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1958-03-31 第28回国会 参議院 決算委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月三十一日(月曜日)    午前十一時十一分開会     —————————————   委員の異動 三月二十九日委員館哲二君及び千田正辞任につき、その補欠として小山邦 太郎君及び竹中恒夫君を議長において 指名した。 本日委員小山邦太郎君及び稲浦鹿藏辞任につき、その補欠として森田豊壽 君及び手島栄君を議長において指名し た。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     高野 一夫君    理事            仲原 善一君            平島 敏夫君            相澤 重明君            大矢  正君            奥 むめお君    委員            石井  桂君            手島  栄君            永野  護君            増原 恵吉君            松岡 平市君            松村 秀逸君            武藤 常介君            東   隆君            大倉 精一君            岡  三郎君            島   清君            鈴木  壽君            相馬 助治君            岩間 正男君   政府委員    日本専売公社監    理官      村上孝太郎君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    会計検査院事務    総局第五局長  上村 照昌君    日本専売公社総    裁       松隈 秀雄君    日本専売公社審    査部長     小川 潤一君   参考人    国民金融公庫副    総裁      石渡忠四郎君    中小企業金融公    庫総裁     坂口 芳久君    日本開発銀行総    裁       太田利三郎君    日本開発銀行理    事       管野 義丸君    日本輸出入銀行    総裁      古沢 潤一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十年度一般会計歳入歳出決算  (内閣提出)(第二十七回国会継  続) ○昭和三十年度特別会計歳入歳出決算  (内閣提出)(第二十七回国会継  続) ○昭和三十年度国税収納金整理資金受  払計算書内閣提出)(第二十七回  国会継続) ○昭和三十年度政府関係機関決算書  (内閣提出)(第二十七回国会継  続)     —————————————
  2. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ただいまから本日の決算委員会を開会いたします。  まず委員の変更を報告いたします。三月二十九日付千田正君、館哲二君が辞任竹中恒夫君、小山邦太郎君が補欠選任、本日付をもって小山邦太郎君が辞任森田豊壽君が補欠選任されました。     —————————————
  3. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 昭和三十年度一般会計歳入歳出決算昭和三十年度特別会計歳入歳出決算昭和三十年度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十年度政府関係機関決算書を議題といたします。  本日は午前中専売公社国民金融公庫、午後に中小企業金融公庫日本開発銀行日本輸出入銀行を審議することにいたしたいと考えております。  まず専売公社の部を審議いたします。検査報告批難事項は第二千百四十一号でございます。最初に会計検査院から概要説明を求めます。
  4. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 日本専売公社関係で、三十年度の検査報告に掲記してあります事項は二千百四十一号の不正行為であります。これは日本専売公社飯塚出張所及び仙台工場で、関係職員によりまして製造たばこ売渡代金製造たばこをほしいままに領得されたものでありまして、飯塚出張所の分が金額にいたしまして六百三十一万六千二百九十六円、仙台工場の分は八万三千二百五十六円となっております。  検査報告の二百八十七ページから二百八十九ページにかけまして、公社事業概要及び決算概要が記述してございますが、この点については、特に補足説明する点はございません。
  5. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 次に、専売公社側の御説明を願います。概要でけっこうです。
  6. 松隈秀雄

    説明員松隈秀雄君) 本件におきましては、福岡地方局飯塚出張所販売業務員製造たばこを持ち出しまして、ひそかに販売し、売り上げの伝票をごまかしておったと、こういうことでございまして、発見に至りますまでに時間を要しましたのは、木箱にたくさん詰まっておる中から持ち出したのでありまするが、木箱が非常にたくさんありまする関係上、発見が困難でございましたわけであります。年に一回木箱整理するというようなことでありますれば、もう少し発見が早かったと思うのでありますが、当時におきましては、いろいろな事情からして、そういうことは少しおくれておりましたわけであります。木箱の全部の積みかえ整理機会に中身が不足していると、こういうことによりまして発見をいたしましたので、不正行為のありました職員懲戒免職にいたしました上に、監督者である出張所長販売課長等をそれぞれあるいは降職し、あるいは減俸を命じ、そのほか販売業務員懲戒処分として戒告をし、また販売業務員厳重注意をいたしたということにいたしております。  なお、こういう事件にかんがみまして、先ほども申し上げましたように、木箱がたくさん積んであるのでありますが、これを少くとも年に一回以上積みかえをするということによりまして、からの木箱をあたかも製造たばこが入っているというようなことを誤認することのないように気をつけまして、今後この種の不正事件の防止に努めたいと、かように考えております。
  7. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 以上をもって説明は終了いたしました。御質疑のある方は順次御発言を願います。  なお本件に関しましては、向って右から会計検査院上村第五局長、大蔵省から村上専売公社監理官日本専売公社から松隈総裁、同じく小川審査部長が御出席になっております。  順次御発言を願います。
  8. 相澤重明

    相澤重明君 公社にお伺いしたいのですが、二千百四十一号の職員不正行為により損害を与えたものという中で、会計いたしますると、六百三十九万九千五百五十二円、うち三十一年度九月末現在補てんされた額が百十二万七千九百六十八円と、こうなっておりますが、残余の分については今日までどういうように処理されているのですか。
  9. 小川潤一

    説明員小川潤一君) 本件に関しましては、犯人は懲戒処分いたしまして、また刑事処分でそれぞれ刑が確定しておりまして、従いまして、残余関係は依然追及はいたしておりますが、懲収不能状態になっております。
  10. 相澤重明

    相澤重明君 懲収不能というのは、もうすでに退職をされてしまったからその人から取り上げる見込みはもう全然ない、こういうことですか。
  11. 小川潤一

    説明員小川潤一君) 契約だけは取るべき契約ができて、公正証書でできているのでございますが、片一方は服役しておりますし、片方は行方不明みたいな状態で、実際上取れないというような事実上の問題になって弱っているのでございますが。
  12. 相澤重明

    相澤重明君 そのほかに一つ事業損益の問題についてお尋ねをしておきたいと思うのでありますが、昭和三十年度のこの事業益金が二十九年度に比べて九十四億四千百余万円の減少になっている。これは二十八年、二十九年に私ども決算委員会専売公社決算をいたした際に問題になったのは、外国葉タバコ輸入の件でありましたが、この欠損額の多いということが一つ問題点、それから外国葉タバコについてその後どのように処分ができておるか、わかったらば御報告をいただきたいと思うのです。
  13. 小川潤一

    説明員小川潤一君) 欠損額は御承知のように大部分消費税の方の影響もありますけれどもたばこ売り上げが二十八、二十九年度に比してそれほど予定より伸びなかったというところから参りまして、はなはだ遺憾としているのでございますが、どうもたばこの売りの問題は、非常にいろいろ科学的な方法で予想を立てて予算を盛ってもらうのですが、いかにいたしましても、全体の売りが伸びないときは、よけいのませるということもできないので、こういう状態になっておりまして、従いまして、この予算成立のときには非常に慎重にやりまして、国に予定益金が入らないというようなことは絶対起きないようにと、自来慎重に予算成立にかかっておりますので、その後はこういうことはよほどの不況でもこない限りは欠損が生じるということはないと思いまして、それ以後ずっと益金予想以上に出ておりますので、この年ははなはだどうも予想と実際が狂ったことは、われわれとしても遺憾だと思っておるのですが、外国葉タバコのことに関しましては、いずれ総裁から御報告があると思うのでございますが、御承知のように日本たばこだけでは非常に香喫味が不足のために、最近非常に伸びておりますピースなどには二割五分ばかりアメリカ葉を入れざるを得ない状態となっております。この点は非常に多いようにお感じになると思いますけれども、全体として量が三%、ごく多い年でも原料葉の五%まではいっておりませんので、そういうわずかな葉っぱを入れることによって日本葉っぱが生きてくる、従って高級品が非常に伸びて、財政益金がそれだけプラスになるという観点で、できれば日本葉っぱだけでやりたいと思っておるのでございますが、そういう非常に明らかな利点がありますので、わずかな数量なら入れてもいいのじゃないかという方針で毎年若干入れておるわけでございます。
  14. 相澤重明

    相澤重明君 私のお尋ねしておるのは、二十八、二十九年度の決算の中で、当委員会において外国葉タバコの購入、いわゆる貯蔵量が多過ぎるのではないか、こういう点を私ども専売公社指摘しておるわけなんです。国内の農民の生産の問題と、それから外国から買わなければならぬ葉タバコの量と、こういうものを私ども外国葉タバコは全然買ってはいけないということを言っておらないので、これは良質のものを買ってもらうのはけっこうなことで、特にピースなんかは外国たばこと比較して決して劣りはしない、こういうことをわれわれ自身は確信を持っておる。しかし、二十八年度、二十九年度の決算をやってみると、どうも少し外国葉タバコ貯蔵量が多過ぎやしないか、こういう点を実は量目を上げて昨年度指摘しておるわけです。本年度、しからばお尋ねをしたいのですが、現在米国の葉タバコは何種類あって、そうしてどのくらいの貯蔵量を持っておるか、一つ報告を願いたいと思う。
  15. 小川潤一

    説明員小川潤一君) 二十九年度は確かに在庫量が相当多かったのでございますが、その後御承知のようにピースは非常に伸びまして、だんだん減りまして、国内一般葉っぱ在庫が約二年八カ月、三年近い分にならむとしているときに、外国葉タバコ在庫ピース用などは一年半ぐらいな手持ちになりつつありますので、むしろ少し公社としては不安な状態になっておるような状態になりまして、御指摘のような在庫過剰問題はその後解消いたしました。従いまして、現在の表をお出しいたしますれば、むしろ外国葉タバコ在庫量というものは、日本葉タバコにくらべまして減っているという状態になって参りまして、これは御指摘によって、われわれも注意した結果かとも存じておりますが、なお、外国葉タバコ種類その他に関しましては、日本葉タバコにも黄色種在来種バーレー種と大きく分けて三種類ありまして、その黄色種にも一等から八等、八等ないし九等というふうにグレートがあると同じように、アメリカにもグレートがございまして、日本アメリカから必要とするところを買っている部分は、日本でいえば黄良種一等から三等ぐらいの割合のところです。しかし、アメリカでは、ちょうどアメリカグレートからいきますと、日本では四等、五等ぐらいなところでございまして、まあ、中堅どころの葉っぱを買っております。あまりいいのはまたどうも味が薄過ぎて、少しこくのある中間のところを買っている状態でございます。
  16. 相澤重明

    相澤重明君 今あなたの答弁しているだけでは具体的な種類とか、あるいは量、数とかいうものは出ないわけです。今お手元にそういう数字がなければ、後刻決算委員会に資料として提出をしてほしい。これを一つ委員長から確認をしておいていただきたい。  それから、その次にこの事項の中でも、たばこ売り上げの中にだんだん上級品から下級品へ移行しているというのが三十年度の決算の中で指摘されておる。現在はどうですか。三十二年度の現状ではどんなふうですか。
  17. 小川潤一

    説明員小川潤一君) 現在では財政的にいうと、非常に理想的な状態の方に近くなって参りまして、いわゆる中級品的なものが非常に伸びて参りまして、下級品が、下級品と申していいか、いわゆる新生ですね。新生がこの年は五割以上行ったのでございますが、現在においては四割五分内外というところに落ちて参りまして、中堅どころのいこいが二割を占め、それから光とかパール、そういうものが合せまして約一割五分、それからピースが非常に先ほど申しましたような状態で伸びて参りまして、一割をオーバーする状況になっております。公社としては今の構成は非常にいい形じゃないか。なお、この中級品あたりがもっと伸びてくれれば、財政のためにも国民経済のためにもいいのじゃないかと思っております。
  18. 相澤重明

    相澤重明君 今のお話ですと、この二十九年から三十年にかけて、まあ、三十年度の今決算をしているわけですが、三十年度では下級品売れ行きがよかったために、全般財政状態としては少し足りなくなってきた。しかし、三十二年の現状においては、中級品、まあ以上といいますか、だいぶ売れ行きがよくなってきた。従って、収入は増加をしている、こう理解してよろしいですね。
  19. 小川潤一

    説明員小川潤一君) けっこうです。
  20. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと、この現状のままで参りますと、特に三十三年度の予算の中でわれわれが考えられるのは、専売益金地方税に若干プラスしなければならぬ、こういう面が考えられるわけですね。そういう点でさらに中級品以上の嗜好というものがよほど国民に好かれないと、これは期待が持てないわけですね。そういう点についてはどういうふうにしたら収益を増加させることができるかという点について、何か特別な構想があるのでありますか。
  21. 相馬助治

    相馬助治君 関連して。  相澤委員質問お答えになるのに関連して、私わからないから承わっておきたいと思います。これは本来なら大蔵委員会等において問題にすべき問題だと思うのですが、私はそういう機会がないので、かねて不思議に思っており、わからないからこの場を利用して聞かせてもらいますが、専売公社PRの問題、専売公社というものはどこかのものと競争して物を売っていくというものでなくて、そして、またたばこというものを青少年等に勧めるということになれば、財政収入からいうと好ましいかもしれませんが、国の全般立場からいえば好ましからざることになるわけです。従ってさっき部長が言われたように、無理にのませるわけにいかないと言われたが、まさにその通りで、ぜひそうなくちゃならないと私も基本的に考えるわけでございます。ところで私がお聞きしたいのは具体的なことなんです。専売公社ピースならピースというものを宣伝するという場合はわかるのです。いろいろな財政上また計画上ピースをうんと作った、ところが売れ行きが伸びていない、そこでピースというものを電車の中にまで掲げて歓心をそそってピースを売っていこう、これはわかるのです。そうすると専売公社の内部の在庫製造状況、その他からのPRの場合はわかるのだが、たばこはあなたのアクセサリーというような広告がされている、女にもたばこをお吸いという、こういうものに金を使っているということが非常に私どもにはわからないのですけれども、そういうPR専売公社の全部のいわゆる角度からはどういうふうな立場に立って、そしてどんな方向でおやりになっておるのか、基本的なことを承わりたいと、こう思うのです。  それから、これはお答えになってもらわなくてもいいのですけれども、あるキャバレー会場に私はしなくも、呼ばれる柄でもないのだが、はしなくも呼ばれて参りましたところが、そこの会場の名前を入れたピースをもらったわけです。私はこれはものの考えようで、専売公社も非常に積極的にものを考えて、そういう所へも進出してお役人様もこういうことで金もうけを考えてくれて、これは国家財政の面からいうとなかなかいい、いいといってはおかしいけれども、考えているなあと、こう考えられるのですが、あとまた別な立場からさびしいものを感じたのですね。これが何だということは申しませんが、そういうことなんかを含めて専売公社PRについての基本的なものの考え方というものは、何をやって、どのくらい金を使っているか、これを聞かせて下さい。
  22. 小川潤一

