○国務大臣(赤城
宗徳君)
昭和二十九年度
決算に関しまして
農林省に対しまして当
委員会から厳重なる警告を受けておった次第でございます。警告に基きまして、私どもといたしましても、
昭和二十九年度
決算検査に関しまして、改善の措置をとってきておりますので、そうしてまた三十年度以降においてこういうことがないように、内部におきましても厳粛に綱紀の粛正その他において進めておりますので、私の方からこの措置につきまして、この席をお借りしまして御
報告申し上げたいと思います。
農林行政一般につきましては、御警告にもありますように、綱紀の粛正ということにつきましては、特に意を用いております。これは申し上げるまでもなく、内閣といたしましても閣議
決定をしておるのでありますが、
農林省執務刷新要領を作りまして、これに基いて具体的な執行
基準をきめ、人事管理、文書の取扱い、予算の執行等につきましても、責任体制の確立、職場規律の確保及び予算執行についての牽制体制の強化をはかってきております。また内部監査の強化につきましては、従来から食糧管理
特別会計、
国有林野事業
特別会計にそれぞれ担当官を置きまして、業務及び会計
経理につきまして内部監督を実施しておりますが、そのほかに
昭和三十二年度から農地局及び農地
事務局に監査官を
設置しまして、国営の開墾及び
土地改良事業につきまして、業務及び会計の内部監査を実施しておるようなわけであります。またこの組織の監査対象となっていない所管の会計機関及び直接、間接の補助事業実施者の監督、指導を強化するため、官房に専任の会計監査官一名、これは正式の名前がまだきまっておりませんが、置きまして、併任会計監査官若干名を新たに
設置することといたしております。また補助金交付条件等の整備及び監督の励行につきましては、農山村の団体等が大
部分この事業主体となっておりまする現状から見まして、国庫補助金交付につきまして、その実施条件、事業の
内容等について周知徹底をはかりますことが不正不当
事項の防止改善の
方法と考えますので、これらを明確にいたしまして厳重な補助事業の執行を期待いたしますとともに、常時監査を行なってきたのでありますが、補助金等予算の執行の適正化に関する
法律の施行を機会に、補助条件等を整備し、あわせて直接、間接の補助事業実施状況につき実態を調査、指導いたしておるのであります。
特にこのほかに申し上げたいと思うのでありますが、農林行政一般につきまして、内部の人事の刷新ということをこの間も申し上げておったのでありますが、
臨時の異動を相当私就任以来いたしたのでありますが、なお、課長あるいは課長補佐、こういうところの担当者があまりに長きにわたるということになりますと、とかく外部からつけ入られるすきもあります。一面においては、長くおることによって非常に
事務もたんのうになるという特典もあるのでありまするけれども、一面においては、あまり長くおりまするというと、そこへ外部からつけ入られるということもありますので、十六日付をもちまして、課長補佐、班長級の相当の異動を行なってきております。それからまた、昨年の暮れに、省内の課長等を集めまして話したのでありますが、こういう
農林省関係に、汚職とか、不正事件というものがとかく出ておって、世の非難を受けておりますけれども、それについては、特に粛正を希望すると同時に、外部の
業者においての誘惑も相当あるわけであります。でありますので、こういう汚職に
関係したととろの
業者等につきましては、
農林省への出入りを禁止する、
関係を絶つ、こういうことにするからということも申し渡しておるのであります。そういうふうに外部からの誘惑等につきましての点を遮断いたしますと同時に、内部におきましても、あまりに長きにわたって
一つのポストにいるということによって、それにつけ入られるというすきを与えないようにしたい、こういうようなことで、人事面の点におきましても、
局長ばかりでなく、下の方にも刷新をいたしたわけであります。
なお、事件に
関係いたしました者につきましては、この前の当
委員会におきましても申し上げました
通り、それぞれ今はポストを離れておっても、上の方まで行政措置をとりまして、これを処分といいますか、処分いたしておるわけであります。なお、こまかい点になりますが、会計、
経理等につきましては、農業土木技術者に対する技術研修あるいは自主的監査制度の整備、こういう措置によりまして不正の工事等がなくなるように措置をとっております。また、代行事業の計画及び進行検査の厳正化、こういうことも励行いたしておるわけであります。
なお、公共補助事業等につきましては、新規災害に対する実施の査定を厳重にいたしております。それからまた過年度災害でありますが、過年度災害におきましては、その後事情の変化等によりまして災害当時の査定と相当違っておるような事態の発見もあり得るのでありますので、過年度災害に対しましては再査定の実施をいたしまして、極力事業費の適正を期し、国の損害の防止に努めておるようなわけであります。また災害復旧事業の適正実施に対しましても指導、監督を厳重にいたしております。
それから御指摘、御警告を受けております食糧管理
特別会計制度の改善につきましては、このたび食糧管理
特別会計の
勘定区分をきめまして、
国内米の
勘定、
国内麦の
勘定、
輸入食糧の
勘定、農産物安定の
勘定、
業務勘定、それに
調整勘定というふうに六
勘定に分けまして、従来のようにとかくどんぶり
勘定だというようなことで
損益の明確を欠いたり、彼此流用するというようなことで、
内容が不明確だという御指摘に対しましてこたえていきたいということで、こういう
勘定区
分等を明らかにして発足するということにいたしておるわけであります。
農業共済再保険につきましても御警告を受けておるのでありまするが、これにつきましては、制度の抜本的改善をいたしたいということで、過ぐる第二十六国会におきまして、農業災害補償法の一部を改正する
法律の成立を見、本年度からこれが実施をいたしておるのでありますので、この
法律の趣旨にものっとって、この農業共済再保険制度についていろいろな御指摘を受けておりますることをなくしていくようなことに極力努めておるわけであります。
また
事務費負担金の不正事件等につきましても、官庁
事務の粛正、刷新に基いて不正行為等の出ないように巌重に措置を進めておるわけであります。
以上御警告に基きまして、私どもといたしましてもそれぞれの措置を講じておるのでありますけれども、とかく農林、水産
関係においては、汚職が多いのじゃないかという非難も世間からも受けておるのでありますので、私どもといたしましても、こういうことがないように、私初め内部におきましても一体となりまして、再び警告を受けるようなことがないように極力自粛をいたすと同時に、監督を厳重にいたしておるような次第でありますので、御了承をお願いいたしたいと存じます。
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