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1958-03-20 第28回国会 参議院 議院運営委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十日(木曜日)    午後一時二十五分開会     —————————————   委員の異動 本日委員阿部竹松辞任につき、その 補欠として大河原一次君を議長におい て指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     安井  謙君    理事            佐野  廣君            小酒井義男君            小林 孝平君            島村 軍次君    委員            江藤  智君            大沢 雄一君            柴田  栄君            中野 文門君            仲原 善一君            西田 信一君            前田佳都男君            大河原一次君            北村  暢君            柴谷  要君            椿  繁夫君            光村 甚助君            横川 正市君            杉山 昌作君         —————    議     長 松野 鶴平君    副  議  長 寺尾  豊君         —————   国務大臣    労 働 大 臣 石田 博英君   政府委員    内閣官房長官  愛知 揆一君   事務局側    事 務 総 長 河野 義克君    参     事    (事務次長)  宮坂 完孝君    参     事    (委員部長)  渡辺  猛君    参     事    (記録部長)  岸田  実君    参     事    (警務部長)  佐藤 忠雄君   法制局側    法 制 局 長 斎藤 朔郎君     —————————————   本日の会議に付した案件裁判官訴追委員会事務局職員辞任  に関する件 ○議院運営に関する件 ○国際労働条約第八十七号批准に関す  る決議案委員会審査省略要求に関  する件     —————————————
  2. 安井謙

    委員長安井謙君) 議院運営委員会を開きます。  裁判官訴追委員会事務局職員辞任に関する件を議題にいたします。  事務総長から説明申し上げます。
  3. 河野義克

    事務総長河野義克君) 昨十九日、裁判官訴追委員会委員長古島義英君より、本院議長及び議院運営委員長に対しまして、同委員会事務局長野間繁君及び総務課長川崎弥三郎君がそれぞれ一身上の都合により退職いたしたいという申し出でがあったので、しかるべくお取り計らいをお願いしたいという趣旨の文書をよこしてこられました。訴追委員会事務局職員の任免は、委員長衆参両院議院運営委員会承認議長の同意を得て行うことになっておりますので、今申し上げました訴追委員会事務局長野間繁君及び総務課長川崎弥三郎君の退職について、本委員会の御承認をお願いするわけであります。  右、お取り計らいをお願いいたします。
  4. 安井謙

    委員長安井謙君) 本件を承認することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 安井謙

    委員長安井謙君) 御異議ないものと認めて、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 小林孝平

    小林孝平君 ちょっと本会議の問題につきまして官房長官お尋ねしたいと思います。  松野議長が、国会運営正常化ということを強く念願されておりまして、われわれといたしましても、これに御協力いたしまして、この議長国会運営正常化ということを、ぜひあらゆる方面において実現をいたしたい、こういうふうに考えまして、いろいろの面がありますけれども、まず手っとり早く、そうして、どうしてもやらなければならないことの一つには、本会議をなるべく定刻に開くという問題があるだろうと、われわれは考えまして、臨時国会以来、安井委員長と御協力いたしまして、できるだけ本会議定刻に開くようにいたしたわけであります。もっとも、これは国会の末期の、議案が輻湊したり、いろいろの問題がありまして、定刻に開かれないことがあることは当然でありますが、平時において、毎日、公報に十時に開会をするとなっておるものを非常におくらすということは、問題だろうと思うのであります。そこで、私は本来なら、十時に開かれないものなら、十時二十分に開くとか、あるいは十時三十分からやるというようにやったらどうかというような意見を申し上げたことがありますが、いろいろの慣例上、それも困難であるということでありますから、われわれは非常に困難を忍んで、議運理事会議院運営委員会等で、この十時開会に合せて、無理をして十時に開会ができるようにやってきておるのです。しかるに、政府の一方的の都合で、総理以下の出席がなかったために、しばしば本会議定刻に開かれておらぬわけです。昨日のごときは、四十分も総理出席のないためにおくれているわけです。わが党といたしましては、いろいろ重要な議題議員総会にかけておったのでありますけれども、ただいまから本会議が開かれるというので、これらをみんなやめまして、本会議場に入る準備をしておるのに、いつになっても、総理がこないために本会議が開かれない、こういうわけであります。そこで、普通の社会では人と約束をして、この時間が守られなければ、何らかあいさつがあってしかるべきでしょう。しかるに、四十分も定刻からおくれて一言のあいさつもないというのは、これは一体どういうつもりであるか、万事こういうつもりで国会運営をやられるのかどうか。それから特に申し上げたいのは、岸首相は、議事促進を強く念願しておられると、しばしば言われておるけれども、こういう例から見ても、どうも本心とは受け取れませんから、今後は、議事促進を希望していないものと考えて、われわれはこの本会議開会並びにその他国会運営促進をする必要がないという考え方に立って行動をしたいと考えておりますが、官房長官は一体どういうふうに考えておられるか。
  7. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) おしかりを受けまして、まことに申しわけない次第でございます。政府側といたしましては、国会の御審議について、特に時間につきましては、従来も大いに努力をして参ったつもりなんでありますが、昨日のごとく非常にお待たせをいたしましたことについては、まことに申しわけがございません。深甚の遺憾の意を表する次第でございます。何とぞ今後におきまして、御趣旨に十分沿うように一そう努力をいたしますから、よろしくお願いをいたしたいと思います。
  8. 安井謙

    委員長安井謙君) お聞きの通りでございますので、委員長からも、そういう点は政府の反省を促すことといたしまして、御了承をお願いいたします。     —————————————
  9. 安井謙

    委員長安井謙君) 次に、決議案委員会審査省略要求に関する件を議題にいたします。  事務総長から報告をさせます。
  10. 河野義克

    事務総長河野義克君) 昨十九日、藤田藤太郎君ほか六名から、国際労働条約第八十七号批准に関する決議案発議せられました。なお、発議者全員から、同議案委員会審査を省略せられたいという要求が出されておりますことを御報告申し上げます。
  11. 小酒井義男

