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1958-04-17 第28回国会 参議院 建設委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月十七日(木曜日)    午後一時四十八分開会     —————————————   委員の移動 四月十六日委員平島敏夫君、戸叶武君 及び田中一辞任につき、その補欠と して堀木鎌三君、藤原道子君及び木下 友敬君を議長において指名した。 本日委員木下友敬君、堀木鎌三君及び 村上義一辞任につき、その補欠とし て田中一君、松平勇雄君及び杉山昌作 君を議長において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     竹下 豐次君    理事            石井  桂君            岩沢 忠恭君            稲浦 鹿藏君            田中  一君    委員            小山邦太郎君            酒井 利雄君            鈴木 万平君            平井 太郎君            内村 満次君            小酒井義男君            坂本  昭君            杉山 昌作君   国務大臣    厚 生 大 臣 堀木 鎌三君    建 設 大 臣 根本龍太郎君   政府委員    厚生省公衆衛生 尾村 偉久君    局環境衛生部長    建設省計画局長 町田  稔君    建設省道路局長 富樫 凱一君    建設省住宅局長 植田 俊雄君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    厚生省保険局次    長       小山進次郎君     —————————————   本日の会議に付した案件理事補欠互選下水道法案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) ただいまより建設委員会を開会いたします。  委員の変更について御報告いたします。四月十六日平島敏夫君、戸叶武君、田中一君が員を辞任され、その補欠として堀木鎌一君、藤原道子君、木下友敬君がそれぞれ委員に選任されました。また本日木下友敬君、堀木鎌三君が委員辞任され、その補欠として田中一君、松平勇雄君が委員に選任されました。     —————————————
  3. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) この際お諮りいたします。田中二君が一時委員辞任されましたので、理事が一名欠員になっております。従って理事補欠互選を行う必要がありますが、田中君が本日再び委員に選任されましたので、互選方法成規の手続を省略し、委員長より田中君を理事に指名いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 異議ないと認め、私より田中君を理事に指名いたします。     —————————————
  5. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) これより下水道法案を議題にいたします。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  6. 田中一

    田中一君 きょう両大臣並びに各関係部局方々に御出席を要請いたしましたのは、昨年でございましたか、一応水に関連する各種事業所管がきめられた。そうしてそれに基く農業用水なりあるいは工業用水上水道下水道等が、この下水道法案を最後としてはっきり所管がきまったようでございます。そこで、本下水道法案審議過程に当りまして、当然一省の大臣所管すべきものというような考え方を私は持っておりましたところ、相変らず、建設厚生大臣がこれを所管するという形になっておるわけでございます。はなはだ、今までのこれらの問題に対する当委員会意思として論議されました過程を顧みまして、遺憾なことであると私は思うわけでございます。水は日本の国土にとって、もう重要不可決なものであり、同時にまた他の諸国と比べて、台風が常習的に本土を襲ってくる関係上豊富でありまするが、これに対する管理というものが統一した形を持っておらなかったのであります。そこで建設厚生両省は、旧憲法時代におきましては、内務省として一つの省で一切の事業をやっておったのでございましたけれども、分れたために、常に所管争いと申しますか、共管となるような形のものが多くて、国民はそれらの行政官庁窓口簡素化を望んでおることは、両大臣とも御承知と存じますが、両大臣了解事項としての案文もお示し願いましたので、一応は了承しておりますけれども、この際少くとも国土に関する事業のうち、重要な都市下水道並びに上水道の問題について、了解されたものだけでは、われわれは納得しないものを多分に持っております。そこで本日は私といたしましては、せめて下水道法というものの一元化を願っておるのでございまして、この際、将来下水道所管について国民が求める方向一元化に対してどういう見解を持っておられるか、建設大臣並びに厚生大臣の所見を伺いたい。
  7. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) ただいま田中さんがお示しの点は、従来とも議論になっておったところでございまするが、昨年水の管理に関しまして上水道工業用水下水道というふうに所管が明定されまして、そのうち下水道に関しましては、終末処理だけが厚生省所管と、こうなっておるわけであります。そこでいろいろと議論がございまするが、今日まで一年の経過ではございまするが、さしたる支障ができていない。両省が取りかわしました覚え書の条項を、両方ともよく忠実に守っておりまするので、一般国民にもそれほど重大なる御不満を与えていない。こういうふうに解釈いたしておりまして、ただいまのところ、政府といたしましては、所管をどちらかに一本にまとめるという状態には立ち至ってお吟ません。しかし、もしこれが実施の結果において非常な不便がある、支障が出てくるということになりますれば、あらためて検討しなきゃならぬとは用いまするけれども、ただいまのところにおきましては、現状のまま両省の十分なる接触によって処理するとともに、地方あるいは一般国民方々便益についても、細心の注意を払いまして支障のないようにいたして参りたいと考えている次第でございます。
