○岡田
宗司君 どうも私
どもは、
政府の今までの答弁では、難関に逢着した日中貿易の問題の解決には役に立たない、こういうふうに思っているのであります。やはり新しい局面が展開されなければならぬと思うのですが、根本問題は、
政府が一体中国をどう
考えておるかという点にあると思う。現在中国を事実上統治しておるのは、これは北京の
政府であるということは、これは動かしがたい事実です。ところが、
日本は、その事実を認めないで、サンフランシスコ
会議のあとで、
アメリカ側の指示に従って、
日本と台湾との間に平和
条約を結んで、そうして
アメリカと同じように、台湾を中国の
政府であると認めておるところに問題がある。私はこんな不自然なことはないと思う。たとえ
アメリカその他の国々が、台湾
政府を中国
政府であると認めて、そうして北京の
政府を否認しているような
態度をとっておっても、これは非常に不自然なことである。
日本はもはやこれに追随するなどということは必要ないことであるし、
日本自身もこういう
事態を検討してみなければならないと思う。これは今度のこの日中第四次貿易協定について起りました問題は、事は国旗の掲揚を、通商代表部が権利として掲げることを認めるか、認めないかというだけのことでありますけれ
ども、その
意味するところは、結局
日本が中国に対してどういう
考えを持つかということと非常に密接な
関係のある問題である。また、その問題を根本的に
考えなければ、私は今後中国との貿易の問題などに限らず、諸般の問題についても、いろいろむずかしい問題が出てくると思う。私は、たとえ今日、台湾
政府と
日本が
条約を結んでおりましょうとも、こういうような不自然な状態というものは、
日本側でもだんだんに
考え直していかなければならぬ問題だと思っております。そうして今度もはなはだ遺憾なことは、ああいう
愛知官房長官の
談話によりまして、せっかくできました第四次貿易協定を完全にくつがえしてしまう結果を招来しているという点であるのであります。で、このために、私は、
政府がこれをすらっと
承認したとき以上にむずかしい問題にぶつかったと思う。というのは、あれをすらっと
承認しておりまして、台湾の方に対しては、いやまだ
日本としては中国を認めておらないのだという一言だけ言っておけば、それで済むわけです。わざわざ台湾に対していろいろの手を打ち、岸さんから親書を送ったりなんぞして、かえって逆に台湾の方を、悪く言えばつけ上らしたというようなことから、問題が非常にこじれてしまって、そうしてまた、台湾の方に対して、ああいうふうに台湾の方の言うことを十分にいれて、ああいう
声明を出したという結果、私はあの問題が大きな政治問題になったと思うのであります。これは結局、
日本の中国に対する認識というものが、はっきり定まっておらないところからきていると思うのです。第一、政治と経済を分けて
考える、これは別問題であるということは、これはもうまことに認識不足もはなはだしいと思うのでありまして、これはひとり中国と
日本との
関係だけでなく、よその国との間においても、政治と経済というものを分けて
考えられるべきものじゃないと思うのです。中国についても同じだと思う。そうすると、いよいよ今後、政治と経済というものがからまった形で出てくるのでありますから、
日本政府としては、結局中国の問題についてどう
考えるかということを漸次明らかにしていかなければならぬ
段階に私は逢着すると思う。それに対して、一体岸内閣は、この中国の問題に対して、根本的にどう
考えているのかということ、それからまた、この現在の不自然な状況に対して、これを自然な状態を認めていくようにしようとするのかどうかということが問題になりますので、その二点について、岸内閣の中国に対する根本方針をお聞かせ願いたいと思います。