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1958-02-28 第28回国会 参議院 建設委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月二十八日(金曜日)   午後一時三十四分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     竹下 豐次君    理事            石井  桂君            稲浦 鹿藏君            西田 信一君            田中  一君    委員            中野 文門君            内村 清次君            坂本  昭君            戸叶  武君            村上 義一君   国務大臣    建 設 大 臣 根本龍太郎君   政府委員    建設省河川局長 山本 三郎君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    建設省河川局次    長       關盛 吉雄君    建設省河川局水    政課長     國宗 正義君    建設省河川局治    水課長     川村 満雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○水防法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) ただいまより建設委員会を開会いたします。  水防法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。  建設大臣予算委員会に今、出席中だそうであります。それから衆議院の本会議出席して、その終了後当委員会出席したいから、こういう申し入れがありました。本会議が何時に終了するのか、まだはっきりしておりませんけれども、委員部の方から、なるべく早くこちらの方に来てもらうように交渉させております。まず、大臣見えておりませんので、局長の方に御質疑を願ったらいかがかと思っております。局長河川局長、それから河川局次長水政課長でございます。
  3. 石井桂

    石井桂君 今回の水防法改正をしなければならない点をわかりやすく一つ説明して下さい。
  4. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 水防につきましては、その法律といたしましては水防法水害予防組合法二つございまして、それによりまして水防管理団体組織であるとか、あるいは水防活動等を規制しております。それで水防をやる責任者と申しますか、管理団体といたしましては、水害予防組合市町村市町村事務組合と、水防をやります形態が三つございます。水害予防組合につきましては、水害予防組合法規定いたしております。  それから、水防法におきましては、水害予防組合をも含めて先ほど申し上げました市町村並びに市町村組合水防組織を作る場合あるいは水防活動を行う場合の方法規定しておるわけでございます。そういうわけでございまして、全国には水防管理団体が三千四百ばかりございまして、水防を行なっておるわけでございますが、今回水防法改正いたしたいという理由の最も大きなものといたしましては、水害予防組合が、先ほど三千四百と申し上げました水防管理団体の中に全国では二百五十個所ばかり水害予防組合がございますが、その水害予防組合は非常に古くから設立されておりまして、非常に運用のうまくいっておるものもございます。大部分がうまくいっておるのでございますが、たとえば大阪左岸右岸等にありまする水害予防組合等におきましては、最近の情勢が水害予防組合としてはなかなか運営が困ってきたという状況が現われて参ったわけでございます。具体的に困ってきた例といたしましては、組合の議会の議員さんを選挙するのに、組合員の全部が選挙権を持っておって、議員さんを改選する場合に非常に費用もかかるし、手間もかかる、何とかその方法を簡略にする方法考えてくれないかという申し出でが強くございます。それからもう一つは、水害予防組合法により談ずる水害予防組合だと、経費負担組合員が持つことに相なっておるわけでございますが、事実上は、組合員がみずから出しておる金は非常に少くて、大阪市であるとか、大きな市が寄付金の形で経費を出しておる、こういうふうな形でございまして、実情に、法律に即した運営ができていない、という点がございまして事務組合というような形に移行すれば、それが、選挙間接選挙にできるし、組合費負担にいたしましても、市町村が出すことができる、ということに相なるわけでございまして、ぜひ一つ事務組合のような形のものに移行したい、という要望が非常に強いのでございます。そういう点が一番大きな点でございます。  それからもう一つは、従来の水防法におきましては、もちろん市町村水害水防を行う責任を持っておりましたけれども、水害予防組合がまあ当初に掲げてございまして、市町村一般的に水防責任を負うということが条文——よく読めばわかるのでございますけれども、一般的責任を有することを明らかにするには「市町村水防事務組合水害予防組合」のような順序に書きかえたらどうかというふうな点。それからまた、先ほど申し上げました、市町村単独水防をやっておったんでは、一つ堤防がつながっておるのに町村が幾つもあると、一つ市町村が一生懸命やっても、隣の市町村が一生懸命やらない場合は水害を受けてしまう、というような場合が起るわけでございまして、当然水防事務組合というのを作りまして、市町村が一緒になってやるのがいいわけでございますが、これは必要に応じて作るようなことになっておりましたわけでございますが、今回の法律では、そういうようなところはぜひ一つ共同にやるようにしたいということにしております。  それから、先ほど申し上げました、水害予防組合から水防事務組合に移行する場合 あるいは水防事務組合を新しく作る等の場合におきまして、経費の割合はどういうふうに分担させるか、その基準を一つ法律で書こうということも、一つ内容に相なっております。  それからまた、指定水防管理団体には水防協議会という諮問機関がございますが、これが、市町村区域も最近大きくなって参りましたし、また、水防事務組合を作ろうというような場合には区域が非常に広くなりますので、協議会の定員をこの際少しふやしてくれということも付帯的になっております。  まあ、以上が水防法改正していただくおもなる理由でございます。
  5. 石井桂

    石井桂君 もう一つ水害予防組合事務組合の……、いろいろな言葉が出てきますね。私ちょっとわからないんですけれども、簡単に説明して下さい。
  6. 關盛吉雄

    説明員關盛吉雄君) ただいま石井先生の御質問にございました水害予防組合と申しますのは、水防法による水防得理団体一つでございますが、この水害予防組合というのは、水害予防組合法によりまして設立せられておりまする団体でございます。それから同じく、市町村組合——市町村組合と申しておりますのは、水防法には市町村組合と申しておりますが、本法——今度の水防法の一部改正におきまして水防事務組合といっておりますのも同様でございまして、これは、いわゆる地方公共団体——市町村が、水防という一つ事務を数個の市町村が共同処理するためにでき上っておる地方公共団体のことを言うわけでございます。
  7. 石井桂

    石井桂君 大体今の御説明でわかりましたが、水害予防組合水害予防組合法による組合でありまして、ということでありますが、その説明だけでは私にはわからないんです。どういう差があるのか、ちょっと今の説明でわからないんですがね。
  8. 關盛吉雄

    説明員關盛吉雄君) 水害予防組合と申しますのは、水害予防組合法によって設立せられております団体でございますが、この法律にありますように、この団体は、「堤防水閘門等ノ保護ニ依ル水害防禦ニ関スル事業ニシテ特別ノ事情ニ依リ地方公共団体事業トスコトヲ得サルモノアル場合ニ於テハ水害予防組合設立スル」こういうことになっておりまして、ただいま全国水害予防組合法によって設立せられておる水害予防組合というものが二百五十設立せられておる、こういうことになっております。ひとしく水防活動を営む団体でございます。
  9. 内村清次

    内村清次君 この水害予防組合法律の中にも経費問題外ですね、これは国家予算として一般会計から幾らと、地方公共団体から幾らと、そうして組合自体はどういう経費を出しておるか、この関連性一つ説明願いたいと思います。
  10. 關盛吉雄

    説明員關盛吉雄君) 水害予防組合につきましては、水害予防組合法の第四十七条におきまして、組合はその必要な費用その他法律政令により組合負担に属する費用組合負担する、ということをきめております。従って水害予防組合におきましては、その組合活動に必要な経費組合組合員負担によって支弁をする、こういうことになっておるのでございます。水害予防組合がしからば水防活動をやっておる、たとえば水防倉庫を設置いたしましたり、あるいは水防上必要な無線機を設置する、こういうようなことに対しましては、国は毎年度予算におきまして水防施設費補助をいたしております。
  11. 内村清次

    内村清次君 そうすると、組合自体自主性によって経費の大半は償っていく、しかし、そうやった施設物費用については、国がその一部負担をして、公共団体を通じてこれは配付しますか。  もう一つは、この寄付というようなことはどうでございますか。
  12. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 今の水害予防組合は、それに要する費用は、組合員負担ということに相なっておりまするけれども、水防に要する施設につきましては、水防法によりまして補助をいたすわけでございますが、その際は都道府県知事補助をいたしまして、その半額を国が補助するという建前になっております。従いまして、間接的な補助に相なっておるわけでございます。ですから、それでどのくらいの補助額が出ておるかということでございますが、毎年々々この水防管理団体——市町村市町村組合水害予防組合の全部では約十四億くらいの費用を使っておるのでございます。それに対して国が三十二年度は四千五百万の補助金を出しております。その内容水防倉庫、それから無線機施設について補助を出しております。三十三年度もそういうものに対して補助を出すつもりでございます。前には、水防倉庫の中に入れる俵だとか、くいだとか、そういう資材につきましても予備金補助を出したことがございますが、そういうような形になっております。
  13. 内村清次

