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1958-03-11 第28回国会 参議院 外務委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月十一日(火曜日)    午前十時二十七分開会     —————————————   委員の異動 二月二十七日委員苫米地英俊辞任に つき、その補欠として西田隆男君を議 長において指名した。 二月二十八日委員西田隆男辞任につ き、その補欠として苫米地英俊君を議 長において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     寺本 広作君    理事      井上 清一君            鶴見 祐輔君            森 元治郎君            石黒 忠篤君    委員            井野 碩哉君            鹿島守之助君            重宗 雄三君            杉原 荒太君            苫米地英俊君            加藤シヅエ君            佐多 忠隆君            羽生 三七君            佐藤 尚武君            安部 清美君   国務大臣    外 務 大 臣 藤山愛一郎君   政府委員    外務政務次官  松本 瀧藏君    外務省アメリカ    局長      森  治樹君    外務省経済局長 牛場 信彦君   事務局側    常任委員会専門    員       渡邊 信雄君  説明員    外務参事官   三宅喜二郎君    外務参事官   藤崎 萬里君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○人身売買及び他人売春からの搾取  の禁止に関する条約締結について  承認を求めるの件(内閣送付予備審  査)  通産省に関する日本国インドとの間  の協定締結について、承認を求める  の件(内閣提出) ○日本国ソヴィエト社会主義共和国  連邦との間の通商に関する条約の締  結について承認を求めるの件(内閣  提出衆議院送付)     —————————————
  2. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) それではただいまから外務委員会を開きます。  人身先買及び他人売春からの搾取禁止に関する条約締結について承認を求めるの件(予備審査)を議題といたします。  初めに政府から提案理由説明を聴  取いたします。  速記をとめて下さい。   〔速記中止
  3. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 速記起して、下さい。
  4. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) ただいま議題となりました人身先買及び他人売春からの搾取禁止に関する条約締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。売春を目的とする婦女子先買禁止につきましては、わが国は、すでに、「醜業行ハシムル為ノ婦女売買取締ニ関スル国際協定」(一九〇四年五月十八日作成)、「醜業行ハシムル為ノ婦女先買禁止ニ関スル国際条約」(一九一〇年五月四日作成)、「婦人及児童先買禁止ニ関スル国際条約」(一九二一年九月三十一十日作成)の三つ条約加入またはこれを批准しており ますが、ただいま御承認をお願いしておりますこの条約は、以上三つ条約及び成年婦女子売買禁止に関する国際条約(一九三三年十月十一日作成、ただし、わが国は未加入)を統一するとともに、一九三三年国際連盟作成した売春からの搾取禁止に関する条約案の内容を考慮に入れ一九四九年、国際連合第四総会において作成されたものであります。わが国のすでに参加している、三つ条約が、主として未成年婦女子人身先買禁止対象としていたのに対しまして、この条約は、年令、男女の区別なく、広く人身売買禁止することを対象としておるものであります。また、この条約は、売春からの搾取売春宿の経営、売春のための場所の提供、売春業者に対する融資等人身売買を助長する他の行為をも禁止し、また、これらの禁止措置を実施するに当たり、締約国国際協力を行うことも定めております。さらに、この条約は、売春者の更生、及び社会的補導並びに外国人売春者についての情報交換及び本国送還についての規定も有しております。=人身売買が人間としての価値及び尊厳に反することは申すまでもないことでありますが、また、これに伴う悪弊社会に及ぼす影響もきわめて重大なものがあります。従って、わが国人身売買及びこれに伴う悪弊を防止するこの条約加入することは、国際的にきわめて有意義であると考えられます。よって、この条約への加入について御承認を求める次第であります。  御審議の上、本件につき、すみやかに御承認あらんことを希望する次第であります。     —————————————
  5. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 次に、通商に関する日本国インドとの間協定締結について承認を求めるの件(本院先議)を議題とし、前回に引き続き、質疑を続行いたします。  質疑のおありの方は、順次御発言をお願いいたします。
  6. 井上清一

    井上清一君 ちょっとお伺いいたしますが、日印間の円借款問題というのは、どの程度に進んでおりますか。
  7. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 政府委員に答弁させます。
  8. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) これは、発端は、昨年の十月にネール首相が東京へ来られましたときに、岸総理との間で共同声名が発表されまして、そのうちの一項として、日本側インドの第二次五カ年計画遂行援助するために、円借款供与する用意があるということが合意されたわけであります。それに基きまして、本年の一月に向う側から代表団が参りまして、日本政府との間に交渉いたしまして、了解が成立したわけでございます。その大要共同声明という形でもって発表されておりまして、これは資料として差し上げてある通りでございます。  しかし、この共同声明と申しますのは、政府間の約束という形ではございません。実際の約束は、インド政府日本輸出入銀行との間で定められるということになっておりまして、ただし、その大綱といたしましては、総額が百八十億円、そのうち第一年度は五十億円、利息は世界銀行並み、それから期限につきましては、三年据置、七年償還で、全部で、合せて十年ということが原則として定められたわけであります。その細目につきましては、目下、まだ輸出入銀行インド政府との間で討議中であると伺っております。  これから先の問題といたしましては、どういう品物をインドがこれによって日本側から買うかということになるわけであります。それにつきましては、政府間におきましては、大体インドの五カ年計画にのっとりまするもののうちで、非常に大きなものということに合意が、大体了解がついておりまして、これにつきましては、具体的にインド側から申し出があり次第、日本側といたしましては、輸出入銀行において一々その申し出審査いたしまして、十分これが経済的考慮に値するものだということを見きわめました上で、貸し出しを行うということになるわけでございます。これが従来行われておりました日本輸出入銀行延べ払いと違います点は、借款が直接インド政府に対して与えられるという点でございます。従来は、日本側輸出業者に対して輸出入銀行から金融が与えられたということでございますが、今回は、それが直接インド政府に与えられる。しかしながら、その貸し出しに当りましては、一々、輸出入銀行審査を通るということでございますから、実質におきましては、日本側が相当借款の使途につきましてコントロールできますし、また、従いまして、非常に本来の借款の趣旨に沿わないような事態が起ることは、十分防げることになっております。  それからまた、この借款以外に、従来普通の日本輸出入銀行方式によります延べ払いも、対インド輸出に対してある程度はもちろん与えられることになっております。
  9. 井上清一

    井上清一君 今、従来通り日本輸出入銀行を通じて、インド産業開発に寄与するという方策と円借款との関係の問題を実は承わりたいわけなんです。で、ルールケラー鉄鉱山開発は、これはインドが五カ年計画の一環として日本から借款した円をもってこれを開発するのか、やはり日本業者が、日本側輸出入銀行から借りた金で、日本業者の手によってインド鉱山開発するのか、それらの問題についてちょっと伺いたいと思います。
  10. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 日本側が従来ともその普通の輸出入銀行融資を通じまして、インドの五カ年計画協力いたしておりましたことは御承知通りでありまして、今回の円借款はやはりその精神をさらに拡充いたしまして、実質問題といたしましては、結局その貸し出し条件を緩和しようということが眼目になっております。  そこで、ルールケラーの問題でございますが、これは初めから借款とは別問題であって、別ワクとして円借款の中にはそれが入らないんだというふうに私ども了解しております。ただ、ルールケラーに対して、どれくらい実際に日本側融資ができるか、ないしは投資ができるかという問題につきましては、これはなお、政府部内におきまして検討中であるように承わっております。
  11. 井上清一

