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1958-03-20 第28回国会 参議院 建設委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十日(木曜日)    午後一時五十六分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     竹下 豐次君    理事      石井  桂君            稲浦 鹿藏君            西田 信一君            田中  一君    委員      岩沢 忠恭君            中野 文門君            武藤 常介君            坂本  昭君            重盛 壽治君            戸叶  武君            村上 義一君            森田 義衞君   国務大臣    建 設 大 臣 根本龍太郎君   政府委員    自治庁財政局長 小林與三次君    自治庁税務局長 奧野 誠亮君    建設省道路局長 富樫 凱一君    建設省住宅局長 植田 俊雄君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    厚生省保険局厚    生年金保険課長 栃本 重雄君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○連合審査会開会の件 ○派遣委員報告公営住宅法第六条第三項の規定に基  き、承認を求めるの件(内閣提出、  衆議院送付) ○建設事業並びに建設計画に関する  調査の件(高層建築工事危害防止  に関する件)   ―――――――――――――
  2. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) ただいまより建設委員会開会いたします。  連合審査会に関する件についてお諮りいたします。道路整備緊急措置法案道路法の一部を改正する法律案及び日本道路公団法の一部を改正する法律案について、地方行政委員会から連合審査の申し入れがごさいました。道路整備緊急措置法案外二件について、地方行政委員会連合審査会開会することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会の日時については、前回委員会散会後、便宜のため、あらかじめ理事各位に下打ち合せをいたしたのでございますが、その結果、二十四日の午後一時からということに話がまとまったのでございます。さよう御了承をお願いいたします。   ―――――――――――――
  4. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 次に、関門付近道路整備状況について、去る三月七日より十日までの四日間委員派遣を行いましたので、この際派遣委員報告を聴取することにいたします。
  5. 田中一

    田中一君 関門地方道路視察のため、私ども竹下委員長稲浦理事田中理事の三名、去る三月七日から十日まで出張いたしました視察の概要を御報告申し上げます。  七日の夜東京出発、翌八日下関に着き、稲浦理事は三名を代表して、関門国道隧道工事犠牲者慰霊祭出席いたし、竹下委員長及び私は、時間の関係上、直ちに当地方道路視察をいたしました。  まず、長府道路に参りました。長府道路と申しますのは、関門国道を長府において国道二号線に結ぶ道路でありまして、道路公団施行による有料道路であります。延長的五千三百メートル、うちに五百四十五メートルの長府トンネルを持っております。有効幅員七・五メートルないし十五メートル。長府から入りますと、入口トールゲートがあり、途中で分岐して一方は隧道入口へ、一方は山陰方面に行けるようになっております。関門トールゲートはこの分岐の付近にあり、ここから下関門司、三千四百六十一・四メートルの海底隧道が始まります。海底部分は七百八十メートル、下関側アプローチ千三百七十・四メートル、門司側アプローチ千三百十一メートル、昭知十四年着工以来の経費を換算して約七十六億の工費とされております。幅員、車道七・五メートル、その直下に三・八五メートルの人及び自転車道道路を持ち、この人道部下関及び門司に各二台の四十人乗り、一台の二十人乗りのエレベーターがあつて、これによって運び込むのであります。海底部の岩のかぶり高は平均三十六・三メートル、最小二十・七メートルであります。換気装置は一時間二千台の交通量に対し、一酸化炭素最大詐言容量を〇・〇四%に抑えるため、十二台の送風機及び十台の排気機を有し、各内径三メートル、四十五馬力のものであります。長大トンネル換気の困難さを如実に見て参りました。  昭和十二年調査に着手、十四年に工事開始、二十年ないし二十六年まで足踏みをし、二十七年本格的に工事を開始し、この三月九日完工いたしたのでありますが、この間この工事に参加された方々に対し敬意を表せざるを得ません。ことに海底都の最も困難な部分は、完全な建設省直営工事でありまして、このたびの完工について技術者諸賢にとつて感想無量のものがあると存ぜられます。  関門通り抜けまして門司北九州道路を見ました。この道路公団有料道路でありまして、現在の国道三号線の通ります海側を通らず、現在の国道と山一つ隔てました山合いをほとんどトンネルと高架によって門司の大里に出る四千四百メートルのものであります。九億五千万の工費目下工事中であります。  これを見て、若戸橋梁予定地点視察いたしました。この橋梁洞海湾入口若松戸畑間を結ぶものであります。洞海湾の中には八幡製鉄のほか大工場があり、大型船舶が出入いたします。また若松から瀬戸内に参ります機帆船があまた出入し、さらに漁船が入り、若松戸畑間のフエリーによる連絡がこれらの船のためはなはだ危険でありますので企画されているものでして、目下公団の手によってボーリングが大略終り、最終設計ができ上りかけているところであります。メイン・スパン三百六十八メートル、幅員十五メートルの吊橋の設計でありまして、工費五十一億と概算されております。  八日の行程はこれにて終り、翌九日は関野トンネル完工式出席後、委員長門司水害地の跡始末の砂防工事を、田中理事国道二号線を下関―小郡間を視察いたし、十日帰京した次第でありますが、国道二号線は三十三年以降建設省山口工事事務所管内のみで改良八億八千万、補装で七億七千万を用いないと一応の形ができないということであります。関門トンネルのできました今日において、国道二号線が車のすれ違いのため待機しなければならぬという状況はちょっと予想いたさなかった次第でありまして、一そうの当局の御努力を期待するものであります。   ―――――――――――――
  6. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件を議題にいたします。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。政府から根本建設大臣のほか建設省住宅局長が御出席になっております。
  7. 田中一

    田中一君 資料として出されました、第三期公営住宅建設三カ年計画における公営住宅不燃率中高層率についての御説明を最初に伺いたいと思います。
  8. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 本日ただいまお手元にお配りいたしました、第三期公営住宅建設三カ年計画における公営住宅不燃率中高層率につきまして、御説明申し上げます。これは前回委員会で御要望がございましたので、住宅局事務当局として、三カ年計画公営住宅不燃率中高層率につきましてこうありたいと考え、また三十四年度以降の予算におきましてもこれを基準にして予算を要求したいと考えているわけでございます。内容につきまして簡単に御説明申し上げますと、不燃率の点でございますか、三十三年度公営住宅全体におきましては約五〇%程度でございますが、今後の努力によりましてこれを七五%程度に引き上げたいと考えているわけでございます。その基準の取り方でございますが、イにございますように、市街地連檐区域におきましては、すべて不燃構造にするということが、これは当然とるべき方策でございますので、こういたしますと、市部で建てました公営住宅につきましては九割程度不燃構造にいたしたい。この不燃の中には、御承知通り耐火建築簡易耐火建築と二つを含むわけでございます。次にロでございますが、北海道につきましては、御承知通り北海道防寒住宅建設等促進法がございまして、全部不燃構造でございますが、それ以外におきましても災害多発地不燃率を高めたいと考えているわけでございます。  次に、中高層率でございますが、中高層率は、前回にも申し上げましたように宅地高度利用の見地――これは逆に申し上げますと、人口密度が高くて地価が高いところでございます。こういうところにつきましては中高層建物を多く割り当てるべきだと考えているわけでございます。大都市、これは東京を含めました六大都市と、それからこの六大都市と連檐いたしておりますような都市意味でございます。たとえて申しますれば、東京でございますれば東京に連続しております三鷹、武蔵野、こういうところまで含めた意味でございますが、こういった大都市におきましては三〇%ないし四〇%の中高層率に持っていきたい。その次の段階中小都市におきましては、これは大体におきまして県庁所在地程度都市でございますが、こういう都市におきましては一〇%ないし二〇%、平均いたしまして一五%程度まで中高層率を引き上げたい、かような考え方を持っているわけでございまして、昭和三十三年度予算におきましてはこの中高層率は九・六%でございますが、これを二五%程度に引き上げたい、かように考えているわけでございます。以上簡単でございますが……。
  9. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 速記をとめて。    〔速記中止
  10. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 速記を始めて。
  11. 石井桂

    石井桂君 ちょっと資料について住宅局長にお伺いしたいのですが、きょう御説明になつた資料でですね、中高層率大都市のパーセンテージはもっと高率にした方が僕は理想だと思うのですかね。これは不燃率で、全体で七五%ですね、一番困っているのは大都市なんですね。で、それも宅地で非常に困っているのですよ。そういうところではもっと不燃率を上げる努力がほしいと思うのです。それは主として予算関係でしょうかね、どうなんでしよう。計画が割合に高率でないのは予算関係でしょうか。
  12. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 東京都――大都市におきまして中高層率をもっと高くしろと、こういう御意見でございます。私もそれは同感でございまして、予算の戸数の配分に当りましても従来ともその点に留意して参っておるわけでございます。現実の姿におきまして東京都の三十二年度予算配分におきましては、大体東京都が三〇%に相なっております。これをもう一〇%でも高くしたいというのが私どものただいまお手元にお配りしました資料の方の考え方でございます。できれはもう少し大きく考えてはみたいのでございます。予算の実際のつけ方から見ましてそう大きなことを言って参りましても実行困難でございますので、この第三期の公営住宅三カ年計画におきましてはまあこの程度を目標にしてやつてみたい。しかし現実の三十三年度予算配分に当りましては東京大阪等大都市につきましては、この各地の配分状況等も勘案しなければならぬ問題でございますけれども中高層建物をできるだけ多く配分するようにいたしたいと存じております。石井先生の御質問にございました、主たる理由はどうかということになりますれば、主たる理由予算の事情でございます。
  13. 石井桂

    石井桂君 その予算国費関係でしょうか、地方費の方の関係でしょうか。
  14. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 私は、地方費関係を十分承知いたしておりませんけれども、主たる理由といたしましては国費配分の問題というふうに御了解願つていいかと思います。なおこまかい点まで申しますれば、中高層を建てたいと思いましても、なかなか用地が入手できないという場合もあろうかと存じますけれども地方費の問題よりもやはり大蔵省で配分いたします国費の問題、こういうふうに御了解願つて差しつかえないかと存じております。
  15. 石井桂

    石井桂君 実は、東京都の赤羽の方に桐ケ丘という団地があります。八万坪くらいたしかあると思う。それはね、公営住宅中高層予算があれば、あけて待っているはずですがね。すでに取得されてあけて待っているはずなんです。そういうところはやはり配分して建てさした方がいいんじゃないかと思うのですけれども。そういう点どうですか。
  16. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 桐ケ丘は幸いいたしましてりつぱな団地が用意されております。で、私ども三十三年度におきまして東京都があすこに建設予定しておる住宅につきましては、全部が中高層で間に合うように配分いたしたい、かように考えております。
  17. 田中一

    田中一君 自治庁奧野さん、この間あなたから固定資産税――公営住宅並びに公団等住宅に関する固定資産税住宅家賃には別に関係ないというように御答弁願つておつたのですが、まことにその通りなんです。その通りなんですが、先だつてもるるあなたに質問して、また私の意見としてもお願いをしてあったのてすが、市町村交付金でありますから、当然都道府県事業主体として経っておるところの公営住宅に対しましても、やつぱり地方交付金というものがあなたの方で特別な措置をしてもらわなければ、自然発生的に三十三年度から取られるようになる。あなたの、あなたというか自治庁でもって言っておるのは、大体三十一年四月、いわゆる三十年度前の建設された建物に対しては、今のような、先般あなたか措置されたような家賃アンバランスを是正した後において取つてもいいようにする、そうして家賃が一応アンバランスが是正されれば当然取るべきであるという御議論を伺つておるのですが、それでは三十一年度、三十二年度というものは当然建設省との間に話い合いがつかない限り地方としては徴収するというようにならざるを得ないと思いますが、現在の段階ではどういう話し合いをしておるか、その点をまず伺いたいと思うのです。
  18. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 固有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律制定いたしました際に、従来ありました公営住宅家賃についてどういうような変更が起つてくるかという問題につきまして、先般当委員会でお答えをした問題に関してだと思います。私は数カ月に建設省と打ち合せをいたしまして、先般申し上げましたように、すでに法律制定当時に定められていった家賃について家賃調整というような変更措置が加えられない限りは市町村交付金を加算するようなことをしないようにしてほしい、それについては従来通り特別交付税による財源措置は続けていくのだという通達を出したわけであります。その際に先般申し上げたと同じようなことを申し上げておつたわけでありまして、完全に話は済んでおると思っておりました。二、三日前に住宅局長がお見えになりまして、今後なお家賃のきめられるものについても、少くともことしの三月までに家賃のきめられるものについては同じような措置をとつてもらいたい、こういうお話がございまして、実は驚いたような次第でございます。法律制定されていますのに、法律を無視したような通達を出すということは私としてはとうてい賛成はできない。もとより府県がきめております家賃を上げるべきじゃございませんし、また上げられるようなものでもないと思います。それは当然現在の法律を予定して府県家賃をきめておることでありますので、それは府県の任意の措置できまておることだから、その措置にゆだねておけばよろしいと、こう思っております。これを上げさせないためにどうする、上げさせるためにどうする、そういう干渉を私は政府として加えるべきではなかろう。法律ができております以上は、その法律前提として府県家賃をきめておりますことでございますので、これを基礎として特別交付税云々の問題は起らない、かように考えておるわけでありまして、そういうことを強く申し上げたことはございました。
  19. 田中一