    説明員小川潤一君) それではPRの根本問題は総裁も見えておりますので、話していただくことにしまして、たばこを伸ばしていく手はどんなふうに打っているかというような御質問でございますが、だんだん世の中も落ちついて参りましたので、やはり品質をよくし、かつ、たばこというものはかなり嗜好品でございますから、見た感じ、手に取った感じをよくするためには包装なんかの点をよくしなければならないということで着々と考えておりまして、品質の方は御承知のように九五%は国産の葉っぱを使うのですが、またこれは悪いものも全部こなさなければならないので、どういうふうに組み合せてもそう格段の差というものはない。ただ香料とか、その他の問題は幾らか変えていき、かつまた製造段階で非常に緻密な操作をして品質をよくしていくということに心がけているのですが、包装関係ではかなり力を尽しまして、次々、場合によっては中級品までセロファン包みにしてみたいとか、あるいはあまり飽きられてきたデザインというものは、ときには変えていったらどうかとか、あるいはぐにゃぐにゃな紙箱をもう少ししっかりしたポケットに入れておいてもつぶれないようにしたらどうかというようなことで、着々変えつつございます。最近でも二十本入りのセロファン包みパールども相当しっかりしたものになっておると思いますが、ああいうことを次々計画しておりますので、われわれとしては、商売意識も大いに発揮したいと思います。PRのことは総裁の方から……。
  23. 松隈秀雄

    説明員松隈秀雄君) 専売公社PRについてお尋ねがございましたが、御承知通り専売公社公共企業体ということになっておって、公益性の面と企業体の面と両方ございます。この調和をはかっていくということは非常にむずかしいことでありますが、企業体といたしましては、企業の成果を上げるという、こういう責任を負わされており、ことに一方におきまして、専売益金あるいは地方たばこ消費税もあげるというような、大きな財政上の使命も負わされておりますので、たばこ売り上げの増進ということには十分注意を払って参らなければならないと考えております。御指摘のように専売事業でありますから、直ちに競争相手があるというわけではありませんが、やはり商品を製造して販売するという場合におきましては、販売努力によりまして、売り上げが増進するという部面は確かにあるわけでございます。一例を申し上げますれば、盆なり暮なりにおいて贈答にはたばこをと、こういうような広告をし、同時に化粧箱小売店に無料で配布して贈答の便宜に使わせておる。こういうような場合でありますが、これも広告をやった場合と、やらない場合では明らかに売上高が違っておる。こういうようなことが認められておるのであります。やはり品物を贈る者もちょっと何を贈ったらというようなことで考えに迷うような場合があるように思われます。そういうときに、たばこ贈答用というようなポスターを見るというようなことによって、それではたばこにしようかというようなこともあり得るわけであります。そうすると、もらった方はあるからついよけいに使うとか、あるいは出入りの人に気前よく分けてやるというようなことになって、消費の方も吸わない人にまで無理に吸わせるというわけではないが、少し消費も伸びる。こういうような点があるように思われるのであります。  三十二年においては、広告費として五千万円ほどの予算を認めてもらって使っておりますが、御承知通りたばこ売上金額は年額にして二千三百億円をこえる、こういうような金額でありますので、予算面に認められておる広告費割合というものはまあきわめて微々たるものである。でこの程度の予算を使って、そして広告をすれば、しただけの効果があるということであれば、やはり企業体としてはそういう面に意を用うべきではないか、かように考えております。ただ、ときどき広告の点について行き過ぎのようなことがありますので、そういう点は十分反省いたしたいと思っております。キャバレーにおきまして、ピースの箱をその店の広告を入れた特製の小箱に変えて客に渡しておる。こういうことは御承知通り広告用のために専売公社の特別な承認を受けて、小箱を自己の負担において製造して詰めかえるということは、広告の一種として公社も認めております。ただこの場合において、カフエー、バー等広告が少し広告本位に過ぎてあまり体裁上好ましくない、こういうものも出てきたことは事実で、先日ある新聞にはその点の攻撃が出ておりましたが、これは少し行き過ぎである。かように考えまして、そういう点については公社において認可の際、あまり体裁を害しないようにという方針のもとに注意をしたい、かように考えます。
  24. 相馬助治

    相馬助治君 きわめて懇切な答弁で、その点はよくわかりましたが、私が聞きたいと思ったことに、実はまだお答えをいただいていないのです。キャバレーでそういうたばこを出すということはいけないという前提に立っていない、それは売るためにはある程度やむを得ないだろうと、私はそのことを是認するものでございます。ただ私はあまり妙なエロチックな図案等は困ったものだと思うが、それは今総裁がおっしゃる通り、今後認可の際に御考慮いただければ、それはそのままおやりになってしかるべきだと思う。私は公共性企業性をどこでバランスをとるかということは、きわめてむずかしいと思いまするから、ここで四角四面な議論をいたそうとは思っていない。私が聞きたいのは、たばこはあなた——あなたというのは「貴女」と書いてあなた、「貴女アクセサリー」、あれだけはどうも私にはわからない。戦後総裁もお気づきだと思うのですが、顕著なことは若い女の子たばこを吸うこととビールを飲むことです。昔は若い女性があんなところで飲んでいるのは珍らしかった。それがどうですか、銀座四丁目あたりのビヤホールへ行ってみると四割が女です。それともう一つは若い女がたばこを吸っているということです。これはたばこは売るという角度から言えばそれは好ましいことですが、若い女子、やがて日本の母体となるべき女子が、十九、二十からたばこを吸い出すということは、これはきわめて好ましくない。きわめてざっくばらんに言えば、「たばこ貴女アクセサリー」と言って、何か妙な女の子たばこをくわえている、あの広告を見ると、率直に言って腹が立つのです。私は教員上りの議員ですが、そういう立場からだけでなく、これはいかがなものか、こういうふうに常に思っているのです。従って公共性企業性バランスをとるということはむずかしいということはわかるのでございますが、この若き婦女子たばこを勧めるということを目途としたことが明瞭であるところの広告なんかは、だめだとは私はきめつけませんが、いかがなものか、かうような深き懸念を持っておる。こういうことが国会でも議論にされたということを総裁一つ頭の中にとどめておいていただきたい。ここは財政をやるところですから、そのことにこれ以上深入りはいたしません。
  25. 東隆

    東隆君 私は禁酒、禁煙の模範青年なんですが、(「専売局から言うとあまり感心されないね」と呼ぶ者あり)あまり感心されない者なんですが、実はニコチンを専売公社が売っていることは問題にしませんが、例の肺ガンの問題ですね、それに関連してたばこに使っておる紙が問題になるそうですが、私は科学操作をして紙が問題になるのだというふうに聞いておる。そこで、できるだけ自然の繊維を使っておやりになったらどうか、こういうふうな関係で、これは国内で生産されるところの亜麻なんかは非常にいいのじゃないかと、こういうようなお話も聞いているわけです。そこでそういうことになりますと、そっちの面なんかも農業なんかと関係をして相当作り得るんじゃないかと、こんなことも考えるわけで、たばこそのものということじゃなくて、その肺ガンなんかの問題に関連をして、どういうふうにお考えになっているのですか、今の程度ではそういうようなものは問題でない、こういうお考えか、そんな点を一つお答え願いたいと思います。
  26. 松隈秀雄

    説明員松隈秀雄君) たばこと肺ガンの関係は非常にむずかしい問題でありまして、わが国においてもこれは捨てておくことのできない問題とかように考えまして、専売公社におきましても、中央研究所にたばこ研究の部門がございまするから、そこを中心として喫煙科学研究所というものを特別に設けまして、権威者を集めて、たばこと肺ガンの関係の研究に入っております。一方臨床的の面におきましては、ガン研究所に委託して、臨床的な結果の報告を得たいというので、これも依頼してございますが、いずれもまだ結論を得るに至っておりません。私はその方面はしろうとでよくわからないのでありますが、結局ガンになるというのは、三——四ベンツピレンという発ガン物質がもとになっているということでありまするが、これがたばこの葉の方にあるのであるか、あるいは紙の方にあるのであるか、あるいはその燃焼するときの温度に関係するのであるか、こういうようなことが、なかなか研究してみないというと、究極の結論は出ないのであります。かりに紙巻きたばこが原因であるといたしましても、紙巻きたばこだけがガンの原因であるか、他の原因が競合してくるかというような点も問題でありまして、アメリカの肺ガン発生率と日本の肺ガン発生率とでは非常に大きな開きがあります。ところがアメリカにおきまする紙巻きたばこ消費量と、日本の紙巻ただこの消費量では、もちろんアメリカの方が多いのでありまするが、その倍数はそう大きな開きがないのに、肺ガンにかかる率はアメリカ人の方がずっと多いということになってくると、そこらにもアメリカの葉と日本の葉と違いがあるかどうか、アメリカ製造たばこのライス・ペーパー、つまり巻き紙と、日本のライス・ペーパーとに相違があるのかどうか、こういう点まで掘り下げて研究しないというと、なかなか結論は出てこないかと、かように考えます。ただライス・ペーパーだけの問題に限局いたしますれば、やはり火のつき工合等からいたしまして、ある程度以上に繊維を使いたい、かようなことで現に繊維を使っております。ただオール繊維と申しますか、繊維だけで作るということにはまだ至っておりません。こういう点については、やはり中央研究所がありまして研究を続けておりますので、肺ガンの方の研究とも相待って、今後の改良は進めて参りたいと思っております。
  27. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 私から一点伺いたいのでありますが、外国たばこの、やみたばこの取締り状況はどういうふうになっておりますか。それは厳重に取り締っていただかなければなりませんけれども、その取り締りのやり方が、逸脱したやり方がしばしば起ることがあるんじゃないか。たとえば非常に人を侮辱した結果になる。そういうことを地方専売局の人たちが平気でおやりになる。そういう場面に私自身体験を持っております。たとえば例をあげますと、私は先般福岡の板付飛行場で正規の外国たばこ販売品の品物を買いまして、オーバーのポケットに入れて、そしてのんでおった。それで熊本の駅の改札口へ降りましたところが、しばらく私の体にくっついていろいろ探索しておったらしいのであります、あとで迎えの人から聞いて。私は全然わからなかった。自動車に乗ろうとしたところが、大ぜい出迎人がいる中で、こういうたばこを吸ってないかというから、吸っていると、こう言って私が何気なくオーバーのポケットからたばこを出した。これは正規の専売局の証紙が張ってある。そうしましたら、失礼しましたといって行きかけたから、ちょっと待てといって私が証明を見ましたところが、熊本の専売公社出張所の人でありました。こういうようなことが、これもやらなきゃならぬのだろうと思いまするけれども、どういう限度に取締り、監視をさせるようなふうに指令を下しておられるのか、これを私は伺ってみたいと思います。
  28. 松隈秀雄

    説明員松隈秀雄君) 外国たばこの横流れと申しますか、密売によりまして、公社専売益金がそれだけ影響を受けておるということは事実でございまして、ことに最近まではその一年間の犯則件数も相当多かったのでありまするが、だんだんに駐留軍の日本撤退というようなことになって参りましたし、また一方において経済事情がようやく落ち着いて参りました。それから先ほど来お話がありましたように、公社の製品であるピース品質等もようやく認識されて参りましたので、これらの事情が総合いたしまして、外国たばこのやみ売買というようなことも非常に検挙の件数が減って参りました。これはやはりその事実が減ってきたことがいきおい検挙件数の減になって参ったのではないかと思っております。
  29. 高野一夫

    委員長高野一夫君) いや、私の伺いたいのは、取締りをなさしめるについて、どういうような方法をもって、どういう限度で、必要によっては、これはやみじゃありませんか、これは正規の専売局の証紙を張った外国たばこですかどうかというようなことを取り締るのに、どういうような態度で、どういうようなところまではやれるように取締り方法を指示されているか、そういう点を伺いたいと思います。
  30. 松隈秀雄

    説明員松隈秀雄君) 取締りにつきましては、厳正公平でなければなりませんことはもちろんでありますけれども、一方において人権を侵害するというようなことがあってはなりませんので、そういうことについてはかねがね取締りに当りまする者を統べておる、つまり地方局の監視部長の会同等を催しましまして、取締りに従事するに当っては、その成果を上げることは必要であるけれども、成果を上げることにのみ専念をして、取締りの行き過ぎから反感を買って、かえって反感的な感情を持ってやみたばこの方に走るというような事態があれば、終局において目的を達しない、こういうことになりまするので、そういう点については十分注意するようにということはよく伝えておりまするのですが、ただ、まあ数多くの監視員のことでありまするから、中には行き過ぎの者がいなとは申しかねるのでありまするが、お話のような点のありましたことを何らかの方法で地方にも伝えて、今後注意いたしたいと思っております。  ただお話のような例だと、私もその方の詳しいことまでは知らないのでありますが、聞くところによりますると、専売公社の売っておりまするたばこを吸っておる煙と、外国たばこの煙とは煙の立ち方、におい等が違うらしい。そこで一応においとか煙から外国たばこであろうという推定をつけると、まあ多少尾行をするとかというようなことになると思うのでありますが、そのときその人の身分その他というものを早く確かめ、あるいは丁寧な言辞をもって現物を見せてもらって疑いを晴らすということによって、できるだけ迷惑をかけないようにするということは確かに必要だと思うので、今後注意すべきことだと思うのでありますが、一応は外観的な状況から疑いをかけるということも、これは取締りの任に当る者が発見一つの方法のようでありますので、そういう疑いがかかる場合があると思いますが、その場合においても十分に注意すべきことは申し上げるまでもないことと、かように考えます。
  31. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 私の言うのは、日本たばこを吸っておいて外国のやみたばこを吸っておるのではないかと嫌疑をかけるのではなくて、明確に外国たばこを吸っておったのです。専売局からお許しを得たそれを吸っておるので、従って外国たばこを吸っておることは明瞭にわかっておる。それをどういうような限度に疑いをかけて取り締まるかという問題ですね。非常にむずかしいと思うのですが、この点は十分一つ厳重に取り締ると同時に、逸脱した方法をとらないように十分指令を出しておいていただくようにお願いをしたいと思う。  もう一つ私は、先ほど相澤委員相馬委員からPR運動の話が出ましたが、キャバレー等はともかくとしまして、旅館が旅館の名前を入れた包装をしてピースならピースを用意をして、そうして客がたばこと言うと、それをお金と引きかえで客にたばこを与えるわけです。これはたばこの小売販売業とかというものとはどういう関係になるわけですか。たばこの小売販売を非常に圧迫する結果にもなるのじゃないかとも思うし、法規上の関係はどういうふうになっておりますか、それを伺っておきたい。
  32. 松隈秀雄

