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1958-03-28 第28回国会 参議院 建設委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十八日(金曜日)    午後三時四分開会   —————————————   委員の異動 本日委員井村徳二君辞任につき、その 補欠として松岡平市君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     竹下 豐次君    理事      石井  桂君            稲浦 鹿藏君            西田 信一君            田中  一君    委員      岩沢 忠恭君            斎藤  昇君            中野 文門君            松岡 平市君            武藤 常介君            安井  謙君            内村 清次君            小酒井義男君            村上 義一君            森田 義衞君   国務大臣    建 設 大 臣 根本龍太郎君   政府委員    通商産業政務次    官       小笠 公韶君    通商産業省石炭    局長      村田  恒君    通商産業省鉱山    保安局長    小岩井康朔君    建設省河川局長 山本 三郎君    建設省件宅局長 植田 俊雄君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    大蔵省主計局主    計官      松永  勇君    大蔵省銀行局特    別金融課長   磯江 重泰君    農林省農地局参    事官      正井 保之君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○連合審査会開会の件 ○地すべり等防止法案内閣提出、衆  議院送付)   —————————————
  2. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) ただいまより建設委員会開会いたします。  まず委員の変更について御報告いたします。本日井村徳二君が委員を辞任され、その補欠として松岡平市君が委員に選任されました。   —————————————
  3. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 次に本日の委員長理事打合会について御報告いたします。  まず、道路整備緊急措置法案に対する付帯決議案、並びに、地すべり等防止法に対する付帯決議案について協議いたしました。  次に委員会の日程についてでありますが、本日は地すべり等防止法案について質疑の後討論採決する、明二十九日は地方行政大蔵委員会との連合審査会散会後、本委員会を開き道路関係法律案について質疑を行う、なお当日の委員会散会時間は午後五時を目途とする、道路関係法案については、三十一日午前中に討論採決を終了する、以上のごとく申し合せましたのでこの点御了承をお願いいたします。   —————————————
  4. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) この際お諮りいたします。道路整備緊急措置法案道路法の一部を改正する法律案、及び、日本道路公団法の一部を改正する法律案について、明二十九日午前十時から、地方行政委員会及び大蔵委員会と、連合審査会開会することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。   —————————————
  6. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) それでは地すべり等防止法案を議題といたします。御質疑の方は順次御発言を願います。
  7. 内村清次

    内村清次君 まず、この法案につきまして、山くずれを本法案適用しなかった理由について質問したいと思いますが、この大多数の地すべりが、かつて生じました山くずれの崩土滑動するものであることは言うまでもありませんけれども、この地すべりは山くずれの後身であると言われておる、従って地すべりと山くずれとは親子関係の間柄にあるにかかわらず、反復的に襲つてくるところの山くずれに対しまして、今回の法案に対してはその規定が明確でないわけですが、山くずれの数町歩に及ぶ大規模なものについて規定するところの必要があると考えますが、これに対しましてはどういう政府の方では考えがされておるか。
  8. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 山くずれが起きまして各地に被害が生じておるわけでございますが、これもこの法案を立案する場合におきましていろいろと研究いたしたのでございますが、山くずれにつきましては、御承知通り下流河川等に影響するものにつきましては、砂防法によってもちろんやるわけでございます。それからその他のものにつきまして、それでは全般的にこの法律に入れるかどうかという問題でございますが、山くずれというものは地すべりと趣きを異にいたしまして、地すべりというのは大体すべるのが緩慢に起るわけでございますが、起る前に大体徴候が現われてくる、たとえば山がすべる際におきましては、その山の上へ行ってみますと、亀裂が生じているというような点が現われてくるわけでございまして従いまして指定する場合におきましても、ある程度それを予知することができるという点から、この法律目的といたしまする区域指定し、あるいはその中で行為制限をしたり、あるいはそういうふうな点において、比較的的確にできる。ただ山くずれというのは比較的予知をするのがむずかしいわけでございまして、それを翻つて、それじや山くずれの危険性がある所を全部指定しようということになりますと、非常に全国的にたくさんやらなければならない。それがたとえば山の傾斜とか、地質を全部調べまして、おそれがあるものを調べ上げまして、これをどう処置していこうということをするのには、非常にたくさんの数と、広範囲にやらなければならない。しかもそこに具体的に起るであろうかということが、なかなか予知ができないというような、的確性がなかなか認められないので、こういうふうな措置をすることがなかなかむずかしい。もしやろうとすると非常にたくさんの個所、あるいはたくさんの面積をやらなければならないというような点で、この法律に入れることをいたさなかったわけでございます。しかし全然やらないというわけではございませんで、先ほど申し上げましたように、砂防法なり森林法でその区域指定いたしまして、砂防なり森林事業もやる。それから山くずれのために起つた道路施設災害であるとか、その他そういうふうな公共の問題につきましては、もちろん災害復旧等適用されるのでございますので、そういう処置をしたい。それから人家等の問題につきましては、別途財政補助方法考えようというようなことで、この法律規定することを考えたのでございますけれども、やめたというのが実情でございます。
  9. 内村清次

    内村清次君 まあただいまの説明では、砂防法及び森林法で大体山くずれに対する措置もやつていこう、こういうようなお考えのようでございますけれども、この両法律目的というものは違うのじゃないか、崩災に対する措置については、現在の両法案によっては十分な目的が達せられないんじゃないか、という私たち考え方を持っているわけです。そこでたとえば阻止されるといたしましても、解釈を拡大して措置をせなくちやならないというような点が起きてきやしないか。だからしてやはり、これは親子関係にあるところのこの山くずれの問題も包含して、将来立案するという意思があるかどうか、この点をお尋ねしておきたいと思います。
  10. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 先ほども申し上げましたように、この法律を作る場合におきましても、そういう点も非常に考えたわけでございまして、一応の結論は先ほど申し上げたのでございますが、たとえば熊本に去年起つたような災害も、ほとんど緊急砂防等で手がつけられるというような状態でございます。それから道路または営造物が下にあるときは、災害でこれを処置するということができるわけでございまして非常にまたこういった点で困る、あるいは的確にこうやつたらば、そういうふうな対策が的確にしかもむだなくできるという見当がつきますれば、また私の方としても研究してみたいというふうに考えております。
  11. 内村清次

    内村清次君 次に第三条、第四条、いわゆる防止区域指定ですが、第三条の二項に「前項の指定は、この法律目的を達成するため必要な最小限度のものでなければならない。」こう書いてあるわけですね。ところがこの防止区域範囲滑動しているところの地域だけに限定するのかどうか、この点をまずお伺いしたい。
  12. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) その点につきましては、第三条の第一項に規定してあるわけでございまして、防止区域範囲といたしましては、地すべり区域、すなわち地すべりしている区域、または地すべりするおそれのきわめて大きい区域は、もちろんこれに入るわけでございまして、それからこれに隣接いたしまする地域の中で、地すべりを助長し、あるいは誘発し、または助長し、もしくは誘発するおそれがきわめて大きいもの、そういうような区域を含めて、地すべり区域といたすわけでございますが、まだ地すべりを起していないけれども、誘発したり助長したりするおそれのある区域は、あわせて指定するわけでございます。
  13. 内村清次

    内村清次君 そこで、これは先に第三十四条に関連事業の問題がございますが、この適用指定地の問題が若干ただいまの御答弁では、矛属するような点が出てきやしないかと考えているわけです。第二十四条に関連事業計画作成等規定がありますが、地すべりの崩壊は現在滑動している区域だけにとどまらない、被害は広範囲に及ぶからして、地すべり現象が発生して直ちに防災施設が施工せられ、滑動が停止したというわけにはこれはいかない。そうしてくると、現象が明確になっても、指定するために現駐員が調査をしたり、あるいは報告を聽取したりしてそれから予算措置をするという段階になり、予算措置につきましてもすぐにできないのが現状ですからして、従って地すべり滑動の下の被害を受けた区域については、防止区域範囲というものがこれはいるか、いらないか。あるいは相当広く適用されるようなことになりやしないかという心配があるわけです。その点につきましては……。
  14. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 防止区域は、先ほど御説明申し上げましたように、この防止区域の中におきましては、防止工事をやつたり、あるいは地すべりを助長するような行為制限をいたすために必要な区域でございまして、もちろん被害を受けまするのは地すべりが起りましてその下の地域にありまする住家であるとか、あるいは農業施設とかというものが被害を受けるのでございます。もちろん地すべりする上にある部分も被害を受けますけれども、その地すべりしていった下にある常造物等被害を受けるわけでありますから、関連事業計画防止区域のみでなくて、被害を受けるおそれのある区域も含めて関連事業計画を立案する、こういうことでございます。
  15. 内村清次

    内村清次君 そうしますと、地すべり防止を実施する場合の指定区域範囲ですが、この範囲について、もちろんこれは基準があるだろうと思うのですが、この基準につきまして、何町歩以上をその対象にするかどうか、あるいはまたその地すべり現象によって、この崩壊する地点は全部指定するかどうかというようなことを、本法律適用を受ける範囲基準とするかどうか。この点につきましては、最小限度基準はまず何町歩であるか、という点を明示してもらいたいと思います。
  16. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) その点につきましては、その地すべりが起りまして、被害を生ずるものの対象の大きさによってきめるわけでございまして、たとえば、非常に治山治水という密接な関係があるものとか、あるいは鉄道とか通路等公共施設とか、あるいは学校等公共施設がある所とか、あるいは人命あるいは人家等で保護しなければならぬ、あるいは林地や耕地が非常に困るというようなことを考えてやるわけでございますが、現在までいろいろ御説明申し上げておりまする、全国の十四万町歩あるというその内容といたしましては、大体五町歩程度のものを考えて、面積といたしましては考えておるわけでございまして、もちろんそのほかに、先ほど申し上げましたような公共施設、あるいは人家等がある場合におきましては、それらを勘案いたしまして、面積の小さいものでも入れなければならぬというふうに考えております。
  17. 内村清次

    内村清次君 それから第二十四条の関連事業について、農地保全に対する措置ですね、これはどういうふうな措置をされるのか、土地改良区あるいは耕地整理組合等関係について、単に補助するだけというようなことで規定されているのかどうか、それを一つ
  18. 正井保之