    内村清次君 寄付の問題……。
  14. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) それから、先ほども御説明申し上げましたが、水害予防組合におきましては、組合員負担金を出しまして、経費をまかなうわけでございますけれども、大阪あたり水害予防組合の例によりますと、組合員負担経費も出ておりますけれども、ほとんどは大阪あたり寄付金の形で出しておるというような形でございます。
  15. 内村清次

    内村清次君 わかりました。
  16. 石井桂

    石井桂君 水害予防組合で、地方公共団体ですかの事業とすることを得ざる場合、というのはどういう場合ですか。大阪が例になっているようですけれども、どういう場合がこれに当りますか。
  17. 關盛吉雄

    説明員關盛吉雄君) これは実は、水害予防組合条文についてのお尋ねでございますが、この水害予防組合法というのは、要するに明治四十一年に水利組合法という法律がございまして、その水利組合法に基きまして設立されておりました普通の水利組合なり、それからまた水害予防組合というこの二つの種類の組合があったのでございます。で、その水害予防組合はやはり大きな意味における灌漑排水事業をやりましたり、また土地改良区のようなところでそういう事業をやっておるところもありましたり、またここに書いてありますように、水門とか、あるいは堤防とか、そういうような地先のいわゆる施設水害から守る、こういうふうな事業を主目的としてやっておるのでございまして、地方公共団体の直接の仕事ということにするよりは、 かえってこの地域住民が作りました自主的な団体として作った場合が適当であろう、こういうふうな歴史的な沿革を持っておるものが本法によって設立せられておったものをいうわけでございます。従ってこれは、この団体はこの水害予防組合法にございますように、知事設立によってできておる、こういうふうな形のものでございます。
  18. 石井桂

    石井桂君 今の御説明でよくわからないのだけれども、「特別ノ事情ニ依リ地方公共団体事業トスコトヲ得サルモノアル場合」は何ですかという質問だったんですが、どうですか。
  19. 國宗正義

    説明員國宗正義君) 水害予防組合法一条の趣旨につきまして、ただいま次長から御説明がございましたが、「特別ノ事情ニ依リ地方公共団体事業トスコトヲ得サル」と申しますのは、一つには、市町村区域を越える広い範囲事業を行わなければならない場合が一つございまして、その場合には、一個の地方公共団体事業となすことを得ない場合の一つでございます。他の一つは、地方公共団体内の場合である場合と、越える場合と、両方におきまして特定の個人、すなわち農地等を持っておる人、あるいは家屋等を持っておる人だけの利益を守ることが顕著でございまして、直ちに普通地方公共団体事業とすることは適当でないというのが、第二の場合でございます。
  20. 石井桂

    石井桂君 ただいまの前の方の場合は、水防法による水防事務組合でもいいわけですか、そうすると。
  21. 國宗正義

    説明員國宗正義君) 今のお尋ねの場合は、最終の目的においてはおおむね達するわけでございますが、市町村事務組合といいますと、一応市町村仕事になり、かつ市町村がその事務を一部処理するという形態をとる実質を備えておる場合でございまして、今の場合はやはり個人が広い範囲でやる場合でございますから、個人が集まってこのような公共的な組合を作るという形式と実質において異にすると考えるわけでございます。
  22. 石井桂

    石井桂君 ややわかったような気がするが……。
  23. 村上義一

    村上義一君 ちょっと一言お伺いしたいのですが、この水防事務組合右岸とか左岸とか、利害共通にする市町村一つになるという説明を伺ったのですが、これは強制力は全然これにないようですね。従って、たとえば十ヵ市町村共通利害がある、ところがそのうちの一市町村意見を異にした場合、つまり組合に加入しないという場合に、これはどういうことになりますか。
  24. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) その点は、法律の第三条の二をごらんいただきますと、「水防事務組合設立」というのがございまして、一定の状況によりまして、市町村単独で、前条責任というのは水防を十分に果すべき責任でございまして、前条責任を果すことが著しく困難な場合、または不適当であると認められる場合におきましては、関係市町村は共同して水防を行う区域を定め、水防事務組合を設けなければならないということにしてありまして、今回の場合は、たとえば一つの川で一つ堤防が切れるというような場合に、自分のところだけ守ったのでは、よそのところが切れたのでは十分に責任が果せないというような場合には、一つ共同して作りなさいということにしておるわけでございます。
  25. 村上義一

    村上義一君 法律精神がそこにあると、御説明通りだと思うのですが、しかしその法の精神に反して自分のところの町なら町、村なら村は共同してやる必要を認めない、ここに書いてあります前条責任自分のところだけでも果し得るのだという見解をとって、その組合に加入することを拒否するという町村一つある場合ですね、それはどういうふうにせられる……、これはやむを得ないというお考えですか。
  26. 關盛吉雄

    説明員關盛吉雄君) ただいまの御質問は、水防法の一部改正法律案の第三条の二の「水防事務組合設立」の場合において、「水防事務組合を設けなければならない」としておることの法律的な意義はどうか、こういう御質問でございますが、ここに列挙いたしておりますような諸条件が認められます場合におきましては、水防事務組合は設けなければならないという義務規定を設置いたしたのでございます。さような、単独では果すことができないといういわゆる認定の問題はだれが行うかという問題でございますが、これは関係市町村がまず行うというのが原則でございます。しかし、関係市町村が、客観的な事実がそうあるにかかわらず、そういうことをしないという場合においてはどうするかということでございますか、これは地方自治法の第二百四十六条の二の規定によりまして、事務の違法、不当処理に対する内閣総理大臣監督権、こういうふうな条項がございますが、客観的にどうしてもそれは作らなければならぬという場合における処置といたしまして考えられる道は、その義務というものがもうだれが見ても客観的に、これは事務組合は設けなければならない、こういうことを認める場合におきましては、それを命令するという道もある、こういうことでございます。しかし建前は、関係市町村がさような事実があったということを認めることが建前になっております。
  27. 石井桂

    石井桂君 今度の改正によって、私が次に述べるようなことは防げるかどうかということを御質問するのですが、まあその堤防がまさに決壊しようとするときですね、両岸に水防組合があるだろうと思うのです、こっち側と向う側と。ところが、向うの堤を切ってくれると、こっちの村が安全だというので、向うの堤を切るということが想像できるのですが、実際に最近じゃないのですが、四、五年前に関東のあの大水害のときにあったのです。そういうようなことの調整もできますか。実際問題として向うの堤を切ってしまえばこっちが安全だというので切ろうとするような不穏な形勢があって、非常にもめたのが実際にあるという、そういうような調整は何でやるんですか、水防法でやるんですか、もっと上の方の建設大臣がやるのですか。
  28. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) ただいまの問題は、水防法ではできない問題でございまして、これは河川法によりまして、たとえば河川管理者である東京都知事から申し出があった場合には、主務大臣河川法によりまして監督権を発動するということに相なるわけでございます。
  29. 石井桂

    石井桂君 そういう場合は、そんな気の長いことを言っていると、堤を切られちゃいますよ。東京都知事建設大臣に伺ってやるわけですが、そういうような手続をとっているひまがないような場合だと思う。実際にもう一番上の堤防の上から水がちょろちょろ流れて、下の方の堤から、あれは何というのですか、遊水というのですか、どんどん出て、俵を洗っているというような状態、そういう場合にそっちの方のまさに破壊しようとしている、堤防を切った方が早いじゃないかということで、反対の方の側が騒いでいるようなそういう場合には、一々建設大臣まで伺って、現場を見てやるのですか、何かその緊急なものに対して、水防法があってもそれは使わないで、一般の治安の法律でやるのだということになると、肝心なことが役に立たないように思うのだけれども、どうなんですか。
  30. 國宗正義

    説明員國宗正義君) 今お尋ねの問題は非常にむずかしいことで、かつ重大な問題でございますので、これは水防法にはもとよりその規定はございませんし、河川法にももとより明文の規定を持っているわけではございませんが、そもそもやはり河川管理目的は洪水の害を除去し、それを守ることに目的を有しておるわけでありまして、小なる利益といえどもこれまた守るべき河川法の任務でありまして、大なるものを守るために小なるものを直ちに侵害できるということは、簡単には言えないのではないかと思います。しかし緊急避難の理論は法律にはあるわけではありませんけれども、援用するといたしましても、堤防を切ることによって、害を受けるところの容易ならぬことを考えますならば、直ちにそれをもって他の大なる公益を守ることは、通常の場合直ちに許されるかどうかということは、非常にむずかしい問題だと思います。
  31. 石井桂

    石井桂君 非常にむずかしい言葉説明してくれたんでわかりにくかったのですが、結局するところはどっちを破っても住民被害を与えるから見ておろう、こういうわけで見送っちまう、こういうわけですか。
  32. 國宗正義

