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1958-02-17 第28回国会 参議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月十七日(月曜日)    午前十一時十四分開会     —————————————    委員の異動 二月十三日委員鈴木一辞任につき、 その補欠として岡三郎君を議長におい て指名した。 本日委員吉江勝保君、永野護君、西岡 ハル君、林屋亀次郎君及び井上清一辞任につき、その補欠として後藤義隆 君、大沢雄一君、塩見俊二君、野本品 吉君及び小山邦太郎君を議長において 指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長      高野 一夫君    理事            大谷 贇雄君            平島 敏夫君            相澤 重明君            大矢  正君    委員            石井  桂君            井上 清一君            大沢 雄一君            後藤 義隆君            塩見 俊二君            手島  栄君            野本 品吉君            堀本 宜実君            増原 恵吉君            東   隆君            大倉 精一君            岡  三郎君            清澤 俊英君            島   清君            相馬 助治君            常岡 一郎君            大竹平八郎君            竹中 恒夫君   国務大臣    農 林 大 臣 赤城 宗徳君   政府委員    農林大臣官房長 齋藤  誠君    農林大臣官房経    理厚生課長   丸山 幸一君    農林省農林経済    局長      渡辺 伍良君    林野庁長官   石谷 憲男君    水産庁長官   奧原日出男君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修藏君   説明員    食糧庁総務部長 武田 誠三君    林野庁業務部長 藤本 和平君    会計検査院事務    総局第四局長  中川  薫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十年度一般会計歳入歳用決算  (内閣提出)(第二十七回国会継  続) ○昭和三十年度特別会計歳入歳出決算  (内閣提出)(第二十七回国会継  続) ○昭和三十年度国税収納金整理資金受  払計算書内閣提出)(第二十七回  国会継続) ○昭和三十年度政府関係機関決算書  (内閣提出)(第二十七回国会継  続) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ただいまから本日の決算委員会を開会いたします。  まず、委員の変更について御報告を申し上げます。  二月十三日付、鈴木一君が辞任されまして、岡三郎君が補欠選任されました。     —————————————
  3. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 本日の委員長及び理事打合会において申し合せました事項について報告を申し上げます。  本日の委員会は午前は特別会計を主として審議を進め、午後は特別、一般あわせて審議を進める。農林大臣には午後御出席を願う。こういうようなことに申し合せましたが、さように決定して御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 高野一夫

    委員長高野一夫君) さように決定いたします。  昭和三十年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十年度政府関係機関決算書を議題といたします。  前回に引き続いて農林省の部を審議いたします。検査報告批難事項は第九百二十八号から第千九百十六号まででございます。先ほど御決定願いました通りに、午前中は農林省特別会計の分を主として御審議を願いたいと思います。御質疑のある方は、順次、御発言を願います。
  5. 島清

    島清君 一般会計に対する質問じゃないのですが、今の委員長理事打合会決定についてお聞きしたいのですがね。この前の委員会参考人を喚問いたしましたところが、参考人じゃ不十分だというので、大体速記をとめて、それで証人として喚問しなければならないということで、そういったような委員の意思によって証人喚問を可及的すみやかに決定してもらう、それできょうの午後は大体その問題を取り上げるということに日程の事前の了解ができていたと思うのですが、それはどういうふうに扱われたのでございますか。
  6. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 私から島委員にお答え申し上げますが、実は土曜日にも非公式の打合会をやりまして、それから本日午前理事会を開いたわけでございますが、御要求関係者証人喚問するかどうかということについて協議を今進めております。なお、まだその点について多少意見の調整のできかねておる点がございますので、実は午前の委員会が済みまして休憩に入りましてから、また各党寄って協議を進めて、午後の委員会にお諮りをしたい、このようなふうに理事会の打合会では一応申し合せが済んでおります。まだ決定事項ではございませんでしたので、先ほど報告事項に申し上げなかった。さように御了承願います。
  7. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私はまず最初に、食管特別会計につきまして、三十年度の決算損益の概要をお聞きしたいと思います。   〔委員長退席理事大谷贇雄君着席
  8. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 三十年度の食管特別会計におきます損益につきまして概略説明申し上げます。  昭和三十会計年度におきます食管特別会計損失纈の総額は百九十四億九千三百万円でございます。この百九十四億九千三百万のうち、一般会計から損失補填をいたしましたものが三十年度中に六十七億、それから一般会計から運転資金として受け入れておりました百億のインベントリーがありますが、これをとりくずすことにいたしまして百億、それから固定資産評価益によります損失補填が二十五億二千百万円、そろいう形でこれを埋めて参りまして、前年からの繰り越しの損失、これが三十億八千三百万円別途にございまして、三十年度におきます百九十四億九千三百万円の損失を先ほど申し上げたようなことで補填をした。なお、残額がマイナスとして二億七千二百万円ございましたが、これと、二十九年度からの繰越損失三十億八千三百万円、合計をいたしました三十三億五千五百万円、これを三十一年度において、一般会計から補てんをいたしたわけでございます。なお、この百九十四億九千三百万円の損失を一応部門別に、これはかりに分けて御説明を申し上げますと、国内米におきます損失が三百十二億五百万円、それから国内麦損失が六十八億一千二百万円、それから外米及び外麦輸入食糧によりますこれは益でございますが、これが百九十一億七千百万円、それから、そのほかの農産物関係澱粉、主として澱粉でございますが、これの損失が二億一千八百万円、それからテンサイ糖によります損失が五億六千百万円、えさの部門損失が一億八千四百万円、そのほかサイロ倉庫、その他の運営関係によります部面で、これは益が出ておりまして、三億一千六百万円、こういうふうな形に相なっておるわけでございます。
  9. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 土地建物等の再評価益というのがありますが、これは再評価はどういう基準で、その基準に対してどの程度の増しでやったのでありますか。
  10. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 食管特別会計において倉庫あるいはサイロ、その他食糧事務所建物土地等固定資産を持っているわけでございますが、これが全部取得価格で当初当然評価されておったわけでございます。これをこの当時の、決算をいたしました当時の時価を、これは大蔵省の方ともいろいろ御相談をいたしまして、固定資産の再評価をいたしたわけでございます。
  11. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 概略土地建物は、全国的に合計しまして、どのくらいありますか。
  12. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 現在、食管特別会計に属しておりますいわゆる固定資産に属する部分の現在の評価額は、約四十億程度に相なっております。
  13. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 坪数はわかりませんか、大体の。
  14. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 土地でございますが、土地は全部で十八万二千坪余りでございます。これはおもに倉庫の敷地が大部分でございます。それから建物につきましては、建坪で八万一千坪程度ございます。このうちの半分以上のものが、やはり倉庫建坪になっております。
  15. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 この評価についていま一度お伺いしたいのですが、これは主として大蔵省のいろいろの前例中心にしておやりになったのでありますか。それとも食管自体でおきめになったものでございますか。その成り行きをちょっと。
  16. 武田誠三

    説明員武田誠三君) これは固定資産の再評価につきましては、大蔵省前例その他も十分にお伺いをいたしまして、その上で再評価をいたしたわけでございます。
  17. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私はまだすっかり計算をしたわけではないのでありますが、固定資産は大体四十億とおっしゃいましたが、土地にして約二十万坪、建物にして八万坪、これらの大きな固定資産の上から見る何か再評価の額というものが、いま少し検討する必要があるのじゃないかと思うのですが、その後、三十年度以外に再評価というようなことで問題になっておることはございませんか。
  18. 武田誠三