    小酒井義男君 今、事務総長から報告があったのですが、きょうの議運で問題にしていただきたいことは、この審査を省略するか、しないかという問題ではないわけです。政府が院の決議をどのように受け取って、これを処理するかという政府考え方をただしたいという趣旨でありますから、その点を誤解をされぬようにしていただきたい。  もう一点は、きょうの委員会には、岸総理出席要求してあったのです。委員長は、この出席について努力をすると言っておられたのですが、出席をしておられませんが、これについて委員長から何か報告があってしかるべきだと思います。
  12. 安井謙

    委員長安井謙君) 委員長から申し上げます。実は昨日、この決議案審査省略要求が、午前の理事会におきまして、社会党側から提出をされる予定だというお話がありました。そこで、午後の理事会で、これをお諮りしようということで相談をいたした結果、今、小酒井理事の言われました通り、この決議案には前提条件がある。昭和二十七年に、本院としてきめた決議があるのだし、それとの関連において種々のものを検討したいから、さしあたり、総理労働大臣官房長官出席を希望するという御意見がございました。私どもいろいろ相談をいたしましたが、総理は、昨日急な話ではございましたし、本日、午後一時から衆議院の方で本会議をやる予定になっておりますし、その他の都合もございまして、どうしてもこの時間に、この席には間に合わないから御了承願いたい。なお、昨日、衆議院の方にも出席をしたそうでありますが、衆議院の方にしました理由は、主として解散に対する総理の決意、意向を話すということが主体になっております。この案件自体関連しての出席では、衆議院においてもなかったように伺っております。そこで、きのう理事会お話通り、私ども種々努力をいたしましたが、右のような事情で、どうしても都合がつかないというようなことがありますので、一つこの点まげて御了承願いたいと思います。
  13. 小酒井義男

    小酒井義男君 一応、本日の場合は、官房長官、あるいはこれに関連して労働大臣からお答えを願うことにいたしたいと存じますが、その結果によっては、次の機会出席要求することになるかもわかりませんから、この点は、一つお含みを願いたいと思います。
  14. 安井謙

    委員長安井謙君) これは事の成り行き次第ということで一つ
  15. 小酒井義男

    小酒井義男君 ところで、まず官房長官お尋ねをしたいのですが、参議院の本会議においてなされたところの決議というものを、政府はどのように受け取って処理をしようという方針でおられるのかということなんです。もう少し具体的に言いますと、たとえば本院において二回例がありますが、原水爆禁止決議というものが出されたわけです。これは国連の方へ持ち出して、院の決議具体化そうということをやっておられる。が、その方法については、われわれは政府のやっている方針というものを、いい方向ではないというふうに思っているのですが、しかし手段として、政府はあの方がいいのだという見解の相違のある場合があると思うのです。また、われわれの考えていると同じ方針でやられても、相手のあることですから、国際関係のことは、それが直ちに実現できるということは、場合によっては不可能なことも考えられる。しかし、事、国内に関する問題であれば、これはもう政府誠意さえあれば、すぐ決議趣旨というものを具体化すことは不可能ではないと思うのです。実は先ほども委員長から報告がありましたように、藤田藤太郎君ほか六名の発議による国際労働条約第八十七号批准に関する決議案というのが理事会の方で諮られて、いろいろ調べて見ますと、この件については、すでに六年近くも前に参議院において決議をされているのです。参考までにその当時の決議内容を読み上げますが、これは中村正雄君ほか十一名の発議によって、第十三回国会昭和二十七年六月十八日に可決をされておる。    国際労働条約批准促進に関する決議   わが国は、さきに再び国際労働機関に加盟した。   しかるに同機関において採択されている国際労働条約の中には、わが国において未だ批准していないものが少くない。これら条約の早急な批准は、わが国国際信用を高め、貿易の発展を促進し、経済の基盤を強化し、円滑な労資関係を維持することに貢献するものである。   よって政府は、速やかにこれら国際労働条約批准手続を執るべきである。   右決議する。  こういう内容のものが、もうことしの六月がくると六年になる、こういうものをやられているのですが、これなども、国際的な関連は持つものではありますが、日本政府誠意いかんによって行い得る内容のものだと思うのです。これが今まで六年近くも、決議はされたが、はうってある。一部の批准はなされておりますが、重要な大部分というものの批准がなされておらない。そういうところに、再び今回のような決議案が出てきた原因があると思うのです。そういう点について、政府は一体どう考えて決議を扱っているのか、その点をまずお尋ねしたい。
  16. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) 参議院の本会議におかれまして、もちろんでございますが、御決議のありましたことにつきましては、政府としては、誠意を尽してその御趣旨に従うようにいたすべきは申すまでもないことであると存じます。第一のお尋ねに対しまして、政府態度というものを明らかにいたしておきたいと思います。  それからその次に、ただいま国際労働条約批准促進に関する決議、これは昭和二十七年六月十八日に可決されているものでございますが、政府といたしましては、国際労働機関において採択されておりまする国際労働条約のうちで、まだ批准していないものについては、できるだけ促進をするようにという、この御決議は御趣旨であると拝承いたしておるわけでございます。従って、この御決議に対しましても、できる限り誠意を尽くしてやって参りたいと思っておるわけでございます。  次に、ILO精神ということとこれはつながっておると思いまするが、その精神が、労働条件を改善することによって社会正義と平和の理想を実現することにある。この精神につきましても、われわれは同感を表しておるわけでございます。ただ、政府といたしましては、わが国特殊事情を考慮しつつ、国際労働条約等に表現されておるILO精神を尊重するということで、従来も努力をいたしておったつもりでございますが、原則論として、今後におきましても、さような線に従って国際協力の実をあげて行きたい、こういうふうに考えておるわけでございます。なお、御承知通りILO加盟国七十九の条約批准数につきましては、日本は二十四の批准をいたしておるのでございます。世界全国の昨年末現在の平均は二十二件になっておりまするので、この批准ということの促進につきましても、相当の私どもとしては努力をいたしておるつもりでございます。
  17. 小酒井義男