    説明員國宗正義君) そのときに措置がないと申し上げたのではなくて、措置をいたしますについては非常にむずかしい問題がございまして、右の答えか、左の答えか、直ちに申し上げられない、こういう趣旨を申し上げたのであります。
  33. 石井桂

    石井桂君 それならば、そういう水防法で一番重要なことに当るようにも思うのだけれども、水防法というものにそういうものを規定する必要はないのですか、水防法に入れるにしてはあまり大きな事項だと、こうおっしゃるわけですか、どっちなんですか。
  34. 村上義一

    村上義一君 関連してですが、今のお話は、私は刑法の分野じゃないかと思うのですが、これは実例も私の子供の時分にはあったのですが、これはもう刑法上ほんとうに犯罪行為だと思うのです。
  35. 田中一

    田中一君 関連。火災その他の場合には、破壊消防というものがあるのです。破壊消防というものは、これは消防目的のために破壊するという、となんですね。しかしこれはむろん詳細知りませんが、その受けた損害に対する補償というものがどこかでなされているのかいないのか知りませんけれども、破壊消防行為というやつがありますが、それはその場合、補償の問題が一番問題になると思うのだが、それが補償されていないかはわかりません。私はその方の専門じゃないからわからぬけれども、ただ戦争中の疎開工事などというものは、一応微少ながら補償したように記憶しているのです、非常に少いものではあったけれども。そういう点は河川の場合には、この水防法にはまあ規定が何もないから、受ける川そのもの所有物権じゃないから、これは国のものであって民族のものなんですから、そういう意味で壊されない、あり得ないということが前提に立たなければならぬと思うのです。あり得ることなら、その行為が許されるものなら、これはもう秩序というものは全部破壊されることになるのですが。
  36. 西田信一

    西田信一君 関連……。
  37. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) あまり関連が多くなると答えがしにくくなるのじゃないかと思いますので、一つずつ片づけていったらいかがですか……。それじゃ西田君どうぞ。
  38. 西田信一

    西田信一君 明確になると思いますからその意味お尋ねもし、それからまたいろいろ関連質問が出ておりますが、私はこう聞いておったのです。石井委員質問の要旨、要点は、要するにほうっておけばもっと全部の被害が大きくなるという場合に、どっか一方を切ることによって全体の被害がもう少し少くなる、そういう場合にそういう措置がとれるかどうか、こういう趣旨の御質問であったと思うのです。それでまたがってそういうことでなくて、向うを切ったらこっちが助かるというので、向うを切りに乗り込んでいったようなことがありまして、それに対する村上委員刑法というあれが出たのじゃないかと思うのですが、それでどうなんでしょうか、これは水防法の上で、今田中委員はそういうことは、国の川はそういうことは原則としてはあり得ないという考え方に立った御意見、しかしながら放任しておけばもっと被害が大きくなるという場合に、何かそれを一方に水をはくことによって、被害がそれよりも小さく食いとめられるという場合に考える余地があり、考えられるべきじゃないかと思うのですが、そういうことに対してどういうお考えですか。
  39. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 的確なお答えかどうかわかりませんが、水門等によりまして可動的に動かすことができるようになっておる水門を開いていたために、上流が助かるというようなことは考えられると思いますが、固定的の堤防等を切って、しかもそこに被害が生ずることがわかっておりながら、小さいからといって切るというようなことは、ちょっと私どもとしては考えられないと思います。東京都でこの前起りました問題は、ちょっと今の場合とは違う問題でございまして、利根川がはんらんいたしまして、埼玉衆東京都の現実に宅地なり耕地がついたわけでございます。それを江戸川に放流すれば非常に被害が早くなくなるということで、江戸川堤防を逆に切ったわけです。川の方へ水を出したわけでございまして、これに対しましてもやはり千葉県、向う側千葉県からは、それを入れられると、江戸川の水が高くなるおそれがあるということで、反対の意向はございましたけれども、それを切ったからといって江戸川堤防が危なくなることはないという判断によりまして当時の内務省は東京都知事に切ることを許可したわけでございます。河川管理者たる東京都知事に、あれは両県にまたがっておりますから切ることを許可いたしまして、それで水の引けを早くしたという実例はございますが、逆に川の方から千葉県の方へ入れるという問題はとうていちょっと考えられないというふうに考えております。
  40. 西田信一

    西田信一君 先ほど村上先生の御質問関連してもう少しこれを立ち入ってお聞きしたいと思いますが、この第三条の二によりまして、その責任を果すことが非常に困難であるという認定は、それぞれその関係の市町村がやるのだと、こういう御答弁でございました。それでその認定を、関係市町村というのはおのずから地域によってきまると思いますが、認定がおのおの違う場合が出てくると思うのですね。そういう場合に一方ではその必要がありと認め、一方ではその必要がないと認めるということが起り得ると思うのですが、そういうことが起きた場合には、だれが最終的な認定をするのかということを、まずお聞きしたいのです。
  41. 國宗正義

    説明員國宗正義君) 三条の二に、そのような客観的な地形状況にある場合は、市町村事務組合を作らなければいかぬ義務を負うわけでございまして、みずからの判定をやるのはまず市町村自身でございますが、市町村がその判定を誤まり、それを認可すべき立場にございますところの都道府県知事もこれまた判定を誤まった、かような場合におきましては、その判定を誤まったという点が違法になる場合があるわけでございます。違法になりますような場合には先ほど次長から説明ございましたように、自治法の二百四十六条の二でもって、内閣総理大臣がその違法の措置の是正を命ずることができるわけでございます。なお、市町村長に対しましては、都道府県知事をして違法の措置を命ずることもでき、あるいは内閣総理大臣みずから当該措置を行うことができるようになっているわけでございます。
  42. 西田信一

    西田信一君 その違法であるということに立っての何といいますかね、その指令、指示ができるということでございますが、しかし違法であるかどうかということは、その認定という事実、認定そのものが先に立つわけですね。だからしてその認め方が、必要であると認める場合と認めない場合とがあって、それが最終的に、この法律でもってきめられておらぬ場合に、違法であるということが言えるかどうか。自分はこの村ではその必要がないと認める、それが一つの村ではこれは必要があると認める、そういう場合に違法であるといってそれが押しつけられるかどうかという点、その点いかがですか。
  43. 國宗正義

    説明員國宗正義君) 先ほど違法である最も明瞭な場合を申し上げましたが、そのような判断を欠き、明らかに公益を害しておるような場合、そういう場合にもやはり是正の措置を命ずることができるのであります。その条文を読んでみますと、「内閣総理大臣は、普通地方公共団体事務の処理又はその長の事務の管理及び執行が法令の規定に違反していると認めるとき、又は確保すべき収入を不当に確保せず、不当に経費を支出し、若しくは不当に財産を処分する等著しく事務の適正な執行を欠き、且つ、明らかに公益を害しているものがあると認めるときは、」云云できるというふうになっております。やはり著しく事務の適正な執行を欠き、明らかに公益を害していると、こういうふうに上級の知事、あるいは内閣総理大臣が判定いたしますれば、必ずしも最終に違法という状態でなくても、この是正は構じられるわけでございまして、先ほどお話の認定を欠いており、そしてそれがやはり公益を害しているというふうな場合にも是正の措置を命ぜられるものと考えられます。
  44. 西田信一

    西田信一君 その点はどうも私まだ、今の地方自治法精神がそこまで及ぶかどうかということについてはまだ私もはっきりいたしませんが、この場合は市町村本来の事務等に対する地方自治法精神だと思いますが、この場合はもしそういう地方自治法を適用するというふうな考え方があるならば、むしろこの法律に何かそれに類した表現といいますか、それをしておくことが適当ではないかと思うのですが、その点はいかがですか。
  45. 國宗正義

    説明員國宗正義君) 河川法等の国の事務を府県知事等の国の機関に委任した場合に、そのような規定が通常あるのが建前でございまして、ごく最近の立法におきましても、必要な指示とか、監督の規定考えておるわけでございますが、水防事務につきましては、固有のやはり市町村公共団体事務考えております関係上、自治法の一般原則によることの方が適当でございますので、規定を持っておらぬわけでございます。
  46. 西田信一

