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1958-03-04 第28回国会 参議院 建設委員会 第9号 公式Web版

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  1. 道路整備緊急措置法案(内閣送付、 (会議録情報)

    昭和三十三年三月四日(火曜日)午後一 時五十四分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     竹下 豐次君    理事            石井  桂君            西田 信一君            稲浦 鹿藏君            田中  一君    委員            岩沢 忠恭君            中野 文門君            内村 清次君            小酒井義男君            坂本  昭君            重盛 壽治君            村上 義一君   国務大臣    建 設 大 臣 根本龍太郎君   政府委員    通商産業省鉱山    保安局長    小岩井康朔君    建設省河川局長 山本 三郎君    建設省道路局長 富樫 凱一君   事務局側        常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    通商産業省石炭    局炭政課長   町田 幹夫君    通商産業省鉱山    保安局管理課長 竹田 達夫君    建設省河川町次    長       関盛 吉雄君    建設省河川局水    政課長     国宗 正義君    建設省河川局砂    防課長     戸田福三郎君     —————————————   本日の会議に付した案件道路整備緊急措置法案内閣送付、  予備審査) ○道路法の一部を改正する法律案(内  閣送付、予備審査) ○日本道路公団法の一部を改正する法  律案内閣送付予備審査) ○建設事業並びに建設計画に関する  調査の件   (建設省設置法の一部改正に関する  件)  (多摩川の河川敷占用に関する件) ○地すべり等防止法案内閣送付、予  備審査)     —————————————
  2. 委員長(竹下豐次君)(竹下豐次)

    委員長竹下豐次君) ただいまより建設委員会開会いたします。  本日の委員長及び理事打合会において、決定した事項について御報告いたします。  まず本日の委員会の運営について協議を行いました。本日はまず道路関係法案提案理由説明聴取し、なお本委員会関連のある道路整備特別会計法案建設省設置法の一部を改正する法律案説明を聞いた後、地すべり等防止法案質疑を行うことに意見の一致をみました。  次に六日の委員会は、公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件の提案理由説明聴取、および地すべり等防止法案質疑を行うことにいたしました。  なお今後調査案件は、委員会開会たびごと議題として参議院公報に掲載することに決定いたしました。  以上御報告申し上げます。     —————————————
  3. 委員長(竹下豐次君)(竹下豐次)

    委員長竹下豐次君) これより本日の議事に入ります。  道路整備緊急措置法案日本道路公団法の一部を改正する法律案道路法の一部を改正する法律案について、根本建設大臣から提案理由説明聴取することにいたしたいと思います。
  4. 国務大臣(根本龍太郎君)(根本龍太郎)

    国務大臣根本龍太郎君) ただいま議題となりました道路整備緊急措置法案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明いたします。  現行道路整備費財源等に関する臨時措置法は、御承知の通り昭和二十九年度を初年度とする道路整備五ヵ年計画を樹立し、その実施に要する費用財源揮発油税収入を充てる措置を講じたものでありまして、この法律わが国道路整備の促進に対して果してきた役割は、まことに大なるものがあったのであります。  しかるに、最近における産業経済の急速なる発展に伴い、道路輸送の需要が著しく増大したにもかかわらず、道路整備はこれに伴わず、道路交通は各所において飽和の状態を現出し、産業各部門に対して隘路を形成している現状であります。かかる事態に対処し道路整備をすみやかに行い、立ちおくれたわが国道路先進諸国の水準まで到達させ、輸送需要に即応させることは目下最大の急務と申すべきであります。  ここにおいて、従前の道路整備五ヵ年計画を改め、新たなる構想のもとに昭和三十三年度を初年度とする道路整備五ヵ年計画を樹立し、その実施に要する費用財源を確保する等の措置を講じまして、道路計画的整備をはかり、もって我が国経済基盤強化に資することが必要となって参ったのであります。  以上申し述べました観点から、ここに、この法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案要旨を御説明申し上げます。  第一に、建設大臣は、昭和三十三年度以降五ヵ年間における高速自動車国道一級国道、二級国道及び政令で定める都道府県道その他の道路整備に関する計画の案を作成して閣議の決定を求めなければならないこととし、この計画には、五ヵ年間に行うべき道路整備の目標及び整備事業の量を定めることといたしました。  第二に、道路整備五ヵ年計画実施に要する費用財源を確保するため、政府は、毎年度、当該年度揮発油税収入額予算額等道路整備費財源に充てなければならないこととするほか、財政の許す範囲内において道路整備費財源につき必要な措置を講ずるものとすることといたしました。  第三に、国の負担金の割合または補助金の率につきましては、昭和三七三年度においては、現行臨時措置法においても道路法規定に対する特例が認められておりますので、この法律においても、その特例を踏襲することとし、昭和三十四年度以降における国の負担金の割合または補助金の率につきましては、別に法律で定めるところによることといたしました。  なお、国が直轄で行う道路整備に要する費用についての地方公共団体負担金の額の特例を設けるとともに、付則におきまして、現行道路整備費財源等に関する臨時措置法を廃止するほか、関係法律につきまして所要改正を行なっております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願い申し上げます。  次に道路法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  最近におけるわが国道路輸送量増加は、まことに目ざましいものがありますが、中でも長距離道路輸送量増加は、特に著しく、この趨勢は、幹線道路において今後さらに顕著になるものと考えられるのであります。従いまして、このような長距離道路輸送量増加の傾向に対処するため、幹線道路網特に一級国道の画期的な整備をはかることが、緊急に要請されているのであります。  一方、一級国道管理につきましては、従来から、原則として都道府県知事がこれを行う建前がとられてきたのでありますが、現下の道路輸送の状況にかんがみ、一級国道の重点的かつ効率的な整備をはかるため、現行管理方式を改め一級国道新設改築原則として建設大臣が行うこととするとともに、特に指定した区間については、建設大臣が、その維持管理の責に当ることにより、一級国道管理体制強化をはかりたいと存じます。  以上が、この法律案提案した理由でありますが、以下その要旨について御説明申し上げます。  まず、第一に、一級国道新設または改築は、建設大臣が行うことを建前とし、特別の事情により都道府県知事が行うことが適当であると認められるものにつきましては、都道府県知事においてこれを行うこととしたことであります。  第二に、一級国道のうち政令で指定する区間につきましては、建設大臣維持、修繕、災害復旧その他の管理を行うこととし、その他の一級国道につきましては、都道府県知事がこれを行うこととしたことであります。  なお、この指定区間内の一級国道管理事務につきましては、その一部を都道府県知事に行わせることができることといたしております。  第三に、一級国道管理に要する費用の負担について所要改正を行うこととしたことであります。  まず、新設または改築に要する費用につきましては、現行通りといたしております。  次に、維持、修繕その他の管理に要する費用につきましては、指定区間以外の一級国道については現行通りといたしておりますが、指定区間内の一級国道については国と地方公共団体とがそれぞれその二分の一を負担することとし、管理事務の一部を委任した場合のその管理に要する費用地方公共団体が負担することといたしました。  なお、昭和三十三年度におきましては、経過的に指定区間丙一級国道の修繕を除く維持その他の管理に要する費用は、国がその三分の一、地方公共団体が三分の二を負担することといたしております。  以上が一級国道管理に関する改正の概要でありますが、このほか関門国道トンネル等水底トンネルの構造を保全し、交通の危険を防止するため、爆発性または易燃性を有する物件その他の危険物を積載する車両の通行を禁止し、又は制限することができる措置を講じました。  なお、以上の改正に伴い関係法律の一部につきまして所要改正を行なっております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決されるようお願い申し上げます。  次にただいま議題になりました、日本道路公団法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  高速自動国道中央自動車道及び高速自動車国道吹田神戸線建設につきましては、現存日本道路公団におきまして用地の折衝等を進めているところでありますが、この高速自動車国道建設費は約八百億円の巨額に達し、その建設の促進をはかるためには、国内資金の調達とあわせて外貨資金を調達する必要があると認められますので、日本道路公団法の一部を改正して、国際復興開発銀行から外貨資金を借り入れるための必要な措置を講ずるため、この法律案提案いたした次第であります。以下本法律案要旨を御説明申し上げます。  まず第一に、日本道路公団法第二十八条の政府による日本道路公団の債務の保証に関する規定改正して、同公団国際復興開発銀行と締結する外貨資金借入契約に基き外貨で支払わなければならない債務について、政府が保証することができることといたしております。  次に、付則におきまして、国際復興開発銀行からの外資の受入について日本開発銀行、日本輸出入銀行、愛知用水公団等が発行する債券の利子に対する所得税の免除に関する法律の一部を改正して、同法により利子に対する所得税左免除する債券に、日本道路公団国際復興開発銀行と締結する外貨資金借入契約に基き発行する必要のある債券を加えるようにいたしております。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願いいたします。  次に建設省設置法の一部を改正する法律案を御説明申し上げます。  このたび建設省の組織及び所掌事務について所要改正を行うため、建設省設置法の一部を改正する法律案提案し、ただいま衆議院内閣委員会において御審議中でありますが、建設省の組織に関することでありますので、本法案要旨について当委員会におきましても御説明申し上げ、各位の御了承をお願いいたしておきたいと存じます。  本法案における改正のおもなものは次の三点であります。  まず第一に、本省の内部部局である道路局の機構を整備拡充することといたしたことであります。  道路整備につきましては、政府昭和三十三年度において、これを国の最重要施策の一として取り上げ、最近における自動車交通の激増に対処し、産業基盤強化に資するため、従来の計画を大幅に拡充した道路整備五ヵ年計画を新たに樹立し、これに伴い特別会計を設けて、幹線と地方重要道路の双方にわたり逐次その整備をはかることといたしたのでありますが、新道路整備五ヵ年計画に基く道路整備事業を強力に推進して参りますため、このたび道路行政を担当している本省機構整備拡充することといたした次第であります。すなわち、道路局管理部及び建設部を設け、管理建設の画面から今後の道路行政の一そうの推進を期する所存であります。  次に、本省に地方支分部局として新たに北陸地方建設局及び四国地方建設局を設置するとともに、地方建設局内部部局整備拡充することといたしたことであります。  現在、建設省地方支分部局として東北地方建設局関東地方建設局中部地方建設局近畿地方建設局中国四国地方建設局九州地方建設局の六地方建設局が設置されており、河川道路等の国の直轄事業実施に当っておりますが、年々の事業量の増大に伴い、これら事業実施の万全を期するためには、北陸地方及び四国地方地方建設局を設ける必要が生じてきていたのであります。加うるに、来年度以降におきましては、先ほど申し上げましたように道路整備五ヵ年計画に基く直轄道路整備事業が相当増加することとなりますので、この際、北陸地方建設局及び四国地方建設局の二地方建設局を新たに設け、事務通常の適正かつ能率化を期することといたした次第であります。すなわち、従来の関東地方建設局所管区域であります新潟県、並びに中部地方建設局所管区域であります石川県、及び富山県を所管区域とする北陸地方建設局と、従来の中国四国地方建設局所管区域であります四国四県を所管区域とする四国地方建設局を設置することとしたのであります。  また地方建設局内部部局につきましては、道路事業等の増大に伴い、事業実施能率化をはかるとともに、河川事業道路専業の遂行に当って、その責任を明確化する等のため、従来の庶務部工務部及び企画部にかえて総務部河川部道路部及び企画室を置くこととし、東北地方建設局及び関東地方建設局には、これらの部のほか用地部新設することといたしました。なお、営繕に関する事務につきましては、その事務の性質上従来の所管区域によって処理する方が適当と考えられますので、新設北陸地方建設局及び四国地方建設局においてこれを分掌しないこととし、これらの地方建設局には営繕部を置かないことといたしました。  第三に、地理調査所の位置を東京都に変更することとしたことであります。  地理調査所は、戦時中の疎開先長野県から、戦後千葉県に移転し、現在に至っておりますが、このたび東京都目黒区上目黒に建設されております新庁舎に移転することとなりましたので、その位置を東京都に改めることとしたのであります。  その他地方建設局所掌事務等につきまして、若干の事務的改正を加えることといたしました。  以上が今回の建設者設置法の一部を改正する法律案要旨でございますが、何とぞ格別の御協力を賜わらんことをお願いいたします。
  5. 委員長(竹下豐次君)(竹下豐次)

    委員長竹下豐次君) 次に、本委員会関連がある法案で、ほかの委員会に付託になっています道路整備特別会計法案説明聴取したいと思っておりましたが、大蔵大臣大蔵政務次官が、大蔵委員会法案審議のために今どうしてもはずせないというわけでありまするので、この聴取は後の機会にいたしたいと思います。  建設省設置法の一部を改正する法律案につきましても、これも本委員会関連のある案件として御説明を求めたいという心組みになっておりましたのを、建設大臣が早手回しに御説明になりましたので、事後承認いたすことにいたします。  以上の各案件についての質疑は後日にいたしたいと思います。     —————————————
  6. 委員長(竹下豐次君)(竹下豐次)

    委員長竹下豐次君) それでは地すべり等防止法案議題にいたします。御質疑のおありの方は順次御質疑をお願いいたします。  それから質疑方法でございますが、各条審議ということはいたしませんで、各章別に御質疑を願いたいと思っております。  まず第一章総則を議題といたします。
  7. 田中一君(田中一)

    田中一君 建設大臣に伺いますが、この法律案災害を守るという原則に立っているものでありますけれども、少くとも現在ありますところの他の法律をもって規制しても、この実施は別に困難でないのではないかというような考え方を持っておるのですが、なぜ単行法としてここに出さなきゃならないかという点が第一点。  それから一つ一つ国土に関する異常現象と申しますか、あるいは災害を遠因とする数々の現象、これらのものは常に今日までは議員立法提案されておりました。そこで本法案政府提案として提出しようとした考え方、この二つを一つ伺うと同時に、私は勉強しておらぬからはっきりわかりませんけれども、このような地方的な一つ現象というものを中心とした立法例というものが、むろんこれは単なる建設省ばかりじゃございません、農林省、運輸省、その他の各省等で幾つ、どういうものがあるかという点について御質問いたしたいと思います。
  8. 国務大臣(根本龍太郎君)(根本龍太郎)

