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片岡文重君 大体私の尋ねんとするところは、同僚諸君によって尽されておるようですが、なお二、三点お聞きしておきたいと思う。
これは、
厚生省にまずお聞きするというよりも、要望を申し上げたいのだが、近時、院における
付帯決議なるものに対する
政府の
考え方というものが非常に軽んぜられておるという傾向があります。特に本
法案のもとになっておる本法の
付帯決議、この
付帯決議に対してどういう
措置がとられたのかという同僚諸君の質問に対して、長々と答弁をいただいたけれ
ども、結論するところは、何にもやっておらぬということです。ほとんど
措置がとられておらない。特に一項、二項についてそういうことが言えるし、三項についても、同様なことがやはり僕は言えると思う。
旅館等におけるたとえば無免許
あんまについても、
旅館等の調査がはなはだ困難である、無免許者の取締りが困難であると言いますけれ
ども、その旅館に出入りする
あんまというものはきまっておるのですよ、御
承知のように。従って、その出入りする
あんまさんが免許を持っておるか持っていないか、どういう
状態にあるのか、どういう雇用者のもとにどういう生活状況におるのか、雇用
状態に置かれておるのかということは、行けばすぐわかることなんだ。さらに、
晴眼者でなければ旅館が呼ばないと言うけれ
ども、少くとも私たちの歩いた経験では、たとえ余然見えない者でも、旅館に出入りするような
あんまさんは、女中の案内なんか必要としない。むしろ新米の女中よりも、どんな大きな旅館でもよくわかるのです。全く私らがびっくりするぐらい全盲者でもわかるのです。しかも技術は、これまた比較にならないのです。これは、おそらくこういう
実情を知らないで御答弁しておるのじゃないかと思う。十分
承知しておって、なおかつそういう
措置をとっておらない。それは手が足りないとか、警察の手が足らぬとか、いろいろな
理由はあるでしょうけれ
ども、結局はやっておらぬということなのだから、私はこの際、そういう長々とした御答弁よりも、少くともこれからの誠意ある
措置について、具体的な御決心を披瀝していただいた方が、本
委員会としてはむしろ望むところではなかろうかと思うのです。
それから、
付帯決議の第二項の問題についても、同じようなことが言えると思うのですが、
厚生省で出しておられる厚生白書、これも、私は実はこの白書を読んでみて、三十二年の十月に出された白書ですから、少くとも三十一年の
資料が載せてあるものと見ましたけれ
ども、これは、三十年の
資料で一年古い、今になれば二年も古いのですが、これによってみても、視覚障害者は十七万九千、大体十八万人おる。この中で
あんま師、
はり師、きゅう師という職業に従事しておる視覚障害者は、この十八万のうちの二〇%をこえているわけです。これらの諸君が少くとも視覚障害者ですから、全盲の諸君もあるでしょうし、あるいは非常に困難であるけれ
ども自分用ぐらいは足りる人もあるかもしれぬけれ
ども、この障害者十八万人の二〇%ですから、少くとも三万六千の人がこの職業に従事しているわけであります。そのほかに、全然職業についていないという人は、この
厚生省で出された
資料を見ても、ほとんどおらぬと言っていいくらいに、全部の者が何らかの職業についておられる。こういうことは、
身体障害者に対する生活保障という
措置が欠けておるということを明瞭に物語っておるのですから、これらの点については、
厚生省は、もっと真剣になってやっていただきたいと思うのです。同じ行政官庁であっても、大蔵省とかあるいは労働省とか、そういうその他の官庁については、いわゆる圧力団体というものもあって、熱心な要望も運動も行われておって、行政官庁としても、積極的であるとか消極的であるとかは別として、あるいは本意不本意は別として、少くとも積極的な施策が次次と出ざるを得ない
状態にあるようです。しかし、幸か不幸か、
厚生省の行政の対象となる諸君は、非常に
政府の施策に頼らなければならない