    説明員正井保之君) 御質問の点でございますが、地すべり法におきましては、まず地すべり現象そのものを防止すると同時に、関連いたしまして、地すべりによる被害を除去し、あるいは軽減するために関連した措置を取り上げているわけでありますが、その一つは、今までにも説明がございましたように、家屋とかあるいはその他の施設移転する、これに対する融資措置考えております。  なお、当然に土地利用等につきましても、計画的な観点から土地計画を立ててもらいまして、防止計画との関係も十分考慮して計画を立てていただきまして、それを取り上げるという考え方でありまして、その際関連事業内容といたしましては、あるいは水路を作るとか、従来田であったものを畑に転換して利用するとか、あるいは溜池を動かす、また溜池を動かした場合に、その跡を耕地として利用する、こういったふうな、いろいろなものがあるわけであります。そういったものにつきまして計画を立てていただきまして、市町村長はそれを知事に承認を求める、こういうふうに権威をつけまして、かつまた防止計画等々との調整も考えました上で、私どもとしては、これに助成の扱いをしていきたい、こういうふうに考えているわけであります。  これは事業をやる主体は、市町村でありますとか、あるいは土地改良区であるとか、また農業協同組合の場合もありますし、数人で一緒に共同することもありますが、そういうふうな形をとる場合等いろいろあるわけでありまして、いずれも現地の事情に即した扱いにいたして参りたいというふうに考えております。
  19. 内村清次

    内村清次君 そうしますと、まあ大体ただいまの御答弁でわかりましたが、ただ補助するだけというわけじゃないのですね。補助金を出してやるということだけではなくして、たとえば都道府県知事に対しても、十分あなたの方では連絡をとつて主体である市町村長に対してそういう処置指示をしていくと、こういうようなことですね。
  20. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) お説の通り関連事業計画市町村長が作るのでございますが、その内容につきましては主務省令で定めまして、その内容といたしましては、耕作物の種類等いろいろ規定するわけでありますが、そういうこともやりますし、また知事を通しまして指導をするつもりでございます。
  21. 内村清次

    内村清次君 第八条のこの標識の設置のことですがね。標識を設置する場合に、都道府県負担で行うという考えのようですが、どの程度のこれは費用を要するものですか。それを一つお伺いしたい。
  22. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) ただいま考えておりまする全体の防止区域標識は、全部立てまして千五百万円くらい必要であるということでございます。
  23. 内村清次

    内村清次君 それから第二十五条の「立退の指示」ですが、「立退の指示」は必要と認むる区域内の居住者に対して、危険な状態が切迫したと認められる場合、避難指示を与えることになっておりますけれども、この危険な状態の切迫した場合を予報する警報設備を行う必要がありはしないか。いわゆるこの予報設備を設けないという理由はどういうところからきているか。私たちはまあ危険な状態が切迫した場合には予報するところの警報設備が必要ではないかと、こう思っているのですがね。その点に対しましての御見解を伺いたい。
  24. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) もちろんこの危険が切迫いたしましたときには、避難のために「立退の指示」をいたすわけでございますが、その際非常にたくさんの人にやる場合には、いろいろとそれをわからせるように、具体的には考えなきやいかんわけでございますが、ただ機械的に地すべりがとうだというようなことを知るということは、なかなか今の状況では的確にできませんものですから、自動警報機等考えなかったわけでございますが、もちろんそういうふうな、皆に知らすのに早い方法考えてもらうように指導しなくちやいかんと思っております。
  25. 内村清次

    内村清次君 この点は、住民心理としては非常に重要な問題であつて、ああいった地すべり現象が起きまする周囲状況というものは、また天候の状況、その他周囲状況というものは、相当もうすでに住民心理というものは、神経も過敏になっておるし、豪雨の際に不安な状態が切迫しておると思うのですね。これにただ単に——どういう処置をされるのか、口頭でされるのか、どういう責任者がどういう方法——たとえば戸ごとに危険を警報していくのか、この点をあとで御答弁していただきたいのですけれども、ただ口頭だけの警報、注意では、一体住民が動かないという問題なんですね。この点をどういうふうにお考えでありますか。
  26. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 徹底させる方法をいろいろ、鈴を鳴らすとか、あるいは警報機を使うとかというような方法考えなければいかんと思いますが、ただその、危いのに幾ら話しても動かないというようなことがあるといけないものですから、「立退の指示」を特に規定いたしまして、都道府県知事、またはその命令を受けた、たとえば土木出張所職員等立ちのきを指示することができるという規定を置いたわけでございまして、そういうことが、もし徹底できないという場合におきましては、それを徹底するために、警察署長等にそれを通知いたしまして、その応援も頼むというふうに考えておるわけであります。
  27. 内村清次

    内村清次君 そこでまあ今回の法律案では、指示するということになっておるのですが、まあこの法律立案に際しては、勧告をするというようなことを一時お考えなつたこともあったと、こう聞いておるのですが、これが憲法上違反だというような疑いのために指示ということになつたのですか。その点の事情を少し詳しくお話し願いたい。
  28. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) この二十五条の「立退の指示」というのは、危険が切迫をしたときに、そこに住んでいる人が一時的に避難をする指示の問題でございますが、今のお話勧告云々の問題は、住宅を移す場合に、あなたの家はここにあつて危いから、一つ移つたらどうですかと、こういうふうな勧告をしようということを一時考えたことがございました。それもいろいろ研究いたしましたのでございますが、勧告をいたしましてもなかなかのかないというような点も考えられますし、またこの点は自分住居のことでございますから、しかも自分の生命なり財産が、地すべりによりまして危険を受けているわけでございますから、自分らで一つ自主的に計画を立てて動くようにしてもらつた方が民主的に考えられて、実効が上るのじゃないかというふうに考えまして、関連事業計画を自主的に立てていただいて、その計画に従って移つていただいた方がいいのじゃないかということで、そういうことにいたしたのでございます。
  29. 内村清次

    内村清次君 この点はまだ法律の実施された後でも、一体家屋立ちのきに対して、住民が適切にその指示に従うというような方法が円滑に行われるようなことを、十分研究してもらいたいと思うのですね。  それから第四十七条の、家屋移転者に対する融資措置についてお伺いしたいのですが、融資対象を一戸当り最高額どの程度考えておられるのですか。三十三年度は何戸であつて融資はどれくらいされるのか、というようなお考えがあるか、この点をお聞きしたいと思います。
  30. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 三十三年度は大体一千戸移るというふうなことを考えまして、住宅金融公庫の方で考えていただいておるわけでございます。それから最高限度につきましては、住宅局長もおられますが、目下現在のところまでの財務当局とのお話によりますると、住宅移転に関しましては最高三十万円、その他土地として三万円というふうに事務的には考えておるというのが実情でございます。
  31. 内村清次

    内村清次君 この地すべり地域に居住する者は、ほとんど営農を業とする者であつて、従って農業経営上もちろんその家屋も大きいのですね。それからさらに公営作宅並みの十坪程度のものもありますし、また農舎とか畜舎どもこれは、不離不即の農家の住宅としては当然なことでございまするが、こういったものに対して一千戸の住宅というものはどういう規模のものであるか、その点につきまして御答弁をお願いしたいのであります。  それから先ほど最高額三十万円、それから土地に対しては三万円ですか、こういったものが住宅金融公庫としての最高限度ですが、この最高限度を将来いじるというような、拡大するというような考え方はないかどうかですね、これも一つお伺いしたいと思います。
  32. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) ただいまの住宅融資の問題でございますが、ただいままで事務的に財務当局と話し合いがついておりますのは、最高限度三十万円でございまして、これは新築の場合も移転の場合もあわせて突つ込みで三十万円できめておるわけでございますが、多くの場合これは移転であろうかと存じます。移転の場合には大体十五坪の住居ができる予定でおります。なお御承知通り災害応急復旧住宅の場合と同様に、三十万円を限度としてお貸しするわけでございまして、一般の融資の場合のようにその七割五分を融資する、こういう制度ではございません。従いましてもしも資金の余裕がございますれば、この資金のほかに自己資金で継ぎ足して増してもらうということもいいわけでございます。なお農舎畜舎等で独立しましたものにつきましては、これは住宅金融公庫対象ではございませんで、おそらく農林漁業金庫の方でめんどうを見ることに相なっておるかと存じます。
  33. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君)ちょっと途中ですが、内村さん、ちょっと申し上げますが、大臣予算委員会の方に出席されなきゃならないそうであります。それでもし大臣に対する御質問がありますならば、大臣に対する質問から先におやり願つたらどうかと思います。
  34. 内村清次

    内村清次君 ほかの方ありますか。
  35. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) ほかに、どなたかにお譲り下さいますか、大臣質問
  36. 内村清次

    内村清次君 大臣質問はちょっと……。
  37. 田中一

    田中一君 この計画は大体何カ年ぐらいで終えようというつもりですか。
  38. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 全体といたしますると相当事業費がかかりますけれども緊要工事といたしましては建設省所管分農林省所管分を合せますると、約事業費にいたしまして五千億程度でございます。この事業をできるだけまあ早くやりたいと思って考えておるわけでございますが、私どもといたしましては、それを五ヵ年計画ということで考えたいというふうに思っております。
  39. 田中一

    田中一君 なるべく大臣答弁していただきたいんだ。  そこで地方負担の問題なんですけれども道路緊急整備法と同じように、負担率を一応三十三年度は四分の三という特例でやろうとしておるのです。まあこれは根本さんの癖かもしらぬけれども道路整備の方でも三十三年度は四分の三、五ヵ年計画だと言いながら、二年度の分は何にも触れておらぬということになっておるのです。この法律もそのように見受けられるのですが、これはあなたの主張なのか、まあ大蔵省来ておりませんけれども
  40. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 松永主計官が見えております。
  41. 田中一

    田中一君 じや、こっちへ来て下さい。  同じようにこれも三十一年度は四分の三だと、こうきめておるのです。これはどういう思想から出ておるか、伺いたいと思うのです。
  42. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) この補助率並び負担金の問題について日はすでに道路整備緊急五ヵ年計画遂行に当りまして、いろいろ御質疑があったことに答えた通りでございましてこれは私の癖ではございません。この前御説明申し上げましたように、これは一応公共事業に対する補助金特例に関する法律が、三十三年までの時限立法でありまするので、本年はそれによると、で自後の問題は先般御説明出し上げましたごとくに、地方財政の状況と関連いたしましてこれは建設省のみならず、公共事業特例適用されておる各省と財政当局、地方自治体との全体の勘案のもとにこれは三十四年度からきめると、こういう思想の結果、こういう形式になつたのでございます。
  43. 田中一

