしてくるわけでございます。これは私が別に大きく申し上げる必要もない。すでに専門家の諸君におかれましては、十分に御了承の通りでございまするが、そういうことになりまするというと、たとえばこの石油の出ておりまするところの秋田、新潟あたりの、この線の方で、自分が鉱業権あるいは採掘権を持っておるからということで、そこにむやみ必たらに採油管理を誤まったということになりまするというと、新潟地帯あるいは秋田地帯において採油をしておりまするところの、あるいは帝石であるとか、あるいは石油資源開発会社でれるとかというような、国家の使命に基いて、良心的に採油をしておりまするところの、この第三者に及ぼしまする影響というものは、被害が非常に甚大である、こういうふうに考えるわけでございます。  そこで、この経営の内容につきましては、ここにいろいろと書いてあるのでありまするから、後日お目通しをいただきたいと思いまするが、こういうような前提のもとに立ちまして、私は政府に明らかにしていただきたい、御質問を申し上げたいと思っておりますることは、今私が大前提といたしまして御質問を申し上げた考え方について、もちろん御同感であると思いまするが、大臣は私の考え方に御同感であられるであろうかどうか。同感であるといたしまするならば、こういう問題が、事態が発生いたしました場合には、当然にその監督者の立場に立っておられるのでありまするからして、行政的にどういうような処置をおとりになるかということについて御質問を申し上げたいと思うのであります。これはなるほど過去におきましては一億くらいの大きな会社ではございまするけれども、今申し上げたように、経営者の諸君が私利私欲を追求いたしまして、今では幽霊会社みたいになっておりまするので、あるいは大臣はそういうような点までは、事の重大であるにかかわらず、気にとめておられないのかもしれません。でありまするので、私はここで大臣に必ずしも御答弁を願いたいとは、こういうことは申し上げません。もし、答弁の資料がございませんようでございまするならば、あとで一つ十分お調べをいただいた上で御答弁を願ってもけっこうでございます。  ます最初に、ここに書いてありまするけれども、最初にただいま申し上げたように、たとい営利会社といえども、鉱業権を設定いたしまして、そこに採油事業というものをやっておりまする場合、この出て参りまする、この埋蔵されておりまするものは、これは国民のものを、国家国民のために営利会社にやらしているのであるからして、そのゆえに鉱業権というものが、鉱業法というものがあるのでありまするからして、むやみやたらに営利会社だからというて、自由に国家資源を乱用してもよろしい、国家資源を浪費してもよろしいというような考え方が、この石油の採油事業において、石油事業において認められてよろしいものであろうかどうかというようなことについて、それは別に資料に基かなくてもよろしいと思いまするので、この大前提について一つ答弁をわずらわしたいと思います。
  72. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 石油に限らず、鉱区なり、あるいは鉱業権の問題でありますが、これは実は私率直に申し上げますと、従来の鉱業権という考え方には、ちょっと承服しがたいという考えを持っております。と申しますのは、あの鉱業権というものは、従来私有物というのですか、所有権に似た私有的な考え方が非常に強い。これは私は今後の課題として、できるだけ早い機会に直して行くべき問題だと思うのでありますが、ただいまお話しの、この会社につきましては、不幸にして何にも存じません。ただ、できるだけ国家目的に、また国家公共のために、少くともその範囲内において鉱物を掘っていくという趣旨でいかなければならぬのが、従来そういうような考え方が割合に取り入れられておらぬのであります。これは非常な欠陥だと私は思っております。具体的な問題につきましては、あるいは現在規制するような法律一つもありません。どういうふうな事柄か、よく拝見いたしまして、私としての考えも、今後の非常に参考になる問題だと思いますので、勉強し、またお答えしたいと思います。
  73. 島清

    ○島清君 大へんに私は今の御答弁をいただいて遺憾だと思うのですが、大臣はよく行政指導というお言葉をお使いになるのです。行政指導というお言葉をお使いになりますのは、法律的には強権的なことの命令、指揮、命令ができないので、そこで監督者の立場に立って行政指導をしていきたいということの私はお考え方だというので、そこで私はそういうふうに理解をしている。もしその行政指導ということが法律的な根拠によってやられるとするならば、別にこれは行政指導じゃない。指揮、命令……。命令をしてよろしいはずなのであります。しかしながらこの行政指導をして参ります場合の、第一番に奉仕をしなければならないという目標というものは、国家国民のために行政指導をしなくちゃならない。通産省のためにじゃなくして、大臣のためにではなく、国家国民のために、法律にはないけれども、しかしながらこの通産省にまかされておりまするところの使命観からして、行政指導をしていかなきゃならないというところに、大臣の行政指導の御答弁が生れてくるのだということに私は了解をしておる。しかしながら、こういったような問題について、ただ鉱業法には今の場合そういうものがないからというような御答弁については、どうもやはり満足するわけには参りませんし、そうなりまするというと、さかのぼって一体大臣の行政指導という問題については、どういうふうな考え方でいってもらうべきか、ということについて私は質問せざるを得ない。
  74. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 実は行政指導の及ぶ範囲内の問題か、あるいは訴訟なんかになっておるのか、実は全然わからぬのでありまして、私としまして、何も法律根拠がなくても、それは役所でございまして、所管しておりますことについては、少くとも個人的には努力をする、また、いろいろ勧告といいますか、法律にはありませんが勧告する、そういう意味合いで行政指導という言葉を使っておるのであります。ただ、中身の全然知識がないものですから、うっかり行政指導するなんて、できぬようなことが起ったら、これははなはだどうもかえって失礼だと思って言わなかったのであります。
  75. 島清