    小酒井義男君 この批准のおくれておる当面の所管大臣として、労働大臣に、批准のおくれておるものを一体どういうふうにせられる心がまえか、お尋ねします。
  18. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これは私の就任以前のことでありまするが、この二十七年の御決議がありましてから私が就任するまでに、十件ばかりであったと思うのでありまするが、批准いたしております。残っておりまするもので、わが国関係がございまするのが五十件ございます。総数は百七件でありまして、批准したものが二十四件、そのほか、あるいは撤回されたり、あるいはわが国関係がすでにないもの、たとえば植民地に関すること等を除きますと、残るものが五十件ございます。その中で、労働省の所管に属するものが三十二件、他は厚生省及び運輸省に属するものであります。これは主として海員関係のものでございますから、広い意味におきましては労働問題と言えると思うわけでございます。これについて、私は就任早々、特に問題となっておりまする最低賃金に関する条約及び団結の自由に関するいわゆる八十七条約、これはいつまでも放置すべきものでないと考えまして、前者につきましては、労働問題懇談会——どもの役所に、閣議の決定に基いて、労使、公益、三者によって構成されておる懇談会がございまするが、この労働問題懇談会が、私の就任以前に、中央賃金審議会付議をして、そうして政府態度決定するようにと、法案を提出し、最低賃金制を実施するようにということでございましたので、私、就任早々中央賃金審議会付議をいたしました。結論を得て、ただいま御承知のごとく法律案として、国会に提出しておるわけであります。従って、これに関する条約は、この最低賃金法が成立いたしますると批准手続きをとるつもりでございます。一方、八十七号条約につきましては、これもまたいろいろの御議論はございますけれども、しかし放置すべきでないと考えましたので、昨年九月、同じく労働問題懇談会付議をいたしまして、労働問題懇談会におきましては、両三回にわたりまして、総括的な議論を行いました後、本年の二月に至りまして、小委員会を設け、その小委員会におきまして、わが国国内法との関係その他について専門的研究を行うことになりました。毎月二回、会合を開くことを決定をいたしまして、すでに二回開いて、来たる四月一日、第三回目が開かれることになっておるわけであります。政府は、でき得る限りこの懇談会の御結論を早く出していただくことを希望いたしまするとともに、関係国内法との関連につきましても検討をいたしておる次第でございます。それから、その他の条約決議等につきましては、ただいま、これは衆議院社会党の方からでございますが、御希望、御意見等もございましたので、政府は適当な機関を設け、その機関におきまして、この未批准条約決議等のうち、なし得るものは、すみやかに批准をし、困難なものについては、その事情の解決に努めるということにいたしたい。こういうふうに考えておる次第でございます。
  19. 椿繁夫

    椿繁夫君 労働大臣の御説明によりますと、八十七号の批准準備のために、小委員会を設けて、国内法との調整を中心に、月二回程度の会合を開いて促進しているということでありますが、私は戦後、わが国がどの国際機関復帰にも先だって、一九五二年でありましたか、わが国復帰を許されました際の最初の代表団の一人としてILOに実は参加したのであります。で、その際、労働大臣はたしか吉武さんであったと思います。それから政府代表は、本院の同僚議員である寺本広作君、労働代表が同じく本院の議員岡三郎君、経営者代表足立正君であったのですが、そのときに私は、せっかく労働代表顧問としてジュネーヴに使いをするわけですが、日本政府が一九一七年以後、このILOで百件以上の条約案というものが採択されておるが、現在のような批准状況では、これは国際会議に参りましても日本代表として責任のある発言ができないように思うのだが、労働大臣は一体どういうお考えですかということを、私はその受諾をするに先だって、労働大臣の当時意向を確かめたのであります。吉武さんは、現在の日本労働法全般から見ると、ILO批准された条約などは大部分これは批准してしかるべきものだと思う。ただ、国内法との関係をどういうふうに調整するかということの整理の問題が残るだけでありますし、吉田内閣としても、これは国際信用を高めるために、どうしても批准をこれは促進しなければならぬと思っておりますから、一つ、たんかを切って帰ってもらいたい。大丈夫あなた方代表団皆さんが発言されたことを裏書きしないようなことは、政府としてとりませんからというお話であったのであります。ちょうど今同じようなことを、六年経過した今日、石田さんから聞くわけなんです。六年前の労働大臣も、同じようなことを、実は当時、出発に先だって私にお話しになったのであります。こういうことでは、私はILO条約に対する日本政府の熱意というものが相も変らぬ状態であるということを、国際的にこれは印象づけるだけだと、こういう気がいたします。ですから当時の労働相も同じような表現をなすったんですが、石田労働大臣は、一体今ここに出ております八十七号の批准は、いつごろ国内法との調整手続が済んで、国会批准される心づもりでおられるのか、たまたま同じような御意見を聞くものですから、私この機会に確かめたいと思うのであります。
  20. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私の前の時代のことを、これは政府は継続して責任を持つものでありますから、責任を持たぬということを申し上げるわけではございませんが、これはいろいろ議論がございましたろうと思います。私はしかし、先ほど御説明申し上げました通り就任早々、こういうことをそのまま放置することはいけないと思いましたから、先ほど御説明申し上げましたような手続をとって準備を進めておるわけでございます。  そこで、八十七号条約の問題でございますが、これは御承知のごとく、まずそれぞれの立場によってなかなか意見が一致いたしません。それからもう一つは、日本国内法が現在これと抵触するものが相当あるわけであります。抵触するというよりは、抵触するのではないかという疑いを持たせるものがあるわけでございます。そこで、その国内法との調整をどうするか、またその国内法が制定せられましたときには、制定するに至った背景条件があり、その国内法を必要とする事情もあったわけでございます。そこで、その背景条件なり、必要とする事情がその後どういうふうになる、またどういうふうになり得るだろうかという、そういう点の調整と申しますか、それも必要になるわけでありまして、そのために私はそれぞれ立場の違う三者の代表と申しますか、正式の代表ではございませんけれども、まず代表的立場に立っておられる人によって構成されておりまする労働問題懇談会で、十分その間の御議論をし尽していただくということがまず必要であると、こう考えて、今それをやっていただいておるわけでございます。そこで、それではいつごろ批准をする見込みかと、こういう御質問でございますが、問題は、ただいま申しましたように、きわめて簡単に片づく問題ではなく、その間の意見相違にはそれぞれ深い背景があるわけであります。それで、会長が中山伊知郎氏でございますが、中山伊知郎氏は、その意見の取りまとめに非常な努力をしていただいてておるわけでありまして、小委員長には前田多門氏に御就任いただきまして、これも非常に努力をしていただいておるわけであります。私は私個人としての意見は持っておるわけでございますが、こういう政府で委嘱をいたしました機関で御協議を申し上げておりますときに、私が今その時期を明確に、あるいは明確でなくとも、申し上げたり、あるいはその方向を私が意見として申し上げたりすることは、せっかく御審議を願っておる人々に非礼にもあたると思いますより、私といたしましては、でき得る限りすみやかに結論を、しかもまとめていただくことを期待をいたしておる次第であります。
  21. 椿繁夫

