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1958-03-27 第28回国会 参議院 社会労働委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十七日(木曜日)     午前十時五十八分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     阿具根 登君    理事            勝俣  稔君            木鳥 虎藏君            山下 義信君            中山 福藏君    委員            有馬 英二君            鈴木 万平君            西岡 ハル君            横山 フク君            片岡 文重君            木下 友敬君            藤田藤太郎君            松澤 靖介君            山本 經勝君            竹中 恒夫君   政府委員    総理府総務副長    官       藤原 節夫君    調達庁長官   上村健太郎君    調達庁労務部長 小里  玲君    外務省国際協力    局長      宮崎  章君    労働政務次官  二階堂 進君    労働大臣官房長 澁谷 直藏君    労働省労政局長 亀井  光君    労働省職業安定    局長      百田 正弘君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○労働情勢に関する調査の件  (ILOの問題に関する件)  (駐留軍撤退に伴う労務者離職  対策に関する件) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) ただいまから委員会を開きます。  労働情勢に関する調査の一環として、一般労働問題に関する件を議題といたします。  まず、ILOの問題について質疑を願います。
  3. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 この前の委員会に特に摘出したのは、今の労働問題懇談会ILO批准をめぐり、要するに、検討をする小委員会方々に来ていただきたいということ、もう一つの問題は、三月十一日から十五日開かれましたILO理事会決定の問題をめぐって、政府から答弁をいただくことになっているのですが、大臣がお見えにならないので、この質疑はちょっと進めにくいのですけれども、いずれ大臣から聞くといたしまして、労働省の方として、この飼手参事官からの報告を受けられたと思いますから、その報告一つきょう聞かせておいていただきたいと思うのです。
  4. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止
  5. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 速記を始めて下さい。     —————————————
  6. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 参考人出席要求についてお諮りいたします。ILOの問題について、参考人出席を求め、意見を聴取したいと存じます。その人選、日時、手続等については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと存じます。委員長は、理事と協議の上進めることといたします。     —————————————
  8. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) では、先ほどの御答弁を願います。
  9. 澁谷直藏

    政府委員澁谷直藏君) 前回委員会で御質疑のございました、労働問題懇談会に設けられております小委員会審議状況でございますが、第一回は、委員の初顔合せでございまして、小委員長の互選がございまして、前回も申し上げましたように、前田多門先生が小委員長に互選されたのでございます。それで、第一回におきましては、この問題の重要性にかんがみまして、どういう方針でこれを審議していくかという今後の審議方針について、いろいろ懇談がございまして、なお、この問題を審議する際に、各国批准状況がどうなっておるか。すでに批准しておる国においては、その国内法との関係において、条約との関係がどうなっておるか。また、批准しておらない国においては、どういう理由で、特に国内法との関係においてどういう点が障害となって批准をしておらないのであるか。そういったような点についてのできるだけ詳細な資料をこの小委員会に出してもらいたいという要望がございまして、第一回は終ったのでございます。  第二回目におきましては、私どもの事務の方で、第一回の小委員会の御趣旨に沿いまして、できるだけの資料を集めまして、提出をいたしまして、それの資料説明をいたしたのでございます。なお、その際、これは、第一回の小委員会で御希望があったのでございますが、一般的に言って、国際法の解釈の上におきまして、国際条約国内法との関係についての学説、それから、各国で実際にやっておる実例、慣行というようなものがどういうような状況になっておるかという点について、権威者から一つレクチュアーを聞きたい、こういう御要望がございましたので、第二回目の際に、東大の国際法教授でございまする高野雄一氏においでを願いまして、この点に関する説明を伺ったのでございます。なお、その際に、前回参りましたICFTUその他の調査団が、御承知のように、日本に参りまして、日本労働事情、特に公企体関係労働事情について調査をした結果、報告書を発表しておるのでございますが、それの資料要求もございましたので、それを提出すると同時に、それについての若干の説明を行なったのでございます。  それで、第三回目は、四月一日に開催する予定になっておりますが、この第三回目におきましては、この委員会にお配りいたしてございます例の団結権条約と特に国内法との関係において問題となっておる点についての相相当詳細な資料が準備してあるのでございますが、第三回目におきましては、あの資料を基礎といたしまして、個別的に、条約の第一条から具体的な検討に入ることにするという打ち合せで、第二回目は終っておるのでございます。  大体以上のような状況でございます。
  10. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、結社自由条約八十七号、それから最賃のやつを第一条から検討する。この次は、四月十日ですか。
  11. 澁谷直藏

    政府委員澁谷直藏君) 四月一日です。
  12. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、三回目が四月一日ということになるのですが、この前いただいた資料を見ると、だいぶおやりになっているように、もう少しおやりになっているように私はお伺いしたのです。それでは、昨年の九月から、今日、三月二十七日の間に、二回しかやってないのですか。
  13. 澁谷直藏

