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1958-04-15 第28回国会 参議院 建設委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月十五日(火曜日)    午後一時五十一分開会     —————————————   委員の異動 四月十一日委員西田信一君、後藤義隆 君及び坂本昭辞任につき、その補欠 として鈴木万平君、大谷藤之助君及び 松澤靖介君を議長において指名した。 四月十四日委員大谷藤之助君及び紅露 みつ辞任につき、その補欠として迫 水久常君及び平島敏夫君を議長におい て指名した。 本日委員最上英子君及び松澤靖介君辞 任につき、その補欠として高野一夫君 及び坂本昭君を議長において指名し た。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     竹下 豐次君    理事            石井  桂君            岩沢 忠恭君            稲浦 鹿藏君            田中  一君    委員            小山邦太郎君            迫水 久常君            高野 一夫君            平島 敏夫君            内村 清次君            坂本  昭君            重盛 壽治君            戸叶  武君            村上 義一君            森田 義衞君    衆議院議員            小澤佐重喜君            小牧 次生君   政府委員    経済企画政務次    官       鹿野 彦吉君    経済企画庁総合    開発局長    伊藤 正義君    農林政務次官  瀬戸山三男君    農林省農地局長 安田善一郎君    建設省河川局長 山本 三郎君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選台風襲地帯における災害防除に  関する特別措置法案衆議院提出)     —————————————
  2. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、委員変更について御報告いたします。四月十一日、坂本昭君、後藤義隆君、西田信一君が委員辞任され、その補欠として松澤靖介君、大谷藤之助君、鈴木万平君がそれぞれ委員選任されました。また四月十四日、大谷藤之助君、紅露みつ君が委員辞任され、その補欠として迫水久常君、平島敏夫君がそれぞれ委員に選任されました。  本日、松澤靖介君、最上英子君が委員辞任され、その補欠として坂本昭君、高野一夫君がそれぞれ委員に選任されました。     —————————————
  3. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 本日の委員長理事打合会について御報告いたします。  委員会審議日程について協議いたしましたところ、本日は、台風襲地帯における災害防除に関する特別措置法案提案理由説明聴取の後、質疑行い質疑終了後、採決する。十七日には下水道法案質疑後、採決する。二十二日に首都圏市街地開発区域整備法案質疑を行う。請願はその後の委員会で行う。以上のごとく申し合せましたので御了承を願います。     —————————————
  4. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) この際お諮りいたします。  西田信一君が委員辞任しましたので理事が一名欠員となっております。つきましてはその補欠互選を行いとうございますが、互選方法成規の手続を省略して、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 御異議ないと認めます。それでは私より岩沢君を理事に指名いたします。     —————————————
  6. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 台風襲地帯における災害防除に関する特別措置法案を議題といたします。  まず、発議者衆議院議員小澤佐重喜君から提案理由説明を聴取いたします。
  7. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) ただいま提案いたしました台風襲地帯における災害防除に関する特別措置法案について、自由民主党並びに日本社会党を代表いたしまして、提案理由とその内容概要を御説明申上げます。  狭隘な国土と過大な人口をかかえて、原料資源の大半を国外に依存しなければならないわが国において、民生を安定し、産業を振興し、進んで経済自立再建を達成するためには、国土保全開発が、最も緊要な前提的要諦であることは申すまでもありません。顧みるに、わが国は、その地位的、気象的悪条件に累せられて、年々歳々おびただしい風水害をこうむり、その被害はきわめて甚大と相なっておるのでありまして、試みに、終戦以来近年に至る被害額に徴しましても、年平均二千五百億といわれ、総額三兆円の巨額に上るものと推定せられるのであります。しかも、これらの災害防除復旧財政上その他の制約のために、常に手おくれを余儀なくせられ、事業進捗意のごとくならず、累年災の悪循環を繰返している実情にありまして、まことに遺憾痛心にたえないところであります。  ことに、九州地方のごときは、宿命的な自然災害の常襲地帯として、連年甚大な災禍に悩まされているのでありまして、いわゆる過年度災の累積により、復旧は遅滞し、事業効果は減殺せられ、ひとたび天災の再来にあうや、収拾すべからざる不測の事態を招来することと相成るのでありまして、このことは二十八年度災における未曽有被害について見ましても、また近くは昨夏の西南九州水害惨禍に徴しましても明らかなところであります。今にして災害の禍根を芟除し、抜本塞源の建設的方途を講ずるにあらずんば、国土の損耗、民生の困苦はもとより、国利民福の増進、産業経済の伸長のごとき、まさしく樹によって魚を求むるにひとしく、到底期して望むべくもありません。従って、この際、旧来の災害対策に根本的再検討を加え、新たなる見地に立って、劃期的恒久対策を確立しなければならないと思うのであります。このことは、ひとり、本地方住民積年悲願たるのみならず、広く国土保全大局的見地よりきわめて喫緊な国家的要請であるといわねばなりません。ここにおいて、まず、いわゆる災害襲地帯対象とする特別の立法措置を講じ、災害未然防除萬全を期し、もって民生の安定と、進んで国土開発に寄与せんとするものであります。  自由民主党並びに日本社会党におきましては、叙上の実情に鑑みまして、昨年来それぞれ党内九州開発特別委員会を設け、特に災害対策を中心として、鋭意、具体的方策検討を進めて来たのでありますが、ようやく成案を得るに至りましたので、さきに、本国余勢頭全会一致をもって可決せられました、九州地方開発に関する決議の趣旨に却応して、ここに本法案提案することと相なった次第であります。  以上この法律案提案する理由であります。  次に、本法案内容についてその概要を申上げます。  まず、本法案目的に冒頭第一条は規定せられている通り台風襲地帯対象として、公共土木施設等に関する事業について、防災上特別の措置を講じ、もって国土保全民生の安定をはからんとするものであります。  しかして、これら災害防除事業の範囲については、河川以下第二条に列記する基本的事項に関し、台風襲地帯対策審議会議決を経て、内閣総理大臣がこれを指定することになっているのであります。  第二に、台風襲地帯指定につきましても、台風来襲回数及び強度並びに降雨量その他の事情を勘案して、審議会議決を経て、内閣総理大臣がこれを行うことになっております。しかして、この指定具体的基準政令で定めることといたしてありますが、これは既往災害被害額復旧費等の多寡に拘泥せず、数十年来の台風来襲回数強度及び降雨量など過去の事実に基いた客観的尺度をもって科学的に画定するものでありまして、これに該当する地帯は、ひとり九州地方のみに限らず、すべて本法適用地域となるのであります。  第三に、事業計画の策定につきましては、一応、本年度以降五ケ年を目途として、関係主務大臣においてそれぞれの年次計画を作成し、特に閣議の決定を求めるごとといたしまして、事業総合かつ強力な計画的推進をはかることといたしたのであります。なお、三十八年度以降の第二次五ケ年計画をいかにするかについては、あらためて内閣総理大臣関係大臣意見を徴し、審議会に附議してこれを決定することにいたしました。  第四に、内閣総理大臣諮問機関として、総理府に台風襲地帯対策審議会を設置することといたしたのでありますが、本審議会は、前に申し述べました通り、常襲地帯指定災害防除事業具体的指定等に関しましては、実質的にきわめて枢要な役割をもつものでありまして、同時に災害防除に関する各般の基本的事項を調査審議する等、その機能はまさに本法運営の核心をなすものであります。  第五に、事業実施に伴う経費の問題でありますが、もともと本法の意図しましたところは、ただに事業量の増大のみならず、事業費負担区分について、常襲地帯における特例を設け、国庫負担の一律二割増率規定し、もって地方負担の軽減に資せんとしたのでありますが、中央、地方を通じ財政上その他諸般の事情を勘考いたしまして、一応これを見送ることとし、この際、本法本来の事業計画実施に必要な経費については、国の財政の許す限り、これを予算に計上するの義務を明確に規定するとともに、地方公共団体に対し、必要に応じて、高率補助その他特別助成の道を開く等、弾力性ある措置を講ずることとしたのであります。なおまた財政再建団体に対しましては、事業計画実施を円滑にするため、財政計画変更について適切な措置を講じ得るよう配意いたしました。  なお、この法律は公布の日よりこれを施行することといたしまして、これが実施に伴う国の財源については、本年度さしあたり五千万円を想定し、所要の予算を計上しているのであります。  以上がこの法律案提案理由とその内容概要でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げる次第であります。
  8. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) これより質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言を願います。  なお申し上げます。小澤衆議院議員のほか提案者小牧衆議院議員と、経済企画庁総合開発局長伊藤君が出席しておられます。
  9. 田中一

