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高野一夫君 私は、基本の問題について、
衆議院側の八田先生、山口公衆衛生
局長に私の見解を申し上げて、かつ、あなた方の御見解を確かめておきたいのであります。
それは、この
法案の第二条に、衛生検査技師なるもののなすべき検査の
仕事が掲げてあるわけなんです。これは明確に、細菌学的、病理学的の
範囲に限局されている。この病理学的、細菌学的の
範囲に限局されたるものに、衛生検査技師なる広範なる名称をつけたというところに、私は問題があると思う。従って、一番最初に、福田
衆議院議員が
衛生検査技師法案を
国会にお出しになった。これに対しましては、私
どもは、その内容について疑義を持ったので、これに反対をして、そしてわが党では、病理、細菌検査技師法なる
法案を作って、
衆議院に提出して、両
法案が並行して継続
審議の形になっておったのは、御
承知の
通りである。その後両党の政治的折衝の結果、内容は自民党側の病理、細菌検査技師
法案の内容をとって、少くとも第二条のこの
仕事の面においてはその内容をとって、そして一方に名称――検査技師並びに
法律の題名については、福田議員の
提案の衛生検査技師または
衛生検査技師法案なる名称を取ることによって妥協ができて、今日回付されてきたわけである。これは、私が申し上げるまでもない。これは、両党議員の一致した話し合いで、しかも、
衆議院では、全会一致で
委員会、本会議を通過した案でありますから、私は、この
法案に対して何ら異存はない。反対しません。反対はしないけれ
ども、はっきりとここに確かめておかなければならない。それは、この衛生検査というものは、明治時代からすでに学界において常識的に使われておる
一つの言葉なんです。そして明治時代から、学界においては衛生検査法なるものがあったわけです。そしてそれは、
法律ではございませんけれ
ども、分析あるいは衛生化学方面の、あらゆるものの化学的検査をやるものが衛生検査法として、分析の方法、検査の方法がきめられてあって、政府の公定書じゃないけれ
ども、全く公定書同様の権威を持って、所管庁のその方面の化学的の
仕事をする人たち、あるいはその衛生検査法を基準にして
仕事をしておられる人たちの間に、そういう衛生検査法なるものが存在しておった。ところが、衛生検査法なるものが、御
承知の
通りに、全くの分析科学、あるいは医療分析、あるいは衛生化学的検査方法であって、ところが、ここにある衛生検査なるものは、全く医学的の病理学あるいは細菌学的の
仕事に限局されている。非常にこの点は、この
仕事の内容とこの衛生検査技師あるいは
衛生検査技師法案という名称とそぐわないものと私は思っておる。しかしこれは、そういうような話し合いが一致してできたのだから、これは、結果としては同意いたしますけれ
ども、ここで、今後の取締り面において細心なる
注意を払ってもらわなければならないということと、衛生検査なるものの
考え方、学術的あるいは技能的の
考え方に今後非常に混乱が起る懸念がある。これを私はこの際はっきりとしておかなければならぬと思うわけであります。従来の衛生検査は、先ほど申し上げた
通りに全く化学的の、ケミカルなものを衛生検査として、そういう学問的な分析をすべてきめてある。これには化学的の検査は何らやらないことになっておる。また、
医師の指導監督のもとに多年の間習熟されたにしても、化学的
仕事が当然全般にわたってできるものとは
考えないから、だから、化学的の検査をすることについては、われわれは最初から絶対反対している。そして病理学的なものに限局したわけです。ところが、病理細菌学的なものはわかるのだけれ
ども、衛生検査技師というものについては、さような従来の長い間の学術的業務的の伝統、またそういう名称があり、いろいろいたしますので、こういう混乱を今後いかにして防ぐことができるかということであります。
そこで、一たび衛生検査技師なる肩書きを取って、
保健所へでも
病院へでも行く。そうすると、ここに書いてある
通り、「
医師の指導監督の下」ではあるけれ
ども、衛生検査技師だから、全般にわたって衛生検査をやっても差しつかえないじゃないか、こういうふうなことに誤まり
考えらるようなことがあると、これは非常に大へんなことになるわけであります。そこで、私の心配するのはそれなんでございまして、あくまでも病理細菌の検査に限局していただかなければならないが、名称がたまたま衛生検査技師法などという、広範な化学的の
仕事を含めた名称になっておるので、その混乱をいかにして防がれる用意があるか、これは私は、
厚生省に伺いたい。
そこで、この点について、衛生検査技師が今後養成され、その技師のあり方についても、十分技師自身いろいろ
考えていただかなければならないけれ
ども、この技師を使って
仕事につかせるその人たちがこの
法律の内容を十分吟味して、そうしてその
仕事の内容も限局されたものであるということを十分吟味した上で
仕事につかしめなければ、とんでもない間違いが起る、こういうことを私は学問的に心配する。そこで、衛生検査技師だから、
保健所で、それじゃいろいろな、食品衛生検査もできるじゃないか、こういうふうなことにでもなれば、おそらくそれは、
保健所の所長にしても、どこかの
病院の
病院長にしても、この二条によってはっきり限局されたるものであるということを把握されて、そういうことは万間違いないと私は
考えるけれ
ども、とかく
法律が誤認されて、誤まり活用される場合がなきにしもあらずでありますので、その点は、私は非常に懸念するわけであります。従って、これについて今後どういうような方法を講ぜられるか。たとえば、
医師が
医師法等によって、
医師、歯科
医師法なり、あるいは医療法等によって、
医師、歯科
医師のなすべき業務がきめられる。薬剤師もきめられる。そうして
医師がその業務にないものをやれば処罰される。歯科
医師も処罰される。薬剤師も処罰される。ところが、第二条でいう衛生検査技師なるものができて、限局された
範囲の
仕事をやればいいけれ
ども、それ以外の逸脱した業務をやった場合に、これをどう取締るかということが、この条文の中には探しても見当らないような気がするのであります。従って
医師歯科
医師、薬剤師ごときものが逸脱した行為をした場合に、
医師、歯科
医師、薬剤師がそれぞれ処罰を受ける。それに該当するようなふうに、衛生検査技師が逸悦した場合に、いかなる取締りの措置をなさるつもりであるかどうか、これは、私が見落しておるのかもしらぬが、それをお教えを願いたい。並びに第十八条に、それと関連いたしまして、「衛生検査技師の信用を傷つけるような行為をしてはならない。」と、こう書いてあるのは、どういうことを
意味するのであるか。業務上のことであるか。もちろん、免許をひえた
医師でございますから、業務上の問題に関することであると思うけれ
ども、これも、当局が監督指導あるいは取締りをする面において重要なる第十八条の条文であると思うので、この
意味も、
一つ八田先生の御解釈並びにこの
法律をわれわれが通したあと、
厚生当局がどういうふうに
考えられるか、こういう点について一応私は伺っておきたい。まず、その辺で御見解を伺って、それではっきりいたしますれば、私の
質問は終りたいと思いますが、はっきりしませんければ、もう一ぺん繰り返して
質問したいと思います。