    椿繁夫君 お話によりますと、ILO加盟各国平均批准件数が二十二件だから、わが国はそれを上回ってるんだから、そうあまり恥かしいことはないというような立場のようですが、件数は少うございましても、その国の団結権なり、結社の自由の権利というようなものを尊重するか、しないかという基本的な条約というものは、同じ一件でありましても、非常に重要な内容を持つものであると私は思います。試みに今ずっと加盟各国批准状況を見ますと、日本で行われておりますのは二十四件、ただいまお話になりましたように、それ以上三十あるいは六十というふうに批准をいたしております国が三十カ国ございます。それから五十件以上批准しております国だけでも九カ国をこえております。しかもその批准をいたしております条約案内容を見ますと、実に基本的な重要な条約各国において採択されておるように見受けるあります。そういう内容等を検討しながら、その批准案件をすっと見て参りますると、日本の今日までの批准状況というものは、まことにこれは恥かしい状態にあると言わなければなりません。こういうILOなどにおける条約案批准、しかも実質的なものを批准するか、しないかということは、私は単に労働行政のみの影響ではないと思います。わが国の国際的な地位、使用を高める上からも、また貿易を振興して行かなければならぬ経済的な必要の上からも、非常に重大な関係を持つものでありますから、特に今回、藤田藤太郎君外から提案されております決議案は、これはひとり社会党だけで出すというのではなくて、話がまとまれば、皆さんの方とも一つ相談をして、昭和二十七年に行われましたような決議をしてもらうことが私はいいと思っておるのでありますが、国際信用を高め、貿易の障害になっておる、こういう状況にあると私は思うのでありますが、官房長官なり、労働大臣は、ILO条約批准がおくれておることのために、チープ・レーバーである、あるいはそれが原因となってソーシャル・ダンピングが世界の市場に行われておるんだという、数数の国際的な外交等におきまして、日本政府に対する批判が行われておることを、十分、勉強家のお二人でありますから、御存じのはずであります。そういう問題を、世界の誤解を解くためにも進んでやる必要があると私は思うのでありますが、これに対する政府の所見を聞きたいと思います。
  22. 安井謙

    委員長安井謙君) 石田官房長官…(笑声)
  23. 石田博英

    国務大臣石田博英君) ただいまの御質問に対して、せっかく委員長お話ですから、両方代表してお答えいたします。  まず第一の、批准した件数をもって云々するということは、私はその件数の数だけをもって、それで十分だとかいうようなふうには考えておりません。官房長官の御説明も全く無視しているのじゃないかという議論に対する対抗として、消極的抵抗の基礎としてはなり得ると思いますが、積極的にての件数の数だけをもって、これでILO条約なり、憲章の精神を生かして、いるんだということにはならないし、そういうつもりで申し上げたわけでもございません。従って、でき得る限りすみやかに批准手続をすべきもの、これは先ほどから申し上げます通り、私は就任以来、そういう方向努力をいたしておるつもりでございます。ただ、その条約の中に、実質的にはいずれが進んでいるものか、これは議論もございますが、法律の立て方によって、たとえば労働時間についての条約のごときも、わが国の基準法の立て方、法律の立て方の偉いによって、その批准のできてないものがございます。それからその国の特殊性によって批准のできないものもあります。たとえば植民地等に関する条約のごときは、わが国のごときは批准しようにもしようがない、そういう意味から申しましても、数だけではいけないということは、椿さんの御意見通りでございます。しかし全体として、多くの批准をするように努力しなければならぬというように考えております。それからILO条約に多く批准をし、労働条件をそれに近づけて行くということは、わが国国際信用を高め、ひいては貿易の振興に役立つとも考えておるわけでございます。従って、先ほど来申し上げております通り、そういう方向に向けての努力を惜しむものではございません。
  24. 安井謙

    委員長安井謙君) 愛知官房長官のお答えございますか。
  25. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) ただいま労働大臣からお答え申し上げました通りに思っております。
  26. 椿繁夫

