○片岡
文重君
基準関係の項目ごとに御
説明になったようですが、残念ながらこれは中央競馬会なり調教師会から一方的にあなたの方で報告を求められてまとめられたものと私は思う。現地にこれは
調査をしておられません。なぜなら
一つもこれは守っておられないのです。なるほど地労委に対して出された確約書には、この協定の
内容は確かに履行いたしますと、そうしていろいろな文句は並べておりますけれ
ども、たとえば有給休暇のごときは、これを請求したものが、そういうなまいきなことを言うならばおれの厩舎では使われんと、こう言って首になる。これは明らかに不当労働行為ですから、取り上げて提訴することになってきます。そうなると、これは歩がありませんから、あわててどうしても退職しなければならないようなところに配置転換をするのです。こういうことで、有給休暇も、この休暇の約束も
一つも守られておらない。さらに労災も、これは
局長が言われた
通りに、文句にはなっておるけれ
ども、これも
一つも守られておらないのです。ただ協定が守られて、おらないだけならば、今後
基準局その他の
関係の方々から競馬会なりあるいは調教師会等に対して
勧告をし、あるいは
指導もしていただく。多少時日がかかってもそれを待つという方法もあろうかと思う。ところが、事態はそれよりももっと進んでおるのです。組合の役員となり、あるいは
指導的な
立場になるものには、受け持ち馬の擬装転売をして、つまりその持っておる馬を擬装転売をする。そうして、馬がないから、持ち馬がいなくなったからやめてもらわなければならぬ。こういう方法をとっておる。しかもそれに対して、しからば休業手当、休務手当が出ているのかというと、これは出ません。こういうことを例があるならばほしいとおっしゃるならばいつでもその実例をあげてお目にかけてもよろしいが、とにかくそういうひどい目にあっている幹部諸君が一人や二人ではない。中山にも府中にもそういう例が起っております。しかも、これを処分をしてしまう。首を、切ってしまうと、その馬丁がいなくなればその馬をまたもとに戻しておる。こういう例もある。これも今申し上げておるのは、ほんの一例にすぎません。こういう不当なことをやられては困るからということで
団体交渉を要求しても ここにも私は確約書の写しを持っております。この確約書のもとになっておるあっせん案もここに持っております。このあっせん案によれば一方から
団体交渉の要求があった場合には正当な
理由がない限りこれを拒否することができないと明らかにうたわれておる。けれ
ども、こういう不当な労働行為の問題に対して
団体交渉しようとすれば全然応じない。そうして、この
委員長を拒否しておるといいますか、忌避しておるというか、こういうことをやっておって、しかもあっせん案の協定
事項については、あっせん案の
内容については少しも履行しておらないばかりでなしに、今盛んに第二組合を結成させております。この第二組合の結成についても、現に被
使用者として馬丁業務に従事しておるものを、そして、すでに作られておるところの、いわば第一組合といいましょうか、従来の組合に加入しておるものを切りくずすだけでなしに、不当に処分をして、その
あとに入れる場合には本人が知らないのに第二組合員となって入ってきておる。しかも、これらの組合員は掛金を徴収されておらない。
自分が第二組合員になっておることも、入るときに、お前は第一組合にいってはいけない。第二組合員になるということだぞということで、第二組合員になることが条件になって入ってきておるのですから、明らかにこれは労組法の違反をやっておるのです。こうして採用をされて、しかも組合費は徴収しておらないが、第二組合には相当な資金があると伝えられております。この資金は
一体どこから出たのかということも
考えられる。労組法二条ですか、少くとも組合運営の経費が
使用者から出されておることは明白である。労組法の違反ではないかと私は思うのです。こういうことが限りなく行われて、しかも少しも改善の模様が見えないばかりでなしにさらに調教師ばかりでなしに、馬主、競馬会等からの圧迫も相当にあるのではないかということが言える。証拠を出せというのならばこれもお目にかけてもよろしい。こういう
状態の中でこの問題を解決していくためには、中央競馬に所属する馬丁諸君は総数大体八百名程度でしょう。しかしこれに扶養されるところの家族を加えればやはり数千名にはなるはずです。少くとも二、三千名にはなるでしょう。一方、このはかに、地方競馬あるいは牧場等に使用されて、これに劣らないような劣悪な労働条件のものに、しかもきわめて封建的な、監獄部屋のような