    政府委員澁谷直藏君) 前回報告いたしました際は、労働問題懇談会の方においてこの問題が取り上げられたのは、昨年の九月でございます。それで、労働問題懇談会の方において、この問題の論点のあり場所と、それから、これについての取扱い方をどうするかという点については、労働問題懇談会において二回論議せられておりますが、この懇談会には、飼手政府代表国内におりましたので、出席いたしまして、昨年の総会における状況等も詳細に報告いたしたのでございます。それで、本格的にこの問題を検討するためには、懇談会というような大きな規模の委員会でやるのは適当でない。もう少し員数をしぼりまして、こまかく事務的な検討も含めてやる方が適当であろう、こういう懇談会結論が出まして、小委員会が設けられたのが本年の二月でございます。それで、実際にやりましたのは、ただいま申し上げましたように、二回でございますが、小委員会方針としては、問題の結論を急ぐために、大体月平均二回の開催を原則としてやりたいという方針、この原則は、小委員会決定を見ておるのでございます。それで、三回目をもう少し早くやったらどうかという委員の間の発言もあったのでございますが、小委員長、それから、その他の委員の御都合がなかなか折り合いがつきませんで、結局四月一日ということの決定を見たのでございます。
  14. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 政府は、盛んに、労働問題懇談会にこの問題の検討をゆだねていると言う。昨年の九月からやってもらっているのだと言うけれども、実際に小委員会としてこの条約の問題を検討しかけたのは、二月じゃないですか。そうすると、昨年の九月から二月までの間には、もう五カ月たっている。それで、一月から二回やった。この次三回目をやるのだということでは、これは、ゆだねているといったって、いつ結論が出るのか、こういう問題があるからこそ、私たちは、政府の言われている、積極的に進めているのだとわれわれに言われる意図と、現実行われている問題との関係で、今決議のありましたように、参考人を、特にその小委員会関係している方を含めて、参考人を呼んでお聞きしたいということになるわけです。だから、私は非常に残念に思うのは、こういう委員会その他で言われたときには、非常に体裁がいい——昨年の九月から鋭意やっていると言われながら、実際にはやっていない。こういうやり方では、なかなか説明したって、聞く方は理解できないと思うのですよ。非常に残念なことだと私は思います。だから、この問題については、この次の日にこの社労で、これに特に造詣の深い学識経験者その他をお呼びしてお聞きすることですから、私は、もうこれ以上この関係には触れまいと思います。  もう一つの問題は、ILOの、要するに百三十八回の理事会出席した飼手参事官からどういう報告を聞かれたかということです。私は、この前の決議事項を申し上げたら、それは、われわれの方はまだその報告を聞いてないから、お答えできぬということから、よろしい、それじゃあ次、その報告内容政府はこれに対してどう考えているか、こういう問題を一つお聞きしようということできょうまで来ているわけです。だから、どういう報告をお聞きになったか、この考え方は、大臣が来なければ、官房長としては言いにくいかもしれませんけれども、次官がかわっておっしゃっていただいてもけっこうですけれども、しかし、まあ今までの関連上、大臣がお見えになったときにお聞きしましよう。で、どういう報告をお聞きになったか、私が申し上げたことが間違いであるのかないのか、そこらの点を一つ官房長からおっしゃって下さい。
  15. 澁谷直藏