  8. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) ただいま建設大臣から御答弁がありましたが、私も率直に言って、私官僚上りですが、官僚権限争いということは極端に避けたいという気持で、要するに行政国民のためにあるのでありますから、最も便宜な方法物事考えていく。あらためてこの問題について理論的な議論をいたしますれば、私は、行政についての分野という問題から、いろいろな議論の余地があると思いますが、要は、一たんきまりました事柄が実際に実施の面において、両省にあるために国民に不便をかけるかかけないか、という問題から物事を決すべきだと存じておりますので、一応昭和三十二年の私が参ります前の一月の十八日の閣議決定の趣旨に従いまして、実際に施行上は遺憾なきを期したいと、最近建設省と私どもの方とは密接な連係をとって、事業の円満な施行に非常に心を傾けているような次第でございます。今後とも両省の間でお互いに協議により、事業の遂行の上において国民に不便をかけないようにいたして参りたい、こう考えておるような次第であります。
  9. 田中一

    田中一君 むろん両省の間に了解事項が取りかわされたという前提に立っての言葉と思いますが、この法律案審議過程に、局長は、終末処理というものは、自分の方でなけりゃできないんだということを強く訴えております。また、公衆衛生院と申しましたか、そこにも相当なりっぱな技術家もおられると思いますけれども、これも単なる行政機関一つでございます。その公衆衛生院をそのまま建設省へ移すならば、これは終末処理もおのずから容易にできるのではないかという考えを持っております。したがって、政治家根本龍太郎君並びに堀木鎌三君として、そうした共管ということと、所管が単独の省で行われる場合と、二つ、三つにまたがらなければならないという強い根拠があった場合と、国民としても違うと思うのです。従って今のようにそれぞれの部局が、あるいは建設省に移って持たれるならば一省所管にしても何ら差しつかえない。従ってそういう形になった場合にはどういう御意見を持っているか伺いたいと思います。
  10. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これは一つの仮定の円題でございます。そういうふうになった場合には、当然これは一元化されると思いますが、現在のところ公衆衛生に関する問題はあげて厚生省所管しておるわけでございます。そこで構造物それ自体の一貫性からすれば、これは当然建設省であるべきだ、ところがこの構造物が作られる、あるいはまたこれを維持している部面から見る場合と、その構造物を利用することによって国民衛生上の保全をするのであるという観点、この両方から見てこの議論が出てくるわけでございます。そこで一つのもの全部を共管にするという考えもあり得るでしょう。しかしながらこれは大分めんどうくさくなるから、そこで最も重要なる公衆衛生上の影響のある終末処理、これだけに関して厚生省所管して衛生上の万全を期したい、こういうことでございます。従いまして実際上は下水道を構築する場合においては、両省協議の上、設計実施されるわけでございまするから、現実に市町村がこれを構築する場合において、所管が違っておるために非常にここで不便を来たすことは現在まではないと、こう信じておる次第であります。そういう状況でありますので、先ほど田中さんが言われたごとくに、行政のある観点に立っての一元化という点から見れば、確かにそういう議論が成り立つのでございまするが、政治行政は非常に複雑多岐社会現象処理するに当りまして、やはり同じ制度でも各省あるいは各庁がある、その立場々々が総合的に一体として政治に具現されるというための行政組織法でありますので、その点が考慮されまして、今回のこの下水道に関して両方とも所管するということは決して矛盾とは考えませんし、ただ行政の便宜の点からすればいろいろの議論があるだろうと思います。しかしその点については現在のところはさしたる支障がないので、私のところでは今直ちにこれを建設省に一本化してもらわなければ、行政がやり得ないというような考えは持っていない次第でございます。
  11. 田中一

    田中一君 あなた方はそういって了解し合っているから、それを強く今さら動かすなんていうことは考えたくないから、そうおっしゃっているけれども、何といっても行政簡素化ということは国民が一番望んでおるところなんです。今地方公共団体が出てきても、建設大臣のところへきて話を写ればまとまる、それで済んでしまう、あるいは厚生大臣のところにきて話をすれば済んでしまうということ、それがかりに大臣に会う場合、建設大臣厚生大臣両方大臣が常に一定の日、一定の時間には本省で勤務の部屋におる、ということがきまっているならば別ですけれども、そのためにあるいは三日滞在し、四日滞在するということがあり得る。素朴なそういうところから見ても、一省でまとめて所管されたならばこれは非常に国民は便利であるということがいえる。ただ技術的な問題でむずかしいというならばこれはまた別問題でありますけれども、これもしょせん行政機関一つなんです。国民便益のために建設省もあり厚生省もあるはずなんです。厚生省建設省国民のための存在なんです。従って素朴な今のような事例にいたしましても、一元化することの力が望ましいことはもう明らかなんです。そこでもしも終末処理等は特別な技術であるとか、あるいは公衆衛生院というものが厚生省にあるからそうするのだということならば、上水道はどういう工合考えてよろしいか。たとえば東京都がやっておりますところの小河内のダムにいたしましても、堰堤の水を流す、浄水場でそれを浄化して、飲料水に適するように水質を保持して、国民に流しておるのが上水道の姿なんです。そうすると浄水場において水を浄化して国民に供給するのも、これまた非常に高道な百度の化学処理か、あるいは技術が必要であるかと申しますと、これはそういう工合には私は見ておりません。従ってこれはまあ一応厚生省一元化されておるというこの事例から見ても、なるほど川から導入する施設あるいはダムを築いてそこから導入する施設、配管、配水する施設というものは建設省が担任し、浄水場厚生省が担任する、もしこういうことにすれば今と同じような形に現われるのですよ。なぜ上水道厚生省が二元的に所管しておるかということを見ました場合に、今の建設大臣の御答弁では私は満足いたしません。上水道築造水路築造下水道築造とが大小あるいは場所によって異なる所があろうとも、引いておるのは同じだと思うのです。なぜ上水道厚生省所管になっておるかという点につきまして、一つ建設大臣から御答弁願います。