    国務大臣根本龍太郎君) まず第一に、地すべり等防止法単独立法として政府提案いたした理由については、御承知のように、昨年の異常の豪雨に伴いまして、西九州方面において非常に甚大な被害が起りました。これに関連しまして、この際地すべり等に関する立法をすべきであるという意見が、関係方面はもとよりのこと、当委員会等においても強く要請されましたので、政府といたしましては、従来砂防法、あるいは森林法等でそれぞれやっておりましたけれども、必ずしも十全ではない、この際むしろ統一した法律案を作ることが必要である、かように認めまして、単独立法といたしたわけでございます。  第二番目は、災害防止に関するこういう法律案が、従来議員立法として出されたのを、なぜ政府提案にしたかという理由でございますが、これはただいま申し上げたことと若干重複する理由でございまするが、やはりこの際は政府が主導的にやることが必要であると認めるとともに、そういうふうな御要望にこたえて政府提案といたした次第でございます。  なお従来の立法例につきましては、事務当局から御説明申し上げます。
  9. 政府委員(山本三郎君)(山本三郎)

    政府委員山本三郎君) 先ほど地域的に非常に局限されておるというお話がございましたが、なるほど全国の各都道府県に、全部はないわけでございますが、私ども調査によりますと、全国で三十六都道府県にございまして、ほとんど全地域にわたっておるという関係でございまて、特別地域特別立法というふうには、私どもはこの程度ありまするとやはり考えないで、敷衍的の法律案であるというふうに考えておる次第であります。
  10. 田中一君(田中一)

    田中一君 私は全国、三十六府県にわたっておるからいいの悪いのというのではない。国土保全基本法というものを立てれば、あらゆる国土に関する悪現象というものが、あるいは復旧なり予防なりが講じられるのではないかということなんです。ちょっと今六法全書を調べておりませんからわかりませんけれども、たとえば南九州におけるところシラス地帯法律にしても、そうした一つの部分的な国土現象をとらえて単独立法化するということは、これは当然避けなければならぬのです。現にもう農林関係におきましても建設関係におきましても、地すべりに対するところ調査も、地すべりに対するところ対策も立っておるのです。立っておるにかかわらず、なぜ単独立法としてしなければならぬかということになりますと、今大臣が言っているように、主観としてその方がいいと思ったかうそうしたのだということになれば、何をかいわんやなんです。国土保全するという基本法があれば、その面にあらゆる実施措置というものはとられるはずなんです。たとえばシラス地帯の面におきましても、一応これは全国的にシラス地帯がございます。しかし予算配分というものは、やはり特定な顕著な災害地点のみに集中されるというのが、今日までの現行法の行き方でございます。従って地すべり防止法というものができても、これはやはり重点的には、ある地方的な顕著な災害地点のみに予算裏づけがある、ということにならざるを得ないのです。従って三十六府県五千五百ヵ所といわれておるところのこの地帯に対して、三十三年度予算裏づけというものは、どういう形で配分されるかという点を考えますと、これは御答弁願いますけれども、こうした現象だけをとらえてそれを追っていく立法化というものは、これは少くとも国民をいたずらに戸惑いさせるのみでありまして、基本的な立法の態度というものではないのではないか、かように考えるのです。従って建設大臣自分主観でこの方がいいのだといえば、これ何をかいわんやです。論議のほかです。しかし国土保全ということを考えた場合には、基本法はおのずからございます。これによって律せるものだろうと思うのですが、その点について私は主観といっているけれども主観裏づけるような予算配分が行われるのではないかと思いますから、三十三年度予算はどのようにどの地区にどういう工合に配分されるか。これはまあ農林大臣がおりませんから、ただいまは建設大臣だけの御弁弁を求めますけれども、詳細に御報告願いたいと思うのです。
  11. 政府委員(山本三郎君)(山本三郎)

    政府委員山本三郎君) 三十三年度予算はどのくらいであるか、あるいはどういう地帯にどのくらい配分されるかというお尋ねでございますが、詳しい各府県ごとの割り振りにつきましては、当初の要求に対しまして予算が決定いたしましたのは、四億あまり要求に対しまして一億八千八百万円くらいの予算でございますので、具体的にどの県に幾ら配分するということは今作業中でございますので、詳しい数字は申し上げられませんが、全体の事業費といたしましては、建設省地すべり対策事業費は約二億六千六百万円の事業費に相なります。補助金といたしまして一億八千八百万円でございます。そのほかに地すべり地域指定する調査、それから工事にかかる前の調査と二つございますが、それを合せまして七百万円あまりでございます。これで現在考えておりますのでは北海道ほか三十六道府県におきまして、大体二百五十地区を来年度は対象にしたい、そのうち継続の分が百三十七でございまして、新しく着手したいと思っているのは残りの百十三地区に相なります。このうちのおもなる実施地帯といたしましては新潟長野富山石川北陸地帯における地すべり地帯、それから四国の徳島、愛媛、高知、九州の佐賀、長崎等地区でございまして、その他にもやはり東北方面等には地すべりで非常に危険な地帯もございますので、それらも勘案いたしまして、全国的にはやはりすべり出す危険性の多い地点調査できますので、それらの地帯から実施していきたいというふうに考えております。
  12. 田中一君(田中一)

    田中一君 現行法でその調査が不可能であるとは思いませんけれども単独立法するにはその理由があると思うのですが、それらの五千五百ヵ所、十四万町歩といわれるところのこの地域調査は、単行法でなければ完全調査できぬという考え方ですか。
  13. 政府委員(山本三郎君)(山本三郎)

    政府委員山本三郎君) 五千五百ヵ所の調査につきましては、主として現在までは都道府県自分観点に立って調査しておったわけでございますが、中にはむずかしい地質構造関連する問題がございますので、ぜひこれは大局的にしかも地質学者等を動員して調査をしなければならぬ。そうしないと、地すべり区域指定であるとか、あるいは方法の立案に当りましても調査が重要であるということで、来年度予算におきましては、先ほども申し上げました調査直轄調査ということで、補助ではございませんで直轄調査で計上いたしました。そういうふうな点も法律の中に、主務大臣地すべり防止区域指定をする際には、前もって大臣調査をして地すべり防止区域指定をやる。それからむずかしい所につきましては、事業に先だつ調査一つ直轄でやろうということに相なっておるわけでございまして、従来の方法よりも国で一つ大いに力を入れ、しかも学者等の力を借りて地域指定し、しかも方策も立てよう、ということに相なっておるわけでございます。
  14. 田中一君(田中一)

    田中一君 単独立法の方が大蔵省に対して予算を取るのに都合がいいのだ、というようなことはどうなんです。
  15. 政府委員(山本三郎君)(山本三郎)

    政府委員山本三郎君) 先ほど全体の国土保全法律を立てたらいいじゃないかというお話でございました。私どももぜひ総合的にそういうことができますならば、まことにけっこうであると考えておるわけでございますが、従来この国土保全に関する法律は、建設省はもちろんのことほかの省でもそれに対する法律があるわけでございまして、それらも全般的に一緒の法律にするということは、なかなか今のところ相当の時間もかかるという点から、こういうふうな単独立法を考えたわけでございます。  それから予算を取る上にどうかということでございますが、確かに、国で調査するというような点は、法律規定してございますと非常に強くなりましてこれは各地区で非常に強い要望もございますし、また普通の砂防工事とは違った内容を持っておる現象も考えられるわけでございましてそれらはぜひ一つ少し知識を商い点から調査していかなければならぬという点から、直轄調査規定どもいたしたわけでございまして、そういうことをおきめいただくならば、今後におきましてもそういう調査は強力に推進していけるのじゃないかというふうに考えておるわけでございまして、法律を通していただいたから予算かすぐ取りよくなるというようなことは、いずれの場合にも考えられるというわけじゃございませんが、今回におきましては、この法律をぜひ通すという意味からいきましても、そういう施策が予算的に確立されていくのではないかというふうに考えております。
  16. 田中一君(田中一)

    田中一君 私はどうもこういう部分的な、地方的な現象一つ一つ単行法をもって追っかけていかなければならぬということは、これはやはり国土計画の貧困からきているものと思うのです。実際に日本の国土というものを根本的に調査をして行政面で把握しておってそうして考えるならば、こういうものは全部織り込んだものが考えられてしかるべきだと思うのです。従って今後ともこうした日本の国土に対する調査等が強力に行われるならば、またこれもっとほかに方法があるのです。現象だけをとらえて追っかけていくというのは、これは災害に対する復旧事業ということになりまして他に方法はあると思うのです。そこで、もしもほんとうに日本の国土というものに対する調査を真剣におやりになるならば、一番今問題になっているのは特別会計をもって運営している林野庁、林野庁が所管しているところ地帯、これらのものはただ災害があるから調べるのだというのじゃなくして、実際に国土保全自分の担当主管としているところ建設大臣は、それこそ実態を十分調査するということの方が望ましいと思う。現にもうむろん林野庁としては立木が主でありましょうけれども、これはむろん災害を守るためにも必要でありましょうけれども、これらのものに対しては一般の平民は入れないのです。またそれは一応長い計画のもとに自分の行政区域にしておりまして、私はこういうものこそ国土調査のほんとうの問題じゃないかと思うのです。ただ一つ一つ災害その他の現象というものをとらえて立法化するということに対しては、相当な疑問を持っておるのですが、この点は建設大臣はどういうお考えを持っていますか。
  17. 国務大臣(根本龍太郎君)(根本龍太郎)

    国務大臣根本龍太郎君) ただいま田中さんが御指摘になりました点は、以前から各方面でいろいろ御議論のあるところでございまして、いわゆる国土保全国土の開発を総合的にやるという意味において、行政機構においても国土省を設置すべきだ、さよういたしまして建設省の所管しておる所掌事項、あるいは林野庁の所管しておるところの所掌事項、こういうものをあわせてやるべきだという、これは根本的議論があり得ると思います。われわれも鳩山内閣当時御承知のように、行政機構の改革に当りまして、この問題を一応具体的な対象として検討いたしてみたのでありますが、いろいろと御議論がございまして、ついにその機に至らない状況でございます。従いまして、現在におきましては個々の問題を各所管省別に立法するところの傾向が非常に強いわけでございまして、しかもその間もとより同じ内閣でありまするがゆえに、連絡はしておるものの、若干その点では足らない部面が多い。特に今日までの経過から見ますれば、地すべり等のような問題につきましては、あるいは緊急砂防、あるいはまた林野庁における保全措置としてやっておるというものも、実態は必ずしもそれに沿わない。そのために昨年の異常豪雨の際におきましても事前の措置ができないで、結局事後において緊急の予算措置であとを追っかけていく。そこでどうしても事前にこういうふうな、しかも予測し得る地すべりの実態からいたしますならば、未前にこれらの災害を防止するような措置と、また災害が出たことについて統一的な施策をすべきである。こういう観点から田中さんの言われるような根本的な行政機構改正はできないために、これはやむを得ず単独立法措置することが現実に必要である、かように考えた次第でございます。
  18. 田中一君(田中一)

    田中一君 そこで、そういうお考えならば、これはあなた方の問題だからもう何も言いませんが、ぼた山と地すべり山、この二つのどちらを主として対象にして考えていますか。むろんこれにはぼた山もあわせて行うような形になっております。地すべりという現象とぼた山という人為的な災害を生む山、対象が主としてどちらにウェイトをかけておられるのか。
  19. 政府委員(山本三郎君)(山本三郎)

    政府委員山本三郎君) これは主眼がどちらにあるかというお尋ねのようでございますが、法律の目的にもありますように、併立でございましてただ、ぼた山につきましては、鉱業権者のあるものは当然その方が措置しなければならないものがございますので、そういうものは対象にしていないわけでございますが、それ以外のものにつきましては併立でございます。
  20. 田中一君(田中一)

    田中一君 同じように考えておられるならば、現在の鉱山保安法に基く施設、施策といいますか、こうしたものがどういう工合に行われているか、むろん、その際には鉱業権者であり、かつまた当然かつての鉱業権者であってそのぼた山そのものの所有権というものがどこにあるか、というような点も十分に調査が済んでいると思いますけれども、そういう点は今五千五百ヵ所のところではどうもなんとも調査ができないでしょうけれども、少くともぼた山が相当あるといわれておるところの北九州、西九州の各地においては、ぼた山を対象にして考えようとすることの方が多いのか、あるいはどの地区では地すべりという自然現象ですね、むろんこれには原因があるでしょうけれども、われわれの見る目からは自然現象と見、天災と見えるような形のもの、それから人為的なぼた山、ぼた山は人造山でございますから、従って、どちらの方に現段階では事業のウエイトがかかっておるか。
  21. 政府委員(山本三郎君)(山本三郎)

    政府委員山本三郎君) 地すべりにつきましては、先ほど先生のおっしゃったように五千五百余りございます、全国で。ぼた山につきましては、現在のところの調べによりますと、全国で約千六百三十ヵ所ばかりございまして、そのうちまだぼた山を堆積中のものと、まだ鉱業を営みつつありまして、ぼた山がまだ大きくなりつつあるというものが約千ヵ所ございます。もう全然堆積をやっていないものが六百二十三ヵ所、こういう実情でございます。その堆積の終了したものが、この法律の対象にもちろんなるわけでございますが、所有権の関係から六百二十三ヵ所を見ますと、鉱業権者が持っておりますのが三百九十七ヵ所、その他のもの、これは鉱業権者以外の者が持っているのが百五十二カ所ございまして、所有者の不明のものが七十四ヵ所ございます。このうち鉱業権者の持っておりますものは、もちろん今回の法律の対象に相なりません、あとで申し上げました百五十二カ所と七十四ヵ所、合計二百二十六ヵ所がこの法律の対象になるものであるというふうに考えておるわけでありまして、先ほどの地すべりの五千五百ヵ所に比べますと、三十分の一ぐらいしかないのでございまして、もちろん事業費におきましては、圧倒的に地すべりに充てるものが多いわけでございまして、来年度におきましても、ぼた山に対して建設省として入れようという予算はこの割合ぐらいの比例に相なっております。
  22. 田中一君(田中一)