    説明員武田誠三君) その後はまだ再評価をいたしておりません。これは財政法によりまして、五年ごとに国の資産について再評価をするということに相なっておりますので、三十五年度の決算の際に、また再評価の問題が起ってくる、かように考えております。
  19. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それから、これはこの前にも問題になったと思うんでありますが、いわゆる部門別損益を明らかにするというようなことが、問題に出たのであります。これは三十三年度からおやりになるというようなことを承わっておるのでありますが、三十三年度の方針は、その線に沿うておやりになっておると思うんでありますが、いかがでしょうか。
  20. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 部門別損益を明らかにいたしますために、三十三年度から食管特別会計経理六つ勘定に分けることにいたしました。六つ勘定内容は、第一が国内米勘定でございます。これは内地米買い入れ売り渡しに伴います経理を取り扱うわけでございます。第二が国内麦管理勘定でございます。これは同様に、国内小麦大麦、裸麦の買い入れ売り渡し経理でございます。第三が輸入食糧管理勘定でございます。これは輸入いたします外米並びに外小麦外大麦の買い人れ、売り渡しに伴います経理をいたすわけでございます。第四が農産物等安定勘定というのを一つ設けました。これは農産物等価格安定法に基きます澱粉、切りぼし、カンショ、大豆、菜種等買い入れ売り渡しを行います。それからもう一つてん菜生産振興臨時措置法に基きますテンサイ糖買い入れに伴います事務、さらに飼料需給安定法に基きます輸入飼料買い入れ売り渡しに伴います経理、これを農産物等安定勘定で行うことにいたしました。それから第五に、業務勘定というのを設けましたが、これは現在、内外食糧並びに今申し上げました澱粉その他の物資を取り扱っておりますので、これらについての事務人件費等業務勘定で一本で取り扱う、こういうことにいたします。それから第六に、調整勘定というのを設けまして、調整勘定におきまして、各事業勘定で御承知のように資金を必要といたすわけでございますが、これに必要な資金調達のための買い入れ業務を、調整勘定で一括して糧券を発行して行うということにいたしております。なお、調整勘定におきましては、国内米勘定、それから国内麦勘定輸入食糧勘定のそれぞれの勘定損益が出るわけでございますが、この損益調整勘定に移しまして、そこで今申し上げた三つの勘定損益が、統一された形で調整勘定損益として出てくる、こういう形にいたしております。調整勘定調整資金を設けまして、これは運転資金でございますが、食管経理健全化のために、ここに調整勘定という中に、運転資金として調整資金を設けることにいたしました。なお、農産物等安定勘定におきます損益については、それ自体において独立に損益——益が出ました場合には、その勘定に積み立て、損が出ました場合には一般会計からその勘定に直接繰り入れる、こういう方法をとったわけでございます。
  21. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それから、今お話しの中の一つとして具体的な問題を取り上げたいのであります。例の北海道におけるテンサイ糖の問題なのでありますが、これはどうもだいぶ政治的にもいろいろな問題があるやにわれわれは聞いておるのであります。相当地元を初めといたしまして、大メーカーが競合をしておる。すでに工場を建て、生産の域に達しておるものもありますし、またそれに追いつこうとする大メーカーもあるように聞いておるのでありますが、この北海道テンサイ糖に対する経過を一つ報告願いたいと思います。
  22. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 北海道テンサイ糖生産についての問題でございますが、御承知のように、従来、日本甜菜糖株式会社がございまして、ここ一社だけが従来あったのでございますが、昨年から芝浦精糖テンサイ糖工場新設いたしまして、昨年産テンサイから生産を開始をいたしております。なお、現在建設中のものに、北海道経済連が一工場建設中でございます。で、これらの工場生産されましたテンサイ糖を現在政府買い上げをいたしておるわけでございますが、それぞれ過去におきます建設に伴います償却その他の関係がございまして、買い上げを始めました当初は、相当の高値で買い上げざるを得なかったのでありますが、順次、テンサイ糖買い入れ価格については下ってきております。ただ、本年産のものにつきましては、芝浦精糖新設をいたしましたので、そちらの関係建設資金償却関係等がございまして、本年産のものについて最終的な価格がまだきまっておりませんが、できるだけ早い時期に決定をいたしたいというように考えております。なお、買入価格は、三十八年のテンサイ糖につきましては、百斤当り五千三百二十五円、それから二十九年が五千二百九十円、三十年が四千九百八十六円、三十一年産のものが四千六百五十円ということに相なっております。
  23. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 これはテンサイ糖が盛んにでき、そして大工場がどんどんでき、そして輸入を押えるというのはこれは一応理想ではあるのでありますが、しかし御承知通り日本台湾の年々三十万トンというものを、これはオープン・アカウントの立場からいって買わなければなりませんし、そういう意味において限度がおのずからあると思うのでありますが、われわれは聞くところによると、北海道の今の大メーカーの進出に対して——最近また台糖あたりが非常に大乗気になっていっておるように聞いておるのでありますが、政府としては、芝浦精糖以外に、さらに資格のあるものと認定するならば、将来許可する方針をなされておるのでありますか、その点ちょっと。
  24. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 北海道テンサイ糖につきましては、北海道におきますテンサイそれ自身が、安定作物として奨励をすべき農作物ということで、テンサイ作付につきましては計計画的にその増反をはかって参っておるわけでございます。で、これに伴いまして、そのテンサイを消化いたしますための生産施設の拡充ということがどうしても必要になるわけでございます。そういうことから芝浦精糖あるいは北海道経済連工場設置を順次認めて参ったわけでございますが、今後テンサイ作付増加計画に即応いたしまして、必要のございます場合には工場新設をさらに認めなければならないだろうというふうに考えております。
  25. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 既存のものも含めてでございますが、その場合相当これは膨大な建設資金が要ると思いますが、かりに既存芝浦精糖分等を見まして、政府資金的にどういう御援助をせられたか、その点をちょっと。
  26. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 私まことに恐縮でございますが、資金関係その他今ちょっとデーターを持って来ておりませんので申し上げられませんが、これにつきましては、自己資金のほかに余剰農産物に基きます見返資金等を投入してその建設に当らしたように思っております。
  27. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 そういう意味で、合後新しく設置をされる会社にもそういう方針でおやりになるということでございますね。
  28. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 今後新たに建設されて参ります会社に対します資金手当につきましては、そのときの事情によってきめていく以外にないというふうに考えております。
  29. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それからやはり砂糖の問題になるのでありますが、御承知通りとにかく農林省は、原局であり、従って食糧関係を一括しておるのでありますが、貿易の面から見ますると、米の問題でもそうでありますし、また砂糖の問題もそうなのでありますが、何か歩調を欠いておる、同じ政府の部内でも歩調を欠いて、せっかくできる貿易支障を来たすというようなことが実は間々あるのでありますが、ことに最近の赤糖の問題などにおいてその点が非常に多いのであります。日台貿易が近く開かれんとしておりますが、しかしこれについては一番大きな問題になっておるのが、トン数は僅かでありますが、一万数千とンに過ぎないのでありますが、赤糖外貨割り発表というような問題があります。ところがその赤糖は、国内赤糖だけの業者がある。この業者が常に農林省圧力をかけて、そうして今外貨割り発表されると値段が狂うので因るというようなことを、われわれはよく耳にするのであります。たとえば中国関係からするならば、何とか早く発表して、そうして新しい三十三年度の新貿易をスムースに一つやらしてもらいたい。しかしどうも問題が、今赤糖買い上げで困っておるのだというようなことを聞くのでありますが、これに対する総務部長の実際取り扱っておる状況をしさいに一つ承わりたいと思います。
  30. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 砂糖外割の問題でございますが、今のお尋ねの問題につきましては、そういう業者団体からの圧力といいまするか、そういったものが特に顕著にあったとは思っておりませんが、いろいろこれは業界から陳情その他の形においてお話は出て参っております。しかし台湾からの赤糖輸入その他につきまして、そのことだけでこれは判断すべきことではないので、砂糖行政全般立場から処理していかなければならないというように考えております。なお、今回の目先の外割につきましては、これは私直接やっておりませんものですから、第二部でやっておりますが、近日中に発表に相なる手はずになっておると思っております。
  31. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 これは私の要望でありますが、その赤糖一つの例でありますけれども、とにかく農林省、特に食管食糧関係を握っておるのでありますが、御承知の米を一つ取り上げて見ましても、米を自給自足の段階に持っていきたい。これはどこの国でも同じなのでありますが、そういう意味で豊作が続くことはむろんけっこうなんでありますが、しかしながらまた一面考えて、東南アジア貿易一つ取り上げましても、米を買わなければ全く貿易ができないという面もございます。それから砂糖の問題でもそうであります。そういう点で国内のものが合うか、あるいは向うから買ったものの方が合うかということは、これは私は結論的には申し上げませんが、しかしとにかく東南アジアという国をわれわれは自の前にして、そうしてたくさんの貿易をやっておるのでありますが、そういう点において今のような問題を中心にしまして、いろいろなことが起ると思うのでありますが、これは一つその点は注意をして通産省とも十分連絡をとって、一つやっていただきたいと思います。
  32. 武田誠三

    説明員武田誠三君) ただいまのお話の点につきましては、今後とも十分気をつけまして、連絡を密にしてやって参りたいと思います。
  33. 大谷贇雄

    理事大谷贇雄君) ほかに御質疑はございませんか。
  34. 大矢正

    大矢正君 林野関係について御質問いたします。  批難事項の千九百十三号に国有林野整備臨時措置法により売り渡し保安林立木を他に転売されたもの云々ということで内容が記載されておりますが、実は私この国有林野整備臨時措置法というものは、具体的にどういう法律かと思って相当尋ねたのですが、なかなか、あまりにも小さい法律なのかどうかわかりませんが、実はついに発見することができなくて、この法律内容をよく存知してあなたに御質問することができないことは非常に残念に思いますが、こういう臨時措置法によって国有林野払い下げを行なったということでありますが、このいわゆる臨時措置法には、かりに臨時措置法によって払い下げを受けた国有林というものについては、期限としていついつまではこれを他に転売してはいけないというようなことが書かれていないのかどうか、その点をまずお伺いしたいと思います。
  35. 藤本和平

    説明員藤本和平君) 国有林林野整備臨時措置法によりまして払い下げられました場合に、契約内容といたしまして、保安林、ことに禁伐保安林伐採を禁止するということを契約内容でうたっておるわけでございます。伐採契約いたしますときの契約内容といたしまして保安林伐採をする、これは禁伐保安林でございますので、当然伐採をしてはならぬ保安林伐採いたしますためには、保安林解除を知事に申請いたしまして、そうして保安林解除があったのちに伐採しなければならない、こういうことになっております。契約において禁じておる。
  36. 大矢正

    大矢正君 そうすると、そういうように保安林として指定されているものが、かりに伐採をされたり、ないしは他に転売された場合には、これはどういう処置を受けるわけですか。伐採したもの、ないしはそれを転売したもの、この場合は譲り渡しを受けた村が対象になるかと思いますが、しかもまたことにそれは村だけではなくて、それが保安林であるということが明らかにわかっており、またこれを購入した木材業者というものも問題になってくるのじゃないかと思います。その点はどうなんですか。
  37. 藤本和平

    説明員藤本和平君) 国有林といたしましては、保安林伐採が始まっておる。しかも保安林解除が県知事に申請されておるということを察知いたしまして、さっそく伐採を禁止をいたしたのでございまするが、所有は民に移っているということでございまして、そこで国有林といたしましては、契約当時の契約内容によりまして契約違反であるということで、契約解除を第一に考えたわけでございます。そこで現実にはもうすでに立木の大半が伐採されてしまった。そういたしまして、契約解除いたしましても、村の財政等から考えまして、解除しました、要するに弁償金というものが国に入る見込みはない。さらに保安林のわずかの面積ではございますが、この面積に対しまして早く成長させることが今後の保安林経営の一番大事であるということからいたしまして、解除方法をとりませんで、伐採しました跡に直ちに造林をさせるというふうな方法をとったわけでございます。
  38. 大矢正

    大矢正君 かりに国有地なるものを臨時にこれを売り渡そう、払い下げようという場合には、向う何年間これをかりに他に転売してはいけないとか、あるいはまたもしこの国有地公共団体の用に供するために都道府県その他市町村払い下げる場合には、これまた長期間これを他に転売するなり、あるいは必要な用途以外にこれを使用してはならないというようなことで、法律そのものにおいてこれを規制しているのを私存じているわけでありますが、かりにこの国有林野払い下げ等につきましても、そういうようにして臨時措置法それ自身の中で転売、払い下げ伐採というものはしてはならないというようなことを明確にうたうことがよろしいのではないかというふうに考えるのですが、私のそういう考え方は何か支障がありますか。あるいはまた誤まりがあるでしょうか。
  39. 藤本和平

    説明員藤本和平君) 国有林を受け払いしまする場合におきまして、国有林のその森林が将来市町村基本財産として確保されなければならぬというふうなことから、森林が適切な経営が行われなければならぬ。そのためには森林経営に関しまする施業案によりまして、伐採等につきましてもその施業案によって行いたいという法律の取りきめをいたしております。
  40. 大矢正