状態の中で、馬と一緒に起居しておる諸君を加えるならば、おそらく十万の数に近くなるのじゃなかろうかと
考えられる。従って全国のこの地方競馬あるいは牧場等にある馬丁諸君、それか国営競馬の中の府中、 中山等におる諸君の以外のもの、これらの諸君は、この成り行きについて非常に深い
関心を持っておることは事実であります。けれ
どもそういう深い
関心と、特に
労働省に符せるこれらの諸君の期待というものはきわめて大きいのです。
労働省以外にこれを救ってくれるものはないとこの諸君は
考えておる。期待をするところが果して適切であるかどうか、私には今のところ疑問なしとしないが、とにかくこれらの諸君は
労働省の積極的な
援助を望んでおる。しかし今私はここにあるこの競馬会の発行になる管理馬の名簿やら馬主諸君の名簿を見ると、はなはだ申し上げにくいことだが、与党の中に、あるいは
内閣に列しておられる貴党のいわゆる有力な幹部諸公の名前が散見いたしております。財界の有力な諸君も名を連ねております。また表面には出ておらないが、実質的にはそれらの人の持ち馬がたくさん名前を連ねておる。従ってこれらの諸君の一顰一笑が調教師諸君にきわめて敏感に影響することはこれまた事実です。こういう
情勢の中で調教師諸君が、馬丁諸君のいろいろな正当な
理由に対して拒否をする場合に使われる言葉、馬主がお前をきらうのだから仕方がない、もしお前を雇っておくならこの馬主からおれの馬は取り上げられるのだ、こういうことを言うわけです。この言葉は必ずしもこの馬丁諸君を忌避する言葉だけではない。裏にそういう事実があるのではないかということが私たちには看取される。こういう条件の中で、
一体、
基準局を初め
関係の諸君は言を左右にして
団体交渉にも応じない。地労委に対する確約書を出しておきながら、この協定の履行にも応じようとしない。特に馬丁会の経理の不当もしくは不正といいましょうか、とにかく不審な点のある証拠になるべき帳簿
書類は、摘発されるや、その日のうちに焼却し去って、馬丁会を解散さしておる、こういう乱暴なことをしておる。しかも、これを目前に見ながら手を出し得ない警察側、こういう
状態の中で
一体今後の
労働省は、この馬丁諸君の劣悪な労働条件を改善して調教師なり競馬会の不当な労働行為を改善さしていくだけの意欲と盲信があるのかどうか、
一つ大臣がおられませんから、政務次官から確固たる決意を
一つ伺っておきたいと思います。しかも、これは一片の言葉ではなしに、この二十七
国会において
大臣が述べられたような単なるその場のがれの言葉ではなしに、現実に約束をするという決意を持って私は述べていただきたいと思います。私は今ここで述べられて、ほんとうにその対象となる諸君がたとえわずかな諸君であっても、今日最も遅れた社会の人たちとして劣悪な労働条件に泣いておる諸君を
一つ救い出そう、少くとも今日の時代の
労働者並みにはしてやりたい、こういう気持が次官のお気持の中にあるならば、それが具体的に現われるように
努力をする決意をもって
一つ御答弁をいただきたい。ただし私は
あと一カ月なり二カ月なりの間この次官の御答弁に対しては、はなはだ申し上げかねますけれ
ども、その具体的な効果の現われることを深い
関心を持って見守っています。ですから、そういうこともお心において、
一体このがんじがらめに縛られておる封建的な社会の中において坤吟しておる馬丁諸君の労働条件を改善していく熱意があるのかどうか、次官の御答弁を承わりたい。
政府委員(二階堂進君) いろいろ先生から馬丁組合の問題について御指摘がございましたが、二十七
国会におきまして
大臣もこの席から十分馬丁組合の方々の勤務条件の改善等については
努力するということを申されたのでありますが、その後いろいろな複雑な
関係の
調整あるいは解決につきましては、
労働省当局といたしましても
先ほど局長から御答弁申し上げました
通りにいろいろ
指導監督、あるいは
調査等もいたしておるわけでありますが、ただいま承りますというと、依然としてそういうことが改善されていないという御指摘でございます。もしそういうような事実が依然としてあるということであれば、私も非常に遺憾なことだと
考えますが、さらに私
どもといたしましても
指導、監督をさらに厳重にいたしまして、勤務条件の改善等にはさらに熱意をもって当る所存でございます。