    田中一君 いや、地すべり地帯といっても、五千五百ヵ所のうちその規模が一番大きな問題なんでよ。個所で示されても相当大規模なものもあれば、小さなものもあると思う。だから、私は実際ぼた山と地すべり区域との比例というものは、主としてぼた山の方に集中されなくちゃならないのじゃないかと思うのです。現在の災害を守ろうという場合ならば、むろん、これには私の知っている新潟県、山形県等にも地すべりがありますけれども、これはもうぼた山の崩壊の方がもっとこわいのです、実際言うと。あの西九州ですか、あの辺の山はおおむねぼた山なんですね。そういうものに対する実際の調査というものが、ことに三十三年度予算のつけ方というもの、それから現在までつけております予算、二十七年から引き続きつけました予算というものがどの方面に使われておったか。
  23. 説明員(戸田福三郎君)(戸田福三郎)

    説明員戸田福三郎君) ぼた山はまだ十分調査がいたしてございませんが、過去にやりましたのは、ここ一、二年前から始めたのでありまして、先ほど田中先生のおっしゃった昭和二十七年からというのは地すべりだけでございます。
  24. 田中一君(田中一)

    田中一君 そうすると、鉱業権者の山に対しては、これは通産省がやっているのだからといって知らぬ顔をしているわけですか。ということはですね、これは地すべり防止法なんです。鉱業権を持っておるところの鉱山所有者、またはぼた山の所有者はこの法律ができても、他のもの、今の六百二十三ヵ所のうち三百九十七ヵ所はこの法律から放任されるということになりますね。しかしながら、鉱山保安法によって規制されるのだということになっておりますけれども、実際は三十三年度予算で通産省はこれらに対する調査費とかなんとかを、具体的には鉱業権者が、それは当然負担するのだということが前提でありますけれども、それを強制するような何かの措置をとろうとしておるのですか。それともそれはこの法律によって当然その精神は了解済みなんだということになっておるのですか。
  25. 説明員(関盛吉雄君)(関盛吉雄)

    説明員関盛吉雄君) ただいまの御質問でございますが、本法案におきましても、第二条の定義のところに、本法のぼた山として対象といたしますものを、この第二項に規定いたしております。すなわち、地すべり等防止法案でいいます対策を要しますぼた山と申しますのは、「石炭又は亜炭に係る捨石が集積されてできた山であって、この法律の施行の際現に存するものをいい、鉱山保安法第四条又は第二十六条の規定により鉱業権者又は鉱業権者とみなされる者が必要な措置を講ずべきものを除くもの」といたしておりますゆえんのものは、今、先生お話の第四条によりまして、現に鉱業権者である者が、いろいろな措置をすべきことを鉱山保安法の規定によって明記せられております。さらに第二十六条の規定によりまして、その者が鉱業権者でなくなりましても、五年間は保安上の命令を受けまして、その場合においても同様の措置をすべきことが規定されております。かつ、その保安上の義務につきましては、通産省の関係政令並びに規則によりまして、詳細な、義務的な規定が指導上も、また法制上も完備しているわけでございまして、本法の施行の際に、現に存するものにつきましては、先ほどもお話がありましたように、この義務者がおらないのでございます。しかも鉱山保安法というものが、今日のような段階、十分整備されておらなかった時代に発生したものでありましたり、またきわめて古い段階のぼた山として今日存しているもの、こういうことでございますので、通産省の方の関係におきましては、政府部内といたしましては、今後このようなぼた山が、鉱山保安法の指導上の問題なり、監督上の問題として新たに発生することのないように、通産省からも現行法規の十分なる実施をはかっていかれることになっております。
  26. 田中一君(田中一)

    田中一君 大体ぼた山を作るという人たちは、おおむね中小炭鉱が多いのですね。だからこうして全然だれのものかわからぬものが七十四ヵ所もあり、それからもう鉱業権者以外の者のものになっているのが百五十二カ所もあるということ、こうした実態というものをすっかりお調べになって対象がはっきりした。はっきりしたが、鉱業権者の持っている三百九十七ヵ所というものに対しては、実際鉱山保安法によるところの保安施設というものが十分にできているのですか。おそらくあとになってこれはおれの方の分野じゃないから知らぬということじゃ困ると思うんですよ。もし。そういうものが実際に鉱山保安法によって、今、次長が完全にできているというけれども、できているというのは法律ができているのであって、実際はできているかどうかの問題をお調べになったと思うのですが、そういう点はどういう現状ですか。
  27. 説明員(関盛吉雄君)(関盛吉雄)

    説明員関盛吉雄君) ただいま御指摘の通りに、国土保全という観点から、残された形になったものが、今後発生するということは、国といたしましても、またこの種の事業地方公共団体が、国の機関といたしまして実施いたします場合の結果、費用負担を生ずることからいたしましても、お話通りでございます。従って今回の地すべり等防止法案の中にぼた山対策というものを入れます場合におきましては、政府部内といたしましても、よくその点を検討いたしたのでございます。申し上げておりますように、鉱業法及び鉱山保安法によまする指導監督を、この際さらに一そう通産省当局から徹底して行なっていただくと同時に、詳細の規定現行規定におきましても、省令等に規律されております。従って鉱山保安等に直接関係のある義務者が、ただいま堆積中のぼた山、もしくは、堆積終了後といえども、その義務を有しているものに対する崩壊防止の責任についての、実際上の工事の設計等につきましても、建設省の方におきましても目下相談を受けておりまして、従前の指導以上に本法の制定によりまして、今後遺棄されることのぼた山のないように、対策を相談いたしております。
  28. 田中一君(田中一)

    田中一君 この第四条には、主務大臣区域指定するということになっておりますが、それが今いう鉱山保安法によるところ保全義務があるにもかかわらずそれをしない場合、その区域とそれらの鉱業権を持っている人たちのぼた山、いわゆるその法律の適用外のぼた山と隣接というような場合には、小規模の最小限度の地域指定するなんて言わないで、やはり全部関連するのですから全部を指定した方が安全度が相当強くなると思うのです。そういう点は、この法律ができたことによって、鉱山保安法の方にもう少し強く働きかけるような形のものができなかったのかどうか。おそらく西九州、北九州等の中小炭鉱のぼた山は、まるで同じような山がそのままつながっているような所が多いのです。片一方は鉱業権者があるからこれはらち外であると、主務大臣建設大臣あるいは通産大臣はこれを指定しない。しかしもしそれが崩壊した場合には次の山にも、その区域全体にも悪影響があるという場合、何か手を打たなければ、これはおれの縄張りじゃないと言ってうっちゃっておくことは、地元の人たちが安心できないわけなんです。そういう点は、あるいは鉱山保安法をもっと強化するような改正をするとか、何とかしなくちゃならぬと思うのですが、その点は、四条の指定される区域指定されないものとの、完全な同じような保安施設と保全施設というものがなされなければならない、という点からどう考えておりますか。
  29. 説明員(関盛吉雄君)(関盛吉雄)

    説明員関盛吉雄君) まことにごもっともな御意見でございまして、同様に国土保全上一方においては国の機関としての知事が、当該ぼた山の崩壊防止区域として指定された所をやるぼた山と、それから鉱業権者、もしくは、みなされる鉱業権者が、同様の立場において、そのぼた山を国土保全管理すべき立場にあってやるべきその性質のものが隣接しておる、という形になるわけでございまして、実質的に鉱業法、鉱山保安法の内容を詳細に検討いたしてみますと、法律の形の上におきましては、十分なる措置が講じ得られることになっておりますので、問題は、本法の施行に伴って、同様の実効があがるような行政措置を通産省と共同してやると、こういうことに目下打ち合せをいたしております。
  30. 田中一君(田中一)

    田中一君 鉱業権を持っている人が所有している危険なぼた山は、別の法律でやるのだからいいのだ、といって放置しておく、国民はそれを知らぬ。指定区域じゃないからそれは安全なものだという見方をするから、それが隣接する場合、これは相当危険なものがあると思うのです。だから私はそういうものをも含めた指定区域というものをきめなければならぬと思うのです。ことにそういう保全施設をしないという所はおおむね中小炭鉱であって、これはいつでもそんなものはうっちゃっておく。中小炭鉱のあり方として炭価が下ればそのまま閉鎖して逃げてしまう。そうすれば従事しているところの労働者の諸君も相手がいなくなったので、しようがなしにちりぢりばらばらに、当然労働法で守られているようなすべての要求もできないで、そのまま雲散霧消するというのが普通のあり方なんです。従ってこういうような所に問題が起ってくるわけなんです。それでまた炭価が高くなれば、いつのまにか舞い戻ってきてまた掘っているというようなことがあるのですが、鉱業権者に対する保全義務、そういうものを私はもう少し詳しく通産省の所管の局長からでも伺わないと、非常に安心しないわけなんです。そういう点は一つあなたの方に聞いても困ると思うけれども
  31. 政府委員(山本三郎君)(山本三郎)

    政府委員山本三郎君) 今のお話の点につきましては、この法律の立案中においてもそういう話は通産省、大蔵省との間で十分やったわけでありまして、今後の取締りの方法につきましては、いずれかの機会に通産当局をお連れいたしますので、お聞きいただきたい。
  32. 委員長(竹下豐次君)(竹下豐次)

    委員長竹下豐次君) ちょっと私から関連してお尋ねしたいのですが、この第二条の二項に「法律の施行の際現に存するものを」というのですが、このあとできるもので、そうして新しくできたものについては、もとより鉱業権者、または鉱業権者とみなされるものが一応あるわけですが、それらが何年かあとになくなり、ただぼた山だけが残る場合が予想されるわけですね。その取締りはどういうことになるのですか。通産省の方の関係で何か取締規則が別にあるのですか。
  33. 説明員(関盛吉雄君)(関盛吉雄)

    説明員関盛吉雄君) この法律の立て方は、現に存するぼた山で、鉱業権者もしくは、それとみなされる鉱業権者のないものにだけ限定すると。それでは今後、そういう鉱業権者もしくは鉱業権者とみなされるもののないものを作らぬようにする方法をどうするか、ということに、帰着するわけでございまして、それは先ほど田中先生の御質問の一部にも関係しておるわけでございまして、政府全体といたしましては、かようなものが今後発生しないように、通産行政の面からの監督並びに防止の措置を十分講ずるということで、現在の法律改正の必要の有無についても検討いたしたのであります。その結果現行法改正ではなくて、実際の運用上の点について至らない点は省令、政令以下の点で、十分徹底することができるというお話でありますから、先ほど局長からお話のように、いずれ通産省から御説明していただければおわかりのことかと思います。
  34. 委員長(竹下豐次君)(竹下豐次)

    委員長竹下豐次君) 通産省から説明を聞けばわかるのですけれども、この法律をお作りになる場合のお気持としては、通産省の権限で取締りのできる、鉱業権者もしくは鉱業権者とみなされる者がなくては、通産省が取締りにくいのだから、またそういう法律もないのだから、それでそこを拾って取締規則を作るというのがねらいですから、そうすると、私がお尋ねした、この後そういう類似のものが生ずる可能性は十分あります、長い間には。でありますから、初め作るときには気をつけて作っても、何年かたてばまた構造が乱れてきたりするようなことも一応心配される、そういう考えにおいてやるべきことだろうと思う。それも一緒にお考えにならなければならない問題じゃないかと思う。そのときには、やはり今日まで通産省の管轄から離れてしまったものがあるように、そういうものがこの後起るとすれば、やはりその部分については、かつての部分はあなたの方でお取締りになると同様に、このあとの分についても、あなたの方でお取締りになることの方が考え方が一貫するのではないか。かようにも私は考えておるので、それは通産省の方であるということを当然初めから仮定されるのはどうか。かように思うが、これはいかがですか。
  35. 説明員(関盛吉雄君)(関盛吉雄)

    説明員関盛吉雄君) この法律は、今委員長のおっしゃるようなこの法律の施行の際、現に存していなかったけれども今後出てきた、第四条または第二十六条の鉱業権者もしくはそれとみなされる鉱業権者が、必要の措置を講ずべきものとして取扱われないものが出てきた、こういう場合のぼた山というものは一体どうするか。こういう問題でありますが、これはこの法律建前といたしましては、この法律ではぼた山とは言わない、そういうものを一体どうするかということは、そういうものが今後出ないようにするということがまず先決で、出た場合についてはどうするかということについては、今この法律の直接の問題としては考えておらない、こういうことであります。
  36. 委員長(竹下豐次君)(竹下豐次)

    委員長竹下豐次君) 私の言うのは、この後出ないようにするというにはどういうふうにしたらいいか、というようなことを通産省の方にまかせないで、あなたの方でしっかり考えるべきものじゃないか。もとより向うと相談の上ということはいいでしょうけれども。それを言っている。先ほどからのお話を聞きますと、その点はそういう問題は通産省の問題であるかのようなふうにちょっと聞きとれましたので。私の聞き違いがあるのかもしれません。
  37. 説明員(関盛吉雄君)(関盛吉雄)

    説明員関盛吉雄君) よくわかりました。結局通産省と十分相談をいたしまして、通産行政土の監督の不行届、もしくは法律の欠陥からこういうぼた山が今後発生しないように、われわれの方も両方とも十分話をする。それからまたその具現に努めてもらう、こういう相談をいたしております。
  38. 田中一君(田中一)

    田中一君 現在あのぼた山を築造するのは、まあ主として鉱業権を持っておる者がやりますけれども、土地と山との所有者というものば実体は違っておりますか。同じ人ですか、違っておる人ですか。今の例えば六百二十三ヵ所全部、その内訳は三つになっていますけれどもね。その三つともどうなっておりますか。ぼた山そのものをこれは作るのですからね。作った所有者と土地の所有者とはどういう関係になっておりますか。
  39. 説明員(関盛吉雄君)(関盛吉雄)

    説明員関盛吉雄君) これは一々のぼた山について、先ほど数字が出ましたものについて調べたわけではございませんけれども、土地とぼた山とは一応分離されておる形態が多いようでございます。それでこのぼた山そのものは何であるかということを、いろいろ法律的に検討いたしますと、あれは動産であるという説明でございます。で、現実の慣行といたしましては、そのぼた山を堆積する際に、その土地にいわゆる借地権を設定いたしましたり、あるいはまあ土地を買ったり、そういうふうな形で土地の所有権とは一応分離して取り扱われておる形態が多い。こういうふうに聞いております。
  40. 田中一君(田中一)