    椿繁夫君 一九五五年にガットに加盟いたします際にも、三分の二の賛成が得られないので、日本代表は大へん御苦労をなすったんでありますが、そのときでも、やっぱり問題になりましたのは、日本の低賃金ということであったそうでございます。去年の七月、夏ごろでございましたか、例のアメリカの市場で金属洋食器の輸入の排斥問題が起りました際にも、このわずか五年ほどの間に、アメリカの市場の五割を、金属食器というものが日本の製品に蚕食されておる。よく調べて見たら、アメリカの価格の七分の一でアメリカの市場に輸入されておるというようなことで、あの排斥の問題が起ったことは、政府はとくと御存じでございます。こういう国際的な批判の対象になっておるわけでありますから、こういう障害を除去いたしまするためには、私はどうしてもILO条約のごときを進んで批准をし、その手続を進め、そうして国際的なこういう誤解と言いますか、あるいは正解かもわかりませんが、認識を改善していく道を、これは政府国会努力をしなければならぬと思うのであります。それについては、相も変らず国内法との関係調整ということで一歩も出ないのでありますが、まことに遺憾に存じます。大正の八年、九年ごろに、労働大臣は大へん勉強家であられますから御存じだと思いますが、国際連盟の労働総会に代表を送ったところで、日本政府及び当時の日本の資本家の考えでは、こういう国際会議条約案が採択されても批准するためしはないから、こういうものを排斥しよう、代表を送るべきではないというような、労働階級の間に執拗な国際労働総会への代表派遣反対の運動さえも実は起ったのであります。わが国批准状況が三十九年たった今日、二十四件ございますというようなことでは、私はまた大正の八年、九年ころのような考えが労働階級の間に起ってきては、これは大へんだと心配するのであります。ところが、この批准状況では、そういう声が起ってきてもやむを得ないような状況にあると考えざるを得ません。労働大臣はそういう心配はないというふうにお考えでございましょうか。
  27. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 大正の中ごろから昭和の初めにかけまして、わが国貿易がいわゆるソーシャル・ダンピングであるという非難を受け、その当時の経営者側あるいは政府もそうであったかもしれませんが、一般的にチープ・レーバーに対する認識が足りなかった実情は私も承知いたしております。ただいま椿さんのお話しをそのまま受ける議論ではございませんが、私はいろいろの点を勘案いたしまして、ILO条約は、でき得る限り批准をすべきものだと、こう考えておるわけであります。ただ、先ほど申しましたように、法律の立て方が違っておったり、あるいは国内法に相当深い根拠があったりいたしました場合は、これはその国内法の根拠、あるいはその他の調整を必要とする、これはやはりわが国の自主性の上から判断をすべきものである、だが、一般的にでき得る限りILO条約批准をいたす、このことは国際信用を高めるゆえんだと考えておるわけであります。
  28. 横川正市

    ○横川正市君 ちょっと各項目ごとになるのでありますが、日本条約の九十八号の団結権団交権のいわゆる不当労働行為に関する条約に対しては批准をいたしておるわけでありますが、これと密接不可分な結社の自由と団結権の問題が、今もってこの批准をされておらない、こういうことから今度の藤田君以下の決議案になって現われたので、私どもこの委員会に強く期待するところは、二十七年の六月の十七日に提案されて十八日に議決されました決議案の提案者をちょっと調べてみると、現在の閣僚に入っておられる方も名前を連ねて、この批准促進について署名をされておるわけなんであります。ですから、そういうそのいろいろないきさつはどうあろうとも、問題は、やはりこの促進決議案というのは社会党の六人の人が発議者になって、賛成者が本院社会党員全体であるという形から変えて、二十七年の六月に出された案と同じように、これは国会の議決として全会一致を私たちは望みたい、こういうふうに思うわけであります。そういう建前から、今まで実は石田労働大臣国会答弁等も私いろいろ調べて見たのでありますが、言葉の上ではきわめて尊重されて、諸条件を満たして、そうして条約や勧告については、少くとも立法的にも行政的にもこれを認めて、あるいは社会環境上からも、これを引き上げて行くようにしたいのだということを言われておるわけであります。その趣旨に従って私どもがこの決議案を取り扱ってもらえるならば、私はこれは、促進決議案というものは全会一致でまとまるものだというふうに思うわけなんでありますが、それがまとまらない、そこに問題があるのでありまして、先ほどの労働大臣の言を借りますと、たとえば労働問題懇談会という第三者的な立場に立って見る人たちの意見を聞くために、政府としては、一切これにはあまりくちばしを入れたくないのだということを言っておられますが、私は逆に、石田労働大臣の個人的な意見であっても、若い閣僚として新しいセンスをもって、はっきりとしたこれに対する意見というものを期待し、また表明してもらいたいものだというふうに思っておるわけなんです。そういう労働大臣の言明があるにもかかわらず、二月の十四日の中西労働次官の意見を見ますと、抽象論としては条約批准は望ましいけれども国内法との関係、世論を無視するわけにいかない。それから、政府としては直ちに批准するわけにいかないという明確な態度を出しているわけです。これは労働大臣意見を言っておらないのだから、労働次官が意見を言ったということについて、あえてそれは責任をとるとか、とらないとか、そういうことで問題を処理するのではなしに、大臣としては意見を言っていないが、事務当局は、やっぱりはっきりと意見を言っているわけです。片一方、飼手さんはILOに行ってどういうことを言っているかというと、昨年の六月の十四日、政府代表としての飼手さんは、この六月の十四日に、政府としては労使と協議をして、そうしてできるだけ早い機会にこれを批准するように持って行きたいのだということを言っておる。それから八月の二十日の日の労働次官名による回答には、これは労働大臣の言明もあるのでありますが、これでも、このことについては明確な回答をいたしております。それから九月の十八日にも、やはりこれは労働問題の諮問委員会にかけて、そしてできるだけすみやかに回答したいのだというように、日を追って見ますと、政府態度というのは、いわば労働大臣がこの前の衆議院会合で言われましたような、一貫した表面上の意見というものがあるわけですね。私はそれと、関連をして、実は労働大臣の言っておりまするいわゆる諸条件を満たして、そしてその諸条件が満たされたら、これを批准するのだというふうに言われておりますが、一体この諸条件というのは何なんであるかというふうに考えてみますと、たとえば、この問題の中で一番むずかしいのは、やはり何といっても国内法の中の、ことに公労法、あるいは国家公務員法の中に、公労法で言えば四条三項の問題で、これを持っておるということは、いわばこの八十七号と抵触をする。その場合に、労働大臣としてはこの公労法の四条三項を改正するという建前に立って、以前に私の方に説明されたような政府意見、いわゆる労働大臣国会答弁、こういうものがあって、まあ言われておるのか、それとも四条三項とか、それから地方公営企業労働関係法で言えば五条の三項ですか、これの改正というものはしないのだと、こういう建前に立って、事実上はこれを批准しないのだということにつながる。そういう態度をとりながら、ただ国会答弁や、あるいはILOに対する政府代表の答弁というものは、きわめて儀礼的に社交的な体面を保つにとどまるような、そういう態度で答えを出しておられる。この点が、私はこれを全会一致に持って行くためには、きわめて重要な問題だと思うので、これをお聞きしたい。
  29. 石田博英