    西田信一君 そこでちょっとお尋ねいたしますが、今資料をいただいたのですが、この資料によりますと、これは全部を網羅しておる七つの水害予防組合が現存しておるという資料だと思うのですが、あなた方のこの法律を作られるについては、もっと国内を全部ながめてその必要があるという前提に立って、こういう法律を作られるのだと実は思っておりますが、建設省のあなた方の立場から、こういうような必要が認められる、これは的確に数は言えないでしょうが、大体どの程度こういうものが必要だというような考え方を持っておられるのか、その点いかがでしょう。
  47. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) お話のように、よくその組合、あるいは市町村状況を調べ、川などの状況を勘案いたしませぬと的確なことは申し上げられませんが、私どもが県と共同いたしまして調査した結果によりますと、約二百ぐらいは事務組合を作るべきである。それから御参考まででございますが、水害予防組合から事務組合に移行するものが今のところは十は確実に考えられるというふうなことになっております。
  48. 坂本昭

    ○坂本昭君 今非常に論議せられた点は、水防法の具体的な実施に当って地区住民のきわめて政府的な問題かずいぶん論ぜられていると思うのです。先ほど局長説明によりますと、今度の改正の主眼点は、特にこの水防事務組合の議会の議員選挙の簡素化にある、そういうふうな説明がありました。従いましてこの議会の議員の構成ということは、これはふだんから水防の計画、あるいはまた実施に当ってきわめて重大である、そういうふうに考えます。簡素化ということは非常にけっこうなんであります。しかし、今度行われる簡素化というものが、合理的な簡素化であればいいのですが、この内容を見まするというと、市町村長が推薦した者とうちから選挙することができるということが規定せられております。先ほど来の論議の対象になったように、地区住民の生活にきわめて密接な関係があるので、合理的に、かつ、それぞれ地区住民の意思を代表したところの民主的な選挙方法がとられればいいのですが、推薦した者のうちからということは、これはどうもいろいろと禍根を残すおそれがあるのではないか。特にこの推薦する場合の条件として、学識経験があり、かつ、熱意があるというようなことも市町村長の推薦の理由の中に入ってくると思いますが、具体的にこれについてどういう考えを持っておられるか、御説明を願いたい。
  49. 關盛吉雄

    説明員關盛吉雄君) ただいま御質問のございました第三条の四の条項についての御質問でございますが、これは現在の地方自治法の二百八十七条におきまして、町村が一部事務組合を作りまして事業を実施いたします場合における条文を自治法は持っているのでございます。そうしてその重要な事項である本法の三条の四に該当する組合議会の組織及び議員選挙方法ということを組合規約に自治法は委任をいたしておるわけでございます。そこで今回の改正法律案では、その事務組合の議会の議員につきましては、組合規約を作る場合においては、まず当該市町村の議会の議員の被選挙権を有する者で水防に関する長年の経験のある造詣の深い人であって、しかも熱心な人を一つ選ぶようにしてもらいたい、そういう人の中から選挙するという、つまり議会の組織並びに議員選挙方法についての準則を法律規定したのでございます。学識経験と申しますと、いろいろな場合に各種の法令にも若干の例がございますが、要するに水防のこの仕事は特に公益性を持っている仕事であって、しかもこの場合において市町村長が推薦をするという制度を採用することにきめましたのも、この当該の数市町村にわたる水防上の利害調整をする必要があり、全体の立場からながめて水防計画なり、あるいはまた組合経費の分担なりその他を検討する必要があるという場面も相当多く考えられる。ことに地域が非常に広くなっているから、市町村長がそういう水防事務組合議員選挙について、若干の水防計画上の熱心な人をあげられるのに意見をもって議会と相談をする、こういう立て方の方が従来の水防事務の生きた経験を生かしてもらう立場から適切じゃないだろうか、こういう考え方で、水防管理団体等の意見もこういう方向で熱心に御意見が出ましたので、案を作りまして提案をしたと、こういうわけでございます。
  50. 坂本昭

    ○坂本昭君 なるほど数市町村にわたりますから、それぞれの市町村長が若干それに関係を持って推薦をするというその趣意はわからぬこともないのです。特にその推薦した者の中から選挙される議員の数に対しては全体の二分の一をこえてはならないというふうに規定されていますね。だから、そういう点で市町村長の独断による弊害を防ごうとしておることはわかりますけれども、今日の新しい民主的な選挙の場においては、これはどうもいささか時代逆行の趣きなしとしないのであります。特に市町村長というものは、今日選挙されていますけれども、かなり政党的な色彩も市町村長の中にもある場合がありますし、そういう人たちが一方的な推薦をして来た場合に、必ずしもその地区の一般住民利益に沿うような推薦でない形で推薦されるということは十分あり得ると思うのです。そういうことに対する考慮というものはどういう形で払われ得るか、そういう市町村長の独断、場合によれば政治的な独断といったものをどういう形において阻止することができるか、そういう考慮はいかにして払われるか、その説明を少ししていただきたい。
  51. 關盛吉雄

    説明員關盛吉雄君) ただいまの御質問は、いずれも選挙を通じて表われました場合の理事者並びにその理事者が推薦いたします者のうちから議会が選挙をいたしまして選任されるのでありますからして、従いまして、すべてそのような人事は人事を行う人々の良識に待つのが最終的なきめ手だろうと思っております。しかしながら、法律考え方としてねらっております点は、要するに水防事務の公共的な利害調整という、しかも今回の改正によりまして行なっておりますことは、水防管理団体組織法の部分に関係するところでありますので、従来の熱意と経験のある人も考え、またさらに一般市町村が一部事務組合の得失から見て議会が選ぶ人も考え、しかも市町村長の推薦者のうちから選ぶのでございますので、議会の選択権をここで認めておるわけでございますから、いずれも最終的なきめ手はこれらの間において選ぶ人、選ばれる人の良識に待つということが最後のきめ手だろうと思っております。
  52. 坂本昭

    ○坂本昭君 その、良識に待つ、という言葉はなかなかけっこうな言葉ですけれども、やはり推薦された候補者ということは、私は非常に大きな影響力を持つと思うのです。特にその理由として、たびたび推薦された者も学識経験があり、熱意がある、この二つ言葉で解釈しておられますけれども、実際言うと、地区住民水防上の利害に関係を持ってくる人たちにとって、むしろ水防に熱意がないという言葉は少し語弊があるかもしれませんが、熱意があるないでこの判定をするということは、本人にそれだけの正しい、その地区住民利益の代表者でないけれども、市長や村長が一方的に熱意があるというふうな判断をすれば推薦され得るわけになります。そうしてそういう人が、なるほど今の説明によれば、良識をもって選挙をすれば市町村長の独断によって推薦された者といえども、不適当な場合には良識によって排除されるというふうな結果にはなるかもしれませんが、一応市町村長が推薦するということによって、やはりこの選挙の場合に大きな現実の力になるということは争えないと思うのです。特にこういうふうな、市町村長の推薦した候補者というような規定を新しく入れられたということは、私はきわめて危険があり、監督官庁であるところのあなた方としても、もっと明確にこれは説明していただく必要があると思うのです。たとえばこの間の委員会でも、あまり政治的な意見を言うと、少し耳ざわりだということで御批判を受けましたけれども、たとえごく少数の反対党の人々が、その土地におるとしても、その人の立場がきわめて特殊な地域の代表者であるとしても、やはりその人は水防上大事な発言権を持つ。ところが、そういう人たちを市町村長が全部排除してしまった場合には、この議員になり得ない場合も起り得ると思う。そういうことに対して、たとえば特定の政党に限らない、あるいはまた積極的な言葉でいえば市町村長の反対党の人も、市町村長としては推薦する必要がある、その程度まで明確な考えをもってこの実施を皆さんとしては監督されるかどうか、それについての御意見も承わっておきたい。
  53. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) ただいまのお話のような点も、私どもといたしましてはお話によりまして懸念される場合も想定されるわけでございまして、ただ私どものこれを立案した趣旨は、先ほどから次長が申し上げましたように、水防の公共性と、それから利害が相反するような場合がございますので、それを高い立場から一つ判定するような方々がおられるのも、一つの大きな立場から解決する方法ではないかという点から立案しておるわけでございまして、ただいまの御心配につきましては、私どもといたしましても指導によりまして、ただいまのお話のように、政党というようなことは申し上げられないのでございますけれども、中の運営がうまくいきまして、また水防というものは非常に人命、財産等に影響する問題でございますから、この運営がせっかくの水防組合を作ってもかえってまずかったというようなことに相なってはいけないのでありますので、そういう点は十分考慮いたしまして指導はしていきたいというふうに考えております。
  54. 田中一

    田中一君 関連して聞きますが、熱意がある者の認定は、どういう形でするかということが一つと、それからもう一つは、こういう法令はほかにどのどういう法律にあったかということを伺いたいと思います。
  55. 關盛吉雄