    田中一君 一応これは逐条ざっと御説明願った方が……。
  10. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) 第一条はこの台風襲地帯における一つの定義を規定しておるのであります。そうして第二条は、この災害防除事業意義規定しております。また第二条の二項におきましては、五カ年計画意義について説明をしております。第三条は、最も本立法をするに当りましては苦心をした点でございましたが、結局その基準政令で定むることにいたしておりますが、その予想いたしておりまする政令は、第二にこの台風強度の指数を七〇〇以上にすること。第二には平均降雨量、これは総降雨量といたしましても六月と九月でございまするが、一千ミリ以上にするごと、こういう政令をまあ予想をいたしておりまして、この尺度によって、いわゆる災害襲地帯というものの指定基準をはっきりする、ということにいたしておるのであります。  第四条は主務大臣の問題でありますが、第二条に規定してありまする通り建設省関係運輸省関係農林省関係等、すべて総合的にこの法律目的になっておりまするので、この主務大臣は、申すまでもなく事業の種類によりまして、建設大臣になったり農林大臣になったり、あるいは運輸大臣になったりすることがありまするが、総括的な仕事企画庁においてやっていただくことになって、その事務的主管は当然内閣に従属することになっております。  第五条におきまして、この五カ年計画変更することができることになっておりまするので、その変更した場合におきまする方法でございます。  六条以下はいわゆる台風襲地帯審議会構成であります。八条に示してありまする通り審議会構成衆議院議員のうちから五人、参議院議員のうちから三人、関係行政機関の職員が八人以内、都道府県知事が二人、都道府県議会議長が二人、学識経験者が三人以内、というような形で構成することになっております。  第八条の2、3、4、5、6は一般会議規定基準にいたしまして、会議運営についての方法をきめております。  第九条は、資料の要求あるいは陳述説明等を求むることができる規定であります。  また第十条は、このほかこの審議会をよりよく運用するについて、詳細な規定が必要な場合には、政令で定むるものという規定をしたわけであります。  第十一条は一番大事な問題でございまして、実は原案におきましては先ほど御説明申し上げました通り、百分の二十の高率補助をするというように作っておったのでございましたが、いろいろ大蔵省等と交渉の結果、まず直ちに補助額法文に明記することなく、一項、二項によって予算を優先的に計上するということ、また必要によっては、地方財政法の第十六条の規定によって、高率補助をできることに規定しておるのであります。  第十二条は、地方財政再建促進特別措置法との関係であります。  十三条は、昭和三十八年度以降において、さらにこの第二次的な災害があった場合におきまする長期計画規定でございます。  以上が大体この規定でございまして、あとは、付則は当然この法律ができることによって、改廃をしなければならぬところの事務的な規定でございます。  簡単でありまするが説明といたします。
  11. 田中一

    田中一君 私は、こういう臨時措置法衆議院において、自民、社会両党の共同提案として提案されること自身がおかしなものである、という考え方を持つのですよ。というのは、基本的にわが国国土保全ということも、災害に対するおよそ、財政的な援助、技術的な援助というものも、当然現在あるところの法律によって規制されております。それをなおかつこのようか局部的な、現象的な法律案提案しかきやならなかったかという点については、現在の政府の政策の貧困と公約無視ということが、この現われであると思うのです。従って衆議院におきますところの、これは全部網羅しております。いわゆる政府機関国会議員を除いた方々を網羅しておるところのものは、政府に対する不信任案提出だというような見方もあえて過言ではないと思うわけです。  そこで衆議院におきましてこのような法律案提案されるに至った経緯、ただ単に、自民党九州開発特別委員会というものがどういう形で論議され、そうしてまたこのような法律案が急遽上程されてきたか、という点の経緯を伺いたいのがまず第一点。  第二点としては、国民は、少くともこれらの施策というものは、当然、前段に申し上げたように他の法律によって、もし政府が誠意をもってやるならば、完全に遂行できるもののみであります。従って近くあるであろうと予想される、解散に対するおみやげ的な法律案ではなかろうか、ということも国民は感ずるかもわかりません。まあ幸いにして、岩手県出身小澤さんが提案者になってきているんだから、私の質問もなかなか上手にあなたが答弁をして逃げていくことがあるだろうと思いますが、まあ小牧君が鹿児島出身で来ておりますから、十分に小牧君に対しても御質問したいと思いますので、この二点についてまず率直に、衆議院におきますところの提案に至るまでの経緯を御報告願いたい。
  12. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) 田中さんの質問にお答えしますが、第一点ですが、実は先ほども御説明申し上げましたが、終戦後の日本というものは国土が狭隘でありまして、しかも人口が加速度的にふえていく。こういうような形にありますと、どうしてもこの狭い国土というものを完全に開発をいたしまして、そうしてだんだん民生の安定に資していきたいということは、どなたもお考えになるだろうと思うのであります。そういう意味から自民党におきましても、社会党もそのように考えておりまするが、先に北海道開発特別委員会というものができまして、その後東北開発特別委員会というものもできております。そういうだんだん考えてみますと、北海道開発東北開発して、九州をうっちゃっておくという手はないじゃないか、という議論が出るのもけだし当然なことだと思うのであります。まあそういう形で実はこの九州開発特別委員会というのが、昨年の五月に私の方の党内にできたわけであります。  そこでこの九州開発特別委員会で、一番先にこの九州開発するについては、どういう仕事をすることが至当かというような点について、たとえば有明海の開発とかあるいは阿蘇山系開発とか、いろいろな研究をして参ったのでございましたが、いずれにしても調査が完全に参りませんでした。そこでこの九州の県民が一番要望いたしておりまするのは、何といっても九州災害の常襲地帯である、そうして他の地方ならこうむらぬでいいものを自然天然とはいいながら二度、三度と累年にわたって災害をこうむっておるということに対して、同じような全国平均したいわゆる政府施策ということでは、少し冷淡ではないか。やはり自然天然にいたしましても、他の地方にもたびたび常襲する災害地方に対しましては、それだけ政府が心を入れてやってこそあたたかい政治ではないか、というような声がほうはいとして九州地方に沸いておったのであります。そういうような点から何よりもまず初めに、この災害襲地帯として九州の苦しんでおるところの人々に対して、何らかあたたかい手を伸ばすことが適当だ、という意見一致をいたしたわけであります。  しかしながらいろいろこの法案考えてみますと、災害襲地帯は必ずしも九州だけではないというような意味から、九州だけの法律ではかえって不公平になるから、やはり九州と同程度の災害の常襲を受けて苦しんでおる人々に対しては、やはりひとしくこれを適用して、そうしてこの法の公平妥当ということにいくべきではないかというので、これは大体九州には全部適用にはなりますけれども、九州以外でも九州と同じような惨禍をこうむっておりまする、たとえば高知県であるとかあるいは徳島県であるとかあるいは和歌山県、あるいは三重県というような所へも適用いたしまして、そうして天然自然によって年々悩まされておる人たちに、たとえ幾分なりともあたたかい考慮の上に政治が行われていくことがよいのではないか。こういう趣旨でこういう経過を経まして、この立法が生まれたわけであります。  それから田中さんのおっしゃった第二点でありますが、昨年の五月ごろは今解散になるだろうというようなことは実は考えておりませんで、任期一っぱいやれるつもりであったのでありますが、急にこの法律進行解散進行とが偶然に一致したのでありまして、決して売名的にこれをやる考えは毛頭ございません。どうぞ御了承願います。
  13. 田中一