    政府委員澁谷直藏君) 飼手政府代表が帰国いたしまして、今回の理事会における状況のあらましは、私もお聞きいたしたのでございます。それで、理事会決定を見ました二つ事項があるわけでございますが、第一点は、前回委員会におきまして藤田委員から御指摘のございましたように、この団結権条約批准を未批准国に対して要請するという決議でございます。これにつきましては、わが政府代表棄権をいたしております。その間の詳細な事情につきましては、大臣なり、あるいは直接飼手政府代表から詳細にお聞きになった方が正確でもあり、適当ではないかと思いますが、私の聞きました範囲内におきましては、飼手政府代表棄権をいたしました考え方といたしましては、この団結権条約批准の問題は、特にわが国の国内問題として、国会におきましても非常に重大な問題となっておる。そして政府としては、この問題の処理を検討するために、労働問題懇談会の小委員会に付託をいたしまして、これの批准可能性、あるいはその批准をする際の障害となる国内法規というような点について検討をゆだねておる段階であるので、その結論の出ない現在の段階において、これに賛成することはどうであろうかという配慮から棄権をいたしたというふうに私は聞いておるのでございます。  第二番目の決議の、各国労働事情を視察するための調査団ILOから派遣するという決議につきましては、飼手政府代表賛成をいたしたのでございます。
  16. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 この八十七号と九十八号の——九十八号は日本批准しておりますけれども、この二つ条約を適用することを可能ならしめる必要な処置をとるよう、特別かつ緊急な要請をしたいと、ILOの精神にぴったりじゃないですか。四十名のうち三十九名出席して、三十八名まで賛成して、ILO執行部活動としてやる当然の行為に対して、選ばれている理事日本政府代表がこれについて保留をするとは何事なんです。まあこれは、あなたを責めてもしようがないけれども、非常にこれは残念なことだと思うのです。事務当局では、この事態をどういう工合にお考えになっているのか。これは一つ、この次のときには明確に、ILOとのことについて大臣から答弁ができるようにしておいていただきたい。  第二番目の、結社の自由に関する事実調査を行う、ここで私は残念なことは、決議になっていませんよ、国の名前決議には。しかし、日本が一番最初のリストに上っているんです。調査する対象の第一メンバーが日本の国なんです。そういうことも理事会論議されている。このこと自身も、非常に私は残念なことだ。これには全部賛成しておられる、批准促進をしようと。批准を進めて、その批准という形式だけじゃなしに、その内容というものを実現しようということに、ILO執行部全会一致に近いものできめ、そうして事実調査をしようと、ここまでは私はいいと思います。ところが、その対象国は、国の名前は出ておりませんけれども、第一のリスト日本が上っているということを私は理事会論議で聞いた。非常に残念なことだと思うのです。だから、この点も、これには政府代表も、三十五名全員の賛成決議をされたようでございますから、この点も一つ飼手参事官、その他今の三人の理事、副理事のその会議出席された方がこの次にお見えになって、鮮明されることだと思いますから、私は、きょうはこれ以上、この問題についてはやめますけれども、こういう問題が今日行われているこのILO論議そのものがやはりつまびらかにされないと、ILO全体の問題で政府質問をしても、なかなか私は進まないと思うのです。私はたくさん聞くことがあるのです。単にこの団結権労使関係の問題ばかりじゃなしに、最賃であるとか労働時間、休暇の問題、社会保障の問題。外務省通産省などにおいでいただいて、この問題を順次、労働省のこの考え方が明らかになれば、これに関連して私はお聞きしたいと思って、来ていただいているわけですけれども、肝心の労働大臣がお見えにならないから、残念ながらやれないわけです。これが明らかになって、そして順次、全般的なILOの一切の問題について、これは、やっぱりとの委員会審議そのものが国民に、ILOというものはどういうものだ、日本の国との関係はどうなんだ、国際信義はどうなんだという工合に、つまびらかにされて、ほんとうに正しい世論が上ってきて、その上に政治が行わわるようにしたいというのは、もう当然な今日の政治体制なんですから、僕は、よりつまびらかにあらゆる問題をお聞きしたいと思いますけれども、きょうはこの問題が明らかになりませんので、この次にただしたいと思います。ただ、委員長にお願いしたいことは、今の決議がされまして、参考人を呼ぶという決議をされましたから……、今の前田会長というのは、昔から非常にILO関係には造詣を持っておられる方でございます。古くから言えば、今の国際キリスト教大学教授の相沢さんであるとか、長い間この事務局を担当しておられた方であるとか、今の理事、副理事の三人、飼手、三城、原口という工合に、三人が理事会に出ておられる。または、ILO関係者は非常に日本に多うございますから、そういう方々をどうか、理事会で的確に、段階的に、年次的にILOを正しく客観的に見ておられる方々一つぜひお呼び願って、そしてここでILOの問題を明らかにしていただきたい。あわせて最近の事情というものも、その参考人皆さん方発言の中から、よりつまびらかになると思いますので、その点もあわせて、特にその人選その他をお願いしておきたい。私はそう思います。  それで、今日、今の二つの問題が明らかになりませんので、残念ながら通産省外務省、来ていただいておりますけれども、きょうはこれ以上私は進めたく思いませんので、どうか御理解をいただきたいと思います。
  17. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 了解いたしました。御要望の点は、理事の諸君と十分打ち合せいたしまして、御要望に沿うようにいたしたいと思います。  本問題に対する本日の質疑はこの程度にいたして次に移りたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議なしと認めます。     —————————————
  19. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 次に、駐留軍撤退に伴う労務者離職対策について質疑を願います。
  20. 山本經勝

    山本經勝君 調達庁の方がおられないので、労働省次官にちょっとお伺いをしておきたいのですが、駐留軍労務者離職は、御承知のように、非常に大量に昨年の上期から引き続き行われているわけです。そこで、この離職対策については、しばしばもう論議をしてきたのですが、なかんずく問題になると思われるのは、退職金支払いの問題、これは、直接退職金を支払うものは、一応責任者である調達庁長官ということになるでしょう。ところが、基準法の三十三条の規定は明らかに、退職金その他賃金等について、死亡や退職した場合のこれらの債権に関するものを支払うことは、要求があれば、一週間以内にやらなければならぬ、こういうふうな明確な規定があるわけです。ところが、あるにかかわらず、しかも調達庁で、三カ月以上にわたって退職金支払いをしておらぬ、こういう事実がございます。これは、労働省として、基準法の基本的な建前からいって、どうお考えになりますか。
  21. 二階堂進

    政府委員二階堂進君) 基準法建前としては、今山本先生がお述べになりました通りであろうかと考えます。なお、具体的ないろいろなことであろうかと思いますので、安定局長見えておりますから、安定局長の方から答弁をさせます。
  22. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 調達庁長官見えましたから、調達庁長官の方に御質問願います。
  23. 山本經勝

    山本經勝君 長官に対しましては、もっと根本的の問題があるのですが、とりあえず、まだお見えになっていなかったので質問を始めたので、順序が転倒したのですが、まず、昨年から現在にかけて、引き続き駐留軍労務者離職が行われているわけですが、その離職した人々に対して退職金支払いは、非常に長期にわたって停滞をしている。これは、御承知のように、基準法の二十三条では、非常に明確な規定を設けている。労務者が、労働者が死亡した場合、あるいは退職をした場合に、退職金あるいは賃金その他の給与、つまり労務者労働者債権に属するものについて、要求があれば、一週間以内に払わなければならぬという規定があるわけです。ところが、その法律があるにかかわらず、調達庁はこの退職金を支払っておらぬ、こういうことになると、これは、調達庁基準法違反をやっている、こういうことになると思うのです。そこら辺の事情を明らかにしてもらわなければならぬと思います。
  24. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 退職金支払いにつきまして、遅延いたしていることは、お尋ねの通りでございまして、まことに申しわけないと思います。退職金の額を確定いたしましたり、あるいは府県を通じていたしますので、おくれておったのでございますが、二月末日までの分につきましては、金券を切る段階に達しておりまして今後遅延のないように努力いたしたいと思います。
  25. 山本經勝