    大矢正君 これはかりに保安林という立場であるから、県知事その他から保安林解除の指定をもらえば伐採ができるんだということになりまして、直接国有林野関係の当局との関連なしに話し合いが進められ、そうしてまたある場合には伐採がされるということになるようですが、これが法律的にこの措置法の中で具体的に、これはもう公共のために安く払い下げするんだし、またその保安林がなければ公共に非常に影響を及ぼすという正場からやられることなんですから、その法律の中で明確にこういうものは向う何年間伐採、転売してはいけないというふうに記人ずれば、今のような不都合な、途中で伐採されたり、他に転売をされたりするような危険が起らないのではないかと、私はそう思うのですが、その考え方がどうかと聞いているんです。
  41. 藤本和平

    説明員藤本和平君) 法律の中でただいまおっしゃいましたようなことを規定しておるわけでございます。すなわち今後の売り払いました森林の取り扱いにつきましても、これは適正な経営をとらなければならないということについて、法律の中に規定してございます。
  42. 大矢正

    大矢正君 もう一度ちょっと……。耳が悪いのかちょっと聞こえないのです。もう一回恐れいりますが。
  43. 藤本和平

    説明員藤本和平君) 国有林野整備臨時措置法の中で、森林が適正に経営されなければならぬという規定がございます。御指摘の通りの規定を林野整備法の中で立てております。
  44. 大矢正

    大矢正君 具体的にどう規定しているのですか、ばく然とこうだというのじゃなくて、具体的にどういうふうに規定しておるのか、それを聞きたい。
  45. 藤本和平

    説明員藤本和平君) ただいま申し上げましたのを取り消させていただきます。法律の中では取り扱いをきめてはおりませんけれども、訓令の中で森林の取り扱いに関しまして、十年間の取り扱いについての規定をし、かつ転売を禁止しております。
  46. 大矢正

    大矢正君 普通一般国有財産を公共団体払い下げその他するような中で、特にこれは公共団体に限られてやられる場合には、法律の中で明瞭にこういう条件に適合し、将来こういう立場が必要だという前提に立って、払い下げその他が行われている、あるいは譲渡が行われているというのが一般的なのだが、林野事業に限ってはそれが法律の中でそういうふうにされないで、そうして何かよく存じませんが、政令か訓令か何か知りませんが、そういうところでやられている、単なる随意契約の、その契約書の取りかわしの中で伐採してはいかんとか何かきめられておるそうですが、ちょっと私は国有財産全般にわたって考えてみると、とうもおかしいんじゃないかという気がするんですが、いかがでしょう。
  47. 藤本和平

    説明員藤本和平君) 御指摘の通りだと思うのでございますが、恒久立法といたしましては、そういうふうな考え方は当然とらなければならなかったのでございまするが、この林野整備の臨時措置法は二十六年に制定されまして五年間の臨時措置法、時限法として発足いたしました。そうしてその趣旨といたしましては、当面国有林野基本財産を売り払うのではなしに、非常に国有林の中に介在した小団地あるいは経済の錯綜しておりまするような場所、そういうものに限ってこれを処分してゆくという建前をとりました関係から、そういう詳細な規定がされなかったのではないかというふうに私考えておるわけです。
  48. 大矢正

    大矢正君 この法律が消滅した以降においては、どういうふうになっておりますか。
  49. 藤本和平

    説明員藤本和平君) 林野整備臨時措置法昭和三十年三月をもつて消滅いたしましたので、今日はこの法律をもって売り買いをいたしておりません。
  50. 大矢正

    大矢正君 かりに、私の聞きたいことは、法律が消滅した以降の保安林、そういう保安林のようなものについては、結果としては伐採しても何してもかまわぬというわけですか。
  51. 藤本和平

    説明員藤本和平君) この場合におきましては、法律が消滅いたしましても、契約内容の違反であるということで、このあとの措置をやってゆくべきである、やってゆくことにいたしております。保安林伐採につきましては、これは森林法で伐採を制限し規制しております。保安林の取扱いに関しましては、森林法でこの伐採を規制し禁止しておるという取扱いをいたしております。
  52. 大谷贇雄

    理事大谷贇雄君) ほかに御質疑ございませんか。——それでは御質疑もないようでありますから、午前中はこれで終ることにいたします。  それでは、午後は一時から委員会を再開することといたしまして、休憩をいたします。    午前十一時五十六分休憩      —————・—————    午後四時三十九分開会
  53. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。  まず、委員の変更について報告を申し上げます。  本日付をもって吉江勝保君、永野護君、西岡ハル君が辞任されまして、後藤義隆君、大沢雄一君、塩児俊二君が補欠選任されました。     —————————————
  54. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 委員会の再開が大へんおそくなりましたが、実は委員長理事打合会が非常に長時間かかったわけであります。その経過について概略私から報告を申し上げます。  先般の当委員会におきまして、農林中金の融資問題に関して三名の参考人の方の御出席を願ったわけであります。当時最後に、参考人に対して私があいさつを申し上げました通りに、各委員方の御質問に対する参考人の方々の御説明、御答弁が適当でない点が多々あったやに強い印象を受けましたので、当時この問題をいかに処理するかということについては、一応委員長理事打合会において協議をしたいということで、皆様にお諮りをして御了承を願っておったようなわけであります。そこで、本問題につきまして、打合会において種々協議をいたしましたが、社会党側理事の各位からは強い声をもって、次回に新たに証人喚問を行いたい、こういうような強い御要望が繰り返し繰り返し行われたわけでございます。一方において自民党側からは、参考人としておいでを願って、そして十分の質疑かつ説明を求めることにしたい、こういうまた強い御要望があったわけであります。そこで、この両方の議論がなかなか一致をみるに至りませんで、長時間かかったわけでございまするが、結局一応参考人として新たにおいでを願って、十分の質疑をし、十分の御答弁、御説明を願った上で、さらにその御説明、御答弁で納得を得ない場合がありましたならば、あらためて証人として喚問することにしたらばどうであろうか、こういうようなふうに一応話し合いができたわけでございます。そこで、この点についていかがいたしたらよいかと私も迷うわけでございまするが、一応各委員からの御意見を何って、本問題のきめ方を進めていきたいと思います。
  55. 島清

    島清君 質疑を願った上でといいますというと、一応の参考人としての質疑を終了した上でということなんでございますか。それとも、質問をしてみて、それで答えることができなかったらということなんですか。
  56. 高野一夫

    委員長高野一夫君) それは、今までのお話し合いの結果は、参考人としておいでを願って、そこで質疑の途中で証人喚問に切りかえる方法についても協議をいたしたわけでございまするけれども、ただいま私が申し上げたのは、一応その日がたとえば明後日なら明後日とかりに仮定をいたすといたしまして、明後日は参考人として質問をいたしまして、その結果あらためて証人として喚問する必要があるならば喚問する、こういうようなふうの話し合いであります。
  57. 相馬助治

    ○相馬助治君 その場合予想されるあらためてということは、直ちにを意味するのですか、日まであらたまるのですか。
  58. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 日をあらためての意味でございます。
  59. 相馬助治

    ○相馬助治君 これはまだ意見を開陳すべき段階ではございませんね。質問の段階でございますね。それではもう一点だけ質問を申し上げます。その場合に、現在与野党の理事において並行線で結論が出ないために、一つの折衷案としてきまったごとと思いますが、その場合には、野党の方において参考人をお呼びするということに妥協がついて、それから今度は参考人の意見をわれわれが聞き取った後に、野党側は——野党側というよりは、一方は証人喚問の必要ありとし、一方は証人喚問の必要なしと、ちょうどただいまの理事会と同じような段階が参ったときには、どういうふうにするかという何らかの保証がありますか。その保証はなくて、そのときには多数決の原理で、いわゆるこの委員会が最終的に意思を決定するということを意味するのですか、その辺の事情を承わっておきたいと思います。
  60. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 私から一応申し上げますが、それらの点につきましても、打合会においては、とつおいつあらゆる角度から検討が加えられたわけでございます。そこで、私の委員長としての考え方では、納得がいくかいかないかは、一人の質問者の御意見のみではなくして、おそらく聞いておる方が同様にお感じになるであろうと思うのでございまして、かつまた、委員長といたしましては、当委員会の問題は、与党、野党とか、自民党、社会党とか、そういう区別のあるべき審議事項でもなかろうと思いますので、委員長におきましては、公正なる、適正なるお計らいをすべく協力申し上げたいと思っております。
  61. 相馬助治

    ○相馬助治君 重ねてお尋ねいたしますが、そのときに聞いて、そうしてその状況によって判断をするということは、きわめてけっこうというより、当然なことですが、そこで私は二点お尋ねします。  一つは、前の委員会証人喚問必要なしと主張される諸君はどういうふうに認識されておるのですか。われわれの認識をもってすれば、島委員の追及に対してのらりくらりと答弁をし、あるいは肝心なところは知らぬとおっしゃって、それで、この委員会において参考人としてお尋ねをしていたのでは、これは問題の核心に触れることあたわずとして、その現実の上に立って、私どもは委員長並びに理事を御信頼申し上げて、その善処方を頼んだのですが、そういうわけのわからぬ結論をここでお聞きするというようなことは夢想だにもしないので、ともかくはっきりした結論を出してわれわれに報告してくれると思うからこそ、証人として呼べとか呼ばなくてもよいとかいうことを速記に載せずに、われわれは委員長理事会を御信任申し上げておまかせしたのですが、委員長におかれては、前の委員会において参考人として意見を聴取したことで十分である、この次においても参考人として足りると考えられますか、それともまた、むしろ証人としてお呼びする方が事態を明瞭ならしめ、かつ正確ならしめるとお考えでありまするか、一つ委員長理事会を主宰された委員長の所感を伺いたい。  それから第二点として伺いたいことは、日をあらためてお呼びするということでありますが、これは相当要職にある方を何回もお呼びすることは非常に恐縮だと思うのでありますが、即日参考人証人に切りかえてお呼びするということをお考えになりましたか、また考えたけれども、それは妥当でないというお考えでその案は採用されなかったのですか、全然問題に出なかったのですか、この二点を伺いたいと思います。
  62. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 私から説明を申し上げまするが、前回の御三名の参考人の方々の御答弁がきわめて適切でなかったということは、前回も私がはっきり速記録に残しました通り、現在なおかつ私はさように考えております。従って、本問題につきましては、何らかの形で審議を進めていくということが適当であろうという御意見については、私も同感でございます。ただし、証人として喚問するか、参考人としておいでを願うかという点につきましては、これは当委員会の第一の議題は、政府関係決算事項、あるいは政府の直轄の政府機関の決算事項、こういうものにつきまして第一に議題に供するわけでございまして、従って、さような点においてのいろいろの問題でありましたならば、あるいは証人喚問なり非常手段をとることも適当かもしれないけれども、この農林中金の融資の問題は政府の直轄の機関でもございませず、しかしながら当委員会決算審議については、必要な派生的の事項として当然議題になったものでありますから、それで審議を進めることについては私は異存はございませんけれども、さようないろんな諸般の事情を考慮いたしまして、一応参考人としておいでを願って御質疑を願う、ただし前回も最後に私は参考人の方々に御注意を申し上げておいた通りに、十分一つ準備、調査をされておって、知らぬ存ぜぬの御返事では足らないから、それで質疑者からすでに幾多の質問も出たわけである、さらにまた今度参考人をお呼びするならば、さらに突っ込んだ具体的のいろいろな問題が質問されるであろうと思います。それでそういうような問題については証人であろうと参考人であろうとの区別を問わず、十分に適切にしかもお呼びしたい人はおそらくそのときの当事者になるであろうと思いまするので、そういう方々から十分に一つ質問者の御満足のいくような御答弁御説明を願わなければならない。従って参考人としてお呼びいたしましても、単に文書一片つけるだけでなくして、その点を参考人の方々に十分一つ納得いくように説明をしておいて、そういう御覚悟でこの席に参考人としておいでを願いたい、それならば十分一つ御満足のいくような答弁、解説が得られるのではなかろうか、こういうのがこの参考人としておいでを願いたいという方面の要望であったわけであります。私もまたさように一応考えているようなわけであります。
  63. 相馬助治