    田中一君 国土総合開発法には、現にもう北九州南九州阿蘇山系指定されておるのです、特別地域として。従ってこの国土総合開発法にははっきりと「水害、風害その他の災害防除に関する事項」というものがはっきりしているわけです。ことに二重の特定地域一つとして北九州南九州阿蘇山系というものは指定されている。そういたしますと、この法律では具体的に補助率その他をきめておらぬから、国土総合開発法と何ら変りがないという考え方にならざるを得ないと思うわけです。  そこで、経済企画庁伊藤君に伺いますが、これは衆議院の両党から強圧されてあなたは納得しているものか。それともあなたは自分の方で今担任している国土総合開発法というものに、あなたの方の所管大臣河野さんは全然関心を持たない。そうしていまだかつて国土総合開発法審議におそらく河野長官は出席したこともなかろうと思うのです。そういう庁内の問題から、ぜひとも衆議院におきますところの両党に要請するようなことがあったかどうか。そうしてあなたの方のこの法律によるところの受け方というものは、どういう態度で臨むつもりかということを御説明して下さい。
  14. 伊藤正義

    政府委員伊藤正義君) 今田中先生より三点御質問があったのでございますが、順序が不同で恐縮でございますが、たとえば企画庁として、こういう法案を作っていただきたいということを要請したようなことはないかというお話でございますが、われわれとしてはそういうことはいたしておりません。実は今田中委員からお話がありました特定地域の問題がございますが、御承知のように今御指摘のありましたような九州地方もかなりの部分特定地域指定されております。しかしわれわれ国土総合開発法を施行しておりまする者といたしましては、やはり特定地域指定だけではまだ不十分でございまして、今全国土開発計画というものを考えておりますが、やはりある程度何かの対策を必要とするということは、われわれ特定地域関係を担当している者といたしましても考えております。  それで、政府といたしましてやっておりますところで、若干足りないと思われるものがございますので、おそらくこういう法案提案になったのであろうかというふうに考えております。でありますので、われわれといたしましては、党側からどうというようなことは全然ございませんで、衆議院でこの案が審議になりました際も政務次官が出席されまして、特に御要望に対して政府が反対するということでなくて、これができますればこの法文に沿いまして極力、総合的な防除計画国土総合開発法にあわせまして、その一連の法律といたしまして施行して参りたいというような答弁をいたしております。
  15. 田中一

    田中一君 国土総合開発法では不十分だという点を指摘しているわけです。あなたの方でそういう発言があったかどうか。
  16. 伊藤正義

    政府委員伊藤正義君) 今私が申し上げましたのは、特定地域といたしましては、たとえば九州地方全部というようなものを考えてみました場合に、九州地方がかなりほかの地域と違いまして、台風その他につきましては頻度も非常に高い。これは九州だけではございません、ほかの地域も若干入りますが、そういう地域につきまして、台風災害というようなことだけを限定いたしまして、特定地域というものもなかなか運用しがたいというふうに考えますので、たとえばこの九州開発が問題になりました場合に、特に台風被害が多いのだ、ということを重点にして考えますと、特定地域だけではまだ考えております。
  17. 田中一

    田中一君 河川局長に伺いたいのですが、南九州地方並びに四国あるいは中国地方、まことに台風が年々常襲しておりまして、今提案されているような法律案も、国土総合開発法では解決できないという点があるので提案したのだ、というような説明を聞いておるのです。そこで現在まで災害のあった地域に対する国の原型復旧、あるいは改良等を含めての工事予算というものは、比率としては他の府県と比べてどのような差異があるか。あるいは現在あるところの災害国庫負担法によって、同率のものでやっておるのだということ、あるいはもう一つは、災害が常に起きるというような地域に対しての技術的な指導は、災害を受けない部分と同じような構想とか同じような基準提防河川あるいは地すべり等、一切の防護施設をどのように行なっているのかという点をお伺いいたします。
  18. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) まず第一に、台風のいつも乗る地点に対しまして復旧工事なりあるいは事業を、ほかの地域との関連においてどういうふうに考えておるかという点でございますが、御承知のように災害復旧工事につきましては、全部原形に復旧する分でございますので、これは法律に定められた通りにやっております。ただ緊急やらなければならぬ事業が、非常に台風が何べんもきたり、あるいは被害のひどい地域については多いわけでございますから、緊急に急いでやらなければならぬものが多いのでございますので、それに応じて予算はやはり余計にいくというふうになって、おります。  それでは災害防除する施設についてはどうかということでございますが、これについても最近におきましては事業費は、ほかの地域に比べましてはやはり台風が何べんも参りますし、しかも被害が多いという現実に即しまして、どうしてもやらなければならぬ事業が多くなって参っておりますので、実際におきましても予算はふえて参っております。  それから技術的にどういうふうな違いを考えておるかということでございますが、これは私どもが計画を立てる際におきましては、雨がどのくらい降るか、あるいは何年間にどれくらいの回数降るかというような点を検討いたしまして、たとえば大きな河川につきましては、百年に一回くらいはこのくらいの洪水がくるだろうというようなことを検討いたしまして、それを幕準といたしまして河川計画を立案するわけでございますが、そういうときにやはり回数が多かったり雨の量が多かったりいたしますと、基礎資料といたしましてそれらのファクターが入ってくるわけでございます。従いまして工事の規模は河川の流域の面積に比べまして、やはり対策工事というものは、規模が比較的大きくなければならぬということでございます。従いましてその規模がきまりますると、それに応じて予算も配分いたすわけでございますから、そういう点を加味されまして事業も行われている、というのか実情でございます。
  19. 田中一

    田中一君 そういたしますと原形復旧というような原則からもう少し伸びを示して、負担率は国庫負担法におけると同率であるけれども、改良の面を相当大幅に含んであるから、財政的な面も他の府県から比較すると、実現した防護施設というものは相当なものを示しているということになるわけですか。
  20. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) ただいまのお話は、災害を受けた場合にその復旧をどういうふうな形でやっているかという問題でございますが、やはり災害を受けた場合におきましては、災害復旧といたしましてできるだけの災害復旧は入れるように措置をいたしております。それからそれ以外の関連事業、普通の関連事業も入れておりますから、そういう面からみますと、事業の促進は災害に応じてもされている、災害の起った被害の状況に応じても、やはり金はよけい入っている、というのが実情でございます。
  21. 田中一

    田中一君 負担率は全国的に同じですね。
  22. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 災害復旧の負担率につきましては、累年災害と申しますか何回も重なった場合には負担がふえますけれども、普通の場合には全国一律でございます。その負担がふえる場合も全国的に基準適用しております。けれども、災害の数の多い所につきましては、そういうのが適用される数が多い、というのが実情でございます。
  23. 田中一

    田中一君 戦後台風の襲来によって決壊した数々の施設、それを復旧した場合、それがまた同じようにその個所が決壊したというようなことはどのくらいありますか、この常襲地帯として指定されると予想される地域において。
  24. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) そういう具体的に何カ所あるということはただいまは申し上げられませんが、戦争直後におきましてしばらくの間は非常に材料等が悪かった、あるいは急いでやつたというような問題のために、災害復旧をした所がまたやられたという例もありますし、また資金が回らないために工事が途中であってやられたというような例もありました。しかし最近におきましては、そういう点も非常に各公共団体も注意してやるようになりましたし、災害を受けた所を復旧したものが再びやられたという例はほとんどございません。
  25. 田中一

    田中一君 これは小澤さんと小牧さんに伺いますが、建設省は非常に良心的に高率補助も行い、そして常襲という形でくるけれども、一ぺんやった所は最近においてはそれはこわれておらないということになりますと、なぜこういう法律を出してもう一つそれに強力な促進、促進というかをはかろうとするか。その点もし計画的に予算をたくさん投入して、災害復旧のみならず改良工事として強力に実施するならば、そういうことがなくなると思うのです。そういう点について、何かそういう強力に改良工事をしてくれないという一つの事例があればその事例、これは結局政府がその熱意を持たないということになるわけです。まあ小灘さんは与党の大幹部だから、このことくらいは自分で、ことに建設大臣もやっている経験者なんだから、そういうあなたの力でやれば文句なかろうと思うのですが、そういう事例がこの指定されると予想される地域においてあるかどうか。具体的には小牧さんの自分の方の地区でそういうものがある、幾らいっても建設省はやってくれないのだということで、こういう法律提案になったのか、その点一つ説明して下さい。
  26. 小牧次生