    田中一君 そこで明年度はこの負担というものはどのくらいを考えておられますか。あなた自身の建設大臣として、五ヵ年で緊要なるものを一応整備しようとするならば、地方負担関係もありましようけれども、どういう程度の補助なり、あるいは地方負担なりをしようとしているかですね。三十四年度からの、ただその地方財政の明年度の現状から見てこうするのだ、という御答弁は、むろんそれも一応そうでありましようけれども、緊要と考えておられるところのこの事業に対しては、どういう建設大臣としての考え方を持っておられるか。
  44. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これは今現年度から法律をもって別に定めるということになっておりまするので、現在どの程度にすべきかは、ただいま田中さんから御指摘の通り、地方財政の財政能力というものと関連がございまするので、今にわかに私がどれが適当であるかということは、断言することが困難でございます。
  45. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) ちょっと速記とめて下さい。   〔速記中止〕
  46. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 速記を始めて。
  47. 内村清次

    内村清次君 融資を受ける場合、住宅金融公庫の貸付を受ける手続が非常にむずかしいのです。そうしてこれはおそらく当該農民の方々では非常に繁雑にたえないという感じを受けられると思いますが、この法律案によって行う場合には、全般的に手続を簡素化するというようなお考えがあるかどうか、この点をお聞きしておきたいと思います。
  48. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 三十二年度から初めて実施いたしました災害復興住宅の例もございまして簡素化いたします手続については、公庫としてもだいぶなれてきております。この関連住宅災害復興住宅の急ぐ度合いにつきましては、相当似た場合もあろうと存じます。極力簡素化しますように、指示もいたす予定でありますし、また公庫においても現在さように考えております。
  49. 内村清次

    内村清次君 これはまず市町村融資のワクをきさめてそしてやるというような方法をとられますか、あるいは一般的に災害を受けた人から順次順番を待つ、あるいは予算がそれに該当しない場合のときは先送りになる、というような方法をとられるのか。
  50. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 地すべり関連の住宅はすべて関連事業計画に入って参るわけでございまして必ずしも市町村別に割り当てする必要もなかろうかと存じます。戸数におきましても、御承知通り災害復旧住宅と合せまして十億のワクをもっておる。そのワクの中でできることでございます。初めからワクをきめて、ワクをしぼつてその分しか認めない、緊要と認めたときにそれを押えるということは、よほどの事態がございまして、公庫の予算が不足するということがありますれば、あるいはそういうことがあるかもしれませんが、現在のところはそういうことをしなくても御要望には応じられると思います。
  51. 田中一

    田中一君 今この内村書君の質問に関連するのですか、これはむろん住宅金融公庫法の建前から、個人に特定融資ができないことになっております。災害住宅ならばいざしらず、たとえば危険を予想されるから立ちのきをするという場合に、これは災害じゃないのです。災害を予想するという見地からくる場合、こういう場合には特定融資ということは考えられますか。これは住宅局長に伺いたいと思います。
  52. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) ただいまのような問題もございますので、今回のこの法律にこの規定を入れていただきまして、いわゆる公募という方式じやなくて、地すべり関連事業計画によって移転される人に融資する前を開いておるわけでございます。
  53. 田中一

    田中一君 その精神はこの法律の制定によってはっきりと確立した。これに対しては、これは松永君の方じゃないと思うのですが、まあ一つあなたにお聞きしたいのですが、あなた責任をもって答弁して下さい。これは特定入居という、この法律で制定された対象に対しては、特定融資をするということは同意をしているわけですね。
  54. 松永勇

    説明員松永勇君) さようでございます。
  55. 田中一

    田中一君 そこでこの法律案がなぜ出てきたかということは、御承知のように、昨年の佐賀県等におけるところの大災害から、本来ならばこうした姿でなくて、別の方法でもできるのだけれども、当面あるところの重要な災害を予想されるものがあるから、これをやろうということになつたのでしようけれども、昨年佐賀県等であった災害を受けた人たちらに対する特別の融資ということは、この法律制定のときには考えられましたか。それとも考えられないでおつたか。
  56. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 昨年の災害にかんがみまして、こういう制度を新たに設けたわけでございまして、この適用を受けますものはこの法律施行以後の、従いまして関連事業計画ができました以後の人たちでございます。
  57. 田中一

    田中一君 佐賀県下において発生したところの、災害を受けた住宅戸数は約四十戸ある。それに対しては佐賀県が条例をもって特別融資の道をはかつて、現在とりあえず収容しております。そこで公営住宅の方ではこれまた災害住宅として応急の措置ができますが、それがおそらく足らずしてやむを得ず融資措置をとつたものであろうと思うのです。しかしこれも現に計画建売り住宅という方式をとつております。住宅金融公庫融資方法としては、ここでやはり大蔵省が同意を表するならば、少くとも他から融資を受けて借りている罹災者に対して、昨年の災害の罹災者ですね、大蔵大臣が同意を示すならば、これはいつごろできたものかは判然しませんけれども、了解を受けるならば融資の道があるのではないかというように考えるのです。今までも私はそういう事例があったものと記憶しているのですが、松永さん、そういうことお聞き及びありませんか。
  58. 松永勇

    説明員松永勇君) こういう業務の監督は建設省がやつているのでありまして、私の方は予算措置を講じているだけでございますので、建設省の方から……。
  59. 田中一

    田中一君 これは松永さんに質問するのはちょっと筋違いかもしれませんけれども、銀行局の特別金融課が大体融資に対する特定入局等の同意を、この窓口として同意をすれば特定融資ということは可能なようになっておるはずです。そこでそういう昨年度の災害を受けて、本年度一応新築した罹災者に対して、おそらく大蔵大臣が了承を与えるならば、これは融資の道があると思うのです。そういう事例は過去にもあったものと私は記憶しておるのですが、その点はどうですか。
  60. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 私もそれだけを特に研究をしたわけでもございませんが、ただいま係から聞きましても過去においてはそういう事例はなかったようでございます。
  61. 田中一

    田中一君 過去においてそういう事例がなかったら、新例を開くことも災害被災者に対する思いやりだと思うのです。もしも強いて言うならば、住宅金融公庫融資というものは、たとえば熊本県下にあったところの水害の時期にも、特定融資をした例はあると思うのです。これはむろん最初から何村の何の太郎兵衛という名前でなくて、今、内村さんも言っておるように、その村に何戸分という割当をした例は私はあると思うのです。従ってそういう措置を、当時はこの法律がなかったからできないというならば、特別にそういう措置をとつても、一向に精神としては差しつかえなかろうと思うのです。この点はどうですか。
  62. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) ただいまの問題は私どももそういうふうにありたいと思う問題でございますが、どういうふうに住宅融資をするかという問題は、関連事業計画によってきまつて参るものでございます。関連事業計画のきめ方いかんによりましては、ただいまお話のようなことの幾分かは、あるいは実現できることもあろうかと思っております。またそういう際におきましては、私どももあまり固いことを言わないで、この移転計画に協力できるようにいたしたいと考えておるわけでございます。
  63. 田中一

    田中一君 そうしますと、三十二年度の山くずれによるところの罹災者に対しては、そういう融資の道をこれからでもはかる、ということを住宅局長が言明したように僕は理解してよろしゅうございますか。
  64. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) これはただいま田中先生のおつしやいましたように、すでに罹災した者に対してこの措置を講ずるという趣旨ではございませんで、今後その地すべり地帯につきまして、関連事業計画に含まれた範囲においてはできるものもあるであろうと、こういう意味で申しておるのでございます。
  65. 田中一

    田中一君 だからその精神を広く及ぼすために大蔵大臣が了承すればいいのです、これ。
  66. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 住宅金融公庫は建設省と大蔵省との共管でございまして、これは両者の意見が一致しませんと、公庫のそういう運営ができないわけでございます。大蔵省の担当の銀行局の方ではございませんが、大蔵省の主計局の松永主計官もお出ででございますので、その趣旨はおわかり願つたろうと思いますが、この点につきましての明確な答弁は、具体的な事案に当りまして両省の協議を見ませんと、申し上げることができないような事情でございます。
  67. 田中一

    田中一君 その事件を知っておるのは、災害の事件を知っておるのは建設省だということは今、松永さんも言つたように明らかなんです。従って事態を知っておるあなたの方でそうしたいという意欲がなくては、だれが大蔵省は自分の方からあちらのものに融資したらどうか、といって発議するはずがないのです。従って発議するのは建設省であろうと思うのです。だからあなたの方で発議して、そういう案を話しかけるという意欲を示さなければ、決して向うからくるものじゃないのですよ。そこで住宅局長はどういう話し合いを持ちかける、という点を伺つているわけなんです。
  68. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 私どもといたしましては、法律できめられた範囲内でしか大蔵省と話し合うことはできないわけでございます。その法律のきめられておりますのは関連事業計画でございます。関連事業計のきまり工合によりましては、そういうものも含まれることがあり得るだろう、こういうことを申し上げているわけでございます。従いまして法律で許されていないことをやるように大蔵省に発議するというようなことにつきましては、この席ではお答えが困難なわけでございます。
  69. 田中一

    田中一君 法律の拡大解釈をしてもできない、という根拠を一つ明らかにして下さい。条文について。
  70. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 住宅金融公庫融資は、住宅を新築いたします場合に融資するわけでございます。そういう意味から申しますと、あるいは私の誤解かもしれませんが、すでに建っているものの肩がわりというふうなことになりますと、公庫の業務の範囲外じやなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  71. 田中一

    田中一君 いや危険を予想するもの、従ってその関連した区域ということになるでしよう。これも法律立ちのくということをいえば立ちのかざるを得ないわけなんですね、この法律では。従ってそういう形で立ちのいたというものがあるならば、それに対する融資災害を受けたものと同様とみなすという建前ならば、災害を受けたものと同様と、それはむろん移築でもなんでもない、新築なんです。それをつぶして家がなくなつたことになるのですからね。新しく移転して作るという費用ぐらいは融資の道があると思うのです。それが法律的にできないという根拠を示してほしいのです。また委員会の席上でそういうことを聞かれちや困るというなら、あとでお伺いしてよく御相談してもいいと思うのですが、そのくらいのことはしなければ、危険を間近に予知することもあれば、十年のちにあるというような予知の仕方もあるのです。それでもそういう危険な所には一日もいない方が安心して生業が営めるのです。だからいち早く退去するという道も開かれると思う。ことに現にもうこの法律を制定する前に引つ越しをしたもの、引つ越しというか、新築をしてわきに移つたものに対しても、私は建設大臣と大蔵大臣の離し合いでできるものだと理解しておるのですが、それは法律的に、どこにそういうできない意味があるかを示していただきたい。
  72. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 私、法律的根拠を今手元に持っておりませんので申し上げません。従来とも、金融公庫は金を貸すことによって、初めて借り主が建築主たる建前でございまして、すでに他から金を借りておりましたのを、あとで公庫に肩がわりするという例は、御承知計画立売り住宅でございます。こういうものは初めからそういう形式をやつているものでございます。従いましてすでに建っているものに対しまして、公庫から五分五厘の金を貸して、そうしてその金を元金を借りておつた借主に対して、返還せしめるということでございますれば、公庫法の従来の運用とも相当つてくるのじゃないか、というふうに私申し上げておるわけでございます。この点は法律論といたしましては、なかなかこの席ではお答えいたしますことが困難でございますので、御趣旨の点は十全承知いたしておりますので、今後の運用なり実施に当りましての研究問題といたしまして、十分留意していくことにいたしたいと存じます。
  73. 田中一