    井上清一君 それからインドの五カ年計画ですね、産業開発の五カ年計画大要に関して御説明を承われれば非常にありがたいことと思います。
  12. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 五カ年計画は、御承知通り、第一次が完成いたしまして、今回二次に入って三年目になっているというところでありまして、第二次計画投資総額は七百二十億ルピー、これは百五十一億二千万ドル、非常に膨大な数になっております。そして特徴といたしましては、国内工業化重点を置きまして、工業及び鉱山、つまり鉱工業投資の比重が第一次に比して非常に大きくなっております。従いまして、これらの建設に必要な資本財輸入年間約四十三億ルピー、九億三百三十万ドルといたしまして、五カ年を総計いたしますと、三百十五億ルピー、四十五億一千万ドルということで、これだけでもってインド予定いたしております総輸入額の四六%に当っております。つまり輸入しますもののうちの四六%は工業及び鉱業の開発に充てるということでございます。  そこで、実際どの程度かということでございますが、第二次計画の初年度におきましては、資本財輸入実績がすでに四十五億四千二百万ルピーということでございまして、これは先ほど申しました、年度平均実績より上回っておる、年度平均計画よりむしろ上回っておるということになっております。従いましてその投資の面におきましては、ある程度計画通りいっておるのでございますけれども、しかし、すでにこれは、第一次実施計画最終年度からでございますが、これだけの莫大な投資を行いますと、必然的に国内にインフレを生じまして、食糧を中心としていろいろの物価がだんだん上って参ったのであります。それからもちろん、今申しましたような莫大な輸入をいたしますために、国際収支が非常に悪化しておる。この二つの点におきまして、この計画完遂がなかなか困難になってきておるのは事実でございます。ことに政府手持外貨が非常に減りまして、一九五六年の一月に七十四億ルピー、十五億五千四百万ドルでありましたが、五七年の九月には、三十五億九千万ルピー、七億五千四百万ドルというふうに、半分以下に減ってしまったわけであります。そこでこれは、インドが従来、初めからある程度外国援助計画の中に予定はしておったのでございますが、予想以上に外国からの借款でありますとか、援助が必要であるということで、昨年あたりから、非常に力を入れまして、アメリカを初めとしまして、イギリス、ドイツそれからソ連、日本等との借款交渉に努力しておる現状でございます。具体的な建設計画実施状況につきましては、調べました上で、さらに御報告申し上げたいと思います。
  13. 井上清一

    井上清一君 インド産業開会五カ年計画というのは三年度に入っておるわけで、で、このインド産業開会五カ年計画をめぐりまして、ネールの施策に対して、相当インド国内において批判があるわけなんです。それで、一体インド開発五カ年計画というのはやり切れるかどうかという点、ただいま牛場経済局長からも、ちょっとその片りんをお話があったわけでありますが、今度日本供与します円借款百八十億というものは、今後の計画遂行する上において、一体資金の而において何%ぐらいになるのか。そしてこれがインドの五カ年計画を達成させる上に相当効果のあるものかどうか。これらの点についてちょっと伺いたいと思います。
  14. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 第二次五カ年計画の当初におきまして、外貨面におきましては、インドは、先ほどもちょっと申し上げましたが、五カ年間に、外貨予算上の赤字、つまり輸入超過になるという額を、百十二億ルピー、二十三億四千二百万ドルというふうに計画いたしまして、それをどうしてみるかという点につきましては、手持ちの外貨二十億ルピー、四億二千万ドル、外国民間資本流入十億ルピー、一億九百万ドル、外国援助が八十億ルピー、十六億八千万ドル予定したわけでありますが、この外国援助八十億ルピーでは足りないということが明らかになりましたために、さらにそれ以上の外国援助借款を得るために努力しておるということなんでございます。従いまして、五千万ドルと申しますのは、この当初予定しておりました十六億八千万ドルに比較しまして非常に小さいわけでございます。それだけでもインドの五カ年計画を達成するというようなことは、もちろんできないわけでありますが、しかしながら、インド側は、いかに小さいものでもこの際どこからでももらいたい。いわゆるひもつきでない借款であるならば、受けたいという希望を強く表明いたしております。今度の日本からの五千五ドルの借款供与に当りましても、全く貧者の一灯であって、われわれとしても、現在国際開発銀行でありますとか、それからアメリカあたりからも相当金を借りておる場合でありますから、本来ならばこれはよその国へ金を貸すというのはおかしいのだけれども、しかし、インド計画完遂に一臂の力を貸すという意味において、貧者の一打であるけれども、とにかくできるだけのことをしようということから始まったわけであります。従いまして、これは数字的に所要額の何パーセントに達するかということと同時に、あるいはそれより以上に日印間に精神的な新しい一つの時代を画したというふうなことで意義があると私どもは考えておるのでございます。実際ネール首相も非常にこれは喜ばれておるそうでありますし、また、今度ネール首相の旨を受けて向う側から日本交渉に参りましたインド側代表などの話しを聞きましても、非常にこの日本側申し出インド各地において感謝されておるということでございまして、これは決してわれわれはこの効果を過大視するわけじゃございませんけれども、まず所期の口達は達成できるのじゃないか、もちろんこれは今後の運用に非常にかかっておるわけでございます。今その成果をあらかじめ予言するわけにいきませんけれども、非常に少い額であって全体から見れば割合としては取るに足らないようであるけれども、それに付随するところ効果というものは相当あるのじゃないかというふうに考えております。
  15. 井上清一

    井上清一君 このインドの五カ年計画遂行する上におきまして、円借款供与というのは、これは目印間の今後の親善関係を増進いたします上においては、これは私どもまことにけっこうなことだとは思う。ただインドの五カ年計画というのはなかなか予定通りに進んでいない、しかも外資の導入ということが、最初考えておったよりもそう円滑にインドにおいては行われていないという際に、貧者の一灯とは言われますが、五千万ドルというような大金をこの際インドへ貸すわけでありますが、これがどうも相当具体的な計画をもって貸し付けられるならばともかくも、五カ年計画遂行ただいたずらに投入されるということになりますと、果してこれがインドの五カ年計画遂行のために役に立つかどうかというような点について、もうちっと突っ込んだ御答弁をお願いしたいと思うのです。
  16. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 今度の円借款は、先ほど申しましたように、眼目は従来の輸出入銀行借款では出せなかったようなイージーな条件を出しているということにあるわけでございまして、従来ともインドに対します輸出入銀行融資は、これは先ほど申しましたように、直接ではなくして、日本側輸出業者に対して与えたわけでございますが、これは年間約五十億円ないし六十億円というものがあったわけでございます。そこでそれにプラスしてこの百八十億が加わるということになりますと、これは相当大きな額になりまして、日本側としてもなかなかそこまで踏み切れないと思うのでございますが、実際問題としましては、今のインド外貨状況におきましては、従来の普通の輸出入銀行延べ払い方式による融資というものは、なかなか受けられないというのが状況になってきておるわけなんであります。と申しますのは、ここ一、二年間は、インド外貨状況は窮屈でありますために、特別に必要なものを除いては、外貨の現実の支払いということは、今後は新しい輸入契約についてはできないという状況にまでなってきておりまして、従いまして、今後の円借款におきましても、最初の三年間は据え置いてくれというのが眼目であったわけでございます。従いまして、これが実現されました暁におきましても、従来の年間五十億円程度のものに上積みがあるのじゃなくして、大体従来の五十億円のものの相当部分が振りかわる、従来の五十億円程度のものが相当これに振りかわる、もちろんそれにプラスしまして一割か二割くらいのものが普通の融資でもって出ていくでありましょうけれども、その額はインド側が、たとえば頭金を支払って、普通の条件でありますと契約ができましてから、物を引き渡しますまでの間に頭金をとるわけであります。それを支払えないという状況でありまして、普通の条件による融資が受けられないということでありますので、この百八十億円を三年間供与いたしましても、これはそれだけが、今までの日本延べ払い融資上積みになるわけじゃなくして、従来の実績よりもふえるわけでありましょうけれども、それほど大きくならないというのが見通しでございます。従いまして、逆に申しますと、そんなことではインド側の需要には応じ切れないのではないかというお話しもございますけれども、実際は日本の能力に限度がございまして、そこは向う側にもよく説明をしておるわけでございます。
  17. 井上清一