    説明員松隈秀雄君) ただいま御指摘のような旅館等におきまして、その旅館の名前を入れた包装小箱を作っておることは事実でございまして、これは一定本数以上作ると、そしてその意匠等について公社の承認を得るということのもとに実行しておりますが、その場合においては無料で客に渡すと、こういうことが条件で、販売をするというときにおいては違反であると、無料を条件といたしておりますんで、もし客から金を取るということであれば、法規上は許されないというように御了承を願いたいと思います。
  33. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 私はそれは無料であったか金を取ったか、あとで総決算して金を払ったんですからわかりませんけれども、そういうことであれば調べてみますが、全部が全部無料でくれるかどうか、これは疑問だと思いますが、十分一つこれもお調べおきを願いたい。  もう一点伺いたいのは、この報告の中にショウノウ事業、これも損失になっております。その後大蔵省の関係ですか公社関係ですか、知りませんが、クスの苗木栽培がだいぶ行われて、あれも時価で払い下げられるのか、無料で植林材料に提供されるのか知りませんけれども、その後ショウノウ事業による損失が今後において十分補てんされていくようなふうになるものでしょうか。今後の計画はどういうふうになっておりましょうか。いずれ三十一年度のときに伺いたいと思いますが、ここに書いてありますので、ちょっと伺っておきたい。
  34. 小川潤一

    説明員小川潤一君) ショウノウ事業は専売公社としては非常に規模が小そうございまして、全体で十億内外の商売でございますが、毎年二千万円、五千万円、あるいは九千万円というような、一億足らずの赤を出して、収支とんとんを目途にしなければならない塩会計、あるいはショウノウ会計は非常に困った問題だと思っておりますが、その大部分は、どうしても従来からショウノウ事業にタッチしている人間の数も急に減らすわけにいけない。商売の規模が減ったにかかわらず、人間の数は急激に減らせないという問題もありますので、これは内部的にできるだけ整理をして、規模が小さくなったら、小さくなったように応じてショウノウの関係の人間をほかへ回すということによって、赤字を逐次減らし得るという見通しで、ことしなどは赤字が約五千万円内外にまで、わずかでございますが、それでも前年より二千万円、その前の年よりも三千万円というように、逐次減少させていく方向をとりつつあります。従いまして、ここ二、三年のうちには収支とんとんの会計までは持っていけるのではないかという、まあ経理当局としては見通しを持っております。
  35. 高野一夫

    委員長高野一夫君) もう一つ伺いますが、クスの栽培奨励、ショウノウ事業の奨励というようなことを公社でおやりになっておりますが、それはただもう成り行きにおまかせになっているのですか。苗木の栽培なんかおやりになっていることは、クスの栽培の奨励をおやりになる方針だと思うのですが、どういうふうになっておりますか、その点だけ。
  36. 小川潤一

    説明員小川潤一君) その点実に問題がありますから、新年度の予算からはクスの造林というものをやめました。作りまして、ものになるのが三十年ないし四十年後でありますし、そのころに果してショウノウの木から取ったクスの油が、ショウノウ関係として役に立つかどうか非常に疑問もありますので、クスの造林勘定というものは一つ本年度はやめてみようということになりまして、現状維持のラインでいくというような程度に、これからそういう面に金を投じ、新しく拡大していくということは中止しようという方向にいたしました。
  37. 相澤重明

    相澤重明君 あと二つ、三つで終りたいと思いますから……。  二十九年度の公共企業体合理化審議会の答申は御承知通りだと思うのですが、このたばこの主要製品の一個当りの原価と定価との差額を明らかにするようにということを言われておったと思うのでありますが、三十年度についても、そういうことを具体的に述べられておらぬようですが、このことはどのようにお考えになっているか、一つ総裁からこれは御答弁を願いたいと思います。
  38. 松隈秀雄

    説明員松隈秀雄君) 公共企業体としての企業成果を上げまするためには、この予算原価を基準にいたしまして、実行面においてその予算原価以上に収益が上ると、こういうような努力をすべきことは当然でございまするので、公社といたしましては、審査部の活動によりまして、この原価計算を行いまして、それに基いて各工場、あるいは販売面において、収支の関係が、収益を予算原価以上に上げるという方向に向って努力をいたしている次第であります。
  39. 相澤重明

    相澤重明君 会計検査院お尋ねをしたいのですが、ただいま総裁に私が指摘をしたように、二十八年、二十九年というふうに、決算委員会においても、この公共企業体合理化審議会の答申については、予算関係書類及び決算関係書類において主要製品の一個当りの原価と定価との差額を明らかにする方法をとるようということを、次回からはなお一つ励行するようにということを言われておったわけです。それについて今回のこの専売公社報告決算書の中にそういうものが見えておらぬのであるが、会計検査院としては、この問題についてどのように考えておったのか。会計検査院一つ御回答を願いたいと思う。
  40. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 決算関係書類には現われておりませんが、われわれ検査する場合に、実際の各製品別の原無がどういうふうになっておるかということと、それからまあ能率を上げるために一定の標準を各工場におきまして持ってやっておるわけでありますが、その結果がどうなっておるか、それからその差が出ておる場合は、どういう原因であるかというような点を、検査院としては一応見て参っておるわけございます。
  41. 相澤重明

    相澤重明君 これは会計検査院も、当委員会等で指摘をせられた事項については、次年度の、いわゆる新年度と言いますか、そういうときの決算の検査を行う場合には、やはり関係省庁に対して、あるいは公社に対して、そういう点を指摘をしていかなくてはいけないと思うのです。特に専売公社の方としては、先ほどの松隈総銭の答弁だけでは、これは納得できない問題であって、公社側としては一体この問題についてどういうふうな意見を持っておるのか。決算書に添付をすべきことになっておるのだが、それらが添付されておらぬということは、そういうことはもう必要でないのだ、まああれはただ聞いておりゃいいのであって公社側としては、そういうことは問題にしておらぬ、こういう考えなのか。それとも、まあそういう点については若干まだ検討しておるからと、こういうことなのか。その趣旨を一つ明らかにしてもらいたい。
  42. 小川潤一

    説明員小川潤一君) 実は合理化審議会の結論では、私はそのときにまあお守り役をやっていたので、経過をよく承知しておるのでございますが、原価部門と利益部門が渾然と一体となって分れずに、専売公社が幾らもうけても、皆国に持っていかれてしまう、これでは企業体として話にならないので、税金、消費税相当部分と、あるいは公社の利益が、努力によって利益が出た部分とを分けたらどうだという非常に強い御主張があったのですが、委員の一部の反対があって成立しなかった。そのときに妥協論として、それじゃ予算書に少くともその原価部門の内訳をはっきりしておけば、あとで決算でそれを見たときに、どれだけ公社の努力によって利益が上ったということがわかるから、もうそういうことでいこうじゃないかという結論が出たわけです。従いまして、その予算書にそれを書くことは自来ずっと励行しております。それからまた決算においても、われわれはそういう面で絶えず見ておりまして、昨今いろいろ問題になっております業績賞与その他の問題で大蔵省と話し合いをするときは、いつもそういうものと比較して、われわれはこれだけ努力したのだから、少し色をつけてくれとかというような問題はやっているわけなんで、実際利用しているわけなんでございます。また公社といたしましても、そういう方向にだんだん制度を持っていっていただきたいなということは、総裁以下われわれ皆思っているわけです。しかしこれに対しましては、大蔵省その他はまた別のお考えがあるかもわかりませんが、公社としては、この利益部門と消費税部門を分けていただいた方がはっきりするという気持で皆おります。
  43. 相澤重明

    相澤重明君 それでは次に、この塩事業関係の点について、やはり公社がしょうゆ製造業者等に売り渡す塩については、形式上塩元売人を通じて出すことになっておるのだが、この売買差益等の点から考えると、実際にはこの製造元におろす場合には、何も元売人を通じなければならぬという理由はないように考えるのであるが、その間無理にこの手数料を取らせる、差益金を与えるというようなことが議論になって、二十九年度に指摘されたこともあなた方知っておると思う。その後一体公社としてはこれの是正措置というものはどういうふうにお考えになっておったか。その点の御報告をいただきたいと思う。
  44. 小川潤一

    説明員小川潤一君) 二十九年度はなるほど問題になりまして、その問題はわれわれとしてもできるだけ消費者に迷惑をかけない、ただ眠り口銭ばかりとっているということはやめなければならないのじゃないかということを研究したのでありますが、何せ、すべての商売というものは、メーカーと卸し、小売というものがございまして、現在のこういう経済組織では一挙にそれを排撃するということは、いろんな面において無理がある、手数がかかる。そういうことをやれば公社に何人人がいても切りがないという現実の問題にもなりますし、また御承知のように、紙の業界などははっきりメーカーから絶対に売らないというようなことになっております。その他一般の事業においてもメーカー、卸し、小売というものは現在の経済組織ではやむを得ないんじゃないかという原則論がございます。われわれの塩の商売も同じように元売、小売という段階を通って今日までやっておるのでございますが、あまりの大口は直接に売り渡してもいい、こういう規定も作っております。しかし、その場合でもやはりそういう経済組織を一応是認いたしまして、まあありていに言えば、眠り口銭になるかもしれませんが、やっぱり口銭を元売に払ってやる、こういう建前をとっているわけです。従いまして、私らといたしましては、その手数料そのものをやめて直接売りということよりも、むしろその手数料ができるだけ少くなるように監督をしていったらいいじゃないかという観点で、その元売りを通さないで直接売るということは、果してこの現在の経済組織上どんなものかなと思う。これをやりますと非常に混乱して参りまして、なるほど一ケースには得かもしれませんが、それによってその元売制度というものが崩壊していきますから、結局そういう仕事を専売公社がまた拡大していかなければならない、回り回って、結局横になるのじゃないかという考えを持っております。
  45. 相澤重明

    相澤重明君 これはあなたは国会議論されたことを、ただそういう経済機構の中における一つの現象面だけをとらえて言っておることであって、国会の論議の真の意味というものを私は理解をしておらない証拠だと思います。何も専売公社一般の民間の事業体じゃないのだから、国民のいわゆる税金によってまかなわれ、あるいはそれを今度は公共企業体として発足する場合には、国民にできるだけ安いものを供給をするというのが専売公社の本来の使命でなければならぬはずです。製造元からそういう醸造元へじかに取引をするということになれば、中間の元売人というものにマージンを取らせないということになりまして、それだけ安くなることはこれは明らかなんです。ただ民間の紙業者にしろ、あるいはパルプにしろ、いろいろあるでしょうが、そういうものの経済機構の場合は、公社とか国有というものとは別なんじゃないか。それをただ単にそういう言葉で表現されると、これはもう国民に対する私ども国会議員としての立場の審議というものを無視される形になる。だからそういう点は、あなたの答弁は慎重な答弁をされていると思うのだけれども、少くとも指摘されておることについて十分検討されて、あらゆる面において各方面の意見というものを聞いて、そうしてなるほど専売公社としてはこういうあり方が正しいのだということを、世論にも訴えるようにしなければ私は意味がない。だから二十九年度のその指摘事項であるけれども、三十年度の場合は専売公社としては、今あなたの言ったように、どこのそれでは公聴会なら公聴会、あるいは諮問機関なら諮問機関、あるいは政府の機関なら政府の機関と話し合った結果、こういうふうになったということは報告なくて、単にあなた一部長の私見によってそういうことを国会に表明されては困る。そんなことが国会指摘事項の中に答弁されては私は困る。もっと誠意を持ったやはり答弁というものを私は欲しておるわけです。  これは総裁お尋ねしたいのだが、あなたは一体国会の審議というものについてどのような見解を持っておるか。これは一つあなたはその意思を表明して下さい。
  46. 松隈秀雄

    説明員松隈秀雄君) 国会の審議を尊重すべしということについては、何ら異論を持っておるものではございません。ただ、ただいまの具体的な問題になりますると、公社といたしましても検討はいたしておりまするけれども、遺憾ながらなかなか波及するところも大きいし、結論もその具体的な問題からさらに一般の問題に波及するおそれもありまするので、結論を得ておりません関係上、おくれておるというふうに御了承願いたいと思います。
  47. 相澤重明

    相澤重明君 それならいい。そういう答弁ならいいのですよ。
  48. 東隆

    東隆君 これははなはだ何ですが、パチンコ屋とそれからたばこの小売をやっているところの関係ですね。それはどういうふうに専売公社の方では割り切っておられるか、それをお聞きしたい。
  49. 小川潤一

    説明員小川潤一君) 御質問の意味はどういう点かはっきりいたしませんが、要するにパチンコ屋はあれだけ数多く扱いますから、場合によっては一つの小売人みたいに考えていはしないかというようなお気持と思いますが、この点は公社としてはそういうふうに考えておりません。やはり最終消費者といたしまして、小売人から買っていただくという形をとっておりまして、従いまして、公社からいわゆる手数料に相当する、今すべての製品について八%でございますが、八%を四分くらい引いてパチンコ屋へやれというようなことはやっていないわけです。
  50. 東隆

    東隆君 実はこれはなかなかむずかしい問題になろうと思うのですが、実際はおそらく小売商人が手数料に相当するものを出していると思う。ただ、パチンコ屋を通して今度は賞品で当ったものがまた回収されたりいろいろな問題も出てきておるので、そういう問題をどういうふうにお考えになっておるか。私はその辺に問題があろうと思うのです。
  51. 松隈秀雄

    説明員松隈秀雄君) パチンコ屋と小売の問題は、表面の理論の問題と現実の問題とに幅がありますので、非常にむずかしいのでありますが、大口な消費者と認められるようなものに、小売の許可というものを与える、こういうことになってくると、一般の小売制度もくずれて参る、こういう点に問題のむずかしさがあると思うのであります。現実はただいま審査部長説明しました通り、パチンコ屋さんは小売屋さんから消費者として買う、こういうことになっておりまするので、小売屋さんがパチンコ屋さんに、きめられた値段を割り引いて売り渡したというような形になると、やはり専売法規の違反だといって責められることになる建前になっております。それから、パチンコ屋さんが客から賞品で当ったものを買い取るということも、やはり専売法規の上からは違反ということで、そこに取締りの関係が起るわけであります。現実の問題とすると、パチンコ屋さんが非常に数が多いものですから、取締りが、監視も徹底して行われているかというと、そうばかりとも限らない。それからまた地方によって多少取締りが相当いっている所と、そうでない所があると思うのでありますが、現に取締りがだんだん行われてきている地方あたりでありますると、たばこはもう当った人から買い上げても問題だし、また小売人から安く買っても問題だということで、たばこの方をむしろ避けまして、安全かみそりの刃、あれの方が一定価格を表示するやりとりの代替物としては、そういう取締り法規に触れるというような点がなくて安全だというので、そちらの方に方向を変えておるパチンコ屋さんなんかもあるように聞いております。これはまあ今後も研究して参らなければならない問題だと思っております。
  52. 東隆

