○佐多
忠隆君 今の御答弁のように、日ソの共同宣言から見れば、
通商条約を結ぶということが当然に出てくることは見通されるのだし、さらに今お話の調査団を派遣をして、すでに
協定交渉に入るその前に調査団は帰って来、報告もきているのでしょうから、従ってこの
交渉に入られる時点においては、そういうことは非常に明瞭であったはずだと思うのです。それからまた、ソ連側がそういう強い意向を持っておるということも在外公館を通じてあるいは直接に調査団を出されたのだから、その点もわかっているはずだ。われわれみたいな何の手足も持たない者でも、そういう意向なり何なりは、はっきりわかっているような
状況ですから、外務省としてもそれは当然にわかっているはずだ。そういうわかりきったことを、よくわからなかったからとか、何とかいうようなことで、ああいう
一つの態度なり方針を立てておいて、折衝の過程において、どうも工合が悪いようだからそれに切りかえるというようなやり方は、前後の経緯を見るとまことに無定見だし、無方針だし、実にある意味では無責任だという感じを非常に強くするのです。同時に、ちょうどこの
交渉があるときに、私はモスクワに行っておりましたが、そういう問題でこれが難航をしているということが向うに伝わって、向うでは
通商関係の首脳者も、それからミコヤンだとか、あるいはフルシチョフ
あたりも、
日本はどうも共同宣言に、今後友好
関係を増進するのだということをうたいながら、貿易
通商に関する友好
関係の促進すら考えないで、何とかして消極的にこれを阻止しようとしている態度が非常にはっきり見られるような感じがして、どうも
日本の態度なり、何なりがわからない、少くとも非常に友好
関係を促進すると言いながら、不信の念を抱かせていたことは事実だと思うのです。それがもし当初
計画のように、
通商条約を結ぶこと自体に非常な支障があり、これではいけないのだという理由があるのならば、いかに向うがそういう感じを持とうと、こちらの主張なり、事情を堂々と
説明をして、それで押し切られてしかるべきだと思う。
ところが、そういうことをされないで、当初非常に不愉快な不信の念を抱かせながら、向うがそういう問題を非常に積極的に主張するので、それでも差しつかえないから、あるいはやむを得ないからといって、簡単にこういうものに取りきめられる。その辺の経緯を見たら、実に外務省は何を準備し、何の方針でこういう問題をやっておられるのか、まことに
了解に苦しむという感じがするのですが、そこらの点を、もう少しはっきり御答弁願いたい。