  12. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) どうも厚生省所管のことをなぜそういうふうになっておるかと申されても、私からこれは建設大臣とか何とかいう立場でなくて、政府として申し上げますれば(田中一君 「建設大臣だ」と述ぶ)上水道下水道工業用水、これは先ほど御指摘のように従来内務省当時は一本でございました。ところが戦後いろいろな、これは国民経済の発展あるいは社会現象複雑化に伴いまして、やはり官庁機構も分離独立していく傾向にあるわけでございます。従来は所管が明確でないために、同じ上水道についても、あるいは厚生省建設省が常時協議し、また一面においてはいろいろの紛争事件が出て参った。さらにまた最近における工場の発達に伴いまして、今度は工業用水というものが別途に上水道下水道と違って考えらるべきだということで、通産省が工業関係管理しているという立場から、これが問題化したわけであります。その際において、やはり上水道国民衛生関係と最も深い関連を持っておる、そういう点から大局的にこれは全面的に厚生省所管すると、従来もこれに関係しておったからそれで統一した。下水道についても考えようによりましては、建設省で全部所管したらいいという議論もされております。しかしながら最近におきましては、下水道が特にこれが末端の処理いかんによりましては、都市一般衛生のほか漁業方面にも非常に大きな影響を来たしてくるということで、これはやはり十分に化学的に浄化されて、そうした広義では衛生上でございますが、海面、水面の汚濁を防ぐという化学的な一つの措置が必要になってくる。そうなりますれば、これは衛生上の見地においてこれが管理されなければならない、そこに国全体の保健衛生を担当しておる省が、その省の設置の基本の目的に従って所管すべきである、こういうことでこれが分れたと解釈しておるわけであります。従いまして、この点につきましてはいろいろ御議論がございまするが、そういう経過から今日なっておりまして、先ほども申したように、覚書によってその間円満に処理しておりますので、今直ちにこれが改正しなければならないというほどの状況とは考えていない、こういうわけでございます。
  13. 田中一

    田中一君 私は何も下水道建設省所管してくれと言っているのではないのです。一つ事例に申し上げているのです。目的一元化をして国民に迷惑をかけるなということなのです。今建設大臣は、了解事項に基いて、るる現状を納得させるような形で答弁をしておりますけれども市町村に聞いてごらんなさい。やはり一元化した方が経費も時間も節約になる。かりにその了解事項があったとしても、でき上った後の維持管理厚生省にまかせるのがよろしい。計画は、同じような政府部内ですから話し合って、建設省は全部それをやって、でき上った後の維持管理厚生省にまかすということになれば、これは所管は明らかになります。だからですよ、了解事項というのは、厚生省役人建設省役人が、夫婦になった者が夫婦別れさせられて、一つの子供を二つに分けようとするから、足と手を別々に持っていこうということになると思うのです。これはセクト主義です。官僚の独善です。建設省設置法にどうこうという理屈は聞きたくはございません。築造建設省がやる、でき上った後の維持管理厚生省がやつて、排水あるいは汚水処理をすればいいのであって、建設建設省がやっても一向差しつかえないのです。ただ問題は、汚水の流れる最初に、道路法その他にもはっきりと明文化されて、あるいは排水路側溝というものをつけなければならないということになっておるから、その面に対して、他の法律関係からこれは建設省が担当すべきものだということも、これも私はそれが正しいとは思っておらぬのです。一元化という方向にいくならばですよ、それには厚生省のやはり清掃法という法律があるんです。築造建設省がやったらよろしい、道路局でやったらよろしい、水の流れるようにするのは厚生省役目です。だから清掃法という法律があって、常に水の流れやすいように、汚水のたまらぬようにしているわけです。工業用水にしても同じことです、これは昨年工業用水法が出たときにも私は商工委員会に出て、るる自分意見を申し上げ、かつまた質疑を続けたわけなんですけれども、同じ水路なんです。たとえば下水道で掘り返した所、これを埋めて、また工業用水路というものを作って、またそれを掘り返す、これなんか国民は全く迷惑しごくなんです。やはり計画的に一元的に建設省建設というものを担当するならば、そういうことはないわけなんですね。工業用水、そのまあ水源地に近い所の部面からみたら、その場合には工業用水農業用水上水道も同じ水なんです。山をくりぬいて隧道を掘る場合に、一ぺんに三本の穴を掘る計画を立てればそれだけ国の経済になるわけです。むだな費用はかからないのです。そういう面からみても、建造する場合には、建造というものを二元化することか望ましいというのです。何も建設大臣維持管理までする必要はございません。これは用途々々が違うのですから、その水の配給は、維持管理は、これを要求する部署にまかせればいいのであって、計画的なものがないというところにいろいろなものがあるのです。たとえば建設省建設大臣が一切の築造ということを担任しておるならば、全部の計画がわかります。どっちみちやるならば、こういう方面にこういう工業用水の準備をしなければならぬなら、並行、一緒に二本の穴を掘っても差しつかえないんです。