    ○島清君 ねえ、大臣、あれなんですよ。一体私がこういうことを申し上げているのは、一体私の考え方が、それは島、お前の考え方は、事実がそうであればけしからぬが、しかしながら事実がそうであっても、それは今の経済社会においては認められることであるのだというふうなお考えであるのか、事実を申し上げてあなたに、どういうふうに判断をされるかということを聞いているわけなんですよ。私が申し上げたようなことが事実であるとするならば、大臣はどうですか、やはりこれはけしからぬことだと思われますか。それとも是認されますか。
  76. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 少くとも他人に迷惑を及ぼしておるというようなことについては、それは当然われわれとしても考えなきゃならぬ問題だと思います。ただここを見ますと、告発状が出たりういろいろ訴訟になっておひますというようなことになりますと、非常に法律的な問題になって参ります。法律的な根拠でいろいろ規制していかなくちゃならぬということになります。ただいまのお話しのようなふうなことにつきましては、少くとも違法の問題でなしに、不当というようなことでありましたら、われわれも不当なことのないように努力をするのは当然だと思います。
  77. 島清

    ○島清君 これは大臣、あまり気を回してもらいたくないと思うのですが、大臣に下手な答弁をしてもらって、一点をかせごうなんてことは考えておりません。それは大臣を困らそうなんというような、そんな考え方は持っておりません。ある面については、訴訟の問題等についておりまする問題は、ここで大臣答弁をしてくれと言ったって、これは別に法務委員会ではございませんので、ただこういうような内容の会社であるのだ、でこういうような内容の会社が、かつては千キロ以上の月産の石油を出しておったにかかわとず、また出る可能性があるにかかわ五ず、その経営者がこういったような訴訟問題等、私腹等を肥やして、結果肝国家の資源をこういう工合にしておるのだということを申し上げているわけなんです。さらにまた、国税庁の問題等もございまするから、これは決算委員会等の問題にもなりまするので、なぜ国税庁はこれを押えないのだ、国税庁が押えておりながら、これをよそに売却しておる事実があるのですから、それをよそに売却されて、そうしてなぜ法律的に押えておいて、法律的な行為を実行しなかったのだということを、これは決算委員会の問題にしたいと思いますが、ただ通産当局にお尋ねをいたしたいのは、少くとも法律にはどういう規定があろうとなかろうと、少くとも鉱業権の設定の精神というものは、これはやはり国家、国民のために資源を活用するという建前が大前提になっておるのであるが、こういうような乱脈の限りを尽して、直接的には使っておりまするところの従業員の諸君、並びに第二といたしましては国家の資源をむだにし、さらには他に非常な迷惑を及ぼす点が非常にあるといたしまするならば、やはり直接の監督署の立場にありまするのは通産省でございますから、通産省といたしましてはこれはほうっておくわけには参らぬ、こう思います。それは法律はどうあろうとも、精神的には私はほうっておくべき性質のものではないと思います。そこで、これは今別に非常に盛んに商売をやっておる、事業をやっておるという会社でもございませんので、どこに本社があるか、どこでどうやっているかわからない、現場におきましては労働組合の諸君が経営管理をやっている、こういったような会社なんです、実際は。しかしながら、もとは非常に盛大にやっておりましたので、もと盛大にやっておりましたところのその基盤において、非常に国家の資源に危害を及ぼしている、こういう実情なんです。ところが、これは鉱山局長にと言っても十分にこれは御存じないと私はそう思います。そこで、ここで即答していただきたいと思っていない、ただ、私、今ここに持っている質問要旨をガリ版刷りにしてお渡ししてありまして、私がお尋ねしてみたいと思った点をここに十項目くらいあげて、ここに提示をしておるわけなんですが、ただ、私が一番その点根本的に聞きたいと思っておりますることは、要するに、こういったような実情に対して、通産省が監督者の立場においてどう思われるかということです。そこでけしからぬということになれば、これはやはり国民はあげて国家の資源は愛護しなければならぬという立場をとっておりますし、そこにまた、国産愛用という問題も委員会の問題として出て参ったと思いますが、そういう立場に立たされるわけでありますから、その点については、通産省だけでまたこれはどうにもできない問題であるとしますならば、私なんかも委員の一人として、国民の一人といたしまして、国会議員の一人といたしまして、商工委員の一人といたしまして協力するにはやぶさかでない、こういうような立場に立って御質問を申し上げているわけなんです。大臣に御要求申し上げるのもなんですから、鉱山局長から御答弁いただいてもけっこうですからどうぞ。
  78. 近藤信一

