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1958-03-10 第28回国会 参議院 決算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月十日(月曜日)    午後一時四十分開会   委員の異動     ————————————— 三月七日委員清澤俊英辞任につき、 その補欠として鈴木一君を議長におい て指名した。 三月八日委員大谷贇雄君辞任につき、 その補欠として石坂豊一君を議長にお いて指名した。 本日委員石坂豊一君、松村秀逸君及び 手島栄辞任につき、その補欠として 大谷贇雄君大谷瑩潤君及び宮田重文 君を議長において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     高野 一夫君    理事            大谷 贇雄君            平島 敏夫君            相澤 重明君            奥 むめお君    委員            石井  桂君            大谷 瑩潤君            勝俣  稔君            手島  栄君            西岡 ハル君            堀本 宜実君            増原 恵吉君            松岡 平市君            宮田 重文君            大倉 精一君            岡  三郎君            島   清君            相馬 助治君            竹中 恒夫君            岩間 正男君   政府委員    農林政務次官  本名  武君    農林省農林経済    局長      渡部 伍良君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    会計検査院事務    総局第四局長  中川  薫君    会計検査院事務    総局第五局長  上村 照昌君   証人    元全国購買農業    協同組合連合会    会長理事    田中 順吉君    前農林中央金庫    理事      山下 利義君    前農林中央金庫    理事長     湯河 元威君    元日本農工株式    会社社長    高橋 武美君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選国家財政経理及び国有財産管理  に関する調査の件  (農林中央金庫等融資状況に関す  る件)     —————————————
  2. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ただいまから本日の決算委員会を開会いたします。  まず、委員の変更を御報告申し上げます。三月七日付で清澤俊英君が辞任されまして、鈴木一君が補欠選任、三月八日付で大谷贇雄君辞任石坂豊一君が補欠選任、三月十日付で石坂豊一君が辞任大谷贇雄君補欠選任されました。
  3. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 理事補欠互選を行いたいと存じます。大谷贇雄君委員を一時辞任されましたため、理事に欠員を生じております。従来の慣例もございますので、理事互選は、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めます。大谷贇雄君補欠として大谷贇雄君理事に指名いたします。
  5. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 本日の委員長及び理事打合会において申し合せました事項を御報告申し上げます。  本日は、御案内の通りに、証人を喚問いたしますが、次回は、明後日三月十二日午後一時から、国鉄に関する決算審議を行います。  以上の通り決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないものと認めてさよう決定いたします。
  7. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 国家財政経理及び国有財産管理に関する調査を議題といたします。  本日は、農林中央金庫等融資状況に関する件といたしまして、日本農工株式会社に対する融資の問題を審議いたします。  本日は、再度証人方々に、さだめし御用務御多端だったろうと存じまするが、まげて御出席をお願いいたしまして、まことに恐縮に存じます。  証人方々からは、去る二月十九日に証言を願ったのでございまするが、本日は、それに引き続きまして証言を求めたいと存じます。証言に関する注意事項は、前回において申し上げた通りでございますから、本日は省略いたします。  それでは証人宣誓に入りますから、証人各位、全員御起立を願います。証人の方は順次宣誓をお願いいたします。   〔総員起立証人は次のように宣誓を行なった〕    宣 誓 書  良心に従って真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人  田中 順吉    宣 誓 書  良心に従って真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。        証人 山下 利義    宣 誓 書  良心に従って真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。        証人  湯河 元威    宣 誓 書  良心に従って真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 高橋 武美
  8. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御着席を願います。  これから証人の方の証言を求めるために、各委員から御質疑を願います。まずその前に、証人のほかに、政府側から、会計検査院上村第五局長中川第四局長農林省から渡部経済局長出席されております。
  9. 岩間正男

    岩間正男君 歳出進行について。ちょっとお伺いしたいのですが、先ほどの理事会決定は、一応承認するとしまして、きょうの結果について、これはどういうふうに処理されるのか。それで、今までのやり方によりますというと、問題が継続的に審議されてない。現にこの問題は、先月の十九日に証人喚問を行なったものであります。すでに延々約一カ月になろうとしておる。問題は、このように、間をはさむことによって、非常にこれは審議に差しつかえがあると思うのです。そういう点から、もうすでにあさっての委員会においては、国鉄問題を取り扱うというような決定がなされているとすると、これはきょうはどのように処理するのか、この点について委員長において、審議予定をちょっとお伺いしたいと思います。
  10. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 私から申し上げますが、数回にわたって委員長理事打合会を行いましたところ、証人喚問を再度継続して行うべきであるという御意見やら、再度継続して証人喚問を行うこともいかがかというような、こういうようないろいろの意見がありまして、なかなか打ち合せ事項決定いたしかねたのであります。それが本日までかかったわけでございます。そこで先週の末の打合会におきまして、再度まことに御足労であるけれども、四名の証人の方に本日御出席を願って、証言を求めるということに意見一致をみまして、本日御出席を願ったようなわけでございます。
  11. 相澤重明

    相澤重明君 理事会として、きょうの委員会審議に当っての考え方を統一したわけでありますが、本日の委員会としては、四人の証人の方に、できるだけ質問者意思に沿って、そうしてなおかつ明らかにしてもらう、そうすれば割合にきょうの議事も早く進むだろう、できるならば四時か四時半ぐらいに本日の委員会も終りたい。しかし証人だけの問題じゃなくて、やはりそのあと農林大臣の当然質問をしなければならぬ。しかし本日は予算委員会もともに進めておりますから、すぐに大臣出席を願うということもきめられませんから、できるだけ大臣には連絡をとって、本日できるならばこれらの問題について処理一のできるように、必ず出席を求めておくということで議事を進める。ただし、その間に証人証言なりあるいは質疑過程において、質問者意思十分納得のできない、こういうものや、どうしても関連していけないというものについては、これはまた農林省の問題は十分あとでも御討議できまずから、そういうことで、本日はとにかくできるだけ証人の問題については終ることができるならば、これは委員会としても幸い、従って今岩間委員の御質問もありますが、私ども理事会で本日の委員会についてきめたのは、そういう方向でありまして、もし本日の各委員質問十分意を尽せない、あるいはまたそれに伴なっての問題が出るということになれば、これは当然本委員会として、その意思を私はきめなければならぬ、こう思います。
  12. 岩間正男

    岩間正男君 私はなぜこういうことを質問しているかというと、この前の十九日のあとに、これは継続してやれば問題はもっと追及されて、明瞭になったと思うのです。一カ月の時日が置かれ、その原因は何かというと、次回の予定を、すでにきょうの審議が終らないうちに立ててしまう、そういうことで、きょうの審議一つのワクがかかってしまうのですね。そのために非常にまずい。つまりこの次に国鉄をやるということをきめているのですが、きょうの結果によって、私は次回にこれを継続して、やはりこの問題をはっきり片をつけるということが非常に重要だと考えているのです。この前の理事会決定そのものに、われわれは異議を申し立てるわけじゃないが、しかし、技術的には必ずしもあれはうまくなかったのじゃないか、こういう感じを持つのです。一カ月置いたのじゃ、これは非常にまずいわけです。問題が新たになりますからね。そういう点からいって、これは理事会に再考を求めるか、その点うまく善処してもらいたい。継続してこの問題をとにかく結論を出すために努力する、こういうので、この次のなにを国鉄というふうにきめなくてもいいのじゃないかと思うですが、この点についてはかってもらいたい。
  13. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  14. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記を始めて。  委員側からの御質疑を願います。
  15. 島清

    島清君 証人方々に御質問を申し上げる前に、農林省の御提出になりました書類について、ちょっとただしておきたいと思います。  それは三十三年の二十九日の現在で農林省が御提出になりました「日本農工株式会社に関する農林中央金庫処理方針」と、こうありますが、今私たち証人方々においでを願いまして真相をお尋ねをしておりまするのは、農林中金といたしましても、農林中金の独自の考え方では、この問題の処理に困難があるように思えまして、さらに証人方々に確かめましたところが、証人方々の口からも、農中金の強い意思の行動によっては問題が解決しそうにもない、こういうことで延び延びになっておるというような証書等も拝聴したわけでありますが、これからみますると、何か農林中央金庫がこの処理方針をもちますれば、すぐにでも解決できるような印象を受けるのですが、この点はいかがでございますか。
  16. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 昨年の募れにこういうふうな方針処理をしたらどうか、こういうふうな報告を受けておるのでありまして、これに基いて関係者の間で御相談が進んでおる、こういうふうに私の方では了解しております。
  17. 島清

    島清君 これは農林中金の一方からの考え方であって、そうしますと、日本農工ですか、そういう会社側の、相手の側の意向を確かめて、そういったような農林中金考え方相手側考え方とが、まあ意思一致といいましょうか、何といいましょうか、そういう方向処理できるというような意味の書類じゃないわけなんでございますね。
  18. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これをもとにして話を進めていくということでありますから、話し合いは関係者の間でついているというものではないと、こういうふうに私ども了解しております。
  19. 島清

    島清君 これは農中金の方から出された文書でございますか。それとも農林省責任を持って本委員会の方へお出しになりました文書でございましょうか。
  20. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは農中金の方でこういうふうにしたいということを、私の方で要約をして出しておるのであります。
  21. 島清

    島清君 そうしますと、農林省提出というふうにお出しになりまするのはいかがかと思いますが、いかがでございましょうか。
  22. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) それで私の力は、農林中央金庫処理方針、あるいは案があればよかったのかと思いますが、農林中金はこういうふうにして処理したいと、こういう考えで進んでいくという報告でありますので、農林中金処理方針と、わざわざ断わって書いたのであります。それでどこから出すかということになると、農林省から出すべしという話でありますから、農林省出したと、こう書いておるのであります。
  23. 島清

    島清君 今あなたが傍聴されて、質疑過程においてこらんになります通り農中金側とさらに関係者方々とは考え方が対立をしておるわけなんでございますね。そこで、どちらの言うことか真なのであるかどうかということを私たちが確かめてるわけなんです。そこであなたの農林省の、しかもその監督官としての最も責任ある立場にあられる方が、一方側の、農林中金側の方の言い分だけをお聞きになりまして、そしてその農林省提出としてお出しになるということについては、いかがなものでございましょうかね。私たちは少くとも、農林省は私たち質疑過程をごらんいただきましても、お聞きいただいても、第三者的な善良なる国家の官吏としてこの問題を処理するであろうということをあなたに期待をしてるわけです。もちろんあなたにこれからずっと質問をして参りますけれども、そういうふうに期待をしておりまするあなたから、しかも農林省というて、そのうたいました公文書提出されて、これが一方的な農中金側の方の提出したそのままの案であるということになると、その公一文性といいますか、権威性といいますか、こういうものを疑わざるを得ないんですがね。どうですか、その点は。
  24. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 私の方ではまだ本件につきましては、農林中金の方が最終的に案をきめて農林省に交渉するんだという報告を受け取ってないのであります。しかし当委員会からどういうふうに処理しようとするのか、こういうお話がありまして、私の方では中金の方でどう処理しているんだ、こういうことで確めまして、昨年のくれにこういう方針で進めたいと思って関係者相談を進めていると、こういう報告がありましたので、それを農林中央金庫処理方針としてお出しいたしたのであります。
  25. 島清

    島清君 私は一体本案の取り上げておりますのは、農林省監督官としての責任を、あわせて国民の前に明らかにしていこうと思いまして、その前提として真相を明確にしなければならないという質問をしているわけです。私たちがあなたたち責任を追及をしないという立場でありますれば、何も民間の人にきてもらう必要は毛頭ないのです。ですからあなたは去年の暮の農中金処理方針をそのまま委員会の方にお出しになると、この前も大矢委員から非常にあなたは叱正を受けたわけです。痛烈な攻撃をされたわけです。そしてここに去年の暮の処理方針なるものを御提示になって、これで私はこの委員会で御答弁ができると思うところにあなたの良心を疑いたいのです。私がお聞きいたしておりますことは、この文書に作為があるということです。それはここに裁定書というのがあるのです。関係者記名捺印をすれば、こういうふうに解決するかもしれないというような裁定案というのがあるわけです。それは相当関係者方々によって作成された、それには、第一とあなたのいっていることを第一条といっている、条を抜かしている。しかも前文が抜けております。しかも第八条以下は全部抜けております。さらに文の中にも、その第一条の中に、「中金は、自己並びに全購連名義日本農工株式会社云々というのがあるのです。この第一条を抜かして、第一には「中金は、自己並びに」というのがことさら抜けておるのです、作為的に。そしてここにありまする本文の中の、原文の中の条というのが全部抜けているのです。関係者の中には裁定君というものか作られて、しかも前文がついて、さらに第何条第何条といって八条以下がずっと、年月日がついている。しかも農林省提出をしたその書類の中には、前文が抜けて、第何条とあるのが条が抜けて、そして「中金は、自己並びに」というものが抜けている。ことさらに抜けている。八条以下は抜けている。これで国家責任ある立場にある者として、こういうものは公文書が出せますか、これは公文書でしょう。これがかりにうそだということになるとどうなりますか、偽造の公文書ではありませんか、こういうものに私たち良心的な……あとであなたたちの方から真相をきわめて、責任ある態度がとられるだろうと思います。が、私たちは真偽をただしておるわけです。それでよろしいですか。
  26. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 先ほど御説明申し上げましたように、私の方は中金がこれからどう処理しようかという方針の概要を作って出しておるのでありますから、ただいま御指摘のありました裁定書処理に必要なものを掲げておるのであります。御指摘の第一条の「中金は、自己並びに全購連名義日本農工云々お話であります。が、私の方で聞いたところでは、「中金は、自己並びに」と、その関係は、株式に関する限りはみんな全購連名義の株でありまして、中金名義の株はないから、その点はそう訂正した方がいいじゃないか、こういうことで、事実に合うように直しておるのであります。ただいま前文をお読みになりましたが、裁定書を私の方でも調べますと、「農林中央金庫(全購連を含むものとし、以下中金と称する。)」と、こうありまして、裁定書書き方は、中金側農工側、こういうふうな書き方になっておりますので、その点を分析いたしまして、わかりやすく書いた方がいいじゃないか、こういうので、この条項通りは書きませんで、私の方は事実に間違っておるものを書いたと、こういうつもりはありませんです。
  27. 島清

    島清君 君は、いよいよ非常に重要な発言をしてくれたですが、そうすると、中金側の方は、相手側とこういうふうな裁定書を作成しておるが、農林省責任をもって出す案としては、これはやはり、中金の方は株を持っていないから、削除して出した方がよろしい、  こういうふうに取捨選択したといっておるのだが、農中金が株を持ってないということは、この委員会であなたははっきり言えますか。
  28. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 農林中央金庫に確かめた結果、ない、こういう報告を受けましたので、そういうふうに直しておるのであります。
  29. 島清

    島清君 ないものをここに、裁定書の中に「中金は、自己云々ということを書くはずはないでしょう。あるから書いてているでしょう、どう思います。裁定書にはあって、しかも二、三人の方々が衆知を集めて作った裁定書には、「中金は、自己並びに」と、 ちゃんといっておるじゃないですか。それがないという判定が、あなたどこからそういうことが言えるのです。その確信は、どこを根拠にしてそう言うのですか。
  30. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 中金からの報告に基いて、こういうふうに直したのであります。さらにこの点は、御指摘がありますので、よく調査してみたいと思います。
  31. 相澤重明

    相澤重明君 ちょっと関連して…。これは私は、今の発言は非常に重要な問題だと思うのです。この参議院決算委員会では、二回までも証人を呼んで、そうして真相究明しようということになったわけでありますが、今までこの農林中金の問題について、そういうふうに資料をできるだけそろえて出してもらいたいということで、私どもは、農林当局には、要請をしておるわけです。しかし、今のお話を聞いておると、その裁定書内容についても、われわれはわからぬ、実際にそういうものをわれわれは出してもらわなかった。ただ、農林省のいわゆる報告農林省資料というものを私どもはここに提示をされたわけです。しかも、今の渡部局長答弁を聞いておるというと、裁定書というのは、農林当局は見ておる。なぜ本委員会に対してそういう資料があるならば出さぬか、そうしてまた、農林当局中金だけのいわゆる言葉に基いてこの資料を作成をしたか。これは、島委員指摘をしておるように、非常に重要要な問題です。農林省は、別に中金だけのものじゃない、農林省としてのいわゆる立場に立った資料提出をしなきゃならぬ。この責任は、私は委員長に……、これは、本委員会としましても、全く振り出しに戻ってしまう。今まで私ども提示をされた資料は、農林当局から出されたものは、もう誠意あるものとして私どもは受け取っておった。しかし今の、きょうの初めての質疑の中で出てきたことは、そういう重要な資料というものが出ていない。われわれ理事会でも、先ほども冒頭に、各委員の諸君から叱られたけれども、われわれとしては、できるだけ誠心誠意を持って、そうしてこの問題をできるだけ早く明らかにして、私どもこの問題を解明をしていきたい。こういうことで理事会でもずいぶん努力をした。にもかかわらず、その理事会に対しても、いわゆるそういう資料というものに何ら今まであなた方は触れてはおらぬ。委員会にも出しておらぬ。こういうようなことでは、これはもう、参議院決算委員会そのものに対するあなた方の誠意の問題になってくる。今の御答弁では、新たになおよく調べて、調査をしてお答えをするということになる。これでは、今日の段階では調査できないじゃないですか、実際に究明が。私は、委員長、まことにこれは遺憾だと思う。農林当局がもしそういう資料があるということになれば、今日まで何回もこの問題を審議をしておるのに、われわれ委員にそういうものを報告しないというのは、まことに私はけしからぬと思う。こういう点について、一体農林当局はどういう考えでおるか。委員長から、これは一つぜひ農林当局立場を明らかにさせるように私はしてもらいたいと思う。そうでなければ、私ども理事としても、この今会議の運営について、委員長理事の打ち合せをして、この委員会をスムーズに……、いわゆるそのことが起ったことについても、実は確信を持てなくなってしまう。先ほど冒頭に他の委員から言われたように、幾らこれを早く終ろうと思っても、終ることはできないじゃないですか。この点について、委員長から一つその点を究明をしてもらいたいと思う
  32. 岩間正男

    岩間正男君 関連して。この問題については、この前も、大矢委員も私も質問した問題ですが、これは、農林省資料としては非常に権威のないものであることがわかった。あなたは、あのときの説明では、農林省のお歴々が作った、そうして非常にすぐれた先輩たちから聞いたんだから、こういうような資料というものは、権威があるものと思って出したと、こう言っているわけですね。ところが、非常にこれは、農林中金だけの話を聞いて出している。これはどういう責任を負うのですか。これに対して、どの程度責任を負うのか、われわれは、この資料じゃあ非常に不十分だし、ことに何ら断わり書きが書いていないのですね。処理方針というのは、説明を聞いて初めてわかる程度のことで、これを聞かなければ、これは農林省処理方針としてしかとれないですよ。これはちょっと、何を読んでごらんなさい。この資料の「日本農工株式会社について、農林省昭和三十三年三月」という、これは署名のある資料なんです。従って、処理方針というものは、これは中金処理方針だというふうに説明を書いていない。ね、こういうことでは、農林省が一応この処理方針を認めているという印象を与えるわけです。そうなれは、これは非常に重大問題だと私は思う。この内容については、非常に異論のあるところです。当委員会がほんとうに究明をしなければならないところはここにある、焦点が。こういう一億九千万円の損害を一方ではちゃんと認めておきながら、しかも、現在のこの農工に対して五千五百万を返すなどということは、一体これ承認できるのかどうか。これは、当委員会は承認できるのかどうか。会計検査院も承認できるのかどうか。これは重大問題です。ところが、これがとにかく今のような一方的な、しかも非常に不十分な、裁定書という形で出されていたいところの方針で、当委員会に対して一つ意思拘束をしているのです、 この文需は、事実問題として……。こういう点で、私は委員長に、これは善処方を要望しておきます。出し直すか……、こういうものじゃ問題になりません。それから、公文書なら公文書、それについてちゃんと説明をつけなければ、この文書だけ見ますと、先ほど印したように、農林省処理方針というふうに聞えるのですね。これを承認したというふうに聞える。これは非常に当委員会意思を拘束します。こういう点で私は、一体この点について、農林当局だけの責任なのか、農林大臣もこれは了承している問題か。農林大臣に対してわれわれは質問をしても、主点はここにあるのだから、この問題についての農林省の態度というものは非常に重大な問題になってくるわけです。従って、この点について、あなた自身はどういうふうな見解を持っているか、明らかにしてもらいたい。わからなければ、農林大臣に聞いてもらいます。
  33. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ちょっと申し上げますが、あなたの説明を、今各委員の御質疑に対して明確に一つ説明願います。実は、きょうは証人喚問いたしまして、証人の方に待っていただいている。従って、各委員からも、できるだけ早く、一応証人に対する質疑を願いまして、そして政府側に対する質疑は、いずれまたあとでしていただくというふうに、こういうふうに、できるだけ証人に対する御質疑に集中していただきたいと思います。しかしその前に、渡部経済局長から、今の三委員からの御質疑に対して明確なる御説明を願います。
  34. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) ただいまお話のありました、二つの書類が今出ているわけであります。昭和三十三年二月というのと、島委員が御指摘になりました三十三年二月十九日と、この二つの書類があるのでありまして、三十三年二月の方は、日本農工株式会社についての昭和二十四年以来からの経過をずっと書きまして、最後に六項で、関係者の間で話し合いを進めてきたが、「三十二年十二月三十日にいたり、別紙処理方針のような結論に達し、目下それに従って処理せられつつある。」と、こう書きまして、その後資料提出要求がありましたので、私の方で、各項目につきまして詳細のことを調べまして、それの概要を三十三年二月十九日付で出しておる。これを裁定書のままで出すかどうか。裁定書のままで出すのでありますと、私の力の解釈では、むしろ関係者の方から直接出してもらった方がいいのじゃないか。農林省として出すのであれば、これを農林省がどういうふうに解釈しておるかということをつけて出した力がいいのじゃないか。そこで、日本農工株式会社に関して農林中央金庫がどう処理しようとしているかというふうに見出しをつけまして、農林省提出として出しておるのであります。従いまして、裁定書そのものを出さないで、概要を出しておるのであります。御指摘のような不明確な点が出たことは、遺憾に存じておるのであります。
  35. 高野一夫