    東隆君 私はそうまでしてたばこを売る必要はないという考え方を持っておるわけです。そこで、今お話があったように、専売品をあすこのものに使わないぐらいなことぐらいはやってもいいんじゃないか、こういう考え方なんです。その点は今お話がありましたが、それを積極的にお進めになる意思はございませんか。
  53. 松隈秀雄

    説明員松隈秀雄君) 現在、パチンコ屋において現実に扱われているたばこ、ことにそのたばこは上級たばこピースでありますので、これを公社がそういうところで扱うことをやめにすると、そういうことのためには、小売人に向ってパチンコ屋であると認められるような者が買いに来たらば、それには売らないようにと、こういう指図をせなければならないかと思うのでありまするが、そこまで踏み切るということについては、たばこ消費の全体の趨勢を考えて慎重を期さなければならない問題であり、実行する場合においては、公社としては正直に申して、ある程度売り上げの面における痛手じゃないかと、かように考えております。
  54. 東隆

    東隆君 私は法律ができて、そしてそれが履行をされないでおると、こういうことは非常に残念なことなもんですから、その法律が履行されることができないのならば廃止をした方がいいと思う。従って、法律の網をくぐってやるような、そういうようなことを少くとも専売公社の品物についてはあってはならないと、こういう考え方に立つもんですから、従って、そういう遠慮をされなくても、パチンコ屋を通さなくてもたばこの必要量は売れていくのじゃないか、こういう考え方を持っております。この点は一つ今後お考えを願いたいと思います。
  55. 島清

    ○島清君 今のパチンコ屋がピースなどを主にして、それを景品として扱っておるという問題について関連しますが、実際はまあ小売店を通じて購入しているようですが、一般の最終の消費者が買いまする値段と、パチンコ屋さんが買いまする値段は若干違うようですね。これはまあ大量に買うから安くしているのかもしれませんが、専売品のようなものの値段は、最終的にはくずれてはならないものだと思うのですが、大量の消費者であるからというので四十円のピースですか、それがあるいは三十五円になったり三十八円になったりというようなことで取引がなされているようですが、こういうことについては法律上はどうなるのでありますかな。
  56. 松隈秀雄

    説明員松隈秀雄君) 現在の専売法規の建前から申しますれば、大量に小売人から買い取る場合においても、定価販売を小売人はすべきものである。従って、定価をくずして売っているということになれば、専売法規の違反ということになります。現にそういうことがわかりまして取調べを受け、その処分をせなければならぬと、こういう事件報告も受けておるのであります。
  57. 島清

    ○島清君 これはまあパチンコとたばこ小売店との問題ではないのですが、戦前は日本たばこがかなり香港、さらにアジア方面に行っておりましたですね。ところが戦後は非常にまあデザイン等が悪くて、海外の進出がそうないわけですね、葉タバコの輸出はやっておられるようですが。そこで貿易の関係からいたしましても、たばこの輸出を盛んにしなければならない。ところがデザインが悪くてたばこが海外に進出しないと、こういうことで、何か聞くところによりますというと、香港あたりでデザインをするたばこを何か特別に専売局の方で施設を作ってくれたならば、かなり日本たばこの輸出が可能じゃないかと、こういうようなことも耳にする場合があるのですが、こういうようなことの具体的な話があったり、あるいはあった場合にどうされるかなどというようなことについて論議されたことがあるのですか。
  58. 小川潤一

    説明員小川潤一君) 実は私昨年——一昨年になりますか、香港に行って参りましたので、私から申したいと思いますが、製造たばこの輸出に関しましては、戦前もさほど伸びておりませんし、戦後もいろいろやってみておるのでございますが、沖繩を除いてはまあほとんど出ない。どうして出ないのか、公社としてもいろいろ研究しておるのでございますが、一番大きな原因は何といっても、出すときは御承知のように四十円のピースでも各国まあ原価で出すわけでございます。たとえばうちの場合では十五円で出しておるわけです。それにその輸入した国がそれぞれの税金をまた二十円なり三十円なり課して売っている。そのときの税金のかけ方がまあどっちかと言えば、自国のものに有利にやりますので、政治的、経済的に、原料の葉っぱの問題と違いまして、製品は定価のうちの大部分が税金になりますので、勝手にそいつをコントロールされてしまう。特に香港の場合などは英国系統のとこから入れる品物と日本その他から入れる品物では、もう税金に明らかに差をつけておりまして、ただ品質とかデザインだけではどうも競争的な立場に立てないというような問題が伏在しておるように会社では思っておるのでございます。しかし原料葉タバコはあれだけ出るので、製品が出ないはずはないというので、なお一そう今後もやってみようということで、ことしからまたいろいろな手を考えて、宣伝その他の方法でやってみようとは公社としてはいたしております。  なお、香港でも今御指摘のありましたような問題がありまして、実は日本ピースのような、あんな紫みたいなのでは、日本ではいいかもわからないけれども、向うではとても引き立たないと、なるほどたばこ屋に行きますと、世界各国の——大部分がまあアメリカの品物でございますが、並んでおりまして、あのピースを並べたのじゃ、どこに並んでいるのかわからないような感じになっている。従いまして、この日本の商品を扱っておりました香港の輸入業者が、こいつを赤いピースに変えてくれということで、あの紫のところをまっかにしたのを注文して参りましたので、二年前にそいつをやって赤ピースとして向うの要望に応じるように作ってやりました。しかしその後の様子を見ておりますと、やはり伸びません。単に模様を変えた程度ではどうしても伸びないので、どうしてそれじゃアメリカのは何で伸びるのかというと、やはり向うの軍が来て、そういうアメリカたばこでなければいかぬという習慣を植えつけた、それが一番大きな影響になっているのではないかと思うので、われわれその問題で悩んでおるわけです。
  59. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ほかに御質疑はございませんか。——別に御発言もなければ、専売公社の部第二千百四十一号の質疑は以上をもって終了したものとすることに御異議ございませんか   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めまして、さように決定いたします。     —————————————
  61. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ただいま委員の変更がありましたので、この際御報告申し上げます。稲浦鹿藏君が辞任し、手島栄君が補欠選任されました。     —————————————
  62. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 次に国民金融公庫の部を審議いたします。検査報告書には第三百五十六ページに掲載されてあります。まず会計検査院から概要の御説明を願います。
  63. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 国民金融公庫に関しましては、検査報告の三百五十六ページから七ページにかけまして、業務及び決算概要のほか、二十八年度決算報告に記載しました事項について、その後の状況を記載しております。すなわち二十八年度の検査報告におきまして、公庫の代理業務委託契約には、委託金融機関は取扱いの委託を受けた普通貸付の貸付金が回収不能となったときは、公庫に対しその回収不能金額の半額を補償しなければならないと定めておられますのに、補償する時期が明確でないため、貸付金の償還期限等を著しく過ぎていても、実際には補償させた事例を見ない状況でありますので、改善を要望したところでありますが、その後三十年五月、代理業務契約の一部を変更されまして、最終弁済期到来後一年を経過したものについては元金及び利息の半額をかわって弁償させることに改めておられます。  以上で説明を終ります。
  64. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 次に国民金融公庫から概要の御説明を願います。石渡副総裁
  65. 石渡忠四郎

    参考人石渡忠四郎君) 国民金融公庫の三十年度における貸付の概要を申し上げます。国民金融公庫といたしましては、三十年度中に三十四万件、四百九十三億の貸し出しをいたしました。その中で一番おもなものは普通貸付でございまして、四百四十一億、それからその次に大きいのが恩給担保の貸付でございます。これは四十億貸し出しいたしました。そのほかはごくわずかになっております。更生資金の貸し出しは四億七千万円、これは延滞が多いものでございますから、思うように回転いたしておりません。それで貸付の総残高は七十三万五千件で四百七十七億になりまして、前年度末の残に比べますと、七十三億ふえまして、その七十三億はどうしてふえたかと申しますと、政府の出資を五億円いただきまして、それから資金運用部から借り入れの純増加額が六十六億円ございまして、そのほか利益金がふえまして七十三億円貸し出しがふえたわけでございます。  次に今の代理所の補償債務の履行ということについて御説明申し上げます。三十年五月十五日に代理所と契約いたしまして、急に即刻金を弁済させる、延滞金の一年以上経過したものについて即刻弁済させる、補償させるということもあまりに急でございますので、一年間猶予いたしまして、三十一年五月十五日に補償分を弁済させまして、それが五千件で一億五千万円に上っております。それから次の年三十年度中には一千件、三千七百万円弁済させました。御趣旨の通り実行いたしております。それから延滞のことでございますが、延滞は昭和三十年度以降漸減いたしております。三十年度におきましては金額で延滞率五・五六%ございましたのが、三十一年度末で三%、これは普通貸付の延滞が五・六%から三%半、それから五十二年の九月におきましては三・三%に減っております。この普通貸付の方は延滞が比較的少く非常にいい調子にいっておると思っておりますが、更生資金については、これは何とも非常に困っておるのでございますが、三十億の貸し出しのうちの大体八0%が延滞になって焦げついております。それでそれについて従来いろいろ検討いたしたのでございますが、とにかくもう少し回転をよくするように最善の努力をする、今、利用者の方々の方へ猛烈に督促いたしております。督促いたしても見込みないのじゃないかというのが大体五億八千万円くらい、これは非常にあらい見当でございますが、更生資金については遺憾ながら五億八千万円くらいむずかしいのじゃないかと今考えておるのでございます。もっともこれもできるだけ詳しく調べて、もう少し減らすように努力いたしております。更生資金の延滞の中で比較的むずかしいと思うのを分類いたしますと、どこかへ行ってしまった行方不明、それから死亡、公けの保護を受けておる被保護世帯、この行き先の不明が一番多いのでありまして、これが大体非常にあらい見当で四億五千万円ございます。それから死んだ人三千六百万円、保護を受けておるのが九千二百万円ございます。今五億円動いておりますし、大体この五億円がむずかしい、あとの二十億円くらいについては、もう少し実情を調べて回転をよくするように目下努力しております。そういうふうな実情でございます。
  66. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 以上をもって説明を終了いたしました。御質疑のある方は順次御発言願います。  なお、本件については、向って右から会計検査院上村第五局長参考人として国民金融公庫の桐生経理部長、同じく参考人石渡副総裁、なお大蔵省銀行局から磯江特殊金融課長が出席されております。順次御発言を願います。
  67. 東隆

    東隆君 私はちょっとお伺いしますが、貸し出しをする場合の金融機関ですね、この中に信用組合が入っておりますが、これは農漁村の方は、これはほとんど触れておらないようですが、そっちの方面も私は問題があろうと思う。その面はどういうふうに国民金融公庫はお考えになっておるのですか。
  68. 石渡忠四郎

    参考人石渡忠四郎君) 現在信用組合は、みんな市街地の信用組合だけでございます。それで、農漁村の相手、これは農林漁業金融公庫の、農林中金の方の関係じゃないかと思っておるのでございますが、こちらの方にはそういう御相談をあまり受けておりません。
  69. 東隆

    東隆君 農漁村の方も広げることできるのですか。というのは、これは金融機関の中では実は一番零細のものがこれに助けられておる。私はそのことをよく承知をしておるので、農林漁業金融公庫というのは、これはもう相当大きいものばかり対象にしている。そこで、これは非常に多方面に金融をすることができるので、たとえば幼稚園のようなものを私で経営をするというような場合に資金がほしい、こういうような場合にも実は見ようによっては公庫からも出し得る、そういうような例も私は承知をしておりますが、そうすると、この関係のものは何も市街地だけでなくて、もっと農山漁村の方に広げることによって相当これを活用しなければならぬものがあると思う。それは協同組合の資金では何ともいたし方がない、それから銀行、その他はもちろん問題にならぬ、そういうような場合に、農業協同組合、あるいは漁業協同組合を通して資金の融通をする、こういうような面が相当あってしかるべきじゃないか、こう考えますが、その点はどうですか。
  70. 石渡忠四郎

    参考人石渡忠四郎君) この農業の資金、水産業の資金、いずれも出していけないということはございませんので、出しておりますわけでございまするが、何分資金量が非常に少いものでございまするから、あまりに方々へ分けないように従来いたしておるわけなんでございます。しかし、それじゃいけないということでございませんので、農漁村の信用組合さんでも、まあ内容が堅実であれば、相当資金量もあり、相当堅実にやっていれば、私どもの代理業務を扱わせないということはないわけでございますが、大体において、農漁村の信用組合も非常に弱体と申しますか、規模があまり小さいものでございますから、御相談に応じられないという場合が多いのであります。多少は従来ともないわけではないようでございますが、大体においてそういうふうな少し弱体過ぎる、もう少し基礎のあるというものがほしいわけでございます。中で非常にいいのがございますればやります。
  71. 東隆

    東隆君 貸し出しの最終の対象は個人なんでしょう。従って、その個人をやっぱり握っておるものは農山漁村では協同組合が握っておるわけです。銀行は全然関係がない。組合がよければよいほど銀行は関係がない。そういう関係になっておるので、   〔委員長退席、理事平島敏夫君着席〕 農山漁村の方にも伸ばされて、そうして農山漁村におけるところの、零細なものに対して、副業であるとか、そういうようなものを進める資金なんかは公庫の金融、そういうようなものが非常に大切じゃないか、こう考えますが、今のお考えになっておるような、零細な組合だから、だからそこを通して金を出さないのだ、こういう考え方は、かえって逆な、国民金融公庫そのものの考え方からはだいぶ離れたものになるのじゃないか。大きなものでなければ扱わないのだ、代理業務はしないのだ、こういう考え方じゃなくて、協同組合というものも通して資金が出せるのだ、こういうふうになれば、農業協同組合あるいは漁業協同組合を通して資金が流せるのだ、こういうことになれば、協同組合で資金を出し得ないような、そういうどうしても更正させなければならぬ、こういうようなものを十分に救い得る可能性が出てくる、国民金融公庫としての意味が十分出てくるのじゃないか、こう考えますが、この点はどうですか。
  72. 石渡忠四郎