    国務大臣石田博英君) ILO条約の九十八号を批准して、そして八十七号の批准をおくらせているという意味がまず第一の問題だと思いますが、それは九十八号の場合は公務員が除外されております。従ってわが国国内法と抵触をしないわけでございます。  それから問題の第二点は、国内法を変える意思が全然なくて、そうしてないために八十七号条約について言を左右にして、社交的な言葉だけ言ってやっているのじゃないか、こういうまあ御質問でございますが、私は八十七号条約というものを別にいたしましても、国内法について検討をすべき問題がいろいろあると思っております。あると思っておりますけれども、その国内法、公労法なり国家及び地方公務員法が現在のごとく制定をせられましたのには、それはそのときの事情があり、背景があり、その必要性があって、国会でそういう法律が成立いたしました。その事情なり、背景なりというものが、今日、世論の上にどういうふうに移り変ったものと考えられているかということが一つの問題でございます。それからそのとき、その国内法を必要とした条件が今解消されているかどうか、これは立場によって非常に違うだろうと思います。私といたしましては、昭和二十七年から今日までの間、労働組合運動というものは次第に健全化の道をたどり、公共の利益を侵さずして組合員の生活の向上に努めて行こうという、大きな流れとしては、そういう方向に行っているものと私は認識いたします。しかしながら、ときどきそうでないように世論に映るような行為ができ上ることも、これは事実でございます。そういうものに対して、それぞれの立場によって意見が非常に違うわけでございます。私は願わくば、労使双方ともそういう実情を改める方向、あるいは実情に対する認識を統一する方向、これが相待って行くことによって、一には国内法上における議論のある点を解決もしたいし、あるいはILO条約批准促進にも資したい、こういう考え方を持っているわけでありまして、政府がそれでは今の段階で八十七号条約にどう動くか、現在この段階におきましては、まだその調整がつかない状態にある、こう私は考えておるわけでありまして、しかし、調整をつけるべく労使双方とも努力をすべきものだ、あるいはお互いに反省すべきは反省すべきものだと、こう考えておるわけであります。決して言葉を設けて問題を遷延しようとしているのではなくして、労使双方の努力によって障害を取り除いて行きたい、こら考えておるわけであります。
  30. 横川正市

    ○横川正市君 二十七年の六月の決議案が出されましたときに、ちょうど私はILO日本の協会の理事で実は出たわけですが、その当時、この決議案にきわめて明確に反対をして、日経連が日本ILOから脱退いたしまして、そして国際局を日経連の中に設けて、資本家としての国際的な分野というものを作り、そういうILOを通じない機関にゆだねてしまったという例があって、そのあと各組織された労働者は、このILOの国際場裏における論議というものが、日本のおくれた労働問題に対して、きわめて有効な立場を確保してくれるものというふうに強く支持をして、そうして乏しい財政の中から当時のILO運営に対する非常に多額な資金の捻出をはかって、協会維持をはかったという事例があるわけであります。私は今、労働大臣努力されている方向で、諸条件を満たすのに一番困難をされているということになれば、日本の経営者団体あるいは経団連の方々のものの考え方、即そのことが一番これを批准するのに困難を来たしているのではないかというふうに私は思うのでありますが、まずその点が一つであります。  それからもう一つは、正常な労働運動というので、ここで論議をしてみても始まらない問題でありますが、やはり土俵というものが正しく作られて、その土俵の上でいろいろ論議をするときには、きわめてむずかしい問題でも、ある程度スムースに行くのだということで、私どもは第三者の介入を非常に強く要望しまして、それをまた尊重もして、おそらく日本労働運動というものの成長段階では、たとえば極左主義との戦いをやるとか、あるいは国内労働組合なんかの民主化闘争をして今日になっているわけなんであります。それでも、なおかつ労働大臣の目から見ると、行き過ぎがあるしというよりほか自分の立場を譲らないで、相手側の行為だけを見ているようなきらいが、私は労働問題の現状における判断の基準になっておらないか、そういうような点から、一方、政府としても反省するところがあるならば、たとえば第三者機関に持ち込んだということならば、このILOというくらい国際的な策三者機関はないのでありますから、そういうところできめられたものを、一方、政府としてもそんたくし、日本の組合運動の正常化をはかるためにも、相当犠牲を払って、これらのものを早期に批准し、労使間の紛争ないしは政府がこれらをいろいろサービス省としての努力をする手間をはぶいていくと、こういう面からの努力があってしかるべきだと思うのですが、その点について労働大臣はどうお考えになっておりますか、その二点をお伺いしたいと思います。
  31. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 第一点のお尋ねでございますが、決して日経連だけではございません。これは認識の議論になりますが、立場によって違うわけで、私はでき得る限り公平な立場を持して行きたいと、みずから心がけておりますけれども、あなた方から見ればそうでないかもしれない。従って議論はしたくございません。私の判断では、日経連だけではなくして、やはりまだ国民の、いわゆる第三者の多くの人々の中で不安を持っておる人がまだあるということ、これは私は私の第三者的な立場からそう考えるわけでございます。  それから土俵の問題、労働問題を正常化するその土俵の問題でございまするが、これはやはり私はその土俵というのは、いろいろ議論もございましょうけれども、今の現行法規というものが一応きめれらておる土俵、その土俵が不適当であるということならば、その土俵を作っている法規の改正を行なって後、新たな土俵を使用すべきでありまして、現在やっぱり議会民主制下におきましては、現在できております土俵とその規則というものを守って行く。そうでないと、百パーセント完全なものは、いつになってもできないのでありますから、その不完全な部分だけを取り上げて、不完全であるから、こんな土俵で相撲がとれるかということは、これはどうも問題が解決しない。私はその両方がお互いに反省し合って行く、政府ももとより、今までの行政が全部間違いがなかったということを申し上げているわけではございませんで、私は私なりに、御不満ではございましょうけれども就任以来、積極的に正すべきは正して参っておるつもりでございます。  それから大へん申しかねますが、衆議院出席時間が参りまして、先ほどから催促を受けておりますので、この辺で一つごかんべんを願いたいと思いますが、委員長、いかがですか。
  32. 安井謙