    田中一君 建売住宅というものに対する融資も行なっておるのです。これは請負人であろうと電鉄会社であろうと、自己資金で一応家を建てた、その家をほしいという者があった場合に初めて、電鉄会社並びに建築者には貸さぬけれども、それを買い取ろうといった者に対しては、そこからあらためて融資されるという道が開かれてあるわけなんです。ちつとも変りないと思うのです、今のは。現にあるものを、現にあるものといえば、それが住宅金融公庫事業計画書その他によって基準に合わぬ、というのならこれは別の意味がありますけれども、家を建てて、それを買い取る場合に融資を申し入れれば、住宅金融公庫はその家を買い取る人間に対して融資をするという制度が現にあるわけなんです。そのケースとちつとも変らぬと思うのです。わきから金を借りて建てた、それを今度住宅金融公庫に借りかえるということ、ちつとも変りないと思うのです。
  74. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) ちょっと申し上げます。大蔵省の特別金融課長磯江君が出席されました。
  75. 田中一

    田中一君 ではあなたが来たからもう一ぺん言いますがね、現在住宅金融公庫では建売り住宅の制度をやつております。請負人とかあるいは電鉄会社が自己資金で家を建てて、いいですか、そうしてその家を買いたいという者を募集する、募集に応じて適当な人が、それも融資対象となる国民が申し込みする、それで売買契約が成立する、しかしその金は自己資金でない、住宅金融公庫の制度と同じです、二割五分なら二割五分の自己資金をもってその家を買うと、残りの七割五分に対しては十八年なりあるいは二十五年なりで、住宅金融公庫融資として月賦で返していく。建築した資金というものは、土地分も含めて、家を建てたところの建築屋なりあるいは電鉄会社の方に、一括払いをするという方式を現在とつております。従って三十二年度の災害で、佐賀県下において危険を察知してあるいは県の——この地すべり法案はその当時はない、なかったけれども、同じように危険を感じて県が移転を命じたという場合に、今の建売り住宅と同じようなケースで融資をする道があつてしかるべきだと思うのです。その道を特別金融課が窓口となって大蔵大臣が了承すれば、その道があると思うのです。そこで、今ここでそうしてその条文を調べて、そういう道はございませんという答弁は聞きたくありませんから……。そういう道があるということはあなた方御了承になっていると思いますから、特別にそういう措置をとるのが望ましいということを申し上げておるわけなんですが、それに対して特別金融課長はどういう御答弁ですか。ただ、今そういうことは法律上できませんなんということじや聞きませんよ。
  76. 磯江重泰

    説明員(磯江重泰君) 住宅金融公庫から融資いたします場合には、これは住宅に因つている国民大衆が家がほしいが金がない、こういう場合に財政資金でこれに融資方法をやるという趣旨でございます。従いまして家をこれから建てようという場合に、それに必要な資金——あるいは先ほどおっしゃった、すでに建っておるものを買うというような場合もあるかもしれませんが、そういう場合にその資金を財政資金をもって住宅公庫からつけるという趣旨でございますので、従いましてただいまお話の点につきましては、いろいろ研究すべき点はあるかと思いますのですが、現実に個々の場合につきまして果してそういうような実態であるのかどうか、家がすでに自己資金なり他の金融機関から借りた金で建ってしまつておる、そういう場合に、果して、住宅金融公庫の方から金を融資するという、本来の趣旨に合致するのかどうか、というような点につきまして若干疑問があるのじゃないかと、こう考えるわけでございます。そういった点につきましては、なお実態につきまして建設省の方の御意見などを伺いまして、よく研究いたしたいと思います。
  77. 田中一

    田中一君 事実住宅金融公庫災害地等には優先融資をしておる、それから公党住宅をも予算の優先配分をやつておる。ことにこの法律が制定されますと、災害を受けるであろうという区域の者が、自分の意思によらずして、一応立ちのかれた方が無事だと言われれば立ちのかざるを得ない。その金はだれが出そうとも、本人の意思ではない。やはり五分五厘という低利国家融資の方が利益があるのですから、誰から借りようと何しようと、その安い利子の金を借りて、自分の建てた家を月賦で払うという方が利益なんです。やむを得ないから高い金利の金を使つておる場合もあるのですね。しかし前段に言つたように建売り住宅という制度があるのですよ。これは本人は自分で金を持っていないから、一つの営利団体が融資をして建てて、自分のものにする場合には、住宅金融公路からあらためてその個人に対して融資をされて、融資された金に自己資金二割五分を含めた全額を払つて自分のものにする、という制度があるのです。今まで借金しておったところの、借金なら借金でもかまいません、融資を受けておつたところの人間が全額返せ、こういう約束じゃないじゃないか、住宅金融公庫から借りたら返すという約束じゃないか、と追及されておる四十戸というものに対しては、当然そういう措置をとるべきが、建売り住宅の例からいってもあり得るのじゃないか、といっているのですから、その点は十分御検討願つて、もしも駄目だとなりますと、今まで五、六年来地元じやこういう法律を作つてくれ、と言っているにかかわらずできなかった、というのは政府の責任です、これは議員提案じゃない政府提案ですから。ですからそういう措置は私は大した法律違反じゃない、扱い方の問題でいけるのじゃないかと思うのですが、ただ建設省は何とか考え融資をする方向に向おうという意欲を示さなければ、大蔵省としてもそれに対して同意をしないであろうと思いますから、この点は十分検討していただきたい。そうしてたかだか四、五十戸の問題でありますから、そういう点に対する措置を、その今の住宅金融公庫法律の精神からいっても、地すべり法案の精神からいっても、そういうものには優先融資をできるのだ、という解釈をするように御努力を願いたいと思うのです。それに対する心がまえを両方、建設省と……。
  78. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 田中先生のお話しになりました趣旨は先ほどから十分承知いたしておりまして、それは望ましいことではございますけれども、しかしこれは、ただいまここに特金課長もお見えになっておりますが、この席で結論を申し上げまして、できるできぬとはっきり申し上げるべきものでもなかろうかと存じます。これだけ並びまして趣旨も十分承わつておりますので、その点につきましては十分今後研究する余地をお残し願いまして、御趣旨の点を十分承わつたということで御了承願いたいと思います。
  79. 田中一

    田中一君 了承いたしました。どうか愛情ある措置をとつていただけるようにお願い申し上げます。
  80. 松岡平市

    松岡平市君 ちょっと関連して。田中委員から、おそらく佐賀県以外にはこういう実例はないので、このことについて、この法案がこの本委員会で間もなく、少くとも委員会では、可否が決定される直前に、お話を願つて私は実は佐賀県で、この法案をぜひ作つてもらいたいということに数年来努力してきた者の一人として、また特に佐賀県ではこの法律の成立を待つことができなかった。御承知のように、毎年地すべりに悩まされ、昨年度においては相当大きな被害もあった。人も死にました。そこでやむを得ずして、佐賀県では県条例を作つて、そうしてこの法律を待たずに、県条例で市町村と利子補給の分担を定めて、そして勧奨して立ちのきをさした。ところが、今させる計画で、それがまだ遂行されないものも相当ある。してしまつたものもある。ところが、ようやくにして数日のうちに地すべり等防止法案というのができる。できるというと、この法律によって初めて住宅金融公庫相当低利の金を融通してやる。ところが、この法律を持たずして昨年度において、の法律が実施される前に、それぞれの市町村で勧奨して、すでに移転をさしてしまつたものは、相当高い金利の命を借りて、そうして県並びにそういう移転住宅を持っておつた市町村が、金利をそれぞれこれから相当長い間にわたって負担をする、こういう事実が生じておるわけです。勧奨しろといって県が迫つたところでも、市町村でまだやらなかった所がある。それから県の勧奨に応じて早くやつた所は、これから長い間、金額はわずかですけれども、高い金利の補給を負担しなければならぬ。ぐずぐずしておった者はこの法律の恩典に浴して、一年間早くやつたということのために、これはまあ金利はわずかであったにしても損しておる。そういう事態は非常に望ましくないと思います。田中委員が今繰り返されたことも、そういうことを非常に気にされておるのだと思う。ところが、法律の上では、これは何か修正をしなければ、おっしゃる通り、少くとも法律の解釈は、四十七条で、あなた方が、いやそれは住宅金融公庫が貸せますということをおっしゃるわけには、私もいかぬと思います。しかしながら、この法律をそれなら修正すれば一番よろしい。私はこの金額の多寡とか、あるいは影響する所が佐賀県のみでないということであれば、この委員会委員として、この法律の修正も私はお願いして決して不当だとは思わない。しかしながら、これに関与する所は、ほかにはそういう県条例のある所はありませんから、佐賀県だけである。そうして、その範囲はきわめて狭いにもかかわらず、この段階で法律の修正等をしていただくということは、大へん委員会にもご迷惑だし、またせつかくこういう法案を作つて下さつた政府に対しても相済まぬと考えますから、法律の修正等のことについて発議いたしません。がしかし、今申しましたようなことにつきましては、もし行政措置で何らかの措置が講じ得られるものなら講じていただかないと、今言うように、こういう危険防止というようなことを、県の勧奨に応じて早くやつた者は損をする、ぐずぐずしておった者はもうかると、こういうこの法案の出た時期によって、大へんおかしな結果を生ずる、こういうことだけは一つ行政当局として御勘案になって、もしこれが住宅金融公庫でいかなければいかないように、ほかに措置方法は幾らでもあるのです。これは建設省で、こういうことについては、何とかこれを救済してやろうと思えば——もしやる方法があなたの方でないとおつしやれば、ある道を今私の方で提示してもけつこうです、あるはずですから……。必ずしもこの法律住宅金融公庫融資ということだけで片づけられずに、そういう問題については、ぜひ行政当局として、わずかなことでありますけれども、気を使つていただきたい。せつかくの田中議員の好意のある御発言に、地元の議員として、私からも重ねてお願いを申し上げておきます。別段の答弁は要りません。
  81. 内村清次