    委員長高野一夫君) できるだけ証人証言を求める意味の御質疑に一応集中していただきます。
  36. 相澤重明

    相澤重明君 その問題について、委員長に私はちょっと申し上げたいと思うのですが、この農林中金の問題ですね。島委員質疑過程から、私どもは、実は資料を要求をして、もらったのだ。その資料の基本になる問題がやはり究明をされなければ、やはり審議の進め方について非常に私は問題が出てくると思う。だから、委員長の趣旨はよくわかります。私は、先ほど冒頭に申し上げましたように、本日は証人のいわゆる証言を私どもはできるだけ早くいただいて、そして本日の委員会も、できれば証人証言は本日くらいで終りたい、こういうつもりでおったけれども、その基本になる農林省の、いわゆる農林当局としてのやはり資料というものが、今言った根拠になる資料が不明確なままでは、議事は進まないのです。ですから、委員長もその点はやはり、証人をせっかくお呼びしておるけれども、その点については、やはり今言った通り明らかにしなければいかん。  それから、渡部局長にも、やはり私は、まことに遺憾だと思うのでありますが、今のような、あなたの言うような御答弁であるならば、少くとも前もってこういうふうなこともありましたと……私は、いまだかつて裁定書がどうなっておるというようなことをこの委員会で聞いておらなかった。たまたまきょう、島委員発言に基いてそういうことが出された。それならば、参考書類ならば参考書類でけっこうですよ。あるいはこういうこともありましたということを、私はすなおにその資料として御提示を願いたい。並びに農林省立場としての私は報告をしてもらいたい。こういうことが私ども参議院決算委員会としてのとっておる立場なんです。ですから、今になって、私は、そういうことを言われたということに非常に遺憾の意を表明しなければなりませんが、すみやかにそういう点をそろえてもらうということは、これはやはり責任の問題だと思う。その点は、ぜひ私はやはり進めてもらいたい。  それから、委員長に、今冒頭に申し上げたように、そういう基本の問題をやって、そうして証人証言の方に入るなら入る。こういうふうに委員長もやはり、議事運営について、理事立場から申し上げておきたいと思う。
  37. 相馬助治

    ○相馬助治君 私は、今の相澤理事の御発言もわかるし、その通りであると思うけれども、やはり政府側を追及するのですと、われわれは簡単に国会法の規定するところでやれるのですから、きょうは証人かそろっておるのですから、私は、委員長の申されることに協力したいと思う。従って、相澤、島、岩間委員から言われたことも理の当然ですから、これは別個に一つ、これに並行して、委員長理事会において、信憑性のある参考書なり何なりをかりに出し直してもらうなり何なりして、そうして今の問題が存しておるということだけを確認して、はなはだ遺憾ではあるけれども一つ証書を求める。少くともここに御繁忙の四人の方をもう一度出てきてもらうことのないようにするために、私は委員長に協力したいと思うので、委員長議事進行をお願いします。
  38. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 私から各委員にお願い申し上げますが、農林省側の資料についての御質疑並びに農林省渡部局長答弁説明につきましては、なお当委員会として十分考究しなければならぬ点があることを委員長としては認めます。この問題につきましては、委員長理事打合会においてさらに検討をいたしまして、質疑内容並びに答弁内容について検討いたしました上で、善処方をはかりたいと思います。本日は、とりあえず四人の証人方々証言を求めるべく、御質疑を願いたいと思います。
  39. 島清

    島清君 私も、あんな農林当局の方から発言があろうとは思いませんでしたが、実は第一回目に出されました資料も、幾らか農林省の方でこれは手心を加えてある。そこで私は、そういったような、手心を加えないほんとうのものを出してくれないかというので、第三回目のこれが出てきたわけです。この第二回目のこれも本ものではないので、作意的な作文があるものが農林省の名において出されておるので、これは虚偽の公文書になるのではないかという、こういう意味で私は確かめたのでありますが、せっかく他の委員からの議事の進行の発言がありましたから、議事の進行をさせていただきますが、今、渡部さんは、農林中金の方は株を持っていない、こういう発言でありましたが、湯河さん、いかがなものでございますか。しかとその通りでございますか。
  40. 湯河元威

    証人湯河元威君) 私のやっております間においては、農林中金は株を持っておりません。最近の情勢は、なお当局的に確かめていただきたいのでありますが、私の信ずるところでは、株は持っておりません。
  41. 島清

    島清君 全購連さんの方で裁判所の方へ提示をされた文書があるのです。それによりますというと、農林中金の方から証明書を出しておられます。それによりますると、昭和二十七年六月二十五日付当金庫、日本農工株式会社間の公正証書契約締結直後当金庫の指定する者に対して額面額の代金で右会社株式の譲渡を受けましたが、該譲渡は右会社経営に対する発言権を持つためであって完全な株主権譲渡であります。右証明いたします。——あなたの方で指定した者に株券が移動したことになっておるのですが、しかも、昭和三十年三月九日、これは、あなたの在任中です。農林中央金庫業務第一部、こういう工合に証明書が出ておるのですが、これはどういう意味なんでございますか。
  42. 湯河元威

    証人湯河元威君) それは、農林中金自身の株ではございませんで、どこまでも、当時の株主になりました山下君並びに勝間田君だと思います。が、その人の株でございまして、農林中金の株としては私は認めておりません。従いまして、農林中金の有価証券の中にはそれは出ておりません。
  43. 島清

    島清君 この裁定書は、あなたも御存じだと思うのですが、どうして、株をお持ちではないのに、この裁定書には、中金が「中金自己並びに」というような表現を使っておるのですか。
  44. 湯河元威

    証人湯河元威君) 私は、その裁定書の作成過程並びに解釈については、詳細を存じておりませんので、的確なことを申し上げられません。察するに、ただいま申し上げましたような、指定した人という意味におきまして、それを裁定書でございますか、さようにお書きになったのだろうと信じます。私は、どこまでも、中金の有価証券の中には、日本農工株式会社の株はないと、はっきり申し上げます。
  45. 島清

    島清君 今、あなたと高橋さんとのお話によりまして、あなたの方の指定する人が株を持つ、そうしてあなたの指定する人々が会社を運営する、こういうふうになっておったわけでありまするが、そういたしまするというと、株はこれで正式に移動したことになっておるのですが、この証明書によりますというと……。その移動は、有償でございますか、無償でございましょうか。
  46. 湯河元威

    証人湯河元威君) 私は、その点につきまして、ただいまはっきり申し上げることはできません。存じておりません。
  47. 島清

    島清君 あなたは知っておられるはずですがね。有償で株を農中金の方が持ったか、ないしは、あなたの指定する人々が持ったか、有償であるか無償であるかということはおわかりなはずなんでありますが、思い出していただけませんか。
  48. 湯河元威

    証人湯河元威君) 私、その事実を思い出すことが、思い出して申し上げることが危ないのであります。よく存じませんからでございますが、それは、そのときの関係をたどってみればわかることでありますから、明らかになると思います。私、ただいま記憶を的確に持っておりませんので、証人として申し述べることをお許しをいただきたいと思います。
  49. 島清

    島清君 田中さんにお聞きしますが、四千万円の根抵当をお取りになりましたですね。それで、前渡金というのは、根抵当の限度においてお渡しにならなければならない筋合いのものでございますね。しかし、この前、御証言をいただいたところでは、一億以上の前渡金をお渡しになっておられたですね。それで、一体、根抵当は何のために取っておられたのですか。それからまた、何で根抵当を四千万円という限度で取っておりながら、限度を超過して、一億以上の前渡金をお渡しになったのでありますか。
  50. 田中順吉

    証人田中順吉君) 四千万円という前渡金の限度につきましては、第四順位の抵当権が設定してございますということが限度を明らかにしていることの一つの理由でございます。同時に、これにつきましては、農林中金におかれましても、万一の場合は抵当権をもって代物弁済に応ずる、こういう農中金との話し合いもございますので、それが四千万円を限度にしているという意味でございますが、それを超過してさらに前渡金を波しておったというものにつきましては、これは、会社の運営が、どうしてもその限度の前渡金では、事業資金がまかないきれないという事態に対しまして、全購連はほとんどその製品を一手に引き受けて販売しております関係上、どうしてもそれ以上の前渡金を出さなければ、会社の十分な円滑な運営ができないということになりますので、これにつきましては、前回も申し上げたように、それに相当する商品すなわち製品を担保として提供を受けました、その限度の範囲内において、四千万円をオーバーする前渡金を出しておる、こういう事情でございます。
  51. 島清

    島清君 私は、商売人でないから、わからないのかもしれませんが、前渡金というのは商品の代金ですね。前渡金を渡しますというと、それに見合うところの商品があなたのところに入るということなんですね。ところが、前渡金を渡しても、商品が入らないかもしれないという危険性がある場合、その保証として四千万円をお取りになる、こういうわけでございますね。
  52. 田中順吉

    証人田中順吉君) その点は、四千万円と、いわゆる製品と見返りにいたします分と、別個の考え方でございます。
  53. 島清

    島清君 それは、別個の考え方であるという、何か証明できるのですか。
  54. 田中順吉

    証人田中順吉君) 証明は別にございませんけれども、四千万円というも  のは、いわゆる不動産というものの、抵当権いう、いわば保証があるというわけでございます。それと別個の前渡金につきましては、いわゆる製品というものの見返りというものがあって、その前渡金という債権を保証している、こういうわけでございます。
  55. 島清

    島清君 わかりました。そうすると、四千万円をオーバーする部分は商品が担保であって、その四千万円は、商品とは無関係に担保を取ってということなんですね。
  56. 田中順吉

    証人田中順吉君) その通りであります。
  57. 島清

    島清君 わかりました。そうしますと、全購連は金貸し業ということになるわけでございますね。四千万円は金を貸された、さらに四千万円以上は、商品を見返りにしての前渡金である、こういうことなんですね。
  58. 田中順吉

    証人田中順吉君) 金貸し業という解釈ではないと私は信じます。すなわち、日本農工とゴム製品を取引する、いわゆる日本農工の製品を購買するという契約の前提のもとに、四千万円を限度にして前渡金を出すのでございますから、これは金貸しという意味ではもちろんないと、かように私は解釈いたします。
  59. 島清

    島清君 だから、私は、前渡金であるならば、商習慣に従って、商慣習というものは、要するに四千万円を前渡金に渡す。それで商品が入る。入らないかもしれないから、四千万円の根抵当をお取りになった、こういうことなら了解ができるのです。  ところが、さっき、そうであるのかないのかということで、私は確認をいたしましたところが、あなたは、四千万円は、それは商品とは無関係であると言うて、私は確認をしたわけなんです。そういたしますると、そこに生まれて参りまする理論的なものも実際的なものも、要するに四千万円は、利息がついたかつかないか、私はそれは知りませんけれども、担保を取ってお貸しになった金であると、あなたははっきりいわれた。そうすると、金貸し業でなければこれはできないことなんです。利子がついたかつかないかは、それは知りません。それから問題は、利子を取らなかった場合には、それはあなたが背任になるかどうか知りません。こっちは委員会でございますから、そこまでは明確にする必要はございません。ただしかし、四千万円の限度で前渡金をされて、さらにそれ以上おやりになったということになると、あなたの背任ということが起ってくるわけですね。いずれにしてもそうです。四千万円で根抵当をとって、さらに一億以上の前渡金をしておられるのでありますから、四千万円オーバーした部分は、前渡金であったにしろ、これは、あなたは忠実なところの全購連の会長ではなかったということなんです。さらに、今私が申し上げたように、四千万円は商品の見返りじゃなくて、ただ担保を取って貸しただけであるということになりますると、協同組合法によりまする法律を犯して金貸しをおやりになった、こういうふうに解釈をする以外にはないわけでございます。
  60. 田中順吉

    証人田中順吉君) 無関係と申しましたことは、いわゆる四千万円以外の前渡金のごとく、製品は確実にこれだけあるというものを確認してそれと見返りに貸したものとは無関係である、かように申し上げたわけでございまして、もちろん、取引上の前渡金であります以上は、そこに出てきました製品をその四千万円の見返りにいわゆる購入するということが前提でございますことは、ただいま御指摘通りでございます。
  61. 島清

    島清君 湯河証人にお尋ねいたしますが、全購連の方でその担保額以上の前渡金をお出しになりましたので、それが、あなたの表現を使いまするというと、債権ができた。その債権を肩がわりをした。その肩がわりをした理由といたしまして、他の債権者から破産の宣告などを受けると困るので、そして農工の財産を保全する意味において、全購連の債権を肩がわりしたのだと、こういうふうな証書であったと記憶をいたしておりますが、今、田中さんがおっしゃったように、商品を見返りにしてのこれが前渡金であったといたしますれば、何も、商品はあるのでありまするから、あなたの方で肩がわりをして債権を確実にしてやる、農工の財産を保全するという必要はなかったと思います。商慣習によりまするというと、前渡金を渡した場合に、品物が渡らない場合には、それはそれぞれ、損害を受けたら損害賠償の請求もありましょうし、品物をだれが渡さなかったら、山下さんの方が渡さなかったら、渡さない場合には、詐欺ということになりましょう。あなたの方でみずから買って出て、その全購連の債務を引き受けなければならない、こういう理由は毛頭ないはずでございますが、その点のいきさつはいかがでございますか。
  62. 湯河元威

    証人湯河元威君) 前回申し上げましたことでございまするが、当時の情勢といたしましては、日本農工は岐路に立っておりまして、工場を閉鎖するかどうか、こういうときでございます。そこで、製品品も、実は倉庫に入っておりますのでございますが、それを見返りにして、全購は相当の前渡金を打っておられまするが、しかし、もしも第三債権者、原料の供給者等がその製品を押えることも懸念もいたされまするし、また、それこそ債務超過で、破産申請が起らぬとも限らぬときでございますので、全購の前渡金を中金に肩がわりすることにより、それによって、中金といたしましては、会社との契約によって、抵当権で債権を確保しておきまして、全購の方には、前渡金を払わせてしまいますれば、全購は、その前渡金の財源たる金を中金に返します。債権は中金に集中いたします。ほかの第三債権者等も、順位の高い、第一、第二順位等の金融機関その他は、これは大丈夫でございまするが、どこに隠れているかもしれない第三債権者、すなわち問屋だとか、あるいは原料の供給者だとか、問屋と申しますのは、製品目当に前渡金を打っている者もございましょうし、それからまた、ゴムその他の原料を供給して、代金未払いになっているところもございます。そういうところからいろいろ難くせをつけて、あるいは製品を持っていってしまう、あるいは会社のそれこそ破産申請等もされましては、全購としてもたまらないところでございます。見返りにはなっておりましても、それを抜かれる心配、持っていかれる心配もございます等のことがございますので、これは、第三債権者は、全部きれいに肩がわり、債権を集中しておきまして、中金といたしましては、日本農工と御相談をいたして、岐路に立っている日本農工がほんとうにやめるのか、あるいは続いてゴム事業の再起をはかるのかという段階におきましては、きわめて大事なところでございますから、メーン・バンクとしての農林中央金庫といたしましては、非常の措置をとりましたのが以上のような次第でございます。
  63. 島清

    島清君 会計検査院の方にお願いしておきますが、私のさっきから質問を申し上げている点は、一つ筆記をしていただきまして、ここで明確にならない点は、あなたたちの職権の及ぶ範囲内において御調査を願って、御報告をいただきたいと、こういうふうにお願いをしておきます。  山下さんにお聞きをしますが、今、湯河さんの御説明でございますというと、何だか知らないけれども日本農工というのは非常に乱雑をいたしまして、乱脈きわまりない経理をしておられたように印象を受けるのです。少くとも一億という前渡金を取られるからには、一億以上の品物がなければならないはずでございますし、また、田中さんが証言しておられるように、全購連は三億何千万円の品物を購入しておられるのです。ですから、しろうと的に考えてみても、在庫品が幾らあるということで、これは私は別に、今湯河さんがおっしゃるように、人様から持っていかれるというような、野原のまん中に品物を置いているわけでもございませんので、りっぱに会社管理下にある品物でございまするから、そういう心配はいささかもないと思うのですが、その点についてはいかがで、ございますか。
  64. 山下利義

    証人山下利義君) ただいまの御疑問は、一応、ごもっともだと存じます。全購から借り受けの、前渡しを受けます場合には、品物を持っていきませんともらえません。もうぎりぎりの金でやっておりましたから、品物を納めて、その金で原材料を買って仕事をするということでございました。それで、全購は厳重にその点をやっていましたので、その時価からしますと、当然相当のものがございました。ところが、工場閉鎖いたしますと、そのあります品物が、一番大きな問題は、品物は片寄っておったものでございますから、それを外へ出します場合には、文数をそろえなければいけないわけです。その片寄ったものをそこで締めますと、それはもう投げ売りするより仕方がございませんので、そういう危険は出て参ります。その当時は十分な価値がございました。
  65. 島清

    島清君 ますます奇怪な御答弁でございますが、会社の経営は、あなたが湯河さんの指図に従ってお越しになった。さらに、全購連の方からも指図をいたしまして会社の経営に来られた。これは、独禁法の違反でもあるわけですが、それはしばらくおきまして、そういたしますると、みんなそれぞれ善意をもって会社の経営をされたはずであります。それが、原料代を前渡しをしてもらって、商品としてお返しをする場合に、それだけの金額に見合うだけの商品に変化をしなかったということは、ずいぶん解せない話です。もしかりにあなたが、日本農工はこれは高橋さんの今会社でありますから、日本農工には幾ら損をかけてもよろしい、抵当権を目一ぱいかければよろしい、現実の問題を糊塗さえすればよろしいというような考え方であったといたしますならば、これは、あなたの行為というものは背任ですが、しかし、私たちはこういうものを追及しているわけじゃございませんので、しろうととして考えても、あなたは、この前の証言で、高橋さんの会社である、そして農林中金の方への債務を返済をして、きれいに返してあげたい、育てていきたいと思っておったのだ、こういうことをおっしゃった。ところが、あなたが来られた時分には、実際に金が出たかどうか知りませんけれども、形式的には八千万しか金が出ていない。それから、あなたが社長として何をおやりになった。せっせとお作りになりましたのは抵当権の設定です。前渡金を取ったと称して、そして品物を渡さないで、とどのつまりは農中金の方に肩がわりをさした、こういうことなんです。常識的にはあり得ないことなんです。
  66. 山下利義