    田中一君 そういたしますと、自治庁見解としては、あの特別交付金といいますか――あまり標題が長いから略して特別交付金と言いますけれども、あの法律制定当時の暫定的な措置としては、すなわち三十年度予算をもって建設されたもの以前のものなんです。三十年度予算において建設されたもの以前のものに対しては、一応別の交付金をもって地方財政を救い、従って交付金は――交付金といいますか、固定資産税に見合うものは取らないようにさせるけれども、その後昭和三十一年並びに三十二年度予算をもって建てられたものは、当然家賃は適切な価格になっておるはずである。当然これは法律があるのだから、固定資産税に見合う交付金というものは取られるものという前提のもとに、家賃の、使用料というものはきめられておるはずだから、これはむろんうち外である。だからあなたによると、三十年度前までの公営住宅に対しては徴収を延期するような措置をとったけれども、三十一年度、三十二年度の分に対しては、当然取るべきであるというような御見解と理解してよろしゅうございますか。
  20. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 私は公営住宅家貨が幾らでなければならないというようなことを地方に申したこともございませんし、また今後も申すような意思は毛頭持っておりません。公営住宅家賃につきましては、法律をもって最高限度額規定されているだけだと承知いたしております。最高限度額の範囲内で公営住宅を作つております。県なり市町村なりが適宜家賃をきめておるわけであります。その場合に法律施行いたしました際にすでにきまつておった家賃、この家賃最高限度額が若干上かるわけでありますので、上げる団体が起ってくるかもしれませんが、それについては建設省として、もっと大きな家賃調整意見を持っておるというわけでございます。また国会でもいろいろ御意見がございます。そこで最高限度額に満たない場合でも上げてはいけない、そのかわりその地方には財源措置を別途しよう。その建設につきましては、自治庁としては何ら干渉を加えるべきではない、かように考えております。
  21. 田中一

    田中一君 まことにその通りであります。そこで建設大臣、今奥野局長答弁をお聞きになったと思いますけれども、私はここで家賃を上げるためにものをいうのじやありませんから、その点は一つ十分に御理解願いたいと思うのですが、三十一年度予算並びに三十二年度予算建設された公営住宅に対しましては、市町村に対するこの交付金制度というものが現存しているという前提に立って、いわゆる使用料といいますか、家賃算定基準に盛り込んであるかどうかという点でございますけれども、これはどういうように地方都道府件に措置されますか。
  22. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 住宅局長から一つ説明させます。
  23. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) ただいま奥野局長から御説明ございましたように、昭和三十一年度、三十二年度におきまして、両省次官通牒通達いたしておりますのは、この法律施行以前に竣工いたしましたものでございます。御承知通り交付金は、その年度の前々年度最終日、従いまして三十三年の四月一日から支払うべきところの交付金は三十二年の三月三十一日までに竣工した分についてでございます。従いまして三十二年度につきましては、それは三十一年の三月三十一日までに竣工しておる住宅について問題が起るわけでございますので、三十一年度、三十二年度の問題といたしましては、この交付金法施行前の住宅として処理してよかったわけでございますので、その分についての通達両省次官名で出しておるわけであります。しかし、その施行後の住宅家賃のきめ方につきましては、私どもの方からどういうきめ方をしろということについての指示はいたしておりません。
  24. 田中一

    田中一君 これはもう根本さん、答弁してくれるでしょうね。そこに問題があるわけなんですし。一体自治庁はあの法律を提案され、そうして与党の諸君も賛意を表して成立したものであります。従って当然市町村固定資産税に見合うものは取れる権利を持っておる。当然取ったものだという前提のもとに地方財政というものは形づけられておると思うのです。従ってそれがない場合は、暫定措置として、それを三十年度予算前のもの、いわゆる三十一年四月以前のものは家賃がきまっておるから家賃の値上けになるから、それは取るな、別の財政措置をしよう、こういう自治庁としての措置をしておるわけなんです。そこで一方、公営住宅家賃というものは政令によって家賃算定基準がございます。もしも三十一年にこの法律が、今の市町村に対する特別交付金法律が成立したというのならば、当然政府としては家賃制定基準というものを変更しなければならぬと思うのです、これは。何も勝手に見積って家賃をきめるのじゃなくて、見積りというものは厳正な法律によるところの算定基準によって家賃をきめております。主としてそれは当時の建設費が骨幹となっての使用料となっておりますけれども、それらのものに対して、この法律制定市町村に対する特別交付金制定かできた後において、その基準というものは変更されておりますか。
  25. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 事務的の問題でございますので、お許しを得まして私からお答え申し上げます。  公営住宅法の十二条におきましては固定資産税を予定いたしませんので、この固定資産税家賃に加えることについての規定は入っていないわけでごごいますが、先ほど来問題になっておりすす交付金納付金法におきまして、この公営住宅法十二条の家賃限度に対しての一つ例外規定と申しますか、修正規定と申しますか、そういう規定が入っておるわけでございます。それによりますと、公営住宅法十二条の家賃限度額に、当該公営住宅に関する市町村交付税に相当する額を加えた額をもってこの公営住宅法の十二条の家賃限度額とする、こういうことに相なっておるわけでありますので、公営住宅法の改正を要しませんで、その分は公営住宅家賃限度額を高める、従って事業主体の判断において家賃を上げてもいい、こういうことに相なっておるものと承知いたしておるわけでございます。
  26. 田中一

    田中一君 家賃を上げていいというのならば、何もこんな質問しないのです。建設大臣は本国会の冒頭において、低家賃政策ということを強調なさっていらっしゃるのです。住宅対策というものは低家賃対策なんだというところまでも強調なさっていらっしゃるのです。ところが一面、今の住宅局長答弁のように、上げるのは自由である、上げなくてもいいのだ、しかし上げるのも自由であるということになれば、少くなくとも低家賃政策というものは否定されたものだと存じます。ことに自治庁にいたしましても三十年度予算で作られた、いや三十一年四月以前の市町村に対する特別交付金制度のでき上る以前のものに対しては家賃調整をして、これはむろん奥野君だって低家賃住宅政策政府が持っている以上痛烈にそれを願つておるものだと思います。しかしながら、それを所管する建設省が低家賃政策措置をとらずして、家賃の上るという政策をそのまま放任しておるという形は、これはやはりあなたの政治的な責任が多分にあると思うのです。当然交付金制度というものが通過している以上は、それも両省におきまして話し合いの上、以前のものに対しては暫定措置として家賃の上らないような措置をとつておりますが、三十一年以降のものに対しては当然家賃は上るのだという前提に立っておるのです。そうしてそういう意味の指導をおそらく住宅局長はしておるのかどうかわかりませんが、しているならばしているという答弁をして下さい。当然こういう制度ができたのだから、法律が通ったのだから、家賃値上げをせよという指示をしているのか、それとも値上げをするなという指示をしているのか、あるいは放任をしているのか、どちらかの措置をとったと思うのです。当然これは変革なのです。従来の家賃算定基準から見ると一つ変革なのです。だから、これに対しては建設大臣としては当然地方――都道府県に対しては指示を与えなければならぬ、その指示がこの交付金制度の第十八条によって自然にそうなるのだというふうな説明ではなくして、政治として、政策として低家賃政策を訴えるならば、妥当なる措置都道府県に向って指示をしなければならぬと思うのです。どちらか知りませんが、そういう措置をしたかどうか、したらばその通牒を当委員会にお出し願いたい。
  27. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 公営住宅家賃交付金額を追加して、それを限度とすることができるという規定は三十一年の四月二十四日の法律改正の際にそれが入っておるわけでございます。ただいま急に政府としてそういう方向をとっているわけではございませんが、現実の問題といたしましては三十二年度まではその問題が起らなかった。三十三年度からその問題が起ってくるわけでございます。そういう意味におきまして、この法律の趣旨等から申しますれば、自治庁のお話しになりましたことも一応の議論かと私は承知いたしております。そういう意味におきまして、ただいまのところ私どもとしましてはどうしろという指示をいたしておりません。また今後どういう指示をすべきかということにただいま非常に苦慮いたしておりまして、何とか自治庁の方で考え直してもらう道がないものだろうかということで、先ほども奥野局長からお話がございましたように、自治庁にたびたび足を運んで、何とか自治庁の協力方をお願いしておるような次第でございます。その見通しがつきましてから指示をしたい、かように考えております。
  28. 田中一

    田中一君 それはおかしな話です。法律が通ったら直ちにそういう問題が起ることは明らかなのです。従って一年間ぎりぎりまで、どんづまりまで放任しておるということはあり得ないのです。昨年もうこの法律が発効してから私どもその問題が目に見えていたのです。そしてまた公営住宅というものは今年の四月にならなければできない、年度が変らなければ国民がそれに入居できないものじゃないのです。でき上ればどんどん一日も早く国民に提供しているものです。その場合に家賃というものは一応きめて入居させているわけです。そうすると建設省としては、そうした国民大衆の支持を受けながら圧力を自治庁にかけて、自治庁の翻意を促す、あるいは自治庁を妥協に応じさせるようなことにするという考え方でおったのか、あるいはあなた方住宅局の怠慢か、どちらかに何かの意図がなくてはならないと思うのです。昨年この法律が通過する際、そういうことは目に見えておる。そうして都道府県は、それらを考慮しない家賃をきめている面もあるだろうし、また金持ちばかりを自分の行政区域内に持って折る都道府県知事は、あるいは値上げをしているところがあるかもわからぬ。私は、これは少くとも公営住宅を主管とするところの建設省としては、はなはだ今の御答弁では満足いたしません。当然これらの措置が十分に自治庁との話し合いの上で、地方に向って指示をすべきものだと思うのです。  それではもう一つ伺いますが、各都道府県は三十二年度予算によって建設いたしましたところの公営住宅家賃というものは、どのような基準で検討しているかということの調べくらいはあると思いますが、その点はどういう形で調査をしたか、それがあるならば、それも当日委員会に御提出を願いたい。
  29. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) ただいま田中先生のお話のありました三十二年度家賃のきめ方でございますが、これにつきましては包括的な指示法律においてなされておりますので、個々にどういう家賃をきめたかということにつきましては、ただいままで調査いたしたものがございません。
  30. 田中一

    田中一君 もう一つ、小林さんに伺いますが、都道府県市町村の要請によって市町村の区域内に建てたところの、都道府県事業主体となっておりますところの公営住宅というものは課税をされる、税金を取られるということになると、都道府県としては当然その分だけ余分に支出せざるを得ないわけです。そうして都道府県では公営住宅の入居者からは、今調査をしないと言うけれども、私は大体前年度通り基準によって家賃を徴収しているのじゃないかと思うのです。民選知事でありますから、これは地元民に相当負担をかけたくないというお気持は当然持っていると思います。そのときに、その面だけ赤字が出た場合には、自治庁はどういう考え方を持ってそれに対処しようとするか。
  31. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 都道府県家賃は、これはおそらく新しく作るたびにいろいろな事情を考えてきめておるだろうと思います。それで、今の交付金について比較的……、当然市町村が払わざるを得ぬのですが、その赤字になって穴があいたらどういうふうにするかというお尋ねでございます。これは、先ほど税務局長から答弁したと同じふうな考えを持っているのでございます。自治庁といたしまして個々の公営住宅の経営一つ一つとらえて、穴があいたら赤字だ、こういうようなことで家賃調整すべきものだとは考えておりません。
  32. 田中一