    内村清次君 地すべり及びぼた山崩壊防止施設を、公共土木施設災害復旧国庫負担法の適用から除外した、という理由はどこにありますか。
  82. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) これらにつきましては、渓流等において行うものにつきましては、砂防法の設備、あるいは森林法の設備にいたしまして、公共土木の施設災害復旧の対象といたしたいというふうに考えております。
  83. 内村清次

    内村清次君 そうしますと、砂防法及び森林法指定地に施設をした砂防設備、保安設備と、さらに本法案によって防止区域指定をして施設する場合と、重複するところの指定地域が約一〇%あると、こう聞いておるのですが、その通りですか。
  84. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 現在建設省で砂防指定地に指定をしておりますのが、面積にいたしまして約六十万町歩くらいあります。その中に含まれております地すべり指定しようとする面積は、一万町歩くらいでわずかなものでございますが、これは将来、農林省の林野関係は別でございますが、砂防指定地として指定考えられる面積は、現在指定しておる部分の約七、八倍の面積指定しなければならぬということに相なりまして、その中に約八万町歩くらいが地すべり面積として含まれるということに相なります。
  85. 内村清次

    内村清次君 そこで、ただいま申しましたように、砂防法及び森林法指定施設、それと今度本法によるところの指定地域施設、それからさらに国庫負担法の適用を受けた事業の施行が、三つ併用されていくという場合のときに、本法案による施設災害を受けて、そうして破損しても、復旧工事にはならない、こういうようなことになってきますと、私は、第一条の目的にいっておりまする、国土保全及び民生の安定に反する措置ではないかと思われるのですが、その点はどうお考えですか。
  86. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 先ほども説明申し上げましたように、砂防指定地と地すべり地域との重なっておる部分につきまして、地すべり工事でやりました工作物のうち、砂防にも役立つというようなものは、砂防法施設にいたしまして、災害復旧の対象にいたしました。従いまして、そういうような民生あるいは公共の利害に、密接な関係のあるような施設は、国庫負担対象になりますから、災害を受けた場合は復旧できるということでございます。
  87. 内村清次

    内村清次君 それから、第十八条の有害な行為の制限の中に、地下水及び地表水を誘致し、停滞させる行為については許可を得る、こういう規定がありますが、地下水及び地表水を誘致し、停滞させる行為とは、一体どういう行為をいうのか、その点はどうですか。
  88. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) これは具体的に申し上げますと、地すべり地帯の付近に水路を作つたり、あるいは池を作つたりいたしまして、それが水を導きまして、地下に浸透させるような傾向をもたらすものを指しておるわけでございまして、これをいたしますると、絶えず滑動面の水分がふえまして、地すべりを助長するというおそれがあるわけでございまして、それらを指しておるわけでございます。
  89. 内村清次

    内村清次君 軽微な行為というのは、政令によって除くことになっておるようですが、水田及び植林ですね、こういう地下水及び地表水を必要とする行為は、これは許可いたしますか。
  90. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 第十八条の第一項の一号に、「(政令で定める軽微な行為を除く。)」ということがありますが、この政令では、井戸を掘つたり、あるいは生活のための飲用のための水を引いてくるというような小規模のものは、除外しようというように考えております。また第二号に、「地表水を放流し、又は停滞させる行為その他地表水のしん透を助長する行為」というのがございますが、ここでも「(政令で定める軽微な行為を除く。)」ということがありますが、この政令では、やはり散水いたしましたり、田地への放流とか、あるいはたんぼの貯溜というようなもので、影響のないものは除外するというふうに考えております。
  91. 内村清次

    内村清次君 そこで一般に地すべり地域というのは、山間の耕地といたしましては、農作物が非常にできがよい、ことに茎葉を目的とする作物がよく成育する、豊穣地が多いわけですが、従って水田等に利用されておるところの地域が非常に多いわけですね。森林もよく造成される、こういうような地帯に地下水及び地表水を誘致して、停滞させる、そういう行為というのは、一体軽微な行為といわれるかどうか。この点の判断は、どういうふうにお考えですか。
  92. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 地すべり地帯と申しましても、一がいに水を全然そこへためてはいかぬというようなことではございませんで、地質の状況によっていろいろ考えなければいけませんと思いますが、実質問題といたしまして、そこに住んでおる方々が自分の生活のために、どうしても必要なものを、これで一々許可にかからしめるというようなことは、非常に繁雑でございますし、またそれが有害でないものを一々許可を受けるということではいけませんのでございまして、従いまして政令で、そういう許可を受けなくていいものは、規定しようということでございます。できるだけそこに生活していかれる方々が、毎日今までもやつていたようなこと、あるいは毎日必要なこと等につきましては、有害とはっきり判定できるもの以外は、一つ許可を受けないようにしようということでございます。
  93. 内村清次

    内村清次君 問題は、この条項はあとに罰則条項がありますね、十八条ですね。そこで平素の慣行というのが非常に規制されて、それが直ちに罰則条項の中に入って、罰を食うというようなことになって参りますと、私は住民にはさらに不安があるだろうと思いますが、この点は十分解釈を浸透させてもらわないといかぬと思いますが、この点はどういうふうにお考えですか。
  94. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 今の点につきましては、十分気をつけなければならない問題でございまして、政令で定めるわけでございますから、関係者とよく相談いたしまして御趣旨に沿うようにいたしたいというふうに考えております。
  95. 松岡平市

    松岡平市君 ちょっと私は聞きたいのだが、せつかくこうして地すべり等防止法という、相当国費の要る法案が出ているのですが、鉱業法、各種の鉱業権との競合ということについて何にも法律の上で考えていらつしやらないのだが、現実はこの地すべり地帯で、鉱業権があつて地下を掘る、こういうものについて、この問題だけでなく、御承知のように現在鉱害というようなもので、八幡市のあの重工業の大工場地帯の下を、石炭を掘るというようなことで、大きな問題にもなっているのですが、片方でこうして地すべりを防止するということで、新しく立法をして国費を注ぎ込む、その危険防止、地すべりの助長誘発ということに相当な影響があると考えられる。鉱業権に基いて石炭を掘る、他の鉱物を発掘するというようなものとの競合といいますか、これに対してどういうふうに考えておられるか。幸い建設大臣がおいでになつたのですが、これは容易ならぬことだと思うのです。片方で防止しなければならない、片方で穴を掘つてどんどん地すべりを助長する。佐賀県の例などを見ますと、相当地すべりの誘発促進にこれが関係ある、と思える事例がたくさんあるわけであります。これは一体どういうふうに考えていらつしやるか、一つこの機会に……。
  96. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) この問題はずいぶんやかましく言われて、十分検討いたしまして、鉱業権に基く坑道の開発が地すべりを誘発するという場合においては、この規定適用されるというふうに、意見の一致を見ております。なおまたこのぼた山は、今後鉱業権者が不明になっているものについてだけ、これを適用するのでありますから、今後も従来の経緯から見てそういうことが絶無とはいえないのではないか。これに対する規制も十分しておかなければならないという御意見がありましたが、これは通産省におきまして十分に監視して絶対にそういうようなことのないようにする、という建前になっておるわけであります。詳しいことは事務当局からさらに御説明をさせます。
  97. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) その点他の委員会でも問題に相なりまして、十八条の解釈の問題でございますが、ここには十八条の行為制限の問題は、地すべりを助長する問題につきまして、すべてを掲げておるわけでございますが、ただ先ほど申し上げましたように、影響のないようなものは政令で除外しようということに相なっておりますが、これは法制局と通産省との意見が一致しておりまして、地すべりに影響あるような地下の掘さく等も、有害と認められるものにつきましては、もちろん都道府県知事の許可を受けなければならぬということに意見が一致しております。
  98. 松岡平市

    松岡平市君 そうすると、それは鉱業権を都道府県知事の許可だけで制限できますか。
  99. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 現在ありますもので、許可を受けて鉱業権をやつているものは十九条の経過措置で、一応十八条の許可を受けたものとみなしておりますが、それらのものも二十一条によりまして地すべりの防止に著しく支障が生じたときにはこれに必要な施設をし、あるいは原状回復を命ずることができるというふうに二十一条で規定しております。
  100. 松岡平市

    松岡平市君 そうすると、その部分は、この十八条の五でいくのでございますか。今、私は建設大臣が通産大臣と話し合いの上で、何らかの鉱業権を実際に発動、行使できないようにする、こういうようなお話し合いであったかのように思ったのだが、そうでなくて、この法律の上から鉱業権を制限できるという解釈のようです、あなたのお話では。そうなると、これははっきり聞いておかぬと、その十八条のどれで、地方長官の許可で、鉱業権を制限できるということ、これはちょっと私はおかしいと思うのだが、そこのところはどういうことでしょうか。
  101. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 地すべり防止区域内におきまして、地すべりを助長ずるような工事は、原形を復旧させましたり、あるいは必要な施設をさせるわけでございまして、鉱業権を停止するということには直接関係して参りません。それでは条文上どこでできるかということでございますが、第十八条の第一項の第一号で「地下水を誘致し、又は停滞させる行為で地下水を増加させるもの、地下水の排水施設の機能を阻害する行為その他地下水の排除を阻害する行為」ということに相なっておりまして、御承知のように地すべりは地下水がおもな原因でございまして、これを増加したりいたしますると、地すべりの原因となりますので、これに該当するということに相なるわけでございます。
  102. 田中一

    田中一君 付帯工事に対する費用の負担の問題ですが、これは個人負担市町村負担都道府県負担ということ、これは受益者負担という形になっておりますけれども、この負担のきめ方は、どういうきめ方をするわけですか。
  103. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 国と県との負担区分につきましては、二十九条あるいは二十八条にきめてございますが、そのほかに受益都府県の分担金というものが三十条に掲げてございます。これは一つの県内でやりました地すべり工事が、他の府県に利益を及ぼすという場合の受益負担規定でございまして、これは、他の法令におきましても、一つの県におきましてやつた工事が、他の府県に利益を及ぼすという場合には、こういう規定があるわけでございまして政令で手続とか基準とか、徴収の方法等を定めるつもりでございます。
  104. 田中一