    証人山下利義君) これは、どうもまことにきついお言葉であります。日本農工が発足をいたしましたときには、過去の一般市場へのゴム事業としてのほんとうの実績はございませんでした。戦時中は、藤倉の防毒マスクの工場でございました。それを高橋さんお引き受けになりました。技術陣もまことに貧弱でございました。一般のゴムはきもの、自転車タイヤというような……。そこで、苦心惨たんをいたしまして、この前の証言でも申し上げましたように、品質としては、一流メーカーに劣らない品質に作り上げて参りました。これは、お調べ下さいますればわかることでございます。ところが、これも前側の証言で申し上げましたように、機械そのものがだめでございます。どうしても新しい今の競争に、特にゴム業界は競争が激しゅうございますが、それに対抗できるような設備と、それから拡張いたさなければ、規模そのものは非常に大きいのでございますから、固定資産税その他のものにもたえられないのでございます。それで、新しい機械を入れて、これからというところでございましたが、先般も御証言がありましたように、また、皆さんも御承知の通りに、ゴム業界は、日本のゴム業界始まって最大の危機といわれた時代に入りまして、またたく間に四、五十の工場が——日本ゴムの福岡工場が閉鎖されましたのが最も大きなものでございましたが、四、五十の工場がまたたく間に閉鎖せざるを得なくなってきました。そのような状態でございましたが、私は、そこに希望を持っていたわけでございます。
  67. 相馬助治

    ○相馬助治君 この問題は、私どもは、中金の不正貸付あるいは、不正ということができなかったならば、不当な貸付の疑いがあるという意味で、いろいろお尋ねしておるわけですが、どうも島委員質問から答弁されるところを聞いて参りますと、いろいろ派生的な複雑な話が出て参って、さっぱり私どもには、いよいよ聞けば聞くほど、証人の話を聞けば、問題の核心をつかんでくるはずなんですが、聞けば聞くほどわけがわからなくなってきてしまっておる。これは、あながち不肖相馬の頭のよい悪いの問題でなくて、問題が非常に複雑である、こういうふうに考える。そこで私は、今まで島委員が聞かれたことに関連して、その島委員質問された段階のところまででわからないことを、中金湯河さんに端的に一つ伺いたいと思うのです。明瞭に一つ御返事願いたいと思うのです。湯河さんは、前の高橋証人証言を聞いていられると思うのですが、最初の中央農水産株式会社高橋さんを社長として任命、という言葉はおかしいが、推薦した事実はございますね。
  68. 湯河元威

    証人湯河元威君) ございません。
  69. 相馬助治

    ○相馬助治君 これは意外なことですが、前に高橋さんは、理事長から推薦を受けたというか、頼まれたというか、何かわからんが、とにかく中金の口ききで社長になったと、こう申しているのであります。しかも高橋さんは、湯河さんも知っている通り、私の調べによりますれば、この方は、神戸高商を卒業後農林省に入って累進して、昭和十九年には畜産局長となった方である。私どもは、そういう前歴にこだわるわけではないけれども高橋さんという方も、そうそうあてずっぽのことはおっしゃらない。どちらかがこれはうそをついている。こういうふうに思うほかない。それで、高橋さんのおっしゃっていることは、うそをつく理由のない、また、うそをつく必要のないことのように考えるので、湯河さんに尋ねたのですが、湯河さんは、これは知らんということでありますれば、また私は、以下聞いてこなければならないのですが、山下さんを社長にその後御推薦した事実はございますね。
  70. 湯河元威

    証人湯河元威君) その事実はございます。
  71. 相馬助治

    ○相馬助治君 私は尋ねたいと思うのですが、私どもの友人等が商工中金あるいは農林中金から金を借りまするというと、そうして第二回目の借財を申し入れますと、第一回目に貸したものに対する償還の実態がどうであるか、成績がどうであるか、そうしてその貸し出した金がどのように効率的に生かされておるか、こういう角度に立って、見込みあるとするものに第二回の貸し出しが行われております。ところが、言葉はおかしいが、この融資の跡を見ると、まるっきりどろぼうに追い銭である。金を出しても、失敗した、損した、だめだから救ってやった、ざっくばらんに言うと、そういう貸し出しのように思えてならないし、不当に中金会社を援護しているように思えるのですが、その一番先に貸したお金、第二回目に貸したお金、第三回目に出したお金、この関連において、償還状況はどうだったのですか。
  72. 湯河元威

    証人湯河元威君) 中金日本農工に対する貸付は、この前申し上げましたように、全購連と日本農工とのお話がつき、そうして私ども中金のものも、この前申し上げました通りに、日本農工がよくなることによって、中水のあの困った問題が救われるという当時の日本農工社長の御懇請によりまして、当時日本農工は非常に苦境に立っておられましたのを新しい仕事を始めるというので、スタートしたのであります。全購連から前渡金を四千万円出しましたあとから、中金日本農工の取引を短期貸付で少しずつ見ております。これは昭和二十八年ころになりますと、約四千万円に達しましたのでございまするが、その間の取引状況といたしましては、必ずしも心配はなかったのであります。相当のゴム事業がうまく運営されまして、そうして農村にゴム製品等が順当に配給されておりましたので、その間におきましては、短期貸付は適当に回転して必要なものが出され、また返され、また出される、こういう姿を続けておりました。二十八年のときにそれが大きくなりまして、約四千万円の程度になりました。そこで中金はだいぶん金が高くなったので、そのときに四千万円の抵当権をつけました。それがたしか第六番になっております抵当権になっております。
  73. 相馬助治

    ○相馬助治君 第七番。
  74. 湯河元威

    証人湯河元威君) 第七番、あとで譲りましたので変りました。それまでの取引は必ずしも不安がなかったのでございますが、金額も大きくなりましたりいたしましたので、これは全購の前波金とは違います。会社の運転資金の関係でございますが、抵当権をとりました。その次に起りましたのは二十九年から三十年にかけましての一億の問題でございます。この二十八年の四千万円はその後ゴム業界がまずくなって参りましたので、行き詰ってきて返らないという心配もございました。ございましたが、一億円につきましては先ほど申し上げましたように、債権を肩がわりして集中するために打った措置でございますが、あわせてわれわれとしては、岐路に立っておる日本農工の将来を果してどうするかという問題でございます。一面におきましては、日本農工としては再起をはかるというつもりもございまして、せっかく農林漁業金融公庫から新鋭の機械も入れたときであります。そこで他の債権者等から会社がいろいろ難癖をつけられてはかなわぬというところからいたしまして、先ほど申し上げました問屋その他に対する支払いをするために必要な資金を貸しまして、債権を集中したのでございます。この点はますますわからぬという仰せでございまするが、しかし金融機関といたしまして、さような危機に立ちました企業に対する態度といたしましては、メイン・バンクとしてはこうせざるを得ない。そういたしましてその企業の安泰をはかり、ほんとうにどうしてもやめなければならぬということでございますれば、企業の解散になりますときにも、企業とメイン・バンクとの話合いでつくのでありまして、これは金融機関の常識でございまして、ちょっとお聞きになりますると、一億なんという金をそんな危ない所になぜ出した、不当じゃないか、こう仰せでございまするけれども、さようなときにおどおどしておっては金融機関としてはチャンスを失するのでございます。そこで敢然として出ましてそこで一億の金を出して、そうしてその金は全購の前渡金等は全部中金にまた返って参りました。債権のみは中金に集中する、そうしておいてメイン・バンクとしては企業との間におきまして適切に話を進めていく。これは常識でございまして、ちょっとごらんになりますると変じゃないかとおぼしめすかもしれませんけれども、われわれはそういうことをやる。そのときには意を決してやるのでございます。
  75. 相馬助治

    ○相馬助治君 金融界の常識だというが、常識でないから私尋ねておるのです。わからないというのは、私ばかだからわからないと言っておるのじゃなく、けしからぬという意図を含めて言っておるのです。湯河さん私は聞きますが、今のことについて関連して聞くのですが、一つ事実を聞きたいが、あなたは今、この建物は農林漁業金融公庫が一切管理中であるということを御承知ですね。建物は農林中金管理すべき、私どもから言えば、債権の一番大きな農林中金が確保すべき現在この鮫州にある建物を、農林漁業公庫が管理中であるという事実を御存じですか。
  76. 湯河元威

    証人湯河元威君) それこそ奇怪なことを承わるのでございますが、そんなことございません。農林漁業金融公庫は抵当権者として安泰でございます。あそこを農林漁業金融公庫が管理するというふうなことは、あり得べからざることだと存じます。
  77. 相馬助治

    ○相馬助治君 それじゃ、旭倉庫という倉庫を作って、そうして十四人の職員で今経営しているという事実を、私は鮫州まで行って調べてきておりますのですが、それでそのことについてはあとで触れることとして、常識とこうおっしゃるけれども、この担保権を設定した順位から見ても、私どもはまことに不思議に思われてならないのです。金融界の常識として農工を助けるという気持はわかるのですけれども、助けるということ自体においてだれが一体損失をこうむるのかということです。農林中金はこの会社のみを助けるために設立されておるのではないということ、その金は国民の税金にも関連のある、直接の金ではないけれども関連のある金であるということ。ちょっとよそのことになりますが、こんなにもめたのは、今の楠見君が、国民の税金に関連のあるこの問題を、不正であるとは言わなくてもこの融資はいささかおかしいと思わないか、という島委員その他の質問に対して、思わないということであったので、そういうふざけた考え方を現在の農林中央金庫理事長がするのでは、よし、われわれは聞かなくちゃならないというので証人喚問になっているのです。これは湯河さん、前の速記録を如才なくお調べだと思うのです。私どもはあなたたちの常識が全くわからないからお尋ねしておる。不明だから尋ねておるのじゃない、気持がわからないから尋ねておる。この担保を譲ったというような問題、それから一番から九番までの担保の設定をずっと見て参りましても、すでに一億円出す場合において、私の概括的な計算からいうと、二億一千五百五十万五千円の支払わなくちゃならない金を会社は持っておる、それに一億円出しておる、こういう事実。そこで一般の人たちが、農林中金であるとかあるいは商工中金から金を借りる場合にどんなに苦労するかということ、そうして債権を集めて、担保権を設定して全部整理するために一億出した、というのであるからその話はわかるのです。話はわかるのだけれども、われわれとしてはこれはどうしても不正だと言わないまでも不当だと言わざるを得ないので、先ほどから聞いておるのです。で具体的に私どもはもっと聞きたいことがたくさんあります。そうしてこの一体農林中金というものが、こういうゴム工業に、農民がはくたびだといえばそれは理屈が合うようですけれども、こういう系統外のゴム工業にこういう犠牲まで払わなくちゃならなかったということが、法律的にわからないことが一つだし、また実質的にも、せっかくあなたが推薦した山下さんが行っても、時の経済の動きの都合もあっただろうけれども損ばかりして、そうして経理もやや乱脈をきわめておる。こういうふうなことで出発からして間違っている。でき工合がそういうふうな会社に、次から次と金を貸して、とどのつまりには一億円もの金を出したということがわからないわけなんですが、これは島委員が順次聞いていってここに結論が到達すると思うので、私は一点だけ聞いておきますが、一億円貸し出したときに、ただ単に会社だけの要請であなたはお貸しになったのですか、それとも財界筋、政界筋の特別な者のあっせん等があった事実がありますか。これは私は、ある調べをいたしておりまするから、湯河証人一つきっちりとお答えを願いたい。あなたの答えによっては、島委員の関連質問ですから、一応ここでやめておきますが、私はあなたのその証書というものを重大視しますがゆえに、明瞭にお答え願いたい。だれかあっせん役があったかどうか。
  78. 湯河元威

    証人湯河元威君) あっせん役などがあることは全然ございません。これは先ほど、今お尋ねでございまするが、会社のためをはかったということでございまして、メイン・バンクとして、会社の岐路に立っているときに考えなければならぬのは当然でございまするが、もとより金融機関といたしましては、自分の債権確保が大事でございます。この点と、メイン・バンクとしての、企業の岐路に立っておるところのめんどうを見ることの両方が、当時の理事長としての責任でございます。で、私はこれを考えまして、実はいろいろ苦慮いたしましたが、この措置が最もいいということを確信いたしましてとった措置でございます。重ねて申し上げまするが、当時この問題に介入した人は全然おりません。
  79. 島清

    島清君 委員方々もわからぬと、質問すればするほどわからぬとおっしゃるのですが、わからぬのが当りまえなんです。これがわかったら、これは大へんなことで、非常に、それで今の段階においてはわからないとおっしゃるのは当りまえなんです。それは、私たちがはっきりしたいと思いますることは、そもそも五千万円の行方不明からなんですが、私の非常に疑問を持っておりまする点は、五千万円がだれかの選挙費用に使われておるということでございます。そこで、人のいい高橋さんが、穴埋めを自分の会社に提供するような形なんですが、(「それは事実なんですか」と呼ぶ者あり)
  80. 高野一夫

    委員長高野一夫君) お静かに願います。
  81. 島清

    島清君 そこで、今聞きますから。高橋さんにお聞きしたいのは、なるほど書類の形式の面においては、体裁よく作られております。あなたは農水の社長であって、そしてあなたは湯河さんの推薦で社長になられた。湯河さんはちゃんと、やはり相当の方でありまするから、自分の部下の連中をしてやらして、責任は負わないような形をとっておられます。それは水崎君が浮き貸しの問題で刑事被告人として取調べを受けましたときに、大体証明されております。ここに判決文がありまするから、あとでお読みしてもよろしゅうございまするけれども、そこで五千万円の穴があきましたので、私が調べたところによりますると、湯河さん初めやがて逮捕状がきそうになりましたので、そこで高橋さんの方に、これは何とかしてもらわなきゃならぬというので、高橋さんも合議の上で、日本農工が日本農水から焦げつきと言われておりまする債権をお買いになった。お買いになりまして、そして当然に日本農工が五千万円の金は払えないのでありまするから、そして、そのかわりとして農林中金の方に担保を提供する、こういうふうな筋書が書かれておったと思うのです。そういうふうに相違ないかどうかを、高橋さんはっきりしてもらいたいと思うのですが。
  82. 高橋武美

    証人高橋武美君) 島委員殿の御質問になりました通りでございまして、前回にも証言した通りでございます。
  83. 島清

    島清君 そうしますると、政府の人にお尋ねをいたしますが、そういう工合に書類上のからくりで四千六百七十万ですか、そういうふうに貸し出した格好にはなっておりますが、そのときに政府は、農林省は認可を与えておられますが、どういうような調査をされたのですか。
  84. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) そのときの当時の書類で見ますと、これは四千六百七十万円の焦げつき債権の償還というので認可しておるようであります。
  85. 島清

    島清君 農中金の力から日本農工の方に貸すのですね。そうすると、実際上の貸借関係はないが、書類上のからくりで農中金の方が貸し出したのだというふうに、結果においてはなっておるわけですが、その事案もそうだったのですが、そういう事実は御存じなかったのですか。それとも実際に日本農工には農林中金から貸し出しが行われておった、こういうふうに信じておられますか。
  86. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) その当時の書類で見ますと、日本農工に貸しまして、日本農工が、そのほかのいろいろな手だてと同時に行うことによって、日本中水の焦げつきのものを処理する、そういうふうに固定債権の整理というので、五カ年間の償還期限のついた金を認可しております。
  87. 島清

    島清君 どうなんでしょうかね、今までの湯河さん以下の証人方々証言の中から、私たちが受けまする感じというものは、日本農工というものはがたがたで、これから何がしかの収益を得ようとするには、相当のやはり固定資本並びに流動資本をつぎ込まなければ、何がしかの経済的な対価が戻ってこない。こういうふうな印象を受けるのですが、その当時、焦げつき債権の処理のために農中金の方が、しかも、ゴム会社にそれを貸し与えるということについて認可を与えた、ということについての良心的な麻痺の状態ですね、それはどうも理解できないのですが、どうなんですか。
  88. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは昭和二十六年の八月二十三日の認可になっておりまして、同年の十月十一日に貸し出し完了、金庫法十五条の二で、五カ年償還の金を貸すことになっております。その理由は、日本農工がゴム事業を隆盛にすることによって、中水の会社の焦げつきを整理していく、こういうふうになっております。その裏には、日本農工が全購連とタイアップしてゴム事業を隆盛にする可能性がある、こういうことで、全購連は非常に大口の需要者でありますから、五カ年かかってやれば償還ができるだろう、こういうことで認可した、こういうふうに、当時の書類を見ますと、なっております。
  89. 島清

    島清君 書類はよく作られておるのですよ。書類が作られなければ動かないのですね。それはわかるのです。そこで私は、あとであなたがもっと詳しく調査をされて、良心に従って御答弁を願いたいと思いますが。それで高橋さんにお聞きいたしますが、その五千万の——五千百幾らかの焦げつき債権が、あなたはほんとうに債権だと思って日本農工から買い取られたのですか。それは今私が、何かどなたかの選挙資金という言葉を使ったのであるが、そういうふうに全部とは申さないまでも、やはり行方不明の金があるのじゃないですか。
  90. 高橋武美

    証人高橋武美君) お答え申し上げます。(「知っていることを、ざっくばらんにみんな言って下さい。その方が一番簡単にわかる」と呼ぶ者あり)  ただいま御質問を受けました中央農水の五千万円の行方不明の問題につきましては、私は関与しておりませんから前回も存じないということを申し上げた、そういうような事情でございまして、その五千万円というものはもともと農林中金の金が出たんであります。従って先ほど委員殿の御質問になりました、東京高等裁判所の判決に出ておりまするが、その金は全く焦げつきであってしかも農林中央金庫は、その金の出先であるところの第一信託銀行に対して、この手形については交換所に回さない。手形を交換所に回さないということは、すなわち取り立てないということです。取り立てないという約束をして、そうしてその五千万円というものを整理しておるのであります。すなわち農林中央金庫としては取り立て不能の債権である。絶対に取り立て不能の債権、それを私が何を好んでそのものを肩がわりするとかいうことがあり得ましょうか。ここにおいて御答弁申し上げます。
  91. 島清

    島清君 湯河さん、この点についてはいかがでございますか。
  92. 湯河元威

    証人湯河元威君) だいぶ申し上げたいことがございますので。
  93. 島清

    島清君 簡単に言って下さい。
  94. 湯河元威

    証人湯河元威君) 御質問が私に向いてくれば申し上げることもございます。  ただいまの点でございますが、中央農水の焦げつきの問題につきましては、これは高橋証人が知らぬという仰せでございまするが、私は、これはお忘れになったのではないかと思う。  それからなお、当時の日本農工の姿からして、ゴム事業をやることによって全購連のルートで仕事が盛んになる。それと、それから自分が責任者である中央農水の焦げつきも、そのゴム事業の利益をもって埋めることができるということにつきましては、これまた高橋証人はお忘れになったかも存じませんが、当時二度、三度お話を私は承わっておりまするし、手元にも当時高橋さんがお話の際にお持ちの書面もございます。それによりまして見ましても、今もこの記憶はほかの記憶と違いまして大事な点ではっきりしております。  そこでもう一つ申し上げたいことがございますが、先ほど島委員の仰せの中に五千万円、すなわち中央農水が銀行等より借りた金、その行方がわからぬという仰せでございまするが、しかも高橋証人は、これは事業に関係していなかったからそのことを知らぬと、こう仰せでございまするが、これは私も金庫を経営していてすみずみまで知らぬことはございます。ございまするが、責任者としてはいかに、今、島委員の仰せのように、人がいいとか、人にかつがれたということがございましても、私は自分ではかつかれても何してもさようなことは申し上げたくないのでございまして、責任をもってお答えすべきだと思います。私はいろいろ中央農水の事情もこの委員会証人としてお調べがございましたので、調べましてございまするが、実はいろいろの書類も見まして、そういたしますると、どうもお忘れになっているのではないかと思います。いろいろと、たとえば魚かすの問題が行き詰まりましたときに、この対策等につきましては、高橋証人は……。
  95. 島清

    島清君 聞いただけで……。
  96. 湯河元威

    証人湯河元威君) いや、これだけは申し上げさしていただきたいのでございます。  そういうことがございまして、御関係もございます。そういうことでお忘れになっているかもしれないことが土台になりまして、ないと仰せになることが、そのことが正しいとなりますることはいかにも残念だと思います。さような意味をもちまして、先ほど仰せのございました日本農工への貸付につきましても、繰り返し再三申し上げた通りの建前でできておりまして、政府の方が先ほど御答弁ございましたことも、私は当時そうであったと確信をいたしております。
  97. 島清