    委員長安井謙君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  33. 安井謙

    委員長安井謙君) 速記をつけて。
  34. 横川正市

    ○横川正市君 やりとりをしている立場が違う、あるいはものの考え方が違うというところから、平行線を行くような論議では、私はないのじゃないかというふうに感ずるのは、労働大臣が先ほどいろいろ答弁されている内容も、決して私どもはわからないわけではない。たとえば国家公務員法が制定された当時の登録制の問題等は、当時、私どもは採用して、組合の民主化、それから組織化のために、これは努力したという経験を持っておりますから、その時と場合によっては、あるいはそれは適法であったり、不適法であったりする場合があるということは認めるわけです。ただ、先ほどから論議されておるように、八十七号の問題について、経過年数は七年もたっておるし、これはあなたの関連する党で、ずっと連綿として、検討したい、検討したいということで今日に至っておるという、そういうことでありますから、それはあまり期間的に長過ぎないか。そこで、長過ぎないかというところへ、たまたま中西労働次官の意見というものがはっきり出された。これに対して、私は労働大臣として、もう少し期間的に明確にすることができるのではないかと思うのです。たとえば、労働問題懇談会の答申というものは何日ごろ出ますので、それはどういうふうにそんたくをいたしますというふうなことは、私は労働次官の言明が、あまりにもはっきりと労働省の意見として出されておりますので、それとは違った大臣の意思がたびたび出されておりますから、そういう意味合いでも、第三者というものをそんたくした意味では、期間というものは明確に出されるのではないか。それからもう一点は、八十七号の問題で、批准のできない最大の問題というものは、公労法と、それから国家公務員法の四条三項、五条三項が、これが批准のできない私は重要部門じゃないかと思う。これを政府としては一体改正するのか、しないのか、この態度を一体どういうふうにお持ちになっているのか、この点は労働大臣としても、私ははっきり言えるのではないかと思うのです。確かに公労法、国家公務員法は、制定当時には世界の情勢がそれを要請しておったのだというふうにお考えのようでございますけれども、その後、この改正については、国際的な討議の場所でも、国内的な討議の場所でも、また、あなた自身が相当やはりこの問題については、積極的に批准方向に向いているということでありますから、そういうことになれば、私はこの点でも明確なあなたの意見というものは聞けるのではないか、かように思うわけなんです。  そのほかいろいろあるわけですが、きょうはその点だけ御質問して、あとは次回に譲ります。
  35. 石田博英

    国務大臣石田博英君) お答え申し上げますが、一体、労働問題懇談会がいつごろどうなるかというお話し、中西次官の言明の問題であります。中西次官の言明は、現在の段階での話しだと思います。方向を言っているわけです。こう思います。それから同時に、私の方向というものは一言も申し上げておりませんのですから、その私の方向というものを、いろいろ御推察してお話しいただくことは、私は労働問題懇談会に対して非常に非礼にあたると思いますから、私は一言も申し上げていないということを申し上げておきたいと思います。それから労働問題懇談会は、政府側はオブザーバーとして出席をいたしまして、そうしていろいろ諮問に答えますけれども、会の運営は中山会長、それから小委員会前田多門氏が主催されております。午前中の社会労働委員会は、そういうことについては御両氏の方に意見を聞かれるということでございました。きまったか、きまらないか知りませんが、こういう話しでございました。従って私は、先ほどの御議論の中にも、政府側がそういう三者機関審議に対して一定の方向を示して、リードするようにしたらどうだろうかという御意見がありましたが、これはまあなかなか問題のあるところでありまして、今度はほかのことでそういうことをいたしますと、一斎に権力の乱用だといってしかられるところでありまして、やはりなかなかそこのところがむずかしいところでございます。悪いことをしちゃいかぬ、いいことならいいと、こうおっしゃいますが、悪いのといいのとは、だれがどうきめるかということが、これがなかなかむずかしい問題でございまして、第三者機関の活動ということは、やはり第三者機関の活動として、自由に御研究願うことの方がいいのじゃないか。それから私は、その御研究の結論が出ましたら、もちろん御相談申し上げるつもりでおります。
  36. 横川正市