    井上清一君 この円借款につきまして、これは無条件インドにこれの使用等についてまかせるのか、あるいはある程度日本側の意思が、これを使うことに反映するような仕組みになっておりますか。
  18. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) これは先ほどもちょっと申し上げたんですが、借款大要といたしましては、直接インド側に貸しておるわけでありますが、インド側がこれを使用する際には、その計画輸出入銀行に出しまして、輸出入銀行がその計画審査いたしまして、これが経済的に見て健全なものであるという認定をすれば、そこで金を貸すということになっております。もちろんその大綱におきまして合意はできておるわけでございますから、その審査が普通の延べ払い融資に比べれば簡単に済むと思います。しかしながら、非常にむちゃなことを言ってくれば断わることはできるようになっておるわけでありまして、日本がコントロールする余地は十分残されております。
  19. 井上清一

    井上清一君 日本技術ですね、日本技術インド円借款にからんで出すというような点について、特に何か考えられてこの円借款供与をおきめになりましたかどうか、この点を伺います。
  20. 三宅喜二郎

    説明員三宅喜二郎君) この円借款を利用されます際は、それが日本からの機械とか設備の供給に利用されるわけでございますが、それらを設置いたします際には、当然技術者というものも向う側に派遣して、それの設置及びその後のアフター・サービス等にも技術が利用されるということも当然考えられるのでございます。  なおそのほかに、インドに対しまして、技術研修センターをベンガル州に日本協力して設けることになっておりまして、インドの鋳鍛鋼の工場、あるいは電機機械器具製作、あるいはマシーントゥールの製作等技術を先方の技術研修生に対して日本側専門家が行って教えるということになっております。そのほかなお、コロンボ・プランによりましても、随時、農業とか漁業とか中小企業に対しまして技術を教える、また、向うから研修生を派遣さして、日本内地研修をさすというふうに考えております。
  21. 井上清一

    井上清一君 そうしますと、今インドに対していろいろ技術をお出しになる、円借款の問題に関連して出ていくわけですが、大企業重点を置いておるわけか、それからまた、中小企業的なものまでも含めてお考えになっておるのかどうか、それらの点について伺います。
  22. 三宅喜二郎

    説明員三宅喜二郎君) 円借款供与によりまするインド産業に対する協力につきましては、たとえば港湾施設でありますとか、鉱山機械供給とか、化学工業施設とか、そういう大きいものを大体目当にしております。中小企業の育成につきましては、主としては技術訓練——技術面における協力ということによる方針になっております。
  23. 鶴見祐輔

    鶴見祐輔君 政府委員にちょっとお伺いしますが、日本アメリカからいろいろのドル借款をしておりますね、世銀その他から。そうして一方に、会、度日本インド借款を与えるということになりますと、その間に、日本が金が足りないから借りておりながら、また、方には出すという感じが起きぬのかどうかということが一つですね。  それからもう一つは、インドに対してこういう借款が今起っておりますが、将来東南アジアの国々に対してこういうことが起るというお見通しがあるかどうかということをお伺いしたい。
  24. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 先ほどから政府委員説明の中にもありましたごとく、一方において、アメリカからいろいろ金を借りておるにもかかわらず、あるいはその他から融資を受けておるにもかかわらず、貧者の一灯とはいえども五千万ドルもインドに貸すことに対して、日本に金を貸しているアメリカとかその他の方面でどういうような反響があるかということが第一点だと思いますが、この問題に関しましては、鶴見先生も御承知通り東南アジア諸国第一回、第二回の岸総理の旅行を通じましてもわかりましたごとく、非常に戦後、日本の新しい民主国家に対するところ信頼感というものには強いものがございます。たとえば今回の借款を通じましても、私どもが側面からいろいろと感じておりましたことは、多額の金をアメリカやあるいは西独から借りるよりも、貧者の一灯である日本の五千万ドルの方がはるかに精神的にもありがたいという工合に言っております。こういう場合に、やはり日本に対するところ近親惑というものをもっと日本は政治的にも活用すべきではないかという、この気持に対しましては善意的にすべて解釈をしておるようであります。そういう観点からいたしまして、これがアジアの繁栄とアジアの平和に寄与するものであればという気持の上からいたしまして、今日までこれに対して何ら異議を申し立てておるような事実は私ども聞いておりません。
  25. 鶴見祐輔

    鶴見祐輔君 もう一つの、将来ほかの国に対しての……。
  26. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 今のところはございませんけれども、できる限りわれわれは、先ほど説明申し上げましたような線に沿って、一つ許される範囲内におきまして考えてみたい、こう考えております。
  27. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 この協定の中で、日本人がインドに行って事業活動する場合の協定は、こまかいところはどういうふうになっておりますか。この事業活動、特に自由職業活動、これはどういうことになりますか。
  28. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 事業活動はこの協定の第三条の第二項にございます。ここにおきまして最恵国待遇を与えるということになっております。こういう通商航海条約的な協定によりましては、内国民待遇を要求するのが常例でございますが、インド側は内国民待遇までは踏み切れないということで、最恵国待遇になったような次第でございます。これでも現状におきましては、別に不便はないものと考える次第であります。インド側がはっきりこの事業活動につきまして最恵国待遇を認めたのは、この条約が初めてであると承知いたしております。  それから自由職業活動に関しましての御質問があったと思いますが、インド側の法律によりますと、医師につきましては、日本の各帝国大学の医学部及び日本政府の認める公、私医大卒業者は適格者とされておりまして、国籍の限定はなく、申請によって審査される。ただ審査ということは必ずしももちろん許されたわけではございませんけれども、少くとも適格者にはなっておるということでございます。それから弁護士は、これは国籍要件及び適格要件がなくて、インドの高等裁判所の審査によって認められるということになっております。そのほかの職業活動につきましては、電力・石油、それから水道の業務、またはこれらの企業体に雇用される際は地方当局の許可を要すとされております。また、そのほか、中央政府の指定業務についても同じとされておりますが、そういう中央政府の指定が今までのところされておりません。従いまして中央政府の許可を要するものが、先ほど申しました業務に限られておりまして、そのほかの業務に従事する場合は許可は要らないということになっております。
  29. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 そういたしますと、歯科医はどうなります。
  30. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) これは医師と同じ扱いになるわけでございます。
  31. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 学校の先生はどうです。
  32. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 先はちょっとはっきりいたしませんので、よく調べまして、後ほどさっそく答弁をさしていただきます。
  33. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 そういうようないろいろな自由職業活動が、将来インド日本人が向うへ行ってりっぱにやれれば、日本インドとのいろいろな国交の上からも非常にいいことだと思いますし、また、日本人が海外に出ていくのにも、非常に一つのそこに道が新しくまた開かれることだと思いますし、いい例を作るというような意味で、十分にこの協定のこまかいところまでお話し合いをなさつて、なるべく積極的にそういう自由職業活動が向うへ行ってできるように進めていただきたいということを希望いたします。
  34. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 御趣旨まことにごもっともでございすので、今後そういうふうにインド側と十分話を進めて参りたいと存じます。
  35. 石黒忠篤