    島清君 質問をしない点はお答えになる必要はございませんから、そのつもりで御答弁を願いたいと思います。  あなたは、日本農水が農中金の先輩の役職員の諸君によって結成されているのであるから、農中金の現職の者としては、それは援助しなければならないと考えることは当然である、ということをおっしゃいましたのです。お言葉の通りであるとそう思いますけれども、しかし実際に農水の仕事をやっているのは、この判決文によりますると、現職のあなたのもとで、しかもあなたのふところを全部知っている諸君がやっているのであります。その判決文によりますと、ちょっと長くなりますけれども、これは最高裁の判決文ですが、「被告」これは水崎政雄です。それによりまするというと、「被告人は本所を東京都千代田区大手町二ノ八ノ一に置き所属団体に対する貸付等を主たる業務とする農林中央金庫の秘書室勤務の職員であるが、同金庫厚生部次長在勤中の昭和二四年一〇月二〇日頃中央農水産が東京都中央区に本店を置く第一信託銀行に対し運転資金二千万円の融資を求めた際、同金庫厚生部長村上平四郎、資金部次長山口勝雄と共謀の上、農林中央金庫に於ける職員としての地位を利用し、右会社(中央農水産のことか)の利益を図る目的を以って第一信託銀行本店等に於て同銀行運用課長倉富幹郎等に対し農林中央金庫に於て手形再割引の方法で資金を提供するから該資金を右会社に貸付けてもらいたい、たとえ資金が回収不能になっても同金庫に於て全責任をもち手形交換による決済を為さない旨確約し、同銀行が右会社融資することを承諾させ同月二七日頃同銀行をして約束手形の割引の方法により右会社に対する二千万円の貸付を為さしめ以て右金銭貸借の売買を為したものである。と云うのであるところ、証人倉富幹郎、同中瀬秀一、同高橋武美、同村上博行、同村上平四郎、同山口勝雄の原審公判定における各供述、倉富幹郎、中瀬秀一、高橋武美、村上平四郎、村上博行の検察官に対する各供述調書及び被告人の検察官に対する各供述書を綜合すれば、被告人が東京都千代田区大手町二丁目八番地の一所在農林中央金庫の厚生部次長であったこと、中央農水産が昭和二四年一〇月二O日頃前記第一信託銀行に運転資金三千万円の融資を求めた際、被告人が同金庫厚生部長村上平四郎等の意向に基き同金庫融資金部次長山口勝雄等の諒解を得て右第一信託銀行本店等で同銀行運用課長倉富幹郎等に対し農林中央金庫で手形再割引の方法で資金を提供するたとえ貸金の回収がうまく行かなくとも同金庫では手形交換による決済をしない等申述べ、右倉富が右金庫に調査に行き同金庫の貸付係等の幹部に会い同金庫の意向を聞きなどした結果、大体被告人の申述べるがごとき意向を同金庫の幹部も持つことを知り同銀行において右中央農水産に対する融資を承諾し、同月二七日頃約束手形の割引の方法により金二千万円を前示中央農水産に融資したことは認められるけれど、被告人の右行為は結局前段説示のような理由により農林中央金庫厚生部次長としての職務行為であり、被告人は右のごとき行為を被告人又は第三者の金銭的又は財物的利益を図る目的を以てなしたものと認めることもできないのであって、」というように明細な判定である。そうしてやっておりまする諸君は、全部あなたの部下なのです。これはおそらく国家の最高裁の判決でありますから、間違いないのです。そこで、一応伺っておりますと、先輩がやったとこう言って、先輩の諸君も全部承知をしてやられたようでありますけれども、そういう形式をとって、実際にやっておるのは、あなたの部下がおやりになった。そうしてこの行為は農林中央金庫の行為であるといって判決をいたしておりますということと、さらに、結果はここに言っておる通り、なるほど割引はしないと言って割引はしておりません。そうしていみじくも、会計検査院の諸君が指摘しております。指摘をしておいて、そうしてこの手形割引の債権を追及しなければならないのにかかわらず、やらないで、そうしてそこに肩がわりがなされておるというところに、普通常識としては考えられない。あなたにその真相をお聞きするわけで、ところが、あなたは相馬委員質問に対して、常識では常識ではと言って、いかにもどうも非常に豊かな常識を持っておられるようですが、われわれの質問をしております段階は、常識を越えた良識ということです。良識の立場においてお尋ねをしておりまするので、こういったようなことが明確なのですが、あなたは、それはしばらくおくにいたしましても、最高裁は農中金の行為であるというふうにきめつけておりますが、この点についてはどういうふうにお考えでございますか、簡単に答えて下さい。
  98. 高野一夫

    委員長高野一夫君) きわめて簡潔に願います。
  99. 湯河元威

    証人湯河元威君) 今の判決もよく存じております。私といたしましては、水崎の行為でない。それからちょっと申し上げますが、水崎は秘書室勤務と申されましたけれども、はなはだ迷惑でございます。水崎はこの事件が起りましてやめてもらうまでの間、職務がございませんので、秘書室付を命じただけでございまして、私のことにつきましては全然存じません。それからこの判決でございますが、これは水崎の行為でないということを申しております。とともに、中金の行為である。私はやはりいかに部下がやったことでも、中金の行為であり、私の責任だと思っております。  それで問題は、しかし中央農水の責任はないのかと申しますと、水崎等は、水崎は現職の職員でございまするが、その他中央農水の幹部はこれは中金をやめた人でございます。しかし、中金の内部におきまして行き過ぎがあった、厚生部の者がかほどのことを内部で相談をして、そして金融機関同士の間でありながら、かような話をしてきたということが行き過ぎであったということは、私は確かに認めます。その限りにおきまして、私の百の届かなかったことを幾重にも相済まぬことだとかように存じます。私目が届いておりますれば、かような事態にならなかったと思うのでございます。残念でございまするが、この点は深くおわびをいたします。
  100. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 私からちょっと御注意申し上げますが、二回前の島委員質疑に対する、いわゆる焦げつき債権の処理問題に対する高橋証人の御証言と、湯河証人の御証書との間には、非常な食い違いがあるやに考えられます。従って、この点については各委員のどなたからでもけっこうでございますから、もう少し事態が鮮明になるように御質疑を願いたい。
  101. 島清

    島清君 質問をしておる間に、だんだんとそういうふうにはっきりして参ります。それで、そういうことで高橋さんの名義書かえということがあって、高橋さんの五百万円の会社があなたの指定する者、全購連の指定する者ということになって、今でもそういうことになっておるわけですね。それはあれですか、田中さん、有償でお買いになったのですか、その会社は……。契約によると、無償で名義を書きかえるということになっておりますね、株式は……。それは金を出してお買いになったのですか、どうなんです、契約の通りなのですか。
  102. 田中順吉

    証人田中順吉君) それは前回にも申し上げましたように、もちろん有償で、現金で払い込んでおります。
  103. 島清

    島清君 有償ですか。
  104. 田中順吉

    証人田中順吉君) 有償といいますか、キャッシュで払い込んで取得したものでございます。
  105. 島清

    島清君 増資じゃないのですよ。
  106. 田中順吉

    証人田中順吉君) それは私はその当時のことを、今ここで責任のある明確なお答えを申し上げるところまではっきりいたしません。たしか、その点は中金の方のいろいろごあっせんで、名義の書きかえができたものというふうに考えます。
  107. 島清

    島清君 ここで、質問者の私の意図を明確にお伝えしておいた方がいいと思うのですが、事実は書類だけのからくりで、そして農中金から金が出ておる。しかも、それはあなたの方は農中金の世話になる団体でありまするから、農中金側の無理な御要求もたまにはお聞きになる、こういう立場で、そして協力をさせられた。そうしていろいろと協力をさせられた結果が、うまくいきませんので、とどの詰まりは、一応は農中金がそのしりぬぐいという形はとりましたけれども、しかしながら、農中金の金は、御承知の通りに公金的な性格を持っておりまするので、とどの詰まりは、二億近い赤字が出た。これで楠見、今の現理事長がそれくらいの赤字が出ても、裏を返せば回収不能のものもあり得るのだ、こういうことを言っておるわけですね。私たちは、ほんとうに仕事をされて、ほんとうに赤字を出されたとするならば、今の質疑応答の中からいたしましても、赤字の額からいたしましても、そんなに出るはずはないのです。私たちの常識なのです。たとえば、あなたの前渡金の問題にいたしましても、さらにあなたの根抵当の問題にいたしましても、どうもやっぱり金貸しをやっておられるように思う。しかもあなた利息を取っておられるのですね、これから明らかにしますけれども……。あなたは金貸しじゃないとおっしゃった、利息を取っておられる、ですから、そういうことをやって、そうしてとどの詰まりには、農林中金ということになって、それから書類上の形式を整えた。そこで、高橋さんの方へ全部責任を転嫁するのだというような形で、そこで問題は、高橋さんと農林中金側のトラブルが起っておると、まあこういうふうに私たちは理解しているのです。私たちは、農林中金高橋さんとのトラブルがどんなものであろうと、そんなことは知ったことじゃありません。ただ、農林中金の方に、これは公金でございますから、ちゃんと穴埋めがされていれば、あとはあなた方が裁判でお争いになるなり、それは御自由でありましょう、民間的立場でありまするから。それを明らかにしたいという意図を持っておる。そこで、ざっくばらんに、私なんかの意図をお聞きになったわけでありまするから、はっきりとお答えをお聞きしたいと思っておりますることは、一体あなたたちの行動の最も基本は、高橋さんの会社があなたたちのものになったかならないかというところに、非常なポイントがあるわけです。それを、この前の証人喚問、さらにきょうの証人喚問には、それが出るであろうということは、もうすでに御承知のはずなんです。しかも、あなたは、あなたのうしろの方におられる方方、随行の方が来ておられましょう。多分、それが有償であったのか、無償であったのか、有償であったならば、あなたの方の全購連の資産の中に入っているわけです。ところが、資産の中に入っていなければ、無償であったということになります。であるから、有償であったか無償であったか、有償であったということになれば、あなたの方の財産の中になければならないわけです。それをはっきりしてもらいたいのです。
  108. 田中順吉

    証人田中順吉君) 最初に御質問のございました、いわゆる全購連が日本農工に対してこれだけの前渡金を出し、事業上の協力をするということについての、私の方の根本的な考え方は、前回にも若干触れました。先ほど来、また前回来、湯河証人からも申されておりまする通り農林中金が、日本農工の再建をはかるために非常に御心配になり、援助なり協力をいたされた、それに伴う協力をわれわれに求められた、いわゆる要請を受けたということが一つでございます。もう一つは、いわゆるゴム事業、農村用のゴムはきもの、あるいはタイヤチューブ等が非常に要請をされておりましたけれども、これが、われわれの生産しておりまする神戸の工場だけでは需要に応じ切れないというので、何とか東日本においても、そういうものの生産なり供給を受ける拠点を持ちたいという考え方と合致をいたしました。そしてこういうふうに会社の発展に、協力なり努力はいたして参った。お尋ねの最初の資本金というものが有償であったかどうかということにつきましては、これは無償であったというふうに承知いたしております。
  109. 島清

    島清君 それはやはり契約によりますと無償、あなたたちの方の指定する者に名義を暑きかえるということになっておりますから、当然にこれはやはり無償であったと言わなければならないと思うのです。私もまあそういう御答弁があるであろうというふうに期待をしておりましたが、さっきの何か貸金やあるいは前渡金みたいに、また前言をひっくり返すことはないでしょうね。そのように確認をしていいですね。
  110. 田中順吉

    証人田中順吉君) それでいいと思います。
  111. 島清

    島清君 それじゃお聞きいたします。それからあなたは、あなたの方から提訴をされました証明書の中に有償であるというふうなことを証明しておられるのですね。裁判所の方には有償だということを言っておられる、御記憶にございましょうね。
  112. 田中順吉

    証人田中順吉君) それは、記憶ございません。
  113. 島清

    島清君 そうですか。それじゃいいですか、裁判所にお出しになりました、あなたの方から、全購連からの提訴の書類ですね、それに証明書を出しておられる。   当会社日本農工に対する前渡金債権は昭和二十七年一月十四日返済をうけることとなったが、該返済が実現しない為今年六月二十五日農林中金対右会社間の公正証書契約締結直後、出会の指定する者に額面額の代金で右会社株式の譲渡をうけた右株式譲渡は会社経営に対する発言権を持つ為であるから根抵当権設定契約条項とは無関係になされたものであって完全な株主権譲渡である右証明致します。   昭和三十三年三月九日    全国購買農業協同組合連合会       会長理事 田中 順吉  有償で取られたということを言っておりますね。
  114. 田中順吉

    証人田中順吉君) そのただいまのお読み上げになりました内容については、実はただいま記憶がございません。有償であるということは、私はその当時事務当局の報告によりますと、会社からの一方に借入金、それは株式と振りかわっておるという債権債務が、——株式は債権でないにいたしましても、両方にその見返りの勘定がある、こういうふうに報告を聞いたことを記憶しております。
  115. 相馬助治

    ○相馬助治君 議事進行。私さっきの委員長のおさばきは非常にけっこうだと思うのです。それで、議事進行で特に発言をしたいと思うのですが、せっかく同僚島委員質問中ではございますが、実は島委員の持っている証拠書類いうようなものは、率直に申しますと、党のわれわれも何も知らぬのです。従って島委員の気持から言えば関連のあることで、全購連等にその問題をどこまでも突っついていかなければならぬし、突っつかなければ、問題は解決しないと思いますので、私はよくわかるのですが、実は証人の答えだけがわからないのではなくて、島先生の聞いていくことも、実はどういうふうに発展していくことなのか、それともこれがどういう連絡があるのか、率直に申してわれわれはわからないのです。そこで、私は委員長に特段議事進行でお願いいたしたいことは、事実問題として、三回に亘ってこの四人の証人をわずらわすことは不可能だ、従いまして委員長におかれては——委員長の措置がまずいのではないのです。非常に私はりっぱな委員長ぶりをされており、公正だと思うのですが、さっきのたとえば五千万の行方等についても、高橋さんは知らないと言うし、湯河さんは忘れたんだろうと思う……、これではもう委員長が言う通り、われわれは聞かなければなりません。島先生の今の質問でいくと、だんだん話すうちにわかるというわけだが、わかることを楽しみにしているが、そこで、委員長においては時間の振り合いを考えられて、私ども質問を持っておりますので、島委員と大体の時間の割り振りを勘案されまして、そして何が何でもきょう結論、証人の喚問の事実のことを聞くことは、完了するようにおはからいを願いたいと思うのです。きょう中ということは、私は夜の十一時、十二時までさしておりません。常識的にこれは証人にお帰りになっていただかなければならぬ時間があると思う。どうぞ委員長においては、今までの処置も適切でありますが、より適切にきょうお運び下さるように議事進行をお願いいたします。
  116. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 私も相馬委員と同じような考えであります。委員長理事打合会におきましても、相馬委員のお考えと同じような考え方で打ち合せをいたしたわけであります。従って、適当な時間には証人方々に、やはりお帰りを願わなければならないと思うのです。そこで、質疑をなさる方は、島委員その他皆さん十分その点御勘考下さいまして、基本的の問題、あるいは重点的に筋道を立てて、あまり複雑な、各委員が聞いてもわからないようなことは、私もさっぱりわからない。そういうことは、一つできるだけ十分お避けを願って、各委員がみなわかるような質問、また、答弁もできるような質問の仕方に一つ御整理を願いたいと思います。なお、この点につきましては、相澤理事島委員との間でも一つ十分お打合せおきを願いたいと思います。
  117. 岩間正男

    岩間正男君 関連して。島委員が熱心にこの問題の解決に努力されておることに私は敬意を払うものであります。しかし、今いった相馬君からの発言もありますように、これは島委員だけの質問じゃなくて、全体の当委員会としての明かにすべき責任があり、証人にも来ていただいているわけです。従って、島委員あと重要な点を二、三点質問されるということで、一応了解していただいて、当委員会として、今まで証人の喚問を聞いていますと食い違いが非常にあるわけです。Aが否定しておれはBが肯定するというような形で、これはどっちかがどうか、これは当然偽証罪にひっかかるような問題があるわけです、実際問題。当委員会の経緯からいって、これはこのままにわれわれは見のがすことができない問題です。これは事務当局としても、今までのこの質問過程の中で、幾多の点があったと思う。これは明確にしておいてもらいたい。そしてそれを委員長からやってもらうなり、委員からこれはやってもかまいませんが、この一点を少くとも明らかにすることなしには、二回も証人を喚問しておって、何しておるかということになってはまずいと思いますので、そういうふうに運んでいただきたい、この食い違いの点がもうずいぶんありますからな。これは速記録を見ればずいぶんあります。食い違いがあるわけです。ことに、湯河証人高橋証人の間の食い違いは、これはおびただしいものだ、これはどっちが正しいか、片方が正しくないか、両方が正しくないのか、この点について、明確にわれわれは事実をやはり追及するということが、この委員会の任務だと思います。委員長にぜひその点をお取り計らいを願いたい。このことをお願いしたい。
  118. 岡三郎

    ○岡三郎君 私も、むずかしいことを言うわけじゃないが、やはり委員発言しているときには、やはりその委員に意図があるわけだな、ただ、それをどういうふうにやるかは、うまいまずいはあるわけですよ。だから、大体まあそういう点についてはなかなか、いわゆる敵は本能寺というところをやるというと、さっと向うの方が早く体をかわして逃げ込むということも、往々にしてあることなんだから、そういう点は忌憚なく島君の方に私は質問してもらおうと思う。ただ問題は、時間が云々というが、こういう食い違いは、古今未曽有といっても、まあ失礼だが、古今絶無とは言えないが、ちょっと今までに珍しいのだよ。(「あまりひどいんだ」と呼ぶ者あり)珍しいのだよ。われわれも五年間近くいるが、こういう食い違った証人発言を聞いたことは珍しい。だから結局、その証人をいじめるのでなくて、ここで事実の所在を明確にしようというのが島君の意見だと思う。これは相馬君もそうだと思う。だから、明確になったら、あと十分先でも帰っていいが、やはりこれがはっきりしなければ、もう一ぺん次にやるということの前提に立たなければ、私はおかしいと思う。だから、事実が明確になれば、直ちに五時に終るなら終ってもいいのです。私もそう思う。拘束することは私はないと思う。ただし、事実が明確にならない前に、何でもかんでも三回目はいけないということを相馬さんは言ってるのじゃないと思う。
  119. 相馬助治

    ○相馬助治君 そうじゃないよ。
  120. 岡三郎

    ○岡三郎君 だから、そういう点は委員長の方で、私もこだわらぬから一つ、先ほど委員長の言ったように、この際は少ししぼって、両者の意見の相違というものについて聞かれるか、どうか、これは島君の意見を拘束するわけじゃないのだから、そういうふうなことの意図はわかるけれども、ただし、今言ったように、あまりにも原則的に拘束して、問題の本質の鮮明という問題がおろそかになってはいけないので、一言言ったわけです。それで、そういう点については、私の方も落ちついてやりたいと思うから、明確にしぼってということにして、十分本委員会にて島君が考えられておられることも自主的にその点はやる方向で、委員長、進行してもらいたいと思います。
  121. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 島委員の御発言の仕方も、私は一理も二理もある発言の仕方だと実は考えております。しかしながら、ただいまほかの委員方々からもお話がございました通りに、時間の問題もありまするし、また島委員の材料その他等については、ほかの委員は何ら承知しておらないのでございまして、あまりに詳しい御質疑がありまするというと、聞いているうちにだんだんわからなくなってしまうという点もございますので、どうかこの点について、しばらく調整をしたいと思いますので、ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  122. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記をつけて。
  123. 島清