    田中一君 どういうきめ方をしようとしていますか。
  105. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 従来の砂防法等でやつておりまする方法を大体踏襲したいと思いますが、その地すべり工事をやつたために生ずる下流の受益の割合を勘案いたしまして、結局それをやつたために、たとえば川がそれだけ理まらないで済むというような場合のことが考えられますが、そのためにどれだけのはんらん面積が防げるというようなことを基準といたしまして、その受益の割合で分担率をきめていくというふうに考えております。
  106. 田中一

    田中一君 ぼた山に対しては、どういうことになりますか。
  107. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) ぼた山についても、その条項を準用いたしておりますので、同じ方法を用いたいというふうに考えております。
  108. 田中一

    田中一君 この法律では、鉱業権を持っておる者にはむろん及ばないのでありますけれども、鉱業権を持っている者が、鉱山保安法によって自分資金地すべり等防止法案と同じような施工をした場合、また関連事業計画というものを作つてやつた場合、同じく受益者負担を徴収することができますか。同時にまたそれが、市町村あるいは都道府県というものにも、関連事業の受益があったとするならば、徴収は可能ですか。
  109. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 鉱業権者の当然処置すべきぼた山の対策につきましては、この法律では考えていないわけでございますので、当然、鉱業権者が鉱山保安法によりまして措置すべき問題でございますので、地方分担等あるいは受益者分担等は、もちろんこの法律対象としていないものでございますから、規定してはございません。
  110. 田中一

    田中一君 鉱業権者が自己所有のぼた山に対する阻止施設を行う場合、やはり関連事業計画を策定しなければ、不可能であるということになりますと、むろんこれは市町村なり都道府県なりに相談してその策定ができると思うのです。鉱業権者に及ぶ責任範囲というものは、ぼた山ならばた山それ一つの問題になります。それだけでは真にぼた山から受けるところの災害というものが守れないという場合には、やはり関連事業計画を立ててやるということもあり得ると思うのです。その際には、またそうしなければならない場合、これは御承知のように、鉱業権者の及ぼすところは関連事業にまで及ぶというような言い方をしていいものか、鉱業権者の場合、鉱業権を持っておる者は、この法律対象となるものは、関連事業計画をもってこれは完全なものということを目途にしていると思いますが、鉱業権者は、自分の持っているぼた山というものについては、責任があるけれども、ぼた山だけを守つても、関連事業計画が策定されなければ、完全にぼた山の災害防止にならないというぼた山のあった場合に、これは当然この法律と同じような関連事業計画を持たなければ、完全な防止ができないということになるわけです。その際には、通産省は、この法律では、それは鉱山保安法で、向うの法律でやるのであるから仕事はないと言うけれども、それでは真の災害の防止にはならぬわけです。従って、この法律制定に当つて考え方は関連付帯事業というものは、鉱業権者の所有する山に対しては及ばないでいいのだ、という前提に立ってのものか、その点はどう考えますか。鉱山保安法にもはっきりと、関連事業計画を立てて、完全なる防止をするように規制ができておるかどうか、これは規制ができておらぬと思うのです。自分の所管だけよければいいのだということでは災害は守れるものではない。
  111. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) ぼた山鉱業権者の当然やるべきものは、この法律には含まれておりませんが、このほかにも具体的な例といたしましては、ぼた山がくずれまして人家が被害を受けたり、あるいは炭住等が被害を受けたというような例がございますので、ぼた山に対して鉱山保安法の施設をやると同時に、下にある家等の移転等は必要だというように考える場合もあると思いますので、それらはやはり鉱業権者が含めて考えるべき問題でありまして、どうしてもぼた山が完全にとまらないというような場合には、そういうふうな方法考えなければならぬ問題ではないかというふうに考えております。
  112. 田中一

    田中一君 建設大臣に伺いますが、今河川局長答弁を聞きますと、これはむろん河川局としては、この法律にきめられた対象だけが事業範囲である、ということは当然でありますけれども、先般来の、この法律案の審議に当つての、私ばかりではございません、同僚の委員の諸君も、同じように放置されておる、放置されておるというのはこの法律のらち外にある対象、すなわち鉱山保安法によってその防止をしなければならぬど言われておるぼた山に対して、同じような、この法律で盛り込んでおりますような数々の条件を与えるように、通産大臣との話し合いは済んでおるのかどうか、その点を伺いたいと思います。
  113. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) お答え申し上げます。ぼた山に関しまして、現実に鉱業権者がありますれば、当然このぼた出が崩壊することを防ぐ措置が、これは義務づけられておると思います。従いましてこの法律のらち外になっておるのでありますが、もし、さようなぼた山がくずれてきたために、他に公共被害が起るというような危険がありますれば、当然これは通産省におきましてその防止の措置を命ずる。あるいはまた行政上、この前提に立ってこの法律ができておりますので、そのように通産省関係処置していく、こういう前提に立っているわけでございます。
  114. 田中一

    田中一君 根本建設大臣は当然この法律による対象範囲のことだけを言っておるのですが、この際通産大臣に来ていただいて、通産大臣がこの法律制定に当つて、この対象外にあるところの鉱業権を持っておるものに、義務づけられておるところのぼた山の、山くずれ等の防止に対する言明を聞きたいと思うのです。従って通産大臣を直ちにお呼び願いたいと思います。
  115. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  116. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 速記を始めて下さい。
  117. 田中一

    田中一君 先ほど河川局長に伺つた受益者負担の問題ですけれども、むろん、関連事業計画というものははっきりと公示して関係者の承認というか、納得のもとに行うものだと思うのですが、もしもそうきめても、自分のところはその危険を感じないから除外せよ、ということを言える機会というものは、この条文じゃないように思うのですが、これは民法上の規定でそれを準用すればいいのだ、という解釈のもとに立っておるのかどうか。
  118. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) その点の心配もございますので、都道府県知事主務省令で定めるところによりまして、「次の各号に掲げる事項を記載した計画の概要を作成し、地すべり防止区域の存する市町村の長にこれを提示」する、ですから、概要というものは、邪道府県知事が作りまして市町村長に提示いたしましてそれをもとにいたしまして市町村長が、市町村における関連事業計画を作成するということでございまして、都道府県知事はそれらの計画を指導する建前になっております。
  119. 田中一

    田中一君 もしも自分がその計画の中に入られちや困るという、異議の申し立てがあった場合には、どういう措置をとりますか。
  120. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 先ほどの御説明で、もう少し追加いたしますと、「市町村長は……当該計画に係る事項に利害関係を有する者又はこれらの者の組織する団体の意見を聞かなければならない。」ということになっておりまして意見をよく市町村長は聞いて、関連事業計画を立てるということになっておりますが、さて今おっしゃるように、自分の所は危険じゃないと言われた場合に、どうするかということでございますが、その点に対する強制的の処置はございませんが、都道府県知事市町村長勧告をするし、市町村長もそういう建前に立ちまして利害関係者の意見を聞くわけでございますので、しかしどうしても自分は危険じゃないとおっしゃることになりますると、この計画に入れましても移転しないということに相なるわけでございますので、できるだけそれは危険の者は入ってもらうようにしなければならぬわけでございますが、反対である者を入れても移転しない、ということになるわけでございますので、結果としてはやはり、どうしても移る意思のない者は、自分の生命財産が危険であつても移らないということでございますので、どうする処置もできないということでございます。
  121. 田中一

    田中一君 じやそういう場合には、今のどうする処置もできないということでよろしいのですね。
  122. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) それは生命財産の危険を防止するわけでございますので、移転していただくのがよろしいわけで、希望するわけでございますが、それを強制的に移転命令を出すというようなことになりますと、これはやはり個人の自由を束縛するというようなことに相なるわけでございまして、いろいろと疑義の存するところでございますので、そういう処置にはしなかったわけでございます。
  123. 田中一

    田中一君 該当する者に対する損害の補償の問題は、どの程度まで補償しようという考えを持っているか、伺いたいですね。
  124. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 補償という問題でございますが、あるいは御質問の趣旨と違うかと思いますが、工事のため必要とするものに対しては、もちろん補償しなければ相なりませんし、またその他施設のありましたものを、ほかの事業のためにその施設移転させるような場合には、原因者に負担させるというようなことを規定してあります。
  125. 田中一

    田中一君 この移転せよと、住宅ならば場合によつたらば、資金さえあれば移転できますけれども、田畑では移転できない場合がありますけれども、これは当然何年後にはこうなるから、これをこうせいというようなことがあった場合、移転を強制しないというならば、その危険というものは防止されないことになるわけですね。そういうところも野放しでいいとお考えになるのですか。
  126. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) そういうものは移転するのが望ましいわけでございますが、先ほど申し上げましたように、自分らの所有物でございますので、公共目的のためにはそれを制限することはできましても、自分の家なり生命を保護するために、それを強制的にやるということにつきましては、先ほども申し上げましたように疑義がありますので、それまでは考えておらない次第であります。
  127. 田中一

    田中一君 たとえば五反歩の田畑を持っている、そのちようどまん中に防止施設なんか、コンクリートなんかの工事を行う場合、これはその部分だけの補償で済むのに、五反歩全部を補償するという考えなのか、そういう点はどのようにきめようとしているのですか。
  128. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) その点につきましては、工事のために必要な補償でございますので、その工事をやつたために使いものにならないとか、あるいはそのために減収になるとかいうふうな具体的な調査をいたしまして、正当な補償をしたいというふうに考えております。
  129. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  130. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 速記を始めて下さい。
  131. 西田信一

    ○西田信一君 河川局長の御答弁、ちょっとふに落ちない点がある。先ほど田中委員質問の「立退の指示」をした場合に、指示を受けても立ちのきをする意思のない者は、処置がないという御答弁でございましたね。私ちょっとそこで疑問に感ずるのですが、この第二十五条の「立退の指示と」いうのは、「地すべりにより著しい危険が切迫している」と、こういう場合に限つているのですね。「著しい危険が切迫している」という場合に、なおかつその指示に応じないという場合があり得るかどうか知りませんが、そこでお聞きしたいのですが、そういう指示をした場合に、警察署長に連絡することになっておりますね。私は、そういう危険が生じた場合はこの法律によらなくても、警察署長は立ちのきを命ずる権限を持っていると思う。警察署長の警察権による立ちのき命令ですね、これではこれとどういう関係になるのですか。その点を一つ
  132. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 先ほど田中先生にお答え申し上げましたのは、自分住家移転の問題で申し上げているわけでございまして、これはお前の住家を移れなどということの指示はしない、ということを申し上げているわけでございまして、危険が切迫しているときにその危険地帯にいるということは、これはその第二十五条によりまして、一時的の避難指示するということでございます。
  133. 西田信一