    ○石黒忠篤君 円借款の問題に関しまして、先ほど三宅参事官の御説明によりますと、大きな工業の方は、設備であるとかあるいは港湾施設産業機械等に対して開発銀行を経て貸し出しが行われ、中小企業に対しては、主として技術の指導、研修等によって五カ年計図の達成に協力表するといったような御堀説明であって、よくわかるのですが、その技術の導入ということについての協力に関しまして、この円借款は利用されることができるのでありますか、どらでありますか。
  36. 三宅喜二郎

    説明員三宅喜二郎君) それは、技術上の訓練等技術だけの協力につきましては、この円借款は利用されません。大きい機械とか設備をインド供給する際に、それの設計と機械設備の供給に必然に伴うようなものは、契約の中でそういうことがきまっておりますれば、そういう技術面にも利用できると、こういうふうに了解されております。
  37. 石黒忠篤

    ○石黒忠篤君 先ほどの御説明で、技術研修のためのセンターができると、こういうことでありますが、そのセンターに働く人々の俸給を確保するために、円借款によって開発銀行から融資をされて、その条件として、往々東南アジア諸国において俸給の支払いがはなはだ不確定なために、よい人を選んでやったものが非常に気の毒な目にあうことがあるのでありますが、そういうことを確保するような、技術導入に対する援助という方には使われないのでありますか、どうでありますか。
  38. 三宅喜二郎

    説明員三宅喜二郎君) 先ほど申し上げましたように、技術センターに派遣いたします日本専門家の給料及び往復の旅費等は、日本側で負担いたしまして、インド国内における旅行費とか、それから住居の提供等がインドによってなされるというふうな考え方を持っております。これがまた、コロンポ・プランによる方式でもございます。いずれにいたしましても、この技術センターの設置及びそれに派遣します専門家の費用は、円借款から使われるのではございませんで、技術センター関係の費用は、通産省の予算に、海外技術センターの設置運用に関する経費というのが計上されております。来年度はたしか、インドに対しましては八千万円ほど予算に計上がされておる次第であります。
  39. 石黒忠篤

    ○石黒忠篤君 そういたしますと、技術協力ということに対する融資が、技術センターにおいてはできるというのですが、技術センターというものについても、技術センターの設備をするだけの費用が円借款によってやられるという、やはり設備に限ったものじゃないのですか。
  40. 三宅喜二郎

    説明員三宅喜二郎君) 技術センターの土地とか、建物とか、その設備とか、あるいは光熱費等はインド側が負担し、日本専門家の派遣と、それから研修、直接教えるときに利用されま すような仕組みを考えております。その経費は、この円借款からは出すことは考えておりません。円借款では、インド産業建設に直接必要な設備、機械供給というものに利用されるというふうになっております。
  41. 石黒忠篤

    ○石黒忠篤君 はなはだ不明確でありますけれども、私は説明が悪かったんだと了解をいたして、この程度にいたしておきます。
  42. 佐藤尚武

    ○佐藤尚武君 鉄の鉱山開発について少しご説明を求めたいと思うのですが、両三年前であありましたか、高崎達之助君がインドに行かれて、ある鉄山の開発について長いことインド政府交渉したのでありますが、しかし、それは最後に至ってついに不成功に終ったように承知しておりますが、しかるに今度は、ある鉄の鉱山開発について日印相互の間で話し合いができたというふうに聞いておるのですが、その通りでありますかどうか。
  43. 三宅喜二郎

    説明員三宅喜二郎君) 先年の高崎さんの案は実現いたしませんでしたが、その後インドと、それからアメリカと、それから日本とが、それぞれある一定の金額を出し合いまして、インドルールケラー、またはそのほかの適当な鉱山開発をしていく、そうして日本に対して長期に安定した鉄鉱石を持ってくるという大体の意見は、大筋においては一致しておるのでございますが、今その具体的なことにつきまして、永野重雄さんを団長といたしまする使節団が向うに行って、最後の交渉をしておる段階でございます。
  44. 佐藤尚武

    ○佐藤尚武君 そうしますると、現在行われておる鉄鉱石の開発に関する交渉は、今御説明のありました以前からの、ずっと続きの交渉ということになりますか。
  45. 三宅喜二郎

    説明員三宅喜二郎君) 現在行われております交渉は、三年ほど前でございましたか、シンガポールでコロンボ・ブランの会議がございました際に、石橋通産大臣が行かれて、向うのナンダという計画大臣と話されたのが、現在の話の最初でございます。その以前の話とは、直接の関係はございません。しかし、まあある意味におきまして、糸を引いておるということは言えると思います。
  46. 佐藤尚武

    ○佐藤尚武君 それでは、その三年ほど前に、当時問題になった鉱山と、現在話に上っておる鉱山とは、違う鉱山でありますか。
  47. 三宅喜二郎

    説明員三宅喜二郎君) その点につきまして、インド側では、ルールケラーという地区の鉱山開発して、そこからヴィザガパタムという港まで四百五十マイルくらいの鉄道を敷いて、そうしてその鉱石を日本に出したい、その案が一番よいということを言っておるのでございますが、日本側の鉄鋼業者は、ルールケラー以外にも、なおいい山があるので、できればその方を日本としては開発したいという考えのようでございます。しかし、この点につきましては、耳印間の話が合致いたしませんと、アメリカに対して、大統領特別基金の支出を求めることができませんので、現在の話し合いの結果がどうなるかは、今のところはまだわかっておりません。いずれにいたしましても、ルールケラーもしくはその他の山ということになるわけであります。
  48. 佐藤尚武

    ○佐藤尚武君 そうしまするというと、まだ開発されるべき鉱山も、日印双方の間では決定していないという段階であります上に、その開発の規模とか、もしくは日本輸入される鉱石の量とかいうようなものも一切まだわかっていないというような事情なんでしょうか。
  49. 三宅喜二郎