    島清君 私は、私が今質問申し上げておりまする時間だけでも、非常に重大なことがここに繰り広げられております。と申しますことは、いろいろ裏面工作がなされておりまするけれども農林省がその裏面工作の文書に現われておりますことをすなおに出し得ないことが、これが第一点だと思います。これは非常に重大だと思います。これは私は、あとで虚偽の文書の作成として本委員会で取り上げたいと思いますが、そこで私たちは、一体、一番たよりになると思っております農林省がそういった裏面においていろいろなされておりますことを、なぜそういうふうにして文書にしてはっきり言えないかどうかというようなことの重大な問題が展開されているということと、さらには、債権の性格がああいう工合に会計検査院から指摘されているにかかわらず、そうしてその債権が変更された形においてその債権が処理されているということ、しかも、これを承知の上かどうか知りませんけれども、政府が融資の認可を与えているということ、しかも、この融資の認可を与えているところの農林中金のものの考え方は、中心的な銀行だからそれでよろしいというような考え方、私たちはその中心的のもの、農林中金が中心的な銀行というものの考え方で、そういうふうに広範にどうなるかわからないというような貧弱な会社にそういう融資をしていいかどうか、それは事実そうであったにしても——事実そうであったにしても、私は事実ならそういうことはできないと思っております、事実なら。そこで私は、すべてそういうふうにからくりをして書類の上でこういうふうに形式だけ作られておいて、そうして高橋さんに対して、農中金の方も強く出られない、事実はそうじゃないのだから。ところが、高橋さんから見れば書類の上ではそういうふうに作に、五千五百万円の涙金でかんべんしてくれないかというような、それから農林中金の力も一億八千万円、こういうような裏面話をなされていることが、私は聰明なる委員諸君なら十分に理解をいただいたと思っております。それが果してそうであるかどうかということ、それじゃそういった事実がどういう形においてなされたかということは、要するに、高橋さんの会社というものは、高橋さんの表現をもっていたしますならば、四億近い値打ちがある、四億近い値打ちがある会社に、それで抵当権を設定されておるのは四億になおかつ足りない、足りないのです。四億になおかつ足りないで、それになおかつ、なぜ、農林中金の方が一億八千万円の赤字を背負わなければならないということは、私どもわかりません。そうして債権を持っておりながら五千五百万円の金をなぜやらなければならないのかということなんです。それを日本農工に与えるか、高橋さんに与えるか、それは裏の工作においては高橋さんということがはっきりわかっている。ところが、農林省の方は高橋さんということをいわないでで、日本農工ということを言っておられる、日本農工ということを。そういうことは聰明なる委員諸君はわかっておられると思う。そこで、私は今この五千五百万円の会社を、まあ乗っ取りというか、乗っ取られるといいましょうか、そういう俗語で申しますならば、そういう形で仕事が進められて、そうしてさらに漁業金融公庫から三千五百万円の融資を受けるために、さらにそこにまた作為的な工作が行なわれたということであります。私はそれがはっきりすればそれでよろしいわけです。それで私はその五百万円というものを契約に基いてただで名義を書きかえるというて契約をなされている。契約証書はここにありますけれども、契約されている契約に基いて、これは日本農工はおれのものだと全購さんは言っておられる。それから農工関係も言ってておられる。それがそこでそうじゃないということになると、そこで作られた作為は全部崩壊する。それがはっきりしてそうであるということになれば、それは高橋さんはどういうことであろうとも、そういう既定事実のもとに組み立てられていったことですからやむを得ないことでしょう。そうすると、四億の財産があろうとも、農林中金としては全部差し押えをして、そうして何も人様の、民間会社の赤字を悼める必要は毛頭ないと思います。そこに私は、非常にわれわれが真相を明らかにしなければならないという点がある。そういうふうに御了承をいただきたいと思います。だから、私の意図ははっきりしておる、そういうことです。御了承いただきたいと思います。
  124. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記をとめて。    〔速記中止
  125. 高野一夫

    委員長高野一夫君) それでは速記をつけて。
  126. 島清

    島清君 それじゃ、私もごく簡単に問題の要点だけをお尋ねしますので、答弁者の方々もそういう意味で御答弁いただきたいと思います。お願いいたします。  湯河証人はこの九三%の株式の保有を確信しておられるようですが、全購連あたりですね、その確信の根拠はどこに基くのですか。
  127. 湯河元威

    証人湯河元威君) 九三%の株と申しますのは、まず、全購の払い込みました株というのは、これは現実の払い込みでございます。それから全購の持っております株が、先ほど全購の会長のおっしゃいましたように、全購の無償譲渡の株として扱われております。それで九三%になると思います。
  128. 島清

    島清君 あの一千五百万円の増資をされまして二千万円にされましたですね、これは、私がこの前ほんとうであるかどうか、念書が入っておるのだが、この前お聞きしたのですが、その後どうなんですか、田中さん。
  129. 田中順吉

    証人田中順吉君) それはその通りでございます。
  130. 島清

    島清君 それはちゃんと全購連の資産の分に入っておりますか。
  131. 田中順吉

    証人田中順吉君) 入っております。   〔委員長退席、理事大谷贇雄君着席〕
  132. 島清

    島清君 高橋さん、それは今田中さんがおっしゃる通り、何か株主総会などをおやりになりまして増資をするということは決定になったのですか。それとも、また、あなたがこの前否定されたように、私は念書があるのだということを言ったように、全購連の方が一千五百万を増資をしたというのは、これはただ見せかけであって、ほんとうに一千五百万出したんじゃないのだということの証明が物的にできるのですか。できましたらどうぞそれを……。
  133. 高橋武美

    証人高橋武美君) お答え申し上げます。増資の手続につきましては、これは千五百万円ということを全購連の元の会長さんの田中証人がおっしゃっていますけれども、これにつきましては、現実に払い込みましたのは、日本農工として、手続完了後は可及的すみやかに返還すべき旨の念書を差し上げました。そうして全購連から仮払いを受けました。そうして増資手続遂行に要した、要するにこれは登記所に出す登記、すなわち銀行の保管証明書が要るわけなのでございます。その用が済みました数日後において、利息を付してこれを返還したのでございます。それで、会社の帳簿の上では、増資額に相当する全購連からの前波金額を出資金に振りかえた、これはもちろん商法上禁ぜられたことである。それをやったということにいつて、    〔理事大谷贇雄君退席、委員長着席〕 実は昭和三十年の二月に農林中央金金庫と私の方と紛争状態に入りました。紛争状態に入りましたから、私の方はいろいろ書類とか、その他を調べまして、ことに、私は先日の決算委員会——当委員会におきまして、島委員からお話のありました念書なるものをもらっておりまして、そうしてさらにそれを再確認する必要がありますので、そのときの記録を作りまして、そうしてそれに当りました  私が念書をもらいました人、それからそれにつけまして、株金払込書をもらいましたときに、春日常務、取締役が担当しておったものですから、その確認を得たものでございます。それからまた念書とか、実は……。
  134. 島清

    島清君 簡単にしてくれませんか。今高橋さんは、物的に、あなたたちの方の、千五百万円の方の増資は見せかけであって、本物じゃないと、それは農林漁業金融公庫から金を引き出すための方便にしかすぎなかったのだ、こういうことで、物的にこれが証拠があると、こういうことなんですが、あなたの方は、今あなたの方で株の増資をしたということの、物的なそれを証明する証拠がありますですか。
  135. 田中順吉

    証人田中順吉君) 日本農工の力から全購連に対しまして、株式二回にわたって千五百万円を確かに受け取った、こういう領収書はございます。
  136. 島清

    島清君 その領収書は今お持ちでございますか。
  137. 田中順吉

    証人田中順吉君) ここには持っておりませんけれども、事務所にはあります。
  138. 島清

    島清君 そうしますと、高橋さんの言葉を信じてよろしいのか、田中さんの言葉を信じてよろしいのかわかりませんが、高橋さん、それを今お持ちでございますか、その証拠書類を。
  139. 高橋武美

    証人高橋武美君) 持参いたしました。
  140. 島清

    島清君 ちょっとそれを証明してくれませんか。高橋さん、どうぞそれを一つ全部立証して言って下さい。  それでは委員長、あれですか、この一千五百万円の増資ですね、これは見せかけである、それで、あなたの株券にはいささかの影響も及ばないからという、いわば念書が入っているわけですね。そしてその裏づけとして銀行に払い込んだものが今あるかどうかということを私はお聞きしたわけです。田中さんは、今お持ち合せがないと、そして高橋さんは、それがお持ち合せがあると、こういうことなんですが、それは証明できますですか、書類は。
  141. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ちょっと待って下さい……。
  142. 島清

    島清君 いや、銀行の一千五百万円の払い込み、だれがやったかということです。見せかけでない、ほんとうの株式の払い込みがあるかどうかということ。
  143. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 委員長から説明を申し上げます。ただいま島委員の御質疑に対して高橋証人から提出せられました書類を見まするというと、昭和二十八年六月二十日に九百万円、ただし、日本農工株式会社増資新株式十八万株に対する払込金、一株につき五十円。さらに、昭和二十八年七月二十五日付六百万円、ただし日本農工株式会社増資新株式十二万株に対する払込金の証書がございます。あて書きは、全国購買農業協同組合連合会と、両方ともなっております。
  144. 島清

    島清君 田中さんに伺いますが、ほんとうにあなたたちの方で払い込んでおられれば、ほんとうにあなたたちが株主であれば、あれが高橋さんの方に渡るはずはございませんね。そこで、私がこの前念を押したように、あの念書を入れて、そしてあれは見せかけであるからというふうに……、そして領収書が多分高橋さんの方に渡ったと思うのですが、私がお聞きしておるのは、それはだれが所持されておってもよろしいのですよ、よろしいわけですけれども、あなた方が、農林漁業金融公庫——これは国家の財政資金です。この財政資金から金を出すために、こういうからくりをおやりになったということを、私はこれによって明確になりさえすれば、それでよろしいわけです。ところが、あなたはそれを否定されるような証拠をお持ちでございますか。
  145. 田中順吉

    証人田中順吉君) ここには写しを持っておりまするが、これは、日本農工から全購連に対しまして九百万円と六百万円の株式の払い込みを確かに受け取ったという、これは会社からの領収書でございます。それから、その念書のことにつきましては、承知いたしておりません。
  146. 島清

    島清君 それをそれじゃ出して下さいますか。
  147. 田中順吉

    証人田中順吉君) 払い込みました銀行の方から、証といたしまして、確かに六百万円と九百万円の日本農工の新株式の払込金額を受領したということの証明がございます、これを……、写しでございます。
  148. 島清

    島清君 これは会計検査院にお願いしておきますが、職権の及ぶ範囲内において、これが果して全購連の資産録の方に掲記されておるかどうかお調べいただきたい。それから、会計検査院でできなければ、農林省の方でお調べいただきたいと思います。  高橋さんは、今、委員長の前へお出しになりました書類ですね、それはどこからどういうふうに裏づけとしてお受け取りになったのですか。
  149. 高橋武美

    証人高橋武美君) それは私が、千五百万円の増資が行われたということを聞きましたものですから、どういう経路でやったか、また、どういうことになっておるか、とんだことじゃないか——と申しますのは、従来から、五百万円というのは、私が全株式を持っているのでありまして、それに対して何の相談もなしにそういうことを伺ったわけで、実に奇怪なことであると思いましたものですから、それで春日常務取締役を私のところへ呼びまして、どうしたかということを詰問したのです。そうしましたら、その当時のことを書きまして、そうして念書と、それから払込金の領収書を私のところへ持って参りました。そうしてその念書は、ただいま委員長殿のところへ差し出しました。
  150. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 私から高橋証人に伺いますが、三菱信託銀行から全購連にあてたこの証は、ただいまあなたが名前をあげられた方からあなたに渡した、こういうお話がありますが、自来そのままあなたの手元にお預かりになっておったわけですか。
  151. 高橋武美

    証人高橋武美君) さようでございます。
  152. 島清

    島清君 山下さんにお聞きいたします……。
  153. 松岡平市

    ○松岡平市君 ちょっと、議事進行。私は、先ほど高橋証人の出されたものを証拠とするために、全委員に念入りに示すということで委員長は朗読をされて、それを引証されました。引き続いて田中証人から出されたものを——写しではあるが、証拠として出された、一方は全委員報告されて、速記録に載せられておる。一方は、それをそのまま不問に付せられることについては、いささか扱いが妥当でないと思います。前同様の措置を行われた上で審議を展開していただきい。
  154. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 委員長から申し上げます。松岡委員のおっしゃることはもっともなことであると思いますから、まず最初に、高橋証人から提出されました書類を朗読いたします。さっきは一部分だけ申し上げたわけであります。タイプで打ちました日本紙一枚の紙で念書が入っております。その念書は、昭和二十八年八月十日付で、日本農工株式会社代表取締役山下利義さんから高橋武美殿あての念書でありまして、その下に、字がよくわかりませんが、印鑑が押してあります。    念 書   当会社儀今回都合により資本金壱千五百万円を増資する形を採り全購連を株式名義人として記載することに致しましたが、右は正当の増資とすれば法令及び定款の規定により当然新株は現在株主に割当てることを要する儀につき貴殿が当会社の全株式を所有せらるる株主権には何等の影響を及ぼすものでないことを確認します   右に就ては農林中央金庫及全購連も当然了承して居られますので今後貴殿から御請求のあったときには何時にても右増資株式全部を貴殿名義に書替へますから為念本書を差入れます というのが、先ほど申し上げた日付で、先ほど申し上げた人から、高橋武美さんに提出されている、これにつきましては、      証  一金六百万円也    但日本農工株式会社     増資新株式壱拾弐万株ニ対スル払込金     以上  右金額正ニ領収候也   昭和弐拾八年七月弐拾五日  日本農工株式会社株式払込取扱場所         三菱信託銀行株式会社              丸之内支店    全国購買農業協同組合連合会殿二円の収入印紙が張ってあります。  もう一枚は、     証  一金九百万円也   但日本農工株式会社増資新株式壱拾八万株ニ対スル払込金(壱株ニ付金五拾円也)                以上  右金額正ニ領収候也   昭和廿八年六月廿日  日本農工株式会社新株払込取扱場所         三菱信託銀行株式会社              丸之内支店    全国購貿農業協同組合連合会殿  田中さんから御提出になりました写しでございます。  ただいまの六百万円と九百万円に対する写しでございますが、     証  一金九百万円也   但日本農工株式会社増資新株式壱拾八万株二対スル払込金(借株ニ付金五拾円也)                以上  右金額正ニ領収候也   昭和二十八年六月二十日  日本農工株式会社新株払込取扱場所        三菱信託銀行株式会社            丸之内支店印    全国購買農業協同組合連合会殿  もう一枚ありますが、念のために読みます。  正金六百万円也   但日本農工株式会社増資新株式壱拾弐万株ニ対スル払込金 以上  右金額正ニ領収候也昭和弐拾八年七月弐拾五日  日本農工株式会社払込取扱場所      三菱信託銀行株式会社      丸之内支店 収入            印紙  全国購買農業協同組合連合会殿 印  この領収証は、高橋さんの提出されました領収証と、田中さんの御提出になりました写しが一致しております。  さらに、高橋さん御提出のただいまの領収証に関しまして、こういうような証書が出ております。「領収証一金九百万円也」ただし、その前に申し上げますが、これは昭和二十八年六月二十日付であります。日本農工株式会社上取締役社長山下利義さんから、全国購買農業協同組合連合会会長理事田中順吉殿あて差し出された領収証の写しであろうと思います。タイプで書いてございまして、印鑑も何もございません。  一金九百万円也   但し当会社新株拾八万株分払込金  右正に領収いたしました。  こういうのであります。もう一つの領収証は、同じく昭和二十八年七月二っ十五日付、日本農工株式会社取締役社長山下利義さんから、全国購買農業協同組合連合会会長理事田中順吉殿あての領収証であります。その内容は、  一命六百万円也   但し当会社に号新株拾弐万株分払込金  右正に領収いたしました。  こういうのであります。さらに、覚書の厚しでございます。これは昭和二十六年六月十一日付、農林中央金庫理事長湯河元威全国購買農業協同組合連合会会長理事田中順吉連名による覚書であります。覚書の上に二、覚書としてございます。   全国購買農業協同組合連合会(以下全購連と称する)が日本農工株式会社(以下日本農工と称する)とゴム製品の取引を開始するに際して農林中央金庫(以下金庫と称する)との間に左記の通り覚書を交換する。     記  一、全購連は日本農工に対し別途に契約するところに基いてゴム製品を発注するものとする。  二、全購連は前号に必要な運転資金として中金より金四千万円を限度として借入れこれを日本農工に前渡するものとする。  三、金庫は全購連が前号による日本農工に対する債権の担保としてその工場財団に第四順位抵当権を設定することを同意しその措置をとるものとする。  四、日本農工責任者については金庫において適任者を就任せしめるよう措置するものとする。  五、日本農工の経営については両者は密接なる連絡をもって積極的に援助するものとする。  六、全購連は必要に応じ第三号の工場抵当権付債権をもつて全購連の第二号に係はる金庫に対する債務の代物弁済として充当することが出来るものとする。  これが両氏連名による覚書でございます。
  155. 松岡平市

    ○松岡平市君 議事進行。委員長が最後に読み上げられたものは、私は少くとも先ほど来から論議されておるのと何の関係もないものである。島委員の要求されたものは、千五百万の払い込みがどうであるかということについて、島委員は両者に対してこれを立証し得る物的証拠があるかと言われたが、最後に読み上げられたものは、何ら関係のないものである。この機会にそういうものを委員長が取り上げられて朗読されるのは、何の意義があるかわからない。そういうものは不必要であるから、私はその部分に関する限りは、速記録から削除して下さい。この際そういうものが入ってくることは、お互い論議をされる上に、私はじゃまにこそなっても、何ら助けにならぬと思う。そういう証拠書類というものが、今ごろ突然として出されて、それを委員長が朗読をされて速記録に載せられるということは、取扱い上、私は非常に完全でないと思う。
  156. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 私から申し上げますが、この点については、ただいま高橋証人から一連の書類としてお出しになりましたので読みましたが、この内容につきましては、先般の証人喚問のとき以来、やはりこの点に触れた御質疑があったと、私は明確に記憶いたしておりますので、その当時の御証言が、いろいろと確かであるかどうかという点に、重大なる関係があると私は考えます。
  157. 相澤重明

    相澤重明君 ただいまの島委員質問時間を実はある程度制限をして、そうしてできるだけ本委員会も時間内に終りたいと思っておったのですが、島委員質問中に関係者に対するいわゆる証拠書類提示を求めましたところが、今、委員長の御発表になった通りであります。従って、私、ここで、島委員質問の中途になったと思うのでありますが、できるだけあと続ける場合も、一つ重点的に私は島委員にお願いをして、そうして他の委員から質疑をする、こういうふうに一つ進めていただきたいと思うのですが、その前に一つお尋ねをしたいのは、今、田中証人から出された写し、この写しというのはどこで写されたのか、それで、今その原本はあるかどうか、この点だけを証人からお尋ねをしておきたい。
  158. 田中順吉

    証人田中順吉君) 実は一つ訂正をさせていただきたい点がございますから、御了承いただきたいと思います。ただいま出しました写しのうちで、日本農工株式会社から全購連あてに新株式払い込みの受領書、これは原本は全購連にございまして、それの写しでございます、ただし、三菱信託銀行の丸之内支店から全購連あてに出ておりまする領収証は、これは原本は全購連には実はございません。今の写しは一緒に手元に持っておりまして、間違えて出しましたが、これは原本は全購連には実はないのでございます。その点は、そのときの取扱い上については、そごがあったと申しますか、事務上の手違いがあったと申しましょうか、これは高橋さんの方に渡っておりまして、再三請求はいたしましても、こちらの方へは渡していただけない、という事実があることを訂正して申し上げます。
  159. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 その、今のこの三菱銀行の九百万円、六百万円の全購連あてのものが、高橋さんのお手元にあるということは、先ほどあなたは、何とか常務取締役からもらってきたと仰せでありますが、それは銀行の常務取締役か、あるいは全購連の力からあなたがおもらいになったのか、その点をお聞きいたします。
  160. 高橋武美

    証人高橋武美君) お答え申し上げます。  ただいま御質問になりました三菱信託銀行の払込領収書が私の手元にある経路でございますが、それは先ほど申し上げましたように、念書、つまりは、会社に対してその千五百万円増資について詰問いたしましたところが、それに対しまして、先ほど委員長殿から御朗読になりました念書と、それから、それに払込書をつけまして、春日常務取締役が私の手元へ持参したのでございます。
  161. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 春日取締役というのは、どこの……。
  162. 高橋武美

    証人高橋武美君) 日本農工の取締役であります。
  163. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 全購連にあるべきものが、全購連のあて名になっておるものが、その日本農工の取締役のところにあるということは、どういうことでありますか、田中さん。(「それが問題だから今聞いてるんだよ」と呼ぶ者あり)
  164. 田中順吉