あるいは鉄管を埋めても一向差しつかえないんです、鉄管を埋めるだけの容積のものを掘っても一向差しつかえないんです。そこにむだがあるんです。むだがあるということは国民に不利益なことなんです、全く。これは昨年でございましたか、水の管理解決策というものは、国民が役所のセクト主義に毒されたと言われても、これは答弁がないはずだと思うのです。私は建設大臣が、建設省建設に対しては全部一元的にやる、従って全国的な計画を立てるのは建設省のはずなんです。農業用水だって同じことです。農業川水にしたって多目的ダム思想というものはそこから生まれているんです。潅漑川水のダムを作る、それは別に作る、またこっちには今度は洪水調節ダムを作る、上水道ダムを作るなんというむだなことはしないで、二知的におやりなさいというんです。これが多目的ダムという思想の発祥です。それはなぜかといいますと、今までの役人セクト主義というものがむだである、ということを反省した末に、生まれたものが多目的ダム思想なんですよ。そういうものを現にやりながら、まだそういうむだなことをするということに対しては、当委員会も長い間この問題について論争して参っております。私は今の答弁だけでは承服できません。もしもあなたが厚生大臣との了解があるから一応これでやるのだ、ということだけで事を済まそうとするならば、きょう住宅局長ここへ来てもらったのもそれを聞きたいのです。御承知のように、厚生年金還元融資としての産業融資住宅厚生省が行なっております。一方、先手を取られてはかなわぬというので、また建設省産業労働者住宅資金融通法という法律を一夜づけででっち上げて、これに対応して同額の融資を受けて、住宅金融公庫の窓口から資金を流しております。こういう二元、三元、四元的な、その部所々々でやればいいという思想をあなたが容認したことになるのです。先般公営住宅三カ年計画承認案件につきましても、私が質疑いたしますと、援護局長は、本年度は引揚者住宅あるいは低家賃住宅と申しますか、そういうものは一元的に建設省におまかせし、公営住宅一つとしてそれを実施することになっておりますからということを言っておりますけれども、何も厚生年金還元融資資金と、別途産業労働者住宅資金融通法資金というものは、角分けをしてあるものではないのです。国民が受けるものは同じです。ただ違うのは金利の違いとか貸付条件の違いとか、あるいは厚生省がやっていますところの年金住宅産業住宅というものは、都道府県にそのまま割りつけてわれ関せずえんです。どういう基準で家を建てているか厚生省は知りません。これは今の保険局長はあるいはそういうことまで詳しく知っておられるかもしれませんけれども、今まで私どもがこの問題についてこの委員会で追及した場合もわかりません。ことに住宅に関する数々の法律ができていることすら知らなかったのでございます。そういうような官僚に左右される大臣であってはならないのです。堀木厚生大臣根本建設大臣も、少くとも自民党内においては相当な実力者でありボスであろうと思うのです。(笑声)だからあなた方が就任されている以上、ボスと言っても悪い意味のボスじゃないのです、親分というのだから。そういう宿弊を、兄弟であったところの両相が直すということが、大きな役目だと思うのです。このほかにも共管になっておっていざこざしている問題もまだまだあると思います。私は建設大臣から今のような答弁を聞くことははなはだ遺憾です。そうすると、厚生年金還元融資住宅というものはあれは別のものである、あなたのその前の前の大臣が口をそろえて、何とかして住宅行政一元化をいたしたい、という意思を当建設委員会において言明をしておりますが、建設大臣は、今のこの下水道の問題について申し合せ事項だから、この申し合せ事項は尊重なすってよろしいけれども建設大臣根本さんとしての、また投票によって衆議院議員になっておられるところの根本さんが、今のような答弁だけでは、根本さんの言う言葉としては私は納得できない。今の年金保険還元融資、これの産業住宅政策というものは、当然厚生省が持っておるべきものでございますということが言えますか。私の言っておるのは病院の場合はこれは別です。病院の場合はなるほど厚生省所管してよろしいと思います。同じ年金保険還元融資としても、建てられる住宅だけは、建設省でなければならぬと思うのですが、これにつきましての建設大臣考え並びに厚生大臣考え一つ伺いたいと思います。
  14. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 住宅問題については御指摘通り、これは従来いろいろの経緯はございまして、労働省では産業労務者のために住宅を作りたいというので、予算要求をしたこともあります。厚生省はまた低額所得者、特にボーダーラインの方々のための住宅をやりたいと、いろいろ意見がありますから、これは意思統一して全部今建設省でやっておるわけでございます。今問題になりました厚生年金還元という問題でございまするが、これは住宅政策という問題からではなく、還元という観点においてのみ取られておって、それがたまたま住宅方面に一部使われておる、こういう問題になっておるようであります。しかし、住宅政策である限りにおいて、これの運用については、たとえば還元する場合においても、各都道府県において実施するところの公営住宅のこれが資金に入れるとか、あるいはまた何らかのそういうふうな公共的な立場においてやるというように考えるべき筋かもしれません。しかし、これは漸次厚生省と話し合いをつけまして住宅問題は一元的に運営していく、こういう方向に進みつつあるのであります。今の問題は将来そういうふうに進めて参りたいと思っております。  それから、先ほど来下水道の問題の私の答弁が気に入らないということで大へん恐縮に存じまするが、現実の問題といたしましては田中さんの御指摘のように、ややもすると官庁内における、いわば権限争いということが事実これはあるわけであります。そういう観点からこれを見れば、権限争いとも見られるわけでありましょう。そのためにこそ昨年これが調整する場合に、いろいろ苦労されたという事実もございます。しかし現実に実施する場合におきましては、両者協議の上、今一応円満に行っておるから当分はこれでいいじゃないか、こう思っておりまするが、政府行政組織のあり方からして、一つ事項処理するに当って、いろいろの見方によって、これが公衆衛生上の観点、あるいは築造の問題から見る場合、いろいろありましょう。