    山本經勝君 今の長官のようなお話では、これは片づかぬと思うのです。少くとも財源の措置がどうあるかということよりも、支払い能力がないということであれば、また問題は変ってくると思うのですが、国が支払い能力がないというふうには判断されてこない。ですから、問題は、調達庁として、当面の責任ある立場で、支払い方法をどうするかということが浮び上ってこなければ、なかなか納得のいかぬ問題ではないかと思う。これは、ほかの問題とは違う。やはり退職金によって、まず生計を食いつないでいくという形が出てくるのですから、そうすると、首は切られた、給与は払ってもらえない。そこで、食いつなぎというものは事実上できなくなる。しかも、三月にわたって払っておらぬというのです。その内容等長官、あるいは労務部長の方からでもけっこうですが、かなり詳細にお知らせを願っておきたい。その理由等を明らかにしておいていただきたい。
  26. 小里玲

    政府委員小里玲君) 人員整理になりました労務者に対する退職金支払いがおそい。これは、まことに申しわけないことでございます。非常に昨年来膨大な人員整理が行われまして、しかも、その資金が、退職金のみならず、ほかの資金もそうでございますが、アメリカから償還を受けるということになっておりまして、昨年、御承知のように、償還方式等が、契約改訂によりまして、変更を見ておりまして、その手続上の関係等でおくれておる。しかも、一方に膨大な離職者が出るということで、スムースにいっていなかったという実情はあったのでございます。ただ、御指摘のように、退職金は、これは当然即刻払うべきものでございまするので、あらゆる努力を払いまして、早く払えという指示を県にもいたして参っておるのでありまするが、何分にも膨大な数字でございまして労務者人員整理確定、その後の手続というようなことでおくれておって、一部、二月以上にわたって退職金が払われていないということは、事実あったのであります。この点、まことに申しわけないと思っておりまするが、最近、年度も終りになっておりまするし、未解決事項は全部解決せよということで、とりあえず二月末までの解雇についてはすぐ払えということで、資金的な措置も講じ、すでに現地の労管では袋詰めをしてすぐに支払える段階になっておるというふうに承知しております。まことにおくれておりますることは、申しわけないと思っております。
  27. 山本經勝

    山本經勝君 そこで、非常に重大なことがあると思うのですよ。昨年、言われる通り、膨大な数に上る離職者が出た。私どもよく存じております。そしてその退職金支払いがおくれておるということですから、問題であるということは言うまでもありません。その言われる契約変更ということはどういうことですか。行政協定に関連する契約変更なんですか。あるいは、その変更に伴う手続の問題と言われたが、その内容を、一つどういうものであるかということを明らかにしてもらいたいと思います。
  28. 小里玲

    政府委員小里玲君) 契約は、これは、行政協定に基く日本政府アメリカ政府との労務の提供に関する契約、これが昨年の十月に改訂を見たのであります。従来の、十月一日まで行われておりました契約は、講和発効以前に結ばれました契約でございまして、すなわち、日本独立国になる前から行われておったということで、これを独立国にふさわしいといいますか、日米対等立場で新しい契約を結ぶべしというのが、日本政府の今までの願望でもあり、労働組合においても、強くこれを主張しておりまして、アメリカもこれに賛成をして、昨年の十月にいわゆる新契約、まあ一番大きな筋は、日米共同管理という原則でありますが、これを取り入れた契約が成立したのであります。それで、その契約の中に、労務費は全部アメリカがこれを支弁するという格好になっておりまして、旧契約下におきましては、退職金等は、いわゆる実費償還ということでなしに、これだけ払ったからこれだけアメリカから償還をしてもらうという関係でなしに、一応ある金額をプールしておきまして、そうしてその中から払っておったというのが旧契約やり方であったのでありますが、合理的な考え方からいって、そういう償還方式よりも、やはり日本政府がこれだけ払ったから、アメリカから実費を取るのだ、こういう形式に変える、これが合理的であるということで、その償還方式が新契約において変って参ったわけであります。従って、従来と違って、新契約になりましてから、これだけ人員整理が出て、そうして退職金がそれについて大量に出る場合には、それを、あらかじめアメリカから資金概算払いで払い受ける、そうしてあとで精算する、こういう格好になるわけでありまするが、原則として、とにかく払っただけアメリカから取る、こういう格好になりますから、人員整理の数の確定とか、そういうことで、従来よりも手続が少し複雑になってきた、こういうことがございまして、昨年十月以来、その償還方式変更によって、まあ第一線機関の事務の習熟が徹底していないというような点もあったと思いますけれども、そういった関係で、この資金が入ってこない、資金繰りが困難だということもございましたのでございますが、ただいまのところ、そういう関係もだんだん円滑に行っておりまして、軌道に乗りつつあるのでございまするが、先ほど来おわびを申し上げておりまするように、二月以上も払われていないというようなやつがあるということで、この際、何はおいてもそれを払えという指示もつい最近出しまして、問題を解決したい、かように考えておるわけであります。
  29. 山本經勝