    証人田中順吉君) そのときの取扱いの実情につきましては、私はその当時は、確かに全購連は現金をもって払い込んで、その領収書は全購連が保有しておるものだと信じておりましたが、事務的にはかくは参っておらなんだようでありまして、事実は、最近になって取り調べてみますると、その千五百万円の払込命は、全購連は中金支払いの小切手をもって日本農工の専務に渡しまして、ただいま写しを出しました日本農工からの領収書と引きかえに小切手を渡したようでございます。従って、日本農工の取締役が銀行の方に持っていって払い込んで、その銀行の直接の領収書はそのまま日本農工の方に持っていったままになって、これは幾ら請求いたしましてもこちらには渡してこない。こういうのがこのときの経過の事務上の実情であります。
  165. 相馬助治

    ○相馬助治君 これはせっかく証拠として求められたのですが、田中さんが出された証拠は、その、高橋さんが出されたのの写しであって、原本がないというのですから、これは全く意味がない、こういうふうに筋上思うんです。その証拠がうそだとかなんとかということより、この際意味がない。  そこで私が関連してお尋ねしておきたいのは、問題は、単に二枚の領収書だけが高橋さんの手元にあるならば、高橋さんが何か詭弁を弄してかっぱらったとも思えるが、念書がついておる。念書がついておるんだから、これはとにかく話し合いの上で、一たんは高橋さんに行ったということが、あまりにも明瞭なんです。そこで、念書に山下さんが判こを押しておりまするから、このものを委員長においては山下証人をそちらに呼ばれて、確認をされていただきたい。なお、このことについては、別に山下証人島委員質問に答えて さようなるものは存じないと申しておるんですが、そのときには島さんは手元にその写しのようなものを置いて聞いておるので、原本を見ていない。忘れることもあるので、山下さんにそのことを確認させてもらいたい。それが一つでございます。  それから、この問題は、もう明瞭になったことは、大谷委員か不思議に思うように、あるべからざるところに領収書があるのであって、そして、そのあるべからざるところに領収書がある理由が念書なのですから、非常に問題の核心に重大だと思うのです。山下証人の確認を、一つ委員長は求めていただきたいと思うんです。
  166. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 山下証人、ちょっと私の席においでになって、あなたのお名前の下に判こが押してありますから、これを御確認願いたい。
  167. 山下利義

    証人山下利義君) その念書には、社長印が押してあるようでございます。ただし、それが、私が農工で使って知りました社長印でありますかどうか、日本農工にありましたものと照し合せなければわかりませんが、とにかく社長印とは書いてございます。ところが、ついでに申し上げますが、何かの書類に、その当時使っておったものが残っておるかもわかりませんが、争いになりましてから、その社長印は高橋さんの方に持っていかれました。ですから今その社長印の現物は日本農工にありません。これは代行取締役、判所に選任されました代行取締役が返還を請求されましたが、お渡しになりませんでした。破棄したと申されて……。従って、そのものはございませんということをお断わり申し上げます。何かのものがあるかもしれません、それと照し合せなければわかりませんけれども、とにかく社長印が押してあるようでございます。しかし、その念書につきましては、私は覚えがございません。
  168. 島清

    島清君 それは、念書は……、争いに入りましたのは、いつごろですか。
  169. 山下利義

    証人山下利義君) 争いに入りましたのは、三十年の三月ごろでありましょうか、三、四月ごろより……。
  170. 島清

    島清君 その念書はいつですか。
  171. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 昭和二十八年八月十日付。
  172. 島清

    島清君 そういうことです。二年ズレがあります。あなたは二十八年、争いは三十年の三、四月だから、あなたがれっきとした社長時代、これはお認めになりますね。
  173. 山下利義

    証人山下利義君) はい。
  174. 島清

    島清君 それから、あなたにお聞きしますが、当時の従業員は何人おりましたか。
  175. 山下利義

    証人山下利義君) 二十八年ごろでございますか。
  176. 島清

    島清君 盛業時代です。
  177. 山下利義

    証人山下利義君) 三百名ちょっとこえておりました。
  178. 島清

    島清君 ベースは幾らでございましたか。
  179. 山下利義

    証人山下利義君) ベースは、はっきり覚えておりませんが、一万二千円くらいであったかと思います。
  180. 島清

    島清君 そうしますと、人件費として払いまする額は幾らくらいですか。
  181. 山下利義

    証人山下利義君) 一カ月に払います数字は、ちょっと記憶がはっきりいたしませんが、三百万くらいでございましたでしょうか。
  182. 島清

    島清君 そういたしますと、あなたが社長に就任されて、閉鎖されるまでの間三年ですか。
  183. 山下利義

    証人山下利義君) はい。
  184. 島清

    島清君 三年間まるきり三百人ちょっとこした従業員が居食いしても、借金を作られたものは食い切らないという額ですね、結果的においては。
  185. 山下利義

    証人山下利義君) 初めはごく少数、百人足らずの人数でございましたが、だんだん全購の協力によってそのようになりました。その後だんだん減りました。減って参りました。
  186. 島清

    島清君 湯河さんにちょっともう少しはっきりしていただきたいと思いますが、あなたが、全勝速が九三%の株を保有しているということも、今の証拠によってちょっと怪しくなりました。それで、その最後のあなたの方の高橋さんとの契約なんですが、それは旧会社ですか。高橋さんの個人的な所有の形をとっておりました時分の五百万ですね、あれの名義書きかえが非常な問題だと思うのですが、それは有償であったか無償であったかということについて、はっきり記憶しておらないようですが、それは返り証がついておったようですね。名義を書きかえるにしても、有償であるにしても無償であるにしても、いずれは高橋さんにお返しするという返り証がついておったようですが、その返り証に基いて、高橋さん側の方から、要求か何かございましたでしょうか。
  187. 湯河元威

    証人湯河元威君) 先ほど、私記憶がないと申しましたが、ほんとうに記憶がなかったのでございます。今書類を調べまして、まさに島委員の仰せの通り無償となっております。そして、この債権が回収されたならば、それをお返しするという約束がついております。しかしそれを高橋さんの方から御要求になったという事実は存じません。
  188. 島清

    島清君 高橋さんにお伺いしますが、それだけの名義を書きかえて返り証がついていて、要求されないはずは常識上ないと思いますが、要求された事実はないのですか。
  189. 高橋武美

    証人高橋武美君) お答え申します。それは、私の方としては、株式農林中金または全購連に譲渡するという意思は、当初から毛頭ないのでございます。また譲渡するという契約もないのであります。無償で名義書きかえをするということでございます。従いまして、実物は、先ほどこらんにいれましたように、私が持っておりまして、何ら移動しないのであります。従いまして、返り証はございませんでも、私の持っております実物によりまして、いつでも書きかえできるという考えでございましたから、その返り証というようなことは、実は私は重視しませんでございました。
  190. 島清

    島清君 そうしますると、名義書きかえをあなたは約束されて、それで約束を履行しないから、公正証書によって、そしてその公正証書はお作りになって、それで半年間ですか、それを基盤にしてお仕事をやるという契約上の何ができたわけですね。契約上のあれができた。公正証書によってできたわけですね。それは動かすことのできない事実だと思うのですよ。ところが、今私たちが非常に奇怪に思っておりますることは、その五百万円の、表面上の株式会社が、実際には四億近い時価のものであると、そこで、それを、まあ、書類の上であるにしろ、自分の方にもと通りに返してもらいたいというような要求があってしかるべきだと思うのですが、そういうことは一向になされてないわけなんですね。
  191. 高橋武美

    証人高橋武美君) お答え申し上げます。それは、日本農工会社を運営する上におきまして、農林中金及び全購連の協力を求めるという意味合いにおきまして、株式の名義を、株主総会運営の便宜上書きかえる、そういう意味でございますから、譲渡したのでございませんから、実物は私のところに保持いたしておりまして、そして株主の希望によって、何どきにでも書きかえる状態にした。従いまして農林中金と円満な経営参加と申しますか、そういう意味合いにおいては、何ら支障は起らなかったのでありますけれども昭和三十年二月に紛争に入りましたので、直ちにこの株は無償名義書きかえしたのを取り戻しまして、そうして私の方の名義にするということを、農林中央金庫に向って通告いたしました。
  192. 岩間正男

    岩間正男君 議事進行について、実はあと十五分しかないのですね。島委員質問もまだ終らないと思いますが、ちょっと余儀ない事情がありまして、退席するので、質問したいことがあるのですけれども、大体五時ということが限定されているので、その点委員長の方で、十分前後の事情を考えてお取り計らい願いたい。私の質問は保留さしていただきたい。
  193. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 山下さんが日本農工の社長になって行かれた際に、全購連から渡した四千万円の金がなかった、こういうことを湯河さんからもお話があり、あなたからもそういうお話があったわけです。ところが高橋証人は四千万円なくなるはずがない、こういうお話なんですが、当時高橋さんは社長であったわけだ。従ってよくその点、なくなるはずはないとおっしゃることが、ちょっと私には了解がいかない。なお山下さんはその際はこの何か奥歯にものがはさまったようなおっしゃり方をして、とにかく金が四千万円ほとんどなくなっていると、若干は設備に入ったけれどもなくなっている、こういう状態でお答えがあったわけですが、その間の事情をもう一ぺん一つお聞かせ願いたい。
  194. 山下利義

    証人山下利義君) 全購連から四千万が出まして、それで原材料を買って、仕事をするという建前でございます。仕事をいたしておりましたが、従ってその当時の規模から申しますと、四千万にはもう少しゆとりがあるはずでございます。ところが明日の原材料を買う金がないというような状態で、これはおかしいというように感じたわけでございます。が、しかしこれはある程度は申し上げられますが、前専務の好光、これが原材料仕入など一切いたしておったようです。私どもの円からみますと、いささか高いものを買っているような感じもいたしました。もし裁判所でございますればその点立証もいたしますが、現実の一問題をつかんで……。それで高橋さんが個人的にお使いになりましたものが、二百七、八十万ございます。そういうわけでございます。六、七百万ばかりが設備に入っております。
  195. 高橋武美

    証人高橋武美君) ただいま御質問になりました四千万円の問題について、御答弁さしていただきたいと思います。その四千万円は、日本農工が不自由をいたしますについての前渡金という名義で、全購連から入金したのであります。その条件といたしまして、やはり金が入りますときにこの原材料と引きかえでなければ金が出てこないのであります。全購連から金が入らない。従いましてその金は原材料が商品にかわるわけであります。そういう実情でありますから、次から次へと回転するわけであります。ことにその経理の監督といたしまして、農林中央金庫から、その金と一緒に、農林中金の現職の職員が派遣されたのでありまして、それが金の出入りを監督しておる。それから今山下証人から私が金を使い込んだような意味合いに印象を与えるような御証言がございましたけれども、それは私は日本農工に対して今まで立てかえ金をずっとしておりまするから、その立てかえ金の一部について会社の方で、私が直接やったのじゃありませんが、会社の方でその一部を払ってくれたのでありまして、従来の職工の賃金であるとか、材料費であるというような意味合いの立てかえ金を取ったのでございますが、別に私が使い込んでどうだということじゃございませんから、この点を申し上げておきます。
  196. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 山下さんはあなたが社長になっていかれたところが、とにかく消えてなくなっておったという御答弁でありました。また高橋さんはそんな四千万が消えてなくなるわけがないと、こういうことであったのですが、その点はいかがですか。これはそういうはっきりした御答弁であった。
  197. 高橋武美

    証人高橋武美君) その通りであります。
  198. 相馬助治

    ○相馬助治君 その今の山下さんの証言に関連してのことですが、相当多額の金が消えてなくなったということの証言で、高橋さんと湯河さん、そうして山下さんの意見とでも、これは相当食い違いがあるということが事実問題として一つ確認されていると思うのです。それで今の高橋さんの証言の立てかえ金の一部に充当した、山下さんの言う二百六、七十万の金を高橋さんが取った、使い込んだという印象をわれわれに与えられたとおっしゃったが、使ったということに聞いたのですが、しかしあなたの説明では、立てかえ金の一部にそれを入れたのだと、こうおっしゃっておる。それはわかったとして、立てかえ金の一部というと、あなたは会社に純粋に取り分が何ぼあるかという問題が出てくるわけですね。これを概略でいいから承わっておきたいことが一つ。  それから先ほどの五千万円の行方については、湯河証言とあなたの話に食い違いがあるのですが、やはりあなたが前から言っている通りで、湯河証言とは食い違いのあるままあなたは認めて、自分の言っていることがその通りなんだというのだったら再確認をしてもらいたいということが二つですね。  三番目には、社長には理事長から頼まれてなったと、あなたはこの前に言うているのですが、湯河さんはそんなことはとんと存じないというのですが、これはどっちがほんとうなんだか、もう一度高橋さんに聞きたいというのがその三つですね。これを一つ答えて下さい。
  199. 高橋武美

    証人高橋武美君) ただいまの御質問を受けました立てかえ金の残金でございますが、これは従来私が日本農工会社を社長として経営いたしまして、そうして材料費、人件費等について会社の経営がなかなか容易でございません。ことに金融関係が容易でございませんから、やはり私の私財を提供いたしました。ところが昭和三十六年でございますか、農林中金関係するようになりまして、非常に仕事が思わしくなくなった。それで結局これは経営が健全でないということが原因と考えましたものですから、このまま農林中央金庫に経営を委託するわけにいかないと考えましたので、昭和二十九年の七月に農林中央金庫に向って今までの債権債務の……。
  200. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 簡潔に要点だけを答弁してけっこうです。
  201. 高橋武美

    証人高橋武美君) そのとき今まで私の立てかえ金を清算いたしまして、日本農工に向って立てかえ金は約三千万でございます。そのとき清算して請求いたしました。そういう関係でございます。  それから理事長推薦の問題、つまり私が中央農水産の社長になりましたについて、理事長の推薦になったということを前回証言申し上げましたが、これは前回申し上げました通りに、私は中央農林水産に資本金を出しております。そのほか何らの財産関係はないのでございまして、実際の株主でもないのであります。それが出かけまして、そうして社長になるということは実に不思議なことなんです。湯河理事長の推薦、つまり私だけでなしに他の役員と同様でありまするが、湯河理事長の推薦なしに社長なりあるいは取締り役になれるわけはない。これは湯河理事長が推薦されたことは事実でございます。それを御証言申し上げます。
  202. 相馬助治

    ○相馬助治君 もう一つ、五千万円の行方について湯河さんの証言とが食い違っていますが、それに答えていただくことをあらためて聞きます。それが一つ。  それから第二には、あなたは、農林省から出し日本農工株式会社に関する農林中央金庫処理方針というのをお知りだと思うのです。内容的にいえば、債務を全部返済すると五千五百万農工に返ってくるという話し合いがあることご存じだと思うのですが、存じておりますね。
  203. 高橋武美

    証人高橋武美君) 第一は、五千万に対する湯河証人との食い違いにつきましては、私は前証言通りでございます。  それから日本農工処理方針、これにつきましては知っております。
  204. 相馬助治

    ○相馬助治君 知っておりますというと、処理方針通りにやられると、あなたのこの農工に持っている権利が侵害されるというふうにお考えかどうか。具体的にいえば、五千五百万円というものは、取れたら、その金はあなたのところへでもくるという了解になっているのか。それともあなたがもう社長をやめちゃっても農工という会社自身にくるというふうになっているのか。あなたはそこはどういうふうに御理解になっておりますか。
  205. 高橋武美

    証人高橋武美君) これは農林省から御提出があった処理通り、やはり五千五百万会社へくるのでございます。
  206. 相馬助治

    ○相馬助治君 あなたのところに手渡しになるのであるというふうにはあなたは思っていないわけですか。
  207. 高橋武美

    証人高橋武美君) さようでございます。
  208. 相馬助治

    ○相馬助治君 そうすると、この処理方針にあなたは満足ですか。
  209. 高橋武美

    証人高橋武美君) これは満足するわけに参りません。
  210. 岡三郎

    ○岡三郎君 簡単に時間がないから、一番冒頭に私は聞きたいのは、高橋証人にお伺いしたいのは、千五百万の増資ですね。これに対してまだ明確じゃないのだが、千五百万の増資がどういうふうに意図され、これが進行されたのか、目的ですね、それをちょっと伺いたい。それはあなたが千五百万円の増資というものを何か知らぬうちにそういう決定がされたような印象答弁があったから、この点をちょっと聞きたい。
  211. 高橋武美

    証人高橋武美君) その当時の事情を調べますと、農林漁業金融公庫から三千五百万円借り入れるという会社として計画を進めたそうであります。その場合に借り入れ資格が株主の九%以上が農協関係でなければ借りる資格がないというので、借りる資格を擬装するためにやったように聞いております。
  212. 岡三郎

    ○岡三郎君 それから先ほどの島委員質問の中で、これは田中証人に聞きたいのです。全購連の資産表に今までの答弁を聞いているというと、島委員は千五百万円が載っておるかどうか、会計検査院なりあるいは農林省に調べてもらいたいと言っているが、私の聞く範囲内においていうならば、これは全購連の資産表に載っているべきものじゃないと思うが、その点はどうですか。
  213. 田中順吉

    証人田中順吉君) その千五百万円は正確に全購連の貸借対照表に載っております。
  214. 岡三郎

    ○岡三郎君 そうするというと、それは明確に載っておるということをここに証人として出る前に確認してきたわけですね。
  215. 田中順吉

    証人田中順吉君) さようでございます。
  216. 岡三郎

    ○岡三郎君 それはまた追ってさらに申し上げましょうが、もう一点は、山下さんが先ほど念書を、私はこれを作ったかどうか、私は忘れたとかわからぬとか言ったが、その点をもう一ぺんはっきり言ってもらって、この念書についてはそれが真筆であるかどうかということは、これは鑑定すればわかると思う。島委員が二十八年と言っておるので、この点についてもう一ぺん山下証人にお尋ねしますが、この念書について、もう一ぺんはっきりあなたのこれは作ったものであるかどうか、これを言ってもらいたいと思う。
  217. 山下利義

    証人山下利義君) 私が作ったものではございません。
  218. 岡三郎

    ○岡三郎君 あなたは知らない……。
  219. 山下利義

    証人山下利義君) はい。
  220. 岡三郎

    ○岡三郎君 この点についてちょっと高橋証人にお伺いしたいのですが、今の山下証人発言によると、明確にこれは私の作ったものでない。——そうするというと、これはだれかが作ったということになるのですが、その見解はどうですか。
  221. 高橋武美

    証人高橋武美君) お答え申し上げます。さっきの増資の手続の問題とそれから念書のことにつきまして、昭和三十年三月、当時よく取り調べまして、そうしてそれをその当時これに当っておりました春日常務取締役の確認書を持っておりまするので、もし何なら朗読さしていただきたいと思います。
  222. 岡三郎

    ○岡三郎君 ちょっと委員長、それは朗読さしてもらいたいと思う。
  223. 高橋武美

    証人高橋武美君)    増資手続について  昭和二十八年増資払込に充てた資金一、五〇〇万円は「手続完了後は可及的速かに返還すべき」旨の念書を差入れて全購連から仮払を受けたもので増資手続遂行に要した数日後に於て利息を付して之を返還すると共に会社帳簿上は増資額に相当する全購連からの前渡金額を出資金に振替へたものである。     以上    (昭和三十年二月)    念書について  昭和二十八年七月株主高橋氏が一、五〇〇万円の増資に関して春日常務取締役に糺したので春日常務はその旨を山下社長に報告、その指令により同年八月十日付念書を作成して増費払込事務取扱銀行の発行した払込領収書と共に之を高橋氏に手交したものである。    以上    (昭和三十年二月) それに付け加えまして、  以上の通り相異ありません。           春日慎一 印
  224. 岡三郎

    ○岡三郎君 時間がたちましたので、この問題についてはあと委員長理事の方で打ち合せるというふうに相澤理事の方で申されておりますので、一応今の念書の点についても明確になったし、その間におけるところのいわゆる千五百万の増資にからむ判定というものを、ちょっと聞きたいと思うわけでありますが、きょうはこれでやめておいた方がいいのかどうか、どうでしょうか。
  225. 相馬助治