    ○相馬助治君 その点はわかりました。意見はありますが、意見の段階で申し上げますから……。だんだんの説明でその点はよくわかりました。即日切りかえて呼ぶということは考慮されましたかという点は……。
  64. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 第二点の相馬委員の、即日証人喚問に切りかえるということについても、十分吟味が繰り返されたはずであります。私も聞いておったのであります。それでこれは十分その日の参考人の答弁も吟味をいたしまして、あらためてしかもそれも遠い期間でなく、できるだけ短期間の間に証人喚問の必要があるならばお呼びをする方が適当ではなかろうか、かような意見が出たと私は了承しているわけであります。
  65. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 関連して。委員長の今のお言葉の中にもありました通り、この前の参考人の意見を伺っておる中に、最後に委員長が今おっしゃられたことは、私も公正な委員長として大いに委員長の株を上げたと思っておるのであります。そういう意味においてこの問題というものが自然にからまれてきておるわけであります。事態というものはいろんな角度から調べますと、相当私は問題を腹蔵しておるのではないかと、こう考えるのでありますが、それで今、相馬委員からもちょっと触れましたけれども、一応理事会でおきめになりました参考人としてお呼びをするということ、この点は私も了とします。しかし参考人としてなおかつ答弁が十分でないという場合に、これを証人に切りかえるということのようでございますから、ぜひその状況によってはそうしてもらいたいのですが、その場合相馬委員のお言葉の中にもございましたが、即日それをやりたいか、いわゆる参考人証人に切りかえるとかいうことを日をあらためてやるかということには非常に大きな懸隔があるのです。いろんな時間的意味におきましてそういう点で前例はどうなのでしょうか。参考人をその日に証人に切りかえるという前例はどうなのでしょうか、その点を一つお伺いしたいと思まいす。
  66. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 私から説明申し上げますが、一応前例委員部の方で調べて参りましたが、即日その場で参考人立場証人喚問立場に切りかえたという先例はないようであります。
  67. 相馬助治

    ○相馬助治君 参考人ではないけれども、別な人を即日証人に喚問するということを委員会決定をして、成規の手続をして、証人にしたという先例はありますか、ありませんか。ありますよ、きっと……。
  68. 高野一夫

    委員長高野一夫君) こういう例がございます。  昭和二十九年の四月、第十九回の国会で証人喚問をしたところが、その証人が二名やむを得ない事情のために出席できなかったので、その代理人として出席しておられた人を証人とすることに決定をして、成規の手続をして証言を求めたという事例はございます。
  69. 相馬助治

    ○相馬助治君 第十三国会でこの決算委員会で、年次は昭和二十七年二月十三日、二重煙突事件の折りに、委員カニエ邦彦君の緊急動議によって傍聴人であった高橋某を証人として追加し、直ちに成規の手続をとって証人として意見を求めたという事例があると私は承知しておる。すなわち参考人証人にかえたのではないけれども、いわばその当該の人の身分をそこで変更して証人として喚問した実例があり、いわば大竹君の質問を広範にとれば、そういう前例があると私はこう了解しておりますが、この前例はどういうことになっておりますか。
  70. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 昭和二十七年の第十三回の当決算委員会におきまして、傍聴者を証人に追加することをその委員会で可決して、成規の手続をして証言を求めた事例はございます。
  71. 相馬助治

    ○相馬助治君 すなわち当初委員会が開かれたときに、証人として予想もしなかった者を、委員会の議によって証人としてこれを認め、直ちに議長の決裁を経て、これを証人として追加し、これを喚問したという事例であって、いわば大竹君の質問を広義にとりますと、そういうことは可能であるという一つ前例があるとこういうふうに私どもは感じますが、そのような理解でよろしいですか。
  72. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 私から説明申し上げますが、不可能ではないと考えます。(「了解」と呼ぶ者あり)
  73. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 だいぶ長く続いた委員長並びに理事打合会におきまして、いろいろそれらの点につきましても研究をいたしたわけでございます。なお、私どもが、社会党さんの方からは、証人を強く喚問を要求なさったわけでありますが、先ほど委員長から、私どもの考え方の意向をお取り次ぎいただいたようであります。当決算委員会の直接の担当をし、ただすべきこととはちょっと分派しておったというような点もありますし、なおすでに、農林当局の提出書類によりましても話し合いがついて、そうして処理が進みつつあると、こういう現況におきまして、証人喚問ということはきわめて軽々にすべきでない。従ってこれは慎重にすべきである。こういうことから参考人としてさらにお呼びをしたらばどうであろうか、先般私は欠席しましたが、そのときの証人は大へん的はずれの答弁であります。今回は社会党の御要求によって当事者を五名お呼びするということで、私ども了承をいたしておる。従いまして事を慎重にすべきであるという建前から、一応参考人として招集をお願いをするということであったわけでありますが、そこで即日参考人証人に切りかえをすることの論議が、今質疑の過程において取りかわされておるわけですが……。
  74. 相馬助治

    ○相馬助治君 いや、論議しておりませんよ、私はそういうことが可能かと聞いておるのです。
  75. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 それで論議されておるのでありますが、今お聞きすると、傍聴人の人を二十七年に委員会の了承において、証人にしたという事例があるというお話でありますが、これはこの委員会が了承すれば、それでよろしいのか、あるいは議長を通るというようなものか、何か許可なり何なりが要るか、その点、手続をちょっと。
  76. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 私から説明申し上げますが、当委員会において可決いたしまして、もちろん直ちに成規の手続によって議長の承認を得てやったものと考えます。(「その通り」と呼ぶ者あり)
  77. 岡三郎

    岡三郎君 議事進行。ちょっと速記をとめた方がいいと思うのだがね。
  78. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  79. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記をつけて。
  80. 島清

    島清君 私は質問をした本人なんですけれども、参考人で来られては御答弁は非常に不満足であるということで、その日の質問を打ち切ったんですよ。それでその私が証人でお呼びを願いたいという、この申し出に対して、社会党の両理事が、そういうふうに扱っていただきたいというふうな御要求に対して、あなたたちはそういう参考人で十分だという挙証の責任があるわけですね、挙証の責任があるわけです。それで十分だという、参考人で十分であるという具体的な例をあげて、そしてその挙証の責任はあなたたちにあるわけですね、(「これは当たり前だ」と呼ぶ者あり)島君の、参考人として呼んで、答えが不十分であるという確信に基いて、この要求をして、それで証人を呼んでもらいたい。参考人で十分だという、今大谷さんの言いまするところの理由、これを法律的用語でいいますると、挙証の責任というのです。あなたたちの方が挙証の責任があるわけですよ。これを聞かんとするもの、こういう事実があるのだから、こういうことなんだから、こう答えるであろうという挙証の責任があなたたちにあるのです。そうでなければ国会議員の国会の審査権をみずからあなたたちは妨害し、そうしてこの委員会の仕事の、審議権の進行にあなたたちの方がみずからその権威を失墜せしめたのであります、ということになるわけであります。そこで参考人——証人で呼んでいただきたいということを、参考人で十分であるという具体的な例をあげていただきたい、そうすればあなたたちに私質問いたしましょう。
  81. 平島敏夫

    ○平島敏夫君 この前の参考人の答弁が不十分だったということは、これはわれわれも認めております。(「その通り」と呼ぶ者あり)しかし、その当時の当事者ではなくて、人の選択が不十分であったと私たちもそう考えております。従って今度はその当時の責任者を参考人として呼んで、これは不十分な答弁が出るか、あるいは十分な答弁が出るかはまだやってみなければ、わからぬわけです。従ってわれわれは参考人として呼んで、それが不十分な場合には、そのとき証人として喚問すればいいのだというのがわれわれの意見です。挙証の責任とか、そういう問題ではないと思います。
  82. 相馬助治