    衆議院議員小牧次生君) 私からお答えいたします。先ほど一番初めに田中さんの御質問小澤さんの方からいろいろお答えがございましたが、多少重複するかも存じませんが、今日までに至る経過について若干お答えをしながら、ただいまの御質問にお答えしたい、かように考えますので御了承をお願いいたしたいと存じます。  ただいま災害復旧あるいは改良、また国土総合開発、こういうことに関連いたしまして、その上にさらにこういう法律考える、具体的な理由はどこにあるか、というようなことが御質問の要点ではなかったかと私は考えるわけでありますが、私どもが考えますのは、やはりこういう特別な措置法が必要だという考で提案をいたしておるわけであります。と申しますのはなるほど災害復旧につきましては、法律によっていろいろ措置がなされておりますが、予算その他いろいろな関係できわめて不十分であることは、田中さんもよく御承知通りであります。それから改良の問題でありますが、これも災害復旧と同時に計画をされ、計画実施されるということになっておりまして、必ずしも十分に台風、豪雨によって生ずるであろう災害を未然に防止するというところまでは、至っておらない、私はこういうふうに考えておるわけであります。従いまして台風、豪雨が常に襲って参ります広範な地域におきましては、もしも未然にそういうものが十分に防除されるならば莫大な利益をこうむる、従って国土保全という見地から相当防除されるであろう。こういう考え方から、たしか二十二国会ではなかったかと思っておりますが、衆議院におきまして、ただいま提案いたしておりますこの法律案よりも、さらに具体的ないろいろ補助率規定をいたしまして、衆議院の両党で提案をいたしたことがあるわけであります。しかしながらきわめて広範にわたる、しかも相当膨大な予算措置を必要とする、といういろいろな理由のもとに継続審議になりまして、その後幾たびか今日までいろいろ論議されて参りましたが、残念ながら私どもの期待するところまで参らなかったわけでありますが、今国会の冒頭におきまして、九州開発に関する決議案が衆議院提案をされました。そうしてこれが決議をされたわけでありますが、これに基きまして、先ほど申し上げましたような、二十二国会に衆議院において提案された法律案を骨子といたしまして、十分今日まで研究を重ねて参りましたので、それに基いて先ほど小澤さんからも御説明がありましたような趣旨のもとに、今回衆議院の方に初めにこの法律案提案をいたしたわけであります。ただいろいろな関係から十分詳細な具体的な内容を盛るところまで至っておりませんが、順次もしこれを御承認いただくとするならば、そういう点にも改良を加えまして、災害復旧あるいは改良それ以上に進んで、十分未然に災害防除し得る措置を講じて参りたい、こういう意味提案いたしておるようなわけであります。
  27. 田中一

    田中一君 社会党提案するならこれはわかるのです。けれども今あなたのお話のうち、十分の予算措置ができないから、こういう法律案を出して予算の裏づけをほしいのだ、ということを言っておりますが、与党であるところの自民党があなたと同じような精神でこの法律案を出しておるならば、予算の問題だけなのです。技術的にも何にも何ら問題がない、金さえくれれば建設省の方ではその防除ができる、そうしてそれは最近では一ぺん築造したものは破壊されるようなことは少い、最近は全くないとこういっておるのです。要は予算の裏づけの問題だと思うのです。それで小澤さんに伺いますが、社会党はなるほど三分の一しか議席を持たない弱い政党でございますから、せめてあなたの方と語らって一緒に共同提案にならなければ、この法律は通らぬと思います。けれども与党の方は何も法律なんかなにする必要はない。もっとむだづかいがあるのですから、むだづかいをこの方に振り向ければ、今こういう法律案提案したくても実効が上るのではないか、こう考えるわけですね。そこで自民党としてはどういう心境でこの法律案共同提案をなすったか。もしも社会党小牧君が言っているのと同じような理由なら、これは政府に対して不信任なのです。従ってその点はどういう心境でございますか。
  28. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) 田中さんの質問でございますが、もし国の財政が無限大にありまして、いやしくも建設省が、治山治水についての防除計画が、いつでもできるような程度の財政力がありますれば、これはお話通りだと思いますが、しかし田中さんも御承知通り、どこの河川に対しても建設省はりっぱな案を持っているのです。しかも幹線には、一本の川に何十億というようなものもちゃんと計画を立てているのですが、その何十億必要な河川に対して、年々一億か一億五千万くらいしかついていないのが実情です。そういうような姿でありますが、それではどういう点から優先的に、そのない財政の中からも繰り合って、やり繰りをしてつけていくようにすべきか、ここが問題なんです。でありますからやはり計画そのものはありまするが、そのうちでもピックアップをしまして、この災害の常襲地帯に対しては、できるだけよその地域よりは優先して、この防除計画実施に移るようにさせることが必要であります。そうするのには、なるほどこの与党であるし、……政府予算さえつければいいのだ、こういう指摘の通りでありますけれども、限られた財政でありますから、何か基準があって、たとえばこういう法律の裏づけがあって、審議会が設けられた、そうしてその審議会が慎重審議の結果、これはやはり災害襲地帯として指定されたのだ。そうして指定されるほど重要な防除事業なんだというところの、一つのものさしというものがありますれば、結局建設省においてはもちろんのこと、大蔵省の方でもなるほどという判定を持ってくるのではないか。でありますから政治力によってやれる個所もございまするが、政治力の限度というものは、おのずから財政の現在逼迫した状態においては限られていると思うのであります。その政治力の不足を補う意味においても、この法律は相当効果があるのではないか。ことにまた先ほどお話が出ましたが、災害の場合における原形復旧というような、建設省ではそう考えておりませんが、大蔵省あたりでは一つの大原則のように考える。最近は少し理解してきましたが、そういうふうになってしまいますと、ほとんど同じ個所が、今河川局長はいろいろ説明されましたが、過去には同じ個所が何回も破壊された例があるのであります。でありますからやはりこれに対しては、特段の注意と財政力を集中いたしまして、そうしてなくすることが常襲地帯に対する、われわれ政治に関与する者の務めではないか、こう考えておるのであります。もちろん与党の立場におきましては、極力法律がなくても努力はして参っておりますが、おのずからそこに限度がありますから、その弱い政治力というものを、この法律によって裏づけをして、その政治力を発揮し得るような態勢に持っていくことがよろしいのではないか、こう考えます。
  29. 小牧次生

    衆議院議員小牧次生君) 先ほど田中さんの御質問の中にあったのですが、私どもが考えておりますのは、広い意味では確かに国土総合開発になるかもしれませんが、やはり台風、豪雨によって直接的に起るであろう災害を未然に防止すると、こういうことが御承知通り主眼でございますので、災害復旧に伴う改良工事、こういったものともまたおのずから性質を異にいたしまして、台風、豪雨がくる前にこれこれの措置を講じておけばおそらくこういった災害は発生しないであろう。広い意味ではあるいは改良工事ということも考えられるかもしれませんが、今行われておる災害復旧に伴ういわゆる改良ではなくして、それ以前に十分な都道府県知事意見を聞いたり、あるいはここに書いてございます審議会の調査、審議を経て、今申し上げたような台風、豪雨がくる前にいろいろ実施調査をいたしまして、これこれ措置を講ずれば膨大な災害が未然に防がれるのであろう、こういうことがこの法案の主たる眼目であろう。私はこういうふうに考えますので、確かに災害復旧あるいは改良工事そのものについても、現在までの政府予算措置その他は不十分でございます。しかしそれはそれとして、今後政府においても十分措置をしてもらわなければなりません、災害復旧でございますから。しかしそれと並行して、今申し上げたような別個な特別な措置が必要である、これがこの法案を出した主たる目的だ。かように私は考えますので、御了承を願いたいと思います。
  30. 田中一