    山本經勝君 今のお話ですと、従来はプールされた金があって、それで払った。しかしながら、実際に実費払いと言われることは、結局、現在離職していく人々に日本政府から退職金を支払っておいて、その支払った実額を米国側から回収する、こういうことになるのであれば、日本国がその立てかえをすることが不可能だと私ども考えられない。しかも、事務的に言われれば、昨年十月に改訂されて、手続等の問題が従って変更になった部分があるかもわからないが、それがそういうふうに、私は、長い期間にわたって、なお二カ月の停滞があるということは、常識的に考えても考えられないのですが、そこら辺の事情はどうなんですか。
  30. 小里玲

    政府委員小里玲君) 新契約以来日にちもたっておりまするので、現在の段階においては、事務の習熟というような点は払拭されておると思いまするが、ただ、人員整理の数の確定というような点で、たとえば、人員整理の解雇通知が出されておる三十日の間に事故退職者が出る。そうすると、その事故退職者を人員整理の人員の中に加えまして、そのかわり強制退職の人数を減らす。こういうような措置をとったりいたしまして、それで、最後の人員整理確定というのが非常にめんどうだ、そういうようなことで、事故退職をした人たちについての退職金支払いがおくれておるというようなことも、まあある地方では、そういう事情でおくれておる部面もある。そのかわり、あとでそれ以後に大量に解雇になったものについては、人員整理の期間中に事故退職者が出るというような関係事務のあまりめんどうでないようなものについては払われておる、あとのカラスが先になっておるというような関係もございまして、従って、そういう二カ月以上にわたっているような、ぽつり、ぽつりと落ちておる人たちについては、事務に忙殺をされて、そちらの方が進んでいないというような点もあると思います。そういったことで、まことにおくれました人につきましては、先に人員整理になって、退職手当をもらっていない。あとに人員整理になった人がもらっておるというような、へんちくりんな状況等も出ておりまして、そういう点もすみやかに是正しようということで、指示をいたしておるわけであります。
  31. 山本經勝

    山本經勝君 これは、後ほどお伺いする行政協定の十二条の二項の規定の問題と関連するので、総括的に最後にまたお尋ねいたしますが、長官一つ聞いていただきたいのは、日米合同委員会の下部機構として、契約調停委員会というのがある。これは御承知通りなんですが、この契約調停委員会のもとで、最近特需等の関係の問題で、解雇予告手当を要求している、その問題を取り上げて、駐留軍司令官に対して勧告をしたということを聞いているのですが、その前後の事情と、その特別委員会において勧告をした内容をここで明らかにしておいてもらいたい。
  32. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) お尋ねの問題につきましては、合同委員会に対しまして勧告を要請いたしたのであります。その内容といたしましては、特需の業者が解雇手当を支払わなければならないような実際の義務を労務者に負っている証拠があるならば、その場合は、その手当を契約上の正当な原価として認められるので、その支払いについては、契約担当官は十分かつ完全な考慮を払うべしというような趣旨の勧告を、昨年の十月に合同委員会の本会議におきまして採択をしてもらったわけであります。ところが、このような勧告を発せられましたにもかかわらず、その後締結されました契約におきましても、米軍側は、このような手当を正当な原価として認めておりませんので、さらに合同委員会におきまして、数次にわたって実施の促進方を強力に申し入れたのでございます。最近に至りまして、勧告の内容の解釈について、日米間に見解の相違があることが明らかになったのでありまして、勧告によりますれば、先ほど申し上げましたように、業者が労務者に実際の義務を負っているならば、正当なる原価であるといっているのであります。ところが、この実際の義務というものを、米国側は法律上の義務に限定して解釈しておりまして、日本側としましては、労働協約による義務も実際の義務になるというふうに主張しているのでございます。結局は、労働協約による義務が実際の義務であることは、日本側の解釈が正しいと思うのでございまして、従いまして、アメリカ側に対して強力に主張をいたしているのでございます。アメリカ側も、まだこの解釈について、日本側の解釈に応じては参っておりませんが、しかし、一応この解釈について、下部の特別分科会を作りまして、日米間の見解の統一をはかりたい。そうして日本側の主張は、私どもの方であくまでも主張いたしたい。特別分科会は、日本側の代表は、労働、通産、調達庁外務省関係官が出て構成されておりますが、この二十八日に第一回目の会議を開くことになったのでございます。この会議におきまして、日本側はあくまでも日本側の解釈を主張いたしまして、昨年の勧告内容に対する完全な実施を認めさせようというつもりでございます。
  33. 山本經勝

    山本經勝君 続いてお伺いしたいのですが、米軍局側としてのこれに対する見解あるいはこの解答というのは、どういう内容なんですか。
  34. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 先ほども申し上げましたように、この業者が労務者に実際の義務を負っているという、その実際の義務というのは、労働関係法規に基く法律上の義務にとどまるんだ、こういうことを主張されておりまして、すなわち、三十日前に業者に対して通告をいたしますれば、いわゆる一カ月の予告による手当を支給するだけでかまわないんだという観測を行なっているわけでございます。私の方といたしましては、事実上業者に三十日前に仕事をやめるという通告がありましても、労務者に対して一カ月前に予告するということはできませんので、また、業者と労務者側との間の労働協約がございます。その労働協約による義務も、この実際の義務というものに該当するんである。従って、契約単価に当然米軍側が算入しなければならない問題であるということを主張しているわけでございます。
  35. 山本經勝