    説明員關盛吉雄君) これは熱意のある——熱意の認定はどうするかという問題は、これはその衝に当る人が当該候補者の経歴とか、あるいはまたその判断あるいは人格、いろいろなものを総合的に考えまして判断せられることと思いますが、熱意という表現を用いております他の法令の例といたしましては、民生委員法第六条に「民生委員推薦会が、民生委員を推薦するに当っては、当該市町村の議会の議員選挙権を有する者のうち、人格識見高く、広く社会の実情に通じ、且つ、社会福祉の増進に熱意のある者であって児童福祉法の児童委員としても、適当である者について、これを行わなければならない。」と、こういうふうな例も実はあるのでございます。
  56. 田中一

    田中一君 現在のまあ社会といいますか、しいていやな言葉でいえば、保守政権下における社会情勢というものは、このような熱意があるとかないとかいう人間の区別までしなければならないほど人物の貧困を招いておるということの証拠ではないかと思うのですよ。少くとも社会生活をする人間が社会生活そのものに対して、熱意があるなしの問題を法文上はっきりするということは、あっちゃならないことと思います。では反問するけれども、熱意がない、これらの者に熱意がない者というのをどういう形で次長説明をいたしますか、熱意がない者——熱意がある者はわかった。熱意のない者という人格はどういうものを社会通念上あなたが理解するのか伺いたいと思います。
  57. 關盛吉雄

    説明員關盛吉雄君) 熱意のある者を選ぶということでこの法律案ができておるわけでございますが、熱意がない者は一体どういう内容のものであるか、こういうことになりますが、これは仮定の問題でございまして、現実問題といたしましては、それぞれ熱意のある人がたくさんおられる場合の比較の問題だろうと思います。
  58. 田中一

    田中一君 一番簡単なあなたの答弁が、これで推薦された者以外の者は熱意がないと一応見られるということでいえば的確なのですが、これじゃまだ問題が残るのです。全部熱意がある者だ、全部百人が百人熱意がある者であって、そのうちの特定なる何人かを候補者として推薦するのだということなんでしょうね。
  59. 關盛吉雄

    説明員關盛吉雄君) ただいまのお説の通りでございます。
  60. 田中一

    田中一君 しからば、なぜ熱意があるものと書くのですか。(笑声)そうじゃないものを、なぜ熱意があるものと書くのです。熱意があるものとここで書くという理由にならないのです。これが民生委員法に例があるとおっしゃったけれども、今ここで時間があれば、これは厚生省ですか、所管は、民生委員の……。
  61. 關盛吉雄

    説明員關盛吉雄君) 厚生省です。
  62. 田中一

    田中一君 厚生省のこの法律を作った人を一つお呼び願いたいと思います。これは非常に国民の、われわれと同僚の同胞の価値を法文の上でもってはっきりきめるなんということは越権です。特定なる行為をするためにということにむろん限定されるのでしょうけれども、であるならば、熱意がない者の定義というものを、その人格の定義というものを御説明願わぬと納得いかないのです。ただ言葉のいたずらじゃ困るのです。私が考えておりますのは、その市町村長というものは、だれでも自分の理解しやすいものを、自分の側近の者あるいは自分の客観的情勢なり主観的な特定なる者を選ぶことがこれは普通常識なんですね。主観で、熱意があるという客観状態というものと、この人を選ぼうといって選ばれた人は、推薦された者は、これは熱意のある者というレッテルが張られるわけなんです。こういうことは法令としてもどうかと思うのです。時間があれば、委員長、呼んでいただきたいと思うのですよ。こういう工合に人間の価値というものを一市町村長の独断で主観できめられる形のものはあっちゃならぬと思うのです。  そこで、先ほども坂本委員質問したのにも関連してくるのですが、推薦権を持っているところの市町村長がだれを選ぶかということになりますと、やはり、もしその方が政党に属しておるならば、自分の政党の派から多く出さざるを得ない、これは人間感情です。これがそういうことがなくて、みんな被選挙権者は同じであるということの建前から、学識経験という言葉は、これは常識的に使われている言葉でありますから、あらゆる場合に公正なる者をという場合には学識経験者という表現をしておりますから、これは認めてもよろしいが、意欲の問題までも法律で、これで成文化しようということの危険さを感ずるのです。空文ではなかろうかというと危険さを感ずるわけです。まあ次長が作られたかどうか、ほかの人か知らぬけれども、こういう言葉が民生委員法にあるからそれを引用したのだろうと思います、その精神というものを……。しかし、実際に、民生委員の場合には、自分の生命をかける必要もないかもわからぬ、また、他に直接その行為によって、判断によって、生命財産に危険を及ぼすものはないかもしらぬけれども、水防事業などというものに対しては、相当な大きな問題が残るのです。間違った判断で間違った手段方法をとれば、財産はおろか、命をも失うようなことになり得るのです。それがやはり、市町村長という特定なる者だけの推薦によってその被選挙権というものを持たれる候補者であるということは、これは危険ではないかと考えるわけです。そこで、今坂本委員が言っているように、その部落、その区域の円満な通常をするには、私は、熱意がない者こそ、推薦して大いにがんばらすことの方が必要ではないかとさえ極言したくなるのです。適当な局長の通牒その他をもってそれらの心配をなくするということを説明しているけれども、この点については、もう少し明確な措置をとるようにしていただきたい。これは結局空文化されるのです。何といっても、法律にこう書いてあるから、その市町村長が推薦すれば、これは熱意がある者というふうにレッテルを張られる。そうでない者は熱意がない者になるのですね。現実においてどういう運営をするか、また、市町村長の権限になるわけですから、この点については、市町村長の主観のみに頼らないで、どういう適格者を推薦し得るかということに対するもう一歩突き進んだ明快な御答弁がほしいのです。
  63. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) お話のごとく、水防は、その水防団体を構成するメンバーが全部気をそろえて、円満に熱意をもって水防をやってもらわぬと目的は達せられないわけでございまして、今お話のように、市町村長が議決機関の議員を推薦するに当りまして、自分個人の立場だけを考えてやるというようなことがあっては、その目的は達せられないわけでございますので、私どもといたしまして、この法律の施行に当りましては、市町村長にいろいろ指示を与えまして、そういうことのないように具体的に指示をいたしたいというふうに考えております。
  64. 田中一

    田中一君 これは、政府あるいは与党の政治的な圧力は全然立案の過程においてございませんでしたか。
  65. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) そういうふうな政治的の問題は全然ございませんで、私どもは、水防水害予防組合水防管理団体等の意見は十分伺いました。それから、自治庁とも十分の打ち合せは遂げましたけれども、政治的の問題は全然ございません。
  66. 田中一

    田中一君 もっとも、五つ六つの市町村が一緒になって事務組合を作るのですから、大都市といいますか、そういうものが含まれた事務組合ですと、普通の選挙ですと、一定の定員をきめても、片寄った地区から多く出るという危険が多分にありますから、一応この推薦をとったものと理解しております。従って、地方自治法によるところの事務組合精神というものは、該当する市町村区域なり、負担力なり、あるいは人口なりを勘案しての一般選挙、通常選挙によらないで、それらにも発言権を持たせようというこの気持はよくわかるのです。わかるが、一たび運営を間違いますと、かえって大きな害毒が流される。ことに、最近言われておりますように、四月だ、九月だといって解散風が吹いております。地方の方々は、やはり何らかのバッチをもらってそこで指揮命令系統といいますか、議決権を持つとボス化する点が多分にあるわけなんです。従って、そういう点について、十分に、十分の上にも十分に適格な者を推薦するように措置していただきたいと思います。  それからもう一つ、重ねて伺うのは、推薦する人数というものは、定員の半数をこえないという半数でしょう。半数でしょうが、きまるのが半数であって、あるいは五十名の定員の大きな事務組合ならば、半数二十五名、二十五名を市町村長が推薦する場合には、五十名ぐらいを推薦するのか、あるいは二十五名を推薦するのか、おそらく実際においては、半数の二十五名を推薦すると思いますけれども、二十五名を推薦して、二十五名が当然議決される、当選するということならば、これは何も空文にすぎないですよ。かつて、われわれがいやな記憶を持っておるあの翼賛選挙とちっとも変りない。ですから、この場合には、市町村長は空文的な割当をしないで、倍数は候補者を立てろ、そのうちから半数の二十五名程度のものを、その半数ですね、いわゆる議席の半数、議員の半数をきめるのだ、あるいは三十名立てて二十五名そこから選ぶのだということにならなければ議会の選挙ということにはならない。従って、そういうような措置は、どういう形で指示しようという考えを持っておるか、伺いたいと思います。
  67. 關盛吉雄