    田中一君 まあ大体人造なんですからね。これはもう動産であると思いますがね。しかしそういうような見方はですよ、他の物権と同じような見方をしている、まあ主としてですよ、われわれは、関係ない人は非常に誤解するわけなのですね。あれを動産だと見る、人造山だと見る場合には動産だ。しかしそうでない、自然な山と見る場合にはこれは不動産だという見方をしますからね。そういう調査は今後してはっきりと、これは何だ、これは何だときめるつもりですか。また鉱山法にもそういうことはどういう工合に明記されていますか、鉱山保安法にも。
  41. 説明員(関盛吉雄君)(関盛吉雄)

    説明員関盛吉雄君) ただいまの問題は二点ございましたが、ぼた山の土地の堆積の関係と、それからその所有権とかあるいは使用権とか、諸般の問題につきましては十分な調査をいたさなければならぬと思っております。さらにただいまのお話のぼた山の鉱業法上の取扱いは、どういうふうな表現をしておるか、ということについて水政課長からお答え申し上げます。
  42. 説明員(国宗正義君)(国宗正義)

    説明員国宗正義君) お尋ねのどの場合に動産とみなし、どの場合に動産とみなさずして不動産になるか、という明文の規定は鉱業法自身にはございませんですが、鉱業法第三条第二項におきましては、鉱物の「廃鉱または鉱さいであって土地と付合しているものは、鉱物とみなす。」という規定がございまして、この際、鉱滓であって土地と付合する、ただいま議論されておりますぼた山は、石炭または亜炭の捨石でございますから、まさに鉱油でございまして、土地と付合しておる場合は鉱物になる。と申しますことは、ほかならぬ、先ほど次長が御説明しましたように、ぼた山が土地と付合して一体となれば、その土地自身になるわけでございまして、ほかならぬ不動産になるわけでございます。不動産になったらば、土地でございますから、土地の中に入っておりますこのような鉱物すなわちミネラルは、鉱業法上の鉱物になるわけでございまして、鉱業権が設定できるということになりますものですから、その場合にのみ不動産になる。従いまして先ほどからの議論は、鉱業権設定に適するかいなかということから判定いたしまして、土地の中にある、従って付合して一体となった場合は鉱業権の設定の対象になる。通常のぼた山につきましては、鉱業権の設定の対象にならない。従って土地でもなければ鉱物でもないという扱いを、大審院の判決以来なしておるわけでございます。
  43. 田中一君(田中一)

    田中一君 そうするとこう理解していいわけですね。ぼた山の中に、まあ石炭でございましょうぬ、石炭がまじっておったぼた山を、今度はぼた山は全然鉱業権の設定がない、だれかがそのぼた山に対して、それは何万分の一、何十万分の一でも鉱石があればそれはおれに採掘させてくれと言ってきて、許可をする場合には鉱山になる。それからそのままに置いてあってやった場合には動産だということなんですね。ぼた山は炭価が高い場合には相当カロリーの低いものでもどんどん掘って売れる。ところが炭価が安い場合には高カロリーのものでなければ売れんから、そんなものは捨ててぼたの中にぶち込んでいくということはあり得ると思うのですね。その場合にやはりぼた山の中には鉱物は含まれておるから、その鉱業権というものを設定してくれと言って、そこからまだぼた山をくずしてその鉱物を取るときには、鉱業権が設定され、鉱山すなわち不動産と見るとこういうことなんですか。  そういう実例はあるんです。たくさん。北九州、西九州へ行きますとよくそういう実例があるんです。ぼた山から石炭をまた掘るやつがいるんです。
  44. 説明員(国宗正義君)(国宗正義)

    説明員国宗正義君) お尋ねの問題は、これは全く通産の鉱業行政に関することでございますが、私ども聞くところによりますと、ぼた山の捨て石が石炭の層をなすという、物理的な現象を呈する場合もございますし、また石炭ならざる鉱物が入っておる場合もあるわけでございます。その場合の取扱いでございますが、一般にやはり動産につきましては鉱業権が設定できませんものでございますから、今のお尋ねの石炭を掘るような場合は、実際上鉱物を土地を掘りくり返して掘っておるわけでございますが、そのような採石をする人には鉱業法の適用はなく、許可なくして行なっておる実情であると聞いておるわけでございます。
  45. 田中一君(田中一)

    田中一君 これは通産の人を、鉱山局長でも呼ばないと進まないな。定義から納得しなければ入れないからね。
  46. 委員長(竹下豐次君)(竹下豐次)

    委員長竹下豐次君) ちょっとこの際申し上げますが、建設大臣は三時二十分ごろから内閣委員会で設置法関係質疑に応じたいと思うので、そのころ退席したいというお申し出があったのでありますが、大臣に対する御質問のお方はなるべく早目にお願いしたいと思います。
  47. 田中一君(田中一)

    田中一君 またこの次に機会がありますから、あなたにはそのときに質問します。
  48. 委員長(竹下豐次君)(竹下豐次)

    委員長竹下豐次君) ほかの方いかがでございますか。きょうに限ったことではないので、またこの次にもおいで願わなければなりません。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中上〕
  49. 委員長(竹下豐次君)(竹下豐次)

    委員長竹下豐次君) 速記を始めて下さい。  田中君の質問は、一応これで留保いたしまして、ほかの問題について御質疑のお方は、順次御発言願います。
  50. 西田信一君(西田信一)

    ○西田信一君 大臣説明によりますと、全国地すべり個所は五千五百ヵ所、面積で十四万五千町歩あるということで、これに対する対策としてこの法案か出されたわけですね。そこで、先ほどそれは三十六都道府県にまたがっておるということでありますが、こまかいところまでは必要ありませんが、そのおもな分布をまずちょっとお伺いしたいと思うんです。五千五百ヵ所というのは、その三十六都道府県、主要な所でけっこうですが、どういうふうに分布しておりますか。これはちょっとおもな所だけおっしゃっていただいて、こまかい所は資料にして出していただきたい。
  51. 政府委員(山本三郎君)(山本三郎)

    政府委員山本三郎君) それでは資料を後ほど差し上げますが、おもな所を御説明申し上げますと、全国で五千五百八十四ヵ所でございまして、面積が十四万三千二百六十三町歩に相なっておりますが、そのうち千町歩以上のものをかりに申し上げますと、山形県が百九十五ヵ所で約四千町歩、新潟が千二百九十二ヵ所で二万一千九百町歩、富山が百四十九ヵ所で二千八百五十九町歩、石川県が二百三十四ヵ所で六千二百三十九町歩、山梨が二十一ヵ所で五千百五十六町歩、長野が八百五十四ヵ所一万二千八百九町歩、それから兵庫県が百二十七ヵ所で千百七十五町歩、和歌山が百三十四ヵ所で二千百二十四町歩、徳島県が一番多うございまして、千五十八ヵ所で七万町歩、愛媛が二百六十三ヵ所で二千二百四十一町歩、高知県が八十九ヵ所で千四百七十九町歩、それから佐賀県が百二十一ヵ所で千百五十五町歩、長崎県が百六十六ヵ所で二千三百九十五町歩となっております。
  52. 西田信一君(西田信一)

    ○西田信一君 これはあとで詳細な資料をちょうだいしたいと思いますが、そこでこれだけの個所があって、現在継続が百三十七ヵ所、新規が百十三ヵ所で、三十三年度事業の対象になるものが二百五十だ、こういう御説明がございました。全国で五千五百ヵ所の二百五十ですから二十分の一程度のものですが、もちろんこの五千五百ヵ所全部が指定されるとは考えておりませんけれども、少くともこの法律を作るために全国調査をされて、五千五百ヵ所は一応地すべりの個所として認められておる以上、相当のものがこれは対象になるだろうと考えるわけです。  そこで地すべり防止区域指定の問題ですが、これは建設大臣が必要と認める場合に、現地調査をやってこれを指定する、指定の場合には都道府県知事意見を聞くと、こうなっておるようですが、この指定というのは、要するにこの地すべり防止工事を実施するということと相当の関連を持つと思いますが、それで相当長期にわたって順次指定していくということになりましては、実際にこの法律を作った効果はあがらぬじゃないかというふうに考えるわけです。そこで指定は、ある期間内に一応全部指定をするという方針であるのか、それとも予算に見合う程度に順次重要なものというか、必要度の高いものから指定をしていくというような方針であるのか、この点はどういうお考えでしょうか。
  53. 政府委員(山本三郎君)(山本三郎)

    政府委員山本三郎君) 現在地すべり区域といたしまして、先ほど御説明申し上げましたように、全国で五千五百個所余りございますが、現在三十二年度ではどのくらいやるかということでございますが、調査を行なった上でやるわけでございますが、昭和三十三年度中におきましてはそのうち約千六百個所くらいは指定したい。これはもちろん建設省もやるわけでございますが、農林省も指定するものを含めております。  それでもう一つは、工事をやる所以外も指定するかというお話でございますが、これは千六百個所のうちにはもちろん工事を全部やる分だけではございませんで、行為制限をする等の必要から、そういうものをやれば非常に有益であるというような地点もございますので、その中にはもちろん工事をやらないで、行為制限等の問題から、緊急性のあるものから指定していくわけでございまして、全国的には大体三年くらいの間には指定してしまいたいというふうに考えております。
  54. 西田信一君(西田信一)

    ○西田信一君 大体の方針がわかりました。三年くらいで一応指定を終りたい、こういうことでございますが、そこで全国で五千五百個所のうち、三十三年度ではとりあえず千六百個所の指定をしたい、こういうことでございましたが、しからば全国のこの五千工百個所、これはもちろんおよその概数と思いますが、三ヵ年間にどのくらい大体指定対象になる地域があるという見込みなんでしょうか。三年目にはその指定する個所数がどれくらいになるというような大体の見通しはございますか。
  55. 政府委員(山本三郎君)(山本三郎)

    政府委員山本三郎君) 五千五百につきましては、従来から県の調査で大体地すべり地域というものは詳細な五万分の一図面にできております。なおしかしこれは一応全般的に建設省あるいは農林省におきましても、現地等調べまして調査するわけでございますが、大体におきまして三年間におきまして全地域指定したい、五千五百くらいは全部指定しなければならぬというふうに考えております。
  56. 西田信一君(西田信一)

    ○西田信一君 そこで先ほどの説明によりますと、従来各省で調査もしており、また都道府県調査等もあるけれども指定をする主務省としてあなた方で直接調査を行なった上でやりたい、こういう御説明がございました。しかるに予算は今年度七百万円の調査費であるということでございますが、この程度で全地域調査が行われるというお見通しでございますか、そのはいかがですか。
  57. 政府委員(山本三郎君)(山本三郎)

    政府委員山本三郎君) 先ほど御説明申し上げました七百万円余りというのは、建設省分の調査費でございまして、そのほか農林省で計上されておりますのが、林野関係といたしまして四百五十五万円、農地関係といたしまして百六十万円ございますので、これらを合わせますと、三十三年度調査費で千三百万円くらいになりますので、これをもって大体三分の一くらいの調査はできるというふうに考えております。
  58. 田中一君(田中一)

    田中一君 これはこういう考えではなかったかな。農林大臣建設大臣、通産大臣も含めて鉱業権のあるぼた山、鉱業権者が持っているぼた山を含めて、全部一応この法律でおさめて、そうして通産大臣はその鉱業権を持っておる部分に対して、この法律をもって強化するという考え方が妥当なんだ。同じ地域の隣接している人造山と、それから同じような現象建設省所管のものもあれば、これにくっついて農林省所管のものもあると思うのだ。その場合には物件、対象が同じなんだから、全部この法律に入れてしまって、そうして通産大臣は鉱山保安法以外に、法の精神はむろんのこと、これ以外にこの法律でもっと強く同じような規制をするということの方が正しいと思うのだ。さもなければ分離してしまう。しかし、ぼた山に対する対策というものがなくてはならんのですよ。そうすればわれわれが心配するような心配がなくなってくるわけなんですよ。別の法律をもって規制するということになると、この法律は新しい法律だから、ことに補助金もつくのだからびんとくるけれども、これらのおそらく鉱山保安法では補助金なんかないのじゃないかと思う。むろんそれは営利事業だから、当然それでやるのだということになると思うのだ。そこにやはり保全施設を作ろうという意欲の問題が、おのずから、この場合と一般鉱業権があるぼた山の場合とは、違ってくるということにならざるを得ないのです。何も営利事業をやっているところの人たちに、今ここで簡単に補助金をやるとは言いません。言いませんが、同じ現象なんだから、一つ法律をもって規制するということの方が、そうしてその所管を分担した方が正しい姿ではないかと思うのだ。これは、どこまでも自然現象地すべり、それから農林は分けてもかまわんけれども、そういう分け方をしなければ、僕は完全にいかないと思うのだが、どうですか。ということは、この法律を作る場合に、各省の間でそういうことが出なかったのですか。
  59. 政府委員(山本三郎君)(山本三郎)

    政府委員山本三郎君) この法律に入れようという議論まではなかったのでございますが、この法律を作ると同時に、鉱山保安法なり鉱業法を改正して、もっと現状よりもよくなるように一つ改正する必要があるんじゃないかという議論は出たわけでございます。しかし先ほど次長から申し上げましたように、今の法律で十分取締りするという根拠はあるわけでございまして、その線によって通産省は今までも、先ほどお話もございましたように、大きな炭鉱は割りと施設をしているわけでございますが、おっしゃるように小さな炭鉱はなかなかできないというのが、通産当局も実情はそういうことだということでございまして、この方面に主力を入れて保安施設をやらせるようにすることが必要であるということで、今の法律で十分できるから、その点で一つ取締りを強化していくということになって、それではそれを一つやってもらおうということに相なったわけであります。
  60. 田中一君(田中一)