    ○相馬助治君 そこまで言うのはおかしいと思いますね。
  83. 島清

    島清君 今、御意見のようでございましたが、私は確信をもって、証人でなければお答えできない。私がお尋ねしたのは、あれは全部じゃない。この前の委員会で申し上げた通りこれからずっとたくさんのことを御質問申し上げます、と、こういうことを、言っているのです。あなたたちは私が質問しようとすることを御存じないわけなんです。御存じがないくせに、それで参考人で十分である、あるいはあの人たちはああいう状態じゃ答えられなかったけれども、今度来る人は十分にそれで答え得るのだということの具体的な……、私はあれだけの質問をした、それはあれだけの質問であれば、あの連中にきてもらって答弁が十分だろうというあなたたちの判断は、誤まりでないかも知れません。しかしながら、あのときに委員会の方で出していない質問を、参考人として呼んでは私は質問しませんと、あなたたちは答えられないからと言って、そうして尋ねたいというものを聞いていないわけです。聞いていないこの事実を、それをあなたたちが参考人で十分であると言うことは、それは少しおかしいですね。非常に飛躍し過ぎる、あなたたちでも答えられない事実、わからない事実、これを私は証人でなきゃいけないと言うのです。しかも国会議員として、決算委員として、そしてお願いをしているわけなんです。それは十分に、お前の聞こうとすることはこういう事実だからして、湯河さんなら湯河さんに来てもらえば十分に答え得るのだということの例がなきゃいかんはずです。
  84. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 それは今、島さんのおっしゃることは、私少々納得が行かん点があるのは、一体、この前の参考人の方の答弁はきわめて不満足である。これは委員長も強く、最後に速記録に載っておりまするように、言われたのであります。そこで今度の参考人として社会党では証人として名前をおあげになった方は、あなたの方で御指名になった方である。あなたの方で御指名になった以上、あなたの方はその方について十分の御確認をもって御確信をもってこれらの方を御要求になったものだと私は思う。従って平島委員の今度の証人で十分答弁を得られるという予想かという御質問は、ちょっとこれは筋違いじゃないかと、こう私思うのですよ。  それからもう一点は、先ほど私どもは、参考人としてお呼びをして、どうしても不満足であるならば、証人として呼ぶことにやぶさかでないということを申しあげておるにもかかわらず、何とか責任——挙証責任がわれわれにあるのだというようなことは、ちょっとこれは穏やかでないので、これはちょっとお取り消しを私は、委員長において、願いたいと思うのです。
  85. 島清

    島清君 私が四人の証人を呼んでいただきたいということで、それで全部であるというふうにお考えのようでありまするが、しからば参考人であれば、今私ここでお名前を申し上げますけれども、全部呼んでいただけますか。
  86. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 それでも多過ぎるからという話でしたよ。(「これはちょっと理事会の席に戻りますよ」「質問々々」と呼ぶ者あり)
  87. 相馬助治

    ○相馬助治君 平島先生の答えられたことに対して島先生が答えて、それに対してそちらでまた答えられた。こういうふうに議論をやりとりしても、もともと意見が揃わないのだから、時間がかかっているわけだからどうしようもないと思う。ただ問題の本質を明らかにするために、大谷先生にちょっとお尋ねして御指導をいただきたいと思うのですが、証人として喚問した場合と、参考人として喚問した場合にはどういうふうに違うと、先生方の研究では認識されているのでしょうか。われわれは非常に違うと思うので、参考人ではだめだ。証人言うているのですが、先生の御研究によると、ほとんど違わないのですか。相当違いますか。
  88. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 いや、それは相馬委員仰せのように違うと思っております。
  89. 相馬助治

    ○相馬助治君 どういうふうに違うのですか。
  90. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 これはただ、先ほども何べんも申し上げるように、慎重を要するから、従って参考人として来ていただいてしかもこの前の参考人の方は何も事情を御存じない方だという話なんです。従って皆さん、各委員とも不満足である。委員長においてもそれをさっき申しましたように、非常に不満足の意を速記録に表明しておられる。従って今度はあなた方の方の御要求に基いた方を、われわれも理事会において了承をして、言っていることなんです。そこで今の、証人参考人とが違うということはむろんもとより了承しております。
  91. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ちょっと私において各委員にお願いいたしますが、委員同士で討論めいたことではどうも困るので、(「その通り」と呼ぶ者あり)御質問があるならば、私が、答弁ができるかできないかわからんけれども、委員長一つ御質問願いたいと思います。
  92. 岡三郎

    岡三郎君 先ほど委員長が、証人を呼ぶときには、決算委員会のいわゆる審議要項として、この決算報告書だというようなことを言っておったが、そういうふうに聞いたのですが、ここに出ている批難事項その他については、証人として呼ぶことはやぶさかでない。ただしそうでない、直接の問題でないという見解に立って参考人ということでいいんじゃないかと、こう言われたが、それは確かでしような。
  93. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 私からちょっと申し上げます。証人喚問は一応見合せて、参考人で十分じゃないかという側の理事の御意見を私は申し上げたわけであります。それは政府の直接の決算あるいは政府機関の決算でない、それに派生した、関連はもちろんあるけれども、監督下にある機関ではあるけれども、そういう問題を決して大事に扱わないというわけではないのであるけれども、一応参考人で十分じゃなかろうか。そこで参考人として呼んで、その説明がさらになお十分でなかった場合に、あらためて証人喚問という形をとっても、遅くはなかろうじゃないかと、こういうふうな御見解に私は聞いたのであります。
  94. 岡三郎

    岡三郎君 なんだ、そうするというと、向うの意見を、大谷さんの意見を委員長が代弁したというのですか。どうもこうはっきりしないのだが、私はさっきの委員長の発言は、委員長の言として聞いたつもりです。だがまあその点については言いませんがね。私はこういう見解……質問ですよ。つまり当事者でない方を証人として呼ぶなんということはあり得ないと思う。当事者でない方を証人として呼ぶということは特例の場合でね、よっぽどその問題に関係が深くて……。そうでない、関係の深い人でない以外は、参考人で私はしかるべきだと思う。ところが当事者を呼ぶのに参考人なんというばかなことはありません。呼ぶならば、そのことをしたその本人を呼ぶのに、参考人、そういうことは私はあり得ないと思う。私の観念からいえばね。そのことをずばりとやっている人に対して質問するという、その人を参考人として呼ぶ、こういうことでは私は決算委員会の真の権威はないと思う。だからそうでない、直接関係がないけれども、どうしてもあの人は参考に来てもらわなければならぬ。そういう人を証人に呼ぶようなことがあったら、いろいろと論争が起ってそれはしかるべきだと思う。それはちょっと行き過ぎだという意見も出てくるでしょう。でしょうが、この問題については今までの三人については不満足な答えが出てもやむを得ない、当事者でないから。しかし親切な答えでないということは、これはわれわれとしては遺憾の意を表しなければならないけれども、今度はやはりこれは当事者を呼ぶのですから、当事者を呼ぶ場合に、その当事者は自分のことであるから、苦しまぎれにたまたまうそを言うかもわからん。そういうふうな想定があるときに、いたずらに審議を遅延し、混乱させないためにも、明確にその人の言ったことについては、責任をもってもらう、こういう立場決算委員会になければ、私は決算委員会というのは職能を果せないと思うが、その点については委員長どうお考えですか。
  95. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 私から申し上げますが、当委員会に御出席になった場合は、かりに証人でなくて、御当人が参考人としておいでになっても、これは私はうそをおっしゃるか、ほんとうをおっしゃるかは別といたしまして、事実の材料に従って御質問に対して真実の御答弁があってしかるべきだと思うのでありまして、従って参考人としてお呼びになった方が、その質問に対して虚偽の答弁、虚偽の説明をなさろうとは私は考えられないのであります。そこで御当人であるから、参考人ではおかしいじゃないかというお話もございますけれども、こういう例はしばしばあるのでありまして、当人であっても、証人として喚問される場合もあれば、参考人として出席する場合もあり得るわけであります、と私は考えているのであります。従って参考人としておいでを願って、そこで十分の一つ説明、答弁を要求するということで、十分私は目的は達せられるのではないか。万一そこで十分な御答弁が得られない場合は、あとで証人として喚問の道も開いてある、こういうふうに先ほどの話し合いがなったわけであります。
  96. 相馬助治

    ○相馬助治君 私は円満にまとまるべき委員長理事会がまとまらないで、こういうことになっているのですから……。しかし、これは議論が果てないから、まず第一に、私は岡委員が質問している点を解明して、その次に証人喚問をしろという方の側から一人意見を述べさせて、反対する方から一人述べさせて、直ちに成規の手続で採決でもやってきめるよりほかないと思います。従って、私は議事進行として今問題になっている発言中の岡君の質問を片づけて、それから両方の意見を聞いて、直ちに採決してきめて下さい。これ以上議論しても無駄だと思います。
  97. 岡三郎

    岡三郎君 私は、今の委員長のような方法もあるかもわからぬと思いますよ。思いますけれども、ここに大ぜいの議員が集まって決算委員会というものを開いてですよ、国の収支決算をする、農林中金から出る金は、これは全部国民の金ですよ。この国民の金がどう使われたかという問題について、ここで決算委員会がつまびらかにしようというのに、その当事者を呼ぶのに、わざわざ参考人として呼ばねばならぬということは、これは私にはわからぬ。この点を強弁すれば、強くすれば、まあまあそういうことを言わんでと言うから、われわれも言わんで黙っておったが、それがあたかも、決算委員会として当りまえであるというがごときことを委員長が発言するならば、私は、こんな決算委員会なんてものは意味がないと思う。だって、国会においてやる場合において、証人というものと参考人というものが分けられているわけだ。重要のときには、参考人でなくして証人としてやることの規定があるわけであります。それを、せっかく同じ者を呼ぶならば、当事者を呼ぶならば、それを証人としてやった方が短時間に明確になるということについて、私はだれもこの点は疑わないと思う。この点は、委員長のような方法もあるけれども、それは次の策であって本来ならば、そういう形で本問題の処理をやった方が私はいいと思う。ところが、社会党の方は、一歩譲って、参考人でもいいから、その当日になって、どうも工合が悪かったら、それを切りかえてやろうというのだから、これは大譲歩ですよ。それをまた、日にちをおくらしてやろうなんということになるならば、これは。ピンボケで、こんなものを審議しようという精神がないということになると私は思う。審議しないという精神からはそういう発言が出ても、ほんとうにまじめになって決算委員会でやろうとするならば、何とかしてそこに具体的に両党の歩み寄りの中で、決算委員会らしい私は決定を見なければならぬと思う。決算委員会らしい決定というのは、やはり審議が核心に触れて、質問がどういくかわからぬけれども、最高度に、でき得る限りの措置をして、そうして短時間にこれを終る。だらだら、何ぼでもやっているなんていうことは、決算委員会としてもよくとらぬところですよ。短時間に明確にやるためには、証人方法があるけれでも、一歩譲って、そうして、今参考人でやろうというのだから、その方法も、委員長が、まあそういう方法があると思いますと言っておられるのだから、これ以上無理を言わんで、子供のやりとりじゃないのだから、その程度で話をまとめたらどうかと思う。私はそういう意見です。
  98. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 私から岡さんに申し上げますが、私が先ほど申し上げたのは、委員長理事打合会の上において、一応、先ほど申し上げた通りに、参考人として呼んで、そこで納得が行かない場合は、あらためて証人喚問をすることにしたらどうかと、こういうふうに話し合いができたと、こういう報告委員長として申し上げたのであります。そこで、そのあとをどうするかということは、その点で皆さんにお諮りをしておるわけです。
  99. 岡三郎