    参考人石渡忠四郎君) その代理店たる信用組合が弱体でも、そうまあ弱体といわずに、借手がしっかりしておればいいじゃないかということでございまして、その点についてはよくまた検討いたしますが、どうしてもある程度やはり金融機関として何といいますか、能力、レベルに達しているのがほしいというふうに従来まあ考えていたわけでございます。そのレベルをあまりやかましくしないで、もう少し下げたらどうかということについて、十分よくまた相談いたしまして、十分その御趣旨に従って検討いたします。
  73. 相澤重明

    相澤重明君 国民金融公庫お尋ねをしておきたいと思うのですが、まあ、この三十年度の決算をみると、財政的に二億三千九百余万円を三十一年五月に国庫に納付した。結局、国民金融公庫としては、まあ成績としては上の部であるということが言えると思うのですが、先ほど東委員からも御質問がありましたが、貸付の問題について、少しどうもあまりしゃくし定木過ぎて、実際には国民金融公庫でなければ利用のできないような零細農家というか、あるいは商店というか、あるいは担保を持っている人たちというか、そういう人たちが貸付を受けることができないのじゃないかというような点もあるやに聞くのであるが、そういう点については公庫としては今副総裁の言われた、やはり金融機関としては、どうしても大事をとって、返済率をまあ、百パーセント見込まなければ貸さぬというお言葉になるというと、これはまあ大銀行と方針としては少しも変らぬと思う。こういうふうに思うのだが、国民金融公庫の性格から考えて、あなたは今までどのようにお考えになっておるか、いま一度一つお答えをいただきたいと思うのです。
  74. 石渡忠四郎

    参考人石渡忠四郎君) 国民金融公庫といたしましては、生業資金の小口貸付に努力いたしておることを一つお認めいただきたいと思いますのは、三十三年三月二十日現在の「国民金融公庫現状」というのがございますが、この五ページの「申込、貸出の件平均額推移」、貸し出しの総平均一口当り三十年度で十七万二千円、三十一年度で十八万八千円、実際小口を非常に取り扱っているわけなんでございます。一口当り平均このくらいの金を取り扱っていることは、ほかの金融機関ではないと思うのであります。信用金庫さんでも、一口当りの貸付が大体三十万円ぐらいでございましょうか、それから相互銀行さんで二十何万円ぐらいになっておりまして、小口を相当よくやっていることはお認め願いたいと思っております。  それから、中に相当こういうのこそ国民金融公庫でなすべきだのにかかわらず、寄りつかない人があるじゃないかということでございますが、実際私も中にそういう方があると思っております。資金がもう少しありますと、もう少しやりいいわけでありますが、どうしても回転をよくしたい。これは金融機関としては回転をよくしても延滞していく。たとえば貸付を少しゆるくされますと、更生資金のように延滞が切りなく出て回転しなくなってしまう。それで新しいお客さんに貸せなくなるという点がございますので、延滞をなくする方がよろしいと思っております。しかしそういっても金のことでございまするから、延滞が多少出る。これはいたし方ないと思っております。それで、なるべく延滞のないことを期しても延滞は多少出る。それで、できるだけ回転をよくしていって、次の利用者に回したい、こういうふうに考えております。   〔理事平島敏夫君退席、委員長着席〕 小口の中に相当返す能力があるのに、ときどきはねられる方があるというのは、これは貸し出しの技術、審査の方がまだ至らないわけでございます。十分その点は支所の方にもう一ぺんよく通知して間違いないように努力をいたします。しかしまあ非常に数多いことでございまするので、まあときどきやりそこないがあって、おしかりを受けるわけでありますが、まあ一つ御了承を願いたい。
  75. 相澤重明

    相澤重明君 具体的に恩給担保のような場合に、年令の制限、あるいは年令によるところの貸し出しの制限、こういうような取扱いの規程か何かにはどんなふうになっておりますか。
  76. 石渡忠四郎

    参考人石渡忠四郎君) 特別に幾つになったら金を貸しちゃいけないということはございませんです。大体支所では、六十才ぐらいから六十五才ぐらいの方になると、非常に厳重に貸しております。まあもとは、恩給以前の恩給金庫時代には生命保険をつけていただいたのでございますが、今は保険をつけずに保証人だけでやっておりますので、万々一のことがございますと、非常に手続がうるさいことになります。年とった方はやりにくいということはあると思います。しかし幾つ以上はいけないというのは非常にむずかしいのでございます。顔色を見て、この人は健康そうだ、いかにも弱々しそうだと、顔色を見てやるのでございますが、これがお医者様ですと、診断書を幾らでももらえるものですから、係でもあの手この手で考えております。非常にむずかしくて、実は困っておるということでございます。それから、近ごろまたやかましくなっていますのは、未亡人の方で事実上結婚していたら、それはもう恩給は取り消しだとか、いろいろ事態が非常にやりにくいものでございますから、これもやりそこないがございます。大体恩給担保金融をやるとすれば、実はもう少し資金がなければお客様の満足を得られないことは、これは当然なんでございますが、大体二千億恩給が出るとしますれば、公庫として二百億くらいの資金を用意しなければ、恩給担保金融をやるという看板は上らぬのでございますが、そうかといって普通貸付の方に非常に需要がございまして、三十年度でも四割四分しかお客様の需要に応じておりませんので、こちらの方に余り回わすわけにいきません。まことにやむを得ないと思っております。だんだんに資金をふやしていただいて、だんだんに需要に応じられるようなことになると思っております。
  77. 相澤重明

    相澤重明君 これは今年度からさらに恩給が増額され、また実際に一般の人は恩給証書を担保に金融を希望するのがかなり出てくると思うのです。今、副総裁が言れたことからすると、どうも国家資金がないから二百億準備できない。二千億ばかりの恩給ということを考えれば、二百億公庫で準備しなければ貸し出しができぬ、こういうようなことでは、これはどうも何か全部政府が用意しなければ、国民金融公庫としてはどうにもならぬという形では、ちょっと答弁の理解がどうも十分にいかないわけなんですが、どうしたらば一体それではいいのか。その点まあ資金運用部資金を当てにするというのか、それとも特別な措置を講じさせるというのか、あなたは政府にどういうふうにやらせようとして、今の恩給担保というような、これから出てくる人たちに対する救済措置ができるという考えに立つのか、そういう点をちょっと一つ、公庫の立場で意思を述べていただきたいと思うのです。
  78. 高野一夫

    委員長高野一夫君) どうぞ簡潔に、簡単にお願いいたします。
  79. 石渡忠四郎

    参考人石渡忠四郎君) 公庫の立場から申しますると、要するに恩給担保の貸し出しは二百億くらいまでできるようにしていただきたい。これはまあ即刻は無理でございますが、だんだんにそこまで見ていただきたいと思っております。ほかから金を得ようがないのでございますから、公庫としては見ていただきたいと思います。そうして、それじゃ普通貸付の方のを回すということも、これも非常にその方の需要が多いものでございますから、回すということもむずかしいかと思いますが、だんだんにそこまで行っていただきたい、こう思っております。
  80. 相澤重明

    相澤重明君 普通貸付の場合、これを増額されるようなお考えはないのですか。
  81. 石渡忠四郎

    参考人石渡忠四郎君) 普通貸付は何としてもやはりふえております。両方ともかなりふえてきているわけでございます。普通貸付におきましても、三十二年度は六百八十八億、それが三十三年度には七百二十七億貸せます。  それから、今の恩給の問題でございまするが、三十一年度におきましては六十四億のものが、三十三年度におきましては七十八億貸せるようになっております。だんだんにやはりふえて参っております。
  82. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ほかに御質疑がございませんか。  別に御発言もなければ、以上をもちまして国民金融公庫の部の質疑は終了したものとすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めまして、さように決定いたします。  以上をもって午前中の質疑を終了いたします。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  84. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 暫時休憩いたします。    午後一時一分休憩      —————・—————    午後二時八分開会
  85. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 休憩前に引き続き、委員会を開会いたします。  昭和三十年度一般会計歳入歳出決算昭和三十年度特別会計歳入歳出決算昭和三十年度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十年度政府関係機関決算書を議題といたします。  まず中小企業金融公庫の部を審議いたします。検査報告書には三百六十二ページに掲載されております。まず会計検査院から概略の説明を求めます。
  86. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 中小企業金融公庫につきましては、検査報告の三百六十二ページから三百六十三ページにかけまして、業務の概要及び決算の概況を記述しておりますほか、承継貸付債権のことに触れております。それは三十年度末におきまする承継貸付金の残高五十一億三千三百余万円に対し延滞となっておりますものが、二十五億九千九百余万円でありまして、そのうち復金承継貸付金が主でありますが、長期間にわたり元利金の回収のない不良債権が多く、これらの管理、回収を他の業務機関に委託し、貸付残高に応ずる手数料を支払っておられるのでありますが、これらにつきましては、直接管理に切りかえるなどの適切な処置をとられることが望ましいという点であります。その後この点につきましては、ある程度面接管理に取扱いを改めておられます。以上でございます。
  87. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 次に、中小企業金融公庫から概略の御説明を願います。
  88. 坂口芳久

    参考人(坂口芳久君) ただいま検査院の方から御報告のございました点でございますが、公庫が発足いたしましたとき、当初に承断債権を引き受けました額は百十九億五千万円でございまして、ただいまお話のございましたように、三十年度末では五十一億三千三百万円でございました。御指摘のように回収につきまして、代理店にまかしておるだけでは十分でないということを私どもも考えまして、その復金第二次口を直接管理に移しましたし、また明年度からは復金第一次口をも直接管理に移しまして、回収の促進をはかるつもりでございます。その結果、今日まで回収いたしました金額は、回収並びに償却いたしましたために、この二月末で、五十一億円余りの三十年度末の貸付残が二月の末では二十一億円余りになりまして、約三十億円くらいの処理をいたしております。その結果ただいまも御指摘のございましたように、代理店に払っておりまする手数料の割合も若干に減って参りまして、さらに来年度におきまして、直接管理に移しまする金額が相当の額に上りますので、検査院の御報告のような方向に順次進んで参るつもりであります。そうして承継いたしました債権の急速なる回収に乗り出していきたいと考えております。以上でございます。
  89. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 以上をもって説明は終了いたしました。御質疑のある方は順次御発言を願います。  なお、本件に関しましては、向って右から会計検査院上村第五局長参考人として中小企業金融公庫の中野理事同じく坂口総裁、大蔵省銀行局から磯江金融課長が御出席になっております。順次御発言を願います。
  90. 相澤重明

    相澤重明君 公庫にお尋ねをしたいのでありますが、会計検査院のこの指摘事項の中で、「計画額二十一億円に対しその実績は事務能力が不足していることなどのため前記のとおり三億六百余万円にすぎない状況である。」、この事務能力が不足しておるということは、一体どういうことなのか、御答弁をいただきたいと思います。
  91. 坂口芳久

    参考人(坂口芳久君) これは直接貸付につきまして、御指摘を受けたのでございますが、公庫発足の初めは全部代理貸しでやっておりまして、この三十年の十月から新たに直接貸しを発足いたしまして、当時二十億円余りのものを予定いたしましたのでございまするが、直接貸しの審査要員が経験が浅くて、また人員も集められませんために、予定通りの直接貸しができなかったのでございます。その後審査要員の養成に努力をいたして参りまして、ただいまでは三十一年度も目的通りの直接貸しは行うことができなかったのでございますが、ようやく三十二年度におきましては、当初六十億円の予定で始めましたが、実際は約七十億円余りの貸付ができる見込みでございまして、漸次審査要員もふえて、また審査要員の能力も積んで参りましたので、大体その目的に近づいて参りました。しかし何分にもまだ審査期間等につきましては、十分に早いとまで申せませんので、今後貸付手続の簡易化等をはかりまして、さらに十分なる効果が上るように努力いたしたいと考えております。
  92. 相澤重明

    相澤重明君 今のこの審査要員の養成といいますか、そういう人の訓練によって三十年以降順次よくなってきて、三十二年度については予定額よりも十億も多く貸付をすることができた。こういう点は私も非常にけっこうなことだと喜ぶわけですが、そこで一つ具体的に質問をしたいと思うのですが、この中小企業金融公庫国民金融公庫との関連性について、ともすればこの国民金融公庫で貸付をしておるものについては、中金ではこれを取り扱わないというような面があるやに聞くのですが、そういう両金庫の関係についてはどのように公庫は指導をされておるか、総裁からその点についてお答えをいただきたいと思うのですが。
  93. 坂口芳久

    参考人(坂口芳久君) 私どもの方の平均の貸出金額はおおよそ三百三、四十万円でございまして、国民公庫の方は私どもよくは存じませんが、二十万円以下じゃないかと考えます。そして私どもの方と国民公庫との間は、私どもの方が最高限度一千万円、あちらは五十万円が原則で二百万円までだと存じております。その関係であまり国民公庫のやっていらっしゃるような非常に零細なものまで及びますと、両方の公庫の分野についても問題があると思いますので、私どもの方としましては、大体において五十万円をこす程度のものから取り上げております。しかしながら、実際には三十万円ぐらいのもございまするが、代理店を指導しております立場は、大体五十万円から上の、国民公庫の原則より上の方のところから、それが、しかしながら実際は両方の公庫からお金が出ているのはございます。ただ五十万円以上のものを取り上げておるという点から、今お尋ねがありましたように、国民公庫から貸付を受けておるものは私の方の公庫から借りられないというようなことが生じたのじゃないかと思いますが、両方の分野の関係もございますので、一応のところはそれくらいのところで目安にやっております。
  94. 相澤重明

    相澤重明君 今の総裁の言われたことは、これは原則論であってですね、中金と国民金融公庫との貸し出しの限界点というものは、これはなかなかむずかしいと私は思うのです。しからば、私は一つの例をあげて一つあなたにお尋ねしたいと思うのですが、たとえば横浜に輸出専門のスカーフ屋、絹業者がおりますね。ああいうところは単位にすれば、これは五十万以下ならば五十万以下の対象になろうかと思う。従業員を三十人か五十人しか使っておらない。百人以下だと、こういうふうになるというと、国民金融公庫の五十万以下ということになろうと思う。ところがこれがいわゆる連合会を作っておる。連合会となると、これはそういう人たちが集るというと、三千万にも五千万にも実はなっていくわけです。現在はこのアメリカの景気に左右されて若干の問題はあるけれども、それでも、この横浜あたりで輸出業としては非常な大きな点になっておるわけです。それらに対して中金の取扱いが今言った各店舗にすれば五十万かもしらぬが、今度はその全体のそういう連合会等を作って、そうしてこの資金運用等をやる場合に、中金が、それはどうも国民金融公庫の方の問題であって、私の方の中金には関係がないというような指導をされておるのか、あるいはそういうことがないのか。むしろ積極的に輸出振興については相談をされておるのか、そういう点について一つ公庫の御説明を願いたいと思うのです。
  95. 坂口芳久

