○
木下友敬君 更生課に属しておる。それもけっこうでしょう。ところが、
ほんとうからいえば、
結核の問題からすれば、
結核の予防、それから早期治療、そして後保護、この三つが
結核の対策の
一つの系列だ。それを今度、
あとで議案にも出ますように、社会局の方に持っていったということに私は疑問があるのです。それはけっこうですよ。今までは、後保護については何らの
法律的な根拠がなかった。それを今度は社会局がお骨折りになって、
法律的な裏づけをしようと言われるから、あの法案では、私は何も異論を申し上げることはないが、
結核予防対策という方面から見ますと、今度は
結核の係列の方がこれでいいかということをお
考えになるのが至当じゃないかという気がするのです。それはいろいろ問題がありますが、たとえば、これは非常に正確な統計ではございませんけれ
ども、後保護で収容されておった人が、一年の間に一〇ないし一二、三%が再発しております。福島などの施設では、三分の一が再発しておる。こういうのです。これは、後保護の施設でこんなたくさんの再発者があるというのは、これはもうすでに、私、社会局の仕事じゃないということを思うわけなんですよ。また、調べてみますと、それじゃ
結核の治療方面で作業療法というのがありますね。退院さす前に作業療法をさすというのがあるが、現在後保護の施設に収容されておるところの
人たちは、一体作業療法を受けてきておるか、受けてきているとしても、作業療法を受けた者は一〇%か一二%しかない。大多数の人は療養所の治療を受けて、作業療法はしないで、まっすぐこの後保護の施設に来ておるわけです。そうすると、この後保護の施設というものは、これは、見方では、どうかすると作業療法みたいなものじゃないかとさえ思われる。すでに後保護のところの
人たちは、もう患者じゃないわけです。社会復帰するためのインターンみたいなものなんです。だけれ
ども、その中から三分の一あるいは少くも一〇ないし一三%の再発者が出てくるということは、これはまだ患者というにおいが非常に強い。しかも、まだこれは、作業療法というのが可能であれば、作業療法として医者が取扱わなければならぬ範囲のものじゃないかという気がするわけです。それを、患者の方とは縁を切らして、今度社会局の福祉事業の一部分に持っていくということに、
ほんとうは私は異論がある。この点については、
一つ私は、それは作業療法じゃない、作業療法のにおいが
一つもないのだ、これは患者じゃないのだということの確かな
一つ見きわめがないと、こういうたくさんな再発者が出てくるというところに非常に心配がある。現に東京都の施設の案内書を見ましても、こういうことが書いてあるのですよ。
目的のところに、「
結核回復期にある者を収容し医学的健康管理によって体力を養い」と、こう書いてある。「
結核回復期にある者を収容し」ということは、まだ患者ということですね。「
結核回復者を収容し」というのならば、これは患者じゃないけれ
ども。今度の
法律では、そうはなっていない。やはり
結核回復者と、こうなっておりますけれ
ども、実際に取扱っておるところの東京都のそういう施設自体がどういう気持でやっておるかといえば、はっきりここへ
目的といって書いてあるように、
結核回復期にある者を収容し医学的健康管理をやる……、本人が言うのです。施設そのものがそういう気持で、まだ患者として取扱っておるのだということを言っておる。これは私は、非常に混乱のあるところだと思う。患者か回復者かという問題が起ると思う。そして
あとあとその議案が出ましょうけれ
ども、そこで、大きな点で私は反対を唱えるところはないように思うけれ
ども、患者じゃないということをはっきりさした者を収容するということでなければ——三分の一も、あるいは少くとも一〇%ないし一三%が再発している。そうして行って尋ねますと、耐性菌が出ておる、こういうことを言っておる。こういうような者も収容しておるということは、私はその本質が違うと思う。それで、社会局が扱われるのもけっこうだけれ
ども、社会局が扱うからには、もうこれは患者じゃないとはっきり銘打ったものを取り扱うということに限定しなければいけない。この点は、実際問題としては、医学的に非常に私はむずかしい問題だと思う。これはもう、境にあるものは、どっちに入れていいかということに困ると思いますけれ
ども、厳格に
一つやるということに決心してもらいたいと思いますので、しかも体系としては、どうしても予防治療、後保護というものが
結核対策の一貫した
考えであるということを、各国の例にもならって、そうしなければ、これをただ
結核の回復者は、
一つのこれはもうハンディキャップがついておるのだ、身体不自由者と同じような意味で、これは社会局に回したのだというような、廃物扱いにしないで、まだ患者で、先は望みがあるのだということの
考えのもとに
一つやっていく
考えでなければいけないと思う。
結核の回復者が、これがもし身体不自由者のようなものと同じく、ハンディキャップというのならば、世の中にはまだハンディキャップの者がたくさんおるのですよ。病気でなくても、いろいろな関係でハンディキャップの者がたくさんおる。だから、
結核に限って、
結核回復者はハンディキャップがあるからといって、身体障害者の部類に持っていくということは、
考えなければいかぬというようにも思いますが、
結核を担当しておられる課として、予防と治療と後保護というものが、これは
結核対策の柱であるということに御異論がありますかどうか。これは、
結核の担当者の方から
一つ伺いたいと思います。