しかしながらこれはまあ、ある意味において理論的な見方でありまして、行政の実態からするならば、むしろそうした政府組織の理論的体系ということよりも、むしろ一般国民便益、この点に重点を入れて、組織あるいは所管をきめるべきであろう、これは確かに私もそれには賛意を表するわけであります。従いまして、この問題も将来十分に検討して参らなければならないと思っておりまするが、やはり一つ行政組織といえども、一応の歴史的経過を経て参っておることでありまするから、この点は今後も十分厚生大臣とも協議の上、もしこれが公衆衛生立場から見て、十分に建設省に一元的にやらしてよろしいというように御理解できますれば、場合によっては、その公衆衛生に関する措置についての何らかの措置を講じて、そういうことになるかもしれません。現在のところは、先ほど話したように、現状でそれほどの支障はきたしてないから、わずか一年より経過していないので、今直ちに改めるということは、両省ともまだ踏み切っていない、こういう段階なのであります。そのことを申し上げておるのであります。行政機構の本来のあり方からする田中さんの御議論については、十分敬意をもって検討いたしたいと思っております。
  15. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 実は率直に申し上げて、最近の日本の社会、都市というものを考えてみると、私どもの所掌している環境衛生の面から見ると、まあよく言われる大都市が村だ、形だけはできているが、実態的に見るとこれは村だ、という極端な表現をする人もあるくらいのものであります。環境衛生の問題は、日本の社会が新しい自覚の上に立って、最近進めて参ろうという仕事でございます。私ども議論をいたしたくないので、ここでは議論いたそうとは思いませんが、そういう観点から見ますと、この環境衛生の部門としての上下水道というものは、大きな部分を占めております。しかし実際の行政の能率化から見、考えるときには、現状から私は、下水道はやはり道路を構築する所にまかして、そうしてやった方が能率がいいという観点から物事処理されたのではなかろうか。また私の前に処理されたことでありますが、私自身はそう思っておるわけであります。田中さんのおっしゃることは十分私もわかります。しかしさっき田中さんがおっしゃった病院だって、建設省が作ってくれて一向差しつかえないはずなんです。そういう意味からならば、やはり先ほど建設大臣が言われたように、行政が進歩するとどうしても細分化する。そこで非常に各省にまたがるようになり、そうしてそれが実際の執行において、いつの間にか官僚権限争いがおもになって、権限がおもになって、国民の幸福というものが従になるような形になりがちである。そういう点から実は私は、なるべく田中さんの言われるようにするのがいいと思っております。しかし今回の処置は、この水道及び下水道に関して、長い間のこれは、内務省とおっしゃるといかにも一省だけのように見えるが、実は内務省の中でもまた部局があって、いろいろの問題があったことを聞いているような次第なんであります。むしろこういうふうにして、責任の分界を明らかにすると同時に、現状より見れば、下水道の問題は建設省がやる。それから終末処理については広く公衆衛生立場から、厚生省でやる、下水道自身も問題になるが、現実の国民の利益から見るならば、これを建設省にやっていただくこともけっこうだ。そういうふうな処理の仕方で私はここへきたと思うのであります。従いまして、いかなる分界を立てましてもその場合に、各省がほんとうに行政運営において、実施国民支障を及ぼさないようにするかしないか、ということが一軸大切じゃなかろうか。まあそういう点に心がけをいたしておるわけでありますが、さしあたりのところ私自身も、三十一年一月十八日の閣議決定なり、両省の覚書というものを忠実に守って、国民に御迷惑をかけていかないようにいたしたい。  それから厚生年金住宅の問題でありますが、住宅問題も私の方の観点から考えるといろいろな問題がございます。しかしそういう観点だけで都市が形成されるわけでもないし、しかし都市を形成する場合には、そういう問題を加味していかなければならない。引揚者住宅なり母子住宅なり、あるいは部落対策としての住宅問題なりあるいは勤労者の関係で、厚生年金——これは厚生年金のはちょっと違うのであります。御承知のように、これは厚生年金加入のところが、実際の自分のところの工場の住宅なり寮なり、寮も入っていたと思いますが、これらを作るときに、資金厚生年金の基金から捻出するという形をとっております。各団体で共済組合の金を使って勤労者住宅を作るという形とほとんど似ておる。住宅政策の一環として考えられるかどうか。しかし広く建設省としては、私は住宅政策を、十分新しい都市を作るということからお考え願いたい。まあ率直に言いますならば、最近は実は、私の方は住宅問題は、従いまして建設省に一任しておる。しかし母子住宅について考えて参る、あるいは引揚者住宅について考えていただきたい、あるいは部落住宅として考えていただきたい、そのときに私どもの方の社会政策的な面だけで物は考えられない。建設省も大きな視野から、最近いわゆる都市住宅を、都市建設するという観点から、低家賃対策までお考えになっておることなんかも、私どもの方も非常に賛成するというふうに、両省、両大臣がしっかり所管庁を把握いたしまして、そうして両省の間に、その行政の分野から実際のギャップが起らないようにして参る、これが私どものやるべきことだと思って、そういう方向に向って努力いたしておるような次第であります。     —————————————
  16. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) この際、委員の変更について御報告いたします。本日村上義一君が委員辞任され、その補欠として杉山昌作君が委員に選任されました。     —————————————
  17. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 引き続き御質疑を願います。