    参考人(坂口芳久君) ただいまお話のございました点は、協同組合の関係だと思います。これにつきましては、限度を三千万円といたしまして、これも原則三千万円でございまして、組合員の数によりましては、さらにそれをこえても転貸資金をお貸しいたしております。それについて国民公庫の方から、個人であれば借りられるからというわけで、私の方からそういう組合に対して貸さないということではございませんので、お貸しいたしておりますので、割合にそういうのが多いのじゃないかと思います。しかしながら私どもの方は代理貸付でやっているのが多いので、主としてそういう方面は商工組合中央金庫という方の代理店で多く扱っておるのじゃないかと考えております。
  96. 相澤重明

    相澤重明君 私は今横浜の支所の点を一つの例に出したわけです。しかしこれは中金の方からすれば、今言った委託業務もありますし、出張所もあります。いろいろケースによって違うとは思います。しかし少くとも輸出関係についてのそういう点については、どうしても単に国民金融公庫の五万円とか十万円というようなものでは、これは商売にならぬということははっきりしている。資金繰りについて困難なことは、これははっきりしているわけです。そしてそういう点について、ほんとうに中金の今の総裁の言われるように、そういう商工会なりあるいは関係の業者の諸君と懇談会を今まで開いておると私は思っておるのですが、しかしそういうことがもしないと困るわけです。そういうことをやって、今言った輸出振興というもの、あるいはそれらの関係業者の金融面というものを考えてやる。それで一応の限度として三千万くらい、こういうお話を聞いたのですが、従業員等の問題については、どういうように、何人くらいまでを幾らの限度、何人くらいまでを今言った三千万の連合会なら連合会としての限度、商工会なら商工会の限度、こういう何か内部で指示をしておることがございますか。
  97. 坂口芳久

    参考人(坂口芳久君) 今のお話の融資の基準ということでございますが、私どもの方では中小企業者と認めておりますのは、製造業でございますと、従業員が三百人以下、それから物品販売等、サービス業につきましては、従業員三十人以下のものを中小企業者と見まして、それに融資いたしております。
  98. 東隆

    東隆君 中小企業者等の協同組合法による組合ですね、私はそこへ公庫が貸付をするのがこれが中小企業者の金融の本旨じゃないかと、こういう考えを持っておるのですが、個人会社その他を対象にして相当出ておるようですが、割合はどんなふうになっていますか。
  99. 坂口芳久

    参考人(坂口芳久君) 今数字を持っておりませんが、私どもの全体の中では法人が多いのでございますけれども、その中で協同組合がどれくらいになりますか、ちょっと私ども数字を持っておりませんが、商工組合中央金庫を通じて出ております金が今三十億円をこしておりますが、そのうちの大きな部分が協同組合に出ているのじゃないかと考えております。
  100. 東隆

    東隆君 私は中小企業者が金融の面で非常に困っておる。そこでワクをこしらえて、そして中小企業者に流す、こういうような形になっておりますが、実際はのどから手が出るほど必要としておるところには金融の道が講ぜられておらない。これは銀行金融を通して出す場合には、銀行はできるだけ経費のかからないような、しかも担保力のあるような、そういうようなところを選びますから、従って大口のもの、安心のできるものにこの中小企業の金融が行われる。従って中小の者が借りようとするときに、銀行はおそらくそっちの方へ貸し出してしまったから、従って多少預金でもありますれば、自分の所の金を貸しましょう、こういうようなことになって、おそらく高利の金がそちらの方に行くと、こういうようなことが常態ではないかと思う。従って中小企業者等の組合を通して流す場合には、その点はだいぶ是正される。こういう考え方になるわけです。しかもこの金が長期の資金で低利資金だ、こういうことになりますると、なお一そうそういう点をはっきりさす必要があるのじゃないか。団体貸しを優位にし、しかもその系統をはっきりさせて、商工中金を通して流すのを優位にしないといけない、それは農村の方面はそういう農林中金を通して金融がまとまっておりますけれども、商工方面になりますと、支離滅裂になっておる。しかも銀行が非常に強くなって、そうして中小企業者から預金を吸収して、しかもそれを自分の系統の大きな会社に流していく。そうして中小企業者の金融はかえって不便なことになっておる。これが普通の銀行金融の姿です。そこに低利資金を導入して、しかもそれがまた別な方向に流れる、こういうことになるとゆゆしき問題だ、こう考えるわけです。  そこで先ほどお伺いをすると、三十億ほど商工組合中央金庫を通して流れておると、こういうようなお話がありましたが、私はそれは公庫として本末を転倒した考え方じゃないか。かえって中小企業金融公庫を通して大きく相当な部分を出して、そうして残余部分を商工単独のものに出す、こういう形にするならば、中小企業者に対するところの金融というものが生きてくる、こう考えるのですが、この点はどうですか。
  101. 坂口芳久

    参考人(坂口芳久君) 公庫の貸付の中の大きな部分が代理貸付で出ておりますので、今御指摘のように銀行等の場合には大口に偏して、小さい方に十分の配慮をしないのじゃないかというようなことがあるのじゃないかというお話でございますし、またそれに伴って組合を通して出す方がいいじゃないかというお話でございます。お手元に差し上げた表でもごらんいただけますように、都市銀行、地方銀行等を通して出ます代理貸しの平均よりは、相互銀行、信用金庫を通じておるのは割合に小さいものが多いのであります。また商工組合中央金庫についてはこれまで出ております金は、先ほど申しました通り現在三十四億円余りでございますが、本年度から商工組合中央金庫は御承知のように協同組合の金融機関でございますので、特にこれと密接なる関係をもちまして、本年度は約四十億円来年度はそれをこすぐらいの資金をそちらに回しまして、組合金融を通じて、商工組合中央金庫を通じて協同組合に公庫の資金を流していきたいと考えております。他の代理店につきましても、大口に偏しないように、小口の金融にも力を入れるように、さらに指導もいたしたいと考えております。
  102. 東隆

    東隆君 この場合にこの表を見ますと、金融機関がだいぶあるのです。代理店数を見ますと、この表から見ますと相当あるのですが、少くとも団体を対象に置くのは商工組合中央金庫と農林中央金庫とですが、農林中央金庫はきわめて少いだろうと思います。対象が。そこでそれ以外のものは、これはほとんど個人貸しではないかと思うのです。個人を対象に、あるいは法人としても会社を対象に出す、こういう形になっていると思うのです。それで代理店を大きくすれば大きくするほど、公庫の仕事が非常にふえてくるわけですが、公庫そのものの考え方が、おそらく個人貸しということが、個人を対象にしてやるということが、ほんとうの零細な中小企業者を救うという形に出てこない、こういうことは想定がつくと思うのです。そうすると、やはり協同組合を作っているその組合員に協同組合を通して貸し出しをする、こういう形が一番中小企業者に地についた貸し出し方になる、こういうふうなことを考えるわけです。従って代理店として大蔵大臣が認めるとか、あるいはそういうような形式じゃなくて、この中小企業者の協同組合に対して有利に貸し付ける、こういうような考え方、これを取り入れないのですか。
  103. 坂口芳久

    参考人(坂口芳久君) 協同組合を通して貸しますことにつきましては、協同組合金融機関でございます商工組合中央金庫を通じて貸しますのが一番便宜かと考えまして、商工組合中央金庫から御要望のございます金額は、私どもとしては何をおいてもまず差し上げております。そしてまた、商工組合中央金庫の方は組合金融に非常になれておられますので、私どもの方の代理貸しにつきましても、他の金融機関の代理貸しと違いまして、商工組合中央金庫の代理貸付につきましては、大体おまかせしてやっておりますが、商工組合中央金庫側の貸付を特に商工組合中央金庫の代理貸しとして、私どもの代理貸しでも優先して扱って参っております。お話のように零細な中小企業者が特に団体を作って、協同組合を作って、それによって金融の便宜をはかることが非常に大切だと考えますので、なるべくその趣旨に沿うように、極力その趣旨に沿うように商工組合中央金庫の組合金融の経験を生かしてやっていきたい、こういう考えでおります。特に従来に比べまして、昨年度から緊密なる関係を持つようになりまして、従来の代理貸しのほかに、商工組合中央金庫の特別の代理貸しということにして、御趣旨に沿うような方向に進んで参っております。
  104. 東隆

    東隆君 農林漁業金融公庫ができてから、その後にこの商工組合中央金庫ができたのです。そこで農林漁業金融公庫の場合においては、私は当然農林中金を通して長期資金を流すべきであると思う。それがどういう形になったかというと、完全に農林中金から財政投融資に関係をした国の資金を公庫によって奪いとった、こういう形になっているわけです。従って農村においては長期資金というものを官庁が完全にそいつを握ってしまった、こういう形になっておって、私は非常に不自然な形になっておると思う。ところがその農林漁業金融公庫の形を中小企業関係に取り上げたときに、この商工組合中央金庫というものがきわめて弱い、都市においては銀行系統のものが非常に強い。しかも相互銀行ないしは、信用金庫というものは、大蔵省の強力な指導のもとに、銀行と非常に似かよった形になってしまって、協同組合金融をやる体制が壊れてしまった。そこで私は中小企業者が組織を強化して、そうして自分たちの産業を守っていく、こういうような形にして、協同組合を中心にして資金を流さなければ、中小企業者というものは決して強いものにならない、こういう考え方が立つわけであります。従って国が中小企業者のために金融をする場合に、銀行あるいはその他のものは、これはつけたらという形にして、あくまで商工組合中央金庫を強力にするという体制でもって考えていくべきじゃないか、こういう考え方が立つものですから、お伺いをしたのですが、その考え方からいきますと、銀行あるいは信用金庫でも相当コープラチブ・バンクとしての形式を持っておりますが、そんなような形で私はこの際中小企業者の組織法だの何だのというものができなくても、中小企業者が自分たちを守っていくのには、協同組合の組織を強化していかなければならぬ、それを通して資金を流してやる、こういうことをこれは金融機関が率先してやるべき仕事じゃないか、こういうふうに考えるわけです。だから制限を加えるべきものは銀行金融、そっちの方面であって、私は育成をして、そうして大きくしていかんければならないのは、この協同組合金融を通して流していく、しかも低利資金をこれを通して流してやる、これによって初めて中小企業者が生きてくる、こういう考え方を強く持つのですが、それとはだいぶ相反するような金融が行われていることは、これは非常に残念なことだと思うのですが、この点私が先ほどお伺いしたのは、団体貸しにしてもどういうような傾向になってきているか、そんなようなことをはっきり知りたいと思いましてお伺いしたのですが、今おわかりにならぬ、こう言うのですから、一つ傾向を明らかにするような資料をちょうだいいたしたい。
  105. 坂口芳久

    参考人(坂口芳久君) 組合の方に出ております件数、金額等については、後刻調べまして資料を提出させますが、ただいまお話にございました中小企業者の方の組織化はだいぶ遺憾ながらおくれておりますので、組合だけを対象にいたしますと、それに外れるものもございますので、農林中金と農林漁業金融公庫との関係のようには、ちょっといきかねる点もあるかと思います。その辺はお含み置きを願いたいと思います。
  106. 東隆

    東隆君 それから農林中央金庫を通してというか、代理店になっておりますが、これはどんな方面に出て参るのですか。
  107. 坂口芳久

    参考人(坂口芳久君) 代理店になっておりますが、実は一件も出ておりません。場合によってはあちらから出るものがあるかもわからぬという予想で代理店にはなってもらいましたけれども、実際上には一件も出ておりません。
  108. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 私から坂口総裁一つ伺っておきたいと思いますが、御承知通り明日から中小企業団体組織法が実施されまして、商工組合が各地にできるわけです。先般当参議院の商工委員会におきまして、この法案の審議の最中に、ある議員から団体組織も大事だけれども、金融の面がもっと大事だ、こういう質問に対しまして、岸総理がこういう答弁をされたわけです。現在個人として金を借りることが非常にむずかしいというよりも、金融機関から金を貸してあげたくとも、いろいろな諸条件が不備なために貸し出しにくい状態である。しかしながら商工組合が結成され、その組合員であるという立場において金融機関は金を貸し出しやすくなるはずだ、こういう答弁をされたわけです。おそらく総理は別に具体的の案があって言われたのでもないと思うのでありますが、われわれもそうあるべきだと思うのでありますが、あなたとしてはそういう点についてはどういうようにお考えになりますか。商工組合そのものが金を借りるのでなくして、組合員になった個人が金を借りる、それが組合に入らない前より、今度の団体法による商工組合の組合員になった場合に借りやすくなる、貸し出しやすくなるかどうか。
  109. 坂口芳久

    参考人(坂口芳久君) 岸総理のお話になったことは、具体的にそういうふうな事例もございます。たとえば事業調整の組合なんかできましたときには、非常に貸しやすくなりまして、従来でもたとえばタオルの調整組合ができましたときに、組合にはこれは当時は貸せなかったものですから、ほかの形式は通しましたけれども、組合ができたことによりまして、貸し付けやすくなった例だと思います。また今度北陸の方で機業関係の組合が、すでにある組合でございますが、それで調整事業に乗り出しましたために、私の方としてはこれは商工組合中央金庫を通じてではございまするが、貸しやすくした例がございます。
  110. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ほかに御質疑ございませんか。——別に御発言もなければ、中小企業金融公庫の部の質疑は終了したものとすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めまして、さように決定いたします。どうも御苦労様でした。     —————————————
  112. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 次に、日本開発銀行の部を審議いたします。検査報告書には、第三百六十三ページに掲載されてあります。まず会計検査院から概要の御説明を願います。
  113. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 日本開発銀行に関しましては、検査報告書の三百六十三ページから三百六十五ページにかけまして、業務の概要決算の概況が記載してございますが、特に御説明を要する点はございません。検査の結果につきましては、特に不当不正として御報告申し上げる事項はございませんでした。
  114. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 次に日本開発銀行から概要の御説明を願います。
  115. 太田利三郎