    田中一君 ことに土地の所有者として、そのぼた山という物権というか、動産は、所有権が違う場合には、所有権を放棄すればいいんだからね。おれのものじゃないと言えばいいのです。次次に善意な第三者の手を二、三回ぐるぐる回っていけば、だれのものかわからなくなってしまう、善意な第三者で。だれのものかなかなか困難だからね、これは。ですからさっき委員長が質問しているように、そういう現象で、それを縛ろうとしても、合法的にだれもわからぬ山になることは可能なんです、だれが所有者か。原因を作った者が当然負担するのであって、善意な第三者というものにはおそらく義務はないと思う。もちろんそうなると、だれのものかわからぬ、法律を作って規制する、義務が強制されて、だれもわからぬ山が新しくできてくる、ということになるのじゃないかと思うのです。それで、その原因を作ったところの者は、逃げてしまったり破産してしまったりすれば、これは法人なんというものは、炭鉱なんというものはすぐにつぶれてしまうのですよ。そのかわりすぐに芽が出てくるのです。これは炭価によって生きたり死んだりするのですよ。だから逆に、今まで自分のものだったぼた山が、この法律によって所有権がなくなってしまうような傾向が多くなるのじゃないかと思う。そういうことも考えられると思うのですよ。そういう点はどうです。
  61. 政府委員(山本三郎君)(山本三郎)

    政府委員山本三郎君) これはなかなか理由づけとしてはむずかしいわけでございますが、ここで入れておきまして鉱業権のあるものも入れておくのだということに相なりますと、これは考え方の違いかもしれませんが、国が施策をやってくれるのだというようなことがちょっとでも現われますと、さらに今申されたような傾向が強くなりはせぬかということもおそれられますので、一般の税金でやるものは一つできるだけ少くしたいと、対象を少くして、当然やるべき義務のある者はその方でやってもらうという趣旨で、こういうふうにしておるわけであります。
  62. 田中一君(田中一)

    田中一君 あの、これはまあ鉱山局で来ればわかるけれどもね、鉱業権者すなわち採掘業者じゃないと思うのですね。ない場合があるわけね。鉱業権者が必ず自分でそれを採掘するということじゃなく、請負いでぼたと必要な鉱物を含んだものを請負いでやらせてそれでその辺に捨てている場合もあるのですね。鉱業権者だけ縛っても、おれじゃない、請負人なら請負人、第三者にやらせたのであって、捨てたのはおれじゃない、あれが捨てたんだということになる。ぼたというものはこれは鉱業権者のものじゃないかもわからぬ、そういうことがあると思うのですよ。こういうきめ方をすると、そういう逃げ方がある。掘ったらお前にみんなくれてやる。いい炭だけこっちへよこせと言って、採掘業者がそれを捨てていくということもあり得るのです。その場合どうするかね。
  63. 説明員(関盛吉雄君)(関盛吉雄)

    説明員関盛吉雄君) これは鉱山保安法の第四条の鉱業権者の義務という規定がございまして、それにはやはり捨石とか鉱滓の処理に伴う危害防止とか、あるいは鉱害防止というふうなことが法律上義務づけられておりまして、実際に鉱業権者がいわゆる鉱業権を行使するに当りまして、その詳細な施業計画を、鉱山保安関係の主管部局の認可を受けまして、現実にやる行為の許可を受けることに、法律規定せられておりますので、そのような業務の執行が請負いの形をとっておりましても、鉱業権者としての義務というものは法律上明定されておる、こういうふうにわれわれ解釈しておるのであります。
  64. 田中一君(田中一)

    田中一君 そうすると、地下に埋没されている鉱物というものをそのまま第三者に贈与する、くれてやる、全部やっちゃうのです、掘っていい。そのかわりそのうちのこれだけのものはおれの方によこせといって、ある一定の炭を向うにやってしまったものを取り上げる。これは鉱業権者じゃない、鉱業権者はもっと幾らか取り上げるのが鉱業権者であって、鉱業権を持たなければ堀れないということはないと思うのですよ。そうするとその人間がずりとかぼたをどこかへ堆積するといった場合には、鉱業権だけを縛ったってその現象はなくならないと思うのだ。
  65. 委員長(竹下豐次君)(竹下豐次)

    委員長竹下豐次君) 石炭局の炭政課長の町田幹夫君、鉱山保安局の局長小岩井君、同局の管理課長竹田達夫君、三人が見えました。
  66. 田中一君(田中一)

    田中一君 今地すべり等防止法案質疑をやっておるのですが、通産省の方に今伺いますけれども、ぼた山というものの定義をここで、はっきり法文では出ておるのですけれども、ぼた山というものの法律的な説明を私ども詳しく知らぬもんだから、見れば大体わかっています。けれども詳しく御説明を願いたいと思うのです。
  67. 説明員(町田幹夫君)(町田幹夫)

    説明員(町田幹夫君) ぼた山の法律的な定義ということでございますが、ぼた山とは御承知のように、石炭をまあ坑内から採掘いたすわけでございますが、その石炭は、通常この坑内におきまして、石炭分と石が一緒にまじった、いわゆるあら炭と申しますが、あら炭一名また原炭とも申しますが、原炭が出て参るわけでございます。その原炭を選炭機、あるいは手選いたしまして、石炭分だけをより分けまして、その残りのかすと申しますか、残ったものはまあ通常捨て石ということになるわけでございますが、これを一定の場所に堆積しておくと、あるいはこれを、海岸炭坑等におきましては、埋め立てに用いると、こういうふうなものでございます。
  68. 田中一君(田中一)

    田中一君 そうしますと、先ほども河川局の方に聞いたのですが、これは動産か不動産かということになりますと、今の御説明じゃ動産ということになるわけですね。
  69. 説明員(町田幹夫君)(町田幹夫)

    説明員(町田幹夫君) これの法律的な取扱いにおきましては、普通の場合には動産の扱いをいたしております。ただこれが非常に長年月たちまして土地とまあ一体をなして、あるいはその上に草が生えるというふうな形になりました場合には、これを動産の取扱いをせずに、土地と一体をなしたものとして不動産として取り扱うと、そうしてそういう場合にはそれは一種の鉱物も含んでおりますので、鉱業権の対象にもなるというような場合もございます。
  70. 田中一君(田中一)

    田中一君 そうすると土地と一体になるという現象はどういうことでございますか。
  71. 説明員(町田幹夫君)(町田幹夫)

    説明員(町田幹夫君) 土地と一体になりますというのは、捨て石をだんだんと堆積いたしましてそれが長い年月の間にいろいろ表面等が風化いたしまして、そして非常に何と申しますか土地と見分けがつかなくなるという場合でございます。
  72. 田中一君(田中一)

    田中一君 たとえば鉄と鉄とを溶接する場合にも、媒体として金属を使いますが、一体じゃない、一体とはいわない。構造としては一体となるかもしらぬが、その部分としては本質的に違うわけですよ。だから一体となるとか今風化するとか長い年月とかいわれたが、風化するような長い年月とは一体どのくらいの年月をいっておるのですか。
  73. 説明員(町田幹夫君)(町田幹夫)

    説明員(町田幹夫君) このぼたの性質によりまして、非常に風化しやすいものとそうでないものとによりまして一がいには申せないのでございますけれども、大体一体をなすということになれば四、五十年以上たったものだと、こういうふうに御了解をお願いいたします。
  74. 田中一君(田中一)

    田中一君 草のはえたような場合というのは、草がはえるとそれはもう四、五十年以上と見ていいのですか。
  75. 説明員(町田幹夫君)(町田幹夫)

    説明員(町田幹夫君) 一がいには申せないと思います。
  76. 田中一君(田中一)

    田中一君 この地すべり等防止法案に盛り込んであるところのぼた山の定義というものは、今あなたが説明しているぼた山のうちの建設省が担任する分、国が担任する分としてきめているぼた山は、だれの所有者かわからない、というものを指して一応対象にしているのです。そこで国が対象として、自分の方でその防止をやろうといっているぼた山というものは、実例をあげますとどういう程度のもので、どこにあるどういうものというような、われわれが理解できるような実例を一つ示してほしいと思うのですが。
  77. 説明員(町田幹夫君)(町田幹夫)

    説明員(町田幹夫君) この法律におきまして対象といたしておりますぼた山は、いわゆる管理者不明と、それから鉱業権者以外のものが所有いたしておるぼた山でございまして、実例といたしましては、鞍手郡の西川地区等にあるぼた山の中にはそういうものもある、こういうことでございます。
  78. 田中一君(田中一)

    田中一君 そうするとだれのものかわからぬということ、それから鉱業権者のものでないということは、あなたの方で何か登録法かあるいは台帳か何かあって、通産省の方に申告でもさして登録する、この山は鉱業権者の山だ、これはそうでない山だ、こういう工合にあなたの方で申告でもさして登録しているのですか。
  79. 説明員(町田幹夫君)(町田幹夫)

    説明員(町田幹夫君) 現在のところ登録はいたしておりません。しかしながらこの法律の施行と同時に、各通産局におきましてぼた山の一つ一つにつきまして、綿密な調査をいたしまして、いわゆるこの法律の対象になり得る可能性のあるもの、そうでないものというものははっきり区分けがつくと思います。その結果それをまあ現在法律で登録ということはいたしておりませんけれども、それをはっきり区分けいたしまして分けておる、ということは十分可能である、こういうふうに考えております。
  80. 田中一君(田中一)

    田中一君 このぼた山は、鉱業権者にとって、現在どのくらいな価値があるものと推定されるか、あるいは将来どのくらいの価値があるものと推定されるか、それにまた総合して経済価値というものはどのくらい見ておられるか、向いたいと思うのです。
  81. 説明員(町田幹夫君)(町田幹夫)

    説明員(町田幹夫君) ぼた山の価値の問題でございますが、これは従来は何と申しますか厄介ものでございまして、ほとんど価値はないものだ、こういうふうに考えられておったのでございますが、最近におきましては低品位炭の利用というふうな面から、ある程度価値が出ておる面も出て参りました。これはこういう低品位炭の利用の状況等によりまして、ある程度価値は変るわけでございます。それとまたこのぼた山の中で、昔のように非常に選炭技術が進歩しておりません当時のぼた山におきましては、石炭分が相当残っておる面もございますし、最近の選炭技術が進歩した場合には、いわばほんとうの選炭面であまり価値がないということになるのでございまして、一がいにどの程度の価値があるかということは、ここではっきり申し上げられないのでございまして、個々のぼた山について判断する以外にはないだろう、こういうふうに思います。
  82. 田中一君(田中一)

    田中一君 建設省河川局が示しただれの所有かわからぬといっておる七十四ヵ所の分、これは相当古いものだと思うのですが、これは今あなたが言っておる、選炭技術などが劣った時分の古いものだと思うのです。そうするとだれのものかわからぬのだから、さっそく当委員会において委員がそれに鉱業権の設定の申請をした場合には、それは直ちに価値があるものだということになるのですが。そういうことになるとはなはだどうも妙なことになりまして、さっそくここにおる七、八人の者が、七十四ヵ所あるのだから三つくらいずつ分けられるから取っておこうということにならざるを得ないのですが、不明であるということ、これは河川局は通産省の調査説明したのか、あるいは通産省に関係なしにして独自の調査をしたのか、伺いたいと思います。
  83. 政府委員(山本三郎君)(山本三郎)

    政府委員山本三郎君) 先ほど御説明申し上げましたのは、通産省の調査の資料でございます。
  84. 田中一君(田中一)

    田中一君 七十四ヵ所の実態というものは、経済価値というものは、七十四のうちのどこにある。どれは、どれくらいの価値があるだろうということは、おそらくあなたの方、わかっておると思うのです。従ってそれをお知らせ願いたいと思うのです。
  85. 説明員(町田幹夫君)(町田幹夫)

    説明員(町田幹夫君) 経済価値の問題でございますが、これはもちろん石炭分は相当残っておりますから、それを水洗をしてそれから石炭分を取るということになれば、ある程度の経済価値はあるわけでございますけれども、しかし一面これを掘り崩しまして、そこにいろいろ洗炭汚水を流すという面におきましては、また社会的ないろいろな弊害も伴う場面もございます。それで現存何と申しますか、水洗業等がいろいろやっておりますのは、その弊害の方はあまり顧慮せずに、もっぱら自分の利益のために石炭分を掘るということだけをやっております。これをかりに何と申しますか、社会的な弊害をあまり起こさない方法で、石炭分を取るということになりました場合に、そのマイナスの方と利益の方と加算いたしまして、それが国民経済的な価値があるかどうかという問題は、相当疑問であろうと思いまして、ただその石炭分が幾らあるかということだけで、価値があるとかないとかということは一がいに論ぜられない問題で、むしろその弊害の方も顧慮して経済価値を決定しなければならぬだろう、こういうふうに考えております。
  86. 田中一君(田中一)

    田中一君 そうしますと、今のこの七十四の所有者不明の山は遺失物の届出を出しておりますか、通産省は。これは遺失物ですから、あなたが発見したのだからさっそく遺失物の届出を出さなければならねと思う、だれのものかわからぬということはあり得ないのだから。どういう手続をしてこの山を見ておりますか。
  87. 説明員(町田幹夫君)(町田幹夫)

    説明員(町田幹夫君) これはいわゆる所有者不明でございまして、まあいわば遺失物届を出す人もいないというふうな状況でございます。(笑声)
  88. 西田信一君(西田信一)

    ○西田信一君 今の問題大事なところだと思いますけれども、この法律の適用、この法律の第二条の第二項が適用されるのは、要するに所有者不明のぼた山とこの法律では称せられておりますね。そこで今遺失物の話が出ましたが、所有者がないということはないと思う。私は所有者はあるけれども、それが不明であるということであると思う。不明の場合にその帰属がどうなろかということ、これは国の所有物になっておるのか、無主物になっておるのか、その点は今遺失物の質問がありましたから、それに関連してこれは明確にしておいていただかないと、重大な問題だと思いますから、これを一つ明らかにしておいていただきたい。
  89. 説明員(町田幹夫君)(町田幹夫)

    説明員(町田幹夫君) 所有者不明と申しますのは、まあだれかこれが持ち主があるということは事実であろうと思います。ただそれがだれであるかということが確認できない、こういうことでございます。
  90. 田中一君(田中一)

    田中一君 だれのものかわからぬから遺失物なんでしょう。これは少くとも遺失物です。だけれども、これはだれかのものなんですよ。道ばたに財布が落っこっている、拾えばいいでしょう、拾って届け出ればいいでしょう。そうすると、一定の年限がたてば国のものになるでしょう。そうすると国が堂々と国の所有だから申し出をすればいいのです。そういう物件が相当あるのですか、通産省関係の山では。
  91. 説明員(町田幹夫君)(町田幹夫)