  18. 田中一

    田中一君 保険局長に伺いますが、この住宅融資条件というものは、建設省が持っておる産業労働者住宅資金融通法融資条件と異なっておりますね。そこでこれは、どういうあなたの方の機関を経てそういう決定をされたのか、あるいは融資の対象は同じです、それがおのずから異なっておるということはどうかと思うのです、実際。その点の話し合いはどうなっておるのか。一つ住宅局長保険局長からも伺いたいのが一つ。それによって、それを国民が受ける受け方というものは非常に相違があるわけなんです。で、技術指導その他のものも一切建設省にまかすというのも、これも一つ方法堀木厚生大臣が言っておるように、病院建設そのものは、計画厚生省がやって、建設そのものは建設省に委託してやるということも一つ方法。やはり一歩退いて、今の段階ではやむを得ぬとするならば、それらのものが国民に迷惑しないような形で持つことが一審正しいと思います。それを両局長から伺いたいと思います。
  19. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) ただいま田中先生のお話になりましたようなことは、かねてから議題になっておりましたし、それから昨年の夏にも、ある経済団体からそれに関する要望もございましたので、さっそく私といたしましては研究を始めたわけでございます。この厚生年金住宅というものは、先ほど建設大臣からお答え申し上げましたように、厚生年金還元融資という性格が相当強いものと、私といたしましても理解いたしたわけでございます。この資金面まで一挙に建設省所管に移すということはどうであろうか、それは私の事務的な考え方かも存じませんが、そういう観点に立ったわけでございます。そういたしました場合におきまして、貸し付けいたします先は会社の事業場でございます。そういう方面から見た場合に不便がないかどうか、ということがまず考えられなければならぬ第一点かと存じます。またもう一つの役所側から見た場合におきまして、そういうふうに融資されました住宅が、真に住宅政策に即応した規格のものか、また堅牢なものが建っておるかどうか、こういう問題も検討しなければならぬ問題かと存じておるわけでございます。ただいま申しました第二の点につきましては、私ども従来は多少所管でございましたのでございますが、それについてはただいままでのところ、何らの情報は得ておるわけではございませんが、金を借りる方の立場から申しました場合に不便がないかというこが、まず第一番に考えねばならぬ問題かと思うわけでございまして、ある経営者団体からの要望書におきましては、この住宅資金を借りますのに、公庫と厚生年金の担当の厚生省との両方を走り回らねばならぬ。何かの事情で会社の方で戸数を減らすということになりますと、どちらかへ断わりに行くために若干行き詰りがある。こういう問題がございまして、その点で若干、相当借りる方におきましては苦心もあるように感じましたので、昨年の秋から、言葉は不適当でございますが協調融資、協調融資は通常一つ事業に対しましては、二つ以上の金融機関が貸す場合でございますが、貸付先の決定に対してお互いに協議しようじゃないか、ということを申し入れておったのでございます。今回の御審議の途上におきましても、そういう質問が他の委員会でもございましたので、保険局長と打ち合せましてこの点を推し進めるということにつきまして、両局長間においては意見の一致を見ておるわけであります。私自身が保険局長と接触する段階には立ち至っておりませんが、担当の課長をして、ただいま申しました線に沿いまして、どういう具体策で実行するかということについて、交渉を始めておるわけであります。私も担当課長間の話し合いがうまく私の企図いたした通りに解決いたしません場合には、担当の局長とも交渉いたしまして、住宅行政として一元化いたしませんでも、借りる側からいたしますれば一元化いたしたと同じようにするということを目標といたしまして、何らか妥結点を見出したい、かように考えておるわけでございます。
  20. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) ただいま住宅局長からお話になったことで要点は尽されておるわけでありまして、お話にもありましたように、私ども厚生年金還元融資を通じまして、住宅政策を行うという考えは毛頭ございません。段階といたしましては、まず住宅政策方向住宅局でおきめになっ方向考えていき、ただそういうふうないわば第一の段階を通過いたしましても、たとえば厚生年金の保険の保険料の納入成績が悪い、あるいは過去において納入した保険料に比べて、融資を受けようとする金額が余りに多いとかというような、いわば厚生年金還元融資個有の観点からみまして問題がありまする場合には、それをしぼっていく。そういうような順序で、いわば住宅政策観点からみて、第一次予選を通過したものをさらにしぼっていく、こういうような考え方でやっておるわけでございます。ただ考え通りに実際上従来運びにくかったのでありますが、先ほどお話がありましたように、特に植田現局長就任以来非常にその点御熱心でありまして、われわれにも呼びかけがありまして、気持は全く同じでございます。お話があったような方法によりまして、実質的にうまくやっていこうということで現在相談をしている次第でございます。
  21. 田中一

    田中一君 というわけなんです。そこでその現われが、やはり下水道管理につきましても、同じような現象が出るのじゃないかと私は考えているのであります。もうこれは政府部内で、行政機関のそれぞれの問題に対する考えは自由でありますけれども、国会としてはやはり国民意思を知り、そうして要望をしているわけなんですけれども、種々の条件があろうと思う。そういうことが一元化されたために、国民が迷惑になるものじゃないんです。今の保険局次長のお話のように第一次条件というものを当然あなた方が、そのデータを与えて住宅金融公庫にさせてもよろしいのです。特別に金が厚生省でなくちゃ、厚生省がそれをしなくちゃならぬということじゃないのです。私はそのように、どうも数々の問題で厚生省建設省の間には、まだ国民のためにという大原則が忘れられているのじゃないか、というように考えられるわけなんでありますけれども、先ほど両大臣から、はっきり、何というのか具体的な方向は示されておりませんけれども、そういうことがあっちゃならぬという感じを私は受けたのであります。ではやはりわれわれとしては、ここで当委員会意思として、どうしてもこれは法律案を修正するか、あるいは譲って付帯決議案でもつけたければならない。そういうものをつけたくないと思うから、るるこういう総括的な質問をしているわけなんでありますけれども、今のような御見解では、どうしてもそうならざるを得ないと私は考えるのです。私は大体この辺で質疑はやめますが、大体両大臣の気持はわかりました。そういうことでは、全く国民の公僕としての、国民を中心としての行政のあり方じゃないのではないかというように感ぜられるわけです。  一応これで質疑はやめます。