    田中一君 そうすると、問題は根本さん、あなたのところに究極の態度を伺わなければならぬと思う。当然自治庁としては、市町村にいたしましても、あの法律ができた以上、あの法律施行によってそれに見合うような万全の建て方をしているに違いない、そういう前提に立っているわけです。そういたしますと、自治庁としては都道府県はこれらの負担を盛り込んだ家賃をもって入店者から徴収をしておる、と同時にまた四月か五月ごろまでにでき上るところの公営住宅をもその交付金分が見合った家賃の増額をもって徴収しておるというような前提に立っておるわけなんですけれども建設大臣は先ほども言っているように、あなたが本国会の冒頭において低家賃政策を非常に強調されたという点から見て、あなたの精神はよくわかりますけれども、事実はかつて公営住宅家賃よりも高いものになるということになるわけです。その点についてあなたの政治的な御答弁でけっこうです……。同時にまたこれを将来どうするかという点についての答弁を願いたいと思います。
  33. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) お答えいたします。私が本国会の初めに当りまして、委員各位の熱心なお勧めと激励によって公営住宅についてはできるだけ低家賃政策をとるように努力をするということを約束したことは事実であります。  しかしながら、御承知のようにこれはすべてを国が直営でやつておるというわけではありません。住宅政策は、国と地方自治体とが一体となっておるところに公営住宅制度があるのでございます。地方財政が必ずしも現在その財源に余裕がない。それからまた一面におきましては普通の公営企業というような形でやっていったのではとうてい高い家賃につきますので、そこで一種、二種については相当程度の国庫補助を出しておるわけであります。これか一つの低家賃政策の基本的なあれになるわけであります。地方におきましてもやはり自治体として独自の行政をやつておるわけでありまして、国の政策に相対応いたしまして、国からの補助金だけでなくみずからの財源を処置しておるわけであります。しかも現在の地方自治体においては相当大きな事業をやつておりまして、その大きな公共事業のうちにおける公営住宅に対する地方のいわば支出する金額というものは必ずしも多くはない。  そういう点からいたしまして、地方自治体においても国からの補助金と自己の財源だけで機械的に算出した家賃だけで、それが今の規定によって若干固定資産税分が上るということになれば、機械的にこれが全部入居者に転嫁しなければならないということにはならぬだろうと思うのです。おそらくその点については、やはり地方自治体においてもできるだけの財源を捻出してそうしたものを転嫁せしめないで措置するということもこれは従来やられておりますし、またやられ得るのではないかと思うわけでありますが、これは私は責任転嫁をするという意味ではなくて、公営住宅政策なるものの地方、国一体となってのこれは住宅政策のあり方でなければならないと思うわけであります。  他の制度のことを申し上げはなはだなんでございますが、たとえば現在教育施設につきましても国の補助金だけで足らない。また国の単価で間に合わないものは相当分自己負担においてやつておるという点もありまするので、われわれは国の財政の許す限りにおいてできるだけの公営住宅に対する補助助成はいたしますけれども、しかし現実予算上制約を受けておりますがために、なかなかそういうふうにはいかないという点は遺憾の意を表しておきます。  なおまた、将来この公営住宅がだんだんもっとふえなければならないし、その場合における補助率あるいはまた宅地の入手に対するところの助成とか、こういうものについては今後十分に検討して努力いたしたいと考えておる次第でございます。
  34. 田中一

    田中一君 今、住宅局長は、ごく最近になって、おそらくことしになってからでしょう、同じような措置を、三十年度以前と同じような措置をとつてもらえぬだろうかということを自治庁に足を運んで相談しているということの説明を聞いたのです。しかし奥野さん、なかなかがんこで、そういうものではございません、私はそれを見合って家賃を上げろとは申しません、こういうような答弁をしておりますけれども……。そうしまると、そういうことならば、あなたは自治庁長官である郡君と話し合ってその問題を政治的に解決しようというお考えを持っているのか、持っていないのか。事務当局は最近になってようやく立ち上って折衝をしているけれども、これはしよせん局長です。やはり何と言っても責任を持つのは大臣でありますから、大臣としてあなたは政治的な、あなたの答弁を願いたいといったことは、局長さんたちの話し合いの上に立って大臣が政治的な裁断を下すということがすべて今日の政治のあり方として持っているべきものだ。しかし、なかなか官僚は強いから、あなたの言うことを聞かない場合もあるでしょうが、そこに大臣としての、責任者としての力かあるのではないかと思うのです。従って今前段、私はあなたをあまり追及したくないけれども、あなたがあまりよく御理解になっておらないから、私は押しにくいのですよ。わからない人に幾ら押してもしようがない。罪な話ですから……。しかし実際において、今ここでもって、当委員会においてはっきりその問題が表面に出た以上は、大臣として郡自治庁長官とどういう話し合いをするか。そうしてもしその話し合いがどうなろうとも、あなた自身は都道府県に対してはどういう態度をもって臨むかということは当然の義務であります。そんなことを放棄して、おけば、あと日がたてばたつほど都道府県は苦しむのです。当然ここに公営住宅法十二条に家賃算定基準を示してあるのです。法律で示してあるのです。従って家賃が上るのです。この法律の解釈でしますと……。この現実を局長だけにまかして、事務的な折衝のみで解決されるべきものではない。時間か過ぎております。本来ならばあなたの前任者の南条さんが当然すべきであって、南条さんが怠慢であるのかもしらぬ、しかしその後あなたが大臣になった以上、あなたがそれを収拾しなければならない義務があるのです。あなたが収拾をしないならば、根本建設大臣というのは家賃値上げ大臣だと言われてもあなたは何ら否定する、反駁するところの理由がなくなってくるわけなんです。これは奥野さん、植田さん、小林さんにも関係があるのです。都道府県の側から見ればそこらの方々と十分話し合いの上、あなたと郡さんとが政治的に、次の選挙、解散を控えて、自民党は家賃値上げの内閣であると言われないように当然措置しなければならないと思うのです。従ってもう一歩突き進んでお伺いしますが、これに対する措置はどのようにするか。現に植田さんは、住宅局長は税務局長と折衝中なんです。うっちゃっておけば家はどんどん完成していくのです。来年四月か五月には完成するでしょう。その場合の家賃というものは当然値上げしていいというあなたはお考えであるのか。法律を守れば値上げしてもいい――それだけでは済まないでしょう。従ってどのような措置をとろうとするか。自民党の住宅政策、自民党と言っては失礼だけれども住宅政策に響くようなことがあってはいけない。私は社会党におりますけれども住宅問題というものは自民党も社会党もございません。これですら足りない住宅なんですから、せめて住んでいる者が現在以上に家賃値上げなんということは考えたくない。同時にしいて申しますならば、三十年度予算で作ったものの家賃よりも三十一年度、三十二年度に作った家賃の方が高くなるのは当然なんですよ。物価が横ばいしておるという現状ならいいのですが、多少ともこの法律によって家賃が高くなるということは否定できないことなんです。もっと真剣にあなた答弁して下さいよ。政治家として、建設大臣として、岸内閣の閣僚としてですよ。国民に対してどういう措置をするかということをはっきり言明していただきたいのです。
  35. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 田中さんが御指摘になりましたように、全体の物価が漸次上っていくという事実、これは否定できない事実でございます。従いまして低家賃制度と申しましても、一たんきめたものは、他の物価のいかんにかかわらず固定してそこにおくということは、これはなかなか望むべくして困難な問題だと思います。問題は要するに、他の物価の値上りに比して急激に高くならないということは、当然望むべきであると同時に、しかもそのうちでできるだけ低額所得者が負担し得る限度というところが、これは政策として考えなければならぬ低家賃政策の私は根底であろうと存じます。そういう観点からいたしまして、すでに一応固定資産税は当然に公営住宅に対しても取るべきでありましたけれども法律のいかんにかかわらず今まで暫定措置としてこれをかけないで参つたわけでありまするから、そこでこれはいわば政治的考慮に基く、法律論にあらざる政治的考慮としてなされたものであります。こういう意味におきまして、自治庁事務当局法律論でいくなら、それはそれで当然でしよう。しかしながら、政治としては今日法律の現存するにもかかわらず、これは行政措置としてやつていきたい。それをさらにもうしばらく根本的な対策がきまるまでは、それでいくべきではないかと、こういう構想のもとにわれわれは自治庁と折衝をいたしておると、こういう段階でありまして、すでにこのことにつきましては郡自治庁長官につきましても私は一、二申し上げております。で、郡長官もそれは一応のその点は政策として考えられるけれども事務当局同士一つ話し合いさせようじゃないかという段階に今日なってきておるのでございます。そういう意味におきまして、今後とももちろん各省の立場立場において、これは主張すべき点がありましようし、法律上の根拠がございまするけれども、しかし政府全体としてそこが行政上の、妥当な解決措置も考えるべきである。かように考えて、住宅局長として折衝はこの二、三日前と言ったそうですけれども、前からこの問題は、すでに昨年中から当然この問題とそれから公団住宅、これについての例の固定資産税の問題と、それから納付金制度の問題、この点も実は折衝いたさせて参つたわけでございます。ただ、今日まで完全なるそこに妥結点か見出せないということが遺憾なのでありまするが、今後ともさらにその方針をもって進めて参りたい考えでございます。なおまた、地方自治体につきましては、これは通牒か何かで出すことは、これはかなりいろいろ問題があるでしょうけれども法律上御指摘のような点につきましても、できるだけ固定資産税分を直ちに家賃に加算して取るというようなことなく、できるだけ地方財政自体の調整において公営住宅入居者にできるだけ負担をかけないように協力を求めることは、われわれの努めたいことだと存ずる次第であります。
  36. 田中一

    田中一君 奥野さん、今建設大臣答弁をよくお聞きになったと思います。あなたの耳には建設大臣から自治庁長官に対して折衝があって、その点は今当分の間、しばらくは事務当局にまかしておけというような御発言のように伺いましたけれども、あなた自身の考えとしては、もう前委員会におきましても、今日も二へんほど同じことを繰り返し聞いておるのですが、それはむろんあなたの言うように、それが直ちに家賃に響くものではないという正論はその通りでありましようけれども、現に三十年度以前の住宅に対しては、そうした暫定措置をもって、行政措置をもってその分に対しては別途交付金を考慮して国民の希望にこたえておるという現状なんです。もう一歩前進して、もう一歩前進する場合には、これは私どもは長い間これに向って要求しておりますところの公営住宅アンバランスの点を、家賃アンバランスの点を、これはたとえば高輪住宅なんていうのは千円も取らないのです。十二坪以上十三坪ぐらいございますか、九百幾らなんです。最近できている公営住宅は三十幾らなんです。十年も前に非常にいい住宅を提供された部分は非常に安い。最近になって非常に苦しみながら、十年間苦しみながらやつと与えられた住宅というのは高いということが現在行われておるのです。この調整政府はどうするかということをはっきりと念を押して、何年ごろまでにその調整をいたします、私はそれを調整しなければならぬじゃないかということを再三言っているのですが、いまだにしないのです。昨年も、今度はするだろうというけれども、準備をしておれば、あとで説明を聞きますけれども、おそらく準備をしてないのじゃないかと思うのです。これを是正することの確約を建設大臣からとつて、そうしてその大体の結論が出るころまで、別途交付金でその人々に対する納付金制度というものを行政措置でめぐらしておいてもらいたいというようなことは正しい官吏としての奥野さんのとるべき道じゃないかと思うのです。従ってその点に対して局長としていけなければあなたの所見としてあなたの考え方一つお漏らし願いたいのです。それは、そのかわり前提としては、建設省は急速にこの家賃アンバランスというものを是正するという前提のもとに話を進めてもらいたいと思うのですが、この点どうですか。
  37. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) この法律制定されましたのは二年前でございます。よく御承知通り、その当時多数の公営住宅があるわけでありますし、ピース一個の家賃から今申し上げましたような家賃まで開きがあるわけであります。家賃調整の問題もあったわけでございますので、従いましてこの部分につきましては、家賃を、交付金制度ができたからといって転嫁させるような措置は、家賃調整が行われるまではとれない、これは当初は、三十一年度だけで問題は解決すると思っておりました。しかし、家賃調整の問題はそんななまやさしい問題ではないわけでございますし、なお三十二年度もできませんし、三十三年度も同じような状態が続いているわけでございます。従いましてこの分につきましては、家賃調整措置がとられません限り、ずっと交付金を転嫁させないようにしたいと考えておりまするし、その資金措置もしていきたいというように考えておるわけであります。従いまして非常に低い家賃で入っておられる人たちに対しましては、地方団体が無償で住宅を供与したような格好になっているのじゃないかと思います。このことがいいか悪いかは別問題といたしまして、なおそういう格好になっておりましても転嫁をさせない、別途に財源措置を、していこう、こう申しておるわけでございます。その後に家賃をきめていきますものにつきましては、これは法律ができているのだから法律の範囲内で地方団体が任意に考えていけばよろしいだろう、こう思っているということを申し上げておるわけでございます。その場合でも国が低家賃政策をとつているわけでございまするので、固定資産税相当額といいましても第一種公営住宅は四割に抑えております。第二種公営住宅は二割に抑えております。従いまして一般の住宅から考えました場合には、かりに所有者にかかって参ります費用を転嫁するといたしましても二割ないし四割に押えられているのでございますので、地方制度の面におきましては、低家賃政策の上に大きく乗つかつているということを私は申したいのであります。その二割、四割に押えながら、なおかつこのような制度をとらなければならなかったか、これは租税制度から起る問題でございまして、大都市の近傍にあります市町村公営住宅も特に多くなっているのではないかと思っております。そういう場合に、だれが土地を所有してそこに家を建てるか、金融公庫の資金を借りて個人が建てる場合もございますし、住宅公団が建てる場合もございますし、府県が建てる場合もございますが、府県の所有地が多くなって、建つ家が公営住宅ばかりだったら市町村は小学校も建てなければならない、道路も作らなければならない、しかるにかかわらず、固定資産税は一文も入ってこない、そういう点と低家賃政策との調和点をこの交付金制度に求めたわけであります。従いまして、私は公営住宅の低家質政策を直ちに交付金制度に向けられていく点を不本意に思っておるわけであります。もっと大きな問題がたくさんあるじやありませんか。今、建設大臣は国庫負担率のことをおっしゃったわけでございますが、なおそのほかに利子負担というものは私は大きな部分を占めておると思います。この利子負担をどう計算に入れていくのか。現実に多くの地方団体は自己資金で公営住宅を作つております。その場合に、これは私の推定でありますが、おそらく利子負担分は加算していないと思います。言いかえれば、最高限度がきめられておりましても、他の部分は仕事を借金でやりながら、公営住宅につきましては自己資金を充てまして、利子負担相当部分家賃に入れないでやつていると思います。また利子を相当払つておりましても、家賃にどの程度まで持っていくかという問題もあるかと思います。私は、低家賃政策の問題を交付金制度に持っていくのではなく、何坪の住宅家賃が何日でなければならないかというふうにお考えいただきたいのであります。私は基本的の問題でお考えいただきませんと、地方制度そのものを必要以上にゆがめられてしまうこととになるおそれがありますし、またその結果地方税につきましての不公平が起り、あるいは府県財政の問題にいろいろひびがいってくるのでございますので、強くその点をお願い申し上げておるわけであります。
  38. 田中一