    山本經勝君 そこでこれは、この種の問題が絶えず発生しているんですが、今お話のように、米軍側は、この基準法のいわゆる条文の解釈に重点を置いている。そうして政府側は、実態に即したこの労働慣行といいますか、そういうものも含めて、あるいは労使間の協定と、そうしたものを現実に守るという建前でおられる。ところがこれが、この特需という企業の形態がそういう形になってくると思うんです。ここは、国が施設あるいは資本等を提供して、そうしてこれを民間の業者にまかせてある。そうしてそのまかされた業者が、いわゆる米軍との間で契約をするという形が、特需の特殊な形だと思います。従業員は、これらの労働者は、その雇用をしている相手方が民間の業者ですから、これは、長官もしばしば聞かれたことと思いますが、関係労務君だけではありません。業者の方も、間接契約に切りかえてくれという強い要望を持っております。私は、やはりその行政協定の精神から言っても、これは間接契約に切りかえた方が合理的に運営されるし、しかも、今申し上げたようなトラブルの起る余地がなくなるだろう、こういうふうに思う。仕事は、業務上の直接の指示、監督、指導等は米軍がやっている。そうして、極端な言葉で言えば、いわれない民間業者がその中に介在するだけなんです。しかも、それが雇用主として存在している。そこに大きな矛盾を露呈していると思うのです。これを早急に、長官としては、改訂をして、間接契約に切りかえるというお考えはあるのかないのか。そこら辺をしっかりと伺っておきたいと思います。
  36. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 外国の例を見ましても、間接調達形式をとっておる国が多いようでございます。しかし、現在の日米行政協定によりますると、御承知通り、第十二条によりまして、「供給者又は工事を行う者の選択に関して制限を受けないで契約する権利を」米側が「有する。」と書いてありまして、いわゆる直接契約方式を認めておるのでございます。従いまして、現在の行政協定におきましては、これを向うが直接やると言う以上、それをいけないと言う根拠は乏しいわけでございます。ただ、十二条の二項に、「その調達が日本国の経済に不利な影響を及ぼす虞があるものは、日本国の権限のある当局との調整の下に、」調達をする云々という規定がございまして、日本の経済に不利益な影響を及ばすおそれ、たとえば、労働不安をもたらすものというようなものが入るのではないかという解釈も、議論も生ずると思われるのでありまするけれども、この行政協定の十二条二項の現在の政府の解釈におきましては、これは、いわゆる稀少物資あるいは提供について非常に困る労務というような限定された解釈をされておるようでございます。従いまして、私どもといたしまして、現在の行政協定が改正にならない限りは、調達方式としては、直接調達を認めざるを得ないということでございます。私どもの方だけでできる問題ではございませんので、以上のようなお答えしかできないと存じます。
  37. 山本經勝

    山本經勝君 今の長官のお話ですと、全く米軍の方の言いなりほうだいという形に私はなると思うのです。ああいうのは、いまの十二条一項の規定をお読み上げになった。また、第二項の規定も御承知通りなんです。ところが、「日本国の権限のある当局」の前にいわれている「資材、需品、備品及び役務でその調達が日本国の経済に不利な影響を及ぼす虞があるものは」云々という規定があるのであって、これはやはり、対等な立場考えなければならぬと思う。ですから、一項の規定は、むしろ二項の規定である規制を受けていると考えても、私は誤まりではないと思う。こういう状況であって、この協定をもってしても、なお日本政府から米軍に対して強く交渉し、協議をするならば、こういう問題が打開できぬはずは私はないと思う。少くとも米軍にいたしましても、円滑なる調達が行われて、その調達によってむしろトラブルの起ることは好んでいないと思う。ですから、そこら辺の交渉なり協議なりが極めて形式的な、申しわけ的なものになっていることによって、こういう切実の問題が解決つかぬということになってくる。先ほどたとえば質問申し上げておった退職金の未払いの問題についても、実際問題として、こういうところに帰結していくと思う。明らかに不利益をもたらしている。日本国にとっては、迷惑千万な事態が発生している。ですから、そういう問題を、少くともこの協定にのっとっても、現行協定によってでも、強力に、私は、政府が対米あるいは対軍交渉をやって、解決をつけなければならない責任ある問題であろう、こういうふうに考える。  そこで、さらにお伺いをしておきたいのですが、すでにこの委員会でも、たしか前後三回くらい取り上げていると思うのですが、PD切りかえの問題が起る場合も、全国的に見ますというと、この前、委員会で御説明を伺ったのですが、すでに一月一ぱいで、このためにいわゆる辞職をやむなくした者が八百六十九名、しかも、今年度内といいますから、あとわずかですが、この年度内に、あと千二百名程度が出る予定であるということがいわれている。これは、たしか労働省の方のあれだったと思っておりますが、そうしますと、合計二千を突破するこの多数の人々がすでに、駐留軍撤退あるいは移駐に伴って、あるいは規模の縮小等に伴って辞職する以外に、いわゆる直接調達の形があることによってこの問題が発生している。直接調達はやむを得ない、現存の協定ではやむを得ないという解釈を長官はとっているようですが、もしそうだとするならば、少くともこのような事態に対する対策を、一体調達庁はどうお考えになるか。千二百名と八百六十九名、合計二千何がしという数字になるのですが、これがさらに増大する傾向がある。そうしますと、甘んじてこれを見送るという形しか残っておらぬと思うのですが、この点を長官としてどうお考えになり、どう対処する御決意なのか。
  38. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) この問題につきましては、調達方式を変えるという問題とは別個に、在日米軍司令部に対しましても、あるいは日米合同委員会を通じましても、折衝を続けて参ったのでございます。しかし、遺憾ながら、お尋ねの通り、問題の解決を現存において最終的に見ていない状況でございます。私どもの要望といたしましては、非常に大量の人員整理が行われまして、大きな幾多困難な問題が発生をしており、かつ、社会問題としても大きな問題となっておりまするので、さらに、今回のようなPD切りかえというような形式によって、労務者の解雇が行われるということについては、まことに承認するわけにいかないという結論でありまして、たびたび米軍の最高の責任者にも会いまして、これらの問題の実施の延期、中止というような問題を申し入れて参っております。最後に会いましたのは、二月二十七日にキャラウェイ参謀長に会いまして、以上のような申し入れを私が行なったのでございますが、これに対する返事がこの月の半ばごろ参りまして、いわゆるPD移管についての日本政府立場、意見というものは十分了解をした。しかしながら、このPD切りかえについては、全般的の米軍の方針ということに基いて行なっているのではない。ただこれは、前にも申しておったのでありますが、米軍の各基地ごとにおける予算の節約、あるいは米軍の軍人の監督者の引き揚げによる監督者の不足というようなことから来ているのである。しかし、契約について日本側との間に十分調整をして参りたい。従って、本問題につきまして、日本代表者と会議を作りまして協議をいたしたい。その会議においては、調達庁側の意見及び勧告を議題に取り入れたい。また、業務についても、特需移管の可否についても、引き続き出方においても研究中である、こういうような回答をして参ったのであります。さらに、三月の二十五日には、総務長官からも、書面をもって米軍司令官に申し入れをいたしたのでありまして、今日の段階におきましては、私どもとして、一日も早く日米の本問題についての協議会を開催してもらいたいということを毎日連絡をしておりまして、現在、中火における協議会をどうするか、あるいは各基地ごとにおける協議会をどうするかということについての準備をいたしておる次第でございます。
  39. 山本經勝