    ○西田信一君 それならはっきりいたしましたけれども、あなたのさっきの御答弁は、生命財産とお答えになつたから、生命財産ということはちょっとおかしいのです。それならよろしいのです。
  134. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) ちょっと速記をとめて。    午後四時五十九分速記中止    —————・—————    午後五時十二分速記開始始
  135. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 速記を始めて下さい。  小笠通産政務次官、小岩井鉱山保安局長がお見えになりました。
  136. 田中一

    田中一君 小笠さんに伺いますが、御承知のように、地すべり等防止法案が出ておりますが、私ども一番心配しておるのは、鉱業権を持っておる者が作つておるところのぼた山に対して、鉱山保安法によって、この法律と同じような精神にのつとつて、防止施設をするということになっておりますけれども、現在まで無主物的なぼた山があるという実情から見て、そうしたものの防止施設、いわゆる鉱山保安法によるところの災害防止の施設というものが、不十分であったのではないか、という懸念を持っております。そこでこの法律が制定されますと、当然、鉱業権を持っておる者が自分の所有する山、並びに山のみならず、この法律の精神というものは、関連する付帯計画をも立てて、そして附近の住民に対する危険を防止する、ということが主眼になっております。従って、現在の鉱山保安法の政令等は、この法律と同じような形の取りきめをしておらない、という実情から見て、この法律制定の精神と同じ形の施設をするかどうか。どういう心組みをもって行おうとするかという点を聞きたいのです。同時に、法律で建設省が実施をする、あるいは農林省が実施をするという築造基準は、むろん、ぼた山のそれぞれの対象について、多少の相違はあったとしても、建設省はいやおうなしに、所有者のはっきりしないところの山は、実施するわけですから、その基準を建設省と相談し合いながら行おうとするかどうか。同時にまた鉱山保安法によるところの政令を、建設省側が意図しておるところの築造基準と同じような形に、改正を行おうというような意図があるかどうかという点について、通産省の責任ある答弁が伺いたいのです。
  137. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) 鉱業権者のあります山につきまして、そのぼた山の崩壊の防止等につきましては、鉱山保安法、鉱山保安規則等に基きまして、従来危害の防止に努力をして参つたのでありますが、ただいまお尋ねの第一点の、地すべり防止法の成立いたしましたときに、こういう鉱業権者のあるぼた山についてどういう措置をするかというお話につきましては、ぼた山の危害防止というふうな問題につきましては、極力予防措置と申しますか、危害の起らないように努力して参りたいと考えております。  第二点にその場合におきまして、従来の鉱山保安法等の法規によって防止措置を講じているものの基準と、今回の地すべり防止法案との均衡の問題をどうとるべきかというお尋ねのようでありますが、本法案が実施に移される場合におきましては、もちろん関係各省と連携をとりまして、その基準に均衡を失しないような基準に改めて、地すべり防止法案の趣旨をそこなわないようにして参りたい、こういうふうに考えます。
  138. 田中一

    田中一君 われわれが通例見聞しているところによりますと、中小炭鉱は石炭の値段が安くなりますと、山をそのまま放置して掘らない。むろん労働者の生活等も顧みずして地下へもぐつたりなんかして責任をとらんというのが、今まで数々あったところの中小炭鉱の実態であります。そこでこの法律によって一応五年間の保安の義務を課されておりますけれども、これらがもし地下にもぐつたという場合には、その責任の追及は対象が不明になるということ。それからその鉱業権というものを他に移譲してしまつて、そのぼた山を築造したところの責任者が保安の能力がなくなつたという場合、通産省はどういうように措置をしようとするか、伺いたいと思います。
  139. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) 中小炭鉱のこれまでの実情は、お話のような点が多々あったように思うのであります。地すべり防止法案との関連におきまして、鉱業権者のあるぼた山の危害防止というような問題につきましては、中小炭鉱面において困難な問題が一応予想される。私は率直にそう考えます。そこで中小炭鉱のそういうものに対する予防措置的な事項がやりにくい、という問題は予想されるのでありますが、これに対しましては、あらかじめいわゆる石炭の採掘のときから十分な指導をいたしまして、そういうぼた山を放置する、ということのないように指導を行なって参りたい、こういうふうに考えておるのであります。
  140. 田中一

    田中一君 権利を移譲して、その移譲されたものが能力がなくなつた場合は、五年間たつていよいよ法律的に保安の義務がなくなつた、というところに立ち至りますと、これはまた善意の第三者に渡つた場合には、この法律適用されるところのぼた山になるわけです。私は、そういうことがないように指導するというだけでは、納得ができないものなんです。当然私が今言っているようにそういうことが予想されるわけです。これは善意な第三者として譲渡を受けた者は、その義務はございません。築造した者がその責任がある。その責任も五年間に限られております。そういう場合にはそうならないように指導するというだけでは、今までの中小炭鉱のあり方からみて万全を期することができないだろうということを私は予想するわけです。従ってそういうようなことが起るということを前提に考えた場合に、どういう措置をとるか、こういう点です。
  141. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) ぼた山のそういうふうな事態に対しまして行政指導等において十分な効果が期待できないというようなお話がございますが、私どもといたしましては極力行政指導によりまして、ぼた山の堆積をするときに、一定の指導をするということによって未然に防いでいくほかないのではないか、こういうふうに思っておるのであります。
  142. 田中一

    田中一君 待望の法律案が今日提出された、しかしぼた山が人工山として出現するには相当、何年あるいは数十年たつてそれらのぼた山が築造されるのだと考えておりますけれども、これからやつたのでは、今まであったぼた山のゆくえについては、やはりこの法律に該当する山が続々発見されるのではないか、という予想をわれわれは持つことは、決して無理ではないと思うのであります。こまかい点を伺おうとするならば、一体、高さ何メートルのぼた山は、現在あるところのぼた山というものは、これは何年かかってできたかということは、私は承知しておらぬから、そういう質問をするのですけれども、これは五年以内にそれらの山ができ上るということを前提とするならば、仕事を続けつつぼた山ができてくるのですから、その防止設備はできると思いますけれども、現在ある山のうちの鉱業権者が責任を回避しようとした場合にはそれを押える道は今の御答弁では発見できなかろうと思います。
  143. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) ただいまの御質問でありますが、特に中小につきましては、私どもも十分というほどの確信がない、というよりも多少は出得るのではないかということは考えております。しかし私どもはぼた山の監督につきまして、非常な危険を感じましたのは比較的最近のことでありまして、従来ぼた山につきましては十分な資料もございませんし、今のお話のような何年間で現状のぼた山は作られたか、というような点も詳細には承知しておりません。しかし現在ありまするぼた山の状況については、かなり詳細に調査を済ませまして、大体の状況もわかりますけれども、今後杵島炭鉱を中心にいたしまして、従来三カ年ばかり研究をいたしまして大体のぼた山の推移というものがわかつてきたわけであります。でぼた山は非常にあぶないように仰せられますけれども、私ども考えておりますのは、積んだときには割合に危険性はないのでありますけれども、これが二十年、三十年長年月たちますと、内部が変化をいたして参りまして、自己崩壊を起すというようなケースが多いのでありますしそこで私どもの監督といたしましては、通常ぼた山に水が入らぬように、ぼた山の周囲にはずっと溝を作らせましてぼた山の上に降る雨はいたし方ありませんけれども、山腹から流れ込むということのないように必ず溝を作らせる。それから崩れかかるような場合には土留め石垣、今申しました排水溝、これが主な方法であります。しかしこれで防げないようなこともあります。大きい山が徐々に動き出すという現象も最近ございます。こういうような場合にはバイブを回りから水平につつこみまして、中の水をずっと外に出すわけであります。こうしますとほとんど現状では動きがとまる、こういうような状況になっております。ぼた山の崩壊防止につきましては大体以上の方法をとりまして、ほぼ確信がついたような次第であります。特に大手のぼた山につきましては、かなり十分な崩壊防止の工事をやらせております。少しこまかくお話してもよろしゅうございますが、ちょっと時間がかかりますので、かなりやらしておりまして先日の参考人のお話のように大手ではほとんど問題はございません。ただ問題は中小でございますけれども、中小につきましても、なるべくこの法律のお世話になるようなぼた山を、でき得る限り少くするために、操業しております間に十分な施設を、でき得る限り監督を厳にしまして十分な施設を講じたい。しかし鉱業権が移りましてからも、ただいまのお話のように五ヵ年間は責任を持たせております。その間にもちろん操業中にやらせるつもりでおります。できない場合にはその五ヵ年内に完全なものにして次の者に渡す、ということを考えておるわけであります、しかし何しろ十分な資力のない中小でありますので、私ども考えているだけが、十分に果してできますかどうかの懸念も多少持っておりますけれども、私どもの方は今後十分監督を厳にいたしまして、でき得る範囲内に万全を期したい、かように考えております。
  144. 田中一

    田中一君 現在の炭鉱界からみて中小企業のあり方というものもそういう一つの役目を果しているわけです。しかし今まで鉱山保安法に示しておりますところの施設というものを、しなかったという山があるならば、これはただ単に中小炭鉱の責任のみならず、政府の責任も幾分あるのではないかというふうに考えるのです。従ってこれから私どもあなた方通産省諸君に質問をして、そして中小炭鉱に過重な負担をかけるということも、どうかというような懸念もいたしており、そこで先ほど政務次官が言明されているように、鉱山保安法によるところの政令を改正して、もう一歩前進して、まあ本年度は間に合わぬといたしましても、明年度くらいからは力のない炭鉱業者のぼた山に対しては、別途補助金なりあるいは助成するような形をとることが望ましいと思うのです。これは今ここでその言明はできかねるでしようけれども、事実においてこの法律対象となるぼた山に対しては、逐次五ヵ年間で事業を完成しようという意図を政府は示しておりますが、同じようなテンポで通産省は所管——当然、鉱業権を持っている者が保安施設をするという。ことに中小炭鉱においては、その力がない場合には、当然、先ほど言っているような、保安設備を義務づけられない者の所有に移ることが、数々あろうかと思うのです。そこで、明年度は、何かそのような助成の方法考えようとする意思があるかどうかという点について、御答弁願いたいと思います。
  145. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) 御承知通り一昨年来、炭鉱におきます鉱害復旧問題というものは、長足の進歩を見つつあるわけであります。ぼた山につきましても今御説明のように、資力の弱い弱小の鉱業権者に背負い切れないような場合が予想される。そういう場合に対して、政府が助成措置等を考慮するか、こういうお話でございますが、私は、はっきりしたことをここで出し上げにくいと思うのでありますが、地すべり防止法案の成立によりまして、鉱業権者のない山は安全な状態に置かれ、鉱業権者がある山は、企業主の資力が少いゆえになかなかうまくいかぬということで、均衡がとれないと思います。均衡がとれないようなことが明白な場合には、鉱害復旧の一態様として考えていかなきゃいけないことを予想しなきゃいかぬ、こういうふうに私は考えております。
  146. 田中一