    説明員(町田幹夫君) 現在の調べにおきましては、建設省の御報告の通り七十四ヶ所ばかりそういうものがある、こういうことであります。
  92. 小酒井義男君(小酒井義男)

    小酒井義男君 関連ですが、このぼた山がでまたのは、だれかその鉱業権を持って仕事をやったからできたのだから、大体、その人に今それだけの力があるかないかは別として、だれの時代にそれができたのかという調査は、あなたの方でわかるのだと思うのです。もう死んでしまっておらぬかもしれません。あるいは所在不明かもしれませんが、全然わからぬということじゃないと思うのです。どうなんですか。
  93. 説明員(町田幹夫君)(町田幹夫)

    説明員(町田幹夫君) ぼた山は先ほどのお話もございましたように、当初は動産ということで出発いたしております。従いまして、山が御承知のように、昭和二十八、九年当時非常な不況でございまして、何百という炭鉱がつぶれたような情勢にございました。そういう際鉱業権者がどこかに逃げたとか、行方不明になったとか、こういう事例もございました。それからまた山がやめました場合に、ぼた山を切り離して譲渡した、というふうな場合がございまして、その所有権等が転々といたしておりますので、現在におきましてはなかなかその所有者の確認ができないということでございまして、これをまあ綿密に一つ一つたぐっていくということになれば、相当の日数をかければあるいははっきりするものもあるということも考えられると思います。
  94. 西田信一君(西田信一)

    ○西田信一君 ちょっと先ほどの最初の田中委員に対するお答えと、今のお答えではだいぶ食い違いが出てきたと思うのです。これを最初のお話では風化して何か数十年たったら、これはもう土地と一体であって、いわゆる土地とみなすという見解に立っておられたようですが、しかし、今のお話によると、あるいは所有者がどこかにいるかもしれぬ、探せば出てくるかもしれぬ、こういうことなんですが、それではどうもちょっと明確を欠くし、問題点が残ると思うのですね。ですから、少くともこれをこの法律でこの山をぼた山として扱うには、そこのところをはっきりさせなければならぬと思う。所有者があるという見解ならば、これに対する何らかの措置が講ぜられた後、初めてこの法律の適用を受くべきものだと私は思うのですが、そこのところは非常に不明確で、あるいは所有者があるかもしれぬ、根気よく探せば出てくるかもしれぬけれども、まあ、今のところわからぬ、ということでは非常に私問題があると思いますが、この点もっとはっきりする必要があると思いますが、いかがですか。
  95. 説明員(町田幹夫君)(町田幹夫)

    説明員(町田幹夫君) 探せばわかるというのが多少誤解を招いたように考えられますが、これは非常にそれを過去数十年にもさかのぼりまして、非常に何といいますか、一つ一つたぐっていくということになれば、あるいはこれは探し出すということが絶対に不可能、全部わからないのだということはないので、ある程度のものは、これは所有者がわかるという場合もあると思いますが、おおむね現在の状況におきましては、通常の手段をもちましては非常に困難だ、ほとんど管理者というものを発見することは無理ではないか、こういうふうに考えております。
  96. 田中一君(田中一)

    田中一君 ちょっと本論に入るのだけれども、そこで私はそのぼた山の所有者を探せというのじゃないのですよ。この法律では鉱業権者、または鉱業権者とみなされるものは除いてあるのですから、所有者だって当然善意の第三者であるならば、法律適用の鉱業権者並びに鉱業権者とみなされるもの以外の持っているものは、当然国がするようになっておるのですから……、この法律はそうでございましょう。そうでしょう河川局長。だから、こうした不明のものなら不明のものでもいいのですが、私があなたに質問しているのは、不明だけではいかぬというのですよ。帰趨を明らかにせよというのです。そういうものが日本の社会に存在するということが自分じゃ不思議なくらいに思うのですよ。そうして、そういうものはおおむねさっきあなたが言っているような、三十年、四十年、五十年たっているものだと思うのです。そうなると、自然にそれは不動産ということになるのです。あなたの言っているような定義からいうと不動産なんですね。動産じゃないですね。不動産がだれのものかわからないまま移っていくということはあり得ないことだと思うのですよ。だからさっき言っているように、当委員会からみな申請して、自分で取ってしまおうと思っている。冗談言ったわけですね。従って、不動産なら不動産のように、あなたの方で、むろんこれはあなたの方の問題か、あるいはどこの問題になるか、遺失物として通産省の鉱山局がそれを届出をすれば、これはある一定の年限がたちますと遺失物であったということになりますから、国に帰属することができる、こういうものであってはならぬと思います。先ほどあなたの話を聞くと、今日これは不動産でしょう、あなたの先ほどの説明の定義を聞くと不動産。不動産が残っているから私どもが拾って一割なんぼかもらってもいいと思うのです。これはちょっと冗談を言ったのですが、そういうことがあってはならぬ。そういうものがあるにかかわらず、あなたの方で知らぬ顔をするということはない。それが今度の法律の対象ということじゃないのですよ、私の言っているのは。当然そういう工合に鉱業権者以外のものの、あるいは鉱業権者とみなされるもの以外のものの所有なら、当然国がすることになっているのですが、そういうものがあるとはちょっと考えられないのですがね。そればどういう措置をとろうとしているのですか。だれのものかわからないからそのままであるのだということじゃないと思うのですよ。動産の遺失物はあるが、不動産の遺失物はちょっとどう解釈をしたらいいのかな。これはまあ鉱山局、通産省でわからない、知らないからだれかもう別の人にきてもらわないと……。
  97. 委員長(竹下豐次君)(竹下豐次)

    委員長竹下豐次君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  98. 委員長(竹下豐次君)(竹下豐次)

    委員長竹下豐次君) 速記をつけて。
  99. 重盛壽治君(重盛壽治)

    ○重盛壽治君 私どもは常識的に考えれば河川局長の言うように無主物の土地ということは考えられない。第一に、七十何ヵ所の所有者のないものがあるから、それを地すべり法でぼた山に当てはめるのだというこのこと自体はおかしいが、これはあとで問題にするとしても、第一、鉱山で採炭をするという場合に、たまたま海でも近い場合には、廃炭を海に捨てるというような場合は考えられる。この海に地所ができれば、やはり鉱山主がそのできた地所はおれの埋立地だと主張することは、大体常識的に考えられる。そうでない場合、海も何にもない場合に廃炭をどこに捨てるか。廃炭を捨てるべき土地を最初に買収をしておくのか。Aの地区を炭鉱で石炭をとる場合には、Bの地区を廃炭の地区として買っていなければならぬ。ここだけの鉱山を持てば、あとのでてきたものはどこに捨ててもいいということにはなりませんでしょう。どこに捨てるのか、県庁か何かに許可を得るのでしょう。得た所は自分が金を出して廃炭をする所だということで、結局その部分はその人の不動産になっていくわけじゃないんですか。そうでございますね。まずその点を一つ。どこにでも捨てるのか、捨てる地所はやはり特定の所に捨てるのであるか、この点をまず伺いたい。
  100. 説明員(町田幹夫君)(町田幹夫)

    説明員(町田幹夫君) 埋め立て等の場合は、普通固有水面の埋め立て許可をもらいまして、そこに埋め立てるのでございます。それからぼたを捨てる場合には、まあ鉱業権者が自分の土地に捨てる場合、それから他人の土地を買いまして、まあ買えば自分の土地になるわけでありますが、そこに捨てる場合、それから他人から土地を借りましてその上に捨てる場合、まあ通常この三種だろうと思います。
  101. 重盛壽治君(重盛壽治)

    ○重盛壽治君 それは常識的にわかる。そうなんだが、その結果が、自分が買って捨てた土地ならば、当然自分の土地になるし、ぼたを捨てることで、特定の所まで埋め立てをしてもらうために貸す人はあるが、人のぼたを捨るために、自分の土地がどうなってもかまわぬということで貸す人はないと思う。従って第三の場合の起ることは、これはあったかもしれないが、便宜上貸して適当な所まで埋め立ててあとはお断じするという貸し方はある。そうでなくて、ぼたを捨てるためにただ土地を提供する人はないし、第一地代をどれだけ取るかしらぬけれども、ただそれだけのために貸すということは考えられない。そうであっても、どういう形であっても、そのできたぼた山というのは、最初は不動産であったかもしれぬが、だんだん、そう十年も二十年もたたないうちに、やはり動産としてその鉱業権者が持つことになると思うんですよ。それが一つ。  その場合、今あなた方の言う通りとして、だれのものかわからぬというような土地の場合に、だれのものかわからぬのだけれども処置するという場合に、これから調査するとおっしゃる。これから調査する場合に、非常にそこが有能な所であり、しかも価値のあるものは、これはおれのものだと言って主張する。危険だけ現われて、おそらく価値のないものは、これは私のものじゃないと言ってそれを投げ出された場合には、一体どういう処置をとるか。そんなことはあり得るかどうか。もっと言えば、七十四ヵ所というのはどこから拾ってきたか根拠がわからぬけれども、そういうことはあり得ないと思う。それに類したものがどんどん出てくると考えられるのだが、これは一体どこで、だれが処置しているのですか。あなたの方の考え方も、河川局長の考え方も、両方聞きたいのですがね。それは必要なものなら自分のものだと言いますよ。これから価値のあるものはこれはおれのものだから、国でよけいなことをしてくれるなと言いますよ。あれは危険だし、おれが手をつけるだけ損だから、私のものでありませんと言ってしまうこともあるでしょう。これから、法律ができたからと、一つ一つこれにあてはめていくということができないという場合に、一体どう処置するのか、それを一つ教えてもらいたいと思うんですよ、あなたの意見を。
  102. 説明員(町田幹夫君)(町田幹夫)

    説明員(町田幹夫君) この法律の適用外になっておりますのは、いわゆる鉱業権者が所有しているぼた山で、これはこの法律の適用除外になっております。従いまして、鉱業法なり鉱山保安法の適用を受けるわけでありますが、鉱業法なり鉱山保安法におきましては、施業案と申しまして、いわゆる一種の事業許可制、事業の許可をいたしておりまして、この事業許可の内容といたしましてどういう場所にどういうぼた山を作るということが、事業許可の内容になっておりますので、そのぼた山がいわゆる鉱業法なり鉱山保安法の適用のあるぼた山であるか、あるいは適用のないぼた山であるかということは、その鉱山における施業案の内容等を十分審査いたしますことによって、それが判明するわけでございまして、ただ、鉱業権者の便宜によりまして、この適用のあるぼた山になったり、鉱山保安法の適用になるというようなことはないと考えております。
  103. 重盛壽治君(重盛壽治)

    ○重盛壽治君 そうすると、通産省は、この法律ができればそれを調査させるが、今までの形では、そういうものの調査ができておらぬということなんですか。
  104. 説明員(町田幹夫君)(町田幹夫)

    説明員(町田幹夫君) 現在におきましても調査はできております。ただ、先ほどのお話は、それについて法律等で登録制をしいておるかというお話でございましたが、登録はいたしておりませんと、こう申し上げたわけでございます。
  105. 重盛壽治君(重盛壽治)

    ○重盛壽治君 まあわからぬが、いま一つだけあなたに聞いておきますが、こういう場合はどうなりますか。一つこの山を採炭する、しかし自分だけの自己資本でできないけれども権利は私がここで持っておる。そこで自分だけでできないから請負制度にする、さっき田中委員が聞いておられたが、乙が請負をしてその何割かを山の山主に返す、その請負師がそこでぼた山をたくさん作ってその請け負った主がどこかよそへ行ってしまった、こういう場合にはそのぼた山はだれのぼた山になりますか。
  106. 説明員(町田幹夫君)(町田幹夫)

    説明員(町田幹夫君) 請負という制度は、これは非合法にやれば別でございますけれども、現在の制度といたしましては、そういう制度はいわゆる租鉱権という制度がございまして、鉱業権をある特定の人に賃貸しする、こういうことになるわけでございます。そういたしましてその租鉱権者がぼた山を作るということになれば、そのぼた山管理の責任はその租鉱権者が持つ、こういうことになっております。
  107. 田中一君(田中一)

    田中一君 関連して。そうするとなんですか、たとえば今のお話と同じことなんですが、一定の金で譲渡してしまった、そのもらった人は自分の必要な石炭だけもらって、あとはそれを捨ててぼた山ができたという場合、これはやはり鉱業権者とみなされるものですか。かりに僕が鉱業権者ならあなたに、お前にやるから掘って持っていけと、僕はそのうちのいいところだけもらってそれであとは捨てる。いいものだけこっちがもらうわけですね。その場合はそのもらって掘って選炭して悪いものを捨てた人は鉱業権者とみなされる法律上の相手ですか。
  108. 説明員(町田幹夫君)(町田幹夫)

    説明員(町田幹夫君) 御質問の内容がちょっとはっきりしない点もあるのでございますが、鉱業権者が石炭を掘りましてその石炭をぼたと一緒にいたしまして他人にかりに譲渡するということがありました場合には、その譲り受けた人は鉱業権者ということにはみなされない、こういうふうに考えております。
  109. 田中一君(田中一)

    田中一君 ちょっと違うのです。その掘ることも、掘って持っていけと言って人にやるわけですよ、掘りますその人は鉱業権者じゃないのです。
  110. 説明員(町田幹夫君)(町田幹夫)

    説明員(町田幹夫君) その採掘することを人に譲渡すということは、法律上はあり得ないのでございまして、その場合はやはり租鉱権を設定するという形をしなければ、ただ他人に、ある特定の人にやるから掘っていけということは法律上は許されないということになっております。
  111. 田中一君(田中一)