    説明員關盛吉雄君) ただいまの、市町村長の推薦する者の中から議会が選挙する場合の市町村長の推薦者の数は、議会が市町村長の推薦者数と同じものを選ぶ程度の数だと、まことに市町村長の独善になる、従って、市町村議会が議会としての選挙権を公正に果すことができる限度というものと、市町村長の推薦する議員の数との調整をどこに求めるか、そしてまた、それに対する指導方針はどうか、こういう御質問でございます。これはまことにごもっともなことでございます。いろいろ御懸念もあろうと思いますので、われわれといたしまして、できるだけ市町村長の推薦による議員の制度というものと、議会の選挙というものとの権限の調整考えまして、ただいま田中先生のおっしゃったように、できるだけ議会が公正に選ぶことができるような数を市町村長が議会に推薦する、その数についてはどれだけにするかというようなことをどういう表現で指示するかにつきましては、御意見を承わりまして指導させていただきたいと思っております。かような具体的な指示はおおむね市町村に対しましては、あまりそう積極的な通牒は出たことがないことが多いと思いますが、ただいまの御意見もございますし、局長から一般的な市町村長の推薦者に対する市町村長の推薦の基本的な態度というものを客観的に市町村に徹底するようにということと合せまして十分検討さしていただきたいと思います。
  68. 田中一

    田中一君 おそらく、いわゆる翼賛政治にあったときのように、定員数だけを推薦してそれを承認させようという腹であったろうと、私はそう思っているのです。もしもそうでないならば、半数までは市町村長推薦の議員をもって充てられるという……これをこえるということと、こえないということとは大へんな違いがあるのですよ。そこで、それを考えているならば市、町村長が推薦する二分の一の数というもののうちの候補者はこれは議員の数なんです。当選した議員の数なんです。選ばれた議員の数が半分をこえちゃならないというのです。そういう心配もあるならば、なおさらのこと定員数だけを、二分の一だけを推薦しないで、それをこえて少くとも議会の意思というもの、選挙権というものを公平に行使されるという形の数を指示したって一向差しつかえないと思うのです、法律の上に明文化してもですよ。そういう意思がないならば、はっきりともう推薦したものは単に推薦するという権利じゃなくて、そのものずばりを議会は承認しなければならぬという形になるのが的確な表現なんです。選挙となると、やはりこれは候補者が何人かふえないと、議会の選挙する意志というものはじゅうりんされることになるのです。そういう形の指導をされたのでは困るのではないかと思うのです。
  69. 關盛吉雄

    説明員關盛吉雄君) この法律案の原文は、市町村の長が推薦したもののうちから選挙することにいたしておりますので、市町村長が推薦議員の定数ぽっきりを議会に推薦して選挙するという建前にはいたしておらないのでございます。法文上もそのようにいたしております。ただその場合に、倍率をどのくらいにしてつまり議会に推薦をするか、こういうことについての先ほどお尋ねでございました。この点につきましては十分御意見もありますし、また公正に選挙が行われますように、適当な指導を考えたいと思っております。
  70. 田中一

    田中一君 本改正案に初めて、水防責任者というものが市町村にあるのだということを明記された。現行法では、それがやはり持たれたところの水防組合水害予防組合、第三条にありますけれども。そこで、今回の法律案改正に当って責任の所在がどこまでも市町村にあるのだということを明記したわけなんです。これはどういう、今日までの、過去の情勢からここに確認をしようということになったか。その経緯を一つ御報告願いたいと思います。
  71. 關盛吉雄

    説明員關盛吉雄君) これは、実質的には現行の改正案も、従来の立て方も変っておらないのでございますが、ただいま田中先生の御質問は、法律の立法の表現において第三条が、市町村がその区域内の水防を十分に果すべき責任を有するという明文を挿入し、かつ、ただし書きにおいて水防事務組合及び水害予防組合水防を行う区域がある場合においては、この限りではない、という市町村の免責規定を置いてある、その経緯はどうか、こういうことでございます。これは、現在も市町村がその区域における水防事務を行うべきことは、地方自治法の第二条の第三項の八号において規定いたしておるのでございます。従って、これは、今回の水防法の一部改正というのは、水防管理団体組織法でございますので、ここで市町村事務となっておりますことを明確にした方が実際に合うと、また形式上もふさわしいということから、この際ここに掲記いたしたのでございます。従って、市町村がその固有事務として水防責任を担当いたしておりますから、水防事務組合ができまして数個の市町村水防事務を行うという場合、これは免責せられることは当然でございますし、それからまた現行法の水害予防組合区域のあるところについてもこの限りではない、こういたしまして、実際上と変りのないことを、形式上法律の立て万を変えた、こういう程度に御了解願いたいと思います。
  72. 田中一

    田中一君 そうしますと、現行法の足らないところというよりも、的確な表現をしていないから、これを正確に表現をしたのだということに理解していいのですか。
  73. 關盛吉雄

    説明員關盛吉雄君) その通りでございます。
  74. 田中一

    田中一君 最後に、一番問題のあるところですが、受益の割合、これがいかなる基準によって持たせようとするのか。これは単に議会の員数の決定だけでありますと、一応半数だけはその区域から利害関係者が出て参りますからいいとしても、あとの半数というものがやはり通常選挙によりますと、人口の比率その他でもって、割合に大きな市町村から多く選出されるのではないか。あるいはその区域の防護施設の延長の割合ということだけで同じような比率が出てくるか、あるいは縦に町が延びておりますと、人口は相当多いけれども、防護施設の延長の割合では算定の不的確な場合もあり得ると思うのです。従って、その負担の割合というものですね。一応の考え方もおそらく政府は持っておると思うのです。それはどういう基準を示して、そうして指導するかという点について案をお持ちならばお示しを願いたい。
  75. 關盛吉雄

    説明員關盛吉雄君) ただいま御質問の点は、第三条の四の第二項の点でございますが、この点は現在の地方自治法の一部事務組合の規約に掲げる事項の部分の区域経費の支弁の方法にも関係する部分でございますが、それと同時に、議員の数にも関係しておる部分でございます。それで、これはいずれも組合の規約にまかせておるわけでございまして、組合規約できめます場合の一つの規準をここで列挙した、こういうふうに御理解願いたいのでございます。  それではこの市町村事務組合の行う事業の受益の割合とは何をもって測定するかということでございますが、これは一つ方法といたしまして、組合の関係の固定資産の割合であるとか、あるいは人口というふうなものも、一つの受益の基準になろうかと考えております。また防護すべき施設の延長と申しますのが、堤防とか、あるいは護岸の施設の延長というようなことも、一つの考慮すべき要件だと思っておりますが、これはもとより古い慣習がありますれば、各事務組合の慣習を基準にいたしましてこの選挙される議員の数をきめるのでございまして、今、御質問がございました点につきましては、そのような程度に考えております。
  76. 田中一

    田中一君 現在の水害予防組合は、どういう比率でやっているのですか。今、御説明のような基準でやっているのですか。
  77. 國宗正義

    説明員國宗正義君) 水害予防組合は、組合区域内における土地、家屋を持つ人が経費負担することになっておりますから、本質上は各個人に割り当てるべきものでございますが、長年の運用でもって、市区町村ごとにこれを分けているわけでございます。その際の基準といたしますところは、今、次長が御説明申し上げましたようなものにおおむね近いわけであります。受益の割合と申しますのは、堤防が決壊いたした場合における財産の状態、それから人口にもこれはまさに比例するところでございます。防護すべき延長の施設の、郡部におきましては、特にこれは人口割よりも防護すべき堤防等施設が多いという場合には、やはり防護すべき施設に応じて費用を分けておりまして、固定資産のみで割り当てるという方法をとっておりませんが、防護すべき堤防延長のみをもってその市町村に割り当てるということもしないで、おおむねその両者を勘案しましたものの値で定めておるようでございます。
  78. 田中一

    田中一君 次に、事務組合区域というものをやはり地元の意思に、話し合いにまかしてその区域を定めるという形をとるか、あるいは一定の高い所から見て、過去のいろいろな体験、実績その他から都道府県知事なら都道府県知事が、この事務組合に対してはこの区域が妥当であるというような一つの意思で、監督官庁としての意思が持たれて事務組合が成立するかどうか、ただ任意にまかしてやるような形に行こうとするのか、あるいは何かの案をもって立案するのか、干渉するのか、そういう点はどういうことに考えておりますか。
  79. 川村満雄

    説明員(川村満雄君) 水防範囲の問題でございますが、われわれの方として一応考えておりますのは、遠距離の範囲考えておりますと、なかなか実際的にむずかしいものでございますから、われわれの今考えておりますのは、水防の必要性があるということで出動のできる範囲の距離でございまして、一応大体二時間くらいで行ける範囲内に限定しておりまして、大体二十キロくらいの範囲考えつつございます。
  80. 西田信一