  22. 坂本昭

    ○坂本昭君 大へん重大な質疑が行われておりましたが、私はただいまの在宅問題に関連しまして、一言別の立場からの質問になるかもしれませんが、一言申し上げたいと思います。  それは当面の問題は、なるほど建設委員会で論ぜられておりますけれども、これらの問題は、むしろもう少し高い政治的な立場で検討を要する点が、非常にたくさんあるのじゃないかと思うのです。なるほど官僚セクト主義によって、ただいまも住宅局長は不用意に出されたのですが、厚生年金積立金を建設省に、全部を持ち込むとまでは言わなかったけれども、そういう意図なきにしもあらずのような感じの発言があったのですが、これはなかなか重大なことで、なるほど住宅政第に熱心であったとしても、この年金の積立金はまた全然別の性格を持っているものなんであります。で私たちは、広い意味で国土建設設に関する問題、それからまた国民の社会保障に関する問題、少し高い視野からも、当面の行政を検討する必要がどうしてもあるのです。ことに従来厚生省というものは、堀木大臣が就任せられて以来いよいよその株が上って、なかなか重大な地位を占める大臣になりましたが、どうも日陰の省であったということは、私事実として認めざるを得ないのです。たとえば住宅政策に関連しても、母子住宅にしてもあるいは病院にしても、厚生省の単価というものは、いつも建設省の単価の半分以下ぐらいなんです。実にみみっちいことしか厚生省はやらなかったということ、しかしこれでは厚生省の役割は果されないのであって、特にこの今の年金問題など、国民皆年金と皆保険と連ねていくと、現在の厚生省の組織では私はとうていやりきれないと思うのです。なるほど年金は今二千億ぐらいですか、約一千万ぐらいの人が関係して二千億ぐらい積立金がある。これが将来九千万に全部広げられたときには、何兆という莫大な金額になる。そういうものを一方には持っておられながら、また別の面では環境衛生一般に対する技術的専門的面も厚生省は持っておられる。それであちこちから足を引っはられておるから、厚生省もずいぶんつらい立場に立たせられておりますが、この下水道の問題については私はきょうはあえて触れませんが、厚生省としてはこの際思い切ってこの厚生省の目標と組織とを改めて、そしてその中の不必要なものはよその省へやってもいいし、しかしその中の厚生省の一番大事なものは、あくまでも自主性を持ってやっていただきたい。そういうことを私は厚生大臣に深く要求するとともに、それらに関連してほかの閣僚も、特に根本大臣のような最も重要な政治力を持っておられる大臣が、そういう面で厚生省を見られ、また国土建設の政策、社会保障の政策、そういうものについて十分な御検討をいただけるかどうか、両大臣に一言伺っておきたいと思います。
  23. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) なかなか厚生大臣としての抱負経綸を述べさしていただく時間はございません。ことに建設委員会でございまして、しかし本直に申して現在のところ私どもの要求することは、建設大臣も進んでその後の細目について御催促なるような状況であります。先ほどあげました母子住宅の問題、同和対策の問題、引揚者の問題、そのほか都市の各般の関係、これはもう実際は率直に申して、近代都市を形成するのには、私ども考え方がもっともっと都市生活に入らなくちゃならぬ、私はそう思っております。かたがた国民年金をいたしますと、これは国民年金の運用ということは、もうすでにその制度を始めておる所では、その国の復興、復興と申しますか、あるいは社会の向上進歩と経済の発展と必ず結びついて、しかも現在の預金部で運用していくような消極的な形でなしにいかなければならぬということは、もう大したことだと私は思っております。ただこの建設省との関係に関する限り、何と申しますか、もしも私の関係部局のところで建設省とまだ何らかのことがありますれば、これは別でありますが、しかし私も官僚出だから官僚のセクショナリズムにはこりております。かって私が官僚時代に、建設省の橋の問題と鉄道の橋の問題では、長い間けんかばっかりしておるので驚いたことがあるわけであります。そういう点はもう重々こりておるので、しかし現在のところ非常に、建設省が積極的に新しい都市というものを作ろう、という意欲に燃えておられて、その点については私は今何ら支障がございません。また自分部局をそれによって指導いたして参りますことも、これはもう間違いなくやりたいと思っております。今後ともそういう観点から両大臣とも行政を指導して参りたい、またそれについてのある程度の自負心は持っておるということを、あえて申し上げてお答えといたします。