    説明員三宅喜二郎君) 大体経費は五、六千万ドルくらいの規模でございます。鉱山開発と鉄道、港湾施設建設とを合せまして。最初は五千万ドルくらいであったのですが、その後調査団——アメリカ技術者が調査しました結果、もう一千万ドルくらいふえる、約六千万ドルくらいの経費が要るだろうと報告書に書かれております。  なお、日本に持って参りまする鉱石の量につきましては、大体年二百万トンということが予想されております。
  50. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 私おくれて参りましたので、あるいは私の質問することが前に話に出ておりましたらそれは注意して下さって、それは避けていただきたいと思います。  このインドとの円借款成立の問題について三、三質問したいと思いますが、この共同声明の中に、総額の百八十億円というのを特別な措置として融資することに了解が成立した、そのいわゆる特別な措置というのはどういう意味ですか。
  51. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) これは一つは、従来普通の日本輸出入銀行融資は、日本輸出業者に対して与えられておったわけでございますが、今回はこれをインド政府に対して直接与える。これが第一点でございます。  第二点としましては、日本インドに直接または間接に与える借款というものは、あるいは融資というものはこれだけではなくて、これ以外にも、普通の従来の輸出入銀行法による延べ払いを、日本輸出業者に対しては直接、従ってインド側に対しては間接になりますが、与えられることがあるということを意味しているわけであります。
  52. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 そうすると、そういった特別の措置をなし得るという法的の根拠が、日本輸出入銀行法にやはりその根拠があるわけですか。
  53. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) これはその通りでございます。ちょっと条文はそろっておりませんが、外国政府に対しても貸付はできるということになっております。
  54. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 百八十億の資金ですが、これは何か政府の出資をさらに増すとかいうふうな、そういう追加的の措置はとらないで、従来の資金の中からこれだけを見ていくと、こういう趣旨ですか。
  55. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) これは輸出入銀行のつまり資金、これは毎年政府から出資なり貸付なりということが予算を通じまして行われるわけでございますが、それを含めまして輸出入銀行の毎年使用できると予定されている資金の中から出すということでございます。従いまして初年度におきましては、もう予算案ができておった際でございますので、初年度は特に五十億円という額を限りまして、これは輸出入銀行の資金繰りから申しまして、その点は大丈夫であるという見通しをつけておるわけでございます。  二年度、三年度につきましては、もちろん幾ら出すということは——幾ら輸出入銀行に対して政府が資金的にめんどう見るかということは何ら規制していないわけでございますが、総額が百八十億円になりますように、日本輸出入銀行の金繰りがっくように、政府の措置としてはめんどうを見るということになるわけでございます。
  56. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 そうすると、つまりインドに対するこういった特別の措置をとるために特に必要な資金については、政府の方からさらに出資金といいますか、それなども必要に応じて新たにそれだけは追加して出すという、そういうつもりでのものか、そうでなければ、これだけのものを特に資金を分けることによって他の部面がそれだけ減るわけですね。その辺のところはどうなんですか。
  57. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) これは必ずしも出資ということにならないと存じます。出資の場合には、もちろんこれは予算に組みまして協賛を願わなきゃならないわけでございますが、資金運用部からの貸付ということになりますと、これはまあ予算書の参考としてはもちろん添付されるわけでございますが、面接国会の協賛の対象にはならないということになると思います。いずれにしましても、これを行いますために、ほかのものに対する融資ができないような状況になるということは、これはまあ当然避けなきゃならぬ次第でございまして、これは日本側としまして、非常にインド側に対してそういうことをコミュニケイトしたわけじゃございませんけれども日本側の輸出を振興するという建前から申しまして、当然そういう事態が起らないように、これは主として大蔵当局でございますが、処置はするものと思っております。
  58. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 この間、いつかの委員会で、藤山外務大臣は、私が東南アジア開発基金のことについて質問しました際に、あれはいわゆる東南アジアに対するいわゆる経済協力の資金にも使い得る余地があるというふうな答弁があったのですが、あの五十億というものも場合によっては、何らかの経路がありましょうが、あの金を結局こういうものにも流れ得るようなものなんですか。どうなんですか。
  59. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) これはただいま法律案で御審議夕願っておりますが次第でありますが、この間、開発基金用として五十億円を輸出入銀行の特別基金として設置することを提案いたしました際の政府側の考え方といたしましては、これはまず第一に、東南アジア開発基金というようなものができた場合に、それに対する出資に充てる。それができない場合には、将来その出資に振りかえられるような計画に対して使うことができるということになっておりまして、従いまして、これは原則としましては、二国間だけのものじゃなくして、多数国がこれに参加するというような計画金額でないと出せないということに一応なっておるわけでございます。しかしながら、初めは二国間で始まりましても、それからあとにほかの国が参加してくるだろうと思われるようなものにつきましては、さらにこれは内閣に設置されるところの審議会の議を経まして使い得るというようなことにいたしたいと思っておる次第でございまして、従いまして、これはこの百八十億円とは違った性質の金でございまして、この百八十億円の中に繰り入れて使うということにはこれはできないと思います。
  60. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 この借款がいろいろのものに、こういうふうに使用目的をここへ抽象的に掲げてあるわけですが、具体的の計画としてすでに予定されておるものが、今はっきりしたものがありますか。あればどういうものか。
  61. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) ただいま一番先にインド側がほしがっておりますのは船舶でございまして、これはすでに商談が相当程度進行しておると存じております。それ以外にも引き合いのあるものは相当ございます。ことに火力発電設備、それから採炭、選炭設備というようなものにつきましては、具体的な引き合いは相当ございます。
  62. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 この借款の当時者というのは、一方は日本輸出入銀行で、他方はインド政府またはインド政府の推薦するものというふうになっておるようですが、そうしてインド政府の推薦するものについての輸出入銀行のその際とるべき細目手続については合意がされたというふうに共同声明はうたってある。インド政府自身が当事者になって借款を受けるというものがあるのか。あるとすれば、そういうものに対するいわゆる細目の手続というのはどういうものですか。その点はまだ討議されていないのですか。
  63. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 先般インド代表が参りましたときに、輸出入銀行との間に、つまり当事者の片一方はインド、片一方は日本輸出入銀行でございますが、その間にこの細目の取りきめができておるわけでございます。しかし、これは細目と申しましても、やや大ざっぱなものでございましてこれは全文はあるいは発表はいたしておらないかもしれませんが、大体のことは、輸出入銀行の方からも業界にも説明しておりますし、また、外部に対しても説明いたしておると思います。それで、さらにそれにもう一つ必要なほんとうの細目でございますが、これは現在輸出入銀行におきまして立案をいたしまして、インド側に送って、インド側が検討しておるという状況でございます。
  64. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 今の御答弁の中に……私が質問したのはインド政府自体のことなんですよ。共同声明の最後に書いてあるのは、インド政府により推薦されるものに対する分だけの手続が書いてあるわけですが、インド政府自体の場合はどうなんですか。
  65. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) インド政府自体の場合に大体同じような手続が適用されることになると存じます。
  66. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 日本の対印協力について細目を討議したというその討議された細目、私あとから来ましたのであれですが、細目についてはすでに御説明があったのですか、もしなければこれを一つ詳細に伺いたい。
  67. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) これは先ほど井上委員の御質問に対しまして大体御説明申し上げたのでございますが、これは、細目とここに書きましたのは、要するに、根本原則は岸・ネール共同声明できまっておりまして、それに基いてやっておるのだというので、細目と書いたわけでございます。
  68. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それでその討議された細目の内容はどういうことが討議をされ、そしてまあその討議の結果、結論だけはここに書いてあるのですけれども、その結論に至るまでの討議の細目、問題点、そういうものを詳細に一つ説明してもらいたいと思います。
  69. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) これは総額……大体の日本側の考えは、インド代表団が参ります前に、在印日本大使館を通じまして向う側に知らしてございましたので、向う側も大体その点を了解して参ったわけでございますが、向う側といたしましては、たとえば総額の点、百八十億円の総額の点でありますけれども、初年度は五十億円というような点については初めから問題はなかったのでございます。問題は、結局借款条件の点でございまして、これにつきまして日本側は最長十年ということを申したのに対して、向う側は最短十年ぐらいにしてもらいたい、非常に長くしてもらいたいということを申しました。それから借款の金利につきましても、日本側世界銀行並みにと言ったのに対して、向う側は世界銀行よりもさらに低くしてくれないかということを申しました。それから品目につきましても、日本側といたしましてはほかの国に対する関係もありますので、この借款に載せ得る品目はおのずから限定されるという立場をとりましたのに対しまして、インド側は、いやしくも消費財でないものはすべてこういう条件で出してもらいたいということを当初申したわけであります。しかしながら、インド側の態度も、結局これは日本側の好意でもって貸してくれるものであるから、日本側に対して無理を言ってはいかんということをネール首相から懇々と言われてきたということを、内談しておったような状況でございまして、結局大体におきまして、日本側の当初考えておりましたようなラインに落ちついたわけでございます。
  70. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その百八十億円の初年度五十億というのは聞いたのですが、二年度、三年度はどういうふうな割り振りを考えておられるのですか。
  71. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) これはまだはっきりした数字は出ておらないのでございますが、大体におきまして二年度がおそらく一番大きくなって、三年度が少しそれより少い程度になるのではないか。これはインド側計画の進行状況にもよりますが、インド側ではそのようなことを申しております。
  72. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうしたら百八十億という金額が出てきたのは、どういう根拠から百八十億という金が出てきたのですか。
  73. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) これは五千万ドルという金なんでございますが、日本側の現在の能力の限度を考えますときに、これくらいが限度である、というところ申し出た次第であります。
  74. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 いや、どういう意味で百八十億、三カ年が日本側の限度であるのか。全体のたとえば日本の各国に対する、あるいは東南アジアに対する経済協力を全体のワクとしてどれくらいを考えておられるのか。ことに三カ年と年限を切ってあるのだから、三カ年の全体の協力のワクがこれくらいで、従って、インドに対してはこれくらいが可能であるというような十分な検討がなされているはずですが、その説明を願いたい。
  75. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) これにつきましては、現在日本輸出入銀行融資のうちの約八割くらいが船舶に向けられているわけでございます。そこで船舶の輸出というものは、将来、今のような状況で続かないことは大体わかっておるのでございまして、そうしますと、大体輸出入銀行の資金にもある程度現在のペースで参りましても、余裕ができて参ります。ところが、現在の日本機械工業その他の国際協力から申しまして、船舶の輸出が減った分だけすぐほかのプラント輸出で埋められていくかと申しますと、これはなかなかむずかしいような状況になっているわけであります。そういうふうな点を十分考えました上で、この程度のものは特別なものとして出すことが金繰り上できるし、また、日本の輸出を維持していく上におきましても、その程度は必要であるというふうに考えた次第であります。  東南アジアの国に対して、三カ年にどの程度のワクを考えているかということは、これははっきりした実は数字は、政府といたしましても持っておらないと存じますが、これは主としてどういう向う側から要求が出るのかということにもよるわけでありますが、従来の実績から申しますと、東南アジアに向けます金のうちのほとんど大部分がインドに向けておるというようなことのようでございますが、先ほども御説明したのでございますが、従来におきましても、毎年五十億円ないし六十億円というものが輸出入銀行の通常のノーマルな形におきまして間接的にインド融資されておった状況でございます。それで、この百八十億というものが、従来の実績にそのままプラスになるのじゃないかということは、これは先ほども御説明いたしたのでありますが、大体これにプラスしまして、普通の融資のものがこの百八十億の二割ないし三割くらいあるのじゃないか、その程度の命がインドに対して三年間に貸されるということは、今の輸出入銀行の金繰り、それから日本の輸出の状況等から見て妥当であるというふうに考えた次第であります。