    委員長近藤信一君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  79. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記をつけて。
  80. 福井政男

    政府委員(福井政男君) ただいまお話がございました大同石油と申します会社は、あまりよくなじんでいない会社でございまして、いろいろ探してみましても、事務所はよくわからないというような事情がございまして、調査に手間取ったのでございますが、今お話しのございましたように、従業員等も労務者がわずか二十名前後、職員が九名前後といったような程度の会社でございまして、生産も月にわずかしか出していないというような状況になっておるようであります。お話しのように国内資源を最高度に利用しなければならないという点につきましては、全く同感でございますが、ただいまいろいろお話しのございましたような内容につきましては、私どもも会社の職員なり、社長なり、こういった方々にどうして連絡をしたらよいかということも、なかなかうまく連絡がつかないような事情がございまして、うすうすそういった、ただいま先生のお話しにございましたようなことは耳にはいたしておりますけれども、的確なる事情が把握できておりません。十分調査いたしまして検討してみたいと存じます。
  81. 島清

    ○島清君 局長はどうです。私が今大臣質問申し上げたような大前提のもとに、それが事実であるという場合には、どういうふうにお考えでありますか。けしからぬと思われますか、やはりけしからぬと思うでしょうかな。
  82. 福井政男

    政府委員(福井政男君) まあ事情をよく調査いたしまして、それからお答えいたしたいと思います。
  83. 島清

    ○島清君 それは、そんなに固くならなくてもいいですよ。あなたは私たちが北陸へ行ったときに、せっかく名古屋から来てもらって、最近、鉱山局長として来られたということは十分に了承しておりますから、そこで、まあそれから言えば初陣にもひとしい鉱山局長がここに出てこられて、こういう問題であなたをいじめて弱い立場に追い込もうという考え方はいささかも持っておりませんから、それはもし、そういうことが調査しなければ御返事ができないということになりますと、これはここで私は国家の役人としての第一資格において疑わざるを得ない。私の申し上げておるような事実に反するようなことであれば、あるいはそれがけしからぬことであるか、けしかることであるかは別として、私の申し上げておるようなことが事実であるとすれば、私は別に鉱山局長じゃなくても、日本国民として良心ある者は皆けしからぬといって憤慨されると思うのです。私はそう思う。ですからそういう意味で、どういうふうにお考えになるかということをお尋ねをしておるわけなんです。
  84. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 地下資源を最高度に利用します際に、最も適格な企業に担当していただくということは、私ども非常に念願いたしておるわけでありまして、ただいま、先生の御説明いただきました内容であるといたしますならば、私ども、もし何らかお手伝いすることがあれば、どういうことがお手伝いできるか、そういった点について十分研究いたしてみたいと思っております。
  85. 島清

    ○島清君 非常にりっぱな答弁だと思うのです。それでは局長、ほんのわずかですから、四、五十人の労働者の諸君が、かつては五百人くらいおりました労働者が、こういった経営者の非常な紊乱によりまして縮小いたしまして、さらに今作業しておりますけれども、月産量も少い。これは労働組合の諸君が経営管理をしておるのですね。労働賃金ももらえません。しかしながら、鉱区はたくさん持っておるわけです。そうして油の出る施設はあるわけなんです。その施設を自分の私腹を肥やすために、鉄管を引き抜いてしまって、ほかに横流ししまして、せっかく出るような施設を廃墟にさしておるのでございまして、しかもこれを十分に専門語では何というか知りませんけれども、鉄管を抜いたあとを十分に処置をしない。十分な処置をしないと、これは人間のからだでいうと、ドスで穴をあけられて、ガーゼも何もしない、手当をしないのと同じでありますから、ガスが出る、空気が出る状態、ガスが出ればそれから自噴力というものが非常に弱まりますから、他の鉱区に対しまして……、それなんです、私の言いたいことは。だから今は鉱区は非常に広範に持っておるわけです。ですから往年の施設をこういうふうに荒廃さして、そうして他の鉱区にも非常にその被害を及ぼしておる、この事実があるのですよ。ですから今の御答弁で非常にけっこうですから、十分に御調査を下さいまして、さらにその点については、現地の労働組合の諸君も協力をいたしましょうからして、あなたのやり得るだけの行政権能を十分に活用されまして、こういうことがないよこに一つ処置をしていただきたいと、こう思います。私は、いずれあなたがあなたとして十分なるところの結論を得られて、そうしてここに確信を持って御答弁を願えるという時期まで私の今の質問を保留いたしまして、さらにあなたの御検討をお願いをいたしましてもう四時でございますから、きょうはこれで質問を終ることにいたします。
  86. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 他に御発言もなければ、本日は、この程度にとどめます。  次回は、明後二十日午後一時より、通産大臣に対する質疑を続行するとともに、経済企画庁長官の新長期経済計画等を聴取し質疑を行うこととして、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二分散会      —————・—————