    田中一君 そうすると、今度この法律はいよいよ通過しそうになった、そこでこれを全部譲渡してしまう、これは五年でしたね、五年は責任があるのだというふうになっておりますね。あるいはその会社は一ぺん人にやっちゃってつぶして眠らしちゃう、中小炭鉱にたくさんそういうことはあるのです。そんなもので一つのぼた山を管理保全施設をやるには何百万円もかかると思ったら、簡単ですよ、すぐ会社を解放してしまう。これは主として個人が持っている場合もあるのです。鉱業権というものはそれはまた必要なときは買えばいいわけですから、でそれを善意の第三者に譲ってしまう。実は鉱業権者には売っても五年間義務があるけれども、人格がなくなってしまえばこれはもう何にも責任がないわけです。そういう場合にはそういうことが相当起きるという危険は感じませんか。  もう一ぺん言いますが、この法律ができて自分の方の何と申しますか、鉱山保安法の義務というものが現在ある、この法律をもって強化されて、会まであなたの方では、こういう鉱山保安法があっても、なかなかどうして徹底してやらなかった。今度これをやると建設省がやかましく言ってくるので、どうしても強行しなければならないという場合に、二つ三つのぼた山があって、ぼた山の保全施設をやるには相当金がかかる、それではもうこの際どっちみち炭の値段が安いのだから会社を解散してしまえといって解散してしまう、だれかに売ってしまう。そうすると買った人は善意の第三者、そうしてなるほど五ヵ年間は義務があるけれども、人格が全部なくなってしまう。むろんぼた山というものはその場合には、義務づけられるところの相手が消滅してしまえば、当然国がそれをしなければならないことになる、この法律から見ると、そういうことはたくさん起きるという危険は感じておりませんか。そのような場合には、当然解散した会社というものは、義務を持とうとしても人格がないのだから、これは当然この法律は国が指定するようになると思うが、これはならぬと思うか、なると思いますか。
  112. 説明員(町田幹夫君)(町田幹夫)

    説明員(町田幹夫君) お説のような場合も理論的には十分可能だろうと思います。ただぼた山というものは炭鉱の操業に必要欠くべからざるものでありまして、これを簡単に、何というか保安監督の方の規制が強くなるということだけで、これを簡単に譲渡するということは、そうたくさんはあり得ないのではないか。ただこれが過去二十七、八年のような非常に不況なときに、ああいう事態が再び招来するということになりますれば、あるいはそういうことも絶対にないとは私は申し上げかねるわけでありますけれども、通常な状態であれば、そのぼた山というものが炭鉱の操業に必要欠くべからざるものである以上、そう簡単に、それをただ保安監督の何というか、責任をのがれるために譲渡するというケースは、非常に少いのではないか、かように考えております。
  113. 田中一君(田中一)

    田中一君 河川局長からの説明では、ぼた山は六百二十三ヵ所ある。そのうち鉱業権者がはっきりしているのは三百九十七、そういう鉱業権者以外の者が百五十二ある、従って必要なぼた山は残しておく、そうでない山はやはり他人に売ってしまうということもある。現にもうここに百五十二というものは採掘に必要がないので他人に譲渡しておる。鉱業権者でない者が持っておる。これは法律の対象になる山です。あなたが今言っているようなことは調べておらないのではっきり言えないが、現に百五十二というものは他人に譲ってしまっておる山がある。だから保安施設というものが相当な金がかかって、自分の経営に支障があるとなったら、むろんもうそういう余分なものは持っておる人がないから、他人に譲ってしまうということはあり得るわけですよ。
  114. 説明員(町田幹夫君)(町田幹夫)

    説明員(町田幹夫君) もちろん理論的にはそういう場合も可能であろうと思います。ただこの地すべり法ができまして、この地すべりの対象になるぼた山等につきましては、それを何と申しますか、いろいろ形状が変更するというふうなことについて、いろいろ都道府県知事の許可その他の制約が課せられるわけでございまして、またそれはいわゆる鉱業法なり鉱山保安法の適用は、その人は受けないにいたしましても、やはりそのぼた山の責任者といたしまして、所有者といたしまして、社会的ないろんな、それの崩壊を防止するような措置も講じなければならぬ面もございますし、いろいろ責任も伴うわけでございますけれども、そうなれば、そういう非常にめんどうなものを喜んで受け取るという人も非常にまあ減るのではないか、こういうふうに考えます。
  115. 田中一君(田中一)

    田中一君 受けたといって、何も自分が保安施設をしなければならぬ義務はないのです、第三者は。鉱業権者あるいは鉱業権者とみなされる者以外の者が受けた場合、売っちゃった方がいい、国がやってくれますよ、都道府県がやってくれますよ。その方が得じゃないですか、そういうことはあり得るわけですよ。
  116. 小酒井義男君(小酒井義男)

    小酒井義男君 関連するのだけれども、鉱業権の譲渡は、受けた場合には、採炭をする場合は必ずぼた山というものは必要なんですね、なくちゃ困るのですね。それを一体になって新しい所有権者が責任を持たなければならぬというような、そういうことは何か鉱山法の関係ではありませんか。
  117. 委員長(竹下豐次君)(竹下豐次)

    委員長竹下豐次君) 今すぐお答えができませんでしたら、よく研究なさって、間違いのない返事をあとでお願いするよりしようがないと思いますが、いかがですが。
  118. 説明員(町田幹夫君)(町田幹夫)

    説明員(町田幹夫君) 鉱業権者以外の者が持っておるぼた山等につきまして、それが非常に崩壊の危険がある、あるいは非常な危険な状態にあるということになれば、それによって他人にいろいろ社会的な損害を与えるということになれば、その人がやはり民法上の損害賠償請求権があると、こういうふうに考えられるわけであります。
  119. 田中一君(田中一)

    田中一君 私が言っておるのは、責任を言っておるのじゃないのですよ。具体的なものが起きれば、これは当然そういう民法上の損害賠償があれば、もししいて作為があるならば、これは刑法上の罪も受けるのですよ。受けるからいいというのではなくて、そういうものは現行法からいって責任がないのじゃないかというのですよ。危険があるならば主務大臣はそれを区域心設定して国が保護施設をするのだ、これがこの法律の主目的です。従って刑法上の罪とか、民法上の責任とかということは当然別途の問題なんですよ。私はこの法律審議を今しておるのです。従って鉱業権者並びに鉱業権者とみなされない人が、譲渡された場合には権限がないわけなんですから、この法律がそうなって、そうした保安施設というものがうんと金がかかるようになりますと、あなたの言っておるような社会的地位とか何とか、そんなことを言うてあなたのところへ来るのは三井とか三菱とか、そういう人かもしれませんけれども、私が言っておるのは、もっと弱い弱小業者を書っておるのです。大きなものはなかなかそういうまねはしませんよ。ちゃんとある程度まであなたの方の目をごまかしても一応保安施設をやっておる、そうでないものがいるというのです、多く、あなたが言った昭和二十七、八年ごろには。そういうものが、このために何百万円も何千万円もかかるということになると逃げ出す危険があるのですよ。その場合には一応会社を解散して余った財産を受けて、新会社ができてまた作業をやっているのです。そういうことが起ってくるのですよ。そういうことは社会的な地位ある者云々でできないとか、あるいは民法上の責任があるというのは当然ですよ。それは当然ですけれども、そういうものもあえてするものがおるのじゃないか、そういうものが起きるのではないかということを言っておるのですよ。起きるでしょう。
  120. 説明員(町田幹夫君)(町田幹夫)

    説明員(町田幹夫君) お説のような場合もあり得ると思います。
  121. 田中一君(田中一)

    田中一君 そこでそうなると問題は、あなたの方で鉱業法並びに鉱山保安法で、ぼた山そのものに対する規制というものを強化しなければならぬ、そういうことになるのですよ。現に建設省自分の方で調べたものではない、ただあなたの方からこれでございますといって示された六百二十三ヵ所をもってわれわれに説明しているのですよ。これから実際の調査をするんでしょう、おそらく。その場合にそうしたものよりも、現在やっている中小炭鉱の方が、もっと危険なものを持っている方が多いんじゃないかと思うのですよ、そういう感じ方をしておるのです。だからまあ根本的には、ぼた山に対する定義は不満足ですから私は次回に譲りますけれども、そうしたものについては当然実地の調査をして十分に各炭鉱ぼた山の実態というものを知らなければ、この法案審議はできないことになるのです。そういういい加減なものでは、われわれの方でたとい少数党の社会党であっても、そのまま見のがすわけにいかぬことになる。だから委員長にお願いしたいのは、これ以上質問してもしようがありません。これは一つぼた山の定義と、鉱業法にいうところのぼた山に対する保全の条文なり実態なり、同時にまた鉱山保安法によるところの同じような状態なりを資料と説明で十分に、次の委員会でも私伺いますから説明していただきたい。そうして河川局に言いたいのは、そうしたものはあちらの方にまかせればいいんだという気持で、こういう法律案提案してはいけません。これは別な法案があるから向うでやるのだというだけでは、あなたの方にぶつかってもあなたの力で答弁できない。さっき言ったってそれは鉱山保安法でちゃんとできております、できておりますといってもしなければ何にもならないのですよ。そんなものが民法上の損害賠償とか何とかいったところが、災害があって人を大勢殺したのでは、そんなものは何もならないのです。そういうことがあってはならぬからこの地すべり等防止法案も立案されたわけですから、先ほども言っているように全部、あなたの方の持っている通産省所管のものも全部入れてこの法律に盛り込んだらどうかというような私見まで先ほど漏らしたのですけれども委員長、私はこれ以上しません。次回でもう少し統一した意見を伺わないと何ともできません。ことに衆議院ではまだ審議をしていないそうですから、しばらく私は待ちます。
  122. 西田信一君(西田信一)

    ○西田信一君 だいぶぼた山のこと問題になっておりますが、これは私の解釈、間違いないと思いますけれども、念のために伺っておきたいのは、この第二条の第二項のこのぼた山の定義の中に、この法律施行の際現存するということが一つあります。それからもう一つこの「鉱業権者または鉱業権者とみなされる者が必要な措置を講ずべきものを除く」とありますが、これは要するに保安の責めに任ずる鉱業権者が存在しない、こういうことであるか。この存在しないということは現に存在しないと、こういうふうに私は解釈しておったのですが、間違いがないかどうかお答え願いたい。現に存在しない、両方とも存在しない、こういうことであるのか、一方は、山だけは現存しておるが将来においてそういうものがなくなった場合に、これを適用するというのであるか。その点がちょっと、私は前者に考えておるがどうですか。
  123. 説明員(関盛吉雄君)(関盛吉雄)

    説明員関盛吉雄君) 第二条の第二項の、鉱山保安法の鉱業権者と、見なされる者、両方いずれも本法を施行する当時に現に存在しないものということでございます。
  124. 西田信一君(西田信一)

    ○西田信一君 その点がはっきりいたしましたから、これでまあ明確になりましたからもう一点伺いたいのですが、先ほどどうも明確にならなかったのですが、私は田中委員とちょっと違った観点からお尋ねしておったのです。ということはですね、このぼた山、ここでいうぼた山というのが現在においては非常にまあある意味においては価値が出てきておる、ということを先ほどお答えがありました。しかも所有者がわからないんだが、これは所有者がないのじゃなくて、所膚着はあるが要するに不明である、こういうことであったわけです。そこでそういう前提に立ってお尋ねをするのですが、これはまあ通産省と建設省と町方から伺いたいと思いますが、そういう場合に所有着がある。しかも若干の価値がある、そういうものに対してこの法律の適用をいたすわけですが、そういう場合にそのある時期に、もし欲の深い人があって所有権者がここに現われてきて、所有権の侵害であるとか何とかいう問題が起る危険がないのかどうか。それに対してもしそういうことが起きても、それを防止できるだけの根拠があるのかどうか、こういう点について見解を伺っておきたい。
  125. 説明員(関盛吉雄君)(関盛吉雄)

    説明員関盛吉雄君) ただいまの御質問は、本法の対象になるぼた山が、鉱業権者ではないけれども、ぼた山の所有権者があり、またその所有権を主張する者が出たときにおけるぼた山に対する本法の規制は、所有権の理論から見て有効なりやどうかと、こういう御質問でございます。この法律はこの目的に示しておりますように、これらの地域における崩壊の防止を考えておりまして、そのことによって国土保全、民生の安定をはかることを目的といたしております。そしてまたこの防止区域指定も、第三条におきまして公共の利害に密接な関係のあるものを指定いたしまして、その指定された区域内における行為制限等を行う。管理実施するのでございます。憲法の条章から見ましても、このような鉱物管理は、公益の必要がある場合において、法律をもって規定せられる場合は、これは有効にできますので、従って公益の必要上このような措置をいたさなければならぬ、という観点でこの法案を立案したような次第でございます。
  126. 西田信一君(西田信一)

    ○西田信一君 じゃ、通産省どうですか。
  127. 説明員(町田幹夫君)(町田幹夫)

    説明員(町田幹夫君) 今建設省のお答えになったのと全く同感であります。
  128. 重盛壽治君(重盛壽治)

    ○重盛壽治君 まだ法律ができたわけでないから、こうしようという考え方だから、論議の余地はあろうと思うけれども、今のつまり鉱業権を持っている者以外の者に当てはめるという、この考え方というものは、今まで論議したうち内からいっても、かなり危険なものであるということ、と同時にまた逆のことも言えるわけですね。あなたの時代に何でもやってやるということになれば、全部の山をとても対象にはできないということ、その話はわかる。そこで問題は、ここにどういうけじめをつけていくかということが大きな問題になる。先ほど田中委員が言われましたように、かりに私が山を持っておったと仮定する、そしてかなり危険な山であったとするならば、これはだれかに譲渡しますよ。譲渡するかとりあえずくれてやる。そして国家が直してくれたときにまたこの適正価格で、防止にかかった何十分の一かの金で取り戻すということも、これは極端な話だけれども考えられる。あなたのような紳士はそういうことはしないと思うけれども、日本の紳士はそういうことばかりするのが日本の紳士だ。そういうことを考えると、こういうなまぬるい法律ではかなりそういうことで処理されることが考えられる。  そこでまず私のお尋ねしたいことは、急速に現在どことどこにこれに該当するものがあるということを、所番地を明確にして至急に調べて出していただきたいということが一つ。  もう一つは鉱山法を当然これに関連して変えて、鉱山法の方もかなり窮屈というか、きちっとしたものにしなければ両立しないと思う。鉱山法を変える意思があるかないか。当然変えていかなければならないと思うが、その点をどういうふうに考えておるか。この点だけをちょっと一つ返事を承わりたいと思う、どなたでもいいが。
  129. 説明員(竹田達夫君)(竹田達夫)