    田中一君 あなたの言うことはいつも正しいので僕の頭が下つちやうんです。その通りなのです。その通りなのですが、今言う通り三十年以前の住宅は非常に家賃が安いのです。それはこの法律が悪いのです。家賃のきめ方というものが法律で明記してあるのです。それから政令だと思いますけれども、こまかく、これはこう、あれはあるとその積算になつたものが家賃です。建設費家賃になっているのです。十年前は物価が安かった、従って安い家賃で済んだ。しかしながら家貨というものは物価と正比例して上ってこない。件節義の基準ですからとめおきになっている。十年後の今日はどうかと言いますと、三倍も四倍も建設費がかかりますから、それが基準になっている。従って今のような制度、なるほど地方財政の問題については、何もここにばかり持ってくる必要はございませんけれども、これはあなたが使われておるところの岸内閣の政策の貧困からそういうことになつたのでありまして、少くともこれからばかりとる必要はありませんけれども、十年前に住宅を得たという、この幸いを享受して、いる者を非常に安くして、十年後に得た者は負担が重いけれども、これもようやく他の多くの何百人の人間から見ると、少くともその公営住宅に当選したのだから幸いであると思うけれども、十年前から幸いを享受した者と比べて、単に家賃の違いばかりでなくて、なおかつ固定資産税に見合うものまでも取られるのだということになりますと、この一般国民相互におきますところのアンバランスというもの、この幸いの享受の度合いというものは、負担というようのは非常なアンバランスになる。これはあなたに再三言われておるように、あなたに言うべきものじやございませんけれども、せめて税金を取る方にこの実態というものをよく御理解願つて、むろんこれは住宅政策の貧困から来るものなんです。数年前から家賃アンバランスというものは是正しなければならぬじゃないかという主張から、私は先国会法律案を出しております。私が出しておりますところの法律案をそのまま自民党が採用してくれれば、あなたの御希望通り家賃アンバランスは解消するのです。それも考えながら、そういう法律案を出しておるのです。おそらく植田局長はその点は十分、社会党から提案した法律案だからそつぽを向いておるわけじゃないでしよう。おそらく根本建設大臣も勉強家でありますから、社会党から出している法案についても十分に御研究になっておると思うのです。具体的に私はそういう法律案も出しておる。だから、この際あなたに訴えたいのは、そうしたあなたの純粋な議論、それを押し通していきますと、長い間住宅を得たという喜びを持っている者の喜びに対する負担というものと、それから家を得るという人、あるいは得たという人とにはますます負担の差が激しくなるというのが現状なのです。そこでどうか一つ、あなたに対する結論をいたしますけれども、どうか一つ建設大臣の方から話があった場合には十分その点を考慮し、まあ小林さんに申し上げますならば、都道府県がいたずらにそうした意味の負担を加重することのないように話し合いを願いたいというのが、お二方に対する私のお願いでございます。
  39. 石井桂

    石井桂君 関連。私もやはり田中さんと同じような意見を持っておりまして、ただ社会党提案の法律案のことは別といたしまして、(笑声)同じ意見を持っておりまして、それで心配して郡大臣にお会いして、公営住宅固定資産税分だけ上げることはやめにしてくれ、どんなことがあつてもやめにしてくれ、住宅家賃が高くなれば諸物価が高くなる素因になるのだからやめてくれということをはっきり申し上げました。これは一週前ぐらい前ですから、大臣にお会い下されはわかるわけです。そうしたら、ことしは心配するな、ちゃんと三億何ぼを計上しておるから、じやその次は大臣やつておられぬかもしれぬけれどもどうかと言つたら、その次のときも多分大丈夫だろうなあということで別れたのです。しかしその別れたことは、三十年までの住宅だったのか、三十一年、三十二年度分の交付金は考えてないのか、それを念を押すのを忘れましたが、(笑声)奧野局長いかがですか、その点は三十一年、三十二年度分の公営住宅に対する政府固定資産税分だけの分は考えていなかったかどうか、この点をはっきりお答え願いたいのと、もし私と同じようにぼんやり郡大臣が考えているとしたならば、大臣に対するPR運動が足りないですから、あなたは局長として補佐よろしきを得ていないと思うのです。十分教育しておいていただきたい。(笑声)
  40. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 特別交付税で補てんをすると言いますのは、法律施行前に家賃のきまつておつた部分に関しまする交付金額であるわけでございます。自治庁長官にはこの問題についてはたびたびお話し申し上げておりますが、御注意がございますので、さらによく連絡をとりたいと思っております。  なお、くどいようでありますが、私たちは別に公営住宅家賃につきまして上げるべきであるとか、下げるべきであるということは申し上げておらぬわけでございまる。やはり低家賃政策のために国が相当な金を出しておるわけであります。また地方に出させることがいいか悪いか、出させるといたしますならば、それに見合つた財源措置地方団体全部にしていかなければならないわけでございます。こういうことがいいとか悪いとかいう議論をしておるわけではございませんで、ただそれを政策の上から考えました場合に、交付金とおつしやいますが、交付金制度の問題が全体の家屋の負担につながつておる問題でありますので、その点を私は強調しておるのであります。
  41. 石井桂

    石井桂君 もう一つ念を押しておきますが、私が公営住宅家賃が結果として上らないように一つお願いしたいのだと言うと、まあ言葉が終らぬうちに、それはおれが引き受けてやるのだと、こういうふうなことですから私は念を押すのを忘れてしまつた。だからその点一つ確かめていただきたいと思います。
  42. 田中一

    田中一君 郡長官を呼んで下さい、これは重要な政治的答弁だから。関連して……。そこで根本さん、これはもうあなたが建設相として、先ほど来言っておる家賃調整というものをどう考えるか。さもなければ、この公営住宅法を改正すべき段階だと言うんですよ。この公営住宅法第十二条の家賃算定についてはもはや改正すべき段階にきたのじゃないかと思うんです。このままでいけば、やはり都道府県はそういたします。家賃に算入するであろうと思うんです。  もう一つは、先だつてもあなたに質問しているように、一切都道府県が仕事をしないように措置することです。市町村単位で公営住宅施行するようになりますと、その問題は、自分で建てて自分で取るのですから、まあそんなことをしますと次の選挙にまた当選したいと思えば、市町村長並びに議会というものは、これにたとえ自治庁が財源を確保するためにそういう法律を作つても、これは取りませんと、あるいは妥当なる家賃でやろうという考えになるわけですよ。これは都道府県が建てるからそういう問題が起きるのです。従って、また新しい家賃アンバランスが生まれてくるのです。この間の答弁では、あなたのところは市町村ばかりじやなく都道府県にやらせますということをおめおめ言っておるけれども、そういうことを言いながら……。今の問題点というものを明らかにして、国民の家賃負担というものが均衡をとられるようにしなければならぬと思うのです。これに対してどういう御見解を持っていますか。
  43. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 先ほどからいろいろ御訓示を賜わりまして、よく拝聴しておりました。御承知のように、田中さんが家賃調整の問題を出されていますが、この家賃調整が非常にむずかしいことはあなたが今言われている通りです。本来、調整ということになりますれば、端的に申すならば、安い家賃を、他の人々より安い家賃で入っておるという方を引き上げざるを得なくなります。これがまあ実際上の調整の結論になるだろうと思います。そうすると、今度はそれらの人々は困るという議論が出てくるし、また都道府県知事もこれはなかなか実際上やり得ないというところに問題があるのでございます。そこで、住宅が不足しているたくさんの人々から見るならばこれは三段の差別があるわけです。公団住宅に入れない人もあるし、あるいはまた公庫のあれにも入れない、まして一般の住宅を持ちたくても持ち得ない。それに比べれば、たとえ第一種にしろ、第二種にしろ、政府の建てたものに入っておる者は、それらの人々に比較すれば幸福といいますか、利益を享受している。今度は入っている人々の方のアンバランスがあるわけでありまするが、これはなかなか政治は画一的に、全都同じスタンダードにおいてきれいにならすということは困難であろうと思いまするので、今政府としてとつておるのは、そうしたアンバランスの問題もさることながら、現実住宅が不足しているこれらの人々に、できるだけ多く確保してやりたいというのが第一点であり、そうしてその問題の解決と同時に、今御指摘の、現在入居者のアンバランスを漸次是正していきたいという考えで今進んでおるということだけを一応申し上げておきまして、そこで、今端的に御指摘になりました都道府県公営住宅をやらせることについて考慮をすべきだ、むしろ端的に言うならば、市町村にやらせる方が本体じゃないかという御指摘ですが、私も大体はそうあるべきだと思います。都道府県議会が直接自分でやらなければならない、絶対にそうあらねばならぬという必然性はこれはないと思います。住宅不足をしているところの住民はほとんど全部これは都道府県民であると同時に、基本的には自治体であるところの市町村の住民であります。これらの人々に住宅を提供することによって、この問題は解決できると思いますから、その方が至当だと思うわけです。にもかかわらず都道府県が独自の見解をもって、市町村だけでは虫とうてい力が及ばないところは自分でやるというのが都道府県において公営住宅をやつているゆえんだと思います。そういう都道府県地方自治の政治的見解をもってやつておる以上、ここはあなたと意見が分れるかもしれませんが、それだけ政策的にやつて知ることでありまするならば、固定資産税分を直ちに住民に転嫁せしめずに自己財源なりその他の方法で都道府県が負担して、入居者に家賃を転嫁させないというような方法もとるだけの覚悟をもってやるならやつていただきたい。こういうような考え方をいたしておるのでありまして、これは必ずしも不可能ではないと私は思うのです。県の政策として、あるいは都の政策としてやる以上は、それだけやはり覚悟をもってやつていただくことが私は望ましいと、こう考えておる次第であります。
  44. 田中一

    田中一君 小林君に伺いますが、今、建設大臣は一応作ることか急なため、地方財政の実態というものを少しも御考慮にならないで、これを補助しない、自治体でやれとおっしゃっておると思うのですが、実際に地方財政地方財政としての困難性もあり、また特殊事情もあると思いますけれども、不可能でないと建設大臣が言っている。これについては、これを自己資金のみでもってまかなえるような今日の段階であるかどうか、この点についてあなたどういう御見解を持っておられますか。
  45. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) ちょっとその前に誤解のないように……。都道府県が自己財源だけでやれということは私は言っていないのです。市町村公営住宅をやる場合においては、先ほど田中さんが御指摘のような政治的考慮が払われて、また現実の運営といたしましても直ちに固定資産税分を入居者に転嫁しないという事実があると思います。ところが、都道府県になりますと、すぐに転嫁するんじゃないか、そういう状況であるから、都道府県公営住宅をやらせずに市町村だけにやらした方かいいじゃないかという意味の御発言があったと思いますので、そこで都道府県がそういうような市町村だけにやらせずに自分もやるんだということで政策上やるとするならば、やはりその部分は、地方財政いろいろの支出がありますけれども、みずから公営住宅を作って県政としてやるというならば、それだけの協力をしてもらうことが望ましいということを言っておるのでありまして、自己財源だけで都道府県で公住宅をやれという意味ではなかったことだけを申し上げておきます。
  46. 田中一