    岡三郎君 だから私は言った、そこで。
  100. 清澤俊英

    清澤俊英君 今のあなたの言葉の中に、「あらためて」が今問題になった。だから、「直ちに切りかえて」と、こう言いかえてもらえば、これは円満に解決するですが、そう言いかえておさめていただきたい。
  101. 大矢正

    大矢正君 これは、さかのぼって、なぜ証人を喚問することがいけないのかという論議をこれ以上私自身もするという考え方はない。お互いに、どうやったらこれは妥協点に到達できるかということが中心だと思って発言をいたしたいと思うのでありますが、参考人として呼んで、それがもし納得の行かない場合に、証人として引き続きということになりますか、あるいは日をあらためてということになりますか、これは別問題でありますが、とにもかくにも、質問をされる当事者が質問をされているというならば、島委員の当事者の判断に基いて、これは早速証人にしてもらいたいという要望があった場合に、それを受け入れていただくことができるかどうか、この一点が解明されれば、私はこの問題の解決ができるじゃないかと思うわけであります。証人を喚問する場合には、もちろん委員会の全部の決議が必要ではありますけれども、しかし、質問を中心的にしようとしておられる人は島さんでありますし、従って、その間には、島さんと他委員との問においては、おのずから判断のし方も、中心になってやる人と傍観的な立場では違ってくると思います。従って、ほかの委員の方では、呼ぶ必要はないではないかというふうに考えても、質問される当事者である島委員は、これはどうしても私が聞こうとすることに対してピンボケな答弁しかしていない、あるいは偽証的なにおいがあるという場合には、この島委員の要望にこたえて、皆さんのお力添えをいただいて、これを証人に切りかえていただけるのだという御了解をいただければ、私は、この問題が解決できるじゃないかと思うのですが、委員長、どうでしょう。
  102. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  103. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記を始めて。  いろいろ御質疑、御議論の結果を総合いたしたわけでありまするが、次回に参考人としてお呼びをして、そこで十分の質問と、かつ答弁、説明要求いたしまして、さらにその上で、質問者が納得ができないという場合がありました場合は、証人喚問をすることがあり得る。そのときには、質問者のお申し出に従いまして、直ちに委員会に諮りまして、そこで決定をして、しかるべき手続きをする、こういうことで、どうか全会一致御了承を願いたいと思います。
  104. 相馬助治

    ○相馬助治君 了解して賛成しますが、あとで委員長が苦しむことのないように、委員長に協力する意味で念を押しておきたいと思います。よくわかりました。その場合に、委員会に諮って云々、これも手続き上そうせざるを得ないのでその通りです。その場合に、委員会においては、この質問者である、そのとき不満を持った、そして証人喚問に切りかえるべしと主張した人の意思が十分に了解されて、このことに対して協調いただける、こういうことを私どもは含みとして今の委員長の発言ならば了解いたします。あらためてここで平島委員からでもよろしいし、大谷委員でもいいから、確言を一つ速記に残していただきたい、その上で賛成をいたします。
  105. 平島敏夫

    ○平島敏夫君 決算委員会は、島さんだけの委員会じゃないのですから、その点は、われわれは、ただ傍聴人として聞いているのでなくて、やはり島さんの御質問に対して参考人がどういう答弁をするか、これも十分われわれも聞いていなければなりません。従って、われわれは、その際、良識に従って、その答弁が不十分であるか、あるいはその程度で満足できるものかという判断の余地は残しておきたいと思います。
  106. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  107. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記を始めて。  証人喚問のことにつきましては、委員長は公正妥当なる立場、考え方をもって皆さんの協力を求めたいと思いますから、先ほど申し上げた通りに、あらためて御承認を願いたいと思います。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 以上をもって本件に関する問題は終了いたしました。  そこで参考人出席要求に関する件についてお諮りいたしたいと思うのでございまするが、先ほど来お話がありました通りに、農林中金の融資状況に関する件でございまするが、参考人の選定はいかにいたしましょうか。委員長理事におまかせ願えますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めて、さように決定いたします。     —————————————
  110. 高野一夫