    説明員(竹田達夫君) 鉱山保安法が鉱害防止の観点から、ぼた山等につきましてそのぼたの積み方、その他いろいろな規制を加えておるわけであります。ただこの鉱山保安法と申しますのは昭和二十四年に立法をされまして、その後の鉱山業者の稼行しておりますところぼた山、あるいは鉱業権者が管理しておりますぼた山につきましては、鉱害を発生せしめないようにいろいろその施設、その管理につきましては従来も取り締って参っておるのでございます。ただその取締りにつきましては、若干このぼた山の科学的な成因等につきましても、まだ科学的に十分究明されない点もございますので、それらも国の補助金もいただきまして、ぼた山の成因につきまして科学的な究明をいたしておりまして、近くその結論を見る段階に相なっております。従いましてそういう科学的な成因を突きとめましたならば、現在鉱業権者が持ちまして、その稼行をしておりますぼた山につきましての取締りは、厳重に取り締まって参る所存でございますので、現在今までに掘りましたもので、現在鉱業権者の所有外にありますものにつきまして、取り上げていただきますならば、今後は鉱業権者の責任においてこの保安法の法条に照しまして取り締っていきますれば、十分であろうと考えるわけでございます。  ただ先ほどから御議論がございました、しからば鉱業権者がこの動産のような扱いを受けておりますところのぼた山を勝手に処分するんじゃないか、それが果して法律上十分押えられるかどうかという点につきましては、法律上譲渡制限ということは、鉱業法にも鉱山保安法にも明確には規定してございません。しかし、この害のありますものを他の方に勝手に鉱業権者が処分いたしまして、そうして自分の責めをのがれるというように、脱法的な譲渡をするということになりますならば、この鉱害の観点からいたしまして作業の停止も命ぜられますし、最後には鉱業権の取り消しまでもできることに相なっておりますので、われわれの方といたしましては、この保安法の適用を厳格にすることによりまして、法律改正はよろしいのではないかと考えております。ただその譲渡制限というようなものを、法律に明確にするかどうかということにつきましては、そう簡単にこういう動産でありますか、あるいは不動産でありますか、法律的な性格にも疑義がありますものにつきまして、譲渡制限を永久につけるということは、憲法上からみましても果して適当かどうかというような議論もございますので、今のところ法律改正をこれと同時にいたすということは、考えていないという段階でございます。
  130. 田中一君(田中一)

    田中一君 何ですか、売ったりなんかしたら鉱業権を取っちまったりなんかする、ということを、言っておりますけれども、現にこれはぼた山の場合だけでなくて、中小炭鉱というものは、あなた方は私が言うよりよく知っているはずなんです。炭価が安くなれば山を締めてしまうんですよ。百人、二百人いる労働者は退職手当も何ももらわなくて、おっぽり出されるんですよ。いいですか、そしてまた炭価がよくなればまたきて、人間を集めて石炭を掘っているのが常道なんです。私がこんなことを言うよりあなた方がよく知っているはずだ、そういう人たちが重盛君が言っているように山をよそに売ってしまって、保安業務をのがれたいというのは、こんなことは労働者の生活を脅かすものよりもっと、もっとというより同じくらい悪いことですよ。労働者の生活なんということは平ちゃらですよ。その犠牲によって中小炭鉱というものは維持されているわけですよ。
  131. 説明員(竹田達夫君)(竹田達夫)

    説明員(竹田達夫君) ただいまおっしゃいました点はその通りでございまして、これは鉱山が稼動しておりますときに、そういう有害物を発生せしめないように取り締っていくのが鉱山保安法の建前でございますので、その段階におきまして、将来にわたりましても無害なものにするということを、保安法の運用といたしましてはして参りたいと思う。ただいまおっしゃいましたように、保安法によりまして、過去におきまして作ったぼた山が、これが非常に危険を増してくるであろう、従いましてこの際法人を解散して、もう一切がっさい水に流そうというような中小の悪い者がおりましたならば、これは遺憾ながらおっしゃいますように、この法律建前は追及できるということになりましても、その主体が死んでしまうと申しますか、消滅してしまいますので、これは追及できないわけでございますが、ぼた山の問題からすぐ鉱業権まで放棄するというようなものは、かりにその法人がおりましても、そのぼた山の始末について経済能力がないということも考えられるわけでございますので、あくまでも保安法の建前といたしましては、保安法の適用の段階におきまして無害なものにする、こういう考え方で運用しております。
  132. 田中一君(田中一)

    田中一君 そうじゃないんですよ、鉱業権というものを善意な第三者に安く売ってしまうんですよ。自分の兄弟でも何でもいい、善意な第三者に鉱業権を譲ってしまって山を放棄するんです。鉱業権の消滅にはならないですよ、あなた方は今鉱業権を取ってしまうなんていうことまでもいかすのではないかと言っておりますけれども、その場合にもう善意な第三者に鉱業権を譲ってしまっておりますし、そうなってからではつかまえようがないのではないかというのです。その場合には善意な第三者にはその責任はいきません。民法上いかんはずです。従ってそういうことになるからつかまらないと言っているんです。そういう傾向が多くなりはせんか。それまで鉱山保安法とか鉱業法というものは、善意な第三者が今まで持っていた人間の責任を負わなければならぬということになっておりますか、私はなっていないと思うのです。
  133. 説明員(竹田達夫君)(竹田達夫)

    説明員(竹田達夫君) ただいまのお話でございますと、鉱業権の譲渡を制限しない限りにおきましては、売った者に対しましては、その責任者、原因者としまして追及いたしますけれども、善意の第三春にその責任を追及することは、これは困難でございます。またそういうような、善意の第三者にも、そういうマイナスの場合の義務を課するということにつきましては、これはちょっと憲法土にも問題があるのじゃなかろうかと、こういうふうに考えております。
  134. 田中一君(田中一)

    田中一君 私のはそれを追及するというのじゃないのですよ。追及しようにもその者がなくなってしまう、この法律の施行のときには、保安義務者というものがはっきりしておったものが、それがなくなってしまうというのです。そういう人格がなくなってしまうということを言っているのですよ。そういうが危険が多分にあるのじゃないかというのです、中小業者の場合には。
  135. 重盛壽治君(重盛壽治)

    ○重盛壽治君 最後に一つ聞いておきますが、われわれの常識で実際にはないかもしれないが、甲という者が鉱山をやっている、そうしてこの鉱山主がかなり行き詰っている。そしてこの鉱山主はもう鉱山を引き上げてしまった。そしこの鉱山主が持っておった危険なぼた山が一つこっちにあったとする。それまで一つ乙に売るというのに、それは引き受けられないという場合が出てくる。それで仕方がない、それじゃ幾らでも形のある方だけ引き受けてくれ、それでその人が行方不明になっちゃったと仮定する。その場合はぼた山は今の法律の対象になるのか、ならぬのか、どういう対象になるのか、それを一つだけ聞かしてもらいたい。なるのでしょう、この法律の対象には。聞いてなかったのですか、じゃもう一ぺん。  鉱山主がいたが、かなり行き詰まってきた。小炭鉱であったが、しかしかなり古くからやっていたものだから、ぼた山だけはかなり大きなぼた山を持っていたと仮定する。しかしこれだけでしようがないから売り飛ばして、鉱山はもうこりごりしたからやめます、一つ買ってくれと、乙が買おう、しかしあのぼた山までは引き受けられないという場合には、これだけでいいから法律の出ないうちに早く一つこの山だけ買ってくれ、よろしい一千万円で買おうということで、ぼた山だけは前の鉱山主の名前で残っていて、依然として危険な姿で置かれたという場合には、この法律を当てはめるのか、当てはめないのかということです。
  136. 説明員(町田幹夫君)(町田幹夫)

    説明員(町田幹夫君) その場合には、前の鉱業権者の責任が残っているわけでございまして、この法律の適用はないというふうに考えております。
  137. 委員長(竹下豐次君)(竹下豐次)

    委員長竹下豐次君) 本案についての質疑は本日はこの程度にとどめまして、次回にお願いしたいと思います。  なお、政府の諸君に申し上げますが、本日の御答弁で、ぼた山の所属の問題、この法律の対象になっておるぼた山の所属の問題その他について、御答弁のはっきりしなかったような点については、政府意見をはっきりおきめになりまして、次の機会に御説明を願いたいと思います。
  138. 重盛壽治君(重盛壽治)

    ○重盛壽治君 先ほど要求した資料について……。
  139. 委員長(竹下豐次君)(竹下豐次)

    委員長竹下豐次君) 先ほど重盛委員から要求されました資料を提供されるように要望いたします。     —————————————
  140. 委員長(竹下豐次君)(竹下豐次)

    委員長竹下豐次君) なお田中委員から一般調査の件につきまして、ごく簡単に質疑がしたいという申し入れが先ほどから出ております。
  141. 田中一君(田中一)

    田中一君 河川局長に伺いますが、せんだって六郷川の、六郷ゴルフクラブと同じようなケースで、東京都が世田谷区に河川敷の使用を許可したことは、今区議会でも問題になりまして、東急という電鉄会社に又貸しをするという問題が起きております。そこでこうした問題は、先般建設大臣も言っている通り、国が当然管理すべき直轄河川等が、そうしていたずらに営利事業に貸与されているという現状があってはならぬから、全国的に調査をしてくれという申し入れをしたにかかわらず、今そうした問題が起きているんです。従ってこの経緯は、どういうことで東急にそれが又貸しをするようになったか。またそういう傾向を、最高管理者であるところ建設大臣としては、認めておられるのかどうか。つい二、三回前の委員会で六郷川の提防の上の問題を論議し、建設省は直ちにそれを強制執行するとまで言明したにかかわらず、その上流の多摩川においては、また同じような問題が起きておる。で、非公式ながら河川局長に申し入れをしておきましたが、それはどうなっておるか、それを一つ御報告願いたい。
  142. 政府委員(山本三郎君)(山本三郎)

    政府委員山本三郎君) この間の多摩川の不法建築の問題につきましては、東京都知事から大田区長に対しまして撤去命令を出しました。それで直ちに撤去されるものと私ども承知いたしておりますが、撤去されなければ、これを強制執行しようということで進んでおります。  それから上流の多摩川の河川敷地の占用の問題でございますが、これは不法占拠とかいうような問題ではございませんけれども、経緯は、この地点河川敷の占用は東急と世田谷区との競願になりまして東京都に出て参りました。東京都知事といたしましては、審査の結果、競願者はありましたけれども、世田谷区に昨年の十二月許可しております。その後、世田谷区から東急等に対しまして貸し付けたというような事実はまだございません。ただ私も新聞等、先生からも新聞をいただきましたが、私も世田谷区に住んでおりますので、毎日、新聞は見ておりますが、そういうふうな事態、貸すとか貸さぬとかいうような話が出ているということは、そういう筋からは承知しておりますけれども、これを又貸ししょうというようなことに相なりますれば、河川法の規定によりまして知事の転貸の許可をとらないと転貸はできないわけでございます。まだ転貸等の問題につきましては、世田谷区から東京都に申請も出ておらないという状況でございます。
  143. 田中一君(田中一)

    田中一君 河川敷が、むろん世田谷区と東急との競願になったものを、世田谷区に占用を許したということは、これは世田谷区の区という公共性というものを考えてやったものと思う。それが競願者の東急にそれを又貸しをするということになるならば、なぜ初めから東急に貸さないかということになるんです。従って公共の名を借りて、国家のもの、ことに国民の生活に利害関係の非常にある物件を、常利事業に又貸しをするというようなことがあってはならぬと思うんです。従って私が先般も言っておるように、おそらく今の建設省は、すべて公共の名を借りて、そうした又貸しで営利団体に貸すような指導をしておる、と認定せざるを得ないんです。そうでなければ、少くとも今回の、その世田谷区が東急に又貸ししょうという案件に対しては、直ちに東京都に向って注意を喚起すべきである。そうして、もしも世田谷区からそういう申請がきた場合には、拒否すべきである、こう私は考えているんです。もしそれをしないならば、公共の名を借りて、国民生活に非常に重大な関係の深い河川を、一画利業者の利潤追求の手段にさせるというようなことになりますから、これは建設大臣がおられれば建設大臣に聞こうと思ったんですが、いずれ大臣には伺いますが、この点は十分省議をもって御相談の上、東京都に向って十分なる関心を持たすように、同時に、また政府としては、河川敷並びに堤防等に対しては、どのような方針で、河川維持関係のない部分に対して貸すような方針をとるかということを、はっきり次の当委員会までに答弁していただきたい。
  144. 政府委員(山本三郎君)(山本三郎)

    政府委員山本三郎君) ただいまのお話で、営利会社に特に利益を得させるように指導しておる、というお話のようでございますが、その点は絶対にございません。  それから今後の問題でございますが、私どもといたしましては、河川が最も良好な状態に保持されるように、しかも有効に使ってもらう、できるだけ公共のために使ってもらうということは、私ども常に考えておるのでございまして、指導方針といたしまして、特に個人のために営利を得させる、というような点から指導しておることは絶対にございませんから、その点は御了承を願います。
  145. 田中一君(田中一)

    田中一君 ないならば、今新聞等で見られているように、そういう問題になっているものに対しては、東京都知事に向って、申請がきて許可してしまってからではしようがないとあなたが言うんですから、許可する前に、そういう点を阻止するような手段をとっていただきたい。もしこれを貸すようなことになりますれば、今の建設省は、公共に名を借りて、営利団体にそうしたものを、利潤をあげるための手段に貸しておるという方針と見受ける以外にないんです。
  146. 政府委員(山本三郎君)(山本三郎)

    政府委員山本三郎君) この多摩川の河川敷の問題は、建設省維持区域にも相なっております。従いまして知事が許可する際におきましては、少くとも建設省地方建設局には協議をしなければならぬという建前になっておりますから、御趣旨の点は、具体的の問題、東急に貸すのかどこに貸すのかという問題は、この際東急はいかぬというようなことではなくて、全般的にさっき申し上げたような方針で指導して参りたいと思います。
  147. 委員長(竹下豐次君)(竹下豐次)

    委員長竹下豐次君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十八分散会