    参考人太田利三郎君) 三十年度における本行の業務、それから決算概要は、決算検査報告の三百六十三ページに載せられておる通りでございますが、なお私から若干補足説明をさしていただきたいと思います。  三十年度におきましては、御承知のごとく年度初めは暫定予算によることとなっておりましたために、開発銀行といたしましても、例年の通り閣議了解のもとに本行に御通知をいただきます「政府資金の産業設備に対する運用基本方針」という方針に基きまして、暫定予算中は年度の、二十九年度の基本方針に準じて業務を運営いたして参りました。従いまして、当年度の本来の業務としましては、予算成立しました第二四半期から本格的に行うこととなったものでございまして、政府の基本方針に基きまして、貸付規模は五百九十五億円の線で貸付業務を行なって参ったのでございます。しかし、この五百九十五億円の貸付規模につきましては、その後開発銀行の資金調達上予定いたしました政府からの借入れが、政府の側におきます原資の不足のために削減せざるを得なくなりまして、一方年度半ばごろから市中金融に余裕を生じて参りましたので、補完的な融資を建前といたします開発銀行の貸付は、この二つの面の理由からこの規模を圧縮することとなりました。このため約百三十億円の貸付を市中銀行におまかせするという措置が講ぜられたのでございます。一方年度末におきまして、若干貸付規模の増大が認められまして、結局三十年度の貸付規模は四百八十一億円程度となったものでございます。  検査報告にございます五百五十二億円余の貸付実行額とございますのは、国際復興開発銀行からの借り入れ資金による外貨貸付約五十八億円、及び前年度から実施しておりますところの経済援助資金の貸付約二十一億円を含みますほかに、前年度貸付規模のうち貸付手続が当年度に持ち越されたものの貸付実行分を含むものでございます。  なお、この年度におきましては、既往の貸付金の回収が、検査報告にもございますように、開発資金、復金承継債権及び見返り承継債権を合せまして三百五億八千四百余万円に上りまして、これが新規貸付の主要な財源となったのでございますが、後に検査報告にも触れておりますように、一般経済情勢の好転を反映いたしまして、本行が予定いたしておりました回収額よりも相当上回った次第でございまして、これら予定以上の回収金は次年度以降のための貸付の財源として留保せられたものであります。  次に、決算概要に一言触れますると、検査報告にございますように、本行は当年度におきまして、法令の定めるところによりまして、年間九十九億四千五百余円を国庫に納付いたしました。また年度末における貸付残高は各資金合計で三千八百九十二億八千四百余万円となりまして、このうち約百十一億円が約定の償還条件に対し延滞となっております。しかし、この延滞はもちろんそのまま回収不能というものではございませんで、現にその後も逐次これら延滞は解消せられて参りまして、三十二年九月末では総貸付残高四千二百六十二億円のうち延滞額は五十八億円まで減少いたしておるのでございます。  次に、御参考までにその後各年度の業務の概要を簡単に申し述べます。三十一年度におきましては、いわゆる金融緩慢を背景といたしますところの産業界の資金調達力が増大いたしました一方、政府の原資不足という事態の現われ等もございまして、本行の貸付規模は当初三百六十億円と予定せられたのでございますが、その後いわゆる隘路産業、新規産業等を中心といたしまして、本行における資金需要は著しく旺盛となりまして、三百六十億円をもってはとうていまかない切れない情勢となって参った次第でございます。幸い従前の貸付金の回収がきわめて順調でございまして、本行といたしましては、資金上の余裕を生じておりましたので、政府当局の施策に順応いたしまして、電気業五十三億円、海運業十三億円、一般産業八億円、合計約七十三億円貸付規模が拡大されまして、三十一年度の貸付規模は四百三十三億円程度となった次第でございます。  次に、本昭和三十二年度におきましては、当初貸付規模は六百億円としまして、その内訳は政府の運用基本方針によりまして、電力二百五十億円、海運百八十億円、一般百二十億円、予備五十億円と予定されたのでございますが、その後一般金融引き締めの政府施策に応じまして、貸付規模を約一割減の五百四十億円に圧縮することを一応の目標として貸付業務を進めておりましたが、最近に至りまして、重要産業の設備資金需給状況にかんがみまして、繰り延べの解除を含め八十七億円を追加することと定められました。それで現在では六百二十七億円の運用規模で業務を進めておる次第でございます。  次に、来三十三年度の貸付計画は六百二十億円が予定せられておりまして、これが配分につきましては、電気業二百五十億円、海運業百八十億円、一般産業百九十億円を予定しまして、この原資としては政府借入金三百十五億円、回収金等自己資金三百五億円が予定されておる次第でございます。
  116. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 以上をもって説明は終了いたしました。質疑のある方は順次御発言を願います。  なお、本件に関しまして、向って右から会計検査院上村第五局長参考人として日本開発銀行の網野調査役、同じく管野理事、同じく太田総裁、並びに大蔵省銀行局の磯江特別金融課長が御出席になっております。順次御発言願います。
  117. 相澤重明

    相澤重明君 開発銀行の中で特に外貨の借入の問題ですね。たとえばこの二十八年の十月に関西、中部、九州三電力会社の本行を通じての国際復興開発銀行からの火力借款の問題、こういう問題はすでにもう去ったことですが、三十年の十月に八幡製鉄に対する五百十万ドル、三十一年二月の日本鋼管、トヨタ自動車、石川島重工業、三菱造船、四社に対する合計八百十万ドルの借款、こういうのが出てきたわけですね。続いて今年は三月二十九日ですか、閣議できまりました東北、北陸の電力の値上げの問題とからんで、この資金の問題も考慮しなければならないだろう、こういうように思うのでありますが、今年度の今総裁からは約六百二十億ですか、今言われたのは、三十三年度は。これに対して電力の先ほど言われた五十億という中に東北や北陸の関係も含まれておるのかどうか、この点について一つお尋ねをしておきたいのです。
  118. 太田利三郎

    参考人太田利三郎君) 今ちょっと私聞き漏らしましたのですが、五十億と申しますと……。
  119. 相澤重明

    相澤重明君 いや、あなたの先ほど三十三年度のことについて触れられて、たとえば六百二十億を貸し出しを予定しておる……。
  120. 太田利三郎

    参考人太田利三郎君) 二百五十億ですね、電気は。
  121. 相澤重明

    相澤重明君 その中で電力なり海運なり一般なりという中で、電力のことを何か五十億というふうに言われたので。
  122. 太田利三郎

    参考人太田利三郎君) 電気は二百五十億です。この中には目下交渉中の世界銀行の借款は入っておりませんのでございます。含まれておりません。
  123. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと、今総裁の言われたように、二百五十億の中にはこれらの世銀からの借款については含まれていないというお答えになりますというと、世銀との借款が成立をした場合にはどうなることなんですか、あなたの今の見解としては。
  124. 太田利三郎

    参考人太田利三郎君) これは開発銀行が世界銀行から借りまして、それを転貸するという形式をとっておりますので、貸借対照表上は貸付としてそれだけ電気業に対する貸付がふくらむわけでございます。ただこれがどのくらいできますか、見通しもつきませんし、外貨関係はいつも予算上は別にしておるのですから、そういうことになります。
  125. 相澤重明

    相澤重明君 総裁にさらにお尋ねしておかなければならないと思うのですが、やはりこういう基礎産業に対する設備の投資は、何といっても日本開発銀行が中心になるわけですね。従って三十三年度のこうした設備投資については、当然私は政府の考え方というものは、あなたの方に、総裁の方と御相談があるものと理解をしておるわけです。そうでなければ、これは具体的にやはり三十三年度の予算成立をさせても結局この中に含まれておらない。あるいはその額がどのくらいかわからぬということになれば、それは補正予算に組むとか、あるいはまた特別に三十三年度の予算成立後そのことについての国会に対する発表をしなければならぬ、こういうことを私は考えるのであります。今まであなたのお話ですと、こういうことは聞いておらぬようでありますが、御相談は何もないのですか。それから電力の方から直接そういうことについて御相談も受けたことがないのですか、この点いかがでしょう。
  126. 太田利三郎

    参考人太田利三郎君) これは政府の方から本年度はっきりと幾らということはまだ正式に受けておりませんですけれども、しかし実際問題として通産省にも十分連絡をとっております。また業界からもとっておりまして、九電力会社としましては三十三年度に約二千四百億の資金を要する、こういう大体の計算になっておりまして、そのうち開発銀行から直接に出すものが二百五十億の予定と、こういうことになっております。
  127. 東隆

    東隆君 私よくわからないのですが、例の余剰農産物の資金ですね。あれの貸し出しはこちらの方を通さないのですか。
  128. 太田利三郎

    参考人太田利三郎君) 開発銀行を通しておりませんでございます……。経済援助資金で一部通っておるのがあるそうです。私間違えましたが。
  129. 東隆

    東隆君 その場合に、たしかあれは金利が非常に安くなっておりますね。これは別なんですが、北海道開発銀行を通して製糖事業に出ておるようです、一つ。この部分は開発銀行における利率と違う利率のものを出しておるような例があるのですが、私はこの開発銀行が——その他の分はこちらを通して電気事業その他の方に出たのではないかと、こう思ったものですからお伺いしたのです。
  130. 太田利三郎

    参考人太田利三郎君) ただいま御質問の余剰農産物関係の資金は、電気事業には出ておりませんです。電気事業に出ておりますのは、普通の産投あるいは資金運用部からの借入金から出ておるのでございます。
  131. 東隆

    東隆君 余剰農産物の第一次のものは電気事業にほとんど出たことになっておるのです。開発銀行のなにに出ておるはずですが、そうじゃないですか。アメリカから入った余剰農産物の円を使ったやつですね。政府は直接貸すわけにはいかないですから、開発銀行かあるいはその他を通してでなければならぬ資金ではないかと思うのですが、そういうものではないのですか。
  132. 太田利三郎

    参考人太田利三郎君) これは一部われわれを通じて出ておりまして、その業種が……たしかわれわれの方から通じて出ておりますものが、二十八億でございます。
  133. 相澤重明

    相澤重明君 関連して。総裁、経済援助資金の運用について、米国からの贈与円を原資とする経済援助資金運用は、これは三十年度も開発銀行でやったのでなかったのですか、これは。
  134. 太田利三郎

    参考人太田利三郎君) それはございましたです。
  135. 相澤重明

    相澤重明君 その額はどのくらいですか、三十年度の額はどのくらいですか。
  136. 太田利三郎

    参考人太田利三郎君) 三十年度におきまして、約二十一億円でございます。
  137. 相澤重明

    相澤重明君 このいわゆる経済援助資金のおもなる貸付先はどこですか。二十一億の貸付先はどこですか。
  138. 管野義丸

    参考人(管野義丸君) 経済援助資金につきましては、政府の方から四分の利子でもって開発銀行が借りまして、実際の貸付は六分五厘で貸しておるのでございますが、その貸付先につきましては政府から推薦をいただきまして、それによって開発銀行が審査をいたしまして、貸付を決定しておるのでございまして、主として機械工業あるいは金属工業等が多いのでございます。
  139. 相澤重明

    相澤重明君 それから自衛隊関係ですね。ジェット機を作る場合のそういうものについては限度をどのくらいに大体見ておるのですか。これは限度があるはずですね。
  140. 管野義丸

    参考人(管野義丸君) 大体ジェット機エンジンとか、あるいは時計信管とかいうようなものが多いのでございますが、これは新しい増産設備に必要な工事計画を見まして、それから自己資金でもってまかない得る部分はもちろん除きますし、また市中から協調融資を得られるものは除きまして、補完的の意味においてこの経済援助資金が必要な分を査定いたしまして、そして融資を決定するわけでございまして、その額は一件についてあまり大きなものはございませんでございます。
  141. 相澤重明

    相澤重明君 今のあなたの言う時計信管とか、あるいはジェット機等の設備について、大体全体としてどのくらいの限度額というものをお考えになっておるのですか。榴弾とかあるいは銃弾、電子機器等も含んで、大体どのくらいの点をお考えになっておりますか。
  142. 管野義丸

    参考人(管野義丸君) 別に限度というものはございませんが、実際の実績を見ますると、現在二十八億くらいに上っておりますが、多いので十四億というのがございます。これはほとんど半分を占めておるのでございますが、あとはみんな一億以下のものでございます。
  143. 相澤重明

    相澤重明君 これは大へん恐縮で、私も今筆記しておるので、なかなか筆記が全部できないのです。それから御答弁をするのにも、なかなか詳細にわたって御答弁をいただくというのが困難だと思うのです。開発銀行については非常に国民としては大きな対外的な問題もありますので、関心を持っておりますので、そういう点わかったらある程度の資料を一つ添えていただきたいと思うのですが、これは一つ委員長の方から、われわれ決算委員もそういう点よくわからぬので、一つ資料を御提出いただきたいと思うのです。
  144. 高野一夫

    委員長高野一夫君) よろしゅうございますか。
  145. 管野義丸

    参考人(管野義丸君) かしこまりました。
  146. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ほかに御資疑もなければ、日本開発銀行の御質疑はこれをもって終了したものとすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  147. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないものと認めてさように決定いたします。  どうも御苦労様でした。     —————————————
  148. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 次に、日本輸出入銀行の部を審議いたします。検査報告書には第三百六十五ページに掲載されております。まず、検査院から概要の御説明を願います。
  149. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 日本輸出入銀行の検査の結果につきまして特に不正不当として報告をする事項はございません。事業の概要及び決算概要につきましては、決算報告の三百六十五ページから三百六十六ページに書いてございますが、その通りでございまして、特に補足説明する点はございません。
  150. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 次に、日本輸出入銀行から御説明願います。
  151. 古沢潤一