    田中一君 まあそれじゃあ小林さんに対する質問はやめます。こんなことはもうわかり切ったことですから。ただ、前段に言っているように、家賃調整というものがむずかしいとおっしゃるけれども、やろうという意欲がないからむずかしいと思うのであって、可能です。私は教えて上げます。それは、現に本委員会法律案として出ております。よくお読み下さい。これを実行なされば可能です。  それからもう一つ、この公営住宅法を変えないと、物価の変動によって常に家賃というものは上下する。下る場合には……下らないと思いますけれども、国が作る住宅でございませんから、当然、地方的な諸条件によって、労銀、建築資材等はアンバランスになってきます。従って、家賃は、地方的な色彩を相当持つのが、最後に加えられるところのものなんです。しかし、もとをなすのは何かと申しますと、やはり当時の景気不景気の問題が作用するわけなんです。そうして、この法律に盛り込んでありますところの、公営住宅法家賃算定基準というものは、建設大臣が、妥当なる家賃――国民全体に均霑するような家賃率というものをきめようとするならば、もう改正する時期が来ているのです。そうしてまた、今奥野君は、三十年度前の公営住宅に対しましては、その家賃の是正かできるまではやる、こういう行政措置で、家賃の上らないような措置をとるということを言っておるのであって、まあ今のところは二年やつておりますけれども、今度は、三年はむろんやるということを先ほどから御答弁になっておりましたから、そのままやるとしても、これは奥野さんも、当然、あと十年たつか二十年たつか、とうてい調整が困難であるということを建設大臣が言っておる通り、何年でも待とうという度量――度量といいますか、そういう措置がとれるかということも問題になると思うのですよ。従って、建設大臣としては、家賃アンバランスを是正するというこの施策は、現にとろうとしているのか、とろうとしないのか、そういうのに対する建設省部内の今日の状態というか、状況はどういうことになっておるか伺いたいと思うのです。それを、奧野さんは、自治庁としてはそれができるまでこの状態を続けて参りますと、こう言っておるのですから、できるまでというのは、あなたの方でしようとしないならば、永久なんです。しようとするならば、ほんとうにしようとする、いつごろまでにこうするということがなければ、これまた、一般国民――一般、自分の家を、細々と、冷飯食いながら蓄積した資金でもって建てたという方々に対しましては、固定資産税がかかっているのですから、低家賃公営住宅というものに入っておる者の、家賃固定資産税分のものか軽減されるということも、これまた、国民全体から見る場合には、バランスを失するものだと思うのです。従って、建設大臣として、公営住宅家賃のバランスをはかろうとする意欲かあるのならば――なくちゃならぬと思うのですが、あるならば、どのようにして、いつごろまでにそれを解決するかということが明らかにならなければいけないと思うのです。そういう点については、どういう信念をお持ちですか。
  47. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 公営住宅家賃の不均衡、これはまあ今日までも現実にある。また、このままでいけば将来ともさらに累積していくという事実、これをできるだけバランスをとつていくということは当然やらねばなりませんが、しかしこれは、バランスと申しましても、画一にするということでは私はないだろうと思います。画一とバランスというのはちょっと違うと思いますが、そのバランスをとるという点については、もう私の方で十分検討させておるのであります。そのバランスの措置をとる場合におきましても、現実にこの家賃をきめておりまするのは、御承知のように、事業主体がこれをきめておるのでありますので、これを完全に命令をもって規定するわけには参りません。しかしながら、バランスをとるという政策は、ぜひとらなければならないと思います。具体的な方策については、事務当局がいろいろ検討しておるようでありますが、まだなかなか具体的な案が出ていないようでありますが、さらに熱意を持って、すみやかにそうした成案を得るように、これは建設省だけでは措置が困難でございまして、関係各省とも十分連絡の上に措置をいたさせたい。かように考えておる次第でございます。
  48. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) ちょっと申し上げます。厚生省の厚生年金保険課長の栃本君が出席しておられます。
  49. 田中一

    田中一君 前週の金曜日ですか、閣議決定で、三十三年度分の公営住宅うち、たしか一千戸と思いますが、一千戸は引揚者住宅であるということを閣議で確認したというような新聞の報道を見たのですが、それはどういうあなたの発言でどういう結論になったか、もしその閣議決定という形で出されたものならば、閣議決定を資料としてお出し願いたいと思うのです。
  50. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これは、今田中さんから御指摘になつた点は事実と違つております。これは御承知のように、この前の当委員会におきまして、引揚者住宅の問題について田中さんから御質問がございまして、これは昭和三十二年三月七日ですかの閣議において、引揚者に対して、五カ年間に二万戸の住宅を供給する努力をするのだということを閣議決定になっているんだが、今回、御審議を願つております三カ年公営住宅の中にこれがどういうふうに織り込まれておるのか、おそらくこれは入っていないだろう、そうすれば五カ年間に二万戸の引揚者住宅のこれは、別個にこれは計画されなければならぬはずじゃないか、こういう意味の御質問があったのであります。しかもこれに関連して、その当時の関係閣僚である石田労働大臣、その他関係者をここに呼んでその点を明らかにしなければならないという御提言があったのに対し、私はそれはおそらく公営住宅の中から将来二万戸を引き当てするという意味でありましょう。こういうふうに御答弁申し上げまして、その点を確かめるために閣議において私が発言したのであります。私がまだ入閣しない前の閣議決定でありまするが、これはどういう事実であろうか、実は先日の委員会でこのように私は解釈しておるということを言いましたがどうですか、こう私が閣議に諮ったのであります。そういたしますと、それは将来五カ年間に二万戸を公営住宅の中から充当するという意味のこれは決定である。昭和三十二年度においては、約一十戸、そのために公営住宅から引き当てているんだ、こういう説明があったわけであります。これは、堀木厚生大臣の方からそういうお話がありましたので、その旨がおそらく官房長官から発表されたのを聞き違いか、あるいは何かしたのではなかろうかと、こう考えておるのでありまして、そこでこの前参議院の予算委員会において私に質問があるということで行ったときに、関連質問の際に、実はこの点が指摘されたのでありまして、その点も明らかにしておきます。なお今度住宅に、三十二年度に引き当てた公営住宅のあれを見ますというと、新規引揚君に対して住宅が五十六戸、それから引揚者疎開住宅、これが九百七十八戸、計一千三十四戸を三十二年度で充当されておるわけであります。従いまして、三十二年度において一千戸分確保すると言つたことは、おおむねこれが充当されておるという事実を確認したという状況でございまして、これが閣議における私の発言並びにその当時の状況の姿でございます。
  51. 田中一

    田中一君 そこで、そういたしますと、昨年の三月七日閣議決定のものは、これはむろん「元兵舎を利用した集団引揚収容施設の居住者等」と書いてあるのですが、よく問題になりますが、「等」という文字がどういう形に実施されておるかという点なんです。これはむろん公営住宅法を見ますと、第十六条には「災害、不良住宅の撤去その他政令で定める」ところの場合には特定入居ということは考えられますけれども、「居住者等」の「等」が問題なんです。「元兵舎等」を不良住宅でないという認定のもとにやる場合には、これはこれでよろしいと思いますけれども、「等」というのは、やつぱり特定なるもののある状態に対して見なきゃならぬことになるんです。さもなければ特定入居は認めておりません、この法律は。そこで「等」とはどういう形のものをさしておるのか、伺いたいと思うのです。
  52. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 私どもは昨年の三月七日の閣議決定の備考の字句通りに解釈いたしまして、「元兵舎等を利用した集団引揚収容施設」に住んでおられる方々の、最近使つております言葉は、疎開用の住宅と、こういうふうに理解しておるわけでございます。疎開という言葉が適当かどうか存じませんが、そういう建物に、そういう不良住宅に入っておられる方々が新たに公営住宅に入って、そして新たな最近の公営住宅基準住宅に居住しているのだと、こういう趣旨に理解しておるわけでございます。しかしただいま田中先生のおつしやいましたように、この「居住者等」の「等」につきまして、また別の解釈を持ってる考え方もあるようでございます。その点につきましては、どの程度まで当時閣議が、政府としての約束がされたのかどうかということにつきましては、まだただいままでのところ確たる自信を持つたお答えをするところまでは立ち至ってないわけでございます。
  53. 田中一

    田中一君 公営住宅法の付則の5には「海外からの引揚者に対する応急援護のため設置した住宅及びこの法律施行の後同様の目的のため設置する住宅については、当分の間、この法律規定を適用しない。」ということになっております。そこで問題は「等」というものは何かということです。同時に、現在まだ考えておりますところの、閣議決定になっておりますところの引揚者住宅というものの概念、定義ですか、というものは何か、不良住宅に入ってる者という認定ならば、あえて引揚者に限らないですね。不良住宅を改造するために必要ならば、特定入居を許しております。何もあえて引揚者とかに限らない、同時にまた公営住宅法の付則第五において、引揚者に対する緊急応急施設住宅というものに対しては、これは公営住宅ではないというのです、そんなものは。ところがこの閣議決定は、おおむね二万戸の公営住宅を貸与し得るよう措置する、努力するということになっておりますが、しからば引揚者住宅とは何かという点が鮮明されなければ、ここに法律的に見て多少逸脱したものがあるのではないかという疑念を持つわけです。この点について的確な御答弁を願いたいと思います。
  54. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) このあれを見ますと、これは兵舎等を利用して集団的に収容施設に居住しておる方々に対して、公営住宅を五カ年間に大体二万戸を供給すると、こういうふうに決定になっておるわけであります。これは、一つの目標として努力するということを書いておるわけでありまして、従いましてこの引揚者の方々が御承知のようにたくさんどんどんきた当時は、すぐに――公営住宅制度があったけれども、それにすぐ入れることはできない、かえつて混乱を来たす、そこで旧兵舎あるいは国有財産で他に利用し得るものを借りたこともありましよう、そういう所に収容しておりましたが、これらの人々が一たん一応そこに落ちついて参りますと、やはりこれは住宅不足者の範疇に入るかと思われます。ところが、ただそういうふうな見解では、今の田中さんの御指摘のように公営住宅法によって優先的にやるという対象にはなり得ないのです。単なる住宅不足者であります。そこで閣議決定に基いて、これらの人々を公営住宅に移すという政策をとるという一つの方向をこれは示しておるのでございます。一方引揚者が収容されておるところのものは、おおむね実は古い施設でございまして、どうでも疎開しなければならない、あるいはまた撤去しなければならぬというものがたくさんあるわけでありますから、そういう方面で早く優先的にやるということは、公営住宅法の適用の面からも矛盾がないという意味において、こういうふうな措置を講ずることになつたものだろうと私は考えて、今後の運営についてもそういうような方針をもって処置していきたい、かように考えておる次第でございます。
  55. 田中一