人々が多いにもかかわらず、他の官庁に要望をするような諸君とは違って、たとえば、昨日の新聞にも出ておりましたけれ
ども、ある
母子家庭の母親が
政府の今日の施策に非常な感謝をしておる。税金も納めない私たちが、このような
措置をしていただくことは感謝にたえぬと言っておるのです。こういう気持を持った諸君が大部分、
厚生省所管のもとに行政の対象となっておるわけですから、
厚生省としては、その点を十分考慮して、私は積極的にやっていただかなければならぬと思うのですけれ
ども、従来においては、はなはだそういう点において遺憾な点が私は多いと思うのです。特に言いたいことは、この
付帯決議をされた場合に、この
付帯決議が真に履行できるのかできないのかということはやはり十分
考えられて、万一この
付帯決議に沿い得ない場合には、私はやはり率直に、その
決議の場所で
政府の所信を披瀝すべきだと思うのです。一たん約束したものは、どんな困難を排しても私はやるべきだと思うのです。
付帯決議がじゅうりんされておるという例は、こればかりではありません。幾らでも実例を私はお目にかけることができると思うのです。しかも、これは特に大臣のおるところで言いたかったのですが、今大臣は、
衆議院で
法案成立のため来られないそうですから、お伝えいただきたいのですが、八カ月でかわられる、その
期間の間に、自分のやりたいこと、
考えておることだけをやって、今までの先輩諸君が築き上げてきた、あるいは
厚生省の局長、課長、担当者の諸君が粒粒やってこられた、これらの積み重なってきた成果、業績というものを少しも
考えに入れないで、自分の名前を残そう、自分の業績を残そうとするようなやり方をされる。こういうやり方は、過日本
委員会で、山下
委員から健保の問題できびしく叱責をされておった、あの健保に対する三十億の国庫
補助は、十億に本年度は削られておる。こういうことも、これは所管の大臣としては、他の何ものが削られようとも、これだけは残さなければならないという決心があってしかるべきだったと思うのですが、削り取られても、少くとも三分の二の
補助を削り取られても、しかも平然として本
委員会に臨んでおる。こういう態度は、私
どもとしてきわめて遺憾です。こういう
考え方は、前任者、先輩の残された、あるいは約束をされた公約をじゅうりんして顧みない
考え方にも通ずるのである。これがやはり院議を無視し、
委員会の
付帯決議等も軽んぜられるというところに私はつながっていくと思うのです。そういう点について、
厚生省としては、この
付帯決議がむだにならないように、今まではともかくとして、今後の具体的な
措置を
一つ即刻立案され、
実施をされていただきたいと思うのです。
それから、
提案者である
野澤議員にお伺いしたいのですが、大へん失礼なことを申し上げるようですけれ
ども、この本
法案がかりに成立しますと、ちょうどこの次の解散をされる時期にまたぶっつかってくるわけです。ここで解散をされて、三年後にまた解散間近になってくるわけです。そこでしからば、
政府がこの
付帯決議に沿って、この三年の間に、心配御無用です、もうさらさらこれを延ばしていただくようなことは必要ございません、こういう
状態に幸いなればけっこうです。ところが、今私が強く御要望申し上げましたけれ
ども、今までの例からいって、強い御要望は、私のみならず、各
委員からしばしば御要望申し上げておるのにもかかわらず、そう成果が上ったということは数が少いわけです。この意味で、今ここでもって三年間の延長をされて、該当者の救済をはかられるわけですが、これがこの三年間に十分な成果を上げられなかった場合に、
野澤さんは御郷里においても当選確実のように伺っておりますし、当然再選されておいでになると思う。で、ごうんちくを傾けられて、またこの
方面に御活躍をしていただけると思うのですが、その場合に、この三年たって成果が土らなかったときはまたこの延長をお
考えになるのかどうか、どういう事態があっても、断じて再び延長するようなことはないということを
言明していただけるのかどうか、御所見を伺っておきたい。