  76. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 どうも日本は、一体経済協力をどういう規模で、今後三年あるいは五カ年やるつもりでいるのか、その中において輸出入銀行がどういう負担をせしめるのか、ことに輸出入銀行がやる場合に、国内輸出業者あるいはメーカーに融資その他の便宜を与えるのか、ここに占いてあるように、向うに対して政府あるいは政府が推薦するものに対して、そのうちからどれくらいやるのか、この辺のめどなり計画なり、そういうものが少しもはっきりしたいのですが、そこいらをもう少し明確に、ちゃんとした案があるはずだし、そういうものを政策的に検討して百八十億たるものが出てきたのでし上うから、そこいらをもう少し詳しく御説明願いたい。
  77. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 輸出入銀行の資金計画の詳細は、実は私はここに持ち合せておりませんので、さらに後刻、輸出入銀行から聞きました上で御説明申し上げたいと思います。
  78. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 今聞幸ました経済協力を一体どういう規模でやるのか、そこいらの外のワクですね。それから年次的にそれをどういうふうにしているのか。従って、その中においてインドにどれくらい受け持たせておるのか。しかもインドに対する経済協力の場合に、今言ったように、こちらの業者その他が何かやる場合の経済協力の問題と、今これでやるこの百八十億、そのうち初年度五十億というものでやるのと、民間の別な、こっちの業者に対するいろんな協力援助、そういうものとの割合がどうなるのか。そこいらが今の御説明によると全部五十億に吸収されるかのようでもあるし、いやそうでなくて、若干ははみだすようでもあるし、あるいはこれまでの実績にこれらがさらに五十億まるまるフラスされるのじゃないというような御答弁でもあるし、そこいらが少しも数字的にはっきりしないので、これは後の機会でもいいですが、 そこいらの計画なり見通しなりをもう少しはっきり立てて、こういう計画のもとにこれは推し進めるということを提示して御説明を願いたいと思います。
  79. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 私も、今佐多さんがおっしゃったようなことを実は希望しておるのですが、すでにいわゆる経済協力といっても、ただ漫然たる経済協力というのではない。ビルマとか、タイとか、あるいはフィリピンとの関係においては、条約に基礎を置くものがあるわけです。そしてあそこの中には総ワクの額などもきめてある。ああいうのを大体どういう計画でやるのかということを聞きたい。その辺のところは今のことと実質的には一緒になる部分も多いと思いますが、一つ佐多議員の言うように、別の機会でもいいですから、御説明願いたいと思います。
  80. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 両委員から、別の機会でもいいと言っておられますが、答弁いかがされますか。
  81. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 作成いたしまして、また後日報告さしていただくことにいたします。
  82. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止
  83. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) それでは速記を起して下さい。  他に御発言もございませんようですから、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。通商に関する日本国インドとの間の協定締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手をお願いいたします。   〔賛成者挙手〕
  86. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 全会一致でございます。よって本件は、全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二、条により議長に提出すべき報告書の作成、その他事後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本件を承認することに賛成されたお方は、順次御署名をお願いいたします。多数意見者署名   森  元治郎  佐多  忠隆   加藤 シヅエ  井野  碩哉   重宗  雄三  安部  清美   石黒  忠篤  佐藤  尚武   杉原  荒太  井上  清一   鶴見  祐輔     —————————————
  88. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) それでは次に、日本国ソヴィエト社会主義共和国連邦との間の通商に関する条約締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。本件につきましては、先般提案理由説明を聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。  なお本件は、先月二十八日衆議院より送付され、本審査になっておりますので、 念のため申し上げます。  質疑のおありの方は、順次御発言をお願いいたします。
  89. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 この通商条約を話される場合に、当初この交渉が始まったときには、日本通商条約というような、かなり、基本的な、半半恒久的な話し合いをやるのじゃなくて、さしあたり通商上の簡単な、当面的な暫定的な取りきめだけをやるのだ、そういうつもりで話をするのだというお話だった。それに対して私は、そんなことでは問題は解決しないので、もっと日本側から、ソ連の方から提案されるとおぼしきものは通商条約なんだ、半恒久的なものを、基本的なものを出してくることが見通される、そういうことを予想しながら、日本もそれに対応して、むしろこの際、積極的に通商上の友好関係を促進するという態度でやらなければ、非常に話が食い違うではないかという意見を、前の臨時国会において述べておいたのですが、いやそうでなくて、暫定的なもので話をまとめるつもりだというような、当初の方針はそういう方針を堅持されたように思うのですが、なぜあのときには、当初はそういうふうな態度をとられたのか。それから交渉の過程において、なぜこういうふうに態度を変えられて通商条約というようなものを結ぶように取りきめられるに至ったのか、その辺の経緯を一応詳しく御説明願いたい。
  90. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 仰せのごとく、最初日本側といたしましては、日ソの貿易を早急に軌道に乗せたいという気持から、さしあたり貿易支払協定交渉みたいなものに入りたいという気持であったのでありまするが、今佐多委員の申されたごとく、先方におきましては、もっと前進したものを一つ作りたい。もちろん日本といたしましては、できるだけ友好親善関係を増大していきたいという気持でこの交渉に当ったのでありまするが、その間のこまかい経緯等に関しましては、一応政府委員から説明をいたします。
  91. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 大体の経緯は、ただいま政務次官から申し上げました通りに、当初私どもといたしましては、確かに貿易協定と支払協定だけを作りたいと思っておったのであります。それはまだ日ソの間の貿易量も非常に少いことでありますし、かつ相互の間、特に日本側から見まして非常にソ連側の事情が明らかでなかった点もございまして、そういう事情の調査等に手間取るよりは、まず早急に、貿易をつけるために支払及び貿易協定を作る方が実際的であると考えておったのでありまして、また、当初私どもはソ連に対して交渉開始を申し出ましたときはそういう趣旨で申し出ました。向うもそれに対して異議はその当時別に唱えなかった次第であります。ところが、代表団が参ってみますと、最初会合のときに、ソ連側にはすでに通商航海条約に関する協定案の用意もしてきておるのであって、日本側の希望もさることながら、ソ連としては共同宣言の趣旨に基いて通商航海条約に近いような協定締結までいきたいという希望の表明がございました。もちろん御承知通りに、共同宣言にはそういうものをなるべく早く作るという規定はあるのでございますので、原則としては、日本側としてもこれを拒否するわけにはいかないわけでございます。また、ソ連側の提案しました内容を見ますというと、共産圏との間の条約において一番問題があると思われます。たとえば出入国であるとか、事業活動であるとか、財産取得とか、そういうような条項は全部除いて、主として貿易と海運に限ったような案でございます。これならば日本側としても十分検討していいのではないかということで、そういうふうに考えを変えたわけでございます。また、その間ソビエト側の好意も得ましてモスクワに調査団を派遣しまして、向う側の貿易事情等につきまして相当詳細な調査もできました。これならば十分交渉に入るだけの基礎があるというふうに認めまして、この通商に関する条約交渉に入ることを受諾した次第であります。
  92. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 今の御答弁のように、日ソの共同宣言から見れば、通商条約を結ぶということが当然に出てくることは見通されるのだし、さらに今お話の調査団を派遣をして、すでに協定交渉に入るその前に調査団は帰って来、報告もきているのでしょうから、従ってこの交渉に入られる時点においては、そういうことは非常に明瞭であったはずだと思うのです。それからまた、ソ連側がそういう強い意向を持っておるということも在外公館を通じてあるいは直接に調査団を出されたのだから、その点もわかっているはずだ。われわれみたいな何の手足も持たない者でも、そういう意向なり何なりは、はっきりわかっているような状況ですから、外務省としてもそれは当然にわかっているはずだ。そういうわかりきったことを、よくわからなかったからとか、何とかいうようなことで、ああいう一つの態度なり方針を立てておいて、折衝の過程において、どうも工合が悪いようだからそれに切りかえるというようなやり方は、前後の経緯を見るとまことに無定見だし、無方針だし、実にある意味では無責任だという感じを非常に強くするのです。同時に、ちょうどこの交渉があるときに、私はモスクワに行っておりましたが、そういう問題でこれが難航をしているということが向うに伝わって、向うでは通商関係の首脳者も、それからミコヤンだとか、あるいはフルシチョフあたりも、日本はどうも共同宣言に、今後友好関係を増進するのだということをうたいながら、貿易通商に関する友好関係の促進すら考えないで、何とかして消極的にこれを阻止しようとしている態度が非常にはっきり見られるような感じがして、どうも日本の態度なり、何なりがわからない、少くとも非常に友好関係を促進すると言いながら、不信の念を抱かせていたことは事実だと思うのです。それがもし当初計画のように、通商条約を結ぶこと自体に非常な支障があり、これではいけないのだという理由があるのならば、いかに向うがそういう感じを持とうと、こちらの主張なり、事情を堂々と説明をして、それで押し切られてしかるべきだと思う。ところが、そういうことをされないで、当初非常に不愉快な不信の念を抱かせながら、向うがそういう問題を非常に積極的に主張するので、それでも差しつかえないから、あるいはやむを得ないからといって、簡単にこういうものに取りきめられる。その辺の経緯を見たら、実に外務省は何を準備し、何の方針でこういう問題をやっておられるのか、まことに了解に苦しむという感じがするのですが、そこらの点を、もう少しはっきり御答弁願いたい。
  93. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) こまかいことにつきましては、政府委員から答弁させますが、決して故意に抵抗してこの通商条約に入ることを拒んだのではなくて、もちろんいろいろと先方の意向等あたりが十分に徹してなかったことも事実だと思いまするが、われわれはいずれにいたしましても、最初簡単な協定がここまで前進、しかも友好裏に前進したということは非常にけっこうなことだと思いますので、クレムリンにおきまして、佐多委員が先方といろいろお話しの過程におきまして、もしそういう空気があったといたしましたならば、それは全く誤解であって、決して政府といたしましては、通商条約まで踏み切ることを拒んだわけではないのであります。いろいろと準備等あたりにおきまして不備の点があったことは、はなはだ申しわけない次第であります。
  94. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 この貿易支払いに関する協定特に貿易協定の問題ですが、これは大体総額どのくらいと考えておられるのか。それからソ連の力では、特に、ミコヤンその他が強調していたことは、五カ年計画あるいは七カ年計画として長期計画のもとに問題を進めているし、特にそれの中心が、東西シベリアの開発が非常に重点になっているので、そういう意味では、日本との間にいろいろな問題で交流を大きく、しかも長期的にしたいという希望を非常に持っているのだというようなことを言っておりましたが、そういう背景なり、そういう用意とタイアップするような形の貿易協定になっているのかどうか。その点をまずお伺いしたい。
  95. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) この貿易協定及びそれに属する貿易計画によりまして、大体初年度どの程度の貿易になるかという御質問だと思いますが、これは大体まあ片道二千五百万ドルないし三千万ドルくらいにいくのではないか、これは実は主として向う側からの、最近日本に対する注文の出し方などを見ておりますと、まずこの程度まではいくのではないかと考えております。それから有効期間が一年になっておりますが、これは今の日本の為替管理と割当制度におきましては一年以上の協定を結びますことは非常に困難た事情でございます。ソ連側が交渉の過程におきまして、さらに長期にしようということを申したこともございますが、その事情は説明いたしまして、これは十分納得いたしました。また、ソ連側といたしましても、初めから大きなことを言っても実行できないのでは、かえって逆効果だということはよく承知をいたしておりまして、まずその申し上げましたようなところから始めて、だんだん一つ発展させていこうじゃないかということを申しておったような次第でございます。
  96. 井上清一