    山本經勝君 今お話になった点は、駐留軍の参謀長、キャラウエイという人ですか、その人に対する文書による問題と受け取るのですが、その中で、私は非常に大事な問題があると思います。米軍側はこういうことを主張しておる。軍の権利として、どのような方法をもっても、役務の提供の調達を求める権利がある。こういうふうに解しておるといわれておる。もしこれが事実だとすれば、先ほどから申し上げるように、調達の問題をめぐる見解は、日本側と米軍側との間の一致点は発見されておらぬと思う。ですからこそ、こういうトラブルが次から次へと発生しておるのであって、そういう事態を考えますと、ここでもっと強力な方法を講じて、対米折衝あるいは対軍交渉を展開しなければ、今までのようなおざなりの文書の往復や、あるいは協議会等での話し合いというような形では、しょせん問題は片づかぬし、行政協定十二条の精神は生かされぬと思いますが、長官はどういうふうにお考え、になりますか。
  40. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 先ほども申し上げましたように、行政協定第十二条の二項の、「日本国の経済に不利な影響を及ぼす慮があるものは、」という条項の解釈につきましては、いわゆる稀少物資というような問題であるという解釈をとられておりまして、米軍側も、行政協定に基いて、特需に切りかえる権利だけは保留しておこうという趣旨で、この回答の中に一応うたってきたのだろうと思います。私どもも、この行政協定の解釈につきまして、私どもだけでお尋ねのような解釈をとるわけにも参りませんので、事実上特需の切りかえの問題については、米軍司令部と交渉して、日本側の要請を達成いたしたい、こう考えておる次第でございます。
  41. 山本經勝

    山本經勝君 私は、どうも納得がいかぬのですが、この十二条の二項の規定の後段に、「日本国の権限のある当局との調整の下に、また、望ましいときは、日本国の権限のある当局を通じて又はその援助を得て調達しなければならない。」という規定は、非常にはっきりしておると思います。今の調達庁長官のお話のように、米策は、あるいは反対のようなことを主張するかもしれない。第一項を取り上げて主張するでしょう。しかしこれは、一項と二項とのかね合いにおいてこの協定は生きておると思うので、そういう場合に、日本がどういう態度で対米交渉あるいは軍との折衝をしたのかということは、私は疑問を持たざるを得ない。長官が常に米軍の方に通告された文書の大体要点を、私どもも写しのようなものを持っておりますが、その中でもいわれておるように、常に国会でも問題となっておるということがいわれておる。それで、政府が当然権限のある国の代表であるから、そういう立場に立って協議をし、交渉をするという態度で、私は率直に言って、推進を円滑にされるならば、しいて国会で論議をしなくても済む問題なのである。それがやれないところに問題があると私は思う。そこで、やむを得ず私どもはこの委員会で、困窮する労働者立場から、これをどうするのかということを取り上げている。ですから、ここをよく御理解願えぬというと、少くともこれは、権限ある国の代表である政府の機関が折衝して、それでも解決がつかないというなれば、少くとも行政協定そのものを取り上げて、あらためて日米間で、国の総力を結集して交渉し、あるいは解決するという態度にまで発展しなければ、いつまでたっても私は解決がつかぬと思うのですが、そこら辺の所信のほどを長官から伺っておきたい。
  42. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 私どもといたしましては、先ほど申し上げました通り、特需の切りかえの問題というものは、大きな社会問題を起し、米軍側が考えを変えてくれなければ困るので、折衝をいたしておるのでございますが、調達庁限りで折衝いたしましても、力足らぬところがございますので、総理府あるいは政府段階にお願いを申し上げまして、交渉をしていただくようにいたしますし、また、私どもといたしましては、先ほど申し上げました協議会の線を通じて、事務的にも並行して要請をして参りたいと思っております。
  43. 山本經勝