    委員長高野一夫君) この際、中間において委員の異動を報告いたします。  ただいま林屋亀次郎君が辞任されまして、野本品吉君が補欠選任されました。     —————————————
  111. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 次に、昭和三十年度決算のうち、農林省の部を審議いたします。一般会計並びに特別会計、引っくるめまして問題に供します。まず農林大臣から発言を求めておられますので、発言を許します。
  112. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 昭和二十九年度決算に関しまして農林省に対しまして当委員会から厳重なる警告を受けておった次第でございます。警告に基きまして、私どもといたしましても、昭和二十九年度決算検査に関しまして、改善の措置をとってきておりますので、そうしてまた三十年度以降においてこういうことがないように、内部におきましても厳粛に綱紀の粛正その他において進めておりますので、私の方からこの措置につきまして、この席をお借りしまして御報告申し上げたいと思います。  農林行政一般につきましては、御警告にもありますように、綱紀の粛正ということにつきましては、特に意を用いております。これは申し上げるまでもなく、内閣といたしましても閣議決定をしておるのでありますが、農林省執務刷新要領を作りまして、これに基いて具体的な執行基準をきめ、人事管理、文書の取扱い、予算の執行等につきましても、責任体制の確立、職場規律の確保及び予算執行についての牽制体制の強化をはかってきております。また内部監査の強化につきましては、従来から食糧管理特別会計国有林野事業特別会計にそれぞれ担当官を置きまして、業務及び会計経理につきまして内部監督を実施しておりますが、そのほかに昭和三十二年度から農地局及び農地事務局に監査官を設置しまして、国営の開墾及び土地改良事業につきまして、業務及び会計の内部監査を実施しておるようなわけであります。またこの組織の監査対象となっていない所管の会計機関及び直接、間接の補助事業実施者の監督、指導を強化するため、官房に専任の会計監査官一名、これは正式の名前がまだきまっておりませんが、置きまして、併任会計監査官若干名を新たに設置することといたしております。また補助金交付条件等の整備及び監督の励行につきましては、農山村の団体等が大部分この事業主体となっておりまする現状から見まして、国庫補助金交付につきまして、その実施条件、事業の内容等について周知徹底をはかりますことが不正不当事項の防止改善の方法と考えますので、これらを明確にいたしまして厳重な補助事業の執行を期待いたしますとともに、常時監査を行なってきたのでありますが、補助金等予算の執行の適正化に関する法律の施行を機会に、補助条件等を整備し、あわせて直接、間接の補助事業実施状況につき実態を調査、指導いたしておるのであります。  特にこのほかに申し上げたいと思うのでありますが、農林行政一般につきまして、内部の人事の刷新ということをこの間も申し上げておったのでありますが、臨時の異動を相当私就任以来いたしたのでありますが、なお、課長あるいは課長補佐、こういうところの担当者があまりに長きにわたるということになりますと、とかく外部からつけ入られるすきもあります。一面においては、長くおることによって非常に事務もたんのうになるという特典もあるのでありまするけれども、一面においては、あまり長くおりまするというと、そこへ外部からつけ入られるということもありますので、十六日付をもちまして、課長補佐、班長級の相当の異動を行なってきております。それからまた、昨年の暮れに、省内の課長等を集めまして話したのでありますが、こういう農林省関係に、汚職とか、不正事件というものがとかく出ておって、世の非難を受けておりますけれども、それについては、特に粛正を希望すると同時に、外部の業者においての誘惑も相当あるわけであります。でありますので、こういう汚職に関係したととろの業者等につきましては、農林省への出入りを禁止する、関係を絶つ、こういうことにするからということも申し渡しておるのであります。そういうふうに外部からの誘惑等につきましての点を遮断いたしますと同時に、内部におきましても、あまりに長きにわたって一つのポストにいるということによって、それにつけ入られるというすきを与えないようにしたい、こういうようなことで、人事面の点におきましても、局長ばかりでなく、下の方にも刷新をいたしたわけであります。  なお、事件に関係いたしました者につきましては、この前の当委員会におきましても申し上げました通り、それぞれ今はポストを離れておっても、上の方まで行政措置をとりまして、これを処分といいますか、処分いたしておるわけであります。なお、こまかい点になりますが、会計、経理等につきましては、農業土木技術者に対する技術研修あるいは自主的監査制度の整備、こういう措置によりまして不正の工事等がなくなるように措置をとっております。また、代行事業の計画及び進行検査の厳正化、こういうことも励行いたしておるわけであります。  なお、公共補助事業等につきましては、新規災害に対する実施の査定を厳重にいたしております。それからまた過年度災害でありますが、過年度災害におきましては、その後事情の変化等によりまして災害当時の査定と相当違っておるような事態の発見もあり得るのでありますので、過年度災害に対しましては再査定の実施をいたしまして、極力事業費の適正を期し、国の損害の防止に努めておるようなわけであります。また災害復旧事業の適正実施に対しましても指導、監督を厳重にいたしております。  それから御指摘、御警告を受けております食糧管理特別会計制度の改善につきましては、このたび食糧管理特別会計勘定区分をきめまして、国内米勘定国内麦勘定輸入食糧勘定、農産物安定の勘定業務勘定、それに調整勘定というふうに六勘定に分けまして、従来のようにとかくどんぶり勘定だというようなことで損益の明確を欠いたり、彼此流用するというようなことで、内容が不明確だという御指摘に対しましてこたえていきたいということで、こういう勘定分等を明らかにして発足するということにいたしておるわけであります。  農業共済再保険につきましても御警告を受けておるのでありまするが、これにつきましては、制度の抜本的改善をいたしたいということで、過ぐる第二十六国会におきまして、農業災害補償法の一部を改正する法律の成立を見、本年度からこれが実施をいたしておるのでありますので、この法律の趣旨にものっとって、この農業共済再保険制度についていろいろな御指摘を受けておりますることをなくしていくようなことに極力努めておるわけであります。  また事務費負担金の不正事件等につきましても、官庁事務の粛正、刷新に基いて不正行為等の出ないように巌重に措置を進めておるわけであります。  以上御警告に基きまして、私どもといたしましてもそれぞれの措置を講じておるのでありますけれども、とかく農林、水産関係においては、汚職が多いのじゃないかという非難も世間からも受けておるのでありますので、私どもといたしましても、こういうことがないように、私初め内部におきましても一体となりまして、再び警告を受けるようなことがないように極力自粛をいたすと同時に、監督を厳重にいたしておるような次第でありますので、御了承をお願いいたしたいと存じます。     —————————————
  113. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 委員の方が御発言になる前に、御報告申しあげます。ただいま井上満一君が辞任されまして小山邦太郎君が補欠選任されました。     —————————————
  114. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御質疑のある方は、順次、御発言を願います。
  115. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 時間もございませんので、私は大臣に総括的な問題をお尋ねし、また所見を伺いたい。私も当決算委員に三十一年から今日まで足かけ三年決算委員をやっております。そうしていつも本委員会において一番大きな問題になりますのは、率直に申し上げまして、農林省の問題なんであります。そうしてそのつど毎年警告決議を発しております。赤城農林大臣には初めてお目にかかるのでありますが、今大臣がお述べになりましたような御弁解と申しましょうか、そういったお言葉は私どもは再三実は聞いておるのであります。しかしながら、年々歳々その決算のあとをみまするというと、必ずしも改善をせられたということには私どもは認められないのであります。ことにわれわれは地方に調査に参りましても、一番多くわれわれがその事案に接しまするのは、大体農林省関係、特に補助関係の問題が非常に多いのでございます。そういう意味におきまして、われわれは赤城農林大臣が単に農林大臣という立場でなく、さらに一歩進めて国務大臣だというような立場において、この機会におきまして、農林省の補助が、その費目が百五十あるか、二百あるか、私はよくわかりませんが、非常に膨大なものだと思っております。その中には絶対必要のものもむろんあると思うのでありますが、中には時代の変遷によりまして、補助金自体というものの費目を相当変え、あるいはまた削除してもいいような問題も出てくるのじゃないかと思うのでありますが、まず、その点につきまして大臣のお考えを聞きたいと思うのであります。
  116. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 今お話のようなことのあることも私も承知いたしておるのであります。警告を受けてもなかなか改まらないじゃないかというようなことでありますが、私といたしましては、警告を受けないでも、こういうことは国務大臣としても、あるいは国の政治を担当しているものといたしましても、恥といいますか、国民に対しても申しわけないことでありますので、この点につきましては、極力粛正をはかっていきたいと思います。ただ小さいことになるかもしれませんが、地方の小さい補助等につきましては、不正というようなことでなくても、経理などが非常に不正確であったり、なれておらないというようなことで、実質上の不正ということでなくても、経理上その他において不当であるというようなことで、会計検査院に指摘されるというような例もなきにしもあらずと、こういうふうに考えております。でありまするから、そういう点につきましても、摘発ということでなくて、私どもの方といたしましては、監督、指導を十分やっていきたい、こういうふうに考えております。  第二に補助金についてどういうふうに考えるかということであります。御指摘の通り、非常に補助金の種類も多いし、中には補助金としてあまりに零細であって、補助の効果が果してあげられているのかどうかという補助金もあると私どもは考えております。こういう点につきましては、補助にかわるべき融資によって事業が行われるということでありますならば、融資に切りかえて事業をやっていくということも一つ方法だと思うのであります。小団地等につきましては、予算案にも出しておりましたように、たとえば六十五億の基金の運営利益によりまして利子を切り下げて融資でやっていこう、それによって浮くところの補助金を特殊立法地帯に回していきたいというような考え方をいたしております。全体といたしまして、補助金の有効な使い方ということが必要だろうと思いますので、この点につきましては検討を加えて整理すべきもの、あるいはかえるべきもの、ほかの融資等においてかえらるべきものはかえていきたい、こう考えておるのでありますが、ただ一応御承知願いたいと思いますし、また御承知のことと思いますけれども、何しろ農林水産業は零細なる豊漁村民を対象といたしております。でありますので、なかなか自立していくというか、そういう力がないものでありますので、どうしても国といたしまして、これをバックアップするといいますか、育成助長していきませんと、農林水産という零細なる人々が立っていけないというような関係にありますので、ほかよりはやはり補助助成というものの必要を感じているわけであります。しかし内部におきまして、効率的でないというようなものにつきましては、適当にこれに検討を加えていきたいと、こう考えております。
  117. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私ども手元に、いわゆる関係者の処分調書というものをいただいているのでございますが、これは実にガリ版にいたしまして、たしか百三十二ページあるのであります。非常に膨大なものでございまして、これを一々国民に公表をいたしますならば、非常に私は義憤を感ぜしめるものではないかと思うのでありますが、しかしながら百三十二ページの関係者処分調書なるものをよく見まするというと、大体九十%以上のものが厳重注意ということになっているのであります。厳粛注意ということはおそらく役所々々において違うとは思えないのでありまして、私どもも常識的に一応は考えられるのでありますが、中にはこの厳重注意というような欄におきまして、相当数の者が栄進をしているというような実例もたくさんあります。先ほど大臣は今後の省内の刷新ということを十分お話になりましたが、この点につきまして、今一つ御意見を伺いたいと思います。
  118. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 非常に多くの処分の中には、厳重注意という者も出ていることは、今御指摘の通りであります。しかし公務員でありますので、公務員法に基いたいろいろな処分方法がありますので、退職せしめた者、懲戒処分に付した者、訓告した者というように、いろいろその重きに従い、あるいは軽きに従って処分をいたしたわけであります。でありますが、私どもといたしましては、ほんとうに悪質であり、それに関係した者には厳罰といいますか、退職というようなことで行政処分をいたしておりますが、また一面におきまして、監督の不十分な者につきましても、実際にはそれにタッチしておりませんでも処分をいたしているわけでありますが、それは見方によりましては、あるいは軽いという見方もありましょうし、弔いという見方はあまりないかもしれませんが、そういう見方もあろうかと思います。しかしいずれも公務員でありますので、こういう処分をされたということにつきましては、非常に良心的に反省をいたしております。でありますので、処分された直後において、これを栄進せしめるというようなことはやっておりません。しばらく反竹の情勢を見た上におきまして、やはり有能な者で、その当時の事件の関係の度合いというものをよく調べた上におきましてある時期を過ぎましたときには処分ばかりが能でもないと考えまして、反省とまた能力等の問題につきましては、しばらくおいてからは異動の中において適者なポストへ据えるというようなことはいたしておるわけであります。この処分を受けた者は、私から申し上げるのはあまり勝手なようでありますけれども、いずれも反省の色は非常に強いのでありますので、そしてまたかりに私が少し異動をしてというふうに考えましても、すぐに従来よりもいいところへ行くということにつきましては、本人も遠慮しておりまするし、私の方でもそういうことのないように注意しておる次第であります。
  119. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 今の厳重注意という問題でありますが、私はいろいろ事例も持っておりますが、しかし大臣の言を信じまして、これ以上追及はいたしません。  そこで最後に、ぜひ国務大臣というような立場から大臣の御所信を承わっておきたいことは、とにかく農林省というものは、一千億前後の膨大な予算を持っておるところでございます。ことに食管という大事なものをかかえておるのでございまして、そういう点において非常に、ときに国務大臣という立場から決断を下しまして、そうしてこの国損をできるだけ控え目にするように努力するということは、これはもう言うまでもない当然なのであります。しかしながら私どもが年々歳々注意を今までして参りました、たとえば病変米の問題のごときも、今までの各農林大臣いろいろおっしゃられましたが、なかなか決断がつかない。そこで私昨年特に岸総理大臣の出席を求めまして、そうしてこれが処置について御所見を伺ったのであります。岸さんは私どもの質問に対しまして、しかも同僚委員の関連質問に対しまして、期限まできめてお答えになって、先般食管総務部長から話を伺いましたところが、大体において片づいた、こういうことがまあやろうとすればできるのであります。そういう事柄が私は農林省の中には実に多いと思うのであります。それから先ほど私が申し上げました補助金の問題で整理をすべきものが、きょうは時間がございませんから私は一々申し上げませんが、相当あると思います。しかしながらこれを一つ整理をするということには省内の摩擦というものは当然起るのであります。ただ農林大臣立場でセクショナリズムのみを考えておりまするというと、これはなかなか決断がつかないのでありますので、そういうような最近例もあるのでありまするので、どうか一つその点につきまして、それこそあなたの言われたところの抜本的な方針をぜひこの際樹立していただきたいと思うのでありますが、御所見を伺いまして私の質問を終りたいと思います。
  120. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) まことに仰せの通りであります。病変米等もなかなか片づかなかったのでありますが、食糧片長官から御報告申しあげましたように、本年度内に全部片づける、しかもこれは通産省の方にわたしますから不正とか、そういうことは起きないという見通しでやっているわけであります。その他補助金の整理等につきましても各局のセクショナリズム等にわずらわされることなくやっていったらよかろうと、こういうことであります。実は今年の予算編成等におきましても非常にこのセクショナリズムがなくなりまして、結局われわれ農林省といたしましては農林水産の多くの人口をかかえておる。そしてまたこの農林水産関係の人々は他の産業に比較いたしまして割合に不利な状況にあるので、そういう人々のために農林水産の行政をしておるのだ、こういう腹がまえで、またその覚悟で仕事を進めていかなければならぬ、そのためにセクショナリズムで各局が事務の上で縄張りを争っているということではまずいということで、今年の予算編成等につきましては、各局長、各局にいる人々も相当このセクショナリズムを排しまして協調して、農林水産全体のための予算を編成しておる、こういうような事情でありますので、補助金等につきまして、検討を加えるにつきましても、これは国務大臣としても当然でありますが、そういうセクショナリズムに陥ることなく、検討を加えていくということは、私も強く進めていきたいと思いますので御了承を願います。
  121. 清澤俊英