    ○相馬助治君 議事進行について。  私は特に誤解のないように発言したいと思うのは、やはり証人を三回にもわたって呼ぶということは前例もないから、そういうことはやりたくないと私は言ったのであって、私の場合には、それまでに精力的に島委員にも努力してもらって、関連もして事実の調べだけは終りたいという熱意だったのですが、どうもただいま岡委員が聞かれたことに関連しても明瞭な食い違いがあり、また島委員質問に対しても明瞭な食い違いがありますから、私はこの食い違いをそのままにしてはこの問題は片づかないと思いますから、私は原則論として気分的には三回目の証人喚問はやるべきでないし、やりたくないと申したのですが、事態はそんな常識的な基本論では片づかない段階だと思いますから、私のさっきの発言は、第三回品の証人喚問はすべきでないという積極的な意思じゃなかったのですから、あらためてそのことを申し添えて、どうしてもきょうここでやめなければならないのならば、これは今後も証人喚問をやらざるを得ないのではないかという意見を付して、私は委員長理事におまかせするほかはないと思いますので、誤解のないように願います。
  226. 松岡平市

    ○松岡平市君 私は委員会が終りそうだから、一応どなたからでもけっこうです、ここでいろいろと詳細にわたって同僚委員から質疑があって御答弁になっていらっしゃる。そうやって並んでいらっしゃるのだが、私は今ここで問題にされていることは大へん重要な事柄のようでありますが、これは訴訟かなんかになっているのかいないのか、訴訟になっておるとすれば、どういう訴訟を、どこの裁判所でどういうことになっておられるか、四人いらっしゃるどなたでもけっこうですからお答え願いたい。なってなければなっておらぬでけっこうです。
  227. 湯河元威

    証人湯河元威君) 私は在任中のことしか、最近のことはよく存じませんが、三十年の二月ころから高橋さんとの間に非常なトラブルが起りまして、それから先は数回にわたります訴訟をやっておりまするが、この本体については何も訴訟になっておりません。それは単なる会社の取締役を否定するとか、事務所々移すとか、そういう手続的な訴訟はございますが、本体につきましては何ら訴訟になっておりませんで、もっぱら円満解決を祈念いたしておりますのが中金の態度だと存じます。
  228. 松岡平市

    ○松岡平市君 そういう今訴訟になっていない、論議されていることは訴訟では争われていない。ほかには幾つもの訴訟がある。その訴訟が終っているのか現在進行中なのか、進行中ならその訴訟として争われる場合に、今ここで論議されているようなことは問題になるのかならぬのか、それを一つ、ただいま湯河証人からお話がございましたが、その点を明らかにしていただきたい。
  229. 湯河元威

    証人湯河元威君) ただいま中金の係の者に聞きましてございますが、高橋さんと円満な話し合いをするために一応お打ち合せをいたしまして、それまでの訴訟も全部取り下げて、今懸案になっております民訴の案件は全然ございません。もっとも一つある人から告発されておりまするが、このお取調べも全然進んでおりません。
  230. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記をとめて。    午後五時八分速記中止      —————・—————    午後五時五十三分速記開始
  231. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記をつけて。
  232. 島清

    島清君 今、証人の前で、ごらんの通りのことでございまするので、あまり時間がございませんから、一つ簡単明瞭一にお答えいただきたいと思います。  全購連は一億円を農林中金の方から債権の肩がわりをしてもらってお受け取りになったんでございますね。
  233. 田中順吉

    証人田中順吉君) その通りでございます。
  234. 島清

    島清君 それは総額一ぺんにお受け取りになったんでございますか。
  235. 田中順吉

    証人田中順吉君) その間の事務的なあれは、詳しいことは承知をいたしておりません。全額一時であったか、若干分割されたかは承知をいたしておりませんけれども、総額一億円を受け取ったことは承知をいたしております。
  236. 島清

    島清君 そういたしまするというと、かりに分割であったといたしまするならば、その分割分が今までに少しも残っていないか。もしかりに分割であったとすると、まだその一億の残余の部分が入っていないかどうか、その点はいかがでございますか。
  237. 田中順吉

    証人田中順吉君) 総額一億円は入っておるものと信じております。
  238. 島清

    島清君 信じておられるだけで、今ははっきりしないわけですか。
  239. 田中順吉

    証人田中順吉君) それは、書類の上では認めておるわけでございます。
  240. 島清

    島清君 書類の上では、なに……。
  241. 田中順吉

    証人田中順吉君) 書類の上ではそういう報告を受けておりますので、さよう承知をいたしております。
  242. 島清

    島清君 非常にくどいようでございますけれども、私の本案を見ます主観といいますか、私の認識といいますか、それには、ざっくばらんに申し上げまして、その高橋さんの五百万円の会社に架空な事実をお作り上げになりまして、いろいろのお仕事をするように見せかけて、それで借金をお作りになったんじゃないかと、こういうような疑点のもとにお伺いをしておるわけであります。その疑点がありましても、それが農林中金の方にいささかも迷惑がかかっていないとしますならば、私の疑点をただす必要もありません、正直のところ。ですから、はっきりとこの点を、くどいようでございまするが、明確にいたしておきたいと思うんです。そこで、一番その疑点をほどきますポイントになりまするのは、あなたたちが五百万円の旧株を名義書換をなされたわけですが、この名義書換は期限があり約束事があったと、まあこう思うわけです。ところが、その契約に基いて、約束事の期限が切れても、なおかつあなたたちはこういうふうな、私から言えば架空の事実に見えるようなことをおやりになったと、こう思うわけであります。そこで、一番問題になりまするのは、この旧株の移動の問題ですが、高橋さんはああいう証言をしておられるし、あなたたちの方は、あなたの力が指定したそれぞれの人々の方のものになっておるんだということのようですが、それでものになったということになりまするというと、これは有償であったか無償であったかという問題が当然に第二の疑問となってくるわけです。その点は、はっきりしてもらいたいと思うんです。有償無償による株式の移動でございますね。おそれ入りますけれども一つ御三者の方からはっきりしていただきたいと思います。
  243. 湯河元威

    証人湯河元威君) 私から申し上げます。先ほど、あとではっきり申し上げましたように、誓約書に基きまして無償で名義書換えをして、その名義書換には、債務が完済したならばこれを差し戻すということも、当時高橋さんからお入れになりました——高橋さんでしたか、日本農工からお入れになりました誓約書にございますので、ただいま期限があると仰せになりましたけれども、むしろ債務完済ということを条件として差し戻すと、かように相なっておる次第であります。
  244. 島清

    島清君 山下さん、その間の株の移動の問題ですね。
  245. 山下利義

    証人山下利義君) 今湯河証人がおっしゃいました通りに私も理解をいたしております。
  246. 島清

    島清君 田中さん、どうですか。
  247. 田中順吉

    証人田中順吉君) 私も、その通りだと承知しております。
  248. 島清

    島清君 そうしますと、明確に田中さんの方の裁判所の方に御提訴になりましたごの証明書と矛盾する、食い違うわけです。ここで今おっしゃいますることと、証明書を先きほど私がお読み申し上げたのですが、それと、明確に食い違うわけですが、それはどういうふうに理解すればよろしいのでございましょうか。
  249. 田中順吉

    証人田中順吉君) 私の承知しております事案は、要するに、無償と申し上げますことは、その際にそれだけの現金を支払っておらないということでありますが、全購連が譲り受けました三百六十万円の旧株式は、その当時以前の株主が日本農工からそれだけの金を借りて買っておった株で、従って株の譲渡を受けますと同時に、その債務も引き継いでおるわけであります。従って現在におきましても、全購連といたしましては三百六十万円の株式は明確に財産目録に載っておりますと同時に、それに見合うところの債務もある、こういうことになっておるのであります。
  250. 島清

    島清君 その点山下さんはどうなんですか。
  251. 山下利義

    証人山下利義君) 全購連の方のことは存じません。農工におきまする私どものものは、私どもが無償で譲り受けましたときにも、その反対の貸付が株主になされておりました。それをその債務と株式双方ともに私どもが受け継いだわけでございます。
  252. 島清

    島清君 湯河さんどうですか。
  253. 湯河元威

    証人湯河元威君) 私はただいま申し上げました誓約書の字句の通り承知しておりますので、その内部の関係がただいまのような株主と会社との関係であるということは、ただいまの御証書で知りました次第でございます。
  254. 島清

    島清君 高橋さんとあなたたちの方が食い違うということは、利害を異にしておりますので了解できないわけじゃございませんが、こちらの方では無償で取得をされた、さらに裁判所の方には有償である、こういうふうに同じ立場方々から異るわけなんですね。そして今非常に重大な問題は、もしかりに湯河さんが今証言されたようなことであれば、株は依然として高橋さんのものである、こういうことになるわけですね。かりにお預りをしていると申しましょうか、高橋さんをして言わしめますならば、そんなことは、名義書換は毛頭考えてないのだ、ただ一時の便法で会社につかましておるのだと申しておるわけですが、高橋さんの考え方はかりに否定されるにしましても、湯河説をとりましても、これはいずれいつかは返さなきゃならない株券なんですね。そういうふうに理解できるのですが、そういうふうに了解するといけませんでございますか。
  255. 湯河元威

    証人湯河元威君) 私は差しつかえないと思っております。ただいま会社と株主との間にさような両建ての関係になっておりますれば、返すときには債務も高橋さんの方に引き継いでいただく、それと同時に株券も返す、これは可能であると思いますので、誓約書の表面には無償であると、ごう書いてございます。株もお手元にお持ちだろうと思います。私それをあとで引っくり返してみまして、先ほどそれは覚えてないと申し上げましたことは訂正いたします。
  256. 島清

    島清君 そうなりますと、ここにまた非常に問題が起ってくるわけですが、債務を高橋さんがお返しになるとその株券は高橋さんのところへきて、そうして自動的に高橋さんの個人的な元の会社になるわけなんですが、ところが山下さんどうでしょう。高橋さんは日本農工から追い出されておる。その債務を返済するというところの最も根っこからは追い出されておって、そして債務の返しようがないわけなんですね。そこで高橋さんを中心にしてその工場が管理、運営をされておるならば、そこから何がしかの果実が生まれてきて、そして債務の返済に振り向けると、こういうふうにしろうと的にも考えられるのですが、債務を返せば株券は当然に高橋さんのものになるのだ、しかしながらその債務を返済するような果実を生む肝心な工場というものは……、そうしてあなたたちの言い分によると二百万円といいますか、約束手形を振り出したというので、それで追放されたわけです。そうすると、あなたたちが債務の返済をするであろうと期待されるのはどういうふうな根拠に立って、経済的な常識からいいますと、どういったような根拠に基いてそういうことを期待されるのですか。
  257. 山下利義

    証人山下利義君) ただいま島委員会社高橋さんを追い出したというような御表現でございました。それはいささか事情が違うのでございます。と申しますのは、二十七年の暮に……。その前に、時期をちょっと失念をいたしましたが、代表取締役をやめていただき会長という名前になっております。その前から会社名の手形をお出しになっておるということがちょいちょいと耳に入って参る。これは大へんなことになる、それをしょうようなことになりますと……。そこで代表取締役——この代表取締役は高橋さんと私と二人になっておりまして、代表取締役をやめていただきまして、会長という名前だけでありました。ところが二十七年の暮になりまして、また手形が出まして、大みそかにそれが不渡りになりまして、明けて早々に手形交換所の取引停止を食いました。そこで手形交換所に参りまして、いやそれは会社関係しないことでありますからという了解を求めましたが、承知いたしてくれません。それでそのあかしを立てろということでございますから、それには高橋さんが会社の表面からは手を引いていただくよりあかしの立てようがないというので、やめていただいたわけであります。がしかし高橋さんの代表取締役は入っておるわけでございます。高橋さんの御意思は十分に伝わって経常をいたしておるわけであります。     —————————————
  258. 高野一夫

    委員長高野一夫君) この際、委員の変更がございましたので御報告申し上げます。  ただいま手島栄君、松村秀逸君が辞任されまして富田重文君、大谷瑩潤君補欠選任されました。     —————————————
  259. 島清

    島清君 山下さんに非常に失礼な表現であるかもしれませんけれども会社の社長の判こはたとえばそれは高橋個人を離れた人格を持つ判こなんですね。判こを押せば少くとも知らないのだということは言えません。しかしながら社長の判こは、おそらく社長みずからお持ちになっておるところはないと思います。金庫がありますね、金庫の判こは重役で総務部長かどなたかが持っておられるでしょう。それで金庫から持って参ります判こは判こを入れるかぎがありますから、これは専務かだれかが持っておるだろうと思います。さらに最終的なものはあるいは社長が持っておるかもしれません。少くとも私は——あなたも農中金の役員をやっておられたのですから、社長単独の意思で社長の判こが押されるということは万あり得るはずはないと思います。少くとも一人くらいの方々によって合意でなければ判こを押せないというふうにされておるというのが大体通常の会社の社長印の保管方法だろうと、こういう工合に思えるのですが、そうすると、日本農工だけはもう社長が判こをみずから持っていて、社長の判こをべたべたと押して、いかようにでもできるというふうな仕組みになっておったわけなんでございますか。
  260. 山下利義

    証人山下利義君) 私が就任いたしました後は、今お説の通りに私自身は保管いたしませんで、総務部長に保管を委託をしておるのです。
  261. 島清

    島清君 それはあなたが就任をされてからはそうであったにしても、高橋さん時代はそれはできなかったわけですか。
  262. 山下利義

    証人山下利義君) 高橋さん時代のことは私はわかりません。
  263. 島清

    島清君 そこで、あなたがおわかりにならないということを、私はあなたたちの方が高橋さんを追放したのではないかと、こういうことをお聞きしておるわけです。追放の根底になりますのが、要するに無償で名儀を書きかえるというところにあなたたちは根拠を持たれて、日本農工に乗り込まれてこられて、そうして高橋さんが二百万円ですか、約束手形を振り出したということに、まあ通常の言葉で言いますと、因縁といいますか、そういうものをおつけになりまして、それからやめてもらったのだと、私はそれを聞いたわけです。そこであなたが、私がお聞きしたことによって、高橋がそういう乱発をするので、それを防止するために、まあ社長のいすをやめてもらったのだという、こういう説明であったわけです。そこで、そういう御説明に対して、私は判こというものは、社長は個人で持って歩いて、むやみやたらに判こをつけるものであるかということをお尋ねしたわけなのです。
  264. 山下利義

    証人山下利義君) 今のお説は事実と少し違っております。高橋さん時代のことはよくわかりませんが、おそらくやはり春日総務部長が保管をしておったのじゃないかと想像いたします。確めてみたことはございません。  それから私が就任いたしましてから後は、就任いたしましたときには、もうすでに前から春日総務部長は就任をいたしておりましたわけです。その春日総務部長が社長印の保管をいたしておりますのを、総務部長でございますから、そのままに継続して委託をしておりました。私としてはそのようなつもりでございました。従って、代表取締役並びに会長をやめていただきましたのは、それから後の問題でございます。
  265. 島清

    島清君 この前の御証言で、私が、あなたが乗り込まれた会社はだれの会社とお思いでしたということを御質問申し上げたときに、それは私は初めから、これらは高橋さんの会社だと了解して参りました、ただそれを育てて作り上げていく、そしてまた中金の借金を返せば私の使命は終るものと解釈して参りました、こういうように言っておられるわけですね。そうしますると、そこに主役を演じなければならないのは高橋さんであって、中心にして、そこからあなたがおっしゃるように善意で果実が生れて、さらに農中金の力の借金を返していくというような運営をされるというのが当りまえです。そうすると、あなたの言葉からしますると、高橋さん時代も、判こを預ったであろうと思われる春日常務といいますか、それはあなたの時代にもおられて、そうして判こを持っておられた。そうするとここに矛盾が起ってくるわけです。と言いますことは、高橋さんにやめてもらうということは、高橋さんが約束手形を乱発したという言い分ではあるけれども、しかしながら実質に高橋さんがやったかやらないかということの疑問になって参りますと、実際やっていない。判こは春日何がしが預っておるだろう、それがあなたの時代にその判この保管人であったと、こういうとを言っておられるわけでございますので、そうしますると、あなたがここで善意でその中金の借金を返せば私の使命は終るものと解釈して参りましたということに矛盾が起ってくるわけでございますが、その間の説明はどういうふうになさいますですか。
  266. 山下利義

    証人山下利義君) 前に証言いたしましたように、私としましては、どこまでも高橋さんを立てて参るつもりでございました。ところが先ほど申し上げますように、不渡り手形を出して手形交換所から取引停止の命令を受けました。これでは会社をやっていけませんのです。従いまして今申し上げますように、やむを得ず退いていただきました。その不渡り手形になりました手形などは、春日常務が持っておりますその判ではないようでございます。これはよく私確認しておりませんから、聞きましたことを申し上げますわけでございますが、別にお持ちになっていらっしゃったようです。
  267. 島清

    島清君 そうすると個人高橋であって、会社の社長判こでなければ、会社の社長としての責任を負うことはないでしょう。個人高橋でしょう、それは。
  268. 山下利義

    証人山下利義君) その点を手形交換所に対して訴えました。幾日も二十日ばかりかかりまして訴えましたが、承知いたしてくれません、手形交換所は。それは手形交換所についてどうぞお調べ下さいませ、わかることでございますから。そこで、関係ないとは言わさない、会社の取締役である、会長であるのに社長のお前が知らぬとは言わせないと、こういうことでございます。そこでむやを得ずそのような措置になりましたわけでございます。手形交換所についてお調べをいただきたい。
  269. 島清

    島清君 それは調べもしますけれども、非常に不思議なんです。それは四億の財産を、今三億七千万の財産を持っておられる。その持っておられる人がわずか二百万やそこらの約束手形を出したからといって、その持ち主の方がその社長の職を離れなければならないということは私たちには了解できない。しかも、それがたとえそういう値打のあるものであっても、今のように目一ぱいの抵当権が設定されておったとするならば、これはまた何をか言わんやでございましょう。しかもその以後あなたたち農中金の方に億以上の抵当権を設定しておられる。その財産の所有者だから、その所有者がそうして振り出しておりまする約手から見ますると、それはあなた九牛の一毛にしか過ぎない。ほんとうの微々たるものです。それと責任をとらなければならぬということはどうしても理解できないのですね。
  270. 山下利義

    証人山下利義君) それは会社の資産からすればそのようなことになるかもしれません。手形交換所の判定は今申し上げました通りであります。で、その取引停止の措置を撤回していただきますためには、それでなければ承知をしてくれません。
  271. 島清

    島清君 それはまあそれとして、湯河証人にお尋ねいたしますが、農中金の方はあなたが理事長時代には貸借対照表というものをお作りになりまして、そういったような不良債権といいますか、そういうものは一目瞭然どなたでもわかるようにちゃんと事務所の力に備え付けてあったのでございますか。
  272. 湯河元威

    証人湯河元威君) 貸借対照表というものは公表するものでございまして、一括した資産並びに負債の計上をいたします。で、そういうものには一々さようなものを明記いたしません。しかしそれぞれの関係帳簿にはそれは明瞭に載っております。お調べいただきましてもわかります。貸借対照表には載せません。貸借対照表は包括的な資産の評価をいたしましたものを載せるのであります。
  273. 島清

    島清君 それは不良債権でも帳簿のどこかには載っておりましょうけれども、そのどこかで載っておりまする帳簿をあるいは金庫の中なんかにしまって、普通の人ならばそうわからないと、こういったような保管の仕方もあるわけなんです。で、さらに貸借対照表式に、不良債権がどれくらいあるだろうかというようなことをすぐ知りたいという者にすぐ手近にわかるような書類の作成の仕方になっておるのでございますか。
  274. 湯河元威

    証人湯河元威君) 取引先の信用を重じまする金融機関といたしましては、個々の取引先の信用に関することは、そうどなたにでもおわかりになるようにはいたしておりませんが、しかし、われわれの手元におきましては、不良債権と申しますか、なかなか回収困難な債権は別書いたしまして、その回収につきましては特段の措置をとるために、たとえば管理部というふうな特別の部を作っております。それから貸借対照表には出ませんでも、一本一本の債権が、資産が、それが不良と申しますか、あるいはそれは健全であると申しますか、ということにつきましては、一々政府の検査の際に一本々々検査されるのでございます。さような公けの関係におきましては、それは一一明瞭になっております。
  275. 島清