    西田信一君 関連して。その二十キロの範囲内で一つ組合になる場合はけっこうなんですが、それがかりに関係町村考え方によって、これが二つ組合になるということも起り得ると思うのですが、そういうことが起きても、そういう場合、結局二つ組合に分れても、目的が達せられればそれで差しつかえないということですか、ある区域内のものはこれは一本にまとめさせるというようなことですか、この黒いかがですか。
  81. 川村満雄

    説明員(川村満雄君) 利根川の例をとりますと、利根川ですと、たとえば右岸が切れますと、非常に広範囲水害区域が及ぶわけでございますけれども、それを利根川の右岸の全部事務組合ということになりますと、出動するのに非常に時間がかかりますので、その遠距離までは今のところ考えておらない状態でございます。
  82. 西田信一

    西田信一君 私の質問に対して御答弁がちょっと何かはっきりしないのですが、要するにある区域が適当と考えている——これが一つ組合であるならそれはけっこうですが、これが関係市町村考え方によって、A、Bという二つ組合になっても、そういう場合は差しつかえないと考えておられるのかどうか、こういうことを伺っているのです。
  83. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) ただいま申し上げました二十キロの範囲内のものは、一つに働いた方がいいわけでございまして、できるだけそういう方向に持っていきたい。それからもっと遠いものが、出動しないで利益を受けるのじゃないかという分については、水防法によりまして受益者負担をかけられるということでございまして、先ほど二十キロと申しましたのは、管理者が水防状況にも責任を持って立ち会えないというようなところを区域に入れても、ちょっとこれは目的を達し得られないということもございますし、また水防団が行って守るのにも、あまり遠いところが一つ組合になっておっても、また自分の近くに問題が起きたときにそういうものは使えないということになっても困るものですから、それも勘案いたしまして、大体二十キロが最大限度じゃないかというふうに考えております。
  84. 田中一

    田中一君 第二十六条のこの改正の要点は、事務組合になると、その団体区域が広まるから、二十名を二十五名に改めるという考え方なんですか。
  85. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) これは指定水防管理団体におきまして、諮問機関として置くわけでございますが、最近市町村の合併によりまして、市町村管理団体にいたしましても、非常に区域が広くなったという場合も考えられますし、また事務組合が、先ほど申し上げましたように、二百くらいは考えられるというようなことになりますと、そういうふうな規模の大きい団体が多くなるわけでございまして、この人数も一つふやしてもらいたいという意見が非常に強うございまして、そういう点からこういうふうに改正したいと考えておるわけであります。
  86. 田中一

    田中一君 町村合併をして区域が広くなれば、利害関係者の代表は一人でいいのですから、減るのではないかと思うのです。市町村単位にすれば、町村合併をして区域が広まってくれば、おそらく一市町村から一名出ればいいという考え方も成り立つと思うのです。ただその事務組合ができる、予防組合がある、いろいろあって、それで一区域一名が出せないという根拠から、二十五名にふやしたのか、そういう点、二十五名にふやしたということは、ただ、それらの該当市町村からふやしてくれと言ったからふやしたのだということだけでは、頼んでくれば五十をにしたっていいじゃないかということになるんですが、五名ふやしたという理由、根拠です、町村合併したならば減ったっていいじゃないですか。
  87. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) これは市町村にも置くわけでございまして、市町村自分だけで置く場合もございますが、事務組合にも置く場合が多いわけでございまして、その場合には今おっしゃることと反対でございまして、区域が広くなると、やはり区域が広くなっただけ、それに意見申し出る人間が多く必要になってくるわけでございましてそういう点からふやしたいということでございます。
  88. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) ほかに御質疑ございませんか。
  89. 中野文門

    ○中野文門君 他の人の御質問で大体了解をしたのですが、この三条の四の水防事務組合の議会の議員は、いわゆる兼職禁止には該当しないと思いますが、その点いかがでございましょうか。そういうことに相なりますと極端にいえば、選挙すべき当該市町村の議会の議員が、その議会の議員選挙することもできようと思いますが、その点はどんなものでございましょうか、一つお尋ねをいたします。
  90. 川村満雄

    説明員(川村満雄君) お尋ねの点は、この事務組合が、自治法にいう一部事務組合でございまして、同法の二百八十七条第三項の規定によりまして兼職を一般に許されておることになっております。すなわち、当該地方公共団体組合の議会の議員というのは、今の場合の議員でございます。または、その管理者その他の職員は一般に他の議会の議員の兼職もできますし、公共団体の長は他の議会の議員との兼職を許されており、そしてそれらを準用する場合においても許されておる。すなわち、一般に禁止されておる兼職をこの場合におきましては組合組織する公共団体の議会の議員と、もとの市町村の議会の議員の兼職を法律で許されておる場合でございます。
  91. 中野文門

    ○中野文門君 そこでお尋ねをいたしますが、結局これは組合規約で定めるところによるということになっておりますので、たとえばその定め方によっては、当該市町村の長が推薦した者を全然推薦のできないようなきめ方もできると承知してよろしゅうございますか。その点をただします。  これは第三条の四を拝見をいたしますと、その議員選挙方法原則として「関係市町村の議会において、当該市町村の議会の議員の被選挙権を有する者で」云々ということになっておりますね。さらに後段において「当該市町村の長が推薦した者のうちから選挙することができる。」と、こう書いてあるので、選挙することができるのであるからして、選挙しなくてもよいというふうにこの文章を読むと判断されるのです。従って、当該組合の規約で定めれば、市町村長の推薦を全然排除する規約を定め得るかどうかということをお尋ねするのです。
  92. 關盛吉雄

    説明員關盛吉雄君) 三条の四の条項の意味でございますが、効力でございますが、これは要するに事務組合の規約で定めるところの準則を規定いたしたのでございます。従って、ただいまの御質問のような場合がもしありといたしましても、それは不適当ではあるけれども違法ではない。こういうふうに申し上げることが適当かと思っております。
  93. 中野文門

    ○中野文門君 不適当というのがおかしいのです。これは、それぞれの組合の規約を定めるときの意思であって、ただこれは、準則として当該市町村の長が推薦した者のうちからも選挙することができるということを書いてあるので、不適当ということであれば、もう選挙すべしということに文章をおきかえられるのではないかと思うのですが、選挙してもよし、せぬでもよし、いわゆる市町村の長が推薦した者のうちから選挙することができる。その反面の意見としては選挙しなくてもよい。望ましいという意味であろうと思いますが、結局それは何ですか、組合規約でそういう市町村長の推薦云々の事柄がなければ、なくてもそれはそれで通るということでございますね。
  94. 關盛吉雄

    説明員關盛吉雄君) 要するに三条の四の本文のところは、いわゆる選挙せられるところの議会の議員の資格がこういう人であってほしいということを規定いたしたわけでございまして、ただし書きのところは、市町村長の推薦するところの議会の議員を選べる場合の例をしぼってあるのでございます。水防上の特別の利害調整する必要があるという場合における状況のもとにおいては、市町村長の推薦した者のうちから選挙せられる議員が出るということを規定いたしましたので、選挙することができる、こういたしたのでございます。従って、これらは要するに不適当と申しましたのが不穏当かもしれませんが、要するにこういう場合においてはそういう道をとり得るというふうに申し上げた方が正確かと思います。
  95. 中野文門

    ○中野文門君 かりにその場合、関係市町村からの議会が選挙する議員の数が、二十名とした場合に、市町村長が推薦した者の中から選ぶ数はその二分の一、いわゆる十名をこえてはならぬということになっておるようでございますが、かりにその場合、市町村が二十名の定員で十名を推薦した場合、あるいはかりに十名しか自分の持ち分はないのだけれども、十五名なら十五名を推薦して、その中から十名採るという場合もありましょうが、結局のところとして市町村長が推薦した者の中からやはり選挙するのですから、二十名の半数の十名を推薦して、その十名の中で半分適任と思って当該議会がこれを選挙して、半分を選挙せぬということもあり得ると思いますが、さよう解釈してよろしゅうございますか。推薦した者をそのままそれを選挙せんならぬという義務はないようにこの条文で見るのですがね。そういう点どうでしょう。これは大事なことと思いますが……。
  96. 國宗正義