    参考人(古沢潤一君) 私の方の業況につきまして、三十年度並びに今日までの状況につきましてお手元に表を差し上げてございますが、それについて簡単に御説明申し上げます。  第一ページの融資状況でございますが、上の欄の三十年度合計というのがございます。私の方は、実際上輸出並びに投資なんかの案件がありました場合に、市中においてその案件について契約が結ばれまして、その全部が私どもの方にくるわけではございませんで、一部分だけくるわけであります。融資を決定した場合でも、直ちにその金額を全部融資するわけじゃありません。あらかじめその金額について融資承諾額というものをきめまして、必要に応じて貸付をやる仕組になっております。それで三十年度の合計欄をごらんになりますと、融資の承諾を行なった案件が百四十一件、金額にして六百十二億、それから同年度において貸し出しが四百五十億で回収が二百五十億であります。従ってその貸し出しの残高は、件数にいたしまして二百三十一件、金額にいたしまして四百四十七億であります。そうしてその承諾した金額のうち、まだ貸し出しを実際行なっていないものが、その次の欄の承諾済未貸出額でございまして二百九十三億、承諾残高といたしましては七百四十一億、こういうことになっているのであります。これは三十年度の説明にはなりませんけれども、御参考までに、今日まで開行以来どのくらいの金額になっているかということにつきましては、一番最後の欄の累計がございます。貸出額といたしましては二千百七十六億円、回収額が千五百四十一億円になっております。  それから保証をすることも私の方の銀行の業務の一つになっております。三十年度におきましては、ごらんの通り一件もございません。累計を申しますと、保証の承諾金額が七十億ございます。これは昨年アラスカ・パルプに投資の承諾をいたしましたので、それに関連する保証の金額でございます。現在保証として残っている残高は、二、億三千六百万円。  それからその次の三ページでございますが、輸出金融というのがあります。私の方の銀行の仕事は、貿易金融をやっておりますが、輸出金融がおもな業務でございまして、三十年度においてどういう輸出金融をいたしましたかと申しますというと、まず地域別に申し上げますと、この縦の欄でありますが、一番最後から二行目の合計額をごらんになっていただきます。そうすると、極東につきましては件数にして十件、金額にして二十億でございます。その次は東南アジア地方に対しましては四十五件で七十六億円、中近東は一件で三千三百万円、北米が一件で七千百万円、それから中南米が二十三件で百十三億八千七百万円、ヨーロッパが七件で三十四億六千七百万円、アフリカが四十八件で三百五十六億円でございます。その割合を申しますというと、一番多いのがアフリカの五九%、これは御承知のように輸出船舶が非常にこの数年来多かったわけであります。その船籍のアフリカのリベアに置くものが多いために、非常にこのパーセンテージが多くなっておるわけでございます。その次に多いのが中南米でありまして、これが一九%、それからその次が東南アジアで一二・八%、こういうような状態になっております。  その次のページは三十二年度中のものでございますから省略いたしまして、六ページの輸入金融でございます。これは輸入金融というものは、本邦に必要な主要原材料の開発資金の前貸しというような形でもって行なっている金融でありますが、三十年度には当該案件は一つもございませんでした。御参考までに申し上げますと、今までの輸入契約というものは累計にして三十億円になっております。  それから投資金融は、昨年の私の方の輸出入銀行法が改正になりまして、非常に投資ということについて大幅の改正がございまして、三十年度分につきましては、まだ法律改正以前でございましたが、この数字を申し上げますと、三十年度につきましては、機械製造工業への出資が一件、融資承諾額が五億八千二百万円、それから軽工業用の出資が二件で五千九百万円、繊維工業への出資が一件で二億五千二百万円、それから工業への出資が東南アジアについて二件で六千五百万円、合計九億五千八百万円承諾を与えております。これが大体三十年度における私どもの融資の状況でございます。
  152. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 以上をもって説明は終了いたしました。質疑のある方は順次御発言を願います。  なお、本件につきましては、会計検査院上村第五局長参考人として日本輸出入銀行小川総務課長、同じく古沢総裁、同じく東条理事、大蔵省銀行局の磯江特別金融課長が出席されております。
  153. 相澤重明

    相澤重明君 通産省の資料をちょうだいをしたわけでありますが、輸出入銀行は、外貨の割当によるところの外事割当の実績について通産省の資料が出ておりますが、昨年この外車の不正事件の経緯の問題がここにプリントで出されておりますが、その後は外車のこの不正輸入という問題は根絶をしておるかどうか、この点について政府の方と輸出入銀行の方の取扱い方について、一つ御答弁いただきたいと思います。   〔委員長退席、理事平島敏夫君着席〕
  154. 古沢潤一

    参考人(古沢潤一君) ただいまの御質問、不正輸入というお話でございますが、これは何でございますか。何か外車、自動車とかそういうものの輸入でございますか。
  155. 相澤重明

    相澤重明君 そうです。
  156. 古沢潤一

    参考人(古沢潤一君) それは私の方には全然関係のない事項でございますから、私も全然存じません。
  157. 相澤重明

    相澤重明君 通産省の輸入第二課の資料を提示してあるのですが、一つ政府の方から、その後この問題についてどうなっているか、関係者おりませんか。
  158. 平島敏夫

    ○理事(平島敏夫君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  159. 平島敏夫

    ○理事(平島敏夫君) 速記を始めて。
  160. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、それじゃ一つ続けてお尋ねしましょう。  今年、米国で日本の輸出品についての制限の中で最も大きな問題は、新潟県等で生産されておるところの銀製品等ですね。こういう問題について、大幅ないわゆる輸出制限という問題が取り上げられ、遂にアイゼンハアー大統領の裁定まで下った問題でありますが、当初やはり不良品等が出されて、そうしてそういう問題を起したことと、いま一つは、米国内における業者からの強い要望によって制限をしろということになったわけでありますが、不良品が多かったために返送品があった、こういう場合には当然輸出入銀行の保証というものは出ておるのではないかと思うのでありまするが、そのことについて一つおわかりになったならばお答えをいただきたいと思うのです。
  161. 古沢潤一

    参考人(古沢潤一君) ただいまの御質問お答え申し上げまするが、私の方では、銀行の仕事そのものがプラント輸出をすることによって、プラント輸出と申しますと、まあいろいろな、船舶であるとか機械とか、重工業生産品が主なるものであります。ただいまの御質問にありましたような品物は、これはまあ今のところ市中銀行でまかなっている金融と思うのであります。従って私の方では取り扱っていない種類の金融に属するわけでございます。
  162. 相澤重明

    相澤重明君 輸入銀行のしからば取扱い内容について一つお尋ねしましょう。一体、この今あなたの言う重点を船舶とか車両とか電気機械等に置くということについては、私はよく承知している。そんなことは承知しておるのだけれども、少くとも輸出入銀行という性格からいくならば、当然日本の業界における輸出については、これは援助をしていいのじゃないか、こういうことを私は実は言外に含めているわけです。それをあなたの言うのでは、それじゃ一体「その他」の項というものは何をやるのか、輸出入銀行というものはここに書いてあるように、船舶、車両、電気機械、通信機械、繊維機械、鉄鋼製品、それだけにとどまっている、こういうのか、どうか、総裁いま一度答弁してみて下さい。
  163. 古沢潤一

    参考人(古沢潤一君) それは日本の貿易ということから申しますと、長期、短期にかかわらず、これはもうすべてその助長に対して金融をするというのがあるべき姿と存じます。それで私どもの方の銀行といたしましては、日本の長期金融は市中銀行ではまかない得られないからして、国家資金を使ってやっておるのでございまして、ただいまの御質問にありましたような種類のものにつきましては、市中銀行で十分まかなっていけるものだと、これはよそ様の話でありますけれども、そう思っておりますので、私の方としては、まだそういう貸出をしてくれというふうな申し込みがございませんし、従って保証もないわけであります。
  164. 相澤重明

    相澤重明君 これは輸出入銀行の性格の問題になるわけでありますが、いずれそのことについて、われわれはさらに国会においても討議は進めなければならぬが、今のような総裁の答弁であることは、まことに不満であるということは、少くともこの輸出入銀行の性格は、外国からの輸入の問題や、またわが国から外国に輸出するものについての保証を特に与えなければならぬ問題が、これは金融面で必ず起きてくるのであります。そこで一般の銀行だけではとてもやり切れぬから、特にこの輸出入銀行というものを作っておるのであって、その中心になるいわゆる国際貿易を促進するなり、あるいは外貨を獲得するなりという問題については、どうしてもこの輸出入銀行が中心になるわけであります。そのことについて単に重点が船舶や車両にあるからということで、一般の輸出の問題について検討をされないような口ぶりということについては私は了承できない。これはなるほど今は扱っておらないかもしれない、あるいは新潟県のそういうふうな人が、たとえばアメリカにあれだけ多くの輸出をしておるけれども、その問題についてもあるいはあなたの言うように市中銀行の取扱いになっておるかもしれない、しかし、それだけでは私は今後の行き方としては、これは問題が残されるのではないかと、こういうことを私は言外に実は含んであなたに御質問しておる。ところがあなたの御答弁は機械的に、項目に上っておる、現在の取り扱っておる事柄だけしか言わないで、その他の問題については一体輸出入銀行としてはどう考えるかということについては、あなたは御答弁になっておらない。これは日本の輸出に対する私どもは金融機関としての立場というものを考えていかなければならぬのじゃないかと思う。特にこの間のような米国の遂にアイゼンハワー大統領までが出て、この日本の輸入物資については査定をする基準をきめるという政治の大きな問題にまでなっておるにかかわらず、この保証関係等の問題も、当然金融機関としては輸出入銀行が考えてもそろそろよさそうな時期だというのにもかかわらず、機械的な御答弁だけでは私はちょっと納得ができない。そこでそういう問題について、もちろんこれは輸出入銀行だけの問題じゃありません。あなたの方は金融担当なんですから、少くともそういう意見というものは、あなたの方から出てもいいのではないかと、こう実は期待をしておったわけですが、その点については総裁は、いや私の方は単に事務家でありまして、金を貸すことだけが仕事でありますからと、こういう御答弁ならそれでもけっこうでありますが、私は少くともあなたの立場から考えると、貿易の問題等については、常に金融面というものを十分に一つ国民は使用してもらいたい、こういうような御答弁がいただけるのではないかと、こう思ったのですが、この点はいかがでしょうか。
  165. 古沢潤一

    参考人(古沢潤一君) ただいまの御質問でございますが、この日本全体の貿易ということに立脚して考えまするというと、今の御意見まことにごもっともなわけであります。御質問中にもありましたように、私どもは金融を受け持っておって、そうして私どもの金融のやり方というものは、その法律でちゃんときまっているわけです。けれどもこの運用上においては、もちろん国家の貿易全体ということをしょっちゅう考えておるわけでありまして、   〔理事平島敏夫君退席、委員長着席〕 私の方の金融を受けにやってくるものがいいか悪いかというようなことも、もちろん市中銀行と協調していろいろ研究をいたしておるわけであります。もしも皆様が、私どもの方でもう少し業務を広げたらいいだろうというふうなお考えならば、私ども喜んでそれをやるつもりでおりますけれども、もともとこの趣旨が先ほどから申し上げましたように、プラント輸出の長期金融であり、しかも市中銀行とは競争しないという建前なんです。これはなぜかと申しますと、わが国の立場としましては、自由企業をもう少し旺盛にしてやると、国家の援助というものは後に控えておってなるべく干渉しないような行き方にした方がいいじゃないかというので作られた仕組でございますから、先ほど来非常にまあ私の答弁としましては、御満足じゃないかとも存じますけれども現状はそういうふうな状態になっておりますので、御了承を願いたいと思います。
  166. 東隆

    東隆君 これは筋違いの何になるかもしれませんが、例の賠償ですね、あれは賠償の対象になるもの、そういうようなものは将来どこが扱われるのが適当だと思いますか。
  167. 古沢潤一

    参考人(古沢潤一君) 御承知のように、本邦といたしましては、ビルマ、フィリピン、インドネシア、タイと、インドネシアはまだ批准をしてありませんが、大体米ドルにしまして十七億ドルですか、邦貨にしまして六千百七十三億の賠償並びに経済協力を約束しておるわけであります。そうしてその賠償に基いて支払われるものが物資の場合には、短期で済むものもございますけれども、おおむね長期にわたるものが多いのであります。たとえば船舶であるとか、車両であるとか、電気機械、こういうものは自然と私の方の業務になってくると思うのでございますが、現にただいままで、その賠償並びに経済協力関係で金融をいたしましたものは、フィリピンに対しては船舶が一億七千万、車両が七億八千万、電気機械二億四千万、その他一億二千万、ビルマに対しましては車両が八億九千万、それから電気機械が十六億八千万、合計いたしますと、四十二億ばかりの契約が行われておりまして、そのうち私の方で融資を承諾した額が十二億、それから三十二年度のことになりますが、この三十二年度について融資承諾額につきまして、私どもの方で融資した金額は五億になっております。将来この話が進めば、だんだんこの金額は多くなっていくだろうと思っております。
  168. 東隆

    東隆君 これの決済はどうなるのですか。この場合に、国がたとえばいろいろな物を買い上げるが、そういう決済はどういうふうになるのです。
  169. 古沢潤一

    参考人(古沢潤一君) 決済は、国家の賠償に充てる予算が組まれるわけですね、それから支払われることになります。その金額を私どもの銀行は返してもらっております。
  170. 東隆

    東隆君 そうすると、融資をするときには、あらかじめその、その商社が物資を出すということがはっきり決定をした際に融資をすると、こういうことになるわけですね。
  171. 古沢潤一

    参考人(古沢潤一君) そうです。
  172. 東隆

    東隆君 そうすると、最初に融資をされれば、そこから政府は買い上げる、こういうことになるわけですね、品物は。
  173. 古沢潤一

    参考人(古沢潤一君) たとえば賠償で向うが船を作りたいという場合ですね。こっちの業者と話し合いをするわけでしょう。そうしてその契約がきまれば、それは賠償で払ってもらいたいということになるわけですね。そうしますと、国家がそいつを賠償で払ってもいいという決定をしますと、それに関連して輸出許可とか、いろいろなあれが行なわれるわけでありますが、それを私の銀行へ持ってくるわけですね。そうすると、その船舶建造に必要な金をうちから出す、出して、その出した金額はつまり船会社が借りるわけですから、船会社ができた場合に、その金額は賠償から払ってもらう、その払った金額を私の方の銀行に返す。こういう順序になるわけであります。
  174. 東隆

    東隆君 その場合に、融資先を決定するのは国が決定をするということになるわけですね。
  175. 古沢潤一

    参考人(古沢潤一君) これはもう政府の方でこれは賠償でやってもいいという方針をきめるわけですから、おっしゃるようなことになるだろうと思います。
  176. 東隆

    東隆君 そうすると、輸出入銀行で決定をすることによって、優先的に賠償になるというような、そういうことはないですね。
  177. 古沢潤一

    参考人(古沢潤一君) そういうことはございません。
  178. 東隆

    東隆君 そうすると、金融が非常におくれるのではないですか。
  179. 古沢潤一

    参考人(古沢潤一君) おくれると申しますか、とにかく私の方から金融をする段階に至るまでにおいて両国間の交渉が必要ですし、それから建造契約なんか——、船の例をとってみますれば、契約が必要であって、そうして最後の段階にくるわけでしょう。それから大きな船会社になりますというと、何もうちから金を借りなくても、自分で市中銀行から調達したり、自己資金を持っておったりするわけですから、うちへくるというのは、おくれても差しつかえない場合もありますし、それから全然こなくても済む場合もありますし、まあうちへくる場合にはよほどたってからくるということも予想されるのであります。
  180. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ほかに御発言もなければ、日本輸出入銀行の部に関する質疑は以上をもちまして、終了したこととすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  181. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないものと認め、さように決定いたします。  以上をもって昭和三十年度決算各省庁別の質疑は全部終了いたしました。  今後の取扱い方につきましては、委員長並びに理事打合会において御相談することにいたしたいと思います。  なお次回につきましても、同打合会において相談の上、至急に連絡を申し上げたいと思います。  本日はこれをもって散会いたします。    午後三時三十四分散会