    山本經勝君 このPD切りかえの問題になって、いろいろと調達庁も努力をされたことを、私は全然無視しているわけではありません。そこで、東京でも、立川のバス運転に関する問題や、そのほかすでに二十カ所に近い切りかえが行われている。これは、この前私は、その実態を、一応資料を出していただくようにお願いしておったと思うのですが、一応組合の方から出してもらった資料によっても申し上げられるように、逐次ふえている。これは、先ほど言われたように、いわゆる監督官の配置等、人員上の問題も米軍側にあるかもしれない。あるいは予算のことがあるかもしれない。そういうことがあっても、とにかくこの十二条の二項の規定というのは、これが日本国の経済に影響するということは明らかなんであって、そういうものをもっと強く取り上げて交渉に当る、あるいは打開の方法を講ずる、あるいは調達庁から、あるいは政府当局から国会に訴えて、国会でしかるべき措置を要請するというような積極政策をとらなければ、しょせん米軍が気の向いたようにやっていこうというのにまかせておいたのでは、これは、迷惑をこうむるのは日本人であり、日本の国であり、あるいは特に直接は労務者なんです。ですから、そういう点がどうもぴんと来ない。これは、官房副長官見えておりますから、後ほど、特需等の連絡会議で協議もされ、検討もされたことと思いますので、再三閣議決定を見た対策の一環でもありますから、お伺いをしたいのですが、やはりその中心になるのは調達庁だと思う。で、調達庁長官として、やはりこういうふうにしてやるのだという決意というものは、まことにいつ伺っても脆弱な感じを受ける。米軍はこう言いますので、ああ言いますのでということで話を濁していく。お茶を濁していくというような行き方としか受け取れぬわけですが、そこら辺で一つ何かまとまった、こういうふうにしてこうやるというお考えがあるのか、これを伺っておきたい。
  44. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 私ども調達庁が全力をあげておりますが、力足らぬ点は、まことに申しわけないと存じます。総理府にも政府段階にもお願いをいたしまして、この問題について、ぜひ大きな解雇の問題が起らないように努力をいたしたい考えでございます。
  45. 山本經勝

    山本經勝君 これは、長官もご存じだと思いますが、一々こまかにあげていくことも繁雑ですが、一応所だけあげても、東京の立川あるいは草加、神奈川の第二港湾、追浜、相模、埼玉の朝霞、広島の港湾、山口の門司港、その他申し上げるような切りかえが逐次行われておるのです。一応立川について、調達庁で話をされて、若干の期間延びたということを聞いておったのですが、それさえも強行されておるように伺う。それから、そういうことでは、いまの行政協定十二条の二項の規定というものは、全く死文にひとしいと私は思う。そういうことが結果的に失業者を作り、それに対する国の負担が増大するということですから、経済的影響は重大である。そういうのにもかかわらず、政府側としては、じんぜん日を費すだけで、一向にはかばかしくいかない。しかも、基本的には、米軍側の司令部側で考えておることは、軍の権利として自由に切りかえが、従来間接でやっておったものでも、これを直接契約に切りかえるという、反対の方向に進められておる。私は、これはやはり重大な日米間の問題だと思う。国際信義上の問題にもなると思う。こうした状態に対して見送るという姿では、これはてんで話にならないと思う。これは、次回にでもあらためて、総理、外務等担当の政府の最高責任者等も出てもらって、そこで検討をして、具体的対策を講じなければ、日本という国がいわゆるアメリカの従属国ではないはずだ、独立国だ。そうしますと、日米行政協定という対等の立場において取りきめた協定が、自分の方の都合のいい部分だけ生かして、相手国の日本に迷惑の及ぶことも無視してやるというような態度であるならば、私は、重大な国交問題にまで発展すると思う。そこら辺で、どういうふうに対処したらいいのか。これは、どうも長官を相手にして何ぼこれを論議してみても、一向にけじめはつかぬようですが、閣議で取り上げられた内容等についても、あわせてもう一度、長官から御説明をいただいておきたいと思う。
  46. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 第一段の、十二条三項の問題の解釈につきましては、先ほど申し上げました通り、いわゆる稀少物資の調達に関する規定であると解釈せられております。従いまして、本件の場合には適用がないという政府側の解釈でございますので、この問題は合同委員会で、この行政協定の問題を離れまして取り上げて参り、かつ、日本政府側としても、法律の解釈問題を離れて、政治的に取り上げてきているわけでございます。閣議の内容につきましては、担当大臣から間接に聞いているだけでございますが、一度ならず閣議の話に上りまして、米軍に対する政府段階としても要諦をするようにというようなことで、総理府が受けて、総務長官からのお話があったように聞いております。
  47. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 速記をとめて。   〔速記中止
  48. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 速記を起して。  休憩いたします。    午後零時十四分休憩   〔休憩後開会にいたらなかった〕      —————・—————