    ○横川正市君 もう一点、公労法や公務員法の改正の問題です。
  37. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 公労法の問題は、特に例を指摘されますと、これは別問題であります。しかし、私は公共企業体における労使関係のあり方というものは、現状のままでいいとは思っておりません。これは公共企業体それ自身のあり方とも関連をしてくると思っております。そこで、公共企業体それ自身のあり方については、昨年の暮れ、審議会の答申が出、政府は、今それに対して鋭意対策を講じておるわけでございますが、その結論が出ますれば、それに即応した公労法上の諸問題というものを検討して参らなければならぬのでございます。従って、今直ちにそういう意思があるかと言われると、ないとお答えをするよりしようがございませんけれども、公共企業体のあり方について、現状に批判的な考え方をいたしておりまするし、その機会を得ましたならば、政府といたしましては、それに即応した所要の改正は行わなければならぬと、こう思っておる次第でございます。
  38. 小酒井義男

    小酒井義男君 本議題の何に関係して、最後に労働大臣の御見解を一つお聞きしておきたいと思いますが、私から言うまでもなく、最近のILO理事会において、この問題がどういう経過をたどっておるかということは承知だと思うのです。いつまでも、このままほうっておくわけには私はいかぬのじゃないかと思うのですが、そういう方針で早急に何とかしなければならぬという考えなら、決議の取扱いについても、自民党さんから、それは一緒にやろうという御賛成を得ることになると思うのですが、やはりもう具体的にわかっているのですか。理事会で、これらの問題の批准は早急に行われなければならぬという決議がなされておるというように聞いておりまするが、これに対して、日本政府だけが保留をして、その他は全部が賛成をしておるというような情勢下に、いつまでもこれをほうっておくことは適当じゃないと思うのでありますが、どうでしょうか。
  39. 石田博英

    国務大臣石田博英君) それは、先ほどから繰り返して申し上げております通り、この問題をほおかぶりして、いつまでもほうっておくことはいけないと、私は就任早々から思いましたからこそ、先ほどから申しておるような所要の措置をとっておるわけでございます。それじゃ今こういうことを直ちにできるかと、こういう御質問でございますと、今まだそういう調整の見込みに達しない段階でございますと、こういうお答えをする以外にございません。
  40. 椿繁夫

    椿繁夫君 議事進行について。労働大臣、きょうはお急ぎのようでありますから、衆議院の方へ御出席を願うとして、これはまだ私ども得心しておりませんから、質疑続行中でありますから、特に政府の便宜をはかる意味で、きょうは打ち切るとして、次回には一つ政府の最高責任者、総理の御出席を、委員長理事等で十分お打ち合せの上、総理に御質問をする機会を作っていただくように取り計らいを願いたいと思います。そのことを付してきょうはこの程度で散会されることを望みます。
  41. 安井謙

    委員長安井謙君) 申し上げます。きょうこの問題に関しては、もし、総理がこられなければ、労働大臣官房長官で御質疑を願うというようなことに、御了承をいただいているわけであります。最初、諮りまして、理事会の経過を……。
  42. 椿繁夫

    椿繁夫君 きょうは総理が御都合が悪いからということで……。
  43. 安井謙

    委員長安井謙君) それの問題については、衆議院に行かれた理由は、この問題に関連してじゃないかと、そういった事情も話して一応御了承を得ているわけですが、今、実際問題としては、こうして皆さんの御質疑がまだ残っている、ただ、問題は非常にデリケートなんで、社会労働委員会が本委員会として検討されるのが至当じゃないかという考え方も、質問の内容によっては出てくると思うのですから、そこらの扱いについては、もう一回、理事会でよく相談しまして、なるだけ椿君の御意見、御希望に沿うように努力もいたしますが、そういった問題もあるし、総理出席については、前に言ったようないきさつ、衆議院に出た国会の解散問題について、こういうことで、一応お含みの上で、御趣旨をできるだけ尊重して一つ相談していただきたい。こう思いますから。
  44. 小酒井義男

    小酒井義男君 委員長は、少し一方的に御発言になっているんですが、私は最初、答弁のいかんによっては、総理出席をしてもらうということになるかもわからぬからということを申し上げているんですから、それを一つお忘れにならぬように。
  45. 安井謙

    委員長安井謙君) 忘れておりません。速記に残っておりますから。
  46. 北村暢

    ○北村暢君 いま質問している事項も、ほんとうは本会議へ持って行くということで、委員会省略で持って行こうということで具体的な質問が出ているわけですから、こういうことを議運でやらないで、社労に一つ付託してやろうというなら、そのようにもっと突っ込んでこの問題をやる。社労に付託するなら付託するで、それならそれでいいと私は思うが、そこまでいかないでも……。
  47. 安井謙

    委員長安井謙君) 問題がいろいろデリケートなことがあるから、十分これは一つ皆さんの御意向も伺って、よく扱いについては御相談しよう。こういうつもりですから、今ここで社労に付託するとか、あるいはどうするとか、採決でものをきめる、そういうことは避けたいと思います。
  48. 北村暢

    ○北村暢君 だから、私も何か専門的なもので、それは委員会を省略するものだから必然的にここへ出るので、ですから、まだ質問というものは終局していないのですから。
  49. 小林孝平

    小林孝平君 今、北村君の発言が出てきましたゆえんは、あなたの発言がちょっと間違っている。それは本日初めに申し上げましたように、われわれはこの委員会省略の手続をやるかどうかということを論議する前に、決議案に対する取扱いをどうするかということを、まず政府の見解をただそう、こういうことであって、これがややそのワクをちょっと一歩出たのであって、何も具体的にこれをやったわけじゃない。あなたがそう考えただけで、われわれはまだ本論にちっとも入らない。まだ基本的な問題を十分論議をしたい。こう考えている。あなたはいかにもこの議題に入ったようなことをおっしゃるから、北村君のような意見が出てくる、また方々から出てくると悪いから念のために申し上げます。
  50. 安井謙

    委員長安井謙君) それじゃそういうことで、一応、理事会で今後の扱いについて御相談をしていただくということに御了承願います。  本日はこれで散会いたします。    午後二時三十八分散会