    田中一君 今両氏の御答弁でありますけれども、現在国土総合開発法という法律があるのです。まああなたは鹿児島の出身だから、鹿児島だけを見ているとは言いませんけれども、鹿児島を一番身近かに考える。従って、国土総合開発法は御承知のように災害を防止しながら、経済効果を上げていき、開発するのだ、といううたい方をしているのです。で、経済企画庁の方でもこの国土総合開発法だけじゃ不十分だと言っているのですが、私はそうは思えないのです。かえって災害を未然に防ぎながら経済開発をするのだ、国土開発をするのだ、それで経済効果を上げるのだ、ということこそ真の国土開発計画のねらいでなくちゃならないと思うのです。ところがそれにもし不備な点があるならば、これはもう国土総合開発法そのものを改正すべきであると思うわけなんです。で、ここに、相当今の提案者の中には前閣僚、元閣僚という人がわあっと名前を並べているのです。実際の行政面に携って、この問題に対して常に苦慮なさった方々の名前を並べているということは、政府に対する不信任ということが言葉が過ぎるならば、少くとも予算編成権を一応がっちり握っているところの大蔵官僚に対する不信任か何かと言わざるを得ないと思うのです。だからほんとうのことをやはり言ってほしいと思うのですよ。社会党でも、社会党としてこうせい、ああせいという要求はわかりますけれども、ことに建設大臣を長く勤めて何もかもわかっている小澤さんですら、大蔵省の主計官とかいう若い青年におそらく追いまくられて、なかなか思うようにならぬということを、身をもって痛感しているのじゃないかと思うのです。そういう点はやはり明らかにしてほしいのです。私はどう考えても国土総合開発法の方がこの法律案よりもいいと思うのです。現象々々をつかまえて何でも法律にするということはおかしなことなんです。日本国土というものはそんなに変化がないのです。また動いてもいません。ただ台風というものが常襲するということは、これはまことに残念ながら宿命的なものがあるのでありまして、それを守りながら経済効果を上げるというのが正しい行き方じゃないか。一つの単行法かあると大蔵省も予算化するであろうなんということは、これはやっぱり大蔵官僚に対する一つの、国会という大きな意思によって、あれらに対するレジスタンスというくらいにしか見とれないのですが、小澤さん、ほんとうはどうして、あなた方ですら大蔵官僚、ことに若い主計官などは自由にならないのですか。われわれの万は与党になったことが少し短い期間だけであってよくわからないのですが、その点どうなんです。
  31. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) お話のように、国土総合開発の建前を考えてみますと、一面においては積極的な地下資源その他の開発ということと、それからすでに開発された富というものを災害から防ぐことと二つあると思うのです。従って、総合開発法の中には、あなたの言うように、当然災害防除ということが、半分くらいの比重によってあの法律の中の精神には入っておる。これは私も認めます。ところが、この総合開発法は、御承知通り内閣で、指定してやっておりますが、ただ閣議を経てやるのだというだけのことで、現実の問題としてはほとんどもう忘れられがちなんです。しかも、それが進んでおるかというと、たとえば交通の面とか地下資源の開発という面には相当重点を入れておりますが、残念ながら災害防除という面には、あまり総合開発法で、取扱っていない現実なんです。そういう点から考えると、やはり本来の理論から言うと、今お話通りではあるけれども、新しい角度でやはり災害というものの重大性を、政府ばかりではなく、一般の国会でも認めてもらうというような意味においても、やっぱりこうした法律があった方がいいんじゃないかということが一つ。  もう一つは、なるほどこの予算の場合におきましては、お話のように、若い主計官にいばられてどうもこうもならぬことはたくさんあります。ありますが、ただそれだけじゃなくして、先ほども話したように、限られた公共事業費、限られた河川費、治山治水費用、限られた道路費用というこの国の財政のワクが非常に狭い、ということが一番の問題であろうと思うのであります。財源がたっぷりあって、そうして使い道がずさんでありますと、これは若い主計官でありましようと、年寄りの大蔵大臣でありましょうとどんどん言いますけれども、これは問題は、最後のトータルというものは動かないというところに非常に大きなむずかしい問題があるのでありますが、その動かないトータルに対しまして、これを出すには、やっぱり立法府が認めたこういう災害防除というものは、重点的に指定されてあるのだ、そうして十一条にはこういう規定があるじゃないかと、そういうことを責める一つの根拠としても、大いにこの法律があることによって、常襲地帯の人に対して予算をとることができるのじゃないか。  それからまた高率補助の問題も、財政法の十六条で、必要に応じては高率な補助をできることになっておりますから、その点でたとえば宮崎とか鹿児島のような、失礼ですが比較的財源に恵まれない所に対しては、そういう場合においてもその個所だけは高率な補助にすべきだ、ということもこの法律があることによって必要ができるのじゃないか。こういう意味で、絶対的な議論はございませんが、つまり総合開発法があり、これが必要がないのじゃないかという議論に対して、絶対的ではございませんが、今申し上げたような効果は相当にまああるものと私考えておるわけであります。
  32. 田中一

    田中一君 むろんそうだろうと思うのです。思うのですが、ここに第四条で、「災害防除事業五箇年計画の決定」ということがはっきり明記されておりますけれども、こういう決定を何回しても同じことなんです。たとえば、道路費の財源等は御承知のように目的税になっております。はっきりと、ガソリンの消費税というものは必ずこれに入るのだ、ということにきめております。従って、五ヵ年計画そのものに対するところの財政の裏づけある五ヵ年計画が確立しなければ、これは年々、歳々自由にされるわけです。合理化とかある一定の頻度というものも勘案しながら、一つ指定をした場合、やはり五ヵ年計画そのものは財政の裏づけのあるものを立てなければ、やはり年々歳々主計官に振り回されるわけなんです。結局長期経済計画というものが根幹となって確立しなければ、これは災害防除の問題も解決したといえないわけなんですね。そうすると第四条に規定する「災害防除事業五箇年計画の決定」というもの、これに対する財政的な裏づけというものはどのくらいまでの了解点に達しているのですか。
  33. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) 今年度使用する分は、いわゆる調整費として五千万円ついているだけです、この法案の裏づけは。しかしこれは今年度だけでありまして、しかも予算編成当時においてはこの法律がないのでありましたから、あらかじめ話し合いでこの法律を出す場合の裏づけという意味で、この法律を通過する一つの前提として五千万円計上しただけであります。しかしながらたとえば十一条にも規定してあり、同時に過去の実績、たとえば離島振興法とか特殊土壌地帯とか段々畑とかというもの、いろいろこれと同じような法律がたくさん出ております。これらの法律が実績が何にもなかったかというと、そうでなかった。やはり相当の効果を上げています。こういう法律があった場合においては過去の例は大蔵省も相当考慮して、こういう法律を生かすようにやってきているのです、しかし程度の問題です。この法律があったからすぐ右から左へ理想通りいくかというと、なかなかそれはいかないでありましようけれども、ないよりはずっと効果があった異例を見ますと、やはりこの法律を通していただいて、そうして災害の常襲地帯国民諸君に、どうしてもあたたかい手を伸ばしてやることが適当じゃないか、こういうふうに考えております。
  34. 田中一

    田中一君 まあ実際いうと自分だけが満足する法律であって、何にも裏づけがないわけでしょう。道路整備五ヵ年計画ははっきりと財源的な措置がとってあります。国土総合開発審議会でも九州というものはばらばらなんです。その措置は各省がめいめい勝手にやっているのです。そしてそれは従来の実績から見ると、予算のぶんどりによって初めて事業をやっているのです。だから道路とダムとが全然つながらない所もあれば、鉄道がきておっても、もう十キロばかり道路を開発すれば隣の都市とつながるのだけれども、それもしないということがあるのです。だから計画はけっこうなんです。けれども実際に行われるかどうかということになると全然だめ。今あなたが言っているようにないよりある方がいいのだという程度のものならば、これは全く衆議院の方々の選挙対策法律案だという断定をしなければならぬと思う。実際ほんとうにやる気があるならば、河野君自身が熱心にやるべきである。  経済企画庁では長官がどういう意見をもっているか知らぬけれども、従来の例を見ますと、商売の方には非常に熱心に河野君は歩き回っています、行かぬでもいい所に石炭会社その他飛び回っておりますが、この国土総合開発ということになりますと顔を見せたこともない。おそらくどんな法律があるのか知らぬでしょう。そういうものを相手にするからこういう法律も出すようになってくるのだと思います。伊東君に伺いますが、実際にあなたの方は、議員立法ですから受けて立たなければならぬと思うのですが、単なる事務局として各省、各現業官庁の間を飛び回って、こうでもないああでもないということを言うにすぎないと思うのですが、あなたの方に今年調整費はどのくらいつきましたか。
  35. 伊藤正義

    政府委員伊藤正義君) 調整費は先ほど小澤先生から御説明ありましたが、五億円くらいの調整費としてついております。大体この法律が出るかもしらぬという話が前から実はあったのでございますが、そういうことも勘案しまして、五千万ふえまして五億五千万ということになっております。
  36. 田中一