    田中一君 では、この法律で示している引揚者は、私が記憶するところによると、大体海外引揚者に対するところの費用というものは、厚生省のどつかに計上されておつて年度それが余つた場合には、それを行政措置で引揚者の応急施設としての七坪か八坪の家を作つて住まわしたということを記憶しております。法律でもなければ新しい項目で予算を計上したものでもないと記憶しておるのです。それが引揚者住宅の定義ならばおのずから違つてくるわけです。私の言っているのは、もしそれが定義――閣議決定によるところの引揚者に対するところの住宅の定義というと、公営住宅法の付則第五の定義というものは同じものであるか、違つておるかという点からきめないと、引揚者に対する住宅供給というものが解明されないのです。現大臣は、大体先ほど御説明になつたのは、公営住宅法の付則第五にあるところの問題をお示しになつたのですが、この「元兵舎等」云々という引揚者のこれは、あえて引揚者という前提をしないでも、当然それは特定入居し得る該当者なんです。それになおかつ「等」という姿というものは、これは不良住宅以外に居住しておるところの引揚者というものであろうかと思うのです。従って引揚者だから特定入居ができるということは、この法律のどこにもございません。公営住宅法には引揚者だから入れるのだという条文は一つもないのです。かえつて引揚者の場合は、厚生省の現に従来通り持っておりましたところの引揚者援護費でしたか、引揚費でしたか、その剰余金を使つて住宅を供給したという行政措置であつて、何ら立法上の根拠はない、法律上の根拠はないということは言えるのでありまして、この閣議決定というものはむろん不良住宅地区におるところの引揚者ももちろんのこと、これは引揚者とあえていう必要もありません。「等」というのはどういうものをさしているか、「等」に含まれておるものは特定入居を受けるという条件にはなっておらないのです、この法律の上においては。どういう工合に解釈し、どういう工合に将来とも運営していこうとするか。
  56. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) ここに書いておる「元兵舎等」というのは、「元兵舎」だけに入っておることになると、これは非常に狭く解釈されて運営上困るということで、多分その他の国有財産等で引揚者に当てておるというものをさしているのじゃないかと私は解釈しておりまするが、詳細については事務当局から御説明いたさせます。
  57. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 公営住宅法の付則第五項の関係は、田中先生か先ほどお示しになりましたように公営住宅法ができました当時、引き揚げがまだ相当盛んに当時行われておりまして、厚生省の系統におきまして引き揚げ直後における住宅供与の制度が行われておつたわけでございまして、大体全額国費によりまして約十二万戸の住居施設が提供せられたものと覚えております。で、従いまして当時におきましては公営住宅法の系統の住宅対策と、引揚者の居住施設のと、二つの筋があったものでございますから、厚生省所管のそういうものを公営住宅法の所管外、関係外といたしますためにああいう規定が入っておるものでございます。現在引揚者の住宅問題として行われております問題は、こういった一たん落ちつきました居住者に適当な住宅をどう与えるかという問題の第二段階の問題かと存ずるわけでございます。こういう引揚者は「元兵舎等」に居住いたしておりまして、そうして少くとも公営第二種並みの規格の住宅を希望している者が多いわけでございまして、この戸数がこの閣議決定におきましては二万戸と書いておるわけでございますが、これをあるいは、まだ的確な数字をつかむ段階まで立ち至っておりませんけれども大都市周辺の相当に引揚者の集団的に入っておられる「元兵舎等」もございますし、また各地方府県におきましても相当こういう施設があるようでございますので、概数から申しますれば二万に近いそういう人たちがおられるものと、二万世帯に近い人かおられるものと考えておりましたので、そういう人を対象としてこういう付則が入っておるものと私どもは心得ておるわけでございます。従いまして、そういう人たちにいわゆる引揚者疎開住宅の提供をいたしまして、こういう人たちをその住宅に移つていただくことは、先ほど田中先生がおっしやいました条文によりまして、特定入居はできるものと心得ております。それ以外にも引揚者が非常に多く、各地に一応引揚者という、集団生活ではなくしておられると思いますが、こういった方々に対して特定入居が許せるかどうかということになりますと、現在の私どもの研究の範囲におきましては特定入居はなかなか、なかなかと申しますか、条文根拠は見当らないというのが状況でございます。
  58. 田中一

    田中一君 私は、引揚者がいまだに生業も得ず、あるいは低収入であつて公営住宅すら入ることができないという層が相当数あることを知っております。従って、それらに対するところの施策として、場合によれば特定入居も許してもいいじゃないかという考え方を持っております。ことに不良住宅地区改良法というものを、私は先だつて建設大臣に一日も早くこれを呼び起して、そこに別な公営住宅を建てて安心させるような、ことに都市のスラム化を防ぐような措置をとったらどうかということを言ったくらいですから、まことにこの法律に示されておるような、今まであまり適用しなかった条文を生かして幸いやっておりまするけれども、不良住宅地区改良法に対しつてはあまりやつておらぬ、幸いと思うのですが、ただ「等」というこの含みというものは、何か私今、住宅局長は「等」の中に入るもの、これがもし不良住宅でないならば、当然入らないのだという答弁と私は解釈します。しかし、それでも住宅困窮度というものは、いろいろな形でもってわれわれの目の前にあるわけですから一面法律を完全に守つて、なおかつそれらの不幸な引揚者等の住宅問題も合せて解決するという方途を急速に持たなければならぬ、そういう建前から、考え方から質問しておるわけなんですけれども、それにしてはあまりにお粗末な三十三年度計画であります。ようやく一千戸というものかそれであるというような御答弁が先ほど大臣からありましたけれども、われわれは予算に関連する調査案件の場合に、そうした意味説明一つも大臣から聞いておりません。ことに担当の住宅局長からも何ら聞いておらないのです。私が指摘して初めてそういう問題を説明するなんということは、その意図がどこにあったかという点を追及しなければならぬという気持から今までるる申し上げたのであつて、これは建設大臣としても前任者がやったことで、これはわからなかったということもあるだろうし、ことに住宅局長にはこれまた前任者が休んだままで退任されたという状態から見ても、連絡が不十分であったと思うのですが、せめて稗田君や鮎川君あたりは、担当の課長あたりは、それらのことは十分熟知していただろうと私は推察するのです。そうしたことが大臣の耳にも入らぬということは、これはいけません。私ども予算に関連する細査案件で、ほんとうのことを示されなかったということに尽きるのであります。従って両方とも立てたいから、法律を守つて、多くの市民のために特定入居なんというものはなるべく避けたいという思想もありますし、また不幸な引揚者のために優先的に住宅を供給したいという気持もあるから、非常に最後にはよろめいたような質問になりますけれども、その点は一つ十分に考慮していただきたいと思うのです。つまり法律を守ってくれということ、できるだけそういう不幸な引揚者に対しては、優先入居の方途も法律を守る範囲においてやってくれということです。
  59. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 御指摘のように、これは両方ともできるだけ調整してバランスをとって措置いたしたいと考えております。
  60. 田中一

    田中一君 もう一点……、援護局長来ていませんか。
  61. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 援護局長は来ておりません。
  62. 田中一

    田中一君 この閣議決定は、はっきりと公営住宅を貸与しようということになっております。まことに当時の厚生大臣は住宅問題に対して理解がある、従って住宅政策の本道に戻すというような意図があったであろうと思うわけです。これは賛成をいたします。しかしながら、年金保険課においてはいまだに還元年金住宅というものを――私は理不尽であると思う、理不尽に岸内閣の持つところの住宅政策の窓口として別な形のものをいまだに持っておる。先だっての当委員会におきますところの援護局長の答弁というものは、住宅の一元化をはかりたいから、従来の引揚者住宅というものを建設省にお願いいたしました、こういう答弁をしておるのです。まことに見上げた神経です。しかし御承知のように、建設省は産業労働者住宅資金融通法に基く住宅融資をやつております。これと同じ実態を持つところの年金保険の還元融資の住宅供給というものをいまだに厚生省は放さない、そうして前国会でしたか呼んでいろいろ聞いてみますと、担当の局長は何にも知らない、どういう形で事業主に対してそういう資金が流れておるかすらも知らない、規模も知らない、そういうような本道を離れたような、本務を離れたような住宅政策の窓口を少しばかり持っているということは援護局長は反省しております。従って、年金保険課長はそれに対してどういうお考えを持っておるか、またあなたから答弁聞いても政府委員じゃありませんから政府答弁とみなすことはできませんけれども、現在堀木君なりあるいは事務当局で考えておりますところのこの年金還元融資の産業住宅に対しましてはどういう考え方を持っておるか、その一点だけを伺いたいと思います。
  63. 栃本重雄

    説明員(栃本重雄君) お答えいたします。厚生年金保険の還元融資でございますが、この還元融資はもともと厚生年金保険の被保険者と事業主の醵出しました保険料の集積でございまして、この積立金を被保険者のために還元融資いたしますものでありますので、この融資の方法、そういったことにつきましては、やはりその厚生年金保険を経営いたしておりまするところにおいて融資の事務を取り扱うというのが妥当かと存ずるわけなんです。また厚生年金保険は労働者年金保険として創設いたしましてから十五年になりますが、事業としての給付の本格的なものとして、老齢年金が二十年たちまして初めて年金保険としての全面的な働きをなすわけでありまして、そういったことで、全面的に厚生年金保険は、実は給付事業が開始されておりません。そういった場合に、その融資をなしますことは、長期保険としまして被保険者のために当然やらなければならない還元融資でございますので、厚生年金保険の広報、周知、宣伝と申しますか、そういう面からいたしましてもこういった融資をする必要があるわけでございます。さらにこの融資をいたしますには、事業主の保険料の納入成績の良好であるということもこの融資の要件にいたしておりまして、こういった要件によって融資をいたしますることによって保険事業におきまする重要なる保険料の収納成績を上げる、納入を刺激する、こういう効果もあるわけでございまして、ただいまのところはやはり厚生年金保険事業を管掌するところにおいて還元融資をする、こういうのが妥当かと存ずるわけであります。
  64. 田中一

    田中一君 だからといって厚生省が都道府県にまかしっ放しにして融資をすればいいと言うのじゃないのです。同じ政府機関だから、従って、住宅の窓口というものは一本にしようという援護局長のお言葉もありました。が、なぜ建設省にそれを移管して――ワクを取るのは厚生省でけつこうですが、実施は建設省に移管して、そうして建設省が現に持っておりますところの産業労働者住宅資金融通法に基く同じ条件でやるようにしないかという点であります。何もいたずらになわ張り争いをしてやる必要はない。あなたの考えておりますところの理由、思想というものは賛成します。ただ窓口だけは建設省に持っていくのが妥当じゃないか。そういう点はどう考えますか。
  65. 栃本重雄

    説明員(栃本重雄君) 勤労者の住宅建設につきまして融資をする場合に、なるべく窓口を簡素一元化するという御趣旨につきましてはごもっともであると存じます。ただ統一一元化できませんわけにつきましては、先ほどお答えした通りでございます。しかしながら、御指摘の点はごもっともな点でもございますので、この一元化までににわかにいかないといたしましても、今後建設省の方と十分連絡をとつて、そういうようなことをしまして事務を簡素化して、そうしなるべく実際はうまくいくように、こういうことを心がけていきたいと、かように存じておるわけであります。
  66. 田中一

    田中一君 まことにけつこうなお考え方です。ぜひそうしていただきたい。そこで建設大臣、この問題はここ数年来当委員会で論議された問題なんです。そしてお互いに話し合いを進めて、そうすると建設、厚生両大臣も言っておつた時代もあったのです。現在どういう形のお話し合いを進めておるか御答弁願いたい。
  67. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 私、先ほど田中先生が御指摘になりましたように、昨年六月以来この職務についておるわけでございますが、産業労務者の住宅供給につきましては、公庫でやつております産業労働者住宅資金と公団の特定分譲とこれが若干似た性格のものであります。それにこの厚生年金住宅がございます。私が参りましてすぐに経営者団体の方から要望書が参りました。要望書の中におきましては、これを一本化しろというよりも、まず窓口を一本にしてもらいたいという要望が出ておるのでございます。私は、この要望はもっともであるというふうに解釈いたしまして、直ちに公庫、公団関係者にも、窓口一本という趣旨においてやるようにということで研究を命じ、また私はそうしろということに指示に近い意思表示もいたしたのでございます。公庫、公団につきましては、建設省所管でございますので、比較的簡単でございますが、厚生省との関係におきましては、所管も違いますので、その点はそう端的には申すわけには参らぬわけでございますが、私は当時担当の局長に電話いたしまして、すぐに所管を移せということは言うわけではないが、少し言葉としては適当ではございませんが、窓口の一本化までも――協調融資といいますか、窓口の協調といいますか、金を借りる会社の方が三つの団体を走り回らぬでも、一つの所で一応統一的にまとめてくれるというふうな線まで持っていくのが適当じゃないかということで、保険局長にも申し入れたこともございますし、また保険局長もそのとき否定をしておったわけでもございません。しかし私が申し入れました時期が、もうすでに各機関とも貸付決定が大体終了に近づいた時期でございましたので、三十二年度におきましてはこれを実現することができなかったのでございます。私ごく最近にも保険局長に会いましたので、昨年電話で申し入れた件について、何も建設省が自分の権限を広げよという趣旨ではない、金を借りる人の便宜の点を考えるのだから、何とかそういったいい方法を研究しようじゃないか、ということで申し入れているような状況でございます。ただいま担当の課長もそれに似たお話をなさったわけでございます。こういった問題で直ちに理想的な形には解決はつかないかと存じますが、できるだけ三つの窓口機関が交互とまで申しませんまでも意思の連絡かとれまして、金を借りる事業者の方々が困ることのないように、措置を三十三年度においてとりたいと存じておるわけでございます。
  68. 田中一