    井上清一君 通商代表部につきまして若干お伺いを申し上げたいと思います。  通商代表部につきましては、通商条約の付属書にあるわけでありますが、その第二条に「通商代表部は、日本国政府の事前の同意を得て、その支部を他の都市に設置することができる。」とあるわけでありますが、現在、ソ連が日本に何カ所くらい支部を設置する考えであるか、また、これについてあらかじめお打ち合せがあったかどうか、こういう点について伺いたいと思います。
  97. 藤崎萬里

    説明員(藤崎萬里君) 交渉の過程で、ソ連側に聞きましたところでは、向うに具体的な計画は何もございません。
  98. 井上清一

    井上清一君 だいぶ前の話でございますが、日本との通商条約ができた場合には、裏日本の各都市に、通商代表部の支部を設置してやろうというようなことを、相当ソ連大使館側の人が現地へ出向いてにおわしたような事例もあるやに聞いておりますが、これらについて何か外務省としてお聞きになっておりますかどうか。
  99. 藤崎萬里

    説明員(藤崎萬里君) 大使館側からは何も聞いておりません。
  100. 井上清一

    井上清一君 そういう風評をお聞きになっておるかどうか、ことに裏日本の舞鶴とか、敦賀とか、伏木とか、函館というような所へ、それとなしに何かそういうふうな運動をまあ起したような、あるいは総合的に置くことになるかというようなことをにおわしておるやのような私は風評を聞いたのでございますが。
  101. 藤崎萬里