    島清君 その問題に関連いたしまする四千七百六十万については、会計検査院の方から御指摘を受けたのですね。どうして会計検査院指摘通りに、その手形の、債権の追求をおやりにならなかったわけでございますか。
  276. 湯河元威

    証人湯河元威君) この問題は金融機関といたしましては、政府の監督のもとに運営しておりまするが、政府からいろいろ御注意はいただきます。しかし、御命令という形でくることはございませんので、いろいろわれわれの方としても事情を御説明申し上げ、こちらの考えも申し上げておるのでございます。それでわれわれといたしましては、当初の四千七百六十万円、これの返りませんことにつきましては、非常に心配しておりまして、御注意もいただきましたけれども、それにつきましては全力をあげて回収に努力するという態度でおりましたので、政府から検査のつどいろいろ御注意をいただいております。
  277. 島清

    島清君 会計検査院はそういったような不正を発見をして、そしてそれを指摘して当事者間に勧告をするのが、これはまあ国家機関としてのお仕事なんです。その国家機関として、そういうことを担当する担当の人から指摘をされて、なおかつ今日見まする場合に、債権の質は変質しているわけですね。そういうことについては今日どういうふうな心境でおられますか。
  278. 湯河元威

    証人湯河元威君) いろいろ御注意をいただきますとわれわれの方で弁明をいたします。それでその弁明に従いまして鋭意努力する。そうして、われわれは円満にこちらの債権を回収するという、あくまで熱意を捨てずにおりますのであります。
  279. 島清

    島清君 私のお聞きしておりますことは、金が取れるか取れないかという問題ではなくて、銀行からの手形でございますと、それはもうその債権を追求すれば取れるはずなんです、銀行でございますから。それをされないで、しかも会計検査院はそれを指摘しておる。にもかかわらず、その債権が変質する形において今日なおかつ解決されないということについての私の考え方をお聞きしておるわけです。
  280. 湯河元威

    証人湯河元威君) 先ほどの答弁が少し不十分だったと思います。今島委員の仰せの手形と申しますのは中央の関係で、この関係につきましては、実は、二度にわたって申し上げましたように、中金の旧役員が作っております会社、これを更生事業としてわれわれとしても世話をしていこうという気持がございましたから、それで金融機関、第一信託銀行、第一銀行等にいろいろ口添えをいたしまして金融を受けた、そのときに先ほども申し上げましたことでございますが、私のその後承知したところでは度が過ぎていると思います。行き過ぎがあったと思います程度の深い話し合いがあったのでございます。こちらから頼みましたことが、そのような話があるなしにかかわらず、金融機関に対しまして、さような金融機関同士で迷惑をかけておりまするのでございますから、われわれといたしましては、政府の御指摘がございましても、さような事情があるので、これをほかの方法でぜひ一つうまく解決するからということを申し上げまして、そうして、その措置を努力しておりました。その際に当初申し上げましたように、高橋証人からのお言葉で新しい展開ができましたので、政府の方の御指摘のことがおくれましたけれども、金融機関には金を返す、かような次第でございます。
  281. 島清

    島清君 そういういきさつについて高橋さんどうですか。
  282. 高橋武美

    証人高橋武美君) お答え申し上げます。中央農水産に対する五千万円の融資ということが、これはできたばかりの会社に直ぐ五千万、第一次第一銀行に三千万円、第二次に第一信託を通じて二千万、そういう金が出ましたのですが、その金が出ましたことについて、これはあとから調査したのでありまするが、結局これは湯河理事長以下農林中金理事者が共同謀議してこういう計画を立てまして、五千万の金を出すとき計画を立てて、そうしてそれを直接できたばかりの会社へ貸すことができない、それを銀行を通ずるという操作によりましてやったのでございまして、従いまして、先ほど私がここで申し上げましたように、その金が結局いろいろな過程を経て第一信託銀行にしわ寄せになりまして、手形は中央農水が発行しますけれども、その手形に対して手形を第一信託銀行から中央銀行へ向った再割引の形で出した。そうしまして、第一信託銀行に対しまして高等裁判所の判決書にもございますように、この手形は交換所へ回さない、従って、これは取り立て絶対不能、事実上において絶対不能。すなわち、こげつき債権と申しましても回収できない、要するに、第一信託銀行が割引の責任を食うことになっているけれども、再割引の責任をお前に負わせるのだということによって、第一信託銀行のルートを通じているのです。それが今湯河証人のおっしゃるように、中央農水は農林中央金庫の古い役職員が作ったのである。それでいろいろ生活難の救済のために苦心しているからめんどうをみてやった、それについて金を出すのについて自分の部下の職員が口をきいたことについて、いかにも遺憾な点があるというような意味合の、きわめてぼんやりしたような御答弁でありまするけれども、これは委員殿にも申し上げたいのは、そういう五千万の金がそんなことで動くわけが絶対にないのであります。そういうような事情でございまするから、当時、貸付の当時警視庁から、いわゆる不正融資と申しますか何と申しますか、検挙の風聞がある。それで先般申し上げましたように、私に初めは権利書貸してくれ、権利書というのも要するに中央銀行では取り立てしないという約束なんですね。結局権利書貸しましたが、執行をされることは絶対ない、そういうようなことで私は理事長以下から頼まれまして、そうしてそのとき権利書を出した。そうして、そのとき私はやはり嫌疑を受けまして警視庁へ留置されました。十八日間も私は検束されておった。そういうような事実もございまするから、湯河証人の言われることについては、私の今、島委員殿から申されたように、大体かいつまんだ私の知っていることを申し上げました。
  283. 島清

    島清君 湯河さん、何ですか、金融機関同士でそういったような荒立たしいというようなことをおっしゃいましたんですが、それはやっぱり高等裁判所の判決にありまする通り、あなたの方の部下の人が、銀行の方に割引はしないというふうな言質を与えて、そうして銀行側の方にもちゃんと農中金側の方の意向を確かめているんですね。そういうことの約束事があったので、結局はせっかく会計検査院の方から指摘をうけながらも、なおかつ、あちら立てればこちらが立たない、こちら立てれば身が立たぬというので、それで会計検査院のご忠告にそむいて、結局債権が変質するというような形で今日までその整理がつかぬ、こういうことに了解した方が、非常に筋道は、はっきりして常識的なような気がするんですが。今また高橋証人申されたように、警視庁の方からそういったような不正融資のことで何か逮捕されるかもしれないといったような、現にまた高橋さんは逮捕されたとおっしゃるんですが、そういうことで頼まれ、頼むということの方であると、高橋さんそうおっしゃるんですが、何かわれわれもそういうふうに理解した方が常識的なような気がするんですが。そう了解すると、何か事実と違うんですか。
  284. 湯河元威

    証人湯河元威君) 結論は事実と違います。先ほども申し上げたように、それからまた高等裁判所の判決にもございますように、私の主宰しております中金の内部におきまして、いろいろと行き過ぎのあったことは、これは私もその後、判決等でもよく知りました。またさような話がございましたので、金融機関同士におきましては、その話し合いを、尊重することもやむを得ぬことでございますので、政府の方からいろいろお話がございましても、別の処置をするからということで弁明をしてきたのでございます。しかし、先ほど高橋証人が仰せになりました湯河理事長以下共同謀議をもってこのことをしたんだということは、これは私自身が不明を申し述べております通りでございまして、私はそのことは事後において知りました。決して共同謀議などをやった覚えはございません。  それからもう一つ高橋さん権利書とおっしゃいますが、私よくわかりません。私がはっきり記憶しておりますることは、一番初め申し上げました通り高橋さんが、いろいろ中央農水のお仕事につきまして、御相談もあり、また御自署のあるいろいろの覚書等も現に私、見ております。決して全然知らぬと仰せのことは、お忘れになったのだろうと信ずるのでございまして、それから私が高橋さんからお受け取りいたしました懇請書——事業計画を伴う懇請書につきましては、これは私自身が高橋さんと相対でお話を聞き、高橋さんから当初申し上げましたように、責任を感ずるから、責任を果す意味をもって、農工の事業によってこの中水の欠陥を埋めるということにつきましては、はっきりした御書面と口頭の御陳述をもちまして、私はその通りと、こう信じております。この点は、先ほども申し上げたように、事実が違うという点の御説明でございます。
  285. 島清

    島清君 要点だけ答えて下さい。この前の証言で、全購連の債務を肩がわりいたします場合に、農工の財産を保全しておかぬと、他の債権者の方から破産宣告を受けて先取りをされたりすると困る、こういうことをおっしゃいましたが、それはどういう根拠によるんですか。
  286. 湯河元威

    証人湯河元威君) 事業を停止いたしますると、債権者は非常に、第三債権者といたしまして自分の立てかえていたり貸付をしていた金が取れなくなるということをおそれまして、いろいろあわてて無理をいたします。さようなことがあっちゃ困るというので、全購連に、全購連は一億何千万円かそのとき債務がございましたが、中金としては一億円の金を日本農工に渡し、貸し増しをして、そうして債権集中をはかるということでございます。先ほど田中証人の仰せのように、その一億円は全購に渡されまして、そうして中金の勘定においてもそれは全購連に返っております。債権は明瞭に中金に集中しております。そうして他の債権者、材料等を供給した商人あるいは問屋等に対しますものは全購が押えておるといっちゃ何でございますが、全購が見返りしておりましたゴム製品等を日本農工において慎重に処分することによって得た代金をもちまして、それらの債権者に対して決済を済ませまして、そうして債権集中は完全にでき上ったのでございます。そのときに金融機関としては、自分の債権も確保しなければならぬということで、抵当権の設定をいたしましたような次第でございます。
  287. 島清

    島清君 質問をしないところはお答えにならないようにしてお願いいたします、時間がありませんから。  ただし私が申し上げるのは、抽象的にはそうでございましょうが、あなたが担保を先取りをされるという心配をされるのは、わずか一千何百万ですね、わずか一千何百万かですよ、その一千何百万の先取りをされる、こういうのであわてて一億のその全購連の債務を肩がわりするということが、私には理解できないのです。それだけです。
  288. 湯河元威

    証人湯河元威君) ただいま申し上げました通りでございまして、全購連の債権を肩がわりいたしますことによりまして、全購連の引き当てにしておりましたゴム製品は会社が自由に処分できます。その処分によりまして原材料のメーカーなどに払うという形でございまして、金融機関等は第一、第二、第三、これはもうわずかな金でございまするが、それ以外にも当時の日本農工としては原材料等の取引がございます。その取引がどこから押さえてくるかわかりませんような危機でございますので、この債権集中をいたしまして、払うべきものは払って、そうして今度整理するかあるいは再開するかということをきめるのでございます。
  289. 島清

    島清君 あなたが、どうも解せないのですが、といいますのは、全購の方から原料代が前渡し金で来ておるのですね、そうしてその前渡し金の金すら一億何千万という積り積ったということが解せないのです。そうしますと、それだけの、原料の前渡し金が来ておれば、商品というものは少くともそれ以下じゃないはずです。決してそれ以下じゃないはずです、そこに加工されていますから。十分にその原材料の債権債務の問題はその商品で解決できるはずなんでございますね、商品で。しかもまた先取り権と言っておられるけれども、担保には先取り権者というものはほんのわずかです。あとは全部あなたたちの方が最後につけておられるのであって、一番あなたが心配されるのは、先取り権というのは担保権によって先取りされておるわけですから、その一千何百万の先取り権者しかいないわけですね。その人々に破産宣告をされて、そうしてこれが取られるかもしれないというて、さらにその一億の肩がわりをして、そうして抵当権を設定されるというところの以上のからくりが、私たちには理解できないということなんです。そこで、なぜ破産宣告をされることをそんなにこわがるのですか。そうしてその先取りで取られる財産は一体幾らと想定をされたかということなんです。
  290. 湯河元威

    証人湯河元威君) 当時の事情から申し上げますると、その第一、第二、第三順位の債権者が破産宣告をすることは絶無ではございません。しかし、それ以外に日本農工は全購の「たび」を作っておるだけでございませんで、市販もいたしておりました。全購の前渡金、これも実はなかなか焦げつきになっておりまするから、それに見合うだけの商品がいつでも安全にあるというわけでもございません。そこで、全購の見返りになっております商品を自由に売りますことによりまして、ほかの債権者、今申しました第一、第二、第三順位の債権者ではない債権者に対する支払いも済ませる必要がある。それから全購連は品物を持っておりましても、抵当権あるいは競売等が起りますると、それは非常に困る。競売は、御承知の通りに、どんなに値がきまるかわかりません。さようなときに、われわれといたしましては、系統の機関としての全購連の将来も考えまして債権集中をいたしたわけでございます。
  291. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 質疑を簡単にお願いいたします。だいぶ時間を超過しておりますから。
  292. 島清

    島清君 それは証人に言うて下さい。昭和二十四年五月十五日、七百万円、第一信託が抵当権をとっている。あとは全部全購連から、農林中金とか、漁金……。あとあなたの心配されるのはみんな身内なんだな。七百万円のその債権者から、破産宣告を受けるであろうというて、あなたは一億の担保を設定しているのでしょう。一億の金を払って。そういうことがわからないというのですよ。
  293. 湯河元威

    証人湯河元威君) 先ほど申し上げげましたように、全購はその当時一億何千万円の前渡金が焦げついております。そうして片方の品物がございましても、その品物は全購連が持っておるわけではございません。会社の中にあるのでございますから、ほかからの差上抑え等を受ける心配もございます。それから先ほど申し上げましたように、全購だけの取引じゃございませんので、いろいろ原材料関係会社が今まで継続しておる限りにおきまして、原材料のメーカー等から債務をしょっております。それらの商人等は、こういう事態になりますると、われ先に会社にかかってくる危険がございます。すみやかにそれを払って安心させて、そうして会社は破産宣告だとか、競売だとかの目にあわないようにする。というと、それは何だと申しますると、結局こちらが持っておりまする債権等を不当に安く競売に落されて、そうして損をするということを避けるためのやはり債権確保の意味で、それが必要なんでございます。それで会社は事業を停止いたしましても、まだ将来どうするかという問題が残っております。それでやはり破産宣告とか、強制執行とかは困りますので、会社のためもございまするが、しかし片方におきまして、あくまで自分の債権を確保するためには、、どうしてもそういう債権集中の措置をするということは、御承知の通り、これは先ほど金融機関では、そういうときには、そういうことをすることは普通に考えられていること、たという意味で申し上げたのであります。
  294. 島清

    島清君 簡単にいたしたいのですが……。
  295. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 時間が超過していますから……。
  296. 島清

    島清君 それから山下さん、湯河さんの話を聞きますと、あなたの会社経営というものは、まことにもって……。まあ、あなたの工場の中には全部債権者が非常に入り組んでおったような印象を受けるのですが、そういうような経営をしておられたのですか。
  297. 山下利義

    証人山下利義君) 会社は、今おっしゃいました一千万——額は、はっきりいたしませんが、一千万とおっしゃいますから、仮にそういたします。抵当権のついております……。それのほかに国税の滞納が四百万ほどございます。それから原材料では、今、湯河証言のありましたように、全購に納めるのは、製品にならなければならないのですが、その中間に流れております、絶えず……。それからまた市販のものがあります。これは全購は担保には取りません。そういうわけで、原材料のかけがえ、それから今の金融機関に対しますものの利息ももう何年も払っておりません。そういう危険はあったと私も思っております。
  298. 高野一夫

    委員長高野一夫君) もうおしまいにして下さい。
  299. 島清

    島清君 山下さん、あんたはこの前の証言で、さっき私が読み上げたように、中金の借金を返せば私の使命は終るものとしておったと、こうおっしゃったけれどもね、あんたの、事志と違って、高橋氏がおやめになるとき、借金は三億近い、こういうふうになってからおやめになったのですね。このことについては、どういうふうに責任をお感じでございますか。
  300. 山下利義

    証人山下利義君) 私は前回も申し上げましたように、製品については自信を持ちました、設備も入れました。最後まで希望を捨てておりません、どころじゃありません、希望をもっておりました。が、しかし金融の面で中金からこれ以上出ないというようなことになりますと、いわゆる閉鎖をしなければなりませんが、これは早晩再開ができるものと信じておりました。そのためには、そのような措置がもっとも妥当であると信じておりました。そうして、それで、ただしかし、それだけの赤字を出して、そこで私が退任いたしましたのは、代行取締役が選任されてからでございます、争いになりまして……。それで私自身といたしましては、そのままで会社を退いたということはまことに残念なことと存じております。もう少し続けさしていただけたらという気がいたしております。これはどうもいたし方のないことであります。出ました赤字については、何ともお気の毒だと思っております。
  301. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 一つ最後に締めくくり的の質問でおしまいに願いたいと思います。だいぶ時間も超過しておりますから……。
  302. 島清

    島清君 だれにやめさせられたのですか。
  303. 山下利義

    証人山下利義君) 高橋さんと中金との間で争いになりましたので、裁判所が代行取締役を選任いたしました。それで退職いたしたわけでございます。
  304. 島清

    島清君 今でもそういう選任者によって管理されているわけでございますか。
  305. 山下利義

    証人山下利義君) 代行取締役は何月ごろまで続きましたか…相当長期にわたりまして、まあ十一月ごろまで続いたかと記憶をいたしております。
  306. 島清

    島清君 高橋さんに最終的な質問を申し上げますが、先ほど相馬委員が御質問申し上げたように、何か農林中金の、農林省から出ておりまする参考資料通り、何か処理裁定書ですか、それが出ているのですね。それはあなたのところは入らないと、こういうことでしたが、私が見ておりまするこの裁定書にはあなたの名前が出ているのですが、これはあなたの意思によって、あなたの名前が出ているわけじゃないのですか。勝手に仲裁人の手によって作成されたものなんですか。
  307. 高橋武美

    証人高橋武美君) お答え申し上げます。その処理方針内容は、裁定書でございますから、裁定書なるものには私の意思は入っておらぬのでございまして、これは仲裁人の強制調停ということになっております。
  308. 島清

    島清君 そうしますと、それが、裁定が成立いたしましても、あなたのところには五千五百万という金は入らずに、日本農工に入るということなんでございますか。
  309. 高橋武美

    証人高橋武美君) 裁定書の条文通りでございますれば日本農工に入ることになっておりまするが、この裁定書につきましては、内容においては信義誠実の原則に反する点が多々ありまして、それで私どもの方としましては、これをのめないのでございます。
  310. 島清

    島清君 その裁定書を作成されている方々は何人の方々によってそれが作成されているのでございますか。
  311. 高橋武美

    証人高橋武美君) 二人でございます。
  312. 島清

    島清君 そしてあなたの意思は十分にはそこには入っていないわけですね。
  313. 高橋武美

    証人高橋武美君) 全然入っておりません。
  314. 高野一夫

    委員長高野一夫君) いろいろ証人の方に対する質疑はまだあろうかと思いまするけれども、すでに長時間にわたって御出席願っておりますし、また前回に引き続いて二回にわたっておりますので、以上をもって証人方々に対する質疑は終了したいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  315. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めて、さように決定いたします。
  316. 岡三郎

    ○岡三郎君 決定するのは早い。委員長に一言確認しておくが、先刻岩間委員が退席するときに速記録に残して次回にこの質疑を譲りたい、こういうふうに言ったわけですね。その点については委員長の方として岩間君に対して了解を求める意思があるかどうか、これを一つ聞きたい。
  317. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 委員長は先ほど岩間君に代理をもって電話連絡をいたさせまして、証人に対する質疑は本日をもって終了することに御了解願いまして、本件についての質疑は政府に対する質疑を行いたいということでございましたから、御了承を願いたいと思います。
  318. 岡三郎

    ○岡三郎君 それでは委員長の言で全面的に了解いたします。なお島委員の方においても、まだ質疑をしたい意欲はあろうが、これはやはり全体の委員の意向というものも島委員の方でお考えいただいて、さらによく速記録、その他を十分精査して、そして政府委員質疑することは質疑して、この問題についての完結を将来にはかりたいと思うわけです。その点は委員長方針に賛成します。
  319. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 証人方々には、長時間にわたって、また再度にわたって御出頭願いまして、委員側質疑に詳細お答え願って御協力を賜わりまして、心から厚く御礼申し上げます。どうぞ御随意に御退席願います。  なお本件につきまして監督官庁である農林省並びに会計検査院等に対する質疑につきましては、いずれ委員て、長理事打合会において協議いたしまし次の適当なる機会にこれを行いたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  320. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。本日はこれをもって散会いたします。   午後六時五十四分散会