    田中一君 もう一点伺いたいのですが、そこでこの法律は付帯事業計画をもって、ただそのぼた山オンリーの対象だけを考えての事業をしようとしているわけじゃない。従って通産省が指導するところの、鉱業権を持っているぼた山に対しては、同じような付帯事業というものの計画を策定するつもりで、政令の改正をしようとするか、ぼた山だけを対象として防止施設をしようとするか、その点はもうあなたの方では杵島炭鉱で十分検討済みだと思いますから、その点はどういう工合に考えておりますか。
  147. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) 保安法の対象としてやりまするのは、ぼた山だけを対象としてやります。
  148. 田中一

    田中一君 そういたしますと、われわれの心配している点が明らかになつたわけなんです。ただ単にぼた山だけを考えておりますと、そうすると、この法律考え方とはおのずから違つてくるわけなんです。この法律の趣旨は、その区域、どういう規模になりますか、大きなもの、あるいは個々の条件によって違うでしようけれども、全体の危険を防止しようということを、この地すべり防止法案では示しているわけなんです。おそらく、その精神は、ぼた山の場合にも、先ほど河川局長は、同じような計画をもってやるのだということを言っておりました。そうすると、今、政務次官が御答弁なつたような不均衡な、ぼた山に対する保安施設が行われるということにならざるを得ないのです。それでは、われわれは納得ができない。やはりこの法律考えておりますような保安施設をやるということの御答弁があるならば、まあ一応了承はしますけれども
  149. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) 私がただいま申し上げましたのは、ぼた山だけと申しましたけれども、もちろん、ぼた山の崩壊防止に対するいろいろな規則の内容は、当然、付近のぼた山周辺の事情考えて作り上げておるわけでございます。もちろん、規則の中で、三十メーター以内には人の住むような住宅があつてはいかぬとか、そういうようなものがあります場合には、もちろんどけられるように、別な規則ができております。私の今申し上げましたのはぼた山自体の崩壊防共について考えておる。しかし、こわれた場合に、影響の多いようなところは、保安規則の中にこまかくうたつてあるというわけであります。
  150. 田中一

    田中一君 今、政務次官の、政令を変えても、この法律と均衡をとれるような工事をするという言明なんです。従って、もしも、今あなたの御答弁のように、これと同じように考えるけれども、付帯事業というものも含めた区域の保安施設をやらせるということになると、これまた、中小炭鉱に与えるところの建設費の負担というものは増大するわけです。この法律によりますと、これによって利益を受ける者もあるに違いない、むろん、これによりますと。その場合には受益者負担を課することができるようになっておりますが、一方、通産省というか、あなたの方で見ようとする鉱業権のある者の山というものは、当然原因者負担、原因者が負担すべきだということにならざるを得ないと思う。山を人工的に作つたのは、炭鉱の営利事業からくるところの副産物でありますから、そうなると、やはり負担が過重になる、負担が重くなるということを言わざるを得ないのですが、その点が十分考慮されて、今、政務次官が言明された精神を十分に生かして、中小炭鉱の過重な負担にならないような措置をとるようにするかどうか、もう一ぺん政務次官から一つ言明を願いたいと思います。
  151. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) 関連事業範囲をどう見ていくか、関連事業内容によりましては、あるいは地すべり防止法案でねらつておるところと、鉱山保安法等によってねらつておる範囲と、食い違いが起ることが当然予想されなければならぬと思います。法域が違う面があると思います。ただ、ぼた山の崩壊を防止する、そうして危害を予防するというような趣旨においての範囲内におきましては、この関連の工事は、当然に鉱山保安法等の関係から広められてくると私は思うのであります。そういうような趣旨において措置していくものと考えます。同時に、現在の保安法が、同じ目的のために、地すべり防止法案のねらいと、たまたま法域が若干食い違つた、こういうことから、ぼた山の崩壊防止に非常な不便があるということならば、鉱山保安法自体においても、一応反省してみる必要があると考えるのであります。同時に、中小炭鉱の資力の問題から見た場合に、先ほど申し上げましたような、これはいわゆる鉱害問題の一態様として、いわゆる法的な援助というものは当然考えていかなければならぬ、こう考えております。
  152. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) ほかに御発言もございませんようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  153. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君)御異議ないものと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、付帯決議案は、討論中にお述べを願います。
  154. 内村清次

    内村清次君 私は地すべり等防止法案につきまして、日本社会党を代表して、次の付帯決議案を提出し賛成の意を表するものであります。まず付帯決議案を提出円いたします。   地すべり等防止法案に関する附帯決議案   政府は本法の施行にあたり、左記各項の実現につき特に配慮すべきである。  一、緊急を要する地すべり防止工事は、おおむね五カ年間に完成すること。  二、本法の対象とならないぼた山については、本法制定の主旨にかんがみ鉱山保安法による監督指導を厳重にし、鉱業権者等をしてその崩壊防止対策につき遺憾なからしめること。  わが国を端的に表現いたしますと、災害国という言葉で尽きると思います。これを昭和三十二年の国土建設の現況から検討してみますと、昭和二十一年から三十年までの十年間における災害被害の年平均は、はんらん面積約七十万町歩家屋五十四万戸、農地は約五十一万町歩に当る被害をこうむつておると指摘しております。また本法律案の提案の理由において、地すべり崩壊が五千五百カ所、面積にして十四万五千町歩、さらにぼた山崩壊が六百二十三カ所、そのうち本法案対象となるものが二百三十六カ所もあると言われております。まさに災害国日本であると考えます。元来地すべり現象は古くから発生し、一般に知悉されておつたものでありますが、発生する地域が大部分は山間僻地の場所にあるため、等閑視されてきた傾向があります。従って地すべりが発生しておる地域、あるいは発生するおそれのある地域においても、現に居住し、農地等に利用され、危険に瀕しながら営農されているのが実情であります。これは限られた狭い土地の利用の実態であるのみならず、地すべり崩壊を発生する地域は、きわめて水にも恵まれ豊沃な土地であり、土地と居住家屋移転は密接不可分のものであるからにほかなりません。従って砂防法または森林法の拡大解釈により、防止施設を施行したとはいえ、きわめて微々たるもので、もちろんこの地すべり地域住民のため安全な措置は数少いのであり、移転するにも融資措置も講ぜられていなかったのであります。従って本法案の提出されたのは、おそきに失する感があると言わねばなりません。また山くずれを含めた崩災の一貫した措置が、立案されるのが好ましく、本旨であつて法律的にもすつきりとしたものであったと考えるものであります。しかしながらかような法案の提出されたことは、一歩前進した措置と認め、抜本的な施設が実施され、国土を保全する目的から賛成するものであります。  特に本法案の実施に当つて、強く政府に要望しておきたい点は、先に提出いたしました付帯決議案を、法律実施に当つて十分に活用し、国土保全及び住民の不安除去、災害防止、災害復旧措置の万全を期せられ、また有害な行為制限については、私権に関する場合、特に政令による措置については、慎重に措置するとともに、立ちのきの指示等は、地すべり関連事業計画において市町村は責任をもって処置すること、その他この法案による施設が、公共土木施設災害復旧国庫負担法の適用外になっておることは、きわめて不合理でありまするから、地すべり等防止施設も当然対象とすべきであり、今後実施した上で措置されることを強く要望して、賛成する次第であります。  ただま提出をいたしておりまする付帯決議案は社会、自民、緑風三派の合同提案であることを最後に付言いたしまして、私の賛成の意を表するものであります。
  155. 西田信一

    ○西田信一君 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっておりまする地すべり等防止法案に賛成の意見を申し述べたいと存じます。  地すべりの現況は全国におきまして実に五千五百カ所、総面積十五万町歩にも及んでおりまして、年々非常な災害が発生をいたしておるのでございますが、地すべり現象は現行法の砂防法森林法、これらの諸法の適用範囲のみでは、完全に災害防止の目的が達成できないのでございまして、この法律の制定によってこの目的相当達成できると信ずるのでございます。なおぼた山の崩壊につきましては、地すべりとその現象は多少異なっておりまするけれども、現状におきましては、災害防止の措置がきわめて不完全な状態に置かれておりまするし、特に保安の責に任ずべき鉱業権者等の存在しないぼた山等につきましては、全く放任の形に置かれておりまして、この法律の制定によってこれらの目的が達成できると思われるのでございます。このような観点からいたしまして、この法律の制定はきわめて適当であり、かつこの法律の実施によりまして、これらの防止に非常な効果を上げ得ると確信いたしまするがゆえに、この法案に賛成をいたすのでございますが、ただ先ほど内村委員からもお述べになりましたように、この地すべり防止工事は、緊急を要するものが相当ございまするからして、早急にこれを完成する必要がございまするし、なおまた本案審議の過程におきまして、非常な論議の対象になりました、本法の対象にならないぼた山につきましては、本法制定の趣旨にかんがみまして、政府におかれまして、鉱山保安法による監督指導を厳重にしていだいて、鉱業権者として、その崩壊防止対策について、遺憾なき措置をとつていただかなければならないわけでございます。かかる観点からいたしまして、先ほど内村委員が述べられました緑風会、自民、社会三派の付帯決議を付しまして、本案に賛成の意を表する次第でございます。
  156. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) ほかに御意見もないようですから、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  157. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 御異議ないと認めます。  それではこれより地すべり等防止法案について採決いたします。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  158. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に討論中述べられました、三派共同提出の付帯決議案を議題といたします。三派共同提出の付帯決議案を、本委員会の決議とすることに、賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  159. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 全会一致でございます。よって三派共同提出の付帯決議案は、全会一致をもって、本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  160. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。  それから報告書には、多数意見者の署名を付加することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     内村 清次  森田 義衞     武藤 常介  斎藤  昇     中野 文門  岩沢 忠恭     松岡 平市  西田 信一     稲浦 鹿藏  石井  桂     田中  一
  161. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) それでは本日はこれで散会いたします。    午後五時五十二分散会