    説明員國宗正義君) おっしゃる通り、推薦した者をたとえ定数一ぱいであっても、その半数だけ選挙することは可能でございます。
  97. 中野文門

    ○中野文門君 極端にいうと、組合規約の中の条文にもよりましょうけれども、推薦した者の中から選挙してもよいということでありますからして、当該議員数の半数をかりに市町村長が推薦をして、その全部をその選挙する議会が落した場合認めぬ場合もあり得てよろしゅうございますね。
  98. 國宗正義

    説明員國宗正義君) 今お示しのような例はきわめてまれな例と思いますか、そういうこともできる建前になっております。
  99. 中野文門

    ○中野文門君 わかりました。
  100. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 私簡単にお尋ねしたいのですが、実質的なお尋ねでありませんので、条文の形式について十分わかりませんので、お尋ねをしたいと思います。  第三条ですね。「市町村は、その区域における水防を十分に果すべき責任を有する。」と、市町村責任をはっきり書いてある。「ただし、水防事務組合水防を行う区域及び水害予防組合区域については、この限りでない。」これもわかるのです。ただ、形としてですね、水防事務組合水防を行う区域水害予防組合区域については市町村責任を負わないということははっきりしますけれども、その場合にだれが責任を負うのかということはこの条文でははっきりしない。前の条文の2ですか、「この法律において、「水防管理者」とは、水防管理団体である市町村の長又は水防事務組合若しくは水害予防組合の管理者をいう。」——管理者の定義は下してあるのです。常識的にさらさらっと読んでみるというと、市町村責任を負わない場合には水防事務組合なり、あるいは水害予防組合責任を負うのだ、こういうふうに思われますけれども、条文の形としてこれでは整わないのだという感じを持つのでありますが、どこか本法のいずれの部分にかその責任をはっきりした条文があるのですか。
  101. 關盛吉雄

    説明員關盛吉雄君) ただいまの御懸念でございますが、水害予防組合の問題につきましては、これは本法規定するまでもなく、水害予防組合法において、水害予防組合水防を十分に果すことを目的として設立するものであることを規定いたしておりますので、それで本法では重ねてそれを明記することを避けたのでございます。
  102. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 本法の方には市町村責任を負うという条文はないのですね。今、現在の法律では……。
  103. 關盛吉雄

    説明員關盛吉雄君) その通りでございます。
  104. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) それではわかりました。  御報告いたします。水防法の一部を改正する法律案は、ただいま衆議院から本院に送付されまして、本委員会に本付託となりました。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  105. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 速記を始めて。
  106. 田中一

    田中一君 建設大臣にお伺いしますが、実は御承知のように、われわれ委員会で一昨年だと思いますが、新潟港の問題並びに下流部の建設省の所管の区域の問題について視察に参ったのですが、これは大臣就任される前だったと思いますが、運輸省の方ではあの信濃川の河川区域を背割をしよう、そうして河口両岸並びにその日本海側の方の地盤沈下、決壊等を守ろうという考え方を持っておるわけなんです。そこで一面少し市街を離れた所に関屋分水という考え方があるわけですね。これは大臣よく御存じでしょう。関屋分水案というものを県が推進しているわけです。ところが、運輸省の方では背割をもってやっていこうという考え方を持っておる。なるほど関屋分水になりますと、これは建設省所管の大事業になる。そうしてこれは約四、五十億かかるんだということを言っておりますとそれから背割ですと、二十四、五億、半分ぐらいでできるんだと言っておりますけれども、アジアにおける新潟港、国際的な新潟港の役目というものは決してあれを背割にして相当な船舶がUターンもできないようなことになっちゃならぬということはもう明らかなんです。そこで、大臣としては視察もなさったでしょうから新潟港の将来に対してどういう考え方を持っておるのか。同時に、現在の地盤沈下、あるいは決壊等の現象から見て信濃川の河口部分の解決案というものをどのように持っておるかという点を伺いたいと思います。
  107. 根本龍太郎

    ○国務大臣(根本龍太郎君) 新潟港が現在でもいわゆる日本海方面におきましては最も重要な港湾を占めておるのでありまして、それにもかかわらず現在必ずしも十全ではない、むしろ御指摘のように地盤沈下の問題と下流の関係上かなりこれが現在問題になっておるのでありまして、私も就任直後に現地を視察いたしました結果、地盤沈下並びに総合的な施策をするためには建設省だけではこれはいけないと思いまして、運輸大臣並びに農業関係もありますので農林大臣に、私が視察した結果を連絡いたし、引き続いて事務当局が相連合して調査の上施策を進むべきであるということを閣議に報告しまして、その一応の措置をとったのでございます。  ところで、分水の問題については、これは地元においてもいろいろ議論がございまして、まだはっきりした見通しがついておりません。われわれの方としても現在研究中でありますが、この三省間の意見の統一をして後これは本格的にやらなければならぬと思って現在関係省と慎重に協議中でございます。
  108. 田中一

    田中一君 ただ問題は、市が中心となって考えておったところの考え方は、背割の問題を考えているようなんです。それから農林省並びに建設省の治水関係から見た場合には、その論議から見ても関屋分水に対する否定の態度はとっておらないように見える。  そこで、地元にも二つの審議会みたいなものがあるように聞いておるのですが、こういうものはやはり統合して地元の意思を、あなたの方でこれは統合できないでしょうが、もう少し大きな見地から調整しなければならぬと思うのですが、現にもうどんどん——原因は究明されておらないといいますけれども、究明というのは、原因がはっきりして結論が出ておらないといいますけれども、何らか方法をとらないと、これはいけないと思うのです。ことに明年を控えております知事選挙等にも関係がございまして、いたずらに反対だ賛成だというようなことがございますので、国土を守る建設大臣としてはこの際そうした総合的な調整をするような機関でも作った方がよいのではないか。同時にまた、港湾地区に対しましては運輸省がやっておりますが、関屋分水並びにその他については、それは一つ建設省の方でもって主導的に調査をするというような心がまえはございませんか。
  109. 根本龍太郎

    ○国務大臣(根本龍太郎君) ただいま田中さんから示されたように、私も実は現地に行きました際に、まず第一に地元の意見が非常に対立している状況では非常にやりにくい、そこで知事並びに市当局関係者が集まっておりましたので、この際にまず地元において新潟港の総合的な開発というか、整備という観点と、それからもう一つは農業関係、それから港湾関係、これらのものを調整する措置を講じてほしい、これに対応しまして、必要とあれば中央においても連絡協議会を事実上作ってこれは措置いたしたい、こういうふうに勧奨いたしておるわけであります。新潟知事は私に対しまして、そういう要請であるならば、十分に考慮するということになっておりまするが、まだ具体的な措置がきまってないようであります。  その次に、第二番目に御指摘になりました分水問題を積極的に推進する意図ないかあるかということでありますが、われわれの方といたしましては、治水の関係からしてはこれは現在も十分な関心を持って研究いたしております。ただし、この問題は御指摘のように港湾との関係でございまして、建設省だけでこれを推進し得ない所管の問題がございまするので、この点について先ほど申し上げましたように、三省連絡のこれは共同的な調査並びに施策の総合化をしなければならぬと思いまして、現在もなお事務当局同士の折衝を続けさせておる、こういう現状であります。
  110. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) ほかに御発言もございませんようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 異議なしと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  112. 坂本昭

    ○坂本昭君 私は、本日提案されました水防法の一部を改正する法律案につきまして、日本社会党を代表いたしまして、賛成討論をいたします。  御承知の通り、近年の異常天候に災いせられまして、水防活動の強化の必要がいよいよその重大性を認められて参りました。従いまして、今回水防法の一部を改正してこれが強化をはかりましたことは時宜を得た措置であると考えます。特に水防事務の公共性に基いて、市町村水防責任を明確にし、多数市町村にわたる水害予防の事務的総合的統一のために水防事務組合の結成を行わしめ、かつ、水防事務組合の議会の議員選挙を改めたことにつきましては、水防事務の合理化、能率の迅速化の目的において賛成をいたすものであります。しかしながら、改正法の実施に当り、厳重に注意をしておきたい点があります。それは、議員選挙の簡素化に名をかって非民主的な措置をしないことであります。特に市町村長の推薦する候補者をあげるに当りましては、地区住民利害を正確に代表する者を民主的に推薦し、いやしくも当該市町村長の独善にわたらぬよう、法実施に当って厳重なる措置と監督とを希望いたしまして、賛成討論といたすものであります。
  113. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) ほかに御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 異議なしと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  水防法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案の通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  115. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 異議なしと認めます。よってさように決定いたしました。  それから、報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とせられた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名    石井  桂  稲浦 鹿藏    西田 信一  田中  一    中野 文門  内村 清次    坂本  昭  戸叶  武    村上 義一
  117. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 本日は、これで、散会いたします。    午後三時三十八分散会