    説明員(藤崎萬里君) そういう風評も聞いておりません。
  102. 井上清一

    井上清一君 通商代表とその二名の代理が外交特権を持つわけでありますが、他のそれ以外の外交特権を有せざる通商代表部の勤務員というものは相当数来ると思いますが、大体どの程度で、両国政府合意する数にするようなお考えでございますか。
  103. 藤崎萬里

    説明員(藤崎萬里君) この点につきましては、条約が発効してから交渉するという建前で、この条約締結交渉においては全然触れませんでございます。従って、どれくらいのものを人れたいと申し出るかわかりませんけれども交渉のときに、先方がちょっとまあ非公式に申しましたところでは現在アルゼンチンに二十七名程度おる、貿易規模からいうと似たようなものだというようなことは申しておりました。
  104. 井上清一

    井上清一君 それから通商代表部の支部の問題でございますが、日本としては支部を幾つくらい置きたいというふうにお考えになっておられますか。
  105. 藤崎萬里

    説明員(藤崎萬里君) 現在のところ考えておりません。
  106. 井上清一

    井上清一君 たとえばウラジオストックに置きたいとか、スターリングラードに置きたいというようなことを何かお考えになっておる点ございませんか。
  107. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) これは領事館の問題だと存じますが、領事館はもちろん日本側としましてできたらウラジオとか、あるいはナホトカというようなところに置きたいと思っておりますので、そういう予算も機会があれば要求いたしたいと思っておりますが、ただソビエトは、戦後どの国についても領事館の開設を認めておらないのでございまして、領事館開設ということは非常に困難であろうと存じます。
  108. 井上清一

    井上清一君 この通商代表部の支部というのは、大体領事館と裏表になるのじゃないのですか。
  109. 藤崎萬里

    説明員(藤崎萬里君) 領事館とはまた別だろうと思います。領事館といいますと、その国にいる本邦人の保護に当るとか、いろいろな任務がございますが、通商代表部の支部でございましたら、通商代表部の仕事として申し出てあるもので、事務的に処理を要するものだけをやるわけでございます。
  110. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止
  111. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 速記を起してください。
  112. 森元治郎

    ○森元治郎君 小さい問題ですから……。明るい問題で一つ聞きますけれども、貝殻島に灯台を作るという話を聞くのですが、あれは初め日本がいろいろ資材その他を持っているから私の方で作りましょうと言ったら、ソビエトは、いやおれの方で作ると、そのかわり金はあなたの方で出してくれというようなことであったと思うのですが、その後どういうふうな話し合いになっておるか、ちょっと伺いたいと思います。
  113. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) その通りだと思いますが、政府委員から一つ
  114. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 実は御承知通り、貝殻島の灯台というのは日本が作りましたので、このレンズ等あたり日本から注文しなければいけないので、日本側から資材を持って先方に行くという交渉を始めたのでありまするが、先方ではそれでは困ると、とにかくこちらで作るからその経費を出せというので、一応そこに落ちつきまして、見積りまして、ちょっと数字は忘れましたが、先方からこれくらいの経費がかかるからというところで、まあ今年の六月か七月ころには一つ完成しようというところまで話が進んでおります。
  115. 森元治郎

    ○森元治郎君 金額は今わかりませんか。
  116. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) ちょっとこれ間違うといけませんから、先方から金高まで言ってきておりまするが、次回にでも一つそれを示さしていただきたいと思います。
  117. 森元治郎

    ○森元治郎君 まことに明るくなってけっこうなんですが、これは金を払う協定になるわけですか、取りきめ、何という形式になるか、それが一つと、それから向うが作るのですから御同慶の至りでけっこうじゃないかと思うのですが、どうです。
  118. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) これは取りきめじゃなくて、これもソ連との非常に友好裏に話の進められた一つの例だと思うのでありますが、先方でこれだけの金がかかると大体見積りまして、こちらでもこれを膨大な費用でもないというような考えから−いたしまして、ぜひそうしてもらいたいと、これはほんとうにお互いの信義と申しましょうか、お互いが信じ合ってここまで話はスムースに進んだ次第でございます。
  119. 森元治郎

    ○森元治郎君 これは非常におうようで、金が少いからという金額の問題じゃなくて、なかなかおうようだと思うのは、向うの方でどんな交渉をしたか知らぬが、幾ら幾ら金額を払いますでは、あまり金持ちみたいな感じを受けるのですが、そういう交渉は、ぬけぬけと、千万円かかりました、はい、払いましょうというのですか、折半にしようとか、どういうふうにやっておりますか。
  120. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) これは非常に回数を、何回となく交渉を進めておる次第、でございますが、ことに参議院から笹森先生を団長として向うで調査されまして帰られていろいろこの問題が起りまして自来外務省は先方と何回となく交渉をいたしまして、まあ日本側だったならばこれくらいで済むとか、日本技術者を派遣すればこういう工合になるというようなこと等あたりを繰り返しました結果、大体妥当と思える先方から申し入れましたところの金額で一つこれから進めようというところまで進んできております。
  121. 森元治郎

    ○森元治郎君 それじゃ話がそれで一応まとまったのですね。
  122. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 大体まとまったとわれわれは了解しております。
  123. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止
  124. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 速記を始めて下さい。
  125. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 日ソの通商条約についてお尋ねしたいのですが、いやしくも通商条約と言う以上、普通、物と船と人に対する待遇の取りきめがほんとうだと思うのです。今度のソ連との通商条約には、物と船のことははっきり規定してあるけれども、人のことが規定をしていない。これは非常に普通の場合と違っている点だと思うが、実際問題としては、今までも入国とか、あるいは入国した後の旅行とか、滞在とか、実際問題が非常に起ってきて、そのために実際の商談そのものなどが非常な障害を受けるという例があったのです。今度の条約に人の入国、滞在、旅行あるいは居住というような点の、どうするということを特に取り扱っていないというのはどういうわけでありますか。また、その交渉の過程においてどういう点があったのか。その点一つ説明願いたいと思います。
  126. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 御指摘の通り、人に関する規定がこの条約に欠けております。従いまして、日本が従来とも提携をいたしておりました古典的な通商航海条約というのには当らないわけであります。そのために名称につきまして、先方が通商航海条約ということを申し入れたのでありますが、それは困るということで、結局、通商に関する条約ということに直したわけでございます。それでその人に関する規定が人らなかった一つの理由は、ソビエト側からも何らそういう申し出がなかったということがございます。それから日本側の立場といたしましては、社会制度の全然違う共産国との条約でありますので、人に関してあるいは人の職業活動というようなことに関して、最恵国待遇というようなものを規定することは果してどういう意味を持つかということは、非常に私どもといたしまても、はっきりつかめない点が多いのであります。この点は、この際早急に結ぶことが適当でないと考えましたので、これはオミットいたした次第でございます。人の職業についていろいろ不便があるという御指摘でございますが、これはまあ先方が、たとえば日本の指紋を押すことをいやがるというような点が相当今まであったわけでございまして、これはまあ関係法令の方の整備でもって解決される問題が多いかと存じます。従いまして、現在のところでは、また出入国についてはケース・バイ・ケースということになるより仕方がないだろうと考えております。
  127. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 入国してしまった後の居住とか永住とか、恒久的なものについてはなかなか簡単にできないと思うけれども、少くとも商売のために、その必要のために入国してくる。それがためにある地点からある地点へ行かなければならぬというようなことを、ケース・バイ・ケースによると言われますが、今までの実際の事例で、そういう点で非常に障害が起っている。商売そのものにも非常に障害を来たしている。これなども何らか一般的な、原則的なことを両国間できめておかれた方がいいように思う。
  128. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) その点は将来研究いたすことにいたしたいと思います。
  129. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 速記とめて。   〔速記中止
  130. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 速記起して。  本日は、これで散会いたします。    午後零時六分散会