    田中一君 五億のうち、現在の二十の特定地域総合開発計画のうち、この法律によって指定されると予想される府県に対する割当は、どういう工合に今までの過去の実績から見て考えられておるか。
  37. 伊藤正義

    政府委員伊藤正義君) この地域指定の問題でございますが、これは提案理由にもありましたように、客観的な事実に基いて科学的な調査の結果きめるというように書いてございますので、われわれの方としましては、案は一応政令内容は、気象庁でございますか、そういう所と十分相談して政令をきめたいというふうに考えていますので、大体どの地域というふうに、はっきりまだ申し上げかねるのでございますが、常識的には九州地域でありますとか、四国の一部、中国、近畿の一部ということになろうかと思います。  それで昨年までの調整費の使い方でありますが、大体五億のうち、予算の約束で三億は東北ということになります。それで残っておりますのは二億であります。それで昨年の実例を申し上げますと、二億の中でもかなりの部分が、今先生がおっしゃいました、ダムはできるが道路ができないという問題が起りまして、長野県等に残った二億のかなりのものがいっておりますので、昨年三十二年度におきましては、五億のうちのわずかなものが、今特定される地域にしか行っておらなかった、というのが実情であります。今年はもしこの法律があれいたしますれば、五千万円程度はそっちの方に別途に使うということになろうと思います。
  38. 田中一

    田中一君 そうするとこの法律ができて、その五億の調整費をいわゆる優先的にこの地方に持ってくる、というような公算はどういう見込みでありますか。
  39. 伊藤正義

    政府委員伊藤正義君) 三十三年度の調整費の使い方の問題でありますが、今きまっておりますのは五億のうちやはり三億は大体東北で使う。東北開発促進のために範囲を広げまして、三億は東北で使うということが、実は財政当局と予算の交渉をしましたときにきまっております。そしてあと残りの二億でありますが、これをどの地域のどういう事業に使うかということは、実はまだ検討いたしておりません。これは各省の要求を待ちまして、ほんとうに調整を必要とするという事業がありますれば、地域別とかあるいは事業別とかそういうものにとらわれませんで、必要に応じて調整しようというふうに考えておりますので、残りの二億をどこに使うかはまだ考えておりません。しかしつきました特に五千万円につきましては、大体指定になった所にこれは優先的に行く、それから残った二億のうちの一部が、重複いたしましてどういうことになりますか、金額はわかりませんが、ある程度は考えられるかもしれない、こういうようなことであります。
  40. 田中一

    田中一君 私は、東北開発三法ができたときには、全くとんでもない思想が国会の中にはびこっておるというように考えたのです。九州国土開発特別委員会的なものができ、九州開発促進法ができるのじゃないか、当時の審議会の植田君だったか植田君にもそれを言ったら、いや、できませんと言った。その後自民党社会党ともに特別委員会ができ、今度現われた結論としてはこのような形でありますが、一応私どもとしては認めざるを得ないのでありますが、おそらく瀬戸内海開発促進法もできるだろうし、富士山麓開発促進法もできるだろうし、信越開発促進法もできるだろうし数々のものができるために、国土総合開発法というものがあなた方の言葉をかりて言いますと、全く空文化するということになる。この実体は何かと申しますと、特別開発法案ができるからこういうことになるのであります。この一本でやっていけばいいものを、これが特別だ、特別だといって政府提案でできましたところの北海道開発法というものが端をなし、これは当然東北開発法ができざるを得ない。私は青森の出身ですから歓迎はいたしますけれども、これらの思想というものが結局ほんとうの仕事をしないことになって、基本法でのみわれわれは動くのが一番正しいのであって、おそらく今度の場合にはこういう形できますけれども、九州の場合には台風襲地帯としての形を出しておりますけれども、瀬戸内海も、日ソ漁業交渉等であまりよくなくなると、瀬戸内海の漁業の開発なんということを立法化してくるという危険が多分にあるのです。あるいは富士山脈、赤石山脈等、あの辺の中高の中部地方の地下資源開発なんというのができるかもわからぬ。北海道の山には地下資源の法案が通過したというようなものであって、そういう部分的な現象々々を追っかけて法律を作るというのは、日本人のこれは趣味かもしらぬけれども、私はそういうものをやるべきじゃないと思います。何千何百という、これは特別だ特別だというものができてきますと、特別でなくなってくるのです。国土総合開発によるところの特定地域二十ヶ所にしても、みんな同じようにやろうとすれば、これは全部国会議員地域代表でありますから、自分の方に少しでも金を持ってこようと思うと、今小澤さんが前段に言っているように、財政の規模というものがこれだけでございますから、そういう余裕はございません。余裕がございませんならば、優先的に優先順位をきめて、最も民族のために役立つ事業に優先的にやることこそ、ほんとうに日本国土を愛するものなんです。日本の民族を愛するものなんです。私は思想としてはこんなものは反対なんです、実は。同時に東北開発法だって、ああいうものであってはならぬと思うのです。北海道開発もしかりです。しかしながら、同じ国会議員といたしますと、選挙等も考え、こうしたものを認めざるを得ないというような心境に追い込まれているわけなんです。そこで、先ほども委員長が言っているように、きょう討論採決をしようということになっておりますけれども、やはり河野経企長官に出てもらわぬと、これの裏づけになるのは事務当局としてはやはり経済企画庁なんです。私は委員長に要求したいのは、やはり河野経企長官に出席を願って、この法律を受ける態勢というものは何であるかというところを確認しておきたいのです。これは委員長に対しての要求ですが。そこで、衆議院においては、河野経済企画庁長官は委員会に出られて、これに対する意見を出しておりましたか。
  41. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) 鹿野君、政務次官がきまして、まことにけっこうな法律だから賛成いたします。
  42. 田中一

    田中一君 いつも鹿野君が出てきて河野君が出たためしがございません。商売の方には熱心かもしらぬけれども、全く国土関係の行政事務を扱うのに不適格な大臣だということを、私はここで断言してはばからないのですよ、今までの経緯から見ましても。では一歩僕は引き下って鹿野君にきてもらって、ここではっきりと態度を聞きたいと思うのです。
  43. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) 質問されたのじゃないけれども、あれなんですよ、田中さん、東北開発三法ができたので、今までの特定地域、岩手県に関する限りは、従来の進行程度、五〇%進まなくちゃならない時期であったのですが、その当時二〇%しかできていなかった、それがあれができたので約三〇%に進んでいるのです。ですから総合開発の方もこういうものができるたびにだんだん進んでいく、岩手県に関する限りは。よそはわかりませんが。それで、県側で非常に東北開発の三法に敬意を表している。こういうのも何も総合開発の場所を指定するのじゃなくて、特定地域関係なく、特定地域であろうと何であろうと、こういうものを重点的にやっていくことによって、やはり総合開発進行の度合いを高くする。こういうふうに私は一応考えていますから、自分の地域の例ですが、ちょっと申し上げておきます。
  44. 田中一

    田中一君 それだから私は反対なんですよ。あなたはさっきも、年度の予算の規模というものはきまっておりますと、あなたのように前建設大臣小澤佐重喜だから、岩手県に伸びがあるかもしらぬけれども、規模は同じだから、弱い所はそれだけ仕事が減っているのです。あなたの選挙区はいいかもしれないけれども、ほかの方々は非常に困っている所がある。あなた予算のワクがきまっているとおっしゃっておりましたから申し上げるのですが、そういうものなんです。まことに小澤さんはいいけれども、ほかの人たちは非常に迷惑しているということはいえるのです。そこで財源がないのじゃない、あるのです。御承知のように今も内閣委員会で、もたもたしている自衛隊一万名の増員なんというのは、日本国民に約束したものではない、これから日本国民に約束しようと思って、法律の改正案というものを出しているのです。アメリカさんか何さんかしらぬけれども、よそと約束してきて、国民にそれを承認しろといってくるわけですけれども、こういう金をあなたの政治力で持ってきてごつちに使えば、こんな心配は何もなくなっちゃうのです。こんなことを言うと、社会党はまたそんなことを言っていると腹の中で笑われるかもしれないけれども、これこそ一番大切なことなんです。余分な使い方があるのです、それを持っていらっしゃい。そうすれば岩手県もよくなれば、またほかの今の規模の減る所もふえるということになるのです。私はこういうことを真剣に考えねばならぬと思うのです。私は長い間国土計画の問題を取り上げてきておりますけれども、こういう点は小澤さんがそういって、喜んで下さい、私の青森県でも喜んでいるでございましょう。いいと思いますけれども、それだけほかが縮まっているということを私は知らなければならぬと思います。
  45. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 だんだんお話を伺っておりまして、私は趣旨において賛成でございますが、この予算の方で五千万円というのはすでに計上されているというが、審議会というものの予算はどこから出るのですか。
  46. 伊藤正義