    田中一君 そこであとは利率、期間を、やはりバランスのとれた方法をもってやつていただきたいということでお願いします。
  69. 坂本昭

    ○坂本昭君 ただいま問題になっている、厚生年金会計による融資関係の問題について私はお尋ねしますが、この問題には二つ問題があると思うのです。一つは厚生年金会計という、二十年後には一兆二千億という膨大なものになるこの年金関係の問題、私はこれはこの委員会でどうも触れるのは適当でないと思うのです。ただし皆さんに一つ聞いておっていただきたいことは、先ほど年金課長の説明は若干正当を欠く点があったと思うのです。それは正しく還元融資されていないという事実があるのです。たとえば病院に対する融資、これなどは厚生年金病院というのがありますが、この中に入っている人は年金関係の人だけじゃないのです、一般の人は幾らでも入っている。あるいは厚生年金会館というものが今あちこちで建てられておりますが、この参議院の社会労働委員会一つ重大な問題が取り上げられております。この年金の問題は一応きょうはここで触れません。  ただもう一つの問題は、厚生省と建設省との今の所管の問題、これは先ほど田中委員の質問の途中で私も関連してお聞きしたいと思ったのですが、一昨年以来私がもう根掘り葉掘り一生懸命やったのですけれども、どうも私の勉強と追及が足らなかったために建設省を動かすことかできず、やつと、ことしになってだいぶ問題が重大化してきたのですけれども、この点について住宅局長の就任のとき以来、私はもう非常な注意を喚起してきたのです。そしてこの間の予算委員会においても厚生大臣と建設大臣と一緒にお聞きしたのですが、残念ながら私の持ち時間がなかったので、それをさらに追及することができなかった。ただそのときに厚生大臣は、この年金による還元融資については遂に一言も返事をしなかったのです。ただそのときに建設大臣が返事をされたことで、三十二年度に一千数百戸の引揚者の住宅を作った、そういう事実を述べられましたが、これについて一体どこへ何戸できたかという、もう少し具体的な資料をぜひ出していただきたい。というのは、この間援護局長から出した資料でも全国都道府県に四百八十七の施設があり、一万四千三百二十世帯の引揚者の人たちがおるのです。これはさっきの住宅局長の二万戸という数とまあ比較的近い数だと思うのですが、この一千数百戸という三十二年度の具体的なことを御説明願いたい。もしきょうできなければ詳しい資料をいただきたい。  それと今、年金関係について大臣に御質問いたしたいのですけれども、先般の予算委員会の質問が十分こちらの時間がなかったので、厚生省と建設省とのこの引揚者の住宅問題についてほんとうに具体的にお話し合いをする意思がほんとうにおありなのかどうか、その二つの点についてお尋ねいたします。
  70. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) まず第一点は、先ほど実は田中さんからの御質問に答えまして、私の手元に来ておる資料によりますと、昭和三十三年に新規引揚者の住宅とし五十六戸、引揚者疎開住宅として九百七十八戸、計一千三十四戸ございます。これが示されておりますので、これかしからば、どの都道府県にどういうふうになっているかは事務当局から御説明いたさせます。  それから引揚者住宅について、厚生省と緊密な連絡をとって善処されたいということでございますが、その通りでございまして、そのために今後先ほどから問題になっておりますけれども、引揚者に対する将来の公営住宅の振り当て、これらの問題は厚生省、具体的には各都道府県からのいろいろの要請もございますので、これを事務当局において十分に調査調整の上善処いたしたいと考えておる次第でございます。
  71. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 先ほど大臣から申し上げました戸数につきましては、現在三十二年度公営住宅の戸数の中におきまして、現実建設中のものでございます。各府県のどこへ建てておるかということにつきましては、ただいま資料を持ち合せておりませんので、後刻大至急に、これは現実にあるわけでございますから、大至急にお届けいたします。  ただいま坂本先生の御質問のような御疑念の点につきましては、もう少しつけ加えて申し上げますと、この引揚者の千戸の分でございますが、この人々の個所につきましては、厚生省に一応、言葉としては適当かどうか存じませんが、ワクとして与えまして、厚生省の建てたい、あるいは元兵舎等の改造したい所に持って参っておるわけでございます。現実の姿といたしましては、その当初割り当てました府県市町村が実施できない場合におきましては、その戸数が変えられて参ります。そういたしますと厚生省の方と私どもとが相談いたしまして、同じような状況にある所にまた再配分をいたしまして、そうして引揚者用としまして三十二年度において消化いたしましたものは、ただいま申しました九百七十八戸、それに新規引き揚げ用として五十六戸ございます。現実に建築中でございます。資料は後刻お手元にお届けいたします。
  72. 坂本昭

    ○坂本昭君 この引揚者の住宅問題というのは、先ほど住宅局長から御説明された通り、確かに第二段階に入っております。その第二段階に入ったちょうど三十二年度において大きなミスがあったと思います。厚生省が五年間二万戸という計画、大体年四千戸ですね、それを厚生省では社会局の生活課が五千戸、十五億という予算を出して、そうしてそれが全部大蔵省で削られてしまつた。そのときの社会局の生活課で立てた建設計画というものは、確かに引揚者というものを相当目安にして、しかも閣議決定に基いて出したと思うのです。ところが大蔵省の方ではその閣議決定を無視して、住宅建設は全部建設省だというので、ぱんとけってしまつた。そうして今度は結局引揚援護局の方は、そういう住宅問題について詳しい検討がないために忘れられてしまつた。そうして昭和三十三年度は全部無視されて、忘れられてしまつたためにことしのような計画になつた。それが再びむし返されてきて、建設大臣は非常な苦しい立場に立たせられて、ついに三月七日の閣議で、一千戸を公営住宅の中に割り当てられた。私はだからこれはあまりに追及はしたくないのです。いずれにしても引揚者のために若干確保されたということを追及したくない。その点は田中委員が、よろめきの指導になるということを言われておるようですが、これでは厚生省の引揚者のための本来の考えというものは、あまりに無視されてしまうと思うのです。ことに今の説明だと、千三十四戸に対する割当の責任が一体だれにあるか、これが一つもはっきりしてない。これは一つこの際この委員会ではっきり、だれが責任を負って都道府県に対してはどういう建前で、どう始末するかということ、これだけは一つこの委員会で明確にしておいていただきたい。
  73. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 千三十四戸につきましては、割当責任は建設省でございます。また現実にこの割当戸数につきましては、着工されてるものと心得ております。
  74. 西田信一

    ○西田信一君 建設省側と自治庁と両方にお聞きをするのですが、私は、今度の第三期の三ヶ年計画において、公営住宅に重点を置かれた大臣の御方針には非常に敬意を払つております。そこで第一期には十八万戸、第二期が十五万五千戸、それよりも今度の第三期は上回っておるわけですが、この国会に諮られたこの計画というものは、住宅対策審議会等の答申を尊重されておるのは大へんけつこうだと思いますが、そこで私お聞きしたいことは、第一期の計画というものは、いろいろ予算の制約があった結果だと思いますが、達成率が七割未満であった。第二期において九割をこえたのでありますから、第三期の計画というものは、これはそのまま完全に実施されることを期待いたすわけでございます。そこで公営住宅法の第六条に定めがございまして、この計画の基礎になるものは、都道府県知事から出されるところの資料、しかも市町村と協議の上出されるところの資料に基礎が置かれておるものだと考えるわけです。この資料施行規則によっていろいろな点が要求されておりますが、そこでお聞きしたいことは、昭和二十七年の第一期計画のとき、それから第二期と、今回の第三期と、このように都道府県資料というものが出ておるはずです。そこでこの計画の基礎になるものと考えられますので、その第一期、第二期、第三期が、数字の上からみて、どういうような趨勢にあるか、どういう傾向にあるか。これは建設省の立場から、建設大臣に対して、都道府知事がその義務を負わされておるわけですから、建設省からもお聞きしたい。  それからもう一つは、先ほどからいろいろ議論になっておりますように、公営住宅市町村都道府県というようなことに、その事業主体が分かれておりまするので、これらの財源関係等でいろいろ問題があると思いますので、自治庁の立場から一体、市町村あるいは都道府県公営住宅に対して、すでに一期、二期、三期と経過しておるが、経過過程からみまして、どういうような地方公共団体のこれに対するところの希望というか、熱意というか、あるいは財源関係から、どういう推移をたどつておるかという点を、建設省自治庁と両方の立場から一つお聞きをしたい。
  75. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 第一期の三カ年計画ができました当時におきましては、公団もできておりませんので、公営住宅に対する要望も多かったのでございます。第二期以後におきましては公団もできたわけでございます。従いまして公営住宅法によりまして、都道府県からの要望戸数はただいまこまかい数学として記憶いたしておりませんが、第一期第二期とも公営住宅に対する地方の要望が、いずれも三十万戸でございます。その三十万戸の要望に対しまして、国の財政等を勘案いたしまして、第一期におきましては、十八万戸、第二期におきましては、十五万五千戸を三カ年計画として御承認を願つたわけでございます。次に今回の第三期におきましては、法律の要請に従いまして、府県から要望をとつたわけでございます。この要望におきましては二十三万戸でございました。二十三万戸の要望に対しまして、私ども原案を作りましたのは十五万七千戸、こういうことにいたしておるわけでございます。
  76. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 私の方では今の県の要望の問題は、数字的なことばよく知りませんが、府県市町村におきましても、公党住宅の累月整備の必要は痛切に感じておるのでございまして、自治団体といたしましては、おそらくは、国ができるだけを、しかもその補助につきましては、適正な今の補助率につきましての特別な意見はなかろうと思います。補助単価なり補助対象なりというものは、できるだけ実情に合うように、できるだけたくさん金がつくということを私は期待しておるだろうと思います。自治庁といたしましては、国のそれぞれの計画がきまりますれば、国の計画に見合うように、地方の負担を地方財政の上におきまして確保していく、こういう態勢をとることにいたしておるのでございます。
  77. 西田信一

    ○西田信一君 住宅局長にもう一点お聞きいたしますが、第一期は三十万戸の要望、第二期も三十万戸、今度二十三万戸に対して十五万七千戸の供給を考えておる、こういう御答弁でございますが、そこでお聞きをいたしたいのですが、日本の住宅不足の状況から考えて、公営住宅建設というものは第三期を迎えたわけですが、第三期以降における公営住宅に対する考え方、これはどのようにお考えになっておるのですか。
  78. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 公営住宅法というものは恒久的な法律でございまして、現在の住宅難に対処するものではございますけれども、しかしこの法律が廃止になりません限りは、三期、四期と続けて三カ年計画がたてられるべきものと存じております。しかしながら、住宅の困窮度というものは、戦後の影響を受けました時期が遠ざかるにつれまして、若干の変更があるものと考えます。従いまして、四期以後の問題は、私といたしましては、政策論にわたるわけでございますので、私から申し上げるのは必ずしも適当でないかと存じますが、御承知通り現在もっております住宅建設五カ年計画は、この三カ年で終るわけでございませんで、当然に四期にも尾を引くわけであります。四期は当然三カ年計画はたてられるものと承知いたしております。  なおこれは政策の問題として私が述べるのは適当ではございませんけれども、やはり先ほど来問題のございました不良住宅改良の問題でございますとか、あるいは母子家庭の問題でございますとか、公営住宅でなければ解決できない住宅難の問題も相当残ろうかと思いますので、そういった問題の解決のためには、公営住宅は、そう簡単に終結には至らない問題であろうかと存じておるわけでございます。ただ私の住宅局長としての一つの観測でございますので、そういうふうにおとり願いたいと存じます。
  79. 西田信一

    ○西田信一君 そこで今期の第三期の計画についてお聞きをするのですが、日本の人口移動の傾向が、たとえば東京周辺に集中するという傾向が非常に顕著です。また府県によりましては、絶対数が減少しておるという所は少いけれども、五ヶ年間にほとんど人がふえない。自然増と社会増の関係は、社会増においてマイナスになっておるという所も非常に多い。むしろその方が非常に多いのです。そこでこれは私はもう少し人口政策というものが立てられるべきだと考えておるのですけれども、そういう問題に関連いたしまして、この都道府県公営住宅に対する計画なり要望なりというものは、そういう地方別、地方的に見てどういう傾向にあるか、この点お伺いしたい。
  80. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 公営住宅に対します要望が、地方別に若干の変化がきておるかという御質問でございましたが、ただいまのところそれほど顕著な変化が出ておりません。ただ公営住宅の序数は、国の財政が許せば幾ら多くても消化かできるかということに相なりますると、三十三年度におきまして四万七千戸でございますが、これか何万戸ふえてもすぐに消化できるという状況ではございません。これは地方財政関係もございまして、そう一度にふえましては消化の困難な事態が起ろうかと存じております。  なお西川先生のお話のございました社会増の問題でございますが、現在の私どものやつております住宅対策は、昭和三十年度住宅調査でございまして、三十三年度におきまして、総理府統計局がまた別の見地から住宅調査をいたしますので、その面にその後における社会増の状況が反映されて参るかと思います。その際にまた新たに政策を変えるということはございませんが、観点を変えた住宅政策を織り込む必要が起る事態が生ずるかとも、ただいまのところ予想いたしておるわけでございます。
  81. 西田信一