    清澤俊英君 私は決算委員会にはこれで三回目で、従って三十年度の農林省の不当事項も全部読んでおりません、承知しておりません。そんな状態でお伺いするのもなにですが、毎年農林省関係が不当事項が一番多い。そういう中に大体補助金の使い方と営農資金の使い方で、同じケースで不当事項としてあげられておるものが非常に多い。そこでこれを調べられるときに、ただ出て参りました不当な取扱いだけを、これは会計検査院にお伺いいたしますが、その事項だけを調べておるのか。また付帯的に毎年同じものが継続して行われているのでありますから、それがどういう原因で毎年絶えないのかということをあわせて調べておるのか。これをちょっと後ほどお伺いしたい。  それで農林大臣にお伺いいたしますのは、こうやって毎年出て参ります同じケースが、たとえば補助金の使い方において、補助金のワク内で、工事をやってしまう、負担金を少しも出さないとか、あるいは補助金だけでやって、なお余りあるものがあるとか、まだそういったような補助金だけに頼って、当然ななすべき自分の義務を果さないで、不当事項として摘発されておるものが非常に多い、こう御報告になっておる。これは一体どこからそういうことが根を絶たないで出ておるかということをお調べになっておるかどうか。ただそういうことがあってはいかぬじゃないか、これだけが問題ではないと思うのでありまして、少くともそういうような状態、これは悪いことだとみんなわかるのであります。悪いことだとわかることをなお根を絶たないで、ずっと行きますからには、何かあるのではないかと思う。それを農林省は調べておるかどうか、こういうことなんです。ただ取扱いの事務上の手続だけを責めることではなくて、そういう間違いがどこから起きるか、こういうことはお調べになっておるのかどうか、これは重大な問題だと思う。  それから災害等の営農資金が中途で消えてしまったとか、あるいは農協で取り上げてしまって末端に渡っていないとか、こういうこともたくさんある。これはわれわれも事実を知っております。こういうことがなぜ行われるか、こういうことをお調べになったことがあるかどうか。あれば同じ営農資金を出しながら出し方の改革をしなかったら、これはおさまりはしない。先ほどの補助金の問題でもそうです。私の聞いている範囲におきしますれば、相当の範囲は零細農であって、補助金でなければできないのであります。従って村長、県の役人を初め、時によったら農林省の担当官もある場合によったら黙過しておるかもしれないということを考えられる場所がある。それを無理なことをして補助金を出して、それででき上ったものを何ほど探し出して不当処置だと言ってみても、先ほど大臣が言われる通り日本の農村の零細農化しているものは非常に多い。どうしても補助金でかばっていかなければだめだということ、それをして行くならば、もっとはっきりした線を出して、こういうつまらない問題がたくさん起きないような方法が根底的に考えられなかったならば、こういう不当事項はなくならないのじゃないかと思いますが、その点どうお考えになっておるか、お調べになったことがあるか、真実にこういう悪いことをした、そのうしろにはこういう事情があるのだと、それでこういうことをやって、ごまかしてしまったのだと、こういうようなことを全部お調べになっておるかどうか。不正を働いた人々だけを処分してみましても、犯罪のできるような状況において犯罪が出たからといって、犯罪者を幾ら処分をしても収まるものではありません。そういう点にどういう考えを持っておられるのか、絶対そういうことはないのだ、こういう観点に立っておられるのかどうか、一つお伺いしておきたいと思います。
  122. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 今のお話のように、補助金の使用についての不正等が出るということにつきましては、いろいろの原因が、これはあると思います。善意的に見まするならば、非常に貧乏な層に対しましての補助で、結局補助金だけでやっていこうという考えなどを持つ場合もあると思います。しかしそれに対しましては、先ほど申し上げましたように、人夫で出るとか、労力で出ておるとかというような場合もないわけではない。これもまた清澤さん御承知通りであります。そういう場合には金に換算して、やはり金を受取っておるという形の経理でもいたしますれば、実質上ではこれをごまかしたということでもないかと思うのでありますけれども、そういう経理上の問題について、実際は労力等において事業に奉仕しておっても、そういうものが抜けておるというような、善意に見てそういうものがあると思います。あるいはまたその補助だけで仕事をしようというようなことで、いろいろ陳情の費用とか、何とかということにかけすぎてしまっておるので、そういうことで補助の範囲で仕事をしたというようなことなどもあろうと思います。ここで私が申し上げるのも、個人的な話になりますけれども、私の近くなどは農道を作る場合に、農道を大きく作りすぎてしまって、幅を広くして、よく作りすぎたのだけれども、経理がまことに下手だったものですから、余計に作った部分だけは補助金が少くて済んだわけだということで、補助金を減らすというような、これは内部監査で出た問題があったのでありますが、そういうふうに経理や事業の仕方になれておらないという面もあろうかと思うのであります。でありますので、補助金を交付するにつきましては、補助以外の地元で負担すべき負担能力、あるいは緩急の状況とか、そういうようないろいろなことをよく調査の上で、補助の対象にしていくということが必要であろうかと考えます。原因につきましていろいろ申し上げますというと、非常に多岐にわたった原因があろうかと思いますので、その点につきまして調査をしていないわけではありません。それぞれこういう事件ができるたびに、その原因等調査いたしておりますので、そういう原因を除去していく、これは今お話のように厳重処罰ということではなくて、そういうものが起らないような指導等もいたしていきたいと、こう考えております。
  123. 清澤俊英

    清澤俊英君 会計検査院の方……。
  124. 中川薫

    説明員(中川薫君) ただいま農林大臣から、これら農林省所管の補助金関係の不当事項について、その原因を御説明になりましたが、会計検査院といたしましても、これらの原因について究明をいたしております。従来農林漁業者は、農林漁業者の集まりである主として市町村、あるいは農業協同組合等の団体におきましては、自己負担を回避して補助金だけで仕事をする、あるいは補助金を下回る経費で仕事をするという気風が濃厚でございます。従いましてこれについては、まず、第一段階では都道府県、第二段階では農林本省等で監督を厳重にされるとともに、地元の事業主体における自覚を要望しなければならないわけでございまして、最近においては、たとえば都道府県における監督なども、だいぶ浸透いたしまして、この検査報告でも記述いたしておりますように、いわゆる自己監査と申しますか、都道府県の段階において再吟味いたしました結果、八億円相当額を、減額ないし手直しをさせております。かたがた補助金等の予算の執行の適正化に関する法律が出まして、他の補助金の部面に比べまして農林省関係は末端に細分されておりますので、浸透度はやや遅れておりますけれども、これも順次改まりつつあるように考えられます。従いまして工事その他についても、従前と比べて比校的りっぱな工事が行われているように考えます。  それから営農資金の利子補給についてでございますが、二十九年度決算関係で、この部面に不当の事実があることを探知いたしまして、二百十六万円の指摘をいたしたのでありますが、三十年度決算関係におきましては、これを大々的に検査いたしました結果は、ここに記述しておりますように広範囲に亘ったわけであります。それの原因といたしましては、都道府県の段階において、ほんとうに末端の災害を受けた農林漁業者に対する必要額を検討しないで、まず、低利のものであるから、もらって配分した方が得だというような考えもあったのではないかと思います。それと同時に、これに対する農林漁業者または組合系統機関に対する監督なり指導なりが徹底しなかったために、こうした間違いを起したとも考えられますので、現在の状況から申しますと、これは急速に改善されておりまして、三十一年度決算検査報告にも一応の記述はありますけれども、それは新しい地区、今まで検査を徹底しなかった地区において不当事項を見出したようなわけでございまして、全体といたしましては、これもよほど改善されておると考えております。
  125. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちょっと私のお伺いがピントがはずれておったとみえますが、私のお伺いしているのは、そういうことでなく、こういう事件が起きるでしょう。あなた方がお調べに行っておるとき、なぜこういうことをやるのだと、こうお聞きにならないのですか。そのときどういう答えをしたか、こういうことを聞いているのです。いや、どうも負担金がなくて貧乏しておるから、つい悪いとは承知していながらやりましたと、こう言っているのかどうか、まあ借金でやっていくのはいやだから、まあ一つ勝負しましたと言うているのか。お前はなぜこういうことをしたのかとお聞きになるでしょう。そのときの答えがどうであったかということをお聞きしているのです。あとのことは要りません。私は要領よくその点だけをはっきりお伺いしておけばよい。と申すことは、付け加えて申しますれば、最近われわれが耳にするところは、もう検査員というものは鬼よりこわいと、来てもうせっかくでき上った水路などを片端からぶちこわして、それを検査だと称してすっと引き上げていく、こういうようなことも言われているのですよ。やはり検査する者もせられる者も、そこにある妥当性が見えるような一つの温情があればですね、そうすれば、お前はなぜこういうことを、悪いことをするのだろう、そこから直していくということを考えなければ、直らぬのじゃないかということが大臣にも私は質問した中心なんです。だからあなた方がお調べになったとき、そういうことをお聞きになったかならないか、あれば今のような答弁はいらないのです。
  126. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 中川第四局簡潔に願います。
  127. 中川薫

    説明員(中川薫君) もちろん検査に当りましては、その原因を究明いたします。ただいまの御質問のように自己負担を回避する意味で処理したものもございます。あるいは計画額を下回って工事なり事業が実施されたけれども一たん交付を受けた補助金を返納するということが気持の上でそこまで至らないというので、実施額が計画額通りに一致したという書面上の整理をして返還を免れておるというものが多いのでございます。
  128. 清澤俊英

    清澤俊英君 御答弁は満足しませんが、いずれ農林委員会でやりますから、きょうは私の質問は打ち切ります。
  129. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ほかに御質疑ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ほかに御質疑がなければ、農林省の部についての批難事項審議はこれをもって打ち切りたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めます、さように決定いたします。  この際、かねて委員長理事打ち合せの線に沿いまして、一言政府側に委員長から注意を申し上げます。それは農林省におきましては、今後かような批難事項が当委員会の問題に供せられることのないように極力御努力を願いたい。特に補助金の問題、あるいは農林省所管にありまする国家の資材、財産の処分等につきましては、十分の御監視、御注意を願いたい、こういう各員の総意でございます。先ほど赤城農林大臣から分回の批難事項のあらゆるケースについて、その改善方に関しまして誠意ある御発言がございましたが、その大臣の発言を私どもは信頼をいたしまして改善が期待されることを祈っております。  なお、農林省の問題に関連いたしまして、会計検査院の問題が問題になったわけであります。ただいまもお話がございました通り、会計検査院が各省の会計検査の特権である立場を利用して、各省の役人を悪さの中に誘い込む、こういうようなことは最も憎むべき行為である、こういうのが委員会の総意でございます。従って会計検査院は今後特にさようなことのないように御善処方を願いたいと思います。
  132. 島清

    島清君 この前私が質問を申し上げております点に関連をいたしまして、農林省から資料をいただいたわけでありますけれども、この三枚目のところに処理方針、これは処理方針というのはそのままですね、お直しにならないでそのままお出し下さった方が私もわかりやすいし、他の委員の皆さん方もわかりやすいと思うのです。ですから、そういうふうに一つ御提出をいただきたいと、こういう工合に思いますので、お願いしておきます。
  133. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 本日の議事はこれをもって終了いたします。次会は明後十九日、公報をもって連絡いたします。  本日は、これをもって散会いたします。    午後六時二十五分散会