    政府委員伊藤正義君) 審議会の件でございますが、企画庁でこれをお引き受けするのは、大体審議会のうちでは地域指定、それから防除事業内容の決定というようなことでございまして、実際の事業は、先ほど申し上げましたように、調整費の中から今年は出ます。  それから審議会経費の問題でございますが、これは実はいろいろ財政当局とも今まで通りました予算の中で、あるいは場合によっては節約で考えますとか、あるいは流用で考える、そういうようなことで、最小限度のものは内部の今までのものでまかなっていきたい、というようなことで話をしております。
  47. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 その審議会の節約や流用がきくようになっておりますか。
  48. 伊藤正義

    政府委員伊藤正義君) 私の方には御承知国土総合開発審議会でございますとか、あるいは離島の審議会、あるいは特殊土壌、東北開発促進というようないろいろな審議会がございます。それで、実は名前をつけないで、審議会委員手当でありますとか、旅費とか事務費とかいうのがございまして、その中で何とか節約でもいたしまして、最小限度のものをことしはまかないたい、従来離島振興法が議員提案で出ました際にも、初年度はやはり審議会経費につきましては、既定経費の節約でまかなったというようなことをやっておりますので、今年もできますればそういうことで考えていきたいというふうに思っております。
  49. 田中一

    田中一君 指定はどういう形の指定をいたしますか。府県指定にするのか、あるいは部分的な府県のどこそこという指定をするのか。
  50. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) これはこの三条にも書いてありますように、「都道府県の区域の全部又は一部」ということになっておりますから、その必要に応じて、全部を指定する場合もありまするし、都道府県のうちの一部を指定する場合もあるわけであります。
  51. 田中一

    田中一君 その指定の区域は、今言ったような、たとえば常襲回数が七百回以上とか何とかいう、一つの科学的な根拠による基準をどこで考えるのですか、これは建設省が考えるのですか、経済企画庁がデータを出すのですか。
  52. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) 実は具体的なことを申し上げますと、この法案を作るときに、建設省、気象庁、農林省、運輸省、全部の人に集まってもらって、どうすることがよかろうということを、これは非公式な会合ですが相談したのです。相談した結果先ほど申し上げました通り、結局この台風強度指数七〇〇以上、それから平均降雨量、これはもちろん六月から九月の千ミリ以上、こういうものさしをすることがよかろう、ということの各省これは全部一致した、もちろんそのときには企画庁もおいでになりましたが、全部一致した意見なんです。そしてその政令を設ける場合の腹がまえとして一応これができているわけです。ですからこの法案通りますれば、同じことをもう一度やりまして、このような結果の政令ができるだろうと想定しております。
  53. 田中一

    田中一君 雨を含まない台風というか暴風の場合は、やはりその頻度七百回以上の指数に入って、このウエートを持つのですか。
  54. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) これは私は技術家じゃないのでちょっとくわしいことはわかりませんが、台風強度というようなものを常にはかっているそうです。でありますから、雨が降らない場合でもその強度によっては、農産物その他の被害が相当あるのであって、でありますから、この強度が指数七〇〇以上というのが一番やはり強いらしいのです。これを七〇〇にするか六〇〇にするか八〇〇にするかという問題はいろいろございましょうが、とにかく専門家の意見と主管省の代表の人の意見では、大体このくらいがいいだろうということになって、各省ともこの点は意見一致いたしております。
  55. 田中一

    田中一君 山本さん、この立案にはあなたも多少参画したでしょう。そこであなたの方で政令による指定個所の考え方、これは今伺いましたが、大体どこですか、何県でいいです、何県という工合に考えておりますか。
  56. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) 局長の代理が来たので……。案はこれはものさしではかりますと、九州全部と山口県、四国では高知県と徳島県、近畿へ入って和歌山県それから東海で三重県、静岡の一部入ります。大体今のところではかったのはそれだけです。東北は入りません。
  57. 田中一

    田中一君 第八条の審議会の組織ですが、これは大体立案者の構想としては、やはりこの今の示された常襲府県のうちから選ぶということでおられるのですか、この衆参両院の委員は。
  58. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) この問題については私ども考えたこともな、かったし、話したことも実際はありません。ありませんが、このうちには多少入ってもらった方がよろしいんじゃないかと私個人では考えております。しかしこういう委員はかえってあまり入らずに、何も関係もなくて、こういう問題の知識のある人が入ってこそ、かえってこの審議会の威厳といいますか、そういう威力を持つことになるんじゃないかという意味で、従来ももう東北開発審議会のように、東北だけ入っているというは、我田引水論でもやっているように聞えて世間体が悪いので、私は多少入ってもいいと思いますが、それ以外の人も入った方がいいんじゃないかと思います。
  59. 田中一

    田中一君 関係行政機関の職員、これは大体わかります。都道府県知事都道府県議会議長、これは与党派の方々だけが入るのですか。それとも野党も公平に二名二名でございますから、社会党自民党提案ですから、社会党系が一名ずつ、自民党系から一名ずつというような考え方で立案者は了解しているのですか。これは小牧君、君の方でどうです。
  60. 小牧次生

    衆議院議員小牧次生君) そういうところまでまだ打ち合しておりません。
  61. 田中一

    田中一君 やはりね、今言う、予算を少しでもぶんどろうという審議会らしいので、これはどうしても、両党円満に意見一致して提案されたものでありますから、最後までそのような美しい結末をみるようにしてほしいと思います。その点小澤さんからも一つ考えておらぬというのはおかしな話で、考えなければならぬはずなんですよ。
  62. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) 実は、この法律にもあります通り、これは内閣総理大臣の権限でありますから、あらかじめ私の方で押しつけるということはどうか思うのでありますけれども、まあ田中君のような最も力のある人が入ってもらうということは、社会党でもいいと考えております。
  63. 田中一

    田中一君 衆議院内閣委員会だと思いますけれども、今までの審議会とか何々委員会とかいうものが多過ぎるというような意見も、与野党ともにそういう考え方を持っておる人が多いと思うのです。そこでまた新しくこういう審議会を作るよりも、私は国土総合開発審議会に集約して、東北も何も全部集約して、そして東北部会の委員、何々部会の委員という形の方がいいと思うのです。これはやっぱりこういう審議会ができると、力の強い方によろめくのです。総理大臣なんというのはあなたが飼っているようなものですから、ことに両岸総理なんて言われておるくらいだから、あっち行きこっち行きするわけですよ。総理大臣がどうごうというのでなくて、審議会が相当力を持たなくちゃならぬと思う。それにはやはり数作らないで実施するような考え方を、この委員会立法する際に話し合いになりませんでしたか。
  64. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) これは特に相談はしませんでしたが、あなたのような構想を私は持っておったのです。東北ができればまた審議会を、九州ができてまた審議会北海道ができてまた審議会、四国ができてまた審議会というと、審議会だらけになってしまって、かえって審議会の権威を失うようなことにならぬかというように考えておりましたが、これはやはりできるだけ出てしまってから、一ぺんにまとめるような姿にもっていかなければ——そうすると九州のこの法律というものを全然知らずにいたような人があっては、非常にこの審議会が割が悪くなるというような意味から、一応でかすだけでかしてしまってあとであなたのように整理するというような……。
  65. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) ちょっと申し上げますが、経済企画庁政務次官鹿野君が御出席になりました。
  66. 田中一

    田中一君 今建設大臣来てもらっておりますから、建設大臣と一諸に鹿野さんには最後の一つ質問をいたしますが、農林省は来ておりませんか。
  67. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 農地局長見えております。
  68. 田中一