    ○西田信一君 最後に根本建設大臣に伺います。今の住宅局長の御答弁によりますと、人口の動きは見られるけれども住宅についてはさほど重要度の変化はない、こういう御答弁がございました。ただ大臣にお聞きをいたしたいのは、私はこの間の予算委員会でも、河野企画庁長官に、新長期経済計画と人口の国内における再配分というような問題を、もう少し真剣に取り上げてもらいたいということを要望いたしました。また地方計画等においても、人口問題を考えない単なる地方計画であつてはいけない。むしろ全く何といいますか、奇型的に、東京あたりにどんどん人が集まってしまって、地方が薄れていくということは、むしろ人口再配分の問題からも、新長期計画の中に、地方計画にむしろ人口の面から、逆に人を再配分するにはどうしたらよろしいか、という政策を織り込んでもらいたい、ということを強く要望いたしましたし、そういうことに対して政府は検討を加え、そういう方向に進めるという御答弁がございました。そこで住宅問題も必ずしもこれはそのらち外であり得ないと思うのです。そこで少くともやはりそういう立場に立って、もちろんこの住宅の需要と供給の関係は度外視できませんから、少くともそういう政策を取り入れたところの住宅政策というものが、やはり考えられてしかるべきだと思うのでございますか、建設大臣はどのような御見解をお持ちでございましょうか、お伺いしたい。
  82. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 基本的には西田さんの御意見と全く同様です。ただし現実にはやはり住宅だけをそこに作りましても、産業がそこに起りませんと、これはその定着が困難でございます。そういう観点から、現在首都圏等におきましては、御承知のように、市街地開発地域というものを指定いたしまして、そこには工場と同時に住宅団地を作つていく、こういうふうな施策で、今御指摘のような点に考慮をいたしておるのでありますが、地方の農村地区等においてはなかなか困難でございます。やはり地方に参りましても、北海道とか東北等において長期経済計画に基いて、一つの産業がその地方に発展し定着するというような施策かございますれば、これに対応する住宅政策は当然考えなければならぬと思っておる次第でございます。
  83. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 他に御質疑はございませんか。ほかに御発言もございませんようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  85. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 私は社会党を代表いたしまして、本件に承認を与えることに賛成をいたします。  しかし御承知のように、住宅問題は国民生活の三大要索の一つで、しかも戦後いわゆる衣食の面については、やや満足と言わないまでも達成せられておる、国民がやや満足しておる。しかし住宅問題は依然として解決もついておらないのが現状であると思う。そのときに第一次計画あるいは第二次計画というようなものを、両院で決定いたしましたけれども、私どもに言わせればこれは空文にひとしい姿になって、実施されていないものがたくさんある。今また第三次計画を決定いたします場合に、ほんとうにこれが実施できないかということが問題であるというのならば、断じてこれは一つ実施をしてもらいたい。これが一つ。  それから実施をしてもらうにはどういう方向づけをしなければならないか。御承知のように、今日の住宅困窮の程度から見ましてもこの数は不満足であります。だがしかし実施するということが前提であるとしますならば、一歩前進であることに間違いございません。このことはさらにはまた公営住宅の性格から見て、家賃のいろいろな面で従来論議されましたが、これは低家賃の方向に決しておる、この基本方針をはっきりお認め願いたい。  もう一つは、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律が実施せられましても、この法律のために、その法律を実施して、問題を家賃に転嫁することのないようにぜひしてもらいたい。これは委員会でかなり論議されたのでありますが、そういう点を十分に一つ実行に際しては御留意願いたいということを要望いたしたい。決して満足な案であるとは思いませんが、実施をするということの一歩前進であるということの意味合いから賛成をいたします。
  86. 村上義一

    ○村上義一君 私は緑風会を代表して本件に賛成する者であります。  策三期の公営住宅三年計画としまして、十五万七千戸という戸数は現在の人口の増加の実情にかんがみましても、決して十分な数とは言えないことは、ただいま述べられた通りであります。しかし国家財政なり自治体の財政の関係もありまして、真にやむを得ないと考える次第でありますので、本件は承認することが至当であると信ずるのであります。  ただこの際二、三の希望を申し述べておきたいと思うのでありますが、当局から説明せられました不燃焼率七五%、また中高層率二五%、これはぜひとも充足することに御努力を願いたいと思うのであります。特に総戸数につきましては、第二期の実績におきましても九二%、第一期は予定計画が十八万という大きい数字であったためもありまするが、六九%の実績にとどまったのでありまして、ぜひとも第三期の計画に対しましては百パーセントの実績をあげることに御努力願いたいと思うのであります。  なお、ただいまもお話がありました居住者の負担に属する家賃の問題でありますが、今日のアンバランス調整につきましては、もちろん非常に困難な問題であるとは存じまするが、ぜひ妥当な調整方法を考究して、そのすみやかな実現をはかられるよう強く要望いたして本案に賛成したいと思います。
  87. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。  公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件を議題にいたします。本件に承認を与えることに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  89. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 全会一致と認めます。よって本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、節七十二条により議長に提出すべき報告の作成その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。  それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本件を承認された方は、順次御署名を願います。   多数意見者署名     田中  一  石井  桂     稲浦 鹿藏  西田 信一     中野 文門  武藤 常介     坂本  昭  重盛 壽治     村上 義一
  91. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 速記をとめて。    〔速記中止
  92. 竹下豐次

  93. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 一般問題に関する調査の件を議題に供します。
  94. 坂本昭

    ○坂本昭君 家はこれは緊急のことだものですから、急いでお尋ねいたしたいのですが、去る十八日の午後、帝国ホテルの新築の現場で、通行人の頭の上に鉄棒が落ちてきて重傷を負ったという事件があったのであります。われわれ人工衛生が落ちてくるかと思っておったら、こういう鉄枠がビル工事の現場から落ちてきた。これは大へんな事実でございまして、われわれもビル新建築の場を通るたびに、いつもひやひやしながら通つておることでございますが、このことについて、この事件の実情とそれからの一体責任はどこにあるか、まずそのことを御説明いただきたい。
  95. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 私もその新聞記事を見まして、坂本先生と同じような気持を持った一人でございます。その責任ということになりますと、民事上の責任、刑事上の責任があろうかと存じますが、おそらくこの問題につきまして、故意過失の事実がなければ、刑事上の責任を追及することにはならないのではなかろうかと存じますが、刑事上の問題につきましては、私も的確なお答えをする立場でございませんので、もしもその点間違っておりましたらお許しを願いたいと思います。  民事上の問題につきましては、作業中の事柄でございますので、使用主である作業会社と本人との関係の民事問題になろうかと存じます。建設現場における各種の工害につきましては、法律問題といたしまして相当むずかしい問題がございます。発注者が責任を負うべきか、請負による施工者が負うべきか、こういう問題につきまして、外国におきましてもいろいろ議論もあり慣例もあるようでございます。そういった問題につきましても、これはひとり建築に限らず、土木工事についてもあるいは工害問題もあろうかと存じますので、所管の官房の建設業課に話しまして、統一的な解釈をさせるようにいたしたいと存じます。
  96. 坂本昭

    ○坂本昭君 これは所管の局長でないから、そういうあいまいな御説明かもしれませんが、どうもこれではうっかり町も歩けないのですが、この新聞の記事に出ている事実は間違いないのですね。多分間違いないということのもとに今のような御説明があったと思うのですが、そうしますと大体従来、こういう建築工事というのは都会で非常に多いのです。こういう場合に建設省として、一体今までどういう実際的な指導監督をしておられたのでしょうか。その点非常に心配ですから伺つておきたい。
  97. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 私かつて建設業課長をいたしました当時に、そういった工害問題につきまして研究いたしたことを記憶いたしております。何分その仕事を離れましてだいぶたっておりまして、現在官房といたしまして、こういった建設現場の工害問題につきまして、どういう指示をしておるかということにつきましてつまびらかでございませんで、これは官房長の所管関係でありますので、官房長に伝えまして、官房長からこれに関する統一的な答弁をさせるようにいたしたいと存じます。
  98. 坂本昭

    ○坂本昭君 それでは大臣ににちょっと伺いたいのですけれども、私もこういう事実がありますと、これは一体、建築基準法ではどんなふうに取り締つているのだろうかと思って、少し調べてみましたら、基準法の九十条に、工事施工者に対するいろいろな危害防止措置についての指示があるのです。ところがこれは内容を読んでみますと、工事に働いている労務者に対する危害防止が主であつて工事をやつているときにそのそばを通る人に対するそういう考慮、心配というようなことはほとんどきめられていないのです。  それからまたその九十九条の中に、危害防止のために必要な措置を講じなければならないというのですが、この措置の技術的な基準は政令で定めるということになっています。それでは、その政令ではどういうふうに定められているかということを調べてみますと、実は定められていないのです。こうなりますと、工事のそばもうつかり歩けないということなんです。それでこれはすみやかにこの基準法を整備して、それからまた、工事場で働く労務者に対する労働上の安全性をはかるということはもちろんのことですけれども、ああいうふうに市街の建物の櫛比している所で、通行人かどんどん通つている場合には、これは労務者だけじゃありません、通行人に対するところの危害防止を厳重に法的にきめなければならない、それについて大臣の御所見を承わりたい。
  99. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) ただいま御指摘になつた事実については、まことに遺憾にたえません。政令あるいは法律上欠陥のある点がございますれば、研究いたしまして、労務者のみならず、一般通行人、一般公衆に対して、危害の及ばない十全の措置を講ずるように、事務当局をして検討せしめまして善処いたしたいと考えております。
  100. 坂本昭

    ○坂本昭君 御承知通り今ここから見渡しましても、たくさんの工事場が見えていますし、これは緊急を要することと思います。私は、住宅局長直接の所管でないかもしれませんが、今のような非常にのんきな御答弁をいただいて、これはうっかり通れないという非常な不安を覚えたのです。これはおそらく東京都だけじゃありません、都会の市民は全部同じ考えだと思いますので、大至急政令の内容をきめ、さらに必要ならば法律の改正について立案していただきたい、そのことを特にお願いしておきます。
  101. 石井桂

    石井桂君 関連して。今、住宅局長の御答弁を聞くと、坂本さんと同じように、私も少しのんき過ぎる答弁だと思います。建築基準法は、その内容は主として、でき上ったものの安全衛生その他の規定を盛り込んでるところが多いのですが、やはり建築の主管局としまして、今坂本先生のおっしゃったような御答弁は、当然これは肝に銘じて直ちに善後策をとるのが、これは妥当だと思うのです。で、私はその取締りを三十年やった経験があります。法律は確かにそういう方面に少し重点が欠けているところがある。で、あわせて工事場安全衛生規則というのは、その当時労働省、今は厚生省かもしれないが、の規則にもあるはずでありまして、安全週間なんてものが設けられて、除害施設の指導ということに働きかけておる。ですから二六時中建築現場は、通行人にもちろん従業員の安全衛生をやってるはずなんです。これは今労働省か厚生省か存じませんけれども、その当時私も工場監督官を兼ねながら現場の指導に当った記憶がありますから、今もあるだろうと思うのです。従って建築の取締りを主管するところの建設省住宅局と、それから厚生省か労働省という方向と十分お打ち合せの上、現場に働く方並びに公衆に対しては危害を与えないような措置をとることは緊急の仕事だと思うのです。そこであなたは名前が住宅局長ですけれども、やはり建築方面の唯一の局長なんだから、やはり坂本先生の言われることは、これは額面通りお受けになっ直ちに一つ防止策をお立てになることを要望いたします。
  102. 坂本昭

    ○坂本昭君 今専門家の石井委員から説明がありましたのでちょっと付言しますと、建築基準法の今の危害防止に反した場合でも五万円以下の罰金です。たった五万円以下です。それから今の問題は労働基準法で労働省所管になります。両方に定めがあつて、特に労働安全衛生規則の中に工事現場の安全基準を定めているのですが、これは労務者に対する基準で、この場合も違反した場合は五千円以下の罰金にしかすぎないのです。五万円の罰金で下を通っておって、頭の上から鉄棒が落ちてきたらほんとうにあわないです。これはすみやかにやって下さい。
  103. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 私の答弁が責任という、民事上、刑事上の責任にこだわりすぎまして答弁をいたしまして、その点誤解を招きましたことをおわびいたします。そういった工害が起ることに対して法律の改正を要するものでございますれば、法律の改正は当然研究いたします。(「要しますよ」と呼ぶ者あり)法律の改正をいたします。また政令を待つまでもなく、行政措置でできますものでございますれば、これは即刻処置すべきものでございます。両先生の御意見通り処置をいたす考えを持っております。
  104. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 本日はこれで散会いたします。    午後四時四十分散会