  24. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 国民年金制度の確立ということはす下に、岸総理もまた与党としても、これは最も重要なる政策として掲げておるわけでありまして、これが充実並びに促進については、国務大臣として十分に参与して参りたいと思います。なおそうした場合に膨大なる資金がここに出てくるわけでありまして、この資金をいかようにこれを運営するかということは、年金制度それ自身のためのみならず、日本の社会の繁栄、安定のために大きなウエートを持つことになるのでありまして、ただいま問題になっておる単なる還元融資という問題を越えて、大きな視野によってこれが活用をはからなければならないと思いまして、今後十分その線に沿うて鋭意検討して参りたい、かように考えております。なおただいま厚生大臣からお話がありましたごとくに、一般の公衆衛生観点のほかに現在日本で一番問題になっておるのは過大都市、あるいはまた都市生活の基本的条件が非常におくれておる、このために一般文化並びに経済を阻害しておる点が非常に多くありますので、単に建設省が営造物を作るという観点を越えて、新たなる都市改造の面にまでも進めなければならないと思いまして、これらの点につきましてはただいま厚生大臣からお話がありましたごとくに、常時積極的に連絡をいたしております。住宅問題といい、あるいは環境衛生の問題といい、現在のところは割合にスムーズにいっておりまして、むしろ権限争いということは、今あまりわれわれは感じておりません。むしろ共同で、いかにしてこの問題を処理するために必要なる財源を獲得するかにおいて、共同戦線を張っていくかという状況でありまして、問題は厚生省建設省権限争いよりも、いかにして大蔵省当局を説得するかというところが問題なのでございまして、おそらく今後年金制度が確立する場合においても、この運用の場合においてわれわれと大蔵省との間に、かなり資金の活用の面において議論が出てくるだろうと思いまするので、この点についても十分ただいま坂本さんのおっしゃいました点を考慮にいれて、善処したいと考えております。
  25. 坂本昭

    ○坂本昭君 ということで財源問題が出てきたのですが、そこで私たち野党として、どうしても最後に一言申し上げておかなければならぬことは、なるほど今の財源獲得のために厚生省建設省両方相ともに協力共闘されるのはけっこうですが、今の年金の場合だけじゃありません。財政投融資につきましても、その原資になるものは一体どこからきておるか、たとえば郵便貯金、郵便年金、あるいは厚生年金、そういったものが七割を占めておるが、これは一体だれが出しておるか。それは日本の零細なる労働者、農民そういう人たちが出しておる。ことに今のこの厚生年金積立金はどうですか、一人基準月二千円しか払っていない、余る一方なんです。余らしておいてそれを厚生省建設省の皆様方が、皆様方の現内閣の政策に従ってお使いになる。その元を出した人たちのためにほんとうにお使いになるようなふうに、皆さんの政策を進めていただかなければ、これは現内閣も長くは続かぬと思う。特に年金問題については非常に深刻な問題があって、あるいは私は単なる還元融資の問題ではないと思う。この点は所管局長また厚生大臣だけじゃありません。皆さんで日本の国をよくするために、よほど慎重に考えていただきたいことを、最後に申し述べて質問を終ります。
  26. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 他に御発言ございませんか。……他に御発言もございませんようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 御異議ないと認めます。    ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  28. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 速記を始めて下さい。   それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。……別に御意見もないようでございますから直ちに採決に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 御異議ないと認めます。   それではこれより採決に入ります。下水道法案を問題に供します。本案を衆議院送付通り可決写ることに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  30. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。
  31. 田中一

    田中一君 私はこの際、社会党、自民党、緑風会共同の付帯決議案を提出いたしたいと存じますが、その案文を読み上げます。     付帯決議案    政府は、公共下水道の整備を促進するため、公共下水道所管に関して一元化を図るよう、速かに所要の改正措置を講ずること。     右決議する。
  32. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 自民、社会、緑風三派共同提出にかかる付帯決議案を議題といたします。自民、社会、緑風三派共同提出にかかる付帯決議案を、本委員会の決議とすることに、賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  33. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 全会一致と認めます。よって自民、社会、緑風三派共同提出にかかる付帯決議案は、全会一致をもって、本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、本会議における口頭報告の内容、及び議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ござ  いませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 御異議ないと認め、さように決定いたしました。  それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   〔多数意見者署名〕     小酒井義男  坂本  昭     小山邦太郎  内村 清次     杉山 昌作  平井 太郎     田中  一  岩沢 忠恭     稲浦 鹿藏  酒井 利雄     石井  桂  鈴木 万平
  35. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) それではこれで散会いたします。    午後三時十五分散会      —————・—————