    田中一君 農林省の方に伺いますが、あなた、こういう法律ができて予算が取れるという見通しに立っておりますか。特別にあなたの方で実績として持っておるところの予算以上に、プラス・アルファが取れると思っておりますか。
  69. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 減るとは思っておりません。
  70. 田中一

    田中一君 減るとは思っていない、それはむろん減りっこないと思いますよね。しかしふえると思っていますか。
  71. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) どれだけふえるかというのも問題でございますが、さらに申し上げますれば、この法案でも五ヵ年計画を立てて、場合によれば第二次五ヵ年計画も立てるというようなことを考えております。事、農林関係の農業施設について見ますと、三十三年度の農業用施設の防災関係予算は各種ありますが、前年度より一億ふえまして約十二億になっております。九州、山口についてこの配分をかりに想定いたしますと、今年度分の最終決定はまだ出ておりませんが、約二割です。従来もそのくらいだったと思います。計画の立て方次第でございますが、この地帯におきまする五カ年計画を立てて、しかもそれを年度計画ごとにきめていただきまして、それを政府、国会の皆様方が予算編成に反映せしめて下さいますれば、あわせて裏には、他の地域を減らすことには私どもはもう絶対反対でございますから、その帰趨は、程度の差は別としまして減りはしない、こういうように思っております。
  72. 田中一

    田中一君 先ほど提案者小澤さんは必ずふえるのだと、今までもふえる実績が東北開発においてもあったと、こういうことを言っているのです。だからふえるだろうと思います。思いますが、一方年度の予算の規模というものはさまってるんだ、ということを小澤さんは言ってるんです。そこに矛盾があるわけなんですがね。まあ若干ふえるでしょうけれども、それをこの地帯にだけ振り当てをしたならば、他の府県からもやはり問題が起きるんじゃないかと思います。ふえた分だけこの地帯に回すという考え方なんですか、農地局としては。
  73. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) これに該当する予算をきめるのは、責任ある関係の方が、最後は総理の裁定でありましょうが、閣議の決定できまりますので将来にならぬとわからぬと思いますが、傾向を見ますると、他の特殊地帯立法の場合のように、相当促進はするんじゃないかと思います。その際に私どもは、現在北海道東北特定地域開発法がありましても、広く日本国土全体の公平、バランスと緊要度と、その補助金の効率使用の方に重点を置いてやりたいと思いますし、今後やる決意でございますから、他の方に悪い影響を与えてやるような計画、及びそれにつながった予算の編成を、されないであろうと期待をいたしております。もしそういう事態がくれば、農林省は、法案はまあまあけっこうでございますが、運用が悪いと思って運用について反対をいたします。  それから北海道開発関係は、これは御承知のように、本州内地と北海道予算の流用を禁ずるように、この予算が立ててあるわけです。東北の場合は、むしろ主として県の財政が貧弱なところをねらいまして、県負担を減らして、その分を国が持つというようなことで参っております。あとは東北の各地方に必要な開発が実行されるように、日本のチベットといわれているような所を早く解消するようにという意味で、重点的に事業の種類に応じて予算配賦をいたしておりまするので、まあ御心配のことは、程度の差だけであって、心配のことはございませんかと思います。心配なのは、指定地域指定されない所の差と申しますか、その辺のことについて若干頭を悩ましておりますが、おそらく各方面から意見が出るでありましょうから、つき合せまして、小澤先生が御説明になりましたところを基本として、農林省も協力するつもりであります。
  74. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) ちょっと速記をとめて。    午後三時二十五分速記中止     —————————————    午後三時五十二分速記開始
  75. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 速記を始めて下さい。  瀬戸山農林政務次官が出席されました。
  76. 田中一

    田中一君 この際、鹿野経済企画政務次官に伺いたいのですが、この法律案通りました暁には、経済企画庁がこれの所管をするようになっておりますけれども、これに対する十分なる御理解をお持ちの上事務を所管なさる、というように提案者から伺っておりますけれども、常に河野企画長官は、国土総合開発問題に対しましては関心が薄いようにわれわれ感ぜられてならないのです。きょうも企画長官に出てほしかったのですけれども、おられないので質疑はしないでおりますけれども、この法律案に対する御理解が十分あって、事務当局として受け継いで、先ほど農地局長も言っているように、運営が悪いならば反対せざるを得ませんということを言っておるのです。運営よろしきを得るような決意をお持ちかどうか、まず最初に伺いたいと思います。
  77. 鹿野彦吉

    政府委員(鹿野彦吉君) 田中先生の御質問に対しまして、経済企画庁としましては、台風の常にひんぴんと吹いて被害を受ける地帯の問題については、常に大いなる関心を持っておるわけでございまして、今回こうした法案が出まして成立いたしました暁には、十分と善処をいたしたいと、このような考えを持っておるわけでございます。  なお、経済企画庁長官が、国土開発関係について少しく熱意がないのではないかということでございますが、決してそういうことはございませんので、ただいろいろと多忙なために、そうした委員会や何かに出ませんでしたのが委員の誤解を招いておるようでございまするが、絶対にそうしたことのないことを私からはっきりと申し上げまするので、御了解願いたいと思う次第でございます。
  78. 田中一

    田中一君 瀬戸山農林政務次官にお伺いします。  先ほど農地局長も、本法律案が成立した暁において、運営のよろしきを得なければ反対であるというような意向も聞きましたけれども、全くその通りでございます。ことに瀬戸山政務次官は宮崎県を選挙区に持っていらっしゃり、もう毎年々々再三に及ぶ台風の襲来による被害を受けておるのですが、それだけに非常にこの問題に対する関心も深かろうと思うのですが、少くとも五ヵ年計画を策定する以上、五ヵ年を通じての予算の裏づけをするような努力をしていただきたいと思うのです。提案者小澤さんから伺いましても、金さえあればそれらの防護施設が十分にいくのだけれども、一定規模の年間予算だからなかなか困難だ。そうして東北開発の例を引いて、単行法ができたために予算の裏づけが相当ふえたということを言っておりますけれども、まああなたは強い政治力をもってあまり宮崎県ばかりに持っていかないで、やはり九州一円、四国、中国、近畿等、問題の起らないような運営をするように考えていただきたいと思うのです。そこで、この法律案成立に当っての農林省としての決意を一つ伺いたいと思うのです。
  79. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) 私から申し上げるまでもなく、本法律案は従来から非常に問題になっておりました、いわゆる一般の公共土木に関する関係法律によっては、こういう特殊ないわゆる台風の常襲を受ける地帯の疲弊に応ずるだけのことはできない、従って特別の取扱いをしてその地方民生の安定をはからなくてはならない、ということが叫ばれておったのでありますが、今回幸いにいたしまして衆議院におきましては、ほとんど全員の各位の御協力によりまして、この法案ができたのであります。従いまして参議院におきましても、さようなお取りはからいを願いたいと思っておるのでありまするが、この法案にもあります通り、この法律適用さるべき所は、審議会等によって審議、策定をしていただきまして、その運用はへんぱにわたるということはもちろん考え得べきものではありません。適用さるべき地域については、この法律趣旨にのっとりまして、農林省関係事業については努力をいたしたい。こういう考えを持っております。
  80. 田中一

    田中一君 建設大臣の出席を求めておるんですが、わからないようで、政府委員である山本河川局長から、この法律案制定による決意を伺いたいと思うのです。
  81. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 大臣がおられませんから……、私どもといたしましても、ただいま農林省から答弁がありました通り努力するつもりでございます。
  82. 田中一

    田中一君 私はこれで質疑を終ります。
  83. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) ほかに御発言ございませんか。……他に御発言もございませんようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのお方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  85. 田中一

    田中一君 討論を省略して、直ちに採択に入る動議を提出いたします。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  86. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 田中君の動議は成立いたしました。  討論は終局したものと認めるごとに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。台風襲地帯における災害防除に関する特別措置法案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  88. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における口頭報告の内容議長提出すべき報告書の作成その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名    村上 義一  内村 清次    戸叶  武  森田 義衞    小山邦太郎  高野 一夫    坂本  昭  田中  一    岩沢 忠恭  稲浦 鹿藏    石井  桂  迫水 久常    平島 敏夫
  90. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時一分散会      —————・—————